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特開2024-23134応力緩和構造のタービンノズルアセンブリ取付け用レール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024023134
(43)【公開日】2024-02-21
(54)【発明の名称】応力緩和構造のタービンノズルアセンブリ取付け用レール
(51)【国際特許分類】
   F01D 9/02 20060101AFI20240214BHJP
   F01D 11/00 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
F01D9/02 104
F01D11/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023105027
(22)【出願日】2023-06-27
(31)【優先権主張番号】17/876,225
(32)【優先日】2022-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】515322297
【氏名又は名称】ゼネラル エレクトリック テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】General Electric Technology GmbH
【住所又は居所原語表記】Brown Boveri Strasse 8, 5400 Baden, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(72)【発明者】
【氏名】ローレン エリザベス ロジャーズ
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム スコット ゼミティス
(72)【発明者】
【氏名】クリステン バーバラ コレッティ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】応力緩和構造のタービンノズルアセンブリ取付け用レールを提供する。
【解決手段】取付レール158は、外側端壁120に結合し、外側端壁120から少なくとも部分的に半径方向外側に、少なくとも部分的に外側端壁120に沿って周方向に延在している。応力緩和構造126は、取付レール158において画成される。応力緩和構造126は、取付レール158の半径方向外側面160に画成された端部開口170と、取付レール158のレール厚Tを貫通して画成され、端部開口170に結合したスロット174と、取付レール158のレール厚Tを貫通して画成され、スロット174の半径方向内側端部に結合した横長開口180とを含む。横長開口180は、スロット174に対して周方向に非対称に配置され、取付レール158に蔓延している応力を緩和する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タービンノズルアセンブリ(112)であって、
1以上の翼形部(130)と、
前記1以上の翼形部(130)の半径方向外端(132)に結合した外側端壁(120)と、
前記外側端壁(120)に結合した取付レール(158)であって、該取付レール(158)が前記外側端壁(120)から少なくとも部分的に半径方向外側に延在しかつ前記外側端壁(120)に沿って少なくとも部分的に周方向に延在しており、該取付レール(158)が、半径方向外側面(160)、レール厚(T)、及び該取付レール(158)の正圧側周方向端(202)での最後方点(212)に原点(210)を有する取付レール(158)と、
前記取付レール(158)における応力緩和構造(126)であって、該応力緩和構造(126)が、前記取付レール(158)のレール厚(T)を貫通して画成される横長開口(180)を含んでいて、該横長開口(180)が、前記原点(210)を起点として表1に記載されたY及びZのデカルト座標値及び曲率半径に実質的に従って規定される複数の円弧面(196A-E)によって規定される公称輪郭を有する形状であってタービン(108)のX軸と平行な方向に前記取付レール(158)のレール厚(T)を突き通る形状を有する部分(216)を有しており、前記デカルト座標値及び曲率半径値が0%~100%の無次元値であって前記取付レール(158)のレール厚(T)の最小X方向範囲(214)を乗じることによって距離に変換でき、Y及びZ値を互いに滑らかに結ぶと、タービン(108)のX軸と平行な方向に前記取付レール(158)のレール厚(T)を貫通する前記横長開口(180)の部分(216)の表面輪郭を形成する、応力緩和構造(126)と
を備えるタービンノズルアセンブリ(112)。
【請求項2】
前記応力緩和構造(126)が、
前記取付レール(158)の半径方向外側面(160)に画成された端部開口(170)と、
前記取付レール(158)のレール厚(T)を貫通して画成され、かつ前記端部開口(170)に結合したスロット(174)と
をさらに含んでおり、前記横長開口(180)が、前記スロット(174)の半径方向内側端(182)に結合し、前記横長開口(180)が、前記スロット(174)に対して周方向に非対称に配置されている、請求項1に記載のタービンノズルアセンブリ(112)。
【請求項3】
前記1以上の翼形部(130)が、前記スロット(174)の第1の周方向側に第1の翼形部(130A)と、第1の翼形部(130A)から前記スロット(174)の第2の周方向側に周方向に離間した第2の翼形部(130B)とを含んでおり、前記応力緩和構造(126)が、周方向に第1の翼形部(130A)よりも第2の翼形部(130B)に近い、請求項2に記載のタービンノズルアセンブリ(112)。
【請求項4】
前記取付レール(158)の前方面(162)と後方面(164)との間に位置し、かつ前記スロット(174)及び前記横長開口(180)を周方向に横断して延在するシールスロット(242)と、
前記シールスロット(242)内に位置する平面シール(244)であって、前記横長開口(180)の曲面(194)と一致する形状の縁部(246)を有する平面シール(244)と
をさらに備える、請求項2に記載のタービンノズルアセンブリ(112)。
【請求項5】
前記取付レール(158)が、前記外側端壁(120)の軸方向後縁(166)に隣接して前記外側端壁(120)に結合している、請求項1に記載のタービンノズルアセンブリ(112)。
【請求項6】
当該タービンノズルアセンブリ(112)が、タービンシステム(108)の第2段(L1)にある、請求項1に記載のタービンノズルアセンブリ(112)。
【請求項7】
タービンノズルアセンブリ(112)であって、
1以上の翼形部(130)と、
前記1以上の翼形部(130)の半径方向外端(132)に結合した外側端壁(120)と、
前記外側端壁(120)に結合した取付レール(158)であって、該取付レール(158)が前記外側端壁(120)から少なくとも部分的に半径方向外側に延在しかつ前記外側端壁(120)に沿って少なくとも部分的に周方向に延在しており、該取付レール(158)が、半径方向外側面(160)、レール厚(T)、及び該取付レール(158)の正圧側周方向端(202)での最後方点(212)に原点(210)を有する取付レール(158)と、
前記取付レール(158)における応力緩和構造(126)であって、該応力緩和構造(126)が、前記取付レール(158)のレール厚(T)を貫通して画成される横長開口(180)を含んでいて、該横長開口(180)が、表2に記載されたX、Y及びZ値のデカルト座標値に実質的に従いかつ前記原点(210)を起点とする公称輪郭を有する形状を有する部分(216)を有しており、前記デカルト座標値が0%~100%の無次元値であって前記取付レール(158)のレール厚(T)の最小X方向範囲(214)を乗じることによって距離に変換でき、X、Y及びZ値を互いに滑らかに結ぶと、前記横長開口(180)の部分(216)の表面輪郭を形成する、応力緩和構造(126)と
を備えるタービンノズルアセンブリ(112)。
【請求項8】
前記応力緩和構造(126)が、
前記取付レール(158)の半径方向外側面(160)に画成された端部開口(170)と、
前記取付レール(158)のレール厚(T)を貫通して画成され、かつ前記端部開口(170)に結合したスロット(174)と
をさらに含んでおり、前記横長開口(180)が、前記スロット(174)の半径方向内側端(182)に結合し、前記横長開口(180)が、前記スロット(174)に対して周方向に非対称に配置されている、請求項7に記載のタービンノズルアセンブリ(112)。
