(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024023339
(43)【公開日】2024-02-21
(54)【発明の名称】バイオリアクタ及び関連方法
(51)【国際特許分類】
C12M 1/00 20060101AFI20240214BHJP
【FI】
C12M1/00 C
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023196414
(22)【出願日】2023-11-20
(62)【分割の表示】P 2020533650の分割
【原出願日】2018-12-20
(31)【優先権主張番号】62/608,261
(32)【優先日】2017-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/733,375
(32)【優先日】2018-09-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/758,152
(32)【優先日】2018-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】520355596
【氏名又は名称】ユニバーセルズ テクノロジーズ エス.エー.
【氏名又は名称原語表記】UNIVERCELLS TECHNOLOGIES S.A.
【住所又は居所原語表記】Chemin de la Vieille-Cour 56/1,1400 Nivelles Belgium
(74)【代理人】
【識別番号】100079980
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 伸行
(74)【代理人】
【識別番号】100167139
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 和彦
(72)【発明者】
【氏名】カスティーリョ,ジョゼ
(72)【発明者】
【氏名】メレス,バスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ロドリゲス,セバスチャン ジーン=ピエール ミシェル
(57)【要約】 (修正有)
【課題】製造及び使用の容易さを促進する一方で、スケールアップ又はスケールダウンした場合であっても、優れた細胞培養結果を実現する装置を提供する。
【解決手段】装置は、バイオリアクタを含む。バイオリアクタはモジュール式であってもよいし、チャンバ内に細胞を培養するための非構造化又は構造化固定床など(らせん床など)の固定床を含み、当該チャンバ内の中央にリターンカラムを配置してもよい。当該モジュール式バイオリアクタは、積層構成に配置された複数の構造化固定床を含んでもよい。当該モジュール式バイオリアクタは、少なくとも細胞が培養されるチャンバを調整(例えば、断熱、加熱、冷却)するための空間を形成する外側ケーシングを含んでもよい。当該バイオリアクタは、放射状に湾曲したブレードを備えたインペラを含んでもよく、外部駆動装置とのアライメントのために、当該インペラを懸架して左右に動くことができるようにしてもよい。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の流れに関連して細胞を培養するための装置であり、
細胞培養用の固定床を含むモジュール式バイオリアクタを具備することを特徴とする装置。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、米国仮特許出願第62/758,152号明細書、第62/733,375号明細書、及び第62/608,261号明細書の優先権の利益を主張するものであり、これらの開示はそれぞれ参照によって本明細書に組み込まれる。米国特許出願公開第2018/0282678号明細書、国際特許出願第PCT/EP2018/076354号明細書、米国仮特許出願第62/711,070号明細書、及び米国仮特許出願第62/725,545号明細書の開示は、参照によって本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本明細書は、細胞培養技術全般に関し、より具体的には、バイオリアクタ及び関連方法に関する。
【発明の概要】
【0003】
本開示の目的は、製造及び使用の容易さを促進する一方で、スケールアップ又はスケールダウンした場合であっても、結果として得られる均一性と再現性とにより、優れた細胞培養結果を実現する、1つかそれ以上の構造化固定床を利用するモジュール式のバイオリアクタを提供することである。
【0004】
本開示の第1の態様によると、流体の流れに関連して細胞を培養するための装置は、細胞培養用の固定床を含むモジュール式バイオリアクタを具備する。
【0005】
いくつかの実施形態において、モジュール式バイオリアクタは、第1のチャンバを有するベース部と、前記固定床を受けるための第2の外側チャンバの少なくとも一部と、前記第2の外側チャンバから前記第1のチャンバに前記流体の流れを戻すための第3の内側チャンバの少なくとも一部とを形成する中間部と、前記中間部上に位置するカバー部とを具備する。前記固定床は構造化固定床を具備してもよく、前記中間部は管状部分を含んでもよく、前記構造化固定床は前記管状部分の周辺でらせん状に延びてもよいし、前記中間部は前記固定床の内壁を具備してもよい。いずれかの実施形態において、前記中間部は、それぞれ構造化固定床に関連付けられた複数の中間部分を含んでもよい。
【0006】
いくつかの実施形態において、前記複数の中間部分の少なくとも1つは、流体が前記少なくとも1つの中間部分の下方の第1の構造化固定床から前記少なくとも1つの中間部分の上方の第2の構造化固定床に流れるように穿孔される。いくつかの実施形態において、前記複数の中間部分はそれぞれ管状であり、各構造化固定床は、前記管状中間部分の周囲に巻き付けられたらせん床を具備する。前記構造化固定床のために、有孔支持体を設けてもよい。
【0007】
いくつかの実施形態において、前記中間部は、前記モジュール式バイオリアクタの周辺を形成する管状ケーシングを具備してもよい。前記管状ケーシングは、前記バイオリアクタを加熱、冷却、又は絶縁するための空間を形成する。前記中間部は、それぞれ相互に接続するように構成された複数の中間部分を具備してもよい。
【0008】
いくつかの実施形態において、前記中間部は、少なくとも1つの中間部分に係合し、前記固定床を受ける前記外側の第2のチャンバの内壁を形成するチューブを含む。前記チューブは、前記チューブの下方の第1の中間部分と前記チューブの上方の第2の中間部分とに係合してもよい。前記第2の中間部分は、前記第3の内側チャンバに沿って流体膜を生成するための開口を含んでもよい。例えば垂直ロッドなどの支持体を、前記第2の中間部分を前記第1の中間部分から支持するために設けてもよい。
【0009】
いくつかの実施形態において、前記カバー部は、複数のポートを含む着脱可能なキャップを具備する。前記着脱可能なキャップは、前記中間部の外径よりも小さい外径を有してもよい。前記ポートの少なくとも1つは、ねじ山付き金属インサートを含んでもよい。前記カバー部は、前記中間部の外径と同等又はそれよりも大きい外径を有してもよい。
【0010】
前記中間部は、少なくとも部分的に前記ベース部内に位置するように構成された中間部分を具備してもよい。前記中間部分は、前記流体の流れを遮断するための流れ遮断器をさらに含んでもよい。
【0011】
前記ベース部は、前記固定床を含む前記第2の外側チャンバと流体連通する前記第1のチャンバの半径方向外側に別のチャンバを含んでもよい。前記別のチャンバは、前記第1のチャンバから前記別のチャンバに流体を送るための複数の開口を有する直立壁によって形成してもよい。
【0012】
いくつかの実施形態において、攪拌機は、前記ベース部に関連付けられる。前記中間部は、外部駆動装置とのアライメントのために横方向の動きを可能にするために前記第1のチャンバ内に前記攪拌機を懸架するように、構成してもよい。
【0013】
いくつかの実施形態において、前記攪拌機を収容するために容器が設けられ、前記容器は中央入口及び半径方向に向けられた複数の出口を含む。分流器が前記中央入口に関連付けられてもよい。いずれかの実施形態において、或いはいずれのバイオリアクタとも別個の独立した構成要素として、前記攪拌機は、複数の湾曲したブレードを具備してもよい。
【0014】
いくつかの実施形態において、前記第3の内側チャンバに流入する前記流体の流れを複数の流れに分割するために、複数の流れ遮断器が設けられる。前記複数の流れ遮断器はリングに関連付けられてもよい。いくつかの実施形態において、ガスが前記流れの1つの後方の空間に流入することを可能にする1つかそれ以上のコンジットが設けられる。前記1つかそれ以上のコンジットを、前記複数の流れ遮断器を含む構造に接続してもよい。例えば、第1のコンジットを前記構造に接続してもよいし、第1及び第2のコンジットの両方を前記構造に接続してもよい。あるいは、前記第1及び第2のコンジットは、前記構造に接続しなくてもよい。
【0015】
本開示のさらなる態様によれば、細胞を培養するための装置が開示される。前記装置は、中央カラムと外側ケーシングの両方に着脱可能に接続されたベース部を具備するモジュール式バイオリアクタを具備し、前記外側ケーシングと前記中央カラムは共に細胞を培養するための区画を形成する。
【0016】
いくつかの実施形態において、前記区画は、少なくとも1つの構造化固定床を含む。前記区画は、積層構成に配置された複数の構造化固定床を含んでもよい。例えばスクリーンなどの、中間部分は、前記複数の構造化固定床のうち少なくとも2つの構造化固定床の間に配置してもよい。
【0017】
いくつかの実施形態において、前記少なくとも1つの構造化固定床はらせん床を具備する。前記複数の積層された構造化固定床はそれぞれ前記中央カラムの周囲に巻き付けられる。前記中央カラムは、第1及び第2の相互接続チューブと、前記第1のチューブの周囲に巻き付けられた、前記複数の構造化固定床のうちの第1の構造化固定床と、前記第2のチューブの周囲に巻き付けられた、前記複数の構造化固定床のうちの第2の構造化固定床とを具備する。前記中央カラムは、前記複数の構造化固定床のうちの少なくとも2つの構造化固定床の間に延びる有孔支持体に係合するための前記第1及び第2のチューブを具備する。
【0018】
いずれかの実施形態において、前記構造化固定床は、前記第2の外側チャンバ又は区画に挿入され、及びこれらから取り外されるように構成されたカートリッジを具備してもよい。
【0019】
本開示のさらなる態様によれば、細胞を培養するためのバイオリアクタが提供される。前記バイオリアクタは、流体を攪拌するための攪拌機を含む第1のチャンバを有するベース部分を具備してもよい。前記ベース部分に、第1の中央カラムを必要に応じて着脱可能に取り付けてもよく、前記第1の中央カラムは、細胞を培養するための第2の外側チャンバと、前記第2の外側チャンバから前記第1のチャンバに前記流体の流れを戻すための第3の内側チャンバとの少なくとも一部を形成する。
【0020】
本実施形態または他の実施形態において、前記第2の外側チャンバは、第1の構造化固定床を含む。本実施形態または他の実施形態において、前記第1の構造化固定床はらせん床を具備し、前記第1の中央カラムの周囲に巻き付けられてもよい。また、第2の中央カラムは、前記第2の外側チャンバの少なくとも一部を形成し、前記第1の構造化固定床から垂直に離間された第2の構造化固定床をさらに含んでもよい。有孔支持体が、前記第1の構造化固定床と前記第2の構造化固定床との間に設けてもよい。
【0021】
いずれかの実施形態において、前記第2の外側チャンバは非構造化床を含む。
【0022】
本開示のさらに別の態様によれば、流体と関連して細胞を培養するためのバイオリアクタが開示される。前記バイオリアクタは、前記流体を攪拌するための攪拌機を含む第1のチャンバと、細胞を培養するための複数の積層された床を含む第2の外側チャンバと、前記第2の外側チャンバから前記第1のチャンバに前記流体を戻すための第3の内側チャンバとを具備する。
【0023】
いくつかの実施形態において、前記バイオリアクタは、前記第1のチャンバを有するベース部と、第2の外側チャンバの少なくとも一部及び前記第3の内側チャンバの少なくとも一部を形成する中間部と、前記中間部上に位置するカバー部と、を具備する。本実施形態または他の実施形態において、前記中間部は、前記複数の積層された床の第1の床を支持するための第1の支持体を具備する。前記中間部は、前記複数の積層された床の第2の床を支持するための第2の支持体を具備し、前記ベース部及び前記カバー部と着脱可能に接続するように構成してもよい。
