(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024023176
(43)【公開日】2024-02-21
(54)【発明の名称】付加製造システムにおける機械学習を使用した欠陥識別
(51)【国際特許分類】
B22F 10/85 20210101AFI20240214BHJP
B22F 10/28 20210101ALI20240214BHJP
B22F 12/90 20210101ALI20240214BHJP
【FI】
B22F10/85
B22F10/28
B22F12/90
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023178004
(22)【出願日】2023-10-16
(62)【分割の表示】P 2021563610の分割
【原出願日】2021-08-02
(31)【優先権主張番号】63/062,949
(32)【優先日】2020-08-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/390,034
(32)【優先日】2021-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】520039205
【氏名又は名称】シグマ ラボズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100137969
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 憲昭
(74)【代理人】
【識別番号】100104824
【弁理士】
【氏名又は名称】穐場 仁
(74)【代理人】
【識別番号】100121463
【弁理士】
【氏名又は名称】矢口 哲也
(72)【発明者】
【氏名】ベケット,ダレン
(72)【発明者】
【氏名】フライ,ロジャー
(72)【発明者】
【氏名】ユー,クリスティーナシュアン
(72)【発明者】
【氏名】ベッツ,スコット
(72)【発明者】
【氏名】ジャケメットン,ラース
(72)【発明者】
【氏名】アンダーソン,ケビンシー.
(57)【要約】 (修正有)
【課題】付加製造システムを使用して製造された部品の欠陥を検出する、付加製造システムおよび付加製造方法を提供する。
【解決手段】付加製造システムは、金属粉末を溶融するように配置されたエネルギー源を備える。付加製造システムは、金属粉末の溶融中に放出される電磁エネルギーを検出するように配置されたセンサを備える。付加製造システムは、センサからデータを受信し、訓練された機械学習アルゴリズムを使用して前記溶融された金属粉末中の欠陥を検出するプロセッサを備える。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属粉末を溶融するように配置されたエネルギー源と、
前記金属粉末の溶融中に放出される電磁エネルギーを検出するように配置されたセンサと、
前記センサからデータを受信し、訓練された機械学習アルゴリズムを使用して前記溶融された金属粉末中の欠陥を検出するプロセッサと
を備える、付加製造システム。
【請求項2】
前記訓練された機械学習アルゴリズムが、前記欠陥のタイプを判定する、請求項1に記載の付加製造システム。
【請求項3】
前記欠陥の前記タイプが、前記金属粉末の融合不良欠陥、ポロシティ欠陥、または介在物欠陥の少なくとも1つを含む、請求項2に記載の付加製造システム。
【請求項4】
前記プロセッサが、前記電磁エネルギーに少なくとも部分的に基づいて1つまたは複数のパラメータを計算するように構成される、請求項1に記載の付加製造システム。
【請求項5】
前記1つまたは複数のパラメータが、前記エネルギー源の1回または複数回の走査中に前記溶融された金属粉末から放射されたエネルギー量を測定することと、前記1回または複数回の走査中に横断された造形面の面積を決定することとを含む、熱放射密度(TED)を決定することを含む、請求項4に記載の付加製造システム。
【請求項6】
前記1つまたは複数のパラメータが、前記金属粉末のバッチの材料特性と関連付けられるスペクトルピークを識別し、第1の波長および前記第1の波長から離間した第2の波長を選択することと、前記第1の波長で放射されたエネルギー対前記第2の波長で放射されたエネルギーの比に基づいて造形面から放射されたエネルギー量を決定することとを含む、請求項4に記載の付加製造システム。
【請求項7】
前記訓練された機械学習アルゴリズムが、既知の欠陥部品に基づく1つまたは複数の訓練パラメータを含む、請求項1に記載の付加製造システム。
【請求項8】
前記1つまたは複数の訓練パラメータが、前記金属粉末の融合不良を有する少なくとも1つの領域を有する既知の欠陥部品から導出される、請求項7に記載の付加製造システム。
【請求項9】
前記1つまたは複数の訓練パラメータが、少なくとも1つの介在物を有する既知の欠陥部品から導出される、請求項7に記載の付加製造システム。
【請求項10】
前記1つまたは複数の訓練パラメータが、ポロシティを有する少なくとも1つの領域を有する既知の欠陥部品から導出される、請求項7に記載の付加製造システム。
【請求項11】
前記1つまたは複数のセンサが、軸上光検出器を含む、請求項1に記載の付加製造システム。
【請求項12】
付加製造方法であって、
エネルギー源を使用して金属粉末を溶融することと、
センサを使用して前記金属粉末の溶融中に放出される電磁エネルギーを検出することと、
プロセッサを使用して前記センサからデータを受信し、訓練された機械学習アルゴリズムを使用して前記溶融された金属粉末の欠陥を検出することと、
を含む、方法。
【請求項13】
前記訓練された機械学習アルゴリズムが、前記欠陥のタイプを判定する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記欠陥のタイプが、前記金属粉末の融合不良欠陥、ポロシティ欠陥、または介在物欠陥の少なくとも1つを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記プロセッサが、前記電磁エネルギーに少なくとも部分的に基づいて1つまたは複数のパラメータを計算するように構成される、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記1つまたは複数のパラメータが、前記エネルギー源の1回または複数回の走査中に溶融された前記金属粉末から放射されたエネルギー量を測定することと、前記1回または複数回の走査中に横断された造形面の面積を決定することとを含む熱放射密度(TED)を決定することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記1つまたは複数のパラメータが、前記金属粉末のバッチの材料特性と関連付けられるスペクトルピークを識別し、第1の波長および前記第1の波長から離間した第2の波長を選択することと、前記第1の波長で放射されたエネルギー対前記第2の波長で放射されたエネルギーの比に基づいて造形面から放射されたエネルギー量を決定することとを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記訓練された機械学習アルゴリズムが、既知の欠陥部品に基づく1つまたは複数の訓練パラメータを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記1つまたは複数の訓練パラメータが、前記金属粉末の融合不良を有する少なくとも1つの領域を有する既知の欠陥部品から導出される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記1つまたは複数の訓練パラメータが、少なくとも1つの介在物を有する既知の欠陥部品から導出される、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]他出願の相互参照
本出願は、参照によりその全体があらゆる目的で本明細書に組み込まれる、2020年8月7日に出願された「DEFECT IDENTIFICATION USING MACHINE LEARNING IN AN ADDITIVE MANUFACTURING SYSTEM」についての米国仮特許出願第63/062,949号および2021年7月30日に出願された「DEFECT IDENTIFICATION USING MACHINE LEARNING IN AN ADDITIVE MANUFACTURING SYSTEM」についての米国非仮特許出願第17/390,034号の優先権を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
[0002]付加製造、すなわち、材料付加と印加エネルギーとの組み合わせによる部品の逐次組立てまたは構築は、多くの形態をとり、現在、多くの実施態様および実施形態において存在する。付加製造は、任意の形状の3D部品の形成を含む多数の様々なプロセスのいずれかを使用することによって実行することができる。金属部品を作製するために使用される様々なプロセスは、共通して、レーザーや電子ビームなどの1つまたは複数の高出力エネルギー源を使用した層ごとの、粉末状または粒状の原料の焼結および/または溶融を有する。完成部品における欠陥の生成は、複数の原因によって生じる可能性があり、そのような欠陥を追跡および/または検出することは難しい可能性がある。欠陥は、完成部品の材料特性の劣化をもたらし、早期故障につながる可能性がある。付加製造システムを使用して製造された部品の欠陥を検出し、特徴付ける新しい方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0003】
[0003]本開示のいくつかの実施形態は、機械学習を使用して製造プロセス中に発生する様々なタイプの工程内欠陥を検出および識別する付加製造システムに関する。いくつかの実施形態は、既知の欠陥部品を用いて機械学習アルゴリズムを訓練する方法に関する。他の実施形態は、あるタイプの欠陥を別のタイプの欠陥と区別するために機械学習アルゴリズムを訓練する方法に関する。
【0004】
[0004]いくつかの実施形態では、付加製造システムは、造形面全体にわたって金属粉末の層を分布させるように配置された装置を備える。電源は、造形面でエネルギービームを放射し、金属粉末を部品の一部に融合させるように配置される。プロセッサは、造形面を横切ってエネルギービームを操作し、エネルギービームが金属粉末を溶融するときに造形面から放出される電磁エネルギーを検出する1つまたは複数のセンサによって生成されたデータを受信するように構成される。プロセッサは、受信データを、エネルギービームが金属粉末を溶融する間の造形面における1つまたは複数の条件を示す1つまたは複数のパラメータに変換し、1つまたは複数のパラメータを機械学習アルゴリズムへの入力として使用して溶融された金属粉末中の1つまたは複数の欠陥を検出する。
【0005】
