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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024023114
(43)【公開日】2024-02-21
(54)【発明の名称】除草用ドローン装置
(51)【国際特許分類】
   A01M 7/00 20060101AFI20240214BHJP
   B64C 27/08 20230101ALI20240214BHJP
   B64C 39/02 20060101ALI20240214BHJP
   B64D 1/18 20060101ALI20240214BHJP
   A01M 21/04 20060101ALI20240214BHJP
   B05B 17/00 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
A01M7/00 H
B64C27/08
B64C39/02
B64D1/18
A01M21/04 D
B05B17/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022159888
(22)【出願日】2022-10-04
(31)【優先権主張番号】P 2022126006
(32)【優先日】2022-08-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】302006267
【氏名又は名称】株式会社クエストコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100128794
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 庸悟
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 広幸
(72)【発明者】
【氏名】神戸 博之
(72)【発明者】
【氏名】神谷 裕司
(72)【発明者】
【氏名】宮尾 勇士
【テーマコード(参考)】
2B121
4D074
【Fターム(参考)】
2B121CB17
2B121CB37
2B121CB69
2B121EA26
4D074AA05
4D074BB06
4D074CC09
4D074CC22
4D074CC32
4D074CC34
4D074CC55
(57)【要約】
【課題】除草用ドローン装置を提供する。
【解決手段】除草剤液を対象場所に塗布することができる除草剤液塗布装置20が搭載された除草用ドローン装置であって、除草剤液塗布装置20が、除草剤液を貯留するタンク22、及び該タンク22に接続されて除草剤液を排出するポンプ23を備える除草剤液供給部21と、ドローン10の除草剤液を塗布する際の通常の飛行方向である前後方向に対して左右に延長されて設けられると共に、除草剤液供給部21に接続されて除草剤液の供給を受けて分配するように、左右の延長方向に間隔を置いて複数の液分岐口35を備える分岐配管30と、該分岐配管30の液分岐口35に接続されて除草剤液を対象場所に塗布するように該除草剤液を流下させる複数の塗布用細管50とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空中を飛行するドローンに、除草剤液を対象場所に塗布することができる除草剤液塗布装置を搭載した除草用ドローン装置であって、
前記除草剤液塗布装置が、
除草剤液を貯留するタンク、及び該タンクに接続されて除草剤液を排出するポンプを備える除草剤液供給部と、
ドローンの除草剤液を塗布する際の通常の飛行方向である前後方向に対して左右に延長されて設けられると共に、前記除草剤液供給部に接続されて除草剤液の供給を受けて分配するように、左右の延長方向に間隔を置いて複数の液分岐口を備える分岐配管と、
該分岐配管の前記液分岐口に接続されて除草剤液を対象場所に塗布するように該除草剤液を流下させる複数の塗布用細管とを備えることを特徴とする除草用ドローン装置。
【請求項2】
前記液分岐口と前記塗布用細管とが、屈曲できる接続管部を介して接続されていることを特徴とする請求項1記載の除草用ドローン装置。
【請求項3】
