IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ノーリツの特許一覧

<>
  • 特開-浴室殺菌洗浄システム 図1
  • 特開-浴室殺菌洗浄システム 図2
  • 特開-浴室殺菌洗浄システム 図3
  • 特開-浴室殺菌洗浄システム 図4
  • 特開-浴室殺菌洗浄システム 図5
  • 特開-浴室殺菌洗浄システム 図6
  • 特開-浴室殺菌洗浄システム 図7
  • 特開-浴室殺菌洗浄システム 図8
  • 特開-浴室殺菌洗浄システム 図9
  • 特開-浴室殺菌洗浄システム 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024002325
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】浴室殺菌洗浄システム
(51)【国際特許分類】
   A61L 2/18 20060101AFI20231228BHJP
   A47K 4/00 20060101ALI20231228BHJP
   A61L 101/10 20060101ALN20231228BHJP
【FI】
A61L2/18 100
A47K4/00
A61L101:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022101442
(22)【出願日】2022-06-23
(71)【出願人】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100120514
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 雅人
(72)【発明者】
【氏名】中川 靖
【テーマコード(参考)】
2D132
4C058
【Fターム(参考)】
2D132GA00
2D132GA02
2D132GA03
4C058AA07
4C058BB07
4C058CC03
4C058CC07
4C058DD16
4C058JJ07
4C058JJ24
(57)【要約】
【課題】浴室のオゾンガス濃度が過度に高くなることを防止しつつ、オゾン水を利用した浴室の殺菌洗浄を効率よく適切に行なうことが可能な浴室殺菌洗浄システムを提供する。
【解決手段】浴室1への送風が可能な送風装置30と、浴室の空気を外部に排気して浴室1の換気が可能な換気装置32と、浴室1の殺菌洗浄処理を行なうべく浴室1へのオゾン水噴霧動作が可能なオゾン水噴霧装置4と、を備えている、浴室殺菌洗浄システムSYであって、浴室1の殺菌洗浄処理が行なわれる場合には、浴室1へのオゾン水噴霧動作は、インターバル期間Pbを挟んで複数回に分けられて実行されるとともに、複数回のオゾン水噴霧動作の各期間中は、送風および換気が停止されている一方、インターバル期間Pb中は、送風および換気が実行される。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴室への送風が可能な送風装置と、
前記浴室の空気を外部に排気して前記浴室の換気が可能な換気装置と、
前記浴室の殺菌洗浄処理を行なうべく前記浴室へのオゾン水噴霧動作が可能なオゾン水噴霧装置と、
を備えている、浴室殺菌洗浄システムであって、
前記浴室の殺菌洗浄処理が行なわれる場合には、前記浴室へのオゾン水噴霧動作は、インターバル期間を挟んで複数回に分けられて実行されるとともに、
前記複数回のオゾン水噴霧動作の各期間中は、前記送風および前記換気が停止されている一方、前記インターバル期間中は、前記送風および前記換気が実行されるように構成されていることを特徴とする、浴室殺菌洗浄システム。
【請求項2】
請求項1に記載の浴室殺菌洗浄システムであって、
前記浴室を乾燥するための浴室乾燥運転が可能な浴室乾燥装置を備えており、
この浴室乾燥装置に、前記送風装置、前記換気装置、および前記オゾン水噴霧装置が具備されている、浴室殺菌洗浄システム。
【請求項3】
請求項2に記載の浴室殺菌洗浄システムであって、
前記浴室乾燥運転は、前記送風装置から前記浴室に温風送風がなされ、かつこの温風送風に並行して前記換気がなされる状態であり、
