(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024023243
(43)【公開日】2024-02-21
(54)【発明の名称】天然結晶質着色剤および製造方法
(51)【国際特許分類】
C09B 67/20 20060101AFI20240214BHJP
【FI】
C09B67/20 A
C09B67/20 F
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023190129
(22)【出願日】2023-11-07
(62)【分割の表示】P 2022172300の分割
【原出願日】2012-06-28
(31)【優先権主張番号】61/503,557
(32)【優先日】2011-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】397007457
【氏名又は名称】イー アンド ジェイ ガロ ワイネリイ
【氏名又は名称原語表記】E. & J. Gallo Winery
【住所又は居所原語表記】600 Yosemite Boulevard, Modesto, California 95354, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110003579
【氏名又は名称】弁理士法人山崎国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100118647
【弁理士】
【氏名又は名称】赤松 利昭
(74)【代理人】
【識別番号】100123892
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 忠雄
(74)【代理人】
【識別番号】100169993
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 千裕
(74)【代理人】
【識別番号】100173978
【弁理士】
【氏名又は名称】朴 志恩
(72)【発明者】
【氏名】ロッシ、ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】カタムリ、サンディープ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】様々な食物、医薬および化粧用製品に添加することができる、より濃縮された天然着色剤、ならびにその製造方法を提供する。
【解決手段】天然源、たとえば植物、例として果物および野菜ならびに藻類から得られた独特の乾燥された着色剤である。いくつかの実施態様においては、該着色剤は、果物ならびに/または野菜の搾汁もしくは搾汁濃縮物および/もしくは抽出物から得られる。さらなる実施態様においては、該着色剤は赤ブドウ搾汁および/また初は紫ニンジン搾汁から得られる。該乾燥着色剤を製造する方法は、様々な精製技術を使用して着色顔料を精製する工程、および引き続いて低温乾燥方法を使用して水を除去する工程を含む。精製技術と低温乾燥とのこの新規な組み合わせは、色強度が高くおよび/または糖分が低い独特の天然着色剤を製造する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.顔料を含んでいる藻類を、前記藻類から非顔料化合物の少なくとも一部を除去することによって精製して、精製された顔料を回収する工程、および
b.リフラクティブウィンドウ乾燥によって前記精製された顔料を乾燥して、結晶質の製品を製造する工程であって、前記結晶質の製品が、少なくとも0.62g/cm3の嵩密度を有する工程
を含む、方法。
【請求項2】
前記精製された顔料が、アントシアニン、カロテノイド、ベタレイン、クルクミン、カルミン酸、カルミン酸誘導体、クロロフィルおよびクロロフィル誘導体から成る群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記精製工程が、ポリマー膜装置を通す限外ろ過および透析ろ過を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ポリマー膜装置が、ポリエーテルスルホン(PES)スパイラル限外ろ過膜を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記PESスパイラル限外ろ過膜が、5000ダルトンの名目分画分子量を有する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記精製工程が、膜装置を通して供給原料液を循環させる工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
膜装置を通して供給原料液をろ過する工程、
ろ過残分を回収する工程、および
前記ろ過残分を再構成する工程
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記精製工程が、吸着/脱着クロマトグラフィーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記精製工程が、発酵プロセスを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記精製工程が、亜臨界または超臨界流体抽出プロセスを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記結晶質の製品を粉砕する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記精製された顔料を乾燥する工程が凍結乾燥を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記乾燥された製品を粉砕する工程をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
藻類に由来する結晶質の顔料を含んでいる組成物であって、前記組成物が前記藻類よりも増加した色強度を有し、前記結晶質の顔料が少なくとも0.62g/cm3の嵩密度を有する、組成物。
【請求項15】
乾燥重量基準で5%よりも少ない糖を含んでいる、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
40,000色度超の色強度を有する、請求項14に記載の組成物。
【請求項17】
乾燥重量の20%未満の全糖含有量をさらに含んでいる、請求項14に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、発明の名称を「天然結晶質着色剤および製造方法」とする2011年6月30日に出願された米国特許仮出願番号第61/503,557号の利益および優先権を主張し、その内容は参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示発明は全体として、精製された天然着色顔料および着色剤ならびに該顔料および着色剤を製造し処理する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
