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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024022982
(43)【公開日】2024-02-21
(54)【発明の名称】クリップ
(51)【国際特許分類】
   B42F 1/02 20060101AFI20240214BHJP
【FI】
B42F1/02 B
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022126470
(22)【出願日】2022-08-08
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】302045602
【氏名又は名称】株式会社レーベン
(74)【代理人】
【識別番号】110000198
【氏名又は名称】弁理士法人湘洋特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高部 篤
【テーマコード(参考)】
2C017
【Fターム(参考)】
2C017BA02
2C017CA03
2C017DA01
(57)【要約】
【課題】 対象物をより確実に保持し得るクリップを提供する。
【解決手段】 対象物を保持するクリップであって、一対のレバーと前記レバーにより開閉可能に形成される本体とを備え、前記本体は、相対する第1面部及び第2面部の一対の面部と、一対の前記面部同士の一端部を連結する連結面部とを有し、前記本体または前記レバー前記第1面部及び前記第2面部の少なくとも一方には、対象物を保持する保持状態で対象物を押える棘状の突起突出部を有し、前記突起突出部は、先端部が保持状態で対象物に向くように設けられている、クリップ。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物を保持するクリップであって、
一対のレバーと前記レバーにより開閉可能に形成される本体とを備え、
前記本体は、相対する第1面部及び第2面部の一対の面部と、前記面部同士の一端部を連結する連結面部とを有し、
前記本体または前記レバーには、対象物を保持する保持状態で対象物を押える突出部を有し、
前記突出部は、先端部が保持状態で対象物に向くように設けられている
ことを特徴とするクリップ。
【請求項2】
前記突出部は、棘状であり、前記第1面部及び前記第2面部の少なくとも一方に設けられる
ことを特徴とする請求項1に記載のクリップ。
【請求項3】
前記突出部は、前記先端部が対象物を刺して押えるように設けられている
ことを特徴とする請求項2に記載のクリップ。
【請求項4】
前記突出部は、前記第1面部及び前記第2面部に対となるように設けられている
ことを特徴とする請求項2または3に記載のクリップ。
【請求項5】
前記突出部は、前記第1面部及び前記第2面部の他端部である開口端部に設けられている
ことを特徴とする請求項2または3に記載のクリップ。
【請求項6】
前記突出部は、前記開口端部の中央の中央曲げ部と、左右端部付近の一対の支持部との間に設けられている
ことを特徴とする請求項5に記載のクリップ。
【請求項7】
一対の前記レバーが略平行となる開状態で、
前記第1面部の前記突出部は、先端が前記第1面部の開口端部の裏面と同高の位置またはより上方の位置にあり、
前記第2面部の前記突出部は、先端が前記第2面部の開口端部の裏面と同高の位置またはより下方の位置にあるように設けられる
ことを特徴とする請求項5に記載のクリップ。
【請求項8】
前記第1面部及び前記第2面部の少なくとも一方は、前記突出部が2以上の前記先端部を有する
ことを特徴とする請求項7に記載のクリップ。
【請求項9】
前記突出部は、前記第1面部及び前記第2面部の両端部の間の腹部に設けられている
ことを特徴とする請求項2または3に記載のクリップ。
【請求項10】
前記突出部は、バネ性を有するように設けられている
ことを特徴とする請求項9に記載のクリップ。
【請求項11】
前記第1面部及び前記第2面部の一方または双方には、前記突出部が2以上設けられている
ことを特徴とする請求項2または3に記載のクリップ。
【請求項12】
前記突出部は、一対の前記レバーの少なくとも一方に設けられ、
前記先端部は、対象物の有する受け部と篏合する
ことを特徴とする請求項1に記載のクリップ。
【請求項13】
前記突出部は、前記第1面部及び前記第2面部の少なくとも一方の面部に設けられ、
前記先端部は、対象物の有する受け部と篏合する
ことを特徴とする請求項1に記載のクリップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリップに関する。
【背景技術】
【0002】
クリップは、例えば書類や薄板状のものをまとめる挟持具として用いられている。例えば、特許文献1には、側面視略二等辺三角形形状の金属製のクリップ本体と、金属線材を折り曲げてなる一対の開閉レバーとからなり、開閉レバーは、クリップ本体の軸受け部に枢支され、軸受け部には、切込みが形成されており、この切込みに開閉レバーが係合した状態で、クリップ本体の底板と、開閉レバーの先端が、一直線上に位置することで、カードホルダーとして用いることができるダブルクリップが開示されている(特許文献1の要約を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-97164号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のクリップは、対象物に取り付けやすく、外しやすいため、取扱いが便利である。
【0005】
一方で、外部の力によっては、対象物がクリップから抜けてしまったり、クリップが対象物から外れてしまったりすることがある。
【0006】
また、例えば、上記特許文献1のように、カードスタンドとして用いられる場合、カードやメモ用紙の枚数によっては、自重により元の挟持位置から下方にずれ落ちて、カードやメモの下方寄りの部分が見えにくくなることがある。
【0007】
本発明は、上記課題の少なくとも一つを解決するためのもので、対象物をより確実に保持し得るクリップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した少なくとも1つの課題を解決するために、本発明に係るクリップは、対象物を保持するクリップであって、一対のレバーと前記レバーにより開閉可能に形成される本体とを備え、前記本体は、相対する第1面部及び第2面部の一対の面部と、前記面部同士の一端部を連結する連結面部とを有し、前記本体または前記レバーには、対象物を保持する保持状態で対象物を押える突出部を有し、前記突出部は、先端部が保持状態で対象物に向くように設けられている。