【請求項9】
前記1以上の翼形部(130)が、前記スロット(174)の第1の周方向側に第1の翼形部(130A)と、第1の翼形部(130A)から前記スロット(174)の第2の周方向側に周方向に離間した第2の翼形部(130B)とを含んでおり、前記応力緩和構造(126)が、周方向に第1の翼形部(130A)よりも第2の翼形部(130B)に近い、請求項8に記載のタービンノズルアセンブリ(112)。
【請求項10】
前記取付レール(158)の前方面(162)と後方面(164)との間に位置し、かつ前記スロット(174)及び前記横長開口(180)を周方向に横断して延在するシールスロット(242)と、
前記シールスロット(242)内に位置する平面シール(244)であって、前記横長開口(180)の曲面(194)と一致する形状の縁部(246)を有する平面シール(244)と
をさらに備える、請求項8に記載のタービンノズルアセンブリ(112)。
【請求項11】
前記取付レール(158)が、前記外側端壁(120)の軸方向後縁(166)に隣接して前記外側端壁(120)に結合している、請求項7に記載のタービンノズルアセンブリ(112)。
【請求項12】
当該タービンノズルアセンブリ(112)が、タービンシステム(108)の第2段(L1)にある、請求項7に記載のタービンノズルアセンブリ(112)。
【請求項13】
タービンノズルアセンブリ(112)であって、
1以上の翼形部(130)と、
前記1以上の翼形部(130)の半径方向外端(132)に結合した外側端壁(120)と、
前記外側端壁(120)に結合した取付レール(158)であって、該取付レール(158)が前記外側端壁(120)から少なくとも部分的に半径方向外側に延在しかつ前記外側端壁(120)に沿って少なくとも部分的に周方向に延在しており、該取付レール(158)が、半径方向外側面(160)、レール厚(T)、及び該取付レール(158)の正圧側周方向端(202)での最後方点(212)に原点(210)を有する取付レール(158)と、
前記取付レール(158)に画成された応力緩和構造(126)であって、該応力緩和構造(126)が、前記取付レール(158)のレール厚(T)を貫通して画成される横長開口(180)を含んでいて、該横長開口(180)が、前記原点(210)を起点として表2に記載されたY及びZのデカルト座標値に実質的に従う公称輪郭を有する形状であってタービン(108)のX軸と平行な方向に前記取付レール(158)のレール厚(T)を突き通る形状を有する部分(216)を有しており、前記デカルト座標値が0%~100%の無次元値であって前記取付レール(158)のレール厚(T)の最小X方向範囲(214)を乗じることによって距離に変換でき、Y及びZ値を互いに滑らかに結ぶと、タービン(108)のX軸と平行な方向に前記取付レール(158)のレール厚(T)を貫通する前記横長開口(180)の部分(216)の表面輪郭を形成する、応力緩和構造(126)と
を備えるタービンノズルアセンブリ(112)。
【請求項14】
前記応力緩和構造(126)が、
前記取付レール(158)の半径方向外側面(160)に画成された端部開口(170)と、
前記取付レール(158)のレール厚(T)を貫通して画成され、かつ前記端部開口(170)に結合したスロット(174)と
をさらに含んでおり、前記横長開口(180)が、前記スロット(174)の半径方向内側端(182)に結合し、前記横長開口(180)が、前記スロット(174)に対して周方向に非対称に配置されている、請求項13に記載のタービンノズルアセンブリ(112)。
【請求項15】
前記1以上の翼形部(130)が、前記スロット(174)の第1の周方向側に第1の翼形部(130A)と、第1の翼形部(130A)から前記スロット(174)の第2の周方向側に周方向に離間した第2の翼形部(130B)とを含んでおり、前記応力緩和構造(126)が、周方向に第1の翼形部(130A)よりも第2の翼形部(130B)に近い、請求項14に記載のタービンノズルアセンブリ(112)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、タービンシステムに関し、さらに具体的には、タービンノズルアセンブリの取付レールのための応力緩和構造を含むタービン用のタービンノズルアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
タービンシステムは、回転ブレード及び静止ノズルの段落を含んでおり、後者は作動流体を回転ブレードに向けてそれらを回転させる。一連の周方向に離間したタービンノズルアセンブリは、タービンシステムのノズルセクション又は段落を集合的に形成する。各タービンノズルアセンブリは、半径方向外側端壁に結合した1以上の取付レールを含む。半径方向外側端壁は翼形部によって半径方向内側端壁と結合している。取付レールは、タービンの静止ケーシングに結合される。取付レールは高い応力を受ける可能性がある。図1は、取付レール12における従来の応力緩和構造10の側面図を示す。応力緩和構造10は対称的な配置を有している。この対称的配置は、取付レール12で最も顕著な応力を緩和しない。
【発明の概要】
【0003】
以下に挙げるすべての態様、具体例及び特徴は、技術的に可能な方法で組合せることができる。
【0004】
本開示の一態様は、タービンノズルアセンブリであって、1以上の翼形部と、1以上の翼形部の半径方向内端に結合した内側端壁と、1以上の翼形部の半径方向外端に結合した外側端壁と、外側端壁に結合した取付レールであって、取付レールが外側端壁から少なくとも部分的に半径方向外側に延在しかつ外側端壁に沿って少なくとも部分的に周方向に延在しており、取付レールが、半径方向外側面及びレール厚を有する取付レールと、取付レールに画成された応力緩和構造であって、応力緩和構造が、取付レールの半径方向外側面に画成された端部開口、取付レールのレール厚を貫通して画成されかつ端部開口に結合したスロット、及び取付レールのレール厚を貫通して画成されかつスロットの半径方向内側端に結合した横長開口であって、スロットに対して周方向に非対称に配置されている横長開口を含んでいる、応力緩和構造とを備えるタービンノズルアセンブリを提供する。
【0005】
本開示の別の態様は、上述の態様を包含し、1以上の翼形部は、スロットの第1の周方向側に第1の翼形部と、第1の翼形部からスロットの第2の周方向側に周方向に離間した第2の翼形部とを含んでおり、応力緩和構造は、周方向に第1の翼形部よりも第2の翼形部に近い。
【0006】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、横長開口は、スロットの第1の周方向側に第1の周方向範囲を含んでおり、第1の周方向範囲は、スロットの第2の周方向側の第2の周方向範囲よりも小さい。
【0007】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、横長開口は、周方向にスロットの第1の周方向側に延在する第1の平面、周方向にスロットの第2の周方向側に延在する第2の平面、及び第1の平面と第2の平面とをつなぐ曲面を含む。
【0008】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、曲面は、複数の接続した円弧面を含んでおり、各円弧面は異なる曲率半径を有する。
【0009】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、第1の平面に隣接する曲面の第1の円弧面は、第2の平面に隣接する曲面の第2の円弧面の第2の曲率半径よりも小さい第1の曲率半径を有する。
【0010】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、取付レールの前方面と後方面との間に位置し、かつスロット及び横長開口を周方向に横断して延在するシールスロットと、シールスロット内に位置する平面シールであって、横長開口の曲面と一致する形状の縁部を有する平面シールとをさらに備える。
【0011】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、取付レールは、外側端壁の軸方向後縁に隣接して外側端壁に結合している。
【0012】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、タービンノズルアセンブリは、タービンシステムの第2段落にある。
【0013】