【0024】
いくつかの実施形態において、前記第2の外側チャンバは外壁によって境界が定められる。前記バイオリアクタは、前記外壁との空間を形成する外側ケーシングを含んでもよく、前記空間は、前記第2の外側チャンバを断熱、加熱、又は冷却する。
【0025】
本開示のさらに別の態様は、流体と関連して細胞を培養するためのバイオリアクタが開示される。前記バイオリアクタは、前記流体を攪拌するための攪拌機を含む第1のチャンバと、細胞を培養するための少なくとも1つの床を含む第2の外側チャンバと、前記第2の外側チャンバから前記第1のチャンバに流体を戻すための第3の内側チャンバとを具備する。前記第2の外側チャンバは、外壁によって境界が定められてもよく、さらに、前記外壁と空間を形成する外側ケーシングを含み、前記空間は、前記第2の外側チャンバを断熱、加熱、又は冷却するためのものである。
【0026】
本実施形態又は他の実施形態では、前記少なくとも1つの床はらせん床などの、構造化固定床を具備するが、非構造化床であってもよい。前記内部チャンバは、少なくとも1つのチューブ(チューブは前記床と別であっても一部であってもよい)で形成してもよい。前記少なくとも1つのチューブは、前記少なくとも1つの床の境界を定める第1及び第2の支持体に接続してもよい。前記第1及び第2の支持体は前記外壁に接続してもよく、又は、前記第1及び第2の支持体は少なくとも部分的に穿孔してもよい。
【0027】
本開示のさらに別の部分は、攪拌機を含むバイオリアクタを具備し、前記バイオリアクタは、前記攪拌機を懸架状態に維持し、外部駆動装置とのアライメントのために横方向の動きを可能にするように構成される、細胞を培養するための装置に関する。
【0028】
いくつかの実施形態において、前記バイオリアクタは、前記攪拌機を受けるベース部と、前記懸架状態で前記攪拌機を保持するキャリアを支持するための中間部とを含む。前記キャリアは、前記中間部と係合するためのクリップを具備してもよい。
【0029】
本開示のさらなる態様は、細胞を培養するための装置に関する。前記装置は、複数の湾曲したブレードを有する攪拌機を含むバイオリアクタを具備する。前記攪拌機は、前記複数の湾曲したブレードの半径方向内側に中央開口領域を含んでもよく、1つ又は複数の磁石を含んでもよい。
【0030】
本開示は、また、第1及び第2の積層された構造化床を具備するバイオリアクタに関する。前記バイオリアクタは、前記第1及び第2の積層された構造化床の両方に係合するスクリーンをさらに含んでもよい。前記第1及び第2の積層された床は、らせん床などの構造化床を具備してもよい。
【0031】
また、バイオリアクタの中央カラムを形成する構造化固定床を含むバイオリアクタが、開示される。前記構造化固定床はらせん床を具備してもよい。中央カラムは、流体を、上から下など構造化固定床を介して再循環に戻すよう形成され、前記構造化固定床の内面は、流体非透過性である。バイオリアクタはモジュール式であってもよく、積層された複数の構造化固定床を設けてもよく、場合によっては積層した各床の間にギャップ又はスペーサが設けられる。
【0032】
本開示のなおさらなる態様によれば、バイオリアクタを製造する方法が提供される。前記方法は、流体を攪拌するための攪拌機を有する第1のチャンバを含むベース部を、第2の外側チャンバから送られる流体に関連して細胞を培養するための第2の外側チャンバと、前記ベース部の第1のチャンバに前記流体を戻すための第3の内側チャンバとの少なくとも一部を形成する少なくとも1つの中間部に接続することを含む。
【0033】
いくつかの実施形態において、前記方法は、前記少なくとも1つの中間部上にカバー部を接続する工程を含む。前記方法は、前記中間部の周囲にマトリクス材料をらせん状に巻き付けて、細胞を培養するための構造化固定床を前記外側チャンバ内に形成する工程、又は、構造化固定床を前記第2の外側チャンバに挿入する工程をさらに含んでもよい。前記方法は、前記第2の外側チャンバの周辺を形成するための外側ケーシングを設けること、又は、前記外側ケーシングを前記ベース部に接続することをさらに含んでもよい。別の工程は、複数の構造化固定床を前記第2の外側チャンバに積層すること、又は、前記複数の構造化固定床の間に有孔支持体を設けることを含む。いずれかの実施形態において、前記方法は、横方向の動きによって外部駆動装置とのアライメントを可能にするために前記攪拌機を前記ベース部の上方に懸架する工程をさらに含んでもよい。
【0034】
本開示のさらに別の態様は、バイオリアクタに複数の構造化固定床を設けることを含む、バイオリアクタの製造方法である。前記方法は、前記複数の構造化固定床のそれぞれの間に有孔スペーサを設ける工程をさらに含んでもよい。前記方法は、各構造化固定床の内側に沿って内側チューブを設け、各構造化固定床の外側に沿って外側チューブを設ける工程をさらに含んでもよい。また、前記方法は、前記外側チューブの半径方向外側にケーシングを設ける工程をさらに含んでもよく、前記ケーシングは、前記バイオリアクタを断熱、加熱、又は冷却するための空間を規定する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
本開示の新規な特徴は、添付の特許請求の範囲に詳細に記載される。本発明の原理が利用される例示的な実施形態について述べた以下の詳細な説明及び添付図面を参照することにより、本発明の特徴及び利点のさらなる理解が得られるであろう。
【0036】
【
図1】本開示に係るバイオリアクタの第1の実施形態の斜視図である。
【
図2A-2C】
図1のバイオリアクタを使用可能な環境を示す。
【
図3】複数の拡大図を含む、
図1のバイオリアクタの斜視図である。
【
図3A-3C】開示のバイオリアクタのいずれかで細胞を培養するための構造化固定床の形成に使用するマトリクス材料を示す。
【
図4】
図1のバイオリアクタのモジュール式バージョンを示す。
【
図5】本開示に係るバイオリアクタの第2の実施形態の断面図である。
【
図6】
図5のバイオリアクタのベース部の断面図である。
【
図7】
図5のバイオリアクタの中間部分を部分的に切り欠いた上面図である。
【
図8】
図5のバイオリアクタの中間部分を部分的に切り欠いた底面図である。
【
図9】
図5のバイオリアクタのカバー部の斜視図である。
【
図10】プラスチックポートに金属糸を配する方法を示す断面図である。
【
図11-11B】本開示に係るバイオリアクタの第3の実施形態の様々な図である。
【
図14】本開示に係るバイオリアクタの第4の実施形態の断面図である。
【
図15】
図14のバイオリアクタの一部を部分的に切り欠いた図である。
【
図16】
図14のバイオリアクタの一部を部分的に切り欠いた図である。
【
図16A-16C】
図14のバイオリアクタのさらなる実施形態の断面図である。
【
図17-18】本開示に係るバイオリアクタの第5の実施形態の概略図である。
【
図19-20】インペラの実施形態の底面図及び上面図である。
【
図21】様々な形式のインペラ及び対応のハウジングを示す図である。
【
図22】本開示に係る別のインペラの上面図である。
【
図25-26】バイオリアクタの「ウォーターフォール」の下部にガスを供給するのに使用する導管を示す。
【
図27-28】バイオリアクタと共に使用するプローブの実施形態を示す。
【
図29-30】バイオリアクタの試験を示すグラフである。
【
図31-32】積層構成における構造化固定床の細胞密度を評価するためのバイオリアクタの試験を示すグラフである。
【
図33-38】本開示に係るモジュール式バイオリアクタの製造方法を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
バイオリアクタは細胞の培養にしばしば使用される。一般的なバイオリアクタは固定の寸法(特に、高さ)で構成されるため、治療等を行うために細胞培養が必要となる可能性のある遠隔地(特に、途上国)への輸送が困難かつ高価となる可能性がある。また、性質が固定であるため、過去のバイオリアクタを様々な用途に適用することができない。
【0038】
さらなる問題は、所与の領域の細胞密度を最大化する能力に関する。バイオリアクタに関する過去の多くの提案では、流動床を使用している。このような床は細胞の増殖を促進するのに有用であり、特定の利点を提供し得るが、当該床の作成には、最終的にバイオリアクタ内において大容量の空間が必要となる。求められる細胞増殖を達成しつつ、かつ床が構造化されていない又は流動性のバイオリアクタを簡単にスケーリングすることも困難であり、現場における様々な動作条件(例えば、クリアランスが制限される可能性がある滅菌フード内を含む)で利用可能なバイオリアクタが現在求められている。
【0039】
したがって、特に遠隔地での配達及び組み立てが容易であり、及び/又は様々なサイズ又は構成での使用、又は、異なる用途又は使用に容易に適用可能である、改善されたバイオリアクタの必要性が確認されている。本開示のいくつかの実施形態では、本開示は、生物学的生成のシステム及び方法に関する。特に、細胞、ウイルス、又は細胞若しくはウイルス由来の生成物の生成に関する。
【0040】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるバイオリアクタは、高密度の細胞増殖を可能にする。例えば、細胞密度は、少なくとも200万cells/ml、少なくとも500万cells/ml、少なくとも1000万cells/ml、少なくとも2000万cells/ml、少なくとも4000万cells/ml、少なくとも6000万cells/ml、又は少なくとも1億cells/mlである。いくつかの実施形態では、細胞密度は、3億、2億5000万、又は2億cells/mlに達してもよい。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるバイオリアクタは、少なくとも1L、少なくとも10L、少なくとも30L、少なくとも40L、又は少なくとも50Lの総容量を有してもよい。いくつかの実施形態では、当該バイオリアクタの総容量は、最大で2500L、最大で200L、最大で150L、最大で100L、又は最大で75Lであってもよい。バイオリアクタの総容量として、バイオリアクタに導入して満たすことのできる液体の総量を参照することができる。
【0041】
いくつかの実施形態では、当該バイオリアクタは、灌流バイオリアクタ、ウェーブバイオリアクタ、円筒型バイオリアクタ、バッグバイオリアクタ、移動床バイオリアクタ、充填床バイオリアクタ、繊維状バイオリアクタ、膜バイオリアクタ、バッチバイオリアクタ、又は連続式バイオリアクタであってもよい。いくつかの実施形態では、当該バイオリアクタは、適切な材料(例えば、ステンレス鋼、ガラス、アルミニウム、又はプラスチック)から構成する、又は当該材料を含んでもよい。いくつかの実施形態では、当該バイオリアクタは、生成物の下流分析を可能にする。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のバイオリアクタは、1つかそれ以上の不活性化ユニットと、又は1つかそれ以上の不活性化ユニットに接続して、例えば生成された生成物(例えば、ウイルス)、濃縮器、又は精製ユニットを不活性化することができる。いくつかの実施形態では、濃縮器は、ターゲットとなる生体分子が存在する液体の体積を減らすのに適した装置である。いくつかの実施形態では、当該濃縮器は、接線流フィルター又はデッドエンドフィルターを含む。いくつかの実施形態では、当該濃縮器は、ろ過及び/又はサイズ排除クロマトグラフィに基づく。いくつかの実施形態では、当該濃縮器は、ろ過装置、精密ろ過装置、又は限外ろ過装置、又は精密ろ過装置及び限外ろ過装置の両方を組み合わせたものであってもよい。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の精製ユニットは、ろ過装置、限外ろ過装置、透析ろ過装置、pH調整装置、遠心分離装置、洗浄装置、クロマトグラフィカラム(例えば、アフィニティクロマトグラフィ、イオン交換クロマトグラフィ、疎水性相互作用クロマトグラフィ、サイズ排除クロマトグラフィ、又は免疫アフィニティクロマトグラフィ)、クロマトグラフィ膜、収集装置、透析装置、濃縮装置、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。
【0042】
本明細書に記載のバイオリアクタには、蓋又はドアを介してアクセス可能である。いくつかの実施形態では、バイオリアクタのアクセスメカニズムは、例えば、ロック及びキーメカニズム、パスコードパンチパッド、カードスワイプ、トランスポンダリーダ、指紋スキャナ、網膜スキャナ、センサ、無線周波数識別(RFID)、バイオメトリクス(虹彩や顔認識システムなど)、磁気ストライプ、光学式文字認識(OCR)、スマートカード、音声認識、その他のアクセスメカニズムなどの自動識別及びデータキャプチャ方法を含む。
