(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024023334
(43)【公開日】2024-02-21
(54)【発明の名称】不斉補助基
(51)【国際特許分類】
C07F 7/10 20060101AFI20240214BHJP
C07D 207/08 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
C07F7/10 S
C07D207/08 CSP
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023196280
(22)【出願日】2023-11-17
(62)【分割の表示】P 2022026049の分割
【原出願日】2013-07-12
(31)【優先権主張番号】61/671,652
(32)【優先日】2012-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】516212924
【氏名又は名称】ウェイブ ライフ サイエンシズ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】WAVE LIFE SCIENCES LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100116850
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 隆行
(74)【代理人】
【識別番号】100165847
【弁理士】
【氏名又は名称】関 大祐
(72)【発明者】
【氏名】清水 護
(72)【発明者】
【氏名】和田 猛
(57)【要約】 (修正有)
【課題】立体制御されたリン原子修飾オリゴヌクレオチド誘導体を合成するために使用されるキラル試薬またはその塩を提供する。
【解決手段】キラル試薬は、下式(I)を有する。式(I)中、G
1及びG
2は、H、ニトロ基(-NO
2)、ハロゲン原子、シアノ基(-CN)、特定のフェニル基もしくは(III)の基であるか、又は、G
1及びG
2は、一緒になって環を形成する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キラル試薬またはその塩であって、
前記キラル試薬が、以下の化学式(I’)、
【化1】
{式中、G
1は、水素原子、ニトロ基、ハロゲン原子、シアノ基、式(III)もしくは(V)の基であり、G
2は、ニトロ基、シアノ基、式(III)もしくは(V)の基であるか、またはG
1およびG
2の両方は、一緒になって式(IV)の基を形成し、
【化2】
〔式中、G
31~G
33は、独立に、C
1-4アルキル基、C
1-4アルコキシ基、C
6-14アリール基、C
7-14アラルキル基、C
1-4アルキルC
6-14アリール基、C
1-4アルコキシC
6-14アリール基、またはC
6-14アリールC
1-4アルキル基である〕、
【化3】
〔式中、G
41~G
46は、独立に、水素原子、ニトロ基、ハロゲン原子、シアノ基またはC
1-3アルキル基である〕、
【化4】
〔式中、G
51~G
53は、独立に、水素原子、ニトロ基、ハロゲン原子、シアノ基、C
1-3アルキル基またはC
1-3アルキルオキシ基である〕}
を有する、
キラル試薬またはその塩。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体制御されたリン原子修飾オリゴヌクレオチド誘導体を合成するために使用されるキラル試薬に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2005-89441号は、オキサザホスホリジン法と呼ばれるヌクレオチドの誘導体を生成するための方法を開示する。しかし、モノマーの単離収率は低く、この方法は市販されていない特殊なキャッピング剤を必要とする。さらに、得られるモノマーは化学的に不安定である。さらに、オリゴヌクレオチド誘導体の単離収率は高くない。オリゴヌクレオチド誘導体の低い収率は脱保護工程下の分解反応に起因すると考えられる。
【0003】
国際公開第2010/064146号パンフレットは、ヌクレオチドの誘導体を生成するための方法を開示する。その中に開示される方法は、市販されていない特殊なキャッピング剤を必要とする。さらに、オリゴヌクレオチド誘導体の単離収率は高くない。低い収率は、脱保護工程下の分解反応に起因すると考えられる。オリゴヌクレオチド誘導体の長さが長くなると、この傾向は強く表れる。
【0004】
国際公開第2012/039448号パンフレットは、立体制御されたリン原子修飾オリゴヌクレオチド誘導体を生成するために使用される不斉補助基を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005-89441号公報
【特許文献2】国際公開第2010/064146号パンフレット
【特許文献3】国際公開第2012/039448号パンフレット
【発明の概要】
【0006】
本発明の第1の態様は、キラル試薬またはその塩に関する。キラル試薬は、以下の化学式(I)を有する。
【0007】
【0008】
式(I)において、G1およびG2は、独立に、水素原子、ニトロ基(-NO2)、ハロゲン原子、シアノ基(-CN)、式(II)、(III)もしくは(V)の基であるか、またはG1およびG2の両方は、一緒になって式(IV)の基を形成する。
【0009】
【0010】
式(II)において、G21~G23は、独立に、水素原子、ニトロ基、ハロゲン原子、シアノ基またはC1-3アルキル基である。
【0011】
【0012】
式(III)において、G31~G33は、独立に、C1-4アルキル基、C6-14アリール基C1-4アルコキシ基、C7-14アラルキル基、C1-4アルキルC6-14アリール基、C1-4アルコキシC6-14アリール基、またはC6-14アリールC1-4アルキル基である。
【0013】
【0014】
式(IV)において、G41~G46は、独立に、水素原子、ニトロ基、ハロゲン原子、シアノ基またはC1-3アルキル基である。
【0015】
【0016】
式(V)において、G51~G53は、独立に、水素原子、ニトロ基、ハロゲン原子、シアノ基、C1-3アルキル基またはC1-3アルキルオキシ基である。
【0017】
G3およびG4は、独立に、水素原子、C1-3アルキル基、C6-14アリール基であるか、または、G3およびG4の両方は、一緒になって、式(I)中のNH部分とともに3~16個の炭素原子を有するヘテロ原子含有環を形成する。
【0018】
好ましい実施形態は、キラル試薬が以下の化学式(I’)を有するものである。
【0019】
【0020】
式(I’)において、G1およびG2は、上と同じである。すなわち、G1およびG2は、独立に、水素原子、ニトロ基、ハロゲン原子、シアノ基、式(II)もしくは(III)の基であるか、または、G1およびG2の両方は、一緒になって、式(IV)の基を形成する。
【0021】
好ましい実施形態は、キラル試薬が化学式(I’)を有し、G1およびG2の各々が式(II)の基であるものであり、この際、G21~G23は、独立に、水素原子、ニトロ基、ハロゲン原子、シアノ基またはC1-3アルキル基である。
