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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024023071
(43)【公開日】2024-02-21
(54)【発明の名称】表示装置および発光ダイオードチップ
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/38 20100101AFI20240214BHJP
   G09F 9/33 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
H01L33/38
G09F9/33
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022126632
(22)【出願日】2022-08-08
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】武政 健一
【テーマコード(参考)】
5C094
5F241
【Fターム(参考)】
5C094AA21
5C094AA42
5C094BA03
5C094BA25
5C094CA19
5C094DB01
5C094FA01
5C094FA02
5C094GB01
5F241AA25
5F241CA93
5F241FF06
(57)【要約】
【課題】発光ダイオードチップと実装基板との電気的な接続信頼性を向上させる。
【解決手段】アノード電極20EAは、コンタクトホール23H1と重なる位置に形成され、突起電極33と接触しない窪み部26D1と、窪み部26D1よりも絶縁層23から離れる方向に突出し、かつ突起電極33と接触している突出部26W1と、を含んでいる。カソード電極20EKは、コンタクトホール23H2と重なる位置に形成され、突起電極34と接触しない窪み部26D2と、窪み部26D2よりも絶縁層23から離れる方向に突出し、かつ、突起電極34と接触している突出部26W2と、を含んでいる。窪み部26D1と突起電極33との間の空間は、アノード電極20EAと突起電極33との接続部分の周囲の空間に連通している。窪み部26D2と突起電極34との間の空間は、カソード電極20EKと突起電極34との接続部分の周囲の空間に連通している。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1突起電極および第2突起電極を備えた基板と、
前記第1突起電極と対向する位置に配置された第1電極、および前記第2突起電極と対向する位置に配置された第2電極を有し、前記基板上に搭載された発光ダイオードチップと、
を有し、
前記発光ダイオードチップは、
半導体層と、
前記半導体層の第1面を覆う第1絶縁層と、
前記第1絶縁層上に形成された第1電極と、
前記第1絶縁層上に前記第1電極と離間するように形成された第2電極と、
を含み、
前記第1電極は、前記第1絶縁層に形成された第1コンタクトホールを介してダイオード素子のアノードおよびカソードの一方と電気的に接続され、
前記第2電極は、前記第1絶縁層に形成された第2コンタクトホールを介して前記ダイオード素子の前記アノードおよび前記カソードの他方と電気的に接続され、
前記第1電極は、
前記第1コンタクトホールと重なる位置に形成され、前記第1突起電極と接触しない第1窪み部と、
前記第1窪み部とは異なる位置に形成され、前記第1窪み部よりも前記第1絶縁層から離れる方向に突出し、かつ前記第1突起電極と接触している第1突出部と、
を含み、
前記第2電極は、
前記第2コンタクトホールと重なる位置に形成され、前記第2突起電極と接触しない第2窪み部と、
前記第2窪み部とは異なる位置に形成され、前記第2窪み部よりも前記第1絶縁層から離れる方向に突出し、かつ、前記第2突起電極と接触している第2突出部と、
を含み、
前記第1窪み部と前記第1突起電極との間の空間は、前記第1電極と前記第1突起電極との接続部分の周囲の空間に連通し、
前記第2窪み部と前記第2突起電極との間の空間は、前記第2電極と前記第2突起電極との接続部分の周囲の空間に連通している、表示装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記第1電極は、前記第1窪み部と前記第1突出部との間に位置し、前記第1窪み部に連なる第1平面部を有し、
前記第2電極は、前記第2窪み部と前記第2突出部との間に位置し、前記第2窪み部に連なる第2平面部を有している、表示装置。
【請求項3】
請求項2において、
平面視において、
前記第1平面部および前記第2平面部のそれぞれは、前記第1窪み部または前記第2窪み部の周囲を囲む四角形の外縁を有し、
前記第1突出部は、前記第1平面部の外縁の四辺のうちの少なくとも一辺に沿って形成され、
前記第2突出部は、前記第2平面部の外縁の四辺のうちの少なくとも一辺に沿って形成されている、表示装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記第1突出部は、前記第1平面部の外縁の四辺のうち、前記第2平面部から最も遠い第1辺のみに沿って形成され、
前記第2突出部は、前記第2平面部の外縁の四辺のうち、前記第1平面部から最も遠い第2辺のみに沿って形成されている、表示装置。
【請求項5】
請求項3において、
前記第1突出部は、前記第1平面部の外縁の四辺のうちの複数の辺に沿って形成され、
前記第2突出部は、前記第2平面部の外縁の四辺のうちの複数の辺に沿って形成されている、表示装置。
【請求項6】
請求項5において、
前記第1突出部は、前記第1平面部の外縁の四辺のうち、第1辺を除く三辺に沿って前記第1平面部を囲むように形成され、
前記第2突出部は、前記第2平面部の外縁の四辺のうち、第2辺を除く三辺に沿って前記第2平面部を囲むように形成されている、表示装置。
【請求項7】
請求項6において、
前記第1平面部の前記第1辺は、前記第1平面部の外縁の四辺のうち、前記第2平面部から最も遠い辺であり、
前記第2平面部の前記第2辺は、前記第2平面部の外縁の四辺のうち、前記第1平面部から最も遠い辺である、表示装置。
【請求項8】
