(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024023358
(43)【公開日】2024-02-21
(54)【発明の名称】MUC16を標的とするがんワクチンおよびその使用
(51)【国際特許分類】
C12N 15/12 20060101AFI20240214BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20240214BHJP
C12N 15/86 20060101ALI20240214BHJP
C07K 14/47 20060101ALI20240214BHJP
C07K 14/54 20060101ALI20240214BHJP
A61K 39/00 20060101ALI20240214BHJP
A61K 39/39 20060101ALI20240214BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240214BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
C12N15/12 ZNA
C12N15/63 Z
C12N15/86 Z
C07K14/47
C07K14/54
A61K39/00 Z
A61K39/39
A61P35/00
A61K48/00
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023197404
(22)【出願日】2023-11-21
(62)【分割の表示】P 2020532576の分割
【原出願日】2018-12-13
(31)【優先権主張番号】62/599,513
(32)【優先日】2017-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/598,314
(32)【優先日】2017-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】509320254
【氏名又は名称】イノビオ ファーマシューティカルズ,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【弁理士】
【氏名又は名称】武居 良太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100170852
【弁理士】
【氏名又は名称】白樫 依子
(72)【発明者】
【氏名】チエン イェン
(72)【発明者】
【氏名】アナ スレイガー
(72)【発明者】
【氏名】ブラッドリー ガーマン
(72)【発明者】
【氏名】ニール クーチ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】修飾されたコンセンサスMUC16抗原をコードする1つ以上の核酸配列を含む核酸分子を提供する。
【解決手段】核酸分子であって、
(a)特定の配列のアミノ酸19~1490をコードする核酸配列、
(b)特定の配列のアミノ酸19~1490を含むタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列、
(c)特定の配列のアミノ酸19~1490と少なくとも95%同一であるタンパク質をコードする核酸配列、および
(d)特定の配列のアミノ酸19~1490と少なくとも95%同一であるタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列からなる群から選択される1つ以上の核酸配列、
を含む、MUC16発現腫瘍を有する対象の治療、および予防に用いるための、核酸分子を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
核酸分子であって、
(a)配列番号2のアミノ酸19~1490をコードする核酸配列、
(b)配列番号2のアミノ酸19~1490を含むタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列、
(c)配列番号2のアミノ酸19~1490と少なくとも95%同一であるタンパク質をコードする核酸配列、および
(d)配列番号2のアミノ酸19~1490と少なくとも95%同一であるタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む、核酸分子。
【請求項2】
核酸分子であって、
(a)配列番号1のヌクレオチド55~4470、
(b)配列番号1のヌクレオチド55~4470を含む核酸分子の少なくとも90%の全長を含む断片、
(c)配列番号1のヌクレオチド55~4470と少なくとも95%同一である断片、および
(d)配列番号1のヌクレオチド55~4470と少なくとも95%同一である核酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む、核酸分子。
【請求項3】
核酸分子であって、
(a)配列番号2をコードする核酸配列、
(b)配列番号2の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列、
(c)配列番号2と少なくとも95%同一であるタンパク質をコードする核酸配列、および
(d)配列番号2と少なくとも95%同一であるタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む、核酸分子。
【請求項4】
核酸分子であって、
(a)配列番号1、
(b)配列番号1の全長の少なくとも90%を含む断片、
(c)配列番号1と少なくとも95%同一である断片、および
(d)配列番号1と少なくとも95%同一である核酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む、核酸分子。
【請求項5】
配列番号1に記載の核酸配列を含む、核酸分子。
【請求項6】
核酸分子であって、
(a)配列番号4のアミノ酸19~642をコードする核酸配列、
(b)配列番号4のアミノ酸19~642を含むタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列、
(c)配列番号4のアミノ酸19~642と少なくとも95%同一であるタンパク質をコードする核酸配列、および
(d)配列番号4のアミノ酸19~642と少なくとも95%同一であるタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む、核酸分子。
【請求項7】
核酸分子であって、
(a)配列番号3のヌクレオチド55~1926、
(b)配列番号3のヌクレオチド55~1926を含む核酸分子の少なくとも90%の全長を含む断片、
(c)配列番号3のヌクレオチド55~1926と少なくとも95%同一である断片、および
(d)配列番号3のヌクレオチド55~1926と少なくとも95%同一である核酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む、核酸分子。
【請求項8】
核酸分子であって、
(a)配列番号4をコードする核酸配列、
(b)配列番号4の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列、
(c)配列番号4と少なくとも95%同一であるタンパク質をコードする核酸配列、および
(d)配列番号4と少なくとも95%同一であるタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む、核酸分子。
【請求項9】
核酸分子であって、
(a)配列番号3、
(b)配列番号3の全長の少なくとも90%を含む断片、
(c)配列番号3と少なくとも95%同一である断片、および
(d)配列番号3と少なくとも95%同一である核酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む、核酸分子。
【請求項10】
配列番号3に記載の核酸配列を含む、核酸分子。
【請求項11】
核酸分子であって、
(a)配列番号6のアミノ酸19~710をコードする核酸配列、
(b)配列番号6のアミノ酸19~710を含むタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列、
(c)配列番号6のアミノ酸19~710と少なくとも95%同一であるタンパク質をコードする核酸配列、および
(d)配列番号6のアミノ酸19~710と少なくとも95%同一であるタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む、核酸分子。
【請求項12】
核酸分子であって、
(a)配列番号5のヌクレオチド55~2130、
(b)配列番号5のヌクレオチド55~2130を含む核酸分子の少なくとも90%の全長を含む断片、
(c)配列番号5のヌクレオチド55~2130と少なくとも95%同一である断片、および
(d)配列番号5のヌクレオチド55~2130と少なくとも95%同一である核酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む、核酸分子。
【請求項13】
核酸分子であって、
(a)配列番号6をコードする核酸配列、
(b)配列番号6の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列、
(c)配列番号6と少なくとも95%同一であるタンパク質をコードする核酸配列、および
(d)配列番号6と少なくとも95%同一であるタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む、核酸分子。
【請求項14】
核酸分子であって、
(a)配列番号5、
(b)配列番号5の全長の少なくとも90%を含む断片、
(c)配列番号5と少なくとも95%同一である断片、および
(d)配列番号5と少なくとも95%同一である核酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む、核酸分子。
【請求項15】
配列番号5に記載の核酸配列を含む、核酸分子。
【請求項16】
核酸分子であって、
(a)配列番号8のアミノ酸19~642および650~1341をコードする核酸配列、
(b)配列番号8のアミノ酸19~642および650~1341を含むタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列、
(c)配列番号8のアミノ酸19~642および650~1341と少なくとも95%同一であるタンパク質をコードする核酸配列、および
(d)配列番号8のアミノ酸19~642および650~1341と少なくとも95%同一であるタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む、核酸分子。
【請求項17】
核酸分子であって、
(a)ヌクレオチド55~1926および1948~4023、配列番号7、
(b)配列番号7のヌクレオチド55~1926および1948~4023を含む核酸分子の少なくとも90%の全長を含む断片、
(c)配列番号7のヌクレオチド55~1926および1948~4023と少なくとも95%同一である断片、および
(d)配列番号7のヌクレオチド55~1926および1948~4023と少なくとも95%同一である核酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む、核酸分子。
【請求項18】
核酸分子であって、
(a)配列番号8のアミノ酸19~1341をコードする核酸配列、
(b)配列番号8のアミノ酸19~1341を含むタンパク質の少なくとも90%の全長を含む断片をコードする核酸配列、
(c)配列番号8のアミノ酸19~1341と少なくとも95%同一であるタンパク質をコードする核酸配列、および
(d)配列番号8のアミノ酸19~1341と少なくとも95%同一であるタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む、核酸分子。
【請求項19】
核酸分子であって、
(a)配列番号7のヌクレオチド55~4023
(b)配列番号7のヌクレオチド55~4023を含む核酸分子の少なくとも90%の全長を含む断片、
(c)配列番号7のヌクレオチド55~4023と少なくとも95%同一である断片、および
(d)配列番号7のヌクレオチド55~4023と少なくとも95%同一である核酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む、核酸分子。
【請求項20】
核酸分子であって、
(a)配列番号8をコードする核酸配列、
(b)配列番号8の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列、
(c)配列番号8と少なくとも95%同一であるタンパク質をコードする核酸配列、および
(d)配列番号8と少なくとも95%同一であるタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む、核酸分子。
【請求項21】
核酸分子であって、
(a)配列番号7、
(b)配列番号7の全長の少なくとも90%を含む断片、
(c)配列番号7と少なくとも95%同一である断片、および
(d)配列番号7と少なくとも95%同一である核酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む、核酸分子。
【請求項22】
配列番号7に記載の核酸配列を含む、核酸分子。
【請求項23】
請求項1~22のいずれか一項に記載の核酸分子を含む、ベクター。
【請求項24】
請求項6~10のいずれか一項に記載の核酸分子および請求項11~15のいずれか一項に記載の核酸分子を含む、ベクター。
【請求項25】
前記核酸分子が、プロモーターおよびポリ-アデニル化シグナルから選択される調節要素に動作可能に連結される、請求項23または24に記載のベクター。
【請求項26】
前記プロモーターが、ヒトサイトメガロウイルス最初期プロモーター(hCMVプロモーター)である、請求項25に記載のベクター。
【請求項27】
前記ポリ-アデニル化シグナルが、ウシ成長ホルモンポリ-アデニル化シグナル(bGHポリA)である、請求項25に記載のベクター。
【請求項28】
前記ベクターが、プラスミドまたはウイルスベクターである、請求項23~27のいずれか一項に記載のベクター。
【請求項29】
請求項1~22のいずれか一項に記載の1つ以上の核酸分子を含む、組成物。
【請求項30】
薬学的に許容される担体をさらに含む、請求項29に記載の組成物。
【請求項31】
請求項23~28のいずれか一項に記載の1つ以上のベクターを含む、組成物。
【請求項32】
薬学的に許容される担体をさらに含む、請求項31に記載の組成物。
【請求項33】
タンパク質であって、
(a)配列番号2のアミノ酸19~1490、
(b)配列番号2のアミノ酸19~1490を含むタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片、
(c)配列番号2のアミノ酸19~1490と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列、および
(d)配列番号2のアミノ酸19~1490と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、タンパク質。
【請求項34】
タンパク質であって、
(a)配列番号2、
(b)配列番号2の全長の少なくとも90%を含む断片、
(c)配列番号2と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列、および
(d)配列番号2と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、タンパク質。
【請求項35】
配列番号2に記載のアミノ酸配列を含む、タンパク質。
【請求項36】
タンパク質であって、
(a)配列番号4のアミノ酸19~642、
(b)配列番号4のアミノ酸19~642を含むタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片、
(c)配列番号4のアミノ酸19~642と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列、および
(d)配列番号4のアミノ酸19~642と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、タンパク質。
【請求項37】
タンパク質であって、
(a)配列番号2、
(b)配列番号4の全長の少なくとも90%を含む断片、
(c)配列番号4と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列、および
(d)配列番号4と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、タンパク質。
【請求項38】
配列番号4に記載のアミノ酸配列を含む、タンパク質。
【請求項39】
タンパク質であって、
(a)配列番号6のアミノ酸19~710、
(b)配列番号6のアミノ酸19~710を含むタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片、
(c)配列番号6のアミノ酸19~710と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列、および
(d)配列番号6のアミノ酸19~710と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、タンパク質。
【請求項40】
タンパク質であって、
(a)配列番号2、
(b)配列番号6の全長の少なくとも90%を含む断片、
(c)配列番号6と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列、および
(d)配列番号6と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、タンパク質。
【請求項41】
配列番号6に記載のアミノ酸配列を含む、タンパク質。
【請求項42】
タンパク質であって、
(a)配列番号8のアミノ酸残基19~642および650~1341、
(b)配列番号8のアミノ酸19~642および650~1341を含むタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片、
(c)配列番号8のアミノ酸19~642および650~1341と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列、および
(d)配列番号8のアミノ酸19~642および650~1341と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、タンパク質。
【請求項43】
タンパク質であって、
(a)配列番号8のアミノ酸19~1341、
(b)配列番号8のアミノ酸19~1341を含むタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片、
(c)配列番号8のアミノ酸19~1341と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列、および
(d)配列番号8のアミノ酸19~1341と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、タンパク質。
【請求項44】
タンパク質であって、
(a)配列番号8、
(b)配列番号8の全長の少なくとも90%を含む断片、
(c)配列番号8と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列、および
(d)配列番号8と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、タンパク質。
【請求項45】
配列番号8に記載のアミノ酸配列を含む、タンパク質。
【請求項46】
抗原を含むワクチンであって、前記抗原が、配列番号2に記載のアミノ酸配列を含む、ワクチン。
【請求項47】
前記抗原が、配列番号1によってコードされる、請求項46に記載のワクチン。
【請求項48】
ペプチドを含むワクチンであって、前記ペプチドが、配列番号2に記載のアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、ワクチン。
【請求項49】
核酸分子を含むワクチンであって、前記核酸分子が、配列番号1に記載の核酸配列の全長にわたって少なくとも約95%の同一性を有する核酸配列を含む、ワクチン。
【請求項50】
核酸分子を含むワクチンであって、前記核酸分子が、配列番号2に記載のアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約95%の同一性を有するアミノ酸配列を含むペプチドをコードする、ワクチン。
【請求項51】
抗原を含むワクチンであって、前記抗原が、配列番号4に記載のアミノ酸配列を含む、ワクチン。
【請求項52】
前記抗原が、配列番号3によってコードされる、請求項51に記載のワクチン。
【請求項53】
ペプチドを含むワクチンであって、前記ペプチドが、配列番号4に記載のアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、ワクチン。
【請求項54】
核酸分子を含むワクチンであって、前記核酸分子が、配列番号3に記載の核酸配列の全長にわたって少なくとも約95%の同一性を有する核酸配列を含む、ワクチン。
【請求項55】
核酸分子を含むワクチンであって、前記核酸分子が、配列番号4に記載のアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約95%の同一性を有するアミノ酸配列を含むペプチドをコードする、ワクチン。
【請求項56】
抗原を含むワクチンであって、前記抗原が、配列番号6に記載のアミノ酸配列を含む、ワクチン。
【請求項57】
前記抗原が、配列番号5によってコードされる、請求項56に記載のワクチン。
【請求項58】
ペプチドを含むワクチンであって、前記ペプチドが、配列番号6に記載のアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、ワクチン。
【請求項59】
核酸分子を含むワクチンであって、前記核酸分子が、配列番号5に記載の核酸配列の全長にわたって少なくとも約95%の同一性を有する核酸配列を含む、ワクチン。
【請求項60】
核酸分子を含むワクチンであって、前記核酸分子が、配列番号6に記載のアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約95%の同一性を有するアミノ酸配列を含むペプチドをコードする、ワクチン。
【請求項61】
抗原を含むワクチンであって、前記抗原が、配列番号8に記載のアミノ酸配列を含む、ワクチン。
【請求項62】
前記抗原が、配列番号7によってコードされる、請求項61に記載のワクチン。
【請求項63】
ペプチドを含むワクチンであって、前記ペプチドが、配列番号8に記載のアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、ワクチン。
【請求項64】
核酸分子を含むワクチンであって、前記核酸分子が、配列番号7に記載の核酸配列の全長にわたって少なくとも約95%の同一性を有する核酸配列を含む、ワクチン。
【請求項65】
核酸分子を含むワクチンであって、前記核酸分子が、配列番号8に記載のアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約95%の同一性を有するアミノ酸配列を含むペプチドをコードする、ワクチン。
【請求項66】
前記核酸分子が、発現ベクターを含む、請求項49~50、54~55、59~60、または64~65に記載のワクチン。
【請求項67】
薬学的に許容される賦形剤をさらに含む、請求項49~50、54~55、59~60、または64~65に記載のワクチン。
【請求項68】
アジュバントをさらに含む、請求項49~50、54~55、59~60、または64~65に記載のワクチン。
【請求項69】
前記アジュバントが、IL-12、IL-15、IL-28、またはRANTESである、請求項68に記載のワクチン。
【請求項70】
MUC16発現がん性細胞を有する対象の治療方法であって、治療有効量の請求項46~48、51~53、56~58、または61~63のいずれか一項に記載のワクチンを投与することを含む、方法。
【請求項71】
MUC16発現がん性細胞を有する対象の治療方法であって、治療有効量の請求項49~50、54~55、59~60、または64~69のいずれか一項に記載のワクチンを投与することを含む、方法。
【請求項72】
投与が、電気穿孔ステップを含む、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
投与が、前記対象の1つ以上の部位で行われる、請求項71に記載の方法。
【請求項74】
対象へのMUC16発現がん性細胞のワクチン接種方法であって、液性免疫応答を誘導するのに有効な量の請求項46~69のいずれか一項に記載のワクチンを投与することを含む、方法。
【請求項75】
薬剤として使用するための、請求項1~22のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項76】
がんの治療において薬剤として使用するための、請求項1~22のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項77】
薬剤の調製において使用するための、請求項1~22のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項78】
がんの治療のための薬剤の調製において使用するための、請求項1~22のいずれか一項に記載の核酸分子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年12月13日に出願された米国仮特許出願第62/598,314号および2017年12月15日に出願された同第62/599,513号に対する優先権およびその利益を主張し、それらの開示は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
配列表
本出願は、ASCII形式で電子的に提出され、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる配列表を含む。2018年12月12日に作成された該ASCIIのコピーは、104409_000446_sequence_listing.txtという名称であり、サイズは54,027バイトである。
【0003】
本発明は、MUC16抗原およびそれをコードする核酸分子に関する。本発明は、MUC16抗原および/または核酸分子を含むワクチンにも関する。本発明はさらに、免疫応答を誘導し、MUC16発現がん性細胞を予防し、かつ/またはそれを有する対象を治療するためのワクチンの使用方法に関する。
【背景技術】
【0004】
がんは、米国において、および世界的に依然として主な死亡原因である。がんワクチン市場は急速に成長している。有効な腫瘍ワクチンは、腫瘍の成長を阻止するために有用であり得、かつ/または進行がんの患者の標準治療のより有効で毒性が低い代替品として有用であり得る。がんと関連する抗原、したがって抗腫瘍ワクチンの標的はMUC16である。
【0005】
MUC16は、高分子量糖タンパク質のムチンファミリーのメンバーである。ムチンは、呼吸器、消化管、および生殖器系の様々な臓器の管腔側を囲む特殊上皮細胞によって発現される。MUC16は、上皮の完全性の維持、ならびに上皮表面の潤滑および保護において直接的および間接的な役割を有する。
【0006】
MUC16のタンデム反復ドメインは、反復ペプチドエピトープCA125を含有し、これは、1)早期発見のためのスクリーニング、2)骨盤内腫瘤を呈する閉経前および閉経後の女性における良性と悪性疾患との区別、ならびに3)療法に対する応答の監視を含む、卵巣がんの診断および治療全体を通して生じる複数の臨床シナリオの代表的なバイオマーカーとなった。加えて、機能的研究は、MUC16が卵巣腫瘍の形質転換および転移に寄与することを示した。
【0007】
卵巣がんの大多数におけるその高い発現と、また腫瘍発生の治療効果を高めるその想定される役割のため、MUC16は、魅力的ながん療法ワクチンの標的である。しかしながら、抗原設計は、その大きい大きさ、複雑なグリコシル化プロファイル、および健康な表皮組織における発現により影響される。
【0008】
がんの治療および予防のためのワクチンが大きな関心のものである。腫瘍細胞抗原を標的とする既存のワクチンは、しばしば、インビボでの不十分な抗原発現によって制限される。したがって、MUC16を発現する腫瘍に適用可能な安全かつ有効なワクチンを開発し、それによりそのようながんを患っている対象に治療を提供し、その生存を促進するための必要性が当該技術分野において残存する。
【発明の概要】
【0009】
(a)配列番号2のアミノ酸19~1490をコードする核酸配列、(b)配列番号2のアミノ酸19~1490を含むタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列、(c)配列番号2のアミノ酸19~1490と少なくとも95%同一であるタンパク質をコードする核酸配列、および(d)配列番号2のアミノ酸19~1490と少なくとも95%同一であるタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む核酸分子が本明細書に提供される。
【0010】
配列番号1のヌクレオチド55~4470、(b)配列番号1のヌクレオチド55~4470を含む核酸分子の全長の少なくとも90%を含む断片、(c)配列番号1のヌクレオチド55~4470と少なくとも95%同一である断片、および(d)配列番号1のヌクレオチド55~4470と少なくとも95%同一である核酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む核酸分子も本明細書に提供される。
【0011】
(a)配列番号2をコードする核酸配列、(b)配列番号2の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列、(c)配列番号2と少なくとも95%同一であるタンパク質をコードする核酸配列、および(d)配列番号2と少なくとも95%同一であるタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む核酸分子が本明細書に提供される。
【0012】
(a)配列番号1、(b)配列番号1の全長の少なくとも90%を含む断片、(c)配列番号1と少なくとも95%同一である断片、および(d)配列番号1と少なくとも95%同一である核酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む核酸分子も本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、核酸分子は、配列番号1に記載の核酸配列を含む。
【0013】
(a)配列番号4のアミノ酸19~642をコードする核酸配列、(b)配列番号4のアミノ酸19~642を含むタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列、(c)配列番号4のアミノ酸19~642と少なくとも95%同一であるタンパク質をコードする核酸配列、および(d)配列番号4のアミノ酸19~642と少なくとも95%同一であるタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む核酸分子が本明細書に提供される。
【0014】
配列番号3のヌクレオチド55~1926、(b)配列番号3のヌクレオチド55~1926を含む核酸分子の全長の少なくとも90%を含む断片、(c)配列番号3のヌクレオチド55~1926と少なくとも95%同一である断片、および(d)配列番号3のヌクレオチド55~1926と少なくとも95%同一である核酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む核酸分子も本明細書に提供される。
【0015】
(a)配列番号4をコードする核酸配列、(b)配列番号4の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列、(c)配列番号4と少なくとも95%同一であるタンパク質をコードする核酸配列、および(d)配列番号4と少なくとも95%同一であるタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む核酸分子が本明細書に提供される。
【0016】
(a)配列番号3、(b)配列番号3の全長の少なくとも90%を含む断片、(c)配列番号3と少なくとも95%同一である断片、および(d)配列番号3と少なくとも95%同一である核酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む核酸分子も本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、核酸分子は、配列番号3に記載の核酸配列を含む。
【0017】
(a)配列番号6のアミノ酸19~710をコードする核酸配列、(b)配列番号6のアミノ酸19~710を含むタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列、(c)配列番号6のアミノ酸19~710と少なくとも95%同一であるタンパク質をコードする核酸配列、および(d)配列番号6のアミノ酸19~710と少なくとも95%同一であるタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む核酸分子が本明細書に提供される。
【0018】
配列番号5のヌクレオチド55~2130、(b)配列番号5のヌクレオチド55~2130を含む核酸分子の全長の少なくとも90%を含む断片、(c)配列番号5のヌクレオチド55~2130と少なくとも95%同一である断片、および(d)配列番号5のヌクレオチド55~2130と少なくとも95%同一である核酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む核酸分子も本明細書に提供される。
【0019】
(a)配列番号6をコードする核酸配列、(b)配列番号6の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列、(c)配列番号6と少なくとも95%同一であるタンパク質をコードする核酸配列、および(d)配列番号6と少なくとも95%同一であるタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む核酸分子が本明細書に提供される。
【0020】
(a)配列番号5、(b)配列番号5の全長の少なくとも90%を含む断片、(c)配列番号5と少なくとも95%同一である断片、および(d)配列番号5と少なくとも95%同一である核酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む核酸分子も本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、核酸分子は、配列番号5に記載の核酸配列を含む。