【0009】
上記クリップにおいて、前記突出部は、棘状であり、前記第1面部及び前記第2面部の少なくとも一方に設けられてもよい。
【0010】
上記クリップにおいて、前記突出部は、前記先端部が対象物を刺して押えるように設けられていてもよい。
【0011】
上記クリップにおいて、前記突出部は、前記第1面部及び前記第2面部に対となるように設けられていてもよい。
【0012】
上記クリップにおいて、前記突出部は、前記第1面部及び前記第2面部の他端部である開口端部に設けられていてもよい。
【0013】
上記クリップにおいて、前記突出部は、前記開口端部の中央の中央曲げ部と、左右端部付近の一対の支持部との間に設けられていてもよい。
【0014】
上記クリップにおいて、一対の前記レバーが略平行となる開状態で、前記第1面部の前記突出部は、先端が前記第1面部の開口端部の裏面と同高の位置またはより上方の位置にあり、前記第2面部の前記突出部は、先端が前記第2面部の開口端部の裏面と同高の位置またはより下方の位置にあるように設けられてもよい。
【0015】
上記クリップにおいて、前記第1面部及び前記第2面部の少なくとも一方は、前記突出部が2以上の前記先端部を有してもよい。
【0016】
上記クリップにおいて、前記突出部は、前記第1面部及び前記第2面部の両端部の間の腹部に設けられていてもよい。
【0017】
上記クリップにおいて、前記突出部は、バネ性を有するように設けられていてもよい。
【0018】
上記クリップにおいて、前記第1面部及び前記第2面部の一方または双方には、前記突出部が2以上設けられていてもよい。
【0019】
上記クリップにおいて、前記突出部は、一対の前記レバーの少なくとも一方に設けられ、前記先端部は、対象物の有する受け部と篏合するものでもよい。
【0020】
上記クリップにおいて、前記突出部は、前記第1面部及び前記第2面部の少なくとも一方の面部に設けられ、前記先端部は、対象物の有する受け部と篏合するものでもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、対象物をより確実に保持し得るクリップを提供することができる。
【0022】
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】実施形態1に係るクリップの一例を示す外観図で、(a)閉状態の(全体)斜視図、(b)閉状態の(全体)正面図、(c)開状態の(本体)正面図である。
図2図1のクリップの動作を示す正面図で、(a)開状態、(b)保持状態を示す図である。
図3図1のクリップの保持状態の他の一例を示す図である。
図4】実施形態2に係るクリップの一例を示す外観図で、(a)閉状態の(全体)斜視図の一例及び一部拡大図、(b)閉状態の(全体)斜視図の他の一例である。
図5】実施形態3に係るクリップの一例を示す外観図で、(a)閉状態の(全体)斜視図の一例及び一部拡大図、(b)閉状態の(全体)斜視図の他の一例及び一部拡大図である。
図6図5のクリップの動作を示す正面図で、(a)開状態、(b)保持状態を示す図である。
図7図5のクリップの保持状態の他の一例を示す図である。
図8】実施形態4に係るクリップの一例を示す外観図で、閉状態の(全体)斜視図である。
図9】実施形態5に係るクリップの一例を示す外観図で、開状態の(全体)斜視図の一例及び一部拡大図である。
図10図9のクリップの側面を示す図で、(a)閉状態(噛合状態)の側面図、(b)噛合解消状態の側面図、(c)開状態の側面図である。
図11図9のクリップの動作を示す図である。
図12】実施形態6に係るクリップの一例を示す図である。
図13】実施形態6に係るクリップの一例を示す図である。
図14】実施形態6の変形例1に係るクリップの一例を示す図である。
図15】実施形態6の変形例2に係るクリップの一例を示す図である。
図16】実施形態6の変形例2に係るクリップの一例を示す図である。
図17】実施形態7に係るクリップの一例を示す図である。
図18】従来のダブルクリップを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に本発明の実施形態の例を図面を用いて説明する。なお、下記実施形態において共通する構成要素については、前出の符号と同様な符号を付し説明を省略することがある。また、構成要素等の形状、位置関係等に言及する場合は、特に明示した場合及び原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。
【0025】
本発明の一態様のクリップは、対象物を保持するクリップであって、一対のレバーと前記レバーにより開閉可能に形成される本体とを備え、当該本体は、相対する第1面部及び第2面部の一対の面部と、当該面部同士の一端部を連結する連結面部とを有し、当該本体または当該レバーには、対象物を保持する保持状態で対象物を押える突出部を有し、当該突出部は、先端部が保持状態で対象物に向くように設けられている。なお、本願では、先端部は、先端及びその付近の部分を含む部分を指し示すものとする。
【0026】
<実施形態1>
図1は、実施形態1に係るクリップの一例を示す外観図で、(a)閉状態の(全体)斜視図、(b)閉状態の(全体)正面図、(c)開状態の(本体)正面図である。図中のXは左右方向、Yは上下方向、Zは前後方向を示す(以下各図において同じ)。
【0027】
本発明に係るクリップ1は、図示のように、一例として、所謂ダブルクリップである。クリップ1は、一対のレバー(61、62)を含む開閉レバー6と、一対のレバーにより開閉可能に形成される本体2とを備える。
【0028】
本体2は、相対する一対の面部(3、4)と、この一対の面部の後端部(一端部)を連結する連結面部5とを有する。一例として、本体2は、弾性金属板材を側面視略二等辺三角形状に曲げ加工して形成される。側面から見て、二等辺に該当する部分が第1面部3及び第2面部4であり、底辺に該当する部分が連結面部5である。本体2は、第1面部3、第2面部4及び連結面部5により保持空間が形成される。
【0029】
本体2は、初期状態では、図1(a)、(b)のように、第1面部3及び第2面部4が閉じている閉状態にあり、一対の面部に互いに閉じようとする弾性力が働いている。
【0030】
