(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024002332
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】液圧駆動装置
(51)【国際特許分類】
F15B 21/14 20060101AFI20231228BHJP
F15B 11/02 20060101ALI20231228BHJP
F15B 11/00 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
F15B21/14 A
F15B11/02 M
F15B11/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022101452
(22)【出願日】2022-06-23
(71)【出願人】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135220
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 祥二
(72)【発明者】
【氏名】村岡 英泰
(72)【発明者】
【氏名】木下 敦之
(72)【発明者】
【氏名】弓達 陽治
(72)【発明者】
【氏名】畑 嘉彦
(72)【発明者】
【氏名】▲桑▼原 悠揮
(72)【発明者】
【氏名】宮城 裕一
【テーマコード(参考)】
3H089
【Fターム(参考)】
3H089AA25
3H089AA72
3H089BB04
3H089BB27
3H089CC01
3H089CC12
3H089DA03
3H089DA14
3H089DB33
3H089DB44
3H089DB46
3H089DB47
3H089DB48
3H089DB49
3H089EE36
3H089GG02
3H089JJ01
3H089JJ07
(57)【要約】
【課題】回生可能であって液圧ポンプモータを小型化することができる液圧駆動装置を提供する。
【解決手段】液圧駆動装置は、液圧シリンダに対して作動液を給排する液圧駆動装置であって、吸入ポート及び吐出ポートを有する複数の液圧ポンプモータと、複数の液圧ポンプモータの各々に接続される複数の電動機と、メータアウト通路に接続され、液圧シリンダをメータアウト通路に接続することによって液圧シリンダからメータアウト通路に作動液を排出させる方向制御弁と、を備え複数の液圧ポンプモータの各々の吸入ポートは、メータアウト通路に並列して接続されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液圧シリンダに対して作動液を給排する液圧駆動装置であって、
吸入ポート及び吐出ポートを有する複数の液圧ポンプモータと、
前記複数の液圧ポンプモータの各々に接続される複数の電動機と、
メータアウト通路に接続され、前記液圧シリンダを前記メータアウト通路に接続することによって前記液圧シリンダから前記メータアウト通路に作動液を排出させる方向制御弁と、を備え、
前記複数の液圧ポンプモータの各々の前記吸入ポートは、前記メータアウト通路に並列して接続されている、液圧駆動装置。
【請求項2】
前記複数の液圧ポンプモータの各々の吐出ポートから吐出される作動液を合流させて前記液圧シリンダに供給する合流機構を備える、請求項1に記載の液圧駆動装置。
【請求項3】
前記複数の液圧ポンプモータの吐出ポートの各々から吐出される作動液の少なくとも一部分をタンクに排出する複数のアンロード弁を更に備え、
前記複数のアンロード弁は、開度を調整する、請求項1又は2に記載の液圧駆動装置。
【請求項4】
液圧シリンダである第1液圧アクチュエータを含む複数の液圧アクチュエータに対して作動液を給排する液圧駆動装置であって、
吸入ポート及び吐出ポートを有し、前記吐出ポートが前記複数の液圧アクチュエータの各々に接続される複数の液圧ポンプモータと、
前記複数の液圧ポンプモータの各々に接続されている複数の電動機と、
メータアウト通路に接続され、前記第1液圧アクチュエータを前記メータアウト通路に接続することによって前記第1液圧アクチュエータから前記メータアウト通路に作動液を排出させる方向制御弁と、を備え、
前記複数の液圧ポンプモータの各々の前記吸入ポートは、前記メータアウト通路に並列して接続されている、液圧駆動装置。
【請求項5】
第1アンロード弁を備え、
前記複数の液圧ポンプモータは、前記第1液圧アクチュエータに接続される第1液圧ポンプモータを含み、
前記第1アンロード弁は、前記第1液圧ポンプモータの吐出ポートから吐出される作動液の少なくとも一部分をタンクに排出し、且つ開度を調整する、を備える、請求項4に記載の液圧駆動装置。
【請求項6】
第2アンロード弁を備え、
前記複数の液圧ポンプモータは、前記複数の液圧アクチュエータのうちの1つである第2液圧アクチュエータに接続される第2液圧ポンプモータを含み、
前記第2アンロード弁は、前記第2液圧ポンプモータの吐出ポートから吐出される作動液の少なくとも一部分をタンクに排出し、且つ開度を調整する、請求項5に記載の液圧駆動装置。
【請求項7】
合流機構を備え、
前記第1液圧ポンプモータの前記吐出ポートは、前記第1液圧アクチュエータに接続され、
前記第2液圧ポンプモータの前記吐出ポートは、前記第2液圧アクチュエータに接続され、
前記合流機構は、前記第1液圧ポンプモータ及び前記第2液圧ポンプモータの各々の前記吐出ポートから吐出される作動液を合流させる、請求項6に記載の液圧駆動装置。
【請求項8】
入力される信号に応じて前記方向制御弁、及び前記第2アンロード弁の動作を制御する制御装置を備え、
前記制御装置は、入力される信号に応じて前記方向制御弁を作動させて前記第1液圧アクチュエータを前記メータアウト通路に接続し、且つ入力される信号に基づいて前記第1液圧アクチュエータから前記第2液圧ポンプモータに回生させる流量である要求回生流量と前記第2液圧ポンプモータから吐出させる流量である要求吐出流量とを夫々算出し、要求回生流量と要求吐出流量との差分に応じて前記第2アンロード弁の開度を制御する、請求項6に記載の液圧駆動装置。
【請求項9】
入力される信号に応じて前記方向制御弁、前記合流機構、前記第1アンロード弁、及び前記第2アンロード弁の動作を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、入力される信号に応じて前記方向制御弁を作動させて前記第1液圧アクチュエータを前記メータアウト通路に接続し且つ前記合流機構によって前記第1液圧ポンプモータ及び前記第2液圧ポンプモータの各々の吐出ポートから吐出される作動液を合流させて前記第2液圧アクチュエータに供給する際、入力される信号に基づいて前記第1液圧アクチュエータから前記第1液圧ポンプモータ及び前記第2液圧ポンプモータの各々に回生させる流量である要求回生流量と前記第1液圧ポンプモータ及び前記第2液圧ポンプモータの各々からの吐出させる流量である要求吐出流量を夫々算出し、前記第1液圧ポンプモータに関する要求回生流量と要求吐出流量との差分である第1差分に応じて前記第1アンロード弁の開度を制御し、前記第2液圧ポンプモータに関する要求回生流量と要求吐出流量との差分である第2差分に応じて前記第2アンロード弁の開度を制御する、請求項7に記載の液圧駆動装置。
【請求項10】
第3アンロード弁と、
入力される信号に応じて前記方向制御弁、前記第2アンロード弁、及び前記第3アンロード弁の動作を制御する制御装置と、を更に備え、
前記複数の液圧ポンプモータは、前記複数の液圧アクチュエータのうちの1つである第3液圧アクチュエータに接続される第3液圧ポンプモータを更に含み、
前記第3アンロード弁は、前記第3液圧ポンプモータの吐出ポートから吐出される作動液の少なくとも一部分をタンクに排出し、且つ開度を調整し、
前記制御装置は、入力される信号に応じて前記方向制御弁を作動させて前記第1液圧アクチュエータを前記メータアウト通路に接続する際、入力される信号に基づいて前記第1液圧アクチュエータから前記第2及び第3液圧ポンプモータの各々に回生させる流量である要求回生流量と前記第2及び第3液圧ポンプモータの各々からの吐出させる流量である要求吐出流量を夫々算出し、前記第2液圧ポンプモータに関する要求回生流量と要求吐出流量との差分である第2差分に応じて前記第2アンロード弁の開度を制御し、前記第3液圧ポンプモータに関する要求回生流量と要求吐出流量との差分である第3差分に応じて前記第3アンロード弁の開度を制御する、請求項6に記載の液圧駆動装置。
【請求項11】
合流機構を更に備え、
前記合流機構は、前記第2液圧ポンプモータ及び前記第3液圧ポンプモータの各々の吐出ポートから吐出される作動液を合流させて前記第2液圧アクチュエータ又は前記第3液圧アクチュエータに供給させ、
