(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024023233
(43)【公開日】2024-02-21
(54)【発明の名称】放射性医薬品を合成する方法
(51)【国際特許分類】
G21G 4/08 20060101AFI20240214BHJP
G01T 1/161 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
G21G4/08
G01T1/161 Z
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023189090
(22)【出願日】2023-11-06
(62)【分割の表示】P 2020552236の分割
【原出願日】2019-03-29
(31)【優先権主張番号】1805283.7
(32)【優先日】2018-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(71)【出願人】
【識別番号】305040710
【氏名又は名称】ジーイー・ヘルスケア・リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100093676
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100136744
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 佳正
(72)【発明者】
【氏名】ジャクソン,アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】シェールズ,ジョナサン,ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ゴールデン,デイヴィッド アルコ
(72)【発明者】
【氏名】グリッグ,ジュリアン
(72)【発明者】
【氏名】ネメス,スジラード
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ラン中の自動ラジオシンセサイザを監視する方法を提供する。
【解決手段】ラジオシンセサイザに関連づけられた放射能検出器からの放射能データを記録するステップS10と、データ記憶装置からの履歴データにアクセスするステップS20と、記録された放射能データ中の収率低下の前兆を履歴データに基づいて検出するステップS30と、ラジオシンセサイザを用いてトレーサを合成したときの収率を、検出された収率低下の前兆に基づいて予測するステップS40と、予測された収率のレベルに関係した動作を開始するステップS50とを含む。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラン中の自動ラジオシンセサイザを使用して放射性医薬品を合成する方法であって、前
記ラジオシンセサイザが、前記ラジオシンセサイザに動作可能に関連づけられたいくつか
の別個の放射能検出器を有し、前記方法が、
- それぞれの放射能検出器からの放射能データを記録するステップ(S10)と、
- データ記憶装置からの履歴データにアクセスするステップ(S20)と、
- 記録された前記放射能データ中の収率低下の前兆を前記履歴データに基づいて検出
するステップ(S30)と、
- 前記ラジオシンセサイザを用いてトレーサを合成したときの収率を、検出された前
記収率低下の前兆に基づいて予測するステップ(S40)と、
- 予測された収率のレベルに関係した動作を開始するステップ(S50)と
を含む方法。
【請求項2】
前記予測された収率のレベルが所定のしきい値よりも低いときに、前記ラジオシンセサ
イザからの所望の出力を維持する(S52)ための動作を開始することをさらに含む、請
求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記自動ラジオシンセサイザが生成収率を有し、前記方法が、前記生成収率よりも少な
くとも10%低くなるように前記所定のしきい値を選択すること(S54)をさらに含む
、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記生成収率よりも少なくとも15%低くなるように前記所定のしきい値を選択するこ
と(S56)をさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記トレーサを合成するときに前記自動ラジオシンセサイザに材料が導入され、
前記動作が、より多くの材料を追加することを含む、請求項2~4のいずれか1項に記載
の方法。
【請求項6】
開始される前記動作が、ハードウェアの問題および/または定期保守に関係する、
請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
同じラジオシンセサイザ上での以前のランからのデータを含むように前記履歴データを
選択すること(S22)をさらに含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
別のラジオシンセサイザ上での以前のランからのデータをさらに含むように前記履歴デ
ータを選択すること(S24)をさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ラジオシンセサイザの外部に配置されたものであるように、好ましくはクラウドベ
ースの実施態様で前記ラジオシンセサイザの外部に配置されたものであるように、前記デ
ータ記憶装置を選択すること(S26)をさらに含む、請求項1~8のいずれか1項に記
載の方法。
【請求項10】
前記履歴データに基づいてモデルを作成すること(S28)、および前記収率低下の前
兆を、記録された前記放射能データを前記モデルと比較することによって検出することを
さらに含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記ラジオシンセサイザ内に局所データ記憶装置が配置されており、前記方法が、前記
局所データ記憶装置に前記モデルを記憶すること(S29)をさらに含む、請求項10に
記載の方法。
【請求項12】
収率低下の前兆を検出する前記ステップが、異常を検出すること(S32)を含む、請
求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記異常を検出する前記ステップが、
- 収率に対する早期の警告信号を与える挙動を識別するために、以前の多数のランか
らの履歴データを処理すること(S34)
をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
履歴データを処理する前記ステップが、前記以前の多数のランからのデータを特定の点
において正規化することをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
異常を検出する前記ステップが、選択された領域に数学的関数を当てはめること(S3
6)、および前記数学的関数をその挙動に基づいて評価することを含む、請求項12~1
4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記数学的関数が、
y=1-Ae-λt
であるように選択され、
yが前記収率、Aおよびλが定数、tが時間であり、前記評価がλの大きさに基づく、
請求項15に記載の方法。
【請求項17】
異常を検出する前記ステップが、前記選択された領域における収率の低下を測定するこ
と(S38)をさらに含む、請求項15~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
ラン中の自動ラジオシンセサイザを監視するためのコンピュータプログラムであって、
少なくとも1つのプロセッサ上で実行されたときに、前記少なくとも1つのプロセッサに
