(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024023122
(43)【公開日】2024-02-21
(54)【発明の名称】杭頭補強工法、鋼管杭、および鋼管杭の設計方法
(51)【国際特許分類】
E02D 5/48 20060101AFI20240214BHJP
E02D 5/28 20060101ALI20240214BHJP
E02D 7/20 20060101ALI20240214BHJP
E02D 13/00 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
E02D5/48
E02D5/28
E02D7/20
E02D13/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】23
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023016733
(22)【出願日】2023-02-07
(31)【優先権主張番号】P 2022126229
(32)【優先日】2022-08-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096389
【弁理士】
【氏名又は名称】金本 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100101557
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100167634
【弁理士】
【氏名又は名称】扇田 尚紀
(74)【代理人】
【識別番号】100187849
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 隆史
(74)【代理人】
【識別番号】100212059
【弁理士】
【氏名又は名称】三根 卓也
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 健吾
(72)【発明者】
【氏名】阿形 淳
(72)【発明者】
【氏名】妙中 真治
【テーマコード(参考)】
2D041
2D050
【Fターム(参考)】
2D041AA02
2D041BA18
2D041CA03
2D041CA04
2D041DB02
2D050CB22
2D050EE07
(57)【要約】
【課題】鋼管杭が沈下することなく、現場で円筒状鋼管杭の杭頭部にテーパー形状を形成できる杭頭補強工法、当該工法で使用される杭頭補強用の鋼管杭、およびその鋼管杭の設計方法を提供する。
【解決手段】鋼管杭100を用いた杭頭補強工法であって、鋼管杭100を地中に打ち込む杭打ち工程と、鋼管杭100の杭頭部100aに、地盤1からの反力を受けて鋼管杭100の沈下を防止する固定治具110を取り付ける治具取り付け工程と、少なくとも一部が鋼管杭100の内径よりも大きな外径を有する拡径治具120を鋼管杭100の上端から鋼管杭100内に挿入し、拡径治具120を鋼管杭100の内部で管軸方向に移動させて、鋼管杭100のうち拡径治具120が接触した部分を拡径する拡径工程と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼管杭を用いた杭頭補強工法であって、
前記鋼管杭を地中に打ち込む杭打ち工程と、
前記鋼管杭の杭頭部に、地盤からの反力を受けて前記鋼管杭の沈下を防止する固定治具を取り付ける治具取り付け工程と、
少なくとも一部が前記鋼管杭の内径よりも大きな外径を有する拡径治具を前記鋼管杭の上端から前記鋼管杭内に挿入し、前記拡径治具を前記鋼管杭の内部で管軸方向に移動させて、前記鋼管杭のうち前記拡径治具が接触した部分を拡径する拡径工程と、
を有することを特徴とする、杭頭補強工法。
【請求項2】
前記治具取り付け工程において、前記固定治具は、前記鋼管杭の杭頭部への取り付け部と前記鋼管杭の周囲の地表面に載置する載置面とを備えたプレートとを有し、
前記拡径工程時において、前記鋼管杭は、前記固定治具を介して、前記地盤から反力を受けることを特徴とする、請求項1に記載の杭頭補強工法。
【請求項3】
前記プレートは、スペーサを介して前記鋼管杭の杭頭部に取り付けられることを特徴とする、請求項2に記載の杭頭補強工法。
【請求項4】
前記スペーサは、前記鋼管杭の杭頭部の外周に沿って設けられるリング状部材であることを特徴とする、請求項3に記載の杭頭補強工法。
【請求項5】
前記治具取り付け工程において、前記固定治具を、既に打ち込まれた既設杭に連結し、
前記拡径工程において、前記鋼管杭は、前記既設杭を介して前記地盤から反力を受けることを特徴とする、請求項1に記載の杭頭補強工法。
【請求項6】
前記固定治具は、前記鋼管杭の杭頭部に取り付けたスペーサと、前記スペーサと前記既設杭とを連結する桁とを有することを特徴とする、請求項5に記載の杭頭補強工法。
【請求項7】
前記治具取り付け工程において、前記固定治具は、前記鋼管杭の杭頭部と、前記鋼管杭を地中に打ち込む施工機械とに取り付けたベルト状部材を有し、
前記拡径工程時において、前記固定治具は、前記ベルト状部材と前記施工機械とを介して、前記地盤から反力を受けることを特徴とする、請求項1に記載の杭頭補強工法。
【請求項8】
前記拡径治具は、先端の外径が前記鋼管杭の内径よりも小さい円錐台部を有し、
前記円錐台部の円錐台形の傾きが、前記鋼管杭の管軸に対して7°以上60°以下の角度をなしていることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の杭頭補強工法。
【請求項9】
前記拡径治具は、前記円錐台部の基端から連続し外径が前記鋼管杭の内径よりも大きい円柱部を有することを特徴とする、請求項8に記載の杭頭補強工法。
【請求項10】
前記円錐台部と前記円柱部との境界がフィレット加工されていることを特徴とする、請求項9に記載の杭頭補強工法。
【請求項11】
前記拡径工程は、外径の最大径が異なる前記拡径治具を用いて、複数回に分けて行うことを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の杭頭補強工法。
【請求項12】
前記杭打ち工程で地中に打ち込む前記鋼管杭において、前記拡径工程前の板厚が管軸方向に一定であることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の杭頭補強工法。
【請求項13】
前記杭打ち工程で地中に打ち込む前記鋼管杭において、前記拡径治具を接触させて拡径する上部の前記拡径工程前の板厚が、拡径しない下部の板厚よりも大きいことを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の杭頭補強工法。
【請求項14】
前記杭打ち工程で地中に打ち込む前記鋼管杭において、前記拡径治具を接触させて拡径する上部の材料強度が、拡径しない下部の材料強度よりも大きいことを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の杭頭補強工法。
