(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024023338
(43)【公開日】2024-02-21
(54)【発明の名称】多様な用途で使用するためのモジュラー流体ポンプ
(51)【国際特許分類】
H02K 21/16 20060101AFI20240214BHJP
H02K 7/14 20060101ALI20240214BHJP
H02K 11/33 20160101ALI20240214BHJP
【FI】
H02K21/16 M
H02K7/14 B
H02K11/33
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023196386
(22)【出願日】2023-11-20
(62)【分割の表示】P 2021525557の分割
【原出願日】2019-11-12
(31)【優先権主張番号】62/760,585
(32)【優先日】2018-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/788,255
(32)【優先日】2019-01-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】516173429
【氏名又は名称】ジーエイチエスピー・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】GHSP, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100096758
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100114845
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 雅和
(74)【代理人】
【識別番号】100148781
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 友和
(72)【発明者】
【氏名】ミッター, デイヴィッド マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ヴェセリオ, ブラドレー ジョン
(72)【発明者】
【氏名】マクマキン, ネイト
(72)【発明者】
【氏名】ヒー, ベン
(72)【発明者】
【氏名】リッジ, ラリー ドュアン
(72)【発明者】
【氏名】ステワート, キャシー アン
(72)【発明者】
【氏名】ロシンスキ, リャン デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】サラザール, ロドリーゴ
(72)【発明者】
【氏名】カルキンス, ティム
(57)【要約】 (修正有)
【課題】巻線とプリント回路基板との間の配線に、時間、経費、およびリソースが節約され得るモータを提供する。
【解決手段】モータは、複数のステータ歯と、ステータ歯上に位置付けられている複数の巻線と、を有するステータ12と、中央シャフトと、巻線との電磁連通を画定する複数のマグネットと、を有するロータと、ステータを囲み、固定エンドキャップを含むハウジングと、構造ポスト150において固定エンドキャップに取り付けられているプリント回路基板142と、を備える。複数の巻線の各巻線が、中間端子を使用せずにプリント回路基板に直接取り付く連続ワイヤを画定する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータであって、
複数のステータ歯と、前記ステータ歯上に位置付けられている複数の巻線と、を有するステータと、
中央シャフトと、前記巻線との電磁連通を画定する複数のマグネットと、を有するロータと、
前記ステータを囲み、固定エンドキャップを含むハウジングと、
構造ポストにおいて前記固定エンドキャップに取り付けられているプリント回路基板と、を備え、前記複数の巻線の各巻線が、中間端子を使用せずに前記プリント回路基板に直接取り付く連続ワイヤを画定する、モータ。
【請求項2】
前記ステータおよび前記ハウジングが、固定用エンドキャップに近接した、前記ハウジングの一方の側から延在する複数のリテーナダボを含み、前記固定用エンドキャップが、追加の留め具を含まないツイストロック回転係合で前記複数のリテーナダボに連結する、請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
前記固定用エンドキャップが、前記リテーナダボを受容し、回転的に固定して、前記固定用エンドキャップ、前記ロータ、前記ステータ、および前記ハウジングを一緒に圧縮して、しっかりしたアセンブリにする複数の保持スロットを含む、請求項2に記載のモータ。
【請求項4】
前記固定用エンドキャップが、前記プリント回路基板に対して複数の係止位置に固定されるように構成されている、請求項2に記載のモータ。
【請求項5】
前記ハウジングが、電気的構成要素を含み、前記複数の巻線からのワイヤを受容する前記プリント回路基板を含み、前記プリント回路基板が、各巻線の端部を直接受容するはんだパッドおよびひずみ緩和ノッチを含む、請求項1に記載のモータ。
【請求項6】
前記はんだパッドが、あらかじめ錫メッキされたはんだペーストを含む、請求項5に記載のモータ。
【請求項7】
前記あらかじめ錫メッキされたはんだペーストが、前記プリント回路基板上にプリントされている、請求項6に記載のモータ。
【請求項8】
前記巻線が、前記プリント回路基板のワイヤ端子上にはんだ付けされ、グランドワイヤが、前記プリント回路基板のグランド部にはんだ付けされている、請求項1に記載のモータ。
【請求項9】
前記ワイヤ端子および前記グランド部が、前記プリント回路基板の表面の対向する側に位置する、請求項8に記載のモータ。
【請求項10】
前記ハウジングが、前記ステータを完全に囲むオーバーモールド化合物によって画定され、前記ハウジングが、前記固定用エンドキャップに対する前記ハウジングの位置に対して実質的に配向自由である、請求項2に記載のモータ。
【請求項11】
前記固定用エンドキャップおよび前記ハウジングが、前記中央シャフトの前記回転軸に対して複数の回転位置に固定され得る、請求項2に記載のモータ。
【請求項12】
前記複数の回転位置が、前記中央シャフトの前記回転軸の周りに90度の増分であるように構成されている、請求項11に記載のモータ。
【請求項13】
前記ハウジングが、前記ハウジングを受容するアセンブリに対して複数の動作配向内で前記ステータおよびロータを配向するように、ジャンパコネクタと併せて使用され得る、請求項1~12のいずれか一項以上に記載のモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、オイルポンプおよびウォータポンプに関し、より具体的には、広範囲の可能な動力出力に及ぶ様々な用途で使用され得、構成要素および製造装置の共通使用を最大化する一方、特定の用途のために理想的な性能点に一般的にカスタマイズされ得るモジュラー構成を有するウォータポンプまたはオイルポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
油圧ポートを潤滑、冷却、または加圧するために、様々な業界でウォータポンプおよびオイルポンプが使用される。そのようなポンプは、特定の用途に適合するように作製され得、その結果、様々な構成要素が、各特定の設計のために基本的にカスタム設計される。これらのポンプは、一般に、電気モータによって駆動される。ハイブリッドおよび電気自動車の多くの自動車用途では、バッテリーからの電力引き出しを最小限に抑え、油圧ポートを冷却、潤滑、または加圧しながら車両の動作範囲を拡張するために、高効率の動作が必要である。これらのポンプは、通常、制限されたスペースに収まる必要があり、電気接続部とのパッケージ化が困難である。一般に、これらの用途における吸込みポートおよび圧力ポートは、各ポンプ/モータの組み合わせ、およびモータ要素とポンプ要素との間のドライブカスタマイズに固有である。本発明は、潤滑、冷却、または油圧の提供のために、電気エネルギー入力を油圧エネルギー出力に変換し得るポンプ要素と、モータ要素と、電気回路コントローラ素子と、を含むスケーラブルな電気ポンプ設計を提供する。この電気ポンプ設計は、組み立て時のモータ部分およびポンプ部分の配向による、コネクタ位置および油圧出力の柔軟性を有する。
【発明の概要】
【0003】
本発明の一態様によれば、モジュラー流体ポンプは、複数のステータ歯と、ステータ歯上に位置付けられている巻線と、を有するステータを含む。ロータは、中央シャフトと、実質的に半球形の端部と、巻線との電磁連通を画定する複数のマグネットと、を有する。ハウジングは、ステータを囲み、中央シャフトの半球形端部の一方を受容し、ロータの回転軸を画定する固定エンドキャップを含む。中央シャフトのもう一方の半球形端部を受容する固定用エンドキャップ。中央シャフトと、固定および固定用エンドキャップとが、ロータの回転軸を画定する。中央シャフトを有する半球形端部と、固定および固定用エンドキャップとの係合が、ロータおよび中央シャフトを回転軸に整列され、ステータ内でつりあった状態に維持する。