【0043】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるバイオリアクタは、プロセスコントローラを含んでもよい。いくつかの実施形態では、当該プロセスコントローラは、バイオリアクタの動作を制御するように構成され、複数のセンサ、ローカルコンピュータ、ローカルサーバ、リモートコンピュータ、リモートサーバ、又はネットワークを含んでもよい。いくつかの実施形態では、当該バイオリアクタは、1つかそれ以上のセンサ、例えば、温度センサ(熱電対など)、流量センサ、ガスセンサ、又は任意の他のセンサを含んでもよい。いくつかの実施形態では、当該プロセスコントローラは、生成物製造プロセスの態様を制御するように動作可能であり、バイオリアクタ内に配置されたセンサに結合して、例えば、リアルタイムで当該バイオリアクタの温度、体積流量又はガス流量を制御することができる。いくつかの実施形態では、プロセスコントローラは、システムの状態を決定するためにユーザがアクセスできる、例えば、コンピュータモニタ、スマートフォンアプリ、タブレットアプリ、又はアナログディスプレイなどのディスプレイを含んでもよい。いくつかの実施形態では、当該プロセスコントローラは、ユーザがバイオリアクタの動作を制御するための制御パラメータを入力することができるように、例えば、キーボード、キーパッド、マウス、又はタッチスクリーンなどの入力装置を含んでもよい。いくつかの実施形態では、当該プロセスコントローラは、当該バイオリアクタへのアクセスを制御することができる。
【0044】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるバイオリアクタは、異なるパラメータをモニタリングするためのセンサを構成する、及び/又は含んでもよい。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるセンサは、本明細書に開示されるバイオリアクタの任意の区画に配置してもよい。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のセンサは、ガスセンサ(例えば、酸素、窒素、又は二酸化炭素)、pHセンサ、温度センサ、細胞濃度センサ、又は溶存酸素センサであってもよい。いくつかの実施形態では、当該本明細書に開示されるセンサは、特に、バイオマス又は細胞密度、溶存酸素分圧、酸素含有量、pTl値、温度や、乳酸塩、アンモニウム、炭酸塩、ブドウ糖、その他の代謝産物など、特定濃度の栄養素、又は、例えば細胞密度を反映する可能性のある代謝される生成物を、測定することができる。いくつかの実施形態では、細胞密度(バイオマス密度)は、測定電極の配列を使用した電気インピーダンス分析又は電気インピーダンス分光法によって決定することができる。いくつかの実施形態では、本開示によるバイオリアクタは、培養パラメータを測定するためのセンサを含んでもよい。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるセンサは、バイオリアクタ内の培地と接触することができる。いくつかの実施形態では、培養パラメータは、特に、溶存酸素分圧、pH、温度、光学密度や、乳酸塩、アンモニウム、炭酸塩、ブドウ糖、その他の代謝産物など、特定濃度の栄養素、又は、例えば細胞密度を反映する可能性のある代謝される生成物を、含んでもよい。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるバイオリアクタは、当該開示されるパラメータに従って調節ループを使用することができる。いくつかの実施形態では、調節ループは、例えば、存在する溶存酸素分圧の値又は細胞によって消費される溶存酸素の量、培地の循環速度などに応じて、注入する酸素の量を変更することができ、センサの取得したpH値又はこの種類の培養において一般的に使用される他の種類の基準に応じて、CO2を注入する。いくつかの実施形態では、細胞は、300μM以下(160mmHgの分圧)、200μM未満、又は20~150μMの溶存酸素濃度に晒すことができる。いくつかの実施形態では、細胞は、約0%、1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、78%、80%、90%、又は100%の窒素に晒すことができ、及び/又は約0%、1%、5%、10%、21%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又は100%の酸素に晒すことができる。いくつかの実施形態では、細胞は、純酸素又は酸素が豊富な環境に晒すことができる。
【0045】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるバイオリアクタは、培地を加熱及び/又は冷却するように設計された加熱及び/又は冷却装置を含んでもよい。いくつかの実施形態では、当該加熱装置は、例えばサーモスタット制御された二重ジャケットなどの、細胞培養の分野で一般的に使用される電気素子、電気コイル又は他の任意の加熱手段であってもよい。いくつかの実施形態では、冷却装置は、ペルチェ素子などの任意の適切な冷却装置であってもよい。いくつかの実施形態では、培地及びガスに関して、バイオリアクタはガス及び/又は培地を導入するための少なくとも1つの入口、及びバイオリアクタに含まれる培地を回収するための少なくとも1つの出口を含む。いくつかの実施形態では、ガス又はガス状混合物と培地の混合物は、同一の供給ラインを介して供給することができる。
【0046】
いくつかの実施形態では、培地は、攪拌機を介して循環させることができる。いくつかの実施形態では、攪拌機は、回転可能な非接触磁気インペラ、ブレード又はスクリュー攪拌システム、又は外部循環システムであってもよい。いくつかの実施形態では、当該攪拌機は、ディスクブレードタービン、湾曲ブレードタービン、オープンレイド流体フォイル軸インペラ、ピッチドブレードを備えたタービンインペラ、又は3ブレードプロペラを含んでもよい。いくつかの実施形態では、攪拌機は、約0.01 l/min、0.05 l/min、0.1 l/min、0.5 l/min、1 l/min、2 l/min、5 l/min、10 l/min、15 l/min、20 l/min、50 l/min、100 l/min、又は150 l/min未満から約160 l/min、180 l/min、200 l/min、又は250 l/min以上の流量を有してもよい。
【0047】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のバイオリアクタは、固定床を含む。いくつかの実施形態では、固定床は構造化固定床である(これは、複製が容易で、通常均一の、実質的に固定の構造に形成されているため、ランダムに配向又は構造化されないことを意味し、この条件を満たしながら様々なサイズや形状をとることができることは明らかである。)。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の構造化固定床は、培地及び細胞の循環を依然として可能にしながら、小さい体積内に大きな細胞成長表面を提供することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される構造化固定床は、細胞及び細胞培地のための蛇行した経路を備えても良い。いくつかの実施形態では、スペーサ層は蛇行した経路を容易にする。いくつかの実施形態では、構造化固定床は、細胞を付着及び増殖させることができる表面を有し、細胞固定化セクションを形成する、1つかそれ以上の細胞固定化層を備えてもよい。いくつかの実施形態では、1つかそれ以上のスペーサ層が、細胞固定化層に隣接する。いくつかの実施形態では、スペーサ層は、スペーサセクションを形成する構造を含んでもよい。いくつかの実施形態では、スペーサセクションは、開放しているが蛇行した経路を介して細胞及び培地の通過を可能にする。いくつかの実施形態では、スペーサ層の構造又は性質は、スペーサ層が、細胞及び培地が前記スペーサ及び細胞固定化層の表面と平行に移動するための蛇行した開いたパスを形成するように、選択され得る。いくつかの実施形態では、スペーサセクションによって形成された蛇行した経路又はチャネルは、乱流を作り出し、細胞及び細胞培地の、固定化層への侵入を容易にする。
【0048】
いくつかの実施形態では、スペーサ層はメッシュであってもよいし、メッシュ構造を含んでもよい。いくつかの実施形態では、メッシュ構造又はメッシュは、フィラメント、ワイヤ若しくは糸のネットワーク又はウェブ状のパターンを含む構造であってもよい。いくつかの実施形態では、当該ネットワークは、三次元織りで形成された細孔、開口、又は穿孔を規定することができる。いくつかの実施形態では、スペーサセクション及び固定化セクションのスペーサ層及び/又は細胞固定化層は、生体適合性ポリマ(例えば、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、プラズマ処理ポリエチレン、プラズマ処理ポリエステル、プラズマ処理ポリプロピレン又はプラズマ処理ポリアミド)で作製することができる。いくつかの実施形態では、当該スペーサ層又は当該細胞固定化層は、シリカ、ポリスチレン、アガロース、スチレンジビニルベンゼン、ポリアクリロニトリル又はラテックスで構成することができる。いくつかの実施形態では、当該層は親水性又は疎水性であってもよい。いくつかの実施形態では、当該細胞固定化層は親水性であってもよい。いくつかの実施形態では、細胞固定化層は織布又は不織布であってもよい。いくつかの実施形態では、細胞固定化セクションとスペーサセクションとは交互に配置することができる。いくつかの実施形態では、交互に配置されたセクションは、垂直位置又は水平位置で交互に配置することができる。いくつかの実施形態では、細胞固定層の1つかそれ以上の層を、1つかそれ以上のスペーサ層に重ね合わせることができる(又はその逆)。いくつかの実施形態では、本明細書に開示する構造化床は、スパイラル構造又は様々な形状などの構造にきつく又は緩く巻き付けることができる。
【0049】
次に、本開示の一態様に係る、細胞を培養するためのバイオリアクタ100の一実施形態を示す
図1~3を参照する。いくつかの実施形態では、当該バイオリアクタ100は、内部区画を形成する外部ケーシング又はハウジング112と、内部区画を覆うための着脱可能なカバー114とを含む。当該カバー114は、流体、ガス(スパージャによる方法を含む)、プローブ、センサ、サンプラなどを選択的に導入又は除去することを可能にする着脱可能なカバー又はキャップCを備えた様々な開口又はポートPを含んでもよい。
図2A、2B、及び2Cに示すように、いくつかの実施形態では、当該バイオリアクタ100は、外部タンク102及びコンジット104(例えば、送り、戻り)と共に使用して、当該バイオリアクタ100に流体を循環させるための連続ループを形成してもよい。
【0050】
バイオリアクタ100全体に流体又は気体の流れを伝達するために、当該バイオリアクタハウジング112によって形成された内部区画内に複数の区画又はチャンバを設けてもよい。
図3に示すように、いくつかの実施形態では、当該チャンバは、当該バイオリアクタ100の基部又はその近くに第1のチャンバ116を含んでもよい。いくつかの実施形態では、第1のチャンバ116は、バイオリアクタ100内に流体の流れを引き起こすための攪拌機を含んでもよい。いくつかの実施形態では、当該攪拌機は、「ドロップイン」回転可能な、非接触磁気式インペラ118の形態であってもよい(これは、以下にさらに概説するように、流体を受け入れる及び放出するための複数の開口を含む容器(図示せず)内に捕捉又は含まれてもよい)。いくつかの実施形態では、当該攪拌を実行した結果として、流体は、当該バイオリアクタ100の外側又は周辺部分に沿って環状チャンバ120に上向きに流入してもよい(
図2の矢印Aで示すように)。いくつかの実施形態では、当該バイオリアクタは、構造化らせん床122などの固定床を受けるように構成されており、これは、使用時に増殖した細胞を包含及び保持してもよい。
図3に示すように、いくつかの実施形態では、当該らせん床122は、使用時にチャンバ120内に落下又は配置可能なカートリッジの形態であってもよい。いくつかの実施形態では、当該らせん床122は、出荷前に、施設での製造中にチャンバに事前に設置することができる。
【0051】