【0022】
好ましい実施形態は、キラル試薬が化学式(I’)を有し、G1およびG2の各々が式(II)の基であり、G21~G23の各々が水素原子であるものである。
【0023】
好ましい実施形態は、キラル試薬が化学式(I’)を有し、G1が水素原子であり、G2が式(II)の基であり、G21~G23が、独立に、水素原子、ニトロ基、ハロゲン原子、シアノ基またはC1-3アルキル基であるものである。
【0024】
好ましい実施形態は、キラル試薬が化学式(I’)を有し、G1が水素原子であり、G2が式(II)の基であり、G21およびG22の各々が水素原子であり、G23がニトロ基であるものである。
【0025】
好ましい実施形態は、キラル試薬が化学式(I’)を有し、G1が水素原子であり、G2が式(III)の基であり、G31~G33が、独立に、C1-4アルキル基、C6-14アリール基、C7-14アラルキル基、C1-4アルキルC6-14アリール基、C1-4アルコキシC6-14アリール基、またはC6-14アリールC1-4アルキル基であるものである。
【0026】
好ましい実施形態は、キラル試薬が化学式(I’)を有し、G1が水素原子であり、G2が式(III)の基であり、G31~G33が、独立に、C1-4アルキル基、C6アリール基、C7-10アラルキル基、C1-4アルキルC6アリール基、C1-4アルコキシC6アリール基、またはC6アリールC1-4アルキル基であるものである。
【0027】
好ましい実施形態は、キラル試薬が化学式(I’)を有し、G1が水素原子であり、G2が式(III)の基であり、G31~G33が、独立に、C1-4アルキル基またはC6アリール基であるものである。C1-4アルキル基の例は、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基およびtert-ブチル基(三級ブチル基)である。
【0028】
好ましい実施形態は、キラル試薬が化学式(I’)を有し、G1が水素原子であり、G2が式(III)の基であり、G31~G33は、独立に、C1-4アルキル基であるものである。
【0029】
好ましい実施形態は、キラル試薬が化学式(I’)を有し、G1が水素原子であり、G2が式(III)の基であり、G31およびG33がC6アリール基であり、G32がC1-4アルキル基であるものである。
【0030】
好ましい実施形態は、キラル試薬が化学式(I’)を有し、G1およびG2は、一緒になって式(IV)の基を形成し、G41~G46が、独立に、水素原子、ニトロ基、ハロゲン原子、シアノ基またはC1-4アルキル基であるものである。
【0031】
好ましい実施形態は、キラル試薬が化学式(I’)を有し、G1およびG2は、一緒になって式(IV)の基を形成するものであり、この際、G41~G46の各々は水素原子である。
【0032】
好ましい実施形態は、キラル試薬が化学式(I’)を有し、G1が水素原子であり、G2が式(V)の基であるものである。さらに、G51~G53の各々は、独立に水素原子、ニトロ基、メチル基、またはメトキシ基である。より好ましい実施形態は、G1が水素原子であり、G2が式(V)の基であるものであり、この際、G51およびG53の各々は水素原子であり、G53は4-メチル基である。
【0033】
好ましい実施形態は、キラル試薬がIII-a、III-b、V-a、VII-a、VII-b、IX-a、IX-b、XI-a、XIII-aおよびXIII-b:
(S)-2-(メチルジフェニルシリル)-1-((S)-ピロリジン-2-イル)エタノール(III-a)
(R)-2-(メチルジフェニルシリル)-1-((R)-1-ピロリジン-2-イル)エタノール(III-b)
(S)-2-(トリメチルシリル)-1-((S)-1-ピロリジン-2-イル)エタノール(V-a)
(R)-2,2-ジフェニル-1-((S)-ピロリジン-2-イル)エタノール(VII-a)
(S)-2,2-ジフェニル-1-((R)-ピロリジン-2-イル)エタノール(VII-b)
(R)-2-(4-ニトロフェニル)-1-((S)-ピロリジン-2-イル)エタノール(IX-a)
(S)-2-(4-ニトロフェニル)-1-((R)-ピロリジン-2-イル)エタノール(IX-b)
(R)-(9H-フルオロレン-9-イル)((S)-ピロリジン-2-イル)メタノール(XI-a)
(S)-2-トシル-1-((S)-1-トリチルピロリジン-2-イル)エタノール(XIII-a)
(R)-2-トシル-1-((R)-1-トリチルピロリジン-2-イル)エタノール(XIII-b)
の1つから選択されるものである。
【0034】
本発明の第2の態様は、式(Va)または(Vb)によって表されるヌクレオシド3’-ホスホルアミダイト誘導体に関する。
【0035】
【0036】
式(Va)および(Vb)において、G1~G4は上と同じであり、G5はヒドロキシル基の保護基であり、Bsは、以下の式(VI)~(XI)またはそれらの誘導体によって表される群から選択される基である。
【0037】
【0038】
Bsの例は、アデニン、チミン、シトシン、グアニン、ウラシル、5-メチルシトシンまたはそれらの誘導体である。
【0039】
R2は、水素、-OH、-SH、-NRdRd、-N3、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキル-Y1-、アルケニル-Y1-、アルキニル-Y1-、アリール-Y1-、ヘテロアリール-Y1-、-ORb、または-SRbであり、この際、Rbはブロッキング部分である。
Y1は、O、NRd、S、またはSeである。
Rdは、独立に、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アシル、置換シリル、カルバメート、-P(O)(Re)2、または-HP(O)(Re)である。
Reは、独立に、水素、アルキル、アリール、アルケニル、アルキニル、アルキル-Y2-、アルケニル-Y2-、アルキニル-Y2-、アリール-Y2-、またはヘテロアリール-Y2-、あるいは、Na+、Li+、またはK+である陽イオンである。
Y2は、O、NRd、またはSである。
【0040】
R3は、-CH2-、-(CH2)2-、-CH2NH-、または-CH2N(CH3)-によって表される基である。
【0041】
G5の例は、トリチル、4-モノメトキシトリチル、4,4’-ジメトキシトリチル、4,4’,4”-トリメトキシトリチル、9-フェニルキサンチン(phenylxanthin)-9-イル(Pixyl)および9-(p-メトキシフェニル)キサンチン(xanthin)-9-イル(MOX)である。
【0042】
第2の態様の好ましい実施形態は、ヌクレオシド3’-ホスホルアミダイト誘導体が式(Va’)または(Vb’)によって表されるものである。
【0043】
【0044】
式(Va’)および(Vb’)において、G1、G2、G5、Bs、R2、およびR3は、上と同じである。
【0045】
本発明の第3の態様は、立体制御されたリン原子修飾オリゴヌクレオチド誘導体の合成のための方法に関する。
【0046】
