(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024023041
(43)【公開日】2024-02-21
(54)【発明の名称】車両用室内灯装置
(51)【国際特許分類】
B60Q 3/70 20170101AFI20240214BHJP
B60Q 3/217 20170101ALI20240214BHJP
B60Q 3/16 20170101ALI20240214BHJP
B60Q 3/80 20170101ALI20240214BHJP
B60Q 3/78 20170101ALI20240214BHJP
【FI】
B60Q3/70
B60Q3/217
B60Q3/16
B60Q3/80
B60Q3/78
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022126579
(22)【出願日】2022-08-08
(71)【出願人】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 崇
(72)【発明者】
【氏名】吉村 喜
(72)【発明者】
【氏名】北澤 達磨
(72)【発明者】
【氏名】元辻 彩香
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 拓海
【テーマコード(参考)】
3K040
【Fターム(参考)】
3K040AA02
3K040CA01
3K040CA04
3K040CA05
3K040CA06
3K040DB01
3K040EA03
3K040EA05
3K040EB02
3K040GA03
3K040GC04
3K040GC14
(57)【要約】
【課題】車両用室内灯装置を用いて、車両の運転者の視線を誘導する。
【解決手段】車両用室内灯装置110は、車両20の室内に設けられ、各々の点灯態様を個別に制御する複数の発光領域を有する光源ユニット111Aと、交通他者または障害物の前記車両に対する方向に応じて、前記複数の発光領域の少なくとも一部を他の前記発光領域と異なる態様で点灯させる制御部112と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の室内に設けられ、各々の点灯態様が個別に制御される複数の発光領域を有する光源ユニットと、
交通他者または障害物の前記車両に対する方向に応じて、前記複数の発光領域の少なくとも一部を他の前記発光領域と異なる態様で点灯させる制御部と、を備える、車両用室内灯装置。
【請求項2】
前記交通他者が発する信号の強度に応じた信号を出力し、前記車両の異なる位置に設けられた複数のセンサを有する、請求項1に記載の車両用室内灯装置。
【請求項3】
各前記発光領域の近くに設けられ、前記車両と前記障害物との距離を示す表示部を、更に備える請求項1に記載の車両用室内灯装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記距離に応じて、前記表示部の点灯態様が変更する、請求項3に記載の車両用室内灯装置。
【請求項5】
車両の室内に設けられた室内灯と、
前記車両の運転状況に応じて、前記室内灯の少なくとも一部を点灯させる制御部と、を備える、車両用室内灯装置。
【請求項6】
前記室内灯は、前記車両の運転席の右方に設けられた右室内灯と、前記運転席の左方に設けられた左室内灯と、を有し、
前記制御部は、前記右室内灯と前記左室内灯を制御し、
前記制御部は、
方向指示器が右方に操作された場合に、前記右室内灯を点灯させ、
前記方向指示器が左方に操作された場合に、前記左室内灯を点灯させる、請求項5に記載の車両用室内灯装置。
【請求項7】
前記制御部は、
操舵装置が右方に操作された場合に、前記右室内灯を消灯させ、
前記操舵装置が左方に操作された場合に、前記左室内灯を消灯させる、請求項6に記載の車両用室内灯装置。
【請求項8】
前記制御部は、
右車線に他車両が存在する場合と他車両が存在しない場合とで、前記右室内灯の点灯態様を変更し、
左車線に他車両が存在する場合と他車両が存在しない場合とで、前記左室内灯の点灯態様を変更する、請求項6に記載の車両用室内灯装置。
【請求項9】
前記制御部は、
右車線に他車両が存在する場合、前記車両と前記他車両との距離に応じて、前記右室内灯の点灯態様を変更し、
左車線に他車両が存在する場合、前記車両と前記他車両との距離に応じて、前記左室内灯の点灯態様を変更する、請求項6に記載の車両用室内灯装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記右室内灯または前記左室内灯の点灯後、前記運転席に着座している運転者の視点に応じて、点灯させた前記右室内灯または前記左室内灯の点灯態様を変更する、請求項6に記載の車両用室内灯装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記車両が車線変更禁止領域を走行している場合と、前記車両が前記車線変更禁止領域を走行していない場合とで、前記右室内灯または前記左室内灯の点灯態様を異ならせる、請求項6に記載の車両用室内灯装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記車両のサイドミラーの照明と連動して、前記右室内灯または前記左室内灯の点灯態様を異ならせる、請求項6に記載の車両用室内灯装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用室内灯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、車両の室内に光を照射する車両用室内灯を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車両用室内灯は、車室内の天井などに取り付けられて車室内を明るく照らす照明として、あるいは、ドアの車室内側などに取り付けられて間接照明として使用されており、室内灯からの光がウインドシールド(フロントガラス)や窓ガラスへ映り込まないように、室内灯の向きや配光が調整されている。
【0005】
本発明者は、この室内灯を、車室内の照明として使用するだけでなく、車外にある注意するべき交通他者へ、運転者の視線を誘導する手段として利用することを思いついた。
【0006】
本開示の目的は、車両用室内灯装置を用いて、車両の運転者の視線を誘導することである。
【0007】
本開示の一態様に係る車両用室内灯装置は、
車両の室内に設けられ、各々の点灯態様を個別に制御する複数の発光領域を有する光源ユニットと、
交通他者または障害物の前記車両に対する方向に応じて、前記複数の発光領域の少なくとも一部を他の前記発光領域と異なる態様で点灯させる制御部と、を備える。
