(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024023144
(43)【公開日】2024-02-21
(54)【発明の名称】エアロゾル発生装置及びその発熱モジュール
(51)【国際特許分類】
A24F 40/46 20200101AFI20240214BHJP
A24F 40/70 20200101ALI20240214BHJP
A24F 40/40 20200101ALI20240214BHJP
【FI】
A24F40/46
A24F40/70
A24F40/40
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023123274
(22)【出願日】2023-07-28
(31)【優先権主張番号】202210945264.9
(32)【優先日】2022-08-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】522373541
【氏名又は名称】海南摩爾兄弟科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】Hainan Moore Brothers Technology Co., Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】盧相安
(72)【発明者】
【氏名】文豪
(72)【発明者】
【氏名】韋乃安
(72)【発明者】
【氏名】蒋振龍
(72)【発明者】
【氏名】蒋路生
(72)【発明者】
【氏名】方日明
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA03
4B162AA22
4B162AB12
4B162AC12
4B162AC22
4B162AE01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】酸化及び腐食のリスクがなく、ベースフィルムの裂開のリスクを低減できるエアロゾル発生装置及びその発熱モジュールに関する。
【解決手段】発熱モジュールは、発熱ロッド11と、前記発熱ロッドを少なくとも部分的に包むベースフィルム12と、前記ベースフィルムと前記発熱ロッドの間に設置される発熱フィルム13と、2つの電極リード線、を含む。各前記電極リード線はいずれも導通部151を含む。前記導通部は、前記ベースフィルムと前記発熱ロッドの間に設置されるとともに、前記発熱フィルムに接続される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生装置に用いられる発熱モジュールであって、
発熱ロッド(11)と、
前記発熱ロッド(11)を少なくとも部分的に包むベースフィルム(12)と、
前記ベースフィルム(12)と前記発熱ロッド(11)の間に設置される発熱フィルム(13)と、
2つの電極リード線(15)、を含み、
各前記電極リード線(15)はいずれも導通部(151)を含み、前記導通部(151)は、前記ベースフィルム(12)と前記発熱ロッド(11)の間に設置されるとともに、前記発熱フィルム(13)に接続されることを特徴とする発熱モジュール。
【請求項2】
前記ベースフィルム(12)、前記発熱フィルム(13)及び2つの前記電極リード線(15)は、同時焼成方式で一体的に焼結されることを特徴とする請求項1に記載の発熱モジュール。
【請求項3】
前記発熱モジュールは2つの導電性フィルム(14)を更に含み、2つの前記導電性フィルム(14)は、前記ベースフィルム(12)と前記発熱ロッド(11)の間に設置されるとともに、それぞれ、前記発熱フィルム(13)と2つの前記電極リード線(15)を接続することを特徴とする請求項1に記載の発熱モジュール。
【請求項4】
前記ベースフィルム(12)、前記発熱フィルム(13)、2つの前記導電性フィルム(14)及び2つの前記電極リード線(15)は、同時焼成方式で一体的に焼結されることを特徴とする請求項3に記載の発熱モジュール。
【請求項5】
各前記導電性フィルム(14)と前記発熱フィルム(13)は、少なくとも部分的に互いに掛接されることを特徴とする請求項3に記載の発熱モジュール。
