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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024022969
(43)【公開日】2024-02-21
(54)【発明の名称】バンパー装置及び荷役車両
(51)【国際特許分類】
   B60R 19/38 20060101AFI20240214BHJP
【FI】
B60R19/38 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022126444
(22)【出願日】2022-08-08
(71)【出願人】
【識別番号】000163095
【氏名又は名称】極東開発工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100480
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 隆
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 俊博
(57)【要約】
【課題】バンパー本体側部材を移動させることができる状態を維持することができるバンパー装置を提供する。
【解決手段】基部側部材2と、バンパー本体側部材3と、伸縮機構部5とを備え、伸縮機構部は、2本のフロントアーム60、61と、2本のリアアーム65、66と、連結リンク67、68とを有し、伸縮機構部を構成する各部材は、バンパー本体側部材の移動と連動して姿勢変更するものであり、バンパー本体側部材の移動を規制する規制部材6を有し、規制部材が所定の規制姿勢であるとき、伸縮機構部を構成する部材の姿勢変更を阻害してバンパー本体側部材の移動を阻止し、規制部材が伸縮可能姿勢であるとき、バンパー本体側部材の移動が可能となり、係合部が他の部材と係合して前記回動軸を前記伸縮可能角度に固定することが可能であることを特徴とするバンパー装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に取り付けられるバンパー装置であって、基部側部材と、バンパー本体側部材と、伸縮機構部とを備え、前記基部側部材が前記車両に取り付けられ、前記バンパー本体側部材が前記基部側部材に対して近接離反方向に移動可能であり、前記バンパー本体側部材が前記基部側部材に近接した格納姿勢と、前記バンパー本体側部材が前記基部側部材から離れた展開姿勢をとることが可能なバンパー装置において、
前記伸縮機構部は、2本のフロントアームと、2本のリアアームと、連結リンクとを有し、
前記2本のフロントアームは、いずれも一端側が前記基部側部材に回動可能に係合され、
前記2本のリアアームは、一端側が前記フロントアームに回動可能に係合され、他端側がバンパー本体側部材に回動可能に係合され、
前記連結リンクは、前記2本のフロントアーム又は前記2本のリアアームと回動可能に係合され、
前記伸縮機構部を構成する各部材は、前記バンパー本体側部材の移動と連動して姿勢変更するものであり、
前記バンパー本体側部材の移動を規制する規制部材を有し、
当該規制部材は、当接部材及び係合部を有し、
前記規制部材は、基部側部材又はバンパー本体側部材に取り付けられており、
前記規制部材が所定の規制姿勢であるとき、前記当接部材が前記伸縮機構部の一部と接触する位置にあって前記伸縮機構部を構成する部材の姿勢変更を阻害してバンパー本体側部材の移動を阻止し、
前記規制部材が所定の伸縮可能姿勢であるとき、前記当接部材は前記伸縮機構部を構成する部材の姿勢変更を許容してバンパー本体側部材の移動が可能となり、
前記係合部が他の部材と係合して前記規制部材を前記伸縮可能姿勢に固定することが可能であることを特徴とするバンパー装置。
【請求項2】
前記規制部材は前記基部側部材に取り付けられており、前記前記規制部材が前記規制姿勢であるとき、前記当接部材が前記連結リンクの一部と接触する位置にあることを特徴とする請求項1に記載のバンパー装置。
【請求項3】
前記規制部材は、基部側部材又はバンパー本体側部材の一方に取り付けられており、基部側部材又はバンパー本体側部材に被係合部があり、係合部又は被係合部の一方はピンであり、係合部又は被係合部の他方は孔であり、前記ピンが前記孔に係合して前記規制部材の姿勢が固定されることを特徴とする請求項1に記載のバンパー装置。
【請求項4】
前記規制部材は、基部側部材又はバンパー本体側部材の一方に取り付けられており、基部側部材又はバンパー本体側部材の他方に拡張防止用被係合部があり、
前記バンパー本体側部材が格納姿勢であるときに、前記係合部又は他の係合部を前記拡張防止用被係合部と係合させてバンパー本体側部材が展開姿勢に移動することを阻止することができることを特徴とする請求項1に記載のバンパー装置。
【請求項5】
前記フロントアーム又は前記リアアームの少なくともいずれかに、ハンドルが取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載のバンパー装置
【請求項6】
車体に対して移動可能な荷台部を備えた荷役車両であって、請求項1乃至5のいずれかに記載のバンパー装置を備えたことを特徴とする荷役車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に装備されるバンパー装置に関するものである。本発明は、特に、車両運搬車やコンテナ運搬車、ダンプカー等の様に荷台部分の一部が移動したり、荷台部分の一部を地上に下ろしたりする機能を備えた荷役車両に装着されるバンパー装置に関するものである。
また本発明は、荷役車両に関するものである。
【背景技術】
【0002】