【0021】
(a)配列番号8のアミノ酸19~642および650~1341をコードする核酸配列、(b)配列番号8のアミノ酸19~642および650~1341を含むタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列、(c)配列番号8のアミノ酸19~642および650~1341と少なくとも95%同一であるタンパク質をコードする核酸配列、ならびに(d)配列番号8のアミノ酸19~642および650~1341と少なくとも95%同一であるタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む核酸分子が本明細書に提供される。
【0022】
配列番号7のヌクレオチド55~1926および1948~4023、(b)配列番号7のヌクレオチド55~1926および1948~4023を含む核酸分子の全長の少なくとも90%を含む断片、(c)配列番号7のヌクレオチド55~1926および1948~4023と少なくとも95%同一である断片、ならびに(d)配列番号7のヌクレオチド55~1926および1948~4023と少なくとも95%同一である核酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む核酸分子も本明細書に提供される。
【0023】
(a)配列番号8のアミノ酸19~1341をコードする核酸配列、(b)配列番号8のアミノ酸19~1341を含むタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列、(c)配列番号8のアミノ酸19~1341と少なくとも95%同一であるタンパク質をコードする核酸配列、および(d)配列番号8のアミノ酸19~1341と少なくとも95%同一であるタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む核酸分子が本明細書に提供される。
【0024】
配列番号7のヌクレオチド55~4023、(b)配列番号7のヌクレオチド55~4023を含む核酸分子の全長の少なくとも90%を含む断片、(c)配列番号7のヌクレオチド55~4023と少なくとも95%同一である断片、および(d)配列番号7のヌクレオチド55~4023と少なくとも95%同一である核酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む核酸分子も本明細書に提供される。
【0025】
(a)配列番号8をコードする核酸配列、(b)配列番号8の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列、(c)配列番号8と少なくとも95%同一であるタンパク質をコードする核酸配列、および(d)配列番号8と少なくとも95%同一であるタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む核酸分子が本明細書に提供される。
【0026】
(a)配列番号7、(b)配列番号7の全長の少なくとも90%を含む断片、(c)配列番号7と少なくとも95%同一である断片、および(d)配列番号7と少なくとも95%同一である核酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む核酸分子も本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、核酸分子は、配列番号7に記載の核酸配列を含む。
【0027】
本明細書に記載の核酸分子のうちの1つ以上が、プラスミドまたはウイルスベクターなどのベクターに組み込まれ得る。本明細書に記載の核酸分子のうちの1つ以上が、プラスミドまたはウイルスベクターなどのベクターに組み込まれ得る。いくつかの実施形態では、ベクターは、(a)配列番号2のアミノ酸19~1490をコードする核酸配列、(b)配列番号2のアミノ酸19~1490を含むタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列、(c)配列番号2のアミノ酸19~1490と少なくとも95%同一であるタンパク質をコードする核酸配列、および(d)配列番号2のアミノ酸19~1490と少なくとも95%同一であるタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む核酸分子を含む。ある特定の実施形態では、ベクターは、配列番号1のヌクレオチド55~4470、(b)配列番号1のヌクレオチド55~4470を含む核酸分子の全長の少なくとも90%を含む断片、(c)配列番号1のヌクレオチド55~4470と少なくとも95%同一である断片、および(d)配列番号1のヌクレオチド55~4470と少なくとも95%同一である核酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む核酸分子を含む。さらなる実施形態では、ベクターは、(a)配列番号2をコードする核酸配列、(b)配列番号2の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列、(c)配列番号2と少なくとも95%同一であるタンパク質をコードする核酸配列、および(d)配列番号2と少なくとも95%同一であるタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む核酸分子を含む。またさらなる実施形態では、ベクターは、(a)配列番号1、(b)配列番号1の全長の少なくとも90%を含む断片、(c)配列番号1と少なくとも95%同一である断片、および(d)配列番号1と少なくとも95%同一である核酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む核酸分子を含む。いくつかの実施形態では、核酸分子は、配列番号1に記載の核酸配列を含む。
【0028】
さらなる実施形態では、ベクターは、(a)配列番号4のアミノ酸19~642をコードする核酸配列、(b)配列番号4のアミノ酸19~642を含むタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列、(c)配列番号4のアミノ酸19~642と少なくとも95%同一であるタンパク質をコードする核酸配列、および(d)配列番号4のアミノ酸19~642と少なくとも95%同一であるタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む。ある特定の実施形態では、ベクターは、配列番号3のヌクレオチド55~1926、(b)配列番号3のヌクレオチド55~1926を含む核酸分子の全長の少なくとも90%を含む断片、(c)配列番号3のヌクレオチド55~1926と少なくとも95%同一である断片、および(d)配列番号3のヌクレオチド55~1926と少なくとも95%同一である核酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む核酸分子を含む。いくつかの実施形態では、ベクターは、(a)配列番号4をコードする核酸配列、(b)配列番号4の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列、(c)配列番号4と少なくとも95%同一であるタンパク質をコードする核酸配列、および(d)配列番号4と少なくとも95%同一であるタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む核酸分子を含む。さらなる実施形態では、ベクターは、(a)配列番号3、(b)配列番号3の全長の少なくとも90%を含む断片、(c)配列番号3と少なくとも95%同一である断片、および(d)配列番号3と少なくとも95%同一である核酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む核酸分子を含む。いくつかの実施形態では、核酸分子は、配列番号3に記載の核酸配列を含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、ベクターは、(a)配列番号6のアミノ酸19~710をコードする核酸配列、(b)配列番号6のアミノ酸19~710を含むタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列、(c)配列番号6のアミノ酸19~710と少なくとも95%同一であるタンパク質をコードする核酸配列、および(d)配列番号6のアミノ酸19~710と少なくとも95%同一であるタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む核酸分子を含む。ある特定の実施形態では、ベクターは、配列番号5のヌクレオチド55~2130、(b)配列番号5のヌクレオチド55~2130を含む核酸分子の全長の少なくとも90%を含む断片、(c)配列番号5のヌクレオチド55~2130と少なくとも95%同一である断片、および(d)配列番号5のヌクレオチド55~2130と少なくとも95%同一である核酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む核酸分子を含む。さらなる実施形態では、ベクターは、(a)配列番号6をコードする核酸配列、(b)配列番号6の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列、(c)配列番号6と少なくとも95%同一であるタンパク質をコードする核酸配列、および(d)配列番号6と少なくとも95%同一であるタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む核酸分子を含む。またさらなる実施形態では、ベクターは、(a)配列番号5、(b)配列番号5の全長の少なくとも90%を含む断片、(c)配列番号5と少なくとも95%同一である断片、および(d)配列番号5と少なくとも95%同一である核酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む核酸分子を含む。いくつかの実施形態では、核酸分子は、配列番号5に記載の核酸配列を含む。
【0030】
さらなる実施形態では、ベクターは、(a)配列番号8のアミノ酸19~642および650~1341をコードする核酸配列、(b)配列番号8のアミノ酸19~642および650~1341を含むタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列、(c)配列番号8のアミノ酸19~642および650~1341と少なくとも95%同一であるタンパク質をコードする核酸配列、ならびに(d)配列番号8のアミノ酸19~642および650~1341と少なくとも95%同一であるタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む核酸分子を含む。ある特定の実施形態では、ベクターは、配列番号7のヌクレオチド55~1926および1948~4023、(b)配列番号7のヌクレオチド55~1926および1948~4023を含む核酸分子の全長の少なくとも90%を含む断片、(c)配列番号7のヌクレオチド55~1926および1948~4023と少なくとも95%同一である断片、ならびに(d)配列番号7のヌクレオチド55~1926および1948~4023と少なくとも95%同一である核酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む核酸分子を含む。さらなる実施形態では、ベクターは、(a)配列番号8のアミノ酸19~1341をコードする核酸配列、(b)配列番号8のアミノ酸19~1341を含むタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列、(c)配列番号8のアミノ酸19~1341と少なくとも95%同一であるタンパク質をコードする核酸配列、および(d)配列番号8のアミノ酸19~1341と少なくとも95%同一であるタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む核酸分子を含む。ある特定の実施形態では、ベクターは、配列番号7のヌクレオチド55~4023、(b)配列番号7のヌクレオチド55~4023を含む核酸分子の全長の少なくとも90%を含む断片、(c)配列番号7のヌクレオチド55~4023と少なくとも95%同一である断片、および(d)配列番号7のヌクレオチド55~4023と少なくとも95%同一である核酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む核酸分子を含む。いくつかの実施形態では、ベクターは、(a)配列番号8をコードする核酸配列、(b)配列番号8の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列、(c)配列番号8と少なくとも95%同一であるタンパク質をコードする核酸配列、および(d)配列番号8と少なくとも95%同一であるタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む核酸分子を含む。いくつかの実施形態では、ベクターは、(a)配列番号7、(b)配列番号7の全長の少なくとも90%を含む断片、(c)配列番号7と少なくとも95%同一である断片、および(d)配列番号7と少なくとも95%同一である核酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む核酸分子を含む。いくつかの実施形態では、核酸分子は、配列番号7に記載の核酸配列を含む。
【0031】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の核酸は、調節要素に動作可能に連結される。いくつかの実施形態では、調節要素は、プロモーターおよび/またはポリ-アデニル化シグナルである。さらなる実施形態では、プロモーターは、ヒトサイトメガロウイルス最初期プロモーター(hCMVプロモーター)である。またさらなる実施形態では、ポリ-アデニル化シグナルは、ウシ成長ホルモンポリ-アデニル化シグナル(bGHポリA)である。
【0032】
本明細書に記載される1つ以上の核酸分子を含む組成物も本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、組成物は、薬学的に許容される担体を含む。
【0033】
(a)配列番号2のアミノ酸19~1490、(b)配列番号2のアミノ酸19~1490を含むタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片、(c)配列番号2のアミノ酸19~1490と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列、および(d)配列番号2のアミノ酸19~1490と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むMUC16抗原タンパク質がさらに提供される。
【0034】
(a)配列番号2、(b)配列番号2の全長の少なくとも90%を含む断片、(c)配列番号2と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列、および(d)配列番号2と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むMUC16抗原タンパク質がさらに提供される。いくつかの実施形態では、タンパク質は、配列番号2に記載のアミノ酸配列を含む。
【0035】
(a)配列番号4のアミノ酸19~642、(b)配列番号4のアミノ酸19~642を含むタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片、(c)配列番号4のアミノ酸19~642と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列、および(d)配列番号4のアミノ酸19~642と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むMUC16抗原タンパク質がさらに提供される。
【0036】
(a)配列番号4、(b)配列番号4の全長の少なくとも90%を含む断片、(c)配列番号4と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列、および(c)配列番号4と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むMUC16抗原タンパク質がさらに提供される。いくつかの実施形態では、タンパク質は、配列番号2に記載のアミノ酸配列を含む。
【0037】
(a)配列番号6のアミノ酸19~710、(b)配列番号6のアミノ酸19~710を含むタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片、(c)配列番号6のアミノ酸19~710と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列、および(d)配列番号6のアミノ酸19~710と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むMUC16抗原タンパク質がさらに提供される。
【0038】
(a)配列番号6、(b)配列番号6の全長の少なくとも90%を含む断片、(c)配列番号6と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列、および(c)配列番号6と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むMUC16抗原タンパク質がさらに提供される。いくつかの実施形態では、タンパク質は、配列番号6に記載のアミノ酸配列を含む。
【0039】
(a)配列番号8のアミノ酸19~642および650~1341、(b)配列番号8のアミノ酸19~642および650~1341を含むタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片、(c)配列番号8のアミノ酸19~642および650~1341と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列、ならびに(d)配列番号8のアミノ酸19~642および650~1341と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むMUC16抗原タンパク質がさらに提供される。
【0040】
(a)配列番号8のアミノ酸19~1341、(b)配列番号8のアミノ酸19~1341を含むタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片、(c)配列番号8のアミノ酸19~1341と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列、および(d)配列番号8のアミノ酸19~1341と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むMUC16抗原タンパク質がさらに提供される。
【0041】
(a)配列番号8、(b)配列番号8の全長の少なくとも90%を含む断片、(c)配列番号8と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列、および(c)配列番号8と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むMUC16抗原タンパク質がさらに提供される。いくつかの実施形態では、タンパク質は、配列番号8に記載のアミノ酸配列を含む。
【0042】
抗原が配列番号2に記載のアミノ酸配列を含む、MUC16抗原を含むワクチンも提供される。いくつかの実施形態では、抗原は、配列番号1によってコードされる。
【0043】
抗原が配列番号4に記載のアミノ酸配列を含む、MUC16抗原を含むワクチンも提供される。いくつかの実施形態では、抗原は、配列番号3によってコードされる。
【0044】
抗原が配列番号6に記載のアミノ酸配列を含む、MUC16抗原を含むワクチンも提供される。いくつかの実施形態では、抗原は、配列番号5によってコードされる。
【0045】
抗原が配列番号8に記載のアミノ酸配列を含む、MUC16抗原を含むワクチンも提供される。いくつかの実施形態では、抗原は、配列番号7によってコードされる。
【0046】
核酸分子を含むワクチンがさらに提供され、この核酸分子は、配列番号1に記載の核酸配列の全長にわたって少なくとも約95%の同一性を有する核酸配列を含む。核酸分子を含むワクチンが本明細書にさらに開示され、この核酸分子は、配列番号2に記載のアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約95%の同一性を有するアミノ酸配列を含むMUC16抗原をコードする。
【0047】
核酸分子を含むワクチンがさらに提供され、この核酸分子は、配列番号3に記載の核酸配列の全長にわたって少なくとも約95%の同一性を有する核酸配列を含む。核酸分子を含むワクチンが本明細書にさらに開示され、この核酸分子は、配列番号4に記載のアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約95%の同一性を有するアミノ酸配列を含むMUC16抗原をコードする。
【0048】
核酸分子を含むワクチンがさらに提供され、この核酸分子は、配列番号5に記載の核酸配列の全長にわたって少なくとも約95%の同一性を有する核酸配列を含む。核酸分子を含むワクチンがさらに本明細書に開示され、この核酸分子は、配列番号6に記載のアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約95%の同一性を有するアミノ酸配列を含むMUC16抗原をコードする。
【0049】
核酸分子を含むワクチンがさらに提供され、この核酸分子は、配列番号7に記載の核酸配列の全長にわたって少なくとも約95%の同一性を有する核酸配列を含む。核酸分子を含むワクチンが本明細書にさらに開示され、この核酸分子は、配列番号8に記載のアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約95%の同一性を有するアミノ酸配列を含むMUC16抗原をコードする。
【0050】
いくつかの実施形態では、核酸分子は、発現ベクターを含み得る。ワクチンは、薬学的に許容される賦形剤をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、ワクチンは、アジュバントをさらに含み得る。ある特定の実施形態では、アジュバントは、IL-12、IL-15、IL-28、またはRANTESである。
【0051】
MUC16抗原を含むワクチンも本明細書に提供され、この抗原は配列番号2に記載されているアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、抗原は、配列番号1によってコードされる。
【0052】
ペプチドを含むワクチンがさらに提供され、このペプチドは、配列番号2に記載のアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0053】
MUC16抗原を含むワクチンも本明細書に提供され、この抗原は配列番号4に記載されているアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、抗原は、配列番号3によってコードされる。
【0054】
ペプチドを含むワクチンがさらに提供され、このペプチドは、配列番号4に記載のアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0055】
MUC16抗原を含むワクチンも本明細書に提供され、この抗原は配列番号6に記載されているアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、抗原は、配列番号5によってコードされる。
【0056】
ペプチドを含むワクチンがさらに提供され、このペプチドは、配列番号6に記載のアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0057】
MUC16抗原を含むワクチンも本明細書に提供され、この抗原は配列番号8に記載のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、抗原は、配列番号7によってコードされる。
【0058】
ペプチドを含むワクチンがさらに提供され、このペプチドは、配列番号8に記載のアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む
【0059】
治療有効量の本明細書に記載のワクチンを投与することを含む、MUC16発現がん性細胞を有する対象の治療方法がさらに提供される。いくつかの実施形態では、投与は電気穿孔ステップを含む。他の実施形態では、投与は、対象の1つ以上の部位で行われる。
【0060】
対象へのMUC16発現がん性細胞のワクチン接種方法も提供される。いくつかの実施形態では、投与は電気穿孔ステップを含む。他の実施形態では、投与は、対象の1つ以上の部位で行われる。
【0061】
薬剤として使用するための、(a)配列番号2をコードする核酸配列、(b)配列番号2の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列、(c)配列番号2と少なくとも95%同一であるタンパク質をコードする核酸配列、および(d)配列番号2と少なくとも95%同一であるタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む核酸分子も本明細書に提供される。
【0062】
薬剤として使用するための、(a)配列番号4をコードする核酸配列、(b)配列番号4の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列、(c)配列番号4と少なくとも95%同一であるタンパク質をコードする核酸配列、および(d)配列番号4と少なくとも95%同一であるタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む核酸分子も本明細書に提供される。
【0063】
薬剤として使用するための、(a)配列番号6をコードする核酸配列、(b)配列番号6の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列、(c)配列番号6と少なくとも95%同一であるタンパク質をコードする核酸配列、および(d)配列番号6と少なくとも95%同一であるタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む核酸分子も本明細書に提供される。
【0064】
薬剤として使用するための、(a)配列番号8をコードする核酸配列、(b)配列番号8の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列、(c)配列番号8と少なくとも95%同一であるタンパク質をコードする核酸配列、および(d)配列番号8と少なくとも95%同一であるタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む核酸分子も本明細書に提供される。
【0065】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の核酸分子は、がんの治療において薬剤として使用するためのものである。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の核酸分子は、薬剤の調製に使用するためのものである。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の核酸分子は、がんの治療のための薬剤の調製に使用するためのものである。
【0066】
薬剤として使用するための、(a)配列番号1、(b)配列番号1の全長の少なくとも90%を含む断片、(c)配列番号1と少なくとも95%同一である断片、および(d)配列番号1と少なくとも95%同一である核酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む核酸分子も本明細書に提供される。
【0067】
薬剤として使用するための、(a)配列番号3、(b)配列番号3の全長の少なくとも90%を含む断片、(c)配列番号3と少なくとも95%同一である断片、および(d)配列番号3と少なくとも95%同一である核酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む核酸分子も本明細書に提供される。
【0068】
薬剤として使用するための、(a)配列番号5、(b)配列番号5の全長の少なくとも90%を含む断片、(c)配列番号5と少なくとも95%同一である断片、および(d)配列番号5と少なくとも95%同一である核酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む核酸分子も本明細書に提供される。
【0069】
薬剤として使用するための、(a)配列番号7、(b)配列番号7の全長の少なくとも90%を含む断片、(c)配列番号7と少なくとも95%同一である断片、および(d)配列番号7と少なくとも95%同一である核酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む核酸分子も本明細書に提供される。
【0070】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の核酸分子は、がんの治療において薬剤として使用するためのものである。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の核酸分子は、薬剤の調製に使用するためのものである。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の核酸分子は、がんの治療のための薬剤の調製に使用するためのものである。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【
図1】天然ヒトMUC16構造を図示する。MUC16ワクチン構築物が標的とする領域を示す。
【
図2】ヒト天然MUC16中央タンデム反復の系統発生分析を示す。
【
図3】各MUC16反復マイクロコンセンサス(RMC)が由来する個々の天然MUC16反復配列、および互いとのそれらの配列同一性パーセントを示す(GenBank:AAL65133.2)。
【
図4】MUC16カルボキシ末端ドメインのアミノ酸配列(配列番号10)を示す。下線付きの領域(NFSPLARRVDR)(配列番号9)は潜在的な切断部位であり、太字の下線付き領域は膜貫通ドメインであり、細胞質側末端(cytoplasmic tail)は二重下線で示される。膜貫通ドメインの上流の特定されていない配列は細胞外外部ドメインである。ボックスは潜在的なS/T/Yリン酸化部位を表す。N-およびO-グリコシル化部位は、それぞれ、XおよびOで示される。
【
図5】修飾されたコンセンサスMUC16外部ドメインおよび膜貫通ドメイン(配列番号11)ならびにヒト天然MUC16外部ドメインおよび膜貫通ドメイン(配列番号12)のアライメントを図示する。コンセンサスの変化は灰色で影が付けられている。
【
図6A】オフターゲットエピトープの可能性を低減するための、RMC、天然反復、ならびに合成コンセンサスMUC16外部ドメインおよび膜貫通ドメインを組み立てるための戦略を図示する。
図6Aは、中央タンデム反復およびカルボキシ末端ドメイン設計戦略を組み込むことにより、予備合成MUC16免疫原がどのように生成されたかを示す。しかしながら、RMC4-R61接合部(RMC4の最後の11個のアミノ酸および天然R61の最初の11個のアミノ酸)がすべての天然MUC16反復接合部(隣接する天然反復の最後の11個のアミノ酸および初めの11時のアミノ酸)にアライメントされたとき、最大配列同一性はわずか76.2%であり、望ましくないエピトープが恐らくこの接合部に導入された可能性があることを示唆した。
【
図6B】オフターゲットエピトープの可能性を低減するための、RMC、天然反復、ならびに合成コンセンサスMUC16外部ドメインおよび膜貫通ドメインを組み立てるための戦略を図示する。
図6Bは、RMC4-R61接合部を避けるための1つの戦略がRMC4とR61との間に天然R59を付加することであったことを示す。
【
図7】プラスミドpGX1435、pGX1436、pGX1437、pGX1438、およびpGX1439によってコードされた4つの合成コンセンサスMUC16免疫原の略図である。
【
図8A】ヒト天然および合成コンセンサスMUC16 IRC中央タンデム反復ドメインの大きさ評価および比較モデル化を示す。
図8Aは、天然MUC16(GenBank AAL65133.2に基づく)および合成コンセンサスMUC16 IRCの略図である。
【
図8B】ヒト天然および合成コンセンサスMUC16 IRC中央タンデム反復ドメインの大きさ評価および比較モデル化を示す。
図8Bは、天然MUC16(左)と合成コンセンサスMUC16 IRC設計(右)との間の大きさの相違を図示するための比較モデル化を示す。
【
図8C】ヒト天然および合成コンセンサスMUC16 IRC中央タンデム反復ドメインの大きさ評価および比較モデル化を示す。
図8Cは、cpkフォーマットで示される合成コンセンサスMUC16 IRC反復領域の比較モデルである。反復マイクロコンセンサス配列RMC1~RMC4は薄灰色で示され、設計されたフーリン切断部位および天然反復配列R61~R63は暗灰色である。
【
図9】修飾されたpVAX1骨格(pGX0001)の図式表示である。
【
図11】プラスミドpGX1435および合成コンセンサスMUC16 IRC+R59の図式表示である。
【
図12】プラスミドpGX1436および合成コンセンサスMUC16 RMCの図式表示である。
【
図13】プラスミドpGX1437および合成コンセンサスMUC16 NRCの図式表示である。
【
図14】プラスミドpGX1438ならびに合成コンセンサスMUC16 RMCおよび合成コンセンサスMUC16 NRCの図式表示である。
【
図15】プラスミドpGX1439および合成コンセンサスMUC16 IRCの図式表示である。
【
図16】イムノブロッティングによる合成コンセンサスMUC16構築物の発現を図示する。
【
図17】本開示の実施形態において使用された合成コンセンサスMUC16抗原タンパク質に対応するペプチドに含有されたペプチドプールの図式表示である。
【
図18A】3週間隔で3回、示される投与量の合成コンセンサスMUC16(pGX1435(
図18A)、pGX1438(
図18B)、およびpGX1439(
図18C)、n=8/群)、またはpGX0001(空のベクター、n=8)で免疫化を行った雌のCB6F1からのELISpotによるIFNγ応答を図示する。pGX1435により誘導された独特のR59(ペプチドプール6)エピトープに対する検出可能な応答も示される(
