(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024022998
(43)【公開日】2024-02-21
(54)【発明の名称】ワーク保持部材及び積層体
(51)【国際特許分類】
H01L 21/60 20060101AFI20240214BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20240214BHJP
B32B 7/06 20190101ALI20240214BHJP
B32B 7/022 20190101ALI20240214BHJP
B32B 7/027 20190101ALI20240214BHJP
H01L 23/29 20060101ALI20240214BHJP
C09J 7/38 20180101ALI20240214BHJP
H05K 3/34 20060101ALI20240214BHJP
C09J 183/04 20060101ALN20240214BHJP
【FI】
H01L21/60 311Q
B32B27/00 L
B32B7/06
B32B7/022
B32B7/027
H01L23/30 R
C09J7/38
H05K3/34 507Z
C09J183/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022126509
(22)【出願日】2022-08-08
(71)【出願人】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】伊関 亮
(72)【発明者】
【氏名】秋月 伸也
【テーマコード(参考)】
4F100
4J004
4J040
4M109
5E319
5F044
【Fターム(参考)】
4F100AA20B
4F100AB04A
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5E319AC02
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5F044KK02
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5F044LL13
(57)【要約】
【課題】本発明は、電子部品の表面実装時の加熱処理によりワークに反りが生じることを抑制できることに加えて、電子部品の表面実装時の加熱処理前においてはワークを十分に固定でき、かつ、電子部品の表面実装時の加熱処理後においてはワークを取り外し易いワーク保持部材を提供する。
【解決手段】本発明に係るワーク保持部材は、支持体と、該支持体上に積層されてワークを保持するワーク保持層と、を備え、前記支持体は、線膨張係数の値に対する3点曲げ応力の値の比が0.3以上であり、前記ワーク保持層は、樹脂組成物で構成されており、150℃以上の温度で加熱する前においてポリイミドフィルムに対するせん断粘着力の値Sが1N/100mm
2以上であり、かつ、150℃以上の温度で5分間加熱した後においてポリイミドフィルムに対する90°剥離力の値Pが7N/20mm以下である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体と、該支持体上に積層されてワークを保持するワーク保持層と、を備え、
前記支持体は、線膨張係数の値に対する3点曲げ応力の値の比が0.3以上であり、
前記ワーク保持層は、樹脂組成物で構成されており、150℃以上の温度で加熱する前においてポリイミドフィルムに対するせん断粘着力の値Sが1N/100mm2以上であり、かつ、150℃以上の温度で5分間加熱した後においてポリイミドフィルムに対する90°剥離力の値Pが7N/20mm以下である
ワーク保持部材。
【請求項2】
前記支持体の3点曲げ応力が5N/10mm以上である
請求項1に記載のワーク保持部材。
【請求項3】
前記支持体の線膨張係数が30×10-6/℃以下である
請求項1または2に記載のワーク保持部材。
【請求項4】
前記90°剥離力の値Pに対する前記せん断粘着力の値Sの比(S/P)が5以上である
請求項1または2に記載のワーク保持部材。
【請求項5】
前記支持体は、前記ワーク保持層が積層される面の算術平均粗さRaが2μm以下である
請求項1または2に記載のワーク保持部材。
【請求項6】
前記樹脂組成物は、シリコーン樹脂またはフッ素樹脂を含む
請求項1または2に記載のワーク保持部材。
【請求項7】
前記ワーク保持層は、ゴム層または発泡体層として構成されている
請求項6に記載のワーク保持部材。
【請求項8】
前記発泡体層の見掛け密度は、0.05g/cm3以上0.90g/cm3以下である
請求項7に記載のワーク保持部材。
【請求項9】
前記発泡体層の平均気泡径は、1μm以上100μm以下である
請求項7に記載のワーク保持部材。
【請求項10】
前記発泡体層は、前記支持体に当接される面の算術平均粗さRaが0.1μm以上50μm以下である
請求項7に記載のワーク保持部材。
【請求項11】
前記ワークは、セラミック基板、シリコン基板、ガラス基板、及び、樹脂フィルム基板からなる群から選択される1種である
請求項1または2に記載のワーク保持部材。
【請求項12】
前記ワークの表面に電子部品を実装するために用いられる
請求項1または2に記載のワーク保持部材。
【請求項13】
支持体と該支持体上に積層されてワークを保持するワーク保持層とを備えるワーク保持部材と、
前記ワーク保持層上に保持されているワークと、を備え、
前記ワーク保持部材が、請求項1または2に記載のワーク保持部材である
積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワーク保持部材及び積層体に関する。より詳しくは、本発明は、ワーク保持部材、及び、該ワーク保持部材上にワークが保持された積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子部品装置の製造において、電子部品を基板などのワークの表面に実装すること、すなわち、電子部品をワークに表面実装することが知られている(例えば、下記特許文献1及び2)。
【0003】
下記特許文献1には、電子部品装置たる半導体装置の製造において、電子部品たる半導体チップを基板(ワーク)の表面に取り付けたり、基板に取り付けた後の半導体チップにリフロー処理を行ったりしてなどして実装するときに、ステージ上に基板を載置することが開示されている。
より具体的には、下記特許文献1には、バンプ電極を備える複数の半導体チップを高さ方向に積層させた半導体チップ積層体を得て、該半導体チップ積層体を支持基板(ワーク)上に取り付けた状態とし、前記半導体チップ積層体を取り付けた支持基板を第1のステージたる搬送板上に載置した後、該第1のステージたる搬送板を第2のステージたる加熱炉内のステージ上に載置してリフロー処理を行い、支持基板上に半導体チップを実装することにより、半導体装置を製造することが開示されている。
なお、前記リフロー処理では、前記半導体チップ積層体を取り付けた支持基板は、通常、180℃以上もの高温で所定時間処理される。
【0004】
下記特許文献2には、電子部品装置たる有機EL装置の製造において、電子部品たるIZO膜やITO膜などといった透明電極膜を透明基板(ワーク)上に取り付けて、前記透明電極膜をアニールして実装するときに、ステージ上に前記透明基板を載置することが開示されている。
より具体的には、下記特許文献2には、前記透明基板を基板ステージ上に載置し、スパッタリング法により前記透明基板上に電子部品たる透明電極膜を取り付けた後、アニール処理を行って前記透明基板上に前記透明電極膜を実装して、有機EL装置を製造することが開示されている。
なお、前記アニール処理は、前記透明電極膜の機能を十分に発現させるために、通常、150℃程度の温度で実施される。
【0005】
上記のように電子部品を基板(ワーク)に実装させる時には、前記基板は、通常、何らかの部材を介在させてステージ上に載置される。
例えば、前記基板は、支持体と該支持体上に積層されたワーク保持層とを備えるワーク保持部材を介在させてステージ上に載置される。
より具体的には、前記ワーク保持部材の前記ワーク保持層に基板(ワーク)を保持させた状態で前記支持体をステージ上に載置することにより、前記基板はステージ上に載置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2020-150202号公報
【特許文献2】特開2008-140735号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、近年、ますます、半導体装置や有機EL装置の薄型化の要望が高まっており、この要望に応じて、半導体チップを取り付ける基板や透明電極膜を取り付ける基板も薄型化されている。
そして、このように基板が薄型化されると、半導体チップの実装時におけるリフロー処理温度や前記透明電極膜の実装時におけるアニール処理温度によって、前記基板に熱による変形が生じて前記基板に反りが生じてしまうことがある。
すなわち、電子部品の表面実装時の加熱処理により、前記基板に反りが生じてしまうことがある。
基板に上記のような反りが生じると、前記基板上において半導体チップや透明電極膜などの電子部品の取り付け状態が不良となることがあるため好ましくない。
【0008】
しかしながら、電子部品の表面実装時の加熱処理により基板に反りが生じることを抑制することについて、未だ十分な検討がなされているとは言い難い。
【0009】
また、前記基板は、リフロー処理前やアニール処理前などの電子部品の表面実装時の加熱処理前においては、前記ワーク保持部材(より詳しくは、前記ワーク保持部材のワーク保持層)に固定されているものの、リフロー処理後やアニール処理後などの電子部品の表面実装時の加熱処理後においては、前記ワーク保持部材から取り外される。
そのため、効率良く電子部品装置を製造する観点から、前記基板は、電子部品の表面実装時の加熱処理前においては前記ワーク保持部材に十分に固定されていることが好ましく、電子部品の表面実装時の加熱処理後においては前記ワーク保持部材から取り外し易いことが好ましい。
【0010】
しかしながら、電子部品の表面実装時の加熱処理前においては、前記ワーク保持部材に前記基板を十分に固定しておき、電子部品の表面実装時の加熱処理後においては、前記ワーク保持部材から前記基板を取り外し易くすることについて、未だ十分な検討がなされているとは言い難い。
【0011】