[0005]いくつかの実施形態では、機械学習アルゴリズムは、1つまたは複数の欠陥のタイプを判定するようにさらに構成される。様々な実施形態において、1つまたは複数の欠陥のタイプは、融合不良欠陥、ポロシティ欠陥、または介在物欠陥を含む。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のパラメータは、1回または複数回の走査中に造形面から放射されたエネルギー量を測定することと、1回または複数回の走査中に横断された造形面の面積を決定することとを含む、熱放射密度(thermal emission density(TED))を決定することを含む。様々な実施形態において、1つまたは複数のパラメータは、粉末のバッチの材料特性と関連付けられるスペクトルピークを識別し、第1の波長および第1の波長から離間した第2の波長を選択することと、第1の波長で放射されたエネルギー対第2の波長で放射されたエネルギーの比に基づいて造形面から放射されたエネルギー量を決定することと、を含むTEPを含む。
【0006】
[0006]いくつかの実施形態では、機械学習アルゴリズムは、既知の欠陥部品に基づく1つまたは複数の訓練パラメータを含む。様々な実施形態において、1つまたは複数の訓練パラメータは空隙を含む。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の訓練パラメータは、介在物を含む。様々な実施形態において、1つまたは複数のセンサは、軸上光検出器を含む。
【0007】
[0007]いくつかの実施形態では、付加製造システムは、金属粉末を溶融するように配置されたエネルギー源と、金属粉末の溶融中に放出される電磁エネルギーを検出するように配置されたセンサと、センサからデータを受信し、訓練された機械学習アルゴリズムを使用して溶融された金属粉末中の欠陥を検出するプロセッサとを備える。
様々な実施形態において、訓練された機械学習アルゴリズムは、欠陥のタイプを判定する。いくつかの実施形態では、欠陥のタイプは、金属粉末の融合不良欠陥、ポロシティ欠陥、または介在物欠陥を含む。様々な実施形態において、プロセッサは、電磁エネルギーに少なくとも部分的に基づいて1つまたは複数のパラメータを計算するように構成される。
【0008】
[0008]いくつかの実施形態では、1つまたは複数のパラメータは、エネルギー源の1回または複数回の走査中に溶融された金属粉末から放射されたエネルギー量を測定することと、1回または複数回の走査中に横断された造形面の面積を決定することとを含む熱放射密度(TED)を決定することを含む。様々な実施形態において、1つまたは複数のパラメータは、金属粉末のバッチの材料特性と関連付けられるスペクトルピークを識別し、第1の波長および第1の波長から離間した第2の波長を選択することと、第1の波長で放射されたエネルギー対第2の波長で放射されたエネルギーの比に基づいて造形面から放射されたエネルギー量を決定することとを含む。
【0009】
[0009]いくつかの実施形態では、1つまたは複数の訓練パラメータは、金属粉末の融合不良を有する少なくとも1つの領域を有する既知の欠陥部品から導出される。様々な実施形態において、1つまたは複数の訓練パラメータは、少なくとも1つの介在物を有する既知の欠陥部品から導出される。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の訓練パラメータは、ポロシティを有する少なくとも1つの領域を有する既知の欠陥部品から導出される。様々な実施形態において、1つまたは複数のセンサは、軸上光検出器を含む。いくつかの実施形態では、訓練された機械学習アルゴリズムは、ランダムフォレストモデルに基づくものである。
【0010】
[0010]本発明により、従来の技術に優る多くの利益が得られる。例えば、本発明の実施形態は、工程内で欠陥を検出し、それらの欠陥を補正するか、または部品の造形を停止して、製造効率を大幅に改善する能力を提供する。本発明の実施形態はまた、欠陥識別の能力も提供し、そのため、オペレータは、部品を修復するかそれとも部品の造形を中止するかを造形中により多くの情報に基づいて判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1A】本開示の実施形態による、付加製造システムによって生成された欠陥を検出および識別するために使用することができる機械学習アルゴリズムの簡略図である。
【
図1B】
図1Aに記載される機械学習アルゴリズムに使用することができる訓練プロセスを説明する図である。
【
図1C】
図1Aに記載される機械学習アルゴリズムを使用する例示的なプロセスを説明する図である。
【
図2A】本開示の実施形態による、4つの一般的なタイプの部品異常を示すように設計された例示的な訓練造形の等角投影画像を示す図である。
【
図2B】
図2Aの訓練造形で使用される対照部品のうちの1つの上から見た視覚表現を示す図である。
【
図3】
図2Aの訓練造形で使用される融合不良部品のCTデータのテッセレーションを示す図である。
【
図4】
図2Aの訓練造形で使用されるガスポロシティ部品のCTデータのテッセレーションを示す図である。
【
図5】
図2Aの訓練造形で使用されるキーホール部品のCTデータのテッセレーションを示す図である。
【
図6】
図2Aの訓練造形で使用される介在物部品のCTデータのテッセレーションを示す図である。
【
図7】本開示の実施形態による、モデル予測画像が訓練ラベルとどの程度同等であるかを診断するために使用することができる例示的なヒートマップを示す図である。
【
図8A】本開示の実施形態による、CT視覚表現における融合不良異常を示す図である。
【
図8B】
図7のヒートマップを使用した機械学習層診断の視覚表現を示す図である。
【
図9A】本開示の実施形態による、CT視覚表現におけるガスポロシティ異常を示す図である。
【
図9B】
図7のヒートマップを使用した機械学習層診断の視覚表現を示す図である。
【
図10A】本開示の実施形態による、CT視覚表現におけるキーホール異常を示す図である。
【
図10B】
図7のヒートマップを使用した機械学習予測診断の視覚表現を示す図である。
【
図11A】本開示の実施形態による、CT視覚表現におけるタングステン介在物異常を示す図である。
【
図11B】
図7のヒートマップを使用した機械学習予測診断の視覚表現を示す図である。
【
図12A】本開示の実施形態による、キーホール欠陥に関する試験層の視覚表現を示す図である。
【
図12B】本開示の実施形態による、ガスポロシティに関する試験層の視覚表現を示す図である。
【
図12C】本開示の実施形態による、介在物1210に関する試験層の視覚表現を示す。
【
図12D】本開示の実施形態による、融合不良部品に関する融合不良モデル予測を示す図である。
【
図12E】本開示の実施形態による、キーホール異常を有する部品に関する融合不良モデル予測を示す図である。
【
図12F】本開示の実施形態による、ガスポロシティ異常を有する部品に関する融合不良モデル予測を示す図である。
【
図12G】本開示の実施形態による、タングステン異常を有する部品に関する融合不良モデル予測を示す図である。
【
図12H】本開示の実施形態による、融合不良モデルによって生成されたPrintRite3D(登録商標)の視覚表現の予測を示す図である。
【
図13A】本開示の実施形態による、融合不良に関する試験層の視覚表現を示す図である。
【
図13B】本開示の実施形態による、キーホールに関する試験層の視覚表現を示す図である。
【
図13C】本開示の実施形態による、タングステン介在物に関する試験層の視覚表現を示す図である。
【
図13D】本開示の実施形態による、融合不良異常を有する部品のモデル予測を示す図である。
【
図13E】本開示の実施形態による、ガスポロシティ異常を有する部品のモデル予測を示す図である。
【
図13F】本開示の実施形態による、キーホール異常を有する部品のモデル予測を示す図である。
【
図13G】本開示の実施形態による、タングステン介在物異常を有する部品のモデル予測を示す図である。
【
図13H】本開示の実施形態による、GPモデルによって生成されたPrintRite3D(登録商標)の視覚表現の予測を示す図である。
【
図14A】本開示の実施形態による、融合不良に関する試験層の視覚表現を示す図である。
【
図14B】本開示の実施形態による、ガスポロシティ異常に関する試験層の視覚表現を示す図である。
【
図14C】本開示の実施形態による、タングステン異常に関する試験層の視覚表現を示す図である。
【
図14D】本開示の実施形態による、キーホール部品に関するKHモデル予測を示す図である。
【
図14E】本開示の実施形態による、融合不良異常を有する部品のモデル予測を示す図である。
【
図14F】本開示の実施形態による、ガスポロシティ異常を有する部品のモデル予測を示す図である。
【
図14G】本開示の実施形態による、タングステン異常を有する部品のモデル予測を示す図である。
【
図14H】本開示の実施形態による、KHモデルによって生成されたPrintRite3D(登録商標)の視覚表現の予測を示す図である。
【
図15A】本開示の実施形態による、融合不良異常に関する試験層の視覚表現を示す図である。
【
図15B】本開示の実施形態による、ガスポロシティ異常に関する試験層の視覚表現を示す図である。
【
図15C】本開示の実施形態による、キーホール異常に関する試験層の視覚表現を示す図である。
【
図15D】本開示の実施形態による、融合不良異常を有する部品に関するモデル予測を示す図である。
【
図15E】本開示の実施形態による、タングステン介在物異常を有する部品に関するモデル予測を示す図である。
【
図15F】本開示の実施形態による、ガスポロシティ異常を有する部品に関するモデル予測を示す図である。
【
図15G】本開示の実施形態による、キーホール異常を有する部品に関するモデル予測を示す図である。
【
図15H】本開示の実施形態による、タングステン介在物モデルによって生成されたPrintRite3D(登録商標)の視覚表現の予測を示す図である。
【
図16】本開示の実施形態による、例示的な付加製造システムを示す図である。
【
図17】
図16に示される例示的なコンピューティングシステムを示す拡張ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[0049]本開示のいくつかの実施形態は、付加材料製造システムを使用して製造された部品の欠陥を検出する方法に関する。本開示は多種多様な構成に有用であり得るが、本開示のいくつかの実施形態は、以下でより詳細に説明されるように、1つまたは複数の工程内指標を機械学習と共に使用して、付加製造システムによって製造された部品内の欠陥のタイプを検出および識別するのに特に有用である。
【0013】
[0050]三次元欠陥形態およびそれと付加材料製造システムによって生成された工程内データとの関係を人間が解釈することは難しい可能性がある。工程内データから複数の指標が生成される場合でさえも、オペレータがそれらを使用して部品中のどこで異常が発生している可能性が高いかを予測することは難しく、発生した欠陥のタイプを予測することはさらに一層難しい可能性がある。より具体的には、人間のオペレータが、特定の指標内の微妙な変化、または欠陥が発生したことを示す、かつ/もしくは発生した欠陥のタイプを示す複数の指標間の関係における微妙な変化を抽出することは難しい可能性がある。これに反して、機械学習アルゴリズムは、これらの微妙な変化を効果的に認識し、欠陥が発生したことを検出するよう、既知の良好な部品および既知の不良部品で効果的に訓練することができる。さらに、融合不良、ポロシティ、キーホール、および汚染などの既知のタイプの欠陥を有する部品を使用して、特定のタイプの欠陥を識別するために機械学習アルゴリズムを訓練することができる。発生した欠陥のタイプの知識が追加されるとともに、部品を造形プロセスで継続すべきか、拒絶すべきか、それとも修復すべきかに関して、より多くの情報に基づいて判断することができる。これにより、外部分析のためにサンプルを送ることと比較して、付加製造システムの費用および効率が大幅に改善される。
