(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024023150
(43)【公開日】2024-02-21
(54)【発明の名称】チップパッケージ
(51)【国際特許分類】
B65D 85/20 20060101AFI20240214BHJP
B65D 1/26 20060101ALI20240214BHJP
B65D 1/48 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
B65D85/20 Z
B65D1/26
B65D1/48
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023126069
(22)【出願日】2023-08-02
(31)【優先権主張番号】22189250.8
(32)【優先日】2022-08-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】512265652
【氏名又は名称】サートリウス・ビオヒット・リキッド・ハンドリング・オイ
【氏名又は名称原語表記】SARTORIUS BIOHIT LIQUID HANDLING OY
【住所又は居所原語表記】LAIPPATIE 1, FI‐00880 HELSINKI, FINLAND
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】トゥオマス・クイトゥネン
(72)【発明者】
【氏名】ヴィレ・ヒンティッカ
【テーマコード(参考)】
3E033
3E068
【Fターム(参考)】
3E033AA09
3E033BA10
3E033BA13
3E033BA16
3E033BB07
3E033CA01
3E033DA02
3E033DC10
3E033FA02
3E033GA03
3E068AA40
3E068AC02
3E068BB06
3E068BB08
3E068BB11
3E068BB12
3E068BB17
3E068CC02
3E068CD02
3E068CE02
3E068CE03
3E068DD19
3E068DD40
3E068DE08
3E068EE01
3E068EE09
3E068EE11
3E068EE21
3E068EE32
(57)【要約】
【課題】製造の際に必要となるプラスチックの量が少なく、再利用のために梱包する際に少ししか場所を取らない、チップパッケージを提供する。
【解決手段】本発明の例示的な態様によると、箱形チップパッケージ(1)であって、
剛性フレーム(2)であって、
少なくとも1つの側部開口(3,4,5,6)および/または底部開口(7)と、
頂部開口(8)と、
を有する剛性フレーム(2)
を含む箱形チップパッケージ(1)
を提供する。
箱形チップパッケージ(1)は、少なくとも1つの側部開口(3,4,5,6)、および/または、底部開口(7)、を覆う薄膜材料(11,12,13)を含む。
チップパッケージ(1)は、剛性フレーム(2)上にチップトレイ(9)を受容するように構成されており、チップ取り出し力に耐えるように構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
剛性フレーム(2)であって、
少なくとも1つの側部開口(3,4,5,6)、および/または、底部開口(7)と、
頂部開口(8)と、
を有する剛性フレーム(2)と、
前記少なくとも1つの側部開口(3,4,5,6)、および/または、前記底部開口(7)を覆う薄膜材料(11,12,13)と、
を含み、
前記剛性フレーム(2)上にチップトレイ(9)を受容するように構成されており、チップ取り出し力に耐えるように構成されている、
箱形チップパッケージ(1)。
【請求項2】
例えば、前記薄膜材料(11,12,13)に穴を開けた後、折り畳み可能な、請求項1に記載の箱形チップパッケージ(1)。
【請求項3】
前記薄膜材料(11,12,13)は、前記チップパッケージ(1)の前記側部開口(3,4,5,6)および/または前記底部開口(7)を覆う前記薄膜材料(11,12,13)に穴を開けるための破り要素を含む、請求項1または2に記載の箱形チップパッケージ(1)。
【請求項4】
前記薄膜材料(11)は、カップ状の連続的な膜の形態であり、前記チップパッケージ(1)の内面または外面に配置されている、請求項1~3のいずれか1項に記載の箱形チップパッケージ(1)。
【請求項5】
前記薄膜材料(12)は、平面状の膜の形態であり、底部と、前記底部に接続する4つの側部と、を含み、
前記チップパッケージ(1)の外面において、前記底部は、前記チップパッケージ(1)の前記底部開口(7)を覆うように配置されており、前記4つの側部は、前記チップパッケージ(1)の前記側部開口(3,4,5,6)を覆うように配置されている、請求項1から3のいずれか1項に記載の箱形チップパッケージ(1)。