天然色素および染料は主として、植物、たとえば果物、花および野菜に見出される顔料に由来する。それらの化学的組成に基づいて、天然の植物源顔料は、以下のものに限定されることなく、アントシアニン、ベタレイン、カロテノイド、クルクミン、カルミン酸および誘導体、クロロフィルおよびその誘導体等を含む構造群に分類されることができる。カロテノイドは、以下のものに限定されることなく、β-カロチン、α-カロチン、アポカルチナール、リコピン、ビキシン、ノルビキシン、カンタキサンチンおよびゼアキサンチンを含む。クロロフィルおよびクロロフィリンの誘導体は銅錯体を含むが、これに限定されない。別の非限定的実施態様では、顔料は金属イオン、たとえば銅イオンで錯化されてもよいが、これに限定されない。
【0004】
当該製造産業の1つの目的は、植物の、色素を有する部分を濃縮して、様々な食物、医薬および化粧用製品に添加することができる、より濃縮された天然着色剤を提供することである。これらの濃縮された着色剤は、分離工程を通して他の化合物を除くことによって製造される。
【0005】
天然着色剤は多くの場合、有色素化合物の組成分に比べて糖分の高い果物および野菜の搾汁から回収される。これらの糖ベースの色素は典型的には、水を除いて濃縮され、乾燥重量基準で60パーセント超の糖および低い顔料レベルを有する濃縮物として使用される。
この濃縮物は、果物または野菜によっては、乾燥重量基準でこれより高いまたは低いパーセントの糖を有することがあることは、当業者によって理解されるだろう。低い色素含有量の液状物は、保存するのにコストがかかり(しばしば冷凍が必要である)、時間がたつと劣化しやすく、高い糖度の故に食物または飲料の用途において着色貢献度の割に高カロリーを有し、および/または望ましくない官能特性を付加することがある。
【0006】
当該産業は、果物および野菜の搾汁からのこれらの天然着色剤の2つの異なる形態、すなわち液体および粉体を提供してきた。糖ベースの色素は多くの場合乾燥するのが難しく、典型的には、該糖の吸湿性を埋め合わせるためにマルトデキストリンまたは微結晶質セルロースのような担体が必要になる。
【0007】
さらに、乾燥に付される液状物は、典型的には約50重量%~80重量%の含水量なので、このような製品を効率的に乾燥するのに使用できる技術はほとんどない。低濃度の可溶性固形分を有する液状物を乾燥するのに使用できるもっとも一般的な技術は、スプレー乾燥である。
【0008】
残念ながら、スプレー乾燥には、乾燥された製品の取り扱いの点でいくつかの不具合がある。典型的な問題点には、以下のものに限定されることなく、液状物が乾燥中にさらされる高い温度および圧力による製品品質の著しい劣化、微粒子状液滴中の急速な乾燥速度による低いかさ密度を有する非晶質粒子の形成、ならびに結晶質状態ではなく非晶質状態の糖の存在による不満足な水への溶解性または濡れ特性および吸湿傾向、その結果、粉状物が固まりやケーキ状になりやすいことが含まれる。さらにその上、高い糖度を有する果物または野菜の濃縮物のスプレー乾燥を成功させるためには、典型的には担体の存在が必要であり、それによって、最終製品の色素の高濃度化および配合効率が弱められてしまう。
【0009】
当該製造産業の別の目的は、標準的な果物および野菜ベースの色素濃縮物の糖の割合を有意に低減して、より低いカロリー密度を有するより高濃度の天然色素を製造することであり、これはさらに乾燥されて、改善された貯蔵および取り扱い特性を備えた製品を製造することができる。精製された色素は典型的には、果物および野菜の搾汁および抽出物の非顔料成分を除去することによって生産され、それによって該物質の色素化合物の濃度が著しく高くなる。精製された色素は、低濃度の糖を含むので、広範な種類の乾燥方法、たとえばスプレー乾燥機、ドラム乾燥機、リフラクティブウィンドウ乾燥機(refractive window drier)および凍結乾燥機を使用して乾燥されることができる。本発明の方法は、精製技術と乾燥技術とを組み合わせて、担体を用いずに乾燥することができる高濃度の天然色素を製造する技術を提供する。本明細書に記載された高濃度天然色素は、当業界で知られている他の乾燥色素と比較して高い色強度(color intensity)および/または改善された官能特性、安定性および取り扱い特性を有する。
【0010】
関連技術およびそれについての制約の上に述べた例は、例示的なものであって排他的なものではない。関連技術の他の制約は、本明細書を読み、本図面を検討すれば当業者には明らかになるだろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
以下に記載され例示された以下の側面およびその実施態様は、典型的および例示的なものであることが意図され、範囲を限定するものではない。
【0012】
本開示発明は、天然源、たとえば植物、例として果物および野菜ならびに藻類から得られた独特の乾燥された着色剤に関する。いくつかの実施態様においては、該着色剤は、果物ならびに/または野菜の搾汁もしくは搾汁濃縮物および/もしくは抽出物から得られる。
さらなる実施態様においては、該着色剤は赤ブドウ搾汁および/または紫ニンジン搾汁から得られる。該乾燥着色剤を製造する方法は簡潔に言うと、様々な精製技術を使用して着色顔料を精製する工程、および引き続いて低温乾燥方法を使用して水を除去する工程を含む。精製技術と低温乾燥とのこの新規な組み合わせは、色強度が高くおよび/または糖分が低い独特の天然着色剤を製造する。いくつかの実施態様では、本明細書に記載された着色剤は、優れた保存安定性ならびに/または取り扱い特性、たとえば、以下のものに限定されることなく、密度、流れ性、水への分散性および/もしくは吸湿性を示す。
【0013】
1つの側面では、植物および/または藻類に由来する結晶質顔料もしくは顔料の混合物を含んでいる天然着色剤組成物が検討される。1つの実施態様では、この組成物は、粗搾汁または未精製の顔料もしくは組成物の色強度よりも高い色強度を有する。さらなる実施態様では、上記の側面および/または実施態様の組成物は、粗搾汁もしくは未精製の顔料組成物と比較して乾燥重量基準で減少された糖を有する。別の実施態様では、上記の側面および/または実施態様の組成物は、乾燥重量基準で約5~20%未満の糖を含有する。さらなる実施態様では、上記の側面および/または実施態様の組成物は、乾燥重量の約20%未満の全糖含有量を有する。また別の実施態様では、上記の側面および/または実施態様の組成物は、約40,000色度(color unit)超の色強度を有する。別の実施態様では、上記の側面および/または実施態様の顔料は赤ブドウアントシアニンであり、該組成物は約40,000~55,000色度の色強度を有する。さらなる実施態様では、上記の側面および/または実施態様の顔料は紫ニンジンアントシアニンであり、該組成物は約90,000~125,000色度の色強度を有する。追加の実施態様では、上記の側面および/または実施態様の顔料は、アントシアニン、カロテノイド、ベタレイン、クルクミン、カルミン酸、カルミン酸誘導体、クロロフィルおよびクロロフィル誘導体から成る群から選択される。
【0014】