荷台の姿勢を変化させたり、荷台を地上に下ろしたりする機能を持つ荷役車両が知られている。例えば特許文献1には、ボディ積み降ろし車両が開示されている。特許文献1に開示されたボディ積み降ろし車両は、車両運搬車であり、乗用車や土木機械等の車両を運搬する際に使用されるものである。特許文献1に記載の車両運搬車は、リフトフレームとスライド可能なボディが搭載されている。そして特許文献1に開示された車両では、リフトフレームを傾斜させ、ボディ(荷台)をスライドさせてボディを地上に降下させることができる。
【0003】
また貨物車両には、後部バンパーの装着が義務づけられている。歩行者や他の車両が衝突した際の安全を確保するため、後部バンパーは、車両本体からある程度後方に突出していなければならない。
ところで前記した車両運搬車等は、機能上、荷台部分の姿勢を後方に傾斜させたり、荷台部分を後方から地上に降下させたりするものであり、後部バンパーは車両の後方に突き出した状態で取り付けられているから、荷台を傾斜させる等の際に後部バンパーが邪魔になる。
そこで積み下ろし等の作業を行う際に、後部バンパーを退避させる構造が提案されている(特許文献2)。
【0004】
また特許文献2に開示されたバンパー装置では、後部バンパーが不用意に動いてしまうことを防止するための方策が設けられている。
即ち、特許文献2に開示されたバンパー装置では、ピストン軸を有するとともに、車両側にピストン軸が挿通される孔がある。特許文献2に開示されたバンパー装置では、ピストン軸を車両側の孔に挿通し、バンパー本体が不用意に移動しないように固定している。
また特許文献2に開示されたバンパー装置では、バンパーを車両の前後方向に動かす際には、ピストン軸と一体に設けたレバー軸を最高高さの位置に回転当接させることで、ピストン軸を中立の位置に維持させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000-108768号公報
【特許文献2】特許第5284236号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2に開示されたバンパー装置では、前記した様にピストン軸を中立の位置に維持させた状態でバンパーを移動させる。
しかしながら、作業中の振動で、意図せず中立位置が解除されてしまい、バンパーを移動することができなくなってしまう懸念があった。
【0007】
本発明は、従来技術の上記した課題を解決するものであり、バンパー本体側部材を移動させることができる状態を維持することができるバンパー装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した課題を解決するための態様は、 車両に取り付けられるバンパー装置であって、基部側部材と、バンパー本体側部材と、伸縮機構部とを備え、前記基部側部材が前記車両に取り付けられ、前記バンパー本体側部材が前記基部側部材に対して近接離反方向に移動可能であり、前記バンパー本体側部材が前記基部側部材に近接した格納姿勢と、前記バンパー本体側部材が前記基部側部材から離れた展開姿勢をとることが可能なバンパー装置において、
前記伸縮機構部は、2本のフロントアームと、2本のリアアームと、連結リンクとを有し、
前記2本のフロントアームは、いずれも一端側が前記基部側部材に回動可能に係合され、
前記2本のリアアームは、一端側が前記フロントアームに回動可能に係合され、他端側がバンパー本体側部材に回動可能に係合され、
前記連結リンクは、前記2本のフロントアーム又は前記2本のリアアームと回動可能に係合され、
前記伸縮機構部を構成する各部材は、前記バンパー本体側部材の移動と連動して姿勢変更するものであり、
前記バンパー本体側部材の移動を規制する規制部材を有し、
当該規制部材は、当接部材及び係合部を有し、
前記規制部材は、基部側部材又はバンパー本体側部材に取り付けられており、
前記規制部材が所定の規制姿勢であるとき、前記当接部材が前記伸縮機構部の一部と接触する位置にあって前記伸縮機構部を構成する部材の姿勢変更を阻害してバンパー本体側部材の移動を阻止し、
前記規制部材が所定の伸縮可能姿勢であるとき、前記当接部材は前記伸縮機構部を構成する部材の姿勢変更を許容してバンパー本体側部材の移動が可能となり、
前記係合部が他の部材と係合して前記規制部材を前記伸縮可能姿勢に固定することが可能であることを特徴とするバンパー装置
である。
【0009】
本態様のバンパー装置では、規制部材を規制姿勢にすることによって、当接部材が伸縮機構部の一部と接触する位置となり、伸縮機構部を構成する部材の姿勢変更を阻害してバンパー本体側部材の移動を阻止することができる。
また本態様のバンパー装置では、規制部材を伸縮可能姿勢にすることにより伸縮機構部を構成する部材の姿勢変更を許容することとなり、バンパー本体側部材の移動が可能となる。さらに本態様のバンパー装置では、規制部材に係合部があり、係合部を他の部材と係合させて、規制部材を伸縮可能姿勢に固定することができる。
【0010】
上記した態様において、前記規制部材は前記基部側部材に取り付けられており、前記前記規制部材が前記規制姿勢であるとき、前記当接部材が前記連結リンクの一部と接触する位置にあることが望ましい。
【0011】
連結リンクは、バンパー本体側部材の移動に応じて直線的に姿勢変更する。そのため、当接部材を接触させやすい。
【0012】
上記した態様において、前記規制部材は、基部側部材又はバンパー本体側部材の一方に取り付けられており、基部側部材又はバンパー本体側部材に被係合部があり、係合部又は被係合部の一方はピンであり、係合部又は被係合部の他方は孔であり、前記ピンが前記孔に係合して前記規制部材の姿勢が固定されることが望ましい。
【0013】
本態様のバンパー装置によると、バンパー本体側部材が格納姿勢となった状態又は、バンパー本体側部材が展開姿勢となった状態を維持させることができる。
【0014】
