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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024022983
(43)【公開日】2024-02-21
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
   E06B 1/18 20060101AFI20240214BHJP
   E06B 1/16 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
E06B1/18 M
E06B1/16 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022126472
(22)【出願日】2022-08-08
(71)【出願人】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柚木 一弥
(57)【要約】
【課題】断熱性を備えつつも防火性に優れた建具を提供する。
【解決手段】屋外側に配置される金属製の屋外枠材と、屋内側に配置される金属製の屋内枠材と、が合成樹脂製の断熱材を介して連結された枠体を備える建具であって、前記屋外枠材及び前記屋内枠材の少なくとも一方は、長手方向に貫通する中空部を備えており、前記屋外枠材または前記屋内枠材の小口において前記中空部を覆う平面部と、前記平面部から当該平面部の面外方向に突出し、前記断熱材の屋外側にて前記屋外枠材と係合する屋外枠材係合部と、前記断熱材の屋内側にて前記屋内枠材と係合する屋内枠材係合部と、を備えた金属製の小口取付部材を有することを特徴とする。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋外側に配置される金属製の屋外枠材と、屋内側に配置される金属製の屋内枠材と、が合成樹脂製の断熱材を介して連結された枠体を備える建具であって、
前記屋外枠材及び前記屋内枠材の少なくとも一方は、長手方向に貫通する中空部を備えており、
前記屋外枠材または前記屋内枠材の小口において前記中空部を覆う平面部と、
前記平面部から当該平面部の面外方向に突出し、前記断熱材の屋外側にて前記屋外枠材と係合する屋外枠材係合部と、前記断熱材の屋内側にて前記屋内枠材と係合する屋内枠材係合部と、を備えた金属製の小口取付部材を有することを特徴とする建具。
【請求項2】
請求項1に記載の建具であって、
前記中空部は、前記断熱材と見込み方向に並べて設けられており、
前記屋外枠材係合部及び前記屋内枠材係合部の少なくとも一方は、前記中空部を形成して前記断熱材側に位置する壁部をなす断熱材側壁部と係合しており、
前記小口取付部材は、前記平面部が、前記屋外枠材または前記屋内枠材において前記中空部を形成している、前記断熱材側壁部以外の壁部の端部と対向することを特徴とする建具。
【請求項3】
請求項2に記載の建具であって、
前記屋外枠材または前記屋内枠材は、前記中空部を形成し、前記断熱材側壁部と見込み方向に対向する対向壁部を有しており、
前記小口取付部材は、前記対向壁部と係合する対向壁部係合片を備えていることを特徴とする建具。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の建具であって、
前記枠体は、躯体に設けられた開口に取り付けられており、
前記枠体と前記躯体との間には、シール材が設けられていることを特徴とする建具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属製の屋外枠材及び屋内枠材が合成樹脂製の断熱材を介して連結された枠体を備える建具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、金属製の屋外枠材及び屋内枠材が合成樹脂製の断熱材を介して連結された枠体を備える建具(窓装置)は知られている(例えば、特許文献1参照)。この建具が備える枠体(窓枠)は、上枠、下枠及び左右の竪枠を有し、上枠及び下枠の両端部と左右の竪枠の上下端部とが矩形状に接合されており、上枠、下枠及び竪枠はいずれも、アルミニウム合金製の室外側枠及び室内側枠が合成樹脂製の断熱材(ブリッジ材)により、見込み方向に連結されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019―15086号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の建具のように、枠体が室外側枠と室内側枠とが合成樹脂製の断熱材(ブリッジ材)により連結されている場合には、火災などにより火炎に晒されて合成樹脂製の断熱材が溶融し、室外側枠と室内側枠とが分離して隙間が生じた場合には、火炎が貫通する虞がある。また、枠体の内側にガラスなどの面材が保持されている建具の場合には、室外側枠と室内側枠とが分離することにより、面材が脱落する虞があり延焼を抑えることができないという課題があった。
