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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024023080
(43)【公開日】2024-02-21
(54)【発明の名称】乗用車用空気入りラジアルタイヤ
(51)【国際特許分類】
   B60C 9/30 20060101AFI20240214BHJP
   B60C 3/04 20060101ALI20240214BHJP
   B60C 9/22 20060101ALI20240214BHJP
   B60C 9/17 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
B60C9/30
B60C3/04 Z
B60C9/22 D
B60C9/22 C
B60C9/17
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022126653
(22)【出願日】2022-08-08
(71)【出願人】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186015
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100164448
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 雄輔
(72)【発明者】
【氏名】清村 崇
(72)【発明者】
【氏名】桑山 勲
【テーマコード(参考)】
3D131
【Fターム(参考)】
3D131AA33
3D131AA35
3D131AA39
3D131BA02
3D131BA18
3D131BB01
3D131BC02
3D131BC03
3D131BC05
3D131BC13
3D131BC15
3D131BC31
3D131BC42
3D131BC43
3D131BC44
3D131BC51
3D131CA03
3D131CB06
3D131CB11
3D131DA24
3D131DA33
3D131DA34
3D131DA43
3D131DA54
3D131DA56
3D131DA57
3D131DA59
3D131EA08U
3D131EA08X
3D131LA20
(57)【要約】
【課題】本発明は、接地形状を改善して運動性能の低下を抑制し得る、乗用車用空気入りラジアルタイヤを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の乗用車用空気入りラジアルタイヤは、タイヤの断面幅SWとタイヤの外径ODとが所定の関係を満たし、タイヤ幅方向一方の半部のみに、ベルトのタイヤ径方向外側に配置され、少なくとも前記ベルトの端を覆う、レイヤー層を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のビード部と、
一対のビード部間をトロイダル状に跨る1枚以上のカーカスプライからなるカーカスと、
前記カーカスのクラウン部のタイヤ径方向外側に配置された、1層以上のベルト層からなるベルトと、を備え、
前記タイヤの断面幅SWが165(mm)未満であり、
前記タイヤの断面幅SWと外径ODとの比SW/ODは、0.26以下であり、又は、前記タイヤの断面幅SW(mm)及び外径OD(mm)が、関係式、
OD(mm)≧-0.0187×SW(mm)+9.15×SW(mm)-380(mm)を満たし、
タイヤ幅方向一方の半部のみに、前記ベルトのタイヤ径方向外側に配置され、少なくとも前記ベルトの端を覆う、レイヤー層を備えることを特徴とする、乗用車用空気入りラジアルタイヤ。
【請求項2】
前記ベルトのタイヤ径方向外側且つ前記レイヤー層のタイヤ径方向内側に、1層以上のキャップ層をさらに備え、
前記キャップ層のコードの打ち込み数は、前記タイヤ幅方向一方の半部の方が、タイヤ幅方向他方の半部よりも大きい、請求項1に記載の乗用車用空気入りラジアルタイヤ。
【請求項3】
前記カーカスは、一対のビード部間をトロイダル状に跨るカーカス本体部と、前記カーカス本体部から前記ビード部に埋設されたビードコアの周りで折り返されてなるカーカス折り返し部と、からなり、
前記タイヤ幅方向一方の半部の前記カーカス折り返し部の端は、タイヤ幅方向他方の半部の前記カーカス折り返し部の端よりもタイヤ径方向内側に位置する、請求項1又は2に記載の乗用車用空気入りラジアルタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗用車用空気入りラジアルタイヤに関するものである。
【背景技術】
【0002】
低燃費性を向上させた乗用車用空気入りラジアルタイヤとして、本出願人により、タイヤの断面幅SWとタイヤ外径ODとの関係を所定の関係とした、狭幅・大径の乗用車用空気入りラジアルタイヤが提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2011/135774号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、パーソナルモビリティ用の車両の開発が進んでおり、上記のような狭幅・大径の乗用車用空気入りラジアルタイヤの中でも特にタイヤの断面幅SWが小さいものを用いることが考えられる。
【0005】
しかしながら、タイヤの断面幅SWが小さい場合、特に、大きなキャンバ角を付与する場合やキャンバ角の変化によりキャンバ角が大きくなる場合に接地形状が悪化して運動性能が低下してしまうおそれがあった。また、上記のような狭幅・大径の乗用車用空気入りラジアルタイヤは、高内圧で使用されることも多く、特にそのような場合に接地形状の悪化の問題が顕著となる。