【請求項6】
各前記導電性フィルム(14)と前記導通部(151)は、少なくとも部分的に互いに掛接されることを特徴とする請求項3に記載の発熱モジュール。
【請求項7】
前記発熱モジュールは、更に、前記発熱ロッド(11)の一端に設置される固定ベース(16)を含むことを特徴とする請求項1に記載の発熱モジュール。
【請求項8】
前記発熱フィルム(13)と前記固定ベース(16)の間には間隔が形成されていることを特徴とする請求項7に記載の発熱モジュール。
【請求項9】
前記ベースフィルム(12)は完全に前記固定ベース(16)の外側に位置し、或いは、前記ベースフィルム(12)は部分的に前記固定ベース(16)に収容されることを特徴とする請求項7に記載の発熱モジュール。
【請求項10】
前記ベースフィルム(12)は、可撓性のフィルムテープを前記発熱ロッド(11)に巻き付けたあと焼結することで形成されることを特徴とする請求項1に記載の発熱モジュール。
【請求項11】
前記発熱ロッド(11)は、軸方向に順に並ぶ尖形部(113)、本体部(111)、組付部(112)を含み、前記ベースフィルム(12)は前記本体部(111)を包むことを特徴とする請求項1に記載の発熱モジュール。
【請求項12】
前記本体部(111)は円柱状をなしており、前記尖形部(113)は円錐状又は円錐台状をなしており、
前記ベースフィルム(12)は、更に、少なくとも一部の前記組付部(112)及び/又は少なくとも一部の前記尖形部(113)を包むことを特徴とする請求項11に記載の発熱モジュール。
【請求項13】
前記組付部(112)における前記尖形部(113)から離隔する一端の端面が内側に窪むことで凹孔(114)が形成されていることを特徴とする請求項11に記載の発熱モジュール。
【請求項14】
前記導通部(151)の直径又は幅は0.2~1mmであることを特徴とする請求項1~13のいずれか1項に記載の発熱モジュール。
【請求項15】
前記発熱モジュールは、更に、前記ベースフィルム(12)内に設置されるとともに2つの前記電極リード線(15)にそれぞれ接続される2つの導電性補強ベルト(17)を含むことを特徴とする請求項1~13のいずれか1項に記載の発熱モジュール。
【請求項16】
2つの前記電極リード線(15)は、前記発熱ロッド(11)の周方向において夾角をなすよう設けられ、1つの前記導電性補強ベルト(17)は、対応する一方の前記電極リード線(15)における他方の前記電極リード線(15)から遠い側に設けられ、
或いは、2つの前記電極リード線(15)は、前記発熱ロッド(11)の周方向において180度の角度をなして分布していることを特徴とする請求項15に記載の発熱モジュール。
【請求項17】
前記発熱モジュールは、更に、前記ベースフィルム(12)の外表面に設けられる保護層を含み、前記保護層は平滑で緻密な表面を有することを特徴とする請求項1~13のいずれか1項に記載の発熱モジュール。
【請求項18】
請求項1~17のいずれか1項に記載の発熱モジュールを含むことを特徴とするエアロゾル発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、霧化の分野に関し、より具体的には、エアロゾル発生装置及びその発熱モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
非燃焼・加熱型のエアロゾル発生装置は、非燃焼・加熱方式でエアロゾル発生基質を加熱する電子機器である。非燃焼・加熱型のエアロゾル発生装置におけるコア部材は発熱体である。発熱体は、エアロゾルを発生可能ではあるが燃焼には至らない温度までエアロゾル発生基質を加熱することで、非燃焼を前提として、ユーザが必要とするエアロゾルをエアロゾル発生基質に発生させる。
【0003】
