(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024023079
(43)【公開日】2024-02-21
(54)【発明の名称】光照射ユニット
(51)【国際特許分類】
H01L 33/64 20100101AFI20240214BHJP
H01L 33/58 20100101ALI20240214BHJP
【FI】
H01L33/64
H01L33/58
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022126651
(22)【出願日】2022-08-08
(71)【出願人】
【識別番号】522128321
【氏名又は名称】株式会社カーネル・ハード・エンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】100076473
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100112900
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 路子
(74)【代理人】
【識別番号】100163164
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 敏之
(74)【代理人】
【識別番号】100198247
【弁理士】
【氏名又は名称】並河 伊佐夫
(72)【発明者】
【氏名】加藤 京一
【テーマコード(参考)】
5F142
【Fターム(参考)】
5F142AA42
5F142BA02
5F142BA32
5F142CD13
5F142CF02
5F142CF13
5F142CF23
5F142CF42
5F142DB02
5F142DB12
5F142FA03
5F142GA31
(57)【要約】
【課題】簡便な組付構造で、発光素子が実装された基板をケースに密着固定させることができ、放熱性に優れた光照射ユニットを提供する。
【解決手段】光照射ユニット2は、発光素子8が実装されたメタルベース基板15と、軸方向の一端側において該軸方向と直交する基板保持面56を含む基板保持部55を有する金属製の第1のケース11と、基板保持面56に保持されたメタルベース基板15の実装面周縁部を押圧可能な基板押圧部74を有する金属製の第2のケース12と、を備えている。第1のケース11および第2のケース12には互い螺合可能なねじ部53,71が設けられており、これらねじ部53,71の螺合により第1のケース11および第2のケース12が軸方向に結合されるとともに、第1のケース11と第2のケース12との間に配置されたメタルベース基板15がその非実装面36に基板保持面56が押し当てられる態様で挟圧固定されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子が実装されたメタルベース基板と、
軸方向の一端側において該軸方向と直交する基板保持面を含む基板保持部を有する金属製の第1のケースと、
前記基板保持面に保持された前記メタルベース基板の実装面周縁部を押圧可能な基板押圧部を有する金属製の第2のケースと、
を備えた光照射ユニットであって、
前記第1のケースおよび前記第2のケースには互い螺合可能なねじ部が設けられており、これらねじ部の螺合により前記第1のケースおよび前記第2のケースが軸方向に結合されるとともに、前記第1のケースと前記第2のケースとの間に配置された前記メタルベース基板がその非実装面に前記基板保持面が押し当てられる態様で挟圧固定されている、光照射ユニット。
【請求項2】
前記基板保持部は、前記基板保持面の外側に形成され、前記メタルベース基板の端面と接触して前記メタルベース基板の位置を規制する位置決め突部を含んで構成されている、請求項1に記載の光照射ユニット。
【請求項3】
前記基板保持部は、平面視において前記メタルベース基板の周縁と重複する位置に、前記基板保持面よりも前記メタルベース基板から離間する方向に段下がりさせた逃がし部が設けられている、請求項2に記載の光照射ユニット。
【請求項4】
前記メタルベース基板には、板厚方向に貫通した孔であって、その内壁に絶縁樹脂層が設けられた貫通孔が形成され、該貫通孔を挿通させた導線を介して前記発光素子に電力が供給されるように構成されている、請求項1に記載の光照射ユニット。
【請求項5】
前記メタルベース基板と前記基板保持面との間に熱伝導グリスもしくは熱伝導シートを介在させた、請求項1に記載の光照射ユニット。
【請求項6】
前記メタルベース基板は4つの主辺を有する4角形状もしくはその隅角部に更に副辺が形成された多角形状をなしており、
