(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024023165
(43)【公開日】2024-02-21
(54)【発明の名称】電解銅箔、その製造方法、及びそれから作製された物品
(51)【国際特許分類】
C25D 1/04 20060101AFI20240214BHJP
C25D 1/00 20060101ALI20240214BHJP
C25D 7/00 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
C25D1/04 311
C25D1/00 311
C25D7/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023128921
(22)【出願日】2023-08-08
(31)【優先権主張番号】63/396,009
(32)【優先日】2022-08-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/488,939
(32)【優先日】2023-03-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519372065
【氏名又は名称】デュポン エレクトロニクス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シー-チン リン
【テーマコード(参考)】
4K024
【Fターム(参考)】
4K024BA09
4K024BB11
4K024BC02
(57)【要約】
【課題】 電解銅箔、その製造方法、及びそれから作製された物品を提供する。
【解決手段】 以下を特徴とする電解銅箔が開示される:電解銅箔の電着表面は、3.50μm以下の平均表面粗さ(S
z)を有し、電解銅箔は、200℃で2時間の熱処理後、35%以下の双晶粒界比、又は3.50μm
-1以上の全粒界密度を有し、電解銅箔は、電解液中で電着させることにより製造され、電解液は、0.01ppm~25.0ppmの塩素イオンと、0.01ppm~75.0ppmの添加剤とを含む。又、電解銅箔の製造方法、及びそれから作製された物品も開示される。この物品には、リチウムイオン電池又は電気二重層キャパシタの負極集電体、樹脂被覆銅、銅張積層板、フレキシブル銅張積層板、各種プリント回路基板等が含まれる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解銅箔であって、
前記電解銅箔の電着表面の平均表面粗さ(Sz)は、3.50μm以下であり、
200℃で2時間の熱処理後、前記電解銅箔は、(i)35%以下の双晶粒界比、又は(ii)3.50μm-1以上の全粒界密度を有し、
前記電解銅箔は、電解液における電着によって作製されており、前記電解液は、
0.01~25.0ppmの範囲の塩化物イオンと、
0.01~75.0ppmの範囲の添加剤と、を含む、電解銅箔。
【請求項2】
200℃で2時間の熱処理後、前記電解銅箔の平均粒径は、1.50μm以下である、請求項1に記載の電解銅箔。
【請求項3】
200℃で2時間の熱処理後、前記電解銅箔は、3.00μm-1以上の高角粒界密度、0.10μm-1以上の低角粒界密度、又は両方を有する、請求項1に記載の電解銅箔。
【請求項4】
200℃で2時間の熱処理後の前記電解銅箔の前記低角粒界密度に対する前記高角粒界密度の比は、30未満である、請求項1に記載の電解銅箔。
【請求項5】
200℃で2時間の熱処理後の前記電解銅箔の引張り強度は、35kg/mm2以上である、請求項1に記載の電解銅箔。
【請求項6】
前記電解銅箔の厚さは、20μm以下である、請求項1に記載の電解銅箔。
【請求項7】
前記電解液における前記添加剤は、ゼラチン、膠、セルロース、窒素含有カチオンポリマー、又はそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の電解銅箔。
【請求項8】
前記添加剤は、窒素含有カチオンポリマーである、請求項7に記載の電解銅箔。
【請求項9】
前記窒素含有カチオンポリマーは、1:1のモル比にて式(I)で表されるジアミンと式(II)で表されるエポキシド:
【化1】
(式中、
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5及びR
6は、それぞれ独立してH又はC1~C3アルキルであり、
R
7は、C2~C8アルキレン、C5~C10シクロアルキレンを含む二価の連結基であり、任意選択的に-OHで置換されており、
Aは、C2~C8アルキレン、C5~C10環アルキレン、C6~C20アリーリレン、又はC6~C20アリーリレン-C1~C10アルキレンを含む二価の連結基であり、
p、q、及びrは、それぞれ独立して0~10の整数であり、
nは、1~2の整数である)
との反応生成物である、請求項8に記載の電解銅箔。
【請求項10】
前記電解液は、120~450g/Lの範囲の硫酸銅と、30~140g/Lの範囲の硫酸とを更に含む、請求項1に記載の電解銅箔。