【0008】
本開示の一態様に係る車両用室内灯装置は、
車両の室内に設けられた室内灯と、
前記車両の運転状況に応じて、前記室内灯の少なくとも一部を点灯させる制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、車両用室内灯装置を用いて、車両の運転者の視線を誘導することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、第一実施形態に係る車両用室内灯装置の構成を例示している。
【
図2】
図2は、車両用室内灯装置が配置される車両の室内の構成を例示している。
【
図3】
図3は、車両における、車両用室内灯装置の電波強度センサの配置位置を例示している。
【
図4】
図4は、車両用室内灯装置の室内灯の点灯態様の一例を例示している。
【
図5】
図5は、室内灯の表示部の点灯態様の一例を例示している。
【
図6】
図6は、室内灯の表示部の点灯態様の一例を例示している。
【
図7】
図7は、第二実施形態に係る車両用室内灯装置の構成を例示している。
【
図8】
図8は、車両用室内灯装置が配置される車両の室内の構成を例示している。
【
図9】
図9は、第二実施形態に係る車両用室内灯装置の制御部により実行される処理の流れを例示している。
【
図10】
図10は、第二実施形態に係る車両用室内灯装置の変形例1に係る制御部により実行される処理の流れを例示している。
【
図11】
図11は、第二実施形態に係る車両用室内灯装置の変形例2に係る制御部により実行される処理の流れを例示している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施形態について図面を参照しながら説明する。以下の説明に用いられる各図面においては、各要素を認識可能な大きさとするために縮尺が適宜変更されている。
【0012】
(第一実施形態)
第一実施形態に係る車両用室内灯装置110では、自車両の付近にいる歩行者Pの位置を示すように発光領域が点灯する。以下、詳細に説明する。
図1は、第一実施形態に係る車両用室内灯装置110の構成を例示している。車両用室内灯装置110は、室内灯111と制御部112を備えている。室内灯111は、車両20の室内に設けられている。さらに室内灯111は、複数の発光領域111F、111R、111Lを有する光源ユニット111Aを有している。
図2は、車両用室内灯装置110が配置される車両20の室内の構成を例示している。
図2に示されるように、車両20の室内のダッシュボード21には、光源ユニット111Aの発光領域111Fが配置される。車両20の右ドア22Rには、光源ユニット111Aの発光領域111Rが配置される。車両20の左ドア22Lには、光源ユニット111Aの発光領域111Lが配置される。室内灯111は、車両20の室内を照明するために用いられる。
【0013】
室内灯111の光源ユニット111Aは、各発光領域においてハウジング内に複数の光源を有している。光源の例としては、LED(発光ダイオード)、LD(レーザーダイオード)やEL(エレクトロルミネッセンス)などの発光素子、または小型電球などが挙げられる。各発光領域の点灯態様は個別に制御されうる。例えば、複数の光源が、個別に点灯制御可能に構成されてもよい。各発光領域は、複数の異なる色を発光可能に構成されうる。例えば、複数の光源としては、RGB(赤緑青)の各色あるいはその他の色の光を発光する複数のLEDが使用されてもよい。
【0014】
制御部112は、車両20における適宜の位置に配置される。制御部112は、所定の点灯態様で発光するように室内灯111を制御するように構成される。
【0015】
例えば、制御部112は、車両20の右後方(例えば100m右後方)にいる歩行者の、車両20に対する方向に応じて、発光領域111Rの一部を点灯させるよう構成されている。このとき制御部112は、発光領域111Rの一部の点灯態様が、発光領域111Rの他の点灯態様や、他の発光領域111Fおよび111Lの点灯態様と異なるように、発光領域111Rの一部を点灯させる。
【0016】
点灯態様が異なるとは、光の色が異なる、点灯パターンが異なる、発光領域が異なる、またはこれらの組み合わせを含む。なお、異なる点灯パターンには、常時点灯する場合と所定の間隔で点灯する場合(以下、点滅と称する)だけでなく、異なる間隔で点灯する場合も含む。また、発光領域が異なるには、一つの発光領域において発光する部位が異なる場合、複数の発光領域のうち一部の発光領域が発光する場合、またはこれらの組み合わせを含む。
【0017】
制御部112は、複数の電波強度センサ132、GPS133、記憶装置134、内部カメラ135それぞれに通信可能に接続されている(
図1)。電波強度センサ132、GPS133、記憶装置134、内部カメラ135はそれぞれ、車両20に設けられている。「通信可能な接続」とは有線による接続及び無線による接続の両方を含みうる。
【0018】
各電波強度センサは、交通他者が発する信号の強度に応じた信号を出力するよう構成されている。
【0019】
各電波強度センサ132は、車両20の異なる位置に設けられている。
図3は、車両20における、電波強度センサ132の配置位置を例示している。図面において、矢印Fは、車両20の前方向を示している。矢印Bは、車両20の後方向を示している。矢印Lは、車両20の左方向を示している。矢印Rは、車両20の右方向を示している。これらの方向は、
図3に示された車両について設定された相対的な方向である。
【0020】
図3に示すように、本実施形態の電波強度センサ132は、車両20の右前方に設けられている電波強度センサ132FRと、車両20の左前方に設けられている電波強度センサ132FLと、車両20の右後方に設けられている電波強度センサ132RRと、車両20の左後方に設けられている電波強度センサ132RLと、を有する。各電波強度センサ132は、例えば車両20のヘッドランプまたはリアランプに設けられてもよい。
【0021】
GPS133は、車両20の現在位置情報を取得し、当該取得された現在位置情報を制御部112に出力するように構成されている。記憶装置134は、ハードディスクドライブ(HDD)やSSD(Solid State Drive)等の外部記憶装置である。記憶装置134には、2次元又は3次元の地図情報及び/又は点灯制御プログラムが記憶されてもよい。例えば、3次元の地図情報は、3Dマッピングデータ(点群データ)によって構成されてもよい。記憶装置134は、制御部112からの要求に応じて、地図情報や点灯制御プログラムを制御部112に出力するように構成されている。地図情報は、通信ネットワークを介して更新されてもよい。