【請求項6】
前記薄膜材料(13)は、パネルの形態であり、
前記チップパッケージ(1)の前記外面において、前記チップパッケージ(1)の前記底部開口(7)および/または前記側部開口(2)を覆うように配置されている、請求項1から3のいずれか1項に記載の箱形チップパッケージ(1)。
【請求項7】
前記薄膜材料(11,12,13)は、前記フレームの射出成形中、インモールドラベリングによって、または、前記剛性フレーム(2)の製造後、ヒートシーリング、超音波溶接、接着、もしくはテープ留めによって、前記剛性フレーム(2)に取り付けられる、請求項1~6のいずれか1項に記載の箱形チップパッケージ(1)。
【請求項8】
箱形カバーを含み、該カバーは、
剛性フレームであって、少なくとも1つの側部開口、底部開口、および/または、頂部開口を有する剛性フレームと、
前記少なくとも1つの側部開口、および/または、前記底部開口を覆う薄膜材料と、
を含み、
前記カバーは、当該カバー前記の頂部開口が前記パッケージの前記頂部開口に面して覆うように、前記パッケージ上に位置するように構成されている、請求項1~7のいずれか1項に記載の箱形チップパッケージ(1)。
【請求項9】
前記カバーは、前記薄膜材料に穴を開けた後、折り畳み可能である、請求項8に記載の箱形チップパッケージ(1)。
【請求項10】
前記カバーの前記薄膜材料は、前記カバーの前記側部開口および/または前記頂部開口を覆う前記薄膜材料に穴を開けるための破り要素を含む、請求項8または9に記載の箱形チップパッケージ(1)。
【請求項11】
前記パッケージのおよび/または前記カバーの、前記薄膜材料は、紙ベースの材料等の通気性の材料で作られている、請求項1~10のいずれか1項に記載の箱形チップパッケージ(1)。
【請求項12】
箱形チップパッケージ(1)を製造するための方法であって、
剛性フレーム(2)であって、少なくとも1つの側部開口(3,4,5,6)、および/または、底部開口(7)、および、頂部開口(8)を有する剛性フレーム(2)を、射出成形によって形成することと、
前記チップパッケージ(1)の内面または外面に薄膜材料(11,12,13)を配置して、前記チップパッケージ(1)の前記少なくとも1つの側部開口(3,4,5,6)、および/または、前記底部開口(7)を覆うことと、
前記薄膜材料(11,12,13)を、前記剛性フレーム(2)に、例えばインモールドラベリング、ヒートシーリング、超音波溶接、または接着剤によって取り付けることと、
を含む、方法。
【請求項13】
前記薄膜材料(11,12,13)は、前記チップパッケージ(1)の側部開口(3,4,5,6)および/または底部開口(8)を覆う前記薄膜材料(11,12,13)に穴を開けるための破り要素を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記薄膜材料(11,12,13)は、紙ベースの材料等の通気性の材料で作られている、請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
前記薄膜材料(11)は、カップ状の連続的な膜の形態であり、前記チップパッケージ(1)の内面または外面に配置されている、請求項12~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記薄膜材料(12)は、平面状の膜の形態であり、前記底部と、前記底部に接続する4つの側部と、を含み、
前記チップパッケージ(1)の外面において、前記底部は、前記チップパッケージ(1)の前記底部開口(7)を覆うように配置されており、前記4つの側部は、前記チップパッケージ(1)の前記側部開口(3,4,5,6)を覆うように配置されている、請求項12~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記薄膜材料(13)は、パネルの形態であり、
前記チップパッケージ(1)の前記底部開口(7)および/または前記側部開口(3,4,5,6)を覆うように配置されている、請求項12~16いずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チップパッケージ、より詳しくは、薄膜材料を含むチップパッケージ、に関する。
【背景技術】
【0002】
チップパッケージ等の容器は、ピペットのチップを保存、運搬、および分配するために使用されている。チップパッケージは、箱形の堅固な構造を有しており、チップトレイを乗せることができる。チップパッケージは、手動式または自動式のピペットに乗せるピペットのチップのための担体となる。チップパッケージは、強いチップ取り出し力に耐えるように設計される。加えて、チップパッケージは、パッケージ内の物品の汚染を防止することができる。
【0003】
