(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024023343
(43)【公開日】2024-02-21
(54)【発明の名称】非晶質糖組成物
(51)【国際特許分類】
A23L 27/00 20160101AFI20240214BHJP
A23L 27/20 20160101ALI20240214BHJP
A23L 27/10 20160101ALI20240214BHJP
A23G 1/40 20060101ALI20240214BHJP
A23L 33/105 20160101ALI20240214BHJP
A23L 33/125 20160101ALI20240214BHJP
A23L 33/115 20160101ALI20240214BHJP
A23L 33/17 20160101ALI20240214BHJP
A23L 33/21 20160101ALI20240214BHJP
A23L 7/135 20160101ALI20240214BHJP
A21D 13/06 20170101ALI20240214BHJP
A21D 13/80 20170101ALI20240214BHJP
【FI】
A23L27/00 F
A23L27/00 101Z
A23L27/20 D
A23L27/10 C
A23L27/00 101A
A23G1/40
A23L33/105
A23L33/125
A23L33/115
A23L33/17
A23L33/21
A23L7/135
A21D13/06
A21D13/80
【審査請求】有
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023196450
(22)【出願日】2023-11-20
(62)【分割の表示】P 2020542121の分割
【原出願日】2019-01-31
(31)【優先権主張番号】10201800837U
(32)【優先日】2018-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SG
(31)【優先権主張番号】10201809207W
(32)【優先日】2018-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SG
(71)【出願人】
【識別番号】519026205
【氏名又は名称】ニュートリション サイエンス デザイン ピーティーイー. エルティーディー
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カンナー デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】ウー メング ワイ
(72)【発明者】
【氏名】サン ヨンメイ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】伝統的な砂糖の代替物を提供する。
【解決手段】本発明は、スクロース、少なくとも約20mgのCEポリフェノール/100gの炭水化物、及び低血糖指数の乾燥剤を含んでなる、非晶質糖を提供する。本発明は、1つ又は複数の糖及び低血糖指数の乾燥剤を含んでなる、非晶質糖をさらに提供する。本発明の非晶質糖は、任意選択的に、プレバイオティックス、代替甘味料、タンパク質、及び脂質をさらに含んでなってもよい。本発明の非晶質糖は、任意選択的に、空気混入されていてもよい。本発明は、噴霧乾燥などの急速乾燥させるステップを含む、非晶質糖を製造する方法をさらに提供する。本発明は、空気混入非晶質糖を調製する方法をさらに提供する。本発明は、非晶質糖を使用して、食品及び飲料を調製する方法をさらに提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクロース、少なくとも約20mgのCEポリフェノール/100gの炭水化物、及び低GI乾燥剤を含んでなる、非晶質糖。
【請求項2】
グルコース、少なくとも約20mgのCEポリフェノール/100gの炭水化物、及び低GI乾燥剤を含んでなる、非晶質糖。
【請求項3】
フルクトース、少なくとも約20mgのCEポリフェノール/100gの炭水化物、及び低GI乾燥剤を含んでなる、非晶質糖。
【請求項4】
スクロース、グルコース、ガラクトース、リボース、キシロース、フルクトースからなる群から選択される1つ又は複数の糖、少なくとも約20mgのCEポリフェノール/100gの炭水化物、及び低GI乾燥剤を含んでなる、非晶質糖。
【請求項5】
前記スクロースが、サトウキビ汁、甜菜汁及び/又は糖蜜から供給される、請求項1~4のいずれか一項に記載の非晶質糖。
【請求項6】
前記糖が、最大1gのCEポリフェノール/100gの炭水化物を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の非晶質糖。
【請求項7】
グルコース、ガラクトース、リボース、キシロース、及びフルクトースからなる群から選択される1つ又は複数の糖、及び低GI乾燥剤を含んでなる、非晶質糖。
【請求項8】
低分子量糖が、グルコース及びフルクトースからなる群から選択される、請求項7に記載の非晶質糖。
【請求項9】
スクロース及び低GI乾燥剤を含んでなる非晶質糖であって、前記低GI乾燥剤が、乳糖、ホエータンパク質単離物以外のタンパク質、低GI炭水化物、不溶性繊維、可溶性繊維、脂質、天然強力甘味料及び/又はそれらの組み合わせからなる群から選択される、非晶質糖。
【請求項10】
前記糖が、少なくとも20mgのCEポリフェノール/100gの炭水化物をさらに含んでなり、任意選択的に、最大1gのCEポリフェノール/100gの炭水化物を有する、請求項7~9のいずれか一項に記載の非晶質糖。
【請求項11】
前記乾燥剤が、乳糖、タンパク質、低GI炭水化物、不溶性繊維、可溶性繊維、脂質、天然強力甘味料及び/又はそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~8及び10のいずれか一項に記載の非晶質糖。
【請求項12】
前記乾燥剤が前記非晶質糖の5~60%w/wである、請求項1~11のいずれか一項に記載の非晶質糖。
【請求項13】
前記乾燥剤が200g/mol~70kDaの分子量を有する、請求項1~12のいずれか一項に記載の非晶質糖。
【請求項14】
前記乾燥剤が耐消化性炭水化物である、請求項1~13のいずれか一項に記載の非晶質糖。
【請求項15】
前記耐消化性炭水化物が、ハイメイズ、イヌリン、バガス、キサンタンガム又は耐消化
性マルトデキストリン又はその誘導体である、請求項14に記載の非晶質糖。
【請求項16】
前記タンパク質がホエータンパク質単離物である、請求項1~13のいずれか一項に記載の非晶質糖。
【請求項17】
前記非晶質糖が40~95%w/wのスクロース又は糖である、請求項1~16のいずれか一項に記載の非晶質糖。
【請求項18】
前記非晶質糖が低GIを有し及び/又は10gの前記非晶質糖が低GLを有する、請求項1~17のいずれか一項に記載の非晶質糖。
【請求項19】
前記非晶質糖が良好な又は優れた粉末流動性を有する、請求項1~18のいずれか一項に記載の非晶質糖。
【請求項20】
前記非晶質糖が、周囲条件で12ヶ月間の貯蔵後に良好な又は優れた粉末流動性を有する、請求項1~19のいずれか一項に記載の非晶質糖。
【請求項21】
前記非晶質糖が、直径1~100μmの粒子をさらに含んでなる、請求項1~20のいずれか一項に記載の非晶質糖。
【請求項22】
前記非晶質糖が空気混入されている、請求項1~21のいずれか一項に記載の非晶質糖。
【請求項23】
前記糖が0.3~0.7g/cm3の密度を有する、請求項14に記載の非晶質糖。
【請求項24】
前記非晶質糖が、相当重量の精製白糖よりも約10%又は約15%少ないカロリーを含有する、請求項14又は15に記載の非晶質糖。
【請求項25】
1つ又は複数の糖、又は乳糖、マルトース、米飴、ココナツ糖、ラカンカ、リュウゼツラン、ステビア、発酵ステビア、メープルシロップ、及びそれらの組み合わせからなるから選択される代替甘味料を含んでなる非晶質糖、及び(ii)低GI乾燥剤を含んでなる、非晶質糖。
【請求項26】
スクロース、グルコース、ガラクトース、リボース、キシロース、フルクトース、マルトース、乳糖、トレハロースからなる群から選択される1つ又は複数の糖、及び耐消化性炭水化物を含んでなる、プレバイオティック非晶質糖。
【請求項27】
前記糖が、スクロース、グルコース、及びフルクトースからなる群から選択される、請求項26に記載のプレバイオティック非晶質糖。
【請求項28】
低分子量糖が、スクロース及びグルコースからなる群から選択される、請求項26に記載のプレバイオティック非晶質糖。
【請求項29】
プレバイオティックが前記非晶質糖の5~60%w/wである、請求項26~28のいずれか一項に記載のプレバイオティック非晶質糖。
【請求項30】
前記プレバイオティックが200g/mol~70kDaの分子量を有する、請求項26~29のいずれか一項に記載のプレバイオティック非晶質糖。
【請求項31】
前記糖が、少なくとも20mgのCEポリフェノール/100gの炭水化物をさらに含
んでなり、任意選択的に、最大1gのCEポリフェノール/100gの炭水化物を有する、請求項26~30のいずれか一項に記載のプレバイオティック非晶質糖。
【請求項32】
前記耐消化性炭水化物が、ハイメイズ、イヌリン、バガス、キサンタンガム又は耐消化性マルトデキストリン又はその誘導体である、請求項26~31のいずれか一項に記載のプレバイオティック非晶質糖。
【請求項33】
前記糖が低GIを有し及び/又は10gの前記非晶質糖が低GLを有する、請求項26~32のいずれか一項に記載のプレバイオティック非晶質糖。
【請求項34】
前記非晶質糖が良好な又は優れた粉末流動性を有する、請求項26~33のいずれか一項に記載のプレバイオティック非晶質糖。
【請求項35】
前記非晶質糖が空気混入されている、請求項26~34のいずれか一項に記載のプレバイオティック非晶質糖。
【請求項36】
前記糖が0.3~0.7g/cm3の密度を有する、請求項35に記載のプレバイオティック非晶質糖。
【請求項37】
前記非晶質糖が、相当重量の精製白糖よりも少なくとも約10%又は少なくとも約15%少ないカロリーを含有する、請求項35又は36に記載のプレバイオティック非晶質糖。
【請求項38】
前記プレバイオティック糖が、少なくとも結晶白糖と同等の甘味を有する、請求項26~37のいずれか一項に記載のプレバイオティック糖。
【請求項39】
1つ又は複数の低分子量糖又は代替甘味料及び低GI乾燥剤を含んでなる空気混入非晶質糖であって、前記糖が直径1~100μmの粒子を含んでなる、空気混入非晶質糖。
【請求項40】
1つ又は複数の低分子量糖又は代替甘味料、及び低GI乾燥剤を含んでなる空気混入非晶質糖であって、前記糖が0.3~0.7g/cm3の密度を有する、空気混入非晶質糖。
【請求項41】
1つ又は複数の低分子量糖又は代替甘味料及び低GI乾燥剤を含んでなる空気混入非晶質糖であって、前記糖が伝統的な結晶白糖(スクロース)と比較して、10~70%減少した密度を有する、空気混入非晶質糖。
【請求項42】
グルコース、ガラクトース、リボース、キシロース、フルクトース、マルトース、乳糖、及びトレハロースからなる群から選択される1つ又は複数の糖、及び低GI乾燥剤を含んでなる、空気混入非晶質糖。
【請求項43】
前記乾燥剤が前記非晶質糖の5~60%w/wである、請求項39~42のいずれか一項に記載の空気混入非晶質糖。
【請求項44】
前記乾燥剤が200g/mol~70kDaの分子量を有する、請求項39~43のいずれか一項に記載の空気混入非晶質糖。
【請求項45】
前記糖が、少なくとも20mgのCEポリフェノール/100gの炭水化物をさらに含んでなり、任意選択的に、最大1gのCEポリフェノール/100gの炭水化物を有する、請求項39~44のいずれか一項に記載の空気混入非晶質糖。
【請求項46】
前記乾燥剤が、低GI炭水化物、タンパク質又はそれらの組み合わせである、請求項39~45のいずれか一項に記載の空気混入非晶質糖。
【請求項47】
前記乾燥剤が耐消化性炭水化物である、請求項39~46のいずれか一項に記載の空気混入非晶質糖。
【請求項48】
前記タンパク質がホエータンパク質単離物である、請求項46に記載の空気混入非晶質糖。
【請求項49】
前記非晶質糖が良好な又は優れた粉末流動性を有する、請求項39~48のいずれか一項に記載の空気混入非晶質糖。
【請求項50】
前記非晶質糖が、相当重量の精製白糖よりも約10%又は約15%少ないカロリーを含有する、請求項39~49のいずれか一項に記載の空気混入非晶質糖。
【請求項51】
前記非晶質糖が、相当体積の精製白糖よりも約20%、約30%、約40%又は約50%少ないカロリーを含有する、請求項39~50のいずれか一項に記載の空気混入非晶質糖。
【請求項52】
スクロース又は1つ又は複数の糖又は代替甘味料及び任意選択的に、ポリフェノールを含有する液体と、少なくとも1つの乾燥剤とを組み合わせるステップと、混合物を急速乾燥させて非晶質糖を生成するステップとを含んでなる、請求項1~51のいずれか一項に記載の非晶質糖、プレバイオティック非晶質糖又は空気混入非晶質糖を調製する方法。
【請求項53】
前記急速乾燥させるステップが噴霧乾燥による、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
噴霧乾燥機の入口空気温度が140℃~200℃である、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記液体が、サトウキビ汁、甜菜汁及び/又は糖蜜である、請求項52又は53に記載の方法。
【請求項56】
前記液体が、乾燥重量で5~30%の全固形分を含んでなる、請求項52~54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記急速乾燥するステップに先立って、前記組み合わせるステップが前記液体中に安定な気泡を生成しない、請求項52~55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記組み合わせるステップが、前記液体中に安定な気泡を生成するように混合するステップを伴う、請求項52~55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
噴霧乾燥するステップに先立って、追加的な空気が前記液体にポンプで送られない、請求項52~58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
食事の30分前、食事中、又は食事の30分後までの間に栄養補助食品を摂取することを含んでなる、食事のグルコース応答を低下させる方法であって、前記栄養補助食品が、請求項1~51のいずれか一項に記載の非晶質糖を含んでなる、方法。
【請求項61】
請求項1~51のいずれか一項に記載の非晶質糖を使用して製造される、又は請求項52~59のいずれか一項に記載の方法に従って製造される、食品又は飲料。
【請求項62】
前記食品がチョコレート、シリアル又はベイクド製品である、請求項61に記載の食品。
【請求項63】
請求項39~51のいずれか一項に記載の空気混入非晶質糖を含み、且つ前記空気混入非晶質糖が空気混入を保持している、請求項62に記載の食品。
【請求項64】
前記食品又は飲料が、伝統的な白糖を使用して調製された同一食品又は飲料と比較して低減したカロリーを有する、請求項61~63のいずれか一項に記載の食品又は飲料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、糖組成物、糖由来組成物、及び前記組成物を調製するための工程に関する。本発明はさらに、代替甘味料からなる組成物、及び前記組成物を調製するための工程に関する。いくつかの実施形態では、本発明は、低い血糖応答(GR)、低い血糖指数(GI)及び/又は低い血糖負荷(GL)を有する糖組成物、糖由来組成物、及び代替甘味料組成物、並びにそれらを調製するための工程に関する。いくつかの実施形態では、本発明は、カロリー含有量が低減している及び/又は嵩密度が低下している糖組成物、糖由来組成物、及び代替甘味料組成物、並びにそれらを調製するための工程に関する。本発明は、本発明の糖、糖由来組成物及び/又は代替甘味料組成物を含有する及び/又はそれらを使用して調製される食品及び飲料にさらに関し、好ましくは糖及び飲料は糖含有量が低減している。
【背景技術】
【0002】
精製白糖は、糖尿病及び肥満症の発症に因果関係があることが懸念されている。その結果、特に、製品が健康上の利点を提供するか、又は健康上のリスクを最小限に抑える可能性が高い場合は、精製白糖製品の代替物に対する要求がある。