【請求項15】
前記拡径工程において、地表面から、前記鋼管杭の拡径前の径の2~8倍の深度まで、前記拡径治具の最大径を接触させることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の杭頭補強工法。
【請求項16】
前記拡径工程の後、前記拡径治具を前記鋼管杭内に残置し、前記鋼管杭の内部にコンクリートを充填することを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の杭頭補強工法。
【請求項17】
請求項12に記載の杭頭補強工法で地中に打設された鋼管杭であって、
前記拡径工程で拡径された上部の板厚が、下部の板厚よりも小さいことを特徴とする、鋼管杭。
【請求項18】
請求項13に記載の杭頭補強工法で地中に打設された鋼管杭であって、
前記拡径工程で拡径された上部の板厚と下部の板厚とが同一であることを特徴とする、鋼管杭。
【請求項19】
請求項14に記載の杭頭補強工法で地中に打設された鋼管杭であって、
前記拡径工程で拡径された上部の断面の強度が下部の断面の強度と同一またはそれ以上であることを特徴とする、鋼管杭。
【請求項20】
請求項15に記載の杭頭補強工法で地中に打設された鋼管杭であって、
前記鋼管杭は、上端から、拡径前の径の2~8倍の深度までの間が大径部であることを特徴とする、鋼管杭。
【請求項21】
請求項17に記載の鋼管杭の、地震時の杭頭曲げに対する断面性能の設計方法であって、
前記拡径工程における前記鋼管杭の減肉率が拡径率の50%~60%として、前記鋼管杭の拡径前の板厚を設計することを特徴とする、鋼管杭の設計方法。
【請求項22】
請求項18に記載の鋼管杭の、地震時の杭頭曲げに対する断面性能の設計方法であって、
前記拡径工程における前記鋼管杭の減肉率が拡径率の50%~60%として、前記鋼管杭の拡径前の板厚を設計することを特徴とする、鋼管杭の設計方法。
【請求項23】
請求項19に記載の鋼管杭の、地震時の杭頭曲げに対する断面性能の設計方法であって、
前記拡径工程における前記鋼管杭の減肉率が拡径率の50%~60%として、前記鋼管杭の拡径前の板厚を設計することを特徴とする、鋼管杭の設計方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中低層建築等の基礎の耐震工法として用いられる杭頭補強工法、当該工法で使用される杭頭補強用の鋼管杭、およびその鋼管杭の設計方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
軟弱な地盤等に構造物を建設する際、構造物を支持するために、一般に杭基礎が採用される。例えば住宅や5階建て以下の中低層建築物の杭基礎としては、150~400mm程度の径を有する例えば電縫管等の鋼管が地中に埋め込まれる。鋼管杭は、平常時に上部構造物の重量を支持することに加え、地震時には耐震性能を発揮することが重要である。
【0003】
杭頭部の断面性能を高めて効率よく耐震性能を発揮するために、従来、例えば特許文献1や特許文献2に開示されているように、杭頭の一部の外径をテーパー状に形成した鋼管が用いられている。一般的に、地震時に鋼管杭に発生する曲げモーメントは杭頭付近に集中する。そのため、杭頭の一部において管軸方向に杭径を変化させ、上端の杭径を下端の杭径よりも大きくしたテーパー状の鋼管杭を用いることで、効率的な断面性能を有し、経済的設計が可能となる。
【0004】
このようなテーパー状の鋼管杭は、一般には、台形状の板を板巻きにして溶接したりロールで縮径加工したりするなどして、工場で製造した既製のものを現地で縦継ぎ溶接して打設する。ところが、テーパー状の鋼管杭は、上端と下端とで杭径が異なるため、通常の円筒状鋼管に比べて運搬や積み下ろし作業のコストや作業負荷が大きくなるという問題がある。
【0005】
そこで、比較的運搬が容易な円筒状鋼管を地中に打設もしくは圧入した後、鋼管を内側から押し広げて鋼管杭の杭頭部を塑性変形させ、地中でテーパー状の鋼管杭を形成する施工方法が、例えば特許文献3等に開示されている。特許文献3に記載された工法において、鋼管を押し広げる際には、少なくとも一部が鋼管の内径よりも大きな外径を有する拡径用治具を鋼管のいずれか一方の端部から挿入し、鋼管内で拡径用治具を管軸方向に移動させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許6589677号公報
【特許文献2】特許4789730号公報
【特許文献3】特開2018-172879号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、特許文献3に記載されているように地中でテーパー状の鋼管杭を形成する場合、鋼管杭への拡径用治具の押し込みに伴い、鋼管杭が沈下することがある。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、鋼管杭が沈下することなく、現場で円筒状鋼管杭の杭頭部にテーパー形状を形成できる杭頭補強工法、当該工法で使用される杭頭補強用の鋼管杭、およびその鋼管杭の設計方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記問題を解決するため、本発明は、鋼管杭を用いた杭頭補強工法であって、前記鋼管杭を地中に打ち込む杭打ち工程と、前記鋼管杭の杭頭部に、地盤からの反力を受けて前記鋼管杭の沈下を防止する固定治具を取り付ける治具取り付け工程と、少なくとも一部が前記鋼管杭の内径よりも大きな外径を有する拡径治具を前記鋼管杭の上端から前記鋼管杭内に挿入し、前記拡径治具を前記鋼管杭の内部で管軸方向に移動させて、前記鋼管杭のうち前記拡径治具が接触した部分を拡径する拡径工程と、を有することを特徴とする、杭頭補強工法を提供する。
【0010】
本発明では、拡径工程時に地盤からの反力を受けることにより、鋼管杭が沈み込むことなく、杭頭部を拡径し、杭頭補強を行うことが可能になる。なお、本明細書において、鋼管杭を「打ち込む」とは、鋼管杭の打設または圧入のいずれの場合も含む。
【0011】
前記治具取り付け工程において、前記固定治具は、前記鋼管杭の杭頭部への取り付け部と前記鋼管杭の周囲の地表面に載置する載置面とを備えたプレートを有し、前記拡径工程時において、前記鋼管杭は、前記固定治具を介して、前記地盤から反力を受けてもよい。その際、前記プレートは、スペーサを介して前記鋼管杭の杭頭部に取り付けられてもよい。また、前記スペーサは、前記鋼管杭の杭頭部の外周に沿って設けられるリング状部材でもよい。
【0012】
また、前記治具取り付け工程において、前記固定治具を、既に打ち込まれた既設杭に連結し、前記拡径工程において、前記鋼管杭は、前記既設杭を介して前記地盤から反力を受けてもよい。その際、前記固定治具は、前記鋼管杭の杭頭部に取り付けたスペーサと、前記スペーサと前記既設杭とを連結する桁とを有してもよい。
【0013】