一般に、チップパッケージは、ポリプロピレンまたはポリテトラフルオロエチレン等のプラスチック材料からなり、堅固な側部パネルと底部パネルとを含む。よって、チップパッケージの製造は、多くの原材料を必要とし、使用済みのチップパッケージは、大量のプラスチックごみとなる。さらに、使用済みのチップパッケージを再利用のために梱包することは、箱形パッケージが多くの場所を取るため、困難である。よって、本発明の目的は、チップパッケージの構造と再利用性とを向上させることである。本発明のさらなる目的は、製造の際に必要となるプラスチックの量が少なく、再利用のために梱包する際に少ししか場所を取らない、チップパッケージを提供することである。
【発明の概要】
【0004】
本発明の第1の態様によると、箱形チップパッケージであって、
剛性フレームであって、
少なくとも1つの側部開口および/または底部開口と、
頂部開口と、
を有する剛性フレームと、
少なくとも1つの側部開口および/または底部開口を覆う薄膜材料と、
を含み、
剛性フレーム上にチップトレイを受容するように構成されており、チップ取り出し力に耐えるように構成されている、チップパッケージ
を提供する。
【0005】
本発明の第2の態様によると、箱形チップパッケージを製造するための方法であって、
剛性フレームであって、少なくとも1つの側部開口、および/または、底部開口、および、頂部開口を有する剛性フレームを、射出成形によって形成することと、
チップパッケージの内面または外面に薄膜材料を配置して、チップパッケージの少なくとも1つの側部開口および/または底部開口を覆うことと、
薄膜材料を、剛性フレームに、例えば、インモールドラベリング(in-mould labeling)、ヒートシーリング、超音波溶接、または接着剤によって取り付けることと、
を含む、方法
を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本発明の少なくともいくつかの実施形態に係る箱形チップパッケージを示す。
【
図2a】本発明の少なくともいくつかの実施形態に係る、チップパッケージ、薄膜材料、およびチップトレイを示す。
【
図2b】本発明の少なくともいくつかの実施形態に係る、内面に薄膜材料を配置したチップパッケージを示す。
【
図3a】本発明の少なくともいくつかの実施形態に係る、チップパッケージ、チップパッケージ上のチップトレイ、および薄膜材料を示す。
【
図3b】本発明の少なくともいくつかの実施形態に係る、外面に薄膜材料を有するチップパッケージを示す。
【
図4a】本発明の少なくともいくつかの実施形態に係る、チップパッケージ、チップパッケージ上のチップトレイ、および薄膜材料を示す。
【
図4b】本発明の少なくともいくつかの実施形態に係る、外面に薄膜材料を有するチップパッケージを示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本文脈では、「チップ」という用語は、通常、液体取り扱い装置のためのチップのことを指す。
【0008】
一実施形態において、チップは、液体取り扱い装置のための使い捨てチップであり、好ましくは、液体取り扱い装置のためのプラスチック製使い捨てチップである。
【0009】
液体取り扱い装置は、手持ち式の液体取り扱い装置であってもよく、自動式の液体取り扱い装置であってもよい。一実施形態において、液体取り扱い装置は、ピペットであり、通常、電子式ピペットや機械式ピペット等の空気置換式ピペットである。他の実施形態において、液体取り扱い装置は、自動式の液体取り扱いロボットである。液体取り扱い装置は、単チャネル装置であってもよく、多チャネル装置であってもよい。
【0010】
本文脈では、「チップ取り出し力」という表現は、液体取り扱い装置がチップパッケージから、通常、その中のチップトレイから、1つまたは複数のチップを取り出す際に、液体取り扱い装置がチップパッケージに及ぼす力のことを指す。
【0011】
本文脈では、「チップトレイ」という用語は、通常、複数の開口を有するプレートであって、各開口がチップを受容し、保持するように構成されたプレートのことを指す。
【0012】
本文脈では、「通気性の材料」という用語は、空気が通気性の材料を通過することができると同時に、汚染粒子等がフィルタで除去され、通気性の材料を通過することが妨げられることを意味する。
【0013】
本文脈では、「薄膜材料」という用語は、とても薄いシート状の材料であって、紙ベースの材料等の材料を意味する。薄膜材料の厚さは、例えば10~500μmであり得る。
【0014】
いくつかの実施形態によると、箱形チップパッケージ1は、剛性フレーム2を含む。剛性フレーム2は、少なくとも1つの側部開口3,4,5,6および/または底部開口7を有する。剛性フレームは、頂部開口8を有する。箱形チップパッケージ1は、少なくとも1つの側部開口3,4,5,6および/または底部開口7を覆う薄膜材料11,12,13を含む。チップパッケージ1は、剛性フレーム2上にチップトレイ9を受容するように構成されている。フレーム2は、チップ取り出し力に耐えるように構成されている。
