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  • 特開-浴室殺菌洗浄システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024002326
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】浴室殺菌洗浄システム
(51)【国際特許分類】
   A61L 2/18 20060101AFI20231228BHJP
   A47K 4/00 20060101ALI20231228BHJP
   A61L 101/10 20060101ALN20231228BHJP
【FI】
A61L2/18 100
A47K4/00
A61L101:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022101444
(22)【出願日】2022-06-23
(71)【出願人】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100120514
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 雅人
(72)【発明者】
【氏名】中川 靖
【テーマコード(参考)】
2D132
4C058
【Fターム(参考)】
2D132GA00
2D132GA02
4C058AA07
4C058BB07
4C058CC03
4C058CC07
4C058DD03
4C058DD11
4C058DD16
4C058JJ07
4C058JJ24
(57)【要約】
【課題】人が不用意にオゾン水を浴び、また高濃度のオゾンガス雰囲気中に身を置くといった不具合を適切に防止または抑制することが可能な浴室殺菌洗浄システムを提供する。
【解決手段】送風装置30と、換気装置32と、浴室1の殺菌洗浄処理を行なうべく浴室1へのオゾン水噴霧動作が可能なオゾン水噴霧装置4と、を備えている、浴室殺菌洗浄システムSYであって、浴室1への人の進入の有無を判断可能な浴室進入判断手段Sa,5を、さらに備えており、オゾン水噴霧動作の実行期間中に、浴室1への人の進入がある旨の判断が浴室進入判断手段Sa,5によってなされたときには、オゾン水噴霧動作は中断されるとともに、送風および換気が実行されるように構成されている。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴室への送風が可能な送風装置と、
前記浴室の空気を外部に排気して前記浴室の換気が可能な換気装置と、
前記浴室の殺菌洗浄処理を行なうべく前記浴室へのオゾン水噴霧動作が可能なオゾン水噴霧装置と、
を備えている、浴室殺菌洗浄システムであって、
前記浴室への人の進入の有無を判断可能な浴室進入判断手段を、さらに備えており、
前記オゾン水噴霧動作の実行期間中に、前記浴室への人の進入がある旨の判断が前記浴室進入判断手段によってなされたときには、前記オゾン水噴霧動作は中断されるとともに、前記送風および前記換気が実行されるように構成されていることを特徴とする、浴室殺菌洗浄システム。
【請求項2】
請求項1に記載の浴室殺菌洗浄システムであって、
前記浴室進入判断手段は、前記浴室からの人の退出の有無を判断可能であり、
前記オゾン水噴霧動作の前記中断の後に、前記浴室からの人の退出がある旨の判断が前記浴室進入判断手段によってなされたときには、前記送風および前記換気は終了するとともに、前記オゾン水噴霧動作が再開されるように構成されている、浴室殺菌洗浄システム。
【請求項3】
請求項1に記載の浴室殺菌洗浄システムであって、
前記送風装置および前記換気装置は、前記オゾン水噴霧動作の前記中断時においては、通常時よりも送風量および換気量が多くなるように駆動制御される、浴室殺菌洗浄システム。
【請求項4】
請求項1に記載の浴室殺菌洗浄システムであって、
前記浴室には、浴槽および洗い場があり、
前記浴槽の上方には、前記送風装置の送風用のルーバ、および前記換気装置の空気吸い込み口が設けられており、