上記した態様において、前記規制部材は、基部側部材又はバンパー本体側部材の一方に取り付けられており、基部側部材又はバンパー本体側部材の他方に拡張防止用被係合部があり、前記バンパー本体側部材が格納姿勢であるときに、前記係合部又は他の係合部を前記拡張防止用被係合部と係合させてバンパー本体側部材が展開姿勢に移動することを阻止することができることが望ましい。
【0015】
本態様のバンパー装置によると、バンパー本体側部材が基部側部材に近接した格納姿勢となった状態を維持させることができる。
【0016】
上記した態様において、前記フロントアーム又は前記リアアームの少なくともいずれかに、ハンドルが取り付けられていることが望ましい。
【0017】
本態様によると、手動によってバンパー本体側部材を移動させる際に、ハンドルを持って作業することができる。
【0018】
荷役車両に関する態様は、車体に対して移動可能な荷台部を備えた荷役車両であって、上記したいずれかに記載のバンパー装置を備えたことを特徴とする荷役車両である。
【発明の効果】
【0019】
本発明のバンパー装置によると、バンパー本体側部材を移動させることができる状態を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態のバンパー装置の平面図であり、全体が伸長して展開姿勢となった状態を示す。
図2図1から基部側部材と、バンパー本体側部材を略して図示したバンパー装置の平面図である。
図3】本発明の実施形態のバンパー装置の平面図であり、全体が収縮して格納姿勢となった状態を示す。
図4図2から基部側部材と、バンパー本体側部材を略して図示したバンパー装置の平面図である。
図5図1のバンパー装置の部材をモデル化し、部材ごとに分割した平面図である。
図6図1のバンパー装置の機構図であり、(a)は、展開姿勢の状態を示し、(b)は、格納姿勢の状態を示す。
図7】(a)は、展開姿勢の状態であり、(c)は、格納姿勢の状態であり、(b)はその中間状態であり、各左図は、2本のフロントアームと、2本のリアアームと、連結リンクの姿勢を示す平面図であり、各右図は、基部側部材とバンパー本体側部材の関係を示す平面図である。
図8図1のバンパー装置の要部の分解斜視図であり、基部側部材内における連結リンクと、規制部材の関係を示す。
図9】規制部材の斜視図である。
図10】(a)は、図1のバンパー装置の基部側部材の平面図であって、規制部材の回動軸を規制角度に維持して規制部材を規制姿勢とし、バンパー本体側部材を展開姿勢のままで固定する際における規制部材のレバー部と第1係合部の姿勢を示し、(b)は、その状態における規制部材の当接部材と伸縮機構部の第1連結リンクの関係を示す平面断面図であり、(c)は、その状態における規制部材の当接部材と、第1連結リンクの関係を示す正面断面図である。
図11】(a)は、図1のバンパー装置の基部側部材の平面図であって、規制部材の回動軸を伸縮可能角度に維持して規制部材を伸縮可能姿勢とし、バンパー本体側部材を移動可能な状態にする際における規制部材のレバー部と第1係合部の姿勢を示し、(b)は、その状態における規制部材の当接部材と第1連結リンクの関係を示す平面断面図であり、(c)は、その状態における規制部材の当接部材と、第1連結リンクの関係を示す正面断面図である。
図12図1のバンパー装置の平面図であって、(a)は、バンパー本体側部材を格納姿勢のままで固定する際における規制部材のレバー部と第1係合部及びバンパー本体側部材の関係を示す平面であり、(b)は、その状態における規制部材の当接部材と伸縮機構部の第1連結リンクの関係を示す平面断面図である。
図13】本発明の実施形態の荷役車両の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について説明する。
本実施形態のバンパー装置1は、例えば図13に示す様な荷役車両200の後部バンパーとして採用されるものである。
以下の説明において、前後の関係は、荷役車両200の前後を基準とする。即ち前側とは運転席201側を意味し、後側はその反対側を意味する。
【0022】
本実施形態のバンパー装置1は、各図の様に、基部側部材2と、バンパー本体側部材3と、伸縮機構部5を備えている。バンパー装置1は、基部側部材2が荷役車両200の後部に取り付けられ、バンパー本体側部材3が、基部側部材2に対して近接離反方向に移動可能である。即ちバンパー装置1は、図3図4図6(b)、図7(c)の様な、バンパー本体側部材3が基部側部材2に近接した格納姿勢と、図1図2図6(a)、図7(a)の様な、バンパー本体側部材3が基部側部材2から離れた展開姿勢をとることができる。
【0023】
また本実施形態のバンパー装置1は、基部側部材2にバンパー本体側部材3の移動を規制する規制部材6を有している。
本実施形態では、図8図9の様に、規制部材6は回動軸7があり、回動軸7を規制角度にすることにより規制部材6が規制姿勢となり、バンパー本体側部材3を展開姿勢のままで固定することができる。
また回動軸7を伸縮可能角度にすることにより規制部材6が伸縮可能姿勢となり、バンパー本体側部材3を手動で移動させることができる。
さらに回動軸7を所定の角度にして規制部材6をバンパー本体側部材3と係合し、バンパー本体側部材3を格納姿勢のままで固定することもできる。
【0024】
基部側部材2は、断面形状が「コ」字状であって、ある程度の長さを有する部材である。即ち基部側部材2は、図8の様に、上辺壁10と、下辺壁11及びその両者を繋ぐ縦壁部12を有している。
基部側部材2の上辺壁10には、被係合板17が溶接されている。
被係合板17は、図8等の様な略五角形の板であり、軸挿通孔20と、第1被係合孔(被係合部)21及び第2被係合孔(被係合部)22が設けられている。
軸挿通孔20は、基部側部材2の上辺壁10を貫通している。また下辺壁11には軸挿通孔20に相当する位置に受け孔23が設けられている。