【0005】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、断熱性を備えつつも防火性に優れた建具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するための主たる発明は、屋外側に配置される金属製の屋外枠材と、屋内側に配置される金属製の屋内枠材と、が合成樹脂製の断熱材を介して連結された枠体を備える建具であって、前記屋外枠材及び前記屋内枠材の少なくとも一方は、長手方向に貫通する中空部を備えており、前記屋外枠材または前記屋内枠材の小口において前記中空部を覆う平面部と、前記平面部から当該平面部の面外方向に突出し、前記断熱材の屋外側にて前記屋外枠材と係合する屋外枠材係合部と、前記断熱材の屋内側にて前記屋内枠材と係合する屋内枠材係合部と、を備えた金属製の小口取付部材を有することを特徴とする建具である。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、断熱性を備えつつも防火性に優れた建具を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態に係る建具の外観図である。
図2】本実施形態に係る断熱建具の縦断面図である。
図3】本実施形態に係る断熱建具の横断面図である。
図4図4(a)は、右の縦枠の平面図であり、図4(b)は、縦枠の上端に取り付けられた小口取付部材を示す平面図である。
図5図4(b)におけるB矢視図である。
図6図1におけるA部の拡大図である。
図7図6におけるC矢視図である。
図8】小口取付部材の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態に係る建具について図面を参照して説明する。
本実施形態に係る建具1の一例として、図1図3に示すようなFIX窓を構成する建具1を例に挙げて説明する。建具1は、複層ガラス2と、複層ガラス2を囲む枠体3と、を備えている。
【0010】
枠体3は、複層ガラス2の上に配置される上枠4と、複層ガラス2の下に配置される下枠5と、複層ガラス2の左右に配置され上枠4及び下枠5と連結される左右の縦枠6と、を有している。複層ガラス2は、上枠4、下枠5及び左右の縦枠6と各押縁8との間にバックアップ材15とシーリング材16を介して取り付けられている。
【0011】
上枠4及び下枠5は、左右に配置される一対の縦枠6の上端または下端の間に介在され、上枠4及び下枠5の長手方向における端となる小口が各縦枠6の側面に当接され、各々縦枠6に外周側から挿通されるビスが螺合されて枠組みされている。矩形状に枠組みされた左右の縦枠6の上下端をなす小口6aには、それぞれアルミニウム製の小口取付部材7が設けられている。
【0012】
以下の説明においては、建物等に取り付けられた状態の建具1を、屋外側から見たときに、上下となる方向を上下方向、左右となる方向を左右方向、屋内外方向である奥行き方向を見込み方向として示す。また、建具1の各部位であっても、また、建具1を構成する各部材については単体の状態であっても、建具1が建物に取り付けられている状態にて上下方向、左右方向、見込み方向となる方向にて方向を特定して説明する。
【0013】
上枠4、下枠5及び左右の縦枠6はいずれも、屋内側に配置される屋内枠材40、50、60と、屋外側に配置される屋外枠材41、51、61とが合成樹脂製の成形部材でなる断熱材42、52、62を介して接合され一体に形成されている。各屋内枠材40、50、60及び各屋外枠材41、51、61は、長手方向を押し出し方向とするアルミニウム製の押し出し形材である。
【0014】
屋内上枠部40及び屋外上枠部41は、断熱材42の下面42aとともに同一の平面の上内周面4aを形成している。上内周面4aは、複層ガラス2の上面と対向する。
【0015】