前記オゾン水噴霧動作の前記中断時において実行される前記送風は、前記ルーバから前記洗い場側に向かう斜め下方向に空気吹き出しが行なわれるように構成され、かつ前記空気の吹き出しに起因して前記浴室の上部に上昇した空気が前記空気吸い込み口を介して前記換気装置に到達し、前記浴室の外部に排気される構成とされている、浴室殺菌洗浄システム。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の浴室殺菌洗浄システムであって、
前記浴室を乾燥するための浴室乾燥運転が可能な浴室乾燥装置を備えており、
この浴室乾燥装置に、前記送風装置、前記換気装置、および前記オゾン水噴霧装置が具備されている、浴室殺菌洗浄システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オゾン水を利用する浴室殺菌洗浄システムに関する。
【背景技術】
【0002】
浴室殺菌洗浄システムの具体例として、たとえば特許文献1に記載されているように、オゾン水を浴室に噴霧可能なオゾン水噴霧装置を備えたものがある。
ここで、オゾン水は、殺菌作用を有する。したがって、前記構成によれば、オゾン水の噴霧により、浴室の壁面などの各部に殺菌処理を施し、カビや雑菌類などの繁殖を抑制することが可能である。オゾン水の噴霧による汚れの除去も可能である。
【0003】
しかしながら、前記従来技術によれば、次のように未だ改善すべき余地があった。
【0004】
すなわち、浴室へのオゾン水噴霧動作が実行されている期間中に、人がうっかりして浴室に進入し、オゾン水を浴びてしまう虞がある。オゾン水は殺菌作用を発揮する他、漂白作用なども発揮するため、前記したようなことは適切に回避されることが望まれる。また、オゾン水噴霧動作の実行中には、オゾン水からオゾンガスが遊離し、浴室のオゾンガス濃度が高くなっている可能性が高い。したがって、浴室に人が進入したときには、そのオゾンガス中に身体を置くことにもなるため、このようなことを回避することは一層強く望まれる。
【0005】
特許文献1においては、オゾン水の噴霧動作と、一般の水(非オゾン水)の噴霧動作を交互に実行しており、オゾン水を人が浴びたとしても、このオゾン水が一般の水で洗い流され、オゾン水による影響を抑えるようにしている。ところが、このような手段によれば、一般の水の噴霧動作が相当な無駄となる。また、人がオゾン水を浴びることを防止し得る手段ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2020-48858号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前記したような事情のもとで考え出されたものであり、人が不用意にオゾン水を浴び、また高濃度のオゾンガス雰囲気中に身を置くといった不具合を適切に防止または抑制することが可能な浴室殺菌洗浄システムを提供することを、その課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0009】
本発明により提供される浴室殺菌洗浄システムは、浴室への送風が可能な送風装置と、前記浴室の空気を外部に排気して前記浴室の換気が可能な換気装置と、前記浴室の殺菌洗浄処理を行なうべく前記浴室へのオゾン水噴霧動作が可能なオゾン水噴霧装置と、を備えている、浴室殺菌洗浄システムであって、前記浴室への人の進入の有無を判断可能な浴室進入判断手段を、さらに備えており、前記オゾン水噴霧動作の実行期間中に、前記浴室への人の進入がある旨の判断が前記浴室進入判断手段によってなされたときには、前記オゾン水噴霧動作は中断されるとともに、前記送風および前記換気が実行されるように構成されていることを特徴としている。
【0010】
このような構成によれば、次のような効果が得られる。
すなわち、浴室の殺菌洗浄処理を行なうべくオゾン水噴霧動作が実行されている期間中に、浴室への人の進入があると、オゾン水噴霧動作は中断される。このため、浴室に進入した人が多くのオゾン水を浴びないようにすることができる。
また、重要な効果として、オゾン水噴霧動作の中断に伴い、浴室への送風および換気が実行されるため、オゾン水噴霧動作によって浴室に存在していた高濃度のオゾンガスを浴室から迅速に排出させることが可能となる。したがって、浴室に進入した人が、高濃度のオゾンガス雰囲気中に比較的長い時間にわたって身を置くことも適切に解消される。
【0011】