、請求項1~17のいずれか1項に記載の方法を実施させる命令を含むコンピュータプロ
グラム。
【請求項19】
請求項18に記載のラン中の自動ラジオシンセサイザを監視するためのコンピュータプ
ログラムを含むコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項20】
ラン中の自動ラジオシンセサイザを使用して医薬品を合成するためのコントローラであ
って、前記ラジオシンセサイザが、前記ラジオシンセサイザに動作可能に関連づけられた
いくつかの別個の放射能検出器を有し、前記コントローラが、
- それぞれの放射能検出器からの放射能データを記録し、
- 記録された前記放射能データ中の収率低下の前兆を、データ記憶装置からアクセス
可能な履歴データに基づいて検出し、
- 前記ラジオシンセサイザを用いてトレーサを合成したときの収率を、検出された前
記収率低下の前兆に基づいて予測し、
- 予測された収率のレベルに関係した動作を推奨する
ように構成されたコントローラ。
【請求項21】
外部に配置されたデータ記憶装置にアクセスするように構成された、請求項20に記載
のコントローラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、陽電子放射断層撮影(PET)および単一光子放射コンピュータ断層撮影(
SPECT)で使用される放射性医薬品(radiopharmaceutical)などの、合成中の放射
性医薬品の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
PETおよびSPECT画像化システムは、病気の検出に使用されることがますます増
えており、このような病気(例えば腫瘍学および神経病学の範囲の病気状態)の早期検出
および確定診断を提供するのに有用である。例えば、現在、PETおよびSPECT検査
の大きな割合が、癌の検出およびアルツハイマー病の早期検出に関係している。これらの
病気では、適時の有効な治療を可能にするために早期診断が求められる。
【0003】
PETおよびSPECT画像処理システムはそれぞれ、患者の組織内における陽電子放
射性同位体およびガンマ線放射性同位体の分布に基づいて画像を生み出す。これらの同位
体は通常、陽電子放射性同位体、例えば炭素11、窒素13、酸素15もしくはフッ素1
8、またはガンマ線放射性同位体、例えばテクネチウム99mを有するプローブ分子を含
む放射性医薬品の注入によって患者に投与される。放射性医薬品は、容易に代謝され、ま
たは体内で局在し、または体内のレセプタ部位に化学的に結合する。放射性医薬品が所望
の部位に局在(例えばレセプタ部位に化学的に結合)した後、PETまたはSPECT画
像が生成される。
【0004】
知られている放射性医薬品の例は、18F-FLT([18F]フルオロチミジン)、
18F-FDDNP(2(1-{6[(2-[18F]フルオロエチル)(メチル)アミ
ノ]2-ナフチル}エチリデン)マロニトリル)、18F-FHBG(9-[4-[18
F]フルオロ-3-(ヒドロキシメチル)ブチル]グアニンまたは[18F]-ペンシク
ロビル)、18F-FESP([18F]-フルオロエチルスピペロン)、18F-p-
MPPF(4(2-メトキシフェニル)-1-[2-(N-2-ピリジニル)-p-[1
8p]フルオロベンズアミド]エチルピペラジン)および18F-FDG([18F]-
2-デオキシ-2-フルオロ-D-グルコース)を含む。
【0005】
放射性医薬品中の放射性の同位体は、放射性崩壊を示す同位体、例えば陽電子を放射す
る同位体である。このような同位体は通常、放射性同位体または放射性核種と呼ばれる。
例示的な放射性同位体は、18F、124l、11C、13Nおよび15Oを含み、それ
らの半減期はそれぞれ110分、4.2日、20分、10分および2分である。放射性同
位体の半減期はこのように短いため、対応する放射性医薬品の合成および精製は迅速かつ
効率的でなければならない。放射性医薬品に対するいかなる品質管理(QC)評価も短期
間で実施されなければならない。好ましくは、これらのプロセス(すなわち合成、精製お
よびQC評価)は、放射性医薬品中の放射性同位体の半減期よりも十分に短い時間で完了
されるべきである。現在、QC評価(例えば化学的収率(chemical yield)および化学的
純度)は、それらが手作業で実施されることが主な原因で、比較的に長い時間がかかるこ
とがある。したがって、高品質の放射性医薬品を所望の量だけ生成するために放射性医薬
品の合成および精製が効率的に進んでいることを保証するために、放射性医薬品の合成お
よび精製プロセス中に得られたデータを収集、解析および解釈するためのシステム、構成
要素および方法が求められている。この解析から、放射性医薬品の合成および/または精
製の前、最中または後に変更を実施して、放射性医薬品の合成中に何らかの欠陥が生じた
ときにそれらを補正することができる。
【0006】
この解決策の欠点は、(低い収率を有する)「不良」バッチが生じたときに、それが、
絶対プラトー値(absolute plateau value)を使用して検出されることである。したがっ
て、ユーザは、プロセスラン中に収率の低下を防ぐための動作を開始することができない
。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本開示の目的は、上で識別した当技術分野の欠陥および欠点のうちの1つまたは複数を
単独でまたは任意の組合せで軽減、緩和または排除することを追求する方法およびコンピ
ュータプログラムを実行するように構成された方法および装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、ラン中の自動ラジオシンセサイザ(automated radiosynthesizer)を監視
する方法によって達成される。このラジオシンセサイザは、ラジオシンセサイザに動作可
能に関連づけられたいくつかの別個の放射能検出器を有し、この方法は、それぞれの放射
能検出器からの放射能データを記録するステップと、データ記憶装置からの履歴データに
アクセスするステップと、記録された放射能データ中の収率低下の前兆を履歴データに基
づいて検出するステップと、ラジオシンセサイザを用いてトレーサを合成したときの収率
を、検出された収率低下の前兆に基づいて予測するステップと、予測された収率のレベル
に関係した動作を開始するステップとを含む。
【0009】
利点は、予期しない収率低下が回避されるため、より高いレベルの収率を提供すること
ができることである。
【0010】
この目的はさらに、ラン中の自動ラジオシンセサイザを監視するための制御システムに
よって達成され、ラジオシンセサイザは、ラジオシンセサイザに動作可能に関連づけられ
たいくつかの別個の放射能検出器を有する。この制御システムは、それぞれの放射能検出
器からの放射能データを記録し、記録された放射能データ中の収率低下の前兆を、データ
記憶装置からアクセス可能な履歴データに基づいて検出し、ラジオシンセサイザを用いて
トレーサを合成したときの収率を、検出された収率低下の前兆に基づいて予測し、予測さ
れた収率のレベルに関係した動作を推奨するように構成されている。
【0011】
当業者は、以下の詳細な説明から、さらなる目的および利点を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の例示的な実施形態による、PETまたはSPECT画像化作用剤を生成および使用し、データ収集ファイルデータを抽出するための方法を示す図である。
【
図2】例示的な実施形態による、収率ステップを示すデータ収集ファイルデータのプロットである。
【
図3】例示的な実施形態による、放射性医薬品生成を監視するためのシステムの概略図である。
【
図4】例示的な実施形態による、センサアレイの概略図である。
【
図5】(
図5A及び
