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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024023285
(43)【公開日】2024-02-21
(54)【発明の名称】エアロゾル生成
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/57 20200101AFI20240214BHJP
   A24F 40/465 20200101ALI20240214BHJP
   A24F 40/20 20200101ALI20240214BHJP
【FI】
A24F40/57
A24F40/465
A24F40/20
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023192835
(22)【出願日】2023-11-13
(62)【分割の表示】P 2021554588の分割
【原出願日】2020-03-09
(31)【優先権主張番号】1903268.9
(32)【優先日】2019-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(71)【出願人】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Nicoventures Trading Limited
【住所又は居所原語表記】Globe House, 1 Water Street,WC2R 3LA London,United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】パトン, デイビッド
(57)【要約】      (修正有)
【課題】エアロゾルを生成する方法及びエアロゾル生成システムを提供する。
【解決手段】(i)香味料を含むエアロゾル生成物品と、(ii)誘導加熱器を備えたエアロゾル生成デバイス100と、を備えたエアロゾル生成システムであって、動作する際に、物品がデバイスに挿入され、誘導加熱器の使用によりエアロゾル生成材料を少なくとも150℃まで加熱することによってエアロゾルが生成され、2秒間の少なくとも1.50L/mの空気流下で、エアロゾル生成材料から、少なくとも1μgの香味料がエアロゾル化される、エアロゾル生成システム。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)香味料を含むエアロゾル生成物品と、(ii)誘導加熱器を備えたエアロゾル生成デバイスと、を備えたエアロゾル生成システムであって、動作する際に、前記物品が前記デバイスに挿入され、前記誘導加熱器の使用により前記エアロゾル生成材料を少なくとも150℃まで加熱することによってエアロゾルが生成され、2秒間の少なくとも1.50L/mの空気流下で、前記エアロゾル生成材料から、少なくとも1μgの香味料がエアロゾル化される、エアロゾル生成システム。
【請求項2】
前記エアロゾル生成材料が、固体であり、タバコを含む、請求項1に記載のエアロゾル生成システム。
【請求項3】
動作する際に、前記誘導加熱器の使用により前記エアロゾル生成材料を少なくとも150℃まで加熱することによってエアロゾルが生成され、少なくとも1.50L/mの空気流下で少なくとも7回の2秒間に前記エアロゾル生成材料からエアロゾル化される香味料の総量が、少なくともおよそ1.5mgである、請求項1又は請求項2に記載のエアロゾル生成システム。
【請求項4】
動作する際に、前記誘導加熱器の使用により前記エアロゾル生成材料を少なくとも150℃まで加熱することによってエアロゾルが生成され、少なくとも1.50L/mの空気流下で少なくとも9回の2秒間に前記エアロゾル生成材料からエアロゾル化される香味料の総量が、少なくともおよそ2.5mgである、請求項1又は請求項2に記載のエアロゾル生成システム。
【請求項5】
香味料を含むエアロゾル生成材料からエアロゾルを生成する方法であって、誘導加熱器の使用により前記エアロゾル生成材料を少なくとも150℃まで加熱するステップを含み、2秒間の少なくとも1.50L/mの空気流下で、前記エアロゾル生成材料から、少なくとも1μgの香味料がエアロゾル化される、方法。
【請求項6】
前記2秒間の少なくとも1.50L/mの空気流下で、前記エアロゾル生成材料から、少なくとも100μg、200μg、好適には少なくとも500μgの香味料がエアロゾル化される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記2秒間の少なくとも1.50L/mの空気流下で、前記エアロゾル生成材料から、少なくとも10μg、好適には少なくとも30μgのニコチンがエアロゾル化される、請求項5又は請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記香味料が、メンソールを含む、請求項5~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記エアロゾル生成材料が、ニコチンを含み、前記2秒間に生成される前記エアロゾルにおける香味料対ニコチンの前記生成されたエアロゾル中の重量比が、少なくともおよそ2.5:1、好適には少なくとも6:1である、請求項5~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記エアロゾル生成材料が、固体であり、タバコを含む、請求項5~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記エアロゾル生成材料が、エアロゾル生成剤、好適にはグリセロールを含み、前記2秒間に、少なくとも10μgの前記エアロゾル生成剤がエアロゾル化される、請求項5~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記2秒間に、少なくとも300μgの前記エアロゾル生成剤、好適には少なくとも500μgの前記エアロゾル生成剤がエアロゾル化される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記2秒間の前記エアロゾルの密度が、少なくとも0.1μg/ccである、請求項5~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記生成されるエアロゾルの平均粒子径又は平均液滴径が、およそ1000nm未満、好適にはおよそ400nm未満で、好適にはおよそ100nm超である、請求項5~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
2秒間の少なくとも1.50L/mの空気流下でのエアロゾル生成材料の少なくとも150℃までの誘導加熱によって得られる、少なくとも1μgの香味料を含むエアロゾル。
【請求項16】
ニコチン及びエアロゾル生成剤を含むエアロゾル生成材料からエアロゾルを生成する方法であって、誘導加熱器の使用により前記エアロゾル生成材料を少なくとも150℃まで加熱するステップを含み、2秒間の少なくとも1.50L/mの空気流下で生成されるエアロゾルにおいて、香味料対ニコチンの重量比が、前記2秒間の少なくとも1.50L/mの空気流下で、少なくともおよそ2.5:1、好適には少なくとも6:1である、方法。
【請求項17】
(i)ニコチン及びエアロゾル生成剤を含むエアロゾル生成材料を含むエアロゾル生成物品と、(ii)誘導加熱器を備えたエアロゾル生成デバイスと、を備えたエアロゾル生成システムであって、動作する際に、前記物品が前記デバイスに挿入され、前記誘導加熱器の使用により前記エアロゾル生成材料を少なくとも150℃まで加熱することによってエアロゾルが生成され、2秒間の少なくとも1.50L/mの空気流下で生成されるエアロゾルにおいて、香味料対ニコチンの重量比が、少なくともおよそ2.5:1、好適には少なくとも6:1である、エアロゾル生成システム。
【請求項18】
香味料及びニコチンを含むエアロゾルであって、香味料対ニコチンの重量比が、少なくともおよそ2.5:1、好適には少なくとも6:1であり、2秒間の少なくとも1.50L/mの空気流下でのエアロゾル生成材料の少なくとも150℃までの誘導加熱によって得られる、エアロゾル。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾルを生成する方法及びエアロゾル生成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