屋内上枠部40は、上内周面4aの屋内側の端から下方に延出された上枠延出部40aと、上枠延出部40aの下端から屋外側に延出されて上側の複層ガラス2の上端部と屋内側にて対向する屋内上対向部40bと、を有している。屋内上枠部40は、断熱材42と見込み方向において屋内側にて隣接し、長手方向に貫通する屋内上中空部40cを備えている。屋内上中空部40cを形成する部位の下面が、上内周面4aの屋内側の部位をなしている。
【0016】
屋外上枠部41は、上内周面4aの屋外側の端から下方に延出され複層ガラス2の上端部と屋外側にて対向する屋外上対向部41aを有している。屋外上枠部41は、断熱材42と見込み方向において屋外側にて隣接し、長手方向に貫通する屋外上中空部41bを備えている。屋外上中空部41bを形成する部位の下面が、上内周面4aの屋外側の部位をなしている。
【0017】
屋内下枠部50及び屋外下枠部51は、断熱材52の上面52aとともに同一の平面の下内周面5aを形成している。下内周面5aは、複層ガラス2の下面と対向する。
【0018】
屋内下枠部50は、下内周面5aの屋内側の端から上方に延出された下枠延出部50aと、下枠延出部50aの上端から屋外側に延出されて下側の複層ガラス2の下端部と屋内側にて対向する屋内下対向部50bと、を有している。屋内下枠部50は、断熱材52と見込み方向において屋内側にて隣接し、長手方向に貫通する屋内下中空部50cを備えている。屋内下中空部50cを形成する部位の上面が、下内周面5aの屋内側の部位をなしている。
【0019】
屋外下枠部51には、下内周面5aの屋外側の端と、断熱材52側の部位から各々上方に延出されて、押縁8が係止される押縁係止部51aが設けられている。屋外下枠部51は、断熱材52と見込み方向において屋外側にて隣接し、長手方向に貫通する屋外下中空部51bを備えている。屋外下中空部51bを形成する部位の上面が、断熱材52の上面52aと繋がった平面をなしている。
【0020】
左右の縦枠6は、同一の部材であり左右の向きを反転させて配置される。ここでは、右側の縦枠6を例に挙げて縦枠の構成を説明する。屋内縦枠部60及び屋外縦枠部61は、図3に示すように、断熱材62の内周面62aとともに同一の平面の縦内周面6bを形成している。縦内周面6bは、複層ガラス2の側面と対向する。
屋内縦枠部60は、断熱材62と見込み方向において屋内側にて隣接し、長手方向に貫通する屋内縦中空部60aを備えている。
【0021】
屋内縦枠部60は、図4(a)に示すように、屋内縦中空部60aの屋外側の壁部を形成し断熱材62と接合される屋内側連結壁部60bと、屋内縦中空部60aの屋内側の壁部を形成し屋内側連結壁部60bと見込み方向に対向する屋内側対向壁部60cと、屋内側連結壁部60b及び屋内側対向壁部60cの内周側の端を繋ぐ壁部をなす屋内側内周壁部60dと、屋内側連結壁部60b及び屋内側対向壁部60cの外周側の端を繋ぐ壁部をなす屋内側外周壁部60eと、屋内側内周壁部60dの見込み方向におけるほぼ中央から内周側に延出された縦枠延出部60fと、縦枠延出部60fの内周側の端の屋外側に設けられて複層ガラス2の側端部と屋内側にて対向する屋内縦対向部60gと、を有している。ここで、屋内側連結壁部60bが、屋内縦枠部60において中空部を形成して断熱材側に位置する壁部をなす断熱材側壁部に相当し、屋内側対向壁部60cが断熱材側の壁部と見込み方向に対向する対向壁部に相当する。
【0022】
屋内側対向壁部60cは、内周側の部位でなる内周側対向部60hと、外周側の部位でなる外周側対向部60iとに分かれており、いずれも屋内側連結壁部60bとほぼ平行に設けられている。内周側対向部60hは、外周側対向部60iよりも屋外側に配置され、外周側に向かって屋内側連結壁部60bとの間隔が広がるように設けられた連結壁部60jにより外周側対向部60iと繋がっている。屋内側内周壁部60dにおいて、縦枠延出部60fよりも屋外側の部位の内周面が、縦内周面6bの屋内側の部位をなしている。
【0023】
屋外縦枠部61は、断熱材62と見込み方向において屋外側にて隣接し、矩形状をなして長手方向に貫通する屋外縦中空部61aを備えている。