図5B)それぞれ、収率プロキシ(yield proxy)を、標識化(labelling)Δ%およびtC18における放射能損失の関数として示す図である。
【
図6-2】(
図6C)標識化反応中の前兆事象を示す図である。
【
図7】(
図7A及び
図7B)標識化後のtC18カートリッジ上でのFTAGのトラッピング(trapping)中の前兆事象を示す図である。
【
図8】プロセスラン中の収率プロット示す図である。
【
図9】第1のタイプの異常を強調した、
図8の収率プロットの部分を示す図である。
【
図10】バッチブラウザプロセスのフローチャートである。
【
図11】ラン中の自動ラジオシンセサイザを監視するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書に記載された本発明の実施形態は幅広い有用性および応用を有することを当業
者は容易に理解するであろう。したがって、本明細書では、例示的な実施形態に関して本
発明が詳細に説明されるが、本開示は、実施形態を図解および例示するものであり、例示
的な実施形態の権能付与的な開示を提供するためになされたものであることを理解すべき
である。本開示が本発明の実施形態を限定すると解釈されること、または、本開示が、そ
のようないかなる他の実施形態、適合、変形、修正および等価の構成を排除すると解釈さ
れることは、意図されていない。
【0014】
以下では、本発明の例示的な実施形態による異なる構成および特徴の説明が提供される
。それらの構成および特徴は、放射性医薬品および放射性同位体を含む他の化合物または
製剤の品質管理のためのシステムおよび方法を提供することに関係することがある。ある
名称およびタイプのアプリケーションまたはハードウェアが記載されるが、他の名称およ
びアプリケーションまたはハードウェアの使用も可能であり、提供される名称は、非限定
的な例のみによって可能である。さらに、特定の実施形態が説明されるが、それらの特定
の実施形態は例示的かつ非限定的であることが意図されており、加えて、それぞれの実施
形態の特徴および機能は、当業者の能力の範囲に含まれるような任意の組合せで組み合わ
せることができることを理解すべきである。
【0015】
図は、例示的な実施形態に関連したさまざまな機能および特徴を示す。例示的な単一の
ブロック、サブシステム、装置または構成要素が示されているが、さまざまな用途または
異なる用途環境のために、例示的なそれらのブロック、サブシステム、装置または構成要
素を増やすことができる。加えて、それらのブロック、サブシステム、装置または構成要
素をさらに組み合わせて、統合されたユニットにすることもできる。さらに、特定の構造
またはタイプのブロック、サブシステム、装置または構成要素が示されているが、その構
造は、例示的かつ非限定的であることが意図されている。これは、記載された機能を遂行
するのに、その構造の代わりに他の構造を使用することができるためである。
【0016】
本発明の例示的な実施形態は、放射性医薬品の自動合成システムに関する。本明細書に
おいて、このようなシステムは、「シンセサイザ」または「ラジオシンセサイザ」とも呼
ばれ、「シンセサイザ」または「ラジオシンセサイザ」として使用される。用語「自動(
automated)」は、トレーサを生成するための放射性合成(radiosynthesis)動作のある
種のステップの遂行を引き起こすように、シンセサイザがプログラムされていることを示
す。この合成システムは、PETまたはSPECTスキャナとともに使用するための放射
性医薬品を生成することができる。例えば、この合成システムを、ベルギー国Liege
のGE HealthcareのFASTlab(商標)システムとすることができる。
本明細書に記載された例でのFASTlabシステムの使用は、例示的かつ非限定的であ
ることが意図されている。本明細書に記載された実施形態は、GE Healthcar
e以外の企業によって製造されたさまざまな合成システムとともに使用することができる
ことを理解すべきである。本明細書における用語「放射性医薬品」、「放射性トレーサ」
、「PETトレーサ」または「SPECTトレーサ」の使用は例示的かつ非限定的である
ことを意味し、および記載された実施形態での1つの用語への言及は他の用語の置換を排
除しないこともさらに理解すべきである。さらに、用語「放射能検出器」は、自動シンセ
サイザに組み込まれた検出機器であって、その検出機器の近くにあるガンマ線源、例えば
陽電子放射性同位体からの放射能を検出する検出機器を指す。このような放射能検出器は
当技術分野でよく知られている。
【0017】
本開示は、ラン中のラジオシンセサイザを監視し、ラジオシンセサイザに関連づけられ
た放射能検出器によって記録された放射能データ中の収率低下の前兆を検出することによ
って、放射性医薬品を自動合成することに関する。この収率低下の前兆は、ラジオシンセ
サイザ内でトレーサを合成するときの収率を予測するために使用され、予測された収率の
レベルに応じて、収率を向上させるためまたは効率を維持するための動作が推奨される。
異なる局所的な製造/合成現場にあるFASTlabシンセサイザなどの自動合成装置で
は性能の変動が観察されているため、本発明は、それぞれの合成装置における合成がその
生成ランに対して最適化されることを保証するための方法を提供する。したがって、本開
示は、自動ラジオシンセサイザを用いた放射性合成を監視し、収率低下の前兆が検出され
たときに動作を推奨するための方法を提供する。ラジオシンセサイザは、ラジオシンセサ
イザに関連づけられた1つまたは複数の放射能検出器を含む。
【0018】
限定はされないが、例えば核および蛍光を含む、放射線を放射する全ての化学プロセス
が、本明細書に開示された実施形態によって企図される。核用途に関して、実施形態は、
限定はされないが、18F、11C、14C、99mTc、123l、125l、131
l、68Ga、67Ga、15O、13N、82Rb、62Cu、32P、89Sr、1
53Sm、186Re、210TI、111lnまたはこれらの組合せなどの医療用同位
体および対応する放射線特性を含む。好ましい同位体は、PETに対して使用される18
F、11C、68Gaなどの同位体を含む。
【0019】
図1は、本発明の例示的な実施形態による、PETまたはSPECT画像化剤を合成お
よび使用し、データ収集ファイルデータを抽出する方法のフローチャートを示す。
図1に
示された方法100は、コンピュータ実施システム(computer implemented system)を
含む、さまざまなシステム、構成要素およびサブシステムの1つまたは組合せによって実
行または遂行することができる。
図1に示されたそれぞれのブロックは、例示的な方法1
00において実施される1つもしくは複数のプロセス、方法および/またはサブルーチン
を表す。
【0020】
ブロック102で、放射性同位体を生成する。放射性同位体(例えば18Fまたは11
C)は通常、PET放射性同位体についてはサイクロトロン(例えばGE PETtra
ce 700サイクロトロン)を使用して、またはSPECT放射性同位体については(
例えば99mTcを生成する目的には)ジェネレータ(generator)を使用して生成され
る。サイクロトロンまたはジェネレータは製造現場に、またはスキャナの近くに置くこと
ができる。サイクロトロンまたはジェネレータを、PETまたはSPECTスキャナと一
緒に現場に置くと、放射性同位体の輸送時間が最小限に抑えられる。本明細書では「PE
T」および「SPECT」に言及するが、このような例は例示が目的であり、一方への言
及は他方への適用を排除しないことを理解すべきである。
【0021】
ブロック104で、放射性同位体を使用して放射性医薬品を合成する。シンセサイザを
使用して、放射性同位体を放射性リガンド(radioligand)と結合させる。その結果が放
射性医薬品である。シンセサイザは、手動で操作されるものであってもよく、操作が半自