請求項3において、
前記第1突出部は、前記第1平面部の外縁の四辺のうち、前記第2平面部に最も近い第1辺のみに沿って形成され、
前記第2突出部は、前記第2平面部の外縁の四辺のうち、前記第1平面部に最も近い第2辺のみに沿って形成され、
前記第1絶縁層の厚さは、前記第1電極と前記第2電極との間の第1部分の第1厚さが、前記第2電極と前記発光ダイオードチップの外縁との間に位置する第2部分の第2厚さよりも厚い、表示装置。
【請求項9】
ダイオード素子が形成された半導体層と、
前記半導体層の第1面を覆う第1絶縁層と、
前記第1絶縁層上に形成された第1電極と、
前記第1絶縁層上に前記第1電極と離間するように形成された第2電極と、
を有し、
前記第1電極は、前記第1絶縁層に形成された第1コンタクトホールを介して前記ダイオード素子のアノードおよびカソードの一方と電気的に接続され、
前記第2電極は、前記第1絶縁層に形成された第2コンタクトホールを介して前記ダイオード素子の前記アノードおよび前記カソードの他方と電気的に接続され、
前記第1電極は、
前記第1コンタクトホールと重なる位置に形成された第1窪み部と、
前記第1窪み部とは異なる位置に形成され、前記第1窪み部よりも前記第1絶縁層から離れる方向に突出している第1突出部と、
を含み、
前記第2電極は、
前記第2コンタクトホールと重なる位置に形成された第2窪み部と、
前記第2窪み部とは異なる位置に形成され、前記第2窪み部よりも前記第1絶縁層から離れる方向に突出している第2突出部と、
を含み、
前記第1窪み部内の空間は、前記第1電極の周囲の空間に連通し、
前記第2窪み部内の空間は、前記第2電極の周囲の空間に連通している、発光ダイオードチップ。
【請求項10】
請求項9において、
前記第1電極は、前記第1窪み部と前記第1突出部との間に位置し、前記第1窪み部に連なる第1平面部を有し、
前記第2電極は、前記第2窪み部と前記第2突出部との間に位置し、前記第2窪み部に連なる第2平面部を有している、発光ダイオードチップ。
【請求項11】
請求項10において、
平面視において、
前記第1平面部および前記第2平面部のそれぞれは、前記第1窪み部または前記第2窪み部の周囲を囲む四角形の外縁を有し、
前記第1突出部は、前記第1平面部の外縁の四辺のうちの少なくとも一辺に沿って形成され、
前記第2突出部は、前記第2平面部の外縁の四辺のうちの少なくとも一辺に沿って形成されている、発光ダイオードチップ。
【請求項12】
請求項11において、
前記第1突出部は、前記第1平面部の外縁の四辺のうち、前記第2平面部から最も遠い第1辺のみに沿って形成され、
前記第2突出部は、前記第2平面部の外縁の四辺のうち、前記第1平面部から最も遠い第2辺のみに沿って形成されている、発光ダイオードチップ。
【請求項13】
請求項11において、
前記第1突出部は、前記第1平面部の外縁の四辺のうちの複数の辺に沿って形成され、
前記第2突出部は、前記第2平面部の外縁の四辺のうちの複数の辺に沿って形成されている、発光ダイオードチップ。
【請求項14】
請求項13において、
前記第1突出部は、前記第1平面部の外縁の四辺のうち、第1辺を除く三辺に沿って前記第1平面部を囲むように形成され、
前記第2突出部は、前記第2平面部の外縁の四辺のうち、第2辺を除く三辺に沿って前記第2平面部を囲むように形成されている、発光ダイオードチップ。
【請求項15】
請求項14において、
前記第1平面部の前記第1辺は、前記第1平面部の外縁の四辺のうち、前記第2平面部から最も遠い辺であり、
前記第2平面部の前記第2辺は、前記第2平面部の外縁の四辺のうち、前記第1平面部から最も遠い辺である、発光ダイオードチップ。
【請求項16】
請求項11において、
前記第1突出部は、前記第1平面部の外縁の四辺のうち、前記第2平面部に最も近い第1辺のみに沿って形成され、
前記第2突出部は、前記第2平面部の外縁の四辺のうち、前記第1平面部に最も近い第2辺のみに沿って形成され、
前記第1絶縁層の厚さは、前記第1電極と前記第2電極との間の第1部分の第1厚さが、前記第2電極と前記発光ダイオードチップの外縁との間に位置する第2部分の第2厚さよりも厚い、発光ダイオードチップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置の製造技術に関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置として、基板上に、自発光素子である無機発光ダイオード素子が行列上に配列されたLED(Light Emitting Diode)表示装置がある(例えば、特許文献1(特開2022-29226号公報)参照)。特許文献1には、LEDチップのアノード電極の位置とカソード電極の位置との間に段差部がある事、およびこの段差部を埋め込むようにカソード電極用のバンプが設けられている事が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-29226号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
LED表示装置が備えている複数のLEDチップのそれぞれは、例えば半田などの導電性接合材を介してバックプレーンと呼ばれる基板上に実装されている。LEDチップの電極は、バックプレーンの端子と対向する位置に配置され、電極とダイオード素子との間には、絶縁層が設けられている。電極とダイオード素子とは、絶縁層に形成されたコンタクトホールを介して電気的に接続されている。本願発明者の検討によれば、電極の形状によっては、電極と導電性接合材との接合部分に空気が閉じ込められた領域が生じる場合があることが判った。電極と導電性接合材との接合部分に空気が閉じ込められた領域が生じた場合、LEDチップとバックプレーンとの電気的な接続信頼性が低下する原因となる。