【0022】
内部カメラ135は、車両20の室内に配置されると共に、運転手を示す画像データを取得するように構成されている。内部カメラ135は、運転手の視点をトラッキングするトラッキングカメラとして機能する。ここで、運転手の視点は、運転手の左目の視点又は右目の視点のいずれかであってもよい。または、視点は、左目の視点と右目の視点を結んだ線分の中点として規定されてもよい。制御部112は、内部センサ135によって取得された画像データに基づいて、運転手の視点の位置を特定してもよい。運転手の視点の位置は、画像データに基づいて、所定の周期で更新される。
【0023】
次に、本実施形態において制御部112により実行される処理を説明する。ここでは交通他者として歩行者Pが車両20の右後方におり、歩行者Pが電子機器としてスマートフォンを携帯している場合について説明する。
【0024】
本実施形態において、歩行者Pは携帯するスマートフォンに専用のアプリケーションを事前にダウンロードしておく。専用のアプリケーションをダウンロードすることにより、歩行者Pのスマートフォンは電磁波を接近信号として発信しえる。電磁波の直進性は高いことが好ましい。電磁波は例えば赤外線を含む非可視光線や、短波長のミリ波である。
【0025】
例えば、歩行者Pが車両20の右後方にいる場合(
図3)、各電波強度センサ132は歩行者Pのスマートフォンが発する接近信号を受信するとともに、受信した接近信号の強度に応じた信号I32を制御部112へ出力する。本実施形態の場合、電波強度センサ132RRが歩行者Pに最も近く、且つ歩行者Pのスマートフォンから発せられる接近信号の直進性が高いため、電波強度センサ132RRから出力される信号I32の出力が最も高い。また、電波強度センサ132FRは、電波強度センサ132FL及び132RLと比べると歩行者Pに近いため、電波強度センサ132FRから出力される信号I32の出力も比較的高い。電波強度センサ132FL及び電波強度センサ132RLは歩行者Pから離れているため、信号I32をほとんど出力しない。
【0026】
制御部112は、各電波強度センサ132から信号I32を取得すると、信号I32に基づいて、歩行者Pの車両20に対する方向を判断する。本実施形態の場合、電波強度センサ132RRから出力される信号I32の出力が最も高いため、制御部112は歩行者Pが車両20の右後方にいると判断する。
【0027】
制御部112は、歩行者Pの車両20に対する方向として右後方を判断すると、複数の発光領域のうち、判断した右後方に対応する発光領域を、他の発光領域とは異なる態様で点灯させる。このとき制御部112は、記憶装置134から点灯態様情報を含む信号I34を取得し、各発光領域の点灯態様を設定してもよい。
【0028】
図4は、室内灯111の点灯態様の一例を例示している。
図4に示すように、制御部112は、右後方に対応する発光領域111R1を点灯させ、発光領域111R1以外の発光領域は消灯する。具体的には、制御部112は、発光領域111R1を点灯させるとともに、他の発光領域は消灯させるための制御信号CS31を室内灯111に出力する。室内灯111は、制御信号CS31を受信すると、発光領域111R1に対応する光源ユニット111Aを点灯させ、他の発光領域に対応する光源ユニット111Aは消灯させる。
【0029】
以上説明したように、実施形態の車両用室内灯装置110によれば、車両20の運転者が歩行者Pを認識していない場合でも、歩行者Pの車両20に対する方向(本実施形態では右後方)に応じて、複数の発光領域の一部である発光領域111R1を、他の発光領域と異なる点灯態様で点灯させる。このように一部の発光領域111R1を点灯させることで、車両用室内灯装置110は、運転者から点灯された発光領域111R1へ向かう方向にいる、注意するべき歩行者Pへ運転者の視線を誘導することができる。また、発光領域111R1の点灯態様が、他の発光領域の点灯態様と異なるため、運転者は注意するべき方向を識別しやすくなる。
【0030】
さらに車両用室内灯装置110によれば、音声ガイドと比較して、運転者は注意するべき方向を直感的に理解することができる。仮に音声ガイドが歩行者Pのいる方向(右後方)を説明しても、運転者は、真横ではない右方向、やや後方などの微妙な方向性を即座に理解するのが困難である場合がある。これに対して車両用室内灯装置110は、一部の発光領域111R1を点灯させるため、運転者はこのような方向性を視覚的に、直感的に即時把握することが容易となる。また、車両用室内灯装置110によれば、カーナビなどのディスプレイが歩行者Pのいる方向(右後方)を示す場合と比較して、運転者が歩行者Pを直接視認することを促すことができる。
【0031】
車両用室内灯装置110によれば、例えば車両20の全周を監視可能なカメラなど高価なセンサを多数車両20に搭載する場合と比較して、複数の電波強度センサ132のみを備えれば歩行者Pのいる方向を判断することができる。このため、車両20の製造コストを低減することができる。
【0032】
車両用室内灯装置110は、歩行者Pが発信する接近信号の強度に応じた信号I32を出力するとともに、車両20の異なる位置に設けられた複数の電波強度センサ132を備える。このため、車両用室内灯装置110は、歩行者Pの車両20に対する方向を判断することが容易となる。
【0033】
なお複数の電波強度センサ132の数は四つに限定されない。各電波強度センサ132が設けられる位置も車両20の前後左右に限定されない。複数の電波強度センサ132は、車両20の左右に二か所設けられてもよいし、後方と左右に三か所設けられてもよいし、四か所以上設けられてもよい。
【0034】
なお、電波強度センサ132の数は、発光領域の数と対応させることが好ましい。つまり、複数の電波強度センサ132で車両20の運転者からの歩行者Pの方向を特定した場合、その方向と同じ方向に位置する発光領域があることが好ましい。
【0035】
なお電波強度センサ132の数は1つでもよい。このとき制御部112は、歩行者Pが車両20周囲にいることは判断できるが、歩行者Pの車両20に対する方向は特定することは困難である場合がある。このような場合制御部112は、記憶装置134から点灯態様情報を含む信号I34を取得し、すべて発光領域を点灯あるいは点滅させてもよい。すべての発光領域が点灯あるいは点滅するため、車両用室内灯装置110は、車両20の運転者に対して、特定の方向に視線を固定することなく、車両20の周囲に広く注意を払うよう促し、結果として視線を歩行者Pへ誘導することができる。
【0036】
制御部112は、歩行者Pの車両に対する方向を判断する前あるいは判断した後に、記憶装置134から点灯態様情報を含む信号I34を取得し、各発光領域の点灯態様を設定してもよい。