第1被係合孔21と第2被係合孔22は、軸挿通孔20を中心として90度離れた位置にある。即ち軸挿通孔20の真横の位置に第2被係合孔22があり、軸挿通孔20の縦壁部12側の位置に第1被係合孔21がある。
軸挿通孔20と第1被係合孔21の距離は、軸挿通孔20と第2被係合孔22の距離と等しい。
【0025】
基部側部材2の縦壁部12の背面には図1図3の様に、シリンダ取り付け部25が設けられている。シリンダ取り付け部25は、オプションでシリンダを取り付ける際に使用される部材であり、本実施形態では使用されない。
【0026】
規制部材6は、図9の様に、回動軸7に、操作レバー31と、位置決め部材32と、当接部材33が一体的に固定されたものである。
位置決め部材32は、板状の部材であり、裏面に第1係合部36が設けられている。第1係合部36は、ピンであり、その一部が位置決め部材32の下面から下方に突出している。
当接部材33は、幅の狭い板状の部材である。
操作レバー31は、回動軸7の上端に固定されている。操作レバー31の下に、距離をあけて位置決め部材32が取り付けられている。さらに位置決め部材32の下方に、当接部材33が取り付けられている。
回動軸7に対して、位置決め部材32と当接部材33とは、同じ角度の位置に固定されている。操作レバー31は、回動軸7に対して、位置決め部材32等とは90度離れた向きに取り付けられている。なお、位置決め部材32、当接部材33及び操作レバー31の取り付け角度は任意である。
【0027】
規制部材6は、回動軸7が軸挿通孔20と受け孔23に挿通されて基部側部材2に回動可能に支持されている。
規制部材6の操作レバー31と位置決め部材32は、基部側部材2の上辺壁10の上にあり、当接部材33は、上辺壁10と下辺壁11の間の空間にある。回動軸7にばね37が装着されている。
ばね37は、図8の様に、規制部材6の当接部材33と基部側部材2の上辺壁10の間にあり、規制部材6は、ばね37によって下方に向かって付勢されている。
そのため、規制部材6の位置決め部材32は、ばね37の付勢力によって、常時、被係合板17に押し当てられている。ただし、規制部材6は、軸方向に移動可能であり、操作レバー31を持って引き上げると、ばね37に抗して位置決め部材32が被係合板17から離れる。
【0028】
バンパー本体側部材3は、バンパー本体15と、接続部16有している。
バンパー本体15は、荷役車両200の全幅に相当する長さを有するバー状や板状の部材である。
またバンパー本体側部材3には、図1図3の様に、第3被係合孔(拡張防止用被係合部)38が設けられている。
【0029】
伸縮機構部5は、2本のフロントアーム60、61と、2本のリアアーム65、66と、フロント側連結リンク67及び、リア側連結リンク68を有している。
【0030】
フロントアーム60、61、リアアーム65、66及び連結リンク67、68は、いずれも断面形状が立体形状であり、相当の剛性を有している。
フロントアーム60、61及びリアアーム65、66の全長は略同じである。
フロント側連結リンク67とリア側連結リンク68の全長は、略同じである。
【0031】
フロントアーム60は、図5の様に、基部側部材2に回動可能に支持される車両側係合孔70と、リアアーム65と回動可能に係合するリアアーム側係合孔71と、フロント側連結リンク67と回動可能に係合する連結リンク側係合孔72を有している。
連結リンク側係合孔72は、車両側係合孔70と、リアアーム側係合孔71とを結ぶ直線101から外れた位置にある。また連結リンク側係合孔72は、車両側係合孔70よりも外側の位置にある。伸縮機構部5として組み立てられた状態においては、連結リンク側係合孔72は各リンクで囲まれた枠の外側に向いて突出した位置にある。
【0032】
フロントアーム61は、基部側部材2に回動可能に支持される車両側係合孔80と、リアアーム66と回動可能に係合するリアアーム側係合孔81と、フロント側連結リンク67と回動可能に係合する連結リンク側係合孔82を有している。
連結リンク側係合孔82は、車両側係合孔80と、リアアーム側係合孔81とを結ぶ直線102から外れた位置にある。また連結リンク側係合孔82は、車両側係合孔80よりも内側の位置にある。即ち伸縮機構部5として組み立てられた状態においては、連結リンク側係合孔82は各リンクで囲まれた枠の内側に向いて突出した位置にある。伸縮機構部5として組み立てられた状態においては、フロントアーム60の連結リンク側係合孔72と、フロントアーム61の連結リンク側係合孔82は、同じ方向(図面下側)に突出した位置にある。
伸縮機構部5として組み立てられた状態においては、図2図5の様に、フロントアーム60の連結リンク側係合孔72は、車両側係合孔70と車両側係合孔80とを結ぶ線よりも前側の位置にある。一方、フロントアーム61の連結リンク側係合孔82は、車両側係合孔70と車両側係合孔80とを結ぶ線よりも後側(連結リンク側係合孔72の前後反対側)の位置にある。
【0033】
フロントアーム60、61の機構上の長さは、略等しい。即ちフロントアーム60の車両側係合孔70とリアアーム側係合孔71との間の距離と、フロントアーム61の車両側係合孔80とリアアーム側係合孔81との間の距離は、略等しい。
またフロントアーム60の車両側係合孔70と連結リンク側係合孔72との間の距離と、フロントアーム61の車両側係合孔80と連結リンク側係合孔82との間の距離は、略等しい。さらにフロントアーム60の直線101と、連結リンク側係合孔72がなす角度の鋭角側(以下 突出角度)と、フロントアーム61の直線102と連結リンク側係合孔82の突出角度は、略等しい。
【0034】
リアアーム65は、フロントアーム60と回動可能に係合するフロントアーム側係合孔73と、バンパー本体側に回動可能に支持されるバンパー側係合孔75と、リア側連結リンク68と回動可能に係合する連結リンク側係合孔76を有している。
