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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024002319
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】回路図作成装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 30/31 20200101AFI20231228BHJP
【FI】
G06F30/31
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022101435
(22)【出願日】2022-06-23
(71)【出願人】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120662
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 桂子
(74)【代理人】
【識別番号】100180529
【弁理士】
【氏名又は名称】梶谷 美道
(74)【代理人】
【識別番号】100217364
【弁理士】
【氏名又は名称】田端 豊
(74)【代理人】
【識別番号】100216770
【弁理士】
【氏名又は名称】三品 明生
(72)【発明者】
【氏名】新開 浩紀
【テーマコード(参考)】
5B146
【Fターム(参考)】
5B146AA21
5B146DG05
5B146DG07
5B146GE07
(57)【要約】
【課題】ユーザによる電気回路の確認を支援することができる回路図作成装置及びプログラムを提供する。
【解決手段】回路図作成装置1は、素子の特性の情報である素子情報と、素子を用いて構築された電気回路の情報である回路情報とを記憶する記憶部11と、記憶部11が記憶する記素子情報及び回路情報に基づいて、電気回路を表示するための出力情報を生成する演算処理部12と、ユーザによる電気回路に含まれる素子を指定する操作が入力される入力部13と、を備える。演算処理部12は、入力部13を介してユーザに指定された素子である指定素子を目標の状態にするために操作すべき電気回路内の場所を表示するための出力情報、または、指定素子を目標の状態に変動させた場合における、指定素子に連動して状態が変動する素子を含む小回路の出力を表示するための出力情報を生成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
素子の特性の情報である素子情報と、前記素子を用いて構築された電気回路の情報である回路情報とを記憶する記憶部と、
前記記憶部が記憶する前記素子情報及び前記回路情報に基づいて、前記電気回路を表示するための出力情報を生成する演算処理部と、
ユーザによる前記電気回路に含まれる前記素子を指定する操作が入力される入力部と、を備え、
前記演算処理部は、前記入力部を介して前記ユーザに指定された前記素子である指定素子を目標の状態にするために操作すべき前記電気回路内の部分を表示するための前記出力情報、または、前記指定素子を目標の状態に変動させた場合における、前記電気回路に含まれる機能毎に分割された小回路のうち当該指定素子に連動して状態が変動する前記素子を含む前記小回路の出力を表示するための前記出力情報を生成する、回路図作成装置。
【請求項2】
前記演算処理部は、前記指定素子への電力供給が停止した状態にするために操作すべき前記素子である停電用素子を強調して表示するための前記出力情報を生成する、請求項1に記載の回路図作成装置。
【請求項3】
前記演算処理部は、前記停電用素子が操作されて前記指定素子への電力供給が停止した状態を表示するための前記出力情報を生成する、請求項2に記載の回路図作成装置。
【請求項4】
前記演算処理部は、前記入力部を介して前記ユーザによって複数の前記指定素子が選択された場合、当該指定素子のそれぞれを目標の状態にするために操作すべき前記電気回路内の部分を表示するための前記出力情報、または、当該指定素子のそれぞれを目標の状態に変動させた場合における当該指定素子に連動して状態が変動する前記素子を含む前記小回路の出力を表示するための前記出力情報を生成する、請求項1~3のいずれか1項に記載の回路図作成装置。
【請求項5】
