(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024023190
(43)【公開日】2024-02-21
(54)【発明の名称】有機化合物およびこれを含む有機電界発光素子
(51)【国際特許分類】
C07F 5/02 20060101AFI20240214BHJP
C09K 11/06 20060101ALI20240214BHJP
H10K 85/30 20230101ALI20240214BHJP
H10K 50/12 20230101ALI20240214BHJP
【FI】
C07F5/02 A CSP
C09K11/06 660
H10K85/30
H10K50/12
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023183623
(22)【出願日】2023-10-26
(62)【分割の表示】P 2021568929の分割
【原出願日】2020-05-25
(31)【優先権主張番号】10-2019-0060940
(32)【優先日】2019-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0061210
(32)【優先日】2020-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】518196550
【氏名又は名称】マテリアル サイエンス カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】MATERIAL SCIENCE CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【弁理士】
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】イ ドンフン
(72)【発明者】
【氏名】ド グァンソク
(72)【発明者】
【氏名】ユ ジウン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】寿命、効率、電気化学的安定性、および熱的安定性に優れた有機化合物およびこれを含む有機電界発光素子を提供する。
【解決手段】下記化学式1で表される化合物。式中、n、m、o、pは、1、Y
1、Y
2は、B、X
1~X
4はO等であり、A、B、C、D、Eはアリール基等であり、前記A、C、Eのうちの少なくとも1つは、ヘテロアリール基である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表される化合物:
【化1】
ここで、
n、m、o、およびpは互いに同一または異なり、それぞれ独立して0または1の整数であり、
n+m+o+pは2以上の整数であり、
Y
1およびY
2は互いに同一または異なり、それぞれ独立してB、N、C、(R
1)(R
2)、P=OまたはP=Sであり、
X
1~X
4は互いに同一または異なり、それぞれ独立してB(R
3)、N(R
4)、O、S、またはSeであり、
A、B、C、D、およびEは互いに同一または異なり、それぞれ独立して置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、または置換もしくは非置換の炭素数2~60のヘテロアリール基であり、
A、B、C、D、およびEのうちの少なくとも1つは、置換または非置換の炭素数2~60のヘテロアリール基であり、
前記R
1~R
4は互いに同一または異なり、それぞれ独立して水素、シアノ基、トリフルオロメチル基、ニトロ基、ハロゲン基、ヒドロキシ基、置換または非置換の炭素数1~4のアルキルチオ基、置換または非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換または非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素数2~30のアルケニル基、置換または非置換の炭素数2~24のアルキニル基、置換または非置換の炭素数7~30のアラルキル基、置換または非置換の炭素数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素数2~60のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素数3~20のヘテロシクロアルキル基、置換または非置換の炭素数3~30のヘテロアリールアルキル基、置換または非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、置換または非置換の炭素数1~30のアルキルアミノ基、置換または非置換の炭素数6~30のアリールアミノ基、置換または非置換の炭素数6~30のアラルキルアミノ基、置換または非置換の炭素数2~24のヘテロアリールアミノ基、置換または非置換の炭素数1~30のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素数6~30のアリールシリル基、および置換または非置換の炭素数6~30のアリールオキシ基からなる群より選択され、隣接する基と互いに結合して置換または非置換の環を形成し得る。
【請求項2】
前記A、C、およびEのうち少なくとも1つは置換または非置換の炭素数3~20のヘテロアリール基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記A、C、およびEは互いに同一または異なり、それぞれ独立して下記化学式2または化学式3で表される、請求項1に記載の化合物:
【化2】
ここで、
X
5~X
10およびX
12~X
15は互いに同一または異なり、それぞれ独立してC(R
5)、N、SおよびOからなる群より選択され、
X
11は、C(R
6)(C
7)N(R
8)、S、Oからなる群より選択され、
R
5~R
8は互いに同一または異なり、それぞれ独立して水素、シアノ基、トリフルオロメチル基、ニトロ基、ハロゲン基、ヒドロキシ基、置換または非置換の炭素数1~4のアルキルチオ基、置換または非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換または非置換の炭素数1~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素数2~30のアルケニル基、置換または非置換の炭素数2~24のアルキニル基、置換または非置換の炭素数7~30のアラルキル基、置換または非置換の炭素数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素数2~60のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素数6~30のヘテロアリールアルキル基、置換または非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、置換または非置換の炭素数1~30のアルキルアミノ基、置換または非置換の炭素数6~30のアリールアミノ基、置換または非置換の炭素数6~30のアラルキルアミノ基、置換または非置換の炭素数2~24のヘテロアリールアミノ基、置換または非置換の炭素数1~30のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素数6~30のアリールシリル基と置換または非置換の炭素数6~30のアリールオキシ基からなる群より選択され、隣接する基と互いに結合して置換または非置換の環を形成し得る。
【請求項4】
前記Y1およびY2は互いに同一または異なり、それぞれ独立してBまたはNである、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
前記BおよびDは互いに同一または異なり、それぞれ独立して置換または非置換の炭素数6~30のアリール基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
第1電極と、
前記第1電極に対向して備えられた第2電極と、
前記第1電極と第2電極との間に備えられた1層以上の有機物層を含む有機電界発光素子であって、
前記1層以上の有機物層のうちの少なくとも1つは、請求項1に記載の化合物を含むものである、有機電界発光素子。
【請求項7】
前記有機物層は、正孔注入層、正孔輸送層、電子遮断層、発光層、正孔遮断層、電子輸送層、および電子注入層からなる群より選択される、請求項6に記載の有機電界発光素子。
【請求項8】
前記有機物層は発光層である、請求項6に記載の有機電界発光素子。
【請求項9】
前記有機物層は、正孔注入層、正孔輸送層または電子遮断層である、請求項6に記載の有機電界発光素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規の有機化合物およびこれを含む有機電界発光素子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