第1の工程は、アキラルH-ホスホネート部分を含む分子、第1の活性化試薬およびキラル試薬またはその塩を反応させてモノマーを形成する工程である。キラル試薬は、化学式(I)または(I’)を有し、そのモノマーは式(fomura)(Va)、(Vb)、(Va’)、または(Vb’)によって表すことができる。モノマーは第2の活性化試薬およびヌクレオシドと反応して濃縮中間体を形成する。次の工程は、濃縮中間体をキラルX-ホスホネート部分を含む核酸に変換する工程である。
【0047】
本方法に基づいて、安定な市販材料を出発物質として使用することが可能である。アキラル出発物質を用いて、立体制御されたリン原子修飾オリゴヌクレオチド誘導体を生成することが可能である。
【0048】
実施例に示されるように、本発明の方法は脱保護工程下で分解を引き起こさない。さらに、本方法は、リン原子修飾オリゴヌクレオチド誘導体を生成するために特殊なキャッピング剤を必要としない。
【0049】
本発明の第4の態様は、キラルモノマーを用いる立体制御されたリン原子修飾オリゴヌクレオチド誘導体の合成のための方法に関する。
【0050】
最初の工程は、(Va)、(Vb)、(Va’)、または(Vb’)によって表されるヌクレオシド3’-ホスホルアミダイト誘導体と、第2の活性化試薬およびヌクレオシドを反応させて濃縮中間体を形成する工程である。第2の工程は、濃縮中間体をキラルX-ホスホネート部分を含む核酸に変換する工程である。
【0051】
参照による援用
本明細書において開示されるすべての刊行物および特許出願は、各々の個々の刊行物または特許出願が具体的かつ個別に参照により援用されると示されているのと同じ程度に参照によりその全文が本明細書に援用される。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【
図1】4bのモノマーを用いてオリゴヌクレオチド誘導体を生成する際のUPLCプロフィールを示す図である。
【
図2】25のモノマーを用いてオリゴヌクレオチド誘導体を生成する際のUPLCプロフィールを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
用語「核酸」は、ポリ-もしくはオリゴ-リボヌクレオチド(RNA)およびポリ-もしくはオリゴ-デオキシリボヌクレオチド(DNA);核酸塩基および/または修飾核酸塩基のN-グリコシドまたはC-グリコシドに由来するRNAまたはDNA;糖および/または修飾糖に由来する核酸;ならびにリン酸架橋および/または修飾リン原子架橋に由来する核酸を包含する。この用語は、核酸塩基、修飾核酸塩基、糖、修飾糖、リン酸架橋または修飾リン原子架橋の任意の組合せを含有する核酸を包含する。例としては、限定されないが、リボース部分を含有する核酸、デオキシリボース部分を含有する核酸、リボース部分とデオキシリボース部分の両方を含有する核酸、リボースおよび修飾リボース部分を含有する核酸が挙げられる。接頭辞のポリ-とは、約1~約10,000ヌクレオチドモノマー単位を含有する核酸をさし、この中で接頭辞のオリゴ-とは、約1~約200ヌクレオチドモノマー単位を含有する核酸をさす。
【0054】
用語「核酸塩基」とは、核酸鎖ともう1つの相補鎖を配列特異的な方法で結合させる水素結合に関係する核酸の部分をさす。最も一般的な天然起源の核酸塩基は、アデニン(A)、グアニン(G)、ウラシル(U)、シトシン(C)、5-メチルシトシン、およびチミン(T)である。
【0055】
用語「修飾核酸塩基」とは、核酸塩基に置き換えることのできる部分をさす。修飾核酸塩基は、核酸塩基の空間的配置、電気的性質、または何らかのその他の物理化学的性質を模倣し、1つの核酸鎖をもう1つに配列特異的な方法で結合させる水素結合の特性を保持する。修飾核酸塩基は、溶融挙動、細胞内酵素による認識またはオリゴヌクレオチド二重鎖の活性に実質的に影響を及ぼすことなく、5つの天然起源の塩基(ウラシル、チミン、アデニン、シトシン、またはグアニン)のすべてと対形成することができる。
【0056】
用語「ヌクレオシド」とは、核酸塩基または修飾核酸塩基が糖または修飾糖と共有結合している部分をさす。
【0057】
用語「糖」とは、閉環型および/または開環型の単糖をさす。糖には、限定されるものではないが、リボース、デオキシリボース、ペントフラノース、ペントピラノース、およびヘキソピラノース部分が挙げられる。
【0058】
用語「修飾糖」とは、糖に置き換えることのできる部分をさす。修飾糖は、糖の空間的配置、電気的性質、または何らかのその他の物理化学的性質を模倣する。
【0059】
用語「ヌクレオチド」とは、核酸塩基または修飾核酸塩基が、糖または修飾糖と共有結合し、糖または修飾糖が、リン酸基または修飾リン原子部分と共有結合している部分をさす。
【0060】
用語「キラル試薬」とは、キラルまたはエナンチオピュアであり、核酸合成において不斉誘導に使用することのできる化合物をさす。
【0061】
用語「キラルリガンド」または「キラル補助剤」とは、キラルまたはエナンチオピュアであり、反応の立体化学的成果を制御する部分をさす。
【0062】
縮合反応において、用語「活性化試薬」とは、反応性の低い部位を活性化させ、求核試薬による攻撃に対するその感受性をより高くする試薬をさす。
【0063】
用語「ブロッキング部分」とは、官能基の反応性を一時的にマスキングする基をさす。官能基は、その後ブロッキング部分の除去によって脱マスキングすることができる。
【0064】
用語「ホウ素化剤」、「硫黄求電子剤」、「セレン求電子剤」とは、リン原子での修飾のために、それぞれBH3、S、およびSe基を導入するために使用される、修飾工程で有用な化合物をさす。
【0065】
用語「部分」とは、分子の特異的セグメントまたは官能基をさす。化学部分は、多くの場合、分子に埋め込まれたかまたは付加された、認識された化学物質である。
【0066】
用語「固相支持体」とは、核酸の合成の大量生産を可能にし、必要時に再利用することのできる支持体をさす。本明細書において、この用語は、核酸を合成するために実施される反応工程で用いられる媒体に不溶性であり、反応性基を含むために誘導体化されるポリマーをさす。
【0067】
用語「連結部分」とは、末端のヌクレオシドと固相支持体との間または末端のヌクレオシドと別のヌクレオシド、ヌクレオチド、または核酸との間に所望により配置された部分をさす。
【0068】
本明細書において、「処置」または「処置すること」、または「緩和すること」または「寛解させること」は、本明細書において同義的に使用される。これらの用語は、限定されるものではないが、治療上の利益および/または予防上の利益を含む、有益なまたは望ましい結果を得るためのアプローチをさす。治療上の利益とは、治療している基礎疾患の根絶または寛解を意味する。また、治療上の利益は、患者がなお基礎疾患に罹患する可能性があるにもかかわらず、改善が患者において観察されるような、基礎疾患に関連する1以上の生理学的徴候の根絶または寛解によって達成される。予防上の利益のために、特定の疾患を発症する危険のある患者に、または疾患の生理学的徴候の1以上が報告されている患者に、たとえこの疾患の診断がなされていなくても、組成物を投与することができる。
【0069】
本明細書において、「治療効果」は、上記のように治療上の利益および/または予防上の利益を包含する。予防効果には、疾患または状態の出現を遅延させるかまたは排除すること、疾患または状態の徴候の発症を遅延させるかまたは排除すること、疾患または状態の進行を遅らせる、停止させる、または逆転させること、あるいは、その任意の組合せが含まれる。
