(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024023270
(43)【公開日】2024-02-21
(54)【発明の名称】ダントロレン製剤およびその使用方法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/4178 20060101AFI20240214BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20240214BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20240214BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20240214BHJP
A61P 9/04 20060101ALI20240214BHJP
A61P 9/06 20060101ALI20240214BHJP
A61P 13/02 20060101ALI20240214BHJP
A61P 13/10 20060101ALI20240214BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20240214BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20240214BHJP
A61P 25/08 20060101ALI20240214BHJP
A61P 25/14 20060101ALI20240214BHJP
A61P 25/16 20060101ALI20240214BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20240214BHJP
A61P 25/30 20060101ALI20240214BHJP
A61P 29/02 20060101ALI20240214BHJP
A61P 21/02 20060101ALI20240214BHJP
A61P 39/02 20060101ALI20240214BHJP
A61P 9/08 20060101ALI20240214BHJP
A61K 47/34 20170101ALI20240214BHJP
【FI】
A61K31/4178
A61K9/08
A61K47/10
A61P9/00
A61P9/04
A61P9/06
A61P13/02
A61P13/10
A61P21/00
A61P25/00
A61P25/08
A61P25/14
A61P25/16
A61P25/28
A61P25/30
A61P29/02
A61P21/02
A61P39/02
A61P9/08
A61K47/34
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023191895
(22)【出願日】2023-11-10
(62)【分割の表示】P 2020564888の分割
【原出願日】2019-05-21
(31)【優先権主張番号】62/674,394
(32)【優先日】2018-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】518391580
【氏名又は名称】イーグル ファーマスーティカルズ、インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100104411
【弁理士】
【氏名又は名称】矢口 太郎
(72)【発明者】
【氏名】ウェスコット、チャールズ
(72)【発明者】
【氏名】コグラン、ジル
(57)【要約】 (修正有)
【課題】適切な濃度およびpHの、静脈内投与に適したダントロレン製剤を提供する。
【解決手段】ダントロレン、またはそれらの薬学的に許容される塩、またはそれらの混合物、およびC1-6アルキルアルコール、ポリオール、ポリエーテル、またはそれらの混合物を有する薬学的に許容される担体を有する非水性または無水医薬組成物とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダントロレン、またはそれらの薬学的に許容される塩、またはそれらの混合物、およびC1-6アルキルアルコール、ポリオール、ポリエーテル、またはそれらの混合物を有する薬学的に許容される担体を有する非水性または無水医薬組成物。
【請求項2】
非水性医薬組成物である、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項3】
無水医薬組成物である、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1つに記載の医薬組成物であって、有効pHが3~11.5、好ましくは4~9または5~8、より好ましくは7.4の有効pHを有する、医薬組成物。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1つに記載の医薬組成物であって、ダントロレンを有する、医薬組成物。
【請求項6】
請求項1~4のいずれか1つに記載の医薬組成物であって、ダントロレンナトリウムを有する、医薬組成物。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1つに記載の医薬組成物であって、ダントロレンおよびダントロレンナトリウムを有する、医薬組成物。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1つに記載の医薬組成物において、前記担体がヒトへの静脈内投与に適している、医薬組成物。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1つに記載の医薬組成物において、前記担体は、エタノール、アルキレングリコール、または液体ポリアルキレングリコール、またはそれらの混合物を有する、医薬組成物。
【請求項10】
請求項1~8のいずれか1つに記載の医薬組成物において、前記担体は、エタノール、アルキレングリコール、またはキャップされた液体ポリアルキレングリコール、またはそれらの混合物を有する、医薬組成物。
【請求項11】
請求項1~8のいずれか1つに記載の医薬組成物において、前記担体は、エタノール、プロピレングリコール、または、ポリエチレングリコール、またはそれらの混合物を有する、医薬組成物。
【請求項12】
請求項1~8のいずれか1つに記載の医薬組成物において、前記担体は、エタノール、プロピレングリコール、または、キャップされたポリエチレングリコール、またはそれらの混合物を有する、医薬組成物。
【請求項13】
請求項1~8のいずれか1つに記載の医薬組成物において、前記担体は、プロピレングリコール、または、ポリエチレングリコール、またはそれらの混合物を有する、医薬組成物。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか1つに記載の医薬組成物において、前記担体は、プロピレングリコールを有する、医薬組成物。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか1つに記載の医薬組成物において、前記担体は、ポリエチレングリコールを有する、医薬組成物。
【請求項16】
請求項1~14のいずれか1つに記載の医薬組成物であって、さらに追加の薬学的に許容される賦形剤を有する、医薬組成物。
【請求項17】
対象におけるダントロレンに応答する障害を治療する方法であって、請求項1~16のいずれか1つに記載の治療有効量の医薬組成物を対象に投与する工程を有する、方法。
【請求項18】
請求項17記載の方法において、前記障害は、悪性高熱症、慢性痙縮、労作性熱射病、心不整脈、頻脈、心房細動、心停止、心筋梗塞、心不全、心筋傷害、心筋症、中枢神経疾患、筋萎縮性側索硬化症、横紋筋融解症、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、運動失調、排尿筋過活動、過活動膀胱、発作、てんかん、神経弛緩性悪性症候群、ヒトストレス障害、アルツハイマー病、ハンチントン病、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、パーキンソン病、虚血再灌流障害、神経再灌流障害、低酸素症、脳動脈瘤、くも膜下出血、脳卒中、薬物乱用に関連する高熱、薬物の過剰摂取に関連する高熱、神経剤の曝露、またはアセチルコリンの蓄積である、方法。
【請求項19】
請求項17または18記載の方法において、前記投与は静脈内投与である、方法。
【請求項20】
請求項17または18記載の方法において、前記投与は筋肉内投与または皮下投与である、方法。
【請求項21】
請求項17または18記載の方法において、前記投与は経口投与または鼻腔内投与である、方法。
【請求項22】
請求項17または18記載の方法において、前記投与は骨内投与である、方法。
【請求項23】
ダントロレンおよび薬学的に許容されるダントロレンの塩を有する凍結乾燥医薬組成物。
【請求項24】