シガレット、シガー等の喫煙品は、使用中にタバコを燃焼させて、タバコ煙を生成する。燃焼なしに化合物を放出する製品の創出によって、これらタバコを燃焼させる物品の代替物を提供しようとする試みがなされている。このような製品の例は、材料を燃焼させずに加熱することによって化合物を放出する加熱デバイスである。この材料は、例えばタバコ又は他の非タバコ製品が考えられ、ニコチンを含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。
【発明の概要】
【0003】
本発明の第1の態様は、(i)香味料を含むエアロゾル生成物品と、(ii)誘導加熱器を備えたエアロゾル生成デバイスと、を備えたエアロゾル生成システムであって、動作中、物品がデバイスに挿入され、誘導加熱器の使用によりエアロゾル生成材料を少なくとも150℃まで加熱することによってエアロゾルが生成され、2秒間の少なくとも1.50L/mの空気流下で、エアロゾル生成材料から、少なくとも1μgの香味料がエアロゾル化される、エアロゾル生成システムを提供する。
【0004】
本発明の第2の態様は、香味料を含むエアロゾル生成材料からエアロゾルを生成する方法であって、誘導加熱器の使用によりエアロゾル生成材料を少なくとも150℃まで加熱するステップを含み、2秒間の少なくとも1.50L/mの空気流下で、エアロゾル生成材料から、少なくとも1μgの香味料がエアロゾル化される、方法を提供する。
【0005】
本発明のさらなる態様は、2秒間の少なくとも1.50L/mの空気流下でのエアロゾル生成材料の少なくとも150℃までの誘導加熱によって得ることのできる、又は得られる、少なくとも1μgの香味料を含むエアロゾルを提供する。
【0006】
本発明のさらなる態様は、ニコチン及びエアロゾル生成剤を含むエアロゾル生成材料からエアロゾルを生成する方法であって、誘導加熱器の使用によりエアロゾル生成材料を少なくとも150℃まで加熱するステップを含み、2秒間の少なくとも1.50L/mの空気流下で生成されるエアロゾルにおいて、香味料対ニコチンの重量比が、2秒間の少なくとも1.50L/mの空気流下で、少なくともおよそ2.5:1、好適には少なくとも6:1である、方法を提供する。
【0007】
本発明の別のさらなる態様は、(i)ニコチン及びエアロゾル生成剤を含むエアロゾル生成材料を含むエアロゾル生成物品と、(ii)誘導加熱器を備えたエアロゾル生成デバイスと、を備えたエアロゾル生成システムであって、動作中、物品がデバイスに挿入され、誘導加熱器の使用によりエアロゾル生成材料を少なくとも150℃まで加熱することによってエアロゾルが生成され、2秒間の少なくとも1.50L/mの空気流下で生成されるエアロゾルにおいて、香味料対ニコチンの重量比が、少なくともおよそ2.5:1、好適には少なくとも6:1である、エアロゾル生成システムを提供する。
【0008】
本発明のさらなる態様は、香味料及びニコチンを含むエアロゾルであって、香味料対ニコチンの重量比が、少なくともおよそ2.5:1、好適には少なくとも6:1であり、2秒間の少なくとも1.50L/mの空気流下でのエアロゾル生成材料の少なくとも150℃までの誘導加熱によって得ることのできる、又は得られる、エアロゾルを提供する。
【0009】
本発明の一態様に関して本明細書に記載の特徴は、適合可能な範囲において、その他の態様との組み合わせで明確に開示される。
【0010】
本発明のさらなる特徴及び利点については、本発明の好適な実施形態に関する以下の説明から明らかとなるであろうが、これは、添付の図面を参照しつつ、一例として示しているに過ぎない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】エアロゾル生成デバイスの一例の正面図である。
図2】外カバーを取り外した図1のエアロゾル生成デバイスの正面図である。
図3図1のエアロゾル生成デバイスの断面図である。
図4図2のエアロゾル生成デバイスの分解図である。
図5図5Aは、エアロゾル生成デバイス内の加熱アセンブリの断面図である。図5Bは、図5Aの加熱アセンブリの一部の拡大図である。
図6A】エアロゾル生成物品の一例の一部切り取り断面図である。
図6B図6Aの例示的なエアロゾル生成物品の斜視図である。
図7A】エアロゾル生成デバイスの一例にプログラムされた熱プロファイルを示した図である。
図7B】エアロゾル生成デバイスの一例にプログラムされた熱プロファイルを示した図である。
図8A図7Aのプログラムされたエアロゾル生成デバイスにより加熱されたエアロゾル生成物品中のタバコ温度を示した図である。
図8B図7Bのプログラムされたエアロゾル生成デバイスにより加熱されたエアロゾル生成物品中のタバコ温度を示した図である。
図9】本発明の一実施形態に従って加熱されたエアロゾル生成物品からのニコチン放出を示した図である。
図10】本発明の一実施形態に従って加熱されたエアロゾル生成物品からのグリセロール放出を示した図である。
図11】本発明の一実施形態に従って加熱されたエアロゾル生成物品からのメンソール放出を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書において、用語「エアロゾル生成材料(aerosol generating material)」は、通常はエアロゾルの形態で、加熱する際に揮発成分を与える材料を含む。エアロゾル生成材料には、任意のタバコ含有材料を含み、例えば、タバコ、タバコ派生物、拡張タバコ、再生タバコ、又はタバコ代替品のうちの1つ又は複数が挙げられる。また、エアロゾル生成材料としては、他の非タバコ製品も挙げられ、製品によっては、ニコチンを含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。エアロゾル生成材料は、例えば固体、液体、ゲル、ワックス等の形態であってもよい。また、エアロゾル生成材料は、例えば材料の組み合わせ又は混合であってもよい。また、エアロゾル生成材料は、「喫煙材」又は「エアロゾル化可能材料」として知られる場合もある。
【0013】
エアロゾル生成材料を加熱して当該エアロゾル生成材料の少なくとも1つの成分を揮発させることにより、通常はエアロゾル生成材料の燃焼(burning又はcombusting)なく吸引可能なエアロゾルを形成する装置が知られている。このような装置は、「エアロゾル生成デバイス」、「エアロゾル供給デバイス」、「非燃焼加熱式デバイス」、「タバコ加熱製品デバイス」、又は「タバコ加熱デバイス」又は同様のものとして記載される場合がある。同様に、通常は液体の形態のエアロゾル生成材料(ニコチンを含む場合もあれば、含まない場合もある)を気化させる、いわゆるeシガレットデバイスが存在する。エアロゾル生成材料は、装置に挿入可能なロッド、カートリッジ、又はカセット等の一部の形態であってもよいし、一部として提供されるようになっていてもよい。エアロゾル生成材料を加熱して揮発させる加熱器は、装置の「永久」部品として設けられていてもよい。
【0014】
エアロゾル生成デバイスは、エアロゾル生成材料を含む物品を受容して加熱することができる。これに関連して、「物品」は、使用の際にエアロゾル生成材料を具備又は含有し、加熱されてエアロゾル生成材料及び任意選択として使用中の他の構成要素を揮発させる構成要素である。ユーザは、ユーザが後で吸引するエアロゾルが生成されるようにエアロゾル生成デバイスが加熱される前に、物品をエアロゾル生成デバイスに挿入してもよい。物品は、例えば当該物品を受容するようにサイズ規定されたデバイスの加熱チャンバ内に配置されるように構成された所定又は特定サイズであってもよい。
【0015】
本発明者らは、誘導加熱器の使用によって、より急速な加熱や熱プロファイルのより高い制御性が可能となることを見出した。熱プロファイルは、エアロゾルの状態及び組成に影響を及ぼす。
【0016】
上述の通り、本発明の一態様は、香味料を含むエアロゾル生成材料からエアロゾルを生成する方法であって、誘導加熱器の使用によりエアロゾル生成材料を少なくとも150℃まで加熱するステップを含み、2秒間の少なくとも1.50L/mの空気流下で、エアロゾル生成材料から、少なくとも1μgの香味料がエアロゾル化される、方法を提供する。
【0017】
場合により、2秒間の少なくとも1.50L/mの空気流下で、エアロゾル生成材料から、少なくとも100μg、好適には少なくとも200μg、又は少なくとも500μgの香味料がエアロゾル化される。
【0018】