そこで、本発明は、電子部品の表面実装時の加熱処理によりワークに反りが生じることを抑制できることに加えて、電子部品の表面実装時の加熱処理前においてはワークを十分に固定でき、かつ、電子部品の表面実装時の加熱処理後においてはワークを取り外し易いワーク保持部材を提供することを課題とする。
また、本発明は、前記ワーク保持部材にワークが保持された積層体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者が鋭意検討したところ、支持体と、該支持体に積層されてワークを保持するワーク保持層と、を備えるワーク保持部材において、前記支持体を、線膨張係数の値に対する3点曲げ応力の比を0.3以上とし、前記ワーク保持層を、樹脂組成物で構成されたものとし、150℃以上の温度で加熱する前においてポリイミドフィルムに対するせん断粘着力の値Sを1N/100mm2以上とし、かつ、150℃以上の温度で5分間加熱した後においてポリイミドフィルムに対する90°剥離力の値Pを7N/20mm以下とすることにより、電子部品の表面実装時の加熱処理によりワークに反りが生じることを抑制できることを見出した。
また、支持体及びワーク保持層を上記のものとすることにより、電子部品の表面実装時の加熱処理前においてはワークを十分に固定でき、かつ、電子部品の表面実装時の加熱処理後においてはワークを取り外し易くなることも見出した。
そして、本発明を想到するに至った。
【0013】
すなわち、本発明に係るワーク保持部材は、
支持体と、該支持体上に積層されてワークを保持するワーク保持層と、を備え、
前記支持体は、線膨張係数の値に対する3点曲げ応力の値の比が0.3以上であり、
前記ワーク保持層は、樹脂組成物で構成されており、150℃以上の温度で加熱する前においてポリイミドフィルムに対するせん断粘着力の値Sが1N/100mm2以上であり、かつ、150℃以上の温度で5分間加熱した後においてポリイミドフィルムに対する90°剥離力の値Pが7N/20mm以下である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、電子部品の表面実装時にワークに反りが生じることを抑制できることに加えて、電子部品の表面実装時の加熱処理前においてはワークをより一層十分に固定でき、かつ、電子部品の表面実装時の加熱処理後においてはワークをより一層取り外し易いワーク保持部材を提供することができる。
また、前記ワーク保持部材にワークが保持された積層体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態に係るワーク保持部材の構成を示す断面図。
【
図2】本発明の一実施形態に係る積層体の構成を示す断面図。
【
図3A】ワーク保持部材のワーク保持層上にワークを保持する様子を示す断面図。
【
図3B】ワーク保持部材のワーク保持層上にワークを保持した状態を示す断面図。
【
図3C】ワーク上に半導体チップを取り付ける様子を示す断面図。
【
図3D】ワーク上に取り付けられた半導体チップを樹脂封止する様子を示す断面図。
【
図3E】樹脂封止された半導体チップが取り付けられたワークをワーク保持部材から取り外す様子を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[ワーク保持部材]
以下、
図1を参照しながら、本発明の一実施形態に係るワーク保持部材について説明する。
なお、以下では、本発明の一実施形態に係るワーク保持部材を、単に、本実施形態に係るワーク保持部材と称することがある。
【0017】
本実施形態に係るワーク保持部材10は、支持体1と、支持体1に積層されてワークを保持するワーク保持層2と、を備える。
本実施形態に係るワーク保持部材10においては、支持体1は、線膨張係数の値に対する3点曲げ応力の値の比が0.3以上である。
ここで、3点曲げ応力の値が低くなるほど、支持体1は曲がり易くなるので、ワーク保持層2に保持されたワークに反りが生じ易くなる。
また、線膨張係数の値が高くなるほど、支持体1は膨張し易くなるので、ワーク保持層2に保持されたワークは、支持体1の膨張に伴って反り易くなる。
そのため、ワーク保持部材10において、ワーク保持部材10のワーク保持層2に保持されたワークに生じる反りを抑制するためには、支持体1において、線膨張係数の値は低いほど好ましく、3点曲げ応力の値は高いほど好ましい。
本実施形態に係るワーク保持部材10では、上記したように、支持体1について、線膨張係数の値に対する3点曲げ応力の値の比が0.3以上となっている、すなわち、線膨張係数の値が低くなり、かつ、3点曲げ応力の値が高くなるような比となっているので、支持体1には反りが生じ難くなっている。
そのため、電子部品の表面実装時の加熱処理においても、ワーク保持層2に保持されたワークに反りが生じることを抑制できる。
【0018】
本実施形態に係るワーク保持部材10においては、ワーク保持層2は樹脂組成物によって構成されており、150℃以上の温度で加熱する前においてポリイミドフィルムに対するせん断粘着力の値Sが1N/100mm2以上であり、かつ、150℃以上の温度で5分間加熱した後においてポリイミドフィルムに対する90°剥離力の値Pが7N/20mm以下である。
ここで、電子部品の表面実装時の加熱としては、リフロー処理時の加熱及びアニール処理時の加熱などが挙げられるが、これらの処理時の加熱温度は、通常、150℃以上とされる。
上記のような加熱処理温度を考慮すると、150℃未満の温度では、ワークはワーク保持層2に十分に固定されていることが好ましく、150℃以上の温度に加熱された後の状態では、ワークは、ワーク保持層2から取り外し易いことが好ましい。
本実施形態に係るワーク保持部材10では、150℃以上の温度で加熱する前においてポリイミドフィルムに対するせん断粘着力の値Sが1N/100mm2以上であるので、電子部品の表面実装時の加熱処理前においては、ワーク保持層2はワークを十分に保持することができる。
また、本実施形態に係るワーク保持部材10では、150℃以上の温度で5分間加熱した後においてポリイミドフィルムに対する90°剥離力の値Pが7N/20mm以下となっているので、電子部品の表面実装時の加熱処理後においては、ワーク保持層2からワークを取り外し易くなる。
さらに、このような物性を備えることにより、本実施形態に係るワーク保持部材10のワーク保持層2は、繰り返し使用可能となる。
【0019】
150℃以上の温度で加熱する前においてポリイミドフィルムに対するせん断接着力の値S、及び、150℃以上の温度で5分間加熱した後においてポリイミドフィルムに対する90°剥離力の値Pは、ポリイミドフィルムに当接されるワーク保持層2の面(以下、ワーク保持層2の当接面という)の算術平均粗さRaにより調整できる。
具体的には、ワーク保持層2の当接面の算術平均粗さRaを大きくすることにより、せん断接着力の値S及び90°剥離力の値Pを小さくすることができ、ワーク保持層2の当接面の算術平均粗さRaを小さくすることにより、せん断接着力の値S及び90°剥離力の値Pを大きくすることができる。
なお、ワーク保持層2の当接面の算術平均粗さRaは、各種公知の方法で調整することができる。
例えば、ワーク保持層2が、一の樹脂フィルムに樹脂組成物を塗布して樹脂層を形成した後、該樹脂層の露出面に他の樹脂フィルムを被せるようにして作製されるものである場合には、前記他の樹脂フィルムとしてマット処理が施されたものを用いることにより、前記算術平均粗さRaを調整することができる。
【0020】
本実施形態に係るワーク保持部材10は、例えば、ワークの表面に電子部品を実装するために用いられる。
より具体的には、本実施形態に係るワーク保持部材10は、半導体装置の製造において、回路基板の表面に半導体チップを実装するために用いられ、また、有機EL装置の製造において、透明基板上にIZO膜やITO膜などの透明電極膜を実装するために用いられる。
【0021】
支持体1は、該支持体1上に積層されるワーク保持層2を支持する。
支持体1としては、例えば、金属板やガラス板などが挙げられる。
金属板としては、ステンレス板やアルミニウム板などが挙げられ、ガラス板としては、板ガラスやスライドガラスなどが挙げられる。
【0022】
支持体1の厚さは、0.3mm以上であることが好ましく、0.5mm以上であることがより好ましく、1.0mm以上であることがより好ましい。
また、支持体1の厚さは、5.0mm以下であることが好ましく、4.0mm以下であることがより好ましく、3.0mm以下であることがより好ましく、2.0mm以下であることがより好ましく、1.5mm以下であることがより好ましい。
支持体1の厚さは、シックネスゲージを用いて測定することができる。
シックネスゲージとしては、例えば、尾崎製作所社製のシックネスゲージJA-257(端子サイズ:上下φ20mm)が挙げられる。
【0023】
支持体1の3点曲げ応力は、5N/10mm以上であることが好ましく、6N/10mm以上であることがより好ましく、7N/10mm以上であることがさらに好ましく、8N/10mm以上であることが特に好ましい。
支持体1の3点曲げ応力の上限値は、通常、200N/10mmである。
支持体1の3点曲げ応力は、引張圧縮試験機(型式「TG-5KN」、ミネビア社製)を用いて、以下の手順にしたがって測定することができる。
(1)幅10mm×長さ100mmの支持体を試験体として準備する。
(2)前記試験体について、中心から長さ方向の一端側に向かって35mm離れた箇所、及び、中心から長さ方向の他端側に向かって35mm離れた箇所を、前記引張圧縮試験機の把持部材でそれぞれ把持する。
(3)前記引張圧縮試験機の押込み部材で、前記試験体の中心を押込み速度5mm/minで上方から下方に向けて押込み、押し込んだ際の最大荷重を3点曲げ応力とする。
【0024】
支持体1の線膨張係数は、30×10-6/℃以下であることが好ましく、25×10-6/℃以下であることがより好ましく、10×10-6/℃以下であることがさらに好ましく、8×10-6/℃以下であることが特に好ましい。
支持体1の線膨張係数の下限値は、通常、5×10-6/℃である。
支持体1の線膨張係数は、熱機械分析(TMA法)にて測定することができる。
熱機械分析(TMA法)は、以下の条件にて実施することができる。
・装置名:熱機械分析装置(商品名「TMA/SS7100、エスアイアイ・ナノテクノロジー社製」
・測定モード:引っ張り法
・温度範囲:-50℃~300℃
・昇温速度:10℃/min
・サンプル形状:5mm角、高さ10mmの角柱状
・標準試料:アルミナ