動化されたものであってもよく、または全自動であってもよい。例えば、GE Heal
thcare FASTlabシステムは全自動シンセサイザである。放射性同位体の放
射能からオペレータを守るため、シンセサイザは一般に「ホットセル」内で動作させる。
放射性医薬品の合成中に、プロセス中のデータを収集することができる。このデータは、
合成プロセスのさまざまな時点における放射能検出器またはセンサの測定値に対応する。
データはさまざまな時間間隔で収集され、電子的に記憶することができる。データは、デ
ータ収集ファイルの形態で出力または保存することができる。シンセサイザはカセットを
使用することができ、カセットは、シンセサイザに嵌合され、放射性医薬品の合成に必要
なさまざまな試薬ならび他の機器、例えばシリンジポンプおよびバイアルを含む。カセッ
トは、取外し可能な使い捨てのものとすることができる。カセットは、1種または数種の
放射性医薬品の合成をサポートするように構成されていてもよい。
【0022】
ブロック106で、合成された放射性医薬品を分配する。放射性医薬品の用量を、患者
投与用およびQC用の収集バイアルに分配する。合成されたバルク放射性医薬品の試料を
、QC試験用のQCシステムおよび/またはカセットに直接に分配することができる。Q
C試験のシステムおよび方法は、2011年8月22日に出願されたPCT出願第US1
1/2011/048564号明細書に示されている。この明細書の内容は、その全体が
参照によって本明細書に組み込まれている。
【0023】
ブロック108で、放射性医薬品試料に対する品質管理チェックを遂行する。1回また
は数回のQCチェックを遂行することができる。これらのQCチェックは自動化されてい
てもよい。QCシステムは、試験を遂行するための複数の構成要素を有するカセットを含
むものであってもよい。カセットは、QCチェックを実施するためにQCシステムに挿入
されるように構成されていてもよい。QCシステムは、独立型システムであってもよく、
または上述のシンセサイザと統合されていてもよい。シンセサイザからの放射性医薬品用
量を分配する。QCチェック用に、1つまたは複数の分配済みバイアルからの試料を選択
することができる。それらの試料をQCシステムに送ってもよい。あるいは、適切な試料
をシンセサイザからQCシステムに直接に出力することができるように、QCシステムが
シンセサイザに接続または結合されていてもよい。
【0024】
ブロック110で、QC試験を実施した試料と同じ生成バッチからの用量を患者に投与
する。
【0025】
ブロック112で、用量を受け取った患者に対してPETまたはSPECTスキャンを
遂行する。
【0026】
ブロック114で、シンセサイザからデータ収集ファイルを作成する。このファイルは
、放射性医薬品の合成中に収集されたデータを含む。このデータ収集ファイルは、本明細
書に記載されたとおりにフォーマットされたものとすることができ、本明細書に記載され
たとおりのデータを含むものとすることができる。あるいは、このファイルに対して他の
フォーマットを使用することもできる。例えば、このファイルを、上述のようなGE H
ealthcare FASTlabシステムによって作成されたログファイルなどのロ
グファイルとしてもよい。本明細書での用語「データ収集ファイル」または「ログファイ
ル」の使用は、例示的かつ非限定的であることが意図されている。これは、放射性医薬品
プロセス中に収集されたデータを含むこのようなデータ収集ファイルに対して使用するこ
とができる他の用語が存在するためである。データ収集ファイルは、合成プロセス中の任
意の時点で作成することができることを理解すべきである。
【0027】
データ収集ファイルは、ハードコピーフォーマットで作成すること、および/または電
子的に記憶することができる。例えば、データ収集ファイルは、シンセサイザに通信可能
に結合されたプリンタなどの出力装置によって印刷されたものとすることができる。ある
いは、データ収集ファイルを、電子フォーマットで出力または記憶されたものとすること
もできる。例えば、シンセサイザは、電子表示装置を有するものであってもよく、または
データ収集ファイルを電子フォーマットで表示するためのコンピュータシステムに結合さ
れたものであってよい。データ収集ファイルは、シンセサイザの内部または外部の電子記
憶装置を使用して電子的に保存することができる。例えば、シンセサイザは、ランダムア
クセスメモリなどの一時的な固体状態記憶装置および/またはフラッシュメモリもしくは
ハードディスク型記憶装置などのより永続的な固体状態記憶装置を有するものとすること
ができる。
【0028】
放射性医薬品の合成104においてはステップ116からの情報(破線によって示され
ている)が使用され、この情報は、例えば、限定はされないが、単一バッチ診断(single
batch diagnostics)、「収率アドバイザ(yield advisor)」、またはバッチブラウザ
処理(batch browser processing)を例示のために示しており、これらについては本明細
書でより詳細に説明する。
【0029】
図10および11は、
図1のステップ116の特定の/代替の実施形態である。
【0030】
さらに、システムとのユーザ対話を可能にするため、シンセサイザは入力装置を有する
ことができることを理解すべきである。これらの入力装置は、システムに通信可能に結合
されていてもよい。例えば、シンセサイザは、QWERTY型もしくは等価のタイプのキ
ーボード、英数字パッド、および/またはポインティング入力装置を有するものであって
もよい。入力装置の組合せも可能である。シンセサイザは、コンピュータネットワークに
通信可能に結合されていてもよい。例えば、シンセサイザは、ローカルエリアネットワー
クまたは同様のネットワークに通信可能に結合されていてもよい。シンセサイザは、この
ようなネットワーク接続を通して、1つもしくは複数の外部コンピュータ、コンピュータ
システムおよび/またはサーバに通信可能に結合されていてもよい。いくつかの実施形態
では、シンセサイザが、インターネットに通信可能に結合されていてもよい。シンセサイ
ザは、コンピュータネットワークに無線で接続されていてもよく、または有線インタフェ
ースによって接続されていてもよい。シンセサイザは、コンピュータネットワーク上でデ
ータを送受信するものであってもよい。例えば、コンピュータネットワーク上で、データ
収集ファイルを別のコンピュータシステムまたはサーバに送信してもよい。この他のコン
ピュータシステムまたはサーバは、シンセサイザとは地理的に別個の位置に離れて位置し
ていてもよい。
【0031】
さらに、シンセサイザを、シンセサイザが、1つまたは複数のコンピュータプロセッサ
、電源、コンピュータメモリおよびソフトウェアを含むような態様のコンピュータ実施シ
ンセサイザとすることができる。上述のとおり、シンセサイザは、1つまたは複数の外部
コンピューティングシステムに通信可能に結合されていてもよい。例えば、シンセサイザ
は、有線もしくは無線コンピュータネットワーク、または有線ネットワークと無線ネット
ワークの組合せを通して、外部コンピュータシステムに通信可能に結合されていてもよい
。シンセサイザを動作させるため、ならびにデータ収集ファイルからのデータの収集およ
びデータの解析をシンセサイザに遂行させるためのコマンドを、外部コンピュータシステ
ムが提供してもよい。このコンピュータハードウェアとソフトウェアの組合せが、シンセ
サイザが自動的に動作すること、ならびにデータのある種の収集、データの解析およびデ
ータから導き出された補正または因子の実施をシンセサイザが遂行することを可能にする
ものであってもよい。
【0032】
ブロック116で、データ収集を解析する。例示的な実施形態によれば、データ収集フ
ァイルを、本明細書に記載されたとおりに解析する。解析の一部として、データ収集ファ
イルからある種の因子および情報を集めることができる。これらの因子および情報を使用