【0006】
そこで、本発明は、接地形状を改善して運動性能の低下を抑制し得る、乗用車用空気入りラジアルタイヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の要旨構成は、以下の通りである。
(1)一対のビード部と、
一対のビード部間をトロイダル状に跨る1枚以上のカーカスプライからなるカーカスと、
前記カーカスのクラウン部のタイヤ径方向外側に配置された、1層以上のベルト層からなるベルトと、を備え、
前記タイヤの断面幅SWが165(mm)未満であり、
前記タイヤの断面幅SWと外径ODとの比SW/ODは、0.26以下であり、又は、前記タイヤの断面幅SW(mm)及び外径OD(mm)が、関係式、
OD(mm)≧-0.0187×SW(mm)+9.15×SW(mm)-380(mm)を満たし、
タイヤ幅方向一方の半部のみに、前記ベルトのタイヤ径方向外側に配置され、少なくとも前記ベルトの端を覆う、レイヤー層を備えることを特徴とする、乗用車用空気入りラジアルタイヤ。
なお、「ベルトの端を覆う」とは、ベルト層が2層以上の場合は、各層の端を覆うことを意味する。
【0008】
本明細書において、「リム」とは、タイヤが生産され、使用される地域に有効な産業規格であって、日本ではJATMA(日本自動車タイヤ協会)のJATMA YEAR BOOK、欧州ではETRTO(The European Tyre and Rim Technical Organisation)のSTANDARDS MANUAL、米国ではTRA(The Tire and Rim Association,Inc.)のYEAR BOOK等に記載されているまたは将来的に記載される、適用サイズにおける標準リム(ETRTOのSTANDARDS MANUALではMeasuring Rim、TRAのYEAR BOOKではDesign Rim)を指す(即ち、上記の「ホイール」の「リム」には、現行サイズに加えて将来的に上記産業規格に含まれ得るサイズも含む。「将来的に記載されるサイズ」の例としては、ETRTO 2013年度版において「FUTURE DEVELOPMENTS」として記載されているサイズを挙げることができる。)が、上記産業規格に記載のないサイズの場合は、タイヤのビード幅に対応した幅のリムをいう。
また、「規定内圧」とは、上記JATMA等に記載されている、適用サイズ・プライレーティングにおける単輪の最大負荷能力に対応する空気圧(最高空気圧)を指し、上記産業規格に記載のないサイズの場合は、「規定内圧」は、タイヤを装着する車両毎に規定される最大負荷能力に対応する空気圧(最高空気圧)をいうものとする。
また、「最大負荷荷重」とは、上記最大負荷能力に対応する荷重をいうものとする。
【0009】
(2)前記ベルトのタイヤ径方向外側且つ前記レイヤー層のタイヤ径方向内側に、1層以上のキャップ層をさらに備え、
前記キャップ層のコードの打ち込み数は、前記タイヤ幅方向一方の半部の方が、タイヤ幅方向他方の半部よりも大きい、上記(1)に記載の乗用車用空気入りラジアルタイヤ。
なお、打ち込み数が一定でない場合、打ち込み数は、タイヤ幅方向一方又は他方の半部における打ち込み数の平均をいうものとする。
また、タイヤがキャップ層を2層以上有する場合、「キャップ層のコードの打ち込み数」とは、タイヤ幅方向断面における全層の素線の数の総和を、キャップ層のタイヤ幅方向の幅の全層の総和で除して、単位(本/50mm)に換算するものとする。
【0010】
(3)前記カーカスは、一対のビード部間をトロイダル状に跨るカーカス本体部と、前記カーカス本体部から前記ビード部に埋設されたビードコアの周りで折り返されてなるカーカス折り返し部と、からなり、
前記タイヤ幅方向一方の半部の前記カーカス折り返し部の端は、タイヤ幅方向他方の半部の前記カーカス折り返し部の端よりもタイヤ径方向内側に位置する、上記(1)又は(2)に記載の乗用車用空気入りラジアルタイヤ。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、接地形状を改善して運動性能の低下を抑制し得る、乗用車用空気入りラジアルタイヤを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】タイヤの断面幅SW及び外径ODを示す概略図である。
図2】本発明の一実施形態にかかる乗用車用空気入りラジアルタイヤのタイヤ幅方向断面図である。
図3】接地形状の変化について説明するための模式図である。
図4】RFIDの配置について説明するための図である。
図5】変形例の乗用車用空気入りラジアルタイヤのタイヤ幅方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に例示説明する。
【0014】
図1は、タイヤの断面幅SW及び外径ODを示す概略図である。
本発明の一実施形態の乗用車用空気入りラジアルタイヤ(以下、単にタイヤとも称する)は、タイヤの断面幅SWが165(mm)未満であり、タイヤの断面幅SWと外径ODとの比SW/ODは、0.26以下であり、狭幅・大径の形状をなしている。タイヤの断面幅SWをタイヤの外径ODに比して狭くすることにより、空気抵抗を低減することができ、且つ、タイヤの外径ODをタイヤの断面幅SWに比して大きくすることにより、タイヤの接地面付近でのトレッドゴムの変形を抑制して、転がり抵抗を低減することができ、これらにより、タイヤの燃費性を向上させることができる。上記SW/ODは、0.25以下とすることが好ましく、0.24以下とすることがより好ましい。