本発明において、好ましくは、前記浴室進入判断手段は、前記浴室からの人の退出の有無を判断可能であり、前記オゾン水噴霧動作の前記中断の後に、前記浴室からの人の退出がある旨の判断が前記浴室進入判断手段によってなされたときには、前記送風および前記換気は終了するとともに、前記オゾン水噴霧動作が再開されるように構成されている。
【0012】
このような構成によれば、浴室から人が退出すると、浴室ヘのオゾン水噴霧動作が再開されるため、オゾン水噴霧動作が途中で中断されたままとなる不具合を適切に回避することができる。また、オゾン水噴霧動作が再開されて実行される際には、浴室への送風および換気が終了するため、これら送風および換気に起因して浴室の殺菌洗浄処理の効率が低下するといった支障を生じないようにすることもできる。
【0013】
本発明において、好ましくは、前記送風装置および前記換気装置は、前記オゾン水噴霧動作の前記中断時においては、通常時よりも送風量および換気量が多くなるように駆動制御される。
【0014】
このような構成によれば、浴室に人が進入することに起因してオゾン水噴霧動作が中断され、浴室への送風および換気が実行される際に、浴室に存在する高濃度のオゾンガスを浴室の外部へより迅速に排出させ得ることとなる。一方、通常時においては、送風量および換気量が抑制されており、送風装置および換気装置の運転騒音を小さくしておくことが可能である。
【0015】
本発明において、好ましくは、前記浴室には、浴槽および洗い場があり、前記浴槽の上方には、前記送風装置の送風用のルーバ、および前記換気装置の空気吸い込み口が設けられており、前記オゾン水噴霧動作の前記中断時において実行される前記送風は、前記ルーバから前記洗い場側に向かう斜め下方向に空気吹き出しが行なわれるように構成され、かつ前記空気の吹き出しに起因して前記浴室の上部に上昇した空気が前記空気吸い込み口を介して前記換気装置に到達し、前記浴室の外部に排気される構成とされている。
【0016】
このような構成によれば、次のような効果が得られる。
すなわち、オゾン水噴霧動作の中断時において、浴室にオゾンガスが充満している場合に、浴槽の上方のルーバから洗い場に向けて斜め下方向に空気を吹き出させることにより、この空気吹き出し領域の周囲において前記オゾンガスを上昇させ、浴槽の上方に位置する空気吸い込み口に円滑に導き、換気装置に到達させることができる。このため、オゾンガスを外部に排気させる動作が効率よく行なわれ、オゾンガス濃度をより急速に低下させることができる。
さらに重要な効果として、浴室に設けられる出入り口は、浴槽とは反対側である洗い場側に設けられる。このため、出入り口の扉が開いた状態で浴槽の上方のルーバから洗い場に向けて空気が吹き出されると、出入り口からオゾンガスが排出されて、オゾンガス濃度を低下させることができる。なお、出入り口の扉が閉じられてから空気が吹き出されると、換気装置からオゾンガスを外部に排気させる動作が効率よく行なわれ、この場合もオゾ
ンガス濃度を低下させることができる。
【0017】
本発明において、好ましくは、前記浴室を乾燥するための浴室乾燥運転が可能な浴室乾燥装置を備えており、この浴室乾燥装置に、前記送風装置、前記換気装置、および前記オゾン水噴霧装置が具備されている。
【0018】
このような構成によれば、次のような効果が得られる。
すなわち、浴室乾燥装置は、本来的に送風装置や換気装置を備えているのが一般的である。本発明の浴室殺菌洗浄システムの構成要素として、そのような浴室乾燥装置を用いれば、全体の構成は合理的であり、コスト低減などを図るのに好ましいものとなる。
【0019】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行なう発明の実施の形態の説明から、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明に係る浴室殺菌洗浄システムの一例を示す概略説明図である。
図2図1に示す浴室殺菌洗浄システムの構成要素である浴室乾燥装置の要部概略断面図である。
図3図1および図2に示す浴室殺菌洗浄システムにおける浴室の送風・換気の状態の一例を示す説明図である。
図4図1および図2に示す浴室殺菌洗浄システムにおいて実行される動作手順の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
【0022】
