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特開2024-23192ペンダントクロモフォアを有する水溶性ポリマー色素
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024023192
(43)【公開日】2024-02-21
(54)【発明の名称】ペンダントクロモフォアを有する水溶性ポリマー色素
(51)【国際特許分類】
   C09K 11/06 20060101AFI20240214BHJP
   G01N 21/64 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
C09K11/06
G01N21/64 F
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023184146
(22)【出願日】2023-10-26
(62)【分割の表示】P 2020552784の分割
【原出願日】2019-03-28
(31)【優先権主張番号】62/650,935
(32)【優先日】2018-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/715,722
(32)【優先日】2018-08-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】リャン,ヨンチャオ
(72)【発明者】
【氏名】モロー,デイビット
(72)【発明者】
【氏名】バーソロミュー,グレン ピー.
(72)【発明者】
【氏名】ウォール,ブライアン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ペンダントクロモフォア基を有する水溶性の集光マルチクロモフォアを提供する。
【解決手段】集光マルチクロモフォアは、非共役反復単位を含むポリマー主鎖と、ポリマー主鎖の非共役反復単位に連結された複数のペンダントドナークロモフォア基とを有する。前記ペンダントクロモフォア基は、1つ以上の水溶性基で置換されたBODIPY基とすることができる。集光マルチクロモフォアに基づくポリマータンデム色素が提供され、これは、ポリマー主鎖の非共役反復単位に連結され、ペンダントドナークロモフォア基に対してエネルギーを受容する近傍に構成されたアクセプタフルオロフォアをさらに含む。前記ポリマータンデム色素を含む標識された特異的結合メンバーも提供される。標的分析物について試料を評価する方法、および前記ポリマータンデム色素が使用を見出す標的分子を標識する方法が提供される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水溶性の集光マルチクロモフォアであって、
図面に実質的に示されており、明細書に実質的に記載されている、
集光マルチクロモフォア。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
蛍光色素は、吸収される波長の光で照射されると、(通常)異なる波長の光を発する化
合物である。蛍光色素は、生化学、生物学、および医学、例えば、診断キット、顕微鏡検
査、または薬物スクリーニングにおける、様々な用途での使用を見出す。蛍光色素は、所
望の目的に応じてユーザが好適な色素を選択することを可能にするいくつかのパラメータ
によって特徴付けられる。
【0002】
対象のパラメータは、励起波長最大値、発光波長最大値、ストークスシフト、消滅係数
、蛍光量子収率、および蛍光寿命を含む。色素は、例えば、励起放射線の生体試料への浸
透を可能にし、背景蛍光を最小限に抑え、および/または高い信号対ノイズ比を達成する
ために、対象の用途に従って選択され得る。
【0003】
分子認識は、2つの分子の特異的結合を伴う。標的生体分子に対する結合特異性を有す
る分子は、分析物の標識および分離、フローサイトメトリ、インサイツハイブリダイゼー
ション、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、ウェスタンブロット分析、磁気細胞
分離、およびクロマトグラフィなど、様々な研究および診断用途での使用を見出す。標的
生体分子は、蛍光色素で標識することによって検出され得る。
【発明の概要】
【0004】
複数のペンダントクロモフォア基を有する水溶性の集光マルチクロモフォアが提供され
る。集光マルチクロモフォアは、非共役反復単位を含むポリマー主鎖と、ポリマー主鎖の
非共役反復単位に各々独立して連結された複数のペンダントドナークロモフォア基とを有
する。ペンダントクロモフォア基は、1つ以上の水溶性基で置換されたBODIPY基と
することができる。主題のマルチクロモフォアに基づくポリマータンデム色素も提供され
、これは、ポリマー主鎖の非共役反復単位に連結され、集光マルチクロモフォアの少なく
とも1つのペンダントドナークロモフォア基に対してエネルギーを受容する近傍に構成さ
れたアクセプタフルオロフォアをさらに含む。主題のポリマータンデム色素を含む標識さ
れた特異的結合メンバーも提供される。標的分析物の存在の試料を評価する方法、および
対象のポリマータンデム色素が使用を見出す標的分子を標識する方法も提供される。主題
の方法を実践するためのシステムおよびキットも提供される。
【図面の簡単な説明】
【0005】
以下に記載される図面は、例示目的のみであることを理解されたい。図面は、いかなる
方法においても、本教示の範囲を限定することを意図しない。
【0006】
図1】「色素」がアクセプタフルオロフォアである例示的なポリマータンデム色素の一般構造を示す。
図2】例示的なマルチクロモフォアのための正規化された吸光スペクトルおよびマルチクロモフォアを含む一連のポリマータンデム色素のための発光スペクトルを示す。
図3】例示的なマルチクロモフォア、およびすべて0.04ODの吸光でのマルチクロモフォアを含む一連のポリマータンデム色素の発光スペクトルを示す。
図4】ペプチド主鎖を有する例示的なポリマータンデム色素の構造を示す。Dは、BODIPYドナーペンダント基であり、Aは、アクセプタ色素であり、バイオリンカーは、タンデム色素を生体分子に付着させるための化学選択的官能基を含むリンカーである。
図5A図4のマルチクロモフォアを調製するために使用されたBODIPYドナーペンダント基の吸光および発光スペクトルを示す。
図5B図4のマルチクロモフォアを調製するために使用されるアクセプタ色素の吸光および発光スペクトルを示す。
図5C図4の例示的なポリマータンデム色素の吸光および発光スペクトルを示す。
図6A】単一のクロモフォアからの発光ではなく、等しいクロモフォア間の継続的な可逆的エネルギー伝達に優先的につながるペンダントドナークロモフォア間のホモエネルギー伝達を例示する。このプロセスは、単一の単離されたクロモフォアについて観察されるものよりも著しく低い自己クエンチおよび量子収率をもたらし得る。
図6B】主に、異なるクロモフォア間の一方向エネルギー伝達につながるヘテロエネルギー伝達を例示する。二次クロモフォアへのエネルギー伝達は、アクセプタおよび単一ドナークロモフォアの量子収率によって制限される、発光に優先的につながる。
図7A】クリック重合法を使用して、連結されたBODIPY色素(「色素」)を有する例示的なマルチクロモフォアの調製のための合成スキームを例示する。「色素」は、BODIPYなどのドナー色素を指す。
図7B】クリック重合法を使用して、ポリマータンデム色素を有する例示的なマルチクロモフォアの調製のための合成スキームを例示する。「ドナー」は、BODIPYなどのドナー色素を指し、「アクセプタ」は、アクセプタフルオロフォアである。
図8】連結されたペンダントBODIPY色素を含む、図7Aの例示的なマルチクロモフォアの吸光および発光スペクトルを示す。
図9A】連結されたペンダントBODIPYドナー色素、および異なる最大発光波長を有する様々なアクセプタ色素を含む一連の例示的なポリマータンデム色素の吸光を示す。
図9B】連結されたペンダントBODIPYドナー色素、および異なる最大発光波長を有する様々なアクセプタ色素を含む一連の例示的なポリマータンデム色素の発光スペクトルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
定義
例示的な実施形態をより詳細に説明する前に、以下の定義は、説明で使用される用語の
意味および範囲を例示および特定するために記載される。
【0008】
別段定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本
発明が属する当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。それでも、明
確さと参照の容易さのために、特定の用語が以下に定義される。
【0009】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、お
よび「the」は、文脈が別段明確に指示しない限り、複数の参照を含むことに留意され
たい。例えば、「色素」という用語は、1つ以上の色素、すなわち、単一の色素および複
数の色素を指す。特許請求の範囲は、任意選択の要素を除外するように起草され得ること
にさらに留意されたい。したがって、この記述は、請求項の要素の列挙、または「否定的
」な制限の使用に関連して、「単に」、「唯一」などの排他的な用語を使用するための先
行詞として機能することが意図されている。
【0010】
本明細書で使用される場合、「化学選択的官能基」および「化学選択的タグ」という用
語は、互換的に使用され、いくつかの場合には、官能基のうちの1つの任意選択の活性化
の後に、別の適合性官能基と選択的に反応して共有結合を形成することができる官能基を
指す。対象の化学選択的官能基は、これらに限定されないが、チオールおよびマレイミド
、またはヨードアセトアミド、アミンおよびカルボン酸、またはそれらの活性エステル、
ならびに、例えば、アジドおよびアルキン基(例えば、シクロオクチン基)、テトラジン
、トランスシクロオクテン、ジエンおよびジエンオフィル、ならびにアジド、フッ化硫黄
(VI)交換化学(SuFEX)、フッ化スルホニル、ならびにヒドロキシル、ヒドラジ
ド、ヒドラジノ、アルデヒド、ケトン、アジド、アルキン、ホスフィン、エポキシドなど
、クリックケミストリを介して互いに反応し得る基を含む。
【0011】
本明細書で使用される場合、「試料」という用語は、対象の1つ以上の分析物を含む材
料または材料の混合物、いくつかの場合には、液体形態に関する。いくつかの実施形態で
は、最も広義に使用される用語は、細胞を含むか、または細胞代謝物を生成する任意の植
物、動物もしくは細菌材料、例えば、個体(これらに限定されないが、血漿、血清、脳脊
髄液、リンパ、涙液、唾液、および組織切片を含む)、またはインビトロ細胞培養成分か
ら単離される組織または流体、ならびに環境からの試料を指す。「試料」という用語は、
「生体試料」も指し得る。本明細書で使用される場合、「生体試料」という用語は、生物
全体、またはその組織、細胞、または成分部分のサブセット(例えば、これらに限定され
ないが、血液、粘液、リンパ液、滑液、脳脊髄液、唾液、羊水、羊髄血、尿、膣液、およ
び精液を含む体液)を指す。「生体試料」はまた、これらに限定されないが、血清、脊髄
液、リンパ液、皮膚の外部切片、呼吸器、腸管、および泌尿器管、涙液、唾液、乳、血液
細胞、腫瘍、および臓器を含む、生物全体またはその組織、細胞、または成分部分のサブ
セット、またはそれらの画分または一部から調製されるホモジネート、溶解物、または抽
出物を指すことができる。ある特定の実施形態では、試料は、動物または植物から除去さ
れている。生物学的試料は、細胞を含んでもよい。「細胞」という用語は、その従来の意
味で、少なくとも核および細胞膜を有する、真核生物と原核生物と
の両方の生体の基本構造単位を指すために使用される。ある特定の実施形態では、細胞は
、細菌由来などの原核細胞を含む。他の実施形態では、細胞は、真核細胞、例えば、動物
、植物、または真菌からの生体試料から取得された細胞を含む。
【0012】
「支持体結合」および「支持体に連結された」という用語は、互換的に使用され、対象
の支持体に共有結合的または非共有結合的に連結された部分(例えば、特異的結合メンバ
ー)を指す。共有結合は、2つの適合性官能基(例えば、2つの化学選択的官能基、求電
子性および求核性など)の化学反応を伴って、対象の2つの部分(例えば、支持体および
特異的結合メンバー)間の共有結合を形成し得る。いくつかの場合には、非共有結合は、
対象の2つの部分(例えば、ハプテンおよび抗体、またはビオチン部分およびストレプト
アビジンなどの2つの親和性部分)間の特異的結合を伴い得る。ある特定の場合において
、非共有結合は、基質への吸収を伴い得る。
【0013】
「ポリペプチド」という用語は、2~50アミノ酸長の範囲のペプチド、および50ア
ミノ酸長を超えるポリペプチドを含む、任意の長さのアミノ酸のポリマー形態を指す。「
ポリペプチド」および「タンパク質」という用語は、本明細書で互換的に使用される。「
ポリペプチド」という用語は、コード化されたおよび非コード化されたアミノ酸のポリマ
ー、化学的または生化学的に修飾または誘導体化されたアミノ酸、ならびに従来の主鎖が
非自然発生の主鎖または合成主鎖で置換された修飾ペプチド主鎖を有するポリペプチドを
含む。ポリペプチドは、例えば、2個以上のアミノ酸、例えば4個以上のアミノ酸、10
個以上のアミノ酸、20個以上のアミノ酸、50個以上のアミノ酸、100個以上のアミ
ノ酸、300個以上のアミノ酸、例えば最大500個または1000個以上のアミノ酸な
ど、任意の便利な長さのものであり得る。「ペプチド」は、例えば4個以上のアミノ酸、
10個以上のアミノ酸、20個以上のアミノ酸、例えば最大50個のアミノ酸など、2個
以上のアミノ酸であり得る。いくつかの実施形態では、ペプチドは、5~30個のアミノ
酸長である。
【0014】
本明細書で使用される場合、「単離された」という用語は、精製の前に、その部分が関
連付けられる他の成分から少なくとも60%遊離、少なくとも75%遊離、少なくとも9
0%遊離、少なくとも95%遊離、少なくとも98%遊離、およびさらには少なくとも9
9%遊離している対象の部分を指す。
【0015】
「複数」は、少なくとも2つのメンバーを含む。ある特定の場合において、複数は、5
個以上、例えば6個以上、7個以上、8個以上、9個以上、10個以上、20個以上、3
0個以上、40個以上、50個以上、60個以上、70個以上、80個以上、90個以上
、100個以上、300個以上、1000個以上、3000個以上、10,000個以上
、10,000個以上のメンバーを有してもよい。
【0016】
数値範囲は、範囲を定義する数値を含む。
【0017】
「特異的結合」という用語は、捕捉剤(または特異的結合対の第1のメンバー)が、例
えば、異なる分析物の均質混合物内に存在する特定の分析物(または特異的結合対の第2
のメンバー)に優先的に結合する能力を指す。いくつかの事例では、特異的結合相互作用
は、例えば、100倍以上、または1000倍以上など、望ましくない分析物よりも望ま
しい分析物に対して10倍以上の特異性で試料中の望ましい分析物と望ましくない分析物
とを区別する。いくつかの場合には、捕捉剤/分析物複合体内にそれらが特異的に結合し
たときの捕捉剤と分析物との間の親和性は、少なくとも10-8M、少なくとも10-9
M、例えば、最大10-10Mである。
【0018】
「親和性」は、結合の強度を指し、結合親和性の増加は、より低いKdと相関する。
【0019】
本明細書に記載される方法は、複数のステップを含む。各ステップは、必要に応じて、
ステップ間の所定の時間が経過した後に実行され得る。したがって、各ステップを実行す
る間の時間は、1秒以上、10秒以上、30秒以上、60秒以上、5分以上、10分以上
、または60分以上であり得、5時間以上を含む。ある特定の実施形態では、各後続ステ
ップは、前のステップの完了の直後に実行される。他の実施形態では、ステップは、前の
ステップの完了後のインキュベーションまたは待機時間、例えば一晩の待機時間までの数
分などに実行され得る。
【0020】
本明細書で使用される場合、「評価すること(evaluating)」、「決定する
こと」、「測定すること」、および「評価すること(assessing)」、および「
アッセイすること」という用語は、互換的に使用され、定量的および定性的決定の両方を
含む。
【0021】
「分離する」という用語は、本明細書で使用される場合、2つの要素の物理的分離(例
えば、サイズまたは親和性など)、ならびに一方の要素の分解を指し、他方の要素はその
ままにする。
【0022】
「リンカー」または「連結」という用語は、2つの基を接続し、100個の原子長以下
の主鎖を有する連結部分を指す。リンカーまたは連結は、2つの基、または1~100個
の原子長の鎖、例えば、1、2、3、4、5、6、8、10、12、14、16、18、
20個以上の炭素原子長の鎖を接続する共有結合であってもよく、リンカーは、直鎖、分
枝鎖、環状、または単一原子であってもよい。いくつかの場合には、リンカーは、3つ以
上の基を接続する連結部分を指す分岐リンカーである。ある特定の場合において、リンカ
ー主鎖の1個、2個、3個、4個、または5個以上の炭素原子は、任意選択で、硫黄、窒
素、または酸素ヘテロ原子で置換されてもよい。いくつかの場合には、リンカー主鎖は、
エーテル、チオエーテル、アミノ、アミド、スルホンアミド、カルバメート、チオカルバ
メート、尿素、チオ尿素、エステル、チオエステル、またはイミンなどの連結官能基を含
む。主鎖原子間の結合は、飽和または不飽和であってもよく、いくつかの事例では、1つ
、2つ、または3つ以下の不飽和結合がリンカー主鎖中に存在する。リンカーは、例えば
、アルキル、アリール、またはアルケニル基を有する1つ以上の置換基を含み得る。リン
カーは、これらに限定されないが、ポリエチレングリコール、エーテル、チオエーテル、
三級アミン、直鎖または分枝鎖であり得るアルキル、例えば、メチル、エチル、n-プロ
ピル、1-メチルエチル(イソプロピル)、n-ブチル、n-ペンチル、1,1-ジメチ
ル(t-ブチル)などを含み得る。リンカー主鎖は、環状基、例えば、環状基の2個以上
の原子、例えば、2個、3個、または4個の原子が主鎖に含まれる、環状基、例えば、ア
リール、複素環、またはシクロアルキル基を含み得る。リンカーは、切断可能であり得る
か、または切断不可能であり得る。
【0023】
「ポリエチレンオキシド」、「PEO」、「ポリエチレングリコール」、および「ペグ
」という用語は、互換的に使用され、式-(CH-CH-O-)-またはその誘導
体によって記載される鎖を含むポリマー基を指す。いくつかの実施形態では、「n」は、
5000以下、例えば1000以下、500以下、200以下、100以下、50以下、
40以下、30以下、20以下、15以下、例えば3~15、または10~15である。
ペグポリマー基は、任意の便利な長さのものであってもよく、これらに限定されないが、
アルキル、アリール、ヒドロキシル、アミノ、アシル、アシルオキシ、ならびにアミド末
端および/または置換基を含む、様々な末端基および/またはさらなる置換基を含んでも
よいことが理解される。主題のマルチクロモフォアでの使用に適合され得るペグ基は、S
.Zalipsky in “Functionalized poly(ethyle
ne glycol)for preparation of biologicall
y relevant conjugates”,Bioconjugate Chem
istry 1995,6(2),150-165;and by Zhu et al
in “Water-Soluble Conjugated Polymers f
or Imaging,Diagnosis,and Therapy”,Chem.R
ev.,2012,112(8),pp 4687-4735によって記載されるペグを
含む。
【0024】
「アルキル」という用語は、それ自体または別の置換基の一部として、親アルカンの単
一炭素原子から1個の水素原子を除去することによって誘導される飽和分岐または直鎖一
価炭化水素ラジカルを指す。対象のアルキル基は、これらに限定されないが、メチル、エ
チル、プロパン-1-イルまたはプロパン-2-イルなどのプロピル、ならびにブタン-
1-イル、ブタン-2-イル、2-メチルプロパン-1-イルまたは2-メチルプロパン
-2-イルなどのブチルを含む。いくつかの実施形態では、アルキル基は、1~20個の
炭素原子を含む。いくつかの実施形態では、アルキル基は、1~10個の炭素原子を含む
。ある特定の実施形態では、低級アルキル基は、1~4個の炭素原子などの1~6個の炭
素原子を含む。この用語は、例として、直鎖および分枝鎖ヒドロカルビル基、例えば、メ
チル(CH-)、エチル(CHCH-)、n-プロピル(CHCHCH-)
、イソプロピル((CHCH-)、n-ブチル(CHCHCHCH-)、
イソブチル((CHCHCH-)、sec-ブチル((CH)(CHCH
)CH-)、t-ブチル((CHC-)、n-ペンチル(CHCHCHCH
CH-)、およびネオペンチル((CHCCH-)を含む。
【0025】
「置換アルキル」という用語は、アルキル鎖中の1個以上の炭素原子が、任意選択で、
-O-、-N-、-S-、-S(O)-(式中、nは0~2である)、-NR-(式中
、Rは水素またはアルキルである)などのヘテロ原子で置換され、アルコキシ、置換アル
コキシ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニ
ル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ
、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、オキソ、チオケト、
カルボキシル、カルボキシルアルキル、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ
、チオヘテロシクロオキシ、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール
、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシ
クロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、-SO-アルキル、-SO
-アリール、-SO-ヘテロアリール、-SO-アルキル、-SO-アリール、-S
-ヘテロアリール、および-NRからなる群から選択された1~5つの置換基
を有する本明細書で定義されるアルキル基を指し、RおよびRは、同じであっても異
なってもよく、水素、任意に置換されたアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロ
アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリールおよび複素環から選択される。
【0026】
「アルコキシ」は、-O-アルキル基を指し、アルキルは、本明細書に定義される通り
である。アルコキシは、例として、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキ
シ、n-ブトキシ、t-ブトキシ、sec-ブトキシ、n-ペントキシなどを含む。「ア
ルコキシ」という用語はまた、アルケニル-O-、シクロアルキル-O-、シクロアルケ
ニル-O-、およびアルキニル-O-基を指し、アルケニル、シクロアルキル、シクロア
ルケニル、およびアルキニルは、本明細書で定義される通りである。
【0027】
「置換アルコキシ」という用語は、置換アルキル-O-、置換アルケニル-O-、置換
シクロアルキル-O-、置換シクロアルケニル-O-、および置換アルキニル-O-基を
指し、置換アルキル、置換アルケニル、置換シクロアルキル、置換シクロアルケニル、お
よび置換アルキニルは、本明細書で定義される通りである。
【0028】
「アルキニル」は、2~6個の炭素原子、好ましくは2~3個の炭素原子を有し、少な
くとも1個、好ましくは1~2個の三重結合不飽和部位を有する直鎖または分枝鎖一価ヒ
ドロカルビル基を指す。そのようなアルキニル基の例は、アセチレニル(-C≡CH)、
およびプロパルギル(-CHC≡CH)を含む。
【0029】
「置換アルキニル」という用語は、アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキル、置
換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、
アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アミノシロキシ、オキシアミノアシ
ル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、オキソ、チオケト、カルボキシル、カル
ボキシルキル、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、チオヘテロアリールオ
キシ、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘ
テロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキ
シアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、-SO-アルキル、-SO置換アルキル、-SO
-アリール、-SO-ヘテロアリール、-SO-アルキル、-SO-置換アルキル、
-SO-アリール、および-SO-ヘテロアリールから選択される1~5つの置換基
、または1~3つの置換基を有する、本明細書に定義されるアルキニル基を指す。
【0030】
「アミノ」は、-NH基を指す。「置換アミノ」という用語は、少なくとも1つのR
が水素でないことを条件に、各Rが、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、シクロ
アルキル、置換シクロアルキル、アルケニル、置換アルケニル、シクロアルケニル、置換
シクロアルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、ヘテロアリール、およびヘ
テロシクリルからなる群から選択される基-NRRを指す。
【0031】
「アリール」自体または別の置換基の一部としては、芳香環系の単一炭素原子から1個
の水素原子を除去することによって誘導される一価の芳香族炭化水素ラジカルを指す。対
象のアリール基は、これらに限定されないが、アセアントリレン、アセナフチレン、アセ
フェナントリレン、アントラセン、アズレン、ベンゼン、クリセン、コロネン、フルオラ
ンテン、フルオレン、ヘキサセン、ヘキサフェン、ヘキサレン、アスインダセン、s-イ
ンダセン、インダン、インデン、ナフタレン、オクタン、オクタフェン、オクタレン、オ
バレン、ペンタ-2,4-ジエン、ペンタセン、ペンタレン、ペンタフェン、ペリレン、
フェナレン、フェナンタレン、ピセン、プレイアデン、ピレン、ピラントレン、ルビセン
、トリフェニレン、トリナフタレンなどに由来する基を含む。ある特定の実施形態では、
アリール基は、6~20個の炭素原子を含む。ある特定の実施形態では、アリール基は、
6~12個の炭素原子を含む。アリール基の例は、フェニルおよびナフチルである。
【0032】
「置換アリール」とは、アリール置換基についての定義によって別段の制約がない限り
、アシルオキシ、ヒドロキシ、チオール、アシル、アルキル、アルコキシ、アルケニル、
アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、置換アルキル、置換アルコキシ、置換
アルケニル、置換アルキニル、置換シクロアルキル、置換シクロアルケニル、アミノ、置
換アミノ、アミノアシル、アシルアミノ、アルカリル、アリール、アリールオキシ、アジ
ド、カルボキシル、カルボキシルアルキル、シアノ、ハロゲン、ニトロ、ヘテロアリール
、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロオキシ、アミノアシロキシ、オ
キシアシルアミノ、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、チオアリールオキシ、チオヘ
テロアリールオキシ、-SO-アルキル、-SO置換アルキル、-SO-アリール、-S
O-ヘテロアリール、-SO-アリール、-SO-置換アルキル、-SO-アリー
ル、-SO-ヘテロアリールおよびトリハロメチルから選択される1~5つの置換基、
または1~3つの置換基で置換されたアリール基を指す。
【0033】
「ヘテロアリール」自体または別の置換基の一部としては、ヘテロ芳香環系の単一原子
から1個の水素原子を除去することによって誘導される一価のヘテロ芳香族ラジカルを指
す。対象のヘテロアリール基としては、これらに限定されないが、アクリジン、アルシン
ドール、カルバゾール、β-カルボリン、クロマン、クロメーン、シノリン、フラン、イ
ミダゾール、インダゾール、インドール、インドリン、インドリジン、イソベンゾフラン
、イソクロメーン、イソインドール、イソインドリン、イソキノリン、イソチアゾール、
イソオキサゾール、ナフチリジン、オキサジアゾール、オキサゾール、ペリミジン、フェ
ナントリアゾール、フェナントロリン、フェナジン、フタラジン、プテリジン、プリン、
ピラン、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、ピリジン、ピリミジン、ピロール、ピロリ
ジン、キナゾリン、キノリン、キノリジン、キノキサリン、テトラゾール、チアジアゾー
ル、チアゾール、トリアゾール、ベンゾール、チオフェン、トリアゾール、キサンテン、
ベンゾールなどに由来する基を含む。ある特定の実施形態では、ヘテロアリール基は、5
~20員のヘテロアリールである。ある特定の実施形態では、ヘテロアリール基は、5~
10員のヘテロアリールである。ある特定の実施形態では、ヘテロアリール基は、チオフ
ェン、ピロール、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、インドール、ピリジン、キノリン、
イミダゾール、オキサゾール、およびピラジンに由来する基である。
【0034】
「複素環」、「複素環式」、「ヘテロシクロアルキル」、および「ヘテロシクリル」は
、縮合架橋環系およびスピロ環系を含む単環または複数の縮合環を有し、1~10個のヘ
テロ原子を含む3~20個の環原子を有する飽和または不飽和基を指す。これらの環原子
は、窒素、硫黄、または酸素からなる群から選択され、縮合環系において、付着点が非芳
香族環を介していることを条件として、環のうちの1つ以上は、シクロアルキル、アリー
ル、またはヘテロアリールであり得る。ある特定の実施形態では、複素環基の窒素および
/または硫黄原子は、任意選択で、N-オキシド、-S(O)-、または-SO-部分
を提供するように酸化される。
【0035】
複素環およびヘテロアリールの例としては、これらに限定されないが、アゼチジン、ピ
ロール、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、イ
ンドリジン、イソインドール、インドール、ジヒドロインドール、インダゾール、プリン
、キノリジン、イソキノリン、キノリン、フタラジン、ナフチルピリジン、キノキサリン
、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、フェナントリジン
、アクリジン、フェナントロリン、イソチアゾール、フェナジン、イソキサゾール、フェ
ノキサジン、フェノチアジン、イミダゾリジン、イミダゾリン、ピペリジン、ピペラジン
、インドリン、フタリミド、1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン、4,5,6,
7-テトラヒドロベンゾ[b]チオフェン、チアゾール、チアゾリジン、チオフェン、ベ
ンゾ[b]チオフェン、モルホリニル、チオモルホリニル(チアモルホリニルとも呼ばれ
る)、1,1-ジオキソチオモルホリニル、ピペリジニル、ピロリジン、テトラヒドロフ
ランイルなどが挙げられる。
【0036】
「置換ヘテロアリール」とは、置換基についての定義によって別段の制約がない限り、
アシルオキシ、ヒドロキシ、チオール、アシル、アルキル、アルコキシ、アルケニル、ア
ルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、置換アルキル、置換アルコキシ、置換ア
ルケニル、置換アルキニル、置換シクロアルキル、置換シクロアルケニル、アミノ、置換
アミノ、アミノアシル、アシルアミノ、アルカリル、アリール、アリールオキシ、アジド
、カルボキシル、カルボキシルアルキル、シアノ、ハロゲン、ニトロ、ヘテロアリール、
ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロオキシ、アミノアシロキシ、オキ
シアシルアミノ、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、チオアリールオキシ、チオヘテ
ロアリールオキシ、-SO-アルキル、-SO置換アルキル、-SO-アリール、-SO
-ヘテロアリール、-SO-アリール、-SO-置換アルキル、-SO-アリール
、-SO-ヘテロアリールおよびトリハロメチルから選択される1~5つの置換基、ま
たは1~3つの置換基で置換されたヘテロアリール基を指す。
【0037】
「アルカリル」または「アラルキル」という用語は、本明細書ではアルキレン、置換ア
ルキレン、およびアリールが定義され、アルキレン-アリールおよび置換アルキレン-ア
リール基を指す。
【0038】
「アルキレン」は、好ましくは1~6個、より好ましくは1~3個の炭素原子を有する
二価の脂肪族ヒドロカルビル基を指し、これらは、直鎖または分枝鎖のいずれかであり、
任意選択で、-O-、-NR10-、-NR10C(O)-、-C(O)NR10-など
から選択される1つ以上の基で中断される。この用語は、例として、メチレン(-CH
-)、エチレン(-CHCH-)、n-プロピレン(-CHCHCH-)、イ
ソプロピレン(-CHCH(CH-)、(-C(CHCHCH-)、(-
C(CHCHC(O)-)、(-C(CHCHC(O)NH-)、(-
CH(CH)CH-)などを含む。「置換アルキレン」は、以下の「置換された」の
定義における炭素について記載されるような置換基で置き換えられた1~3個の水素を有
するアルキレン基を指す。
【0039】
「置換された」とは、1個以上の水素原子が、独立して、同じまたは異なる置換基で置
換される基を指す。対象の置換基としては、これらに限定されないが、アルキレンジオキ
シ(メチレンジオキシなど)、-M、-R60、-O、=O、-OR60、-SR60
、-S、=S、-NR6061、=NR60、-CF、-CN、-OCN、-SC
N、-NO、-NO、=N、-N、-S(O)、-S(O)OH、-S(
O)60、-OS(O)、-OS(O)60、-P(O)(O、-
P(O)(OR60)(O)、-OP(O)(OR60)(OR61)、-C(O)R
60、-C(S)R60、-C(O)OR60、-C(O)NR6061、-C(O)
、-C(S)OR60、-NR62C(O)NR6061、-NR62C(S)N
6061、-NR62C(NR63)NR6061、および-C(NR62)NR
6061を含み、Mはハロゲンであり、R60、R61、R62、およびR63は、独
立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキル
、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、置換シクロヘテロアルキル、アリール、
置換アリール、ヘテロアリール、もしくは置換ヘテロアリール、または任意選択で、R
およびR61が結合している窒素原子と一緒になって、シクロヘテロアルキルもしくは
置換シクロヘテロアルキル環を形成し、R64およびR65は、独立して、水素、アルキ
ル、置換アルキル、アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアル
キル、置換シクロヘテロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、もしくは
置換ヘテロアリール、または任意選択で、R64およびR65が結合している窒素原子と
一緒になって、シクロヘテロアルキルまたは置換シクロヘテロアルキル環を形成する。あ
る特定の実施形態では、置換基は、-M、-R60、=O、-OR60、-SR60、-
、=S、-NR6061、=NR60、-CF、-CN、-OCN、-SCN、
-NO、-NO、=N、-N、-S(O)60、-OS(O)、-OS
(O)60、-P(O)(O、-P(O)(OR60)(O)、-OP(O
)(OR60)(OR61)、-C(O)R60、-C(S)R60、-C(O)OR
、-C(O)NR6061、-C(O)O、-NR62C(O)NR6061
含む。ある特定の実施形態では、置換基は、-M、-R60、=O、-OR60、-SR
60、-NR6061、-CF、-CN、-NO、-S(O)60、-P(O
)(OR60)(O)、-OP(O)(OR60)(OR61)、-C(O)R60
-C(O)OR60、-C(O)NR6061、-C(O)Oを含む。ある特定の実
施形態では、置換基は、-M、-R60、=O、-OR60、-SR60、-NR60
61、-CF、-CN、-NO、-S(O)60、-OP(O)(OR60)(
OR61)、-C(O)R60、-C(O)OR60、-C(O)Oを含み、R60
61、およびR62は、上述の通りである。例えば、置換基は、メチレンジオキシ置換
基、またはハロゲン原子、(1~4C)アルキル基、および(1~4C)アルコキシ基か