有機電界発光素子(OLED)は、従来の液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)および電界放出ディスプレイ(FED)などの平板表示素子に比べて構造が簡単で、製造工程上の様々な利点があり、高い輝度および視野角特性に優れ、応答速度が速く、駆動電圧が低いので壁掛けTVなどのフラットパネルディスプレイまたはディスプレイのバックライト、照明、広告版などの光源として使用されるように開発が盛んに行われ、製品化されている。
【0003】
有機電界発光素子は、イーストマン・コダック社のタン(CW Tang)等により最初の有機EL素子が報告(CW Tang、SA Vanslyke、Applied Physics Letters、51巻913p、1987年)されており、その発光原理は一般に、電圧を印加したとき、正極から注入された正孔と負極から注入された電子とが再結合して電子-正孔対のエキシトンを形成し、このエキシトンのエネルギーを発光材料に伝達することによって光に変換されることを基礎とする。
【0004】
より具体的に、有機電界発光素子は、負極(電子注入電極)と正極(正孔注入電極)、および前記両電極の間に1つ以上の有機層を含む構造を有する。この際、有機電界発光素子は、正極から正孔注入層(HIL、hole injection layer)、正孔輸送層(HTL、hole transport layer)、発光層(EML、light emitting layer)、電子輸送層(ETL、electron transport layer)または電子注入層(EIL、electron injection layer)の順に積層され、発光層の効率を高めるために、電子遮断層(EBL、electron blocking layer)または正孔遮断層(HBL、hole blocking layer)をそれぞれ発光層の前後に追加で含み得る。
【0005】
有機電界発光素子の有機層で使用される物質としては、純粋な有機物質または有機物質と金属が錯体をなす錯化合物が大部分を占めており、用途に応じて正孔注入物質、正孔輸送物質、発光物質、電子輸送物質、電子注入物質などに区分され得る。
【0006】
ここで、正孔注入物質や正孔輸送物質としては、容易に酸化され、酸化時に電気化学的に安定した状態を有する有機物が主に使用されている。電子注入物質や電子輸送物質としては、容易に還元し還元時に電気化学的に安定した状態を有する有機物が主として使用されている。
【0007】
一方、発光層物質としては、酸化状態と還元状態とにおいていずれも安定した形態を有する物質が好ましく、エキシトンが形成されたとき、これを光に変換する発光効率の高い物質が好ましい。より具体的に、発光層は、ホスト(host)とドーパント(dopant)の2つの物質からなり、ドーパントは量子効率が高くあるべきで、ホスト物質はドーパント物質よりエネルギーギャップが大きくてドーパントへのエネルギー転移が容易に起こるようにすることが好ましい。TV、モバイルなどに使用されるディスプレイ(Display)は、赤、緑、青の3色でフルカラー(Full color)を実現しており、発光層はそれぞれ、赤色ホスト/ドーパント、緑色ホスト/ドーパント、そして青色ホスト/ドーパントからなる。
【0008】
従来の青色ドーパントとして使用される物質は、パリレン(Perylene)、クマリン(Coumarine)、アントラセン(Anthracene)、ピレン(Pyrene)などの蛍光分子の活用が多くの割合を占めていたが、ドーパントの発光スペクトルおよび半値幅(Full width half the maximum)が広いため、素子製造の際に純粋な青色光を活用できないという欠点がある。このような特性は、素子の共振構造において青色の効率を低下させるだけでなく、濃い青色(Deep Blue)区間の活用を難しくする主な理由である。
【0009】
近年、素子の発光スペクトルが狭く素子効率の高いボロン系ドーパントを活用した文献がAdv. Mater. 2016、 28、 2777-2781、およびAngew. Chem. Int. Ed 2017、56、5087-5090に発表され、韓国公開特許第10-2016-0119683号公報に開示された。従来紹介されたボロン系青色ドーパント物質の場合、ボロン原子が中心に含まれ環化されており、これによってボロンが3配位結合のみを成すこととなり、分子の構造が平面状態を維持するようになる。
【0010】
このような平面構造のドーパントは、分子の振動モード(Vibration Mode)のエネルギーレベル(Energy Level)が近似して、発光スペクトルおよび半値幅が狭くなり純粋な光を出せる利点がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Krebs, Frederik C., et al. “Synthesis, Structure, and Properties of 4, 8, 12-Trioxa-12c-phospha-4, 8, 12, 12c-tetrahydrodibenzo [cd, mn] pyrene, a Molecular Pyroelectric.” Journal of the American Chemical Society 119.6 (1997): 1208-1216.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、新規な有機化合物と、これを含む有機電界発光素子を提供することである。
【0013】
本発明の他の目的は、狭い発光スペクトルおよび半値幅を有する有機化合物であり、発光層の材料などとして使用され得る新規化合物を提供することである。
【0014】
本発明のまた他の目的は、寿命、効率、電気化学的安定性、および熱的安定性に優れた有機化合物を用いて、駆動電圧が低く、低ドーピング区間において効率が高く、過ドーピング区間においても相対的に効率の減少が抑制され、特に寿命などの特性に優れた有機電界発光素子を提供することである。
【0015】
本発明のまた他の目的は、前記有機化合物を用いてAM-OLEDに好適な青色系の青色ホスト/ドーパントシステムおよび有機電界発光素子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記目的を達成するために、本発明は下記化学式1で表される化合物を提供することとする。
【0017】
【化1】
ここで、
n、m、o、およびpは互いに同一または異なり、それぞれ独立して0または1の整数であり、
n+m+o+pは2以上の整数であり、
Y
1およびY
2は互いに同一または異なり、それぞれ独立してB、N、C、(R
1)(R
2)、P=OまたはP=Sであり、
X
1~X
4は互いに同一または異なり、それぞれ独立してB(R
3)、N(R
4)、O、S、またはSeであり、
A、B、C、D、およびEは互いに同一または異なり、それぞれ独立して置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、または置換もしくは非置換の炭素数2~60のヘテロアリール基であり、
A、B、C、D、およびEのうちの少なくとも1つは、置換または非置換の炭素数2~60のヘテロアリール基であり、
前記R
1~R
4は互いに同一または異なり、それぞれ独立して水素、シアノ基、トリフルオロメチル基、ニトロ基、ハロゲン基、ヒドロキシ基、置換または非置換の炭素数1~4のアルキルチオ基、置換または非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換または非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素数2~30のアルケニル基、置換または非置換の炭素数2~24のアルキニル基、置換または非置換の炭素数7~30のアラルキル基、置換または非置換の炭素数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素数2~60のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素数3~20のヘテロシクロアルキル基、置換または非置換の炭素数3~30のヘテロアリールアルキル基、置換または非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、置換または非置換の炭素数1~30のアルキルアミノ基、置換または非置換の炭素数6~30のアリールアミノ基、置換または非置換の炭素数6~30のアラルキルアミノ基、置換または非置換の炭素数2~24のヘテロアリールアミノ基、置換または非置換の炭素数1~30のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素数6~30のアリールシリル基、および置換または非置換の炭素数6~30のアリールオキシ基からなる群より選択され、隣接する基と互いに結合して置換または非置換の環を形成し得る。