レバー61及びレバー62は、例えば、金属線材を折り曲げて形成され、第1面部3及び第2面部4の前端部(他端部)にそれぞれ回動可能に取り付けられる。より具体的には、レバー61は、1本の金属線材により左右線対称に形成され、第1面部3に回動可能に取り付けるための一対の直線状の端部611と、線材の中間部分に略ループ状に形成され、指で操作するための摘み部613と、一対の端部611と摘み部613の両端を連結する枝部612とを有する。同様に、レバー62も1本の金属線材により左右線対称に形成され、一対の端部621と、一対の枝部622と、中央の摘み部623とを有する。
【0031】
図1(a)、(b)の閉状態において、レバー61及びレバー62の摘み部613、623を指で摘まむようにして互いを接近させる開操作をすると、図1(c)のように本体2が開状態となる。レバー61及びレバー62を摘まむ力を緩めたり、抜いたりする閉操作をすると、弾性力により本体2は第1面部及び第2面部が接近し、図1(a)、(b)の閉状態に戻る。
【0032】
本形態では、本体2は、対象物を保持する保持状態(後述の図2を参照)で、対象物を押える棘状の突出部を有し、突出部の先端部は保持状態で対象物に向くようになっている。棘状の突出部は、好ましくは、図1のように第1面部3及び第2面部4に対となるように設けられるが、第1面部3及び第2面部4のうちの一方のみに設けられてもよい。
【0033】
図示例を、先ず第1面部3について具体的に説明すると、前端部である開口端部において、左右両端ないし左右両端に近い位置(左右端部付近)に一対の支持部31を有し、中央に中央曲げ部32を有する。突出部33は、中央曲げ部32の両側であって支持部31との間の位置に一対設けられる。
【0034】
一対の支持部31は、側面視円形に形成され、レバー61の一対の端部611を回動可能に支持する。図示のように、支持部31は、好ましくは、円筒を中央曲げ部側において斜めに切断したような形状である。支持部31は、斜め部分の先端が正面視上方にある。これにより、レバーの回動の際にこの先端で抵抗感を与えたり、斜め部分の基端部に止まりやすくしたりしてレバーの姿勢を安定させる。
【0035】
中央曲げ部32は、台形平面を上方に曲げたような形状で、側面視円弧状である。支持部31及び中央曲げ部32は、本体2を構成する弾性金属板材で一体に形成される。
【0036】
突出部33は、一例として、本体2を構成する弾性金属板材を用いて他の構成部分と一体に形成される。この場合、突出部33は、例えば、開口端部において、舌状に突出した三角形平面を下方に所定角度折り曲げて形成される。突出部33の角度、即ち、第1面部3の裏面と突出部33の裏面との間の角度(第1突出部角度)は、第1面部3と連結面部5との間の角度や本体2の上下方向の幅(高さ)等に応じて設定される。突出部33は、正面視略三角形状で、側面視板厚部分が略矩形に見える。突出部33は、先端部が下方ないし斜め下方に向いており、保持状態において対象物を押える。
【0037】
突出部33の角度(第1突出部角度)は、一例として100°以上で180°未満、好ましくは120°~170°、より好ましくは130°~160°である。
【0038】
第2面部4は、前端部である開口端部において、左右両端ないし左右両端に近い位置(左右端部付近)に一対の支持部41を有し、中央に中央曲げ部42を有する。突出部43は、中央曲げ部42の両側であって支持部41との間の位置に一対設けられる。支持部41及び中央曲げ部42は、上記支持部31及び中央曲げ部32と上下線対称に形成され、ここでは詳細な説明を省略する。支持部41及び中央曲げ部42は、本体2を構成する弾性金属板材で一体に形成される。
【0039】
突出部43は、一例として、本体2を構成する弾性金属板材を用いて他の構成部分と一体に形成される。この場合、突出部43は、例えば、開口端部において、舌状に突出した三角形平面を上方に所定角度折り曲げて形成される。突出部43の角度、即ち、第2面部4の裏面と突出部43の裏面との間の角度(第1突出部角度)は、第2面部4と連結面部5との間の角度や本体2の上下方向の幅(高さ)等に応じて設定される。突出部43は、正面視略三角形状で、側面視板厚部分が略矩形に見える。突出部43は、先端部が上方ないし斜め上方に向いており、保持状態において対象物を押える。
【0040】
突出部43の角度(第1突出部角度)は、一例として100°以上で180°未満、好ましくは120°~170°、より好ましくは130°~160°である。
【0041】
対となる突出部33と突出部43、即ち、中央曲げ部の同じ側に設けられる下向きの突出部33と上向きの突出部43は、衝突しないように、互い違いに設けられる。例えば、図1(b)のように、突出部33が左右中心線Cにより近い位置に設けられ、突出部43が本体2の左(右)端により近い位置に設けられる。突出部43が左右中心線Cにより近い位置に設けられ、突出部33が本体2の左(右)端により近い位置に設けられてもよい。
【0042】
図2は、図1のクリップの動作を示す正面図で、(a)開状態、(b)保持状態を示す図である。
【0043】
クリップ1を開操作により開状態にし、対象物Oを第1面部3と第2面部4との間(保持空間)に挿入してから、閉操作すると、第1面部3及び第2面部4が対象物Oを挟んで保持する状態(保持状態)になる。
【0044】
好ましくは、図示のように、クリップ1は、保持状態で突出部33及び突出部43が対象物Oを刺して押える。言い換えれば、突出部33及び突出部43の先端部が対象物Oの少なくとも一部に刺さるように形成される。
【0045】
例えば、対象物Oが複数枚の印刷物や用紙の束である場合は、突出部33が上方から1枚以上の印刷物を突き通し、突出部43が下方から1枚以上の印刷物を突き通す。例えば、対象物Oが一定の厚みを有する一の板状物である場合は、突出部33が上方から所定の深さまで突き刺さり、突出部43が下方から所定の深さまで突き刺さる。
【0046】
図3は、図1のクリップの保持状態の他の一例を示す図である。図示のように、対象物OをグループO1とグループO2に分割しずらして、第1面部の突出部33が上方のグループO1、第2面部の突出部43が下方のグループO2に刺さるように保持してもよい。
【0047】
クリップ1は、このように、突起状の突出部33及び突起状の突出部43が対象物Oに刺さるため、対象物Oをより確実に保持できる。
【0048】
図18は、従来のダブルクリップを示す斜視図である。従来のダブルクリップA1は、本体A2及び開閉レバーA6を備え、本体A2が第1面部A3、第2面部A4及び連結面部A5を有するが、突出部は設けられていない。
【0049】