図18D)。
【
図18B】3週間隔で3回、示される投与量の合成コンセンサスMUC16(pGX1435(
図18A)、pGX1438(
図18B)、およびpGX1439(
図18C)、n=8/群)、またはpGX0001(空のベクター、n=8)で免疫化を行った雌のCB6F1からのELISpotによるIFNγ応答を図示する。pGX1435により誘導された独特のR59(ペプチドプール6)エピトープに対する検出可能な応答も示される(
図18D)。
【
図18C】3週間隔で3回、示される投与量の合成コンセンサスMUC16(pGX1435(
図18A)、pGX1438(
図18B)、およびpGX1439(
図18C)、n=8/群)、またはpGX0001(空のベクター、n=8)で免疫化を行った雌のCB6F1からのELISpotによるIFNγ応答を図示する。pGX1435により誘導された独特のR59(ペプチドプール6)エピトープに対する検出可能な応答も示される(
図18D)。
【
図18D】3週間隔で3回、示される投与量の合成コンセンサスMUC16(pGX1435(
図18A)、pGX1438(
図18B)、およびpGX1439(
図18C)、n=8/群)、またはpGX0001(空のベクター、n=8)で免疫化を行った雌のCB6F1からのELISpotによるIFNγ応答を図示する。pGX1435により誘導された独特のR59(ペプチドプール6)エピトープに対する検出可能な応答も示される(
図18D)。
【
図19A】3週間隔で3回、示される投与量の合成コンセンサスMUC16(pGX1436(
図19A)およびpGX1437(
図19C)、n=8/群)、またはpGX0001(空のベクター、n=8)で免疫化を行った雌のCB6F1からの結果を図示する。示される投与量のpGX1436およびpGX1437でのELISpotによる合成コンセンサスMUC16特異的IFNγ応答ならびに完全長構築物に対する免疫応答の比較(
図19Bおよび
図19D)。
【
図19B】3週間隔で3回、示される投与量の合成コンセンサスMUC16(pGX1436(
図19A)およびpGX1437(
図19C)、n=8/群)、またはpGX0001(空のベクター、n=8)で免疫化を行った雌のCB6F1からの結果を図示する。示される投与量のpGX1436およびpGX1437でのELISpotによる合成コンセンサスMUC16特異的IFNγ応答ならびに完全長構築物に対する免疫応答の比較(
図19Bおよび
図19D)。
【
図19C】3週間隔で3回、示される投与量の合成コンセンサスMUC16(pGX1436(
図19A)およびpGX1437(
図19C)、n=8/群)、またはpGX0001(空のベクター、n=8)で免疫化を行った雌のCB6F1からの結果を図示する。示される投与量のpGX1436およびpGX1437でのELISpotによる合成コンセンサスMUC16特異的IFNγ応答ならびに完全長構築物に対する免疫応答の比較(
図19Bおよび
図19D)。
【
図19D】3週間隔で3回、示される投与量の合成コンセンサスMUC16(pGX1436(
図19A)およびpGX1437(
図19C)、n=8/群)、またはpGX0001(空のベクター、n=8)で免疫化を行った雌のCB6F1からの結果を図示する。示される投与量のpGX1436およびpGX1437でのELISpotによる合成コンセンサスMUC16特異的IFNγ応答ならびに完全長構築物に対する免疫応答の比較(
図19Bおよび
図19D)。
【
図20】本開示の実施形態において使用されたフローサイトメトリーゲーティング戦略を図示する。
【
図21A】合成コンセンサスMUC16完全長構築物pGX1435(
図21A)、pGX1438(
図21B)、およびpGX1439(
図21C)により誘導されたCD4
+T細胞の相対頻度を図示する。
【
図21B】合成コンセンサスMUC16完全長構築物pGX1435(
図21A)、pGX1438(
図21B)、およびpGX1439(
図21C)により誘導されたCD4
+T細胞の相対頻度を図示する。
【
図21C】合成コンセンサスMUC16完全長構築物pGX1435(
図21A)、pGX1438(
図21B)、およびpGX1439(
図21C)により誘導されたCD4
+T細胞の相対頻度を図示する。
【
図22A】pGX1435(
図22A)、pGX1438(
図22B)、およびpGX1439(
図22C)により誘導された合成コンセンサスMUC16特異的CD4
+T細胞の細胞溶解能力およびサイトカインプロファイルを図示する。
【
図22B】pGX1435(
図22A)、pGX1438(
図22B)、およびpGX1439(
図22C)により誘導された合成コンセンサスMUC16特異的CD4
+T細胞の細胞溶解能力およびサイトカインプロファイルを図示する。
【
図22C】pGX1435(
図22A)、pGX1438(
図22B)、およびpGX1439(
図22C)により誘導された合成コンセンサスMUC16特異的CD4
+T細胞の細胞溶解能力およびサイトカインプロファイルを図示する。
【
図23A】CD8
+T細胞コンパートメントにおけるpGX1435(
図23A)、pGX1438(
図23B)、およびpGX1439(
図23C)により誘導された細胞性免疫応答を図示する。
【
図23B】CD8
+T細胞コンパートメントにおけるpGX1435(
図23A)、pGX1438(
図23B)、およびpGX1439(
図23C)により誘導された細胞性免疫応答を図示する。
【
図23C】CD8
+T細胞コンパートメントにおけるpGX1435(
図23A)、pGX1438(
図23B)、およびpGX1439(
図23C)により誘導された細胞性免疫応答を図示する。
【
図24A】CD8
+T細胞コンパートメントにおけるpGX1435(
図24A)、pGX1438(
図24B)、およびpGX1439(
図24C)により誘導された細胞性免疫応答およびサイトカインプロファイルを図示する。
【
図24B】CD8
+T細胞コンパートメントにおけるpGX1435(
図24A)、pGX1438(
図24B)、およびpGX1439(
図24C)により誘導された細胞性免疫応答およびサイトカインプロファイルを図示する。
【
図24C】CD8
+T細胞コンパートメントにおけるpGX1435(
図24A)、pGX1438(
図24B)、およびpGX1439(
図24C)により誘導された細胞性免疫応答およびサイトカインプロファイルを図示する。
【
図25A】CD4
+T細胞コンパートメントにおけるpGX1436により誘導された細胞性免疫応答(
図25A)、ならびに部分長構築物pGX1436の細胞溶解性免疫応答および特異的CD4
+T細胞応答のプロファイル(
図25B)を図示する。
【
図25B】CD4
+T細胞コンパートメントにおけるpGX1436により誘導された細胞性免疫応答(
図25A)、ならびに部分長構築物pGX1436の細胞溶解性免疫応答および特異的CD4
+T細胞応答のプロファイル(
図25B)を図示する。
【
図26A】CD4
+T細胞コンパートメントにおけるpGX1437により誘導された細胞性免疫応答(
図26A)、ならびに部分長構築物pGX1437の細胞溶解性免疫応答および特異的CD4
+T細胞応答のプロファイル(
図26B)を図示する。
【
図26B】CD4
+T細胞コンパートメントにおけるpGX1437により誘導された細胞性免疫応答(
図26A)、ならびに部分長構築物pGX1437の細胞溶解性免疫応答および特異的CD4
+T細胞応答のプロファイル(
図26B)を図示する。
【
図27A】CD8
+T細胞コンパートメントにおけるpGX1436により誘導された細胞性免疫応答(
図27A)、ならびに部分長構築物の細胞溶解性免疫応答および特異的CD8
+T細胞応答のプロファイル(
図27B)を図示する。
【
図27B】CD8
+T細胞コンパートメントにおけるpGX1436により誘導された細胞性免疫応答(
図27A)、ならびに部分長構築物の細胞溶解性免疫応答および特異的CD8
+T細胞応答のプロファイル(
図27B)を図示する。
【
図28A】CD8
+T細胞コンパートメントにおけるpGX1437により誘導された細胞性免疫応答(
図28A)、ならびに部分長構築物の細胞溶解性免疫応答および特異的CD8
+T細胞応答のプロファイル(
図28B)を図示する。
【
図28B】CD8
+T細胞コンパートメントにおけるpGX1437により誘導された細胞性免疫応答(
図28A)、ならびに部分長構築物の細胞溶解性免疫応答および特異的CD8
+T細胞応答のプロファイル(
図28B)を図示する。
【
図29A】CD4
+およびCD8
+T細胞コンパートメントにおける完全長構築物に対するpGX1436(
図29A)およびpGX1437(
図29B)により誘導された細胞性免疫応答の比較、ならびに特異的CD4
+およびCD8
+T細胞応答のサイトカインプロファイルを図示する。
【
図29B】CD4
+およびCD8
+T細胞コンパートメントにおける完全長構築物に対するpGX1436(
図29A)およびpGX1437(
図29B)により誘導された細胞性免疫応答の比較、ならびに特異的CD4
+およびCD8
+T細胞応答のサイトカインプロファイルを図示する。
【発明を実施するための形態】
【0072】
本発明は、MUC16抗原を含むワクチンに関する。MUC16は、多くの腫瘍において発現される。したがって、ワクチンは、MUC16を発現するがんまたは腫瘍のための治療を提供する。本発明のワクチンは、治療を必要とする対象のがんの特定の予防または治療のための特定のがん抗原の任意の組み合わせを提供することができる。
【0073】
組換えがん抗原の核酸およびそのコードされたアミノ酸配列を設計するための1つの様式は、天然がん抗原の全体的なアミノ酸配列において特定のアミノ酸を変更する変異を導入することによるものである。変異の導入によってがん抗原はそれほど変更されないため、哺乳類対象、好ましくはヒトまたはイヌ対象にわたって広く適用することはできないが、得られるアミノ酸配列が寛容を破壊するか、または免疫応答を生成するために外来抗原とみなされるには十分にそれを変更する。別の様式は、その対応する天然がん抗原に対して少なくとも85%および最大99%のアミノ酸配列同一性、好ましくは少なくとも90%および最大98%の配列同一性、より好ましくは少なくとも93%および最大98%の配列同一性、またはさらにより好ましくは少なくとも95%および最大98%の配列同一性を有するコンセンサス組換えがん抗原を創出することであり得る。場合によっては、組換えがん抗原は、その対応する天然がん抗原に対して95%、96%、97%、98%、または99%のアミノ酸配列同一性である。天然がん抗原は、特定のがんまたはがん腫瘍と通常関連する抗原である。がん抗原によって、がん抗原のコンセンサス配列は、哺乳類種にわたって、もしくは種のサブタイプ内、またはウイルス株もしくは血清型にわたってもよい。いくつかのがん抗原は、野生型アミノ酸配列のがん抗原と大きく異ならない。いくつかのがん抗原は、種にわたって非常に異なるため、コンセンサス配列を生成することができない核酸/アミノ酸配列を有する。これらの場合では、その対応する天然がん抗原に対して少なくとも85%および最大99%のアミノ酸配列同一性、好ましくは少なくとも90%および最大98%の配列同一性、より好ましくは少なくとも93%および最大98%の配列同一性、またはさらにより好ましくは少なくとも95%および最大98%の配列同一性を有する、寛容を破壊し、免疫応答を生成する組換えがん抗原が生成される。場合によっては、組換えがん抗原は、その対応する天然がん抗原に対して95%、96%、97%、98%、または99%のアミノ酸配列同一性である。前述のアプローチは、最終組換えがん抗原が、上で考察された天然がん抗原のアミノ酸配列に対して類似性パーセントを有するように組み合わされ得る。
【0074】
ムチン-16(「MUC16」)抗原は、一部、異なる種または種内の異なるアイソフォームからのMUC16の配列に由来するコンセンサスMUC16抗原であり得、したがって、コンセンサスMUC16抗原は非天然である。
【0075】
MUC16抗原は、天然反復マイクロコンセンサス(RMC)または反復(R)配列由来のRMCまたは天然R配列の選択も含み得る。いくつかの実施形態では、2つ以上のRMCおよび/またはR配列がタンパク質分解切断部位により互いに連結されている核酸構築物が提供される。フーリンタンパク質分解切断部位は、構築物によって発現される融合タンパク質においてRMCおよび/またはRドメインを連結し得るタンパク質分解切断部位の例である。
【0076】
MUC16抗原に対するさらなる修飾には、外部ドメインおよび膜貫通ドメインにおけるアスパラギン残基の変異、ならびにMUC16抗原のN末端への上流コザックおよび/またはIgEリーダー配列の付加が含まれ得る。
【0077】
組換えMUC16は、抗原特異的T細胞および/または高力価抗体応答を誘導し、それにより抗原を発現するがんまたは腫瘍に指向されるか、またはそれに対して反応性である免疫応答を誘導または誘発することができる。いくつかの実施形態では、誘導されたまたは誘発された免疫応答は、細胞性、液性、または細胞性および液性両方の免疫応答であり得る。いくつかの実施形態では、誘導されたまたは誘発された細胞性免疫応答には、インターフェロン-ガンマ(IFN-γ)および/または腫瘍壊死因子アルファ(TNF-α)の誘導または分泌が含まれ得る。他の実施形態では、誘導されたまたは誘発された免疫応答は、抗原を発現する腫瘍またはがんの成長を促進する1つ以上の免疫抑制因子、例えば、限定されないが、MHC提示を下方制御する因子、抗原特異的調節性T細胞(Treg)を上方制御する因子、PD-L1、FasL、IL-10およびTFG-βなどのサイトカイン、腫瘍関連マクロファージ、腫瘍関連線維芽細胞、免疫抑制細胞により産生された可溶性因子、CTLA-4、PD-1、MDSC、MCP-1、ならびに免疫チェックポイント分子を低減または阻害することができる。
【0078】
ワクチンは、PD-1およびPDL-1などのチェックポイント阻害剤に対する抗体とさらに組み合わされて、細胞性および液性両方の免疫応答の刺激を増加させることができる。抗PD-1または抗PDL-1抗体を使用することによって、PD-1またはPDL-1がT細胞および/またはB細胞応答を抑制するのを阻止する。全般的に、免疫系によって認識されるがん抗原を設計することにより、腫瘍細胞による他の形態の免疫抑制を克服するのを助け、これらのワクチンは、T細胞および/またはB細胞応答をさらに増加させるために、抑制または阻害療法(抗PD-1および抗-PDL-1抗体療法など)と組み合わせて使用することができる。
【0079】
定義
特に別途定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術および科学用語は、当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。矛盾する場合、定義を含む本文書が優先する。好ましい方法および材料が以下に記載されるが、本明細書に記載のものと類似のまたは同等の方法および材料を、本発明の実践または試験に使用することができる。本明細書に言及されるすべての刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献は、参照によりそれらの全体が組み込まれる。本明細書に開示される材料、方法、および例は、一例にすぎず、制限することを意図しない。本明細書で使用される用語は、単に特定の実施形態を説明する目的のためであり、制限することを意図しない。
【0080】
本明細書で使用される「含む(comprise)」、「含む(include)」、「有すること(having)」、「有する(has)」、「できる(can)」、「含有する(contain)」、およびそれらの異形は、追加の作用または構造の可能性を除外しない変更可能移行句、用語、または語句であることが意図される。単数形「a」、「and」、および「the」は、文脈上そうでないと明確に指示されない限り複数の指示対象を含む。本開示は、明示的に記載されているか否かにかかわらず、本明細書に提示される実施形態または要素を「含む」、「からなる」、および「から本質的になる」他の実施形態も企図する。
【0081】
本明細書の数値範囲の列挙に関して、列挙される範囲の最小値および最大値と同程度の精度を有する各介在値は明示的に企図される。例えば、6~9の範囲に関して、6および9に加えて7および8という数字が企図され、6.0~7.0の範囲に関して、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、および7.0という数字が明示的に企図される。
【0082】
本明細書で使用される「アジュバント」は、本明細書に記載のMUC16抗原および/または抗原をコードする核酸分子の免疫原性を増強するために、本明細書に記載のワクチンに添加される任意の分子を意味する。
【0083】
本明細書で使用される「抗体」は、IgG、IgM、IgA、IgD、もしくはIgEの各クラスの抗体、またはその断片もしくは誘導体を意味し、Fab、F(ab’)2、Fd、および一本鎖抗体、ダイアボディ、二重特異性抗体、二機能性抗体、ならびにそれらの誘導体を含む。抗体は、所望のエピトープまたはそれに由来する配列に対して十分な結合特異性を呈する、哺乳動物の血清試料から単離された抗体、ポリクローナル抗体、親和性精製抗体、またはその任意の混合物であり得る。
【0084】
「MUC16抗原」は、配列番号2のアミノ酸19~1490;配列番号4のアミノ酸19~642;配列番号6のアミノ酸19~710;配列番号8のアミノ酸19~642および650~1341;配列番号2;配列番号4;配列番号6;配列番号8;本明細書に記載の長さのその断片、バリアント、すなわち、本明細書に記載される配列番号2、配列番号4、配列番号6、または配列番号8に対して同一性を有する配列を伴うタンパク質、配列番号2、配列番号4、配列番号6、または配列番号8の本明細書に記載の長さを有するバリアントの断片;本明細書に記載の長さのその断片、バリアント、すなわち、本明細書に記載される配列番号2、配列番号4、配列番号6、または配列番号8に対して同一性を有する配列を伴うタンパク質、本明細書に記載の長さを有するバリアントの断片、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択されるアミノ酸配列を含むタンパク質を指す。抗原は、他のタンパク質からのものなどのシグナルペプチドを任意選択で含み得る。
【0085】
本明細書で使用される「コード配列」または「コード核酸」は、タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む核酸(RNAまたはDNA分子)を意味する。コード配列は、核酸が投与される対象または哺乳動物の細胞において発現を指向することができるプロモーターおよびポリアデニル化シグナルを含む調節要素に動作可能に連結された開始および終結シグナルをさらに含み得る。
【0086】
本明細書で使用される「補体」または「相補的」は、核酸がヌクレオチド間または核酸分子のヌクレオチド類似体間のワトソン-クリック(例えば、A-T/UおよびC-G)またはフーグスティーン塩基対を意味し得ることを意味する。
【0087】
本明細書で使用される、「コンセンサス」または「コンセンサス配列」は、異なる生物からの同じ遺伝子に対する複数の配列のアライメントの分析に基づいたポリペプチド配列を意味する。コンセンサスポリペプチド配列をコードする核酸配列を調製することができる。コンセンサス配列を含むタンパク質および/またはそのようなタンパク質をコードする核酸分子を含むワクチンを使用して、抗原に対して広範な免疫を誘導することができる。
【0088】
本明細書で使用される、「定電流」は、同じ組織に送達される電気パルスの持続期間にわたって、組織または該組織を定義する細胞が受信または経験する電流を記載する。電気パルスは、本明細書に記載の電気穿孔装置から送達される。本明細書に提供される電気穿孔装置はフィードバック要素を有する、好ましくは即時フィードバックを有するため、この電流は、電気パルスの寿命にわたって該組織において一定のアンペア数に保たれる。フィードバック要素は、パルスの持続期間全体を通して組織(または細胞)の抵抗を測定し、電気穿孔装置にその電気エネルギー出力を変更させる(例えば、電圧を増加させる)ため、同じ組織内の電流が電気パルス全体を通して(数マイクロ秒ほど)およびパルス間で一定に保たれる。いくつかの実施形態では、フィードバック要素はコントローラを備える。
【0089】
本明細書で使用される「電流フィードバック」または「フィードバック」は、交換可能に使用されてもよく、電極間の組織の電流を測定し、一定のレベルに電流を維持するためにEP装置によって送達されるエネルギー出力を適宜変更することを含む、提供される電気穿孔装置の能動応答を意味し得る。この一定レベルは、パルスシーケンスまたは電気治療の開始前にユーザによって予め調整される。フィードバックは、中の電気回路が電極間の組織の電流を継続的に監視し、その監視される電流(または組織内の電流)を予め調整した電流と比較し、継続的にエネルギー出力調整を行って、監視される電流を予め調整したレベルに維持することができるため、電気穿孔装置の電気穿孔構成要素、例えばコントローラによって達成され得る。フィードバックループは、アナログ閉ループフィードバックであるため、即時的であり得る。
【0090】
本明細書で使用される「分散電流」は、本明細書に記載の電気穿孔装置の様々な針電極アレイから送達される電流のパターンを意味し、このパターンは、電気穿孔される組織の任意のエリアの電気穿孔関連の熱ストレスの発生を最小限に抑えるか、好ましくは排除する。
【0091】
本明細書で交換可能に使用される「電気穿孔」、「電気透過処理」、または「電気運動増強」(「EP」)は、生体膜において微視的経路(細孔)を誘導するための膜貫通電場パルスの使用を意味し、それらの存在により、プラスミド、オリゴヌクレオチド、siRNA、薬物、イオン、および水などの生体分子が細胞膜の片側から反対側に通過することが可能になる。
【0092】
核酸配列に関して本明細書で使用される「断片」は、本明細書に開示の抗原と交差反応する哺乳動物において免疫応答を誘発することができるポリペプチドをコードする核酸配列またはその一部分を意味する。断片は、以下に記載のタンパク質断片をコードする様々なヌクレオチド配列の少なくとも1つから選択される核酸分子断片であり得る。断片は、付加される任意の異種シグナルペプチドを除く、本明細書に記載の核酸配列のうちの1つ以上の全長の少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%を含み得る。いくつかの実施形態では、断片は、付加される任意の異種シグナルペプチドを除く、以下に記載の核酸配列のうちの1つ以上の全長の少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%を含み得る。
【0093】
いくつかの実施形態では、断片は、任意の異種シグナルペプチドを除いて、本明細書に記載の核酸配列のうちの1つ以上と少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%同一であり得る。いくつかの実施形態では、断片は、付加される任意の異種シグナルペプチドを除いて、以下に記載の核酸配列のうちの1つ以上と少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一であり得る。
【0094】
さらなる実施形態では、断片は、加えて任意選択で、同一性パーセントを計算するときに含まれない異種シグナルペプチドをコードする配列を含み得る。断片は、免疫グロブリンシグナルペプチド、例えば、IgEまたはIgGシグナルペプチドなどのシグナルペプチドのコード配列も含み得る。N末端メチオニンおよび/またはシグナルペプチドをコードするコード配列は、コード配列の断片に連結され得る。
【0095】
いくつかの実施形態では、断片は、以下に記載の核酸配列のうちの少なくとも1つの少なくとも1700ヌクレオチド以上、1750ヌクレオチド以上、1800ヌクレオチド以上、1850ヌクレオチド以上、1900ヌクレオチド以上、1950ヌクレオチド以上、2000ヌクレオチド以上、2050ヌクレオチド以上、2100ヌクレオチド以上、2150ヌクレオチド以上、2200ヌクレオチド以上、2250ヌクレオチド以上、2300ヌクレオチド以上、2350ヌクレオチド以上、2400ヌクレオチド以上、2450ヌクレオチド以上、2500ヌクレオチド以上、2550ヌクレオチド以上、2600ヌクレオチド以上、2650ヌクレオチド以上、2700ヌクレオチド以上、2750ヌクレオチド以上、2800ヌクレオチド以上、2850ヌクレオチド以上、2900ヌクレオチド以上、2950ヌクレオチド以上、3000ヌクレオチド以上、3050ヌクレオチド以上、3100ヌクレオチド以上、3150ヌクレオチド以上、3200ヌクレオチド以上、3250ヌクレオチド以上、3300ヌクレオチド以上、3350ヌクレオチド以上、3400ヌクレオチド以上、3450ヌクレオチド以上、3500ヌクレオチド以上、3550ヌクレオチド以上、3600ヌクレオチド以上、3650ヌクレオチド以上、3700ヌクレオチド以上、3750ヌクレオチド以上、3800ヌクレオチド以上、3850ヌクレオチド以上、3900ヌクレオチド以上、3950ヌクレオチド以上、4000ヌクレオチド以上、4050ヌクレオチド以上、4100ヌクレオチド以上、4150ヌクレオチド以上、4200ヌクレオチド以上、4250ヌクレオチド以上、4300ヌクレオチド以上、4350ヌクレオチド以上、4400ヌクレオチド以上、4450ヌクレオチド以上、4500を含み得る。
【0096】
ポリペプチド配列に関して「断片」または「免疫原性断片」は、本明細書に開示の抗原と交差反応する哺乳動物において免疫応答を誘発することができるポリペプチドを意味する。断片は、本明細書に記載の様々なアミノ酸配列のうちの少なくとも1つから選択されるポリペプチド断片であり得る。コンセンサスタンパク質の断片は、付加される任意の異種シグナルペプチドを除く、コンセンサスタンパク質の全長の少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%を含み得る。いくつかの実施形態では、断片は、付加される任意の異種シグナルペプチドを除く、以下に記載のアミノ配列のうちの1つ以上の長さの少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%を含み得る。
【0097】
いくつかの実施形態では、断片は、任意の異種シグナルペプチドを除いて、本明細書に記載のアミノ酸配列のうちの1つ以上と少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%同一であり得る。いくつかの実施形態では、断片は、付加される任意の異種シグナルペプチドを除いて以下に記載のアミノ酸配列のうちの1つ以上と少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一であり得る。
【0098】
さらなる実施形態では、断片は、加えて任意選択で、同一性パーセントを計算するときに含まれない異種シグナルペプチドをコードする配列を含み得る。断片は、免疫グロブリンシグナルペプチド、例えば、IgEまたはIgGシグナルペプチドなどのシグナルペプチドをさらに含み得る。
【0099】
いくつかの実施形態では、コンセンサスタンパク質の断片は、本明細書に開示されるタンパク質配列の550個以上のアミノ酸、600個以上のアミノ酸、650個以上のアミノ酸、700個以上のアミノ酸、750個以上のアミノ酸、800個以上のアミノ酸、850個以上のアミノ酸、900個以上のアミノ酸、950個以上のアミノ酸、1000個以上のアミノ酸、1050個以上のアミノ酸、1100個以上のアミノ酸、1150個以上のアミノ酸、1200個以上のアミノ酸、1250個以上のアミノ酸、1300個以上のアミノ酸、1350を含み得る。
【0100】
本明細書で使用される「遺伝子構築物」という用語は、タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含むDNAまたはRNA分子を指す。コード配列は、核酸分子が投与される対象の細胞において発現を指向することができるプロモーターおよびポリアデニル化シグナルを含む調節要素に動作可能に連結された開始および終結シグナルを含む。本明細書で使用される、「発現可能な形態」という用語は、対象の細胞に存在するとき、コード配列が発現されるようにタンパク質をコードするコード配列に動作可能に連結された必須調節要素を含有する遺伝子構築物を指す。
【0101】
本明細書で使用される「相同性」という用語は、相補性の程度を指す。部分的な相同性または完全な相同性(すなわち、同一性)が存在し得る。完全な相補性配列が標的核酸へハイブリダイズすることを少なくとも部分的に阻害する部分的な相補性配列は、「実質的に相同」という機能的用語を使用して表される。cDNAまたはゲノムクローンなどの二本鎖核酸配列に関して使用される場合、本明細書で使用される、「実質的に相同」という用語は、低ストリンジェンシーの条件下で二本鎖核酸配列の鎖にハイブリダイズすることができるプローブを指す。一本鎖核酸配列に関して使用される場合、本明細書で使用される、「実質的に相同」という用語は、低ストリンジェンシーの条件下で一本鎖核酸テンプレート配列にハイブリダイズすることができる(すなわち、その補体である)プローブを指す。
【0102】
2つ以上の核酸またはポリペプチド配列の文脈において本明細書で使用される、「同一」または「同一性」は、配列が特定の領域にわたって同じである特定の割合の残基を有することを意味する。割合は、2つの配列を最適にアライメントし、特定の領域にわたって2つの配列を比較し、同一の残基が両配列で生じる位置の数を決定して一致した位置の数を得、一致した位置の数を特定の領域の位置の総数で割り、結果に100を掛けて配列同一性の割合を得ることにより計算することができる。2つの配列が異なる長さのものであるか、またはアライメントにより1つ以上の付着端が生じ、特定の比較領域が単一配列のみを含む場合、単一配列の残基は計算の分母に含まれるが、分子には含まれない。DNAおよびRNAを比較する場合、チミン(T)およびウラシル(U)は、同等とみなされ得る。同一性は、手動で、またはBLASTもしくはBLAST2.0などのコンピュータシーケンスアルゴリズムを使用することによって行うことができる。
【0103】
本明細書で使用される「インピーダンス」は、フィードバック機構を考察する場合に使用され得、オームの法則に従う電流値に変換され、したがって予め調整された電流と比較することができる。
【0104】
本明細書で使用される「免疫応答」は、抗原の導入に応答して、宿主の免疫系、例えば、哺乳動物の免疫系が活性化することを意味する。免疫応答は、細胞性もしくは液性応答の形態、またはその両方であり得る。
【0105】
本明細書で使用される「核酸」または「オリゴヌクレオチド」または「ポリヌクレオチド」は、一緒に共有結合された少なくとも2つのヌクレオチドを意味する。一本鎖の記述も相補鎖の配列を定義する。したがって、核酸は記述される一本鎖の相補鎖も包含する。核酸の多くのバリアントが所与の核酸と同じ目的のために使用され得る。したがって、核酸は、実質的に同一の核酸およびその補体も包含する。一本鎖は、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で標的配列にハイブリダイズすることができるプローブを提供する。したがって、核酸は、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズするプローブも包含する。
【0106】
核酸は、一本鎖もしくは二本鎖であり得るか、または二本鎖および一本鎖両方の配列の部分を含有し得る。核酸がデオキシリボ-およびリボ-ヌクレオチドの組み合わせ、ならびにウラシル、アデニン、チミン、シトシン、グアニン、イノシン、キサンチン ヒポキサンチン、イソシトシン、およびイソグアニンを含む塩基の組み合わせを含有し得る場合、核酸は、DNA、ゲノムおよびcDNAの両方、RNA、またはハイブリッドであり得る。核酸は、化学合成法または組換え法により得ることができる。
【0107】
本明細書で使用される「動作可能に連結される」は、遺伝子の発現が空間的に接続されるプロモーターの制御下にあることを意味する。プロモーターは、その制御下の遺伝子の5’(上流)または3’(下流)に位置し得る。プロモーターと遺伝子との間の距離は、プロモーターが由来する遺伝子において、そのプロモーターと、それが制御する遺伝子との間の距離とほぼ同じであり得る。当該技術分野において既知であるように、この距離の変化は、プロモーターの機能を喪失することなく調整され得る。
【0108】
本明細書で使用される「ペプチド」、「タンパク質」、または「ポリペプチド」は、アミノ酸の連結された配列を意味し得、天然、合成、または天然および合成の修飾もしくは組み合わせであり得る。
【0109】
本明細書で使用される「プロモーター」は、細胞における核酸の発現を付与する、活性化する、または増強することができる合成または天然由来の分子を意味する。プロモーターは、細胞における核酸の発現をさらに増強し、かつ/または空間的発現および/もしくは時間的発現を変更するために、1つ以上の特異的転写調節配列を含み得る。プロモーターは、転写の開始部位から数千塩基対ほどに位置し得る遠位エンハンサーまたはリプレッサー要素も含み得る。プロモーターは、ウイルス、細菌、真菌、植物、昆虫、および動物を含む源に由来し得る。プロモーターは、発現が生じる細胞、組織、もしくは臓器に関して、または発現が生じる発達段階に関して、または生理的ストレス、病原体、金属イオン、もしくは誘導剤(inducing agent)などの外部刺激に応答して、構成的または差次的に遺伝子成分の発現を調節することができる。プロモーターの代表的な例としては、バクテリオファージT7プロモーター、バクテリオファージT3プロモーター、SP6プロモーター、lacオペレーター-プロモーター、tacプロモーター、SV40後期プロモーター、SV40初期プロモーター、RSV-LTRプロモーター、CMV IEプロモーター、SV40初期プロモーター、またはSV40後期プロモーター CMV IEプロモーター、およびヒトサイトメガロウイルス最初期プロモーター(hCMV)が挙げられる。ある特定の実施形態では、プロモーターはhCMVプロモーターである。
【0110】
「シグナルペプチド」および「リーダー配列」は、本明細書において交換可能に使用され、本明細書に記載のタンパク質のアミノ末端で連結され得るアミノ酸配列を指す。シグナルペプチド/リーダー配列は、典型的には、タンパク質の局在化を指向する。本明細書で使用されるシグナルペプチド/リーダー配列は、タンパク質が産生される細胞からその分泌を容易することが好ましい。シグナルペプチド/リーダー配列は、細胞からの分泌時に、しばしば成熟タンパク質と称される、タンパク質の残りの部分から切断されることが多い。シグナルペプチド/リーダー配列は、タンパク質のアミノ末端(すなわち、N末端)で連結される。
【0111】