図1および図2に示す浴室殺菌洗浄システムSYは、浴室乾燥装置Aを備えて構成されている。浴室乾燥装置Aは、浴室1の天井部10のうち、浴槽11の上方に設置された本体部A0と、これとは別体のリモコン2とが組み合わされた構成であり、本体部A0に後述するオゾン水噴霧装置4が組み込まれている。また、後述する給湯装置8の浴室リモコン81Aには、人感センサSa(人体検知センサ)が組み付けられている。
【0023】
浴室乾燥装置Aは、給湯装置8から温水供給を受けるように設けられている。給湯装置8は、配管部80を介して浴槽11に湯水供給が可能である他、台所などへの一般給湯機能などをも有しており、この給湯装置8の各部の動作や各種のデータ処理を実行する制御部82を備えている。この制御部82には、既述した浴室リモコン81Aに加え、台所リモコン81Bが通信接続されている。
【0024】
浴室乾燥装置Aの本体部A0は、送風用ファン30(循環ファンとも称される)、空気加熱用の熱交換器31、換気用ファン32、ミスト噴出ノズル33、オゾン水噴霧装置4、制御部5、これら各部の全体を覆う筐体34を具備している。
送風用ファン30および換気用ファン32は、それぞれ本発明でいう送風装置および換気装置の具体例に相当する。
【0025】
送風用ファン30は、筐体34の下面部に設けられた空気吸い込み口35aから空気を吸い込み、かつ空気吹き出し口に設けられたルーバ36を介して浴室1内への送風を可能とするものである。熱交換器31は、空気吸い込み口35aから送風用ファン30に吸い込まれる空気を加熱するためのものであり、この加熱を行なうための媒体として、熱交換器31には給湯装置8から加熱湯水が供給可能とされている。送風用ファン30の駆動時において、給湯装置8から熱交換器31への加熱湯水の供給がなされると、空気吸い込み
口35aから吸い込まれた空気は加熱され、ルーバ36から浴室1には温風送風がなされる。浴室乾燥装置Aの浴室乾燥運転時には、前記した温風送風と、換気用ファン32による換気とが並行して実行される。
熱交換器31への加熱湯水の供給が停止されている場合には、ルーバ36から浴室1には非温風(非加熱空気)の送風がなされる。
【0026】
ルーバ36の向きは、不図示のモータにより変更可能であり、浴室1への送風時における空気吹き出し角度は適宜変更可能である。
なお、後述する特定の期間中(オゾン水噴霧動作の中断時)においては、図3に示すように、ルーバ36からは浴室1の洗い場1a側に向かう斜め下方向に空気吹き出しが行なわれるように構成されている。好ましくは、空気吹き出し方向は、たとえば鉛直線VLに対する振れ角が30~60°の範囲とされる(図3のα1~α2の範囲であり、α1=30°,α2=60°)。
なお、図1図3において、符号18は、浴室1の出入り口を示し、扉17によって開閉可能である。
【0027】
換気用ファン32は、浴室1の空気を屋外に排気させるためのファンである。この換気用ファンを作動させると、浴室1内の空気が空気吸い込み口35aから筐体34内に吸い込まれて換気用ファン32の設置領域に進入し、排気口37から屋外に排気される。
送風用ファン30および換気用ファン32の運転速度は可変であり、通常の送風および換気が行なわれるときには、これらは駆動騒音が小さくなるように比較的低速の運転とされる。その一方、後述する特定の期間中(オゾン水噴霧動作の中断時)においては、送風量および換気量が通常時よりも多くなるように、送風用ファン30および換気用ファン32は、高速運転(たとえば最高速の運転)とされる。
【0028】
ミスト噴出ノズル33は、入浴者がミストシャワーを浴びたい場合に、湯水のミストを浴室1に噴出させるためのノズルである。このミスト噴出ノズル33に湯水を供給するための給水用配管部60には、電磁弁などの開閉弁Va、および熱交換器61が設けられており、開閉弁Vaが開状態とされることにより、ミスト噴出ノズル33からは湯水のミストが噴出する。熱交換器61には、給湯装置8から加熱湯水を供給し、ミスト噴出ノズル33に供給される湯水を加熱することが可能である。ミスト噴出ノズル33は、ルーバ36と同様に、不図示のモータによりその向きを変更可能とされている。なお、このミスト噴出ノズル33は、適宜省略することができる。
【0029】
