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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024023046
(43)【公開日】2024-02-21
(54)【発明の名称】地絡検出システム
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/52 20200101AFI20240214BHJP
   H02H 3/34 20060101ALI20240214BHJP
   H02M 7/48 20070101ALI20240214BHJP
【FI】
G01R31/52
H02H3/34 M
H02M7/48 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022126593
(22)【出願日】2022-08-08
(71)【出願人】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】東芝三菱電機産業システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】今井 尚弘
【テーマコード(参考)】
2G014
5H770
【Fターム(参考)】
2G014AA04
2G014AB09
5H770BA01
5H770CA02
5H770DA22
5H770DA30
5H770JA17W
5H770JA17Y
5H770LA06X
5H770LB09
(57)【要約】
【課題】電圧型変換器において、地絡発生時、電源と、インバータを含む構成との間を遮断した状態で地絡の発生箇所を判定することができる地絡検出システムを提供する。
【解決手段】地絡検出システムは、周波数変換装置と、周波数変換装置の入力側に設けられた第1遮断器と、周波数変換装置の出力側に設けられた第2遮断器と、周波数変換装置に設けられた地絡検出装置と、少なくとも第1遮断器、第2遮断器、及び地絡検出装置と接続された制御部と、を備える。制御部は、地絡検出装置で地絡が検出された場合、第2遮断器をONに維持したまま第1遮断器をOFFに切り替える。更に、制御部は、第1遮断器がOFF且つ第2遮断器がONの状態で地絡検出装置で地絡が検出されなかった場合、地絡の発生箇所を第1遮断器の外側であると判定する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周波数変換装置と、
前記周波数変換装置の入力側に設けられた第1遮断器と、
前記周波数変換装置の出力側に設けられた第2遮断器と、
前記周波数変換装置に設けられた地絡検出装置と、
少なくとも前記第1遮断器、前記第2遮断器、及び前記地絡検出装置と接続された制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記地絡検出装置で地絡が検出された場合、前記第2遮断器をONに維持したまま前記第1遮断器をOFFに切り替え、
前記第1遮断器がOFF且つ前記第2遮断器がONの状態で前記地絡検出装置で地絡が検出されなかった場合、地絡の発生箇所を前記第1遮断器の外側であると判定する、ように構成されている
地絡検出システム。
【請求項2】
請求項1に記載の地絡検出システムであって、
前記制御部は、
前記第1遮断器がOFF且つ前記第2遮断器がONの状態で前記地絡検出装置で地絡が検出された場合、前記第2遮断器をOFFに切り替え、
前記第1遮断器がOFF且つ前記第2遮断器がOFFの状態で前記地絡検出装置により地絡が検出された場合、地絡の発生箇所を前記周波数変換装置であると判定し、
前記第1遮断器がOFF且つ前記第2遮断器がOFFの状態で前記地絡検出装置により地絡が検出されなかった場合、地絡の発生箇所を前記第2遮断器の外側であると判定する、ように構成されている
地絡検出システム。
【請求項3】
周波数変換装置と、
前記周波数変換装置の入力側に設けられた第1遮断器と、
前記周波数変換装置の出力側に設けられた第2遮断器と、
前記周波数変換装置に設けられた地絡検出装置と、
少なくとも前記第1遮断器、前記第2遮断器、及び前記地絡検出装置と接続された制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記地絡検出装置で地絡が検出された場合、前記第1遮断器と前記第2遮断器とをともにOFFに切り替え、
前記第1遮断器がOFF且つ前記第2遮断器がOFFの状態で前記地絡検出装置で地絡が検出された場合、地絡の発生箇所を前記周波数変換装置であると判定する、ように構成されている
地絡検出システム。
【請求項4】
請求項3に記載の地絡検出システムであって、
前記制御部は、
前記第1遮断器がOFF且つ前記第2遮断器がOFFの状態で前記地絡検出装置で地絡が検出されなかった場合、前記第2遮断器をONに切り替え、
前記第1遮断器がOFF且つ前記第2遮断器がONの状態で前記地絡検出装置により地絡が検出された場合、地絡の発生箇所を前記第2遮断器の外側であると判定し、
前記第1遮断器がOFF且つ前記第2遮断器がONの状態で前記地絡検出装置により地絡が検出されなかった場合、地絡の発生箇所を前記第1遮断器の外側であると判定する、ように構成されている
地絡検出システム。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の地絡検出システムであって、
前記周波数変換装置は、3つの単相周波数変換部で構成され、
前記3つの単相周波数変換部のそれぞれは、入力交流電圧を直流電圧に変換するコンバータと、前記直流電圧を出力交流電圧に変換するインバータと、を含み、
前記地絡検出装置は、前記3つの単相周波数変換部の出力側と接地との間に1つ接続され、
前記制御部は、
地絡の発生箇所が前記周波数変換装置であると判定された場合、