本発明の目的は、複数の無機発光ダイオード素子を用いた表示装置の性能を向上させる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様である表示装置は、第1突起電極および第2突起電極を備えた基板と、前記第1突起電極と対向する位置に配置された第1電極、および前記第2突起電極と対向する位置に配置された第2電極を有し、前記基板上に搭載された発光ダイオードチップと、を有している。前記発光ダイオードチップは、半導体層と、前記半導体層の第1面を覆う第1絶縁層と、前記第1絶縁層上に形成された第1電極と、前記第1絶縁層上に前記第1電極と離間するように形成された第2電極と、を含んでいる。前記第1電極は、前記第1絶縁層に形成された第1コンタクトホールを介してダイオード素子のアノードおよびカソードの一方と電気的に接続されている。前記第2電極は、前記第1絶縁層に形成された第2コンタクトホールを介して前記ダイオード素子の前記アノードおよび前記カソードの他方と電気的に接続されている。前記第1電極は、前記第1コンタクトホールと重なる位置に形成され、前記第1突起電極と接触しない第1窪み部と、前記第1窪み部とは異なる位置に形成され、前記第1窪み部よりも前記第1絶縁層から離れる方向に突出し、かつ前記第1突起電極と接触している第1突出部と、を含んでいる。前記第2電極は、前記第2コンタクトホールと重なる位置に形成され、前記第2突起電極と接触しない第2窪み部と、前記第2窪み部とは異なる位置に形成され、前記第2窪み部よりも前記第1絶縁層から離れる方向に突出し、かつ、前記第2突起電極と接触している第2突出部と、を含んでいる。前記第1窪み部と前記第1突起電極との間の空間は、前記第1電極と前記第1突起電極との接続部分の周囲の空間に連通している。前記第2窪み部と前記第2突起電極との間の空間は、前記第2電極と前記第2突起電極との接続部分の周囲の空間に連通している。
【0006】
本発明の他の態様である発光ダイオードチップは、ダイオード素子が形成された半導体層と、前記半導体層の第1面を覆う第1絶縁層と、前記第1絶縁層上に形成された第1電極と、前記第1絶縁層上に前記第1電極と離間するように形成された第2電極と、を有している。前記第1電極は、前記第1絶縁層に形成された第1コンタクトホールを介して前記ダイオード素子のアノードおよびカソードの一方と電気的に接続されている。前記第2電極は、前記第1絶縁層に形成された第2コンタクトホールを介して前記ダイオード素子の前記アノードおよび前記カソードの他方と電気的に接続されている。前記第1電極は、
前記第1コンタクトホールと重なる位置に形成された第1窪み部と、前記第1窪み部とは異なる位置に形成され、前記第1窪み部よりも前記第1絶縁層から離れる方向に突出している第1突出部と、を含んでいる。前記第2電極は、前記第2コンタクトホールと重なる位置に形成された第2窪み部と、前記第2窪み部とは異なる位置に形成され、前記第2窪み部よりも前記第1絶縁層から離れる方向に突出している第2突出部と、を含んでいる。前記第1窪み部内の空間は、前記第1電極の周囲の空間に連通している。前記第2窪み部内の空間は、前記第2電極の周囲の空間に連通している。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一実施形態である表示装置の構成例を示す平面図である。
図2図1に示す画素周辺の回路の構成例を示す回路図である。
図3図1に示す表示装置の複数の画素のそれぞれに配置されるLEDチップの周辺構造の一例を示す透過拡大平面図である。
図4図3のA-A線に沿った拡大断面図である。
図5図4に示すLEDチップの電極近辺の拡大断面図である。
図6図5に示すLEDチップを電極形成面側から視た平面図である。
図7図6に対する変形例であるLEDチップの平面図である。
図8図7のB-B線に沿った断面視において、LEDチップを基板上に搭載した状態を示す拡大断面図である。
図9図6に対する他の変形例を示す平面図である。
図10図9に示すLEDチップの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本発明の各実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一または関連する符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0009】
以下の実施の形態では、複数の発光ダイオードチップ(以下、LEDチップと記載する)が基板上に搭載された表示装置の例として、複数のマイクロLEDチップが搭載されたマイクロLED表示装置を取り上げて説明する。
【0010】
<表示装置>
まず、本実施の形態の電子装置であるマイクロLED表示装置の構成例について説明する。図1は、電子装置の一実施形態であるマイクロLED表示装置の構成例を示す平面図である。図1では、表示領域DAと周辺領域PFAとの境界、制御回路5、駆動回路6、および複数の画素PIXのそれぞれを二点鎖線で示している。図2は、図1に示す画素周辺の回路の構成例を示す回路図である。
【0011】
図1に示すように、本実施の形態の表示装置DSP1は、表示領域DAと、表示領域DAの周囲を枠状に囲む周辺領域PFAと、表示領域DA内に行列上に配列された複数の画素PIXと、を有している。また、表示装置DSP1は、基板10と、基板10上に形成された制御回路5と、基板10上に形成された駆動回路6と、を有している。基板10はガラスまたは樹脂から成る。後述する図4に示すように、基板10は、面10fおよび面10fの反対側の面10bを備えている。
【0012】
図1および図2に示す制御回路5は、表示装置DSP1の表示機能の駆動を制御する制御回路である。例えば、制御回路5は、基板10上に実装されたドライバIC(Integrated Circuit)である。図1に示す例では、制御回路5は、基板10が備える4辺のうち、一つの短辺に沿って配置されている。また、本実施の形態の例では、制御回路5は、複数の画素PIXに接続される配線(映像信号配線)VL(図2参照)を駆動する信号線駆動回路を含んでいる。ただし、制御回路5の位置および構成例は、図1に示す例には限定されず、種々の変形例がある。例えば、図1において、制御回路5として示す位置に、フレキシブル基板などの回路基板が接続され、上記したドライバICは、回路基板上に搭載されている場合がある。また例えば、配線VLを駆動する信号線駆動回路は、制御回路5とは別に形成されている場合がある。
【0013】