素子の特性の情報である素子情報と、前記素子を用いて構築された電気回路の情報である回路情報とに基づいて、前記電気回路を表示するための出力情報を生成する処理を、コンピュータに実行させるプログラムであって、
ユーザによる前記電気回路に含まれる前記素子の指定を受け付ける処理と、
前記ユーザに指定された前記素子である指定素子を目標の状態にするために操作すべき前記電気回路内の部分を表示するための前記出力情報、または、前記指定素子を目標の状態に変動させた場合における、前記電気回路に含まれる機能毎に分割された小回路のうち当該指定素子に連動して状態が変動する前記素子を含む前記小回路の出力を表示するための前記出力情報を生成する処理と、
を前記コンピュータに実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路図を作成する回路図作成装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1及び2では、CAD(Computer Aided Design)などで作成された電気回路図において、電流が流れている接続線や素子を強調表示するなどして、電気回路の状態をユーザに分かり易く表示する回路図作成装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-233464号公報
【特許文献2】特開2010-250370号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の回路図作成装置から得られるのは素子などの局所的な情報であり、電気回路の保守や動作確認などの作業をする際には電気回路の全体を確認し直す必要があった。
【0005】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、ユーザによる電気回路の確認を支援することができる回路図作成装置及びプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、以下に開示する回路図作成装置は、素子の特性の情報である素子情報と、前記素子を用いて構築された電気回路の情報である回路情報とを記憶する記憶部と、前記記憶部が記憶する前記素子情報及び前記回路情報に基づいて、前記電気回路を表示するための出力情報を生成する演算処理部と、ユーザによる前記電気回路に含まれる前記素子を指定する操作が入力される入力部と、を備え、前記演算処理部は、前記入力部を介して前記ユーザに指定された前記素子である指定素子を目標の状態にするために操作すべき前記電気回路内の部分を表示するための前記出力情報、または、前記指定素子を目標の状態に変動させた場合における、前記電気回路に含まれる機能毎に分割された小回路のうち当該指定素子に連動して状態が変動する前記素子を含む前記小回路の出力を表示するための前記出力情報を生成する。
【発明の効果】
【0007】
上記の回路図作成装置によれば、表示された出力情報を見たユーザが、指定素子と電気回路との関係性を容易に把握することができる。したがって、ユーザによる電気回路の確認を支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の実施形態に係る回路図作成装置1の構成の一例について示すブロック図である。
図2図2は、回路図作成装置1が出力する出力情報の基本的な例を示す図である。
図3図3は、回路図作成装置1が出力する出力情報の基本的な例を示す図である。
図4図4は、回路図作成装置1が出力する出力情報の基本的な例を示す図である。
図5図5は、回路図作成装置1が出力する出力情報の基本的な例を示す図である。
図6図6は、回路図作成装置1が出力する出力情報の基本的な例を示す図である。
図7図7は、回路図作成装置1が出力する出力情報の基本的な例を示す図である。
図8図8は、停電用素子を表示するモードで、ユーザがリレーR1を選択した場合に、回路図作成装置1が出力する出力情報の一例を示す図である。
図9図9は、停電用素子を表示するモードで、ユーザがリレーR1を選択した場合に、回路図作成装置1が出力する出力情報の一例を示す図である。
図10図10は、停電用素子を表示するモードで、ユーザがリレーR1を選択した場合に、回路図作成装置1が出力する出力情報の一例を示す図である。
図11図11は、特定の小回路の出力を表示するモードで、ユーザがスイッチP3を選択した場合に、回路図作成装置1が出力する出力情報の一例を示す図である。