して、放射性医薬品プロセスを変更、修正および/または調節することができる。例えば
、低い収率が示されているために、このデータ解析で、プロセスが効率的に稼動していな
いと判定されることがある。非限定的な例として、このことが反応槽内の問題を示してい
ることがある。調整または修正を実施することができる。このような調整または修正はオ
ペレータが手動で適用してもよく、またはコンピュータシステムを通して発行されたコマ
ンドに基づいてシンセサイザが自動的に実施してもよい。いくつかの実施形態では、シス
テムが全自動であってもよく、解析を遂行し、プロセスを補正または修正を実施するのに
外部からの介入が不要である。
【0033】
図2は、例示的な実施形態による、ある種の情報、特に収率情報をデータ収集ファイル
データからどのようにして集めることができるのかを示すグラフを示す。
図2は、FBA
およびフルクリクラチド(flucliclatide)の放射性合成の代表的トレースであり、グラ
フ200は、放射性医薬品合成プロセスの構成要素のオーバレイを含むプロットを示す。
全体の収率202は、第1の収率ステップ204と第2の収率ステップ206の和である
。これらの収率値を使用して、プロセス全体の性能を評価し、ならびにプロセスの問題エ
リアを識別することができる。例示的な実施形態によれば、システムに対して、例示的な
収率を有する例示的なまたは「標準」プロセスを決定することができる。例示的なプロセ
ス中に収集された結果として生じたデータ、例えば放射能検出器の測定値がプロットされ
ている。収率は、
図2に示されているように決定することができる。例示的な実施形態に
よれば、放射能検出器No.1は、第四級メチルアンモニウム(QMA)カートリッジの
近くに位置決めされており、放射能検出器No.2は、反応槽の近くに位置決めされてお
り、放射能検出器No.5は、シリンジまたは生成収集バイアルに通じるプロセスの出口
の近くに位置決めされている。
【0034】
結果として生じたこのプロットは、システムに対する例示的な「フィンガプリント」を
形成していることがある。次いで、システムを使用して実行された後続のランを、この例
示的なプロセスと比較することができる。このフィンガプリントからの偏差を、上述のよ
うにデータ収集ファイルデータのプロットを通して認識することができる。この比較にお
けるプロットの解析から、システムおよびそのプロセスの問題を容易に識別し、続いて補
正することができる。例示的な実施形態によれば、プロセスの最適なフィンガプリントで
あるようにトレースがとられた場合、(例えば後続の合成ランからのまたは異なる現場の
機器からの)後続のトレースをそれと比較することができる。任意の領域(例えば検出器
1、2または5がカバーしている領域)において、後続のトレースのフィンガプリントが
かなり(例えば2%超、5%超、10%超または15%超)異なる場合、オペレータは(
またはシンセサイザは自動的に)、合成のそのステップは適正に進んでいないと診断する
ことができる。例示的な実施形態によれば、第1の収率ステップ204および第2の収率
ステップ206の変動を使用して、プロセスのどこで問題が起こっている可能性があるの
か、[18F]ベンズアルデヒド(FBA)を形成する標識化ステップで起こっているの
か、[18F]フルシクラチド(fluciclatide)を形成するコンジュゲーション(conjug
ation)ステップで起こっているのか、または合成プロセスに含まれる何らかの精製ステ
ップとともに起こっているのかを識別することができる。
【0035】
図3を参照すると、放射性医薬品合成システムの概要を提供するブロック図が示されて
いる。システム10は、シンセサイザ12およびコントローラ14を含み、コントローラ
14は、ユーザインタフェース16、プロセッサ18、プログラム記憶ユニット20、記
憶ユニット22および通信インタフェース24を有する。シンセサイザ12は、例えばG
E Healthcareによって販売されているFASTlab(商標)など、適当な
任意の放射性医薬品シンセサイザとすることができる。シンセサイザ12は、カセット/
カートリッジ/チップ上で合成ランを実行するためならびにコントローラ14に送信され
るハードウェアパラメータおよびセンサ出力を測定するためのアクチュエータ、センサお
よび通信システムを含む。シンセサイザ12は、限定はされないがローカルエリアネット
ワーク(LAN)26を含むネットワークを介してコントローラ14と通信する。シンセ
サイザ12とコントローラ14との間の通信を提供するために、限定はされないがワイド
エリアネットワークすなわちWAN、例えばインターネットを含む、適当な任意のネット
ワーク構成を実施することができる。プログラム記憶ユニット20は、さまざまな放射性
医薬品を合成するための対応するそれぞれの放射性医薬品シンセサイザプロセスプログラ
ム、ならびに必要に応じて他のプログラムを記憶している。記憶ユニット22は、合成ラ
ン中にセンサによって出力された合成ランデータに加えて、限定はされないが、シンセサ
イザ12内のさまざまなセンサの対応するそれぞれの基準値/値範囲などの情報を記憶し
ている。シンセサイザ12によって合成されたそれぞれの放射性医薬品は、対応するセン
サの基準値/値範囲の関連セットを有するであろう。これらの基準値/値範囲を、特定の
放射性医薬品合成プロセスおよび/またはカセットの「基準フィンガプリント」と考える
ことができる。基準値/値範囲をコントローラ14にプログラムし、必要に応じて定期的
に更新することができる。コントローラ14およびシンセサイザ12はさらに、
図4に示
されているように、例えばインターネットなどのネットワーク31を介して、放射性医薬
品合成データベースシステム32から基準値/値範囲を定期的に受け取ることができる。
局所または大域データベースシステム上で、CD、DVD、USBまたは他の何らかの記
憶および処理構成上で、システム32を維持することができる。適当な任意の通信構成を
実施することができる。
【0036】
上述のとおり、取得されたまたは測定されたそれぞれデータを、取得された「フィンガ
プリント」と考えることができる。合成ラン中に得られたこの取得されたフィンガプリン
トを、例えば潜在的に多数の貢献病院、ユーザおよび研究機関を有する局所および/また
は大域データベース上に維持された、例えば故障モードおよび影響解析(Failure Modes
and Effects Analysis)(FMEA)、記憶装置、または他の何らかの匹敵する品質保証
システムに送ることができる。いくつかの実施形態では、FMEAを、放射性医薬品合成
データベースシステム32内に維持することができる。コントローラ14は、シンセサイ
ザ12内または遠隔位置に存在することができる。この実施形態では、シンセサイザ12
が、コントローラ14から供給されたコマンドおよびデータならびに放射性医薬品合成デ
ータベースシステム32によって提供された情報を処理するためのコントローラ(図示せ
ず)を含む。いくつかの実施形態では、リアルタイム合成監視プロセスを開始するように
コントローラ14を構成することができ、シンセサイザ内のコントローラ(図示せず)は
監視プログラムをランすることができる。
【0037】
図5Aには、QMA放射能に対するtC18放射能の収率プロキシが、%で示された標
識化Δ(デルタ)の関数として示されている(収率100%が所望の結果である)。この
パラメータは
図6Bに定義されており、標識化中の収率の低下に関係する。2つの異なる
位置(位置1および位置2)における多くのランからの結果を表している
図5Aから、収
率と標識化中のΔ%との間に相関関係があることは明らかである。50によって示された
異常値は異なる故障モードを示しており、収率低下の前兆である。この収率低下の前兆に
基づいて収率が予測され、収率を維持しまたは向上させる適当な動作を推奨することがで