請求項23記載の凍結乾燥医薬組成物であって、C1-6アルキルアルコール、ポリオール、ポリエーテル、またはそれらの混合物である薬学的に許容される担体で再構成された場合に4~9の有効pHを示す、凍結乾燥医薬組成物。
【請求項25】
対象におけるダントロレンに応答する障害を治療する方法であって、前記方法は、
ダントロレンおよびダントロレンの薬学的に許容される塩を有する凍結乾燥医薬組成物を、C1-6アルキルアルコール、ポリオール、ポリエーテル、またはそれらの混合物である薬学的に許容される担体で再構成して、ダントロレンおよび薬学的に許容される塩を有し、4~9の有効pHを有する再構成溶液を生成する工程と、
再構成溶液を追加の薬学的に許容される担体で希釈して、ダントロレンおよび薬学的に許容されるダントロレンの塩を有する、希釈された再構成溶液を生成する工程と、
治療有効量の前記希釈された再構成溶液を前記対象に投与する工程と、
を有する、方法。
【請求項26】
対象におけるダントロレンに応答する障害を治療する方法であって、前記方法は、
請求項1~16のいずれか1つに記載の医薬組成物を追加の薬学的に許容される担体で希釈して、ダントロレンおよび薬学的に許容されるダントロレンの塩を有する希釈された医薬組成物を生成する工程と、
治療有効量の前記希釈された医薬組成物を前記対象に投与する工程と、
を有する、方法。
【請求項27】
請求項25または26記載の方法において、前記障害は、悪性高熱症、慢性痙縮、労作性熱射病、心不整脈、頻脈、心房細動、心停止、心筋梗塞、心不全、心筋傷害、心筋症、中枢神経疾患、筋萎縮性側索硬化症、横紋筋融解症、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、運動失調、排尿筋過活動、過活動膀胱、発作、てんかん、神経弛緩性悪性症候群、ヒトストレス障害、アルツハイマー病、ハンチントン病、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、パーキンソン病、虚血再灌流障害、神経再灌流障害、低酸素症、脳動脈瘤、くも膜下出血、脳卒中、薬物乱用に関連する高熱、薬物の過剰摂取に関連する高熱、神経剤の曝露、またはアセチルコリンの蓄積である、方法。
【請求項28】
請求項25~27のいずれか1つに記載の方法において、前記投与は静脈内投与である、方法。
【請求項29】
請求項25~28のいずれか1つに記載の方法において、前記投与は筋肉内投与または皮下投与である、方法。
【請求項30】
請求項25~29のいずれか1つに記載の方法において、前記投与は経口投与または鼻腔内投与である、方法。
【請求項31】
請求項25~30のいずれか1つに記載の方法において、前記投与は骨内投与である、方法。
【請求項32】
請求項25~31のいずれか1つに記載の方法において、前記薬学的に許容されるダントロレン塩がダントロレンナトリウムである、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2018年5月21日に出願された米国仮特許出願第62/674,394号の優先権および利益を主張し、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、ダントロレンの液体製剤、またはその薬学的に許容される塩、ならびに疾患の治療におけるそれらの使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ダントロレン(1-{[5-(4-ニトロフェニル)-2-フリル]メチリデンアミノ}イミダゾリジン-2,4-ジオン)は、式(1)の構造
【化1】
を有する。
【0004】
ダントロレンは、悪性高熱症(「MH」)の治療に最適なレスキュー剤であり、麻酔薬が投与されるほとんどの場所で広く利用されている。1967年に最初に合成されたダントロレンは、1975年に筋肉のけいれんの治療に最初に使用され、その後1979年にMHの治療についてFDAの承認を受けた。ダントロレンは、強力な筋弛緩薬および神経痙縮の治療薬として認識されている。ダントロレンは、その最初の発見以来、エクスタシー(N-メチル-3,4-メチレンジオキシフェニルイソプロピルアミン)などのレクリエーション性薬物の過剰摂取、熱中症、神経弛緩性悪性症候群、末梢神経系の虚血性障害などの他の生命を脅かす病態の予防・治療のために探索されており、乳幼児突然死症候群(SIDS)の予防に重要な役割を果たす可能性がある。
【0005】
ダントロレンは水に非常に溶けにくい。ダントロレンの溶解度が低いと、投与が大幅に損なわれる。たとえば、DANTRIUM(商標)は20mgのバイアルで供給されるダントロレンナトリウムであり、静脈内投与の前に60mLの滅菌水で再構成する必要がある。MHを治療するためのダントロレンの推奨用量は1mg/kg~約10mg/kgである。そのため、体重80kgの対象は、MHを治療するために最大2400mLの急速な注入を必要とする。
【0006】
ダントロレン溶液は溶解性が低いことに加えて、高いpHを有する。DANTRIUM(商標)のpHは約9.5である。50mg/mLに再構成できる改良型ダントロレンナトリウム製剤であるRYANODEX(登録商標)は、ダントロレンナトリウムの投与速度を大幅に向上させる。しかし、再構成されたRYANODEX(登録商標)のpHも高く、約10.3である。pHが高いため、現在、ダントロレン製剤は皮下または筋肉内に投与することはできず、静脈内にのみ投与することができる。実際、組織の壊死を避けるために、周囲の組織への血管外漏出を防ぐように注意を払う必要がある。
【0007】
適切な濃度およびpHであり、静脈内投与に適したダントロレンの新しい製剤が必要である。
【発明の概要】
【0008】
本開示は、ダントロレン、またはそれらの薬学的に許容される塩、またはそれらの混合物、ならびにC1-6アルキルアルコール、ポリオール、ポリエーテル、またはそれらの混合物を含む薬学的に許容される担体を有する非水性または無水医薬組成物に関する。ダントロレンに反応する障害を治療するためにこれらの組成物を使用する方法も記載されている。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示は、本開示の一部を形成する添付の図および例に関連して取られた以下の詳細な説明を参照することによって、より容易に理解され得る。本開示は、本明細書に記載および/または示された特定の組成物、装置、方法、用途、条件、またはパラメータに限定されず、本明細書で使用される用語は、例示に過ぎず、特定の実施形態を説明する目的のためのものであり、請求された開示を限定することを意図していないことを理解されたい。
【0010】
添付の特許請求の範囲を含む明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は複数形を含み、特定の数値への参照は、文脈が明確に別段の指示をしない限り、少なくともその特定の値を含む。
【0011】
値の範囲が表される場合、例示的な実施形態は、1つの特定の値からおよび/または他の特定の値までを含む。すべての範囲は包括的で組み合わせ可能である。さらに、範囲に記載されている値への参照には、その範囲内のすべての値が含まれる。例えば、「約2~約4」という表現は、「2~4」の範囲も開示している。値が近似値として表される場合、前置詞「約」を使用することにより、特定の値が別の実施形態を形成することが理解されるであろう。量、時間的持続時間などの測定可能な値を指すときに本明細書で使用される「約」という用語は、例えば、指定された値からの±10%などの値の合理的な変動を包含することを意味する。例えば、「約50%」という句は、50の±10%、または50%を含む45%から55%を含むことができる。
【0012】
明確にするために、別個の実施形態の文脈で本明細書に記載されている本開示の特定の特徴もまた、単一の実施形態で組み合わせて提供され得ることが理解されるべきである。逆に、簡潔にするために、単一の実施形態の文脈で説明される本開示の様々な特徴はまた、別個にまたは任意の部分的組み合わせで提供され得る。
【0013】
明確にするために、別個の実施形態の文脈で本明細書に記載されている本開示の特定の特徴もまた、単一の実施形態で組み合わせて提供され得ることが理解されるべきである。逆に、簡潔にするために、単一の実施形態の文脈で説明される本開示の様々な特徴はまた、別個にまたは任意の部分的組み合わせで提供され得る。さらに、範囲内に記載されている値への参照には、その範囲内のすべての値が含まれる。
【0014】
本明細書で使用される場合、それ自体で、または別の用語と組み合わせて、「治療する方法」および「治療方法」という句は、特定の病気の「治療に使用するために」という句と交換可能に使用され得ることを理解されたい。
【0015】
本明細書で使用される場合、それ自体で、または別の用語と組み合わせて、「薬学的に許容される」は、例えば、薬剤学的に許容される賦形剤などの指定された実体が、組成物中の他の成分と一般的に化学的および/または物理的に適合性があり、および/またはそのレシピエントと一般的に生理学的に適合性があることを示す。
【0016】