【0070】
「アルキル」基とは、脂肪族炭化水素基をさす。アルキル部分は、飽和アルキル基であってもよいし(それが不飽和結合,例えば炭素-炭素二重結合または炭素-炭素三重結合を全く含まないことを意味する)またはアルキル部分は、不飽和アルキル基であってもよい(それが少なくとも1つの不飽和結合を含むことを意味する)。アルキル部分は、飽和であろうと不飽和であろうと、分枝状であっても直鎖であってもよく、または環状部分を含んでもよい。アルキルの結合点は、環の部分でない炭素原子にある。
【0071】
「アルキル」部分は、1~10個の炭素原子を有し得る(本明細書においてそれが出現する場合はいつも、「1~10」などの数値範囲は、所与範囲内の各整数をさす;例えば、「1~10個の炭素原子」とは、アルキル基が1個の炭素原子、2個の炭素原子、3個の炭素原子など、10個以下の炭素原子で構成され得ることを意味するが、本定義は数値範囲が指定されていない用語「アルキル」の存在も包含する)。アルキルには、分枝状アルキル基と直鎖アルキル基の両方が含まれる。本明細書に記載される化合物のアルキル基は、「C1-C6アルキル」または類似の名称で指定され得る。ほんの一例として、「C1-C6アルキル」は、アルキル鎖中に1、2、3、4、5、もしくは6個の炭素原子が存在することを示す、すなわち、アルキル鎖は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、iso-ブチル、sec-ブチル、およびtert-ブチルからなる群から選択される。典型的なアルキル基としては、限定されるものではないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシル、アリル、シクロプロピルメチル、シクロブチルメチル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル、および同類のものが含まれる。一態様では、アルキルは、C1-C6アルキルである。
【0072】
C1-3アルキル基とは、1~3個の炭素原子を有する線状もしくは分枝状アルキル基を意味する。C1-3アルキル基の例は、メチル、エチル、プロピルおよびイソプロピルである。C1-4アルキル基とは、1~4個の炭素原子を有する線状もしくは分枝状アルキル基を意味する。C1-4アルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、およびtert-ブチルである。
【0073】
本明細書において、用語「アリール」とは、環を形成する原子の各々が炭素原子である芳香環をさす。アリール環は、5個、6個、7個、8個、9個、または9個以上の炭素原子によって形成される。アリール基は、置換または非置換である。一態様では、アリールは、フェニルまたはナフタレニルである。構造に応じて、アリール基は、モノラジカルまたはジラジカル(すなわち、アリーレン基)であり得る。一態様では、アリールは、C6-C10アリールである。
【0074】
C6-14アリール基とは、6~14個の炭素原子を有するアリール基を意味する。C6-14アリール基の例は、フェニル、ビフェニル、ナフチル、アントラシル、インダニル、フタルイミジル、ナフチミジル、フェナントリジニル、およびテトラヒドロナフチルである。
【0075】
用語「アラルキル」とは、アリール基で置換されたアルキル基をさす。適したアラルキル基には、ベンジル、ピコリル、および同類のものが含まれ、そのすべてが所望により置換されていてよい。
【0076】
「アシル部分」とは、アルキル(C=O)、アリール(C=O)、またはアラルキル(C=O)基をさす。アシル部分は、カルボニル基と炭化水素基との間のオキシ、アミノ、チオ、またはセレノである介在部分(Y)を有し得る。例えば、アシル基は、アルキル-Y-(C=O)、アリール-Y-(C=O)またはアラルキル-Y-(C=O)であり得る。
【0077】
「アルケニル」基は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含有する直鎖、分枝鎖、および環式炭化水素基である。アルケニル基は、置換され得る。
【0078】
「アルキニル」基は、少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を含有する直鎖、分枝鎖、および環式炭化水素基である。アルキニル基は、置換され得る。
【0079】
「アルコキシ」基とは、酸素と結合したアルキル(alklyl)基、すなわち、(アルキル)-O-基をさし、ここでアルキルは本明細書に定義される通りである。例としては、メトキシ(-OCH3)またはエトキシ(-OCH2CH3)基が挙げられる。
【0080】
「アルケニルオキシ」基とは、酸素と結合したアルケニル基、すなわち、(アルケニル)-O-基をさし、ここでアルケニルは本明細書に定義される通りである。
【0081】
「アルキニルオキシ」基とは、酸素と結合したアルキニル基、すなわち、(アルキニル)-O-基をさし、ここでアルキニルは本明細書に定義される通りである。
【0082】
「アリールオキシ」基とは、酸素と結合したアリール基、すなわち、(アリール)-O-基をさし、ここでアリールは、本明細書に定義される通りである。一例には、フェノキシ(-OC6H5)基がある。
【0083】
用語「アルキルセレノ」とは、それに結合している置換セレノ基を有するアルキル基、すなわち、(アルキル)-Se-基をさし、ここでアルキルは本明細書に定義されている。
【0084】
用語「アルケニルセレノ」とは、それに結合している置換セレノ基を有するアルケニル基、すなわち、(アルケニル)-Se-基をさし、ここでアルケニルは本明細書に定義されている。
【0085】
用語「アルキニルセレノ」とは、それに結合している置換セレノ基を有するアルキニル基、すなわち、(アルキニル)-Se-基をさし、ここでアルケニルは本明細書に定義されている。
【0086】
用語「アルキルチオ」とは、架橋硫黄原子と結合したアルキル基、すなわち、(アルキル)-S-基をさし、ここでアルキルは本明細書に定義されている。例えば、アルキルチオは、メチルチオおよび同類のものである。
【0087】
用語「アルケニルチオ」とは、架橋硫黄原子と結合したアルケニル基、すなわち、(アルケニル)-S-基をさし、ここでアルケニルは本明細書に定義されている。
【0088】
用語「アルキニルチオ」とは、架橋硫黄原子と結合したアルキニル基、すなわち、(アルキニル)-S-基をさし、ここでアルケニルは本明細書に定義されている。
【0089】
用語「アルキルアミノ」とは、少なくとも1つのアルキル基で置換されたアミノ基、すなわち、-NH(アルキル)または-N(アルキル)2をさし、ここでアルキルは本明細書に定義されている。
【0090】
用語「アルケニルアミノ」とは、少なくとも1つのアルケニル基で置換されたアミノ基、すなわち、-NH(アルケニル)または-N(アルケニル)2をさし、ここでアルケニルは本明細書に定義されている。
【0091】
用語「アルキニルアミノ」とは、少なくとも1つのアルキニル基で置換されたアミノ基、すなわち、-NH(アルキニル)または-N(アルキニル)2をさし、ここでアルキニルは本明細書に定義されている。
【0092】