オゾン水噴霧装置4は、給水用配管部60に分岐接続された配管部40、この配管部40に設けられた電磁弁などの開閉弁Vb、オゾン水生成器42、およびオゾン水噴霧用のノズル43を備えている。オゾン水生成器42としては、従来既知の構成のものを用いることが可能であり、たとえば電極を利用した水の電解により生成する方式のもの、あるいは空気からオゾンガスを生成し、かつこれを水に溶解させる方式のものなどがあるが、いずれの方式であってもよい。開閉弁Vbが開状態に設定されると、オゾン水生成器42を通過して生成されたオゾン水は、ノズル43から浴室1に向けて噴霧される。ノズル43からのオゾン水の噴霧は、たとえば浴室1の各側壁面12や床面13に向けてなされる。
【0030】
制御部5は、マイクロコンピュータなどを用いて構成されており、浴室乾燥装置Aの各部の動作制御を実行し、浴室1の乾燥運転などを実行させる他、後述するように、浴室1の殺菌洗浄処理をも実行させる。この制御部5は、通信部50を介してリモコン2との相互間で、ワイヤレスでのデータ通信が可能である。
リモコン2は、たとえば携帯式であり、通信部50を介して制御部5とワイヤレス通信するための通信回路(不図示)、種々の動作指令を行なうための複数の操作スイッチ20、表示部21、音声メッセージなどの音を出力可能なスピーカ22などを備えている。
【0031】
既述したように、浴室リモコン81Aには人感センサSa(人体検知センサ)が組み付けられている。この人感センサSaは、浴室1への人の進入および退出をそれぞれ検知するためのものであって、たとえば焦電素子を用いたイメージセンサである。この人感センサSaの出力信号は、給湯装置8の制御部82を経由するなどして浴室乾燥装置Aの制御部5に入力し、この制御部5において、浴室1への人の進入があるか否かの判断、および浴室1から人の退出があるか否かの判断が行なわれる。人感センサSaと制御部5との組み合わせは、本発明でいう浴室進入判断手段の具体例に相当する。
ただし、これとは異なり、人感センサSaの出力信号に基づく浴室1への進入の有無などの判断は、たとえば浴室リモコン81Aに具備された制御部(不図示)によって行なわれる構成とすることも可能である。人の進入の有無などの判断は、必ずしも浴室乾燥装置Aの制御部5において行なわれなくてもよく、他の部位において行なわれてもよい。
【0032】
次に、前記した浴室殺菌洗浄システムSYにおいて実行される動作処理手順の一例について、図4に示すフローチャートを参照しつつ説明する。併せて、その作用も説明する。
【0033】
まず、リモコン2が用いられて、浴室1の殺菌洗浄処理を開始する旨の操作がなされると、オゾン水噴霧装置4が作動し、浴室1へのオゾン水噴霧動作が開始される(S1:YES,S2)。その際、送風用ファン30および換気用ファン32は停止状態とされる。したがって、オゾン水噴霧動作による殺菌洗浄処理の効率が、浴室1への送風や換気によって低下するなどの不具合を生じないようにすることが可能である。
【0034】
前記したオゾン水噴霧動作は、そのトータルの動作時間が予め定められた時間に達すると、制御部5の制御によってその時点で終了する(S3:YES,S4)。ただし、これとは異なり、オゾン水噴霧動作が終了する前に、人が浴室1に進入し、この旨が人感センサSaを介して制御部5において検知されると、オゾン水噴霧動作は中断される(S3:NO,S7:YES,S8)。このため、浴室1に進入した人が、多くのオゾン水を浴びることは防止される。
【0035】
前記したオゾン水噴霧動作の中断に伴い、送風用ファン30および換気用ファン32が駆動され、浴室1への送風(非加熱空気の送風)および浴室1の換気が開始される(S8)。オゾン水噴霧動作が実行されている際には、オゾン水から遊離した多くのオゾンガスが浴室1に溜まり、オゾンガス濃度が高くなっているが、前記した浴室1への送風および換気により、オゾンガス濃度を急速に低下させることが可能である。
また、この場合における送風用ファン30および換気用ファン32の駆動速度は、通常時よりも高速とされ、送風量および換気量は、通常時よりも多くされる。このことにより、オゾンガス濃度をより速く低下させることができる。浴室1に高濃度のオゾンガスが残存している状態で、人が浴室1に長い時間にわたって存在することは好ましくないが、前記した送風および換気により、そのようなことも適切に解消することが可能である。
【0036】