きる。しかしながら、以下で例示される推奨動作は、予測された収率のレベルに関係する
。
【0038】
図5Bには、QMA放射能に対するtC18放射能の収率プロキシが、%で示されたt
C18における放射能損失の関数として示されている(収率100%が所望の結果である
)。このパラメータは
図7Bに定義されており、トラッピング中の放射能損失に関係する
。2つの異なる位置(位置1および位置2)における多くのランからの結果を表している
図5Bから、収率とtC18における放射能損失との間に強い相関関係があることは明ら
かである。高いtC18損失は通常、低い収率を生じさせる最適ではない標識化を示し、
高いtC18損失は収率低下の前兆である。上述のとおり、この収率低下の前兆に基づい
て収率が予測され、収率を維持しまたは向上させる適当な動作を推奨することができる。
しかしながら、以下で例示される推奨動作は、予測された収率のレベルに関係する。
【0039】
図6Aおよび6Bは、標識化反応中の前兆事象を示す。
図6Aは、正規化された放射能
を時間の関数として示す、
図2と同様のデータ収集ファイルデータのプロットを示す。図
2に関して説明したとおり、このグラフを作成するために、異なる放射能センサが使用さ
れている。グラフの60によって示された領域で標識化が起こり、
図6Bにはこの部分が
より詳細に示されている。標識化中の正規化された放射能の低下は収率低下の尺度であり
、これが標識化Δ(デルタ)によって示されており、標識化Δは通常%で示される。上述
のとおり、標識化中の収率低下は収率低下の前兆の一例である。
【0040】
いくつかの実施形態によれば、収率低下の前兆を検出するステップは、異常を検出する
ことを含む。異常を検出するステップは、上述の選択された領域で収率の低下を測定する
ことを含むことができる。さらに、異常は、収率に対する早期の警告信号を与える挙動を
識別するために、以前の多数のランからの履歴データを処理することによって検出するこ
とができる。異なるランからの履歴データを比較することを可能にするために、履歴デー
タを処理するステップは、以前の多数のランからのデータを特定の点において正規化する
ことをさらに含むことができる。いくつかの実施形態によれば、異常を検出するステップ
は、選択された領域に数学的関数を当てはめること、および数学的関数をその挙動に基づ
いて評価することを含む。この例では、領域60が標識化反応であり、履歴データを評価
することによって、この領域60に対する数学的関数が、
y=1-Ae-λt
であるように選択されることが識別された。上式で、yは収率、Aおよびλは定数、tは
時間であり、評価はλの大きさに基づく。
【0041】
大きなλは「強い曲線(strong curve)」に対応し、強い曲線は、良好な収率を有する
「正常な」バッチに等しい。したがって、小さなλは低い収率に対応する。
図6Cは、標
識化λを、収率プロキシの関数として示したグラフである。
【0042】
履歴データから、収率と放射能検出器からのデータとの間の多くの相関関係が識別され
ることがある。
図7Aおよび7Bに関して別の例が示されており、
図7Aおよび7Bは、
70によって示された領域における、標識化後のtC18カートリッジ上での
18F-フ
ルオロ-テトラアセチル-グルコース(FTAG)のトラッピング中の前兆事象を示して
いる。このトラッピング領域における以前の多数のランからの履歴データを解析すること
によって、収率に対する早期の警告信号を与える挙動を識別することが可能である。異な
るランからの履歴データを比較することを可能にするために、履歴データを処理するステ
ップは、以前の多数のランからのデータを特定の点において正規化することをさらに含む
ことができる。いくつかの実施形態によれば、異なる解析方法を使用して、前兆事象を識
別することができる。これらの解析方法は、限定はされないが、時系列を比較すること、
ユークリッド距離を識別すること、クラスタ化などを含む。類似性に基づく方法は、必要
なドメイン専門知識(domain expertise)が少なくて済むが、特徴に基づく手法に比べて
感度に劣る。
【0043】
それぞれの谷71および72の全「損失」を合計することによって、tC18放射能損
失の尺度を確立することができる。履歴データの解析の結果は、tC18放射能損失が高
い場合、これは、劣等な標識化の結果であり、したがって低い収率の結果であるというこ
とである。
図5Bに示されているように、収率と損失は相関している。
【0044】
図8は、プロセスラン中の長時間収率プロットおよび異常検出曲線を示す。この長時間
収率プロットは、生データおよび移動平均(rolling average)(太線)を含む。これら
の異常はプロセスラン中の出来事であり、そこでは、放射能の読みが、(以前のプロセス
ランから収集された履歴データに基づく)予想から外れている。この例では、1つの領域
75が強調されている。いくつかの実施形態によれば、履歴データに基づいてモデルが作
成され、収率低下の前兆を検出することが、記録された放射能データをモデルと比較する
ことによって遂行される。
【0045】
図9は、領域75の第1のタイプの異常を強調した、
図8の収率プロットの部分を示す
。放射能の読みを使用して異常を検出し、その結果が、
図9の下の曲線である異常検出曲
線である。この例では、円78内の検出された異常が、警告信号を与え、収率がリスクで
あることを示す前兆事象である。収率を予測することができ、収率のレベルに関係した動
作が推奨される。いくつかの実施形態によれば、予測された収率のレベルが所定のしきい
値よりも低いときに、ラジオシンセサイザからの所望の出力を維持するための動作が実施
される。いくつかの実施形態によれば、自動ラジオシンセサイザが、例えば75%~85
%の生成収率を有し、所定のしきい値が、生成収率よりも少なくとも10%または15%
低い。
【0046】
収率低下が検出されたときおよびトレーサを合成したときの収率が予測されたときの推
奨動作の例を以下に示す。
- トレーサを合成するときに自動ラジオシンセサイザに材料が導入され、推奨動作は
、より多くの材料を追加することを含む。
- 推奨動作は、ハードウェアの問題および/または定期保守(scheduled maintenanc
e)に関係し、例えば、収率が、生成収率よりも10%または15%低いレベルなど許容
できる所定のレベルよりも低くなる前に、保守が開始される。
【0047】
収率低下の前兆を検出する任意選択のいくつかの手段がある。第1の選択肢は、「単一
バッチ診断」を使用することであり、この選択肢では、偏差を有する挙動が検出される。
この偏差を傾向にリンクさせることできる。このことは、
図6A、6B、7Aおよび7B
に関する標識化反応に対して例示されている。例示的な観察は、標識化反応が最適なもの
ではなかったことを含むことがあり、
18F-FDG合成の場合にはこれが低いFTAG
トラッピングの出現を与える。収率は最適にはならないであろう。
【0048】
このタイプの問題は、多くの場合、以下によって引き起こされる。
1.[18F]フッ化物の品質パラメータ
2.FTAGトラッピング問題
【0049】
さらなる動作は、最近の他のバッチに対するチェック性能であることがある。例えば送
達ラインの交換を考える。
【0050】
第2の選択肢は、「収率アドバイザ」を使用することであり、この選択肢では、生デー
タおよび移動平均を含む長期間収率プロットが使用される。この長期間プロットには保守
事象を含めることもできる。
図8および9に関して示したような自動異常検出を使用して
、収率が危険にさらされているとの早期の警告信号を与えることができる。
【0051】
図10は、第3の選択肢であるバッチブラウザプロセスのフローチャート80を示す。
フローは80から始まり、81で、バッチを選択する。82に示されているように、クラ
スタまたは類似のバッチからのデータが使用される場合、フローは83に進む。一方、そ
うでない場合にはフローは84に進み、84で、選択されたバッチを、選択された日付範