別の側面では、精製された結晶質天然顔料を製造する方法が検討される。この方法は、(a)非顔料化合物の少なくとも一部を除去することによって、顔料を含んでいる搾汁または抽出物を精製して、精製された顔料を製造する工程、および(b) 該精製された色素を乾燥する工程を含む。1つの実施態様では、精製された色素は結晶質であり、粗搾汁と比較して乾燥重量基準で増加した色強度および/または減少した糖含有量を有する。別の実施態様では、上記の側面および/または実施態様の顔料は、アントシアニン、カロテノイド、ベタレイン、クルクミン、カルミン酸、カルミン酸誘導体、クロロフィルおよび/またはクロロフィル誘導体から成る群から選択される。さらなる実施態様では、上記の側面および/または実施態様の方法における精製工程は、ポリマー膜装置を通す限外ろ過および透析ろ過を含む。また別の実施態様では、上記の側面および/または実施態様のポリマー膜装置は、ポリエーテルスルホン(PES)スパイラル限外ろ過膜を含む。さらなる実施態様では、上記の側面および/または実施態様のPESスパイラル限外ろ過膜は、約5000ダルトンの名目分画分子量を有する。また別の実施態様では、上記の側面および/または実施態様の精製工程は、膜装置を通して搾汁または抽出物を循環させる工程を含み、この工程は(a) 膜装置に通して搾汁または抽出物をろ過する段階、(b)ろ過残分を回収する段階 、(c) ろ過残分を再構成する段階、および(d) 乾燥重量基準でろ過残分が所望の色強度に達するまで段階(a)から(b)までを繰り返す段階を含む。追加の実施態様では、上記の側面および/または実施態様の精製工程は、吸着/脱着クロマトグラフィーを含む。別の実施態様では、上記の側面および/または実施態様の精製工程は、発酵工程を含む。さらなる実施態様では、上記の側面および/または実施態様の精製工程は、亜臨界流体または超臨界流体抽出方法を含む。また別の実施態様では、上記の側面および/または実施態様の乾燥工程は、リフラクティブウィンドウ乾燥機で達成される。さらなる実施態様では、上記の側面および/または実施態様の乾燥工程は、凍結乾燥を含む。別の実施態様では、上記の側面および/または実施態様の方法は、乾燥製品を粉砕する工程をさらに含む。
【0015】
さらなる実施態様では、上記の側面または実施態様のうちのいずれかの方法によって形成された組成物が、単独でまたは何らかの組み合わせで検討される。
【0016】
本発明の方法および組み合わせ等の追加の実施態様は、以下の記載、図面、実施例および特許請求の範囲から明らかであろう。上記および下記の記載から理解することができるように、本明細書に記載された全ての特徴、およびかかる特徴の2つ以上の全ての組み合わせは、かかる組み合わせに含まれる特徴が相互に矛盾しない限り、本開示発明の範囲内に包含される。さらに、いかなる特徴または特徴の組み合わせも、本発明のいずれかの実施態様から特に除外されることもできる。本発明の追加の側面および利点は、特に、添付された実施例および図面と併せて検討された場合、以下の明細書および特許請求の範囲に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】1つの実施態様に従う、天然の果実および野菜ベースの顔料を精製し乾燥する典型的な方法を示す流れ図である。
【
図2】1つの実施態様に従う、限外ろ過および透析ろ過を使用して着色剤を精製する典型的な方法を示す流れ図である。
【
図3】1つの実施態様に従う、精製された色素液状物を濃縮し、乾燥しおよび粉砕する典型的な方法を示す流れ図である。
【
図4A】1つの実施態様に従う、リフラクティブウィンドウ乾燥機を示す側面図である。
【
図4B】1つの実施態様に従う、リフラクティブウィンドウ乾燥機を示す断面図である。
【
図5】1つの実施態様に従う、吸着樹脂分離技術を使用して色素を精製する典型的な方法を示す流れ図である。
【
図6】1つの実施態様に従う、発酵技術を使用して色素を精製する典型的な方法を示す流れ図である。
【
図7】1つの実施態様に従う、溶媒抽出技術を使用して色素を精製する典型的な方法を示す流れ図である。
【
図8】1つの実施態様に従う、凍結乾燥技術を使用して精製された色素を乾燥する典型的な方法を示す流れ図である。
【
図9A】リフラクティブウィンドウ乾燥された精製ブドウ顔料の5倍の倍率での顕微鏡画像である。
【
図9B】凍結乾燥された精製ブドウ顔料の5倍の倍率での顕微鏡画像である。
【
図9C】スプレー乾燥された精製ブドウ顔料の5倍の倍率での顕微鏡画像である。
【
図9D】ドラム乾燥された精製ブドウ顔料の5倍の倍率での顕微鏡画像である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
様々な側面がこれから以下に、より詳細に記載される。しかしながら、このような側面は様々な形式で具体化されることができるので、本明細書に記載された実施態様に限定されると解釈されてはならず、むしろ、この開示が完全かつ完璧でありその範囲が当業者に完全に伝えられるように、これらの実施態様は提供される。
【0019】
例示の平易および明瞭のために、適切と考えられる場合、対応するまたは類似する要素を示すために参照番号が各図で繰り返されることがあることは理解されるだろう。さらに、多数の具体的な詳細が、本明細書に記載された実施例の実施態様についての完全な理解を提供するために述べられる。しかし、本明細書に記載された実施例の実施態様が、これらの具体的な詳細がなくても実施されることができることは当業者によって理解されるだろう。
【0020】
本明細書で使用される用語「着色剤」および「顔料」は、対象物の分光透過率または対象物の分光反射率を変えることによってその色を変えるのに使用される任意の物質を言う。
本明細書で使用される「着色剤」および「顔料」は一般に、天然源、たとえば、植物および藻類から得られた着色剤および顔料を言うが、これらに限定されない。「着色剤」および「顔料」は本明細書では互換的に使用される。
【0021】
本明細書で使用される「濃縮物」は、その水分の少なくとも一部が除去された搾汁または抽出物を言う。
【0022】
本明細書で使用される「搾汁」は、果物、野菜または他の植物から得られた液状物を言う。搾汁は、藻類から得られた液状物を言うこともある。本明細書で使用される「搾汁」は、濃縮物および抽出物を包含する。本明細書で使用される「粗搾汁」は、まだ精製されていない搾汁を言う。
【0023】
「増加した色強度」は、粗搾汁および/または未精製顔料組成物の色強度と比較した、色強度の増加を言う。
【0024】
「減少した糖含有量」は、粗搾汁および/または未精製顔料と比較した、乾燥重量基準での糖含有量の減少を言う。
【0025】
濃度、量、pH値等は、本明細書ではしばしば範囲の形式で提示される。範囲形式の記載は、単に便宜および簡潔さのためであり、本発明の範囲に対する不動の限定と解釈されてはならない。したがって、範囲の記載は、その範囲内のすべての可能な下位範囲とともに個々の数値をも具体的に開示したものであると解釈しなければならない。たとえば、10~15%のような範囲の記載は、10~11%、10~12%、10~13%、10~14%、11~12%、11~13%等 のような下位範囲を具体的に開示したものであると解釈しなければならない。
着色剤の製造方法
【0026】
1つの側面では、着色剤の製造方法が記載される。顔料または着色剤を製造するために本発明の方法が使用されることができ、これらの2つの用語は本明細書では互換的に使用されることは理解されるだろう。簡潔に言うと、本発明の方法は、(i)搾汁濃縮物または抽出物の任意的な再構成および低温殺菌工程、(ii)該搾汁濃縮物または抽出物の、たとえば限外ろ過および透析ろ過による精製工程、(iii)該精製された搾汁濃縮物または抽出物の、たとえば流下膜式蒸発による濃縮工程、(iv)乾燥工程、および(v)粉砕工程を含む。食品産業における従来の乾燥着色剤はスプレー乾燥された粉体であるのに対して、本発明の乾燥着色剤は低温乾燥法、たとえばリフラクティブウィンドウ乾燥技術または凍結乾燥を使用して、100%天然の、酸化防止剤含有量が高く、色が極めて高濃度化されおよび/または水に完全に可溶性である結晶質固形色素添加剤を製造する。
【0027】
