(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024023132
(43)【公開日】2024-02-21
(54)【発明の名称】スイッチング電源装置および集積制御回路
(51)【国際特許分類】
H02M 3/00 20060101AFI20240214BHJP
H02M 3/28 20060101ALI20240214BHJP
H02M 3/155 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
H02M3/00 C
H02M3/28 C
H02M3/155 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023102118
(22)【出願日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】202210942244.6
(32)【優先日】2022-08-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】000106276
【氏名又は名称】サンケン電気株式会社
(72)【発明者】
【氏名】早川 章
(72)【発明者】
【氏名】古賀 竜彦
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AS01
5H730AS05
5H730BB13
5H730BB43
5H730BB57
5H730CC01
5H730DD04
5H730EE59
5H730FD01
5H730FD51
5H730FF19
5H730XX04
5H730XX15
5H730XX25
5H730XX35
5H730XX42
(57)【要約】
【課題】出力ダイオードの短絡等の異常状態をいち早く検出し、スイッチング素子のドレイン電流のピーク値を低減して、スイッチング素子の過電流保護を実現する。
【解決手段】本願実施形態は、スイッチオン検出期間内にスイッチング電流対応の電圧信号が第二閾値または第一閾値より大きいことを検出したときに異常検出信号を出力する過電流保護回路と、スイッチング電流対応の電圧信号が第二閾値または第一閾値より大きいことを検出したときに異常検出信号を出力する過電流保護回路と、第二閾値は、第一閾値よりも大きく、スイッチオン検出期間は、リーディングエッジブランキング時間及びリーディングエッジブランキング時間の後の所定の期間を含む。そして、制御回路は、異常検出信号に基づいて所定の保護動作を実行する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチング素子と、前記スイッチング素子のオン・オフを制御する制御回路とを含むスイッチング電源装置の集積制御回路であって、
前記制御回路は、スイッチオン検出時間帯において、スイッチング電流に対応する電圧信号が第二閾値または第一閾値よりも大きいことを検出した場合、異常検出信号を出力するための過電流保護回路を含み、
前記第二閾値が前記第一閾値よりも大きく、
前記スイッチオン検出時間帯は、リーディングエッジブランキング時間帯と、前記リーディングエッジブランキング時間帯以降の所定の時間帯を含み、
前記制御回路は、前記異常検出信号に基づき、所定の保護動作を実行することを特徴とするスイッチング電源装置の集積制御回路。
【請求項2】
前記過電流保護回路は、前記所定の時間帯において、前記電圧信号が前記第一閾値よりも大きいことを検出した場合、前記異常検出信号を出力することを特徴とする請求項1に記載の集積制御回路。
【請求項3】
前記過電流保護回路は、前記リーディングエッジブランキング時間帯において、前記電圧信号が前記第二閾値よりも大きいことを検出した場合、前記異常検出信号を出力することを特徴とする請求項1に記載の集積制御回路。
【請求項4】
前記制御回路は、周波数制御回路をさらに含み、
前記周波数制御回路は、前記異常検出信号に基づき、前記スイッチング素子のスイッチング周波数を第1周波数まで低下させることを含む前記所定の保護動作を実行することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の集積制御回路。
【請求項5】
前記周波数制御回路は、前記スイッチング周波数を、前記第1周波数まで直接に低下させる、又は、前記第1周波数まで徐々に直線的に低下させる、又は、前記第1周波数まで徐々に段階的に低下させるように制御する、ことを特徴とする請求項4に記載の集積制御回路。
【請求項6】
前記制御回路は、駆動制御回路をさらに含み、
前記駆動制御回路は、前記異常検出信号に基づき、ソフトオフドライブに切り換えることを含む前記所定の保護動作を実行することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の集積制御回路。
【請求項7】
前記制御回路は、前記異常検出信号に基づき、前記所定の保護動作を実行し、
前記所定の保護動作は、前記過電流保護回路が前記異常検出信号に基づき、前記第一閾値を第三閾値まで低下させてから異常検出を行うことを含む、
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の集積制御回路。
【請求項8】
前記過電流保護回路は、過電流検出電圧にバイアス電圧を重畳させることにより、前記第一閾値を前記第三閾値に変更させる、ことを特徴とする請求項7に記載の集積制御回路。
【請求項9】
前記制御回路は、前記異常検出信号に基づき、前記所定の保護動作を実行し、
前記所定の保護動作は、リーディングブランキング時間を無くすことを含むことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の集積制御回路。
【請求項10】
前記制御回路は、ラッチ回路をさらに含み、
前記スイッチオン検出時間帯にわたって前記異常検出信号が前記過電流保護回路から出力されていない場合、前記ラッチ回路のタイマーを解除することを特徴とする請求項1に記載の集積制御回路。
【請求項11】
前記制御回路は、解除回路と、ラッチ回路とをさらに含み、
前記解除回路は、前記スイッチオン検出時間帯にわたって前記異常検出信号が前記過電流保護回路から出力されていない場合、前記ラッチ回路を次のスイッチングのタイミングでリセットするためのものである、