また、前記治具取り付け工程において、前記固定治具は、前記鋼管杭の杭頭部と、前記鋼管杭を地中に打ち込む施工機械とに取り付けたベルト状部材を有し、前記拡径工程時において、前記固定治具は、前記ベルト状部材と前記施工機械とを介して、前記地盤から反力を受けてもよい。
【0014】
前記拡径治具は、先端の外径が前記鋼管杭の内径よりも小さい円錐台部を有し、前記円錐台部の円錐台形の傾きが、前記鋼管杭の管軸に対して7°以上60°以下の角度をなしていることが好ましい。さらに、前記拡径治具は、前記円錐台部の基端から連続し外径が前記鋼管杭の内径よりも大きい円柱部を有していていもよい。その場合、前記円錐台部と前記円柱部との境界がフィレット加工されていることが好ましい。
【0015】
前記拡径工程は、外径の最大径が異なる前記拡径治具を用いて、複数回に分けて行ってもよい。
【0016】
前記杭打ち工程で地中に打ち込む前記鋼管杭において、前記拡径工程前の板厚が管軸方向に一定でもよい。あるいは、前記杭打ち工程で地中に打ち込む前記鋼管杭において、前記拡径治具を接触させて拡径する上部の前記拡径工程前の板厚が、拡径しない下部の板厚よりも大きくてもよい。または、前記杭打ち工程で地中に打ち込む前記鋼管杭において、前記拡径治具を接触させて拡径する上部の材料強度が、拡径しない下部の材料強度よりも大きくてもよい。
【0017】
前記拡径工程において、地表面から、前記鋼管杭の拡径前の径の2~8倍の深度まで、前記拡径治具の最大径を接触させてもよい。
【0018】
前記拡径工程の後、前記拡径治具を前記鋼管杭内に残置し、前記鋼管杭の内部にコンクリートを充填してもよい。
【0019】
また、本発明は、前記杭頭補強工法で地中に打設された鋼管杭であって、前記拡径工程で拡径された上部の板厚が、下部の板厚よりも小さいことを特徴とする、鋼管杭を提供する。また、前記拡径工程で拡径された上部の板厚と下部の板厚とが同一であることを特徴とする、鋼管杭を提供する。また、前記拡径工程で拡径された上部の断面の強度が下部の断面の強度と同一またはそれ以上であることを特徴とする、鋼管杭を提供する。
【0020】
前記鋼管杭は、上端から、拡径前の径の2~8倍の深度までの間が大径部であってもよい。
【0021】
また、本発明は、上記鋼管杭の、地震時の杭頭曲げに対する断面性能の設計方法であって、前記拡径工程における前記鋼管杭の減肉率が拡径率の50%~60%として、前記鋼管杭の拡径前の板厚を設計することを特徴とする、鋼管杭の設計方法を提供する。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、鋼管杭が沈下することなく、現場で円筒状鋼管杭の杭頭部にテーパー形状を形成し、耐震性能を発揮する杭頭補強を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の実施形態にかかる杭頭補強工法の手順の例を示す概略図である。
【
図2】固定治具の一例を示し、(a)は平面図、(b)は縦断面図である。
【
図3】固定治具の異なる例を示し、(a)は平面図、(b)は縦断面図である。
【
図4】固定治具のさらに異なる例を示す平面図である。
【
図5】固定治具のさらに異なる例を示し、(a)は平面図、(b)は縦断面図である。
【
図6】固定治具のさらに異なる例を示す縦断面図である。
【
図7】本発明の実施形態で用いられる杭打ち機の異なる例を示す概略図である。
【
図8】本発明の実施形態にかかる杭頭補強工法の手順において、拡径工程後の異なる例を示す概略図である。
【
図9】N値毎の鋼管杭に発生する曲げモーメントの試算結果を示すグラフである。
【
図10】本発明の実施形態にかかる鋼管杭の例を示す縦断面図であり、(a)は拡径工程前、(b)は拡径工程後を示す。
【
図11】鋼管杭の異なる例を示す縦断面図であり、(a)は拡径工程前、(b)は拡径工程後を示す図である。
【
図12】鋼管杭のさらに異なる例を示す縦断面図であり、(a)は拡径工程前、(b)は拡径工程後を示す図である。
【
図13】鋼管杭のさらに異なる例を示す縦断面図であり、(a)は拡径工程前、(b)は拡径工程後を示す図である。
【
図14】拡径工程時に作用する曲げ応力の説明図である。
【
図15】鋼管杭の拡径率と減肉率との関係を求める試験の概略を示す図である。
【
図16】拡径治具の一般的な形状を示し、(a)は斜視図、(b)は正面図である。
【
図18】拡径治具の押し込み荷重に関するFEM解析のモデルの概要図である。
【
図19】拡径治具の形状による押し込み荷重の解析結果を示すグラフである。
【
図20】拡径治具の角度θによって拡径治具と鋼管杭との接触面積が異なることを説明する図であり、(a)は角度θが小さい場合、(b)は角度θが大きい場合を示す。
【
図21】角度θ=60°の場合のフィレット半径Rと荷重との関係を示すグラフである。
【
図22】本発明で用いられる拡径治具の一例を示し、(a)は斜視図、(b)は正面図、(c)は(b)のA部の拡大図である。
【
図23】本発明で用いられる拡径治具の異なる例を示し、(a)は斜視図、(b)は正面図、(c)は(b)のB部の拡大図である。
【
図24】本発明で用いられる拡径治具のさらに異なる例を示し、(a)は斜視図、(b)は正面図、(c)は(b)のC部の拡大図である。
【
図25】本発明で用いられる拡径治具のさらに異なる例を示し、(a)は斜視図、(b)は正面図、(c)は(b)のD部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態を、図を参照して説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する要素においては、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0025】
本発明は、鋼管杭を地中に打ち込み、鋼管杭の杭頭部に鋼管の沈下を防止する固定治具を取り付けた後、上部から拡径治具を挿入して、拡径治具が通過した部分を連続的に拡径することにより、杭頭部の断面性能を補強するものである。
【0026】
〈杭打ち工程〉
図1は、本発明の実施形態にかかる杭頭補強工法の手順の例を示すものである。先ず、円筒状の鋼管杭100を、公知の杭打ち機20等の施工機械を用いて、地中の所定深度まで打設もしくは圧入する(
図1(a))。鋼管杭100の杭頭部100aは、後述する杭頭固定用の治具(以下、固定治具という。)を取り付けるために、例えば数十cm程度(1m以下程度)、地表面1aから突出させておく。
【0027】
杭打ち機20は、建設機械の一種であって、構造物の上部構造を支持したり地滑り防止に用いられたりする鋼管等を地盤1に貫入する回転圧入機である。本発明において、杭打ちの方法は、打撃、圧入、回転圧入等、使用する杭打ち機に応じた通常の方法で行えばよい。
【0028】
本実施形態において、鋼管杭100としては、例えば外径が20~700mm、肉厚が2mm~25mmのものを使用することが好ましい。鋼管杭100の外径が大きくなりすぎると、後述する拡径治具120による鋼管杭100の押し広げに必要な荷重が大きくなりすぎたり、拡径治具120自体の重さが大きくなりすぎたりという問題がある。本発明では、杭打ち工程を行う鋼管杭は、管軸方向に直径が一定な鋼管であるため、運搬時のコストや作業負荷を低減できる。