【0037】
上述では、歩行者Pは車両20の右後方にいる場合を説明したが、歩行者Pの車両20に対する方向は、右後方に限らない。制御部112は、あらゆる方向を判断することができる。また車両用室内灯装置110は、交通他者として、電子機器を携帯する自転車の運転者に対しても、同様の効果を奏する。
【0038】
上述では、歩行者Pが電子機器としてスマートフォンを携帯している場合を説明したが、歩行者Pが携帯する電子機器はスマートフォンに限らない。例えばスマートフォンを携帯しない子供や高齢者は、電子機器として、発信機能を有する小型キーホルダや小型玩具を携帯してもよい。例えば小型キーホルダは照度センサ及び振動センサを有し、照度センサが歩行者P周辺の照度が閾値以下であることを検知している場合(例えば夜間)であって、且つ振動センサが振動を検知している場合(子供や高齢者が移動中)、小型キーホルダは接近信号を発するよう構成されていてもよい。電波強度センサ132は、この接近信号の電波強度を検出するように構成されている。
【0039】
上述では、発光領域111R1が点灯し、他の発光領域が消灯する場合を説明したが、室内灯111の点灯態様はこれに限らない。発光領域111R1が点滅してもよい。発光領域111R全体が点灯してもよい。車両20の運転中ではすべての発光領域が青色に点灯しており、歩行者Pの車両20に対する方向を示す場合、少なくとも発光領域111R1を赤色に点灯させてもよい。
【0040】
制御部112は、GPS133から車両20の位置情報を含む信号I33を取得し、記憶装置134から地図情報を含む信号I34を取得し、信号I33と信号I34に基づいて車両20が所定の場所に近づいたか、あるいは通過したかを判断してもよい。例えば車両20が接触事故の多発している場所に接近した場合、制御部112は、発光領域111R1の点灯態様を、点灯から点滅へ変更させてもよい。点滅は点灯よりも目立つため、車両用室内灯装置110は、より効果的に運転者の視線を誘導させることができる。例えば車両20が接触事故の多発している場所を通過した場合、制御部112は、発光領域111R1の点灯態様を、点灯から消灯へ変更させてもよい。こうすることで車両用室内灯装置110は、発光領域111R1が点灯し続けることに起因する煩わしさを低減させることができる。
【0041】
車両20の運転者が歩行者Pへ視線を誘導したことを確認できた後は、発光領域111R1を消灯させてもよい。例えば制御部112は、内部カメラ135から視点信号I35を取得し、運転者がどの方向を見ているかを判断する。運転者の見ている方向が、歩行者Pの車両20に対する方向と対応する場合には、制御部112は、制御信号CS31を室内灯111に出力し、発光領域111R1を消灯させる。こうすることで車両用室内灯装置110は、発光領域111R1が点灯し続けることに起因する煩わしさを低減させることができる。
【0042】
(第一実施形態の変形例1)
車両用室内灯装置110の制御部112は、複数の電波強度センサ132に代えて、車両20に設けられた複数のアクティブ型のセンサ131と通信可能に接続されていてもよい。
【0043】
各センサ131は、車両20の異なる位置に設けられている。
図3に示すように、本実施形態のセンサ131は、車両20の右前方に設けられているセンサ131FRと、車両20の左前方に設けられているセンサ131FLと、車両20の右後方に設けられているセンサ131RRと、車両20の左後方に設けられているセンサ131RLと、を有する。各センサ131は、例えば車両20のヘッドランプ及びリアランプに設けられてもよい。
【0044】
アクティブ型のセンサ131は、センサから発せられ、障害物によって反射された電磁波の強度に応じた信号を出力するよう構成されている。センサ131は、例えば、ミリ波レーダ、マイクロ波レーダ及びレーザーレーダ(例えば、LiDARユニット)のうちの少なくとも一つを含む、レーダである。例えば、LiDARユニットは、車両20の周辺環境を検出するように構成されている。LiDARユニットは、車両20の周辺環境を示す信号I31を取得した上で、当該信号I31を制御部112に出力するように構成されていてもよい。制御部112は、出力された信号I31に基づいて、周辺環境情報を特定しえる。
【0045】
ここで、周辺環境情報は、車両20の外部に存在する対象物に関する情報を含んでもよい。例えば、周辺環境情報は、車両20の外部に存在する対象物の属性に関する情報と、車両20に対する対象物の距離と方向及び/又は位置に関する情報とを含んでもよい。対象物は、例えば、歩行者、自転車、他車両、障害物、標識を含む。
【0046】
次に、変形例1において制御部112により実行される処理を説明する。ここでは対象物として障害物Oが車両20の右後方にある場合について説明する。
【0047】
例えば、障害物Oが車両20の右後方にいる場合(
図3)、各センサ131は電磁波を発信するとともに、障害物Oによって反射された電磁波を受信する。さらに各センサ131は、受信した電磁波の強度に応じた信号I31を制御部112へ出力する。本変形例1の場合、センサ131RRが障害物Oに最も近く、且つ各センサ131から発せられる電磁波の直進性が高いため、センサ131RRから出力される信号I31の出力が最も高い。また、センサ131FRは、センサ131FL及び131RLと比べると障害物Oに近いため、センサ131FRから出力される信号I31の出力も比較的高い。センサ131FL及び131RLは障害物Oから離れているため、信号I31をほとんど出力しない。
【0048】
制御部112は、各センサ131から信号I31を取得すると、信号I31に基づいて、障害物Oの車両20に対する方向を判断する。本変形例1の場合、センサ131RRから出力される信号I31の出力が最も高いため、制御部112は障害物Oが車両20の右後方にあると判断する。
【0049】
制御部112は、障害物Oの車両20に対する方向として右後方を判断すると、複数の発光領域のうち、判断した右後方に対応する発光領域を、他の発光領域とは異なる態様で点灯させる。室内灯111の点灯態様は、第一実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0050】
このように、変形例1の車両用室内灯装置110は、障害物Oの車両20に対する方向(本変形例1では右後方)に応じて、複数の発光領域の一部である発光領域111R1を、他の発光領域と異なる点灯態様で点灯させて、障害物Oへ運転者の視線を誘導することができる。また、発光領域111R1の点灯態様が、他の発光領域の点灯態様と異なるため、運転者は注意するべき方向を識別しやすくなる。
【0051】