図12図12は、特定の小回路の出力を表示するモードで、ユーザがスイッチP3を選択した場合に、回路図作成装置1が出力する出力情報の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の構成を充足する範囲内で、適宜設計変更を行うことが可能である。また、以下の説明において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。また、実施形態および変形例に記載された各構成は、適宜組み合わされてもよいし、変更されてもよい。また、説明を分かりやすくするために、以下で参照する図面においては、構成が簡略化または模式化して示されたり、構成の一部が省略されたりしている。
【0010】
本発明の実施形態に係る回路図作成装置の構成の一例について、図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施形態に係る回路図作成装置1の構成の一例について示すブロック図である。
【0011】
図1に示すように、回路図作成装置1は、記憶部11と、演算処理部12と、入力部13を備える。記憶部11は、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などの不揮発性の記憶装置や、RAM(Random Access Memory)などの揮発性の記憶装置で構成される。演算処理部12は、例えばCPU(Central Processing Unit)などの演算処理装置で構成される。入力部13は、キーボード、マウス、タッチパネルなどの入力装置で構成される。例えば、記憶部11、演算処理部12及び入力部13は、パソコンまたはサーバコンピュータの一部または全部として構成される。なお、記憶部11は、複数の記憶装置で構成されてもよく、例えば不揮発性の記憶装置と揮発性の記憶装置を組み合わせて構成されてもよい。また、記憶部11、演算処理部12及び入力部13の一部が、他の部分から離れた場所にあるサーバ等の一部として構成され、インターネット等のネットワークを介して情報のやり取りを行うものであってもよい。
【0012】
記憶部11は、素子情報と、回路情報を記憶する。素子情報は、電気回路に用いられる各種素子の特性の情報である。素子情報には、抵抗値などの素子そのものの特性のほか、実際の回路に用いられている素子の識別情報(タグや線番など)なども含まれる。回路情報は、素子を用いて構築された電気回路の情報であり、例えばユーザが入力部13を操作することによって演算処理部12によって作成される。例えば、素子情報及び回路情報は、電気回路のCADデータを構成する情報である。
【0013】
演算処理部12は、記憶部11が記憶する素子情報及び回路情報に基づいて、これらの情報によって構成される電気回路を表示するための出力情報を生成する。出力情報は、液晶ディスプレイなどの表示装置に入力され、ユーザに対して表示される。なお、詳細については後述するが、演算処理部12は、ある電気回路を表示する出力情報を出力している間に、入力部13を介してユーザの操作が入力されると、当該操作に応じて出力情報を変更して、ユーザに対して表示する内容を変更する。
【0014】
次に、回路図作成装置1による基本的な出力例について説明する。図2ないし図7は、回路図作成装置1が出力する出力情報の基本的な例を示す図である。なお、以下では、回路図作成装置1が、電気回路の一種であるシーケンス図を表す出力情報を出力する場合について例示する。また、図2ないし図7は、出力情報を表示装置で表示した場合の表示結果を示したものである。
【0015】
図2ないし図4に示す出力情報は、正母線PLと負母線NLの間に、起動回路と、モータ起動回路と、トリップ回路を備える電気回路を表示するものである。起動回路は、固定接点が正母線PLに接続されたスイッチS1と、固定接点が正母線PLに接続されたリレーR1のスイッチP1と、スイッチS1の可動接点及びスイッチP1の可動接点のそれぞれに固定接点が接続されるリレーR2のスイッチP5と、一端がスイッチP5の可動接点に接続されて他端が負母線NLに接続されるリレーR1の励磁部C1と、を備える。モータ起動回路は、固定接点が正母線PLに接続されたリレーR1のスイッチP2と、スイッチP2の可動接点に固定接点が接続されるリレーR2のスイッチP6と、一端がスイッチP6の可動接点に接続されて他端が負母線NLに接続されるリレーMの励磁部M1と、を備える。