【請求項11】
前記電着は、20~80A/dm2の範囲の電流密度で行われる、請求項1に記載の電解銅箔。
【請求項12】
前記電着は、30~60℃の範囲の電解液温度で行われる、請求項1に記載の電解銅箔。
【請求項13】
請求項1に記載の電解銅箔を製造するための方法であって、
i)電解槽において前記電解液を供給する工程と、
ii)前記電解液において互いに離間したアノードプレートと回転カソードロールに電流を印加する工程と、
iii)前記回転カソードロールに銅を電着する工程と、
iv)前記電解銅箔を前記カソードロールから分離する工程と、を含み、前記電解液は、
120~450g/Lの範囲の硫酸銅と、
30~140g/Lの範囲の硫酸と、
0.01~25.0ppmの範囲の塩化物イオンと、
0.01~75.0ppmの範囲の添加剤と、を含む、方法。
【請求項14】
前記印加電流の電流密度は、20~80A/dm2の範囲である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記電解液の温度は、30~60℃の範囲である、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記添加剤は、ゼラチン、膠、セルロース、窒素含有カチオンポリマー、又はそれらの組み合わせを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記添加剤は、1:1のモル比にて式(I)で表されるジアミンと式(II)で表されるエポキシド:
【化2】
(式中、
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、及びR
6は、それぞれ独立してH又はC1~C3アルキルであり、
R
7は、C2~C8アルキレン、C5~C10シクロアルキレンを含む二価の連結基であり、任意選択的に-OHで置換されており、
Aは、C2~C8アルキレン、C5~C10環アルキレン、C6~C20アリーリレン、又はC6~C20アリーリレン-C1~C10アルキレンを含む二価の連結基であり、
p、q、及びrは、それぞれ独立して0~10の整数であり、
nは、1~2の整数である)
との反応生成物である窒素含有カチオンポリマーである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
請求項1に記載の電解銅箔を含む物品であって、前記物品は、負極集電体、裏面粘着銅箔、銅張積層板、フレキシブル銅張積層板、リジッドプリント回路基板、フレキシブルプリント回路基板又はリジッドフレックスプリント回路基板である、物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3.50μm以下の析出面の平均表面粗さ(Sz)、低い双晶粒界比又は高い全粒界密度、及び微粒子、及び高い引張り強度を有する電解銅箔に関する。又、本発明は、電解銅箔の製造方法、及びそれから作製された物品に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、全ての電気自動車は、耐久性の向上に力を入れており、リチウムイオン電池セルの単位容量を増やす方法が主流である。容量を増やす方法はいくつかあり、最も簡単でリスクの低い方法には、2つの方法が含まれる:(1)負極集電体の銅箔の厚さを薄くすること、及び(2)負極のグラファイト系材料をシリコン材料に置き換えること。グラファイトをシリコンに置き換えることの利点は、シリコン材料の理論的エネルギー密度が4200mAh/gと高く、グラファイト系材料のものの約10倍であることである。
【0003】
しかしながら、第1の解決策を使用する場合、即ち、エネルギー密度を高めるために銅箔の厚さを減らす場合、負極材料を保持し、破壊せずに加工するのに耐えることが依然としてできながら厚さを減らすために、銅箔は、高い引張り強度を有する必要がある。第2の解決策に関しては、シリコン材料の理論エネルギー密度はグラファイトのものの10倍であるが、リチウムイオンの挿入によるシリコン材料の体積膨張及び収縮は又、充電及び放電プロセス中のグラファイト材料のものよりも大きい。負極材料としてシリコン材料を使用する場合、集電体の破断及び電池の故障を避けるために、過度の膨張を抑えるよう引張り強度の高い銅箔を使用する必要性が依然としてある。電気自動車の電池寿命及び容量を向上させるに、電池のエネルギー密度を高めるためにこれらの解決策のどれを使用しても、高い引張り強度及び熱安定性を備えた電解銅箔を使用する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】台湾特許第1696727B号明細書
【特許文献2】台湾特許第1707062B号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
