(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024023363
(43)【公開日】2024-02-21
(54)【発明の名称】吹き出し生成プログラムおよびビデオゲーム処理システム
(51)【国際特許分類】
A63F 13/53 20140101AFI20240214BHJP
A63F 13/35 20140101ALI20240214BHJP
G06T 13/80 20110101ALI20240214BHJP
【FI】
A63F13/53
A63F13/35
G06T13/80 B
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023197776
(22)【出願日】2023-11-22
(62)【分割の表示】P 2022162585の分割
【原出願日】2020-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】308033283
【氏名又は名称】株式会社スクウェア・エニックス
(74)【代理人】
【識別番号】100155402
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 真
(72)【発明者】
【氏名】坂田 新平
(57)【要約】
【課題】ビデオゲームに対するプレイヤの興味を向上させる。
【解決手段】吹き出し生成プログラムが、ビデオゲームの進行を制御するサーバに、1以
上の計算式を特定する計算式特定機能と、計算式で規定される外観を有する吹き出しを生
成する吹き出し生成機能とを実現させる。計算式は変数を有してもよく、吹き出し生成機
能は、変数の値の変化に応じて外観が変化する吹き出しを生成する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビデオゲームの進行を制御するサーバに、
1以上の計算式を特定する計算式特定機能と、
前記計算式で規定される外観を有する吹き出しを生成する吹き出し生成機能とを
実現させるための吹き出し生成プログラム。
【請求項2】
前記計算式特定機能では、変数を有する1以上の計算式を特定する機能を実現させ、
前記吹き出し生成機能では、前記変数の値の変化に応じて外観が変化する前記吹き出しを生成する機能を
実現させるための請求項1に記載の吹き出し生成プログラム。
【請求項3】
前記サーバに、前記吹き出しをゲーム画面に表示させる吹き出し表示機能を
実現させるための請求項1または請求項2に記載の吹き出し生成プログラム。
【請求項4】
前記計算式特定機能では、前記吹き出しと組み合わされる台詞の内容を示す数値に基づいて1以上の計算式を特定する機能を
実現させるための請求項1から3のうちいずれか一項に記載の吹き出し生成プログラム。
【請求項5】
前記計算式特定機能では、前記吹き出しと組み合わされる台詞の文字数に基づいて1以上の計算式を特定する機能を
実現させるための請求項1から4のうちいずれか一項に記載の吹き出し生成プログラム。
【請求項6】
前記計算式特定機能では、前記吹き出しと組み合わされる台詞に相当する音声データの音量または音質に基づいて1以上の計算式を特定する機能を
実現させるための請求項1から5のうちいずれか一項に記載の吹き出し生成プログラム。
【請求項7】
通信ネットワークと、サーバと、ユーザ端末とを備え、ビデオゲームの進行を制御するビデオゲーム処理システムであって、
1以上の計算式を特定する計算式特定手段と、
前記計算式で規定される外観を有する吹き出しを生成する吹き出し生成手段とを含む、
ビデオゲーム処理システム。
【請求項8】
ユーザ端末に、
1以上の計算式を特定する計算式特定機能と、
前記計算式で規定される外観を有する吹き出しを生成する吹き出し生成機能とを
実現させるための吹き出し生成プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態の少なくとも1つは、吹き出し生成プログラムおよびビデオゲーム処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ビデオゲームのゲーム画面に吹き出しが表示されることがある。一般的に、基本的な形状を有する吹き出しの画像データがアセット(素材)として予め用意される。
【0003】
特許文献1には、コンタクト情報を吹き出し画像と共に表示するコンピュータプログラムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ゲームのプレイヤはゲーム画面に表示された吹き出しを視覚によって認識する。そのため、コンピュータ装置が、より演出効果の高い外観を有する吹き出しをゲーム画面に表示させることができれば、ビデオゲームに対するプレイヤの興味が向上する。
【0006】
本発明の少なくとも1つの実施形態の目的は、上記課題を解決し、ビデオゲームに対するプレイヤの興味を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
非限定的な観点によると、本発明の一実施形態に係る吹き出し生成プログラムは、ビデオゲームの進行を制御するサーバに、1以上の計算式を特定する計算式特定機能と、前記計算式で規定される外観を有する吹き出しを生成する吹き出し生成機能とを実現させるためのものである。
【0008】