前記制御装置は、入力される信号に応じて前記方向制御弁を作動させて前記第1液圧アクチュエータを前記メータアウト通路に接続し且つ前記合流機構によって前記第2液圧ポンプモータ及び前記第3液圧ポンプモータの各々の吐出ポートから吐出される作動液を合流させる際、第2差分に応じて前記第2アンロード弁の開度を制御し、第3差分に応じて前記第3アンロード弁の開度を制御する、請求項10に記載の液圧駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、前記液圧シリンダに対して作動液を給排する液圧駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液圧シリンダを駆動する液圧駆動装置として、例えば特許文献1のような液圧駆動装置が知られている。特許文献1のような液圧駆動装置では、ブーム下げ操作において、ブームシリンダのヘッド側ポートから排出される作動油によって液圧ポンプモータを回転駆動する。これにより、ブームの位置エネルギーを電気エネルギーに回生することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の液圧駆動装置では、ブームシリンダに対して1つの液圧ポンプモータによってブームの位置エネルギーを電気エネルギーに回生している。それ故、特許文献1の液圧駆動装置では、回生時においてブームシリンダから排出される全ての作動液を1つの液圧ポンプモータで吸入させようとすると、液圧ポンプモータが大型化する。
【0005】
そこで本発明は、回生可能であって液圧ポンプモータを小型化することができる液圧駆動装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明の液圧駆動装置は、液圧シリンダに対して作動液を給排する液圧駆動装置であって、吸入ポート及び吐出ポートを有する複数の液圧ポンプモータと、前記複数の液圧ポンプモータの各々に接続される複数の電動機と、メータアウト通路に接続され、前記液圧シリンダを前記メータアウト通路に接続することによって前記液圧シリンダから前記メータアウト通路に作動液を排出させる方向制御弁と、を備え、前記複数の液圧ポンプモータの各々の前記吸入ポートは、前記メータアウト通路に並列して接続されているものである。
【0007】
第1の発明に従えば、複数の液圧ポンプモータの各々の吸入ポートがメータアウト通路に並列して接続されている。それ故、複数の液圧ポンプモータによって液圧シリンダから排出される作動液の流体エネルギーを電気エネルギーに回生することができる。従って、回生時において、液圧ポンプモータの各々において吸入される作動液の流量、即ち吸入流量を抑えることができる。これにより、液圧ポンプモータの各々を小型化することができる。
【0008】
第2の発明の液圧駆動装置は、液圧シリンダである第1液圧アクチュエータを含む複数の液圧アクチュエータに対して作動液を給排する液圧駆動装置であって、吸入ポート及び吐出ポートを有し、前記吐出ポートが前記複数の液圧アクチュエータの各々に接続される複数の液圧ポンプモータと、前記複数の液圧ポンプモータの各々に接続されている複数の電動機と、メータアウト通路に接続され、前記第1液圧アクチュエータを前記メータアウト通路に接続することによって前記第1液圧アクチュエータから前記メータアウト通路に作動液を排出させる方向制御弁と、を備え、前記複数の液圧ポンプモータの各々の前記吸入ポートは、前記メータアウト通路に並列して接続されている
【0009】
第2の発明に従えば、液圧ポンプモータの各々の吐出ポートが異なる液圧アクチュエータに接続されているので、複数の液圧アクチュエータを同時に作動させることができる。他方、液圧ポンプモータの各々の吸入ポートがメータアウト通路に並列して接続されている。それ故、複数の液圧ポンプモータによって、第1液圧アクチュエータから排出される作動液の流体エネルギーを電気エネルギーに回生することができる。従って、回生時において、液圧ポンプモータの各々において吸入される作動液の流量、即ち吸入流量を抑えることができる。これにより、液圧ポンプモータの各々を小型化することができる。
【発明の効果】
【0010】
第1及び第2の発明によれば、回生可能であって液圧ポンプモータを小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態の液圧駆動装置の構成を示す回路図である。
【
図2】本実施形態の液圧駆動装置において、各操作の操作量に対して各液圧シリンダが第1乃至第3液圧ポンプモータに要求する流量を示すグラフであって、(a)はブーム要求流量を示すグラフ、(b)はアーム要求流量を示すグラフ、(c)はバケット要求流量を示すグラフである。
【
図3】本実施形態の液圧駆動装置において各液圧シリンダを伸縮動作させる際の手順を示すフローチャートである。
【
図4】
図4(a)~(c)は、ブーム下げ操作と共に第2操作が行われた際の各操作の操作量に対する第1乃至第3液圧ポンプモータの各々に対する各要求流量を示すグラフである。
【
図5】
図5(a)~(c)は、ブーム下げ操作と共に第3操作が行われた際の各操作の操作量に対する第1乃至第3液圧ポンプモータの各々に対する各要求流量を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る実施形態の液圧駆動装置1について前述する図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明で用いる方向の概念は、説明する上で便宜上使用するものであって、発明の構成の向き等をその方向に限定するものではない。また、以下に説明する液圧駆動装置1は、本発明の一実施形態に過ぎない。従って、本発明は実施形態に限定されず、発明の趣旨を逸脱しない範囲で追加、削除、変更が可能である。
【0013】
図1に示す液圧駆動装置1は、例えば作業車両(図示せず)等に備わっている。作業車両は、例えば液圧ショベル及び液圧クレーン等の建設車両及びリフト等の産業車両である。本実施形態において、作業車両は、液圧ショベルである。液圧ショベルは、アタッチメントを動かすべく複数の液圧アクチュエータ3~5を備えている。本実施形態では、液圧ショベルは、アタッチメントはバケットであって、少なくとも第1液圧アクチュエータであるブームシリンダ3、第2液圧アクチュエータであるアームシリンダ4、及び第3液圧アクチュエータであるバケットシリンダ5を備えている。液圧シリンダ3~5の各々は、ブーム、アーム、及びバケットに夫々設けられている。液圧ショベルは、3つの液圧シリンダ3~5を夫々伸縮させることによって、ブーム、アーム、及びバケットの各々を動かす。これにより、液圧ショベルは、種々の作業を行うことができる。
【0014】
液圧駆動装置1は、複数の液圧シリンダ3~5に対して作動液を給排する。本実施形態において、液圧駆動装置1は、少なくとも前述するブームシリンダ3、アームシリンダ4、及びバケットシリンダ5に対して作動液を給排する。液圧駆動装置1は、複数の液圧ポンプモータ11~13と、複数の電動機14~16と、第1方向制御弁17とを備えている。より詳細に説明すると、液圧駆動装置1では、少なくとも液圧シリンダ3~5と同数の液圧ポンプモータ11~13と電動機14~16とが備わっている。本実施形態において、液圧駆動装置1は、3つの液圧ポンプモータ(即ち、第1乃至第3液圧ポンプモータ)11~13と、3つの電動機(即ち、第1乃至第3電動機)14~16とを備えている。また、液圧駆動装置1は、第2方向制御弁18と、第3方向制御弁19と、再生弁20と、複数のアンロード弁21~23と、合流機構24と、を更に備えている。本実施形態において、液圧駆動装置1では、液圧ポンプモータ11~13と同数、即ち3つのアンロード弁(即ち、第1乃至第3アンロード弁)21~23が備わっている。また、液圧駆動装置1は、操作装置26と、制御装置27とを備えている。
【0015】
[液圧ポンプモータ]
第1乃至第3液圧ポンプモータ11~13の各々は、吸入ポート11a~13aと、吐出ポート11b~13bとを有している。第1乃至第3液圧ポンプモータ11~13の各々の吸入ポート11a~13aは、後述するメータアウト通路31に並列するように接続されている。また、第1乃至第3液圧ポンプモータ11~13の各々の吸入ポート11a~13aは、メータアウト通路31及びタンク通路28a~28cを介してタンク28に接続されている。タンク通路28a~28cは、タンク28とメータアウト通路31とを繋いでいる。また、タンク通路28a~28cには、チェック弁29a~29cが介在している。チェック弁29a~29cは、タンク28からメータアウト通路31への作動液の流れを許容し、逆方向流れを阻止する。
【0016】
第1乃至第3液圧ポンプモータ11~13の各々の吐出ポート11b~13bは、液圧シリンダ3~5に夫々接続されている。本実施形態において、第1液圧ポンプモータ11の吐出ポート11bは、ブームシリンダ3に接続されている。第2液圧ポンプモータ12の吐出ポート12bは、アームシリンダ4に接続されている。第3液圧ポンプモータ13の吐出ポート13bは、バケットシリンダ5に接続されている。
【0017】
また、第1乃至第3液圧ポンプモータ11~13は、シャフト11c~13cを有している。第1乃至第3液圧ポンプモータ11~13の各々は、シャフト11c~13cが回転駆動されると、吸入ポート11a~13aから作動液を吸入し、吐出ポート11b~13bから作動液を吐出する。他方、第1乃至第3液圧ポンプモータ11~13は、吸入ポート11a~13aに作動液が供給されると、シャフト11c~13cを回転させる。
【0018】
更に、第1乃至第3液圧ポンプモータ11~13は、本実施形態において可変容量形の斜板ポンプである。即ち、第1乃至第3液圧ポンプモータ11~13の各々は、レギュレータ11d~13dを夫々有している。レギュレータ11d~13dの各々は、入力される第1乃至第3容量指令に基づいて第1乃至第3液圧ポンプモータ11~13の各々のポンプ容量を変更する。