通常、従来の発熱体は、フィルムテープを発熱ロッドに巻き付けて覆うことで構成される。フィルムテープの内側には発熱フィルムと内導電性フィルムが設置されており、フィルムテープの外側には外導電性フィルムが設置されている。また、内導電性フィルムと外導電性フィルムは、フィルムテープに開設されている導通孔を介して接続される。しかし、導通孔の技術が劣っていると、フィルムテープに裂開や断路のリスクが生じる。次に、通常、外導電性フィルムは、ろう接技術により電極リード線に接続されるが、ろう接技術は複雑である。また、ろう材と外導電性フィルムは外部に露出しているため、酸化したり、エアロゾル発生基質により腐食したりしやすい。そのほか、一般的に、ろう材は導電性に優れた銀ペースト等の貴金属であり、使用量が多く、高コストである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする技術的課題は、従来技術における上記の欠点に対し、改良した発熱モジュール及び当該発熱モジュールを有するエアロゾル発生装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明が技術的課題を解決するために採用する技術方案は以下の通りである。
【0006】
エアロゾル発生装置に用いられる発熱モジュールを構成する。当該発熱モジュールは、発熱ロッドと、前記発熱ロッドを少なくとも部分的に包むベースフィルムと、前記ベースフィルムと前記発熱ロッドの間に設置される発熱フィルムと、2つの電極リード線、を含む。
【0007】
各前記電極リード線はいずれも導通部を含む。前記導通部は、前記ベースフィルムと前記発熱ロッドの間に設置されるとともに、前記発熱フィルムに接続される。
【0008】
いくつかの実施例において、前記ベースフィルム、前記発熱フィルム及び前記2つの電極リード線は、同時焼成方式で一体的に焼結される。
【0009】
いくつかの実施例において、前記発熱モジュールは2つの導電性フィルムを更に含む。前記2つの導電性フィルムは、前記ベースフィルムと前記発熱ロッドの間に設置されるとともに、それぞれ、前記発熱フィルムと前記2つの電極リード線を接続する。
【0010】
いくつかの実施例において、前記ベースフィルム、前記発熱フィルム、前記2つの導電性フィルム及び前記2つの電極リード線は、同時焼成方式で一体的に焼結される。
【0011】
いくつかの実施例において、各前記導電性フィルムと前記発熱フィルムは、少なくとも部分的に互いに掛接される。
【0012】
いくつかの実施例において、各前記導電性フィルムと前記導通部は、少なくとも部分的に互いに掛接される。
【0013】
いくつかの実施例において、前記発熱モジュールは、更に、前記発熱ロッドの一端に設置される固定ベースを含む。
【0014】
いくつかの実施例において、前記発熱フィルムと前記固定ベースの間には間隔が形成されている。
【0015】
いくつかの実施例において、前記ベースフィルムは完全に前記固定ベースの外側に位置する。或いは、前記ベースフィルムは部分的に前記固定ベースに収容される。
【0016】
いくつかの実施例において、前記ベースフィルムは、可撓性のフィルムテープを前記発熱ロッドに巻き付けたあと焼結することで形成される。
【0017】
いくつかの実施例において、前記発熱ロッドは、軸方向に順に並ぶ尖形部、本体部、組付部を含み、前記ベースフィルムは前記本体部を包む。
【0018】
いくつかの実施例において、前記本体部は円柱状をなしており、前記尖形部は円錐状又は円錐台状をなしている。
【0019】
前記ベースフィルムは、更に、少なくとも一部の前記組付部及び/又は少なくとも一部の前記尖形部を包む。
【0020】
いくつかの実施例において、前記組付部における前記尖形部から離隔する一端の端面が内側に窪むことで凹孔が形成されている。
【0021】
いくつかの実施例において、前記導通部の直径又は幅は0.2~1mmである。
【0022】
いくつかの実施例において、前記発熱モジュールは、更に、前記ベースフィルム内に設置されるとともに前記2つの電極リード線にそれぞれ接続される2つの導電性補強ベルトを含む。
【0023】
いくつかの実施例において、前記2つの電極リード線は、前記発熱ロッドの周方向において夾角をなすよう設けられる。1つの前記導電性補強ベルトは、対応する一方の前記電極リード線における他方の前記電極リード線から遠い側に設けられる。
【0024】
或いは、前記2つの電極リード線は、前記発熱ロッドの周方向において180度の角度をなして分布している。