【0004】
本発明の別の態様によれば、モジュラー流体ポンプを形成する方法は、オーバーモールドされたステータであって、オーバーモールドされたステータの端部から延在する複数のリテーナダボを有する、オーバーモールドされたステータ、を形成することを含む。方法はまた、金属製中央シャフトと、複数のマグネットポケットと、を有するロータを形成することと、ロータマグネットをマグネットポケット内に位置付けることと、第1のベアリングボールを中央シャフトの凹状端部に磁気的に取り付けることと、ベアリングボールおよび中央シャフトを、ハウジング内に画定されている固定エンドキャップの凹状座部と係合するように位置付けることと、オーバーモールドされたステータにポンプ本体を固定することと、ジェロータを中央シャフトに固定することと、を含む。ジェロータは、中央シャフトおよびロータを回転軸に沿って、少なくとも部分的に位置付ける。第2のベアリングボールが、中央シャフトの別の凹状端部上に配置される。固定用エンドキャップが、ダボ上に回転的に固定されて、ポンプ本体およびジェロータを、オーバーモールドされたステータに固定する。固定用エンドキャップおよび固定エンドキャップが、第1および第2のベアリングボールと中央シャフトとを回転軸内に固定する。
【0005】
本発明の別の態様によれば、モジュラー流体ポンプは、複数のステータ歯と、ステータ歯上に位置付けられている巻線と、を有するステータを含む。ベアリングボールを受容する凹状端部を有する中央シャフトを有するロータ。ロータは、巻線との電磁連通を画定する複数のマグネットを含む。ステータを囲むハウジングであって、中央シャフトのベアリングボールの一方を受容し、ロータの回転軸を画定する第1の固定エンドキャップを含む、ハウジング。固定用エンドキャップは、中央シャフトのもう一方のベアリングボールを受容する。中央シャフトと、第1の固定および固定用エンドキャップとが、ロータの回転軸を画定する。中央シャフトのベアリングボールと、第1の固定および固定用エンドキャップとの係合が、ロータおよび中央シャフトを回転軸に整列され、ステータ内でつりあった状態に維持する。固定用エンドキャップおよびハウジングが、固定用エンドキャップをハウジングに固定する複数の係止位置を選択的に画定する。
【0006】
本発明の別の態様によれば、モジュラー流体ポンプは、半球形端部を有する中央シャフトと、複数のマグネットと、を有するロータを含む。ハウジングは、ステータ上にオーバーモールドされる。ハウジングは、プリント回路基板を含む第1のエンドキャップを有する。第1のエンドキャップは、中央シャフトの半球形端部の一方を受容する。ポンプ本体は、ロータに連結されたジェロータを有する。ロータの動作が、流体を入口から出口に移動させるように、ジェロータを動作させる。複数のリテーナダボが、ハウジングおよびポンプ本体を通って延在する。固定用エンドキャップは、複数のリテーナダボと協働的に係合して、追加の留め具を含まない固定用エンドキャップの係止位置を画定する一体型ツイストロック機構を含む。係止位置は、プリント回路基板およびロータの回転軸に対する固定用エンドキャップの複数の回転位置のうちのいずれか1つによって画定される。固定用エンドキャップは、中央シャフトのもう一方の半球形端部を受容する。固定用エンドキャップの係止位置は、ハウジングと、ポンプ本体と、固定用エンドキャップと、のしっかりした係合によってさらに画定される。
【0007】
本発明の別の態様によれば、モジュラー流体ポンプは、複数のステータ歯と、ステータ歯上に位置付けられている巻線と、を有するステータを含む。ロータは、ベアリングボールを受容する凹状端部を有する中央シャフトを有する。ロータは、巻線との電磁連通を画定する複数のマグネットを含む。ハウジングは、ステータを囲み、中央シャフトのベアリングボールの一方を受容し、ロータの回転軸を画定する第1のエンドキャップを含む。固定用エンドキャップは、中央シャフトのもう一方のベアリングボールを受容する。中央シャフトと、固定および固定用エンドキャップとが、ロータの回転軸を画定する。中央シャフトのベアリングボールと、固定および固定用エンドキャップとの係合が、ロータおよび中央シャフトを回転軸に整列され、ステータ内でつりあった状態に維持する。ロータの動作が、ハウジングを通る、およびロータとステータとの間の流体の流れを生成する。流体の流れがベアリングボールと係合して、少なくともベアリングボールと、第1のエンドキャップおよび固定用エンドキャップとの間に、それぞれ粘性流体クッションを画定する。
【0008】
本発明の別の態様によれば、モジュラー流体ポンプは、半球形端部を有する中央シャフトと、複数のマグネットと、を有するロータを含む。ハウジングは、ステータ上にオーバーモールドされる。ハウジングは、プリント回路基板を含む第1のエンドキャップを有する。第1のエンドキャップは、中央シャフトの半球形端部の一方を受容する。ポンプ本体は、ロータに連結されたジェロータを有する。ロータの動作が、流体を入口から出口に移動させるように、ジェロータを動作させる。ハウジングおよびポンプ本体を通って延在する複数のリテーナダボ。固定用エンドキャップは、入口と、出口と、複数のリテーナダボと協働的に係合して、追加の留め具を含まない固定用エンドキャップの係止位置を画定する一体型ツイストロック機構と、を含み、係止位置が、ハウジングと、ポンプ本体と、固定用エンドキャップと、のしっかりした係合を画定する。係止位置は、プリント回路基板に対する固定用エンドキャップの入口および出口の複数の回転配向のうちのいずれか1つによってさらに画定される。
【0009】
本発明の別の態様によれば、モータは、複数のステータ歯と、ステータ歯上に位置付けられている複数の巻線と、を有するステータを含む。ロータは、中央シャフトと、巻線との電磁連通を画定する複数のマグネットと、を有する。ハウジングは、ステータを囲み、固定エンドキャップを含む。プリント回路基板が、構造ポストにおいて固定エンドキャップに取り付けられる。複数の巻線の各巻線が、中間端子を使用せずにプリント回路基板に直接取り付く連続ワイヤを画定する。
【0010】
本発明のこれらおよび他の態様、目的、および特徴は、以下の明細書、特許請求の範囲、および添付図面を検討することにより、当業者によって理解および認識されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】モジュラー構造を含む流体ポンプの一態様の断面図。
【
図2】モジュラーオイルポンプまたはモジュラーウォータポンプ内で使用されるステータの積層スタックの側面図。
【
図3】ステータ積層体の端板上に位置付けられているポストおよびワイヤ固定特徴を示す、
図2のモジュラーオイルポンプまたはモジュラーウォータポンプの側面図。
【
図4】巻線がステータの歯上に配設された状態の、
図3のステータの平面図および立面図を示す、
図3のステータの側面図。
【
図5】モジュラーオイルポンプまたはモジュラーウォータポンプのポンプ本体およびカスタマイズ可能なエンドキャップを固定するためにステータと連結された複数のリテーナダボを示す、
図4のステータの側面図。
【
図6】ステータ上に位置付けられたプリント回路基板を示す、
図5のステータの側面図。
【
図7】プリント回路基板上に位置付けられた様々な巻線の電線の位置付けを示す、
図6のステータの側面図。
【
図8】ステータ積層体、ロータ、およびリテーナダボの断面図。
【
図8A】ステータ積層体、ロータ、およびリテーナダボの断面図。
【
図9】モジュラー流体ポンプのロータのベアリングアセンブリであるように構成されたベアリングボールの位置付けを示すステータの一態様の概略断面図。
【
図10】それぞれ、ロータ自体、およびステータの一態様内に位置付けられたロータの断面図ならびに、第1と第2のベアリングボールとの間に位置付けられたロータの構成を示す。
【
図10A】それぞれ、ロータ自体、およびステータの一態様内に位置付けられたロータの断面図ならびに、第1と第2のベアリングボールとの間に位置付けられたロータの構成を示す。
【
図11】
図1のモジュラー流体ポンプの一態様の断面図および、少なくとも1つのシールアセンブリの取り付けを示す。
【
図11A】ラインXIA-XIAに沿った、
図11の中央シャフトの断面図。
【
図12】ロータをベアリングボール上に少なくとも部分的に保持し、回転軸に沿って整列させたポンプ本体の取り付けを示す、
図1のモジュラー流体ポンプの断面図。
【
図12A】ロータをベアリングボール上に少なくとも部分的に保持し、回転軸に沿って整列させたポンプ本体の取り付けを示す、
図1のモジュラー流体ポンプの、それぞれ上面図。
【
図13】
図12のモジュラー流体ポンプの断面図および、ポンプ本体内のジェロータの取り付けを示す。
【
図14】別個のシールアセンブリの取り付けを示す、
図13のモジュラー流体ポンプの断面図。
【