【0003】
人工甘味料及び/又は蜂蜜を使用して、白糖を置き換えるか又は低減するために、多くの努力が払われてきた。しかし、一部の人工甘味料の使用は、現在、II型糖尿病のリスクの増加、並びに肥満の加速、及び脂肪分解の阻害と直接関連づけられている。人工甘味料はまた、腸内細菌叢を変化させることもあり、これらの製品を用いて調合された製品には、緩下剤の警告を含める必要があることもある。またミツバチの個体数は減少しており、大規模な砂糖代替物として使用するために利用できる蜂蜜の量は、限定的である。
【0004】
現行の砂糖としては、精製白糖、黒糖、及び「粗糖」が挙げられる。これらは全て、結晶糖である。精製白糖の調製に使用される精製工程は、ほとんどのビタミン、ミネラル、及び植物化学化合物を砂糖から除去し、「空の栄養」、すなわち、砂糖のエネルギー値を超える有意な栄養価のない食品が残される。
【0005】
砂糖中のビタミン、ミネラル、及び植物化学物質の保持は、健康を改善し、状況によっては血糖指数(GI)を低下させることが実証されている(Jaffe,W.R.,Sugar Tech(2012)14:87-94を参照されたい)。これは、II型糖尿病、肥満症、及び冠動脈心疾患に罹りやすい個人は、低GI食に従うべきだと考えられていることから、有用である。これらの個人が、砂糖の摂取量を減らすこともまた推奨される。また、低GI及び/又は低カロリーの食生活に従うことは、糖尿病を有する個人が、血糖値を管理するのを助け得て、また肥満の問題を抱える個人が、食物欲求を抑制し、食欲の変動を低減して、食習慣を改善するのを助け得る。
【0006】
血糖応答(GR)は、炭水化物含有食品を摂取した後の血糖の変化を指す。血糖指標は、GRの尺度である。これは炭水化物含有食品を分類するシステムであり、一般に、それらが体内の血糖値を上昇させる速度と相関する。低GI食品は、血糖の緩慢な上昇を引き起こす。高GI食品は、強力なインスリン応答を始動する。頻繁に繰り返される強力なインスリン応答は、時間経過と共に、糖尿病のリスク増加をもたらすと考えられている。低GI食品は、それほど高いインスリン応答を始動しない。
【0007】
低GI結晶糖が製造されている。しかし、産業界で原料成分として使用されている糖の大部分は、いまだに精製白糖である。したがって、食品産業では、追加的な低GI糖に対
する必要性がなおもある。また、適切な貯蔵寿命を有し及び/又は工業的量で調製され得るように、より低コスト及び/又は低吸湿性で製造され得る、低GI糖に対する必要性もある。
【0008】
吸湿性は糖の使用及び貯蔵を困難にするので、低吸湿性は重要である。これは、糖が凝集して機器に付着する傾向のために、産業環境では特に不利である。吸湿性糖を工業環境で扱うことは、例えば、窒素下で稼働して、機器に凝集又は付着する糖の量を最小限に抑える機器を必要とすることもある。吸湿性糖は小規模な小売製品で販売され得るが、それらは、砂糖を含有する、チョコレート、飲料、シリアル、菓子、ベーカリー製品、及びその他の小売食品などのその他の食品の調製における工業的使用にとっては理想的でない。
【0009】
噴霧乾燥などの急速乾燥は、例えば、粉ミルクを調製するための食品調製に使用される技術である。不運にも、低ガラス転移温度を有し、ひいては製品を周囲温度又は高温で粘着性にする、スクロースなどの大量の低分子量炭水化物(LMWC)を含有する糖分に富む液体を乾燥させた場合に発生する粘着性及びケーキングの問題のために、糖製品を噴霧乾燥することは困難である。粘着性は、粉末の流動性及び収率を低下させる一方で、機器の詰まりを引き起こす。製品が乾燥中にガラス転移温度を超えて加熱された場合にもまた、問題が生じ得る。利用可能な1つの解決策は、高分子量炭水化物(HMWC)を添加して、溶液のガラス転移温度を上昇させることである。不運にも、食品に使用されるマルトデキストリンなどのHMWCは、高いGIを有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
伝統的な砂糖の代替物に対する必要性がある。これらの代替物は、非伝統的糖及び/又は代替甘味料の形態を取り得て、製糖の無駄を最小限に抑え、製糖の効率を高め、及び/又は砂糖の摂取に関連する健康リスクを軽減する。非伝統的糖又は代替甘味料が、低GR、低GI及び/又は低GLであれば、有用である。伝統的な白糖と比較して、非伝統的糖又は代替甘味料が、重量比又は体積比でカロリーが低減していれば、有用である。
【0011】
非伝統的糖又は代替甘味料が安価に製造され、例えば、それが適切に低い吸湿性及び/又は迅速な溶解を有するために商業規模の食品生産での使用に適していれば、特に有用である。
【0012】
食品又は飲料に伝統的に存在するカロリーを最小限に抑えるために、食品及び飲料の減糖ストラテジーに対する必要性もまたある。
【0013】
本明細書における先行技術への言及は、この先行技術が、いずれかの管轄における一般常識の一部を形成すること、又は当業者によって、この先行技術が理解され、関連性があると見なされ及び/又は先行技術のその他の部分と組み合わされることが合理的に予測され得ることの承認又は示唆ではない。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、伝統的な結晶糖の代替物を提供する。本発明の糖は、大部分が非晶質である。これは、サトウキビ又は甜菜汁を濃縮し、得られたシロップを結晶化し砂糖結晶を形成して、未結晶のシロップ(すなわち、糖蜜)を除去することによって調製されるために結晶性である、食品調製で使用される伝統的な砂糖とは異なる。そうでなく、本発明の非晶質糖は、糖汁又は糖蜜又はそれらの組み合わせなどのスクロース及びポリフェノールを含有する液体の噴霧乾燥などの急速乾燥によって調製され得る。スクロースは、グルコース又はフルクトースなどで代用され得る。GIを低下させるために存在するポリフェノールは、非晶質糖の効率的な調製に必要ではなく、例えば、本来低GIであるフルクトース糖
など、低GI糖が必要でない場合、又はポリフェノールのGI低下効果が必要でない場合には、低減又は除去され得る。
【0015】
スクロース糖
従来より、糖蜜は、サトウキビ加工の利益のない副産物と見なされており、基本的には畜牛及びその他の動物の飼料の添加剤としてのみ使用されている。噴霧乾燥糖蜜をヒト用の代替糖として使用することで、砂糖の供給量が増加するであろう。サトウキビ汁などの糖汁を使用することで、糖蜜などの副産物を生成する必要なく、糖製品の調製が可能になる。急速乾燥糖製品の調製に必要な一段法は、伝統的な結晶糖の調製よりも、はるかにより効率的である。このタイプの糖の調製はまた、廃棄物の生成を最小限に抑え、糖中の栄養素を保持する。
【0016】
第1の態様では、本発明は、スクロース、少なくとも約20mgのカテキン相当量(CE)ポリフェノール/100gの炭水化物、及び低GI乾燥剤を含んでなる、非晶質糖を提供する。
【0017】
ポリフェノール含有量の測定には、複数の選択肢がある。1つの選択肢は、炭水化物の一定量当たりのミリグラムカテキン相当量(CE)を測定することである。代案は、炭水化物の一定量当たりの没食子酸相当量(GAE)を測定することである。mgのCE/100gの量は、0.81を乗じることによってmgのGAE/100gに変換され得て、すなわち、60mgのCE/100gは49mgのGAE/100gである。
【0018】
代替の第1の態様では、本発明は、スクロース、少なくとも約20mgのCEポリフェノール/100gの炭水化物、及び1つ又は複数の食用高分子量低GI乾燥剤を含んでなる、非晶質糖を提供する。
【0019】
代替の第1の態様では、本発明は、スクロース、少なくとも約20mgのCEポリフェノール/100gの炭水化物、並びに乳糖、タンパク質、低GI炭水化物、不溶性繊維、可溶性繊維、脂質、天然強力甘味料及び/又はそれらの組み合わせからなる群から選択される1つ又は複数の食用高分子量低GI乾燥剤を含んでなる、非晶質糖を提供する。
【0020】
一実施形態では、本発明は、40~95%w/wのスクロース、0~4%w/wの還元糖、少なくとも約20mgのCEポリフェノール/100gの炭水化物~約1gのポリフェノールCE/100gの炭水化物、並びに乳糖、低GI炭水化物及び/又はタンパク質から選択される5~60%w/wの低GI乾燥剤を含んでなる、非晶質糖を提供する。
【0021】
発明の第1の態様及び代替の第1の態様のための低GI乾燥剤は以下に記載され、ポリフェノールの含有量についても同様である。
【0022】
本発明の第1の態様又は代替の第1の態様の非晶質糖は、任意選択的に、フルクトース及び/又はグルコースなどの還元糖をさらに含んでなる。
【0023】
以前の研究は、特許請求された量のポリフェノールを有する砂糖が、グルコースなどの高GI糖の量が少ない限り、低血糖であることを示唆する。乾燥剤もまた低血糖又はゼロ血糖であれば、非晶質糖もまた低血糖になるであろう。本発明の第1の態様又は代案の第1の態様の非晶質糖は、任意選択的に、低血糖及び/又は低血糖負荷である。
【0024】
本発明の第1の態様又は代替の第1の態様に従った非晶質糖は、サトウキビ又は甜菜又は精製白糖(すなわち、スクロース糖源)のいずれかから調製され得る。甜菜糖はポリフェノールを含有せず、精製白糖もまた微量を超えるポリフェノールを含有しない。しかし
、ポリフェノールをどちらかに添加して、本発明に従った糖が調製され得る。さらなるポリフェノールが、粉末又は液体形態で糖に添加されてもよい。
【0025】
非晶質糖は、任意選択的に、40~95%w/w、50~90%w/w又は50~80%w/wのスクロースを有する。任意選択的に、還元糖は、非晶質糖の0~4%w/w、0.1~3.5%w/w、0~3%w/w、0~2.5%w/w、0.1~2%w/wである。非晶質糖は、任意選択的に、<0.3%w/wの還元糖を有する。これは、スクロースがサトウキビ又は甜菜汁又は糖蜜から供給される場合に、特に興味深い。
【0026】
いくつかの実施形態では、スクロースは、サトウキビ汁、甜菜汁及び/又は糖蜜から供給される。これらの実施形態では、乾燥剤は、任意選択的に、ホエータンパク質単離物及び/又はヒマワリタンパク質である。
【0027】
任意選択的に、スクロースは、サトウキビ汁、甜菜汁及び/又は糖蜜から供給され、乾燥剤は耐消化性炭水化物である。
【0028】
任意選択的に、スクロースは、サトウキビ汁、甜菜汁及び/又は糖蜜から供給され、乾燥剤はラカンカである。
【0029】
スクロースが甜菜汁から供給される場合、ポリフェノールを測定する必要がある。サトウキビ汁及び糖蜜は、本来十分なポリフェノールを含んでもよいが、必要であれば追加的なポリフェノールが添加され得る。
【0030】
本発明の第1の態様及び代替の第1の態様の非晶質糖は、任意選択的に、周囲条件での6、12又は18ヶ月間の貯蔵後に、流動性粉末のままである。
【0031】
低分子量糖
第2の態様では、本発明は、(i)グルコース、フルクトース、ガラクトース、リボース、及びキシロースからなる群から選択される1つ又は複数の単糖、並びに(ii)低GI乾燥剤を含んでなる、非晶質糖を提供する。任意選択的に、単糖は、グルコース及び/又はフルクトースである。
【0032】
上述のように、低分子量糖(単糖をはじめとする)は、従来より、噴霧乾燥などの急速乾燥によって非晶質形態で調製するのが困難であった。低GI乾燥剤の開発により、低GIを維持しつつ、単糖などの低分子量糖から、乾燥流動性非晶質粉末を調製することが可能となった。
【0033】
代案の第2の態様では、本発明は、1つ又は複数の低分子量糖、少なくとも約20mgのCEポリフェノール/100gの炭水化物、及び低GI乾燥剤を含んでなる、非晶質糖を提供する。
【0034】
代替の第2の態様では、本発明は、1つ又は複数の低分子量糖、少なくとも約20mgのCEポリフェノール/100gの炭水化物、及び1つ又は複数の食用高分子量低GI乾燥剤を含んでなる、非晶質糖を提供する。
【0035】
代替の第2の態様では、本発明は、1つ又は複数の低分子量糖、少なくとも約20mgのCEポリフェノール/100gの炭水化物、並びに乳糖、タンパク質、低GI炭水化物、不溶性繊維、可溶性繊維、脂質、天然強力甘味料及び/又はそれらの組み合わせからなる群から選択される1つ又は複数の食用高分子量低GI乾燥剤を含んでなる、非晶質糖を提供する。
【0036】
本発明の代替の第2の態様の低分子量糖は、任意選択的に、スクロース、グルコース、ガラクトース、リボース、キシロース、フルクトース、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。本発明の代替の第2の態様の低分子量糖は、任意選択的に、スクロース、グルコース、ガラクトース、リボース、キシロース、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。糖は、任意選択的に、スクロース、グルコース及び/又はフルクトースである。いくつかの実施形態では、低分子量糖は、スクロース及び/又はグルコースである。
【0037】
当業者は、フルクトースの包含によって吸湿性が増加し、貯蔵寿命が短縮することを認識するであろう。このような製品は、長期保存よりもむしろ即時使用に最適である。代案としては、他の選択肢の中で、低湿度で保存することによって、それらの貯蔵寿命が改善され得る。
【0038】
非晶質糖は、任意選択的に、40~95%w/w、50~90%w/w又は50~80%w/wの単糖又は低分子量糖を有する。
【0039】
本発明の第2の態様及び代替の第2の態様の非晶質糖は、任意選択的に、周囲条件での6、12又は18ヶ月間の貯蔵後に、流動性粉末のままである。
【0040】
発明の第1の態様及び第2の態様の選択肢
本発明の第1の態様、第2の態様、及びそれらの代替の態様では、非晶質糖が、比較的均質な粒子を含んでなり、各粒子が、乾燥剤及びスクロース/単糖/低分子量糖の双方を含んでなることが好ましい。
【0041】
発明の第1の態様、第2の態様、及びそれらの代替の態様の非晶質糖は、任意選択的に、最大1gのCEポリフェノール/100gの炭水化物を有する。理論により拘束されることなく、乾燥剤は全体的なガラス転移温度を上昇させ、粘着性又はケーキングなしに、サトウキビ汁、糖蜜、又はそれらの組み合わせを乾燥させることができると考えられている。同様の効果は、純粋なスクロース(例えば、精製白糖)、グルコース、フルクトース、及びその他の単糖についても観察される。従来より噴霧乾燥に使用されている乾燥剤は、例えば、マルトデキストリンなど高GIであることから、この非晶質糖には新規乾燥剤が利用されている。新規な基質は、非晶質糖の血糖指数及び/又は一定量の非晶質糖の血糖負荷を低下させ、又は低下を維持することを目的としている。好ましい実施形態では、非晶質糖は、低GL及び/又は低GIを有する。任意選択的に、非晶質糖は摂取に適した食品等級である。
【0042】
非晶質糖の使用の1つの利点は、非晶質糖が結晶糖よりも迅速な溶解速度を有することである。工業用食品の調製における非晶質糖の使用は、例えば、飲料に、糖を溶解するのにかかる時間を最小限に抑えるであろう。
【0043】
非晶質糖の別の利点は、低GI結晶糖に含まれるものよりも大量のポリフェノールが存在し得ることである。国際特許出願第PCT/AU2017/050782号明細書には、低GI結晶糖が記載されている。その結晶糖の調製は、糖加工のレベル(つまり、白下が洗浄される量)における「スイートスポット」の同定に基づいており、その中では、
1.還元糖含有量は糖が低吸湿性であるように低く、還元糖はスクロースのGIを上昇させず;
2.ポリフェノール含有量はスクロースのGIを低下させるように十分高いままである。
【0044】
より具体的には、結晶糖は、約0~0.5g/100gの還元糖、及び約20mgのC
Eポリフェノール/100gの炭水化物~約45mgのCEポリフェノール/100gの炭水化物を含み、糖粒子は、55未満のグルコースベース血糖指数を有する。糖源が、糖蜜を除去した後に残る結晶化糖及び白下でなく、サトウキビ汁又は糖蜜である場合には、本発明の非晶質糖は、外来性のポリフェノールを添加する必要なしに、はるかにより高いポリフェノール含有量を含有し得る。糖源としての糖蜜の使用はまた、糖のキャラメル風味を高める。甜菜汁は糖源として使用することができるものの、固有のポリフェノールがないため、本発明の第1の態様、第1の代替の態様、及び第2の代替の態様に従って糖を調製するためには、ポリフェノールが添加されなくてはならない。
【0045】