本明細書で使用される場合、「医薬組成物」という用語は、ヒトへの投与に適しており、薬学的に許容される賦形剤、例えば、これらに限定されないが、安定剤、増量剤、緩衝液、担体、希釈剤、ビヒクル、可溶化剤、および結合剤を含む組成物を意味するものとする。
【0017】
「薬学的に許容される賦形剤」とは、毒性がなく、生物学的に耐性があり、対象への投与に適した物質、例えば不活性物質を薬理学的組成物に添加したり、薬剤の投与を容易にするためにビヒクル、担体、または希釈剤として使用したりすることができ、かつそれらに適合する物質を意味する。賦形剤の例は、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, 17th ed. (1985)に列挙されている。
【0018】
本明細書で使用される「薬学的に許容される塩」という用語は、薬学的に許容され、親化合物の所望の薬理学的活性を有する本開示の化合物の塩を意味する。特に、そのような塩は無毒であり、無機または有機酸付加塩および塩基付加塩であり得る。具体的には、そのような塩には、親化合物中に存在する酸性プロトンが金属イオン、例えばアルカリ金属イオン、アルカリ土類イオン、アルミニウムイオンのいずれかで置換されたときに形成される塩;エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N-メチルグルカミン等の有機塩基と配位したときに形成される塩等が挙げられる。塩には、ほんの一例として、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、テトラアルキルアンモニウムなどがさらに含まれ、化合物が塩基性官能基を含む場合、塩酸塩、臭化水素酸塩、酒石酸塩、メシル酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、シュウ酸塩などの無毒の有機酸または無機酸の塩が挙げられる。
【0019】
本明細書で使用される場合、それ自体で、または別の用語と組み合わせて、「対象」、「個人」、および「患者」は、ヒトを含む哺乳動物を指す。ヒトという用語は、ヒトの子ども、青年、または成人を指し、それらを含む。
【0020】
本明細書で使用される場合、それ自体で、または別の用語と組み合わせて、「治療する(treats)」、「治療する(treating)」、「治療される(treated)」、および、「治療(treatment)」は、改善的、緩和的、および/または治癒的な使用および結果、またはそれらの任意の組み合わせを意味し、これを含む。他の実施形態では、本明細書に記載の方法は予防的に使用することができる。「予防」または予防的使用または結果は、絶対的または完全な予防(すなわち、100%予防的または保護的使用または結果)を指すものでも、必要とするものでもないことを理解されたい。本明細書で使用されるように、予防または予防的使用または結果は、化合物または組成物の投与により、本明細書に記載された特定の状態、症状、障害または疾患の重症度が少なくなるかまたは減少する使用および結果を意味し;本明細書に記載された特定の状態、症状、障害または疾患を経験する可能性が減少するかまたは減少する使用および結果を意味し;または本明細書に記載された特定の状態、症状、障害または疾患の発症または再発(再発)を遅延させる使用および結果を意味し;または前記の任意の組み合わせを意味する。
【0021】
本明細書で使用される場合、それ自体で、または別の用語と組み合わせて、「治療的」および「治療的有効量」は、(a)本明細書に記載されている特定の状態、症状、障害、または疾患を治療する、(b)本明細書に記載されている特定の状態、症状、障害、または疾患の1つまたは複数の症状を減ずる、改善する、または除去する、(c)本明細書に記載された特定の状態、症状、障害、または疾患の発症または再発(再発)を遅らせる、化合物または組成物の量を意味する。用語「治療的」および「治療的有効」は、単独で、または他の(a)~(c)のいずれかと組み合わせて、前述の効果(a)~(c)のいずれかを包含することが理解されるべきである。
【0022】
本明細書で使用される場合、「改善する」とは、特定の対象または対象集団で治療されている障害または状態の重症度の軽減を指す。
【0023】
本開示は、ダントロレン(本明細書では「ダントロレン酸」とも呼ばれる)、またはその薬学的に許容される塩、またはそれらの混合物(すなわち、ダントロレンとダントロレンの薬学的に許容される塩との混合物)および薬学的に許容される担体を有する液体医薬組成物に関する。担体は、C1-6アルキルアルコール、ポリオール、またはそれらの混合物を含む液体担体である。最も好ましい実施形態では、組成物は、溶液、すなわち、溶質が担体に溶解している液体である。
【0024】
本開示はまた、ダントロレン(すなわち、ダントロレン酸)とダントロレンの薬学的に許容される塩との混合物を有する凍結乾燥医薬組成物に関する。これらの凍結乾燥医薬組成物中のダントロレン:ダントロレン塩の好ましい比率には、例えば、90:10~70:30、好ましくは90:10、80:20、75:25、または70:30が含まれる。好ましくは、これらの態様において、凍結乾燥医薬組成物は、ダントロレンおよびダントロレン塩の合計重量に基づいて、90、89、88、87、86、85、84、83、82、81、80、79、78、77、76、75、74、73、72、71、または70%(w/w)のダントロレンを有し、残りはダントロレン塩(10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、39または30%(w/w))である。これらの態様において、凍結乾燥医薬組成物が、C1-6アルキルアルコール、ポリオール、ポリエーテル、またはそれらの混合物である薬学的に許容される担体で再構成される場合、再構成された凍結乾燥医薬組成物は、4~約9の有効pH、例えば、4、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8、8.9、9、9.1、9.2、9.3、9.4、または9.5のpHを示す。
【0025】
いくつかの態様において、医薬組成物は、ダントロレンを有し、ダントロレンの薬学的に許容される塩を除外する。これらの態様において、医薬組成物は、ダントロレンとダントロレン塩の合計重量に基づいて、95%(w/w)を超えるダントロレンを有する。好ましくは、これらの態様では、医薬組成物は、ダントロレンとダントロレン塩の合計重量に基づいて、96、97、98、99、または99%(w/w)を超えるダントロレンを有する。
【0026】
いくつかの態様において、医薬組成物は、ダントロレンおよびダントロレンの薬学的に許容される塩を有する。いくつかの態様において、医薬組成物は、ダントロレンおよびダントロレンナトリウムを有する。これらの態様では、医薬組成物は、ダントロレンとダントロレン塩との合計重量に基づいて、約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、または約95%(w/w)のダントロレンを有することができる。他の態様では、医薬組成物は、約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、または約95%(w/w)のダントロレン塩を有することができる。ダントロレン:ダントロレン塩の好ましい比率には、例えば、90:10、80:20、75:25、70:30が含まれる。ダントロレン:ダントロレン塩の他の比率には、60:40、50:50、40:60、30:70、25:75、20:80、および10:90が含まれる。
【0027】
これらの態様において、医薬組成物は、ダントロレンと薬学的に許容されるダントロレンの塩との混合物を有する凍結乾燥医薬組成物である。
【0028】
好ましいダントロレン塩はダントロレンナトリウムである。 他のダントロレン塩も本開示の範囲内である。
【0029】
本開示の医薬組成物は、好ましくは非水性である。本明細書で使用される場合、「非水性」は、10%(w/v)以下の水を有する組成物を指す。好ましい態様において、「非水性」組成物は、5%(w/v)以下の水を有する。例えば、「非水性」組成物は、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、または10%(w/v)の水を含むことができる。
【0030】
他の態様において、本開示の医薬組成物は無水である。 本明細書で使用される場合、「無水」は、0.1%(w/v)未満の水を有する組成物を指す。例えば、「無水」組成物は、従来の方法および機器を使用した検出限界未満の量の水を含み得る。
【0031】
本開示の医薬組成物は、3~11.5の有効pHを有する。本明細書で使用される場合、「有効pH」は、本明細書に記載の方法を使用して測定される、非水性または無水組成物のpHを指す。例えば、本開示の医薬組成物は、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、10.5、11、または11.5の有効pHを有する。いくつかの態様では、医薬組成物の有効pHは4~9である。他の態様では、医薬組成物の有効pHは5~8である。他の態様では、医薬組成物の有効pHは、ほぼ生理学的pH、つまり7.4である。