従来における、このダブルクリップA1を含むクリップは、全体形状をどのようにするかをメインに考え、対象物に傷を付けないことを出発点としていたと言える。しかしながら、そもそも対象とする印刷物や用紙等は記載内容を伝達するものであるので、内容を十分に伝達できればよいと考えることができる。また、クリップが挟み込む部分は、通常は余白部分であるので、本来は必要のない部分である。また、印刷物等は内容伝達の役割を終えれば通常裁断され、廃棄される。このように考えると、対象物に傷を付けることを恐れるあまり、本来の保持機能を十分に追及しなかった従来のクリップは、課題があると言える。
【0050】
本願発明は、このような課題に鑑みてなされたもので、クリップ、とりわけダブルクリップの本来の保持機能をより向上させることを技術的思想とするものである。
【0051】
<実施形態1の変形例1>
なお、図示しないが、クリップ1は、突出部33及び突出部43のうちの一方または双方が、側面視略三角形状で正面視板厚部分が略矩形となるように設けられてもよい。言い換えれば、突出部33及び突出部43が、図1の状態から中心線Cと平行な軸周りに90°回転したような形状に形成されてもよい。クリップ1は、このように構成することで、対象物Oが横方向(左右方向)に抜けにくくなる。
【0052】
<実施形態1の変形例2>
図示しないが、クリップ1は、図1の突出部33及び突出部43と、上記変形例1の突出部33及び突出部43の両方が設けられてもよい。一例として、左右中心線Cの左(右)側の一対の突出部が図1の突出部、右(左)側の一対の突出部が変形例1の突出部に形成される。一例として、一対の突出部のうちの上(下)向き突出部が図1の突出部43(33)、下(上)向き突出部が変形例1の突出部33(43)に形成される。クリップ1は、これにより、左右方向と前後方向の両方において対象物Oが抜けにくくなる。
【0053】
なお、上記実施形態1及びその変形例のクリップ1は、突出部33及び突出部43が本体2を形成する弾性金属板材を加工して形成されるものであるが、これに限らない。突出部33及び突出部43は、別材で形成され、カシメ、接着、溶着等により本体2に取付けないし結合されてもよい。以下の各実施形態及びその変形例も、その主旨に反しない限り、同様である。
【0054】
また、上記実施形態1及びその変形例のクリップ1は、突出部33及び突出部43が略三角形状に形成されるものであるが、これに限らない。クリップ1は、突出部33及び突出部43が一部に三角形状を含むように形成されてもよい。クリップ1は、突出部33及び突出部43が円柱形状、または一部に円柱形状を含むように形成されてもよい。クリップ1は、突出部33及び突出部43が円錐形状、または一部に円錐形状を含むように形成されてもよい。以下の各実施形態及びその変形例も、その主旨に反しない限り、同様である。
【0055】
また、上記実施形態1及びその変形例のクリップ1は、十分な弾性力、強度を備えるものであれば、突出部33及び突出部43を含む本体2、開閉レバー6が樹脂等他の素材で形成されてもよい。例えば、これらは樹脂成形によるものでもよい。以下の各実施形態及びその変形例も、その主旨に反しない限り、同様である。
【0056】
また、上記実施形態1及びその変形例のクリップ1は、突出部33と突出部43が上下逆転した形状で、同じ高さ、同じ材質のものであるが、これに限らない。突出部33と突出部43は、形状が非対称であってもよいし、高さまたは材質が異なるものでもよい。以下の各実施形態及びその変形例も、その主旨に反しない限り、同様である。
【0057】
また、上記実施形態1及びその変形例のクリップ1は、開閉レバー6の構成が上記に限らない。開閉レバー6は、形状や大きさ、取付位置、数等が上記の記載や図示と異なってもよい。以下の各実施形態及びその変形例も、その主旨に反しない限り、同様である。
【0058】
<実施形態2>
図4は、実施形態2に係るクリップの一例を示す外観図で、(a)閉状態の(全体)斜視図の一例及び一部拡大図、(b)閉状態の(全体)斜視図の他の一例である。本実施形態のクリップ1は、主として棘状の突出部の配置位置が上記実施形態1及びその変形例と異なる。ここでは、上記実施形態1との相違点を主として説明し、同様な説明は省略する(以下各実施形態及びその変形例において同じ)。
【0059】
本形態のクリップ1は、本体2は、第1面部3の棘状の突出部34及び第2面部4の棘状の突出部(不図示)が、それぞれ第1面部3及び第2面部4の前後の両端部の間の部分に設けられる。なお、本体2は、第1面部3及び第2面部4のうちの一方のみに突出部34が設けられてもよい。
【0060】
第1面部3の突出部34を例に具体的に説明すると、突出部34は第1面部3の前端部と後端部の間の腹部30に設けられる。一例として、突出部34は、一対設けられ、例えば、図4(a)に示すように、一対の支持部31の後方となる位置に一対設けられる。一例として、突出部34は、2対設けられ、例えば、図4(b)に示すように、一対の支持部31の後方となる位置に一対設けられ、中央曲げ部32の両側であって支持部31との間の位置の、上記一対の後方となる位置に一対設けられる。
【0061】
突出部34は、一例として、本体2を構成する弾性金属板材を用いて他の構成部分と一体に形成される。一例として、腹部30は、略コの字形状に切り込まれて、板厚方向を貫通する窓部301が形成されるとともに、腹部30と基端部342が連なる矩形の舌部が形成される。この舌部をさらに基端部342側を底辺とする三角形状にし、基端部342で裏面側に折り曲げて先端部341が裏面側に向くようにして、突出部34が形作られる。言い換えれば、突出部34は、先端部341が保持空間に向くように設けられる。
【0062】
この場合、突出部34の角度、即ち、腹部30の裏面と突出部34の裏面との間の角度(第1突出部角度)は、第1面部3と連結面部5との間の角度や本体2の上下方向の幅(高さ)等に応じて設定される。このように形成される突出部34は、正面視略三角形状で、側面視板厚部分が略矩形に見える。
【0063】
突出部34の角度(第1突出部角度)は、一例として60°以上で170°以下、好ましくは70°~150°、より好ましくは80°~130°である。
【0064】
図示しないが、第2面部4の突出部は、突出部34と上下逆転した形状となるように前端部と後端部の間の腹部40に設けられる。第1面部3の突出部34と第2面部4の突出部は、一例として、互い違いに設けられる。第1面部3の突出部34と第2面部4の突出部は、衝突しない高さを有する場合は、左右方向において同位置(上下線対称)となるように設けられてもよい。
【0065】
本形態のクリップ1は、通常のダブルクリップに、さらに腹部30及び腹部40の一方または双方に突出部を追加したものである。そのため、開口端部における対象物の挟持に加えて、さらに腹部の突出部の先端部が保持空間において対象物を押えるまたは突き刺さるため、より確実に対象物を保持できる。