ことを特徴とする請求項1に記載の集積制御回路。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1項に記載の集積制御回路を備えたことを特徴とするスイッチング電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、本願は、スイッチング電源分野に関し、特に過電流保護の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術(特許文献1:特開2005-130668)のスイッチング電源装置において、過渡(過渡)(過渡的出力短絡)時にスイッチング素子に供給するパルス駆動信号の立ち下がり時間だけが長くなり、定常動作時にスイッチング素子に供給するパルス駆動信号の立ち下がり時間が比較的短い設定されているため、過渡的出力短絡が発生する場合でも、スイッチング素子のサージ電圧も抑制でき、定常動作時にスイッチング電源の効率にも影響しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1において、従来技術では、過渡条件下においてもスイッチング素子のターンオフモードでの損失が大きく、サージ電圧を抑制するためにスイッチング素子のターンオフ駆動(off drive)を遅らせると、面積の小さい半導体チップであればチップ温度が瞬間的に上昇し、破損する可能性がある。
【0005】
本発明は、上記問題点を鑑みてなされたものであり、その課題を解決し、例えば整流ダイオード短絡の過渡条件下においてもスイッチング素子のターンオフモードでの損失を発生させないために、異常電流を早期に検出して、ターンオフ直後に発生するサージ電圧を低減し、スイッチング素子の保護を行える過電流保護機能を備えた半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態の一態様によれば、スイッチング電源装置の集積制御回路は、スイッチング素子と、前記スイッチング素子のオン・オフを制御する制御回路とを含む、スイッチング電源装置の集積制御回路であって、前記制御回路は、スイッチオン検出時間帯において、スイッチング電流に対応する電圧信号が第二閾値または第一閾値よりも大きいことを検出した場合、異常検出信号を出力するための過電流保護回路を含み、前記第二閾値が前記第一閾値よりも大きく、前記スイッチオン検出時間帯は、リーディングエッジブランキング時間帯と、前記リーディングエッジブランキング時間帯以降の所定の時間帯を含み、前記制御回路は、前記異常検出信号に基づき、所定の保護動作を実行する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、リーディングエッジブランキング期間よりも長いスイッチオン検出期間を設けて過電流検出を行い、通常の過電流閾値よりも大きい第二閾値を設定して過電流検出を行うことにより、異常電流を早期にタイムリーに検出することができ、オフ(turn off)直後に発生するサージ電圧を低減し、スイッチング素子の保護を実現し、短絡が発生しても、スイッチング素子を破損させることもなく、異常保護のために部品を追加する必要もなく、移行時の素子発熱も発生しない効果を得られる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本願の実施形態に係るスイッチング電源装置の集積制御回路の概略図である。
【
図2】
図2は、本願実施形態のスイッチオン検出期間の概略図である。
【
図3】
図3(a)及び
図3(b)は、本願の実施形態における異常検出信号を出力する条件の概略図である。
【
図4】
図4は、フィードバック制御信号に基づいてスイッチング周波数を変更する本願の実施形態の模式図である。
【
図5】
図5は、本願の実施形態に係るスイッチング電源装置の集積制御回路の内部構成の概略図である。
【
図6】
図6は、本願の実施形態における駆動制御回路の概略図である。
【
図7】
図7(a)及び
図7(b)は、本願の実施形態における異常検出信号が出力されない条件の概略図である。
【
図8】
図8は、本願の実施形態に係るスイッチング電源装置の集積制御回路の内部構成の概略図である。
【
図9】
図9は、本願の実施形態に係るスイッチング電源装置の概略図である。
【
図10】
図10は、本願の実施形態に係るスイッチング電源装置の概略図である。
【
図11】
図11は、本願実施形態に係るスイッチング電源装置の制御方法の概略図である。
【
図12】
図12は、本願の実施形態に係るスイッチング電源装置の制御方法の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図面を参照すると、以下の説明により、本願の前述およびその他の特徴が明らかになるであろう。明細書及び図面には、本願の原則を採用することができる一部の実施形態を示す本願の特定の実施形態が具体的に開示されており、本願は記載された実施形態に限定されるものではなく、逆に、本願は添付の特許請求の範囲に含まれるすべての修正、変形及び均等物を含むことを理解すべきである。以下、本願の各種実施形態について図面を用いて説明する。これらの実施形態は単なる例示であり、本願に対する制限ではない。
本願の実施形態において、用語「第1」、「第2」、「上」、「下」などは、異なる要素を呼称的に区別するために使用されるが、これらの要素の空間的配置や時間的順序などを表すものではなく、これらの要素はこれらの用語によって制限されるべきではない。用語「および/または」は、関連付けられてリストされた用語の1つまたは複数のうちのいずれか1つおよびすべての組合せを含む。用語「含む」、「含む」、「有する」などは、説明された特徴、要素、構成部品、または構成部品の存在を意味するが、1つ以上の他の特徴、要素、構成部品、または構成部品の存在または追加を除外するものではない。
本願の実施形態において、単数形「1」、「これ」などは複数形を含み、広義には「1つ」の意味ではなく「1つ」または「1つのクラス」と理解されるべきである、さらに、用語「記載」は、文脈が特に明示的に示されない限り、単数形と複素形の両方を含むと理解されるべきである。さらに、用語「根拠」は、文脈が特に明示的に示されない限り、「少なくとも部分的に根拠」と理解されるべきであり、用語「根拠」は、「少なくとも部分的に根拠」と理解されるべきである。
以下、図を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0010】
(第1の実施の形態)
本願の第1の実施の形態は、スイッチング電源装置の集積制御回路を提供する。
図1は、本願の実施形態に係るスイッチング電源装置の集積制御回路の概略図である。
図1に示すように、スイッチング素子111と、スイッチオン検出期間内にスイッチング電流に対応する電圧信号が第二閾値または第一閾値より大きいことを検出したときに異常検出信号を出力する過電流保護回路112と、前記第二閾値は、前記第一閾値よりも大きく、前記スイッチオン検出期間は、リーディングエッジブランキング期間及び前記リーディングエッジブランキング期間の後の所定の期間を含む、そして、この制御回路は、この異常検出信号に基づいて所定の保護動作を実行する。