【0025】
いくつかの実施例において、前記発熱モジュールは、更に、前記ベースフィルムの外表面に設けられる保護層を含む。前記保護層は平滑で緻密な表面を有する。
【0026】
本発明は、更に、上記いずれかで述べた発熱モジュールを含むエアロゾル発生装置を提供する。
【発明の効果】
【0027】
本発明を実施することで、少なくとも以下の有益な効果を有する。即ち、発熱フィルム及び電極リード線の導通部はいずれもベースフィルムの内側に位置し、露出しないため、酸化及び腐食のリスクがない。且つ、電極リード線の接続を溶接技術により行う必要もない。そのほか、ベースフィルムに孔を開ける必要がないため、裂開のリスクを低減させられる。
【0028】
以下に、図面と実施例を組み合わせて、本発明につき更に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施例における発熱モジュールの平面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示した発熱モジュールのA-A縦方向断面の概略構造図である。
【
図3】
図3は、本発明の第2実施例における発熱モジュールの平面図である。
【
図4】
図4は、本発明の第3実施例における発熱モジュールの縦方向断面の概略構造図である。
【
図5】
図5は、本発明のいくつかの実施例におけるエアロゾル発生装置にエアロゾル発生基質を収容した場合の立体構造の概略図である。
【
図6】
図6は、
図5に示すエアロゾル発生装置にエアロゾル発生基質を収容した場合の縦方向断面の概略構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の技術的特徴、目的及び効果がより明瞭に理解されるよう、図面を参照して本発明の具体的実施形態につき詳細に説明する。以下の記載では、本発明が十分に理解されるよう、多くの具体的詳細事項について説明する。ただし、本発明は、ここで記載するものとは異なるその他の多くの方式で実施可能であり、当業者は、本発明の内容を逸脱しなければ、類似の改良を行うことが可能である。よって、本発明は以下で開示する具体的実施例に制限されない。
【0031】
本発明の記載において、理解すべき点として、「縦方向」、「軸方向」、「上」、「下」、「天井」、「底」、「内」、「外」等の用語で示される方向又は位置関係は、図示に基づく方向又は位置関係、又は、本発明の製品を使用する際の慣習的な配置の方向又は位置関係であって、本発明の記載の便宜上及び記載の簡略化のためのものにすぎず、対象となる装置又は部材が特定の方向を有し、且つ特定の方向で構成及び操作されねばならないことを明示又は暗示するものではない。よって、本発明を制限するものと理解すべきではない。
【0032】
また、「第1」、「第2」との用語は記載の便宜上のものにすぎず、相対的な重要性を明示又は暗示するものと解釈すべきでも、対象となる技術的特徴の数を示唆するものと解釈すべきでもない。そのため、「第1」、「第2」の特徴が限定されている場合には、明示的又は暗示的に少なくとも1つの当該特徴を含み得る。また、本発明の記載において、別途明確且つ具体的に限定している場合を除き、「複数」とは少なくとも2つの意味であり、例えば、2つ、3つ等である。
【0033】
本発明では、別途明確に規定及び限定している場合を除き、「装着する」、「連なる」、「接続する」、「固定する」等の用語は広義に解釈すべきである。例えば、別途明確に限定している場合を除き、固定的な接続であってもよいし、取り外し可能な接続であってもよいし、一体をなしていてもよい。また、機械的な接続であってもよいし、電気的な接続であってもよい。また、直接的な連なりであってもよいし、中間媒体を介した間接的な連なりであってもよいし、2つの部材内部の連通であってもよいし、2つの部材の相互作用関係であってもよい。当業者は、具体的状況に応じて、本発明における上記用語の具体的意味を解釈可能である。
【0034】