前記複数回のオゾン水噴霧動作のうち、最終回のオゾン水噴霧動作が終了した後には、前記浴室乾燥運転が実行されるように構成されている、浴室殺菌洗浄システム。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の浴室殺菌洗浄システムであって、
前記オゾン水噴霧装置は、前記浴室の側壁面に向けてオゾン水を噴霧するための第1のノズルと、前記浴室の床面に向けてオゾン水を噴霧するための第2のノズルと、を具備しており、
前記複数回のオゾン水噴霧動作が実行される場合、前記第1のノズルを利用した前記側壁面へのオゾン水噴霧動作が先に実行された後に、前記インターバル期間を挟んで前記第2のノズルを利用した前記床面へのオゾン水噴霧動作が実行されるように構成されている、浴室殺菌洗浄システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オゾン水を利用する浴室殺菌洗浄システムに関する。
【背景技術】
【0002】
浴室殺菌洗浄システムの具体例として、たとえば特許文献1に記載されているように、オゾン水を浴室に噴霧可能なオゾン水噴霧装置を備えたものがある。
ここで、オゾン水は、殺菌作用を有する。したがって、前記構成によれば、オゾン水の噴霧により、浴室の壁面などの各部に殺菌処理を施し、カビや雑菌類などの繁殖を抑制することが可能である。オゾン水の噴霧による汚れの除去も可能である。
特許文献2,3には、オゾンガスを浴室に吹き出すようにした空調装置が記載されているが、これと比較すると、特許文献1に記載された構成、すなわち液体であるオゾン水を噴霧する構成によれば、浴室の汚れをオゾン水によって洗い流す洗浄効果が得られるばかりか、オゾン水中のオゾンを浴室の各部により効果的に接触させ、優れた殺菌作用を得ることが可能である。
オゾン水は、オゾンガスが水に溶解したものであるが、水中ではオゾンよりも強力な酸化剤であるOHラジカルが生成される。したがって、オゾン水を噴霧させる場合には、オゾンガスを噴霧させた場合と比較して、より強い殺菌作用を得ることが可能である。
【0003】
しかしながら、前記従来技術においては、次に述べるように、未だ改善すべき余地があった。
【0004】
すなわち、浴室にオゾン水を噴霧すると、オゾン水からオゾンガスが遊離するため、浴室のオゾンガス濃度は上昇する。この濃度が高くなると、オゾン特有の臭いが強くなる。一方、浴室の殺菌洗浄を十分かつ適切に行なうには、浴室へのオゾン水の噴霧量に不足を生じないようにする必要があり、そのためには、オゾン水の噴霧時間をある程度以上に長くしなければならない。ところが、このようにオゾン水の噴霧時間を長くすると、浴室におけるオゾンガス濃度は相当に高くなる。その結果、オゾンガス濃度が高くなっている状況において、たとえば人が浴室にうっかり進入した際に不快な思いをする虞がある。また、浴室の扉の隙間などから浴室の外部に高濃度のオゾンガスが漏れ出した場合などにも、その臭いにより、人が不快な思いをする虞がある。このようなことは適切に解消されることが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-48858号公報
【特許文献2】特許第3992942号公報
【特許文献3】特開平11-14116号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記したような事情のもとで考え出されたものであり、浴室のオゾンガス濃度が過度に高くなることを防止しつつ、オゾン水を利用した浴室の殺菌洗浄を効率よく適切に行なうことが可能な浴室殺菌洗浄システムを提供することを、その課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0008】
本発明により提供される浴室殺菌洗浄システムは、浴室への送風が可能な送風装置と、前記浴室の空気を外部に排気して前記浴室の換気が可能な換気装置と、前記浴室の殺菌洗浄処理を行なうべく前記浴室へのオゾン水噴霧動作が可能なオゾン水噴霧装置と、を備えている、浴室殺菌洗浄システムであって、前記浴室の殺菌洗浄処理が行なわれる場合には、前記浴室へのオゾン水噴霧動作は、インターバル期間を挟んで複数回に分けられて実行されるとともに、前記複数回のオゾン水噴霧動作の各期間中は、前記送風および前記換気が停止されている一方、前記インターバル期間中は、前記送風および前記換気が実行されるように構成されていることを特徴としている。
