(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024002305
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】鉄筋結束ロボット
(51)【国際特許分類】
E04G 21/12 20060101AFI20231228BHJP
E04C 5/16 20060101ALI20231228BHJP
B65B 13/18 20060101ALI20231228BHJP
B21F 33/00 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
E04G21/12 105E
E04C5/16
B65B13/18 Z
B21F33/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022101411
(22)【出願日】2022-06-23
(71)【出願人】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長尾 俊介
(72)【発明者】
【氏名】野尻 大晴
(72)【発明者】
【氏名】楊 瀛
【テーマコード(参考)】
2E164
3E052
4E070
【Fターム(参考)】
2E164AA02
2E164BA34
3E052AA42
3E052BA18
3E052CA05
3E052CA18
3E052CB05
3E052CB07
3E052FA09
3E052HA09
3E052KA16
3E052KA18
3E052KA20
3E052LA04
3E052LA20
4E070AA01
4E070AB06
4E070BA02
4E070BA17
4E070CA02
4E070DB04
(57)【要約】
【課題】本明細書では、鉄筋結束装置の状態に応じて鉄筋結束ロボットの動作を制御することが可能な技術を提供する。
【解決手段】本明細書が開示する鉄筋結束ロボットは、複数の第1鉄筋と、複数の第1鉄筋と交差する複数の第2鉄筋について、複数の第1鉄筋と複数の第2鉄筋の上を移動する動作と複数の第1鉄筋と複数の第2鉄筋が交差する鉄筋交差箇所を結束する動作を繰り返し実行可能である。鉄筋結束ロボットは、鉄筋結束ロボットの動作を制御するロボット制御ユニットと、ワイヤを用いて鉄筋結束作業を実行する鉄筋結束装置を備える。鉄筋結束装置は、鉄筋結束装置の動作を制御する装置制御ユニットを備える。装置制御ユニットは、ロボット制御ユニットに第1信号を送信するように構成される。ロボット制御ユニットは、装置制御ユニットから送信された第1信号に基づいて鉄筋結束ロボットの動作を制御するように構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第1鉄筋と、前記複数の第1鉄筋と交差する複数の第2鉄筋について、前記複数の第1鉄筋と前記複数の第2鉄筋の上を移動する動作と、前記複数の第1鉄筋と前記複数の第2鉄筋が交差する鉄筋交差箇所を結束する動作と、を繰り返し実行可能な鉄筋結束ロボットであって、
前記鉄筋結束ロボットの動作を制御するロボット制御ユニットと、
ワイヤを用いて鉄筋結束作業を実行する鉄筋結束装置と、を備えており、
前記鉄筋結束装置は、前記鉄筋結束装置の動作を制御する装置制御ユニットを備えており、
前記装置制御ユニットは、前記ロボット制御ユニットに第1信号を送信するように構成されており、
前記ロボット制御ユニットは、前記装置制御ユニットから送信された前記第1信号に基づいて前記鉄筋結束ロボットの動作を制御するように構成されている、鉄筋結束ロボット。
【請求項2】
前記鉄筋結束装置は、前記ワイヤを送る動作を実行可能に構成されており、
前記鉄筋結束装置は、前記ワイヤを送る動作に関する状態を検出する第1状態検出部をさらに備えており、
前記第1信号は、前記第1状態検出部の検出結果に関する情報を含む、請求項1の鉄筋結束ロボット。
【請求項3】
前記第1状態検出部は、前記ワイヤの有無を検出するワイヤ検出部を備えており、
前記第1信号は、前記ワイヤ検出部の検出結果に関する情報を含む、請求項2の鉄筋結束ロボット。
【請求項4】
前記鉄筋結束装置は、
前記ワイヤが巻回されるワイヤリールと、
前記ワイヤリールを回転可能に保持するハウジングをさらに備えており、
前記ワイヤ検出部は、前記ワイヤリールに巻回された前記ワイヤの有無を検出する、請求項3の鉄筋結束ロボット。
【請求項5】
前記鉄筋結束装置は、送りモータを備えており、前記ワイヤを送る動作を実行可能な送り機構をさらに備えており、
前記第1状態検出部は、前記送り機構の状態を検出する送り機構状態検出部を備えており、
前記第1信号は、前記送り機構状態検出部の検出結果に関する情報を含む、請求項2から4の何れか一項の鉄筋結束ロボット。
【請求項6】
前記鉄筋結束装置は、
前記ワイヤが巻回されるワイヤリールと、
前記ワイヤリールを回転可能に保持するハウジングと、
制動アクチュエータを備えており、前記ワイヤリールの回転運動を制動する動作を実行可能な制動機構と、をさらに備えており、
前記第1状態検出部は、前記制動機構の状態を検出する制動機構状態検出部を備えており、
前記第1信号は、前記制動機構状態検出部の検出結果に関する情報を含む、請求項2から5の何れか一項の鉄筋結束ロボット。
【請求項7】
前記鉄筋結束装置は、前記鉄筋交差箇所の周りに周回された前記ワイヤを捩る動作を実行可能に構成されており、
前記鉄筋結束装置は、前記ワイヤを捩る動作に関する状態を検出する第2状態検出部をさらに備えており、
前記第1信号は、前記第2状態検出部の検出結果に関する情報を含む、請求項1から6の何れか一項の鉄筋結束ロボット。
【請求項8】
前記鉄筋結束装置は、捩りモータを備えており、前記鉄筋交差箇所の周りに周回された前記ワイヤを捩る動作を実行可能な捩り機構をさらに備えており、
前記第2状態検出部は、前記捩り機構の状態を検出する捩り機構状態検出部を備えており、
前記第1信号は、前記捩り機構状態検出部の検出結果に関する情報を含む、請求項7の鉄筋結束ロボット。
【請求項9】
前記鉄筋結束装置は、
前記ワイヤが巻回されるか、または前記ワイヤを案内するワイヤリールと、
前記ワイヤリールを着脱可能に保持するリール保持部と、
前記リール保持部に前記ワイヤリールが保持されているか否かを検出するリール検出部と、をさらに備えており、
前記第1信号は、前記リール検出部の検出結果に関する情報を含む、請求項1から8の何れか一項の鉄筋結束ロボット。
【請求項10】
前記鉄筋結束装置は、
送りモータを備えており、前記ワイヤを送る動作を実行可能な送り機構と、
前記送りモータを収容するハウジングと、
前記ハウジングに取り付けられ、前記送り機構によって送られた前記ワイヤを略円環状の案内軌道上に案内して前記鉄筋交差箇所の周りに周回させる第1位置と、前記第1位置に対して前記案内軌道の外側に移動した第2位置との間で移動可能な案内部材と、
前記案内部材の前記ハウジングに対する位置を検出する案内部材位置検出部と、をさらに備えており、
前記第1信号は、前記案内部材位置検出部の検出結果に関する情報を含む、請求1から9の何れか一項の鉄筋結束ロボット。
【請求項11】
前記鉄筋結束装置は、前記装置制御ユニットの温度を検出する温度検出部をさらに備えており、
前記第1信号は、前記温度検出部の検出結果に関する情報を含む、請求項1から10の何れか一項の鉄筋結束ロボット。
【請求項12】
前記鉄筋結束ロボットは、前記鉄筋結束装置に電力を供給するための電源装置をさらに備えており、
前記鉄筋結束装置は、前記電源装置から前記鉄筋結束装置に供給される電力の電圧値を検出する供給電圧検出部をさらに備えており、
前記第1信号は、前記供給電圧検出部の検出結果に関する情報を含む、請求項1から11の何れか一項の鉄筋結束ロボット。
【請求項13】
前記鉄筋結束装置は、
前記鉄筋結束作業の際に前記第1鉄筋または前記第2鉄筋に当接可能な位置に配置されたコンタクト部材と、
前記コンタクト部材を揺動可能に保持するハウジングと、
前記コンタクト部材の前記ハウジングに対する位置を検出するコンタクト部材位置検出部と、をさらに備えており、
前記第1信号は、前記コンタクト部材位置検出部の検出結果に関する情報を含む、請求項1から12の何れか一項の鉄筋結束ロボット。
【請求項14】
前記第1信号は、前記鉄筋結束装置に異常が発生したことを示す情報を含む、請求項1から13の何れか一項の鉄筋結束ロボット。
【請求項15】
前記ロボット制御ユニットは、前記装置制御ユニットに呼出信号を送信するように構成されており、
前記装置制御ユニットは、前記呼出信号を受信した時に、前記ロボット制御ユニットに前記第1信号を送信するように構成されている、請求項1から14の何れか一項の鉄筋結束ロボット。
【請求項16】
前記ロボット制御ユニットは、前記装置制御ユニットに結束指示信号を送信するように構成されており、
前記装置制御ユニットは、前記結束指示信号を受信した時に、前記鉄筋結束装置に前記鉄筋結束作業を実行させるように構成されており、
前記ロボット制御ユニットは、前記結束指示信号を送信することに先立って、前記装置制御ユニットに前記呼出信号を送信するように構成されている、請求項1から15の何れか一項の鉄筋結束ロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、鉄筋結束ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数の第1鉄筋と、前記複数の第1鉄筋と交差する複数の第2鉄筋について、前記複数の第1鉄筋と前記複数の第2鉄筋の上を移動する動作と、前記複数の第1鉄筋と前記複数の第2鉄筋が交差する鉄筋交差箇所を結束する動作と、を繰り返し実行可能な鉄筋結束ロボットが開示されている。前記鉄筋結束路ロボットは、前記鉄筋結束ロボットの動作を制御するロボット制御ユニットと、ワイヤを用いて鉄筋結束作業を実行する鉄筋結束装置と、を備えている。前記ロボット制御ユニットは、前記鉄筋結束装置にトリガ信号を送信するように構成されている。前記鉄筋結束装置は、前記トリガ信号に応じて前記鉄筋結束作業を実行するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
鉄筋結束ロボットでは、例えば、鉄筋結束装置におけるワイヤ不足の発生に応じて鉄筋結束ロボットの動作を停止するなど、鉄筋結束装置の状態に応じて鉄筋結束ロボットの動作を制御したい場合がある。しかしながら、特許文献1の鉄筋結束ロボットでは、ロボット制御ユニットは、鉄筋結束装置の状態(例えば、ワイヤ不足が発生したことや、動作不良が発生したことなど)を把握することはできない。このため、鉄筋結束装置の状態に応じて鉄筋結束ロボットの動作を制御することができない。本明細書では、鉄筋結束装置の状態に応じて鉄筋結束ロボットの動作を制御することが可能な技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書が開示する鉄筋結束ロボットは、複数の第1鉄筋と、前記複数の第1鉄筋と交差する複数の第2鉄筋について、前記複数の第1鉄筋と前記複数の第2鉄筋の上を移動する動作と、前記複数の第1鉄筋と前記複数の第2鉄筋が交差する鉄筋交差箇所を結束する動作と、を繰り返し実行可能である。前記鉄筋結束ロボットは、前記鉄筋結束ロボットの動作を制御するロボット制御ユニットと、ワイヤを用いて鉄筋結束作業を実行する鉄筋結束装置と、を備えている。前記鉄筋結束装置は、前記鉄筋結束装置の動作を制御する装置制御ユニットを備えている。前記装置制御ユニットは、前記ロボット制御ユニットに第1信号を送信するように構成されている。前記ロボット制御ユニットは、前記装置制御ユニットから送信された前記第1信号に基づいて前記鉄筋結束ロボットの動作を制御するように構成されている。なお、本明細書では、「複数の第1鉄筋と前記複数の第2鉄筋が交差する鉄筋交差箇所を結束する作業」を「鉄筋結束作業」と呼ぶことがある。
【0006】
上記の構成によれば、装置制御ユニットは、第1信号を通じて、鉄筋結束装置の状態をロボット制御ユニットに伝達することができる。ロボット制御ユニットは、第1信号に基づいて、鉄筋結束装置の状態を把握することができる。このため、ロボット制御ユニットは、鉄筋結束装置の状態に応じて鉄筋結束ロボットの動作を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施例に係る鉄筋結束ロボット1を上方から見た図である。
【
図2】実施例に係る鉄筋結束ロボット1を前方右方下方から見た斜視図である。
【
図3】実施例に係る鉄筋結束装置2を後方左方上方から見た斜視図である。
【
図4】実施例に係る鉄筋結束装置2の内部構造を後方右方上方から見た斜視図である。
【
図5】実施例に係る鉄筋結束装置2の内部構造を前方左方上方から見た斜視図である。
【
図6】実施例に係る鉄筋結束装置2のリール保持機構36の断面図である。
【
図7】実施例に係る鉄筋結束装置2のリリースレバー82およびロックレバー86を左方上方前方から見た斜視図である。
【
図8】実施例に係る鉄筋結束装置2の上側カールガイド90を左方上方後方から見た斜視図である。
【
図9】実施例に係る鉄筋結束装置2の上側カールガイド90を右方上方後方から見た斜視図である。
【
図10】実施例に係る鉄筋結束装置2の上側カールガイド90の第1案内通路94の内部構造を左方上方後方から見た斜視図である。
【
図11】実施例に係る鉄筋結束装置2の上側カールガイド90の第2案内通路96の内部構造を左方上方後方から見た斜視図である。
【
図12】実施例に係る鉄筋結束装置2の、下側カールガイド92が閉じている場合の内部構造を右方下方前方から見た斜視図である。
【
図13】実施例に係る鉄筋結束装置2の、下側カールガイド92が開いている場合の内部構造を右方下方前方から見た斜視図である。
【
図14】実施例に係る鉄筋結束装置2において、プルソレノイド146に通電がなされていない場合の、ワイヤリールWRおよびブレーキ機構40を右方上方後方から見た斜視図である。
【
図15】実施例に係る鉄筋結束装置2において、プルソレノイド146に通電がなされている場合の、ワイヤリールWRおよびブレーキ機構40を右方上方後方から見た斜視図である。
【
図16】実施例に係る装置制御ユニット50の電気系統の例を示すブロック図である。
【
図17】実施例に係る装置制御ユニット50が実行する装置メイン処理の例を示すフローチャートである。
【
図18】実施例に係る装置制御ユニット50が実行する送り動作状態判定処理の例を示すフローチャートである。
【
図19】実施例に係る装置制御ユニット50が実行するプレート状態判定処理の例を示すフローチャートである。
【
図20】実施例に係る装置制御ユニット50が実行する供給電圧状態判定処理の例を示すフローチャートである。
【
図21】実施例に係る装置制御ユニット50が実行する温度状態判定処理の例を示すフローチャートである。
【
図22】実施例に係る装置制御ユニット50が実行する捩り動作状態判定処理の例を示すフローチャートである。
【
図23】実施例に係る装置制御ユニット50が実行するハードウェア状態判定処理の例を示すフローチャートである。
【
図24】実施例に係る鉄筋結束ロボット1のサイドステッパ196を後方右方上方から見た斜視図である。
【
図25】実施例に係る鉄筋結束ロボット1の前側クランク機構276を後方から見た断面図である。
【
図26】実施例に係る鉄筋結束ロボット1のサイドステッパ196の後方の部分を前方右方上方から見た斜視図である。
【
図27】実施例に係る鉄筋結束ロボット1において、ステップバー272、274が上昇した状態を前方から見た正面図である。
【
図28】実施例に係る鉄筋結束ロボット1において、ステップバー272、274が下降した状態を前方から見た正面図である。
【
図29】実施例に係る鉄筋結束ロボット1において、動力伝達機構402の内部構造を前方上方右方から見た斜視図である。
【
図30】実施例に係る鉄筋結束ロボット1において、スライダクランク機構638が上死点位置にある場合の昇降装置6を前方上方から見た斜視図である。
【
図31】実施例に係る鉄筋結束ロボット1において、スライダクランク機構638が下死点位置にある場合の昇降装置6を前方上方から見た斜視図である。
【
図32】実施例に係る鉄筋結束ロボット1において、昇降装置6が備えるカム666、第1フォトセンサ668、および第2フォトセンサ670の位置関係を示す図である。
【
図33】実施例に係るロボット制御ユニット10が実行するロボットメイン処理の例を示すフローチャートである。
【
図34】実施例に係る鉄筋結束ロボット1の動作の例を示す上面図である。
【
図35】実施例に係る鉄筋結束ロボット1の別の動作の例を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の代表的かつ非限定的な具体例について、図面を参照して以下に詳細に説明する。この詳細な説明は、本発明の好ましい例を実施するための詳細を当業者に示すことを単純に意図しており、本発明の範囲を限定することを意図したものではない。また、開示された追加的な特徴ならびに発明は、さらに改善された鉄筋結束ロボットを提供するために、他の特徴や発明とは別に、又は共に用いることができる。
【0009】
また、以下の詳細な説明で開示される特徴や工程の組み合わせは、最も広い意味において本発明を実施する際に必須のものではなく、特に本発明の代表的な具体例を説明するためにのみ記載されるものである。さらに、以下の代表的な具体例の様々な特徴、ならびに、特許請求の範囲に記載されるものの様々な特徴は、本発明の追加的かつ有用な実施形態を提供するにあたって、ここに記載される具体例のとおりに、あるいは列挙された順番のとおりに組合せなければならないものではない。
【0010】
本明細書及び/又は特許請求の範囲に記載された全ての特徴は、実施例及び/又は特許請求の範囲に記載された特徴の構成とは別に、出願当初の開示ならびに特許請求の範囲に記載された特定事項に対する限定として、個別に、かつ互いに独立して開示されることを意図するものである。さらに、全ての数値範囲及びグループ又は集団に関する記載は、出願当初の開示ならびに特許請求の範囲に記載された特定事項に対する限定として、それらの中間の構成を開示する意図を持ってなされている。
【0011】
本技術の第1の態様では、鉄筋結束ロボットは、複数の第1鉄筋と、前記複数の第1鉄筋と交差する複数の第2鉄筋について、前記複数の第1鉄筋と前記複数の第2鉄筋の上を移動する動作と、前記複数の第1鉄筋と前記複数の第2鉄筋が交差する鉄筋交差箇所を結束する動作と、を繰り返し実行可能である。前記鉄筋結束ロボットは、前記鉄筋結束ロボットの動作を制御するロボット制御ユニットと、ワイヤを用いて鉄筋結束作業を実行する鉄筋結束装置と、を備えていてもよい。前記鉄筋結束装置は、前記鉄筋結束装置の動作を制御する装置制御ユニットを備えていてもよい。前記装置制御ユニットは、前記ロボット制御ユニットに第1信号を送信するように構成されていてもよい。前記ロボット制御ユニットは、前記装置制御ユニットから送信された前記第1信号に基づいて前記鉄筋結束ロボットの動作を制御するように構成されていてもよい。
【0012】
上記の構成によれば、装置制御ユニットは、第1信号を通じて、鉄筋結束装置の状態をロボット制御ユニットに伝達することができる。ロボット制御ユニットは、第1信号に基づいて、鉄筋結束装置の状態を把握することができる。このため、ロボット制御ユニットは、鉄筋結束装置の状態に応じて鉄筋結束ロボットの動作を制御することができる。
【0013】
第2の態様では、上記第1の態様において、前記鉄筋結束装置は、前記ワイヤを送る動作を実行可能に構成されていてもよい。前記鉄筋結束装置は、前記ワイヤを送る動作に関する状態を検出する第1状態検出部をさらに備えていてもよい。前記第1信号は、前記第1状態検出部の検出結果に関する情報を含んでもよい。なお、ここでいう「ワイヤを送る動作に関する状態」は、送り機構の状態だけでなく、ワイヤの有無や、後述する制動機構の状態なども含む。
【0014】
ワイヤを送る動作は、鉄筋結束装置における主要な動作である。このため、ロボット制御ユニットは、鉄筋結束装置のワイヤを送る動作に関する状態を把握したい場合がある。上記の構成によれば、ロボット制御ユニットは、第1信号に基づいて、ワイヤを送る動作に関する状態を把握することができる。
【0015】
第3の態様では、上記第2の態様において、前記第1状態検出部は、前記ワイヤの有無を検出するワイヤ検出部を備えていてもよい。前記第1信号は、前記ワイヤ検出部の検出結果に関する情報を含んでもよい。
【0016】
鉄筋結束装置においてワイヤ不足が発生した場合、鉄筋結束装置は鉄筋結束作業を実行不可能となる。このような状況に応じて鉄筋結束ロボットの動作を制御するためには、ロボット制御ユニットは、ワイヤの有無を把握する必要がある。上記の構成によれば、ロボット制御ユニットは、第1信号に基づいて、ワイヤの有無を把握することができる。
【0017】
第4の態様では、上記第3の態様において、前記鉄筋結束装置は、前記ワイヤが巻回されるワイヤリールと、前記ワイヤリールを回転可能に保持するハウジングをさらに備えていてもよい。前記ワイヤ検出部は、前記ワイヤリールに巻回された前記ワイヤの有無を検出してもよい。
【0018】