図15】リテーナダボ上に位置付けられ、ポンプ本体上に回転的に固定された固定用エンドキャップの底面図ならびに、ロータを回転軸内に、およびベアリングボールによって各端部で支持された状態に維持するための圧力バイアス継手の一態様を示す。
【
図15A】ラインXVA-XVAに沿った、
図15の固定用エンドキャップの断面図。
【
図16】
図13のモジュラー流体ポンプの断面図および、別個の留め具を含まない様式での第2のエンドキャップのリテーナダボ上への回転適用を示す。
【
図17】モジュラー流体ポンプを形成するための方法を示す線形フロー図。
【
図18】モジュラーポンプ内で使用されるステータの積層スタックの底面斜視図。
【
図20】巻線および端末ワイヤが積層スタック上に取り付けられた状態の、
図19の積層スタックの上面斜視図。
【
図21】
図20の積層スタックおよび巻線の拡大斜視図ならびに、固定用タワー内に位置する端子ワイヤを示す。
【
図22】
図21の積層スタックの側面斜視図および、リテーナダボの取り付けを示す。
【
図24】プリント回路基板が取り付けられ、端末ワイヤがプリント回路基板にはんだ付けされた状態で示された積層スタックの底面斜視図。
【
図25】
図24のプリント回路基板および積層スタックの拡大斜視図。
【
図26】プリント回路基板の上面および下面の概略図ならびにプリント回路基板内の様々な冷却ゾーンおよび取り付けゾーンを示す。
【
図27】モジュラーポンプのオーバーモールドされたステータの上面斜視図。
【
図28】
図27のオーバーモールドされたステータの上面斜視図。
【
図29】モジュラーポンプのオーバーモールドされたステータ、ロータ、およびベアリングボールの分解斜視図。
【
図30】様々な材料および構成を実装する中央シャフトならびにロータの様々な態様の平面図。
【
図31】様々な材料および構成を実装する中央シャフトならびにロータの様々な態様の平面図。
【
図32】様々な材料および構成を実装する中央シャフトならびにロータの様々な態様の平面図。
【
図33】モジュラーポンプのスケーラブルな態様内で使用される一連のロータ構成の概略図。
【
図34】モジュラーポンプの一態様のオーバーモールドされたステータ内に取り付けられたロータの上面斜視図。
【
図35】オーバーモールドされたステータ内のリテーナダボとのポンプ本体の接続を示す、モジュラーポンプの一態様の上面斜視図。
【
図36】ロータキャビティ内で圧力側を吸込み側から分離する分離パドルを示す、ポンプ本体の底面斜視図。
【
図37】ラインXXXVII-XXXVIIに沿った、
図35のモジュラーポンプの断面斜視図。
【
図38】中央シャフトの凹状端部、および中央シャフトの凹状端部上に位置するベアリングボールを示す、モジュラーポンプの一態様の上面斜視図。
【
図39】中央シャフトの凹状端部、および中央シャフトの凹状端部上に位置するベアリングボールを示す、モジュラーポンプの一態様の上面斜視図。
【
図40】モジュラーポンプの残りの部分に取り付けるためのバイアス継手および保持スロットの一態様を組み込んだ固定用エンドキャップの底面図。
【
図41】固定用エンドキャップ内に組み込まれるバイアス継手の斜視図。
【
図42】固定用エンドキャップ内に組み込まれるバイアス継手の斜視図。
【
図43】モジュラーオイルポンプまたはモジュラーウォータポンプの一態様の側面斜視図。
【
図44】モジュラー流体ポンプの一態様の第1の側面斜視図。
【
図45】モジュラー流体ポンプの一態様の別の側面斜視図。
【
図46】モジュラー流体ポンプの一態様の底面側斜視図。
【
図47】モジュラー流体ポンプの一態様の別の底面側斜視図。
【
図48】モジュラー流体ポンプの一態様の第1の側面図。
【
図54】ラインLIV-LIVに沿った、
図52のモジュラー流体ポンプの断面図。
【
図55】ラインLV-LVに沿った、
図52のモジュラー流体ポンプの断面図。
【
図56】ラインLVI-LVIに沿った、
図52のモジュラー流体ポンプの断面図。
【
図57】モジュラー流体ポンプの一態様の断面図および、流体ポンプのロータハウジング内に配設された流体チャネルを例示する。
【
図58】
図48のモジュラー流体ポンプの第1の分解された第1の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書中の説明のために、「上部」、「下部」、「右」、「左」、「後部」、「前部」、「垂直」、「水平」、という用語およびそれらの派生語は、
図1の配向での本発明に関するものとする。しかしながら、逆に明示的に指定されている場合を除き、本発明は、様々な代替的な配向を想定し得ることを理解されたい。添付図面に示され、以下の明細書に記載される特定のデバイスおよびプロセスは、添付の特許請求の範囲に定義される発明概念の単なる例示的な実施形態であることも理解されたい。したがって、本明細書で開示される実施形態に関連する特定の寸法および他の物理的特徴は、特許請求の範囲で明示的に述べられていない限り、限定と見なされるべきではない。
【0013】
図1~16および
図18~59に例示されるように、参照番号10は、一般に、油、水、および他の類似の材料などの様々な粘度の材料をリザーバから別の場所に移動させるために、様々な流体アセンブリ内で使用され得るモジュラー流体ポンプ10を指す。モジュラー流体ポンプ10は、各モジュラー流体ポンプ10内に含まれる様々な標準的特徴を、特定の用途または設計公差に応じてモジュラー流体ポンプ10に追加され得る様々なカスタムメイドまたは任意選択の特徴とともに含むように作製され得る。
【0014】
再び
図1~16および
図18~59を参照すると、モジュラー流体ポンプ10、または非流体用途のための他の類似のモータは、ステータ12であって、複数の歯13と、ステータ12の歯13上に位置付けられて、ステータ12の極14を形成する巻線16と、を有するステータ12、を含み得る。ロータ18は、中央シャフト20を含み、実質的に半球形の端部30が、中央シャフト20の各シャフト端22に位置付けられている。巻線16が電流によって通電されると、巻線16との電磁連通を画定する複数のロータマグネット84が含まれている。ハウジング26は、ステータ12を囲み、中央シャフト20の半球形端部30の少なくとも一方を受容し、ロータ18の回転軸32を画定する第1の固定エンドキャップ28を含む。第2の固定用エンドキャップ34は、ロータ18の中央シャフト20の一部を受容し、中央シャフト20を回転軸32に沿って維持するように適合されている。中央シャフト20、ならびに固定および固定用エンドキャップ28、34は、ロータ18の回転軸32を協働的に画定する働きをする。中央シャフト20の半球形端部30の一方と、固定エンドキャップ28との係合が、ロータ18および中央シャフト20を、回転軸32に整列され、ステータ12の極14内で釣り合った状態に維持する働きをする。別個の固定用エンドキャップ34が、中央シャフト20の対向する半球形端部30に係合するように位置付けられ得る。固定用エンドキャップ34が、対向する半球形端部30と係合して、中央シャフト20を、2つの半球形端部30の間に、およびモジュラー流体ポンプ10の回転軸32に沿って固定する。
【0015】
特定の態様では、固定用エンドキャップ34が、特定の用途のために修正され得る様々なカスタム特徴36を含み得ることが企図される。このようにして、モジュラー流体ポンプ10を広範囲の用途および設計条件において有用であるように改造するために、固定用エンドキャップ34が、モジュラー流体ポンプ10に追加され得る。
【0016】
再び
図1~16および
図18~59を参照すると、中央シャフト20の半球形端部30は、中央シャフト20の凹状端部40に位置付けられている別個の第1および第2のベアリングボール38によって画定される。このようにして、中央シャフト20の凹状端部40が、各ベアリングボール38の表面との密接な係合を形成する。この密接な係合が、ベアリングボール38と、固定および固定用エンドキャップ28、34の各々との間の実質的に円滑な動作を可能にする。さらに、以下でより完全に考察されるように、モジュラー流体ポンプ10を通る流体44の流れ42の移動がまた、ある量の流体44の流れ42を、ベアリングボール38と凹状端部40との係合の間に、ならびにベアリングボール38と、モジュラー流体ポンプ10の固定エンドキャップ28および固定用エンドキャップ34内に形成された凹状座部46との間にも積もるように導くことができる。このようにして、流体44は、ベアリングボール38と、モジュラー流体ポンプ10の他の構成要素との直接係合の間に粘性クッション48またはバリアを形成し得る。ベアリングボール38と他の構成要素との間の流体44のこの粘性クッション48を使用することによって、ロータ18と、ベアリングボール38と、モジュラー流体ポンプ10の他の構成要素との間の摩耗が軽減されるか、または実質的に排除され得る。
【0017】
デバイスの例示的な一態様では、ベアリングボール38は、厳しい公差等級および鏡面仕上げを有する52100クロムモリブデン鋼ベアリングボールを含み得る。ベアリングボール38は、モジュラー流体ポンプ10の設計に応じて、他の様々なサイズを含み得ることを理解されたい。