本開示の一態様は、タービンノズルアセンブリであって、第2の翼形部に隣接した第1の翼形部と、第1の翼形部及び第2の翼形部の半径方向内端に結合した内側端壁と、第1の翼形部及び第2の翼形部の半径方向外端に結合した外側端壁と、外側端壁に結合した取付レールであって、取付レールが外側端壁から少なくとも部分的に半径方向外側に延在しかつ外側端壁に沿って少なくとも部分的に周方向に延在しており、取付レールが、半径方向外側面及びレール厚を有する取付レールと、取付レールに画成された応力緩和構造であって、応力緩和構造が、取付レールの半径方向外側面に画成された端部開口、取付レールのレール厚を貫通して画成されかつ端部開口に結合したスロット、及び取付レールのレール厚を貫通して画成されかつスロットの半径方向内側端に結合した横長開口であって、スロットに対して周方向に非対称に配置されている横長開口を含んでいる、応力緩和構造とを備えるタービンノズルアセンブリを包含する。
【0014】
本開示の別の態様は、上述の態様を包含し、第1の翼形部は、スロットの第1の周方向側にあり、第2の翼形部は、第1の翼形部からスロットの第2の周方向側に周方向に離間しており、応力緩和構造は、周方向に第1の翼形部よりも第2の翼形部に近い。
【0015】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、横長開口は、スロットの第1の周方向側に第1の周方向範囲を含んでおり、第1の周方向範囲は、スロットの第2の周方向側の第2の周方向範囲よりも小さい。
【0016】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、横長開口は、周方向にスロットの第1の周方向側に延在する第1の平面、周方向にスロットの第2の周方向側に延在する第2の平面、及び第1の平面と第2の平面とをつなぐ曲面を含む。
【0017】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、曲面は、複数の接続した円弧面を含んでおり、各円弧面は異なる曲率半径を有する。
【0018】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、第1の平面に隣接する曲面の第1の円弧面は、第2の平面に隣接する曲面の第2の円弧面の第2の曲率半径よりも小さい第1の曲率半径を有する。
【0019】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、取付レールの前方面と後方面との間に位置し、かつスロット及び横長開口を周方向に横断して延在するシールスロットと、シールスロット内に位置する平面シールであって、横長開口の曲面と一致する形状の縁部を有する平面シールとをさらに備える。
【0020】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、取付レールは、外側端壁の軸方向後縁に隣接して外側端壁に結合している。
【0021】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、タービンノズルアセンブリは、タービンシステムの第2段落にある。
【0022】
本開示の一態様は、複数のノズル段を含むタービンシステムであって、複数のノズル段の1以上のノズル段が、1以上のタービンノズルアセンブリであって、1以上の翼形部と、1以上の翼形部の半径方向内端に結合した内側端壁と、1以上の翼形部の半径方向外端に結合した外側端壁と、外側端壁に結合した取付レールであって、取付レールが外側端壁から少なくとも部分的に半径方向外側に延在しかつ外側端壁に沿って少なくとも部分的に周方向に延在しており、取付レールが、半径方向外側面及びレール厚を有する取付レールと、取付レールに画成された応力緩和構造であって、応力緩和構造が、取付レールの半径方向外側面に画成された端部開口、取付レールのレール厚を貫通して画成されかつ端部開口に結合したスロット、及び取付レールのレール厚を貫通して画成されかつスロットの半径方向内側端に結合した横長開口であって、スロットに対して周方向に非対称に配置されている横長開口を含んでいる、応力緩和構造とを備える1以上のタービンノズルアセンブリを含んでいる、タービンシステムを包含する。
【0023】
本開示の別の態様は、上述の態様を包含し、1以上のノズル段は、タービンシステムの第2段を含む。
【0024】
本開示の一態様は、タービンノズルアセンブリであって、1以上の翼形部と、1以上の翼形部の半径方向外端に結合した外側端壁と、外側端壁に結合した取付レールであって、取付レールが外側端壁から少なくとも部分的に半径方向外側に延在しかつ外側端壁に沿って少なくとも部分的に周方向に延在しており、取付レールが、半径方向外側面、レール厚、及び取付レールの正圧側周方向端での最後方点に原点を有する取付レールと、取付レールに画成された応力緩和構造であって、応力緩和構造が、取付レールのレール厚を貫通して画成される横長開口を含んでいて、横長開口が、原点を起点として表1に記載されたY及びZのデカルト座標値及び曲率半径に実質的に従って規定される複数の円弧面によって規定される公称輪郭を有する形状であってタービンのX軸と平行な方向に取付レールのレール厚を突き通る形状を有する部分を有しており、デカルト座標値が0%~100%の無次元値であって取付レールのレール厚の最小X方向範囲を乗じることによって距離に変換でき、Y及びZ値を互いに滑らかに結ぶと、タービンのX軸と平行な方向に取付レールのレール厚を貫通する横長開口の部分の表面輪郭を形成する、応力緩和構造とを備えるタービンノズルアセンブリを包含する。
【0025】
本開示の別の態様は、上述の態様を包含し、応力緩和構造は、取付レールの半径方向外側面に画成された端部開口と、取付レールのレール厚を貫通して画成され、かつ端部開口に結合したスロットとをさらに含んでおり、横長開口は、スロットの半径方向内側端部に結合し、横長開口は、スロットに対して周方向に非対称に配置されている。
【0026】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、1以上の翼形部は、スロットの第1の周方向側に第1の翼形部と、第1の翼形部からスロットの第2の周方向側に周方向に離間した第2の翼形部とを含んでおり、応力緩和構造は、周方向に第1の翼形部よりも第2の翼形部に近い。
【0027】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、取付レールの前方面と後方面との間に位置し、かつスロット及び横長開口を周方向に横断して延在するシールスロットと、シールスロット内に位置する平面シールであって、横長開口の曲面と一致する形状の縁部を有する平面シールとをさらに備える。
【0028】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、取付レールは、外側端壁の軸方向後縁に隣接して外側端壁に結合している。
【0029】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、タービンノズルアセンブリは、タービンシステムの第2段落にある。
【0030】
本開示の一態様は、タービンノズルアセンブリであって、1以上の翼形部と、1以上の翼形部の半径方向外端に結合した外側端壁と、外側端壁に結合した取付レールであって、取付レールが外側端壁から少なくとも部分的に半径方向外側に延在しかつ外側端壁に沿って少なくとも部分的に周方向に延在しており、取付レールが、半径方向外側面、レール厚、及び取付レールの正圧側周方向端での最後方点に原点を有する取付レールと、取付レールに画成された応力緩和構造であって、応力緩和構造が、取付レールのレール厚を貫通して画成される横長開口を含んでいて、横長開口が、表2に記載されたX、Y及びZ値のデカルト座標値に実質的に従いかつ原点を起点とする公称輪郭を有する形状を有する部分を有しており、デカルト座標値が0%~100%の無次元値であって取付レールのレール厚の最小X方向範囲を乗じることによって距離に変換でき、X、Y及びZ値を互いに滑らかに結ぶと、横長開口の部分の表面輪郭を形成する、応力緩和構造とを備えるタービンノズルアセンブリに関する。
【0031】
本開示の別の態様は、上述の態様を包含し、応力緩和構造は、取付レールの半径方向外側面に画成された端部開口と、取付レールのレール厚を貫通して画成され、かつ端部開口に結合したスロットとをさらに含んでおり、横長開口は、スロットの半径方向内側端部に結合し、横長開口は、スロットに対して周方向に非対称に配置されている。