前記3つの単相周波数変換部を個別に動作させたときに取得される3つの中性点電圧又は中性点と接地点間を流れる電流のそれぞれと、前記直流電圧との比率を算出し、
前記比率が閾値以上となる中性点電圧の出力元である単相周波数変換部に地絡の発生箇所が含まれると判定する、ように構成されている
地絡検出システム。
【請求項6】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の地絡検出システムであって、
前記周波数変換装置は、3つの単相周波数変換部で構成され、
前記3つの単相周波数変換部のそれぞれは、入力交流電圧を直流電圧に変換するコンバータと、前記直流電圧を出力交流電圧に変換するインバータと、を含み、
前記地絡検出装置は、前記3つの単相周波数変換部の出力側と接地との間に1つ接続され、
前記制御部は、
地絡の発生箇所が前記周波数変換装置であると判定された場合、
前記3つの単相周波数変換部を個別に動作させたときに取得される3つの中性点電圧又は中性点と接地点間を流れる電流のそれぞれと、前記直流電圧との比率を算出し、
前記比率が最大となる中性点電圧の出力元である単相周波数変換部に地絡の発生箇所が含まれると判定する、ように構成されている
地絡検出システム。
【請求項7】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の地絡検出システムであって、
前記制御部は、
前記第1遮断器がOFF且つ前記第2遮断器がOFFの状態で前記地絡検出装置で地絡が検出された場合、前記周波数変換装置のインバータをゲートブロックの状態にし、
前記インバータがゲートブロックの状態で前記地絡検出装置で前記地絡が検出された場合、前記地絡検出装置の誤動作と判定する、ように構成されている
地絡検出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、地絡の発生箇所を判定する地絡検出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、地絡発生時、地絡の発生箇所がインバータ側か電動機側かを特定する技術を開示する。この技術では、地絡発生時において、インバータと電動機との間に設けられた第2遮断器をOFFに切り替えることにより、インバータに設けられた地絡検出装置の状態に基づいて、地絡の発生箇所の判定が行われる。
【0003】
具体的には、第2遮断器をOFFに切り替えた状態において、地絡検出装置で地絡が検出される場合、地絡の発生箇所がインバータ側に含まれると判定される。この場合、インバータと電源との間に設けられた第1遮断器がOFFに切り替えられ、電源と電動機との間に設けられた第3遮断器がONに切り替えられる。これにより、インバータで地絡が発生しても電動機の運転が継続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3831702号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
但し、地絡発生時において、第1遮断器をONに維持したまま地絡の発生箇所の判定が行われる。地絡の発生箇所が電源である場合、不安定な電源がインバータに供給されてしまうおそれがある。また、地絡の発生箇所がインバータ側に含まれると判定された場合であっても、地絡の発生箇所が電源であるとき、不安定な電源が電動機に供給され、その状態で電動機の運転が継続されてしまうおそれがある。尚、電源を停止させた状態で地絡の発生箇所の判定を行うとき、インバータ側が電流型変換器で構成されている場合、電源が停止するとインバータの動作が中断される。従って、この構成では、電源側、インバータ側、及び電動機側がそれぞれ切り離された状態で個別に地絡の発生箇所の判定が必要とされることから、地絡の発生箇所を容易に判定することができない。
【0006】
本開示の1つの目的は、電圧型変換器において、地絡発生時、電源と、インバータを含む構成との間を遮断した状態で地絡の発生箇所を判定することができる地絡検出システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の観点は、地絡検出システムに関連する。地絡検出システムは、周波数変換装置と、周波数変換装置の入力側に設けられた第1遮断器と、周波数変換装置の出力側に設けられた第2遮断器と、周波数変換装置に設けられた地絡検出装置と、少なくとも第1遮断器、第2遮断器、及び地絡検出装置と接続された制御部と、を備える。制御部は、地絡検出装置で地絡が検出された場合、第2遮断器をONに維持したまま第1遮断器をOFFに切り替える。更に、制御部は、第1遮断器がOFF且つ第2遮断器がONの状態で地絡検出装置で地絡が検出されなかった場合、地絡の発生箇所を第1遮断器の外側であると判定するように構成されている。
【0008】
第2の観点は、第1の観点に加えて、次の特徴を更に有する。制御部は、第1遮断器がOFF且つ第2遮断器がONの状態で地絡検出装置で地絡が検出された場合、第2遮断器をOFFに切り替える。更に、制御部は、第1遮断器がOFF且つ第2遮断器がOFFの状態で地絡検出装置により地絡が検出された場合、地絡の発生箇所を周波数変換装置であると判定する。また更に、制御部は、第1遮断器がOFF且つ第2遮断器がOFFの状態で地絡検出装置により地絡が検出されなかった場合、地絡の発生箇所を第2遮断器の外側であると判定するように構成されている。
【0009】
第3の観点は、地絡検出システムに関連する。地絡検出システムは、周波数変換装置と、周波数変換装置の入力側に設けられた第1遮断器と、周波数変換装置の出力側に設けられた第2遮断器と、周波数変換装置に設けられた地絡検出装置と、少なくとも第1遮断器、第2遮断器、及び地絡検出装置と接続された制御部と、を備える。制御部は、地絡検出装置で地絡が検出された場合、第1遮断器と第2遮断器とをともにOFFに切り替える。更に、制御部は、第1遮断器がOFF且つ第2遮断器がOFFの状態で地絡検出装置で地絡が検出された場合、地絡の発生箇所を周波数変換装置であると判定するように構成されている。