【0015】
少なくとも1つの側部開口および/または底部開口を覆う薄膜材料によって、チップパッケージの構造の剛性が高まる。よって、チップパッケージは、強いチップ取り出し力に耐えることができる。フレームの剛性はとても高いので、破損したり潰れたりすることなく、チップ取り出し力に耐えることができる。薄膜材料は、良好な微生物バリアとなる。これにより、物品パッケージ内の物品の汚染を防止することができる。薄膜材料は、酸化エチレン(ETO)ガス殺菌等の滅菌に使用するガスおよび蒸気が通過することを可能にする。加えて、薄膜材料は、製品の発売前に、ガスおよび蒸気が素早く放出することを可能にする。薄膜材料をチップパッケージの少なくとも1つの側部および/または底部開口に配置することによって、殺菌ガスがパッケージに容易に出入りできる。本チップパッケージは、一般に使用されているチップパッケージと比較して、製造の際に必要となるプラスチックの量が少なくて済む。よって、その製造は環境に優しく、プラスチックの無駄が少ない。その上、滅菌する材料の量は、使用する放射線量に影響する。したがって、フレームの材料を削減することによって、滅菌中に使用する放射線量を少なくすることを可能とする。使用する放射線量は、少なくすることが推奨されるが、これは、放射線量が多いと、チップが壊れやすくなり、その性能を低下させる可能性があるためである。
【0016】
好ましくは、チップパッケージ1は、少なくともチップ取り出し方向に剛性を有する。
【0017】
好ましくは、剛性フレーム2は、少なくとも底部開口7を有する。
【0018】
加えて、剛性フレーム2は、少なくとも1つの側部開口3,4,5,6を有していてもよい。剛性フレーム2は、1つから4つの側部開口3,4,5,6を有し得る。
【0019】
開口3,4,5,6,7,8の形態は、例えば、長方形または正方形であり得る。
【0020】
開口3,4,5,6,7,8は、パッケージ1の各面の中央に形成することができる。よって、剛性フレーム2は、全ての面で開口を囲み得る。剛性フレーム2が全ての面で開口を囲んでいると、チップパッケージの構造の耐久性が向上する。よって、チップパッケージは、チップ取り出し力に対する耐性が高まる。
【0021】
薄膜材料11,12,13によって覆われる開口3,4,5,6,7,8の大きさは、チップパッケージの側部または底部の大きさの、少なくとも70%、好ましくは75~95%、であってもよい。これにより、チップパッケージを十分に滅菌することが可能となる。
【0022】
剛性フレーム2は、未使用の、または再利用したポリプロピレンまたはポリテトラフルオロエチレンからなり得る。加えて、生物複合材料を使用することができる。
【0023】
剛性フレーム2は、射出成形によって製造することができる。
【0024】
パッケージの薄膜材料11,12,13は、紙ベースの材料等の通気性の材料からなり得る。通気性の材料は、パッケージが膨張するのを防止する。通気性によって、さらに、パッケージが圧力または温度の大きな変動に耐えて、膨張しないようにするのに役立つ。通気性の材料は、好ましくは、製品の純度が低下しないように、十分なフィルタ性を有する。好適な紙ベースの材料には、例えば、タイベックおよび医療グレードの紙が含まれる。
【0025】
タイベックは、良好な微生物バリアとなるため、有利な材料である。よって、パッケージ内の物品の汚染を防止することができる。同時に、その通気性によって、パッケージが膨張するのを防止することができる。通気性によって、さらに、パッケージが圧力または温度の大きな変動に耐えて、膨張しないようにするのに役立つ。
【0026】
タイベックの多孔性繊維構造は、酸化エチレン(ETO)ガス殺菌等の滅菌に使用するガスおよび蒸気が通過することを可能にする。加えて、タイベックは、製品の発売前に、ガスおよび蒸気が素早く放出することを可能にする。タイベック膜をチップパッケージのいくつかの面に配置することによって、殺菌ガスがパッケージに容易に出入りできる。
【0027】
薄膜材料11,12,13の厚さは、例えば、10~500μm、好ましくは100~250μmとすることができる。
【0028】
薄膜材料11,12,13は、無線周波数認識(RFID)タグを含んでいてもよい。これによって、チップパッケージ1を、例えば滅菌プロセス中、認識し、追跡することができる。
【0029】
薄膜材料11,12,13は、温度センサを含んでいてもよい。これによって、チップパッケージの温度を測定することができる。
【0030】
薄膜材料11,12,13は、ホログラムを含んでいてもよい。これによって、チップパッケージを認識することができる。
【0031】