屋外縦枠部61は、屋外縦中空部61aの屋内側の壁部を形成し断熱材62と接合される屋外側連結壁部61bと、屋外縦中空部61aの屋外側の壁部を形成し屋外側連結壁部61bと見込み方向に対向する屋外側対向壁部61cと、屋外側連結壁部61b及び屋外側対向壁部61cの内周側の端を繋ぐ壁部をなす屋外側内周壁部61dと、屋外側連結壁部61b及び屋外側対向壁部61cの外周側の端を繋ぐ壁部をなす屋外側外周壁部61eと、屋外側内周壁部61dが屋外側に延出された屋外延出壁部61fと、屋外延出壁部61f及び屋外側内周壁部61dの断熱材62側の部位から各々内周側に延出されて、押縁8が係止される押縁係止部61gと、が設けられている。屋外側内周壁部61d及び屋外延出壁部61fの内周面が、縦内周面6bの屋外側の部位をなしている。ここで、屋外側連結壁部61bが、屋外縦枠部61において中空部を形成して断熱材側に位置する壁部をなす断熱材側壁部に相当し、屋外側対向壁部61cが断熱材側の壁部と見込み方向に対向する対向壁部に相当する。
【0024】
上枠4、下枠5及び左右の縦枠6は、矩形状に枠組みされており、図2図3に示すように、枠体3の外周側に位置する躯体9に設けられた開口9aに、アンカー10を介して取り付けられている。また、枠体3と躯体9及び躯体の9屋外側に設けられた外壁材11との間に、図2図3図6図7に示すように、枠体3の全周に亘ってシール材12が充填されている。
【0025】
下枠5、縦枠6に係止される押縁8は、長手方向を押し出し方向とするアルミニウム製の押し出し形材であり、同一の形材から形成されている。各押縁8は、例えば、縦枠6に係合される押縁8を例に挙げて説明すると、図4(a)に示すように、縦枠6に係止される被係止部8aと、被係止部8aの屋外側の端から延出されて複層ガラス2の周端部と屋外側にて対面する屋外ガラス対面部8bと、を有している。
【0026】
各縦枠6の上端及び下端の小口6aに取り付けられる小口取付部材7は、同一の部材であり、図4(b)、図5に示すように、縦枠6に設けられた断熱材62と、断熱材62の両側に設けられている屋内縦中空部60a及び屋外縦中空部61aに亘って配置されるように構成されている。
以下、小口取付部材7について、右の縦枠6の上端の小口6aに取り付けられる小口取付部材7を例に挙げて説明する。
【0027】
小口取付部材7は、平面視が長方形状の平坦な板状をなす平面部70と、平面部70の下面から平面部70の面外方向となる下方に延出され、対をなして縦枠6に係合される二対の係合片71と、を有している。
【0028】
平面部70は、短手方向の幅は、屋内縦中空部60a及び屋外縦中空部61aの左右方向の幅と一致しており、長手方向の幅は、平面部70の両端における下面が、屋外側対向壁部61c及び外周側対向部60iの上端に当接されて、小口取付部材7が屋外側対向壁部61cと外周側対向部60iとの間に架け渡される長さを有している。
【0029】
二対の係合片71は、屋内側にて対をなす2つの係合片71が屋内縦中空部60aに嵌入され、屋外側にて対をなす2つの係合片71が屋外縦中空部61aに係合されて取り付けられる。以下の説明においては、2つの係合片71を、各々区別する必要がある場合には、屋内側から順に第1係合片71a、第2係合片71b、第3係合片71c、第4係合片71dと称する。
【0030】
各係合片71は、平面部70と直交する方向に延出された基端部73と、基端部73の先端から延出され平面部70から離れる方向に向かって互いに間隔が狭くなるように傾斜した傾斜部74とを有し、基端部73と傾斜部74との境界部分は、互いに対向する側と反対方向に突出する突部75を有している。
【0031】
屋内側にて対をなす第1係合片71a及び第2係合片71bにおける傾斜部74の先端の間隔は、屋内縦中空部60aの屋内側連結壁部60bと内周側対向部60hとの間隔より十分狭く、屋外側にて対をなす第3係合片71c及び第4係合片71dにおける傾斜部74の先端の間隔は、屋外縦中空部61aの屋外側連結壁部61bと屋外側対向壁部61cとの間隔より十分狭く形成されている。
【0032】
また、第1係合片71aの突部75と第2係合片71bの突部75との見込み方向の幅は、屋内縦中空部60aの屋内側連結壁部60bと内周側対向部60hとの間隔より僅かに広く、第3係合片71cの突部75と第4係合片71dの突部75との見込み方向の幅は、屋外縦中空部61aの屋外側連結壁部61bと屋外側対向壁部61cとの間隔より広く形成されている。また、第2係合片71bの突部75と、第3係合片71cの突部75との間隔は、屋内側連結壁部60bから屋外側連結壁部61bまでの見込み方向の幅よりも狭く形成されている。
【0033】