場合により、2秒間の少なくとも1.50L/mの空気流下で、エアロゾル生成材料から、およそ1.5mg未満、およそ1mg未満、又はおよそ750μg未満の香味料がエアロゾル化される。
【0019】
場合により、2秒間の少なくとも1.50L/mの空気流下で、エアロゾル生成材料から、少なくとも10μg、好適には少なくとも30μg、50μg、又は100μgのニコチンがエアロゾル化される。場合により、2秒間の少なくとも1.50L/mの空気流下で、エアロゾル生成材料から、およそ200μg未満、好適にはおよそ150μg未満、又はおよそ125μg未満のニコチンがエアロゾル化される。
【0020】
本明細書に論じる本発明の各態様及び実施形態において、空気流は、少なくとも1.55L/m又は1.60L/mが好適である。場合により、空気流は、およそ2.00L/m、1.90L/m、1.80L/m、又は1.70L/m未満であってもよい。場合により、空気流は、およそ1.65L/mであってもよい。
【0021】
場合により、香味料は、メンソールを含む(又は、実質的にメンソールから成るか、若しくは、メンソールから成る)。
【0022】
場合により、エアロゾル生成材料がニコチンを含み、生成されるエアロゾルにおいて、香味料対ニコチンの重量比は、少なくともおよそ2.5:1、好適には少なくとも3:1、3.5:1、4:1、5:1、5.5:1、又は6:1である。場合により、この比は、およそ20:1又は17:1未満であってもよい。
【0023】
場合により、エアロゾル生成材料がエアロゾル生成剤を含み、エアロゾル生成剤が好適には、グリセロールを含んでいてもよい(又は、実質的にグリセロールから成っていてもよいし、グリセロールから成っていてもよい)。場合により、2秒間の少なくとも1.50L/mの空気流下で、エアロゾル生成材料から、少なくとも10μg、好適には少なくとも100μg、300μg、又は500μgのエアロゾル生成剤がエアロゾル化される。
【0024】
場合により、エアロゾル生成材料は、固体又はゲル材料である。すなわち、この方法は、非燃焼加熱式デバイスとしても知られるタバコ加熱製品からエアロゾルを生成する方法であってもよい。場合により、エアロゾル生成材料は、タバコを含む。場合により、エアロゾル生成材料は、固体であり、タバコを含む。
【0025】
場合により、エアロゾル生成材料は、再生タバコ材料を含む。場合によっては、およそ220mg~およそ400mgを含む、又は、およそ220mg~およそ400mgから成る。場合によっては、およそ220mg~およそ300mg、好適にはおよそ240mg~およそ280mg、好適にはおよそ260mgの再生タバコ材料を含む。他のいくつかの場合には、およそ320mg~およそ400mg、好適にはおよそ320mg~およそ370mg、好適にはおよそ340mgの再生タバコ材料を含む。
【0026】
場合により、エアロゾル生成材料(タバコ材料、好適には前段落で論じた再生タバコ材料を含み得る)は、ニコチン含有量がおよそ5mg/g~15mg/g(乾燥重量基準)、好適にはおよそ7mg/g~12mg/gであってもよい。場合により、エアロゾル生成材料(タバコ材料を含み得る)は、エアロゾル生成剤(好適には、グリセロール)含有量がおよそ130mg/g~170mg/g、好適にはおよそ145mg/g~155mg/g(すべて乾燥重量基準)であってもよい。場合により、エアロゾル生成材料は、水分含有量がおよそ5~8wt%(湿重量基準)であってもよい。場合により、エアロゾル生成材料は、少なくともおよそ1.5mgのニコチン、好適には少なくともおよそ1.7mg、1.8mg、又は1.9mgのニコチンを含む。場合により、エアロゾル生成材料は、少なくともおよそ25mgのエアロゾル生成剤、好適には少なくともおよそ30mg、32mg、34mg、又は36mgのエアロゾル生成剤を含み、エアロゾル生成剤が場合によっては、グリセロールを含んでいてもよいし、グリセロールから成っていてもよい。場合により、エアロゾル生成材料は、重量比が少なくとも10:1、好適には少なくとも12:1、14:1、又は16:1のエアロゾル生成剤及びニコチンを含む。
【0027】
場合により、エアロゾル生成材料(タバコ材料、好適には上述の再生タバコ材料を含み得る)は、およそ10mg/g~50mg/gの香味料を含む(湿重量基準)。この材料は、およそ20mg/g~40mg/g、好適にはおよそ25mg/g~35mg/gの香味料を含み得るのが好適である。場合により、香味料は、メンソールを含んでいてもよい(又は、本質的にメンソールから成っていてもよいし、メンソールから成っていてもよい)。
【0028】
場合により、エアロゾルの密度は、少なくとも0.2μg/cc、0.3μg/cc、又は0.4μg/ccである。場合により、エアロゾルの密度は、およそ2.5μg/cc、2.0μg/cc、1.5μg/cc、又は1.0μg/cc未満である。
【0029】
本明細書に定義の通り、用語「平均粒子径又は平均液滴径(mean particle or droplet size)」は、エアロゾルの固体又は液体成分(例えば、ガス中に浮遊する成分)の平均サイズを表す。エアロゾルが浮遊液滴及び浮遊固体粒子を含む場合、この用語は、すべての成分の平均サイズを一体的に表す。
【0030】
場合により、生成されるエアロゾルの平均粒子径又は平均液滴径は、およそ900nm、800nm、700nm、600nm、500nm、450nm、又は400nm未満であってもよい。場合により、平均粒子径又は平均液滴径は、およそ50nm又は100nm超であってもよい。
【0031】
本発明の別の態様は、(i)香味料を含むエアロゾル生成物品と、(ii)誘導加熱器を備えたエアロゾル生成デバイスと、を備えたエアロゾル生成システムであって、動作中に、物品がデバイスに挿入され、誘導加熱器の使用によりエアロゾル生成材料を少なくとも150℃まで加熱することによってエアロゾルが生成され、2秒間の少なくとも1.50L/mの空気流下で、エアロゾル生成材料から、少なくとも1μgの香味料がエアロゾル化される、エアロゾル生成システムを提供する。
【0032】
場合により、エアロゾル生成材料は、固体又はゲル材料である。すなわち、このシステムは、非燃焼加熱式デバイスとしても知られるタバコ加熱製品であってもよい。場合により、エアロゾル生成材料は、タバコを含む。場合により、エアロゾル生成材料は、固体であり、タバコを含む。
【0033】
場合により、動作中に物品がデバイスに挿入され、誘導加熱器の使用によりエアロゾル生成材料を少なくとも150℃まで加熱することによってエアロゾルが生成され、少なくとも1.50L/mの空気流下で少なくとも7回の2秒間にエアロゾル生成材料からエアロゾル化される香味料の総量が、少なくともおよそ1.5mgである。少なくとも1.50L/mの空気流下で少なくとも9回の2秒間にエアロゾル生成材料からエアロゾル化される香味料の総量は、少なくともおよそ2.3mg、2.4mg、2.5mg、又は2.6mgであるのが好適である。
【0034】
場合により、動作中に、物品がデバイスに挿入され、誘導加熱器の使用によりエアロゾル生成材料を少なくとも150℃まで加熱することによってエアロゾルが生成され、少なくとも1.50L/mの空気流下で少なくとも7回の2秒間に生成されるエアロゾルにおいて、エアロゾルの平均密度は、少なくとも0.6μg/cc、好適には少なくとも0.8μg/ccである。言い換えると、物品は、7回の2秒間に、少なくとも4.2μg/cc、好適には少なくとも5.6μg/ccのエアロゾルを生成するようにしてもよい。
【0035】
場合により、動作中に、物品がデバイスに挿入され、誘導加熱器の使用によりエアロゾル生成材料を少なくとも150℃まで加熱することによってエアロゾルが生成され、少なくとも9回の2秒間に少なくとも1.50L/mの空気流下で生成されるエアロゾルにおいて、エアロゾルの平均密度は、少なくとも0.4μg/cc、好適には少なくとも0.6μg/ccである。言い換えると、物品は、9回の2秒間に、少なくとも3.6μg/cc、好適には少なくとも5.4μg/ccのエアロゾルを生成するようにしてもよい。
【0036】
デバイス中の加熱器は、誘導加熱器である。サセプタは、エアロゾル生成材料がサセプタにより加熱できるように、使用の際に物品が挿入される円筒状チャンバを規定する。円筒状チャンバの長さは、およそ40mm~60mm、およそ40mm~50mm、およそ40mm~45mm、又はおよそ44.5mmであってもよい。円筒状チャンバの直径は、およそ5.0mm~6.5mm、好適にはおよそ5.35mm~6.0mm、好適にはおよそ5.5mm~5.6mm、好適にはおよそ5.55mmであってもよい。