図1は、上記の独特の結晶質製品を製造するための典型的な製造工程を示す。果物ならびに/または野菜の搾汁および/もしくは抽出物100は、典型的には精製の前に再構成される(水で希釈される)が、常にそうされるわけではない。1つの非限定的実施態様では、約68°ブリックスの濃縮物は、約18~22°ブリックスまで再構成される。1つの実施態様では、濃縮物は1部の濃縮物に対して約3部の水で再構成される。いったん再構成されると、搾汁は、出発原料中に存在していることもある何らかの酵母菌による発酵を、より受けやすいことがある。搾汁は、後続のすべての液状物処理工程全体にわたって低い固形分レベルに保持されるので、該搾汁は製造工程の開始時点から微生物に対する安定性を高めるために任意的に直ちに低温殺菌してもよい。搾汁または抽出物は、当該技術分野で公知の方法に従って低温殺菌されることができる。1つの非限定的実施態様に従うと、搾汁または抽出物は約30秒間約185°F(85℃)まで加熱され、次に直ちに約55°F(12.8℃)まで冷却されることによって低温殺菌される。搾汁または抽出物は典型的には、低温殺菌されてジャケット付き槽に入れられ、これは後続の膜ろ過のための供給槽となるが、常にそうされるわけではない。製造工程で使用されるすべての槽は、たとえば、食品等級のプロピレングリコールを冷媒として使用するジャケット付きおよび/または温度制御されたものであることができる。
【0028】
搾汁/抽出物は次に精製される(工程200)。糖および有機酸と比較して顔料濃度を増加することによって、色素を高濃度化された液状物は、適切な乾燥条件の下で、優れた特性、たとえば優れた取り扱い性を備えた結晶質形態に効率的に変換されることができる。
【0029】
搾汁/抽出物は、当該技術分野で公知の任意の適当な方法によって精製されることができる。1つの好ましい実施態様では、精製工程200は、ポリマー膜を通す限外ろ過および透析ろ過を使用して達成される。限外ろ過(および後続の透析ろ過による繰り返し)は、顔料、たとえばアントシアニン顔料またはカロテノイド顔料が濃縮されるとともに、同時に、より容易に同膜を透過する糖および酸の量が低減したろ過残分を生成する。糖を除くと、乾燥重量基準で色素濃度または色強度が増加するとともに、当該産業で知られている他の着色剤と比較して優れた保存および取り扱い特性を備えた製品が生成される。色素を精製する他の方法は、以下のものに限定されることなく、吸着剤樹脂を用いたカラムクロマトグラフィー、発酵および抽出を含み、該抽出はまた、以下のものに限定されることなく、亜臨界流体抽出、超臨界流体抽出および/または溶媒抽出を含む。
【0030】
膜分離を使用する顔料精製の場合、糖および有機酸分の低い精製された顔料は、蒸発を使用して水を除去することによって濃縮される(工程300)。膜分離プロセスによっては、精製された製品を濃縮しないで直ちに乾燥することが可能であることもある。適当な組成および固形物含有量の液状物が調製されると、この液状物は、上記した形態および特性を備えた製品を製造するのに有効である適当な条件下に乾燥される(工程400)。これらの条件は、色素化合物への重大な熱的損傷を避けながら、固形分の結晶化を達成するのに適した水除去速度を可能にする。
【0031】
図2は、1つの実施態様に従って、限外ろ過および透析ろ過を使用して、ろ過残分から天然の糖および他の低分子量の溶解している固形物、たとえば有機酸を除去して、着色顔料を精製する典型的なプロセスを示す。この実施態様では、膜装置への供給原料100は、約40°ブリックス未満の、好ましくは約12~22°ブリックスの、好ましくは果物または野菜の搾汁/抽出物である。1つの実施態様では、膜装置203は、当該技術分野で公知のポリマー膜を含む。1つの実施態様で使用される膜装置203は、約5,000~10,000ダルトンの範囲の分画分子量を有するポリエーテルスルホン(PES)、たとえばKoch Membrane Systems社またはHydranautics社によって製造されたものから構成される。このタイプの膜は、高濃度にされた糖および酸を含んでいる透過物流205、ならびに糖および酸の濃度と比較してさらに高濃度にされた顔料化合物、たとえばアントシアニンおよびポリフェノールを含んでいるろ過残分流204を生成するのに適した排除特性を提供する。別の典型的な実施態様では、約5,000ダルトンの名目分画分子量を有するPESスパイラル限外ろ過膜装置が使用される。限外ろ過202は、膜への損傷を回避し、十分なクロスフローを提供する、膜製造業者によって規定された任意の操作温度および圧力の範囲にわたって実施されることができる。しかし、この実施態様では、温度を約70°F(21.1℃)未満、またはより好ましくは約40°F(4.4℃)未満に保つと、顔料の色の劣化速度を遅くすることによって製品品質が維持される。膜装置203からのろ過残分204は、供給原料槽201に戻され、限界粘度および流束に到達するまで、典型的には約20~25重量%のろ過残分固形分濃度に到達するまで、限外ろ過膜202を通して再循環される。さらに、ろ過残分206に水を加え、限界固形分濃度になるまで膜203を通して循環して再度濃縮することによって、さらなる精製を継続することができる。ろ過残分中に所望の顔料純度が達成されるまで、透析ろ過206の一連操作が繰り返される。1つの実施態様に従うと、ろ過残分は、乾燥重量基準で約3,000色度の、ベースの抽出物/搾汁と比較して、乾燥重量基準で約45,000色度超の顔料濃度を有する。
【0032】
透析ろ過工程は、膜装置を出て行く透過物205の速度とほぼ等しい速度で水206を加えることによって修正されることができ、それによって所望のろ過残分組成が達成されるまで連続的な透析ろ過が実施される。
【0033】
各濃縮操作の後、ろ過残分のサンプルは、乾燥重量基準で残留糖分および色強度(色強度は、液状物÷固形分重量パーセントで表される。)について分析されることができる。ろ過残分が、乾燥基準で所望の規格内の製品を製造している色強度に到達すれば、この製品は濃縮された製品300である。このプロセスへの供給原料の組成の自然な変動の故に、要求される透析ろ過の量は変動することがあり、典型的には約2~4回の透析ろ過量である。
【0034】
バッチサイズの非限定的例として、5,000ガロン(18.9キロリットル)の供給原料槽分の、再構成され低温殺菌された約18~20°ブリックスの搾汁が膜装置を通して循環され、該供給原料槽が約30°ブリックスの固形分レベル(このレベルにおいて、流束の減少のためにさらなる濃縮は通常妨げられる。)に到達するまで、ろ過残分が該槽にリサイクルされる。これによって、供給原料液状物の体積は約4分の1に減少する結果となり、約1,500ガロン(5.7キロリットル)のろ過残分が残る。この最初の濃縮は、顔料、たとえばアントシアニン顔料分子と糖との比を、目標とされる色強度を達成するのに十分なほどには増加させないことがあるので、ろ過残分は数回の透析ろ過を受けて、十分な溶解された固形物の組成に到達することができる。1つの実施態様に従うと、各透析ろ過について、ろ過残分は水と濃縮物との1:1の体積比の水で再構成され、約3,000ガロン(11.4キロリットル)の再構成された物質が膜装置を通して循環され、約1,500ガロンの元のろ過残分の体積まで濃縮されて戻される。
【0035】
非限定的な実施態様では、限外ろ過および透析ろ過の工程の全体にわたって、透過物は膜スキッドに付帯された小さなサージタンクを通って、プラント地下室にある2万ガロン(75.7キロリットル)の透過物蓄積槽にポンプで抜き出されることもでき、そこで該透過物は濃縮され、濃縮ブレンド物に使用される。
【0036】
