(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024023183
(43)【公開日】2024-02-21
(54)【発明の名称】設計されたメガヌクレアーゼを使用した網膜色素変性症の治療
(51)【国際特許分類】
C12N 15/55 20060101AFI20240214BHJP
C12N 9/16 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
C12N15/55
C12N9/16 Z ZNA
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023182410
(22)【出願日】2023-10-24
(62)【分割の表示】P 2022074109の分割
【原出願日】2016-09-08
(31)【優先権主張番号】62/215,460
(32)【優先日】2015-09-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】508117721
【氏名又は名称】プレシジョン バイオサイエンシズ,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バートセビチ,ビクター
(72)【発明者】
【氏名】ジャンツ,デレック
(72)【発明者】
【氏名】スミス,ジェイムス,ジェファーソン
(72)【発明者】
【氏名】ニコルソン,マイケル,ジー.
(57)【要約】 (修正有)
【課題】突然変異RHO P23H対立遺伝子に存在する認識配列を認識及び切断するように設計された組換えメガヌクレアーゼを提供する。
【解決手段】P23H認識配列を認識及び切断する組換えメガヌクレアーゼであって、特定の配列からなる、第1のサブユニット及び第2のサブユニットを含み、更に、網膜色素変性症を治療するための方法における、このような組換えメガヌクレアーゼの使用に関し、突然変異RHO P23H対立遺伝子が優先的に標的化、切断、及び不活性化される、組換えメガヌクレアーゼである。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
P23H認識配列を認識及び切断する組換えメガヌクレアーゼであって、第1のサブユ
ニット及び第2のサブユニットを含み、前記第1のサブユニットが前記P23H認識配列
の第1の認識ハーフサイトを認識し、且つ
(a)配列番号6~69のいずれか1つの残基198~344又は配列番号70~93
のいずれか1つの残基7~153と少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列
;及び
(b)第1の超可変(HVR1)領域
を含み、
前記第2のサブユニットが前記P23H認識配列の第2の認識ハーフサイトを認識し、
(a)配列番号6~69のいずれか1つの残基7~153又は配列番号70~93のい
ずれか1つの残基198~344と少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列
;及び
(b)第2の超可変(HVR2)領域
を含む、組換えメガヌクレアーゼ。
【請求項2】
前記第1のサブユニットが、配列番号6~69のいずれか1つの残基198~344又
は配列番号70~93のいずれか1つの残基7~153と少なくとも85%の配列同一性
を有するアミノ酸配列を含み、前記第2のサブユニットが、配列番号6~69のいずれか
1つの残基7~153又は配列番号70~93のいずれか1つの残基198~344と少
なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の組換えメガ
ヌクレアーゼ。
【請求項3】
前記第1のサブユニットが、配列番号6~69のいずれか1つの残基198~344又
は配列番号70~93のいずれか1つの残基7~153と少なくとも90%の配列同一性
を有するアミノ酸配列を含み、前記第2のサブユニットが、配列番号6~69のいずれか
1つの残基7~153又は配列番号70~93のいずれか1つの残基198~344と少
なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1又は2に記載の組換
えメガヌクレアーゼ。
【請求項4】
前記第1のサブユニットが、配列番号6~69のいずれか1つの残基198~344又
は配列番号70~93のいずれか1つの残基7~153と少なくとも95%の配列同一性
を有するアミノ酸配列を含み、前記第2のサブユニットが、配列番号6~69のいずれか
1つの残基7~153又は配列番号70~93のいずれか1つの残基198~344と少
なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1~3のいずれか1項
に記載の組換えメガヌクレアーゼ。
【請求項5】
前記P23H認識配列が配列番号1を含み、前記HVR1領域が、
(A)配列番号6~69のいずれか1つの215位;又は
(B)配列番号70~93のいずれか1つの24位
に対応する位置においてW又はYを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の組換えメ
ガヌクレアーゼ。
【請求項6】
前記P23H認識配列が配列番号1を含み、前記HVR1領域が、配列番号6~69の
いずれか1つの残基215~270又は配列番号70~93のいずれか1つの残基24~
79を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の組換えメガヌクレアーゼ。
【請求項7】
前記P23H認識配列が配列番号1を含み、前記HVR2領域が、配列番号6~69の
いずれか1つの残基24~79又は配列番号70~93のいずれか1つの残基215~2
70を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の組換えメガヌクレアーゼ。
【請求項8】
前記第1のサブユニット及び前記第2のサブユニットを共有結合的に接続するリンカー
を含む一本鎖メガヌクレアーゼである、請求項1~7のいずれか1項に記載の組換えメガ
ヌクレアーゼ。
【請求項9】
前記第1のサブユニットが、配列番号6~69のいずれか1つの残基198~344又
は配列番号70~93のいずれか1つの残基7~153を含む、請求項1~8のいずれか
1項に記載の組換えメガヌクレアーゼ。
【請求項10】
前記第2のサブユニットが、配列番号6~69のいずれか1つの残基7~153又は配
列番号70~93のいずれか1つの残基198~344を含む、請求項1~9のいずれか
1項に記載の組換えメガヌクレアーゼ。
【請求項11】
配列番号6~93のいずれか1つのアミノ酸配列を含む、請求項1~10のいずれか1
項に記載の組換えメガヌクレアーゼ。
【請求項12】
前記P23H認識配列が配列番号1~4の1つを含む、請求項1~11のいずれか1項
に記載の組換えメガヌクレアーゼ。
【請求項13】
前記P23H認識配列が配列番号1を含む、請求項1~12のいずれか1項に記載の組
換えメガヌクレアーゼ。
【請求項14】
配列番号5を含む認識配列と比べて、配列番号1を含むP23H認識配列を優先的に認
識及び切断する、請求項1~13のいずれか1項に記載の組換えメガヌクレアーゼ。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか1項に記載の組換えメガヌクレアーゼをコードする核酸配列
を含む、単離されたポリヌクレオチド。
【請求項16】
請求項15に記載の単離されたポリヌクレオチドを含む、組換えDNA構築物。
【請求項17】
組換えアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターをコードする、請求項16に記載の組換
えDNA構築物。
【請求項18】
請求項15に記載の単離されたポリヌクレオチドを含む、組換えAAVベクター。
【請求項19】
それを必要とする被験体における網膜色素変性症を治療するための方法であって、前記
被験体の標的細胞のDNAと、P23H認識配列を認識及び切断する組換えメガヌクレア
ーゼと、を接触させることを含み、
前記標的細胞が、RHO遺伝子対立遺伝子中に前記P23H認識配列を含み、
前記P23H認識配列の切断が、前記RHO遺伝子対立遺伝子の発現を阻害し、
前記組換えメガヌクレアーゼが、第1のサブユニット及び第2のサブユニットを含み、
前記第1のサブユニットが前記P23H認識配列の第1の認識ハーフサイトを認識し、
(a)配列番号6~69のいずれか1つの残基198~344又は配列番号70~93
のいずれか1つの残基7~153と少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列
;及び
(b)第1の超可変(HVR1)領域
を含み、
前記第2のサブユニットが前記P23H認識配列の第2の認識ハーフサイトを認識し、
(i)配列番号6~69のいずれか1つの残基7~153又は配列番号70~93のい
ずれか1つの残基198~344と少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列
;及び
(ii)第2の超可変(HVR2)領域
を含む、方法。
【請求項20】
常染色体優性網膜色素変性症を治療するためのものである、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記第1のサブユニットが、配列番号6~69のいずれか1つの残基198~344又
は配列番号70~93のいずれか1つの残基7~153と少なくとも85%の配列同一性
を有するアミノ酸配列を含み、前記第2のサブユニットが、配列番号6~69のいずれか
1つの残基7~153又は配列番号70~93のいずれか1つの残基198~344と少
なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項19又は20に記載の
方法。
【請求項22】
前記第1のサブユニットが、配列番号6~69のいずれか1つの残基198~344又
は配列番号70~93のいずれか1つの残基7~153と少なくとも90%の配列同一性
を有するアミノ酸配列を含み、前記第2のサブユニットが、配列番号6~69のいずれか
1つの残基7~153又は配列番号70~93のいずれか1つの残基198~344と少
なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項19~21のいずれか
1項に記載の方法。
【請求項23】
前記第1のサブユニットが、配列番号6~69のいずれか1つの残基198~344又
は配列番号70~93のいずれか1つの残基7~153と少なくとも95%の配列同一性
を有するアミノ酸配列を含み、前記第2のサブユニットが、配列番号6~69のいずれか
1つの残基7~153又は配列番号70~93のいずれか1つの残基198~344と少
なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項19~22のいずれか
1項に記載の方法。
【請求項24】
前記P23H認識配列が配列番号1を含み、前記HVR1領域が、
(A)配列番号6~69のいずれか1つの215位;又は
(B)配列番号70~93のいずれか1つの24位
に対応する位置においてW又はYを含む、請求項19~23のいずれか1項に記載の方法
。
【請求項25】
前記P23H認識配列が配列番号1を含み、前記HVR1領域が、配列番号6~69の
いずれか1つの残基215~270又は配列番号70~93のいずれか1つの残基24~
79を含む、請求項19~24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記P23H認識配列が配列番号1を含み、前記HVR2領域が、配列番号6~69の
いずれか1つの残基24~79又は配列番号70~93のいずれか1つの残基215~2
70を含む、請求項19~25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記組換えメガヌクレアーゼが、前記第1のサブユニット及び前記第2のサブユニット
を共有結合的に接続するリンカーを含む一本鎖メガヌクレアーゼである、請求項19~2
6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記第1のサブユニットが、配列番号6~69のいずれか1つの残基198~344又
は配列番号70~93のいずれか1つの残基7~153を含む、請求項19~27のいず
れか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記第2のサブユニットが、配列番号6~69のいずれか1つの残基7~153又は配
列番号70~93のいずれか1つの残基198~344を含む、請求項19~28のいず
れか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記組換えメガヌクレアーゼが、配列番号6~93のいずれか1つのアミノ酸配列を含
む、請求項19~29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記P23H認識配列が配列番号1~4の1つを含む、請求項19~30のいずれか1
項に記載の組換えメガヌクレアーゼ。
【請求項32】
前記P23H認識配列が配列番号1を含む、請求項19~31のいずれか1項に記載の
組換えメガヌクレアーゼ。
【請求項33】
前記組換えメガヌクレアーゼが、配列番号5を含む認識配列と比べて、配列番号1を含
むP23H認識配列を優先的に認識及び切断する、請求項19~32のいずれか1項に記
載の方法。
【請求項34】
前記被験体における前記標的細胞が網膜細胞である、請求項19~33のいずれか1項
に記載の方法。
【請求項35】
組換えAAVベクターを使用して、前記組換えメガヌクレアーゼをコードする遺伝子を
前記標的細胞に送達する、請求項19~34のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、35U.S.C.§119(e)に基づいて、2015年9月8日に出願さ
れた同時係属中の米国仮出願第62/215,460号(この内容は、その全体が参照に
より組み込まれる)の優先権の利益を主張する。
【0002】
発明の分野
本発明は、分子生物学及び組換え核酸技術の分野に関する。特に、本発明は、ヒトロド
プシン遺伝子対立遺伝子に見られる認識配列を認識及び切断するように設計された組換え
メガヌクレアーゼに関する。本発明は更に、網膜色素変性症を治療するための方法におけ
るこのような組換えメガヌクレアーゼの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
網膜色素変性症(RP)は、網膜における視細胞の進行性変性による重度の視力障害を
引き起こす遺伝性変性眼疾患である。RPは、最初に桿体視細胞が減少し、その結果、周
辺視力及び暗所視力が損なわれることを特徴とする。進行性桿体変性の後、網膜色素上皮
の異常及び錐体視細胞の劣化が起こる。疾患が進行するにつれて、患者は、夜盲症、進行
性視野狭窄、及び最終的には失明を経験する。RPは3000人に約1人が罹患しており
、単独で又は他の全身性障害と一緒に起こり得る。現在の所、RPには有効な治療がない
。
【0004】
RPの遺伝的原因は、常染色体優性、常染色体劣性、X連鎖、又は母性由来であると特
定されている。常染色体優性型のRPは症例の30~40%を占めており(Ma et
al.(2105),Scientific Reports.18(5:9236):
1-6)、桿体視細胞及び網膜色素上皮で発現される遺伝子の突然変異に関連している。
ヒトロドプシン遺伝子(RHO)は、常染色体優性RPの病因に寄与することが示された
最初の遺伝子であり、この形態の疾患に関連する最も一般的な遺伝子である(McWil
liam et al.(1989)Genomics.5:619-622;Dryj
a et al.(1990)Nature.343:364-366;Farrar
et al.(1990)EMBO Journal.21:857-864)。実際、
RHO突然変異は、全世界の常染色体優性RP症例の30~40%に関連し、米国の症例
の約26.5%で観察されている(Illing et al.(2002)Journ
al of Bio.Chem.277(37):34150-34160)。
【0005】
ロドプシンは、光伝達の第1段階において、光刺激の電気シグナルへの変換に関与する
網膜桿体視細胞において発現される必須光色素である。ロドプシンは、11-シス-レチ
ナール発色団に結合したオプシンタンパク質部分からなる光感受性Gタンパク質共役型受
容体として発現され、桿体視細胞の外部セグメントの円板膜の主成分である。
【0006】
常染色体優性RPに寄与することが示された最初のRHO突然変異は、RHO遺伝子コ
ード配列の68位におけるCからAへの突然変異(これは、コードタンパク質の23位に
おけるプロリンからヒスチジンへの置換(P23H)をもたらす)であった。この突然変
異は、本明細書では「RHO P23H突然変異」と称され、前記突然変異を含むRHO
対立遺伝子は、本明細書では「突然変異RHO P23H対立遺伝子」と称される。RH
O P23H突然変異は、北米の常染色体優性RP症例で最も頻繁に報告されているRH
O突然変異であり(Mao et al.(2011)Human Gene Ther
apy.22:567-575)、単一の突然変異RHO P23H対立遺伝子を有する
患者は、機能的野生型RHO対立遺伝子の存在にもかかわらず、RPを発症し得る。
【0007】
不適切にP23H置換フォールドを含むロドプシンタンパク質は、桿体視細胞の小胞体
に蓄積し、11-シス-レチナール発色団によって再構成しない。常染色体優性RPの多
くの症例では、ミスフォールディングP23Hロドプシンは、桿体視細胞の変性及び死に
寄与する。蓄積したP23Hロドプシンはプロテアソーム及びリソソーム分解を受け、E
Rストレス及び細胞アポトーシスを誘導し得るER関連アンフォールディングタンパク質
応答を刺激することが示されている(Lin et al.(2007),Scienc
e.318:944-949;Gorbatyuk et al.(2010)PNAS
U.S.A.107(13):5961-5966)。P23Hロドプシンのミスフォ
ールディングはまた、野生型ロドプシンの輸送又は機能を妨害することによって、細胞死
に寄与し得る(Illing et al.,2002,Lin et al.,200
7)。更に、P23Hロドプシンは、脱リン酸化の遅延を示すことが示されており、細胞
死は、異常な細胞質Ca2+レベルに起因し得る(Saito et al.(2008
)Clin.Opthamol.2:821-828)。
【0008】
栄養療法、医薬品、及び遺伝子療法を含む複数の戦略が、常染色体優性RPを治療する
ために追求されている。遺伝子療法アプローチは、常染色体優性RPを治療するための間
接的又は直接的な戦略のいずれかを採用している。間接的アプローチは、病原性突然変異
タンパク質の発現に直接影響を与えずに、桿体視細胞の生存を促進することを目的として
いる。例えば、桿体視細胞におけるアポトーシスを阻害するために、遺伝子療法を使用し
て、GDNF等の神経栄養因子及びXIAP等の抗アポトーシスタンパク質が網膜細胞に
導入されている。
【0009】
対照的に、遺伝子療法における直接的アプローチは、常染色体優性RPの病因に直接寄
与するタンパク質のレベルを調節しようとしている。RHO関連常染色体優性RPとの関
連では、P23Hロドプシンのプロテアソーム分解を増強する戦略があったが、動物モデ
ルでは有意な成功が見られなかった。別の戦略は標的RNA療法を利用して、機能的野生
型対立遺伝子の発現を維持しながら、突然変異RHO対立遺伝子をサイレンシングしてい
る。このようなアプローチはリボザイム及びRNA干渉(RNAi)を使用して、ラット
における突然変異RHO P23H導入遺伝子によって産生された特定のmRNA転写産
物をターゲティングしている。
【0010】
更なる戦略は、野性型RHO対立遺伝子及び突然変異RHO対立遺伝子の両方を非特異
的にサイレンシングし、それと同時に、野生型RHOの代替コピーを送達して野生型タン
パク質を発現させることによって、「抑制及び代替」アプローチを追求している。例えば
、O’Reillyらは、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを利用して、ヘテロ接
合性Pro23His+/-マウスにおいて、野生型及び突然変異RHO対立遺伝子の両
方をターゲティング及び抑制するように設計されたショートヘアピンRNAを送達及び発
現させ、RHO代替遺伝子も送達及び発現させた(O’Reilly et al.(2
007)Amer.J.of Human Genetics.81:127-135)
。同様に、Palfiらは、AAVベクターを使用して、RHO代替遺伝子をRho-/
-ノックアウトマウスに送達することを実証した(Palfi et al.(2010
)Human Gene Therapy.21:311-323)。しかしながら、こ
のようなアプローチでは、RHO代替レベルが過度に高い場合、毒性及びオフターゲット
効果が誘導され得る。更に、RNAiアプローチのオフターゲット効果は公知の合併症で
あり、長さが21塩基対を超えるsiRNAは、動物モデルにおいて網膜変性を誘導し得
ることが示されている(Kleinman et al.(2012)Mol.Ther
.20(1):101-108)。
【0011】
以前に、Zhangの米国特許出願公開第2012/0204282号(「Zhang
出願」)では、ヒトRHO遺伝子中のDNA標的を切断するための設計されたヌクレアー
ゼの使用が開示された。Zhang出願では、突然変異RHO対立遺伝子の発現を標的化
及び調節するためのいくつかのアプローチが開示された。具体的には、Zhang出願で
は、RHO遺伝子発現のリプレッサーとして、ジンクフィンガータンパク質(ZFP)及