【0018】
また、本発明は、第1電極と、前記第1電極に対向して備えられた第2電極と、前記第1電極と第2電極との間に備えられた1層以上の有機物層と、を含む有機発光素子であって、前記1層以上の有機物層のうち少なくとも1つは、前記化学式1で表される化合物を含むものである有機電界発光素子を提供する。
【0019】
例えば、前記有機電界発光素子は、正孔注入層、正孔輸送層、電子遮断層、発光層、正孔遮断層、電子輸送層、電子注入層などを含む構造を有し得る。しかし、有機電界発光素子の構造はこれに限定されず、さらに少ない数の有機物層を含み得る。
【0020】
本発明の好ましい一具体例によると、前記有機物層は発光層であり、前記発光層は前記化学式1で表される化合物を含むことを特徴とし得る。
【0021】
本発明の好ましい一具体例によると、前記有機物層は正孔注入層、正孔輸送層または電子遮断層であり、前記正孔注入層、正孔輸送層または電子遮断層は、前記化学式1で表される化合物を含むことを特徴とし得る。
【0022】
本発明において、「水素」は、水素、軽水素、重水素、または三重水素である。
【0023】
本明細書において、「ハロゲン基」は、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素である。
【0024】
本発明において、「アルキル」は、炭素数1~40の直鎖または側鎖の飽和炭化水素に由来する1価の置換基のことを意味する。その例としては、メチル、エチル、プロピル、イソブチル、sec-ブチル、ペンチル、iso-アミル、ヘキシルなどが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0025】
本発明において、「アルケニル(alkenyl)」は、炭素同士の二重結合を1個以上有する炭素数2~40の直鎖または側鎖の不飽和炭化水素に由来する1価の置換基のことを意味する。その例としては、ビニル(vinyl)、アリル(allyl)、イソプロペニル(isopropenyl)、2-ブテニル(2-butenyl)などが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0026】
本発明において、「アルキニル(alkynyl)」は、炭素同士の三重結合を1個以上の炭素数2~40の直鎖または側鎖の不飽和炭化水素に由来する1価の置換基のことを意味する。その例としては、エチニル(ethynyl)、2-プロピニル(2-propynyl)などが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0027】
本発明において、「アルキルチオ」は、硫黄連結(-S-)を介して結合された前記に記載のアルキル基のことを意味する。
【0028】
本発明において、「アリール」は、単環または2以上の環が組み合わされた炭素数6~60の芳香族炭化水素に由来する1価の置換基のことを意味する。また、2以上の環が互いにペンダント形態(pendant)または縮合した形態も含まれ得る。このようなアリールの例としては、フェニル、ナフチル、フェナントリル、アントリル、フルオニル、ジメチルフルオレニルなどが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0029】
本発明において、「ヘテロアリール」は、炭素数6~30の単環式複素環または多環式複素環芳香族炭化水素に由来の1価の置換基のことを意味する。この際、環のうち1つ以上の炭素、好ましくは1個~3個の炭素がN、O、S、またはSeのようなヘテロ原子で置換される。また、2以上の環が互いにペンダント形態(pendant)または縮合した形態も含まれ、さらには、アリール基との縮合された形態も含まれ得る。このようなヘテロアリールの例としては、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、トリアジニルのような6員モノサイクリック環、フェノキサチエニル(phenoxathienyl)、インドリジニル(indolizinyl)、インドリル(indolyl)、プリニル(purinyl)、キノリル(quinolyl)、ベンゾチアゾール(benzothiazole)、カルバゾリル(carbazolyl)のようなポリサイクリック環、および2フラニル、N-イミダゾリル、2-イソオキサゾリル、2-ピリジニル、2-ピリミジニルなどが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0030】
本発明において、「アリールオキシ」は、RO-で表示される1価の置換基であり、前記Rは炭素数6~60のアリールのことを意味する。このようなアリールオキシの例としては、フェニルオキシ、ナフチルオキシ、ジフェニルオキシなどが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0031】
本発明において、「アルキルオキシ」は、R’O-で表示される1価の置換基であり、前記R’は炭素数1~40のアルキルのことを意味し、直鎖(linear)、側鎖(branched)またはサイクリック(cyclic)構造を含み得る。アルキルオキシの例としては、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、1-プロポキシ、t-ブトキシ、n-ブトキシ、ペントキシなどが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0032】
本発明において、「アルコキシ」は、直鎖、分岐鎖または鎖環であり得る。アルコキシの炭素数は特に限定されないが、炭素数1~20のものが好ましい。具体的に、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、i-プロピルオキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、tert-ブトキシ、sec-ブトキシ、n-ペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、n-ヘキシルオキシ、3,3-ジメチルブチルオキシ、2-エチルブチルオキシ、n-オクチルオキシ、n-ノニルオキシ、n-デシルオキシ、ベンジルオキシ、p-メチルベンジルオキシなどが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0033】
本発明において、「アラルキル」は、アリールおよびアルキルが前記のようなアリール-アルキル基のことを意味する。好ましいアラルキルは、低級アルキル基を含む。好適なアラルキル基の非限定的な例は、ベンジル、2-フェネチル、およびナフタレニルメチルを含む。親部分への結合はアルキルを介して行われる。
【0034】
本発明において、「アリールアミノ基」は、炭素数6~30のアリール基で置換されたアミンのことを意味する。
【0035】
本発明において、「アルキルアミノ基」は、炭素数1~30のアルキル基で置換されたアミンのことを意味する。
【0036】
本発明において、「アラルキルアミノ基」は、炭素数6~30のアリール-アルキル基で置換されたアミンのことを意味する。
【0037】
本発明において、「ヘテロアリールアミノ基」は、炭素数6~30のアリール基およびヘテロ環基で置換されたアミン基のことを意味する。
【0038】
本発明において、「ヘテロアラルキル基」は、ヘテロ環基で置換されたアリール-アルキル基のことを意味する。
【0039】
本発明において、「シクロアルキル」は、炭素数3~40のモノサイクリックまたはポリサイクリック非芳香族炭化水素に由来する1価の置換基のことを意味する。このようなシクロアルキルの例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ノルボルニル(norbornyl)、アダマンチン(adamantine)などが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0040】
本発明において、「ヘテロシクロアルキル」は、炭素数3~40の非芳香族炭化水素に由来する1価の置換基のことを意味し、環のうちの1つ以上の炭素、好ましくは1個~3個の炭素がN、O、SまたはSeのようなヘテロ原子で置換される。このようなヘテロシクロアルキルの例としては、モルホリン、ピペラジンなどが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0041】