駆動回路6は、複数の画素PIXのうち、走査信号線GL(後述する図2参照)を駆動する回路を含む。また、駆動回路6は、複数の画素PIXのそれぞれに搭載されたLEDチップに基準電位を供給する回路を含む。駆動回路6は、制御回路5からの制御信号に基づいて、複数の走査信号線GLを駆動する。図1に示す例では、駆動回路6は、基板10が備える4辺のうち、二つの長辺のそれぞれに沿って配置されている。ただし、駆動回路6の位置および構成例は、図1に示す例には限定されず、種々の変形例がある。例えば、図1において、制御回路5として示す位置に、フレキシブル基板などの回路基板が接続され、上記した駆動回路6が回路基板上に搭載されている場合がある。
【0014】
次に、図2を用いて画素PIXの回路構成例について説明する。なお、図2では、4個の画素PIXを代表的に取り上げて図示しているが、図1に示す複数の画素PIXのそれぞれが、図2に示す画素PIXと同様の回路を備えている。以下では、画素PIXが備えるスイッチ、およびLEDチップ20を含む回路について、画素回路と呼称する場合がある。画素回路は、制御回路5(図1参照)から供給される映像信号Vsgに応じてLEDチップ20の発光状態を制御する電圧信号方式の回路である。
【0015】
図2に示すように、画素PIXは、LEDチップ20を備えている。LEDチップ20は、発光ダイオードチップ、詳しくは、マイクロ発光ダイオードチップである。LEDチップ20はアノード電極20EAおよびカソード電極20EKを有している。LEDチップ20のカソード電極20EKは、基準電位(固定電位)PVSが供給される配線VSLに接続されている。LEDチップ20のアノード電極20EAは、配線31を介してスイッチング素子SWのドレイン電極EDと電気的に接続されている。
【0016】
画素PIXは、スイッチング素子SWを備えている。スイッチング素子SWは、制御信号Gsに応答して画素回路と配線VLとの接続状態(オンまたはオフの状態)を制御するトランジスタである。スイッチング素子SWは、例えば薄膜トランジスタである。スイッチング素子SWがオン状態の時、画素回路には、配線VLから映像信号Vsgが入力される。
【0017】
駆動回路6は、図示しないシフトレジスタ回路、出力バッファ回路等を含んでいる。駆動回路6は、制御回路5(図1参照)から伝送される水平走査スタートパルスに基づいてパルスを出力し、制御信号Gsを出力する。
【0018】
複数の走査信号線GLのそれぞれは、X方向に延びている。走査信号線GLは、スイッチング素子SWのゲート電極に接続されている。走査信号線GLに制御信号Gsが供給されると、スイッチング素子SWがオン状態となり、LEDチップ20に映像信号Vsgが供給される。
【0019】
<LEDチップの周辺構造>
次に、図1に示す複数の画素PIXのそれぞれに配置されるLEDチップの周辺構造について説明する。図3は、図1に示す表示装置の複数の画素のそれぞれに配置されるLEDチップの周辺構造の一例を示す透過拡大平面図である。図3では、図4に示す無機絶縁層14の図示を省略している。図3では、半導体層、電極、および走査信号線の輪郭を点線で示している。図4は、図3のA-A線に沿った拡大断面図である。図5は、図4に示すLEDチップの電極近辺の拡大断面図である。図6は、図5に示すLEDチップを電極形成面側から視た平面図である。
【0020】
図3に示すように、表示装置DSP1は、画素PIX1を含む複数の画素PIX(図4に示す例では画素PIX1,PIX2,およびPIX3)を有している。複数の画素PIXのそれぞれは、スイッチング素子SWと、LEDチップ(発光ダイオードチップ)20と、配線31と、配線32と、を有している。なお、画素PIX1,PIX2,およびPIX3のそれぞれには、例えば赤、緑、および青のうち、いずれか一色の可視光を出射するLEDチップ20が搭載され、LEDチップ20を駆動するスイッチング素子SWが形成されている。画素PIX1,PIX2,およびPIX3のLEDチップから出射される可視光の出力およびタイミングを制御することにより、カラー表示が可能となる。このように互いに異なる色の可視光を出射する複数の画素PIXを組み合わせる場合、各色用の画素PIXを副画素と呼び、複数の画素PIXのセットを画素と呼ぶ場合がある。本実施の形態では、上記副画素に相当する部分が画素PIXと呼ばれる。
【0021】
配線31は、スイッチング素子SWのドレイン電極EDおよびLEDチップ20のアノード電極20EAのそれぞれに電気的に接続されている。配線32は、スイッチング素子SWのソース電極ESに接続されている。図3に示す例では、配線32は屈曲した構造を備え、一方の端部がスイッチング素子SWのソース電極ESに接続され、他方の端部は、配線VL に接続されている。走査信号線GLは、スイッチング素子SWのゲート電極EGとして利用される。
【0022】
表示装置DSP1は、Y方向に沿って複数の画素PIX(図2参照)に亘って延び、かつ、配線32と電気的に接続される配線VL と、Y方向に交差(図3では直交)するX方向沿って複数の画素PIXに亘って延び、かつ、LEDチップ20のカソード電極20EKに電気的に接続された配線VSLと、を更に有している。配線VLと配線VSLとは、図3に示す配線交差部LXPにおいて、絶縁層41を介して交差している。配線VLと配線VSLとの間に絶縁層41が介在しているので、配線VLと配線VSLとは電気的に分離されている。なお、図3に示すレイアウトは、一例であって、種々の変形例がある。例えば、図3に対する変形例の一つとして、スイッチング素子SWが図示しないゲート電極を有し、ゲート電極が走査信号線GLと接続された構造であってもよい。この変形例では、走査信号線GLが、半導体層50と重ならない位置に配置される場合がある。
【0023】
図4に示すように、表示装置DSP1は、ガラスまたは樹脂から成る基板10と、基板10上に積層された複数の絶縁層とを含む電子装置である。表示装置DSP1が有する複数の絶縁層は、基板10上に積層される無機絶縁層11、無機絶縁層12、無機絶縁層13、および無機絶縁層14を含む。基板10は面10fおよび面10fの反対側の面10bを有している。無機絶縁層11,12,13、および14のそれぞれは、基板10の面10f上に積層されている。