【0019】
[電動機]
第1乃至第3電動機14~16は、第1乃至第3液圧ポンプモータ11~13の各々に接続されている。より詳細に説明すると、第1乃至第3電動機14~16は、シャフト11c~13cを介して第1乃至第3液圧ポンプモータ11~13の各々に接続されている。第1乃至第3電動機14~16の各々は、第1乃至第3液圧ポンプモータの各々を回転駆動することによって各々から作動液を吐出させる。また、第1乃至第3電動機14~16の各々は、第1乃至第3液圧ポンプモータ11~13の各々によって回転駆動されることによって発電する。即ち、第1乃至第3電動機14~16の各々は、第1乃至第3液圧ポンプモータ11~13の各々と協働することによって作動液の流体エネルギーを電気エネルギーへと回生する。第1乃至第3電動機14~16の各々は、入力される第1乃至第3回転数指令の各々に応じて回転数を変える。
【0020】
[第1方向制御弁]
第1方向制御弁17は、メータアウト通路31に接続されている。また、第1方向制御弁17は、ブームシリンダ3に接続されている。第1方向制御弁17は、ブームシリンダ3をメータアウト通路31に接続することによってブームシリンダ3からメータアウト通路31に作動液を排出させる。より詳細に説明すると、第1方向制御弁17は、ブームシリンダ3のヘッド側ポート3a及びロッド側ポート3bの各々に接続されている。第1方向制御弁17は、ヘッド側ポート3aをメータアウト通路31に接続する。これにより、ブームシリンダ3のヘッド側ポート3aからメータアウト通路31に作動液が排出される。メータアウト通路31には、第1乃至第3液圧ポンプモータ11~13(より詳細に説明すると、吸入ポート11a~13a)が並列して接続されている。また、第1方向制御弁17は、第1ポンプ通路32を介して第1液圧ポンプモータ11と繋がっている。更に、第1方向制御弁17は、タンク28に繋がっている。
【0021】
第1方向制御弁17は、入力される第1動作指令に応じて、第1液圧ポンプモータ11とブームシリンダ3との間を流れる作動液の流れる方向を切換える。より詳細に説明すると、第1方向制御弁17は、第1動作指令に応じて、ブームシリンダ3の各ポート3a,3bの接続先を切換える。例えば、第1方向制御弁17は、第1動作指令に応じて、ブームシリンダ3のヘッド側ポート3aをメータアウト通路31に接続すると共に、第1液圧ポンプモータ11の吐出ポート11bをブームシリンダ3のロッド側ポート3bに接続する。本実施形態では、第1方向制御弁17において、吐出ポート11bとロッド側ポート3bとの間にチェック弁17aが介在している。チェック弁17aは、吐出ポート11bからロッド側ポート3bへの流れを許容し、逆方向の流れを阻止する。また、第1方向制御弁17は、第1動作指令に応じて、ブームシリンダ3のロッド側ポート3bをタンク28に接続すると共に、第1液圧ポンプモータ11の吐出ポート11bをブームシリンダ3のヘッド側ポート3aに接続する。更に、第1方向制御弁17は、第1液圧ポンプモータ11とブームシリンダ3との間を遮断することができる。
【0022】
[第2方向制御弁]
第2方向制御弁18は、第2ポンプ通路33を介して第2液圧ポンプモータ12と繋がっている。より詳細に説明すると、第2方向制御弁18は第2液圧ポンプモータ12の吐出ポート12bと繋がっている。また、第2方向制御弁18は、アームシリンダ4とも繋がっている。第2方向制御弁18は、第2動作指令に応じて第2液圧ポンプモータ12とアームシリンダ4との間を流れる作動液の流れる方向を切換える。より詳細に説明すると、第2方向制御弁18は、第2動作指令に応じて、第2液圧ポンプモータ12の吐出ポート12bをアームシリンダ4のロッド側ポート4a及びヘッド側ポート4bの一方に接続する。また、第2方向制御弁18は、第2動作指令に応じて、ロッド側ポート4a及びヘッド側ポート4bの他方をタンク28に接続する。これにより、第2方向制御弁18は、第2液圧ポンプモータ12から吐出される作動液をロッド側ポート4a及びヘッド側ポート4bの一方に流す。また、第2方向制御弁18は、第2液圧ポンプモータ12とアームシリンダ4との間を遮断することができる。
【0023】
[第3方向制御弁]
第3方向制御弁19は、第3ポンプ通路34を介して第3液圧ポンプモータ13と繋がっている。より詳細に説明すると、第3方向制御弁19は、第3液圧ポンプモータ13の吐出ポート13bと繋がっている。また、第3方向制御弁19は、バケットシリンダ5とも繋がっている。第3方向制御弁19は、第3動作指令に応じて、第3液圧ポンプモータ13とバケットシリンダ5との間を流れる作動液の流れる方向を切換える。具体的に説明すると、第3方向制御弁19は、第3動作指令に応じて、第3液圧ポンプモータ13の吐出ポート13bをバケットシリンダ5のロッド側ポート5a及びヘッド側ポート5bの一方に接続する。また、第3方向制御弁19は、第3動作指令に応じて、ロッド側ポート5a及びヘッド側ポート5bの他方をタンク28に接続する。更に、第3方向制御弁19は、第3液圧ポンプモータ13とバケットシリンダ5との間を遮断することができる。
【0024】
[再生弁]
再生弁20は、ブームシリンダ3のヘッド側ポート3aとロッド側ポート3bとに接続されている。再生弁20は、再生指令に応じてヘッド側ポート3aとロッド側ポート3bとを連通する。また、再生弁20は、ヘッド側ポート3aとロッド側ポート3bとを連通した状態でヘッド側ポート3aからロッド側ポート3bへ作動液の流れを許容し、逆方向の流れを阻止する。これにより、再生弁20は、ロッド側ポート3bに作動液を供給する際、ヘッド側ポート3aから排出される作動液をロッド側ポート3bに再生する。
【0025】
[アンロード弁]
第1乃至第3アンロード弁21~23の各々は、第1乃至第3液圧ポンプモータ11~13の各々の吐出ポート11b~13bから吐出される作動液の少なくとも一部分をタンク28に排出する。より詳細に説明すると、第1乃至第3アンロード弁21~23の各々は、第1乃至第3ポンプ通路32~34の各々に接続されている。第1乃至第3アンロード弁21~23の各々は、入力される第1乃至第3アンロード指令の各々に応じて作動する。そして、第1乃至第3アンロード弁21~23の各々は、入力される第1乃至第3アンロード指令の各々に応じて、吐出ポート11b~13bの各々とタンク28との間の開度を調整する。
【0026】
[合流機構]
合流機構24は、第1乃至第3液圧ポンプモータ11~13の各々の吐出ポート11b~13bから吐出させる作動液を合流させる。より詳細に説明すると、合流機構24は、3つのポンプ通路32~34に夫々接続されている。合流機構24は、第1ポンプ通路32と第3ポンプ通路34とを連通し、また第2ポンプ通路33と第3ポンプ通路34とを連通する。そして、合流機構24は、3つのポンプ通路32~34の連通状態を切換えることによって、第1乃至第3液圧ポンプモータ11~13の各々から吐出される作動液を合流させる。本実施形態において、合流機構24は、第1合流弁41と、第2合流弁42とを備えている。
【0027】
第1合流弁41は、第1及び第3液圧ポンプモータ11,13の各々の吐出ポート11b,13bから吐出される作動液を合流させる。より詳細に説明すると、第1合流弁41は、第1ポンプ通路32と第3ポンプ通路34とに接続されている。第1合流弁41は、入力される第1合流指令に応じて開く。これにより、第1ポンプ通路32と第3ポンプ通路34とが連通するので、2つのポンプ通路32,34の間で作動液が行き来することができる。
【0028】
第2合流弁42は、第2及び第3液圧ポンプモータ12,13の各々の吐出ポート12b,13bから吐出される作動液を合流させる。より詳細に説明すると、第2合流弁42は、第2ポンプ通路33と第3ポンプ通路34とに接続されている。第2合流弁42は、入力される第2合流指令に応じて開く。これにより、第2ポンプ通路33と第3ポンプ通路34とが連通するので、2つのポンプ通路33,34の間で作動液が行き来することができる。
【0029】
<操作装置>
操作装置26は、運転者等によってブームシリンダ3、アームシリンダ4、及びバケットシリンダ5を動かすべく操作される。より詳細に説明すると、操作装置26は、各液圧シリンダ3~5の各々に対する操作(以下、「各操作」という)の操作方向及び操作量(以下、「操作状態」という)に応じた操作信号を出力する。操作装置26は、例えば複数の操作レバー26a,26bを含んでいる。本実施形態において、操作装置26は、2つの操作レバー26a,26bを含んでいる。操作レバー26a,26bは、種々の方向に操作(例えば傾倒)することができる。操作装置26は、操作レバー26a,26bの各々の操作方向(例えば傾倒方向)及び操作量(例えば傾倒量)を各操作の操作状態として操作信号を出力する。なお、操作装置26は、操作パネル等のような他の形態であってもよく、操作パネル等に対する操作や予め記憶されるプログラムに応じて操作信号を出力してもよい。
【0030】
<制御装置>