【0032】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、1以上の翼形部は、スロットの第1の周方向側に第1の翼形部と、第1の翼形部からスロットの第2の周方向側に周方向に離間した第2の翼形部とを含んでおり、応力緩和構造は、周方向に第1の翼形部よりも第2の翼形部に近い。
【0033】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、取付レールの前方面と後方面との間に位置し、かつスロット及び横長開口を周方向に横断して延在するシールスロットと、シールスロット内に位置する平面シールであって、横長開口の曲面と一致する形状の縁部を有する平面シールとをさらに備える。
【0034】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、取付レールは、外側端壁の軸方向後縁に隣接して外側端壁に結合している。
【0035】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、タービンノズルアセンブリは、タービンシステムの第2段落にある。
【0036】
本開示の一態様は、タービンノズルアセンブリであって、1以上の翼形部と、1以上の翼形部の半径方向外端に結合した外側端壁と、外側端壁に結合した取付レールであって、取付レールが外側端壁から少なくとも部分的に半径方向外側に延在しかつ外側端壁に沿って少なくとも部分的に周方向に延在しており、取付レールが、半径方向外側面、レール厚、及び取付レールの正圧側周方向端での最後方点に原点を有する取付レールと、取付レールに画成された応力緩和構造であって、応力緩和構造が、取付レールのレール厚を貫通して画成される横長開口を含んでいて、横長開口が、原点を起点として表2に記載されたY及びZのデカルト座標値に実質的に従う公称輪郭を有する形状であってタービンのX軸と平行な方向に取付レールのレール厚を突き通る形状を有する部分を有しており、デカルト座標値が0%~100%の無次元値であって取付レールのレール厚の最小X方向範囲を乗じることによって距離に変換でき、Y及びZ値を互いに滑らかに結ぶと、タービンのX軸と平行な方向に取付レールのレール厚を貫通する横長開口の部分の表面輪郭を形成する、応力緩和構造とを備えるタービンノズルアセンブリを包含する。
【0037】
本開示の別の態様は、上述の態様を包含し、応力緩和構造は、取付レールの半径方向外側面に画成された端部開口と、取付レールのレール厚を貫通して画成され、かつ端部開口に結合したスロットとをさらに含んでおり、横長開口は、スロットの半径方向内側端部に結合し、横長開口は、スロットに対して周方向に非対称に配置されている。
【0038】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、1以上の翼形部は、スロットの第1の周方向側に第1の翼形部と、第1の翼形部からスロットの第2の周方向側に周方向に離間した第2の翼形部とを含んでおり、応力緩和構造は、周方向に第1の翼形部よりも第2の翼形部に近い。
【0039】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、取付レールの前方面と後方面との間に位置し、かつスロット及び横長開口を周方向に横断して延在するシールスロットと、シールスロット内に位置する平面シールであって、横長開口の曲面と一致する形状の縁部を有する平面シールとをさらに備える。
【0040】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、取付レールは、外側端壁の軸方向後縁に隣接して外側端壁に結合している。
【0041】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、タービンノズルアセンブリは、タービンシステムの第2段落にある。
【0042】
この発明の概要の欄に記載した態様も含めて、本開示に記載した2以上の態様を組合せて、本明細書に具体的に記載されていない実施態様としてもよい。
【0043】
1以上の実施態様の詳細を、添付の図面及び以下の説明に記載する。その他の特徴、目的及び利点は、発明の詳細な説明、図面並びに特許請求の範囲から明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0044】
本開示の上記その他の特徴については、本開示の様々な実施形態について記載する添付図面と併せて以下の詳細な説明を参照することによって理解を深めることができよう。
図1】取付レール12の従来の応力緩和構造10の側面図。
図2】例示的なターボ機械の簡略化した断面図。
図3図1のターボ機械で使用し得る例示的な4段タービンの断面図。
図4】本開示の実施形態に係る応力緩和構造を含む例示的なタービンノズルアセンブリの前方に観た斜視図。
図5】本開示の別の実施形態に係る応力緩和構造を含む例示的なタービンノズルアセンブリの側面斜視図。
図6】本開示の実施形態に係るタービンノズルアセンブリの取付レールの応力緩和構造の前方及び下方に観た斜視図。
図7】本開示の実施形態に係るタービンノズルアセンブリの取付レールの応力緩和構造の背面図
図8】本開示の実施形態に係る応力緩和構造の横長開口の拡大背面図。
図9】本開示の実施形態に係るタービンノズルアセンブリの取付レールの応力緩和構造の前方及び上方に観た斜視図。
図10】本開示の実施形態に係る取付レールの負圧側周方向端の拡大斜視図。
図11】本開示の実施形態に係る取付レールの正圧側周方向端の拡大斜視図。
図12】本開示の別の実施形態に係るタービンノズルアセンブリの取付レールの応力緩和構造の前方及び下方に観た斜視図。
図13】本開示の実施形態に係る内部にシールプレートを含むタービンノズルアセンブリの取付レールの応力緩和構造の背面図。
【0045】
なお、本開示の図面は必ずしも縮尺通りではない。図面は、本開示の典型的な態様を例示するものにすぎず、本開示の技術的範囲を限定するものではない。図面において、同様の符号は複数の図面間で同様の構成要素を表す。
【発明を実施するための形態】
【0046】
まず、本開示の主題を明確に説明するため、ターボ機械内の関連する機械部品について言及及び説明する際に、用語を選択する必要がある。できるだけ、当技術分野で一般的な用語を、その通常の意味と一致するように用いる。別途記載されていない限り、かかる用語は、本願の文脈及び添付の特許請求の範囲に則して広義に解釈すべきである。ある部品について幾つかの異なる又は重複する用語を用いて言及されることが多々あることは当業者には明らかであろう。本明細書において、単一の部材として記載したものであっても、別の文脈では複数の部品からなるものとして記載することもある。或いは、本明細書のある箇所で複数の部品を含むものとして記載したものであっても、別の箇所では単一の部材として記載することもある。
【0047】
さらに、本明細書では幾つかの記述的用語を繰返し用いるが、本欄の冒頭でこれらの用語を定義しておくと有用であろう。これらの用語及びその定義は、別途明記しない限り、以下の通りである。本明細書で用いる「下流」及び「上流」という用語は、流体の流れ(例えばタービンエンジンを通る作動流体の流れ、或いは燃焼器を通る空気又はタービンの部品系の1つを通る冷却剤の流れなど)に関する方向を示す用語である。「下流」という用語は流体が流れていく方向に対応し、「上流」という用語は流れと反対の方向(すなわち、流れて来る方向)をいう。「前方」及び「後方」という用語は、それ以上は特定されない方向をいい、「前方」はエンジンの前方又は圧縮機端を示し、「後方」はターボ機械の後方セクションを示す。
【0048】
中心軸に対して異なる半径方向位置に配置された部品について説明する必要が多々ある。「半径方向」という用語は、軸に垂直な運動又は位置をいう。例えば、第1の部品が第2の部品よりも軸に近い場合、本明細書では第1の部品は第2の部品の「半径方向内側」又は「中心軸近位側」と記載される。一方、第1の部品が第2の部品よりも軸から遠く位置する場合、本明細書では第1の部品は第2の部品の「半径方向外側」又は「中心軸遠位側」と記載される。「軸方向」という用語は、タービンシャフトのような軸と平行な運動又は位置をいう。最後に、「周方向」という用語は、軸を中心とした運動又は位置をいう。自明であろうが、かかる用語は、タービンの中心軸に対して適用される。ある図面には、半径方向(Z)、軸方向(X)及び周方向(Y)を示す凡例が含まれている。デカルト座標が用いられている場合、凡例の矢印は正の方向を示す。
【0049】