いくつかの実施形態では、チャンバ120を出る流体は、床122の片(上)側のチャンバ124に送られ、そこでガス(酸素や窒素など)に晒される。いくつかの実施形態では、次に、流体は、半径方向に内向きに、中央リターンチャンバ126に向けて流れてもよい。いくつかの実施形態では、当該中央リターンチャンバは、その性質ゆえに本来円柱状であるが、無孔コンジット又はチューブ128によって形成してもよいし、構造化らせん床の中央開口によって形成してもよい。いくつかの実施形態では、チャンバ126は、流体を第1のチャンバ116に戻し(戻り矢印R)、当該バイオリアクタ100を介して再循環させることで、連続ループ(このバージョンでは、「下から上」へのループ)が生じる。いくつかの実施形態では、チャンバ126内で流体の温度を感知するために、例えば、温度プローブ又はセンサTなどのセンサを設けてもよい。いくつかの実施形態では、流体がチャンバ116に流入する(又は再流入する)前の位置に、追加のセンサ(例えば、pH、酸素、溶存酸素、温度など)を設けてもよい。
【0052】
図3Aは、本開示のバイオリアクタにおける構造化固定床、特に、らせん床122として使用するマトリクス材料の一実施形態を示す。いくつかの実施形態では、1つかそれ以上の細胞固定化層122aは、メッシュ構造から作製された1つかそれ以上のスペーサ層122bに隣接して設けられる。いくつかの実施形態では、当該積層を随意に数回繰り返して積層構成又は層状構成を得てもよい。いくつかの実施形態では、スペーサ層l22bに含まれる当該メッシュ構造は、細胞の蛇行した経路を形成する(固定化層122aの材料に懸濁又は捕捉された
図3Bの細胞Lを参照)。細胞培養は、本願の請求に係る発明の任意の一部を形成してもよく、2つの固定化層122aの間に層状に配置された場合に流れる流体を形成してもよい。細胞の均一性は、この種類の配置の結果として、構造化固定床内で維持される。いくつかの実施形態では、このような蛇行した経路を形成する他のスペーサ構造を使用することができる。いくつかの実施形態では、
図3Aに示すように、構造化固定床は、その後、軸又はコアに沿ってらせん状又は同心円状に巻き付けることができる(例えば、コンジット128、これは複数の構成部品として提供してもよい)。いくつかの実施形態では、構造化固定床の層がしっかりと巻かれている。いくつかの実施形態では、アセンブリ又はマトリクスのサイズは、最終的に、コアの径、層の長さ及び/又は層の量によって決まる。いくつかの実施形態では、層l22a、l22bのそれぞれの厚さは、0.1から5mm、0.01から10mm、又は0.001から15mmであってよい。
【0053】
本開示の一態様によれば、特定の実施形態における当該バイオリアクタ100は、「モジュール式」であってもよい。いくつかの実施形態では、モジュール式バイオリアクタは、モジュールの製造の均一性のために予測性の高い方法で相互に作用して細胞を培養するのに適した空間を形成する複数の個別のモジュールで構成することができる。いくつかの実施形態では、モジュール式バイオリアクタは、特定の形状や形態に限定されない(例えば、用途に応じて、円筒形又はその他の形状、構造化固定床又は非構造化床などを用いてもよい)。例えば、
図4に示すように、いくつかの実施形態では、当該モジュールは、ベースモジュール130、中間モジュール140によって形成された中間部(これは、以下の説明でさらに概説するように、いくつかの積層可能なモジュール式な部位から形成してもよい)、コンジット又はチューブ128などの、オプション対応の中央モジュール(中間モジュールの一部と見なしてもよい)、及び蓋又は着脱可能なカバー114の形態を有するカバー部分によって形成されるようなカバーモジュールで形成されるベース部分を含んでもよい。いくつかの実施形態では、当該モジュールは、個別の構成要素として別々に製造し、意図した用途に応じて製造施設で組み立てるか(その後、使用場所に出荷する)、又は最終的な使用場所で、意図した用途に応じて組み立ててもよい。いくつかの実施形態では、当該バイオリアクタ100のモジュールは、例えば、構造化又は非構造化固定床などの固定床を使用し、細胞を高密度で増殖させる場所を形成するために相互に作用する。
【0054】
本開示によるバイオリアクタ200のさらなる実施形態を、
図5~9に示す。いくつかの実施形態では、バイオリアクタ(モジュール式、又は単一のユニットとして事前に組み立てられる)は、ベース、中間部及びカバーを含んでもよい。いくつかの実施形態では、ベース部は、ベース部分230を含んでもよい。いくつかの実施形態では、中間部は、中間部分250及び/又は270を含んでもよい。いくつかの実施形態では、中間部分250及び270は同一ではない。いくつかの実施形態では、カバー部はカバー部分280を含んでもよい。
図6を参照すると、いくつかの実施形態では、ベース部分230は、外壁232及び内壁234を含んでもよく、これらは、攪拌機(図示せず)を受けるための第1のチャンバ216を規定してもよい。いくつかの実施形態では、内壁234は、外部の壁又は外壁232によって境界が定められた第2の半径方向に外向きのチャンバ220への流体の流れを可能にする開口234aを含んでもよい。
【0055】
図6に示すように、いくつかの実施形態では、当該内壁234は、
図8に示すように、第1の中間部分250上の舌250aなどの対応のコネクタと係合するため、溝236などの複数のコネクタを含んでもよい。いくつかの実施形態では、当該内壁234の高さは、当該外壁232よりも低くても高くてもよい。いくつかの実施形態では、
図8に示すように、当該内壁234の高さは、当該外壁232よりも低くてもよい。
図5を参照すると、いくつかの実施形態では、当該第1の中間部分250は、当該ベース部分230内で少なくとも部分的に窪ませてもよい。
【0056】
いくつかの実施形態では、当該ベース部分230は、溝237などの周辺コネクタを含んでもよい。いくつかの実施形態では、コネクタ又は溝237は、第2の中間部分270の対応のコネクタを受けるように構成することができ、これは単にその外壁262の一部であってもよい。いくつかの実施形態では、中間部分270内において、第3のチャンバ224内に複数の固定床274を配置することができ(ただし、本実施形態又は任意の開示された実施形態では、任意のサイズ、形状、又は形態を取ることができる単一のモノリシック固定床を使用することができる)、これは、介在する支持体によって支持することができるが、固定床の隣接セクション間にギャップGを設けることもできる。上部の床を下部の床に置いて支持するようにすることで、当該隙間をなくすこともできる。
【0057】
いくつかの実施形態では、当該構造化固定床は、
図3、3A、3B、及び3Cに示すように、らせん状の形状にすることができる(らせん形態は、開示又はその他の方法で、バイオリアクタの任意の実施形態に実装することができる)。いくつかの実施形態では、当該床を内壁266の周囲に巻き付けて、流体をベース部分230の第1のチャンバ216に戻すための第5のチャンバ228を形成してもよい。図示するように、当該内壁266は、複数の積層された管状部分を含んでもよい。いくつかの実施形態では、積層された複数の管状部分により、存在する固定床の数に応じて高さを調整することができる(例えば、積層された床ごとに1つの管状部分を設けてもよい)。
【0058】
いくつかの実施形態では、カバー部分280又は蓋は、第2の中間部分270と着脱可能に接続するように構成することができ、したがって、液体が気体(例えば、空気)に接触する第4のチャンバ226を形成することができる。いくつかの実施形態では、当該カバー部分と第2の中間部分との間は、外壁262の上端又は本明細書に開示される任意のアクセスメカニズムを受ける溝282などのコネクタで、接続することができる。当該蓋又はカバー部分280は、様々なポートPを含んでもよい。
【0059】
図7及び8に、当該中間部分250のさらなる詳細を示す。いくつかの実施形態では、当該中間部分250は、半径方向に延びる複数の支持体254を含んでもよく、これにより、構造化固定床が隣接する第3のチャンバ224内に載置された際に、当該構造化固定床を支持することができる。いくつかの実施形態では、支持体254は、流体が垂直に流れるのを可能にする部分的な開口Oを規定する下側棚256を支持してもよい。いくつかの実施形態では、支持体254の高さHは、流体がチャンバ224に流入し、固定床274の全セクションを通過する前に十分な上向きの速度を得るのに十分な高さであればよい。
【0060】
いくつかの実施形態では、内側環状壁258は、支持体254の内側の端に接続することができる。いくつかの実施形態では、当該壁258の径は、(ネスティングなどにより)接続可能な中間部分270の内壁266の径に対応する。いくつかの実施形態では、当該内壁266は、第5のチャンバ228から第1のチャンバ216に流体を送るための流路を形成することができる。いくつかの実施形態では、第5のチャンバ228内において渦が発生するのを防ぐために、当該流路に、流れ遮断器260を設けることができる。
【0061】
いくつかの実施形態では、センサなどの構成要素(図示せず)とのねじ接続を確立するために、カバー部分280上の1つかそれ以上のポートPの内部にねじ山を設けることが望ましい場合がある。したがって、本開示のさらなる態様によれば、
図9及び10を参照すると、カバー部分280は、らせん状のねじ山付きの金属インサート292を射出成形金型294に挿入して、プラスチック材料を金型に注入して複合部分を成形することで、形成してもよい。いくつかの実施形態では、ねじ山を当該カバー部分280に確実に設けることができ、或いはプラスチックで成形してもよい。分かるように、この技術は、ねじ山付きの取り付け具又はポートを必要とする、開示されたバイオリアクタの任意の他の部分と関連付けて使用してもよい。いくつかの実施形態では、この技術で使用するインサートは、IMTECブランドとしてドイツのビーレフェルトにあるWilhelm Bollhoff GmbH&Co.KGから入手可能である。
【0062】
図5より、いくつかの実施形態では、細胞培養チャンバ224内の1つの固定床モジュールからの流れは、隣接する固定床モジュールへ直接流れる、又は遮断されないことを理解されたい。いくつかの実施形態では、外側チャンバ224は、内部に配置した複数の床を通る連続した流路を形成することができ、これは構造化固定床、非構造化固定床、又は非構造化床であってもよい。いくつかの実施形態では、連続的で大部分においてスムーズな流れは事前に設計された対応の床モジュールを通過して流れ、細胞の増殖やその他の処理の均一性を向上させ、細胞培養操作の安定性を向上させる。また、積層された床から測定値又はサンプルを取得する機能が向上し、これは、ブロッキングパーティションが存在する場合には容易ではない(以下で説明するように、有孔支持体の場合とは異なる)。最後に、構造化床の実施形態において、バイオリアクタ全体の製造は、1つの固定床モジュールと他の固定床モジュールとで性質及び特性を一致させるための労力が大幅に削減されるため、複雑さと、作業負荷とが軽減される。
【0063】
次に、バイオリアクタ300の第3の実施形態を明確にする目的で断面図として概略的に示す
図11及び12を参照する。いくつかの実施形態では、バイオリアクタ300(モジュール式、或いは単一ユニットとして事前に組み立てられる)は、カバー333を備えた外側ハウジング331を含み、これらはいずれも流体の導入又は除去を可能にする様々な開口又はポートを含んでもよい。いくつかの実施形態では、バイオリアクタハウジング331内に、複数の区画又はチャンバが設けられ、バイオリアクタ300内に流体の流れを引き起こすための攪拌機を含む第1のチャンバ316が含まれる。これは、本明細書に開示される「ドロップイン」回転可能な、非接触磁気式インペラ318又は攪拌機の形態であってもよい。
図11Aに示すように、いくつかの実施形態では、インペラ318は、流体を受け入れる及び放出するための入口及び出口として機能する複数の開口318bを備えたハウジング又は容器318aなどのハウジング内に格納、捕捉、又は収容することができる(又は任意の他の形態の攪拌機を使用してもよい)。いくつかの実施形態では、流体が第1のチャンバ316の半径方向外側に存在する第2又は外側環状チャンバ320に流入するように攪拌を生じさせることができる。
【0064】
いくつかの実施形態では、流体は、バイオリアクタ300の中間の外側部に沿って、第3の環状チャンバ324に上向きに流れてもよい(
図12の矢印で示すように)。いくつかの実施形態では、外側部は、構造化らせん床325などの固定床を受けるように構成することができ(他の形態を使用してもよい)、使用時に増殖する細胞を含んでもよい。いくつかの実施形態では、らせん床325は、使用時にチャンバ324内に簡単に落下させることができるカートリッジの形態とすることができ、又は出荷前の施設において製造中にチャンバに予め取り付けることができる。