任意選択的に、発明の第1の態様、第2の態様又はそれらの代替の態様の非晶質糖は、約20mgのCEポリフェノール/100gの炭水化物~約1gのCEポリフェノール/100gの炭水化物、約20mgのCEポリフェノール/100gの炭水化物~約800mgのCEポリフェノール/100gの炭水化物、約20mgのCEポリフェノール/100gの炭水化物~約500mgのCEポリフェノール/100gの炭水化物、約30mgのCEポリフェノール/100gの炭水化物~約200mgのCEポリフェノール/100gの炭水化物、又は約20mgのCEポリフェノール/100gの炭水化物~約100mgのCEポリフェノール/100gの炭水化物を含んでなる。
【0046】
代案としては、非晶質糖は、約50mgのCEポリフェノール/100gの炭水化物~約100mgのCEポリフェノール/100gの炭水化物、50mgのCEポリフェノール/100gの炭水化物~約80mgのCEポリフェノール/100gの炭水化物、50mgのCEポリフェノール/100gの炭水化物~約70mgのCEポリフェノール/100gの炭水化物、55mgのCEポリフェノール/100gの炭水化物~約65mgのCEポリフェノール/100gの炭水化物を含んでなる。いくつかの実施形態では、約60mgのCEポリフェノール/100gの炭水化物がある。好ましくは、ポリフェノールは、サトウキビに天然に存在するポリフェノールである(ただしそれらがサトウキビから供給される必要はない)。
【0047】
糖に添加されるポリフェノールは、サトウキビから供給されないとしても、サトウキビに存在するポリフェノールであることが好ましい。ポリフェノールは、例えば、製糖廃液流からなどサトウキビから供給され得て、サトウキビ抽出物の形態であってもよい。
【0048】
任意選択的に、発明の第1の態様、第2の態様、及びそれらの代案の非晶質糖は、良好な又は優れた流動性を有する。任意選択的に、非晶質糖は0~0.3%w/wの水分含量を有する。代案としては、非晶質糖は、0~10%w/wの水分含量、0.1~8%w/wの水分含量又は0.1~5%w/wの水分含量を有する。
【0049】
発明の第1の態様、第2の態様及びそれらの代替の態様の糖の空気混入バージョンは、以下に記載されるように調製され得る。
【0050】
その他の甘味料
第3の態様では、本発明は、(i)乳糖、マルトース、トレハロース、米飴、ココナツ糖、ラカンカ(乾燥又はラカンカ汁から供給される、又は抽出物)、リュウゼツラン、ステビア、発酵ステビア、メープルシロップ、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される1つ又は複数の糖又は代替甘味料、並びに(ii)低GI乾燥剤を含んでなる、非晶質糖を提供する。非晶質糖は、任意選択的に、1つ又は複数の単糖及び/又は二糖をさらに含んでなる。スクロースの安定した非晶質粉末を開発した後、本発明の発明者らは、その製品に伴う健康上の利点を観察し、食品産業に代替糖及び甘味料を提供することを意図して、乳糖及びラカンカなどの噴霧乾燥が可能なものをはじめとする、その他の糖/甘味料の同様の非晶質製品の開発に進んだ。
【0051】
代替の第3の態様では、本発明は、(i)スクロース、乳糖、マルトース、トレハロース、米飴、ココナツ糖、ラカンカ(乾燥又はラカンカ汁から供給される、又は抽出物)、リュウゼツラン、ステビア、発酵ステビア、メープルシロップ、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される1つ又は複数の糖又は代替甘味料、並びに(ii)低GI乾燥剤を含んでなる、非晶質糖を提供するが、ただし糖がスクロースであれば、乾燥剤はホエータンパク質単離物でない。
【0052】
代替の第3の態様では、本発明は、(i)乳糖、マルトース、トレハロース、米飴、ココナツ糖、ラカンカ、リュウゼツラン、ステビア、発酵ステビア、メープルシロップ、任意選択的に、スクロース、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される糖又は代替甘味料、並びに1つ又は複数の食用高分子量低GI乾燥剤を含んでなる、非晶質糖を提供するが、ただし糖がスクロースであれば、乾燥剤はホエータンパク質単離物でない。
【0053】
代替の第3の態様では、本発明は、(i)乳糖、マルトース、トレハロース、米飴、ココナツ糖、ラカンカ、リュウゼツラン、ステビア、発酵ステビア、メープルシロップ、任意選択的に、スクロース、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される糖又は代替甘味料、並びに乳糖、タンパク質、低GI炭水化物、不溶性繊維、可溶性繊維、脂質、天然強力甘味料及び/又はそれらの組み合わせからなる群から選択される1つ又は複数の食用高分子量低GI乾燥剤を含んでなる、非晶質糖を提供するが、ただし糖がスクロースであれば、乾燥剤はホエータンパク質単離物でない。
【0054】
本発明の第3の態様及び代替の第3の態様では、非晶質糖が、比較的均質な粒子を含んでなり、各粒子が、乾燥剤及び1つ又は複数の糖/代替甘味料の双方を含んでなることが好ましい。
【0055】
本発明の第3の態様及び代案の第3の態様では、非晶質糖は、任意選択的に、代替甘味料を含んでなる。代替甘味料は、任意選択的に、米飴、メープルシロップ、ココナツ糖及び/又はラカンカである。
【0056】
本発明の第3の態様及び代替の第3の態様における糖は、任意選択的に、グルコース、ガラクトース、リボース、キシロース、フルクトース、マルトース、乳糖、トレハロース、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0057】
本発明の第3の態様及び代替の第3の態様の非晶質甘味料は、任意選択的に、少なくとも約20mgのCEポリフェノール/100gの炭水化物、及び低GI乾燥剤をさらに含んでなる。ポリフェノールの性質及び量は、本発明の第1の態様及び第2の態様について上述したとおりであり得る。しかし、当業者が知っているように、1つ又は複数の甘味料が既に低GIである場合、ポリフェノールはそれらのGI低下効果のために必要とされないであろう。
【0058】
非晶質糖は、任意選択的に、40~95%w/w、50~90%w/w又は50~80%w/wの糖/代替甘味料を有する。
【0059】
本発明の第3の態様及び代替の第3の態様における粉末の水分含量及び流動性は、本発明の第1の態様及び第2の態様について記載したとおりであり得る。
【0060】
本発明の第3の態様及び代案の第3の態様では、乾燥剤は、以下に記載されるようであるが、ただし糖が乳糖であれば、乾燥剤は乳糖でない。
【0061】
発明の第3の態様及び代替の第3の態様の糖の空気混入バージョンは、以下に記載されるように調製され得る。
【0062】
本発明の第3の態様及び代案の第3の態様では、代替甘味料がラカンカであれば、乾燥剤はラカンカでない。
【0063】
本発明の第3の態様及び代替の第3の態様の非晶質糖は、任意選択的に、周囲条件での6、12又は18ヶ月間の貯蔵後に、流動性粉末のままである。
【0064】
空気混入糖
発明の第1の態様、第2の態様、第3の態様、及びそれらの代案の態様のいくつかの実施形態では、非晶質糖は空気混入されている。空気混入糖の1つの利点は、最終的な糖の分量が減少する一方で、味覚に利用可能な表面積が増加することである。これにより、より強い甘味がもたらされるが、カロリーは低くなる。糖中の非常に小さなサイズの空気ポケット又は空気孔は、それらが口中で(舌によって)感じられないことを意味する。これは、糖が非常に滑らかな口当たりを保つことを意味し、それは多くの固形食品に有利である。
【0065】
本発明の空気混入糖は、例えば、固形食品マトリックスへの組み込みによる、固形食品の調製において特に有用である。例としては、チョコレート、ケーキ、及びベイクド製品が挙げられる。
【0066】
第4の態様では、本発明は、グルコース、フルクトース、ガラクトース、リボース、キシロース、乳糖、マルトース、米飴、ココナツ糖、ラカンカ、リュウゼツラン、ステビア、発酵ステビア、メープルシロップ、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される1つ又は複数の糖又は代替甘味料、並びに低GI乾燥剤を含んでなる空気混入非晶質糖を提供する。任意選択的に、糖は、グルコース及び/又はフルクトースである。
【0067】
本発明の代替の第4の態様では、本発明は、スクロース、グルコース、フルクトース、ガラクトース、リボース、キシロース、乳糖、マルトース、米飴、ココナツ糖、ラカンカ、リュウゼツラン、ステビア、発酵ステビア、メープルシロップ、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される1つ又は複数の糖又は代替甘味料、並びに低GI乾燥剤を含んでなる、空気混入非晶質糖を提供し、糖粒子は、直径が1~100μm(例えば、100μm以下のD90)である。
【0068】
任意選択的に、本発明の第4の態様及び代替の第4の態様では、低GI乾燥剤は、ホエータンパク質単離物、ヒマワリタンパク質、キサンタンガム、バガス又はそれらの組み合わせである。好ましくは、低GI乾燥剤は、任意選択的に、キサンタンガム又はバガスなどの耐消化性炭水化物と組み合わされた、ホエータンパク質単離物である。
【0069】
その他の実施形態では、低GI乾燥剤は、任意選択的に、ホエータンパク質単離物、リン酸トコフェロール及び/又はレシチンなどの空気混入増強剤を含む耐消化性炭水化物である。
【0070】
ホエータンパク質単離物が耐消化性炭水化物と組み合わされる場合、比率はそれぞれ任意選択的に、20:1~5:1w/wである。
【0071】
本発明の第4の態様及び代替の第4の態様では、非晶質糖が、比較的均質な粒子を含んでなり、各粒子が、乾燥剤及び1つ又は複数の糖/代替甘味料の双方を含んでなることが好ましい。
【0072】
本発明の第4の態様及び代替の第4の態様では、非晶質糖が、比較的均質な粒子を含んでなり、各粒子が、乾燥剤及び1つ又は複数の糖/代替甘味料の双方を含んでなることが好ましい。
【0073】
本発明の空気混入非晶質糖の嵩密度は、約0.25~0.7g/cm3、約0.3~0.7g/cm3、0.4~0.6g/cm3又は0.45~0.55g/cm3である。密度は、伝統的な結晶白糖(スクロース)と比較して、10~70%、20~60%、又は30~60%に減少している。
【0074】
本発明の空気混入非晶質糖のいくつかの実施形態では、糖は、最大5%の空気非混入粒子、最大10%の空気非混入粒子又は最大20%の空気非混入粒子を有する。本発明の空気非混入糖は、いくらかの空気混入粒子を含んでもよい。いくつかの実施形態では、空気非混入非晶質糖は、最大5%の空気混入粒子、最大10%の空気混入粒子又は最大20%の空気混入粒子を有する。
【0075】
篩掛けしてより小さな空気非混入粒子を除去し、空気混入粒子を保持することによって、空気混入粒子の比率がより高い空気混入糖が調製されてもよい。この方法を使用して、95%を超える空気混入粒子、99%の空気混入粒子又は約100%の空気混入粒子を有する空気混入非晶質糖が調製されてもよい。
【0076】
同様に、篩掛けしてより大きな空気混入粒子を除去し、空気非混入粒子を保持することによって、空気非混入粒子の比率がより高い空気非混入糖が調製されてもよい。この方法を使用して、95%を超える空気非混入粒子、99%の空気非混入粒子、又は約100%の空気非混入粒子を有する空気非混入非晶質糖が調製されてもよい。撹拌によって、より多くの空気混入粒子が形成され得る。
【0077】
いくつかの実施形態では、本発明の空気混入糖は、非凝集粒子を有する。いくつかの実施形態では、本発明の空気混入糖は、開放的に空気混入されている(糖粒子の合理的な割合(例えば、少なくとも20、40、60、又は80%)が、完全に封入された粒子内の空気ポケットではなく、開放された外表面を有するという意味で)。
【0078】
いくつかの実施形態では、本発明の空気混入糖は非凝集であり、開放的に空気混入されている。
【0079】
本発明の第4の態様及び代替の第4の態様の非晶質糖は、任意選択的に、周囲条件での6、12又は18ヶ月間の貯蔵後に、流動性粉末のままである。
【0080】
本発明の空気混入糖の空気混入の程度は、存在するホエータンパク質単離物の量を増加させることによって、増加させ得る。レシチン及び/又はリン酸トコフェロールの添加によって、空気混入の程度を増加させることもまた可能である。急速乾燥前に液体原料に空気を吹き込むことによって、空気混入の量を増加させることもまた可能である。
【0081】
乾燥剤
乾燥剤は、任意選択的に、コーンスターチ及び/又はタンパク質などの低GI炭水化物である。代案としては、食用乾燥剤は、タンパク質、低GI炭水化物、脂質及び/又は天然強力甘味料である。乾燥剤の溶解度が限られている場合、可溶化剤が使用され得る。
【0082】
適切なタンパク質としては、ホエータンパク質単離物、好ましくはウシホエータンパク質単離物、β-ラクトグロブリン、α-ラクトアルブミン、血清アルブミン、エンドウ豆
タンパク質、ヒマワリタンパク質、及び麻タンパク質が挙げられる。適切なタンパク質としては、ホエータンパク質単離物、好ましくはウシホエータンパク質単離物、β-ラクトグロブリン、α-ラクトアルブミン、血清アルブミン、マルトデキストリン、エンドウ豆タンパク質、ヒマワリタンパク質、及び麻タンパク質が挙げられる。
【0083】
任意選択的に、低GI乾燥剤は乳糖である。
【0084】
好ましくは、低GI乾燥剤は耐消化性である。適切な耐消化性乾燥剤としては、ハイメイズ、フルクトオリゴ糖若しくはイヌリン、バガス、キサンタンガム、又は耐消化性マルトデキストリン(すなわち、例えば、少なくとも一部のグルコース置換基が非消化性形態に変換されているために、健康な個人の小腸における消化に抵抗するマルトデキストリンの誘導体)又はその誘導体が挙げられる。耐消化性低GI乾燥剤は、任意選択的に、3~17又は10~14グルコース単位のグルコースポリマーである。耐消化性低GI乾燥剤は、可溶性若しくは不溶性繊維又はそれらの組み合わせであってもよい。不溶性繊維を有する耐消化性低GI乾燥剤の1つの選択肢は、バガスである。キサンタンガムは、低GI乾燥剤として使用するのに適した可溶性繊維である。
【0085】
好ましい乾燥剤としては、ハイメイズなどの耐消化性炭水化物又は耐消化性デンプン、又はタンパク質ホエータンパク質単離物又はそれらの組み合わせが挙げられる。耐消化性デンプンを使用することの1つの利点は、工業量の糖の使用時における固結防止の改善である。
【0086】
適切な脂質としては、レシチン及びリン酸化ビタミンEなどのリン脂質が挙げられる。
【0087】
天然強力甘味料は、強力に甘味付けする植物抽出物又は植物汁液である。これらは、液体又は乾燥物のどちらかであり得る。液体及び乾燥形態の適切な抽出物及び汁液は、ステビア、ラカンカ、及びブラックベリーリーフについて市販されている。本発明者らによって調製されたラカンカ製品の観点から、本発明の糖/甘味料のステビア及びブラックベリーリーフバージョンは、成功することが予測される。
【0088】
任意選択的に、本発明の全ての態様の乾燥剤はラカンカである。
【0089】
いくつかの実施形態では、乾燥剤は、例えば、ホエータンパク質単離物とハイメイズなどの、タンパク質と低GI炭水化物の組み合わせである。1:1w/w比のホエータンパク質単離物:ハイメイズが適切である。
【0090】
代替の実施形態では、乾燥剤は、例えば、ホエータンパク質単離物とレシチンの、タンパク質と脂質の組み合わせである。1:1~1:2比のホエータンパク質単離物:レシチンが、安定した粉末を形成する。乾燥剤は、流動性非晶質粉末として調製するのに好適である。したがって、適切な非晶質固体を調製するためには、固体の少なくとも5%w/wが乾燥剤でなくてはならない一方で、乾燥剤の量に上限はない(乾燥剤は、単独で効果的に噴霧乾燥され得るので)。
【0091】
好ましくは、乾燥剤の分子量は、還元糖グルコース及びフルクトースの分子量よりも高い(すなわち、約180g/mol)。任意選択的に、乾燥剤の分子量は、200g/mol~70kDa、300g/mol~70kDa、500g/mol~70kDa、800g/mol~70kDa、又は1kDa~70kDaである。任意選択的に、乾燥剤は、10kDa~60kDa、10kDa~50kDa、10kDa~40kDa、又は10kDa~30kDaである。
【0092】
任意選択的に、乾燥剤は、50%相対湿度で0~0.2%の吸湿性を有する。
【0093】
いくつかの実施形態では、乾燥剤は、10~70kDaのタンパク質(例えば、ウシホエータンパク質単離物、β-ラクトグロブリン、α-ラクトアルブミン、血清アルブミン又はそれらの組み合わせなど)であり、糖源と乾燥剤の比率は、固体重量で95:5~60:40である。製品は、より多くの乾燥剤を用いて調製され得るが、上記の比率の味覚プロファイルが好ましかった。当業者は、その中で糖のTgが問題である、本発明の第1の態様、第2の態様、及び代案の態様の非晶質糖のガラス転移温度(Tg)を低下させるためには、比較的低分子量の高分子量乾燥剤がより大量に必要であることを理解するであろう。当業者はまた、非晶質糖のTgを低下させるためには、比較的分子量の高い高分子量乾燥剤のより少ない量が必要であることも理解するであろう。