車両用室内灯装置110は、各発光領域の近くに設けられ、車両20と障害物Oとの距離を示す表示部113を備えてもよい(
図1)。例えば
図2及び
図4に示されるように、車両20のダッシュボード21上にある発光領域111Fの左端には表示部113FLが配置される。発光領域111Fの右端には表示部113FRが配置される。発光領域111Lの後端には表示部113RLが配置される。発光領域111Rの後端には表示部113RRが配置される。
【0052】
図5及び
図6は、表示部113の点灯態様の一例を例示している。各表示部113の構成は同じである。
図5及び
図6に示すように表示部113は、複数の表示領域113A、113B、113C、113Dを含む。
【0053】
制御部112は、車両20と障害物Oとの距離に応じて、表示部113の点灯態様を変更するよう構成されている。具体的には、制御部112は、各センサ131から信号I31を取得すると、信号I31に基づいて、車両20と障害物Oとの距離を判断する。そして制御部112は、この距離に応じた表示領域を点灯させる。例えば、車両20と障害物Oとの距離が200cm以上の場合、制御部112は、全ての表示領域113A、113B、113C、113Dを例えば黄色に点灯させてもよい(
図5)。車両20と障害物Oとの距離が100cm以下の場合、制御部112は、一部の表示領域113A、113Bを赤色に点滅させてもよい(
図6)。
【0054】
このように車両20と障害物Oとの距離を示す表示部113が、各発光領域近傍に設けられているため、運転者は、障害物Oを直接目視しつつ、表示部113を確認することで視線を大きく移動させることなく、車両20と障害物Oとの距離を定量的に把握することができる。さらに表示部の点灯態様の変化により、運転者は車両20と障害物Oとの距離をより把握しやすくなる。
【0055】
なお変形例1の制御部112は、複数の電波強度センサ132に代えて、複数のアクティブ型のセンサ131と通信可能に接続されていたが、複数の電波強度センサ132に加えて、複数のアクティブ型のセンサ131と通信可能に接続されていてもよい。表示部113が備える表示領域の数は四つに限定されず、複数であればよい。表示部113は、各発光領域と一体的に設けられていてもよい。
【0056】
表示部113に代えて、各発光領域が車両20と障害物Oとの距離を示すように点灯してもよい。例えば障害物Oが車両20の右後方にある場合であって、車両20と障害物Oとの距離が200cm以上の場合、制御部112は、発光領域111R全体を点灯させてもよい。例えば車両20と障害物Oとの距離が100cm以下の場合、制御部112は、発光領域111R1を点灯あるいは点滅させてもよい。
【0057】
(第一実施形態の変形例2)
各センサ131は、マイクロフォンであってもよい。各マイクロフォンは、例えば、パトカーや救急車を含む緊急車両が発する音波の強度に応じた信号I31を、制御部112へ出力するよう構成されている。各マイクロフォンが受信した受信タイミングや音圧差が異なる場合に、制御部112は、緊急車両の車両20に対する方向や距離を計測しえる。
【0058】
さらに制御部112は、外部カメラ136と通信可能に接続されていてもよい。外部カメラ136は、車両20の周辺環境を検出するように構成されている。特に、外部カメラ136は、車両20の周辺環境を示す画像データを取得した上で、当該画像データを含む信号I36を制御部112に出力するように構成されている。制御部112は、出力された画像データに基づいて、周辺環境情報を特定してもよい。外部カメラ136は、例えば、CCD(Charge-Coupled Device)やCMOS(相補型MOS)等の撮像素子を含むカメラである。カメラは、単眼カメラとしても構成されてもよいし、ステレオカメラとして構成されてもよい。各外部カメラ136がステレオカメラの場合、制御部112は、視差を利用することで、ステレオカメラによって取得された2以上の画像データに基づいて、車両20と車両20の外部に存在する対象物との間の距離を特定することもできる。
【0059】
次に、変形例2において制御部112により実行される処理を説明する。ここでは対象物として緊急車両Eが車両20の右後方から車両20へ近づいてくる場合について説明する。
【0060】
例えば、緊急車両Eが車両20の右後方から車両20へ近づいてくる場合(
図3)、外部カメラ136は緊急車両Eが備えるパトランプを検出するとともに、パトランプを示す画像データを含む信号I36を制御部112へ出力する。制御部112は、外部カメラ136から信号I36を取得すると、信号I36に基づいて、緊急車両Eの車両20に対する方向及び距離を判断する。制御部112は、例えば緊急車両Eの車両20に対する方向として右後方を判断すると、複数の発光領域のうち、判断した右後方に対応する発光領域を、他の発光領域とは異なる態様で点灯させる。
【0061】
外部カメラ136は緊急車両Eが備えるパトランプを検出できない場合には、各センサ131は緊急車両Eが発する音波を受信するとともに、受信した音波の強度に応じた信号I31を制御部112へ出力する。本変形例2の場合、センサ131RRが緊急車両Eに最も近いため、センサ131RRから出力される信号I31の出力が最も高い。また、センサ131FRは、センサ131FL及び131RLと比べると緊急車両Eに近いため、センサ131FRから出力される信号I31の出力も比較的高い。センサ131FL及び131RLは緊急車両Eから離れているため、信号I31をほとんど出力しない。
【0062】
制御部112は、各センサ131から信号I31を取得すると、信号I31に基づいて、緊急車両Eの車両20に対する方向を判断する。本変形例2の場合、センサ131RRから出力される信号I31の出力が最も高いため、制御部112は緊急車両Eが車両20の右後方にいると判断する。
【0063】
制御部112は、緊急車両Eの車両20に対する方向として右後方を判断すると、複数の発光領域のうち、判断した右後方に対応する発光領域を、他の発光領域とは異なる態様で点灯させる。室内灯111の点灯態様は、第一実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0064】
緊急車両Eから発せられる音波だけでは、運転者は、どの方向から緊急車両Eが車両20に近づいてきているのか分からない場合がある。しかしながら変形例2の車両用室内灯装置110は、緊急車両Eの車両20に対する方向(本変形例2では右後方)に応じて、複数の発光領域の一部である発光領域111R1を、他の発光領域と異なる点灯態様で点灯させて、緊急車両Eへ運転者の視線を誘導することができる。また、発光領域111R1の点灯態様が、他の発光領域の点灯態様と異なるため、運転者は注意するべき方向を識別しやすくなる。