【0065】
いくつかの実施形態では、第3のチャンバ324を出る流体は、第4のチャンバ326に送られ、そこでガス(空気など)に晒される。そして、当該流体は、性質的に円柱状である第5のチャンバ328に向けて半径方向内側に流れ、当該流体が第1のチャンバ316に戻り、バイオリアクタ310を介して再循環することで、連続ループが生じる。いくつかの実施形態では、パラメータを検出するために温度プローブ又はセンサT、又は本明細書に開示される他の任意のセンサを設けて、例えば第5のチャンバ内の流体の温度などのパラメータを直接検出してもよいし、追加の(例えば、pH又は溶存酸素などに対応する)センサをこの位置(流体が固定床325に流入(又は再流入)する前の位置)に設けてもよい。
【0066】
図11Bの部分的な切欠図から、通常は細胞を含まない流体の固定床325への出入りを可能にする開口又は穿孔を含む上側及び下側プレート330、332によって、第3のチャンバ324の境界を定めてもよいことが分かる。いくつかの実施形態では、下側プレート332は、流体が第5のチャンバ328から第1のチャンバ316に流入して再循環することを可能にする中央開口332aを含んでもよい。いくつかの実施形態では、上側プレート330は、開口330aを含んでもよく、その中を流体が移動して、第5のチャンバ又はリターンチャンバ328に流入することができる。
【0067】
いくつかの実施形態では、上側プレート330の支持は、中空で通常は円筒形のチューブ334によって提供してもよいし、他の形式であってもよい。いくつかの実施形態では、このチューブ334の対向する端は、プレート330、332の対応の溝330b、332bに嵌合することができる(場合によっては、下側プレート332は、図示された実施形態において、インペラハウジング又は容器318aと一体化することができる)。いくつかの実施形態では、概ね垂直であるロッド336などの支持体を配置して、プレート330に追加の支持を設けることができる。いくつかの実施形態では、開示の垂直ロッド336は、対応するチャンバ328内の流体の流れを著しく妨害することはない。いくつかの実施形態では、ロッド336の端は、プレート330、332に埋め込んでもよいし、適切な留め具若しくはロック機構(例えば、ロック接続、ボルト、又は接着剤)によって所定の位置に保持してもよい。
【0068】
図12及びその図上に設けられた動作矢印から、流体攪拌の結果として、いくつかの実施形態では、流体が、チャンバ316から外向きにチャンバ320内に流入してもよいことが分かる。いくつかの実施形態では、次いで、流体は、固定床を含むチャンバ324を垂直方向に通過してチャンバ328に流入するように、向きを変えることができる。いくつかの実施形態では、流体は、次にチャンバ328に内向きに流れ、開口332aを介して第1のチャンバ316に戻ってもよい。いくつかの実施形態では、流体は培地を指すこともある。
【0069】
いくつかの実施形態では、
図13はさらに、上側プレート330が周辺開口330cを備え、流体がチューブ334によって形成された内壁に沿って直接流れるのを可能にする配置を示す。このようにして、第5のチャンバ328を通過しながら下向きに流れる流体の薄層又は膜を形成することができる。いくつかの実施形態では、これは、第5のチャンバ328内のガス(空気)に晒す流体の体積を、当該流体が第1のチャンバ316に戻る前に増加させるという役割を果たすことができる。いくつかの実施形態では、これを実装することで、より大きなサイズの場合に必要となる、又は生成される生物製剤に基づいてプロセスパラメータを調整して細胞増殖速度を増加させる場合に必要となる、より多くの酸素移動を可能にする。
【0070】
いくつかの実施形態では、流体膜を形成する「ウォーターフォール」は、限られた量の細胞培地を最初に添加してわずかなオーバーフローのみが生じるようにすることで、実現することができる。あるいは、いくつかの実施形態では、当該「ウォーターフォール」は、細胞培地及び細胞を添加し、その後、細胞が床で増殖した際に、チャンバ328などの対応チャンバ内の培地を(ディップチューブなどを使用して)取り除くことで、実現される。
【0071】
いくつかの実施形態では、バイオリアクタ400の第4の実施形態が、
図14~16を参照して説明される。この実施形態では、バイオリアクタ400は、上記のように第1から第5のチャンバ416、420、424、426、及び428を含む(固定床は図示せず)が、ハウジング412は、複数のモジュール部分で構成される。いくつかの実施形態では、当該部分は、ベース部分430、1つかそれ以上の中間部分450、及びカバー部分470を含む。いくつかの実施形態では、当該部分430、450、470は、上記のように、液密に相互作用して、チャンバ416、420、424、426、及び428を備えたバイオリアクタ400を形成するように構成することができる。
【0072】
いくつかの実施形態では、おそらく
図14から最もよく分かるように、ベース部分430は、中間部分450の1つから突出した、舌452のような、対応の周辺コネクタを受けて係合するための溝432の形態で示された周辺コネクタを含むことができる。いくつかの実施形態では、内部的に、ベース部分430は、流体攪拌機(図示せず)を受けるための第1のチャンバ416を規定する直立壁434を含んでもよい。いくつかの実施形態では、当該壁434は、さらなるチャンバ420又は第2のチャンバ420を規定するベース部分430の外部に流体が半径方向に流れるのを可能にする開口又は流路を含んでもよい。いくつかの実施形態では、ベース部分430が存在する結果、流れが垂直方向にリダイレクトされるため、これによって乱流が生じて、バイオリアクタ全体で流体の混合及び均一性が向上し、細胞培養のプロセスが強化される。
【0073】
2つの中間部分450a、450bは、第1の(下側)部分450aの周辺コネクタ(溝454)が、第2の(上側)部分450bの対応のコネクタ(舌452)に係合するように積層された状態で示されている。
図14から分かるように、いくつかの実施形態では、各中間部分450a、450bは、それぞれ舌452及び溝454を支持する外側壁456を含んでもよい。いくつかの実施形態では、半径方向内向きに、内壁458が内側及び外側コネクタを担持し、当該コネクタは、チューブ436の対応の端部を受けるために、直立レッジ460、462の形態で設けてもよく、これにより、第5の又はリターンチャンバ428の外縁が形成される。
【0074】
いくつかの実施形態では、第1の又は下側中間部分450aは、ベース部分430の、壁434からの直立突起434aのようなコネクタを少なくとも部分的に受ける細長い円弧状スロット464のような開口を含んでもよい。いくつかの実施形態では、内部レッジ466は、中間部分450a、450bに中央開口466aを形成して、壁434によって規定される内部カラム内を流体が流れるのを可能にするとともに、(流体が固定床を出た後の位置に配置され得る)任意の温度センサ、ディップチューブなどを受ける。いくつかの実施形態では、第2の中間部分450bは、互換性の向上のために同様に構成してもよく、その場合、第2の又は上側の中間部分450bの開口(スロット464)によって、前述したように、第5の又はリターンチャンバ428内に流体の薄い落下流又は流体の膜を作成することができる。
【0075】
いくつかの実施形態では、複数の支持体468が、外壁456と内壁458との間に延びる。いくつかの実施形態では、支持体468は、半径方向に延びる支持体468aと、少なくとも1つの円周方向に延びる支持体468bとを含み、これらは共に、流体の流れを可能にする有孔又は網状のプレート状構造を形成することができる(当該又は任意の実施形態における当該構造は、スクリーン、ネット、グリッド、又は他の骨格構造を含んでもよく、硬質、半硬質、又は可撓性であってもよい)。実際には、支持体468は、流体の通過を可能にするための開口によって形成される開放空間の容量を最大にすることで、床を通る流体の流れを促進するように設計してもよい。いくつかの実施形態では、細胞を培養するために、壁434の周囲に巻き付けたらせん床(図示せず)などの固定床を、部分450a、450bの間に形成されたチャンバ424内に配置してもよい。いくつかの実施形態では、上側中間部分450bから通過する流体は、カバー部分470によって部分的に規定された第4のチャンバ426に流入し、再循環のために第1のチャンバ416に戻る前に、第5のチャンバ428を形成するカラムに流れてもよい。
【0076】
いくつかの実施形態では、カバー部分470は、第2の中間部分450bの対応のコネクタ(溝454)に嵌合するための、舌472などのコネクタを含む。いくつかの実施形態では、カバー部分470は、着脱可能なキャップ又は蓋476を受けるための直立壁474などの第1又は中央レシーバを含んでもよく、当該キャップ又は蓋476は、流体又は他の物質をバイオリアクタ400(及び第5のチャンバ428)に送るためのコンジットと接続するための様々なポートPを含んでもよい。いくつかの実施形態では、キャップ又は蓋476は、図示するように、温度センサ又はプローブT、ならびに他のセンサを保持してもよく、バイオリアクタ400からの物質の追加又は除去を可能にするため、又は生成物製造プロセスを調節するように構成してもよい。理解されるように、いくつかの実施形態では、キャップ又は蓋476を良好に配置して、チャンバ428を介した戻り流について検出又は流体サンプリングを行うことができる。いくつかの実施形態では、直立壁477などの、外縁に配置された第2のレシーバは、第2のキャップ又は蓋478と接続して、センサを受ける、又は、バイオリアクタ(特に、細胞培養が完了する第3のチャンバ426を含む当該バイオリアクタの周辺部)から、物質(培養サンプルを含む)をデポジットする又は取り除くように構成してもよい。いくつかの実施形態では、キャップ又は蓋476、478は、異なる種類のポートPを有し、異なるサイズ/形状であってもよいし、互換性の向上のために同一のサイズ/形状であってもよい。
【0077】
図14を
図5と比較すると、キャップ又は蓋476、478を異なるサイズのバイオリアクタと接続して使用してもよいことも分かる。このように、
図14において、キャップ又は蓋476、478は、バイオリアクタ400の外径よりも大幅に小さい外径を有することが分かる。いくつかの実施形態では、キャップ又は蓋476、478は、
図5(又は他の図)のバイオリアクタ300と共に使用することもでき、その場合、外径は、バイオリアクタ300の径とほぼ同一であるか、又は若干大きくなる。
【0078】
いくつかの実施形態では、粘着剤又は接着剤を接続部で使用して、構造を共に保持することができる。いくつかの実施形態では、ねじ式又はロック式(例えば、差し込み式)の接続を使用することもでき、液密シールを維持して漏れを防止することで、無菌性が確実に維持されるのを助ける。いくつかの実施形態では、モジュール部分430、450、470の配置によって、バイオリアクタ400を事前に組み立てる、或いは現場で迅速に組み立てる又は構築することができると共に、潜在的には、同様の迅速さで分解することもできる。追加のチューブを簡単に追加して高壁434又は中間部分450を形成することができるため、固定床の数又はバイオリアクタ400の高さは、用途に応じて、特定のニーズ又はプロセス設定に合わせて調整することができる。
【0079】
いくつかの実施形態では、チャンバ内の1つの固定床から隣接する床への流れは、直接又は中断されない。いくつかの実施形態では、床を受ける外側チャンバ424は、内部に配置した複数の床を通過する連続した流路を形成することができ、これらは構造化固定床、非構造化固定床、又は他の床であってもよい。いくつかの実施形態では、連続的であり、大部分においてスムーズな流れは、モジュールが実際には単一床であるかのように均一性を向上するのに有用であり、これにより、細胞培養プロセスの予測可能性及び品質が改善する。均一性とは、細胞が床全体にわたって均等に分布していること、或いはある程度等しく広がっていることを意味する。
【0080】
図16は、中間部分450の実施形態の代替案を示しており、中間部分450は、ベース部分430上に位置するように構成することができる。いくつかの実施形態では、半径方向に延びる複数の支持体466bが中央開口466aに設けられ、リング466dの形態を有する内部コネクタと接続する。いくつかの実施形態では、リング466dは、キャリア480の一部を受けて攪拌機(図示せず)を保持し、ベース部分430のフロアの上に懸架するように、サイズを設定してもよい。いくつかの実施形態では、構造に応じて、回転中のインペラとベース部分430のフロアの摩擦接触の結果としての摩擦及びこれに伴う粒子の放出が回避される。