びTALエフェクター(TALE)タンパク質等の操作されたDNA結合ドメインを使用
することが議論された。また、Zhang出願には、調節ドメイン又は機能ドメインに作
動可能に連結されたZFP又はTALE結合ドメインを含む融合タンパク質が記載された
。機能ドメインは、RHO遺伝子発現を下方制御する転写リプレッサードメインであり得
る。あるいは、機能ドメインは、転写活性化ドメインであり得る。更に、機能ドメインは
、ヌクレアーゼドメインを含み得る。ヌクレアーゼドメインに連結すると、得られる融合
タンパク質は、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)及びTALEヌクレアーゼ(T
ALEN)を含む。
【0012】
ZFN及びTALENに加えて、Zhang出願では、野生型及び/又は突然変異RH
O対立遺伝子の発現を標的化及び阻害するためのメガヌクレアーゼの使用が議論されてい
る。Zhang出願には、認識配列における非相同末端結合(NHEJ)を介してRHO
遺伝子発現を破壊するための、及び代替野生型RHO遺伝子配列を導入して野生型ロドプ
シンタンパク質を発現させるための、このようなメガヌクレアーゼの使用が記載されてい
る。しかしながら、Zhang出願によって同定されたRHO遺伝子中の認識配列は、野
生型RHO遺伝子に見られる3組のZFN標的部位に限定される(Zhang出願の表2
を参照のこと)。
【0013】
また、Lemaire及びArnouldの米国特許出願公開第2013/01832
82号(「Lemaire出願」)では、RHO遺伝子中のDNA標的を切断するための
設計されたメガヌクレアーゼの使用が開示された。Lemaire出願では、3つの遺伝
子療法戦略の1つにおいて使用するためにRHO遺伝子の様々な領域を標的化するように
設計されたメガヌクレアーゼが開示された。第1の戦略は遺伝子修正であり、操作された
メガヌクレアーゼは特定の突然変異の近傍の認識配列に特異的であり、その部位における
二本鎖切断を誘導し、対応する非突然変異対立遺伝子配列のゲノムへの相同組換えに依拠
する。Lemaire出願に開示された第2の戦略はエクソンノックインであり、病的突
然変異の発現を防止しながら、メガヌクレアーゼを使用して合成野生型コード配列をゲノ
ムに導入することによって、機能的タンパク質を再構築する。Lemaire出願に開示
された第3の戦略は突然変異誘発による遺伝子不活性化であり、ゲノム中の標的認識配列
における二本鎖切断を誘導するメガヌクレアーゼと、突然変異を誘導する切断部位におけ
るNHEJとに依拠する。
【0014】
したがって、当技術分野では、RPの治療のために、RHO P23H対立遺伝子を優
先的に標的化及び不活性化し得る方法が依然として必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】米国特許出願公開第2012/0204282号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2013/0183282号明細書
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】Ma et al.(2105),Scientific Reports.18(5:9236):1-6
【非特許文献2】McWilliam et al.(1989)Genomics.5:619-622;Dryja et al.(1990)Nature.343:364-366;Farrar et al.(1990)EMBO Journal.21:857-864
【非特許文献3】Illing et al.(2002)Journal of Bio.Chem.277(37):34150-34160
【非特許文献4】Mao et al.(2011)Human Gene Therapy.22:567-575
【非特許文献5】Lin et al.(2007),Science.318:944-949;Gorbatyuk et al.(2010)PNAS U.S.A.107(13):5961-5966
【非特許文献6】Saito et al.(2008)Clin.Opthamol.2:821-828
【非特許文献7】O’Reilly et al.(2007)Amer.J.of Human Genetics.81:127-135
【非特許文献8】Palfi et al.(2010)Human Gene Therapy.21:311-323
【非特許文献9】Kleinman et al.(2012)Mol.Ther.20(1):101-108
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は、P23H認識配列を認識及び切断するように操作された組換えメガヌクレア
ーゼを提供する。本発明は更に、組換えメガヌクレアーゼ(又はコードされた組換えメガ
ヌクレアーゼ)が、突然変異RHO P23H対立遺伝子上に存在するP23H認識配列
を優先的に標的化及び切断するように、このような組換えメガヌクレアーゼ又はこのよう
な組換えメガヌクレアーゼをコードする遺伝子を、RPを有する患者の細胞に送達するこ
とを含む方法を提供する。NHEJは切断部位において起こり、突然変異RHO P23
H対立遺伝子の突然変異誘発及び破壊をもたらすが、機能的野生型RHO対立遺伝子は依
然として、網膜の桿体視細胞において野生型ロドプシンを発現するほどにインタクトであ
る。突然変異RHO P23H対立遺伝子の優先的な不活性化及びP23Hロドプシン発
現の破壊は、患者におけるRPの進行を遅延させ、予防し又は逆転させると予想される。
【0018】
従って、いくつかの実施形態では、本発明は、突然変異RHO P23H対立遺伝子に
存在するが野生型RHO対立遺伝子に存在しないP23H認識配列を認識及び切断するよ
うに操作された組換えメガヌクレアーゼを提供する。本発明は更に、RP、好ましくは常
染色体優性RPを治療するための方法であって、突然変異RHO P23H対立遺伝子を
優先的に標的化及び切断する方法における、このような組換えメガヌクレアーゼの使用を
提供する。このように、P23Hロドプシンの発現は、メガヌクレアーゼ切断部位におけ
るNHEJによって抑制されるが、機能的野生型RHO対立遺伝子は依然として、網膜の
桿体視細胞において野生型ロドプシンを発現するほどにインタクトである。
【0019】
従って、本発明は、目的の遺伝子座中の特定のDNA配列を認識するように操作された
部位特異的レアカッティングホーミングエンドヌクレアーゼ(「メガヌクレアーゼ」とも
称される)の使用を含む。ホーミングエンドヌクレアーゼは、植物及び真菌のゲノムに一
般に見られる15~40塩基対の切断部位を認識する天然に存在するヌクレアーゼのグル
ープである。それらは、グループ1自己スプライシングイントロン及びインテイン等の寄
生生物DNAエレメントに関連することが多い。それらは、染色体において二本鎖切断を
生じさせて細胞DNA修復機構をリクルートすることによって、宿主ゲノム中の特定の位
置における相同組換え又は遺伝子挿入を自然に促進する(Stoddard(2006)
,Q.Rev.Biophys.38:49-95)。ホーミングエンドヌクレアーゼは
、一般的に、4つのファミリー:LAGLIDADG(配列番号96)ファミリー、GI
Y-YIGファミリー、His-Cysボックスファミリー、及びHNHファミリーに分
類される。これらのファミリーは、触媒活性及び認識配列に影響を与える構造モチーフを
特徴とする。例えば、LAGLIDADG(配列番号96)ファミリーのメンバーは、1
コピー又は2コピーの保存されたLAGLIDADG(配列番号96)モチーフを有する
ことを特徴とする(Chevalier et al.(2001),Nucleic
Acids Res.29(18):3757-3774)。1コピーのLAGLIDA
DG(配列番号96)モチーフを有するLAGLIDADG(配列番号96)ホーミング
エンドヌクレアーゼはホモ二量体を形成するのに対して、2コピーのLAGLIDADG
(配列番号96)モチーフを有するメンバーは単量体として見られる。
【0020】
操作された部位特異的組換えメガヌクレアーゼを生産するための方法は、当技術分野で
公知である。I-CreI(配列番号95)は、藻類Chlamydomonas re
inhardtiiの葉緑体染色体中の22塩基対の認識配列を認識及びカットするホー
ミングエンドヌクレアーゼのLAGLIDADG(配列番号96)ファミリーのメンバー
である。野生型I-CreI切断部位優先性を改変するために、遺伝子選択技術が使用さ
れている(Sussman et al.(2004),J.Mol.Biol.342
:31-41;Chames et al.(2005),Nucleic Acids
Res.33:e178;Seligman et al.(2002),Nucle
ic Acids Res.30:3870-9,Arnould et al.(20
06),J.Mol.Biol.355:443-58)。より最近では、モノLAGL
IDADG(配列番号96)ホーミングエンドヌクレアーゼを合理的に設計する方法であ
って、多様なDNA部位(哺乳動物、酵母、植物、細菌及びウイルスのゲノム中の部位を
含む)をターゲティングするようにI-CreI及び他のホーミングエンドヌクレアーゼ
を包括的に再設計することができる方法が記載された(国際公開第2007/04785
9号)。
【0021】
国際公開第2009/059195号に最初に記載されているように、I-CreI及
びその操作された誘導体は、通常は二量体であるが、第1のサブユニットのC末端を第2
のサブユニットのN末端に接続する短いペプチドリンカーを使用して、単一ポリペプチド
に融合され得る(例えば、Li,et al.(2009)Nucleic Acids
Res.37:1650-62;Grizot,et al.(2009)Nucle
ic Acids Res.37:5405-19も参照のこと)。従って、機能的「一
本鎖」メガヌクレアーゼは、単一の転写産物から発現され得る。このような操作されたメ
ガヌクレアーゼは、極めて低頻度のオフターゲットカッティングを示す。一本鎖メガヌク
レアーゼをコードする遺伝子を網膜細胞、好ましくは桿体視細胞に送達することによって
、突然変異RHO P23H対立遺伝子を特異的かつ優先的に標的化、切断、及び不活性
化して、P23Hロドプシンの発現を抑制することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0022】
従って、一態様では、本発明は、P23H突然変異対立遺伝子中のP23H置換をコー
ドする突然変異を含む認識配列を認識及び切断する組換えメガヌクレアーゼを提供する。
いくつかの実施形態では、認識配列は、配列番号1~4(即ち、P23H認識配列)から
選択される。組換えメガヌクレアーゼは、第1のサブユニット及び第2のサブユニットを
含み、第1のサブユニットは、P23H認識配列の1つの第1の認識ハーフサイトを認識
し、(a)配列番号6~69のいずれか1つの残基198~344又は配列番号70~9
3のいずれか1つの残基7~153と少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配
列;及び(b)第1の認識ハーフサイトに対する特異性を決定する第1の超可変(HVR
1)領域を含む。組換えメガヌクレアーゼは、P23H認識配列の1つの第2のハーフサ
イトを認識する第2のサブユニットであって、(a)配列番号6~69のいずれか1つの
残基7~153又は配列番号70~93のいずれか1つの残基198~344と少なくと
も80%の配列同一性を有するアミノ酸配列;及び(b)第2の認識ハーフサイトに対す
る特異性を決定する第2の超可変(HVR2)領域を含む第2のサブユニットを更に含む
。いくつかの実施形態では、P23H認識配列は配列番号1であり、組換えメガヌクレア
ーゼは、第1のサブユニット及び第2のサブユニットを含み、第1のサブユニットは、配
列番号1の1つの第1の認識ハーフサイトを認識し、(a)配列番号6~69のいずれか
1つの残基198~344又は配列番号70~93のいずれか1つの残基7~153と少
なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列;及び(b)第1の認識ハーフサイト
に対する特異性を決定する第1の超可変(HVR1)領域を含む。組換えメガヌクレアー
ゼは、配列番号1の第2のハーフサイトを認識する第2のサブユニットであって、(a)
配列番号6~69のいずれか1つの残基7~153又は配列番号70~93のいずれか1
つの残基198~344と少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列;及び(
b)第2の認識ハーフサイトに対する特異性を決定する第2の超可変(HVR2)領域を
含む第2のサブユニットをさらに含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、P23H認識配列は配列番号1であり、第1のサブユニット
は、配列番号6~69のいずれか1つの残基198~344又は配列番号70~93のい
ずれか1つの残基7~153と少なくとも85%、90%、又は95%の配列同一性を有
するアミノ酸配列を含み、第2のサブユニットは、配列番号6~69のいずれか1つの残
基7~153又は配列番号70~93のいずれか1つの残基198~344と少なくとも
85%、90%、又は95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0024】
他の実施形態では、P23H認識配列は配列番号1であり、HVR1領域は、(a)配
列番号6~69のいずれか1つの位置215;又は(b)配列番号70~93のいずれか
1つの位置24に対応する位置においてW若しくはYを含む。他の実施形態では、P23
H認識配列は配列番号1であり、HVR1領域は、(a)配列番号6~69のいずれか1
つの位置219;又は(b)配列番号70~93のいずれか1つの位置28に対応する位
置においてIを含む。他の実施形態では、P23H認識配列は配列番号1であり、HVR
1領域は、(a)配列番号6~69のいずれか1つの位置259;又は(b)配列番号7
0~93のいずれか1つの位置68に対応する位置においてVを含む。他の実施形態では
、P23H認識配列は配列番号1であり、HVR1領域は、(a)配列番号6~69のい
ずれか1つのそれぞれ位置215、219、及び259;又は(b)配列番号70~93
のいずれか1つのそれぞれ位置24、28、及び68に対応する位置においてW若しくは
Y、I及びVの1つ以上を含む。
【0025】
他の実施形態では、P23H認識配列は配列番号1であり、HVR2領域は、(a)配
列番号6~69のいずれか1つの位置24;又は(b)配列番号70~93のいずれか1
つの位置215に対応する位置においてY若しくはMを含む。他の実施形態では、P23
H認識配列は配列番号1であり、HVR2領域は、(a)配列番号6~69のいずれか1
つの位置28;又は(b)配列番号70~93のいずれか1つの位置219に対応する位
置においてFを含む。他の実施形態では、P23H認識配列は配列番号1であり、HVR
2領域は、(a)配列番号6~69のいずれか1つの位置44;又は(b)配列番号70
~93のいずれか1つの位置235に対応する位置においてHを含む。他の実施形態では
、P23H認識配列は配列番号1であり、HVR2領域は、(a)配列番号6~69のい
ずれか1つの位置46;又は(b)配列番号70~93のいずれか1つの位置237に対
応する位置においてSを含む。他の実施形態では、P23H認識配列は配列番号1であり
、HVR2領域は、(a)配列番号6~69のいずれか1つの位置70;又は(b)配列
番号70~93のいずれか1つの位置261に対応する位置においてWを含む。他の実施
形態では、P23H認識配列は配列番号1であり、HVR2領域は、(a)配列番号6~
69のいずれか1つのそれぞれ位置24、28、44、46、及び70;又は(b)配列
番号70~93のいずれか1つのそれぞれ位置215、219、235、237、及び2
61に対応する位置においてY若しくはM、F、H、S、及びWの1つ以上を含む。
【0026】
いくつかの実施形態では、組換えメガヌクレアーゼは、第1のサブユニット及び第2の
サブユニットを共有結合的に接続するリンカーを含む一本鎖メガヌクレアーゼである。
【0027】
いくつかの実施形態では、P23H認識配列は配列番号1であり、第1のサブユニット
は、配列番号6~69のいずれか1つの残基198~344又は配列番号70~93のい
ずれか1つの残基7~153を含む。いくつかの実施形態では、P23H認識配列は配列
番号1であり、第2のサブユニットは、配列番号6~69のいずれか1つの残基7~15
3又は配列番号70~93のいずれか1つの残基198~344を含む。
【0028】
いくつかの特定の実施形態では、P23H認識配列は配列番号1であり、メガヌクレア
ーゼは、配列番号6~93のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、組換えメガヌクレアーゼは、野生型RHO対立遺伝子に存在
する対応する22塩基対の認識配列と比べて、P23H認識配列(配列番号1~4)の1
つ(例えば、配列番号5と比べて配列番号1)を優先的に認識及び切断する。
【0030】
別の態様では、本発明は、本明細書に記載される組換えメガヌクレアーゼをコードする
核酸配列を含む単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0031】
別の態様では、本発明は、本明細書に記載される組換えメガヌクレアーゼをコードする
核酸配列を含む単離されたポリヌクレオチドを含む組換えDNA構築物を提供する。いく
つかの実施形態では、組換えDNA構築物は、ウイルスベクターをコードする。いくつか
のこのような実施形態では、ウイルスベクターは、レトロウイルスベクター、レンチウイ
ルスベクター、アデノウイルスベクター、又はアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターで
あり得る。いくつかの特定の実施形態では、組換えDNA構築物は、組換えAAVベクタ
ーをコードする。
【0032】
別の態様では、本発明は、本明細書に記載される組換えメガヌクレアーゼをコードする
核酸配列を含む単離されたポリヌクレオチドを含むウイルスベクターを提供する。いくつ
かの実施形態では、ウイルスベクターは、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベク
ター、アデノウイルスベクター、又はAAVベクターであり得る。いくつかの特定の実施
形態では、ウイルスベクターは、組換えAAVベクターであり得る。
【0033】
別の態様では、本発明は、RP、好ましくはP23H突然変異によって引き起こされる
常染色体優性RPを有する被験体の治療のための医薬組成物を提供する。医薬組成物は、
薬学的に許容され得る担体及び:(a)インビボ(in vivo)で標的細胞において
発現される本明細書に記載される組換えメガヌクレアーゼをコードする核酸;又は(b)
標的細胞におけるP23H認識配列(配列番号1~4)の1つに対する特異性を有する本
明細書に記載される組換えメガヌクレアーゼタンパク質を含み得る。
【0034】
いくつかの実施形態では、組換えメガヌクレアーゼをコードする核酸は、mRNAであ
り得る。
【0035】
他の実施形態では、医薬組成物は、核酸を含む組換えDNA構築物を含む。
【0036】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、核酸を含むウイルスベクターを含む。このよ
うな一実施形態では、ウイルスベクターは、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベ
クター、アデノウイルスベクター、又はAAVベクターであり得る。いくつかの特定の実
施形態では、ウイルスベクターは、組換えAAVベクターであり得る。
【0037】
別の態様では、本発明は、医薬として使用するための、本明細書に記載される組換えメ
ガヌクレアーゼを提供する。本発明は更に、RP、好ましくはP23H突然変異によって
引き起こされる常染色体優性RPを治療するための、好ましくは、P23H突然変異対立
遺伝子及び機能的対立遺伝子、正常対立遺伝子、又は野生型対立遺伝子についてヘテロ接
合性の被験体のための医薬の製造における、本明細書に記載される組換えメガヌクレアー
ゼの使用を提供する。
【0038】
別の態様では、本発明は、医薬として使用するための単離されたポリヌクレオチドであ
って、本明細書に記載される組換えメガヌクレアーゼをコードする核酸配列を含む単離さ
れたポリヌクレオチドを提供する。本発明は更に、RP、好ましくはP23H突然変異に
よって引き起こされる常染色体優性RPを治療するための、好ましくは、P23H突然変
異対立遺伝子及び機能的対立遺伝子、正常対立遺伝子、又は野生型対立遺伝子についてヘ
テロ接合性の被験体のための医薬の製造における、単離されたポリヌクレオチドの使用で
あって、前記単離されたポリヌクレオチドが、本明細書に記載される組換えメガヌクレア
ーゼをコードする核酸配列を含む使用を提供する。
【0039】
別の態様では、本発明は、医薬として使用するための組換えAAVベクターであって、
本明細書に記載される組換えメガヌクレアーゼをコードする核酸配列を含む単離されたポ
リヌクレオチドを含む組換えAAVベクターを提供する。本発明は更に、RP、好ましく
はP23H突然変異によって引き起こされる常染色体優性RPを治療するための、好まし
くは、P23H突然変異対立遺伝子及び機能的対立遺伝子、正常対立遺伝子、又は野生型
対立遺伝子についてヘテロ接合性の被験体のための医薬の製造における、組換えAAVベ
クターの使用であって、前記組換えAAVベクターが、本明細書に記載される組換えメガ
ヌクレアーゼをコードする核酸配列を含む単離されたポリヌクレオチドを含む使用を提供