【0010】
第4の観点は、第3の観点に加えて、次の特徴を更に有する。制御部は、第1遮断器がOFF且つ第2遮断器がOFFの状態で地絡検出装置で地絡が検出されなかった場合、第2遮断器をONに切り替える。更に、制御部は、第1遮断器がOFF且つ第2遮断器がONの状態で地絡検出装置により地絡が検出された場合、地絡の発生箇所を第2遮断器の外側であると判定する。また更に、制御部は、第1遮断器がOFF且つ第2遮断器がONの状態で地絡検出装置により地絡が検出されなかった場合、地絡の発生箇所を第1遮断器の外側であると判定するように構成されている。
【0011】
第5の観点は、第1乃至第4の観点のいずれか一つの観点に加えて、次の特徴を更に有する。周波数変換装置は、3つの単相周波数変換部で構成される。3つの単相周波数変換部のそれぞれは、入力交流電圧を直流電圧に変換するコンバータと、直流電圧を出力交流電圧に変換するインバータと、を含む。地絡検出装置は、3つの単相周波数変換部の出力側と接地との間に1つ接続される。制御部は、地絡の発生箇所が周波数変換装置であると判定された場合、3つの単相周波数変換部を個別に動作させたときに取得される3つの中性点電圧又は中性点と接地点間を流れる電流のそれぞれと、直流電圧との比率を算出する。更に、制御部は、比率が閾値以上となる中性点電圧の出力元である単相周波数変換部に地絡の発生箇所が含まれると判定するように構成されている。
【0012】
第6の観点は、第1乃至第4の観点のいずれか一つの観点に加えて、次の特徴を更に有する。周波数変換装置は、3つの単相周波数変換部で構成される。3つの単相周波数変換部のそれぞれは、入力交流電圧を直流電圧に変換するコンバータと、直流電圧を出力交流電圧に変換するインバータと、を含む。地絡検出装置は、3つの単相周波数変換部の出力側と接地との間に1つ接続される。制御部は、地絡の発生箇所が周波数変換装置であると判定された場合、3つの単相周波数変換部を個別に動作させたときに取得される3つの中性点電圧又は中性点と接地点間を流れる電流のそれぞれと、直流電圧との比率を算出する。更に、制御部は、比率が最大となる中性点電圧の出力元である単相周波数変換部に地絡の発生箇所が含まれると判定するように構成されている。
【0013】
第7の観点は、第1乃至第4の観点のいずれか一つの観点に加えて、次の特徴を更に有する。制御部は、第1遮断器がOFF且つ第2遮断器がOFFの状態で地絡検出装置で地絡が検出された場合、周波数変換装置のインバータをゲートブロックの状態にする。更に、制御部は、インバータがゲートブロックの状態で地絡検出装置で地絡が検出された場合、地絡検出装置の誤動作と判定するように構成されている。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、地絡検出システムは、地絡検出装置で地絡が検出された場合、第2遮断器をONに維持したまま第1遮断器をOFFに切り替える。更に、地絡検出システムは、第1遮断器がOFF且つ第2遮断器がONの状態で地絡検出装置で地絡が検出されなかった場合、地絡の発生箇所を第1遮断器の外側であると判定する。これにより、地絡の発生箇所が電源である場合、不安定な電源が電動機に供給されないようにすることができる。従って、地絡発生時、電源と、インバータを含む構成との間を遮断した状態で地絡の発生箇所を容易に判定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施の形態1に係る地絡検出システムの構成例を示すブロック図である。
図2】実施の形態1に係る地絡検出システムの制御部における地絡の発生箇所の第1の判定例を示す図である。
図3】実施の形態1に係る地絡検出システムの制御部における第1の処理例を示すフローチャートである。
図4】実施の形態1に係る地絡検出システムの制御部における地絡の発生箇所の第2の判定例を示す図である。
図5】実施の形態1に係る地絡検出システムの制御部における第2の処理例を示すフローチャートである。
図6】実施の形態1に係る地絡検出システムの制御部における第3の処理例を示すフローチャートである。
図7】実施の形態2に係る地絡検出システムの構成例を示すブロック図である。
図8】実施の形態2に係る地絡検出システムの制御部における地絡発生箇所の判定例を示す図である。
図9】実施の形態2に係る地絡検出システムの制御部における処理例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
添付図面を参照して、本開示の実施の形態を説明する。
【0017】
1.実施の形態1
1-1.地絡検出システムの構成例
図1は、実施の形態1に係る地絡検出システム1の構成例を示すブロック図である。地絡検出システム1は、例えば、モータ等の電動機の回転速度を制御する周波数変換装置を含む電動機システムの異常検出用として、工場設備等に適用される。
【0018】
図1に示すように、地絡検出システム1は、周波数変換装置20と、周波数変換装置20に供給する交流電圧(以降、入力交流電圧と称す)を生成する電源10と、周波数変換装置20から出力される交流電圧(以降、出力交流電圧と称す)によって駆動される電動機30と、を備えている。電源10は、商用電源のみの構成であってもよいし、商用電源と変圧器を含む構成であってもよい。電動機30は、周波数変換装置20から出力される出力交流電圧により駆動される負荷の一例である。
【0019】