【0065】
(第二実施形態)
第二実施形態に係る車両用室内灯装置110Aは、方向指示器137の操作に応じて、その指し示す方向に位置する発光領域が点灯し、運転者の視線をその方向に誘導する。
図7は、第二実施形態に係る車両用室内灯装置110Aの構成を例示している。
図7に示す構成において、
図1に示した構成と同一の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
図8は、車両用室内灯装置110Aが配置される車両20の室内の構成を例示している。
図8に示す構成において、
図2に示した構成と同一の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0066】
図7に示すように、制御部112は、方向指示器137、操舵装置138、サイドミラー139にそれぞれ通信可能に接続されている。方向指示器137は、右方向指示器137Rと、左方向指示器137Lと、を有している。サイドミラー139は、右サイドミラー139Rと、左サイドミラー139Lと、を有している。
図8に示すように、右方向指示器137R、左方向指示器137L、操舵装置138、右サイドミラー139R、左サイドミラー139Lはそれぞれ、車両20に設けられている。
【0067】
右方向指示器137Rは、操作されると、方向指示器137が右方へ操作されたことを示す信号I37を制御部112Aへ出力するよう構成されている。左方向指示器137Lは、操作されると、方向指示器137が左方へ操作されたことを示す信号I37を制御部112Aへ出力するよう構成されている。操舵装置138は、右方に操作されると、その旨を示す信号I38を制御部112Aへ出力するよう構成されている。さらに操舵装置138は、左方に操作されると、その旨を示す信号I38を制御部112Aへ出力するよう構成されている。サイドミラー139は、制御部112Aから信号I39を受信して、右サイドミラー139Rあるいは左サイドミラー139Lに表示される表示形態を点灯あるいは変更するよう構成されている。
【0068】
制御部112Aは、車両20の運転状況に応じて、室内灯111の少なくとも一部を点灯させるよう構成されている。室内灯111は、車両20の運転席Sの右方に設けられた発光領域111Rと、運転席Sの左方に設けられた発光領域111Lと、を有する。制御部112Aは、発光領域111Rと、発光領域111Lとを制御するよう構成されている。発光領域111Rは、右室内灯の一例である。発光領域111Lは左室内灯の一例である。
【0069】
図9は、第二実施形態において制御部112Aにより実行される処理の流れを例示している。まず制御部112Aは、方向指示器137が操作されたか否かを判断する(STEP1)。具体的に制御部112Aは、右方向指示器137Rからも、左方向指示器137Lからも信号I37を受信していないと(STEP1においてNO)、STEP1の前に戻る。
【0070】
制御部112Aは、右方向指示器137Rまたは左方向指示器137Lから信号I37を受信すると(STEP1においてYES)、当該信号I37が右方向指示器137Rから受信したか否かを判断する(STEP2)。車両20の運転者は、右側へ車線変更する際に、右方向指示器137Rを操作する。すると右方向指示器137Rは信号I37を制御部112Aへ出力する。制御部112Aは、右方向指示器137Rから信号I37を受信すると(STEP2においてYES)、方向指示器137が右方に操作されたと判断する。一方、車両20の運転者は、左側へ車線変更する際に、左方向指示器137Lを操作する。すると左方向指示器137Lは信号I37を制御部112Aへ出力する。制御部112Aは、左方向指示器137Lから信号I37を受信すると、右方向指示器137Rからは信号I37を受信していないとして(STEP2においてNO)、方向指示器137が左方に操作されたと判断する。
【0071】
方向指示器137が右方に操作されたと判断すると、制御部112Aは、発光領域111Rを点灯させる(STEP3)。方向指示器137が左方に操作されたと判断すると、制御部112Aは、発光領域111Rを点灯させる(STEP4)。各発光領域の点灯態様として、各発光領域が消灯から点灯あるいは点灯から点滅へ変化してもよいし、例えば青から赤へ色が変化してもよい。また発光領域の点灯態様として、各発光領域の一部が、車両20の前方から後方へ流れるように、動的に点灯してもよい(
図8)。
【0072】
その後制御部112Aは、操舵装置138が操作されたか否かを判断する(STEP6)。具体的には、車両20の運転者は、方向指示器137(右方向指示器137Rまたは左方向指示器137L)を操作した後、操舵装置138を操作して、車両20を変更先の車線へ移動させる。このとき制御部112Aは、操舵装置138から信号I38を受信したか否かを判断する。制御部112Aは、操舵装置138から信号I38を受信していないと(STEP6においてNO)、STEP6の前に戻る。
【0073】
制御部112Aは、操舵装置138から信号I38を受信すると(STEP6においてYES)、当該信号I38に基づき、操舵装置138が右方に操作されたか否かを判断する(STEP7)。制御部112Aは、操舵装置138が右方に操作されたと判断すると(STEP7においてYES)、点灯していた発光領域111Rを消灯させる(STEP8)。制御部112Aは、操舵装置138が左方に操作されたと判断すると(STEP7においてNO)、点灯していた発光領域111Lを消灯させる(STEP9)。制御部112Aは、発光領域111Rまたは発光領域111Lを消灯させると、処理を終了する。
【0074】
車両20が車線変更を行う場合、車両20の運転者は変更先の車線を直接目視することが好ましい。本実施形態の車両用室内灯装置110Aによれば、車両20の運転状況に応じて、制御部112Aが室内灯111の少なくとも一部を点灯させる。このため車両用室内灯装置110Aは、目視するべき変更先の車線へ運転者の視線を誘導することができる。
【0075】
車両用室内灯装置110Aによれば、右方向指示器137Rが操作された場合(方向指示器137が右方に操作された場合)、制御部112Aは発光領域111Rを点灯させる。左方向指示器137Lが操作された場合(方向指示器137が左方に操作された場合)、制御部112Aは発光領域111Lを点灯させる。このため車両用室内灯装置110Aは、車両20が右方へ車線変更を行う場合には、運転者に対して運転席Sの右方へ、車両20が左方へ車線変更を行う場合には、運転者に対して運転席Sの左方へ、視線を誘導することができる。
【0076】