そして、小口取付部材7を上方から縦枠6に挿入すると、各係合片71の傾斜部74に屋内側連結壁部60b、内周側対向部60h、屋外側連結壁部61b、屋外側対向壁部61cの上端と接触し、傾斜部74を摺動しつつ屋内縦中空部60aまたは屋外縦中空部61aの内側に押圧されて各係合片71が弾性変形しつつ屋内縦中空部60aまたは屋外縦中空部61a内に挿入される。各係合片71が屋内縦中空部60aまたは屋外縦中空部61a内に挿入されて、各突部75が屋内側連結壁部60b、内周側対向部60h、屋外側連結壁部61b、屋外側対向壁部61cを押圧することにより小口取付部材7が保持される。また、小口取付部材7は、第2係合片71bと、第3係合片71cとによって、屋内側連結壁部60bと屋外側連結壁部61bとを押圧することにより縦枠6における屋内側連結壁部60bと屋外側連結壁部61bとの間の部位を挟持している。ここで、第2係合片71bが屋内枠材係合部に相当し、第3係合片71cが屋外枠材係合部に相当する。また、第1係合片71a及び第4係合片71dが、対向壁部と係合する対向壁部係合片に相当する。
【0034】
小口取付部材7が縦枠6に取り付けられた状態では、平面部70は、屋外側対向壁部61cと外周側対向部60iとの間に架け渡され、下面が、縦枠6の小口6aにおいて屋内側連結壁部60b、屋外側連結壁部61b、外周側対向部60i、連結壁部60j及び断熱材62の端面に当接される。このとき、屋内縦中空部60a及び屋外縦中空部61aが平面部70により閉塞される。そして、平面部70の長手方向における両端部70aは、下面が屋外側対向壁部61cまたは外周側対向部60iに当接している。
【0035】
左右の縦枠6の上下端部に各々小口取付部材7が取り付けられた状態で、枠体3は躯体9に取り付けられ、図1図3に示すように、躯体9及び外壁材11と枠体3との間に全周に亘ってシール材12が充填される。このとき、縦枠6の小口にはいずれも小口取付部材7が取り付けられているので、充填されたシール材12が屋内縦中空部60a及び屋外縦中空部61a内に進入することはない。このため、枠体3と躯体9及び外壁材11との間に隙間が生じないので、より確実に止水される。
【0036】
本実施形態の建具1によれば、建具1が備えるアルミニウム製の小口取付部材7は、屋内縦枠部60と屋外縦枠部61とを連結している断熱材62の屋外側にて屋外縦枠部61と係合する第3係合片71cと、断熱材62の屋内側にて屋内縦枠部60と係合する第2係合片71bと、を有しているので、屋内縦枠部60と屋外縦枠部61とは小口取付部材7により断熱材62を挟んだ状態で保持される。このため、屋内縦枠部60と屋外縦枠部61とが互いに離れる方向への移動が規制されるので、例えば、火災などにより断熱材62が溶融したとしても屋内縦枠部60と屋外縦枠部61とが分離されてしまうことを防止することが可能である。
【0037】
また、小口取付部材7は、屋内縦中空部60a及び屋外縦中空部61aの小口6aにおいて、屋内縦中空部60a及び屋外縦中空部61aを覆う平面部70を備えているので、屋内縦中空部60a及び屋外縦中空部61aから水等が進入することを防止することが可能である。このため、縦枠6の小口6aを覆うためのキャップ等を別途設ける必要がないので、部材の点数、取付工数、及びコストを抑えることが可能である。
【0038】
また、小口取付部材7は、屋内縦枠部60と屋外縦枠部61と接触する面積が小さく、小口取付部材7がたとえアルミニウムなどの金属製であったとしても、熱の伝達を小さく抑えることが可能である。このため、断熱性の低下を抑えて止水性を備え、断熱材62が溶融したとしても、屋内縦枠部60と屋外縦枠部61とが分離し難い建具1を提供することが可能である。
【0039】
また、小口取付部材7は、第2係合片71bが屋内縦中空部60aの断熱材62側の屋内側連結壁部60bと係合し、平面部70の屋内側の端部70aは、外周側対向部60iの端と対向して当接しているので、平面部70が、屋内縦中空部60a内に沈み込むことなく屋内縦中空部60aを覆うことが可能である。また、小口取付部材7は、第3係合片71cが屋外縦中空部61aの断熱材62側の屋外側連結壁部61bと係合し、平面部70の屋外側の端部70aは、屋外側対向壁部61cの端と対向して当接しているので、平面部70が、屋外縦中空部61a内に沈み込むことなく屋外縦中空部61aを覆うことが可能である。このため、小口取付部材7の装着が容易である。
【0040】
