(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024023143
(43)【公開日】2024-02-21
(54)【発明の名称】エアロゾル発生装置及びその発熱モジュール
(51)【国際特許分類】
A24F 40/46 20200101AFI20240214BHJP
A24F 40/20 20200101ALI20240214BHJP
A24F 40/40 20200101ALI20240214BHJP
【FI】
A24F40/46
A24F40/20
A24F40/40
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023123265
(22)【出願日】2023-07-28
(31)【優先権主張番号】202210946055.6
(32)【優先日】2022-08-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】522373541
【氏名又は名称】海南摩爾兄弟科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】Hainan Moore Brothers Technology Co., Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】盧相安
(72)【発明者】
【氏名】文豪
(72)【発明者】
【氏名】蒋振龍
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA03
4B162AA22
4B162AB12
4B162AC22
4B162AC50
(57)【要約】 (修正有)
【課題】本発明は、エアロゾル発生装置及びその発熱モジュールに関する。
【解決手段】発熱モジュールは、発熱ロッド、前記発熱ロッドを部分的に包むカバーフィルム、及び前記発熱ロッドに覆設される固定ベースを含む。前記固定ベースには組付孔が形成されている。前記発熱ロッドは、前記カバーフィルムが設けられている機能部分と、前記カバーフィルムが設けられていない組付部分を含む。前記組付部分は前記組付孔に収容される。発熱ロッドの組付部分はカバーフィルムで覆われていないため、高い加工精度を有する。これにより、組付部分と組付孔との組み合わせ隙間が大幅に減少することから、製品の直角度の歩留まりが向上する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生装置に用いられる発熱モジュールであって、
発熱ロッド(11)、前記発熱ロッド(11)を部分的に包むカバーフィルム(12)、及び前記発熱ロッド(11)に覆設される固定ベース(14)を含み、前記固定ベース(14)には組付孔(140)が形成されており、前記発熱ロッド(11)は、前記カバーフィルム(12)が設けられている機能部分(111)と、前記カバーフィルム(12)が設けられていない組付部分(112)を含み、前記組付部分(112)は前記組付孔(140)に収容されることを特徴とする発熱モジュール。
【請求項2】
前記発熱ロッド(11)は円柱状をなしており、前記機能部分(111)及び前記組付部分(112)は、前記発熱ロッド(11)の軸方向に沿って配置されることを特徴とする請求項1に記載の発熱モジュール。
【請求項3】
前記機能部分(111)は完全に前記固定ベース(14)の外側に位置しており、前記機能部分(111)における前記組付部分(112)に接続される一端の端面は前記固定ベース(14)の端面に当接し、或いは、前記機能部分(111)における前記組付部分(112)に接続される一端の端面は前記固定ベース(14)との間に間隔を有することを特徴とする請求項1に記載の発熱モジュール。
【請求項4】
前記固定ベース(14)には、更に、前記組付孔(140)と連通する取付孔(142)が形成されており、前記機能部分(111)は、一部が前記取付孔(142)に収容されることを特徴とする請求項1に記載の発熱モジュール。
【請求項5】
前記取付孔(142)の横断面のサイズは、前記組付孔(140)の横断面のサイズよりも大きく、これにより、前記取付孔(142)と前記組付孔(140)の間には段差面(143)が形成されており、前記機能部分(111)における前記組付部分(112)に接続される一端の端面は前記段差面(143)に当接することを特徴とする請求項4に記載の発熱モジュール。
【請求項6】
前記発熱ロッド(11)は尖形部分(113)を更に含み、前記尖形部分(113)と前記組付部分(112)はそれぞれ前記機能部分(111)の両端に位置することを特徴とする請求項1に記載の発熱モジュール。
【請求項7】