前記接続管部が前記塗布用細管に比べて柔軟性の高いチューブによって設けられていることを特徴とする請求項2記載の除草用ドローン装置。
【請求項4】
前記塗布用細管が前後方向へ傾動することを許容するように案内するが、前記塗布用細管が左右方向へ傾動することを抑制するように設けられた横揺れ規制ガイドを備えることを特徴とする請求項3記載の除草用ドローン装置。
【請求項5】
前記複数の塗布用細管の長さ方向の中途において、隣接する前記塗布用細管の同士の間に配されて該塗布用細管の同士の間隔が一定幅以上に広がらないように規制する間隔規制部材を備えることを特徴とする請求項4記載の除草用ドローン装置。
【請求項6】
前記間隔規制部材が、紐であることを特徴とする請求項5記載の除草用ドローン装置。
【請求項7】
前記複数の塗布用細管をドローンの除草剤液を塗布する際の通常の飛行方向である前後方向へ回動させて折り畳み状態とするように、前記複数の塗布用細管に接して回動するレバー部材と、該レバー部材を回動させる回動駆動部とを備えるレバー回動装置が設けられていることを特徴とする請求項2~6のいずれかに記載の除草用ドローン装置。
【請求項8】
前記分岐配管が、左右の2系統に分けられて設けられていることで、複数の前記塗布用細管が左右の2系統に分けられていることを特徴とする請求項2~6のいずれかに記載の除草用ドローン装置。
【請求項9】
前記ドローンに、畦畔における長手方向に直角な断面の中心に対する機体中心位置の差と方向をリアルタイムで検知可能な位置検知システムとして、衛星測位、画像処理、前記塗布用細管の傾きを検知するセンサのうち二つ以上が搭載されていることを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の除草用ドローン装置。
【請求項10】
個々或いは複数の群に分けられた前記塗布用細管の開閉を、別々にON/OFFできる構成とし、前記位置検知システムにより、飛行ルートのずれをリアルタイムで認識し、畦畔の上を通るノズルだけが除草剤液を吐出するように制御する制御装置を備えることを特徴とする請求項9記載の除草用ドローン装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空中を飛行するドローンに、除草剤液を対象場所に塗布することができる除草剤液塗布装置を搭載した除草用ドローン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ラジコンヘリコプターに搭載され、タンクに貯留した農薬を、ポンプを介在させた配管介してアトマイザーに導き、アトマイザーにより霧化して空中に散布する農薬散布装置において、前記配管のポンプとアトマイザーとの間にラジコン操作されるストップバルブを介在させることにより、非散布時にストップバルブで配管を完全に閉塞し、散布時にはストップバルブを開弁して配管の流路抵抗を小さくできる(特許文献1参照)ものが提案されている。
【0003】
また、従来、無線操縦型ヘリコプターに搭載される薬液散布装置において、薬液を供給するポンプの排出側の配管を2系統に分け、2つのアトマイザー噴霧装置にそれぞれ2つのポンプによって薬液を供給し、薬液が2つの流量の異なるポンプオリフィスを介して、1つのアトマイザー噴霧装置に供給される配管を構成し、該2つのポンプを一方もしくは両方を作動させることにより、薬液の散布量を調節可能とした(特許文献2参照)ものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11-94号公報(第1頁)
【特許文献2】特開平11-57561号公報(第1頁)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
除草用ドローン装置に関して解決しようとする問題点は、従来の薬液を噴霧する薬液散布装置が搭載されたドローン装置では、種々の改良がなされているが、事前に設定された飛行航路に沿って正確に飛行できたとしても、プロペラの駆動による空気流や飛行によって生じる空気流を含む風(空気流)によって、霧化された薬液は飛散してしまうため、対象となる場所のみに限定的に散布することはできない点にある。また、従来の粉状物や粒状物を散布する散布装置が搭載されたドローン装置においても、前述の薬液を散布する場合と同様に風の影響を受け易いことに加えて、所定の対象場所へ均一に散布することが難しいという課題がある。