本発明において、「アルキルシリル」は、炭素数1~40のアルキルで置換されたシリルであり、「アリールシリル」は、炭素数6~60のアリールで置換されたシリルのことを意味する。
【0042】
本発明において、「縮合環」は、縮合脂環式、縮合芳香族環、縮合ヘテロ脂環式、縮合ヘテロ芳香族環、またはこれらの組み合わせの形態のことを意味する。
【0043】
本発明において、「隣接する基と互いに結合して環を形成する」とは、隣接する基と互いに結合して置換もしくは非置換の脂環式炭化水素、置換もしくは非置換の芳香族炭化水素環、置換もしくは非置換のヘテロ脂環式、置換もしくは非置換の芳香族ヘテロ環;またはこれらの縮合環を形成することを意味する。
【0044】
本明細書において、「脂環式化合物」とは、「脂環式炭化水素」と同一の意味で、芳香族ではない環として炭素と水素原子のみからなる環のことを意味する。
【0045】
本明細書において、「ヘテロ脂環式化合物」とは、「脂環式炭化水素」の炭素のうちの1個以上がヘテロ原子で置換され、ヘテロ原子を少なくとも1個以上含む脂環式化合物のことを意味する。
【0046】
本明細書において、「芳香族炭化水素環」の例としては、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基などがあるが、これらにのみ限定されるものではない。
【0047】
本明細書において、「ヘテロ脂環式」とは、ヘテロ原子のうちの1個以上を含む脂環式のことを意味する。
【0048】
本明細書において、「芳香族ヘテロ環」とは、ヘテロ原子のうちの1個以上を含む芳香族環のことを意味する。
【0049】
本明細書において、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素環、ヘテロ脂環式、および芳香族ヘテロ環は、単環または多環であり得る。
【0050】
本明細書において、「置換」は、化合物の炭素原子に結合した水素原子が他の置換基に変わることを意味し、置換される位置は水素原子が置換される位置、すなわち、置換基が置換可能な位置であれば限定せず、2以上置換される場合、2以上の置換基は互いに同一または異なり得る。前記置換基は、水素、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン基、ヒドロキシ基、炭素数1~30のアルキル基、炭素数2~30のアルケニル基、炭素数2~24のアルキニル基、炭素数2~30のヘテロアルキル基、炭素数6~30のアラルキル基、炭素数5~30のアリール基、炭素数2~30のヘテロアリール基、炭素数3~30のヘテロアリールアルキル基、炭素数1~30のアルコキシ基、炭素数1~30のアルキルアミノ基、炭素数6~30のアリールアミノ基、炭素数6~30のアラルキルアミノ基、および炭素数2~24のヘテロアリールアミノ基からなる群より選択される1つ以上の置換基で置換され得るが、前記例示に限定されない。
【0051】
本明細書において、「隣接する基と互いに結合して環を形成する」とは、隣接する基と互いに結合して置換または非置換の脂環式炭化水素、置換または非置換の芳香族炭化水素環、置換または非置換のヘテロ脂環式、置換または非置換の芳香族ヘテロ環、またはこれらの縮合環を形成することを意味する。
【発明の効果】
【0052】
本発明は、狭い発光スペクトルおよび半値幅を有する有機化合物であって発光層材料などとして使用され得る新規化合物を提供する。
【0053】
本発明は、寿命、効率、電気化学的安定性および熱的安定性に優れた有機化合物を用いて、駆動電圧が低く、色再現率を著しく向上させ得る有機電界発光素子を提供する。
【0054】
また、本発明は、前記有機化合物を用いて、AM-OLEDに好適な青色系の青色ホスト/ドーパントシステムおよび有機電界発光素子を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0055】
以下、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が容易に実施できるように、本発明の実施例について詳細に説明する。しかし、本発明は、様々な異なる形態で実現されることができ、ここに説明する実施例に限定されない。
【0056】
本発明による有機化合物は平面構造を有し、分子内の分子のπ-π相互作用を最小化しながら、分子の振動モード(Vibration Mode)のエネルギーレベル(Energy Level)がほぼ近似して、狭い発光スペクトルおよび半値幅を有することにより、色再現率を著しく向上させ得る。
【0057】
本発明による有機化合物は、ボロン系元素のように平面構造を提供する原子を含み分子内の励起二量体(Excimer)の生成を阻害し、コアの電子密度とドーパントの安定性とを増加させ、素子の効率および寿命の増加を可能にし得る。
具体的には、下記化学式1で表される化合物に関するものである。
【0058】
【化2】
ここで、
n、m、o、およびpは互いに同一または異なり、それぞれ独立して0または1の整数であり、
n+m+o+pは2以上の整数であり、
Y
1およびY
2は互いに同一または異なり、それぞれ独立してB、N、C、(R
1)(R
2)、P=OまたはP=Sであり、
X
1~X
4は互いに同一または異なり、それぞれ独立してB(R
3)、N(R
4)、O、S、またはSeであり、
A、B、C、D、およびEは互いに同一または異なり、それぞれ独立して置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、または置換もしくは非置換の炭素数2~60のヘテロアリール基であり、
A、B、C、D、およびEのうちの少なくとも1つは、置換または非置換の炭素数2~60のヘテロアリール基であり、
前記R
1~R
4は互いに同一または異なり、それぞれ独立して水素、シアノ基、トリフルオロメチル基、ニトロ基、ハロゲン基、ヒドロキシ基、置換または非置換の炭素数1~4のアルキルチオ基、置換または非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換または非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素数2~30のアルケニル基、置換または非置換の炭素数2~24のアルキニル基、置換または非置換の炭素数7~30のアラルキル基、置換または非置換の炭素数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素数2~60のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素数3~20のヘテロシクロアルキル基、置換または非置換の炭素数3~30のヘテロアリールアルキル基、置換または非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、置換または非置換の炭素数1~30のアルキルアミノ基、置換または非置換の炭素数6~30のアリールアミノ基、置換または非置換の炭素数6~30のアラルキルアミノ基、置換または非置換の炭素数2~24のヘテロアリールアミノ基、置換または非置換の炭素数1~30のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素数6~30のアリールシリル基、および置換または非置換の炭素数6~30のアリールオキシ基からなる群より選択され、隣接する基と互いに結合して置換または非置換の環を形成し得る。
【0059】
前記A、C、およびEのうち少なくとも1つは、置換または非置換の炭素数3~20のヘテロアリール基であり得る。
【0060】
具体的に、前記ヘテロアリール基は、置換または非置換のピロール、置換または非置換のフラン、置換または非置換のチオフェン、置換または非置換のダイオキシン、置換または非置換のオキサチン、置換または非置換のジチン、置換または非置換のインドル、置換または非置換のベンゾフラン、置換または非置換のベンゾチオフェン、置換または非置換のベンゾダイオキシン、置換または非置換のベンゾオキサチン、置換または非置換のベンゾジチン、置換または非置換のカルバゾール、置換または非置換のジベンゾフラン、置換または非置換のジベンゾチオフェン、置換または非置換のジベンゾダイオキシン、置換または非置換のフェノキサンチン、置換または置換されたチアンスレンからなる群より選択され、前記ヘテロアリール基が置換されると、隣接する置換基の間で互いに結合されて環式化合物を形成し得る。
【0061】
より具体的に、前記A、C、およびEは互いに同一または異なり、それぞれ独立して、下記化学式2または化学式3で表される化合物であり得る。
【0062】
【化3】
ここで、
X
5~X
10およびX
12~X
15は互いに同一または異なり、それぞれ独立してC(R
5)、N、SおよびOからなる群より選択され、
X