連結リンク側係合孔76は、バンパー側係合孔75と、フロントアーム側係合孔73とを結ぶ直線103から外れた位置にある。また連結リンク側係合孔76は、バンパー側係合孔75よりも内側の位置にある。伸縮機構部5として組み立てられた状態においては、連結リンク側係合孔76は各リンクで囲まれた枠の内側に向いて突出した位置にある。
【0035】
リアアーム66は、フロントアーム61と回動可能に係合するフロントアーム側係合孔83と、バンパー本体側に回動可能に支持されるバンパー側係合孔85と、リア側連結リンク68と回動可能に係合する連結リンク側係合孔86を有している。
連結リンク側係合孔86は、バンパー側係合孔85と、フロントアーム側係合孔83とを結ぶ直線105から外れた位置にある。また連結リンク側係合孔86は、バンパー側係合孔85よりも外側の位置にある。即ち伸縮機構部5として組み立てられた状態においては、連結リンク側係合孔86は、各リンクで囲まれた枠の外側に向いて突出した位置にある。伸縮機構部5として組み立てられた状態においては、リアアーム65の連結リンク側係合孔76と、リアアーム65の連結リンク側係合孔86は、同じ方向(図面上側)に突出した位置にある。
【0036】
リアアーム65、66の機構上の長さは、略等しい。即ちリアアーム65のバンパー側係合孔75とフロントアーム側係合孔73との間の距離と、リアアーム66のバンパー側係合孔85とフロントアーム側係合孔83との間の距離は、略等しい。
またリアアーム65のバンパー側係合孔75と連結リンク側係合孔76との間の距離と、リアアーム66のバンパー側係合孔85と連結リンク側係合孔86との間の距離は、略等しい。
リアアーム65の連結リンク側係合孔76の突出角度と、リアアーム66の連結リンク側係合孔86の突出角度についても略等しい。
【0037】
さらに本実施形態では、リアアーム65、66の機構上の長さと、フロントアーム60、61の機構上の長さは、略等しい。また突出角度についても略等しい。
フロントアーム60、61には、ハンドル40が取り付けられている。
【0038】
フロント側連結リンク67は、一方のフロントアーム60と回動可能に係合する一方側の係合孔88と、他方のフロントアーム61と回動可能に係合する他方側の係合孔90を有している。
フロント側連結リンク67には当接ピン77が設けられている。
またフロント側連結リンク67の直線部分には外側に突出するシリンダ取り付け部93が設けられている。シリンダ取り付け部93にはシリンダ取り付け孔95が設けられている。
シリンダ取り付け部93は、オプションでシリンダを取り付ける場合の部材であり、本実施形態では使用されない。
【0039】
リア側連結リンク68は、一方のリアアーム65と回動可能に係合する一方側係合孔91と、他方のリアアーム66と回動可能に係合する他方側係合孔92を有している。
リア側連結リンク68とフロント側連結リンク67の機構上の長さは、略等しい。即ちフロント側連結リンク67の一方側の係合孔88と他方側の係合孔90との間の距離と、リア側連結リンク68の一方側の係合孔91と係合孔92との間の距離は、略等しい。
【0040】
伸縮機構部5は、前記した2本のフロントアーム60、61と、2本のリアアーム65、66と、フロント側連結リンク67及びリア側連結リンク68がピンを介して環状に接続されたものである。
即ち、フロントアーム60、リアアーム65、リア側連結リンク68、リアアーム66、フロントアーム61、フロント側連結リンク67、フロントアーム60が、この順に、ピン110、111、112、113、115、116で回動可能に連結されている。
【0041】
具体的には、フロントアーム60の一端に設けられたリアアーム側係合孔71と、リアアーム65の一端に設けられたフロントアーム側係合孔73が重ねられてピン110が挿通され、フロントアーム60とリアアーム65とが回動中心Bを中心として回動可能に係合している。
【0042】
リアアーム65に設けられた連結リンク側係合孔76と、リア側連結リンク68に設けられた係合孔91が重ねられてピン111が挿通され、リアアーム65とリア側連結リンク68とが回動中心Eを中心として回動可能に係合している。
【0043】
リア側連結リンク68に設けられた係合孔92と、リアアーム66に設けられた連結リンク側係合孔86が重ねられてピン112が挿通され、リア側連結リンク68とリアアーム66とが回動中心eを中心として回動可能に係合している。
【0044】
リアアーム66に設けられたフロントアーム側係合孔83と、フロントアーム61に設けられたリアアーム側係合孔81が重ねられてピン113が挿通され、リアアーム66とフロントアーム61とが回動中心bを中心として回動可能に係合している。
【0045】
フロントアーム61に設けられた連結リンク側係合孔82と、フロント側連結リンク67に設けられた係合孔90が重ねられてピン115が挿通され、フロントアーム61とフロント側連結リンク67とが回動中心cを中心として回動可能に係合している。
【0046】
フロント側連結リンク67に設けられた係合孔88と、フロントアーム60に設けられた連結リンク側係合孔72が重ねられてピン116が挿通され、フロント側連結リンク67とフロントアーム60とが回動中心Cを中心として回動可能に係合している。
【0047】
またフロントアーム60の車両側係合孔70にピン117が挿通され、基部側部材2の一部に回動可能に支持されている。フロントアーム60は、回動中心Aを中心として基部側部材2の一部に回動可能に固定されている。同様に、フロントアーム61の車両側係合孔80にピン118が挿通され、基部側部材2の一部に回動可能に支持されている。フロントアーム61は、回動中心aを中心として基部側部材2の一部に回動可能に固定されている。
【0048】