前記カバーフィルム(12)は、ベースフィルム(122)と、前記ベースフィルム(122)に設置される発熱フィルム(121)を含むことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の発熱モジュール。
【請求項8】
前記発熱フィルム(121)は前記ベースフィルム(122)の内側に設置されることを特徴とする請求項7に記載の発熱モジュール。
【請求項9】
前記カバーフィルム(12)は、更に、前記ベースフィルム(122)に設置されるとともに前記発熱フィルム(121)に接続される2つの導電性フィルム(123)を含み、前記発熱モジュールは、更に、前記2つの導電性フィルム(123)にそれぞれ接続される2つの電極リード線(13)を含むことを特徴とする請求項8に記載の発熱モジュール。
【請求項10】
前記ベースフィルム(122)には2つの導通孔(1220)が形成されており、各前記導電性フィルム(123)は、いずれも、前記ベースフィルム(122)の外側に設置されるとともに前記電極リード線(13)に接続される外部接続部(1232)と、前記導通孔(1220)内に設置されるとともに前記発熱フィルム(121)に接続される導通部(1231)を含むことを特徴とする請求項9に記載の発熱モジュール。
【請求項11】
前記発熱ロッド(11)は絶縁材料を用いて製造され、前記発熱フィルム(121)は前記発熱ロッド(11)に密着することを特徴とする請求項8に記載の発熱モジュール。
【請求項12】
前記発熱ロッド(11)は導電性材料を用いて製造され、前記カバーフィルム(12)は、更に、前記発熱フィルム(121)と前記発熱ロッド(11)の間に設置される絶縁フィルム(124)を含むことを特徴とする請求項8に記載の発熱モジュール。
【請求項13】
前記発熱フィルム(121)と前記固定ベース(14)の間には間隔が形成されていることを特徴とする請求項7に記載の発熱モジュール。
【請求項14】
前記カバーフィルム(12)は、可撓性のフィルムテープを前記発熱ロッド(11)に巻き付けたあと焼結して形成されることを特徴とする請求項7に記載の発熱モジュール。
【請求項15】
前記可撓性のフィルムテープは、流延技術で製造されることを特徴とする請求項14に記載の発熱モジュール。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか1項に記載の発熱モジュールを含むことを特徴とするエアロゾル発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、霧化の分野に関し、より具体的には、エアロゾル発生装置及びその発熱モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
非燃焼・加熱型のエアロゾル発生装置は、非燃焼・加熱方式でエアロゾル発生基質を加熱する電子機器である。非燃焼・加熱型のエアロゾル発生装置におけるコア部材は発熱体である。発熱体は、エアロゾルを発生可能ではあるが燃焼には至らない温度までエアロゾル発生基質を加熱することで、非燃焼を前提として、ユーザが必要とするエアロゾルをエアロゾル発生基質に発生させる。
【0003】
従来の発熱体は、発熱ロッドにフィルムテープを巻き付けて覆うことで構成され、フィルムテープに発熱パターンや導電パターン等が設けられている。しかし、発熱ロッドは、フィルムテープで覆われることで直径公差が大きくなってしまう。そこで、工程の歩留まりと操作可能性を向上させるために、発熱体に組み合わされるフランジのフランジ孔を大きくする必要があるが、これにより発熱体の直角度の歩留まりが影響を受けることになる。例えば、発熱ロッドの直径公差が±0.03mmの場合、フィルムテープで覆われたあとの直径公差は±0.07mmとなるため、これに組み合わされるフランジ孔の内径を増大させねばならない。よって、最大で0.14mmの隙間が保持されることになり、製品の直角度に影響を及ぼしてしまう。また、当該直角度の歩留まりは、実際の生産では最高で85%にしか到達しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする技術的課題は、従来技術における上記の欠点に対し、改良した発熱モジュール及び当該発熱モジュールを有するエアロゾル発生装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明が技術的課題を解決するために採用する技術方案は以下の通りである。
【0006】