顔料と糖との割合を調整することによって乾燥重量基準で所望の色強度を達成すると、膜による処理は終了し、ろ過残分液状物は、固形分の組成を調整することなくさらに固形分が濃縮されることができる。
【0037】
顔料の精製は、吸着樹脂分離技術を使用して実施されることもできる。この実施態様では、
図5に示されたように、水ベースの果物または野菜の搾汁/抽出物100(供給原料液状物501)は、吸着剤樹脂の充填床502を通される。顔料化合物は、他の溶解された固形物、たとえば糖および酸503に対して優先的に該樹脂に吸着される。吸着された顔料はその後、変動する組成のエタノール/水溶離剤508を使用して該樹脂から回収される。精製された、顔料に富んだ溶離液504は、蒸留されて(505)、エタノール507が回収される。アルコールを含んでいない高純度の顔料506は、
図3に示されたプロセスに従って濃縮される。
【0038】
別の実施態様では、顔料の精製は、遊離の糖をアルコールに変換する発酵を使用し、それに続いて慣用の蒸留法を使用してこのアルコールを回収して実施されることができる。
図6に示されたこの実施態様では、果物/野菜の搾汁/抽出物100(供給原料液状物601)からの果物/野菜の糖は、適当な発酵槽602の中で適切な温度(約50°F(10℃)~100°F(37.8℃))で活性酵母603を使用してアルコールに発酵される。当業者に知られているように、他の温度範囲が発酵に適していることもあることは理解されるだろう。約8~25パーセントのアルコールから成る発酵副生物604は、蒸留されて(605)エタノール607が回収され、精製された着色顔料606が残される。アルコールを含んでいない液状物は続いて、
図3に概略的に示された方法に従って水を除去することによって濃縮される。
【0039】
さらに別の実施態様では、顔料の精製は、超臨界流体法または溶媒-溶媒抽出法を使用して実施される。
図7に示されたこの実施態様では、水ベースの果物/野菜の搾汁/抽出物100(供給原料液状物701)は、色素化合物を優先的に吸収する無極性で、水と非混和性の抽出液体(たとえば、ヘキサン)、すなわち溶媒702と接触される。この吸収プロセスが繰り返されて、色素化合物に富んだ抽出画分705ならびに炭水化物および/または他の非色素成分に富んだ画分704が製造される。バッチまたは連続の抽出槽703が使用されて該色素を回収および濃縮することができる。抽出溶媒705は、その後蒸留されて(706)、再使用のために溶媒708が回収され、溶媒を含んでいない、顔料に富んだ水ベースの液状物707が製造され、これは続いて
図3に概略的に示された方法に従って水を除去することによって濃縮される。
【0040】
図3は、典型的な実施態様において、リフラクティブウィンドウ乾燥機を使用して、精製された色素液状物を濃縮し(300)、乾燥する(400)典型的なプロセスを示す。乾燥された結晶質物質は、次に粉砕されて(500)、ひとまとまりの粒子サイズ範囲を有する粉状形態物が製造される。精製された液状物が、膜ろ過技術、たとえば限外ろ過/透析ろ過、吸着樹脂、発酵、溶媒抽出および/または超臨界流体抽出の技術を使用して製造されることができる。精製された液状物中の固形分含有量に応じて、乾燥に先立って固形分を20~35重量%まで濃縮することが必要になることがある。
【0041】
精製された液状色素の濃縮(300)は、1つの実施態様では、前の工程からの最終ろ過残分を流下膜式蒸発器に供給することによって実施されてもよい。他のタイプの蒸発器、たとえば強制循環式蒸発器またはプレート式蒸発器が使用されることもできる。
【0042】
1つの非限定的実施態様では、ろ過残分は乾燥の前に流下膜式蒸発器で濃縮される。1つの典型的な流下膜式蒸発器は、小型の(単効用型の)流下膜式蒸発器である。流下膜式蒸発器を使用する1つの実施態様では、約15~20重量%の最終固形物含有量および約25~30°ブリックスのろ過残分は、供給原料槽の固形物濃度が約25~30重量%固形分または約40~45°ブリックスに達するまで蒸発器中を循環される。この濃縮度は、1つの実施態様に従うと、およそ45%の体積減少をもたらし、およそ12時間かかる。
得られた液状物はこれで、乾燥のための、たとえばリフラクティブウィンドウ乾燥機による乾燥のための供給原料物質としての準備が整う。この液状物は、損傷を受けずに貯蔵されることができ、また必要に応じて小量単位で輸送されることができるように、さらに低温殺菌され、運搬できる金属缶に詰められることもできる。
【0043】
乾燥機に供給された最終濃縮液状物は、まだ濃縮物の長期保存安定性の固形分濃度(これは68°ブリックス超までの濃度が要求されることがある。)になっていないことがあり、また乾燥の実施態様の中には約9~12ガロン(34.1~45.4リットル)毎時の速度で乾燥機に供給されることがあるので、液状物の処理の最後に、任意的に追加される低温殺菌工程を必須のものとしてもよい。この低温殺菌工程は、液状物が貯蔵されおよび/または乾燥機に徐々に供給される前の処理の間に導入されてしまうことがある何らかの酵母菌を殺菌することができる。当該技術分野で知られた任意の低温殺菌方法が使用されることができる。低温殺菌の典型的な方法は、液状物を約30秒間約185°F(85℃)で加熱し、該液状物を約55°F(12.8℃)まで冷却してサージタンクに入れることを含む。このサージタンクから、液状物はバレル充填機に速やかにポンプ輸送されることでき、そこで該液状物は、バレル(たとえば、54ガロン(204リットル)のドラム缶)の内側を裏打ちするバッグの中に空気に触れることなく注入される。1つの実施態様に従うと、仕上げられた液状供給原料のバレルは、およそ40~50° F(4.4~10℃)で貯蔵される。このバレルは、乾燥機に(1パレットに4個までの)一組で運ばれることができ、そこで一度に1個づつ徐々に消費される。
【0044】
天然顔料を精製すると、最終乾燥製品が、優れた長期保存安定性ならびに取り扱い特性、たとえば密度、流れ性、水への分散性および吸湿性を示すことを確実にする。精製された色素抽出物は、改善された乾燥性を有し、従って様々な標準的な乾燥技術、たとえばスプレー乾燥、ドラム乾燥、ベルト乾燥および大気圧/真空トレー乾燥を使用して乾燥されることができる。これらの技術は、顔料を過度の高温度または滞留時間に付して、色の劣化および/または感覚への有害な影響をもたらすことがある。これらの乾燥技術はまた、様々な結晶質のモルホロジー(形態)およびそれに伴う品質の差異または物質の取り扱い特性の差異をもたらすことがある。優れた品質、取り扱いおよび/または溶解特性を有する結晶質製品を製造するためには、色素濃縮物は、リフラクティブ乾燥および凍結乾燥の場合のように、ゆっくりと乾燥されて、在り得る残留する糖の結晶化を含めて大きな結晶格子の形成が可能となるようにしなければならない。1つの実施態様では、本発明の方法は、有効な乾燥のための温度要件および高温度への曝露時間を有意に低減するリフラクティブウィンドウ乾燥機を使用する。対照的に、スプレー乾燥およびドラム乾燥は、より高い温度で操作され非常に短い時間で乾燥を行って、成分を非晶質の状態にしてしまう。凍結乾燥も、原材料物質が乾燥前に精製されることを条件に、大きな結晶格子を形成するために使用されることができる。
【0045】
濃縮の後、液状物は乾燥されて結晶質の固形顔料が製造される。1つの実施態様では、