する。
【0040】
別の態様では、本発明は、それを必要とする被験体におけるP23H突然変異によって
引き起こされるRPを治療するための、好ましくは、P23H突然変異対立遺伝子及び機
能的対立遺伝子、正常対立遺伝子、又は野生型対立遺伝子についてヘテロ接合性の被験体
のための方法を提供する。前記方法は、前記被験体の標的細胞のDNAと、P23H突然
変異を含む認識配列(例えば、配列番号1~4)を認識及び切断する本明細書に記載され
る組換えメガヌクレアーゼとを接触させることを含む。被験体の標的細胞は、RHO遺伝
子対立遺伝子中のP23H認識配列を含み、認識配列の切断は、RHO遺伝子対立遺伝子
の発現を阻害する。
【0041】
いくつかの実施形態では、前記方法は、P23H突然変異によって引き起こされる常染
色体優性RPを治療するためのものであり、好ましくは、P23H突然変異対立遺伝子及
び機能的対立遺伝子、正常対立遺伝子、又は野生型対立遺伝子についてヘテロ接合性の被
験体のためのものである。
【0042】
いくつかの実施形態では、被験体における標的細胞は、網膜標的細胞である。好ましい
実施形態では、網膜細胞は、桿体視細胞である。
【0043】
前記方法のいくつかの実施形態では、組換えメガヌクレアーゼをコードする核酸が標的
細胞に導入される。いくつかのこのような実施形態では、核酸は、mRNAであり得る。
他のこのような実施形態では、核酸は、組換えDNA構築物を使用して、細胞に導入され
得る。更に他のこのような実施形態では、核酸は、レトロウイルスベクター、レンチウイ
ルスベクター、アデノウイルスベクター、又はAAVベクター等のウイルスベクターを使
用して、標的細胞に導入され得る。いくつかの特定の実施形態では、組換えメガヌクレア
ーゼをコードする遺伝子は、組換えAAVベクターを使用して、標的細胞に送達される。
【0044】
前記方法の他の実施形態では、本発明の組換えメガヌクレアーゼタンパク質が標的細胞
に導入される。
【0045】
前記方法の様々な実施形態では、組換えメガヌクレアーゼタンパク質又は組換えメガヌ
クレアーゼをコードする核酸は、本明細書に記載される医薬組成物で被験体に投与され得
る。
【0046】
別の態様では、本発明は、遺伝子改変細胞を生産するための方法を提供する。前記方法
は、(a)少なくとも1つのP23H RHO対立遺伝子を含む細胞を得ること;並びに
(b)(i)前記細胞において発現される本発明の組換えメガヌクレアーゼをコードする
核酸配列;又は(ii)組換えメガヌクレアーゼタンパク質を前記細胞に導入することを
含み、前記組換えメガヌクレアーゼは、P23H RHO対立遺伝子上に存在するP23
H認識配列に対する特異性を有し、前記組換えメガヌクレアーゼはP23H認識配列を認
識及び切断し、前記P23H RHO対立遺伝子の発現は、切断部位における非相同末端
結合によって破壊される。好ましくは、細胞は、改変前に、P23H突然変異対立遺伝子
及び機能的対立遺伝子、正常対立遺伝子、又は野生型対立遺伝子についてヘテロ接合性で
ある。
【0047】
前記方法のいくつかの実施形態では、細胞は、真核細胞であり得る。いくつかのこのよ
うな実施形態では、真核細胞は、多能性細胞であり得る。このような実施形態では、多能
性細胞は、人工多能性幹(iPS)細胞であり得る。いくつかの特定の実施形態では、i
PS細胞は、ヒトiPS細胞であり得る。
【0048】
前記方法の他の実施形態では、核酸は、mRNAであり得る。
【0049】
前記方法のいくつかの実施形態では、核酸は、組換えDNA構築物を使用して、細胞に
導入され得る。
【0050】
前記方法のいくつかの実施形態では、核酸は、ウイルスベクターを使用して、細胞に導
入され得る。いくつかのこのような実施形態では、ウイルスベクターは、レトロウイルス
ベクター、レンチウイルスベクター、アデノウイルスベクター、又はAAVベクターであ
り得る。いくつかの特定の実施形態では、ウイルスベクターは、組換えAAVベクターで
あり得る。
【0051】
別の態様では、本発明は、野生型RHO対立遺伝子及び破壊P23H対立遺伝子を含む
遺伝子改変細胞であって、野生型RHOタンパク質を発現し、P23H RHOタンパク
質を発現せず、本明細書に記載される本発明の方法に従って生産される遺伝子改変細胞を
提供する。いくつかの実施形態では、破壊P23H対立遺伝子は、メガヌクレアーゼ及び
NHEJによる切断によって引き起こされる欠失突然変異を含む。いくつかの特定の実施
形態では、遺伝子改変細胞は、多能性細胞、iPS細胞、又はヒトiPS細胞であり得る
。
【0052】
別の態様では、本発明は、P23H突然変異によって引き起こされるRPを有する被験
体を治療するための、好ましくは、P23H突然変異対立遺伝子及び機能的対立遺伝子、
正常対立遺伝子又は野生型対立遺伝子についてヘテロ接合性の被験体のための医薬組成物
を提供する。異なる実施形態では、医薬組成物は、薬学的に許容され得る担体と、本発明
の任意の遺伝子改変細胞及び/又は本発明の方法に従って生産される任意の遺伝子改変細
胞であって、野生型RHOタンパク質を発現する野生型RHO対立遺伝子と、P23H
RHOタンパク質を発現しない破壊P23H対立遺伝子とを含む遺伝子改変細胞とを含み
得る。いくつかの実施形態では、破壊P23H対立遺伝子は、メガヌクレアーゼ及びNH
EJによる切断によって引き起こされる欠失突然変異を含む。
【0053】
別の態様では、本発明は、それを必要とする被験体におけるP23H突然変異によって
引き起こされるRPを治療するための、好ましくは、P23H突然変異対立遺伝子及び機
能的対立遺伝子、正常対立遺伝子、又は野生型対立遺伝子についてヘテロ接合性の被験体
のための方法を提供する。前記方法は、薬学的に許容され得る担体と、本発明の遺伝子改
変細胞であって、野生型RHOタンパク質を発現する野生型RHO対立遺伝子と、P23
H RHOタンパク質を発現しない破壊P23H対立遺伝子とを含む遺伝子改変細胞とを
含む本明細書に記載される医薬組成物を被験体に投与することを含む。いくつかの実施形
態では、破壊P23H対立遺伝子は、メガヌクレアーゼ及びNHEJによる切断によって
引き起こされる欠失突然変異を含む。
【0054】
前記方法のいくつかの実施形態では、遺伝子改変細胞は、標的組織に送達され得る。こ
のような標的組織としては、眼、特に網膜が挙げられ得る。
【0055】
更に、前記方法のいくつかの実施形態では、遺伝子改変細胞は、遺伝子改変iPS細胞
であり得る。このような実施形態では、遺伝子改変iPS細胞は、標的組織に送達される
と、野生型RHOタンパク質を発現する細胞に分化し得る。いくつかの特定の実施形態で
は、遺伝子改変iPS細胞は、野生型ロドプシンタンパク質を発現するがP23Hロドプ
シンタンパク質を発現しない網膜細胞、特に桿体視細胞に分化し得る。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【
図1】P23H認識配列。A)配列番号1の22塩基対のP23H認識配列と、野生型ヒトRHO遺伝子対立遺伝子に存在する対応する22塩基対の認識配列(配列番号5)とのアライメント。これらの配列は、P23H突然変異又は野生型RHO遺伝子コード配列(それぞれ配列番号98及び97)のヌクレオチド49~70に及ぶ。P23H認識配列内のC68Aヌクレオチド置換が強調されている。B)配列番号1のP23H認識配列は、RHO1及びRHO2と称される2つの認識ハーフサイトを含む。示されているように、各認識ハーフサイトは9塩基対を含む。認識配列中のハーフサイトは、4塩基対の中央領域によって分離されている。C)本発明の組換えメガヌクレアーゼは2つのサブユニットを含み、第1のサブユニットは、P23H認識配列(例えば、配列番号1)の第1のハーフサイト(例えば、RHO1)に結合し、第2のサブユニットは、第2ハーフサイト(例えば、RHO2)に結合する。組換えメガヌクレアーゼが一本鎖メガヌクレアーゼである実施形態では、第1のサブユニットは、N末端サブユニット又はC末端サブユニットのいずれかとして配置され得る。同様に、第2のサブユニットは、N末端サブユニット又はC末端サブユニットのいずれかとして配置され得る。
【
図2A-2F】RHO1結合サブユニットのアミノ酸アライメント。A~F)本発明によって包含される組換えメガヌクレアーゼは、配列番号1の9塩基対のRHO1認識ハーフサイトに結合する1つのサブユニットを含む。アミノ酸配列アラインメントは、配列番号6~93に示されている組換えメガヌクレアーゼのRHO1結合サブユニット(配列番号102~188)について示されている。示されているように、配列番号6~69のRHO1結合サブユニットは残基198~344を含むのに対して、配列番号70~93のRHO1結合サブユニットは残基7~153を含む。示されているように、各RHO1結合サブユニットは、56アミノ酸の超可変領域を含む。超可変領域内の可変残基は影付きであり、各位置における最も頻繁なアミノ酸がさらに強調されている;最も多く見られる残基は太字であるのに対して、2番目に多く見られるものは太字斜体である。80位又は271位のQ又はE残基を除いて、超可変領域の外側の残基は、各サブユニットにおいて同一である(しかしこれは必須ではない)(米国特許第8,021,867号を参照のこと)。
図2A~2Fに示されているほぼ全てのRHO1結合サブユニットは、RHO2-L3-59メガヌクレアーゼ(配列番号102)のRHO1結合サブユニット(残基198~344)と少なくとも90%の配列同一性を共有する。示されている残基番号は、配列番号6~93のものである。
【
図3A-3F】RHO2結合サブユニットのアミノ酸アライメント。A~F)本発明によって包含される組換えメガヌクレアーゼは、配列番号1の9塩基対のRHO2認識ハーフサイトに結合する1つのサブユニットを含む。アミノ酸配列アラインメントは、配列番号6~93に示されている組換えメガヌクレアーゼのRHO2結合サブユニット(配列番号190~277)について示されている。示されているように、配列番号6~69のRHO2結合サブユニットは残基7~153を含むのに対して、配列番号70~93のRHO2結合サブユニットは残基198~344を含む。示されているように、各RHO2結合サブユニットは、56アミノ酸の超可変領域を含む。超可変領域内の可変残基は影付きであり、各位置における最も頻繁なアミノ酸がさらに強調されている;最も多く見られる残基は太字であるのに対して、2番目に多く見られるものは太字斜体である。80位又は271位のQ又はE残基を除いて、超可変領域の外側の残基は、各サブユニットにおいて同一である(しかしこれは必須ではない)(米国特許第8,021,867号を参照のこと)。
図3A~3Fに示されているほぼ全てのRHO2結合サブユニットは、RHO2-L3-59メガヌクレアーゼ(配列番号190)のRHO2結合サブユニット(残基7~153)と少なくとも90%の配列同一性を共有する。示されている残基番号は、配列番号6~93のものである。
【
図4】P23H認識配列をターゲティングする組換えメガヌクレアーゼを評価するための、CHO細胞におけるレポーターアッセイの概略図。本明細書に記載される組換えメガヌクレアーゼについて、レポーターカセットを細胞のゲノムに安定に組み込んだCHO細胞株を生産した。レポーターカセットは、5’から3’方向に、SV40初期プロモーターと、GFP遺伝子の5’2/3と、本発明の操作されたメガヌクレアーゼのための認識配列、例えば配列番号1~4のいずれか1つのP23H認識配列と、CHO-23/24メガヌクレアーゼの認識配列(国際公開第2012/167192号)と、GFP遺伝子の3’2/3とを含んでいた。このカセットを安定にトランスフェクトした細胞は、DNA切断誘導剤の非存在下ではGFPを発現しなかった。各メガヌクレアーゼをコードするプラスミドDNA又はmRNAの形質導入によって、メガヌクレアーゼを導入した。メガヌクレアーゼ認識配列のいずれかにおいてDNA切断を誘導した場合、GFP遺伝子の重複領域が互いに組換えられて、機能的GFP遺伝子が生じる。次いで、フローサイトメトリーによって、メガヌクレアーゼによるゲノム切断の頻度の間接的な尺度として、GFP発現細胞の割合を決定し得る。
【
図5】CHO細胞レポーターアッセイにおけるP23H認識配列を認識及び切断するための組換えメガヌクレアーゼの効率。A)~J)配列番号6~93に示されている各組換えメガヌクレアーゼを、P23H認識配列を標的化するように操作し、CHO細胞レポーターアッセイにおいて有効性についてスクリーニングした。示されている結果は、各アッセイにおいて観察されたGFP発現細胞の割合(これは、P23H認識配列又はCHO-23/24認識配列の切断について、各メガヌクレアーゼの有効性を示す)を提供する。各アッセイにおいて、陰性対照(RHO1-2bs)を更に含めた。
【
図6】CHO細胞レポーターアッセイにおける経時的な組換えメガヌクレアーゼ有効性。CHOレポーターアッセイにおいて、本発明によって包含される組換えメガヌクレアーゼを評価し、メガヌクレアーゼコードmRNAをCHOレポーター細胞に導入した1日後、4日後、6日後、及び8日後に、GFP発現細胞の割合を決定した。各時点において、CHO-23/24メガヌクレアーゼを陽性対照として含めた。
【
図7】組換えメガヌクレアーゼの選択性。A)~F)CHO細胞レポーターアッセイを使用して、P23H認識配列(配列番号1)及び対応する野生型RHO認識配列(配列番号5)に対する組換えメガヌクレアーゼの選択性を決定した。本発明によって包含される組換えメガヌクレアーゼを、P23H認識配列(「RHO1-2細胞」、灰色のバー)又は対応する野生型RHO認識配列(「RHO3-4細胞」、黒色のバー)を含む細胞に導入して、突然変異標的と野生型標的とを区別することができるかを決定した。
【
図8】組換えAAVベクターの作製及び発現。A)5’末端及び3’末端において逆方向末端反復(ITR)を有する示されている組換えAAVベクターゲノムの略図。ベクターは、サイトメガロウイルス初期(CMV)プロモーターに作動可能に連結された組換えメガヌクレアーゼRHO-1/2-L2-49(配列番号8)のコード配列を含む。ヌクレアーゼ発現カセットを「パッケージング」プラスミドに組み込み、これをAdヘルパープラスミドとの結合に使用して、RHO-1/2-L2-49メガヌクレアーゼをコードする遺伝子を送達することができる組換えAAVを生産した。B)24時間後の組換えAAV形質導入CHO細胞におけるRHO-1/2-L2-49メガヌクレアーゼ発現のイムノブロット。
【
図9】CHO細胞レポーターアッセイにおいて、組換えAAVによって発現させた場合の、P23H認識配列(配列番号1)に対するRHO-1/2-L2-49メガヌクレアーゼの効率及び選択性。野生型認識配列(配列番号5;「RHO3-4細胞」、黒色のバー)又はP23H認識配列(配列番号1;「RHO1-2細胞」、灰色のバー)を有するCHO細胞に、CMVプロモーターに作動可能に連結されたRHO-1/2-L2-49メガヌクレアーゼをコードする3つの異なる用量のAAV2ベクターを形質導入した。
【
図10】シクロヘキシミドによる処理後のCHOレポーター細胞におけるRHO-1/2-L2-49メガヌクレアーゼの安定性。
【
図11】A)pDS CMV RHO2_L3_59プラスミド(配列番号278)のベクターマップ。B)pDS CMV RHO2_L5_14プラスミド(配列番号279)のベクターマップ。
【
図12】RHO1-2認識配列に対するRHO1-2メガヌクレアーゼの特異性を実証するCHO GFFPレポーターアッセイ。CHO-K細胞(対照)、(配列番号5の野生型RHO配列を含む)WT RHO細胞、又は(配列番号1のP23H RHO配列を含む)P23H RHO細胞に、GFPタンパク質、RHO2-L3-59メガヌクレアーゼ(配列番号6)、又はRHO2-L5-14メガヌクレアーゼ(配列番号7)をコードする低力価、中力価、又は高力価の組換えAAVベクターを形質導入した。形質導入後の各細胞株において、認識配列切断の尺度として、GFP陽性細胞のパーセントを決定した。
【
図13】組換えAAVベクターの形質導入後のCHO RHO1-2細胞におけるメガヌクレアーゼ発現のウエスタンブロット分析。RHO1-2認識配列を含むP23H RHO細胞に、RHO2-L3-59メガヌクレアーゼ(配列番号6)又はRHO2-L5-14メガヌクレアーゼ(配列番号7)をコードする組換えAAVベクターを、細胞1個当たり1e8、1e9、又は2e9のウイルスゲノムで形質導入した。RHO1-2認識配列切断(上のパネル)、メガヌクレアーゼ発現(下のパネル)の尺度としてのGFP、及びローディング対照としてのβ-アクチンの発現について、細胞溶解物を分析した。レーン1~6は、RHO2-L3-59メガヌクレアーゼを発現するように形質導入した。レーン7~12は、RHO2-L5-14メガヌクレアーゼを発現するように形質導入した。
【
図14】pDS GRK1 RHO2_L5_14プラスミド(配列番号281)のベクターマップ。
【
図15】網膜下AAV注射後のマウス網膜細胞におけるメガヌクレアーゼ発現のウエスタンブロット分析。網膜下注射によって、RHO2-L5-14メガヌクレアーゼ(配列番号7)をコードする組換えAAVベクターを野生型マウスに投与した。5匹のマウスの左眼(OS)及び右眼(OD)から網膜細胞を得、ウエスタンブロットによって、RHO2-L5-14メガヌクレアーゼ及びβ-アクチンの発現について、細胞溶解物を分析した。
【発明を実施するための形態】
【0057】
配列の簡単な説明
配列番号1は、1つのP23H認識配列(RHO-1/2)のヌクレオチド配列を示す
。
【0058】
配列番号2は、1つのP23H認識配列(RHO-9/10)のヌクレオチド配列を示
す。
【0059】
配列番号3は、1つのP23H認識配列(RHO-11/12)のヌクレオチド配列を
示す。
【0060】
配列番号4は、1つのP23H認識配列(RHO-13/14)のヌクレオチド配列を
示す。
【0061】
配列番号5は、野生型RHO対立遺伝子に見られる対応する認識配列(すなわち、RH
O3-4認識配列)のヌクレオチド配列を示す。
【0062】
配列番号6は、RHO2-L3-59メガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す。
【0063】
配列番号7は、RHO2-L5-14メガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す。
【0064】
配列番号8は、RHO-1/2-L2-49メガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す。
【0065】
配列番号9は、RHO1-2x.179メガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す。
【0066】
配列番号10は、RHO1-2x.4メガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す。
【0067】
配列番号11は、RHO1-2x.207メガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す。
【0068】
配列番号12は、RHO1-2x.277メガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す。
【0069】
配列番号13は、RHO1-2x.292メガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す。
【0070】
配列番号14は、RHO1-2x.324メガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す。
【0071】
配列番号15は、RHO1-2x.371メガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す。
【0072】
配列番号16は、RHO1-2x.164メガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す。
【0073】
配列番号17は、RHO1-2x.181メガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す。
【0074】
配列番号18は、RHO1-2x.184メガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す。
【0075】
配列番号19は、RHO-1/2-L1-21メガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す
。
【0076】
配列番号20は、RHO-1/2-L1-43メガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す
。
【0077】
配列番号21は、RHO-1/2-L1-45メガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す
。
【0078】
配列番号22は、RHO-1/2-L1-60メガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す
。
【0079】
配列番号23は、RHO-1/2-L1-61メガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す
。
【0080】
配列番号24は、RHO-1/2-L1-58メガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す
。
【0081】
配列番号25は、RHO-1/2-L1-7メガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す。
【0082】
配列番号26は、RHO-1/2-L1-13メガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す
。
【0083】