【0094】
任意選択的に、乾燥剤は、非晶質糖/甘味料の5~60%w/w、10~50%w/w又は20~50%w/wである。任意選択的に、乾燥剤は、5~60重量%、5~40重量%、5~35重量%、又は10~40重量%である。いくつかの実施形態では、乾燥剤は、非晶質糖の5~40%w/w未満である。
【0095】
別の実施形態では、本発明は、40~95%w/wのスクロース、0~4%w/wの還元糖、少なくとも約20mgのCEポリフェノール/100gの炭水化物~約1gのポリフェノールCE/100gの炭水化物、及び5~60%w/wの低GI乾燥剤を含んでなる、非晶質糖を提供し、乾燥剤の分子量は約200g/mol~約70kDaである。
【0096】
別の実施形態では、本発明は、40~95%w/wのスクロース、0~4%w/wの還元糖、少なくとも約20mgのCEポリフェノール/100gの炭水化物~約1gのポリフェノールCE/100gの炭水化物、及び5~60%w/wの低GI乾燥剤を含んでなる、非晶質糖を提供し、乾燥剤の分子量は約200g/mol~約70kDaであり、乾燥剤は、耐消化性炭水化物又はホエータンパク質単離物又はそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0097】
別の実施形態では、本発明は、40~95%w/wのスクロース、0~4%w/wの還元糖、少なくとも約20mgのCEポリフェノール/100gの炭水化物~約1gのポリフェノールCE/100gの炭水化物、及び5~60%w/wの低GI乾燥剤を含んでなる、非晶質糖を提供し、乾燥剤の分子量は約200g/mol~約70kDaであり、本発明の10gの非晶質糖は10以下の血糖負荷を有し、又は非晶質糖は55未満のグルコースベース血糖指数を有する。
【0098】
プレバイオティック糖
第5の態様では、本発明は、本発明の第1の態様~第4の態様又はそれらの実施形態の非晶質糖の任意の1つに従った、プレバイオティック非晶質糖を提供し、低GI乾燥剤は耐消化性炭水化物であり、プレバイオティック非晶質糖は摂取時にプレバイオティック効果を有する。低GI乾燥剤は、任意選択的に、可溶性繊維及び/又は不溶性繊維である。
【0099】
適切なプレバイオティック乾燥剤としては、ハイメイズ、フルクトオリゴ糖又はイヌリン、バガス、キサンタンガム、耐消化性マルトデキストリン又はその誘導体、3~17又は10~14グルコース単位の耐消化性グルコースポリマーが挙げられる。分子量、吸湿性、及び糖/甘味料に対する乾燥剤の重量百分率などの乾燥剤のその他の特徴は、任意選択的に、上記の通りである。プレバイオティック非晶質糖のプレバイオティック効果を試験する方法は、そのコピーが参照により本明細書の本文に援用される、「Compositions that reduce sugar bioavailability and/or have prebiotic effect」と題された、シンガポー
ル特許出願SG10201809224Y号明細書で説明される。
【0100】
タンパク質糖
第6の態様では、本発明は非晶質糖を含有するタンパク質を提供し、非晶質糖は、本発明の第1の態様~第4の態様又はそれらの実施形態のいずれか1つに従い、低GI乾燥剤はタンパク質である。タンパク質は、任意選択的に、タンパク質単離物、好ましくはウシホエータンパク質単離物、β-ラクトグロブリン、α-ラクトアルブミン、血清アルブミン、エンドウ豆タンパク質、ヒマワリタンパク質及び/又は麻タンパク質である。
【0101】
分子量、吸湿性、及び糖/甘味料に対する乾燥剤の重量百分率などの乾燥剤のその他の特徴は、任意選択的に、上記の通りである。
【0102】
強力甘味料
第7の態様では、本発明は、本発明の第1の態様~第4の態様又はそれらの実施形態のいずれか1つに従った非晶質糖、及び低GI乾燥剤を含んでなる、非晶質糖組成物を提供し、低GI乾燥剤は、ステビア、ラカンカ、ブラックベリーリーフ、及びそれらの抽出物からなる群から選択される1つ又は複数の天然強力甘味料であるが、ただし低GI乾燥剤がラカンカ又はラカンカ抽出物であれば、糖/甘味料はラカンカ代替甘味料でない。タンパク質は、任意選択的に10~70kDaである。
【0103】
分子量、吸湿性、及び糖/甘味料に対する乾燥剤の重量百分率などの乾燥剤のその他の特徴は、任意選択的に、上記の通りである。
【0104】
本発明の第7の態様の一実施形態では、非晶質糖はポリフェノールを含有し、任意選択的に、糖はスクロースであり、サトウキビ汁、甜菜汁又は糖蜜から供給される。これらの実施形態では、ポリフェノール及び/又は糖源のキャラメルタイプの風味は、高強度甘味料の金属的な味をマスクして、糖の味を改善し及び/又は美味性を維持しながら高強度甘味料の量を増加できるようにする。高強度甘味料の使用量を増加させることによって、本発明の本実施形態を用いて調製された食品及び飲料における砂糖の使用を低減させることができる。
【0105】
脂質糖
第8の態様では、本発明は、本発明の第1の態様~第4の態様又はそれらの実施形態のいずれか1つに従った非晶質糖、及び低GI乾燥剤を含んでなる、非晶質糖組成物を提供し、低GI乾燥剤はレシチン又はリン酸化ビタミンEのようなリン脂質である。
【0106】
本発明の全ての糖/甘味料の選択肢
以下のセクションは、特に明記されない限り、本発明の非晶質糖の全ての態様、代案の態様及び実施形態に当てはまる。
【0107】
非晶質糖は、食品としての使用、及び/又は食品の調製に使用される成分としての使用が、意図される。使用される糖、代替甘味料、及び乾燥剤は、常に摂取に適する(すなわち、食用)。
【0108】
スクロースを含んでなる本発明の全ての態様で、特に明記されない限り、スクロースは任意選択的に、サトウキビ及び/又は甜菜糖から供給される。フルクトースを含んでなる本発明の全ての態様で、特に明記されない限り、フルクトースは任意選択的に、高フルクトースコーンシロップである。
【0109】
本発明の全ての態様の非晶質糖は、任意選択的に、40~95%w/w、50~90%
w/w又は50~80%w/wの糖又は代替甘味料である。
【0110】
任意選択的に、本発明の全ての態様の非晶質糖は、例えば、50%の相対湿度で0~0.2%などの低吸湿性を有する。
【0111】
任意選択的に、デンプン、リン酸カルシウム及び/又はステアリン酸マグネシウムをはじめとするが、これに限定されるものではない、固結防止剤が添加される。
【0112】
任意選択的に、還元糖は、非晶質糖の0~4%w/w、0.1~3.5%w/w、0~3%w/w、0~2.5%w/w、0.1~2%w/wである。
【0113】
任意選択的に、本発明の全ての態様の非晶質糖は、0.6未満、0.4未満、又は約0.3の水分活性(aw)を有する。
【0114】
いくつかの実施形態では、非晶質糖は、低血糖であるか又は非常に低血糖である。
【0115】
任意選択的に、本発明の10gの非晶質糖は、10以下、又は8以下、又は5以下の血糖負荷(GL)を有する。一定量の食品の血糖負荷の計算は、以下の詳細な説明で説明される。
【0116】
任意選択的に、本発明の非晶質糖は、54以下又は50以下のグルコースベースGIを有する。任意選択的に、非晶質糖は54以下のグルコースベースGIを有し、10gの非晶質糖は10以下のグルコースベースGLを有する。
【0117】
任意選択的に、非晶質糖は、流動性改良剤及び/又は乾燥剤をさらに含んでなる。流動性改良剤及び/又は乾燥剤は、還元糖が非晶質糖の2%w/wを超えるか又は3%w/wを超える場合に、特に役立つ。
【0118】
非晶質糖は、任意選択的に、均質な成分の混合物である。より大きな乾燥剤が使用される場合、非晶質糖は任意選択的に、そのコアが乾燥剤であり、乾燥剤は、スクロース及び/又はその他のより小さな非晶質糖の構成成分で被覆されている。
【0119】
非晶質糖は、粒子からなる。粒子は、一般に直径が1~100μmである。粒子は、任意選択的に、5~80μm、5~60μm及び5~40μmである。例えば、直径が10μm未満の粒子と、直径が10μmを超えるが50μm未満である粒子との配合物などの、小さな粒子と大きな粒子との配合物が一般的である。本発明の空気混入糖(下記参照)が、その調製直後にいくらかの空気非混入粒子を含むこともまた、一般的である。
【0120】
非晶質糖粒子を被覆することは可能であるものの、粒子は通常は被覆されない。
【0121】
味
糖がスクロースであり、それがサトウキビ汁、甜菜汁及び/又は糖蜜から供給される実施形態では、本発明の非晶質糖は、特に、精製白糖より甘味が強い及び/又は精製白糖よりもキャラメル風味が強いなどの望ましい官能プロフィールを有する。理論により拘束されることなく、これは、サトウキビ汁、甜菜汁、及び糖蜜から供給された糖が、本質的に純粋な砂糖より甘味が強いため、及び/又は糖の非晶質性が、非晶質糖中に存在する糖化合物の素早い味覚を可能にするため、及び/又は糖の空気混入サイズが、味蕾との接触を高めるように糖を配置して甘味の認識をより強めるために起こると考えられている。
【0122】
本発明の非晶質糖がホエータンパク質単離物を含む場合、糖は任意選択的に、精製白糖
よりもミルキーな味を有する。
【0123】
消化に利用できる糖又はカロリーを低減/栄養を高める
本発明の非晶質糖は、その他の食品における成分として使用するのに、又は栄養補助食品として使用するのに、好適である。本発明の非晶質糖を使用して、食品システム中の伝統的な結晶糖の使用と比較して、食品システム中の糖を10%以上、20%以上、30%以上、又は40%以上、55%以上、又は最大約65%低減させ得る。任意選択的に、食品又は飲料中の糖が、10~50%又は20~40%低減される。食品システムは、糖それ自体であり得る。これは、精製白糖よりも本発明の非晶質糖の方が、遊離糖が少ないために起こる。また、糖がスクロースであり、スクロースがサトウキビ汁、甜菜汁及び/又は糖蜜から供給される、本発明の実施形態の非晶質糖の甘味のために、1:1より少ない糖置換が必要であってもよい。詳細については、実施例12を参照されたい。
【0124】
本発明の空気非混入非晶質糖は、精製白糖よりも最大15%少ないキロジュール及び/又はカロリーを含有し、すなわち、それは精製白糖のキロジュール及び/又はカロリーの約85~95%を含有する。
【0125】
非晶質糖の甘味の増加による1:1未満の置換可能性を考慮した場合、本発明の非晶質糖の総キロジュール/カロリー低減は、任意選択的に、5~40%又は10~30%である。
【0126】
糖がスクロースであり、サトウキビ汁、糖蜜及び/又は甜菜汁から供給されて、少なくとも20mgのCEポリフェノール/100gの炭水化物が存在する、発明の様々な態様の実施形態では、非晶質糖は、伝統的な結晶白糖と比較して改善された栄養プロファイルを有する。これらの実施形態では、非晶質糖は、任意選択的に、以下の1つ又は複数を有する:
●1日のナトリウム推奨量の5~9%(7%);
●1日の炭水化物推奨量の20~30%(23%);
●1日の繊維推奨量の3~10%(4%);
●1日のタンパク質推奨量の10~50%(48%);
●1日のカルシウム推奨量の50~100%(90%);
●1日の鉄推奨量の100~180%(160%);
●1日のカリウム推奨量の30~40%(35%);
●1日のマグネシウム推奨量の50~80%(70%);
●1日の亜鉛推奨量の25~35%(35%);
●1日の銅推奨量の50~65%(60%);及び/又は
●1日のマンガン推奨量の200~400%(350%)。
【0127】
低GI乾燥剤がホエータンパク質単離物であり、糖が任意選択的に、サトウキビ汁から供給される場合、本発明の非晶質糖は任意選択的に、上記の全てを有する。
【0128】
本発明の非晶質糖を調製する方法
別の態様では、本発明は、(i)スクロース及びポリフェノールを含有する液体と、少なくとも1つの乾燥剤とを組み合わせるステップと;(ii)混合物を急速乾燥させて非晶質糖を生成するステップとを含んでなる、本発明の第1の態様又は代替の第1の態様に従った、非晶質糖を調製する方法を提供する。
【0129】
代案としては、本発明は、(i)1つ又は複数の低分子量糖及びポリフェノールを含有する液体と、少なくとも1つの乾燥剤とを組み合わせるステップと;(ii)混合物を急速乾燥させて非晶質糖を生成するステップとを含んでなる、本発明の第2の態様又は代替
の第2の態様に従った、非晶質糖を調製する方法を提供する。
【0130】
代案としては、本発明は、(i)1つ又は複数の糖又は代替甘味料及びポリフェノールを含有する液体と、少なくとも1つの乾燥剤とを組み合わせるステップと;(ii)混合物を急速乾燥させて非晶質糖を生成するステップとを含んでなる、本発明の第3の態様又は代替の第3の態様に従った、非晶質糖を調製する方法を提供する。
【0131】
驚くべきことに本発明に従った空気混入糖はまた、(i)スクロース及びポリフェノールを含有する液体と、少なくとも1つの乾燥剤とを混合するステップと;(ii)混合物を急速乾燥させて非晶質糖を生成するステップとによっても調製され得る。空気混入を達成するためには、空気を原料に導入しなくてはならないと予測されていたので、手動による非常に軽度の混合が効果的であるのは、驚くべきことである。
【0132】
一実施形態では、本発明に従った空気混入糖はまた、(i)スクロース及びポリフェノールを含有する液体と、少なくとも1つの乾燥剤とを混合するステップと;(ii)混合物を急速乾燥させて非晶質糖を生成するステップとによって調製され得て、急速乾燥するステップに先だって、追加的な空気は原料にポンプで送られない。
【0133】
別の実施形態では、本発明に従った空気混入糖はまた、(i)スクロース及びポリフェノールを含有する液体と、少なくとも1つの乾燥剤とを混合するステップと;(ii)混合物を急速乾燥させて非晶質糖を生成するステップとによって調製され得て、急速乾燥するステップに先だって、混合は泡立った原料を生成しない。
【0134】
代案の実施形態では、本発明に従った空気混入糖は、(i)スクロース及びポリフェノールを含有する液体と、少なくとも1つの乾燥剤とを混合するステップと;(ii)混合物を急速乾燥させて非晶質糖を生成するステップとによって調製され得て、急速乾燥するステップに先だって、混合は泡立った原料を生成するが、急速乾燥するステップに先だって、追加的な空気は原料にポンプで送られない。
【0135】
任意選択的に、急速乾燥するステップは噴霧乾燥機を使用する。任意選択的に、噴霧乾燥機は向流噴霧乾燥機である。代案としては、噴霧乾燥機は並流噴霧乾燥機である。
【0136】
液体は、任意選択的に、サトウキビ汁、甜菜汁、及び糖蜜からなる群から選択される。液体は、好ましくは、サトウキビ汁及び/又は糖蜜である。任意選択的に、液体は、5~30%w/w、10~25%w/w、15~20%w/w、又は20%w/wの全固形分で調製される(又は、それまで希釈/濃縮される)。サトウキビ汁は、任意選択的に、少なくとも60ブリックス(すなわち、100gの溶液中に60gのスクロース)である。結果は、サトウキビの品種次第で変動する。
【0137】
液体及び乾燥剤は、どちらも任意選択的に、0.1ミクロンで濾過される。液体及び乾燥剤は、組み合わされる。液体及び乾燥剤は、20mgのCEポリフェノール/100gの炭水化物~1gのCEポリフェノール/100gの炭水化物を有する。ポリフェノール含有量は、乾燥に先だって、追加的なポリフェノールを添加する(又は希釈によってポリフェノールを低減する)ことによって、任意選択的に調整される。
【0138】
噴霧乾燥機の入口空気温度は、任意選択的に、140℃~200℃、160℃~200℃、140℃~180℃、140℃~160℃又は160℃~180℃である。
【0139】
噴霧乾燥機の出口空気温度は、70℃~90℃、75℃~85℃又は75℃~80℃である。
【0140】
乾燥前にグルコースオキシダーゼが液体に添加され、必要に応じて遊離グルコースが低減されてもよい。
【0141】
噴霧乾燥によって糖を調製することの1つの利点は、処理が安価なことである。流動床乾燥、低温真空乾燥、及び環式乾燥をはじめとする、その他の低コストの乾燥方法もまた、有用なこともある。砂糖に自然に含まれるビタミン、ミネラル、及び植物化学化合物の一部が保持されるため、砂糖が栄養価を保持し、「空の栄養」ではないこともまた有益である。
【0142】
(スクロース源としてサトウキビ汁、甜菜汁又は糖蜜を使用する実施形態における)本発明の噴霧乾燥非晶質糖の1つの利点は、噴霧乾燥糖は、以前の砂糖廃液流である糖蜜を利用して、砂糖の生産量を増加させ、又は精製度の低い製品であるサトウキビ汁を利用して、伝統的な結晶糖の調製と比較して、生産量を増加させ効率を改善することである。