【0018】
再び
図1~16および18~59を参照すると、オーバーモールドされたステータ12の凹状座部46は、オーバーモールド化合物172から一体的に形成され得る。中央シャフト20の凹状端部40は、通常、形態的に円形または球状凹形であり、中央シャフト20の粉末金属材料から一体的に形成されるか、またはそうでなければ、中央シャフト20の粉末金属材料内に画定される。上記で考察されるように、ベアリングボール38を保持する凹状座部46および凹状端部40は、半球形であり、流体44の一貫した膜を維持して、ベアリングボール38の周りの粘性のある潤滑クッション48を維持し、構成要素の摩耗を低減するように適合される。
【0019】
デバイスの様々な態様によれば、
図24~
図28に例示されるように、ステータ12およびプリント回路基板(PCB)142は、低圧低温成形用熱硬化性複合材料を含み得るオーバーモールド化合物172でオーバーモールドされる。PCB142におけるオーバーモールドの形状は、PCB142の電気的構成要素の様々な構成のうちの任意の1つを覆うのに十分な標準幾何形状を含み得ることが企図される。立方体、円錐形、または円筒プリズムなどの標準幾何形状を使用して、単一のツールが、PCB142の広範な構成をオーバーモールドするために利用され得る。モジュラー流体ポンプ10の内部で、この成形プロセスが、典型的には、モジュラー流体ポンプ10の様々な一体型機能特徴を設定するために使用される。これらの特徴の形成としては、以下に限定されないが、様々な電気的構成要素152を冷却するために、PCB142内に冷却ゾーン144を設定すること、電気的構成要素152を損傷および/または汚染から保護すること、ベアリングボール38を受容するための一体型ベアリングポケット146を形成すること、二次流路192を通る流体44の二次流れ194の形態で、流体44のアクティブな流れ42を可能にする溝174を作成すること、二次流路192を通って移動する流体44の温度を検出するために、温度センサ178またはセンサ178を受容するためのレセプタクルを基板上に位置付けること、および留め具のない設計を可能にする基準面を作成することが挙げられ得る。留め具のないこの設計は、以下でより完全に説明される、リテーナダボ140と固定用エンドキャップ34との間の係合を示す。さらに、プリント回路基板142のオーバーモールドは、様々な構成要素がプリント回路基板142に取り付けられる様々なキープアウトゾーン148を画定し得る。
【0020】
再び
図1、
図11~16、
図40~42、および
図54~59を参照すると、固定エンドキャップ28、およびいくつかの実施形態では固定用エンドキャップ34内に画定されている凹状座部46は、ロータ18の中央シャフト20の各それぞれのシャフト端部22においてベアリングボール38の一部を受容するように適合されている半球形ソケットの形態であり得る。この構成を使用すると、対向する半球形ソケットの間に位置付けられているロータ18内のある量のすき間または遊びが、固定用エンドキャップ34を有するモジュラー流体ポンプ10内に存在し得る。対向する凹状座部46の間のこの概して軸方向のすき間を相殺するために、固定用エンドキャップ34は、固定用エンドキャップ34の近くに位置付けられたベアリングボール38を少なくとも部分的に囲む圧力バイアス継手60を含み得る。デバイスの様々な態様によれば、圧力バイアス継手60は、ステータ12とロータ18との間に、およびモジュラー流体ポンプ10の一部を貫通して延在する流体44の流路62と連通して配置される。
【0021】
再び
図1、
図11~16、
図40~42、および
図54~59を参照すると、モジュラー流体ポンプ10の動作(ステータ12内のロータ18の回転)中、流体44の流れ42が、流路62を通って生成される。流路62を通る流体44のこの流れ42が、圧力バイアス継手60内に軸方向の圧力64を生成する。ロータ18がより速く回転するほど、流体44の流れ42は、流路62を通ってより速く流れるであろう。次いで、流体44の流速42の増加は、圧力バイアス継手60内でベアリングボール38に対して加えられる圧力64の増加をもたらし得る。圧力バイアス継手60は、この圧力64を軸方向に、典型的には回転軸32に沿ってベアリングボール38に向かって導く圧力チャネル66を含む。デバイスの様々な態様では、ベアリングボール38は、圧力バイアス継手60の圧力チャネル66内に少なくとも部分的に位置し得る。この軸方向圧力64が、固定用エンドキャップ34の近くのベアリングボール38を中央シャフト20内に、かつ回転軸32に沿って圧縮する。この軸方向圧力64は、次に、中央シャフト20を下部ベアリングボール232に押し付け、固定エンドキャップ28内に押し込む。流路62を通る流体44の流れ42によって生成される圧力64を使用して、軸方向圧力64は、ロータ18をステータ12内に軸方向に固定し、回転軸32から離れる、または回転軸32に対して偏心するロータ18のすき間、揺れ、または他の望ましくない変位を防止し得る。
【0022】
少なくとも
図35~59に例示されるように、圧力バイアス継手60は、上部ベアリングボール234を受容するためのベアリングポケット146を内蔵する。バイアス継手60は、上部ベアリングボール234を受容するための優れた、および繰り返し可能なポケットの幾何形状を提供するために、粉末金属で作製され得る。粉末金属はまた、ベアリングボール38、ベアリングポケット146、および、典型的には、ベアリングボール38と、中央シャフト20と、固定エンドキャップ28と、固定用エンドキャップ34の圧力バイアス継手60と、を含むベアリングシステムの残部を潤滑するために、粘性クッション48の形態で流路62を通って移動する流体44の保持を促進する多孔質表面仕上げを提供する。
【0023】
再び
図35~59を参照すると、バイアス継手60の圧力チャネル66は、バイアス継手60の中央継手68から径方向に延在する小さなトラフの形態である。典型的には、中央継手68は、ベアリングポケット146の反対側に位置付けられる。この構成を通して、マニホールドに組み立てられると、中央圧力継手60は、付勢圧力64、ならびにベアリングポケット146の上部への少量の流体44の漏れを提供する。この界面における圧力64は、使用中にジェロータ92によって生成される圧力64に比例する。モジュラー流体ポンプ10内の力が、ジェロータ92の近くで高いほど、下部および上部ベアリングボール232、234にかかるロータ18の中央シャフト20の軸方向荷重が比例して高くなり、ロータ18の中央シャフト20が、オーバーモールドされたステータ12および固定用エンドキャップ34内に画定されているベアリングポケット146内で中心に留まることを確実にする。この構成は、ベアリングシステムと接触する流体44の流れ42が存在することも確実にする。モジュラー流体ポンプ10内の力が低い場合、特に、モジュラー流体ポンプ10の起動時に、中央シャフト20に沿って配置される軸方向荷重がほとんどないか、または全くなく、それにより容易な起動を提供する。これは、特に、センサレスであるモジュラー流体ポンプ10の適用にあてはまる。
【0024】
デバイスの様々な態様によれば、モジュラー流体ポンプ10のロータ18とハウジング26との間の主な物理的界面は、ロータ18の中央シャフト20の凹状端部40に位置付けられているベアリングボール38の間にある。上述のように、モジュラー流体ポンプ10内の流体44を使用して、これらの凹状端部40、ならびに凹状座部46の半球形ソケットは、下部および上部ベアリングボール232、234を囲む実質的に連続する流体粘性クッション48を形成し得る。この粘性クッション48は、下部および上部ベアリングボール232、234と、中央シャフト20および凹状座部46の半球形ソケットとの間の係合内の摩擦および摩耗を最小限に抑え得る。この流体粘性クッション48が、中央シャフト20と、下部および上部ベアリングボール232、234との間、ならびに各ベアリングボール38と、それぞれの凹状座部46との間の物理的な擦れ、または直接の物理的接触を防止する。
【0025】
再び
図1および
図8~16ならびに
図27~43を参照すると、モジュラー流体ポンプ10を形成する際に、各モジュラー流体ポンプ10の構成要素は、一般に類似するが、サイズおよびスケールに応じて変わり得る。
図33に例示されるように、モジュラー流体ポンプ10が、非限定的な例として、小さいバージョン、中くらいのバージョン、および大きいバージョンを含み得、これらの3つのバージョンの各々が、3つの異なる高さで作製され得、その結果、9つのオプションが利用可能であり得るように、モジュラー流体ポンプ10は、異なるサイズおよびスケールに従って作製され得ることが企図される。モジュラー流体ポンプ10の基本的な構成要素の追加の高さおよびスケールを含む、モジュラー流体ポンプ10の追加のバージョンも提供され得ることも企図される。
【0026】