【0032】
本開示の医薬組成物はまた、医薬的に許容される担体を含む 担体は液体担体であり、C1-6アルキルアルコール、ポリオール、ポリエーテル、またはそれらの混合物を有する。本明細書で使用される場合、「ポリオール」は、少なくとも2つのヒドロキシル(-OH)部分を含む液体有機組成物である。本明細書で使用される場合、「ポリエーテル」は、少なくとも2つのアルケニルエーテル部分を含む液体有機組成物である。
【0033】
本開示の医薬組成物は、約1mg/mL~約200mg/mL、好ましくは5mg/mL~約125mg/mLの濃度でダントロレンを存在させることができる。本開示の特定の実施形態では、ダントロレンは、約5mg/mL以上の濃度で存在する。本開示の特定の実施形態では、ダントロレンは、約6mg/mL以上の濃度で存在する。本開示の特定の実施形態では、ダントロレンは、約7mg/mL以上の濃度で存在する。本開示の特定の実施形態では、ダントロレンは、約8mg/mL以上の濃度で存在する。本開示の特定の実施形態では、ダントロレンは、約9mg/mL以上の濃度で存在する。本開示の特定の実施形態では、ダントロレンは、約10mg/mL以上の濃度で存在する。さらなる実施形態において、ダントロレンは、約10~25mg/mLの濃度で存在する。さらに別の実施形態では、ダントロレンは、約1mg/mL、5mg/mL、10mg/mL、15mg/mL、20mg/mL、25mg/mL、30mg/mL、35mg/mL、40mg/mL、45mg/mL、または50mg/mLの濃度で存在する。さらに別の実施形態では、ダントロレンは、約125mg/mL、150mg/mL、175mg/mL、または約200mg/mLの濃度で存在する。
【0034】
特定の実施形態において、ダントロレンは、約55mg/mL以上の濃度で存在する。 さらなる実施形態において、ダントロレンは、約55から125m/ mLの濃度で存在する。特定の実施形態では、約75mg/mL、80mg/mL、85mg/mL、90mg/mL、95mg/mL、100mg/mL、105mg/mL、110mg/mL、115mg/mL、120mg/mLまたは125mg/mLの濃度で存在する。他の実施形態では、約75mg/mL~95mg/mL、80mg/mL~100mg/mL、90mg/mL~110mg/ml、95mg/mL~105mg/mL、95mg/mLから115mg/mL、100mg/mL~110mg/mL、110mg/mL~125mg/mLの濃度で存在し、その間のすべての範囲と部分的範囲を含む。
【0035】
本開示によれば、C1-6アルキルアルコールは、ヒトへの投与に適したアルコールである。好ましいC1-6アルキルアルコールはエタノールである。担体は、C1-6アルキルアルコール(またはC1-6アルキルアルコールの混合物)から構成することができ、ポリオールを除外することができる。これらの態様では、担体は、95%(v/v)を超えるC1-6アルキルアルコール(またはC1-6アルキルアルコールの混合物)、例えば、96、97、98、99、または99%超(v/v)C1-6アルキルアルコール(またはC1-6アルキルアルコールの混合物)を有する。他の態様では、担体は、1つまたは複数のポリオールと組み合わせたC1-6アルキルアルコール(またはC1-6アルキルアルコールの混合物)を有することができる。これらの態様において、担体は、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、または95%(v/v)C1-6アルキルアルコール(またはC1-6アルキルアルコールの混合物)を有することができ、残りはポリオールである。
【0036】
本開示によれば、ポリオールは、ヒトへの投与に適しており、アルキレングリコール(好ましくは、C1-6アルキルグリコール)またはアルキレングリコールの混合物である。好ましいアルキレングリコールはプロピレングリコールである。エチレングリコールも本開示の範囲内である。
【0037】
本開示によれば、ポリエーテルは、ヒトへの投与に適しており、液体ポリアルキルエーテルまたは液体ポリアルキルエーテルの混合物である。好ましいポリアルキレンエーテルは、液体ポリエチレングリコール(PEG)、例えば、PEG200、PEG300、PEG400、PEG500、またはPEG600である。PEG400は特に好ましいPEGである。他の態様では、ポリエーテルは、液体の「キャップされた」ポリアルキレングリコール、すなわち、非ヒドロキシル部分で一方または両方の末端で終端されているポリアルキレングリコールである。本開示の範囲内にあるキャップされたPEGには、ポリアルキレングリコールモノメチルエーテルおよびポリアルキレングリコールジメチルエーテルが含まれる。
【0038】
担体は、1つのポリオールまたは1つのポリエーテル、すなわち、1つのアルキレングリコール、1つの液体ポリアルキレングリコール、または1つの液体のキャップされたポリアルキレングリコールから構成することができる。好ましくは、担体は、1つのアルキレングリコールまたは1つの液体ポリアルキレングリコールからなる。他の態様において、担体は、キャップされたポリアルキレングリコールを有する。
【0039】
他の態様では、担体は、ポリオールおよびポリエーテル、例えば、アルキレングリコールの混合物、ポリアルキエングリコールの混合物、キャップされたポリアルキレングリコールの混合物、アルキレングリコールとポリアルキレングリコールの混合物、アルキレングリコールとキャップされたポリアルキレングリコールの混合物、またはポリアルキレングリコールとキャップされたポリアルキレングリコールの混合物を有する。さらに他の態様では、担体は、C1-6アルキルアルコール、アルキルグリコール、および液体ポリアルキレングリコールを有することができる。さらに他の態様では、担体は、C1-6アルキルアルコール、アルキルグリコール、およびキャップされた液体ポリアルキレングリコールを有することができる。
【0040】
担体がポリオールを含むこれらの態様において、担体は、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、または95%(v/v)のポリオールまたは複数のポリオールを有し得る。他の態様では、担体は、95%(v/v)を超えるポリオールまたは複数のポリオールを含むことができ、例えば、ポリオールの96、97、98、99または99%(v/v)を超えるポリオールまたは複数のポリオールを含むことができる。
【0041】
担体が1つのアルキレングリコールまたは複数のアルキレングリコールを含むこれらの態様では、担体は、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、または95%(v/v)のアルキレングリコールまたは複数のアルキレングリコールを有することができる。他の態様において、担体は、95%(v/v)を超えるアルキレングリコールまたは複数のアルキレングリコール、例えば、96、97、98、99または99%(v/v)を超えるアルキレングリコールまたは複数のアルキレングリコールを有することができる。例えば、好ましい態様において、担体は、プロピレングリコールを含む。これらの態様において、担体は、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、または95%(v/v)のプロピレングリコールを有し得る。他の態様では、担体は、95%(v/v)を超えるプロピレングリコール、例えば、96、97、98、99、または99%を超えるプロピレングリコールを有する。いくつかの態様において、担体は、100%のプロピレングリコールを有する。
【0042】
担体が1つのポリアルキレングリコールまたは複数のポリアルキレングリコールを含むこれらの態様では、担体は、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、または95%(v/v)のポリアルキレングリコールまたは複数のポリアルキレングリコールを有することができる。他の態様では、担体は、95%(v/v)を超えるポリアルキレングリコールまたは複数のポリアルキレングリコール、例えば、96、97、98、99または99%(v/v)を超えるポリアルキレングリコールまたは複数のポリアルキレングリコールを有することができる。例えば、好ましい態様では、担体は、液体ポリエチレングリコール、例えば、PEG200、PEG300、PEG400、PEG500、またはPEG600、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの態様において、担体は、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、または95%(v/v)のPEGを有し得る。いくつかの態様において、担体は、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、または95%(v/v)のPEGの混合物を有し得る。他の態様において、担体は95%(v/v)を超えるPEG、またはPEGの混合物、例えば、96、97、98、99または99%(v/v)を超えるPEG、または、96、97、98、99または99%(v/v)を超えるPEGの混合物を有する。いくつかの態様において、担体は、100%のPEG、例えば、100%のPEG200、PEG300、PEG400、PEG500、またはPEG600を有する。
