(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024023258
(43)【公開日】2024-02-21
(54)【発明の名称】心室補助デバイス
(51)【国際特許分類】
A61M 60/808 20210101AFI20240214BHJP
A61M 60/17 20210101ALN20240214BHJP
A61M 60/216 20210101ALN20240214BHJP
A61M 60/411 20210101ALN20240214BHJP
【FI】
A61M60/808
A61M60/17
A61M60/216
A61M60/411
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023191120
(22)【出願日】2023-11-08
(62)【分割の表示】P 2019521643の分割
【原出願日】2017-10-23
(31)【優先権主張番号】62/412,631
(32)【優先日】2016-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/543,540
(32)【優先日】2017-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】515250945
【氏名又は名称】マジェンタ・メディカル・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【弁理士】
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【弁理士】
【氏名又は名称】當麻 博文
(74)【代理人】
【識別番号】100137729
【弁理士】
【氏名又は名称】赤井 厚子
(74)【代理人】
【識別番号】100152308
【弁理士】
【氏名又は名称】中 正道
(74)【代理人】
【識別番号】100201558
【弁理士】
【氏名又は名称】亀井 恵二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100170184
【弁理士】
【氏名又は名称】北脇 大
(74)【代理人】
【識別番号】100122345
【弁理士】
【氏名又は名称】高山 繁久
(72)【発明者】
【氏名】テュヴァル、ヨシ
(72)【発明者】
【氏名】グロズマン、ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ルビンスキー、ガド
(57)【要約】 (修正有)
【課題】被験体の血管内にインペラを配置することを含む装置および方法を提供する。
【解決手段】インペラは、少なくとも1つのらせん状の細長い要素(52)とバネ(54)とを含んでおり、該バネは、らせん状の細長い要素の内部に、かつ、らせん状の細長い要素と同軸に配置されている。らせん状の細長い要素とバネとの間には、材料のフィルム(56)が支持されている。血液は、インペラを用いて、被験体の血管を通してポンピングされる。その他の応用例もまた、記載されている。
【選択図】
図4A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、当該装置は:
インペラを有し、該インペラは:
少なくとも1つのらせん状の細長い要素を有し;
バネを有し、該バネは、前記のらせん状の細長い要素の内部に、かつ、前記のらせん状の細長い要素と同軸に配置され;かつ、
前記のらせん状の細長い要素と前記バネとの間に支持された材料のフィルムを有する、
前記装置。
【請求項2】
前記インペラが複数のらせん状の細長い要素を有し、かつ、前記の材料のフィルムが、前記の複数のらせん状の細長い要素と前記バネとの間に支持され、前記インペラが複数のブレードを定めるようになっている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記インペラが、半径方向に拘束されていない構成で配置され、前記のらせん状の細長い要素のピッチが、前記のらせん状の細長い要素の長さに沿って変化する、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記インペラが半径方向に拘束されていない構成で配置される時、前記のらせん状の細長い要素のピッチが1mmより大きい、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記インペラが半径方向に拘束されていない構成で配置される時、前記のらせん状の細長い要素のピッチが20mmより小さい、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記インペラが、被験体の血管の内部に配置され、かつ、前記インペラの回転によって前記の被験体の血管を通して血液をポンピングするように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記インペラが、被験体の大動脈に配置され、かつ、前記インペラの回転によって前記被験体の左心室から血液をポンピングするように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記インペラが、被験体の心室に配置され、かつ、前記インペラの回転によって前記心室から血液をポンピングするように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記インペラが、被験体の大動脈に配置され、かつ、前記大動脈から前記被験体の左心室の中への血液の逆流を妨げるように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記インペラが、軸方向に引き延ばされた前記のらせん状の細長い要素および前記バネによって半径方向に拘束されるように構成されており、かつ、前記のらせん状の細長い要素および前記バネの軸方向の延びに応答して、前記フィルムが、前記の材料のフィルムが破れることを伴わずに形状を変化させるように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の装置であって、当該装置は、被験体の大動脈弁を横切るように構成された細長いチューブをさらに有し、前記チューブの近位端が前記被験体の大動脈内に配置され、かつ、前記チューブの遠位端が前記被験体の左心室内に配置されるようになっており、前記の細長いチューブは:
形状記憶合金から形成されたフレームと;
前記フレーム上に配置された血液不透過性材料とを有し;かつ、
当該装置は、前記インペラの周りに配置されたケージをさらに有し、
前記の細長いチューブが、前記ケージおよび前記インペラの周りに配置されるように構成されており、かつ、前記インペラが、回転することによって前記左心室から前記大動脈へと血液をポンピングするように構成されている、
前記装置。
【請求項12】
前記バネが、その半径方向に拘束されていない構成で配置される時、その剛性のおかげで、前記インペラの回転の最中に前記の細長いチューブに対して前記インペラを安定させるように構成されており、前記インペラの外縁と前記の細長いチューブの内面との間の隙間が維持されるようになっている、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記バネが、それを通るルーメンを定めており、
前記インペラがさらに:
近位ブッシングおよび遠位ブッシングを有し;かつ、
前記バネによって定められた前記ルーメンを通って前記近位ブッシングから前記遠位ブッシングへと延びるように構成された剛性シャフトを有し、該剛性シャフトは、前記インペラの回転の最中に前記の細長いチューブに対して前記インペラを安定させるように構成されており、前記インペラの外縁と前記の細長いチューブの内面との間の隙間が維持されるようになっている、
請求項11に記載の装置。
【請求項14】
前記ケージが、前記の細長いチューブの前記フレームと一体的に形成され、前記ケージが、前記の細長いチューブの前記近位端において前記の細長いチューブの前記フレーム内に配置され、前記インペラが、そのことによって前記の細長いチューブの近位部内に配置され、かつ、前記インペラの長手方向軸が、そのことによって前記の細長いチューブの長手方向軸と整列するようになっている、請求項11に記載の装置。
【請求項15】
前記インペラの外縁と前記の細長いチューブの内面との間の隙間が、1mmより小さい、請求項11に記載の装置。
【請求項16】
前記インペラの前記外縁と前記の細長いチューブの前記内面との間の前記隙間が、0.4mmより小さい、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記インペラが、前記の細長いチューブに対して安定するように構成されており、前記インペラの回転の最中、前記インペラと前記の細長いチューブとの間の前記隙間が維持されるようになっている、請求項15に記載の装置。
【請求項18】
前記ケージが、前記の細長いチューブの前記フレームと一体的に形成されていない、請求項11に記載の装置。
【請求項19】
1つ以上の支持アームをさらに有し、該1つ以上の支持アームは、前記ケージから前記の細長いチューブの前記フレームへと延びるように構成されており、かつ、前記インペラの回転の最中、前記の細長いチューブの前記フレームに対して前記インペラの遠位端を安定させるように構成されており、前記インペラの外縁と前記の細長いチューブの内面との間の隙間が維持されるようになっている、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記支持アームが、前記の細長いチューブの前記フレームに対してスライド可能であるように構成されている、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記支持アームが、前記の細長いチューブの前記フレームに連結されるように構成され