【0081】
図示するように、いくつかの実施形態では、キャリア480は、一対の圧縮可能なクリップ482を含んでもよく、これらは、リング466d内の開口を通過するように一緒に圧迫して、その後、キャリアが自由に回転することを可能にする相対的な動きを許容しながら、キャリアを中間部分450から確実に懸架するために解放してもよい。いくつかの実施形態では、キャリア480はソケット484を含んでもよく、その断面はC字形で示され、インペラ(図示せず)或いは単純に細長い、磁性又は強磁性のロッド(図示せず)などの攪拌機の対応部分を受ける。いくつかの実施形態では、当該部分は、ベアリングによって攪拌機に回転可能に接続された、上向きに延びる突起を含んでもよい。理解されるように、いくつかの実施形態では、ソケット484は、攪拌機を左右に移動させることができ、これは、ベース部分430の下方など、バイオリアクタ400の外部に位置する対応の外部又は非接触(例えば、磁気)のドライブDとのアライメントを行う際に必要である。
【0082】
図16A及び16Bはまた、固定床496を含むモジュール式バイオリアクタ400の実施形態の代替案を示す。いくつかの実施形態では、ベース部分430及びカバー部分470は、中間部分450の外縁との間にギャップ又は空間を形成する外側ケーシング492と接続するように構成することができる。いくつかの実施形態では、ギャップG又は空間は、加熱又は冷却効果を提供して、中間部分450に対応する床の温度を制御するために使用してもよい。ギャップG又は空間は、単純に、床内で増殖する細胞に近く、温度変動に敏感である可能性が高いバイオリアクタの中間領域の壁の断熱を実現することもできる。当該断熱は、バイオリアクタのベース部分430の底部に加わる熱が、床496内に付着した細胞まで届くのを防ぐ作用がある。
【0083】
また、
図16Aは、開示の任意の実施形態によって提供可能な、バイオリアクタにおけるスパージングの可能な使用例を図示する。図示の構成では、スパージングは、第5のチャンバ428に配置された散布器494によって行われる。したがって、結果生成される気泡は、戻り流体の流れに対向して上向きに流れることがある。
【0084】
また、これらの図(特に、
図16B)は、中間部分450が、流体を通さない内部チューブ436と係合して流れをベース部分430に戻すためのチャンバ428を設け、そこで流れが攪拌されて戻され、下側から床に流入し、そこを通って上方に流れる様子を示す(開示の任意の実施形態)。これらのチューブ436は、図示するように、一方のチューブが存在する各固定床496に対応し、2つの中間部分450が各チューブ436(例えば、下から1つと上から1つ)に係合するように、設けてもよい。しかし、この実施形態又は他の開示された実施形態では、らせん床の最も内側のらせん状のラップなど、固定床の最も内側の表面を、流体を通さないように作成又は調整することで、同様の機能を実現してもよい。例えば、流体非浸透性又は疎水性材料で表面をコーティングして、これにより、流体が床内に保持され続け、チャンバ428によって形成された中央カラムを通過する、明確な流体の戻り流が維持される。
【0085】
図16Cはまた、固定床496を挟む中間部分450a、450bを含むバイオリアクタ400の実施形態も図示し、当該固定床496は、上に図示及び説明したような構造化らせん床であってもよい。ベース部分430及びカバー部分470も設けられ、外側ケーシング492とインターフェースして環又はギャップを形成する。当該環又はギャップは、再度断熱されてもよいし、又は加熱又は冷却手段に関連付けられてもよい。本実施形態又は他の任意の実施形態では、ケーシング492は、単にバッファ又は(空気又は他のガスで満たされた)空間を形成してもよい。これにより、バイオリアクタ400の温度をより効率的に(例えば、より速く)調節することができ、さらに、それを灌流及び/又は培地の再循環に使用することができ、培地の予熱に関する要件を下げることができる。
【0086】
また、この図は、攪拌機418aのハウジング418を図示する。ハウジング418は、
図21に示される形態のいずれか1つであってもよく、したがって、分流器418dを含んでもよい。中央カラムの一部を形成するチューブ436の形の内部仕切り(すなわち、
図16Aに示すリターンチャンバ428)も示されている。外側の仕切りも示されており、これは、部450a、450bと着脱可能に相互接続する円筒形構造又は管496の性質を有してもよく(及び接着剤又は他の結合の形態を使用して所定の位置に接着してもよい)、これらの一方又は両方とユニタリ構造であってもよい。
【0087】
図17及び18は、図示の例の垂直方向に積層された2つの構造化固定床518a、518bなどの1つかそれ以上の固定床を含むバイオリアクタ500の例を図示する。いくつかの実施形態では、床518a、518bは、バイオリアクタ500の外側チャンバ512a内に配置することができ、
図1~3に示すらせん床であってもよい。また、いくつかの実施形態では、内部チャンバ512bは、固定床への又は固定床からの循環流体を提供することができる。いくつかの実施形態では、当該流体は、バイオリアクタ500の下側区画512cに配置されたインペラ520などの対応の攪拌機によって流れるようにしてもよい。いくつかの実施形態では、流体は、上から下又は下から上など、固定床内で垂直方向に流れてもよい。いくつかの実施形態では、構造化固定床は、内部チャンバ512b内に設けられ、外側チャンバ512aは、流体を内側チャンバに及び内側チャンバから送る役割を果たす。
【0088】
ここで、
図19及び20を参照すると、いくつかの実施形態では、インペラ600の形態である攪拌機を、上記の実施形態のいずれかで使用できることが示されている。いくつかの実施形態では、インペラ600は、半径方向に延びるブレード606を有する(機械加工又は導入された)本体604に挿入することができる磁石602と、開口608とを備えてもよく、それらを介してシャフト610又は他のレシーバを挿入することができる。いくつかの実施形態では、培地に接触しないように、磁石602上にキャップ(図示せず)を設けることができ、接着剤又はねじ式接続によって取り付けることができる。いくつかの実施形態では、磁石602は、本体604を具現化したものを導入する(射出成型する)場合に、オーバーモールドすることができる。いくつかの実施形態では、実施形態を3D印刷し、3D印刷を一時停止し、磁石を挿入し、そして3D印刷を再開してインペラ600を形成してもよい。いくつかの実施形態では、インペラ本体604は、ポリカーボネート又は他の適切な材料など、耐久性のあるポリマ材料で作製してもよい。いくつかの実施形態では、インペラは、他の方法で機械加工、射出成形、3D印刷、又は製造することができる。関連するレシーバ又はシャフト610(存在する場合)は、ポリプロピレン又は他の適切な材料で形成することができ、機械加工、導入、又は3D印刷することができる。
【0089】
図21は、インペラ600と様々な容器618aとの様々な組み合わせを表形態で示すと共に、結果として得られる相対的な効率の指標を示している。いくつかの実施形態では、ブレードBの半径方向の範囲を調整し、容器618aの出口Oの数を4つよりも大きい数(場合によっては10個から12個まで)に変更することで、同等の回転速度で、流体の流れについてより高い効率を実現することができる。いくつかの実施形態では、X字形の断面を有する直立壁618dなどの仕切りを、容器618aの入口Iに隣接して設けて、流れを分割することができる。
図19の右側2つの実施形態では、容器618aを出るときに流れを誘導するためのベーンVが設けられており、図示のように、当該ベーンが様々な形状又は幅を有することができることが分かる。
【0090】
図22は、半径方向に湾曲したブレードBを有するインペラ650の別の例をさらに図示する。いくつかの実施形態では、インペラ650は、それに関連付けて使用する際に容器618aの入口Iからの流れを受ける中央空間651を含んでもよく、したがって、ブレードBは、出口Oを介して流体を外向きに直す役割を果たす。インペラ650は、10枚のブレードを有するものとして示されているが、所望の場合、又は必要に応じて、より多く又はより少ない数を有してもよい。また、いくつかの実施形態では、インペラ650は、上記のように、外部ドライブ(図示せず)との非接触カップリングを形成する1つかそれ以上の磁石(図示せず)を含んでもよい。生細胞は剪断などの機械的な力に敏感であるため、インペラの設計では、剪断を回避しながら効率的で最適化された流体の流れを実現する必要がある。インペラ650は、このような補完的な目的を達成する。
【0091】
上記バイオリアクタ100~500の構成要素はいずれもシングルユース又は使い捨て用の構成要素として作製してもよいし、再利用可能に作製してもよい。さらに、使用する構成要素は、使い捨て及び再利用可能な材料の混合又はハイブリッドであってもよい。いくつかの実施形態では、バイオリアクタ100~500は、約50~60cmの径を有してもよい。いくつかの実施形態では、バイオリアクタ100~500の径又は高さは、約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、又は100cmを超えてもよい。いくつかの実施形態では、バイオリアクタ400に関連付けて使用することができるカバー部分又は蓋476、478の径は、約2、4、5、6、8、10、12、15、20、25、30又は50cmを超えてもよい。いくつかの実施形態では、中間部分450a、450bの高さは、約2.5~5.0cm以上であってもよい。いくつかの実施形態では、バイオリアクタ400全体の高さが、約20~50cmであってもよい。いくつかの実施形態では、バイオリアクタは、複数の固定床を具備してもよい。いくつかの実施形態では、インペラ速度を調整して圧力降下の増加を補償することができ、リアクタの底部から上部まで一定の線速度が維持される。この場合、細胞の剪断応力は、すべてのサイズのバイオリアクタで一定に保つことができる。いくつかの実施形態では、散布器を設けてもよい。いくつかの実施形態では、気泡が固定床に輸送されるのを回避するために、スパージング中にインペラの動作を停止することが望ましい場合がある。
【0092】
いくつかの実施形態では、モジュール式の場合、バイオリアクタ100、200、300、400、500は、その相対的な高さを調整するための任意の数の構成要素を含むことができる。例えば、部450などの複数の中間部分を使用して、高さを増加させることができる。いくつかの実施形態では、バイオリアクタ100、200、300、400、500は、複数の異なる径で提供されてもよく、各径は、特定の用途に応じて異なる高さとするための1つかそれ以上の中間部分を具備することができる。いくつかの実施形態では、固定床増殖面は、<1~2m2、7~30m2、150~600m2、>2400m2の範囲であってもよいし、バイオリアクタのサイズ(高さ又は径)に応じて異なってもよい。上記のように、複数の固定床は、1つ、2つ、3つ、4つ、又はそれ以上の固定床などの積層構成にして設けてもよい。
【0093】
いくつかの実施形態では、上記の「ウォーターフォール」構成において、流体が内側又は中央カラムに入る際に、ある程度の乱流を生じさせて、酸素の移動(又はkLa、これは所与の一連の動作条件で酸素をバイオリアクタに送る効率を表す体積物質移動係数である)を増加させることが望ましい場合がある。この結果を得るために、1つかそれ以上の流れ撹乱器を設けて、層流を遮断して乱流にしてもよい。
図23及び24は、モジュール式バイオリアクタの別の可能な変形例を図示し、ここで、流れ撹乱器又は仕切りは、中央カラムの上方に位置する(クラウンを形成する)リング700上の直立突起702として設けてもよい。そのため、或いはフィルムとして中央カラム736に入る流体の流れは、突起702によって「分解する」可能性があり、より強い乱流でより良好な酸素移動を可能にする、個別の流れが形成される。いくつかの実施形態では、流体の流れがバイオリアクタの中心とアラインするように、突起702が、固定床を離れる潜在的な渦巻き運動を分解する。
【0094】
図25及び26を参照すると、結果として生じる個々の流れは、最終的に、構造化固定床の内壁によって形成される中央柱カラム又はカラム状領域内で再結合し、乱流を増加させる可能性があることが分かる。さらに、リング700によって、流れがカラム内において放物線状の軌道をとることがあり、空気/酸素がトラップする可能性のある流れの下にポケットPが生じる可能性があることが分かる。いくつかの実施形態では、このポケットPと中央カラムの上のバイオリアクタの内部とでガスのやり取りを行うために、1つかそれ以上のコンジット704を設けてもよい。