【0043】
担体が1つのキャップされたポリアルキレングリコールまたは2つ以上のキャップされたポリアルキレングリコールを含むこれらの態様において、担体は、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、または95%(v/v)のキャップされたポリアルキレングリコールまたは複数のキャップされたポリアルキレングリコールを有し得る。他の態様では、担体は、95%(v/v)を超えるキャップされたポリアルキレングリコールまたは複数のキャップされたポリアルキレングリコール、例えば、96、97、98、99または99%(v/v)を超えるキャップされたポリアルキレングリコールまたは複数のキャップされたポリアルキレングリコールを有することができる。いくつかの態様において、担体は、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、または95%(v/v)のキャップされたポリアルキレングリコールを有し得る。いくつかの態様において、担体は、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、または95%(v/v)のキャップされたポリアルキレングリコールの混合物を有し得る。他の態様において、担体は95%(v/v)を超えるキャップされたポリアルキレングリコール、またはキャップされたポリアルキレングリコールの混合物、例えば、96、97、98、99または99%(v/v)を超えるキャップされたポリアルキレングリコール、または、96、97、98、99または99%(v/v)を超えるキャップされたポリアルキレングリコールの混合物を有する。いくつかの態様において、担体は、100%のキャップされたポリアルキレングリコールを有する。
【0044】
いくつかの態様において、担体は、エタノール、プロピレングリコール、およびPEGを含む。これらの態様において、担体は、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、または95%(v/v)のエタノールを含み得るものであり、残りはプロピレングリコールとPEGを有する。他の態様において、担体は、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、または95%(v/v)のプロピレングリコールを含み得るものであり、残りはエタノールとPEGを有する。他の態様において、担体は、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、または95%(v/v)のPEGを含み得るものであり、残りはエタノールとプロピレングリコールを有する。
【0045】
いくつかの態様において、担体は、エタノール、プロピレングリコール、およびキャップされたPEGを含む。これらの態様において、担体は、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、または95%(v/v)のエタノールを含み得るものであり、残りはプロピレングリコールとキャップされたPEGを有する。他の態様において、担体は、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、または95%(v/v)のプロピレングリコールを含み得るものであり、残りはエタノールとキャップされたPEGを有する。他の態様において、担体は、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、または95%(v/v)のキャップされたPEGを含み得るものであり、残りはエタノールとプロピレングリコールを有する。
【0046】
いくつかの態様において、担体はエタノールおよびプロピレングリコールを含む。これらの態様において、担体は、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、または95%(v/v)のエタノールを含み得るものであり、残りはプロピレングリコールを有する。これらの他の態様では、担体は、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、または95%(v/v)のプロピレングリコールを含み得るものであり、残りはエタノールを有する。
【0047】
いくつかの態様において、担体はエタノールおよびPEGを含む。これらの態様において、担体は、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、または95%(v/v)のエタノールを含み得るものであり、残りはPEGを有する。これらの他の態様では、担体は、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、または95%(v/v)のPEGを含み得るものであり、残りはエタノールを有する。
【0048】
いくつかの態様において、担体はプロピレングリコールおよびPEGを含む。これらの態様において、担体は、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、または95%(v/v)のプロピレングリコールを含み得るものであり、残りはPEGを有する。これらの他の態様では、担体は、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、または95%(v/v)のPEGを含み得るものであり、残りはプロピレングリコールを有する。
【0049】
いくつかの態様において、担体はプロピレングリコールおよびキャップされたPEGを含む。これらの態様において、担体は、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、または95%(v/v)のプロピレングリコールを含み得るものであり、残りはキャップされたPEGを有する。これらの他の態様では、担体は、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、または95%(v/v)のキャップされたPEGを含み得るものであり、残りはプロピレングリコールを有する。
【0050】
特定の実施形態において、本開示の医薬組成物は、追加の薬学的に許容される賦形剤をさらに有し得る。例えば、本開示の医薬組成物は、安定剤または2つ以上の安定剤をさらに含み得る。本開示のさらに別の実施形態では、安定剤は、界面活性剤、ポリマー、架橋ポリマー、緩衝剤、電解質、および非電解質からなる群から選択される。本開示のさらに別の実施形態では、組成物は、界面活性剤、ポリマー、架橋ポリマー、緩衝剤、電解質、および非電解質からなる群から選択される2つ以上の安定剤の組み合わせを有する。本開示のさらに別の実施形態では、安定剤は、ポリソルベート80、ポリソルベート20、ポロキサマー188、ポリエトキシル化植物油、レシチン、ヒト血清アルブミン、およびそれらの混合物などであるがこれらに限定されない界面活性剤である。本開示の特定の実施形態では、安定剤は、ポリビニルピロリドン(ポビドンK12、ポビドンK17、およびそれらの混合物などであるがこれらに限定されない)、ポリエチレングリコール3350、およびそれらの混合物などのポリマーである。本開示の他の実施形態では、安定剤は、これらに限定されないが、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、およびそれらの混合物などの電解質である。本開示のさらに他の実施形態では、安定剤は、デキストロース、グリセロール、マンニトール、安息香酸ベンジル、またはそれらの混合物などであるが、これらに限定されない非電解質である。本開示の他の実施形態では、安定剤は、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)などであるがこれに限定されない架橋ポリマーである。本開示のいくつかの実施形態では、安定剤は、CMC 7LF、CMC 7MF、CMC 7HF、またはそれらの混合物である。
【0051】
本開示のさらなる実施形態では、非電解質安定剤と電解質安定剤の組み合わせを使用することができる。いくつかの実施形態では、安定剤の組み合わせは、2つ以上の非電解質安定剤を有し得る。他の実施形態では、安定剤の組み合わせは、2つ以上の電解質安定剤を有し得る。さらなる実施形態において、安定剤の組み合わせは、1つ以上の非電解質安定剤および1つ以上の電解質安定剤を有し得る。さらに別の実施形態では、安定剤の組み合わせは、2つ以上のマンニトール、デキストロース、および塩化ナトリウムを有し得る。
【0052】