また、小口取付部材7の第1係合片71aが内周側対向部60hと係合しているので、屋内縦中空部60aの小口を覆う平面部70の小口から離れる方向への移動が規制される。また、小口取付部材7の第4係合片71dが屋外側対向壁部61cと係合しているので、屋外縦中空部61aの小口を覆う平面部70の小口から離れる方向への移動が規制される。このため、平面部70が小口から浮き上がることを防止することが可能である。
【0041】
また、枠体3と躯体9との間をシールするシール材12は平面部70の外周側に充填されているので、充填されたシール材12が屋内縦中空部60a及び屋外縦中空部61a内に進入することを防止し、平面部70と躯体9の間にシール材12を確実に充填することが可能となる。このため、枠体3と躯体9との間が枠体3の全周に亘って止水されるので、止水性に優れた建具1を提供することが可能である。
【0042】
上記実施形態においては、屋内縦枠部60及び屋外縦枠部61がいずれも中空部を備えている例について説明したが、中空部は、屋内縦枠部60及び屋外縦枠部61のうちの少なくとも一方に設けられていれば構わない。また、上記実施形態においては、上枠4及び下枠5の長手方向における端となる小口が左右の縦枠6の側面に当接されて枠組みされ、縦枠6の上下端をなす小口6aに小口取付部材7が設けられている例について説明したが、これに限らず、例えば、左右の縦枠が上下の横枠の間に介在され枠組みされた枠体の、横枠の小口に小口取付部材が設けられていても構わない。
【0043】
上記実施形態においては、小口取付部材7は、平面部70の長手方向における両端部70aが屋外側対向壁部61cと外周側対向部60iとの間に架け渡される例について説明したが、これに限るものではない。例えば、延出部を平面部70において屋内縦中空部60aを覆う部位から内周側または外周側に延出させて、屋内縦中空部60aを形成する屋内側内周壁部60dまたは屋内側外周壁部60eの端部と上下方向において対向するように構成しても構わない。すなわち、平面部の沈み込みを防止すべく小口に当接される部位は、平面部から延出され、中空部を形成している断熱材側の壁部以外の壁部の端部と対向するように構成されていれば構わず、また、複数の壁部の端と対向するように設けられていても構わない。
【0044】
また、上記実施形態においては、平面部70が同一平面の平板状をなしている例について説明したが、これに限るものではない。例えば、小口取付部材7が、平面部70の長手方向の両端から平面部70の長手方向に各々延出され、平面部70と段差を有する2つの延出片72を有しており、平面部70が、縦枠6の小口6aにおいて他の部位より窪んでいる屋内側連結壁部60b、屋外側連結壁部61b、外周側対向部60i、連結壁部60j及び断熱材62の端面に当接され、屋内縦中空部60a及び屋外縦中空部61aに亘って配置される構成であっても構わない。この場合には、2つの延出片72は、屋外側対向壁部61cまたは外周側対向部60iの端面に当接され、平面部70の上面が小口と同一の平面を形成して、屋内縦中空部60a及び屋外縦中空部61aが平面部70により閉塞される。
【0045】
上記実施形態においては、屋内枠材40、50、60と、屋外枠材41、51、61とが合成樹脂製の成形部材でなる断熱材42、52、62を介して接合され一体に形成されている例について説明したがこれに限るものではない。例えば、屋内枠材と、屋外枠材との間に、断熱材をなすウレタンなどの合成樹脂が注入されて屋内枠材と、屋外枠材とが一体に形成されていても構わない。
【0046】
上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。
本実施形態には、少なくとも以下の発明が含まれる。
【0047】
態様1:屋外側に配置される金属製の屋外枠材と、屋内側に配置される金属製の屋内枠材と、が合成樹脂製の断熱材を介して連結された枠体を備える建具であって、前記屋外枠材及び前記屋内枠材の少なくとも一方は、長手方向に貫通する中空部を備えており、前記屋外枠材または前記屋内枠材の小口において前記中空部を覆う平面部と、前記平面部から当該平面部の面外方向に突出し、前記断熱材の屋外側にて前記屋外枠材と係合する屋外枠材係合部と、前記断熱材の屋内側にて前記屋内枠材と係合する屋内枠材係合部と、を備えた金属製の小口取付部材を有することを特徴とする建具である。
【0048】