周波数変換装置20は、周波数変換装置20の入力側に設けられ、電源10と接続された第1遮断器21と、電源10から供給される入力交流電圧を直流電圧に変換するコンバータ22と、直流電圧の平滑化を行う直流コンデンサ29と、平滑化された直流電圧を任意の電圧や周波数の交流電圧に変換して出力するインバータ23と、周波数変換装置20の出力側に設けられた第2遮断器24と、インバータ23の中性点の電圧を示す中性点電圧と接地との間に接続された地絡検出装置25と、を含んで構成されている。例えば、インバータ23が3レベルインバータである場合、直流コンデンサ29は直流回路の正極側直流線路51aと中性線51cとの間に接続され、更に、別の直流コンデンサ29は直流回路の負極側直流線路51bと中性線51cとの間に接続される。中性点とは3レベルインバータの直流回路の中性線51cと接続された部分を意味する。あるいは、2つの出力端子を有する単相インバータを3つスター結線したときの当該スター結線の中心部を意味する。尚、図1に示すインバータ23は、3レベルインバータの例を示しており、周波数変換装置20は、電圧型変換器で構成されている。また、図1に示すように、コンバータ22、インバータ23、直流コンデンサ29、正極側直流線路51a、負極側直流線路51b、及び中性線51cを含む構成を周波数変換部52と称してもよい。
【0020】
地絡検出システム1は、更に、制御部40を備えている。制御部40は、少なくとも第1遮断器21と、第2遮断器24と、地絡検出装置25とに接続されている。制御部40は、電源10と周波数変換装置20の接続及び遮断を切り替える第1遮断器21の制御と、周波数変換装置20と電動機30の接続及び遮断を切り替える第2遮断器24の制御と、を実行する。
【0021】
制御部40は、更に、地絡検出装置25の状態を監視する。地絡検出装置25の状態を監視するとは、例えば、地絡検出装置25で地絡が検出されたか否かの地絡検出情報を取得することである。具体的には、地絡検出情報は、1(地絡検出あり)、0(地絡検出なし)等で表せられる。地絡検出情報が1(地絡検出あり)である場合、制御部40は、少なくとも第1遮断器21をOFFに切り替える制御を行う。
【0022】
上述した地絡検出あり/地絡検出なしの判定は地絡検出装置25で行われる。具体的には、中性点電圧に基づいて、地絡検出あり/地絡検出なしが判定される。例えば、中性点電圧が所定の電圧以上である場合、1(地絡検出あり)と判定され、中性点電圧が所定の電圧未満である場合、0(地絡検出なし)と判定される。尚、地絡が検出されていない状態であっても、周波数変換装置20が運転中の場合、中性点には、電源周波数の高調波成分と、インバータ出力周波数の高調波成分やキャリア周波数成分とのうち、少なくとも1つを含む電圧が発生する。従って、所定のフィルタ等を用いて、これらの高調波成分を除去してから地絡検出装置25による地絡検出あり/地絡検出なしの判定が行われてもよい。
【0023】
制御部40は、図1に示すように、周波数変換装置20の外側に設けられてもよいし、周波数変換装置20の内側に設けられてもよい。また、制御部40は、IC部品等で構成された回路であってもよいし、情報処理装置(コンピュータ等)で構成されてもよい。
【0024】
1-2.地絡の発生箇所の第1の判定例
図2は、地絡検出システム1の制御部40における地絡発生箇所の第1の判定例を示す図である。制御部40は、地絡検出情報が1(地絡検出あり)である場合、第2遮断器24をONに維持したまま第1遮断器21をOFFに切り替える。この状態で、周波数変換装置20の運転が行われる。従って、制御部40は、第1遮断器21がOFF且つ第2遮断器24がONの状態、つまり、周波数変換装置20と電源10が遮断されている状態且つ周波数変換装置20と電動機30が接続されている状態で、地絡の発生箇所を判定する。
【0025】
尚、制御部40により判定される地絡の発生箇所は、地絡検出情報が1(地絡検出あり)の場合のパターン(図2に示すパターンA1)と、地絡検出情報が0(地絡検出なし)の場合のパターン(図2に示すパターンA2)とで異なる。地絡検出情報がパターンA1の場合、制御部40は、地絡の発生箇所が第1遮断器21の外側(すなわち、第1遮断器21より電源10側)であると判定する。一方、地絡検出情報がパターンA2の場合、制御部40は、地絡の発生箇所が周波数変換装置20又は第2遮断器24の外側(すなわち、第2遮断器24より電動機30側)であると判定する。
【0026】
地絡の発生箇所の判定結果が図2に示すパターンA2の場合、地絡の発生箇所には、周波数変換装置20と、第2遮断器24の外側との2つが含まれる。この場合、地絡の発生箇所が特定されていない状態であるため、更に、地絡の発生箇所を判定する仕組みが必要とされる。従って、地絡の発生箇所の判定結果がパターンA2の場合、制御部40は、更に、第1遮断器21をOFFに維持したまま第2遮断器24をOFFに切り替える。この状態で、周波数変換装置20の運転が行われる。ゆえに、制御部40は、第1遮断器21がOFF且つ第2遮断器24がOFFの状態、つまり、周波数変換装置20と電源10が遮断されている状態且つ周波数変換装置20と電動機30が遮断されている状態で、地絡の発生箇所を判定する。
【0027】
尚、制御部40により判定される地絡の発生箇所は、地絡検出情報が1(地絡検出あり)の場合のパターン(図2に示すパターンA3)と、地絡検出情報が0(地絡検出なし)の場合のパターン(図2に示すパターンA4)とで異なる。地絡検出情報がパターンA3の場合、制御部40は、地絡の発生箇所が周波数変換装置20であると判定する。尚、地絡の発生箇所が周波数変換装置20であるとは、地絡の箇所が、周波数変換装置20と第1遮断器21の接続点から周波数変換装置20と第2遮断器24の接続点までの間に存在することを意味している。一方、地絡検出情報がパターンA4の場合、制御部40は、地絡の発生箇所が第2遮断器24の外側であると判定する。
【0028】