上記の構成によれば、ワイヤがワイヤリールに巻回されている場合、ワイヤリールは鉄筋結束装置のワイヤを送る動作に伴って回転する。ワイヤリールに巻回されたワイヤが無くなると、ワイヤリールは鉄筋結束装置のワイヤを送る動作に伴って回転しなくなる。このため、ワイヤ検出部は、ワイヤリールが鉄筋結束装置のワイヤを送る動作に伴って回転するか否かを検出することで、間接的にワイヤの有無を検出することができる。
【0019】
第5の態様では、上記第2から第4の態様のいずれか一つにおいて、前記鉄筋結束装置は、送りモータを備えており、前記ワイヤを送る動作を実行可能な送り機構をさらに備えていてもよい。前記第1状態検出部は、前記送り機構の状態を検出する送り機構状態検出部を備えていてもよい。前記第1信号は、前記送り機構状態検出部の検出結果に関する情報を含んでもよい。
【0020】
例えば、送り機構においてワイヤが絡まるなどして、送り機構が動作不可能となる場合がある。このような状況に応じて鉄筋結束ロボットの動作を制御するためには、ロボット制御ユニットは、送り機構の状態(例えば、送り機構がスムーズに動作しているかなど)を把握する必要がある。上記の構成によれば、ロボット制御ユニットは、第1信号に基づいて、送り機構の状態を把握することができる。
【0021】
第6の態様では、上記第2から第5の態様のいずれか一つにおいて、前記鉄筋結束装置は、前記ワイヤが巻回されるワイヤリールと、前記ワイヤリールを回転可能に保持するハウジングと、制動アクチュエータを備えており、前記ワイヤリールの回転運動を制動する動作を実行可能な制動機構と、をさらに備えていてもよい。前記第1状態検出部は、前記制動機構の状態を検出する制動機構状態検出部を備えていてもよい。前記第1信号は、前記制動機構状態検出部の検出結果に関する情報を含んでもよい。
【0022】
例えば、電源と制動アクチュエータの間の電気的接続が遮断されるなどして、制動機構が動作不可能となる場合がある。このような状況に応じて鉄筋結束ロボットの動作を制御するためには、ロボット制御ユニットは、制動機構の状態(例えば、電源と制動アクチュエータの間の電気的接続が確保されているかなど)を把握する必要がある。上記の構成によれば、ロボット制御ユニットは、第1信号に基づいて、制動機構の状態を把握することができる。
【0023】
第7の態様では、上記第1から第6の態様のいずれか一つにおいて、前記鉄筋結束装置は、前記鉄筋交差箇所の周りに周回された前記ワイヤを捩る動作を実行可能に構成されていてもよい。前記鉄筋結束装置は、前記ワイヤを捩る動作に関する状態を検出する第2状態検出部をさらに備えていてもよい。前記第1信号は、前記第2状態検出部の検出結果に関する情報を含んでもよい。
【0024】
ワイヤを捩る動作は、鉄筋結束装置における主要な動作である。このため、ロボット制御ユニットは、鉄筋結束装置のワイヤを捩る動作に関する状態を把握したい場合がある。上記の構成によれば、ロボット制御ユニットは、第1信号に基づいて、ワイヤを捩る動作に関する状態を把握することができる。
【0025】
第8の態様では、上記第7の態様において、前記鉄筋結束装置は、捩りモータを備えており、前記鉄筋交差箇所の周りに周回された前記ワイヤを捩る動作を実行可能な捩り機構をさらに備えていてもよい。前記第2状態検出部は、前記捩り機構の状態を検出する捩り機構状態検出部を備えていてもよい。前記第1信号は、前記捩り機構状態検出部の検出結果に関する情報を含んでもよい。
【0026】
例えば、捩り機構においてワイヤが絡まるなどして、捩り機構が動作不可能となる場合がある。このような状況に応じて鉄筋結束ロボットの動作を制御するためには、ロボット制御ユニットは、捩り機構の状態(例えば、捩り機構がスムーズに動作しているかなど)を把握する必要がある。上記の構成によれば、ロボット制御ユニットは、第1信号に基づいて、捩り機構の状態(例えば、捩り機構がスムーズに動作しているかなど)を把握することができる。
【0027】
第9の態様では、上記第1から第8の態様のいずれか一つにおいて、前記鉄筋結束装置は、前記ワイヤが巻回されるか、または前記ワイヤを案内するワイヤリールと、前記ワイヤリールを着脱可能に保持するリール保持部と、前記リール保持部に前記ワイヤリールが保持されているか否かを検出するリール検出部と、をさらに備えていてもよい。前記第1信号は、前記リール検出部の検出結果に関する情報を含んでもよい。
【0028】
リール保持部にワイヤリールが保持されていない場合、ワイヤ不足と実質的に等しい状況であるため、鉄筋結束装置は鉄筋結束作業を実行できない。このような状況に応じて鉄筋結束ロボットの動作を制御するためには、ロボット制御ユニットは、リール保持部にワイヤリールが保持されているか否かを把握する必要がある。上記の構成によれば、ロボット制御ユニットは、第1信号に基づいて、リール保持部にワイヤリールが保持されているか否かを把握することができる。
【0029】
第10の態様では、上記第1から第9の態様のいずれか一つにおいて、前記鉄筋結束装置は、送りモータを備えており、前記ワイヤを送る動作を実行可能な送り機構と、前記送りモータを収容するハウジングと、前記ハウジングに取り付けられ、前記送り機構によって送られた前記ワイヤを略円環状の案内軌道上に案内して前記鉄筋交差箇所の周りに周回させる第1位置と、前記第1位置に対して前記案内軌道の外側に移動した第2位置との間で移動可能な案内部材と、前記案内部材の前記ハウジングに対する位置を検出する案内部材位置検出部と、をさらに備えていてもよい。前記第1信号は、前記案内部材位置検出部の検出結果に関する情報を含んでもよい。
【0030】
鉄筋結束装置では、案内軌道周辺に設けられた部品のメンテナンス性能を向上させるため、案内部材をハウジングに対して移動可能に設けることがある。しかしながら、案内部材が第2位置に移動された状態で鉄筋結束作業が実行されると、鉄筋交差箇所を適切に結束することができない。このため、鉄筋結束ロボットでは、案内部材の位置に応じた制御(例えば、鉄筋結束作業の許容・禁止の切り換え)を実行したい場合がある。この場合、ロボット制御ユニットは、案内部材のハウジングに対する位置を把握する必要がある。上記の構成によれば、ロボット制御ユニットは、第1信号に基づいて、案内部材のハウジングに対する位置を把握することができる。
【0031】
第11の態様では、上記第1から第10の態様のいずれか一つにおいて、前記鉄筋結束装置は、前記装置制御ユニットの温度を検出する温度検出部をさらに備えていてもよい。前記第1信号は、前記温度検出部の検出結果に関する情報を含んでもよい。
【0032】
装置制御ユニットの温度が非常に高温となる場合、装置制御ユニットの故障に繋がる可能性がある。このため、鉄筋結束ロボットでは、装置制御ユニットの温度に応じた制御(例えば、装置制御ユニットの温度が非常に高温となることに応じて鉄筋結束作業を中断するなど)を実行したい場合がある。この場合、ロボット制御ユニットは、装置制御ユニットの温度を把握する必要がある。上記の構成によれば、ロボット制御ユニットは、第1信号に基づいて、装置制御ユニットの温度を把握することができる。
【0033】
第12の態様では、上記第1から第11の態様のいずれか一つにおいて、前記鉄筋結束ロボットは、前記鉄筋結束装置に電力を供給するための電源装置をさらに備えていてもよい。前記鉄筋結束装置は、前記電源装置から前記鉄筋結束装置に供給される電力の電圧値を検出する供給電圧検出部をさらに備えていてもよい。前記第1信号は、前記供給電圧検出部の検出結果に関する情報を含んでもよい。
【0034】
電源装置から鉄筋結束装置に供給される電力の電圧値が低下して不十分な値となる場合、鉄筋結束作業が電力不足により強制的に中断されてしまう可能性がある。このため、鉄筋結束ロボットでは、装置制御ユニットに供給される電力の電圧値に応じた制御(例えば、電圧値が低下して不十分な値となったことに応じてその旨をユーザに報知するなど)を実行したい場合がある。この場合、ロボット制御ユニットは、電源装置から鉄筋結束装置に供給される電力の電圧値を把握する必要がある。上記の構成によれば、ロボット制御ユニットは、第1信号に基づいて、電源装置から鉄筋結束装置に供給される電力の電圧値を把握することができる。
【0035】
第13の態様では、上記第1から第12の態様のいずれか一つにおいて、前記鉄筋結束装置は、前記鉄筋結束作業の際に前記第1鉄筋または前記第2鉄筋に当接可能な位置に配置されたコンタクト部材と、前記コンタクト部材を揺動可能に保持するハウジングと、前記コンタクト部材の前記ハウジングに対する位置を検出するコンタクト部材位置検出部と、をさらに備えていてもよい。前記第1信号は、前記コンタクト部材位置検出部の検出結果に関する情報を含んでもよい。
【0036】
鉄筋結束作業を確実に実行する上で、ロボット制御ユニットは、鉄筋結束装置が鉄筋交差箇所にセットされたことを検出したい場合がある。上記の構成によれば、ロボット制御ユニットは、第1信号に基づいて、コンタクト部材が揺動されたか否かを判断することで、鉄筋結束装置が鉄筋交差箇所にセットされたことを検出できる。
【0037】
第14の態様では、上記第1から第13の態様のいずれか一つにおいて、前記第1信号は、前記鉄筋結束装置に異常が発生したことを示す情報を含んでもよい。
【0038】
上記の構成によれば、ロボット制御ユニットは、第1信号に基づいて、鉄筋結束装置に異常が発生したことを把握することができる。このため、ロボット制御ユニットは、鉄筋結束装置に異常が発生したことに応じて鉄筋結束ロボットの動作を停止したり、その旨をユーザに報知したりすることができる。
【0039】
第15の態様では、上記第1から第14の態様のいずれか一つにおいて、前記ロボット制御ユニットは、前記装置制御ユニットに呼出信号を送信するように構成されていてもよい。前記装置制御ユニットは、前記呼出信号を受信した時に、前記ロボット制御ユニットに前記第1信号を送信するように構成されていてもよい。
【0040】
上記の構成によれば、装置制御ユニットは、第1信号を送信するタイミングを特定するための処理を実行する必要がない。このため、装置制御ユニットを簡素な構成とすることができる。さらに上記の構成によれば、ロボット制御ユニットは、所望のタイミングで、鉄筋結束装置の状態を把握することができる。
【0041】
第16の態様では、上記第1から第15の態様のいずれか一つにおいて、前記ロボット制御ユニットは、前記装置制御ユニットに結束指示信号を送信するように構成されていてもよい。前記装置制御ユニットは、前記結束指示信号を受信した時に、前記鉄筋結束装置に前記鉄筋結束作業を実行させるように構成されていてもよい。前記ロボット制御ユニットは、前記結束指示信号を送信することに先立って、前記装置制御ユニットに前記呼出信号を送信するように構成されていてもよい。
【0042】
鉄筋結束作業が開始されるタイミングで鉄筋結束装置の状態を把握することができれば、ロボット制御ユニットは、鉄筋結束装置の状態に基づいて、その後の鉄筋結束作業の継続可否を判断することができる。上記の構成によれば、ロボット制御ユニットは、鉄筋結束作業が開始されるタイミングで鉄筋結束装置の状態を把握することができる。このため、ロボット制御ユニットは、鉄筋結束装置の状態に基づいて鉄筋結束作業の継続可否を判断することができる。
【0043】
(実施例)
図1に示すように、本実施例の鉄筋結束ロボット1は、水平方向に沿って互いに平行に配筋された複数の第1鉄筋R1と、水平方向に沿って互いに平行に配筋された第2鉄筋R2の上を移動しながら、第1鉄筋R1と第2鉄筋R2が交差する箇所を、鉄筋結束装置2を使用して結束するロボットである。第1鉄筋R1と第2鉄筋R2を上方から見た時に、第2鉄筋R2が延びる方向は第1鉄筋R1が延びる方向に対して直交している。また、第2鉄筋R2は第1鉄筋R1の上方に配置されている。第1鉄筋R1は、例えば、100mm-300mmの間隔で配筋されており、第2鉄筋R2は、例えば、100mm-300mmの間隔で配筋されている。鉄筋結束ロボット1は、前後方向の寸法が、例えば、900mm程度であり、左右方向の寸法が、例えば、600mm程度である。
【0044】
鉄筋結束ロボット1は、主に、鉄筋結束装置2と、搬送装置4と、昇降装置6と、電源装置8と、ロボット制御ユニット10と、独立リール500と、ワイヤ中継機構550を備えている。
【0045】
また、鉄筋結束ロボット1には、パトランプ183と、ブザー(図示せず)と、操作パネル(図示せず)と、複数の鉄筋検出センサ(図示せず)が設けられている。パトランプ183は、発光することによって、ユーザに対して鉄筋結束ロボット1の異常等を報知することができる。ブザーは、音を発することによって、ユーザに対して鉄筋結束ロボット1の異常等を報知することができる。操作パネルには、鉄筋結束ロボット1に電源を投入するための電源スイッチ(図示せず)、鉄筋RへのワイヤWの巻き数や、ワイヤWを捩る際の捩りトルクを設定する設定スイッチ(図示せず)、鉄筋結束ロボット1を緊急停止させるための緊急停止ボタン(図示せず)、および現在の設定内容を表示する表示用LED(図示せず)等が設けられている。複数の鉄筋検出センサは、例えば被写体までの距離を画素毎に計測した距離画像データを取得可能なTOF(Time-of-Flight)センサである。複数の鉄筋検出センサは、前側連結フレーム215(
図2参照)に設けられた鉄筋検出センサと、後側連結フレーム216(
図2参照)に設けられた鉄筋検出センサと、ベースプレート204の中央部分に設けられた鉄筋検出センサを含む。
【0046】
(ロボット制御ユニット10の構成)
ロボット制御ユニット10は、CPU、メモリ、および通信インタフェース等を含んでいる。ロボット制御ユニット10は、搬送装置4と昇降装置6の動作を制御するように構成されている。ロボット制御ユニット10は、複数の鉄筋検出センサで取得される距離画像データに基づいて、複数の鉄筋検出センサに対する、第1鉄筋R1および第2鉄筋R2の相対的な配置を特定することができる。例えば、ロボット制御ユニット10のメモリには、複数の第1鉄筋R1および複数の第2鉄筋R2の位置関係を示すマップ情報(本明細書では、「鉄筋マップ」と呼ぶ。)が記憶されている。これにより、ロボット制御ユニット10は、複数の第1鉄筋R1および複数の第2鉄筋R2に対する鉄筋結束ロボット1の配置を特定することもできる。また、ロボット制御ユニット10は、鉄筋交差箇所の結束状態に係る情報を随時メモリに記憶することができる。これにより、ロボット制御ユニット10は、鉄筋マップにおいて、結束済みの鉄筋交差箇所と、未結束の鉄筋交差箇所を区別することができる。
【0047】
(電源装置8の構成)
電源装置8は、右側バッテリケース802と、左側バッテリケース804と、変圧器806と、電力制御基板808を備えている。右側バッテリケース802内には、3つのバッテリパックBがそれぞれ着脱可能に取り付けられる。左側バッテリケース804内には、2つのバッテリパックBがそれぞれ着脱可能に取り付けられる。本明細書では、これら5つのバッテリパックBを総称して、「複数のバッテリパックB」と呼ぶ。複数のバッテリパックBは、例えば、図示しない充電器によって充電可能な、リチウムイオンバッテリである。右側バッテリケース802には、右側バッテリケース802内に取り付けられた各バッテリパックBのバッテリ残量を表示する右側バッテリ残量表示部812が設けられている。左側バッテリケース804には、左側バッテリケース804内に取り付けられた各バッテリパックBのバッテリ残量を表示する左側バッテリ残量表示部814が設けられている。また、複数のバッテリパックBは、変圧器806を介して、電力制御基板808と電気的に接続している。電力制御基板808は、鉄筋結束装置2と、搬送装置4と、ロボット制御ユニット10のそれぞれに電気的に接続されている。このため、電源装置8(具体的には、電力制御基板808)は、複数のバッテリパックBからの電力を、鉄筋結束装置2と、搬送装置4と、ロボット制御ユニット10に供給可能である。なお、
図2以降では、説明の簡略化のため、電源装置8およびロボット制御ユニット10の図示を省略している。
【0048】
(独立リール500およびワイヤ中継機構550の構成)
独立リール500は、ベースプレート204に固定されている。独立リール500には、鉄筋結束作業に用いられるワイヤWが予め巻回されている。本実施例の独立リール500に巻回可能なワイヤWの最大長は、600mから1000mの範囲内であって、例えば800mである。ワイヤ中継機構550は、台座部552と、ガイドローラ554と、送りローラ556、557と、挿通部材558を備えている。ワイヤ中継機構550は、台座部552を介して、ベースプレート204に固定されている。独立リール500から引き出されたワイヤWは、挿通部材558を通過して、送りローラ556、557の間に挟持されるとともに、ガイドローラ554によって鉄筋結束装置2に向けてガイドされる。独立リール500は、鉄筋結束ロボット1におけるワイヤWの供給源ということができる。
【0049】
(鉄筋結束装置2の構成)
以下では、鉄筋結束装置2の構成について説明する。なお、
図3から
図15までの説明における前後方向、左右方向および上下方向は、鉄筋結束ロボット1を基準とした前後方向、左右方向および上下方向ではなく、鉄筋結束装置2を基準とした前後方向、左右方向および上下方向を意味することに留意されたい。
【0050】
図3に示すように、鉄筋結束装置2は、互いに交差する鉄筋R(例えば第1鉄筋R1と第2鉄筋R2)を、ワイヤWによって結束する。鉄筋結束装置2は、ハウジング12を備えている。ハウジング12は、昇降装置6のベース部材654(
図30参照)を嵌合するための嵌合部12aを備えている。
図4に示すように、ハウジング12の後部には、独立リール500から引き出されたワイヤWを受け入れるための貫通孔12bが設けられている。
図1に示すように、貫通孔12bは、ワイヤ中継機構550に向かって開口している。
【0051】
図4、
図5に示すように、鉄筋結束装置2は、主に、リール保持機構36と、送り機構38と、ブレーキ機構40と、案内機構42と、切断機構44と、捩り機構46と、装置制御ユニット50を備えている。
【0052】
(リール保持機構36の構成)
図6に示すように、リール保持機構36は、カム部材54と、シャフト部材56と、圧縮バネ58を備えている。カム部材54は、ハウジング12によって回転可能に保持されている。シャフト部材56は、ハウジング12に保持された圧縮バネ58によって、右方向へ(すなわち、ハウジング12の内側へ)付勢されている。通常時は、圧縮バネ58の付勢力によって、シャフト部材56はハウジング12に対して右側に(すなわちハウジング12の内側に)移動している。この状態では、シャフト部材56の右端がワイヤリールWRのシャフト受け溝WRaに対して相対的に摺動可能に入り込む。この際、ワイヤリールWRはシャフト部材56に対して回転可能に保持される。この状態から、ユーザがカム部材54の回動レバー54a(
図3参照)を前方から後方に移動させると、いわゆる円筒カム機構の要領で、シャフト部材56は圧縮バネ58の付勢力に抗して左方向へ(すなわち、ハウジング12の外側へ)移動する。これにより、シャフト部材56はワイヤリールWRのシャフト受け溝WRaから抜け出る。この状態で、ユーザは、ワイヤリールWRをハウジング12から出し入れすることができる。
【0053】
リール保持機構36は、回転台60と、内側ベアリング62と、外側ベアリング64と、リール回転検出センサ66(
図4参照)をさらに備えている。回転台60は、内側ベアリング62と外側ベアリング64を介して、回転可能にハウジング12に保持されている。回転台60は、ワイヤリールWRと、相対的に回転不能に係合する。従って、ワイヤリールWRが回転すると、回転台60もワイヤリールWRと一体となって回転する。
図4に示すように、リール回転検出センサ66は、ハウジング12に固定されている。リール回転検出センサ66は、ホールIC(図示せず)を備えたホールセンサである。リール回転検出センサ66は、回転台60に設けられた複数のマグネット(図示せず)からの磁気の変動から、ワイヤリールWRの回転を検出することができる。
【0054】
以上のように、リール保持機構36は、ワイヤリールWRを着脱可能かつ回転可能に保持している。本実施例では、独立リール500から引き出されたワイヤWは、貫通孔12bに通され、ワイヤリールWRの周りに巻回された上で、送り機構38に供給される。このため、送り機構38によってワイヤWが送り出される際、ワイヤWはワイヤリールWRの外周面に沿って摺動する。この際、ワイヤリールWRとワイヤWの間の摺動摩擦によって、ワイヤリールWRを回転させるような力が生じる。これにより、ワイヤリールWRは、ワイヤWの送り出しに伴って回転するように構成されている。
【0055】
(送り機構38の構成)
図4に示すように、送り機構38は、リール保持機構36のワイヤリールWRから供給されるワイヤWを、鉄筋結束装置2の前方の案内機構42へと送り出す。送り機構38は、ガイド部材68と、送りモータ72と、主動ギヤ78と、従動ギヤ80と、リリースレバー82と、圧縮バネ84(
図7参照)と、ロックレバー86を備えている。ワイヤWは、ガイド部材68を通って、主動ギヤ78と、従動ギヤ80の間に挟持される。主動ギヤ78は、減速機構(図示せず)を介して、送りモータ72に連結されている。送りモータ72は、直流ブラシ付きモータである。