ら選択される1つ、2つ、もしくは3つの置換基を有し得る。置換される基がアリールま
たはヘテロアリール基である場合、置換基(例えば、本明細書に記載される)は、「アリ
ール置換基」と呼ばれ得る。
【0040】
「スルホニルアミノ」は、-NR21SO22基を指し、式中、R21およびR
は、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキ
ニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル
、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複
素環式、および置換複素環式からなる群から選択され、R21およびR22は、任意選択
で、それらに結合した原子とともに連結されて複素環式または置換複素環式基を形成し、
アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、
シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリ
ール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、および置換複素環
式は、本明細書に定義される通りである。
【0041】
上記で定義されるすべての置換基において、それ自体にさらなる置換基を有する置換基
(例えば、それ自体が置換アリール基で置換され、さらに置換アリール基で置換されてい
る置換基として置換アリール基を有する置換アリール)を定義することによって達成され
るポリマーは、本明細書に含めることを意図していないことを理解されたい。そのような
場合、そのような置換の最大数は、3である。例えば、本明細書で具体的に企図される置
換アリール基の連続置換は、置換アリール-(置換アリール)-置換アリールに限定され
る。
【0042】
別途示されない限り、本明細書で明示的に定義されていない置換基の命名は、官能基の
末端部分に続いて、付着点に向かって隣接する官能基に命名することによって達成される
。例えば、置換基「アリールアルキルオキシカルボニル」は、基(アリール)-(アルキ
ル)-O-C(O)-を指す。
【0043】
1つ以上の置換基を含む本明細書に開示される基のいずれかに関して、当然、そのよう
な基は、立体的に不可能であり、かつ/または合成的に実現不可能である任意の置換また
は置換パターンを含まないことが理解される。加えて、主題の化合物は、これらの化合物
の置換から生じるすべての立体化学異性体を含む。
【0044】
本明細書全体を通じて、用語の他の定義が現れ得る。
【0045】
上記で要約したように、複数のペンダントクロモフォア基を有する水溶性の集光マルチ
クロモフォアが提供される。集光マルチクロモフォアは、非共役反復単位を含むポリマー
主鎖と、ポリマー主鎖の非共役反復単位に各々独立して連結された複数のペンダントドナ
ークロモフォア基とを有する。ペンダントクロモフォア基は、1つ以上の水溶性基で置換
されたBODIPY基とすることができる。主題のマルチクロモフォアに基づくポリマー
タンデム色素も提供され、これは、ポリマー主鎖の非共役反復単位に連結され、集光マル
チクロモフォアの少なくとも1つのペンダントドナークロモフォア基に対してエネルギー
を受容する近傍に構成されたアクセプタフルオロフォアをさらに含む。主題のポリマータ
ンデム色素を含む標識された特異的結合メンバーも提供される。標的分析物の存在の試料
を評価する方法、および対象のポリマータンデム色素が使用を見出す標的分子を標識する
方法も提供される。主題の方法を実践するためのシステムおよびキットも提供される。
【0046】
本発明がより詳細に記載される前に、本発明は、記載された特定の実施形態に限定され
るものではなく、したがって、当然ながら変わり得ることを理解されたい。また、本発明
の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるので、本明細書で使用される用語
は、特定の実施形態を説明するためのものにすぎず、限定することを意図するものではな
いことも理解されたい。
【0047】
値の範囲が提供される場合、文脈が別段明確に指示しない限り、その範囲の上限および
下限と、その記載された範囲内の任意の他の記載された値または介在値との間の、下限の
単位の10分の1までの各介在値が本発明の範囲内に包含されることが理解される。これ
らのより小さい範囲の上限および下限は、記載された範囲内の任意の具体的に除外された
制限に従って、より小さい範囲に独立して含まれてよく、本発明内にも包含される。記載
された範囲が制限の1つまたは両方を含む場合、それらの含まれる制限のいずれかまたは
両方を除く範囲も本発明に含まれる。
【0048】
本明細書では、数値の前に「約」という用語が付けられて、特定の範囲が提示される。
本明細書では、「約」という用語は、それが先行する正確な数、ならびにその用語が先行
する数に近い、または近似する数について文字通りの支持を提供するために使用される。
数が具体的に列挙された数に近いまたは近似しているか否かを決定する際に、近いまたは
近似する列挙されない数は、それが提示される文脈において、具体的に列挙された数の実
質的な等価物を提供する数であり得る。
【0049】
別段定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本
発明が属する当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記
載されたものと類似または同等の任意の方法および材料も、本発明の実施または試験に使
用することができるが、代表的な例示的な方法および材料がここに記載されている。
【0050】
本明細書に引用されるすべての公開および特許は、各個々の公開または特許が参照によ
り組み込まれることを具体的かつ個別に示されているかのように参照により本明細書に組
み込まれ、引用される公開に関連した方法および/または材料を開示し、記載するために
参照により本明細書に組み込まれる。いずれかの公開の引用は、出願日前のその開示のた
めであり、本発明が先行発明によってそのような公開に先行する権利がないことを認める
ものと解釈されないものとする。さらに、提供された公開日は、独立して確認される必要
がある可能性がある実際の公開日とは異なる場合がある。
【0051】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、お
よび「the」は、文脈が別段明確に指示しない限り、複数の参照を含むことに留意され
たい。特許請求の範囲は、任意の要素を除外するように起草され得ることにさらに留意さ
れたい。したがって、この記述は、請求項の要素の列挙、または「否定的」な制限の使用
に関連して、「単に」、「唯一」などの排他的な用語を使用するための先行詞として機能
することが意図されている。
【0052】
本開示を読むと当業者には明らかになるように、本明細書に記載および例示される個々
の実施形態の各々は、本発明の範囲または趣旨から逸脱することなく、他のいくつかの実
施形態のいずれかの特徴から容易に分離され得るか、またはそれらと組み合わされ得る個
別の構成要素および特徴を有する。任意の列挙された方法は、列挙されたイベントの順序
、または論理的に可能な任意の他の順序で実行することができる。
【0053】
装置および方法は、機能的な説明を伴う文法的流動性のために記載されている、または
記載されるが、特許請求の範囲は、35U.S.C.§112下で明示的に策定されない
限り、「手段」または「ステップ」制限の構築によって必ずしも制限されるものと解釈さ
れるべきではなく、同等物の司法理論の下で特許請求の範囲によって提供される定義の意
味および同等物の完全な範囲を付与されるべきであり、特許請求の範囲が35U.S.C
.§112下で明示的に策定される場合、35U.S.C.§112下で完全な法定同等
物が付与されるべきであることを明示的に理解されたい。
【0054】
本発明をさらに説明する際に、最初に、アクセプタフルオロフォアを含む集光マルチク
ロモフォアおよび関連するポリマータンデム色素について、より詳細に記載される。次に
、主題のポリマータンデム色素を含む標識された特異的結合メンバーについて記載される
。次いで、主題のポリマータンデム色素が使用を見出す対象の方法が検討される。本開示
の方法を実践する際に使用され得るシステムおよびキットについても記載される。
【0055】
集光マルチクロモフォア
上記で要約したように、本開示は、ペンダント光吸収クロモフォア基が付着したモジュ
ラースキャフォールドを有する集光マルチクロモフォアを含む。「ペンダント基」という
用語は、モジュラースキャフォールドの主鎖に接続されているが、主鎖の一部ではない側
鎖基を指す。共役ポリマー色素の光吸収コモノマーとは対照的に、主題のマルチクロモフ
ォアのペンダント光吸収クロモフォア基は、互いにpi共役されず、非局所化pi-エレ
クトロン系を形成しない。むしろ、主題のマルチクロモフォアのモジュラースキャフォー
ルドは、クロモフォア間(例えば、図6Aを参照)の、および存在する場合、アクセプタ
フルオロフォア(例えば、図6Bを参照)への効率的なエネルギー伝達に十分なコンパク
トなエリア内の複数の光吸収クロモフォア基の構成を提供する。ペンダント光吸収クロモ
フォア基のこの構成を組み合わせると、光学活性クロモフォア基が光を吸収して励起状態
を形成する吸収波長(例えば、本明細書に記載のように)を有する集光マルチクロモフォ
アを形成する。したがって、光吸収クロモフォア基は、互いにエネルギーを受容する近傍
に構成され、存在するときにアクセプタフルオロフォアにエネルギーを寄付することがで
きる。
【0056】
「集光マルチクロモフォア」および「ポリマー色素」という用語は、互換的に使用され
、特定の吸収最大波長を有する光を採取し、それをより長い発光最大波長で発光された光
に変換することができる複数のペンダントクロモフォア基を有する本開示のポリマーを指
す。ポリマーは、飽和または部分的に不飽和である主鎖を有することができる。
【0057】
アクセプタフルオロフォア、二次ドナークロモフォア基、リンカー、ならびに生体分子
共役および水溶化基が可能な化学選択的タグなどのさらなるペンダント基を、モジュラー
スキャフォールドに付着させることもできる。いくつかの場合には、アクセプタフルオロ
フォアは、2種類のドナークロモフォア(一次および二次ドナークロモフォア)と併せて
設置されて、アクセプタフルオロフォアから所望の蛍光放射を提供することができる。ペ
ンダントドナークロモフォアの構成に対するアクセプタフルオロフォアの数および位置決
めを制御することができる。
【0058】
ペンダント基の特定の構成は、ペンダント基が付着される基礎となるモジュラースキャ
フォールドの反復単位の配置によって決定および制御することができる。主題のマルチク
ロモフォアは、スキャフォールドおよび/またはペンダント基に付着された複数の水溶化
基を任意の便利な場所に含み、水溶性の集光マルチクロモフォアを提供することができる
。モジュラースキャフォールドは、ペンダント基を付着させることができる側鎖基を有す
るポリマー主鎖を形成する反復単位から構成することができる。反復単位は、所望の分光
特性を有する水溶性の集光マルチクロモフォアを提供するために、様々な構成で配置する
ことができる。ペンダントドナークロモフォアとアクセプタフルオロフォア(存在する場
合)との共有結合のための部位間の距離および配置は、所望のエネルギー伝達プロセスを
提供するように制御することができる。これは、望ましい高集光およびシグナル増幅特性
をもたらすことができる。
【0059】
図6Aに示されるように、ペンダントドナークロモフォア基の構成は、入射光で励起さ
れると、クエンチされていない単離されたドナークロモフォア基に対する蛍光の自己クエ
ンチを呈することができる。自己クエンチとは、クエンチされていない単離されたドナー
クロモフォア基と比較して、蛍光の10%以上、例えば20%以上、25%以上、30%
以上、40%以上、または50%以上を意味する。
【0060】
モジュラースキャフォールドは、線形、分岐、またはデンドリマー構成など、任意の便
利な構成を有する非共役反復単位のポリマー主鎖から構成することができる。ポリマー主
鎖は、線形ポリマーとすることができる。ポリマー主鎖は分岐することができる。いくつ
かの事例では、集光マルチクロモフォアは、各々が独立してポリマー主鎖の非共役反復単
位に連結された複数のペンダントドナークロモフォア基を含む。ペンダント基の構成は、
ポリマー主鎖の合成中または合成後に設置することができる。ペンダント基の組み込みは
、利用される特定の合成方法に応じて、ランダム構成、ブロック構成、または段階的合成
を介して配列特異的な方法で達成することができる。
【0061】
「単位」という用語は、ポリマーの構造サブユニットを指す。単位という用語は、モノ
マー、コモノマー、コブロック、反復単位などを含むことを意味する。「反復単位(re
peating unit)」または「反復単位(repeat unit)」は、単位
がn回繰り返されると、得られる構造がポリマーまたはそのブロックを説明するように、
単位が単量体とみなされるために必要とされる最小数の異なる構造特徴によって定義され
るポリマーのサブユニットである。いくつかの場合には、ポリマーは、2つ以上の異なる
反復単位を含んでもよく、例えば、ポリマーがマルチブロックポリマー、単位のランダム
な配置、または定義された配列であるとき、各ブロックは、別個の反復単位を定義し得る
。反復単位またはブロックの様々な配置が可能であり、本明細書に記載される主題のマル
チクロモフォアの描写された式において、様々な長さの任意の便利な線形配置が全体的な
ポリマーの構造内に含まれ得ることが理解される。ポリマーはまた、ポリマー中の各単位
のモル%値に関して式によって表されてもよく、そのような式は、ランダムもしくはマル
チブロックポリマー、または定義された残基配列などの反復単位の様々な配置を表しても
よいことが理解される。いくつかの場合には、ポリマーの反復単位は、単一のモノマー基
を含む。ある特定の事例では、ポリマーの反復単位は、2つ以上のモノマー基、すなわち
、コモノマー基、例えば、2つ、3つ、4つ以上のコモノマー基を含む。「コモノマー」
または「コモノマー基」という用語は、それ自体がポリマーの反復単位の一部であり得る
ポリマーの構造単位を指す。
【0062】
集光マルチクロモフォアは、非共役反復単位の線形ポリマー主鎖を有するモジュラース
キャフォールドを含む。モジュラースキャフォールドは、非共役反復単位のランダムな構
成を含むポリマー主鎖を有することができる。モジュラースキャフォールドは、非共役反
復単位のブロックまたはコブロック構成を含むポリマー主鎖を有することができる。代替
的に、モジュラースキャフォールドは、非共役反復単位の特定の定義された配列、例えば
、ポリペプチド配列のアミノ酸残基を含むポリマー主鎖を有することができる。これらの
構成は、(例えば、本明細書に記載されるように)反復単位のポリマーセグメントによっ
て特徴付けることができ、これらのセグメント自体は、モジュラースキャフォールド全体
を通して繰り返され得る。
【0063】
「非共役」とは、反復単位の少なくとも一部が、1つの反復単位から次の反復単位まで
のポリマー主鎖に沿ったpi共役または拡張脱局在化電子構造を排除する飽和主鎖基(例
えば、2つ以上の連続した単一共有結合を有する基)を含むことを意味する。1つの反復
単位が隣接する反復単位に共役されなくても、そのような反復単位は、不飽和結合(例え
ば、アルケニレン基もしくはアルキニレン基の不飽和結合)および/またはアリール基も
しくはヘテロアリール基を含む1つ以上の単離された不飽和基を含み得、これらの基は主
鎖の一部であり得ることが理解される。いくつかの場合には、ポリマー主鎖の各反復単位
は、連結されたペンダント基またはペンダント基に連結するための化学選択的タグを含む
1つの側鎖を含む。
【0064】
いくつかの事例では、マルチクロモフォアは、式(I)のセグメントを含み、
【0065】
【化1】
【0066】
式中、
各MおよびMは、独立して、不飽和コモノマーであり、
各SおよびSは、独立して、非共役スペーサ単位であり、
各Dは、独立して、Mに連結されたペンダント光吸収クロモフォア(例えば、本明
細書に記載されるように)であり、
各Zは、独立して、Mに連結された化学選択的タグであり、
xは、75mol%以上であり、
yは、25mol%以下であり、*は、マルチクロモフォアのポリマー主鎖への接続で
ある。
【0067】
式(I)のいくつかの場合、MおよびSは、第1の反復単位(M~S)を形成
し、MおよびSは、ポリマー主鎖の第2の反復単位(M~S)を形成する。第1
および第2の反復ユニットは、ランダムまたはコブロック構成で配置することができる。
第1の反復単位では、Dは、第1の化学選択的タグのD前駆体への共役を介してM
に連結することができる。第2の反復単位では、Z基は、第2の光吸収クロモフォア、
アクセプタフルオロフォア、または(例えば、本明細書に記載されるように)連結された
生体分子などのペンダント基を設置するために、第2の化学選択的タグ(Z)を介して
、対象の分子にさらに共役され得る。式(I)のある特定の場合において、第1の反復単
位のDペンダント基は、一緒に集光マルチクロモフォアシステムを提供する2つ以上の
(例えば、2つまたは3つの)異なるタイプのペンダント集光クロモフォアを含む。式(
I)のある特定の事例では、第1の反復単位のDペンダント基はすべて同じである。
【0068】
式(I)のいくつかの事例では、xは、例えば、85mol%以上、90mol%以上
、95mol%以上、96mol%以上、97mol%以上、98mol%以上、または
99mol%以上など、80mol%以上である。式(I)のいくつかの事例では、yは
、例えば、15mol%以下、10mol%以下、5mol%以下、4mol%以下、3
mol%以下、2mol%以下、1mol%以下など、20mol%以下である。
【0069】
任意の便利な不飽和コモノマーは、例えば、式(I)の主題のマルチクロモフォア中の
およびM基として利用することができる。不飽和コモノマーとは、ポリマー主鎖内
に少なくとも1つの不飽和共有結合を有するコモノマーを意味する。対象の不飽和コモノ
マーは、これらに限定されないが、アリールまたはヘテロアリールコモノマー、アルキニ
ルコモノマー(例えば、エチニレン)またはセグメント、ならびにアルケニルコモノマー
(例えば、ビニレン)またはセグメントを含む。(例えば、式(I)の)マルチクロモフ
ォアでの使用を見出す対象のアリールまたはヘテロアリールコモノマーは、これらに限定
されないが、フェニルコモノマー、ビフェニルコモノマー、ベンゾオキサゾールコモノマ
ー、ベンゾチアゾールコモノマー、ポリフェニレンコモノマー、ならびに縮合三環式コモ
ノマー、例えば、フルオレンコモノマー、カルバゾールコモノマー、シロールコモノマー
、および架橋ビフェニルコモノマーを含む。アリールまたはヘテロアリールコモノマーは
、例えば、本明細書に記載されるように、任意選択でさらに置換され得る。式(I)のい
くつかの場合には、各MおよびMは、独立して、フルオレン、カルバゾール、シロー
ル、ビフェニレン、およびフェニレンから選択される1つ以上の基を含む。
【0070】
式(I)の集光マルチクロモフォアは、非共役反復単位のポリマー主鎖を含み、各S
およびSは、独立して、隣接するMおよび/またはMコモノマーの間からpi共役
を排除する飽和スペーサ単位である。いくつかの場合には、SおよびSは、独立して
、二価ポリエチレングリコール(PEG)および二価修飾ペグ基から選択される。二価と
は、2つの隣接するコモノマーを接続するペグまたは修飾ペグリンカーを意味する。ある
特定の事例では、ペグまたは修飾ペグは、6~100単位などの3~100個のポリエチ
レングリコール単位(例えば、ペグ~ペグ100)を含む。
【0071】
いくつかの事例では、マルチクロモフォアは、式(II)のセグメントを含み、
【0072】
【化2】
【0073】
式中、
非共役反復単位のポリマー主鎖は、各々独立して非共役コモノマーであるSM、SM
、およびSMコモノマーを含み、
各Dは、独立して、SMに連結されたペンダント光吸収クロモフォアであり、
各Zは、独立して、SMに連結された化学選択的タグであり、
各Zは、SMに連結された任意選択の側鎖基であり、
xは、50mol%以上であり、
y+zは、50mol%以下であり、*は、マルチクロモフォアのポリマー主鎖への接
続である。
【0074】
は、光吸収クロモフォア、化学選択的タグ、リンカー、連結された生体分子、アク
セプタフルオロフォア、WSGなど、不在であってもよく、または任意の便利な側鎖基で
あってもよい。式(II)のある特定の場合では、SMは、Zが存在しないスペーサ
コモノマーである。式(II)のある特定の事例では、SMは、第2のペンダント光吸
収クロモフォアであるZ基を含むコモノマーであり、各Dおよび各Zは、一緒に集
光マルチクロモフォアシステムを提供する。いくつかの場合では、SMは、第2の化学
選択的タグ(Z)、例えば、対象の部分の選択的設置を提供するZに直交する保護官
能基またはタグを含むコモノマーである。
【0075】
式(II)のある特定の場合において、xは、例えば、65mol%以上、70mol
%以上、75mol%以上、80mol%以上、85mol%以上、90mol%以上、
95mol%以上、またはさらにはそれ以上など、60mol%以上である。式(II)
のある特定の事例では、y+zは、例えば、30mol%以下、25mol%以下、20
mol%以下、15mol%以下、10mol%以下、5mol%以下、またはさらには
それ以下など、40mol%以下である。式(II)のある特定の事例では、yは、例え
ば、20mol%以下、15mol%以下、10mol%以下、5mol%以下、または
さらにはそれ以下など、少なくとも1mol%および25mol%以下である。式(II
)のある特定の例では、zは、例えば5mol%以下、またはさらにはそれ以下など、少
なくとも1mol%および10mol%以下である。
【0076】
式(II)のある特定の事例では、SMは存在しない、すなわち、zは0mol%で
ある。したがって、マルチクロモフォアは、式(III)のセグメントを含むことができ
【0077】
【化3】
【0078】
式中、
非共役反復単位のポリマー主鎖は、各々独立して非共役コモノマーであるSMおよび
SMコモノマーを含み、
各Dは、独立して、SMに連結されたペンダント光吸収クロモフォアであり、
各Zは、独立して、SMに連結された化学選択的タグであり、
xは、75mol%以上であり、
yは、25mol%以下であり、*は、マルチクロモフォアのポリマー主鎖への接続で
ある。
【0079】
式(III)のある特定の実施形態では、SMおよびSMは各々、独立して、飽和
非共役コモノマー、例えば、単一の共有C-C結合のみを提供するコモノマーである。式
(III)のいくつかの実施形態では、SMおよびSMは各々、独立して、部分飽和
非共役コモノマー、例えば、飽和共有結合の主鎖において単離された二重C=C共有結合
を提供するコモノマーである。式(III)の第1および第2の反復単位(SMおよび
SM)は、ランダム構成、ブロック、もしくはコブロック構成、または特定の配列で配
置することができる。第1の反復単位では、Dは、第1の化学選択的タグのD前駆体
への共役を介してSMに連結することができる。第2の反復単位(SM)では、Z
基は、第2の集光クロモフォア、アクセプタフルオロフォア、または(例えば、本明細書
に記載されるように)連結された生体分子などのペンダント基を設置するために、第2の
化学選択的タグ(Z)を介して、対象の分子にさらに共役され得る。式(III)のあ
る特定の場合において、第1の反復単位のDペンダント基は、一緒に集光マルチクロモ
フォアシステムを提供する2つ以上の(例えば、2つまたは3つの)異なるタイプのペン
ダント光吸収クロモフォアを含む。式(III)のある特定の事例では、第1の反復単位
のDペンダント基はすべて同じである。
【0080】
式(III)のいくつかの事例では、xは、例えば、85mol%以上、90mol%
以上、95mol%以上、96mol%以上、97mol%以上、98mol%以上、ま
たは99mol%以上など、80mol%以上である。式(III)のいくつかの事例で
は、yは、例えば、15mol%以下、10mol%以下、5mol%以下、4mol%
以下、3mol%以下、2mol%以下、1mol%以下など、20mol%以下である
【0081】
任意の便利なコモノマーを利用して、式(II)または(III)のマルチクロモフォ
ア中のポリマー主鎖を提供することができる。完全飽和または部分飽和ポリマー主鎖の調
製での使用を見出す対象のコモノマーは、これらに限定されないが、アクリレート、メタ
クリレート、アクリルアミド、ポリスチレン、ROMP(開環メタテーゼ重合)モノマー
、ADMET(非環状ジエンメタテーゼ)モノマー、環状カーボネート、ポリエチレング
リコールに由来するモノマー、およびポリエチレンミンに由来するモノマーが挙げられる
。コモノマーは、任意選択で、例えば、化学選択的タグで置換され得る。コモノマーは、
これらに限定されないが、アルケン重合、開環重合、ラジカル重合、およびクリックケミ
ストリ、または適合性化学選択的官能基またはタグ間の共役を含むが、任意の便利な化学
を使用して重合または連結され得る。対象のADMETモノマーは、これらに限定されな
いが、Mutlu et al.(“Acyclic diene metathesi
s: a versatile tool for the construction
of defined polymer architectures”,Chem.
Soc.Rev.,2011,40,1404-1445)によって記載されたものを含
む。いくつかの事例では、SM、SM、および/またはSMは、以下の式を有し、
【0082】
【化4】
【0083】
式中、
21は、-L-Dまたは-L-Zであり、Dは、ペンダントドナークロモ
フォアであり、Zは、化学選択的タグであり、LおよびLは、任意選択のリンカー
であり、
nおよびmは、独立して、1~6(例えば、1または2)の整数であり、
*は、マルチクロモフォアのポリマー主鎖への接続である。
【0084】
対象のROMPモノマーは、これらに限定されないが、Song et al.(“S
cope of the Ring-Opening Metathesis Poly
merization (ROMP) Reaction of 1-Substitu
ted Cyclobutenes”,J.Am.Chem.Soc.,2010,13
2(30),pp 10513-10520)によって記載されたものを含む。いくつか
の事例では、SM、SM、および/またはSMは、以下の式のうちの1つを有し、
【0085】
【化5】
【0086】
式中、
21は、-L-Dまたは-L-Zであり、Dは、ペンダントドナークロモ
フォアであり、Zは、化学選択的タグであり、LおよびLは、任意のリンカーであ
り、
Xは、CHまたはOであり、
*は、マルチクロモフォアのポリマー主鎖への接続である。
【0087】
いくつかの事例では、SM、SM、および/またはSMは、以下の式のうちの1
つを含み、
【0088】
【化6】
【0089】
式中、
21は、-L-Dまたは-L-Zであり、
は、ペンダントドナークロモフォアであり、
は、化学選択的タグであり、
およびLは、任意選択のリンカーであり、
Xは、OまたはNR’’であり、
R’は、Hまたは低級アルキル(例えば、メチル)であり、
R’’は、H、低級アルキル、置換低級アルキル、およびWSGであり、
*は、マルチクロモフォアのポリマー主鎖への接続である。いくつかの事例では、ポリ
マー主鎖は、ポリスチレンおよびアクリレートまたはアクリルアミド由来コモノマーの混
合物(例えば、本明細書に記載されるように)を含む。
【0090】
マルチクロモフォアは、任意の便利な重合方法を使用して調製された炭化水素主鎖を有
することができる。いくつかの場合には、炭化水素主鎖は、アクリレート、アクリルアミ
ドもしくはスチレンコモノマー、またはその誘導体に由来する。いくつかの場合には、マ
ルチクロモフォアは、式(X)によって表され、
【0091】
【化7】
【0092】
式中、
各Dは、独立して、ペンダントドナークロモフォアであり、
各Zは、(例えば、本明細書に記載の)化学選択的タグであり、
各L、L、およびLは、独立して、リンカーであり、
a、b、およびcは、各コモノマーのmol%値であり、
dは、ポリマーの総重合または平均長を表し(例えば、dは、2~500、2~200
、2~100、または2~50など、2~1000である)、
WSGは、(例えば、本明細書に記載の)水溶化基であり、
およびGは各々、独立して、末端基、ポリマーセグメント、ドナークロモフォア
基、アクセプタフルオロフォア、リンカー、および連結された特異的結合メンバーから選
択される。
式(X)のいくつかの事例では、c=0である。式(X)のいくつかの事例では、a>
0およびb>0である。式(X)のいくつかの例では、aは、例えば、85mol%以上
、90mol%以上、95mol%以上、96mol%以上、97mol%以上、98m
ol%以上、または99mol%以上など、80mol%以上である。式(X)のいくつ
かの例では、bは、例えば、15mol%以下、10mol%以下、5mol%以下、4
mol%以下、3mol%以下、2mol%以下、1mol%以下など、20mol%以
下である。式(X)のいくつかの事例では、aは、65~95mol%であり、bは、5
~35mol%であり、cは、0~30mol%であり、a+b+c=100%である。
式(X)のある特定の事例では、L~Lは、-COO-、-CONR’’-、-Ph
-、-O-から選択されるポリマーの主鎖との連結を含み、R’’は、H、低級アルキル
、置換低級アルキル、またはWSGである。そのような連結は、D、Z、およびWS
Gをポリマー主鎖に接続するために利用され得る。
【0093】
式(X)のある特定の事例では、L~Dは、以下のうちの1つによって表され、
【0094】
【化8】
【0095】
式中、Rは、H、低級アルキル、置換低級アルキル、またはWSGである。式(X)
のある特定の事例では、WSGは、本明細書に記載されるそのような基の実施形態および
構造のいずれか1つに記載される水溶化基である。
【0096】
マルチクロモフォアは、(例えば、本明細書に記載されるように)クリックケミストリ
共役反応に由来する連結または基を介して接続されたコモノマーに由来する主鎖を有する
ことができる。任意の便利な二価コモノマー基を末端化学選択的タグで誘導体化し、適合
性化学選択的タグの共役を介して重合することができる。図7Aおよび図7Bは、クリッ
クケミストリを介したアルキンおよびアジド化学選択的タグを有するコモノマーの重合の
ための例示的なスキームを例示する。いくつかの場合には、コモノマーは、ポリマーの主
鎖の一部を構成する1つ以上のエチレンオキシドまたはエチレンアミノ基を含む。そのよ
うな基は、得られるポリマー色素の所望の水溶性を提供することができる。コモノマーは
、ドナーもしくはアクセプタ色素、またはWSGなどの側鎖基に連結するための三価単位
をさらに含むことができる。いくつかの場合には、コモノマーは、主鎖中にプロピレンオ
キシドまたはプロピレンアミノ基を含み、これは、さらに、側鎖基または置換基で2位で
置換される。この基は、連結された化学選択的タグ、連結されたドナーもしくはアクセプ
タ色素、または連結されたWSGを含むことができる。
【0097】
式(II)のいくつかの事例では、マルチクロモフォアは、式(XXI)のものであり
【0098】
【化9】
【0099】
式中、
非共役反復単位のポリマー主鎖は、クリックケミストリまたは化学選択的基共役反応(
例えば、アジド-アルキンクリックケミストリ)の生成物である基Tを介して各々連結さ
れるSM、SM、およびSMコモノマーを含み、
SMは、任意選択で、連結されたWSGを含み、
各Dは、独立して、SMに連結されたペンダント光吸収クロモフォアであり、
各Zは、独立して、SMに連結された化学選択的タグであり、
各Zは、SMに連結された任意選択の側鎖基であり、
xは、50mol%以上であり、
y+zは、50mol%以下であり、
*は、本明細書に記載されるように、マルチクロモフォアまたは末端基のポリマー主鎖
への接続である。
式(XXI)のある特定の事例では、SM、SM、およびSMは、エチレンオキ
シド、エチレンアミノ、2置換プロピレンオキシド、および2置換プロピレンアミノから
選択される反復単位を含む。式(II)のいくつかの事例では、各Tは、1,4置換1,
2,3-トリアゾール、すなわち、アジド-アルキンクリックケミストリ共役反応の生成
物である。
【0100】
式(XXII)のいくつかの事例では、SM、SM、および/またはSMは、以
下の構造を有し、
【0101】
【化10】
【0102】
式中、
各Xは、独立して、OまたはNR31であり、R31は、H、アルキル、置換アルキル
、アルカノイル、または置換アルカノイルであり、
各rおよびsは、独立して、1~6(例えば、1、2、または3)であり、
各dおよびeは、独立して、1~12(例えば、1、2、3、4、5、または6などの
1~6)であり、
tは、0または1であり、
は、ペンダントドナークロモフォアであり、
は、(例えば、本明細書に記載の)化学選択的タグであり、
WSGは、(例えば、本明細書に記載の)水溶化基であり、
各L、L、およびLは、独立して、リンカーであり、
*は、1,4置換1,2,3-トリアゾール(T)への接続である。
【0103】
上述のSM~SMの構造が由来するコモノマーのいずれかに関して、アジドまたは
アルキン基のいずれかが、重合中に連結するためにコモノマーの末端で利用され得ること
が理解される。したがって、1,4置換1,2,3-トリアゾール(T)は、以下のよう
に、2つの可能な配向のうちの1つで存在し得る。
【0104】
【化11】
【0105】
ポリマー主鎖の末端は、アジドまたはアルキン基、リンカー、または連結された特異的
結合部分など、任意の便利な末端基を含むことができる。
【0106】
例示的なマルチクロモフォア構造およびその前駆体は、実験セクションの実施例3およ
び以下の構造に示される。
【0107】
【化12】
【0108】
式中、
は、(例えば、本明細書に記載の)末端基であり、
およびLは、独立して、リンカーであり、
は、(例えば、本明細書に記載の)ペンダントクロモフォアであり、
各d、e、およびfは、独立して、1~6であり、
nは、1~1000(例えば、2~1000、2~500、2~100、または2~5
0)であり、
各R1は、アルキル、置換アルキル、およびWSGから選択され、
「リンカー」は、例えば、コモノマーまたは生体分子への共役のための、任意選択の化
学選択的官能基を含むリンカーである。式(XXI)のいくつかの事例では、L-L
は、-NHCO-アルキルから選択されるポリマーの主鎖への連結を含む。
【0109】
対象のマルチクロモフォアのポリマー主鎖の調製に使用するために適合され得る対象の
環状カーボネートおよび保護されたカーボネートモノマー(例えば、本明細書に記載され
る式(IX)を参照されたい)は、これらに限定されないが、Barnes et al
.in WO2013036532, Cooley et al.(J.Am.Che
m.Soc.,131,45,1640-3,2009),and Rothbard
et al.in U.S.Patent 7,169,814に記載されるものを含む
。そのようなモノマーは、開始剤および好適な供給比の環状カーボネートモノマーを使用
して重合反応において利用され、ポリマー主鎖を提供する。代替的な保護されたカーボネ
ートモノマーは、定義された配列を提供するために、段階的な合成で組み立てることがで
きる。式(II)~(III)のいくつかの場合には、ポリマー主鎖は、ポリカーボネー
ト主鎖を有する。したがって、マルチクロモフォアは、式(IX)を有し得る。
【0110】
【化13】
【0111】
式中、
各Dは、独立して、ペンダントドナークロモフォア基であり、
各Zは、独立して、化学選択的タグであり、
各LおよびLは、独立して、リンカーであり、
xは、75mol%以上であり、
yは、25mol%以下であり、
およびGは各々、独立して、末端基、ポリマーセグメント、ドナークロモフォア
基、アクセプタフルオロフォア、リンカー、および連結された特異的結合メンバーからな
る群から選択される。
【0112】
ある特定の実施形態では、式(II)~(III)の反復単位(SM、SM、およ
び/またはSM)は、定義された線形配列で配置される。定義された段階的な方法で重
合することができる任意の便利なコモノマーを、式(II)~(III)のマルチクロモ
フォアの構築に利用することができる。コモノマーは、アミノ酸、ペプトイドモノマー、
または保護もしくは環状カーボネートモノマーに由来し得る。
【0113】
式(II)~(III)のいくつかの場合では、ポリマー主鎖は、α-アミノ酸残基お
よび/またはβ-アミノ酸残基の定義された配列を有するポリペプチドである。2種類の
β-アミノ酸およびポリペプチドは、主題のマルチクロモフォアのポリマー主鎖での使用
を見出すことができ、アミンの隣に側鎖基を有するものはβ3ペプチド/残基と呼ばれ、
カルボニル基の隣に側鎖基を有するものはβ2ペプチド/残基と呼ばれる。ある特定の実
施形態では、マルチクロモフォアは、式(IV)のものであり、
【0114】
【化14】
【0115】
式中、
各Dは、独立して、ペンダント光吸収クロモフォア基であり、
各Zは、独立して、化学選択的タグであり、
各LおよびLは、独立して、リンカーであり、
およびqは、独立して、0または1であり、p+q≦1であり、
およびqは、独立して、0または1であり、p+q≦1であり、
xは、75mol%以上であり、
yは、25mol%以下であり、
およびGは各々、独立して、末端基、ポリマーセグメント、光吸収(例えば、ド