このように、実施の形態1に係る地絡検出システム1は、地絡検出装置25で地絡が検出された場合、第1遮断器21及び第2遮断器24を制御することにより得られる地絡検出情報に基づいて地絡の発生箇所を適切に判定することが可能となる。より具体的には、実施の形態1に係る地絡検出システム1は、地絡の発生箇所が、第1遮断器21の外側(すなわち、第1遮断器21より電源10側)か、第2遮断器24の外側(すなわち、第2遮断器24より電動機30側)か、あるいは、周波数変換装置20の内部か、を容易に判定することが可能となる。また、実施の形態1に係る地絡検出システム1によれば、地絡が検出された場合、直ちに第1遮断器21を遮断、つまり、電源10からの電流を遮断した状態で、直流コンデンサ29に蓄えられたエネルギーで地絡の発生箇所の判定を行うことができる。これにより、電源10に地絡の発生箇所が含まれる場合、電源10からの地絡電流による拡大故障の影響が抑制される。
【0029】
1-3.第1の処理例
図3は、実施の形態1に係る地絡検出システム1の制御部40における第1の処理例を示すフローチャートである。図3に示されるルーチンは、所定の周期で繰り返し実行される。
【0030】
ステップS100において、制御部40は、地絡検出装置25から取得した地絡検出情報が「地絡検出あり」か否かを判定する。地絡検出情報が「地絡検出あり」と判定された場合、処理はステップS110に進む。それ以外の場合、処理を終了する。
【0031】
ステップS110において、制御部40は、第2遮断器24をONに維持したまま第1遮断器21をOFFに切り替える。その後、処理はステップS120に進む。
【0032】
ステップS120において、制御部40は、地絡検出装置25から取得した地絡検出情報が「地絡検出あり」か否かを判定する。地絡検出情報が「地絡検出あり」と判定されない場合、処理はステップS170に進む。ステップS170において、制御部40は、地絡の発生箇所を第1遮断器21の外側であると判定する。そして、制御部40は、周波数変換装置20に対してゲートブロック(運転停止)の指示を行う。
【0033】
ステップS120において地絡検出情報が「地絡検出あり」と判定された場合、処理はステップS130に進む。ステップS130において、制御部40は、第1遮断器21をOFFに維持したまま第2遮断器24をOFFに切り替える。その後、処理はステップS140に進む。
【0034】
ステップS140において、制御部40は、地絡検出装置25から取得した地絡検出情報が「地絡検出あり」か否かを判定する。地絡検出情報が「地絡検出あり」と判定されない場合、処理はステップS160に進む。ステップS160において、制御部40は、地絡の発生箇所を第2遮断器24の外側であると判定する。そして、制御部40は、周波数変換装置20に対してゲートブロック(運転停止)の指示を行う。
【0035】
ステップS140において地絡検出情報が「地絡検出あり」と判定された場合、処理はステップS150に進む。ステップS150において、制御部40は、地絡の発生箇所を周波数変換装置20であると判定する。そして、制御部40は、周波数変換装置20に対してゲートブロック(運転停止)の指示を行う。
【0036】
1-4.地絡の発生箇所の第2の判定例
ここで、図2で示した地絡の発生箇所の第1の判定例と異なる判定例を図4で説明する。図4は、地絡検出システム1の制御部40における地絡発生箇所の第2の判定例を示す図である。制御部40は、地絡検出情報が1(地絡検出あり)である場合、第1遮断器21及び第2遮断器24を共にOFFに切り替える。この状態で、周波数変換装置20の運転が行われる。従って、制御部40は、第1遮断器21がOFF且つ第2遮断器24がOFFの状態、つまり、周波数変換装置20と電源10が遮断されている状態且つ周波数変換装置20と電動機30が遮断されている状態で、地絡の発生箇所を判定する。
【0037】
尚、制御部40により判定される地絡の発生箇所は、地絡検出情報が1(地絡検出あり)の場合のパターン(図4に示すパターンB1)と、地絡検出情報が0(地絡検出なし)の場合のパターン(図4に示すパターンB2)とで異なる。地絡検出情報がパターンB1の場合、制御部40は、地絡の発生箇所が周波数変換装置20であると判定する。一方、地絡検出情報がパターンB2の場合、制御部40は、地絡の発生箇所が第1遮断器21の外側(すなわち、第1遮断器21より電源10側)又は第2遮断器24の外側(すなわち、第2遮断器24より電動機30側)であると判定する。
【0038】
地絡の発生箇所の判定結果が図4に示すパターンB2の場合、地絡の発生箇所には、第1遮断器21の外側と、第2遮断器24の外側との2つが含まれる。この場合、地絡の発生箇所が特定されていない状態であるため、更に、地絡の発生箇所を判定する仕組みが必要とされる。従って、地絡の発生箇所の判定結果がパターンB2の場合、制御部40は、更に、第1遮断器21をOFFに維持したまま第2遮断器24をONに切り替える。この状態で、周波数変換装置20の運転が行われる。ゆえに、制御部40は、第1遮断器21がOFF且つ第2遮断器24がONの状態、つまり、周波数変換装置20と電源10が遮断されている状態且つ周波数変換装置20と電動機30が接続されている状態で、地絡の発生箇所を判定する。
【0039】
尚、制御部40により判定される地絡の発生箇所は、地絡検出情報が1(地絡検出あり)の場合のパターン(図4に示すパターンB3)と、地絡検出情報が0(地絡検出なし)の場合のパターン(図4に示すパターンB4)とで異なる。地絡検出情報がパターンB3の場合、制御部40は、地絡の発生箇所が第2遮断器24の外側であると判定する。一方、地絡検出情報がパターンB4の場合、制御部40は、地絡の発生箇所が第1遮断器21の外側であると判定する。
【0040】