上記比は、タイヤの内圧が200kPa以上である場合に満たされるものであることが好ましく、220kPa以上である場合に満たされるものであることがより好ましく、280kPa以上である場合に満たされるものであることがさらに好ましい。転がり抵抗を低減することができるからである。一方で、上記比は、タイヤの内圧が350kPa以下である場合に満たされるものであることが好ましい。乗り心地性を向上させることができるからである。
ここで、タイヤの断面幅SWは、105~145mmとすることが好ましく、115~135mmとすることがより好ましい。
また、タイヤの扁平率は、タイヤの断面幅SW及び外径ODが上記比を満たすとき、45~70とすることがより好ましく、45~65とすることがより好ましい。
具体的なタイヤサイズは、特に限定されるものではないが、一例として、105/50R16、115/50R17、125/55R20、125/60R18、125/65R19、135/45R21、135/55R20、135/60R17、135/60R18、135/60R19、135/65R19、145/45R21、145/55R20、145/60R16、145/60R17、145/60R18、145/60R19、145/65R19、155/45R18、155/45R21、155/55R18、155/55R19、155/55R21、155/60R17、155/65R18、155/70R17、155/70R19のいずれかとすることができる。
【0015】
あるいは、タイヤは、タイヤの断面幅SWは、165mm未満であり、且つ、タイヤの断面幅SW(mm)及び外径OD(mm)は、関係式、
OD(mm)≧-0.0187×SW(mm)+9.15×SW(mm)-380
を満たしており、狭幅・大径の形状をなしている。
上記の関係式を満たすことにより、空気抵抗を低減することができ、且つ、転がり抵抗を低減することができ、これらにより、タイヤの燃費性を向上させることができる。
なお、第3の態様において、タイヤの断面幅SW及び外径ODは、上記の関係式を満たした上で、比SW/ODが0.26以下であることが好ましく、0.25以下であることがより好ましく、0.24以下であることがさらに好ましい。タイヤの燃費性をさらに向上させることができるからである。
上記関係式及び/又は比は、タイヤの内圧が200kPa以上である場合に満たされるものであることが好ましく、220kPa以上である場合に満たされるものであることがより好ましく、280kPa以上である場合に満たされるものであることがさらに好ましい。転がり抵抗を低減することができるからである。一方で、上記関係式及び/又は比は、タイヤの内圧が350kPa以下である場合に満たされるものであることが好ましい。乗り心地性を向上させることができるからである。
ここで、タイヤの断面幅SWは、105~145mmとすることが好ましく、115~135mmとすることがより好ましい。
また、タイヤの扁平率は、タイヤの断面幅SW及び外径ODが上記関係式を満たすとき、45~70とすることがより好ましく、45~65とすることがより好ましい。
具体的なタイヤサイズは、特に限定されるものではないが、一例として、105/50R16、115/50R17、125/55R20、125/60R18、125/65R19、135/45R21、135/55R20、135/60R17、135/60R18、135/60R19、135/65R19、145/45R21、145/55R20、145/60R16、145/60R17、145/60R18、145/60R19、145/65R19、155/45R18、155/45R21、155/55R18、155/55R19、155/55R21、155/60R17、155/65R18、155/70R17、155/70R19のいずれかとすることができる。
【0016】
本実施形態のタイヤは、乗用車用空気入りラジアルタイヤである。このタイヤは、特に、パーソナルモビリティ用の車両に装着するタイヤとして特に好適に用いられる。このタイヤは、比較的大きなキャンバ角(例えば10°以上)で車両に装着可能である。
【0017】
図2は、本発明の一実施形態にかかる乗用車用空気入りラジアルタイヤのタイヤ幅方向断面図である。図2は、タイヤをリムに組み込み、規定内圧を充填し、無負荷とした、基準状態でのタイヤの幅方向断面を示している。図2に示すように、このタイヤ1は、一対のビード部2間でトロイダル状に跨る、ラジアル配列コードのプライからなるカーカス3を備えている。また、このタイヤ1は、カーカス3のタイヤ径方向外側に、図示例で2層のベルト層4a、4bからなるベルト4及びトレッド5を順に備えている。
【0018】
この例では、一対のビード部2には、ビードコア2aがそれぞれ埋設されている。本発明では、ビードコア2aの断面形状や材質は特に限定されず、乗用車用空気入りラジアルタイヤにおいて通常用いられる構成とすることができる。本発明では、ビードコア2aは、複数の小ビードコアに分割されたものとすることもできる。あるいは、本発明では、ビードコア2aを有しない構成とすることもできる。
【0019】
図示例のタイヤ1は、ビードコア2aのタイヤ径方向外側に、断面略三角形状のビードフィラ2bを有している。ビードフィラ2bの断面形状は、この例に限定されるものではなく、材質も特に限定されない。あるいは、ビードフィラ2bを有しない構成としてタイヤを軽量化することもできる。
【0020】