ナー)クロモフォア基、アクセプタフルオロフォア、リンカー、および連結された特異的
結合メンバーから選択される。
【0116】
式(IV)のいくつかの実施形態では、pおよびpは各々0であり、qおよびq
は各々1(例えば、β3-アミノ酸残基)である。式(IV)のいくつかの実施形態で
は、pおよびpは各々1であり、qおよびqは各々0(例えば、β2-アミノ酸
残基)である。いくつかの場合には、p、p、q、およびqは各々、0であり、
マルチクロモフォアは、以下の式(V)のものであり、
【0117】
【化15】
【0118】
式中、
各Dは、独立して、ペンダントドナークロモフォア基であり、
各Zは、独立して、化学選択的タグであり、
およびLは各々、独立して、リンカーであり、
xは、75mol%以上であり、
yは、25mol%以下であり、
およびGは各々独立して、末端基、ポリマーセグメント、光吸収(例えば、ドナ
ー)クロモフォア基、アクセプタフルオロフォア、リンカー、および連結された特異的結
合メンバーから選択される。
式(V)によって記載されるマルチクロモフォアは、合計xおよびyの定義されたmo
l%比を有する、定義された線形配列中のコモノマーの任意の便利な配置を含むことが理
解される。いくつかの場合には、Z含有コモノマーは、ポリマー主鎖の配列全体にわた
って間隔をあけて配置されており、したがって、常に、1つ以上のD1含有コモノマーに
両側に隣接する。
【0119】
式(V)のある特定の事例では、マルチクロモフォアは、式(VI)のセグメントを含
み、
【0120】
【化16】
【0121】
式中、
各Dは、独立して、ペンダント光吸収クロモフォア基であり、
各Zは、独立して、化学選択的タグであり、
各LおよびLは、独立して、リンカーであり、
nおよびpは各々、独立して、1~20の整数であり、式中、n+p≧2であり、
mは、1または2である。
【0122】
式(VI)のいくつかの場合において、nおよびpは各々、独立して、2~20、3~
10、または3~6など、1~10である。式(VI)のいくつかの例では、n+pは、
例えば3~20、4~20、5~20、5~15、または5~12など、2~20の整数
である。式(VI)のある特定の実施形態では、mは、1である。
【0123】
主題のマルチクロモフォアは、式(VI)の複数のセグメントを含むことができ、各セ
グメントは、コモノマーを含むDのブロックに隣接するコモノマーを含む1つの単離さ
れたZを含む。いくつかの事例では、マルチクロモフォアは、例えば3~20個、4~
20個、5~20個、5~15個、または5~12個のD含有コモノマーのブロックな
ど、2~20個のD含有コモノマーのブロックによって分離された2個の単離されたZ
含有コモノマーを提供するために、互いに隣接して方向付けられた式(VI)の2個以
上のセグメントを含む。したがって、ある特定の実施形態では、マルチクロモフォアは、
ブロックコポリマーのqのセグメントを含み、式(VII)のものであり、
【0124】
【化17】
【0125】
式中、各(n)および各(p)は、独立して、1~20の整数であり、式中、qの
セグメントの各々について、(n)+(p)≧3であり、qは、1~100の整数で
ある。
【0126】
式(V)~(VII)のα-アミノ酸残基は、対応するポリペプチド生成物を提供する
ためにβ2-アミノ酸残基またはβ3-アミノ酸残基で置換することができることが理解
される。式(V)~(VII)において、Dは、第1の化学選択的タグのD前駆体へ
の共役を介してアミノ酸側鎖リンカーL1に連結することができる。式(V)~(VII
)において、Z基は、第2の集光クロモフォア、アクセプタフルオロフォア、または(
例えば、本明細書に記載されるように)連結された生体分子などのペンダント基を設置す
るために、第2の化学選択的タグ(Z)を介して、対象の分子にさらに共役され得る。
【0127】
任意の好都合なアミノ酸は、ペンダント基が共有結合し得るポリマー主鎖を提供するた
めに使用するために適合され得る。アミノ酸は、天然に存在するか、または非天然に存在
することができる。例えば、リジン、オルニチンなどのアミノ酸は、活性化カルボン酸な
どのアミノ反応性基との共役に好適な側鎖アミノ基を有する。システインは、マレイミド
またはハロアセチルなどのチオール反応性基との共役に好適な側鎖チオール基を含む。ア
スパラギン酸およびグルタミン酸は、アミノ基などの求核基と共役することができる側鎖
カルボン酸基を有する。ペプチド合成方法を含む主題のマルチクロモフォアの調製方法が
本明細書に記載される。
【0128】
いくつかの事例では、マルチクロモフォアのポリマー主鎖は、以下のポリペプチド配列
セグメントのうちの1つ以上を有し、
XYXX
XXYXX
XXXYXXX
XXXYXXXX
XXXXYXXX
XXXXYXXXX
XXXXXYXXXXX
XXXXXXYXXXXXX
XXXXXXXYXXXXXXX
XXXXXXXXYXXXXXXXX
XXXXXXXXXYXXXXXXXXX
Y(X)
XY(X)YX
XXY(X)YXX
XXXY(X)YXXX
XXXXY(X)YXXXX
XXXXXY(X)YXXXXX
式中、
各Xは、側鎖連結された第1の化学選択的タグ、または側鎖連結されたペンダントドナ
ークロモフォアを有する第1のアミノ酸残基であり、
各Yは、側鎖連結された第2の化学選択的タグ、または側鎖連結されたペンダントアク
セプタフルオロフォアを有する第2のアミノ酸残基であり、
nは、2~10、3~10、4~10、または5~10などの2~20の整数であり、
例えば、nは、2、3、4、5、6、7、8、9、または10である。
【0129】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の1つ以上のポリペプチドセグメントに加え
て、第3のタイプのアミノ酸残基(Z)をポリマー主鎖に、例えば、セグメントのうちの
2つの間に組み込むことができる。ある特定の場合において、単一の単離された第3のア
ミノ酸残基は、例えば、(セグメント1)-Z-(セグメント2)など、本明細書に記載
されるセグメントのうちの任意の2つの間に組み込まれる。この第3のアミノ酸残基は、
スペーサ残基、または、第2のペンダント光吸収クロモフォア、化学選択的タグ(例えば
、生体直交クリックケミストリタグ)、リンカー、連結生体分子、アクセプタフルオロフ
ォア、WSGなど、対象の追加の部分の選択的設置に好適な化学選択的官能基を有する残
基とすることができる。ある特定の事例では、対象の追加の部分は、調製の前に第3のア
ミノ酸残基に組み込まれる。
【0130】
ある特定の事例では、第1のアミノ酸残基(X)は、側鎖アミノ基、例えば、リジンも
しくはオルニチン、またはその保護バージョンを含む。ポリマー主鎖のSPPS中、これ
らの側鎖アミノ基は、(例えば、CbzまたはBoc保護基で)保護されたままであり、
その後、直交的に脱保護されて、第1の残基のペンダントドナークロモフォア基への共役
を提供することができる。ある特定の場合において、第2のアミノ酸残基は、側鎖チオー
ル基、例えば、システインまたはその保護されたバージョンを含む。同様に、ポリマー主
鎖のSPPS中、これらの側鎖チオール基は、保護されたままであり、その後、第2の残
基の対象のペンダント基、例えば、アクセプタフルオロフォアへの共役を提供するために
直交的に脱保護することができる。
【0131】
いくつかの実施形態では、マルチクロモフォアのポリマー主鎖は、以下のポリペプチド
配列セグメントのうちの1つ以上に由来し、
KCKK(配列番号:1)
KKCK(配列番号:2)
KKYKK(配列番号:3)
KKKYKK(配列番号:4)
KKYKKK(配列番号:5)
KKKYKKK(配列番号:6)
KKKYKKKK(配列番号:7)
KKKKYKKK(配列番号:8)
KKKKCKKKK(配列番号:9)
KKKKKCKKKKK(配列番号:10)
KKKKKKCKKKKKK(配列番号:11)
KKKKKKKCKKKKKKK(配列番号:12)
KKKKKKKKCKKKKKKKK(配列番号:13)
KKKKKKKKKCKKKKKKKKK(配列番号:14)
KKKKCKKKKKKKKKKCKKKKK(配列番号:15)
C(K)C(配列番号:16)
KC(K)CK(配列番号:17)
KKC(K)CKK(配列番号:18)
KKKC(K)CKKK(配列番号:19)
KKKKC(K)CKKKK(配列番号:20)
KKKKKC(K)CKKKKK(配列番号:21)
式中、各Kは、リジン残基、保護されたリジン残基、または側鎖アミノ基を介してペン
ダントドナークロモフォア基に共有結合したリジン残基であり、nは、2~20(例えば
、2~10、3~10、4~10、または5~10、例えば、nは、2、3、4、5、6
、7、8、9、または10)の整数であり、Cは、システイン残基または保護システイン
残基である。
【0132】
いくつかの実施形態では、マルチクロモフォアのポリマー主鎖は、以下のポリペプチド
配列セグメントのうちの1つ以上に由来し、
OCOO(配列番号:22)
OOCO(配列番号:23)
OOCOO(配列番号:24)
OOOCOO(配列番号:25)
OOCOOO(配列番号:26)
OOOCOOO(配列番号:27)
OOOCOOOO(配列番号:28)
OOOOCOOO(配列番号:29)
OOOOCOOOO(配列番号:30)
OOOOOCOOOOO(配列番号:31)
OOOOOOCOOOOOO(配列番号:32)
OOOOOOOCOOOOOOO(配列番号:33)
OOOOOOOOCOOOOOOOO(配列番号:34)
OOOOOOOOOCOOOOOOOOO(配列番号:35)
OOOOOOOOOOCOOOOOOOOOO(配列番号:36)
C(O)C(配列番号:37)
OC(O)CO(配列番号:38)
OOC(O)COO(配列番号:39)
OOOC(O)COOO(配列番号:40)
OOOOC(O)COOOO(配列番号:41)
OOOOOC(O)COOOOO(配列番号:42)
式中、
Oは、側鎖アミノ基を介してペンダントドナークロモフォア基に共有結合したオルニチ
ン残基、保護されたオルニチン残基、またはオルニチン残基であり、
nは、2~20(例えば、2~10、3~10、4~10、または5~10、例えば、
nは、2、3、4、5、6、7、8、9、または10)の整数であり、
Cは、システイン残基または保護システイン残基である。
【0133】
式(II)~(III)のいくつかの場合には、ポリマー主鎖は、ペプトイド主鎖であ
る。したがって、マルチクロモフォアは、式(VIII)を有し得る。
【0134】
【化18】
【0135】
式中、
各Dは、独立して、ペンダントドナークロモフォア基であり、
各Zは、独立して、化学選択的タグであり、
各LおよびLは、独立して、リンカーであり、
xは、75mol%以上であり、
yは、25mol%以下であり、
およびGは各々、独立して、末端基、ポリマーセグメント、光吸収(例えば、ド
ナー)クロモフォア基、アクセプタフルオロフォア、リンカー、および連結された特異的
結合メンバーから選択される。
【0136】
式(VIII)によって記載されるマルチクロモフォアは、合計xおよびyの定義され
たmol%比を有する、定義された線形配列中のコモノマーの任意の便利な配置を含むこ
とが理解される。いくつかの場合には、Z含有コモノマーは、ポリマー主鎖の配列全体
にわたって間隔をあけて配置されており、したがって、常に、1つ以上のD1含有コモノ
マーに両側に隣接する。
【0137】
式(IV)、(V)、(XIII)、および(IX)のいくつかの例では、xは、例え
ば、85mol%以上、90mol%以上、95mol%以上、96mol%以上、97
mol%以上、98mol%以上、または99mol%以上など、80mol%以上であ
る。式(IV)、(V)、(XIII)、および(IX)のいくつかの例では、yは、例
えば、15mol%以下、10mol%以下、5mol%以下、4mol%以下、3mo
l%以下、2mol%以下、1mol%以下など、20mol%以下である。
【0138】
ペンダントクロモフォア基
任意の便利な光吸収クロモフォア基は、主題のマルチクロモフォアでの使用に適合する
ことができる。「光吸収クロモフォア基」および「ドナークロモフォア基」という用語は
、互換的に使用され、特定の最大吸収波長で光を吸収し、近傍のクロモフォアもしくはア
クセプタフルオロフォアにエネルギーを伝達するか、またはそれをより長い最大発光波長
で発光光に変換することができるマルチクロモフォアのペンダント基を指す。
【0139】
BODIPYクロモフォア基
ペンダントクロモフォア基は、BODIPY基とすることができる。式(I)~(IX
)のいくつかの場合において、各Dは、独立して、BODIPY基である。いくつかの
場合には、BOPIPY基は、ペンダントドナークロモフォア基である。「BODIPY
基」という用語は、以下のホウ素-ジピロメタン(BODIPY)コア構造を有するクロ
モフォア基を含むマルチクロモフォアのペンダント基を指し、
【0140】
【化19】
【0141】
式中、QはCまたはNであり、各Rは、任意の便利なホウ素置換基である。いくつかの
場合において、QはCである。いくつかの事例では、各Rは、独立して、F、OH、H、
アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリー
ル、アルコキシ、置換アルコキシ、アルキニル、および置換アルキニルから選択される。
【0142】
BODIPYコア構造は、任意選択の側鎖リンカーを介して、コア構造の任意の便利な
位置を介して、マルチクロモフォアの反復単位に連結され得る。BODIPYコア構造は
、さらに任意選択で置換され得る。ある特定の実施形態では、BODIPY基は、反復単
位の一部であるコモノマーの側鎖基を定義する。任意の便利なBODIPY含有構造は、
BODIPY基として主題のマルチクロモフォアでの使用に適合され得る。対象のBOD
IPY含有構造は、これらに限定されないが、Loudet and Burgess
in“BODIPY Dyes and Their Derivatives:Syn
theses and Spectroscopic Properties”,Che
m.Rev.2007,107(11):4891-4932、Suzuki et a
l.in U.S.Patent No.8,193,350、Ulrich et a
l.in U.S.Patent No.8,476,461、およびUlrich e
t al.in U.S.Patent No.7,897,786に記載されるBOD
IPY色素および誘導体を含み、これらの開示は、参照によりそれらの全体が本明細書に
組み込まれる。
【0143】
BODIPYペンダントクロモフォア基は、式(XI)によって記載することができ、
【0144】
【化20】
【0145】
式中、
Qは、CまたはNであり、
~Rは各々独立して、H、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキ
シ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アルケニル、置換
アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、水溶化基(WSG)および-L-Zから
選択され、あるいは
任意選択で、RおよびR、RおよびR、RおよびR、RおよびR
およびRならびにRおよびRから選択される任意の1つ以上の置換基対は、一
緒に二価ラジカルを形成し、環状に連結され、それらが結合する炭素原子と一緒に、5員
または6員の縮合複素環、炭素環、アリールまたはヘテロアリール環(例えば、炭素原子
ならびにO、SおよびNから選択される0~3個のヘテロ原子を含む5員または6員環)
を提供し、この環は、非置換であってもよく、または、独立してアルキル、置換アルキル
、アルコキシ、置換アルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロ
アリール、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、水溶化基(WS
G)および-L-Zから選択される置換基でさらに置換されてもよく、
は、リンカーであり、
は、ポリマー主鎖の非共役反復単位であり、
およびYは、独立して、F、OH、H、シアノ、アルキル、置換アルキル、アリ
ール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アルコキシ、置換アルコキ
シ、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、およびWSGから選択
され、
、Y、およびR~Rのうちの1つは、ポリマー主鎖の非共役反復単位に連結
される。
【0146】
式(XI)において、置換基Y、YおよびR-Rは、BODIPY基の蛍光を
阻害しない基から選択され得ることが理解される。式(XI)のある特定の事例では、Q
はCである。本明細書に記載されるBODPIY基式のいずれかについて、式(XI)中
のQで表される原子が窒素原子である場合、対応する式が含まれ得ることが理解される。
式(XI)のある特定の実施形態では、Y、Y、およびR~Rのうちの1つ以上
は、WSGを含む。式(XI)のある特定の事例では、YおよびYは各々、WSGを
含む。式(XI)のある特定の事例では、-L-Zのリンカーは、WSGを含む。
【0147】
式(XI)では、置換基対RおよびRならびに/またはRおよびRは、環状に
連結されて、非置換または置換である5員または6員の縮合環を提供することができる。
式(XI)のいくつかの場合では、5員または6員の縮合環は、フラン、チオフェン、ピ
ロール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、イミダゾール
、およびピラゾールから選択されるアリールまたはヘテロアリール環である。
【0148】
式(XI)のいくつかの事例では、BODIPY基は、式(XIIa)または(XII
b)のものであり、
【0149】
【化21】
【0150】
式中、
11およびZ12は、独立して、縮合5員または6員の縮合複素環、炭素環、アリー
ルまたはヘテロアリール環であり、
各「i」は、独立して、0~3であり、
各R20は、独立して、式(X)中のR~Rについて定義される置換基である。
【0151】
式(XIIa)~(XIIb)のある特定の実施形態では、Z11およびZ12は、独
立して、5員または6員の縮合アリールまたはヘテロアリール環である。いくつかの場合
には、Z11およびZ12は、独立して、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール
、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、およびピラゾールか
ら選択される。式(XIIa)~(XIIb)のいくつかの場合では、Z11および/ま
たはZ12は、フランまたはチオフェンである。式(XIIa)のある特定の場合では、
~Rのいずれも環状に連結していない。
【0152】
式(XIa)~(XIIb)のいくつかの事例では、Z11およびZ12は、独立して
、以下の環から選択され、
【0153】
【化22】
【0154】
式中、
Xは、OまたはSであり、
Yは、O、S、またはNRであり、
Rは、H、アルキル、置換アルキル、または式(XIIa)~(XIIb)のR20
ついて定義される置換基であり、
21~R23は、独立して、H、および式(XIIa)~(XIIb)のR20につ
いて定義される置換基から選択される。
【0155】
式(XIIa)~(XIIb)のある特定の事例では、Z11およびZ12は、独立し
て、上記で定義されているように、以下の環から選択される。
【0156】
【化23】
【0157】
式(XIIb)のある特定の場合では、Z11およびZ12は、同じ環である。ある特
定の事例では、Z11およびZ12は、異なる環を含む。
【0158】
式(XIIa)のある特定の実施形態では、BODIPY基は、式(XIIIa)また
は(XIIIb)のものであり、
【0159】
【化24】
【0160】
式中、
Xは、OまたはSであり、
16およびR17は、式(I)中のRおよびRについて定義される置換基である
【0161】
式(XIIIa)または(XIIIb)のある特定の場合では、R~Rのいずれも
環状に連結していない。
【0162】
式(XI)および(XIIb)のある特定の実施形態では、BODIPY基は、式(X
IVa)または(XIVb)のものであり、
【0163】
【化25】
【0164】
式中、
各Xは、OまたはSであり、
12、R13、R16、およびR17は、式(I)中のR、R、R、およびR
について定義される置換基である。
【0165】
式(XI)~(XIVb)のある特定の実施形態では、BOBIPY基は、集光マルチ
クロモフォア(例えば、-L-Z)などの、連結された化学選択的官能基または対象
の分子を含む。いくつかの事例では、R~Rのうちの1つは、-L-Zを含む。
ある特定の事例では、YまたはYは、-L-Zを含む。式(XI)~(XIVb
)のある特定の実施形態では、Rは、-L-Zであり、式中、Lは、リンカーで
あり、Zは、化学選択的官能基または集光マルチクロモフォアである。式(XI)~(
XIVb)のある特定の実施形態では、RまたはRは、-L-Zである。式(X
I)、(XIIa)、および(XIIIa)~(XIIIb)のある特定の実施形態では
、RまたはRは、-L-Zである。式(XI)、(XIIa)、および(XII
Ia)~(XIIIb)のある特定の実施形態では、RまたはRは、-L-Z
ある。式(XIIa)~(XIIb)のある特定の実施形態では、R20置換基は、-L
-Zである。式(XIIIa)~(XIIIb)のある特定の実施形態では、R16
またはR17は、-L-Zである。式(XIVa)~(XIVb)のある特定の実施
形態では、R12、R13、R16、またはR17は、-L-Zである。
【0166】
いくつかの場合では、Rは、-L-Zであり、Lは、20個の原子以下の長さ
の主鎖を有するリンカー(例えば、本明細書に記載の)である。Rのいくつかの事例で
は、Lは、アルキルまたは置換アルキルリンカー、アルコキシまたは置換アルコキシリ
ンカー、ペグリンカー、スルホンアミドアルキルまたは置換スルホンアミドアルキルリン
カー、アミドアルキルまたは置換アミドアルキルリンカー、ならびにアルキルアミドアル
キルまたは置換アルキルアミドアルキルリンカーから選択される。リンカーは、ペグ基な
どのWSGで置換され得る。Rのある特定の事例では、Lは、C~C12アルキル
または置換アルキルリンカー、C~C12アルコキシまたは置換アルコキシリンカー、
~C12アミドアルキルまたは置換アミドアルキルリンカー、ならびにC~C12
アルキルアミドアルキルまたは置換アルキルアミドアルキルリンカーから選択される。R
のある特定の事例では、Zは、カルボン酸またはその活性エステルを介して、BOD
IPY基に共役される。
【0167】
式(XI)~(XIVb)のある特定の事例では、Rは、集光マルチクロモフォアの
反復単位または化学選択的官能基に連結された任意に置換された炭素環式または複素環式
基を含む。ある特定の事例では、Rは、任意に置換されたアリールまたはヘテロアリー
ルであり、例えば、化学選択的官能基を介して、集光マルチクロモフォアの反復単位に連
結される。対象の二価炭素環式または複素環基は、これらに限定されないが、1,4-シ
クロヘキシル、1,3-シクロヘキシル、ピペリジニル(例えば、1,4-ピペリジニル
)、ピペラジニル(例えば、1,4-ピペラジニル)などを含む。対象の二価アリールま
たはヘテロアリール基は、これらに限定されないが、1,4-フェニル、1,3-フェニ
ル、2,5-ピリジル、2,6-ピリジル、3,5-ピリジルなどを含む。Rの二価炭
素環式もしくは複素環基、または二価アリールもしくはヘテロアリール基は、例えば、本
明細書の実施形態のいずれか1つに記載されるように、L-Zに連結されてもよく、
は、連結基である。
【0168】
式(XI)のいくつかの実施形態では、QはCであり、R~Rは各々、独立して、
H、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、アリール、置換アリール、
ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、およ
び置換アルキニルから選択される。式(XI)のある特定の例では、YおよびYは各
々、1つ以上の水溶化基(WSG)を含む。いくつかの場合には、YおよびYは、W
SGで置換されたアルキニルである。いくつかの場合には、YおよびYは各々、ブラ
ンチWSGで置換されたアルキニルである。式(XI)のいくつかの例では、Yおよび
は各々、-CC-CH-O(CHCHO)-Rであり、式中、nは、1
~6であり、mは、2~30、2~20、6~20、8~20、または10~20などの
2~50であり、Rは、H、アルキル、または置換アルキル(例えば、メチル)である。
【0169】
式(XI)のいくつかの実施形態では、BODIPYペンダントドナークロモフォア基
は、式(XIa)によって記載することができ、
【0170】
【化26】
【0171】
式中、
*は、ポリマー主鎖の非共役反復単位への連結点であり、
およびYは各々、1つ以上のWSGで置換されたアルキニルである。
【0172】
いくつかの場合には、YおよびYは各々、ブランチWSGで置換されたアルキニル
である。式(XIa)のいくつかの例では、各R10は、-CC-CH-O(CH
CHO)-Rであり、式中、nは、1~6であり、mは、2~30、2~20、6
~20、8~20、または10~20などの2~50であり、Rは、H、アルキル、また
は置換アルキル(例えば、メチル)である。
【0173】
式(XI)のある特定の事例では、BODIPY基は、式(XV)のものであり、
【0174】
【化27】
【0175】
式中、
は、共有結合、オキソ(-O-)、アルキレン(例えば、C-C-アルキレン
)、-O-アルキレン、またはそれらの置換バージョンであり、
11は、Rについて定義される通りであり、
各Rは、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、ニトロ、アルキル、置換アルキル、アル
コキシ、置換アルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、および置換ヘテロ
アリールから選択される任意選択の置換基であり、tは0~4である。
【0176】
式(XV)のある特定の場合では、Lは、共有結合である。式(XV)のいくつかの
事例では、Lは、オキソである。式(XV)のある特定の場合では、Lは、共有結合
である。
【0177】
式(XV)のある特定の事例では、BODIPY基は、式(XVa)のものであり、
【0178】
【化28】
【0179】
式中、
11は、Rについて定義される通りであり、
各Rは、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、ニトロ、アルキル、置換アルキル、アル
コキシ、置換アルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、および置換ヘテロ
アリールから選択される任意選択の置換基であり、tは0~4である。
【0180】
式(XV)~(XVa)のいくつかの場合では、R11は、L-Zである(例えば
、本明細書に記載されるように)。式(XV)~(XVa)のいくつかの場合において、
11は、スルホンアミドアルキルもしくは置換スルホンアミドアルキルリンカー、アミ
ドアルキルもしくは置換アミドアルキルリンカー、またはアルキルアミドアルキルもしく
は置換アルキルアミドアルキルリンカーを含む。式(XV)~(XVa)のある特定の例
では、R、R、R、およびRは各々、独立して、H、アルキル、または置換アル
キルである。式(XV)~(XVa)のある特定の例では、RおよびRは各々、独立
して、H、アルキル、または置換アルキルである。いくつかの場合には、RおよびR
は、各々Hである。式(XV)~(XVa)のある特定の例では、R、R、Rおよ
びRは各々、独立して、C~Cアルキルまたは置換C~Cアルキルである。
【0181】
式(XV)のある特定の事例では、BODIPY基は、式(XVIa)または(XVI
b)であり、
【0182】
【化29】
【0183】
式中、
*は、集光マルチクロモフォアまたは化学選択的官能基の反復単位への連結点であり、
およびYは、独立して、F、OH、H、アルキル、置換アルキル、アリール、置
換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アルコキシ、置換アルコキシ、アル
キニル、置換アルキニル、およびWSGからなる群から選択される。
【0184】
式(XI)のある特定の事例では、BODIPY基は、式(XVIIa)または(XV
IIb)のものであり、
【0185】
【化30】
【0186】
式中、
nは0~12であり、
は、(例えば、本明細書に記載の)化学選択的官能基または対象の連結分子である
【0187】
式(XVIIa)~(XVIIb)のある特定の場合では、nは、1~12または1~
6、例えば、1、2、3、4、5、または6である。式(XVIIa)-(XVIIb)
のある特定の事例では、R-RおよびR-Rは、各々独立して、H、C-C
アルキルおよび置換C-Cアルキルから選択される。式(XVIIa)~(XVII
b)のある特定の事例では、RおよびR、ならびに/またはRおよびRは、各々
独立して、C~Cアルキルおよび置換C~Cアルキルから選択される。式(XV
IIa)~(XVIIb)のある特定の事例では、Rおよび/またはRは、Hである
。式(XVIIa)~(XVIIb)のある特定の事例では、Rおよび/またはR
、アルキルまたは置換アルキルである。
【0188】
式(XIIIa)のある特定の事例では、BODIPY基は、式(XVIII)のもの
であり、
【0189】
【化31】
【0190】
式中、
は、リンカーであり、
は、(例えば、本明細書に記載の)ポリマー主鎖の連結した非共役反復単位である
【0191】
式(XVIII)のある特定の事例では、BODIPY基は、式(XVIIIa)のも
のであり、
【0192】
【化32】
【0193】
式中、
は、リンカー(例えば、Lの連結基成分)であり、
各Rは、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、ニトロ、アルキル、置換アルキル、アル
コキシ、置換アルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、および置換ヘテロ
アリールから選択される任意選択の置換基であり、tは0~4である。
【0194】
式(XIVa)のある特定の事例では、BODIPY基は、式(XIX)のものであり
【0195】
【化33】
【0196】
式中、
12およびR13は、式(XI)中のRおよびRについて定義される置換基であ
り、
は、リンカーであり、
は、(例えば、本明細書に記載の)ポリマー主鎖の連結した非共役反復単位である
【0197】
式(XIX)のある特定の事例では、BODIPY基は、式(XIXa)のものであり
【0198】
【化34】
【0199】
式中、
は、リンカー(例えば、Lの連結基成分)であり、
各Rは、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、ニトロ、アルキル、置換アルキル、アル
コキシ、置換アルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、および置換ヘテロ
アリールから選択される任意の置換基であり、tは0~4である。
【0200】
本明細書に記載される式(XI)~(XIXa)の実施形態のいずれかにおいて、BO
DIPY基は、以下の実施形態のうちのいずれかに記載される特定の-L-Z基を含
むことができる。
【0201】
は、20個の原子以下の長さの主鎖を有する(例えば、本明細書に記載の)リンカ
ーであり得る。いくつかの事例では、Lは、アルキルまたは置換アルキルリンカー、ア
ルコキシまたは置換アルコキシリンカー、ペグリンカー、スルホンアミドアルキルまたは
置換スルホンアミドアルキルリンカー、アミドアルキルまたは置換アミドアルキルリンカ
ー、ならびにアルキルアミドアルキルまたは置換アルキルアミドアルキルリンカーから選
択される。リンカーは、ペグ基などのWSGで置換され得る。ある特定の事例において、
は、C~C12アルキルまたは置換アルキルリンカー、C~C12アルコキシま
たは置換アルコキシリンカー、C~C12アミドアルキルまたは置換アミドアルキルリ
ンカー、ならびにC~C12アルキルアミドアルキルまたは置換アルキルアミドアルキ
ルリンカーから選択される。リンカーLは、いくつかの連結成分、例えば、独立して、低
級アルキレン、置換低級アルキレン、アルケニレン(-CH=CH-)、置換アルケニレ
ン、アルキニレン(-CC-)、置換または非置換アミド(例えば、-NRCO-または
-CONR-、Rは、H、アルキルまたは置換アルキルである)、置換または非置換スル
ホンアミド(例えば、-NRSO-または-SONR-であり、Rは、H、アルキル
または置換アルキル)、オキソ(-O-)、チオ(-S-)、エチレングリコール(-O
CHCHO-)、ポリエチレングリコール(例えば、-(CHCHO)-であ
り、nは、2-20、例えば、2-10または2-6、または2、3、4、5または6)
、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルファア
ミノ酸残基、β-アミノ酸残基などから選択される1つの基または連結基を含むことがで
きる。
【0202】
ポリマー主鎖(Z)の連結された非共役反復単位は、任意の好都合な化学選択的官能
基、例えば、適合性官能基を有する対象の分子への共役に好適な官能基を介して、BOD
IPY基に共役することができる。これらに限定されないが、対象のBODIPY基のポ
リマー主鎖への連結の使用を見出す対象の化学選択的官能基は、アミン基(例えば、-N
)、カルボン酸(-COH)、活性エステル(例えば、NHSまたはスルホ-NH
Sエステル)、チオール、マレイミド、ヨードアセトアミド、ヒドロキシル、ヒドラジド
、ヒドラジノ、アルデヒド、ケトン、アジド、アルキン、テトラジン、アルケン、ホスフ
ィン、およびエポキシドを含む。いくつかの場合において、BODIPY基を連結するた
めに使用される化学選択的官能基は、対象の官能基の合成前駆体または保護されたバージ
ョンであり、ポリマー主鎖を共役することができる反応性官能基に変換され得ることが理
解される。例えば、カルボン酸は、対象の分子上のアミン基と結合することができる化学
選択的官能基である。カルボン酸は、インサイチュまたはカップリング前のいずれかで、
アミン基とカップリングする活性エステルに変換され得る。
【0203】
式(XI)~(XIXa)のいくつかの実施形態では、Lは、ポリマー主鎖の非共役
反復単位に連結された任意に置換された炭素環式または複素環式基を含む。ある特定の事
例では、Lは、任意に置換されたアリールまたはヘテロアリールである。対象の二価炭
素環式または複素環基は、これらに限定されないが、1,4-シクロヘキシル、1,3-
シクロヘキシル、ピペリジニル(例えば、1,4-ピペリジニル)、ピペラジニル(例え
ば、1,4-ピペラジニル)などを含む。対象の二価アリールまたはヘテロアリール基は
、これらに限定されないが、1,4-フェニル、1,3-フェニル、2,5-ピリジル、
2,6-ピリジル、3,5-ピリジルなどを含む。Lの二価炭素環式もしくは複素環基
、または二価アリールもしくはヘテロアリール基は、例えば、本明細書の実施形態のいず
れか1つに記載されるように、L-Zに連結されてもよく、Lは、連結基である。
【0204】
式(I)~(IXa)のいくつかの実施形態では、-L-Zは、以下の構造のうち
の1つによって記載され、
【0205】
【化35】
【0206】
式中、
11は、L-Zであり、
は、リンカーであって、Zは、ポリマー主鎖の非共役反復単位であり、
tは0~4であり、
各Rは、独立して、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、ヒドロ
キシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ハロゲン、スル
ホン酸、および水溶化基(WSG)から選択される。
【0207】
ある特定の実施形態では、-L-Zは、以下の構造のうちの1つによって記載され
【0208】
【化36】
【0209】
式中、
は、リンカーであり、
は、ポリマー主鎖の非共役反復単位であり、
tは0~4であり、
各Rは、独立して、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、ヒドロ
キシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ハロゲン、スル
ホン酸、および水溶化基(WSG)から選択される。
【0210】
ある特定の実施形態では、-L-Zは、以下の構造のうちの1つによって記載され
【0211】
【化37】
【0212】
式中、
は、リンカーであり、
は、ポリマー主鎖の非共役反復単位であり、
32は、H、アルキル、置換アルキル、および水溶化基(WSG)であり、
は、アルキレン(例えば、C~C-アルキレン)、-O-アルキレン、および
これらの置換バージョンから選択されるリンカーであり、
tは0~4であり、
各Rは、独立して、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、ヒドロ
キシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ハロゲン、スル
ホン酸、および水溶化基(WSG)から選択される。
【0213】
本明細書に記載される式(XI)~(XIXa)の実施形態のいずれかにおいて、BO