制御装置27は、操作装置26から操作信号が入力される。そして、制御装置27は、入力される操作信号に応じて第1乃至第3方向制御弁17~19を作動させる。より詳細に説明すると、制御装置27は、ブームシリンダ3に対する操作である第1操作の操作状態に応じて第1動作指令を出力することによって第1方向制御弁17を作動させる。また、制御装置27は、アームシリンダ4に対する操作である第2操作の操作状態に応じて第2動作指令を出力することによって第2方向制御弁18を作動させる。更に、制御装置27は、バケットシリンダ5に対する操作である第3操作の操作状態に応じて第3動作指令を出力することによって第3方向制御弁19を作動させる。制御装置27は、第1操作の操作状態に応じて再生指令を出力する。これにより、制御装置27は、再生弁20を作動させる。また、制御装置27は、第1及び第2連通指令を出力する。これにより、制御装置27は、第1及び第2合流弁41,42を開く。
【0031】
制御装置27は、入力される操作信号に応じて、第1乃至第3液圧ポンプモータ11~13の各々の吐出流量又は吸入流量を制御する。より詳細に説明すると、制御装置27では、例えば
図2(a)~(c)に示すグラフのように、各操作の操作量に対して、各液圧シリンダ3~5が第1乃至第3液圧ポンプモータ11~13に要求する流量が設定されている。例えば、
図2の(a)にはブーム要求流量が示されている。
図2の(b)にはアーム要求流量が示されている。
図2の(c)にはバケット要求流量が示されている。なお、ブーム要求流量は、第1操作の操作量に対してブームシリンダ3が第1乃至第3液圧ポンプモータ11~13に要求する流量である。アーム要求流量は、第2操作の操作量に対してアームシリンダ4が第1乃至第3液圧ポンプモータ11~13に要求する流量である。バケット要求流量は、第3操作の操作量に対してバケットシリンダ5が第2及び第3液圧ポンプモータ12,13に要求する流量である。また
図2(a)~(c)において、実線が第1液圧ポンプモータ11に対する各要求流量、一点鎖線が第2液圧ポンプモータ12に対する各要求流量、及び二点鎖線が第3液圧ポンプモータ13に対する各要求流量である。
【0032】
制御装置27は、各要求流量及び各操作の操作状態に基づいて第1乃至第3液圧ポンプモータ11~13の各々の要求吐出流量及び要求回生流量を算出する。要求吐出流量は、第1乃至第3液圧ポンプモータ11~13の各々に対して要求される吐出流量である。要求回生流量は、第1乃至第3液圧ポンプモータ11~13の各々に対して要求される回生流量、即ち吸入流量である。要求吐出流量及び要求回生流量の算出方法は、後で詳述される。制御装置27は、算出される要求吐出流量及び要求回生流量に基づいて各電動機14~16の回転数及び第1乃至第3液圧ポンプモータ11~13の各々のポンプ容量を夫々算出する。そして、制御装置27は、回転数に応じた第1乃至第3回転数指令を各電動機14~16に出力し、且つポンプ容量に応じた第1乃至第3容量指令を第1乃至第3液圧ポンプモータ11~13に出力する。これにより、制御装置27は、各操作の操作状態に応じて、第1乃至第3液圧ポンプモータ11~13の各々の吐出流量を要求吐出流量(又は吸入流量を要求回生流量)に制御する。
【0033】
制御装置27は、入力される操作信号に応じて、第1乃至第3アンロード弁21~23の動作を制御する。より詳細に説明すると、制御装置27は、前述のように第1乃至第3液圧ポンプモータ11~13の各々の要求吐出流量及び要求回生流量を算出する。そして、制御装置27は、第1乃至第3液圧ポンプモータ11~13の各々において要求吐出流量と要求回生流量との差分に応じた第1乃至第3アンロード指令を出力することによって、第1乃至第3アンロード弁21~23の各々の開度を制御する。
【0034】
<液圧駆動装置の動作>
液圧駆動装置1では、操作装置26が操作される(本実施形態において、操作レバー26a,26bが操作される)と、各操作の操作状態に応じた操作信号が操作装置26から出力される。操作信号が出力されると、制御装置27は、各操作の操作方向に応じた方向に且つ各操作の操作量に応じた速度で各液圧シリンダ3~5を伸縮させる。
【0035】
より詳細に説明すると、制御装置27は、各操作の操作状態に応じた回転数指令を第1乃至第3電動機14~16の各々に出力する。また、制御装置27は、各操作の操作状態に応じた容量指令を第1乃至第3液圧ポンプモータ11~13の各々に出力する。これにより、制御装置27は、第1乃至第3液圧ポンプモータ11~13に対して、各操作の操作量に応じた流量の作動液を吐出又は吸入させる。また、制御装置27は、各操作の操作状態に応じて第1乃至第3動作指令の各々を出力する。そうすると、第1乃至第3方向制御弁17~19は、第1乃至第3液圧ポンプモータ11~13の各々を対応する液圧シリンダ3~5に接続する。これにより、各操作の操作方向に応じた方向に且つ操作量に応じた速度で各液圧シリンダ3~5が伸縮する。以下、各操作による各液圧シリンダ3~5の伸縮動作を
図3のフローを参照しながら説明される。
【0036】
制御装置27は、操作装置26が操作される(本実施形態において、操作レバー26a,26bが操作される)と、
図3に示すフローを開始する。そうすると、ステップS1に移行する。ブーム下げ操作判定工程であるステップS1では、第1操作の1つであるブーム下げ操作が行われたか否かを判定する。本実施形態において、制御装置27は、ブームを下げるべく一方の操作レバー26aを前方に傾倒させたか否かを判定する。一方の操作レバー26aが前方に傾倒された場合、制御装置27はブーム下げ操作が行われたと判定する。そうすると、ステップS2に移行する。他方、一方の操作レバー26aが操作されていない又は後方に傾倒された場合、制御装置27はブーム下げ操作が行われていないと判定する。そうすると、ステップS7に移行する。なお、ブーム下げ操作は、操作レバー26aが前方に傾倒することに限定されない。前述するブーム下げ操作の判定方法は、一例に過ぎず、制御装置27は、ブーム下げ操作に対応する操作が操作装置26に行われた場合にブーム下げ操作が行われたと判定すればよい。
【0037】
アンロード弁全開工程であるステップS2では、制御装置27が第1乃至第3アンロード弁21~23の各々を全開にする。そして、制御装置27は、ブームを下げる際にブームシリンダ3のヘッド側ポート3aから排出される作動液の流体エネルギーを電気エネルギーに回生する、即ちブーム下げ回生が行われる。以下、ブーム下げ回生について更に詳細に説明する。
【0038】
制御装置27は、第1動作指令を出力することによって第1方向制御弁17を作動させる。そうすると、第1方向制御弁17によって、ブームシリンダ3のヘッド側ポート3aがメータアウト通路31に接続される。また、第1液圧ポンプモータ11の吐出ポート11bはチェック弁17aを介してブームシリンダ3のロッド側ポート3bに接続される。更に、制御装置27は、ブーム下げ操作の操作量に基づいて第1乃至第3液圧ポンプモータ11~13の各々の要求回生流量を算出する。本実施形態において、第1乃至第3液圧ポンプモータ11~13の各々の要求回生流量は、第1乃至第3液圧ポンプモータ11~13の各々のブーム要求流量とブーム下げ操作の操作量とに応じて算出される。そして、制御装置27は、第1乃至第3液圧ポンプモータ11~13の各々の要求回生流量に応じた、第1乃至第3回転数指令及び第1乃至第3容量指令を出力する。これにより、第1乃至第3液圧ポンプモータ11~13の吸入流量は、各々の要求回生流量に制御される。更に、制御装置27は、第1乃至第3アンロード弁21~23の開度を全開にする。そうすると、作動液が以下のように流れる。
【0039】
即ち、ブームシリンダ3のヘッド側ポート3aから作動液が排出される。排出される作動液は、ヘッド側ポート3aからメータアウト通路31に流れる。その後、作動液は、メータアウト通路31を介して第1乃至第3液圧ポンプモータ11~13の各々に供給される。第1乃至第3液圧ポンプモータ11~13は、供給される作動液によって駆動される。それ故、第1乃至第3電動機14~16が発電させられる。これにより、第1乃至第3液圧ポンプモータ11~13及び第1乃至第3電動機14~16を用いて作動液の流体エネルギーが電気エネルギーへと回生される。この際、第1乃至第3アンロード弁21~23が制御装置27によって全開になっている。それ故、第1乃至第3液圧ポンプモータ11~13から吐出される作動液がそのままタンク28に排出される。即ち、第1乃至第3液圧ポンプモータ11~13がアンロード状態となっている。それ故、作動液の流体エネルギーが効率よく電気エネルギーへと回生される。また、制御装置27は、ブーム下げ回生時において第1動作指令を出力すると共に再生指令を出力する。これにより、再生弁20が開くので、ロッド側ポート3bとヘッド側ポート3aとが連通する。これにより、ヘッド側ポート3aから排出される作動液の一部分がロッド側ポート3bに再生される。
【0040】
このように、液圧駆動装置1では、ブームシリンダ3のヘッド側ポート3aから排出される作動液の一部がロッド側ポート3bに再生されると共に、残余部分が第1乃至第3液圧ポンプモータ11~13に戻される。これにより、ブームシリンダ3が収縮するので、ブームが下がる。なお、制御装置27は、第1乃至第3液圧ポンプモータ11~13の各々の吸入流量を各々の要求回生流量に制御することによって、再生弁20を介してロッド側ポート3bに流れる作動液の流量を制御する。そうすると、第1操作の操作状態に応じた流量の作動液をロッド側ポート3bに流すことができる。これにより、第1操作の操作状態に応じた速度でブームシリンダ3を収縮させることができる。即ち、第1操作の操作状態に応じた速度でブームを下げることができる。また、第1乃至第3液圧ポンプモータ11~13の各々の吸入流量を各々の要求回生流量に制御することによって、第1乃至第3電動機14~16の発電量が制御される。ブーム下げ回生を開始すると、ステップS3に移行する。