ている、請求項19に記載の装置。
【請求項22】
前記の細長いチューブに連結した複数の翼状突起をさらに有し、前記翼状突起によって定められる平面が、前記の細長いチューブの長手方向軸と平行であるようになっており、前記翼状突起は、前記の細長いチューブの前記長手方向軸の方向に沿って血流を方向付けることによって、前記インペラの回転によって作り出される血液の乱流を安定させるように構成されている、請求項11に記載の装置。
【請求項23】
前記の細長いチューブが、半径方向に拘束された構成にある間に、経カテーテル的に前記被験体の身体の中に挿入されるように構成されており、かつ、前記翼状突起が、前記の細長いチューブがその半径方向に拘束された構成にある時に折り畳まれるように構成されている、請求項22に記載の装置。
【請求項24】
前記バネがそれを通るルーメンを定め、かつ、前記インペラがさらに:
近位ブッシングおよび遠位ブッシング;および、
前記バネによって定められた前記ルーメンを通って前記近位ブッシングから前記遠位ブッシングへと延びるように構成された剛性シャフトを有する、
請求項1~10のいずれか一項に記載に装置。
【請求項25】
前記剛性シャフトが、前記近位ブッシングおよび前記遠位ブッシングを互いに整列した状態で維持するように構成されている、請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記インペラが被験体の身体の中に配置されるように構成されており、かつ、前記の被験体の身体の内部への前記バネの配置に続いて、前記剛性シャフトが、前記バネによって定められた前記ルーメン内に配置されるように構成されている、請求項24に記載の装置。
【請求項27】
前記インペラが被験体の身体の中に配置されるように構成されており、かつ、前記剛性シャフトが、前記の被験体の身体の中への前記インペラの配置の最中に、前記バネによって定められた前記ルーメン内に配置されるように構成されている、請求項24に記載の装置。
【請求項28】
前記インペラがさらに、近位ブッシングおよび遠位ブッシングを有し、かつ、前記バネが、その半径方向に拘束されていない構成で配置される時に、その剛性のおかげで、前記近位ブッシングおよび前記遠位ブッシングを互いに整列した状態で維持するように構成されている、請求項1~10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項29】
前記バネが、前記のその半径方向に拘束されていない構成で配置される時に、前記バネの巻線とそれに隣接する巻線との間に実質的に隙間が存在しないように構成されている、請求項28に記載の装置。
【請求項30】
方法であって、当該方法は:
被験体の血管内にインペラを配置することを有し、該インペラは:
少なくとも1つのらせん状の細長い要素を有し;
バネを有し、該バネは、前記のらせん状の細長い要素の内部に、かつ、前記のらせん状の細長い要素と同軸に配置され;かつ、
前記のらせん状の細長い要素と前記バネとの間に支持された材料のフィルムを有し;
当該方法は、前記インペラを用いて、前記の被験体の血管を通して血液をポンピングすることを有する、
前記方法。
【請求項31】
前記の被験体の血管内に前記インペラを配置することが、前記インペラが、複数のらせん状の細長い要素を有し、かつ、前記の材料のフィルムが、前記の複数のらせん状の細長い要素と前記バネの間に支持され、前記インペラが複数のブレードを定めるように前記の被験体の血管内に前記インペラを配置することを有する、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記の被験体の血管内に前記インペラを配置することが、前記のらせん状の細長い要素のピッチが、前記インペラが前記血管の内部に配置される時に、前記のらせん状の細長い要素の長さに沿って変化するように前記の被験体の血管内に前記インペラを配置することを有する、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記の被験体の血管内に前記インペラを配置することが、前記のらせん状の細長い要素のピッチが、前記インペラが前記血管の内部に配置される時、1mmより大きくなるように前記の被験体の血管内に前記インペラを配置することを有する、請求項30に記載の方法。
【請求項34】
前記の被験体の血管内に前記インペラを配置することが、前記のらせん状の細長い要素のピッチが、前記インペラが前記血管の内部に配置される時、20mmより小さくなるように前記の被験体の血管内に前記インペラを配置することを有する、請求項30に記載の方法。
【請求項35】
前記の被験体の血管内に前記インペラを配置することが、前記被験体の大動脈に前記インペラを配置することを有し、かつ、前記の被験体の血管を通して血液をポンピングすることが、前記被験体の心室から前記大動脈の中へと血液をポンピングすることを有する、請求項30に記載の方法。
【請求項36】
前記の被験体の血管内に前記インペラを配置することが、前記被験体の心室に前記インペラを配置することを有し、かつ、前記の被験体の血管を通して血液をポンピングすることが、前記の被験体の心室から血液をポンピングすることを有する、請求項30に記載の方法。
【請求項37】
前記の被験体の血管内に前記インペラを配置することが、前記被験体の大動脈に前記インペラを配置することを有し、かつ、前記の被験体の血管を通して血液をポンピングすることが、前記インペラを用いて、前記の被験体の大動脈から前記被験体の左心室の中への血液の逆流を妨げることを有する、請求項30に記載の方法。
【請求項38】
前記血管内に前記インペラを配置することが、前記のらせん状の細長い要素および前記バネを軸方向に引き延ばし、そのことによって、前記の材料のフィルムが破れることを伴うことなく前記の材料のフィルムが形状を変えることを引き起こすことによって、経カテーテル的に前記の被験体の血管内に前記インペラを挿入することを有する、請求項30に記載の方法。
【請求項39】
前記被験体の身体の中に細長いチューブを、前記の細長いチューブが前記被験体の大動脈弁を横切るように配置することをさらに有し、前記チューブの近位端が前記被験体の大動脈内に配置され、かつ、前記チューブの遠位端が前記被験体の左心室内に配置されるようになっており、前記の細長いチューブは:
形状記憶合金から形成されたフレームを含んでおり;かつ、
前記フレーム上に配置された血液不透過性材料を含んでおり;
前記血管内に前記インペラを配置することが、前記の被験体の大動脈内に前記インペラを配置することを有し、前記インペラはケージの内部に配置されており、かつ、前記ケー
ジおよび前記インペラは、前記の細長いチューブの内部に配置されており;かつ、
前記インペラを用いて前記の被験体の血管を通して血液をポンピングすることが、前記左心室から前記大動脈へと血液をポンピングすることを有する、
請求項30~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記インペラを回転させることが、前記インペラの回転の最中に、前記バネの剛性を用いて前記の細長いチューブに対して前記インペラを安定させることを有し、前記インペラの外縁と前記の細長いチューブの内面との間の隙間が維持されるようになっている、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記血管内に前記インペラを配置することが、前記インペラがさらに:
近位ブッシングおよび遠位ブッシングを有し;かつ、
前記バネによって定められたルーメンを通って前記近位ブッシングから前記遠位ブッシングへと延びるように構成された剛性シャフトを有し、前記剛性シャフトは、前記インペラの回転の最中、前記の細長いチューブに対して前記インペラを安定させるように構成されており、前記インペラの外縁と前記の細長いチューブの内面との間の隙間が維持されるように前記血管内に前記インペラを配置することを有する、
請求項39に記載の方法。
【請求項42】
前記の被験体の大動脈内に前記インペラを配置することが、前記ケージが前記の細長いチューブの前記フレームと一体的に形成され、前記ケージが、前記の細長いチューブの前記近位端において前記の細長いチューブの前記フレーム内に配置され、前記インペラが、そのことによって前記の細長いチューブの近位部内に配置され、かつ、前記インペラの長手方向軸が、そのことによって前記の細長いチューブの長手方向軸と整列するように前記の被験体の大動脈内に前記インペラを配置することを有する、請求項39に記載の方法。
【請求項43】
前記の被験体の大動脈内に前記インペラを配置することが、前記インペラの外縁と前記の細長いチューブの内面との間の隙間が1mmより小さくなるように前記の被験体の大動脈内に前記インペラを配置することを有する、請求項39に記載の方法。
【請求項44】
前記の被験体の大動脈内に前記インペラを配置することが、前記インペラの前記外縁と前記の細長いチューブの前記内面との間の前記隙間が0.4mmより小さくなるように前記の被験体の大動脈内に前記インペラを配置することを有する、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記の被験体の大動脈内に前記インペラを配置することが、前記インペラが前記の細長いチューブに対して安定するように前記の被験体の大動脈内に前記インペラを配置することを有し、前記インペラの回転の最中、前記インペラと前記の細長いチューブとの間の前記隙間が維持されるようになっている、請求項39に記載の方法。