【0014】
[0051]
図1Aに、付加製造システムによって生成された欠陥を検出および識別するために使用することができる機械学習アルゴリズム100の一実施形態の視覚的概要を示す。
図1に示されるように、アルゴリズム100は、訓練プロセス105と品質保証プロセス110とに分割される。最初に訓練プロセスから開始して、付加製造システムで製造される部品の訓練造形が行われる。製造中に、
図1のシグマメトリクスとしてラベル付けされた工程内指標が収集される。いくつかの実施形態では、これらの訓練造形は、既知の欠陥が部品に導入され、それらを以下でより詳細に説明される機械学習アルゴリズムを訓練するために使用できるように欠陥を誘発することができる。次いで、既知の欠陥を有する部品を非破壊試験または破壊試験のどちらかで分析して、欠陥の位置を検証およびマッピングすることができる。このデータを、工程内指標とオーバーレイし、機械学習アルゴリズムを訓練するための「訓練データ」として使用することができる。訓練プロセス105は、
図1Bでより詳細に説明されている。
【0015】
[0052]本明細書で説明されるように、機械学習アルゴリズムはシステムに、明示的にプログラムされることなく経験から自動的に学習および改善する能力を提供する人工知能の適用である。通常、機械学習アルゴリズムは、「訓練データ」と呼ばれることが多いサンプルデータに基づいて数学モデルを構築し、そうするように明示的にプログラムされることなく予測または判断を行う。
【0016】
[0053]いくつかの実施形態では、異なる部品形状、異なる材料などを使用して、特定の部品、特定の材料、または他の変数に合わせて調整することができる異なる機械学習アルゴリズムを作成することができる。他の実施形態では、様々な部品形状および材料を処理することができる汎用機械学習アルゴリズムを開発することができる。
【0017】
[0054]次に
図1の品質保証プロセス110に移って、機械学習アルゴリズムをモデルウェアハウスから選択することができる。生産造形を開始することができ、
図1でシグマメトリクスとしてラベル付けされた工程内指標を造形プロセス中に収集することができる。これらの指標を、機械学習アルゴリズムへの入力として使用することができ、機械学習アルゴリズムは、生産造形における欠陥を検出および/または識別したリアルタイムデータを出力することができる。
図1に示されるように、機械学習アルゴリズムからの出力は、「部品品質判断ダッシュボード」または「視覚化」ユーザインターフェースを介してユーザに表示することができる。本開示の利益を有する当業者には理解されるように、機械学習アルゴリズムの出力を表示および使用する様々な他の方法を使用することができ、それらは本開示の範囲内である。よって、訓練された機械学習アルゴリズムを使用することによって、リアルタイムの欠陥分析および/または識別を行うことができ、オペレータまたは付加製造システムは、欠陥部品に関して判断を行うことができる。一例では、システムは欠陥を修復するための措置をとることができるが、別の例では、システムは欠陥部品の造形を中止してスループットを向上させ、無駄を最小限に抑えることができる。さらなる実施形態では、欠陥部品を識別し、コンピュータ断層撮影法などの後工程システムで拒絶または分析することができる。品質保証プロセス110は、
図1Cでより詳細に説明されている。
【0018】
[0055]この例では、訓練と生産造形中に機械学習アルゴリズムによって分析されるリアルタイムの指標との両方に使用される工程内指標が、熱エネルギー密度(thermal energy density(TED))、TEDシグマ、熱エネルギープランク(thermal energy Plank(TEP))およびTEPシグマである。TEDは、所与の面積内の熱エネルギーを示す熱エネルギー密度指標であり、TEPは、2つ以上の黒体放射周波数を使用してプルームの温度を評価する指標である。上記その他の工程内指標は、米国特許第10,639,745号(TEP)および米国特許第10,479,020号(TED)ならびに米国特許出願第16/182,478号(ピーク温度)に記載されており、これらはあらゆる目的でその全体が参照により本明細書に組み込まれる。本開示の利益を有する当業者には理解されるように、任意の工程内指標を機械学習アルゴリズムへの入力として使用することができ、それらは本開示の範囲内である。
【0019】
[0056]
図1Bに、本開示の実施形態による、機械学習アルゴリズムのための1つの例示的な訓練プロセス105を記載する。上述のように、機械学習アルゴリズムは、特定の部品形状、特定の材料、または任意の他の特定のパラメータのために特に設計することができる。例えば、関与する加工温度が著しく異なるため、および/または溶融プロセス中の材料の放出特性が異なるため、特定のアルゴリズムをアルミニウム系材料について訓練され得、別個の特定のアルゴリズムがタングステン系材料について訓練され得る。別の実施形態では、様々な異なる合金鋼に、または特定の形状を有する部品に有効な汎用アルゴリズムを訓練することができる。
【0020】
[0057]
図1Bに示されるように、訓練プロセス105は、訓練のために部品が選択される第1のステップ114を含む。いくつかの実施形態では、例えば汎用アルゴリズムを訓練するときに、様々な異なる部品形状が選択され得るが、他の実施形態では、訓練プロセスのために同じ部品が選択され得る。
【0021】
[0058]ステップ116で、訓練のために機械学習モデルが選択される。いくつかの実施形態では、機械学習モデルは、線形回帰、ロジスティック回帰、決定木、SVM、単純ベイズ、kNN、K平均、ランダムフォレスト、極端にランダム化されたフォレスト、次元削減アルゴリズム、勾配ブースティングアルゴリズム、GBM、XGBoost、LightGBM、CatBoost、または任意の他の適切なモデルのうちの1つまたは複数を含むことができる。
【0022】
[0059]ステップ118で、部品が付加製造システムによって造形される。いくつかの実施形態では、造形は、既知の欠陥を組み込んだ部品と欠陥のない部品の両方を含む。より具体的には、いくつかの実施形態では、これらの領域で低減された出力を放出するようにエネルギー源をプログラムすることによって、埋め込みキーホール異常や融合不良異常などの既知の欠陥を部品中に誘発することができる。ガスポロシティが誘発された部品を、無水酢酸ナトリウムを導入することによって造形することができる。介在物を有する部品を、タングステン粉末を添加することによって造形することができる。これらは部品に1つまたは複数の欠陥を導入する方法の例であるが、他の実施形態では、異なる方法を使用して欠陥を導入し得る。
【0023】
[0060]ステップ120で、ステップ118の部品が付加製造システムによって造形されている間に、1つまたは複数のパラメータが記録される。より具体的には、いくつかの実施形態では、1つまたは複数の電磁センサを使用して、部品の製作中に溶融池からの電磁放射データが記録される。データを、溶融池の状態を表すことができる1つまたは複数のパラメータに変換することができる。例えば、いくつかの実施形態では、パラメータは、以下でより詳細に説明されるTEDまたはTEPである。他の実施形態では、温度、温度変動、経時的な温度変化などが、電磁放射データを構成することができる。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のパラメータは、各部品の造形座標と関連付けられ、よって、1つまたは複数のパラメータは、造形において各部品に「マッピング」される。
【0024】
[0061]ステップ122で、造形が完了した後、部品が分析され、欠陥が「マッピング」される。より具体的には、いくつかの実施形態では、コンピュータ支援断層撮影法(CT)を使用して、各部品が評価され、1つまたは複数の欠陥が部品形状にマッピングされる。
【0025】
[0062]ステップ124で、訓練された機械学習アルゴリズムを作成するために機械学習モデルが訓練される。より具体的には、いくつかの実施形態では、1つまたは複数のマッピングされたパラメータがモデルにロードされ、CT評価からの対応するマッピングされた欠陥データとオーバーレイされる。よってモデルは、欠陥が発生する部品の領域と欠陥が発生しない部品の領域とを比較し、マッピングされたパラメータの微妙なシフト、またはマッピングされたパラメータ間の関係のシフトを突き止めて、欠陥シグネチャを識別することができる。さらに、モデルを異なるタイプの欠陥で訓練することができる。例えば、モデルを、キーホール欠陥を認識するように訓練し、次いで、キーホール欠陥をガスポロシティ欠陥と区別するように改善することができる。
【0026】
[0063]ステップ126で、訓練された機械学習アルゴリズムを、将来の生産造形で使用するための汎用アルゴリズムまたは特定のアルゴリズムのどちらかとして保存および使用することができる。プロセス105は例示であり、変形および修正が可能であることが理解されよう。逐次的と記載されているステップは並列に実行されてもよく、ステップの順序は変更されてもよく、ステップは修正、結合、追加、または省略されてもよい。
【0027】
[0064]
図1Cに示されるように、訓練プロセス105などの訓練プロセスを、品質保証プロセス110に示されるような工程内品質管理のために生産造形中に使用することができる。いくつかの実施形態では、訓練プロセス105を、付加製造システムを制御するコンピューティングシステムによって行うことができる。いくつかの実施形態では、コンピューティングシステムは、
図17でさらに説明されるように、1つまたは複数のプロセッサを含み得る。
【0028】
[0065]ステップ130で、訓練プロセス105からの訓練された機械学習アルゴリズムを選択することができる。いくつかの実施形態では、汎用アルゴリズムを使用することができ、他の実施形態では、特定の部品形状、材料、または他のパラメータに適した特定のアルゴリズムが選択される。
【0029】
[0066]ステップ132で、生産部品を造形するためのパラメータがシステムにロードされ、造形プロセスが開始される。いくつかの実施形態では、ロードされたパラメータは、例えばSTLまたは同様のファイルフォーマットの部品形状を含む。
【0030】
[0067]ステップ134で、コンピューティングシステムは、ロードされたパラメータに従って作業領域を横切ってエネルギービームを操作して、金属粉末を連続層として一緒に溶融して1つまたは複数の生産部品を形成する。
【0031】
[0068]ステップ136で、1つまたは複数の電磁センサが、金属粉末を一緒に溶融するエネルギービームによって生成された溶融池からの電磁データを記録する。システムは、データを部品形状に(例えば、STLファイル座標に)マッピングする。
【0032】
[0069]ステップ138で、システムは、電磁センサからの受信データを1つまたは複数のパラメータに変換する。一例では、受信データは、高温計から受信される可変電圧の形態である。可変電圧は、部品上に(例えば、STLファイル座標上に)マッピングされる時変温度に変換される。別の実施形態では、受信データは、以下でより詳細に説明される、TEDおよび/またはTEPパラメータに変換される。他の適切なパラメータが導出され、記録され、部品にマッピングされてもよい。
【0033】