【0056】
図7に示すように、主動ギヤ78の側面には、高さ方向中央で径方向に伸びるV字形状溝78aが形成されている。従動ギヤ80の側面には、高さ方向中央で径方向に伸びるV字形状溝80aが形成されている。従動ギヤ80は、リリースレバー82のギヤアーム82aに回転可能に支持されている。リリースレバー82は、ギヤアーム82aと、操作アーム82bを備える、略L字型の部材である。リリースレバー82は、揺動軸82cを介してハウジング12に揺動可能に支持されている。リリースレバー82の操作アーム82bは、ハウジング12に保持された圧縮バネ84によって、左方向に向けて、すなわち外側に向けて付勢されている。通常時は、圧縮バネ84の付勢力によって、リリースレバー82に従動ギヤ80を主動ギヤ78に近づける方向のトルクが作用し、従動ギヤ80が主動ギヤ78に押し当てられている。これによって、従動ギヤ80の側面の歯(図示せず)と主動ギヤ78の側面の歯(図示せず)が係合するとともに、主動ギヤ78のV字形状溝78aと従動ギヤ80のV字形状溝80aの間に、ワイヤWが挟持される。この状態で、送りモータ72(
図4参照)が主動ギヤ78を回転させると、従動ギヤ80が逆方向に回転するとともに、主動ギヤ78と従動ギヤ80により挟持されたワイヤWが案内機構42(
図4参照)へと送り出され、ワイヤリールWRからワイヤWが引き出される。主動ギヤ78や従動ギヤ80は、ワイヤWを送り出す送りギヤということができる。なお、送り機構38は、主動ギヤ78の回転角度を検出するギヤ回転検出センサ79(
図16参照)を内蔵している。
【0057】
ロックレバー86は、ロックアーム86aと、バネ受けアーム(図示せず)を備える、略L字型の部材である。ロックレバー86は、揺動軸86cを介してハウジング12に揺動可能に支持されている。ロックレバー86のバネ受けアームは、ハウジング12に保持された図示しない圧縮バネによって、右方向に向けて付勢されている。この圧縮バネの付勢力によって、ロックレバー86には、ロックアーム86aをリリースレバー82の操作アーム82bに近づける方向のトルクが作用している。ロックレバー86のロックアーム86aには係合凸部86dが形成されており、リリースレバー82の操作アーム82bには係合凸部86dと係合する係合凹部82dが形成されている。
【0058】
ユーザが圧縮バネ84の付勢力に抗して操作アーム82bを押し込むと、リリースレバー82が揺動軸82cの周りで揺動して、従動ギヤ80が主動ギヤ78から離反する。この際に、操作アーム82bの係合凹部82dがロックアーム86aの係合凸部86dと対向する位置まで操作アーム82bが押し込まれると、ロックレバー86が揺動軸86cの周りで揺動して、ロックアーム86aの係合凸部86dが操作アーム82bの係合凹部82dに係合する。これによって、操作アーム82bは押し込まれた状態で保持される。ワイヤリールWRから伸びるワイヤWを送り機構38にセットする際には、ユーザは、操作アーム82bを押し込んで従動ギヤ80を主動ギヤ78から離反させ、その状態でワイヤリールWRから引き出したワイヤWの先端をガイド部材68の挿通孔68aを通して主動ギヤ78と従動ギヤ80の間に配置させる。そして、ユーザが圧縮バネの付勢力に抗してロックレバー86のロックアーム86aを操作アーム82bから離反する方向に揺動させると、ロックアーム86aの係合凸部86dと操作アーム82bの係合凹部82dの係合が解除されて、圧縮バネ84の付勢力によってリリースレバー82が揺動軸82cの周りで揺動して、従動ギヤ80が主動ギヤ78に係合するとともに、主動ギヤ78のV字形状溝78aと従動ギヤ80のV字形状溝80aの間にワイヤWが挟持される。
【0059】
(案内機構42の構成)
図5に示すように、案内機構42は、鉄筋結束装置2の前部に配置されており、送り機構38から送られたワイヤWを、略円環状の案内軌道上に案内する(
図3参照)。
図4に示すように、案内機構42は、案内パイプ88と、上側カールガイド90と、下側カールガイド92を備えている。案内パイプ88の後方側の端部は、送り機構38の主動ギヤ78と従動ギヤ80の間に向けて開口している。送り機構38から送られたワイヤWは、案内パイプ88の内部へと送り込まれる。
図10に示すように、案内パイプ88の前方側の端部は、上側カールガイド90の内部に向けて開口している。上側カールガイド90には、案内パイプ88から送られるワイヤWを案内するための第1案内通路94と、下側カールガイド92から送られるワイヤWを案内するための第2案内通路96(
図11参照)が設けられている。
【0060】
図8、
図9に示すように、上側カールガイド90は、リードホルダ98と、ガイドアーム100と、コンタクトプレート102と、左ガイドプレート104と、インナガイドプレート106と、右ガイドプレート108と、ガイド部材110と、トッププレート112(
図10参照)を備えている。
【0061】
リードホルダ98は、案内パイプ88(
図10参照)の前方側の開口が、ガイド部材110と、右ガイドプレート108と、インナガイドプレート106と、トッププレート112により形成される第1案内通路94に向けて開口するように、案内パイプ88を保持する。
図10に示すように、ガイド部材110は、金属製の部材であって、その内部にワイヤWが通過するワイヤ通路110aが形成されている。ワイヤ通路110aの前端下方には、第1案内ピン114が配置されている。第1案内ピン114は、例えばタングステン等の耐摩耗性の高い金属製の部材であって、右ガイドプレート108に圧入されている。案内パイプ88から送り出されるワイヤWは、ワイヤ通路110aと第1案内ピン114によって、カッタ116へ向けて案内される。
【0062】
カッタ116は、固定部材118と、揺動部材120を備えている。固定部材118は、外形が円筒形状である金属製の部材であって、その内部にワイヤWが通過するワイヤ通路118aが形成されている。固定部材118は、インナガイドプレート106に嵌合して、右ガイドプレート108とインナガイドプレート106に挟持されている。揺動部材120は、固定部材118が貫通する貫通孔120aと、ワイヤWを切断する切断片120bが形成された金属製の部材であって、固定部材118を介してインナガイドプレート106と右ガイドプレート108に揺動可能に保持されている。切断片120bは、揺動部材120が揺動したときに、ワイヤWを剪断により切断する。トッププレート112は、金属製の部材であって、右ガイドプレート108に固定されている。カッタ116を通過したワイヤWは、さらにトッププレート112の突出部112aと第2案内ピン122によって下方に向けて案内される。第2案内ピン122は、例えばタングステン等の耐摩耗性の高い金属製の部材であって、右ガイドプレート108に圧入されている。ワイヤWは、第1案内通路94を通過する際に、ワイヤ通路110aの内側の上面と第1案内ピン114と第2案内ピン122によって巻きぐせをつけられながら、下側カールガイド92に向けて送られる。
【0063】
下側カールガイド92には、第3案内通路124とガード板126が設けられている。第3案内通路124は、上側カールガイド90の前端から送られたワイヤWを案内する左案内壁124aおよび右案内壁124bを備えている。ガード板126は、第3案内通路124の両側で上方に伸びる形状に形成されており、複数の鉄筋Rが捩り機構46と干渉することを防止するとともに、鉄筋結束装置2の内部に異物が侵入することを防止する。また、ガード板126は、略円環状に巻回されたワイヤWを捩り機構46が捩る際に、ワイヤWが左右に暴れることを防止する。下側カールガイド92によって案内されたワイヤWは、上側カールガイド90の第2案内通路96に向けて送られる。
【0064】
下側カールガイド92の後方から上側カールガイド90の後方に送られたワイヤWは、ガイドアーム100と、左ガイドプレート104と、インナガイドプレート106によって形成される第2案内通路96に送られる。
図11に示すように、ガイドアーム100の前方の下面には、ワイヤWを案内する円弧状の上案内壁100aが形成されている。下側カールガイド92から上側カールガイド90に送られたワイヤWは、第2案内通路96によって案内されて、再び上側カールガイド90の前方から下側カールガイド92の前方に向けて送られる。
【0065】
図8、
図9に示すように、コンタクトプレート102は、略U字形状の部材であって、リードホルダ98およびガイドアーム100を跨ぐように配置されている。コンタクトプレート102は、コンタクト部102aと、揺動軸102bと、連結部102cを備えている。コンタクトプレート102は、揺動軸102bを介してリードホルダ98に揺動可能に支持されている。コンタクトプレート102の連結部102cは、リードホルダ98に保持された圧縮バネ128によって上方向に向けて付勢されている。
図9に示すように、コンタクトプレート102は、センサ用マグネット130が取り付けられたマグネットアーム132を備えている。センサ用マグネット130は、例えばネオジム磁石等の、磁力の強い磁石からなる。
図4に示すように、ハウジング12には、プレート位置検出センサ134が取り付けられている。通常時は、コンタクトプレート102のセンサ用マグネット130は、プレート位置検出センサ134と対向する位置に配置されている。鉄筋結束装置2が複数の鉄筋Rにセットされた時に、コンタクト部102aに複数の鉄筋Rが押し当てられると、圧縮バネ128の付勢力に抗して、コンタクトプレート102が揺動し、マグネットアーム132のセンサ用マグネット130がプレート位置検出センサ134から外れた位置に配置される。プレート位置検出センサ134は、コンタクト部102aに複数の鉄筋Rが押し当てられているか否かを検出することができる。
【0066】
図5に示すように、下側カールガイド92は、ハウジング12に、揺動軸92aを介して揺動可能に支持されている。下側カールガイド92は、
図12に示す閉じた状態と、
図13に示す開いた状態の間で、揺動可能である。開いた状態の下側カールガイド92は、ワイヤWの案内軌道に対して外側に揺動されている。
図5に示すように、下側カールガイド92は、捩りバネ92bによって、閉じる方向に付勢されている。鉄筋結束装置2は、通常、下側カールガイド92を閉じた状態で使用される。ワイヤWが捩り機構46に絡まってしまった場合には、ユーザは、捩りバネ92bの付勢力に抗して下側カールガイド92を開くことで、捩り機構46に絡まったワイヤWを取り除くことができる。
【0067】
図12、
図13に示すように、鉄筋結束装置2の前方下部には、下側カールガイド92の開閉状態を検出するガイド位置検出機構136が設けられている。ガイド位置検出機構136は、ハウジング12に取り付けられている。ガイド位置検出機構136は、ガイド位置検出部材138と、圧縮バネ140と、ガイド位置検出センサ142を備えている。ガイド位置検出部材138は、コンタクトアーム138aと、サポートアーム138cを備えている。ガイド位置検出部材138は、揺動軸138bを介してハウジング12に揺動可能に支持されている。また、ガイド位置検出部材138は、ハウジング12に保持された圧縮バネ140によって、コンタクトアーム138aが上方に向かう揺動方向に付勢されている。ガイド位置検出部材138のサポートアーム138cには、センサ用マグネット144(
図13参照)が取り付けられている。センサ用マグネット144は、例えばネオジム磁石等の、磁力の強い磁石からなる。ガイド位置検出センサ142は、ハウジング12に固定されている。下側カールガイド92の後方下部には、後方に向けて突出するコンタクト部92cが形成されている。
図12に示すように、捩りバネ92bの付勢力によって下側カールガイド92が閉じた状態では、下側カールガイド92のコンタクト部92cがガイド位置検出部材138のコンタクトアーム138aを押し下げており、サポートアーム138cのセンサ用マグネット144は、ガイド位置検出センサ142と対向する位置に配置される。
図13に示すように、ユーザが、捩りバネ92bの付勢力に抗して下側カールガイド92を開くと、下側カールガイド92のコンタクト部92cがガイド位置検出部材138のコンタクトアーム138aから離反する。これによって、圧縮バネ140の付勢力によってガイド位置検出部材138が揺動し、サポートアーム138cのセンサ用マグネット144は、ガイド位置検出センサ142から外れた位置に配置される。ガイド位置検出センサ142は、下側カールガイド92の開閉状態を検出することができる。
【0068】
図3に示すように、上側カールガイド90は複数の鉄筋Rの前方上方から下方へワイヤWを送り出し、下側カールガイド92は上側カールガイド90から送られたワイヤWを複数の鉄筋Rの後方下方から上方へ送り出す。これによって、送り機構38から送られたワイヤWは、複数の鉄筋Rの周囲に略円環状に巻回される。送り機構38は、ユーザによって設定されたワイヤWの送り出し量だけワイヤWを送り出すと、送りモータ72を停止してワイヤWの送り出しを停止する。
【0069】
(ブレーキ機構40の構成)
図4に示すブレーキ機構40は、送り機構38がワイヤWの送り出しを停止するのと連動して、ワイヤリールWRの回転を停止する。
図14、
図15に示すように、ブレーキ機構40は、プルソレノイド146と、圧縮バネ148と、ブレーキ部材150を備えている。ブレーキ部材150は、駆動アーム150aと、ブレーキアーム150cを備える単一の部材である。ブレーキ部材150は、揺動軸150bを介してハウジング12に揺動可能に取り付けられている。ブレーキ部材150の駆動アーム150aには、上下方向に進退するプルソレノイド146の出力軸が連結されている。また、ブレーキ部材150は、圧縮バネ148によって、ブレーキアーム150cがワイヤリールWRから離反する揺動方向に付勢されている。ブレーキ部材150のブレーキアーム150cは、幅広の板状に形成されたプレート部150dと、プレート部150dの先端においてワイヤリールWR側に突出する先端リブ150eと、プレート部150dの両側端においてワイヤリールWR側に突出する側端リブ150fを備えている。ワイヤリールWRには、ブレーキアーム150cの先端リブ150eが係合する係合部WRcが、周方向に所定の角度間隔で形成されている。
図14に示すように、プルソレノイド146への通電がされていない状態では、圧縮バネ148の付勢力によって、ブレーキアーム150cはワイヤリールWRの係合部WRcから離反している。この状態では、ワイヤリールWRは自由に回転することができ、送り機構38はワイヤリールWRからワイヤWを引き出すことができる。
図15に示すように、プルソレノイド146への通電がされた状態では、プルソレノイド146が駆動アーム150aを駆動し、ブレーキ部材150に揺動軸150b周りのトルクが作用することで、ブレーキ部材150が揺動軸150b周りに揺動して、ブレーキアーム150cの先端リブ150eがワイヤリールWRの係合部WRcに係合する。この状態では、ワイヤリールWRの回転が禁止される。これにより、送り機構38がワイヤWの送り出しを停止した後も、ワイヤリールWRが慣性により回転し続け、ワイヤリールWRと送り機構38の間でワイヤWが弛緩してしまうことを防ぐことができる。
【0070】
本明細書では、送り機構38、ブレーキ機構40および案内機構42を用いて、複数の鉄筋Rの周囲にワイヤWが巻回されるようにワイヤWを送り出す動作を、単に「送り動作」と呼ぶことがある。送り動作は、送りモータ72が駆動されることによって開始され、プルソレノイド146が停止されることによって終了する。
【0071】
(切断機構44の構成)
図5に示すように、切断機構44は、鉄筋結束装置2の前部に配置されており、ワイヤWを複数の鉄筋Rの周囲に巻回した状態で、ワイヤWを切断する。
図10に示すように、切断機構44は、案内機構42の上側カールガイド90と、ユニット化されている。切断機構44は、プッシュプレート152と、プルプレート154と、第1リンクアーム156と、第2リンクアーム158と、カッタ116を備えている。プッシュプレート152と、プルプレート154と、第1リンクアーム156は、揺動軸160を介して、互いに揺動可能に連結されている。また、プッシュプレート152とプルプレート154は、揺動軸162を介して、ガイドアーム100に揺動可能に支持されている。第1リンクアーム156は、捩りバネ164によって、前方に向けて付勢されている。第1リンクアーム156と第2リンクアーム158は、揺動軸166を介して、互いに揺動可能に連結されている。第2リンクアーム158は、揺動軸168を介してカッタ116の揺動部材120に、互いに揺動可能に連結されている。
【0072】
後述する捩り機構46の動作によって、プッシュプレート152の下部が前方に向けて押されると、第1リンクアーム156と第2リンクアーム158が後方に移動することで、カッタ116の揺動部材120が固定部材118の周りで揺動する。これによって、固定部材118のワイヤ通路118aの前端において、揺動部材120の切断片120bによる剪断によりワイヤWが切断される。この状態から、捩り機構46の動作によって、プルプレート154の下部が後方に向けて押されると、第1リンクアーム156と第2リンクアーム158が前方に移動することで、カッタ116の揺動部材120が固定部材118の周りで揺動して、カッタ116は初期の状態に戻る。
【0073】
(捩り機構46の構成)
図5に示す捩り機構46は、複数の鉄筋Rの周囲に巻回されたワイヤWを捩ることで、複数の鉄筋RをワイヤWで結束する。捩り機構46は、捩りモータ170と、減速機構172と、スリーブ174と、スリーブ174の内部に配置された図示しないスクリューシャフトと、プッシャ176と、スリーブ位置検出センサ177と、フック178を備えている。
【0074】
捩りモータ170は、直流ブラシレスモータである。捩りモータ170には、ロータ(図示せず)の回転角度を検出する捩りモータ回転検出センサ55(
図16参照)が設けられている。捩りモータ170の回転は、減速機構172を介して、スクリューシャフトに伝達される。捩りモータ170は、順方向および逆方向に回転可能であり、それに応じて、スクリューシャフトも、順方向および逆方向に回転可能である。スリーブ174はスクリューシャフトの周囲を覆うように配置されている。スリーブ174の回転が禁止されている状態では、スクリューシャフトが順方向に回転すると、スリーブ174が前方に向けて移動し、スクリューシャフトが逆方向に回転すると、スリーブ174が後方に向けて移動する。また、スリーブ174の回転が許容されている状態で、スクリューシャフトが回転すると、スリーブ174はスクリューシャフトと共に回転する。プッシャ176は、スリーブ174が前方へ移動する際には前方へ移動し、スリーブ174が後方へ移動する際には後方へ移動する。
図10に示すように、スリーブ174が初期位置から所定の位置まで前進すると、プッシャ176が切断機構44のプッシュプレート152の下部を前方に向けて押圧することで、カッタ116の揺動部材120が固定部材118の周りで揺動する。逆に、スリーブ174が前進した位置から所定の位置まで後退すると、プッシャ176が切断機構44のプルプレート154の下部を後方に向けて押圧することで、カッタ116の揺動部材120が固定部材118の周りで揺動する。フック178はスリーブ174の前端に設けられており、スリーブ174の前後方向の位置に応じて開閉する。スリーブ174が前方に移動すると、フック178が閉じて、ワイヤWを把持する。逆に、スリーブ174が後方に移動すると、フック178が開いて、ワイヤWを解放する。
図5に示すように、スリーブ位置検出センサ177は、ハウジング12に対して前後方向の位置が固定されており、プッシャ176に設けられたマグネット(図示せず)からの磁気を検出することで、スリーブ174が初期位置にあるか否かを検出することができる。
【0075】
複数の鉄筋Rの周囲にワイヤWが巻回された状態で、捩りモータ170が回転されると、スクリューシャフトの回転によってスリーブ174が前進するとともにプッシャ176とフック178が前進し、切断機構44によってワイヤWが切断されるとともに、フック178が閉じてワイヤWが把持される。その後、スリーブ174の回転が許容されると、スクリューシャフトの回転によってスリーブ174が回転するとともにフック178が回転する。これによって、設定された捩りトルクまでワイヤWが捩られ、複数の鉄筋Rが結束される。この状態から、捩りモータ170が逆方向に回転されると、スクリューシャフトの回転によってスリーブ174が後退するとともにフック178が開きながら後退して、ワイヤWが解放される。また、スリーブ174が後退するとともに、プッシャ176が後退して、切断機構44が初期の状態に戻る。その後、初期位置までプッシャ176とフック178が後退するとともに、スリーブ174の回転が許容されて、フック178が初期角度に戻る。
【0076】
本明細書では、切断機構44および捩り機構46を用いて、ワイヤWを切断するとともに、複数の鉄筋Rに巻回されたワイヤWを捩る動作を、単に「捩り動作」と呼ぶことがある。捩り動作は、捩りモータ170が駆動されることによって開始され、捩りモータ170が停止されることによって終了する。
【0077】
(装置制御ユニット50の構成)