本実施形態では、タイヤ1は、リムガードを有する構造とすることもできる。また、本実施形態では、ビード部2には補強等を目的としてゴム層やコード層等の追加部材をさらに設けることもできる。このような追加部材はカーカス3やビードフィラ2bに対して様々な位置に設けることができる。
【0021】
図2に示す例では、カーカス3は、1枚のカーカスプライからなる。一方で、本発明では、カーカスプライの枚数は特に限定されず、2枚以上とすることもできる。また、図2に示す例では、カーカス3は、一対のビード部2間をトロイダル状に跨るカーカス本体部3aと、該カーカス本体部3aからビードコア2aの周りで折り返されてなる折り返し部3bと、を有している。一方で、本発明では、カーカス折り返し部3bは、ビードコア2aに巻き付けることもでき、あるいは、分割された複数の小ビードコアで挟みこむ構造とすることもできる。図示例のように、タイヤ幅方向一方(図示右側)の半部のカーカス折り返し部の端3cは、タイヤ幅方向他方(図示左側)の半部のカーカス折り返し部3bの端3cよりもタイヤ径方向内側に位置することが好ましい。一方で、タイヤ幅方向一方(図示右側)の半部のカーカス折り返し部の端3cは、タイヤ幅方向他方(図示左側)の半部のカーカス折り返し部3bの端3cよりもタイヤ径方向外側に位置していても良く、あるいは、同じ高さとすることもできる。本例では、カーカス折り返し部3bの端3cは、タイヤ幅方向一方の半部においても、他方の半部においても、ビードフィラ2bのタイヤ径方向外側端よりタイヤ径方向外側、且つ、タイヤ最大幅位置よりタイヤ径方向内側に位置している。これにより、サイドウォール部の剛性を確保しつつも、タイヤを軽量化することができる。一方で、本発明においては、カーカス折り返し部3bの端3cは、ビードフィラ2bのタイヤ径方向外側端よりタイヤ径方向内側に位置していても良く、あるいは、タイヤ最大幅位置よりタイヤ径方向外側に位置していても良い。あるいは、カーカス折り返し部3bの端3cは、カーカス本体部2aとベルト4とのタイヤ径方向の間に位置するように、ベルト4の端(例えばベルト層4bの端)よりタイヤ幅方向内側に位置する、エンベロープ構造とすることもできる。また例えば、タイヤ幅方向一方の半部においては、カーカス折り返し部3bの端3cは、ビードフィラ2bのタイヤ径方向外側端よりタイヤ径方向外側、且つ、タイヤ最大幅位置よりタイヤ径方向内側に位置し、タイヤ幅方向他方の半部においては、タイヤ最大幅位置よりタイヤ径方向外側に位置するようにしても良い。さらに、カーカス3が複数枚のカーカスプライで構成される場合には、カーカスプライ間で、カーカス折り返し部3bの端3cの位置(例えばタイヤ径方向位置)を同じとすることも異ならせることもできる。カーカス3のコードの打ち込み数としては、特に限定されるものではないが、例えば、20~60本/50mmの範囲とすることができる。また、カーカスラインには様々な構造を採用することができる。例えば、タイヤ径方向において、カーカス最大幅位置をビード部2側に近づけることも、トレッド5側に近づけることもできる。例えば、カーカス最大幅位置は、ビードベースラインからタイヤ径方向外側に、タイヤ断面高さ対比で50%~90%の範囲に設けることができる。上記「ラジアル配列」は、タイヤ周方向に対して85°以上、好ましくはタイヤ周方向に対して90°である。
【0022】
本実施形態のタイヤは、タイヤ周方向に対して傾斜して延びるコードのゴム引き層からなる1層以上の傾斜ベルト層を有することが好ましく、軽量化と接地面形状の歪みの抑制との兼ね合いから2層とすることが最も好ましい。なお、軽量化の観点からはベルト層を1層とすることもでき、接地面形状の歪みを抑制する観点からは3層以上とすることもできる。図2に示す例では、2層のベルト層4a、4bのうち、タイヤ径方向外側のベルト層4bのタイヤ幅方向の幅は、タイヤ径方向内側のベルト層4aのタイヤ幅方向の幅より小さい。一方で、タイヤ径方向外側のベルト層4bのタイヤ幅方向の幅は、タイヤ径方向内側のベルト層4aのタイヤ幅方向の幅より大きくすることもでき、同じとすることもできる。タイヤ幅方向の幅が最も大きいベルト層(図示例ではベルト層4a)のタイヤ幅方向の幅は、接地幅の90~115%であることが好ましく、接地幅の100~105%であることが特に好ましい。なお、「接地幅」とは、接地端E間のタイヤ幅方向の距離をいう。「接地端」とは、タイヤをリムに装着し、規定内圧を充填し、最大負荷荷重を負荷した際の接地面のタイヤ幅方向両端をいう。
本実施形態において、ベルト層4a、4bのベルトコードとしては、金属コード、特にスチールコードを用いるのが最も好ましいが、非金属、例えば有機繊維コード(例えばケブラー(登録商標)等)を用いることもできる。スチールコードはスチールを主成分とし、炭素、マンガン、ケイ素、リン、硫黄、銅、クロムなど種々の微量含有物を含むことができる。本実施形態において、ベルト層4a、4bのベルトコードはモノフィラメントコードや、複数のフィラメントを引き揃えたコード、複数のフィラメントを撚り合せたコードを用いることができる。撚り構造も種々のものを採用することができ、断面構造、撚りピッチ、撚り方向、隣接するフィラメント同士の距離も様々なものとすることができる。さらには異なる材質のフィラメントを撚り合せたコードを用いることもでき、断面構造としても特に限定されず、単撚り、層撚り、複撚りなど様々な撚り構造を取ることができる。