さらに、本明細書では、以下に記載する通り、幾つかの記述的用語を繰返し用いる。「第1」、「第2」及び「第3」という用語は、ある部品を他の部品と区別するために互換的に用いられ、個々の部品の位置又は重要性を示すものではない。
【0050】
本明細書で用いる用語は、特定の実施形態を説明するためのものにすぎず、開示内容を限定するものではない。本明細書において、単数形で記載したものであっても、前後関係から別途明らかでない限り、複数の場合も含めて意味する。本明細書において、「備える」及び/又は「含む」という用語は、記載した特徴、整数、ステップ、操作、構成要素及び/又は部品が存在することを示し、他の1以上の特徴、整数、ステップ、操作、構成要素、部品及び/又はこれらの群の存在又は追加を除外するものではない。「任意」又は「適宜」という用語は、その用語に続いて記載された事象又は状況が起きても起きなくてもよいこと或いはその用語に続いて記載された部品又は構成要素が存在しても存在しなくてもよいことを意味しており、かかる記載はその事象又は状況が起こる場合と起こらない場合並びにその部品又は構成要素が存在する場合と存在しない場合とを包含する。
【0051】
ある構成要素又は層が別の構成要素又は層「の上」、「に係合」、「に接続」又は「に結合」しているという場合、その別の構成要素又は層の上に直接位置していても、その別の構成要素又は層に直接係合、接続又は結合していてもよいし、或いは介在する構成要素又は層が存在していてもよい。対照的に、ある構成要素が別の構成要素又は層「の直接上」、「に直接係合」、「に直接接続」又は「に直接結合」しているという場合、介在する構成要素又は層は存在しない。構成要素間の関係について説明するために用いられる他の用語(例えば、「~の間」と「直接~の間」、「隣接」と「直接隣接」など)も同様に解釈される。本明細書で用いる「及び/又は」という用語は、記載されたものの1以上のあらゆるすべての組合せを包含する。
【0052】
上述の通り、本開示は、タービンノズルアセンブリ及びタービンノズルアセンブリを含むタービンシステムを提供する。タービンノズルアセンブリは、1以上の翼形部と、1以上の翼形部の半径方向外端に結合した外側端壁とを含む。タービンノズルアセンブリは、半径方向外側端壁に結合した取付レールも含んでおり、取付レールは、外側端壁から少なくとも部分的に半径方向外側に延在し、かつ外側端壁に沿って少なくとも部分的に周方向に延在する。取付レールは、半径方向外側面及びレール厚も有する。応力緩和構造は、取付レールに画成される。応力緩和構造は、取付レールの半径方向外側面に画成された端部開口と、取付レールのレール厚を貫通して画成されかつ端部開口に結合したスロットとを含む。応力緩和構造は、取付レールのレール厚を貫通して画成され、スロットの半径方向内側端に結合した横長開口も含む。横長開口は、応力が最も高い箇所で応力を緩和するため、スロットに対して周方向に非対称に配置される。横長開口の一部は、本明細書に記載される本開示の様々な実施形態に従って、応力が最も高い箇所で応力を緩和するため、さらに具体的に規定することもできる。
【0053】
図面を参照すると、図2は燃焼タービン又はガスタービン(GT)システム100(以下、「GTシステム100」)の形態の例示的なターボ機械90の概略図である。GTシステム100は、圧縮機102及び燃焼器104を含む。燃焼器104は、燃焼領域105及び燃料ノズルアセンブリ106を有する。GTシステム100は、タービン108及び共通の圧縮機/タービンシャフト110(以下「ロータ110」という)を含む。
【0054】
一実施形態では、GTシステム100は、General Electric社(米国サウスカロライナ州グリーンビル)から市販の7HA.02エンジンである。本開示は、いかなるGTシステム又はタービンシステムに限定されるものではなく、例えば、General Electric社の他のHA、F、B、LM、GT、TM及びEクラスエンジンモデル並びに他社のエンジンモデルを始めとする、他のエンジンに関しても実施し得る。さらに、本開示の教示内容は、必ずしもGTシステムにしか適用できないものではなく、他のタイプのターボ機械、例えば蒸気タービン、ジェットエンジン、圧縮機等にも適用し得る。
【0055】
図3は、図2のGTシステムで使用し得る4つの段落L0~L3を備えるタービン108の例示的な部分の断面図を示す。4つの段落は、L0、L1、L2及びL3と記載されている。段落L0は第1段であり、4つの段落の中で最小(半径方向に)である。段落L1は第2段であり、軸方向に次の段落である。段落L2は第3段であり、軸方向に次の段落である。段落L3は最後の第4段であり、最大(半径方向に)である。なお、4つの段落は一例にすぎず、各タービンは5段以上であっても4段未満であってもよい。
【0056】
一組の静翼又はノズルアセンブリ112は、一組の動翼114と協働でタービン108の各段落L0~L3を形成し、タービン108を通る流体経路の一部を画成する。各組の動翼114はそれぞれのロータホイール116に結合しており、ロータホイール116は動翼114をロータ110(図2)に周方向に結合する。換言すると、複数の動翼114は、各ロータホイール116に周方向に離間して機械的に結合される。静止ノズルセクション又は段落115は、ロータ110の周りで周方向に離間した複数の静止ノズルアセンブリ112を含む。各タービンノズルアセンブリ112(以下「ノズルアセンブリ112」)は、1以上の翼形部130と接続した端壁(又はプラットフォーム)120,122を含む。図に示す例では、ノズルアセンブリ112は、1以上の翼形部130の半径方向外端132に結合した半径方向外側端壁120を含む。ノズルアセンブリ112は、1以上の翼形部130の半径方向内端134に結合した半径方向内側端壁122も含む。半径方向外側端壁120は、各ノズルアセンブリ112をタービン108のケーシング124に結合する。
【0057】
運転中、空気が圧縮機102を流れ、圧縮空気が燃焼器104に供給される。具体的には、圧縮空気は、燃焼器104に内蔵された燃料ノズルアセンブリ106に供給される。燃料ノズルアセンブリ106は燃焼領域105と流体連通している。燃料ノズルアセンブリ106は燃料源(図2には図示せず)とも流体連通しており、燃料及び空気を燃焼領域105に導く。燃焼器104は、燃料を着火して燃焼させる。燃焼器104はタービン108と流体連通しており、そこでガス流の熱エネルギーは機械的回転エネルギーへと変換される。タービン108は、ロータ110に回転可能に結合し、ロータ110を駆動する。圧縮機102もロータ110と回転可能に結合している。例示的な実施形態では、複数の燃焼器104及び燃料ノズルアセンブリ106がある。以下の説明では、別途明示しない限り、各部品の一つしか説明しない。ロータ110の少なくとも一方の端部は、タービン108から軸方向に延在していてもよく、発電機、負荷圧縮機及び/又は別のタービンのような負荷又は機械(図示せず)に取り付けられていてもよい。
【0058】
次に図4及び図5を参照すると、様々な実施形態に係る応力緩和構造126を含むタービン静翼又はノズルアセンブリ112の斜視図が示してある。図4は、複数のノズル128(例えば2枚のノズル)を含むノズルアセンブリ112の前方に観た斜視図を示し、図5は、1枚のノズル128を備えるノズルアセンブリ112の側面斜視図を示す。ノズルアセンブリ112は、任意の数のノズル128(つまり少なくとも外側端壁120とつながる翼形部130)を含むことができる。いずれにしても、ノズルアセンブリ112は静止部品であり、上述の通り、静止ノズルセクション又は段落115(図3)の一部及びタービン108のある段落の静止ノズルアセンブリ112(図3)の環状体の一部を形成する。タービン108(図3)の運転中、各ノズルアセンブリ112における1以上のノズル128は、作動流体(例えばガス又は蒸気)の流れを1以上の動翼(例えば動翼114)に導いてそれらの動翼がロータ110(図2)を回転せしめるようにするため、静止したままである。なお、各ノズルアセンブリ112は、タービン108(図2図3)の段落L0~L3(図3)でノズル128の環状体を形成するために、複数の同様又は別個のノズルアセンブリ112と結合(締結具、溶接部、スロット/溝などによる機械的結合)するように構成し得る。
【0059】