なお、支持体1について、線膨張係数の値に対する3点曲げ応力の値の比は、上のようにして求めた、3点曲げ応力の値を線膨張係数の値で除することにより求めることができる。
【0025】
支持体1は、ワーク保持層2が保持される面の算術平均粗さRaが2μm以下であることが好ましく、1μm以下であることがより好ましく、0.4μm以下であることがさらに好ましい。
また、支持体1は、ワーク保持層2が保持される面の算術平均粗さRaが0.01μm以上であることが好ましく、0.015μm以上であることがさらに好ましい。
支持体1において、ワーク保持層2が保持される面の算術平均粗さRaが上記の数値範囲であることにより、支持体1にワーク保持層2をより十分に固定することができる。
支持体1における、ワーク保持層2が保持される面の算術平均粗さRaは、JIS B 0601(1994)に準拠して測定することができる。
測定条件としては、以下のものを採用することができる。
・測定装置:共焦点レーザ顕微鏡(型式:LEXT OLS5000、オリンパス社製)
・設定:高精度設定
・対物レンズ:10倍
・評価長さ:1279μm
・フィルタ:ガウシアンフィルタ
・カットオフ:λc=80.000μm、λs=なし、λf=なし
【0026】
ワーク保持層2は、支持体1に支持されている面と反対面側にワークを保持する。
ワーク保持層2は、接着性を有する。
ワーク保持層2では、樹脂組成物に含まれる樹脂によって接着性が発現される。
これにより、ワーク保持層2は、接着力によってワークを保持することができる。
また、ワーク保持層2は、接着力によって支持体1に保持させた状態で該支持体1に支持させることができる。
前記ワークは、セラミック基板、シリコン基板、ガラス基板、及び、樹脂フィルム基板からなる群から選択される1種であることが好ましい。
前記樹脂フィルム基板としては、ポリイミドフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルムなどが挙げられる。
前記ワークが、半導体装置の製造に用いられる基板である場合には、該基板は、少なくとも一方面に回路が形成された回路基板であってもよい。
また、前記回路には、センサ素子が含まれていてもよい。
【0027】
ワーク保持層2の厚さは、10μm以上3500μm以下であることが好ましい。
ワーク保持層2の厚さは、20μm以上であることがより好ましく、30μm以上であることがさらに好ましく、40μm以上であることがよりさらに好ましく、50μm以上であることが特に好ましい。
また、ワーク保持層2の厚さは、750μm以下であることがより好ましく、700μm以下であることがさらに好ましく、650μm以下であることがよりさらに好ましく、600μm以下であることが特に好ましい。
ワーク保持層2の厚さは、測定単位の直径(φ)が20mmである1/100ダイヤルゲージを用いて測定することができる。
【0028】
ワーク保持層2の厚さH1に対する支持体1の厚さH2の比(H2/H1)は、0.1以上であることが好ましく、0.5以上であることがより好ましく、1.0以上であることがより好ましい。
また、H2/H1は、100以下であることが好ましく、70以下であることがより好ましく、50以下であることがより好ましい。
【0029】
上記したように、ワーク保持層2は、樹脂組成物によって構成されている。
前記樹脂組成物は、シリコーン樹脂またはフッ素樹脂を含んでいることが好ましい。
ワーク保持層2は、ゴム層または発泡体層として構成されていることが好ましい。
ワーク保持層2がゴム層または発泡体層として構成されていることにより、ワーク保持層2はクッション性に優れるものとなる。
また、ワーク保持層2が発泡体層として構成されている場合には、該ワーク保持層2はより一層クッション性に優れるものとなる。
ワーク保持層2が発泡体層として構成される場合、前記発泡体層は気泡を有する。
該気泡は種々の形状を有していてもよい。前記気泡の形状は、真球状であってもよいし、部分的にひずみのある略球状であってもよい。
また、前記気泡は、大きくひずんで不定形状となっていてもよい。
要すれば、前記気泡は、内部に空気などの気体を含んでいればどのような形状であってもよい。
【0030】
前記樹脂組成物として、シリコーンゴムを含む樹脂組成物(以下、シリコーンゴム含有組成物ともいう)またはフッ素ゴムを含む樹脂組成物(以下、フッ素ゴム含有組成物ともいう)を用いることにより、ワーク保持層2をゴム層として構成することができる。
シリコーンゴム含有組成物としては、付加(ヒドロシリル化)反応型のシリコーンゴム組成物や有機過酸化物硬化型のシリコーンゴム組成物などが挙げられる。
前記付加(ヒドロシリル化)反応型のシリコーンゴム組成物としては、ビニル基に代表されるアルケニル基を1分子中に2個以上有するアルケニル基含有オルガノポリシロキサンと、SiH基を2個以上、好ましくは3個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン(通常、アルケニル基に対するSiH基のモル比が0.5~4となる量)と、白金又は白金化合物に代表される白金族金属系付加反応触媒(通常、アルケニル基含有オルガノポリシロキサンに対し1~1,000ppm)と、を含有するものが挙げられる。
前記有機過酸化物硬化型のシリコーンゴム組成物としては、アルケニル基を1分子中に2個以上有するオルガノポリシロキサンに硬化剤として有機過酸化物を硬化有効量(通常、上記オルガノポリシロキサン100質量部に対して1~10質量部)配合したものが挙げられる。
また、フッ素ゴム含有組成物には、フッ素ゴムとして、通常、主鎖を構成する炭素原子に結合しているフッ素原子を有し、かつ、ゴム弾性を有する共重合体が含まれている。
このようなフッ素ゴムとしては、例えば、ビニリデンフルオライド(VdF)/ヘキサフルオロプロピレン(HFP)共重合体、VdF/HFP/テトラフルオロエチレン(TFE)共重合体、TFE/プロピレン共重合体、TFE/プロピレン/VdF共重合体、エチレン/HFP共重合体、エチレン/HFP/VdF共重合体、エチレン/HFP/TFE共重合体などが挙げられる。
【0031】
また、前記樹脂組成物を発泡させた状態でワーク保持層2を構成することにより、ワーク保持層2を発泡層とすることができる。
前記樹脂組成物がフッ素樹脂を含む樹脂組成物(以下、フッ素樹脂含有組成物ともいう)である場合には、フッ素樹脂含有組成物に、フッ素樹脂に加えて、各種発泡剤を加えることにより、前記樹脂組成物を発泡させた状態とすることができる。
前記フッ素樹脂含有組成物に含まれるフッ素樹脂としては、例えば、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン-エチレン共重合体(ETFE)などが挙げられる。
各種発泡剤としては、フロンガス、不活性ガス(アルゴンなど)、二酸化炭素、窒素、炭化水素(プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサンなど)が挙げられる。
また、前記フッ素樹脂含有組成物は、前記フッ素樹脂及び各種発泡剤に加えて、成核剤を含んでいてもよい。
前記成核剤としては、窒化ホウ素(BN)、二酸化ケイ素、二酸化チタン、アルミナ、マグネシアなどが挙げられる。
【0032】
前記樹脂組成物がシリコーン樹脂を含む樹脂組成物(以下、シリコーン樹脂含有組成物ともいう)である場合には、シリコーン樹脂含有組成物を熱硬化することにより発泡させて、ワーク保持層2を発泡層として構成してもよい。
すなわち、ワーク保持層2を発泡として構成するに際しては、シリコーン樹脂含有組成物として熱硬化により発泡するものを用いてもよい。
このようなシリコーン樹脂含有組成物としては、少なくとも、以下のような(A)成分~(F)成分を以下の質量比率で含有するものが挙げられる。
(A)一分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサン100質量部、
(B)一分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合水素原子を有するオルガノポリシロキサン((A)成分中のアルケニル基1モルに対して(B)成分中のケイ素原子結合水素原子が0.4モル以上20モル以下となる量)、
(C)水と無機系増粘剤からなる混合物100質量部以上1000質量部以下
(D)(D-1)HLBの値が3以上であるノニオン系界面活性剤、及び、(D-2)HLBの値が3未満であるノニオン系界面活性剤0.1質量部以上15質量部以下(ただし、(D-2)成分に対する(D-1)成分の質量比が少なくとも1)
(E)ヒドロキシシリル化反応触媒、及び、
(F)硬化遅延剤0.001質量部以上5質量部以下。
【0033】
(A)成分は、本シリコーン樹脂含有組成物の主剤である。
(A)成分中のアルケニル基としては、ビニル基、アリル基、ヘキセニル基が挙げられ、好ましくは、ビニル基である。
また、(A)成分中のアルケニル基以外のケイ素原子結合有機基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基などのアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基などのアリール基;ベンジル基、フェネチル基などのアラルキル基;3,3,3-トリフルオロプロピル基などのハロゲン置換アルキル基などが挙げられ、好ましくは、メチル基である。
【0034】
(A)成分は、具体的には、ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、トリメチルシロキシ基封鎖メチルビニルポリシロキサン、トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体が例示され、好ましくは、主鎖が実質的に直鎖状であるジオルガノポリシロキサンである。
【0035】
(B)成分は、本シリコーン樹脂含有組成物の架橋剤である。
(B)成分中のケイ素原子結合水素原子の結合位置は限定されず、分子鎖末端および/ または分子鎖側鎖が例示される。(B)成分中の水素原子以外のケイ素原子結合有機基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;3,3,3-トリフロロプロピル基等のハロゲン置換アルキル基等が例示され、好ましくは、メチル基である。
【0036】