本実施形態では、ベルト層4a、4bのベルトコードの傾斜角度は、タイヤ周方向に対して10°以上とすることが好ましい。本実施形態では、ベルト層4a、4bのベルトコードの傾斜角度を高角度、具体的にはタイヤ周方向に対して20°以上、好ましくは35°以上、特にタイヤ周方向に対して55°~85°の範囲とすることが好ましい。傾斜角度を20°以上(好ましくは35°以上)とすることにより、タイヤ幅方向に対する剛性を高め、特にコーナリング時の操縦安定性能を向上させることができるからである。また、層間ゴムのせん断変形を減少させて、転がり抵抗を低減することができるからである。
【0023】
図示例では、トレッド5を構成するトレッドゴムは、1層からなる。一方で、本実施形態では、トレッド5を構成するトレッドゴムは、異なる複数のゴム層がタイヤ径方向に積層されて形成されていても良い。上記の複数のゴム層としては正接損失、モジュラス、硬度、ガラス転移温度、材質等が異なっているものを用いることができる。また、複数のゴム層のタイヤ径方向の厚さの比率は、タイヤ幅方向に変化していてもよく、また周方向主溝底のみ等をその周辺と異なるゴム層とすることもできる。また、トレッド5を構成するトレッドゴムは、タイヤ幅方向に異なる複数のゴム層で形成されていても良い。上記の複数のゴム層としては正接損失、モジュラス、硬度、ガラス転移温度、材質等が異なっているものを使用することができる。また、複数のゴム層のタイヤ幅方向の幅の比率は、タイヤ径方向に変化していてもよく、また周方向主溝近傍のみ、接地端近傍のみ、ショルダー陸部のみ、センター陸部のみといった限定された一部の領域のみをその周囲とは異なるゴム層とすることもできる。
【0024】
本実施形態のタイヤ1は、タイヤの内面7(単に、タイヤ内面7ともいう)にインナーライナー8を有している。インナーライナー8の厚さは、1.5mm~2.8mm程度とすることが好ましい。80~100Hzの車内騒音を効果的に低減することができるからである。インナーライナー8を構成するゴム組成物の空気透過係数は、1.0×10-14cc・cm/(cm・s・cmHg)以上、6.5×10-10cc・cm/(cm・s・cmHg)以下とすることが好ましい。
【0025】
ここで、トレッド踏面のネガティブ率は、タイヤ幅方向一方の半部の方が、タイヤ幅方向他方の半部よりも大きいことが好ましい。「トレッド踏面」とは、タイヤをリムに装着し、規定内圧を充填し、最大負荷荷重を負荷した際に路面と接地することとなるタイヤ周方向全周にわたる面をいう。また、「ネガティブ率」とは、トレッド踏面全体の面積に対する、溝幅(開口幅)2mm以上の溝の溝面積の総和の比を意味する。タイヤ幅方向一方の半部のトレッドの剛性を相対的に低下させて、後述する接地形状を改善する効果をより高めて、タイヤの運動性能をより一層向上させ得るからである。なお、上記のような狭幅、大径のタイヤサイズの場合は、狭幅であることにより高い排水性を確保することができるため、1本のみのタイヤ周方向に延びる周方向主溝をタイヤ幅方向一方の半部に設けて、タイヤ幅方向一方の半部のネガティブ率をタイヤ幅方向他方の半部のネガティブ率よりも大きくすることができる。
【0026】
図2に示すように、このタイヤは、タイヤ幅方向一方の半部のみに、ベルト4のタイヤ径方向外側に配置され、少なくともベルト4の端を覆う、レイヤー層9を備えている。また、このタイヤは、ベルト4のタイヤ径方向外側且つレイヤー層9のタイヤ径方向内側に、1層以上(図示例では1層)のキャップ層8をさらに備えている。
【0027】
キャップ層8は、略平行に配列したコードのゴム引き層からなるリボン状部材がタイヤ周方向にらせん状に巻回されてなる。図示例では、キャップ層8のタイヤ幅方向の幅は、ベルト4のタイヤ幅方向の幅より大きい。キャップ層8のコードは、例えば有機繊維コードを用いることができる。図示のように、キャップ層8のコードの打ち込み数は、タイヤ幅方向一方の半部の方が、タイヤ幅方向他方の半部よりも大きいことが好ましい。本例では、タイヤ幅方向一方の半部におけるキャップ層8のコードの打ち込み数は一定であり、且つ、タイヤ幅方向他方の半部におけるキャップ層8のコードの打ち込み数も一定である。一方で、例えば、タイヤ幅方向一方の半部におけるキャップ層8のタイヤ幅方向外側端から、タイヤ幅方向他方の半部におけるキャップ層8のタイヤ幅方向外側端まで、打ち込み数が漸減するように構成しても良い。
また、キャップ層9のタイヤ幅方向の幅は、タイヤ幅方向一方の半部の方が、タイヤ幅方向他方の半部よりも大きいことも好ましい。この場合は、タイヤ幅方向一方の半部のキャップ層8のコードの打ち込み数とタイヤ幅方向他方の半部のキャップ層8の打ち込み数を同じとすることもできる。
【0028】
レイヤー層9は、略平行に配列したコードのゴム引き層からなるリボン状部材がタイヤ周方向にらせん状に巻回されてなる。図示例では、レイヤー層9は、タイヤ幅方向一方の半部におけるベルト4の端を覆っている。より具体的には、レイヤー層9のタイヤ幅方向外側端は、ベルト層4aのタイヤ幅方向外側端よりもタイヤ幅方向外側に位置し、レイヤー層9のタイヤ幅方向内側端は、ベルト層4bのタイヤ幅方向内側端よりもタイヤ幅方向内側に位置している。レイヤー層9のコードは、例えば有機繊維コードを用いることができる。
【0029】
以下、本実施形態の乗用車用空気入りラジアルタイヤの作用効果について説明する。以下においては、「タイヤ幅方向一方の半部」を車両装着時内側とした際(「タイヤ幅方向他方の半部」を車両装着時外側とした際)の作用効果を説明している。
【0030】
本実施形態の乗用車用空気入りラジアルタイヤは、タイヤの断面幅SWとタイヤの外径とが、上記の関係式を満たす、狭幅・大径のタイヤの中でも、断面幅SWが165(mm)未満の狭幅のものである。このようなタイヤによれば、特に空気抵抗を低減することができ、また、転がり抵抗も低減することができるため、タイヤの燃費性を向上させることができる。