オゾンガスは、空気よりも比重が大きいため、本来的には、浴室1の天井部10上に設置された換気用ファン32から外部に円滑に排気させることは難しい。これに対し、図3に示したような送風用ファン30による送風が行なわれれば、空気吹き出し領域(空気吹き出しの空気流が生じている領域)の周囲において、オゾンガスを効率よく上昇させて空気吸い込み口35aに導き、換気用ファン32を利用して屋外に円滑に排気することが可能である。人が扉17を開けた状態でルーバ36から洗い場1aに向けて空気が吹き出されると、出入り口18からオゾンガスが排出されて、オゾンガス濃度を低下させることができる。
【0037】
その後、浴室1から人が退出し、その旨が人感センサSaを介して制御部5において検
知されると、オゾン水噴霧動作が再開されるとともに、浴室1への送風および換気は停止される(S9:YES,S10)。このような制御がなされると、オゾン水噴霧動作が停止されたままとなることが回避され、浴室1の殺菌洗浄処理を適切に行なうことができる。オゾン水噴霧動作の再開後において、オゾン水噴霧動作のトータルの時間が所定時間に達すると、前記した場合と同様に、その時点でオゾン水噴霧動作が終了する(S3:YES,S4)。
【0038】
オゾン水噴霧動作の終了後には、浴室乾燥装置Aの駆動による浴室乾燥運転がなされる(S5)。この浴室乾燥運転においては、既述したように、浴室1への温風送風と、換気用ファン32による浴室1の換気とが並行して実行される。この場合の送風用ファン30および換気用ファン32の駆動速度は、たとえば通常の速度とされる。浴室乾燥運転は、たとえば浴室乾燥装置Aに付属して設けられた湿度センサ(不図示)を利用して検出される浴室1内の湿度が所定値以下まで低下した時点、あるいは予めタイマ設定された時間が経過した時点などに終了する(S6:YES)。前記した浴室乾燥運転がなされることにより、浴室1をオゾン水やオゾンガスが存在しない雰囲気に素早く設定することが可能である。
【0039】
本発明は、上述した実施形態の内容に限定されない。本発明に係る浴室殺菌洗浄システムの各部の具体的な構成は、本発明の意図する範囲内において種々に設計変更自在である。
【0040】
オゾン水噴霧装置は、オゾン水を浴室に噴霧可能な構成であればよく、オゾン水の具体的な生成手法や、生成されるオゾン水のオゾン濃度なども限定されない。上述した実施形態から理解されるように、オゾン水噴霧用のノズルは、単数に限らず、複数用いられてもよく、その具体的な個数は問わない。オゾン水の噴霧は、オゾン水が連続して噴霧されるだけではなく、たとえはオゾン水が所定の短い周期で間欠的に噴霧される態様で行なわれてもよい。
【0041】
上述の実施形態においては、人感センサSaが、浴室リモコン81Aに組み付けられているが、本発明はこれに限定されず、浴室リモコン81Aとは異なる部位に設けてもよく、たとえば浴室乾燥装置Aに組み付けてもよい。人感センサSaを複数用いることもできる。
本発明でいう浴室進入判断手段は、焦電素子などを利用して構成された人感センサを用いる手段に限定されない。たとえば、CCD撮像カメラなどの撮像カメラを用いて浴室を撮像し、撮像画像の解析により、浴室への人の進入や退出を判断するように構成されていてもよい。
【0042】
上述の実施形態においては、送風用ファンおよび換気用ファンを具備する浴室乾燥装置に、オゾン水噴霧装置をさらに具備させることにより、浴室殺菌洗浄システムを構成しているが、本発明はこれに限定されない。たとえば、オゾン水噴霧装置を、浴室乾燥装置とは異なる箇所に設けた構成とすることも可能である。また、余り現実的ではないが、本発明に係る浴室殺菌洗浄システムを、浴室乾燥装置を利用することなく構成することも可能である。浴室乾燥装置を用いる場合、浴室乾燥運転に利用される温風を生成するための空気加熱手段として、たとえば電熱ヒータを用いることも可能である。
本発明でいう送風装置および換気装置の具体的な構成も限定されない。
【符号の説明】
【0043】
SY 浴室殺菌洗浄システム
Sa 人感センサ(浴室進入判断手段)
A 浴室乾燥装置
1 浴室
1a 洗い場
11 浴槽
30 送風用ファン(送風装置)
35a 空気吸い込み口
36 ルーバ
32 換気用ファン(換気装置)
4 オゾン水噴霧装置
5 制御部(浴室進入判断手段)
図1
図2
図3
図4