【0006】
すなわち、従来のいずれの散布装置が搭載されたドローン装置でも、例えば水田の畦畔のように帯状になった対象場所に自生した草のみに対して、除草剤液を散布することは極めて困難であり、そのような限定された領域のみに除草剤液を撒くことができるドローン装置は実現化されてこなかった。
【0007】
そこで本発明の目的は、除草剤液を、風の影響を受けないように限定された対象領域の草のみを対象にして撒くことができる除草用ドローン装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記目的を達成するために次の構成を備える。
本発明に係る除草用ドローン装置の一形態によれば、空中を飛行するドローンに、除草剤液を対象場所に塗布することができる除草剤液塗布装置が搭載された除草用ドローン装置であって、前記除草剤液塗布装置が、除草剤液を貯留するタンク、及び該タンクに接続されて除草剤液を排出するポンプを備える除草剤液供給部と、ドローンの除草剤液を塗布する際の通常の飛行方向である前後方向に対して左右に延長されて設けられると共に、前記除草剤液供給部に接続されて除草剤液の供給を受けて分配するように、左右の延長方向に間隔を置いて複数の液分岐口を備える分岐配管と、該分岐配管の前記液分岐口に接続されて除草剤液を対象場所に塗布するように該除草剤液を流下させる複数の塗布用細管とを備える。
【0009】
また、本発明に係る除草用ドローン装置の一形態によれば、前記液分岐口と前記塗布用細管とが、屈曲できる接続管部を介して接続されていることを特徴とすることができる。
【0010】
また、本発明に係る除草用ドローン装置の一形態によれば、前記接続管部が前記塗布用細管に比べて柔軟性の高いチューブによって設けられていることを特徴とすることができる。
【0011】
また、本発明に係る除草用ドローン装置の一形態によれば、前記塗布用細管が前後方向へ傾動することを許容するように案内するが、前記塗布用細管が左右方向へ傾動することを抑制するように設けられた横揺れ規制ガイドを備えることを特徴とすることができる。
【0012】
また、本発明に係る除草用ドローン装置の一形態によれば、前記複数の塗布用細管の長さ方向の中途において、隣接する前記塗布用細管の同士の間に配されて該塗布用細管の同士の間隔が一定幅以上に広がらないように規制する間隔規制部材を備えることを特徴とすることができる。
【0013】
また、本発明に係る除草用ドローン装置の一形態によれば、前記間隔規制部材が、紐であることを特徴とすることができる。
【0014】
また、本発明に係る除草用ドローン装置の一形態によれば、前記複数の塗布用細管をドローンの除草剤液を塗布する際の通常の飛行方向である前後方向へ回動させて折り畳み状態とするように、前記複数の塗布用細管に接して回動するレバー部材と、該レバー部材を回動させる回動駆動部とを備えるレバー回動装置が設けられていることを特徴とすることができる。
【0015】
また、本発明に係る除草用ドローン装置の一形態によれば、前記分岐配管が、左右の2系統に分けられて設けられていることで、複数の前記塗布用細管が左右の2系統に分けられていることを特徴とすることができる。
また、本発明に係る除草用ドローン装置の一形態によれば、前記ドローンに、畦畔における長手方向に直角な断面の中心に対する機体中心位置の差と方向をリアルタイムで検知可能な位置検知システムとして、衛星測位、画像処理、前記塗布用細管の傾きを検知するセンサのうち二つ以上が搭載されていることを特徴とすることができる。
また、本発明に係る除草用ドローン装置の一形態によれば、個々或いは複数の群に分けられた前記塗布用細管の開閉を、別々にON/OFFできる構成とし、前記位置検知システムにより、飛行ルートのずれをリアルタイムで認識し、畦畔の上を通るノズルだけが除草剤液を吐出するように制御する制御装置を備えることを特徴とすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る除草用ドローン装置によれば、除草剤液を、風の影響を受けないように限定された対象領域の草のみを対象にして撒くことができるという特別有利な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係る除草用ドローン装置の形態例を示す斜視図である。