本明細書で使用される「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」は、核酸の複雑な混合物などにおいて、第1の核酸配列(例えば、プローブ)が第2の核酸配列(例えば、標的)にハイブリダイズする条件を意味する。ストリンジェントな条件は、配列依存性であり、異なる状況において異なる。ストリンジェントな条件は、定義されたイオン強度pHで特異的配列の熱的融点(thermal melting point)(Tm)よりも約5~10℃低くなるように選択され得る。Tmは、標的に相補的なプローブの50%が平衡で標的配列にハイブリダイズする温度(定義されたイオン強度、pH、および核酸濃度下で)であり得る(標的配列は過剰で存在するため、Tmで、プローブの50%は平衡で占有される)。ストリンジェントな条件は、塩濃度がpH7.0~8.3において約1.0M未満のナトリウムイオン、例えば、約0.01~1.0Mナトリウムイオン濃度(または他の塩)であり、温度は、短いプローブについては(例えば、約10~50ヌクレオチド)少なくとも約30℃、そして長いプローブについては(例えば、約50ヌクレオチド超)少なくとも約60℃であるものであり得る。ストリンジェントな条件は、ホルムアミドなどの不安定化剤(destabilizing agent)の添加によっても達成することができる。選択的または特異的ハイブリダイゼーションに関して、正のシグナルは背景ハイブリダイゼーションの少なくとも2~10倍であり得る。例示的なストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は次を含む:50%ホルムアミド、5xSSC、および1%SDS、42℃でのインキュベート、または5xSSC、1%SDS、65℃でのインキュベート、65℃で0.2xSSC、および0.1%SDSで洗浄。
【0112】
本明細書で使用される「対象」は、本明細書に記載のワクチンで免疫化されることを望む、またはそれを必要とする哺乳動物を意味し得る。哺乳動物は、ヒト、チンパンジーなどの非ヒト霊長類、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、マウス、またはラットであり得る。
【0113】
本明細書で使用される「実質的に相補的」は、第1の配列が、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、180、270、360、450、540以上のヌクレオチドもしくはアミノ酸の領域にわたって、第2の配列の補体に対して少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%同一であるか、または2つの配列がストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズすることを意味する。
【0114】
本明細書で使用される「実質的に同一」は、第1および第2の配列が、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、180、270、360、450、540以上のヌクレオチドもしくはアミノ酸の領域にわたって、少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%同一であること、または核酸に関して、第1の配列が第2の配列の補体と実質的に相補的であることを意味する。
【0115】
本明細書で使用される「治療する」、「治療」、または「治療すること」は、疾患を予防する、抑制する、阻止する、または完全に排除することにより疾患から動物を保護することを意味し得る。疾患の予防は、疾患の発症前に本発明のワクチンを動物に投与することを伴う。疾患の抑制は、疾患の誘導後であるが、その臨床的出現の前に本発明のワクチンを動物に投与することを伴う。疾患の阻止は、疾患の臨床的出現後に本発明のワクチンを動物に投与することを伴う。
【0116】
核酸に関して本明細書で使用される「バリアント」は、(i)参照ヌクレオチド配列の一部分もしくは断片、(ii)参照ヌクレオチド配列もしくはその一部分の補体、(iii)参照核酸またはその補体と実質的に同一である核酸、または(iv)ストリンジェントな条件下で、参照核酸、その補体、もしくはそれに実質的に同一の配列にハイブリダイズする核酸を意味する。
【0117】
ペプチドまたはポリペプチドに関して本明細書で使用される「バリアント」は、アミノ酸の挿入、欠失、または保存的置換によってアミノ酸配列が異なるが、少なくとも1つの生物学的活性を保持しているペプチドまたはポリペプチドを意味する。バリアントは、少なくとも1つの生物学的活性を保持しているアミノ酸配列を有する参照タンパク質と実質的に同一であるアミノ酸配列を有するタンパク質も意味し得る。アミノ酸の保存的置換、すなわち、アミノ酸を、類似する特性(例えば、荷電領域の親水性、程度、および分布)の異なるアミノ酸に置き換えることは、当該技術分野において典型的にわずかな変化を伴うと認識されている。これらのわずかな変化は、当該技術分野において理解されるように、一部、アミノ酸の疎水性親水性指数(hydropathic index)を考慮することによって同定され得る。Kyte et al.,J.Mol.Biol.157:105-132(1982)。アミノ酸の疎水性親水性指数は、その疎水性および電荷を考慮することに基づく。類似する疎水性親水性指数のアミノ酸が置換され、尚もタンパク質機能を保持することができることは当該技術分野において既知である。一態様では、±2の疎水性親水性指数を有するアミノ酸が置換される。アミノ酸の親水性を使用して、生物学的機能を保持するタンパク質をもたらすであろう置換を明らかにすることもできる。ペプチドの文脈において、アミノ酸の親水性を考慮することにより、抗原性および免疫原性と良好に相関することが報告されている有用な手段である、そのペプチドの最大局所平均親水性(greatest local average hydrophilicity)の計算が可能となる。米国特許第4,554,101号、参照により本明細書に完全に組み込まれる。類似する親水性値を有するアミノ酸を置換することにより、当該技術分野において理解されるように、生物学的活性、例えば免疫原性を保持するペプチドを得ることができる。置換は、互いに±2以内の親水性値を有するアミノ酸で行うことができる。アミノ酸の疎水性親水性指数および親水性値の両方は、そのアミノ酸の特定の側鎖によって影響を受ける。その観察と一致して、生物学的機能と適合性のあるアミノ酸置換は、疎水性、親水性、電荷、大きさ、および他の特性により明らかにされるように、アミノ酸の相対類似性および特にそれらのアミノ酸の側鎖に依存すると理解されている。
【0118】
バリアントは、完全な遺伝子配列の完全長またはその断片にわたって実質的に同一である核酸配列であり得る。核酸配列は、遺伝子配列の完全長またはその断片にわたって、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であり得る。バリアントは、アミノ酸配列の完全長またはその断片にわたって実質的に同一であるアミノ酸配列であり得る。アミノ酸配列は、アミノ酸配列の完全長またはその断片にわたって、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であり得る。
【0119】
本明細書で使用される「ベクター」は、複製起点を含有する核酸配列を意味する。ベクターは、ウイルスベクター、バクテリオファージ、細菌人工染色体、または酵母人工染色体であり得る。ベクターは、DNAまたはRNAベクターであり得る。ベクターは、自己複製染色体外ベクターであり得、好ましくはDNAプラスミドである。ベクターは、1つ以上の異種核酸配列を含有するか、それを含み得る。
【0120】
ワクチン
本明細書に記載されるMUC16抗原またはMUC16抗原をコードする核酸分子を含むワクチンが本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、ワクチンは、本明細書に記載されるMUC16抗原をコードする1つ以上の核酸分子を含む。いくつかの実施形態では、ワクチンは、配列番号2のアミノ酸19~1490をコードする核酸配列、配列番号2のアミノ酸19~1490を含むタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列、配列番号2のアミノ酸19~1490と少なくとも95%同一であるタンパク質をコードする核酸配列、および/または配列番号2のアミノ酸19~1490と少なくとも95%同一であるタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列を含む1つ以上の核酸分子を含む。いくつかの実施形態では、ワクチンは、配列番号4のアミノ酸19~642をコードする核酸配列、配列番号4のアミノ酸19~642を含むタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列、配列番号4のアミノ酸19~642と少なくとも95%同一であるタンパク質をコードする核酸配列、および/または配列番号4のアミノ酸19~642と少なくとも95%同一であるタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列を含む1つ以上の核酸分子を含む。いくつかの実施形態では、ワクチンは、配列番号6のアミノ酸19~710をコードする核酸配列、配列番号6のアミノ酸19~710を含むタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列、配列番号6のアミノ酸19~710と少なくとも95%同一であるタンパク質をコードする核酸配列、および/または配列番号6のアミノ酸19~710と少なくとも95%同一であるタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列を含む1つ以上の核酸分子を含む。いくつかの実施形態では、ワクチンは、配列番号8のアミノ酸19~642および650~1341をコードする核酸配列、配列番号8のアミノ酸19~642および650~1341を含むタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列、配列番号8のアミノ酸19~642および650~1341と少なくとも95%同一であるタンパク質をコードする核酸配列、ならびに/または配列番号8のアミノ酸19~642および650~1341と少なくとも95%同一であるタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列を含む1つ以上の核酸分子を含む。いくつかの実施形態では、ワクチンは、配列番号8のアミノ酸19~1341をコードする核酸配列、配列番号8のアミノ酸19~1341を含むタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列、配列番号8のアミノ酸19~1341と少なくとも95%同一であるタンパク質をコードする核酸配列、および/または配列番号8のアミノ酸19~1341と少なくとも95%同一であるタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列を含む1つ以上の核酸分子を含む。
【0121】
いくつかの実施形態では、ワクチンは、配列番号1のヌクレオチド55~4470、配列番号1のヌクレオチド55~4470を含む核酸分子の少なくとも90%の全長を含む断片、配列番号1のヌクレオチド55~4470と少なくとも95%同一である断片、および/または配列番号1のヌクレオチド55~4470と少なくとも95%同一である核酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片を含む1つ以上の核酸分子を含む。いくつかの実施形態では、ワクチンは、配列番号3のヌクレオチド55~1926、配列番号3のヌクレオチド55~1926を含む核酸分子の少なくとも90%の全長を含む断片、配列番号3のヌクレオチド55~1926と少なくとも95%同一である断片、および/または配列番号3のヌクレオチド55~1926と少なくとも95%同一である核酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片を含む1つ以上の核酸分子を含む。いくつかの実施形態では、ワクチンは、配列番号5のヌクレオチド55~2130、配列番号5のヌクレオチド55~2130を含む核酸分子の少なくとも90%の全長を含む断片、配列番号5のヌクレオチド55~2130と少なくとも95%同一である断片、および/または配列番号5のヌクレオチド55~2130と少なくとも95%同一である核酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片を含む1つ以上の核酸分子を含む。いくつかの実施形態では、ワクチンは、配列番号7のヌクレオチド55~1926および1948~4023、配列番号7のヌクレオチド55~1926および1948~4023を含む核酸分子の少なくとも90%の全長を含む断片、配列番号7のヌクレオチド55~1926および1948~4023と少なくとも95%同一である断片ならびに/または配列番号7のヌクレオチド55~1926および1948~4023と少なくとも95%同一である核酸配列の少なくとも90%の全長を含む断片を含む1つ以上の核酸分子を含む。いくつかの実施形態では、ワクチンは、配列番号7のヌクレオチド55~4023、配列番号7のヌクレオチド55~4023を含む核酸分子の全長の少なくとも90%を含む断片、配列番号7のヌクレオチド55~4023と少なくとも95%同一である断片、および/または配列番号7のヌクレオチド55~4023と少なくとも95%同一である核酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片を含む1つ以上の核酸分子を含む。
【0122】
いくつかの実施形態では、ワクチンは、配列番号2をコードする核酸配列、配列番号2の長さの少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列、配列番号2と少なくとも95%同一であるタンパク質をコードする核酸配列、および/または配列番号2と少なくとも95%同一であるタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列を含む1つ以上の核酸分子を含む。いくつかの実施形態では、ワクチンは、配列番号4をコードする核酸配列、配列番号4の長さの少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列、配列番号4と少なくとも95%同一であるタンパク質をコードする核酸配列、および/または配列番号4と少なくとも95%同一であるタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列を含む1つ以上の核酸分子を含む。いくつかの実施形態では、ワクチンは、配列番号6をコードする核酸配列、配列番号6の長さの少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列、配列番号6と少なくとも95%同一であるタンパク質をコードする核酸配列、および/または配列番号6と少なくとも95%同一であるタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列を含む1つ以上の核酸分子を含む。いくつかの実施形態では、ワクチンは、配列番号8をコードする核酸配列、配列番号8の長さの少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列、配列番号8と少なくとも95%同一であるタンパク質をコードする核酸配列、および/または配列番号8と少なくとも95%同一であるタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列を含む1つ以上の核酸分子を含む。
【0123】
いくつかの実施形態では、ワクチンは、配列番号1、配列番号1の全長の少なくとも90%を含む断片、配列番号1と少なくとも95%同一である断片、および/または配列番号1と少なくとも95%同一である核酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片を含む1つ以上の核酸分子を含む。いくつかの実施形態では、ワクチンは、配列番号3、配列番号3の全長の少なくとも90%を含む断片、配列番号3と少なくとも95%同一である断片、および/または配列番号3と少なくとも95%同一である核酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片を含む1つ以上の核酸分子を含む。いくつかの実施形態では、ワクチンは、配列番号5、配列番号5の全長の少なくとも90%を含む断片、配列番号5と少なくとも95%同一である断片、および/または配列番号5と少なくとも95%同一である核酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片を含む1つ以上の核酸分子を含む。いくつかの実施形態では、ワクチンは、配列番号7、配列番号7の全長の少なくとも90%を含む断片、配列番号7と少なくとも95%同一である断片、および/または配列番号7と少なくとも95%同一である核酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片を含む1つ以上の核酸分子を含む。
【0124】
いくつかの実施形態では、ワクチンはMUC16抗原を含み、この抗原は、配列番号2のアミノ酸19~1490、配列番号2のアミノ酸19~1490を含むタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片、配列番号2のアミノ酸19~1490と少なくとも95%同一であるタンパク質、および/または配列番号2のアミノ酸19~1490と少なくとも95%同一であるタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片を含む。
【0125】
いくつかの実施形態では、ワクチンはMUC16抗原を含み、この抗原は、配列番号2、配列番号2の長さの少なくとも90%を含む断片、配列番号2と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列、および/または配列番号2と少なくとも95%同一であるタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片を含む。
【0126】
いくつかの実施形態では、ワクチンはMUC16抗原を含み、この抗原は、配列番号4のアミノ酸19~642、配列番号4のアミノ酸19~642を含むタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片、配列番号4のアミノ酸19~642と少なくとも95%同一であるタンパク質、および/または配列番号4のアミノ酸19~642と少なくとも95%同一であるタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片を含む。
【0127】
いくつかの実施形態では、ワクチンはMUC16抗原を含み、この抗原は、配列番号4、配列番号4の長さの少なくとも90%を含む断片、配列番号4と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列、および/または配列番号4と少なくとも95%同一であるタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片を含む。
【0128】
いくつかの実施形態では、ワクチンはMUC16抗原を含み、この抗原は、配列番号6のアミノ酸19~710、配列番号6のアミノ酸19~710を含むタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片、配列番号6のアミノ酸19~710と少なくとも95%同一であるタンパク質、および/配列番号6のアミノ酸19~710と少なくとも95%同一であるタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片を含む。
【0129】
いくつかの実施形態では、ワクチンはMUC16抗原を含み、この抗原は、配列番号6、配列番号6の長さの少なくとも90%を含む断片、配列番号6と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列、および/または配列番号6と少なくとも95%同一であるタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片を含む。
【0130】
いくつかの実施形態では、ワクチンはMUC16抗原を含み、この抗原は、配列番号8のアミノ酸19~642および650~1341、配列番号8のアミノ酸19~642および650~1341を含むタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片、配列番号8のアミノ酸19~642および650~1341と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列、ならびに/または配列番号8のアミノ酸19~642および650~1341と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片を含む。
【0131】
いくつかの実施形態では、ワクチンはMUC16抗原を含み、この抗原は、配列番号8のアミノ酸19~1341、配列番号8のアミノ酸19~1341を含むタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片、配列番号8のアミノ酸19~1341と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列、および/配列番号8のアミノ酸19~1341と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片を含む。
【0132】
いくつかの実施形態では、ワクチンはMUC16抗原を含み、この抗原は、配列番号8、配列番号8の長さの少なくとも90%を含む断片、配列番号8と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列、および/または配列番号8と少なくとも95%同一であるタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片を含む。
【0133】
ワクチンは、対象において、抗原に対して免疫応答を生成することが可能であり得る。免疫応答は、治療的または予防的免疫応答であり得る。ワクチンを使用して、がん、例えば、MUC16を発現するがんまたは腫瘍を防ぐことができる。ワクチンは、MUC16を発現する腫瘍を予防および/または治療するために、それを必要とする対象において使用することができる。ワクチンは、MUC16に対しておよびMUC16を発現する腫瘍に対して細胞性および/または抗体応答を誘導することができる。一実施形態では、ワクチンは、MUC16を発現する卵巣がん細胞、具体的にはMUC16を発現する上皮卵巣がん細胞、より具体的にはMUC16を発現する漿液性卵巣がん細胞を防ぐ、それを予防および/もしくは治療する、またはそれに対して細胞性および/もしくは抗体応答を誘導するために使用され得る。
【0134】
本明細書に記載されるがんワクチンの開発には、免疫系によって認識されず、異常に発現される自己抗原であるがん抗原、例えばMUC16を同定することを含む。同定されたがん抗原は、免疫系によって認識されるために、自己抗原から外来抗原に変更される。自己から外来抗原に組換えがん抗原の核酸およびアミノ酸配列を再設計することにより、免疫系による抗原の寛容が破壊される。寛容を破壊するために、以下に記載されるように、いくつかの再設計手段ががん抗原に適用され得る。
【0135】
ワクチンの組換えがん抗原は、自己として認識されず、それにより寛容を破壊する。寛容の破壊は、抗原特異的T細胞および/または高力価抗体応答を誘導し、それにより抗原を発現するがんまたは腫瘍に指向されるか、またはそれに対して反応性である免疫応答を誘導または誘発することができる。いくつかの実施形態では、誘導されたまたは誘発された免疫応答は、細胞性、液性、または細胞性および液性両方の免疫応答であり得る。いくつかの実施形態では、誘導されたまたは誘発された細胞性免疫応答には、インターフェロン-ガンマ(IFN-γ)および/または腫瘍壊死因子アルファ(TNF-α)の誘導または分泌が含まれ得る。他の実施形態では、誘導されたまたは誘発された免疫応答は、抗原を発現する腫瘍またはがんの成長を促進する1つ以上の免疫抑制因子、例えば、限定されないが、MHC提示を下方制御する因子、抗原特異的調節性T細胞(Treg)を上方制御する因子、PD-L1、FasL、IL-10およびTFG-βなどのサイトカイン、腫瘍関連マクロファージ、腫瘍関連線維芽細胞、免疫抑制細胞により産生された可溶性因子、CTLA-4、PD-1、MDSC、MCP-1、ならびに免疫チェックポイント分子を低減または阻害することができる。
【0136】
ワクチンはDNAワクチンであり得る。DNAワクチンは、米国特許第5,593,972号、同第5,739,118号、同第5,817,637号、同第5,830,876号、同第5,962,428号、同第5,981,505号、同第5,580,859号、同第5,703,055号、および同第5,676,594号(参照により完全に本明細書に組み込まれる)に開示されている。いくつかの実施形態では、核酸分子は、発現ベクターを含み得る。DNAワクチンは、それが染色体に組み込まれるのを阻害する要素または試薬をさらに含み得る。
【0137】
ワクチンは、がん抗原をコードするRNAを含み得る。RNAワクチンは、細胞内に導入され得る。
【0138】
ワクチンは、弱毒化生ワクチン、抗原を送達するための組換えベクターを使用するワクチン、サブユニットワクチン、および糖タンパク質ワクチン、例えば、限定されないが、米国特許第4,510,245号、同第4,797,368号、同第4,722,848号、同第4,790,987号、同第4,920,209号、同第5,017,487号、同第5,077,044号、同第5,110,587号、同第5,112,749号、同第5,174,993号、同第5,223,424号、同第5,225,336号、同第5,240,703号、同第5,242,829号、同第5,294,441号、同第5,294,548号、同第5,310,668号、同第5,387,744号、同第5,389,368号、同第5,424,065号、同第5,451,499号、同第5,453,364号、同第5,462,734号、同第5,470,734号、同第5,474,935号、同第5,482,713号、同第5,591,439号、同第5,643,579号、同第5,650,309号、同第5,698,202号、同第5,955,088号、同第6,034,298号、同第6,042,836号、同第6,156,319号、および同第6,589,529号(各々参照により本明細書に組み込まれる)に記載のワクチンであり得る。
【0139】
いくつかの実施形態では、核酸ワクチンは分子アジュバントをさらに含み得、場合によっては、分子アジュバントは、IL-12、IL-15、IL-28、IL-31、IL-33、および/またはRANTESであり得、場合によっては、分子アジュバントは、抗細胞傷害性Tリンパ球抗原4(CTLA-4)、抗プログラム死受容体-1(PD-1)、および抗リンパ球活性化遺伝子(LAG-3)を含むチェックポイント阻害剤である。IL-12、IL-15、IL-28、および/またはRANTESのコード配列は、1つ以上の抗原のコード配列を含む1つ以上の核酸分子上に含まれ得る。IL-12、IL-15、IL-28、IL-31、IL-33、および/またはRANTESのコード配列は、同じプラスミド上などの核酸ワクチンによってコードされ得るか、またはそれらは別個にプラスミドなどの別個の核酸分子上に含まれ得る。
【0140】
本発明のワクチンは、ワクチン自体が病気もしくは死を引き起こさないように安全である、病気を防ぐ、中和抗体を誘導する、防御性T細胞受容体を誘導する、ならびに投与が容易であり、副作用が少なく、生物学的に安定であり、また用量あたりのコストが低いなど、有効なワクチンに求められる特徴を有し得る。ワクチンは、以下で考察されるがん抗原を含有することによりこれらの特徴のいくつかまたはすべてを達成することができる。
【0141】
ワクチンは、1つ以上の免疫チェックポイント分子の1つ以上の阻害剤(すなわち、免疫チェックポイント阻害剤)をさらに含み得る。免疫チェックポイント分子は、以下により詳細に説明される。免疫チェックポイント阻害剤は、MHCクラスによる提示、T細胞による提示、および/もしくは分化、B細胞による提示および/もしくは分化、任意のサイトカイン、ケモカイン、または免疫細胞の増殖および/もしくは分化のためのシグナル伝達などの免疫系における任意の構成成分の抑制を阻止する任意の核酸またはタンパク質である。また以下により詳細に説明されるように、ワクチンは、PD-1およびPDL-1などのチェックポイント阻害剤に対する抗体とさらに組み合わされて、細胞性および液性両方の免疫応答の刺激を増加させることができる。抗PD-1または抗PDL-1抗体を使用することによって、PD-1またはPDL-1がT細胞および/またはB細胞応答を抑制するのを阻止する。
【0142】
抗原
上述のように、ワクチンは、抗原または抗原をコードする核酸分子を含み得る。抗原は、MUC16、その断片、そのバリアント、またはそれらの組み合わせであり得る。MUC16は、高分子量糖タンパク質のムチンファミリーのメンバーである。ムチンは、呼吸器、消化管、および生殖器系の様々な臓器の管腔側を囲む特殊上皮細胞によって発現される。ムチンは、上皮の完全性の維持、ならびに上皮表面の潤滑および保護において直接的および間接的な役割を有する。
【0143】
MUC16は、腫瘍またはがん形成と関連している。MUC16のタンデム反復ドメインは、反復ペプチドエピトープCA125を含有し、これは、1)早期発見のためのスクリーニング、2)骨盤内腫瘤を呈する閉経前および閉経後の女性における良性と悪性疾患との区別、ならびに3)療法に対する応答の監視を含む、卵巣がんの診断および治療全体を通して生じる複数の臨床シナリオの代表的なバイオマーカーとなった。加えて、機能的研究は、MUC16が卵巣腫瘍の形質転換および転移に寄与することを示した。
【0144】
したがって、ワクチンは、MUC16発現がんまたは腫瘍に罹患する対象を治療するために使用され得る。いくつかの実施形態では、がんは卵巣がんである。MUC16抗原は、天然の「正常な」MUC16とは異なり、したがってMUC16抗原発現腫瘍に対する療法または予防法を提供することができる。したがって、天然MUC16配列とは異なるMUC16抗原配列およびそのようなMUC16抗原配列をコードする核酸分子(すなわち、組換えもしくは変異されたMUC16遺伝子または配列)が本明細書に提供される。
【0145】
上述の異種配列を含む核酸分子が提供される。上述の異種配列からなる核酸分子が提供される。いくつかの実施形態では、(a)配列番号1のヌクレオチド55~4470、(b)配列番号1のヌクレオチド55~4470を含む核酸分子の少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の全長を含む断片、(c)配列番号1のヌクレオチド55~4470と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である断片、および(d)配列番号1のヌクレオチド55~4470と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である核酸配列の全長の少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%を含む断片からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む核酸分子。いくつかの実施形態では、(a)配列番号1、(b)配列番号1の全長の少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%を含む断片、(c)配列番号1と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である断片、および(d)配列番号1と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である核酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む核酸分子を含む。いくつかの実施形態では、核酸分子は、配列番号1に記載の核酸配列を含む。
【0146】
いくつかの実施形態では、(a)配列番号3のヌクレオチド55~1926、(b)配列番号3のヌクレオチド55~1926を含む核酸分子の少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の全長を含む断片、(c)配列番号3のヌクレオチド55~1926と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である断片、および(d)配列番号3のヌクレオチド55~1926と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である核酸配列の全長の少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%を含む断片からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む核酸分子。いくつかの実施形態では、(a)配列番号3、(b)配列番号3の全長の少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%を含む断片、(c)配列番号3と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である断片、および(d)配列番号3と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である核酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む核酸分子。いくつかの実施形態では、核酸分子は、配列番号3に記載の核酸配列を含む。
【0147】