【0066】
<実施形態2の変形例1>
なお、図示しないが、クリップ1は、第1面部3の突出部34及び第2面部の突出部のうちの一方または双方が、側面視略三角形状で正面視板厚部分が略矩形となるように設けられてもよい。言い換えれば、これらの突出部が、図4の状態から左右方向の中心線と平行な軸周りに90°回転したような形状に形成されてもよい。クリップ1は、このように構成することで、対象物Oが横方向(左右方向)に抜けにくくなる。
【0067】
<実施形態2の変形例2>
図示しないが、クリップ1は、図4の突出部と、上記変形例1の突出部の両方が設けられてもよい。
【0068】
<実施形態3>
図5は、実施形態3に係るクリップの一例を示す外観図で、(a)閉状態の(全体)斜視図の一例及び一部拡大図、(b)閉状態の(全体)斜視図の他の一例及び一部拡大図である。本実施形態のクリップ1は、主として棘状の突出部がバネ性を有する点が上記実施形態2及びその変形例と異なる。
【0069】
図5(a)の例を、第1面部3の突出部35を例に説明すると、突出部35は、第1面部3の腹部30に設けられ、一例として、一対の支持部31の後方となる位置に一対設けられる。
【0070】
突出部35は、一例として、本体2を構成する弾性金属板材を用いて他の構成部分と一体に形成される。一例として、腹部30は、略コの字形状に切り込まれて、板厚方向を貫通する窓部301が形成されるとともに、腹部30と基端部352が連なる矩形の舌部が形成される。この舌部をさらに基端部352を矩形に、先端部351を三角形状にする。そして、基端部352と先端部351の境目を裏側に折り曲げて角部353を形成して、先端部351が裏面側に向くようにして、突出部35が形作られる。言い換えれば、突出部35は、先端部351が保持空間に向くように設けられる。このように構成される突出部35は、バネ性を備えるようになる。
【0071】
突出部35の角度(第2突出部角度)、即ち、角部353の角度(言い換えれば、基端部352の裏面と先端部351の裏面との間の角度)は、第1面部3と連結面部5との間の角度や本体2の上下方向の幅(高さ)等に応じて設定される。突出部35は、先端が対象物に向いており、保持状態で対象物を押える。
【0072】
突出部35の角度(第2突出部角度)は、一例として60°以上で170°以下、好ましくは70°~150°、より好ましくは80°~130°である。
【0073】
図示しないが、第2面部4の突出部は、突出部35と上下逆転した形状となるように前端部と後端部の間の腹部40に設けられる。第1面部3の突出部34と第2面部4の突出部は、一例として、互い違いに設けられる。第1面部3の突出部35と第2面部4の突出部は、衝突しない高さの場合は、左右方向において同位置(上下線対称)となるように設けられてもよい。
【0074】
図5(b)の例を、第1面部3の突出部35を例に説明すると、突出部35は、第1面部3の腹部30に設けられ、一例として、一対の支持部31の後方となる位置に一対と、中央曲げ部32の両側であって支持部31との間の位置の後方となる位置に一対の計二対設けられる。
【0075】
突出部35は、上記図5(a)の例と同様に形成でき、同様にバネ性を備える。二対の突出部35は、一例として、先端部351が図5(a)の例と同様に前端側に設けられる。二対の突出部35は、一例として、少なくともそのうちの1つが先端部351が後端側に向くように設けられる。二対の突出部35は、好ましくは、図5(b)のように、左側の突出部35同士が交互(一方の先端部が前端側、他方の先端部が後端側に)に設けられ、右側の突出部35同士が同様に交互に設けられる。このように交互に設けられる突出部35同士は、角部353の角度が同角度でもよいし、異なる角度でもよい。
【0076】
図6は、図5のクリップの動作を示す正面図で、(a)開状態、(b)保持状態を示す図である。
【0077】
クリップ1を開操作により開状態にし、対象物Oを第1面部3と第2面部4との間の保持空間に挿入しから、閉操作すると、第1面部3及び第1面部4が対象物Oを挟んで保持する状態(保持状態)になる。
【0078】
図示のように、クリップ1は、2束の印刷物ないし用紙の対象物Oを保持することもできる。この場合、左方の上下一対の突出部が左側の対象物Oに、右方の上下一対の突出部が右側の対象物Oに刺さりながら保持する。
【0079】
クリップ1は、突出部35がバネ性を有するため、枚数ないし厚みの異なる対象物Oにもより容易に対応できる。
【0080】
本形態のクリップ1は、通常のダブルクリップに、さらに腹部30及び腹部40の双方に突出部を追加したものである。そのため、開口端部における対象物の挟持に加えて、さらに腹部の突出部の先端部が保持空間において対象物を押える、突き刺さるため、より確実に対象物を保持できる。例えば、図示のように2束の対象物Oを並列にしても確実に保持できる。なお、クリップ1は、腹部30及び腹部40の一方にのみ突出部が設けられてもよい。
【0081】
図7は、図5のクリップの保持状態の他の一例を示す図である。クリップ1は、開口端部と腹部とで二重に保持構造を備えるため、より確実に対象物Oを保持することができ、図示のように、一方のレバー62をフックBにかけて、吊下げ具として用いることもできる。
【0082】
<実施形態4>
図8は、実施形態4に係るクリップの一例を示す外観図で、閉状態の(全体)斜視図である。本形態のクリップ1は、上記実施形態1ないしその変形例の突出部33と、上記実施形態2の突出部34の両方を備える。
【0083】
クリップ1は、開口端部では突出部33により、腹部では突出部34により対象物を保持できるため、より確実に対象物を保持できる。
【0084】
図示しないが、クリップ1は、開口端部に突出部33を設け、腹部に突出部34の代わりに実施形態3の突出部35を設けてもよい。
【0085】
クリップ1は、第1面部に突出部34が図示のように一対設けられてよいし、二対設けられてもよい。突出部35を設ける場合も一対設けてもよいし、二対設けてもよい。第2面部における突出部も同様である。
【0086】
クリップ1は、第1面部3の開口端部に突出部33を設け、腹部30に突出部34及び突出部35の両方を設けてもよい。第2面部4も同様である。
【0087】
<実施形態5>
図9は、実施形態5に係るクリップの一例を示す外観図で、開状態の(全体)斜視図の一例及び一部拡大図である。図10は、図9のクリップ1の側面を示す図で、(a)閉状態(噛合状態)の側面図、(b)噛合解消状態の側面図、(c)開状態の側面図である。本形態のクリップ1は、主としてレバー、及び棘状の突出部が上記実施形態1及びその変形例と異なる。