タービンノズルアセンブリ112は任意の数のノズル128を含んでいてもよく、各ノズルは翼形部130を含む。そこで、各タービンノズルアセンブリ112は1以上の翼形部130を含むことができる。各翼形部130は、凸面状負圧側140と負圧側140とは反対側の凹面状正圧側142(図4及び図5では後者は見えない)とを有する。ノズルアセンブリ112の各翼形部130は、正圧側142と負圧側140の間をまたぐ前縁144と、前縁144と反対側で正圧側142と負圧側140の間をまたぐ後縁148とを含む。図4は、2枚のノズル128A,128Bを有し、第1の翼形部130A及び第2の翼形部130Bを有する実施形態を示す。図5は、1枚のノズル128を有し、1つの翼形部130しか有しない実施形態を示す。
【0060】
ノズルアセンブリ112は、負圧側140、正圧側142、後縁148及び前縁144に沿って翼形部130とつながる1以上の端壁120,122(図には2つ示してある)を含むこともできる。図に示す例では、ノズルアセンブリ112は、半径方向外側端壁120及び半径方向内側端壁122を含む。半径方向外側端壁120は、静止ノズルセクション115(図3)の半径方向外側で整列し、各ノズルアセンブリ112をタービン108(図3)のケーシング124(図3)に結合するように構成されている。半径方向内側端壁122は、静止ノズルセクション115(図3)の半径方向内側で整列するように構成され、タービン108を通る高温ガス経路の半径方向内側境界を画成する。
【0061】
各ノズルアセンブリ112は、ノズルアセンブリをケーシング124に取り付けるための外側端壁120に結合した取付レール158(図3)も含む。例えば図4及び図5には、2つの取付レール158が示してある。各取付レール158は、外側端壁120から少なくとも部分的に半径方向外側(つまりZ方向)に延在するが、レールの一部は外側端壁の外面の下方にあってもよい。各取付レール158は、少なくとも部分的に外側端壁120に沿って周方向(つまりY方向)に延在する。各取付レール158は、半径方向外側面160、前方面162、後方面164、及び前方面162と後方面164の間のレール厚Tを有する。各取付レールの厚さTは、例えば前方面162及び/又は後方面164上の突起等によって、半径方向に変動し得る。表面162,164は、ノズルアセンブリ112をケーシング124(図3)に取り付けるために必要とされる任意の形状を有することができる。場合によっては、取付レール158は、そのフック状の形状のゆえに「フック」と呼ばれることもある。
【0062】
1以上の取付レール158での応力は、メンテナンスを必要とするおそれがある。応力に対処するため、本開示の実施形態は、ノズルアセンブリ112の1以上の取付レール158に応力緩和構造126を用いる。典型的には、応力緩和構造126は、外側端壁120の軸方向後縁166に隣接する外側端壁120に結合した後方取付レール158Aだけで実施されるが、タービン108の1以上のノズルアセンブリ112内の任意の取付レール158で用いることができる。説明の便宜上、応力緩和構造126は、後方取付レール158Aに関して説明する。
【0063】
図6及び図7は、それぞれ、本開示の実施形態に係る取付レール158Aの応力緩和構造126の前方及び下方に観た視斜視図及び背面図を示す。応力緩和構造126は、応力緩和が望まれる取付レール158の周方向範囲に沿った任意の場所に配置することができる。一実施形態では、図4に示すように、ノズルアセンブリ112に第1の翼形部130A及び第2の翼形部130Bが用いられている場合、応力緩和構造126は、周方向に第1の翼形部130Aよりも第2の翼形部130Bに近い。すなわち、翼形部130Aと翼形部130Bの間の取付レール158Aの周方向長さにおいて、応力緩和構造126は第2の翼形部130Bの近くに位置する。図4及び図6に示す例では、応力緩和構造126は第2の翼形部130B(図4図6及び図7のような背面図では時計回りに最も先方又は右側)に近い。正確な位置は、例えば、他の構造を避けるとともに、応力が最も顕著な箇所に応力緩和構造126を位置付けることに基づいてユーザが選択できる。
【0064】
応力緩和構造126(以下「構造126」)は、取付レール158の半径方向外側面160に画成された端部開口170を含んでいてもよい。端部開口170は、取付レール158の半径方向外側面160でのフライス加工又はワイヤ放電加工(EDM)などの任意の技術を用いて形成することができる。端部開口170は、取付レール158内に部分的にしか延在せず、その半径方向範囲の一部だけが外側端壁120の半径方向最外面の上方にある。したがって、端部開口170は、取付レール158の半径方向外側面160を貫通し、略半径方向外側に向かって開口している。図7に示すように、端部開口170は、凹形状及び周方向幅W1を有していてもよく、例えば取付レール158の強度を維持しながら応力を緩和するように選択できる。端部開口170は、取付レール158の前方面162(図6)から後方面164まで延在しており、レール厚T(図6)全体を貫通している。端部開口170は湾曲隅部172をもつものとして示してあるが、これは必ずしも必要でないこともある。
【0065】
構造126は、取付レール158のレール厚T(図6)を貫通して画成され、端部開口170に(流体)結合したスロット174を含んでいてもよい。スロット174は、取付レール158の前方面162から後方面164まで延在しており、その半径方向外端176(図7)で開口して端部開口170と流体連通している。スロット174は、取付レール158内で略半径方向Zに延在しているが、いくつかの図面で看取できるように半径方向Zに対してある角度で傾斜していてもよい。さらに、スロット174は、取付レール158内で略直線的に延在しているが、半径方向Zに対してある程度の湾曲を有していてもよい。スロット174は、任意の技術(例えば取付レール158でのワイヤEDM)を用いて形成できる。スロット174は、所望の応力緩和をもたらすことが望まれる任意の周方向幅W2及び任意の半径方向深さD1を有し得る。図4に示すように、第1の翼形部130Aはスロット174の第1の周方向側(図に示す背面図では左側)にあり、第2の翼形部130Bは、第1の翼形部130Aからスロット174の第2の周方向側に周方向に離間している。
【0066】
構造126は、取付レール158のレール厚Tを貫通して画成され、スロット174の半径方向内端182(図7)に結合した横長開口180も含む。横長開口180はこうしてスロット174と流体連通している。横長開口180は、略楕円形或いは全体的に丸く幾分細長い断面形状を有することができる。図7に示す例では、横長開口180は、スロット174の第1の周方向側(図では左側)に延在する第1の周方向平面190と、スロット174の第2の周方向側(図では右側)に延在する第2の周方向平面192とを含む。平面190,192は、スロット174に対して垂直であってもよく、半径方向に互いに整列していてもよい。曲面194で、第1の周方向平面190と第2の周方向平面192とをつなぐことができる。その他、表面190,192も丸みを帯びている略楕円形の形状も可能である。
【0067】
横長開口180は、スロット174に対して周方向(Y)に非対称に配置される。所望に応じて応力を緩和するため、非対称性は本開示の様々な実施形態に従う様々な形態を取り得る。様々な実施形態を個別に又は集合的に用いることができる。図7に示すように、応力緩和構造126(端部開口170、スロット174及び横長開口180を含む)は、ワイングラスのような全体形状の断面を有するが、底部(つまり横長開口180)は非対称である。
【0068】
横長開口180の形状に関して、一実施形態では、横長開口180は、スロット174に対して取付レール158内での長さを一方の周方向で他方の周方向よりも大きくすることによって非対称としてもよい。さらに具体的には、図7に示すように、横長開口180は、スロット174の第1の周方向側(図では左側)に第1の周方向範囲184(周方向幅W3を有する)を含んでいて、第1の周方向範囲184を、スロット174の第2の周方向側(図では右側)の第2の周方向範囲186(周方向幅W4を有する)よりも小さくしてもよい。スロット174の第2の周方向側にある横長開口180の第2の周方向範囲口186は、スロット174の第1の周方向側の第1の周方向範囲184よりも第2の翼形部130B近くに延在している。こうして、構造126は、応力が最も顕著なところで応力を緩和するように構成し得る。周方向にどちらの範囲を大きくするかは、必要に応じて切り替えることができる。スロット174の両側での横長開口180の曲率は同一であっても、異なっていてもよい。
【0069】