【請求項46】
前記の被験体の大動脈内に前記インペラを配置することが、前記ケージが前記の細長いチューブの前記フレームと一体的に形成されていない態様で前記の被験体の大動脈内に前記インペラを配置することを有する、請求項39に記載の方法。
【請求項47】
前記の被験体の大動脈内に前記インペラを配置することが、1つ以上の支持アームが、前記ケージから前記の細長いチューブの前記フレームへと延びるように構成されており、かつ、前記インペラの回転の最中、前記の細長いチューブの前記フレームに対して前記インペラの遠位端を安定させるように構成されており、前記インペラの外縁と前記の細長いチューブの内面との間の隙間が維持されるように前記の被験体の大動脈内に前記インペラを配置することを有する、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記の被験体の大動脈内に前記インペラを配置することが、前記支持アームが、前記の細長いチューブの前記フレームに対してスライド可能であるように構成された態様で前記の被験体の大動脈内に前記インペラを配置することを有する、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記の被験体の大動脈内に前記インペラを配置することが、前記支持アームが、前記の細長いチューブの前記フレームに連結された態様で前記の被験体の大動脈内に前記インペラを配置することを有する、請求項47に記載の方法。
【請求項50】
前記の被験体の身体の中に前記の細長いチューブを配置することが、前記の細長いチューブに連結された複数の翼状突起が、前記翼状突起によって定められる平面が前記の細長いチューブの長手方向軸と平行であるようになっており、前記翼状突起が、前記の細長いチューブの前記長手方向軸の方向に沿って血流を方向付けることによって、前記インペラの回転によって作り出される血液の乱流を安定させるように構成された態様で前記の被験体の身体の中に前記の細長いチューブを配置することを有する、請求項39に記載の方法。
【請求項51】
前記の被験体の身体の中に前記の細長いチューブを配置することが、前記の細長いチューブが半径方向に拘束された構成にある間に、経カテーテル的に前記の被験体の身体の中に前記の細長いチューブを配置することを有し、前記翼状突起が、前記の細長いチューブがその半径方向に拘束された構成にある時に、折り畳まれるように構成されている、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記血管内に前記インペラを配置することが、前記インペラがさらに:
近位ブッシングおよび遠位ブッシングを有し;かつ、
前記バネによって定められたルーメンを通って前記近位ブッシングから前記遠位ブッシングへと延びるように構成された剛性シャフトを有する態様で前記血管内に前記インペラを配置することを有する、
請求項30~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記インペラを回転させることが、前記インペラの回転の最中、前記剛性シャフトを用いて、前記近位ブッシングおよび前記遠位ブッシングを互いに整列した状態で維持することを有する、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記血管内に前記インペラを配置することが、前記血管内に前記バネを配置することを有し、かつ、前記血管内への前記バネの配置に続いて、前記バネによって定められた前記ルーメン内に前記剛性シャフトを配置することを有する、請求項52に記載の方法。
【請求項55】
前記血管内に前記インペラを配置することが、前記剛性シャフトが前記バネによって定められた前記ルーメン内に配置されている間に前記血管内に前記インペラを配置することを有する、請求項52に記載の方法。
【請求項56】
前記インペラが近位ブッシングおよび遠位ブッシングを有し、かつ、前記インペラを回転させることが、前記インペラの回転の最中、前記バネの剛性を用いて、前記近位ブッシングおよび前記遠位ブッシングを互いに整列した状態で維持することを有する、請求項30~38に記載の方法。
【請求項57】
前記血管内に前記インペラを配置することが、前記バネの巻線とそれに隣接する巻線との間に実質的に隙間が存在しないように前記血管内に前記インペラを配置することを有する、請求項56に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、次の出願からの優先権を主張する:
2016年10月25日付け出願の「Ventricular assist device(心室補助デバイス)」と題するTuvalへの米国仮特許出願第62/412,631号;および、
2017年8月10日付け出願の「Ventricular assist device(心室補助デバイス)」と題するTuvalへの米国仮特許出願第62/543,540号。
【0002】
上記出願の両方が、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0003】
発明の実施形態の分野
本発明のいくつかの応用例は、概して医療装置に関する。具体的には、本発明のいくつかの応用例は、心室補助デバイスおよびその使用方法に関する。
【背景技術】
【0004】
背景
心不全に苦しむ患者に対して、心循環器を補助するのに心室補助デバイスが用いられる。最も一般的には、左心室機能を補助するために、左心室補助デバイスが欠陥のある心臓に適用される。いくつかの場合、右心室機能を補助するために、右心室補助デバイスが用いられる。
【発明の概要】
【0005】
実施形態の概要
本発明のいくつかの応用例によれば、インペラ(impeller;羽根車)が、らせん状の細長い要素と、該らせん状の細長い要素の内部に、かつ、該らせん状の細長い要素と同軸に配置されたバネと、該らせん状の細長い要素と該バネとの間に支持された材料のフィルムとを含んでいる。いくつかの応用例については、インペラは、被験体の心室機能を補助するように構成された心室補助デバイスの一部を有し、例えば、左心室補助デバイスが、被験体の左心室機能を補助するように構成されている。心室補助デバイスは、典型的には、被験体の大動脈弁を横切るように構成された細長いチューブを含んでおり、該チューブの近位端が被験体の大動脈内に配置され、かつ、該チューブの遠位端が被験体の左心室内に配置されるようになっている。細長いチューブは、自己拡張型の形状記憶合金から形成されたフレームと、該フレームの上に配置された血液不透過性材料とを含んでいる。心室補助デバイスはポンプを含んでおり、該ポンプは、典型的には、インペラと、該インペラの周りに配置されたケージとを含んでいる。インペラは、典型的には、回転することによって、血液が被験体の左心室から外に出て、かつ、被験体の大動脈の中に入るようにポンピングするように構成されている。典型的には、インペラはまた、大動脈から左心室の中への、大動脈弁を横切る血液の逆流を妨げる。
【0006】
いくつかの応用例については、ケージは、細長いチューブと一体的に形成され、ケージが、細長いチューブの近位端において細長いチューブ内に配置されるようになっている。ポンプは、そのことによって細長いチューブの近位部内に配置され、かつ、ポンプの長手方向軸が、そのことによって細長いチューブの長手方向軸と整列(aligned)する。代替的には、ケージは、細長いチューブと一体的に形成されない。
【0007】
したがって、本発明のいくつかの応用例によれば、装置が提供され、当該装置は:
インペラを含んでおり、該インペラは:
少なくとも1つのらせん状の細長い要素を含んでおり;
バネを含んでおり、該バネは、らせん状の細長い要素の内部に、かつ、らせん状の細長い要素と同軸に配置されており;かつ、
らせん状の細長い要素とバネとの間に支持された材料のフィルムを含んでいる。
【0008】
いくつかの応用例では、インペラは複数のらせん状の細長い要素を含んでおり、かつ、材料のフィルムは、複数のらせん状の細長い要素とバネとの間に支持されており、インペラが複数のブレードを定めるようになっている。
【0009】
いくつかの応用例では、インペラが半径方向に拘束されてない構成で配置されている時、らせん状の細長い要素のピッチが、らせん状の細長い要素の長さに沿って変化する。
【0010】
いくつかの応用例では、インペラが半径方向に拘束されてない構成で配置されている時、らせん状の細長い要素のピッチが、1mmより大きい。
【0011】
いくつかの応用例では、インペラが半径方向に拘束されてない構成で配置されている時、らせん状の細長い要素のピッチが、20mmより小さい。
【0012】
いくつかの応用例では、インペラは、被験体の血管の内部に配置され、かつ、インペラの回転によって被験体の血管を通して血液をポンピングするように構成されている。
【0013】
いくつかの応用例では、インペラは、被験体の大動脈に配置され、かつ、インペラの回転によって被験体の左心室から血液をポンピングするように構成されている。
【0014】
いくつかの応用例では、インペラは、被験体の心室に配置され、かつ、インペラの回転によって心室から血液をポンピングするように構成されている。
【0015】
いくつかの応用例では、インペラは、被験体の大動脈に配置され、かつ、大動脈から被験体の左心室の中への血液の逆流を妨げるように構成されている。
【0016】