図3に示されたように、液状物は次にリフラクティブウィンドウ乾燥機400にかけられることができ、ほとんどの残留水が除去され、約8%未満の水分の結晶質固形分が製造される。乾燥機400は、典型的にはステンレス鋼から形成された長いトンネルを含んでいる。液状製品は、薄いプラスチックコンベヤーベルト403の上表面全体にわたって広げられた薄層としてトンネルを通過する。この乾燥法では、1つの実施態様では、熱水が該コンベヤーベルトの下の浅い加熱トレーの中を循環し、液状物層を加熱する。熱水からの熱エネルギーは、コンベヤーベルトを通して伝導および輻射によって伝達される。1つの実施態様では、熱水は約210° F(98.9℃)までの温度である。熱水は液状物層を所望の温度まで加熱するのに適した任意の温度でよいことは理解されるだろう。送風機が、薄層表面から水蒸気を連続的に吹き飛ばして、水の蒸発速度を最大限にする。蒸発冷却とプラスチックベルトの限定された熱伝導との組み合わせは、薄い液状物層が加熱トレー中の熱水の温度に達するのを防ぎ、さもないと、該熱水温度は製品品質に悪い影響を与えることがある。製品は、乾燥された固形製品層としてトンネルから出ていき、該製品層は乾燥機の末端でベルトに接して設置された鋭利なプラスチック刃によって切除されることができる。この刃と接触することによって乾燥製品の層は切断されて様々なサイズの薄い結晶質の小片とされる。
【0046】
固形製品は、シート、フレークまたは様々な粒子サイズの顆粒と形容されることができる形態で乾燥機を出ていく。これらの粒子はその後、篩分ミル500または他の適当な粒子サイズ低減装置、たとえばインパクトミルを通して粉砕されて、所望のサイズ範囲の粒子を製造することができる。この所望の粒子サイズ範囲は、具体的な工業用途によって決められることができる。顔料が食品着色剤として製造される実施態様では、所望の粒子サイズは、取り扱い特性を最適化しかつ嵩密度を標準化する目的のために、約50~425μmの間に全粒子サイズの約90%以上があることから成る。他の実施態様では、全粒子サイズの約90%は、約100~200μmより小さい、約100~250μmより小さい、約100~300μmより小さい、約100~400μmより小さい、約200~250μmより小さい、約200~300μmより小さい、約250~300μmより小さい、約200~400μmより小さいまたは約250~400μmより小さい。
【0047】
1つの実施態様では、濃縮された液状供給原料物質300は、乾燥機、たとえばリフラクティブウィンドウ乾燥機を通され、水が除去されて約8重量%未満の水分の結晶質固形物が製造される。他の実施態様では、結晶質固形物は約5~10重量%未満の水分を有する。
【0048】
1つの非限定的実施態様では、本開示発明は、赤ブドウ搾汁濃縮物および紫ニンジン搾汁濃縮物からつくられた独特の乾燥色素に関する。特定の実施態様は、少なくとも約40,000色度を有するブドウからの結晶質赤色着色剤である。他の実施態様では、該結晶質赤色着色剤は、約40,000~55,000色度、約42,000~55,000色度、約45,000~55,000色度、約40,000~50,000色度または約42,000~50,000色度、約45,000~50,000色度を有する。さらなる実施態様では、該結晶質赤色着色剤は、約40,000超の色度、約42,000超の色度、約45,000超の色度、約50,000超の色度または約55,000超の色度を有する。別の特定の実施態様は、少なくとも約90,000色度を有するニンジンからの結晶質紫色着色剤である。他の実施態様では、該結晶質紫色着色剤は、約85,000~130,000色度、約85,000~125,000色度、約90,000~130,000色度、約90,000~125,000色度、約95,000~130,000色度、約95,000~125,000色度、約100,000~130,000色または約100,000~125,000色を有する。さらなる実施態様では、該結晶質紫色着色剤は、85,000超の色度、90,000超の色度、95,000超の色度、100,000超の色度、125,000超の色度または130,000超の色度を有する。
【0049】
図4Aおよび
図4Bは、それぞれ典型的なリフラクティブウィンドウ乾燥機400の側面図および断面図を示す。乾燥機400は、典型的にはステンレス鋼から形成され、水の急速な蒸発に適した長いトンネル401を含む。液状製品は、薄いプラスチックコンベヤーベルト403の上表面全体に広げられた薄層402としてトンネル401を通過する。
【0050】
1つの非限定的実施態様では、液状着色剤は、供給原料バレル中に挿入された吸引ホースを備えた空気ポンプを使用してベルトに施与される。該空気ポンプは、液状物を該バレルからフィルター、たとえば75ミクロンのインラインフィルターを通してポンプ吸引し、小型供給原料バランスタンクに入れる。該空気ポンプは、典型的にはこの供給原料バランスタンクのレベルによって制御される。(1つまたは複数の)供給原料吐出口の弁は、施与機のトレー上に製品を流して、ベルトの移動表面上に薄層を形成する。
【0051】
熱水が、1つの実施態様に従って、コンベヤーベルト403の下の浅い加熱トレー404の中を循環し、液状物層402を加熱する。熱水からの熱エネルギーが、コンベヤーベルト403を通して伝導および輻射によって伝達される。1つの実施態様では、熱水は約210°Fまでの温度である。熱水は液状物層402を所望の温度まで加熱するのに適した任意の温度でよいことは理解されるだろう。
【0052】
送風機が、薄層表面402から水蒸気を連続的に吹き飛ばして、水の蒸発速度を最大限にする。蒸発冷却とプラスチックベルトの限定された熱伝導との組み合わせは、薄い液状物層表面402が加熱トレー404中の熱水の温度に達するのを防ぎ、さもないと、該熱水温度は製品品質に悪い影響を与えることがある。
【0053】
製品は、乾燥された固形製品層405としてトンネル401から出ていき、該製品層は乾燥機のブルノーズ端でベルト403に接して設置された鋭利なプラスチック刃406によって切除されることができる。この刃と接触することによって乾燥製品の層は切断されて様々なサイズの結晶質の薄い小片になる。1つの実施態様では、結晶質製品はベルトの端部から落とされて収集される。1つの実施態様では、プラスチックバレルの内側に張られ、取り外しできるステンレス鋼のフレームに支持されたプラスチック袋が配置されて、ベルトから結晶質製品が収集される。
【0054】
軟水が、ベルトの下の加熱トレーの水として使用されて、ステンレス鋼に染みを付け沈着物を付着させることを避けることもできる。該水は、典型的にはベルトの下のタンクに保持される。1つの実施態様では、各タンクは熱交換器に接続され、水が該熱交換器を循環し、該熱交換器は調節可能な設定点温度に到達しそれを維持するためにスチームを使用する。
【0055】
別の実施態様では、精製された液状濃縮物は、真空凍結乾燥法を使用して乾燥されて、優れた色安定性および/または色素の取り扱い特性を示す大結晶構造を有する乾燥された粉体が製造される。
図8に示されたこの実施態様では、精製された液状物は、凍結乾燥器801の真空槽に置かれる。トレー内の液状物が凍結されるまで、空気および水蒸気が真空下の該槽から除去される。凍結されたトレーは次に、トレーを真空下に保持したまま、外部源(すなわち、スチーム、熱水、電気)を使用して間接的に加熱される。残留水分は、水分量が約7パーセント未満になるまで、凍結された物質から昇華される。この水の昇華工程は、顔料の含水量および組成に応じて、約40℃~100℃の範囲のプレート温度で約8~24時間実施される。水が昇華し終わると、トレーは真空槽から取り出され、乾燥した結晶が様々なサイズの顆粒として回収される。該顆粒は、篩分ミル802または当該技術分野で知られた他のサイズ低減装置、たとえばインパクトミルで粉砕されて、所望のサイズ範囲の粒子803が製造される。この粉砕工程は、よりよい貯蔵および/または出荷効率のために、より一まとまりになった粒子サイズおよびより高い充填密度を生み出す。