[0070]ステップ140で、1つまたは複数のパラメータは、訓練された機械学習アルゴリズムへの入力として使用される。機械学習アルゴリズムは、パラメータをその学習されたアルゴリズムと比較し、出力を生成する。
【0034】
[0071]ステップ142で、訓練された機械学習アルゴリズムの出力は、造形の1つまたは複数の部品内の欠陥を検出および識別するために使用される。より具体的には、いくつかの実施形態では、電磁データがリアルタイムで生成され、1つまたは複数のパラメータが直ちに生成され、機械学習アルゴリズムに入力されるため、欠陥を部品が造形されているときにリアルタイムで検出することができる。さらに、いくつかの実施形態では、欠陥のタイプをリアルタイムで検出することができる。
【0035】
[0072]ステップ144で、システムは、そのタイプの欠陥を是正することができるかどうかを判定する。例えば、いくつかの実施形態では、欠陥のタイプは融合不良であると判定され、部品上の特定の座標にマッピングされる。システムは、このタイプの欠陥を是正できると判断することができ、ステップ146に進み、その領域を再度横切ってエネルギービームを操作して材料を溶融することができる。別の実施形態では、新しい粉末層を堆積させることができ、システムは、その領域を溶融している間に出力を増加させて下にある層を融合し、欠陥を是正することができる。ステップ148で、オペレータに是正措置を通知することができる。他の実施形態では、システムは、是正アルゴリズムを実行する前に、停止し、オペレータからの許可を要求し得る。
【0036】
[0073]あるいは、ステップ144で、システムは、欠陥を是正することができないと判断してもよく、欠陥を含む1つまたは複数の部品の造形プロセスを停止するステップ150に進み得る。ステップ152で、オペレータに通知することができ、オペレータは、システムの効率を改善するために欠陥部品の造形を完全に停止するか、または欠陥を是正して造形を継続すると判断することができる。プロセス110は例示的であり、変形および修正が可能であることが理解されよう。逐次的と記載されているステップは並列に実行されてもよく、ステップの順序は変更されてもよく、ステップは修正、結合、追加、または省略されてもよい。
【0037】
[0074]本開示の以下の部分では、付加製造システムのための機械学習アルゴリズムの一実施形態を訓練および試験するために使用することができる実験装置を説明する。他の実施形態では、他の適切なプロセスを使用して、部品欠陥の検出および/または識別のための機械学習アルゴリズムを訓練および使用することができる。
【0038】
[0075]訓練装置
図2Aに、4つの一般的なタイプの部品異常を示すように設計された例示的な訓練造形200の等角投影画像を示す。訓練造形は、任意の適切な付加製造システムで行うことができる。1つの例示的な実施形態では、訓練造形を、Sigma Labs PrintRite3D(登録商標)システムを備えたEOS M290上で行うことができる。この特定の例では、PraxAir製の金属粉末を使用し、23~50ミクロン(マイクロメートル)の粒度分布を有するチタンTi-6Al-4V合金粉末として指定している。訓練造形は、5つの別々の領域からなる。右端には、基準対照群205が示されている。2つずつの埋め込みキーホール210の部品と、直径1.00mm~0.050mmの範囲の球の球形ボイドを含む融合不良215の部品。これらの異常を、これらの領域で低減された出力を放出するようにエネルギー源をプログラムすることによって部品中に誘発することができる。第4は、1.0g、0.5gおよび0.25gの層当たりの量での3つの別個の層高さにおける無水酢酸ナトリウムの導入によるガスポロシティ220が誘導された部品のセットであった。4つの介在物欠陥部品225は、1.0g、0.5gおよび0.25gの層当たりの量での同じ3つの層高さにおける20~50ミクロンの粒子分布を有するタングステン粉末を添加することによって作製した。すべての本体走査が、標準的なEOSパラメータであった。
図2Bに、対照部品のうちの1つ205aの上から見たPrintRite3D(登録商標)の視覚表現を示す。
【0039】
[0076]CT分析
コンピュータ断層撮影法(CT)を、教師あり機械学習アルゴリズムで使用される訓練ラベルを生成するためのグラウンドトゥルースとして使用した。造形を実行した後、PrintRite3D(登録商標)工程内指標を検査し、指標の働きに基づいて異常タイプごとに1つの部品を選択した。物理的試験片と、造形仕様を与える標準テッセレーション言語(Standard Tessellation Language(STL))ファイルとを、STL仕様と同じ座標に位置合わせされた検出異常の位置および形態を示すSTLファイルに変換した。
【0040】
[0077]融合不良
図3に、融合不良部品215のCTデータのテッセレーションを示す。
図3に示されるように、部品位置に供給されるエネルギー密度が小さすぎると、粉末が溶解できない可能性がある。融合不良異常を生じさせるために、M290プリンタを、低エネルギーのパラメータを使用して融合不良異常の球を作製するようにプログラムした。領域の配列217は、上部に向かってサイズが減少するプログラムされた融合不良の球に対応する。6個の球の群を六角形のパターンで配置し、球の直径が減少する10個の領域を各部品において異なる高さに配置した。球の直径は0.9mm~0.05mmの範囲であった。1つの部品は、分析に含まれなかった介在物についてのものである。第2の部品は融合不良異常の説明により適している、ポロシティについてのものである。
【0041】
[0078]ガスポロシティ
図4に、ポロシティの領域に対応する領域223を有する、ガスポロシティ部品220のCTデータのテッセレーションを示す。付加製造において微細構造のポロシティを引き起こし得るいくつかの機構が存在する。この実験では、気化した粒子が製品中に小さな孔を残すことを予想して、低沸点および高蒸気圧の異物粒子を部品に投入することによって閉じ込められたガスをエミュレートした。低沸点粉末を3つの異なる層で広げる前に、M290プリンタを一時停止した。造形チャンバを開き、1g、0.5gおよび0.25gのサイズの無水酢酸ナトリウムCH3COONa粉末を4つの部品中で堆積させた。4つのガスポロシティ部品のうち、工程内指標がプログラムされた異常においてより強い信号を示したため、プレートの最上部の部品をCT分析のために選択した。Metrology Centerは、この部品の異常をSTLファイルで報告した。
図4は、ガスポロシティ部品の3つの層に分布したCTデータからの汚染物質粒子注入による空隙のテッセレーションを示している。
【0042】
[0079]キーホール
図5に、キーホール領域に対応する領域213を有するキーホール部品210のCTデータのテッセレーションを示す。部品位置に供給されるレーザーエネルギー密度が大き過ぎると、部品に空隙が残る可能性がある。M290プリンタを、比較的高いエネルギーパラメータを使用して、キーホール異常の球を作製するようにプログラムした。6個の球の群を六角形のパターンで配置し、球の直径が減少する10個の領域を造形において異なる高さに配置した。球の直径は0.9mm~0.05mmの範囲であった。2つのキーホール部品のうち、工程内指標がプログラムされた異常においてより強い信号を示すため、プレートの最下部の部品をCT分析のために選択した。Metrology Centerは、キーホール部品の異常を2つのSTLファイルで報告した。1つの部品は、分析に含まれなかった介在物についてのものである。第2の部品は、キーホール異常を説明するのにより適しているポロシティについてのものである。
【0043】
[0080]タングステン介在物
図6に、介在物領域に対応する領域223を有する介在物部品225のCTデータのテッセレーションを示す。高融点の異物粒子が部品を汚染すると、製品中にそれらの粒子が固定される可能性があり、部品性能を低下させる亀裂発生箇所をもたらす可能性がある。粉末を3つの異なる層で広げる前に、M290プリンタを一時停止した。造形チャンバを開き、段階的に異なる量のタングステン粉末を4つの部品に堆積させた。4つのタングステン介在物部品のうち、工程内指標がプログラムされた異常においてより強い信号を示すため、プレートの最上部から2番目の部品をCT分析のために選択した。
【0044】
[0081]結果の登録
CT結果を、前項で例示したSTLファイルで報告した。異常は、検出された空隙および介在物の周りのテッセレーションとして現れる。STLファイルの座標系を、造形パラメータを指定するSTLファイルで使用される座標系と同じになるように調整した。
【0045】
[0082]PrintRite3D(登録商標)の工程内指標(例えば、TED、TEDシグマ、TEPおよびTEPシグマ)は、レーザーの動きに密接に追従する軸上光検出器を介して記録される。光学系の歪みと、材料の冷却および造形プレートからの部品の分離によって導入される収縮および他の機械的歪みとによってわずかな違いが生じる可能性がある。
【0046】
[0083]STLファイル内のx座標、y座標、およびz座標の範囲を抽出し、TED指標のx座標、y座標、および層座標と照合した。差の平均値をSTL座標上のオフセットとして使用して、座標系の照合を微調整した。
【0047】
[0084]異常を表すテッセレーションはいくつかの層に及んでおり、それらを多角形として個々の層に投影した。より大きな空隙の重みを強調するために、囲んでいる多角形の長さとして計算された加重和で層グリッドセルを埋めることによってラベルを生成した。多角形表現では省略された多角形の外周上の点を追加した。これらの結合された重みは大きな正の整数になり得るため、以下の関数で正規化した。
【数1】
、式中、x=ラベル値
これにより、0.0から1.0の範囲の確率として扱うことができるラベル値が得られた。
【0048】
[0085]PRINTRITE3D(登録商標)MLモデル
Printrite3Dシステム内のMLモデルに利用可能な特徴は、造形からの工程内指標である。グリッドセル上で収集される4つの主要な指標TED、TEDシグマ、TEP、およびTEPシグマ、ならびにTEPシグマを計算するために使用される内部指標、すなわちカウントおよびtep_sum。層間相互作用が存在する可能性があるため、これらの6つの特徴を前の層の対応する値で拡張した。モデルの訓練中に、これらの特徴および他の潜在的な候補を含むかどうかを、モデルによって報告された特徴の重要性をチェックすることによって評価した。本開示の利益を有する当業者であれば、任意の工程内指標を機械学習アルゴリズムへの入力として使用することができ、本開示がいかなる点でもPrintrite3Dシステム内で利用可能な特定の工程内指標に限定されないことを理解するであろう。
【0049】
[0086]複数のプロセッサ上で並列に実行することができるアンサンブル法を調査した。この例では、分類機械学習モデルのランダムフォレストを選択したが、本開示の利益を有する当業者であれば、任意の他の適切な機械学習モデルを使用できることを理解するであろう。1つの適切なモデルクラスが、ランダムフォレストリグレッサである。モデルを改善するために、いくつかの実施形態では、決定木またはエクストラツリー、バギング、ブースティングなどの他のアンサンブル法によってモデルを増補することができる。造形の部品の層内のグリッドセルは数千万個のデータ点に達するため、アンサンブル法は、それらの大規模での性能のためにも適切であり得る。
【0050】