このような(B)成分としては、ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、(CH3)3SiO1/2で示されるシロキサン単位とH(CH3)2SiO1/2で示されるシロキサン単位とSiO4/2で示されるシロキサン単位からなるオルガノポリシロキサンが例示され、好ましくは、直鎖状のオルガノポリシロキサンである。
【0037】
(B)成分の含有量は、(A)成分中のアルケニル基1モルに対して、(B)成分中のケイ素原子結合水素原子が0.4モル以上20モル以下の範囲内となる量であり、1.5モル以上20モル以下の範囲内となる量であることが好ましく、1.5モル以上10モル以下の範囲内となる量であることがより好ましい。
これは、(B)成分中のケイ素原子結合水素のモル数が上記範囲内であると、本シリコーン樹脂含有組成物で構成されたワーク保持層2の圧縮永久歪が改善されるからである。
【0038】
(C)成分は、本シリコーン樹脂含有組成物を架橋して得られるシリコーン架橋体から(C)成分中の水を除去することにより、得られるワーク保持層2をシリコーンスポンジとするための成分である。(A)成分中に(C)成分が安定して分散することから、(C)成分中の水はイオン交換水であることが好ましい。
本シリコーン樹脂含有組成物では、(C)成分中の水が除去されることにより架橋されて硬化された後において発泡体が形成される。
そのため、前記発泡体においては、水が除去されるときの経路が連通された構造となっている。
すなわち、本シリコーン樹脂含有組成物によって形成される前記発泡体は、連通気泡構造を有するものとなる。
【0039】
(C)成分中の無機系増粘剤は、水の粘度を高め、(A)成分中に(C)成分が容易に分散し、(C)成分の分散状態を安定させるために配合される。
この無機増粘剤としては、天然または合成のものがあり、ベントナイト、モンモリロナイト、ヘクトライト、サポナイト、ソーコナイト、バイデライトおよびノントロナイト等の天然または合成のスメクタイトクレー;ケイ酸アルミニウムマグネシウム;および、これらとカルボキシビニルポリマーなどの水溶性有機ポリマーとの複合品が例示され、好ましくは、ベントナイトやモンモリロナイトなどのスメクタイトクレーである。
このような、スメクタイトクレーとしては、例えば、水熱合成品であるスメクトンSA(クニミネ工業社製)天然精製品であるベンゲル(ホージュン社製)が入手可能である。これらのスメクタイトクレーのpHは前記シリコーンスポンジの耐熱性を維持する点から5.0以上9.0以下の範囲内であることが好ましい。また、(C)成分中の無機系増粘剤の含有量は、水100質量部に対して、0.1質量部以上10質量部以下の範囲内であることが好ましく、0.5質量部以上5質量部以下の範囲内であることがより好ましい。
【0040】
(C)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して100質量部以上1000質量部以下の範囲内であり、100質量部以上800質量部以下の範囲内であることが好ましく、100質量部以上500質量部以下の範囲であることがより好ましく、200質量部以上500質量部以下の範囲内であることがさらに好ましく、200質量部以上350質量部以下の範囲内であることが特に好ましい。これは、(C)成分の含有量が上記範囲の下限以上であると、得られるワーク保持層2を低密度とすることができるからであり、上記範囲の上限以下であると、得られるワーク保持層2を均一で微細な連続気泡構造を有するものとすることができるからである。
【0041】
(D)成分の界面活性剤は、(D-1)HLBの値が3以上であるノニオン系界面活性剤および(D-2)HLBの値が3未満であるノニオン系界面活性剤からなる。
(D)成分の界面活性剤としては、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、スクロース脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリプロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロック共重合体、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸アミドが例示される。
【0042】
(D)成分は、(D-1)成分と(D-2)成分からなり、(D-2)成分に対する(D-1)成分の質量比が1以上であり、5以上であることが好ましく、8以上であることがより好ましく、10以上であることがさらに好ましく、15以上であることが特に好ましい。
また、(D-2)成分に対する(D-1)成分の質量比は、100以下であることが好ましく、80以下であることがより好ましく、70以下であることがさらに好ましく、60以下であることが特に好ましく、50以下であることがより特に好ましい。
これは、この質量比が上記下限より大きくなれば、ワーク保持層2を均一で微細な連続気泡構造を有する低密度のものとすることができ、上記上限より小さくなれば、(A)成分と(B)成分中に(C)成分を安定性良く分散することができ、結果として、ワーク保持層2を均一で微細な連続気泡構造を有するものとすることができるからである。
【0043】
(D)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対し、0.1質量部以上15質量部以下の範囲内であり、0.2質量部以上3質量部以下の範囲内であることが好ましい。
これは、(D)成分の含有量が上記範囲の下限以上であると、ワーク保持層2を均一で微細な連続気泡構造を有するものとすることができ、上記範囲の上限以下であると、ワーク保持層2を耐熱性に優れるものとすることができるからである。
【0044】
(E)成分は、本シリコーン樹脂含有組成物においてヒドロシリル化反応を促進するためのヒドロシリル化反応触媒であり、例えば、白金系触媒、パラジウム系触媒、ロジウム系触媒が挙げられる。
これらの各種触媒の中でも、白金系触媒を用いることが好ましい。
このような(E)成分としては、塩化白金酸、アルコール変性塩化白金酸、塩化白金酸とオレフィン類、ビニルシロキサン又はアセチレン化合物との配位化合物、白金のオレフィン類、ビニルシロキサン又はアセチレン化合物との配位化合物、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウムが挙げられる。
【0045】
(E)成分の含有量は、本シリコーン樹脂含有樹成物を架橋させるに十分な量である。
具体的には、(A)成分および(B)成分の合計量に対して、(E)成分中の触媒金属が質量換算で、0.01ppm以上500ppm以下の範囲内となる量であることが好ましく、0.1ppm以上100ppm以下の範囲内となる量であることがより好ましい。
【0046】
硬化速度や作業可使時間を調整するため、本シリコーン樹脂含有樹組成物は、(F)硬化遅延剤を含有してもいてもよい。
このような(F)成分としては、3-メチル-1-ブチン-3-オール、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール、3-フェニル-1-ブチン-3-オール、1-エチニル-1-シクロヘキサノール等のアルキンアルコールが例示される。(F)成分の含有量は、本シリコーン樹脂含有組成物の使用方法や成形方法に応じて適宜選択されるが、一般的には、(A)成分100質量部に対して0.001質量部以上5質量部以下の範囲内である。
【0047】
得られるワーク保持層2の強度を向上させる観点から、本シリコーン樹脂含有組成物は、さらに(G)補強性シリカ微粉末を含有していてもよい。
このような(G)成分としては、BET比表面積が、50m2/g以上350m2/g以下であるシリカ微粉末が好ましく、80m2/g以上250m2/g以下であるシリカ微粉末がより好ましい。
このようなシリカ微粉末としては、ヒュームドシリカ、沈降シリカが挙げられる。
また、これらのシリカ微粉末は、オルガノシラン等で表面処理されていてもよい。
【0048】
(G)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して、20質量部以下であり、15質量部以下であることが好ましく、10質量部以下であることがより好ましい。
また、(G)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して、0.1質量部以上であることが好ましい。
【0049】
本シリコーン樹脂含有組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、カーボンブラックやベンガラ等の顔料を含有していてもよい。
【0050】
本シリコーン樹脂含有組成物は、上記各成分あるいはこれらに必要に応じて各種添加剤を配合した組成物を公知の混練手段により均一に混合することにより容易に製造することができる。
ここで使用するミキサーとしてはホモミキサー、パドルミキサー、ホモディスパー、コロイドミル、真空混合攪拌ミキサー、自転公転ミキサー等が例示されるが、(C)成分及び(D)成分を(A)成分に十分に分散させることができるものであれば特に限定されるものではない。
【0051】
なお、上で説明したフッ素樹脂含有組成物の例と同様にして、シリコーン樹脂含有組成物を用いてワーク保持層2を発泡体層として構成してもよい。
すなわち、シリコーン樹脂含有組成物として、シリコーン樹脂に加えて、各種発泡剤を含むものを用いて、ワーク保持層2を発泡体層として構成してもよい。
【0052】
ワーク保持層2を発泡体層として構成する場合、該発泡体層の見掛け密度は、0.05g/cm3以上0.90g/cm3以下であることが好ましい。
前記発泡体層の見掛け密度は、0.10g/cm3以上であることがより好ましく、0.15g/cm3以上であることがさらに好ましい。
また、前記発泡体層の見掛け密度は、0.85g/cm3以下であることがより好ましく、0.80g/cm3以下であることがさらに好ましい。
【0053】
前記発泡体層の見掛け密度は、以下の手順にしたがって測定することができる。
(1)100mm×100mmの打抜き刃型にて発泡体層として構成されたワーク保持層2を平面視矩形状に打ち抜いて、試験体を得る。
(2)前記試験体の平面寸法を測定するとともに、測定端子の直径(φ)が20mmである1/100ダイヤルゲージを用いて、前記試験体の厚さを測定する。
(3)前記試験体の平面寸法と前記試験体の厚さとから、前記試験体の体積を算出する。
(4)最小目盛りが0.01g以上の上皿天秤を用いて、前記試験体の質量を測定する。