結晶質着色剤/顔料
【0056】
別の側面では、結晶質の顔料または着色剤が記載される。好ましくは、結晶質の顔料または着色剤は、天然の植物または藻類源から誘導される。精製技術と乾燥との新規な組み合わせは、色度が高くおよび/または糖分が低い独特の天然着色剤を製造し、これは優れた長期保存安定性および/または取り扱い特性、たとえば密度、流れ性、水への分散性および/またはより小さい吸湿特性を示す。というわけで、本発明の結晶質の顔料または着色剤は、乾燥天然着色剤を使用するときに当該産業がこれまで取り組んできたいくつかの基本的問題点を克服する。
【0057】
いくつかの実施態様では、本発明の結晶質顔料の誘導物および/または変性が検討される。変性は共色素沈着、鹸化、錯化および/または剥離を含むが、これらに限定されない。
本発明の顔料は変性されることができ、それから色素組成物中に配合されることができる。
【0058】
図9A~9Dに示されたように、本発明の結晶質顔料は非晶質ではなく結晶質である。本発明の天然乾燥着色剤はスプレー乾燥されたものではなく、したがって本来的に低嵩密度の非晶質ではなく、乾燥することを可能にしまたは吸湿性をより小さくするための添加物を必要としない。そうではなく、本発明の天然乾燥着色剤は、より穏やかな乾燥技術を使用して、たとえば以下のものに限定されることなく、リフラクティブウィンドウ乾燥機または凍結乾燥器を使用して乾燥される。
【0059】
本発明の結晶質の着色剤または顔料は、所望の顔料を産生する任意の適当な植物または藻類から製造されることができる。いくつかの実施態様では、該顔料は、アントシアニン、カロテノイド、クルクミン、ベタレイン、カルミン酸および誘導体ならびに/またはクロロフィルおよび誘導体から成る。カロテノイドは、β-カロチン、α-カロチン、アポカロテナール、リコピン、ビキシン、ノルビキシン、カンタキサンチンおよびゼアキサンチンを含むが、これらに限定されない。クロロフィルおよびクロロフィリンの誘導体は、銅錯体を含むが、これに限定されない。別の非限定的な実施態様では、本発明の顔料は金属イオン、たとえば銅イオンで錯化されることができるが、銅イオンに限定されない。いくつかの非限定的な実施態様では、本発明の結晶質の着色剤または顔料はブドウまたはニンジンから得られる。顔料組成物が1つ以上の結晶質顔料を含んでいてもよいことは理解されるだろう。
【0060】
本発明の精製された天然の乾燥着色剤は、非吸湿性である結晶質の色素をもたらす、より穏やかな乾燥技術を使用して製造される。この精製された結晶質の色素は、その吸湿性の故に優れた分散性および溶解特性を有し、溶解特性を改善するための凝集化および顆粒化を必要としない。
【0061】
果物および野菜の顔料搾汁および抽出物を精製する場合、1つの実施態様に従うと、糖成分の組成は乾燥重量基準で約70%~95%から乾燥基準で約10~20%まで低減される。他の実施態様では、糖成分は乾燥基準で10%未満まで、15%未満まで、20%未満まで、15~20%まで、10~15%まで低減される。さらなる実施態様では、本明細書に記載された結晶質顔料は乾燥基準で約5~20%の全糖分を有する。他の実施態様では、結晶質顔料は、乾燥基準で約5~10%の全糖分、乾燥基準で約5~15%の全糖分、乾燥基準で約10~20%の全糖分、乾燥基準で約10~15%の全糖分、または乾燥基準で約15~20%の全糖分を有する。1つの実施態様に従うと、全乾燥固形物に対して糖の濃度を低減することはまた、顔料となる部分を乾燥重量基準で元の濃度の約7~15倍まで濃縮する。いくつかの実施態様では、顔料となる部分は、乾燥重量基準で元の濃度の7~10倍または10~15倍まで濃縮される。着色剤を精製するためのいくつかの手法、たとえば限外ろ過/透析ろ過、吸着樹脂、溶媒抽出、発酵、超臨界流体または亜臨界流体抽出法がある。
【0062】
上記のように、本発明の結晶質着色剤または顔料は色強度が高い。表1は、精製されたブドウおよびニンジン顔料の色強度を標準的な糖ベースの天然色素と対照して示す。表1の色強度の測定は次のとおりである。
【0063】
表1に示されたように、未精製の果物および野菜の搾汁濃縮物の典型的な色強度は2,000~12,000色度である。精製された顔料は、ブドウアントシアニンの場合約40,000~55,000色度および紫ニンジンアントシアニンの場合約90,000~125,000色度の色強度を示す。1つの実施態様では、精製された顔料は、ブドウアントシアニンの場合約40,000色度超の色強度を有する。別の実施態様では、精製された顔料は、紫ニンジンアントシアニンの場合約90,000色度超の色強度を有する。1つの実施態様では、明度(color value)は次のものと等しい。
【0064】
さらなる実施態様では、精製された顔料は、粗搾汁および/または未精製顔料もしくは顔料組成物と比較して増加した色強度を示す。非限定的実施態様では、増加した色強度とは、少なくとも約5~200%の色強度の増加を言う。さらなる実施態様では、増加した色強度とは、少なくとも約5%、10%、20%、25%、50%、75%、100%、150%、200%またはそれより大きい色強度の増加を言う。
【0065】
残留糖分および色強度の値の範囲が、例示の目的のみのために提供され、これは膜精製プロセスを使用して達成可能な名目上の精製レベルを表す。追加的なまたは異なる種類の膜ろ過および/または異なる精製プロセス、たとえば発酵、吸着樹脂および溶媒抽出を使用すると、(1パーセント未満までの)より低い残留糖分レベルも可能である。
【0066】
表1:抽出物、精製濃縮物および精製粉体の精製顔料色強度
【表1】
【0067】
表1からわかるように、精製された顔料粉体は、粗果物抽出物/濃縮物と比較して有意に増加した色強度を有していた。また、表1からわかるように、精製された顔料粉体は、粗果物抽出物/濃縮物と比較して低減された糖含有量を有していた。ブドウ顔料は、粗果物抽出物/濃縮物よりも少なくとも4倍少ない糖分を有し、また、ニンジン顔料は、少なくとも2.8倍少ない糖分を有していた。精製された結晶赤ブドウ顔料は、未精製ブドウ搾汁濃縮物よりも乾燥基準で13~17倍強い色強度を有していた。精製された結晶紫ニンジン顔料は、未精製ニンジン搾汁濃縮物よりも乾燥基準で6~9倍強い色強度を有していた。いくつかの実施態様では、精製された結晶顔料は、未精製搾汁濃縮物と比較して乾燥基準で5~20倍強い色強度を有する。さらなる実施態様では、精製された結晶顔料は、未精製搾汁濃縮物と比較して乾燥基準で5~10倍、5~15倍または10~20倍強い色強度を有する。
【0068】
表1に示されたデータは、天然顔料を精製するために膜ろ過を使用することを反映している。膜ろ過に本来的に付随することは、要求された透析ろ過の量に基づいた糖含有量の実用的下限があること、および透析ろ過を増加すると精製された色素の収率が減少することである。他の精製方法、たとえば発酵または吸着樹脂法は、より低い糖含有量、したがってより高い相対精製度を達成する可能性を潜在的に有する。より低い糖含有量およびより高い色素純度が、他の精製方法を用いて得られることがあることは理解されるだろう。
【0069】