11は、C(R
6)(C
7)、N(R
8)、S、およびOからなる群より選択され、
R
5~R
8は互いに同一または異なり、それぞれ独立して水素、シアノ基、トリフルオロメチル基、ニトロ基、ハロゲン基、ヒドロキシ基、置換または非置換の炭素数1~4のアルキルチオ基、置換または非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換または非置換の炭素数1~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素数2~30のアルケニル基、置換または非置換の炭素数2~24のアルキニル基、置換または非置換の炭素数7~30のアラルキル基、置換または非置換の炭素数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素数2~60のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素数6~30のヘテロアリールアルキル基、置換または非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、置換または非置換の炭素数1~30のアルキルアミノ基、置換または非置換の炭素数6~30のアリールアミノ基、置換または非置換の炭素数6~30のアラルキルアミノ基、置換または非置換の炭素数2~24のヘテロアリールアミノ基、置換または非置換の炭素数1~30のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素数6~30のアリールシリル基、および置換または非置換の炭素数6~30のアリールオキシ基からなる群より選択され、隣接する基と互いに結合して置換または非置換の環を形成し得る。
【0063】
具体的に、前記A、C、およびEがいずれも化学式2からなる場合、X5~X10はいずれもC(R5)ではない。
【0064】
前記A、C、およびEがいずれも化学式3からなる場合、X11がC(R6)(C7)であると同時にX12~X15がいずれもC(R5)となり得ない。
【0065】
前記X5~X10およびX12~X15がいずれもC(R5)の場合、X11はC(R6)(C7)ではない。
【0066】
前記Cは、下記化学式4~化学式7からなる群より選択され得る。
【0067】
【化4】
ここで、
Y
1~Y
6のうち4基は、隣接する基と結合される部分であり、
Y
1~Y
6のうち隣接する基と結合しないものは互いに同一または異なり、それぞれ独立してC(R
9)、N、S、およびOからなる群より選択され、
Y
7~Y
10のうち2基は、隣接する基と結合される部分であり、
Y
7~Y
10のうち隣接する基と結合しないものは互いに同一または異なり、それぞれ独立してC(R
10)、N、S、およびOからなる群より選択され、
Y
11~Y
14のうち2基は、隣接する基と結合される部分であり、
Y
11~Y
14のうち隣接する基と結合しないものは互いに同一または異なり、それぞれ独立してC(R
11)、N、S、およびOからなる群より選択され、
Y
15~Y
18のうち2基は、隣接する基と結合される部分であり、
Y
15~Y
18のうち隣接する基と結合しないものは互いに同一または異なり、それぞれ独立してC(R
12)、N、S、およびOからなる群より選択され、
Y
19~Y
22のうち2基は、隣接する基と結合される部分であり、
Y
19~Y
22のうち隣接する基と結合しないものは互いに同一または異なり、それぞれ独立してC(R
13)、N、S、およびOからなる群より選択され、
Y
23~Y
26のうち2基は、隣接する基と結合される部分であり、
Y
23~Y
26のうち隣接する基と結合しないものは互いに同一または異なり、それぞれ独立してC(R
14)、N、S、およびOからなる群より選択され、
Y
27~Y
30のうち2基は、隣接する基と結合される部分であり、
Y
27~Y
30のうち隣接する基と結合しないものは互いに同一または異なり、それぞれ独立してC(R
15)、N、S、およびOからなる群より選択され、
X
16~X
18は互いに同一または異なり、それぞれ独立してC(R
16)(C
17)N(R
18)、S、Oからなる群より選択され、
R
9~R
18は互いに同一または異なり、それぞれ独立して水素、シアノ基、トリフルオロメチル基、ニトロ基、ハロゲン基、ヒドロキシ基、置換または非置換の炭素数1~4のアルキルチオ基、置換または非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換または非置換の炭素数1~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素数2~30のアルケニル基、置換または非置換の炭素数2~24のアルキニル基、置換または非置換の炭素数7~30のアラルキル基、置換または非置換の炭素数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素数2~60のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素数6~30のヘテロアリールアルキル基、置換または非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、置換または非置換の炭素数1~30のアルキルアミノ基、置換または非置換の炭素数6~30のアリールアミノ基、置換または非置換の炭素数6~30のアラルキルアミノ基、置換または非置換の炭素数2~24のヘテロアリールアミノ基、置換または非置換の炭素数1~30のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素数6~30のアリールシリル基、および置換または非置換の炭素数6~30のアリールオキシ基からなる群より選択され、隣接する基と互いに結合して置換または非置換の環を形成し得る。
【0068】
前記AおよびEは互いに同一または異なり、それぞれ独立して、下記化学式8~化学式11からなる群より選択される化合物であり得る。
【0069】
【化5】
ここで、
qおよびrは0~4の整数であり、
Y
31~Y
36のうち2基は、隣接する基と結合される部分であり、
Y
31~Y
36のうち隣接する基と結合しないものは互いに同一または異なり、それぞれ独立してC(R
21)、N、S、およびOからなる群より選択され、
Y
37~Y
40のうち2基は、隣接する基と結合される部分であり、
Y
37~Y
40のうち隣接する基と結合しないものは互いに同一または異なり、それぞれ独立してC(R
22)、N、S、およびOからなる群より選択され、
Y
41およびY
42-は隣接する基と結合される部分であり、
Y
43~Y
46のうち2基は、隣接する基と結合される部分であり、
Y
43~Y
46のうち隣接する基と結合しないものは互いに同一または異なり、それぞれ独立してC(R
23)、N、S、およびOからなる群より選択され、
X
19およびX
21は互いに同一または異なり、それぞれ独立してC(R
24)(C
25)N(R
26)、S、およびOからなる群より選択され、
R
19~R
26は互いに同一または異なり、それぞれ独立して水素、シアノ基、トリフルオロメチル基、ニトロ基、ハロゲン基、ヒドロキシ基、置換または非置換の炭素数1~4のアルキルチオ基、置換または非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換または非置換の炭素数1~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素数2~30のアルケニル基、置換または非置換の炭素数2~24のアルキニル基、置換または非置換の炭素数7~30のアラルキル基、置換または非置換の炭素数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素数2~60のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素数6~30のヘテロアリールアルキル基、置換または非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、置換または非置換の炭素数1~30のアルキルアミノ基、置換または非置換の炭素数6~30のアリールアミノ基、置換または非置換の炭素数6~30のアラルキルアミノ基、置換または非置換の炭素数2~24のヘテロアリールアミノ基、置換または非置換の炭素数1~30のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素数6~30のアリールシリル基、および置換または非置換の炭素数6~30のアリールオキシ基からなる群より選択され、隣接する基と互いに結合して置換または非置換の環を形成し得る。
【0070】