本開示の特定の実施形態では、界面活性剤安定剤とポリマー安定剤の組み合わせを使用することができる。いくつかの実施形態では、安定剤の組み合わせは、2つ以上の界面活性剤安定剤を有し得る。他の実施形態では、安定剤の組み合わせは、2つ以上のポリマー安定剤を有し得る。さらなる実施形態において、安定剤の組み合わせは、1つ以上の界面活性剤安定剤および1つ以上のポリマー安定剤を有し得る。さらに別の実施形態では、安定剤の組み合わせは、2つ以上のポリソルベート80、ポリソルベート20、およびポロキサマー188を有し得る。さらに別の実施形態では、安定剤の組み合わせは、1つまたは複数のポリソルベート80、ポリソルベート20、およびポロキサマー188と、1つまたは複数のポビドンK12、ポビドンK17、およびポリエチレングリコール3350を有し得る。
【0053】
本開示の特定の実施形態では、組成物は、約0.2mg/mL~約75mg/mLの1つまたは複数の賦形剤を有し、ならびにそれらの間のすべての範囲および部分的範囲を含む。本開示の特定の実施形態では、組成物は、約0.2~0.7mg/mL、0.5~1mg/mL、1~5mg/mL、2~8mg/mL、5~6mg/mL、5~10mg/mL、8~12mg/mL、10~15mg/mL、15~20mg/mL、20~30mg/mL、30~40mg/mL、40~50mg/mL、45~55mg/mL、50~60mg/mL、または60~75mg/mLの1つまたは複数の添加剤を有し、およびその間のすべての範囲と部分的範囲を含む。本開示のさらなる実施形態において、組成物は、約0.2mg/mL、0.5mg/mL、1mg/mL、2mg/mL、3mg/mL、4mg/mL、5mg/mL、5.5mg/mL、6mg/mL、7mg/mL、8mg/mL、9mg/mL、10mg/mL、12mg/mL、15mg/mL、17mg/mL、20mg/mL、25mg/mL、30mg/mL、35mg/mL、40mg/mL、45mg/mL、50mg/mL、55mg/mL、60mg/mL、65mg/mL、70mg/mL、または75mg/mLの1つまたは複数の賦形剤を有する。
【0054】
本開示の医薬組成物は、静脈内投与することができる。静脈内投与される医薬組成物は無菌である。あるいは、本開示の医薬組成物は、筋肉内投与することができる。筋肉内投与される医薬組成物は無菌である。他の実施形態では、本開示の医薬組成物は皮下投与される。皮下投与される医薬組成物は無菌である。本開示の医薬組成物はまた、経口投与することができる。経口投与される医薬組成物は無菌であり得るが、無菌性は必要とされない。他の実施形態では、本開示の医薬組成物は、例えば鼻腔内投与を介して経筋的に投与される。経粘膜的に投与される医薬組成物は無菌である。他の実施形態では、本開示の医薬組成物は骨内に投与される。骨内投与された医薬組成物は無菌である。
【0055】
本開示の医薬組成物は、「現状のまま」、すなわち、さらなる希釈剤または他の賦形剤を添加することなく投与することができる。他の実施形態では、本開示の医薬組成物は、投与前に薬学的に許容される希釈剤で希釈される。
【0056】
本開示のいくつかの態様は、ダントロレン、またはそれらの薬学的に許容される塩、またはそれらの混合物を有する非水性または無水医薬組成物、およびC1-6アルキルアルコール、ポリオール、ポリエーテル、またはそれらの混合物を有する薬学的に許容される担体に関する。このような担体は、本明細書の他の場所でより詳細に説明されている。これらの医薬組成物は、ヒトへの投与と生理学的に適合性のある有効pHを示す。例えば、医薬組成物は、4~9の間の有効pHを示す。医薬組成物は、「そのまま」投与することができ、またはそれらは、本明細書に記載された投与経路のいずれかを使用して、治療的有効量で対象に投与される前に、追加の薬学的に許容される担体、例えば、注射用水、塩化ナトリウム注射、ブドウ糖注射、リンゲル注射などの水性担体で希釈することができる。
【0057】
ダントロレンおよびダントロレンの薬学的に許容される塩(好ましくはダントロレンおよびダントロレンナトリウム)を有する凍結乾燥医薬組成物を使用するいくつかの態様において、凍結乾燥医薬組成物は、C1-6アルキルアルコール、ポリオール、ポリエーテル、またはそれらの混合物である薬学的に許容される担体で再構成される。このような担体は、本明細書の他の場所でより詳細に説明されている。これらの再構成された凍結乾燥医薬組成物は、ヒトへの投与と生理学的に適合性のある有効pHを示す。例えば、再構成された凍結乾燥された医薬組成物は、4~9の間の有効pHを示す。再構成された凍結乾燥医薬組成物は、「そのまま」投与することができ、またはそれらは、本明細書に記載された投与経路のいずれかを使用して対象に治療的有効量で投与される前に、追加の薬学的に許容される担体、例えば、注射用水、塩化ナトリウム注射、ブドウ糖注射、リンゲル注射などの水性担体で希釈することができる。
【0058】
本開示の医薬組成物は、ダントロレンに反応する障害を治療するために使用することができる。例えば、米国特許第7,758,890号、第8,110,225号、第8,685,460号、第9,271,964号、第9,603,840号、第9,789,090号、第9,884,044号、および2017年9月5日に出願された米国仮出願第62/554,049号を参照されたいが、これらの全体は参照により本明細書に組み込まれる。他の態様において、治療を必要とする対象は、治療的有効量の本開示の医薬組成物を投与され得る。
【0059】
ダントロレンに反応する障害には、例えば、悪性高熱症、慢性痙縮、労作性熱射病、心不整脈、頻脈、心房細動、心停止、心筋梗塞、心不全、心筋傷害、心筋症、中枢神経疾患、筋萎縮性側索硬化症、横紋筋融解症、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、運動失調、排尿筋過活動、過活動膀胱、発作、てんかん、神経弛緩性悪性症候群、ヒトストレス障害、アルツハイマー病、ハンチントン病、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、パーキンソン病、虚血再灌流障害、神経再灌流障害、低酸素症、脳動脈瘤、くも膜下出血、脳卒中、薬物乱用に関連する高熱、または薬物の過剰摂取に関連する高熱が含まれる。
【0060】
好ましい態様において、本開示の医薬組成物は、対象における悪性高熱症を治療するために使用される。
【0061】
他の態様において、本開示の医薬組成物は、対象における慢性痙縮を治療するために使用される。
【0062】
他の態様において、本開示の医薬組成物は、対象における労作性熱射病を治療するために使用される。
【0063】
他の態様において、本開示の医薬組成物は、対象における心不整脈を治療するために使用される。
【0064】
他の態様において、本開示の医薬組成物は、対象における頻脈を治療するために使用される。
【0065】
他の態様において、本開示の医薬組成物は、対象における心房細動を治療するために使用される。
【0066】
他の態様において、本開示の医薬組成物は、対象における心停止を治療するために使用される。
【0067】
他の態様において、本開示の医薬組成物は、対象における心筋梗塞を治療するために使用される。
【0068】
他の態様において、本開示の医薬組成物は、対象における心不全を治療するために使用される。
【0069】
他の態様において、本開示の医薬組成物は、対象における心筋傷害を治療するために使用される。
【0070】
他の態様において、本開示の医薬組成物は、対象における心筋症を治療するために使用される。
【0071】
他の態様において、本開示の医薬組成物は、対象における中枢神経疾患を治療するために使用される。
【0072】
他の態様において、本開示の医薬組成物は、対象における筋萎縮性側索硬化症を治療するために使用される。
【0073】
他の態様において、本開示の医薬組成物は、対象における横紋筋融解症を治療するために使用される。
【0074】
他の態様において、本開示の医薬組成物は、対象におけるデュシェンヌ型筋ジストロフィーを治療するために使用される。
【0075】
他の態様において、本開示の医薬組成物は、対象における運動失調を治療するために使用される。
【0076】
他の態様において、本開示の医薬組成物は、対象における排尿筋過活動を治療するために使用される。
【0077】
他の態様では、本開示の医薬組成物は、対象の過活動膀胱を治療するために使用される。
【0078】
他の態様において、本開示の医薬組成物は、対象における発作を治療するために使用される。
【0079】
他の態様において、本開示の医薬組成物は、対象におけるてんかんを治療するために使用される。
【0080】
他の態様において、本開示の医薬組成物は、対象における神経弛緩薬性悪性症候群を治療するために使用される。
【0081】
他の態様において、本開示の医薬組成物は、対象におけるヒトストレス障害を治療するために使用される。
【0082】
他の態様において、本開示の医薬組成物は、対象におけるアルツハイマー病を治療するために使用される。
【0083】
他の態様において、本開示の医薬組成物は、対象におけるハンチントン病を治療するために使用される。