【0024】
スイッチング素子SWは、基板10上に形成された無機絶縁層12と、無機絶縁層12上に形成された半導体層50と、半導体層50のドレイン領域に接続されたドレイン電極EDと、半導体層50のソース領域に接続されたソース電極ESと、半導体層50を覆う無機絶縁層13と、を含んでいる。配線31および配線32のそれぞれは、例えば、チタンまたはチタン合金から成る第1導体層と、アルミニウムまたはアルミニウム合金から成る第2導体層との積層膜である。
【0025】
図4に示す例は、ゲート電極EGが半導体層50と基板10との間にある、ボトムゲート方式の例である。ボトムゲート方式の場合、無機絶縁層12のうち、ゲート電極EGと半導体層50との間にある部分がゲート絶縁層として機能する。また、無機絶縁層12は、半導体層50を形成するための下地層としても機能する。なお、ゲート電極EGの位置は図4に示す例には限定されず、例えば変形例として後述するトップゲート方式であってもよい。
【0026】
無機絶縁層11,12,13,および14のそれぞれを構成する材料は特に限定されない。例えば、酸化ケイ素(SiO)や窒化ケイ素(SiN)などを例示することができる。また、半導体層50は、例えばケイ素から成るシリコン膜にP型またはN型の導電型の不純物がドープされた半導体膜である。
【0027】
ソース電極ESおよびドレイン電極EDのそれぞれは、半導体層50のソース領域およびドレイン領域のいずれか一方との電気的なコンタクトをとるためのコンタクトプラグである。コンタクトプラグの材料は、例えばタングステンなどを例示できる。なお、図4に対する変形例として、無機絶縁層13に半導体層50のソース領域およびドレイン領域を露出させるコンタクトホールが形成され、コンタクトホール内に配線31の一部分および配線32の一部分がそれぞれ埋め込まれている場合がある。この場合、配線31および配線32のうち、コンタクトホール内に埋め込まれた部分が半導体層50に接触し、配線31および配線32と半導体層50との接触界面をドレイン電極EDおよびソース電極ESと見做すことができる。
【0028】
また、図4に示すように、表示装置DSP1は、突起電極33および突起電極34を備えている。突起電極33および突起電極34のそれぞれは、基板10上にLEDチップ20を実装するための端子である。2個の突起電極の一方(図4の場合、突起電極33)は、LEDチップ20のアノード電極20EAに接続され、他方(図4の場合、突起電極34)は、LEDチップ20のカソード電極20EKに接続されている。
【0029】
突起電極33は、無機絶縁層14に形成された開口部(コンタクトホール)と重なる位置で配線31に接続され、かつ、無機絶縁層14から突出している。また、突起電極33は、柱状に成形され、配線31に接合された導体部33Aと、錫を含む半田から成り、導体部33A上に形成された導体部33Bと、を含んでいる。導体部33Aを構成する金属材料は、銅(または銅合金)、チタン、ニッケル、あるいはこれらの積層膜を例示することができる。銅または銅合金を含む導体部33Aを用いることにより、突起電極33の電気的特性を向上させることができる。ただし、本実施の形態に対する変形例として、銅から成る導体部33Aを有しない、半田材のみから成る突起電極33を用いる場合がある。
【0030】
突起電極34は、無機絶縁層14に形成された開口部(コンタクトホール)と重なる位置で配線VSLに接続され、かつ、無機絶縁層14から突出している。また、突起電極34は、柱状に成形され、配線VSLに接合された導体部34Aと、錫を含む半田から成り、導体部34A上に形成された導体部34Bと、を含んでいる。導体部34Aを構成する金属材料は、銅(または銅合金)、チタン、ニッケル、あるいはこれらの積層膜を例示することができる。銅または銅合金を含む導体部34Aを用いることにより、突起電極34の電気的特性を向上させることができる。ただし、本実施の形態に対する変形例として、銅から成る導体部34Aを有しない、半田材のみから成る突起電極34を用いる場合がある。
【0031】
図5に示すように、LEDチップ20は、ダイオード素子D1が形成された半導体層22と、半導体層22の面22fを覆う絶縁層23と、絶縁層23上に形成されたアノード電極20EAと、絶縁層23にアノード電極20EAと離間するように形成されたカソード電極20EKと、を含んでいる。
【0032】
詳しくは、半導体層22は、例えばN型半導体層である。半導体層22は、アノード電極20EAおよびカソード電極20EKに共通の下地層として形成され、アノード電極20EA側には半導体層22上に活性層24およびP型半導体層25が積層されている。なお、図示は省略するが、P型半導体層25とアノード電極20EAとの電気的な接続界面の抵抗を低減させる観点から、P型半導体層25とアノード電極20EAとの間に透明電極層が配置される場合がある。半導体層22およびアノード電極20EA側のP型半導体層25は、無機絶縁膜である絶縁層23に覆われている。絶縁層23は、例えば、酸化珪素、窒化珪素、あるいは、これらの積層膜から成る。アノード電極20EAおよびカソード電極EKのそれぞれは、スパッタ法、またはめっき法により形成された金属膜である。めっき法により金属膜が形成される場合には、金属膜を形成するためのシード層が下地に形成される。図示は省略するが、半導体層22の面22fの反対側の面は、窒化ガリウムから成るバッファ層に覆われている。
【0033】
絶縁層23には、コンタクトホール(開口部)23H1が形成され、アノード電極20EAは、コンタクトホール23H1を介してダイオード素子D1のアノードと電気的に接続されている。また、絶縁層23には、コンタクトホール(開口部)23H2が形成され、カソード電極20EKは、コンタクトホール23H2を介してダイオード素子D1のカソードと電気的に接続されている。
【0034】