【0037】
エアロゾル生成物品は、エアロゾル生成材料と、当該エアロゾル生成材料の周りに配置された包装材とを含んでいてもよい。場合により、エアロゾル生成材料は、タバコを含む。タバコは、単一のグレード若しくはブレンド、カットラグ若しくはホールリーフ、挽きタバコ、タバコ繊維、刻みタバコ、押出タバコ、タバコステム、並びに/又は再生タバコ等の任意好適な固体タバコであってもよい。タバコは、バージニア(Virginia)、及び/又はバーレー(Burley)、及び/又はオリエンタル(Oriental)タバコを含む、如何なる種類であってもよい。
【0038】
エアロゾル生成材料は、エアロゾル生成材料のロッドであってもよい。エアロゾル生成材料のロッドの周りに配設されたチューブをラッパーが構成していてもよい。本明細書において、用語「ロッド(rod)」は一般的に、エアロゾル生成デバイスでの使用に対して任意好適な形状が可能な細長体を表す。場合により、ロッドは、実質的に円筒状である。エアロゾル生成材料の円筒状本体の長さは、およそ34mm~50mm、好適にはおよそ38mm~46mm、好適にはおよそ42mmであってもよい。エアロゾル生成材料の円筒状本体の直径は、およそ5.0mm~6.0mm、好適にはおよそ5.25mm~5.45mm、好適にはおよそ5.35mm~5.40mm、好適にはおよそ5.39mmである。場合により、エアロゾル生成材料は、サセプタが規定する空隙の少なくともおよそ85%を満たしていてもよい。
【0039】
エアロゾル生成材料は、香味料のほか、エアロゾル生成剤、バインダ、充填材、ニコチン(タバコ材料に含まれていてもよい)、並びに1つ若しくは複数の別の香味料のうちの1つ又は複数を含んでいてもよい。
【0040】
エアロゾル生成物品は、フィルター、冷却要素、及びマウスピースのうちの1つ又は複数をさらに備えていてもよい。
【0041】
場合により、エアロゾル生成物品は、フィルター、冷却要素、マウスピース、及びエアロゾル生成材料のうちの1つ又は複数を含む、当該物品の他の構成要素を少なくとも部分的に囲むラッパーを備える。場合により、ラッパーは、これらの構成要素それぞれの外周を囲んでいてもよい。ラッパーの厚さは、およそ10μm~50μm、好適にはおよそ15μm~45μm又は20μm~40μmであってもよい。場合により、ラッパーは、ペーパー層を備えていてもよく、場合により、その基本重量は、少なくともおよそ10g・m-2、15g・m-2、20g・m-2、又は25g・m-2~およそ50g・m-2、45g・m-2、40g・m-2、又は35g・m-2であってもよい。場合により、ラッパーは、金属箔等の不燃性層を備えていてもよい。ラッパーは、アルミニウム箔層を備え得るのが好適であり、これの厚さは、およそ3μm~15μm、好適にはおよそ5μm~10μm、好適にはおよそ6μmであってもよい。ラッパーは、積層構造を備えていてもよく、場合により、この積層構造は、少なくとも1つのペーパー層及び少なくとも1つの不燃性層を備えていてもよい。
【0042】
場合によっては、ラッパーに換気開口部が設けられている。場合により、この孔が提供する換気率(すなわち、エアロゾル体積のパーセントとしての、換気孔を流れる吸引空気の量)は、およそ5%~85%、好適には少なくとも20%、35%、50%、又は60%であってもよい。換気開口部は、フィルター、冷却要素、及びマウスピースのうちの1つ又は複数を囲むラッパーの部分に設けられていてもよい。
【0043】
ここで図面を参照して、図1には、エアロゾル生成媒体/材料からエアロゾルを生成するエアロゾル生成デバイス100の一例を示している。概略として、デバイス100は、エアロゾル生成媒体を含む交換式物品110を加熱して、当該デバイス100のユーザが吸引するエアロゾル又はその他の吸引可能媒体を生成するのに用いられるようになっていてもよい。
【0044】
デバイス100は、当該デバイス100の様々な構成要素を囲んで収容する(外カバーの形態の)ハウジング102を備える。デバイス100は、物品110を挿通して加熱アセンブリにより加熱を行うための開口104を一端に有する。使用する際に、物品110は、加熱アセンブリに全部又は一部が挿入され、加熱アセンブリの1つ又は複数の構成要素により加熱されるようになっていてもよい。
【0045】
本例のデバイス100は、物品110が所定の位置にない場合に、第1の端部材106に対する移動によって開口104を閉鎖し得る蓋108を備えた第1の端部材106を備える。図1において、蓋108は、開放構成にて示しているが、キャップ108は、閉鎖構成へと移動することも可能である。例えば、ユーザが蓋108を矢印「A」の方向にスライドさせるようにしてもよい。
【0046】
また、デバイス100は、ボタン又はスイッチ等、押された場合にデバイス100を動作させるユーザ操作可能な制御要素112を具備していてもよい。例えば、ユーザは、スイッチ112の操作によって、デバイス100をオンするようにしてもよい。
【0047】
また、デバイス100は、ソケット/ポート114等、ケーブルを受容して当該デバイス100のバッテリを充電可能な電気的構成要素を備えていてもよい。例えば、ソケット114は、USB充電ポート等の充電ポートであってもよい。いくつかの例において、ソケット114は、上記の追加又は代替として、デバイス100とコンピュータデバイス等の別のデバイスとの間のデータの転送に用いられるようになっていてもよい。
【0048】
図2は、外カバー102を外すとともに物品110が存在しない状態の図1のデバイス100を示している。デバイス100は、長手方向軸134を規定する。
【0049】
図2に示すように、第1の端部材106は、デバイス100の一端に配置されており、デバイス100の反対端には第2の端部材116が配置されている。第1及び第2の端部材106、116は一体的に、デバイス100の端面を少なくとも部分的に規定する。例えば、第2の端部材116の底面は、デバイス100の底面を少なくとも部分的に規定する。また、外カバー102の縁部が端面の一部を規定していてもよい。また、本例において、蓋108は、デバイス100の上面の一部を規定する。
【0050】
開口104に最も近いデバイスの端部は、使用する際にユーザの口に最も近いため、デバイス100の近位端(又は、口端)として知られていると考えられる。使用する際、ユーザは、物品110を開口104に挿入し、ユーザ制御112を操作してエアロゾル生成材料の加熱を開始し、デバイス中で生成されたエアロゾルを利用する。これにより、流路に沿ってデバイス100の近位端に向かって、エアロゾルがデバイス100を流れる。
【0051】
開口104から最も遠いデバイスの他端は、使用する際にユーザの口から最も遠くなる端部であるため、デバイス100の遠位端として知られていると考えられる。デバイス中で生成されたエアロゾルをユーザが利用する場合、エアロゾルは、デバイス100の遠位端から離れる方向に流れる。
【0052】
デバイス100は、電源118をさらに備える。電源118は、例えば充電式バッテリ又は非充電式バッテリ等のバッテリであってもよい。好適なバッテリの例としては、例えばリチウムバッテリ(リチウムイオンバッテリ等)、ニッケルバッテリ(ニッケルカドミウムバッテリ等)、及びアルカリバッテリが挙げられる。バッテリは、加熱アセンブリに対して電気的に結合され、必要に応じて電力を供給するとともに、制御装置(図示せず)の制御下でエアロゾル生成材料を加熱する。本例において、バッテリは、当該バッテリ118を所定の位置に保持する中央支持部120に接続されている。
【0053】
デバイスは、少なくとも1つの電子機器モジュール122をさらに備える。電子機器モジュール122は、例えばプリント配線板(PCB)を備えていてもよい。PCB122は、プロセッサ等の少なくとも1つの制御装置及びメモリを支持していてもよい。また、PCB122は、デバイス100の様々な電子的構成要素を電気的に一体接続する1つ又は複数の電気的トラックを備えていてもよい。例えば、電力をデバイス100全体に配分可能となるように、バッテリ端子がPCB122に対して電気的に接続されていてもよい。また、ソケット114は、電気的トラックを介して、バッテリに対して電気的に結合されていてもよい。
【0054】