【0009】
このような構成によれば、次のような効果が得られる。
すなわち、浴室へのオゾン水噴霧動作は、インターバル期間を挟んで複数回にわたって分けられて実行されるため、それら複数回のオゾン水噴霧動作のトータルのオゾン水噴霧量を十分な量に確保し、浴室の殺菌洗浄処理を適切に行なうことが可能である。その一方、各回のオゾン水噴霧動作によって噴霧されるオゾン水の量を少なくすることが可能である。したがって、各回のオゾン水噴霧動作が実行される際に、オゾン水からオゾンガスが遊離することに起因して、浴室におけるオゾンガス濃度が過度に高くなることを適切に防止することが可能である。その結果、たとえば人が浴室にうっかり進入した場合などに、オゾン特有の臭いによって人が不快な思いをする虞をなくし、または少なくすることができる。
また、重要を効果として、本発明によれば、インターバル期間中に送風および換気が行なわれるため、このインターバル期間中に浴室のオゾンガス濃度を積極的に低下させることが可能である。したがって、インターバル期間を終えた後にオゾン水噴霧動作が再開された場合に、浴室のオゾンガス濃度が高くなることはより徹底して防止される。
オゾンガスは、空気よりも比重が大きく、浴室の下部に溜まり易くなるが、インターバル期間中は、浴室への送風および換気が並行して行なわれるため、浴室の下部にオゾンガスが溜まったままになることは適切に解消される。したがって、インターバル期間中においては、浴室のオゾンガス濃度を効率よく、迅速に低下させることが可能である。
オゾン水噴霧動作中は、浴室への送風および換気が停止されているため、これら送風や換気が、オゾン水噴霧動作に悪影響を与えないようにし得る他、送風および換気に要する電気エネルギ消費の無駄もなくすことができる。
【0010】
本発明において、好ましくは、前記浴室を乾燥するための浴室乾燥運転が可能な浴室乾燥装置を備えており、この浴室乾燥装置に、前記送風装置、前記換気装置、および前記オゾン水噴霧装置が具備されている。
【0011】
このような構成によれば、次のような効果が得られる。
すなわち、浴室乾燥装置は、本来的に送風装置や換気装置を備えているのが一般的である。本発明の浴室殺菌洗浄システムの構成要素として、そのような浴室乾燥装置を用いれば、全体の構成は合理的であり、コスト低減などを図るのに好ましいものとなる。
【0012】
本発明において、好ましくは、前記浴室乾燥運転は、前記送風装置から前記浴室に温風送風がなされ、かつこの温風送風に並行して前記換気がなされる状態であり、前記複数回のオゾン水噴霧動作のうち、最終回のオゾン水噴霧動作が終了した後には、前記浴室乾燥運転が実行されるように構成されている。
【0013】
このような構成によれば、最終回のオゾン水噴霧動作が終了した後には、温風送風と換気とが並行してなされる浴室乾燥運転が実行されるため、浴室からオゾン水やオゾンガスを迅速に排除することができる。
【0014】
本発明において、好ましくは、前記オゾン水噴霧装置は、前記浴室の側壁面に向けてオ
ゾン水を噴霧するための第1のノズルと、前記浴室の床面に向けてオゾン水を噴霧するための第2のノズルと、を具備しており、前記複数回のオゾン水噴霧動作が実行される場合、前記第1のノズルを利用した前記側壁面へのオゾン水噴霧動作が先に実行された後に、前記インターバル期間を挟んで前記第2のノズルを利用した前記床面へのオゾン水噴霧動作が実行されるように構成されている。
【0015】
このような構成によれば、第1のノズルを利用したオゾン水噴霧動作により、浴室の側壁面の殺菌洗浄が行なわれ、その後にインターバル期間を挟んでから、第2のノズルを利用したオゾン水噴霧動作により、浴室の床面の殺菌洗浄が行なわれる。浴室の側壁面と床面とを分けて個別に殺菌洗浄しているため、それら側壁面と床面とのそれぞれに対してオゾン水を高密度で噴霧し、それらの部分の殺菌洗浄効率をよくすることもできる。また、浴室の側壁面の後に床面の殺菌洗浄が行なわれるため、殺菌洗浄が浴室の上側から下側に進められることとなり、やはり殺菌洗浄効率がよい。