図2図1の形態例の反対側から見た斜視図である。
図3図1の形態例の正面図である。
図4図1の形態例の側面図である。
図5図1の形態例の使用状態を示す斜視図である。
図6図5の側面図である。
図7図1の形態例の分岐配管及び複数の塗布用細管の部分を示す斜視図である。
図8図7のA部拡大斜視図である。
図9図7のA部拡大正面図である。
図10図1の形態例の複数の塗布用細管を折り畳んだ使用状態を示す斜視図である。
図11図10の分岐配管及び複数の塗布用細管の部分を示す斜視図である。
図12図11のB部拡大斜視図である。
図13図10の側面図である。
図14図13のC部拡大側面図である。
図15図1の形態例に間隔規制部材の一例を配した状態を示す斜視図である。
図16図1の形態例及びそれを改良した除草用ドローン装置の操作方法における薬剤塗布範囲の補正方法を説明する正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る除草用ドローン装置の形態例を、添付図面(図1~14)に基づいて詳細に説明する。この除草用ドローン装置は、例えば、無線操縦、又はGPS(全地球測位システム)や無線通信網を利用した自動操縦によって飛行できるドローン(無人航空機)に、除草剤液塗布装置20を組み込んだものである。
【0019】
本発明に係る除草用ドローン装置は、空中を飛行するドローン10に、除草剤液を対象場所に塗布することができる除草剤液塗布装置20が搭載されている。なお、本形態例のドローン10は、図1などに示すように、本体11、複数のプロペラ12、脚部13、制御装置14、アンテナ15など、一般的な構成を備えるものになっている。なお、本発明に係るドローン10は、本形態例に限定されるものではなく、飛行位置の制御を、所要の精度に精密に行うことができる飛行体であればよく、周知の形態を適宜選択的に利用できるのは勿論である。
【0020】
そして、本発明に係る除草用ドローン装置は、除草剤液塗布装置20が、除草剤液を貯留するタンク22、及びそのタンク22に接続されて除草剤液を排出するポンプ23を備える除草剤液供給部21(図3など参照)と、ドローン10に固定された後述する分岐配管30と、その分岐配管30に接続された後述する複数の塗布用細管50とを備えている。なお、22aはタンク22の注ぎ口(入口)を塞ぐ栓であり、除草剤液をタンク22に入れた後に閉じられる。
【0021】
本形態例の分岐配管30は、ドローン10の除草剤液を塗布する際の通常の飛行方向である前後方向に対して左右に延長されて設けられると共に、除草剤液供給部21に接続されて除草剤液の供給を受けて分配するように、左右の延長方向に間隔を置いて複数の液分岐口35を備えている。本形態例の分岐配管30は、図8や9などに示すように、既製品の管継手32と、適宜の長さに設けられた直管33とを、交互に多数直列に接続することによって、左右に延長された形態にとなっており、ドローン10の本体11に脚部13を介して左右に架け渡された状態に固定された竿状の長尺板31に固着されて設けられている。
【0022】
また、本形態例の複数の塗布用細管50は、分岐配管30の液分岐口35に接続されて除草剤液を対象場所に塗布するようにその除草剤液を流下させる細管流路になっている。分岐配管30の液分岐口35のそれぞれについて、一対一となるように、塗布用細管50が接続されており、全体形状としては、除草剤液を対象場所に塗布する際に、複数の塗布用細管50がすだれ状に分岐配管30に垂れ下がる形態に設けられている。すなわち、本形態例では、多数の液分岐口35が左右方向に等間隔に配され、塗布用細管50が左右方向に等間隔で平行に並べられた形態に設けられ、ドローン10が空中にホバリングした状態で且つ塗布用細管50に力がかからない状態で、各塗布用細管50が自重で上下方向に延びる状態に垂下するように構成されている。
【0023】