いくつかの実施形態では、スイッチング素子111は、スイッチング素子の制御端子に印加される電圧を制御することにより、入出力間の導通制御を実行することができる素子であってもよい。例えば、スイッチング素子は、小型MOSFET(例えば、スーパージャンクションMOSFET、SJ-MOS)などであってもよいが、本願はこれを限定するものではなく、ここでは一例として挙げない。
【0011】
いくつかの実施形態では、制御回路は、スイッチがオンになった後に、過電流保護回路112を制御するための過電流ブランク期間(リーディングエッジブランキング期間)を経て過電流検出を行うための過電流保護回路112に接続されたリーディングエッジブランキング回路LEB113をさらに含む。
従来の方法では、リーディングエッジブランキング時間後に、ドレイン電流検出信号はリーディングエッジブランキング回路LEB113を介して過電流保護回路112に入力、過電流保護回路112はドレイン電流検出信号と過電流検出電圧閾値(例えば第一閾値)とを比較し、ドレイン電流検出信号、すなわちスイッチング電流に対応する電圧信号が過電流検出電圧閾値に達するとオフ信号を出力、このオフ信号に基づいてスイッチング素子111 Q1のオフ(オフ)が制御される。これにより、ドレイン電流検出信号(以下、スイッチング電流に対応する電圧信号ともいう)のうち、スイッチング素子111がオンしたときにサージ電流が発生する期間内の信号を無効(消去)にする。一方、リーディングエッジブランキング期間では、ドレイン電流検出信号が第一閾値を超えても過電流検出は行われない。これに対して、本願の実施形態では、過電流保護回路112は、スイッチオン検出期間内にスイッチング電流に対応する電圧信号が第二閾値または第一閾値よりも大きいことを検出すると、異常検出信号を出力する、ここで、第二閾値は、第一閾値よりも大きく、スイッチオン検出期間は、リーディングエッジブランキング期間及びリーディングエッジブランキング期間の後の所定の期間を含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、過電流保護回路112は、スイッチオン検出期間内にスイッチング電流に対応する電圧信号が第二閾値または第一閾値より大きいことを検出した場合、出力異常検出信号は、リーディングエッジブランキング期間内に、電圧信号が第二閾値より大きいことを検出した場合に出力する過電流保護回路を含む。つまり、リーディングエッジブランキング期間においても、この電圧信号が新たに設定された第二閾値を超えたときに異常と判定される。
いくつかの実施形態では、過電流保護回路112は、スイッチオン検出期間内にスイッチング電流に対応する電圧信号が第二閾値または第一の閾値よりも大きいことを検出した場合、出力異常検出信号は、所定の期間内に、電圧信号が第一閾値よりも大きいことを検出したときに、その異常検出信号を出力する過電流保護回路を含む。つまり、リーディングエッジブランキング期間が経過した直後に、電圧信号が第一閾値より大きいことが検出された場合にも異常と判定される。
以下に詳細に説明する。
【0013】
いくつかの実施形態では、制御回路は、スイッチング素子111のオン(turn on)信号に同期してスイッチオン検出信号(例えばハイレベル信号であってもよい)を出力するスイッチオン検出回路114をさらに含むことができる。すなわち、スイッチオン検出期間の開始点がスイッチング素子のオン開始時である。スイッチオン検出信号の期間(期間、ハイレベル信号継続時間とみなすこともできる)は、リーディングエッジブランキング期間よりも所定時間長く設定される。
図2は、本願実施形態におけるスイッチオン検出期間とt 1、tBW関係模式図である。
図2に示すように、この所定時間は、リーディングエッジブランキング期間と連続してオーバーラップしておらず、所定時間t1+リーディングエッジブランキング期間tBW=スイッチオン検出期間である。
いくつかの実施形態では、過電流保護回路112には、通常の第一閾値と、通常の第一閾値よりも大きい第二閾値とが設定されている。この第一閾値は、リーディングエッジブランキング期間では過電流検出には使用されず、第二の閾値は、リーディングエッジブランキング期間でも過電流検出に使用される。
いくつかの実施形態では、スイッチオン検出期間では、まず、リーディングエッジブランキング期間では、過電流保護回路112は、第二閾値を超える過電流の存在を検出すると、異常検出信号(例えばハイレベル信号)を出力することにより、従来技術と比較して、すべてのスイッチオン検出期間(リーディングエッジブランキング期間を含む)の異常電流を検出することができる。所定の期間において、過電流保護回路112が第一閾値を超える過電流の存在を検出すると、異常検出信号(例えばハイレベル信号)が出力され、これにより、ブランキング直後に発生した異常な過電流を検出する。
【0014】
図3(a)及び
図3(b)は、本願の実施形態における出力異常検出信号条件の概略図である。
図3(a)に示すように、tBW内に第二閾値(例えば、1.7V)を超える電圧信号が検出され、
図3(b)に示すように、所定の期間において、第1の閾値(例えば、Vocp)を超える電圧信号が検出される。
これにより、リーディングエッジブランキング期間よりも長いスイッチオン検出期間を設けて過電流検出を行い、通常の過電流閾値よりも大きい第二閾値を設定して過電流検出を行うことにより、異常電流を早期にタイムリーに検出することができ、オフ(turn off)直後に発生するサージ電圧を低減し、スイッチング素子の保護を図ることができ、短絡が発生しても、スイッチング素子を破損させることもなく、異常保護のために部品を追加する必要もなく、移行時の素子発熱も発生しない。
以上のリーディングエッジブランキング回路113及びスイッチオン検出回路114は例示にすぎず、他の手段により前記リーディングエッジブランキング期間及びスイッチオン検出期間を生成することもでき、本願の実施形態はこれを限定するものではない。この第一閾値、第二閾値、リーディングエッジブランキング期間(典型的には270ns)は、必要に応じて決定することができ、このスイッチオン検出期間は、リーディングエッジブランキング期間よりもやや長く設定することができる(やや長くとは、この所定の期間が1つの時間閾値未満、例えば、スイッチオン検出期間が300nsに設定されると理解することができる)。
【0015】