【0016】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行なう発明の実施の形態の説明から、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係る浴室殺菌洗浄システムの一例を示す概略説明図である。
図2図1に示す浴室殺菌洗浄システムの構成要素である浴室乾燥装置の要部概略断面図である。
図3図1および図2に示す浴室殺菌洗浄システムにおける浴室の送風状態の一例を示す説明図である。
図4図1および図2に示す浴室殺菌洗浄システムにおけるオゾン水噴霧状態の一例を示す説明図である。
図5図1および図2に示す浴室殺菌洗浄システムにおいて実行される動作手順の例を示すフローチャートである。
図6】(a)~(d)は、図5に示す動作手順に対応するタイムチャートである。
図7】本発明に係る浴室殺菌洗浄システムの他の例を示す要部概略断面図である。
図8】(a),(b)は、図7に示す浴室殺菌洗浄システムにおけるオゾン水噴霧状態の例を示す説明図である。
図9図7に示す浴室殺菌洗浄システムにおいて実行される動作手順の例を示すフローチャートである。
図10】(a),(b)は、オゾン水噴霧に用いられるノズルの他の例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
【0019】
図1および図2に示す浴室殺菌洗浄システムSYは、浴室乾燥装置Aを備えて構成されている。浴室乾燥装置Aは、浴室1の天井部10のうち、浴槽11の上方に設置された本体部A0と、これとは別体のリモコン2とが組み合わされた構成であり、本体部A0に後述するオゾン水噴霧装置4が組み込まれている。
浴室乾燥装置Aは、給湯装置8から温水供給を受けるように設けられている。給湯装置8は、配管部80を介して浴槽11に湯水供給が可能である他、台所などへの一般給湯機能などを有し、浴室リモコン81Aや台所リモコン81Bを備えている。
【0020】
浴室乾燥装置Aの本体部A0は、送風用ファン30(循環ファンとも称される)、空気加熱用の熱交換器31、換気用ファン32、ミスト噴出ノズル33、オゾン水噴霧装置4、制御部5、これら各部の全体を覆う筐体34を具備している。
送風用ファン30および換気用ファン32は、それぞれ本発明でいう送風装置および換気装置の具体例に相当する。
【0021】
送風用ファン30は、筐体34の下面部に設けられた空気吸い込み口35aから吸い込み、かつ空気吹き出し口に設けられたルーバ36を介して浴室1内への送風を可能とするものである。熱交換器31は、空気吸い込み口35aから送風用ファン30に吸い込まれる空気を加熱するためのものであり、この加熱を行なうための媒体として、熱交換器31には給湯装置8から加熱湯水が供給可能とされている。送風用ファン30の駆動時において、給湯装置8から熱交換器31への加熱湯水の供給がなされると、空気吸い込み口35aから吸い込まれた空気は加熱され、ルーバ36から浴室1には温風送風がなされる。浴室乾燥装置Aの浴室乾燥運転時には、前記した温風送風と、換気用ファン32による換気とが並行して実行される。
熱交換器31への加熱湯水の供給が停止されている場合には、ルーバ36から浴室1には非温風(非加熱空気)の送風がなされる。
【0022】
ルーバ36の向きは、不図示のモータにより変更可能であり、浴室1への送風時における空気吹き出し角度は適宜変更可能である。
なお、後述する浴室1の殺菌洗浄処理時におけるインターバル期間Pb中は、図3に示すように、ルーバ36からは浴室1の洗い場1a側に向かう斜め下方向に空気吹き出しが行なわれるように構成されている。好ましくは、空気吹き出し方向は、たとえば鉛直線VLに対する振れ角が30~60°の範囲とされる(図3のα1~α2の範囲であり、α1=30°,α2=60°)。
なお、図3において、符号18は、浴室1の出入り口を示し、扉17によって開閉可能である。
【0023】
換気用ファン32は、浴室1の空気を屋外に排気させるためのファンである。この換気用ファンを32作動させると、浴室1内の空気が空気吸い込み口35aから筐体34内に吸い込まれて換気用ファン32の設置領域に進入し、排気口37から屋外に排気される。
好ましくは、換気用ファン32の回転速度は可変であり、通常の浴室換気が行なわれるときには、換気用ファン32の駆動騒音が小さくなるように比較的低速であるのに対し、後述する浴室1の殺菌洗浄処理時のインターバル期間Pb中は、換気能力が高められるように通常の浴室換気時よりも高速とされる。