ところで、アノード電極20EAおよびカソード電極20EKのそれぞれの一部は、コンタクトホール23H1またはコンタクトホール23H2内に埋め込まれている。このため、アノード電極20EAおよびカソード電極20EKがスパッタ法で形成される場合でもめっき法で形成される場合でも、コンタクトホール23H1またはコンタクトホール23H2と重なる位置には窪み部が形成される。図5に示すように、本実施の形態の場合も、アノード電極20EAは、コンタクトホール23H1と重なる位置に形成された窪み部26D1を有している。同様に、カソード電極20EKは、コンタクトホール23H2と重なる位置に形成された窪み部26D2を有している。
【0035】
ここで、本実施の形態に対する検討例として、LEDチップ20を基板10(図4参照)に実装する際に、窪み部26D1に突起電極33の導体部33Bを埋め込み、窪み部26D2に突起電極34の導体部34Bを埋め込む方法が考えられる。ところが、本願発明者の検討によれば、この方法の場合、LEDチップの電極と基板10の突起電極との間にボイド(外部と隔離された空間、言い換えれば、空気が閉じ込められた領域)が生じやすいことが判った。LEDチップの電極と基板10の突起電極との間にボイドが生じた場合、ボイドの周辺において電気抵抗が上昇する。また、実装後の表示装置DSP1(図1参照)を繰り返し使用することにより温度サイクル負荷が印加されると、ボイドを起点としてLEDチップの電極と突起電極とが剥離する場合がある。このように、ボイドは、LEDチップと基板10との電気的な接続信頼性を低下させる原因となる。
【0036】
そこで、本願発明者は、ボイドの発生を抑制する技術について検討し、本実施の形態の構造を見出した。図5に示すように、アノード電極20EAは、コンタクトホール23H1と重なる位置に形成され、突起電極33と接触しない窪み部26D1と、窪み部26D1とは異なる位置に形成され、窪み部26D1よりも絶縁層23から離れる方向に突出し、かつ突起電極33と接触している突出部26W1と、を含んでいる。カソード電極20EKは、コンタクトホール23H2と重なる位置に形成され、突起電極34と接触しない窪み部26D2と、窪み部26D2とは異なる位置に形成され、窪み部26D2よりも絶縁層23から離れる方向に突出し、かつ、突起電極34と接触している突出部26W2と、を含んでいる。窪み部26D1と突起電極33との間の空間は、アノード電極20EAと突起電極33との接続部分の周囲の空間に連通している。窪み部26D2と突起電極34との間の空間は、カソード電極20EKと突起電極34との接続部分の周囲の空間に連通している。言い換えれば、窪み部26D1内の空間は、アノード電極20EAの周囲の空間に連通し、窪み部26D2内の空間は、カソード電極20EKの周囲の空間に連通している。
【0037】
アノード電極20EAの突出部26W1およびカソード電極20EKの突出部26W2のそれぞれは、窪み部26D1または窪み部26D2にボイドが形成されることを抑制するスペーサ部材として機能している。このため、突起電極33の導体部33Aは、アノード電極20EAの突出部26W1に選択的に接合され、窪み部26D1には接触しない。また、突起電極34の導体部34Aは、カソード電極20EKの突出部26W2に選択的に接合され、窪み部26D2には接触しない。この結果、上記したボイドの発生を防止または抑制できるので、LEDチップ20と基板10(図4参照)との電気的な接続信頼性を向上させることができる。
【0038】
図6に示すように、アノード電極20EAは、窪み部26D1と突出部26W1との間に位置し、窪み部26D1に連なる平面部26L1を有している。また、カソード電極20EKは、窪み部26D2と突出部26W2との間に位置し、窪み部26D2に連なる平面部26L2を有している。図5に示すように、平面部26L1は、突起電極33と接触せず、平面部26L2は、突起電極34と接触していない。図示は省略するが、図5および図6に対する変形例として、平面部26L1および平面部26L2とが形成されず、例えば、窪み部26D1(または窪み部26D2)の側壁と突出部26W1(または窪み部26D2)の側壁とが連続的に繋がっている場合もある。ただし、窪み部26D1および窪み部26D2の近辺にボイドが発生することを防止する観点からは、平面部26L1および平面部26L2が設けられていることが好ましい。平面部26L1および平面部26L2を設けることにより、例えば半田から成る導体部33Bおよび導体部34Bが窪み部26D1および窪み部26D2まで濡れ広がることを防止できる。
【0039】
また、図6に示す例では、平面視において、平面部26L1および平面部26L2のそれぞれは、窪み部26D1または窪み部26D2の周囲を囲む四角形の外縁を有している。突出部26W1は、平面部26L1の外縁の四辺のうちの少なくとも一辺に沿って形成され、突出部26W2は、平面部26L2の外縁の四辺のうちの少なくとも一辺に沿って形成されている。
【0040】
詳しくは、後述する図9に示すLEDチップ20Bと同様に、図6に示すLEDチップ20のアノード電極20EAの平面部26L1は、カソード電極20EKから最も遠くに位置する辺EAS1(図9参照)、カソード電極20EKの最も近くに位置する辺EAS2、辺EAS1および辺EAS2と交差する辺EAS3(図9参照)、および辺EAS3の反対側に位置する辺EAS4(図9参照)を有している。同様に、LEDチップ20のカソード電極20EKの平面部26L2は、アノード電極20EAから最も遠くに位置する辺EKS1(図9参照)、アノード電極20EAの最も近くに位置する辺EKS2、辺EKS1および辺EKS2と交差する辺EKS3(図9参照)、および辺EKS3の反対側に位置する辺EKS4(図9参照)を有している。なお、図6では、見易さのため、辺EAS2および辺EKS2のみに符号を付している。
【0041】
図5および図6に示す例の場合、突出部26W1は、平面部26L1の外縁の四辺のうち、平面部26L2に最も近い辺EAS2のみに沿って形成されている。また、突出部26W2は、平面部26L2の外縁の四辺のうち、平面部26L1に最も近い辺EKS2のみに沿って形成されている。図5および図6に示す構造は、図5に示す絶縁層23のうち、アノード電極20EAとカソード電極20EKとの間に配置される部分の厚さを厚くすることにより、容易に形成することができる。図5に示すように、絶縁層23のうち、アノード電極20EAとカソード電極20EKとの間に位置する部分の厚さ23T1は、絶縁層23のうち、カソード電極20EKの外側の部分(言い換えればカソード電極20EKとLEDチップ20の外縁との間に位置する部分)の厚さ23T2よりも厚い。突出部26W1および突出部26W2のそれぞれは、膜厚が厚い部分の上に形成されている。これにより、アノード電極20EAおよびカソード電極20EKとして用いられる金属膜自体の厚さを変化させなくても、突出部26W1および突出部26W2を容易に形成することができる。