このように、実施の形態1に係る地絡検出システム1は、地絡検出装置25で地絡が検出された場合、第2の判定例においても、第1遮断器21及び第2遮断器24を制御することにより得られる地絡検出情報に基づいて地絡の発生箇所を適切に判定することが可能となる。より具体的には、実施の形態1に係る地絡検出システム1は、地絡の発生箇所が、第1遮断器21の外側(すなわち、第1遮断器21より電源10側)か、第2遮断器24の外側(すなわち、第2遮断器24より電動機30側)か、あるいは、周波数変換装置20の内部か、を容易に判定することが可能となる。また、上述した地絡の発生箇所の第1の判定例と同様に、地絡が検出された場合、直ちに第1遮断器21を遮断、つまり、電源10からの電流を遮断した状態で、直流コンデンサ29に蓄えられたエネルギーで地絡の発生箇所の判定が行われる。これにより、電源10に地絡の発生箇所が含まれる場合、電源10からの地絡電流による拡大故障の影響が抑制される。
【0041】
1-5.第2の処理例
実施の形態1に係る地絡検出システム1の第1の処理例によれば、地絡検出装置25で地絡が検出された場合、第2遮断器24をONに維持したまま第1遮断器21をOFFに切り替えた状態を起点として、地絡の発生箇所の判定が行われる。実施の形態1に係る地絡検出システム1の第2の処理例では、第2遮断器24と第1遮断器21を共にOFFに切り替えた状態を起点として、地絡の発生箇所の判定が行われる。これにより、地絡の発生箇所が周波数変換装置20であるか否かの判定が最優先に行われる。
【0042】
図5は、実施の形態1に係る地絡検出システム1の制御部40における第2の処理例を示すフローチャートである。図5に示されるルーチンは、所定の周期で繰り返し実行される。
【0043】
ステップS200において、制御部40は、地絡検出装置25から取得した地絡検出情報が「地絡検出あり」か否かを判定する。地絡検出情報が「地絡検出あり」と判定された場合、処理はステップS210に進む。それ以外の場合、処理を終了する。
【0044】
ステップS210において、制御部40は、第1遮断器21及び第2遮断器24をともにOFFに切り替える。その後、処理はステップS220に進む。
【0045】
ステップS220において、制御部40は、地絡検出装置25から取得した地絡検出情報が「地絡検出あり」か否かを判定する。地絡検出情報が「地絡検出あり」と判定された場合、処理はステップS250に進む。ステップS250において、制御部40は、地絡の発生箇所を周波数変換装置20であると判定する。
【0046】
ステップS220において地絡検出情報が「地絡検出あり」と判定されない場合、処理はステップS230に進む。ステップS230において、制御部40は、第1遮断器21をOFFに維持したまま第2遮断器24をONに切り替える。その後、処理はステップS240に進む。
【0047】
ステップS240において、制御部40は、地絡検出装置25から取得した地絡検出情報が「地絡検出あり」か否かを判定する。地絡検出情報が「地絡検出あり」と判定された場合、処理はステップS260に進む。ステップS260において、制御部40は、地絡の発生箇所を第2遮断器24の外側(すなわち、第2遮断器24より電動機30側)であると判定する。
【0048】
ステップS240において地絡検出情報が「地絡検出あり」と判定されない場合、処理はステップS270に進む。ステップS270において、制御部40は、地絡の発生箇所を第1遮断器21の外側(すなわち、第1遮断器21より電源10側)であると判定する。
【0049】
1-6.第3の処理例
実施の形態1に係る地絡検出システム1の第1の処理例及び第2の処理例によれば、地絡の発生箇所を特定することができる。ただし、検出された地絡が地絡検出装置25の誤動作によるものである可能性がないとは言えない。
【0050】
そこで、実施の形態1に係る地絡検出システム1の第3の処理例では、検出された地絡が地絡検出装置25の誤動作によるものなのかが判定される。
【0051】
図6は、実施の形態1に係る地絡検出システム1の制御部40の第3の処理例を示すフローチャートである。図6に示されるルーチンは、所定の周期で繰り返し実行される。
【0052】
ステップS300において、制御部40は、地絡検出装置25から取得した地絡検出情報が「地絡検出あり」か否かを判定する。地絡検出情報が「地絡検出あり」と判定されない場合、処理はステップS360に進む。ステップS360において、制御部40は、地絡検出装置25の誤動作でないと判定する。
【0053】
ステップS300において地絡検出情報が「地絡検出あり」と判定された場合、処理はステップS310に進む。ステップS310において、制御部40は、第1遮断器21及び第2遮断器24をともにOFFに切り替える。その後、処理はステップS320に進む。
【0054】
ステップS320において、制御部40は、地絡検出装置25から取得した地絡検出情報が「地絡検出あり」か否かを判定する。地絡検出情報が「地絡検出あり」と判定されない場合、処理はステップS360に進む。ステップS360において、制御部40は、地絡検出装置25の誤動作でないと判定する。
【0055】
ステップS320において地絡検出情報が「地絡検出あり」と判定された場合、処理はステップS330に進む。ステップS330において、制御部40は、周波数変換装置20のインバータ23をゲートブロックの状態に切り替える。その後、処理はステップS340に進む。
【0056】
ステップS340において、制御部40は、地絡検出装置25から取得した地絡検出情報が「地絡検出あり」か否かを判定する。地絡検出情報が「地絡検出あり」と判定されない場合、処理はステップS360に進む。ステップS360において、制御部40は、地絡検出装置25の誤動作でないと判定する。
【0057】
ステップS340において地絡検出情報が「地絡検出あり」と判定された場合、処理はステップS350に進む。ステップS350において、制御部40は、地絡検出装置25の誤動作であると判定する。
【0058】
1-7.変形例1