例示的なデバイス100において、加熱アセンブリは、誘導加熱アセンブリであり、誘導加熱プロセスによって物品110のエアロゾル生成材料を加熱する様々な構成要素を備える。誘導加熱は、電磁誘導によって導電体(サセプタ等)を加熱するプロセスである。誘導加熱アセンブリは、誘導要素(例えば、1つ又は複数のインダクタコイル)と、交流等の変動電流を誘導要素に通過させるデバイスとを備えていてもよい。誘導要素中の変動電流は、変動磁場を生成する。変動磁場は、誘導要素に対して好適に配置されたサセプタに侵入して、サセプタの内側に渦電流を生成する。サセプタは、渦電流に対する電気抵抗を有するため、この抵抗に対する渦電流の流れによって、サセプタがジュール加熱により加熱される。また、サセプタが鉄、ニッケル、又はコバルト等の強磁性材料を含む場合は、サセプタ中の磁気ヒステリシス損、すなわち、変動磁場との位置合わせの結果としての磁性材料中の磁気双極子の変動配向、によっても熱が生成されてもよい。誘導加熱においては、例えば伝導による加熱と比較して、サセプタの内側で熱が生成されるため、急速加熱が可能となる。さらに、誘導加熱器とサセプタとの間の物理的な接触が一切不要なため、構成及び用途の自由度が増す。
【0055】
例示的なデバイス100の誘導加熱アセンブリは、サセプタ構成体132(本明細書においては、「サセプタ」と称する)、第1のインダクタコイル124、及び第2のインダクタコイル126を備える。第1及び第2のインダクタコイル124、126は、電気的に導電な材料により形成されている。本例において、第1及び第2のインダクタコイル124、126は、螺旋状に巻回されてヘリカルインダクタコイル124、126を提供するリッツ線/ケーブルにより構成されている。リッツ線は、個別に絶縁され、一体的な撚り合わせによって単一のワイヤを構成する複数の個々のワイヤを備える。リッツ線は、導電体の表皮効果損を抑えるように設計されている。例示的なデバイス100において、第1及び第2のインダクタコイル124、126は、断面が矩形の銅リッツ線により構成されている。他の例において、リッツ線は、円形等、他の形状の断面を有し得る。
【0056】
第1のインダクタコイル124は、サセプタ132の第1の部分を加熱する第1の変動磁場を生成するように構成され、第2のインダクタコイル126は、サセプタ132の第2の部分を加熱する第2の変動磁場を生成するように構成されている。本例において、第1のインダクタコイル124は、デバイス100の長手方向軸134に沿った方向で第2のインダクタコイル126に隣り合っている(すなわち、第1及び第2のインダクタコイル124、126は、重なり合わない)。サセプタ構成体132は、単一のサセプタを備えていてもよいし、2つ以上の別個のサセプタを備えていてもよい。第1及び第2のインダクタコイル124、126の端部130は、PCB122に接続可能である。
【0057】
当然のことながら、いくつかの例において、第1及び第2のインダクタコイル124、126は、互いに異なる少なくとも1つの特性を有していてもよい。例えば、第1のインダクタコイル124は、第2のインダクタコイル126と異なる少なくとも1つの特性を有していてもよい。より具体的に、一例において、第1のインダクタコイル124は、第2のインダクタコイル126と異なるインダクタンスの値を有していてもよい。図2において、第1及び第2のインダクタコイル124、126は、第1のインダクタコイル124がサセプタ132に巻回される部分が第2のインダクタコイル126よりも小さくなるように、異なる長さを有する。このため、第1のインダクタコイル124は、第2のインダクタコイル126と異なる巻回数を有していてもよい(個々の巻回の間隔は実質的に同じと仮定する)。さらに別の例において、第1のインダクタコイル124は、第2のインダクタコイル126と異なる材料により構成されていてもよい。いくつかの例において、第1及び第2のインダクタコイル124、126は、実質的に同一であってもよい。
【0058】
本例において、第1のインダクタコイル124及び第2のインダクタコイル126は、反対方向に巻回されている。これは、両インダクタコイルが異なるタイミングで作動する場合に有用となり得る。例えば、最初に第1のインダクタコイル124が物品110の第1の部分を加熱するように動作した後、第2のインダクタコイル126が物品110の第2の部分を加熱するように動作していてもよい。コイルを反対方向に巻回すことは、特定種類の制御回路と併せて使用される場合に非作動のコイルに誘導される電流を抑えるのに役立つ。図2においては、第1のインダクタコイル124が右手螺旋であり、第2のインダクタコイル126が左手螺旋である。ただし、別の実施形態においては、インダクタコイル124、126が同じ方向に巻回されていてもよいし、第1のインダクタコイル124が左手螺旋、第2のインダクタコイル126が右手螺旋であってもよい。
【0059】
本例のサセプタ132は中空であるため、エアロゾル生成材料が受容されるレセプタクルを規定する。例えば、物品110はサセプタ132に挿入可能である。本例において、サセプタ120は、断面が円形の管状である。
【0060】
本例において、第1のコイル124(口端に近い方)は、サセプタ132の長さの約3分の1に巻回されており、第2のコイル126(遠位端に近い方)は、サセプタ132の長さの約3分の2に巻回されている。すなわち、コイル長の比が1:2であって、このコイル長は、コイルが巻回された軸の軸方向距離を表す。他の長さ比が採用されるようになっていてもよい。例えば、場合により、第1のコイル124対第2のコイルのコイル長の比がおよそ1:4~およそ4:1の範囲であってもよい。
【0061】
図2のデバイス100は、大略管状で、少なくとも部分的にサセプタ132を囲み得る断熱部材128をさらに備える。断熱部材128は、例えばプラスチック等の如何なる断熱材料により構成されていてもよい。この特定の例において、断熱部材は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)により構成されている。断熱部材128は、サセプタ132において生成された熱からデバイス100の様々な構成要素を断熱するのに役立ち得る。
【0062】
また、断熱部材128は、第1及び第2のインダクタコイル124、126の全部又は一部を支持可能である。例えば、図2に示すように、第1及び第2のインダクタコイル124、126は、断熱部材128の周りに配置され、断熱部材128の半径方向外方面と接触している。いくつかの例において、断熱部材128は、第1及び第2のインダクタコイル124、126に接しない。例えば、断熱部材128の外側面と第1及び第2のインダクタコイル124、126の内側面との間には、小さな間隙が存在していてもよい。
【0063】
特定の一例においては、サセプタ132、断熱部材128、並びに第1及び第2のインダクタコイル124、126がサセプタ132の中央長手方向軸の周りに同軸である。
【0064】
図3は、デバイス100の一部断面側面図である。本例においては、外カバー102が存在する。第1及び第2のインダクタコイル124、126の矩形断面形状がより明確に可視化されている。
【0065】
デバイス100は、サセプタ132の一端に係合してサセプタ132を所定の位置に保持する支持部136をさらに備える。支持部136は、第2の端部材116に接続されている。
【0066】
また、デバイスは、制御要素112内に関連付けられた第2のプリント配線板138を備えていてもよい。
【0067】
デバイス100は、デバイス100の遠位端側に配置された第2の蓋/キャップ140及びばね142をさらに備える。ばね142は、第2の蓋140の開放によって、サセプタ132へのアクセスを提供可能とする。ユーザは、第2の蓋140を開けることにより、サセプタ132及び/又は支持部136を清掃するようにしてもよい。
【0068】
デバイス100は、サセプタ132の近位端から当該デバイスの開口140に向かって延びる拡張チャンバ144をさらに備える。拡張チャンバ144内には、デバイス100内に受容された物品110に接して保持する保持クリップ146の少なくとも一部が配置されている。拡張チャンバ144は、端部材106に接続されている。
【0069】
図4は、外カバー102を省略した図1のデバイス100の分解図である。
【0070】
図5Aは、図1のデバイス100の一部の断面を示している。図5Bは、図5Aの一領域を拡大して示している。図5A及び図5Bは、サセプタ132内に受容された物品110を示しているが、この物品110は、その外側面がサセプタ132の内側面に接するように寸法を定められている。これにより、加熱が最も効率的になる。本例の物品110は、エアロゾル生成材料110aを含む。エアロゾル生成材料110aは、サセプタ132内に配置されている。また、物品110は、フィルター、包装材、及び/又は冷却構造等の他の構成要素を備えていてもよい。