いくつかの実施形態では、過電流保護回路112が異常を検出した場合、制御回路は、スイッチング周波数の低減、ソフトオフ駆動スイッチング素子への切り替え、過電流検出閾値の低減、ブランキング時間の低減、それぞれ以下に説明する保護動作の1つ以上の組み合わせを含む、異常検出信号に基づいて所定の保護動作を実行する。
【0016】
(1)スイッチング周波数の低減について
いくつかの実施形態では、制御回路はさらに、スイッチング素子のスイッチング周波数を制御することができる発振器(OSC)である周波数制御回路115を含み、この周波数制御回路115はPWMモードに基づいている。すなわちPWM制御時の発振周波数を決定し、この周波数制御回路115の構成は従来技術を参照することができ、ここでは詳細に説明しない。通常発振動作時には、周波数制御回路115は、フィードバック制御(FB)信号に基づいてスイッチング素子のスイッチング周波数(発振周波数)を制御することができる。このフィードバック制御(FB)信号については後述する実施例で説明する。
【0017】
図4は、本願の実施形態におけるフィードバック制御信号に基づいてスイッチング周波数を変更する模式図であり、
図4に示すように、周波数制御回路115はフィードバック制御(FB)信号に基づいて、軽負荷時から重負荷時にかけて、前記周波数制御回路は、前記フィードバック制御(FB)信号に基づいて、前記スイッチング素子のスイッチング周波数が前記第1の周波数から負荷一定時に上昇する固定周波数(グリーンモード機能)を制御する。この第1の周波数は最低周波数f 1であり、この固定周波数は最高周波数f0であり、この最低周波数f 1は20kHZ、すなわち人間が聞くことができる高域周波数の音である。また、前記最高周波数f0は150kHZであるが、ここでは例示にすぎず、本願の実施形態はそれに限定されない。
図4に示すように、フィードバック制御(FB)信号電圧がVFB1以下の場合、周波数制御回路115がスイッチング周波数を通常時の最低周波数f1に制御する。周波数制御回路115は、フィードバック制御(FB)信号電圧がVFB2以上の場合、スイッチング周波数を通常時の最高周波数f0とする。また、周波数制御回路115は、フィードバック制御(FB)信号電圧がVFB1~VFB2の範囲内である場合には、フィードバック制御(FB)信号電圧VFBに基づいて最低周波数f1から最高周波数f0まで発振周波数を上昇させる。また、
図4ではスイッチング周波数が線形に上昇する例を示したが、スイッチング周波数を階段状または非線形に上昇させることもできる。
【0018】
いくつかの実施形態では、周波数制御回路115は、異常検出信号に基づいてスイッチング素子のスイッチング周波数を第1の周波数に下げることを含む所定の保護動作を実行する。つまり、異常検出時にはゲート駆動をオフ(turn off)にし、次回のスイッチング素子オンタイミングを遅らせる。例えば、周波数制御回路は、スイッチング周波数を第1の周波数に直接降下させるか、または第1の周波数に段階的に降下させるかを制御する。この下降に関する規則(波形)は、波形生成部によって決定することができる。
いくつかの実施形態では、スイッチング周波数の変化(降下規則など)をより柔軟に制御するために、周波数制御回路115に接続された波形生成部(MODE)116をさらに備え、波形生成部(MODE)116は異常検出信号(ハイレベル信号)に基づいて周波数降下波形信号を生成し、周波数降下波形信号を周波数制御回路115に入力し、周波数制御回路115は、周波数降下波形信号に基づいてスイッチング周波数が第1の周波数に降下するように制御、例えば、波形生成部(MODE)116は、低レベル信号を周波数制御回路115に入力し、スイッチング周波数を直接第1の周波数に降下(移行)させる、あるいは、波形生成部(MODE)116は、時間経過とともに直線的に降下する波形信号(線形)または段階的に降下する波形信号(非線形)を出力してもよく、スイッチング周波数を第1の周波数に段階的に直線的に降下させるか、段階的に降下させる。この波形生成部(MODE)116の具体的な回路構成は従来技術を参照することができ、本願の実施例はこれを限定するものではない。
これにより、異常検出時において、異常時のスイッチング素子ドレイン・ソース電圧上昇を抑制し、及び周波数低下をさせることにより、過渡時の素子発熱を分散的に抑制し、オフ期間のデューティ比を拡大することによりスイッチング素子の損失を低減する。
いくつかの実施形態では、過電流保護回路112が異常を検出した後の過電流検出をさらに早めるために、この所定の保護動作は、(2)~(4)を含み、以下に詳細に説明する。
【0019】
(2)過電流検出閾値
いくつかの実施形態では、制御回路は、異常検出信号に基づいて所定の保護動作を実行するステップと、過電流保護回路112は、異常検出信号に基づいて第一閾値を第三閾値に下げた後に異常検出を行うステップとを含む。この第三閾値は、必要に応じて設定することができ、例えば、第三閾値は第一閾値の3分の2であってもよいが、ここでは例示にすぎず、本願はこれを限定するものではない。
いくつかの実施形態では、第一閾値~第三閾値を変更することによって過電流検出閾値(異常検出後の過電流検出用)を低減することができ、または予め複数の閾値電圧を設定し、第一閾値を第三閾値に切り替えることによって過電流検出閾値(異常検出後の過電流検出用)を低減することができる。
いくつかの実施形態では、過電流検出電圧にバイアス電圧を重畳することにより、第一閾値を第三閾値に変更することができ、それにより過電流保護回路の動作開始時間を繰り上げ、複数の閾値を設定する必要がなく、簡単に実現することができる。
これにより、異常を検出した後の過電流検出の閾値を下げることにより、スイッチング電流のピークを抑制し、第一閾値により異常電流を抑制できない問題を回避し、異常検出信号を出力した後の過電流検出をさらに前に、つまり異常検出信号を出力した後の異常を早期に検出する過電流検出速度を改善する。
【0020】
(3)リーディングエッジブランキング期間の消去
いくつかの実施形態では、制御回路は、異常検出信号に基づいて所定の保護動作を実行することは、リーディングエッジブランキング時間を消去することを含む。すなわち、オン時には、サージ電流を含む電流に対して通常の過電流検出(第一閾値を過電流検出閾値とする)を行う。
いくつかの実施形態では、リーディングエッジブランキング回路113を過電流保護回路112との接続を切断することができ、すなわち、スイッチング電流に対応する電圧信号は、リーディングエッジブランキング回路113を通過する必要はなく、直接、過電流検出(第一閾値を過電流検出閾値とする)を行うことができ、あるいは、リーディングエッジブランキング回路113を改造して、このリーディングエッジブランキング時間を除去することもでき、本願はこれを限定するものではなく、上記実施例により、異常電流を抑制できない問題を回避することができる。