(5)前記試験体の体積と前記試験体の質量とから、前記試験体の見掛け密度を算出し、この算出値を、前記発泡体層の見掛け密度とする。
【0054】
ワーク保持層2を発泡体層として構成する場合、前記発泡体層の平均気泡径は、1μm以上100μm以下であることが好ましい。
前記発泡体層の平均気泡径は、2μm以上であることがより好ましく、3μm以上であることがより好ましい。
また、前記発泡体層の平均気泡径は、80μm以下であることがより好ましく、70μm以下であることがさらに好ましい。
【0055】
前記発泡体層の平均気泡径は、低真空走査電子顕微鏡(「S-3400N型走査電子顕微鏡」、日立ハイテクサイエンスシステムズ社製)を用いて撮像した拡大画像を画像解析ソフト(商品名「Win ROOF」、三谷商事社製)にて画像解析することにより求めることができる。
なお、取り込んだ拡大画像にて確認される気泡数は100個程度である。
また、前記発泡体の断面は、カミソリ刃を用いて、TD方向(樹脂流れ方向に直交する方向)、かつ、前記発泡体の主面に対して垂直方向(厚さ方向)に前記発泡体を切断して得られる断面である。
さらに、画像解析では、各気泡のTD方向の長さを求める。
【0056】
ワーク保持層2を発泡体層として構成する場合、前記発泡体層は、支持体1に当接される面の算術平均粗さRaが0.1μm以上50μm以下であることが好ましい。
前記発泡体層は、支持体1に当接される面の算術平均粗さRaが0.5μm以上であることがより好ましく、1.0μm以上であることがさらに好ましい。
また、前記発泡体層は、支持体1に当接される面の算術平均粗さRaが30μm以下であることがより好ましく、20μm以下であることがさらに好ましい。
前記発泡体層において、支持体1に当接される面の算術平均粗さRaが上記数値範囲であることにより、前記発泡体層を支持体1により十分に固定することができる。
前記発泡体層において、支持体1に当接される面の算術平均粗さRaは、先に説明した、「支持体1における、ワーク保持層2が保持される面の算術平均粗さRa」と同様にして測定することができる。
【0057】
ワーク保持層2を発泡体層として構成する場合、前記発泡体層は、連続気泡構造を有していることが好ましい。
連続気泡構造は、例えば、上で説明したような、シリコーン樹脂含有組成物を用いて形成することができる。
連続気泡構造とは、前記発泡体層において、隣接する気泡どうしが繋がっている構造を意味する。
前記発泡体が連続気泡構造を有していることにより、発泡体層たるワーク保持層2の一方面を第1の被着体たる支持体1に被着させたり、他方面を第2の被着体たるワーク(基板など)に被着させたりするときに、前記第1の被着体の被着面と発泡体層たるワーク保持層2の一方面との間、及び、前記第2の着体の被着面と発泡体層たるワーク保持層2の他方面との間に気泡が噛み込むことを抑制できる。
そのため、前記第1の被着体及び前記第2の被着体を、発泡体層たるワーク保持層2に好適に保持させることができる。
また、前記発泡体層が連続気泡構造を備えていることにより、電子部品装置の製造において、電子部品をワークたる基板に実装した後に、発泡体層たるワーク保持層2から、前記基板を糊残りなく剥がし易くなる。
さらに、発泡体層たるワーク保持層2が汚れたとしても、水洗いすることでワーク保持層2の保持性(吸着性)を回復させることができ、ワーク保持層2の繰り返し使用性を向上させることができる。
また、前記発泡体層が連続気泡構造を有していることにより、前記発泡体層の厚みを薄くしたとしても、上記の各効果を十分に発現させることができる。
【0058】
前記発泡体層が連続気泡構造を有する場合、連続気泡率は、90%以上であることが好ましく、90%以上100%以下であることがより好ましく、92%以上100%以下であることがさらに好ましく、95%以上100%以下であることがよりさらに好ましく、99%以上100%以下であることが特に好ましく、実質的に100%であることが最適である。
連続気泡率が、上記数値範囲内であることにより、優れた気泡抜け性を発現でき、基板や支持体などの被着体の被着面と前記発泡体層の表面との間に気泡が噛み込むことを抑制できる。
また、前記発泡体層から基板などの被着体を糊残りなく剥がし易くなる。
【0059】
前記発泡体層は、全気泡の90%以上の気泡径が80μm以下であることが好ましく、全気泡の92%以上の気泡径が80μm以下であることがより好ましく、全気泡の95%以上の気泡径が80μm以下であることがさらに好ましく、全気泡の97%以上の気泡径が80μm以下であることがよりさらに好ましく、全セルの実質的に100%の気泡径が80μm以下であることが最適である。
全気泡において気泡径80μmの気泡が上記数値範囲であることにより、前記発泡体層において、より優れた気抜け性を発現でき、基板や支持体などの被着体の被着面と前記発泡体層の表面との間に気泡が噛み込むことをより一層抑制できる。
また、前記発泡体層から基板などの被着体をより一層糊残りなく剥がし易くなる。
【0060】
ワーク保持層2は、150℃以上の温度で加熱する前においてポリイミドフィルムに対するせん断粘着力の値Sが1N/100mm2以上である。
なお、150℃は、有機EL装置の製造において、IZO膜やITO膜などの透明電極膜をスパッタリングなどで透明基板上に取り付けた後、アニール処理を行って実装するときの、前記アニール処理の温度である。
前記せん断粘着力の値Sは、2N/100mm2以上であることが好ましく、3N/100mm2以上であることがより好ましく、4N/100mm2以上であることがさらに好ましく、5N/100mm2以上であることが特に好ましい。
また、前記せん断粘着力の値Sは、10N/100mm2以下であることが好ましく、9N/100mm2以下であることがより好ましく、8N/100mm2以下であることがさらに好ましく、7N/100mm2以下であることがよりさらに好ましく、6N/100mm2以下であることが特に好ましい。
150℃以上の温度の上限値は、270℃であることが好ましい。
ここで、半導体装置の製造においては、半導体チップを配線回路基板に取り付けて半導体チップ付の配線回路基板を得た後、前記半導体チップ付の配線回路基板をリフロー炉にてリフロー処理する。
そして、前記リフロー処理は、前記半導体チップ付の配線回路基板を180℃で所定時間加熱した後、270℃で所定時間加熱するようにして実施される。
すなわち、270℃は、リフロー処理における最高到達温度である。
150℃以上の温度で加熱する前における支持体1に対するワーク保持層2のせん断粘着力の値Sは、引張試験機(型式:DT9503-1000N、タンスイ社製)を用いて、以下の手順にしたがって測定することができる。
また、ポリイミドフィルムとしては、例えば、東レ・デュポン社製の商品名「カプトン100H」を用いることができる。
(1)平面寸法が30mm×30mmのワーク保持層2の一方面に支持体1を載置して第1積層体を得た後、該第1積層体上に2kgのローラを1往復させて、支持体1にワーク保持層2を圧着させる。
なお、取り付け時には、可能な限り気泡を巻き込まないように注意する。
その後、熱風式オーブンを用いて、圧着処理後の第1積層体を温度260℃で3時間加熱処理する。
これにより、ワーク保持部材10を作製する。
(2)23℃まで降温して該温度で120分間放置した後、ワーク保持層2の露出面(支持体1が取り付けられている側の反対面)に、ポリイミドフィルムを載置して第2積層体を得た後、該第2積層体上に2kgのローラを1往復させて、ワーク保持層2にポリイミドフィルムを圧着させて、せん断粘着力評価用の試験体を得る。
(3)ワーク保持層2にポリイミドフィルムを圧着させてから30分後に、前記試験体の中心線と引張試験機のつかみの中心線とが一致するように、前記試験体を前記引張試験機にセットする。
そして、引張速度50mm/minでポリイミドフィルムをせん断方向に引っ張った際に、ポリイミドフィルムがワーク保持層2からはく離するときの荷重(すなわち、最大荷重)を測定する。
(4)5個の試験体について、(1)~(3)を実施して、各試験体について最大荷重を測定した後、これらの測定値を算術平均する。
そして、算術平均値を100mm2当たりの値に比例換算してせん断接着力を求める。
【0061】
ワーク保持層2は、150℃以上の温度で5分間加熱した後においてポリイミドフィルムに対する90°剥離力の値Pが7N/20mm以下である。
前記剥離力の値Pは、10N/20mm以下であることが好ましく、5N/20mm以下であることがより好ましく、1N/20mm以下であることがさらに好ましく、0.1N/20mm以下であることがよりさらに好ましい。
前記剥離力の値Pの下限値は、通常、0.01N/20mmである。
上記したように、150℃以上の温度の上限値は、270℃であることが好ましい。
150℃以上の温度で5分間加熱した後のポリイミドフィルムに対するワーク保持層2の90°剥離力は、引張試験機(型式:AGS-X-5000N、島津製作所社製)を用いて、以下の手順にしたがって測定することができる。
また、ポリイミドフィルムとしては、例えば、東レ・デュポン社製の商品名「カプトン100H」を用いることができる。
(1)平面寸法が30mm×30mmのワーク保持層2の一方面に支持体1を載置して第1積層体を得た後、該第1積層体上に2kgのローラを1往復させて、支持体1にワーク保持層2を圧着させる。
なお、取り付け時には、可能な限り気泡を巻き込まないように注意する。
その後、熱風式オーブンを用いて、圧着処理後の第1積層体を温度260℃で3時間加熱処理する。
これにより、ワーク保持部材10を作製する。
(2)23℃まで降温して該温度で120分間放置した後、ワーク保持層2の露出面(支持体1が取り付けられている側の反対面)に、20mm幅のポリイミドフィルムを載置して第2積層体を得た後、該第2積層体上に2kgのローラを1往復させて、ワーク保持層2にポリイミドフィルムを圧着させて、90°剥離力評価用の試験体を得る。
(3)ワーク保持層2にポリイミドフィルムを圧着させてから30分後に、90°剥離力評価用の試験体を以下の条件でリフロー処理する。
・リフロー処理条件
(a)炉内温度を50℃としたリフロー炉内に90°剥離力評価用の試験体を入れた後、温度50℃で前記90°剥離力評価用の試験体を50秒間保持する。
(b)炉内温度を50℃から180℃まで60秒で昇温した後、温度180℃で100秒間保持する。
(c)炉内温度を180℃から270℃まで60秒で昇温した後、温度270℃で100秒間保持する。