エアロゾル発生装置に用いられる発熱モジュールを構成する。当該発熱モジュールは、発熱ロッド、前記発熱ロッドを部分的に包むカバーフィルム、及び前記発熱ロッドに覆設される固定ベースを含む。前記固定ベースには組付孔が形成されている。前記発熱ロッドは、前記カバーフィルムが設けられている機能部分と、前記カバーフィルムが設けられていない組付部分を含む。前記組付部分は前記組付孔に収容される。
【0007】
いくつかの実施例において、前記発熱ロッドは円柱状をなしており、前記機能部分及び前記組付部分は、前記発熱ロッドの軸方向に沿って配置される。
【0008】
いくつかの実施例において、前記機能部分は完全に前記固定ベースの外側に位置している。前記機能部分における前記組付部分に接続される一端の端面は前記固定ベースの端面に当接する。或いは、前記機能部分における前記組付部分に接続される一端の端面は前記固定ベースとの間に間隔を有する。
【0009】
いくつかの実施例において、前記固定ベースには、更に、前記組付孔と連通する取付孔が形成されており、前記機能部分は、一部が前記取付孔に収容される。
【0010】
いくつかの実施例において、前記取付孔の横断面のサイズは、前記組付孔の横断面のサイズよりも大きい。これにより、前記取付孔と前記組付孔の間には段差面が形成されており、前記機能部分における前記組付部分に接続される一端の端面は前記段差面に当接する。
【0011】
いくつかの実施例において、前記発熱ロッドは尖形部分を更に含む。前記尖形部分と前記組付部分はそれぞれ前記機能部分の両端に位置する。
【0012】
いくつかの実施例において、前記カバーフィルムは、ベースフィルムと、前記ベースフィルムに設置される発熱フィルムを含む。
【0013】
いくつかの実施例において、前記発熱フィルムは前記ベースフィルムの内側に設置される。
【0014】
いくつかの実施例において、前記カバーフィルムは、更に、前記ベースフィルムに設置されるとともに前記発熱フィルムに接続される2つの導電性フィルムを含む。前記発熱モジュールは、更に、前記2つの導電性フィルムにそれぞれ接続される2つの電極リード線を含む。
【0015】
いくつかの実施例において、前記ベースフィルムには2つの導通孔が形成されている。各前記導電性フィルムは、いずれも、前記ベースフィルムの外側に設置されるとともに前記電極リード線に接続される外部接続部と、前記導通孔内に設置されるとともに前記発熱フィルムに接続される導通部を含む。
【0016】
いくつかの実施例において、前記発熱ロッドは絶縁材料を用いて製造され、前記発熱フィルムは前記発熱ロッドに密着する。
【0017】
いくつかの実施例において、前記発熱ロッドは導電性材料を用いて製造され、前記カバーフィルムは、更に、前記発熱フィルムと前記発熱ロッドの間に設置される絶縁フィルムを含む。
【0018】
いくつかの実施例において、前記発熱フィルムと前記固定ベースの間には間隔が形成されている。
【0019】
いくつかの実施例において、前記カバーフィルムは、可撓性のフィルムテープを前記発熱ロッドに巻き付けたあと焼結して形成される。
【0020】
いくつかの実施例において、前記可撓性のフィルムテープは、流延技術で製造される。
【0021】
本発明は、更に、上記いずれかで述べた発熱モジュールを含むエアロゾル発生装置を提供する。
【発明の効果】
【0022】
本発明を実施することで、少なくとも以下の有益な効果を有する。即ち、発熱ロッドの組付部分はカバーフィルムで覆われていないため、高い加工精度を有する。これにより、組付部分と組付孔との組み合わせ隙間が大幅に減少することから、製品の直角度の歩留まりが向上する。
【0023】
以下に、図面と実施例を組み合わせて、本発明につき更に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施例における発熱モジュールの平面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示した発熱モジュールのA-A縦方向断面の概略構造図である。
【
図3】
図3は、本発明の第2実施例における発熱モジュールの縦方向断面の概略構造図である。
【
図4】
図4は、本発明のいくつかの実施例におけるエアロゾル発生装置にエアロゾル発生基質を収容した場合の立体構造の概略図である。
【
図5】
図5は、
図4に示すエアロゾル発生装置にエアロゾル発生基質を収容した場合の縦方向断面の概略構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の技術的特徴、目的及び効果がより明瞭に理解されるよう、図面を参照して本発明の具体的実施形態につき詳細に説明する。以下の記載では、本発明が十分に理解されるよう、多くの具体的詳細事項について説明する。ただし、本発明は、ここで記載するものとは異なるその他の多くの方式で実施可能であり、当業者は、本発明の内容を逸脱しなければ、類似の改良を行うことが可能である。よって、本発明は以下で開示する具体的実施例に制限されない。