いくつかの実施形態では、(a)配列番号5のヌクレオチド55~2130、(b)配列番号5のヌクレオチド55~2130を含む核酸分子の少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の全長を含む断片、(c)配列番号5のヌクレオチド55~2130と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である断片、および(d)配列番号5のヌクレオチド55~2130と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である核酸配列の全長の少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%を含む断片からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む核酸分子。いくつかの実施形態では、(a)配列番号5、(b)配列番号5の全長の少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%を含む断片、(c)配列番号5と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である断片、および(d)配列番号5と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である核酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む核酸分子。いくつかの実施形態では、核酸分子は、配列番号5に記載の核酸配列を含む。
【0148】
いくつかの実施形態では、(a)ヌクレオチド55~1926および1948~4023、配列番号7、(b)配列番号7のヌクレオチド55~1926および1948~4023を含む核酸分子の少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の全長を含む断片、(c)配列番号7のヌクレオチド55~1926および1948~4023と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である断片、ならびに(d)配列番号7のヌクレオチド55~1926および1948~4023と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である核酸配列の全長の少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%を含む断片からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む核酸分子。いくつかの実施形態では、(a)配列番号7のヌクレオチド55~4023、(b)配列番号7のヌクレオチド55~4023を含む核酸分子の少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99の全長を含む断片、(c)配列番号7のヌクレオチド55~4023と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である断片、および(d)配列番号7のヌクレオチド55~4023と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である核酸配列の全長の少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%を含む断片からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む核酸分子。いくつかの実施形態では、(a)配列番号7、(b)配列番号7の全長の少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%を含む断片、(c)配列番号7と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である断片、および(d)配列番号7と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一である核酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む核酸分子。いくつかの実施形態では、核酸分子は、配列番号7に記載の核酸配列を含む。
【0149】
MUC16抗原をコードする核酸配列が本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、(a)配列番号2のアミノ酸19~1490をコードする核酸配列、(b)配列番号2のアミノ酸19~1490を含むタンパク質の全長の少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%を含む断片をコードする核酸配列、(c)配列番号2のアミノ酸19~1490と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一であるタンパク質をコードする核酸配列、および(d)配列番号2のアミノ19~1490と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一であるタンパク質の全長の少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%を含む断片をコードする核酸配列からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む核酸分子。いくつかの実施形態では、(a)配列番号2をコードする核酸配列、(b)配列番号2の全長の少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%を含む断片をコードする核酸配列、(c)配列番号2と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一であるタンパク質をコードする核酸配列、および(d)配列番号2と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一であるタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む核酸分子。
【0150】
いくつかの実施形態では、(a)配列番号4のアミノ酸19~642をコードする核酸配列、(b)配列番号4のアミノ酸19~642を含むタンパク質の全長の少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%を含む断片をコードする核酸配列、(c)配列番号4のアミノ酸19~642と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一であるタンパク質をコードする核酸配列、および(d)配列番号4のアミノ19~642と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一であるタンパク質の全長の少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%を含む断片をコードする核酸配列からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む核酸分子。いくつかの実施形態では、(a)配列番号4をコードする核酸配列、(b)配列番号4の全長の少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%を含む断片をコードする核酸配列、(c)配列番号4と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一であるタンパク質をコードする核酸配列、および(d)配列番号4と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一であるタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む核酸分子。
【0151】
いくつかの実施形態では、(a)配列番号6のアミノ酸19~710をコードする核酸配列、(b)配列番号6のアミノ酸19~710を含むタンパク質の全長の少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%を含む断片をコードする核酸配列、(c)配列番号6のアミノ酸19~710と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一であるタンパク質をコードする核酸配列、および(d)配列番号6のアミノ19~710と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一であるタンパク質の全長の少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%を含む断片をコードする核酸配列からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む核酸分子。いくつかの実施形態では、(a)配列番号6をコードする核酸配列、(b)配列番号6の全長の少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%を含む断片をコードする核酸配列、(c)配列番号6と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一であるタンパク質をコードする核酸配列、および(d)配列番号6と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一であるタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む核酸分子。
【0152】
いくつかの実施形態では、(a)配列番号8のアミノ酸19~642および650~1341をコードする核酸配列、(b)配列番号8のアミノ酸19~642および650~1341を含むタンパク質の全長の少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%を含む断片をコードする核酸配列、(c)配列番号8のアミノ酸19~642および650~1341と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一であるタンパク質をコードする核酸配列、ならびに(d)配列番号8のアミノ酸19~642および650~1341と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一であるタンパク質の全長の少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%を含む断片をコードする核酸配列からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む核酸分子。いくつかの実施形態では、(a)配列番号8のアミノ酸19~1341をコードする核酸配列、(b)配列番号8のアミノ酸19~1341を含むタンパク質の全長の少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%を含む断片をコードする核酸配列、(c)配列番号8のアミノ酸19~1341と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一であるタンパク質をコードする核酸配列、および(d)配列番号8のアミノ酸19~1341と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一であるタンパク質の全長の少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%を含む断片をコードする核酸配列からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む核酸分子。いくつかの実施形態では、(a)配列番号8をコードする核酸配列、(b)配列番号8の全長の少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%を含む断片をコードする核酸配列、(c)配列番号8と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一であるタンパク質をコードする核酸配列、および(d)配列番号8と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一であるタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む核酸分子が提供される。
【0153】
上述の異種配列を含む単離された核酸分子は、プラスミド、ウイルスベクター、および以下に記載される核酸分子の他の形態などのベクターに組み込まれ得る。
【0154】
上述の異種アミノ酸配列を含むタンパク質分子が提供される。上述の異種アミノ酸配列からなるタンパク質分子が提供される。上述の配列を有するタンパク質およびポリペプチドが本明細書に提供される。タンパク質およびポリペプチドは、MUC16抗原およびMUC16免疫原と称され得る。MUC16抗原は、MUC16抗原を発現する腫瘍に対して免疫応答を誘発することができる。いくつかの実施形態では、(a)配列番号2のアミノ酸19~1490、(b)配列番号2のアミノ酸19~1490を含むタンパク質の全長の少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%を含む断片、(c)配列番号2のアミノ酸19~1490と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一であるアミノ酸配列、および(d)配列番号2のアミノ酸19~1490と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一であるアミノ酸配列の全長の少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%を含む断片からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むタンパク質。いくつかの実施形態では、(a)配列番号2、(b)配列番号2の全長の少なくとも90%を含む断片、(c)配列番号2と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一であるアミノ酸配列、および(c)配列番号2と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一であるアミノ酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むタンパク質が提供される。いくつかの実施形態では、タンパク質は、配列番号2に記載のアミノ酸配列を含む。
【0155】
いくつかの実施形態では、(a)配列番号4のアミノ酸19~642、(b)配列番号4のアミノ酸19~642を含むタンパク質の全長の少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%を含む断片、(c)配列番号4のアミノ酸19~642と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一であるアミノ酸配列、および(d)配列番号4のアミノ酸19~642と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一であるアミノ酸配列の全長の少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%を含む断片からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むタンパク質。いくつかの実施形態では、(a)配列番号4、(b)配列番号4の全長の少なくとも90%を含む断片、(c)配列番号4と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一であるアミノ酸配列、および(c)配列番号4と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一であるアミノ酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むタンパク質が提供される。いくつかの実施形態では、タンパク質は、配列番号4に記載のアミノ酸配列を含む。
【0156】
いくつかの実施形態では、(a)配列番号6のアミノ酸19~710、(b)配列番号6のアミノ酸19~710を含むタンパク質の全長の少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%を含む断片、(c)配列番号6のアミノ酸19~710と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一であるアミノ酸配列、および(d)配列番号6のアミノ酸19~710と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一であるアミノ酸配列の全長の少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%を含む断片からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むタンパク質。いくつかの実施形態では、(a)配列番号6、(b)配列番号6の全長の少なくとも90%を含む断片、(c)配列番号6と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一であるアミノ酸配列、および(c)配列番号6と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一であるアミノ酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むタンパク質が提供される。いくつかの実施形態では、タンパク質は、配列番号6に記載のアミノ酸配列を含む。
【0157】
いくつかの実施形態では、(a)配列番号8のアミノ酸19~642および650~1341、(b)配列番号8のアミノ酸19~642および650~1341を含むタンパク質の全長の少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%を含む断片、(c)配列番号8のアミノ酸19~642および650~1341と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一であるアミノ酸配列、ならびに(d)配列番号8のアミノ酸19~642および650~1341と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一であるアミノ酸配列の全長の少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%を含む断片からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むタンパク質。いくつかの実施形態では、(a)配列番号8のアミノ酸19~1341、(b)配列番号8のアミノ酸19~1341を含むタンパク質の全長の少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%を含む断片、(c)配列番号8のアミノ酸19~1341と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一であるアミノ酸配列、および(d)配列番号8のアミノ酸19~1341と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一であるアミノ酸配列の全長の少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%を含む断片からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むタンパク質。いくつかの実施形態では、(a)配列番号8、(b)配列番号8の全長の少なくとも90%を含む断片、(c)配列番号8と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一であるアミノ酸配列、および(c)配列番号8と少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%同一であるアミノ酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むタンパク質が提供される。いくつかの実施形態では、タンパク質は、配列番号8に記載のアミノ酸配列を含む。
【0158】
一態様では、コンセンサス抗原が以下のうちの1つ以上を有することを含む、改善された転写および翻訳を提供することが望ましい:転写を増加させるための低GC含有量リーダー配列、mRNA安定性およびコドン最適化、ならびに可能な限りシス作用性配列モチーフ(すなわち、内部TATAボックス)の排除。
【0159】
MUC16抗原は、2つ以上の種に由来するコンセンサス抗原(または免疫原)配列であり得る。いくつかの実施形態では、コンセンサス抗原は、MUC16外部ドメインおよび膜貫通ドメインを含み得る。MUC16コンセンサス抗原は、外部ドメインおよび/または膜貫通ドメインに1つ以上の変異を含み得る。1つ以上の変異は、Nグリコシル化に関与するアミノ酸のうちの1つ以上の置換を含み得る。1つ以上の変異は、アスパラギンのアラニンへの置換を含み得る。したがって、いくつかの実施形態では、1つ以上の変異は、MUC16外部ドメインおよび/または膜貫通ドメインにおいて1、2、または3個のアミノ酸を置換することができる。
【0160】
いくつかの実施形態では、MUC16抗原は、天然RMC配列に由来する1つ以上の反復マイクロコンセンサス(RMC)、例えば、RMC1、RMC2、RMC3、および/またはRMC4の任意の組み合わせをさらに含み得る。いくつかの実施形態では、MUC16抗原は、1つ以上の天然反復(R)配列、例えば、R59、R61、R62、および/またはR63の任意の組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態では、MUC16抗原は、RMC1、RMC2、RMC3、RMC4、R61、R62、およびR63配列を含む。いくつかの実施形態では、MUC16抗原は、RMC1、RMC2、RMC3、RMC4、R59、R61、R62、およびR63配列を含む。いくつかの実施形態では、MUC16抗原は、RMC1、RMC2、RMC3、およびRMC4配列を含む。いくつかの実施形態では、MUC16抗原は、R61、R62、およびR63配列を含む。
【0161】
MUC16抗原は、発現を改善するための修飾を含み得る。修飾は、コドン最適化、RNA最適化、翻訳開始を増加させるためのコザック配列(例えば、GCC ACC)の追加、および/またはMUC16抗原の免疫原性を増加させるための免疫グロブリンリーダー配列の追加を含み得る。MUC16抗原は、免疫グロブリンシグナルペプチド、例えば、限定されないが、免疫グロブリンE(IgE)または免疫グロブリンG(IgG)シグナルペプチドなどのシグナルペプチドを含み得る。
【0162】
MUC16抗原は、エピトープを最適化するための修飾を含み得る。いくつかの実施形態では、そのような切断部位は、RMC配列間、R配列間、またはRMCもしくはR配列の接合部分に挿入され得る。切断部位はフーリン切断部位であり得る。ある特定の実施形態では、フーリン切断部位は、RMC4とR61との間に挿入され得る。
【0163】
免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせたワクチン
ワクチンは、1つ以上の免疫チェックポイント分子の1つ以上の阻害剤(すなわち、免疫チェックポイント阻害剤)をさらに含み得る。免疫チェックポイント分子は、以下により詳細に説明される。免疫チェックポイント阻害剤は、MHCクラスによる提示、T細胞による提示、および/もしくは分化、B細胞による提示および/もしくは分化、任意のサイトカイン、ケモカイン、または免疫細胞の増殖および/もしくは分化のためのシグナル伝達などの免疫系における任意の構成成分の抑制を阻止する任意の核酸またはタンパク質である。
【0164】
そのような阻害剤は、核酸配列、アミノ酸配列、小分子、またはそれらの組み合わせであり得る。核酸配列は、DNA、RNA、cDNA、それらのバリアント、それらの断片、またはそれらの組み合わせであり得る。核酸は、ペプチド結合により免疫チェックポイント阻害剤に連結されるリンカーまたはタグ配列をコードする追加の配列も含み得る。小分子は、低分子量、例えば800ダルトン未満の、酵素基質として機能し得る有機もしくは無機化合物、タンパク質もしくは核酸により結合されるリガンド(またはその類似体)、または生物学的プロセスの調節因子であり得る。アミノ酸配列は、タンパク質、ペプチド、それらのバリアント、それらの断片、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0165】
いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、抗体、そのバリアント、その断片、またはそれらの組み合わせをコードする1つ以上の核酸配列であり得る。他の実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、抗体、そのバリアント、その断片、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0166】
a.免疫チェックポイント分子
免疫チェックポイント分子は、核酸配列、アミノ酸配列、小分子、またはそれらの組み合わせであり得る。核酸配列は、DNA、RNA、cDNA、それらのバリアント、それらの断片、またはそれらの組み合わせであり得る。核酸は、ペプチド結合により免疫チェックポイント阻害剤に連結されるリンカーまたはタグ配列をコードする追加の配列も含み得る。小分子は、低分子量、例えば800ダルトン未満の、酵素基質として機能し得る有機もしくは無機化合物、タンパク質もしくは核酸により結合されるリガンド(またはその類似体)、または生物学的プロセスの調節因子であり得る。アミノ酸配列は、タンパク質、ペプチド、それらのバリアント、それらの断片、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0167】
(1)PD-1およびPD-L1
免疫チェックポイント分子は、プログラム細胞死タンパク質1(PD-1)、プログラム細胞死リガンド1(PD-L1)、それらの断片、それらのバリアント、またはそれらの組み合わせであり得る。PD-1は、PDCD1遺伝子によってコードされる細胞表面タンパク質である。PD-1は、免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバーであり、T細胞およびプロB細胞上に発現され、したがって、これらの細胞の運命および/または分化に寄与する。特に、PD-1は、T細胞調節因子のCD28/CTLA-4ファミリーの1型膜タンパク質であり、T細胞受容体(TCR)シグナルを負に調節し、それにより免疫応答を負に調節する。PD-1は、CD8+T細胞応答を負に調節することができ、したがって、CD8媒介細胞傷害性を阻害し、腫瘍成長を増強する。
【0168】
PD-1は、B7ファミリーのメンバーであるPD-L1およびPD-L2の2つのリガンドを有する。PD-L1は、LPSおよびGM-CSF治療に応答してマクロファージおよび樹状細胞(DC)上で、ならびにTCRおよびB細胞受容体シグナル伝達時にT細胞およびB細胞上で上方制御される。PD-L1は、骨髄腫、マスト細胞腫、および黒色腫を含む多くの腫瘍細胞株によって発現される。
【0169】
b.抗免疫チェックポイント分子抗体
上述のように、免疫チェックポイント阻害剤は抗体であり得る。抗体は、抗原(すなわち、上述の免疫チェックポイント分子)に結合するか、またはそれと反応し得る。したがって、抗体は、抗免疫チェックポイント分子抗体または免疫チェックポイント分子抗体とみなされ得る。抗体は、に含有される核酸配列によってコードされ得る。
【0170】
抗体は、重鎖ポリペプチドおよび軽鎖ポリペプチドを含み得る。重鎖ポリペプチドは、可変重鎖(VH)領域および/または少なくとも1つの定常重鎖(CH)領域を含み得る。少なくとも1つの定常重鎖領域は、定常重鎖領域1(CH1)、定常重鎖領域2(CH2)、および定常重鎖領域3(CH3)、ならびに/またはヒンジ領域を含み得る。
【0171】
いくつかの実施形態では、重鎖ポリペプチドは、VH領域およびCH1領域を含み得る。他の実施形態では、重鎖ポリペプチドは、VH領域、CH1領域、ヒンジ領域、CH2領域、およびCH3領域を含み得る。
【0172】
重鎖ポリペプチドは、相補性決定領域(「CDR」)セットを含み得る。CDRセットは、VH領域の3つの超可変領域を含有し得る。重鎖ポリペプチドのN末端から始まり、これらのCDRは、それぞれ、「CDR1」、「CDR2」、および「CDR3」と表される。重鎖ポリペプチドのCDR1、CDR2、およびCDR3は、抗原の結合または認識に寄与し得る。
【0173】
軽鎖ポリペプチドは、可変軽鎖(VL)領域および/または定常軽鎖(CL)領域を含み得る。軽鎖ポリペプチドは、相補性決定領域(「CDR」)セットを含み得る。CDRセットは、VL領域の3つの超可変領域を含有し得る。軽鎖ポリペプチドのN末端から始まり、これらのCDRは、それぞれ、「CDR1」、「CDR2」、および「CDR3」と表される。軽鎖ポリペプチドのCDR1、CDR2、およびCDR3は、抗原の結合または認識に寄与し得る。
【0174】
抗体は、相補性決定領域(「CDR」)への支持を提供し、互いに対してCDRの空間的関係を画定する重鎖と軽鎖フレームワーク(「FR」)セットとの間にそれぞれ挿入される、重鎖および軽鎖CDRセットを含み得る。CDRセットは、重鎖または軽鎖V領域の3つの超可変領域を含有し得る。重鎖または軽鎖のN末端から始まり、これらの領域は、それぞれ、「CDR1」、「CDR2」、および「CDR3」と表される。したがって、抗原結合部位は、重鎖および軽鎖V領域の各々からのCDRセットを含む、6つのCDRを含み得る。
【0175】
抗体は、免疫グロブリン(Ig)であり得る。Igは、例えば、IgA、IgM、IgD、IgE、およびIgGであり得る。免疫グロブリンは、重鎖ポリペプチドおよび軽鎖ポリペプチドを含み得る。免疫グロブリンの重鎖ポリペプチドは、VH領域、CH1領域、ヒンジ領域、CH2領域、およびCH3領域を含み得る。免疫グロブリンの軽鎖ポリペプチドは、VL領域およびCL領域を含み得る。
【0176】
加えて、タンパク質分解酵素パパインは、IgG分子を優先的に切断して、いくつかの断片をもたらし、そのうちの2つ(F(ab)断片)は各々、無傷抗原結合部位を含む共有結合ヘテロ二量体を含む。酵素ペプシンは、IgG分子を切断して、両方の抗原結合部位を含むいくつかの断片(F(ab’)2断片を含む)を提供することができる。したがって、抗体は、FabまたはF(ab’)2であり得る。Fabは、重鎖ポリペプチドおよび軽鎖ポリペプチドを含み得る。Fabの重鎖ポリペプチドは、VH領域およびCH1領域を含み得る。Fabの軽鎖は、VL領域およびCL領域を含み得る。
【0177】
抗体は、ポリクローナルまたはモノクローナル抗体であり得る。抗体は、キメラ抗体、一本鎖抗体、親和性成熟抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、または完全ヒト抗体であり得る。ヒト化抗体は、非ヒト種からの1つ以上の相補性決定領域(CDR)およびヒト免疫グロブリン分子からのフレームワーク領域を有する所望の抗原に結合する非ヒト種からの抗体であり得る。
【0178】
(1)PD-1抗体
抗免疫チェックポイント分子抗体は、抗PD-1抗体(本明細書において「PD-1抗体」とも称される)、そのバリアント、その断片、またはそれらの組み合わせであり得る。PD-1抗体はニボルマブであり得る。抗PD-1抗体は、PD-1活性を阻害し、それにより腫瘍またはがんに対する免疫応答を誘導、誘発、または増加させ、腫瘍成長を減少させることができる。
【0179】
(2) PD-L1抗体
抗免疫チェックポイント分子抗体は、抗PD-L1抗体(本明細書において「PD-L1抗体」とも称される)、そのバリアント、その断片、またはそれらの組み合わせであり得る。抗PD-L1抗体は、PD-L1活性を阻害し、それにより腫瘍またはがんに対する免疫応答を誘導、誘発、または増加させ、腫瘍成長を減少させることができる。
【0180】
ベクター
ワクチンは、MUC16抗原をコードする異種核酸を含む1つ以上のベクターを含み得る。1つ以上のベクターが、哺乳動物において免疫応答を誘発するのに有効な量で抗原を発現することが可能であり得る。ベクターは、抗原をコードする異種核酸を含み得る。ベクターは、複製起点を含有する核酸配列を有し得る。ベクターは、プラスミド、バクテリオファージ、細菌人工染色体、または酵母人工染色体であり得る。ベクターは、自己複製染色体外ベクター、または宿主ゲノムに組み込むベクターのいずれかであり得る。
【0181】
1つ以上のベクターは、特異遺伝子を標的細胞に導入するために使用される、一般的にプラスミドである発現構築物であり得る。発現ベクターが細胞内に入ると、遺伝子によってコードされるタンパク質が細胞転写および翻訳機構リボソーム複合体によって産生される。プラスミドは、エンハンサーおよびプロモーター領域として機能し、発現ベクターで運ばれる遺伝子の効率的な転写をもたらす調節配列を含有するように頻繁に操作される。本発明のベクターは、大量の安定したメッセンジャーRNA、したがってタンパク質を発現する。
【0182】
ベクターは、強いプロモーター、強い終結コドン、プロモーターとクローニングされた遺伝子との間の距離の調整、ならびに転写終結配列およびPTIS(ポータブルな転写開始配列(portable translation initiation sequence))の挿入などの発現シグナルを有し得る。
【0183】
ベクターは、プロモーターおよびポリ-アデニル化シグナルから選択される調節要素に動作可能に連結される核酸配列を含み得る。いくつかの実施形態では、プロモーターは、ヒトサイトメガロウイルス最初期プロモーター(hCMVプロモーター)である。いくつかの実施形態では、ポリ-アデニル化シグナルは、ウシ成長ホルモンポリ-アデニル化シグナル(bGHポリA)である。
【0184】
ベクターは、環状プラスミドまたは直鎖状核酸であり得る。環状プラスミドおよび直鎖状核酸は、適切な対象細胞において特定のヌクレオチド配列の発現を指向することができる。ベクターは、終結シグナルに動作可能に連結され得る抗原コードヌクレオチド配列に動作可能に連結されるプロモーターを有し得る。ベクターは、ヌクレオチド配列の適切な翻訳に必要な配列、ならびにベクターをクローニングおよびサブクローニングするための配列、ならびにその断片も含有し得る。関心のヌクレオチド配列を含むベクターはキメラであり得る、つまり、その構成成分のうちの少なくとも1つがその他の構成成分のうちの少なくとも1つに対して異種である。発現カセットにおけるヌクレオチド配列の発現は、宿主細胞がある特定の外部刺激に曝されるときにのみ転写を開始する構成的プロモーターまたは誘導性プロモーターの制御下にあってもよい。多細胞生物の場合、プロモーターは、特定の組織もしくは臓器または発達段階に特異的であってもよい。
【0185】
ベクターはプラスミドであり得る。プラスミドは、抗原をコードする核酸を細胞にトランスフェクトするのに有用であり得、形質転換された宿主細胞は、培養され、抗原の発現が起こる条件下で維持される。
【0186】