さらに、以下でより完全に説明されるように、モジュラー流体ポンプ10は、特定の設計構成内で広範囲の配向および軸に位置付け可能であるように構成され得る。したがって、モジュラー流体ポンプ10は、前方または後方を含まないが、特定の設計内の様々な回転配向に位置付けられ得る。さらに、様々な配線の引き回しが、ジャンパ接続、および様々な軸方向構成のモジュラー流体ポンプ10の複数の動作配向を提供し得る他の構成と併せて使用され得る。
【0027】
再び
図1、
図8~16、
図29~43、および
図54~59を参照すると、モジュラー流体ポンプ10のロータ18は、プラスチックでオーバーモールドされ得るロータ本体80を貫通して延在する中央シャフト20を含み得る。ロータ本体80は、ロータ18と、ステータ12の巻線16との間の電磁連通を提供するロータマグネット84を受容するための、ロータ18の回転軸32と平行に位置付けられている一連のマグネットチャネルまたはマグネットポケット82を含み得る。ロータ本体80内のこれらのマグネットポケット82は、様々なタイプのマグネット84を受容するように構成され得る。
【0028】
図8~14および
図54~59に例示されるように、中央シャフト20は、ロータ本体80と相互作用し、ロータ本体80を中央シャフト20に対して所定の位置に保持する働きをする複数の固定用幾何形状86を含み得る。これらの固定用幾何形状86は、中央シャフト20に沿って軸方向に変化する可変断面厚さを含み得る。固定用幾何形状86はまた、中央シャフト20の一部内に画定されているフルートまたはリッジ88を含み得る。ロータ本体80は、典型的には、中央シャフト20の周りに成形されているため、ロータ本体80は、固定用幾何形状86に直接係合し、固定用幾何形状86内に保持される。この係合は、中央シャフト20に対してロータ本体80を軸方向に、および回転可能に固定する。
【0029】
図1~16および
図18~59の例示的な態様に示されるように、ロータ18のマグネットポケット82内に配置されているこれらのロータマグネット84は、モジュラー流体ポンプ10のロータ18内で使用され得る焼結ネオジムマグネット、結合ネオジムマグネット、結合フェライトマグネット、および他の同様のマグネット84のうちの少なくとも1つを含み得る。異なるタイプのマグネット84に加えて、マグネット84の構成もまた、変更され得る。単片マグネット(single piece magnet)84、ならびに一連の積層体から作製されたマグネット84が、ロータ18内で使用され得る。ロータ18のためのマグネット84の使用およびマグネット84のタイプの可変性が、ロータ18によって生成される磁力の様々な強度を提供し得る。異なるマグネット84を使用して、様々な巻線16が通電されるときに、ロータ18によって生成され得るカスタマイズ可能な電磁連通、およびカスタマイズ可能な回転トルクを提供することができる。
【0030】
再び
図11~16、
図30~37、および
図58ならびに59を参照すると、ロータ18の中央シャフト20は、中央シャフト20の少なくとも一部に沿って延在する対向する平面表面90を含むダブルD構成を含み得る。
図11Aの断面に示されるこの「ダブルD」構成の使用は、モジュラー流体ポンプ10の中央シャフト20と、ジェロータ92との間の一貫した効率的な係止接続を提供する。ダブルD構成はまた、中央シャフト20が、単一の配向を必要としないように、少なくとも2つの構成で成形ツール内に位置付されることを可能にする。ダブルD構成はまた、中央シャフト20に対するマグネット84のトルクロックを提供する。さらに、中央シャフト20がベアリングボール38によって各凹状端部40で支持されるこの構成では、ダブルD構成の使用が重要である。ダブルD構成は、当然ながら対称であり、ロータ18の回転軸32に沿って中心合わせされ得る。したがって、釣り合わせは、通常、モジュラー流体ポンプ10の設計では利用されない。
【0031】
再び
図1、
図8~16、
図30~37、および
図54~59を参照すると、中央シャフト20は、典型的には、粉末金属などの金属材料で作製される。場合によっては、中央シャフト20は、ロータ18のマグネット84から磁束100を受容し得る。そのような構成では、少なくとも下部ベアリングボール232の取り付けは、下部ベアリングボール232と、マグネット84から受容される磁束100を通じて磁気的に活性化され得る中央シャフト20との間の磁気接続によって行われ得る。この構成では、下部ベアリングボール232は、ロータ18の凹状端部40と磁気的に結合され得、ロータ18の凹状端部40は、それに下部ベアリングボール232が磁気的に結合された状態で、ステータ12内に配設され得る。このようにして、ロータ18の中央シャフト20は、下部ベアリングボール232をステータ12の基部に位置する凹状座部46内に、かつハウジング26の固定エンドキャップ28内に位置付けるための取り付けツールとして機能し得る。
【0032】
ここで
図1~8および
図18~22を参照すると、モジュラー流体ポンプ10の構築は、ステータ極14の歯13を含むステータ12の内部構造を形成する積層スタック120を整列させることによってステータ12を形成することを含み得る。ある特定の実施形態では、ステータ12を構成する個々の積層は、積層120のスタックを整列構成に維持するための整列特徴として機能するステッチアップセット15を含む。これらのステッチアップセット15のおかげで、ステータ12の形成中に積層120のスタックを一緒に保持するための別個の留め具は必要ない。上部積層は、ステッチアップセット15を有するのではなく、垂直に隣接するステッチアップセット15を受容するアパーチャを含み得る。この構成により、積層120のスタックの上面が、アセンブリのエンドプレート122または他の部分を誤整列させる可能性のある得る突起特徴を有さず、平坦であることが確実になる。
【0033】
典型的には、ステータ12は、3つの別個の巻線16が歯13の周りに巻かれて、様々なステータ極14を形成する3相ステータ12であろう。例示的な図には6つのステータ極14が示されているが、ステータ極14の他の構成、ならびにモータの異なる位相構成が利用され得ることを理解されたい。
【0034】
ステータ12の積層120が完成すると、エンドプレート122が、積層スタック120を一緒に固定するために、積層スタック120の各端部に配置される。典型的には、エンドプレート122は、積層スタック120の対向する端部上にスリップ嵌めまたは圧嵌めされる。この構成のおかげで、積層120のスタックとエンドプレート122とが、密接に一緒に固定されず、手で分離され得る。リベット、ボルト、溶接、および他の取り付け機構を使用して、積層スタック120を一緒に固定することが可能であることを理解されたい。
【0035】
積層スタック120が完成し、エンドプレート122が所定の位置にあるときに、巻線16が、ステータ12の歯13の周りに配置され得る。巻線16を積層120のスタックの歯13、ならびにエンドプレート122の上に配置することは、アセンブリを単体のステータ12として一緒に固定する役割を果たす。ステータ12は、3相巻線であるように構成されており、3つの別個のワイヤ136が、ステータ12の歯13の周りに巻かれ、所定の構成の極14を形成する。巻線が完成した後、ワイヤ136の端末部130が、エンドプレート122の一方内に固定される。上部エンドプレート132は、巻線16のワイヤ136の端末部130を受容し得る様々な固定用タワー134を含む。これらの固定用タワー134は、モジュラー流体ポンプ10の形成中に、ワイヤ136の様々な端末部130を受容し、それらを特定の位置に保持し得る。これらのワイヤ136は、ステータ12、およびステータ12の巻線から導かれる様々なU、V、およびWワイヤ136ならびにステータ12から導かれたグランドワイヤ162およびステータ12の巻線16の形態であり得る。本明細書でより完全に考察されるように、固定および固定用エンドキャップ28、34に対する積層スタック120の回転配向は重要ではなく、特定の設計のために、必要に応じて、90度の増分で切り替えられ得る。
【0036】
図5~6Aおよび
図22に例示されるように、巻線16が取り付けられ、ワイヤ136の端末部130が固定用タワー134内に固定された後に、複数のリテーナダボ140が、ステータ12の積層スタック120およびエンドプレート122を通して位置付けられ得る。以下により完全に説明されるように、これらのリテーナダボ140は、固定用エンドキャップ34を所定の位置に保持し、特定の設計で使用するためのカスタム特徴36を含み得る固定用エンドキャップ34を含む、モジュラー流体ポンプ10のアセンブリ全体を固定するために使用される。ステータ12およびモジュラー流体ポンプ10の直線幾何形状が示されているが、モジュラー流体ポンプ10の配向フリー設計を生成するために、他の多角形幾何形状が実装されてもよい。
【0037】
ここで
図7、
図8A、および