【0071】
図5Bは、サセプタ132の長手方向軸158と垂直な方向に測定して、サセプタ132の外側面がインダクタコイル124、126の内側面から距離150だけ離隔することを示している。特定の一例において、距離150は、およそ3mm~4mm、およそ3~3.5mm、又はおよそ3.25mmである。
【0072】
図5Bは、サセプタ132の長手方向軸158と垂直な方向に測定して、断熱部材128の外側面がインダクタコイル124、126の内側面から距離152だけ離隔することを示している。特定の一例において、距離152は、およそ0.05mmである。別の例においては、インダクタコイル124、126が断熱部材128に接して接触するように、距離152が実質的に0mmである。
【0073】
一例において、サセプタ132は、壁厚154がおよそ0.025mm~1mm又はおよそ0.05mmである。
【0074】
一例において、サセプタ132は、長さがおよそ40mm~60mm、およそ40~45mm、又はおよそ44.5mmである。
【0075】
一例において、断熱部材128は、壁厚156がおよそ0.25mm~2mm、0.25~1mm、又はおよそ0.5mmである。
【0076】
端部材116は、ソケット/ポート114等の1つ又は複数の電気的構成要素をさらに収容していてもよい。本例において、ソケット114は、雌型のUSB充電ポートである。
【0077】
図6A及び図6Bを参照して、これらは、エアロゾル生成物品110の一例の一部切り取り断面図及び斜視図である。使用する際には、図1に示すデバイス100の開口104において、物品110がデバイス100に取り外し可能に挿入される。
【0078】
一例の物品110は、エアロゾル生成材料303の本体及びロッドの形態のフィルターアセンブリ305を含む実質的に円筒状のロッドの形態である。フィルターアセンブリ305は、冷却セグメント307、フィルターセグメント309、及び口端セグメント311という3つのセグメントを具備する。物品110は、口端又は近位端としても知られる第1の端部313と、遠位端としても知られる第2の端部315とを有する。エアロゾル生成材料303の本体は、物品110の遠位端315側に配置されている。一例において、冷却セグメント307は、エアロゾル生成材料303及びフィルターセグメント309と接する関係になるように、エアロゾル生成材料303の本体とフィルターセグメント309との間でエアロゾル生成材料303の本体に隣り合って配置されている。他の例においては、エアロゾル生成材料303の本体と冷却セグメント307との間及びエアロゾル生成材料303の本体とフィルターセグメント309との間が分離されていてもよい。フィルターセグメント309は、冷却セグメント307と口端セグメント311との間に配置されている。口端セグメント311は、フィルターセグメント309に隣り合って、物品110の近位端313側に配置されている。一例において、フィルターセグメント309は、口端セグメント311と接する関係にある。一実施形態において、フィルターアセンブリ305の全長は、37mm~45mmである。フィルターアセンブリ305の全長は、41mmであるのがより好ましい。
【0079】
一実施形態において、エアロゾル生成材料303の本体は、タバコを含む。ただし、他の各実施形態において、エアロゾル生成材料303の本体は、タバコから成っていてもよいし、実質的に全体がタバコから成っていてもよいし、タバコ及びタバコ以外のエアロゾル生成材料を含んでいてもよいし、タバコ以外のエアロゾル生成材料を含んでいてもよいし、タバコを含んでいなくてもよい。エアロゾル生成材料は、グリセロール等のエアロゾル生成剤を含んでいてもよい。
【0080】
一例において、エアロゾル生成材料303の本体の長さは、34mm~50mmであり、より好ましくは38mm~46mmであり、さらに好ましくは42mmである。
【0081】
一例において、物品110の全長は、71mm~95mmであり、より好ましくは79mm~87mmであり、さらに好ましくは83mmである。
【0082】
エアロゾル生成材料303の本体の軸方向端部は、物品110の遠位端315で見えている。ただし、他の実施形態において、物品110の遠位端315は、エアロゾル生成材料303の本体の軸方向端部を覆う端部材(図示せず)を備えていてもよい。
【0083】
エアロゾル生成材料303の本体は、フィルターアセンブリ305の実質的全周に配置されてフィルターアセンブリ305を囲むとともに、一部がエアロゾル生成材料303の本体の長さに沿って延びた環状のチップペーパー(図示せず)によって、フィルターアセンブリ305に接合されている。一例において、チップペーパーは、58GSM標準チップ原紙で構成されている。一例において、チップペーパーの長さは、42mm~50mmであり、より好ましくは46mmである。
【0084】
一例において、冷却セグメント307は、環状のチューブであり、空隙の周りに配置されて内部の当該空隙を規定している。空隙は、エアロゾル生成材料303の本体から生成された加熱・揮発成分が流れるチャンバを提供する。冷却セグメント307は、中空であって、製造の際及びデバイス100への挿入中の物品110の使用の際に生じ得る軸方向の圧縮力及び曲げモーメントに耐えるのに十分な剛性のエアロゾル蓄積用チャンバを提供する。一例において、冷却セグメント307の壁の厚さは、約0.29mmである。
【0085】
冷却セグメント307は、エアロゾル生成材料303とフィルターセグメント309との間の物理的な変位を与える。冷却セグメント307が与える物理的な変位は、冷却セグメント307の長さ全体にわたる熱勾配をもたらすことになる。一例において、冷却セグメント307は、当該冷却セグメント307の第1の端部に入る加熱・揮発成分と当該冷却セグメント307の第2の端部から出る加熱・揮発成分との間に、少なくとも40℃の温度差をもたらすように構成されている。一例において、冷却セグメント307は、当該冷却セグメント307の第1の端部に入る加熱・揮発成分と当該冷却セグメント307の第2の端部から出る加熱・揮発成分との間に、少なくとも60℃の温度差をもたらすように構成されている。この冷却要素307の長さ全体にわたる温度差は、デバイス100の加熱構成体により加熱される場合に、温度に敏感なフィルターセグメント309をエアロゾル生成材料303の高温から保護する。フィルターセグメント309とエアロゾル生成材料303の本体及びデバイス100の加熱要素との間に物理的な変位が与えられなければ、温度に敏感なフィルターセグメント309が使用する際に損傷を受け、その必要な機能を効果的に発揮できなくなる可能性がある。
【0086】
一例において、冷却セグメント307の長さは、少なくとも15mmである。一例において、冷却セグメント307の長さは、20mm~30mm、より詳細には23mm~27mm、より詳細には25mm~27mm、より詳細には25mmである。
【0087】
冷却セグメント307は、ペーパーで構成されている。これは、使用する際にデバイス100の加熱器構成体に隣り合っている状態で、懸念される化合物(例えば、毒性化合物)を生成しない材料で構成されることを意味する。一例において、冷却セグメント307は、機械的剛性を維持する中空の内部チャンバを提供する螺旋状に巻かれたペーパーチューブにより製造される。螺旋状に巻かれたペーパーチューブは、チューブの長さ、外径、真円度、及び真直度に関して、高速製造プロセスの厳しい寸法精度要件を満たすことができる。
【0088】
別の例において、冷却セグメント307は、固いプラグラップ又はチップペーパーにより作製された凹部である。この固いプラグラップ又はチップペーパーは、製造の際に及びデバイス100への挿入中の物品110の使用の際に生じ得る軸方向の圧縮力及び曲げモーメントに耐えるのに十分な剛性を有するように製造される。
【0089】
冷却セグメント307の各例について、当該冷却セグメントの寸法精度は、高速製造プロセスの寸法精度要件を満たすのに十分である。
【0090】
フィルターセグメント309は、エアロゾル生成材料からの加熱・揮発成分から、1つ又は複数の揮発化合物を除去するのに十分な任意のフィルター材料で形成されていてもよい。一例において、フィルターセグメント309は、酢酸セルロース等のモノアセテート材料で構成されている。フィルターセグメント309は、加熱・揮発成分をユーザにとって不十分となるレベルの量まで減らすことなく、加熱・揮発成分の冷却及び刺激抑制を提供する。
【0091】