プラスミドは、抗原に対して免疫応答を誘発することができる合成のコンセンサス抗原、そのようなタンパク質の断片、そのようなタンパク質のバリアント、バリアントの断片、またはコンセンサスタンパク質および/もしくはコンセンサスタンパク質の断片および/もしくはコンセンサスタンパク質のバリアントおよび/もしくはバリアントコンセンサスタンパク質の断片の組み合わせで構成される融合タンパク質をコードするコード配列を含む上に開示される様々な抗原のうちの1つ以上をコードする核酸配列を含み得る。
【0187】
いくつかの実施形態では、プラスミドは、CCR20のみをコードするか、またはこれらのプラスミドの一部としてコード配列をさらに含み得る。同様に、プラスミドは、IL-12、IL-15、および/またはIL-28のコード配列をさらに含み得る。
【0188】
プラスミドは、コード配列の上流であり得る開始コドン、およびコード配列の下流であり得る終止コドンをさらに含み得る。開始および終結コドンは、コード配列とインフレームであり得る。
【0189】
プラスミドは、コード配列に動作可能に連結されるプロモーターも含み得る。コード配列に動作可能に連結されたプロモーターは、サルウイルス40(SV40)、マウス乳癌ウイルス(MMTV)プロモーター、ウシ免疫不全ウイルス(BIV)長い末端反復(LTR)プロモーターなどのヒト免疫不全ウイルス(HIV)プロモーター、モロニーウイルスプロモーター、トリ白血病ウイルス(ALV)プロモーター、CMV最初期プロモーターなどのサイトメガロウイルス(CMV)プロモーター(hCMVプロモーター)、エプスタイン・バーウイルス(EBV)プロモーター、またはラウス肉腫ウイルス(RSV)プロモーターからのプロモーターであり得る。プロモーターはまた、ヒトアクチン、ヒトミオシン、ヒトヘモグロビン、ヒト筋クレアチン、またはヒトメタロチオネイン(metalothionein)などのヒト遺伝子からのプロモーターであってもよい。プロモーターはまた、天然または合成の、筋肉または皮膚特異的プロモーターなどの組織特異的プロモーターであってもよい。そのようなプロモーターの例は、米国特許出願公開第US2004/0175727号に記載されており、その内容は、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0190】
プラスミドは、コード配列の下流であり得るポリアデニル化シグナルも含み得る。ポリアデニル化シグナルは、SV40ポリアデニル化シグナル、LTRポリアデニル化シグナル、ウシ成長ホルモン(bGH)ポリアデニル化シグナル、ヒト成長ホルモン(hGH)ポリアデニル化シグナル、ヒトβ-グロビンポリアデニル化シグナル、またはウシ成長ホルモンポリ-アデニル化シグナル(bGHポリA)であり得る。SV40ポリアデニル化シグナルは、pCEP4プラスミド(Invitrogen,San Diego,CA)からのポリアデニル化シグナルであり得る。
【0191】
プラスミドは、コード配列の上流のエンハンサーも含み得る。エンハンサーは、ヒトアクチン、ヒトミオシン、ヒトヘモグロビン、ヒト筋クレアチン、またはCMV、FMDV、RSV、もしくはEBVからのものなどのウイルスエンハンサーであり得る。ポリヌクレオチド機能エンハンサーは、米国特許第5,593,972号、同第5,962,428号、およびW094/016737に記載されており、各々の内容は参照により完全に組み込まれる。
【0192】
プラスミドは、プラスミドを染色体外で維持し、細胞においてプラスミドの複数コピーを産生するために、哺乳類の複製起点も含み得る。プラスミドは、Invitrogen(San Diego,CA)からのp V AXI、pCEP4、またはpREP4であってもよく、これは、組込むことなく高コピーのエピソーム複製を産生し得るエプスタイン・バーウイルス複製起点および核内抗原EBNA-1コード領域を含み得る。プラスミドの骨格はpA V0242であり得る。プラスミドは、複製欠損アデノウイルス5型(Ad5)プラスミドであり得る。
【0193】
プラスミドは、プラスミドが投与される細胞における遺伝子発現によく適している可能性がある調節配列も含み得る。コード配列は、宿主細胞におけるコード配列のより効率的な転写を可能にし得るコドンを含み得る。
【0194】
コード配列は、免疫グロブリン(Ig)リーダー配列も含み得る。リーダー配列は、コード配列の5’’であり得る。この配列によってコードされるコンセンサス抗原は、N末端Igリーダー、続いてコンセンサス抗原タンパク質を含み得る。N末端Igリーダーは、IgEまたはIgGであり得る。
【0195】
プラスミドはpSE420(Invitrogen,San Diego,Calif.)であり得、これはEscherichia coli(E.coli)におけるタンパク質産生に使用され得る。プラスミドはまた、pYES2(Invitrogen,San Diego,Calif.)であり得、これは酵母のSaccharomyces cerevisiae株におけるタンパク質産生に使用され得る。プラスミドはまた、MAXBAC(商標)完全バキュロウイルス発現系(Invitrogen,San Diego,Calif.)のものであってもよく、これは昆虫細胞におけるタンパク質産生に使用され得る。プラスミドはまた、pcDNA IまたはpcDNA3(Invitrogen,San Diego,Calif.)であり得、これはチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞などの哺乳類細胞におけるタンパク質産生に使用され得る。プラスミドはまた、pGX001(Inovio)であってもよく、これはpVAX1(Thermo Fisher Scientific,Waltham,MA)から修飾される。
【0196】
ベクターは、環状プラスミドであってもよく、これは、細胞ゲノムに組み込むことにより標的細胞を形質転換するか、または染色体外で存在することができる(例えば、複製起点を有する自律複製プラスミド)。
【0197】
ベクターは、pVAX、pcDNA3.0、もしくはprovax、または抗原をコードするDNAを発現し、細胞が配列を免疫系によって認識される抗原に翻訳することを可能にすることができる任意の他の発現ベクターであり得る。
【0198】
電気穿孔により対象に効率的に送達され、1つ以上の所望の抗原を発現することができる直鎖状核酸ワクチンまたは直鎖状発現カセット(「LEC」)も本明細書に提供される。LECは、任意のリン酸骨格を欠く任意の直鎖状DNAであり得る。DNAは、1つ以上の抗原をコードし得る。LECは、プロモーター、イントロン、終止コドン、および/またはポリアデニル化シグナルを含有し得る。抗原の発現はプロモーターにより制御され得る。LECは、任意の抗生物質耐性遺伝子および/またはリン酸骨格を含有しなくてもよい。LECは、所望の抗原遺伝子発現に無関係の他の核酸配列を含有しなくてもよい。
【0199】
LECは、局在化することができる任意のプラスミドに由来し得る。プラスミドは、抗原を発現することが可能であり得る。プラスミドは、pNP(Puerto Rico/34)またはpM2(New Caledonia/99)であり得る。プラスミドは、WLV009、pVAX、pcDNA3.0、もしくはprovax、または抗原をコードするDNAを発現し、細胞が配列を免疫系によって認識される抗原に翻訳することを可能にすることができる任意の他の発現ベクターであり得る。
【0200】
LECはpcrM2であり得る。LECは、pcrNPであり得る。pcrNPおよびpcrMRは、それぞれ、pNP(Puerto Rico/34)およびpM2(New Caledonia/99)に由来し得る。
【0201】
ベクターはプロモーターを有し得る。プロモーターは、遺伝子発現を駆動し、単離された核酸の発現を調節することができる任意のプロモーターであり得る。そのようなプロモーターは、本明細書に記載の抗原配列を転写する、DNA依存性RNAポリメラーゼによる転写に必要なシス作用性配列要素である。異種核酸の発現を指向するために使用されるプロモーターの選択は、特定の用途に依存する。プロモーターは、ベクターがその天然環境において転写開始部位からであるため、ベクターの転写開始からほぼ同じ距離に位置し得る。しかしながら、この距離の変化は、プロモーターの機能を喪失することなく調整され得る。
【0202】
プロモーターは、転写物、リボソーム結合部位、および翻訳終結の効率的なポリアデニル化に必要な抗原およびシグナルをコードする核酸配列に動作可能に連結され得る。
【0203】
プロモーターは、CMVプロモーター、SV40初期プロモーター、SV40後期プロモーター、メタロチオネインプロモーター、マウス乳癌腫瘍ウイルスプロモーター、ラウス肉腫ウイルスプロモーター、ポリヘドリンプロモーター、または真核細胞において発現に有効であると示される別のプロモーターであり得る。
【0204】
ベクターは、機能的なスプライスドナーおよびアクセプター部位を有するエンハンサーおよびイントロンを含み得る。ベクターは、効率的な終結を提供するために、構造遺伝子の下流に転写終結領域を含有し得る。終結領域は、プロモーター配列と同じ遺伝子から得ることができるか、または異なる遺伝子から得てもよい。
【0205】
ベクターの調製方法
本明細書で考察されるMUC16抗原をコードする核酸分子を含むベクターの調製方法が本明細書に提供される。哺乳類発現プラスミドへの最終的なサブクローニングステップ後、当該技術分野において既知の方法を使用して、ベクターを大規模な発酵タンクにおいて細胞培養物に播種するために使用することができる。
【0206】
以下により詳細に説明される電気穿孔装置で使用するためのベクターは、既知の装置および技術の組み合わせを使用して製剤化または製造することができるが、好ましくは2008年5月23日に出願された米国公開第2009/004716号に記載されている最適化されたプラスミド製造技術を使用して製造される。いくつかの例では、これらの研究に使用されたDNAプラスミドは、10mg/mL以上の濃度で製剤化され得る。製造技術は、2007年7月3日に発行された米国特許第7,238,522号に記載されるものを含む、米国第60/939792号に記載されるものに加えて、当業者に一般的に既知である様々な装置およびプロトコルも含むか、またはそれらも組み込む。上に参照される刊行物及び特許、米国公開第2009/004716号および米国特許第7,238,522号はそれぞれ、それらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0207】
賦形剤およびワクチンの他の構成成分
ワクチンは、薬学的に許容される賦形剤をさらに含み得る。薬学的に許容される賦形剤は、ビヒクル、担体、または希釈剤などの機能分子であり得る。薬学的に許容される賦形剤はトランスフェクション促進剤であり得、これには、免疫刺激複合体(ISCOMS)、フロイント不完全アジュバント、LPS類似体含有モノホスホリル脂質A、ムラミルペプチド、キノン類似体、スクアレンおよびスクアレンなどの小胞、ヒアルロン酸、脂質、リポソーム、カルシウムイオン、ウイルスタンパク質、ポリアニオン、ポリカチオン、もしくはナノ粒子などの界面活性剤、または他の既知のトランスフェクション促進剤が含まれ得る。
【0208】
トランスフェクション促進剤は、ポリアニオン、ポリカチオン(ポリ-L-グルタメート(LGS)を含む)、または脂質である。トランスフェクション促進剤はポリ-L-グルタメートであり、ポリ-L-グルタメートは、6mg/ml未満の濃度でワクチンに存在し得る。トランスフェクション促進剤は、界面活性剤、例えば、免疫刺激複合体(ISCOMS)、フロイント不完全アジュバント、LPS類似体含有モノホスホリル脂質A、ムラミルペプチド、キノン類似体、ならびにスクアレンおよびスクアレンなどの小胞も含み得、遺伝子構築物とともに投与されるヒアルロン酸も使用され得る。DNAプラスミドワクチンは、脂質、リポソーム(DNA-リポソーム混合物として、レシチンリポソームまたは当該技術分野において既知の他のリポソームを含む)(例えばW09324640を参照されたい)、カルシウムイオン、ウイルスタンパク質、ポリアニオン、ポリカチオン、もしくはナノ粒子などのトランスフェクション促進剤、または他の既知のトランスフェクション促進剤も含み得る。トランスフェクション促進剤は、ポリアニオン、ポリカチオン(ポリ-L-グルタメート(LGS)を含む)、または脂質である。ワクチンにおけるトランスフェクション剤の濃度は、4mg/ml未満、2mg/ml未満、1mg/ml未満、0.750mg/ml未満、0.500mg/ml未満、0.250mg/ml未満、0.100mg/ml未満、0.050mg/ml未満、または0.010mg/ml未満である。
【0209】
薬学的に許容される賦形剤は、1つ以上のアジュバントであり得る。アジュバントは、代替えのプラスミドにおいて発現されるか、またはワクチンにおいて上記のプラスミドと組み合わせてタンパク質として送達される他の遺伝子であり得る。1つ以上のアジュバントは、CCL20、α-インターフェロン(IFN-α)、β-インターフェロン(IFN-β)、γ-インターフェロン、血小板由来成長因子(PDGF)、TNFα、TNFβ、GM-CSF、上皮成長因子(EGF)、皮膚T細胞誘引ケモカイン(CTACK)、上皮胸腺発現ケモカイン(TECK)、粘膜関連上皮ケモカイン(MEC)、IL-12、IL-15、IL-28、IL-31、IL-33、MHC、CD80、CD86、IL-l、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-10、IL-18、MCP-1、MIP-la、MIP-1~、IL-8、L-セレクチン、P-セレクチン、E-セレクチン、CD34、GlyCAM-1、MadCAM-1、LFA-1、VLA-1、Mac-1、pl50.95、PECAM、ICAM-1、ICAM-2、ICAM-3、CD2、LFA-3、M-CSF、G-CSF、IL-18の変異型、CD40、CD40L、血管成長因子、線維芽細胞成長因子、IL-7、神経成長因子、血管内皮成長因子、Fas、TNF受容体、Flt、Apo-1、p55、WSL-1、DR3、TRAMP、Apo-3、AIR、LARD、NGRF、DR4、DRS、KILLER、TRAIL-R2、TRICK2、DR6、カスパーゼICE、Fos、c-jun、Sp-1、Ap-1、Ap-2、p38、p65Rel、MyD88、IRAK、TRAF6、IkB、不活性NIK、SAP K、SAP-I、JNK、インターフェロン応答遺伝子、NFkB、Bax、TRAIL、TRAILrec、TRAILrecDRC5、TRAIL-R3、TRAIL-R4、RANK、RANK LIGAND、Ox40、Ox40 LIGAND、NKG2D、MICA、MICB、NKG2A、NKG2B、NKG2C、NKG2E、NKG2F、TAPI、TAP2、欠失したシグナル配列をコードするシグナル配列またはコード配列を有し、任意選択でIgEからのものなどの異なるシグナルペプチド、もしくはIgEからのものなどの異なるシグナルペプチドをコードするコード配列を有するIL-15、およびそれらの機能断片、またはそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。アジュバントは、IL-12、IL-15、IL-28、CTACK、TECK、血小板由来成長因子(PDGF)、TNFα、TNFβ、GM-CSF、上皮成長因子(EGF)、IL-1、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-10、IL-12、IL-18、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0210】
いくつかの実施形態では、アジュバントは、1つ以上のタンパク質および/またはCCL-20、IL-12、IL-15、IL-28、CTACK、TECK、MEC、もしくはRANTESからなる群から選択されるタンパク質をコードする核酸分子であり得る。IL-12構築物および配列の例は、PCT出願第PCT/US1997/019502号および対応する米国出願第08/956,865号、ならびに2011年12月12日に出願された米国仮特許出願第61/569600号に開示されており、各々参照により本明細書に組み込まれる。IL-15構築物および配列の例は、PCT出願第PCT/US04/18962号および対応する米国出願第10/560,650号、ならびにPCT出願第PCT/US07/00886号および対応する米国出願第12/160,766号、ならびにPCT出願第PCT/USI0/048827号に開示されており、各々参照により本明細書に組み込まれる。IL-28構築物および配列の例は、PCT出願第PCT/US09/039648号および対応する米国出願第12/936,192号に開示されており、各々参照により本明細書に組み込まれる。RANTESおよび他の構築物ならびに配列の例は、PCT出願第PCT/US1999/004332号および対応する米国出願第09/622452号に開示されており、各々参照により本明細書に組み込まれる。RANTES構築物および配列の他の例は、PCT出願第PCT/US11/024098号に開示されており、参照により本明細書に組み込まれる。RANTESおよび他の構築物ならびに配列の例は、PCT出願第PCT/US1999/004332号および対応する米国出願第09/622452号に開示されており、各々参照により本明細書に組み込まれる。RANTES構築物および配列の他の例は、PCT出願第PCT/US11/024098号に開示されており、参照により本明細書に組み込まれる。ケモカインCTACK、TECK、およびMEC構築物ならびに配列の例は、PCT出願第PCT/US2005/042231号および対応する米国出願第11/719,646号に開示されており、各々参照により本明細書に組み込まれる。OX40および他の免疫調節剤の例は米国出願第10/560,653号に開示されており、参照により本明細書に組み込まれる。DR5および他の免疫調節剤の例は、米国出願第09/622452号に開示されており、参照により本明細書に組み込まれる。
【0211】
アジュバントとして有用であり得る他の遺伝子は、MCP-1、MIP-la、MIP-1p、IL-8、RANTES、L-セレクチン、P-セレクチン、E-セレクチン、CD34、GlyCAM-1、MadCAM-1、LFA-1、VLA-1、Mac-1、pl50.95、PECAM、ICAM-1、ICAM-2、ICAM-3、CD2、LFA-3、M-CSF、G-CSF、IL-4、IL-18の変異型、CD40、CD40L、血管成長因子、線維芽細胞成長因子、IL-7、IL-22、神経成長因子、血管内皮成長因子、Fas、TNF受容体、Flt、Apo-1、p55、WSL-1、DR3、TRAMP、Apo-3、AIR、LARD、NGRF、DR4、DR5、KILLER、TRAIL-R2、TRICK2、DR6、カスパーゼICE、Fos、c-jun、Sp-1、Ap-1、Ap-2、p38、p65Rel、MyD88、IRAK、TRAF6、IkB、不活性NIK、SAP K、SAP-1、JNK、インターフェロン応答遺伝子、NFkB、Bax、TRAIL、TRAILrec、TRAILrecDRC5、TRAIL-R3、TRAIL-R4、RANK、RANK LIGAND、Ox40、Ox40 LIGAND、NKG2D、MICA、MICB、NKG2A、NKG2B、NKG2C、NKG2E、NKG2F、TAP1、TAP2、およびそれらの機能断片をコードするものを含む。
【0212】
ワクチンは、1994年4月1日に出願された米国第021,579号(参照により完全に組み込まれる)に説明される遺伝子ワクチン促進剤をさらに含み得る。
【0213】
ワクチンは、約1ナノグラム~100ミリグラム、約1マイクログラム~約10ミリグラム、または好ましくは約0.1マイクログラム~約10ミリグラム、またはより好ましくは約1ミリグラム~約2ミリグラムの量で抗原コードベクターを含み得る。いくつかの好ましい実施形態では、本発明によるワクチンは、約5ナノグラム~約1000マイクログラムの核酸を含む。いくつかの好ましい実施形態では、ワクチンは、約10ナノグラム~約800マイクログラムの核酸を含有し得る。いくつかの好ましい実施形態では、ワクチンは、約0.1~約500マイクログラムの核酸を含有し得る。いくつかの好ましい実施形態では、ワクチンは、約1~約350マイクログラムの核酸を含有し得る。いくつかの好ましい実施形態では、ワクチンは、約25~約250マイクログラム、約100~約200マイクログラム、約1ナノグラム~100ミリグラム、約1マイクログラム~約10ミリグラム、約0.1マイクログラム~約10ミリグラム、約1ミリグラム~約2ミリグラム、約5ナノグラム~約1000マイクログラム、約10ナノグラム~約800マイクログラム、約0.1~約500マイクログラム、約1~約350マイクログラム、約25~約250マイクログラム、約100~約200マイクログラムの抗原またはそのプラスミドを含有し得る。
【0214】
ワクチンは、使用される投与モードにより製剤化され得る。注射可能なワクチン医薬組成物は、減菌、発熱性物質不含、および微粒子不含(particulate free)であり得る。等張製剤または溶液を使用することができる。等張性のための添加剤は、塩化ナトリウム、デキストロース、マンニトール、ソルビトール、およびラクトースを含み得る。ワクチンは、血管収縮剤(vasoconstriction agent)を含み得る。等張溶液は、リン酸緩衝食塩水を含み得る。ワクチンは、ゼラチンおよびアルブミンを含む安定剤をさらに含み得る。LGSまたはポリカチオンもしくはポリアニオンを含む安定剤は、製剤を長期間室温または周囲温度で安定させることができる。
【0215】
ワクチンの医薬組成物
ワクチンは、医薬組成物の形態であり得る。医薬組成物はワクチンを含み得る。医薬組成物は、約5ナノグラム(ng)~約10ミリグラム(mg)の核酸分子のワクチンを含み得る。いくつかの実施形態では、本発明による医薬組成物は、約25ng~約5mgの核酸分子のワクチンを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約50ng~約1mgの核酸分子のワクチンを含有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約0.1~約500マイクログラムの核酸分子のワクチンを含有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約1~約350マイクログラムの核酸分子のワクチンを含有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約5~約250マイクログラムの核酸分子のワクチンを含有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約10~約200マイクログラムの核酸分子のワクチンを含有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約15~約150マイクログラムの核酸分子のワクチンを含有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約20~約100マイクログラムの核酸分子のワクチンを含有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約25~約75マイクログラムの核酸分子のワクチンを含有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約30~約50マイクログラムの核酸分子のワクチンを含有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約35~約40マイクログラムの核酸分子のワクチンを含有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約100~約200マイクログラムの核酸分子のワクチンを含有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約10マイクログラム~約100マイクログラムの核酸分子のワクチンを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約20マイクログラム~約80マイクログラムの核酸分子のワクチンを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約25マイクログラム~約60マイクログラムの核酸分子のワクチンを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約30ng~約50マイクログラムの核酸分子のワクチンを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約35ng~約45マイクログラムの核酸分子のワクチンを含む。いくつかの好ましい実施形態では、医薬組成物は、約0.1~約500マイクログラムの核酸分子のワクチンを含有する。いくつかの好ましい実施形態では、医薬組成物は、約1~約350マイクログラムの核酸分子のワクチンを含有する。いくつかの好ましい実施形態では、医薬組成物は、約25~約250マイクログラムの核酸分子のワクチンを含有する。いくつかの好ましい実施形態では、医薬組成物は、約100~約200マイクログラムの核酸分子のワクチンを含有する。
【0216】
いくつかの実施形態では、本発明による医薬組成物は、少なくとも10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または100ngの核酸分子のワクチンを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、少なくとも1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、250、255、260、265、270、275、280、285、290、295、300、305、310、315、320、325、330、335、340、345、350、355、360、365、370、375、380、385、390、395、400、405、410、415、420、425、430、435、440、445、450、455、460、465、470、475、480、485、490、495、500、605、610、615、620、625、630、635、640、645、650、655、660、665、670、675、680、685、690、695、700、705、710、715、720、725、730、735、740、745、750、755、760、765、770、775、780、785、790、795、800、805、810、815、820、825、830、835、840、845、850、855、860、865、870、875、880、885、890、895.900、905、910、915、920、925、930、935、940、945、950、955、960、965、970、975、980、985、990、995、または1000マイクログラムの核酸分子のワクチンを含み得る。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、少なくとも1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、または10mg以上の核酸分子のワクチンを含み得る。
【0217】
他の実施形態では、医薬組成物は、最大15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または100ng(これらの値を含む)の核酸分子のワクチンを含み得る。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、最大1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、250、255、260、265、270、275、280、285、290、295、300、305、310、315、320、325、330、335、340、345、350、355、360、365、370、375、380、385、390、395、400、405、410、415、420、425、430、435、440、445、450、455、460、465、470、475、480、485、490、495、500、605、610、615、620、625、630、635、640、645、650、655、660、665、670、675、680、685、690、695、700、705、710、715、720、725、730、735、740、745、750、755、760、765、770、775、780、785、790、795、800、805、810、815、820、825、830、835、840、845、850、855、860、865、870、875、880、885、890、895.900、905、910、915、920、925、930、935、940、945、950、955、960、965、970、975、980、985、990、995、または1000マイクログラム(これらの値を含む)の核酸分子のワクチンを含み得る。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、最大1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、または10mg(これらの値も含む)の核酸分子のワクチンを含み得る。
【0218】
医薬組成物は、使用される投与モードにより製剤目的のための他の薬剤をさらに含み得る。医薬組成物が注射可能な医薬組成物である場合、それらは、減菌、発熱性物質不含、および微粒子不含である。等張製剤を使用することが好ましい。一般的に、等張性のための添加剤は、塩化ナトリウム、デキストロース、マンニトール、ソルビトール、およびラクトースを含み得る。場合によっては、リン酸緩衝食塩水などの等張溶液が好ましい。安定剤としてはゼラチンおよびアルブミンが挙げられる。いくつかの実施形態では、血管収縮剤が製剤に添加される。
【0219】
医薬組成物は、上に提供される薬学的に許容される賦形剤をさらに含み得る。例えば、薬学的に許容される賦形剤は、上に提供される機能分子、ビヒクル、アジュバント、担体、希釈剤、またはトランスフェクション促進剤を含み得る。
【0220】
ワクチン接種方法
上述の医薬製剤を使用して、限定されないが、卵巣がんなどのMUC16発現がんを治療および/または予防するための方法が本明細書に提供される。対象における、限定されないが、卵巣がんなどのMUC16発現がんの治療および/または予防に上述の医薬製剤を使用する方法も本明細書に記載される。対象にワクチン接種する方法も本明細書に記載される。本明細書に記載の医薬製剤を、それを必要する対象に投与する方法も本明細書に記載される。本明細書に記載の医薬製剤を使用する治療方法と集合的に称される本明細書に記載の方法は、治療的および/または予防的免疫応答を誘導するために、本明細書に記載される1つ以上のワクチンを、それを必要とする対象に投与することを含み得る。ワクチンは、対象の免疫系の活性を調節し、免疫応答を増強するために対象に投与され得る。ワクチンの投与は、細胞において発現され、細胞の表面に送達されると、免疫系が認識して、細胞性、液性、または細胞性および液性応答を誘導する核酸分子としての本明細書に開示されるがん抗原のトランスフェクションであり得る。ワクチンの投与は、本明細書で考察されるワクチンを対象に投与することにより、対象において、MUC16に対して免疫応答を誘導または誘発するために使用され得る。
【0221】
ワクチンは、対象の免疫系の活性を調節するために対象に投与され、それにより免疫応答を増強させることができる。いくつかの実施形態では、対象は哺乳動物である。哺乳動物にワクチンを投与し、それによりベクターを哺乳動物の細胞に導入すると、トランスフェクトされた細胞が本明細書に開示されるがん抗原のうちの1つ以上を発現および分泌する。これらの分泌されたタンパク質または合成抗原は、1つ以上のがん抗原に対して作られた抗体、および特異的に1つ以上のがん抗原に対するT細胞応答を含み得る免疫応答を開始する免疫系により異物として認識される。いくつかの例では、本明細書で考察されるワクチンをワクチン接種された哺乳動物は、抗原刺激を受けた(primed)免疫系を有し、本明細書に開示される1つ以上のがん抗原を接種された場合、抗原刺激を受けた免疫系は、液性、細胞性、または細胞性および液性両方の免疫応答によるものかにかかわらず、本明細書に開示される後のがん抗原を迅速に除去することができる。
【0222】
ワクチンの核酸分子の投与方法は、米国特許第4,945,050号および同第5,036,006号に記載されており、その両方は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0223】
ワクチンを哺乳動物に投与して、哺乳動物において免疫応答を誘発することができる。哺乳動物は、ヒト、非ヒト霊長類、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、アンテロープ、バイソン、水牛、ウシ、シカ、ハリネズミ、ゾウ、ラマ、アルパカ、マウス、ラット、および好ましくはヒト、ウシ、またはブタであり得る。ワクチンは同様に、免疫応答を誘発するために、非哺乳動物対象、例えば、ニワトリに投与され得る。
【0224】
ワクチンの用量は、時間あたりの1キログラム(kg)体重あたり1マイクログラム~10mgの活性成分(成分/kg体重/時間)であり得、20マイクログラム~10mg成分/kg体重/時間であり得る。ワクチンは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、または31日ごとに投与され得る。有効な治療のためのワクチン投与回数は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10回以上の投与であり得る。
【0225】
ワクチンにより免疫応答を生成する方法
ワクチンを使用して、治療的または予防的免疫応答を含む、哺乳動物または非哺乳動物対象において免疫応答を生成することができる。免疫応答は、本明細書に開示される1つ以上のがん抗原に指向される抗体および/またはキラーT細胞を生成することができる。そのような抗体およびT細胞が単離され得る。
【0226】
いくつかの実施形態は、本明細書に開示されるがん抗原のうちの1つ以上に対して免疫応答を生成する方法を提供し、その実施形態は、ワクチンを対象に投与することを含む。いくつかの実施形態は、上述のMUC16抗原のうちの1つ以上を発現するがんまたは腫瘍に対して対象に予防的にワクチン接種する方法を提供し、その実施形態は、ワクチンを投与することを含む。いくつかの実施形態は、MUC16を発現する卵巣がんまたは腫瘍に罹患している対象に治療的にワクチン接種する方法を提供し、その実施形態は、ワクチンを投与することを含む。ワクチンの投与前に、本明細書に開示される1つ以上のMUC16抗原を発現する卵巣がんまたは腫瘍の診断は、日常的に行うことができる。
【0227】
ワクチンによりがんを治療する方法