いくつかの応用例では、インペラは、軸方向に引き延ばされたらせん状の細長い要素とバネとによって半径方向に拘束されるように構成されており、かつ、らせん状の細長い要素およびバネの軸方向の延びに応答して、フィルムは、材料のフィルムが破れることを伴わずに形状を変化させるように構成されている。
【0017】
いくつかの応用例では、当該装置はさらに:
被験体の大動脈弁を横切るように構成された細長いチューブを含んでおり、該チューブの近位端が被験体の大動脈内に配置され、かつ、該チューブの遠位端が被験体の左心室内に配置されるようになっており、該細長いチューブは:
形状記憶合金から形成されたフレームを含んでおり;かつ、
フレーム上に配置された血液不透過性材料を含んでおり;かつ、
当該装置はさらに、インペラの周りに配置されたケージを含んでおり、
該細長いチューブは、ケージおよびインペラの周りに配置されるように構成されており、かつ、インペラは、回転によって左心室から大動脈へと血液をポンピングするように構成されている。
【0018】
いくつかの応用例では、バネは、その半径方向に拘束されていない構成で配置されている時、その剛性のおかげで、インペラの回転の最中に細長いチューブに対してインペラを安定させるように構成されており、インペラの外縁と細長いチューブの内面との間の隙間
が維持されるようになっている。
【0019】
いくつかの応用例では:
バネはそれを通るルーメンを定め、かつ、
インペラはさらに:
近位ブッシングおよび遠位ブッシングを含んでおり;かつ、
バネによって定められたルーメンを通って近位ブッシングから遠位ブッシングへと延びるように構成された剛性シャフトを含んでおり、該剛性シャフトは、インペラの回転の最中に細長いチューブに対してインペラを安定させるように構成されており、インペラの外縁と細長いチューブの内面との間の隙間が維持されるようになっている。
【0020】
いくつかの応用例では、ケージは細長いチューブのフレームと一体的に形成されており、ケージが細長いチューブの近位端において細長いチューブのフレーム内に配置され、インペラがそのことによって細長いチューブの近位部内に配置され、かつ、インペラの長手方向軸がそのことによって細長いチューブの長手方向軸と整列するようになっている。
【0021】
いくつかの応用例では、インペラの外縁と細長いチューブの内面との間の隙間が1mmより小さい。
【0022】
いくつかの応用例では、インペラの外縁と細長いチューブの内面との間の隙間は0.4mmより小さい。
【0023】
いくつかの応用例では、インペラは、細長いチューブに対して安定するように構成されており、インペラの回転の最中、インペラと細長いチューブとの間の隙間が維持されるようになっている。
【0024】
いくつかの実施形態では、ケージは、細長いチューブのフレームと一体的に形成されていない。
【0025】
いくつかの応用例では、当該装置はさらに、1つ以上の支持アームを含んでおり、該1つ以上の支持アームは、ケージから細長いチューブのフレームへと延びるように構成されており、かつ、インペラの回転の最中、細長いチューブのフレームに対してインペラの遠位端を安定させるように構成されており、インペラの外縁と細長いチューブの内面との間の隙間が維持されるようになっている。
【0026】
いくつかの応用例では、支持アームは、細長いチューブのフレームに対してスライド可能であるように構成されている。
【0027】
いくつかの応用例では、支持アームは、細長いチューブのフレームに連結されるように構成されている。
【0028】
いくつかの応用例では、当該装置はさらに、細長いチューブに連結した複数の翼状突起(winged projection)を含んでおり、翼状突起によって定められる平面が、細長いチューブの長手方向軸と平行であるようになっており、翼状突起は、細長いチューブの長手方向軸の方向に沿って血流を方向付けることによってインペラの回転によって作り出される血液の乱流を安定させるように構成されている。
【0029】
いくつかの応用例では、細長いチューブは、半径方向に拘束された構成にある間に経カテーテル的に被験体の身体の中に挿入されるように構成されており、かつ、翼状突起は、細長いチューブがその半径方向に拘束された構成にある時に折り畳まれるように構成され
ている。
【0030】
いくつかの応用例では、バネはそれを通るルーメンを定め、かつ、インペラはさらに:
近位ブッシングおよび遠位ブッシングを含んでおり;かつ、
バネによって定められたルーメンを通って近位ブッシングから遠位ブッシングへと延びるように構成された剛性シャフトを含んでいる。
【0031】
いくつかの応用例では、剛性シャフトは、近位ブッシングおよび遠位ブッシングを互いに整列した状態で維持するように構成されている。
【0032】
いくつかの応用例では、インペラは、被験体の身体の中に配置されるように構成されており、被験体の身体の内部へのバネの配置に続いて、剛性シャフトは、バネによって定められたルーメン内に配置されるように構成されている。
【0033】
いくつかの応用例では、インペラは、被験体の身体の中に配置されるように構成されており、かつ、剛性シャフトは、被験体の身体の中へのインペラの配置の最中に、バネによって定められたルーメン内に配置されるように構成されている。
【0034】
いくつかの応用例では、インペラはさらに、近位ブッシングおよび遠位ブッシングを含んでおり、かつ、バネは、その半径方向に拘束されていない構成で配置されている時、その剛性のおかげで、近位ブッシングおよび遠位ブッシングを互いに整列した状態で維持するように構成されている。
【0035】
いくつかの応用例では、バネは、その半径方向に拘束されていない構成で配置されている時、バネの巻線とそれに隣接する巻線との間の隙間が実質的に存在しないように構成されている。
【0036】
さらに、本発明のいくつかの応用例によれば、方法が提供され、当該方法は:
被験体の血管内にインペラを配置することを含んでおり、該インペラは:
少なくとも1つのらせん状の細長い要素を含んでおり;
バネを含んでおり、該バネは、らせん状の細長い要素の内部に、かつ、らせん状の細長い要素と同軸に配置されており;かつ、
らせん状の細長い要素とバネとの間に支持された材料のフィルムを含んでおり;
当該方法は、インペラを用いて、被験体の血管を通して血液をポンピングすることを含んでいる。
【0037】
本発明は、図面と一緒に考慮される、その実施形態の以下の詳細な説明からいっそう完全に理解されるであろう:
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】
図1Aおよび
図1Bは、本発明のいくつかの応用例にしたがう、被験体の左心室に配置された心室補助デバイスの概略図である。
【
図2】
図2は、本発明のいくつかの応用例にしたがう、インペラとケージとを含むポンプの概略図である。
【
図3】
図3は、本発明のいくつかの応用例にしたがう、心室補助デバイスの細長いチューブのフレームおよび心室補助デバイスのインペラのケージの概略図である。
【
図4A】
図4Aおよび
図4Bは、本発明のいくつかの追加的な応用例にしたがう、心室補助デバイスの概略図である。
【
図4B】
図4Aおよび
図4Bは、本発明のいくつかの追加的な応用例にしたがう、心室補助デバイスの概略図である。
【
図5A-B】
図5Aおよび
図5Bは、本発明のいくつかの応用例にしたがう、
図4Aおよび
図4Bに示されている心室補助デバイスのインペラの各断面図の概略図である。
【
図5C-D】
図5Cは、本発明のいくつかの応用例にしたがう、
図4Aおよび
図4Bに示されている心室補助デバイスの断面図の概略図である。
図5Dは、本発明のいくつかの応用例にしたがう、半径方向に拘束された構成にある、
図4Aおよび
図4Bに示されている心室補助デバイスのインペラの概略図である。
【
図6】
図6Aおよび
図6Bは、本発明のいくつかの応用例にしたがう、心室補助デバイスの固定子(stator)の概略図である。
【
図7A】
図7A、
図7Bおよび
図7Cは、本発明のいくつかの応用例にしたがう、遠心ポンプを含む心室補助デバイスの概略図である。
【
図7B-C】
図7A、
図7Bおよび
図7Cは、本発明のいくつかの応用例にしたがう、遠心ポンプを含む心室補助デバイスの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
実施形態の詳細な説明
ここで、本発明のいくつかの応用例にしたがう、被験体の左心室22に配置された心室補助デバイス20の概略図である
図1Aおよび
図1Bを参照する。心室補助デバイスは、被験体の大動脈弁26を横切る細長いチューブ24を含んでおり、細長いチューブの近位端28が被験体の大動脈30に配置され、かつ、チューブの遠位端32が左心室22内に配置されるようになっている。細長いチューブは、典型的には、ニチノールのような自己拡張型の形状記憶合金から形成された半径方向に拡張可能なフレーム34と、フレーム上に配置された血液不透過性材料36とを含んでいる。例えば、血液不透過性材料は、ポリウレタン、ポリエステルおよび/またはシリコーンを含んでいてもよい。典型的には、フレームは剛性を有する細長いチューブを提供し、かつ、血液不透過性材料は血液不透過性を有する細長いチューブを提供する。さらに典型的には、フレームの形状記憶合金は、フレームが、チューブに加えられている任意の力の不存在下でそのチューブ形状をとるように設定された形状である。典型的には、チューブが半径方向に拘束された状態にある間に、デバイス20は経カテーテル的に左心室の中に挿入される(例えば、上腕動脈を通して)。カテーテルから解放される際、チューブは、フレームの拡張に起因して、そのチューブ形状を自動的にとる。細長いチューブ内(例えば、図示されているように、細長いチューブの近位部内)にポンプ40が配置され、かつ、左心室から大動脈の中へと細長いチューブを通して血液をポンピングし、そのことによって左心室機能を補助するように構成されている。