図25では単一のコンジット704が示されており、ガス流の入口が形成されている。
図25に示すように、複数のコンジット704a、704bを、ガスの入れ替えを行うための入口及び/又は出口としての役割を果たすことができる。さらに示すように、コンジット704は、
図25に示すように、リング700と一体であってもよいし、又は
図26に示すように、分離してもよい。
【0095】
次に、
図27及び28を参照すると、バイオリアクタ100、200、300、400、500の様々な状態を検出するための非使い捨て式(例えば、ステンレス鋼製)プローブ802を接続するための使い捨て式(例えば、プラスチック又はポリマ製)のコネクタ800が示されている。いくつかの実施形態では、コネクタ800は、一端にキャップ又はカバー806に対応するチューブ又はスリーブ804を含み、他端にアダプター808を具備し、これにより、バイオリアクタ100、200、300、400、500の任意の壁又は部位のポートと、ネジ式接続などによって接続してもよい。いくつかの実施形態では、キャップ806に取り付けられる膜810などの光透過部を設け、プローブ802とインターフェースしてもよい。
【実施例0096】
以下の説明における実施例は、本発明の様々な実施形態を例示する目的で示されるものであり、いかなる方法にも本発明を限定することを意図しない。本実施例は、本明細書に記載の方法と共に、現時点における例示的な実施形態を表すものであり、本発明の範囲を限定することを意図しない。特許請求の範囲に定義される本発明の範囲に含まれる変更点及び他の用途は、当業者には理解されるものである。以下の実施例は、開示されたバイオリアクタの有効性を例示するために提供される。
【0097】
構造化固定床を通気攪拌条件下(750mLの培地は、~5cmの落下フィルム、740rpm(固定床を通る1cm s
-1の垂直線速度に対応)、1時間の水和時間を保証)で水和させることで、
図1に示すようにバイオリアクタを準備した。培地の平衡化は、温度とpHを実験の設定値(それぞれ37℃と7.2)に設定し、自動調整を開始することで達成された。DOキャリブレーションは、最初に非制御の通気条件下(100%DOセットポイント)で達成され、その後、DO規制(>50%)が開始された。媒体が設定の動作温度に達した後、プローブのキャリブレーション(オンライン及びオフライン測定)を実行した。当該攪拌条件下、3.0×10
4 cells cm
-2の初期播種密度で種菌を手動でバイオリアクタに移し、これに対応する量の平衡化培地を除去することで、総液体量が一定に保たれるようにした。その直後に培養パラメータの記録(pH、DO、T)を開始した。
図2に示すように、外部培地ソースが接続され、接種直後に、バイオリアクタを介して再循環された。
【0098】
この実験設定を使用して、2つの細胞培養をバッチモード(感染細胞密度=1.9±0.2×10
5 cells cm
-2)で3日間行った。第3の細胞培養(感染細胞密度=6.5×10
5 cells cm
-2)は、栄養素の可用性を保証するために、3日目に外部培地源の新鮮な材料に置き換えて、6日間行われた。感染は、アデノウイルス(ストック:1.7×10
9ifu mL
-1)を用いて、目標細胞感染密度を設定し、MOIを5に固定して行った。細胞培地の回収は、攪拌条件下で、原位置でのバルク細胞溶解のために最適化された界面活性剤(ベルギー王国オーベレルエイセのシグマアルドリッチ社製のTriton(登録商標) X-100)を添加して行われた。以下が概要である:
バイオリアクタ容器の有効容量:750mL
再循環容量:4.2L
攪拌速度:740rpm(1cm s
-l垂直速度)
落下するフィルムの高さ:~5cm
接種密度:25,000-30,000 cells cm
-2
pH:7.2
溶存酸素:50%
収集処理:Triton X-100、ベンゾナーゼ及びMgCl2-
培養時間:3~6日
CELLSTACKバイオリアクタでの接着培養のコントロールは、対応する部分について、同一動作条件(温度、メディア組成、初期pH、ヘッドスペースガス組成)下で行われた。
図29は、CELLSTACKバイオリアクタで実行されたコントロールと比較した、本発明の固定床バイオリアクタの細胞増殖曲線を示す。構造化固定床バイオリアクタで到達した細胞密度は、3日目で同一条件(6.5×10
5vs3.2×10
5 cells cm
-2)での対照実験よりも高くなり、6日目でさらに高くなった。6日目に観察された高い細胞密度を達成するために、3日目にCELLSTACKバイオリアクタで培地の85%を交換し、4.2Lの新鮮な培地を含む外部ボトルを接続して、培地の交換と同一比に対応して、バイオリアクタを介した循環を行った(10mL min-l)。細胞培養では目標細胞密度で感染を行った。感染後3日ですべての細胞の溶解が観察された。この観察の結果、界面活性剤処理によって生成物を回収することが決定された。CELLSTACKバイオリアクタのコントロールで同じ回収プロトコルが実行され、そのデータをバイオリアクタの実行と共に
図30に示す。本開示によるバイオリアクタ#2は、開始から4.2Lの外部培地循環ループで動作し、3日目に感染があった(詳細については方法を参照。感染後の細胞密度は示されていない)。本開示によるバイオリアクタ#1は、バイオリアクタ#2と同様に起動したが、3日目に外部培地循環ループが新鮮な培地に交換され、これによりさらなる細胞増殖が可能となった。バイオリアクタ#2は2日目に感染し、バイオリアクタ#3は3日目に感染した。エラーバーは、TCID50分析アッセイ測定の範囲を表す。本発明のバイオリアクタとそれらの制御との間の生産性は類似しており、その差はアッセイの誤差範囲内である。
【0099】
図31及び32に示すように、バイオリアクタ内の構造化固定床の有効性を実証するために、さらなる実験が行われた。細胞培養条件は以下のとおりである:
・ベロ細胞
・培地5%血清-容量/表面比:0.17ml/cm
2
・接種5000c/cm
2
・5日間の増殖
・37°C-pH:7.2-DO=50%
・バイオリアクタの攪拌:550rpm
・20ml/minの流量での再循環バッチモード
【0100】
理解されるように、これらの図は、構造化された固定床、特にらせん状又は「スネイル」床を使用して、バイオリアクタで、軸方向及び半径方向の両方において均一な細胞増殖が達成されたことを示す。
【0101】
ここで
図33~37を参照すると、構造化固定床を有するモジュール式バイオリアクタ1000を製造する方法が開示されている。最初に
図36を参照すると、この方法は、管状部分1002を構造化された固定床に関連付けることを含んでもよく、これは、前述のらせん床1004であってもよい。らせん床1004は、マトリクス材料で管状部分1002の周囲を覆う又は巻き付けて形成してもよく、これは、さね継ぎ構成を使用するなどしてベース1006に固定して、所定の位置に接着してもよい。これにより、第一段階のバイオリアクタ前駆体1007が形成される。
【0102】
次に、やはり接着剤を使用して、上部1008をベース1006に固定することができる。これは、
図38に示すように、第2段階のバイオリアクタ前駆体1010に到達するために行われ、当該部分の適切な着座を保証するための重り1012と、接着剤を硬化させるためのUVランプ1014との使用をさらに示す。
【0103】
図39を参照して、次に、蓋1016をバイオリアクタ前駆体1010に適用して、任意のプローブ又はサンプラ1018を設置することができる。蓋1016は、互いに接着結合可能な外側ハウジング1020とインターフェースしてもよい。重り1012及びUVランプ1014を再び使用して、安全な接続を形成することもできる。
【0104】
図41を参照すると、蓋1016を設置する前に、複数の第1段階バイオリアクタ前駆体1007a、1007bを第2段階バイオリアクタ前駆体1010に設置することで、積層構成を得られることが分かる。第2段階バイオリアクタ前駆体1010の上部1008は、管状部分1002の垂下部など、次に隣接する第1段階バイオリアクタ前駆体1007aの一部を受けるように構成してもよい。同様に、第1段階バイオリアクタ前駆体1007aの上部1008は、次の隣接する第2段階バイオリアクタ前駆体1007bと同様にインターフェースするように構成してもよい。蓋及び任意のプローブ、サンプラなどは、上記のように設置することができ、バイオリアクタ1000はこのように複数の積層された床を備える。
【0105】
バイオリアクタを製造するさらなる方法も考えられる。この方法では、構造化固定床がバイオリアクタの内部区画又はチャンバに配置される。本開示において前述したように、床は接触していてもよいし、スペーサ(例えば、スクリーン又は同様の構造)又はギャップを挟んで分離していてもよい。
【0106】
いずれかの実施形態において、バイオリアクタ100、200、300、400、500における構造化固定床のモノリシックな性質は、細胞培養操作の安定性、ひいては均一性を向上するのに役立つことが分かる。構造化された固定床をバイオリアクタに単純に「ドロップイン」する機能によって、細胞培養プロセスを簡単に再現することができ、その結果高い再現性が得られる。これは、浮遊又は流動床を使用する既知のバイオリアクタに対する大きな利点である。開示の構成の結果として、細胞培養の均一性(例えば、温度、pH、その他の試薬の特性を含む特性)は全体を通して維持される。インペラの混合と流体流れによって、均一性がさらに向上する。細胞培地の再均一化(再度混合すること)が発生するギャップによって、均一化はさらに改善される。細胞培養物が床を通過して均一性が失われたとしても、培養物がギャップを通過するときにその均一性は多少回復する。
【0107】
要約すると、本開示は、以下の項目に関すると解することができる。
1.流体の流れに関連して細胞を培養するための装置であり、
細胞培養用の固定床を含むモジュール式バイオリアクタを具備する装置。
2.上記モジュール式バイオリアクタは、
第1のチャンバを有するベース部と、
上記固定床を受けるための第2の外側チャンバの少なくとも一部と、上記第2の外側チャンバから上記第1のチャンバに上記流体の流れを戻すための第3の内側チャンバの少なくとも一部とを形成する中間部と、
上記中間部上に位置するカバー部と
を具備する項目1の装置。
3.上記固定床は構造化固定床を具備する項目1又は2の装置。
4.上記中間部は管状部分を含み、上記構造化固定床は上記管状部分の周辺でらせん状に延びる上記いずれかの装置。
5.上記中間部は、上記固定床の内壁によって形成された管状部分を具備する上記いずれかの装置。
6.上記中間部は、それぞれ構造化固定床に関連付けられた複数の中間部分を含む上記いずれかの装置。
7.上記複数の中間部分の少なくとも1つは、上記流体が上記少なくとも1つの中間部分の下方の第1の構造化固定床から上記少なくとも1つの中間部分の上方の第2の構造化固定床に流れるように穿孔されている上記いずれかの装置。
8.上記複数の中間部分はそれぞれ管状であり、各構造化固定床は、上記管状中間部分の周囲に巻き付けられたらせん床を具備する上記いずれかの装置。
9.上記構造化固定床のための有孔支持体をさらに含む上記いずれかの装置。
10.上記中間部は、上記モジュール式バイオリアクタの周辺を形成する管状ケーシングをさらに含み、上記管状ケーシングは、上記バイオリアクタを加熱、冷却、又は絶縁するための空間を形成する上記いずれかの装置。
11.上記中間部は、それぞれ相互に接続するように構成された複数の中間部分を具備する上記いずれかの装置。
12.上記中間部は、少なくとも1つの中間部分に係合し、上記固定床を受ける上記外側の第2のチャンバの内壁を形成するチューブを含む上記いずれかの装置。
13.上記チューブは、上記チューブの下方の第1の中間部分と上記チューブの上方の第2の中間部分とに係合する上記いずれかの装置。
14.上記第2の中間部分は、上記第3の内側チャンバに沿って流体膜を生成するための開口を含む上記いずれかの装置。
15.上記第2の中間部分を上記第1の中間部分から支持するための支持体をさらに含む上記いずれかの装置。
16.上記支持体は垂直ロッドを具備する上記いずれかの装置。
17.上記カバー部は、複数のポートを含む着脱可能なキャップを具備する上記いずれかの装置。
18.上記着脱可能なキャップは、上記中間部の外径よりも小さい外径を有する上記いずれかの装置。
19.上記ポートの少なくとも1つは、ねじ山付き金属インサートを含む上記いずれかの装置。
20.上記カバー部は、上記中間部の外径と同等又はそれよりも大きい外径を有する上記いずれかの装置。