図16に示すように、装置制御ユニット50は、制御電源回路20、メインマイコン21、ドライバ回路22、23、24、電圧検出回路25、26、27、電流検出回路28等を備えている。メインマイコン21は、CPU、メモリ、および通信インタフェース等を含んでいる。メインマイコン21は、ロボット制御ユニット10と通信可能に構成されている。メインマイコン21とロボット制御ユニット10の間の通信方式は、例えば有線シリアル通信方式である。これにより、ロボット制御ユニット10と装置制御ユニット50は、互いに通信可能となっている。また、装置制御ユニット50には、装置制御ユニット50の温度を検出可能な温度検出センサ32が設けられている。
【0078】
制御電源回路20は、電源装置8の電力制御基板808から供給される電力を所定の電圧に調整して、メインマイコン21に電力を供給する。
【0079】
ドライバ回路22は、メインマイコン21からの指示に応じて、プルソレノイド146を駆動する。図示はしていないが、ドライバ回路22は、スイッチング素子としてFETを内蔵している。メインマイコン21は、ドライバ回路22を介して、プルソレノイド146の動作を制御することができる。
【0080】
電圧検出回路25は、ドライバ回路22に対応して設けられている。電圧検出回路25は、ドライバ回路22に印可される電圧や、ドライバ回路22の電位を検出可能となっている。
【0081】
ドライバ回路23は、メインマイコン21からの指示に応じて、送りモータ72を駆動する。図示はしていないが、ドライバ回路23は、スイッチング素子としてFETを内蔵している。メインマイコン21は、ドライバ回路23を介して、送りモータ72の動作を制御することができる。
【0082】
電圧検出回路26は、ドライバ回路23に対応して設けられている。電圧検出回路26は、ドライバ回路23に印可される電圧や、ドライバ回路23の電位を検出可能となっている。
【0083】
ドライバ回路24は、メインマイコン21からの指示に応じて、捩りモータ170を駆動する。図示はしていないが、ドライバ回路24は、スイッチング素子としてFETを内蔵している。メインマイコン21は、ドライバ回路24を介して、捩りモータ170の動作を制御することができる。
【0084】
電圧検出回路27は、電力制御基板808から供給される電力の電圧を検出する。メインマイコン21は、電圧検出回路27から受信する信号から、電力制御基板808から供給される電力の電圧を取得することができる。
【0085】
電流検出回路28は、電力制御基板808からドライバ回路22、23、24等に供給される電流を検出する。メインマイコン21は、電流検出回路28より受信する信号より、電力制御基板808からドライバ回路22、23、24等に供給される電流、すなわち電力制御基板808から捩りモータ170、送りモータ72、プルソレノイド146等に供給される電流を取得することができる。
【0086】
電力制御基板808からドライバ回路22、23、24へ電力を供給する経路には、保護FET31が設けられている。保護FET31がオンになると、電力制御基板808からドライバ回路22、23、24への電力供給が行われる。保護FET31がオフになると、電力制御基板808からドライバ回路22、23、24への電力供給が遮断される。メインマイコン21は、保護FET31をオン状態とオフの状態の間で切り換えることができる。
【0087】
以下では、装置制御ユニット50が実行する各種の処理(具体的には、メインマイコン21が実行する処理)について説明する。
【0088】
(装置メイン処理)
電力制御基板808から鉄筋結束装置2への電力供給が開始されると、装置制御ユニット50は、
図17に示す装置メイン処理を実行する。
【0089】
S102では、装置制御ユニット50は、ハードウェア状態判定処理を実行する。ハードウェア状態判定処理の詳細は後述する。S102の後、処理はS104へ進む。
【0090】
S104では、装置制御ユニット50は、鉄筋結束装置2に異常が発生したか否かを判断する。具体的には、装置制御ユニット50は、後述する結束装置異常判定フラグがメモリに記憶されているか否かを判断する。鉄筋結束装置2に異常が発生していない場合(NOの場合)、処理はS106へ進む。
【0091】
S106では、装置制御ユニット50は、装置イニシャライズ処理を実行する。装置イニシャライズ処理が開始されると、装置制御ユニット50は、保護FET31をオンにする。その後、装置制御ユニット50は、捩りモータ170を順方向および逆方向に回転させて、動作確認を行うとともに、スリーブ174を初期位置に復帰させる。その後、装置制御ユニット50は、保護FET31をオフにし、装置イニシャライズ処理を終了する。S106の後、処理はS108へ進む。
【0092】
S108では、装置制御ユニット50は、ロボット制御ユニット10から送信される状態呼出信号を受信したか否かを判断する。状態呼出信号を受信していない場合(NOの場合)、処理はS108を再度実行する。状態呼出信号を受信した場合(YESの場合)、処理はS110へ進む。
【0093】
S110では、装置制御ユニット50は、ロボット制御ユニット10に対して、状態通知信号を送信する。状態通知信号は、例えばメモリに記憶された各種フラグを含んでいる。S110の後、処理はS112へ進む。
【0094】
S112では、装置制御ユニット50は、ロボット制御ユニット10から送信される結束指示信号を受信したか否かを判断する。結束指示信号を受信していない場合(NOの場合)、処理はS112を再度実行する。結束指示信号を受信した場合(YESの場合)、処理はS114へ進む。
【0095】
S114では、装置制御ユニット50は、ハードウェア状態判定処理を実行する。ハードウェア状態判定処理の詳細は後述する。S114の後、処理はS116へ進む。
【0096】
S116では、装置制御ユニット50は、鉄筋結束装置2に異常が発生したか否かを判断する。具体的には、装置制御ユニット50は、結束装置異常判定フラグがメモリに記憶されているか否かを判断する。鉄筋結束装置2に異常が発生していない場合(NOの場合)、処理はS118へ進む。
【0097】
S118では、装置制御ユニット50は、鉄筋結束作業を開始する。装置制御ユニット50は、鉄筋結束装置2が鉄筋結束作業を実行中であることを示す結束作業中フラグをメモリに記憶するとともに、保護FET31をオンにする。S118の後、処理はS120へ進む。
【0098】
S120では、装置制御ユニット50は、ドライバ回路23に対して送りモータ72の駆動開始を指示する。すなわち、装置制御ユニット50は、送り動作の開始を指示する。S120の後、処理はS122へ進む。
【0099】
S122では、装置制御ユニット50は、送り動作状態判定処理を実行する。送り動作状態判定処理の詳細は後述する。S122の後、処理はS124へ進む。
【0100】
S124では、装置制御ユニット50は、鉄筋結束装置2に異常が発生したか否かを判断する。具体的には、装置制御ユニット50は、結束装置異常判定フラグがメモリに記憶されているか否かを判断する。鉄筋結束装置2に異常が発生していない場合(NOの場合)、処理はS126へ進む。
【0101】
S126では、装置制御ユニット50は、送り動作が終了したか否かを判断する。送り動作が終了していない場合(NOの場合)、処理はS122に戻る。送り動作が終了した場合(YESの場合)、処理はS128へ進む。
【0102】
S128では、装置制御ユニット50は、ドライバ回路24に対して捩りモータ170の駆動開始を指示する。すなわち、装置制御ユニット50は、捩り動作の開始を指示する。S128の後、処理はS130へ進む。
【0103】
S130では、装置制御ユニット50は、捩り動作状態判定処理を実行する。捩り動作状態判定処理の詳細は後述する。S130の後、処理はS132へ進む。
【0104】
S132では、装置制御ユニット50は、鉄筋結束装置2に異常が発生したか否かを判断する。具体的には、装置制御ユニット50は、結束装置異常判定フラグがメモリに記憶されているか否かを判断する。鉄筋結束装置2に異常が発生していない場合(NOの場合)、処理はS134へ進む。
【0105】
S134では、装置制御ユニット50は、捩り動作が終了したか否かを判断する。捩り動作が終了していない場合(NOの場合)、処理はS130に戻る。捩り動作が終了した場合(YESの場合)、処理はS136へ進む。
【0106】
S136では、装置制御ユニット50は、鉄筋結束作業を終了する。装置制御ユニット50は、保護FET31をオフにするとともに、メモリに記憶された結束作業中フラグを消去する。S136の後、処理はS108に戻る。
【0107】
S104、S116、S124、またはS132において、鉄筋結束装置2に異常が発生していると判断される場合(YESの場合)、処理はS138へ進む。S138では、装置制御ユニット50は、ロボット制御ユニット10から送信される状態呼出信号を受信したか否かを判断する。状態呼出信号を受信していない場合(NOの場合)、処理はS138を再度実行する。状態呼出信号を受信した場合(YESの場合)、処理はS140へ進む。
【0108】
S140では、装置制御ユニット50は、ロボット制御ユニット10に対して、状態通知信号を送信する。状態通知信号は、例えばメモリに記憶された各種フラグを含んでいる。S140の後、
図17に示す処理は終了する。
【0109】
(送り動作状態判定処理)
装置制御ユニット50は、装置メイン処理(
図17参照)のS122において、
図18に示す送り動作状態判定処理を実行する。
【0110】
S2では、装置制御ユニット50は、ワイヤリールWRがリール保持機構36に保持されているか否かを判断する。具体的には、装置制御ユニット50は、装置メイン処理(
図17参照)のS118が終了してから一度もリール回転検出センサ66でワイヤリールWRの回転が検出されない場合、ワイヤリールWRがリール保持機構36に保持されていないと判断する。装置制御ユニット50は、装置メイン処理(
図17参照)のS118が終了してから一度でもリール回転検出センサ66でワイヤリールWRの回転が検出された場合、ワイヤリールWRがリール保持機構36に保持されていると判断する。ワイヤリールWRがリール保持機構36に保持されている場合(YESの場合)、処理はS3へ進む。
【0111】
S3では、装置制御ユニット50は、送りモータFET(ドライバ回路23のFET)がオープン故障したか否かを判断する。具体的には、装置制御ユニット50は、装置メイン処理(
図17参照)のS118が終了してから所定時間が経過するまでの間に一度もドライバ回路23に電流が流れていない場合、送りモータFETがオープン故障したと判断する。装置制御ユニット50は、装置メイン処理(
図17参照)のS118が終了してから所定時間が経過するまでの間に一度でもドライバ回路23に電流が流れた場合、送りモータFETがオープン故障していないと判断する。送りモータFETがオープン故障していない場合(NOの場合)、処理はS4へ進む。
【0112】
S4では、装置制御ユニット50は、送りモータ72で過負荷が検出されたか否かを判断する。具体的には、装置制御ユニット50は、電流検出回路28で検出される電流値が所定の第1電流上限値を上回っている状態が所定時間以上継続して検出される場合、送りモータ72で過負荷が検出されたと判断する。送りモータ72で過負荷が検出されない場合(NOの場合)、処理はS6へ進む。
【0113】
S6では、装置制御ユニット50は、送りギヤ(主動ギヤ78と従動ギヤ80)に異常が発生したか否かを判断する。本実施例の装置制御ユニット50は、装置メイン処理(
図17参照)のS118が終了してからの主動ギヤ78の回転量をギヤ回転検出センサ79に基づいて算出している。そして、装置制御ユニット50は、装置メイン処理(
図17参照)のS118が終了してから所定時間が経過してもなお、主動ギヤ78の回転量が所定値(例えば、ユーザによって設定されたワイヤWの送り出し量に相当する回転量)に到達しない場合、送りギヤに異常が発生したと判断する。送りギヤに異常が発生していない場合、(NOの場合)、処理はS8へ進む。
【0114】
S8では、装置制御ユニット50は、ワイヤ不足が発生したか否かを判断する。本実施例の装置制御ユニット50は、装置メイン処理(
図17参照)のS118が終了してからのワイヤリールWRの回転量をリール回転検出センサ66に基づいて算出している。そして、装置制御ユニット50は、装置メイン処理(
図17参照)のS118が終了してから所定時間が経過してもなお、ワイヤリールWRの回転量が所定値(例えば、ユーザによって設定されたワイヤWの送り出し量に相当する回転量)に到達しない場合、ワイヤ不足が発生したと判断する。ワイヤ不足が発生していないと判断される場合、(NOの場合)、処理はS9へ進む。
【0115】
S9では、装置制御ユニット50は、ソレノイドFET(ドライバ回路22のFET)がオープン故障したか否かを判断する。具体的には、装置制御ユニット50は、装置メイン処理(
図17参照)のS118が終了してから所定時間が経過するまでの間に一度もドライバ回路22に電流が流れていない場合、ソレノイドFETがオープン故障したと判断する。装置制御ユニット50は、装置メイン処理(
図17参照)のS118が終了してから所定時間が経過するまでの間に一度でもドライバ回路22に電流が流れた場合、ソレノイドFETがオープン故障していないと判断する。ソレノイドFETがオープン故障していない場合(NOの場合)、処理はS10へ進む。
【0116】
S10では、装置制御ユニット50は、送り動作が正常に実行されていることを示す送り動作正常判定フラグをメモリに記憶する。S10の後、
図18の処理は終了する。
【0117】
S2でワイヤリールWRがリール保持機構36に保持されていないと判断される場合(NOの場合)、S3で送りモータFETがオープン故障していると判断される場合(YESの場合)、S4において送りモータ72で過負荷が検出されたと判断される場合(YESの場合)、S6で送りギヤに異常が発生していると判断される場合(YESの場合)、S8でワイヤ不足が発生していると判断される場合(YESの場合)、またはS9でソレノイドFETがオープン故障していると判断される場合(YESの場合)、処理はS12へ進む。S2でNOとなった場合に実行されるS12では、装置制御ユニット50は、ワイヤリールWRがリール保持機構36に保持されていないことを示すリール脱落判定フラグをメモリに記憶する。S3でYESとなった場合に実行されるS12では、装置制御ユニット50は、送りモータFETがオープン故障していることを示す送りモータFETオープン故障判定フラグをメモリに記憶する。S4でYESとなった場合に実行されるS12では、装置制御ユニット50は、送りモータ72で過負荷が検出されたことを示す送りモータ過負荷判定フラグをメモリに記憶する。S6でYESとなった場合に実行されるS12では、装置制御ユニット50は、送りギヤに異常が発生していることを示す送りギヤ異常判定フラグをメモリに記憶する。S8でYESとなった場合に実行されるS12では、装置制御ユニット50は、ワイヤ不足が発生していることを示すワイヤ不足判定フラグをメモリに記憶する。S9でYESとなった場合に実行されるS12では、装置制御ユニット50は、ソレノイドFETがオープン故障していることを示すソレノイドFETオープン故障判定フラグをメモリに記憶する。S12の後、処理はS14へ進む。
【0118】
S14では、装置制御ユニット50は、実行中の鉄筋結束作業を中断する。具体的には、装置制御ユニット50は、保護FET31をオフにする。これによって、ドライバ回路22、23、24への電力制御基板808からの電力供給が遮断される。S14の後、
図18の処理は終了する。
【0119】
なお、S10でメモリに記憶された送り動作正常判定フラグや、S12でメモリに記憶されたリール脱落判定フラグ、送りモータFETオープン故障判定フラグ、送りモータ過負荷判定フラグ、送りギヤ異常判定フラグ、ワイヤ不足判定フラグ、ソレノイドFETオープン故障判定フラグは、次回に送り動作状態判定処理が開始されるまでの間、メモリに保持され、次回に送り動作状態判定処理が開始される際、メモリから消去される。また、これらの判定フラグは、電力制御基板808から装置制御ユニット50への電力供給が遮断される際にも、メモリから消去される。
【0120】
(プレート状態判定処理)
装置制御ユニット50は、電力制御基板808から電力が供給されている間、
図19に示すプレート位置状態判定処理を繰り返し実行する。
【0121】
S32では、装置制御ユニット50は、プレート位置検出センサ134を用いて鉄筋当接状態が検出されたか否かを判断する。ここでいう鉄筋当接状態とは、コンタクトプレート102に複数の鉄筋Rが押し当てられている状態を意味する。鉄筋当接状態が検出された場合(YESの場合)、処理はS34へ進む。鉄筋当接状態が検出されない場合(NOの場合)、処理は再度S32を実行する。
【0122】
S34では、装置制御ユニット50は、装置制御ユニット50は、鉄筋当接状態が所定時間(例えば5秒)以上継続されたか否かを判断する。装置制御ユニット50は、S32の処理でYESと判断されてから所定時間が経過するまでの間、プレート位置検出センサ134を監視し続けることで、S34の判断を行う。鉄筋当接状態が所定時間以上継続されなかった場合(NOの場合)、処理はS36へ進む。
【0123】
S36では、装置制御ユニット50は、コンタクトプレート102が正常に動作していることを示すプレート正常判定フラグをメモリに記憶する。S36の後、
図19の処理は終了する。
【0124】
S34で鉄筋当接状態が所定時間以上継続されたと判断される場合(YESの場合)、処理はS38へ進む。S38では、装置制御ユニット50は、コンタクトプレート102の動作に異常が発生していることを示すプレート異常判定フラグをメモリに記憶する。S38の後、
図19の処理は終了する。
【0125】
なお、S36でメモリに記憶されたプレート正常判定フラグまたはS38でメモリに記憶されたプレート異常判定フラグは、次回にプレート状態判定処理が開始されるまでの間、メモリに保持され、次回にプレート状態判定処理が開始される際、メモリから消去される。また、これらの判定フラグは、電力制御基板808から装置制御ユニット50への電力供給が遮断される際にも、メモリから消去される。
【0126】
(供給電圧状態判定処理)
装置制御ユニット50は、電力制御基板808から電力が供給されている間、
図20に示す供給電圧状態判定処理を繰り返し実行する。
【0127】
S42では、装置制御ユニット50は、電圧検出回路27で検出される電圧値が所定の電圧下限値を下回っているか否かを判断する。電圧検出回路27で検出される電圧値が電圧下限値を下回っている場合(YESの場合)、処理はS44へ進む。電圧検出回路27で検出される電圧値が電圧下限値以上である場合(NOの場合)、処理はS46へ進む。
【0128】
S44では、装置制御ユニット50は、電力制御基板808から装置制御ユニット50に供給される電力の電圧値が不十分な値であることを示す低電圧判定フラグをメモリに記憶する。S44の後、
図20の処理は終了する。
【0129】
S46では、装置制御ユニット50は、電力制御基板808から装置制御ユニット50に供給される電力の電圧値が十分な値であることを示す供給電圧正常判定フラグをメモリに記憶する。S46の後、
図20の処理は終了する。
【0130】
なお、S44でメモリに記憶された低電圧判定フラグまたはS46でメモリに記憶された供給電圧正常判定フラグは、次回に供給電圧状態判定処理が開始されるまでの間、メモリに保持され、次回に供給電圧状態判定処理が開始される際、メモリから消去される。また、これらの判定フラグは、電力制御基板808から装置制御ユニット50への電力供給が遮断される際にも、メモリから消去される。
【0131】
(温度状態判定処理)
装置制御ユニット50は、電力制御基板808から電力が供給されている間、
図21に示す温度状態判定処理を繰り返し実行する。
【0132】
S52では、装置制御ユニット50は、装置制御ユニット50がオーバーヒートしているか否かを判断する。具体的には、装置制御ユニット50は、温度検出センサ32で検出される装置制御ユニット50の温度が所定の温度上限値を上回っている状態が所定時間以上継続して検出されたか否かを判断する。装置制御ユニット50がオーバーヒートしている場合(YESの場合)、処理はS54へ進む。
【0133】
S54では、装置制御ユニット50は、装置制御ユニット50がオーバーヒートしていることを示す温度異常判定フラグをメモリに記憶する。S54の後、処理はS56へ進む。
【0134】
S56では、装置制御ユニット50は、鉄筋結束作業を実行中である場合には、実行中の鉄筋結束作業を中断する。具体的には、装置制御ユニット50は、保護FET31をオフにする。これによって、ドライバ回路22、23、24への電力制御基板808からの電力供給が遮断される。S56の後、
図21の処理は終了する。
【0135】
S52において、装置制御ユニット50がオーバーヒートしていないと判断される場合(NOの場合)、処理はS58へ進む。S58では、装置制御ユニット50は、装置制御ユニット50がオーバーヒートしていない(すなわち、装置制御ユニット50の温度が正常である)ことを示す温度正常判定フラグをメモリに記憶する。S58の後、