【0021】
(4)ソフトオフ駆動
いくつかの実施形態では、制御回路は、スイッチング素子111を駆動する駆動信号DRVを出力してオン/オフ(オン/オフ)を制御する駆動制御回路117をさらに含む。スイッチング素子111のゲート端子は駆動制御回路117に接続されている。この駆動信号の生成方法については後述する。
いくつかの実施形態では、駆動制御回路117は、ソフトオフ駆動に切り替えることを含み、異常検出信号に基づいて所定の保護動作を実行する。つまり、スイッチオフ駆動時の動作をゲート駆動のオフ速度を緩やかに設定するソフト駆動に切り替え、これにより、オフ駆動を遅らせることで、ドレイン電圧のサージ電圧を抑制することができ、異常検出と同時にスイッチ周波数を低下させれば、チップ発熱後の放熱時間を得ることで、チップ温度の上昇を抑制することができる。
【0022】
図6は、本願の実施例における駆動制御回路の模式図である、
図6に示すように、異常を検出した後、異常検出信号(ハイレベル信号、駆動切替信号)に基づいて、スイッチ41を制御してオフ駆動方式を切り替え、オフ(OFF)用の駆動素子24の動作を停止させ、オフ(OFF)の駆動素子23単体で行うことにより、スイッチオフ時の電圧変化dv/dtを緩やかにし、すなわちソフトオフ駆動に切り換えられ、駆動制御回路の実現形態(例えば、
図6における駆動制御回路の他の部品及び接続関係)については従来技術を参照することができ、本願実施形態はこれに限定されない。
【0023】
図5に示すように、スイッチング素子Q1、フィードバック信号検出回路11、周波数制御回路12、リーディングエッジブランキング(LEB)回路13、起動回路14、スイッチング電流波形補正回路15、過電流保護回路(OCP)16、駆動制御回路(DRV)17、波形生成部(MODE)18、スイッチオン検出回路19、ラッチ回路LATCH 20及び複数の論理回路及びフリップフロップ等を備えている。
集積制御回路は、D/ST(MOSFETドレイン/起動電流入力)端子と、S/OCP(MOSFETソース/過電流保護)端子、Vcc(集積制御回路電源電圧入力)端子、FB/OLP(フィードバック信号入力/過負荷保護信号入力)端子、およびGND(グランド)端子を含む。受光トランジスタPC2が接続されるFB/OLP端子には、フィードバック信号検出回路11が接続されている。また、スイッチング素子Q1のソースはS/OCP端子に接続され、外部抵抗Rocpを介して一次側GNDに接続されている。
起動回路14は、D/ST端子とVcc端子との間に接続され、整流回路DBの図示しない整流電圧の高耐圧素子を介してVcc端子に定電流をオン/オフする。
リーディングエッジブランキング(LEB)回路13は、FB/OLP端子にも接続し、リーディングエッジブランキング(LEB)回路13を介してS/OCP端子のスイッチング素子Q1のスイッチング電流信号である外部抵抗Rocpの電圧(降下)信号を入力する。通常はFB/OLP端子からのフィードバック信号と比較し、スイッチング電流信号がフィードバック制御(FB)信号より大きい場合、H信号が論理回路AND2に送信され、フリップフロップ回路FF1がリセットされる。これにより、論理回路AND1、AND3及び駆動制御回路(DRV)17を介してスイッチング素子Q1をオフ(OFF)する。
【0024】
いくつかの実施形態では、フィードバック信号検出回路11の構成は、従来技術を参照することができ、ここでは説明しないが、例えば、フィードバック信号検出回路11にコンパレータなどが含まれ、スイッチ電流信号(すなわち電圧信号Vocp)とフィードバック制御(FB)信号電圧VFBとを比較し、スイッチ電流信号がVFBを超えると、ハイレベルの出力信号を出力し、この出力信号に基づいて駆動制御回路(DRV)17を駆動し、スイッチング素子をオフ(OFF)する。
いくつかの実施形態では、周波数制御回路12はフィードバック信号検出回路11に接続され、通常動作中にフィードバック信号検出回路11からのフィードバック制御(FB)信号に基づいて、例えば第1の周波数から固定周波数に上昇するようにスイッチング周波数を制御する。
また、例えば、周波数制御回路12が定電流回路とコンデンサとに基づく鋸波を生成し、鋸波に基づいてフリップフロップ回路FF1のセット端子に単一フリップフロップ信号を出力する。これにより、論理回路AND1、AND3及び駆動制御回路(DRV)17を介してスイッチング素子Q1をオン(ON)する。
【0025】
以上、通常動作期間における各回路の動作の実施形態について説明した。以下、この集積制御回路の過電流検出機能について
図5を用いて説明する。
いくつかの実施形態では、スイッチオン検出回路19は、スイッチング素子Q1のオン(turn on)信号に同期してスイッチオン検出信号(例えばハイレベル信号であってもよい)を出力する。すなわち、スイッチオン検出期間の開始点はスイッチング素子のオン開始時、スイッチオン検出信号の期間であり、スイッチング素子のオン後、スイッチング電流に対応する電圧信号は、直接、過電流保護回路16に入力することができ、リーディングエッジブランキング期間内に、前記電圧信号が第二閾値より大きいことが検出された場合に、異常検出信号を出力する。また、この電圧信号は、リーディングエッジブランキング回路13を通過した後、スイッチング電流波形補正回路15を介して過電流保護回路(OCP)16に入力され、所定時間帯において、前記電圧信号が第一閾値よりも大きいことが検出された場合に、前記異常検出信号を出力する。
いくつかの実施形態では、過電流保護回路16は、論理回路OR1の入力端子に異常検出信号(ハイレベル信号)を入力し、スイッチオン検出回路19は、論理回路OR1にスイッチオン検出信号(ハイレベル信号)を入力するので、スイッチオン検出期間において、過電流保護回路16が、第一閾値を超える過電流が検出されたとき、または、第二閾値を超える過電流が検出するとき、過電流検出回路OCPから論理回路OR1の他方の入力端子にHレベルの信号が出力され、論理回路OR1の出力はハイレベル信号(異常検出信号に対応する)をラッチ回路LATCH 20に出力する。同時に、過電流保護回路16は論理回路AND2に異常検出信号を出力し、フリップフロップ回路FF1のリセット端子にハイレベル信号を入力するとともに、論理回路AND1及びAND3を介して駆動制御回路(DRV)17のゲート駆動DRV信号をLレベルに反転(オフ)し、スイッチング素子Q1をオフ(OFF)して回路を保護する。
【0026】