21.上記中間部は、少なくとも部分的に上記ベース部内に位置するように構成された中間部分を具備し、上記中間部分は、上記流体の流れを遮断するための流れ遮断器をさらに含む上記いずれかの装置。
22.上記ベース部は、上記固定床を含む上記第2の外側チャンバと流体連通する上記第1のチャンバの半径方向外側に別のチャンバを含み、上記別のチャンバは、上記第1のチャンバから上記別のチャンバに流体を送るための複数の開口を有する直立壁によって形成される上記いずれかの装置。
23.上記ベース部に関連付けられた攪拌機をさらに含む上記いずれかの装置。
24.上記中間部は、外部駆動装置とのアライメントのために横方向の動きを可能にするために上記第1のチャンバ内に上記攪拌機を懸架するように構成された上記いずれかの装置。
25.上記攪拌機を収容するための容器をさらに含み、上記容器は中央入口及び半径方向に向けられた複数の出口を含む上記いずれかの装置。
26.分流器が上記中央入口に関連付けられる上記いずれかの装置。
27.上記攪拌機は複数の湾曲したブレードを具備する上記いずれかの装置。
28.上記第3の内側チャンバに流入する上記流体の流れを複数の流れに分割するための複数の流れ遮断器をさらに含む上記いずれかの装置。
29.上記複数の流れ遮断器はリングに関連付けられる上記いずれかの装置。
30.ガスが上記流れの1つの後方の空間に流入することを可能にする1つかそれ以上のコンジットをさらに含む上記いずれかの装置。
31.上記1つかそれ以上のコンジットが、上記複数の流れ遮断器を含む構造に接続される上記いずれかの装置。
32.第1のコンジットが上記構造に接続される上記いずれかの装置。
33.第1及び第2のコンジットが上記構造に接続される上記いずれかの装置。
34.第1及び第2のコンジットが上記構造に接続されない上記いずれかの装置。
35.細胞を培養するための装置であり、
中央カラムと外側ケーシングの両方に接続されたベース部を具備するモジュール式バイオリアクタを具備し、上記外側ケーシングと上記中央カラムは共に細胞を培養するための区画を形成する装置。
36.上記区画は、少なくとも1つの構造化固定床を含む項目35の装置。
37.上記区画は、積層構成に配置された複数の構造化固定床を含む項目35又は36の装置。
38.上記複数の構造化固定床のうち少なくとも2つの構造化固定床の間に中間部分をさらに含む項目35~37のいずれかの装置。
39.上記少なくとも1つの構造化固定床はらせん床を具備する項目35~38のいずれかの装置。
40.上記複数の積層された構造化固定床はそれぞれ上記中央カラムの周囲に巻き付けられる項目35~39のいずれかの装置。
41.上記中央カラムは、
第1及び第2の相互接続チューブと、上記第1のチューブの周囲に巻き付けられた、上記複数の構造化固定床のうちの第1の構造化固定床と、上記第2のチューブの周囲に巻き付けられた、上記複数の構造化固定床のうちの第2の構造化固定床とを具備する項目35~40のいずれかの装置。
42.上記中央カラムは、上記複数の構造化固定床のうちの少なくとも2つの構造化固定床の間に延びる有孔支持体を係合させるための第1及び第2のチューブを含む項目35~41のいずれかの装置。
43.上記固定床は、上記第2の外側チャンバ又は区画に挿入され、及びこれらから取り外されるように構成されたカートリッジを具備する上記いずれかの装置。
44.上記ベース部は、上記中央カラムに着脱可能に接続される項目35~43のいずれかの装置。
45.上記ベース部は、上記外側ケーシングに着脱可能に接続される項目35~44のいずれかの装置。
46.細胞を培養するためのバイオリアクタであって、
流体を攪拌するための攪拌機を含む第1のチャンバを有するベース部分と、
上記ベース部分に、着脱可能に取り付けられた第1の中央カラムとを具備し、上記第1の中央カラムは、細胞を培養するための第2の外側チャンバと、上記第2の外側チャンバから上記第1のチャンバに上記流体の流れを戻すための第3の内側チャンバとの少なくとも一部を形成するバイオリアクタ。
47.上記第2の外側チャンバは、第1の構造化固定床を含む項目46のバイオリアクタ。
48.上記第1の構造化固定床はらせん床を具備する項目47のバイオリアクタ。
49.上記第1の構造化固定床は、上記第1の中央カラムの周囲に巻き付けられる項目48のバイオリアクタ。
50.上記第2の外側チャンバの少なくとも一部を形成する第2の中央カラムをさらに含み、上記第2の中央カラムは、上記第1の構造化固定床から垂直に離間された第2の構造化固定床をさらに含む項目47~49のいずれかのバイオリアクタ。
51.上記第1の構造化固定床と上記第2の構造化固定床との間に有孔支持体をさらに含む項目50のバイオリアクタ。
52.上記第2の外側チャンバは非構造化床を含む項目46のバイオリアクタ。
53.流体に関連して細胞を培養するためのバイオリアクタであって、
上記流体を攪拌するための攪拌機を含む第1のチャンバと、
細胞を培養するための複数の積層された床を含む第2の外側チャンバと、
上記第2の外側チャンバから上記第1のチャンバに上記流体を戻すための第3の内側チャンバとを具備するバイオリアクタ。
54.上記第1のチャンバを有するベース部と、
第2の外側チャンバの少なくとも一部及び上記第3の内側チャンバの少なくとも一部を形成する中間部と、
上記中間部上に位置するカバー部と、を具備する項目53のバイオリアクタ。
55.上記中間部は、上記複数の積層された床の第1の床を支持するための第1の支持体を具備する項目54のバイオリアクタ。
56.上記中間部は、上記複数の積層された床の第2の床を支持するための第2の支持体を具備する項目54又は55のバイオリアクタ。
57.上記中間部は、上記ベース部及び上記カバー部と着脱可能に接続するように構成される項目54~56のいずれかのバイオリアクタ。
58.上記第2の外側チャンバは外壁によって境界が定められ、さらに、上記外壁と空間を形成する外側ケーシングを含み、上記空間は、上記第2の外側チャンバを断熱、加熱、又は冷却する項目54~57のバイオリアクタ。
59.流体に関連して細胞を培養するためのバイオリアクタであって、
上記流体を攪拌するための攪拌機を含む第1のチャンバと、
細胞を培養するための少なくとも1つの床を含む第2の外側チャンバと、
上記第2の外側チャンバから上記第1のチャンバに流体を戻すための第3の内側チャンバとを具備し、
上記第2の外側チャンバは、外壁によって境界が定められ、さらに、上記外壁と空間を形成する外側ケーシングを含み、上記空間は、上記第2の外側チャンバを断熱、加熱、又は冷却するためのものであるバイオリアクタ。
60.上記少なくとも1つの床は構造化固定床を具備する項目59のバイオリアクタ。
61.上記構造化固定床はらせん床を具備する項目58又は59のバイオリアクタ。
62.上記内部チャンバは少なくとも1つのチューブによって形成される項目59のバイオリアクタ。
63.上記少なくとも1つのチューブは、上記少なくとも1つの床の境界を定める第1及び第2の支持体に接続される項目62のバイオリアクタ。
64.上記第1及び第2の支持体は上記外壁に接続される項目63のバイオリアクタ。
65.上記第1及び第2の支持体は少なくとも部分的に穿孔されている項目63又は64のバイオリアクタ。
66.細胞を培養するための装置であって、
攪拌機を含むバイオリアクタを具備し、上記バイオリアクタは、上記攪拌機を懸架状態に維持し、外部駆動装置とのアライメントのために横方向の動きを可能にするように構成される装置(懸架される攪拌機は項目1~65のいずれかの一部を形成してもよい。)。
67.上記バイオリアクタは、上記攪拌機を受けるベース部と、上記懸架状態で上記攪拌機を保持するキャリアを支持するための中間部とを含む項目66の装置。
68.上記キャリアは、上記中間部と係合するためのクリップを具備する項目67の装置。
69.細胞を培養するための装置であって、
複数の湾曲したブレードを有する攪拌機を含むバイオリアクタを具備する装置(攪拌機は項目1~68のいずれかの一部を形成してもよい。)。
70.上記攪拌機は、上記複数の湾曲したブレードの半径方向内側に中央開口領域を含む項目69の装置。
71.上記攪拌機は1つかそれ以上の磁石を含む項目69又は70の装置。
72.上記ブレードは半径方向に湾曲している項目69~71のいずれかの装置。
73.第1及び第2の積層された構造化床を具備するバイオリアクタ。
74.上記第1及び第2の積層された構造化床の両方に係合するスクリーンをさらに含む項目73のバイオリアクタ。
75.上記第1及び第2の積層された構造化床はらせん床を具備する項目73又は項目74のバイオリアクタ。
76.バイオリアクタの中央カラムを形成する構造化固定床を含むバイオリアクタ。
77.上記構造化固定床はらせん床を具備する項目76のバイオリアクタ。
78.上記構造化固定床の内面は流体非透過性である項目76又は77のバイオリアクタ。
79.流体を攪拌するための攪拌機を有する第1のチャンバを含むベース部を、第2の外側チャンバから送られる流体に関連して細胞を培養するための第2の外側チャンバと、上記ベース部の第1のチャンバに上記流体を戻すための第3の内側チャンバとの少なくとも一部を形成する少なくとも1つの中間部に接続することを含むバイオリアクタの製造方法。
80.上記少なくとも1つの中間部上にカバー部を接続する工程をさらに含む項目79の方法。
81.上記中間部の周囲にマトリクス材料をらせん状に巻き付けて、細胞を培養するための構造化固定床を上記外側チャンバ内に形成する工程をさらに含む項目79又は80の方法。
82.構造化固定床を上記第2の外側チャンバに挿入する工程をさらに含む項目79~81のいずれかの方法。
83.上記第2の外側チャンバの周辺を形成するための外側ケーシングを設けることをさらに含む項目79~82のいずれかの方法。
84.上記外側ケーシングを上記ベース部に接続する工程をさらに含む項目79~83のいずれかの方法。
85.複数の構造化固定床を上記第2の外側チャンバに積層する工程をさらに含む項目79~84のいずれかの方法。
86.上記複数の構造化固定床の間に有孔支持体を設ける工程をさらに含む項目79~85のいずれかの方法。
87.横方向の動きによって外部駆動装置とのアライメントを可能にするために上記攪拌機を上記ベース部の上方に懸架する工程をさらに含む項目79~86のいずれかの方法。
88.バイオリアクタに複数の構造化固定床を設けることを含むバイオリアクタの製造方法。
89.上記複数の構造化固定床のそれぞれの間に有孔スペーサを設ける工程をさらに含む項目88の方法。
90.各構造化固定床の内側に沿って内側チューブを設け、各構造化固定床の外側に沿って外側チューブを設ける工程をさらに含む項目88又は89の方法。
91.上記外側チューブの半径方向外側にケーシングを設ける工程をさらに含み、上記ケーシングは、上記バイオリアクタを断熱、加熱、又は冷却するための空間を形成する項目88~90のいずれかの方法。
【0108】
本明細書に使用する以下の用語は以下の意味をもつ。
【0109】
本明細書の原文の英語において使用される不定冠詞「A」及び「an」、並びに定冠詞「the」は、文脈が別途明確に指示しない限り、単数及び複数の指示対象の両方を意味する。例えば、「区画(a compartment)」は、1つかそれ以上の区画を意味する。
【0110】
パラメータ、量、一過性の期間などの測定可能な値を指す用語に使用される「約」、「実質的に」、又は「およそ」については、本発明を好適に実施できる限り、具体的に記載した値の+/-20%以下、好ましくは+/-10%以下、より好ましくは+/-5%以下、さらにより好ましくは+/-1%以下、さらにより好ましくは+/-0.1%以下であり、許容範囲を示す。なお、修飾語「約」を伴う値についても具体的に開示する。
【0111】
また、本明細書で使用する「有する」は、「含む」、「含有する」などと同義であり、成分などの存在を具体的に示す包括的な、あるいは何の制約もない用語であり、付加的な、明示していない、公知かつ本明細書に記載する成分、特徴、要素、部材、工程などの存在を排除するものではない。
【0112】
本発明の好ましい実施形態を本明細書に示して説明してきたが、そのような実施形態が例としてのみ提供されていることは当業者には明らかであろう。当業者は、本発明から逸脱することなく、多数の変形、変更、及び置換を想到できるものとする。例えば、バイオリアクタは垂直方向で示されているが、任意の方向で使用することができる。本明細書に記載された本発明の実施形態に対する様々な代替案を本発明を実施する際に使用してもよいことが理解されるものとする。以下の特許請求の範囲は、適用法下での保護の範囲を定義し、これらの請求の範囲内の方法及び構造並びにそれらの均等物をカバーすることを意図したものである。