[0087]複数のプロセッサ上で並列に実行することができる方法を選択した。この実施形態では、ブースティング法の現在の実施態様は十分に高速ではないことが分かった。この例示的な実施形態では、勾配ブースティングおよびバギングは、精度および速度に関してかなり良好な性能を与えたが、ランダムフォレストまたは極端にランダム化されたツリー木ほど良好ではなかった。最終的に、ランダムフォレストは、本発明者らのデータに関して極端にランダム化されたツリーよりも正確であると判断されたため、この例示的実施形態にはsklearn.ensemble.RandomForestClassifierを選択したが、他のモデルも適し得る。
【0051】
[0088]選択された木のアンサンブルを、random_stateパラメータによって制御し、random_stateパラメータはその後、新しいランダム状態を各成分推定器に伝搬する。これらの成分推定器は、データセットに適合するように分岐するときに使用する特徴のサブセットに関する独立した選択肢を有する決定木である。各点における予測は、その点における個々の木の予測の平均値として計算される。所望の2倍の数の推定器で訓練し、次いで弱い木を枝刈りすると精度が向上することが分かったが、他の実施形態では異なる技法を使用することができる。
【0052】
[0089]過学習を改善するために、この実施形態では、データに対する10分割交差検証を使用した。これは、データセットをランダムに10等分し、試験分割ごとにその他9個の分割に対して訓練を行い、選択した試験分割に対して評価を行ったことを意味する。他のモデルパラメータも、木の成長を調節するために使用した。
【0053】
[0090]正方向および負方向の残差を測定するために、1対の費用関数を策定した。この実施形態では、異常を見落とすことを、非異常状態に誤ってフラグを立てることよりも重要であるとみなしたため、負の残差に正の残差の10倍高くつく重み付けをして偽陰性に焦点を当てた。総費用はその場合、正の残差と重み付きの負の残差の和であり、これを、モデルを選択してそれらを調整するときの主要な指標として選択した。これらの費用は単位なしであり、ドル費用を反映しないことに留意されたい。
【0054】
[0091]二項分類の残差は、バイナリラベルとバイナリ予測との差として計算されるが、ラベルは確率であるため、予測確率を使用し、残差を浮動小数点差として計算した。バイナリ残差値は、-1、0、および1に崩壊するが、確率残差は全範囲をカバーし、小さい差と大きい差を区別することができる。
【0055】
[0092]この例示的な実施形態では、異常とラベル付けされたグリッドセルの数は正常とラベル付けされた数よりも少ないが、条件のバランスとれている場合には最小二乗適合が使用され得る。正常データをサブサンプリングし、交換を伴う異常をオーバーサンプリングしてカウントのおおよそのバランスをとり、次いで残りを考慮するためにクラス重みを計算した。例えば、異常よりも100倍多い正常がある場合、プロセスは、正常の20%をサブサンプリングし、異常を5倍オーバーサンプリングし、次いで、バランスを達成するために、異常のクラス重みを正常よりも4倍重要であるものとして設定し得る。
【0056】
[0093]
図7に、モデル予測画像が訓練ラベルとどの程度同等であるかを診断するために使用することができる例示的なヒートマップ700を示す。
図7に示される4色分類マップを使用することができ、緑色は真陽性705を示し、白色は真陰性710を示し、赤色は偽陰性715を示し、青色は偽陽性720を示す。ラベルは0.0~1.0の範囲の浮動小数点値をとり、予測はグリッドセルが異常である確率を表すので、ヒートマップ700はカテゴリ間の色をぼかしている。本開示の利益を有する当業者であれば、他のタイプの異常識別方法を使用することができ、それらが本開示の範囲内であることを理解するであろう。
【0057】
[0094]融合不良モデル
図8Aに、CT視覚表現における融合不良異常805を示す。第1の機械学習モデルを、融合不良部品215(
図2A参照)で訓練した。
図8Bに、
図7のヒートマップ700を使用した機械学習アルゴリズム予測診断の視覚表現を示す。
図8Bに示されるように、融合不良領域805は、主に、真陽性705に対応する緑色で示されている。10分割交差検証を、負の平均二乗誤差を計算するときに適用し、10個の数の平均値として評価した。費用関数については、費用値を正規化して交差検証分割を補償した。以下は、融合不良モデルの評価値である。
試験neg_mean_squared_error平均:-0.010(+/-0.0001)
試験total_cost平均:364079.345(+/-1535.2343)
【0058】
[0095]ガスポロシティモデル
図9Aに、CT視覚表現におけるガスポロシティ異常905を示す。第2の機械学習モデルを、無水酢酸ナトリウム粉末によって生じたガスポロシティ部品220(
図2参照)で訓練した。
図9Bに、
図7のヒートマップ700を用いた機械学習層診断の視覚表現を示す。
図9Bに示されるように、ガスポロシティ905の領域は、主に、真陽性705に対応する緑色で示されている。以下は、GPモデルの10分割交差検証スコアである。
試験neg_mean_squared_error平均:-0.003(+/-0.0000)
試験total_cost平均:117800.665(+/-526.8486)
【0059】
[0096]キーホールモデル
図10Aに、CT視覚表現におけるキーホール異常1005を示す。第3の機械学習モデルを、エネルギー源からの出力の低減によって生じたキーホール部品210(
図2参照)で訓練した。
図10Bに、
図7のヒートマップ700を用いたML予測診断の視覚表現を示す。
図10Bに示されるように、キーホール領域1005は、主に、真陽性705に対応する緑色で示されている。以下は、GPモデルの10分割交差検証スコアである。
試験neg_mean_squared_error平均:-0.011(+/-0.0001)
試験total_cost平均:413533.676(+/-1545.1225)
【0060】
[0097]タングステンモデル
図11Aに、CT視覚表現におけるタングステン介在物異常1105を示す。第4の機械学習モデルを、タングステン粉末を3つの層に添加することによって生じた介在物部品225(
図2参照)で訓練した。
図11Bに、
図7のヒートマップ700を用いた機械学習予測診断の視覚表現を示す。
図11Bに示されるように、介在物領域1105は、主に、真陽性705に対応する緑色で示されている。以下は、Wモデルの10分割交差検証スコアである。
試験neg_mean_squared_error平均:-0.023(+/-0.0001)
試験total_cost平均:526917.446(+/-2611.9907)
【0061】
[0098]敵対的モデル化
モデルを、それらの異常タイプを認識し、他の異常タイプのフラグ立てを回避するように訓練することができる。しかしながら、他の異常タイプの拒絶を、それらに対して明示的に訓練することによって強化することができる。本項では、機械学習モデルの敵対的強化を行う方法を示す。
【0062】
[0099]融合不良モデル
表1に、4つの異なる異常タイプを有する部品を試験する融合不良(LOF)モデルの層費用値を示す。
図12Aに、キーホール1200に関する試験層の視覚表現を示し、
図12Bに、ガスポロシティ1205に関する試験層の視覚表現を示し、
図12Cに、介在物1210に関する試験層の視覚表現を示す。費用計算を以下の表1に示す。同じタイプ(例えば、この場合の融合不良)の低い費用値およびその他のタイプの高い費用値は、融合不良データで訓練されたモデルがその他の異常を拒絶し、それらを偽陽性とみなすことを意味する。
【表1】
表1
【0063】
[0100]いくつかの実施形態では、敵対的に訓練されたモデルを評価する別の方法は、予測を視覚化することであり、これは、例えばPrintRite3D(登録商標)ユーザインターフェースで行うことができる。
図12Dに、融合不良部品に関するLOFモデル予測を示す。融合不良領域1225が現れ、モデルが融合不良異常を正確に予測することを示している。
図12E~
図12Gに、それぞれ、キーホール異常、ガスポロシティ異常、およびタングステン異常を有する部品のLOFモデル予測を示し、各予測は、融合不良異常である確率が低いことを示している。
【0064】
[0101]
図12Hに、LOFモデルによって生成されたPrintRite3D(登録商標)の視覚表現の予測を示す。この3Dツールから、LOFモデルは、融合不良異常を有する別の部品からの異常を認識し、造形プレート上のその他の異常タイプの大部分を無視することができることが分かる。
【0065】
[0102]ガスポロシティモデル
表2に、4つの異常タイプを有する部品を試験するガスポロシティ(GP)モデルの層費用値を示す。
図13Aに、融合不良1305に関する試験層の視覚表現を示し、
図13Bおよび
図13Cに、それぞれ、キーホールおよびタングステン介在物に関する試験層の視覚表現を示す。同じタイプ(例えば、この場合のガスポロシティ)の低い費用値およびその他のタイプの高い費用値は、ガスポロシティデータで訓練されたモデルがその他の異常を拒絶し、それらを偽陽性とみなすことを意味する。
【表2】
表2
【0066】
[0103]いくつかの実施形態では、敵対的に訓練されたモデルを評価する別の方法は、予測を視覚化することであり、これは、例えばPrintRite3D(登録商標)ユーザインターフェースで行うことができる。
図13Eに、ガスポロシティ部品のGPモデル予測を示す。ガスポロシティ領域1325が現れ、モデルがガス多孔度異常を正確に予測することを示している。
図13D、
図13F、および
図13Gに、それぞれ、融合不良異常、キーホール異常、およびタングステン介在物異常を有する部品のモデル予測を示し、各予測は、ガスポロシティ異常である確率が低いことを示している。
【0067】
[0104]
図13Hに、GPモデルによって生成されたPrintRite3D(登録商標)の視覚表現の予測を示す。異常は、訓練に使用した部品にのみ現れた。訓練部品をその指標の強度に基づいて選択していたため、異常は同じタイプのその他の部品には現れなかった。
【0068】
[0105]キーホールモデル
表3に、4つの異常タイプを有する部品を試験するキーホール(KH)モデルの層費用値を示す。
図14Aに、融合不良1405に関する試験層の視覚表現を示し、
図14Bおよび
図14Cに、それぞれ、ガスポロシティ異常およびタングステン異常関する試験層の視覚表現を示す。同じタイプの低い費用値およびその他のタイプの高い費用値は、キーホールデータで訓練されたモデルがその他の異常を拒絶し、それらを偽陽性とみなすことを意味する。
【表3】
表3
【0069】
[0106]いくつかの実施形態では、敵対的に訓練されたモデルを評価する別の方法は、予測を視覚化することであり、これは、例えばPrintRite3D(登録商標)ユーザインターフェースで行うことができる。
図14Dに、キーホール部品のKHモデル予測を示す。
図14E~
図14Gに、それぞれ、融合不良異常、ガスポロシティ異常およびタングステン異常を有する部品のモデル予測を示す。キーホールの場合(
図14D)、キーホール異常1405が高い確率で現れるが、融合不良異常、ガスポロシティ異常、およびタングステン異常、
図14E~
図14Gは、それぞれ、キーホール異常である確率が低い。
【0070】
[0107]