【0088】
本形態のレバー61及びレバー62は、金属線材を折り曲げて形成され、第1面部3及び第2面部4の前端部(他端部)にそれぞれ回動可能に取り付けられる点は、上記と同様であるが、端部611、621がクランク状に形成される点が上記と異なる。
【0089】
具体的には、レバー61は、一対の端部611が、クランク状に折り曲げられて、一対の支持部31に回動可能に支持される軸部6111と、自由端側の、後述の突出部36を支持する支え部6112とが形成される。同様に、レバー62は、一対の端部621が、クランク状に折り曲げられて、一対の支持部41に回動可能に支持される軸部6211と、自由端側の、後述の突出部46を支持する自由端である支え部6212とが形成される。
【0090】
第1面部3の棘状の突出部36及び第2面部4の棘状の突出部46は、一例として、本体2を構成する弾性金属板材を用いて他の構成部分と一体に形成される。
【0091】
第1面部3における板材は、前端側の左右端部にそれぞれ切込みを有し、支持部31を形成する部分と、突出部36を形成する部分に分かれる。突出部36は、この部分により、側面視緩やかな略コの字状に形成される。具体的には、基端部側を斜め上方に曲げて傾斜部を基端部側に形成し、そこから前方に曲げて横行部を形成し、さらに下方に曲げて先端部361を形成するような形状である。突出部36は、一例として2つの先端部361を有するように形成される。
【0092】
第2面部4における板材は、前端側の左右端部にそれぞれ切込みを有し、支持部41を形成する部分と、突出部46を形成する部分に分かれる。突出部46は、この部分により、側面視緩やかな略コの字状に形成される。具体的には、基端部側を斜め下方に曲げて傾斜部を基端部側に形成し、そこから前方に曲げて横行部を形成し、さらに上方に曲げて先端部461を形成するような形状である。突出部46は、一例として1つの先端部461を有するように形成される。
【0093】
レバー61の支え部6112及びレバー62の支え部6212は、突出部36及び突出部46の横行部の裏面とそれぞれ接して、突出部36及び突出部46をそれぞれ支持する。
【0094】
本形態のクリップ1は、初期状態、即ち閉状態では、図10(a)のように、突出部36と突出部46の先端部同士が噛み合って、噛合状態にある。ここでは、突出部46の先端部461が、突出部36の2つの先端部361の間の隙間に入り込んでいる。
【0095】
なお、クリップ1は、突出部36及び突出部46のうちの少なくとも一方が、2以上の先端部を有し、両突出部の先端部同士が噛み合うものであればよい。両突出部の先端部の数は、同数でもよいし、異なってもよい。例えば、突出部36及び突出部46がそれぞれ2つの先端部を有してもよい。突出部36及び突出部46が、一方が2つの先端部を、他方が3つの先端部を有してもよい。両突出部の先端部同士は、一部が噛み合ってもよい。
【0096】
クリップ1は、上記状態から、レバー61、62を開操作して開口端部を少し開いて、図10(b)のように、突出部36と突出部46の先端部同士を噛合状態から解放し、先端同士をほぼ同高の状態とすることができる。ここでは、開口端部が少し開き、突出部36と突出部46の先端同士がほぼ図示の上下方向中心線Dにある状態を噛合解消状態(先端同高状態)という。
【0097】
クリップ1は、上記状態から力を強めて、図10(c)のように、レバー61、62が略平行となる開状態とすることができる。クリップ1は、好ましくは、この状態において、突出部36の先端部361の先端が、第1面部3の開口端部の裏面と同高の位置(図示のE1線上)またはより上方の位置にあり、突出部46の先端部461の先端が、第2面部4の開口端部の裏面と同高の位置(図示のE2線上)またはより下方の位置にあるように設けられる。
【0098】
図10(c)のように、レバー61、62が略平行となる開状態において、突出部36は、概ね、支え部6112の直径分だけ腹部30の裏面より上方に位置し、突出部46は、概ね、支え部6212の直径分だけ腹部40の裏面より下方に位置する。言い換えれば、レバー61及びレバー62のクランク状の両端部により、突出部36は持ち上げられ、突出部46は押し下げられている。
【0099】
図11は、図9のクリップの動作を示す図である。
【0100】
(1)は、図10(c)の開状態で、対象物Oを挿入する状態である。上記のように、レバー61及びレバー62により、突出部36が第1面部3の裏面以上の位置に押し上げられ、突出部46が第2面部4の裏面以下の位置に押し下げられるため、対象物Oは、厚みのある対象物でもスムーズに保持空間に挿入できる。
【0101】
(2)は、(1)の状態からレバー61、62への力が緩められ、弾性力により突出部36及び突出部46が接近して対象物Oに接触している状態である。言い換えれば、この状態では、対象物Oは、突出部36と突出部46の間に挟まれている。
【0102】
(3)は、(2)の状態からレバー61、62への力が抜かれて、弾性力により突出部36及び突出部46が更に接近し、対象物Oに食い込んでいる状態である。言い換えれば、この状態では、対象物Oに、突出部36及び突出部46の先端部が突き刺さっている。
【0103】
(4)は、(3)の状態からレバー61、62の後端を矢印で示すように前方に回動させて、対象物Oの表面に当接させている状態である。
【0104】
このように、クリップ1は、従来と略同じ操作でありながら、より確実に対象物Oを保持できる。
【0105】
<実施形態6>
図12及び図13は、実施形態6に係るクリップの一例を示す図である。本形態は、突出部がレバーに設けられる点が上記実施形態と異なる。
【0106】
一例として、突出部は、レバーを構成する金属線材を用いてレバーの構成部分と一体に形成される。以下では、突出部が、レバー61に、一方の端部611に連なるように形成される例を説明するが、これと上下線対称にレバー62に突出部が形成されてもよい。
【0107】
一例として、図示のように、突出部63は、端部611に続く略直線状ないし円弧状の基端部632と、基端部632に続く略リング状に折り曲げられた先端部631とを有する。先端部631は、一例として、レバー61と略直角を成すように設けられる。言い換えれば、ここでは、レバー61の成す面が概ねXZ面上にある態様の場合、先端部631の成す面は概ねYZ面上にある態様となる。
【0108】