用語「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素を含むことを意図する。
【0093】
「蛍光基」とは、選択された波長を有する光で励起した場合に、異なる波長の光を発する分子をさす。蛍光基には、限定されるものではないが、インドール基、フルオレセイン、テトラメチルローダミン、テキサスレッド、BODIPY、5-[(2-アミノエチル)アミノ]ナフタレン-1-スルホン酸(EDANS)、クマリンおよびルシファーイエローが含まれる。
【0094】
「アンモニウムイオン」は、化学式NH4
+の正に帯電した多原子陽イオンである。
【0095】
「アルキルアンモニウムイオン」は、その水素原子の少なくとも1つがアルキル基で置き換えられたアンモニウムイオンであり、ここでアルキルは本明細書に定義されている。例としては、トリエチルアンモニウムイオン、N,N-ジイソプロピルエチルアンモニウムイオンが挙げられる。
【0096】
「イミニウムイオン」は、一般構造R2C=NR2
+を有する。R基とは、本明細書において定義されるアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール基をさす。「複素芳香族イミニウムイオン」とは、窒素およびその結合しているR基が芳香族複素環を形成するイミニウム(imminium)イオンをさす。「複素環式イミニウムイオン」とは、窒素およびその結合しているR基が複素環を形成するイミニウム(imminium)イオンをさす。
【0097】
用語「アミノ」または「アミン」とは、-N(Rh)2ラジカル基をさし、この際、各々のRhは、本明細書において具体的に特に明記されない限り、独立に、水素、アルキル、フルオロアルキル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキルである。-N(Rh)2基が、水素以外に2つのRhを有する場合、それらは窒素原子と化合して4員、5員、6員、もしくは7員環を形成することができる。例えば、-N(Rh)2は、限定されないが、1-ピロリジニルおよび4-モルホリニルを含むことが意味される。水素、アルキル、フルオロアルキル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキルの任意の1以上は、所望により、独立に、アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ニトロ、トリメチルシリル、-ORi、-SRi、-OC(O)Ri、-N(Ri)2、-C(O)Ri、-C(O)ORi、-OC(O)N(Ri)2、-C(O)N(Ri)2、-N(Ri)C(O)OR、-N(Ri)C(O)Ri、-N(Ri)C(O)N(Ri)2、N(Ri)C(NRi)N(Ri)2、-N(Ri)S(O)tRi(式中、tは1または2である)、-S(O)、または-S(O)tN(Ri)2(式中、tは1または2である)である1以上の置換基で置換され、この際、各々のRiは、独立に、水素、アルキル、フルオロアルキル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキルである。
【0098】
本明細書において「カルバメート」とは、Rがアルキル、フルオロアルキル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキルである式-C(O)ORを有するアミノ基と結合した部分をさす。例としては、限定されるものではないが、Boc(tert-ブチル-OC(O)-)、CBz(ベンジル-OC(O)-)、Teoc(Me3SiCH2CH2OC(O)-)、alloc(アリル-OC(O)-)、またはFmoc(9-フルオレニルメチル-OC(O)-)基が挙げられる。
【0099】
本明細書において「置換シリル」とは、式R3Si-を有する部分をさす。例としては、限定されるものではないが、TBDMS(tert-ブチルジメチルシリル)、TBDPS(tert-ブチルジフェニルシリル)またはTMS(トリメチルシリル)基が挙げられる。
【0100】
用語「チオール」とは、-SH基をさし、それには置換チオール基、すなわち、-SRJ基が含まれる。上式で、RJは、各々独立に、本明細書において定義されるような置換もしくは非置換アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアラルキル、ヘテロシクリルまたはヘテロシクリルアルキル基である。
【0101】
本発明の第1の態様は、キラル試薬またはその塩に関する。キラル試薬は、以下の化学式(I)を有する。用語「キラル試薬」は、立体制御されたリン原子修飾ヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド誘導体を生成するために使用される化学組成物である。キラル試薬は、ヌクレオチドと反応してキラル中間体を形成する。
【0102】
【0103】
式(I)において、G1およびG2は、独立に、水素原子、ニトロ基、ハロゲン原子、シアノ基(-CN)、式(II)、(III)もしくは(V)の基であるか、または、G1およびG2の両方は、一緒になって式(IV)の基を形成する。
【0104】
【0105】
式(II)において、G21~G23は、独立に、水素原子、ニトロ基、ハロゲン原子、シアノ基またはC1-3アルキル基である。G21~G23の好ましい例は水素原子である。
【0106】
【0107】
式(III)において、G31~G33は、独立に、C1-4アルキル基、C6-14アリール基C1-4アルコキシ基、C7-14アラルキル基、C1-4アルキルC6-14アリール基、C1-4アルコキシC6-14アリール基、またはC6-14アリールC1-4アルキル基である。C1-4アルキルC6-14アリール基の例は、メチルフェニル基、およびエチルフェニル基である。C1-4アルコキシC6-14アリール基の例は、メトキシフェニル基およびエトキシフェニル基である。C6-14アリールC1-4アルキル基の例は、ベンジル基およびフェニルエチル基である。G31~G33の好ましい例は、独立に、メチル基およびフェニル基である。
【0108】
【0109】
式(IV)において、G41~G46は、独立に、水素原子、ニトロ基、ハロゲン原子、シアノ基またはC1-3アルキル基である。G41~G46の好ましい例は水素原子である。
【0110】
【0111】
式(V)において、G51~G53は、独立に、水素原子、ニトロ基、ハロゲン原子、シアノ基、C1-3アルキル基またはC1-3アルキルオキシ基である。
【0112】
G3およびG4は、独立に、水素原子、C1-3アルキル基、C6-14アリール基であるか、またはG3およびG4の両方は、一緒になって3~16個の炭素原子を有するヘテロ原子含有環を形成する。G3およびG4の好ましい例は、一緒になって式(I)中のNH部分とともに3~16個の炭素原子を有するヘテロ原子含有環を形成するものである。
【0113】
好ましい実施形態は、キラル試薬が以下の化学式(I’)を有するものである。
【0114】
【0115】
式(I’)において、G1およびG2は、上と同じであり、G1およびG2は、独立に、水素原子、ニトロ基、ハロゲン原子、シアノ基、式(II)もしくは(III)の基であるか、または、G1およびG2の両方は、一緒になって式(IV)の基を形成する。