【0026】
本発明の記載において、理解すべき点として、「縦方向」、「軸方向」、「上」、「下」、「天井」、「底」、「内」、「外」等の用語で示される方向又は位置関係は、図示に基づく方向又は位置関係、又は、本発明の製品を使用する際の慣習的な配置の方向又は位置関係であって、本発明の記載の便宜上及び記載の簡略化のためのものにすぎず、対象となる装置又は部材が特定の方向を有し、且つ特定の方向で構成及び操作されねばならないことを明示又は暗示するものではない。よって、本発明を制限するものと理解すべきではない。
【0027】
また、「第1」、「第2」との用語は記載の便宜上のものにすぎず、相対的な重要性を明示又は暗示するものと解釈すべきでも、対象となる技術的特徴の数を示唆するものと解釈すべきでもない。そのため、「第1」、「第2」の特徴が限定されている場合には、明示的又は暗示的に少なくとも1つの当該特徴を含み得る。また、本発明の記載において、別途明確且つ具体的に限定している場合を除き、「複数」とは少なくとも2つの意味であり、例えば、2つ、3つ等である。
【0028】
本発明では、別途明確に規定及び限定している場合を除き、「装着する」、「連なる」、「接続する」、「固定する」等の用語は広義に解釈すべきである。例えば、別途明確に限定している場合を除き、固定的な接続であってもよいし、取り外し可能な接続であってもよいし、一体をなしていてもよい。また、機械的な接続であってもよいし、電気的な接続であってもよい。また、直接的な連なりであってもよいし、中間媒体を介した間接的な連なりであってもよいし、2つの部材内部の連通であってもよいし、2つの部材の相互作用関係であってもよい。当業者は、具体的状況に応じて、本発明における上記用語の具体的意味を解釈可能である。
【0029】
図1~2は、本発明の第1実施例における発熱モジュール10を示している。当該発熱モジュール10は、発熱ロッド11、発熱ロッド11を部分的に包むカバーフィルム12及び発熱ロッド11の外部に覆設される固定ベース14を含む。当該発熱モジュール10は、エアロゾル発生基質内に挿入されて、通電後にエアロゾル発生基質をベーキング加熱するために使用可能である。
【0030】
発熱ロッド11は、カバーフィルム12に剛性を付与して支持するために用いられ、柱状であってもよいし、シート状であってもよいし、中実構造であってもよいし、中空構造を有していてもよく、具体的には限定しない。発熱ロッド11の材質は、導電性の材質であってもよいし、非導電性の絶縁材質であってもよい。通常、発熱ロッド11の材質及び構造を選択するにあたっては熱伝導率を考慮する。一般的に、高熱伝導材料で製造される発熱ロッド11の場合には、発熱モジュール10のエネルギー消費が高くなる。また、中実柱体構造の発熱ロッド11の場合に、発熱モジュール10のエネルギー消費は高くなる。
【0031】
本実施例において、発熱ロッド11は中実の円柱状である。且つ、絶縁材料を用いて製造され、例えば、セラミックス又は耐熱プラスチックで製造される。発熱ロッド11は、カバーフィルム12が設けられている機能部分111と、カバーフィルム12が設けられていない組付部分112を含む。機能部分111、組付部分112は、発熱ロッド11の軸方向に沿って配置可能である。更に、前記発熱ロッド11は、発熱ロッド11の一端に位置する尖形部分113を含んでもよい。当該尖形部分113は、円錐状又は円錐台状等の形状をなしてもよい。発熱モジュール10は、尖形部分113を介してエアロゾル発生基質に挿入される。本実施例において、尖形部分113、機能部分111、組付部分112は、発熱ロッド11の軸方向に沿って、上から下に向かって順に配置される。
【0032】
カバーフィルム12は、巻き付け方式で発熱ロッド11の機能部分111を覆うことが可能であり、ベースフィルム122及びベースフィルム122に設置される発熱フィルム121を含み得る。発熱フィルム121は、通電後に発熱してエアロゾル発生基質を加熱するために用いられる。ベースフィルム122は、発熱フィルム121に成型の土台を提供するために用いられる。いくつかの実施例において、ベースフィルム122は、流延技術によって形成される可撓性の薄いフィルムテープとすることができる。また、発熱フィルム121は、スクリーン印刷、電気めっき又は物理気相成長等の方式でベースフィルム122上に成型可能である。ベースフィルム122の材料は、結晶化ガラス、ガラス-セラミックス(例えば、カルシウムホウケイ酸ガラス-酸化ケイ素)、低温セラミックス(例えば、ホウ酸スズバリウムセラミックス、ホウ酸ジルコニウムバリウムセラミックス)等のうちの1つ又は任意の複数の組み合わせとすることができ、1000℃以下で焼結可能であればよい。一実施例において、ベースフィルム122の材質はガラス-セラミックス材料である。発熱フィルム121は、通電後に多くの熱を発生し得るよう、高電気抵抗率の材料で製造してもよい。