特許文献1及び特許文献2は、銅箔を強化するという目的を達成するために、主にナノツイン(nano-twin)を高い割合で使用する、高強度の電解銅箔の製造方法を開示している。しかしながら、これら2つの製造方法による電気めっきの間に印加される電流密度は、比較的低く、工業的な大量生産を行うことが困難である。従って、薄型回路基板及び電池セルのエネルギー密度を高めるという現在の課題を解決するための、工業化された高強度の銅箔が市場には依然として不足している。産業界のこうした課題を解決することに基づき、本発明は、高強度の電解銅箔を工業的に大量生産する方法を提案する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】電解銅箔を製造するための本発明のフローチャートを示している。
【発明を実施するための形態】
【0007】
特に明記しない限り、本明細書で言及される全ての刊行物、特許出願、特許、及びその他の参考文献は、その全体が参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【0008】
特に定義しない限り、本明細書で用いられる全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。不一致の場合、定義を含めて、本明細書が優先されるであろう。
【0009】
特に明記しない限り、パーセント、部、比などは全て重量による。
【0010】
本明細書で使用される場合、「から作製される(made from)」という用語は、「含んでいる(comprising)」と同義である。本明細書で使用される場合、「含む(comprises)」、「含んでいる(comprising)」、「含む(includes)」、「含んでいる(including)」、「有する(has)」、「有する(having)」、「含んでいる(containing)」、「含む(contains)」、又は「含んでいる(containing)」という用語、又はそれらの他の変形形態は、非排他的な包含を網羅することを意図している。例えば、要素のリストを含む組成物、プロセス、方法、物品、又は装置は、必ずしもそれらの要素に限定されるわけではなく、特にリストされていない他の要素、又はこのような組成物、プロセス、方法、物品、又は装置に固有ではない他の要素を含む場合がある。
【0011】
接続句「からなる(consisting of)」は、任意の不特定の要素、工程、又は構成要素を除外する。特許請求の範囲内にある場合、このような句は、通常それに付随する不純物を除いて、記載されたもの以外の材料を含まないように特許請求の範囲をクローズ(closed)にすることになる。「からなる(consisting of)」という句が、プリアンブルの直後ではなく、特許請求の範囲の本文である条項に出現する場合、その条項に記載されている要素のみを制限し、他の要素も全体として特許請求の範囲から除外されない。「から本質的になる(consisting essentially of)」という接続詞は、文字通り説明したものに加えて、材料、工程、特徴、構成要素、又は要素を含む組成物、方法、又は装置を定義するために使用されるが、ただし、このような追加の材料、工程、特徴、構成要素は、又は要素は、特許請求された発明の基本的及び新規な特徴の1つ以上に実質的な影響を与えないという条件である。「から本質的になる(consisting essentially of)」という用語は、「含む(comprising)」と「からなる(consisting of)」の中間である。「含んでいる(comprising)」という用語は、「本質的にからなる(consisting essentially of)」及び「からなる(consisting of)」という用語によって網羅される実施形態を含むことを意図している。同様に、「から本質的になる(consisting essentially of)」という用語は、「からなる(consisting of)」という用語によって網羅される実施形態を含むことを意図している。
【0012】
量、濃度、又は他の値又はパラメータが、範囲、好ましい範囲、又は一連の好ましい上限値及び好ましい下限値に関して与えられる場合、全ての範囲は、その範囲が個別に開示されているかどうかに関係なく、その範囲の任意の下限値又は好ましい値とともに、その範囲の任意の上限値又は好ましい値における任意の組み合わせの範囲によって形成されることを理解されたい。例えば、「1~5」という範囲が記載されている場合、その記載範囲には、「1~4」、「1~3」、「1~2」、「1~2及び4~5」、「1~3及び5」並びに他の範囲が含まれるものと解釈されるべきである。本明細書に数値範囲が記載されている場合、別段の記載がない限り、その範囲は、その端点、及びその範囲内の全ての整数及び分数を含むことを意図している。「約」という用語が範囲の値又は終点を説明する際に使用される場合、本開示は、言及される特定の値又は終点を含むと理解されるべきである。
【0013】