図1~2は、本発明の第1実施例における発熱モジュール10を示している。当該発熱モジュール10は、エアロゾル発生基質内に挿入されて、通電後にエアロゾル発生基質をベーキング加熱するために使用可能である。当該発熱モジュール10は、発熱ロッド11と、発熱ロッド11を少なくとも部分的に包むベースフィルム12と、ベースフィルム12と発熱ロッド11の間に設置される発熱フィルム13と、発熱フィルム13の両極にそれぞれ接続される2つの電極リード線15を含む。当該2つの電極リード線15は、いずれもベースフィルム12内に少なくとも部分的に被覆される。また、当該2つの電極リード線15は、発熱フィルム13と同時焼成することで成型可能であり、技術が簡単である。電極リード線15は、ろう接技術で接続する必要がないため、効率の向上及びコストダウンが可能となる。
【0035】
発熱ロッド11は、ベースフィルム12に剛性を付与して支持するために用いられ、柱状であってもよいし、シート状であってもよいし、中実構造であってもよいし、中空構造であってもよく、具体的には限定しない。発熱ロッド11の材質は、例えば金属のような導電性の材質であってもよいし、例えばセラミックス又は耐熱プラスチックのような非導電性の絶縁材質であってもよい。通常、発熱ロッド11の材質及び構造を選択するにあたっては熱伝導率を考慮する。一般的に、高熱伝導材料で製造される発熱ロッド11の場合には、発熱モジュール10のエネルギー消費が高くなる。また、中実柱体構造を有する発熱ロッド11の場合に、発熱モジュール10のエネルギー消費は高くなる。
【0036】
本実施例において、発熱ロッド11は中実の円柱状であり、且つ、セラミックス材料で製造される。発熱ロッド11の直径は、1.5~3mmとすることができ、例えば2mmとする。また、発熱ロッド11の全長は、14~30mmとすることができる。当該発熱ロッド11は、軸方向に上から下へ順に並ぶ尖形部113、本体部111、組付部112を含み得る。ベースフィルム12は、発熱ロッド11の本体部111を包む。また、その他の実施例において、ベースフィルム12は、本体部111と少なくとも一部の組付部112を包んでもよい。或いは、ベースフィルム12は、本体部111と少なくとも一部の尖形部113を包んでもよい。或いは、ベースフィルム12は、本体部111、少なくとも一部の組付部112及び少なくとも一部の尖形部113を包んでもよい。尖形部113は、円錐状又は円錐台状等の形状をなしてもよい。発熱モジュール10は、尖形部113を介してエアロゾル発生基質に挿入される。
【0037】
ベースフィルム12は、巻き付け方式で発熱ロッド11を覆うことが可能である。いくつかの実施例において、ベースフィルム12は、可撓性のフィルムテープを発熱ロッド11に巻き付けたあと焼結することで形成可能である。前記可撓性のフィルムテープは、流延技術で形成可能である。ベースフィルム12の材料は、結晶化ガラス、ガラス-セラミックス(例えば、カルシウムホウケイ酸ガラス-酸化ケイ素)、低温セラミックス(例えば、ホウ酸スズバリウムセラミックス、ホウ酸ジルコニウムバリウムセラミックス)等のうちの1つ又は任意の複数の組み合わせとすることができ、1000℃以下で焼結可能であればよい。一実施例において、ベースフィルム12の材質はガラス-セラミックス材料である。ガラス及び/又はセラミックス等の材料で製造されるベースフィルム12によれば、ベースフィルム12の外表面に高い表面平滑度を持たせることも可能となる。平滑面はクリーニングしやすく、且つ、長期間の使用後にベースフィルム12の外表面に煤が付着することで発生する雑味や焦げ臭さを減少させられる。よって、消費者に良好な使用体験がもたらされる。
【0038】
いくつかの実施例において、ベースフィルム12の外表面には、例えば釉層のような保護層を設けてもよい。当該保護層は、ベースフィルム12の外表面にセラミックス、ガラス等のペーストをコーティングしたあと、高温で焼結することで形成可能である。当該保護層は、平滑で緻密な表面を有するため、加熱過程における発熱モジュール10上への煤の残留を有効に減少させられる。これにより、煤の残留による発熱モジュール10の腐食を有効に減少させられるため、発熱モジュール10の使用寿命が延びる。
【0039】