図21の処理は終了する。
【0136】
なお、S54でメモリに記憶された温度異常判定フラグまたはS58でメモリに記憶された温度正常判定フラグは、次回に温度状態判定処理が開始されるまでの間、メモリに保持され、次回に温度状態判定処理が開始される際、メモリから消去される。また、これらの判定フラグは、電力制御基板808から装置制御ユニット50への電力供給が遮断される際にも、メモリから消去される。
【0137】
(捩り動作状態判定処理)
装置制御ユニット50は、装置メイン処理(
図17参照)のS130において、
図22に示す捩り動作状態判定処理を実行する。
【0138】
S62では、装置制御ユニット50は、捩りモータ回転検出センサ55の検出結果に基づいて、捩りモータ170がロック状態であるか否かを判断する。本実施例の捩りモータ回転検出センサ55はホールセンサであり、捩りモータ170のロータが所定角度だけ回転する度に、装置制御ユニット50に対して出力する信号をH信号とL信号の間で切り換えるように構成されている。装置制御ユニット50は、捩りモータ回転検出センサ55から出力される信号の切り換え回数に基づいて、捩りモータ170の回転を検出している。このため、装置制御ユニット50は、装置メイン処理(
図17参照)のS128が終了してから所定時間が経過してもなお、捩りモータ回転検出センサ55から出力される信号が一度も切り換わらない場合、捩りモータ170がロック状態であると判断する。捩りモータ170がロック状態でない場合(NOの場合)、処理はS64へ進む。
【0139】
S64では、装置制御ユニット50は、捩りモータ170の回転異常が検出されたか否かを判断する。具体的には、装置制御ユニット50は、捩りモータ回転検出センサ55で検出される捩りモータ170の回転角度の変化パターンと、メモリに記憶された理想の変化パターンを比較することで、捩りモータ170の回転異常が検出されたか否かを判断する。捩りモータ170の回転異常が検出されない場合(NOの場合)、処理はS66へ進む。
【0140】
S66では、装置制御ユニット50は、捩りモータ170で過負荷が検出されたか否かを判断する。具体的には、装置制御ユニット50は、電流検出回路28で検出される電流値が所定の第2電流上限値を上回っている状態が所定時間以上継続して検出されたか否かを判断する。捩りモータ170で過負荷が検出されない場合(NOの場合)、処理はS68へ進む。
【0141】
S68では、装置制御ユニット50は、捩りモータ回転検出センサ55に異常が発生したか否かを判断する。具体的には、装置制御ユニット50は、捩りモータ170を駆動してから捩りモータ170を停止するまでの間、捩りモータ回転検出センサ55からの制御出力を監視し続ける。そして、捩りモータ回転検出センサ55から出力される信号(H信号またはL信号)が一度も切り換わらなかった場合、装置制御ユニット50は捩りモータ回転検出センサ55に異常が発生したと判断する。捩りモータ回転検出センサ55に異常が発生していない場合(NOの場合)、処理はS70へ進む。
【0142】
S70では、装置制御ユニット50は、捩りアーム(スリーブ174およびフック178)に異常が発生したか否かを判断する。具体的には、装置制御ユニット50は、装置メイン処理(
図17参照)のS128が終了してから所定時間が経過した後にスリーブ174が初期位置にない場合、捩りアームに異常が発生したと判断する。捩りアームに異常が発生していない場合(NOの場合)、処理はS72へ進む。
【0143】
S72では、装置制御ユニット50は、捩り動作の実行中に、電流検出回路28において過電流が検出されたか否かを判断する。本実施例では、電流検出回路28には、電流検出回路28に流れる電流値が所定の第3電流上限値を上回ることに応じて装置制御ユニット50に過電流検出信号を送信する、過電流検出回路(図示せず)が設けられている。このため、装置制御ユニット50は、過電流検出回路から過電流検出信号を受信したか否かを判断する。なお、第3電流上限値は、
図18のS4における第1電流上限値や、
図22のS66における第2電流上限値よりも大きい値に設定されている。過電流が検出されない場合(NOの場合)、処理はS74へ進む。
【0144】
S74では、装置制御ユニット50は、捩り動作が正常に実行されていることを示す捩り動作正常判定フラグをメモリに記憶する。S74の後、
図22の処理は終了する。
【0145】
S62で捩りモータ170のロック状態が検出されたと判断される場合(YESの場合)、S64で捩りモータ170の回転異常が検出されたと判断される場合(YESの場合)、S66において捩りモータ170で過負荷が検出されたと判断される場合(YESの場合)、S68で捩りモータ回転検出センサ55に異常が発生していると判断される場合(YESの場合)、S70で捩りアームに異常が発生していると判断される場合(YESの場合)、またはS72で過電流が検出されたと判断される場合(YESの場合)、処理はS76へ進む。S62でYESとなった場合に実行されるS76では、装置制御ユニット50は、捩りモータ170がロック状態となっていることを示す捩りモータロック判定フラグをメモリに記憶する。S64でYESとなった場合に実行されるS76では、装置制御ユニット50は、捩りモータ170が回転異常していることを示す捩りモータ回転異常判定フラグをメモリに記憶する。S66でYESとなった場合に実行されるS76では、装置制御ユニット50は、捩りモータ170で過負荷が検出されたことを示す捩りモータ過負荷判定フラグをメモリに記憶する。S68でYESとなった場合に実行されるS76では、装置制御ユニット50は、捩りモータ回転検出センサ55に異常が発生していることを示す捩りモータ回転検出センサ異常判定フラグをメモリに記憶する。S70でYESとなった場合に実行されるS76では、装置制御ユニット50は、捩りアームに異常が発生していることを示す捩りアーム異常判定フラグをメモリに記憶する。S72でYESとなった場合に実行されるS76では、装置制御ユニット50は、過電流が検出されたことを示す過電流判定フラグをメモリに記憶する。S76の後、処理はS78へ進む。
【0146】
S78では、装置制御ユニット50は、実行中の鉄筋結束作業を中断する。具体的には、装置制御ユニット50は、保護FET31をオフにする。これによって、ドライバ回路22、23、24への電力制御基板808からの電力供給が遮断される。S78の後、
図22の処理は終了する。
【0147】
なお、S74でメモリに記憶された捩り動作正常判定フラグや、S76でメモリに記憶された捩りモータロック判定フラグ、捩りモータ回転異常判定フラグ、捩りモータ過負荷判定フラグ、捩りモータ回転検出センサ異常判定フラグ、捩りアーム異常判定フラグ、過電流判定フラグは、次回に捩り動作状態判定処理が開始されるまでの間、メモリに保持され、次回に捩り動作状態判定処理が開始される際、メモリから消去される。また、これらの判定フラグは、電力制御基板808から装置制御ユニット50への電力供給が遮断される際にも、メモリから消去される。
【0148】
(ハードウェア状態判定処理)
装置制御ユニット50は、装置メイン処理(
図17参照)のS102およびS114において、
図23に示すハードウェア状態判定処理を実行する。
【0149】
S82では、装置制御ユニット50は、ガイド位置検出センサ142に基づいて、下側カールガイド92が開状態であるか否かを判断する。下側カールガイド92が開状態でない(すなわち、閉状態である)と判断される場合(NOの場合)、処理はS84へ進む。
【0150】
S84では、装置制御ユニット50は、電圧検出回路25、26、27のそれぞれの検出値に基づいて、保護FET31の電圧値を特定する。そして、装置制御ユニット50は、保護FET31の電圧値が異常な値であるか否かを判断する。ここでいう異常な値とは、例えば、保護FET31のゲートしきい値を下回る値である。保護FET31の電圧値が正常な値である場合(NOの場合)、処理はS86へ進む。
【0151】
S86では、装置制御ユニット50は、電圧検出回路25を用いて、ソレノイドFETの電圧値が異常な値であるか否かを判断する。ここでいう異常な値とは、例えば、ソレノイドFETのゲートしきい値を下回る値である。ソレノイドFETの電圧値が正常な値である場合(NOの場合)、処理はS88へ進む。
【0152】
S88では、装置制御ユニット50は、電圧検出回路26を用いて、送りモータFETの電圧値が異常な値であるか否かを判断する。ここでいう異常な値とは、例えば、送りモータFETのゲートしきい値を下回る値である。送りモータFETの電圧値が正常な値である場合(NOの場合)、処理はS90へ進む。
【0153】
S90では、装置制御ユニット50は、ハードウェア状態が正常であることを示すハードウェア正常判定フラグをメモリに記憶する。S90の後、
図23の処理は終了する。
【0154】
S82で下側カールガイド92が開状態であると判断される場合(YESの場合)、S84で保護FET31の電圧値が異常な値であると判断される場合(YESの場合)、S86でソレノイドFETの電圧値が異常な値であると判断される場合(YESの場合)、S88で送りモータFETの電圧値が異常な値であると判断される場合(YESの場合)、処理はS92へ進む。S82でYESとなった場合に実行されるS92では、装置制御ユニット50は、下側カールガイド92の位置が適切な位置にないことを示すガイド位置異常判定フラグをメモリに記憶する。S84でYESとなった場合に実行されるS92では、装置制御ユニット50は、保護FET31の電圧値が異常な値であることを示す保護FET電圧異常判定フラグをメモリに記憶する。S86でYESとなった場合に実行されるS92では、装置制御ユニット50は、ソレノイドFETの電圧値が異常な値であることを示すソレノイドFET電圧異常判定フラグをメモリに記憶する。S88でYESとなった場合に実行されるS92では、装置制御ユニット50は、送りモータFETの電圧値が異常な値であることを示す送りモータFET電圧異常判定フラグをメモリに記憶する。S92の後、
図23の処理は終了する。
【0155】
なお、S90でメモリに記憶されたハードウェア正常判定フラグや、S92でメモリに記憶されたガイド位置異常判定フラグ、保護FET電圧異常判定フラグ、ソレノイドFET電圧異常判定フラグ、送りモータFET電圧異常判定フラグは、次回にハードウェア状態判定処理が開始されるまでの間、メモリに保持され、次回にハードウェア状態判定処理が開始される際、メモリから消去される。また、これらの判定フラグは、電力制御基板808から装置制御ユニット50への電力供給が遮断される際にも、メモリから消去される。
【0156】
(各種判定フラグの類別)
本明細書では、前述した各種判定フラグのうち、送り動作正常判定フラグ、プレート正常判定フラグ、供給電圧正常判定フラグ、温度正常判定フラグ、捩り動作正常判定フラグ、ハードウェア正常判定フラグを総称して「結束装置正常判定フラグ」と呼ぶ。また、リール脱落判定フラグ、送りモータFETオープン故障判定フラグ、送りモータ過負荷判定フラグ、送りギヤ異常判定フラグ、ワイヤ不足判定フラグ、ソレノイドFETオープン故障判定フラグ、プレート異常判定フラグ、低電圧判定フラグ、温度異常判定フラグ、捩りモータロック判定フラグ、捩りモータ回転異常判定フラグ、捩りモータ過負荷判定フラグ、捩りモータ回転検出センサ異常判定フラグ、捩りアーム異常判定フラグ、過電流判定フラグ、ガイド位置異常判定フラグ、保護FET電圧異常判定フラグ、ソレノイドFET電圧異常判定フラグ、送りモータFET電圧異常判定フラグを総称して「結束装置異常判定フラグ」と呼ぶ。
【0157】
(搬送装置4の構成)
図2に示すように、搬送装置4は、車台190と、右側クローラ192と、左側クローラ194と、サイドステッパ196と、動力伝達機構402を備えている。右側クローラ192と、左側クローラ194と、サイドステッパ196と、動力伝達機構402は、それぞれ車台190に支持されている。
【0158】
(車台190の構成)
図2に示すように、車台190は、ベースプレート204と、右側プレート210と、左側プレート212と、複数のベースフレーム214と、前側連結フレーム215と、後側連結フレーム216を備えている。ベースプレート204は、前後方向および左右方向(すなわち、水平方向)に沿って配置されている。鉄筋結束ロボット1には、前後左右方向の中央部において、ベースプレート204を上下方向に貫通させて形成される貫通孔204aが設けられている。貫通孔204aは、鉄筋結束装置2が略上下方向に沿って通過可能なサイズで設けられている。また、複数のベースフレーム214は、ベースプレート204の下面に固定されている。右側プレート210は、複数のベースフレーム214のうち、ベースプレート204の右端に沿って前後方向に延びるものの右面に固定されている。右側プレート210は、前後方向および上下方向に沿って配置されている。左側プレート212は、複数のベースフレーム214のうち、ベースプレート204の左端に沿って前後方向に延びるものの左面に固定されている。左側プレート212は、前後方向および上下方向に沿って配置されている。上下方向に関して、右側プレート210の上端と、左側プレート212の上端は、ベースプレート204の下面と同じ位置にある。前後方向に関して、右側プレート210の前端と、左側プレート212の前端は、ベースプレート204の前端よりも前方に突出しており、右側プレート210の後端と、左側プレート212の後端は、ベースプレート204の後端よりも後方に突出している。前側連結フレーム215は、ベースプレート204の前端よりも前方で、右側プレート210の前端近傍と左側プレート212の前端近傍を連結している。後側連結フレーム216は、ベースプレート204の後端よりも後方で、右側プレート210の後端近傍と左側プレート212の後端近傍を連結している。前側連結フレーム215と後側連結フレーム216は、左右方向に延びている。上下方向に関して、前側連結フレーム215と後側連結フレーム216は、複数のベースフレーム214よりも下方に配置されている。
【0159】
(右側クローラ192の構成)
右側クローラ192は、前側プーリ218と、後側プーリ220と、複数の補助プーリ222と、テンショナプーリ224と、ゴムベルト226と、右側クローラモータ228と、ギヤボックス230を備えている。前側プーリ218の外面と、後側プーリ220の外面と、複数の補助プーリ222の外面と、テンショナプーリ224の外面には、それぞれ、ゴムベルト226と噛み合う歯形が形成されている。ゴムベルト226は、前側プーリ218と、後側プーリ220と、複数の補助プーリ222と、テンショナプーリ224に掛け渡されている。前側プーリ218は、右側プレート210の前端近傍において、ベアリング232を介して右側プレート210に回転可能に支持されている。後側プーリ220は、右側プレート210の後端近傍において、ベアリング234を介して右側プレート210に回転可能に支持されている。複数の補助プーリ222は、前側プーリ218と後側プーリ220の間で、対応するベアリング236を介して右側プレート210に回転可能に支持されている。複数の補助プーリ222は、前後方向に並んで配置されている。前側プーリ218の外径と後側プーリ220の外径は略同じであり、複数の補助プーリ222の外径は、前側プーリ218および後側プーリ220の外径よりも小さい。上下方向に関して、前側プーリ218の下端と、後側プーリ220の下端と、複数の補助プーリ222の下端は、略同じ位置にある。テンショナプーリ224は、可動ベアリング237に回転可能に支持されている。可動ベアリング237は、上下方向に移動可能に、右側プレート210に支持されている。ゴムベルト226がテンショナプーリ224に掛け渡されている状態で、可動ベアリング237の右側プレート210に対する上下方向の位置を調整することで、ゴムベルト226の張り具合いを調整することができる。右側クローラモータ228は、ベアリング232と、ギヤボックス230を介して、右側プレート210に支持されている。右側クローラモータ228は、例えば直流ブラシレスモータである。右側クローラモータ228は、ギヤボックス230に内蔵された減速ギヤ(図示せず)を介して、前側プーリ218に連結されている。右側クローラモータ228が順方向または逆方向に回転すると、前側プーリ218が順方向または逆方向に回転し、それによってゴムベルト226が前側プーリ218と、後側プーリ220と、複数の補助プーリ222と、テンショナプーリ224の外側で順方向または逆方向に回転する。
【0160】
(左側クローラ194の構成)
左側クローラ194は、前側プーリ244と、後側プーリ246と、複数の補助プーリ248と、テンショナプーリ250と、ゴムベルト252と、左側クローラモータ254と、ギヤボックス256を備えている。前側プーリ244の外面と、後側プーリ246の外面と、複数の補助プーリ248の外面と、テンショナプーリ250の外面には、それぞれ、ゴムベルト252と噛み合う歯形が形成されている。ゴムベルト252は、前側プーリ244と、後側プーリ246と、複数の補助プーリ248と、テンショナプーリ250に掛け渡されている。前側プーリ244は、左側プレート212の前端近傍において、ベアリング258を介して左側プレート212に回転可能に支持されている。後側プーリ246は、左側プレート212の後端近傍において、ベアリング260を介して左側プレート212に回転可能に支持されている。複数の補助プーリ248は、前側プーリ244と後側プーリ246の間で、対応するベアリング262を介して左側プレート212に回転可能に支持されている。複数の補助プーリ248は、前後方向に並んで配置されている。前側プーリ244の外径と後側プーリ246の外径は略同じであり、複数の補助プーリ248の外径は、前側プーリ244および後側プーリ246の外径よりも小さい。上下方向に関して、前側プーリ244の下端と、後側プーリ246の下端と、複数の補助プーリ248の下端は、略同じ位置にある。テンショナプーリ250は、可動ベアリング264に回転可能に支持されている。可動ベアリング264は、上下方向に移動可能に、左側プレート212に支持されている。ゴムベルト252がテンショナプーリ250に掛け渡されている状態で、可動ベアリング264の左側プレート212に対する上下方向の位置を調整することで、ゴムベルト252の張り具合いを調整することができる。左側クローラモータ254は、ベアリング258と、ギヤボックス256を介して、左側プレート212に支持されている。左側クローラモータ254は、例えば直流ブラシレスモータである。左側クローラモータ254は、ギヤボックス256に内蔵された減速ギヤ(図示せず)を介して、前側プーリ244に連結されている。左側クローラモータ254が順方向または逆方向に回転すると、前側プーリ244が順方向または逆方向に回転し、それによってゴムベルト252が前側プーリ244と、後側プーリ246と、複数の補助プーリ248と、テンショナプーリ250の外側で順方向または逆方向に回転する。
【0161】
(サイドステッパ196の構成)
図24に示すように、サイドステッパ196は、ステップバー272、274と、前側クランク機構276と、後側クランク機構277を備えている。ステップバー272、274は、断面が略矩形の棒状部材であって、前後方向に延びている。
図2に示すように、左右方向に関して、ステップバー272はベースプレート204の中央と右端の間に配置されており、ステップバー274はベースプレート204の中央と左端の間に配置されている。
【0162】
図24に示すように、前側クランク機構276は、支持プレート278と、プーリ280、282と、テンショナプーリ283と、ベルト284と、クランクアーム286、288と、クランクピン290、292(
図25参照)と、クランクプレート294と、ローラ296、298と、ガイドプレート300を備えている。支持プレート278は、ベースプレート204の前端近傍で、ベースプレート204の下面に固定されている。支持プレート278は、左右方向および上下方向に沿って配置されている。プーリ280は、支持プレート278の右端近傍で、支持プレート278よりも後方に配置されている。プーリ282は、支持プレート278の左端近傍で、支持プレート278よりも後方に配置されている。プーリ280、282は、それぞれ、支持プレート278に回転可能に支持されている。プーリ280の径は、プーリ282の径と略同じである。ベルト284は、プーリ280、282に掛け渡されている。このため、プーリ280、282は、一方が順方向または逆方向に回転した時に、他方も順方向または逆方向に略同じ回転数で回転する。また、テンショナプーリ283は、上下方向に移動可能に設けられた可動ベアリング(図示せず)を介して、ベースプレート204(
図2参照)に回転可能に支持されている。テンショナプーリ283は、上方からベルト284に当接するように配置されている。このため、テンショナプーリ283を支持する可動ベアリングの、ベースプレート204に対する上下方向の位置を調整することで、ベルト284の張り具合いを調整することができる。
【0163】
クランクアーム286、288と、クランクピン290、292(
図25参照)と、クランクプレート294と、ローラ296、298と、ガイドプレート300は、支持プレート278よりも前方に配置されている。