図18~26を参照すると、リテーナダボ140が固定された後に、PCB142が、端末部130および上部エンドプレート132の固定用タワー134から離れた離間した配置でPCB142を位置付ける様々な位置決め特徴または構造ポスト150上に取り付けられ得る。PCB142は、様々なマイクロプロセッサ、電界効果トランジスタ(FET)ドライバ、駆動トランジスタ、温度センサ178、配線端子、および他の類似の特徴を含み得るが、これらに限定されない、様々な電気的構成要素152を含み得る。以下により完全に説明されるように、モジュラー流体ポンプ10を通る流体流路62の一部は、モジュラー流体ポンプ10の動作中にこれらの構成要素に冷却を提供するために、これらの電気的構成要素152の近くを、またはこれらの電気構成要素152と直接係合して通過し得る。
【0038】
再び
図7、
図8A、および
図18~26を参照すると、PCB142が位置付けられると、巻線16のワイヤ136の端末部130が、PCB142の上面上に位置するワイヤ端子154まで、PCB142の周りに巻かれ得る。このようにして、単一の連続ワイヤ136が、これらの巻線16および端末部130を形成し得る。したがって、端末部130は、巻線16とPCB142との間に中間端子を必要としないように、ワイヤ端子154でPCB142に直接はんだ付けされ得る。巻線16とPCB142との間の配線のこの構成により、多くの時間、経費、およびリソースが節約され得る。
【0039】
デバイスの様々な態様によれば、様々な巻線16から導かれたワイヤ136の端末部130が、PCB142内の特定のはんだパッド156上に位置付けられ得る。PCB142のグランド部160は、ステータ12と接触し得る様々なグランドワイヤ162を取り付けるための専用のはんだパッド156であることが企図される。はんだパッド156の形態で、グランドワイヤ162のためのはんだパッド156の位置をワイヤ端子154から分離することによって、巻線16の端末部130について、巻線16のワイヤ136をグランドワイヤ162から分離する追加の労力が最小限に抑えられ、実質的に排除される。これらの別個のワイヤ136が、典型的には、PCB142の対向する側に位置付けられるため、分離されたはんだパッド156内の別個のはんだ付け作業が、巻線16の端末部130とグランドワイヤ162との間に短絡が発生しないことを確実にし得る。PCB142の様々なはんだパッド156が、PCB142の製造中に、またはワイヤ136をはんだパッド156に接続するはんだ付け作業の前のある時に、あらかじめ錫メッキされ得る。はんだパッドの事前錫メッキは、錫メッキパッド156にはんだペーストを添加することによって達成され得る。このはんだペーストは、拡散、はけ塗り、滴下、または他の同様の処置プロセスによって、PCB142上に配設され得る。デバイスの様々な態様では、特定量のはんだペーストをPCB142の特定および所定の領域に配設するプリントヘッドを使用して、はんだペーストが、PCB142上にプリントされ得る。
【0040】
再び
図4~7Aおよび
図20~26を参照すると、巻線16のワイヤ136の配置、およびこれらのワイヤ136のはんだパッド156への取り付けが、モジュラー流体ポンプ10の様々な態様で使用され得る。さらに、ステータ12内にワイヤ136を配置および固定するこのプロセスは、多種多様なモータで利用され得る。このようなモータは、ファン、インペラ、ポンプ、駆動機構、ステッピングモータ、それらの組み合わせ、および他の類似のタイプのモータに使用され得る。限定でなく例示として、ワイヤ136にかかるひずみを最小限にするためのひずみ緩和292および溝292の使用が、広範囲のモータ用途で利用され得る。同様に、中間端子を使用せずに、巻線136および端末部130に単一の連続ワイヤ136を利用すること、ならびにこれらの一体型端末部130をPCB142の特定のあらかじめ錫メッキされた領域上に配置することもまた、多種多様なモータ関連用途で使用され得る。さらに、本明細書に記載のモジュラー流体ポンプ10の様々な特徴は、広範囲のモータ用途に適用可能である。
【0041】
ここで
図9~10Aおよび
図22~28を参照すると、巻線16の端末部130およびグランドワイヤ162がPCB142の適切な部分にはんだ付けされた後、ステータ12の構造が、次に、オーバーモールド化合物172でオーバーモールドされ、ステータ12の様々な構成要素を絶縁する。このオーバーモールド作業中、グランドワイヤ162および端末ワイヤ136の接点が、モジュラー流体ポンプ10の最終的な取り付けにおける電力およびデータ配線と接続するために、オーバーモールドを貫通して突出することが可能となる。オーバーモールドは、ステータ12、および典型的には内部に含まれるコントローラアセンブリ170(PCB142)が、ステータ12の極14間のロータ18の内径230の始めから終わりまで通る様々な溝174を、オーバーモールド化合物172内に含有するように実施される。これらの溝174は、ステータ歯13の端部にも位置し得る。ステータ12のオーバーモールド化合物172内のこれらの溝174は、ステータ12とロータ18との間の流れ42を提供して、様々な構成要素およびPCB142の様々な電気的構成要素を冷却する流体チャネル176を提供する。ステータ12の極14間またはその近くの領域内の溝174を通る流体44のこの流れ42はまた、モジュラー流体ポンプ10を通って移動される流体44の温度、ならびにモジュラー流体ポンプ10の様々な構成要素の温度を監視するために使用され得る二次流路194と熱連通する、PCB142のサーミスタまたは他のタイプの温度センサ178を通過する流体44の流れ42を提供する。加えて、これらの溝174は、上述の粘性流体クッション48を提供するために、下部および上部ベアリングボール232、234の一方または両方への流体44の移動を可能にし得る。
【0042】
図1、
図13~16、
図27~29、および
図43~59に例示されるように、ステータ12内のロータ18の動作中、流体44の一次流れ196は、モジュラー流体ポンプ10を通る粘性流体44の一次移動を提供するモジュラー流体ポンプ10を通って移動される。典型的には、あるタイプの樹脂または他のポリマー材料の形態であるオーバーモールド化合物172によって形成される溝174は、流体流42の一部をPCB142、温度センサ178、およびモジュラー流体ポンプ10のベアリングボール38の一方または両方に向かって迂回させる二次流路192を提供する。二次流路192を通る流体44の二次流れ194は、モジュラー流体ポンプ10の動作が、流体44の二次流れ194を二次流路192を通って移動させることによって過度に低減されないように、流体44の一次流れ196よりも十分に小さいことが企図される。二次流路192を使用することにより、モジュラー流体ポンプ10のより効率的で一貫した動作が提供される。さらに、二次流路192は、十分に小さい、すなわち、モジュラー流体ポンプ10の性能を不利に低下させない。
【0043】
一次および二次流路198、192を通る流体44の流れ42は、ジェロータ92の動作によって起こされる。ジェロータ92は、モジュラー流体ポンプ10が作動されると、電流がステータ12内の巻線16の少なくとも一部を通って移動されるように、中央シャフト20に直接接続されている。巻線のこの活性化により、ステータ12の極14に対してロータ18を回転させる電磁力(EMF)が生成される。ジェロータ92がロータ18と接続されているため、ロータ18の動作が、今度は、ジェロータ92を動作させる。ジェロータ92の動作を通じて生成される様々なフローポケット210が、入口212を通過し、一次流路198ならびに二次流路192を通過し、モジュラー流体ポンプ10の出口214に入って通過する流体44の移動を提供する。
【0044】
ここで
図11~15Aおよび
図29~39を参照すると、ステータ12がオーバーモールドされた後に、ロータ18が、ステータ12の内径230内に位置付けられ得る。上述のように、下部ベアリングボール232は、第1のまたは下部ベアリングボール232を中央シャフト20のシャフト端部22上に配置することによって、固定エンドキャップ28の凹状座部46内に位置付けられ得、第2または上部ベアリングボール234も同様である。ロータ18のマグネット84からの磁束100が、下部ベアリングボール232を保持するためのマグネット84として使用され得る磁場を形成するように、中央シャフト20を活性化し得る。ベアリングボール38の一方または両方を中央シャフト20の凹状端部40に磁気的に取り付けることによって、中央シャフト20が、下部ベアリングボール232を、モジュラー流体ポンプ10の固定エンドキャップ28内に画定された凹状座部46内に位置付けるためのツールとして使用され得る。
【0045】
典型的には、モジュラー流体ポンプ10のロータ18は、ステータ12の6つの極14と電磁的に協働する4つのマグネット84を含むであろう。ステータ12の極14の異なる構成が含まれる場合、典型的には、ロータ18のマグネット84の構成も変わるであろう。典型的には、ロータ18のマグネット84の数は、ステータ12の巻線16が通電されると、生成されたEMFが、ステータ12内でロータ18の回転を生成するように、ステータ12の極の数14とは異なる。
【0046】