まとめると、一方のフロントアーム60は、基部側部材2に固定されていて回動中心Aを中心として回動し、前記フロントアーム60とリアアーム65は、回動中心Bを中心として回動可能に係合し、前記フロントアーム60は、フロント側連結リンク67と回動中心Cを中心として回動可能に係合している。またフロントアーム60とフロント側連結リンク67との回動中心Cは、回動中心Aよりも外側に外れている。
【0049】
他方のフロントアーム61は、基部側部材2に固定されていて回動中心aを中心として回動し、前記フロントアーム61とリアアーム66は、回動中心bを中心として回動可能に係合し、前記フロントアーム61は、フロント側連結リンク67と回動中心cを中心として回動可能に係合している。またフロントアーム61とフロント側連結リンク67との回動中心cは、回動中心aよりも内側に外れている。
即ち、回動中心cは、回動中心Cとは反対方向に外れている。
【0050】
一方のリアアーム65は、バンパー本体側部材3に固定されていて回動中心Dを中心として回動可能に係合し、リアアーム65はフロントアーム60と回動中心Bを中心として回動可能に係合し、リアアーム65のリア側連結リンク68に対する回動中心Eは、回動中心Dよりも内側に外れている。
他方のリアアーム66は、バンパー本体側部材3に属する部材に固定されていて回動中心dを中心として回動可能に係合し、リアアーム66はフロントアーム61と回動中心bを中心として回動可能に係合し、リアアーム66のリア側連結リンク68に対する回動中心eは、回動中心dよりも外側に外れている。
即ち、回動中心eは、回動中心Eとは反対方向に外れている。
【0051】
次に、バンパー装置1と、基部側部材2との関係について説明する。
バンパー装置1は、荷役車両200の後端側であって、荷台フレーム202の下部に取り付けられている。
バンパー装置1は、前記した様に、二つのフロントアーム60、61の前方側に設けられた車両側係合孔70、80を介して基部側部材2の一部に回動可能に直接的に固定されている。
従って、バンパー装置1のフロントアーム60、61は、前方側に設けられた車両側係合孔70、80を介して回動可能であるが、基部側部材2に対して前後方向に移動することはない。
これに対して他の部材は、基部側部材2に対して間接的に支持されており、自由度を持ち、姿勢変更や、移動が可能である。
【0052】
バンパー装置1が伸長して展開姿勢となっている際の様子は、図1の通りであり、フロントアーム60、リアアーム65、リア側連結リンク68、リアアーム66、フロントアーム61、フロント側連結リンク67、フロントアーム60で構成さる環状構造部分が、略長方形状となっている。
即ち、一方のフロントアーム60と、リアアーム65が略直線状態となり、他方のフロントアーム61と、リアアーム66も略直線状態となり、両直線状の部分が、間隔をあけて平行状態となる。
またリア側連結リンク68とフロント側連結リンク67が、間隔をあけて平行状態となる。
そのため、伸縮機構部5は、全長が長い状態となる。ここで、フロントアーム60、61の車両側係合孔70、80は、基部側部材2に固定されていて移動不能であるから、バンパー本体側部材3は、後方に移動している。
【0053】
バンパー装置1が展開姿勢であるとき、一方のフロントアーム60は、回動支点たる回動中心Aを中心として揺動可能であり、フロント側連結リンク67は、フロントアーム60と、回動中心Aよりも前側の位置で係合し、他方のフロントアーム61は回動支点たる回動中心aを中心として揺動可能であり、フロント側連結リンク67は、フロントアーム61と回動中心aよりも後側の位置で係合している。
【0054】
またバンパー装置1が伸長して展開姿勢であるとき、一方のリアアーム65は、回動支点たる回動中心Dを中心として揺動可能であり、リア側連結リンク68は、リアアーム65と、回動中心Dより前側の位置で係合し、他方のリアアーム66は、回動支点たる回動中心dを中心として揺動可能であり、リア側連結リンク68は、リアアーム66と、回動中心dよりも後側の位置で係合している。
【0055】
バンパー装置1が収縮して格納姿勢となっている際の様子は、図3の通りであり、フロントアーム60、リアアーム65、リア側連結リンク68、リアアーム66、フロントアーム61、フロント側連結リンク67、フロントアーム60で構成される環状構造部分が、折りたたまれた状態となる。
即ち、一方のフロントアーム60と、リアアーム65が回動中心Bを起点として折れ曲がり、フロントアーム60とリアアーム65が平行に近い姿勢となる。他方のフロントアーム61とリアアーム66も平行に近い状態となる。
またリア側連結リンク68とフロント側連結リンク67が、間隔をあけて平行状態となる。
そのため、伸縮機構部5は、全長が短い状態となる。ここで、フロントアーム60、61の車両側係合孔70、80は、基部側部材2に固定されていて移動不能であるから、バンパー本体側部材3は、前方に移動する。
【0056】
次に、バンパー装置1の動きについて、図7を参照して説明する。
図7(a)の様に、伸縮機構部5が伸長していて展開姿勢であるとき、作業者が手でフロントアーム60、61のハンドル40を掴み、斜め前方に向かって引き付ける。
ここでフロントアーム60、61と基部側部材2との結合点たる回動中心A、aの間隔は一定である。そのため、フロントアーム60、61が外側に広がる方向に姿勢変更する。
また、フロントアーム60、61とリアアーム65、66との結合点たる回動中心B、bは、リアアーム65、66が互いに開く方向に揺動することにより、間隔が広がる。しかしながら、リアアーム65、66とバンパー本体側部材3の結合点たる回動中心E、eの間隔は一定であるから、フロントアーム60、61同士が開き側に揺動することに追従し、リアアーム65、66同士の角度も開き、リアアーム65、66とフロントアーム60、61が折り重なる方向に姿勢変更する。
その結果、バンパー本体側部材3が、図7(b)、図7(c)の様に、前方に移動する。またフロントアーム60、61、リアアーム65、66の機構上の長さや、突出角度が略等しいから、バンパー本体側部材3は、平行移動する。