薄膜材料11,12,13は、細片またはテープ等の滅菌インジケーターを含んでいてもよい。滅菌インジケーターによって、チップパッケージの滅菌プロセスをモニターすることが可能となる。滅菌インジケーターは、滅菌中の条件が所定レベルの微生物の不活化を達成するのに十分であったかどうかを示す。
【0032】
いくつかの実施形態によると、薄膜材料11,12,13は、剛性フレーム2の射出成形中、インモールドラベリング(in-mould labeling)によって、または、剛性フレーム2の製造後、ヒートシーリング、超音波溶接、接着、もしくはテープ留めによって、フレームに取り付ける。これらの方法によって、薄膜材料は、フレームにしっかりと封止され、これにより、パッケージ内の物品の汚染を防止することができる。
【0033】
いくつかの実施形態によると、チップパッケージ1は、薄膜材料11,12,13に穴を開けた後、折り畳み可能である。したがって、再利用のために梱包する際に、少ししか場所を取らない。
【0034】
追加的または代替的に、薄膜材料11,12,13は、使用後に除去することができる。薄膜材料は、剛性フレームから剥がすことによって除去することができる。これによって、薄膜材料とプラスチックのフレームとは、別々に再利用することができる。
【0035】
いくつかの実施形態によると、薄膜材料11,12,13は、破り要素(不図示)を含む。破り要素は、チップパッケージ1の側部開口3,4,5,6および/または底部開口7を覆う薄膜材料11,12,13に穴を開けるためのものである。破り要素によって、手間をかけずに、例えば、破り要素の箇所において薄膜材料を指で押すことによって、薄膜材料に穴を開けることが可能となる。これによって、穴を開けたチップパッケージは、押して平らにすることが容易にできる。よって、再利用のために梱包する際に、少ししか場所を取らない。
【0036】
破り要素は、例えば、単一の穴であってもよく、線状または円状に並んだ複数の穴であってもよい。
【0037】
破り要素は、例えば、フレームの各開口の中央において、薄材料に形成することができる。
【0038】
破り要素は、例えばレーザー穿孔によって製造することができる。レーザー穿孔によって、破り要素を素早く正確に形成することが可能となる。
【0039】
フレーム2の材料厚さは、チップパッケージ1を押して平らにするために、チップパッケージの角部から減らす(不図示)ことができる。例えば、チップパッケージの角部は、長手方向に細長い溝を有していてもよい。これにより、チップパッケージを押して平らにすることが容易にできる。
【0040】
いくつかの実施形態によると、薄膜材料11は、カップ状の連続的な膜の形態であり、チップパッケージ1の内面または外面に配置する。これによって、薄膜材料11は、側部開口3,4,5,6と、底部開口7と、を覆う。カップ状の連続的な膜によって、チップパッケージの構造の剛性が高まる。よって、チップパッケージは、強いチップ取り出し力に耐えることができる。さらに、カップ状の連続的な膜をフレームにしっかりと取り付けて、カップ状の連続的な膜の合わせ目を封止することによって、パッケージ内の物品の汚染を防止することができる。カップ状の連続的な膜をチップパッケージの内面に取り付ける場合、剛性フレームの材料は、製品の純度にとってそれほど重要とはならない。よって、剛性フレームは、例えば、再利用プラスチックまたは生物複合材料からなり得る。
【0041】
カップ状の連続的な膜は、チップパッケージの内面または外面に直接取り付けて、チップパッケージのフレームを型の一部として使用してカップ状に形成することができる。
【0042】
カップ状の連続的な膜は、剛性フレームの製造後、ヒートシーリングまたは超音波溶接によってフレームに取り付けることができる。カップ状の連続的な膜は、少なくともフレームの上側辺においてフレームに取り付けることができる。薄膜材料をフレームにしっかりと取り付けることによって、パッケージ内の物品の汚染を防止することができる。
【0043】
いくつかの実施形態によると、薄膜材料12は、平面状の膜の形態であり、底部と、底部に接続する4つの側部と、を含む。チップパッケージ1の外面において、底部は、チップパッケージ1の底部開口7を覆うように配置され、4つの側部は、チップパッケージ1の側部開口3,4,5,6を覆うように配置される。平面状の膜によって、チップパッケージの構造の剛性が高まる。よって、チップパッケージは、強いチップ取り出し力に耐えることができる。平面状の膜は、シート状の材料から容易に切り出すことができるため、容易に製造することができる。
【0044】
代替的に、平面状の薄膜材料13は、パッケージの内面に配置することができる。
【0045】
平面状の膜は、剛性フレーム2の各辺に堅固に取り付けることができる。
【0046】