DIPY基は、以下の実施形態のうちのいずれかに記載される特定のYおよびY基を
含むことができる。式(XI)~(XIXa)のいくつかの事例では、Yは、水溶化基
(WSG)を含む。ある特定の場合において、Yは、WSGで置換されたアルキニルで
ある。Yは、Yと同じであっても異なっていてもよい。式(XI)~(XIXa)の
いくつかの場合、Yは、F、OH、H、シアノ、アルキル、置換アルキル、アリール、
置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アルケニル、置換アルケニル、ア
ルキニル、および置換アルキニルから選択される。いくつかの事例では、Yは、F、C
N、フェニル、および置換フェニルから選択される。
【0214】
式(XI)~(XIXa)のいくつかの場合、YおよびYは各々、水溶化基(WS
G)を含む。ある特定の事例では、Yおよび/またはYは、WSGで置換されたアル
キニルである(例えば、本明細書に記載される)。ある特定の事例では、Yおよび/ま
たはYは、ポリエチレングリコール(PEG)または修飾(PEG)で置換されたアル
キニルである。
【0215】
式(I)~(IXa)の実施形態のいずれかのある特定の場合では、Yおよび/また
はYは、以下の式のものであり、
【0216】
【化38】
【0217】
式中、
sは、1~12であり、
qは、0~50であり、
21は、H、アルキル、または置換アルキルである。
【0218】
ある特定の場合では、sは、1、2、または3などの1~6である。いくつかの事例で
は、qは、1~50、1~30、2~30、4~30、6~30、8~30、10~30
、10~20、または11~16である。ある特定の場合において、qは、10~30、
10~20、または11~16など、10~50である。
【0219】
式(XI)および(XVIIa)のある特定の実施形態では、BODIPY基は、以下
の構造を有し、
【0220】
【化39】
【0221】
式中、
は、ポリマー主鎖の連結された非共役リピート単位であり、
nは、0~6であり、
各R、R、R、R、およびRは、独立して、H、C~Cアルキル、または
置換C~Cアルキルであり、
各qは、6~20(例えば、10~20)である。
【0222】
式(XI)および(XVIIa)のある特定の実施形態では、BODIPY基は、以下
の構造のうちの1つを有する。
【0223】
【化40】
【0224】
式(XV)および(XVa)のある特定の実施形態では、BODIPY色素は、以下の
構造を有し、
【0225】
【化41】
【0226】
式中、
は、ポリマー主鎖の連結された非共役リピート単位であり、
nは、0~6であり、
R、R、R、R、およびRは、独立して、H、C~Cアルキル、または置
換C~Cアルキルであり、
各qは、6~20(例えば、10~20)である。
【0227】
式(XV)、(XVa)、および(XVIa)または(XVIb)のある特定の実施形
態では、BODIPY色素は、以下の構造のうちの1つを有する。
【0228】
【化42】
【0229】
式(XVIII)のある特定の実施形態では、BODIPY基は、以下の構造を有し、
【0230】
【化43】
【0231】
式中、
は、ポリマー主鎖の連結された非共役リピート単位であり、
nは、0~6であり、
各R、R、およびRは、独立して、H、C~Cアルキル、または置換C~C
アルキルであり、各qは、6~20(例えば、10~20)である。
【0232】
式(XVIII)のある特定の実施形態では、BODIPY基は、以下の構造のうちの
1つを有する。
【0233】
【化44】
【0234】
式(XIX)~(XIXa)のある特定の実施形態では、BODIPY基は、以下の構
造を有し、
【0235】
【化45】
【0236】
式中、
は、ポリマー主鎖の連結された非共役リピート単位であり、
nは、0~6であり、
各R、およびR13は、独立して、H、C~Cアルキル、または置換C~C
ルキルであり、各qは、6~20(例えば、10~20)である。
【0237】
式(XIX)~(XIXa)のある特定の実施形態では、BODIPY基は、以下の構
造を有する。
【0238】
【化46】
【0239】
式(XIIIa)のある特定の実施形態では、BODIPY基は、以下の構造を有する
【0240】
【化47】
【0241】
式(XIVa)のある特定の実施形態では、BODIPY基は、以下の構造を有する。
【0242】
【化48】
【0243】
式(XIXa)のある特定の実施形態では、BODIPY基は、以下の構造のうちの1
つを有する。
【0244】
【化49】
【0245】
アリールまたはヘテロアリールクロモフォア基
光吸収クロモフォア基は、アリールまたはヘテロアリールクロモフォア基であり得る。
対象の(例えば、式(I)~(IX)の)マルチクロモフォアでの使用を見出す対象のア
リールまたはヘテロアリールクロモフォア基は、これらに限定されないが、フェニル、ビ
フェニル、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ポリフェニレン、ならびにフッ素、
カルバゾール、シロール、ビフェニル、および架橋ビフェニルなどの縮合三環基を含む。
アリールまたはヘテロアリールクロモフォア基は、任意選択で、例えば、アリールまたは
ヘテロアリール基に所望の光吸収特性を付与する水溶化基および/またはアリールもしく
はヘテロアリール置換基でさらに置換され得る。式(I)~(IX)のいくつかの場合に
は、各Dは、独立して、縮合三環式アリールまたはヘテロアリールを含む。式(I)~
(IX)のいくつかの場合には、各Dは、独立して、フルオレン、カルバゾール、シロ
ール、ビフェニル、および架橋ビフェニルから選択される1つ以上の基を含む。
【0246】
縮合三環式クロモフォアは、2つのアリールまたはヘテロアリール6員環が中央の5員
または6員炭素環または複素環に縮合される構成の3つの縮合環を有する三環式芳香族基
を含む基である。いくつかの場合には、縮合三環式基は、中央の5員または6員の炭素環
または複素環に縮合された2つのベンゾまたはピリド環を含む。縮合三環基は、縮合環の
任意の便利な環原子を介して、ポリマー主鎖中のコモノマーの側鎖に連結することができ
る。中央5員または6員環は、炭素環または複素環であってもよく、芳香族であっても部
分的に飽和であってもよく、さらに、側鎖置換基、例えば、WSGおよび/または化学選
択的タグまたはコモノマー側鎖へのリンカーを含んでもよい。架橋ビフェニルコモノマー
は、ビフェニル基を有する縮合三環式基であり、2つのフェニル環は、中央6員炭素環式
または複素環式環を介して互いにさらに連結される。
【0247】
マルチクロモフォアのある特定の例では(例えば、式(I)~(IX)において)、ペ
ンダントドナークロモフォア基は、以下の式のうちの1つを有する縮合三環式アリールま
たはヘテロアリールであり、
【0248】
【化50】
【0249】
式中、
*は、ポリマー主鎖の非共役反復単位への連結点であり、
Yは、C(R13、-C(R13C(R13-、-C(R13Si(
13-、NR13、Si(R13またはSeであり、
各Zは、独立して、CH、CR、またはNであり、
各R13は、独立して、H、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテ
ロアリール、置換ヘテロアリール、アシル、置換アシル、アルコキシ、置換アルコキシ、
アミド、置換アミド、アラルキル、置換アラルキル、ペグ部分、-L11-Zから選択
され、L11は、リンカーであり、Zは、非共役反復単位およびWSGであるか、また
は、任意の2つの便利なR基は、任意選択で、環状に連結されており、
各Rは、独立して、Hまたは1つ以上の置換基(例えば、WSG)であり、2つの便利
なR基は、任意選択で、環状に連結される。
【0250】
いくつかの場合には、RおよびR13のうちの1つは、ポリマー主鎖の非共役反復単位
に連結される。
【0251】
ある特定の事例では、融合三環式基は、以下の構造のうちの1つによって記載され、
【0252】
【化51】
【0253】
式中、Yおよび各Rは、上記で定義される通りであり、融合三環式基は、YまたはRを
介してポリマー主鎖の非共役反復単位に連結され得る。
【0254】
ある特定の場合において、縮合三環基は、YがC(Rであるフルオレンである。
いくつかの場合には、縮合三環式基は、カルバゾールであり、Yは、NRである。いく
つかの場合には、縮合三環式基は、シロールであり、Yは、Si(Rである。いく
つかの場合には、縮合三環基は、架橋ビフェニルであり、Yは、-C(RC(R
-であるか、または-C(RSi(R-である。いくつかの場合には、
縮合三環式は、架橋ビフェニルであり、Yは、-CHRCHR-である。本明細書に
記載の縮合三環式基のうちのいずれかのある特定の事例では、各Rは、独立して、H、ハ
ロゲン、アルコキシ、置換アルコキシ、アルキル、および置換アルキルから選択される。
ある特定の場合において、各Rは、独立して、H、フルオロ、クロロ、メトキシ、置換ア
ルコキシ、アルキル、および置換アルキルから選択される。
【0255】
縮合三環式基のある特定の実施形態では、基は、任意選択でさらに置換される炭素環式
または複素環式環Aを提供するように環状に連結された2つのR置換基を含み、
【0256】
【化52】
【0257】
式中、
Yは、C(R、-C(RC(R-、-C(RSi(R
-、NR、Si(RまたはSeであって、各Rは、独立して、H、アルキル、
置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アシル
、置換アシル、アルコキシ、置換アルコキシ、アミド、置換アミド、アラルキル、置換ア
ラルキル、ペグ部分、-L11-Zであり、L11はリンカーであり、Zは化学選択
的タグ(例えば、化学選択的官能基を含むタグ)であり、およびWSGから選択され、
各Rは、上で定義される通りであり、縮合三環基は、RまたはRを介してポリマー主
鎖の非共役反復単位に連結され得る。
【0258】
ある特定の場合において、縮合三環基は、以下の構造を有し、
【0259】
【化53】
【0260】
式中、
~Rは各々、独立して、H、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール
、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アシル、置換アシル、アルコキシ、置換アルコ
キシ、アミド、置換アミド、アラルキル、置換アラルキル、ペグ部分、-L11-Z
あって、L11はリンカーであり、Zは化学選択的タグ(例えば、化学選択的官能基を
含むタグ)であり、およびWSGから選択され、
各Rは、上で定義される通りであり、縮合三環基は、Y、R-RまたはRを介して
ポリマー主鎖の非共役反復単位に連結され得て、コモノマーのいくつかの場合において、
Yは、C(Rである。
【0261】
水溶化基
本開示は、ペンダントクロモフォア基およびアクセプタフルオロフォアを含むポリマー
タンデム色素を有する水溶性の集光マルチクロモフォアを含む。マルチクロモフォアは、
複数の水溶化基(WSG)で置換することができる。いくつかの場合には、WSGは、例
えば、ポリマー主鎖の側鎖として、モジュラースキャフォールドに直接接続されるペンダ
ント基である。ある特定の場合では、WSGは、ペンダントドナークロモフォア基または
ペンダントアクセプタフルオロフォアに付着した置換基である。いくつかの事例では、ペ
ンダントドナークロモフォア基の各々は、1つ以上のWSGで置換されている。
【0262】
本明細書で使用される場合、「水溶化基」、「水溶性基」およびWSGという用語は、
互換的に使用され、水性環境、例えば、生理学的条件下で十分に溶媒和され、それが付着
する分子に改善された水溶性を付与する基または置換基を指す。WSGは、WSGを欠く
対照マルチクロモフォアと比較して、主に水溶液中のマルチクロモフォアの溶解度を増加
させることができる。水溶化基は、水性環境で十分に溶媒和された任意の便利な親水性基
であり得る。
【0263】
本開示の水溶性マルチクロモフォアは、水性条件下での溶解性を有し、これにより、様
々な生物学的アッセイへの適用に特に適している。主題の水溶性マルチクロモフォアおよ
びポリマータンデム色素、ならびにそれらの共役は、様々な生物学的アッセイにおいて有
利な蛍光および分光特性を提供する望ましくない凝集に耐性があり得る。色素の凝集は、
例えば、色素蛍光の凝集誘発クエンチを介して、低減された蛍光シグナルをもたらし得る
ため、望ましくない。主題の水溶性マルチクロモフォアおよびポリマータンデム色素は、
様々なバイオセンサーの蛍光レポーターとして使用され得、フローサイトメトリ、および
イメージングなどの用途のための励起および発光波長のための様々な選択肢を有する、卓
越した明るさの信号を提供する。
【0264】
様々な水溶性ポリマー基は、主題のマルチクロモフォアのWSGで使用するために適合
され得る。任意の好都合な水溶化基(WSG)は、増加した水溶性を提供するために、本
明細書に記載のマルチクロモフォアに含まれ得る。溶解度の増加は変化し得るが、いくつ
かの事例では、(WSGを含まない化合物と比較して)増加は、例えば、5倍、10倍、
25倍、50倍、100倍以上など、2倍以上である。いくつかの場合には、親水性水溶
化基は、荷電され、例えば、正または負に帯電される。ある特定の場合において、親水性
水溶化基は、中性親水性基である。いくつかの実施形態では、WSGは、(例えば、本明
細書に記載されるように)分岐される。ある特定の事例では、WSGは、線形である。い
くつかの実施形態では、WSGは、親水性ポリマー、例えば、ポリエチレングリコール、
修飾ペグ、ペプチド配列、ペプトイド、炭水化物、オキサゾリン、ポリオール、デンドロ
ン、樹状ポリグリセロール、セルロース、キトサン、またはそれらの誘導体である。対象
の水溶化基としては、これらに限定されないが、カルボキシレート、ホスホネート、リン
酸塩、スルホン酸塩、硫酸塩、スルフィン酸塩、スルホニウム、エステル、ポリエチレン
グリコール(PEG)および修飾PEG、ヒドロキシル、アミン、アミノ酸、アンモニウ
ム、グアニジニウム、ピリジニウム、ポリアミンおよびスルホニウム、ポリアルコール、
直鎖または環状糖、一級、二級、三級、または四級アミンおよびポリアミン、ホスホネー
ト基、ホスフィネート基、アスコルベート基、ポリエーテル、-COOM’、-SO
‘、-POM′、-NR 、Y′、(CHCHO)Rおよびこれらの混合物を
含むグリコールを含み、Y′は、任意のハロゲン、硫酸塩、スルホン酸塩、または酸素含
有アニオンとすることができ、pは、1~500とすることができ、各Rは、独立して、
Hまたはアルキル(メチルなど)とすることができ、M′は、カチオン対イオンまたは水
素、--(CHCHO)yyCHCHXRyy、--(CHCHO)yy
CHX--、--X(CHCHO)yyCHCH--、グリコール、およ
びポリエチレングリコールとすることができ、yyは、1~1000から選択され、Xは
、O、S、およびNRZZから選択され、RZZおよびRYYは、独立して、HおよびC
1~3アルキルから選択される。いくつかの場合には、WSGは、(CH(OCH
CHOCHであり、各xは、独立して、0~20の整数であり、各yは、独立
して、0~50の整数である。いくつかの場合には、水溶化基は、末端でイオン基(例え
ば、スルホン酸塩)で置換された非イオン性ポリマー(例えば、ペグポリマー)を含む。
【0265】
式のいくつかの実施形態では、対象のペンダント基は、(CH(OCHCH
OCHから選択される置換基を含み、各xは、独立して、0~20の整数であり、
各yは、独立して、0~50の整数であり、ならびに1つ以上のハロゲン、ヒドロキシル
、C~C12アルコキシ、または(OCHCHOCHで任意に置換されたベ
ンジルであって、各zは、独立して、0~50の整数である。いくつかの事例では、置換
基は、(CH(OCHCH11OCHである。いくつかの実施形態では、
置換基のうちの1つ以上は、(CH(OCHCHOCHから選択される
少なくとも1つのWSG基(例えば、1つまたは2つのWSG基)で置換されたベンジル
であり、各xは、独立して、0~20の整数であり、各yは、独立して、0~50の整数
である。
【0266】
複数のWSGは、分岐リンカーを介して、対象のマルチクロモフォア内の単一の位置に
含まれ得る。ある特定の実施形態では、分岐リンカーは、アラルキル置換基であり、さら
に、水溶化基で二置換される。したがって、いくつかの場合には、分岐リンカー基は、マ
ルチクロモフォアを2つ以上の水溶化基に接続するマルチクロモフォアの置換基である。
ある特定の実施形態では、分岐リンカーは、アミノ酸、例えば、アミノ基およびカルボン
酸基を介して3つの基に接続されるリジンアミノ酸である。いくつかの場合には、分岐リ
ンカーを介した複数のWSGの組み込みは、マルチクロモフォアに所望の溶解度を付与す
る。いくつかの事例では、WSGは、50mg/mLを超える水溶性を付与することがで
きる非イオン側鎖基である。いくつかの事例では、WSGは、100mg/mLを超える
水溶性を付与することができる非イオン側鎖基である。いくつかの実施形態では、マルチ
クロモフォアは、アルキル、アラルキル、および複素環式基からなる群から選択される置
換基を含み、各基は、水溶化基、親水性ポリマー基、例えば、ポリエチルグリコール(P
EG)(例えば、2~20単位のペグ基)をさらに置換する。
【0267】
WSGにおいて利用することができる対象の水溶性ポリマーは、ポリエチレングリコー
ル(PEG)基または修飾ペグ基を含む。対象の水溶性ポリマーは、これらに限定されな
いが、ポリアルキレンオキシドベースのポリマー、例えば、ポリエチレングリコール「ペ
グ」(例えば、“Poly(ethylene glycol)Chemistry:B
iotechnical and Biomedical Applications”
,J.M.Harris,Ed.,Plenum Press,New York,N.
Y.(1992);and“Poly(ethylene glycol)Chemis
try and Biological Applications”,J.M.Har
ris and S.Zalipsky,Eds.,ACS(1997)、および国際特
許出願、WO90/13540、WO92/00748、WO92/16555、WO9
4/04193、WO94/14758、WO94/17039、WO94/18247
、WO94/28937、WO95/11924、WO96/00080、WO96/2
3794、WO98/07713、WO98/41562、WO98/48837、WO
99/30727、WO99/32134、WO99/33483、WO99/5395
1、WO01/26692、WO95/13312、WO96/21469、WO97/
03106、WO99/45964、および米国特許第4,179,337号、第5,0
75,046号、第5,089,261号、第5,100,992号、第5,134,1
92号、第5,166,309号、第5,171,264号、第5,213,891号、
第5,219,564号、第5,275,838号、第5,281,698号、第5,2
98,643号、第5,312,808号、第5,321,095号、第5,324,8
44号、第5,349,001号、第5,352,756号、第5,405,877号、
第5,455,027号、第5,446,090号、第5,470,829号、第5,4
78,805号、第5,567,422号、第5,605,976号、第5,612,4
60号、第5,614,549号、第5,618,528号、第5,672,662号、
第5,637,749号、第5,643,575号、第5,650,388号、第5,6
81,567号、第5,686,110号、第5,730,990号、第5,739,2
08号、第5,756,593号、第5,808,096号、第5,824,778号、
第5,824,784号、第5,840,900号、第5,874,500号、第5,8
80,131号、第5,900,461号、第5,902,588号、第5,919,4
42号、第5,919,455号、第5,932,462号、第5,965,119号、
第5,965,566号、第5,985,263号、第5,990,237号、第6,0
11,042号、第6,013,283号、第6,077,939号、第6,113,9
06号、第6,127,355号、第6,177,087号、第6,180,095号、
第6,194,580号、第6,214,966号を参照されたい)。
【0268】
対象の水溶性ポリマーの例は、これらに限定されないが、ポリアルキレンオキシド、ポ
リアミドアルキレンオキシド、または式-(CH-CH-O)-のエチレンオキシド
反復単位を含むポリアルキレンオキシドおよびポリアミドアルキレンオキシドを含むこれ
らの誘導体を含むものを含む。目的のポリマーのさらなる例としては、式-[C(O)-
X-C(O)-NH-Y-NH]n-または-[NH-Y-NH-C(O)-X-C(O
)]-の1,000ダルトン以上の分子量を有するポリアミドを含み、XおよびYは、
同じであっても異なっていてもよく、分岐または直鎖であってもよく、nは、2~50な
ど2~100の別個の整数であり、XおよびYのいずれかまたは両方は、直鎖または分岐
であってもよい生体適合性の実質的に非抗原性の水溶性反復単位を含む。水溶性反復単位
のさらなる例は、式-(CH-CH-O)-または-(O-CH-CH)-のエ
チレンオキシドを含む。そのような水溶性反復単位の数は、著しく変わってもよく、その
ような単位の数は、2~500、2~400、2~300、2~200、2~100、6
~100、例えば2~50、または6~50である。一実施形態の一例は、XおよびYの
1つまたは両方が、-((CHn1-(CH-CH-O)n2-(CH)-ま
たは-((CHn1-(O-CH-CHn2-(CHn-1-)から選択
され、n1は、1~6、1~5、1~4、または1~3であり、n2は、2~50、2~
25、2~15、2~10、2~8、または2~5である。一実施形態のさらなる例は、
Xが、-(CH-CH)-であり、Yは、-(CH-(CH-CH-O)
CH-CH-CH)-または-(CH-CH-CH-(O-CH-CH
-CH)-である。
【0269】
修飾ペグなどの修飾ポリマーという用語は、例えば、末端置換基(例えば、末端アルキ
ル、置換アルキル、アルコキシもしくは置換アルコキシなど)および/またはポリマーの
マルチクロモフォアへの付着に好適な末端連結官能基(例えば、アミド結合形成を介した
付着に好適なアミノまたはカルボン酸基)を含むように、いずれかまたは両方の末端で修
飾または誘導体化された水溶性ポリマーを指す。主題の水溶性ポリマーは、任意の便利な
連結基を含むように適合され得る。いくつかの場合において、水溶性ポリマーは、ポリマ
ー開始物質の調製および/または精製の方法に応じて、ポリマー長に関していくつかの分
散性を含むことができることが理解される。いくつかの事例では、水溶性ポリマーは、単
分散である。
【0270】
水溶性ポリマーは、1つ以上のスペーサまたはリンカーを含むことができる。スペーサ
またはリンカーの例は、水溶性ポリマーで使用される1つ以上の反復単位、ジアミノおよ
び/または二塩基酸単位、天然または非天然アミノ酸またはそれらの誘導体を含む直鎖ま
たは分岐部分、ならびにアルキル、アリール、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、アルコ
キシなどを含む脂肪族部分を含み、これらは、例えば、最大18個の炭素原子、または追
加のポリマー鎖を含むことができる。
【0271】
水溶性ポリマー部分、または存在するときのポリマー部分のスペーサもしくはリンカー
のうちの1つ以上は、生体安定性または生分解性であるポリマー鎖または単位を含み得る
。例えば、反復結合を有するポリマーは、結合耐性に応じて、生理学的条件下で様々な程
度の安定性を有する。そのような結合を有するポリマーは、例えば、ポリウレタン(-N
H-C(O)-O-)>ポリオルトエステル(-O-C((OR)(R’))-O-)>
ポリアミド(-C(O)-NH-)など、例えば、低安定性から高安定性へなど、低分子
量類似体の既知の加水分解速度に基づいて、生理学的条件下でのそれらの相対加水分解速
度によって分類され得る。同様に、水溶性ポリマーを標的分子に付着させる連結系は、例
えば、炭酸塩(-O-C(O)-O-)>エステル(-C(O)-O-)>ウレタン(-
NH-C(O)-O-)>オルトエステル(-O-C((OR)(R’))-O-)>ア
ミド(-C(O)-NH-)など、低安定性から高安定性へなど、生体安定性または生分
解性であってもよい。一般に、硫酸基の遊離度に応じて、硫酸化多糖の使用を避けること
が望ましい場合がある。加えて、ポリカーボネートおよびポリエステルを使用することは
あまり望ましくない場合がある。これらの結合は、例として提供され、本明細書に開示さ
れるWSGに有用な水溶性ポリマーのポリマー鎖または連結系に使用可能な結合の種類を
限定することを意図しない。
【0272】
いくつかの事例では、WSGは、連結された分岐基を含み、2つまたは3つ以上の非イ
オン性水溶性ポリマーにさらなる連結を提供する分岐非イオン性水溶化基(WSG)であ
る。
【0273】
いくつかの事例では、分岐非イオン性WSGは、以下の式のうちの1つを有し、
【0274】
【化54】
【0275】
式中、
各BおよびBは、独立して、分岐基であり、
各Wは、独立して、例えば、6個以上のモノマー単位を含む、非イオン性水溶性ポリ
マーであり、
は、マルチクロモフォアのペンダント基または反復単位への任意選択のリンカーで
あり、
各pおよびqは、独立して、0または1であって、存在する場合、各Tおよび各T
は、独立して、リンカーである。
【0276】
ある特定の事例では、各Wは、独立して、ペグまたは修飾ペグポリマーである。ある
特定の事例では、各Wは、独立して、置換アルキル、ペグまたは修飾ペグ基、およびW
SGから選択される。ある特定の事例において、各Wは、独立して、例えば、6~24
個または10~30個、10~24個または10~20個、12~24個、12~20個
、12~16個、または16~20個の単量体単位など、6~30個の単量体単位のペグ
または修飾ペグポリマーである。
【0277】
いくつかの事例では、分岐非イオン性WSGは、以下の式を有し、
【0278】
【化55】
【0279】
式中、
各Bは、分岐基であり、
各Wは、独立して、例えば、6個以上のモノマー単位を含む、非イオン性水溶性ポリ
マーであり、
は、縮合6-5-6三環式コモノマーへの任意選択のリンカーであり、
各pは独立して、0または1であり、存在する場合、各Tは、独立して、リンカーで
ある。
【0280】
ある特定の事例では、各Wは、独立して、ペグまたは修飾ペグポリマーである。ある
特定の事例では、各Wは、独立して、置換アルキル、ペグまたは修飾ペグ基、およびW
SGから選択される。ある特定の事例において、各Wは、独立して、例えば、6~24
個または10~30個、10~24個または10~20個、12~24個、12~20個
、12~16個、または16~20個の単量体単位など、6~30個の単量体単位のペグ
または修飾ペグポリマーである。分枝状非イオン性WSGのいくつかの実施形態では、B
は、テトラ置換アリール基(例えば、1,3,4,5-フェニル)である。
【0281】
分枝状非イオン性WSGのいくつかの実施形態では(例えば、上の式に示されるように
)、Bは、CH、N、C(=O)N、SON、三置換アリール基(例えば、1,3,
5-フェニル)、四置換アリール基、および三置換ヘテロアリール基から選択される。分
枝状非イオン性WSGのいくつかの実施形態では、各pは、0である。分枝状非イオン性
WSGのいくつかの実施形態では、pは1であり、各Tは、-(CH-O-、-
O-(CH-、-(CH-、および-O-から選択され、式中、nは、1~
12、例えば、1~6である。分枝状非イオン性WSGのいくつかの実施形態では、各T
および/またはTは、独立して、例えば、C1-C6アルキルリンカーなど、C1-
C12アルキルリンカーであり、1個以上の主鎖原子は、ヘテロ原子で任意に置換される
【0282】
主題のマルチクロモフォアのいくつかの実施形態では、ペンダントドナークロモフォア
基は、独立して以下の式から選択される1つ以上の水溶化基(WSG)で置換され、
【0283】
【化56】
【0284】
式中、
は、任意選択のリンカーであり、
各Tは、リンカーであり、
11およびRは、独立して、H、アルキル、または置換アルキルであり、
各sは、1~100(例えば6~100または6~50)の整数である。
【0285】
ある特定の事例では、各sは、独立して、6~24、6~20、11~20、12~2
0、12~18、または12~16など、6~30である。ある特定の事例では、各sは
、独立して、6~24、8~24、10~24、12~24、13~24、14~24、
15~22、または16~20など、6~30である。いくつかの場合には、各sは、独
立して、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、
23、または24である。いくつかの実施形態では、各sは、独立して、例えば8、9以
上、10以上、11以上、12以上、13以上、14以上、15以上、またはさらに多く
など、7以上であり、いくつかの場合では、例えば、最大40個、最大30個、または最
大24個のモノマー単位など、最大50個のモノマー単位を有する。いくつかの事例では
、各sは、独立して、6~24または10~30、10~24または10~20、12~
24、12~20、12~16または16~20モノマー単位など、6~30モノマー単
位である。いくつかの場合には、各sは、同一である。WSGのいくつかの実施形態では
、Tおよび/またはTは、例えば、C1-C6アルキルリンカーなど、C1-C12
アルキルリンカーであり、1個以上の主鎖原子は、ヘテロ原子で任意に置換される(例え
ば、-O-)。WSGのいくつかの実施形態では、各R11は、Hである。WSGのいく
つかの実施形態では、各R11は、メチルである。
【0286】
メトキシ末端ペグ鎖の代わりにヒドロキシ末端ペグ鎖が、上述のWSG基のいずれかに
おいて利用され得ることが理解されたい。本明細書に記載される式のうちのいずれか1つ
のある特定の例では、反復単位またはペンダント基のうちの1つ以上は、以下の構造のう
ちの1つから選択されるデンドロンであるWSGで置換され、
【0287】
【化57】
【0288】
本明細書に記載される式のうちのいずれか1つのある特定の例では、反復単位またはペ
ンダント基のうちの1つ以上は、以下の構造のうちの1つから選択されるポリオールであ
るWSGで置換される。
【0289】
【化58】
【0290】
本明細書に記載される式のうちのいずれか1つのある特定の例では、反復単位またはペ
ンダント基のうちの1つ以上は、以下の構造のオキサゾリンであるWSGで置換される。
【0291】
【化59】
【0292】
本明細書に記載される式のうちのいずれか1つのある特定の例では、反復単位またはペ
ンダント基のうちの1つ以上は、以下の構造のうちの1つから選択されるペプトイドであ
るWSGで置換される。
【0293】
【化60】
【0294】
水溶化基(WSG)は、20mg/mLを超える、30mg/mLを超える、40mg
/mLを超える、50mg/mLを超える、60mg/mLを超える、70mg/mLを
超える、80mg/mLを超える、90mg/mLを超える、または100mg/mLを
超えるなど、10mg/mLを超える水溶性をマルチクロモフォアまたはポリマータンデ
ム色素に付与することができる。ある特定の場合において、分岐非イオン性水溶化基(W
SG)は、例えば30mg/mL以上、40mg/mL以上、50mg/mL以上、60
mg/mL以上、70mg/mL以上、80mg/mL以上、90mg/mL以上、10
0mg/mL以上、またはさらにはそれ以上など、マルチクロモフォアまたはポリマータ
ンデム色素に20mg/mL以上の水溶性(例えば、水性緩衝液)を付与することができ
る。水溶性マルチクロモフォアは、ある特定の条件下で、水系中に別個の水溶媒和ナノ粒
子を形成し得ることが理解される。ある特定の場合では、水溶媒和ナノ粒子は、凝集に耐
性であり、様々な生物学的アッセイでの使用を見出す。
【0295】
マルチクロモフォアのポリマー主鎖は、任意の便利な長さを有し得る。いくつかの場合
では、マルチクロモフォアのモノマー反復単位の特定の数は、例えば2~100,000
個、2~30,000個、2~10,000個、2~3,000個、または2~1,00
0個の単位もしくはセグメント、または例えば5~100,000個、10~100,0
00個、100~100,000個、200~100,000個、または500~50,
000個の単位もしくはセグメントの範囲内に入り得る。いくつかの事例では、マルチク
ロモフォアのポリマー主鎖のモノマー反復単位またはセグメントの特定の数は、2~50
0、2~500、3~500、4~500、5~500、6~500、7~500、8~
500、9~500、10~500、10~400、10~300、10~200、10
~100、または20~100単位またはセグメントなど、2~1,000の範囲内に入
り得る。
【0296】
マルチクロモフォアは、任意の便利な分子量(MW)のものであり得る。いくつかの場
合には、マルチクロモフォアのMWは、平均分子量として発現され得る。いくつかの事例
では、ポリマー色素は、例えば、1,000~100,000、2,000~100,0
00(例えば、2,000~10,000または10,000~100,000)、また
はさらには50,000~100,000の範囲の平均分子量など、500~500,0
00の範囲の平均分子量を有する。いくつかの場合には、マルチクロモフォアのポリマー
主鎖は、マルチクロモフォアのMWが正確な分子量として発現され得るように、特定の別
個のモノマー配列を有するように調製される。いくつかの事例では、ポリマー色素は、例
えば、1,000~100,000、1,000~50,000、2,000~50,0
00(例えば、2,000~10,000または10,000~50,000)、または
さらには50,000~100,000の範囲の平均分子量など、500~500,00
0の範囲の正確な分子量を有する。
【0297】
ポリマータンデム色素
上記で要約したように、主題の集光マルチクロモフォアは、複数のペンダントドナーク
ロモフォア基を含む非共役反復単位のポリマー主鎖を含むことができ、これらの基は各々
、反復単位のうちの1つに連結することができる。上述のように、主題の水溶性の集光マ
ルチクロモフォアは、単一のクロモフォアからの発光ではなく、等しいクロモフォア間で
連続的な可逆的エネルギー伝達をもたらし得るペンダントドナークロモフォア間のホモエ
ネルギー伝達を可能にする。したがって、マルチクロモフォアシステム自体は蛍光性とす
ることができるが、図6Aに例示される自己クエンチプロセスを介して、マルチクロモフ
ォアシステムは、単一の単離されたクロモフォアについて観察されるものよりも著しく低
い量子収率を有することができる。
【0298】
水溶性の集光マルチクロモフォアは、連結されたアクセプタフルオロフォアにエネルギ
ーを伝達することができる。例えば、図6Bを参照されたい。したがって、主題のポリマ
ータンデム色素は、ドナー水溶媒和集光マルチクロモフォアシステムにエネルギーを受容
する近傍に、すなわち、少なくとも1つのペンダントドナークロモフォア基に対してエネ
ルギーを受容する近傍に共有結合したアクセプタシグナルフルオロフォアをさらに含む。
「アクセプタフルオロフォア」および「アクセプタクロモフォア」という用語は、本明細
書で互換的に使用される。
【0299】
アクセプタシグナルフルオロフォアは、ペンダント基としてポリマー主鎖の非共役反復
単位に連結することができる。マルチクロモフォアドナーの励起は、共有結合したアクセ
プタシグナルフルオロフォアへのエネルギー伝達およびそれからの発光をもたらすことが
できる。連結されたアクセプタシグナルフルオロフォア基を有するドナー水溶媒和集光マ
ルチクロモフォアの反復単位の数は変わり得、いくつかの事例では、その数は、例えば1
mol%~25mol%、2mol%~25mol%、3mol%~25mol%、4m
ol%~25mol%、5mol%~25mol%、または10mol%~25mol%
など、反復単位の1mol%~50mol%の範囲である。
【0300】
マルチクロモフォアの集光クロモフォア間、およびこれらのドナークロモフォアから連
結されたアクセプタシグナルフルオロフォアへのエネルギー伝達のための機構は、例えば
、共振エネルギー伝達(例えば、Forster(または蛍光)共振エネルギー伝達、フ
レット)、量子電荷交換(Dexterエネルギー伝達)などを含む。これらのエネルギ
ー伝達機構は、比較的短い範囲とすることができ、すなわち、集光マルチクロモフォアシ
ステムのクロモフォアの互いにおよび/またはアクセプタフルオロフォアへの近接は、効
率的なエネルギー伝達を提供する。
【0301】
効率的なエネルギー伝達のための条件下では、発光アクセプタフルオロフォアからの発
光の増幅は、入射光(「ポンプ光」)が、発光アクセプタフルオロフォアがポンプ光によ
って直接励起されるときよりも、集光マルチクロモフォアのクロモフォアによって吸収さ
れ、そこから伝達される波長にあるときに、発光アクセプタフルオロフォアからの発光が
より強い場合に生じ得る。
【0302】
「効率的」エネルギー伝達とは、ドナークロモフォアによって収集されたエネルギーの
、例えば20%以上または30%以上、40%以上、50%以上など、10%以上がアク
セプタに伝達されることを意味する。「増幅」とは、同等の強度の入射光を有するアクセ
プタフルオロフォアの直接励起と比較して、ドナー集光マルチクロモフォアシステムから
のエネルギー伝達によって励起されるとき、アクセプタフルオロフォアからの信号が1.