フィルターセグメント309の酢酸セルローストウ材料の密度は、フィルターセグメント309全体の圧力低下を制御し、これが物品110の引き抜き抵抗を制御する。したがって、物品110の引き抜き抵抗の制御には、フィルターセグメント309の材料の選択が重要である。また、フィルターセグメント309は、物品110中の濾過機能を実行する。
【0092】
一例において、フィルターセグメント309は、8Y15グレードのフィルタートウ材料で構成されるが、これは、加熱・揮発材料に対する濾過効果を提供すると同時に、加熱・揮発材料から生じる凝縮エアロゾル液滴のサイズを抑えることにより、結果として、加熱・揮発材料の刺激及び咽喉への影響を十分なレベルに抑える。
【0093】
フィルターセグメント309の存在によって、冷却セグメント307から出る加熱・揮発成分がさらに冷却されることによる断熱効果がもたらされる。このさらなる冷却効果によって、フィルターセグメント309の表面に対するユーザの口唇の接触温度が低下する。
【0094】
香味付けされた液体のフィルターセグメント309への直接噴射又はフィルターセグメント309の酢酸セルローストウ内における1つ若しくは複数の香味付けされた脆弱カプセル又はその他の香料担体の埋め込み若しくは配置によって、1つ又は複数の香料がフィルターセグメント309に添加されていてもよい。
【0095】
一例において、フィルターセグメント309は、長さが6mm~10mmであり、より好ましくは8mmである。
【0096】
口端セグメント311は、環状のチューブであり、空隙の周りに配置されて内部の当該空隙を規定している。空隙は、フィルターセグメント309から流れる加熱・揮発成分のチャンバを提供する。口端セグメント311は、中空であって、製造の際に及びデバイス100への挿入中の物品の使用の際に生じ得る軸方向の圧縮力及び曲げモーメントに耐えるのに十分な剛性のエアロゾル蓄積用チャンバを提供する。一例において、口端セグメント311の壁の厚さは、約0.29mmである。
【0097】
一例において、口端セグメント311の長さは、6mm~10mmであり、より好ましくは8mmである。一例において、口端セグメントの厚さは、0.29mmである。
【0098】
口端セグメント311は、必要な機械的剛性を維持する中空の内部チャンバを提供する螺旋状に巻かれたペーパーチューブにより製造されていてもよい。螺旋状に巻かれたペーパーチューブは、チューブの長さ、外径、真円度、及び真直度に関して、高速製造プロセスの厳しい寸法精度要件を満たすことができる。
【0099】
口端セグメント311は、フィルターセグメント309の出口に蓄積する液体凝縮物のユーザとの直接接触を防止する機能を提供する。
【0100】
当然のことながら、一例においては、口端セグメント311及び冷却セグメント307が単一のチューブで形成されていてもよく、フィルターセグメント309が当該チューブ内に配置されて、口端セグメント311及び冷却セグメント307を分離する。
【0101】
換気領域317が物品110に設けられて、物品110の外部から物品110の内部への空気の流れを可能にする。一例において、換気領域317は、物品110の外側層を通って形成された1つ又は複数の換気孔317の形態である。換気孔は、冷却セグメント307に配置されて、物品301の冷却を補助するものであってもよい。一例においては、換気領域317が一列又は複数列の孔を備え、物品110の長手方向軸と実質的に垂直な断面において、各列の孔が物品110の全周に配置されているのが好ましい。
【0102】
一例においては、1~4列の換気孔が物品110の換気を提供する。各列の換気孔は、12~36個の換気孔317を有していてもよい。換気孔317の直径は、例えば100~500μmであってもよい。一例において、換気孔317の列間の軸方向分離は、0.25mm~0.75mmである。換気孔317の列間の軸方向分離は、0.5mmであるのがより好ましい。
【0103】
一例において、換気孔317は、均一なサイズである。別の例において、換気孔317は、サイズが異なる。換気孔は、例えばレーザ技術、冷却セグメント307の機械的穿孔、又は物品110として形成される前の冷却セグメント307の予備穿孔といった技術のうちの1つ又は複数等、任意好適な技術を用いて構成可能である。換気孔317は、物品110を効果的に冷却するように配置されている。
【0104】
一例において、換気孔317の列は、物品の近位端313から少なくとも11mmに配置されている。換気孔は、物品110の近位端313から17mm~20mmに配置されるのがより好ましい。換気孔317の場所は、物品110を使用する際にユーザが換気孔317を塞がないように配置されている。
【0105】
換気孔の列を物品110の近位端313から17mm~20mmに設けることによって、図1に見られるように、物品110がデバイス100に完全に挿入された場合に、換気孔317をデバイス100の外側に配置できて都合が良い。換気孔を装置の外側に配置することにより、デバイス100の外側から換気孔を通じて非加熱空気が物品110に入り、物品110の冷却を補助可能となる。
【0106】
冷却セグメント307の長さは、物品110がデバイス100に完全に挿入された場合に、当該冷却セグメント307が部分的にデバイス100に挿入されるようになっている。冷却セグメント307の長さは、デバイス100の加熱器構成体と感熱フィルター構成体309との間に物理的な間隙を設ける第1の機能と、換気孔317が冷却セグメントに配置されると同時に、物品110がデバイス100に完全に挿入された場合にデバイス100の外側に配置されるようにし得る第2の機能とを提供する。図1に見られるように、冷却要素307の大部分は、デバイス100内に配置されている。ただし、冷却要素307の一部がデバイス100から延出している。デバイス100から延出する冷却要素307のこの部分に、換気孔317が配置されている。
【0107】
図示の実施形態において、物品の全長は83mmであり、約260mgのエアロゾル生成材料を含む42mm長の円筒状のタバコロッド(直径5.4mm)を具備する。物品の換気率は、75%である。これは、長さが44.5mmで内径が5.55mmのサセプタを有するデバイスにおいて用いられる。
【0108】
別の実施形態(図示せず)において、物品の全長は75mmであり、約340mgのエアロゾル生成材料を含む34mm長の円筒状のタバコロッド(直径6.7mm)を具備する。物品の換気率は、60%であってもよい。これは、長さが36mmで内径が7.1mmのサセプタを有するデバイスにおいて用いられる。
【実施例0109】
実施例においては、それぞれ上述した図1図5Bに示すデバイス並びに図6A及び図6Bに示す物品を採用した。
【0110】
サセプタは、長さが44.5mm、内径が5.55mmであるものとした。
【0111】
多くのエアロゾル生成物品をテストしたが、以下に示すデータは、(別段の記述がない限り)平均値である。物品の全長は83mmで、ニコチン含有量が0.8wt%(±0.1wt%)(DWB)、グリセロール含有量が15wt%(±2wt%)(DWB)、及びメンソール含有量が約3wt%(WWB)の約260mgの再生タバコ材料を含む42mm長の円筒状のタバコロッド(直径5.4mm)を具備するものとした。換気率は、75%であった。
【0112】
デバイスは、2つの加熱プロファイルが予めプログラムされたものとしたが、これらを図7A及び図7Bに示す。各プログラムにおいては、口端コイルが最初に加熱され、遠位コイルが次に加熱される。図8A及び図8Bは、2つの予めプログラムされた加熱プロファイルについて(多くのサンプル(喫煙なし)について)、各加熱ゾーンにおけるタバコ温度を示している。
【0113】
本例においては、模擬パフレジームを採用した。このレジームにおいては、(加熱器がタバコを温める時間を見越して)デバイスがオンとなった2秒後に最初のパフが行われる。その後、デバイスのマウスピースを通じた55mLの2秒間の吸い出しを30秒ごと(すなわち、デバイスがオンとなった後、50秒、80秒、110秒、140秒等)に完了した(すなわち、各パフの空気流は、1.65L/minであった)。図7Aに示す熱プロファイルは、3分間のセッションであって、このレジームでは7回のパフが可能である(最後のパフは、加熱器がオフとなった後に行われるが、エアロゾルの生成には十分な熱が残っている)。図7Bに示す熱プロファイルは、4分間のセッションであって、このレジームでは9回のパフが可能である(この場合も、最後のパフは、加熱器がオフとなった後に行われる)(図7Bのプロファイルでは、最高温度が低くなっているため、セッションの初期のエアロゾル生成が抑えられる結果、より長いセッションが可能となる)。