【0024】
ミスト噴出ノズル33は、入浴者がミストシャワーを浴びたい場合に、湯水のミストを浴室1に噴出させるためのノズルである。このミスト噴出ノズル33に湯水を供給するための給水用配管部60には、電磁弁などの開閉弁Va、および熱交換器61が設けられており、開閉弁Vaが開状態とされることにより、ミスト噴出ノズル33からは湯水のミストが噴出する。熱交換器61には、給湯装置8から加熱湯水を供給し、ミスト噴出ノズル33に供給される湯水を加熱することが可能である。ミスト噴出ノズル33は、ルーバ36と同様に、不図示のモータによりその向きを変更可能とされている。
【0025】
オゾン水噴霧装置4は、給水用配管部60に分岐接続された配管部40、この配管部40に設けられた電磁弁などの開閉弁Vb、オゾン水生成器42、およびオゾン水噴霧用のノズル43を備えている。オゾン水生成器42としては、従来既知の構成のものを用いることが可能であり、たとえば電極を利用した水の電解により生成する方式のもの、あるいは空気からオゾンガスを生成し、かつこれを水に溶解させる方式のものなどがあるが、いずれの方式であってもよい。開閉弁Vbが開状態に設定されると、オゾン水生成器42を通過して生成されたオゾン水は、ノズル43から浴室1に向けて噴霧される。たとえば図4に示すように、ノズル43からのオゾン水の噴霧は、浴室1の各側壁面12の上部近傍部分以外の略全域、および床面13の略全域に向けてなされる。
【0026】
制御部5は、マイクロコンピュータなどを用いて構成されており、浴室乾燥装置Aの各部の動作制御を実行し、浴室1の乾燥運転などを実行させる他、後述するように、浴室1の殺菌洗浄処理を実行させる。この制御部5は、通信部50を介してリモコン2との相互間で、ワイヤレスでのデータ通信が可能である。
リモコン2は、たとえば携帯式であり、通信部50を介して制御部5とワイヤレス通信するための通信回路(不図示)、種々の動作指令を行なうための複数の操作スイッチ20、表示部21、音声メッセージなどの音を出力可能なスピーカ22などを備えている。
【0027】
次に、前記した浴室殺菌洗浄システムSYにおいて実行される動作処理手順の一例について、図5に示すフローチャートを参照しつつ説明する。併せて、その作用も説明する。
【0028】
本実施形態の浴室殺菌洗浄システムSYにおいては、浴室1の殺菌洗浄処理を、インターバル期間Pbを挟んで複数回に分けて実施するように構成されており、具体的には、次のような動作処理がなされる。
すなわち、リモコン2が用いられて、浴室1の殺菌洗浄処理を開始する旨の操作がなされると、制御部5は、1回目のオゾン水噴霧動作を開始させる(S1:YES,S2)オゾン水噴霧動作は、図4を参照して説明した態様で行なわれ、またその際には送風用ファン30および換気用ファン32は停止状態とされる。したがって、オゾン水噴霧動作が、送風用ファン30や換気用ファン32の駆動による悪影響を受けないようにすることができる。
【0029】
前記した1回目のオゾン水噴霧動作は、たとえば所定の時間だけ実行され、このオゾン水噴霧動作期間Paが経過すると、その後はインターバル期間Pbが設定され、オゾン水噴霧動作は終了する(S3)。また、その時点で送風用ファン30および換気用ファン32の駆動が開始され、浴室1への送風(非加熱空気の送風)および浴室1の換気が開始される。1回目のオゾン水噴霧動作が終了した時点では、オゾン水から遊離した多くのオゾンガスが浴室1に溜まり、オゾンガス濃度が高くなっているが、このインターバル期間Pbにおいて、このオゾンガス濃度を急速に低下させることが可能である。
【0030】
オゾンガスは、空気よりも比重が大きいため、本来的には、浴室1の天井部10上に設置された換気用ファン32から外部に円滑に排気させることは難しい。これに対し、図3に示したような送風用ファン30による送風が行なわれれば、空気吹き出し領域(空気吹き出しの空気流が生じている領域)の周囲において、オゾンガスを効率よく上昇させて空気吸い込み口35aに導き、換気用ファン32を利用して屋外に円滑に排気することが可能である。人が扉17を開けた状態でルーバ36から洗い場1aに向けて空気が吹き出されると、出入り口18からオゾンガスが排出されて、オゾンガス濃度を低下させることができる。