【0143】
食品/飲料
本発明はまた、任意の本発明の態様又は実施形態に従った1つ又は複数の非晶質糖を含んでなる、食品又は飲料にも関する。
【0144】
例えば、本発明は、本発明の空気混入非晶質糖を含有するチョコレートを提供する。チョコレートは、チョコレートで被覆された空気混入非晶質糖粒子を被覆して、直径が最大約100μmの粒子を形成する。例えば、直径が30μm未満又は直径が20μm未満のより小さなサイズの粒子を有するチョコレートは、空気混入非晶質糖を篩掛けしてより大きな粒子を除去することによって、調製されてもよい。同様に、所望ならば、より小さな粒子が除去され得る。
【0145】
別の態様では、本発明は、本発明の空気混入非晶質糖を含有するベイクド製品を提供する。ベイクド製品は、任意選択的に、ビスケット、ケーキ又はマフィンである。
【0146】
別の態様では、本発明は、本発明の任意の態様、代替の態様又は実施形態に従った非晶質糖又は代替甘味料を含有する、飲料を提供する。任意選択的に、代替甘味料はラカンカであり、又は低GI乾燥剤はラカンカなどの強力甘味料である。
【0147】
なおも別の態様では、本発明は、(i)本発明の任意の態様、代替の態様又は実施形態に従った非晶質糖又は非晶質代替甘味料、及び粉ミルク、コーヒー及び/又はチョコレートを含んでなる組成物を提供する。これらの組成物は、飲料の調製のために(すなわち、ミルク又は水と組み合わせて、コーヒー、チョコレート又はモカ飲料を調製するために)、又は例えば、ベイクド製品などの食品の成分として、好適である。任意選択的に、非晶質糖又は代替甘味料は、本発明に従ったプレバイオティック糖又は代替甘味料である。
【0148】
このセクションに記載の食品、チョコレート、ベイクド製品、及び組成物では、本発明の空気混入糖が使用された場合、食品の調製の全体を通じて、空気混入糖がその空気混入を保持し、その空気混入形態で食品中に存在することが好ましい。これは、食品の追加的な嵩増しを可能にし、それは次に、食品における減糖を可能にし得る。理論により拘束されることなく、食品を摂取する対象者は、糖粒子の表面の糖を味わうだけなので、これは効果的であると考えられている。非晶質糖からの糖が容易に味わわれる一方で、結晶糖からの糖は、糖化合物が結晶構造から放出されるまでにかかる時間のために、より緩慢に味わわれる。粒子の中心にある糖は、味わわれることがない。したがって、糖粒子の中心の一部が、タンパク質又は繊維又は空気である場合、粒子の消費者は違いに気づかなくてもよいが、糖粒子の甘味は保持されてもよく又は改善されることすらあり得、糖の嵩増し効
果もまた保持されてもよく又は改善されることすらあり得る。
【0149】
食品/飲料のGI/GLを低下させる
別の態様では、本発明は、本発明の低GI及び/又は低GL非晶質糖を使用して、食品/飲料を調製するステップを含んでなる、食品又は飲料のGR、GI及び/又はGLを低下させる方法を提供する。当業者には、本発明の非晶質糖が、一定量のスクロース(及びその他の糖)並びに一定量の低GI乾燥剤を含有する場合、糖と低GI乾燥剤の比率次第で、非晶質糖のGIが変動することは明らかであろう。GLは、摂取される糖の量によってさらに変動する。
【0150】
別の態様では、本発明は、食事の30分前まで、食事中、又は食事の30分後までの間に、本発明の非晶質糖を含んでなる栄養補助食品を摂取することを含んでなる、食事、特に炭水化物を含有する食事のGIを低下させる方法を提供する。
【0151】
食品を調製する方法
別の態様では、本発明は、本発明に従った糖(例えば、本発明の空気混入糖)によって、レシピ中の伝統的な砂糖が代用されている、チョコレート又はベイクド製品を調製する方法を提供し、(i)チョコレート又はベイクド製品の非糖成分が組み合わされて、(ii)非晶質糖及び非糖成分がベーキング/固化の直前に混合される。
【0152】
代案としては、本発明は、本発明に従った糖(例えば、本発明の空気混入糖)によって、レシピ中の伝統的な砂糖が代用されている、チョコレート又はベイクド製品を調製する方法を提供し、(i)伝統的な砂糖が添加されていたであろう時に、必要な全非晶質糖の半分が添加され、(ii)残りの非晶質糖は、ベーキング/固化の直前にその他の材料と混合される。
【0153】
チョコレート又はベイクド製品は、任意選択的に、直径が30μm未満又は20μm未満の非晶質糖粒子を含んでなる。
【0154】
本明細書で使用されるように、文脈が他を必要とする場合を除き、「含んでなる(comprise)」という用語及び、「含んでなる(comprising)」、「含んでなる(comprises)」、及び「含んでなる(comprised)」などの用語の変形は、さらなる添加剤、構成成分、整数又はステップを除外することは意図されない。
【0155】
本発明のさらなる態様及び先行する段落に記載の態様のさらなる実施形態は、例示のために与えられる以下の説明から、添付の図面を参照して明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0156】
【
図1】典型的な向流噴霧乾燥機(G=ガス/空気、F=供給、P=粉末、S=噴霧)の略図である。
【
図2】表6のサンプル2~4について、80:20のサトウキビ汁:ホエータンパク質単離物の水分含量対平均乾燥チャンバー温度を示す。
【
図3A】80:20のCJ:WPI%固形分非晶質糖の走査型電子顕微鏡(SEM)画像であり、棒目盛は100μmに相当する。
【
図3B】70:30のCJ:WPI%固形分非晶質糖の走査型電子顕微鏡(SEM)画像であり、棒目盛は100μmに相当する。
【
図4】実施例8からの90:10のCJ:WPI糖に対する生体外グリセミック指数速度試験(GIST)の結果をグラフ表示し、糖が低血糖であることを示す。
【
図5A】ポリフェノール含有量又はポリフェノール+還元糖含有量が、伝統的な精製白糖の形態のスクロースのGIに及ぼす影響についての研究結果をチャート化する。30、60、及び120mgのCEポリフェノール/100gの炭水化物含有量が試験された。60mgのCEポリフェノール/100gの炭水化物を有するスクロースのGIは、約15であることが示された。30mgのCEポリフェノール/100gの炭水化物を有するスクロースに、0.6%w/wの還元糖(1:1のグルコース:フルクトース)を添加することで、GIは53から70に上昇した。60mgのCEポリフェノール/100gの炭水化物を有するスクロースに、0.6%w/wの還元糖(1:1のグルコース:フルクトース)を添加することで、GIは15から29に上昇した。120mgのCEポリフェノール/100gの炭水化物を有するスクロースに、1.2%w/wの還元糖(1:1のグルコース:フルクトース)を添加することで、GIは65から75に増加した。還元糖の存在は、GIを一貫して増加させた。
【
図5B】実施例9の表10からのいくつかのサンプルのGIをグラフ表示する。
【
図6】実施例8からの90:10、80:20、及び70:30のCJ:WPI%固形分非晶質糖の官能プロフィールを示す。90:10及び80:20の糖が精製白糖より甘味が強い一方で、70:30は同等の甘味である。90:10及び80:20の糖は、キャラメル味を有する。80:20及び70:30の糖は、ミルク様の味を有する。
図6A~Eは、実施例11の空気混入糖のSEM画像であり、
図6Aの棒目盛は20μmに相当し、
図6Bの棒目盛は20μmに相当し、
図6Cの棒目盛は10μmに相当し、
図6Dの棒目盛は10μmに相当し、
図6Eの棒目盛は20μmに相当する。
図6は、一般に、粒度が均一に分布していないことを示す。一部の粒子は約60μmであり、その他は10μm未満である。特に、欠けた粒子粉末から、多数の多孔質粒子が検出された。
【
図7】3gの結晶白糖、及びこの実施例11に従って調製された3gの空気混入非晶質糖の画像を示す。画像は嵩密度の違いを示す。結晶白糖の嵩密度は、およそ0.88g/cm
3と計算された。この実施例11に従って調製された空気混入非晶質糖の嵩密度は、およそ0.47g/cm
3であることが分かった。
【
図8A-D】砂糖結晶を使用して調製された、実施例13のチョコレートを示すSEM画像であり、
図8Aの棒目盛は10μmに相当し、
図8Bの棒目盛は10μmに相当し、
図8Cの棒目盛はXXXμmに相当し、
図8Dの棒目盛は20μmに相当する。サンプルは、触感のある砂糖結晶を有する固体チョコレートを示す。
【
図8E-H】空気混入非晶質糖を使用して調製された、実施例13のチョコレートを示すSEM画像であり、
図8Eの棒目盛は10μmに相当し、
図8Fの棒目盛は10μmに相当し、
図8Gの棒目盛は10μmに相当し、
図8Hの棒目盛は10μmに相当する。これらの画像は、空気混入糖粒子がチョコレート製品中で原形を保ち、食品調製中にそれらの空気混入が失われていないことを示す。糖を被覆する脂肪層のために、空気混入はあまり明白でないものの、粒子は、処理前のサイズ及び形状を保持しているため、空気混入されたままである。
【
図9A-C】表12からの製品1(米飴を含んでなる)のSEM画像であり、
図9Aの棒目盛は500μmに相当し、
図9Bの棒目盛は50μmに相当し、
図9Cの棒目盛は30μmに相当する。
図9A~Cは、一般に、粒子の大きさが合理的に均等に分布していることを示し、大多数の粒子のサイズは約25μm~約50μmの範囲である。多孔質性が観察された。
【
図9D-E】表12からの製品2(ココナツ糖を含んでなる)のSEM画像を示し、
図9Dの棒目盛は300μmに相当し、
図9Eの棒目盛は20μmに相当する。
図9D~Eは、一般に、粒子の大きさが合理的に均等に分布していることを示し、大多数の粒子のサイズは約20μm~約55μmの範囲である。多孔質性が観察された。
【
図9F-G】表12からの製品3(ラカンカを含んでなる)のSEM画像を示し、
図9Fの棒目盛は30μmに相当し、
図9Gの棒目盛は10μmに相当する。
図9F~Gは、一般に、粒度が均一に分布していないことを示す。一部の粒子は約100μm、その他は約10μmである。多孔質性が観察された。
【
図9H-I】表12からの製品4(メープルシロップを含んでなる)のSEM画像を示し、
図9Hの棒目盛は300μmに相当し、
図9Iの棒目盛は20μmに相当する。
図9H~Iは、一般に、粒子の大きさが合理的に均等に分布していることを示し、大多数の粒子のサイズは約30μm~約60μmの範囲である。多孔質性が観察された。
【
図9J-K】表12からの製品6(バガスを含んでなる)のSEM画像を示し、
図9Jの棒目盛は100μmに相当し、
図9Kの棒目盛は10μmに相当する。
図9J~Kは、一般に、粒子の大きさが合理的に均等に分布していることを示し、大多数の粒子のサイズは約20μm~約30μmの範囲である。多孔質性が観察された。
【
図9L-M】表12からの製品7(ヒマワリタンパク質を含んでなる)のSEM画像を示し、
図9Lの棒目盛は200μmに相当し、
図9Mの棒目盛は50μmに相当する。
【
図10】実施例15に従って調製されたバタークッキーのSEM画像を示し、
図10Aの棒目盛は10μmに相当し、
図10Bの棒目盛は10μmに相当する。これらの画像は、空気混入糖粒子がクッキー製品中で原形を保ち、食品調製中にそれらの空気混入が失われていないことを示す。糖を被覆する脂肪層のために、空気混入はあまり明白でないものの、粒子は、処理前のサイズ及び形状を保持しているため、空気混入されたままである。
【
図11】実施例15に従って調製されたバニラマフィンのSEM画像を示し、
図11Aの棒目盛は20μmに相当し、
図11Bの棒目盛は10μmに相当する。これらの画像は、空気混入糖粒子がマフィン製品中で原形を保ち、食品調製中にそれらの空気混入が失われていないことを示す。糖を被覆する脂肪層のために、空気混入はあまり明白でないものの、粒子は空気混入されたままであり、処理前のサイズ及び形状を保持している。
【発明を実施するための形態】
【0157】
ここで本発明の特定の実施形態を詳細に参照する。本発明を実施形態と併せて説明するが、本発明をそれらの実施形態に限定することは意図されないことが理解されよう。それと反対に、本発明は、特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲内に含まれてもよい全ての代替物、修正物、及び均等物を網羅することを意図している。
【0158】
本発明のさらなる態様及び先行する段落に記載の態様のさらなる実施形態は、例示のために与えられる以下の説明から明らかになるであろう。
【0159】
本明細書で言及される全ての特許及び刊行物は、それらの全体が参照により援用される。
【0160】
本明細書を解釈する目的では、単数形で使用される用語は複数形もまた含み、逆もまた同様である。
【0161】
当業者は、本発明の実施において使用され得る、本明細書に記載されたものと類似するか又は同等の多くの方法及び材料を認識するであろう。本発明は、記載された方法及び材料にどのようにも限定されるものではない。
【0162】
本発明の発明者らは、スクロース、少なくとも約20mgのCEポリフェノール/100gの炭水化物、及び低GI乾燥剤を含んでなる、非晶質糖を開発した。糖は、伝統的な砂糖の代替物であり、それは砂糖供給量を増加し得る。それはまた、食品のGR、GI及び/又はGL、又は食品の量を低減し、より良い健康のために含まれる。
【0163】
本発明の発明者らは、新規プレバイオティック糖を開発した。多くの人気のある食品、特に糖含有量の高い食品は、胃腸内マイクロバイオームに理想的とはほど遠い影響を与えることから、プレバイオティック糖の調製は非常に重要な進歩である。本発明のプレバイオティック糖は、糖のあまり望ましくない側面の1つを回避し、プレバイオティック糖を
含んでなる食品の健康上の利点を高める、望ましいプレバイオティック効果を糖に導入する砂糖代替物を提供する。
【0164】
「空気混入」という用語は、空気を含むことを指す。特に、本発明の文脈において、空気混入粒子は、空気ポケット又は気泡を含み、すなわち、本質的に多孔質性である。
【0165】
「非晶質」という用語は、大部分が非晶質である、すなわち、大部分が結晶構造非含有の固体を指す。例えば、固体は、80%以上非晶質、90%以上非晶質、95%以上非晶質、又は約100%非晶質であり得る。
【0166】
「バガス」という用語は、サトウキビ又は甜菜どちらかからの糖繊維を指す。これは、糖汁が抽出された後に残る繊維状パルプである。バガス製品は市販されており、例えば、PhytocelはKFSUによって販売されるサトウキビバガス製品である。
【0167】
「乾燥剤」という用語は、スクロースを単独で乾燥させて得られる粘着性粉末とは対照的に、スクロースと共に急速乾燥させて乾燥粉末を得るのに適した薬剤を指す。
【0168】
「高分子量乾燥剤」という用語は、スクロースの分子量を超える、例えば、乳糖の分子量以上の分子量を有する乾燥剤を指す。
【0169】
「低血糖」という用語は、グルコースベースGIが55以下の食品を指す。
【0170】
「非常に低血糖」という用語は、グルコースベースGIが、低GIの上限値の半分未満の(すなわち、GIが低GI範囲の下半分にある)食品を指す。
【0171】
「糖」という用語は、1つ又は複数のグルコースなどの低分子量糖(単糖)又はスクロースなどの二糖を含有する固体を指す。本発明の文脈において、言及される糖は、食品の製造に使用される食用糖である。本発明の非晶質糖は、噴霧乾燥サトウキビ汁又は糖蜜であり得るが、噴霧乾燥果汁でもあり得る。
【0172】
「還元糖」という用語は、還元剤として作用できる任意の糖を指す。一般に、還元糖は、遊離アルデヒド基又は遊離ケトン基を有する。グルコース、ガラクトース、フルクトース、乳糖、及びマルトースは、還元糖である。スクロース及びは還元糖でない。
【0173】
「植物化学物質」という用語は、一般に、植物で自然に発生する生物学的に活性な化合物を指す。
【0174】
「ポリフェノール」という用語は、2つ以上のフェノール基を有する化合物を指す。多くの天然に存在するポリフェノールがあり、多くは植物化学物質である。フラボノイドは、ポリフェノールの一種である。フラボノイドをはじめとするポリフェノールは、サトウキビに天然に存在する。本発明の文脈では、サトウキビに天然に存在するポリフェノールが最も適切である。食品に含まれるポリフェノールは、それらが、がん、心血管疾患又は糖尿病などの変性疾患の予防において有すると現在考えられている役割のために、注目されている微量栄養素である。
【0175】
「精製白糖」という用語は、本質的にスクロースであり、還元糖含量が最小限であり、ポリフェノール又はフラボノイドなどの植物化学物質が最小限である、完全に加工された食品等級の白糖を指す。