一方で、図3において矢印左側に模式的に示すように、このようなタイヤでは、大きなキャンバ角の付与時や、コーナリング時等大きなキャンバ角となる場合において、接地形状が細長くなり過ぎ、接地形状が悪化してしまい、操縦安定性等の運動性能が低下してしまうおそれがある。特には限定されないものの、特に高内圧での使用時に、この問題が顕著となる。
これに対し、本実施形態のタイヤでは、タイヤ幅方向一方の半部(車両装着時内側の半部)のみに、ベルト4のタイヤ径方向外側に配置されたレイヤー層9を備えている。これにより、車両装着時外側のトレッド部の剛性を車両装着時内側のトレッド部の剛性よりも相対的に小さくして、接地長が長く伸びやすくなるようにして、図3に矢印右側に模式的に示したように、大きなキャンバ角の付与時に接地形状が細長くなり過ぎないようにして、接地形状の悪化を抑制することができる。
従って、本実施形態の乗用車用空気入りラジアルタイヤによれば、接地形状を改善して運動性能の低下を抑制することができる。
また、レイヤー層9をタイヤ幅方向両側の半部に設ける場合と比べて、タイヤを軽量化して転がり抵抗をさらに低減することができる。
【0031】
ここで、ベルト4のタイヤ径方向外側且つレイヤー層9のタイヤ径方向内側に、1層以上のキャップ層8をさらに備え、キャップ層8のコードの打ち込み数は、タイヤ幅方向一方の半部の方が、タイヤ幅方向他方の半部よりも大きいことが好ましい。「タイヤ幅方向一方の半部」を車両装着時内側とした際、この構成によれば、車両装着時外側のトレッド部の剛性を車両装着時内側のトレッド部の剛性よりもさらに相対的に小さくして、接地長が長く伸びやすくなるようにして、接地形状の悪化をさらに抑制し得る。
同様の理由により、キャップ層8のタイヤ幅方向の幅は、タイヤ幅方向一方の半部の方が、タイヤ幅方向他方の半部よりも大きいことも好ましい。
【0032】
また、カーカス3は、一対のビード部2間をトロイダル状に跨るカーカス本体部3aと、カーカス本体部3aからビード部2に埋設されたビードコア2aの周りで折り返されてなるカーカス折り返し部3bと、からなり、タイヤ幅方向一方の半部のカーカス折り返し部3bの端は、タイヤ幅方向他方の半部のカーカス折り返し部3bの端よりもタイヤ径方向内側に位置することが好ましい。タイヤ幅方向一方の半部」を車両装着時内側とした際、この構成によれば、運動性能の寄与の大きい車両装着時外側のタイヤの剛性を相対的に高めて、効果的に運動性能を向上させることができる。なお、カーカス折り返し部3bの端の位置は、上述した接地形状には大きく寄与しないため、上述した接地形状の改善効果を妨げることもない。
また、図5に示すように、タイヤ赤道面におけるトレッド表面上の点を通りタイヤ幅方向に平行な直線をm1とし、接地端Eを通りタイヤ幅方向に平行な直線をm2として、直線m1と直線m2とのタイヤ径方向の距離を落ち高LCRとし、タイヤのトレッド幅をTWとするとき、比LCR/TWが0.045超であることが好ましい。これにより、クラウン形状が比較的丸いタイヤとなるため、接地形状をショルダー部の接地長がセンター部対比で短い、丸い形状にすることができる。これにより、キャンバ角の変化時に接地形状が細長くなり過ぎないようにして、接地形状の悪化をさらに抑制することができる。「接地端」は、タイヤをリムに装着し、規定内圧を充填し、最大負荷荷重を負荷した際の接地面(路面と接する面)のタイヤ幅方向両端をいう。「トレッド幅」は、タイヤをリムに装着し、規定内圧を充填し、無負荷とした際の、接地端間のタイヤ幅方向距離をいう。
【0033】
<タイヤ・リム組立体>
ここでのタイヤ・リム組立体は、上記の乗用車用空気入りラジアルタイヤをリムに組み込んでなるものである。当該タイヤ・リム組立体によれば、上記乗用車用空気入りラジアルタイヤについて説明したのと同様の作用効果を得ることができる。このとき、タイヤ・リム組立体の内圧は、200kPa以上であることが好ましく、220kPa以上であることがより好ましく、280kPa以上であることがさらに好ましい。高内圧とすることで転がり抵抗をより低減することができるからである。一方で、タイヤ・リム組立体の内圧は、350kPa以下であることが好ましい。乗り心地性を向上させることができるからである。
【0034】
<乗用車用空気入りラジアルタイヤの使用方法>
ここでの乗用車用空気入りラジアルタイヤの使用方法は、上記乗用車用空気入りラジアルタイヤを使用する。当該乗用車用空気入りラジアルタイヤの使用方法によれば、上記乗用車用空気入りラジアルタイヤについて説明したのと同様の作用効果を得ることができる。このとき、内圧を200kPa以上として使用することが好ましく、220kPa以上として使用することがより好ましく、280kPa以上として使用することがさらに好ましい。高内圧とすることで転がり抵抗をより低減することができるからである。一方で、内圧を350kPa以下として使用することが好ましい。乗り心地性を向上させることができるからである。
【0035】
<通信装置を有する例>
図4は、レイヤー層を備えているタイヤ幅方向半部を示している。