【0031】
前記したインターバル期間Pbの設定時間が所定時間に達し、このインターバル期間Pbを終了すると、その後は2回目のオゾン水噴霧動作が開始される(S4)。この場合、送風用ファン30および換気用ファン32の駆動は停止される。次いで、この2回目のオゾン水噴霧動作が所定時間実行され、このオゾン水噴霧動作期間Pcが終了すると、その後は浴室乾燥装置Aによる浴室乾燥運転がなされる(S5)。この浴室乾燥運転においては、既述したように、浴室1への温風送風と、換気用ファン32による浴室1の換気とが並行して実行される。浴室乾燥期間Pdは、たとえば浴室乾燥装置Aに付属して設けられた湿度センサ(不図示)を利用して検出される浴室1内の湿度が所定値以下まで低下した時点、あるいは予めタイマ設定された時間が経過した時点などに終了する。前記した浴室乾燥運転がなされることにより、浴室1をオゾン水やオゾンガスが存在しない雰囲気に素早く設定することが可能である。
【0032】
前記した一連の動作手順においては、図6のタイムチャートに示すような各部のオン・オフ切替え制御が実行されることとなる。なお、同図における1回目および2回目のオゾン水噴霧動作期間Pa,Pc、インターバル期間Pb、および浴室乾燥期間Pdの具体的な長さについては、たとえば浴室殺菌洗浄システムSYの製造メーカが予め試験によって最適または最適に近いと考えられる値(時間)を求めておき、かつこの値を適用すればよい。ただし、浴室1のサイズやその他の種々の条件を考慮し、ユーザなどがリモコン2を操作することにより、前記した各期間Pa~Pdのそれぞれの長さを適宜変更可能な構成とすることもできる。
【0033】
本実施形態の浴室殺菌洗浄システムSYによれば、浴室1の殺菌洗浄処理を行なう場合には、オゾン水噴霧動作がインターバル期間Pbを挟んで2回にわたって分けられて実行されている。しかも、インターバル期間Pb中においては、1回目のオゾン水噴霧動作によって浴室1に発生したオゾンガスが屋外に排出されている。したがって、各回のオゾン水噴霧動作の期間中に、浴室1におけるオゾンガス濃度が所定以上に高くことを適切に防止することが可能である。その結果、たとえば人が浴室1にうっかり進入した場合などに、オゾン特有の臭いによって人が不快な思いをする虞をなくし、または少なくすることができる。
一方、2回にわたるオゾン水噴霧動作によって浴室1に噴霧されるトータルのオゾン水噴霧量は、十分な量にすることができるため、浴室1の殺菌洗浄処理を適切に行なうことが可能である。
【0034】
図7図10は、本発明の他の実施形態を示している。これらの図において、前記実施形態と同一または類似の要素には、前記実施形態と同一の符号を付すこととし、重複説明は省略する。
【0035】
図7に示す浴室殺菌洗浄システムSY’の浴室乾燥装置Aaに具備されたオゾン水噴霧装置4aは、第1および第2のノズル43A,43B、およびこれに対応する追加の開閉弁Vc,Vdを備えており、オゾン水生成器42によって生成されたオゾン水を、第1および第2のノズル43A,43Bのいずれか一方に選択的に供給できるようにされている。第1のノズル43Aは、図8(a)に示すように、オゾン水を浴室1の側壁面12に向けて噴霧し、かつ床面13に対しては殆ど噴霧しない。これに対し、第2のノズル43Bは、図8(b)に示すように、オゾン水を浴室1の床面13に向けて噴霧し、かつ側壁面12に対しては殆ど噴霧しない。
【0036】
本実施形態の浴室殺菌洗浄システムSY’においては、浴室1の殺菌洗浄処理がなされる場合に、たとえば図9のフローチャートに示す動作処理が実行される。
ただし、図9のうち、図5に示した動作処理と同一のステップについては、同一の符号を付しており、図9のステップS2’,S4’は、図5のステップS2,S4とは若干相違した内容となっている。
【0037】
具体的には、ステップS2’においては、1回目のオゾン水噴霧動作が実行されるが、この動作は、図8(a)に示した態様で実行される。すなわち、第1のノズル43Aを利用し、浴室1の側壁面12に向けてオゾン水が噴霧される。次いで、ステップS4’においては、2回目のオゾン水噴霧動作が実行されるが、この動作は、図8(b)に示した態様で行なわれる。すなわち、第2のノズル43Bを利用し、浴室1の床面13に向けてオゾン水が噴霧される。