図14Hに、KHモデルによって生成されたPrintRite3D(登録商標)の視覚表現の予測を示す。このツールから、KHモデルは、キーホール異常を有する別の部品からの異常のごく少数を認識し、造形プレート上の他の異常タイプを無視することができることが分かる。
【0071】
[0108]タングステンモデル
表4に、4つの異常タイプを有する部品を試験するタングステン介在物モデルの層費用値を示す。
図15A~
図15Cに、それぞれ、融合不良異常、ガスポロシティ異常、およびキーホール異常に関する試験層の視覚表現を示す。同じタイプの低い費用値およびその他のタイプの高い費用値は、介在物データで訓練されたモデルがその他の異常を拒絶し、それらを偽陽性とみなすことを意味する。
【表4】
表4
【0072】
[0109]いくつかの実施形態では、敵対的に訓練されたモデルを評価する別の方法は、予測を視覚化することであり、これは、例えばPrintRite3D(登録商標)ユーザインターフェースで行うことができる。
図15Eに、異なるタングステン介在物部品のタングステン介在物モデル予測および予測カラーマップを示す。
図15D、
図15F、および
図15Gに、それぞれ、融合不良異常、ガスポロシティ異常、およびキーホール異常を有する部品のモデル予測を示す。タングステン介在物の場合(
図15E)、タングステン介在物異常1525が高い確率で現れる。対照的に、融合不良異常、ガスポロシティ異常およびキーホール異常は、タングステン介在物異常である確率が低い。
【0073】
[0110]
図15Hに、タングステン介在物モデルによって生成されたPrintRite3D(登録商標)視覚表現の予測を示す。異常は、タングステン粒子を適用した層の訓練に使用した部品にのみ現れた。訓練部品をその指標の強度に基づいて選択していたため、異常は同じタイプのその他の部品のいくつかに現れた。異常はまた、訓練されたタングステン部品および少数の他の部品の支持構造にも現れた。
【0074】
[0111]結論
機械学習モデルは、少なくとも4つの異なる一般的なタイプの異常、すなわち、融合不良、ガスポロシティ、キーホール、およびタングステン介在物を認識するように訓練することができることが実証された。本開示の利益を有する当業者であれば、同様の方法を使用して他の異常タイプを検出および識別できることを理解するであろう。モデルは、特徴としてTED、TEDシグマ、TEPおよびTEPシグマを含み、ラベルとしてCTデータを含むPrintRite3D(登録商標)の指標を使用するが、他の実施形態は他の指標を使用することができる。予測は、CTラベルとの強い相関を示す。モデルを、異常タイプのラベルと一致するとともに、その他3つのタイプの異常を拒絶するように訓練した。これにより、各異常タイプの予測の識別性が向上した。
【0075】
[0112]本明細書に記載される特定の例示的な実施形態は、異常タイプごとのIPQMP指標を生成することに焦点を当てているが、他の実施形態は異なる指標を使用することができる。これらのような予測指標は、造形プロセスの制御時にループを閉じることを可能にすることができる。より具体的には、異常を自動的に修復するか、または造形プロセスを中断するか否かを決定することができる製造管理者の注意を喚起することができる。
【0076】
[0113]いくつかの実施形態では、機械学習モデルは、製造プロセスにアクセスし、異常信号を様々なタイプに分類する。そのようなオールインワンモデルを、本明細書に記載の実施形態で開発された技術に基づいて構築することができるが、他の実施形態では、他の適切な機械学習技術を使用することができる。
【0077】
[0114]例示的な付加製造装置
図16に、例示的な付加製造システム1600を示す。
図16に示されるように、付加製造システム1600は、エネルギー源1605としてレーザーを含むが、他の実施形態は、電子ビームまたは他の適切なエネルギー源を使用し得る。エネルギー源1605はレーザービーム1610を放射し、レーザービーム1610は部分反射ミラー1615を通過して走査集束システム1620に入り、走査集束システム1620は次いでビームを造形面1630上の領域1625に投射する。いくつかの実施形態では、造形面1630は金属粉末1635の粉体層である。レーザービーム1610によって照射される材料が受け取る高い材料温度および放射率特性に起因して領域1625から電磁エネルギー1640が放出される。レーザービーム1610は、金属粉末1635を溶融して層ごとに造形される部品1645にする。
【0078】
[0115]いくつかの実施形態では、走査集束システム1620を、領域1625から放出された電磁エネルギー1640の一部を収集するように構成することができる。いくつかの実施形態では、溶融池および発光プルームが、領域1625内から黒体放射を協働して放出することができる。溶融池は、レーザービーム1610によって与えられたエネルギーに起因して粉末金属1635が液化した結果であり、集束システム1620に向かって反射される電磁エネルギー1640の大部分の放射を担う。発光プルームは、粉末金属1635の一部の気化から生じる。部分反射ミラー1615は、集束システム1620によって受け取られた電磁エネルギー1640の大部分を反射することができる。この反射エネルギーは、
図16に光エネルギー1655として示されている。光エネルギー1655は、軸上光センサ1650によって調べられ得る。軸上光センサ1650の各々は、ミラー1660aおよび1660bを介して光エネルギー1655の一部を受け取る。いくつかの実施形態では、ミラー1660を、それぞれ、波長λ
1および波λ
2のみを反射するように構成することができる。いくつかの実施形態では、光センサ1650は、光学トレインを通って反射された光の合計80~90%を受光する。
【0079】
[0116]光センサ1650はまた、それぞれの波長λ1および波長λ2の外側の任意の光を遮断するように構成されたノッチフィルタも含むことができる。第3の光センサ1650cを、部分反射ミラー1660cからの光を受光するように構成することができる。いくつかの実施形態では、光センサ1650aおよび光センサ1650bをノッチフィルタで覆うことができ、第3の光センサ1650cを、はるかに大きな波長範囲を測定するように構成することができる。いくつかの実施形態では、光センサ1650aまたは光センサ1650bを、付加製造プロセスを行うために使用されている粉末のバッチと関連付けられた黒体放射曲線の初期特性評価を行うように構成された分光計で置き換えることができる。次いで、この特性評価を使用して、光センサ1650aおよび光センサ1650bの波長フィルタがどのようにオフセットされるように構成されるかを決定し、分光計によって特性評価された黒体曲線と関連付けられたスペクトルピークを回避することができる。この特性評価は、完全な付加製造作業が実行される前に行われる。
【0080】
[0117]いくつかの実施形態では、第3の光センサ1650cは、熱エネルギー密度を測定するように構成される。熱エネルギー密度は、例えば、エネルギー源出力、エネルギー源速度、およびハッチ間隔などのプロセスパラメータの変化に敏感である。
【0081】
[0118]軸上光センサ1650の例には、高温計やフォトダイオードなどの光電気信号変換器(すなわち、光検出器)が含まれるが、これに限定されない。光センサ1650はまた、分光計、および可視周波数スペクトル、紫外線周波数スペクトル、または赤外線周波数スペクトルで動作する低速度カメラまたは高速度カメラを含むことができる。軸上光センサ1650は、レーザービーム1610と共に移動する基準系内にあり、すなわち、レーザービームが接触するすべての領域が見えており、レーザービーム1610が造形面1630を横切って走査するときに接触する造形面1630のすべての領域から電磁エネルギー1640を収集することができる。走査集束システム1620によって収集された光エネルギー1640は、レーザービームにほぼ平行な経路を進むので、センサ1650を軸上センサとみなすことができる。
【0082】
[0119]いくつかの実施形態では、付加製造システム1600は、レーザービーム1610に対して静止した基準系にある1つまたは複数の軸外センサ1665を含むことができる。さらに、金属粉末1635を造形面1630全体にわたって広げるように構成されたリコータアーム1670上に接触センサがあってもよい。これらのセンサは、加速度計、振動センサなどであってもよい。最後に、マクロ熱場を測定するための熱電対などの他のタイプのセンサがあってもよく、または部品1645が造形されるときに部品1645に発生する亀裂およびその他の冶金現象を検出することができるアコースティックエミッションセンサを含むこともできる。
【0083】
[0120]いくつかの実施形態では、1つまたは複数のプロセッサ1680と、コンピュータ可読媒体1685と、I/Oインターフェース1690とを含むコンピューティングシステム1675が提供され、様々なセンサからデータを収集するために付加製造システムの適切なシステム構成要素に結合される。コンピューティングシステム1675によって受信されるデータは、工程内生センサデータおよび/または縮小次元センサデータを含むことができる。1つまたは複数のプロセッサ1680は、工程内生センサデータおよび/または縮小次元センサデータを使用して、造形面1630に関する座標を含むレーザー1610の出力および制御情報を決定することができる。他の実施形態では、1つまたは複数のプロセッサ1680と、コンピュータ可読媒体1685と、I/Oインターフェース1690とを含むコンピューティングシステム1675は、様々なシステム構成要素の制御を提供することができる。コンピューティングシステム1675は、レーザー1605、造形面1630、ならびにその他の関連構成要素およびセンサと関連付けられた制御情報を送信、受信、および監視することができる。
【0084】
[0121]1つまたは複数のプロセッサ1680は、様々なセンサによって収集されたデータを使用して計算を行って、工程内品質指標(例えば、TED、TEDシグマ、TEP、TEPシグマ)を生成するために使用することができる。いくつかの実施形態では、軸上光センサ1650によって生成されたデータを使用して、造形プロセス中の熱エネルギー密度(TED)および/またはTEPを決定することができる。造形面1630を横切るエネルギー源1605の移動と関連付けられた制御情報を、1つまたは複数のプロセッサ1680が受け取ることができる。1つまたは複数のプロセッサ1680は次いで、制御情報を使用して、(1つもしくは複数の)軸上光センサ1650および/または(1つもしくは複数の)軸外光センサ1665からのデータを対応する位置と相関させることができる。次いで、この相関データを組み合わせて熱エネルギー密度を計算することができる。いくつかの実施形態では、熱エネルギー密度および/またはその他の指標を、1つまたは複数のプロセッサ1680が、熱エネルギー密度またはその他の指標に応答してプロセスパラメータ、例えば、レーザー出力、レーザー速度、ハッチ間隔、およびその他のプロセスパラメータの制御信号を生成するために使用することができる。本明細書に記載されるように、1つまたは複数のプロセッサ1680は、1つまたは複数のプロセスパラメータを1つまたは複数の訓練された機械学習アルゴリズムへの入力として使用して、部品1645中の欠陥をリアルタイムで検出および識別し得る。このようにして、さもないと生産部品を損なう可能性がある問題を改善することができる。複数の部品が一度に生成されることになる実施形態では、指標が所望の範囲外にあることに応答してプロセスパラメータを迅速に補正することにより、隣接する部品がエネルギー源から過度に多いまたは過度に少ないエネルギーを受け取ることを防止することができる。