本発明に係る除草用ドローン装置によれば、除草剤液を、風の影響を受けないように限定された対象領域の草のみを対象にして撒くことができるという特別有利な効果を奏する。すなわち、これによれば、例えば図5に示すような水田の畦畔100や、所有地の境界のように、直線的或いは曲線的に帯状に続く草地に沿って、除草剤液を、過不足なくより均一に塗布することができ、作業効率を格段に向上させ、除草効果を高めることができる。
【0024】
なお、この技術は、順天頂衛星システム(みちびき)による精度の高い衛星測位システムを利用することによって、より適切に自動制御が実現できるもので、飛行ルートを地図データで設定し、フライトコントローラに読み込ませることで、その飛行ルートに沿って所要の巾でより精度良くより確実に、除草剤液を自動的に撒くことができるものである。
【0025】
また、本形態例では、それぞれの液分岐口35と塗布用細管50とが、屈曲できる接続管部40を介して接続されている。本形態例の接続管部40は、塗布用細管50に比べて柔軟性の高いチューブによって設けられており、さらに具体的には、柔軟性が高いと共に、塗布用細管50が内側に差し込まれることで保持性と気密性があるシリコーンチューブが用いられている。
【0026】
なお、この接続管部40は、これに限定されず、折れ曲がるように管路同士が接続されることで形成された既知の管継手を利用することができる。さらに、本形態例のような柔軟性のあるチューブとしては、シリコーンチューブなどのように材質が柔軟性に富むものに限定されず、例えば、曲げ力の作用が解除されると元の形状に戻り易い復元性が高いフレキシブルチューブを利用することもできる。
【0027】
これによれば、本形態例の接続管部40が屈曲できるため、図5に示すように、例えば水田の畦畔100の凹凸や草などの対象物が存在する対象場所に接触し、その対象場所に沿って、ドローンの飛行に対して抵抗とならないように、各々の塗布用細管50が飛行方向(進行方向)の反対側へ傾動して適宜に傾斜することができ、その畦畔100の延長線上に添って、除草剤液を、風の影響をなるべく受けることなく、正確且つ確実に塗布することができる。
【0028】
また、本形態例では、塗布用細管50が前後方向(除草剤液を塗布する際の通常の飛行方向)へ傾動することを許容するように案内するが、塗布用細管50が左右方向へ傾動することを抑制するように設けられた横揺れ規制ガイド60を備えている。図8図12などで詳細に示すように、本形態例の横揺れ規制ガイド60では、扇形に形成されて各塗布用細管50の両脇に対になって配され、扇形の面が、前記飛行方向に対して前後方向及び鉛直方向に平行になるように配された形態となっている。
【0029】
これによれば、複数の塗布用細管50が、左右方向に傾斜することを抑制でき、塗布用細管50同士の先端(下端)の除草剤液出口が、左右方向にバラバラに位置することを防止できるため、その先端の除草剤液出口の間隔を、左右方向により均等に空ける状態として維持でき、除草剤液を、対象場所へより均一に塗布することができる。
【0030】
また、本形態例では、図15に示すように、複数の塗布用細管50の長さ方向の中途において、隣接する塗布用細管50の同士の間に配されてその塗布用細管50の同士の間隔が一定幅以上に広がらないように規制する間隔規制部材51を備えている。この間隔規制部材51によれば、複数の塗布用細管50の各々が、様々な方向や角度にバラバラに揺れて暴れた状態になることを防止できる。つまり、これによれば、横揺れ規制ガイド60だけでは規制できない塗布用細管50の個々の揺れを抑制でき、複数の塗布用細管50の間隔の幅をより等間隔に維持することができることで、除草剤液を散布する幅方向についてより均一に塗布することができる。
【0031】
なお、図15に示す本形態例では、間隔規制部材51が、各々の塗布用細管50に括り付けることなどで固着させて配された紐であり、垂れ下がった状態の塗布用細管50において、その長さ方向の中間部から上部側に少し変位した位置に配されていることを特徴としているが、これに限定されることはなく、使用条件などに応じて、テープ状のものや、より剛性のある連結部材を用いてもよい。また、本形態例では、一本の紐が、実質的に同一の高さで水平面と平行に線状に配されているが、二本以上の複数本で線状に平行に配することや、水平面と平行にならない線状に配してもよく、使用条件などに応じて、適宜選択的に設計できるのは勿論である。なお、本形態例のように、間隔規制部材51を紐で構成することによれば、軽量で、且つ風の抵抗にならないメリットがある。