囲からの履歴データまたは特定のバッチからの履歴データとオーバレイする。
【0052】
83では、選択されたバッチに特有の特徴を指定して、
図5Aの50によって示されて
いるような類似のバッチのクラスタを見つける。フローは、83および84から85に進
み、85で、結果を見る。第1の選択肢86によれば、結果は、選択されたバッチクラス
タの傾向を示すビュー(view)として提示され、第2の選択肢87によれば、結果は、バ
ッチが生じたときのタイムラインおよびオーバレイ、例えば保守事象として提示される。
【0053】
88で、85の提示された結果に基づいて、収率低下を防ぐための動作を開始する。
【0054】
接続性(connectivity)および展開(deployment)に関する異なる考慮事項が企図され
、これは、異なるレベルの接続性に反映される。
【0055】
局所
局所バージョンでは、収率低下の前兆を検出するための異なる選択肢および収率低下の
前兆に基づいて収率を予測するのに必要な解析が、ラジオシンセサイザ上にソフトウェア
として局所的にインストールされていなければならない。利点は、現場操作に対する最小
限の変更である。しかしながら、欠点は、更新の公開(roll out)がゆっくりであること
、および融通性に欠けることである。
【0056】
クラウド
クラウドベースのバージョンでは、マニュアルデータがウェブベースのインタフェース
を用いてアップロードされ、セキュアなデータ記憶装置がクラウドで提供される。クラウ
ドベースの実施態様の利点は、迅速なカスタマイズ、モバイルおよびリモートアクセス、
データバックアップ、ならびにデータセットが大きくなったときに新たな特徴を組み込む
ことができることである。欠点は、システムのユーザに対してセキュリティおよびプライ
バシーを証明する必要があることである。
【0057】
図11は、ラン中の自動ラジオシンセサイザを監視するためのフローチャートを示し、
ラジオシンセサイザは、ラジオシンセサイザに動作可能に関連づけられたいくつかの別個
の放射能検出器を有する。
【0058】
収率は、ラジオシンセサイザでトレーサを生成するときの重要なパラメータである。予
期しない収率の低下が生じる場合、システムのユーザは、この事象に対して備えることが
できない。この開示の目的は、収率自体を予測することだけではなく、収率低下の前兆を
検出することである。これらの前兆は、根底にある化学的プロセスまたはそのプロセスで
使用されるハードウェア構成要素に関連している。
【0059】
収率は、放射化学合成後に残留した放射能を装置に入った材料の放射能で割ったものと
定義することができる。正確な定義はユーザによって異なることがある。大部分のユーザ
は、収率の変動性が主な課題であると報告しているが、一部の顧客(大規模な商業サプラ
イヤ)に関しては、絶対的な収率が高いことも重要である。効率が低下した場合には、収
率の向上を達成する動作を提案することによって、収率を向上させることが重要である。
【0060】
収率レベルの変動性は、(少なくともFDGに対して)問題を引き起こす。そのため、
本請求は、収率の信頼性を向上させる可能性がある。
【0061】
図11において、フローはステップS1から始まり、ステップS10で、それぞれの放
射能検出器からの放射能データを記録する。
【0062】
ステップS20で、データ記憶装置からの履歴データにアクセスする。いくつかの実施
形態によれば、この方法は、同じラジオシンセサイザ上での以前のランからのデータを含
むように履歴データを選択することS22をさらに含む。いくつかの実施形態によれば、
この方法は、他のラジオシンセサイザ上での以前のランからのデータをさらに含むように
履歴データを選択することS24をさらに含む。
【0063】
いくつかの実施形態によれば、この方法は、ラジオシンセサイザの外部に配置されたも
のであるように、好ましくはクラウドベースの実施態様でラジオシンセサイザの外部に配
置されたものであるように、データ記憶装置を選択することS26をさらに含む。いくつ
かの実施形態によれば、この方法は、履歴データに基づいてモデルを作成することS28
、および収率低下の前兆を、記録された放射能データをモデルと比較することによって検
出することをさらに含む。いくつかの実施形態によれば、ラジオシンセサイザ内に局所デ
ータ記憶装置が配置されており、この方法が、局所データ記憶装置にモデルを記憶するこ
とS29をさらに含む。
【0064】
ステップS30で、記録された放射能データ中の収率低下の前兆を履歴データに基づい
て検出する。いくつかの実施形態によれば、収率低下の前兆を検出するステップが、異常
を検出することS32を含む。いくつかの実施形態によれば、異常を検出するステップが
、収率に対する早期の警告信号を与える挙動を識別するために、以前の多数のランからの
履歴データを処理することS34をさらに含む。いくつかの実施形態によれば、履歴デー
タを処理するステップが、以前の多数のランからのデータを特定の点において正規化する
ことをさらに含む。
【0065】
いくつかの実施形態によれば、異常を検出するステップが、選択された領域に数学的関
数を当てはめることS36、および数学的関数をその挙動に基づいて評価することを含む
。いくつかの実施形態によれば、数学的関数が、
y=1-Ae-λt
であるように選択され、yが収率、Aおよびλが定数、tが時間であり、評価がλの大き
さに基づく。
【0066】
いくつかの実施形態によれば、異常を検出するステップが、選択された領域における収
率の低下を測定することS38をさらに含む。
【0067】
ステップS40で、ラジオシンセサイザを用いてトレーサを合成したときの収率を、検
出された収率低下の前兆に基づいて予測する。ステップS50で、予測された収率のレベ
ルに関係した動作を開始する。自動ラジオシンセサイザの生成収率、すなわち出力生成物
中の残留放射能を投入材料の放射能で割ったもの、は通常、75%~85%の範囲にある
。しかしながら、この数値は、生成されるトレーサのタイプによって異なることがある。
【0068】
いくつかの実施形態によれば、この方法が、予測された収率のレベルが所定のしきい値
よりも低いときに、ラジオシンセサイザからの所望の出力を維持するS52ための動作を
開始することをさらに含む、いくつかの実施形態によれば、自動ラジオシンセサイザが生
成収率を有し、この方法が、生成収率よりも少なくとも10%低くなるように所定のしき
い値を選択することS54をさらに含む。いくつかの実施形態によれば、この方法が、生
成収率よりも少なくとも15%低くなるように所定のしきい値を選択することS56をさ
らに含む。いくつかの実施形態によれば、トレーサを合成するときに自動ラジオシンセサ
イザに材料が導入され、動作が、より多くの材料を追加することを含む。いくつかの実施
形態によれば、開始される動作が、ハードウェアの問題および/または定期保守に関係す
る。
【0069】
さらに、シンセサイザに搭載のコンピュータによって、自動ラジオシンセサイザの監視
を自動的に遂行することができる。すなわち、本発明はさらに、非一時的コンピュータ可
読記憶媒体を提供することを企図し、この非一時的コンピュータ可読記憶媒体は、ラジオ
シンセサイザを監視するためのステップを遂行するための実行可能プログラムであって、
コンピュータ可読プログラムコードの実行によって、プロセッサが、それぞれの放射能検
出器からの放射能データを記録し、記録された放射能データ中の収率低下の前兆を、デー
タ記憶装置からアクセス可能な履歴データに基づいて検出し、ラジオシンセサイザを用い
てトレーサを合成したときの収率を、検出された収率低下の前兆に基づいて予測し、ラジ
オシンセサイザの予測された収率のレベルに関係した動作を推奨するステップを遂行する
ような態様の実行可能プログラムを含む。
【0070】
本開示は、ラン中の自動ラジオシンセサイザを監視するためのコンピュータプログラム