前記Y1およびY2は互いに同一または異なり、それぞれ独立してBまたはNである。
【0071】
前記BおよびDは互いに同一または異なり、それぞれ独立して置換または非置換の炭素数6~30のアリール基である。
【0072】
本発明による化学式1で表される化合物は、下記の化合物で表し得るが、これに限定されるものではない。
【0073】
【化6(1)】
【化6(2)】
【化6(3)】
【化6(4)】
【化6(5)】
【化6(6)】
【化6(7)】
【0074】
本発明の前記化学式1の化合物は、発光層のドーパント(Dopant)物質として有用に使用され得る。具体的に、前記有機化合物は、ドーパント物質として、既存のボロン系ドーパントに比べて熱的に安定して狭い発光スペクトルおよび半値幅を有することにより、色再現率を著しく向上させ得る有機化合物を提供し得る。
【0075】
本発明の有機化合物は、発光層形成用材料として有用に使用され得る。前記において発光層形成用材料は、前記有機化合物を発光層の形成に使用するために必要な形状で製造する際に通常添加される物質、例えば、ホスト物質などをさらに含み得る。
【0076】
前記発光層形成用材料は、ドーパント用材料であり得る。
【0077】
本発明は、前記化学式1で表される化合物を含む有機電界発光素子を提供する。
【0078】
本発明の有機化合物は、正孔注入層、正孔輸送層または電子遮断層形成用材料として有用に使用され得る。
【0079】
また、本発明は、負極と正極との間に少なくとも発光層を含む一層または複数層からなる有機薄膜層が積層されている有機電界発光素子において、前記発光層が前記化学式1で表される有機化合物を、1種単独でまたは2種以上の組み合わせで含有することを特徴とする、有機電界発光素子に関するものである。
【0080】
前記有機電界発光素子は、正極、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層、および負極が積層された構造を有し、必要に応じて、電子遮断層、正孔遮断層などがさらに積層され得る。
【0081】
以下において、本発明の有機電界発光素子について、例をもって説明する。しかし、下記に例示された内容が本発明の有機電界発光素子を限定するものではない。
【0082】
本発明の有機電界発光素子は、正極(正孔注入電極)、正孔注入層(HIL)、正孔輸送層(HTL)、発光層(EML)、および負極(電子注入電極)が順次積層された構造を有し得る。好ましくは、正極と発光層との間に電子遮断層(EBL)を、そして負極と発光層との間に電子輸送層(ETL)、電子注入層(EIL)をさらに含み得る。また、負極と発光層との間に正孔遮断層(HBL)をさらに含んでも良い。
【0083】
本発明による有機電界発光素子の製造方法としては、まず、基板表面に正極用物質を通常の方法によりコーティングして正極を形成する。この際、使用される基板は、透明性、表面平滑性、取扱容易性、および防水性に優れたガラス基板または透明プラスチック基板が好ましい。また、正極用物質としては、透明で導電性に優れた酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化スズ(SnO2)、酸化亜鉛(ZnO)などが使用され得る。
【0084】
次に、前記正極表面に正孔注入層(HIL)物質を通常の方法により真空熱蒸着またはスピンコーティングして正孔注入層を形成する。このような正孔注入層物質としては、銅フタロシアニン(CuPc)、4,4’,4’’-トリス(3-メチルフェニルアミノ)トリフェニルアミン(m-MTDATA)、4,4’,4’’-トリス(3-メチルフェニルアミノ)フェノキシベンゼン(m-MTDAPB)、スターバースト(starburst)型アミン類である4,4’,4’’-トリ(N-カルバゾリル)トリフェニルアミン(TCTA)、4,4’,4’’-トリス(N-(2-ナフチル)-N-フェニルアミノ)-トリフェニルアミン(2-TNATA)、または出光社(IDEMITSU)から購入可能なIDE406を例に挙げられる。
【0085】
前記正孔注入層の表面に正孔輸送層(HTL)物質を通常の方法により真空熱蒸着またはスピンコーティングして正孔輸送層を形成する。この際、正孔輸送層物質としては、ビス(N-(1-ナフチル-n-フェニル))ベンジジン(α-NPD)、N,N’-ジ(ナフタレン-1-イル)-N,N’-ビフェニル-ベンジジン(NPB)、またはN,N’-ビフェニル-N,N’-ビス(3-メチルフェニル)-1,1’-ビフェニル-4,4’-ジアミン(TPD)を例に挙げられる。
【0086】
前記正孔輸送層の表面に発光層(EML)物質を通常の方法により真空熱蒸着またはスピンコーティングして発光層を形成する。この際、使用される発光層物質のうち単独発光物質または発光ホスト物質は、緑色の場合はトリス(8-ヒドロキシキノリノラト)アルミニウム(Alq3)などが使用されて良く、青色の場合はAlq3、4,4’-N,N’-ジカルバゾール-ビフェニル(4,4’-N,N’-dicabazole-biphenyl、CBP)、ポリ(n-ビニルカルバゾール)(poly(n-vinylcarbazole)、PVK)、9,10-ジ(ナフタレン-2-イル)アントラセン(9,10-di(naphthalene-2-yl)anthracene、ADN)、TCTA(tris(4-carbazoyl-9-ylphenyl)amine)、1,3,5-トリス(N-フェニルベンズイミダゾール-2-イル)ベンゼン(1,3,5-tris(N-phenylbenzimidazole-2-yl)benzene、TPBI)、3-tert-ブチル-9,10ジ(ナフト-2イル)アントラセン(3-tert-butyl-9,10-di(naphth-2-yl)anthracene、TBADN)、E3、ジスチリルアリーレン(distyrylarylene、DSA)、またはこれらの2以上の混合物を用い得るが、これに限定されるものではない。
【0087】
発光層物質のうち、発光ホストと一緒に使用され得るドーパントの場合、本発明の化合物が好ましく使用され得る。
【0088】
必要に応じて、正孔輸送層と発光層との間に電子遮断層(EBL)をさらに形成し得る。
【0089】
前記発光層の表面に、電子輸送層(ETL)物質を通常の方法により真空熱蒸着またはスピンコーティングして電子輸送層を形成する。この際、使用される電子輸送層物質は特に制限されず、好ましくはトリス(8-ヒドロキシキノリノラト)アルミニウム(Alq3)を使用し得る。
【0090】
選択的には、発光層と電子輸送層との間に正孔遮断層(HBL)を追加で形成し、発光層にリン光ドーパントをともに使用することにより、三重項励起子または正孔が電子輸送層に拡散される現象を防止し得る。
【0091】
正孔遮断層の形成は、正孔遮断層物質を通常の方法により真空熱蒸着およびスピンコーティングして行うことができ、正孔遮断層物質の場合、特に制限されないが、好ましくは(8ヒドロキシキノリノラト)リチウム(Liq)、ビス(8-ヒドロキシ-2-メチルキノリノラート)-アルミニウムビフェノキサイド(BAlq)、バソクプロイン(bathocuproine、BCP)、およびLiFなどを使用し得る。
【0092】
前記電子輸送層の表面に、電子注入層(EIL)物質を通常の方法により真空熱蒸着またはスピンコーティングして電子注入層を形成する。この際、使用される電子注入層物質としては、LiF、Liq、Li2O、BaO、NaCl、CsFなどの物質が使用され得る。
【0093】
前記電子注入層の表面に負極用物質を通常の方法により真空熱蒸着して負極を形成する。
【0094】
この際、使用される負極用物質としては、リチウム(Li)、アルミニウム(Al)、アルミニウム-リチウム(Al-Li)、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、マグネシウム-インジウム(Mg-In)、マグネシウム-銀(Mg-Ag)などが使用され得る。また、前面発光有機電界発光素子の場合、酸化インジウムスズ(ITO)または酸化インジウム亜鉛(IZO)を使用して、光が透過し得る透明な負極を形成することもできる。前記負極の表面には、キャップ層(CPL)が形成され得る。
【0095】
以下において、前記化合物の合成方法を代表的な例を挙げて説明する。しかし、本発明の化合物の合成方法が下記に例示された方法に限定されるものではなく、本発明の化合物は、下記に例示された方法と、この分野に公知の方法とにより調製され得る。
【0096】
【0097】
出発物質1-1を11.94g(10.0mmol)、オルトジクロロベンゼン(30ml)と三臭化ホウ素(Boron tribromide)4.82mL(50.0mmol)を高圧反応器に投入した後、撹拌した。反応物を180℃~190℃に昇温して12時間撹拌した。
【0098】