【0032】
また、本形態例では、分岐配管30が、左右の2系統に分けられて設けられていることで、複数の塗布用細管50が左右の2系統に分けられている。すなわち、本形態例では、先ず、除草剤液を貯留する一つのタンク22に対して、その下流に二つのポンプ23が管路によって接続され、その左右のそれぞれのポンプ23の下流に制御できる開閉弁である電磁弁24及び流量調節部が設けられていることで、除草剤液供給部21が左右の2系統に分けられている。そして、左右の2系統の分岐配管30が、除草剤液供給部21にそれぞれ接続配管25を介して接続され、複数の塗布用細管50が左右の2系統に分けられている。
【0033】
これによれば、例えば水田における他の所有者との境界にあたる畦畔において、その畦畔の巾の半分だけを除草する場合に、左右の2系統に分けられている複数の塗布用細管50の一方の系統だけを用いることで、適切に除草剤液の塗布作業を行うことができる。また、畦畔の巾が狭い場合などのように、除草すべき対象場所が巾の狭い帯状になっている場合も、同様に複数の塗布用細管50の一方の系統だけを用いればよい。
【0034】
また、本形態例では、複数の塗布用細管50をドローン10の除草剤液を塗布する際の通常の飛行方向である前後方向へ回動させて折り畳み状態とするように、複数の塗布用細管50に接して回動するレバー部材71と、そのレバー部材71を回動させる回動駆動部72とを備えるレバー回動装置70が設けられている。
【0035】
これによれば、簡素な構成であるが、複数の塗布用細管50を適切に折り畳んだ状態とすることができ、ドローン10の離着陸ための適切な姿勢を取ることができる。また、折り畳んだ状態とすることで、適切に格納することできる。
【0036】
なお、本形態例では、一対の脚部13に、水平に固定された矩形のフレーム部13cが設けられ、その矩形のフレーム部13cが、脚部13に設けられた桟部13aと共に、竿状の長尺板31を介して分岐配管30、及びその分岐配管30を介して複数の塗布用細管50を保持する構成になっている。そして、その矩形のフレーム部13cの左右の端部にコの字状のレバー部材71の両端部がそれぞれ回動可能に装着されることで、レバー回動装置70が構成され、レバー部材71の一方の端部が回動駆動部72に連結されていることで、レバー部材71が回動されるように設けられている。これによれば、矩形のフレーム部13cによって構造強度が補強され、レバー部材71の架け渡し部71aが、複数の塗布用細管50に当接して回動されることで、複数の塗布用細管50を適切に折り畳み状態とすることができる。
【0037】
また、脚部13の接地部13bが、塗布用細管50の回動の邪魔にならないように、本形態例では、塗布用細管50の折り畳み方向と平行になるように、前述の通常の飛行方向(前後方向)へ延びる形状に、一対が設けられている。また、本発明では、ドローン10が低空飛行になるため、この脚部13は、高さ方向の長さが適宜に短く制限された形態となっており、本形態例では、脚部13の接地部13bが、分岐配管30に近接してその下側に位置するように設けられている。
【0038】
また、本発明では、ドローン10が、除草剤液を塗布する対象場所の面である地面や、対象となるものである草と、高さ方向に適正な距離を保って墜落しないように安定的に飛行できると共に、所要のルートを正確に飛行できるように、画像処理技術や、AI技術などの情報処理技術を適宜に利用することができる。
【0039】
次に、図1の形態例及びそれを改良した除草用ドローン装置の操作方法について、薬剤塗布範囲の補正方法およびその制御システムを、図16と共に説明する。
【0040】
本発明に係る薬剤塗布範囲の補正方法に係る制御システムでは、ドローン10に、畦畔100における長手方向に直角な断面の中心に対する機体中心位置の差と方向をリアルタイムで検知可能な位置検知システムとして、衛星測位、画像処理、各種センサ(塗布用細管50(ノズル)の傾きを検知するセンサなど)などの位置検知手段のうち二つ以上を、複合的に搭載するとよい。例えば、図16に示すような畦畔100では、ノズルの端が薬剤塗布対象場所(液剤の被塗布場所である盛り土部(凸部))に接触することで、そのノズルが傾くこととなり、このノズルの傾きをセンサ(位置検知手段の一例である傾き検出器)で検出することで、ドローン10の飛行位置のずれをリアルタイムで検知・認識でき、その検知情報に基づいて飛行ルートの補正をすることができる。