【0057】
フロント側連結リンク67の一端は、一方のフロントアーム60と回動中心Cで結合されている。一方、フロントアーム60自身は、回動中心Aを中心として回動する。ここで、回動中心Cは、回動支点たる回動中心Aに対して外側(前側)に外れている。
またフロント側連結リンク67の他端は、他方のフロントアーム61と回動中心cで結合されている。一方、フロントアーム61自身は、回動中心aを中心として回動する。ここで、回動中心cは、回動支点たる回動中心aに対して内側(後ろ側)に外れている。
そのため、フロントアーム60が、回動支点たる回動中心Aに対して、図6の矢印の様に時計回りに回動し、フロントアーム61が、回動支点たる回動中心aに対して、図6の矢印の様に反時計回りに回動する。その結果、フロント側連結リンク67が、図6の矢印方向に直線的に移動する。
即ちフロントアーム60とフロントアーム61は、異なる方向に揺動し、両者の間の角度が開くと、これに連動してフロント側連結リンク67が、図面の矢印方向に直線的に移動する。フロント側連結リンク67が移動することに伴い、当接ピン77も直線的に移動する。
また同様の理由から、リアアーム65とリアアーム66が、異なる方向に揺動し、両者の間の角度が開くと、これに連動してリア側連結リンク68が、図6の矢印方向に直線的に移動する。
【0058】
本実施形態のバンパー装置1は、前記した様に、規制部材6の回動軸7を規制角度にすることにより規制部材6が規制姿勢となり、バンパー本体側部材3を展開姿勢のままで固定することができる。また回動軸7を伸縮可能角度にすることにより規制部材6が伸縮可能姿勢となり、バンパー本体側部材3を手動で移動させることができる。さらに回動軸7を所定の角度にしてバンパー本体側部材3を格納姿勢のままで固定することもできる。
本実施形態では、図10(a)の様に、操作レバー31が9時の方向にあるとき、回動軸7が規制角度となり、規制部材6が規制姿勢となる。また図11(a)の様に、操作レバー31が12時の方向にあるとき、回動軸7が伸縮可能角度となり、規制部材6が伸縮可能姿勢となる。
以下、この機能について説明する。
【0059】
バンパー本体側部材3を展開姿勢のままで固定する場合は、図10(a)の様に、規制部材6の操作レバー31を9時の方向に倒して回動軸7を規制角度とする。そして位置決め部材32の第1係合部36たるピンを被係合板17の第1被係合孔21に係合させる。
その結果、規制部材6が図10(b)の様に、規制部材6の当接部材33が前方に向き、フロント側連結リンク67に設けられた当接ピン77の側部に当接部材33が突出したが規制姿勢となる。
【0060】
ここで、前記した様にバンパー本体側部材3を格納方向に移動させると、連結リンク67は、図面右側に向かって直線的に移動し、当接ピン77は、連結リンク67に伴って右側に直線的に移動する。一方、規制部材6の当接部材33は、当接ピン77の右側に突出している。即ち当接部材33は、当接ピン77の移動軌跡上にある。
また規制部材6の位置決め部材32の第1係合部36が被係合板17の第1被係合孔21と係合しているから規制部材6の回動軸7は外力を受けても回転せず、当接部材33は当接ピン77から外力を受けても回らない。そのため規制部材6は規制姿勢に固定される。
また位置決め部材32は、ばね37の付勢力によって、常時、被係合板17に押し当てられているので、当接部材33が当接ピン77で水平方向に押されても、位置決め部材32の第1係合部36たるピンが被係合板17の第1被係合孔21から抜けてしまうことはない。
そのためバンパー本体側部材3を格納方向に移動させようとすると、当接部材33が当接ピン77と衝突し、当接ピン77の移動を阻止する。その結果、バンパー本体側部材3の格納方向への移動が阻止される。
【0061】
バンパー本体側部材3を格納方向に移動させる場合には、規制部材6を引き上げて回動し、当接部材33の向きを変える。
規制部材6の第1係合部36たるピンは、ばね37によって被係合板17の第1被係合孔21に向かって付勢されているが、規制部材6は、軸方向に移動可能であり、操作レバー31を持って引き上げると、ばね37に抗して第1係合部36たるピンが被係合板17の第1被係合孔21を離脱し、回動軸7を回動することができる状態となる。
バンパー本体側部材3を格納方向に移動させる場合には、規制部材6を引き上げて右方向に回転し、図11(a)の様に12時の方向にして回動軸7を伸縮可能角度とする。そして図11(a)の様に、位置決め部材32の第1係合部36たるピンを被係合板17の第2被係合孔22に係合させる。
その結果、規制部材6は、図11(b)の様に、規制部材6の当接部材33が側方に向き、フロント側連結リンク67とフロントアーム60を結合する当接ピン77の移動軌跡から離れた伸縮可能姿勢となる。
そのためバンパー本体側部材3を格納方向に移動させても当接部材33が当接ピン77と衝突することはなく、バンパー本体側部材3の格納方向への移動が可能となる。
【0062】
本実施形態のバンパー装置1では、バンパー本体側部材3を格納方向に移動させる際に、規制部材6の位置決め部材32の第1係合部36が被係合板17の第2被係合孔22と係合しているから規制部材6の回動軸7は外力を受けても回転せず、作業中の振動によって規制部材6が当接ピン77の移動軌跡に突出することはない。
即ち規制部材6は、伸縮可能姿勢の状態で固定される。そのため円滑にバンパー本体側部材3の格納方向への移動することができる。
【0063】
バンパー本体側部材3を格納姿勢のままで固定する場合には、規制部材6を引き上げてさらに3時の方向まで回動し、図12の様に、位置決め部材32の第1係合部36たるピンをバンパー本体側部材3の第3被係合孔(拡張防止用被係合部)38に係合させる。