【0041】
同時操作判定工程であるステップS3では、ブーム下げ操作と共に第2操作及び第3操作の少なくとも一方が行われていないか否かが判定される。より詳細に説明すると、制御装置27は、入力される操作信号に応じて各操作の操作状態を取得する。そして、制御装置27は、各操作の操作状態に応じて、ブーム下げ操作と共に第2操作及び第3操作の何れかが行われていないか否かを判定する。ブーム下げ操作と共に第2操作及び第3操作の少なくとも一方が行われていないと判定すると、ブーム下げ操作が終了する又はブーム下げ操作と共に第2操作及び第3操作の少なくとも一方が行われるまで前述するブーム下げ回生が継続され、フローを終了する。他方、ブーム下げ操作と共に第2操作及び第3操作の少なくとも一方が行われていると判定すると、ステップS4に移行する。
【0042】
液圧ポンプモータ流量制御工程であるステップS4では、各操作の操作状態に応じて第1乃至第3液圧ポンプモータ11~13の各々の吐出流量又は回生流量が制御される。より詳細に説明すると、制御装置27は、各要求流量及び各操作の操作状態に基づいて、第1乃至第3液圧ポンプモータ11~13の各々に対する要求吐出流量及び要求回生流量を算出する。本実施形態において、第1及び第3液圧ポンプモータ11~13の各々の要求回生流量は、第1及び第3液圧ポンプモータ11~13の各々のブーム要求流量である。他方、第1乃至第3液圧ポンプモータ11~13の各々の吐出流量は、第1及び第3液圧ポンプモータ11~13の各々に対するアーム要求流量とバケット要求流量との合計流量である。
【0043】
制御装置27は、第1及び第3液圧ポンプモータ11~13の各々における制御流量を算出する。より詳細に説明すると、制御装置27は、要求吐出流量及び要求回生流量のうち大きい流量の方を制御流量として選択する。そして、制御装置27は、制御流量に基づいて第1及び第3液圧ポンプモータ11~13及び第1乃至第3電動機14~16の各々の動作を制御する。より詳細に説明すると、制御装置27は、制御流量に応じて第1乃至第3回転数指令及び第1乃至第3容量指令を出力する。これにより、第1乃至第3液圧ポンプモータ11~13の吐出流量又は吸入流量が制御流量に制御される。例えば、第1乃至第3液圧ポンプモータ11~13において要求吐出流量が選択されたものに関して吐出流量が要求吐出流量に制御される。他方、第1乃至第3液圧ポンプモータ11~13において要求回生流量が選択されたものに関して吸入流入が要求回生流量に制御される。吐出流量又は回生流量が制御されると、ステップS5に移行する。
【0044】
合流機構開閉工程であるステップS5は、各々の要求流量に応じて合流機構24が開閉する。より詳細に説明すると、制御装置27は、第1乃至第3液圧ポンプモータ11~13の各々に対するアーム要求流量及びバケット要求流量と各操作の操作状態とに応じて第1及び第2合流弁41,42を開閉する。例えば、第2及び第3操作の操作量が小さい場合、第2及び第3液圧ポンプモータ12,13が互いに独立して各液圧シリンダ4,5に作動液を供給する。それ故、制御装置27は、第1及び第2合流弁41,42を閉じたままの状態にする。
【0045】
他方、第2操作の操作量が大きくなった場合、アームシリンダ4に対して、第2液圧ポンプモータ12に加えて第1及び第3液圧ポンプモータ11,13からの作動液の供給が段階的に要求される。制御装置27は、まず第2合流弁42を開くことによって、第3液圧ポンプモータ13の作動液を第2液圧ポンプモータ12の作動液に合流させてアームシリンダ4に供給する。更に、作動液の流量が必要な場合において、制御装置27は、段階的に第1合流弁41を開くことによって、第1液圧ポンプモータ11の作動液を第2液圧ポンプモータ12の作動液に更に合流させてアームシリンダ4に供給する。また、第3操作の操作量が大きくなった場合、バケットシリンダ5に対して、第3液圧ポンプモータ13に加えて、第2液圧ポンプモータ12からも作動液の供給が要求される。それ故、制御装置27は、第2合流弁42を開く。これにより、第2液圧ポンプモータ12の作動液が第3液圧ポンプモータ13の作動液に合流されてバケットシリンダ5に供給される。第2及び第3操作の操作量に応じて合流機構24が開閉すると、ステップS6に移行する。
【0046】
アンロード弁開度制御工程であるステップS6では、第1乃至第3液圧ポンプモータ11~13の各々における要求吐出流量と要求回生流量との差分に応じて第1乃至第3アンロード弁21~23の開度が制御される。これにより、第1乃至第3液圧ポンプモータ11~13から各液圧シリンダ3~5に流れる流量が制御される。即ち、制御装置27は、第1乃至第3アンロード弁21~23によって余剰流量排出制御を行う。余剰流量排出制御について更に詳細に説明すると、制御装置27は、第1乃至第3液圧ポンプモータ11~13の各々に対して、要求回生流量と要求吐出流量との差分(例えば、要求回生流量から要求吐出流量を減算した値)を算出する。そして、制御装置27は、第1乃至第3液圧ポンプモータ11~13の各々における要求吐出流量と要求回生流量との差分に応じて第1乃至第3アンロード弁21~23の開度を制御する。
【0047】
具体的に説明すると、制御装置27は、第1乃至第3液圧ポンプモータ11~13の各々において要求吐出流量が要求回生流量より大きい(即ち、差分が負である)ものに関して、対応する第1乃至第3アンロード弁21~23を閉じる。これにより、要求吐出流量が要求回生流量より大きいものに関して要求吐出流量の全量を液圧シリンダ3~5の駆動に用いることができる。他方、制御装置27は、第1乃至第3液圧ポンプモータ11~13の各々において要求吐出流量が要求回生流量より小さい(即ち、差分が正である)ものに関して、対応する第1乃至第3アンロード弁21~23の開度を制御する。より詳細に説明すると、制御装置27は、第1乃至第3差分に応じて第1乃至第3アンロード弁21~23の各々の開度を制御する。これにより、制御装置27は、第1乃至第3液圧ポンプモータ11~13の各々において、要求回生流量から要求吐出流量を減算した余剰流量を対応する第1乃至第3アンロード弁21~23からタンク28に排出する。そうすることによって、制御装置27は、必要な流量の作動液を各液圧シリンダ3~5に供給する。第1乃至第3差分に応じて第1乃至第3アンロード弁21~23の開度を制御すると、フローが終了する。
【0048】
アンロード弁全閉工程であるステップS7では、制御装置27が第1乃至第3アンロード弁21~23を全閉にする。そして、制御装置27は、各操作の操作状態に応じて各液圧シリンダ3~5を作動(伸長又は収縮)させる。例えば、液圧シリンダ3~5を作動させるべく各操作が行われると、制御装置27は、各要求流量と各操作の操作状態とに基づいて、第1乃至第3液圧ポンプモータ11~13の要求吐出流量を算出する。制御装置27は、第1乃至第3液圧ポンプモータ11~13の要求吐出流量に応じた第1乃至第3回転数指令及び第1乃至第3容量指令を出力する。これにより、各操作の操作量に応じた流量の作動液が第1乃至第3液圧ポンプモータ11~13から吐出される。また、制御装置27は、各操作の操作状態に応じて第1乃至第3動作指令の各々を出力する。そうすると、対応する第1乃至第3方向制御弁17~19が作動する。本実施形態では、第1乃至第3方向制御弁17~19は、作動した状態で全開となっている。従って、各操作の操作量に応じた流量の作動液が液圧シリンダ3~5に流れる。それ故、液圧シリンダ3~5が各操作の操作量に応じた速度で作動する。
【0049】
また、制御装置27は、各操作の操作量が大きくなると、合流機構24,より詳細に説明すると第1及び第2合流弁41,42を開く。第1合流弁41を開くことによって、第1及び第3液圧ポンプモータ11,13の作動液が合流する。これにより、より多くの作動液を例えばバケットシリンダ5に供給することができる。また、第2合流弁42を開くことによって、第2及び第3液圧ポンプモータ12,13の作動液が合流する。これにより、より多くの作動液を例えばアームシリンダ4に供給することができる。更に、第1及び第2合流弁41,42を開くことによって、第1乃至第3液圧ポンプモータ11~13の作動液が合流する。これにより、更に多くの作動液を例えばアームシリンダ4に供給することができる。このように多くの作動液を供給することによって、各操作の操作量に応じ且つ更に速い速度で液圧シリンダ3~5を作動させることができる。
【0050】
以下では、ブーム下げ単独操作が行われた場合における液圧駆動装置1の動作について説明する。ブーム下げ単独操作が行われた場合、ステップS1において制御装置27がブーム下げ操作が行われたと判定する。そして、ステップS2において、制御装置27は第1乃至第3アンロード弁21~23を全開にする。更に、制御装置27は、ブーム下げ回生を行う。これにより、ブームシリンダ3のヘッド側ポート3aから排出される作動液の流体エネルギーが第1乃至第3液圧ポンプモータ11~13及び第1乃至第3電動機14~16によって電気エネルギーに回生することができる。ブーム下げ単独操作であるので、ステップS3においてブーム下げ操作と共に第2操作及び第3操作の少なくとも一方が行われていないと制御装置27が判定する。そうすると、フローが終了する。