いくつかの態様では、ラッチ回路20の出力端は波形生成部(MODE)18の入力端に接続され、波形生成部(MODE)18の出力端は周波数制御回路12に接続され、ラッチ回路LATCH 20に異常検出信号が入力されると、ラッチ回路LATCH 20の出力信号をハイレベルに維持し、波形生成部(MODE)18に入力、波形生成部(MODE)18は異常検出信号(ハイレベル信号)に基づいて周波数降下波形信号を生成し、そして、この周波数降下波形信号を周波数制御回路12に入力し、周波数制御回路12はこの周波数降下波形信号に基づいてスイッチング周波数を第1の周波数に降下するように制御し、具体的には前述したように、ここでは説明しない。
いくつかの態様では、ラッチ回路LATCH 20は、異常検出信号が入力されると出力信号をハイレベルに維持する。ラッチ回路LATCH 20は、スイッチング電流波形補正回路15に接続されている。スイッチング電流波形補正回路15はラッチ回路LATCH 20からの異常検出信号(ハイレベル信号)に基づいて、リーディングエッジブランキング(LEB)回路13からのスイッチング電流信号にバイアス電圧を重畳することで、異常を検出した過電流保護回路(OCP)16の動作開始時間を早める。
いくつかの態様では、ラッチ回路LATCH 20は、異常検出信号が入力されると、出力信号をハイレベルに維持する。ラッチ回路LATCH 20は、リーディングエッジブランキング回路13と接続することもでき、リーディングエッジブランキング回路13は、ラッチ回路LATCH 20からの異常検出信号(ハイレベル信号)に基づいて、異常検出後にリーディングエッジブランキング時間を除去する。
いくつかの態様では、ラッチ回路LATCH 20は、異常検出信号が入力されると出力信号をハイレベルに維持する。ラッチ回路LATCH 20は、駆動制御回路17(例えば、
図6に示すスイッチ41)に入力する駆動制御回路17に接続されてもよい。駆動制御回路17は、ラッチ回路LATCH 20からの異常検出信号(ハイレベル信号)に基づいて、異常を検出した後、ソフトオフ駆動に切り替える。つまり、スイッチオフ駆動時の動作をソフト駆動に切り替え、ゲート駆動のオフ速度を緩やかに設定する。駆動制御回路の実現形態(例えば、
図6の駆動制御回路の他の部品及び接続関係)については、従来技術を参照することができ、本願の実施形態はこれに限定されない。
【0027】
以上の各態様の回路接続関係及び制御方式は単独で実施してもよく、組み合わせて実施してもよく、本願実施例はこれを限定するものではない。
また、オプションとして、この集積制御回路は過負荷保護OLP回路、過電圧保護OVP回路、過熱保護TSD回路などを含むこともでき、その具体的な接続関係と機能は従来技術を参照することができ、ここでは詳細に説明しない。
【0028】
いくつかの実施形態において、スイッチオン検出期間中に異常検出信号が検出されなかった場合に、上記過電流検出の設定を解除することもでき、以下にそれぞれ説明する。
いくつかの実施形態では、ラッチ回路LATCH 20は、ラッチ状態を一定期間維持し、終了後に解除することができるタイマの機能を有する。この過電流保護回路がこのスイッチオン検出期間内にいずれもこの異常検出信号を出力していない場合には、このラッチ回路のタイマを解除する。すなわち、スイッチオン検出期間のいずれも第二閾値または第一閾値を超えることが検出されていない場合、異常検出信号(ハイレベル信号)は論理回路OR1からラッチ回路LATCH 20に入力されないので、タイマのタイミング終了後のスイッチ動作時に解除される。つまり、このスイッチオン検出期間のいずれもこの異常検出信号が出力されていない場合、論理回路OR1からは信号は出力されず、タイマのタイミング時間が経過する限り、過電流検出は元の状態に戻る(例えば、前述の通常(既存)状態の過電流検出閾値を用いて過電流検出を行う)。また、ラッチ回路LATCH 20は、タイマ設定の期間内に前記第一閾値及び第二閾値の設定及び対応する過電流検出を維持し、周波数を低下させた状態を維持することができる。
いくつかの実施形態では、タイマの時間は、最低周波数よりも長い期間に少なくとも設定される。これにより、次のスイッチング周期であっても、異常が発生した場合には、異常検出の状態を維持することができる。
図7(a)及び
図7(b)に示すように、tBW内では第二閾値が存在する電圧信号は検出されず、所定の期間では第一閾値(さらには第三閾値)を超える電圧信号は検出されなかった、本願の実施形態における異常検出信号が出力されない条件を示す図である。
【0029】
いくつかの実施形態では、ラッチ回路のタイマ機能を用いて前記過電流検出の設定を解除することに加えて、集積制御回路に追加の解除回路解除(例えば、次のスイッチ時に解除)を前記過電流検出に設定をすることができる。
図8は本願実施例の集積制御回路の模式図であり、
図5と異なる点は、
図8にさらに、この過電流保護回路がこのスイッチオン検出期間内にすべてこの異常検出信号を出力していないときに、次のスイッチのタイミングでこのラッチ回路をリセットするための解除回路800が追加されていることである。
いくつかの実施形態では、解除回路800は、論理回路OR1の出力信号を遅延回路DL802を介してD-FF論理回路FF2 801の入力端子に入力するD-FF論理回路FF2 801、遅延回路DL 802、およびダイオード803を含む。また、D-FF論理回路FF2 801のクロック端子CKには論理回路AND3の出力信号が入力され、下端では論理回路OR1の出力信号がローレベルに達すると、リセット信号がラッチ回路LATCH 20に出力される。
すなわち、異常が検出されない条件(過電流保護回路16が異常検出信号を出力していない)では、論理回路OR1の出力信号はローレベル状態にあるので、駆動制御信号の下端のタイミング(オンからオフに移行するタイミング)では、前述した各種異常検出時の設定をリセット(reset)、ラッチ回路LATCH 20により解除する。
また、異常を検出した場合(過電流保護回路16が異常検出信号を出力する)には、論理回路OR1の出力信号がハイレベルとなり、遅延回路DL 802では、D-FF論理回路FF2 801の入力端子のハイレベルを駆動制御信号の下端に達するまで保持することにより、ラッチ回路LATCH 20の動作をリセットしない。
【0030】
本願の実施形態の集積制御回路が実際の必要に応じて他の構造を含むこともできるし、図面に示された部分構造を含まなくてもよく、具体的にはどの構造が実際の必要に応じて関連技術を参照して設定することができ、本願の実施形態はこれに限定されない。