加えて、反対の明示的な記述がない限り、「又は」は、排他的な「又は」ではなく、包括的な「又は」を指す。例えば、条件A「又は」Bは、次のいずれかによって満たされる:Aが真であり(又は存在し)且つBが偽である(又は存在しない)、Aが偽であり(又は存在せず)且つBが真である(又は存在する)、並びにA及びBが両方とも真である(又は存在する)。
【0014】
本明細書で使用される場合、「ヒドロカルビル」という用語は、少なくとも1つの炭素原子及び少なくとも1つの水素原子を有し、示されている場合、任意選択的に1つ以上の置換基で置換されている有機化合物を指し、「アルキル」という用語は、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、及びtert-ブチル等など、示された数の炭素原子を有し、一価の結合を有する直鎖又は分岐鎖の飽和炭化水素を指す。「アルキレン」は、二価の結合を有するアルキル基を指す。「シクロアルキル」とは、全ての環員が炭素である1つ以上の飽和環を有する一価の基を意味し、例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、及びシクロヘキシルが含まれ、「シクロアルキレン」は、二価の結合を有するシクロアルキル基を指す。「アリール」は、一価の芳香族単環式又は縮合環基多環式環系を意味し、例えば、フェニル、ビフェニル、ターフェニル、ナフチル、ビナフチル等など、少なくとも1つのシクロアルキル基に縮合された芳香環を有する基を含み得る。「アリーレニル」は、二価の結合を有するアリール基を指す。置換基内の炭素原子の総数は、「Ci~Cj」という接頭辞で示され、例えば、C1~C6アルキルは、メチル、エチル、及び様々なプロピル、ブチル、ペンチル、及びヘキシル異性体を指す。「任意に置換(された)」という用語は、「置換又は非置換」という語又は「(非)置換」という用語と互換的に使用される。「1~4つの置換基で任意に置換(された)」という表現は、置換基が存在しない(即ち、非置換)、或いは1、2、3、又は4つの置換基が存在する(結び目位置の利用可能な結合数によって制限される)ことを意味する。他に指示されない限り、任意に置換された基は、その基の各置換可能な位置で置換基を有し得、各置換基は、相互に独立している。
【0015】
本発明の実施形態は、本明細書に記載される任意の実施形態を含み、任意の方法で組み合わせることができ、実施形態における変数の説明は、本発明の複合材料に関するだけでなく、それから作製される製品にも関する。
【0016】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0017】
本発明は、以下を特徴とする、電解銅箔を提供する:電解銅箔の電着表面の平均表面粗さ(Sz)は、3.50μm以下であり、200℃で2時間の熱処理後、電解銅箔は、双晶粒界比が35%以下、又は全粒界密度(全粒界密度)が3.50μm-1以上であり、電解銅箔は、電解液における電着により作製され、電解液は、約0.01ppm~約25.0ppmの範囲の塩化物イオン、及び約0.01ppm~約75.0ppmの範囲の添加剤を含む。
【0018】
本発明の目的の一つがリチウムイオン電池に適した負極集電体を提供することであることを考慮すると、高圧処理後、その析出表面の表面粗さが大きすぎる場合、電解銅箔は、負極と反応し得、その結果、層間の界面で亀裂が生じる。本明細書及び特許出願の範囲で使用される表面粗さは、本発明の電解銅箔の電着表面の粗さをレーザー走査型顕微鏡で測定し、比較基準として「Sz」を用いるものである。
【0019】
一実施形態では、電解銅箔の電着表面の平均表面粗さ(Sz)は、常温において、3.50μm以下、又は3.25μm以下、又は3.00μm以下、又は2.75μm以下である。
【0020】
別の実施形態では、200℃で2時間の熱処理後、電解銅箔の電着表面の平均表面粗さ(Sz)は、3.50μm以下、又は3.25μm以下、又は3.00μm以下、又は2.75μm以下である。
【0021】
一方、本発明の別の目的は、微細回路基板の現在の必要性を満たし、電池エネルギー密度を向上させるために、薄く高強度の電解銅箔を提供することである。銅箔の強度が高いほど、変形及びシワが発生しにくくなる。2つの銅箔の引張り強度が同じ場合、銅箔が厚い方が、強度が高くなる。銅箔の強度は、次の関係により計算される:
強度(kgf/mm)=[引張り強度(kgf/mm2)]×[厚さ(mm)]
【0022】
2つの銅箔の厚さが同じ場合、引張り強度が高い銅箔の方が、強度が高くなる。銅箔の厚さを薄くすると、銅箔の強度を維持するために、銅箔の引張り強度を高める必要がある。
【0023】
一実施形態では、電解銅箔の引張り強度は、常温において、約40kgf/mm2以上、又は約45kgf/mm2以上、又は約50kgf/mm2以上、又は約55kgf/mm2以上である。
【0024】
別の実施形態では、200℃で2時間の熱処理後、電解銅箔の引張り強度は、約35kgf/mm2以上、又は約40kgf/mm2以上、又は約45kgf/mm2以上、又は約50kgf/mm2以上である。