【0051】
次に、ブーム下げ操作と共に第2操作が行われた場合における液圧駆動装置1の動作について
図4を参照しながら説明する。
図4(a)~(c)は、ブーム下げ操作と共に第2操作が行われた際の各操作の操作量に対する第1乃至第3液圧ポンプモータ11~13の各要求流量を示すグラフである。ブーム下げ操作と共に第2操作が行われた場合、ステップS1において制御装置27がブーム下げ操作が行われたと判定する。そして、ステップS2において、制御装置27は第1乃至第3アンロード弁21~23を全開にする。そして、制御装置27は、ブーム下げ回生を行う。ステップS3では、ブーム下げ操作と共に第2操作が行われていると制御装置27が判定する。ステップS4では、各要求流量並びにブーム下げ操作及び第2操作の各々の操作量に基づいて制御装置27が第1乃至第3液圧ポンプモータ11~13の各々の制御流量を算出する。本実施形態においては、第1液圧ポンプモータ11の制御流量としては要求回生流量(即ち、ブーム要求流量)が算出され、第2液圧ポンプモータ12の制御流量としては要求吐出流量(アーム要求流量)が算出される。他方、第3液圧ポンプモータ13の制御流量としては、第2操作の操作量が小さい場合、要求回生流量が算出され、第2操作の操作量が大きくなると要求吐出流量が算出される。
【0052】
ステップS5では、第2操作の操作量が小さい状態において制御装置27が第1及び第2合流弁41,42を閉じたままにする。他方、第2操作の操作量が大きくなると、制御装置27が第2合流弁42を開く。これにより、第3液圧ポンプモータ13からの作動液が第2液圧ポンプモータ12からの作動液に合流される。また、第2操作の操作量が更に大きくなると、制御装置27が第1合流弁41を開く。これにより、第3液圧ポンプモータ13からの作動液に加えて、第1液圧ポンプモータ11からの作動液も第2液圧ポンプモータ12からの作動液に合流される。このように、合流させることによってより速くアームシリンダ4を作動させることができる。
【0053】
ステップS6では、制御装置27が第1乃至第3差分に応じて第1乃至第3アンロード弁21~23の開度を制御する。例えば、第2液圧ポンプモータ12では、要求吐出流量が要求回生流量より常時大きい(即ち、第2差分が負である)ので、第2アンロード弁22が全閉となっている。他方、第1及び第3液圧ポンプモータ11,13の要求吐出流量と要求回生流量との大小関係は、第2操作の操作量に応じて変わる。第2操作の操作量が小さい場合、第1及び第3液圧ポンプモータ11,13の各々において要求吐出流量が要求回生流量より小さい(即ち、第1及び第3差分が正である)。それ故、制御装置27は、第1及び第3差分に応じて第1及び第3アンロード弁21,23の開度を制御する。
【0054】
例えば、第1及び第3液圧ポンプモータ11,13の要求吐出流量がゼロの場合、第1及び第3アンロード弁21,23が全開とされる。そして、制御装置27は、第2操作の操作量が大きくなるにつれて要求吐出流量が大きくなるので、第1及び第3差分に応じて第1及び第3アンロード弁21,23の開度を閉じていく。これにより、第1及び第3液圧ポンプモータ11,13における吸入流量を要求回生流量に維持しつつ、第2液圧ポンプモータ12からの作動液に合流させる作動液の流量を増加させることができる。その後、第2操作の操作量が更に大きくなって、第1及び第3液圧ポンプモータ11,13の各々において要求吐出流量が要求回生流量より大きくなると、対応する第1及び第3アンロード弁21,23を閉じる。また、第2操作の操作量を小さくしてくと、前述する手順とは逆に第1及び第3アンロード弁21,23の各々の開度が第1及び第3差分の各々に応じて全閉状態から全開状態へと変わっていく。その後、フローが終了する。
【0055】
更に、ブーム下げ操作と共に第3操作が行われた場合における液圧駆動装置1の動作について
図5を参照しながら説明する。なお、
図5(a)~(c)は、ブーム下げ操作と共に第3操作が行われた際の各操作の操作量に対する第1乃至第3液圧ポンプモータ11~13の各々の各要求流量を示すグラフである。ブーム下げ操作と共に第3操作が行われた場合、ステップS1において制御装置27がブーム下げ操作が行われたと判定する。そして、ステップS2において、制御装置27は第1乃至第3アンロード弁21~23を全開にする。そして、制御装置27は、ブーム下げ回生を行う。ステップS3では、ブーム下げ操作と共に第3操作が行われていると制御装置27が判定する。ステップS4では、各要求流量並びにブーム下げ操作及び第操作の各々の操作量に基づいて制御装置27が第1乃至第3液圧ポンプモータ11~13の各々の制御流量を算出する。本実施形態において、第1液圧ポンプモータ11の制御流量としては要求回生流量(即ち、ブーム要求流量)が算出され、第3液圧ポンプモータ13の制御流量としては要求吐出流量(バケット要求流量)が算出される。他方、第2液圧ポンプモータ12の制御流量としては、第3操作の操作量が小さい場合、要求回生流量が算出され、第3操作の操作量が大きくなると要求吐出流量が算出される。
【0056】
ステップS5では、第3操作の操作量が小さい状態において制御装置27が第1及び第2合流弁41,42を閉じたままにする。他方、第3操作の操作量が大きくなると、制御装置27が第2合流弁42を開く。これにより、第2液圧ポンプモータ12からの作動液が第3液圧ポンプモータ13からの作動液に合流される。そうすると、より速くバケットシリンダ5を作動させることができる。
【0057】
ステップS6では、制御装置27が第2及び第3差分に応じて第2及び第3アンロード弁22,23の開度を制御する。例えば、第3液圧ポンプモータ13では、要求吐出流量が要求回生流量より常時大きい(即ち、第3差分が負である)ので、第3アンロード弁23が全閉となっている。他方、第2液圧ポンプモータ12の要求吐出流量と要求回生流量との大小関係は、第3操作の操作量に応じて変わる。第3操作の操作量が小さい場合、第2液圧ポンプモータ12の要求吐出流量が要求回生流量より小さい(即ち、第2差分が正である)。それ故、制御装置27は、第2差分に応じた開度に第2アンロード弁22の開度を制御する。
【0058】
例えば、要求吐出流量がゼロの場合、第2アンロード弁22が全開とされる。そして、制御装置27は、第3操作の操作量が大きくなるにつれて要求吐出流量が大きくなるので、第2差分に応じて第2アンロード弁22の開度を閉じていく。これにより、第2液圧ポンプモータ12における吸入流量を要求回生流量に維持しつつ、第3液圧ポンプモータ13からの作動液に合流させる作動液の流量を増加させることができる。その後、第3操作の操作量が更に大きくなって要求吐出流量が要求回生流量より大きくなると、第2アンロード弁22を閉じる。また、第3操作の操作量を小さくしてくと、前述する手順とは逆に第2アンロード弁22の開度が第2差分に応じて全閉状態から全開状態へと変わっていく。その後、フローが終了する。
【0059】
本実施形態の液圧駆動装置1では、第1乃至第3液圧ポンプモータ11~13の各々の吸入ポート11a~13aがメータアウト通路31に並列して接続されている。それ故、第1乃至第3液圧ポンプモータ11~13によって、ブームシリンダ3から排出される作動液の流体エネルギーを電気エネルギーに回生することができる。従って、回生時において、第1乃至第3液圧ポンプモータ11~13の各々における吸入流量を抑えることができる。これにより、第1乃至第3液圧ポンプモータ11~13の各々を小型化することができる。
【0060】
また、本実施形態の液圧駆動装置1では、合流機構24が第1乃至第3液圧ポンプモータ11~13の各々の吐出ポート11b~13bから吐出される作動液を合流させて各液圧シリンダ3~5に供給する。それ故、第1乃至第3液圧ポンプモータ11~13の各々からの吐出流量を抑えることができる。これにより、第1乃至第3液圧ポンプモータ11~13を小型化することができる。
【0061】
更に、本実施形態の液圧駆動装置1では、第1乃至第3アンロード弁21~23の各々の開度を調整することができる。それ故、第1乃至第3アンロード弁21~23の開度によって第1乃至第3液圧ポンプモータ11~13の各々の吐出ポート11b~13bから吐出された作動液のうちタンク28に排出されない残余部分の流量、即ち各液圧シリンダ4,5に供給される作動液の流量を制御することができる。これにより、回生時において第1乃至第3液圧ポンプモータ11~13で回生を行いつつ、タンク28に排出されない残余部分の作動液に関して流量を精度よく制御して利用することができる。即ち、流量を精度よく制御された作動液を第2及び第3液圧ポンプモータ12,13の各々からアームシリンダ4及びバケットシリンダ5の各々に供給することができる。
【0062】
更に、本実施形態の液圧駆動装置1では、第1及び第2液圧ポンプモータ11,12の各々の吐出ポート11b,12bがブームシリンダ3及びアームシリンダ4に夫々接続されているので、ブームシリンダ3及びアームシリンダ4を同時に作動させることができる。他方、第1及び第2液圧ポンプモータ11,12の各々の吸入ポート11a,12aがメータアウト通路31に並列して接続されている。それ故、第1及び第2液圧ポンプモータ11,12によって、ブームシリンダ3から排出される作動液の流体エネルギーを電気エネルギーに回生することができる。それ故、回生動作時において、第1及び第2液圧ポンプモータ11,12の各々の吸入流量を抑えることができる。従って、第1及び第2液圧ポンプモータ11,12の各々を小型化することができる。