配列番号27は、RHO-1/2-L1-18メガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す
。
【0084】
配列番号28は、RHO-1/2-L1-70メガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す
。
【0085】
配列番号29は、RHO-1/2-L1-86メガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す
。
【0086】
配列番号30は、RHO-1/2-L2-13メガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す
。
【0087】
配列番号31は、RHO-1/2-L2-24メガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す
。
【0088】
配列番号32は、RHO-1/2-L2-37メガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す
。
【0089】
配列番号33は、RHO-1/2-L2-58メガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す
。
【0090】
配列番号34は、RHO-1/2-L2-31メガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す
。
【0091】
配列番号35は、RHO-1/2-L2-29メガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す
。
【0092】
配列番号36は、RHO-1/2-L2-61メガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す
。
【0093】
配列番号37は、RHO2-L3-2メガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す。
【0094】
配列番号38は、RHO2-L3-3メガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す。
【0095】
配列番号39は、RHO2-L3-5メガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す。
【0096】
配列番号40は、RHO2-L3-10メガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す。
【0097】
配列番号41は、RHO2-L3-11メガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す。
【0098】
配列番号42は、RHO2-L3-12メガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す。
【0099】
配列番号43は、RHO2-L3-13メガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す。
【0100】
配列番号44は、RHO2-L3-28メガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す。
【0101】
配列番号45は、RHO2-L3-29メガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す。
【0102】
配列番号46は、RHO2-L3-57メガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す。
【0103】
配列番号47は、RHO2-L3-80メガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す。
【0104】
配列番号48は、RHO2-L3-85メガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す。
【0105】
配列番号49は、RHO2-L3-86メガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す。
【0106】
配列番号50は、RHO2-L3-92メガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す。
【0107】
配列番号51は、RHO2-L3-4メガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す。
【0108】
配列番号52は、RHO2-L3-20メガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す。
【0109】
配列番号53は、RHO2-L3-72メガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す。
【0110】
配列番号54は、RHO1-L1-4メガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す。
【0111】
配列番号55は、RHO1-L1-8メガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す。
【0112】
配列番号56は、RHO1-L1-13メガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す。
【0113】
配列番号57は、RHO1-L1-19メガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す。
【0114】
配列番号58は、RHO1-L1-58メガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す。
【0115】
配列番号59は、RHO1-L1-69メガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す。
【0116】
配列番号60は、RHO1-L1-80メガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す。
【0117】
配列番号61は、RHO1-L1-82メガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す。
【0118】
配列番号62は、RHO1-L1-73メガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す。
【0119】
配列番号63は、RHO1-L1-85メガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す。
【0120】
配列番号64は、RHO1-L1-86メガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す。
【0121】
配列番号65は、RHO-1/2-L4-10メガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す
。
【0122】
配列番号66は、RHO-1/2-L4-29メガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す
。
【0123】
配列番号67は、RHO-1/2-L4-65メガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す
。
【0124】
配列番号68は、RHO-1/2-L4-66メガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す
。
【0125】
配列番号69は、RHO-1/2-L4-85メガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す
。
【0126】
配列番号70は、RHO1-2x.216メガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す。
【0127】
配列番号71は、RHO1-2x.241メガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す。
【0128】
配列番号72は、RHO1-2x.94メガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す。
【0129】
配列番号73は、RHO1-2x.95メガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す。
【0130】
配列番号74は、RHO1-2x.1メガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す。
【0131】
配列番号75は、RHO1-2x.60メガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す。
【0132】
配列番号76は、RHO1-2x.74メガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す。
【0133】
配列番号77は、RHO1-2x.88メガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す。
【0134】
配列番号78は、RHO1-2x.294メガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す。
【0135】
配列番号79は、RHO1-2x.302メガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す。
【0136】
配列番号80は、RHO1-2x.306メガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す。
【0137】
配列番号81は、RHO1-2x.338メガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す。
【0138】
配列番号82は、RHO1-2x.348メガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す。
【0139】
配列番号83は、RHO1-2x.356メガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す。
【0140】
配列番号84は、RHO1-2x.364メガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す。
【0141】
配列番号85は、RHO1-2x.142メガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す。
【0142】
配列番号86は、RHO1-2x.177メガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す。
【0143】
配列番号87は、RHO1-2x.148メガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す。
【0144】
配列番号88は、RHO1-2x.20メガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す。
【0145】
配列番号89は、RHO1-2x.55メガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す。
【0146】
配列番号90は、RHO1-2x.197メガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す。
【0147】
配列番号91は、RHO1-2x.252メガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す。
【0148】
配列番号92は、RHO1-2x.372メガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す。
【0149】
配列番号93は、RHO1-2x.151メガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す。
【0150】
配列番号94は、野生型I-CreIメガヌクレアーゼのアミノ酸配列を示す。
【0151】
配列番号95は、I-CreIメガヌクレアーゼのLAGLIDADGモチーフのアミ
ノ酸配列を示す。
【0152】
配列番号96は、野生型ヒトロドプシンのコード領域の核酸配列を示す。
【0153】
配列番号97は、突然変異P23Hロドプシンのコード領域の核酸配列を示す。
【0154】
配列番号98は、野生型ヒトロドプシン遺伝子の核酸配列を示す。
【0155】
配列番号99は、ロドプシンにおけるP23H置換をコードするC68A突然変異を含
むヒトロドプシン遺伝子の核酸配列を示す。
【0156】
配列番号100は、野生型ヒトロドプシンのアミノ酸配列を示す。
【0157】
配列番号101は、突然変異P23Hロドプシンのアミノ酸配列を示す。
【0158】
配列番号102は、RHO2-L3-59メガヌクレアーゼの残基198~344を示
す。
【0159】
配列番号103は、RHO2-L5-14メガヌクレアーゼの残基198~344を示
す。
【0160】
配列番号104は、RHO-1/2-L2-49メガヌクレアーゼの残基198~34
4を示す。
【0161】
配列番号105は、RHO1-2x.179メガヌクレアーゼの残基198~344を
示す。
【0162】
配列番号106は、RHO1-2x.4メガヌクレアーゼの残基198~344を示す
。
【0163】
配列番号107は、RHO1-2x.207メガヌクレアーゼの残基198~344を
示す。
【0164】
配列番号108は、RHO1-2x.277メガヌクレアーゼの残基198~344を
示す。
【0165】
配列番号109は、RHO1-2x.292メガヌクレアーゼの残基198~344を
示す。
【0166】
配列番号110は、RHO1-2x.324メガヌクレアーゼの残基198~344を
示す。
【0167】
配列番号111は、RHO1-2x.371メガヌクレアーゼの残基198~344を
示す。
【0168】
配列番号112は、RHO1-2x.164メガヌクレアーゼの残基198~344を
示す。
【0169】
配列番号113は、RHO1-2x.181メガヌクレアーゼの残基198~344を
示す。
【0170】
配列番号114は、RHO1-2x.184メガヌクレアーゼの残基198~344を
示す。
【0171】
配列番号115は、RHO-1/2-L1-21メガヌクレアーゼの残基198~34
4を示す。
【0172】
配列番号116は、RHO-1/2-L1-43メガヌクレアーゼの残基198~34
4を示す。
【0173】
配列番号117は、RHO-1/2-L1-45メガヌクレアーゼの残基198~34
4を示す。
【0174】
配列番号118は、RHO-1/2-L1-60メガヌクレアーゼの残基198~34
4を示す。
【0175】
配列番号119は、RHO-1/2-L1-61メガヌクレアーゼの残基198~34
4を示す。
【0176】
配列番号120は、RHO-1/2-L1-58メガヌクレアーゼの残基198~34
4を示す。
【0177】
配列番号121は、RHO-1/2-L1-7メガヌクレアーゼの残基198~344
を示す。
【0178】
配列番号122は、RHO-1/2-L1-13メガヌクレアーゼの残基198~34
4を示す。
【0179】
配列番号123は、RHO-1/2-L1-18メガヌクレアーゼの残基198~34
4を示す。
【0180】
配列番号124は、RHO-1/2-L1-70メガヌクレアーゼの残基198~34
4を示す。
【0181】
配列番号125は、RHO-1/2-L1-86メガヌクレアーゼの残基198~34
4を示す。
【0182】
配列番号126は、RHO-1/2-L2-13メガヌクレアーゼの残基198~34
4を示す。
【0183】
配列番号127は、RHO-1/2-L2-24メガヌクレアーゼの残基198~34
4を示す。
【0184】
配列番号128は、RHO-1/2-L2-37メガヌクレアーゼの残基198~34
4を示す。
【0185】
配列番号129は、RHO-1/2-L2-58メガヌクレアーゼの残基198~34
4を示す。
【0186】
配列番号130は、RHO-1/2-L2-31メガヌクレアーゼの残基198~34
4を示す。
【0187】
配列番号131は、RHO-1/2-L2-29メガヌクレアーゼの残基198~34
4を示す。
【0188】
配列番号132は、RHO-1/2-L2-61メガヌクレアーゼの残基198~34
4を示す。
【0189】
配列番号133は、RHO2-L3-2メガヌクレアーゼの残基198~344を示す
。
【0190】
配列番号134は、RHO2-L3-3メガヌクレアーゼの残基198~344を示す
。
【0191】
配列番号135は、RHO2-L3-5メガヌクレアーゼの残基198~344を示す
。
【0192】
配列番号136は、RHO2-L3-10メガヌクレアーゼの残基198~344を示
す。
【0193】
配列番号137は、RHO2-L3-11メガヌクレアーゼの残基198~344を示
す。
【0194】
配列番号138は、RHO2-L3-12メガヌクレアーゼの残基198~344を示
す。
【0195】
配列番号139は、RHO2-L3-13メガヌクレアーゼの残基198~344を示
す。
【0196】
配列番号140は、RHO2-L3-28メガヌクレアーゼの残基198~344を示
す。
【0197】
配列番号141は、RHO2-L3-29メガヌクレアーゼの残基198~344を示
す。
【0198】
配列番号142は、RHO2-L3-57メガヌクレアーゼの残基198~344を示
す。
【0199】
配列番号143は、RHO2-L3-80メガヌクレアーゼの残基198~344を示
す。
【0200】
配列番号144は、RHO2-L3-85メガヌクレアーゼの残基198~344を示
す。
【0201】
配列番号145は、RHO2-L3-86メガヌクレアーゼの残基198~344を示
す。
【0202】
配列番号146は、RHO2-L3-92メガヌクレアーゼの残基198~344を示
す。
【0203】
配列番号147は、RHO2-L3-4メガヌクレアーゼの残基198~344を示す
。
【0204】
配列番号148は、RHO2-L3-20メガヌクレアーゼの残基198~344を示
す。
【0205】
配列番号149は、RHO2-L3-72メガヌクレアーゼの残基198~344を示
す。
【0206】
配列番号150は、RHO1-L1-4メガヌクレアーゼの残基198~344を示す
。
【0207】
配列番号151は、RHO1-L1-8メガヌクレアーゼの残基198~344を示す
。
【0208】
配列番号152は、RHO1-L1-13メガヌクレアーゼの残基198~344を示
す。
【0209】
配列番号153は、RHO1-L1-19メガヌクレアーゼの残基198~344を示
す。
【0210】
配列番号154は、RHO1-L1-58メガヌクレアーゼの残基198~344を示
す。
【0211】
配列番号155は、RHO1-L1-69メガヌクレアーゼの残基198~344を示
す。
【0212】
配列番号156は、RHO1-L1-80メガヌクレアーゼの残基198~344を示
す。
【0213】
配列番号157は、RHO1-L1-82メガヌクレアーゼの残基198~344を示
す。
【0214】
配列番号158は、RHO1-L1-73メガヌクレアーゼの残基198~344を示
す。
【0215】
配列番号159は、RHO1-L1-85メガヌクレアーゼの残基198~344を示
す。
【0216】
配列番号160は、RHO1-L1-86メガヌクレアーゼの残基198~344を示
す。
【0217】
配列番号161は、RHO-1/2-L4-10メガヌクレアーゼの残基198~34
4を示す。
【0218】
配列番号162は、RHO-1/2-L4-29メガヌクレアーゼの残基198~34
4を示す。
【0219】
配列番号163は、RHO-1/2-L4-65メガヌクレアーゼの残基198~34
4を示す。
【0220】
配列番号164は、RHO-1/2-L4-66メガヌクレアーゼの残基198~34
4を示す。
【0221】
配列番号165は、RHO-1/2-L4-85メガヌクレアーゼの残基198~34
4を示す。
【0222】
配列番号166は、RHO1-2x.216メガヌクレアーゼの残基7~153を示す
。
【0223】
配列番号167は、RHO1-2x.241メガヌクレアーゼの残基7~153を示す
。
【0224】
配列番号168は、RHO1-2x.94メガヌクレアーゼの残基7~153を示す。
【0225】
配列番号169は、RHO1-2x.95メガヌクレアーゼの残基7~153を示す。
【0226】
配列番号170は、RHO1-2x.1メガヌクレアーゼの残基7~153を示す。
【0227】
配列番号171は、RHO1-2x.60メガヌクレアーゼの残基7~153を示す。
【0228】
配列番号172は、RHO1-2x.74メガヌクレアーゼの残基7~153を示す。
【0229】
配列番号173は、RHO1-2x.88メガヌクレアーゼの残基7~153を示す。
【0230】
配列番号174は、RHO1-2x.294メガヌクレアーゼの残基7~153を示す
。
【0231】
配列番号175は、RHO1-2x.302メガヌクレアーゼの残基7~153を示す
。
【0232】
配列番号176は、RHO1-2x.306メガヌクレアーゼの残基7~153を示す
。
【0233】
配列番号177は、RHO1-2x.338メガヌクレアーゼの残基7~153を示す