【0025】
一実施形態では、本発明の電解銅箔は、高い引張り強度と高い熱安定性の両方を有する。
【0026】
電子後方散乱回折(EBSD)を使用して、電解銅箔の微細構造を分析した。電解銅箔結晶の双晶粒界の比は、室温において約35%以下である。同時に、200℃で2時間の熱処理後、電解銅箔の双晶粒界の比も、約35%以下である。加えて、電解銅箔結晶の平均粒径は、室温で、又は200℃で2時間の熱処理後で、約1.50μm以下である。
【0027】
200℃で2時間の熱処理後、電解銅箔の全粒界密度(TGBD)は、約3.50μm-1以上である。一方、200℃で2時間の熱処理後、電解銅箔は、約3.00μm-1以上の高角粒界密度(HGBD)、及び/又は約0.10μm-1以上の低角粒界密度(LGBD)を有する。加えて、200℃で2時間の熱処理後、電解銅箔の低角粒界密度(LGBD)に対する高角粒界密度(HGBD)の比は、30未満である。
【0028】
一実施形態では、200℃で2時間の熱処理後、電解銅箔の双晶粒界比は、約35%以下、又は約30%以下、又は約25%以下である。
【0029】
一実施形態では、200℃で2時間の熱処理後、電解銅箔の平均粒径は、約1.50μm以下、又は約1.25μm以下、又は約1.00μm以下である。
【0030】
一実施形態では、200℃で2時間の熱処理後、電解銅箔の全粒界密度は、約3.50μm-1以上、又は約4.50μm-1以上、又は約5.50μm-1以上である。
【0031】
一実施形態では、200℃で2時間の熱処理後、電解銅箔の高角粒界密度は、約3.00μm-1以上、又は約4.00μm-1以上、又は約5.00μm-1以上である。
【0032】
一実施形態では、200℃で2時間の熱処理後、電解銅箔の低角粒界密度は、約0.10μm-1以上、又は約0.20μm-1以上、又は約0.30μm-1以上である。
【0033】
一実施形態では、200℃で2時間の熱処理後、電解銅箔の低角粒界密度(LGBD)に対する高角粒界密度(HGBD)の比は、30未満、又は25未満、又は20未満である。
【0034】
本発明の電解銅箔は、高い強度と熱安定性を有するため、極めて薄い厚さの、即ち、厚さ20μm以下を有する銅箔を作製することが容易である。一実施形態では、電解銅箔の厚さは、約2μm~約18μm、又は約4μm~約15μm、又は約6μm~約12μmである。
【0035】
本発明の別の目的は、電解銅箔の製造方法を提供することである。この方法は、
i)電解槽において電解液を供給する工程、
ii)電解液において互いに離間したアノードプレートと回転カソードロールに電流を印加する工程、
iii)回転カソードロールに銅を電着する工程、及び
iv)電解銅箔をカソードロールから分離する工程を含み、
この場合、電解液は:
約120g/L~約450g/Lの範囲の硫酸銅、
約30g/L~約140g/Lの範囲の硫酸、
約0.01ppm~約25.0ppmの範囲の塩化物イオン、及び
約0.01ppm~約75.0ppmの範囲の添加剤を含む。
【0036】
図1は、本発明による方法のフローチャートである。
図1を参照すると、この方法は、最初に工程S100:電解槽において電解液を提供する工程、次いで工程S200:電流を印加する工程、続いて工程S300:カソードロールに銅を電着する工程、及び最後に工程S400:調製された銅箔を分離する工程、を実行することを含む。電着の制御条件は、電解液の温度及び印加された電流の電流密度を含む。形成された銅箔は、2つの表面を有する。製造プロセスにおいて、ローラーと接触する表面は、銅箔の「ローラー表面」と呼ばれ、ローラー表面の反対側、即ち、電解液に面する表面は、「電着表面」と呼ばれる。
【0037】
本発明の方法は、電解液の広い動作温度範囲を有する。電気めっき溶液の温度は、通常、約20℃~約80℃、好ましくは約30℃~約60℃である。
【0038】
本発明の方法は又、広い電流動作範囲を有する。電着は、約20A/dm2~約80A/dm2の範囲の印加電流密度で行うことができる。特に、60A/dm2以上で電着を行う場合、銅箔の歩留まりは、16μm/分超に達し得、これは工業的な高速生産の基準を満たす。
【0039】
本発明の方法では、電解液は、硫酸銅、硫酸、塩化物イオン及び添加剤を含む。電解液における硫酸銅(銅イオンの供給元)と硫酸は、様々な供給元から市販されており、更に精製することなく使用できる。
【0040】
一実施形態では、電解液中の硫酸銅の含有量は、電解液の総体積に基づいて、約120g/L~約450g/Lである、又は電解液の総体積に基づいて、約180g/L~約400g/L、又は約240g/L~約350g/Lである。
【0041】
一実施形態では、電解液中の硫酸の含有量は、電解液の総体積に基づいて、約30g/L~約140g/L、又は約35g/L~約130g/Lg/L、又は約40g/L~約120g/Lである。
【0042】
塩化物イオンの供給源は、塩化銅又は塩酸であり得る。塩化物イオンのこれらの供給源は、市販されており、更に精製することなく使用できる。