【0063】
更に、本実施形態の液圧駆動装置1では、第1アンロード弁21が開度を調整することができる。それ故、第1アンロード弁21の開度によって第1液圧ポンプモータ11の吐出ポート11bから吐出された作動液の流量(即ち、タンク28に排出されない残余部分の流量)を制御することができる。これにより、回生時において第1及び第2液圧ポンプモータ11,12で回生を行いつつ、タンク28に排出されない残余部分の作動液に関して流量を精度よく制御して利用することができる。例えば、残余部分の作動液を合流機構24によって第1液圧ポンプモータ11からの作動液を合流させてアームシリンダ4に供給すべく利用することができ、合流させる作動液の流量を精度よく制御できる。
【0064】
更に、本実施形態の液圧駆動装置1では、第2アンロード弁22が開度を調整できる。これにより、ブームシリンダ3から第2液圧ポンプモータ12に導かれる作動液に関して、一部分をアームシリンダ4に供給し、且つ残余部分の作動液の流体エネルギーを電気エネルギーとして回生することができる。それ故、ブームシリンダ3から排出される作動液を有効に利用することができる。
【0065】
更に、本実施形態の液圧駆動装置1では、合流機構24が第1及び第2液圧ポンプモータ11,12の各々の吐出ポート11b,12bから吐出される作動液を合流させることができる。それ故、第1及び第2液圧ポンプモータ11,12の各々からの吐出流量を抑えることができる。これにより、第1及び第2液圧ポンプモータ11,12の各々を小型化することができる。また、第1液圧ポンプモータ11から合流させる作動液の流量を第1アンロード弁21によって制御することができるので、合流時においてもアームシリンダ4の制御性を確保することができる。
【0066】
更に、本実施形態の液圧駆動装置1では、制御装置27が要求回生流量及び要求吐出流量の差分に応じて第2アンロード弁22の開度を制御する。これにより、アームシリンダ4に供給されない余剰流量を電気エネルギーとして回生することができる。これにより、液圧駆動装置1におけるエネルギー消費を抑えることができる。
【0067】
更に、本実施形態の液圧駆動装置1では、制御装置27が第1差分に応じて第1アンロード弁21の開度を制御し、第2差分に応じて第2アンロード弁22の開度を制御する。これにより、第1乃至第2液圧ポンプモータ11,12の各々からアームシリンダ4に供給されない余剰流量を電気エネルギーとして回生することができる。これにより、液圧駆動装置1におけるエネルギー消費を抑えることができる。
【0068】
更に、本実施形態の液圧駆動装置1では、制御装置27が第2差分に応じて第2アンロード弁22の開度を制御し、第3差分に応じて第3アンロード弁23の開度を制御する。これにより、第2及び第3液圧ポンプモータ12,13の各々からアームシリンダ4及びバケットシリンダ5に供給されない余剰流量を電気エネルギーとして回生することができる。これにより、液圧駆動装置1におけるエネルギー消費を抑えることができる。
【0069】
更に、本実施形態の液圧駆動装置1では、制御装置27が第2差分に応じて第2アンロード弁22の開度を制御し、第3差分に応じて第3アンロード弁23の開度を制御する。これにより、第2及び第3液圧ポンプモータ12,13の各々からアームシリンダ4及びバケットシリンダ5に供給されない余剰流量を電気エネルギーとして回生することができる。これにより、液圧駆動装置1におけるエネルギー消費を抑えることができる。また、第2及び第3液圧ポンプモータ12,13の各々から合流させる作動液の流量を第2及び第3アンロード弁22,23の各々によって制御することができるので、合流後の作動液の流量の制御性を確保することができる。
【0070】
<その他の実施形態>
本実施形態の液圧駆動装置1は、油圧ショベル以外の建設車両及び産業車両等に適用されてもよく、他の作業機械に適用されてもよい。その他、液圧駆動装置1は、作動液を供給して複数の液圧シリンダを駆動する車両及び機械であれば、どのようなものに適用されてもよい。また、液圧駆動装置1が供給する液圧シリンダの数は2つ又は4つ以上であってもよい。なお、液圧シリンダの数が2つの場合、合流弁の数は1つとなる。また、液圧駆動装置1が備える液圧ポンプモータは、必ずしも液圧アクチュエータと同数である必要はない。更に、液圧シリンダ3~5は、ブームシリンダ3,アームシリンダ4、及びバケットシリンダ5に限定されず、他の液圧シリンダであってもよい。
【0071】
本実施形態の液圧駆動装置1では、第1乃至第3液圧ポンプモータ11~13がメータアウト通路31に並列して接続されているが、メータアウト通路31に並列して接続される液圧ポンプモータの数は2つ、又は4つ以上であってもよい。また、第2液圧ポンプモータ12が作動液を供給する第2液圧アクチュエータは、バケットシリンダ5であってもよい。同様に、第3液圧ポンプモータ13が作動液を供給する第3液圧アクチュエータは、アームシリンダ4であってもよい。各シリンダを伸縮動作について、前述するフローは一例に過ぎず、他のフローであってもよい。また、液圧駆動装置1は、必ずしも再生弁20を備えている必要はなく、また再生弁20とは別にアームシリンダ4の2つのポート4a,4bを連通する再生弁を備えてもよい。更に、第1乃至第3液圧ポンプモータ11~13は、固定容量形のポンプであってもよく、斜軸ポンプ及びギヤポンプ等であってもよい。第1乃至第3液圧ポンプモータ11~13が固定容量形のポンプの場合、制御装置27は、電動機14~16の回転数によって吐出流量及び吸入流量を制御する。
【0072】
<例示的な実施形態>
第1の局面における液圧駆動装置は、液圧シリンダに対して作動液を給排する液圧駆動装置であって、吸入ポート及び吐出ポートを有する複数の液圧ポンプモータと、前記複数の液圧ポンプモータの各々に接続される複数の電動機と、メータアウト通路に接続され、前記液圧シリンダを前記メータアウト通路に接続することによって前記液圧シリンダから前記メータアウト通路に作動液を排出させる方向制御弁と、を備え、前記複数の液圧ポンプモータの各々の前記吸入ポートは、前記メータアウト通路に並列して接続されているものである。
【0073】
上記局面に従えば、複数の液圧ポンプモータの各々の吸入ポートがメータアウト通路に並列して接続されている。それ故、複数の液圧ポンプモータによって液圧シリンダから排出される作動液の流体エネルギーを電気エネルギーに回生することができる。従って、回生時において、液圧ポンプモータの各々において吸入される作動液の流量、即ち吸入流量を抑えることができる。これにより、液圧ポンプモータの各々を小型化することができる。
【0074】
第2の局面における液圧駆動装置は、第1の局面における液圧駆動装置において、前記複数の液圧ポンプモータの各々の吐出ポートから吐出される作動液を合流させて前記液圧シリンダに供給する合流機構を備えてもよい。
【0075】
上記局面に従えば、合流機構が液圧ポンプモータの各々の吐出ポートから吐出される作動液を合流させて液圧シリンダに供給する。それ故、液圧ポンプモータの各々からの吐出流量を抑えることができる。これにより、複数の液圧ポンプモータを小型化することができる。
【0076】
第3の局面における液圧駆動装置は、第1又は第2の局面における液圧駆動装置において、前記複数の液圧ポンプモータの吐出ポートの各々から吐出される作動液の少なくとも一部分をタンクに排出する複数のアンロード弁を更に備え、
前記複数のアンロード弁は、開度を調整してもよい。
【0077】
上記局面に従えば、アンロード弁の各々の開度を調整することができる。それ故、アンロード弁の開度によって液圧ポンプモータの各々の吐出ポートから吐出された作動液の流量(即ち、タンクに排出されない残余部分の流量)を制御することができる。これにより、回生時において複数の液圧ポンプモータで回生を行いつつ、タンクに排出されない残余部分の作動液に関して流量を精度よく制御して利用することができる。
【0078】
第4の局面における液圧駆動装置は、液圧シリンダである第1液圧アクチュエータを含む複数の液圧アクチュエータに対して作動液を給排する液圧駆動装置であって、吸入ポート及び吐出ポートを有し、前記吐出ポートが前記複数の液圧アクチュエータの各々に接続される複数の液圧ポンプモータと、前記複数の液圧ポンプモータの各々に接続されている複数の電動機と、メータアウト通路に接続され、前記第1液圧アクチュエータを前記メータアウト通路に接続することによって前記第1液圧アクチュエータから前記メータアウト通路に作動液を排出させる方向制御弁と、を備え、前記複数の液圧ポンプモータの各々の前記吸入ポートは、前記メータアウト通路に並列して接続されているものである。
【0079】