(d)炉内温度を270℃から100℃まで100秒で降温させる。
そして、炉内温度を23℃まで降温させて該温度で前記90°剥離力評価用の試験体を30分間放置した後、前記リフロー炉から前記90°剥離力評価用の試験体を取り出す。
次に、前記リフロー炉内から取り出した前記90°剥離力評価用の試験体について、前記引張試験機を用いて、剥離角度90°、引張速度300mm/分の条件にて、リフロー後を通した後の試験体についてワーク保持層2からポリイミドフィルムを引き剥がした際の剥離力(N/20mm)を測定する。
(4)5個の試験体について、(1)~(3)を実施して、各試験体について90°剥離力を測定し、これらの測定値を算術平均したものを、90°剥離力とする。
【0062】
[積層体]
本発明の一実施形態に係る積層体20は、
図2に示したように、支持体1’と支持体1’上に積層されてワークを保持するワーク保持層2’とを備えるワーク保持部材10’と、ワーク保持層2’上に保持されているワーク3と、を備える。
本実施形態に係る積層体20では、ワーク保持部材10’は、先に説明した、本実施形態に係るワーク保持部材10として構成されている。
すなわち、支持体1’及びワーク保持層2’も、先に説明した、支持体1及びワーク保持層2と同様に構成されている。
また、ワーク3は、先に説明したように、セラミック基板、シリコン基板、ガラス基板、及び、樹脂フィルム基板からなる群から選択される1種であることが好ましい。
前記樹脂フィルム基板としては、ポリイミドフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルムなどが挙げられる。
本実施形態に係る積層体20は、上記のように構成されているので、電子部品の表面実装時にワーク3に反りが生じることが抑制されることに加えて、電子部品の表面実装時の加熱処理前においてはワーク3(基板)を十分に固定でき、かつ、電子部品の表面実装時の加熱処理後においてはワーク保持層2’からワーク3(基板)を取り外し易いものとなる。
【0063】
[電子部品装置の製造方法]
本発明の一実施形態に係る電子部品の製造方法は、
支持体と該支持体上に積層されてワークを保持するワーク保持層とを備えるワーク保持部材の前記ワーク保持層上にワークを保持させるワーク保持工程S1と、
前記ワーク保持層上に保持させた前記ワークの一表面上に電子部品を実装する電子部品実装工程S2と、
前記電子部品を実装させた前記ワークを前記ワーク保持部材の前記ワーク保持層から取り外すワーク取り外し工程S3と、を有する。
また、本実施形態に係る電子部品の製造方法では、前記ワーク保持部材は、先に説明した、本実施形態に係るワーク保持部材10として構成されている。
【0064】
以下では、電子部品装置の製造方法として半導体装置の製造方法を例に挙げて、
図3A~3Eを参照しながら説明する。
なお、以下では、ワーク3上に半導体チップSCを取り付けた後、封止樹脂によって樹脂封止するまでを電子部品実装工程S2として説明する。
【0065】
(ワーク保持工程S1)
図3A及び3Bに示したように、ワーク保持工程S1では、ワーク保持部材10のワーク保持層2上にワーク3たる基板を保持させる。
すなわち、先に説明したような積層体20を形成する。
半導体装置の製造方法においては、前記基板は、少なくとも一表面に回路が形成された配線回路基板であることが好ましい。
なお、ワーク保持部材10は、ワーク保持層2上にワーク3たる基板を保持させる前に、支持体1上にワーク保持層2を積層させることにより得ることができる。
支持体1へのワーク保持層2の積層は、支持体1にフィルム状に形成されたワーク保持層2を積層させることにより実施することができる。
あるいは、支持体1にワーク保持層2の原料となる樹脂組成物を塗布して乾燥させて、支持体1上にフィルム体のワーク保持層2を形成することにより実施することができる。
なお、支持体1にワーク保持層2の原料となる樹脂組成物を塗布して乾燥させる場合においては、該樹脂組成物を支持体1に塗布する前に、支持体1にプライマー液を塗布しておいてもよい。
すなわち、支持体1にプライマー液を塗布した後、さらに前記樹脂組成物を塗布して乾燥させることにより、支持体1上にワーク保持層2を形成してもよい。
前記プライマー液としては、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂などの各種公知の樹脂を含む樹脂組成物を用いることができる。
以上のようにして、ワーク保持工程S1を実施する。
【0066】
(電子部品実装工程S2)
半導体装置の製造方法における電子部品実装工程S2では、まず、
図3Cに示したように、ワーク3たる基板上に半導体チップSCを取り付ける。
本実施形態に係る電子部品の製造方法では、半導体チップSCは、半導体チップ本体CBと、該半導体チップ本体CBの一表面に配されるバンプ電極BEとを備えている。
また、ワーク3たる基板の一表面には、接続用導体部が形成されている(図示せず)。
そのため、ワーク3たる基板上への半導体チップSCの取り付けは、ワーク3たる基板の接続用導体部に半導体チップSCのバンプ電極BEを接続することにより実施される。
ワーク3たる基板の接続用導体部への半導体チップSCのバンプ電極BEの接続は、前記接続用導体部にバンプ電極BEを当接させた状態で半導体チップSCをワーク3たる基板上に配した集合体を得た後、リフロー炉内で該集合体を加熱する(リフロー処理する)ことにより実施することができる。
前記リフロー処理では、前記半導体チップ積層体を取り付けた支持基板は、通常、180℃以上もの高温で所定時間処理される。
そして、前記リフロー処理での最高到達温度は、通常、270℃である。
ここで、半導体装置の製造方法に用いられるワーク保持部材は、本実施形態に係るワーク保持部材10であるので、リフロー処理後においても、ワーク3たる基板が反ることを抑制できる。
また、リフロー処理前においては、ワーク保持部材のワーク保持層上にワーク3たる基板を十分に固定することができる。
【0067】
半導体装置の製造方法における電子部品実装工程S2では、次に、
図3Dに示したように、バンプ電極BEを前記接続用導体部に接続することによって、ワーク3たる基板上に取り付けられた半導体チップSCを封止樹脂ERで樹脂封止する。
封止樹脂ERとしては、通常、エポキシ樹脂やフェノール樹脂などの熱硬化性樹脂が用いられる。
そのため、ワーク3たる基板上に取り付けられた半導体チップSCを樹脂封止するに際しては、半導体チップSCを封止樹脂ERで覆った後、該封止樹脂ERを熱硬化させる温度(例えば、150℃)で加熱する。
以上のようにして、半導体装置の製造方法における電子部品実装工程S2を実施する。
これにより、ワーク3たる基板上に半導体パッケージPが形成される。
【0068】
(ワーク取り外し工程S3)
半導体装置の製造方法におけるワーク取り外し工程S3では、半導体パッケージPが配されたワーク3たる基板をワーク保持部材のワーク保持層2から取り外す。
ワーク保持層2からのワーク3たる基板の取り外しは、例えば、吸引装置を用いて、ワーク保持層2がワーク3たる基板を保持する力よりも大きな吸引力で、ワーク3たる基板が配されていない側の半導体パッケージPの面を吸引することにより実施することができる。
なお、半導体装置の製造方法に用いられるワーク保持部材は、本実施形態に係るワーク保持部材10であるので、リフロー処理後においては、ワーク3たる基板に対するワーク保持層2の保持力(接着力)は小さくなっている。
すなわち、ワーク保持層2からワーク3たる基板は取り外し易くなっている。
そのため、比較的小さな吸引力でも、ワーク保持層2からワーク3たる基板を効率良く取り外すことができる。
上記のように、ワーク3たる基板をワーク保持層2から取り外されたワーク3付の半導体パッケージPは、そのままの状態で半導体装置とされてもよい。
あるいは、ワーク3付の半導体パッケージPは、ダイシングブレードなどで所定数の半導体チップSCを含むような形で分割されて、複数の半導体装置とされてもよい。
【0069】
なお、ワーク保持工程S1と電子部品実装工程S2との間に、プラズマ放電でワーク3たる基板を処理するプラズマ処理工程S1’を実施してもよい。
プラズマ処理工程S1’は、各種公知のプラズマ洗浄装置を用いて実施することができる。
電子部品実装工程S2の前にプラズマ処理工程S1’を実施することにより、ワーク3たる基板の表面に露出している基板パッド金属表面などを洗浄して有機系汚染物を除去することができる。
【0070】
また、電子部品実装工程S2において、封止樹脂ERで樹脂封止を実施する前に、半導体チップSCにプラズマ処理を実施してもよい。
半導体チップSCのプラズマ処理は、先に説明したプラズマ処理工程S1’と同様にして実施することができる。
さらに、半導体チップSCにプラズマ処理を実施した後であって、封止樹脂ERで樹脂封止を実施する前に、バンプ電極BEの周辺をエポキシ樹脂などのアンダーフィル材によって封止させるアンダーフィル処理を実施してもよい。
アンダーフィル処理を実施すれば、封止樹脂ERが行き渡り難いバンプ電極BEの周辺に前記アンダーフィル材を配することができるので、封止樹脂ERでの樹脂封止を精度よく実施することができる。
【0071】
上では、半導体装置の製造方法を例に挙げて電子部品装置の製造方法について説明したが、該電子部品装置の製造方法は半導体装置の製造方法以外にも適用することができる。
例えば、前記電子部品装置の製造方法は、有機EL装置の製造方法にも適用することができる。
なお、有機EL装置の製造方法においては、ワークとして透明基板を用い、電子部品実装工程S2において、主として、ワークたる透明基板上に電子部品たるIZOやITOなどの透明電極膜をスパッタリングなどにより取り付ける。
そして、電子部品実装工程S2においては、前記透明基板上に前記透明電極膜を取り付けた後、該透明電極膜を150℃程度の温度でアニール処理する。
電子部品実装工程S2においてアニール処理を伴う、上記のような電子部品の製造方法においても、アニール処理後にワークたる透明基板が反ることを抑制できる。
また、アニール処理前においては、ワーク保持部材のワーク保持層上にワークたる透明基板を十分に固定することができる。
さらに、ワーク取り外し工程S3において、ワーク保持層からワークたる透明基板を比較的容易に取り外すことができる。
【0072】
本明細書によって開示される事項は、以下のものを含む。
【0073】
(1)
支持体と、該支持体上に積層されてワークを保持するワーク保持層と、を備え、