発熱フィルム13は、通電後に発熱してエアロゾル発生基質を加熱するために用いられる。発熱フィルム13は、ベースフィルム12の内側面に設置されて発熱ロッド11に密着する。発熱フィルム13は、通電後に多くの熱を発生し得るよう、高電気抵抗率の材料で製造してもよい。
【0040】
いくつかの実施例において、発熱モジュール10は、更に、ベースフィルム12の内側に設置される2つの導電性フィルム14を含む。電極リード線15と発熱フィルム13の間により確実な電気回路を形成して接続するために、発熱フィルム13は、2つの導電性フィルム14を介して2つの電極リード線15に接続される。本実施例において、2つの導電性フィルム14はいずれも発熱フィルム13の下端に接続される。導電性フィルム14は、低電気抵抗率の材料(例えば、ニッケル、クロム、銀等のうちの1つ又は複数)で製造してもよく、通電後に発熱しないか発熱が大変少ない。また、通常、電極リード線15は、例えば銀線等の低電気抵抗率を有する電極線である。
【0041】
2つの電極リード線15は、それぞれ、掛接方式で2つの導電性フィルム14と直接接触して導通する。2つの電極リード線15は、発熱ロッド11の周方向において夾角(180度ではない夾角)をなすように設けられる。また、その他の実施例において、2つの電極リード線15は、それぞれ、発熱ロッド11の周方向において対向する2つの側に位置していてもよい。即ち、2つの電極リード線15は、発熱ロッド11の周方向において180°の角度をなすように設けられてもよい。一実施例において、発熱フィルム13、導電性フィルム14は、いずれもスクリーン印刷によってベースフィルム12上に成型される。また、発熱フィルム13と導電性フィルム14はスクリーン印刷によって掛接され、導電性フィルム14と電極リード線15はラッピング方式で掛接される。その後、同時焼成技術により、ベースフィルム12、発熱フィルム13、導電性フィルム14、電極リード線15を合わせて焼結して成型する。成型技術は簡単であり、技術ステップが少ない。掛接方式によれば、発熱フィルム13と導電性フィルム14との間、及び、導電性フィルム14と電極リード線15との間の接触面積を増大させられるため、電気的接続の確実性が向上する。
【0042】
各電極リード線15は、いずれもベースフィルム12内に被覆される導通部151と、ベースフィルム12から外部に伸出して外部電源に接続される外部接続部152を有する。前記導通部151は、導電性フィルム14に接続されるとともに、導電性フィルム14上に掛接可能であり、導電性フィルム14と直接接触して導通する。前記導通部151は、丸線、平線、角線又は多芯線としてもよいし、一端が偏平な丸線等としてもよく、具体的には限定しない。導通部151の直径又は幅は約0.2~1mmである。本実施例において、導通部151、発熱フィルム13、導電性フィルム14はいずれも完全にベースフィルム12内に位置し、露出していない。よって、酸化及び腐食のリスクがないため、発熱モジュール10の使用寿命を伸ばすことができる。そのほか、ベースフィルム12に孔を開ける必要がないため、裂開のリスクを低減させられる。
【0043】
更に、前記発熱モジュール10は、発熱ロッド11の組付部112に設置される固定ベース16を含んでもよい。固定ベース16は、セラミックス又はPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)等の耐熱性材料で製造可能である。当該固定ベース16には、組付部112を収容するための組付孔160と、2つの電極リード線15を通過させるための2つの通線経路161が設けられている。前記組付部112は、発熱ロッド11の装着及び固定を実現するために、組付孔160に組み合わされる。本実施例において、組付孔160は、まっすぐな貫通孔であり、固定ベース16の下端面から縦方向に上方に向かって固定ベース16の上端面まで延伸し得る。また、通線経路161は、組付孔160の孔壁を窪ませて形成される。組付部112の外壁面と組付孔160の孔壁面の間は、ガラス釉薬又はセラミックス材料等で接着したあと、焼結により固定してもよい。その他の実施例において、固定ベース16と発熱ロッド11は一体構造としてもよい。
【0044】