【0176】
「白下」という用語は、砂糖シロップの母液中の砂糖結晶の高密度懸濁液を指す。これ
は、蒸発、砂糖の結晶化、及び糖蜜の除去によって糖汁をシロップに濃縮した後に残る、懸濁液である。白下は、遠心分離機内で洗浄されてバルクの砂糖結晶が調製される製品である。
【0177】
「糖汁」という用語は、サトウキビを破砕/圧搾した後に抽出された汁、又は甜菜の加工中に拡散機を出る液体など、糖分に富む植物原料から抽出されたシロップ又は液体を指す。
【0178】
「サトウキビ(cane)汁」又は「サトウキビ(sugar cane)汁」という用語は、圧搾及び/又は破砕された皮剥きサトウキビから抽出されたシロップを指す。理想的には、サトウキビ汁は少なくとも60ブリックスである。
【0179】
「甜菜汁」という用語は、甜菜根をコセットと称される細いストリップにスライスし、拡散機に移して糖分を水溶液中に抽出した後、拡散機を出る液体を指す。
【0180】
「有効な」又は「有効量」という用語は、生物学的に有効な量を指す。この文脈において、一例は、低GI糖、すなわち、インスリン応答が回避されるように、ひとたび摂取されると血糖値の低い上昇を引き起こす糖を達成するための、糖粒子中のポリフェノールの有効量である。
【0181】
「ハイメイズ」又は「高アミローストウモロコシデンプン」という用語は、難消化性デンプン、すなわち、消化に抵抗して繊維のように挙動する、高分子量炭水化物デンプンを指す。ハイメイズは、一般に高アミロースコーンから製造される。デンプンには、2つの主要な構造成分がある;アミロース:α-D-(1,4)-グリコシド結合を介して結合する、グルコース残基の線状ポリマー、並びにアミロペクチン:α-D-(1,4)結合グルコピラノース単位及びα-D-(1,6)グリコシド分岐点を含んでなる、高度に分岐した分子。分岐点は典型的には、20~25グルコース単位の鎖長間で発生し、グリコシド結合のおよそ5%を占める。通常のトウモロコシデンプンは、典型的には、およそ25~30%のアミロースと75~80%のアミロペクチンとからなる。高アミローストウモロコシデンプンは、55~90%を超えるアミロースを含有する。アミロースの構造は、次の通りである(平均重合度500)。
【化1】
【0182】
アミロペクチンの構造は、次の通りである(平均重合度200万)。
【化2】
【0183】
「イヌリン」という用語は、末端グルコシル部位、及びβ(2,1)結合によって連結された反復性のフルクトシル部分を有する、1つ又は複数の耐消化性高分子量多糖を指す。一般に、イヌリンは2~60の重合度を有する。分子量は変動するが、例えば、約400g/mol、約522g/mol、約3,800g/mol、約4,800g/mol又は約5,500g/molであり得る。重合度が10以下の場合、多糖はフラクトオリゴ糖と称されることがある。イヌリンという用語は、本明細書では全ての重合度について使用されている。イヌリンは、以下の構造を有する。
【化3】
【0184】
1つの選択肢は、522.453g/molの分子量のOraftiイヌリンを使用することである。
【0185】
「デキストリン」という用語は、α-1,4又はα-1,6グリコシド結合を有する、D-グルコースポリマーである食物繊維を指す。デキストリンは、環式、すなわち、シクロデキストリンであり得る。例としては、アミロデキストリン及びマルトデキストリンが挙げられる。マルトデキストリンは、典型的には、長さが3~17グルコース単位で変動する鎖の混合物である。分子量は、例えば、9,000~155,000g/molであり得る。
【0186】
「耐消化性デキストリン誘導体」という用語は、消化に抵抗するように修飾されたデキストリンを指す。例としては、ポリデキストロース、耐性グルカン、及び耐性マルトデキストリンが挙げられる。ファイバーソル-2は、Archer Daniels Midland Companyからの市販品で、耐消化性マルトデキストリンである。構造例は、次の通りである。
【化4】
【0187】
「ホエータンパク質単離物」という用語は、例えば、チーズ製造中の副産物として製造され得るホエーの、ミルクから単離されたタンパク質を指す。ホエータンパク質は、イオン交換体又は膜濾過によってホエーから単離されてもよい。ウシホエータンパク質単離物は、ホエータンパク質単離物の一般的な形態である。ホエータンパク質単離物は、β-ラクトグロブリン、α-ラクトアルブミン、血清アルブミン、及び免疫グロブリンの4つの主要構成成分を有する。β-ラクトグロブリンは、18.4kDaの分子量を有する。α-ラクトアルブミンは、14,178kDaの分子量を有する。血清アルブミンは、65kDaの分子量を有する。胎盤哺乳類における免疫グロブリン(Ig)は、IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMである。典型的な免疫グロブリンは、150kDaの分子量を有する。
【0188】
「高強度甘味料」という用語は、天然又は人工どちらかの甘味料を指し、それは、重量比でスクロースより強い甘味を有し、すなわち、同様の甘味レベルを得るには、スクロースの量よりも少ない高強度甘味料が必要である。スクロースは、スクロース相対甘味度で1の甘味度を有する。例えば、ラカンカ抽出物はスクロースの約150~300倍甘味が強く、ブラックベリーリーフ抽出物はスクロースの約300倍甘味が強く、ステビアはスクロースの約200~300倍甘味が強い、甘味値を有する。ラカンカ抽出物、ブラックベリーリーフ抽出物、及びステビアは、抽出及び/又は精製によって植物から供給されることから、天然高強度甘味料の例である。
【0189】
「ステビア」という用語は、ステビオール、ステビオールビオシド、ステビオシド、レバウジオシドA(RA)、レバウジオシドB(RB)、レバウジオシドC(RC)、レバウジオシドD(RD)、レバウジオシドE(RE)、レバウジオシドF(RF)、ルブソシド、及びズルコシドA(DA)などのステビオール配糖体をはじめとする、ステビア植物から調製された甘味料、又はFDAによって承認され、一般的に「ステビア」として市販される、高度に精製されたレバウジオシドA抽出物を含んでなる甘味料を指す。
【0190】
「プレバイオティック」という用語は、1つ又は複数の有益な胃腸内細菌の成長及び/又は活性を刺激する食品成分を指す。プレバイオティックスは、非消化性食品又は低消化性食品であってもよい。プレバイオティックは繊維であり得るが、全ての繊維がプレバイオティックとは限らない。重合度が低い、すなわち5以下のオリゴ糖は、重合度がより高いオリゴ糖よりも細菌濃度をより良く刺激すると考えられる。
【0191】
「水分活性」(aw)という用語は、物質中の水の蒸気分圧を標準状態の水の蒸気分圧で除した測定値である。水は、高いawの領域から、低いawの領域に移動する。水分活性を測定して、安定保存食品が判定される。このタイプの食品及び食品成分では、カビ及び細菌の増殖を阻害するために、0.6以下の水分活性が好ましい。
【0192】
粒度分布は、D値を使用して定義され得る。D90値は、粒子分布の90%がより小さな粒度を有し、10%がより大きな粒度を有する直径を表す。
【0193】
血糖応答(GR)
GRは、炭水化物含有食品を摂取した後の血糖の変化を指す。食品のGI及び一定量の食品のGLはどちらも、食品が摂取されたときに予測される血糖応答の指標である。
【0194】
GI
血糖指数は、特定量の利用可能な炭水化物(通常は50g)を有する食品を摂取した後の2時間にわたる、ヒトにおける血糖値の相対的変化に従って、炭水化物含有食品を分類するシステムである。2時間血糖応答曲線(AUC)はグルコース標準物質のAUCで除され、標準物質及び試験食品はどちらも、等量の利用可能な炭水化物を含有しなくてはならない。平均GIは通常、10人の対象から収集されたデータから算出される。試験に先だって、対象は典型的には、12時間絶食する。血糖指数は、食品が体内の血糖値を上昇させる速度の尺度を提供する。それぞれの炭水化物含有食品は、GIを有する。摂取された食品の量は、GIには関係しない。より高いGIは、一般に、食品が血糖値をより迅速に増加させることを意味する。GIスケールは、1~100である。最も一般的に使用されるスケールのバージョンは、グルコースに基づく。100のグルコースGIスケールは、50グラムのグルコースの摂取によって引き起こされる血糖値の増加である。高GI製品は、70以上のGIを有する。中GI製品は、55~69のGIを有する。低GI製品は、54以下のGIを有する。これらは、血糖値の緩慢な上昇を引き起こす食品である。
【0195】
当業者は、例えば、国際的に認められたGI方法論(Joint FAO/WHO Reportを参照されたい)を用いて、GI試験を実施する方法を理解しており、これは、小規模な実験研究及び大規模な多施設研究試験から得られた結果によって、検証されている(Wolever et al 2003を参照されたい)。
【0196】
生体外GI検査も今や利用でき、実施例4を参照されたい。
【0197】
GL
血糖負荷は、一定量の食品が、摂取後にヒトの血糖値をどれだけ上昇させるかの推定値である。血糖指数が食品の種類毎に定義される一方で、血糖負荷は食品の量に対して計算される。血糖負荷は、血糖指数(血糖に対する効果の速度の推定値)及び摂取される炭水化物の量を考慮して、炭水化物摂取の影響を推定する。高GI食品は、低GLであり得る。例えば、スイカは高いGIを有するが、典型的なスイカの1食分は炭水化物をあまり含有していないので、それを食べることによる糖質負荷は低い。
【0198】
血糖負荷の1単位は、1グラムのグルコースを摂取した場合の効果に近似する。GLは、食品中の利用可能な炭水化物のグラム数に食品のGIを乗じて、100で除して計算される。1食分の食品で、20を超えるGLは高く、11~19のGLは中度であり、10以下のGLは低い。
【0199】
サトウキビ汁
サトウキビ汁は、圧搾及び/又は破砕された皮剥きサトウキビから抽出されたシロップ
中に存在する、全ての天然の多量栄養素、微量栄養素、及び植物化学物質を含有し、それらは、99.9%がスクロースである精製白糖からは、通常、除去されている。
【0200】
糖蜜
結晶化糖から分離された、砂糖調製の粘稠な副産物である。糖蜜は、製糖のいくつかの段階で砂糖から分離されてもよい。糖蜜は、サトウキビ汁と同じ化合物を含有するが、植物化学物質のより高濃度の供給源である。
【0201】
噴霧乾燥及びその他の乾燥方法
噴霧乾燥は、乾燥させる製品を熱風の流れと密接に接触させることによって、液体供給から水分を除去する対流の原理で動作する。噴霧乾燥工程は、原料の噴霧、噴霧液と空気との混合(蒸発工程を含む)、及び空気からの乾燥製品の分離という、3つの主要段階に分類され得る。その他の適切な乾燥方法としては、流動床乾燥、環式乾燥、凍結乾燥、及び低温真空脱水が挙げられる。
【0202】
噴霧
乾燥させる粒子が熱風と接触するのに利用できる最大表面積を有することを確実にするために、液体供給はしばしば噴霧されて非常に微細な液滴が生成され、最終的により効果的な乾燥がもたらされる。存在するいくつかの噴霧器の構成があり、最も一般的なのは、ホイールタイプ、空気圧式、及びノズル噴霧器である。
【0203】
空気圧式高圧ノズル噴霧器が、以下に記載される実験に使用された。
【0204】
蒸発及び分離
噴霧乾燥工程の第2段階は、乾燥させる粒子/液滴の表面の周りを流れる高温ガスの使用による、水分の蒸発を伴う。
【0205】
存在する気滴接触構成には、特に、並流式、向流式、及び混合流式の3つの異なるタイプがあり、これらは全て、乾燥させる製品次第で異なる用途を有する。
【0206】
熱に敏感な材料には、並流式及び向流式双方の乾燥チャンバーが使用され得るが、混合流乾燥チャンバーの使用は、高温に起因する品質劣化の影響を受けにくい材料の乾燥に限定される。
【0207】
典型的な向流乾燥機及び並流乾燥機のセットアップは、下の
図1に示される。
【0208】
噴霧乾燥工程の最終段階は、気流からの粉末の分離である。乾燥粉末は乾燥チャンバーの底部に収集されてから、排出されるか又は手動で収集される。
【0209】
ガラス転移温度
ガラス転移温度(Tg)は、非晶質物質において、固体のガラス状態から過冷却液体状態へ、又はその逆へと可逆的な変化が起こる、物質固有の温度範囲である。ガラス転移温度は、乾燥製品の製造にとって、特に、製造の加工及び貯蔵段階に関連して、非常に重要になる。粉末のガラス転移温度は、示差走査熱量測定(DSC)を通して判定され得る。
【0210】
ICUMSA
ICUMSAは、糖色の等級付けシステムである。ICUMSA値が低いほど、着色が少ない。ICUMSAは、ProFoss分析システムを備えたMetrohm NIRS XDS分光計などの分光光度計によって、420nmで測定される。現在、精製グラニュー糖、結晶糖、及び摂取可能な粗糖(すなわち、黒糖)をはじめとする、ヒト摂取に
適すると見なされる糖は、45~5,000のICUMSAのスコアを有する。
【0211】
プレバイオティック試験
本発明の糖及び代替甘味料のプレバイオティック効果は、Triskelion TNO腸モデル2を使用して試験され得る。これは、プレバイオティックの摂取に続いて、プロバイオティックの増加が測定できるように、様々な細菌種の存在を備えたモデル結腸を含む胃腸管の生体外モデルである。
【0212】
高強度甘味料
天然の低カロリー甘味料であるステビアもまた開発され、多くの国々で使用が認められている。ステビアは高強度甘味料であり、これは1グラムが、1グラムの砂糖よりもはるかにより甘味が強いことを意味する。ステビアは、いくつかの市販の製品でスクロースと組み合わされて使用されている。しかし、消費者はステビアが望ましくない金属的な後味を有すると考えている。
【0213】
ラカンカ抽出物及びブラックベリーリーフ抽出物は、代案の天然高強度甘味料である。
【0214】
ラカンカ抽出物及びブラックベリーリーフ抽出物
ラカンカ抽出物は、血糖指数がゼロであり、カロリーが皆無であり、天然産物であることから注目されている。甘味は、ラカンカの約1%を占めるモグロシドに由来する。ラカンカ抽出物は、BioVittoriaによってニュージーランドで栽培されている。ラカンカ抽出物はまた、熱安定性で長い貯蔵寿命を有し、調理及び貯蔵に適している。
【0215】
ラカンカ抽出物は、ラカンカを破砕し、水中で汁を抽出することによって調製される。抽出物は濾過され、モグロシドと称されるトリテルペン配糖体が採取される。これは、液体及び粉末双方の形態で販売される。抽出物は、粉末形態の増量剤と組み合わされることが多い。
【0216】
ラカンカ抽出物は、ステビアよりもコストがかかるが、ステビアよりも強くない金属的な後味を有する。
【0217】
ラカンカ抽出物の甘味指数は最大300であり、すなわち、使用される特定の抽出物次第で、スクロースの最大300倍甘味が強い。
【0218】
ブラックベリーリーフ抽出物も、ブラックベリーの葉を抽出して同様に調製される。
【0219】
ステビアはステビア葉を抽出することによって調製され得るが、それはさらに精製されて、レバウジオシドAと、有益な風味プロファイルが少ないその他の成分との比率が、改善されることが多い。
【0220】
ラカンカ抽出物及びブラックベリー抽出物は、どちらもHunan NutraMax
Inc,F25,Jiahege Building,217 Wanjiali Road,Changsha,China 410016,http://www.nutra-max.com/から入手できる。
【0221】
参考文献
International patent application no PCT/AU2017/050782.
Jaffe,W.R.,(2012)Sugar Tech,14:87-94.
Joint FAO/WHO Report.Carbohydrates in Hu
man Nutrition.FAO Food and Nutrition.Paper 66.Rome:FAO,1998.
Kim,Dae-Ok,et al(2003)Antioxidant capacity of phenolic phytochemicals from various cultivars of plums.Food Chemistry,81,321-26.
Singaporean patent application no SG 10201807121Q.
Wolever TMS et al.(2003)Determination of
the glycemic index values of foods:an interlaboratory study.European Journal of
Clinical Nutrition,57:475-482.