5倍以上であることを意味する。信号は、任意の便利な方法を使用して測定され得る。い
くつかの場合には、1.5倍以上の信号は、発せられた光の強度を指す。ある特定の場合
において、1.5倍以上の信号は、増加した信号対ノイズ比を指す。ポリマータンデム色
素のある特定の実施形態では、アクセプタフルオロフォア放射は、入射光によるアクセプ
タフルオロフォアの直接励起と比較して、マルチクロモフォアによって励起されるとき、
例えば、2倍以上、3倍以上、4倍以上、5倍以上、6倍以上、8倍以上、10倍以上、
20倍以上、50倍以上、100倍以上、またはアクセプタフルオロフォアを入射光で直
接励起する場合と比較して、さらに大きいなど、1.5倍以上である。
【0303】
任意の便利な蛍光色素は、アクセプタフルオロフォアとしてポリマータンデム色素中で
利用され得る。「蛍光色素」および「フルオロフォア」という用語は、本明細書で互換的
に使用される。アクセプタフルオロフォア(例えば、各A)は、小分子フルオロフォア
とすることができる。アクセプタフルオロフォア(例えば、各A)は、ローダミン、ク
マリン、キサンテン、シアニン、ポリメチン、ピレン、チアジン、アクリジン、ジピロメ
テンホウ素二フッ化物、ナプタリミド、フィコビリタンパク質、ペリジニウムクロロフィ
ルタンパク質、それらの共役、およびそれらの組み合わせから選択される色素分子とする
ことができる。ある特定の実施形態では、アクセプタフルオロフォア(A)は、シアニ
ン色素、キサンテン色素、クマリン色素、チアジン色素、またはアクリジン色素である。
いくつかの事例では、アクセプタフルオロフォア(A)は、DY 431、DY 48
5XL、DY 500XL、DY 610、DY 640、DY 654、DY 682
、DY 700、DY 701、DY 704、DY 730、DY 731、DY 7
32、DY 734、DY 752、DY 778、DY 782、DY 800、DY
831、Biotium CF 555、Cy 3.5、およびジエチルアミノクマリ
ンから選択される。対象の蛍光色素は、これらに限定されないが、フルオレセイン、6-
FAM、ローダミン、Texas Red、テトラメチルローダミン、カルボキシローダ
ミン、カルボキシローダミン6G、カルボキシローダミン、カルボキシローダミン110
、カスケードブルー、カスケードイエロー、クマリン、Cy2、Cy3、Cy3.5、C
y5、Cy5.5、Cy-クローム、フィコエリトリン、PerCP(ペリジニンクロロ
フィル-aタンパク質)、PerCP-Cy5.5、JOE(6-カルボキシ-4’,5
’-ジクロロ-2’,7’-ジメトキシフルオレセイン)、NED、ROX 5-(およ
び-6)-カルボキシ-X-ローダミン)、ヘックス、ルシファーイエロー、マリーナブ
ルー、オレゴングリーン488、オレゴングリーン500、オレゴングリーン514、A
lexa Fluor 350、Alexa Fluor 430、Alexa Flu
or 488、Alexa Fluor 532、Alexa Fluor 546、A
lexa Fluor 568、Alexa Fluor 594、Alexa Flu
or 633、Alexa Fluor 647、Alexa Fluor 660、A
lexa Fluor 680、Alexa Fluor 700、7-アミノ-4-メ
チルクマリン-3-酢酸、BODIPY FL、BODIPY FL-Br.sub.2
、BODIPY 530/550、BODIPY 558/568、BODIPY 56
4/570、BODIPY 576/589、BODIPY 581/591、BODI
PY 630/650、BODIPY 650/665、BODIPY R6G、BOD
IPY TMR、BODIPY TR、共役、およびこれらの組み合わせを含む。対象の
ランタニドキレートは、これらに限定されないが、ユーロピウムキレート、テルビウムキ
レート、およびサマリウムキレートを含む。いくつかの実施形態では、ポリマータンデム
色素は、Cy 3、Cy 3.5、Cy 5、Cy 5.5、Cy 7、Alexa48
8、Alexa647および、Alexa700から選択されるアクセプタフルオロフォ
アに連結されたマルチクロモフォアを含む。ある特定の実施形態では、ポリマータンデム
色素は、Dyomics色素(例えば、DY 431、DY 485XL、DY 500
XL、DY 530、DY 610、DY 633、DY 640、DY 651、DY
654、DY 682、DY 700、DY 701、DY 704、DY 730、
DY 731、DY 732、DY 734、DY 752、DY 754、DY 77
8、DY 782、DY 800、またはDY 831)、ビオチウムCF 555、C
y 3.5、およびジエチルアミノクマリンから選択されるアクセプタフルオロフォアに
連結されたマルチクロモフォアを含む。
【0304】
いくつかの事例では、アクセプタフルオロフォアは、BODIPY基、例えば、本明細
書に記載の式(XI)~(XIXa)のいずれか1つのBODIPY基、またはその任意
の実施形態である。好適な吸収および発光プロファイルを有する本明細書に記載の任意の
便利なBODIPY基は、ドナー水溶媒和集光マルチクロモフォアシステムにエネルギー
を受容する近傍、すなわち、少なくとも1つの適合性ペンダントドナークロモフォア基に
対してエネルギーを受容する近傍にアクセプタフルオロフォアとして構成され得ることが
理解される。
【0305】
いくつかの実施形態では、選択されるアクセプタフルオロフォアは、例えば、350~
850nm、350~600nm、360~500nm、370~500nm、380~
500nm、390~500nm、または400~500nmなど、300~900nm
の範囲の最大発光波長を有し、対象のシグナルクロモフォアの最大発光値の具体的な例は
、これらに限定されないが、395nm±5nm、420nm±5nm、430nm±5
nm、440nm±5nm、450nm±5nm、460nm±5nm、470nm±5
nm、480nm±5nm、490nm±5nm、500nm±5nm、510nm±5
nm、520nm±5nm、530nm±5nm、540nm±5nm、550nm±5
nm、560nm±5nm、570nm±5nm、580nm±5nm、590nm±5
nm、605nm±5nm、650nm±5nm、680nm±5nm、700nm±5
nm、805nm±5nmを含む。
【0306】
ポリマータンデム色素の連結発光アクセプタフルオロフォア放出は、例えば、0.04
以上、0.05以上、0.06以上、0.07以上、0.08以上、0.09以上、0.
1以上、0.15以上、0.2以上、0.3以上、またはさらにはそれ以上の量収率など
、0.03以上の量収率を有することができる。いくつかの事例では、ポリマータンデム
色素は、5×10cm-1-1以上、例えば、6×10cm-1-1以上、7×
10cm-1-1以上、8×10cm-1-1以上、9×10cm-1-1
以上、例えば、1×10cm-1-1以上、1.5×10cm-1-1以上、2
×10cm-1-1以上、2.5×10cm-1-1以上、3×10cm-1
-1以上、4×10cm-1-1以上、5×10cm-1-1以上、6×10
cm-1-1以上、7×10cm-1-1以上、または8×10cm-1
以上の消滅係数を有する。いくつかの実施形態では、ポリマータンデム色素は、5×1
-1cm-1以上のモル消滅係数を有する。ある特定の実施形態では、ポリマータ
ンデム色素は、1×1-1cm-1以上のモル消滅係数を有する。
【0307】
主題のポリマータンデム色素は、単離してそのような発光色素から可能な放出よりも明
るい発光シグナルクロモフォア色素からの蛍光放出を提供することができる。ポリマータ
ンデム色素の連結された発光シグナルクロモフォア放出は、例えば60mM-1cm-1
以上、70mM-1cm-1以上、80mM-1cm-1以上、90mM-1cm-1
上、100mM-1cm-1以上、150mM-1cm-1以上、200mM-1cm
以上、250mM-1cm-1以上、300mM-1cm-1以上、またはさらにそれ
以上など、50mM-1cm-1の明るさを有することができる。ある特定の事例では、
ポリマータンデム色素の連結シグナル伝達クロモフォア放出は、直接励起された発光色素
の輝度よりも少なくとも5倍、例えば、直接励起された発光色素の輝度よりも少なくとも
10倍、少なくとも20倍、少なくとも30倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍
、少なくとも300倍、またはさらに大きい輝度を有する。
【0308】
主題のポリマータンデム色素は、例えば110nm以上、120nm以上、130nm
以上、140nm以上、または150nm以上など、100nm以上のストークスシフト
を有する蛍光放出を提供することができる。いくつかの場合には、ストークスシフトは、
例えば、200nm以下など、300nm以下である。
【0309】
いくつかの実施形態では、ポリマータンデム色素は、式(I)~(IX)のいずれか1
つの水溶性集光マルチクロモフォアを含み、式中、Z化学選択的タグは、アクセプタフ
ルオロフォア基(A)で置き換えられる。式(I)~(IX)の主題のマルチクロモフ
ォアの実施形態のいずれかは、本開示のポリマータンデム色素についても実施することが
できることが理解される。式(I)~(IX)のある特定の例では、Z基のうちの1つ
以上は、アクセプタフルオロフォア前駆体に共役されて、アクセプタフルオロフォア基(
)を提供することができる。したがって、ポリマータンデム色素は、式(Ia)のセ
グメントを含み得る。
【0310】
【化61】
【0311】
式中、
各MおよびMは、独立して、不飽和コモノマー(例えば、アリールまたはヘテロア
リールコモノマー)であり、
各SおよびSは、独立して、非共役スペーサ単位であり、
各Dは、独立して、Mに連結されたペンダントドナークロモフォア(例えば、本明
細書に記載されるように)であり、
各Aは、独立して、Mに連結されたアクセプタフルオロフォアであり、
xは、75mol%以上であり、
yは、25mol%以下である。
【0312】
第1の(M-S)および第2の反復単位(M-S)は、ランダムまたはコブロ
ック構成で配置することができる。式(Ia)のある特定の場合において、第1の反復単
位のDペンダント基は、一緒に集光マルチクロモフォアシステムを提供する2つ以上の
(例えば、2つまたは3つの)異なるタイプのペンダント光吸収クロモフォアを含む。式
(Ia)のある特定の事例では、第1の反復単位のDペンダント基はすべて同じである
【0313】
式(Ia)のいくつかの事例では、xは、例えば、85mol%以上、90mol%以
上、95mol%以上、96mol%以上、97mol%以上、98mol%以上、また
は99mol%以上など、80mol%以上である。式(Ia)のいくつかの事例では、
yは、例えば、15mol%以下、10mol%以下、5mol%以下、4mol%以下
、3mol%以下、2mol%以下、1mol%以下など、20mol%以下である。
【0314】
いくつかの事例では、ポリマータンデム色素は、式(IIa)のセグメントを含み、
【0315】
【化62】
【0316】
式中、
非共役反復単位のポリマー主鎖は、各々独立して非共役コモノマーであるSM、SM
、およびSMコモノマーを含み、
各Dは、独立して、SMに連結されたペンダントドナークロモフォアであり、
各Aは、独立して、SMに連結されたアクセプタフルオロフォアであり、
各Zは、SMに連結された任意選択の側鎖基であり、
xは、50mol%以上であり、
y+zは、50mol%以下である。
【0317】
は、光吸収クロモフォア、化学選択的タグ、リンカー、連結された生体分子、アク
セプタフルオロフォア、WSGなど、不在であってもよく、または任意の便利な側鎖基で
あってもよい。式(IIa)のある特定の場合では、SMは、Zが存在しないスペー
サコモノマーである。式(IIa)のある特定の事例では、SMは、第2のペンダント
光吸収クロモフォアであるZ基を含むコモノマーであり、各Dおよび各Zは、一緒
に集光マルチクロモフォアシステムを提供する。いくつかの場合では、SMは、第2の
化学選択的タグ(Z)、例えば、対象の部分の選択的設置を提供するZに直交する保
護官能基またはタグを含むコモノマーである。
【0318】
式(IIa)のある特定の場合において、xは、例えば、65mol%以上、70mo
l%以上、75mol%以上、80mol%以上、85mol%以上、90mol%以上
、95mol%以上、またはさらにはそれ以上など、60mol%以上である。式(II
a)のある特定の事例では、y+zは、例えば、30mol%以下、25mol%以下、
20mol%以下、15mol%以下、10mol%以下、5mol%以下、またはさら
にはそれ以下など、40mol%以下である。式(IIa)のある特定の事例では、yは
、例えば、20mol%以下、15mol%以下、10mol%以下、5mol%以下、
またはさらにはそれ以下など、少なくとも1mol%および25mol%以下である。式
(IIa)のある特定の例では、zは、例えば5mol%以下、またはさらにはそれ以下
など、少なくとも1mol%および10mol%以下である。
【0319】
いくつかの事例では、ポリマータンデム色素は、式(IIIa)のセグメントを含み、
【0320】
【化63】
【0321】
式中、
非共役反復単位のポリマー主鎖は、各々独立して非共役コモノマーであるSMおよび
SMコモノマーを含み、
各Dは、独立して、SMに連結されたペンダントドナークロモフォアであり、
各Aは、独立して、SMに連結されたアクセプタフルオロフォアであり、
xは、75mol%以上であり、
yは、25mol%以下である。
【0322】
式(IIIa)のある特定の実施形態では、SMおよびSMは各々、独立して、飽
和非共役コモノマー、例えば、単一の共有C-C結合のみを提供するコモノマーである。
式(IIIa)のいくつかの実施形態では、SMおよびSMは各々、独立して、部分
飽和非共役コモノマー、例えば、飽和共有結合の主鎖において単離された二重C=C共有
結合を提供するコモノマーである。式(IIIa)の第1および第2の反復単位(SM
およびSM)は、ランダム構成、ブロック、もしくはコブロック構成、または特定の配
列で配置することができる。式(IIIa)のある特定の場合において、SMのD
ンダント基は、一緒に集光マルチクロモフォアシステムを提供する2つ以上の(例えば、
2つまたは3つの)異なるタイプのペンダント光吸収クロモフォアを含む。式(IIIa
)のある特定の事例では、第1の反復単位のDペンダント基はすべて同じである。
【0323】
式(IIIa)のいくつかの事例では、xは、例えば、85mol%以上、90mol
%以上、95mol%以上、96mol%以上、97mol%以上、98mol%以上、
または99mol%以上など、80mol%以上である。式(IIIa)のいくつかの事
例では、yは、例えば、15mol%以下、10mol%以下、5mol%以下、4mo
l%以下、3mol%以下、2mol%以下、1mol%以下など、20mol%以下で
ある。
【0324】
ある特定の事例では、ポリマータンデム色素は、式(IVa)であり、
【0325】
【化64】
【0326】
式中、
各Dは、独立して、ペンダントドナークロモフォア基であり、
各Aは、独立して、アクセプタフルオロフォアであり、
各LおよびLは、独立して、リンカーであり、
およびqは、独立して、0または1であって、p+q≦1であり、
およびqは、独立して、0または1であって、p+q≦1であり、
xは、75mol%以上であり、
yは、25mol%以下であり、
およびGは各々、独立して、末端基、ポリマーセグメント、光吸収(例えば、ド
ナー)クロモフォア基、アクセプタフルオロフォア、リンカー、および連結された特異的
結合メンバーから選択される。
【0327】
式(IVa)のいくつかの実施形態では、pおよびpは各々0であり、qおよび
は各々1(例えば、β3-アミノ酸残基)である。式(IVa)のいくつかの実施形
態では、pおよびpは各々1であり、qおよびqは各々0(例えば、β2-アミ
ノ酸残基)である。いくつかの場合には、p、p、q、およびqは各々、0であ
り、ポリマータンデム色素は、以下の式(Va)のものであり、
【0328】
【化65】
【0329】
式中、
各Dは、独立して、ペンダントドナークロモフォア基であり、
各Aは、独立して、アクセプタフルオロフォアであり、
およびLは各々、独立して、リンカーであり、
xは、75mol%以上であり、
yは、25mol%以下であり、
およびGは各々、独立して、末端基、ポリマーセグメント、光吸収(例えば、ド
ナー)クロモフォア基、リンカー、および連結された特異的結合メンバーから選択される
【0330】
式(Va)によって記載されるマルチクロモフォアは、合計xおよびyの定義されたm
ol%比を有する、定義された線形配列中のコモノマーの任意の便利な配置を含むことが
理解される。いくつかの場合には、A含有コモノマーは、ポリマー主鎖の配列全体にわ
たって間隔をあけて配置されており、したがって、常に、1つ以上のD1含有コモノマー
に両側に隣接する。
【0331】
式(Va)のある特定の事例では、ポリマータンデム色素は、式(VIa)のセグメン
トを含み、
【0332】
【化66】
【0333】
式中、
各Dは、独立して、ペンダントドナークロモフォア基であり、
各Aは、独立して、アクセプクロモフォアであり、
各LおよびLは、独立して、リンカーであり、
nおよびpは各々、独立して、1~20の整数であり、式中、n+p≧2であり、
mは、1または2である。
式(VIa)のいくつかの場合において、nおよびpは各々、独立して、2~20、3~
10、または3~6など、1~10である。
【0334】
式(VIa)のいくつかの例では、n+pは、例えば3~20、4~20、5~20、
5~15、または5~12など、2~20の整数である。式(VIa)のある特定の実施
形態では、mは、1である。
【0335】
主題のポリマータンデム色素は、式(VIa)の複数のセグメントを含むことができ、
各セグメントは、コモノマーを含むDのブロックに隣接するコモノマーを含む1つの単
離されたAを含む。いくつかの事例では、マルチクロモフォアは、例えば3~20個、
4~20個、5~20個、5~15個、または5~12個のD含有コモノマーのブロッ
クなど、2~20個のD含有コモノマーのブロックによって分離された2個の単離され
たA含有コモノマーを提供するために、互いに隣接して方向付けられた式(VIa)の
2個以上のセグメントを含む。したがって、ある特定の実施形態では、ポリマータンデム
色素は、ブロックコポリマーのqのセグメントを含み、式(VIIa)のものであり、
【0336】
【化67】
【0337】
式中、各(n)および各(p)は、独立して、1~20の整数であり、式中、qの
セグメントの各々について、(n)+(p)≧3であり、qは、1~100の整数で
ある。
【0338】
ある特定の実施形態では、ポリマータンデム色素は、式(VIIIa)を有し、
【0339】
【化68】
【0340】
式中、
各Dは、独立して、ペンダントドナークロモフォア基であり、
各Aは、独立して、アクセプクロモフォアであり、
各LおよびLは、独立して、リンカーであり、
xは、75mol%以上であり、
yは、25mol%以下であり、
およびGは各々、独立して、末端基、ポリマーセグメント、ドナークロモフォア
基、リンカー、および連結された特異的結合メンバーから選択される。
【0341】
ある特定の実施形態では、ポリマータンデム色素は、式(IXa)を有し、
【0342】
【化69】
【0343】
式中、
各Dは、独立して、ペンダントBODIPYドナークロモフォアであり、
各Aは、独立して、アクセプタフルオロフォアであり、
各LおよびLは、独立して、リンカーであり、
xは、75mol%以上であり、
yは、25mol%以下であり、
およびGは各々、独立して、末端基、ポリマーセグメント、ドナークロモフォア
基、アクセプタフルオロフォア、リンカー、および連結された特異的結合メンバーからな
る群から選択される。
【0344】
式(IVa)、(Va)、(XIIIa)、および(IXa)のいくつかの例では、x
は、例えば、85mol%以上、90mol%以上、95mol%以上、96mol%以
上、97mol%以上、98mol%以上、または99mol%以上など、80mol%
以上である。式(IV)、(V)、(XIII)、および(IX)のいくつかの例では、
yは、例えば、15mol%以下、10mol%以下、5mol%以下、4mol%以下
、3mol%以下、2mol%以下、1mol%以下など、20mol%以下である。
【0345】
ある特定の実施形態では、ポリマータンデム色素は、式(Xa)を有し、
【0346】
【化70】
【0347】
式中、
各Dは、独立して、ペンダントドナークロモフォアであり、
各Aは、独立して、アクセプタフルオロフォアであり、
各L、L、およびLは、独立して、リンカーであり、
a、b、およびcは、各コモノマーのmol%値であり、
dは、ポリマーの総重合または平均長を表し(例えば、dは、2~500、2~200
、2~100、または2~50など、2~1000である)、
WSGは、(例えば、本明細書に記載の)水溶化基であり、
およびGは各々、独立して、末端基、ポリマーセグメント、ドナークロモフォア
基、アクセプタフルオロフォア、リンカー、および連結された特異的結合メンバーからな
る群から選択される。
【0348】
式(Xa)のいくつかの事例では、c=0である。式(Xa)のいくつかの事例では、
a>0およびb>0である。式(Xa)のいくつかの例では、aは、例えば、85mol
%以上、90mol%以上、95mol%以上、96mol%以上、97mol%以上、
98mol%以上、または99mol%以上など、80mol%以上である。式(Xa)
のいくつかの例では、bは、例えば、15mol%以下、10mol%以下、5mol%
以下、4mol%以下、3mol%以下、2mol%以下、1mol%以下など、20m
ol%以下である。式(Xa)のいくつかの事例では、aは、65~95mol%であり
、bは、5~35mol%であり、cは、0~30mol%であり、a+b+c=100
%である。
【0349】
式(Xa)のある特定の事例では、各Dは、連結したBODIPY基である(例えば
、本明細書に記載されるように)。いくつかの場合には、各アクセプタ色素Aは、DY
431、DY 485XL、DY 500XL、DY 610、DY 640、DY
654、DY 682、DY 700、DY 701、DY 704、DY 730、D
Y 731、DY 732、DY 734、DY 752、DY 778、DY 782
、DY 800、DY 831、iFluor色素350、405、488、514、5
32、594、660、680、700、710、790、Tide Fluor色素5
WS、7WS、8ws、ICG、BODIPYベースの色素、Biotium CF 5
55、Cy 3.5、およびジエチルアミノクマリンから選択される。式(Xa)のある
特定の事例では、L~Dは、以下から選択され、
【0350】
【化71】
【0351】
式中、Rは、H、低級アルキル、置換低級アルキル、およびWSGである。
【0352】
代替的に、式(Xa)のいくつかの事例では、ドナー色素およびアクセプタ色素D
よびAの対は、Dyomics色素DY 431、DY 485XL、DY 500X
L、DY 610、DY 640、DY 654、DY 682、DY 700、DY
701、DY 704、DY 730、DY 731、DY 732、DY 734、D
Y 752、DY 778、DY 782、DY 800、DY 831、iFluor
色素350、405、488、514、532、594、660、680、700、71
0、790、Tide Fluor色素5WS、7WS、8ws、ICG、BODIPY
ベースの色素、Biotium CF 555、Cy 3.5、およびジエチルアミノク
マリンから選択され得る。。式(Xa)のある特定の事例では、WSGは、本明細書に記
載されるそのような基の実施形態および構造のいずれか1つに記載される水溶化基である
【0353】
ある特定の事例では、ポリマータンデム色素は、式(XXI)のマルチクロモフォアに
由来し、SMの化学選択的タグZは、アクセプタフルオロフォアに共役される。した
がって、例示的なポリマータンデム色素構造は、実験セクションの実施例3および以下の
構造に示され、
【0354】
【化72】
【0355】
式中、
は、(例えば、本明細書に記載の)末端基であり、
およびLは、独立して、リンカーであり、
は、(例えば、本明細書に記載の)ペンダントクロモフォアであり、
各Aは、アクセプタフルオロフォアであり、
各d、e、f、g、およびhは、独立して、1~6であり、
各nおよびmは、独立して、1~1000(例えば、2~1000、2~500、2~
100、または2~50)であり、
各R1は、アルキル、置換アルキル、およびWSGから選択され、
「リンカー」は、例えば、コモノマーまたは生体分子への共役のための、任意選択の化
学選択的官能基を含むリンカーである。
【0356】
ある特定の事例では、各Dは、(例えば、本明細書に記載されるような)BODIP
Yクロモフォア基である。いくつかの事例では、式(XXI)に由来するポリマータンデ
ム色素は、以下の一般構造によって記載され、
【0357】
【化73】
【0358】
各nおよびmは、独立して、1~1000(例えば、2~1000、2~500、2~
100、または2~50)である。
【0359】
いくつかの場合には、ドナークロモフォアは、BODIPYクロモフォア(例えば、本
明細書に記載のもの)であり、アクセプタ色素は、DY 431、DY 485XL、D
Y 500XL、DY 610、DY 640、DY 654、DY 682、DY 7
00、DY 701、DY 704、DY 730、DY 731、DY 732、DY
734、DY 752、DY 778、DY 782、DY 800、DY 831、
iFluor色素350、405、488、514、532、594、660、680、
700、710、790、Tide Fluor色素5WS、7WS、8ws、ICG、
BODIPYベースの色素、Biotium CF 555、Cy 3.5、およびジエ
チルアミノクマリンから選択される。
【0360】
標識された特異的結合メンバー
本開示の態様は、標識された特異的結合メンバーを含む。標識された特異的結合メンバ
ーは、主題のポリマー色素(例えば、本明細書に記載のもの)と特異的結合メンバーとの
共役である。本明細書に記載されるポリマー色素またはポリマータンデム色素のいずれか
は、特異的結合メンバーに共役され得る。特異的結合メンバーおよびポリマー色素は、任
意選択のリンカーを介して、2つの分子の任意の好都合な位置で互いに共役(例えば、共
有結合)され得る。いくつかの実施形態では、標識された特異的結合メンバーは、凝集抵
抗性である。本明細書で使用される場合、「凝集抵抗性」とは、例えば、2mg/ml以
上、3mg/ml以上、4mg/ml以上、5mg/ml以上、6mg/ml以上、7m
g/ml以上、8mg/ml以上、9mg/ml以上、10mg/mL以上、または標識
された特異的結合メンバーのさらに多くなど、対象の水性緩衝液中で1mg/ml以上の
濃度で凝集沈殿物を生じることなく均質な水性組成物を形成することができる標識された
特異的結合メンバーを意味する。
【0361】
ある特定の実施形態では、標識された特異的結合メンバーは、深い紫外線励起スペクト
ルを有し、π共役コモノマーのセグメントおよび共役修飾反復単位を含む水溶媒和ポリマ
ー色素、ならびにマルチクロモフォアに共有結合した特異的結合メンバーを含む。
【0362】
本明細書で使用される場合、「特異的結合メンバー」という用語は、互いに結合特異性
を有する一対の分子のメンバーを指す。一対の分子の一方のメンバーは、その表面上のエ
リア、または一対の分子の他方のメンバーの表面上のエリア、またはその中の空洞に特異
的に結合する空洞を有し得る。したがって、対のメンバーは、互いに特異的に結合して結
合複合体を生成する特性を有する。いくつかの実施形態では、結合複合体中の特異的結合
メンバー間の親和性は、例えば、10-8M以下を含む、10-7M以下、例えば、10
-9M以下、10-10M以下、10-11M以下、10-12M以下、10-13M以
下、10-14M以下、10-15M以下を含む、10-6M以下のK(解離定数)に
よって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、特異的結合メンバーは、高親和性で特
異的に結合する。高親和性とは、結合メンバーが、10×10-9以下、例えば、1×1
-9以下、3×10-10M以下、1×10-10M以下、3×10-11M以下、1
×10-11M以下、3×10-12M以下、または1×10-12M以下など、見かけ
のKによって特徴付けられる見かけの親和性で特異的に結合することを意味する。
【0363】
特異的結合メンバーは、タンパク質性であり得る。本明細書で使用される場合、「タン
パク質性」という用語は、アミノ酸残基から構成される部分を指す。タンパク質性部分は
、ポリペプチドとすることができる。ある特定の場合において、タンパク質特異的結合メ
ンバーは、抗体である。ある特定の実施形態では、タンパク質性特異的結合メンバーは、
抗体断片、例えば、ポリマー色素に特異的に結合する抗体の結合断片である。本明細書で
使用される場合、「抗体」および「抗体分子」という用語は、互換的に使用され、認識さ
れた免疫グロブリン遺伝子のすべてまたは一部によって実質的にコードされる1つ以上の
ポリペプチドからなるタンパク質を指す。認識される免疫グロブリン遺伝子は、例えば、
ヒトにおいて、カッパ(k)、ラムダ(I)、および重鎖遺伝子Iociを含み、これら
は一緒に無数の可変領域遺伝子を含み、それぞれ、IgM、IgD、IgG、IgE、お
よびIgAアイソタイプをコードする定常領域遺伝子mu(u)、デルタ(d)、ガンマ
(g)、シグマ(e)、およびα(a)を含む。免疫グロブリン軽鎖または重鎖可変領域
は、「相補性決定領域」または「CDR」とも呼ばれる3つの超可変領域によって中断さ
れる「フレームワーク」領域(FR)からなる。フレームワーク領域およびCDRの範囲
が正確に定義されている(“Sequences of Proteins of Im
munological Interest,”E.Kabat et al.,U.S
.Department of Health and Human Services
,(1991)を参照されたい)。本明細書で考察されるすべての抗体アミノ酸配列の番
号付けは、Kabat系に適合する。異なる軽鎖または重鎖のフレームワーク領域の配列
は、種内で比較的保存される。抗体のフレームワーク領域、すなわち、構成軽鎖および重
鎖の組み合わせられたフレームワーク領域は、CDRを位置決めし、アラインメントする
役割を果たす。CDRは、抗原のエピトープへの結合に主に関与する。抗体という用語は
、完全長抗体を含むことを意味し、以下にさらに定義されるように、任意の生物由来の天
然抗体、遺伝子操作された抗体、または実験的、治療的、または他の目的のために組換え
的に生成された抗体を指し得る。
【0364】
対象の抗体断片は、これらに限定されないが、全抗体または組換えDNA技術を使用し
て新規に合成された抗体の修飾によって生成された抗体のFab、Fab’、F(ab’
、Fv、scFv、または他の抗原結合サブシーケンスを含む。抗体は、モノクロー
ナルまたはポリクローナルであってもよく、細胞上に他の特定の活性(例えば、アンタゴ
ニスト、アゴニスト、中和、阻害、または刺激抗体)を有してもよい。抗体は、抗原結合
または他の抗体機能に実質的に影響を及ぼさない追加の保存的アミノ酸置換を有し得るこ
とが理解される。
【0365】
ある特定の実施形態では、特異的結合メンバーは、Fabフラグメント、F(ab’)
フラグメント、scFv、ダイアボディ、またはトリアボディである。ある特定の実施
形態では、特異的結合メンバーは、抗体である。いくつかの場合には、特異的結合メンバ
ーは、マウス抗体またはその結合断片である。ある特定の事例では、特異的結合メンバー
は、組換え抗体またはその結合断片である。
【0366】
いくつかの実施形態では、標識された特異的結合メンバーは、水溶媒和集光マルチクロ
モフォア(例えば、本明細書に記載のように)と、マルチクロモフォアにエネルギーを受
容する近傍に共有結合されたシグナルクロモフォア(例えば、本明細書に記載のように)
と、マルチクロモフォアに共有結合された特異的結合メンバーとを含む。標識された特異
的結合メンバーのいくつかの例では、本明細書に記載の式のいずれかのマルチクロモフォ
アであって、GおよびGは各々、独立して、末端基(例えば、末端基)、リンカー、
および連結された特異的結合メンバーからなる群から選択され、GおよびGのうちの
少なくとも1つは、連結された特異的結合メンバーである。
【0367】
本明細書に記載される式のある特定の実施形態では、Gおよび/またはGは、特定
の結合部分への共役に好適な官能基を含むリンカーなどのリンカーである。マルチクロモ
フォアのGおよび/またはG位置に位置するリンカーは、マルチクロモフォアの側鎖
(例えば、Z)に存在し得る化学選択的タグ(例えば、本明細書に記載されるように)
を含む任意の他のリンカーと直交するように選択され得ることが理解される。ある特定の
実施形態では、アミノ官能基またはその誘導体は、Gおよび/またはGに含まれ、カ
ルボン酸官能基またはその誘導体は、Zに含まれる。ある特定の実施形態では、カルボ
ン酸官能基またはその誘導体は、Gおよび/またはGに含まれ、アミノ官能基または
その誘導体は、Zに含まれる。
【0368】
本明細書に記載の式のいくつかの実施形態では、GおよびGのうちの少なくとも1
つは、-L-Zであり、Lは、(例えば、本明細書に記載の)リンカーであり、Z
は、(例えば、本明細書に記載の)特異的結合メンバーである。本明細書に記載の式の
いくつかの実施形態では、GおよびGのうちの少なくとも1つは、-L-Zであ
り、Lは、(例えば、本明細書に記載の)リンカーであり、Zは、(例えば、本明細
書に記載の)化学選択的タグである。任意の便利な化学選択的タグおよび共役化学は、主
題のマルチクロモフォアでの使用に適合させることができる。対象の化学選択的タグは、