本形態のクリップ1は、突出部63の先端部631の少なくとも一部を受け入れる受け部O3を有する対象物Oに用いられる。受け部O3は、例えば、貫通穴や貫通溝である。突出部63の動作に支障のない限り有底穴や有底溝であってもよい。以下では、丸い貫通穴の受け部O3を有する対象物Oを例に本形態のクリップ1の動作を説明する。受け穴O3は、パンチ等の文房具で予め対象物Oにパンチングして備えることができる。
【0109】
(1)レバー61及びレバー62の摘み部613、623を開操作して、対象物Oを保持空間に挿入し、受け部O3が突出部63と対応する位置にくるようにする。開状態において、突出部63は、第1面部3の裏面以上の位置にあるため、厚みのある対象物Oでもスムーズに保持空間に挿入できる。
【0110】
(2)レバー61を、前方に矢印のように回動させて対象物Oの表面に当接させる。そうすると、レバー61の回動に伴って、突出部63も回動する。
【0111】
(3)レバー61が対象物Oの表面に当接すると、突出部63は、先端部631が受け部O3に嵌り込み、基端部632が受け部O3の縁部に引っかかって、対象物Oを押えるようになる。
【0112】
このように、本形態のクリップ1は、一例として、突出部63が一対のレバーの一方に設けられ、対象物Oの有する受け部O3と先端部631が篏合して、対象物Oを押える。
【0113】
本形態のクリップ1は、通常のダブルクリップに、さらに突出部63の構成を追加したものであると言える。そのため、従来のクリップ力(挟持力)に加えて、さらに突出部63による保持力が得られるため、より確実に対象物を保持でき、対象物がより落ちにくくなる。
【0114】
<実施形態6の変形例1>
図14は、実施形態6の変形例1に係るクリップの一例を示す図である。本例では、突出部は、レバー61及びレバー62の双方に一つずつ設けられる。
【0115】
一例として、突出部63がレバー61を構成する金属線材を用いてレバー61の構成部分と一体に形成され、突出部64がレバー62を構成する金属線材を用いてレバー62の構成部分と一体に形成される。突出部63と突出部64は対角線上にあるように形成され、突出部63がレバー61の左(右)端部611に続くように形成される場合、突出部64はレバー62の右(左)端部621に続くように形成される。
【0116】
図示のように、突出部63は、端部611に続く略直線状ないし円弧状の基端部632と、基端部632に続く略レ字形状に折り曲げられた先端部631とを有し、突出部64は、端部621に続く略直線状ないし円弧状の基端部642と、基端部642に続く略レ字形状に折り曲げられた先端部641とを有する。
【0117】
先端部631、先端部641は、一例として、レバー61、レバー62とそれぞれ略直角を成すように設けられる。言い換えれば、ここでは、レバー61が成す面が概ねXZ面上にある態様の場合、先端部631が成す面は概ねXY面上にある態様となり、レバー62が成す面が概ねXZ面上にある態様の場合、先端部641が成す面は概ねXY面上にある態様となる。
【0118】
受け部O3は、貫通穴や貫通溝であり、先端部631、先端部641に対応して予め2つ設けられる。以下では、丸い貫通穴の受け部O3を有する対象物Oを例に本例のクリップ1の動作を説明する。
【0119】
(1)レバー61及びレバー62の摘み部613、623を開操作して、対象物Oを保持空間に挿入し、受け部O3が突出部63、突出部64と対応する位置にくるようにする。開状態において、突出部63が第1面部3の裏面以上の位置にあり、突出部64が第2面部4の裏面以下の位置にあるため、厚みのある対象物Oでもスムーズに保持空間に挿入できる。
【0120】
(2)レバー61を、前方に矢印のように回動させて対象物Oの表面に当接させると、これに伴って、突出部63も回動する。同様に、レバー62を、前方に矢印のように回動させて対象物Oの表面に当接させると、これに伴って、突出部64も回動する。
【0121】
(3)レバー61が対象物Oの表面に当接すると、突出部63は、先端部631の先端寄りの部分が受け部O3に嵌り込み、基端部と先端部631の底端寄りの部分が受け部O3の縁部に引っかかって、対象物Oを上方から押えるようになる。同様に、レバー62が対象物Oの表面に当接すると、突出部64は、先端部641の先端寄りの部分が受け部O3に嵌り込み、基端部と先端部641の底端寄りの部分が受け部O3の縁部に引っかかって、対象物Oを下方から押えるようになる。
【0122】
このように、本例のクリップ1は、一例として、一方のレバー61に突出部63が、他方のレバー62に突出部64が設けられ、対象物Oの有する受け部O3と先端部631、先端部641が篏合して、対象物Oを上下両方から押える。
【0123】
本例のクリップ1は、通常のダブルクリップに、さらに突出部63及び突出部64の構成を追加したものであると言える。そのため、従来のクリップ力(挟持力)に加えて、さらに突出部63、突出部64による保持力が得られるため、より確実に対象物を保持でき、対象物がより落ちにくくなる。
【0124】
<実施形態6の変形例2>
図15及び図16は、実施形態6の変形例2に係るクリップの一例を示す図である。本例では、突出部は、先端部が別体に形成されて、基端部に接続される。
【0125】
図15に示すように、一例として、突出部63は、左右の一対の端部611のそれぞれに設けられ、端部611に続く略直線状の基端部632と、基端部632に接続される先端部631とを有する。基端部632は、レバー61を構成する線材を用いてレバー61の構成部分と一体に形成される。
【0126】
先端部631は、プラスチック樹脂や金属等で形成され、略三角形状で、保持状態で先端が対象物Oに向くように基端部632に取り付けられる。先端部631は、所定の厚みを有し、一例として、レバー61と略直角を成すように設けられる。言い換えれば、ここでは、レバー61の成す面が概ねXZ面上にある態様の場合、先端部631の成す面は概ねXY面上にある態様となる。先端部631は、受け部O3の直径(幅)より幅が大きい部分を有し、この部分が引っかかって対象物Oを押えるようになっている。
【0127】
図16(a)に示すように、一例として、対象物Oがページを捲るような使用が想定される場合は、下方のレバー62に突出部64が設けられるほうが好ましい。先端部64は上記先端部63と上下線対称に構成でき、詳細な説明は省略する。
【0128】
図16(b)に示すように、一例として、レバー61及びレバー62の双方に突出部を相対して設けてもよい。この場合、好ましくは、レバー61及びレバー62に弾性金属線材が用いられ、突出部63及び突出部64の基端部がバネ性を有する。これにより、対象物Oの厚みが薄く、先端部631と先端部641が当たるような場合でも、基端部が撓むことで、押し合う力が調整される(吸収される)。