反応液を室温まで冷却した後、冷却された水を投入して酢酸エチル(Ethyl acetate)を用いて有機層を抽出した。抽出した有機層の溶媒をMgSO4で乾燥した後、ろ過した。ろ液を減圧濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(DCM/ヘキサン)法により精製した。
【0099】
その後、DCM/アセトン混合溶媒により再結晶精製して、前記化合物1を8%の収率で0.97g得た。
MS(MALDI-TOF)m/z:1209[M]+
【0100】
【0101】
出発物質1-1の代わりに出発物質1-2を11.61g(10.0mmol)用いることを除いて、化合物1の調製と同様の方法により合成し、前記化合物2を9%の収率で1.06g得た。
MS (MALDI-TOF) m/z: 1176 [M]+
【0102】
【0103】
出発物質1-1の代わりに出発物質1-3を12.47g(10.0mmol)用いることを除いて、化合物1の調製と同様の方法により合成し、前記化合物66を9%の収率で1.14g得た。
MS (MALDI-TOF) m/z: 1262 [M]+
【0104】
【0105】
出発物質1-1の代わりに出発物質1-4を12.89g(10.0mmol)用いることを除いて、化合物1の調製と同様の方法により合成し、前記化合物46を10%の収率で1.30g得た。
MS (MALDI-TOF) m/z: 1304 [M]+
【0106】
【0107】
出発物質1-1の代わりに出発物質1-5を11.88g(10.0mmol)用いることを除いて、化合物1の調製と同様の方法により合成し、前記化合物161を11%の収率で1.32g得た。
MS (MALDI-TOF) m/z: 1203 [M]+
【0108】
【0109】
出発物質1-1の代わりに出発物質1-6を11.71g(10.0mmol)用いることを除いて、化合物1の調製と同様の方法により合成し、前記化合物121を9%の収率で1.07g得た。
MS (MALDI-TOF) m/z: 1187 [M]+
【0110】
【0111】
出発物質1-7を11.82g(10.0mmol)とtert-ブチルベンゼン(42ml)との溶液を0℃まで冷却した。窒素雰囲気下において2.5Mのn-ブチルリチウム溶液(in hexane)12.0mL(30.0mmol)を添加して室温にて3時間撹拌した。
【0112】
その後、さらに反応物を0℃まで冷却して三臭化ホウ素2.89mL(30.0mmol)を添加した後、常温にて0.5時間撹拌した。さらに反応物を0℃まで冷却してN,N-ジイソプロピルエチルアミン6.97mL(40mmol)を添加した後、60℃~70℃にて2時間撹拌した。
【0113】
反応液を室温まで冷却させ、酢酸エチルおよび水を用いて有機層を抽出した。抽出した有機層の溶媒をMgSO4で乾燥した後、ろ過した。ろ液を減圧濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(DCM/ヘキサン)法により精製した。
【0114】
その後、DCM/アセトン混合溶媒により再結晶精製して、前記化合物111を9%の収率で0.94gを得た。
MS (MALDI-TOF) m/z: 1039 [M]+
【0115】
【0116】
出発物質1-7の代わりに出発物質1-8を10.86g(10.0mmol)用いることを除いて、化合物111の調製と同様の方法により合成し、前記化合物47を7%の収率で0.66g得た。
MS (MALDI-TOF) m/z: 943 [M]+
【0117】
【0118】
化合物47を0.94g(1.0mmol)、フェノキサジン0.46g(2.5mmol)、ナトリウムtert-ブトキシド0.288g(3.0mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)0.046g(0.05mmol)、2-ジシクロへキシルホスフィノ-2’,6’-ジメトキシビフェニル0.041g(0.1mmol)、およびトルエン100mLを入れて、撹拌しながら還流させた。反応終了後、水50mLを用いてトルエン層を抽出した。
【0119】
反応液を室温まで冷却し、酢酸エチルおよび水を用いて有機層を抽出した。抽出した有機層の溶媒をMgSO4で乾燥した後、ろ過した。ろ液を減圧濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(DCM/ヘキサン)法により精製した。
【0120】
その後、DCM/アセトン混合溶媒により再結晶精製して、前記化合物48を68%の収率で0.84gを得た。
MS (MALDI-TOF) m/z: 1237 [M]+
【0121】
【0122】
フェノキサジンの代わりにカルバゾール0.42g(2.5mmol)を用いることを除いて、化合物48の調製と同様の方法により合成し、前記化合物49を70%の収率で0.84g得た。
MS (MALDI-TOF) m/z: 1205 [M]+
【0123】
【0124】
出発物質1-7の代わりに出発物質1-11を12.19g(10.0mmol)用いることを除いて、化合物111の調製と同様の方法により合成し、前記化合物112を8%の収率で0.86g得た。
MS (MALDI-TOF) m/z: 1076 [M]+
【0125】
【0126】
フェノキサジンの代わりにピペリジン0.21g(2.5mmol)を用いることを除いて、化合物48の調製と同様の方法により合成し、前記化合物114を72%の収率で0.85g得た。
MS (MALDI-TOF) m/z: 1174 [M]+
【0127】
【0128】
フェノキサジンの代わりにピロリジン0.18g(2.5mmol)を用いることを除いて、化合物48の調製と同様の方法により合成し、前記化合物115を73%の収率で0.84g得た。
MS (MALDI-TOF) m/z: 1145 [M]+
【0129】
【0130】
出発物質1-7の代わりに出発物質1-14を9.13g(10.0mmol)用いることを除いて、化合物111の調製と同様の方法により合成し、前記化合物117を12%の収率で0.93g得た。
MS (MALDI-TOF) m/z: 771 [M]+
【0131】
【0132】
フェノキサジンの代わりにジトリルアミン0.5g(1.0mmol)を用いることを除いて、化合物48の調製と同様の方法により合成し、前記化合物118を80%の収率で0.87g得た。
MS (MALDI-TOF) m/z: 1092 [M]+
【0133】
【0134】
化合物117を0.77g(1.0mmol)、フェノール0.24g(2.5mmol)、炭酸セシウム1.6g(5.0mmol)、塩化銅(I)0.03g(0.2mmol)、メチルピロリドン10mLを入れて、撹拌しながら還流させた。
【0135】
反応液を室温まで冷却させ、酢酸エチルおよび水を用いて有機層を抽出した。抽出した有機層の溶媒をMgSO4で乾燥した後、ろ過した。ろ液を減圧濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(DCM/ヘキサン)法により精製した。
【0136】
その後、DCM/アセトン混合溶媒により再結晶精製して、前記化合物119を76%収率で0.87gを得た。
MS (MALDI-TOF) m/z: 886 [M]+
【0137】
【0138】
出発物質1-7の代わりに出発物質1-17を10.19g(10.0mmol)用いることを除いて、化合物111の調製と同様の方法により合成し、前記化合物120を11%の収率で0.81g得た。
MS (MALDI-TOF) m/z: 738 [M]+
【0139】
【0140】
出発物質1-8の代わりに化合物120を0.74g(1.0mmol)用いることを除いて、化合物48の調製と同様の方法により合成し、前記化合物196を75%の収率で0.77g得た。
MS (MALDI-TOF) m/z: 1031 [M]+
【0141】
【0142】
化合物120を0.74g(1.0mmol)、フェニルボロン酸0.31g(2.5mmol)、リン酸三カリウム1.06g(5.0mmol)、酢酸パラジウム(II)0.01g(0.06mmol)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジメトキシビフェニル0.05g(0.12mmol)、トルエン(10mL)、およびH2O(1mL)を入れて撹拌しながら還流させた。
【0143】
反応液を室温まで冷却させ、酢酸エチルおよび水を用いて有機層を抽出した。抽出した有機層の溶媒をMgSO4で乾燥した後、ろ過した。ろ液を減圧濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(DCM/ヘキサン)法により精製した。
【0144】
その後、DCM/アセトン混合溶媒により再結晶精製して、前記化合物133を80%の収率で0.66gを得た。