【0029】
なお、鋼管杭100の外径に近い下穴を、オーガー等の公知の装置を用いて予め掘削してもよい。オーガーは、例えば杭打ち機に取り付けて駆動させることができる。ただし、下穴が無くても、例えば、回転圧入装置等により鋼管杭100を地中の所定深度まで圧入することが可能な場合には、下穴を掘削する工程は省略することができる。
【0030】
〈治具取り付け工程〉
鋼管杭が、上部構造物の建設において設計された所定の深度まで施工された後、後述する拡径工程時に鋼管杭が沈下するのを防ぐための固定治具を取り付ける(
図1(b))。
【0031】
図2~
図6は、固定治具110の例を示すものである。
図2に示す固定治具110は、鋼管杭100の杭頭部100aの外周に沿って取り付けられたリング状部材であるスペーサ111と、鋼管杭100の周囲の地表面1aに載置されたL字状のプレート112とを有している。プレート112は例えば山形鋼であり、一方の面112aが地表面1a上に載置される載置面となり、他方の面112bがスペーサ111に固定される取り付け部となる。スペーサ111とプレート112との固定方法は任意であり、例えば溶接してもよいし、ねじ等で機械的に固定してもよい。スペーサ111の材質は任意であるが、拡径工程により鋼管杭100と同様に拡径されるように、鋼管杭100と同等の塑性変形性能が必要である。このような固定治具110により、プレート112およびスペーサ111を介して地盤1からの反力を受け、鋼管杭100の沈下を防止する。プレート112は、例えば複数枚用いられる。
図2~
図4は、複数枚のプレート112の配置の一例であり、これらの実施形態では、鋼管杭100を中心として放射状に配置されている。この場合、後述する拡径工程時に、鋼管杭100とともに拡径するスペーサ111の拡径にしたがって径方向に均等に移動するので、複数のプレート112の中心位置は変わらない。
【0032】
また、
図3に示す固定治具110のように、スペーサ113は、リング状部材を周方向に複数に分割した形状でもよい。
図3に示すスペーサは、片面が鋼管杭100の側面に沿った形状であり、その反対側の面は、プレート112の面112bに沿った平面形状になっている。また、
図4に示すように、スペーサ114は、外周側が曲面形状であっても構わない。このようにスペーサ113(114)が周方向に分割された場合には、
図2に示すリング状のスペーサ111よりも、拡径工程時にスペーサ113に作用する力が小さくなり、したがってスペーサ113の変形が小さくなる。
図3および
図4に示す固定治具110の例も、プレート112は、鋼管杭100を中心として放射状に配置されている。この場合、後述する拡径工程時に、鋼管杭100とともに拡径する各スペーサ113の拡径にしたがって径方向に均等に移動するので、複数のプレート112および複数のスペーサ113の中心位置は変わらない。
【0033】
なお、プレート112は、地盤から十分に反力を得られるのであれば、1枚の例えば円板状のものでも構わない。また、1枚または複数枚のプレート112を、スペーサ111を介することなく、鋼管杭100に直接取り付けてもよい。または、鋼管杭100とプレート112との間に、スペーサ111に加えてさらに異なる部材が追加されても構わない。
【0034】
図2~
図4に示す固定治具110は、鋼管杭100の施工後は取り除いてもよいし、そのまま上部構造物の基礎のフーチング内に埋め込んでも構わない。なお、
図2~
図4の例では、4つのプレート112が鋼管杭100の周囲に放射状に配置されているが、プレート112は5つ以上、例えば8つを放射状に配置してもよい。
【0035】
また、
図5に示す固定治具110は、鋼管杭100の杭頭部100aの外周に取り付けられたスペーサ115と、拡径対象の鋼管杭100に隣接する既設杭90の杭頭部の外周に取り付けられたスペーサ117と、これらのスペーサ115、117を連結する桁116とを有している。これは、例えば両端側に既設杭90、90が既に打ち込まれており、それらの間に拡径対象の鋼管杭100を施工する場合に有効である。既設杭90は、杭頭部が拡径済みのものであってもよいし、拡径工程を行わないものであってもよい。桁116は例えば平鋼であり、桁116と各スペーサ115、117との固定方法は任意であり、例えば溶接してもよいし、ねじ等で機械的に固定してもよい。スペーサ115、117の材質は任意であるが、拡径対象の鋼管杭100に取り付けられるスペーサ115は、拡径工程により鋼管杭100と同様に拡径されるように、鋼管杭100と同等の塑性変形性能が必要である。このような固定治具110を用いることにより、スペーサ115、桁116、および既設杭90を介して地盤1からの反力を受け、鋼管杭100の沈下を防止することができる。この場合にも、スペーサ115、117を介することなく、桁116を鋼管杭100および既設杭90に直接取り付けてもよい。
【0036】
さらに、
図6に示す固定治具110は、鋼管杭100の杭頭部100aの外周に取り付けられるベルト状部材119を有している。このベルト状部材119は、杭打ち機20等の施工機械に取り付けられている。杭打ち機20は、その重量により、地盤1からの反力を受けることができる。したがって、ベルト状部材119および杭打ち機20を介して地盤1からの反力を受け、鋼管杭100の沈下を防止する。なお、この固定治具110は、施工機械やベルト状部材119を介して、他の構造物等から反力を受けてもよい。
【0037】
〈拡径工程〉
固定治具110が取り付けられた鋼管杭100の上端から、拡径治具120を鋼管杭100の内部に挿入し、地中に向かって圧入しながら、管軸方向に押し進める(
図1(c))。この拡径工程で用いる施工機械は、杭打ち工程で使用した杭打ち機20を使用してもよいし、別の施工機械を用いてもよい。
【0038】
本実施形態にかかる杭頭補強工法は、鋼管杭100を地盤1内で拡径することで地盤1を補強するとともに、液状化現象の抑止および斜面崩壊の防止などを図る。本実施形態では、
図1(c)に示すように、鋼管杭100を地中に打ち込む杭打ち工程の後、少なくとも一部が鋼管杭100の内径R1よりも大きな外径R2を有する拡径治具120を、鋼管杭100の地表側の端部101から鋼管杭100内に挿入する。そして、鋼管杭100内で拡径治具120を管軸方向に移動させることで、鋼管杭100のうち拡径治具120が通過した部分が連続的に拡径される。このように、拡径治具120により鋼管杭100が押し広げられることで、鋼管杭100が拡径された状態で塑性変形する。その結果、拡径された状態で塑性変形した鋼管杭100の周囲の土を押し固め、鋼管杭100の周囲の地盤を締め固めることができる。
【0039】
なお、拡径治具120を鋼管杭100内に挿入可能であれば、拡径治具120の全ての部分の外径が、鋼管杭100の内径R1よりも大きくても差し支えないが、拡径治具120の鋼管杭100内への挿入性を高めるため、鋼管杭100に始めに挿入される部分の外径は、鋼管杭100の内径R1よりも小さいことが好ましい。