【0129】
なお、図示のように、好ましくは、ここでは、先端部631及び先端部641の先端は、丸みのある形状に形成される。
【0130】
本例のクリップ1は、通常のダブルクリップに、さらに突出部63及び突出部64の少なくとも一方の構成を追加したものであると言える。そのため、従来のクリップ力(挟持力)に加えて、さらに突出部63、突出部64による保持力が得られるため、より確実に対象物を保持でき、対象物がより落ちにくくなる。
【0131】
<実施形態7>
図17は、実施形態7に係るクリップの一例を示す図である。本実施形態では、突出部は第1面部3及び第2面部4の少なくとも一方の面部に設けられ、対象物Oの有する受け部O3と先端部が篏合して、対象物Oを押える。
【0132】
図示のように、一例として、突出部37は、第1面部3の左右端のそれぞれに設けられ、左右線対称に設けられる。突出部37は、第1面部3の左端(右端)に続く略直線状の基端部372と、基端部372に接続される先端部371とを有する。
【0133】
基端部372は、本体2を構成する弾性金属板材を用いて他の構成部分と一体に形成され、左端(右端)の支持部31に近い位置から腹部30より狭い幅(前後幅)で左(右)方に帯状に延出するように形成される。
【0134】
先端部371は、プラスチック樹脂や金属等で形成され、略円錐形状で、保持状態で先端が対象物Oに向くように基端部372に取り付けられる。先端部371は、一例として、第1面部3と略直角を成すように設けられる。言い換えれば、ここでは、第1面部が概ねXZ面上にある態様の場合、先端部371は概ねY方向において延びる態様となる。先端部371は、受け部O3の直径(幅)より直径(幅)が大きい大幅部分を有し、この大幅部分が引っかかって対象物Oを押えるようになっている。先端部371を基端部372に取り付けるための取付穴等はこの大幅部分に設けられる。
【0135】
突出部37は、一対のレバーの操作により、腹部30とともに動作し、支持部31や中央曲げ部32が対象物Oに当接する際には、先端部371が受け部O3と篏合している。これにより、クリップ1は、通常のクリップによる挟持力に加えて、さらに突出部38による保持力が得られ、さらに強固に保持でき、対象物Oが落ちにくくなる。
【0136】
本形態のクリップ1は、通常のダブルクリップに、さらに突出部37の構成を追加したものであると言える。そのため、従来のクリップ力(挟持力)に加えて、さらに突出部37による保持力が得られるため、より確実に対象物を保持でき、対象物がより落ちにくくなる。
【0137】
また、突出部37が面部に設けられるため、対象物Oがページを捲るような使用が想定される場合でも、適用できる。
【0138】
なお、突出部37は、第1面部3の左端及び右端のうちの一方にのみ設けられてもよい。突出部37は、第1面部3の左端及び右端のうちの一方と、第2面部4の左端及び右端のうちの他方とに設けられてもよい。突出部38は、第1面部3の左右両端と第2面部4の左右両端に互い違いとなるように設けられてもよい。
【0139】
上記各実施形態の受け穴O3は、上記のようにパンチ等の文房具でパンチングして対象物Oに備えてもよいが、対象物Oの元々有する穴や溝を利用するものでもよい。また、書類や用紙をファイリングするためにパンチで穴を開けることがあるが、上記受け穴O3は、このようなファイリング用の穴を利用するものでもよい。
【0140】
なお、穴の形状は、限定されず、角穴や、楕円穴、長穴、切り込み穴などでもよい。また、穴の数が、突出部の数以上あり、突出部を配置する位置を適宜選択できるものでもよい。
【0141】
本発明のクリップ1は、ダブルクリップ型のクリップに限らない。開閉レバー6は、同様な機能を果たせる他の部材で代替されてもよい。
【0142】
なお、上記の記載に基づいて、当業者であれば、本発明の追加の効果や種々の変形を想到できるかもしれないが、本発明の態様は、上述した実施形態の例に限定されるものではない。請求の範囲に規定された内容及びその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更及び部分的削除が可能である。
【符号の説明】
【0143】
1 クリップ
2 本体
3 第1面部
30 腹部
33、34、35、36、37 突出部
4 第2面部
40 腹部
43、46 突出部
5 連結面部
6 開閉レバー
61 レバー
63 突出部
62 レバー
64 突出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16
図17
図18
【手続補正書】
【提出日】2022-11-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物を保持するクリップであって、
一対のレバーと前記レバーにより開閉可能に形成される本体とを備えるダブルクリップであり
前記本体は、弾性金属板材により形成され、相対する第1面部及び第2面部の一対の面部と、前記面部同士の一端部を連結する連結面部とを有し、
前記本体は、対象物を保持する保持状態で対象物を押える突出部を有し、
前記突出部は、先端部が保持状態で対象物に向くように設けられ
前記突出部は、棘状であり、前記第1面部及び前記第2面部の少なくとも一方に、他端部である開口端部に設けられ、
前記突出部は、前記弾性金属板材により前記一対の面部及び前記連結面部と一体に形成される
ことを特徴とするクリップ。
【請求項2】
前記突出部は、前記先端部が対象物を刺して押えるように設けられている
ことを特徴とする請求項に記載のクリップ。
【請求項3】
前記突出部は、前記第1面部及び前記第2面部に対となるように設けられている
ことを特徴とする請求項またはに記載のクリップ。
【請求項4】
前記突出部は、前記開口端部の中央の中央曲げ部と、左右端部付近の一対の支持部との間に設けられている
ことを特徴とする請求項1または2に記載のクリップ。
【請求項5】
一対の前記レバーが略平行となる開状態で、
前記第1面部の前記突出部は、先端が前記第1面部の開口端部の裏面と同高の位置またはより上方の位置にあり、
前記第2面部の前記突出部は、先端が前記第2面部の開口端部の裏面と同高の位置またはより下方の位置にあるように設けられる
ことを特徴とする請求項1または2に記載のクリップ。
【請求項6】
前記第1面部及び前記第2面部の少なくとも一方は、前記突出部が2以上の前記先端部を有する
ことを特徴とする請求項に記載のクリップ。
【請求項7】
前記第1面部及び前記第2面部の一方または双方には、前記突出部が2以上設けられている
ことを特徴とする請求項またはに記載のクリップ。