【0040】
図2は、本発明のいくつかの応用例にしたがう、ポンプ40の概略図である。ポンプ40は、典型的には、半径方向に拡張可能なケージ44の内部に配置された半径方向に拡張可能なインペラ42を含んでいる。典型的には、インペラおよびケージが半径方向に拘束された構成にある間に、ポンプ40は経カテーテル的に左心室の中に挿入される。インペラおよびケージは、典型的には、インペラおよびケージが、インペラおよびケージに対して作用する任意の半径方向に拘束する力の不存在下でその半径方向に拘束されていない(すなわち、半径方向に拡張した)構成をとるように設定された形状の形状記憶合金(ニチノールのような)を含んでいる。したがって、典型的には、ケージおよびインペラは、カテーテルであって、それを通してそれらが挿入される前記カテーテルの遠位端から解放される際に、半径方向に拡張する。いくつかの応用例については、例えばSchwammenthalへの国際公開第14/141284号パンフレット(参照によって本明細書に組み込まれる)に記載の装置および方法にしたがい、係合機構がインペラおよびケージを互いに対して係合させ、ケージが半径方向に拘束されるようになることに応答して、インペラが半径方向に拘束されるようになるようになっている。全般的に、ポンプ40は、概して、Schwammenthalへの国際公開第14/141284号パンフレット、Schwammenthalへの国際公開第15/177793号パンフレットおよび/
またはSchwammenthalへの国際公開第16/185473号パンフレット(これらはすべて、参照によって本明細書に組み込まれる)に記載の血液ポンプと同様である。典型的には、ポンプ40は、インペラの回転によって、左心室から大動脈の中へと細長いチューブを通して血液をポンピングする。いくつかの応用例については、回転するケーブル46(
図1B)がインペラを回転させる。典型的には、回転するケーブルは、被験体の身体の外部または被験体の身体の内部に配置されたモーター(図示せず)によって回転する。
【0041】
いくつかの応用例については、ポンプ40は細長いチューブの近位端に配置され、ポンプが大動脈内に配置されるようになっている。いくつかの応用例については、ポンプは細長いチューブの遠位端に配置され、ポンプが被験体の心室内に配置されるようになっている。
【0042】
ここで、本発明のいくつかの応用例にしたがう、心室補助デバイス20の細長いチューブ24のフレーム34およびポンプ40のケージ44の概略図である
図3を参照する。図示されているように、いくつかの応用例については、ケージは細長いチューブのフレームと一体的に形成され、ケージが細長いチューブの近位端において細長いチューブのフレーム内に配置されるようになっている。典型的には、ケージが細長いチューブの近位端において細長いチューブのフレーム内に配置されるおかげで、ポンプ40は細長いチューブの近位部内に配置され、かつ、ポンプの長手方向軸は細長いチューブの長手方向軸と整列する。いくつかの応用例については、細長いチューブ24のフレーム34およびケージ44は、形状記憶材料(例えば、ニチノールのような形状記憶合金)の単一の部品(例えば、単一のチューブ)から切り取られる。典型的には、形状記憶の単一の部品から切り取られるおかげで、ケージが配置されるチューブの領域は、ケージが形状記憶材料の別個の部品から切り取られ、かつ、細長いチューブの内部に挿入される場合に可能となるより小さい直径へと半径方向に圧縮され得、その他の事情が同じならば、その逆もまた同様である。
【0043】
ここで、本発明のいくつかの追加的な応用例にしたがう、心室補助デバイス20の概略図である
図4を参照する。いくつかの応用例については、ポンプ40は、概して
図4Aに示されているようなものである。典型的には、ポンプは、中心軸バネ54の周りに巻きついた外側のらせん状の細長い要素52を含むインペラ50を含んでおり、らせん状の細長い要素によって定められるらせんが、中心軸バネと同軸であるようになっている。いくつかの応用例については、らせん状の細長い要素および中心軸バネは、形状記憶材料(例えば、ニチノールのような形状記憶合金)でできている。典型的には、らせん状の細長い要素および中心軸バネは、その間に材料(例えば、ポリウレタンおよび/またはシリコーンのような高分子)のフィルム56を支持する。らせん状の細長い要素、軸バネおよびフィルムは、インペラのブレードを定め、らせん状の細長い要素はインペラのブレードの外縁を定め(そのことによってインペラの外縁を定め)、かつ、軸バネはインペラのブレードの軸を定める。いくつかの応用例については、例えば国際公開第14/141284号パンフレット(参照によって本明細書に組み込まれる)に記載されるように、縫合糸(例えば、ポリエステル縫合糸、図示せず)がらせん状の細長い要素の周りに巻かれる。典型的には、縫合糸は、材料(典型的には、ポリウレタンまたはシリコーンのような高分子である)のフィルムとらせん状の細長い要素(典型的には、ニチノールのような形状記憶合金である)との間の結合を促進するように構成されている。いくつかの応用例については、縫合糸(例えば、ポリエステル縫合糸、図示せず)がバネ54の周りに巻かれる。典型的には、縫合糸は、材料(典型的には、ポリウレタンまたはシリコーンのような高分子である)のフィルムとバネ(典型的には、ニチノールのような形状記憶合金である)との間の結合を促進するように構成されている。
【0044】
典型的には、バネ54およびらせん状の細長い要素52の両方の近位端が、インペラの
近位ブッシング(すなわち、スリーブ軸受)64に連結され、バネ54およびらせん状の細長い要素52の両方の近位端が、互いにインペラの長手方向軸から同様の半径方向距離に配置されるようになっている。同様に、典型的には、バネ54およびらせん状の細長い要素52の両方の遠位端が、インペラの遠位ブッシング58に連結され、バネ54およびらせん状の細長い要素52の両方の遠位端が、互いにインペラの長手方向軸から同様の半径方向距離に配置されるようになっている。
【0045】
いくつかのかかる応用例については、細長いチューブ24のフレーム34は、
図3を参照して上記されたように、それと一体的に形成されたケージを含んでいない。むしろ、いくつかのかかる応用例については、インペラの遠位ブッシング58が、インペラの遠位ブッシングから細長いチューブ24のフレーム34へと半径方向外側に延びる1つ以上の支持アーム60によって、細長いチューブに対して安定する。
図4Aに示されているように、いくつかの応用例については、支持アームは細長いチューブのフレーム34に連結されていないが、細長いチューブの内面に係合し、そのことによって細長いチューブに対してインペラの遠位ブッシングを安定させるように構成されている。かかる応用例については、支持アームは、典型的には、支持アームが細長いチューブの内面に沿ってスライドすることによって細長いチューブに対して可動であるように構成されている。代替的には、支持アームが細長いチューブのフレーム34と一体的に形成されていないとしても、支持アームは細長いチューブのフレーム34に連結されており(例えば、溶接、縫合および/または接着剤によって)、少なくとも支持アームが細長いチューブのフレームに連結される位置においては、支持アームが細長いチューブに対する運動を経験し得ないようになっている。さらに代替的には、デバイスは、
図4Bに示されているように、細長いチューブのフレーム34と一体的に形成された支持アームを含んでいる。
【0046】
ここで、本発明のいくつかの応用例にしたがうデバイス20の概略図である
図4Bを参照すると、該デバイスは、細長いチューブ24のフレーム34と一体的に形成された支持アーム59を含んでおり、該支持アームは、連結点61においてフレーム34に連結されている。典型的には、支持アームは、インペラの遠位ブッシングから連結点へと延びるように構成されており、かつ、そのことによって細長いチューブに対してインペラの遠位ブッシングを安定させるように構成されている。
【0047】
図4A~
図4Bに示されているデバイス20に関して、いくつかの応用例については、インペラ50は、図示されているように、細長いチューブの近位端に配置され、デバイス20の使用の最中、インペラが大動脈内に配置され、かつ、大動脈内で回転することによって心室から左心室の中へと血液をポンピングするようにすることが注目される。いくつかの応用例(図示せず)については、インペラは、細長いチューブの遠位端に配置され、デバイス20の使用の最中、インペラが心室内に配置され、かつ、心室内で回転することによって心室から外に出るように血液をポンピングすることが注目される。全般的に、本願の文脈では、用語「血管」は、心室を含むものとして解釈されるべきである。同様に、血管内に配置されているものとして記載されるインペラは、心室内に配置されたインペラを含むものとして解釈されるべきである。
【0048】
ここで、本発明のいくつかの応用例にしたがう、インペラ50の断面図の概略図である
図5Aおよび
図5Bを参照すると、
図5Aはインペラの長手方向軸に対して直角であり、かつ、
図5Bはインペラの長手方向軸に沿っている。本発明のいくつかの応用例にしたがう、心室補助デバイス20の、該デバイスの長手方向軸に沿った断面図の概略図である
図5Cもまた参照する。例えば
図5Bに示されているように、バネ54は、それを通るルーメン62を定める。いくつかの応用例については、少なくともインペラの近位ブッシング64から遠位ブッシング58へとルーメンに沿って剛性シャフト63が配置される。剛性シャフトは、近位ブッシングから遠位ブッシングへと回転運動を与え、かつ/または、遠