車両用室内灯装置110Aによれば、操舵装置138が右方に操作された場合、制御部112Aは発光領域111Rを消灯させ、操舵装置138が左方に操作された場合、制御部112Aは発光領域111Lを消灯させる。操舵装置138が操作される場合、運転者が目視するべき変更先の車線へ視線を向けた可能性が高い。このような状況において発光領域が点灯していると、運転者にとって煩わしい場合がある。しかしながら車両用室内灯装置110Aは、このような状況では室内灯111を消灯させるため、煩わしい照明を低減させることができる。
【0077】
(第二実施形態の変形例1)
車両用室内灯装置110Aは、変更先の車線に他車両が存在するか否かによって、発光領域の点灯態様を変更してもよい。
図10は、第二実施形態の変形例1において制御部112Aにより実行される、発光領域111Rの点灯態様の変更の流れを例示している。
図10に示す処理は、
図9に示したSTEP3の詳細を例示している。発光領域111Lの点灯態様の変更と、発光領域111Rの点灯態様の変更は同じであるため、説明を省略する。
【0078】
図10に示すように制御部112Aは、方向指示器137が右方に操作されたと判断すると、変更先の車線に他車両が存在するか否かを判断する(STEP31)。例えば、センサ131であるLiDARユニットが車両20の周辺環境を示す信号I31を取得し、当該信号I31を制御部112Aに出力する。制御部112Aは、信号I31を受信して、変更先の車線に他車両が存在するか否かを判断してもよい。例えば、電波強度センサ132が、他車両が発する信号を受信するとともに、そのことを示す信号I32を制御部112Aに出力する。制御部112Aは、信号I32を受信して、変更先の車線に他車両が存在するか否かを判断してもよい。例えば外部カメラ136が、車両20の周辺環境を示す画像データを取得した上で、当該画像データを含む信号I36を制御部112Aに出力する。制御部112Aは、信号I36を受信して、変更先の車線に他車両が存在するか否かを判断してもよい。
【0079】
制御部112Aは、変更先の車線に他車両が存在しないと判断すると(STEP31においてNO)、発光領域111Rを第一の態様で光らせる(STEP32)。例えば制御部112Aは、発光領域111Rを青く点灯させる。その後制御部112Aは処理をSTEP6へ進める(
図9)。
【0080】
制御部112Aは、変更先の車線に他車両が存在すると判断すると(STEP31においてYES)、車両20と他車両との距離が閾値以下か否かを判断する(STEP33)。制御部112Aは、センサ131から信号I31を受信して、車両20と他車両との距離を判断してもよい。制御部112Aは、電波強度センサ132から信号I32を受信して、車両20と他車両との距離を判断してもよい。制御部112Aは、外部カメラ136から信号I36を受信して、車両20と他車両との距離を判断してもよい。
【0081】
閾値は例えば10mである。例えば制御部112Aは、車両20と他車両との距離が10mを超えていると判断すると(STEP33でNO)、第二の態様で発光領域111Rを光らせる(STEP34)。例えば制御部112Aは、発光領域111Rを赤く点灯させる。その後制御部112は処理をSTEP6へ進める(
図9)。例えば制御部112Aは、車両20と他車両との距離が10m以内であると判断すると(STEP33でYES)、第三の態様で発光領域111Rを光らせる(STEP35)。例えば制御部112Aは、発光領域111Rを赤く点滅させる。その後制御部112は処理をSTEP6へ進める(
図9)。
【0082】
以上説明したように本実施形態の車両用室内灯装置110Aは、変更先である右車線に他車両が存在しない場合には(STEP31でNO)、発光領域111Rを第一の態様として青く点灯させ、右車線に他車両が存在する場合には(STEP31でYES)、発光領域111Rを第二の態様として赤く点灯させるか、発光領域111Rを第三の態様として赤く点滅させる。制御部112Aは、他車両の存在の有無によって発光領域111Rの点灯態様を変更するため、車両20の運転者は他車両の存在を認識しやすくなる。変更先の車線が左車線である場合においても、車両用室内灯装置110Aは同様の効果を奏する。
【0083】
本実施形態の車両用室内灯装置110Aは、変更先である右車線に他車両が存在する場合であって、車両20と他車両の距離が比較的長い場合には(STEP33でNO)、発光領域111Rを第二の態様として赤く点灯させ、車両20と他車両の距離が比較的短い場合には(STEP33でYES)、発光領域111Rを第三の態様として赤く点滅させる。制御部112Aは、車両20と他車両との距離に応じて発光領域111Rの点灯態様を変更するため、車両20の運転者は車両20と他車両との距離を認識しやすくなる。変更先の車線が左車線である場合においても、車両用室内灯装置110Aは同様の効果を奏する。
【0084】
(第二実施形態の変形例2)
車両用室内灯装置110Aは、運転席Sに着座している運転者の視点に応じて、点灯させた発光領域の点灯態様を変更してもよい。
図11は、第二実施形態の変形例2において制御部112Aにより実行される、発光領域111Rの点灯態様の変更の流れを例示している。
図11に示す処理は、
図9に示したSTEP3とSTEP6の間の処理を例示している。発光領域111Lの点灯態様の変更と、発光領域111Rの点灯態様の変更は同じであるため、説明を省略する。
【0085】
図11に示すように制御部112Aは、発光領域111Rの点灯後、運転者の視点が変更先の車線へ移動したか否かを判断する(STEP51)。具体的には、内部カメラ135が、運転席Sに着座している運転者を示す視点信号I35として画像データを取得し、当該信号I35を制御部112Aに出力する。制御部112Aは、信号I35を受信して、運転者が変更先の車線へ移動したか否かを判断する。
【0086】
制御部112Aは、運転者の視点が変更先の車線へ移動していないと判断すると(STEP51においてNO)、点灯していた発光領域111Rを点滅させる(STEP52)。例えば制御部112Aは、青く点灯させていた発光領域111Rを青く点滅させる。制御部112Aは、青く点灯させていた発光領域111Rを赤く点灯させてもよいし、赤く点滅させてもよい。制御部112Aは、点滅させていた発光領域111Rの点滅周期を短くしてもよい。その後制御部112は処理をSTEP6へ進める(
図9)。
【0087】