【0043】
一実施形態では、電解液中の塩化物イオン含有量は、電解液の総重量に基づいて約0.01ppm~約25.0ppmであり、又は電解液の総重量に基づいて約0.05ppm~約20.0ppm、又は約0.1ppm~約15.0ppm、又は約0.5ppm~約10.0ppmである。
【0044】
電解液に適した添加剤には、ゼラチン、膠、セルロース、窒素含有カチオンポリマー、又はそれらの組み合わせが含まれる。調製される電解銅箔は、低い双晶比、微粒子、及び熱安定性を有する限り、使用される添加剤は特に限定されない。前述したように、電解銅箔は室温で又は200℃で2時間処理しても、双晶粒界の割合は、35%未満であり、平均粒径は、1.50μm以下である。
【0045】
一実施形態では、添加剤は、窒素含有カチオンポリマーである。
【0046】
別の実施形態では、窒素含有カチオンポリマーは、1:1のモル比にて式(I)で表されるジアミンと式(II)で表されるエポキシドとの反応生成物であり、
【0047】
【0048】
R1、R2、R3、R4、R5、及びR6は、それぞれ独立してH又はC1~C3アルキルであり、
R7は、C2~C8アルキレン、C5~C10シクロアルキレンを含む二価の連結基であり、任意に-OHで置換されており、
Aは、C2~C8アルキレン、C5~C10環アルキレン、C6~C20アリーリレン、又はC6~C20アリーリレン-C1~C10アルキレンを含む二価の連結基であり、
p、q、及びrは、それぞれ独立して0~10の整数であり、nは、1~2の整数である。
【0049】
本発明の方法では、電解液に使用される添加剤の量は、選択される特定の添加剤、電解液における銅イオンの濃度、硫酸の濃度、及び印加される電流密度に依存する。添加剤の総量が75.0ppm未満である場合、大量生産作業に有利であり、活性炭及びその他のフィルター材料の使用を削減する。従って、本発明の方法は、大量生産及び環境保護に有利であるという利点を有する。
【0050】
一実施形態では、電解液中の添加剤含有量は、電解液の総重量に基づいて、約0.01ppm~約75.0ppm、又は約0.5ppm~約50.0ppm、又は約1ppm~約25.0ppmである。
【0051】
本発明の方法では、電解液は、促進剤、抑制剤、レベリング剤などの1つ以上の他の添加剤を更に含み得る。これらの他の添加剤は、状況に応じて1種以上を組み合わせて使用することができる。他の添加剤は、本発明の電解銅箔の機能特性を妨げない限り、一般に少量(即ち、100ppm未満)で存在する。
【0052】
本発明の方法により調製された電解銅箔は、微細で熱的に安定である結晶粒子を有し、同時に、その双晶粒界比が低く、マイクロ回路基板用の銅張積層板及びフレキシブル銅張積層板、並びにリチウムイオン電池又は電気二重層コンデンサーの負極集電体の調製に特に適している。本発明の電解銅箔は、微細な結晶粒子を有し、線幅及び線間隔の微細化の効果をもたらすことができる。適切な表面処理を行う限り、高密度、細い線幅及び細い線間隔の回路を形成することができる。一方、本発明の電解銅箔は、引張り強度及び熱安定性が高いため、薄い銅箔(厚さ20μm未満)の作製が容易である。同時に、その強度が高いため、高容量のシリコン材料と組み合わせて負極集電体として使用することができ、これにより、リチウムイオン電池又は電気二重層キャパシタの容量を高めることができる。
【0053】
本発明の別の目的は、電解銅箔を有する物品を提供することである。一実施形態では、物品は、リチウムイオン電池又は電気二重層キャパシタの負極集電体、樹脂被覆銅(RCC)銅張積層板、フレキシブル銅張積層板、リジッドプリント回路基板、フレキシブルプリント回路基板又はリジッドフレキシブルプリント回路基板である。
【0054】
更に詳しく説明することなく、当業者であれば、前述の説明を使用して、本発明を最大限に活用できると考えられる。従って、以下の実施例は、単なる例示として解釈されるべきであり、いかなる形でも本開示を限定するものではない。
【実施例0055】
略語「E」は、「実施例」を表し、及び略語「CE」は、「比較例」を表し、それに続く数字は、電解銅箔を調製した例を示す。実施例及び比較例を、同様の方法で調製及び試験した。
【0056】
材料
ゼラチン:Singapore’s Jellice Biotechnology Company Taiwan Branch(Jellice Taiwan)から入手可能、モデルFL-FCCO。
【0057】
DETU:ジエチルチオ尿素(1,3-ジエチル-2-チオ尿素)、Alfa Aesar Companyから入手可能。
【0058】
SPS:ポリ二硫化ナトリウムジプロパンスルホネート(ビス(スルホプロピル)二硫化ナトリウム)、HOPAX companyから入手可能。
【0059】
PEG:ポリエチレングリコール(ポリエチレングリコール)、Mw:約1000、Alfa Aesar companyから入手可能。
【0060】