平面状の膜は、フレームの製造中、インモールドラベリング(in-mould labeling)(IML)によってフレームに取り付けることができる。代替的に、平面状の膜は、フレームの製造後、ヒートシーリング、超音波溶接によって、または、接着剤を用いて、剛性フレームに取り付けることができる。接着剤は、生分解性の糊等の糊とすることができる。
【0047】
いくつかの実施形態によると、薄膜材料は、パネル(不図示)の形態であり、チップパッケージ1の外面において、チップパッケージ1の底部開口7および/または側部開口3,4,5,6を覆うように配置する。パネルによって、チップパッケージの構造の剛性が高まる。よって、チップパッケージは、強いチップ取り出し力に耐えることができる。パネルによって、チップパッケージのいくつかの部分だけを覆うことが可能となる。よって、チップパッケージが1つまたは少数の開口を有する場合、当該開口のみをパネルによって覆うことができるため、必要となる薄膜材料の量が少なくて済む。
【0048】
チップパッケージ1が、頂部開口8および底部開口7のみを有する場合、底部開口7のみを薄膜材料のパネルによって覆ってもよい。
【0049】
パネルは、フレームの製造後、ヒートシーリング、超音波溶接、テープ留め、または接着によって、剛性フレーム2に取り付けることができる。
【0050】
いくつかの実施形態によると、チップパッケージ1は、箱形カバー(不図示)をさらに含んでいてもよい。カバーは、少なくとも1つの側部開口、底部開口、および/または頂部開口を有する剛性フレームと、少なくとも1つの側部開口および/または底部開口を覆う薄膜材料と、を含むことができる。カバーは、その頂部開口がパッケージの頂部開口に面して覆うように、パッケージ上に位置するように構成されている。
【0051】
カバーは、チップパッケージ1に、関節部分で繋いで取り付けてもよい。よって、カバーは、カバーをフレームに接続するヒンジによって、チップパッケージに取り付けてもよい。これにより、カバーを側方に容易に足ひれして、チップパッケージからチップを取り出すことができる。
【0052】
代替的に、カバーは、別個の部分であってもよい。これにより、カバーは、チップパッケージ1に取り付けられない。これにより、カバーは、持ち上げて別にして、チップパッケージからチップを取り出すことができる。
【0053】
カバーとチップパッケージ1との接触部分は、封止することができる。接触部分は、気密封止によって封止することができる。気密封止は、カバーとフレームとの接触部分に位置することができる。封止によって、パッケージの内部空間とその周囲との間のガス交換は、実質的にすべて防止することができる。
【0054】
カバーは、未使用の、または再利用したポリプロピレンまたはポリテトラフルオロエチレンからなり得る。加えて、生物複合材料を使用することができる。カバーは、射出成形によって製造することができる。
【0055】
薄膜材料は、カバーの側部開口および/または頂部開口を覆うことができる。
【0056】
カバーの薄膜材料は、紙ベースの材料等の通気性の材料からなり得る。好適な紙ベースの材料には、例えば、タイベックおよび医療グレードの紙が含まれる。通気性の材料によって、パッケージが膨張するのを防止することができる。通気性によって、さらに、パッケージが圧力または温度の大きな変動に耐えて、膨張しないようにするのに役立つ。
【0057】
いくつかの実施形態によると、カバーは、薄膜材料に穴を開けた後、折り畳み可能である。よって、再利用のために梱包する際に、少ししか場所を取らない。
【0058】
ある実施形態によると、カバーの薄膜材料は、破り要素を含む。破り要素は、カバーの側部開口および/または頂部開口を覆う薄膜材料に穴を開けるためのものである。破り要素によって、手間をかけずに、例えば、破り要素の箇所において薄膜材料を指で押すことによって、薄膜材料に穴を開けることが可能となる。これによって、穴を開けたカバーは、押して平らにすることが容易にできる。よって、再利用のために梱包する際に、少ししか場所を取らない。
【0059】
カバーの薄膜材料は、カップ状の連続的な膜、平面状の膜、またはパネルの形態であり得る。
【0060】
カバーは、チップパッケージ1の薄膜材料11,12,13に穴を開けるための穴開け要素を含んでいてもよい。例えば、カバーは、角部において突出する歯部を含んでいてもよい。これによって、カバーは、チップパッケージ1から取り外してもよく、チップパッケージの薄膜材料に穴を開けるために使用してもよい。
【0061】
一実施形態によると、箱形チップパッケージ1を製造するための方法は、
剛性フレーム2であって、少なくとも1つの側部開口3,4,5,6、および/または、底部開口7、および、頂部開口8を有する剛性フレーム2を、射出成形によって形成することと、
チップパッケージ1の内面または外面に薄膜材料11,12,13を配置して、チップパッケージの少なくとも1つの側部開口3,4,5,6、および/または、底部開口7を覆うことと、