【0222】
これらのそれぞれのコピーは、参照により本明細書に援用される。
【実施例0223】
実施例1-様々な低GIのHMWCを添加した噴霧乾燥サトウキビ汁及び糖蜜
表1に従って溶液を調製した。噴霧乾燥溶液は、糖蜜又はサトウキビ汁のどちらかの形態で、1gのHMWC対1gのスクロースの比率で作製した。次に、これらの溶液を全固形分濃度20%にし、400ml又は500mlの量で噴霧した。
【0224】
【0225】
使用したデキストリンは、耐消化性デキストリン誘導体であった。
【0226】
【0227】
対照溶液13及び14はHMWCを含んでおらず、HMWC添加剤なしでは、適切な粉末が調製され得ないことが示される。
【0228】
並流噴霧乾燥機を使用して溶液1及び2を噴霧乾燥し、液体製品を製造した。その後の並流乾燥機での実験は成功したが、より低い温度を使用した。
【0229】
向流噴霧乾燥機を使用して、溶液3~14を乾燥した。乾燥機は、Monash Universityのパイロット規模の装置であった。市販のモデルを使用した場合も、同様の結果が予測される。HMWCのイヌリン、ハイメイズ(コーンスターチ)、及び乳糖を使用して、実行可能な粉末を形成した。デキストリン粉末は、商業的使用には粘着性が高すぎ、リン酸カルシウム溶液は乾燥機を詰まらせた。しかし、乾燥剤が添加される場合、デキストリンが適切な乾燥剤であることが予測される。
【0230】
常温常湿での4週間貯蔵後に、イヌリン及びハイメイズを含有する粉末は、流動性粉末のままであった。おそらく乳糖の吸湿性のために乳糖粉末がケーキングしたが、乾燥剤の添加は、粉末の貯蔵寿命を改善する可能性が高い。
【0231】
興味深いことに、サトウキビ汁溶液及び糖蜜溶液から得られた結果の間に、有意差はなかった。2つの軽微な違いは、糖蜜入りハイメイズがサトウキビ糖入りハイメイズよりも粘着性の高い(しかし依然として許容可能な)粉末を形成し、糖蜜入りイヌリンがサトウキビ糖入りイヌリンよりも非粘着性粉末の収量が多かったことである。
【0232】
実施例2-非晶質糖、サトウキビ汁又は糖蜜中のポリフェノール含有量の分析
40gのサンプルを100mlメスフラスコ内に正確に量り入れた。およそ40mlの蒸留水を添加して、サンプルが完全に溶解するまでフラスコを撹拌した後、蒸留水で溶液を最終容積にした。ポリフェノール分析は、フォリン・シオカルトー法に基づいた。手短に述べると、適切に希釈した粗糖溶液の50μLのアリコートを試験管に入れ、650μLの蒸留水の添加がそれに続いた。フォリン・シオカルトー試薬の50μLのアリコートを混合物に添加し、振盪した。5分後に、500μLの7% Na2CO3溶液を混合し
ながら添加した。室温で90分後に、750nmでの吸光度を記録した。カテキンの標準溶液(0~250mg/L)を使用して、標準曲線を構築した。サンプル結果は、100gの生サンプル当たりのカテキン相当量(CE)のミリグラムとして表した。各サンプル糖の吸光度を測定し、その糖の中のポリフェノールの量を標準曲線から判定した。
【0233】
ポリフェノール含有量を分析する代案の方法は、近赤外分光法(NIR)を使用して、サンプル中のトリシンの量を測定することである。これらの状況(ポリフェノールがサトウキビから供給される)では、トリシンの量は総ポリフェノールに比例する。この方法のさらなる情報は、2016年7月27日に出願された「Process for sugar production」という標題のオーストラリア仮特許出願第2016902957号明細書で利用可能である。
【0234】
20~45mgのCEポリフェノール/100gの炭水化物及び0~0.5g/100gの還元糖を有するスクロース糖は、低GIであることが知られている(国際特許出願第PCT/AU2017/050782号明細書を参照されたい)。46~100mgのCEポリフェノール/100gの炭水化物及び0~1.5%w/wの還元糖(0.5%w/wのフルクトース及び1%w/wのグルコース以下)を有するスクロース糖もまた、低GIであることが知られている(シンガポール特許出願SG10201807121Q号明細書を参照されたい)。
【0235】
実施例3-非晶質糖、サトウキビ汁又は糖蜜中の還元糖含有量の分析
サンプル中の還元糖含有量を判定するために使用され得る、いくつかの定性的試験がある。クエン酸ナトリウム水溶液又は酒石酸ナトリウム水溶液のどちらかの中の銅(II)イオンが、サンプルと反応され得る。還元糖は銅(II)を銅(I)に変換し、定量化され得る酸化銅(I)沈殿物を形成する。
【0236】
代案の方法は、3,5-ジニトロサリチル酸をサンプルと反応させることである。還元糖はこの試薬と反応して、3-アミノ-5-ニトロサリチル酸を形成する。3-アミノ-5-ニトロサリチル酸の量は分光光度法で測定され得て、その結果を使用して、サンプル中に存在する還元糖の量が定量化される。
【0237】
実施例4-サトウキビ汁又は糖蜜に溶解している固形分量の判定
一定体積のサトウキビ汁又は糖蜜は、ストッキングを通してフラスコ内に濾過する。ペトリ皿を秤量し、数滴のサトウキビ汁をペトリ皿に載せ、迅速に再秤量して周囲空気へのいかなる水分損失も避ける。次に、乾燥剤ペレットを含有するオーブン内に、70℃で一晩ペトリ皿を放置し、翌日秤量する。サンプルを再秤量し、一貫した質量が観察されるまでオーブン内に放置する。この質量は水分を欠いており、サトウキビ汁の滴液から得られた固体の総量である。秤量後、質量を初期質量に対して計算し、さらなる希釈のために、サトウキビ汁中の全固形分の質量分率を求め得る。
【0238】
実施例5-試験した全固形分に対する乾燥剤の比率
ひとたび全固形分を試験したら、乾燥剤(ハイメイズ(HM)、レシチン、ホエータンパク質単離物(WPI)又はそれらの組み合わせのいずれか)を所定の質量比で添加する。次に、乾燥させる供給物の最終的な全固形分率まで様々な溶液を希釈して、磁気撹拌機を使用して徹底的に混合する。試験したサンプルの比率及びTS値は、表4に示される。
【0239】
【0240】
結果-収量
嵩密度
製造された粉末について、2つの嵩密度値、すなわち、自由注入粉末の嵩密度、及びタップ密度を測定した。
【0241】
自由注入密度を判定するために、20gの質量の粉末を目盛り付き測定シリンダーに注ぎ入れ、シリンダーのマーキングから占有体積を読み取った。
【0242】
次に、測定シリンダー内の20gのサンプルを15cmの高さからゴムマットの上に20回落下させることによって、このサンプルのタップ嵩密度を判定する。
【0243】
流動性
噴霧乾燥工程で得られた粉末の流動性は、ハウスナー比を用いて判定し、流動性と関係づける。これらの流動性は、下の表5に示される。
【0244】
【0245】
ハウスナー比は、タップ粉末密度と自由注入密度の比率として計算する。これは以下の式で表される。
HR=ρT/ρF(式中、ρT及びρFは、それぞれタップ密度及び自由注入密度である)。
【0246】
水分含量
乾燥粉末の水分含量は、3~4グラム又は1~2グラムの粉末サンプルを採取し、粉末の質量が一定になるまで乾燥剤を備えた70℃のオーブンに入れて測定した。次に、元の粉末の質量に対する百分率として、水分含有量を判定する。
【0247】
ケーキングし易さ
噴霧乾燥工程で収集した粉末をジップロック(登録商標)バッグ又は真空密封バッグ内に保管し、周囲条件及び冷蔵条件のどちらかに放置した。粉末を定性的に分析し、粉末中に存在するケークのサイズ及び数、並びにケークの砕け易さ(すなわち、非常に容易に再び粉末に砕かれるか、又は非常に頑丈で顆粒化が困難か)に基づいて、ケーキングし易さを判定した。
【0248】
粉末溶解性
粉末の溶解性は、乾燥品のサンプルを水に溶解し、目視で懸濁固形分が存在するかどうかを調べることによって判定した。
【0249】
向流噴霧乾燥
各実験実行において、500gの溶液を噴霧乾燥した。供給圧は500kPaであった。供給はノズルタイプの噴霧器を通って、15ml/分の速度で流れる。結果は、以下の表6に示される。
【0250】
【0251】
ホエータンパク質単離物は、サトウキビ汁の噴霧乾燥において、非常に効果的な添加剤であることが分かった。同じ供給液条件を維持しながら、入口空気温度を10℃刻みで2回上昇させたところ、貯蔵に続いて高い流動性と最小限のケーキングを示した最も乾燥した粉末は、5.03%の水分含量で入口空気温度200℃で製造されたことが分かった。
【0252】
当初、より高い温度で製造された粉末は、低温で製造された粉末より乾燥すると考えられたが、残留水分が最小限の粉末をもたらす最適温度が存在し、この温度よりも高い温度又は低い温度で稼働すると、残留水分が増加することが分かった。
図2は、乾燥チャンバーの温度と対比した水分含量を示す。
【0253】
理論により拘束されることなく、空気温度の上昇は、液滴から空気中への蒸発速度を加速させてより低い水分含量をもたらすが、蒸発があまりに迅速に起こると粒子表面に外皮が形成され、それが粒子からのさらなる蒸発を遅延させて水分含量の増加がもたらされると考えられた。同様の入口空気温度であるが10%のみの乾燥剤では、含水量が増加した。入口空気温度を220℃まで上昇させたところ、粉末の水分含量は6.27%まで低下した。20%のWPIを有する最良のサンプルは、貯蔵時にケーキングがなく完全に流動性のままであり(表6の3行目)、したがって調製された糖の中で最良である。
【0254】
サトウキビ汁とWPIの最適比は、全固形分濃度20%w/wで80:20のCJ:WPIであることが分かった。乾燥チャンバーの温度は、最終的には粉末中の残留水分含量の結果として、形成された粉末の安定性に重大な影響を及ぼすことが分かった。72.7℃の平均乾燥チャンバー温度に対応する200℃の入口空気温度は、80:20の粉末に5.03%の最低水分含量を与えることが分かった。これは、ケーキングを示さない、安定した流動性粉末をもたらした。
【0255】
レシチンを含んでなる噴霧乾燥組成物の結果は、以下の表7に示される。
【0256】
【0257】
品目11及び12もまた、貯蔵時にケーキングせず流動性のままであることが示された。
【0258】
レシチンの添加は、WPIのみの使用と比較して、水分含量を改善した。予測通り、流動性及び貯蔵安定性もまた改善された。乾燥剤中で3:1のレシチン:WPI比を使用して乾燥させた粉末は、わずか4.14%の水分含量であった。
【0259】
レシチンを添加することで、わずか95:5(CJ:全乾燥剤)で、貯蔵時にケーキングしない粉末を製造することが可能であった。
【0260】
WPI:レシチンの最適比は1:3と判定され、80:5:15のCJ:WPI:Lの比率を使用して、4.14%の水分含量が達成された。さらにレシチンの添加は、噴霧乾燥機内で粉末の壁への沈着を排除した。
【0261】
実施例7-入口温度及びタンパク質比率の影響
食品等級スクロース(CSR)及びホエータンパク質(Bulk Nurtrient)を使用して、以下の表8のスクロース-タンパク質モデル溶液を調製した。室温で蒸留水を使用して、磁気撹拌機によって、2Lガラスビーカー内でスクロース及びホエータンパク質を溶解した。実施例1及び5と同じ噴霧乾燥機を使用した。
【0262】
【0263】
非粘着性製品のためには、全固形分(WPI+スクロース)の10%のWPIが必要であり、5%では乾燥剤不足であった。適切な粉末は、14%未満の水分を有した。
【0264】
スクロース:タンパク質比が90:10である溶液中の10、20、及び40%の固形分は、160℃(10%)又は160℃及び180℃(20及び40%)の入口空気を使用して、流動性粉末をもたらした。
【0265】
最良の収率は、160℃、溶液中の固形分40%で、90:10の糖:WPIであった。しかし、得られた粉末は、固形分の量に対して温度がおそらく低すぎたために、粘着性であった。適切な%全固形分は噴霧乾燥機によって変動し、当業者は%全固形分を最適化できる。温度を180℃に高めると、粘着性が解消されて良好な収量が維持された。しかし、水分含量が低いほど、長い貯蔵寿命に帰結する可能性が高いと考えられた。
【0266】
したがって、予備研究は、90:10のスクロース:WPIを用いた160℃~180℃が、本発明の低GI糖のために最適化する価値のある設定であることを示唆した。
【0267】
実施例8-並流噴霧乾燥機を用いて調製された低GI糖
材料
サトウキビ汁。
Bulk NutrientsからのノンフレーバーWPI
噴霧乾燥のための供給液混合物は、40%w/wであった。使用した並流噴霧乾燥機は、高%の供給液を微粒化する能力を有した。90:10%のサトウキビ汁:WPI固形分溶液を調製した:1440gのサトウキビ汁及び160gのWPI(固形分ベースで20%w/w)と、2400gのMilli-Q濾過水とを混合して十分に撹拌した。
【0268】
機器
実験の噴霧乾燥機は、KODI Machinery co.LTD.によって製作され、モデルはLPG-5である。走査型電子顕微鏡(SEM)を使用して、粒子形態を分析した。SEMのモデルは、PhenomXL Benchtopである。試験サンプルは、分析に先だって、サンプルコーター(Quorum SC7620スパッタコースター)によって被覆した。
【0269】
方法
噴霧乾燥機を入口温度170℃及び出口温度62℃に設定し、供給原料を噴霧乾燥した。
【0270】
結果
流動性粉末が、1%の水分及び70%を超える収率で製造される。製品はケーキングせず、良好な安定性を有する。
【0271】
80:20及び70:30のCJ:WPI%固形分糖もまた調製した。
【0272】
80:20及び70:30のCJ:WPI%固形分糖のSEM画像は、それぞれ
図3及び4に示される。80:20糖には、いくらかの多孔質性がある。70:30糖は、より多くの「欠けた」又は「破損した」粒子を示す。多孔質粒子及び破損粒子の糖は、依然として商業的に関心が持たれる。
【0273】
実施例9-GI試験
パートA-実施例8からの90:10のCJ:WPI糖のGI試験
図4は、実施例8からの90:10のCJ:WPI糖に対する生体外グリセミック指数速度試験(GIST)の結果をグラフ表示する。試験は、糖の生体外消化と、Bruker BBFO 400MHz NMR分光法を使用した分析とを伴った。この試験は、Singapore Polytechnic Food Innovation & Resource Centreによって実施され、インビトロ法の結果と伝統的な生体内GI試験の結果の間の強力な相関関係が実証されている。90:10のサトウキビ汁:ホエータンパク質単離物%固形分非晶質糖は、低血糖である。
【0274】
90:10糖は低GIであるので、当業者は、より高タンパク質の80:20糖及び70:30糖もまた低GIであると予測するであろう。当業者はまた、乾燥剤がGIを有さない(タンパク質のように)か、又は低GIである限り、繊維などの異なる乾燥剤を有する非晶質糖についても同様の結果を予測するであろう。不溶性繊維はGIに対する影響がほとんどないので、不溶性繊維が乾燥剤である場合、非晶質糖のGIは低いままのはずである。可溶性繊維は血糖指数を低下させるので、可溶性繊維乾燥剤を有する非晶質糖は、試験されたタンパク質乾燥剤を有する糖よりも、さらに低いGIを有するであろう。ステビア又はラカンカ甘味料のような高強度甘味料は、ゼロGIを有する。したがって、乾燥剤として高強度甘味料を有する非晶質糖もまた低GIのままである。
【0275】
90:10のCJ:WPI%固形分非晶質糖のポリフェノール含有量は、Singapore Polytechnic Food Innovation & Resour
ce Centreで、Agilent Cary 60 UV-Vis吸光分光光度計を使用して、フォリン・シオカルトーアッセイ(760nmでのUV検出)によって、ポリフェノール含有量について試験した。糖は、446.80mgのCEポリフェノール/100gの炭水化物を有する。
【0276】
パートB-非常に低いGIを有する糖の調製
糖のGIに対するポリフェノール含有量の影響を試験した。伝統的な白糖、すなわち本質的にスクロースを対照として使用した。伝統的な白糖に様々な量のポリフェノール含有量を添加して、様々なポリフェノール量を有する糖を調製した。
【0277】