MPS:メルカプト-1-プロパンスルホン酸ナトリウム(3-メルカプト-1-プロパンスルホン酸ナトリウム)、HOPAX companyから入手可能。
【0061】
HEC:ヒドロキシエチルセルロース(ヒドロキシエチルセルロース)、DAICEL companyから入手可能。
【0062】
NCP-A:DuPont Electronicsから入手可能な、窒素含有カチオンポリマー、商標名MICROFILL(商標)、1:1のモル比にて式(I)で表されるジアミンと式(II)で表されるエポキシドから誘導され、比の反応生成物、この場合、R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、全て水素原子Hであり、p、q、及びrは、全て0であり、Aは、C6アルキレンであり、R7は、C4アルキレンであり、Mw:約9000以上。
【0063】
NCP-B:DuPont Electronicsから入手可能な、窒素含有カチオンポリマー、商標名MICROFILL(商標)、1:1のモル比にて式(I)で表されるジアミンと式(II)で表されるエポキシドから誘導され、比の反応生成物、この場合、R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、全て水素原子Hであり、p、q、及びrは、全て0であり、Aは、C6アルキレンであり、R7は、C6アルキレンであり、Mw:約3000以下。
【0064】
NCP-C:DuPont Electronics Companyから入手可能な、窒素含有カチオンポリマー、商標名MICROFILL(商標)、1:1のモル比にて式(I)で表されるジアミンと式(II)で表されるエポキシドから誘導され、比の反応生成物、この場合、R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、全て水素原子Hであり、p、q及びrは、全て0であり、Aは、C6アルキレンであり、R7は、C8環アルキレンであり、Mw:約3000以下。
【0065】
NCP-D:DuPont Electronics Companyから入手可能な、窒素含有カチオンポリマー、商標名MICROFILL(登録商標)、1:1のモル比にて式(I)で表されるジアミンと式(II)で表されるエポキシドから誘導され、比の反応生成物、この場合、R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、全て水素原子Hであり、p、q及びrは、全て0であり、Aは、C6アルキレンであり、R7は、C4アルキレンであり、Mw:約3000以下。
【0066】
Taiwan Rohm and Haas Electronic Materials Companyから入手可能な硫酸銅(CuSO4)。
【0067】
Fangqiang Companyから入手可能な硫酸(H2SO4)。
【0068】
Youhe Trading Companyから入手可能な塩酸(HCl)。
【0069】
実施例1~20及び比較例1~7
表1では、電解液の調製に使用した硫酸銅、硫酸、塩素イオン、及び具体的な添加剤を示している。
【0070】
回転電解槽の場合、カソードローラーは、チタンホイールであり、アノードは、不溶性アノード(寸法安定性アノード、IrO2/Ti)であり、DC電源を使用して、電解液中のカソードとアノードの間に電流を印加する。表1に示されるように、20~80A/dm2の電流密度が使用された。電解液温度40℃、及びカソード回転速度400rpmを用いて、チタンホイール表面に直接、7~11μmの範囲の厚さを有する電解銅箔を形成した。電気めっき終了後、チタンホイールから電解銅箔を取り外し、試料を分析した。結果を表2及び3に示す。
【0071】
分析方法
引張り強度及び伸びの評価
IPC-TM-650 2.4.18Bの方法に従って試料を作成し、試験した。試料を200℃で2時間焼き付け、次いで引張り強度及び伸びを試験した。
【0072】
平均表面粗さ(Sz)の評価
倍率100倍のレンズ、フィルター無しのレーザー走査型顕微鏡(Olympus製、モデル:OLS-5000)を用いて、銅箔試料の5つの領域を検査した。ISO25178の方法に従い、各領域にて領域の粗さを測定し、測定データを平均化する。Szは、測定領域における最大山高さ値と最大谷深さ値の差として定義される。
【0073】
双晶粒界比の測定
EBSD試料を、最初にイオンミリング断面研磨機で研磨及び調製し、50度プレチルトブラケットを備えたSEM(JEOL-IT800SHL)キャビティに設置し、次いでステージを20度傾けた。高電流モードを使用して、加速電圧を15~20kVに設定した。EBSDデータをOxford Symmetric EBSD検出器によって収集した。EBSDデータ収集パラメータを、次のように設定した:3000倍の倍率及びは0.1μmの取得工程サイズ。
【0074】
AZtecCrystalソフトウェアを使用してEBSDデータを分析し、BandContrast+特別粒界図表に出力した。特別粒界図パラメータを、次のように設定した:最小角度10°、銅相、結晶軸/角度<111>/60°、角度偏差1°。双晶粒界及び粒界比を、自動出力図表に表示した。