【0085】
[0122]いくつかの実施形態では、I/Oインターフェース1690を、収集されたデータをリモート位置に送信するように構成することができる。I/Oインターフェース1690を、リモート位置からデータを受信するように構成することができる。受信されるデータは、ベースラインデータセット、履歴データ、後工程検査データ、および分類器データを含むことができる。リモートコンピューティングシステムは、付加製造システムによって送信されたデータを使用して工程内品質指標を計算することができる。リモートコンピューティングシステムは、工程内品質指標および/または欠陥の検出に応答して、情報をI/Oインターフェース1690に送信することができる。
図16に関連して説明されたセンサを、逐次的な材料積層を含む任意の付加製造プロセスの性能を特性評価するために記載の方法で使用することができることに留意されたい。
【0086】
[0123]本明細書に記載の実施形態は、熱エネルギー密度を決定するために光センサによって生成されたデータを使用しているが、本明細書に記載の実施形態は、工程内の物理的変数の他の発現を測定するセンサによって生成されたデータを使用して実施されてもよい。工程内の物理的変数の発現を測定するセンサには、例えば、力センサおよび振動センサ、接触熱センサ、非接触熱センサ、超音波センサ、および渦電流センサが含まれる。上記の教示を考慮して多くの修正および変形が可能であることが当業者には明らかであろう。
【0087】
[0124]いくつかの実施形態では、TEPは、粉末のバッチの材料特性と関連付けられるスペクトルピークを識別するステップと、第1の波長および第1の波長から離間した第2の波長を選択するステップであって、第1の波長および第2の波長が識別されたスペクトルピークからオフセットされている、ステップとを含むことができる。付加製造作業中に造形面上に配置された粉末のバッチの層を横切ってエネルギー源の複数回の走査を生成することができる。造形面から放射されるエネルギー量を第1の波長で測定することができ、造形面から放射されるエネルギー量を第2の波長で測定することができる。複数回の走査によって横断された造形面の面積の温度の変化を、第1の波長で放射されたエネルギー対第2の波長で放射されたエネルギーの比に基づいて決定することができる。いくつかの実施形態では、温度の変化が値の閾値範囲外であると判断することができ、その後、造形面のその面積全体にわたる、またはその付近でのエネルギー源の後続の走査を調整する。
【0088】
[0125]様々な実施形態において、上記の付加製造方法は、複数回の走査の第1の走査の始点を決定し、第1の走査の終点を決定することによって横断された造形面の面積を決定することをさらに含む。さらに、始点と終点との間の距離を計算することによって第1の走査の長さを決定することができる。
【0089】
[0126]いくつかの実施形態では、上記の付加製造方法は、造形面を横切るエネルギー源の経路を示すエネルギー源駆動信号データを受け取り、エネルギー源駆動信号データを使用して複数回の走査の各々の位置を決定することによって、熱エネルギー密度を付加製造作業によって形成されている部品内の位置にマッピングすることをさらに含む。
【0090】
[0127]いくつかの実施形態では、TEDは、造形面を横切るエネルギー源の複数回の走査を生成することと、造形面を監視する光センサを使用して、複数回の走査の各々の間に造形面から放射されたエネルギー量を測定することと、を含む付加製造方法を含む。エネルギー源の複数回の走査のうちの1回または複数回の走査中に横断された造形面の面積が決定される。複数回の走査のうちの1回または複数回の走査によって横断された造形面の面積の熱エネルギー密度が、放射されたエネルギー量と複数回の走査によって横断された造形面の面積とに基づいて決定される。熱エネルギー密度は、造形面の1つまたは複数の位置にマッピングされる。いくつかの実施形態では、熱エネルギー密度は、密度値の範囲外の密度によって特徴付けられると判断することができ、その後、造形面の1つまたは複数の位置を横切る、またはその付近でのエネルギー源の後続の走査を調整する。
【0091】
[0128]いくつかの実施形態では、上述の付加製造方法は、熱エネルギー密度は、密度値の範囲外の密度によって特徴付けられると判断することが、ベースラインを受け取り、1つまたは複数の熱エネルギー密度走査値がベースラインと実質的に異なると判断することをさらに含むこと、をさらに含む。グラフおよび点群の少なくとも一方を出力として生成することができる。
【0092】
[0129]
図17に、例示的なコンピューティングシステム1675の拡張ブロック図を示す。いくつかの実施形態では、例示的なコンピューティングシステムは、コンピューティングシステムまたはプロセッサによって行われるものとして本明細書に記載されている機能、挙動、および能力、ならびに明記されていない他の機能、挙動、および能力のいずれかまたはすべてを実装することができる。コンピューティングシステム1675は、1つまたは複数のプロセッサ1680、コンピュータ可読媒体1685、ユーザインターフェース1705、およびネットワークインターフェース1710を含むことができる。コンピューティングシステム1675はまた、バッテリ、電力コントローラ、および様々な拡張能力を提供するように動作する他の構成要素などの他の構成要素(明示的に図示されていない)を含むこともできる。様々な実施形態において、コンピューティングシステム1675を、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、スマートフォン、他の携帯電話、ウェアラブルコンピューティングデバイス、または任意の所望のフォームファクタを有する他のシステムに実装することができる。さらに、上記のように、コンピューティングシステム1675を、一部を基地局に、一部を、基地局と通信し、ユーザインターフェースを提供するモバイルユニットに実装することができる。
【0093】
[0130]コンピュータ可読媒体1685は、例えば、ディスク、フラッシュメモリ、もしくは任意の他の非一時的記憶媒体、または媒体の組み合わせを使用して実装することができ、揮発性媒体および/または不揮発性媒体を含むことができる。いくつかの実施形態では、コンピュータ可読媒体1685は、ホストによって行われるものとして上述されている様々な動作を実装するプログラムを含めて、1つまたは複数のプロセッサ1680によって実行される1つまたは複数のアプリケーションおよび/またはオペレーティングシステムプログラムを格納することができる。例えば、コンピュータ可読媒体1685は、周辺デバイス記述レコードを読み取り、その中の情報に基づいて周辺デバイスを制御するためのグラフィカルユーザインターフェースを生成することができる統一されたホストアプリケーションを格納することができる。コンピュータ可読媒体1685はまた、送受信機1715と通信するために実行可能なプログラムコードも格納することができる。
図17は、送受信機1715をコンピューティングシステム1675のサブシステムとして示しているが、送受信機1715は、例えば、機械学習アルゴリズムまたは工程内パラメータ(例えば、TEP、TEPシグマ、TEDまたはTEDシグマ)が実行されることを可能にするために、コンピューティングシステム1675に差し込まれ、電気的に結合されるドングルであってもよいことが理解される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるホスト機能の一部(または全部)を、アプリケーションではなくオペレーティングシステムプログラムに実装することができる。いくつかの実施形態では、コンピュータ可読媒体1685はまた、特定のアクセサリまたは特定のカテゴリのアクセサリ用に設計されたアプリ(例えば、IPカメラ周辺デバイスを管理するIPカメラアプリや、ドアロックアクセサリと対話するセキュリティアプリ)を格納することもできる。
【0094】
[0131]ユーザインターフェース1705は、タッチパッド、タッチスクリーン、スクロールホイール、クリックホイール、ダイヤル、ボタン、スイッチ、キーパッド、マイクロホン1720などの入力デバイス、ならびにビデオ画面、表示灯、スピーカ、ヘッドホンジャックなどの出力デバイスを、サポート電子機器(例えば、デジタル・アナログ変換器またはアナログ・デジタル変換器、信号プロセッサなど)とともに含むことができる。ユーザは、ユーザインターフェース1705の入力デバイスを操作して、コンピューティングシステム1675の機能を呼び出すことができる。
【0095】
[0132]1つまたは複数のプロセッサ1680を、1つまたは複数の集積回路として、例えば、その例が当技術分野で公知である、1つまたは複数のシングルコアまたはマルチコアのマイクロプロセッサまたはマイクロコントローラとして実装することができる。動作に際して、1つまたは複数のプロセッサ1680は、コンピューティングシステム1675および/または付加製造システム1600(
図16参照)の動作を制御することができる。様々な実施形態において、1つまたは複数のプロセッサ1680は、プログラムコードに応答して様々なプログラムを実行することができ、複数の同時に実行するプログラムまたはプロセスを維持することができる。任意の所与の時点において、実行されるべきプログラムコードの一部または全部が、1つもしくは複数のプロセッサ1680および/またはコンピュータ可読媒体1685などの記憶媒体に常駐することができる。
【0096】
[0133]さらに、コンピューティングシステムが本明細書では特定のブロックを参照して説明されているが、これらのブロックは説明の便宜上定義されており、構成部品の特定の物理的配置を示唆するためのものではないことを理解されたい。さらに、ブロックは、物理的に別個の構成要素に対応する必要はない。ブロックを、例えば、プロセッサをプログラミングすることや、または適切な制御回路を設けることによって、様々な動作を行うように構成することができ、様々なブロックは、初期構成がどのように得られるかに応じて再構成可能な場合もそうでない場合もある。本開示の実施形態を、回路とソフトウェアの任意の組み合わせを使用して実装される電子デバイスを含む様々な装置において実現することができる。
【0097】
[0134]本明細書に記載されるコンピューティングシステムおよびアクセサリを、一般に従来の設計のものであり得る電子デバイスにおいて実装することができる。そのようなデバイスを、ホスト(第1の電子デバイス)が周辺デバイス(第2の電子デバイス)の動作を制御するためのコマンド・アンド・コントロール動作をサポートする統一された周辺デバイスプロトコルを使用して通信するよう適合させることができる。場合によっては、デバイスは、例えば、上述のようなプロキシの場合に、ホストおよび周辺デバイスの特徴または態様を組み合わせることができる。
【0098】