ワクチンを使用して、哺乳動物において、限定されないが、卵巣がん、より具体的には上皮卵巣がん、最も具体的には漿液性卵巣がんなどのMUC16発現がんに対して反応性であるかまたはそれに指向される、免疫応答を生成または誘発することができる。誘発された免疫応答は、卵巣がんまたは腫瘍成長を阻止することができる。
【0228】
誘発された免疫応答は、卵巣がんに罹患する対象において、がん性または腫瘍細胞の転移を阻止し、かつ/または低減することができる。したがって、ワクチンは、ワクチンを投与されたがんを有する哺乳動物または対象におけるがんまたは腫瘍を治療および/または予防する方法において使用され得る。
【0229】
いくつかの実施形態では、投与されたワクチンは、(1)単球走化性タンパク質-1(MCP-1)の産生を遮断する抗体を生成し、それにより骨髄由来サプレッサー細胞(MDSC)を遅延し、腫瘍成長を抑制するB細胞応答による液性免疫、(2)腫瘍細胞を攻撃し、殺傷するCD8+などの細胞傷害性Tリンパ球(CTL)の増加、(3)Tヘルパー細胞応答の増加、(4)ならびにIFN-γおよびTFN-αによる炎症応答の増加、または好ましくは前述のすべてを誘導することにより、腫瘍細胞のクリアランスを媒介するか、またはその成長を阻止することができる。ワクチンは、無腫瘍生存率(tumor free survival)を、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、および45%増加させることができる。ワクチンは、免疫化後、腫瘍量を、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、および60%低減することができる。ワクチンは、骨髄由来サプレッサー細胞により分泌されるサイトカインである単球走化性タンパク質1(MCP-1)の増加を阻止または遮断することができる。ワクチンは、腫瘍生存率を、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、および60%増加させることができる。
【0230】
いくつかの実施形態では、免疫応答は、ワクチンを投与された対象において、様々な組織または系(例えば、脳または神経系など)に損傷を与えないか、またはその炎症を引き起こさない液性免疫応答および/または抗原特異的細胞傷害性Tリンパ球(CTL)応答を生成することができる。
【0231】
いくつかの実施形態では、ワクチンは、がん性もしくは腫瘍細胞または組織を標的とする抗原特異的免疫応答を確立して、ワクチンを投与された対象において、損傷を与える、または病気もしくは死を引き起こすことなく、1つ以上のがん抗原を発現するがんまたは腫瘍を除去または排除するために、末梢に投与され得る(以下により詳細に説明される)。
【0232】
ワクチンの投与により、対象における細胞性免疫応答を、約50倍~約6000倍、約50倍~約5500倍、約50倍~約5000倍、約50倍~約4500倍、約100倍~約6000倍、約150倍~約6000倍、約200倍~約6000倍、約250倍~約6000倍、または約300倍~約6000倍増加させることができる。いくつかの実施形態では、ワクチンの投与により、ワクチンを投与されない対象における細胞性免疫応答と比較して、対象における細胞性免疫応答を、約50倍、100倍、150倍、200倍、250倍、300倍、350倍、400倍、450倍、500倍、550倍、600倍、650倍、700倍、750倍、800倍、850倍、900倍、950倍、1000倍、1100倍、1200倍、1300倍、1400倍、1500倍、1600倍、1700倍、1800倍、1900倍、2000倍、2100倍、2200倍、2300倍、2400倍、2500倍、2600倍、2700倍、2800倍、2900倍、3000倍、3100倍、3200倍、3300倍、3400倍、3500倍、3600倍、3700倍、3800倍、3900倍、4000倍、4100倍、4200倍、4300倍、4400倍、4500倍、4600倍、4700倍、4800倍、4900倍、5000倍、5100倍、5200倍、5300倍、5400倍、5500倍、5600倍、5700倍、5800倍、5900倍、または6000倍増加させることができる。
【0233】
投与されたワクチンは、対象におけるインターフェロン-ガンマ(IFN-γ)レベルを、約50倍~約6000倍、約50倍~約5500倍、約50倍~約5000倍、約50倍~約4500倍、約100倍~約6000倍、約150倍~約6000倍、約200倍~約6000倍、約250倍~約6000倍、または約300倍~約6000倍増加させることができる。いくつかの実施形態では、投与されたワクチンは、ワクチンを投与されない対象におけるIFN-γレベルと比較して、対象におけるIFN-γレベルを、約50倍、100倍、150倍、200倍、250倍、300倍、350倍、400倍、450倍、500倍、550倍、600倍、650倍、700倍、750倍、800倍、850倍、900倍、950倍、1000倍、1100倍、1200倍、1300倍、1400倍、1500倍、1600倍、1700倍、1800倍、1900倍、2000倍、2100倍、2200倍、2300倍、2400倍、2500倍、2600倍、2700倍、2800倍、2900倍、3000倍、3100倍、3200倍、3300倍、3400倍、3500倍、3600倍、3700倍、3800倍、3900倍、4000倍、4100倍、4200倍、4300倍、4400倍、4500倍、4600倍、4700倍、4800倍、4900倍、5000倍、5100倍、5200倍、5300倍、5400倍、5500倍、5600倍、5700倍、5800倍、5900倍、または6000倍増加させることができる。
【0234】
ワクチンの用量は、時間あたりの1キログラム(kg)体重あたり1マイクログラム~10mg(成分/kg体重/時間)の活性成分であり得、20マイクログラム~10mg成分/kg体重/時間であり得る。ワクチンは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、または31日ごとに投与され得る。有効な治療のためのワクチン投与回数は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10回以上の投与であり得る。
【0235】
投与経路
ワクチンまたは医薬組成物は、経口、非経口、舌下、経皮的、直腸に、経粘膜的、局所的、吸入により、頬側投与により、胸膜内、静脈内、動脈内、腹腔内、皮下、筋肉内、鼻腔内 くも膜下腔内、および/もしくは関節内、またはそれらの組み合わせにより投与され得る。獣医学的使用において、本組成物は、通常の獣医学的実践に従い、好適に許容可能な製剤として投与され得る。獣医は、特定の動物に最も適切な投与レジメンおよび投与経路を容易に決定することができる。ワクチンは、従来の注射器、無針注射装置、「微粒子衝撃遺伝子銃(microprojectile bombardment gene guns)」、または電気穿孔法(「EP」)、「流体力学法」、もしくは超音波などの他の物理的方法により投与され得る。
【0236】
ワクチンのベクターは、インビボ電気穿孔、リポソーム媒介トランスフェクション、ナノ粒子促進トランスフェクション(nanoparticle facilitated transfection)を伴うまたは伴わないDNA注射(DNA injection)(DNAワクチン接種とも称される)を含む、いくつかの周知の技術により哺乳動物に投与され、組換えアデノウイルス、組換えアデノウイルス随伴ウイルス、および組換えワクシニアなどの組換えベクターを使用することができる。ワクチンの1つ以上のがん抗原がインビボ電気穿孔とともにDNA注射により投与され得る。
【0237】
電気穿孔法
ワクチンまたは医薬組成物は、電気穿孔法により投与され得る。電気穿孔法によるワクチンの投与は、可逆性細孔を細胞膜において形成させるのに有効なエネルギーのパルスを哺乳動物の所望の組織に送達するように構成され得る電気穿孔装置を使用して達成することができ、好ましくは、エネルギーのパルスは、ユーザによって入力される予め調整された電流と同等の定電流である。電気穿孔装置は、電気穿孔構成要素および電極アセンブリまたはハンドルアセンブリを備え得る。電気穿孔構成要素は、コントローラ、電流波形発生装置、インピーダンステスター、波形ロガー、入力素子、ステータス報告要素、通信ポート、メモリー構成要素、電源、および電源スイッチを含む、電気穿孔装置の様々な要素のうちの1つ以上を含み、かつそれらを組み込むことができる。電気穿孔は、プラスミドによる細胞のトランスフェクションを容易にするために、インビボ電気穿孔装置、例えば、CELLECTRA(登録商標)EPシステム(Inovio Pharmaceuticals,Inc.,Blue Bell,PA)またはElgenエレクトロポレーター(electroporator)(Inovio Pharmaceuticals,Inc.)を使用して達成され得る。
【0238】
本発明のDNAワクチンの投与を容易にし得る電気穿孔装置および電気穿孔方法の例には、Draghia-Akliらによる米国特許第7,245,963号、Smithらにより提出された米国特許公開第2005/0052630号に記載されているものが含まれ、これらの内容は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。DNAワクチンの投与を容易にするために使用され得る他の電気穿孔装置および電気穿孔方法は、2007年10月17日に出願された同時係属中および共有の米国特許出願第11/874072号(米国特許法第119条(e)の下、2006年10月17日に出願された米国仮特許出願第60/852,149号および2007年10月10日に出願された同第60/978,982号に対して利益を主張する)に提供されるものを含み、これらのすべてはそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0239】
Draghia-Akliらによる米国特許第7,245,963号は、身体または植物の選択された組織の細胞に生体分子を導入するのを容易にするためのモジュール電極システムおよびそれらの使用を説明している。モジュール電極システムは、複数の針電極、皮下針、プログラム可能な定電流パルスコントローラから複数の針電極への導電的連結を提供する電気コネクタ、および電源を備え得る。オペレーターは、支持構造に載置される複数の針電極を把持し、それらを身体もしくは植物の選択された組織にしっかりと挿入することができる。次に、生体分子を、皮下針により選択された組織内に投与する。プログラム可能な定電流パルスコントローラを作動させ、定電流電気パルスを複数の針電極に適用する。適用された定電流電気パルスは、生体分子を、複数の電極間の細胞に導入するのを容易にする。米国特許第7,245,963号の全容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0240】
Smithらにより提出された米国特許公開第2005/0052630号は、身体または植物の選択された組織の細胞に生体分子を導入するのを効果的に容易にするために使用することができる電気穿孔装置を説明している。電気穿孔装置は、操作がソフトウェアまたはファームウェアによって指定される動電装置(「EKD装置」)を備える。EKD装置は、ユーザ制御に基づいた一連の電極とパルスパラメータの入力との間に一連のプログラム可能な定電流パルスパターンを作り出し、電流波形データの保存および取得を可能にする。電気穿孔装置は、一連の針電極を有する交換可能な電極ディスク、注射針用の中央注射チャネル、および着脱可能なガイドディスクも備える。米国特許公開第2005/0052630号の全容は、参照により本明細書に完全に組み込まれる。
【0241】
米国特許第7,245,963号および米国特許公開第2005/0052630号に説明される電極アレイおよび方法は、筋肉などの組織だけでなく他の組織または臓器にも深く浸透させるのに適応し得る。電極アレイの構成により、注射針は標的臓器にも完全に挿入され、注射は電極によって予め描かれたエリアの標的組織に垂直に投与される。米国特許第7,245,963号および米国特許公開第2005/005263号に説明される電極は、好ましくは20mm長および21ゲージである。
【0242】
加えて、電気穿孔装置およびその使用を組み込むいくつかの実施形態において企図される、以下の特許:1993年12月28日に発行された米国特許第5,273,525号、2000年8月29日に発行された米国特許第6,110,161号、2001年7月17日に発行された同第6,261,281号、および2005年10月25日に発行された同第6,958,060号、ならびに2005年9月6日に発行された米国特許第6,939,862号に記載されるものの電気穿孔装置がある。さらに、様々な装置のいずれかを使用したDNAの投与に関係する2004年2月24日に発行された米国特許第6,697,669号、およびDNAを注射する方法が注目された2008年2月5日に発行された米国特許第7,328,064号に提供される主題を網羅する特許が、本明細書に企図される。上記の特許は、それらの全体が参照により組み込まれる。
【0243】
ワクチンの調製方法
本明細書で考察されるDNAプラスミドの調製方法が本明細書において提供される。哺乳類発現プラスミドへの最終的なサブクローニングステップ後、当該技術分野において既知の方法を使用して、DNAプラスミドを大規模な発酵タンクにおいて細胞培養物に播種するために使用することができる。
【0244】
本発明の電気穿孔法装置で使用するためのDNAプラスミドは、既知の装置および技術の組み合わせを使用して製剤化または製造することができるが、好ましくは2007年5月23日に出願された米国公開出願第2009/0004716号に記載されている最適化されたプラスミド製造技術を使用して製造される。いくつかの例では、これらの研究に使用されたDNAプラスミドは、10mg/mL以上の濃度で製剤化され得る。製造技術は、2007年7月3日に発行された利用許諾特許である米国特許第7,238,522号に記載されるものを含む、米国第60/939792号に記載されるものに加えて、当業者に一般的に既知である様々な装置およびプロトコルも含むか、またはそれらも組み込む。上記に参照される出願および特許、米国第60/939,792号および米国特許第7,238,522号はそれぞれ、それらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0245】
本発明は、以下の非限定的な実施例によって図示される多くの態様を有する。
【実施例0246】
本発明は、以下の実施例においてさらに図示される。これらの実施形態は、本発明の好ましい実施形態を示すが、単に実例として示されることを理解するべきである。上記の考察およびこれらの実施例から、当業者は、本発明の本質的な特徴を確認することができ、その趣旨および範囲から逸脱することなく、本発明の様々な変更および修正を行って、様々な使用および条件に適応させることができる。したがって、本明細書に示され記載されるものに加えて、本発明の様々な修正は、前述の説明から当業者には明らかであろう。そのような修正も、添付の特許請求の範囲の範囲内に入ることが意図される。
【0247】
実施例1:MUC16中央タンデム反復ドメイン設計戦略
天然ヒトMUC16は、長さが22,152個のアミノ酸の大きな強くグリコシル化された(heavily glycosylated)タンパク質である。これは、N末端ドメイン、中央タンデム反復ドメイン、およびカルボキシ末端ドメインの3つのドメインで構成されている。天然ヒトMUC16のN末端ドメインは非常に大きく(12,068個のアミノ酸)、反復配列を欠くため、中央タンデム反復およびカルボキシ末端ドメインのみが標的とされる(
図1)。異なる設計戦略をタンデム反復およびカルボキシ末端ドメインに適用した。
【0248】
天然ヒトMUC16の中央タンデム反復ドメインは、長さが9,799個のアミノ酸であり、最後の反復が127個のみのアミノ酸であることを除き、各々156個のアミノ酸である一連の63の相同反復である。その長さと、様々な種間での相同性の欠如により、s潜在的にヒト天然反復の大部分に対して交差反応性T細胞を誘発するために、反復マイクロコンセンサス(RMC)配列は複数のヒト天然反復配列に由来した。簡潔に、低品質の天然ヒト反復配列を除いた後、残りの34の天然ヒト反復配列を使用して、系統発生分析を行った(
図2および
図3)。結果は、これらの配列が互いに>80%の同一性を共有する4つの群の反復に分けることができたことを示した。以前のT細胞に基づくワクチン開発の経験に基づいて、このマイクロコンセンサスを生成するために使用された天然反復に対して交差反応性T細胞応答を誘発するために、各マイクロコンセンサス配列は互いに>80%の配列同一性を共有する配列に由来するべきである。結果として、4つのRMC配列を生成した。
【0249】
これら4つの群のいずれにも分類されなかったそれらの反復の間で、他の3つの天然反復(R61~63)のみが4つすべての生成された反復マイクロコンセンサス(RMC)配列と<80%の配列同一性を共有した(表1)。表1は、すべての分類されなかった天然MUC16の個々の反復配列(R14、R1、R55、R56、R21、R58、R22、R59、R60、R61、R63、およびR62)のRMC1~4との配列同一性パーセントを示す。太字は、残りの分類されなかった天然反復配列がR61、R62、およびR63(GenBank:AAL65133.2)を除いて、少なくとも1つのRMCと≧80%の同一性パーセントを共有することを示す。
【表1】
【0250】
ワクチン誘導T細胞応答の幅を潜在的に増加させるために、これら3つの反復をMUC16中央タンデム反復ドメイン設計に個々の要素として含めた。天然反復(R1、R14、R55、R56、R21、R58、R22、R59、およびR60)の残りは、少なくとも1つのRMCと≧80%の配列同一性を共有し、4つのRMC配列のうちの少なくとも1つによって網羅されるはずである。
【0251】
要約すると、合成コンセンサス設計アプローチは、中央タンデム反復ドメインを標的とするために使用されなかった。代わりに、ヒト天然反復の大部分に対して交差反応性T細胞を潜在的に誘発するために、複数のヒト天然反復配列に由来する4つのRMC配列を生成した。各RMCは、互いに>80%の配列同一性を共有する反復配列に由来した。すべてが4つすべてのRMC配列と<80%の配列同一性を共有する、天然反復R61、R62、およびR63も、ワクチン誘導T細胞応答の幅を潜在的に増加させるために、MUC16中央タンデム反復ドメイン設計に個々の要素として含められた。
【0252】
実施例2:MUC16カルボキシ末端ドメイン設計戦略
天然ヒトMUC16のカルボキシ末端ドメインは、長さが284個のアミノ酸であり、細胞外外部ドメイン(extracellular ectodomain)、膜貫通ドメイン、および短い細胞質側末端からなる。中央タンデム反復ドメインと違い、カルボキシ末端ドメインは多くの種の間で十分に保存されている。しかしながら、MUC16の細胞質側末端は、複数の潜在的なS/T/Yリン酸化部位を含有し、シグナル伝達経路(複数可)におけるMUC16の改善を示唆する(
図4)。
図4において、ボックスは潜在的なS/T/Yリン酸化部位を表す。N-およびO-グリコシル化部位は、それぞれ、XおよびOで示される。O’Brien,T.J.et al.Tumour biology:Journal of the International Society for Oncodevelopmental Biology and Medicine 22,348-366(2001)。望ましくない下流シグナル伝達を引き起こすのを阻止するために、細胞質側末端(天然のカルボキシ末端ドメインのアミノ酸254~284)は、MUC16免疫原のいずれにも含まれない。
【0253】
コンセンサスMUC16外部ドメインおよび膜貫通ドメインの生成
細胞質側末端を欠くヒトコンセンサスMUC16カルボキシ末端ドメインは、GenBank(www.ncbi.nlm.nih.gov/genbank/)からの21のMUC16外部ドメインおよび膜貫通ドメイン配列を使用して構築された。これらの配列のGenBank受入番号は、AAL65133.2、XP_004059993.1、XP_014197952.1、XP_003914869.1、XP_007993338.1、XP_011739103.1、XP_011932759.1、XP_011810358.1、XP_015296314.1、XP_010387164.1、XP_008985417.1、XP_010347904.1、XP_012291241.1、XP_011287799.1、XP_003354138.3、XP_014410271.1、XP_015096370.1、XP_011373099.1、XP_011226599.1、XP_008703704.1、およびXP_012496675.1である。
【0254】
コンセンサス配列は、DNASTAR(登録商標)Lasergeneソフトウェアパッケージ(バージョン13.0.0.357)を使用して生成された。MUC16外部ドメインおよび膜貫通ドメイン配列をMegAlignに取り込み、ClustalW多重配列アライメントプログラムを使用してアライメントした。得られたMUC16の外部ドメインおよび膜貫通ドメイン配列は、ヒト天然MUC16の外部ドメインおよび膜貫通ドメインと96.0%~96.4%の同一性を共有すると決定された。
【0255】
MUC16の生物学的機能を無効化するためのカルボキシ末端ドメインへの変異導入の理論的根拠
コンセンサスMUC16外部ドメインおよび膜貫通ドメインを生成した後、3つのアスパラギン(N)のアラニン(A)への変異(N->A)を導入して、得られたコンセンサスMUC16外部ドメインおよび膜貫通ドメインタンパク質の生物学的機能を無効化した。これら3つの変異は、MUC16のカルボキシ末端外部ドメインが、腫瘍発生、腫瘍浸潤、および転移の促進に関係していたため導入された。Rao,T.D.et al.PloS one 10(2015)。Raoらは、Nグリコシル化を無効化するためにMUC16の外部ドメインにこれら3つのN->A変異を導入することにより、ERK1/2およびAKTのリン酸化、ならびにトランスフェクトされた3T3線維芽細胞を移植された無胸腺ヌードマウスにおけるインビボ腫瘍成長が劇的に低減されたことを示した。合成コンセンサスMUC16構築物に3つのN->A変異を導入した後の生物学的機能の無効化は、インビトロまたはインビボで評価されなかった。
【0256】
MUC16カルボキシ末端ドメイン設計の概要
コンセンサスMUC16外部ドメインおよび膜貫通ドメインを生成し、3つの変異(N->A)を導入して、Nグリコシル化を無効化した。(
図5)。修飾されたコンセンサスMUC16外部ドメインおよび膜貫通ドメインは、ヒト天然MUC16の外部ドメインおよび膜貫通ドメインと95.3%の同一性を共有する。表2は、生成されたMUC16外部ドメインおよび膜貫通ドメインのヒト天然MUC16外部ドメインおよび膜貫通ドメインとの配列相同性パーセントを示す。
【表2】
【0257】
実施例3:オフターゲットエピトープを導入する可能性を低減するRMC、天然反復、ならびに合成コンセンサスMUC16外部ドメインおよび膜貫通ドメイン(CTD)を組み立てるための戦略
MUC16設計に含まれる要素には、4つのRMC、3つの天然反復、ならびに合成コンセンサスMUC16外部ドメインおよび膜貫通ドメイン(CTD)が含まれた。最初の設計戦略は、
図6A~6Bに示される要素を組み込むことにより、MUC16免疫原(予備合成MUC16免疫原)を生成することであった。しかしながら、この免疫原におけるRMC1-RMC2、RMC2-RMC3、RMC3-RMC4、RMC4-R61、およびR63合成コンセンサスMUC16外部ドメインおよび膜貫通ドメイン接合部は天然MUC16配列では生じないため、これらの接合部が少なくとも1つの天然MUC16反復接合部と高い配列同一性を共有しない場合、無関係なオフターゲットエピトープが潜在的に導入され得る可能がある。合成免疫原接合部のMUC16の天然反復接合部のすべてとの配列同一性を決定するために、すべての隣接する天然反復の最後の11個のアミノ酸および最初の11個のアミノ酸を、すべての隣接する合成免疫原接合部(RMC1-RMC2、RMC2-RMC3、RMC3-RMC4、RMC4-R61、およびR63合成コンセンサスCTD)の最後の11個のアミノ酸および最初の11個のアミノ酸とアライメントさせた。分析結果は、RMC4-R61合成免疫接合部を除いて(すべての天然反復接合部と最大76.2%の配列同一性を共有したのみであった)、すべての合成免疫原接合部が少なくとも1つの天然反復接合部と>95.2%の配列同一性を共有したことを示した(
図6A)。
【0258】
オフターゲットエピトープがRMC4-R61接合部配列に導入される可能性を低減するために、天然MUC16反復59(R59)を、RMC4とR61(合成コンセンサスIRC+R59免疫原)との間に挿入した(
図6B)。配列分析は、RMC4-R59およびR59-R61接合部が、RMC4-R61接合部と比較して、天然反復接合部と高い同一性を共有した(それぞれ、85.7%および90.9%)ことを示した。さらに、Immune Epitope Database Resource Analysis Resource(//tools.iedb.org/mhci/)を使用したMHCクラスIエピトープ予測は、RMC4-R59およびR59-R61接合部におけるHLA-A*02:01ハロタイプの強い結合体を予測しなかった。
【0259】
2つのプラスミド(一方はRMC1-RMC4免疫原を発現し、もう一方はR61、R62、R63、および合成コンセンサスMUC16 CTD免役原を発現する)を使用すること、予備合成免疫原のRMC4と天然R61との間にフーリン切断部位を付加すること、ならびに一方がRMC1-RMC4免疫原の発現を駆動するプロモーター(hCMV)、そしてもう一方がR61、R62、R63、および合成コンセンサスMUC16 CTD免疫原の発現を駆動するプロモーター(sCMV)を有するデュアルプロモーター発現ベクターを使用することを含む、RMC4-R61接合部の導入を避けるためのさらなる戦略も利用された。結果として、5つの異なる合成コンセンサスMUC16 DNAプラスミドを表3に示すように生成した。合成コンセンサスMUC16免疫原の略図を
図7に示す。
【表3】
【0260】
より高い発現レベルを有するように、上流コザックおよびIgEリーダー配列を4つすべての合成コンセンサスMUC16免疫原のN末端に付加した。Yang,J.S.et al.,The Journal of infectious diseases 184,809-816(2001)。さらに、これらの免疫原をコードするDNA配列のコドン使用をヒト遺伝子のコドンバイアスに適合させた。Andre,S.et al.Journal of virology 72,1497-1503(1998)、Deml,L.et al.Journal of virology 75,10991-11001(2001)。
【0261】
加えて、RNA最適化も行った:非常に高い(>80%)または非常に低い(<30%)GC含有量の領域ならびに内部TATAボックス、カイ部位、およびリボソーム進入部位などのシス作用性配列モチーフは避けられた。Schneider,R.,et al.,Journal of virology 71,4892-4903(1997)、Muthumani,K.et al.Virology 314,134-146(2003)。合成された合成コンセンサスMUC16免疫原を、BamHIおよびXhoI(pGX1435-pGX1438)のいずれか、またはPmeIおよびXhoIもしくはSalIおよびMluI(pGX1439)のいずれかで消化し、Inovioの発現ベクターpGX0001(pGX1435-38)またはInovioのデュアルプロモーター発現ベクターpGX0003(pGX1439)のいずれかにクローニングした。すべての合成コンセンサスMUC16プラスミドに関して、完全長配列決定を行い、その後分析し、2つの分析物が正しいことを確認した。
【0262】
合成コンセンサスMUC16 IRC配列に基づく合成コンセンサスMUC16免疫原の中央タンデム反復領域の代表的な比較モデルを
図8A~8Cに示す。
図8Aは、天然MUC16(GenBank AAL65133.2に基づく)および合成コンセンサスMUC16 IRCの略図である。大きさにおける明確な違いが2つの分子間で存在し、天然配列は合成コンセンサスのバージョンに存在しない追加のドメインを含有する。天然MUC16および合成コンセンサスMUC16 IRCの両方は、一連のウニ精子タンパク質、エンテロキナーゼ、およびアグリン(SEA)様反復ならびに膜貫通ドメインを含有する。合成コンセンサスMUC16 IRCにおいて、反復配列は、中央タンデム反復設計戦略のセクションに記載のマイクロコンセンサス配列プロトコルに基づく。
図8Bに示されるように、比較モデル化は、天然MUC16と合成コンセンサスMUC16 IRC設計との間の大きさの違いを図示する。SEA様反復モジュールは、天然MUC16および合成コンセンサスMUC16 IRCの両方についてモデル化された。天然配列の大きさにより、モデル化は、低解像度のみで行われ、相対的大きさの情報を伝えるために提供された。
図8Cは、cpk形式で示される合成コンセンサスMUC16 IRC反復領域の比較モデルを示す。MUC16の大きなN末端領域ならびにC末端領域は、信頼できる親テンプレートを有する配列を含有せず、そのためそれらはモデル化することができなかった。
【0263】
合成コンセンサスMUC16 IRC+R59のヌクレオチド配列(配列番号1)およびアミノ酸配列(配列番号2)は、それぞれ、表21および表22に表示される。合成コンセンサスMUC16 RMCのヌクレオチド配列(配列番号3)およびアミノ酸配列(配列番号4)は、それぞれ、表23および表24に表示される。合成コンセンサスMUC16 NRCのヌクレオチド配列(配列番号5)およびアミノ酸配列(配列番号6)は、それぞれ、表25および表26に表示される。合成コンセンサスMUC16 IRCのヌクレオチド配列(配列番号7)およびアミノ酸配列(配列番号8)は、それぞれ、表27および表28に表示される。配列番号2、配列番号4、配列番号6、および配列番号8の要素の注釈、ならびに対応するアミノ酸位置は、表4に提供される。
【表4】
【0264】
合成コンセンサスMUC16免疫原と天然配列との間の違いを表5に要約する。中央タンデム反復ドメインの大きさは種間で異なり(ヒト:63反復、アカゲザル:4反復;マウス:15反復)、個々の反復の大きさは種間で大きく異なるため、完全長合成MUC16免疫原配列を種特異的天然配列と正確にアライメントすることは困難である。したがって、中央タンデム反復ドメインに関して、この領域が反復配列の最も保存された領域であるため、合成構築物のウニ精子タンパク質、エンテロキナーゼ、およびアグリン(SEA)ドメイン領域のみを、天然ヒト、マウス、およびアカゲザルSEAドメイン配列と比較した。
【表5】
【0265】
実施例4:プラスミド構築および構造
pGX0001
ベクター骨格pGX0001は、ヒトサイトメガロウイルス最初期プロモーター(hCMVプロモーター)の制御下の2998bpの修飾されたpVAX1発現ベクターである。元のpVAX1は、Thermo Fisher Scientificから得た。pGX0001骨格は、産生目的のカナマイシン耐性遺伝子(KanR)およびプラスミド複製起点(pUC ori)を含む。これらの要素は真核細胞において機能的ではない。修飾された発現ベクターpVAX1(pGX0001)のマップおよび説明は、それぞれ、
図9および表6に示される。
【表6】
【0266】
修飾をpVAX1に導入して、pGX0001を創出した。これらの修飾を表7に列記し、プラスミド増幅ならびに抗原転写および翻訳に関する問題は検出されなかった。pGX0001の配列におけるさらなる変更は、骨格としてpGX0001を使用するプラットホームでのプラスミド産生のいずれにおいても観察されなかった。塩基対2、3、および4は、CMVプロモーターの上流の骨格において、ACTからCTGに変更された。
【表7】
【0267】
pGX0003
ベクター骨格pGX0003は、2つのプロモーター:SV40ポリAシグナルを伴うhCMVプロモーターおよびbGHポリAシグナルを伴うsCMVプロモーターの制御下で挿入のための2つの複数のクローニング部位を有する4596塩基対の真核生物発現プラスミドである。この骨格は、KanRおよびpUC oriも含む。pGX0003のマップおよび説明は、それぞれ、
図10および表8に示される。
【表8】
【0268】
pGX1435
pGX1435は、BamHIおよびXhoI部位において合成コンセンサスMUC16(合成コンセンサスMUC16 IRC+R59)DNA配列をpGX0001にクローニングすることによって作製された。関連するmRNA産生はヒトCMVプロモーター(hCMVプロモーター)によって駆動され、ウシ成長ホルモン3’端ポリ-アデニル化シグナル(bGHポリA)によって終結される。pGX0001骨格は、産生目的のカナマイシン耐性遺伝子(KanR)およびプラスミド複製起点(pUC ori)を含む。これらの要素は真核細胞において機能的ではない。pGX1435および合成コンセンサスMUC16 IRC+R59の略図は
図11に提示され、プラスミドおよび対応する塩基対の要素は、表9に提示される。
【表9】
【0269】
pGX1436
pGX1436は、BamHIおよびXhoI部位において合成マイクロコンセンサスMUC16(合成コンセンサスMUC16 RMC)DNA配列をpGX0001にクローニングすることによって作製された。関連するmRNA産生はヒトCMVプロモーター(hCMVプロモーター)によって駆動され、ウシ成長ホルモン3’端ポリ-アデニル化シグナル(bGHポリA)によって終結される。pGX0001骨格は、産生目的のカナマイシン耐性遺伝子(KanR)およびプラスミド複製起点(pUC ori)を含む。これらの要素は真核細胞において機能的ではない。pGX1436および合成コンセンサスMUC16 RMCの略図は
図12に提示され、プラスミドおよび対応する塩基対の要素は、表10に提示される。
【表10】
【0270】
pGX1437
pGX1437は、BamHIおよびXhoI部位において合成コンセンサスMUC16(合成コンセンサスMUC16 NRC)DNA配列をpGX0001にクローニングすることによって作製された。関連するmRNA産生はヒトCMVプロモーター(hCMVプロモーター)によって駆動され、ウシ成長ホルモン3’端ポリ-アデニル化シグナル(bGHポリA)によって終結される。pGX0001骨格は、産生目的のカナマイシン耐性遺伝子(KanR)およびプラスミド複製起点(pUC ori)を含む。これらの要素は真核細胞において機能的ではない。pGX1437および合成コンセンサスMUC16 NRCの略図は
図13に提示され、プラスミドおよび対応する塩基対の要素は、表11に提示される。
【表11】
【0271】
pGX1438