図25に示すように、クランクアーム286、288は、プーリ280、282の軸280a、282aが嵌め込まれる嵌合孔286a、288aと、クランクアーム286、288の長手方向に延びる長孔286b、288bを備えている。クランクアーム286、288は、プーリ280、282が回転する時に、軸280a、282aを中心としてプーリ280、282と一体となって回転する。長孔286b、288bには、クランクピン290、292が摺動可能に挿入されている。クランクピン290、292は、クランクプレート294を貫通した状態で、クランクプレート294に固定されている。クランクプレート294は、クランクアーム286、288よりも前方側に配置されている。クランクプレート294は、左右方向および上下方向に沿って延びている。ローラ296、298(
図24参照)は、クランクプレート294よりも前方側で、クランクピン290、292に取り付けられている。
図24に示すように、ローラ296、298は、ガイドプレート300の後面に形成されたガイド溝302、304に入り込んでいる。ガイドプレート300は、クランクプレート294よりも前方で、ベースプレート204の下面に固定されている。ガイドプレート300は、左右方向および上下方向に沿って延びている。
図25に示すように、ガイドプレート300のガイド溝302、304は、角部が丸められた略矩形の形状に形成されている。ガイド溝302、304は、
図25に破線で示すサイドステップ軌道Sを規定している。サイドステップ軌道Sは、角部が丸められた略矩形の形状を有しており、左右方向に沿った上辺および下辺と、上下方向に沿った右辺および左辺を有する。
【0164】
前側クランク機構276において、プーリ280、282が回転すると、クランクアーム286、288の回転によって、クランクピン290、292がクランクアーム286、288の回転方向に移動する。この際に、ローラ296、298がガイド溝302、304に入り込んでいるため、クランクピン290、292は、長孔286b、288bの内部を摺動しつつ、ガイド溝302、304によって規定されるサイドステップ軌道Sに沿って移動する。これによって、クランクピン290、292が固定されたクランクプレート294も、ガイド溝302、304によって規定されるサイドステップ軌道Sに沿って移動する。
【0165】
図26に示すように、後側クランク機構277は、支持プレート306と、プーリ308、310と、テンショナプーリ311と、ベルト312と、クランクアーム314、316と、クランクピン318、320(
図25参照)と、クランクプレート322と、ローラ324、326と、ガイドプレート328を備えている。支持プレート306は、ベースプレート204(
図2参照)の後端近傍で、ベースプレート204の下面に固定されている。支持プレート306は、左右方向および上下方向に沿って配置されている。プーリ308は、支持プレート306の右端近傍で、支持プレート306よりも前方に配置されている。プーリ310は、支持プレート306の左端近傍で、支持プレート306よりも前方に配置されている。プーリ308、310は、それぞれ、支持プレート306に回転可能に支持されている。プーリ308の径は、プーリ310の径と略同じであり、前側クランク機構276のプーリ280、282の径と略同じである。ベルト312は、プーリ308、310に掛け渡されている。このため、プーリ308、310は、一方が順方向または逆方向に回転した時に、他方も順方向または逆方向に略同じ回転数で回転する。また、テンショナプーリ311は、上下方向に移動可能に設けられた可動ベアリング(図示せず)を介して、ベースプレート204に回転可能に支持されている。テンショナプーリ311は、上方からベルト312に当接するように配置されている。このため、テンショナプーリ311を支持する可動ベアリングの、ベースプレート204に対する上下方向の位置を調整することで、ベルト312の張り具合いを調整することができる。
【0166】
クランクアーム314、316と、クランクピン318、320(
図25参照)と、クランクプレート322と、ローラ324、326と、ガイドプレート328は、支持プレート306よりも後方に配置されている。
図25に示すように、クランクアーム314、316は、プーリ308、310の軸308a、310aが嵌め込まれる嵌合孔314a、316aと、クランクアーム314、316の長手方向に延びる長孔314b、316bを備えている。クランクアーム314、316は、プーリ308、310が回転する時に、軸308a、310aを中心としてプーリ308、310と一体となって回転する。長孔314b、316bには、クランクピン318、320が摺動可能に挿入されている。クランクピン318、320は、クランクプレート322を貫通した状態で、クランクプレート322に固定されている。クランクプレート322は、クランクアーム314、316よりも後方側に配置されている。クランクプレート322は、左右方向および上下方向に沿って延びている。ローラ324、326(
図26参照)は、クランクプレート322よりも後方側で、クランクピン318、320に取り付けられている。
図26に示すように、ローラ324、326は、ガイドプレート328の前面に形成されたガイド溝330、332に入り込んでいる。ガイドプレート328は、クランクプレート322よりも後方で、ベースプレート204の下面に固定されている。ガイドプレート328は、左右方向および上下方向に沿って延びている。
図25に示すように、ガイドプレート328のガイド溝330、332は、角部が丸められた略矩形の形状に形成されている。ガイド溝330、332は、
図25に破線で示すサイドステップ軌道Sを規定している。サイドステップ軌道Sは、角部が丸められた略矩形の形状を有しており、左右方向に沿った上辺および下辺と、上下方向に沿った右辺および左辺を有する。ガイド溝330、332によって規定されるサイドステップ軌道Sは、ガイド溝302、304によって規定されるサイドステップ軌道Sと同一である。
【0167】
後側クランク機構277において、プーリ308、310が回転すると、クランクアーム314、316の回転によって、クランクピン318、320がクランクアーム314、316の回転方向に移動する。この際に、ローラ324、326がガイド溝330、332に入り込んでいるため、クランクピン318、320は、長孔314b、316bの内部を摺動しつつ、ガイド溝330、332によって規定されるサイドステップ軌道Sに沿って移動する。これによって、クランクピン318、320が固定されたクランクプレート322も、ガイド溝330、332によって規定されるサイドステップ軌道Sに沿って移動する。
【0168】
図2に示すように、ステップバー272、274は、それぞれ、前端が前側クランク機構276のクランクプレート294に固定されており、後端が後側クランク機構277のクランクプレート322に固定されている。
図24に示すように、前側クランク機構276のプーリ282と後側クランク機構277のプーリ310のそれぞれは、動力伝達機構402の回転伝達シャフト428に連結されている。このため、回転伝達シャフト428が回転する場合、前側クランク機構276のプーリ280、282と後側クランク機構277のプーリ308、310は、互いに同期して回転するとともに、前側クランク機構276のクランクプレート294と後側クランク機構277のクランクプレート322は、互いに同期して動作する。すなわち、回転伝達シャフト428が順方向または逆方向に回転すると、プーリ280、282、308、310が順方向または逆方向に回転し、それによってクランクプレート294、322がサイドステップ軌道Sに沿って右回りまたは左回りに移動し、ステップバー272、274もサイドステップ軌道Sに沿って右回りまたは左回りに移動する。なお、前側クランク機構276および後側クランク機構277の一方(例えば前側クランク機構276)には、ゼロ点検知センサ(図示せず)が設けられている。ゼロ点検知センサは、例えば、クランクプレート294に固定された永久磁石(図示せず)と、ガイドプレート300に固定されたホール素子(図示せず)を備えている。ゼロ点検知センサは、サイドステップ軌道Sの上辺の左右方向の中央をゼロ点位置として、クランクプレート294、322がゼロ点位置にあるか否かを検出することができる。
【0169】
図27に示すように、クランクプレート294、322がサイドステップ軌道S(
図25参照)の上辺にあり、ステップバー272、274が上方に移動している状態では、クランクプレート294、322やステップバー272、274は、第1鉄筋R1および第2鉄筋R2から離反している。この状態では、右側クローラ192と左側クローラ194が、第1鉄筋R1および第2鉄筋R2に当接しているので、鉄筋結束ロボット1は、右側クローラ192と左側クローラ194を駆動して、車台190を前後方向に移動させることができる。また、鉄筋結束ロボット1は、右側クローラ192と左側クローラ194に速度差を与えることで、第1鉄筋R1および第2鉄筋R2に対する車台190の向きを変えることもできる。
【0170】
図27に示す状態から、回転伝達シャフト428(
図24参照)が回転すると、クランクプレート294、322がサイドステップ軌道S(
図25参照)に沿って移動し、それに伴ってステップバー272、274が下方に移動することで、クランクプレート294、322とステップバー272、274が第2鉄筋R2に当接する。この状態からさらに回転伝達シャフト428が回転すると、クランクプレート294、322とステップバー272、274がさらに下方に移動することで、
図28に示すように、右側クローラ192と左側クローラ194は第2鉄筋R2から離反する。そのまま回転伝達シャフト428が回転すると、サイドステップ軌道Sの左右方向の幅に相当するステップ幅だけ、車台190が右方向または左方向に移動した後、クランクプレート294、322とステップバー272、274が上方に向けて移動し、右側クローラ192と左側クローラ194が再び第1鉄筋R1および第2鉄筋R2に当接するとともに、クランクプレート294、322とステップバー272、274が第2鉄筋R2から離反する。上記のように、鉄筋結束ロボット1は、サイドステッパ196を駆動することによって、車台190を、右方向または左方向に、所定のステップ幅だけ移動させることができる。
【0171】
なお、ガイド溝302、304、330、332によって規定されるサイドステップ軌道Sは、上記のような略矩形の形状に限らず、種々の形状とすることができる。サイドステップ軌道Sは、ステップバー272、274がサイドステップ軌道Sに沿って移動する際に、ステップバー272、274の下端が右側クローラ192および左側クローラ194の下端よりも下方に移動し、その後にステップバー272、274の下端が左右方向に移動し、その後にステップバー272、274の下端が右側クローラ192および左側クローラ194の下端よりも上方に移動するものであれば、どのような形状であってもよい。例えば、サイドステップ軌道Sは、円形状としてもよいし、楕円形状としてもよいし、下方に底辺を有する三角形状としてもよいし、五角形以上の多角形状としてもよい。
【0172】
(動力伝達機構402の構成)
図29に示すように、動力伝達機構402は、遊星歯車機構406と、第1出力シャフト414と、第2出力シャフト416と、第1平歯車418と、第2平歯車420と、第3平歯車422と、ウォームシャフト424と、ウォームホイール426と、回転伝達シャフト428と、ユニバーサルジョイント430と、切換アクチュエータ432を備えている。遊星歯車機構406と、第1出力シャフト414と、第2出力シャフト416と、第1平歯車418と、第2平歯車420と、第3平歯車422と、ウォームシャフト424と、ウォームホイール426は、ギヤボックス438(
図24参照)に収容されている。
【0173】
遊星歯車機構406には、左方から兼用モータ400が連結されている。兼用モータ400は、遊星歯車機構406の太陽歯車(図示せず)に連結されている。兼用モータ400は、例えば直流ブラシレスモータである。また、遊星歯車機構406の遊星キャリヤ410は、第1出力シャフト414とユニバーサルジョイント430を介して、昇降装置6のウォームシャフト636(
図30参照)に連結されている。遊星歯車機構406の内歯車412は、第1平歯車418、第2出力シャフト416、第2平歯車420、第3平歯車422、ウォームシャフト424、ウォームホイール426、回転伝達シャフト428を順に介して、サイドステッパ196に連結されている。
【0174】
遊星キャリヤ410の外側面には、内側係合凹部440が形成されている。内側係合凹部440は、周方向に並んで配置されており、径方向外側から径方向内側に向けて陥凹する複数の内側陥凹溝440aを有する。また、内歯車412の内側面には、外側陥凹溝442aが形成されている。外側陥凹溝442aは、周方向に並んで配置されており、径方向内側から径方向外側に向けて陥凹する複数の外側陥凹溝442aを有する。
【0175】
切換アクチュエータ432は、係止部材434と、位置検出機構436と、プルソレノイド452と、キャップ456を備えている。係止部材434は、前端近傍において、左右方向に沿って延びるように配置された係止ピン446を備えている。係止部材434は、キャップ456によって前後方向にスライド可能に保持されている。係止部材434は、キャップ456内において、プルソレノイド452の出力軸に連結されている。また、キャップ456内には、プルソレノイド452の出力軸を前方向に付勢する圧縮バネ(図示せず)が設けられている。ロボット制御ユニット10は、プルソレノイド452を通電状態と非通電状態の間で切り換えることができる。
【0176】
図29に示す状態では、プルソレノイド452は通電状態である。プルソレノイド452の出力軸は、プルソレノイド452の吸引力によって、圧縮バネの付勢力に抗して後方向に移動されている。係止部材434は、プルソレノイド452の出力軸に連動して後方向に移動されている。この際、係止部材434の係止ピン446は、内歯車412の外側係合凹部442に係合し、内歯車412の回転を禁止している。この状態では、兼用モータ400の動力は、遊星歯車機構406、第1出力シャフト414、ユニバーサルジョイント430を順に介して、昇降装置6(
図30参照)に伝達される。本明細書では、兼用モータ400の動力が昇降装置6に伝達される状態を、「第1伝達状態」と呼ぶことがある。
【0177】
図29に示す状態から、プルソレノイド452を非通電状態に切り換えると、係止部材434は、圧縮バネの付勢力に前方向に移動される。係止部材434は、プルソレノイド452の出力軸に連動して前方向に移動される。これにより、係止部材434の係止ピン446は、遊星キャリヤ410の内側係合凹部440に係合する。係止ピン446が内側係合凹部440に係合した状態では、内歯車412の回転が禁止される。この状態では、兼用モータ400の動力は、遊星歯車機構406、第1平歯車418、第2出力シャフト416、第2平歯車420、第3平歯車422、ウォームシャフト424、ウォームホイール426、回転伝達シャフト428を順に介して、サイドステッパ196に伝達される。本明細書では、兼用モータ400の動力がサイドステッパ196に伝達される状態を、「第2伝達状態」と呼ぶことがある。
【0178】
位置検出機構436は、キャップ456の上方に取り付けられている。位置検出機構436は、係止部材434の移動に連動するスライドスイッチであり、係止部材434の位置を検出することができる。このため、ロボット制御ユニット10は、位置検出機構436から送信される信号に基づいて、動力伝達機構402が第1伝達状態となっていることや、動力伝達機構402が第2伝達状態となっていることを検出できる。
【0179】
(昇降装置6の構成)
図30に示すように、昇降装置6は、ウォームギヤケース632と、昇降アーム634と、スライダクランク機構638を備えている。ウォームギヤケース632は、ベースプレート204(
図2参照)に固定されている。昇降アーム634は、ねじによってウォームギヤケース632に固定されている。昇降アーム634は、ウォームギヤケース632から前方左方上方に向かって延びている。ウォームギヤケース632は、ウォームシャフト636を備えている。スライダクランク機構638は、クランクシャフト642と、クランクアーム644と、クランクピン646と、クランクロッド648と、スライダピン650と、スライダ652と、レール653と、ベース部材654を備えている。
【0180】
クランクシャフト642は、ウォームギヤケース632に内蔵されたウォームギヤ(図示せず)を介して、ウォームシャフト636に連結されている。クランクアーム644は、クランクシャフト642に固定されている。クランクピン646は、クランクアーム644およびクランクロッド648のそれぞれに回転可能に保持されている。スライダピン650は、クランクロッド648に回転可能に保持されている。スライダピン650は、スライダ652に固定されている。スライダ652は、昇降アーム634に設けられたレール653によって、スライド可能に保持されている。ベース部材654は、スライダピン650に回転可能に設けられている。ベース部材654は、鉄筋結束装置2のハウジング12が備える嵌合部12a(
図3参照)に嵌合した状態で、ねじ(図示せず)によってハウジング12に固定される。すなわち、昇降装置6は、ベース部材654を介して鉄筋結束装置2を保持している。
図2に示すように、昇降装置6に保持された状態の鉄筋結束装置2では、鉄筋結束装置2の前方向が鉄筋結束ロボット1の下方に向いており、鉄筋結束装置2の後方向が鉄筋結束ロボット1の上方に向いている。
【0181】
図30に示す状態では、スライダクランク機構638は上死点位置にある。この時、鉄筋結束装置2(
図3参照)は、第1鉄筋R1および第2鉄筋R2から離反した位置で保持される。本明細書では、この状態における鉄筋結束装置2の位置を「上限位置」と呼ぶことがある。
図30に示す状態から、ウォームシャフト636が順方向または逆方向に回転すると、クランクシャフト642およびクランクアーム644が順方向または逆方向に回転し、クランクピン646がクランクシャフト642の回転軸を中心とした円周上を移動する。この時、クランクロッド648を介してクランクピン646と連結するスライダピン650およびスライダ652は、クランクピン646と一定の距離を保ちながら、レール653に沿って下方に移動する。この時、ベース部材654に固定された鉄筋結束装置2は、車台190に対して下降する。本実施例では、鉄筋結束装置2を下降させる場合、クランクピン646が
図30に示す位置からクランクシャフト642の上方側を通過して
図31に示す位置に至るように、クランクアーム644を回転させる。
【0182】
図31に示す状態では、スライダクランク機構638は下死点位置にある。この時、鉄筋結束装置2(
図3参照)は、鉄筋交差箇所の結束が可能となる位置で保持される。本明細書では、この状態における鉄筋結束装置2の位置を「下限位置」と呼ぶことがある。
図31に示す状態から、ウォームシャフト636が順方向または逆方向に回転すると、クランクシャフト642およびクランクアーム644が順方向または逆方向に回転し、クランクピン646がクランクシャフト642の回転軸を中心とした円周上を移動する。この時、クランクロッド648を介してクランクピン646と連結するスライダピン650およびスライダ652は、クランクピン646と一定の距離を保ちながら、レール653に沿って上方に移動する。この時、ベース部材654に固定された鉄筋結束装置2は、車台190に対して上昇する。本実施例では、鉄筋結束装置2を上昇させる場合、クランクピン646が
図31に示す位置からクランクシャフト642の下方側を通過して
図30に示す位置に至るように、クランクアーム644を回転させる。
【0183】
スライダ652は、スライダピン650の回転軸A1に沿ってベース部材654に向かって突出した第1干渉ピン656と、回転軸A1の周方向に沿って切り抜かれた長孔658を備えている。ベース部材654は、回転軸A1に沿ってスライダ652に向かって突出するとともに、長孔658に挿入される第2干渉ピン660を備えている。長孔658は、第2干渉ピン660を回転軸A1の周方向にスライド可能に受け入れている。そして、スライダピン650には、第1干渉ピン656に対して第2干渉ピン660を回転軸A1の周方向の第1周方向に付勢するように配置された捩りばね662が取り付けられている。このため、第2干渉ピン660は、捩りばね662の付勢力によって、長孔658の端部側面に第1周方向から当接した状態で保持されるとともに、捩りばね662の付勢力に抗して第1周方向の反対方向である第2周方向に揺動可能となっている。すなわち、ベース部材654に固定された鉄筋結束装置2は、回転軸A1の第2周方向に揺動可能に保持されている。これによって、例えば鉄筋結束装置2が第1鉄筋R1、第2鉄筋R2またはその他の障害物に衝突した際に、鉄筋結束装置2が第2周方向に揺動することによって、鉄筋結束装置2および昇降装置6への衝撃が緩和される。
【0184】
図32に示すように、昇降装置6は、クランクシャフト642(