前記支持体は、線膨張係数の値に対する3点曲げ応力の値の比が0.3以上であり、
前記ワーク保持層は、樹脂組成物で構成されており、150℃以上の温度で加熱する前においてポリイミドフィルムに対するせん断粘着力の値Sが1N/100mm2以上であり、かつ、150℃以上の温度で5分間加熱した後においてポリイミドフィルムに対する90°剥離力の値Pが7N/20mm以下である
ワーク保持部材。
【0074】
斯かる構成によれば、前記ワーク保持部材は、電子部品の表面実装時の加熱処理によりワークに反りが生じることを抑制できるものとなることに加え、電子部品の表面実装時の加熱処理前においてはワークを十分に固定でき、かつ、電子部品の表面実装時の加熱処理後においては基板を取り外し易いものとなる。
【0075】
(2)
前記支持体の3点曲げ応力が5N/10mm以上である
上記(1)に記載のワーク保持部材。
【0076】
斯かる構成によれば、前記ワーク保持部材は、電子部品の表面実装時の加熱処理によりワークに反りが生じることをより一層抑制できるものとなることに加え、電子部品の表面実装時の加熱処理前においてはワークをより一層十分に固定でき、かつ、電子部品の表面実装時の加熱処理後においてはワークをより一層取り外し易いものとなる。
【0077】
(3)
前記支持体の線膨張係数が30×10-6/℃以下である
上記(1)または(2)に記載のワーク保持部材。
【0078】
斯かる構成によれば、前記ワーク保持部材は、電子部品の表面実装時の加熱処理によりワークに反りが生じることをより一層抑制できるものとなることに加え、電子部品の表面実装時の加熱処理前においてはワークをより一層十分に固定でき、かつ、電子部品の表面実装時の加熱処理後においてはワークをより一層取り外し易いものとなる。
【0079】
(4)
前記90°剥離力の値Pに対する前記せん断粘着力の値Sの比(S/P)が5以上である
上記(1)乃至(3)のいずれかに記載のワーク保持部材。
【0080】
斯かる構成によれば、前記ワーク保持部材は、電子部品の表面実装時の加熱処理によりワークに反りが生じることをより一層抑制できるものとなることに加え、電子部品の表面実装時の加熱処理前においてはワークをより一層十分に固定でき、かつ、電子部品の表面実装時の加熱処理後においてはワークをより一層取り外し易いものとなる。
【0081】
(5)
前記支持体は、前記ワーク保持層が積層される面の算術平均粗さRaが2μm以下である
上記(1)乃至(4)のいずれかに記載のワーク保持部材。
【0082】
斯かる構成によれば、前記支持体に前記ワーク保持層をより十分に固定することができる。
【0083】
(6)
前記樹脂組成物は、シリコーン樹脂またはフッ素樹脂を含む
上記(1)乃至(5)のいずれかに記載のワーク保持部材。
【0084】
斯かる構成によれば、前記ワーク保持部材は、電子部品の表面実装時にワークに反りが生じることをより一層抑制できるものとなることに加え、電子部品の表面実装時の加熱処理前においてはワークをより一層十分に固定でき、かつ、電子部品の表面実装時の加熱処理後においてはワークをより一層取り外し易いものとなる。
【0085】
(7)
前記ワーク保持層は、ゴム層または発泡体層として構成されている
上記(6)に記載のワーク保持部材。
【0086】
斯かる構成によれば、前記ワーク保持部材は、電子部品の表面実装時にワークに反りが生じることをより一層抑制できるものとなることに加え、電子部品の表面実装時の加熱処理前においてはワークをより一層十分に固定でき、かつ、電子部品の表面実装時の加熱処理後においてはワークをより一層取り外し易いものとなる。
【0087】
(8)
前記発泡体層の見掛け密度は、0.05g/cm3以上0.90g/cm3以下である
上記(7)に記載のワーク保持部材。
【0088】
斯かる構成によれば、前記ワーク保持部材は、電子部品の表面実装時にワークに反りが生じることをより一層抑制できるものとなることに加え、電子部品の表面実装時の加熱処理前においてはワークをより一層十分に固定でき、かつ、電子部品の表面実装時の加熱処理後においてはワークをより一層取り外し易いものとなる。
【0089】
(9)
前記発泡体層の平均気泡径は、1μm以上100μm以下である
上記(7)または(8)に記載のワーク保持部材。
【0090】
斯かる構成によれば、前記ワーク保持部材は、電子部品の表面実装時にワークに反りが生じることをより一層抑制できるものとなることに加え、電子部品の表面実装時の加熱処理前においてはワークをより一層十分に固定でき、かつ、電子部品の表面実装時の加熱処理後においてはワークをより一層取り外し易いものとなる。
【0091】
(10)
前記ワーク保持部材においては、
前記発泡体層は、前記支持体に当接される面の算術平均粗さRaが0.1μm以上50μm以下である
上記(7)乃至(9)のいずれかに記載のワーク保持部材。
【0092】
斯かる構成によれば、前記発泡体層を前記支持体により十分に固定することができる。
【0093】
(11)
前記ワークは、セラミック基板、シリコン基板、ガラス基板、及び、樹脂フィルム基板からなる群から選択される1種である
上記(1)乃至(10)のいずれかに記載のワーク保持部材。
【0094】
(12)
前記ワークの表面に電子部品を実装するために用いられる
上記(1)乃至(11)のいずれかに記載のワーク保持部材。
【0095】
(13)
支持体と該支持体上に積層されてワークを保持するワーク保持層とを備えるワーク保持部材と、
前記ワーク保持層上に保持されているワークと、を備え、
前記ワーク保持部材が、上記(1)乃至(12)のいずかに記載のワーク保持部材である
積層体。
【0096】
なお、本発明に係るワーク保持部材及び積層体は、上記実施形態によって限定されるものではない。
また、本発明に係るワーク保持部材及び積層体は、上記した作用効果によって限定されるものでもない。
本発明に係るワーク保持部材及び積層体は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【実施例0097】
次に、実施例を挙げて本発明についてさらに具体的に説明する。以下の実施例は本発明をさらに詳しく説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【0098】
<実施例1>
・支持体
ステンレス板(SUS304BA)を用いた。
該ステンレス板(SUS304BA)の平面寸法は、30mm×30mmであり、厚さは0.5mmであった。
なお、前記ステンレス板の厚さは、上の実施形態の項で説明した方法にしたがって測定した。以下の各例についても同様である。
・ワーク保持層
シリコーン発泡体層を用いた。
シリコーン発泡体層は、下記表1に示した(1)~(10)の各材料を下記表1に示した配合量で用いて、以下の手順にしたがって作製した。
(a)撹拌装置(あわとり練太郎、型式「ARE-501」、シンキー社製)を用いて、下記表1の(1)~(10)の各材料を下記表1の配合量で15分間混合して乳化溶液を得る。
そして、該乳化溶液を室温(23±2℃)で5分間減圧乾燥して脱泡を行って樹脂組成物を得る。
(b)前記樹脂組成物をフロロシリコーン処理PETフィルム(ニッパシートPET38x1-SS4A、ニッパ社製)の表面にアプリケータを用いて塗布して樹脂層を形成した後、前記樹脂層の露出面にPETフィルム(ルミラーS10、東レ社製)を被せて、前記樹脂層の一方面に前記フロロシリコーン処理PETフィルムが配され、前記樹脂層の他方面に前記PETフィルムが配された三層積層体を得る。
(c)前記三層積層体を熱風オーブンによって85℃で6分間加熱して、前記樹脂層を硬化させる。
(d)前記樹脂層を硬化させた後、前記樹脂層の一方面から前記フロロシリコーン処理PETフィルムを剥離させるとともに、前記樹脂層の他方面から前記PETフィルムを剥離させて、前記樹脂層の硬化体を得る。
(e)前記樹脂層の硬化体を200℃で3分間加熱乾燥する。
上記の手順にしたがって得られたシリコーン発泡体の厚さは、0.2mm(200μm)であった。
また、前記シリコーン発泡体は、連続気泡構造を有しており、連続気泡率が100%であった。
さらに、前記シリコーン発泡体の見掛け密度は、0.55g/cm3であった。
なお、前記シリコーン発泡体の厚さ、前記シリコーン発泡体の連続気泡率、及び、前記シリコーン発泡体の見掛け密度は、上の実施形態の項で説明した方法にしたがって測定した。以下の各例についても同様である。
【0099】
【0100】
<実施例2>
・支持体
ステンレス板(SUS430BA)を用いた。
なお、該ステンレス板(SUS430BA)の平面寸法は、30mm×30mmであり、厚さは1.0mmであった。
・ワーク保持層
シリコーン発泡体層を用いた。
シリコーン発泡体は実施例1と同様にして作製した。
すなわち、実施例2においても、前記シリコーン発泡体の厚さは、0.2mm(200μm)であり、前記シリコーン発泡体の連続気泡率は100%であり、前記シリコーン発泡体の見掛け密度は0.55g/cm3であった。
【0101】
<実施例3>
・支持体
ステンレス板(ヘアラインSUS)を用いた。
なお、該ステンレス板(ヘアラインSUS)の平面寸法は、30mm×30mmであり、厚さは1.5mmであった。
ここで、ヘアラインSUSとは、ヘアライン加工を施したステンレス板のことである。
・ワーク保持層
シリコーン発泡体層を用いた。
シリコーン発泡体層は実施例1と同様にして作製した。
すなわち、実施例3においても、前記シリコーン発泡体の厚さは、0.2mm(200μm)であり、前記シリコーン発泡体の連続気泡率は100%であり、前記シリコーン発泡体の見掛け密度は0.55g/cm3であった。
【0102】
<実施例4>
・支持体
アルミニウム板(A5052P)を用いた。
なお、該アルミニウム板(A5052P)の平面寸法は、30mm×30mmであり、厚さは1.0mmであった。
・ワーク保持層
シリコーン発泡体層を用いた。
シリコーン発泡体層は実施例1と同様にして作製した。
すなわち、実施例4においても、前記シリコーン発泡体の厚さは、0.2mm(200μm)であり、前記シリコーン発泡体の連続気泡率は100%であり、前記シリコーン発泡体の見掛け密度は0.55g/cm3であった。
【0103】
<実施例5>
・支持体
ガラス板(スライドガラス)を用いた。
なお、該ガラス板(スライドガラス)の平面寸法は、30mm×30mmであり、厚さは1.0mmであった。
・ワーク保持層
シリコーン発泡体層を用いた。
シリコーン発泡体層は実施例1と同様にして作製した。