。
【0234】
配列番号178は、RHO1-2x.348メガヌクレアーゼの残基7~153を示す
。
【0235】
配列番号179は、RHO1-2x.356メガヌクレアーゼの残基7~153を示す
。
【0236】
配列番号180は、RHO1-2x.364メガヌクレアーゼの残基7~153を示す
。
【0237】
配列番号181は、RHO1-2x.142メガヌクレアーゼの残基7~153を示す
。
【0238】
配列番号182は、RHO1-2x.177メガヌクレアーゼの残基7~153を示す
。
【0239】
配列番号183は、RHO1-2x.148メガヌクレアーゼの残基7~153を示す
。
【0240】
配列番号184は、RHO1-2x.20メガヌクレアーゼの残基7~153を示す。
【0241】
配列番号185は、RHO1-2x.55メガヌクレアーゼの残基7~153を示す。
【0242】
配列番号186は、RHO1-2x.197メガヌクレアーゼの残基7~153を示す
。
【0243】
配列番号187は、RHO1-2x.252メガヌクレアーゼの残基7~153を示す
。
【0244】
配列番号188は、RHO1-2x.372メガヌクレアーゼの残基7~153を示す
。
【0245】
配列番号189は、RHO1-2x.151メガヌクレアーゼの残基7~153を示す
。
【0246】
配列番号190は、RHO2-L3-59メガヌクレアーゼの残基7~153を示す。
【0247】
配列番号191は、RHO2-L5-14メガヌクレアーゼの残基7~153を示す。
【0248】
配列番号192は、RHO-1/2-L2-49メガヌクレアーゼの残基7~153を
示す。
【0249】
配列番号193は、RHO1-2x.179メガヌクレアーゼの残基7~153を示す
。
【0250】
配列番号194は、RHO1-2x.4メガヌクレアーゼの残基7~153を示す。
【0251】
配列番号195は、RHO1-2x.207メガヌクレアーゼの残基7~153を示す
。
【0252】
配列番号196は、RHO1-2x.277メガヌクレアーゼの残基7~153を示す
。
【0253】
配列番号197は、RHO1-2x.292メガヌクレアーゼの残基7~153を示す
。
【0254】
配列番号198は、RHO1-2x.324メガヌクレアーゼの残基7~153を示す
。
【0255】
配列番号199は、RHO1-2x.371メガヌクレアーゼの残基7~153を示す
。
【0256】
配列番号200は、RHO1-2x.164メガヌクレアーゼの残基7~153を示す
。
【0257】
配列番号201は、RHO1-2x.181メガヌクレアーゼの残基7~153を示す
。
【0258】
配列番号202は、RHO1-2x.184メガヌクレアーゼの残基7~153を示す
。
【0259】
配列番号203は、RHO-1/2-L1-21メガヌクレアーゼの残基7~153を
示す。
【0260】
配列番号204は、RHO-1/2-L1-43メガヌクレアーゼの残基7~153を
示す。
【0261】
配列番号205は、RHO-1/2-L1-45メガヌクレアーゼの残基7~153を
示す。
【0262】
配列番号206は、RHO-1/2-L1-60メガヌクレアーゼの残基7~153を
示す。
【0263】
配列番号207は、RHO-1/2-L1-61メガヌクレアーゼの残基7~153を
示す。
【0264】
配列番号208は、RHO-1/2-L1-58メガヌクレアーゼの残基7~153を
示す。
【0265】
配列番号209は、RHO-1/2-L1-7メガヌクレアーゼの残基7~153を示
す。
【0266】
配列番号210は、RHO-1/2-L1-13メガヌクレアーゼの残基7~153を
示す。
【0267】
配列番号211は、RHO-1/2-L1-18メガヌクレアーゼの残基7~153を
示す。
【0268】
配列番号212は、RHO-1/2-L1-70メガヌクレアーゼの残基7~153を
示す。
【0269】
配列番号213は、RHO-1/2-L1-86メガヌクレアーゼの残基7~153を
示す。
【0270】
配列番号214は、RHO-1/2-L2-13メガヌクレアーゼの残基7~153を
示す。
【0271】
配列番号215は、RHO-1/2-L2-24メガヌクレアーゼの残基7~153を
示す。
【0272】
配列番号216は、RHO-1/2-L2-37メガヌクレアーゼの残基7~153を
示す。
【0273】
配列番号217は、RHO-1/2-L2-58メガヌクレアーゼの残基7~153を
示す。
【0274】
配列番号218は、RHO-1/2-L2-31メガヌクレアーゼの残基7~153を
示す。
【0275】
配列番号219は、RHO-1/2-L2-29メガヌクレアーゼの残基7~153を
示す。
【0276】
配列番号220は、RHO-1/2-L2-61メガヌクレアーゼの残基7~153を
示す。
【0277】
配列番号221は、RHO2-L3-2メガヌクレアーゼの残基7~153を示す。
【0278】
配列番号222は、RHO2-L3-3メガヌクレアーゼの残基7~153を示す。
【0279】
配列番号223は、RHO2-L3-5メガヌクレアーゼの残基7~153を示す。
【0280】
配列番号224は、RHO2-L3-10メガヌクレアーゼの残基7~153を示す。
【0281】
配列番号225は、RHO2-L3-11メガヌクレアーゼの残基7~153を示す。
【0282】
配列番号226は、RHO2-L3-12メガヌクレアーゼの残基7~153を示す。
【0283】
配列番号227は、RHO2-L3-13メガヌクレアーゼの残基7~153を示す。
【0284】
配列番号228は、RHO2-L3-28メガヌクレアーゼの残基7~153を示す。
【0285】
配列番号229は、RHO2-L3-29メガヌクレアーゼの残基7~153を示す。
【0286】
配列番号230は、RHO2-L3-57メガヌクレアーゼの残基7~153を示す。
【0287】
配列番号231は、RHO2-L3-80メガヌクレアーゼの残基7~153を示す。
【0288】
配列番号232は、RHO2-L3-85メガヌクレアーゼの残基7~153を示す。
【0289】
配列番号233は、RHO2-L3-86メガヌクレアーゼの残基7~153を示す。
【0290】
配列番号234は、RHO2-L3-92メガヌクレアーゼの残基7~153を示す。
【0291】
配列番号235は、RHO2-L3-4メガヌクレアーゼの残基7~153を示す。
【0292】
配列番号236は、RHO2-L3-20メガヌクレアーゼの残基7~153を示す。
【0293】
配列番号237は、RHO2-L3-72メガヌクレアーゼの残基7~153を示す。
【0294】
配列番号238は、RHO1-L1-4メガヌクレアーゼの残基7~153を示す。
【0295】
配列番号239は、RHO1-L1-8メガヌクレアーゼの残基7~153を示す。
【0296】
配列番号240は、RHO1-L1-13メガヌクレアーゼの残基7~153を示す。
【0297】
配列番号241は、RHO1-L1-19メガヌクレアーゼの残基7~153を示す。
【0298】
配列番号242は、RHO1-L1-58メガヌクレアーゼの残基7~153を示す。
【0299】
配列番号243は、RHO1-L1-69メガヌクレアーゼの残基7~153を示す。
【0300】
配列番号244は、RHO1-L1-80メガヌクレアーゼの残基7~153を示す。
【0301】
配列番号245は、RHO1-L1-82メガヌクレアーゼの残基7~153を示す。
【0302】
配列番号246は、RHO1-L1-73メガヌクレアーゼの残基7~153を示す。
【0303】
配列番号244は、RHO1-L1-85メガヌクレアーゼの残基7~153を示す。
【0304】
配列番号248は、RHO1-L1-86メガヌクレアーゼの残基7~153を示す。
【0305】
配列番号249は、RHO-1/2-L4-10メガヌクレアーゼの残基7~153を
示す。
【0306】
配列番号250は、RHO-1/2-L4-29メガヌクレアーゼの残基7~153を
示す。
【0307】
配列番号251は、RHO-1/2-L4-65メガヌクレアーゼの残基7~153を
示す。
【0308】
配列番号252は、RHO-1/2-L4-66メガヌクレアーゼの残基7~153を
示す。
【0309】
配列番号253は、RHO-1/2-L4-85メガヌクレアーゼの残基7~153を
示す。
【0310】
配列番号254は、RHO1-2x.216メガヌクレアーゼの残基198~344を
示す。
【0311】
配列番号255は、RHO1-2x.241メガヌクレアーゼの残基198~344を
示す。
【0312】
配列番号256は、RHO1-2x.94メガヌクレアーゼの残基198~344を示
す。
【0313】
配列番号257は、RHO1-2x.95メガヌクレアーゼの残基198~344を示
す。
【0314】
配列番号258は、RHO1-2x.1メガヌクレアーゼの残基198~344を示す
。
【0315】
配列番号259は、RHO1-2x.60メガヌクレアーゼの残基198~344を示
す。
【0316】
配列番号260は、RHO1-2x.74メガヌクレアーゼの残基198~344を示
す。
【0317】
配列番号261は、RHO1-2x.88メガヌクレアーゼの残基198~344を示
す。
【0318】
配列番号262は、RHO1-2x.294メガヌクレアーゼの残基198~344を
示す。
【0319】
配列番号263は、RHO1-2x.302メガヌクレアーゼの残基198~344を
示す。
【0320】
配列番号264は、RHO1-2x.306メガヌクレアーゼの残基198~344を
示す。
【0321】
配列番号265は、RHO1-2x.338メガヌクレアーゼの残基198~344を
示す。
【0322】
配列番号266は、RHO1-2x.348メガヌクレアーゼの残基198~344を
示す。
【0323】
配列番号267は、RHO1-2x.356メガヌクレアーゼの残基198~344を
示す。
【0324】
配列番号268は、RHO1-2x.364メガヌクレアーゼの残基198~344を
示す。
【0325】
配列番号269は、RHO1-2x.142メガヌクレアーゼの残基198~344を
示す。
【0326】
配列番号270は、RHO1-2x.177メガヌクレアーゼの残基198~344を
示す。
【0327】
配列番号271は、RHO1-2x.148メガヌクレアーゼの残基198~344を
示す。
【0328】
配列番号272は、RHO1-2x.20メガヌクレアーゼの残基198~344を示
す。
【0329】
配列番号273は、RHO1-2x.55メガヌクレアーゼの残基198~344を示
す。
【0330】
配列番号274は、RHO1-2x.197メガヌクレアーゼの残基198~344を
示す。
【0331】
配列番号275は、RHO1-2x.252メガヌクレアーゼの残基198~344を
示す。
【0332】
配列番号276は、RHO1-2x.372メガヌクレアーゼの残基198~344を
示す。
【0333】
配列番号277は、RHO1-2x.151メガヌクレアーゼの残基198~344を
示す。
【0334】
配列番号278は、pDS CMV RHO2_L3_59プラスミドの核酸配列を示
す。
【0335】
配列番号279は、pDS CMV RHO2_L5_14プラスミドの核酸配列を示
す。
【0336】
配列番号280は、pDS GRK1 RHO2_L3_59プラスミドの核酸配列を
示す。
【0337】
配列番号281は、pDS GRK1 RHO2_L5_14プラスミドの核酸配列を
示す。
【0338】
発明の詳細な説明
1.1 参考文献及び定義
本明細書で言及される特許及び科学文献は、当業者が利用可能な知識を確立する。本明
細書で引用される発行米国特許、許可出願、公開外国出願、及び参考文献(GenBan
kデータベース配列を含む)は、それぞれが参照により組み込まれると具体的且つ個別に
示されているのと同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
【0339】
本発明は異なる形態で具現化することができ、本明細書に示されている実施形態に限定
されると解釈すべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が詳細且つ完全であ
り、本発明の範囲を当業者に十分に伝えるように提供される。例えば、一実施形態に関し
て例示されている特徴を他の実施形態に組み込むことができ、特定の実施形態に関して例
示されている特徴をその実施形態から削除することができる。加えて、本開示を考慮すれ
ば、本明細書で示唆されている実施形態に対する多数の変形及び追加は当業者には明らか
であり、これらは本発明から逸脱するものではない。
【0340】
特に定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が
属する分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書における
本発明の説明において使用される用語は、特定の実施形態のみを説明するためのものであ
り、本発明を限定するものではない。
【0341】
本明細書で言及されるすべての刊行物、特許出願、特許、及び他の参考文献は、その全
体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0342】
本明細書で使用される場合、「1つの(a)」、「1つの(an)」、又は「その(t
he)」は、1又は1超を意味し得る。例えば、細胞(「a」 cell)は、単一の細
胞又は多数の細胞を意味し得る。
【0343】
本明細書で使用される場合、特に具体的な指示がない限り、「又は」という語は、「い
ずれか/又は」の排他的な意味ではなく「及び/又は」の包括的な意味で使用される。
【0344】
本明細書で使用される場合、「メガヌクレアーゼ」という用語は、12塩基対を超える
認識配列において二本鎖DNAに結合するエンドヌクレアーゼを指す。好ましくは、本発
明のメガヌクレアーゼの認識配列は、22塩基対である。メガヌクレアーゼは、I-Cr
eIに由来するエンドヌクレアーゼであり得、I-CreIの操作された変異体であって
、例えば、DNA結合特異性、DNA切断活性、DNA結合親和性、又は二量体化特性に
関して天然I-CreIと比べて改変されている操作された変異体を指し得る。I-Cr
eIのこのような改変変異体を生産するための方法は、当技術分野で公知である(例えば
、国際公開第2007/047859号)。本明細書で使用されるメガヌクレアーゼは、
ヘテロ二量体として二本鎖DNAに結合する。メガヌクレアーゼはまた、ペプチドリンカ
ーを使用して一組のDNA結合ドメインが単一ポリペプチドに接続された「一本鎖メガヌ
クレアーゼ」であり得る。
【0345】
本明細書で使用される場合、「一本鎖メガヌクレアーゼ」という用語は、リンカーによ
って接続された一組のメガヌクレアーゼサブユニットを含むポリペプチドを指す。一本鎖
メガヌクレアーゼは、構造:N末端サブユニット-リンカー-C-末端サブユニットを有
する。2つのメガヌクレアーゼサブユニットは、一般に、アミノ酸配列が同一ではなく、
非同一DNA配列を認識するであろう。従って、一本鎖メガヌクレアーゼは、典型的には
、偽パリンドローム認識配列又は非パリンドローム認識配列を切断する。一本鎖メガヌク
レアーゼは、「一本鎖ヘテロ二量体」又は「一本鎖ヘテロ二量体メガヌクレアーゼ」と称
され得るが、実際には二量体ではない。明確性のために、特に指定がない限り、「メガヌ
クレアーゼ」という用語は、二量体メガヌクレアーゼ又は一本鎖メガヌクレアーゼを指し
得る。I-CreIの一本鎖メガヌクレアーゼ変異体を生産するための方法は、当技術分
野で公知である(例えば、国際公開第2009/059195号;Li,et al.(
2009)Nucleic Acids Res.37:1650-62;Grizot
,et al.(2009)Nucleic Acids Res.37:5405-1
9)。「ホーミングエンドヌクレアーゼ」という用語は、「メガヌクレアーゼ」という用
語と同義である。
【0346】
本明細書で使用される場合、「リンカー」という用語は、2つのメガヌクレアーゼサブ
ユニットを単一ポリペプチドに接続するために使用される外因性ペプチド配列を指す。リ
ンカーは、天然タンパク質に見られる配列を有し得るか、又はいかなる天然タンパク質に
も見られない人工配列であり得る。リンカーはフレキシブルであり得、二次構造を欠き得
るか、又は生理学的条件下で特定の三次元構造を形成する傾向を有し得る。リンカーとし
ては、限定されないが、米国特許第8,445,251号によって包含されるものが挙げ
られ得る。いくつかの実施形態では、リンカーは、配列番号6~93のいずれか1つの残
基154~195を含むアミノ酸配列を有し得る。
【0347】
タンパク質に関して本明細書で使用される場合、「組換え」という用語は、タンパク質
をコードする核酸、及びタンパク質を発現する細胞又は生物に遺伝子工学技術を適用した
結果として、変化したアミノ酸配列を有することを意味する。核酸に関して、「組換え」
という用語は、遺伝子工学技術を適用した結果として、変化した核酸配列を有することを
意味する。遺伝子工学技術としては、限定されないが、PCR及びDNAクローニング技
術;トランスフェクション、形質転換、及び他の遺伝子導入技術;相同組換え;部位特異
的突然変異誘発;並びに遺伝子融合が挙げられる。この定義によれば、天然に存在するタ
ンパク質と同一のアミノ酸配列を有するタンパク質であって、しかし、クローニング及び
発現によって異種宿主において生産されるタンパク質は、組換え体とはみなされない。
【0348】
本明細書で使用される場合、「野生型」という用語は、同じ種類の遺伝子の対立遺伝子
集団における最も一般的な天然に存在する対立遺伝子(即ち、ポリヌクレオチド配列)を
指し、野生型対立遺伝子によってコードされるポリペプチドは、その元の機能を有する。
「野生型」という用語はまた、野生型対立遺伝子によってコードされるポリペプチドを指
す。野生型対立遺伝子(即ち、ポリヌクレオチド)及びポリペプチドは、野生型配列と比
べて1つ以上の突然変異及び/又は置換を含む突然変異又は変異対立遺伝子及びポリペプ
チドと区別可能である。野生型対立遺伝子又はポリペプチドは、生物において正常表現型
を付与し得るのに対して、突然変異又は変異対立遺伝子又はポリペプチドは、いくつかの
場合では、変化した表現型を付与し得る。突然変異RHO P23H対立遺伝子及びP2
3Hロドプシンタンパク質は、野生型RHO対立遺伝子及びロドプシンタンパク質と区別
可能である。更に、野生型ホーミングエンドヌクレアーゼは、組換え又は天然に存在しな
いメガヌクレアーゼと区別可能である。
【0349】
組換えタンパク質に関して本明細書で使用される場合、「改変」という用語は、参照配
列(例えば、野生型配列又はネイティブ配列)と比べた、組換え配列中のアミノ酸残基の
任意の挿入、欠失、又は置換を意味する。
【0350】
本明細書で使用される場合、「認識配列」という用語は、メガヌクレアーゼによって結
合及び切断されるDNA配列を指す。本発明の組換えメガヌクレアーゼの場合、認識配列
は、4塩基対によって分離された一組の9塩基対の逆位「ハーフサイト」又は「認識ハー
フサイト」を含む。一本鎖メガヌクレアーゼの場合、タンパク質のN末端サブユニットは
第1のハーフサイトと接触し、タンパク質のC末端サブユニットは第2のハーフサイトと
接触する。メガヌクレアーゼによる切断は、4塩基対の3’「オーバーハング」を生じさ
せる。「オーバーハング」又は「付着末端」は、二本鎖DNA配列のメガヌクレアーゼ切
断によって生成され得る短い一本鎖DNAセグメントである。本発明のメガヌクレアーゼ
の場合、オーバーハングは、22塩基対の認識配列の塩基10~13を含む。
【0351】
本明細書で使用される場合、「標的部位」又は「標的配列」という用語は、細胞の染色
体DNAの領域であって、メガヌクレアーゼのための認識配列を含む領域を指す。
【0352】
本明細書で使用される場合、「DNA結合親和性」又は「結合親和性」という用語は、
メガヌクレアーゼが参照DNA分子(例えば、認識配列又は任意配列)と非共有結合的に
会合する傾向を意味する。結合親和性は、解離定数Kdによって測定される。本明細書で
使用される場合、メガヌクレアーゼは、参照認識配列に対する組換えメガヌクレアーゼの
Kdが、参照メガヌクレアーゼと比べて統計的に有意な(p<0.05)量だけ増加又は
減少する場合に、「変化した」結合親和性を有する。
【0353】
本明細書で使用される場合、「相同組換え」又は「HR」という用語は、修復鋳型とし
て相同DNA配列を使用して、二本鎖DNA切断が修復される天然の細胞プロセスを指す
(例えば、Cahill et al.(2006),Front.Biosci.11
:1958-1976を参照のこと)。相同DNA配列は、内因性染色体配列であり得る
か、又は細胞に送達された外因性核酸であり得る。
【0354】
本明細書で使用される場合、「非相同末端結合」又は「NHEJ」という用語は、2つ
の非相同DNAセグメントの直接的な接続によって、二本鎖DNA切断が修復される天然
の細胞プロセスを指す(例えば、Cahill et al.(2006),Front
.Biosci.11:1958-1976を参照のこと)。非相同末端結合によるDN
A修復はエラーが起こりやすく、修復部位において鋳型にならないDNA配列の付加又は
欠失を頻繁にもたらす。いくつかの例では、標的認識配列における切断は、標的認識部位
におけるNHEJをもたらす。遺伝子のコード配列中の標的部位のヌクレアーゼ誘導性切
断とそれに続くNHEJによるDNA修復は、遺伝子機能を破壊する突然変異(例えば、
フレームシフト突然変異)をコード配列に導入し得る。従って、メガヌクレアーゼ等の操
作されたヌクレアーゼは、細胞の集団において遺伝子を有効にノックアウトするために使
用され得る。
【0355】
アミノ酸配列及び核酸配列の両方に関して本明細書で使用される場合、「同一性のパー