別の実施形態では、例えば図8に示すように、非対称性は、スロット174の異なる周方向側で横長開口180の形状を異なるものとすることによって実施し得る。こうして、構造126は、応力が最も顕著なところで応力を緩和するように構成し得る。図8は、本開示の様々な実施形態によ係るスロット174及び横長開口180の拡大背面図を示す。曲面194は、(上述の異なる範囲に代えて或いはそれに加えて)非対称性を形成するために、スロット174の異なる側で異なる形状を有しいてもよい。例えば、曲面194は、異なる曲率半径(RC)の半径を有する2以上の円弧面を含む、複数の円弧面196をつなげたものであってもよい。円弧面196を互いにつないで(周方向平面190,192が設けられている場合にはそれらにつないで)滑らかな面を形成してもよい。
【0070】
円弧面196の位置について、図9図11を参照してさらに説明する。図9は、構造126を含むタービンノズルアセンブリ112の外側端壁120を前方及び上方(半径方向外側)に観た斜視図を示す。図10は、取付レール158の負圧側周方向端200の拡大斜視図を示し、図11は、取付レール158の正圧側周方向端202の拡大斜視図を示す。なお、正圧側及び負圧側周方向端は、ノズルアセンブリ112上での翼形部130の方向に関するものである。図9及び図11に示すように、取付レール158は、その正圧側周方向端202の最後方点を原点210(すなわち横長開口180の円弧面196の曲率中心を位置付ける基準点)として含んでいる。(本明細書でさらに説明する通り、原点210は、横長開口180の部分216(図8及び図12に示す)のデカルト座標で表される表面輪郭の基準点としても機能する。)。図9に示すように、Y軸は周方向に延在しており、取付レール158の後方面164と平行である。したがって、Y軸は、取付レール158の負圧側周方向端200の最後方点212も通る。
【0071】
図8に戻ると、複数の円弧面196A-Eが示してある。この例では、5つの円弧面196A-Eが用いられているが、別の実施形態では、円弧面196の数を増減することもできる。各円弧面196A-Eは、曲率半径(RC)の異なるそれぞれの半径R1-5を有する。曲率半径(RC)の範囲は、応力を緩和するように選択することができ、ある非限定的な例では、1.0mm~42.0mmの範囲内で変更し得る。図8に示す例では、第1の周方向平面190に隣接する曲面194の第1の円弧面196Aが有する第1の曲率半径(半径R1)は、第2の周方向平面192に隣接する曲面194の第2の円弧面196Eの曲率半径(半径R5)よりも小さい。
【0072】
ある実施形態では、取付レール158における応力緩和構造126は、取付レール158のレール厚T(図6)を貫通して画成された横長開口180を含んでおり、横長開口180は、表1に記載されたY及びZのデカルト座標値及び曲率半径(RC)に実質的に従って規定される複数の円弧面196A-Eによって規定される公称輪郭を有する形状を有する部分216(図8)を有する。デカルト座標は、原点210(すなわち、取付レール158の正圧側周方向端の最後方点)を起点とする。この形状は、タービン108のX軸(例えば図9図11の凡例に従う、つまり図8の頁面に対して上下垂直な方向)と平行な方向に取付レール158のレール厚T(図6)を突き通っている。すなわち、横長開口180の部分216は、表1の円弧面196A-Eで規定される形状を有し、タービン108のX軸と平行な方向に取付レール158のレール厚T(図6)を貫通している(及びレール厚のX方向範囲を有している)。
【0073】
デカルト座標値(Y及びZ)及び曲率半径の値は0%~100%の無次元値であり、その値に距離の単位で表される特定の正規化パラメータ値を乗じることによって距離に変換できる。すなわち、表中のY及びZ値並びに曲率半径の値は正規化パラメータの百分率であり、正規化パラメータの実際の所望距離の乗算によって、正規化パラメータのその実際の所望距離を有する取付レール158に対する横長開口180の各円弧面196A-Eの中心の実際の座標が得られる。図10に示すように、正規化パラメータとしては、取付レール158の最小X方向範囲214、すなわち最小レール厚T(図6)が挙げられる。(取付レール158の負圧側周方向端200に示してあるが、実際の最小X方向範囲214は、取付レール158の他の箇所に位置していてもよい。)。したがって、各円弧面196の実際のY及びZ値並びに曲率半径値は、表1の値に実際の所望の最小X方向範囲214(例えば2.1cm)を乗じることによって得ることができる。いずれにしても、複数の円弧面196A-Eを互いに滑らかにつなぐと、タービン108のX軸と平行な方向に取付レール158のレール厚を貫通する横長開口180の部分216の表面輪郭が形成される。
【0074】
【表1】
【0075】
この例では、スロット174の第1の周方向側(図では左側)の横長開口180は、半径R1の使用及び/又は横長開口180の短い範囲184の使用によって、第2の側周方向側(図示の右側)よりも多くの応力を緩和する。横長開口180は、取付レール158内の所望の位置に所望の応力緩和をもたらすための任意の非対称形状を有することができる。
【0076】
別の実施形態では、取付レール158における応力緩和構造126は、取付レール158のレール厚T(図6)を貫通して画成される横長開口180であって、表2に記載されたX、Y及びZのデカルト座標値に実質的に従って規定される公称輪郭を有する部分216(図8)を有する横長開口180を含んでいてもよい。デカルト座標は、原点210(すなわち、取付レール158の正圧側周方向端の最後方点)を起点とする。デカルト座標値は0%~100%の無次元値であり、その値に距離の単位で表される特定の正規化パラメータ値を乗じることによって距離に変換できる。すなわち、表2のX、Y及びZ値は正規化パラメータの百分率であり、正規化パラメータの実際の所望距離の乗算によって、正規化パラメータのその実際の所望距離を有する取付レール158に対する横長開口180の部分216の実際の座標が得られる。図10に示すように、正規化パラメータとしては、取付レール158のレール厚の最小X方向範囲214が挙げられる。(再言になるが、取付レール158の負圧側周方向端200に示してあるが、実際の最小X方向範囲214は、取付レール158の他の箇所に位置していてもよい。)。したがって、実際のX、Y及びZ値は、表2の値に実際の所望の最小X方向範囲214(例えば2.1cm)を乗じることによって得ることができる。いずれにしても、X、Y及びZ値を互いに滑らかに結ぶと、取付レール158のレール厚を貫通する横長開口180の部分216の表面輪郭が形成される。
【0077】
【表2】
【0078】
図12を参照すると、別の実施形態では、取付レール158における応力緩和構造126は、取付レール158のレール厚Tを貫通して画成される横長開口180であって、表2に記載されたY及びZのデカルト座標値に実質的に従って規定される公称輪郭を有する部分216を有する横長開口180を含んでいてもよい。デカルト座標は、原点210(すなわち、取付レール158の正圧側周方向端の最後方点)を起点とする。図12に示すように、部分216の形状は、タービン108のX軸(例えば図12の凡例に従う)と平行な方向に取付レール158のレール厚Tを突き通っている。すなわち、横長開口180の部分216は、表2のY値及びZ値によって規定される形状を有し、タービン108のX軸と平行な方向に取付レール158のレール厚Tを貫通している(及び潜在的に変化するレール厚Tに応じて変化するX方向範囲を有する)。ここでは、表2のX座標は無視され、横長開口180の部分216のX方向範囲は、タービン108のX軸と平行な方向での取付レール158の潜在的に変化するレール厚Tによって規定される。
【0079】
デカルト座標値は、0%~100%の無次元値であり、その値に距離の単位で表される特定の正規化パラメータ値を乗じることによって距離に変換できる。すなわち、ここでも、表2のY値及びZ値は正規化パラメータの百分率であり、正規化パラメータの実際の所望距離の乗算によって、正規化パラメータのその実際の所望距離を有する取付レール158に対する横長開口180の部分216の実際の座標が得られる。ここでも、図10に示すように、正規化パラメータとして、取付レール158のレール厚の最小X方向範囲214が挙げられる。(上述の通り、取付レール158の負圧側周方向端200に示してあるが、実際の最小X方向範囲214は、取付レール158の他の箇所に位置していてもよい。)。したがって、実際のY値及びZ値は、表2の値に実際の所望の最小X方向範囲214(例えば2.1cm)を乗じることによって得ることができる。いずれにしても、Y及びZ値を互いに滑らかに結ぶと、タービン108のX軸(図3)と平行な方向に取付レール158のレール厚Tを貫通する横長開口180の部分216の表面輪郭が形成される。