これらに限定されないが、アミン、活性エステル、マレイミド、チオール、フッ化硫黄(
VI)交換化学(SuFEX)、フッ化スルホニル、Diers Alderシクロ付加
クリック試薬、およびクリックケミストリ、テトラジン、トランスシクロオクテン、アル
デヒド、アルコキシルアミン、アルキン、シクロオクチン、アジドなどを含む。いくつか
の事例では、Zは、カルボン酸、活性エステル(例えば、N-ヒドロキシスクシンイミ
ジルエステル(NHS)またはスルホ-NHS)、アミノ、マレイミド、ヨードアセチル
、およびチオールからなる群から選択される。
【0369】
対象の生体分子は、これらに限定されないが、これらのポリペプチド、ポリヌクレオチ
ド、炭水化物、脂肪酸、ステロイド、プリン、ピリミジン、誘導体、これらの構造類似体
、およびこれらの組み合わせを含む。ある特定の事例では、Zは、抗体である。いくつ
かの事例では、Zは、抗体断片またはその結合誘導体である。いくつかの場合には、抗
体断片またはその結合誘導体は、Fab断片、F(ab’)断片、scFv、ダイアボ
ディ、およびトリアボディからなる群から選択される。
【0370】
使用方法
上記に要約されるように、本開示の態様は、標的分析物の存在について試料を評価する
方法を含む。方法の態様は、標的分析物に特異的に結合して標識組成物接触試料を生成す
るポリマー色素共役と試料とを接触させることを含む。本明細書で使用される場合、「ポ
リマー色素共役」および「標識された特異的結合メンバー」という用語は、互換的に使用
される。したがって、ポリマー色素共役は、(i)水溶媒和ポリマー色素(例えば、本明
細書に記載のもの)、および(ii)特異的結合メンバー(例えば、本明細書に記載のも
の)を含むことができる。いくつかの事例では、ポリマー色素共役は、ポリマー色素のマ
ルチクロモフォアにエネルギーを受容する近傍で共有結合したシグナルクロモフォアをさ
らに含む。
【0371】
任意の便利な方法を使用して、標的分析物に特異的に結合するポリマー色素共役と試料
とを接触させて、標識組成物接触試料を生成し得る。いくつかの事例では、試料は、存在
する場合、特異的結合メンバーが標的分析物に特異的に結合する条件下で、ポリマー色素
共役と接触する。共役の特異的結合メンバーと標的分析物との特異的結合のために、試料
および特異的結合メンバーの成分の生物学的活性を維持する適切な溶液を使用してもよい
。溶液は、例えば、5~25mMなど、低濃度で許容される緩衝液と併せて、胎児ウシ血
清、ヒト血小板溶解物、または他の因子で好都合に補充された、バランスの取れた塩溶液
、例えば、生理食塩水、PBS、ハンクのバランスの取れた塩溶液などであってもよい。
好都合な緩衝液は、HEPES、リン酸緩衝液、乳酸緩衝液などを含む。様々な培地は市
販されており、胎児仔牛血清またはヒト血小板溶解物で補充される場合もある、dMEM
、HBSS、dPBS、RPMI、Iscove’s培地などを含む、標的分析物の性質
に従って使用され得る。溶液の最終成分は、含まれる試料の成分に応じて選択され得る。
【0372】
共役の特異的結合メンバーの標的分析物への特異的結合が生じる温度は、変化してもよ
く、いくつかの事例では、例えば、10℃~40℃、15℃~40℃、20℃~40℃、
例えば、20℃、25℃、30℃、35℃、または37℃(例えば、上述のように)など
、5℃~50℃の範囲であり得る。いくつかの事例では、特異的結合が行われる温度は、
特異的結合メンバーおよび/または標的分析物の生物学的活性と適合するように選択され
る。ある特定の事例では、温度は、25℃、30℃、35℃、または37℃である。ある
特定の事例では、特異的結合メンバーは、抗体またはその断片であり、特異的結合が行わ
れる温度は、室温(例えば、25℃)、30℃、35℃、または37℃である。任意の便
利な特異的結合のインキュベーション時間は、所望の量の結合複合体の形成を可能にする
ように選択されてもよく、いくつかの事例では、例えば2min以上、10min以上、
30min以上、1時間以上、2時間以上、またはさらには6時間以上など、1分(mi
n)以上であってもよい。
【0373】
任意の便利な特異的結合メンバーは、共役内で利用され得る。対象の特異的結合メンバ
ーは、これらに限定されないが、幹細胞、例えば、多能性幹細胞、造血幹細胞、T細胞、
T制御細胞、樹状細胞、B細胞、例えば、メモリB細胞、抗原特異的B細胞、顆粒球、白
血病細胞、リンパ腫細胞、ウイルス細胞(例えば、HIV細胞)NK細胞、マクロファー
ジ、単球、線維芽細胞、上皮細胞、内皮細胞、および赤血球細胞を含む、様々な細胞タイ
プの細胞表面タンパク質に特異的に結合する薬剤を含む。対象の標的細胞は、便利な親和
性剤またはその共役によって捕捉または標識され得る便利な細胞表面マーカーまたは抗原
を有する細胞を含む。いくつかの実施形態では、標的細胞は、全血、骨髄または臍帯血か
らのHIV含有細胞、Treg細胞、抗原特異的T細胞集団、腫瘍細胞または造血前駆細
胞(CD34+)から選択される。主題の方法において、ポリマー色素共役への特異的結
合のために、任意の便利な細胞表面タンパク質または細胞マーカーが標的とされ得る。い
くつかの実施形態では、標的細胞は、細胞受容体および細胞表面抗原から選択される細胞
表面マーカーを含む。いくつかの場合には、標的細胞は、CD11b、CD123、CD
14、CD15、CD16、CD19、CD193、CD2、CD25、CD27、CD
3、CD335、CD36、CD4、CD43、CD45RO、CD56、CD61、C
D7、CD8、CD34、CD1c、CD23、CD304、CD235a、T細胞受容
体α/β、T細胞受容体γ/Δ、CD253、CD95、CD20、CD105、CD1
17、CD120b、Notch4、Lgr5(N末端)、SSEA-3,TRA-1-
60抗原、ジシアロガングリオシドGD2、およびCD71などの細胞表面抗原を含み得
る。
【0374】
主題の方法を利用して評価するために、任意の便利な標的が選択され得る。対象の標的
は、これらに限定されないが、RNA、DNA、PNA、CNA、HNA、LNA、また
はANA分子などの核酸、融合タンパク質などのタンパク質、リン酸化タンパク質、グリ
コシル化タンパク質、ユビキチン化タンパク質、SUMO化タンパク質、またはアセチル
化タンパク質などの修飾タンパク質、または抗体、ペプチド、凝集生体分子、細胞、小分
子、ビタミンおよび薬物分子を含む。本明細書で使用される場合、「標的タンパク質」と
いう用語は、標的ファミリーのすべてのメンバー、およびその断片を指す。標的タンパク
質は、これらに限定されないが、ホルモン、成長因子、受容体、酵素、サイトカイン、骨
誘導因子、コロニー刺激因子、および免疫グロブリンを含む、治療標的または診断標的な
どの、対象の任意のタンパク質であり得る。「標的タンパク質」という用語は、任意の便
利な組換え発現方法を使用して調製され得るか、または任意の便利な合成方法を使用して
調製され得るか、または商業的に購入され得る組換え分子および合成分子を含むことが意
図されている。いくつかの実施形態では、ポリマー色素共役は、抗体または抗体断片を含
む。対象の抗体または抗体断片に特異的に結合する任意の便利な標的分析物が、主題の方
法において標的とされ得る。
【0375】
いくつかの実施形態では、標的分析物は、細胞に関連付けられる。ある特定の事例では
、標的分析物は、細胞の細胞表面マーカーである。ある特定の場合において、細胞表面マ
ーカーは、細胞受容体および細胞表面抗原からなる群から選択される。いくつかの事例で
は、標的分析物は、細胞内標的であり、方法は、細胞を溶解することをさらに含む。
【0376】
いくつかの実施形態では、試料は、標的細胞が単離される異種細胞集団を含んでもよい
。いくつかの事例では、試料は、末梢全血、赤血球が細胞単離の前に溶解された末梢全血
、コード血、骨髄、密度勾配精製された末梢血単核細胞、または均質化された組織を含む
。いくつかの場合には、試料は、全血、骨髄または臍帯血中の造血前駆細胞(例えば、C
D34+細胞)を含む。ある特定の実施形態では、試料は、末梢血中の腫瘍細胞を含む。
ある特定の事例では、試料は、ウイルス細胞(例えば、HIV)を含む(または含むと疑
われる)試料である。
【0377】
標識された特異的結合メンバーは、主題の方法において、例えば、標的細胞、粒子、標
的または分析物をポリマー色素またはポリマータンデム色素で標識するために使用される
ことが見出される。例えば、標識された特異的結合メンバーは、フローサイトメータで処
理される(例えば、検出される、分析される、および/または選別される)標識細胞にお
ける使用を見出す。標識された特異的結合メンバーは、例えば、(例えば、本明細書に記
載される)様々な細胞型の細胞表面タンパク質に特異的に結合する抗体を含んでもよい。
標識された特異的結合メンバーは、細胞周期、細胞増殖、細胞分化、DNA修復、T細胞
シグナル伝達、アポトーシス、細胞表面タンパク質発現および/または提示などの様々な
生物学的(例えば、細胞)特性またはプロセスを調査するために使用され得る。標識され
た特異的結合メンバーは、細胞、粒子、または分析物の抗体媒介標識を含む(または含み
得る)任意の用途で使用され得る。
【0378】
本方法のいくつかの事例では、標識された特異的結合メンバーは、(例えば、式(I)
~(IX)のいずれか1つによって)本明細書に記載のマルチクロモフォアを含む。ある
特定の場合において、GおよびGは各々、独立して、末端基、ポリマーセグメント、
リンカー、化学選択的タグ、および連結された特異的結合メンバーからなる群から選択さ
れ、GおよびGのうちの少なくとも1つは、連結された特異的結合メンバーである。
【0379】
方法の態様は、標的分析物が試料中に存在するか否かを評価するために、ポリマー色素
共役標的分析物結合複合体の存在について標識組成物接触試料をアッセイすることを含む
。試料がポリマー色素共役と接触すると、任意の便利な方法が、ポリマー色素共役標的分
析物結合複合体の存在について生成される標識組成物接触試料のアッセイに利用され得る
。ポリマー色素共役標的分析物結合複合体は、存在する場合、共役の特異的結合メンバー
の標的分析物への特異的結合時に生成される結合複合体である。標識組成物が接触した試
料をアッセイすることは、存在する場合、結合複合体からの蛍光シグナルを検出すること
を含むことができる。いくつかの場合には、アッセイは、存在する場合、標的分析物が試
料から分離される分離ステップを含む。例えば、支持体上の固定化を介して、標的分析物
を試料から分離するために、様々な方法を利用することができる。対象のアッセイ方法は
、これらに限定されないが、アビジン-ビオチンまたはハプテン-抗ハプテン抗体などの
特異的結合メンバーの対が対象である、任意の便利な方法およびアッセイフォーマットを
含む。対象組成物とともに使用するために適合され得る対象の方法およびアッセイフォー
マットは、これらに限定されないが、フローサイトメトリ方法、インサイツハイブリダイ
ゼーション方法、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、ウェスタンブロット分析、
磁気細胞分離アッセイ、ならびにフルオロクローム精製クロマトグラフィを含む。
【0380】
ある特定の実施形態では、本方法は、試料を、標的分析物を特異的に結合する第2の特
異的結合メンバーと接触させることをさらに含む。ある特定の事例では、第2の特異的結
合メンバーは、支持体結合である。任意の便利な支持体を利用して、主題の方法の構成要
素(例えば、第2の特異的結合メンバー)を固定化してもよい。ある特定の事例では、支
持体は、磁気粒子などの粒子である。いくつかの事例では、第2の特異的結合メンバーお
よびポリマー色素共役は、存在する場合、任意の便利な方法を使用して単離され、検出さ
れ得るサンドイッチ複合体を生成する。いくつかの実施形態では、方法は、ポリマー色素
共役標的分析物結合複合体、すなわち、蛍光標識標的分析物をフローサイトメトリで分析
することをさらに含む。ポリマー色素共役標的分析物結合複合体の存在のアッセイは、標
的分析物が試料中に存在するか否かを評価するために使用され得るアッセイ結果(例えば
、定性的または定量的アッセイデータ)を提供し得る。
【0381】
任意の便利な支持体は、例えば、標識された特異的結合メンバー、標的、二次特異的結
合メンバーなど、方法の任意の便利な構成要素を固定化するために、主題の方法で利用さ
れ得る。対象の支持体は、これらに限定されないが、固体基板を含み、基板は、例えば、
シート、ビーズ、またはウェル付きプレートなどの他の構造、ビーズ、ポリマー、粒子、
繊維メッシュ、ヒドロゲル、多孔質マトリックス、ピン、マイクロアレイ表面、クロマト
グラフィ支持体など、様々な構成を有することができる。いくつかの事例では、支持体は
、粒子、平面固体基質、繊維状メッシュ、ヒドロゲル、多孔質マトリックス、ピン、マイ
クロアレイ表面、およびクロマトグラフィ支持体からなる群から選択される。支持体は、
手動操作シリンジ、遠心分離器、または自動液体取扱システムなどの任意の便利な方法に
よって補助される細胞単離を提供するシステムに組み込まれ得る。いくつかの場合には、
支持体は、フローサイトメータなどの細胞の高スループット単離のための自動液体ハンド
リングシステムでの使用を見出す。
【0382】
方法のいくつかの実施形態では、分離ステップは、磁性粒子を固定するために外部磁場
を適用することを含む。任意の便利な磁石は、外部磁場(例えば、磁場勾配)のソースと
して使用され得る。いくつかの場合には、外部磁場は、例えば、永久磁石または電磁石に
よって、磁気源によって生成される。いくつかの場合には、磁気粒子を固定することは、
磁場勾配源に最も近い表面、すなわち磁石の近くに磁気粒子が蓄積することを意味する。
【0383】
分離は、支持体から試料の非結合材料を除去するための1つ以上の任意選択の洗浄ステ
ップをさらに含み得る。任意の便利な洗浄方法、例えば、ポリマー色素と特異的結合メン
バーとの特異的結合相互作用を保持する生体適合性緩衝液で固定化支持体を洗浄すること
が使用され得る。支持体からの試料の非結合材料の分離および任意選択の洗浄は、望まし
くない細胞および材料が除去され得る標的細胞の濃縮された集団を提供する。
【0384】
ある特定の実施形態では、本方法は、標識標的を検出することをさらに含む。標識標的
の検出は、マルチクロモフォアを1つ以上のレーザで励起させることと、その後、1つ以
上の光学検出器を使用してポリマータンデム色素からの蛍光放出を検出することと、を含
んでもよい。標識標的の検出は、これらに限定されないが、フローサイトメトリ、FAC
Sシステム、蛍光顕微鏡、プレートリーダーを使用した蛍光、発光、紫外線、および/ま
たは可視光検出、高性能液体クロマトグラフィ(HPLC)、ならびに質量分析を含む、
任意の便利な器具および方法を使用して実行され得る。本開示の方法および組成物におい
て蛍光標識された構成要素を使用するとき、異なるタイプの蛍光検出システムを使用して
主題の方法を実践することができることが認識される。いくつかの場合には、高スループ
ットスクリーニング、例えば、96ウェル以上のマイクロタイタープレートを使用するシ
ステムを実行することができる。例えば、Lakowicz,J.R.,Princip
les of Fluorescence Spectroscopy,New Yor
k:Plenum Press(1983);Herman,B.,Resonance
energy transfer microscopy,in:Fluoresce
nce Microscopy of Living Cells in Cultur
e,Part B,Methods in Cell Biology,vol.30,
ed.Taylor,D.L.&Wang,Y.-L.,San Diego:Acad
emic Press(1989),pp.219-243;Turro,N.J.,M
odern Molecular Photochemistry,Menlo Par
k:Benjamin/Cummings Publishing Col,Inc.(
1978),pp.296-361に記載されている方法など、蛍光材料に対してアッセ
イを行う様々な方法を利用することができる。
【0385】
試料中の蛍光は、蛍光計を使用して測定することができる。いくつかの場合には、第1
の波長を有する励起源からの励起放射は、励起光学系を通過する。励起光学系は、励起放
射線に試料を励起させる。応答して、試料中の蛍光標識標的は、励起波長とは異なる波長
を有する放射線を放出する。収集光学系は、次いで、試料からの放出を収集する。デバイ
スは、試料が走査されている間、試料を特定の温度に維持するための温度コントローラを
含むことができる。ある特定の事例では、多軸並進段階は、露出される異なるウェルを位
置決めするために、複数の試料を保持するマイクロタイタープレートを移動させる。多軸
変換ステージ、温度コントローラ、オートフォーカス機能、ならびにイメージングおよび
データ収集に関連付けられた電子機器は、適切にプログラムされたデジタルコンピュータ
によって管理することができる。コンピュータはまた、アッセイ中に収集されたデータを
提示のための別の形式に変換することができる。
【0386】
いくつかの実施形態では、標的分析物の存在について試料を評価する方法は、フローサ
イトメータ内の蛍光を検出することをさらに含む。いくつかの実施形態では、標的分析物
の存在について試料を評価する方法は、蛍光顕微鏡を使用して標識組成物が接触した試料
を撮像することをさらに含む。蛍光顕微鏡画像法を使用して、接触した試料中のポリマー
色素共役-標的分析物結合複合体を識別して、標的分析物が存在するか否かを評価するこ
とができる。主題の方法での使用を見出す対象の顕微鏡法は、レーザ走査共焦点顕微鏡法
を含む。
【0387】
また、標的分子を標識する方法も提供される。主題のポリマー色素は、標識、分離、検
出、および/または分析の様々な方法での使用を見出す。いくつかの実施形態では、方法
は、(例えば、本明細書に記載されるように)標的分子をポリマー色素と接触させて、標
識された標的分子を生成することを含み、ポリマー色素は、標的分子に共有結合する共役
タグを含む。いくつかの場合には、ポリマー色素は、ポリマー色素のマルチクロモフォア
にエネルギー受容近傍で共有結合したシグナルクロモフォアをさらに含む。方法のいくつ
かの例では、ポリマー色素メンバーは、(例えば、本明細書に記載されるように)式(I
)~(IX)のいずれか1つによるマルチクロモフォアを含み、GおよびGの一方は
末端基であり、GおよびGの他方は、共役タグである。
【0388】
本明細書で使用される場合、「共役タグ」という用語は、任意選択の活性化および/ま
たは脱保護の後に、標的分子の適合性官能基と共有結合することができる化学選択的官能
基(例えば、本明細書に記載される)を含む基を指す。任意の便利な共役タグは、色素を
対象の標的分子に共役するために、主題のポリマー色素において利用され得る。いくつか
の実施形態では、共役タグは、アミノ、カルボン酸またはその誘導体、チオール、ヒドロ
キシル、ヒドラジン、ヒドラジド、アジド、アルキン、およびタンパク質反応性基(例え
ば、アミノ反応性、チオール反応性、ヒドロキシル反応性、イミダゾリル反応性、または
グアニジニル反応性)から選択される末端官能基を含む。
【0389】
任意の便利な方法および試薬は、共役タグを標的分子に共有結合させるために、主題の
標識方法で使用するために適合され得る。対象を標識するための対象の方法は、これらに
限定されないが、Hermanson,Bioconjugate Technique
s,Third edition,Academic Press,2013によって記
載されるこれらの方法および試薬を含む。接触ステップは、水溶液中で実行され得る。い
くつかの事例では、共役タグは、アミノ官能基を含み、標的分子は、NHSエステルもし
くはスルホ-NHSエステルなどの活性化エステル官能基を含み、またはその逆も同様で
ある。ある特定の事例では、共役タグは、マレイミド官能基を含み、標的分子は、チオー
ル官能基を含むか、またはその逆も同様である。ある特定の事例では、共役タグは、アル
キン(例えば、シクロオクチン基)官能基を含み、標的分子は、クリックケミストリを介
して共役することができるアジド官能基を含むか、またはその逆も同様である。
【0390】
主題の方法を利用して標識するために、任意の便利な標的分子が選択され得る。対象の
標的分子は、これらに限定されないが、RNA、DNA、PNA、CNA、HNA、LN
A、またはANA分子などの核酸、融合タンパク質などのタンパク質、リン酸化タンパク
質、グリコシル化タンパク質、ユビキチン化タンパク質、SUMO化タンパク質、または
アセチル化タンパク質などの修飾タンパク質、または抗体、ペプチド、凝集生体分子、細
胞、小分子、ビタミンおよび薬物分子を含む。本明細書で使用される場合、「標的タンパ
ク質」という用語は、標的ファミリーのすべてのメンバー、およびその断片を指す。標的
タンパク質は、これらに限定されないが、ホルモン、成長因子、受容体、酵素、サイトカ
イン、骨誘導因子、コロニー刺激因子、および免疫グロブリンを含む、治療標的または診
断標的などの、対象の任意のタンパク質であり得る。「標的タンパク質」という用語は、
任意の便利な組換え発現方法を使用して調製され得るか、または任意の便利な合成方法を
使用して調製され得るか、または商業的に購入され得る組換え分子および合成分子を含む
ことが意図されている。いくつかの実施形態では、標的分子は、(例えば、本明細書に記
載の)特異的結合メンバーである。ある特定の事例では、特異的結合メンバーは、抗体で
ある。いくつかの事例では、特異的結合メンバーは、抗体断片またはその結合誘導体であ
る。いくつかの場合には、抗体断片またはその結合誘導体は、Fab断片、F(ab’)
断片、scFv、ダイアボディ、およびトリアボディからなる群から選択される。
【0391】
いくつかの場合には、方法は、標識された標的分子が、反応混合物、例えば、過剰な試
薬または標識されていない標的から分離される分離ステップを含む。様々な方法を利用し
て、例えば、支持体上での固定化、沈殿、クロマトグラフィなどを介して、標的を試料か
ら分離し得る。
【0392】
いくつかの事例では、方法は、標識された標的分子を検出および/または分析すること
をさらに含む。いくつかの事例では、方法は、標識された標的分子を蛍光検出することを
さらに含む。任意の便利な方法を利用して、主題の方法および組成物と併せて標識標的分
子を検出および/または分析してもよい。対象の方法での使用を見出す対象の標的の分析
方法は、これらに限定されないが、フローサイトメトリ、蛍光顕微鏡、インサイツハイブ
リダイゼーション、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、ウェスタンブロット分析
、磁気細胞分離アッセイ、およびフルオロクローム精製クロマトグラフィを含む。対象の
検出方法は、これらに限定されないが、蛍光分光法、蛍光顕微鏡法、核酸配列決定、蛍光
インサイツハイブリダイゼーション(FISH)、タンパク質質量分光法、フローサイト
メトリなどを含む。
【0393】
検出は、ポリマー色素もしくはポリマータンデム色素を介して直接、または二次検出シ
ステムによって間接的に達成され得る。後者は、これらに限定されないが、抗体標識抗種
抗体、ならびに他の形態の免疫学的または非免疫学的ブリッジおよびシグナル増幅システ
ム(例えば、ビオチン-ストレプタビジン技術、タンパク質-Aおよびタンパク質-G媒
介技術、または核酸プローブ/抗核酸プローブなど)を含む、いくつかの異なる原理のい
ずれか1つまたは組み合わせに基づき得る。好適なレポーター分子は、免疫細胞化学、分
子生物学、光、蛍光、および電子顕微鏡、細胞免疫表現型決定、細胞選別、フローサイト
メトリ、細胞可視化、検出、列挙、および/またはシグナル出力定量の分野で既知のもの
であり得る。2つ以上の特異的および/または非特異的性質の抗体を標識し、標的検出、
識別、および/または分析を強化するために同時にまたは順次使用することができる。
【0394】
調製方法
本開示の態様は、主題のマルチクロモフォアおよびポリマータンデム色素を調製する方
法を含む。主題のマルチクロモフォアの1つの利点は、基礎となるスキャフォールドのモ
ジュール性である。いくつかの事例では、モジュラースキャフォールドは、反復単位の定
義された配列を有する直鎖ポリマーである。使用されるペンダントクロモフォアは、ポリ
マーの合成前または合成後のいずれかで、ポリマー主鎖に共有結合可能な広範囲の色素か
ら選択することができる。
【0395】
いくつかの実施形態では、主題のマルチクロモフォアのポリマー主鎖(例えば、本明細
書に記載の式(IX)を参照されたい)は、環状炭酸塩または保護された炭酸カーボネー
トモノマーを使用して調製され得る。対象の方法およびコモノマーは、これらに限定され
ないが、Barnes et al.in WO2013036532,Cooley
et al.(J.Am.Chem.Soc.,131,45,1640-3,2009
),and Rothbard et al.in U.S.Patent 7,169
,814によって記載されたものを含む。そのようなモノマーは、開始剤および好適な供
給比の環状カーボネートモノマーを使用して重合反応において利用され、ポリマー主鎖を
提供することができる。代替的な保護されたカーボネートモノマーは、定義された配列を
提供するために、段階的な合成で組み立てることができる。
【0396】
対象のコモノマーは、適合性の化学選択的官能基および化学を使用して連結することが
できる。いくつかの事例では、コモノマーは、銅触媒アジド-アルキンシクロアドディシ
ョン、ひずみ促進アジド-アルキンシクロアドディション、アルケンアジド[3+2]シ
クロアドディション、アルケンおよびテトラジン逆需要Diers-Alder、Sta
udingerライゲーションなどを介して連結される(例えば、Kolb et al
.,Angew Chem Int Ed Engl.40:2004-2021,20
01を参照されたい)。したがって、コモノマーの連結は、例えば、アルキン/アジド、
テトラジン/アルケン、アジド/アルケン、ホスフィン/アジドなど、適合する化学選択
的官能基の対の共役を介して達成することができる。アジド-アルキンシクロアドディシ
ョン反応の非限定的な例は、銅触媒アジド-アルキンシクロアドディション(CuAAC
)反応およびルテニウム触媒アジド-アルキンシクロアドディション(RuAAC)反応
を含む。CuAACは、広範な温度範囲にわたって作用し、水性条件および4~12にわ
たるpH範囲に対して不感受性であり、広範な官能基に耐性を有する(Himo et
al,J Am Chem Soc.127:210-216,2005を参照されたい
)。活性Cu(I)触媒は、例えば、還元剤としてアスコルビン酸ナトリウムを使用して
Cu(I)塩またはCu(II)塩から生成することができる。この反応は、1,4-置
換生成物を形成する。RuAACは、末端アルキンへのアジドのシクロ付加を触媒するこ
とができ、1,5-二置換1,2,3-トリアゾールを局所選択的にもたらすペンタメチ
ルシクロペンタジエニルルテニウムクロリド[Cp*RuCl]複合体を利用する(Ra
smussen et al.,Org.Lett.9:5337-5339,2007
を参照されたい)。さらに、CuAACとは対照的に、RuAACは、完全に置換された
1,2,3-トリアゾールを提供するために内部アルキンとともに使用することもできる
【0397】
いくつかの実施形態では、主題のマルチクロモフォアのポリマー主鎖は、ポリペプチド
である。任意の便利なペプチド合成方法を、主題のマルチクロモフォアのそのようなポリ
マー主鎖の調製に利用することができる。いくつかの場合には、固相ペプチド合成(SP
PS)方法を利用して、定義された段階的合成を介して、主題のマルチクロモフォアのポ
リマー主鎖を調製する。従来の保護基戦略は、定義された配列内の対象のアミノ酸残基の
脱保護および結合を提供する一方で、対象の側鎖官能基は、直交的に保護され得る。いく
つかの場合には、Fmoc/tert-ブチル方法が利用される。いくつかの場合には、
Boc/ベンジル方法が利用される。そのような保護基戦略はまた、特定のアミノ酸残基
の側鎖上、および/またはポリペプチド末端での対象のペンダント基の設置に使用するた
めに適合され得る。ある特定の事例では、ペンダント基のうちの1つ以上は、保護された
アミノ酸モノマー開始材料中に設置され得る。いくつかの場合には、ペンダント基は、ポ
リマー主鎖のSPPSが行われた後に、マルチクロモフォア内に設置される。直交保護基
を使用することによって、対象の異なる基を、独立して、例えば、N末端およびC末端、
ならびに/または各異なるタイプのアミノ酸残基など、ポリペプチド主鎖上に設置するこ
とができる。ポリペプチドは、β2-アミノ酸残基、β3-アミノ酸残基、α-アミノ酸
残基、またはそれらの混合物を含むことができる。
【0398】
いくつかの実施形態では、(例えば、本明細書に記載の)集光マルチクロモフォアの調
製方法は、単一の存在の第2のアミノ酸残基によって分離される第1のアミノ酸残基のブ
ロックからなる定義されたアミノ酸配列を有する保護されたポリペプチドを合成すること
を含む。本明細書に記載されるように、アミノ酸残基の定義された配列の調製は、ポリペ
プチドに沿ったペンダントドナークロモフォアおよびアクセプタフルオロフォアの所望の
構成を提供することができる。ポリペプチド合成後にペンダント基の設置が達成されると
、ポリペプチド主鎖に沿ったアミノ酸側鎖の化学選択的官能基がペンダント基に選択的に
共役される。ある特定の事例では、集光マルチクロモフォアは、定義された配列を有する
ポリペプチドであり、第1のアミノ酸残基の各ブロックは、少なくとも2つの残基を含み
、第1のアミノ酸残基は各々、保護された第1の化学選択的側鎖基を含み、第2のアミノ
酸残基は各々、保護された第2の化学選択的側鎖基を含む。
【0399】
代替的に、ペンダントドナークロモフォア基の設置は、側鎖の一部としてすでにクロモ
フォア基を含む保護されたアミノ酸構築ブロックを利用することによって達成することが
できる。ペンダントクロモフォア基は、まず、定義されたポリペプチド配列の少なくとも
側鎖上に設置して、集光マルチクロモフォアを生成することができることが理解される。
次いで、アクセプタフルオロフォアを含む様々な追加のペンダント基を、配列の特定の残
基に付着させた化学選択的タグへの選択的共役を介して順次設置することができる。
【0400】
いくつかの場合には、方法は、反応性アクセプタフルオロフォア部分を、第2のアミノ
酸残基の脱保護された第2の化学選択的側鎖基にカップリングして、ペンダントアクセプ
タフルオロフォアを生成することをさらに含む。
【0401】
本方法のある特定の事例では、定義されたアミノ酸配列は、以下から選択される1つ以
上のアミノ酸配列セグメントを含み、
XYXX
XXYXX
XXXYXXX
XXXYXXXX
XXXXYXXX
XXXXYXXXX
XXXXXYXXXXX
XXXXXXYXXXXXX
XXXXXXXYXXXXXXX
XXXXXXXXYXXXXXXXX
XXXXXXXXXYXXXXXXXXX
Y(X)
XY(X)YX
XXY(X)YXX
XXXY(X)YXXX
XXXXY(X)YXXXX
XXXXXY(X)YXXXXX
各Xは、第1の化学選択的官能基、またはその保護されたバージョンを有する第1のア
ミノ酸残基であり、各Yは、第2の化学選択的官能基、またはその保護されたバージョン
を有する第2のアミノ酸残基である。
【0402】
上記の配列のある特定の実施形態では、各Xは、ペンダントドナークロモフォア基に選
択的に共有結合され得る側鎖アミノ基を有するリジンもしくはオルニチン残基、またはそ
の保護されたバージョンであり、各Yは、システイン残基またはペンダントアクセプタフ
ルオロフォアに選択的に共有結合的にN-連結され得る側鎖チオール基を有する保護シス
テイン残基である。
【0403】
上述の配列セグメントのうちの2つ以上を含むポリペプチド配列は、任意選択で、追加
の第3のアミノ酸残基(例えば、Zが第3の残基である場合、(セグメント1)-Z-(
セグメント2))によって分離されて調製され得る。この第3のアミノ酸残基は、スペー
サ残基(例えば、側鎖もしくはタグを有しない)、または、第2のペンダント光吸収クロ
モフォア、化学選択的タグ(例えば、生体直交クリックケミストリタグ)、リンカー、連
結生体分子、アクセプタフルオロフォア、WSGなど、対象の追加の部分の選択的設置に
好適な化学選択的官能基を有する残基とすることができる。ある特定の事例では、対象の
追加の部分は、ポリペプチド合成の前に第3のアミノ酸残基に組み込まれる。
【0404】
同様に、様々な部分は、ペプチド合成中またはペプチド合成後にポリペプチドのN末端
および/またはC末端に設置することができる。ある特定の事例では、方法は、保護され
たポリペプチドのN末端を脱保護すること、およびG1基(例えば、本明細書に記載され
る)をN末端脱保護ポリペプチドのN末端にカップリングすることをさらに含む。G1は
、任意の便利な末端基(例えば、アルカノイル、例えば、アセチルなどのキャッピング基
)、ドナークロモフォア基、特定の化学選択的タグを有するリンカー、または対象の生体
分子であり得る。
【0405】
いくつかの場合には、方法は、ポリペプチドのC末端にG2基を設置することをさらに
含む。これは、例えば、C末端基G2が固体支持体と配列の第1のアミノ酸残基との間に
設置されるSPPS中、固体支持体からのポリペプチドの切断中、または対象の部分(例
えば、特異的結合メンバー)もしくはそれらを対象とする特定の化学選択的タグがポリペ
プチドのC末端に結合され得る合成後など、様々な方法で達成することができる。いくつ
かの事例では、天然化学ライゲーション方法を利用して、ポリペプチド断片または目的の
部分への結合に好適なC末端チオエステルポリペプチドを調製することができる。
【0406】
本明細書に記載されるポリペプチドマルチクロモフォアのいずれかは、主題の方法、例
えば、本明細書に記載される式(IV)~(VII)のポリペプチド、およびその合成前
駆体に従って調製することができる。
【0407】
主題のポリペプチドマルチクロモフォアを合成するために利用可能な様々な方法のいく
つかの要約は、Steward et al.,in “Solid Phase Pe
ptide Synthesis”,W.H.Freeman Co.,San Fra