前記基板保持部は、前記メタルベース基板の前記主辺と対向する位置に前記位置決め突部が設けられ、また少なくとも前記メタルベース基板の隅角部と重複する位置に前記逃がし部が設けられている、請求項3に記載の光照射ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、光照射ユニットに関し、特に発光素子が実装された基板の取付保持構造に特徴を有する光照射ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
ワークに塗布された樹脂やインクなどの硬化や乾燥、ワークの表面の改質などのために、ワークに紫外線を照射する紫外線照射装置がある。紫外線照射装置では例えば照射ヘッドとしての光照射ユニット内に紫外線LEDが収容されており、この紫外線LEDに電力供給することで紫外線が照射される。このとき紫外線LEDは発熱するため光照射ユニットには優れた放熱性能が求められる。放熱が不十分である場合には、定格温度オーバによるチップの破損、温度上昇により放射束低下、高温下での連続使用による寿命低下等の問題が生じる。
【0003】
紫外線LEDを内部に備えた光照射ユニットにおいて、放熱性能を高めるには、紫外線LEDで生じた熱を、紫外線LEDが収容される金属製のケースに効率よく伝えることが重要である。従来にあっては例えば下記特許文献1に記載されているように、紫外線LEDが実装されている基板は、複数の小さな基板固定用ネジを用いてケースに取り付けられていたが、紫外線LEDが実装される基板自体が非常に小さい場合には、作業性やスペースの確保等の観点から、専用の基板固定用ネジを用いて基板をケースに固定する従来の固定構造を実現できない場合もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は以上のような事情を背景とし、簡便な組付構造で、発光素子が実装された基板をケースに密着固定させることができ、放熱性に優れた光照射ユニットを提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、下記のように本発明に想到した。
而して本発明の光照射ユニットは次のように規定される。即ち、
発光素子が実装されたメタルベース基板と、
軸方向の一端側において該軸方向と直交する基板保持面を含む基板保持部を有する金属製の第1のケースと、
前記基板保持面に保持された前記メタルベース基板の実装面周縁部を押圧可能な基板押圧部を有する金属製の第2のケースと、
を備えた光照射ユニットであって、
前記第1のケースおよび前記第2のケースには互い螺合可能なねじ部が設けられており、これらねじ部の螺合により前記第1のケースおよび前記第2のケースが軸方向に結合されるとともに、前記第1のケースと前記第2のケースとの間に配置された前記メタルベース基板がその非実装面に前記基板保持面が押し当てられる態様で挟圧固定されている。
【0007】
このように規定された本発明の光照射ユニットによれば、第1のケースと第2のケースとをねじ締結させる簡便な組付構造の下、その締結力に基づいてメタルベース基板の非実装面に基板保持面が押し当てられる態様で、メタルベース基板と第1のケースとを密着固定させることができ、発光素子の熱をメタルベース基板から第1のケースへと良好に逃がすことができる。
【0008】
ここで本発明では、前記基板保持部は、前記基板保持面の外側に形成され、前記メタルベース基板の端面と接触して前記メタルベース基板の位置を規制する位置決め突部を含んで構成することができる。
このようにすることで、基板保持部にて保持されたメタルベース基板の軸直交方向における位置決めを容易に行うことができる。またメタルベース基板が位置決めされることで、発光素子から発せられる光の位置が規制されて光照射特性のばらつきを抑えることができる。
【0009】
また本発明では、前記基板保持部の、平面視において前記メタルベース基板の周縁と重複する位置に、前記基板保持面よりも前記メタルベース基板から離間する方向に段下がりさせた逃がし部を設けておくことができる。
このようにすれば、メタルベース基板の周縁部に基板保持面との密着性を阻害するようなバリが生じたとしても、バリと基板保持面との干渉を回避して、メタルベース基板と基板保持面とを密着させることができる。
【0010】
また本発明では、前記メタルベース基板に、板厚方向に貫通した孔であって、その内壁に絶縁樹脂層が設けられた貫通孔を形成し、該貫通孔を挿通させた導線を介して前記発光素子に電力が供給されるように構成することができる。
このようにすれば、メタルベース基板を採用したことによる放熱性能を確保しつつ、メタルベース基板におけるメタル層と電力供給用の導線との絶縁性を確保することができる。
【0011】
また本発明では、前記メタルベース基板と前記基板保持面との間に熱伝導グリスもしくは熱伝導シートを介在させることで、メタルベース基板と基板保持面との間の細かな凹凸の隙間を埋めて、効率よく熱を第1のケースに伝えることができる。
【0012】
また本発明では、前記メタルベース基板を4つの主辺を有する4角形状もしくはその隅角部に更に副辺が形成された多角形状とすることができる。