であって、少なくとも1つのプロセッサ上で実行されたときに、その少なくとも1つのプ
ロセッサに、
図11に関して説明した方法を実施させる命令を含むコンピュータプログラ
ムを含む。さらに、本開示は、自動ラジオシンセサイザを監視するためのコンピュータプ
ログラムを含むコンピュータ可読記憶媒体も含む。
【0071】
本開示はさらに、
図3および4に関して説明したように、ラン中の自動ラジオシンセサ
イザを監視するためのコントローラに関し、このラジオシンセサイザは、ラジオシンセサ
イザに動作可能に関連づけられたいくつかの別個の放射能検出器を有し、この制御システ
ムは、
- それぞれの放射能検出器からの放射能データを記録し、
- 記録された放射能データ中の収率低下の前兆を、データ記憶装置からアクセス可能
な履歴データに基づいて検出し、
- ラジオシンセサイザを用いてトレーサを合成したときの収率を、検出された収率低
下の前兆に基づいて予測し、
- 予測された収率のレベルに関係した動作を推奨する
ように構成されている。
【0072】
いくつかの実施形態によれば、この制御システムは、外部に配置されたデータ記憶装置
にアクセスするように構成されている。
【符号の説明】
【0073】
10 システム
12 シンセサイザ
14 コントローラ
16 ユーザインタフェース
18 プロセッサ
20 プログラム記憶ユニット
22 記憶ユニット
24 通信インタフェース
26 ローカルエリアネットワーク(LAN)
31 ネットワーク
32 放射性医薬品合成データベースシステム
【手続補正書】
【提出日】2023-12-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラン中の自動ラジオシンセサイザを使用して放射性医薬品を合成する方法であって、前記ラジオシンセサイザが、前記ラジオシンセサイザに動作可能に関連づけられたいくつかの別個の放射能検出器を有し、前記方法が、
- それぞれの放射能検出器からの放射能データを記録するステップ(S10)と、
- データ記憶装置からの履歴データにアクセスするステップ(S20)と、
- 記録された前記放射能データ中の収率低下の前兆を前記履歴データに基づいて検出するステップ(S30)と、
- 前記ラジオシンセサイザを用いて放射性医薬品を合成したときの収率を、検出された前記収率低下の前兆に基づいて予測するステップ(S40)と、
- 予測された収率のレベルに関係した動作を開始するステップ(S50)とを含み、
前記予測された収率のレベルが所定のしきい値よりも低いときに、前記ラジオシンセサイザからの所望の出力を維持する(S52)ための動作を開始するものであって、
前記履歴データに基づいてモデルを作成すること(S28)、および前記収率低下の前兆を、記録された前記放射能データを前記モデルと比較することによって検出するステップと
をさらに含む方法。
【請求項2】
前記自動ラジオシンセサイザが生成収率を有し、前記方法が、前記生成収率よりも少なくとも10%低くなるように前記所定のしきい値を選択すること(S54)をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記生成収率よりも少なくとも15%低くなるように前記所定のしきい値を選択すること(S56)をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記放射性医薬品を合成するときに前記自動ラジオシンセサイザに材料が導入され、
前記動作が、より多くの材料を追加することを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
開始される前記動作が、ハードウェアの問題および/または定期保守に関係する、
請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
同じラジオシンセサイザ上での以前のランからのデータを含むように前記履歴データを選択すること(S22)をさらに含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
別のラジオシンセサイザ上での以前のランからのデータをさらに含むように前記履歴データを選択すること(S24)をさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記ラジオシンセサイザの外部に配置されたものであるように、好ましくはクラウドベースの実施態様で前記ラジオシンセサイザの外部に配置されたものであるように、前記データ記憶装置を選択すること(S26)をさらに含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記ラジオシンセサイザ内に局所データ記憶装置が配置されており、前記方法が、前記局所データ記憶装置に前記モデルを記憶すること(S29)をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
収率低下の前兆を検出する前記ステップが、異常を検出すること(S32)を含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記異常を検出する前記ステップが、
- 収率に対する早期の警告信号を与える挙動を識別するために、以前の多数のランからの履歴データを処理すること(S34)
をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
履歴データを処理する前記ステップが、前記以前の多数のランからのデータを特定の点において正規化することをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
異常を検出する前記ステップが、選択された領域に数学的関数を当てはめること(S36)、および前記数学的関数をその挙動に基づいて評価することを含む、請求項10~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記数学的関数が、
y=1-Ae-λt
であるように選択され、
yが前記収率、Aおよびλが定数、tが時間であり、前記評価がλの大きさに基づく、
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
異常を検出する前記ステップが、前記選択された領域における収率の低下を測定すること(S38)をさらに含む、請求項13~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
ラン中の自動ラジオシンセサイザを監視するためのコンピュータプログラムであって、少なくとも1つのプロセッサ上で実行されたときに、前記少なくとも1つのプロセッサに、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法を実施させる命令を含むコンピュータプログラム。
【請求項17】
請求項16に記載のラン中の自動ラジオシンセサイザを監視するためのコンピュータプログラムを含むコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項18】
ラン中の自動ラジオシンセサイザを使用して医薬品を合成するためのコントローラであって、前記ラジオシンセサイザが、前記ラジオシンセサイザに動作可能に関連づけられたいくつかの別個の放射能検出器を有し、前記コントローラが、
- それぞれの放射能検出器からの放射能データを記録し、
- 記録された前記放射能データ中の収率低下の前兆を、データ記憶装置からアクセス可能な履歴データに基づいて検出し、
- 前記ラジオシンセサイザを用いて放射性医薬品を合成したときの収率を、検出された前記収率低下の前兆に基づいて予測し、
- 予測された収率のレベルに関係した動作を推奨する
ように構成されたコントローラ。
【請求項19】
外部に配置されたデータ記憶装置にアクセスするように構成された、請求項18に記載のコントローラ。