上記実施例から明らかなように、リーディングエッジブランキング期間よりも長いスイッチオン検出期間を設けて過電流検出を行い、通常の過電流閾値よりも大きい第二閾値を設定して過電流検出を行うことにより、異常電流を早期にタイムリーに検出することができ、オフ(turn off)直後に発生するサージ電圧を低減し、スイッチング素子の保護を実現し、短絡が発生しても、スイッチング素子を破損させることもなく、異常保護のために部品を追加する必要もなく、移行時の素子発熱も発生しない効果を得られる。
【0031】
(第2の実施の形態)
本願第2の実施の形態は、第1の実施の形態で説明した集積制御回路を含むスイッチング電源装置を提供する。第1の実施の形態では、集積制御回路の構成及び機能について詳細に説明したので、その内容はここでは説明を省略する。
【0032】
図9は、本願の実施形態におけるスイッチング電源装置の概略図であり、
図9に示すように、スイッチング電源装置900は、整流回路DBと、平滑コンデンサCin、Co、Cd、トランスT、集積制御回路901、整流ダイオードD1、D2、シャントレギュレータZ1、フォトカプラを構成する発光ダイオードPC1及び受光トランジスタPC2、電流検出抵抗Rocp、抵抗Rb、Rcを含む。
ダイオードブリッジ式からなる整流回路DBの交流入力端子ACin1、ACin2に商用交流電源ACが接続され、商用交流電源ACから入力された交流電圧は全波整流されて整流回路DBから出力される。整流回路DBの整流出力正極端子と整流出力負極端子との間に平滑コンデンサCinが接続されている。また、整流回路DBの整流出力負極端子は接地端子に接続されている。これにより、整流回路DBと平滑コンデンサCinにより商用交流電源ACを整流平滑した直流電源(入力電圧)が得られる。
【0033】
一次側(入力側)から二次側(負荷側)に電力を供給するトランスTは、一次巻線P、補助巻線D及び二次巻線Sからなり、整流回路DBの整流出力正極端子はトランスTの一次巻線Pの一端に接続する、トランスTの一次巻線Pの他端部は集積制御回路901のD/ST端子に接続され、そして集積制御回路901のS/OCP端子は抵抗Rocpを介して接地端子に接続されている。これにより、集積制御回路901に内蔵されたスイッチング素子によりオンオフ制御が行われ、トランスTの一次巻線Pに蓄積された電力がトランスTの二次巻線Sに伝達され、トランスTの二次巻線Sにパルス電圧が発生する。また、電流検出抵抗Rocpは、集積制御回路901が内蔵されたスイッチング素子に流れる電流を電圧信号Vocpとして検出する抵抗として接続されている。集積制御回路901は、第1の実施の形態で説明したように、過電流保護(OCP)機能を有し、ここでは繰り返し説明はしない。
【0034】
トランスTの一次巻線Pの両端間には、ダイオードD3、コンデンサCa及び抵抗Raからなるスナバ回路が接続されている。ダイオードD3とコンデンサCaとはトランスTの一次巻線Pの両端間で直列に接続され、抵抗RaとコンデンサCaとは並列に接続されている。ダイオードD3は、集積制御回路901に内蔵されたスイッチング素子オフ時のトランスTの一次巻線Pに基づいて発生する電圧順バイアスの方向に接続されている。
トランスTの二次巻線Sの2つの端子間に整流ダイオードD1を介して平滑コンデンサCoが接続されている。トランスTの二次巻線Sに誘起された電圧は整流ダイオードD1と平滑コンデンサCoを介して整流平滑化され、平滑コンデンサCoの端子間電圧は出力電圧Voとして出力端子から出力される。また、平滑コンデンサCoの正極端子に接続された線が電源線となり、平滑コンデンサCoの負極端子が接続された線が接地端子に接続されたGND線となる。
出力される電源線とGND線との間には、発光ダイオードPC1と誤差増幅器として機能するシャントレギュレータZ1が直列に接続されている。出力される電源線は発光ダイオードPC1の正極に接続され、発光ダイオードPC1の負極はシャントレギュレータZ1の負極に接続され、シャントレギュレータZ1の正極はGND線に接続されている。また、電源線とGND線との間には、分圧用の抵抗Rbと抵抗Rcが直列に接続されており、抵抗Rbと抵抗Rcの接続点は、シャントレギュレータZ1の制御端子aに接続され、シャントレギュレータZ1の内部基準電圧と比較される。これにより、誤差電圧に応じた電流が発光ダイオードPC1に流れ、発光ダイオードPC1に流れる電流がフィードバック信号として、発光ダイオードPC1から一次側の受光トランジスタPC2に出力される。集積制御回路901は、FB/OLP端子に入力されるフィードバック制御信号に基づいてスイッチング素子のデューティ比とスイッチング周波数を制御し、二次側に供給される電力を制御する。
また、トランスTの補助巻線Dの両端子間に整流ダイオードD2を介して平滑コンデンサCdが接続され、整流ダイオードD2と平滑コンデンサCdの接続点が集積制御回路901のVcc端子に接続されている。これにより、補助巻線Dで発生した電圧が整流ダイオードD2と平滑コンデンサCdを介して整流平滑化された後、集積制御回路901のVcc端子に集積制御回路901用電源電圧Vccとして供給される。
【0035】
図10は本願実施例におけるスイッチング電源装置の概略図である。
図9と同じ点は説明を繰り返さないが、
図10のスイッチング電源装置はトランスを含まず、インダクタンスL1を経て負荷端に電流が流れるとともに、インダクタンスL1も電気エネルギーを蓄積する非絶縁降圧変換器である。ここで、D/STとS/OCP間がオフのとき、ダイオードD1が導通し、インダクタンスL1に蓄積された電気エネルギーが負荷端に供給される点が
図9と異なる。インダクタL1の回生電流はダイオードD2にも流れ、コンデンサCdに供給される。非絶縁降圧コンバータの具体的な構成については、従来技術を参照してください。例えば、ダイオードD1はスイッチング素子で構成することもでき、ここでは説明はしない。
なお、本願の実施形態に係るスイッチング電源装置は、実際の必要に応じて他の構成を含むこともできるし、図面に示す部分構成を含まなくてもよく、具体的にはどの構成が実際の必要に応じて関連技術を参照して設定することができるかを含めて、本願の実施形態はこれに限定されない。
【0036】
上記実施例から明らかなように、リーディングエッジブランキング期間よりも長いスイッチオン検出期間を設けて過電流検出を行い、通常の過電流閾値よりも大きい第二閾値を設定して過電流検出を行うことにより、早期に速やかに異常電流を検出することができ、オフ(turn off)直後に発生するサージ電圧を低減し、スイッチング素子の保護を実現し、短絡が発生しても、スイッチング素子を破損させることもなく、異常保護のために部品を追加する必要もなく、移行時の素子発熱も発生しない効果を得られる。
【0037】
(第3の実施の形態)