この場合、前記基板保持部は、前記メタルベース基板の前記主辺と対向する位置に前記位置決め突部を設け、少なくとも前記メタルベース基板の隅角部と重複する位置に前記逃がし部を設けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態の光照射ユニットを含む光照射装置の概略構成を示した図である。
【
図4】紫外線LEDが実装されたメタルベース基板を示した図で、(A)は平面図、(B)は断面図である。
【
図5】(A)は
図2のV-V断面視における第1のケースを示した図、(B)は(A)におけるB-B断面図である。
【
図6】(A)第1のケースの基板保持部を示した斜視図である。(B)第1のケースの基板保持部にメタルベース基板が収容された状態を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に本発明の実施形態を図面に基づいて詳しく説明する。
図1は本発明の一実施形態の光照射ユニットを含む紫外線照射装置の概略構成を示している。同図において紫外線照射装置1は、照射ヘッドとしての光照射ユニット2と、コントローラユニット4を有し、光照射ユニット2とコントローラユニット4とは接続ケーブル6によって接続されている。紫外線照射装置1では、光照射ユニット2内に配設された発光素子としての紫外線LED8に、接続ケーブル6を介して(詳しくは、接続ケーブル6および後述するメタルベース基板15の導体層33を介して)コントローラユニット4側から電力供給されることで紫外線照射が行なわれる。
【0015】
図2は光照射ユニットの縦断面、
図3は光照射ユニットの分解斜視図である。
光照射ユニット2は、略円筒状のケース10を有し、ケース10の内部には、紫外線LED8が実装されたメタルベース基板15と、紫外線の光線束を調整する第1のレンズ18および第2のレンズ21がケースの軸方向に沿って配設されており、紫外線LED8から発せられた紫外線は第1のレンズ18および第2のレンズ21にて集光されてケース先端に設けられた開口25から照射される。
【0016】
本例における紫外線LED8は、発光波長が紫外線領域である紫外線照射用発光ダイオードで、メタルベース基板15の一方の主面35に半田接合されている。本例における紫外線LED8のチップサイズはおよそ3.5mm×3.5mmである。
この紫外線LED8が実装されるメタルベース基板15は、
図4(B)で示すように、銅からなるメタル層31上に絶縁層32を介して銅箔等の導体層33が積層されており、紫外線LED8が実装される導体層33側の実装面35と、メタル層31側の非実装面36と、を一対の主面とした板状とされている。このように構成されたメタルベース基板15を用いることで、紫外線LED8で生じた熱を、メタル層31を介して接触するケース10側に伝えることができる。
【0017】
本例におけるメタルベース基板15は、
図4(A)で示すように、平面視で4つの主辺38を有する略4角形状で、この基板のサイズはおよそ9mm×9mmである。
通常、製品サイズの小さな基板は、大きなサイズの基板内に多面付けされた状態で製造され、その最終段階でルータ加工等により所定寸法で切り離し加工されるが、本例のように著しく小さなサイズの基板にあっては、製品単位での支持が難しく製品切り離し加工時の反動で製品基板が飛ぶなどの問題が生じてしまうため、切り離し加工が別途に手作業(ニッパ加工等)で行なわれる。このため略4角形状とされた上記メタルベース基板15の形状は、詳しくは手作業により隅角部39に主辺38よりも短い副辺40が形成された多角形状をなしている。この場合、手作業により形成された隅角部39の副辺40において特にバリが生じやすいことが想定される。このため本例ではかかるバリとの干渉を回避するため第1のケース11の側に後述する逃がし部が設けられている。
【0018】
図4(A)で示すメタルベース基板15の実装面35をみると、その略中央に紫外線LED8が実装されている。またメタルベース基板15の対向する一対の隅角部39,39を結ぶ対角線上であって紫外線LED8の両側には、一対の貫通孔42,42が形成されている。この貫通孔42は、内壁に環状の絶縁樹脂層43が設けられている。この貫通孔42には接続ケーブル6を構成する導線6a,6bが挿通され、導線6a,6bの先端は導体層33に形成されたランド34と半田接合されている。このようにすることでメタルベース基板15のメタル層31と電力供給用の導線6a,6bとの絶縁性を確保しつつ、導線6a,6bおよび導体層33を介して紫外線LED8に電力を供給することができる。
なお、メタルベース基板15の導体層33の上面には、必要に応じて絶縁性の保護膜(図示省略)が形成されている。
【0019】
図2で示すように、ケース10は、軸方向に分離可能な第1のケース11、第2のケース12、および、第3のケース13で構成されている。これらケースは金属製とされ、本例では熱伝導率が高く放熱性に優れた銅材で作製されている。
【0020】