pGX1438は、BamHIおよびXhoI部位において合成コンセンサスMUC16(合成コンセンサスMUC16 IRC)DNA配列をpGX0001にクローニングすることによって作製された。関連するmRNA産生はヒトCMVプロモーター(hCMVプロモーター)によって駆動され、ウシ成長ホルモン3’端ポリ-アデニル化シグナル(bGHポリA)によって終結される。pGX0001骨格は、産生目的のカナマイシン耐性遺伝子(KanR)およびプラスミド複製起点(pUC ori)を含む。これらの要素は真核細胞において機能的ではない。pGX1438および合成コンセンサスMUC16 IRCの略図は
図14に提示され、プラスミドおよび対応する塩基対の要素は、表12に提示される。
【表12】
【0272】
pGX1439
pGX1439は、SalIおよびMluI部位において合成コンセンサスMUC16 RMC DNA配列を、そしてPmeI およびXhoI部位において合成コンセンサスMUC16 NRC DNA配列をpGX0003にクローニングすることにより作製された。
【0273】
pGX1439は、合成コンセンサスMUC16 RMC関連mRNA産生がヒトCMVプロモーター(hCMVプロモーター)によって駆動され、かつサルウイルス40ポリ-アデニル化シグナル(SV40ポリA)によって終結され、合成コンセンサスMUC16 NRC関連mRNA産生がサルCMVプロモーター(sCMVプロモーター)によって駆動され、かつウシ成長ホルモンポリ-アデニル化シグナル(bGHポリA)によって終結される、デュアルプロモーターDNAプラスミドである。pGX0003骨格は、産生目的のカナマイシン耐性遺伝子(KanR)およびプラスミド複製起点(pUC ori)を含む。これらの要素は真核細胞において機能的ではない。
【0274】
pGX1439ならびに合成コンセンサスMUC16 RMCおよび合成コンセンサスMUC16 NRCの略図は
図15に提示され、プラスミドおよび対応する塩基対の要素は、表13に提示される。
【表13】
【0275】
実施例5:インビトロ抗原発現
pGX1435、pGX1436、pGX1437、pGX1438、およびpGX1439による抗原タンパク質の発現は、ウエスタンブロッティングにより確認された。10%のFBS(ThermoFisher)を含むDMEM培地中に維持されたヒト横紋筋肉腫(RD)細胞(ATCC、CCL-136)を、Turbofectin 8(Origene)を使用して、pGX1435、pGX1436、pGX1437、pGX1438、pGX1439、またはpGX0001(6μg/10cm2皿)でトランスフェクトした。トランスフェクションの48時間後、RIPA細胞溶解緩衝液(ThermoFisher)を使用して細胞を溶解し、細胞溶解物を収集した。総タンパク質濃度を決定するためのBCAアッセイ(ThermoFisher)後、15μgの細胞溶解物を、4~12%のSDS-PAGEゲル(ThermoFisher)で電気穿孔し、抗MUC16モノクローナル抗体(Abcam、クローンEPSISR23-96、ab168360)を使用して検出を行い、次いでECLウエスタンブロット分析システム(GE Amersham)を使用して、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)コンジュゲート抗ウサギIgG(Santa Cruz Biotech #sc-2004)で可視化した。ローディング対照として、抗β-アクチンモノクローナル抗体(Santa Cruz Biotech、クローン、C4)を使用して、アクチン発現についてブロットを再検出した。
【0276】
合成コンセンサスMUC16(約162.5kD)の予想された分子量のタンパク質バンドならびに領域1(約68.2kDa)および領域2(約77.2kDa)のタンパク質バンドが検出された(
図16)。pGX0001レーンにおいて、タンパク質バンドは検出されず、タンパク質バンドが合成コンセンサスMuc16に特異的であったことを示した。類似する強度の抗β-アクチンバンドが検出され、等量のタンパク質が各レーンにローディングされたことを示す。pGX1435およびpGX1438は、そのそれぞれの抗原タンパク質を発現することが分かり、pGX1436、pGX1437、およびpGX1439がそれらのそれぞれの抗原タンパク質領域を発現することが分かった。
【0277】
実施例6:合成コンセンサスメソテリンワクチン構築物の免疫原性
動物および免疫化
雌の8週齢のCB6F1マウスをJackson Laboratoriesから購入した。すべての動物を、BTS Research(San Diego,CA)の温度制御された光サイクル施設に収容した。動物のケアは、National Institutes of Health and the Animal Care and Use Proposal(ACUP)(BTS ACUP #15-091)のガイドラインに従って行われた。表14に詳述されるように、マウスを16の群に分けた。
【表14】
【0278】
SOP R20-003147 CELLECTRA(登録商標)3P Mouse Treatmentに従い、免疫化群のマウスに、示される用量のpGX0001またはpGX1435、pGX1436、pGX1437、pGX1438、pGX1439をワクチン接種した。簡潔に、示される用量が筋肉内注射により30μLの注射量で前脛骨筋に送達されるように、プラスミドを減菌注射用水(VetOne)用に製剤化した。各筋肉内注射の直後に、3Pアレイを備えるCELLECTRA(登録商標)2000 Adaptive Constant Current Electroporation Device(Inovio Pharmaceuticals)を使用する電気穿孔(EP)が続いた。装置は、52msパルス幅の2つの0.1Ampパルスを1秒遅れの間隔で送達するように構成された。マウスおよび群の数が多いため、各群のマウスの半分は3週間隔で3回の免疫化を受けた。最後の免疫化の1週間後にこれらのマウスを屠殺し、細胞免疫の読み取りのために脾臓を採取した。各群のマウスのもう半分が3週間隔で3回の免疫化を受けた。最後の免疫化の1週間後にマウスを屠殺し、細胞免疫の読み取りのために脾臓を採取した。他の組織は収集されなかった。
【0279】
脾臓リンパ球の単離
脾細胞を無菌で単離し、5mLのR10培地(10%のウシ胎仔血清および1%の抗生物質-抗真菌薬で補充されたRosewell Park Memorial Institute medium 1640)に入れた。Stomacher機器(Seward Laboratory Systems Inc.)を使用して脾臓を機械的に破砕することにより脾細胞を単離し、40-μmセルストレーナー(BD Falcon)を使用して、得られた産物を濾過した。得られた産物を遠心分離し、RBCの溶解のためにペレットをACK溶解緩衝液(Lonza)で5分間処理した。次いで、脾細胞を遠心分離し、PBSで洗浄し、その後R10培地に再懸濁し、さらなる分析のために直ちに使用した。
【0280】
IFNγ ELISpot
MabTech(MabTech、#3321-4APW-10)からのキットを使用してマウス IFNγ ELISpotアッセイを行い、抗原特異的細胞応答を評価した。抗マウスIFNγ抗体(mAb AN18)で予めコーティングされた96ウェルプレートをPBS中で洗浄し、R10培地で室温で2時間遮断し、その後2×105細胞/ウェルの投入細胞数で(3つ組で)蒔いた。ペプチドのセットを合成し(GenScript)、それぞれ、各構築物の全合成コンセンサスMUC16タンパク質配列を表す、11個のアミノ酸が重複する15のアミノ酸残基を含有する。ペプチドのこれらのセットをDMSO(Sigma)に再懸濁し、約2μg/mlのペプチドの濃度で6つのペプチドプールにプールした。ペプチドプールは、
図17に提供される略図に示される合成コンセンサスMUC16抗原タンパク質に対応するペプチドを含有した。5μg/mlのコンカバリンA(Sigma)を陽性対照として使用し、完全培養培地を陰性対照として使用した。プレートを、5%のCO2雰囲気のインキュベータ中で、37℃で18時間インキュベートした。次いで、ビオチン化抗マウスIFNγ検出抗体(MabTech、mAb R4-6A2)を添加し、プレートを室温で2時間インキュベートした。プレートを洗浄し、ストレプトアビジン-ALP抗体(MabTech)を添加し、プレートを室温で1時間インキュベートした。キット製造業者の指示(MabTech)に従い、BCIP/NBT基質を使用してスポット検出を完了した。プレート上のスポットは、自動ELISPOTリーダー(Cellular Technology)を使用して計数した。スポット形成単位(Spot Forming Units)(SFU)の平均数は、データ表示のために1×106脾細胞に調整された。
【0281】
IFNγ ELISpotによる抗原特異的応答は、培地のみの対照のSFUよりも大きい1×106脾細胞あたりのIFNγスポット形成単位(SFU)の数として報告される。
【0282】
合成コンセンサスMUC16構築物の免疫原性を、IFNγ ELISpot およびフローサイトメトリー(n=8/群)により、3つの投与量(10μg、30μg、および50μg)で評価した。マウスを、陰性対照として空のプラスミド骨格(pGX0001)で免疫化した(n=4/群)。合成コンセンサスMUC16完全長構築物(pGX1435、pGX1438、およびpGX1439)でのワクチン接種は、陰性対照ワクチン接種されたマウスと比較して、非常に頑強な細胞免疫応答を誘導した。
【0283】
ELISpotにより決定される、pGX1435により誘導された合成コンセンサスMUC16に対するIFNγ産生の規模は用量依存的であった(
図18A)。具体的には、合成コンセンサスMUC16 pGX1435 IFNγ SFUは、10μg、30μg、および50μgの投与量において、それぞれ、1564±661、3858±2767、および5407±1959であった。pGX1435により誘導された合成コンセンサスMUC16 IFNγ応答は、pGX1435の10μg(p=0.002)、30μg(p=0.028)、および50μg(p=0.001)の用量で、ナイーブよりも有意に大きかった。pGX1435により誘導された独特のR59(ペプチドプール6)エピトープに対する検出可能な応答も
図18Dに示される。
【0284】
ELISpotにより決定される、pGX1438構築物により誘導された合成コンセンサスMUC16特異的IFNγ産生の規模は用量依存的ではなく、より低い用量はより頑強な応答を示す(
図18B)。具体的には、合成コンセンサスMUC16 pGX1438 IFNγ SFUは、10μg、30μg、および50μgの投与量において、それぞれ、5628±3144、7668±3371、および6005±3472であった。pGX1438により誘導された合成コンセンサスMUC16 IFNγ応答は、pGX1435の10μg(p=0.008)、30μg(p=0.002)、および50μg(p=0.009)の投与量で、ナイーブよりも有意に大きかった。
【0285】
ELISpotにより決定される、pGX1439構築物により誘導された合成コンセンサスMUC16特異的IFNγ産生の規模も用量依存的ではなく、より低い用量はより頑強な応答を示す(
図18C)。具体的には、pGX1439合成コンセンサスMUC16 IFNγ SFUは、10μg、30μg、および50μgの投与量において、それぞれ、3180±1377、6138±2696、および4862±2069であった。合成コンセンサスMUC16 pGX1439 IFNγ応答は、pGX1435の10μg(p=0.002)、30μg(p=0.002)、および50μg(p=0.002)の投与量で、ナイーブよりも有意に大きかった。
【0286】
完全長構築物のIFNγ応答を表15に要約する。
【表15】
【0287】
合成コンセンサスMUC16部分長構築物(pGX1436およびpGX1437)でのワクチン接種も、陰性対照ワクチン接種されたマウスと比較して、非常に頑強な細胞免疫応答を誘導した。
【0288】
ELISpotにより決定される、pGX1436構築物により誘導された領域1に対する合成コンセンサスMUC16特異的IFNγ産生の規模は用量依存的であった(
図19A)。具体的には、pGX1436により誘導された合成コンセンサスMUC16特異的IFNγ SFUは、10μg、30μg、および50μgの投与量において、それぞれ、3609±1377、4711±2365、および5565±3496であった。pGX1436により誘発された合成コンセンサスMUC16 IFNγ応答は、pGX1436の10μg(p=0.001)、30μg(p=0.004)、および50μg(p=0.014)の投与量で、ナイーブよりも有意に大きかった。すべてのMUC16構築物により誘導された領域1に対するIFNγ応答を比較した場合、pGX1435誘導応答はpGX1438よりも有意に低い(
図19B)。
【0289】
ELISpotにより決定される、pGX1437構築物により誘導された領域2に対する合成コンセンサスMUC16特異的IFNγ産生の規模も用量依存的であった(
図19C)。具体的には、合成コンセンサスMUC16 pGX1437 IFNγ SFUは、10μg、30μg、および50μgの投与量において、それぞれ、835±428、1893±1291、および2399±1245であった。合成コンセンサスMUC16 pGX1437 IFNγ応答は、pGX1437の10μg(p=0.005)、30μg(p=0.022)、および50μg(p=0.005)の投与量で、ナイーブよりも有意に大きかった。pGX1438での領域2に対するIFNγ産生がより頑強である傾向があった(
図19D)。
【0290】
部分長構築物のIFNγ応答を表16に要約する。
【表16】
【0291】
フローサイトメトリー
合成コンセンサスMUC16により誘導された細胞性免疫応答は、フローサイトメトリーによりさらに特徴付けされた。ワクチン接種されたおよびナイーブマウスからの2x106脾細胞を、単離後に、ブレフェルディンA(BD Biosciences)、モネンシン(BD Biosciences)、およびFITC抗マウスCD107a抗体(BD Biosciences)の存在下で6時間、合成コンセンサスMUC16ペプチドで直ちに刺激した。ペプチドでの刺激後、脾細胞を沈降させ、20μL/ウェルのマウスBD Fc Block(BD Biosciences)溶液に再懸濁した。PBS中1:40の初期希釈でFc Blockを使用し、4℃で5分間インキュベートした。
【0292】
インキュベーション後、残りの細胞外抗体(PBS中)を30μL/ウェルで添加し、4℃で30分間インキュベートした。細胞外株の添加により、1:100の最終希釈でのFc Blockおよびそれらの適切な作業希釈での細胞外抗体からなる、各ウェルの最終容積は50μLである。次いで、細胞を、生存率染色(viability dye)(Vivid,Thermo-Fisher)および以下の細胞外抗体:PerCP-Cy5.5抗マウスCD4(BD Biosciences、クローンRM4-5)およびAPC抗マウスCD8a(BD Biosciences、クローン63-6,7)で染色した。その後、細胞内サイトカインを以下の抗体:BV605抗マウスIFNγ、APC-R700抗マウスIL-2、およびPE抗マウスTNF-α(BD Biosciences)で染色した。細胞を固定し、4℃で20分間透過処理した(BD Biosciences、#554714)。細胞内染色を、その後、以下の抗体:APC-Cy7抗マウスCD3e(BD Biosciences、クローン145-2C11)、BV605抗マウスIFNγ(BD Biosciences、クローンXMG1.2)、APC-R700抗マウスIL-2(BD Biosciences、クローンJEs6-5H4)、およびPE抗マウスTNF-α(BD Biosciences、クローンMP6-XT22)で完了した。
【0293】
10色FACS CANTO(BD Biosciences)でICSデータを収集し、FlowJoソフトウェアを使用して分析を完了した。フローサイトメトリーゲーティング戦略を
図20に示す。フローサイトメトリーにより抗原特異的と呼ばれる細胞に関して、報告されたパラメータの頻度は、培地のみの対照の頻度を超えなければならない。抗原特異的CD107aを産生すると同定される細胞に関して、細胞は、ブーリアンゲーティングにより同定される、IFNγおよび/またはIL-2および/またはTNFαの抗原特異的産生にも陽性であると同定されなければならない。
【0294】
合成コンセンサスMUC16完全長構築物は、CD4
+T細胞コンパートメントにおいて強い応答を誘発し、pGX1438が最も頑強であった(
図21A~21C)。合成コンセンサスMUC16は、pGX1435、pGX1438、およびpGX1439の10μg、30μg、および50μg用量レベル群において、ナイーブ(0.29%±0.23%)よりも有意により頑強な抗原特異的CD4
+T細胞応答頻度を誘発した(
図21A~21C)。
【0295】
合成コンセンサスMUC16 pGX1435構築物特異的CD4
+T細胞の規模は、用量依存的であった(
図21A)。具体的には、合成コンセンサスMUC16 pGX1435 CD4
+T細胞は、10μg、30μg、および50μgの投与量において、それぞれ、1.34%±0.45%、2.27%±1.38%、および3.12%±1.45%であった。合成コンセンサスMUC16 pGX1435 CD4
+T細胞は、pGX1435の10μg(p<0.001)、30μg(p=0.020)、および50μg(p=0.004)の投与量で、ナイーブよりも有意に大きかった。合成コンセンサスMUC16 pGX1435特異的CD4
+T細胞応答は、主にIFNγ
+IL-2
+TNFα
+、IFNγ
+IL-2
-TNFα
+、またはIFNγ
+IL-2
-TNFα
-産生CD4
+T細胞からなった。
【0296】
合成コンセンサスMUC16 pGX1438構築物特異的CD4+T細胞の規模も、用量依存的であった(
図21B)。具体的には、合成コンセンサスMUC16 pGX1438 CD4
+T細胞は、10μg、30μg、および50μgの投与量において、それぞれ、3.12%±1.19%、3.73%±1.48%、および4.06%±1.87%であった。合成コンセンサスMUC16 pGX1438 CD4
+T細胞は、pGX1438の10μg(p=0.001)、30μg(p=0.001)、および50μg(p=0.003)の投与量で、ナイーブよりも有意に大きかった。合成コンセンサスMUC16 pGX1438特異的CD4
+T細胞応答は、主にIFNγ+IL-2+TNFα+、IFNγ+IL-2-TNFα+、またはIFNγ
+IL
-2-TNFα
-産生CD4
+T細胞からなった。
【0297】
合成コンセンサスMUC16 pGX1439構築物特異的CD4
+T細胞の規模は、用量依存的であった(
図21C)。具体的には、合成コンセンサスMUC16 pGX1439 CD4
+T細胞は、10μg、30μg、および50μgの投与量において、それぞれ、1.99%±0.99%、2.71%±0.51%、および3.25%±1.29%であった。合成コンセンサスMUC16 pGX1439 CD4+T細胞は、pGX1439の10μg(p=0.007)、30μg(p<0.001)、および50μg(p=0.001)の投与量で、ナイーブよりも有意に大きかった。合成コンセンサスMUC16 pGX1439特異的CD4
+T細胞応答は、主にIFNγ+IL-2+TNFα+、IFNγ+IL-2-TNFα+、またはIFNγ
+IL-2
-TNFα
-産生CD4+T細胞からなった。抗原特異的CD4
+T細胞の頻度は、表17にさらに詳述される。
【0298】
合成コンセンサスMUC16完全長構築物のすべての投与量が、ナイーブ(0.08%±0.04%)よりも大きいCD4+CD107a+T細胞の頻度を誘導したが、すべての用量でのpGX1438構築物のみが 有意により頑強であった。
【0299】
具体的には、pGX1435抗原特異的CD4
+CD107a
+T細胞の頻度は、10μg(p=0.011)、30μg(p=0.297)、および50μg(p=0.008)の投与量群において、それぞれ、0.27%±0.14%、0.32%±0.37%、および0.64%±0.34%であった(
図21A)。pGX1435特異的CD4
+CD107a
+T細胞のサイトカインプロファイルは、投与量群にわたって類似し、主にIFNγ
+IL-2
+TNFα
+およびIFNγ
+IL-2
-TNFα
+細胞で構成された(
図22A)。
【0300】
pGX1438抗原特異的CD4+CD107a+T細胞の頻度は、10μg(p=0.004)、30μg(p=0.029)、および50μg(p=0.004)の投与量群において、それぞれ、0.40%±0.18%、0.54%±0.36%、および0.53%±0.25%であった(
図21B)。pGX1438特異的CD4
+CD107a
+T細胞のサイトカインプロファイルは、投与量群にわたって類似し、主にIFNγ
+IL-2
+TNFα
+およびIFNγ
+IL-2
-TNFα
+細胞で構成された(
図22B)。
【0301】
pGX1439抗原特異的CD4+CD107a+T細胞の頻度は、10μg(p=0.069)、30μg(p=0.008)、および50μg(p=0.006)の投与量群において、それぞれ、0.26%±0.18%、0.36%±0.18%、および0.50%±0.25%であった(
図22C)。pGX1439特異的CD4
+CD107a
+T細胞のサイトカインプロファイルは、投与量群にわたって類似し、主にIFNγ
+IL-2
+TNFα
+およびIFNγ
+IL-2
-TNFα
+細胞で構成された(
図22C)。細胞溶解能力を有する抗原特異的CD4
+T細胞の頻度は、表17にさらに詳述される。
【表17】
【0302】
合成コンセンサスMUC16完全長構築物により誘導された抗原特異的CD8
+T細胞の頻度は、すべての構築物の全投与量群において対照(0.13%±0.15%)より増加した(
図23A~23C)。具体的には、pGX1435の10μg(0.65%±0.28%、p=0.007)、30μg(0.82%±0.46%、p=0.022)、および50μg(1.60±1.08%、p=0.034)で免疫化された群における抗原特異的CD8
+T応答の頻度は、ナイーブと比較して有意により頑強であった。合成コンセンサスMUC16 pGX1435特異的CD8
+T細胞応答は用量依存的であり、主にIFNγ
+IL-2
-TNFα
-およびIFNγ
+IL-2
-TNFα
+産生CD8
+T細胞からなった(
図23A)。
【0303】
pGX1438の10μg(1.30%±0.79%、p=0.024)、30μg(1.33%±0.87%、p=0.034)、および50μg(1.36%±0.71%、p=0.010)で免疫化された群における抗原特異的CD8
+T応答の頻度も、ナイーブと比較して有意により頑強であった。合成コンセンサスMUC16 pGX1438特異的CD8
+T細胞応答は用量依存的ではなく、用量間でほとんど差がなく、主にIFNγ
+IL-2
-TNFα
-およびIFNγ
+IL-2
-TNFα
+産生CD8
+T細胞からなった(
図23B)。
【0304】
pGX1439の10μg(1.36%±0.62%、p=0.004)、30μg(2.07%±1.77%、p=0.089)、および50μg(1.19%±0.69%、p=0.020)で免疫化された群における抗原特異的CD8
+T応答の頻度は、ナイーブと比較してより頑強であった。合成コンセンサスMUC16 pGX1439特異的CD8
+T細胞応答は用量依存的ではなく、主にIFNγ
+IL-2
-TNFα
-およびIFNγ
+IL-2
-TNFα
+産生CD8
+T細胞からなった(
図23C)。抗原特異的CD8
+T細胞の頻度は、表18にさらに詳述される。
【0305】
抗原特異的CD8
+T細胞のパターンと類似して、合成コンセンサスMUC16完全長構築物は、ナイーブ(0.05%±0.04%)と比較して、すべての群の間でCD8
+CD107a
+T細胞の頻度において有意な変化を誘導したが、30μgの投与量でのpGX1439は例外であった(
図24A~24C)。具体的には、抗原特異的CD8
+CD107a
+T細胞の頻度は、pGX1435の10μg(p=0.005)、30μg(p=0.013)、および50μg(p=0.043)の投与量群において、それぞれ、0.47±0.23%、0.59±0.34%、および1.19±0.90%であった(
図24A)。pGX1435特異的CD8
+CD107a
+T細胞のサイトカインプロファイルは、投与量群にわたって類似し、大部分はIFNγ
+IL-2
-TNFα
-およびIFNγ
+IL-2
-TNFα
+細胞で構成された(
図23A)。
【0306】
抗原特異的CD8
+CD107a
+T細胞の頻度は、pGX1438の10μg(p=0.016)、30μg(p=0.039)、および50μg(p=0.016)の投与量群において、それぞれ、0.80%±0.48%、1.05%±0.77%、および1.05%±0.65%であった(
図23B)。pGX1438特異的CD8
+CD107a
+T細胞のサイトカインプロファイルは、投与量群にわたって類似し、大部分は、IFNγ
+IL-2
-TNFα
-およびIFNγ
+IL-2
-TNFα
+細胞で構成された(
図24B)。
【0307】
抗原特異的CD8
+CD107a
+T細胞の頻度は、pGX1439の10μg(p=0.018)、30μg(p=0.094)、および50μg(p=0.038)の投与量群において、それぞれ、1.04%±0.65%、1.68%±1.54%、および0.93%±0.68%であった(
図23C)。pGX1439特異的CD8
+CD107a
+T細胞のサイトカインプロファイルは、投与量群にわたって類似し、大部分はIFNγ
+IL-2
-TNFα
-およびIFNγ
+IL-2
-TNFα
+細胞で構成された(
図24C)。細胞溶解能力を有する抗原特異的CD8
+T細胞の頻度は、表18にさらに詳述される。
【表18】
【0308】
合成コンセンサスMUC16部分長構築物は、CD4
+T細胞コンパートメントにおいて強い応答を誘発した(
図25A~25Bおよび
図26A~26B)。合成コンセンサスMUC16 pGX1436構築物特異的CD4
+T細胞の規模は、用量依存的ではなかった(
図25A)。具体的には、合成コンセンサスMUC16 pGX1436 CD4
+T細胞は、10μg、30μg、および50μgの投与量において、それぞれ、1.74%±0.79%、2.18%±1.15%、および1.32%±1.74%であった。合成コンセンサスMUC16 pGX1436 CD4
+T細胞は、pGX1436の10μg(p=0.003)および30μg(p=0.007)の投与量で、ナイーブ(0.17%±0.10%)よりも有意に大きかったが、50μg(p=0.359)の投与量ではそうではなかった。合成コンセンサスMUC16 pGX1436特異的CD4
+T細胞応答は、主にIFNγ
+IL-2
+TNFα
+、IFNγ
+IL-2
-TNFα
+、またはIFNγ
+IL-2
-TNFα
-産生CD4
+T細胞からなった。pGX1436抗原特異的CD4
+CD107a
+T細胞の頻度は、10μg(p=0.020)、30μg(p=0.080)、および50μg(p=0.369)の投与量群において、それぞれ、0.45%±0.28%、0.31%±0.26%、および0.23%±0.30%であった(
図25B)。pGX1436特異的CD4
+CD107a
+T細胞のサイトカインプロファイルは、投与量群にわたって類似し、主にIFNγ
+IL-2
+TNFα
+およびIFNγ
+IL-2
-TNFα
+細胞で構成された(
図25B)。細胞溶解能力を有する抗原特異的CD4
+T細胞の頻度は、表19にさらに詳述される。
【0309】
合成コンセンサスMUC16 pGX1437構築物特異的CD4
+T細胞の規模は、用量依存的であった(
図26A)。具体的には、合成コンセンサスMUC16 pGX1437 CD4+T細胞は、10μg、30μg、および50μgの投与量において、それぞれ、0.56%±0.38%、1.14%±0.36%、および1.87%±1.05%であった。合成コンセンサスMUC16 pGX1437 CD4+T細胞は、pGX1437の30μg(p<0.001)および50μg(p=0.011)で、ナイーブ(0.21%±0.14%)よりも有意に大きかったが、10μg(p=0.063)の投与量ではそうではなかった。合成コンセンサスMUC16 pGX1437特異的CD4+T細胞応答は、主にIFNγ
+IL-2
+TNFα
+、IFNγ
+IL-2
-TNFα
+、またはIFNγ
-IL-2
-TNFα
+産生CD4
+T細胞からなった。pGX1437抗原特異的CD4
+CD107a
+T細胞の頻度は、10μg(p=0.335)、30μg(p<0.001)、および50μg(p=0.016)の投与量群において、それぞれ、0.09%±0.09%、0.21%±0.05%、および0.36%±0.21%であった(
図26B)。pGX1437特異的CD4
+CD107a
+T細胞のサイトカインプロファイルは、投与量群にわたって類似し、主にIFNγ
+IL-2
+TNFα
+およびIFNγ
+IL-2
-TNFα
+細胞で構成された(
図26B)。細胞溶解能力を有する抗原特異的CD4
+T細胞の頻度は、表19にさらに詳述される。
【表19】
【0310】
合成コンセンサスMUC16部分長構築物は、CD8
+T細胞コンパートメントにおいて頑強な応答を誘発した(
図27A~27B及び
図28A~28B)。合成コンセンサスMUC16 pGX1436構築物特異的CD8
+T細胞の規模は、用量依存的ではなかった(
図27A)。具体的には、合成コンセンサスMUC16 pGX1436 CD8
+T細胞は、10μg、30μg、および50μgの投与量において、それぞれ、1.76%±0.73%、2.17%±0.81%、および1.92%±2.13%であった。合成コンセンサスMUC16 pGX1436 CD8
+T細胞は、pGX1436の10μg(p=0.002)および30μg(p=0.001)で、ナイーブ(0.06%±0.08%)よりも有意に大きかったが、50μg(p=0.192)の投与量ではそうではなかった。合成コンセンサスMUC16 pGX1436特異的CD8
+T細胞応答は、主にIFNγ
+IL-2
-TNFα
-またはIFNγ
+IL-2
-TNFα
+産生CD8+ T細胞からなった。pGX1436抗原特異的CD8
+CD107a
+ T細胞の頻度は、10μg(p=0.001)、30μg(p=0.001)、および50μg(p=0.193)の投与量群において、それぞれ、1.55%±0.64%、1.86%±0.73%、および1.72%±1.95%であった(
図26B)。pGX1436特異的CD8
+CD107a
+T細胞のサイトカインプロファイルは、投与量群にわたって類似し、主にIFNγ
+IL-2
-TNFα
-およびIFNγ
+IL-2
-TNFα
+細胞で構成された(
図27B)。全体的に、pGX1435により誘導された領域1に対するCD8
+ T細胞応答は、pGX1436よりも有意に低かった(
図29A)。細胞溶解能力を有する抗原特異的CD8
+T細胞の頻度は、表20にさらに詳述される。
【0311】
合成コンセンサスMUC16 pGX1437構築物特異的CD8
+T細胞の規模は、用量依存的であった(
図28A)。具体的には、合成コンセンサスMUC16 pGX1437 CD8
+T細胞は、10μg、30μg、および50μgの投与量において、それぞれ、0.26%±0.14%、0.77%±0.47%、および0.89%±0.37%であった。合成コンセンサスMUC16 pGX1437 CD8
+T細胞は、pGX1437の30μg(p=0.025)および50μg(p=0.001)で、ナイーブ(0.07%±0.07%)よりも有意に大きかったが、10μg(p=0.069)の投与量ではそうではなかった。合成コンセンサスMUC16 pGX1437特異的CD8
+ T細胞応答は、主にIFNγ
+IL-2
-TNFα
+またはIFNγ
+IL-2
-TNFα
-産生CD8
+ T細胞からなった。pGX1437抗原特異的CD8
+CD107a
+T細胞の頻度は、10μg(p=0.022)、30μg(p=0.030)、および50μg(p=0.002)の投与量群において、それぞれ、0.16%±0.10%、0.58%±0.40%、および0.89%±0.37%であった(
図28B)。pGX1437特異的CD8
+CD107a
+T細胞のサイトカインプロファイルは、投与量群にわたって類似し、主にIFNγ
+IL-2
-TNFα
-およびIFNγ
+IL-2
-TNFα
+細胞で構成された(
図28B)。全体的に、pGX1435およびpGX1438により誘導された領域2に対するCD8
+T細胞応答は、pGX1437よりも有意に低かった(
図29B)。細胞溶解能力を有する抗原特異的CD8
+T細胞の頻度は、表20にさらに詳述される。
【表20】
【0312】
統計分析
IBM SPSS Statistics 22(IBM Corporation)を使用して統計分析を完了した。多重比較を調整するためにTukeyの事後Honest Significant Difference(HSD)とともにANOVAを使用して、群間の分析を行った。等分散性は多重比較の前にF統計を使用して確認された。すべての統計分析に関して、0.050のp値が有意であるとみなされた。
【0313】
結論
全体的に、完全長MUC16構築物pGX1438(フーリン切断)およびpGX1439(デュアルプロモーター)は、pGX1435(融合)と比較して、より頑強な免疫応答を誘導した(
図30A~C)。pGX1435と比較して、pGX1438は、10μgおよび30μgの投与量で、IFNγ ELISpotにより有意により頑強な応答を誘導した。また、CD4
+ T細胞コンパートメントにおいて、pGX1438は、10μgの投与量でのpGX1435と比較して、有意により頑強な応答を誘発した。3つの完全長MUC16構築物により誘導された応答の規模において、有意な差は他になかったが、pGX1438およびpGX1439により誘導されたCD8
+ T細胞応答がより頑強である傾向があった。
【0314】
さらに、pGX1438およびpGX1439は、IFNγ ELISpotにより決定されるように、およびCD4+T細胞コンパートメントにおいて、pGX1436に等しい領域1に対する応答を誘導し、pGX1437に等しい領域2に対する応答を誘導した。pGX1439のみがCD8+ T細胞コンパートメントにおいてpGX1437に等しい応答を誘導した。
【0315】
前述の詳細な説明および付随する実施例は一例にすぎず、添付の特許請求の範囲およびそれらの等価物によってのみ定義される本発明の範囲に対する制限であると解釈されないことが理解される。
【0316】
本開示の実施形態に対する様々な変更および修正は、当業者には明らかであろう。限定されないが、本発明の化学構造、置換基、誘導体、中間体、合成物、組成物、製剤、または使用方法に関連するものを含む、本開示の実施形態に対するそのような変更および修正は、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく行うことができる。
【表21-1】
【表21-2】
【表22】
【表23】
【表24】
【表25】
【表26】
【表27-1】
【表27-2】
【表28】