位ブッシングおよび近位ブッシングを、互いに整列した状態かつ細長いチューブの長手方向軸と整列した状態で維持するように構成されている。代替的または追加的には、バネ54自体がシャフトとして作用する。したがって、いくつかの応用例については、バネは、近位ブッシングから遠位ブッシングへと回転運動を与え、かつ/または、遠位ブッシングおよび近位ブッシングを、互いに整列した状態かつ細長いチューブの長手方向軸と整列した状態で維持するように構成されている。いくつかのかかる応用例については、バネは、バネが半径方向に拘束されていない構成で配置される時に、バネの巻線とそれに隣接する巻線との間に隙間が実質的に存在しないように構成されている。
【0049】
ここで、本発明のいくつかの応用例にしたがう、半径方向に拘束された(すなわち、軸方向に引き延ばされた)構成にあるインペラ50の概略図である
図5Dを参照する。典型的には、インペラ50がその半径方向に拘束された構成にある間に、ポンプ40は経カテーテル的に左心室の中に挿入される。図示されているように、半径方向に拘束された構成では、らせん状の細長い要素52および中心軸バネ54の両方が、軸方向に引き延ばされ、かつ、半径方向に拘束されるようになる。典型的には、材料(例えば、シリコーン)のフィルム56は、らせん状の細長い要素および軸方向支持バネ(両方とも材料のフィルムを支持する)の形状変化に適合するように形状を変化させる。典型的には、バネを用いてフィルムの内縁を支持することは、バネがフィルムの内縁が結合する大きい表面領域を提供することに起因してフィルムが破れることまたはルーメン62内に配置されたシャフトの上へと内側に潰れることを伴わずに、フィルムが形状を変化させることを可能にする。いくつかの応用例については、バネを用いてフィルムの内縁を支持することは、例えばフィルムの内縁を支持するのに剛性シャフトが用いられる場合と比べて、直径であって、それに対してインペラが半径方向に拘束され得る前記直径を減少させる。なぜなら、バネの直径自体は、バネを軸方向に引き延ばすことによって減少させ得るからである。上記され、かつ、
図5Cに示されているように、剛性シャフト63は、少なくともインペラの近位ブッシング64から遠位ブッシング58へとルーメン62(バネ54に沿って定められる)に沿って配置される。いくつかの応用例については、剛性シャフトは、被験体の左心室の中へのインペラの経カテーテル的挿入の最中でさえルーメンの内部に配置される。代替的には、一旦インペラが挿入カテーテルから解放されると、剛性シャフトはルーメン62の中へと進められ、かつ、被験体の心室の内部に配置される。
【0050】
図5Aを再び参照すると、典型的には、インペラの外縁と細長いチューブ24の内面との間には、インペラの全長がその最大である位置でさえ、隙間Gが存在する。いくつかの応用例については、インペラのブレードの外縁と細長いチューブ24との間の隙間は、インペラが被験体の左心室から被験体の大動脈の中へと血液を効果的にポンピングするために、比較的小さいことが望ましい。しかしながら、例えば溶血のリスクを低減させるために、インペラのブレードの外縁と細長いチューブ24との間の隙間が維持されることもまた望ましい。いくつかの応用例については、インペラの全長がその最大である位置におけるインペラの外縁と細長いチューブの内面との間の隙間Gは、0.05mmより大きく(例えば、0.1mmより大きく)、かつ/または、1mmより小さく(例えば、0.4mmより小さく)、例えば、0.05mm~1mmまたは0.1mm~0.4mmである。上記されたように、いくつかの応用例については、インペラの遠位ブッシング58は、1つ以上の支持アーム60または支持アーム59によって、細長いチューブに対して安定する。いくつかの応用例については、細長いチューブに対してインペラの遠位ブッシング58を安定させることで、インペラのブレードの外縁と細長いチューブ24との間の比較的小さい隙間(すなわち、上記されたような隙間)が、インペラの回転の最中に維持される。代替的または追加的には、バネ54によって定められたルーメン62を通して、インペラの軸に沿って剛性シャフトが挿入され、かつ、該剛性シャフトは、細長いチューブに対してインペラの遠位ブッシング58を安定させ、インペラのブレードの外縁と細長いチューブ24との間の比較的小さい隙間(すなわち、上記されたような隙間)が、インペラの
回転の最中に維持されるようになっている。
【0051】
典型的には、らせん状の細長い要素52のピッチは、インペラ50が半径方向に拘束されていない構成にある時には(例えば、被験体の心室の内部では)、1mmより大きく(例えば、6mmより大きく)、かつ/または、20mmより小さい(例えば、10mmより小さい)。典型的には、その他の事情が同じならば、らせん状の細長い要素(したがって、インペラのブレード)のピッチが大きくなるほど、インペラによって作り出される血流量が大きくなる。したがって、記載されたように、らせん状の細長い要素52のピッチは、典型的には、インペラ50が半径方向に拘束されていない構成にある時には、1mmより大きい(例えば、6mmより大きい)。他方、インペラは、心臓拡張期の最中、被験体の大動脈から被験体の左心室の中への逆流を塞ぐことが典型的には望ましい。その他の事情が同じならば、らせん状の細長い要素(したがって、インペラのブレード)のピッチが小さくなるほど、インペラによって提供される閉塞が大きくなるのが典型的な場合である。したがって、記載されたように、らせん状の細長い要素52のピッチは、典型的には、インペラ50が半径方向に拘束されていない構成にある時には、20mmより小さい(例えば、10mmより小さい)。
【0052】
いくつかの応用例については、らせん状の細長い要素(したがって、インペラのブレード)のピッチは、少なくともインペラが半径方向に拘束されていない構成にある時には、らせん状の細長い要素の長さに沿って変化する。典型的には、かかる応用例については、ピッチは、インペラの遠位端(すなわち、被験体の身体の中へとさらに挿入され、かつ、順行性の血流の方向に対して上流に配置された端部)からインペラの近位端(すなわち、順行性の血流の方向に対して下流に配置された端部)へと増大し、ピッチが血流の方向で増大するようになっている。典型的には、血流速度は、血流の方向に沿って、インペラに沿って増大する。したがって、ピッチは、血流の方向に沿って増大し、血液をさらに加速させるようになっている。
【0053】
いくつかの応用例(図示せず)については、インペラ50は概して、
図4A~
図5Dに示されているようなものであるが、インペラは、複数のらせん状の細長い要素を含んでいる。例えば、インペラは、2つまたは3つのらせん状の細長い要素を含んでいてもよい。典型的には、材料のフィルムは、複数のらせん状の細長い要素とバネとの間で支持され、インペラが複数のブレードを定めるようになっている。典型的には、例えばSchwammenthalへの国際公開第14/141284(参照によって本明細書に組み込まれる)に概して記載されているように、インペラのブレードの数は、インペラの上に配置されたらせん状の細長い要素の数に対応する。
【0054】
ここで、本発明のいくつかの応用例にしたがう、心室補助デバイス20の固定子65の概略図である
図6Aおよび
図6Bを参照する。
図6Bは、説明の目的で、心室補助デバイスのいくつかのその他の要素の不存在下での固定子を示している。いくつかの応用例については、図示されているように、固定子65は、細長いチューブ24のフレーム34の近位部内に配置される。典型的には、固定子は、複数の(例えば、2つより多く、かつ/または8つより少ない)翼状突起66を含んでおり、該複数の翼状突起66は、デバイス20が半径方向に拘束されていない時にはフレーム34から延び、かつ、可撓性材料(例えば、ポリウレタンおよび/またはシリコーンのような高分子)でできている。翼状突起は、典型的には、細長いチューブの長手方向軸に対して平行である平面を定めるように構成されており、そのことによって、細長いチューブの長手方向軸の方向に沿って血流を方向付けることによって、インペラによって作り出される血液の乱流を安定させるように構成されている。
【0055】
図6Aに示されているように、典型的には、細長いチューブ24は、チューブのフレー
ム34の上に配置された血液不透過性材料36を含んでいることが注目される。例えば、血液不透過性材料は、上記されたように、ポリウレタン、ポリエステルまたはシリコーンを含んでいてもよい。典型的には、細長いチューブは血液不透過性材料を、説明の目的でチューブの血液不透過性材料が本願のすべての図面に示されていない場合でさえ、含んでいることが注目される。
【0056】
図6Bに示されているように、いくつかの応用例については、上記の技術にしたがって、縫合糸68は、フレーム34の周りに巻かれ、翼状突起とフレーム34との間の連結を促進する。いくつかの応用例については、翼状突起は、フレーム34から軸方向支持要素69へと延びる。典型的には、軸方向支持要素は、金属、プラスチックならびに/または高分子(ポリウレタンおよび/もしくはシリコーン)で形成されたチューブ状の要素である。いくつかの応用例については、固定子65は、細長いチューブ24のフレーム34と一体的に形成される。代替的または追加的には、固定子は、細長いチューブとは別個に形成される。
【0057】