本願の第3の実施の形態は、スイッチング電源装置の制御方法を提供する。第1の実施の形態では、スイッチング電源装置の集積制御回路構成及び機能について詳細に説明してきたので、ここでは説明を省略する。
図11に示すように、本願の実施形態におけるスイッチング電源装置の制御方法の概略図である。
1101では、第二閾値は、第一閾値よりも大きく、スイッチオン検出期間は、リーディングエッジブランキング期間及び前記リーディングエッジブランキング期間の後の所定の期間を含む、
1102は、制御回路がこの異常検出信号に基づいて所定の保護動作を実行する。
1101~1102に関する実施形態は、第1の実施の形態を参照することができ、ここではこれ以上説明しない。
【0038】
図12は本願の実施形態におけるスイッチング電源装置の制御方法の概略図であり、
図12に示すように、この制御方法は以下を含む:
1201は、スイッチングがオンされた後、リーディングエッジブランキング期間において、スイッチング電流に対応する電圧信号が第二閾値を超えるかどうかを検出する。超過した場合、1203~1207を実行し、そうでなければ1202を実行する。
1202は、リーディングエッジブランキング期間が経過した後の所定期間において、スイッチング電流に対応する電圧信号が第一閾値を超えたか否かを検出する。超過した場合、1203~1207を実行し、そうでなければ1208を実行する。
1203は、過電流保護回路は異常検出信号を出力する。
1204は、この異常検出信号に基づいて、周波数制御回路がスイッチング周波数を第1の周波数に低下させるように制御する。
1205は、この異常検出信号に基づいて、駆動制御回路がソフトオフ駆動に切り換えられる。
1206は、この異常検出信号に基づいて、第一閾値を第三閾値に下げた後に過電流検出を行う。
1207は、この異常検出信号に基づいて、リーディングエッジブランキング時間を消去する。
以上の1204~1207は、単独で、または組み合わせて、または前後して、または同時に実施することができ、本願の実施形態はこれに限定されない。
1208は、前記各種異常検出時の設定を解除し、過電流保護回路は通常(従来)の状態での過電流検出を行う。
上述の
図11~
図12は、本願の実施例についてのみ概略的に説明したが、本願はこれに限定されないことに注目すべきである。例えば、各操作間の実行順序を適切に調整したり、他の操作を追加したり、その中の操作を減らしたりすることができる。当業者は、上記
図11~12の記載に限らず、上記内容に応じて適宜変形することができる。
上記実施例から明らかなように、リーディングエッジブランキング期間よりも長いスイッチオン検出期間を設けて過電流検出を行い、通常の過電流閾値よりも大きい第二閾値を設定して過電流検出を行うことにより、早期に速やかに異常電流を検出することができ、オフ(turn off)直後に発生するサージ電圧を低減し、スイッチング素子の保護を実現し、短絡が発生しても、スイッチング素子を破損させることもなく、異常保護のために部品を追加する必要もなく、移行時の素子発熱も発生しない効果を得られる。
【0039】
以上の各実施例は本願実施例についてのみ例示的に説明したが、本願はこれに限定されるものではなく、上記の各実施例に基づいて適切な変形を行うことができる。例えば、上記各実施形態を単独で用いてもよいし、上記各実施形態のうちの1種以上を組み合わせてもよい。
さらに、当業者は多大な努力をする可能性があり、利用可能な時間、現在の技術的、経済的な考慮の下で様々な設計上の選択肢があるが、本明細書で開示された理念と原理の指導の下で、これらのソフトウェア命令とプログラム、集積回路(IC)を簡単に実験的に生成することができる。
要約すると、本発明の様々な実施形態は、ソフトウェア、または専用回路、ハードウェア、論理、またはそれらの任意の組み合わせで実施することができる。いくつかの態様はハードウェアで実施することができ、別の態様はコントローラ、マイクロプロセッサ、または他のコンピューティングデバイスによって実行することができるファームウェアまたはソフトウェアで実施することができる。
ブロック図、フローチャート、または他のイメージング表現を用いて本発明の実施形態を図示し、説明しているが、本明細書に記載のブロック、装置、システムまたは方法は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、専用回路または論理、汎用ハードウェアまたはコントローラ、または他の計算装置、またはこれらの例に限定されずに、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、専用回路または論理、汎用ハードウェアまたはコントローラ、またはこれらの組み合わせにおいて実施することができることを理解すべきである。
同様に、上記の説明にはいくつかの具体的な実施形態の詳細が含まれているが、これらの詳細は本発明の範囲の制限ではなく、具体的な実施形態の特定の特徴の説明であると解釈すべきである。独立した実施形態のコンテキストに記載されたいくつかの特徴は、別の実施形態において組み合わせて実施することもできる。対照的に、個別の実施形態のコンテキストで説明される様々な特徴は、複数の実施形態において個別にまたは適切な組み合わせで実施することもできる。
構造的特徴および/または方法論的行為に特有の言語を用いて本発明を記述しているが、特許請求の範囲に規定された本発明は必ずしも上記の特定の特徴または行為に限定される必要はないことを理解すべきである。対照的に、これらの特許請求の形態を実施するための例示的な形態として、上述したこれらの特定の特徴および挙動が開示される。
以上、本出願を具体的な実施形態に関連して説明したが、これらの説明はすべて例示的であり、本出願の保護範囲の制限ではないことを当業者は理解すべきである。当業者は、本願の精神及び原理に基づいて、本願に様々な変形及び修正を施すことができ、これらの変形及び修正も本願の範囲内にある。
【符号の説明】
【0040】
111 スイッチング素子
112、16 過電流保護回路
113、13 リーディングエッジブランイング回路
114、19 スイッチオン検出回路
115、12 周波数制御回路
116、18 波形生成部(MODE)
117、17 駆動制御回路
11 フィードバック信号検出回路
14 起動回路
15 スイッチング電流波形補正回路
20 ラッチ回路
800 解除回路
801 D-FF論理回路
802 遅延回路
900 スイッチング電源装置
901 集積制御回路
Ca、Cd、Cin、Co コンデンサ
D1、D2、D3 ダイオ―ド
DB 整流回路
L1 インダクタンス
PC1 発光ダイオード
PC2 受光トランジスタ
Ra、Rb、Rc 抵抗
Rocp 電流検出抵抗
T1 トランス
Z1 シャントレギュレータ