図30参照)に固定されており、クランクシャフト642の径方向外側に突出した第1フィン663および第2フィン664が形成されたカム666をさらに備えている。第1フィン663の一端と第2フィン664の一端は、クランクシャフト642の回転軸の周方向において、互いに重なり合っている。一方で、第1フィン663の他端と第2フィン664の他端は、クランクシャフト642の回転軸の周方向において、互いに離間している。このため、第1フィン663の他端と第2フィン664の他端の間には、クランクシャフト642の回転軸の周方向に幅を有する隙間が形成されている。また、昇降装置6は、それぞれが発光部と受光部を有する第1フォトセンサ668と第2フォトセンサ670をさらに備えている。第1フォトセンサ668と第2フォトセンサ670のそれぞれは、発光部と受光部の間が遮られていない場合に、ロボット制御ユニット10にオン信号を送信し、発光部と受光部の間が遮られている場合に、ロボット制御ユニット10にオフ信号を送信する。第1フォトセンサ668と第2フォトセンサ670は、クランクシャフト642の回転軸に沿って並んだ状態で、ウォームギヤケース632に固定されている。
【0185】
鉄筋結束装置2が下限位置と上限位置の間の位置にある場合、第1フィン663または第2フィン664の一方は、第1フォトセンサ668または第2フォトセンサ670の一方における発光部と受光部の間を遮る位置にある。第1フィン663または第2フィン664の他方は、第1フォトセンサ668または第2フォトセンサ670の一方における発光部と受光部の間を遮らない位置にある。この状態から、鉄筋結束装置2が下限位置に移動されると、第1フィン663と第2フィン664の互いに重なり合う部分が、クランクシャフト642の回転軸の周方向において、第1フォトセンサ668および第2フォトセンサ670と略同位置に移動される。すなわち、鉄筋結束装置2が下限位置にある場合、第1フォトセンサ668における発光部と受光部の間は第1フィン663によって遮られ、第2フォトセンサ670における発光部と受光部の間は第2フィン664よって遮られる。一方、鉄筋結束装置2が上限位置に移動されると、第1フィン663と第2フィン664の互いに離間している部分が、クランクシャフト642の回転軸の周方向において、第1フォトセンサ668および第2フォトセンサ670と略同位置に移動される。すなわち、鉄筋結束装置2が上限位置にある場合、第1フォトセンサ668における発光部と受光部の間は遮られず、第2フォトセンサ670における発光部と受光部の間も遮られない。このため、ロボット制御ユニット10は、第1フォトセンサ668および第2フォトセンサ670から送信される信号に基づいて、鉄筋結束装置2が上限位置に達したことや、鉄筋結束装置2が下限位置に達したこと等を検出することができる。
【0186】
(ロボットイニシャライズ処理)
電源スイッチを介して、鉄筋結束ロボット1に電源が投入されるとロボット制御ユニット10は、ロボットイニシャライズ処理を実行する。なお、本明細書では、「電源の投入」とは、鉄筋結束装置2と、搬送装置4と、ロボット制御ユニット10に対して電力制御基板808からの電力供給が開始されること意味する。ロボットイニシャライズ処理が開始されると、ロボット制御ユニット10は、装置制御ユニット50に対して、状態呼出信号を送信する。これにより、装置制御ユニット50からロボット制御ユニット10に状態通知信号が送信される。その後、ロボット制御ユニット10は、送信された状態通知信号に基づいて、鉄筋結束装置2で異常が発生していないか否かを判断する。具体的には、ロボット制御ユニット10は、状態通知信号に結束装置異常判定フラグが含まれているか否かを判断する。鉄筋結束装置2で異常が発生していないと判断される場合、ロボット制御ユニット10は、ロボットイニシャライズ処理を終了する。鉄筋結束装置2で異常が発生していると判断される場合、ロボット制御ユニット10は、後述する異常発生時処理を実行する。その後、ロボット制御ユニット10は、ロボットイニシャライズ処理を終了する。
【0187】
(ロボットメイン処理)
図示しない動作実行ボタン等を介して、鉄筋結束ロボット1の動作の実行が指示されると、ロボット制御ユニット10は、
図33に示すロボットメイン処理を実行する。以下では、説明の簡略化のため、鉄筋結束ロボット1における車台190の移動を、鉄筋結束ロボット1の移動とみなして説明を行っている。
【0188】
S202では、ロボット制御ユニット10は、装置制御ユニット50に対して、状態呼出信号を送信する。これにより、装置制御ユニット50からロボット制御ユニット10に状態通知信号が送信される。S202の後、処理はS204へ進む。
【0189】
S204では、ロボット制御ユニット10は、装置制御ユニット50から送信された状態通知信号に基づいて、鉄筋結束装置2で異常が発生していないか否かを判断する。具体的には、ロボット制御ユニット10は、状態通知信号に結束装置異常判定フラグが含まれているか否かを判断する。鉄筋結束装置2で異常が発生していない場合(YESの場合)、処理はS206へ進む。
【0190】
S206では、ロボット制御ユニット10は、右側クローラ192、左側クローラ194、およびサイドステッパ196のうち少なくとも1つを駆動して、鉄筋結束ロボット1を複数の第1鉄筋R1および複数の第2鉄筋R2の上で移動させる。ロボット制御ユニット10は、鉄筋結束作業の対象とする鉄筋交差箇所RC’を目標地点として、鉄筋結束ロボット1を移動させる。この時、ロボット制御ユニット10は、複数の鉄筋検出センサで検出される第1鉄筋R1および第2鉄筋R2の相対的な配置や、鉄筋マップに基づいて、右側クローラ192、左側クローラ194、およびサイドステッパ196の動作を制御する。なお、S206の開始時にプルソレノイド452が通電状態となっている場合には、ロボット制御ユニット10は、プルソレノイド452を非通電状態に切り換える。これにより、動力伝達機構402が第1伝達状態から第2伝達状態へ切り換えられ、兼用モータ400の駆動によりサイドステッパ196の駆動が可能となる。S206の後、処理はS208へ進む。
【0191】
S208では、ロボット制御ユニット10は、鉄筋交差箇所RC’について、複数の鉄筋検出センサで検出される左右方向の位置が、基準位置から所定位置範囲内にあるか否かを判断する。ここでいう基準位置とは、下限位置にある鉄筋結束装置2が鉄筋結束作業を行う際に、鉄筋交差箇所RC’が存在すべき位置のことをいう。例えば、基準位置は、前後方向および左右方向に関して、ベースプレート204の前後方向および左右方向の中央に位置する。また、ここでいう所定位置範囲とは、鉄筋交差箇所RC’の左右方向の位置がその範囲から外れている場合には、サイドステッパ196による左右方向の移動が必要と判断される範囲である。鉄筋交差箇所RC’の位置が、所定位置範囲内にない場合(NOの場合)、処理はS206に戻る。鉄筋交差箇所RC’の位置が所定位置範囲内にある場合(YESの場合)、処理はS210へ進む。
【0192】
S210では、ロボット制御ユニット10は、鉄筋交差箇所RC’において複数の鉄筋検出センサで検出される第1鉄筋R1の角度(以下では、単に「鉄筋交差箇所RC’の角度」と呼ぶ。)が、基準角度から所定角度範囲内にあるか否かを判断する。ここでいう基準角度とは、下限位置にある鉄筋結束装置2が鉄筋結束作業を行う際に、鉄筋交差箇所RC’において第1鉄筋R1が取るべき角度のことをいう。例えば、基準角度は、ゼロ度である。また、ここでいう所定角度範囲は、鉄筋交差箇所RC’の角度がその範囲内にあれば、鉄筋結束装置2による鉄筋結束作業を実行可能な範囲である。鉄筋交差箇所RC’の角度が、所定角度範囲内にない場合(NOの場合)、処理はS212へ進む。鉄筋交差箇所RC’の角度が所定角度範囲内にある場合(YESの場合)、処理はS214へ進む。
【0193】
S212では、ロボット制御ユニット10は、鉄筋トレース制御を実行する。鉄筋トレース制御では、ロボット制御ユニット10は、右側クローラ192と左側クローラ194に速度差を与えた状態で鉄筋結束ロボット1を前進または後退させて、鉄筋交差箇所RC’の左右方向の位置および角度を、基準位置および基準角度に近付けていく。
図34に示すように、ロボット制御ユニット10は、鉄筋トレース制御が開始されると、まず鉄筋交差箇所RC’の角度を基準角度に一致させる。その後、
図35に示すように、ロボット制御ユニット10は、鉄筋交差箇所RC’の左右方向の位置を基準位置に一致させる。なお、
図34、
図35においては、鉄筋結束ロボット1の基準位置と基準角度を、十字カーソルCで表している。S212の後、処理はS214へ進む。
【0194】
S214では、ロボット制御ユニット10は、まずプルソレノイド452を通電状態に切り換える。これにより、動力伝達機構402が第2伝達状態から第1伝達状態へ切り換えられ、兼用モータ400の駆動により昇降装置6の駆動が可能となる。その後、ロボット制御ユニット10は、昇降装置6を駆動して鉄筋結束装置2を下限位置まで下降させる。これにより、鉄筋交差箇所RC’に鉄筋結束装置2がセットされる。S214の後、処理はS216へ進む。
【0195】
S216では、ロボット制御ユニット10は、装置制御ユニット50に対して、状態呼出信号を送信する。これにより、装置制御ユニット50からロボット制御ユニット10に状態通知信号が送信される。S216の後、処理はS218へ進む。
【0196】
S218では、ロボット制御ユニット10は、装置制御ユニット50から送信された状態通知信号に基づいて、鉄筋結束装置2で異常が発生していないか否かを判断する。具体的には、ロボット制御ユニット10は、状態通知信号に結束装置異常判定フラグが含まれているか否かを判断する。鉄筋結束装置2で異常が発生していない場合(YESの場合)、処理はS220へ進む。
【0197】
S220では、ロボット制御ユニット10は、装置制御ユニット50に対して、結束指示信号を送信する。S220の後、処理はS222へ進む。
【0198】
S222では、ロボット制御ユニット10は、鉄筋結束装置2において鉄筋結束作業が完了したか否かを判断する。ロボット制御ユニット10は、S216で受信した状態通知信号に結束作業中フラグが含まれている場合、鉄筋結束装置2において鉄筋結束作業が完了していないと判断する。ロボット制御ユニット10は、S216で受信した状態通知信号に結束作業中フラグが含まれない場合、鉄筋結束装置2において鉄筋結束作業が完了したと判断する。鉄筋結束装置2において鉄筋結束作業が完了していない場合(NOの場合)、処理はS216に戻る。鉄筋結束装置2において鉄筋結束作業が完了した場合(YESの場合)、処理はS224へ進む。
【0199】
S224では、ロボット制御ユニット10は、昇降装置6を駆動して鉄筋結束装置2を上限位置まで上昇させる。S224の後、処理はS226へ進む。
【0200】
S226では、ロボット制御ユニット10は、鉄筋マップを参照して、全ての鉄筋交差箇所について、鉄筋結束作業が完了したか否かを判断する。全ての鉄筋交差箇所について、鉄筋結束作業が完了したと判断される場合(YESの場合)、
図33の処理は終了する。まだ完了していないと判断される場合(NOの場合)、処理はS228へ進む。
【0201】
S228では、ロボット制御ユニット10は、鉄筋結束作業の対象とする鉄筋交差箇所RC’を、未だ鉄筋結束作業が終了していない別の鉄筋交差箇所に変更する。S228の後、処理はS206に戻る。
【0202】
S204またはS218において、鉄筋結束装置2で異常が発生していると判断される場合(NOの場合)、処理はS230へ進む。S230では、ロボット制御ユニット10は、後述する異常発生時処理を実行する。S230の後、
図33の処理は終了する。
【0203】
(異常発生時処理)
異常発生時処理が開始されると、ロボット制御ユニット10は、まず右側クローラ192、左側クローラ194、およびサイドステッパ196の駆動を停止する。その後、ロボット制御ユニット10は、パトランプ183を動作させて、鉄筋結束装置2で異常が発生していることを報知する。また、ロボット制御ユニット10は、ブザーを用いて、鉄筋結束装置2で異常が発生していることを報知する。また、鉄筋結束ロボット1が外部のコントローラ(図示せず)を備えている場合には、ロボット制御ユニット10は、外部のコントローラに対して鉄筋結束装置2で異常が発生していることを通知する。その後、ロボット制御ユニット10は、異常発生時処理を終了する。なお、ここでいう外部のコントローラとは、鉄筋結束ロボット1専用のコントローラであってもよいし、スマートフォンや、タブレット端末などの汎用の通信端末であってもよい。
【0204】
(変形例)
上記の実施例では、鉄筋結束ロボット1が独立リール500を備えており、独立リール500がワイヤWの供給源となっている構成について説明した。別の実施例では、鉄筋結束ロボット1は独立リール500を備えていなくてもよい。この場合、鉄筋結束装置2は、予めワイヤWが巻回されたワイヤリールWRを備えていてもよく、ワイヤリールWRがワイヤWの供給源となっていてもよい。
【0205】
上記の実施例では、貫通孔12bからハウジング12内に導かれたワイヤWが、ワイヤリールWRの周りに巻回された上で、送り機構38に供給される構成について説明した。別の実施例では、貫通孔12bからハウジング12内に導かれたワイヤWは、ワイヤリールWRの周りに巻回されることなく、ワイヤリールWRの外周面に沿って架け渡された上で、送り機構38に供給されてもよい。この場合、ワイヤリールWRは、ワイヤWの送り出しに伴って回転することで、ワイヤWをガイドしてもよい。
【0206】
上記の実施例では、ワイヤリールWRがハウジング12に着脱可能に設けられている構成について説明した。別の実施例では、ワイヤリールWRは、ハウジング12に着脱不能に設けられていてもよい。
【0207】
上記の実施例では、電源装置8が複数のバッテリパックBを備えており、電源装置8の電力制御基板808が、複数のバッテリパックBからの電力を、鉄筋結束装置2と、搬送装置4と、ロボット制御ユニット10に供給する構成について説明した。別の実施例では、電源装置8は、複数のバッテリパックBの代わりに、外部電源に接続する電源コードを備えていてもよい。電力制御基板808は、外部電源からの電力を、鉄筋結束装置2と、搬送装置4と、ロボット制御ユニット10に供給するように構成されていてもよい。
【0208】
上記の実施例では、装置制御ユニット50とロボット制御ユニット10の間の通信方式が有線シリアル通信方式である構成について説明した。別の実施例では、装置制御ユニット50とロボット制御ユニット10の間の通信方式は有線パラレル通信方式であってもよい。さらに別の実施例では、装置制御ユニット50とロボット制御ユニット10の間の通信方式は無線通信方式であってもよい。
【0209】
上記の実施例において、装置制御ユニット50は、ドライバ回路24に対応して設けられる電圧検出回路をさらに備えていてもよい。装置制御ユニット50は、この電圧検出回路を介して、直接的に、ドライバ回路24に印可される電圧や、ドライバ回路24の電位を検出してもよい。
【0210】
上記の実施例では、リール回転検出センサ66(ホールセンサ)が、ワイヤリールWRに巻回されたワイヤWの有無を検出する構成について説明した。別の実施例では、ホールセンサ以外のセンサ(例えば、圧力センサ、光電センサまたはマイクロスイッチ)が、ワイヤリールWRに巻回されたワイヤWの有無を検出してもよい。例えば、圧力センサは、ワイヤリールWRの円筒部(ワイヤWが巻回される部分)の圧力を検出するように設けられていてもよい。光電センサは、ワイヤリールWRの一対の鍔部(ワイヤWの抜け出しを防止する部分)の一方に設けられる発光部と、一対の鍔部の他方に設けられる受光部を備えていてもよい。マイクロスイッチは、ワイヤリールWRに巻回されるワイヤWによって押下されるように設けられていてもよい。
【0211】
上記の実施例では、リール回転検出センサ66(ホールセンサ)が、ワイヤリールWRがリール保持機構36に保持されているか否かを検出する構成について説明した。別の実施例では、ホールセンサ以外のセンサ(例えば、マイクロスイッチ)が、ワイヤリールWRがリール保持機構36に保持されているか否かを検出してもよい。例えば、マイクロスイッチは、ワイヤリールWRがリール保持機構36に保持されている場合、押下されるように設けられていてもよい。
【0212】
上記の実施例では、鉄筋結束ロボット1には、専用の鉄筋結束装置2が取り付けられている構成について説明した。別の実施例では、鉄筋結束ロボット1には、専用の鉄筋結束装置2の代わりに、市販の手持ち式鉄筋結束機(例えば、株式会社マキタが販売しているTR180D)が取り付けられてもよい。この場合、市販の鉄筋結束機に内蔵された制御ユニットは、装置制御ユニット50と同様の構成を備えていてもよい。市販の鉄筋結束機に内蔵された制御ユニットは、装置制御ユニット50が実行する各種の処理を実行可能に構成されていてもよい。
【0213】
上記の実施例において、ロボット制御ユニット10は、所定時間が経過する度に、装置制御ユニット50に対して状態呼出信号を送信してもよい。装置制御ユニット50は、ロボット制御ユニット10から定期的に送信される状態呼出信号に応じて、ロボット制御ユニット10に状態通知信号を送信してもよい。この場合、
図33に示す処理のS204またはS218において、ロボット制御ユニット10は、常に最新の状態通知信号に基づいて、鉄筋結束装置2で異常が発生していないか否かを判断してもよい。
【0214】
上記の実施例では、ロボット制御ユニット10が、装置制御ユニット50から送信される状態通知信号に結束装置異常判定が含まれている場合に、鉄筋結束装置2で異常が発生していると判断する構成について説明した。別の実施例では、ロボット制御ユニット10は、装置制御ユニット50に結束指示信号を送信した後、装置制御ユニット50から結束完了信号を受信することなく所定時間が経過した場合に、鉄筋結束装置2で異常が発生していると判断してもよい。
【0215】
上記の実施例において、装置制御ユニット50は、鉄筋結束作業の実行中、リール回転検出センサ66、ギヤ回転検出センサ79、プレート位置検出センサ134、ガイド位置検出センサ142、スリーブ位置検出センサ177、捩りモータ回転検出センサ55、電圧検出回路25、26、27、電流検出回路28、温度検出センサ32における各検出値の推移をメモリに記憶していてもよい。そして、装置制御ユニット50は、鉄筋結束装置2による鉄筋結束作業が正常に完了する際、上記の各検出値の推移を含む結束完了信号をロボット制御ユニット10に対して送信してもよい。この場合、ロボット制御ユニット10は、上記の各検出値の推移に基づいて、鉄筋結束作業の出来栄え(例えば、ワイヤWが緩んでいないかなど)を特定してもよい。
【0216】
(対応関係)
以上のように、本技術の第1の態様では、鉄筋結束ロボット1は、複数の第1鉄筋R1と、複数の第1鉄筋R1と交差する複数の第2鉄筋R2について、複数の第1鉄筋R1と複数の第2鉄筋R2の上を移動する動作と、複数の第1鉄筋R1と複数の第2鉄筋R2が交差する鉄筋交差箇所を結束する動作と、を繰り返し実行可能である。鉄筋結束ロボット1は、鉄筋結束ロボット1の動作を制御するロボット制御ユニット10と、ワイヤWを用いて鉄筋結束作業を実行する鉄筋結束装置2と、を備えている。鉄筋結束装置2は、鉄筋結束装置2の動作を制御する装置制御ユニット50を備えている。装置制御ユニット50は、ロボット制御ユニット10に状態通知信号(第1信号の例)を送信するように構成されている。ロボット制御ユニット10は、装置制御ユニット50から送信された状態通知信号に基づいて鉄筋結束ロボット1の動作を制御するように構成されている。
【0217】
上記の構成によれば、装置制御ユニット50は、状態通知信号を通じて、鉄筋結束装置2の状態をロボット制御ユニット10に伝達することができる。ロボット制御ユニット10は、状態通知信号に基づいて、鉄筋結束装置2の状態を把握することができる。このため、ロボット制御ユニット10は、鉄筋結束装置2の状態に応じて鉄筋結束ロボット1の動作を制御することができる。
【0218】
第2の態様では、上記第1の態様において、鉄筋結束装置2は、ワイヤWを送る動作を実行可能に構成されている。鉄筋結束装置2は、ワイヤWを送る動作に関する状態を検出するリール回転検出センサ66、ギヤ回転検出センサ79、電圧検出回路25、電圧検出回路26、および電流検出回路28(第1状態検出部の例)をさらに備えている。状態通知信号は、送り動作正常判定フラグと、ハードウェア正常判定フラグと、ワイヤ不足判定フラグと、送りモータ過負荷判定フラグと、送りギヤ異常判定フラグと、送りモータFETオープン故障判定フラグと、送りモータFET電圧異常判定フラグと、ソレノイドFETオープン故障判定フラグと、ソレノイドFET電圧異常判定フラグと、リール回転検出センサ66、ギヤ回転検出センサ79、電圧検出回路25、電圧検出回路26、および電流検出回路28の検出値(第1状態検出部の検出結果に関する情報の例)を含む。
【0219】
ワイヤWを送る動作は、鉄筋結束装置2における主要な動作である。このため、ロボット制御ユニット10は、鉄筋結束装置2のワイヤWを送る動作に関する状態を把握したい場合がある。上記の構成によれば、ロボット制御ユニット10は、状態通知信号に基づいて、ワイヤWを送る動作に関する状態を把握することができる。