【0040】
また、拡径治具120と鋼管杭100との焼き付きを防止したり、鋼管杭100の内周面の潤滑性をよくすることで拡径治具120の摺動性を向上させたりするため、拡径治具120の外表面および/または鋼管杭100の内周面に、潤滑剤を塗布することが好ましい。さらに、潤滑剤の性能を向上させる皮膜処理(例えばりん酸塩皮膜処理)と潤滑剤塗布を併用してもよい。もしくは、拡径治具120の外表面および/または鋼管杭100の内周面に、二硫化モリブデンや黒鉛などの潤滑剤を含んだ固体潤滑皮膜処理を施してもよい。
【0041】
鋼管杭100を押し広げる方法として、本実施形態では、
図1(c)に示すように、鋼管杭100の内部で鋼管杭100の内径R1よりも大きな外径R2を有する拡径治具120を通過させる。この拡径治具120は、少なくとも一部が、最大径として鋼管杭100の内径R1よりも大きな外径R2を有していればよく、例えば、テーパー形状を有している。本実施形態にかかる拡径治具120は、先端部(拡径治具120が鋼管杭100に挿入された際に地中側となる端部)から後端部(拡径治具120が鋼管杭100に挿入された際に地表側となる端部)に向けて、次第に外径が大きくなるように形成されており、先端部の外径がR1以下であり、後端部の外径がR2となっている。拡径治具120がこのような形状を有していることにより、拡径治具120を鋼管杭100の端部101から鋼管杭100内に挿入することができる。また、拡径治具120を鋼管杭100内で地中(より具体的には、鋼管杭100の地中側の端部102)に向かって圧力をかけて押し進める(圧入する)ことで、鋼管杭100のうち拡径治具120が通過した部分を拡径治具120の外径分だけ押し広げることができる。例えば、拡径治具120の後端部が通過した部分の鋼管杭100の内径は、元の内径R1からR2(拡径治具120の後端部の外径と同じ径)まで拡径される。
【0042】
本実施形態では、
図1(c)に示すように、杭打ち機20を用いて、上述した拡径治具120を地盤1に打ち込まれた鋼管杭100内に圧入する。以下、本実施形態において拡径工程で使用される杭打ち機20について詳細に説明する。
【0043】
杭打ち機20は、車両部分となる本体部11と、地盤1に近接する位置で本体部11に支持されて圧入作業時に拡径治具120の後端部側に接続された軸部130を支持する施工治具13と、本体部11に取り付けられて地盤1から離間した位置で軸部130を支持し、軸部130を介して拡径治具120を回転圧入する力を付与する駆動機構15とを備えている。
【0044】
本体部11は、軸部130を介して拡径治具120を鋼管杭100内に圧入するため、施工治具13および駆動機構15を移動させる。施工治具13は、地盤1に近接した位置で本体部11に取り付けられた固定部17を介して支持されるとともに、軸部130を外側から支持する。駆動機構15は、軸部130を上部で把持して、本体部11から供給される動力によって軸部130を介して拡径治具120に回転力および押圧力を付与して鋼管杭100内に回転圧入する。
【0045】
本実施形態にかかる杭打ち機20は、上述したように回転圧入機である。この場合には、鋼管杭100内で拡径治具120を管軸方向に移動させる(本実施形態では、地中に向けて押し進める)際に、拡径治具120を回転させながら押し進めてもよい。このように、拡径治具120を鋼管杭100内で回転させながら少しずつ押し込むことで、押し込み荷重を低減させることができる。なお、本実施形態にかかる杭頭補強工法において、拡径治具120の鋼管杭100内への圧入に用いる杭打ち機等の施工装置は、回転圧入機でなくてもよく、この場合は、拡径治具120を回転させずに鋼管杭100内を移動させる。
【0046】
また、拡径治具120を鋼管杭100内に圧入する際には、
図7に示すように、既に地盤1に打ち込まれた別の鋼管杭80の上端80aを杭打ち機20等の施工機械に保持させることで、拡径治具120を鋼管杭100内で押し進める際の反力を受けるようにしてもよい。
【0047】
より詳細に説明すると、杭打ち機20は、
図7に示すように、拡径治具120の後端部に接続された軸部130をチャック装置24で掴んで地盤1に圧入する。杭打ち機20は、既に地中に埋設された既設の鋼管杭80の上端80a側を掴んで支持するクランプ装置21を備えたサドル22と、サドル22に対して前後動および左右に旋回可能なリーダーマスト23と、リーダーマスト23の前面に昇降可能に取り付けられたチャック装置24と、リーダーマスト23に対してチャック装置24を昇降駆動するシリンダ25と、軸部130を回転させるモータ26等を備えている。
【0048】
クランプ装置21は、サドル22の下面に設けられており、既設の鋼管杭80を掴んで保持することで、杭打ち機20を既設の鋼管杭80の上端80aに固定する固定手段として機能する。クランプ装置21は、掴んで保持した既設の鋼管杭80から反力を受けて、杭打ち機20が拡径治具120を鋼管杭100内に圧入することができるように、杭打ち機20を既設の鋼管杭80の上端80aに固定し設置するようになっている。リーダーマスト23は、サドル22上で前後に移動する。また、リーダーマスト23は、サドル22上で左右に旋回してチャック装置24の向きを変えることが可能となっている。チャック装置24は、その背面側がリーダーマスト23の前面側に昇降可能に嵌合した状態とされるとともに、リーダーマスト23とチャック装置24に接続されたシリンダ25により昇降駆動されるようになっている。このチャック装置24には、拡径治具120に接続された軸部130が挿通されている。
【0049】
以上のような杭打ち機20を使用すれば、拡径治具120を鋼管杭100内に圧入する際に、クランプ装置21により保持した既設の鋼管杭80から反力を受けることができるので、拡径治具120を押し込む際の押し込み荷重を低減させることができる。このような杭打ち機20を用いる場合にも、前述の
図1~
図5に示すような固定治具110を取り付けて、鋼管杭100の沈下を抑制する。
【0050】
以上のような杭打ち機を用いて、拡径治具120を地中内の所定の深度まで押し進めたところで、鋼管杭100の拡径を完了する。拡径治具120を通過させる深度については、後述する。
【0051】
最後に、拡径工程で使用した装置を取り除き(
図1(d))、鋼管杭100の施工を完了する。拡径治具120は、地中から回収できる場合には回収しても構わない。ただし、
図1に示すように、拡径治具120が地中に向かって外径が小さくなるテーパー状などの形状を有している場合には、拡径治具120を地中から引き抜く際に大きな引き抜き抵抗がかかり、拡径治具120の引き抜きが困難となる。あるいは、後述のように鋼管杭にコンクリートを充填する場合には、コンクリートの底部に止め板が必要となる。そのような場合には、拡径治具120を地中に残置しても構わない。
【0052】
図8は、本発明の実施形態にかかる杭頭補強工法の手順において、拡径工程後の異なる例を示す。