トリップ回路は、固定接点が正母線PLに接続されて過電流が検出された場合に導通状態になるスイッチP3と、固定接点が正母線PLに接続されて地絡を検出された場合に導通状態になるスイッチP4と、一端がスイッチP3の可動接点及びスイッチP4の可動接点のそれぞれに接続されて他端が負母線NLに接続されるリレーR2の励磁部C2と、を備える。なお、起動回路、モータ起動回路及びトリップ回路のように、電気回路に含まれる機能毎に分割された回路を、小回路という。なお、小回路は、シーケンス図で表した場合に、正母線PLと負母線NLの間に設けられて互いに並列である回路とも説明することができる。
【0016】
正母線PLには、起動回路、モータ起動回路及びトリップ回路と電源との導通の有無を制御するための電源スイッチSPが設けられている。また、負母線NLには、起動回路、モータ起動回路及びトリップ回路と電源との導通の有無を制御するための電源スイッチSNが設けられている。電源スイッチSP,SNは、シーケンス図上で連動して動作するスイッチである。
【0017】
図2ないし図4に示す出力情報では、リレーR1,M,R2の励磁部にこれらのリレーの符号が記載されるとともに、それぞれの接点にもこれらのリレーの符号が表示され、それぞれの対応関係が明示されている。また、図2ないし図7では、小回路の名称も表示されている。
【0018】
図2に示す出力情報は、電源スイッチSP,SNのそれぞれが開状態であり、電源部と各回路が電気的に切断されている場合を示すものである。また、図2に示す出力情報では、スイッチS1及びスイッチP1~P4が開状態であり、スイッチP5,P6が閉状態になっている。さらに、図2に示す出力情報では、正母線PL及び負母線NLにおける、電源スイッチSP,SNよりも小回路の反対側となる部分が強調表示(例えば、導線や素子の色を赤などの目立つ色にする、線を太くするなど)され、電流が小回路に与えられないことが表現されている。
【0019】
図2に示す出力情報が表示されている状態で、例えばユーザが入力部13を操作して電源スイッチSPまたは電源スイッチSNを指定すると、図3に示すように、電源スイッチSP,SNが閉状態になり、正母線PL及び負母線NLにおける、電源スイッチSP,SNよりも小回路側となる部分が強調表示される。
【0020】
図3に示す出力情報が表示されている状態で、例えばユーザが入力部13を操作してスイッチS1を指定すると、リレーR1の励磁部C1が導通し、スイッチP1,P2が閉状態になる。これにより、図4に示すように、起動回路及びモータ起動回路のそれぞれの全体が強調表示される。
【0021】
図5ないし図7に示す出力情報は、図2ないし図4に示した出力情報と同様に、起動回路とモータ起動回路を備えるものである。ただし、図5ないし図7に示す出力情報において、起動回路は、一端がスイッチS1の可動接点とスイッチP1の可動接点のそれぞれに接続されて他端が負母線NLに接続されるタイマーTをさらに備えている。また、モータ起動回路は、図2ないし図4に示したスイッチP2の代わりに、タイマーTと連動して開閉するスイッチP5を備える。
【0022】
図5に示す出力情報は、電源スイッチSP,SNのそれぞれが開状態であり、電源部と各回路が電気的に切断されている場合を示すものである。また、図5に示す出力情報では、スイッチS1及びスイッチP1,P2が開状態である。さらに、図5に示す出力情報では、正母線PL及び負母線NLにおける、電源スイッチSP,SNよりも小回路の反対側となる部分が強調表示され、電流が小回路に与えられないことが表現されている。
【0023】
図5に示す出力情報が表示されている状態で、例えばユーザが入力部13を操作して電源スイッチSPまたは電源スイッチSNを指定し、さらにスイッチS1を指定すると、図6に示すように、電源スイッチSP,SNが閉状態になって電源スイッチSP,SNよりも小回路側となる正母線PL及び負母線NLも強調表示される。また、リレーR1の励磁部C1が導通し、スイッチP1が閉状態になり、これらの素子と当該素子に接続されている導線が強調表示される。さらに、タイマーTも導通して強調表示され、タイマーTにおいてカウントが開始されたことが表現される。
【0024】