様々なシールアセンブリ110が、オーバーモールドされたステータ12、およびジェロータ92を保持するポンプ本体240内に含まれ得ることが企図される。様々なシールアセンブリ110が、その中にOリング112を保持し得る。ポンプ本体240が、オーバーモールドされたステータ12に取り付けられ得、リテーナダボ140上に配置され得る。ポンプ本体240内で、ジェロータ92が、中央シャフト20の位置を少なくとも部分的に位置付けて整列させ、中央シャフト20の周りにマグネット84を回転させるように回転位置を設定する。上述のように、ポンプ本体240およびジェロータ92が、オーバーモールドされたステータ12に対して様々な回転位置に位置付けされ得る。ポンプ本体240の位置付けにより、ステータ12の極14間に(またはそれに沿って)画定される複数の溝174または流体チャネル176のうちのどれが、流体44の二次流れ194のための二次流路192として機能するかが決定され得ることが企図される。
【0047】
限定でなく例示として、ポンプ本体240は、二次流路192を画定する入口250および出口252を含み得る。入口250は、モジュラー流体ポンプ10の矩形本体に対して各回転位置にある溝174の対応するセットと整列し得る。したがって、ポンプ本体240およびジェロータ92の位置付けに関わらず、ポンプ本体240およびジェロータ92は、典型的には、ステータ12の極14に近接して画定される溝174の対応するセットと整列するであろう。ポンプ本体240およびジェロータ92の配向は、モジュラー流体ポンプ10を組み込むデバイスの正確な構成に応じて変更され得る。
【0048】
様々な態様では、ジェロータ92がロータ18の回転軸32に整列されている限り、ポンプ本体240の配向は、モジュラー流体ポンプ10を形成する上であまり重要でないように、ポンプ本体240の正確な配向は不可欠な考慮事項ではない場合があることも企図される。以下により完全に説明されるように、ポンプ本体240および固定用エンドキャップ34は、複数の回転位置で、ステータ12およびPCB142と整列されるように構成される。これらの回転位置は、典型的には、リテーナダボ140の配置に対応する90度の増分である。モジュラー流体ポンプ10の幾何形状が他の多角形形状を有する場合、他の度数の増分が利用され得る。
【0049】
図34~42および
図54~59に例示されるように、ジェロータ92とポンプ本体240とが、一次流路198を少なくとも部分的に画定するジェロータ92のキャビティを形成する。ポンプ本体240は、流体44の圧力流42をジェロータ92の圧力側から、二次流路192を形成する溝174を下って導くように、ポンプ本体240を通って延在するフローポートを含み、フローポートはまた、流体44の圧力流42が、二次流路192を通ってジェロータ92の吸込み側に戻ることを可能にする。さらに、ポンプ本体240は、ジェロータ92の圧力側をジェロータ92の吸込み側から分ける材料の壁を含み、この材料の壁は、流体44の流れ42を、二次流路192を形成する溝174内へ偏らせて、流体44の二次流れ194を画定する働きをする。この材料の壁は、典型的には静止し、ロータ18の中央シャフト20の近くに位置付けられる1つ以上、典型的には2つのパドル242を含み得る。ポンプ本体240から下方に延在するこれらのパドル242は、ロータキャビティ244内で、圧力側を吸込み側から分離する。これは、流体44の二次流れ194を、二次流路192を画定する成形溝174を下って導く働きをする。流体44のこの二次流れ194は、ベアリングボール38を潤滑し、かつPCB142の様々な構成要素を冷却する働きをする。流体44の二次流れ194に加えて、モジュラー流体ポンプ10の内部構成要素に潤滑を提供するために、内部グリースも利用され得ることが企図される。
【0050】
再び
図14~16、
図35~39、および
図54~59を参照すると、ポンプ本体240およびジェロータ92が、オーバーモールドされたステータ12上に配置された後、モジュラー流体ポンプ10の基本的な形態260が実質的に完成する。このアセンブリは、リテーナダボ140上に固定されない場合がある。デバイスの様々な態様によれば、モジュラー流体ポンプ10の固定用エンドキャップ34は、構成要素を一緒に固定してモジュラー流体ポンプ10を形成するために、リテーナダボ140上に回転的に固定され得る。リテーナダボ140は、ステータ12の様々な長さに対応する複数の長さを含み得る。また、様々な長さのリテーナダボ140が、様々な寸法のポンプ本体240および固定用エンドキャップ34に適合する。
【0051】
図14~16および
図40~59を参照すると、モジュラー流体ポンプ10の固定用エンドキャップ34は、ポンプ本体240およびジェロータ92と係合する標準側270を含み得る。この標準側270は、様々な設計のモジュラー流体ポンプ10の間で実質的に類似した構成のものであり得る。標準側270の反対側は、特定の設計の様々な構成要素が固定用エンドキャップ34内に実装されるであろうカスタム側272である。標準側270に、1つ以上の保持スロット274が、固定用エンドキャップ34の材料内に画定され得る。これらの保持スロット274は、各リテーナダボ140のスロット付き端部276を受容し得るアイスロットを含み得る。各リテーナダボ140のスロット付き端部276が保持スロット274のアイに入ると、固定用エンドキャップ34の回転が、各ダボのスロット付き端部276を、保持スロット274を通って移動させ、対応する保持スロット274内にリテーナダボ140の各スロット付き端部276を固定する。
【0052】
固定用エンドキャップ34内に含まれる保持スロット274は、固定用エンドキャップ34の回転がまた、各リテーナダボ140に対して固定用エンドキャップ34を付勢し、ポンプ本体240に対して固定用エンドキャップ34を付勢して、シールアセンブリ110内のOリング112を圧縮し、固定用エンドキャップ34の複数の係止位置278のうちのいずれか1つを画定する実質的に流体密封嵌合を形成するように、傾斜され得ることも企図される。様々なデテントが、各リテーナダボ140のスロット付き端部276を、固定用エンドキャップ34の協働するスロット内に実質的に固定するように、固定用エンドキャップ34の保持スロット274内に含まれ得る。このようにして、モジュラー流体ポンプ10の形成は、ボルト、ネジ、溶接、ならびに構成要素を一緒に固定するために従来の流体ポンプで使用され得る他の取り付け機構および方法などの留め具を必要とせずに、達成され得る。
【0053】
モジュラー流体ポンプ10は、固定用エンドキャップ34とリテーナダボ140とのツイストロック回転係合を通じて一緒に固定されるため、モジュラー流体ポンプ10内にドリル加工する必要がある穴の数が大幅に低減され、モジュラー流体ポンプ10内の漏れの機会も低減される。この構成を通じて、モジュラー流体ポンプ10の固定は、オーバーモールドされたステータ12、ポンプ本体240(組み合って基本的な形態260を形成する)、および典型的にはモジュラー流体ポンプ10の固定用エンドキャップ34の形態であるマニホールドの形態の、主に、モジュラー流体ポンプ10のスタック内の3つの構成要素を通じて達成され得る。固定用エンドキャップ34内の付勢または保持スロット274の構成を通じて、固定用エンドキャップ34のツイストロック機構または構成が、固定用エンドキャップ34とポンプ本体240との間の付勢嵌合を提供し、モジュラー流体ポンプ10の様々な構成要素を一緒に保持する。ポンプ本体240および固定用エンドキャップ34は機械加工された特徴を含むため、これらの構成要素は、モジュラー流体ポンプ10内の必要な許容差を保持し、担い得る。
【0054】
再び
図4~8Aおよび
図20~26を参照すると、上述のように、巻線16からPCB142内に延在するワイヤ136は、中間端子を含まない。上部エンドプレート132内に含まれる固定用タワー134は、巻線136上にひずみ緩和290を提供し、ワイヤ136を巻線16からPCB142の端部上のひずみ緩和290まで導く構造チャネルも提供する。このひずみ緩和290は、PCB142の外縁に位置付けられているひずみ緩和ノッチ292を含み得る。また、あらかじめ錫メッキされたはんだパッド156にはんだ付けしながら、PCB142へワイヤ136を折り畳んで保持するために、構造的支持体がPCB142に提供される。PCB142のこの構造は、ステータ12を形成する積層スタック120の端部の一方に位置付けられた上部エンドプレート132から上方に延在するヒートステークポスト150によって提供される。これらのポスト150は、PCB142に支持を提供するために、上部エンドプレート132内に組み込まれている。はんだ付け、ワイヤ136の折り畳み、および他の同様の動作など、様々な動作がPCB142上で実行されるときに、ヒートステークポスト150が、製造中にPCB142を支持し、PCB142へ損傷を防止するための構造を、PCB142の下に提供する。さらに、ヒートステークポスト150によって画定される、上部エンドプレート132とPCB142との間の空間が、流体44の二次流れ194が移動して、PCB142の構成要素に冷却を提供する二次流路192の少なくとも一部を提供し得る。