【0033】
更に、本実施例において、発熱フィルム121は、ベースフィルム122の内側面に設置されて発熱ロッド11に密着する。発熱フィルム121はベースフィルム122の内側を覆っているため、発熱フィルム121が露出することはない。よって、発熱フィルム121には酸化及び腐食のリスクがなく、発熱モジュール10の使用寿命が延びる。そのほか、ガラス及び/又はセラミックス等の材料で製造されるベースフィルム122によって、ベースフィルム122の外表面には高い表面平滑度も備わる。平滑面はクリーニングしやすく、且つ、長期間の使用後にベースフィルム122の外表面に煤が付着することで発生する雑味や焦げ臭さを減少させられる。よって、消費者に良好な使用体験がもたらされる。その他の実施例では、ベースフィルム122の外側面に釉層をコーティングすることで、更に表面平滑度を向上させてもよい。
【0034】
更に、発熱モジュール10は、発熱フィルム121の両極にそれぞれ接続される2つの導電性フィルム123と、当該2つの導電性フィルム123にそれぞれ接続される2つの電極リード線13も含む。発熱モジュール10は、当該2つの電極リード線13を介して外部電源に接続される。導電性フィルム123、電極リード線13は、通電後に発熱しないか発熱が少なくなるよう、いずれも低電気抵抗率の材料で製造してもよい。
【0035】
本実施例において、2つの導電性フィルム123は、いずれもベースフィルム122の下端に設置される。これらは、スクリーン印刷、電気めっき又は物理気相成長等の方式でベースフィルム122上に成型可能である。ベースフィルム122には2つの導通孔1220が形成されている。各導電性フィルム123は、いずれも導通孔1220内に設置される導通部1231と、ベースフィルム122の外側に設置される外部接続部1232を含む。外部接続部1232は、導通部1231を介して発熱フィルム121に接続される。電極リード線13は、導電性ペーストのコーティング又は溶接等の方式で外部接続部1232に接続可能である。また、外部接続部1232の外側に導電パッド15を設置し、電極リード線13が導電パッド15を介して外部接続部1232に接続されてもよい。一実施例において、導電パッド15は溶接パッドであり、電極リード線13は、銀銅ろう材を用いて高温ろう付けにより導電パッド15に接続されてもよい。また、別の実施例において、導電パッド15は、外部接続部1232にコーティングされた導電性ペーストを焼結することで形成される。
【0036】
固定ベース14は、少なくとも一部が発熱ロッド11の組付部分112に設置される。固定ベース14は、セラミックス又はPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)等の耐熱性材料で製造可能である。固定ベース14には、組付部分112を収容するための組付孔140と、2つの電極リード線13を通過させるための2つの通線経路141が設けられている。前記組付部分112は組付孔140に組み合わされる。発熱ロッド11の取り付け及び固定を実現するために、組付部分112の横断面の形状及びサイズは、組付孔140の横断面の形状及びサイズに適合している。組付部分112はカバーフィルム12で覆われておらず、機能部分111と比べて高い精度を有している(即ち、組付部分112は、発熱ロッド11自体の高い加工精度と同じ精度を有している)。これにより、当該組付部分112と組付孔140は良好な隙間嵌めを実現可能となるため、製品の直角度の歩留まりが向上する。例えば、組付孔140の孔精度が±0.03mmであり、組付部分112のロッド精度が±0.03mmである場合、組付部分112と組付孔140の間の最大隙間は0.06mmとなる。当該最大隙間は、従来の構造と比較して大幅に減少しているため、製品の直角度の歩留まりを向上させられる。実際の生産では、前記発熱モジュール10の製品ロットごとの直角度の歩留まりが93~100%に達し得る。また、組付部分112の外壁面と組付孔140の孔壁面の間は、ガラス釉薬又はセラミックス材料等で接着及び固定してもよい。
【0037】