すなわち、実施例5においても、前記シリコーン発泡体の厚さは、0.2mm(200μm)であり、前記シリコーン発泡体の連続気泡率は100%であり、前記シリコーン発泡体の見掛け密度は0.55g/cm3であった。
【0104】
<実施例6>
・支持体
ガラス板(板ガラス)を用いた。
なお、該ガラス板(板ガラス)の平面寸法は、30mm×30mmであり、厚さは3.4mmであった。
・ワーク保持層
シリコーン発泡体層を用いた。
シリコーン発泡体層は実施例1と同様にして作製した。
すなわち、実施例6においても、前記シリコーン発泡体の厚さは、0.2mm(200μm)であり、前記シリコーン発泡体の連続気泡率は100%であり、前記シリコーン発泡体の見掛け密度は0.55g/cm3であった。
【0105】
<比較例1>
・支持体
アルミニウム板(A-1050)を用いた。
なお、該アルミニウム板(A-1050)の平面寸法は、30mm×30mmであり、厚さは0.4mmであった。
・ワーク保持層
シリコーン発泡体層を用いた。
シリコーン発泡体層は実施例1と同様にして作製した。
すなわち、比較例1においても、前記シリコーン発泡体の厚さは、0.2mm(200μm)であり、前記シリコーン発泡体の連続気泡率は100%であり、前記シリコーン発泡体の見掛け密度は0.55g/cm3であった。
【0106】
<比較例2>
・支持体
ステンレス板(SUS430BA)を用いた。
なお、該ステンレス板(SUS430BA)の平面寸法は、30mm×30mmであり、厚さは1.0mmであった。
・ワーク保持層
過酸化物硬化型シリコーン系粘着剤を用いて、以下のようにして作製した。
(1)過酸化物硬化型シリコーン系粘着剤(DOWSIL(登録商標)SH4280PSA、ダウ・東レ社製)をn-ヘプタンで固形分濃度が30%となるように希釈してシリコーン粘着剤組成物を得る。なお、前記シリコーン粘着剤組成物には、硬化触媒(DOWSIL(登録商標)SRX-212、ダウ・東レ社製)を適量添加する。
(2)フロロシリコーン離型処理を施したPETフィルム(ニッパシートPET38x1-SS4A、ニッパ社製)上に、アプリケータを用いて前記シリコーン粘着剤組成物を厚さ0.08mm(80μm)となるように塗布する。
(3)前記シリコーン粘着剤組成物を塗布した後の前記PETフィルムを熱風オーブンにて140℃で3分間加熱して、n-ヘプタンを揮発させるとともに、前記過酸化物硬化型シリコーン粘着剤を硬化させて、シリコーン粘着剤層を得る。
シリコーン粘着剤層の厚さは、0.08mm(80μm)であった。
シリコーン粘着剤層の厚さも、シリコーン発泡体層と同様にして測定した。
また、シリコーン粘着剤層を得るに際して、前記シリコーン粘着剤組成物には上記のように何らの発泡処理も施されていなかった。
すなわち、シリコーン粘着剤層は、非発泡体層であった。
【0107】
(支持体の3点曲げ応力)
各例に係る支持体について、上の実施形態の項で説明した方法にしたがって3点曲げ応力を測定した。
その結果を以下の表2に示した。
【0108】
(支持体の線膨張係数)
各例に係る支持体について、上の実施形態の項で説明した方法にしたがって線膨張係数を測定した。
その結果を以下の表1に示した。
また、各例に係る支持体について測定した3点曲げ応力の測定値と各例の支持体について測定した線膨張係数の値とを用いて、各例に係る支持体について、線膨張係数の値に対する3点曲げ応力の比(3点曲げ応力/線膨張係数)を算出した。
その結果を以下の表2に示した。
【0109】
(支持体の算術平均表面粗さRa)
各例に係る支持体について、上の実施形態の項で説明した方法にしたがってワーク保持層が積層される面の算術平均粗さRaを測定した。
その結果を以下の表2に示した。
【0110】
(発泡体層の算術平均表面粗さRa)
各実施例に係るワーク保持層及び比較例1に係るワーク保持層について、上の実施形態の項で説明した方法にしたがって支持体に当接される側の発泡体層の面の算術平均表面粗さRaを測定した。
その結果を以下の表2に示した。
【0111】
(せん断粘着力の値S)
各例に係るワーク保持層について、上の実施形態の項で説明した方法にしたがって、150℃以上の温度で加熱する前のポリイミドフィルムに対するせん断粘着力の値Sを測定した。
なお、ポリイミドフィルムの厚さは、25μmであった。
また、前記ポリイミドフィルムとしては、例えば、東レ・デュポン社製の商品名「カプトン100H」を用いた。
その結果を以下の表2に示した。
【0112】
(剥離力の値P)
各例に係るワーク保持層について、上の実施形態の項で説明した方法にしたがって、150℃以上の温度で5分間加熱した後のポリイミドフィルムに対する90°剥離力の値Pを測定した。
なお、ポリイミドフィルムの厚さは、25μmであった。
また、前記ポリイミドフィルムとしては、例えば、東レ・デュポン社製の商品名「カプトン100H」を用いた。
その結果を以下の表2に示した。
また、各例に係るワーク保持層について測定したせん断粘着力の値Sと各例に係るワーク保持層について測定した90°剥離力の値Pとを用いて、各例に係るワーク保持層について、90°剥離力の値Pに対するせん断粘着力の値Sの比(S/P)を算出した。
その結果を以下の表2に示した。
【0113】
(基材の反り)
各例について、以下の手順にしたがって、基材の反りを評価した。
(1)平面寸法として幅20mm×長さ100mmを有する支持体の表面に、これと同じ平面寸法を有するワーク保持層を積層させた後、該ワーク保持層の露出面に基材たるポリイミドフィルムを積層させて、前記支持体、前記ワーク保持層、及び、前記ポリイミドフィルムがこの順に積層された三層積層体を得る。
(2)前記三層積層体について、前記ポリイミドフィルムの露出面側から2kgローラを一往復させて、反り評価用の試験体を得る。
(3)前記反り評価用の試験体を以下の条件でリフロー処理する。
・リフロー処理条件
(a)炉内温度を50℃としたリフロー炉内に前記反り評価用の試験体を入れた後、温度50℃で前記反り評価用の試験体を50秒間保持する。
(b)炉内温度を50℃から180℃まで60秒で昇温した後、温度180℃で100秒間保持する。
(c)炉内温度を180℃から270℃まで60秒で昇温した後、温度270℃で100秒間保持する。
(d)炉内温度を270℃から100℃まで100秒で降温させる。
そして、炉内温度を23℃まで降温させて該温度で前記反り評価用の試験体を120分間放置した後、前記リフロー炉から前記反り評価用の試験体を取り出す。
そして、前記リフロー炉内から取り出した前記反り評価用の試験体から基材たるポリイミドフィルムを取り外して、該ポリイミドフィルムの反りを評価した。
前記反り評価用の試験体からの前記ポリイミドフィルムの取り外しは、前記反り評価用の試験体の長さ方向の一端(片方の長辺の一端)側から300mm/minの速度で90°の方向に前記ポリイミドフィルムを引き剥がすことにより実施した。
前記ポリイミドフィルムは前記反り評価用の試験体から上のようにして取り外されるので、取り外された前記ポリイミドフィルムでは、幅方向の両端側に反りが生じていた。
そのため、前記ポリイミドフィルムを平坦面に載置することにより、基材たるポリイミドフィルムの反り(幅方向の両端側の反り)を評価した。
具体的には、前記平坦面からの前記ポリイミドフィルムの幅方向の一端縁の浮きH1を測定するとともに、前記平坦面からの前記ポリイミドフィルムの幅方向の他端縁の浮きH2を測定し、H1とH2との合算値(H1+H2)を前記ポリイミドフィルムの反りとした。
基材たるポリイミドフィルムの反りは、以下の基準にしたがって評価した。
◎:反りが2mm未満。
○:反りが2mm以上5mm未満。
×:反りが5mm以上。
その結果を以下の表2に示した。
なお、前記ポリイミドフィルムとしては、東レ・デュポン社製の商品名「カプトン100H」を用いた。
また、前記ポリイミドフィルムの厚さは25μmであった。
【0114】
(固定性及び剥離性)
各例について、せん断粘着力の値Sの測定結果及び剥離力の値Pの測定結果から、ワーク保持層に対する基板の固定性及びワーク保持層からの基板の剥離性について評価した。
固定性及び剥離性は、以下の基準にしたがって評価した。
◎:せん断粘着力の値Sが1N以上であり、かつ、剥離力の値Pが7N以下である。
×:上記以外。
その結果を以下の表2に示した。
なお、上記の評価基準から、固定性については、せん断粘着力の値Sが1N以上であれば◎と評価でき、剥離性については、剥離力の値Pが7N以下であれば◎と評価できることが把握される。
【0115】
(繰り返し使用性)
各例について、ワーク保持層の繰り返し使用性について評価した。
繰り返し使用性は、1個のワーク保持部材を用いて、せん断粘着力の値Sの測定及び剥離力の値Pの測定を繰り返し行うことにより評価した。
繰り返し使用性は、以下の基準にしたがって評価した。
◎:100回繰り返して使用した場合に、せん断粘着力の値Sが1N以上を維持しており、かつ、剥離力の値Pが7N以下を維持している。
○:50回繰り返し使用した場合に、せん断粘着力の値Sが1N以上を維持しており、かつ、剥離力の値Pが7N以下を維持している。
×:上記以外。
その結果を以下の表2に示した。
【0116】
(支持体の脆性)
各例について、支持体の脆性を評価した。
支持体の脆性の評価は、支持体の3点曲げ応力測定において、前記引張試験機の押込み部材で前記支持体を押し込んだ際に、前記支持体に破断が生じたときの変位の大きさを基準として実施した。
支持体の脆性は、以下の基準にしたがって評価した。
○:変位が10mm以上。
△:変位が2mm以上10mm未満。
×:変位が2mm未満。
その結果を以下の表2に示した。
【0117】
【0118】
表1より、各実施例では、基板(ポリイミドフィルム)の反りの評価が、○または◎となっているのに対し、比較例1では、基板(ポリイミドフィルム)の反りの評価が、×となっていることが分かる。
また、各実施例では、ワーク保持層に対する基板(ポリイミドフィルム)の固定性及びワーク保持層からの基板(ポリイミドフィルム)の剥離性の評価が、◎となっているのに対し、比較例2では、ワーク保持層に対する基板(ポリイミドフィルム)固定性及びワーク保持層からの基板(ポリイミドフィルム)の剥離性の評価が、×となっていることが分かる。
このことから、本発明に係るワーク保持部材は、電子部品の表面実装時の加熱処理によりワークに反りが生じることを抑制できることに加えて、電子部品の表面実装時の加熱処理前においてはワークを十分に固定でき、かつ、電子部品の表面実装時の加熱処理後においてはワークを取り外し易いものとなることが分かる。