【0055】
デバイスの様々な態様によれば、
図11~14に例示されるように、巻線16がステータ12の極14上に位置付けられた後であるが、オーバーモールド化合物172がステータ12を覆う前に、少なくとも1つのフラックスコレクタポケット310が、ステータ12内に配設され得ることが企図される。これらのフラックスコレクタポケット310は、ロータ18から磁場を伝え、この磁場をPCB142上のホール効果センサに導くように機能し得る。ホール効果センサは、ステータ12に対するロータ18の回転位置を評価するための任意のセンサ通信に使用され得る。特定の条件下では、フラックスコレクタポケット310は、各設計のモジュラー流体ポンプ10に取り付けられ得る。モジュラー流体ポンプ10の各実装にフラックスコレクタが必要であるわけではないことを理解されたい。ロータ18のセンサレス通信が望まれる構成では、フラックスコレクタポケット310がステータ12内に含まれなくてもよい。
【0056】
再び
図1~16および
図18~59を参照すると、モジュラー流体ポンプ10の様々な構成は、モジュラー流体ポンプ10のすべてではないにしてもほとんどの実装が典型的に含むであろう様々な標準構成要素を含み得る。そのような構成要素は、以下に限定されないが、ロータ18と、中央シャフト20と、マグネットポケット82を有するロータ本体80と、を含み得る。上述のように、ロータ18のマグネット84の正確な構成および材料は、モジュラー流体ポンプ10の正確な使用および実装に応じて変わり得る。ステータ12、極14、および巻線16が、典型的には、モジュラー流体ポンプ10の各設計の標準部品として含まれるであろう。さらに、巻線16のワイヤ136およびグランドワイヤ162も、典型的には、モジュラー流体ポンプ10の各設計に含まれ、PCB142との接続も同様であろう。ステータ12を囲むオーバーモールド化合物172、リテーナダボ140、およびPCB142も、典型的には、モジュラー流体ポンプ10の各態様内の標準構成要素であろう。モジュラー流体ポンプ10内に、様々なカスタム特徴36も含まれ得る。これらのカスタム特徴36はまた、上述のように、ロータ18のマグネットポケット82内に配設されたマグネット84の材料、ステータ12に対するジェロータ92およびポンプ本体240の回転位置、特定の用途でのモジュラー流体ポンプ10の位置を配向するためのPCB142とのジャンパコネクタの使用、固定用エンドキャップ34またはマニホールドの正確な構成を含み得る。上述のように、固定用エンドキャップ34は、特定の用途、設定、または設計内にモジュラー流体ポンプ10を取り付けるか、そうでなければ組み込むために有用である様々な設計固有の特徴を有するカスタム側272を含み得る。
【0057】
図35~59に例示されるように、ジェロータ92は、ポンプ本体240内に取り付けられる。デバイスの様々な態様では、モジュラー流体ポンプ10のジェロータ92は、ポンプ本体240の構成に対する対応する変更に従って、厚さおよび/または直径によって変化し得る複数の容量構成を含み得る。したがって、モジュラー流体ポンプ10は、押出ブランク(extrusion blank)としてステータ12の対応する幅と一致する異なる幅で提供される、様々なポンプ本体240を有するように設計され得る。典型的には、ポンプ本体240の3つの異なる構成が、ステータ12の対応する幅と一致するように提供されるであろう。ポンプ本体240およびステータ12の可変構成は、ジェロータ92の3つの構成に適応するために機械プログラムを単純に変更することを伴う、ポンプ本体240の厚さまたはジェロータのポケット径のいずれかにおける柔軟性を可能にする。ジェロータ92がポンプ本体240内に取り付けられた後に、上部ベアリングボール234が、ロータ18の中央シャフト20の端部において凹状座部46に位置付けられる。
【0058】
モジュラー流体ポンプ10の使用を通じて、単一のモジュラー流体ポンプ10またはモジュラー流体ポンプ10のファミリーが製造され得ることが企図される。これらのモジュラー流体ポンプ10は、製造後、特定の具体的な用途または設計内に組み込むようにカスタマイズされ得る。モジュラー流体ポンプ10内に含まれるカスタマイズ可能な特徴は、配向、特定の材料、軸方向構成、およびモジュラー流体ポンプ10が広範囲の用途または設計内に組み込まれることを可能にする他の態様の変更を可能にする。
【0059】
ここで、
図1~59を参照すると、モジュラー流体ポンプ10の様々な態様を説明したので、モジュラー流体ポンプ10を製造するための方法400が開示される。方法400によれば、オーバーモールドされたステータ12は、オーバーモールドされたステータ12の端部から延在する複数のリテーナダボ140を有して形成される(ステップ402)。ロータ18も形成され、ロータ18は、金属製中央シャフト20と、複数のマグネットポケット82または凹部と、を含む(ステップ404)。次に、マグネット84が、ロータ18内に画定された各マグネットポケット82内に配設され得る(ステップ406)。ベアリングボール38が、中央シャフト20の凹状端部40に磁気的に取り付けられ得る(ステップ408)。上述のように、ロータ18内にマグネット84を位置付けることにより、ロータ18の取り付け中に、ベアリングボール38を所定の位置に保持するのに十分であり得る磁性を中央シャフト20に提供する磁束100が生成され得る。方法400によれば、ベアリングボール38は、典型的には、下部ベアリングボール232であり、中央シャフト20が、次に、固定エンドキャップ28の凹状座部46と係合するように位置付けられる(ステップ410)。上述のように、中央シャフト20は、ロータマグネット84によって提供される磁束100を通じて磁気的に活性化されるため、中央シャフト20は、固定エンドキャップ28の凹状座部46内に下部ベアリングボール232を保持および位置付けるためのツールとして機能し得る。次いで、ポンプハウジング26が、オーバーモールドされたステータ12およびリテーナダボ140に固定され得る(ステップ412)。次いで、ジェロータ92が、ポンプ本体240内の中央シャフト20に固定される(ステップ414)。ジェロータ92が、回転軸32に沿って中央シャフト20およびロータ18を少なくとも部分的に位置付ける。次いで、固定用エンドキャップ34が、リテーナダボ140のスロット付き端部276上に回転的に固定される(ステップ416)。このようにして、固定用エンドキャップ34が、追加の留め具を使用することなく、固定用エンドキャップ34をリテーナダボ140に固定するツイストロック構成を提供する。モジュラー流体ポンプ10のこの留め具のない構成が、従来の流体ポンプ内に含まれ得る締結孔および他のアパーチャの不必要な使用を防止する。
【0060】
図1~
図59に例示されるように、固定用エンドキャップ34の形態のマニホールドは、リテーナダボ140内に着座され、所定の位置に回転されて、モジュラー流体ポンプ10の残りの部分、特に、様々なOリング112に圧縮荷重を提供する。本明細書で考察されるように、オーバーモールドされたステータ12は、モジュラー流体ポンプ10のモータまたは油圧機能に影響を与えることなく、ポンプ40の任意の側面上に電気/データコネクタ320を位置付けるように、典型的には、90度の増分で組み立てられ得る。モジュラー流体ポンプ10のこのモジュラー構成を通じて、ポンプ10の様々な構成が、広範囲の利点を提供し得る。これらの利点としては、以下に限定されないが、最大約10バールの圧力範囲、最大約14リットル/分の流量範囲、約-40℃~約150℃の温度範囲(露出)、約-40℃~約125℃の機能範囲(デューティおよび流体に依存)、DC12V、DC24V、およびDC48Vからの電圧バリアント、屋内または屋外用途のためのIP6K9K準拠のシール、電磁適合性、センサまたはセンサレス構成、CAN、LIN、PWN、オン/オフ、および他の通信フォーマットが可能な通信、車中温度検知、完全な診断ログおよび記録、フォールトストレージブラックボックス、低ノイズ構造、要求の厳しいパッケージ制約に適応する柔軟なアーキテクチャ、ならびに柔軟な取り付け構成のための顧客固有のマニホールドなどのための備えが含まれることが挙げられる。
【0061】
本明細書に記載されるように、モジュラー流体ポンプ10内に含まれる様々な構成要素、ならびにモジュラー流体ポンプ10を製造および動作するために使用されるプロセスは、様々な流体ポンプ設計の任意の1つでともに利用され得る。加えて、本明細書に記載のこれらの構成要素およびプロセスはまた、流体関連および非流体関連の設計および用途の両方において、他のタイプのモータ内に実装され得る。
【0062】
本発明の概念から逸脱することなく、前述の構造に対して変更および修正が行われ得ることを理解されるべきであり、さらに、そのような概念は、以下の特許請求の範囲がその言語により明示的に別段の記載をしない限り、その特許請求の範囲によってカバーされることを意図していることを理解されたい。