上記されたように、典型的には、細長いチューブ24が半径方向に拘束されている状態にある一方で、デバイス20は経カテーテル的に被験体の心室へと挿入される。カテーテルから解放される際、チューブは、細長いチューブ24のフレーム34が自己拡張型であることに起因してそのチューブ形状を自動的にとる。典型的には、固定子は、細長いチューブの内部で被験体の左心室に挿入される。挿入の最中、固定子の翼状突起は、折り畳まれた状態にあり、かつ、最小直径であって、それに対して細長いチューブが半径方向に拘束され得る前記最小直径を、チューブが翼状突起を含有していない場合と比べて実質的に増大させない。細長いチューブのフレーム34が拡張する際、翼状突起は、翼状突起がフレーム34に連結されることに起因して、その翼を広げた構成を自動的にとるように構成されている。
【0058】
図1Aおよび
図1Bは、被験体の左心室における心室補助デバイス20を示しているが、いくつかの応用例については、デバイス20は、被験体の右心室の内部に配置され、該デバイスが肺動脈弁を横切り、かつ、本明細書に記載の技術が必要な変更を加えて適用されることが注目される。代替的または追加的には、デバイス20および/またはその一部(例えば、インペラ50(細長いチューブ24の不存在下でさえも))は、被験体の身体の異なる部分の内部に配置され、かかる部分からの血液のポンピングを補助する。例えば、デバイス20および/またはその一部(例えば、インペラ50(細長いチューブ24の不存在下でさえも))は、血管に配置されてもよく、かつ、血管を通して血液をポンピングするのに用いられてもよい。いくつかの応用例については、デバイス20および/またはその一部(例えば、インペラ50(細長いチューブ24の不存在下でさえも))は、必要な変更を加えて、鎖骨下動脈または頸静脈内に、静脈とリンパ管との接合点において配置されるように構成されており、かつ、リンパ管から静脈の中へのリンパ液の流量を増大させるのに用いられる。
【0059】
ここで、本発明のいくつかの応用例にしたがう、遠心ポンプ72を含む心室補助デバイス70の概略図である
図7Aを参照する。
図7Bおよび
図7Cもまた参照するが、該図はそれぞれ、本発明のいくつかの応用例にしたがう、遠心ポンプの3次元および2次元断面図を示している。
【0060】
いくつかの応用例については、心室補助デバイスは、遠心ポンプを用いて被験体の左心室から、被験体の身体から外に出て、かつ、被験体の大動脈30の中へと血液をポンピングすることによって、心室(例えば、左心室22)のポンピングを補助する。いくつかの応用例については、遠心ポンプ72から被験体の心室へと延びる被験体の血管系の中にカテーテル74が挿入される。
図7Bおよび
図7Cに示されているように、典型的には、カ
テーテル74は、同心チューブ76および78を定める。血液は、同心チューブのうちの第1のもの(例えば、
図7Cにおいて血流の方向を示している破線の矢印によって示されている内側チューブ76)を通って被験体の左心室から外に出るようにポンピングされ、かつ、血液は、同心チューブのうちの第2のもの(例えば、
図7Cにおける外側チューブ78)を通って被験体の大動脈の中へとポンピングされる。典型的には、第1および第2のチューブは、単一の挿入点(例えば、
図7Aに示されているような大腿動脈80)を介するか、または、異なる挿入点(鎖骨下動脈のような)を通して被験体の身体の中に挿入される。いくつかの応用例については、遠心ポンプ72は、追加のチューブ82(それによって、血圧が測定される)を定める。
【0061】
本発明の範囲は、本明細書に記載の装置および方法のいずれかと、以下の出願(すべて参照によって本明細書に組み込まれる)の1つ以上に記載の装置および方法のいずれかとの組み合わせを含んでいる:
【0062】
2016年9月29日付け出願のTuvalへの米国仮特許出願第62/401,403号からの優先権を主張する、「Blood vessel tube(血管チューブ)」と題する2017年9月28日付け出願のTuvalへの国際特許出願第PCT/IL2017/051092号;
【0063】
「Blood pump(血液ポンプ)」と題する2015年5月18日付け出願のSchwammenthalへの米国仮特許出願第62/162,881号からの優先権を主張する、「Blood pump(血液ポンプ)」と題する2016年5月18日付け出願のSchwammenthalへの国際特許出願第PCT/IL2016/050525号(国際公開第16/185473号パンフレットとして公開);
【0064】
「Blood pump(血液ポンプ)」と題する2014年5月19日付け出願のSchwammenthalへの米国仮特許出願第62/000,192号からの優先権を主張する、「Blood pump(血液ポンプ)」と題する2015年5月19日付け出願のSchwammenthalへの国際特許出願第PCT/IL2015/050532号(国際公開第15/177793号パンフレットとして公開);
【0065】
(a)「Renal pump(腎臓ポンプ)」と題する2013年3月13日付け出願のSchwammenthalへの米国仮特許出願第61/779,803号および(b)「Renal pump(腎臓ポンプ)」と題する2013年12月11日付け出願のSchwammenthalへの米国仮特許出願第61/914,475号からの優先権を主張する、「Renal pump(腎臓ポンプ)」と題する2014年3月13日付け出願のSchwammenthalへの国際特許出願第PCT/IL2014/050289号(国際公開第14/141284号パンフレットとして公開);
【0066】
「Curved catheter(湾曲したカテーテル)」と題する2013年12月11日付け出願のTuvalへの米国仮特許出願第61/914,470号からの優先権を主張する、「Curved catheter(湾曲したカテーテル)」と題する2014年12月11日付け出願のTuvalへの米国特許出願第14/567,439号(米国特許出願公開第2015/0157777号明細書として公開);ならびに、
【0067】
「Prosthetic renal valve(人工腎臓弁)」と題する2012年6月6日付け出願のTuvalへの米国仮特許出願第61/656,244号からの優先権を主張する、「Prosthetic renal valve(人工腎臓弁)」と題する2013年6月6日付け出願のTuvalへの国際特許出願第PCT/IL2013/050495号(国際公開第13/183060号パンフレットとして公開)。
【0068】
したがって、本発明のいくつかの応用例によれば、以下の発明概念が提供される:
【0069】
発明概念1。装置であって、当該装置は:
被験体の左心室機能を補助するように構成された左心室補助デバイスを有し、該左心室補助デバイスは:
被験体の大動脈弁を横切るように構成された細長いチューブを有し、チューブの近位端が被験体の大動脈内に配置され、かつ、チューブの遠位端が被験体の左心室内に配置されるようになっており、該細長いチューブは:
形状記憶合金から形成されたフレームと;
該フレーム上に配置された血液不透過性材料とを有し;
該左心室補助デバイスは、回転することによって被験体の左心室から被験体の大動脈へと血液をポンピングするように構成された回転可能なインペラを有し;かつ、
該左心室補助デバイスは、細長いチューブに連結された複数の翼状突起を有し、該翼状突起によって定められる平面が細長いチューブの長手方向軸と平行であるようになっており、翼状突起は、細長いチューブの長手方向軸の方向に沿って血流を方向付けることによって、インペラの回転によって作り出される血液の乱流を安定させるように構成されている、
前記装置。
【0070】
発明概念2。細長いチューブが、半径方向に拘束された構成にある間に経カテーテル的に被験体の身体の中に挿入されるように構成されており、かつ、翼状突起が、細長いチューブがその半径方向に拘束された構成にある時に折り畳まれるように構成されている、発明概念1の装置。
【0071】
発明概念3。方法であって、当該方法は:
被験体の身体の中に細長いチューブを、細長いチューブが被験体の大動脈弁を横切るように配置することを有し、チューブの近位端が被験体の大動脈内に配置され、かつ、チューブの遠位端が被験体の左心室内に配置されるようになっており、該細長いチューブは:
形状記憶合金から形成されたフレームと、
該フレーム上に配置された血液不透過性材料とを含んでおり;かつ、
当該方法は、細長いチューブ内に配置されたインペラを回転させることによって、被験体の左心室から被験体の大動脈へと血液をポンピングすることを有し、
複数の翼状突起が細長いチューブに連結され、翼状突起によって定められる平面が細長いチューブの長手方向軸と平行であるようになっており、翼状突起は、細長いチューブの長手方向軸の方向に沿って血流を方向付けることによって、インペラの回転によって作り出される血液の乱流を安定させるように構成されている、
前記方法。
【0072】
発明概念4。被験体の身体の中に細長いチューブを配置することが、細長いチューブが半径方向に拘束された構成にある間に経カテーテル的に被験体の身体の中に細長いチューブを配置することを有し、翼状突起が、細長いチューブがその半径方向に拘束された構成にある時に折り畳まれるように構成されている、発明概念3の方法。
【0073】
発明概念5。装置であって、当該装置は:
被験体の左心室機能を補助するように構成された左心室補助デバイスを有し、該左心室補助デバイスは:
被験体の大動脈弁を横切るように構成された細長いチューブを有し、チューブの近位端が被験体の大動脈内に配置され、かつ、チューブの遠位端が被験体の左心室内に配置されるようになっており、該細長いチューブは:
形状記憶合金から形成されたフレームと;
該フレーム上に配置された血液不透過性材料とを有し;かつ、
該左心室補助デバイスは、回転可能なインペラと、該回転可能なインペラの周りに配置されたケージとを有するポンプを有し、