【0038】
このような動作手順によれば、1回目のオゾン水噴霧動作によって浴室1の側壁面12が集中的に殺菌洗浄され、また2回目のオゾン水噴霧動作によって浴室1の床面13が集
中的に殺菌洗浄される。したがって、浴室1の側壁面12および床面13のそれぞれに対する殺菌洗浄効率を、前記実施形態よりも優れたものにすることが可能である。
【0039】
図10(a)に示すオゾン水噴霧装置4bにおいては、第2のノズル43Bには、オゾン水生成器42によって生成されたオゾン水が供給されるのに対し、第1のノズル43Aには、通常の給水がなされるように構成されている(図10(a),(b)中、符号Vc~Veは、開閉弁Va,Vbと同様な開閉弁を示している)。
このような構成によれば、浴室1の側壁面12に対しては、第1のノズル43Aから通常の水を噴霧したいわゆる水洗い状態とした後に、第2のノズル43Bからオゾン水を浴室1の床面13に噴霧し、殺菌洗浄を行なうこととなる。
なお、本発明におけるオゾン水噴霧動作は、インターバル期間を挟んで複数回に分けて実行される。したがって、第2のノズル43Bからのオゾン水噴霧動作は、インターバル期間を挟んで複数回に分けて繰り返し実行される。
【0040】
図10(b)に示すオゾン水噴霧装置4cにおいては、図10(a)と同様に、オゾン水生成器42によって生成されたオゾン水は、第2のノズル43Bには供給されるものの、第1のノズル43Aには供給されない構成とされている。ただし、第1のノズル43Aには、熱交換器61を通過して加熱された湯水が供給可能である。
このような構成によれば、第1のノズル43Aから浴室1の側壁面12に湯水を噴霧する場合に、この湯水を温水にすることができるため、図10(a)の場合と比較して、側壁面12に対する洗浄能力を高めることが可能である。
【0041】
本発明は、上述した実施形態の内容に限定されない。本発明に係る浴室殺菌洗浄システムの各部の具体的な構成は、本発明の意図する範囲内において種々に設計変更自在である。
【0042】
上述の実施形態においては、浴室の殺菌洗浄処理が行なわれる場合、オゾン水噴霧動作が1回のインターバル期間を挟む2回のオゾン水噴霧動作に分けられて実行されているが、本発明はこれに限定されない。インターバル期間を挟む3回またはそれ以上の回数のオゾン水噴霧動作に分けられて実行されてもよい。
【0043】
オゾン水噴霧装置は、オゾン水を浴室に噴霧可能な構成であればよく、オゾン水の具体的な生成手法や、生成されるオゾン水のオゾン濃度なども限定されない。上述した実施形態から理解されるように、オゾン水噴霧用のノズルは、単数に限らず、複数用いられてもよく、その具体的な個数は問わない。オゾン水の噴霧は、オゾン水が連続して噴霧されるだけではなく、たとえはオゾン水が所定の短い周期で間欠的に噴霧される態様で行なわれてもよい。
【0044】
インターバル期間においては、浴室への送風と換気とが実行され、浴室ヘの送風は、たとえば図3に示した態様で行なわれることが好ましいものの、本発明はこれに限定されない。
【0045】
上述の実施形態においては、送風用ファンおよび換気用ファンを具備する浴室乾燥装置に、オゾン水噴霧動作をさらに具備させることにより、浴室殺菌洗浄システムを構成しているが、本発明はこれに限定されない。たとえば、オゾン水噴霧装置を、浴室乾燥装置とは異なる箇所に設けた構成とすることも可能である。また、余り現実的ではないが、本発明に係る浴室殺菌洗浄システムを、浴室乾燥装置を利用することなく構成することも可能である。浴室乾燥装置を用いる場合、浴室乾燥運転に利用される温風を生成するための空気加熱手段として、たとえば電熱ヒータを用いることも可能である。
本発明でいう送風装置および換気装置の具体的な構成も限定されない。
【符号の説明】
【0046】
SY,SY’ 浴室殺菌洗浄システム
A,Aa 浴室乾燥装置
1 浴室
12 側壁面
13 床面
30 送風用ファン(送風装置)
32 換気用ファン(換気装置)
4,4a~4c オゾン水噴霧装置
43 ノズル
43A,43B 第1および第2のノズル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10