即ち、バンパー本体側部材3を格納姿勢にすると、バンパー本体側部材3と基部側部材2の距離が極めて近くなり、位置決め部材32の第1係合部36をバンパー本体側部材3の第3被係合孔38に直接的に係合させることができる。
その結果、バンパー本体側部材3は、後方に移動することができなくなる。
【0064】
以上説明した実施形態では、規制部材6を基部側部材2に設け、当接部材33でフロント側連結リンク67の直線方向の移動を阻止することによって、バンパー本体側部材3が前方に移動することを阻止した。
変形例として、規制部材6をバンパー本体側部材3に設けることも可能である。本実施形態のバンパー装置1では、バンパー本体側部材3側に、リア側連結リンク68があり、当該リア側連結リンク68も直線的に移動する。そこで、規制部材6をバンパー本体側部材3に設け、当接部材33でリア側連結リンク68の直線方向の移動を阻止することによっても、バンパー本体側部材3が前方に移動することを阻止することができる。
またこの場合は、第3被係合孔(拡張防止用被係合部)38を基部側部材2に設け、バンパー本体側部材3を格納姿勢であるときに、位置決め部材32の第1係合部36を基部側部材2の第3被係合孔38に直接的に係合させることとなる。
【0065】
上記した実施形態では、フロント側連結リンク67に当接ピン77を設け、当該当接ピン77を規制部材6の一部と当接させたが、ピン以外の構成部分を規制部材6の一部と当接させてもよい。例えば、フロント側連結リンク67に水平方向に突出する突起や切り欠きを設け、これを規制部材6の一部と当接させてもよい。
【0066】
上記した実施形態では、規制部材6の第1係合部36をバンパー本体側部材3又は基部側部材2の第3被係合孔(拡張防止用被係合部)38に係合させたが、規制部材6にその他の係合部を設け、当該その他の係合部をバンパー本体側部材3又は基部側部材2のいずれかと係合させてもよい。
【0067】
また上記した実施形態では、第1係合部36を被係合板17の第2被係合孔22に係合させることによって、回動軸7を伸縮可能角度に維持するが、規制部材6にその他の係合部を設け、当該その他の係合部を第2被係合孔22と係合させて回動軸7を伸縮可能角度に維持する構成とすることも可能である。
【0068】
以上説明した実施形態では、フロント側連結リンク67やリア側連結リンク68の直線方向の軌跡上に当接部材33を張り出すことにより、伸縮機構部5全体の動きを阻止している。
即ち伸縮機構部5を構成する各部材は、互いにリンクしており、一つの部材が動くと他の部材がこれに連動して動く。即ち一つの部材が姿勢変更すれば、他の部材もこれと連動して姿勢変更する。逆に一つの部材の姿勢変更が阻止されれば、他の部材も姿勢変更することができない。
本実施形態のバンパー装置1では、フロント側連結リンク67又はリア側連結リンク68の姿勢変更を規制して伸縮機構部5全体の動きを規制し、バンパー本体側部材3を固定した。
この理由は、フロント側連結リンク67やリア側連結リンク68は、直線的に移動するので、移動軌跡上に障害物を置きやすいためである。
しかしながら本発明は、この構成に限定されるものではなく、フロントアーム60、61やリアアーム65、66の揺動軌跡上に当接部材33を置いて伸縮機構部5全体の動きを規制し、バンパー本体側部材3を固定してもよい。
【0069】
以上説明した実施形態では、伸縮機構部5に設けられた第1係合部がピンであり、基部側部材2側に設けられた被係合部が孔(第1被係合孔21、第2被係合孔22)であるが、第1係合部が孔であり、被係合部がピンであってもよい。
また第1係合部と被係合部は、ピンと孔に限定されるものではなく、突起と凹部の組合せや、突起同士の組合せ等であってもよい。
【0070】
以上説明したバンパー装置1は、ハンドル40を保持してバンパー本体15を荷役車両200の前後方向に手動で移動されるものであるが、シリンダ等のアクチェータを使用してバンパー本体15を移動させてもよい。
本実施形態のバンパー装置1では、図1図3の様に、基部側部材2の縦壁部12の背面にシリンダ取り付け部25が設けられている。またフロント側連結リンク67にもシリンダ取り付け部93が設けられている。基部側部材2のシリンダ取り付け部25と、フロント側連結リンク67のシリンダ取り付け部93にシリンダを取り付けることによって、バンパー本体15を動力によって動作させることができる。
即ちシリンダによって、フロント側連結リンク67を直線的に移動させると、伸縮機構部5の他の部材が連動し、バンパー本体側部材3が移動する。
【0071】
ハンドル40は、リアアーム65、66に取り付けられていてもよい。
【0072】
本実施形態の荷役車両200は、車両運搬車であり、スライドボディ(荷台部)202を車両上と地上に降ろして自動車等を載せ、この状態でスライドボディ(荷台部)202を車両上に引き上げて搬送するものである。
以上説明した実施形態では、荷役車両の一例として車両運搬車を示したが、本発明のバンパー装置が適用可能な荷役車両は、車両運搬車に限定されるものではなく、コンテナ運搬車やダンプトラック等の荷台部分が移動したり姿勢変更したりする車両に広く採用することができる。
【符号の説明】
【0073】
1 バンパー装置
2 基部側部材
3 バンパー本体側部材
5 伸縮機構部
6 規制部材
7 回動軸
15 バンパー本体
21 第1被係合孔(被係合部)
22 第2被係合孔(被係合部)
31 操作レバー
32 位置決め部材
33 当接部材
36 第1係合部
37 ばね
38 第3被係合孔(拡張防止用被係合部)
40 ハンドル
60、61 フロントアーム
65、66 リアアーム
67、68 連結リンク
68 リア側連結リンク
77 当接ピン
200 荷役車両
202 スライドボディ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13