ベースフィルム12の下端面は固定ベース16の上端面に当接してもよい。或いは、ベースフィルム12の下端面と固定ベース16の上端面の間に一定の間隔を有してもよい。また、別のいくつかの実施例において、ベースフィルム12の下端は、一部が固定ベース16内に嵌入してもよい。また、発熱フィルム13の下端面と固定ベース16の上端面の間は一定の距離を有している。このことは、断熱にとって都合がよく、発熱フィルム13から固定ベース16への伝熱が減少する。
【0045】
一実施例において、本実施例の発熱モジュール10は、以下の技術ステップで製造可能である。
【0046】
流延技術で可撓性のフィルムテープを形成したあと、スクリーン印刷等の方式で、発熱フィルムの素地及び導電性フィルムの素地を当該可撓性のフィルムテープにそれぞれ作製する。
【0047】
発熱ロッド11、固定ベース16及び2つの電極リード線15を組み付ける。組み付け完了後は、一次焼結を行うことで固定してもよい。
【0048】
発熱フィルムの素地と導電性フィルムの素地が設けられた可撓性のフィルムテープをラッピングすることで、発熱ロッド11と2つの電極リード線15を覆い、ラッピング完了後に二次焼結を行う。焼結の完了後、可撓性のフィルムテープがベースフィルム12を形成し、発熱フィルムの素地及び導電性フィルムの素地がそれぞれ発熱フィルム13及び導電性フィルム14を形成する。
【0049】
更に、二次焼結後に、ベースフィルム12の外表面に均熱材料をディップコーティングしたあと、三次焼結を行うことで均熱層を形成してもよい。当該均熱層によって、発熱モジュール10の温度場の分布をより均一にすることができる。
【0050】
更に、三次焼結後に、均熱層の外表面に保護層材料をディップコーティングしたあと、四次焼結を行うことで保護層を形成してもよい。これにより、発熱モジュール10に平滑で緻密な外表面を持たせることができる。
【0051】
本実施例における発熱モジュール10は技術ステップが少なく、操作難度が低いため、効率及び合格率が向上する。
【0052】
理解し得るように、その他の実施例では、まず、発熱ロッド11と2つの電極リード線15上にラッピングし、ラッピング完了後に固定ベース16に組み付けてもよい。この場合には、ベースフィルム12の下端面が位置規制の役割も果たし得る。
【0053】
図3は、本発明の第2実施例における発熱モジュール10を示している。本実施例と上記第1実施例の主な違いは以下の通りである。即ち、本実施例の発熱モジュール10は、更に、2つの導電性補強ベルト17を含む。当該2つの導電性補強ベルト17は、ベースフィルム12内に設置されるとともに、2つの電極リード線15にそれぞれ接続される。当該導電性補強ベルト17によって、ベースフィルム12の裂開リスクを低減させられるとともに、電極リード線15と導電性フィルム14の間の電気的接続の確実性を向上させられる。具体的に、本実施例において、1つの導電性補強ベルト17は、対応する一方の電極リード線15における他方の電極リード線15から遠い側(遠方側)に設けられて、対応する1つの電極リード線15と1つの導電性フィルム14を接続する。導電性補強ベルト17には、低電気抵抗率の材料(例えば、ニッケル、クロム、銀等の導電性材料のうちの1つ又は複数)を使用可能である。製造時には、電極リード線15を発熱ロッド11に組み付けたあと、電極リード線15の遠方側に銀ペースト等の導電性ペーストの薄層をコーティングし、焼結後に当該導電性ペーストが導電性補強ベルト17を形成してもよい。
【0054】
図4は、本発明の第3実施例における発熱モジュール10を示している。本実施例と上記第1実施例の主な違いは以下の通りである。即ち、本実施例における発熱ロッド11は金属等の導電性材料で製造される。また、これに応じて、本実施例における発熱モジュール10は絶縁層18を更に含む。絶縁層18は、発熱ロッド11の外側面に設置されて、発熱ロッド11と発熱フィルム13、導電性フィルム14、電極リード線15の間を絶縁隔離する。
【0055】