【0116】
好ましい実施形態は、キラル試薬が化学式(I’)を有し、G1およびG2の各々が式(II)の基であるものであり、この際、G21~G23は、独立に、水素原子、ニトロ基、ハロゲン原子、シアノ基またはC1-3アルキル基である。
【0117】
好ましい実施形態は、キラル試薬が化学式(I’)を有し、G1およびG2の各々が式(II)の基であり、G21~G23の各々が水素原子であるものである。
【0118】
好ましい実施形態は、キラル試薬が化学式(I’)を有し、G1が水素原子であり、G2が式(II)の基であり、G21~G23が、独立に、水素原子、ニトロ基、ハロゲン原子、シアノ基またはC1-3アルキル基であるものである。
【0119】
好ましい実施形態は、キラル試薬が化学式(I’)を有し、G1が水素原子であり、G2が式(II)の基であり、G21およびG22の各々が水素原子であり、G23がニトロ基(-NO2)であるものである。
【0120】
好ましい実施形態は、キラル試薬が化学式(I’)を有し、G1が水素原子であり、G2が式(III)の基であり、G31~G33が、独立に、C1-4アルキル基、C6-14アリール基、C7-14アラルキル基、C1-4アルキルC6-14アリール基、C1-4アルコキシC6-14アリール基、またはC6-14アリールC1-4アルキル基であるものである。
【0121】
好ましい実施形態は、キラル試薬が化学式(I’)を有し、G1が水素原子であり、G2が式(III)の基であり、G31~G33が、独立に、C1-4アルキル基、C6アリール基、C7-10アラルキル基、C1-4アルキルC6アリール基、C1-4アルコキシC6アリール基、またはC6アリールC1-4アルキル基であるものである。
【0122】
好ましい実施形態は、キラル試薬が化学式(I’)を有し、G1が水素原子であり、G2が式(III)の基であり、G31~G33が、独立に、C1-4アルキル基またはC6アリール基(フェニル基)であるものである。C1-4アルキル基の例は、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基およびtert-ブチル基である。
【0123】
好ましい実施形態は、キラル試薬が化学式(I’)を有し、G1が水素原子であり、G2が式(III)の基であり、G31~G33が、独立に、C1-4アルキル基であるものである。
【0124】
好ましい実施形態は、キラル試薬が化学式(I’)を有し、G1が水素原子であり、G2が式(III)の基であり、G31およびG33が、C6アリール基(フェニル基)であり、G32がC1-2アルキル基であるものである。
【0125】
好ましい実施形態は、キラル試薬が化学式(I’)を有し、G1およびG2が、一緒になって式(IV)の基を形成し、G41~G46が、独立に、水素原子、ニトロ基、ハロゲン原子、シアノ基またはC1-3アルキル基であるものである。
【0126】
好ましい実施形態は、キラル試薬が化学式(I’)を有し、G1およびG2が、一緒になって式(IV)の基を形成し、この際、G41~G46の各々が水素原子であるものである。
【0127】
好ましい実施形態は、キラル試薬が化学式(I’)を有し、G1が水素原子であり、G2が式(V)の基であるものである。さらに、G51~G53の各々は、独立に、水素原子、ニトロ基、メチル基、またはメトキシ基である。より好ましい実施形態は、G1が水素原子であり、G2が式(V)の基であるものであり、この際、G51およびG53の各々は水素原子であり、G53は4-メチル基である。
【0128】
好ましい実施形態は、キラル試薬がIII-a、III-b、V-a、VII-a、VII-b、IX-a、IX-b、XI-a、XIII-aおよびXIII-b:
(S)-2-(メチルジフェニルシリル)-1-((S)-ピロリジン-2-イル)エタノール(III-a)
(R)-2-(メチルジフェニルシリル)-1-((R)-1-ピロリジン-2-イル)エタノール(III-b)
(S)-2-(トリメチルシリル)-1-((S)-1-ピロリジン-2-イル)エタノール(V-a)
(R)-2,2-ジフェニル-1-((S)-ピロリジン-2-イル)エタノール(VII-a)
(S)-2,2-ジフェニル-1-((R)-ピロリジン-2-イル)エタノール(VII-b)
(R)-2-(4-ニトロフェニル)-1-((S)-ピロリジン-2-イル)エタノール(IX-a)
(S)-2-(4-ニトロフェニル)-1-((R)-ピロリジン-2-イル)エタノール(IX-b)
(R)-(9H-フルオロレン-9-イル)((S)-ピロリジン-2-イル)メタノール(XI-a)
(S)-2-トシル-1-((S)-1-トリチルピロリジン-2-イル)エタノール(XIII-a)
(R)-2-トシル-1-((R)-1-トリチルピロリジン-2-イル)エタノール(XIII-b)
の1つから選択されるものである。
【0129】
キラル試薬は、不斉補助基となる核酸または修飾核酸と反応する。立体制御されたリン原子修飾オリゴヌクレオチド誘導体を製造する中間体である、ヌクレオシド3’-ホスホルアミダイト誘導体は、核酸または修飾核酸と反応するキラル試薬によって得られる。
【0130】
本発明の第2の態様は、式(Va)または(Vb)によって表されるヌクレオシド3’-ホスホルアミダイト誘導体に関する。式(Va)および(Vb)の化合物は、オロゴヌクレオチド(ologonucleotide)誘導体を合成する際に使用されるモノマーとして公知である。これらの化合物は、オキサザホスホリジンモノマーとしても公知である。式(Vb)によって表される化合物の糖部分は、BNAおよびLNAとして公知である(R3がメチレン基である場合)。
【0131】
【0132】
式(Va)および(Vb)において、G1~G4は上と同じであり、G5はヒドロキシル基の保護基であり、Bsは、式(VI)~(XI)によって表される基またはそれらの誘導体から選択される基である。
【0133】
【0134】
Bsの例は、アデニン、チミン、シトシン、グアニン、ウラシル、5-メチルシトシン、またはそれらの誘導体である。
【0135】
R2は、水素、-OH、-SH、-NRdRd、-N3、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキル-Y1-、アルケニル-Y1-、アルキニル-Y1-、アリール-Y1-、ヘテロアリール-Y1-、-ORb、または-SRbであり、この際、Rbはブロッキング部分である。
Y1は、O、NRd、S、またはSeである。
Rdは、独立に、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アシル、置換シリル、カルバメート、-P(O)(Re)2、または-HP(O)(Re)である。
Reは、独立に、水素、アルキル、アリール、アルケニル、アルキニル、アルキル-Y2-、アルケニル-Y2-、アルキニル-Y2-、アリール-Y2-、またはヘテロアリール-Y2-、あるいは、Na+、Li+、またはK+である陽イオンである。
Y2は、O、NRd、またはSである。
アルキルの好ましい例はC1-10アルキル基であり、アルケニルの好ましい例はC2-10アルケニルであり、アルキニルの好ましい例はC2-10アルキニルであり、アリールの好ましい例はC6-14アリールであり、ヘテロアリールの好ましい例はC6-14ヘテロアリールである。