本実施例において、組付孔140は、固定ベース14の下端面から縦方向に上方に向かって固定ベース14の上端面まで延伸している。また、通線経路141は、組付孔140の孔壁を窪ませて形成される。カバーフィルム12の下端面は、固定ベース14の上端面に当接する。これにより、発熱ロッド11が固定ベース14に組み付けられる際に、カバーフィルム12が位置規制の役割も発揮し得るため、治具を追加して位置規制する必要がなく、サイズ制御のプロセスが簡略化される。また、発熱フィルム121の下端面と固定ベース14の上端面の間には一定の距離が備わっている。このことは、断熱にとって都合がよく、発熱フィルム121から固定ベース14への伝熱が減少する。また、その他の実施例では、カバーフィルム12の下端面と固定ベース14の上端面の間に一定の間隔を有してもよい。この設置方式によれば、実際の生産を容易にすることができる。また、別のいくつかの実施例において、カバーフィルム12の下端は、一部が固定ベース14内に嵌入してもよい。
【0038】
図3は、本発明の第2実施例における発熱モジュール10を示している。本実施例と上記第1実施例の主な違いは以下の通りである。即ち、本実施例の発熱ロッド11は金属等の導電性材料で製造される。且つ、本実施例のカバーフィルム12の下端部分は固定ベース14内に嵌入している。
【0039】
発熱ロッド11が導電可能なことから、本実施例のカバーフィルム12は絶縁フィルム124を更に含む。絶縁フィルム124は、発熱ロッド11と発熱フィルム121の間に設置されて、発熱ロッド11と発熱フィルム121を絶縁隔離する。
【0040】
固定ベース14には、更に、カバーフィルム12の下端を収容するための取付孔142が形成されている。取付孔142は、固定ベース14の上端面から縦方向に下方へと延伸している。また、組付孔140は、固定ベース14の下端面から縦方向に上方に向かって取付孔142と連通するまで延伸している。且つ、取付孔142の横断面のサイズは、組付孔140の横断面のサイズよりも大きい。発熱モジュール10の直角度の歩留まりは、組付孔140と組付部分112との組み合わせにより実現される。そのほか、カバーフィルム12の下端面は、取付孔142と組付孔140の間の段差面143に当接可能である。これにより、組み付け時にカバーフィルム12が位置規制の役割も発揮し得るため、サイズ制御のプロセスが簡略化される。
【0041】
図4~5は、本発明のいくつかの実施例におけるエアロゾル発生装置100を示している。当該エアロゾル発生装置100は、内部に挿接されたエアロゾル発生基質200を低温でベーキング加熱することで、非燃焼状態でエアロゾル発生基質200内のエアロゾル抽出物を放出させるために使用可能である。前記エアロゾル発生基質200は円柱状をなしてもよく、前記エアロゾル発生装置100は略四角柱状をなしてもよい。エアロゾル発生基質200は、取り外し可能にエアロゾル発生装置100内に挿接されるため、加熱完了後に取り出して、新たなエアロゾル発生基質200に交換するのに都合がよい。理解し得るように、その他の実施例において、前記エアロゾル発生装置100は、四角柱状に限らず、円柱状、楕円柱状等のその他の形状としてもよい。また、前記エアロゾル発生基質200は、円柱状に限らず、楕円柱状等のその他の形状としてもよい。
【0042】
前記エアロゾル発生装置100は、ケーシング30と、ケーシング30に収容される発熱モジュール10、収容管20、バッテリ40、マザーボード50を含む。前記発熱モジュール10は、上記いずれかの実施例における発熱モジュールとしてもよい。収容管20の内壁面は、エアロゾル発生基質200を収容するための収容空間21を規定する。ケーシング30の天井壁には、エアロゾル発生基質200を挿入するための挿入口31が開設されている。エアロゾル発生基質200は、挿入口31を経由して収容空間21内に挿入可能である。発熱モジュール10の上端は、収容空間21内に伸入可能であり、且つ、エアロゾル発生基質200内に挿入されて、通電による発熱後にエアロゾル発生基質200をベーキング加熱するために用いられる。マザーボード50は、バッテリ40、発熱モジュール10にそれぞれ電気的に接続される。マザーボード50には関連の制御回路が配置されており、ケーシング30に設置されるスイッチによって、バッテリ40と発熱モジュール10の間のオン/オフを制御可能である。
【0043】
理解し得るように、上記の各技術的特徴は、制限なく任意に組み合わせて使用することが可能である。
【0044】
以上の実施例は本発明の具体的実施形態を示したものにすぎず、比較的具体的且つ詳細に記載したが、これにより本発明の権利範囲が制限されると解釈すべきではない。指摘すべき点として、当業者であれば、本発明の構想を逸脱しないことを前提に、上記の技術的特性を自由に組み合わせることも、若干の変形及び改良を行うことも可能であり、これらはいずれも本発明の保護の範囲に属する。従って、本発明の請求項の範囲で行われる等価の変形及び補足は、いずれも本発明の請求項がカバーする範囲に属するものとする。