表2は、同一の精製されたブドウアントシアニン顔料から製造され、リフラクティブウィンドウ乾燥、凍結乾燥およびスプレー乾燥された粉体の間の物理的特性の差をまとめている。そこに示されたように、リフラクティブウィンドウ乾燥および凍結乾燥によって乾燥された結晶は、スプレー乾燥された粉体と比較して、顕著に異なる顕微鏡画像、粒子サイズ分布および粒子密度を示す。
【0070】
表2:精製されたブドウ顔料の物理的特性
【表2】
10.5バールの分散圧力
2用語D10、D50およびD90は、それぞれサンプルの10%、50%および90%の粒子がそのサイズより小さいことを言う。
注:リフラクティブウィンドウ乾燥およびスプレー乾燥で乾燥された製品の含水率は、それぞれ3.0%および3.5%であった。
【0071】
図9A~9Bおよび10A~10Bからわかるように、リフラクティブウィンドウ乾燥または凍結乾燥された粉体は、ガラス状で、角張った結晶を示し、スプレー乾燥された粉体と比較して相対的にゆっくりとした結晶成長を反映している。リフラクティブウィンドウ結晶はさらに、基本結晶構造の内部に微小孔を示す(
図10A)。リフラクティブウィンドウ乾燥または凍結乾燥された結晶の角張った、ガラス状の形態は、以下でさらに検討されるように、優れた物理的特性および流れ特性を与える。
【0072】
対照的に、スプレー乾燥された粉体は球形で、ガラス状である(
図9Cおよび10C)。
【0073】
リフラクティブウィンドウ乾燥または凍結乾燥された粉体の結晶サイズは、同一の精製されたブドウ顔料から製造されスプレー乾燥された粉体よりもおよそ7倍大きい。リフラクティブウィンドウ乾燥または凍結乾燥された粉体結晶の90パーセントは、直径が277~287μm未満であったが、他方、スプレー乾燥された粒子の90パーセントは直径が38μm未満である。これらの、より大きな平均粒子サイズの結果として、リフラクティブウィンドウ乾燥または凍結乾燥によって製造された結晶質粉体は、同等のスプレー乾燥された粉体と比較したときに、取り扱い時の粉塵がより少ないことを示し、このことは、製造の環境中において空気で運ばれる製品ロスがより少なく、およびよりクリーンでより安全な使用をもたらす。
【0074】
リフラクティブウィンドウ乾燥または凍結乾燥された粉体の粒子密度は、スプレー乾燥された粉体の値よりも50パーセント大きい、すなわち1.5グラム/cm3対0.9グラム/cm3である。
【0075】
表3は、リフラクティブウィンドウ乾燥法または噴霧乾燥法を使用して乾燥された、精製ブドウアントシアニン顔料についてのパウダー流れ特性をまとめている。そこに示されたように、リフラクティブウィンドウ乾燥を使用して製造された精製粉体は、スプレー乾燥された同等物と比較して、粘着性がより少なく、より低い壁面摩擦およびより高い空気透過性を示す。これらの性質は、ホッパー出口要件がより小さく、ホッパー角度要件がより緩やかな傾斜で、および定常状態排出流量がより高いことをそれぞれもたらす。
【0076】
表3:精製されたブドウ顔料の流れ特性
【表3】
1凝集アーチは、質量流れ容器内でアーチを形成しない最小出口直径である。 より小さいアーチサイズは、同じ出口サイズにおいて、より大きい通過量およびより大きい機器設計の自由度を可能にする。
2壁面摩擦は定常流を維持するのに必要な最大質量流れ角度である。 より大きい角度は、より大きい機器設計の自由度を可能にする。
3透過性は、詰まることなく流れを保持することができる臨界質量流量を測定する。
【0077】
凝集力は、粉体がラットホールおよび凝集アーチを形成する傾向を測定する。凝集アーチの測定は、詰まることなく定常状態流を保持するのに必要な最小ホッパー出口サイズを決定する。より小さい輸送管および混合装置で済むので、より小さい最小出口直径が好まれる。リフラクティブウィンドウ乾燥を使用して製造された精製ブドウ顔料粉体は、直径9cmという小ささの円錐形状の出口内で定常流を保持することができる。スプレー乾燥器を使用して製造された、この同じ精製顔料は、定常流を保持するために55cmという大きさの円錐直径が必要であり、ほぼ6倍大きい。
【0078】
壁面摩擦角度は、ホッパーからの排出または管内流に対する粉体の抵抗性および詰まり易さの別の測定尺度である。より大きな角度は優れた流れ性を示す。というのは、垂直方向からかなりずれたホッパー壁面でも質量流が生じることができ、それによって、所与の流量を達成するのに必要なスペース面積が低減されるからである。リフラクティブウィンドウ乾燥を使用して製造された精製粉体は円錐形ホッパーの壁面摩擦角度として18度を有し、これはスプレー乾燥を使用して製造され、同じ出口サイズ、壁面材料および表面仕上げに付された精製粉体の11度と比較される。
【0079】
粉体透過性は定常状態流特性と相関し、透過性が高いほど定常流を保持することができる。高い空気透過性を備えた粉体は、その形状を保持しかつ制限された開口部を通過する高い流量を保持するが、他方、低い透過性の粉体は、空気と相互作用する故に排出速度が制限される問題を生じる。流れ特性は、一定の開口部を通過する粉体の定常状態流を測定することによって定量化される。リフラクティブウィンドウ乾燥を使用して製造された精製粉体は直径2フィートの円錐状開口部を通って、スプレー乾燥を使用して製造された精製粉体の場合のわずか8kg/分と比較して、700kg/分に近い定常状態流を保持することができる。精製されたブドウ顔料について上に述べたのと同様の高められた流れ特性が、同じ精製プロセスを使用して精製され凍結乾燥を使用して乾燥された他の精製天然顔料についても当てはまると予想される。
【0080】
いくつかの実施態様では、本発明の顔料または着色剤は組成物として処方される。該顔料または着色剤は、水性の溶液、乳化物、懸濁物および/または分散物として処方されてもよい。該顔料または着色剤の組成物は、色を加えるまたは高める任意の適当な状況のために検討される。いくつかの実施態様では、この顔料または着色剤の組成物は、食物、薬剤および/または化粧の各用途に使用される。
実施例
【0081】
以下の実施例は例示を目的とするものであり、本発明を限定する意図は全くないものである。
【実施例0082】
結晶質着色剤の形成
【0083】
赤ブドウ搾汁濃縮物および紫ニンジン搾汁濃縮物が、約18~22°ブリックスまで別々に再構成された。
【0084】
赤ブドウ搾汁濃縮物および紫ニンジン濃縮搾汁が、PES膜装置を通す限外ろ過および透析ろ過によって別々に精製された。
【0085】
精製された赤ブドウ搾汁濃縮物および紫ニンジン搾汁濃縮物が、流下膜式蒸発器を使用して別々に濃縮され、それからリフラクティブウィンドウ乾燥機を使用して乾燥された。精製データが測定され、その結果が表5に示される。
【0086】
【0087】
多くの典型的な側面および実施態様がここまで検討されてきたが、当業者は何らかの変形、置換、追加およびこれらの副次的組み合わせを認識できるだろう。したがって、以下に添付された特許請求の範囲および今後導入される特許請求の範囲の請求項はすべてのこのような変形、置換、追加および副次的組み合わせを包含し、それらは該特許請求の範囲の請求項の真の精神および範囲内にあると解釈されることが意図されている。
前記液体供給原料を前記施与機トレー上に流して、前記ベルトの移動表面上に前記液体供給原料の薄層を形成する1つ以上の供給原料吐出口の弁をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
前記液体供給原料が、アントシアニン、カロテノイド、ベタレイン、クルクミン、カルミン酸、カルミン酸誘導体、クロロフィルおよびクロロフィル誘導体から成る群から選択された顔料を含む、請求項1に記載のシステム。