【0136】
R3は、-CH2-、-(CH2)2-、-CH2NH-、または-CH2N(CH3)-によって表される基である。
【0137】
G5の例は、トリチル、4-モノメトキシトリチル、4,4’-ジメトキシトリチル、4,4’,4”-トリメトキシトリチル、9-フェニルキサンチン(phenylxanthin)-9-イル(Pixyl)および9-(p-メトキシフェニル)キサンチン(xanthin)-9-イル(MOX)である。
【0138】
Bsは、アデニン、チミン、シトシン、グアニン、またはそれらの誘導体である。Bsは、核酸塩基または修飾核酸塩基である。誘導体の例は、特開2005-89441号に開示されるものであり、次の通り表される。
【0139】
【0140】
上式において、R8~R10の各々は、独立に、C1-10アルキル、C6-C10アリール、C6-C10アラルキル、またはC6-C10アリールオキシアルキルである。R8の好ましい例は、メチル、イソプロピル、フェニル、ベンジル、およびフェノキシメチルである。R9およびR10の好ましい例はC1-4アルキル基である。
【0141】
第2の態様の好ましい実施形態は、ヌクレオシド3’-ホスホルアミダイト誘導体が式(Va’)または(Vb’)によって表されるものである。
【0142】
【0143】
式(Va’)および(Vb’)において、G1、G2、G5、Bs、R2、およびR3は、上と同じである。ヌクレオシド3’-ホスホルアミダイト誘導体は、立体制御されたリン原子修飾ヌクレオチドおよびオリゴヌクレオチド誘導体を生成するために使用されるキラルモノマーである。
【0144】
ヌクレオシド3’-ホスホルアミダイト誘導体の好ましい例は、式1a、1b、2a、2b、3a、3b、4a、4b、5a、5b、6a、6b、7a、7b、8a、8b、9a、9b、10a、10b、11a、11b 12a、12b、13a、13b、14a、14b、15a、15b、16a、16b、17a、17b、18a、18b、19a、19b、20a、20b、21a、21b、22a、22b、23a、23b、または24aによって表される。これらの式は実験項に記載されている。
【0145】
DMTrは、4,4’-ジメトキシトリチル基を表し、TOMはトリイソプロピルシロキシメチル基を表す。
【0146】
ヌクレオシド3’-ホスホルアミダイト誘導体を使用する例は、例えば、特開2005-89441号に開示されている。縮合および脱保護の工程を反復することにより、その中に開示されるようにオリゴヌクレオチド誘導体の鎖を長くすることが可能である。
【0147】
そのようなオリゴヌクレオチド誘導体の式を式(X)に示す。
【0148】
【0149】
式(X)において、Xは、スルフィド(=S)、C1-3アルキル、C1-3アルコキシ、C1-3アルキルチオ、C6-C10アリール、C6-C10アラルキル、またはC6-C10アリールオキシアルキル(aryloxialkyl)を表す。好ましくは、Xは、スルフィド(=S)を表す。「n」は、1~150、1~100、1~50、または1~30を表す整数である。「n」は、好ましくは2~100、好ましくは10~100、好ましくは10~50、より好ましくは15~30であってよい。
【0150】
本発明の第3の態様は、立体制御されたリン原子修飾オリゴヌクレオチド誘導体の合成のための方法に関する。第1の工程は、アキラルH-ホスホネート部分を含む分子、第1の活性化試薬およびキラル試薬またはその塩を反応させてモノマーを形成する工程である。キラル試薬は化学式(I)または(I’)を有し、そのモノマーは式(fomura)(Va)、(Vb)、(Va’)、または(Vb’)によって表すことができる。モノマーは第2の活性化試薬およびヌクレオシドと反応して濃縮中間体を形成する。次の工程は、濃縮中間体をキラルX-ホスホネート部分を含む核酸に変換する工程である。この方法は、基本的に国際公開第2010/064146号パンフレットの開示に基づく。すなわち、基本的な工程は、その中で経路Aおよび経路Bとして開示される。この方法において、本発明のキラル試薬が使用される。
【0151】
キラルオリゴの合成に関する第1のスキーム。
【0152】
【0153】
活性化工程
アキラルH-ホスホネート部分を第1の活性化試薬で処理して第1の中間体を形成する。一実施形態では、第1の活性化試薬は、縮合工程の間に反応混合物に添加される。第1の活性化試薬の使用は、反応に使用される溶媒などの反応条件に依存する。第1の活性化試薬の例は、ホスゲン、クロロ蟻酸トリクロロメチル、ビス(トリクロロメチル)カーボネート(BTC)、塩化オキサリル、Ph3PCl2、(PhO)3PCl2、N,N’-ビス(2-オキソ-3-オキサゾリジニル)ホスフィン酸クロリド(BopCl)、1,3-ジメチル-2-(3-ニトロ-1,2,4-トリアゾール-1-イル)-2-ピロリジン-1-イル-1,3,2-ジアザホスホリジニウムヘキサフルオロホスフェート(MNTP)、または3-ニトロ-1,2,4-トリアゾール-1-イル-トリス(ピロリジン-1-イル)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyNTP)である。
【0154】
アキラルH-ホスホネート部分の例は、上のスキームに示される化合物である。DBUは、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エンを表す。H+DBUは、例えば、アンモニウムイオン、アルキルアンモニウムイオン、複素芳香族イミニウムイオン、または複素環式イミニウムイオンであってよく、それはいずれも第一級、第二級、第三級もしくは第四級、または一価の金属イオンである。
【0155】
キラル試薬との反応
第1の活性化工程の後に、活性化したアキラルH-ホスホネート部分は、キラル試薬(式(I)または(I’)によって表される)と反応して、式(Va)、(Vb)、(Va’)、または(Vb’)のキラル中間体を形成する。
【0156】
立体特異的縮合工程
式Va((Vb)、(Va’)、または(Vb’))のキラル中間体を、第2の活性化試薬およびヌクレオシドで処理して、濃縮中間体を形成する。ヌクレオシドは凝固していてもよい。第2の活性化試薬の例は、4,5-ジシアノイミダゾール(DCI)、4,5-ジクロロイミダゾール、1-フェニルイミダゾリウムトリフラート(PhIMT)、ベンズイミダゾリウムトリフラート(BIT)、ベンズトリアゾール、3-ニトロ-1,2,4-トリアゾール(NT)、テトラゾール、5-エチルチオテトラゾール(ETT)、5-ベンジルチオテトラゾール(BTT)、5-(4-ニトロフェニル)テトラゾール、N-シアノメチルピロリジニウムトリフラート(CMPT)、N-シアノメチルピペリジニウムトリフラート、N-シアノメチルジメチルアンモニウムトリフラートである。式Va((Vb)、(Va’)、または(Vb’))のキラル中間体は、モノマーとして単離することができる。通常、Va((Vb)、(Va’)、または(Vb’))のキラル中間体は単離されず、同じポットでヌクレオシドまたは修飾ヌクレオシドとの反応を受けて、濃縮中間体であるキラルホスフィット化合物を提供する。その他の実施形態では、この方法を固相合成によって実施する場合、化合物を含む固相支持体を濾過して副生成物、不純物、および/または試薬から分離する。