【0042】
選択的に膜厚が厚い部分を備えた絶縁層23は、以下の方法により形成することができる。例えば、厚さ23T2の膜厚で絶縁層を形成した後、アノード電極20EAおよびカソード電極20EKが形成される領域の間に、厚さ23T2と同程度の厚さの絶縁層をさらに形成する。その後、アノード電極20EAおよびカソード電極20EKの一部分がそれぞれ絶縁層23の膜厚が厚い部分に重なるようにアノード電極20EAおよびカソード電極20EKを構成する金属膜を成膜することにより、図5および図6に示す構造が得られる。
【0043】
なお、上記したように絶縁層23の一部分の膜厚を厚くすることにより突出部26W1および突出部26W2を形成する方法の他、アノード電極20EAおよびカソード電極20EKを構成する金属膜一部分の膜厚を他の部分よりも厚くする方法を適用することも可能である。すなわち、突出部26W1および突出部26W2における金属膜の膜厚を、電極の他の部分における金属膜の膜厚よりも厚くする。これにより、仮に絶縁層23の厚さが一定である場合にも、突出部を形成することができる。ただし、絶縁層23の膜厚を制御する方法の方が容易に制御可能である。
【0044】
また、絶縁層23を形成する方法の変形例として、以下の方法もある。すなわち、厚さ23T2の膜厚で絶縁層を形成した後、LEDチップ20の周辺領域をエッチングする。これにより、周辺領域の膜厚が厚さ23T2になるように薄くする。アノード電極20EAおよびカソード電極20EKの形成した方法は前述と同様である。このように、図5および図6に示す構造は、比較的簡単なプロセスにより形成することができる。
【0045】
図5および図6に示す各部材の寸法例は以下の通りである。まず、図5に示す絶縁層23の厚さ23T1は、1μm~数μm(5μm以下)程度である。厚さ23T2は、厚さ23T2よりも薄く、厚さ23T1に対して40~60%程度の厚さである。またアノード電極20EAおよびカソード電極20EKを構成する金属膜の厚さET1は、数μm(5μm以下)程度である。ただし、厚さET1は、少なくとも絶縁層23の厚さ23T2より厚く、厚さ23T1の値と厚さ23T2の値の差よりも厚い。また、厚さET1は、厚さ23T1よりも厚いことが好ましい。これにより、絶縁層23の膜厚が厚い部分と薄い部分とに跨って電極を形成することができる。なお、LEDチップ20の全体の厚さは、10μm以下程度である。
【0046】
また、図6に示す例において、LEDチップ20は平面視において四角形(詳しくは長方形)である。LEDチップ20のX方向の長さ20L1は、数μm~50μm程度である。また、LEDチップ20のY方向の長さ20L2は、例えば長さ20L1の半分程度である。アノード電極20EAおよびカソード電極20EKのサイズは、同様である。例えば、アノード電極20EAおよびカソード電極20EKのX方向の長さEAL1および長さEKL1のそれぞれは、LEDチップ20の長さ20L1に対して半分未満である(例えば数μm~20μm程度)。アノード電極20EAおよびカソード電極20EKのY方向の長さEAL2および長さEKL2のそれぞれは、LEDチップ20の長さ20L2よりも短い(例えば数μm~20μm程度)。また、コンタクトホール23H1およびコンタクトホール23H2の直径は、例えば1μm~数μm(5μm以下)程度である。
【0047】
<変形例>
次に、図5および図6に示すLEDチップに対する変形例について説明する。図7は、図6に対する変形例であるLEDチップの平面図である。図8図7のB-B線に沿った断面視において、LEDチップを基板上に搭載した状態を示す拡大断面図である。図7および図8に示すLEDチップ20Aは、突出部26W1および突出部26W2の位置が、図5および図6に示すLEDチップ20と相違する。以下では図5および図6を用いて説明した実施態様との相違点を中心に説明し、共通する部分の説明は省略する。
【0048】
図7に示す突出部26W1は、平面部26L1の外縁の四辺のうち、平面部26L2から最も遠い辺EAS1のみに沿って形成されている。突出部26W2は、平面部26L2の外縁の四辺のうち、平面部26L1から最も遠い辺EKS1のみに沿って形成されている。詳しくは、後述する図9に示すLEDチップ20Bと同様に、図7に示すLEDチップ20Aのアノード電極20EAの平面部26L1は、カソード電極20EKから最も遠くに位置する辺EAS1、カソード電極20EKの最も近くに位置する辺EAS2(図9参照)、辺EAS1および辺EAS2と交差する辺EAS3(図9参照)、および辺EAS3の反対側に位置する辺EAS4(図9参照)を有している。同様に、LEDチップ20Aのカソード電極20EKの平面部26L2は、アノード電極20EAから最も遠くに位置する辺EKS1、アノード電極20EAの最も近くに位置する辺EKS2(図9参照)、辺EKS1および辺EKS2と交差する辺EKS3(図9参照)、および辺EKS3の反対側に位置する辺EKS4(図9参照)を有している。なお、図7では、見易さのため、辺EAS1および辺EKS1のみに符号を付している。
【0049】
LEDチップ20Aの場合、図8に示すように、絶縁層23のうち、アノード電極20EAとカソード電極20EKとの間に位置する部分の厚さ23T1は、絶縁層23のうち、カソード電極20EKの外側の部分(言い換えればカソード電極20EKとLEDチップ20Aの外縁との間に位置する部分)の厚さ23T2よりも薄い。また、絶縁層23のうち、アノード電極20EAとカソード電極20EKとの間に位置する部分の厚さ23T1は、絶縁層23のうち、アノード電極20EAの外側の部分(言い換えればアノード電極20EAとLEDチップ20Aの外縁との間に位置する部分)の厚さ23T2よりも薄い。