制御部112Aは、運転者の視点が変更先の車線へ移動したと判断すると(STEP51においてYES)、点灯していた発光領域111Rを消灯させる(STEP53)。例えば制御部112Aは、青く点灯させていた発光領域111Rを消灯させる。制御部112Aは、赤く点灯させていた発光領域111Rを青く点灯させてもよいし、赤く点滅させていた発光領域111Rを赤くあるいは青く点灯させてもよい。制御部112Aは、点滅させていた発光領域111Rの点滅周期を長くしてもよい。その後制御部112は処理をSTEP6へ進める(
図9)。制御部112Aは、STEP53において発光領域111Rを消灯させた場合、続くSTEP6からSTEP8を行うことなく処理を終了してもよい。
【0088】
以上説明したように本実施形態の車両用室内灯装置110Aは、運転席Sに着座している運転者が変更先の車線へ視点を向けていない場合、発光領域111Rの点灯態様を、点灯から点滅、光の色あるいは点滅周期を変えて強調することで、運転者に対して注意を促すことができる。さらに車両用室内灯装置110Aは、運転者が変更先の車線へ視線を向けていることが確認できた場合には、発光領域111Rの点灯態様を、点灯から点滅、光の色あるいは点滅周期を変えて弱めることで、煩わしい照明を低減させることができる。変更先の車線が左車線である場合においても、車両用室内灯装置110Aは同様の効果を奏する。
【0089】
(第二実施形態のその他の変形例)
車両用室内灯装置110Aは、車両20が車線変更禁止領域を走行している場合と、車両20が前記車線変更禁止領域を走行していない場合とで、発光領域111Rの点灯態様を異ならせてもよい。例えば制御部112Aは、GPS133から車両20の位置情報を含む信号I33を取得し、記憶装置34から地図情報を含む信号I34を取得し、信号I33と信号I34に基づいて車両20が車線変更禁止領域に近づいたか、あるいは走行しているかを判断する(
図7)。制御部112Aは、方向指示器137が操作される前に判断してもよいし(
図9のSTEP1前)、方向指示器137が右方または左方に操作された後に判断してもよい(
図9のSTEP2後)。
【0090】
制御部112Aは、車両20が車線変更禁止領域に近づいた、あるいは走行していると判断すると、点灯していた発光領域111Rを点滅させてもよい。例えば制御部112Aは、青く点灯させていた発光領域111Rを青く点滅させる。制御部112Aは、青く点灯させていた発光領域111Rを赤く点灯させてもよいし、赤く点滅させてもよい。制御部112Aは、点滅させていた発光領域111Rの点滅周期を短くしてもよい。
【0091】
制御部112Aは、車両20が車線変更禁止領域から遠い、あるいは走行していないと判断すると、点滅していた発光領域111Rを点灯させてもよい。例えば制御部112Aは、赤く点灯させていた発光領域111Rを青く点灯させてもよいし、赤く点滅させていた発光領域111Rを赤くあるいは青く点灯させてもよい。制御部112Aは、点滅させていた発光領域111Rの点滅周期を長くしてもよい。
【0092】
このように車両用室内灯装置110Aによれば、運転者が車線変更禁止領域内において車線変更を行おうとしている場合、発光領域111Rの点灯態様を点灯から点滅、光の色あるいは点滅周期を変えて強調することで、車線変更禁止領域の存在を示すことができる。一方車両20が車線変更禁止領域から遠いあるいは走行していない場合には、発光領域111Rの点灯態様を、点灯から点滅、光の色あるいは点滅周期を変えて弱めることで、煩わしい照明を低減させることができる。変更先の車線が左車線である場合においても、車両用室内灯装置110Aは同様の効果を奏する。
【0093】
車両用室内灯装置110Aの制御部112Aは、車両20の右サイドミラー139Rの照明と連動して、発光領域111Rの点灯態様を異ならせてもよい。制御部112Aは、発光領域111Rを点灯させると同時に右サイドミラー139Rの表示形態を点灯させてもよい(例えば
図9のSTEP3と同時)。制御部112Aは、発光領域111Rと点灯させる前に、または後に、右サイドミラー139Rの表示形態を点灯させてもよい(例えば
図9のSTEP3前または後)。制御部112Aは、発光領域111Rを消灯させると同時に右サイドミラー139Rの表示形態を消灯させてもよい(例えば
図9のSTEP8と同時)。制御部112Aは、発光領域111Rを消灯させる前に、または後に、右サイドミラー139Rの表示形態を消灯させてもよい(例えば
図9のSTEP8前または後)。
【0094】
例えば制御部112Aは、発光領域111Rの点灯態様を点灯から点滅へ変更させると、右サイドミラー139Rへ信号I39を出力し、右サイドミラー139Rに表示される表示形態を点灯から点滅へ変更させてもよい。同様にして制御部112Aは、発光領域111Rの点灯態様を点滅から点灯へ、光の色あるいは点滅周期を変えると、右サイドミラー139Rへ信号I39を出力し、右サイドミラー139Rに表示される表示形態を点滅から点灯へ、光の色あるいは点滅周期を変更させてもよい。
【0095】
このように車両用室内灯装置110Aは、右サイドミラー139Rと連動することで、より安全に車線変更を支援することができる。変更先の車線が左車線である場合においても、車両用室内灯装置110Aは左サイドミラー139Lと連動して、同様の効果を奏する。なお、西日、霧、雨、雪などの天候状況によっては、車両20の運転者は、右サイドミラー139Rあるいは左サイドミラー139Lの表示態様を判断することが困難な場合があったが、車両用室内灯装置110Aはこのような場合でも、発光領域111Rあるいは発光領域111Lの点灯態様を通じて、より安全に車線変更を支援することができる。
【0096】
以上、本開示の実施形態について説明をしたが、本開示の技術的範囲が本実施形態の説明によって限定的に解釈されるべきではないのは言うまでもない。本実施形態は単なる一例であって、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において、様々な実施形態の変更が可能であることが当業者によって理解されるところである。本開示の技術的範囲は特許請求の範囲に記載された発明の範囲及びその均等の範囲に基づいて定められるべきである。
【符号の説明】
【0097】
110、110A 車両用室内灯装置
111 室内灯
111A 光源ユニット
111F、111R、111R1、111L、発光領域
112、112A 制御部
113、113FR、113FL、113RR、113RL 表示部
113A、113B、113C、113D:表示領域
20 車両
21 ダッシュボード
22R 右ドア
22L 左ドア
131 センサ
132 電波強度センサ
133 GPS
134 記憶装置
135 内部カメラ
136 外部カメラ
137 方向指示器
137R 右方向指示器
137L 左方向指示器
138 操舵装置
139 サイドミラー
139R 右サイドミラー
139L 左サイドミラー