表9は、調製された糖に対する生体外グリセミック指数速度試験(GIST)の試験結果を示す。方法は、生体外消化と、Bruker BBFO 400MHz NMR分光法を使用した分析とを伴った。この試験は、Singapore Polytechnic Food Innovation & Resource Centreによって実施され、インビトロ法の結果と伝統的な生体内GI試験の結果の間の強力な相関関係が実証されている。GIST試験の結果はまた、
図5Aにもグラフ表示される。
【0278】
【0279】
フルクトースのGIが19である一方で、グルコースのGIは100/100である。したがって、我々は、精製度の低い糖のグルコースが増加するにつれて、血糖応答も併行して増加すると予測する。
【0280】
いくらかの精製白糖+ポリフェノール糖に、還元糖(1:1のグルコース:フルクトース)を添加した第2の糖セットを調製した。これらの糖のGIもまた、GIST法を使用して試験し、結果は表10に示される。
【0281】
【0282】
表10のいくつかのサンプルのGIは、
図5Bにグラフ表示される。
【0283】
この試験では結晶糖を使用したものの、結果は、ゼロGIの乾燥剤(例えば、タンパク
質、不溶性繊維、又は高強度甘味料)を有する非晶質糖にも当てはまると予測される。その他の乾燥剤(例えば、可溶性繊維)は、GIをさらに低下させてもよいが、GIを増加させることは予測されない。
【0284】
以前の低GI糖は、グルコースベース血糖指数が約50であった。以前の低血糖スクロース糖のGIの半分よりも顕著に低い、約15のGIを達成する非常に低血糖の糖を調製する能力は、非常に驚くべきことである。さらに、非常に低血糖の糖の口当たりが良いことは驚くべきことである。
【0285】
実施例10-実施例8からの糖の味覚プロファイル
実施例8の90:10、80:20、及び70:30の糖が、2名の有資格の官能分析者及び2名のプロジェクト研究者によって味覚試験された。官能プロフィールは、
図6に示される。
【0286】
90:10及び80:20の糖が精製白糖より甘味が強い一方で、70:30は同等の甘味である。90:10及び80:20の糖はキャラメル味を有する。理論により拘束されることなく、この味はサトウキビ汁に伴うと考えられている。80:20及び70:30の糖は、ミルク様の味を有する。理論により拘束されることなく、ミルク様の味はWPIに伴うと考えられている。
【0287】
80:20の糖は、甘味、ミルク様の味、及びキャラメル味の良好なバランスを有した。粒子の多孔質性は、味の問題を引き起こさなかった。
【0288】
この試験は、異なる用途に対して、低GI糖をどのように異なるフレーバーで調製し得るかを実証する。
【0289】
実施例11-空気混入非晶質糖
材料:
1)サトウキビ汁。
2)BULK NUTRIENTSからのホエータンパク質単離物
3)供給液混合物(50%w/w):
1600gのサトウキビ汁(溶液の40%w/w)
400gのWPI(固形分ベースで20%w/w)(溶液の10%w/w)
2000gのMilli-Q水(50%w/w)。
【0290】
機器:
1)噴霧乾燥機:KODI Machinery co.LTD、モデル:LPG-5
2)走査型電子顕微鏡(SEM):Phenom Benchtop SEM:Phenom XL
3)サンプルコーター:Quorum SC7620スパッタコーター。
【0291】
試験手順:
1)供給液成分を組み合わせる。
2)噴霧前に供給液に空気混入し(撹拌棒を使用して手動で)、クリーム状/安定した気泡を生成する。乾燥中の撹拌は一貫していた。
2)乾燥機(入口170℃±1℃、出口62℃±2℃、ノズルサイズ50mm)内に溶液を噴霧し、空気混入非晶質糖粒子を調製する。
3)噴霧乾燥機から粉体を収集する。Quorum SC7620スパッタコーターでサンプルを被覆し、SEM分析のために準備する。
4)SEM分析。
【0292】
結果と考察
空気混入非晶質糖粒子が、成功裏に調製された。糖粉末のSEM画像は、
図6A~Eに示される。粒度は、10μM未満~約60μMまで様々である。粒子の空気混入/多孔質性は、欠けている又は不完全に包まれた粒子の画像で認識できる。
【0293】
空気混入は、粒子に低い嵩密度をもたらす。
図7は、3gの結晶白糖及びこの実施例に従って調製された3gの空気混入非晶質糖の画像を示す。白糖の嵩密度は、約0.88g/cm
3である。空気混入非晶質糖の嵩密度は、約0.47g/cm
3である。
【0294】
実施例12-非晶質糖の減糖可能性
オーストラリアのFeedTest Laboratoryによる近赤外技術を使用して、実施例8で調製された糖の組成を分析した。分析の結果は、以下の表11に示される。
【0295】
【0296】
粗繊維は不溶性炭水化物であり、NFE(窒素非含有抽出物)は可溶性炭水化物である。
【0297】
この非晶質糖は、精製白糖の100%遊離糖と比較して63%の遊離糖を有するが、糖の甘味はなおも同等である(実施例11及び
図6を参照されたい)。これは、1:1の比率(重量比)で、精製白糖を非晶質糖で代用すると、37%の減糖となる。しかし、増加した甘味に基づいて、0.85:1の置換を達成し得た。これは、遊離糖の43%の低減をもたらす。この比較は密度/体積ではなく重量に基づくので、糖の空気非混入バージョンの結果は同一であると予測される。
【0298】
本発明の非晶質糖の糖源がサトウキビ汁(又はそれと同等の組成を有するもの)である
場合、使用される乾燥剤とは独立して、(乾燥剤が遊離糖を含まない限り)遊離糖の低減は同等であると予測される。
【0299】
精製白糖は1,700kJ/100gである。この非晶質糖は約346kcal/100gであり、これは約1448kJ/100gである。したがって、非晶質糖は、精製白糖の総エネルギー/総カロリーの約85%を含有する。換言すれば、非晶質糖の重量による総エネルギー/総カロリーは、精製白糖の相当重量と比較して15%低減する。これらの計算は、空気混入糖とタンパク質の配合物に基づく。包含されるタンパク質は、カロリーを有する。非消化性/耐消化性食品は、カロリーがより低いか又は皆無である。タンパク質の代わりに非消化性/耐消化性成分を有する糖は、カロリー低減を高める。
【0300】
この場合も、この比較は密度/体積ではなく重量に基づくので、糖の空気非混入バージョンの結果は同一であると予測される。
【0301】
当業者は、総エネルギーの低減が、使用される乾燥剤の性質及び量に応じて変動することを理解するであろう。例えば、乾燥剤が繊維である場合、乾燥剤がタンパク質である場合よりも、総エネルギーの大幅な低減が予測される。例えば、固体重量で30%などのより多量の乾燥剤が使用される場合、総エネルギーのより大きな低減が予測される。
【0302】
実施例8で調製された糖の組成に関する栄養情報は、以下の表12に示される。表の1日量(DV)の%は、1食分の栄養素が1日の食事にどれだけ貢献しているかを示す。1日当たり2,000カロリーは、一般的な栄養アドバイスで使用される。
【0303】
【0304】
この糖は、伝統的な結晶白糖よりも、有意により多くのミネラル含有量を有する。
【0305】
伝統的な結晶白糖は、100g当たり約400カロリーである。この20%固形分w/wホエータンパク質単離物及び80%w/w固形分サトウキビ汁非晶質糖は、伝統的な結晶白糖の相当質量のカロリー含有量の87.5%を有する。これは、12.5%のカロリーの低減である。この糖のタンパク質はカロリーを有し、非消化性炭水化物乾燥剤が使用されると、存在するカロリーが低減し、カロリーの低減はより大きくなるであろう。密度はこの測定に関係しないので、糖に空気混入されているかどうかにかかわらず、結果は同一であろう。
【0306】
前述したように、この非晶質糖は伝統的な砂糖より甘味が強いので、0.85:1の置換が達成され得たと考えられる。これは、重量で約25.6%のカロリー低減をもたらす。
【0307】
実施例13-空気混入非晶質糖を使用したチョコレートの調製
30gのLindt 70%ダークチョコレートを溶かし、対照としての30gの結晶白糖と混ぜ合わせた。30gのLindt 70%ダークチョコレートを水浴上で溶かし、15gの実施例8に従って調製された空気混入非晶質糖と混合し、凝固させた。実施例8に記載のSEMプロセスを用いてSEM画像を撮影し、糖結晶を有するチョコレートを示す
図8-A~Dに描写し;空気混入非晶質糖を有するチョコレートを示すE~Hに描写する。
【0308】
図8A~Dは、触感のある糖結晶を有する固形チョコレートを示す。
図8E~Hは、チョコレートが空気混入非晶質糖粒子で被覆されていることを示す。チョコレートで被覆された非晶質粒子は25μm未満であり、さらに大きな粒子は検出されなかった。
【0309】
双方のサンプルを味覚試験した。
触感のある糖結晶を有する固形チョコレート:最初の味はカカオからの苦味である。甘味はかなり遅く後味で来る。高い糖含有量にもかかわらず、全体的な味は、チョコレート被覆された空気混入非晶質糖粒子よりも甘味が少ない。
【0310】
チョコレート被覆された空気混入非晶質糖粒子:最初の味は甘味である。クリーム状食感で香りが豊かである。後味は依然として甘い。全体的な味は白糖チョコレート配合物のほぼ2倍の甘さであるが、添加された糖含有量は50%w/wのみである。
【0311】
実施例14-様々な糖源を使用して調製された非晶質糖
この実施例では、可溶性繊維、不溶性繊維、又は厳格菜食主義者タンパク質をはじめとするタンパク質を有する、非晶質代替甘味料を調製するために、非晶質糖を調製するために開発された技術を応用した。
【0312】
材料
レシピ1
1)甘味料
米飴-Pure Harvest:有機米麹シロップ
ココナツ糖-CSR:未精製ココナツ糖
ラカンカ-Morlife:Nature’s Sweetenerラカンカ
メープルシロップ-Woolworths:100%純粋カナダ産メープルシロップ
2)BULK NUTRIENTSからのホエータンパク質単離物100%WPI。
【0313】
供給液混合物
360gの甘味料(a.米飴、b.ココナツ糖、c.ラカンカ(300グラム、以下の表中の供給液参照)又はd.メープルシロップ)
40gのWPI
600gのMilli-Q水。
【0314】
レシピ2
1)甘味料:サトウキビシロップ
2)ホエータンパク質単離物
3)可溶性繊維(Lotus:キサンタンガム)又は不溶性繊維(KFSU:Phytocel-100%天然サトウキビ粉末)。
【0315】
供給液混合物
3.1)不溶性繊維
360gのサトウキビシロップ
36gのWPI
4gの不溶性繊維
600gのMilli-Q水。
【0316】
3.2)可溶性繊維
500gのサトウキビシロップ
36gのWPI
4gの不溶性繊維
400gのMilli-Q水。
【0317】
レシピ3
1)甘味料:サトウキビシロップ
2)厳格菜食主義者タンパク質(Bio Technologies LLC、Sunprotein:ヒマワリタンパク質粉末)。
【0318】
供給液混合物
500gのサトウキビシロップ
40gの厳格菜食主義者タンパク質
300gのMilli-Q水。
【0319】
機器
1)噴霧乾燥機:LPG5、KODI Machinery co.LTD.
2)走査型電子顕微鏡(SEM):Phenom Benchtop SEM:Phenom XL
3)サンプルコーター:Quorum SC7620スパッタコーター。
4)真空包装装置。
【0320】
試験手順
1)噴霧の前に、供給液成分を組み合わせて混合し、安定した溶液(安定した気泡を有する溶液とは対照的に)を作製する。
2)溶液を乾燥機内に噴霧する(入口170℃±1℃、出口70℃±2℃、ノズルサイズ50mm)。
3)噴霧乾燥機から粉体を収集する。Quorum SC7620スパッタコーターでサンプルを被覆し、SEM分析のために準備する。
4)SEM分析。
【0321】
【0322】
結果
いずれの場合も(スパッタコーティングに先だって)流動性粉末が形成し、空気混入非晶質糖粒子が成功裏に調製された。粉末に空気混入したが、噴霧乾燥の前に手動撹拌棒を使用して勢いよく溶液に空気混入した実施例11で調製された粉末よりも、空気混入は少なかった。これらの粉末は、安定した気泡を得るためにより激しく混合するのでなく、噴霧乾燥のための均質な溶液を得るためにのみ普通に混合した。
【0323】
表12の製品1~4及び製品6~7のSEM画像は、
図9A~C(米飴)、D~E(ココナツ糖)、F~G(ラカンカ)、H~I(メープルシロップ)、J~K(バガス)、L~M(ヒマワリタンパク質)に示される。製品5(キサンタンガム)の画像はない。
【0324】
粒度は、10μm未満~約60μmまで様々である。粒子の空気混入/多孔質性は、欠けている又は不完全に包まれた粒子の画像で認識できる。
【0325】
粉末の嵩密度は、
図7の製品と同様に判定した。結果は、以下の表13に示される。
【0326】
【0327】
空気混入非晶質糖の嵩密度は、約0.47g/cm3である。これらの結果は、噴霧乾燥前の最小限の混合(すなわち、噴霧乾燥前に供給原料がクリーム状の気泡に撹拌されなかった)にもかかわらず、類似している。ヒマワリタンパク質は空気混入をもたらしたが、0.55%g/cm3のホエータンパク質単離物ほど効果的ではなく、伝統的な白糖と比較して37.5%減少した。
【0328】
米飴及びラカンカの結果は最も低密度であり、密度はほぼ60%減少した。密度はWPIの増加に伴って低下する可能性が高いので、密度の70%の減少が妥当と思われる。
【0329】
実施例15-本発明の非晶質糖を使用して調製されたベイクド製品
バタークッキー及びバニラカップケーキはどちらも、本発明の非晶質糖(具体的には、80:20%のサトウキビ汁:WPI固形分から調製された実施例8の糖)を使用して調製した。
【0330】
得られた製品は、
図10及び11に示されるようにSEMによって分析した。これらの画像は、空気混入糖粒子がマフィン及びクッキー製品の双方において無傷のままであり、食品調製中にそれらの空気混入を失っていなかったことを示す。糖を被覆する脂肪層のために、空気混入はあまり明白でないものの、粒子は、処理前のサイズ及び形状を保持しているため、空気混入されたままであった。
【0331】
クッキー及びカップケーキは、以下のように調製した。
【0332】
【0333】
実施例15のバタークッキーの調製
実施例8の非晶質糖の半量をバター及びバニラエッセンスに折り込んだ。卵を加え、混合するまで混合物を混合した。篩に掛けた小麦粉、ベーキングパウダー、重曹、及び塩を加え、混合物をさっくり混ぜ合わせた。実施例8の非晶質糖の残る半量を混合物に折り込み、得られた混合物のスプーン1杯分を油を塗ったベーキングトレーに載せ、150℃で20~25分間焼いた。
【0334】
【0335】
実施例15のバニラカップケーキの調製
実施例8の非晶質糖の半量を小麦粉に折り込んだ。小麦粉と糖の混合物に、ミルク、バター、卵、及びバニラエッセンスを加え、材料を混ぜ合わせた。実施例8の非晶質糖の残る半量を混合物に折り込み、得られた混合物を油を塗ったカップケーキ焼き型にスプーンで入れ、150℃で20~25分間焼いた。
【0336】
実施例16-水分活性
実施例8で調製された糖(サトウキビ汁及び20%固体重量ホエータンパク質単離物)の水分活性(又は蒸気分圧)は、0.31と判定された。水分活性を測定して、安定保存食品が判定される。このタイプの食品及び食品成分では、カビ及び細菌の増殖を阻害するために、0.6以下の水分活性が好ましい。
【0337】
本明細書で開示され定義された本発明は、言及されるか或いは本文又は図面から明らか
な、2つ以上の個々の特徴の全ての代案の組み合わせに及ぶことが理解されよう。これらの異なる組み合わせは全て、本発明の様々な代替の態様を構成する。
スクロース、少なくとも20mgのCEポリフェノール/100gの炭水化物、及び低GI乾燥剤を含んでなる、低血糖であり、スクロースと乾燥剤の比率が、固体重量で95:5~60:40であり、前記非晶質糖が、乾燥剤及びスクロースの双方を含んでなる粒子を含む、非晶質糖。
前記耐消化性炭水化物が、ハイメイズ、フルクトオリゴ糖及びイヌリン、バガス、キサンタンガム、並びに耐消化性マルトデキストリン及びその誘導体からなる群より選択される、請求項1~10のいずれか一項に記載の非晶質糖。