【0050】
本変形例のLEDチップ20Aの場合、図6に示すLEDチップ20と比較して、突出部26W1と突出部26W2との離間距離を大きくすることができる。この場合、アノード電極20EAとカソード電極20EKとの距離を近づけた場合でも、突起電極33の導体部33Bおよび突起電極34の導体部34Bを介してアノード電極20EAとカソード電極20EKとが短絡することを防止できる。また、LEDチップ20Aの場合、図8に示すように、LEDチップ20Aの外縁部の近くで、電極と突起電極とが接合される。このため、基板10(図4参照)上にLEDチップ20Aを固定する強度を向上させることができる。
【0051】
図9は、図6に対する他の変形例を示す平面図である。図10は、図9に示すLEDチップの斜視図である。なお、図9に示すLEDチップを図4に示す基板10上に搭載した時の断面図は、図5と同様なので重複する図示を省略する。図9に示すLEDチップ20Bは、突出部26W1および突出部26W2の形状が、図5および図6に示すLEDチップ20と相違する。以下では図5および図6を用いて説明した実施態様との相違点を中心に説明し、共通する部分の説明は省略する。
【0052】
図9に示す突出部26W1は、平面部26L1の外縁の四辺のうちの複数の辺に沿って形成されている。突出部26W2は、平面部26L2の外縁の四辺のうちの複数の辺に沿って形成されている。図9に示す例では、突出部26W1は、平面部26L1の外縁の四辺のうち、辺EAS1を除く三辺に沿って平面部26L1を囲むように形成されている。突出部26W2は、平面部26L2の外縁の四辺のうち、辺EKS1を除く三辺に沿って平面部26L2を囲むように形成されている。ただし、変形例として、突出部26W1および突出部26W1が四辺のうちの任意の二辺に沿って形成されている場合もある。
【0053】
図9に示すように、LEDチップ20Bのアノード電極20EAの平面部26L1は、カソード電極20EKから最も遠くに位置する辺EAS1、カソード電極20EKの最も近くに位置する辺EAS2、辺EAS1および辺EAS2と交差する辺EAS3、および辺EAS3の反対側に位置する辺EAS4を有している。同様に、LEDチップ20Bのカソード電極20EKの平面部26L2は、アノード電極20EAから最も遠くに位置する辺EKS1、アノード電極20EAの最も近くに位置する辺EKS2、辺EKS1および辺EKS2と交差する辺EKS3、および辺EKS3の反対側に位置する辺EKS4を有している。
【0054】
突出部26W1は、平面部26L1の四辺のうち、辺EAS2、辺EAS3、および辺EAS4のそれぞれに沿って、平面部26L1の周囲に配置されている。突出部26W2は、平面部26L2の四辺のうち、辺EKS2、辺EKS3、および辺EKS4のそれぞれに沿って、平面部26L2の周囲に配置されている。
【0055】
本変形例のように、平面部26L1の複数の辺に沿って突出部26W1が形成されている場合、突起電極33(図5参照)の導体部33B(図5参照)と突出部26W1との接触面積を大きくすることができる。これにより、図6に示す例と比較して接合強度を向上させることができる。また、電気が流れる経路の面積を増大させることができるので、電流経路の抵抗値を低減させることができる。
【0056】
同様に、平面部26L2の複数の辺に沿って突出部26W2が形成されている場合、突起電極34(図5参照)の導体部34B(図5参照)と突出部26W2との接触面積を大きくすることができる。これにより、図6に示す例と比較して接合強度を向上させることができる。また、電気が流れる経路の面積を増大させることができるので、電流経路の抵抗値を低減させることができる。
【0057】
また、接合部の強度を向上させる観点からは、図9に示すLEDチップ20Bのように、平面部26L1(または平面部26L2)の四辺のうち、3辺に沿って突出部26W1(または突出部26W2)が形成されていることが特に好ましい。本変形例の場合X方向およびY方向を含むX―Y平面内であれば、どの方向から外力が印加された場合でも耐久力を向上させることができる。
【0058】
以上、実施の形態および代表的な変形例について説明したが、上記した技術は、例示した変形例以外の種々の変形例に適用可能である。例えば、上記した変形例同士を組み合わせてもよい。
【0059】
本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。例えば、前述の各実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除若しくは設計変更を行ったもの、または、工程の追加、省略若しくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、表示装置や表示装置が組み込まれた電子機器に利用可能である。
【符号の説明】
【0061】
5 制御回路
6 駆動回路
10 基板
10b,10f,22f,51t 面
11,12,13,14 無機絶縁層
20,20A,20B LEDチップ(発光ダイオードチップ)
20EA アノード電極
20EK カソード電極
20L1,20L2,EAL1,EAL2,EKL1,EKL2 長さ
22,50 半導体層
23,41 絶縁層
23H1,23H2 コンタクトホール(開口部)
23T1,23T2,ET1 厚さ
24 活性層
25 P型半導体層
26D1、26D2 窪み部
26L1,26L2 平面部
26W1,26W2 突出部
31,32,VL,VSL 配線
33,34 突起電極
33A,33B,34A,34B 導体部
D1 ダイオード素子
DA 表示領域
DSP1 表示装置
EAS1,EAS2,EAS3,EAS4,EKS1,EKS2,EKS3,EKS4 辺
ED ドレイン電極
EG ゲート電極
ES ソース電極
GL 走査信号線
Gs 制御信号
LXP 配線交差部
PFA 周辺領域
PIX,PIX1,PIX2 画素
PVS 基準電位(固定電位)
SW スイッチング素子
Vsg 映像信号
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10