図8(a)の拡径工程までは前述の実施形態と同様であり、説明を省略する。拡径工程後、
図8(b)に示すように、拡径治具120を鋼管杭100内に残置し、鋼管杭100内の拡径治具120の上に、ミキサー車30等でコンクリート10を充填する(
図8(c))。こうして、拡径治具120から鋼管杭100の上端までの間にコンクリート10が充填され(
図8(d))、杭頭部100aの断面性能をさらに向上させ、補強することができる。
【0053】
図9は、鋼管杭100の杭頭部100aに水平力を作用させた際に杭頭部100aに作用する曲げモーメントをMoとしたとき、杭体の地表面からの各深度で作用する曲げモーメントMに対するMoの割合について、地盤のN値が2.5、5、10の3通りについて、深度(m)/杭径(m)との関係を試算した結果を示すものである。
図9に示すように、鋼管杭100に発生する曲げモーメントは、地盤条件により杭径の2~8倍の深度で収束すると予測される。したがって、拡径工程で拡径させて形成する大径部は、鋼管杭100の拡径前の径の2~8倍の深度までとすることが望ましい。
【0054】
〈鋼管杭について〉
以下、本実施形態にかかる杭頭補強工法で地中に打ち込まれる鋼管杭100について詳述する。
【0055】
図10は、施工前の鋼管杭の板厚が、管軸方向に一定の場合である(
図10(a))。この場合、拡径工程後は、拡径率に応じて大径部103の板厚が下部104よりも減少する(
図10(b))。そのため、大径部103の板厚の減少分を考慮して、拡径前の鋼管杭100の板厚を設計する必要がある。
【0056】
図11~
図13は、施工前の鋼管杭100において、板厚の異なる鋼管を溶接などで管軸方向に接続したものである。
図11~
図13はいずれも、(a)は拡径工程前、(b)は拡径工程後の形状を示している。
図11は、拡径工程前の外径が一定になるように接続したものであり、
図12は、内径が一定になるように接続したものであり、
図13は、板厚の中心が一致するように接続したものである。これらはいずれも、拡径工程後に拡径された大径部103の板厚が減少しても、拡径しない下部104の板厚とほぼ同一とし、同等の断面性能が発揮できるものであり、効率のよい鋼管杭構造が実現できる。なお、板厚が「同一」とは、ほぼ同等である場合を含むものとする。
【0057】
また、鋼管杭100の他の実施形態として、管軸方向に材料強度が異なる鋼管を用いてもよい。すなわち、
図11~
図13に示す板厚が厚い部分について、板厚を厚くする代わりに材料強度が大きい鋼管を用いて溶接などで管軸方向に接続することで、拡径工程後に拡径された大径部103の板厚が減少しても、拡径しない下部104と同一またはそれ以上の断面強度とすることができる。
【0058】
拡径された大径部103は、上記拡径工程で説明したように、鋼管杭100の杭頭の先端側の端部101から、拡径前の鋼管径の2~8倍の深度までとすることが望ましい。
【0059】
〈鋼管杭の設計方法〉
以上説明したように、拡径工程において拡径治具を押し込んで拡径する際に、拡径された部分の板厚が拡径前よりも減少する。したがって、板厚が減少する分を見込んで鋼管杭100の水平耐力を設計することが必要である。
【0060】
例えば特開2014-231678号公報に開示されている工法のように、鋼管杭の内部から水や空気を用いて内圧をかけて拡径させる場合は、拡径率に応じた板厚減少と管軸長さの減少とは均等に配分されることが知られている(拡径率10%の場合は減肉率5%、材軸長さ5%減少など)。したがって、板厚の減肉率(拡径前板厚に対する板厚減少量の割合)は、拡径率(拡径前の内径に対する拡径後の内径増加量の割合)の50%として設計するのが一般的な考え方である。
【0061】
しかし、本発明のように拡径治具120を用いて押し拡げる場合は、板厚の減少分が管軸長さの減少分よりも大きくなる可能性がある。これは、
図14に示すように、拡径治具120の通過時に一度曲げ応力が作用した(
図14(a))後、曲げ戻しが発生する(
図14(b))ためであると推察される。そのため、板厚と管軸長さが均等に減少するという仮定のもとで設計を行うと、期待される水平耐力が得られない可能性がある。そこで、事前に鋼管杭100内に拡径治具120を押し込んで拡径させた際の拡径率と板厚の減肉率との関係を把握しておき、拡径後の板厚が、板厚と管軸長さが均等に減少する場合の板厚と同等になるような拡径前の板厚を設定することで、安全な設計を行うことができる。あるいは、板厚減少分を補強する方法として、拡径部の鋼管杭100の材料強度を大きく設定することも有効である。
【0062】
そこで、
図15に示すように、水圧ポンプ40を動力とし、鋼管杭100に拡径治具120を挿入して拡径する試験を行い、拡径率と板厚の減肉率との関係を確認した。試験に用いた6体の鋼管杭100について、管軸方向に3箇所、管軸方向のそれぞれの位置の断面において円周方向に8箇所ずつ、外径をノギスで測定した平均値は193.9mmであった。板厚はマイクロメータで測定した。そして、表1に示すように、、拡径率を約17%~29%の範囲で変化させて試験を行った。この拡径率はいずれも、現実的な鋼管杭の拡径率よりも大きいものである。その結果、減肉率/拡径率の値はおよそ60%またはそれ以下として配分されることが判明した。したがって、減肉率/拡径率を60%として、拡径治具を用いた際の拡径率から減肉後の板厚を計算して断面性能を設計することが望ましいことがわかった。より安全側の設計としては、減肉率/拡径率を55%~60%で設計することが好ましい。
【0063】
【0064】
さらに、表2~4は、本発明の実施形態にかかる鋼管杭の設計の例を示すものである。表2は、板厚8.5mm、材質SKK400の鋼管を用いた場合であり、外径200mmの鋼管の先端部を外径300mmまで拡径した。軸力300kN、水平力60kN、地表面のN値を3と設定した。拡径を行わない場合には検定比が1を超える、すなわち、短期許容曲げ応力度以上の断面応力が発生してしまう結果となっている。一方、拡径した場合には断面性能が向上し、減肉率/拡径率50%、60%のいずれの場合も、検定比が1を下回り、必要強度を満たすことがわかる。ただし、拡径率に対する減肉率の割合が50%の場合よりも60%の場合で検定比が4%ポイント程度危険側となるため、安全を確保した設計を行うことが必要である。
【0065】
表3は、表2の例よりも鋼管の板厚が大きいものを用いた場合の例であり、板厚10mm、材質SKK400の鋼管を用いた場合であり、外径200mmの鋼管の先端部を外径300mmまで拡径した。表2の場合と同様に、軸力300kN、水平力60kN、地表面のN値を3と設定した。拡径を行わない場合には検定比が1を超える、すなわち、短期許容曲げ応力度以上の断面応力が発生し、拡径した場合には、減肉率/拡径率を60%としても、検定比が0.87と、十分に必要強度を満たすことがわかる。
【0066】
表4は、表2と同じ板厚で、さらに鋼管の材質をSKK490とした場合である。表2、3と同様に、軸力300kN、水平力60kN、地表面のN値を3と設定し、減肉率/拡径率を60%とした。この場合は、拡径前でも必要強度を満たしていうが、拡径することにより、検定比が0.72と、さらに強化されたことがわかる。