【0114】
テストした物品からの平均ニコチン放出を図9に示す。この図は、図7の加熱プロファイルごとに、パフ毎のニコチン放出及び総ニコチン放出を示している。
【0115】
テストした物品からの平均グリセロール放出を図10に示す。この図は、図7の加熱プロファイルごとに、パフ毎のグリセロール放出及び総グリセロール放出を示している。
【0116】
テストした物品からの平均メンソール放出を図11に示す。この図は、図7の加熱プロファイルごとに、パフ毎のメンソール放出及び総メンソール放出を示している。
【0117】
[定義]
本明細書において、用語「エアロゾル生成剤(aerosol generating agent)」は、エアロゾルの生成を促進する化学物質である。エアロゾル生成剤は、ガスの最初の気化並びに/又は吸引可能な固体及び/若しくは液体エアロゾルへの凝縮の促進によってエアロゾルの生成を促進するようにしてもよい。いくつかの実施形態において、エアロゾル生成剤は、エアロゾル生成材料からの官能成分の供給を改善するようにしてもよい。好適なエアロゾル生成剤としては、ソルビトール、グリセロール、及びプロピレングリコール若しくはトリエチレングリコール等のグリコールのようなポリオール、1価アルコール、高沸点炭化水素、乳酸等の酸、グリセロール誘導体、ジアセチン、トリアセチン、トリエチレングリコールジアセテート、クエン酸トリエチル、若しくはミリスチン酸エチル及びミリスチン酸イソプロピルを含むミリスチン酸塩等のエステル、並びにステアリン酸メチル、ドデカン二酸ジメチル、及びテトラデカン二酸ジメチル等の脂肪族カルボン酸エステルのような非ポリオールが挙げられるが、これらに限定されない。エアロゾル生成剤は、グリセロール、プロピレングリコール、トリアセチン、及び/又はミリスチン酸エチルを含み得るか、これらから実質的に成り得るか、又はこれらから成り得るのが好適である。場合により、エアロゾル生成剤は、グリセロール及び/又はプロピレングリコールを含んでいてもよいし、これらから実質的に成っていてもよいし、これらから成っていてもよい。
【0118】
本明細書において、用語「香料(flavour)」及び「香味料(flavourant)」は、地域の規制が許す場合に、大人の消費者向けの製品において所望の風味又は香りを生成するのに使用可能な材料を表す。これらには、抽出物(例えば、甘草、アジサイ、ホオノキの葉、カモミール、フェヌグリーク、クローブ、メンソール、ハッカ、アニシード、シナモン、ハーブ、ウィンターグリーン、チェリー、ベリー、ピーチ、アップル、ドランブイ、バーボン、スコッチ、ウイスキー、スペアミント、ペパーミント、ラベンダー、カルダモン、セロリ、カスカリラ、ナツメグ、ビャクダン、ベルガモット、ゼラニウム、ハニーエッセンス、ローズ油、バニラ、レモン油、オレンジ油、カッシア、キャラウェイ、コニャック、ジャスミン、イランイラン、セージ、ウイキョウ、ピーマン、ジンジャー、アニス、コリアンダー、コーヒー、若しくはハッカ属の任意種のミント油)、香味強化剤、苦味受容体部位遮断剤、感覚受容体部位活性化因子若しくは刺激因子、糖類及び/若しくは代替糖(例えば、スクラロース、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、サッカリン、チクロ、ラクトース、スクロース、グルコース、フルクトース、ソルビトール、若しくはマンニトール)、並びにチャコール、クロロフィル、ミネラル、植物性物質、若しくは息清涼剤等の他の添加剤を含んでもよい。これらは、模造品、合成若しくは天然成分、又はこれらの混合であってもよい。これらは、天然又はNI(Nature Identical)香料を含んでいてもよい。これらは、例えば油、液体、粉、又はゲル等、任意好適な形態であってもよい。
【0119】
本明細書において、用語「充填材(filler)」は、炭酸カルシウム、パーライト、バーミキュライト、珪藻土、コロイド状シリカ、酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、及び分子篩等の好適な無機吸着剤のような1つ又は複数の無機充填材料を表し得る。或いは、充填剤という用語は、木材パルプ、セルロース、及びセルロース誘導体等の1つ又は複数の有機充填材料を表し得る。充填材は、有機及び無機充填材料を含んでいてもよい。
【0120】
本明細書において、用語「バインダ(binder)」は、アルギン酸塩、セルロース若しくは変性セルロース、デンプン若しくは変性デンプン、又は天然ガムを表し得る。好適なバインダとしては、任意好適なカチオンを含むアルギン酸塩、セルロース若しくはヒドロキシプロピルセルロース及びカルボキシメチルセルロース等の変性セルロース、デンプン若しくは変性デンプン、ナトリウム、カリウム、カルシウム、若しくはペクチン酸マグネシウム等、任意好適なカチオンを含むペクチン酸塩等の多糖類、キサンタンガム、グアーガム、及びその他の任意好適な天然ガム、並びにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、バインダは、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カルシウム、アルギン酸カリウム、若しくはアルギン酸アンモニウムから選択される1つ若しくは複数のアルギン酸塩を含むか、1つ若しくは複数のアルギン酸塩から実質的に成るか、又は1つ若しくは複数のアルギン酸塩から成る。
【0121】
本明細書において、用語「タバコ材料(tobacco material)」は、タバコ又はその派生物を含む任意の材料を表す。用語「タバコ材料(tobacco material)」には、タバコ、タバコ派生物、拡張タバコ、再生タバコ、又はタバコ代替品のうちの1つ又は複数を含み得る。タバコ材料は、挽きタバコ、タバコ繊維、刻みタバコ、押出タバコ、タバコステム、再生タバコ、及び/又はタバコ抽出物のうちの1つ又は複数を含む。
【0122】
タバコ材料の生成に用いられるタバコは、単一のグレード若しくはブレンド、カットラグ若しくはホールリーフ等の任意好適なタバコであってもよく、バージニア(Virginia)、及び/又はバーレー(Burley)、及び/又はオリエンタル(Oriental)を含む。また、タバコ粒子(「細粒」若しくは微粒)、拡張タバコ、ステム、拡張ステム、並びにカットロールステム等の他の加工ステム材料であってもよい。タバコ材料は、挽きタバコ又は再生タバコ材料であってもよい。再生タバコ材料は、タバコ繊維を含んでいてもよく、また、成型(タバコ抽出物の後方添加を伴う長綱抄紙機ベースの製紙型手法)又は押し出しにより形成されたものであってもよい。
【0123】
本明細書に記載のすべての重量パーセント(wt%と表記)は、別段の明示的な記述のない限り、乾燥重量基準(DWB)で計算したものである。また、すべての重量比についても、乾燥重量基準で計算したものである。乾燥重量基準で引用する重量は、水分以外の抽出物、スラリー、又は材料の全体を表し、グリセロール等、室温及び室内圧力ではそれ自体が液体である成分を含み得る。これに対して、湿重量基準(WWB)で引用する重量パーセントは、水分を含むすべての成分を表す。
【0124】
疑義を避けるため、本明細書において、本発明又は本発明の特徴の規定に用語「備える(comprises)」を使用している場合は、「備える(comprises)」の代わりに用語「~から本質的に成る(consists essentially of)」又は「~から成る(consists of)」を用いて本発明又は特徴を規定可能な実施形態も開示する。
【0125】
上記実施形態は、本発明の説明に役立つ実例として理解されるものとする。本発明の他の実施形態も考えられる。任意の一実施形態に関して記載の任意の特徴は、単独又は他の記載特徴との組み合わせで使用可能であり、また、実施形態のその他いずれか又はその任意の組み合わせの1つ又は複数の特徴との組み合わせで使用可能であることが了解されるものとする。さらに、本発明の範囲から逸脱することなく、添付の特許請求の範囲に規定の上述していない同等物及び改良も採用可能である。

図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2023-12-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載された発明。
【外国語明細書】