[0135]本明細書に記載されるシステム構成および構成要素は例示的なものであり、変形および修正が可能であることが理解されよう。コンピューティングシステム1675の実施態様は、メディアアクセスデバイスによって行われるものとして上述されているすべての動作を行うことができ、周辺デバイスの実施態様は、周辺デバイスによって行われるものとして上述されている任意のまたはすべての動作を行うことができることを理解されたい。プロキシ、ブリッジ、トンネル、またはコーディネータは、所望に応じて同じハードウェアまたは異なるハードウェアを使用して、コンピューティングシステム1675の構成要素と周辺デバイスとを組み合わせることができる。メディアアクセスデバイスおよび/または周辺デバイスは、本明細書に具体的に記載されていない他の能力(例えば、携帯電話、全地球測位システム(GPS)、ブロードバンドデータ通信、インターネット接続など)を有していてもよい。実装に応じて、デバイスは、どちらか(もしくは両方)のデバイスによってサポートされる任意の機能を提供するために、または各デバイスに部分的に実装されている機能を提供するために相互運用することができる。いくつかの実施形態では、特定の周辺デバイスは、特定のメディアアクセスデバイスを介してアクセス可能または呼び出すことができないが、別のホストを介して、または周辺デバイスと直接対話することによってアクセス可能なある機能を有することができる。
【0099】
[0136]さらに、メディアアクセスデバイスおよび周辺デバイスは本明細書では特定のブロックを参照して説明されているが、これらのブロックは説明の便宜上定義されており、構成部品の特定の物理的配置を示唆するためのものではないことを理解されたい。さらに、ブロックは、物理的に別個の構成要素に対応する必要はない。ブロックを、例えば、プロセッサをプログラミングすることや、または適切な制御回路を設けることによって、様々な動作を行うように構成することができ、様々なブロックは、初期構成がどのように得られるかに応じて再構成可能な場合もそうでない場合もある。本開示の実施形態を、回路とソフトウェアの任意の組み合わせを使用して実装される電子デバイスを含む様々な装置において実現することができる。
【0100】
[0137]本明細書に記載される様々な特徴、例えば、方法、装置、コンピュータ可読媒体などを、専用の構成要素および/またはプログラマブルプロセッサおよび/または他のプログラマブルデバイスの任意の組み合わせを使用して実現することができる。本明細書に記載される様々なプロセスを、同じプロセッサまたは任意の組み合わせの異なるプロセッサ上で実施することができる。構成要素が特定の動作を行うように構成されているものとして記載される場合、そのような構成を、例えば、その動作を行うように電子回路を設計することによって、その動作を行うようにプログラマブル電子回路(マイクロプロセッサなど)をプログラムすることによって、またはそれらの組み合わせによって達成することができる。さらに、上述の実施形態は特定のハードウェアおよびソフトウェア構成要素に言及している場合があるが、ハードウェアおよび/またはソフトウェア構成要素の異なる組み合わせが使用されてもよく、ハードウェアに実装されるものとして説明されている特定の動作がソフトウェアに実装されてもよく、その逆も可能であることが当業者には理解されよう。
【0101】
[0138]本明細書に記載の様々な特徴を組み込んだコンピュータプログラムは、様々なコンピュータ可読記憶媒体に符号化および格納され得、適切な媒体には、磁気ディスクまたはテープ、コンパクトディスク(CD)やDVD(デジタル多用途ディスク)などの光記憶媒体、フラッシュメモリ、および他の非一時的媒体が含まれる。プログラムコードで符号化されたコンピュータ可読媒体は、互換性のある電子デバイスと共にパッケージ化されてもよく、またはプログラムコードは、電子デバイスとは別に(例えば、インターネットダウンロードを介して、または別個にパッケージ化されたコンピュータ可読記憶媒体として)提供されてもよい。
【0102】
[0139]特許請求される主題の完全な理解を提供するために本明細書には多数の具体的詳細が記載されている。しかしながら、特許請求される主題はこれらの具体的詳細なしでも実施され得ることを当業者は理解するであろう。場合によっては、特許請求される主題を不明瞭にしないように、当業者に既知であるはずの方法、装置、またはシステムが詳細に記載されていない。図示および説明された様々な実施形態は、単に特許請求の範囲の様々な特徴を説明するための例として提供されている。しかしながら、任意の所与の実施形態に関して図示および説明された特徴は、必ずしも関連付けられた実施形態に限定されず、図示および説明されている他の実施形態と併用または組み合わされてもよい。さらに、特許請求の範囲は、どの1つの例示的な実施形態によっても限定されることを意図されていない。
【0103】
[0140]本発明の主題はその特定の実施形態に関して詳細に説明されているが、当業者は、以上の説明の理解を得れば、そのような実施形態への変更、その変形、およびその均等物を容易に作り出すことができることが理解されるであろう。したがって、本開示は、限定ではなく例示のために提示されており、当業者に容易に明らかになるはずの、本発明の主題に対する改変、変形、および/または追加を含めることを排除するものではないことを理解されたい。実際、本明細書に記載される方法およびシステムは、様々な他の形態で具現化され得、さらに、本開示の趣旨から逸脱することなく、本明細書に記載される方法およびシステムの形態の様々な省略、置換および変更が行われ得る。添付の特許請求の範囲およびその均等物は、本開示の範囲および趣旨に含まれるはずの形態または改変を包含することを意図されている。
【0104】
[0141]本開示は特定の例示的な実施形態および用途を提供するが、本明細書に記載されるすべての特徴および利点を提供しない実施形態を含む、当業者に明らかな他の実施形態も本開示の範囲内である。したがって、本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲を参照することによってのみ定義されることが意図されている。
【0105】
[0142]特に明記しない限り、本明細書を通して、「processing(処理)」、「computing(コンピューティング)」、「calculating(計算)」、「determining(決定)」、および「identifying(識別)」などの用語を使用した説明は、コンピューティングプラットフォームのメモリ、レジスタ、もしくはその他の情報記憶デバイス、伝送デバイス、または表示デバイス内の物理的電子的または磁気的数量として表されたデータを操作または変換する、1台または複数のコンピュータや同様の1台または複数の電子的なコンピューティングデバイスなどのコンピューティングデバイスの動作またはプロセスを指す。
【0106】
[0143]本明細書で説明される1つまたは複数のシステムは、特定のハードウェアアーキテクチャまたは構成に限定されない。コンピューティングデバイスは、1つまたは複数の入力を条件とする結果を提供する構成要素の任意の適切な配置を含むことができる。適切なコンピューティングデバイスは、コンピューティングシステムを、汎用コンピューティング装置から、本発明の主題の1つまたは複数の実施形態を実施する専用コンピューティング装置にプログラムまたは構成する格納されたソフトウェアにアクセスする多目的のマイクロプロセッサベースのコンピュータシステムを含む。任意の適切なプログラミング、スクリプト、または他のタイプの言語もしくは言語の組み合わせが、コンピューティングデバイスをプログラムまたは構成する際に使用されるソフトウェアにおいて本明細書に含まれる教示を実施するために使用され得る。
【0107】
[0144]本明細書に開示される方法の実施形態は、そのようなコンピューティングデバイスの動作において行われ得る。上記の例で提示されたブロックの順序は変更することができ、例えば、ブロックを並べ替え、結合し、かつ/またはサブブロックに分割することができる。特定のブロックまたはプロセスを並列に行うことができる。
【0108】
[0145]本明細書で使用される条件付き言語、例えば、特に、「can」、「could」、「might」、「may」、「e.g.」などは、特に明記しない限り、または使用される文脈内で他の意味に解されるのでない限り、一般に、特定の例は特定の特徴、要素、および/またはステップを含むが、他の例は含まないことを伝えることを意図されている。よって、そのような条件付き言語は、一般に、特徴、要素および/もしくはステップが1つもしくは複数の例に何らかの形で必要とされること、または1つもしくは複数の例が、著者の入力もしくはプロンプトの有無にかかわらず、これらの特徴、要素および/もしくはステップが任意の特定の例に含まれるかどうか、もしくは任意の特定の例で実行されるべきかどうかを決定するための論理を必然的に含むことを示唆することを意図されたものではない。
【0109】
[0146]「comprising(備える)」、「including(含む)」、「having(有する)」などの用語は同義語であり、包含的に、非制限的用法で使用され、追加の要素、特徴、作用、動作などを排除しない。また、「or(または)」という用語は、包含的な意味で(排他的な意味ではなく)使用され、例えば、要素のリストを接続するために使用される場合、「または」という用語は、リスト内の要素の1つ、いくつか、またはすべてを意味する。本明細書における「adapted to(~するように適合された)」または「configured to(~するように構成された)」の使用は、追加的なタスクまたはステップを行うように適合された、または構成されたデバイスを排除しない、開放的、包含的な言葉を意味する。加えて、「based on(~に基づく)」の使用も、1つまたは複数の記載される条件または値「に基づく」プロセス、ステップ、計算、または他の動作が、実際には、記載の条件または値以外の追加的な条件または値に基づくものであり得るという点で、開放的、包含的であることを意味する。同様に、「based at least in part on(~に少なくとも部分的に基づく)」の使用も、1つまたは複数の記載される条件または値「に少なくとも部分的に基づく」プロセス、ステップ、計算、または他の動作が、実際には、記載の条件または値以外の追加的な条件または値に基づくものであり得るという点で、開放的、包含的であることを意味する。本明細書に含まれる見出し、リスト、および付番は、説明を容易にするためのものにすぎず、限定を意味するものではない。
【0110】
[0147]上述の様々な特徴およびプロセスは、互いに独立して使用されてもよく、または様々な方法で組み合わされてもよい。すべての可能な組み合わせおよび部分的な組み合わせは、本開示の範囲内に入ることが意図されている。さらに、いくつかの実施形態では、特定の方法またはプロセスブロックが省略され得る。本明細書に記載の方法およびプロセスはまた、いかなる特定の順序にも限定されず、それらに関するブロックまたは状態を、適切な他の順序で行うことができる。例えば、記載のブロックまたは状態は、具体的に開示された順序以外の順序で行われてもよく、または複数のブロックもしくは状態が単一のブロックもしくは状態において組み合わされてもよい。例示的なブロックまたは状態は、連続して行われてもよく、並列に行われてもよく、または他の何らかの方法で行われてもよい。ブロックまたは状態が、開示の例に追加されてもよく、または開示の例から削除されてもよい。同様に、本明細書に記載される例示的なシステムおよび構成要素は、記載されるシステムおよび構成要素とは異なるように構成されてもよい。例えば、要素が開示の例に追加されてもよく、開示の例から削除されてもよく、または開示の例と比較して再配置されてもよい。
【外国語明細書】