該ケージは、細長いチューブと一体的に形成され、ケージが、細長いチューブの近位端において細長いチューブのフレーム内に配置され、ポンプは、そのことによって、細長いチューブの近位部内に配置され、ポンプの長手方向軸が、そのことによって細長いチューブの長手方向軸と整列するようになっている、
前記装置。
【0074】
発明概念6。方法であって、当該方法は:
被験体の身体の中に被験体の左心室機能を補助するように構成された左心室補助デバイスを配置することを有し、該左心室補助デバイスは:
被験体の大動脈弁を横切るように構成された細長いチューブを含んでおり、チューブの近位端が被験体の大動脈内に配置され、かつ、チューブの遠位端が被験体の左心室内に配置されるようになっており、該細長いチューブは:
形状記憶合金から形成されたフレームと;
該フレーム上に配置された血液不透過性材料とを含んでおり;
該左心室補助デバイスは、回転可能なインペラと、該回転可能なインペラの周りに配置されたケージとを有するポンプを含んでおり、
該ケージは、細長いチューブと一体的に形成され、ケージが、細長いチューブの近位端において細長いチューブのフレーム内に配置され、ポンプは、そのことによって、細長いチューブの近位部内に配置され、ポンプの長手方向軸が、そのことによって細長いチューブの長手方向軸と整列するようになっており;かつ、
当該方法は、インペラを回転させることによって、被験体の左心室から被験体の大動脈へと血液をポンピングすることを有する、
前記方法、
【0075】
発明概念7。被験体の身体における第1の位置から被験体の身体における第2の位置へと血液をポンピングするための血液ポンプであって、当該血液ポンプは:
第1の位置から離れるように血液をポンピングするための第1のチューブを有し;
第2の位置へと向かうように血液をポンピングするための第2のチューブを有し、第1および第2のチューブは互いに同軸であり;かつ、
第1および第2のチューブを通して血液をポンピングするように構成された遠心ポンプを有する、
前記血液ポンプ。
【0076】
発明概念8。方法であって、当該方法は:
被験体の身体における第1の位置から被験体の身体における第2の位置へと血液をポンピングすることを有し、該ポンピングは:
第1のチューブを通して第1の位置から離れるように血液をポンピングすることによって行われ;
第2のチューブを通して第2の位置へと向かうように血液をポンピングすることによって行われ、第1および第2のチューブは、互いに同軸であり;かつ、
遠心ポンプを用いて、第1および第2のチューブを通して血液をポンピングすることによって行われる、
前記方法。
【0077】
本発明は、具体的に図示され、かつ、上記されたものに限定されないことが当業者によって把握されるであろう。むしろ、本発明の範囲は、上記された種々の特徴の組み合わせ
および部分的組み合わせの両方、ならびに、上記の説明を読んだ当業者が想起する先行技術にはないその変形および修正を含んでいる。
【手続補正書】
【提出日】2023-12-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、当該装置は:
インペラ(50)を有し、該インペラ(50)は:
少なくとも1つのらせん状の細長い要素(52)を有し;
バネ(54)を有し、前記バネ(54)は、前記のらせん状の細長い要素(52)の内部に、かつ、前記のらせん状の細長い要素(52)と同軸に配置され;かつ、
前記のらせん状の細長い要素(52)と前記バネ(54)との間に支持された材料のフィルム(56)を有し、
被験体の大動脈弁を横切るように構成された細長いチューブ(24)を有し、前記チューブ(24)の近位端が前記被験体の大動脈内に配置され、かつ、前記チューブ(24)の遠位端が前記被験体の左心室内に配置されるようになっており、前記の細長いチューブ(24)は:
形状記憶合金から形成されたフレーム(34)と;
前記フレーム(34)上に配置された血液不透過性材料(36)とを有し、
前記の細長いチューブ(24)が、前記インペラ(50)の周りに配置されるように構成されており、かつ、前記インペラ(50)が、回転することによって前記左心室から前記大動脈へと血液をポンピングするように構成されており、
当該装置は、前記インペラ(50)の回転の最中に、前記インペラ(50)の外縁と前記の細長いチューブ(24)の内面との間の隙間(G)が、1mmより小さいように構成されている、
前記装置。
【請求項2】
前記インペラ(50)が複数のらせん状の細長い要素(52)を有し、かつ、前記の材料のフィルム(56)が、前記の複数のらせん状の細長い要素(52)と前記バネ(54)との間に支持され、前記インペラ(50)が複数のブレードを定めるようになっている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記インペラ(50)が、前記被験体の大動脈に配置されるように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記インペラ(50)が、前記被験体の左心室に配置されるように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記インペラ(50)が、軸方向に引き延ばされた前記のらせん状の細長い要素(52)および前記バネ(54)によって半径方向に拘束されるように構成されており、かつ、前記のらせん状の細長い要素(52)および前記バネ(54)の軸方向の延びに応答して、前記フィルム(56)が、前記の材料のフィルム(56)が破れることを伴わずに形状を変化させるように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記バネ(54)が、その半径方向に拘束されていない構成で配置される時、その剛性のおかげで、前記インペラ(50)の回転の最中に前記の細長いチューブ(24)に対して前記インペラ(50)を安定させるように構成されており、前記インペラ(50)の前記外縁と前記の細長いチューブ(24)の前記内面との間の前記隙間(G)が維持されるようになっている、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記バネ(54)が、それを通るルーメン(62)を定めており、
前記インペラ(50)がさらに:
近位ブッシング(64)および遠位ブッシング(58)を有し;かつ、
前記バネ(54)によって定められた前記ルーメン(62)を通って前記近位ブッシング(64)から前記遠位ブッシング(58)へと延びるように構成された剛性シャフト(63)を有し、前記剛性シャフト(63)は、前記インペラ(50)の回転の最中に前記の細長いチューブ(24)に対して前記インペラ(50)を安定させるように構成されており、前記インペラ(50)の前記外縁と前記の細長いチューブ(24)の前記内面との間の前記隙間(G)が維持されるようになっている、
請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記インペラ(50)の前記外縁と前記の細長いチューブ(24)の前記内面との間の前記隙間(G)が、0.4mmより小さい、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記インペラ(50)が、前記の細長いチューブ(24)に対して安定するように構成されており、前記インペラ(50)の回転の最中、前記インペラ(50)と前記の細長いチューブ(24)の前記内面との間の前記隙間(G)が維持されるようになっている、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記バネ(54)がそれを通るルーメン(62)を定め、かつ、前記インペラ(50)がさらに:
近位ブッシング(64)および遠位ブッシング(58);および、
前記バネ(54)によって定められた前記ルーメン(62)を通って前記近位ブッシング(64)から前記遠位ブッシング(58)へと延びるように構成された剛性シャフト(63)を有する、
請求項1~5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記剛性シャフト(63)が、前記近位ブッシング(64)および前記遠位ブッシング(58)を互いに整列した状態で維持するように構成されている、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記被験体の身体の内部への前記バネ(54)の配置に続いて、前記剛性シャフト(63)が、前記バネ(54)によって定められた前記ルーメン(62)内に配置されるように構成されている、請求項10に記載の装置。
【請求項13】
前記剛性シャフト(63)が、前記被験体の身体の中への前記インペラ(50)の配置の最中に、前記バネ(54)によって定められた前記ルーメン(62)内に配置されるように構成されている、請求項10に記載の装置。
【請求項14】
前記インペラ(50)がさらに、近位ブッシング(64)および遠位ブッシング(58)を有し、かつ、前記バネ(54)が、その半径方向に拘束されていない構成で配置される時に、その剛性のおかげで、前記近位ブッシング(64)および前記遠位ブッシング(58)を互いに整列した状態で維持するように構成されている、請求項1~5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記バネ(54)が、前記のその半径方向に拘束されていない構成で配置される時に、前記バネ(54)の巻線とそれに隣接する巻線との間に実質的に隙間が存在しないように構成されている、請求項14に記載の装置。
【外国語明細書】