上記局面に従えば、液圧ポンプモータの各々の吐出ポートが異なる液圧アクチュエータに接続されているので、複数の液圧アクチュエータを同時に作動させることができる。他方、液圧ポンプモータの各々の吸入ポートがメータアウト通路に並列して接続されている。それ故、複数の液圧ポンプモータによって、第1液圧アクチュエータから排出される作動液の流体エネルギーを電気エネルギーに回生することができる。従って、回生時において、液圧ポンプモータの各々において吸入される作動液の流量、即ち吸入流量を抑えることができる。これにより、液圧ポンプモータの各々を小型化することができる。
【0080】
第5の局面における液圧駆動装置は、第4の局面における液圧駆動装置において、第1アンロード弁を備え、前記複数の液圧ポンプモータは、前記第1液圧アクチュエータに接続される第1液圧ポンプモータを含み、前記第1アンロード弁は、前記第1液圧ポンプモータの吐出ポートから吐出される作動液の少なくとも一部分をタンクに排出し、且つ開度を調整する、を備えていてもよい。
【0081】
上記局面に従えば、第1アンロード弁が開度を調整することができる。それ故、第1アンロード弁の開度によって第1液圧ポンプモータの吐出ポートから吐出された作動液の流量(即ち、タンクに排出されない残余部分の流量)を制御することができる。これにより、回生時において複数の液圧ポンプモータで回生を行いつつ、タンクに排出されない残余部分の作動液に関して流量を精度よく制御して利用することができる。
【0082】
第6の局面における液圧駆動装置は、第5の局面における液圧駆動装置において、第2アンロード弁を備え、前記複数の液圧ポンプモータは、前記複数の液圧アクチュエータのうちの1つである第2液圧アクチュエータに接続される第2液圧ポンプモータを含み、前記第2アンロード弁は、前記第2液圧ポンプモータの吐出ポートから吐出される作動液の少なくとも一部分をタンクに排出し、且つ開度を調整してもよい。
【0083】
上記局面に従えば、第2アンロード弁が開度を調整できる。これにより、第1液圧アクチュエータから第2液圧ポンプモータに導かれる作動液に関して、一部分を第2液圧アクチュエータに供給し、且つ残余部分の作動液の流体エネルギーを電気エネルギーとして回生することができる。それ故、第1液圧アクチュエータから排出される作動液を有効に利用することができる。
【0084】
第7の局面における液圧駆動装置は、第6の局面における液圧駆動装置において、合流機構を備え、前記第1液圧ポンプモータの前記吐出ポートは、前記第1液圧アクチュエータに接続され、前記第2液圧ポンプモータの前記吐出ポートは、前記第2液圧アクチュエータに接続され、前記合流機構は、前記第1液圧ポンプモータ及び前記第2液圧ポンプモータの各々の前記吐出ポートから吐出される作動液を合流させてもよい。
【0085】
上記局面に従えば、合流機構が第1及び第2液圧ポンプモータの各々の吐出ポートから吐出される作動液を合流させることができる。それ故、第1及び第2液圧ポンプモータの各々からの吐出流量を抑えることができる。これにより、第1及び第2液圧ポンプモータの各々を小型化することができる。また、第1液圧ポンプモータから合流させる作動液の流量を第1アンロード弁によって制御することができるので、合流時においても第2液圧アクチュエータの制御性を確保することができる。
【0086】
第8の局面における液圧駆動装置は、第6又は第7の局面における液圧駆動装置において、入力される信号に応じて前記方向制御弁、及び前記第2アンロード弁の動作を制御する制御装置を備え、前記制御装置は、入力される信号に応じて前記方向制御弁を作動させて前記第1液圧アクチュエータを前記メータアウト通路に接続し、且つ入力される信号に基づいて前記第1液圧アクチュエータから前記第2液圧ポンプモータに回生させる流量である要求回生流量と前記第2液圧ポンプモータから吐出させる流量である要求吐出流量とを夫々算出し、要求回生流量と要求吐出流量との差分に応じて前記第2アンロード弁の開度を制御してもよい。
【0087】
上記局面に従えば、制御装置が要求回生流量及び要求吐出流量の差分に応じて第2アンロード弁の開度を制御する。これにより、第2液圧アクチュエータに供給されない余剰流量を電気エネルギーとして回生することができる。これにより、液圧駆動装置におけるエネルギー消費を抑えることができる。
【0088】
第9の局面における液圧駆動装置は、第7の局面における液圧駆動装置において、入力される信号に応じて前記方向制御弁、前記合流機構、前記第1アンロード弁、及び前記第2アンロード弁の動作を制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、入力される信号に応じて前記方向制御弁を作動させて前記第1液圧アクチュエータを前記メータアウト通路に接続し且つ前記合流機構によって前記第1液圧ポンプモータ及び前記第2液圧ポンプモータの各々の吐出ポートから吐出される作動液を合流させて前記第2液圧アクチュエータに供給する際、入力される信号に基づいて前記第1液圧アクチュエータから前記第1液圧ポンプモータ及び前記第2液圧ポンプモータの各々に回生させる流量である要求回生流量と前記第1液圧ポンプモータ及び前記第2液圧ポンプモータの各々からの吐出させる流量である要求吐出流量を夫々算出し、前記第1液圧ポンプモータに関する要求回生流量と要求吐出流量との差分である第1差分に応じて前記第1アンロード弁の開度を制御し、前記第2液圧ポンプモータに関する要求回生流量と要求吐出流量との差分である第2差分に応じて前記第2アンロード弁の開度を制御してもよい。
【0089】
上記局面に従えば、制御装置が第1差分に応じて第1アンロード弁の開度を制御し、第2差分に応じて第2アンロード弁の開度を制御する。これにより、2つの液圧ポンプモータの各々から液圧アクチュエータに供給されない余剰流量を電気エネルギーとして回生することができる。これにより、液圧駆動装置におけるエネルギー消費を抑えることができる。
【0090】
第10の局面における液圧駆動装置は、第6乃至第9の何れか1つの局面における液圧駆動装置において、第3アンロード弁と、入力される信号に応じて前記方向制御弁、前記第2アンロード弁、及び前記第3アンロード弁の動作を制御する制御装置と、を更に備え、前記複数の液圧ポンプモータは、前記複数の液圧アクチュエータのうちの1つである第3液圧アクチュエータに接続される第3液圧ポンプモータを更に含み、前記第3アンロード弁は、前記第3液圧ポンプモータの吐出ポートから吐出される作動液の少なくとも一部分をタンクに排出し、且つ開度を調整し、前記制御装置は、入力される信号に応じて前記方向制御弁を作動させて前記第1液圧アクチュエータを前記メータアウト通路に接続する際、入力される信号に基づいて前記第1液圧アクチュエータから前記第2及び第3液圧ポンプモータの各々に回生させる流量である要求回生流量と前記第2及び第3液圧ポンプモータの各々からの吐出させる流量である要求吐出流量を夫々算出し、前記第2液圧ポンプモータに関する要求回生流量と要求吐出流量との差分である第2差分に応じて前記第2アンロード弁の開度を制御し、前記第3液圧ポンプモータに関する要求回生流量と要求吐出流量との差分である第3差分に応じて前記第3アンロード弁の開度を制御してもよい。
【0091】
上記局面に従えば、制御装置が第2差分に応じて第2アンロード弁の開度を制御し、第3差分に応じて第3アンロード弁の開度を制御する。これにより、2つの液圧ポンプモータの各々から第2及び第3液圧アクチュエータに供給されない余剰流量を電気エネルギーとして回生することができる。これにより、液圧駆動装置におけるエネルギー消費を抑えることができる。
【0092】
第11の局面における液圧駆動装置は、第10の局面における液圧駆動装置において、合流機構を更に備え、前記合流機構は、前記第2液圧ポンプモータ及び前記第3液圧ポンプモータの各々の吐出ポートから吐出される作動液を合流させて前記第2液圧アクチュエータ又は前記第3液圧アクチュエータに供給させ、前記制御装置は、入力される信号に応じて前記方向制御弁を作動させて前記第1液圧アクチュエータを前記メータアウト通路に接続し且つ前記合流機構によって前記第2液圧ポンプモータ及び前記第3液圧ポンプモータの各々の吐出ポートから吐出される作動液を合流させる際、第2差分に応じて前記第2アンロード弁の開度を制御し、第3差分に応じて前記第3アンロード弁の開度を制御してもよい。
【0093】
上記局面に従えば、制御装置が第2差分に応じて第2アンロード弁の開度を制御し、第3差分に応じて第3アンロード弁の開度を制御する。これにより、2つの液圧ポンプモータの各々から液圧アクチュエータに供給されない余剰流量を電気エネルギーとして回生することができる。これにより、液圧駆動装置におけるエネルギー消費を抑えることができる。また、第2及び第3液圧ポンプモータの各々から合流させる作動液の流量を第2及び第3アンロード弁の各々によって制御することができるので、合流後の作動液の流量の制御性を確保することができる。
【符号の説明】
【0094】
1 液圧駆動装置
3 ブームシリンダ(第1液圧アクチュエータ)
4 アームシリンダ(第2液圧アクチュエータ)
5 バケットシリンダ(第3液圧アクチュエータ)
11 第1液圧ポンプモータ
11a 吸入ポート
11b 吐出ポート
12 第2液圧ポンプモータ
12a 吸入ポート
12b 吐出ポート
13 第3液圧ポンプモータ
13a 吸入ポート
13b 吐出ポート
14 電動機
15 電動機
16 電動機
17 第1方向制御弁
21 第1アンロード弁
22 第2アンロード弁
23 第3アンロード弁
24 合流機構
27 制御装置
28 タンク
31 メータアウト通路