【0041】
この位置検知システムによれば、例えば、順天頂衛星システム(みちびき)による精度の高い衛星測位システムを利用することに加え、画像処理、各種センサの少なくとも一つによる検知情報に基づいて薬剤塗布範囲の飛行ルートに関する補正を好適に行うことができる。従って、予め設定された所望の飛行ルートをより正確にたどることができ、周囲の作物などの薬剤散布が不要な物(薬剤が散布や付着されると困る場所)に除草剤液が塗布されることを防止できる。なお、この位置検知システムは、畦畔100だけでなく、他の薬剤散布が必要な場所に関しても同様に適用できるのは勿論であり、除草剤液に限定されるものでなく、他の薬剤の散布や塗布に関しても応用できるのは勿論である。
【0042】
また、個々或いは複数の群に分けられた塗布用細管50(ノズル)の開閉を、別々にON/OFFできる構成とし、前述した位置検知システムにより、飛行ルート(機体の基準点)と畦畔などとのずれをリアルタイムで認識し、畦畔100の上を通るノズルだけが薬剤(除草剤液など)を吐出するように制御する制御装置を備えるとよい。個々或いは複数の群に分けられたノズルの開閉を、別々にON/OFFする手段(自動開閉手段)としては、電磁弁などを使用することができる。
【0043】
なお、個別にON/OFFできる構成としては、例えば電磁弁をノズルと一対一に個々に接続して個々のノズルへの流路を開閉するものに限定されるものではなく、複数本をまとめて群としてその群ごとに別々の電磁弁に接続して郡単位で除草剤液を吐出するようにしてもよい。例えば、図16の形態例において、少なくとも左右のノズル4本ずつについて、それぞれをノズル群として設定し、その一つのノズル群に対して一つの電磁弁を接続することで、郡単位で除草剤液の吐出とその停止を管理できるようにしてもよい。
【0044】
これによれば、図16に示すように複数のノズルのうち飛行ルートからずれた一部のノズルについて、薬剤(除草剤液)の吐出を停止(防止)することができる。これによっても、周囲の作物などの薬剤散布が不要な物(薬剤が散布や付着されると困る場所)に除草剤液が塗布されることを防止できる。また、この薬剤散布範囲について個々或いは複数の群ごとに分けられたノズルを備えるシステムについても、畦畔100だけでなく、他の薬剤散布が必要な場所に関しても同様に適用できるのは勿論であり、除草剤液に限定されるものでなく、他の薬剤の散布や塗布に関しても応用できるのは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0045】
以上の形態例では、液剤状の除草剤(除草剤液)を塗布する場合に利用する除草用ドローン装置ついて説明してきたが、このドローン装置は、除草剤液に替えて他の液剤(各種の水溶液や薬剤液など)を特定範囲の場所(対象場所)に塗布する装置としても利用できるのは勿論である。すなわち、本発明は、除草用ドローン装置として利用できるものであるが、これに限らず、他の用途にもそのまま適用できるものである。
【0046】
以上、本発明につき好適な形態例を挙げて種々説明してきたが、本発明はこの形態例に限定されるものではなく、発明の精神を逸脱しない範囲内で多くの改変を施し得るのは勿論のことである。
【符号の説明】
【0047】
10 ドローン
11 本体
12 プロペラ
13 脚部
13a 桟部
13b 接地部
13c 矩形のフレーム部
14 制御装置
15 アンテナ
20 除草剤液塗布装置
21 除草剤液供給部
22 タンク
23 ポンプ
24 電磁弁
25 接続配管
30 分岐配管
31 竿状の長尺板
32 管継手
33 直管
35 液分岐口
40 接続管部
50 塗布用細管
51 間隔規制部材
60 横揺れ規制ガイド
70 レバー回動装置
71 レバー部材
71a 架け渡し部
72 回動駆動部
100 畦畔
図1
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