【0067】
【0068】
【0069】
【0070】
〈拡径治具の形状について〉
拡径工程時に、拡径治具120の押し込み荷重が大きくなると、それに対応して、鋼管杭100の沈下を防止する固定治具110の大型化が必要になる。拡径治具120の形状により押し込み荷重の低減を図ることができれば、固定治具110を小型化することができる。以下、拡径治具120の好ましい形状について説明する。
【0071】
図16は拡径治具120の形状の一例を示し、円錐台部121と、円錐台部121の基端から連続する円柱部122とを有している。拡径治具120は、押し込み時の強度が確保できれば、密実でなくても構わない。円錐台部121は先端の外径が鋼管杭100の内径よりも小さく、円柱部122は外径が鋼管杭100の内径よりも大きい。そして、円錐台部121と円柱部122との境界はフィレット加工されたフィレット部123となっている。ここで、拡径治具120の管軸方向すなわち拡径工程時の鋼管杭100の管軸方向に対する円錐台部121の円錐台形の側面の傾き角度をθ、フィレット部123の半径をRとする。
【0072】
なお、拡径治具120において円柱部122は必須ではないが、押し込み荷重に対する強度を確保するためには、円柱部122がある方が好ましい。また、円柱部122の形状は、必ずしも外径が一定の円柱には限らず、例えば円錐台部121に対して逆方向に基端側に向けて外径が小さくなる円錐台形であっても構わない。また、フィレット部123の半径Rは、
図17に示すように、円錐台部121の側面と円柱部122の側面の2辺に接して配置された円Cの半径を示す。
図17(b)に示すように円柱部122が円錐台形状であっても同様である。
【0073】
拡径時の押し込み荷重は角度θと半径Rに影響されると考え、FEM解析を実施した。
図18に解析モデルの概要図を示す。解析は軸対象として実施し、拡径治具120を鋼管杭100に押し込み、所定の拡径率を満足した時点で解析を終了した。表5に解析ケースを示す。半径Rを10~100mm、角度θを2~60°で変化させて解析した。また、各解析ケースで拡径率は一定とした。拡径治具120の形状による押し込み荷重の解析結果を
図19に示す。なお、本発明者らは、鋼管径や板厚などが変化した場合、拡径時の押し込み荷重の絶対値は変化しうるが傾き角度やフィレット半径による荷重の変化傾向は同様であることを確認している。
【0074】
【0075】
まず、円錐台部121の傾き角度θに着目すると、θ=10°付近で荷重が最小となることが確認できる。これは、角度θが小さい場合は、
図20(a)に示すように拡径治具120と鋼管杭100との接触面積が大きく、それにしたがって摩擦力が大きくなり、一方、角度θが大きい場合は、
図20(b)に示すように管軸方向の短い区間で急激に拡径されるためと考えられる。
【0076】
次に、フィレット部123の半径Rに着目する。角度θが10°未満の範囲では、角度θが小さくなるにつれて、半径Rのサイズには関係なく、荷重が増加する。一方、角度θが10°以上の範囲では、半径Rが小さい場合は角度θが大きくなるにつれて荷重が増加するのに対し、半径Rが大きくなると、角度θが大きくなっても荷重の増加が抑えられることが確認できた。これは、半径Rが大きいときは、拡径治具120のうち鋼管杭100の内壁に接触して拡径する部分が緩やかな形状になるため、荷重が緩和されたと考えられる。
【0077】
角度θは、拡径治具120の重量に大きく関係するパラメータである。所定の拡径率に対して角度θが大きい場合は、拡径治具120の管軸方向長さが短くなるため、その重量も小さくなる。表6に、鋼管外径193.7mm、板厚9.53mm、拡径率17.4%の場合の拡径治具120の角度θ毎の重量を示す。なお、表6に示す重量は、円柱部122を含まない円錐台部121のみの重量であり、鉄製で密実なものとして計算した。角度θ=10°であれば、拡径治具120を一人で運搬できる重量であり、さらに角度を大きくすれば、人力で取り回しがしやすくなるメリットがある。そのため、角度θを10°よりも大きくした場合、押し込み荷重は増えても、拡径治具120自体の重量を抑えることができるというメリットがある。
【0078】
【0079】
JISG3444において、一般構造用鋼管の板厚公差は-12.5%~15%とされている。拡径時の荷重は板厚に依存するため、この板厚公差程度の荷重の増減が想定される。そのため、拡径治具120の形状による荷重の増減も板厚公差と同程度に抑制することが好ましいと考えられる。表7に、各フィレット半径Rに対する角度θ=10°での荷重と板厚公差による増加を見込んだ荷重、ならびに板厚公差を見込んだ荷重と同等以下の荷重を実現する場合の角度θを示す。
図19において、角度θ=10°付近の最小荷重に対し、荷重増加は板厚増加に対して安全分を見込んで20%に設定した場合、その荷重は970~1060kN程度である。これに対し、角度θ≧7°とすれば、表7に示す範囲のどの半径Rに対しても、板厚公差がある場合と同等以下の荷重に低減することが可能である。角度θが10°を超える場合の上限については、前述の通り拡径治具120の重量を低減できるメリットがあるため、60°以下の範囲で、押し込み荷重と拡径治具120の重量とを考慮して、現場毎に適切に決定すればよい。
【0080】
【0081】
角度θ=60°の場合の半径Rと押し込み荷重との関係を
図21に示す。
図21より、半径R≧50mmとすれば、荷重増加を板厚増加に対して安全分を見込んで20%に設定した場合と同等以下に抑制可能であることがわかる。
【0082】
拡径治具120の好ましい形状の例を、
図22~
図25に示す。
図22は、角度θが、半径Rにかかわらず押し込み荷重が低減できる10°であり、Rが10mmの場合である。
図23は、角度θが7°、半径Rが10mmの場合であり、緩やかに拡径し押し込み荷重を抑制できる例である。
図24は、角度θが45°、半径Rが10mmの場合であり、押し込み荷重はやや大きくなるが、拡径治具120の重量を低減し、人力で扱いやすくしたものである。
図25は、角度θが45°、半径Rが100mmの場合であり、押し込み荷重および拡径治具120の重量のいずれも低減できる例である。
【0083】
さらに、拡径工程時には、円柱部122の外径が異なる拡径治具120を用いて段階的に複数回に分けて拡径することにより、押し込み荷重を低減させることができる。この場合、複数種類の拡径治具120の外径の最大径が異なることに加えて、角度θやフィレットの半径Rが異なっていてもよい。この方法は、段階的な拡径工程の手間や複数種類の拡径治具120を準備するコスト等が増える一方、押し込み荷重を低減させることで、より小規模な重機で拡径できるメリットがある。
【0084】
以上のように、本発明の杭頭補強工法、鋼管杭、鋼管杭の設計方法により、工場から工事現場への鋼管杭の輸送コストを抑えたうえで、効率のよい耐震性能を有する鋼管杭を施工することが可能となる。また、拡径時の板厚減少を正確に見込むことで、地震時の杭頭曲げに対して安全な設計が可能となる。