図6に示す出力情報が表示されている状態で、所定の時間が経過すると、タイマーTのカウントが満了し、スイッチP5が閉状態になる。すると、図7に示すように、モータ起動回路の全体が強調表示される。なお、図7に示すように、カウントが満了したタイマーTは、図6に示すカウント中とは異なる状態で強調表示される。
【0025】
なお、演算処理部12は、特定の素子の情報を含む出力情報を生成してもよい。例えば、図2ないし図7の出力情報が表示されている状態で、ユーザが入力部13を操作して特定の素子を選択した場合、演算処理部12が、当該素子の情報(定格値、識別情報、素子の写真など)を表示する出力情報を生成してもよい。
【0026】
本発明の実施形態に係る回路図作成装置1は、上記のような基本的な出力情報だけでなく、電気回路の確認を支援する出力情報も出力する。以下、回路図作成装置1が、このような出力情報を出力する場合の動作について説明する。
【0027】
最初に、ユーザが電気回路内のある素子(指定素子)を指定した場合において、指定素子への電力供給が停止した状態にするために操作すべき素子(停電用素子)を強調表示する場合の動作について図面を参照して説明する。図8ないし図10は、停電用素子を表示するモードで、ユーザがリレーR1を選択した場合に、回路図作成装置1が出力する出力情報の一例を示す図である。
【0028】
図8は、図4に示す出力情報と同様であるが、ユーザが入力部13を操作して、停電用素子を表示するモードになっているものとする。図8において、ユーザが、入力部13を操作してリレーR1の励磁部C1(または、スイッチP1,P2)を指定した場合、例えば、図9に示すように、演算処理部12は、停電用素子である電源スイッチSP,SNを指し示す矢印Aを表示するなどして、電源スイッチSP,SNを強調表示する。なお、停電用素子は、電源スイッチSP,SNのように正母線PL,負母線NLに設けられたスイッチであってもよいし、各小回路に設けられたスイッチなどであってもよい。また、指定素子が、リレーなどの複数の小回路に含まれている場合は、複数の小回路に分散する全ての指定素子に電力の供給が停止されるように停電用素子が選択されて強調表示されるものとする。
【0029】
図9に示す状態で、例えば、ユーザが入力部13を操作して停電用素子である電源スイッチSP,SN(または、矢印A)を指定すると、図10に示すように、電源スイッチSP,SNが開状態になり、リレーR1(励磁部C1及びスイッチP1,P2)に電力供給が停止した状態が表示される。
【0030】
図9に示すように、演算処理部12が、停電用素子を強調して表示するための出力情報を生成すると、電気回路内で指定素子に対応した停電用素子をユーザに把握させて、指定素子の交換など保守のために必要な電気回路の構成の確認を支援することができる。
【0031】
さらに、図10に示すように、演算処理部12が、停電用素子が操作されて指定素子への電力供給が停止した状態を表示するための出力情報を生成すると、停電用素子を操作すれば指定素子に電力が供給されなくなることを、ユーザに確認させることができる。
【0032】
なお、演算処理部12は、指定素子の情報を含む出力情報を生成してもよい。例えば、演算処理部12が、図9または図10において、指定素子の情報(定格値、識別情報、素子の写真など)や、指定素子の交換手順などを併せて表示する出力情報を生成してもよい。また、複数の素子が搭載される端子台などを表示して、これを指定素子として選択できるようにしてもよい。
【0033】
次に、ユーザが指定素子を指定した場合において、指定素子が動作して目標の状態になった場合における、指定素子に連動して状態が変動する素子を含む小回路の出力を表す場合の動作について図面を参照して説明する。図11及び図12は、特定の小回路の出力を表示するモードで、ユーザがスイッチP3を選択した場合に、回路図作成装置1が出力する出力情報の一例を示す図である。
【0034】
図11は、図4に示す出力情報と同様であるが、ユーザが入力部13を操作して、上述した特定の小回路の出力を表示するモードになっているものとする。図11において、ユーザが、入力部13を操作してスイッチP3を指定した場合、例えば、図12に示すように、演算処理部12は、スイッチP3がオンの状態になった場合において、スイッチP3に連動して状態が変動する素子が含まれる小回路の出力について、当該出力をまとめた表OPなどで表示する。例えば、図12では、スイッチP3がオンの状態になると、スイッチP3に連動して、リレーR2がオンになり、さらにスイッチP5,P6がオフになるから、リレーR2及びスイッチP5,P6を含む小回路である、起動回路、モータ起動回路及びトリップ回路のそれぞれの出力が、表OPとしてまとめて表示されている。なお、小回路の出力は、例えば、通電していれば「出力」、通電していなければ「無出力」という単純なものであってもよいし、シミュレーションによって算出した電流値などであってもよい。