ncisco,1969;Bodanszky et al.,in “Peptide
Synthesis”,John Wiley&Sons,Second Editi
on,1976 and Meienhofer,in “Hormonal Prot
eins and Peptides”,Vol.2,p.46,Academic P
ress(New York),1983;and Kent,Ann.Rev.Bio
chem.,57,957,1988,for solid phase peptid
e synthesis,and Schroder et al.,in “The
Peptides”,Vol.1,Academic Press(New York)
,1965 for solution synthesisに見つけることができる。
これらに限定されないが、Fmoc固相ペプチド合成およびBoc固相ペプチド合成戦略
など、任意の便利な保護基戦略を使用してもよい。Boc固相ペプチド合成では、Boc
-アミノ保護基がアミノ末端で使用され、側鎖官能基の保護のためにベンジルまたはベン
ジル系または他の便利な保護基が使用され得る。Fmoc固相ペプチド合成では、Fmo
c-アミノ保護基がアミノ末端で使用され、側鎖官能基の保護のためにtert-ブチル
またはベンジル系または他の便利な保護基が使用され得る。そのような合成方法で使用さ
れ得る便利な保護基は、上記の参考文献、およびMcOmic in “Protect
ive Groups in Organic Chemistry”,Plenum
Press,New York,1973;and Greene and Wuts,
“Protective Groups in Organic Synthesis”
,John Wiley&Sons,4th Edition,2006に記載されてい
る。
【0408】
システム
本発明の態様は、主題の方法および組成物を実践する際に使用するためのシステムをさ
らに含む。試料分析システムは、試料および標識された特異的結合メンバーを充填した試
料視野またはフローチャネルを含むことができる。いくつかの実施形態では、システムは
、フローサイトメータであって、フローパスを含むフローサイトメータ、フローパス内の
組成物であって、組成物は、試料、および標識された特異的結合メンバー(例えば、本明
細書に記載されるような)を含む、フローサイトメトリシステムである。いくつかの実施
形態では、試料を分析するためのシステムは、蛍光顕微鏡システムであって、試料視野を
含む蛍光顕微鏡と、試料視野に配置された組成物とを含み、組成物は、試料と、標識され
た特異的結合メンバー(例えば、本明細書に記載されるように)とを含む、蛍光顕微鏡シ
ステムである。
【0409】
システムのいくつかの事例では、標識された特異的結合メンバーは、水溶媒和集光マル
チクロモフォア(例えば、本明細書に記載される)、およびマルチクロモフォアに共有結
合した標的分析物に特異的に結合する特異的結合メンバーを含む。いくつかの場合には、
標識された特異的結合メンバーは、ポリマー色素のマルチクロモフォアにエネルギー受容
近傍で共有結合したシグナルクロモフォアをさらに含む。主題のシステムのいくつかの事
例では、標識された特異的結合メンバー、マルチクロモフォアは、(例えば、本明細書に
記載されるように)式(I)~(IX)のいずれか1つによって記載される。Gおよび
は各々、独立して、末端基、ポリマー共役セグメント、リンカー、および連結された
特異的結合メンバーからなる群から選択され、GおよびGのうちの少なくとも1つは
、連結された特異的結合メンバーである。
【0410】
本システムのある特定の実施形態では、組成物は、支持体結合され、標的分析物に特異
的に結合する第2の特異的結合メンバーをさらに含む。いくつかの場合には、支持体は、
磁気粒子を含む。したがって、ある特定の事例では、システムはまた、フローチャネルの
アッセイ領域に適用するように構成された制御可能な外部常磁場を含んでもよい。
【0411】
試料は、細胞を含んでもよい。いくつかの事例では、試料は、細胞を含む生体試料であ
る。いくつかの事例では、試料は、標的細胞に特異的に結合した標識された特異的結合メ
ンバーを含む。ある特定の事例では、特異的結合メンバーによって特異的に結合される標
的分析物は、細胞の細胞表面マーカーである。ある特定の場合において、細胞表面マーカ
ーは、細胞受容体および細胞表面抗原からなる群から選択される。
【0412】
ある特定の態様において、システムはまた、フローチャネルまたは試料視野のアッセイ
領域に光を誘導するように構成された光源を含んでもよい。システムは、フローチャネル
のアッセイ領域または試料視野から信号を受信するように構成された検出器を含んでもよ
く、信号は、蛍光組成物によって提供される。任意選択で、試料分析システムは、1つ以
上の追加の信号の検出のための1つ以上の追加の検出器および/または光源を含み得る。
【0413】
ある特定の態様において、システムは、蛍光シグナルの存在を検出するように構成され
たコンピュータベースのシステムをさらに含み得る。「コンピュータベースシステム」と
は、本発明の情報を分析するために使用されるハードウェア手段、ソフトウェア手段、お
よびデータ記憶手段を指す。本発明のコンピュータベースシステムの最小ハードウェアは
、中央処理ユニット(CPU)、入力手段、出力手段、およびデータ記憶手段を含む。当
業者は、現在利用可能なコンピュータベースのシステムのうちの任意の1つが、主題のシ
ステムでの使用に好適であることを容易に理解することができる。データ記憶手段は、上
述のように、本情報の記録を含む任意の製造物、またはそのような製造物にアクセスする
ことができるメモリアクセス手段を含んでもよい。
【0414】
データ、プログラミング、または他の情報をコンピュータ可読媒体に「記録」すること
は、当技術分野で既知の任意のそのような方法を使用して、情報を記憶するためのプロセ
スを指す。記憶された情報にアクセスするために使用される手段に基づいて、任意の便利
なデータ記憶構造が選択され得る。例えば、ワード処理テキストファイル、データベース
フォーマットなど、様々なデータプロセッサプログラムおよびフォーマットを記憶のため
に使用することができる。
【0415】
「プロセッサ」とは、それに必要な機能を実行する任意のハードウェアおよび/または
ソフトウェアの組み合わせを指す。例えば、本明細書の任意のプロセッサは、例えば、電
子コントローラ、メインフレーム、サーバ、またはパーソナルコンピュータ(デスクトッ
プまたはポータブル)の形態で利用可能な、プログラマブルデジタルマイクロプロセッサ
であってもよい。プロセッサがプログラマブルである場合、適切なプログラミングは、リ
モート位置からプロセッサに通信され得るか、またはコンピュータプログラム製品(例え
ば、磁気、光学もしくはソリッドステートデバイスに基づくかにかかわらず、ポータブル
もしくは固定コンピュータ可読記憶媒体など)にあらかじめ保存され得る。例えば、磁気
媒体または光学ディスクは、プログラミングを運ぶことができ、その対応するステーショ
ンで各プロセッサと通信する好適なリーダによって読み取ることができる。
【0416】
例えば、上述のように、センサデバイスおよび信号処理モジュールに加えて、本発明の
システムは、例えば、モニタおよび/またはスピーカなどのデータ出力デバイス、例えば
、インターフェースポート、キーボードなどのデータ入力デバイス、流体処理構成要素、
電源など、いくつかの追加の構成要素を含んでもよい。
【0417】
ある特定の態様では、システムは、フローサイトメータを含む。試料を分析するための
好適なフローサイトメータシステムおよび方法は、これらに限定されないが、Ormer
od(ed.),Flow Cytometry:A Practical Appro
ach,Oxford Univ.Press(1997);Jaroszeski e
t al.(eds.),Flow Cytometry Protocols,Met
hods in Molecular Biology No.91,Humana P
ress(1997);Practical Flow Cytometry,3rd
ed.,Wiley-Liss(1995);Virgo,et al.(2012)A
nn Clin Biochem.Jan;49(pt 1):17-28;Linde
n,et.al.,Semin Throm Hemost.2004 Oct;30(
5):502-11;Alison,et al.J Pathol,2010 Dec
;222(4):335-344;and Herbig,et al.(2007)C
rit Rev Ther Drug Carrier Syst.24(3):203
-255に記載されているものを含み、これらの開示は参照により本明細書に組み込まれ
る。ある特定の事例では、目的のフローサイトメトリシステムは、BD Bioscie
nces FACSCanto(商標)フローサイトメータ、BD Bioscienc
es FACSVantage(商標)、BD Biosciences FACSor
t(商標)、BD Biosciences FACSCount(商標)、BD Bi
osciences FACScan(商標)、およびBD Biosciences
FACSCalibur(商標)システム、BD Biosciences Accur
i(商標)システム、BD Biosciences FACSCanto(商標)シス
テム、BD Biosciences FACSCelesta(商標)システム、BD
Biosciences FACSLyric(商標)システム、BD Biosci
ences FACSVerse(商標)システム、BD Biosciences F
ACSymphony(商標)システム、BD Biosciences LSRFor
tessa(商標)システム、BD Biosciences Influx(商標)細
胞選別機、BD Biosciences FACSJazz(商標)細胞選別機および
BD Biosciences FACSAria(商標)細胞選別機、BD Bios
ciences FACSMelody(商標)細胞選別機などを含む。
【0418】
ある特定の実施形態では、主題のシステムは、米国特許第3,960,449号、第4
,347,935号、第4,667,830号、第4,704,891号、第4,770
,992号、第5,030,002号、第5,040,890号、第5,047,321
号、第5,245,318号、第5,317,162号、第5,464,581号、第5
,483,469号、第5,602,039号、第5,620,842号、第5,627
,040号、第5,643,796号、第5,700,692号、第6,372,506
号、第6,809,804号、第6,813,017号、第6,821,740号、第7
,129,505号、第7,201,875号、第7,544,326号、第8,140
,300号、第8,233,146号、第8,753,573号、第8,975,595
号、第9,092,034号、第9,095,494号、および第9,097,640号
に記載のフローサイトメータの1つ以上の構成要素を組み込んだフローサイトメータシス
テムであり、これらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0419】
他のシステムは、主題の方法を実践する際の使用を見出すことができる。ある特定の態
様において、システムは、本明細書に考察される実施形態のいずれかの蛍光組成物を有す
る試料を充填したフルオリメータまたは顕微鏡であってもよい。フルオリメータまたは顕
微鏡は、フローチャネルまたは試料視野のアッセイ領域に光を誘導するように構成された
光源を含んでもよい。フルオリメータまたは顕微鏡はまた、フローチャネルのアッセイ領
域または試料視野から信号を受信するように構成された検出器を含んでもよく、信号は、
蛍光組成物によって提供される。
【0420】
キット
本発明の態様は、主題の方法および組成物を実践する際に使用するためのキットをさら
に含む。本発明の組成物は、開始材料として、または例えば上記の方法で使用するために
提供されるかのいずれかとしてキットに試薬として含めることができる。
【0421】
キットは、水溶媒和集光マルチクロモフォア(例えば、本明細書に記載されるように)
および容器を含むポリマー色素を含むことができる。マルチウェルストリップまたはプレ
ート内のチューブ、ボトル、またはウェル、ボックス、バッグ、絶縁容器など、任意の便
利な容器を利用することができる。主題のキットは、ポリマータンデム色素、フルオロフ
ォア、特異的結合メンバー、特異的結合メンバー共役、支持体結合特異的結合メンバー、
細胞、支持体、生体適合性水性溶出緩衝液、および使用説明書から選択される1つ以上の
構成要素をさらに含むことができる。キットのいくつかの実施形態では、マルチクロモフ
ォアは、特異的結合メンバーに共有結合される。いくつかの事例では、特異的結合メンバ
ーは、抗体である。ある特定の事例では、特異的結合メンバーは、抗体断片またはその結
合誘導体である。ある特定の場合において、抗体断片またはその結合誘導体は、Fab断
片、F(ab’)断片、scFv、ダイアボディ、およびトリアボディからなる群から
選択される。
【0422】
ある特定の実施形態では、キットは、細胞内標的などの標的分析物の存在について試料
を評価する際の使用を見出す。したがって、いくつかの事例では、キットは、細胞の溶解
に好適な1つ以上の構成要素を含む。キットの1つ以上の追加の構成要素は、別個の容器
(例えば、マルチウェルストリップまたはプレート中の別個のチューブ、ボトル、または
ウェル)中に提供され得る。
【0423】
ある特定の態様では、キットは、フローサイトメトリアッセイを実行するための試薬を
さらに含む。対象の試薬は、これらに限定されないが、再構成および希釈のためのバッフ
ァ、マルチクロモフォアの細胞試料を接触させるためのバッファ、洗浄バッファ、対照細
胞、対照ビーズ、フローサイトメータキャリブレーションのための蛍光ビーズ、ならびに
これらの組み合わせを含む。キットはまた、パラホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド
、メタノール、アセトン、ホルマリン、またはそれらの任意の組み合わせもしくは緩衝液
など、1つ以上の細胞固定試薬を含み得る。さらに、キットは、細胞透過性試薬、例えば
、メタノール、アセトン、もしくは洗浄剤、例えば、トリトン、NP-40、サポニン、
トゥイーン20、ジギトニン、ロイコペルム、またはそれらの任意の組み合わせもしくは
緩衝液などを含んでよい。当業者によく知られている他のタンパク質輸送阻害剤、細胞固
定試薬、および細胞透過試薬は、対象キットの範囲内である。
【0424】
キットの組成物は、任意の好適な緩衝液などの液体組成物中に提供され得る。あるいは
、キットの組成物は、乾燥組成物中で提供され得(例えば、凍結乾燥され得る)、キット
は、任意選択で、乾燥組成物を再構成するための1つ以上の緩衝液を含み得る。ある特定
の態様において、キットは、別個の容器(例えば、マルチウェルストリップまたはプレー
ト内の別個のチューブ、ボトル、またはウェル)に提供される組成物のアリコートを含ん
でもよい。
【0425】
加えて、1つ以上の構成要素は、単一の容器、例えば、ガラスまたはプラスチックバイ
アル、チューブまたはボトルに組み合わされ得る。ある特定の事例では、キットは、すべ
ての構成要素(およびそれらの別個の容器)が存在する容器(例えば、箱、バッグ、絶縁
容器、ボトル、チューブなど)をさらに含んでもよい。キットは、キット容器とは別個で
あるか、またはキット容器に取り付けられ、その上にキット、キットの構成要素、および
/またはキットの使用説明書に関する印刷された情報をさらに含み得る。
【0426】
上記の構成要素に加えて、主題のキットは、主題の方法を実践するための命令をさらに
含み得る。これらの命令は、様々な形態で対象キット中に存在し得、そのうちの1つ以上
は、キット中に存在し得る。これらの命令が存在し得る1つの形態は、好適な媒体または
基板、例えば、情報が印刷される1枚以上の紙、キットのパッケージ、添付文書などに印
刷される情報としてである。さらに別の手段は、情報が記録されたコンピュータ可読媒体
、例えば、ディスケット、CD、DVD、ポータブルフラッシュドライブなどである。存
在し得るさらに別の形態は、削除されたサイトで情報にアクセスするためにインターネッ
トを介して使用され得るウェブサイトアドレスである。任意の便利な手段は、キット中に
存在してもよい。
【0427】
ユーティリティ
本明細書に記載のポリマー色素、組成物、方法、およびシステムは、対象の標的の標識
、検出、および/または分析が望ましい、診断および研究用途を含む、様々な用途での使
用を見出すことができる。そのような用途は、サイトメトリ、顕微鏡検査、免疫アッセイ
(例えば、競合的または非競合的)、遊離分析物の評価、受容体結合リガンドの評価など
の方法を含む。本明細書に記載される組成物、システム、および方法は、これらに限定さ
れないが、生物学的流体、細胞培養試料、および組織試料を含む、いくつかの試料のうち
のいずれかの分析に有用であり得る。ある特定の態様において、本明細書に記載の組成物
、システム、および方法は、存在する場合、蛍光活性化細胞選別または分析、免疫アッセ
イ、免疫染色などでの蛍光標識を使用して、分析物が試料中で検出される方法での使用を
見出すことができる。ある特定の事例では、組成物および方法は、標的分析物の存在につ
いての試料の評価が重要である用途での使用を見出す。
【0428】
いくつかの場合には、方法および組成物は、これらに限定されないが、フローサイトメ
トリ、蛍光顕微鏡、インサイツハイブリダイゼーション、酵素結合免疫吸着アッセイ(E
LISA)、ウェスタンブロット分析、磁気細胞分離アッセイ、およびフルオロクローム
精製クロマトグラフィを含む、試料からの標的の検出および/または分析が重要である任
意のアッセイフォーマットでの使用を見出す。ある特定の事例では、方法および組成物は
、標的分子の蛍光標識が重要である任意の用途での使用を見出す。主題の組成物は、ビオ
チン-ストレプタビジンおよびハプテン-抗ハプテン抗体など、特異的結合メンバーの対
が使用を見出す任意の便利な用途での使用に適合され得る。
【実施例0429】
実施例1
主題のポリマー色素の合成は、スズキカップリング法によって達成することができる。
C-H結合アリール化またはStilleカップリング法などの他の方法もまた、アリー
ルまたはヘテロアリールコモノマーを含む反復単位を飽和ペグコモノマーと構築および重
合するために利用することができる。
【0430】
マルチクロモフォアA(MC)に基づくタンデム色素の式を図1に示す。異なるアクセ
プタフルオロフォア(「色素」)を有する以下のコア構造を有する一連のタンデム色素を
調製した。
【0431】
【化74】
【0432】
例示的なポリマータンデム色素の分光特性を、図2および図3に示されるように評価し
た。
【0433】
【表1】
【0434】
実施例2
図4に示されるように、固相ペプチド合成方法を使用して、リジンおよびシステインア
ミノ酸残基KCKKの配列を調製した。カルボン酸置換BODIPY基を、アミド結合カ
ップリングを介してペプチドのN末端およびリジン残基の側鎖アミノ基に共役した。マレ
イミド置換アクセプタフルオロフォア(色素7)を、マレイミドチオールカップリング化
学を利用してシステイン残基に共役した。ペプチドを、生体分子、例えば、タンパク質へ
の共役に好適なC末端リンカーで調製した。
【0435】
図4のBODIPYベースのタンデム色素の分光特性を特徴付けた。図5Aは、BOD
IPYドナーペンダント群の吸光および発光スペクトルを示す。図5Bは、アクセプタ色
素(色素7)の吸光および発光スペクトルを示す。図5Cは、図4の例示的なポリマータ
ンデム色素吸光および発光スペクトルを示す。スキャフォールド型クロモフォアの発光ス
ペクトルについては、一次クロモフォアが励起されている。このシステムに関して、ドナ
ーの放出はほぼ完全にクエンチされ、放出の大部分は、アクセプタフルオロフォアの放出
のものである。ポリマータンデム色素の量子収率は、アクセプタフルオロフォア(色素7
)と同等であり、タンデム色素が効率的なエネルギー伝達プロセスを示すことを示唆する
。この例示的なタンデム色素の蛍光を、アクセプタフルオロフォア単独の蛍光のおよそ2
倍増幅した(色素7)。
【0436】
5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、および20:2のドナー対アク
セプタの比を提供するポリペプチドが、上述した方法を使用して調製され、特徴付けられ
る。
【0437】
実施例3
水溶性蛍光ポリマー色素は、穏やかな条件下でのクリック重合によって調製することが
できる。これらのポリマー色素は、生体認識ユニット(生体分子)に共有結合し、標的の
蛍光プローブとして機能することができる。二次色素がアクセプタとして組み込まれると
、ポリマータンデム色素が形成される。アクセプタ色素の色を調整することによって、同
じ励起波長(図9Aを参照)を有するが、異なる代替発光波長の範囲を有するポリマータ
ンデム色素を調製することができる(図9Bを参照)。
【0438】
所望の狭い吸光を有するペグ化BODIPY色素をフルオロフォアペンダント色素とし
て選択する。ペンダントフルオロフォアは、ジアジド、ジアルキン、またはアジド/アル
キンで終端化された水溶性エチレングリコールエーテルモノマーに化学的に結合される。
付着したBODIPY色素を有するペグポリマー鎖は、(例えば、本明細書に記載される
ように)良好なMWでアジドへのアルキンのCu(I)触媒1,3-二極環付加物を使用
して調製することができる。1つの種類のフルオロフォア色素のみがペンダント基として
結合されるとき、得られたポリマーは、単純な蛍光ポリマー色素として蛍光を示す(図8
を参照されたい)。第2のアクセプタフルオロフォアが付着されると、2つのフルオロフ
ォアペダントを有するポリマー鎖が達成される。より高いエネルギーレベルの1つのフル
オロフォアは、エネルギードナーとして機能し得、低エネルギーレベルの第2のフルオロ
フォアは、エネルギーアクセプタとして機能し得る。ドナー/アクセプタの好適な対およ
び比を混合することによって、所望の発光波長を有するポリマータンデム色素を取得する
ことができる。
【0439】
以下のポリマー色素は、図7Aおよび7Bの合成スキームによって記載されるコモノマ
ーおよび方法を使用して、クリック重合方法によって調製され、nおよびmがともにポリ
マーの平均長およびコモノマーの相対比を表すことができ、nおよびmが任意の好都合な
方法を使用して重合反応のパラメータを制御することによって所望に応じて選択され得る
ことが理解される。重合方法に応じて、nおよびm反復単位は、ランダム構成またはブロ
ック構成中に存在し得ることが理解される。加えて、以下のポリマー構造は、末端アジド
またはアルキン基を介したクリックケミストリを使用して、任意の好都合な対象の分子、
例えば、生体分子にさらに共役することができる。いくつかの場合には、nおよびmは各
々、独立して、1~500、1~200、1~100、2~100、または5~100な
ど、1~1000から選択される。
【0440】
【化75】
【0441】
図8は、上記に示す一般構造のペンダントBODIPY色素を含むベースポリマー色素
の吸光および発光スペクトルを示す。Rが連結ドナー色素(例えば、上述のBODIPY
色素)であり、(例えば、アミド結合およびアクセプタ色素へのリンカーを介して)共役
に好適な側鎖-NH基を含む他の例示的なポリマー色素は、以下の通りである。
【0442】
【化76】
【0443】
例示的なポリマータンデム色素構造が以下に示され、Rは、連結ドナー色素(例えば、
上述のBODIPY色素)であり、対象の連結アクセプタ色素(例えば、DY-754ま
たはDY-704などの共役(例えば、アクセプタ色素への共役)に好適な)を含み、D
Yは、それぞれ、例えば、754nmまたは704nmの発光最大波長を有するダイオミ
クス色素を指す。塩基ポリマーの発光スペクトルと少なくとも部分的に重複する対象のア
クセプタ色素を選択することによって(図8を参照されたい)、様々な発光波長を有する
ポリマータンデム色素を生成することができる。例えば、図9A~9Bを参照されたい。
【0444】
【化77】
【0445】
追加の実施形態
添付の特許請求の範囲にかかわらず、本明細書に記載された本開示はまた、以下の付記
によっても義される。
【0446】
付記1.水溶性の集光マルチクロモフォアであって、
非共役反復単位を含むポリマー主鎖と、
ポリマー主鎖の非共役反復単位に各々独立して連結された複数のペンダントドナークロ
モフォア基と
を含む、集光マルチクロモフォア。
付記2.ペンダントドナークロモフォア基は各々、水溶性基で置換される、付記1に記
載の集光マルチクロモフォア。
付記3.ポリマー主鎖は、線形ポリマーである、付記1に記載の集光マルチクロモフォ
ア。
付記4.ペンダントドナークロモフォア基は、互いにエネルギーを伝達する近傍に構成
されている、付記1に記載の集光マルチクロモフォア。
付記5.ペンダントドナークロモフォア基の構成は、入射光で励起されると、クエンチ
されていない単離されたドナークロモフォア基に対する蛍光のクエンチを呈する、付記4
に記載の集光マルチクロモフォア。
【0447】
付記6.ペンダントドナークロモフォア基は、縮合三環式アリール基またはヘテロアリ
ール基およびBODIPY基から選択される、付記1~5のいずれか一つに記載の集光マ
ルチクロモフォア。
付記7.ペンダントドナークロモフォア基は、フルオレン、カルバゾール、およびシロ
ールから選択される、付記6に記載の集光マルチクロモフォア。
付記8.ペンダントドナークロモフォア基は、以下の式のうちの1つを有する縮合三環
式アリール基またはヘテロアリール基であり、
【0448】
【化78】
【0449】
式中、
*は、ポリマー主鎖の非共役反復単位への連結点であり、
Yは、C(R13、-C(R13C(R13-、-C(R13Si(
13-、NR13、Si(R13またはSeであり、
各Zは、独立して、CH、CR、またはNであり、
各R13は、独立して、H、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテ
ロアリール、置換ヘテロアリール、アシル、置換アシル、アルコキシ、置換アルコキシ、
アミド、置換アミド、アラルキル、置換アラルキル、ペグ部分、WSG、および-L11
-Zから選択され、L11は、リンカーであり、Zは、非共役反復単位であるか、ま
たは、任意の2つの便利なR’基は、任意選択で、環状に連結されており、
各Rは、独立して、Hまたは1つ以上の置換基であり、2つの便利なR基は、任意選択
で、環状に連結され、
RおよびR13のうちの1つは、ポリマー主鎖の非共役反復単位に連結される、付記6
または7に記載の集光マルチクロモフォア。
付記9.ペンダントドナークロモフォア基は、BODIPY基である、付記1~6のい
ずれか一つに記載の集光マルチクロモフォア。
【0450】
付記10.BODIPY基は、以下の式によって記載され、
【0451】
【化79】
【0452】
式中、
~Rは各々独立して、H、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキ
シ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アルケニル、置換
アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、水溶化基(WSG)および-L-Zから
選択され、あるいは
任意選択で、RおよびR、RおよびR、RおよびR、RおよびR
およびRならびにRおよびRから選択される任意の1つ以上の置換基対は、一
緒に二価ラジカルを形成し、環状に連結され、それらが結合する炭素原子と一緒に、5員
または6員の縮合複素環、炭素環、アリールまたはヘテロアリール環(例えば、炭素原子
ならびにO、SおよびNから選択される0~3個のヘテロ原子を含む5員または6員環)
を提供し、この環は、非置換であってもよく、または、独立してアルキル、置換アルキル
、アルコキシ、置換アルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロ
アリール、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、水溶化基(WS
G)および-L-Zから選択される置換基でさらに置換されてもよく、
は、リンカーであり、
は、ポリマー主鎖の非共役反復単位であり、
およびYは、独立して、F、OH、H、シアノ、アルキル、置換アルキル、アリ
ール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アルコキシ、置換アルコキ
シ、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、およびWSGから選択
され、
、Y、およびR~Rのうちの1つは、ポリマー主鎖の非共役反復単位に連結
される、付記9に記載の集光マルチクロモフォア。
【0453】
付記11.Rは、ポリマー主鎖の非共役反復単位に連結された、任意選択で置換され
たアリールまたはヘテロアリールである、付記10に記載の集光マルチクロモフォア。
付記12.YおよびYは各々、水溶化基(WSG)を含む、付記10または11に
記載の集光マルチクロモフォア。
付記13.ペンダントドナークロモフォア基は、以下の構造によって記載され、
【0454】
【化80】
【0455】
式中、
*は、ポリマー主鎖の非共役反復単位への連結点であり、
およびYは各々、WSGで置換されたアルキニルである、付記10~12のいず
れか一つに記載の集光マルチクロモフォア。
付記14.ペンダントドナークロモフォア基は、以下の構造によって記載され、
【0456】
【化81】
【0457】
式中、
11は、L-Z(ポリマー主鎖の連結された非共役反復単位)であり、
各Rは、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、ニトロ、アルキル、置換アルキル、アル
コキシ、置換アルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、および置換ヘテロ
アリールから選択される任意選択の置換基であり、tは0~4である、付記13に記載の
集光マルチクロモフォア。
付記15.ペンダントドナークロモフォア基は、独立して以下の式から選択される1つ
以上の水溶化基(WSG)で置換され、
【0458】
【化82】
【0459】
式中、
は、任意選択のリンカーであり、
各Tは、リンカーであり、
11およびRは、独立して、H、アルキル、または置換アルキルであり、
各sは、1~50の整数である、付記1~14のいずれか一つに記載の集光マルチクロ
モフォア。
【0460】
付記16.以下の式のセグメントを含み、
【0461】
【化83】
【0462】
式中、
各MおよびMは、独立して、アリールまたはヘテロアリールコモノマーであり、
各SおよびSは、独立して、非共役スペーサ単位であり、
各Dは、独立して、Mに連結されたペンダントドナークロモフォアであり、
各Zは、独立して、Mに連結された化学選択的タグであり、
xは、75mol%以上であり、
yは、25mol%以下である、付記1~15のいずれか一つに記載の集光マルチクロ
モフォア。
付記17.ポリマー主鎖のM-SおよびM-S反復単位は、ランダム構成を有
する、付記16に記載の集光マルチクロモフォア。
付記18.各MおよびMは、独立して、フルオレン、カルバゾール、シロール、ビ
フェニレン、およびフェニレンから選択される1つ以上の基を含み、
各SおよびSは、独立して、二価ポリエチレングリコール(PEG)および二価修
飾ペグ基から選択される飽和スペーサ単位である、付記16または17に記載の集光マル
チクロモフォア。
付記19.以下の式のセグメントを含み、
【0463】
【化84】
【0464】
式中、
非共役反復単位のポリマー主鎖が、各々独立して飽和非共役コモノマーであるSM
よびSMコモノマーを含み、
各Dは、独立して、SMに連結されたペンダントドナークロモフォアであり、
各Zは、独立して、SMに連結された化学選択的タグであり、
xは、75mol%以上であり、
yは、25mol%以下である、付記1~15のいずれか一つに記載の集光マルチクロ
モフォア。
付記20.ポリマー主鎖のSMおよびSM反復単位は、ランダム構成を有する、付
記19に記載の集光マルチクロモフォア。
【0465】
付記21.SMおよびSMは、アクリレート、メタクリレート、アクリルアミド、
ポリスチレン、ROMPモノマー、ADMETモノマー、または環状炭酸塩に由来するコ
モノマーである、付記19または20に記載の集光マルチクロモフォア。
付記22.SMおよびSMは、以下の式から選択され、
【0466】
【化85】
【0467】
式中、
21は、-L-Dまたは-L-Zであり、
は、Mに連結されたペンダントドナークロモフォアであり、
は、Mに連結された化学選択的タグであり、
およびLは、任意選択のリンカーであり、
Xは、OまたはNR’’であり、
22は、Hまたは低級アルキルであり、
R’’は、Hまたは低級アルキル、置換低級アルキル、およびWSGであり、
*は、ポリマー主鎖への接続である、付記21に記載の集光マルチクロモフォア。
【0468】
付記23.マルチクロモフォアは、式(XXI)のものであり、
【0469】
【化86】
【0470】
式中、
非共役反復単位のポリマー主鎖は、クリックケミストリまたは化学選択的基共役反応の
生成物である基Tを介して各々連結されるSM、SM、およびSMコモノマーを含
み、
SMは、任意選択で、連結されたWSGを含み、
各Dは、独立して、SMに連結されたペンダント光吸収クロモフォアであり、
各Zは、独立して、SMに連結された化学選択的タグであり、
xは、50mol%以上であり、
y+zは、50mol%以下であり、*は、マルチクロモフォアまたは末端基のポリマ
ー主鎖への接続である、付記19に記載の集光マルチクロモフォア。
付記24.SM、SM、およびSMは、以下の構造を含み、
【0471】
【化87】
【0472】
式中、
各Xは、独立して、OまたはNR31であり、R31は、H、アルキル、置換アルキル