そのほか、本実施例は、上記第1実施例と更に以下の点で異なっている。即ち、本実施例のベースフィルム12は、本体部111と一部の組付部112を包む。つまり、ベースフィルム12の下端部分が固定ベース16内に嵌入している。また、これに応じて、本実施例における組付孔160は段差孔となっており、上部に位置する第1孔区間1601と、下部に位置する第2孔区間1602を含み得る。第1孔区間1601の横断面サイズは第2孔区間1602の横断面サイズよりも大きい。ベースフィルム12の下端は第1孔区間1601内に収容され、ベースフィルム12の下端面は、第1孔区間1601と第2孔区間1602の間の段差面1603上に当接可能である。これにより、組み付け時にベースフィルム12が位置規制の役割も果たし得る。本実施例における発熱モジュール10の製造時には、まず、発熱ロッド11と2つの電極リード線15上にラッピングし、ラッピング完了後に固定ベース16に組み付ければよい。
【0056】
そのほか、本実施例は、上記第1実施例と更に以下の点で異なっている。即ち、本実施例における組付部112の底面には、凹孔114が上向きに延伸するよう形成されてもよい。当該凹孔114は、発熱ロッド11の熱容量を減少させて、発熱モジュール10のエネルギー消費を低下可能とする。更に、本実施例において、凹孔114は、発熱ロッド11と同軸に設置してもよく、且つ、発熱ロッド11と同一又は類似の形状を有してもよい。このことは、熱の均一な分布にとって都合がよい。具体的に、凹孔114は、縦方向に延伸する円柱状の孔であり、尖形部113に向かう頭部1141がテーパー孔となっている。且つ、当該テーパー孔のテーパー角度は尖形部113のテーパー角度と同じである。
【0057】
図5~6は、本発明のいくつかの実施例におけるエアロゾル発生装置100を示している。当該エアロゾル発生装置100は、内部に挿接されたエアロゾル発生基質200を低温でベーキング加熱することで、非燃焼状態でエアロゾル発生基質200内のエアロゾル抽出物を放出させるために使用可能である。前記エアロゾル発生基質200は円柱状をなしてもよく、前記エアロゾル発生装置100は略四角柱状をなしてもよい。エアロゾル発生基質200は、取り外し可能にエアロゾル発生装置100内に挿接されるため、加熱完了後に取り出して、新たなエアロゾル発生基質200に交換するのに都合がよい。理解し得るように、その他の実施例において、前記エアロゾル発生装置100は、四角柱状に限らず、円柱状、楕円柱状等のその他の形状としてもよい。また、前記エアロゾル発生基質200は、円柱状に限らず、楕円柱状等のその他の形状としてもよい。
【0058】
前記エアロゾル発生装置100は、ケーシング30と、ケーシング30に収容される発熱モジュール10、収容管20、バッテリ40、マザーボード50を含む。前記発熱モジュール10は、上記いずれかの実施例における発熱モジュールとしてもよい。収容管20の内壁面は、エアロゾル発生基質200を収容するための収容空間21を規定する。ケーシング30の天井壁には、エアロゾル発生基質200を挿入するための挿入口31が開設されている。エアロゾル発生基質200は、挿入口31を経由して収容空間21内に挿入可能である。発熱モジュール10の上端は、収容空間21内に挿入可能であり、且つ、エアロゾル発生基質200内に挿入されて、通電による発熱後にエアロゾル発生基質200をベーキング加熱するために用いられる。マザーボード50は、バッテリ40、発熱モジュール10にそれぞれ電気的に接続される。マザーボード50には関連の制御回路が配置されており、ケーシング30に設置されるスイッチによって、バッテリ40と発熱モジュール10の間のオン/オフを制御可能である。
【0059】
理解し得るように、上記の各技術的特徴は、制限なく任意に組み合わせて使用することが可能である。
【0060】
以上の実施例は本発明の具体的実施形態を示したものにすぎず、比較的具体的且つ詳細に記載したが、これにより本発明の権利範囲が制限されると解釈すべきではない。指摘すべき点として、当業者であれば、本発明の構想を逸脱しないことを前提に、上記の技術的特性を自由に組み合わせることも、若干の変形及び改良を行うことも可能であり、これらはいずれも本発明の保護の範囲に属する。従って、本発明の請求項の範囲で行われる等価の変形及び補足は、いずれも本発明の請求項がカバーする範囲に属するものとする。