【0075】
平均粒径測定
EBSD試料を、最初にイオンミリング断面研磨機で研磨することによって調製し、50度プレチルトブラケットを備えたSEM(JEOL-IT800SHL)キャビティに配置し、次いで20度傾けた。高電流モードを使用して、加速電圧を15~20kVに設定した。EBSDデータを、Oxford Symmetric EBSD検出器によって収集した。EBSDデータ収集パラメータを次のように設定した:3000倍の倍率及び0.1μmの収集工程。
【0076】
粒径分析では、EBSDデータをAZtecCrystalソフトウェアにロードし、小さい粒子効果(<0.5μm)を除外し、双晶粒界(銅相、<111>60°)における特別粒界を無視した。粒径(円相当径、ECD)情報及び分布をソフトウェアが自動出力する。
【0077】
全粒界密度測定
EBSD試料を、最初にイオンミリング断面研磨機で研磨することによって調製し、50度プレチルトブラケットを備えたSEM(JEOL-IT800SHL)キャビティに配置し、次いで20度傾けた。高電流モードを使用して、加速電圧を15~20kVに設定した。EBSDデータを、Oxford Symmetric EBSD検出器によって収集した。EBSDデータ収集パラメータを次のように設定した:3000倍の倍率及び0.1μmの収集工程。
【0078】
EBSDデータを、AZtecCrystalソフトウェアバージョン3.0に入力し、分析する領域を選択した。粒界分析の場合、低角粒界(LGBD)の角度は、5度~15度として定義され、高角粒界(HGBD)は、15度超として定義される。低角粒界の全長と高角粒界の全長を得、分析された領域の面積で割って、対応する低角粒界密度又は高角粒界密度を得た。次いで、得られた低角粒界密度と高角粒界密度を加算して、試料の全粒界密度(TGBD)を得る。
【0079】
表1及び表2のデータから、使用した電解液に塩化物イオンが約0.01ppm~約25.0ppm、添加剤が約0.01ppm~約75.0ppm含まれている場合、E1~E20で作製された銅箔はいずれも、3.50μm以下の析出面の平均表面粗さ(表2を参照)及び35%以下の双晶粒界比(表2を参照)を有する。加えて又、表2のデータは、200℃で2時間の熱処理後、これらの銅箔の双晶粒界の比は又、35%以下であることを示している。
【0080】
実施例E7と比較例CE1のEBSD分析写真は、それらの微細構造が大きく異なることを示している。E7の銅箔における双晶粒界の割合は、20.2%であり、CE1における双晶粒界の割合は、63.4%であった。更に、この2つの平均粒径の差も大きく異なり、前者は0.78μmであり、後者は3.40μmである。
【0081】
【0082】
【0083】
【0084】
表2のデータを参照し、加熱前の、E1~E20及びCE1~CE7の銅箔の引張り強度を比較すると、いずれの銅箔も40kg/mm2以上の引張り強度を有する。しかしながら、200℃で2時間の熱処理後、E1~E20の銅箔は、強度の低下が少しであり、ほとんど全ての例で40kg/mm2を超える引張り強度を維持した。対照的に、銅箔の引張り強度は、大幅に低下し、全ての比較例で40kg/mm2未満に低下した。例えば、加熱前のCE1、CE2、及びCE5の引張り強度はいずれも、50kg/mm2を超えているが、熱処理後、これらの銅箔の引張り強度は、30kg/mm2未満に大幅に低下し、これは、強度と熱安定性が良好ではないことを示している。従って、リチウム電池の負極集電体及び薄型回路プリント回路基板の必要性には適していない。
【0085】
表3より、E1~E20で作製された銅箔は、200℃で2時間の熱処理後、全粒界密度(TGBD)が3.50μm-1以上、高角粒界密度(HGBD)が3.00μm-1以上、低角粒界密度(LGBD)が0.10μm-1以上であることが分かる。同時に、電解銅箔の低角粒界密度に対する高角粒界密度の比(HGBD/LGBD)は、30未満である。
【0086】
実施形態E7及び比較例CE1の銅箔のEBSD分析写真は、2つの銅箔の微細構造が大きく異なることを示している。E7の全粒界密度は、4.36μm-1であり、高角粒界密度は、4.13μm-1であり、低角粒界密度は、0.23μm-1である。CE1の全粒界密度は、1.26μm-1であり、高角粒界密度は、1.24μm-1であり、低角粒界密度は、0.02μm-1である。
【0087】
本発明の方法によれば、塩化物イオン含有量を0.01ppm~25.0ppmに制御し、電解液に0.01ppm~75.0ppmの添加剤を添加し、高電流密度(20~80A/dm2)を使用しながら、表面粗さが低く、双晶粒界比が低く、全粒界密度が高く、高強度で熱安定性の高い電解銅箔が得られることができる。加えて、本発明の電解銅箔は、リチウムイオン電池又は電気二重層キャパシタの負極集電体、及び細線プリント回路基板用の銅張積層板に特に適している。