セント」、「配列同一性」、「類似性の割合」、「配列類似性」等の用語は、アラインメ
ントされるアミノ酸残基又はヌクレオチド間の類似性を最大化する配列のアラインメント
(これは、同一又は類似の残基又はヌクレオチドの数と、残基又はヌクレオチドの総数と
、配列アラインメント中のギャップの存在及び長さとの関数である)に基づく、2つの配
列の類似性の程度の尺度を指す。標準的なパラメータを使用して配列類似性を決定するた
めに、様々なアルゴリズム及びコンピュータプログラムが利用可能である。本明細書で使
用される場合、配列類似性は、アミノ酸配列の場合にはBLASTpプログラム、及び核
酸配列の場合にはBLASTnプログラム(これらは両方とも、National Ce
nter for Biotechnology Information(www.n
cbi.nlm.nih.gov/)を通じて利用可能であり、例えば、Altschu
l et al.(1990),J.Mol.Biol.215:403-410;Gi
sh and States(1993),Nature Genet.3:266-2
72;Madden et al.(1996),Meth.Enzymol.266:
131-141;Altschul et al.(1997),Nucleic Ac
ids Res.25:33 89-3402);Zhang et al.(2000
),J.Comput.Biol.7(1-2):203-14に記載されている)を使
用して測定される。本明細書で使用される場合、2つのアミノ酸配列の類似性のパーセン
トは、BLASTpアルゴリズムに関する以下のパラメータに基づくスコアである:ワー
ドサイズ=3;ギャップオープニングペナルティ=-11;ギャップエクステンションペ
ナルティ=-1;及びスコアリングマトリックス=BLOSUM62。本明細書で使用さ
れる場合、2つの核酸配列の類似性のパーセントは、BLASTnアルゴリズムに関する
以下のパラメータに基づくスコアである:ワードサイズ=11;ギャップオープニングペ
ナルティ=-5;ギャップエクステンションペナルティ=-2;マッチリワード=1;及
びミスマッチペナルティ=-3。同様に、同一性のパーセントは、アライメントされたア
ミノ酸残基又はヌクレオチド間の同一性を最大化する配列のアライメント(これは、同一
の残基又はヌクレオチドの数を、2つの配列のうちの大きい方の残基又はヌクレオチドの
総数で割ったものの関数である)に基づいて確立され得る。
【0356】
2つのタンパク質又はアミノ酸配列の改変に関して本明細書で使用される場合、「対応
する」という用語は、2つのタンパク質を(例えば、BLASTpプログラムを使用した
)標準的な配列アラインメントに供した場合に、第1のタンパク質における特定の改変が
、第2のタンパク質における改変と同じアミノ酸残基の置換であること、及び第1のタン
パク質における改変のアミノ酸位置が、第2のタンパク質における改変のアミノ酸位置に
対応又は合致することを示すために使用される。従って、X及びYが異なる数字であり得
るという事実にもかかわらず、残基X及びYが配列アラインメントにおいて互いに対応す
る場合、第1のタンパク質におけるアミノ酸「A」への残基「X」の改変は、第2のタン
パク質におけるアミノ酸「A」への残基「Y」の改変に対応するであろう。
【0357】
本明細書で使用される場合、「認識ハーフサイト」、「認識配列ハーフサイト」又は単
に「ハーフサイト」という用語は、二本鎖DNA分子中の核酸配列であって、ホモ二量体
若しくはヘテロ二量体メガヌクレアーゼの単量体によって、又は一本鎖メガヌクレアーゼ
の1つのサブユニットによって認識される核酸配列を意味する。
【0358】
本明細書で使用される場合、「優先的に」という用語は、第2の参照認識配列と比べて
、ゲノム中の特定の標的認識配列を認識及び切断するための組換えメガヌクレアーゼの特
異性を指す。例として、本明細書の実施例で提供されている方法を含む当技術分野で公知
の方法によって決定した場合、本発明の組換えメガヌクレアーゼは、対応する野生型認識
配列(例えば、配列番号5)を認識及び切断するよりも高い効率で、P23H認識配列(
例えば、配列番号1)を優先的に認識及び切断し得る。いくつかの実施形態では、本発明
の組換えメガヌクレアーゼは、対応する野生型認識配列を認識及び切断するよりも約5%
、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%
、90%、又は100%以上高い効率で、P23H認識配列を優先的に認識及び切断し得
る。他の実施形態では、本発明の組換えメガヌクレアーゼは、対応する野生型認識配列を
認識及び切断するよりも約1倍、2倍、5倍、10倍、50倍、100倍、又は1000
倍以上高い効率で、P23H認識配列を優先的に認識及び切断し得る。
【0359】
本明細書で使用される場合、「超可変領域」という用語は、メガヌクレアーゼ単量体又
はサブユニット内の局在配列であって、比較的高い可変性を有するアミノ酸を含む局在配
列を指す。超可変領域は、約50~60個の連続残基、約53~57個の連続残基、又は
好ましくは約56個の残基を含み得る。いくつかの実施形態では、超可変領域の残基は、
配列番号6~93のいずれか1つの24~79位又は215~270位に対応し得る。超
可変領域は、認識配列中のDNA塩基と接触する1つ以上の残基を含み得、単量体又はサ
ブユニットの塩基優先性を変化させるように改変され得る。超可変領域はまた、メガヌク
レアーゼが二本鎖DNA認識配列と会合するとDNA骨格に結合する1つ以上の残基を含
み得る。このような残基は、DNA骨格及び標的認識配列に対するメガヌクレアーゼの結
合親和性を変化させるように改変され得る。本発明の異なる実施形態では、超可変領域は
、可変性を示す1~20個の残基を含み得、塩基優先性及び/又はDNA結合親和性に影
響を与えるように改変され得る。特定の実施形態では、超可変領域は、可変性を示す約1
5~18個残基を含み、塩基優先性及び/又はDNA結合親和性に影響を与えるように改
変され得る。いくつかの実施形態では、超可変領域内の可変残基は、配列番号6~93の
いずれか1つの24、26、28、29、30、32、33、38、39、40、42、
44、46、68、70、73、75、及び77位の1つ以上に対応する。他の実施形態
では、超可変領域内の可変残基は、配列番号6~93のいずれか1つの215、217、
219、220、221、223、224、229、230、231、233、235、
237、259、261、264、266、及び268位の1つ以上に対応する。
【0360】
本明細書で使用される場合、「RHO」、「RHO遺伝子」、「ロドプシン遺伝子」、
及び「野生型RHO対立遺伝子」という用語は互換的に使用され、ヒトロドプシン遺伝子
、好ましくはNCBI参照配列NG_009115.1(配列番号98)によって特定さ
れる遺伝子を指す。「突然変異RHO対立遺伝子」及び「突然変異RHO P23H対立
遺伝子」という用語は互換的に使用され、コードタンパク質におけるP23H置換をもた
らすC68A突然変異を含むRHO対立遺伝子配列(配列番号99)を指す。「ロドプシ
ン」及び「野生型ロドプシン」という用語は互換的に使用され、野生型ロドプシン遺伝子
によってコードされるタンパク質、特にNCBI参照配列NP_000530.1(配列
番号100)によって特定されるタンパク質を指す。「P23Hロドプシン」という用語
は、P23H置換を含む突然変異ロドプシンタンパク質、特に配列番号101に示されて
いるタンパク質を指す。
【0361】
「組換えDNA構築物」、「組換え構築物」、「発現カセット」、「発現構築物」、「
キメラ構築物」、「構築物」、及び「組換えDNA断片」という用語は本明細書では互換
的に使用され、核酸断片である。組換え構築物は、限定されないが、天然では一緒に見ら
れない調節配列及びコード配列を含む核酸断片の人工的な組み合わせを含む。例えば、組
換えDNA構築物は、異なる供給源に由来する調節配列及びコード配列、又は同じ供給源
に由来する調節配列及びコード配列であって、天然に見られるものとは異なる様式で配置
される調節配列及びコード配列を含み得る。このような構築物はそれ自体で使用され得る
か、又はベクターと併せて使用され得る。
【0362】
本明細書で使用される場合、「ベクター」又は「組換えDNAベクター」は、複製系と
、所定の宿主細胞におけるポリペプチドコード配列の転写及び翻訳を可能にする配列とを
含む構築物であり得る。ベクターを使用する場合、ベクターの選択は、当業者に周知であ
るように、宿主細胞を形質転換するために使用される方法に依存する。ベクターとしては
、限定されないが、プラスミドベクター及び組換えAAVベクター、又は本発明のメガヌ
クレアーゼをコードする遺伝子を標的細胞に送達するために適切な当技術分野で公知の任
意の他のベクターが挙げられ得る。当業者であれば、本発明の単離されたヌクレオチド又
は核酸配列のいずれかを含む宿主細胞を上手く形質転換、選択、及び増殖させるためにベ
クター上に存在しなければならない遺伝的要素を十分に把握している。
【0363】
本明細書で使用される場合、「ベクター」はまた、ウイルスベクターを指し得る。ウイ
ルスベクターとしては、限定されないが、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベク
ター、アデノウイルスベクター、及びアデノ随伴ウイルスベクター(AAV)が挙げられ
得る。
【0364】
本明細書で使用される場合、「標的細胞」は、P23H認識配列(例えば、配列番号1
~4の1つ)を含む少なくとも1つのRHO対立遺伝子を含む細胞を指す。このような標
的細胞は、突然変異RHO P23Hタンパク質を発現し得る。標的細胞としては、限定
されないが、少なくとも1つのRHO遺伝子対立遺伝子中のP23H認識配列を含む眼の
細胞、好ましくは眼の後部の細胞、更により好ましくは網膜の細胞(桿体視細胞を含む)
が挙げられ得る。
【0365】
本明細書で使用される場合、「対照」又は「対照細胞」は、遺伝子改変細胞の遺伝子型
又は表現型の変化を測定するための基準点を提供する細胞を指す。対照細胞は、例えば、
(a)即ち、遺伝子改変細胞をもたらした遺伝子変化について出発物質と同じ遺伝子型の
野生型細胞;(b)遺伝子改変細胞と同じ遺伝子型の細胞であって、しかし、ヌル構築物
で(即ち、目的の形質に対する既知の効果がない構築物で)形質転換されている細胞;又
は(c)遺伝子改変細胞と遺伝的に同一の細胞であって、しかし、変化した遺伝子型又は
表現型の発現を誘導する条件又は刺激又は更なる遺伝子改変に曝露されない細胞を含み得
る。
【0366】
2つのタンパク質又はアミノ酸配列の改変に関して本明細書で使用される場合、「対応
する」という用語は、2つのタンパク質を(例えば、BLASTpプログラムを使用した
)標準的な配列アラインメントに供した場合に、第1のタンパク質における特定の改変が
、第2のタンパク質における改変と同じアミノ酸残基の置換であること、及び第1のタン
パク質における改変のアミノ酸位置が、第2のタンパク質における改変のアミノ酸位置に
対応又は合致することを示すために使用される。従って、X及びYが異なる数字であり得
るという事実にもかかわらず、残基X及びYが配列アラインメントにおいて互いに対応す
る場合、第1のタンパク質におけるアミノ酸「A」への残基「X」の改変は、第2のタン
パク質におけるアミノ酸「A」への残基「Y」の改変に対応するであろう。
【0367】
本明細書で使用される場合、「治療」又は「被験体の治療」という用語は、RPの1つ
以上の症候の部分的又は完全な軽減を提供する目的で、本発明の組換えメガヌクレアーゼ
又は本発明の組換えメガヌクレアーゼをコードする核酸を、RPを有する被験体に投与す
ることを指す。いくつかの態様では、本発明の組換えメガヌクレアーゼ又はこれをコード
する核酸は、本発明の医薬組成物の形態で治療中に投与される。好ましくは、被験体は、
P23H突然変異対立遺伝子及び機能的対立遺伝子、正常対立遺伝子、又は野生型対立遺
伝子についてヘテロ接合性である。
【0368】
本明細書で使用される場合、変数の数値範囲に関する記載は、その範囲内の値のいずれ
かに等しい変数を用いて本発明を実施し得ることを伝えることを意図する。従って、本質
的に離散的な変数の場合、変数は、範囲の終点を含む数値範囲内の任意の整数値に等しく
なり得る。同様に、本質的に連続的な変数の場合、変数は、範囲の終点を含む数値範囲内
の任意の実数値と等しくなり得る。限定されないが一例として、0~2の値を有すると記
載される変数は、変数が本質的に離散的である場合には0、1、又は2の値を取り得、変
数が本質的に連続的である場合には0.0、0.1、0.01、0.001の値、又は0
以上かつ2以下の任意の他の実数値を取り得る。
【0369】
2.1 突然変異RHO P23H対立遺伝子のターゲティング及び不活性化の原理
本発明は、病原性P23Hロドプシンタンパク質をコードする突然変異RHO P23
H対立遺伝子を標的化、切断、及び不活性化することによって、常染色体優性RPを修正
又は予防し得るという仮説に部分的に基づくものである。驚くべきことに、組換えメガヌ
クレアーゼは、突然変異RHO P23H対立遺伝子に存在するP23H認識配列(例え
ば、配列番号1~4の1つ)を認識及び切断するように操作され得る。このような組換え
メガヌクレアーゼは、対応する野生型対立遺伝子(配列番号96)と比べて、突然変異R
HO P23H対立遺伝子を優先的に標的化及び切断し得る。切断部位におけるNHEJ
は、突然変異RHO P23H対立遺伝子の突然変異誘発及び破壊をもたらすが、機能的
野生型RHO対立遺伝子は依然として、網膜の桿体視細胞において野生型ロドプシンを発
現するほどにインタクトである。突然変異RHO P23H対立遺伝子の優先的不活性化
及びP23Hロドプシン発現の破壊は、患者におけるRPの進行を予防し、遅延させ又は
逆転させると予想される。
【0370】
2.2 P23H認識配列を認識及び切断するためのメガヌクレアーゼ
メガヌクレアーゼは、生細胞のゲノムにおいて部位特異的DNA切断を起こし得、この
ようなDNA切断は、突然変異誘発NHEJ修復を介して、又はトランスジェニックDN
A配列との相同組換えを介して、ゲノムの永続的な改変をもたらし得る。NHEJは切断
部位において突然変異誘発を生じさせ、対立遺伝子の不活性化をもたらし得る。NHEJ
関連突然変異誘発は、早期停止コドンの生成、異常な非機能的タンパク質を生じさせるフ
レームシフト突然変異を介して対立遺伝子を不活性化し得るか、又はナンセンス介在性m
RNA分解等の機構をトリガーし得る。NHEJを介して突然変異誘発を誘導するための
メガヌクレアーゼの使用は、特定の突然変異又は野生型対立遺伝子に存在する配列をター
ゲティングするために使用され得る。
【0371】
好ましい実施形態では、本発明を実施するために使用されるヌクレアーゼは、一本鎖メ
ガヌクレアーゼである。一本鎖メガヌクレアーゼは、リンカーペプチドによって接続され
たN末端サブユニット及びC末端サブユニットを含む。2つのドメインはそれぞれ、認識
配列の半分(即ち、認識ハーフサイト)を認識し、DNA切断の部位は、2つのサブユニ
ットの接触面付近の認識配列の中央にある。メガヌクレアーゼによるDNA切断が一組の
4塩基対の3’一本鎖オーバーハングを生成するように、DNA鎖切断は、4塩基対によ
って相殺される。
【0372】
本発明の組換えメガヌクレアーゼは、P23H認識配列(例えば、配列番号1~4の1
つ)を認識及び切断するように操作されている。このようなメガヌクレアーゼは、対応す
る野生型RHO認識配列(配列番号96)と比べて、突然変異RHO P23H対立遺伝
子上のP23H認識配列を優先的に切断する。本発明の例示的な組換えメガヌクレアーゼ
は、配列番号6~93に示されている(これらは、本明細書では「RHO1-2メガヌク
レアーゼ」又は「RHO1/2メガヌクレアーゼ」と総称される)。
【0373】
本発明の組換えメガヌクレアーゼは、第1の超可変領域(HVR1)領域を含む第1の
サブユニット、及び第2の超可変領域(HVR2)を含む第2のサブユニットを含む。更
に、第1のサブユニットは、P23H認識配列中の第1の認識ハーフサイト(例えば、R
HO1ハーフサイト)に結合し、第2のサブユニットは、P23H認識配列中の第2の認
識ハーフサイト(例えば、RHO2ハーフサイト)に結合する。組換えメガヌクレアーゼ
が一本鎖メガヌクレアーゼである実施形態では、第1のサブユニットがN末端サブユニッ
トとして配置され、第2のサブユニットがC末端サブユニットとして配置されるように、
第1のサブユニット及び第2のサブユニットは配向され得る(例えば、配列番号70~9
3)。代替的な実施形態では、第1のサブユニットがC末端サブユニットとして配置され
、第2のサブユニットがN末端サブユニットとして配置されるように、第1のサブユニッ
ト及び第2のサブユニットは配向され得る(例えば、配列番号6~69)。本発明の例示
的な組換えメガヌクレアーゼは、表1に示されている。
【0374】
表1.P23H認識配列(配列番号1)を認識及び切断するように操作された例示的な組
換えメガヌクレアーゼ
【表1】
【0375】
*「RHO1サブユニット%」及び「RHO2サブユニット%」は、各メガヌクレアーゼ
のRHO1結合サブユニット領域及びRHO2結合サブユニット領域と、RHO2-L3
-59メガヌクレアーゼのそれぞれRHO1結合サブユニット領域及びRHO2結合サブ
ユニット領域との間のアミノ酸配列同一性を表す。
【0376】
2.3 組換えメガヌクレアーゼを送達及び発現するための方法
本発明を使用したRPの治療は、適切な組織の細胞において組換えメガヌクレアーゼを
発現させ得ることを必要とする。本発明の組換えメガヌクレアーゼの送達のための標的組
織は、眼の細胞、好ましくは眼の後部の細胞、更により好ましくは網膜の細胞(桿体視細
胞を含む)である。組換えメガヌクレアーゼは、精製タンパク質として、又はメガヌクレ
アーゼをコードするRNA若しくはDNAとして送達され得る。一実施形態では、組換え
メガヌクレアーゼタンパク質又は組換えメガヌクレアーゼをコードするmRNA若しくは
ベクターは、標的組織への直接的な注射を介して、標的細胞(例えば、網膜の細胞)に供
給される。例えば、網膜下注射又は硝子体内注射を介した眼へのRNA、DNA、又は組
換えAAVベクターの送達は、当技術分野で記載されている(例えば、Martin e
t al.(2002)Methods.28:267-275;Hauswirth
et al.(2008)Human Gene Therapy.19(10):97
9-990;Johnson et al.(2008)Molecular Visi
on.14:2211-2226を参照のこと)。あるいは、メガヌクレアーゼタンパク
質、mRNA、又はDNAは、循環系を介して全身送達され得る。
【0377】
いくつかの実施形態では、組換えメガヌクレアーゼタンパク質又は組換えメガヌクレア
ーゼをコードするDNA/mRNAは、全身投与又は標的組織への投与のために、公知の
技術に従って医薬担体中に製剤化される。例えば、Remington,The Sci
ence And Practice of Pharmacy(21sted.200
5)を参照のこと。本発明の医薬製剤の製造では、タンパク質/RNA/mRNAは、典
型的には、薬学的に許容され得る担体と混合される。当然のことながら、担体は、製剤中
の任意の他の成分と適合性であるという意味において許容され得るものでなければならず
、患者に有害なものであってはならない。担体は、固体若しくは液体又はその両方であり
得、単位用量製剤として化合物と共に製剤化され得る。
【0378】
いくつかの実施形態では、細胞取り込みを促進するために、組換えメガヌクレアーゼタ
ンパク質又は組換えメガヌクレアーゼをコードするDNA/mRNAは、細胞透過性ペプ
チド又は標的化リガンドにカップリングされる。当技術分野で公知の細胞透過性ペプチド
の例としては、ポリ-アルギニン(Jearawiriyapaisarn,et al
.(2008)Mol Ther.16:1624-9)、HIVウイルス由来のTAT
ペプチド(Hudecz et al.(2005),Med.Res.Rev.25:
679-736)、MPG(Simeoni,et al.(2003)Nucleic
Acids Res.31:2717-2724)、Pep-1(Deshayes
et al.(2004)Biochemistry 43:7698-7706及びH
SV-1 VP-22(Deshayes et al.(2005)Cell Mol
Life Sci.62:1839-49が挙げられる。代替的な実施形態では、メガ
ヌクレアーゼタンパク質/DNA/mRNAが標的細胞に結合し、標的細胞によってイン
ターナリゼーションされるように、組換えメガヌクレアーゼ又は組換えメガヌクレアーゼ
をコードするDNA/mRNAは、標的細胞上で発現される特定の細胞表面受容体を認識
する抗体に共有結合的又は非共有結合的にカップリングされる。あるいは、組換えメガヌ
クレアーゼタンパク質/DNA/mRNAは、このような細胞表面受容体の天然リガンド
(又は、天然リガンドの一部)に共有結合的又は非共有結合的にカップリングされ得る。
(McCall,et al.(2014)Tissue Barriers.2(4)
:e944449;Dinda,et al.(2013)Curr Pharm Bi
otechnol.14:1264-74;Kang,et al.(2014)Cur
r Pharm Biotechnol.15(3):220-30;Qian et
al.(2014)Expert Opin Drug Metab Toxicol.
10(11):1491-508)。眼の細胞への直接送達のためのターゲティングリガ
ンドの例としては、RGD(Pollinger et al.(2013)PNAS.
110(15):6115-6120)、トランスフェリン(Lajunen et a
l.(2014)Eur J Pharm Sci.62:23-32)及びヒアルロン
酸(Martens et al.(2015)J Control Release.