図4に示すように、タイヤは、通信装置50としてのRFタグを備えてよい。RFタグは、ICチップとアンテナとを備える。RFタグは、例えば、タイヤを構成する同種又は異種の複数の部材の間の位置に挟み込まれて配置されてよい。このようにすることで、タイヤ生産時にRFタグを取り付け易く、RFタグを備えるタイヤの生産性を向上させることができる。本例では、RFタグは、例えば、ビードフィラと、ビードフィラに隣接するその他の部材と、の間に挟み込まれて配置されてよい。RFタグは、タイヤを構成するいずれかの部材内に埋設されていてもよい。このようにすることで、タイヤを構成する複数の部材の間の位置に挟み込まれて配置される場合と比較して、RFタグに加わる負荷を低減できる。これにより、RFタグの耐久性を向上させることができる。本例では、RFタグは、例えば、トレッドゴム、サイドゴム等のゴム部材内に埋設されてよい。RFタグは、タイヤ幅方向断面視でのタイヤ外面に沿う方向であるペリフェリ長さ方向において、剛性の異なる部材の境界となる位置に、配置されないことが好ましい。このようにすることで、RFタグは、剛性段差に基づき歪みが集中し易い位置に、配置されない。そのため、RFタグに加わる負荷を低減できる。これにより、RFタグの耐久性を向上させることができる。本例では、RFタグは、例えば、タイヤ幅方向断面視でカーカスの端部と、このカーカスの端部に隣接する部材(例えばサイドゴム等)と、の境界となる位置に配置されないことが好ましい。RFタグの数は特に限定されない。タイヤは、1個のみのRFタグを備えてもよく、2個以上のRFタグを備えてもよい。ここでは、通信装置の一例として、RFタグを例示説明しているが、RFタグとは異なる通信装置であってもよい。
【0036】
RFタグは、例えば、タイヤのトレッド部に配置されてよい。このようにすることで、RFタグは、タイヤのサイドカットにより損傷しない。RFタグは、例えば、タイヤ幅方向において、トレッド中央部に配置されてよい。トレッド中央部は、トレッド部において撓みが集中し難い位置である。このようにすることで、RFタグに加わる負荷を低減できる。これにより、RFタグの耐久性を向上させることができる。また、タイヤ幅方向でのタイヤの両外側からのRFタグとの通信性に差が生じることを抑制できる。本例では、RFタグは、例えば、タイヤ幅方向において、タイヤ赤道面を中心としてトレッド幅の1/2の範囲内に配置されてよい。RFタグは、例えば、タイヤ幅方向において、トレッド端部に配置されてもよい。RFタグと通信するリーダーの位置が予め決まっている場合には、RFタグは、例えば、このリーダーに近い一方側のトレッド端部に配置されてよい。本例では、RFタグは、例えば、タイヤ幅方向において、トレッド端を外端とする、トレッド幅の1/4の範囲内に配置されてよい。
【0037】
RFタグは、例えば、ビード部間に跨る、1枚以上のカーカスプライを含むカーカスより、タイヤ内腔側に配置されてよい。このようにすることで、タイヤの外部から加わる衝撃や、サイドカットや釘刺さりなどの損傷に対して、RFタグが損傷し難くなる。一例として、RFタグは、カーカスのタイヤ内腔側の面に密着して配置されてよい。別の一例として、カーカスよりタイヤ内腔側に別の部材がある場合に、RFタグは、例えば、カーカスと、このカーカスよりタイヤ内腔側に位置する別の部材と、の間に配置されてもよい。カーカスよりタイヤ内腔側に位置する別の部材としては、例えば、タイヤ内面を形成するインナーライナーが挙げられる。別の一例として、RFタグは、タイヤ内腔に面するタイヤ内面に取り付けられていてもよい。RFタグが、タイヤ内面に取り付けられる構成とすることで、RFタグのタイヤへの取り付け、及び、RFタグの点検・交換が行い易い。つまり、RFタグの取り付け性及びメンテナンス性を向上させることができる。また、RFタグが、タイヤ内面に取り付けられることで、RFタグをタイヤ内に埋設する構成と比較して、RFタグがタイヤ故障の核となることを防ぐことができる。また、カーカスが、複数枚のカーカスプライを備え、複数枚のカーカスプライが重ねられている位置がある場合に、RFタグは、重ねられているカーカスプライの間に配置されていてもよい。
【0038】
RFタグは、例えば、タイヤのトレッド部で、1枚以上のベルトプライを含むベルトより、タイヤ径方向の外側に配置されてよい。一例として、RFタグは、ベルトに対してタイヤ径方向の外側で、当該ベルトに密着して配置されてよい。また、別の一例として、補強ベルト層を備える場合、当該補強ベルト層に対してタイヤ径方向の外側で、当該補強ベルト層に密着して配置されてよい。また、別の一例として、RFタグは、ベルトよりタイヤ径方向の外側で、トレッドゴム内に埋設されていてもよい。RFタグが、タイヤのトレッド部で、ベルトよりタイヤ径方向の外側に配置されることで、タイヤ径方向でのタイヤの外側からのRFタグとの通信が、ベルトにより阻害され難い。そのため、タイヤ径方向でのタイヤの外側からのRFタグとの通信性を向上させることができる。また、RFタグは、例えば、タイヤのトレッド部で、ベルトよりタイヤ径方向の内側に配置されていてもよい。このようにすることで、RFタグのタイヤ径方向の外側がベルトに覆われるため、RFタグは、トレッド面からの衝撃や釘刺さりなどに対して損傷し難くなる。この一例として、RFタグは、タイヤのトレッド部で、ベルトと、当該ベルトよりタイヤ径方向の内側に位置するカーカスと、の間に配置されてよい。また、ベルトが、複数枚のベルトプライを備える場合に、RFタグは、タイヤのトレッド部で、任意の2枚のベルトプライの間に配置されてよい。このようにすることで、RFタグのタイヤ径方向の外側が1枚以上のベルトプライに覆われるため、RFタグは、トレッド面からの衝撃や釘刺さりなどに対して損傷し難くなる。
【0039】