【0080】
上述の通り、本明細書に記載した様々な表中の値は、周囲又は非作動又は非高温条件下での様々な表面の公称輪郭を決定するために生成しかつ小数点以下3桁まで示す無次元化した値であり、いかなる皮膜又はフィレットも考慮していないが、実施形態によっては、他の条件、皮膜及び/又はフィレットを考慮してもよい。特定の実施形態では、典型的な製造公差及び/又は皮膜厚さを見込んで、正規化パラメータ、すなわち取付レール158の最小X方向範囲214に±値を追加してもよい。例えば、一実施形態では、低温又は室温での応力緩和構造の表面輪郭のための包絡線を定めるため、取付レール158の最小X方向範囲214に±15%の公差を適用することができる。
【0081】
他の実施形態では、典型的な製造公差及び/又は皮膜厚さを見込んで、表に記載された値に±値を追加してもよい。例えば、一実施形態では、任意の表面に垂直な方向の厚さの±15%の公差によって、低温又は室温での応力緩和構造の輪郭包絡線を定めることができる。換言すると、表面輪郭に沿った任意の表面に垂直な方向における厚さの15%の距離は、特に低温又は室温での、実際の表面での測定点と本開示によって具体化されるそれらの点の理想的な位置との間の変動の範囲を定める。別の実施形態では、任意の表面に垂直な方向の厚さの±20%の公差によって、低温又は室温での応力緩和構造の輪郭包絡線を定めることができる。本明細書で具体化される表面輪郭はこれらの変動の範囲に対してロバストであり、機械的及び空力的機能を損なわない。
【0082】
さらに横長開口180及び/又は部分216の形状の様々な実施形態に関して、表に列挙された円弧面196及び/又はデータ点を(線及び/又は円弧で)互いに滑らかに結ぶと、横長開口180及び/又は横長開口180の部分216の表面輪郭が形成されるが、ノズルアセンブリ112及び/又は取付レール158に適した曲面を生成する現在公知の又は将来開発される任意のカーブフィッティング技術を用いることができる。カーブフィッティング技術としては、限定されるものではないが、外挿、補間、平滑化、多項式回帰及び/又は他の数学的カーブフィッティング関数が挙げられる。カーブフィッティング技術は、手動及び/又は計算機で(例えば統計及び/又は数値解析ソフトウェアによって)実行し得る。
【0083】
再び図6を参照すると、タービンノズルアセンブリ112は、外側端壁120及び取付レール158によって翼形部130の内部部材に(翼形部130の内部と流体連通している外側端壁120の開口232を介して)導かれる冷却流体230も有する。図6及び図7は、本会時の実施形態に係るシールシステム240を、組み立てられていない形態で示す。図13は、図7と同様の応力緩和構造126の背面図を示すが、組み立てられた形態のシールシステム240を含むタービンノズルアセンブリ112(図6)の応力緩和構造126を示す。図6図7及び図13を参照すると、シールシステム240は、タービン108(図3)の高温作動流体から冷却流体230を隔てるため、取付レール158の軸方向後方の空間を取付レール158の軸方向前方(軸Xに沿って)の空間からシールする。そのため、タービンノズルアセンブリ112は、取付レール158の前方面162と後方面164の間(取付レール158の端部開口170内)に位置し、かつスロット174及び横長開口180を周方向に横断して延在するシールスロット242を含む。シールスロット242は、図6に最も明瞭に示されており、図7及び図13では破線で示してある。シールスロット242は、周方向にスロット174に開口しており、半径方向に横長開口180の上方に開口している。シールスロット242は、任意の技術、例えば取付レール158へのワイヤEDMを用いて形成することができる。
【0084】
タービンノズルアセンブリ112は、シールスロット242内に位置する平面シール244を含んでいてもよい。平面シール244は、シールスロット242内に摺動して半径方向に嵌合するようなサイズ及び形状にされ、横長開口180の曲面194(例えばその部分216(図8)の一部)と一致する形状の半径方向内側縁部246を含む。平面シール244は、端部開口170を通してシールスロット242に導入することができる。平面シール244は、端部開口170の底面218と同一平面上にある半径方向外側縁部248を含む。自明であろうが、タービンノズルアセンブリ112と、動翼114(図3)の先端から半径方向外側にあるシュラウド250(図3)との間の別のシール(図示せず)が、取付レール158Aの後方面164を横断して端部開口170を覆っている。こうして、ノズルアセンブリ及びシュラウドシール(図示せず)を用いて、平面シール244は、スロット174及び横長開口180を通しての流体連通を防ぐことができる。取付レール158及び外側端壁120と共に、シールシステム240及びノズルアセンブリ112並びにシュラウドシール(図示せず)は、タービン108(図3)の高温の作動流体から冷却流体230を保護する。
【0085】
再び図3を参照すると、様々な実施形態では、タービンノズルアセンブリ112は、第1段(L0)ノズル、第2段(L1)ノズル、第3段(L2)ノズル及び第4段(L3)ノズルとすることができる。特定の実施形態では、タービンノズルアセンブリ112は、タービン108の第2段(L1)ノズル内にあり、ノズルアセンブリ112内の効力緩和構造126は、第2段(L1)ノズルが第2段でのその内部の応力に耐えれるようにする。様々な実施形態では、タービン108は、タービン108の第1段(L0)だけ、又は第3段(L2)だけ或いはタービン108の第4段(L3)だけにノズル112のセットを含んでいてもよい。
【0086】
本開示の実施形態は、必要に応じて、さらに精密な応力緩和をもたらす取付レール応力緩和構造を有するタービンノズルアセンブリを提供する。ある非限定的な例では、応力緩和構造は、メンテナンス間隔内の取付レールの亀裂発生の確率を典型的な90%から15%へと減少させた。応力緩和構造は、例えば限定されるものではないがノズルの後縁のような、取付レールの隣接構造にも応力緩和をもたらし得る。
【0087】
本明細書及び特許請求の範囲で用いる近似表現は、数量の修飾語であって、その数量が関係する基本機能に変化をもたらさない許容範囲内で変動し得る数量を表すために適用される。したがって、「約」、「略」及び「実質的に」のような用語で修飾された値はその厳密な数値に限定されない。場合によっては、近似表現は、その値を測定する機器の精度に対応する。本明細書及び特許請求の範囲において、数値限定の範囲は互いに結合及び/又は交換可能であり、かかる範囲は、前後関係等から別途明らかでない限り、その範囲に含まれるあらゆる部分範囲を特定しかつ包含する。範囲の特定の値に用いられる「約」は、上下限に適用され、その値を測定する機器の精度に依存する場合を除いて、記載された数値の±10%を示すことがある。
【0088】
以下の特許請求の範囲において機能的記載によって特定された構成要素の対応する構造、材料、行為及び均等物は、特許請求の範囲に具体的に記載された他の構成要素と組合せて機能を発揮するあらゆる構造、材料又は行為を包含する。本開示の記載は、例示及び説明を目的としたものであり、網羅的なものでもなければ、開示された形態に限定するものでもない。本開示の技術的範囲及び技術的思想から逸脱せずに、数多くの修正及び変形が当業者には明らかであろう。本開示の実施形態は、本開示の原理及び実用的用途の説明として最も適しかつ当業者が様々な実施形態に関する開示内容及び特定の用途に適した様々な修正について理解できるように、選択して記載したものである。
【符号の説明】
【0089】
10 従来技術の応力緩和構造
12 従来技術の取付レール
L0 タービンの第1段
L1 タービンの第2段
L2 タービンの第3段
L3 タービンの第4段
108 タービン
112 タービンノズルアセンブリ
114 動翼
115 静止ノズルセクション
116 ローターホイール
120 タービンノズルアセンブリの外側端壁
124 ケーシング
126 応力緩和構造
128 ノズル
130 翼形部
130A 第1の翼形部
130B 第2の翼形部
158 取付レール
160 取付レールの半径方向外側面
162 取付レールの前方面
164 取付レールの後方面
170 端部開口
174 スロット
180 横長開口
196A-E 横長開口の公称輪郭を規定する円弧面
210 原点
214 レール厚の最小X方向範囲
240 シールシステム
242 シールスロット
244 平面シール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【外国語明細書】