実施の形態1に係る地絡検出システム1では、第1遮断器21及び第2遮断器24が共にOFFの状態で地絡が検出された場合、地絡検出装置25の誤動作か否かが判定される。実施の形態1の変形例1に係る地絡検出システム1によれば、上述した地絡の発生箇所が図2に示すパターンA2の状態(すなわち、第1遮断器21がOFFの状態、かつ、第2遮断器24がONの状態)で、周波数変換装置20のインバータ23を一旦ゲートブロックの状態にしてから地絡検出装置25の誤動作か否かが判定される。これにより、第1遮断器21及び第2遮断器24を共にOFFの状態にする前に、地絡検出装置25の誤動作か否かを判定することが可能となる。
【0059】
1-8.変形例2
実施の形態1に係る地絡検出システム1では、図3のステップS100、ステップS120、及びステップS140において、地絡検出情報に基づいて、「地絡検出あり」か否かが判定される。図5のステップS200、ステップS220、及びステップS240においても同様に、地絡検出情報に基づいて、「地絡検出あり」か否かが判定される。いずれのステップも中性点電圧の情報に基づいて生成された地絡検出情報を「地絡検出あり」か否かを判定するための判定基準としている。しかし、判定基準は、中性点電圧の情報に基づいて生成された地絡検出情報に限られなくてもよい。例えば、後述の実施の形態2に示すような直流電圧に対する中性点電圧の比率(中性点電圧/直流電圧)の情報に基づいて生成された地絡検出情報を判定基準としてもよい。更に、判定基準は、ステップ毎に異なっていてもよい。また更に、判定基準は、複数の地絡検出情報を組み合わせたものであってもよい。このように、実施の形態1の変形例2に係る地絡検出システム1によれば、ステップ毎に判定基準の異なる地絡検出情報に基づいて「地絡検出あり」か否かが判定される。これにより、各ステップにおいて「地絡検出あり」か否かを適切に判定することが可能となる。
【0060】
2.実施の形態2
2-1.地絡検出システムの構成例
図7は、実施の形態2に係る地絡検出システム1の構成例を示すブロック図である。図7に示すように、地絡検出システム1における周波数変換装置20は、第1遮断器21aと、第1遮断器21bと、第1遮断器21cと、第2遮断器24と、第1単相周波数変換部26と、第2単相周波数変換部27と、第3単相周波数変換部28と、3つの単相周波数変換部の中性点(中性点電圧)と接地との間に1つ接続された地絡検出装置25と、を含んで構成されている。各単相周波数変換部には、コンバータ22、直流コンデンサ29、インバータ23、正極側直流線路51a、負極側直流線路51b、及び中性線51cが含まれている。各単相周波数変換部内のインバータ23としては、3レベルインバータ等が挙げられる。尚、第1遮断器21aと、第1遮断器21bと、第1遮断器21cとを含む構成を第1遮断器21と称してもよい。また、第1単相周波数変換部26と、第2単相周波数変換部27と、第3単相周波数変換部28とを含む構成を周波数変換部52と称してもよい。
【0061】
図7に示すように、第1遮断器21(すなわち、第1遮断器21a、第1遮断器21b、及び第1遮断器21c)は、単相周波数変換部毎に設けられている。第2遮断器24は、3つの単相周波数変換部の出力側に1つ設けられてもよいし、単相周波数変換部毎に設けられてもよい。
【0062】
図7に示すように、電源10は、電源10a、電源10b、及び電源10cの3つで構成され、各電源は単相周波数変換部毎に設けられている。電源10aは第1遮断器21aに接続され、電源10bは第1遮断器21bに接続され、電源10cは第1遮断器21cに接続されている。電源10a、電源10b、及び電源10cはそれぞれ不図示の変圧器等により絶縁された電源であり、各電源は、単相電源でもよいし、3相電源でもよいし、それ以上の多相電源でもよい。電動機30は、第2遮断器24に接続されている。電動機30としては、3相電動機等が挙げられる。
【0063】
図7に示すように、制御部40は、少なくとも第1遮断器21aと、第1遮断器21bと、第1遮断器21cと、第2遮断器24と、周波数変換部52と、地絡検出装置25とに接続されている。図7には図示されていないが、制御部40は、第1単相周波数変換部26、第2単相周波数変換部27、及び第3単相周波数変換部28にそれぞれ接続されていてもよい。制御部40は、第1単相周波数変換部26、第2単相周波数変換部27、及び第3単相周波数変換部28を個別に運転制御(ゲートデブロックとも称す)できる仕組みを有する。これにより、実施の形態2に係る地絡検出システム1は、地絡の発生箇所をより詳細に判別することが可能となる。
【0064】
2-2.地絡の発生箇所の判定例
図8は、実施の形態2に係る地絡検出システム1の制御部40における地絡の発生箇所の判定例を示す図である。図8に示す地絡の発生箇所の判定は、第1遮断器21及び第2遮断器24が共にOFFの状態、つまり、地絡の発生箇所が周波数変換装置20であると判定された状態で行われる。具体的には、制御部40は、単相周波数変換部を個別に動作させたときに地絡検出装置25で取得される中性点電圧と、単相周波数変換部に入力される直流電圧とに基づいて、直流電圧に対する中性点電圧の比率(中性点電圧/直流電圧)を算出する。その後、制御部40は、算出された比率が閾値以上であるか否かの判定を行い、算出された比率が閾値以上と判定された場合、比率の計算に使用された中性点電圧の出力元である単相周波数変換部に地絡の発生箇所を含むと判定する。尚、制御部40は、算出された比率の情報のみを用いて、地絡の発生箇所を判定してもよい。例えば、算出された比率が最大となる値を示した中性点電圧の出力元である単相周波数変換部に地絡の発生箇所を含むと判定されてもよい。
【0065】
ここで、比率の算出に用いられる直流電圧について考える。各単相周波数変換部内のインバータ23が3レベルインバータである場合、直流回路の正極側直流線路51aと中性線51cとの間の直流電圧と、中性線51cと負極側直流線路51bとの間の電圧は等しいことが言える。従って、当該直流電圧は、正極側直流回路の電圧を基準にしてもよいし、負極側直流回路の電圧を基準にしてもよいし、あるいは、正極側直流回路と負極側直流回路の両方の電圧を基準にしてもよい。