【0084】
他の態様において、本開示の医薬組成物は、対象における多発性硬化症を治療するために使用される。
【0085】
他の態様において、本開示の医薬組成物は、対象におけるパーキンソン病を治療するために使用される。
【0086】
他の態様において、本開示の医薬組成物は、対象における虚血再灌流傷害を治療するために使用される。
【0087】
他の態様において、本開示の医薬組成物は、対象における神経再灌流傷害を治療するために使用される。
【0088】
他の態様において、本開示の医薬組成物は、対象における低酸素症を治療するために使用される。
【0089】
他の態様において、本開示の医薬組成物は、対象における脳動脈瘤を治療するために使用される。
【0090】
他の態様において、本開示の医薬組成物は、対象におけるくも膜下出血を治療するために使用される。
【0091】
他の態様において、本開示の医薬組成物は、対象における脳卒中を治療するために使用される。
【0092】
他の態様において、本開示の医薬組成物は、対象における薬物乱用(例えば、エクスタシー(3,4-メチレンジオキシメタンフェタミン)乱用)に関連する温熱療法を治療するために使用される。
【0093】
他の態様において、本開示の医薬組成物は、対象におけるアセチルコリン蓄積を治療するために使用される。
【0094】
他の態様において、本開示の化合物および/または医薬組成物は、神経毒性神経ガス曝露、例えば、対象におけるサリン、ソマン、およびVXなどの有機リン剤を治療するために使用される。本明細書で使用される場合、「神経毒性神経剤」または「神経ガス」は、神経系における神経インパルスの伝達に影響を与える化合物を指す。神経ガスは有機リン化合物であり、すなわち、それらは式(R)3P(O)のものであり、各R基は同じであっても異なっていてもよい。「G」型神経剤には、O-ピナコリルメチルホスホノフルオリデート(ソマン、GD)、エチルN,N-ジメチルホスホルアミドシアニデート(タブン、GA)、プロパン-2-イルメチルホスホノフルオリデート(サリン、GB)、シクロヘキシルメチルホスホノフルオリデート(シクロサリン、GF)、および2-(ジメチルアミノ)エチル(GV)を含む。「V」型神経剤には、O-シクロペンチルS-(2-ジエチルアミノエチル)メチルホスホノチオレート(EA-3148)、(S)-(エチル{[2-(ジエチルアミノ)エチル]スルホニル}(エチル)ホスホネート)、例えば、(S)-(エチル{[2-(ジエチルアミノ)エチル]スルファニル}(エチル)ホスフィネート)(VE)、O,O-ジエチルS-[2-(ジエチルアミノ)エチル]ホスホロチオエート(VG)、S-[2-(ジエチルアミノ)エチル]O-エチルメチルホスホノチオエート(VM)、N、N-ジエチル-2-(メチル-(メチル-(2-メチルプロポキシ)ホスホリル)スルファニルタンアミン(VR)、およびエチル({2-[ビス(プロパン-2-イル)アミノ]エチル}スルファニル)(メチル)ホスフィネート(VX)を含む。本明細書に記載の方法は、1つの神経剤に曝露された対象を治療するために使用することができる。本明細書に記載の方法はまた、2つ以上の神経剤に曝露された対象を治療するために使用することができる。
【0095】
記載された方法のいずれかに従って対象を治療するのに治療的に有効であるダントロレンまたはその薬学的に許容される塩の量は、当技術分野の施術者によって決定されるべきである。対象がヒトであるこれらの実施形態において、ダントロレンの治療的有効量は、1mg/kg~約30mg/kgであり、これは、1回の用量または2回以上の用量で投与することができる。他の態様では、ダントロレンの治療的有効量は、1mg/kg~約20mg/kgである。他の態様では、ダントロレンの治療的有効量は、約5mg/kg~約30mg/kgである。他の態様では、ダントロレンの治療的有効量は、約10mg/kg~約30mg/kgである。他の態様では、ダントロレンの治療的有効量は、約15mg/kg~約30mg/kgである。他の態様では、ダントロレンの治療的有効量は、約20mg/kg~約30mg/kgである。他の態様では、ダントロレンの治療的有効量は、約5mg/kg~約20mg/kgである。他の態様では、ダントロレンの治療的有効量は、約5mg/kg~約15mg/kgである。他の態様では、ダントロレンの治療有効量は、約5mg/kg~約10mg/kgである。他の態様では、ダントロレンの治療的有効量は、約10mg/kg~約20mg/kgである。他の態様において、ダントロレンの治療的有効量は、約2mg/kg~約10mg/kg、好ましくは約2mg/kg~約6mg/kgである。他の態様では、ダントロレンの治療的有効量は、約15mg/kg~約20mg/kgである。他の態様において、ダントロレンの治療有効量は、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または約30mg/kgである。いくつかの実施形態において、ヒト対象を治療するための治療的有効量のダントロレンは、30mg/kgを超え、例えば、30mg/kg~約100mg/kgであり、これは、1回または2回の用量で投与することができる。いくつかの態様において、ヒト対象を治療するためのダントロレンの治療的有効量は、約35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または約100mg/kgである。
【0096】
以下の実施例は、本開示内で説明される概念のいくつかを説明するために提供されている。各実施例は、開示の特定の個々の実施形態を提供すると見なされるが、本明細書に記載のより一般的な実施形態を限定すると見なされるべき例はない。次の例では、使用される数値(量、温度など)に関して正確さを確保するための努力が払われているが、いくつかの実験誤差と偏差を考慮する必要がある。
【0097】
実施例
実施例1.PEG400への溶解度とpH
11.2mgのダントロレンを224uLのPEG400に加えた。ボルテックス後、液体は濁り、エッペンドルフチューブの底に固体が残っており、飽和溶液が得られたことを示している。チューブを室温で15,000rpmで5分間遠心分離し、サンプルを上清(溶液中のダントロレン)とペレット(不溶性物質)に分離した。上清をきれいなチューブに移し、25%アセトニトリルで100倍、200倍、400倍に希釈して、以下に説明するようにUPLCで分析した。ダントロレンのPEG400への溶解度は、~15mg/mLと計算された。
【0098】
上澄みのpHは、上澄みを水中で10倍希釈することによって測定された。pHは4.88と測定された。10倍希釈液はすぐに沈殿した。
【0099】
実施例2.プロピレングリコールへの溶解度とpH
16.3mgのダントロレンを326uLのプロピレングリコールに加えた。ボルテックス後、液体は濁り、エッペンドルフチューブの底に固体が残っており、飽和溶液が得られたことを示している。チューブを室温で15,000rpmで5分間遠心分離し、サンプルを上清(溶液中のダントロレン)とペレット(不溶性物質)に分離した。上清をきれいなチューブに移し、25%アセトニトリルで50倍、100倍、200倍に希釈して、以下に説明するようにUPLCで分析した。ダントロレンのプロピレングリコールへの溶解度は、~0.8mg/mLと計算された。
【0100】
上澄みの有効pHは、上澄みを水中で10倍希釈することによって測定された。pHは5.73と測定された。10倍希釈液はゆっくりと沈殿した。
【0101】
実施例3.生理学的pHで製剤を決定するためのさまざまな比率
さまざまな10mg/mLダントロレン酸のPEG400のpH:ダントロレンナトリウムサンプル。
13.0mgのダントロレン酸を1.3mLのPEG400に溶解し、10mg/mLのダントロレン酸をターゲットにした。12.7mgのダントロレンナトリウムを1.27mLのPEG400に溶解し、10mg/mLのダントロレンナトリウムをターゲットにした。ダントロレン酸サンプル中の液体は、ボルテックス後に濁り、エッペンドルフチューブの底にいくらかの固体が残っており、飽和溶液が達成されたことを示している。ダントロレンナトリウムサンプルは曇っておらず、これは、ダントロレンナトリウムが完全に溶解したことを示している。両方のチューブを室温で3,900rpmで5分間遠心分離し、サンプルを上清(溶液中のダントロレン酸またはダントロレンナトリウム)とペレット(不溶性物質)に分離した。ダントロレン酸サンプルはペレット状であったが、ダントロレンナトリウムサンプルはペレット状ではなかった。ダントロレン酸サンプルの上清をきれいなチューブに移した。ダントロレン酸の上清とダントロレンナトリウム溶液を25%アセトニトリルで100倍および200倍に希釈し、以下に説明するようにUPLCで分析した。
【0102】
ダントロレン酸上清およびダントロレンナトリウムサンプルの有効pHは、本明細書の他の場所に記載されている方法に従って、水中で10倍希釈することによって測定された。ダントロレン酸上清のpHは4.95と測定された。ダントロレンナトリウムのpHは9.67と測定された。
【0103】