202:83-92)が挙げられる。
【0379】
いくつかの実施形態では、組換えメガヌクレアーゼタンパク質又は組換えメガヌクレア
ーゼをコードするDNA/mRNAは、所望の眼領域内への注射又は移植(例えば、硝子
体内注射又は結膜下注射)のために、生分解性ヒドロゲル内に封入される。ヒドロゲルは
、頻繁な注射を必要とせずに、所望の眼領域への治療ペイロードの持続的且つ調整可能な
放出を提供し得るので、刺激応答性材料(例えば、温度応答性ヒドロゲル及びpH応答性
ヒドロゲル)は、環境合図又は外部印加合図に応じてペイロードを放出するように設計さ
れ得る(Kang Derwent et al.(2008)Trans Am Op
hthalmol Soc.106:206-214)。
【0380】
いくつかの実施形態では、組換えメガヌクレアーゼタンパク質又は組換えメガヌクレア
ーゼをコードするDNA/mRNAは、当技術分野で公知の方法を使用して、ナノ粒子に
共有結合的に、好ましくは非共有結合的にカップリングされるか、又はこのようなナノ粒
子内に封入される(Sharma,et al.(2014)Biomed Res I
nt.2014)。ナノ粒子は、その長さスケールが1μm未満、好ましくは100nm
未満のナノスケール送達系である。このようなナノ粒子は、金属、脂質、ポリマー、又は
生物学的高分子から構成されるコアを使用して設計され得、複数コピーの組換えメガヌク
レアーゼタンパク質、mRNA、又はDNAがナノ粒子コアに付着又は封入され得る。こ
れは、各細胞に送達されるタンパク質/mRNA/DNAのコピー数を増加させるので、
各組換えメガヌクレアーゼの細胞内発現を増加させて、標的認識配列が切断される可能性
を最大化する。このようなナノ粒子の表面は、ポリマー又は脂質(例えば、キトサン、カ
チオン性ポリマー、又はカチオン性脂質)を用いて、その表面が更なる官能性を付与する
コアシェルナノ粒子を形成して細胞送達及びペイロードの取り込みを増強するように更に
改変され得る(Jian et al.(2012),Biomaterials.33
(30):7621-30)。有利には、ナノ粒子を適切な細胞型に誘導し、及び/又は
細胞摂取の可能性を増加させるために、ナノ粒子は、標的化分子に更にカップリングされ
得る。このようなターゲティング分子の例としては、細胞表面受容体に特異的な抗体及び
細胞表面受容体の天然リガンド(又は、天然リガンドの一部)が挙げられる。
【0381】
いくつかの実施形態では、メガヌクレアーゼタンパク質又はメガヌクレアーゼをコード
するDNA/mRNAは、リポソーム内に封入されるか、又はカチオン性脂質を使用して
複合体化される(例えば、Lipofectamine(商標),Life Techn
ologies Corp.,Carlsbad,CA;Zuris et al.(2
015),Nat Biotechnol.33:73-80;Mishra et a
l.(2011),J Drug Deliv.2011:863734を参照のこと)
。リポソーム製剤及びリポプレックス製剤は、標的細胞の細胞膜との融合及び/又はその
破壊を通じて、分解からペイロードを保護し、標的部位における蓄積及び保持を増強し、
細胞取り込み及び送達効率を促進し得る。
【0382】
いくつかの実施形態では、組換えメガヌクレアーゼタンパク質又は組換えメガヌクレア
ーゼをコードするDNA/mRNAは、ポリマー足場(例えば、PLGA)内に封入され
るか、又はカチオン性ポリマー(例えば、PEI、PLL)を使用して複合体化される(
Tamboli et al.(2011),Ther Deliv.2(4):523
-536)。ポリマー担体は、ポリマーの侵食及び薬物の拡散の制御による調整可能な薬
物放出速度を提供するように設計され得、高い薬物封入効率は、所望の標的細胞集団への
細胞内送達まで、治療ペイロードの保護を提供し得る。
【0383】
いくつかの実施形態では、組換えメガヌクレアーゼタンパク質又は組換えメガヌクレア
ーゼをコードするDNA/mRNAは、ミセルに自己集合する両親媒性分子と組み合わさ
れる(Tong et al.(2007),J Gene Med.9(11):95
6-66)。ポリマーミセルとしては、凝集を防止し、電荷相互作用を遮蔽し、硝子体液
内の非特異的相互作用を減少させ得る親水性ポリマー(例えば、ポリエチレングリコール
)で形成されたミセルシェルが挙げられ得る。
【0384】
いくつかの実施形態では、組換えメガヌクレアーゼタンパク質又は組換えメガヌクレア
ーゼをコードするDNA/mRNAは、標的細胞への投与及び/又は送達のために、エマ
ルジョン又は(即ち、1nm未満の平均粒径を有する)ナノエマルジョンに製剤化される
。「エマルジョン」という用語は、限定されないが、水不混和相が水相と混合されると、
非極性残基(例えば、長い炭化水素鎖)を水及び極性頭部基から水に移動させる疎水力の
結果として形成し得る脂質構造を含む任意の水中油型、油中水型、水中油中水型、又は油
中水中油型の分散液又は液滴を指す。これらの他の脂質構造としては、限定されないが、
ユニラメラ、パウキラメラ、及びマルチラメラ脂質小胞、ミセル並びににラメラ相が挙げ
られる。エマルジョンは、水相及び(典型的には、油及び有機溶媒を含有する)親油性相
から構成される。エマルジョンはまた、多くの場合、1つ以上の界面活性剤を含有する。
ナノエマルジョン製剤は周知であり、例えば、米国特許出願公開第2002/00456
67号及び米国特許出願公開第2004/0043041号並びに米国特許第6,015
,832号、米国特許第6,506,803号、米国特許第6,635,676号、及び
米国特許第6,559,189号(これらはそれぞれ、その全体が参照により本明細書に
組み込まれる)に記載されている。
【0385】
いくつかの実施形態では、組換えメガヌクレアーゼタンパク質又は組換えメガヌクレア
ーゼをコードするDNA/mRNAは、多官能性ポリマーコンジュゲート、DNAデンド
リマー、及びポリマーデンドリマーに共有結合的に付着されるか、及びそれらと非共有結
合的に会合される(Mastorakos et al.(2015),Nanosca
le.7(9):3845-56;Cheng et al.(2008),J Pha
rm Sci.97(1):123-43)。デンドリマーの生成は、ペイロードの容量
及びサイズを制御し得るので、高い薬物ペイロード容量を提供し得る。また、複数の表面
基の提示は、安定性を改善し、非特異的相互作用を減少させ、細胞特異的標的化及び薬物
放出を増強するために活用され得る。
【0386】
いくつかの実施形態では、組換えメガヌクレアーゼをコードする遺伝子は、ウイルスベ
クターを使用して送達される。このようなベクターは当技術分野で公知であり、レンチウ
イルスベクター、アデノウイルスベクター、及びアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター
が挙げられる(Vannucci,et al.(2013),New Microbi
ol.36:1-22において概説されている)。いくつかの実施形態では、ウイルスベ
クターは、標的組織に直接注射される(Bosch,et al.(2000),Mol
Ther.1:63-70;Greig et al.(2014),PLoS On
e.Nov 13;9(11):e112268)。代替的な実施形態では、ウイルスベ
クターは、循環系を介して全身送達される。当技術分野では、様々なAAVベクターが様
々な組織に局在する傾向があることが公知である。網膜標的組織では、例えば、AAV血
清型1、2、5、8、及び9を用いて、網膜視細胞の有効な形質導入が示されている(P
etrs-Silva et al.(2014),Clinical Ophthal
mology.8:127-136)。AAVベクターはまた、宿主細胞において第2鎖
DNA合成を必要としないように自己相補的であり得る(McCarty et al.
(2001),Gene Ther.8:1248-54)。
【0387】
一実施形態では、メガヌクレアーゼ遺伝子送達のために使用されるウイルスベクターは
、自己制限ウイルスベクターである。自己制限ウイルスベクターは、組換えメガヌクレア
ーゼの認識配列がベクター内に存在するので、細胞又は生物において限られた存続時間を
有し得る。従って、自己制限ウイルスベクターは、プロモーター、本明細書に記載される
組換えメガヌクレアーゼ、及びITR内のメガヌクレアーゼ認識部位のコードを提供する
ように操作され得る。メガヌクレアーゼが発現され、ゲノム内の内因性認識配列において
細胞のゲノムをカットすることができるように、自己制限ウイルスベクターは、メガヌク
レアーゼ遺伝子を細胞、組織、又は生物に送達する。送達されたメガヌクレアーゼはまた
、自己制限ウイルスベクターそれ自体の中にあるその標的部位を見出し、この標的部位に
おいてベクターをカットするであろう。カットされたら、ウイルスゲノムの5’末端及び
3’末端が露出し、エキソヌクレアーゼによって分解されて、ウイルスが死滅し、組換え
メガヌクレアーゼの産生が停止する。
【0388】
組換えメガヌクレアーゼ遺伝子が、DNA形態(例えば、プラスミド)で及び/又はウ
イルスベクター(例えば、AAV)を介して送達される場合、それらは、プロモーターに
作動可能に連結されなければならない。いくつかの実施形態では、これは、ウイルスプロ
モーター、例えばウイルスベクター由来の内因性プロモーター(例えば、レンチウイルス
ベクターのLTR)又は周知のサイトメガロウイルス若しくはSV40ウイルス初期プロ
モーターであり得る。好ましい実施形態では、メガヌクレアーゼ遺伝子は、標的細胞にお
いて優先的に遺伝子発現を駆動するプロモーターに作動可能に連結される。網膜及び/又
は桿体視細胞特異的プロモーターの例としては、限定されないが、ヒトロドプシンキナー
ゼプロモーター、近位マウスオプシンプロモーター(mOP)、ヒトGタンパク質共役型
受容体プロテインキナーゼ1プロモーター(hGRK1)、及びヒト光受容体間レチノイ
ド結合タンパク質(IRBP)プロモーター(Khani et al.(2007),
Invest.Ophthamol.Vis.Sci.48(9):3954-3961
);Beltran et al.(2010),Gene Therapy.17(9
):1162-1174);Yokoyama et al.(1992),Exp.E
ye Res.55(2):225-233)、並びに米国特許出願公開第2014/0
287510号に開示されている桿体視細胞特異的プロモーターが挙げられる。
【0389】
いくつかの実施形態では、本発明は、薬学的に許容され得る担体と、本発明の組換えメ
ガヌクレアーゼとを含む医薬組成物、又は薬学的に許容され得る担体と、本発明の組換え
メガヌクレアーゼをコードする核酸を含む単離されたポリヌクレオチドとを含む医薬組成
物を提供する。このような医薬組成物は、公知の技術に従って調製され得る。例えば、R
emington,The Science And Practice of Pha
rmacy(21sted.2005)を参照のこと。本発明の医薬製剤の製造では、エ
ンドヌクレアーゼポリペプチド(又は、それをコードするDNA/RNA)は、典型的に
は、薬学的に許容され得る担体と混合され、得られた組成物が被験体に投与される。当然
のことながら、担体は、製剤中の任意の他の成分と適合性であるという意味において許容
され得るものでなければならず、被験体に有害なものであってはならない。いくつかの実
施形態では、本発明の医薬組成物は、被験体における疾患の治療において有用な1つ以上
の更なる薬剤又は生物学的分子を更に含み得る。同様に、更なる薬剤及び/又は生物学的
分子は、別個の組成物として同時投与され得る。
【0390】
単回治療は、一定割合の患者標的細胞において突然変異P23H RHO対立遺伝子を
永続的に不活性化すると想定される。しかしながら、P23H対立遺伝子不活性化の頻度
が低い場合、又は標的細胞の大部分を修正する必要がある場合、各患者に対して複数回治
療を実施する必要があり得る。
【0391】
2.4 組換えメガヌクレアーゼ変異体
本発明の実施形態は、本明細書に記載される組換えメガヌクレアーゼ及びその変異体を
包含する。本発明の更なる実施形態は、本明細書に記載される組換えメガヌクレアーゼを
コードする核酸配列を含む単離されたポリヌクレオチド及びこのようなポリヌクレオチド
の変異体を包含する。
【0392】
特に、本発明は、配列番号6~93のメガヌクレアーゼの変異体であって、メガヌクレ
アーゼが、野生型RHO遺伝子(配列番号98)中の対応する野生型配列と比べて、配列
番号2~4の1つを優先的に認識及び切断するように、超可変領域が改変されている変異
体を提供する。このような更なる変異体メガヌクレアーゼは、国際公開第2007/04
7859号、米国特許第8,021,867号、米国特許第8,119,361号、米国
特許第8,119,381号、米国特許第8,124,369号、米国特許第8,129
,134号、米国特許第8,133,697号、米国特許第8,143,015号、米国
特許第8,143,016号、米国特許第8,148,098号、米国特許第8,163
,514号、米国特許第8,304,222号、米国特許第8,377,674号、及び
米国特許第8,445,251号に記載されている方法、並びに以下で議論されている方
法に従ってルーチンな実験によって生産され得る。
【0393】
本明細書で使用される場合、「変異体」は、実質的に類似の配列を意味することを意図
する。「変異」ポリペプチドは、ネイティブなタンパク質の1つ以上の内部部位における
1つ以上のアミノ酸の欠失若しくは付加、及び/又はネイティブなポリペプチドの1つ以
上の部位における1つ以上のアミノ酸の置換によって、「ネイティブな」ポリペプチドか
ら生じるポリペプチドを意味することを意図する。本明細書で使用される場合、「ネイテ
ィブな」ポリヌクレオチド又はポリペプチドは、変異体が由来する親配列を含む。実施形
態によって包含される変異ポリペプチドは、生物学的に活性である。即ち、それらは、ネ
イティブなタンパク質の所望の生物学的活性(即ち、本明細書に記載されるような、P2
3H認識配列(例えば、配列番号1~4の1つ)を優先的に認識及び切断する能力)を有
し続ける;このような変異体は、例えば、ヒトによる操作から生じ得る。実施形態のネイ
ティブなポリペプチドの生物学的に活性な変異体(例えば、配列番号6~93)、又は本
明細書に記載されるRHO1結合サブユニット及びRHO2結合サブユニットの生物学的
に活性な変異体(例えば、配列番号99~274)は、本明細書の他の箇所に記載されて
いる配列アライメントプログラム及びパラメータによって決定した場合、ネイティブなポ
リペプチド又はネイティブなサブユニットのアミノ酸配列と少なくとも約40%、約45
%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85
%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97
%、約98%、又は約99%の配列同一性を有するであろう。実施形態のポリペプチド又
はサブユニットの生物学的に活性な変異体は、そのポリペプチド又はサブユニットとわず
か約1~40個のアミノ酸残基、わずか約1~20個、わずか約1~10個、わずか約5
個、わずか4個、3個、2個、又は更には1個のアミノ酸残基が異なり得る。
【0394】
実施形態のポリペプチドは、アミノ酸の置換、欠失、短縮、及び挿入を含む様々な方法
で変化され得る。このような操作のための方法は、一般に、当技術分野で公知である。例
えば、アミノ酸配列変異体は、DNAの突然変異によって調製され得る。突然変異誘発及
びポリヌクレオチド変化のための方法は、当技術分野で周知である。例えば、Kunke
l(1985),Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:488-49
2;Kunkel et al.(1987),Methods in Enzymol
.154:367-382;U.S.Pat.No.4,873,192;Walker
and Gaastra,eds.(1983),Techniques in Mo
lecular Biology(MacMillan Publishing Com
pany,New York)及びそれらの中で引用されている参考文献を参照のこと。
目的のタンパク質の生物学的活性に影響を及ぼさない適切なアミノ酸置換に関するガイダ
ンスは、Dayhoff et al.(1978),Atlas of Protei
n Sequence and Structure(Natl.Biomed.Res
.Found.,Washington,D.C.)(これは、参照により本明細書に組
み込まれる)のモデルにおいて見出され得る。保存的置換(例えば、あるアミノ酸と、類
似の特性を有する別のアミノ酸との交換)が最適であり得る。
【0395】
野生型I-CreIメガヌクレアーゼのDNA認識ドメインに対する相当数のアミノ酸
改変であって、得られる合理的に設計されたメガヌクレアーゼが野生型酵素とは異なるハ
ーフサイト特異性を有するような、DNA認識配列ハーフサイト内の個々の塩基において
変化した特異性を有する組換えメガヌクレアーゼを単独で又は組み合わせてもたらすアミ
ノ酸改変が以前に同定されている(例えば、米国特許第8,021,867号)。表2は
、認識ハーフサイトの各ハーフサイト位置(-1~-9)に存在する塩基に基づいて、特
異性を増強するために組換えメガヌクレアーゼ単量体又はサブユニットにおいて行われ得
る置換候補を提供する。
【0396】
【0397】
ポリヌクレオチドの場合、「変異体」は、ネイティブなポリヌクレオチド内の1つ以上
の部位における1つ以上のヌクレオチドの欠失及び/又は付加を含む。当業者であれば、
オープンリーディングフレームが維持されるように、実施形態の核酸の変異体が構築され
ることを認識するであろう。ポリヌクレオチドの場合、保存的変異体としては、遺伝コー
ドの縮重により、実施形態のポリペプチドの1つのアミノ酸配列をコードする配列が挙げ
られる。変異ポリヌクレオチドとしては、合成由来ポリヌクレオチド、例えば、部位特異
的突然変異誘発を使用することによって生成されるが実施形態の組換えメガヌクレアーゼ
を依然としてコードするものが挙げられる。一般に、実施形態の特定のポリヌクレオチド
の変異体は、本明細書の他の箇所に記載されている配列アライメントプログラム及びパラ
メータによって決定した場合、その特定のポリヌクレオチドと少なくとも約40%、約4
5%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約8
5%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約9
7%、約98%、約99%、又はそれ以上の配列同一性を有するであろう。実施形態の特
定のポリヌクレオチド(即ち、参照ポリヌクレオチド)の変異体はまた、変異ポリヌクレ
オチドによってコードされるポリペプチドと、参照ポリヌクレオチドによってコードされ
るポリペプチドとの間の配列同一性のパーセントの比較によって評価され得る。
【0398】
本明細書に包含されるタンパク質配列の欠失、挿入、及び置換は、ポリペプチドの特徴
の根本的な変化を生じさせるとは予想されない。しかしながら、実行前に置換、欠失、又
は挿入の正確な効果を予測することが困難である場合、当業者であれば、P23H認識配
列(例えば、配列番号1~4の1つ)を優先的に認識及び切断する能力についてポリペプ
チドをスクリーニングすることによって、効果が評価されることを認識するであろう。
【実施例0399】
以下の実施例によって本発明を更に例証するが、これらは限定的なものと解釈されるべ
きではない。当業者であれば、ルーチンな実験のみを使用して、本明細書に記載される特
定の物質及び手順の多数の等価物を認識し、又は確認することができるであろう。このよ
うな等価物は、以下の実施例に続く特許請求の範囲によって包含されることを意図する。
【0400】
実施例1
P23H認識配列を認識及び切断するメガヌクレアーゼの評価
【0401】
1.P23H認識配列を認識及び切断するメガヌクレアーゼ
突然変異RHO P23H対立遺伝子に存在するP23H認識配列の1つ(即ち、配列
番号1)を認識及び切断するように、組換えメガヌクレアーゼ(配列番号6~93)(本
明細書では、「RHO1-2メガヌクレアーゼ」と総称される)を操作した(
図1Aを参
照のこと)。各RHO1-2組換えメガヌクレアーゼは、SV40由来のN末端ヌクレア
ーゼ局在化シグナルと、第1のメガヌクレアーゼサブユニットと、リンカー配列と、第2
のメガヌクレアーゼサブユニットとを含む。各RHO1-2メガヌクレアーゼ中の第1の
サブユニットは配列番号1のRHO1認識ハーフサイトに結合し、第2のサブユニットは
RHO2認識ハーフサイトに結合する(
図1Bを参照のこと)。
【0402】
図2及び3に示されているように、RHO1結合サブユニット及びRHO2結合サブユ
ニットはそれぞれ、56塩基対の超可変領域(それぞれHVR1及びHVR2と称される
)を含む。RHO1結合サブユニットは、(Q残基又はE残基を含む)80位又は271
位を除いてHVR1領域の外側では同一であり、HVR1領域内では高度に保存されてい
る。同様に、RHO2結合サブユニットもまた、(Q残基又はE残基を含む)80位又は
271位を除いてHVR2領域の外側では同一であり、HVR2領域内では高度に保存さ
れている。
【0403】
配列番号6~93のRHO1結合領域は
図2A~2Fに示されており、それぞれ配列番
号102~189として示されている。配列番号102~189のほぼ全てが、配列番号
102(これは、メガヌクレアーゼRHO2-L3-59(配列番号6)のRHO1結合
領域である)と少なくとも90%の配列同一性を共有する。配列番号6~93のRHO2