【0220】
第3の態様では、上記第2の態様において、第1状態検出部は、ワイヤWの有無を検出するリール回転検出センサ66(ワイヤ検出部の例)を備えている。状態通知信号は、ワイヤ不足判定フラグと、リール回転検出センサ66の検出値(ワイヤ検出部の検出結果に関する情報の例)を含む。
【0221】
鉄筋結束装置2においてワイヤ不足が発生した場合、鉄筋結束装置2は鉄筋結束作業を実行不可能となる。このような状況に応じて鉄筋結束ロボット1の動作を制御するためには、ロボット制御ユニット10は、ワイヤWの有無を把握する必要がある。上記の構成によれば、ロボット制御ユニット10は、状態通知信号に基づいて、ワイヤWの有無を把握することができる。
【0222】
第4の態様では、上記第3の態様において、鉄筋結束装置2は、ワイヤWが巻回されるワイヤリールWRと、ワイヤリールWRを回転可能に保持するハウジング12をさらに備えている。リール回転検出センサ66は、ワイヤリールWRに巻回されたワイヤWの有無を検出する。
【0223】
上記の構成によれば、ワイヤWがワイヤリールWRに巻回されている場合、ワイヤリールWRは鉄筋結束装置2のワイヤWを送る動作に伴って回転する。ワイヤリールWRに巻回されたワイヤWが無くなると、ワイヤリールWRは鉄筋結束装置2のワイヤWを送る動作に伴って回転しなくなる。このため、リール回転検出センサ66は、ワイヤリールWRが鉄筋結束装置2のワイヤWを送る動作に伴って回転するか否かを検出することで、間接的にワイヤWの有無を検出することができる。
【0224】
第5の態様では、上記第2から第4の態様のいずれか一つにおいて、鉄筋結束装置2は、送りモータ72を備えており、ワイヤWを送る動作を実行可能な送り機構38をさらに備えている。第1状態検出部は、送り機構38の状態を検出するギヤ回転検出センサ79、電圧検出回路26、および電流検出回路28(送り機構状態検出部の例)を備えている。状態通知信号は、送りモータ過負荷判定フラグと、送りギヤ異常判定フラグと、送りモータFETオープン故障判定フラグと、送りモータFET電圧異常判定フラグと、ギヤ回転検出センサ79、電圧検出回路26、および電流検出回路28の検出値(送り機構状態検出部の検出結果に関する情報の例)を含む。
【0225】
例えば、送り機構38においてワイヤWが絡まるなどして、送り機構38が動作不可能となる場合がある。このような状況に応じて鉄筋結束ロボット1の動作を制御するためには、ロボット制御ユニット10は、送り機構38の状態を把握する必要がある。上記の構成によれば、ロボット制御ユニット10は、状態通知信号に基づいて、送り機構38の状態を把握することができる。
【0226】
第6の態様では、上記第2から第5の態様のいずれか一つにおいて、鉄筋結束装置2は、ワイヤWが巻回されるワイヤリールWRと、ワイヤリールWRを回転可能に保持するハウジング12と、プルソレノイド146(制動アクチュエータの例)を備えており、ワイヤリールWRの回転運動を制動する動作を実行可能なブレーキ機構40(制動機構の例)と、をさらに備えている。第1状態検出部は、ブレーキ機構40の状態を検出する電圧検出回路25および電流検出回路28(制動機構状態検出部の例)を備えている。状態通知信号は、ソレノイドFETオープン故障判定フラグと、ソレノイドFET電圧異常判定フラグと、電圧検出回路25および電流検出回路28の検出値(制動機構状態検出部の検出結果に関する情報の例)を含む。
【0227】
例えば、ソレノイドFETがオープン故障する(電源と制動アクチュエータの間の電気的接続が遮断されることの例)などして、ブレーキ機構40が動作不可能となる場合がある。このような状況に応じて鉄筋結束ロボット1の動作を制御するためには、ロボット制御ユニット10は、ブレーキ機構40の状態を把握する必要がある。上記の構成によれば、ロボット制御ユニット10は、状態通知信号に基づいて、ブレーキ機構40の状態を把握することができる。
【0228】
第7の態様では、上記第1から第6の態様のいずれか一つにおいて、鉄筋結束装置2は、鉄筋交差箇所の周りに周回されたワイヤWを捩る動作を実行可能に構成されている。鉄筋結束装置2は、ワイヤWを捩る動作に関する状態を検出する捩りモータ回転検出センサ55、スリーブ位置検出センサ177、および電流検出回路28(第2状態検出部の例)をさらに備えている。状態通知信号は、捩り動作正常判定フラグと、ハードウェア正常判定フラグと、捩りモータロック判定フラグと、捩りモータ回転異常判定フラグと、捩りモータ過負荷判定フラグと、捩りモータ回転検出センサ異常判定フラグと、捩りアーム異常判定フラグと、捩りモータ回転検出センサ55、スリーブ位置検出センサ177、および電流検出回路28の検出値(第2状態検出部の検出結果に関する情報の例)を含む。
【0229】
ワイヤWを捩る動作は、鉄筋結束装置2における主要な動作である。このため、ロボット制御ユニット10は、鉄筋結束装置2のワイヤWを捩る動作に関する状態を把握したい場合がある。上記の構成によれば、ロボット制御ユニット10は、状態通知信号に基づいて、ワイヤWを捩る動作に関する状態を把握することができる。
【0230】
第8の態様では、上記第7の態様において、鉄筋結束装置2は、捩りモータ170を備えており、鉄筋交差箇所の周りに周回されたワイヤWを捩る動作を実行可能な捩り機構46をさらに備えている。第2状態検出部は、捩り機構46の状態を検出する捩りモータ回転検出センサ55、スリーブ位置検出センサ177、および電流検出回路28(捩り機構状態検出部の例)を備えている。状態通知信号は、捩りモータロック判定フラグと、捩りモータ回転異常判定フラグと、捩りモータ過負荷判定フラグと、捩りモータ回転検出センサ異常判定フラグと、捩りアーム異常判定フラグと、捩りモータ回転検出センサ55、スリーブ位置検出センサ177、および電流検出回路28の検出値(捩り機構状態検出部の検出結果に関する情報の例)を含む。
【0231】
例えば、捩り機構46においてワイヤWが絡まるなどして、捩り機構46が動作不可能となる場合がある。このような状況に応じて鉄筋結束ロボット1の動作を制御するためには、ロボット制御ユニット10は、捩り機構46の状態を把握する必要がある。上記の構成によれば、ロボット制御ユニット10は、状態通知信号に基づいて、捩り機構46の状態を把握することができる。
【0232】
第9の態様では、上記第1から第8の態様のいずれか一つにおいて、鉄筋結束装置2は、ワイヤWが巻回されるか、またはワイヤWを案内するワイヤリールWRと、ワイヤリールWRを着脱可能に保持するリール保持機構36(リール保持部の例)と、リール保持機構36にワイヤリールWRが保持されているか否かを検出するリール回転検出センサ66(リール検出部の例)と、をさらに備えている。状態通知信号は、リール脱落判定フラグ(リール検出部の検出結果に関する情報の例)を含む。
【0233】
リール保持機構36にワイヤリールWRが保持されていない場合、ワイヤ不足と実質的に等しい状況であるため、鉄筋結束装置2は鉄筋結束作業を実行できない。このような状況に応じて鉄筋結束ロボット1の動作を制御するためには、ロボット制御ユニット10は、リール保持機構36にワイヤリールWRが保持されているか否かを把握する必要がある。上記の構成によれば、ロボット制御ユニット10は、状態通知信号に基づいて、リール保持機構36にワイヤリールWRが保持されているか否かを把握することができる。
【0234】
第10の態様では、上記第1から第9の態様のいずれか一つにおいて、鉄筋結束装置2は、送りモータ72を備えており、ワイヤWを送る動作を実行可能な送り機構38と、送りモータ72を収容するハウジング12と、ハウジング12に取り付けられ、送り機構38によって送られたワイヤWを略円環状の案内軌道上に案内して鉄筋交差箇所の周りに周回させる閉状態の位置(第1位置の例)と、閉状態の位置に対して案内軌道の外側に移動した開状態の位置(第2位置の例)との間で移動可能な下側カールガイド92(案内部材の例)と、下側カールガイド92のハウジング12に対する位置を検出するガイド位置検出センサ142(案内部材位置検出部の例)と、をさらに備えている。状態通知信号は、ガイド位置異常判定フラグと、ガイド位置検出センサ142の検出値(案内部材位置検出部の検出結果に関する情報の例)を含む。
【0235】
鉄筋結束装置2では、案内軌道周辺に設けられた部品のメンテナンス性能を向上させるため、下側カールガイド92をハウジング12に対して移動可能に設けることがある。しかしながら、下側カールガイド92が開状態の位置に移動された状態で鉄筋結束作業が実行されると、鉄筋交差箇所を適切に結束することができない。このため、鉄筋結束ロボット1では、下側カールガイド92の位置に応じた制御を実行したい場合がある。この場合、ロボット制御ユニット10は、下側カールガイド92のハウジング12に対する位置を把握する必要がある。上記の構成によれば、ロボット制御ユニット10は、状態通知信号に基づいて、下側カールガイド92のハウジング12に対する位置を把握することができる。
【0236】
第11の態様では、上記第1から第10の態様のいずれか一つにおいて、鉄筋結束装置2は、装置制御ユニット50の温度を検出する温度検出センサ32(温度検出部の例)をさらに備えている。状態通知信号は、温度正常判定フラグと、温度異常判定フラグと、温度検出センサ32の検出値(温度検出部の検出結果に関する情報の例)を含む。
【0237】
装置制御ユニット50の温度が非常に高温となる場合、装置制御ユニット50の故障に繋がる可能性がある。このため、鉄筋結束ロボット1では、装置制御ユニット50の温度に応じた制御を実行したい場合がある。この場合、ロボット制御ユニット10は、装置制御ユニット50の温度を把握する必要がある。上記の構成によれば、ロボット制御ユニット10は、状態通知信号に基づいて、装置制御ユニット50の温度を把握することができる。
【0238】
第12の態様では、上記第1から第11の態様のいずれか一つにおいて、鉄筋結束ロボット1は、鉄筋結束装置2に電力を供給するための電源装置8をさらに備えている。鉄筋結束装置2は、電源装置8から鉄筋結束装置2に供給される電力の電圧値を検出する電圧検出回路27(供給電圧検出部の例)をさらに備えている。状態通知信号は、低電圧判定フラグと、供給電圧正常判定フラグと、電圧検出回路27の検出値(供給電圧検出部の検出結果に関する情報の例)を含む。
【0239】
電源装置8から鉄筋結束装置2に供給される電力の電圧値が低下して不十分な値となる場合、鉄筋結束作業が電力不足により強制的に中断されてしまう可能性がある。このため、鉄筋結束ロボット1では、鉄筋結束装置2に供給される電力の電圧値に応じた制御を実行したい場合がある。この場合、ロボット制御ユニット10は、電源装置8から鉄筋結束装置2に供給される電力の電圧値を把握する必要がある。上記の構成によれば、ロボット制御ユニット10は、状態通知信号に基づいて、電源装置8から鉄筋結束装置2に供給される電力の電圧値を把握することができる。
【0240】
第13の態様では、上記第1から第12の態様のいずれか一つにおいて、鉄筋結束装置2は、鉄筋結束作業の際に第1鉄筋R1または第2鉄筋R2に当接可能な位置に配置されたコンタクトプレート102(コンタクト部材の例)と、コンタクトプレート102を揺動可能に保持するハウジング12と、コンタクトプレート102のハウジング12に対する位置を検出するプレート位置検出センサ134(コンタクト部材位置検出部の例)と、をさらに備えている。状態通知信号は、プレート正常判定フラグと、プレート異常判定フラグと、プレート位置検出センサ134の検出値(コンタクト部材位置検出部の検出結果に関する情報の例)を含む。
【0241】
鉄筋結束作業を確実に実行する上で、ロボット制御ユニット10は、鉄筋結束装置2が鉄筋交差箇所にセットされたことを検出したい場合がある。上記の構成によれば、ロボット制御ユニット10は、状態通知信号に基づいて、コンタクトプレート102が揺動されたか否かを判断することで、鉄筋結束装置2が鉄筋交差箇所にセットされたことを検出できる。
【0242】
第14の態様では、上記第1から第13の態様のいずれか一つにおいて、状態通知信号は、結束装置異常判定フラグ(鉄筋結束装置に異常が発生したことを示す情報の例)を含む。
【0243】
上記の構成によれば、ロボット制御ユニット10は、状態通知信号に基づいて、鉄筋結束装置2に異常が発生したことを把握することができる。このため、ロボット制御ユニット10は、鉄筋結束装置2に異常が発生したことに応じて鉄筋結束ロボット1の動作を停止したり、その旨をユーザに報知したりすることができる。
【0244】
第15の態様では、上記第1から第14の態様のいずれか一つにおいて、ロボット制御ユニット10は、装置制御ユニット50に状態呼出信号(呼出信号の例)を送信するように構成されている。装置制御ユニット50は、状態呼出信号を受信した時に、ロボット制御ユニット10に状態通知信号を送信するように構成されている。
【0245】
上記の構成によれば、装置制御ユニット50は、状態通知信号を送信するタイミングを特定するための処理を実行する必要がない。このため、装置制御ユニット50を簡素な構成とすることができる。さらに上記の構成によれば、ロボット制御ユニット10は、所望のタイミングで、鉄筋結束装置2の状態を把握することができる。
【0246】
第16の態様では、上記第1から第15の態様のいずれか一つにおいて、ロボット制御ユニット10は、装置制御ユニット50に結束指示信号を送信するように構成されている。装置制御ユニット50は、結束指示信号を受信した時に、鉄筋結束装置2に鉄筋結束作業を実行させるように構成されている。ロボット制御ユニット10は、結束指示信号を送信することに先立って、装置制御ユニット50に状態呼出信号を送信するように構成されている。
【0247】
鉄筋結束作業が開始されるタイミングで鉄筋結束装置2の状態を把握することができれば、ロボット制御ユニット10は、鉄筋結束装置2の状態に基づいて、その後の鉄筋結束作業の継続可否を判断することができる。上記の構成によれば、ロボット制御ユニット10は、鉄筋結束作業が開始されるタイミングで鉄筋結束装置2の状態を把握することができる。このため、ロボット制御ユニット10は、鉄筋結束装置2の状態に基づいて鉄筋結束作業の継続可否を判断することができる。
【符号の説明】
【0248】
1 :鉄筋結束ロボット
2 :鉄筋結束装置
4 :搬送装置
6 :昇降装置
8 :電源装置
10 :ロボット制御ユニット
12 :ハウジング
12a :嵌合部
12b :貫通孔
20 :制御電源回路
21 :メインマイコン
22 :ドライバ回路
23 :ドライバ回路
24 :ドライバ回路
25 :電圧検出回路
26 :電圧検出回路
27 :電圧検出回路
28 :電流検出回路
31 :保護FET
32 :温度検出センサ
36 :リール保持機構
38 :送り機構
40 :ブレーキ機構
42 :案内機構
44 :切断機構
46 :捩り機構
50 :装置制御ユニット
54 :カム部材
54a :回動レバー
55 :捩りモータ回転検出センサ
56 :シャフト部材
58 :圧縮バネ
60 :回転台
62 :内側ベアリング
64 :外側ベアリング
66 :リール回転検出センサ
68 :ガイド部材
68a :挿通孔
72 :送りモータ
78 :主動ギヤ
78a :V字形状溝
79 :ギヤ回転検出センサ
80 :従動ギヤ
80a :V字形状溝
82 :リリースレバー
82a :ギヤアーム
82b :操作アーム
82c :揺動軸
82d :係合凹部
84 :圧縮バネ
86 :ロックレバー
86a :ロックアーム
86c :揺動軸
86d :係合凸部
88 :案内パイプ
90 :上側カールガイド
92 :下側カールガイド
92a :揺動軸
92b :捩りバネ
92c :コンタクト部
94 :第1案内通路
96 :第2案内通路
98 :リードホルダ
100 :ガイドアーム
100a :上案内壁
102 :コンタクトプレート
102a :コンタクト部
102b :揺動軸
102c :連結部
104 :左ガイドプレート
106 :インナガイドプレート
108 :右ガイドプレート
110 :ガイド部材
110a :ワイヤ通路
112 :トッププレート
112a :突出部
114 :第1案内ピン
116 :カッタ
118 :固定部材
118a :ワイヤ通路
120 :揺動部材
120a :貫通孔
120b :切断片
122 :第2案内ピン
124 :第3案内通路
124a :左案内壁
124b :右案内壁
126 :ガード板
128 :圧縮バネ
130 :センサ用マグネット
132 :マグネットアーム
134 :プレート位置検出センサ
136 :ガイド位置検出機構
138 :ガイド位置検出部材
138a :コンタクトアーム
138b :揺動軸
138c :サポートアーム
140 :圧縮バネ
142 :ガイド位置検出センサ
144 :センサ用マグネット
146 :プルソレノイド
148 :圧縮バネ
150 :ブレーキ部材
150a :駆動アーム
150b :揺動軸
150c :ブレーキアーム
150d :プレート部
150e :先端リブ
150f :側端リブ
152 :プッシュプレート
154 :プルプレート
156 :第1リンクアーム
158 :第2リンクアーム
160 :揺動軸
162 :揺動軸
164 :捩りバネ
166 :揺動軸
168 :揺動軸
170 :捩りモータ
172 :減速機構
174 :スリーブ
176 :プッシャ
177 :スリーブ位置検出センサ
178 :フック
183 :パトランプ
190 :車台
192 :右側クローラ
194 :左側クローラ
196 :サイドステッパ
204 :ベースプレート
204a :貫通孔
210 :右側プレート
212 :左側プレート
214 :ベースフレーム
215 :前側連結フレーム
216 :後側連結フレーム
218 :前側プーリ
220 :後側プーリ
222 :補助プーリ
224 :テンショナプーリ
226 :ゴムベルト
228 :右側クローラモータ
230 :ギヤボックス
232 :ベアリング
234 :ベアリング
236 :ベアリング
237 :可動ベアリング
244 :前側プーリ
246 :後側プーリ
248 :補助プーリ
250 :テンショナプーリ
252 :ゴムベルト
254 :左側クローラモータ
256 :ギヤボックス
258 :ベアリング
260 :ベアリング
262 :ベアリング
264 :可動ベアリング
272 :ステップバー
274 :ステップバー
276 :前側クランク機構
277 :後側クランク機構
278 :支持プレート
280 :プーリ
280a :軸
282 :プーリ
282a :軸
283 :テンショナプーリ
284 :ベルト
286 :クランクアーム
286a :嵌合孔
286b :長孔
288 :クランクアーム
288a :嵌合孔
288b :長孔
290 :クランクピン
292 :クランクピン
294 :クランクプレート
296 :ローラ
298 :ローラ
300 :ガイドプレート
302 :ガイド溝
304 :ガイド溝
306 :支持プレート
308 :プーリ
308a :軸
310 :プーリ
310a :軸
311 :テンショナプーリ
312 :ベルト
314 :クランクアーム
314a :嵌合孔
314b :長孔
316 :クランクアーム
316a :嵌合孔
316b :長孔
318 :クランクピン
320 :クランクピン
322 :クランクプレート
324 :ローラ
326 :ローラ
328 :ガイドプレート
330 :ガイド溝
332 :ガイド溝
400 :兼用モータ
402 :動力伝達機構
406 :遊星歯車機構
410 :遊星キャリヤ
412 :内歯車
414 :第1出力シャフト
416 :第2出力シャフト
418 :第1平歯車
420 :第2平歯車
422 :第3平歯車
424 :ウォームシャフト
426 :ウォームホイール
428 :回転伝達シャフト
430 :ユニバーサルジョイント
432 :切換アクチュエータ
434 :係止部材
436 :位置検出機構
438 :ギヤボックス
440 :内側係合凹部
440a :内側陥凹溝
442 :外側係合凹部
442a :外側陥凹溝
446 :係止ピン
452 :プルソレノイド
456 :キャップ
500 :独立リール
550 :ワイヤ中継機構
552 :台座部
554 :ガイドローラ
556 :送りローラ
557 :送りローラ
558 :挿通部材
632 :ウォームギヤケース
634 :昇降アーム
636 :ウォームシャフト
638 :スライダクランク機構
642 :クランクシャフト
644 :クランクアーム
646 :クランクピン
648 :クランクロッド
650 :スライダピン
652 :スライダ
653 :レール
654 :ベース部材
656 :第1干渉ピン
658 :長孔
660 :第2干渉ピン
662 :ばね
663 :第1フィン
664 :第2フィン
666 :カム
668 :第1フォトセンサ
670 :第2フォトセンサ
802 :右側バッテリケース
804 :左側バッテリケース
806 :変圧器
808 :電力制御基板
812 :右側バッテリ残量表示部
814 :左側バッテリ残量表示部
B :複数のバッテリパック
W :ワイヤ
WR :ワイヤリール
WRa :シャフト受け溝
WRc :係合部