【0035】
図12に示すように、演算処理部12が、指定素子を目標の状態に変動させた場合における指定素子に連動して状態が変動する素子を含む小回路の出力を表示するための出力情報を生成すると、指定素子に連動して変動する電気回路内の小回路の出力をユーザに把握させて、ユーザによる電気回路の動作の確認を支援することができる。
【0036】
なお、演算処理部12は、指定素子の情報を含む出力情報を生成してもよい。例えば、演算処理部12が、図12において、指定素子の情報(定格値、識別情報、素子の写真など)を併せて表示する出力情報を生成してもよい。
【0037】
以上のように、本発明の実施形態に係る回路図作成装置1は、指定素子を目標の状態にするために操作すべき電気回路内の部分を表示するための出力情報、または、指定素子が目標の状態に変動させた場合における指定素子に連動して状態が変動する素子を含む小回路の出力を表示するための出力情報を生成する。これにより、表示された出力情報を見たユーザは、指定素子と電気回路との関係性を容易に把握することができるため、ユーザによる電気回路の確認を支援することができる。
【0038】
以上、上述した実施形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。本発明は上述した実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施形態を適宜変形して実施することが可能である。
【0039】
例えば、上述の実施形態では、図8ないし図10を参照して、演算処理部12が、指定素子を電力供給が停止した状態にするために操作すべき電気回路内の場所を表示するための出力情報を生成する場合について例示したが、指定素子をこれ以外の状態(例えば、短絡など)にするために操作すべき電気回路内の場所を表示するための出力情報を生成してもよい。また、上述の実施形態では、図11及び図12を参照して、演算処理部12が、指定素子が所定の状態である場合における電気回路内の小回路のそれぞれの出力を表示するための出力情報を生成する場合について例示したが、これ以外の電気回路の出力を表示するための出力情報を生成してもよい。
【0040】
また、例えば、上述の実施形態では、図8ないし図12において、ユーザが1つの指定素子を選択する場合について例示したが、複数の指定素子を選択可能としてもよい。この場合、演算処理部12は、指定素子のそれぞれを目標の状態にするために操作すべき電気回路内の部分を表示するための出力情報、または、指定素子のそれぞれを目標の状態に変動させた場合における当該指定素子に連動して状態が変動する素子を含む小回路の出力を表示するための出力情報を生成する。
【0041】
例えば、図8ないし図10に示した例のように、演算処理部12が、指定素子を電力供給が停止した状態にするために操作すべき電気回路内の場所を表示する場合、全ての選択素子の大元にある電源スイッチなどが強調表示されてもよいし、個々の選択素子について電力供給を停止するための電源スイッチのそれぞれが強調表示されてもよい。また、可能であれば全ての指定素子の大元にある電源スイッチが強調表示されるが、それができない場合(例えば、全ての指定素子の大元にある電源スイッチが、操作されると電気回路への影響が大きいために強調表示できないものとして設定されている場合や、全ての指定素子の大元にある電源スイッチが回路情報に含まれていない場合など)は、個々の選択素子への電力供給を停止するための電源スイッチのそれぞれが強調表示されてもよい。また、電源スイッチに限らず、指定素子が搭載された端子台が強調表示されてもよいし、全ての指定素子の大元にある電源スイッチが強調表示できない場合に、指定素子が搭載された端子台が強調表示されてもよい。
【0042】