第1のケース11は、ケース10の基端側を構成する部材で、主にメタルベース基板15を保持し、紫外線LED8から発せられた熱を逃がす役割を果たす。
図2で示すように、第1のケース11の外周面には、複数の環状溝51が形成されて軸方向に沿って凹凸形状とされた放熱促進部52および雄ねじ部53が形成されている。そして第2のケース12と接続される側の端部には、メタルベース基板15が保持される基板保持部55が形成されている(
図3、
図6参照)。基板保持部55は、雄ねじ部53のねじ軸方向と直交する基板保持面56と、基板保持面56の外側に形成された位置決め突部58とを有し、軸方向外向き(
図3における図中上向き)に開放された凹状に形成されており、基板保持部55にはメタルベース基板15が収容可能とされている。
【0021】
位置決め突部58は、
図5(B)で示すように、基板保持面56に保持されたメタルベース基板15の実装面35に到らない高さで基板保持面56よりも突出し、メタルベース基板15の端面と接触してメタルベース基板15における軸直交方向の位置を規制する。
本例によれば、メタルベース基板15は、第1のケース11の雄ねじ部53のねじ径よりも小とされており、基板保持部55内に収容された状態で雄ねじ部53のねじ径よりも内側領域に、ねじ軸と略同心状に配置されることとなる。
なお本例では、
図5(A)で示すように、メタルベース基板15のそれぞれ主辺38と対向する位置に、主辺38よりも短い長さで4つの位置決め突部58が設けられている。
【0022】
図5(A)および(B)で示すように、平面視において、メタルベース基板15の周縁と重複する位置には、基板保持面56よりもメタルベース基板15から離間する方向に段下がりさせた逃がし部61および62が形成されている。
第1の逃がし部61は、位置決め突部58と基板保持面56との連結部に形成された細溝状の逃がし部で、メタルベース基板15の主辺38と重複する位置に設けられている。
第2の逃がし部62は、隣接する位置決め突部58を周方向に沿って繋ぐ位置に形成された逃がし部であって、メタルベース基板15の隅角部39と重複する位置に設けられている。
このような逃がし部61および62を基板保持面56の外側に設けておくことで、メタルベース基板15の端面にバリが生じた際、そのバリとの干渉を回避することができる。
【0023】
この第1のケース11の内部には、
図2、
図5(B)で示すように、導線6a,6bを挿通させる挿通孔64が形成されている。挿通孔64は第1のケース11内を軸方向に貫通する。挿通孔64の形状は、基端側(ケース11の図中下側)において円形状とされ、先端側の基板保持面56において長円形状の開口65が形成されている。かかる開口65は、平面視において、基板保持部55に収容されたメタルベース基板15の貫通孔42と重複する。
【0024】
図2、
図3で示すように、第2のケース12は、第1のケース11および第3のケース13との間に介在しこれらケースとねじ結合する略円筒形状の部材で、基端側の内周面には、第1のケース11の雄ねじ部53と螺合する雌ねじ部71が形成されている。また先端側の外周面には第3のケース13の雌ねじ部85と螺合する雄ねじ部72が形成されている。
この第2のケース12の内周面の軸方向略中央部には内側に突出した環状突部73が形成されており、環状突部73の、基端側(第1のケース11と対向する側)には、メタルベース基板15の実装面35を押圧可能な基板押圧部74が形成されており、
図4(A)で示す1点鎖線74aよりも径方向外側の実装面周縁領域が、基板押圧部74により押圧可能とされている。
【0025】
第2のケース12の雌ねじ部71と第1のケース11の雄ねじ部53とが螺合すると、これら第1のケース11と第2のケース12との間に配置されたメタルベース基板15は、
図2で示すように、ねじ締結力により非実装面36に基板保持面56が押し当てられる態様で挟圧固定される。これにより紫外線LED8で生じた熱は、メタルベース基板15を介して主に第1のケース11へと流れて、第1のケース11の表面(例えば放熱促進部52)から大気中へ放出される。なお、上記ねじ締結のため、第1のケース11の外周面には一対の工具係合面54が、また第2のケース12の先端側の端面には工具係合溝77が形成されている(
図3参照)。
【0026】
次に第1のレンズ18は、一方の屈折面が凸曲面、他方の屈折面が平面とされた略半球形状の集光レンズで、紫外線LED8の直上に配設されて、紫外線LED8から発せられた紫外線を集光する。
第2のケース12の環状突部73の先端側には、
図2の部分拡大図で示すように、第1のレンズ18の周縁部と係合するレンズ保持部75が形成され、また第2のケース12のレンズ保持部75よりも先端側(図中上側)の内周面には雌ねじ部76が形成されている。この雌ねじ部76には、外周面に雄ねじ部81が形成された環状の第1のレンズ固定用部材80が螺合可能とされている。第1のレンズ18は、その周縁部がレンズ保持部75と第1のレンズ固定用部材80とで挟圧固定されている。
【0027】