MS (MALDI-TOF) m/z: 821 [M]+
【0145】
(実施例)
(実施例1:背面発光構造の有機電界発光素子の製造方法)
有機電界発光素子の正極であるITO(100nm)が積層された基板を露光(Photo-Lithograph)工程により負極と正極領域そして絶縁層に区分してパターニング(Patterning)し、その後、正極(ITO)の仕事関数(work-function)の増大と洗浄を目的として、UVオゾン処理とO2:N2プラズマにより表面処理を行った。その上に正孔注入層(HIL)としてHAT-CNを10nmの厚さで形成した。次いで、前記正孔注入層の上部に、正孔輸送層としてN4,N4,N4’,N4’-テトラ([1,1’-ビフェニル]-4-イル)-[1,1’-ビフェニル]-4,4’-ジアミンを真空蒸着して90nmの厚さで形成し、前記正孔輸送層(HTL)の上部に電子遮断層(EBL)としてN-フェニル-N-(4-(スピロ[ベンゾ[de]アントラセン-7,9’-フルオレン]-2’-イル)フェニル)ジベンゾ[b,d]フラン-4-アミンを15nmの厚さで形成した。前記電子遮断層(EBL)の上部に発光層のホストとしてα,β-ANDを蒸着させると同時にドーパントとして化合物1を2%ドーピングして25nmの厚さで発光層(EML)を形成した。
【0146】
その上に電子輸送層(ETL)として2-(4-(9,10-ジ(ナフタレン-2-イル)アントラセン-2-イル)フェニル)-1-フェニル-1H-ベンゾ[d]イミダゾールとLiQとを1:1の重量比で混合して25nm蒸着し、前記電子輸送層上に電子注入層を1nm蒸着して、負極としてアルミニウムを100nmの厚さで蒸着した。その後、UV硬化型接着剤により吸着剤(getter)を含むシールキャップ(seal cap)を貼り合わせて、大気中の酸素や水分から有機電界発光素子を保護し得るようにして、有機電界発光素子を製造した。
【0147】
(実施例2~10:有機電界発光素子の製造)
ドーパントとして前記化合物1の代わりに化合物2、66、46、161、121、48、49、114、115を用いたことを除いては、実施例1と同様の方法により、有機電界発光素子を製造した。
【0148】
(比較例1:有機電界発光素子の製造)
ドーパントとして前記化合物1の代わりに化合物Aを用いたことを除いては、実施例1と同様の方法により、有機電界発光素子を製造した。
【0149】
【0150】
<有機電界発光素子の特性分析>
以下、実施例1~10および比較例1で製造した背面発光構造の有機電界発光素子を10mA/cm2の電流を印加して電光特性を測定し、10mA/cm2の定電流駆動により寿命を測定した結果を下記表1に比較して示した。
【0151】
【0152】
ドーパントとして前記化合物Aを用いた有機電界発光素子に比べて、本発明の化合物をドーパント材料として用いた有機電界発光素子において、電圧は同等のレベルであるが、電流効率および寿命において優れた効果を示すことを確認した。
【0153】
また、本発明の実施化合物1、化合物2および比較化合物1(化合物A)の発光波長を測定した結果、本発明の化合物が比較化合物よりも半値幅が狭いことを確認した。
【0154】
(実施例11:背面発光構造の有機電界発光素子の製造方法)
有機電界発光素子の正極であるITO(100nm)が積層された基板を露光(Photo-Lithograph)工程により負極と正極領域そして絶縁層に区分してパターニング(Patterning)しており、その後正極(ITO)の仕事関数(work-function)増大および洗浄を目的として、UVオゾン処理とO2:N2プラズマにより表面処理を行った。その上に正孔注入層(HIL)としてHAT-CNを10nmの厚さで形成した。次いで、前記正孔注入層の上部に、正孔輸送層としてN4,N4,N4’,N4’-テトラ([1,1’-ビフェニル]-4-イル)-[1,1’-ビフェニル]-4,4’-ジアミンを真空蒸着して90nmの厚さで形成し、前記正孔輸送層(HTL)の上部に電子遮断層(EBL)としてmCPを15nmの厚さで形成した。前記電子遮断層(EBL)の上部に発光層のホストとして化合物Bを蒸着させると同時に、ドーパントとして化合物1を2%ドーピングして20nmの厚さで発光層(EML)を形成した。
【0155】
その上に正孔遮断層(HBL)としてTSPO1を5nmで蒸着した後、電子輸送層(ETL)としてTPBIを30nm蒸着しており、前記電子輸送層上にLIFを1nm蒸着し、負極としてアルミニウムを50nmの厚さで蒸着した。その後、UV硬化型接着剤により吸着剤(getter)を含むシールキャップ(seal cap)を貼り合わせて、大気中の酸素や水分から有機電界発光素子を保護し得るようにして、有機電界発光素子を製造した。
【0156】
【0157】
(実施例12~20:有機電界発光素子の製造)
ドーパントとして前記化合物1の代わりに化合物2、66、46、161、121、48、49、114、115を用いたことを除いては、実施例11と同様の方法により有機電界発光素子を製造した。
【0158】
(比較例2:有機電界発光素子の製造)
ドーパントとして前記化合物1の代わりに化合物Aを用いたことを除いては、実施例8と同様の方法により有機電界発光素子を製造した。
【0159】
【0160】
<有機電界発光素子の特性分析>
以下、実施例11~20および比較例2で製造した背面発光構造の有機電界発光素子を10mA/cm2の電流を印加して電光特性を測定し、10mA/cm2の定電流駆動により寿命を測定した結果を下記表2に比較して示した。
【0161】
【0162】
ドーパントとして前記化合物Aを用いた有機電界発光素子に比べて、本発明の化合物をドーパント材料として用いた有機電界発光素子において、電圧は同等レベルであるが、電流効率において優れた効果を示すことを確認した。
【0163】
以上において、本発明の好適な実施例について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるものではなく、次の請求の範囲で定義する本発明の基本概念を利用した当業者の様々な変形および改良形態もまた、本発明の権利範囲に属するものである。
【手続補正書】
【提出日】2023-11-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表される化合物:
【化1】
ここで、
n、m、o、およびpは
、いずれも1の整数であり
、
Y
1およびY
2は
、いずれもBであり、
X
1~X
4は互いに同一または異なり、それぞれ独立して
N(R
4
)またはOであり、
A、B、C、D、およびEは互いに同一または異なり、それぞれ独立して置換
または非置換の炭素数6~30のアリール基、
もしくは置換
または非置換の炭素数2~60のヘテロアリール基であり、
前記A、
C、およびEのうちの少なくとも1つは、置換または非置換の炭素数2~60のヘテロアリール基であり、
前記
R
4
は互いに同一または異なり、それぞれ独立して水素、シアノ基、トリフルオロメチル基、ニトロ基、ハロゲン基、ヒドロキシ基、置換または非置換の炭素数1~4のアルキルチオ基、置換または非置換の炭素数1~30のアルキル基、置換または非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素数2~30のアルケニル基、置換または非置換の炭素数2~24のアルキニル基、置換または非置換の炭素数7~30のアラルキル基、置換または非置換の炭素数6~30のアリール基、置換または非置換の炭素数2~60のヘテロアリール基、置換または非置換の炭素数3~20のヘテロシクロアルキル基、置換または非置換の炭素数3~30のヘテロアリールアルキル基、置換または非置換の炭素数1~30のアルコキシ基、置換または非置換の炭素数1~30のアルキルアミノ基、置換または非置換の炭素数6~30のアリールアミノ基、置換または非置換の炭素数6~30のアラルキルアミノ基、置換または非置換の炭素数2~24のヘテロアリールアミノ基、置換または非置換の炭素数1~30のアルキルシリル基、置換または非置換の炭素数6~30のアリールシリル基、および置換または非置換の炭素数6~30のアリールオキシ基からなる群より選択
される。
【請求項2】
上記化学式1で表わされる化合物は、1~49、66~105、108~115、および117~198のうち1つである、請求項1に記載の化合物。
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
【請求項3】
第1電極と、
前記第1電極に対向して備えられた第2電極と、
前記第1電極と第2電極との間に備えられた1層以上の有機物層を含む有機電界発光素子であって、
前記有機物層は、発光層を含み、前記発光層は、請求項1に記載の化合物を含むものである、有機電界発光素子。
【外国語明細書】