薄膜材料11,12,13を、剛性フレーム2に、例えばインモールドラベリング(in-mould labeling)、ヒートシーリング、超音波溶接、または接着剤によって取り付けることと、
を含む。
本方法は、チップパッケージを生産する簡便かつ対費用効果の高い方法である。まずフレームを製造し、その後フレームに薄膜材料を配置することによって、フレームおよび薄膜材料の製造において、異なる材料を使用することが可能となる。よって、チップパッケージを製造するのに使用するプラスチックの量が少なくて済む。
【0062】
薄膜材料11,12,13を剛性フレーム2に取り付ける際に使用する接着剤は、糊であり得る。
【0063】
図面の詳細な説明
【0064】
図1に、箱形チップパッケージ1を示す。箱形チップパッケージ1は、剛性フレーム2を含み、剛性フレーム2は、4つの側部開口3,4,5,6と、底部開口7と、頂部開口8と、を有する。チップパッケージ1は、剛性フレーム2にチップトレイ9を受容するように構成されている。チップトレイ9は、チップを受容するための複数の開口10を有する。
【0065】
図2aに、チップパッケージ1と、薄膜材料11と、チップトレイ9と、を示す。薄膜材料11は、カップ状の連続的な膜の形態である。薄膜材料11は、チップパッケージの内部に取り付けられるように構成されている。チップトレイ9は、チップを受容するための複数の開口10を有する。
【0066】
図2bに、薄膜材料11を内面に配置したチップパッケージ1を示す。薄膜材料11は、カップ状の連続的な膜である。薄膜材料11は、側部開口3,4,5,6と、底部開口7と、を覆っている。
【0067】
図3aに、チップパッケージ1と、チップパッケージ1上のチップトレイ9と、薄膜材料12と、を示す。チップトレイ9は、チップを受容するための複数の開口10を有する。薄膜材料12は、カップ状の連続的な膜の形態である。
【0068】
図3bに、薄膜材料12を外面に有するチップパッケージ1を示す。薄膜材料12は、カップ状の連続的な膜である。薄膜材料12は、側部開口3,4,5,6と、底部開口7と、を覆っている。
【0069】
図4aに、チップパッケージ1と、チップパッケージ1上のチップトレイ9と、薄膜材料13と、を示す。チップトレイ9は、チップを受容するための複数の開口10を有する。薄膜材料13は、平面状の膜の形態である。平面状の膜は、底部と、底部に接続する4つの側部と、を含む。底部は、チップパッケージ1の底部開口7を覆うように配置されるように構成されている。4つの側部は、チップパッケージの側部開口3,4,5,6を覆うように配置されるように構成されている。
【0070】
図4bに、薄膜材料13を外面に有するチップパッケージ1を示す。薄膜材料13は、平面状の膜である。薄膜材料13は、側部開口3,4,5,6と、底部開口7と、を覆っている。
【0071】
ここに開示した発明は、ここに開示された特定の構造、方法工程、または材料に限定されるものではなく、関連技術の当業者にとって認識されるように、その均等物にまで及ぶものであることが理解される。また、ここで使用された用語は、特定の実施例を説明する目的のために使用されるものであつて、限定的であることを意図するものではないと理解されなければならない。
【0072】
さらに、説明した特徴、構造、または特性は、一つまたは複数の実施形態において任意の適した形で組み合わされてよい。説明では、本発明の実施形態の深い理解をもたらすために、長さ、幅、形状などの例など、数多くの具体的な詳細を提供する。
【0073】
動詞「comprise」、及び「include」は、この文献において、記載されていない特徴の均等物を除外または要件としないオープンな限定として使用されている。従属請求項に記載の特徴構成は、特に銘記されない限り、相互に自由に組み合わせ可能である。更に、「a」または「an」、すなわち、単数形の使用は、この文献全体を通じて、複数を除外するものではないと理解される。
【符号の説明】
【0074】
1 チップパッケージ
2 フレーム
3~6 側部開口
7 底部開口
8 頂部開口
9 チップトレイ
10 開口
11~13 薄膜材料
【手続補正書】
【提出日】2023-12-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
剛性フレーム(2)であって、
少なくとも1つの側部開口(3,4,5,6)、および/または、底部開口(7)と、
頂部開口(8)と、
を有する剛性フレーム(2)と、
前記少なくとも1つの側部開口(3,4,5,6)、および/または、前記底部開口(7)を覆う薄膜材料(11,12,13)と、
を含み、
前記剛性フレーム(2)上にチップトレイ(9)を受容するように構成されており、チップ取り出し力に耐えるように構成されている、
箱形チップパッケージ(1)。
【請求項2】
例えば、前記薄膜材料(11,12,13)に穴を開けた後、折り畳み可能な、請求項1に記載の箱形チップパッケージ(1)。