【0085】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到しうることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。例えば、上記実施形態の構成要件は任意に組み合わせることができる。当該任意の組み合せからは、組み合わせにかかるそれぞれの構成要件についての作用及び効果が当然に得られるとともに、本明細書の記載から当業者には明らかな他の作用及び他の効果が得られる。
【0086】
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本開示に係る技術は、上記の効果とともに、又は、上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
【0087】
なお、以下のような構成例も本開示の技術的範囲に属する。
(1)鋼管杭を用いた杭頭補強工法であって、
前記鋼管杭を地中に打ち込む杭打ち工程と、
前記鋼管杭の杭頭部に、地盤からの反力を受けて前記鋼管杭の沈下を防止する固定治具を取り付ける治具取り付け工程と、
少なくとも一部が前記鋼管杭の内径よりも大きな外径を有する拡径治具を前記鋼管杭の上端から前記鋼管杭内に挿入し、前記拡径治具を前記鋼管杭の内部で管軸方向に移動させて、前記鋼管杭のうち前記拡径治具が接触した部分を連続的に拡径する拡径工程と、
を有することを特徴とする、杭頭補強工法。
(2)前記治具取り付け工程において、前記固定治具は、前記鋼管杭の杭頭部への取り付け部と前記鋼管杭の周囲の地表面に載置する載置面とを備えたプレートを有し、
前記拡径工程時において、前記鋼管杭は、前記固定治具を介して、前記地盤から反力を受けることを特徴とする、前記(1)に記載の杭頭補強工法。
(3)前記プレートは、スペーサを介して前記鋼管杭の杭頭部に取り付けられることを特徴とする、前記(2)に記載の杭頭補強工法。
(4)前記スペーサは、前記鋼管杭の杭頭部に沿って設けられるリング状部材であることを特徴とする、前記(3)に記載の杭頭補強工法。
(5)前記治具取り付け工程において、前記固定治具を、既に打ち込まれた既設杭に連結し、
前記拡径工程において、前記鋼管杭は、前記既設杭を介して前記地盤から反力を受けることを特徴とする、前記(1)に記載の杭頭補強工法。
(6)前記固定治具は、前記鋼管杭の杭頭部に取り付けたスペーサと、前記スペーサと前記既設杭とを連結する桁とを有することを特徴とする、前記(5)に記載の杭頭補強工法。
(7)前記治具取り付け工程において、前記固定治具は、前記鋼管杭の杭頭部と、前記鋼管杭を地中に打ち込む施工機械とに取り付けたベルト状部材を有し、
前記拡径工程時において、前記固定治具は、前記ベルト状部材と前記施工機械とを介して、前記地盤から反力を受けることを特徴とする、前記(1)に記載の杭頭補強工法。
(8)前記拡径治具は、先端の外径が前記鋼管杭の内径よりも小さい円錐台部を有し、
前記円錐台部の円錐台形の傾きが、前記鋼管杭の管軸に対して7°以上60°以下の角度をなしていることを特徴とする、前記(1)~(7)に記載の杭頭補強工法。
(9)前記拡径治具は、前記円錐台部の基端から連続し外径が前記鋼管杭の内径よりも大きい円柱部を有することを特徴とする、前記(8)に記載の杭頭補強工法。
(10)前記円錐台部と前記円柱部との境界がフィレット加工されていることを特徴とする、前記(9)に記載の杭頭補強工法。
(11)前記拡径工程は、外径の最大径が異なる前記拡径治具を用いて、複数回に分けて行うことを特徴とする、前記(1)~(10)に記載の杭頭補強工法。
(12)前記杭打ち工程で地中に打ち込む前記鋼管杭において、前記拡径工程前の板厚が管軸方向に一定であることを特徴とする、前記(1)~(11)のいずれかに記載の杭頭補強工法。
(13)前記杭打ち工程で地中に打ち込む前記鋼管杭において、前記拡径治具を接触させて拡径する上部の前記拡径工程前の板厚が、拡径しない下部の板厚よりも大きいことを特徴とする、前記(1)~(11)のいずれかに記載の杭頭補強工法。
(14)前記杭打ち工程で地中に打ち込む前記鋼管杭において、前記拡径治具を接触させて拡径する上部の材料強度が、拡径しない下部の材料強度よりも大きいことを特徴とする、前記(1)~(11)のいずれかに記載の杭頭補強工法。
(15)前記拡径工程において、地表面から、前記鋼管杭の拡径前の径の2~8倍の深度まで、前記拡径治具の最大径を接触させることを特徴とする、前記(1)~(14)のいずれかに記載の杭頭補強工法。
(16)前記拡径工程の後、前記拡径治具を前記鋼管杭内に残置し、前記鋼管杭の内部にコンクリートを充填することを特徴とする、前記(1)~(15)のいずれかに記載の杭頭補強工法。
(17)前記(12)に記載の杭頭補強工法で地中に打設された鋼管杭であって、
前記拡径工程で拡径された上部の板厚が、下部の板厚よりも小さいことを特徴とする、鋼管杭。
(18)前記(13)に記載の杭頭補強工法で地中に打設された鋼管杭であって、
前記拡径工程で拡径された上部の板厚と下部の板厚とが同一であることを特徴とする、鋼管杭。
(19)前記(14)に記載の杭頭補強工法で地中に打設された鋼管杭であって、
前記拡径工程で拡径された上部の断面の強度が下部の断面の強度と同一またはそれ以上であることを特徴とする、鋼管杭。
(20)前記(15)に記載の杭頭補強工法で地中に打設された鋼管杭であって、
前記鋼管杭は、上端から、拡径前の径の2~8倍の深度までの間が大径部であることを特徴とする、鋼管杭。
(21)前記(17)に記載の鋼管杭の、地震時の杭頭曲げに対する断面性能の設計方法であって、
前記拡径工程における前記鋼管杭の減肉率が拡径率の50%~60%として、前記鋼管杭の拡径前の板厚を設計することを特徴とする、鋼管杭の設計方法。
(22)前記(18)に記載の鋼管杭の、地震時の杭頭曲げに対する断面性能の設計方法であって、
前記拡径工程における前記鋼管杭の減肉率が拡径率の50%~60%として、前記鋼管杭の拡径前の板厚を設計することを特徴とする、鋼管杭の設計方法。
(23)前記(19)に記載の鋼管杭の、地震時の杭頭曲げに対する断面性能の設計方法であって、
前記拡径工程における前記鋼管杭の減肉率が拡径率の50%~60%として、前記鋼管杭の拡径前の板厚を設計することを特徴とする、鋼管杭の設計方法。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明は、例えば杭頭補強工法、当該工法で使用される杭頭補強用の鋼管杭、およびその鋼管杭の設計方法に有用である。
【符号の説明】
【0089】
1 地盤
10 コンクリート
20 杭打ち機
80 (既設の)鋼管杭
90 既設杭
100 鋼管杭
101,102 端部
103 大径部
104 下部
110 固定治具
111、113、115,117 スペーサ
112 プレート
116 桁
120 拡径治具
121 円錐台部
122 円柱部
123 フィレット部