態様1の建具によれば、建具が備える金属製の小口取付部材は、屋外枠材と屋内枠材とを連結している合成樹脂製の断熱材の屋外側にて屋外枠材と係合する屋外枠材係合部と、合成樹脂製の断熱材の屋内側にて屋内枠材と係合する屋内枠材係合部と、を有しており、屋外枠材係合部及び屋内枠材係合部は中空部を覆う平面部の面外方向に突出しているので、屋外枠材と屋内枠材とは、屋外枠材係合部及び屋内枠材係合部により互いに離れる方向への移動が規制される。このため、例えば、火災などにより合成樹脂製の断熱材が溶融したとしても屋外枠材と屋内枠材とが分離されてしまうことを防止することが可能である。
【0049】
また、小口取付部材は、屋外枠材及び屋内枠材の少なくとも一方が備え、長手方向に貫通する中空部の小口を覆う平面部を備えているので、屋外枠材または屋内枠材の小口から水等が進入することを防止することが可能である。このため、小口を覆うためのキャップ等を別途設ける必要がないので、部材の点数、取付工数、及びコストを抑えることが可能である。
【0050】
また、小口取付部材は、屋外枠材及び屋内枠材の小口に取り付けられるので、小口取付部材と、屋外枠材及び屋内枠材とが接触する面積は小さく、小口取付部材が例え金属製であったとしても、熱の伝達を小さく抑えることが可能である。このため、断熱性の低下を抑えて止水性を備え、合成樹脂製の断熱材が溶融したとしても、屋外枠材と屋内枠材とが分離し難い建具を提供することが可能である。
【0051】
態様に2:態様1に記載の建具であって、前記中空部は、前記断熱材と見込み方向に並べて設けられており、前記屋外枠材係合部及び前記屋内枠材係合部の少なくとも一方は、前記中空部を形成して前記断熱材側に位置する壁部をなす断熱材側壁部と係合しており、前記小口取付部材は、前記平面部が、前記屋外枠材または前記屋内枠材において前記中空部を形成している、前記断熱材側壁部以外の壁部の端部と対向することを特徴とする。
【0052】
態様2の建具によれば、小口取付部材が有する屋外枠材係合部及び屋内枠材係合部の少なくとも一方は、中空部を形成する断熱材側に位置する壁部をなす断熱材側壁部と係合し、平面部は、屋外枠材または屋内枠材において中空部を形成している、断熱材側壁部以外の壁部の端部と対向する部位を有しているので、平面部は、中空部内に沈み込むことなく中空部を覆うことが可能である。このため、小口取付部材の装着が容易である。
【0053】
態様3:態様2に記載の建具であって、前記屋外枠材または前記屋内枠材は、前記中空部を形成し、前記断熱材側壁部と見込み方向に対向する対向壁部を有しており、前記小口取付部材は、前記対向壁部と係合する対向壁部係合片を備えていることを特徴とする。
【0054】
態様3の建具によれば、小口取付部材は、中空部を形成して断熱材側壁部と見込み方向に対向する対向壁部と係合する対向壁部係合片を備えているので、屋外枠材係合部または屋内枠材係合部と対向壁部係合片とが、中空部内にて見込み方向に対向する断熱材側壁部及び対向壁部とそれぞれ係合する。このため、中空部の小口を覆う平面部の小口から外れる方向への移動が規制されるので、平面部が小口から浮き上がることを防止することが可能である。
【0055】
態様4:態様1乃至態様3のいずれかに記載の建具であって、前記枠体は、躯体に設けられた開口に取り付けられており、前記枠体と前記躯体との間には、シール材が設けられていることを特徴とする。
【0056】
態様4の建具によれば、屋外枠材または屋内枠材は小口において中空部が小口取付部材により覆われているので、枠体と躯体との間に設けたシール材が、屋外枠材または屋内枠材の小口から中空部内に入り込んでしまうことはない。このため、シール材を枠体と躯体との間に確実に配置することが可能であり、シール材により躯体との間が枠体の全周に亘って止水されるので、止水性に優れた建具を提供することが可能である。
【符号の説明】
【0057】
1 建具、3 枠体、7 小口取付部材、9 躯体、12 シール材、
60 屋内縦枠部(屋内枠材)、60a 屋内縦中空部、
60b 屋内側連結壁部(断熱材側壁部)、60c 屋内側対向壁部、
60d 屋内側内周壁部、60e 屋内側外周壁部、60h 内周側対向部、
60i 外周側対向部、60j 連結壁部、61 屋外縦枠部(屋外枠材)、
61a 屋外縦中空部、61b 屋外側連結壁部(断熱材側壁部)、
61c 屋外側対向壁部、61d 屋外側内周壁部、61e 屋外側外周壁部、
62 断熱材、70 平面部、70a 平面部の長手方向における端部、
71 係合片、72 延出片
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