【請求項3】
前記薄膜材料(11,12,13)は、前記チップパッケージ(1)の前記側部開口(3,4,5,6)および/または前記底部開口(7)を覆う前記薄膜材料(11,12,13)に穴を開けるための破り要素を含む、請求項1または2に記載の箱形チップパッケージ(1)。
【請求項4】
前記薄膜材料(11)は、カップ状の連続的な膜の形態であり、前記チップパッケージ(1)の内面または外面に配置されている、請求項1または2に記載の箱形チップパッケージ(1)。
【請求項5】
前記薄膜材料(12)は、平面状の膜の形態であり、底部と、前記底部に接続する4つの側部と、を含み、
前記チップパッケージ(1)の外面において、前記底部は、前記チップパッケージ(1)の前記底部開口(7)を覆うように配置されており、前記4つの側部は、前記チップパッケージ(1)の前記側部開口(3,4,5,6)を覆うように配置されている、請求項1または2に記載の箱形チップパッケージ(1)。
【請求項6】
前記薄膜材料(13)は、パネルの形態であり、
前記チップパッケージ(1)の前記外面において、前記チップパッケージ(1)の前記底部開口(7)および/または前記側部開口(2)を覆うように配置されている、請求項1または2に記載の箱形チップパッケージ(1)。
【請求項7】
前記薄膜材料(11,12,13)は、前記フレームの射出成形中、インモールドラベリングによって、または、前記剛性フレーム(2)の製造後、ヒートシーリング、超音波溶接、接着、もしくはテープ留めによって、前記剛性フレーム(2)に取り付けられる、請求項1または2に記載の箱形チップパッケージ(1)。
【請求項8】
箱形カバーを含み、該カバーは、
剛性フレームであって、少なくとも1つの側部開口、底部開口、および/または、頂部開口を有する剛性フレームと、
前記少なくとも1つの側部開口、および/または、前記底部開口を覆う薄膜材料と、
を含み、
前記カバーは、当該カバー前記の頂部開口が前記パッケージの前記頂部開口に面して覆うように、前記パッケージ上に位置するように構成されている、請求項1または2に記載の箱形チップパッケージ(1)。
【請求項9】
前記カバーは、前記薄膜材料に穴を開けた後、折り畳み可能である、請求項8に記載の箱形チップパッケージ(1)。
【請求項10】
前記カバーの前記薄膜材料は、前記カバーの前記側部開口および/または前記頂部開口を覆う前記薄膜材料に穴を開けるための破り要素を含む、請求項8に記載の箱形チップパッケージ(1)。
【請求項11】
前記パッケージのおよび/または前記カバーの、前記薄膜材料は、紙ベースの材料等の通気性の材料で作られている、請求項8に記載の箱形チップパッケージ(1)。
【請求項12】
箱形チップパッケージ(1)を製造するための方法であって、
剛性フレーム(2)であって、少なくとも1つの側部開口(3,4,5,6)、および/または、底部開口(7)、および、頂部開口(8)を有する剛性フレーム(2)を、射出成形によって形成することと、
前記チップパッケージ(1)の内面または外面に薄膜材料(11,12,13)を配置して、前記チップパッケージ(1)の前記少なくとも1つの側部開口(3,4,5,6)、および/または、前記底部開口(7)を覆うことと、
前記薄膜材料(11,12,13)を、前記剛性フレーム(2)に、例えばインモールドラベリング、ヒートシーリング、超音波溶接、または接着剤によって取り付けることと、
を含む、方法。
【請求項13】
前記薄膜材料(11,12,13)は、前記チップパッケージ(1)の側部開口(3,4,5,6)および/または底部開口(8)を覆う前記薄膜材料(11,12,13)に穴を開けるための破り要素を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記薄膜材料(11,12,13)は、紙ベースの材料等の通気性の材料で作られている、請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
前記薄膜材料(11)は、カップ状の連続的な膜の形態であり、前記チップパッケージ(1)の内面または外面に配置されている、請求項12または13に記載の方法。
【請求項16】
前記薄膜材料(12)は、平面状の膜の形態であり、前記底部と、前記底部に接続する4つの側部と、を含み、
前記チップパッケージ(1)の外面において、前記底部は、前記チップパッケージ(1)の前記底部開口(7)を覆うように配置されており、前記4つの側部は、前記チップパッケージ(1)の前記側部開口(3,4,5,6)を覆うように配置されている、請求項12または13に記載の方法。
【請求項17】
前記薄膜材料(13)は、パネルの形態であり、
前記チップパッケージ(1)の前記底部開口(7)および/または前記側部開口(3,4,5,6)を覆うように配置されている、請求項12または13に記載の方法。
【外国語明細書】