また、例えば、図11及び図12に示した例のように、演算処理部12が、指定素子が所定の状態である場合における電気回路内の小回路のそれぞれの出力を表示するための出力情報を生成する場合、複数の指定素子のそれぞれが所定の状態になった場合における、当該指定素子に連動して状態が変動する素子を含む小回路の出力が表示されてもよい。この場合、例えば、小回路の出力が1つの表にまとめて表示されてもよいし、指定素子ごとに別々の表として表示されてもよい。
【0043】
また、上述の実施形態では、演算処理部12が、記憶部11に記憶されたプログラムを実行することで、上述した回路図作成装置1の動作を実現する場合について例示した。一方、上述の実施形態とは別の実施形態として、当該プログラムが、コンピュータが読み取り可能な任意の記憶媒体(プログラム記憶媒体)として頒布されてもよいし、無線または有線の通信回線を通じて伝送されるなどして頒布されてもよい。
【0044】
また、上述した回路図作成装置は、以下のように説明することができる。
【0045】
回路図作成装置は、素子の特性の情報である素子情報と、前記素子を用いて構築された電気回路の情報である回路情報とを記憶する記憶部と、前記記憶部が記憶する前記素子情報及び前記回路情報に基づいて、前記電気回路を表示するための出力情報を生成する演算処理部と、ユーザによる前記電気回路に含まれる前記素子を指定する操作が入力される入力部と、を備え、前記演算処理部は、前記入力部を介して前記ユーザに指定された前記素子である指定素子を目標の状態にするために操作すべき前記電気回路内の部分を表示するための前記出力情報、または、前記指定素子を目標の状態に変動させた場合における、前記電気回路に含まれる機能毎に分割された小回路のうち当該指定素子に連動して状態が変動する前記素子を含む前記小回路の出力を表示するための前記出力情報を生成する(第1の構成)。この構成によれば、表示された出力情報を見たユーザが、指定素子と電気回路全体との関係性を容易に把握することができる。したがって、ユーザによる電気回路の確認を支援することができる。
【0046】
第1の構成において、前記演算処理部は、前記指定素子への電力供給が停止した状態にするために操作すべき前記素子である停電用素子を強調して表示するための前記出力情報を生成してもよい(第2の構成)。この構成によれば、電気回路内で指定素子に対応した停電用素子をユーザに把握させて、指定素子の交換など保守のために必要な電気回路の構成の確認を支援することができる。
【0047】
また、第2の構成において、前記演算処理部は、前記停電用素子が操作されて前記指定素子への電力供給が停止した状態を表示するための前記出力情報を生成してもよい(第3の構成)。この構成によれば、停電用素子を操作すれば指定素子に電力が供給されなくなることを、ユーザに確認させることができる。
【0048】
また、第1~第3のいずれか1つの構成において、前記演算処理部は、前記入力部を介して前記ユーザによって複数の前記指定素子が選択された場合、当該指定素子のそれぞれを目標の状態にするために操作すべき前記電気回路内の部分を表示するための前記出力情報、または、当該指定素子のそれぞれを目標の状態に変動させた場合における当該指定素子に連動して状態が変動する前記素子を含む前記小回路の出力を表示するための前記出力情報を生成してもよい(第4の構成)。この構成によれば、表示された出力情報を見たユーザが、複数の指定素子と電気回路全体との関係性を容易に把握することができるため、ユーザによる電気回路の確認を支援することができる。
【0049】
また、上述した回路図作成装置で利用されるプログラムは、素子の特性の情報である素子情報と、前記素子を用いて構築された電気回路の情報である回路情報とに基づいて、前記電気回路を表示するための出力情報を生成する処理を、コンピュータに実行させるプログラムであって、ユーザによる前記電気回路に含まれる前記素子の指定を受け付ける処理と、前記ユーザに指定された前記素子である指定素子を目標の状態にするために操作すべき前記電気回路内の部分を表示するための前記出力情報、または、前記指定素子を目標の状態に変動させた場合における、前記電気回路に含まれる機能毎に分割された小回路のうち当該指定素子に連動して状態が変動する前記素子を含む前記小回路の出力を表示するための前記出力情報を生成する処理と、を前記コンピュータに実行させる(第5の構成)。
【符号の説明】
【0050】
1…回路図作成装置、11…記憶部、12…演算処理部、13…入力部、A…矢印、OP…表
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