、アルカノイル、または置換アルカノイルであり、
各rおよびsは、独立して、1~6(例えば、1、2、または3)であり、
各dおよびeは、独立して、1~12(例えば、1、2、3、4、5、または6などの
1~6)であり、
tは、0または1であり、
は、ペンダントドナークロモフォアであり、
は、(例えば、本明細書に記載の)化学選択的タグであり、
WSGは、(例えば、本明細書に記載の)水溶化基であり、
各L、L、およびLは、独立して、リンカーであり、
*は、以下の構造のうちの1つを有する1,4置換1,2,3-トリアゾール(T)へ
の接続であり、
【0473】
【化88】
【0474】
または、(例えば、本明細書に記載の)末端基GもしくはGである、付記23に記
載の集光マルチクロモフォア。
付記25.ポリマー主鎖の反復単位は、定義された線形配列を有する、付記19に記載
の集光マルチクロモフォア。
【0475】
付記26.SMおよびSMは、アミノ酸、ペプトイドモノマー、保護カーボネート
モノマー、または環状カーボネートモノマーに由来するコモノマーである、付記25に記
載の集光マルチクロモフォア。
付記27.ポリマー主鎖は、α-アミノ酸残基および/またはβ-アミノ酸残基の定義
された配列を有するポリペプチドである、付記19、25、および26のいずれか一つに
記載の集光マルチクロモフォア。
付記28.マルチクロモフォアは、以下の式のものであり、
【0476】
【化89】
【0477】
式中、
各Dは、独立して、ペンダントドナークロモフォア基であり、
各Zは、独立して、化学選択的タグであり、
各LおよびLは、独立して、リンカーであり、
およびqは、独立して、0または1であり、p+q≦1であり、
およびqは、独立して、0または1であり、p+q≦1であり、
xは、75mol%以上であり、
yは、25mol%以下であり、
およびGは各々、独立して、末端基、ポリマーセグメント、ドナークロモフォア
基、アクセプタフルオロフォア基、リンカー、および連結された特異的結合メンバーから
選択される、付記19、および25~27のいずれか一つに記載の集光マルチクロモフォ
ア。
付記29.pおよびpは各々、0であり、qおよびqは各々、1である、付記
28に記載の集光マルチクロモフォア。
付記30.pおよびpは各々、1であり、qおよびqは各々、0である、付記
28に記載の集光マルチクロモフォア。
【0478】
付記31.p、p、q、およびqは各々、0であり、マルチクロモフォアは、
以下の式のものであり、
【0479】
【化90】
【0480】
式中、
各Dは、独立して、ペンダントドナークロモフォア基であり、
各Zは、独立して、化学選択的タグであり、
およびLは各々、独立して、リンカーであり、
xは、75mol%以上であり、
yは、25mol%以下であり、
およびGは各々、独立して、末端基、ポリマーセグメント、ドナークロモフォア
基、アクセプタフルオロフォア基、リンカー、および連結された特異的結合メンバーから
選択される、付記28に記載の集光マルチクロモフォア。
付記32.以下の式のセグメントを含み、
【0481】
【化91】
【0482】
式中、
各Dは、独立して、ペンダントドナークロモフォア基であり、
各Zは、独立して、化学選択的タグであり、
各LおよびLは、独立して、リンカーであり、
nおよびpは各々、独立して、1~20の整数であり、式中、n+p≧2であり、
mは、1または2である、付記27、28、および31のいずれか一つに記載の集光マ
ルチクロモフォア。
付記33.集光マルチクロモフォアは、コポリマーのqのセグメントを含み、以下の式
のものであり、
【0483】
【化92】
【0484】
式中、
各(n)および各(p)は、独立して、1~20の整数であり、式中、qのセグメ
ントの各々について、(n)+(p)≧3であり、
qは、1~100の整数である、付記32に記載の集光マルチクロモフォア。
付記34.ポリマー主鎖は、以下から選択される1つ以上のアミノ酸配列を含み、
XYXX
XXYXX
XXXYXXX
XXXYXXXX
XXXXYXXX
XXXXYXXXX
XXXXXYXXXXX
XXXXXXYXXXXXX
XXXXXXXYXXXXXXX
XXXXXXXXYXXXXXXXX
XXXXXXXXXYXXXXXXXXX
Y(X)
XY(X)YX
XXY(X)YXX
XXXY(X)YXXX
XXXXY(X)YXXXX
XXXXXY(X)YXXXXX
式中、
各Xは、ペンダントドナークロモフォア基に共有結合的にN-連結されたリジンまたは
オルニチン残基であり、
各Yは、システイン残基または保護システイン残基である、付記19、25~28、お
よび31~33のいずれか一つに記載の集光マルチクロモフォア。
【0485】
付記35.集光マルチクロモフォアは、以下の式を有し、
【0486】
【化93】
【0487】
式中、
各Dは、独立して、ペンダントドナークロモフォア基であり、
各Zは、独立して、化学選択的タグであり、
各LおよびLは、独立して、リンカーであり、
xは、75mol%以上であり、
yは、25mol%以下であり、
およびGは各々、独立して、末端基、ポリマーセグメント、ドナークロモフォア
基、アクセプタフルオロフォア、リンカー、および連結された特異的結合メンバーから選
択される、付記19、25、および26のいずれか一つに記載の集光マルチクロモフォア
【0488】
付記36.集光マルチクロモフォアは、以下の式を有し、
【0489】
【化94】
【0490】
式中、
各Dは、独立して、ペンダントドナークロモフォアであり、
各Zは、独立して、化学選択的タグであり、
各LおよびLは、独立して、リンカーであり、
xは、75mol%以上であり、
yは、25mol%以下であり、
およびGは各々、独立して、末端基、ポリマーセグメント、ドナークロモフォア
基、アクセプタフルオロフォア、リンカー、および連結された特異的結合メンバーからな
る群から選択される、付記19~21、および26のいずれか一つに記載の集光マルチク
ロモフォア。
付記37.ペンダントドナークロモフォア基は、BODIPY基である、付記16~3
6のいずれか一つに記載の集光マルチクロモフォア。
付記38.ポリマータンデム色素であって、
集光マルチクロモフォアであって、
非共役反復単位を含むポリマー主鎖、および
ポリマー主鎖の非共役反復単位に各々独立して連結された複数のペンダントドナーク
ロモフォア基を含む、集光マルチクロモフォアと、
ポリマー主鎖の非共役反復単位に連結され、集光マルチクロモフォアの少なくとも1つ
のペンダントドナークロモフォア基に対してエネルギーを受容する近傍に構成されたアク
セプタフルオロフォアと
を含む、ポリマータンデム色素。
付記39.ペンダントドナークロモフォア基は各々、水溶性基で置換される、付記38
に記載のポリマータンデム色素。
付記40.ポリマー主鎖は、線形ポリマーである、付記38に記載のポリマータンデム
色素。
【0491】
付記41.ペンダントドナークロモフォア基は、互いにエネルギーを伝達する近傍に構
成されている、付記38に記載のポリマータンデム色素。
付記42.ストークスシフトが100nm以上である、付記36に記載のポリマータン
デム色素。
付記43.ペンダントドナークロモフォア基は、縮合三環式アリール基、縮合三環式ヘ
テロアリール基、およびBODIPY基から選択される、付記36~40のいずれか一つ
に記載のポリマータンデム色素。
付記44.ペンダントドナークロモフォア基は、任意に置換されたフルオレン、カルバ
ゾール、およびシロール基から選択される、付記43に記載のポリマータンデム色素。
付記45.ペンダントドナークロモフォア基は、以下の式のうちの1つを有する縮合三
環式アリール基またはヘテロアリール基であり、
【0492】
【化95】
【0493】
式中、
*は、ポリマー主鎖の非共役反復単位への連結点であり、
Yは、C(R13、-C(R13C(R13-、-C(R13Si(
13-、NR13、Si(R13またはSeであり、
各Zは、独立して、CH、CR、またはNであり、
各R13は、独立して、H、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテ
ロアリール、置換ヘテロアリール、アシル、置換アシル、アルコキシ、置換アルコキシ、
アミド、置換アミド、アラルキル、置換アラルキル、ペグ部分、WSG、および-L11
-Zから選択され、L11は、リンカーであり、Zは、非共役反復単位であるか、ま
たは、任意の2つの便利なR基は、任意選択で、環状に連結されており、
各Rは、独立して、Hまたは1つ以上の置換基であり、2つの便利なR基は、任意選択
で、環状に連結され、
RおよびR13のうちの1つは、ポリマー主鎖の非共役反復単位に連結される、付記4
3または44に記載のポリマータンデム色素。
【0494】
付記46.ペンダントドナークロモフォア基は、BODIPY基である、付記43に記
載のポリマータンデム色素。
付記47.BODIPY基は、以下の式によって記載され、
【0495】
【化96】
【0496】
式中、
~Rは各々独立して、H、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキ
シ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アルケニル、置換
アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、水溶化基(WSG)および-L-Zから
選択され、あるいは
任意選択で、RおよびR、RおよびR、RおよびR、RおよびR
およびRならびにRおよびRから選択される任意の1つ以上の置換基対が、一
緒に二価ラジカルを形成し、環状に連結され、それらが結合する炭素原子と一緒に、5員
または6員の縮合複素環、炭素環、アリールまたはヘテロアリール環(例えば、炭素原子
ならびにO、SおよびNから選択される0~3個のヘテロ原子を含む5員または6員環)
を提供し、この環は、非置換であってもよく、または、独立してアルキル、置換アルキル
、アルコキシ、置換アルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロ
アリール、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、水溶化基(WS
G)および-L-Zから選択される置換基でさらに置換されてもよく、
は、リンカーであり、
は、ポリマー主鎖の非共役反復単位であり、
およびYは独立して、F、OH、H、シアノ、アルキル、置換アルキル、アリー
ル、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アルコキシ、置換アルコキシ
、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、およびWSGから選択さ
れ、
、Y、およびR~Rのうちの1つは、ポリマー主鎖の非共役反復単位に連結
される、付記46に記載のポリマータンデム色素。
付記48.Rは、ポリマー主鎖の非共役反復単位に連結された、任意選択で置換され
たアリールまたはヘテロアリールである、付記47に記載のポリマータンデム色素。
付記49.YおよびYは各々、水溶化基(WSG)を含む、付記47または48に
記載のポリマータンデム色素。
付記50.ペンダントドナークロモフォア基は、以下の構造によって記載され、
【0497】
【化97】
【0498】
式中、
*は、ポリマー主鎖の非共役反復単位への連結点であり、
およびYは各々、WSGで置換されたアルキニルである、付記47~49のいず
れか一つに記載のポリマータンデム色素。
【0499】
付記51.ペンダントドナークロモフォア基は、以下の構造によって記載され、
【0500】
【化98】
【0501】
式中、
11は、L-Z(ポリマー主鎖の連結された非共役反復単位)であり、
各Rは、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、ニトロ、アルキル、置換アルキル、アル
コキシ、置換アルコキシ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、および置換ヘテロ
アリールから選択される任意選択の置換基であり、tは0~4である、付記50に記載の
ポリマータンデム色素。
付記52.ペンダントドナークロモフォア基は、独立して以下の式から選択される1つ
以上の水溶化基(WSG)で置換され、
【0502】
【化99】
【0503】
式中、
は、任意選択のリンカーであり、
各Tは、リンカーであり、
11およびRは、独立して、H、アルキル、または置換アルキルであり、
各sは、1~50の整数である、付記38~51のいずれか一つに記載のポリマータン
デム色素。
付記53.以下の式のセグメントを含み、
【0504】
【化100】
【0505】
式中、
各MおよびMは、独立して、アリールまたはヘテロアリールコモノマーであり、
各SおよびSは、独立して、非共役スペーサ単位であり、
各Dは、独立して、Mに連結されたペンダントドナークロモフォアであり、
各Aは、独立して、Mに連結されたアクセプタフルオロフォアであり、
xは、75mol%以上であり、
yは、25mol%以下である、付記38~52のいずれか一つに記載のポリマータン
デム色素。
付記54.ポリマー主鎖のM-SおよびM-S反復単位は、ランダム構成を有
する、付記53に記載のポリマータンデム色素。
付記55.各MおよびMは、独立して、フルオレン、カルバゾール、シロール、ビ
フェニレン、およびフェニレンから選択される1つ以上の基を含み、
各SおよびSは、独立して、二価ポリエチレングリコール(PEG)および二価修
飾ペグ基から選択される飽和スペーサ単位である、付記53または54に記載のポリマー
タンデム色素。
【0506】
付記56.以下の式のセグメントを含み、
【0507】
【化101】
【0508】
式中、
非共役反復単位のポリマー主鎖は、各々独立して非共役コモノマーであるSMおよび
SMコモノマーを含み、
各Dは、独立して、SMに連結されたペンダントドナークロモフォアであり、
各Aは、独立して、SMに連結されたアクセプタフルオロフォアであり、
xは、75mol%以上であり、
yは、25mol%以下である、付記38~52のいずれか一つに記載のポリマータン
デム色素。
付記57.ポリマー主鎖の反復単位は、ランダム構成を有する、付記56に記載のポリ
マータンデム色素。
付記58.SMおよびSMは、アクリレート、メタクリレート、アクリルアミド、
ポリスチレン、ROMPモノマー、ADMETモノマー、または環状炭酸塩に由来するコ
モノマーである、付記56または57に記載のポリマータンデム色素。
付記59.SMおよびSMは、以下の式から選択され、
【0509】
【化102】
【0510】
式中、
21は、-L-Dまたは-L-Zであり、
は、Mに連結されたペンダントドナークロモフォアであり、
は、Mに連結された化学選択的タグであり、
およびLは、任意選択のリンカーであり、
Xは、OまたはNR’’であり、
R’は、Hまたは低級アルキルであり、
R’’は、Hまたは低級アルキル、置換低級アルキル、およびWSGであり、
*は、ポリマー主鎖への接続である、付記58に記載のポリマータンデム色素。
付記60.マルチクロモフォアは、式(XXI)のものであり、
【0511】
【化103】
【0512】
式中、
非共役反復単位のポリマー主鎖は、クリックケミストリまたは化学選択的基共役反応の
生成物である基Tを介して各々連結されるSM、SM、およびSMコモノマーを含
み、
SMは、任意選択で、連結されたWSGを含み、
各Dは、独立して、SMに連結されたペンダント光吸収クロモフォアであり、
各Aは、独立して、SMに連結されたアクセプタフルオロフォアであり、
xは、50mol%以上であり、
y+zは、50mol%以下であり、*は、マルチクロモフォアまたは末端基のポリマ
ー主鎖への接続である、付記56に記載のポリマータンデム色素。
【0513】
付記61.SM、SM、およびSMは、以下の構造を含み、
【0514】
【化104】
【0515】
式中、
各Xは、独立して、OまたはNR31であり、R31は、H、アルキル、置換アルキル
、アルカノイル、または置換アルカノイルであり、
各rおよびsは、独立して、1~6(例えば、1、2、または3)であり、
各dおよびeは、独立して、1~12(例えば、1、2、3、4、5、または6などの
1~6)であり、
tは、0または1であり、
各L、L、およびLは、独立して、リンカーであり、
*は、以下の構造のうちの1つを有する1,4置換1,2,3-トリアゾール(T)へ
の接続である、付記60に記載のポリマータンデム色素。
【0516】
【化105】
【0517】
付記62.ポリマー主鎖の反復単位は、定義された線形配列を有する、付記56に記載
のポリマータンデム色素。
付記63.SMおよびSMは、アミノ酸、ペプトイドモノマー、保護カーボネート
モノマー、または環状カーボネートモノマーに由来するコモノマーである、付記62に記
載のポリマータンデム色素。
付記64.ポリマー主鎖は、α-アミノ酸残基および/またはβ-アミノ酸残基の定義
された配列を有するポリペプチドである、付記56、62、および63のいずれか一つに
記載のポリマータンデム色素。
付記65.マルチクロモフォアは、以下の式のものであり、
【0518】
【化106】
【0519】
式中、
各Dは、独立して、ペンダントドナークロモフォア基であり、
各Aは、独立して、アクセプタフルオロフォアであり、
各LおよびLは、独立して、リンカーであり、
およびqは、独立して、0または1であり、p+q≦1であり、
およびqは、独立して、0または1であり、p+q≦1であり、
xは、75mol%以上であり、
yは、25mol%以下であり、
およびGは各々、独立して、末端基、ポリマーセグメント、ドナークロモフォア
基、アクセプタフルオロフォア、リンカー、および連結された特異的結合メンバーから選
択される、付記56、および62~64のいずれか一つに記載のポリマータンデム色素。
【0520】
付記66.pおよびpは各々、0であり、qおよびqは各々、1である、付記
65に記載のポリマータンデム色素。
付記67.pおよびpは各々、1であり、qおよびqは各々、0である、付記
65に記載のポリマータンデム色素。
付記68.p、p、q、およびqは各々、0であり、マルチクロモフォアは、
以下の式のものであり、
【0521】
【化107】
【0522】
式中、
各Dは、独立して、ペンダントドナークロモフォア基であり、
各Aは、独立して、アクセプタフルオロフォアであり、
およびLは各々、独立して、リンカーであり、
xは、75mol%以上であり、
yは、25mol%以下であり、
およびGは各々、独立して、末端基、ポリマーセグメント、ドナークロモフォア
基、アクセプタフルオロフォア、リンカー、および連結された特異的結合メンバーから選
択される、付記65に記載のポリマータンデム色素。
付記69.以下の式のセグメントを含み、
【0523】
【化108】
【0524】
式中、
各Dは、独立して、ペンダントドナークロモフォア基であり、
各Aは、独立して、アクセプタフルオロフォアであり、
各LおよびLは、独立して、リンカーであり、
nおよびpは各々、独立して、1~20の整数であり、式中、n+p≧2であり、
mは、1または2である、付記64、65、および66のいずれか一つに記載のポリマ
ータンデム色素。
付記70.マルチクロモフォアは、コポリマーのqのセグメントを含み、以下の式のも
のであり、
【0525】
【化109】
【0526】
式中、
各(n)および各(p)は、独立して、1~20の整数であり、式中、qのセグメ
ントの各々について、(n)+(p)≧3であり、
qは、1~100の整数である、付記69に記載のポリマータンデム色素。
【0527】
付記71.ポリマー主鎖は、以下から選択されるアミノ酸配列を含み、
XYXX
XXYXX
XXXYXXX
XXXYXXXX
XXXXYXXX
XXXXYXXXX
XXXXXYXXXXX
XXXXXXYXXXXXX
XXXXXXXYXXXXXXX
XXXXXXXXYXXXXXXXX
XXXXXXXXXYXXXXXXXXX
Y(X)
XY(X)YX
XXY(X)YXX
XXXY(X)YXXX
XXXXY(X)YXXXX
XXXXXY(X)YXXXXX
式中、
各Xは、ペンダントドナークロモフォア基に共有結合的にN-連結されたリジンまたは
オルニチン残基であり、
各Yは、ペンダントアクセプタフルオロフォア基に共有結合したシステイン残基である
、付記56、62~65、および68~70のいずれか一つに記載のポリマータンデム色
素。
付記72.マルチクロモフォアは、以下の式を有し、
【0528】
【化110】
【0529】
式中、
各Dは、独立して、ペンダントドナークロモフォア基であり、
各Aは、独立して、アクセプクロモフォアであり、
各LおよびLは、独立して、リンカーであり、
xは、75mol%以上であり、
yは、25mol%以下であり、
およびGは各々、独立して、末端基、ポリマーセグメント、ドナークロモフォア
基、アクセプタフルオロフォア、リンカー、および連結された特異的結合メンバーから選
択される、付記56、62、および63のいずれか一つに記載のポリマータンデム色素。
付記73.マルチクロモフォアは、以下の式を有し、
【0530】
【化111】
【0531】
式中、
各Dは、独立して、ペンダントドナークロモフォアであり、
各Aは、独立して、アクセプタフルオロフォアであり、
各LおよびLは、独立して、リンカーであり、
xは、75mol%以上であり、
yは、25mol%以下であり、
およびGは各々、独立して、末端基、ポリマーセグメント、ドナークロモフォア
基、アクセプタフルオロフォア、リンカー、および連結された特異的結合メンバーからな
る群から選択される、付記56~58、および63のいずれか一つに記載のポリマータン
デム色素。
付記74.ペンダントドナークロモフォア基は、BODIPY基である、付記53~7
3のいずれか一つに記載のポリマータンデム色素。
付記75.アクセプタフルオロフォア(例えば、各A)は、小分子フルオロフォアで
ある、付記38~74のいずれか一つに記載のポリマータンデム色素。
【0532】
付記76.アクセプタフルオロフォア(例えば、各A)は、シアニン色素、ローダミ
ン色素、キサンテン色素、クマリン色素、ポリメチン、ピレン、ジピロメテンホウ素二フ
ッ化物、ナプタリミド、チアジン色素、およびアクリジン色素から選択される、付記38
~75のいずれか一つに記載のポリマータンデム色素。
付記77.標識された特異的結合メンバーであって、
非共役反復単位を含むポリマー主鎖、および、ポリマー主鎖の非共役反復単位に各々
独立して連結された複数のペンダントドナークロモフォア基を含む、集光マルチクロモフ
ォア、ならびに
ポリマー主鎖の非共役反復単位に連結され、集光マルチクロモフォアの少なくとも1
つのペンダントドナークロモフォア基に対してエネルギーを受容する近傍に構成されたア
クセプタフルオロフォア、を含む、ポリマータンデム色素と、
ポリマータンデム色素に連結された特異的結合メンバーと
を含む、標識された特異的結合メンバー。
付記78.特異的結合メンバーは、抗体である、付記77に記載の標識された特異的結
合メンバー。
付記79.特異的結合メンバーは、抗体断片、またはその結合誘導体である、付記77
に記載の標識された特異的結合メンバー。
付記80.抗体断片またはその結合誘導体は、Fab断片、F(ab’)断片、sc
Fv、ダイアボディ、およびトリアボディからなる群から選択される、付記79に記載の
標識された特異的結合メンバー。
【0533】
付記81.アクセプタフルオロフォアは、シアニン色素、ローダミン色素、キサンテン
色素、クマリン色素、ポリメチン、ピレン、ジピロメテンホウ素二フッ化物、ナプタリミ
ド、チアジン色素、およびアクリジン色素から選択される、付記77~80のいずれか一
つに記載の標識された特異的結合メンバー。
付記82.ポリマータンデム色素は、付記39~76のいずれか一つに記載のポリマー
タンデム色素である、付記77~81のいずれか一つに記載の標識された特異的結合メン
バー。
付記83.以下の式を有し、
【0534】
【化112】
【0535】
式中、
各Dは、独立して、ペンダントドナークロモフォア基であり、
各Aは、独立して、アクセプタフルオロフォアであり、
各LおよびLは、独立して、リンカーであり、
およびqは、独立して、0または1であり、p+q≦1であり、
およびqは、独立して、0または1であり、p+q≦1であり、
xは、75mol%以上であり、
yは、25mol%以下であり、
は、末端基、ポリマーセグメント、ドナークロモフォア基、アクセプタフルオロフ
ォア、またはリンカーであり、
は、連結された特異的結合メンバーである、付記77~81のいずれか一つに記載
の標識された特異的結合メンバー。
付記84.p、p、q、およびqは各々、0であり、マルチクロモフォアは、
以下の式のものであり、
【0536】
【化113】
【0537】
式中、
各Dは、独立して、ペンダントドナークロモフォア基であり、
各Aは、独立して、アクセプタフルオロフォアであり、
およびLは各々、独立して、リンカーであり、
xは、75mol%以上であり、yは、25mol%以下であり、
は、末端基、ポリマーセグメント、ドナークロモフォア基、アクセプタフルオロフ
ォア、またはリンカーであり、
は、連結された特異的結合メンバーである、付記83に記載の標識された特異的結
合メンバー。
付記85.標的分析物の存在について試料を評価する方法であって、
(a)標的分析物を特異的に結合する標識された特異的結合メンバーと試料を接触させ
て、標識組成物接触試料を生成することであって、標識された特異的結合メンバーは、
(i)付記38~76のいずれか一つに記載のポリマータンデム色素、および
(ii)ポリマータンデム色素に連結された特異的結合メンバーとと、を含む、生成
することと、
(b)標識された特異的結合メンバー-標的分析物結合複合体の存在について、標識組
成物が接触した試料をアッセイして、標的分析物が試料内に存在するかどうかを評価する
ことと
を含む、方法。
【0538】
付記86.ポリマータンデム色素のアクセプタフルオロフォアは、シアニン色素、ロー
ダミン色素、キサンテン色素、クマリン色素、ポリメチン、ピレン、ジピロメテンホウ素
二フッ化物、ナプタリミド、チアジン色素、およびアクリジン色素から選択される、付記
85に記載の方法。
付記87.試料を、支持体結合し、標的分析物を特異的に結合する第2の特異的結合メ
ンバーに接触させることをさらに含む、付記85または86に記載の方法。
付記88.支持体は、磁性粒子を含む、付記87に記載の方法。
付記89.標的分析物は、細胞と関連付けられる、付記85~88のいずれか一つに記
載の方法。
付記90.標的分析物は、細胞の細胞表面マーカーである、付記89に記載の方法。
【0539】
付記91.細胞表面マーカーは、細胞受容体および細胞表面抗原からなる群から選択さ
れる、付記90に記載の方法。
付記92.標的分析物は、細胞内標的であり、方法は、細胞を溶解することをさらに含
む、付記89に記載の方法。
付記93.方法は、蛍光標識標的分析物をフローサイトメトリ分析することをさらに含
む、付記85~92のいずれか一つに記載の方法。
付記94.標的分子を標識する方法であって、
標的分子をポリマータンデム色素と接触させて、標識された標的分子を生成することを
含み、
ポリマータンデム色素は、付記38~76のいずれか一つに記載のポリマータンデム色
素であり、標的分子に共有結合する共役タグを含む、方法。
付記95.ポリマータンデム色素は、以下の式を有し、
【0540】
【化114】
【0541】
式中、
各Dは、独立して、ペンダントドナークロモフォア基であり、
各Aは、独立して、アクセプタフルオロフォアであり、
各LおよびLは、独立して、リンカーであり、
およびqは、独立して、0または1であり、p+q≦1であり、
およびqは、独立して、0または1であり、p+q≦1であり、
xは、75mol%以上であり、
yは、25mol%以下であり、
は、末端基、ポリマーセグメント、ドナークロモフォア基、アクセプタフルオロフ
ォア、またはリンカーであり、
は、共役タグを含むリンカーである、付記94に記載の方法。
【0542】
付記96.集光マルチクロモフォアを調製する方法であって、
a)第2のアミノ酸残基の単一の出現によって分離された第1のアミノ酸残基のブロッ
クからなる定義されたアミノ酸配列を有する保護されたポリペプチドを合成することであ
って、
第1のアミノ酸残基の各ブロックは、少なくとも2つの残基を含み、
第1のアミノ酸残基は各々、保護された第1の化学選択的側鎖基を含み、
第2のアミノ酸残基は各々、保護された第2の化学選択的側鎖基を含む、合成すること
と、
b)保護されたポリペプチドを脱保護して、脱保護されたポリペプチドを生成すること
であって、第1および第2の化学選択的側鎖基が脱保護される、脱保護することと、
c)反応性ドナークロモフォア部分を、第1のアミノ酸残基の脱保護された第1の化学
選択的側鎖基に結合して、ペンダントドナークロモフォア基を生成することと
を含む、方法。
付記97.ステップc)と連続して、反応性アクセプタフルオロフォア部分を、第2の
アミノ酸残基の脱保護された第2の化学選択的側鎖基にカップリングして、ペンダントア
クセプタフルオロフォアを生成することをさらに含む、付記96に記載の方法。
付記98.ステップa)の後、保護されたポリペプチドのN末端を脱保護すること、お
よびG1基をN末端脱保護ポリペプチドのN末端に結合することをさらに含み、G1は、
末端基(例えば、キャッピング基)、ドナークロモフォア基、またはリンカーである、付
記96に記載の方法。
付記99.ステップc)の後、ポリペプチドのC末端に特異的結合メンバーを結合する
ことをさらに含む、付記96~98のいずれか一つに記載の方法。
付記100.集光マルチクロモフォアは、以下の式のものであり、
【0543】
【化115】
【0544】
式中、
は、ペンダントドナークロモフォア基であり、
は、第2の化学選択的側鎖基であり、
各LおよびLは、独立して、リンカーであり、
およびqは、独立して、0または1であり、p+q≦1であり、
およびqは、独立して、0または1であり、p+q≦1であり、
xは、75mol%以上であり、
yは、25mol%以下であり、
およびGは各々、独立して、末端基、ポリマーセグメント、ドナークロモフォア
基、アクセプタフルオロフォア、リンカー、および連結された特異的結合メンバーから選
択される、付記96~99のいずれか一つに記載の方法。
【0545】
付記101.集光マルチクロモフォアは、以下の式のものであり、
【0546】
【化116】
【0547】
式中、
各(n)および各(p)は、独立して、1~20の整数であり、式中、qのセグメ
ントの各々について、(n)+(p)≧3であり、
qは、1~100の整数である、付記96~100のいずれか一つに記載の方法。
付記102.第1のアミノ酸残基は、独立して、リジンおよびオルニチンから選択され

第2のアミノ酸残基は各々、システインである、付記96~101のいずれか一つに記
載の方法。
付記103.定義されたアミノ酸配列は、以下から選択されるアミノ酸配列を含み、
XYXX
XXYXX
XXXYXXX
XXXYXXXX
XXXXYXXX
XXXXYXXXX
XXXXXYXXXXX
XXXXXXYXXXXXX
XXXXXXXYXXXXXXX
XXXXXXXXYXXXXXXXX
XXXXXXXXXYXXXXXXXXX
Y(X)
XY(X)YX
XXY(X)YXX
XXXY(X)YXXX
XXXXY(X)YXXXX
XXXXXY(X)YXXXXX
式中、
各Xは、ペンダントドナークロモフォア基に共有結合的にN-連結されたリジンまたは
オルニチン残基であり、
各Yは、システイン残基または保護システイン残基である、付記96~102のいずれ
か一つに記載の方法。
【0548】
上記の発明は、明確な理解のために例示および例としてある程度詳細に説明されている
が、添付の特許請求の範囲の趣旨または範囲から逸脱することなく、本発明の教示に照ら
して、ある特定の変更および修正が行われてもよいことは、当業者には容易に明らかであ
る。
【0549】
したがって、前述した内容は、本発明の原理を例示するにすぎない。当業者であれば、
本明細書に明示的に記載または示されていないが、本発明の原理を具現化し、その趣旨お
よび範囲内に含まれる様々な配置を考案することができることが理解されよう。さらに、
本明細書に列挙されるすべての例および条件付き言語は、主に、読者が本発明の原理およ
び当該技術をさらに進めるために発明者が寄与する概念を理解するのを助けることを意図
しており、そのような具体的に列挙される例および条件に限定されないと解釈されるべき
である。さらに、本発明の原理、態様、および実施形態を列挙する本明細書におけるすべ
ての記述、ならびにその具体例は、その構造的および機能的等価物の両方を包含すること
が意図される。加えて、そのような等価物は、構造に関係なく、現在知られている等価物
と将来開発される等価物の両方、すなわち、同じ機能を実行するように開発された任意の
要素を含むことが意図される。さらに、本明細書に開示されるものは、そのような開示が
特許請求の範囲において明示的に列挙されるか否かにかかわらず、公衆専用であることが
意図されるものではない。
【0550】
したがって、本発明の範囲は、本明細書に示され、記載される例示的な実施形態に限定
されることを意図しない。むしろ、本発明の範囲および趣旨は、添付の特許請求の範囲に
よって具現化される。特許請求の範囲において、35U.S.C.§112(f)または
35U.S.C.§112(6)は、特許請求の範囲におけるそのような制限の開始時に
正確な語句「のための手段」または正確な語句「のためのステップ」が列挙されるときに
のみ、特許請求の範囲における制限のために呼び出されるものとして明示的に定義され、
そのような正確な語句が特許請求の範囲における制限で使用されない場合、35U.S.
C.§112(f)または35U.S.C.§112(6)は呼び出されない。
【0551】
関連出願の相互参照
35U.S.C.§119(e)に従って、本出願は、2018年3月30日に出願さ
れた米国仮特許出願第62/650,935号、および2018年8月7日に出願された
米国仮特許出願第62/715,722号の出願日に対する優先権を主張し、それらの出
願の開示が参照により本明細書に組み込まれる。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9A
図9B