ダントロレン酸上清とダントロレンナトリウム溶液を、体積に基づいて、酸:塩基(ナトリウム)のさまざまな比率で混合した。異なる比率の4つの別々のサンプルを作成した。
90:10(180uLのダントロレン酸+20uLのダントロレンナトリウム)
80:20(160uLのダントロレン酸+40uLのダントロレンナトリウム)
75:25(150uLのダントロレン酸+50uLのダントロレンナトリウム)
70:30(140uLのダントロレン酸+60uLのダントロレンナトリウム)
【0104】
各サンプルの有効pHは、水で10倍に希釈して測定した。pH値は次のように記録された。
90:10 pH5.58
80:20 pH6.72
75:25 pH7.34
70:30 pH9.00
【0105】
以下に説明するように、分析のためにUPLCに注入する前に、25%アセトニトリルを使用して4つのサンプルそれぞれの100倍および200倍希釈を行った。各サンプルのダントロレン濃度は約9~10mg/mLであった。
【0106】
実施例4.ダントロレンナトリウムの凍結乾燥
43.5mgのダントロレンナトリウムをコニカルチューブ内の43.5mLの水でスラリー化した。スラリーの初期のpHは9.89であった。
【0107】
次に、1M HClおよび1M NaOH溶液のアリコートを徐々に添加することにより、スラリーのpHを7.4に調整した。
【0108】
pHが7.4になったら、コニカルチューブをボルテックスし、pHを読み取った(メーターが信頼できる測定を行っていることを確認するために、中央でpHキャリブレーションを行って合計5回繰り返した)。pH値は7.2~7.6の範囲であり、生理学的pHに近い値である。
【0109】
コニカルチューブの上部をパラフィルムで覆い、パラフィルムに穴を開けて凍結乾燥用のサンプルを準備した。液体窒素を使用してサンプルを急速冷凍してから、凍結乾燥機に入れた。サンプルは、合計4日間凍結乾燥機で保持された。
【0110】
実施例5.PEG400中の凍結乾燥ダントロレンナトリウムの再構成
実施例4からの0.9mgの凍結乾燥ダントロレンナトリウム粉末を、112μLのPEG400で再構成した。ボルテックスをオン/オフした後、サンプルは数分以内に溶液になった。サンプルを室温で15,000rpmで5分間回転させて、ペレット(不溶性物質)から上清(溶液中のダントロレンナトリウム)を分離しました。回転後に小さなペレットが形成された。上清をきれいなチューブに移し、本明細書に記載のようにUPLCによる分析のために25%アセトニトリルで80倍および160倍に希釈した。ダントロレン酸のPEG400への溶解度は、~5mg/mLと計算された。
【0111】
上清のpHは、上清を水中で10倍希釈することによって測定された。pHは5.02と測定された。10倍希釈液はすぐに沈殿した。
【0112】
実施例6.プロピレングリコール中の凍結乾燥ダントロレンナトリウムの再構成
実施例4からの1.2mgの凍結乾燥ダントロレンナトリウム粉末を、150μLのプロピレングリコールで再構成した。ボルテックスのオン/オフ後、数分以内にサンプルが曇った。サンプルを室温で15,000rpmで5分間回転させて、ペレット(不溶性物質)から上清(溶液中のダントロレンナトリウム)を分離した。回転後に大きなペレットが形成された。上清をきれいなチューブに移し、25%アセトニトリルで50倍および100倍に希釈して、以下に説明するようにUPLCで分析した。ダントロレン酸のプロピレングリコールへの溶解度は、~0.6mg/mLと計算された。
【0113】
上清のpHは、上清を水中で10倍希釈することによって測定された。pHは6.63と測定された。10倍希釈液はゆっくりと沈殿した。
【0114】
実施例7.プロピレングリコール:PEG400 50:50混合物中の凍結乾燥ダントロレンナトリウムの再構成
実施例4からの1.1mgの凍結乾燥ダントロレンナトリウム粉末を、68.7μLのプロピレングリコールおよび68.7μLのPEG400で再構成した。ボルテックスのオン/オフ後、数分以内にサンプルが曇った。サンプルを室温で15,000rpmで5分間回転させて、ペレット(不溶性物質)から上清(溶液中のダントロレンナトリウム)を分離した。回転後に大きなペレットが形成された。上清をきれいなチューブに移し、25%アセトニトリルで50倍および100倍に希釈して、以下に説明するようにUPLCで分析した。ダントロレン酸のプロピレングリコール:PEG400 50:50混合物への溶解度は、~2mg/mLと計算された。
【0115】
上清のpHは、上清を水中で10倍希釈することによって測定された。pHは5.04と測定された。10倍希釈液はすぐに沈殿した。
【0116】
実施例8.ダントロレンナトリウムのプロピレングリコールへの溶解
ダントロレンナトリウム(6.4mg)をガラスバイアルに量り取り、容積式ピペットを使用してプロピレングリコール(0.128mL)を添加し、ダントロレンナトリウムの目標濃度50mg/mLを達成した。バイアルの内容物を容積式ピペットで混合した。目視検査により、溶液が透明であることを確認した。サンプルは、室温で約2日間安定な溶液であり、その後、沈殿物が形成された。沈殿物は、HPLCを使用して判定したところ、99.9%のダントロレンであった。
【0117】
50μLの水を加えると沈殿が生じた。
【0118】
実施例9.ダントロレンナトリウムのPEG400への溶解
ダントロレンナトリウム(6.2mg)をガラスバイアルに量り取り、容積式ピペットを使用してPEG400(0.124mL)を添加し、ダントロレンナトリウムの目標濃度50mg/mLを達成した。バイアルの内容物を容積式ピペットで混合した。目視検査により、溶液が透明であることを確認した。サンプルは、室温で約2日間安定な溶液であり、その後、沈殿物が形成された。沈殿物は、HPLCを使用して判定したところ、99.9%のダントロレンであった。
【0119】
50μLの水を加えると沈殿が生じた。
【0120】
実施例10.UPLCによる濃度測定
分析は、ダイオードアレイ検出器とAgilent C18Zorbaxカラムを備えたAgilent UPLCシステムを使用して実施した。サンプルは、水中に0.1%トリフルオロ酢酸を含む移動相Aとアセトニトリルに0.1%トリフルオロ酢酸を含む移動相Bを使用した傾斜法を使用して分析した。カラムは75%移動相Aで平衡化した。移動相Aの%は、最初の4分間で57%Aに減少しました。次に、カラムを30%Aで2分間洗浄し、0.1分で75%に戻し、3.9分で75%Aで再平衡化し、合計分析時間を10分にした。10μLのサンプルを注入し、分析対象物を385nmのUVで検出した。ダントロレンは約2.3分で溶出した。ピーク面積は手動積分によって決定された
【0121】
標準曲線は、1.0mgのダントロレンナトリウムを1mLの25%アセトニトリルに溶解して作成した。このストック溶液を25%アセトニトリルでさらに希釈して、100、50、25、12.5、および6.25ug/mLの濃度の標準液を調製した。ピーク面積対濃度の線形標準曲線を使用して、未知のサンプルの濃度を決定した。ダントロレン酸(314g/mole)とダントロレンナトリウム(336g/mole)の分子量の違いを考慮して、曲線濃度値を5.84、11.68、23.36、46.72、および93.45ug/mLに調整した。
【0122】
実施例11.効果的なpH測定
効果的なpH測定は、Thermo Scientific Orion Star A111pHベンチトップメーターを使用して周囲の室温で実施した。機器は、pH 4、7、および10のリン酸緩衝液(Hydrion Tri-Chek Buffer Capsule set)を使用して、効果的なpH測定から1日以内に校正された。
【0123】
非水性/無水サンプルを水で10倍に希釈してサンプルを調製した。希釈したサンプルを約10~15秒間ボルテックスした。有効pHは、ボルテックスの直後に、事前に校正されたpHベンチトップメーターを使用して測定された。
【0124】
各有効pH測定後、pHバルブを適切なリンス溶液でリンスして、バルブからテストサンプル全体を除去した。
【手続補正書】
【提出日】2023-12-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダントロレン、またはそれらの薬学的に許容される塩、またはそれらの混合物、およびC1-6アルキルアルコール、ポリオール、ポリエーテル、またはそれらの混合物を有する薬学的に許容される担体を有する非水性または無水医薬組成物。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
適切な濃度およびpHであり、静脈内投与に適したダントロレンの新しい製剤が必要である。
この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、以下のものがある(国際出願日以降国際段階で引用された文献及び他国に国内移行した際に引用された文献を含む)。
(先行技術文献)
(特許文献)
(特許文献1) 米国特許出願公開第2017/143677号明細書
【外国語明細書】