【0157】
キャッピング工程
最終核酸が二量体よりも大きい場合、未反応の-OH部分をブロッキング基でキャッピングし、化合物中のキラル補助剤もブロッキング基でキャッピングして、キャッピングされた濃縮中間体を形成することができる。最終核酸が二量体である場合、キャッピング工程は必要ではない。
【0158】
修飾工程
化合物は、求電子物質との反応によって修飾される。キャッピングした濃縮中間体に、修飾工程を実施することができる。本方法の一部の実施形態では、修飾工程は、硫黄求電子剤、セレン求電子剤またはホウ素化剤を用いて実施される。修飾工程の好ましい例は、酸化および硫化の工程である。
【0159】
本方法の一部の実施形態では、硫黄求電子物質は、以下の式のうちの1つを有する化合物である:
S8(式B)、Z1-S-S-Z2、またはZ1-S-V-Z2。
【0160】
Z1およびZ2は、独立に、アルキル、アミノアルキル、シクロアルキル、複素環式、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルキルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アシル、アミド、イミド、またはチオカルボニルであるか、あるいはZ1およびZ2は、一緒になって3~8員の脂環式もしくは複素環式環を形成し、それは置換であっても非置換であってもよく;Vは、SO2、O、またはNRfであり;Rfは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、またはアリールである。
【0161】
本方法の一部の実施形態では、硫黄求電子物質は、以下の式A、B、C、D、E、またはFの化合物である:
【0162】
【0163】
本方法の一部の実施形態では、セレン求電子物質は、以下の式のうちの1つを有する化合物である:
Se(式G)、Z3-Se-Se-Z4、またはZ3-Se-V-Z4
【0164】
Z3およびZ4は、独立にアルキル、アミノアルキル、シクロアルキル、複素環式、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルキルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アシル、アミド、イミド、またはチオカルボニルであるか、あるいはZ3およびZ4は、一緒になって3~8員の脂環式もしくは複素環式環を形成し、それは置換であっても非置換であってもよく;VはSO2、S、O、またはNRfであり;Rfは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、またはアリールである。
【0165】
本方法の一部の実施形態では、セレン求電子物質は、式G、H、I、J、K、またはLの化合物である。
【0166】
【0167】
本方法の一部の実施形態では、ホウ素化剤は、ボラン-N,N-ジイソプロピルエチルアミン(BH3DIPEA)、ボラン-ピリジン(BH3Py)、ボラン-2-クロロピリジン(BH3CPy)、ボラン-アニリン(BH3An)、ボラン-テトラヒドロフラン(tetrahydrofiirane)(BH3THF)、またはボラン-ジメチルスルフィド(BH3Me2S)である。
【0168】
本方法の一部の実施形態では、修飾工程は、酸化工程である。酸化工程は、例えば、特開2010-265304号および国際公開第2010/064146号に開示されている。
【0169】
鎖伸長サイクルおよび脱保護工程
キャッピングした濃縮中間体をデブロッキングして、成長する核酸鎖の5’末端のブロッキング基を除去して化合物を得る。化合物を所望により鎖伸長サイクルに再び入らせて、濃縮中間体、キャッピングした濃縮中間体、修飾しキャッピングした濃縮中間体、および5’-脱保護し修飾しキャッピングした中間体を形成する。少なくとも1ラウンドの鎖伸長サイクルの後、5’-脱保護して修飾してキャッピングした中間体を、キラル補助剤配位子およびその他の保護基、例えば、核酸塩基、修飾核酸塩基、糖および修飾糖保護基の除去によりさらにデブロッキングして、核酸を得る。その他の実施形態では、5’-OH部分を含むヌクレオシドは、本明細書に記載されるような以前の鎖伸長サイクルからの中間体である。さらに他の実施形態では、5’-OH部分を含むヌクレオシドは、別の公知の核酸合成方法から得られる中間体である。固相支持体を使用する実施形態では、リン原子修飾核酸を次に固相支持体から切断する。ある種の実施形態では、精製目的のために核酸は固相支持体に付着させたままにされ、その後、精製の後に固相支持体から切断される。
【0170】
本方法に基づいて、安定な市販の材料を出発物質として使用することが可能である。アキラル出発物質を用いて、立体制御されたリン原子修飾オリゴヌクレオチド誘導体を生成することが可能である。
【0171】
実施例に示されるように、本発明の方法は、脱保護工程下で分解を引き起こさない。さらに、本方法は、リン原子修飾オリゴヌクレオチド誘導体を生成するために特殊なキャッピング剤を必要としない。
【0172】
本発明の第4の態様は、キラルモノマーを用いる立体制御されたリン原子修飾オリゴヌクレオチド誘導体の合成のための方法に関する。第1の工程は、(Va)、(Vb)、(Va’)、または(Vb’)によって表されるヌクレオシド3’-ホスホルアミダイト誘導体と、第2の活性化試薬およびヌクレオシドを反応させて濃縮中間体を形成する工程である。第2の工程は、濃縮中間体をキラルX-ホスホネート部分を含む核酸に変換する工程である。
【0173】
第2のスキームは、式Va((Vb)、(Va’)、または(Vb’))のモノマーを用いるキラルオリゴの合成に関する。第2のスキームは、特開2005-89441号に開示される方法に基づく。
【0174】
【0175】
上のスキームの詳細な条件は、第1のスキームのものと同様である。式Va(Vb)、特に式Va’(またはVb’)の出発物質は、化学的に安定している。実施例に示されるように、本発明の方法は、脱保護工程下で分解を引き起こさない。さらに、本方法は、リン原子修飾オリゴヌクレオチド誘導体を生成するために特殊なキャッピング剤を必要としない。
【0176】
補助剤の除去の機構は以下のように示される:
【0177】
【0178】
上のスキームにおいて、Nuは求核試薬を表す。上の機構は、補助剤の除去のための以前の機構とは異なると考えられる。
【実施例0179】
略語
ac:アセチル
bz:ベンゾイル
CSO:(1S)-(+)-(10-カンファースルホニル)オキサジリジン
DBU:1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン
DCA:ジクロロ酢酸
DCM:ジクロロメタン、CH2Cl2
DMTr:4,4’-ジメトキシトリチル
Tr:トリチル、トリフェニルメチル
MeIm:N-メチルイミダゾール
NIS:N-ヨードスクシンイミド
pac:フェノキシアセチル
Ph:フェニル
PhIMT:N-フェニルイミダゾリウムトリフラート
POS:3-フェニル-1,2,4-ジチアゾリン-5-オン
TBS:tert-ブチルジメチルシリル
TBDPS:tert-ブチルジフェニルシリル
TOM:トリイソプロピルシロキシメチル
TFA:トリフルオロ酢酸