【0066】
図8に示す例では、第1単相周波数変換部26内のインバータ23及び第2単相周波数変換部27内のインバータ23をそれぞれ動作させたときに算出される比率がともに閾値未満と判定され、第3単相周波数変換部28内のインバータ23を動作させたときに算出される比率が閾値以上と判定されている。この場合、地絡の発生箇所が第3単相周波数変換部28内であると判定される。算出された比率を評価するために用いられる閾値は、例えば、所定の値でもよいし、地絡の発生箇所が無い状態で算出された比率が変動する場合、所定区間における比率の平均値に所定の値を加算したものでもよい。
【0067】
尚、制御部40は、単相周波数変換部を個別に動作させている間、リアルタイムで比率を計算してもよいし、単相周波数変換部を個別に動作させた後、オフラインで比率を計算してもよい。後述する処理例は、後者のケースである。
【0068】
2-3.処理例
図9は、実施の形態2に係る地絡検出システム1の制御部40の処理例を示すフローチャートである。図9に示されるルーチンは、所定の周期で繰り返し実行される。
【0069】
ステップS400において、制御部40は、3つの単相周波数変換部内のインバータ23を個別に動作したときの中性点電圧と、直流電圧とを取得する。その後、処理はステップS410に進む。
【0070】
ステップS410において、制御部40は、単相周波数変換部毎の中性点電圧と直流電圧とに基づいて比率を算出する。その後、処理はステップS420に進む。
【0071】
ステップS420において、制御部40は、第1単相周波数変換部26の比率が閾値以上であるか否かを判定する。第1単相周波数変換部26の比率が閾値以上と判定された場合、処理はステップS440に進む。ステップS440において、制御部40は、地絡の発生箇所を第1単相周波数変換部26であると判定する。
【0072】
ステップS420において第1単相周波数変換部26の比率が閾値未満と判定された場合、処理はステップS430に進む。ステップS430において、制御部40は、第2単相周波数変換部27の比率が閾値以上であるか否かを判定する。第2単相周波数変換部27の比率が閾値以上と判定された場合、処理はステップS450に進む。ステップS450において、制御部40は、地絡の発生箇所を第2単相周波数変換部27であると判定する。
【0073】
ステップS430において第2単相周波数変換部27の比率が閾値未満と判定された場合、処理はステップS460に進む。ステップS460において、制御部40は、地絡の発生箇所を第3単相周波数変換部28であると判定する。
【0074】
尚、実施の形態2に係る地絡検出システム1によれば、上述した実施の形態1と組み合わせた構成であってもよい。例えば、制御部40は、実施の形態1に示す図3のステップS150において、地絡の発生箇所が周波数変換装置20であると判定された場合、更に、実施の形態2に示す図9のステップS400~ステップS460を実行してもよい。また、制御部40は、実施の形態1に示す図5のステップS250において、地絡の発生箇所が周波数変換装置20であると判定された場合、更に、実施の形態2に示す図9のステップS400~ステップS460を実行してもよい。
【0075】
3.実施の形態3
実施の形態1及び2に係る地絡検出システム1では、中性点電圧と接地との間の電圧値に基づいて、地絡検出装置25により地絡が検出されたか否かの判定が行われる。実施の形態3に係る地絡検出システム1によれば、中性点(あるいは中性線)と接地点間を流れる電流値を計測し、その電流値に基づいて、地絡が検出されたか否かが判定される。これにより、電流値が異常となる場合であっても、地絡検出装置25により地絡を検出することが可能となる。
【0076】
4.実施の形態4
実施の形態1及び2に係る地絡検出システム1では、第1遮断器21及び第2遮断器24が周波数変換装置20の内部に含まれる構成となっている。しかし、第1遮断器21及び第2遮断器24は周波数変換装置20の外部の構成であってもよい。実施の形態3に係る地絡検出システム1によれば、周波数変換装置20は第1遮断器21及び第2遮断器24を含まない最小限の構成となる。これにより、地絡の発生箇所が周波数変換装置20であるか否かの特定に要する時間を短縮することが可能となる。
【0077】
5.実施の形態5
実施の形態5に係る地絡検出システム1によれば、上述した実施の形態1における第1の処理例と、第3の処理例とを組み合わせた構成であってもよいし、上述した実施の形態1における第2の処理例と、第3の処理例とを組み合わせた構成であってもよい。前者の場合、例えば、制御部40は、第1の処理例に示す図3のステップS150の代わりに、第3の処理例に示す図6のステップS330~ステップS360を実行してもよい。後者の場合、例えば、制御部40は、第2の処理例に示す図5のステップS250の代わりに、第3の処理例に示す図6のステップS330~ステップS360を実行してもよい。尚、これらの構成において、制御部40は、地絡検出装置25の誤動作でないと判定された場合(ステップS360)、更に、地絡の発生箇所を周波数変換装置20であると判定する。これにより、地絡検出装置25により地絡が検出された要因が、地絡検出装置25の誤動作によるものか、あるいは、地絡の発生箇所によるものか、を適切に判定することが可能となる。
【符号の説明】
【0078】
1 地絡検出システム
10 電源
20 周波数変換装置
21 第1遮断器
22 コンバータ
23 インバータ
24 第2遮断器
25 地絡検出装置
26 第1単相周波数変換部
27 第2単相周波数変換部
28 第3単相周波数変換部
29 直流コンデンサ
30 電動機
40 制御部
51a 正極側直流線路
51b 負極側直流線路
51c 中性線
52 周波数変換部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9