結合領域は
図3A~3Fに示されており、それぞれ配列番号190~277として示され
ている。配列番号190~277のほぼ全てが、配列番号190(これは、メガヌクレア
ーゼRHO2-L3-59(配列番号6)のRHO2結合領域である)と少なくとも90
%の配列同一性を共有する。
【0404】
2.CHO細胞レポーターアッセイにおけるP23H認識配列の切断
RHO1-2メガヌクレアーゼが配列番号1のP23H認識配列を認識及び切断し得る
かを決定するために、以前に記載されているCHO細胞レポーターアッセイを使用して、
各RHO1-2メガヌクレアーゼを評価した(国際公開第2012/167192号の図
4を参照のこと)。アッセイを実施するために、細胞のゲノムに組み込まれた非機能的緑
色蛍光タンパク質(GFP)遺伝子発現カセットを有する一組のCHO細胞レポーター株
を生産した。メガヌクレアーゼによるいずれかの認識配列の細胞内切断が相同的組換え事
象を刺激して、機能的GFP遺伝子が生じるように、一組の認識配列によって各細胞株の
GFP遺伝子を中断した。両方の細胞株において、認識配列の一方はRHO遺伝子に由来
しており(配列番号1又は配列番号5のいずれか)、第2の認識配列は、「CHO-23
/24」と称される対照メガヌクレアーゼによって特異的に認識された。配列番号1のP
23H認識配列及びCHO-23/24認識配列を含むCHOレポーター細胞は、本明細
書では「RHO1-2細胞」と称される。RHO1-2メガヌクレアーゼ(配列番号6~
93)の1つをコードするか、又はCHO-23/34メガヌクレアーゼをコードするプ
ラスミドDNAをRHO1-2細胞にトランスフェクトした。製造業者の説明書に従って
Lipofectamine 2000(ThermoFisher)を使用して、96
ウェルプレート中で、50ngのプラスミドDNAを約4×10
5個のCHO細胞にトラ
ンスフェクトした。トランスフェクションの48時間後、フローサイトメトリーによって
細胞を評価して、非トランスフェクト陰性対照(RHO1-2bs)と比較したGFP陽
性細胞の割合を決定した。RHO1-2メガヌクレアーゼは全て、P23H認識配列を含
む細胞株では、陰性対照を有意に超える頻度で、及びCHO-23/24陽性対照と同程
度か又はそれを超える頻度で、GFP陽性細胞を生じさせることが見出されたが、これは
、各RHO1-2メガヌクレアーゼが、細胞中の目的のP23H認識配列を効率的に認識
及び切断することができたことを示している(
図5を参照のこと)。
【0405】
また、メガヌクレアーゼをRHO1-2細胞に導入した後1日後、4日後、6日後、及
び8日後に、RHO1-2組換えメガヌクレアーゼの有効性を時間依存的に決定した。こ
の研究では、製造業者の説明書に従ってBioRad Gene Pulser Xce
llを使用して、細胞1個当たり1×10
6コピーのメガヌクレアーゼmRNAをRHO
1-2細胞(1.0×10
6個)にエレクトロポレーションした。トランスフェクション
の48時間後、フローサイトメトリーによって細胞を評価して、GFP陽性細胞の割合を
決定した。各時点において、陽性対照としてCHO-23/24メガヌクレアーゼも含め
た。
図6に示されているように、RHO1-2メガヌクレアーゼの有効性は、8日間の評
価期間にわたって持続した。
【0406】
3.結論
これらの研究では、本発明によって包含されるRHO1-2メガヌクレアーゼ(配列番
号6~93)は、細胞中の配列番号1のP23H認識配列をターゲティング及び切断し得
ることが実証された。
【0407】
実施例2
P23H認識配列に対するメガヌクレアーゼの特異性
【0408】
1.対応する野生型RHO配列を含むCHOレポーター細胞
配列番号1のP23H認識配列に対するRHO1-2メガヌクレアーゼ(配列番号6~
93)の特異性を決定するために、対応する野生型RHO認識配列(配列番号5)(本明
細書では、「RHO3-4認識配列」と称される)及びCHO-23/24認識配列を含
むCHOレポーター細胞株を前述のように作製した。得られた細胞は、本明細書では「R
HO3-4細胞」と称される。
【0409】
2.RHO1-2メガヌクレアーゼの特異性
RHO1-2メガヌクレアーゼをRHO1-2細胞又はRHO3-4細胞に導入して、
組換えメガヌクレアーゼが、配列番号1のP23H認識配列と、対応する野生型認識配列
(配列番号5)とを識別し得るかを決定した。前述のようにmRNAのエレクトロポレー
ションによって、RHO1-2メガヌクレアーゼmRNAをRHO1-2細胞又はRHO
3-4細胞に導入し、3~5日後にGFP陽性細胞のパーセントを決定した。
図7に示さ
れているように、RHO3-4細胞よりもGFP陽性RHO1-2細胞の割合が高いこと
から明らかなように、試験したRHO1-2メガヌクレアーゼはそれぞれ、RHO3-4
認識配列と比べてP23H認識配列を優先的に切断した(
図7A~7Eを参照のこと)。
その後の実験では、野生型RHO3-4認識配列(配列番号5)を優先的に標的化及び切
断する組換えメガヌクレアーゼを開発することができたことが示された。上記CHO細胞
レポーターアッセイを使用して評価した場合、このセットのメガヌクレアーゼは、RHO
1-2細胞よりも高い割合のGFP陽性RHO3-4細胞をもたらすことが見出された(
図7Fを参照のこと)。
【0410】
3.結論
本発明者らは、本発明によって包含されるRHO1-2メガヌクレアーゼが、対応する
野生型RHO3-4認識配列(配列番号5)と比べて、配列番号1のP23H認識配列を
優先的に切断することを実証した。
【0411】
実施例3
組換えメガヌクレアーゼを発現させるための組換えAAVベクターの作製及び発現
【0412】
1.RHO1-2メガヌクレアーゼを発現させるための組換えAAVベクター
CHOレポーター細胞においてRHO1-2メガヌクレアーゼを発現するように、組換
えAAVベクターを設計した。
図8Aに示されているように、組換えAAVベクターは、
5’から3’に、第1の逆方向末端反復(ITR)と、メガヌクレアーゼをコードするヌ
クレオチド配列に作動可能に連結されたCMVプロモーターと、第2の逆方向末端反復と
を含む。この研究では、RHO-1/2-L2-49メガヌクレアーゼのコード配列を組
換えAAVベクターに組み込んだ。
【0413】
2.組換えAAV形質導入後のRHO1-2メガヌクレアーゼの発現
RHO1-2細胞におけるRHO-1/2-L2-49メガヌクレアーゼの発現のため
に、HEK-293細胞において標準的なトリプルトランスフェクションプロトコールを
使用して、組換えAAVベクター(rAAV-RHO-1/2)を調製した(Dritt
anti et al.(2001),J Gene Med.3:59-71)。3つ
のウイルス濃度のrAAV-RHO-1/2ベクターをRHO1-2CHOレポーター細
胞に形質導入した。形質導入の24時間後、細胞を溶解し、ポリクローナルメガヌクレア
ーゼ特異的抗体又はβ-アクチン特異的対照抗体を使用してウエスタンブロットによって
分析した。
図8Bに示されているように、3つのウイルス濃度全てにおいて、RHO-1
/2-L2-49の発現が観察された。
【0414】
3.AAV送達RHO1-2メガヌクレアーゼの特異性
rAAV-RHO-1/2ベクターをRHO1-2細胞又はRHO3-4細胞に形質導
入して、対応する野生型RHO3-4認識配列(配列番号5)と比べた、配列番号1のP
23H認識配列の認識及び切断に関するAAV送達RHO-1/2-L2-49メガヌク
レアーゼの特異性を実証した。
図9に示されているように、形質導入の3日後、AAV送
達RHO-1/2-L2-49メガヌクレアーゼは、使用したウイルス濃度全てにおいて
、RHO3-4細胞よりも高い割合のGFP陽性RHO1-2細胞を誘導したが、これは
、メガヌクレアーゼが突然変異配列を優先的に認識及び切断することを示している。
【0415】
4.AAV送達RHO1-2メガヌクレアーゼ発現の持続性
RHO-1/2-L2-49メガヌクレアーゼ又はGFPをコードする組換えAAVベ
クターを形質導入したRHO1-2細胞をシクロヘキシミドで処理してタンパク質翻訳を
停止させ、細胞において発現されたタンパク質の安定性を決定した。シクロヘキシミド処
理後の様々な時点(0時間、1.5時間、6時間、及び22時間)において細胞を溶解し
、ウエスタンブロット分析によって、RHO-1/2-L2-49、GFP、及びβ-ア
クチンのタンパク質レベルを決定した。
図10に示されているように、RHO-1/2-
L2-49タンパク質はGFPよりも有意に長く存続し、22時間後において、メガヌク
レアーゼタンパク質の減少は見られなかった。
【0416】
5.結論
この研究は、組換えAAVベクターを使用して、本発明によって包含されるRHO1-
2メガヌクレアーゼを細胞において発現させ得ること、及びこのようなメガヌクレアーゼ
が、対応する野生型RHO3-4配列(配列番号5)と比べて、配列番号1のP23H認
識配列を優先的に認識及び切断することを示している。更に、この研究は、組換えAAV
ベクターを使用して発現させた場合、RHO1-2メガヌクレアーゼタンパク質が細胞に
おいて安定であることを実証している。
【0417】
実施例4
AAVによって送達したRHO1-2メガヌクレアーゼによる、レポーター細胞における
RHO1-2認識配列の切断
【0418】
1.組換えAAVベクターの生産
この研究の目的は、ウイルス形質導入によってRHO1-2メガヌクレアーゼを哺乳動
物細胞において発現させ得ることを実証することであり、RHO1-2認識配列を切断す
るそれらの能力を更に実証することであった。
【0419】
この実験のために、前述のトリプルトランスフェクション法によって、2つの組換えA
AV2ベクターを生産した。2つのドナープラスミドは、pDS CMV RHO2_L
3_59(配列番号248)及びpDS CMV RHO2_L5_14(配列番号24
9)(これらは、それぞれRHO2-L3-59及びRHO2-L5-14メガヌクレア
ーゼをコードしていた)であった(
図11)。これらのプラスミドは、ヌクレアーゼの発
現を駆動するCMVプロモーター及びエンハンサーと、SV40ポリA配列と、ゲノム複
製に必要なAAV ITR(逆方向末端反復)配列とを含み、自己相補的AAVゲノム(
scAAV)の生産に適切である。AAV血清型2由来のカプシドを使用して、これらの
ベクターを作製した。HEK293細胞においてトリプルトランスフェクション法を使用
して組換えscAAVを生産し、CsCl勾配で精製した。RT-PCR及びスロットブ
ロット法によって、ウイルス力価を決定した。
【0420】
2.レポーター細胞の形質導入及び切断効率の分析
これらのAAV粒子が、RHO3-4認識配列(配列番号5)ではなくRHO1-2認
識配列(配列番号1)を認識して特異的に切断することができる機能的RHO1-2メガ
ヌクレアーゼを送達し得るかを決定するために、以前に記載されているCHOレポーター
株(国際公開第2012/167192号を参照のこと)においてそれらを試験した。ア
ッセイを実施するために、細胞のゲノムに組み込まれた非機能的緑色蛍光タンパク質(G
FP)遺伝子発現カセットを有する一組のCHO細胞レポーター株を生産した。メガヌク
レアーゼによる認識配列の細胞内切断が相同的組換え事象を刺激して、機能的GFP遺伝
子が生じるように、RHO1-2認識配列又はRHO3-4認識配列のいずれかによって
各細胞株のGFP遺伝子を中断した。RHO1-2認識配列を含むCHOレポーター細胞
は、この実験では「P23H RHO細胞」と称される。RHO3-4認識配列を含むC
HOレポーター細胞は、この実験では「WT RHO細胞」と称される。GFPレポータ
ーカセットを有しない野生型対照細胞は、この実験では「CHO K細胞」と称される。
【0421】
上記組換えscAAVをWT RHO細胞、P23H RHO細胞又は野生型CHO
K細胞(陰性対照)に感染させた。3つのMOI:1×10
8、1×10
9、又は2×1
0
9(それぞれ「低」、「中」、及び「高」)で、レポーター細胞に感染させた。感染の
48時間後、フローサイトメトリーによって細胞を評価して、野生型対照CHO細胞と比
較したGFP陽性細胞の割合を決定した。
図12に示されているように、RHO2-L3
-59又はRHO2-L5-14 scAAVのいずれかを感染させた対照野生型CHO
細胞は、1%未満のバックグラウンドGFP発現を示した。野生型RHO3-4標的を有
する細胞(「WT RHO細胞」)は、対照細胞よりも有意に高いGFP発現を示さなか
ったが、これは、RHO1-2メガヌクレアーゼがRHO3-4認識配列を切断すること
ができないことを示している。P23H RHO細胞では、RHO2-L3-59及びR
HO2-L5-14メガヌクレアーゼは両方とも、用量依存的に有意なGFP発現をもた
らし、最高用量では、10%GFP+に迫るレベルであった。
【0422】
ウエスタンブロット分析を使用して、P23H RHO細胞におけるGFP及びメガヌ
クレアーゼ発現の両方を確認した。3つの異なる用量のscAAVを感染させたP23H
RHO細胞及びWT RHO細胞からのみ、全細胞溶解物を調製した。再現性の指標を
得るために、2回反復用の溶解物を採取した。(タンパク質濃度によって決定した)等量
の溶解物をSDS-PAGEによって分離し、膜に転写し、GFP、I-CreIメガヌ
クレアーゼ又はβ-アクチン(ローディング対照用)のいずれかに対する抗体を使用して
プローブした。RHO1-2メガヌクレアーゼは、I-CreIに対するポリクローナル
抗体を用いて検出可能である。
【0423】
図13に示されているように、ウエスタンブロット分析は、用量依存的なGFPの検出
を明確に実証しているが、これは、
図12に示されている上記フローサイトメトリーデー
タを裏付けている。ウエスタンブロット分析はまた、用量依存的なRHO1-2メガヌク
レアーゼの発現を示している。このブロットは、RHO2-L5-14がRHO2-L3
-59よりも高いレベルで発現されたことを示唆している。β-アクチンレベルは一貫し
ており、ゲルローディングが適切であることを示している。
【0424】
3.結論
まとめると、これらのデータは、本発明のRHO1-2メガヌクレアーゼのための発現
カセットを有する組換えscAAVがCHOレポーター株に感染して、RHO1-2メガ
ヌクレアーゼの発現をもたらすことができ、次いでこれが、WT RHO3-4認識では
なくP23H RHO1-2認識配列(配列番号1)を特異的に切断することができるこ
とを実証している。
【0425】
実施例5
RPのマウスモデルにおけるP23H対立遺伝子のインビボ切断
【0426】
1.組換えAAVベクターの生産及びマウス眼への網膜下送達
この研究の目的は、本発明のRHO1-2メガヌクレアーゼが、マウス網膜の視細胞内
においてインビボでRHO1-2認識配列を標的化及び切断し得るかを決定することであ
った。
【0427】
上記のようにトリプルトランスフェクション法を使用して組換えscAAVを調製し、
網膜色素変性症のマウスモデルにおいて試験した。このモデルでは、トランスジェニック
マウスは、内因性マウスRHO対立遺伝子に加えて、単一コピーのヒトP23H突然変異
RHO遺伝子を有する。これらのマウスは網膜色素変性症表現型を示さないが、それらは
、RHO1-2認識配列のインビボ切断の分子分析に有用である。GFPレポーターCH
O株では、RHO2L5-14がより良好に機能したので、RHO2-L5-14をコー
ドするscAAVのみをマウスの感染に使用した(但し、配列番号280に示されている
ドナープラスミドを使用したscAAVの生産を含め、RHO2-L3-59メガヌクレ
アーゼを使用して本実験を実施することができた)。scAAVトリプルトランスフェク
ションプロトコールにおいて使用したpDS GRK1 RHO2_L5_14ドナープ
ラスミド(配列番号281)は、
図14に示されている。示されているように、RHO2
-L5-14メガヌクレアーゼは、桿体細胞特異的GRK1プロモーターの制御下にあっ
た。対照として、GFP発現カセットをコードする組換えscAAVも調製した。AAV
血清型5由来のカプシドを使用して、これらの組換えscAAVベクターを作製した。
【0428】
P23Hトランスジェニックマウスの1匹を使用して、RHO2-L5-14発現カセ
ットをコードするAAVの網膜下注射が、RHO1-2認識配列における切断をもたらし
得るかを試験した。簡潔に言えば、出生後30日目に、ケタミン100mg/kg及びキ
シラジン10mg/kgの腹腔内注射によって、マウスを全身麻酔下に置いた。トロピカ
ミド(0.5%)及び1%プロパラカインを用いて、瞳孔を拡張した。眼科手術用顕微鏡
下で、30ゲージの針を用いて、縁に隣接する角膜を介して、小さい切開を行った。ハミ
ルトンシリンジに装着した33ゲージの鈍針を切開部から挿入した。網膜の鼻側四半部内
で、全ての注射を網膜下に行った。マウスに対して、RHO2-L5-14をコードする
1μLのscAAVを一方の眼に投与し、GFPをコードする1μLのscAAVを他方
の眼に投与した(両ウイルス調製物は粒子7×1012個/mLの濃度であった)。フル
オレセインをベクター懸濁液に追加することによって、注射中の視覚化を支援した。眼底
検査及びOCT検査を実施して、網膜下送達の成功を確認した。
【0429】
イソフルランを用いてマウスを安楽死させ、注射の30日後に眼を摘出した。手術用顕
微鏡下で、他の眼組織から網膜を慎重に解剖した。DNA単離キット(Qiagen)を
使用することによって、解剖網膜からDNAを単離した。簡潔に言えば、プロテアーゼK
を含有する溶解緩衝液を用いて、網膜を55℃で2時間消化した。溶解後、粗抽出物をカ
ラムに通し、結合したDNAを数回洗浄した。DNAを溶出し、NanoDrop(Th
ermo)によって濃度を推定した。
【0430】
RHO1-2認識配列における突然変異の存在及び相対頻度を決定するために、RHO
1-2遺伝子座をPCR増幅し、ディープシーケンシング分析に供した。簡潔に言えば、
RHO1-2認識配列に及ぶ約200bpの領域を増幅するようにPCRプライマーを設
計し、Illumina MiSeq機器を使用したディープシーケンシング分析にゲル
精製PCRバンドを供した。
【0431】
2.結果
PCRバンドのディープシーケンシングにより、1サンプル当たり5×105個の配列
が得られた。GFPをコードするscAAVを注射した網膜は、RHO1-2認識配列に
おいてインデル(挿入又は欠失)を有する約4×103個の配列を示し、0.54%のバ
ックグラウンドが確立された。RHO2-L5-14メガヌクレアーゼをコードするAA
Vを注射したマウス網膜から単離したDNAでは、インデルが3.92%で検出され、バ
ックグラウンドよりも約7倍高かった(表3)。他の実験(データは示さず)では、対照
マウスはより低頻度のインデルを示し、典型的には約0.01%であった。
【0432】
【0433】
3.結論
ディープシーケンシングのデータは、RHO2-L5-14メガヌクレアーゼをコード
するAAVの網膜下注射が、切断及び非相同末端結合後に、網膜色素変性症のマウスモデ
ルにおいてP23H RHO1-2認識配列の突然変異をもたらしたことを実証している
。
【0434】
実施例6:網膜細胞におけるRHO1-2メガヌクレアーゼのインビボ発現
1.網膜細胞のウエスタンブロット分析
AAV送達後の野生型マウスの網膜細胞においてRHO2-L5-14メガヌクレアー
ゼを発現させ得ることを確認するために、上記のように網膜下注射によって、RHO2-
L5-14をコードするscAAVを5匹の野生型マウスに投与した。OS(左)及びO
D(右)の両方の眼に感染させた。注射の30日後に網膜を切開し、全細胞溶解物を調製
し、上記のように抗I-CreI抗体を使用してウエスタンブロット分析を実施した。
【0435】
ウエスタンブロット分析により、ほとんどの網膜において、RHO2L-5-14発現
が容易に検出されることが示された(
図15のレーン3、5、7、及び10)。他の網膜
では、発現はかなり低かったが、依然として検出可能であった(
図15のレーン1、4、
及び6)。残りの網膜では、発現のレベルはほとんど検出不可能であった(
図15のレー
ン2、8、及び9)。網膜下注射は、眼の後ろの非常に狭い領域への正確な送達に依拠す
る。この手順は、成人患者ではかなり一般的であるが、マウスモデルでは一般的な研究室
業務ではない。従って、発現の差異は、マウス網膜下注射の困難性に起因していた。
【0436】
2.結論
ウエスタンブロット分析により、マウスに網膜下送達したRHO2L-5-14をコー
ドするscAAVがRHO1-2メガヌクレアーゼの発現をもたらしたことが実証された
。ヒトP23H RHO遺伝子に関するマウスモデルからのインデルデータと一緒に総合
すると、これらのデータは、RHO1-2メガヌクレアーゼのAAV送達が、P23H
RHO対立遺伝子に欠失を引き起こすのに有効であることを示唆している。
P23H認識配列を認識及び切断する組換えメガヌクレアーゼであって、第1のサブユニット及び第2のサブユニットを含み、前記第1のサブユニットが前記P23H認識配列の第1の認識ハーフサイトを認識し、且つ
(a)配列番号6~69のいずれか1つの残基198~344又は配列番号70~93のいずれか1つの残基7~153と少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列;及び
(b)第1の超可変(HVR1)領域
を含み、
前記第2のサブユニットが前記P23H認識配列の第2の認識ハーフサイトを認識し、
(a)配列番号6~69のいずれか1つの残基7~153又は配列番号70~93のいずれか1つの残基198~344と少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列;及び
(b)第2の超可変(HVR2)領域
を含む、組換えメガヌクレアーゼ。