RFタグは、例えば、タイヤのサイドウォール部又はビード部の位置に配置されてよい。RFタグは、例えば、RFタグと通信可能なリーダーに対して近い一方側のサイドウォール部又は一方側のビード部に配置されてよい。このようにすることで、RFタグとリーダーとの通信性を高めることができる。一例として、RFタグは、カーカスと、サイドゴムと、の間やトレッドゴムとサイドゴムと、の間に配置されてよい。RFタグは、例えば、タイヤ径方向において、タイヤ最大幅となる位置と、トレッド面の位置と、の間に配置されてよい。このようにすることで、RFタグがタイヤ最大幅となる位置よりタイヤ径方向の内側に配置される構成と比較して、タイヤ径方向でのタイヤの外側からのRFタグとの通信性を高めることができる。RFタグは、例えば、タイヤ最大幅となる位置よりタイヤ径方向の内側に配置されていてもよい。このようにすることで、RFタグは、剛性の高いビード部近傍に配置される。そのため、RFタグに加わる負荷を低減できる。これにより、RFタグの耐久性を向上させることができる。一例として、RFタグは、ビードコアとタイヤ径方向又はタイヤ幅方向で隣接する位置に配置されてよい。ビードコア近傍は歪みが集中し難い。そのため、RFタグに加わる負荷を低減できる。これにより、RFタグの耐久性を向上させることができる。特に、RFタグは、タイヤ最大幅となる位置よりタイヤ径方向の内側であって、かつ、ビード部のビードコアよりタイヤ径方向の外側の位置に配置されることが好ましい。このようにすることで、RFタグの耐久性を向上させることができるとともに、RFタグとリーダーとの通信が、ビードコアにより阻害され難く、RFタグの通信性を高めることができる。また、サイドゴムがタイヤ径方向に隣接する同種又は異種の複数のゴム部材から構成されている場合に、RFタグは、サイドゴムを構成する複数のゴム部材の間に挟み込まれて配置されていてもよい。
【0040】
RFタグは、ビードフィラと、このビードフィラに隣接する部材と、の間に挟み込まれて配置されてよい。このようにすることで、ビードフィラを配置することにより歪みが集中し難くなった位置に、RFタグを配置することができる。そのため、RFタグに加わる負荷を低減できる。これにより、RFタグの耐久性を向上させることができる。RFタグは、例えば、ビードフィラと、カーカスと、の間に挟み込まれて配置されていてもよい。カーカスのうちビードフィラと共にRFタグを挟み込む部分は、ビードフィラに対してタイヤ幅方向の外側に位置してもよく、タイヤ幅方向の内側に位置してもよい。カーカスのうちビードフィラと共にRFタグを挟み込む部分が、ビードフィラに対してタイヤ幅方向の外側に位置する場合には、タイヤ幅方向のタイヤの外側からの衝撃や損傷により、RFタグに加わる負荷を、より低減できる。これにより、RFタグの耐久性を、より向上させることができる。また、ビードフィラは、サイドゴムと隣接して配置されている部分を備えてもよい。かかる場合に、RFタグは、ビードフィラと、サイドゴムと、の間に挟み込まれて配置されていてもよい。更に、ビードフィラは、ゴムチェーファーと隣接して配置されている部分を備えてもよい。かかる場合に、RFタグは、ビードフィラと、ゴムチェーファーと、の間に挟み込まれて配置されていてもよい。
【0041】
RFタグは、例えば、ゴムチェーファーと、サイドゴムと、の間に挟み込まれて配置されてよい。このようにすることで、ゴムチェーファーを配置することにより歪みが集中し難くなった位置に、RFタグを配置することができる。そのため、RFタグに加わる負荷を低減できる。これにより、RFタグの耐久性を向上させることができる。RFタグは、例えば、ゴムチェーファーと、カーカスと、の間に挟み込まれて配置されていてもよい。このようにすることで、リムから加わる衝撃や損傷により、RFタグに加わる負荷を低減できる。そのため、RFタグの耐久性を向上させることができる。
【0042】
RFタグは、ワイヤーチェーファーと、このワイヤーチェーファーのタイヤ幅方向の内側又は外側で隣接する別の部材と、の間に挟み込まれて配置されていてもよい。このようにすることで、タイヤ変形時に、RFタグの位置が変動し難くなる。そのため、タイヤ変形時にRFタグに加わる負荷を低減できる。これにより、RFタグの耐久性を向上させることができる。ワイヤーチェーファーがタイヤ幅方向の内側又は外側で隣接する別の部材は、例えば、ゴムチェーファーなどのゴム部材であってよい。また、ワイヤーチェーファーがタイヤ幅方向の内側又は外側で隣接する別の部材は、例えば、カーカスであってもよい。
【0043】
ベルトの半径方向外側にベルト補強層をさらに備えてもよい。例えば、ベルト補強層はポリエチレンテレフタレートからなるコードをタイヤ周方向に連続して螺旋状に巻回してなってもよい。ここでコードは、6.9×10-2N/tex以上の張力をかけて接着剤処理を施してなり、160℃で測定した29.4N荷重時の弾性率が2.5mN/dtex・%以上であってもよい。さらにベルト補強層はベルト全体を覆うように配置されていてもベルトの両端部のみを覆うように配置されていてもよい。さらにベルト補強層の単位幅あたりの巻き回し密度が幅方向位置で異なっていてもよい。このようにすることで、高速耐久性を低下させることなくロードノイズおよびフラットスポットを低減させることができる。
【0044】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に何ら限定されるものではない。例えば、上記の例では、1層のキャップ層を有する例を示したが、タイヤの軽量化のために、キャップ層を有しない構成とすることもできる。
【符号の説明】
【0045】
1:乗用車用空気入りラジアルタイヤ(タイヤ)、
2:ビード部、 2a:ビードコア、 2b:ビードフィラ、 3:カーカス、
4:ベルト、 4a、4b:ベルト層、 5:トレッド、
6:タイヤ内面、 7:インナーライナー、
8:キャップ層、 9:レイヤー層、 50:通信装置、
CL:タイヤ赤道面
図1
図2
図3
図4
図5