次に第2のレンズ21は、対向する一対の屈折面がいずれも凸曲面とされた両凸形状のレンズで、ケースの先端開口25近傍に、第1のレンズ18と光軸が略一致するように配設されている。第2のレンズ21は、照射対象のワークにおいて所定の径で紫外線が照射されるように光線束を調整する。なお第2のレンズ21は、本例のような両凸形状に限定されるものではなく、例えば平凸レンズ等、目的とする照射スポット径が得られる形状に適宜変更可能である。
この第2のレンズ21が保持される第3のケース13は、
図2、
図3で示すように、先端側の開口25近傍に、径方向内側に突出させた環状突部86が形成されており、環状突部86よりも基端側(図中下側)には雌ねじ部85が形成されている。この雌ねじ部85には、外周面に雄ねじ部91が形成された環状の第2のレンズ固定用部材90が螺合可能とされている。第2のレンズ21は、その周縁部が環状突部86と第2のレンズ固定用部材90とで挟圧固定されている。
【0028】
以上のように構成された本実施形態の光照射ユニット2では、第1のケース11と第2のケース12とをねじ締結させる簡便な組付構造の下、そのねじ締結力に基づいてメタルベース基板15の非実装面36に基板保持面56が押し当てられる態様でメタルベース基板15と第1のケース11を密着固定させることができ、紫外線LED8からの発熱をメタルベース基板15から第1のケース11へと良好に逃がすことができる。
【0029】
本実施形態の光照射ユニット2では、基板保持面56の外側に形成され、メタルベース基板15の端面と接触してメタルベース基板15の位置を規制する位置決め突部58を含んで基板保持部55を構成しているため、メタルベース基板15組み付け時の軸直交方向における位置決めを容易に行うことができる。またメタルベース基板15が位置決めされることで、紫外線LED8から発せられる光と、レンズ18,21との軸直交方向の位置合わせが図られ、光照射特性のばらつきを抑えることができる。
【0030】
本実施形態の光照射ユニット2では、基板保持部55の、平面視においてメタルベース基板15の周縁と重複する位置に、基板保持面56よりもメタルベース基板15から離間する方向に段下がりさせた逃がし部61,62が設けられているため、メタルベース基板15の周縁部に密着性を阻害するようなバリが生じたとしても、バリと基板保持面56との干渉を回避して、メタルベース基板15と基板保持面56とを密着させることができる。
【0031】
本実施形態の光照射ユニット2では、メタルベース基板15が4つの主辺38を有する略4角形状とされ、詳しくはその隅角部39に更に副辺40が形成された多角形状とされている。この場合、基板保持部55には、メタルベース基板15の主辺38と対向する位置に位置決め突部58を設けるとともに、少なくともメタルベース基板15の隅角部39と重複する位置に逃がし部62を設けることで、バリと基板保持面56との干渉を回避して、メタルベース基板15と基板保持面56とを密着させることができる。
【0032】
また本実施形態の光照射ユニット2では、メタルベース基板15と基板保持面56との間に熱伝導グリスもしくは熱伝導シートを介在させることも可能である。
熱伝導グリスは、高い熱伝導性を有するフィラー(例えば、銅、銀、アルミなどの粒子)が混ぜられた、シリコーン等のグリスである。
熱伝導シートは、熱伝導率の良好な材料を含んだシート材で、カーボンシート、グラファイトシート、グラフェンシート、アルミニウムシート、銅シート等が挙げられる。
このような熱伝導グリスもしくは熱伝導シートを介在させることで、メタルベース基板15と基板保持面56との間の細かな凹凸の隙間を埋めて、効率よく熱を第1のケース11に伝えることができる。
【0033】
以上本発明の実施形態を詳述したがこれはあくまでも一例示である。例えば上記実施形態では、銅製のケースを用いているがアルミ等他の金属でケースを構成することも可能である。ベースメタル基板のメタル相についても同様に銅以外の他の金属で構成することも可能である。また、上記実施形態では基板保持面の全周に亘って逃がし部が設けられているが、密着性を阻害するバリが生じ易い部分が特定できる場合には、かかる部分に限定して逃がし部を設けることも可能である。また上記実施形態では、紫外線LEDを発光素子として用いているが、発光素子の種類はこれに限定されるものではなく、例えば紫外線以外の光を発光するLEDを発光素子として用いることも可能である等、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改変が可能である。
【符号の説明】
【0034】
2 光照射ユニット
6a,6b 導線
8 紫外線LED(発光素子)
11 第1のケース
12 第2のケース
15 メタルベース基板
35 実装面
36 非実装面
38 主辺
39 隅角部
40 副辺
42 貫通孔
43 絶縁樹脂層
53 雄ねじ部
58 位置決め突部
61 第1の逃がし部
62 第2の逃がし部
71 雌ねじ部