非限定的な観点によると、本発明の一実施形態に係るビデオゲーム処理システムは、通信ネットワークと、サーバと、ユーザ端末とを備え、ビデオゲームの進行を制御するビデオゲーム処理システムであって、1以上の計算式を特定する計算式特定手段と、前記計算式で規定される外観を有する吹き出しを生成する吹き出し生成手段とを含むものである。
【0009】
非限定的な観点によると、本発明の一実施形態に係る吹き出し生成プログラムは、ユーザ端末に、1以上の計算式を特定する計算式特定機能と、前記計算式で規定される外観を有する吹き出しを生成する吹き出し生成機能とを実現させるためのものである。
【発明の効果】
【0010】
本願の各実施形態により1または2以上の不足が解決される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態の少なくとも一つに対応するビデオゲーム処理システムの構成の例を示すブロック図である。
【
図2】本発明の実施形態の少なくとも一つに対応するサーバの構成を示すブロック図である。
【
図3】本発明の実施形態の少なくとも一つに対応する吹き出し生成処理の例を示すフローチャートである。
【
図4】本発明の実施形態の少なくとも一つに対応するサーバの構成を示すブロック図である。
【
図5】本発明の実施形態の少なくとも一つに対応する吹き出し生成処理の例を示すフローチャートである。
【
図6】本発明の実施形態の少なくとも一つに対応するサーバの構成を示すブロック図である。
【
図7】本発明の実施形態の少なくとも一つに対応するゲーム処理の例を示すシーケンス図である。
【
図8】本発明の実施形態の少なくとも一つに対応するビデオゲーム処理システムの構成の例を示すブロック図である。
【
図9】本発明の実施形態の少なくとも一つに対応する吹き出し生成処理の例を示すフローチャートである。
【
図10】本発明の実施形態の少なくとも一つに対応するユーザ端末の構成を示すブロック図である。
【
図11】本発明の実施形態の少なくとも一つに対応する吹き出し生成処理の例を示すフローチャートである。
【
図12】本発明の実施形態の少なくとも一つに対応するサーバの構成を示すブロック図である。
【
図13】本発明の実施形態の少なくとも一つに対応する吹き出し生成処理の例を示すフローチャートである。
【
図14】本発明の実施形態の少なくとも一つに対応する、計算式で規定される外観を有する吹き出しの例を示す図である。
【
図15】本発明の実施形態の少なくとも一つに対応する、計算式で規定される外観を有する吹き出しの例を示す図である。
【
図16】本発明の実施形態の少なくとも一つに対応する、計算式で規定される外観を有する吹き出しの例を示す図である。
【
図17】本発明の実施形態の少なくとも一つに対応する、吹き出し生成のために定義された計算式の例を示す説明図である。
【
図18】本発明の実施形態の少なくとも一つに対応する、変数に応じた吹き出しの変化を例示する説明図である。
【
図19】本発明の実施形態の少なくとも一つに対応する、変数に応じた吹き出しの変化を例示する説明図である。
【
図20】本発明の実施形態の少なくとも一つに対応する、変数に応じた吹き出しの変化を例示する説明図である。
【
図21】本発明の実施形態の少なくとも一つに対応する、変数に応じた吹き出しの変化を例示する説明図である。
【
図22】本発明の実施形態の少なくとも一つに対応する、変数に応じた吹き出しの変化を例示する説明図である。
【
図23】本発明の実施形態の少なくとも一つに対応する、変数に応じた吹き出しの変化を例示する説明図である。
【
図24】本発明の実施形態の少なくとも一つに対応する、変数に応じた吹き出しの変化を例示する説明図である。
【
図25】本発明の実施形態の少なくとも一つに対応する、変数に応じた吹き出しの変化を例示する説明図である。
【
図26】本発明の実施形態の少なくとも一つに対応する、変数に応じた吹き出しの変化を例示する説明図である。
【
図27】本発明の実施形態の少なくとも一つに対応する、変数に応じた吹き出しの変化を例示する説明図である。
【
図28】本発明の実施形態の少なくとも一つに対応する、しっぽが付加された吹き出しを例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態の例について図面を参照して説明する。なお、以下で説明する各実施形態の例における各種構成要素は、矛盾等が生じない範囲で適宜組み合わせ可能である。また、ある実施形態の例として説明した内容については、他の実施形態においてその説明を省略している場合がある。また、各実施形態の特徴部分に関係しない動作や処理については、その内容を省略している場合がある。さらに、以下で説明する各種フローやシーケンスを構成する各種処理の順序は、処理内容に矛盾等が生じない範囲で順不同である。
【0013】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態の概要について説明をする。以下では、第1の実施形態として、サーバにおいて実行される吹き出し生成プログラムを例示して説明する。
【0014】
図1は、本発明の実施形態の少なくとも一つに対応するビデオゲーム処理システムの構成の例を示すブロック図である。ビデオゲーム処理システム100は、ビデオゲーム処理サーバ10(サーバ10)と、ビデオゲーム処理システム100のユーザ(ゲームのプレイヤ等)が使用するユーザ端末20,201~20N(Nは任意の整数)とを備える。ビデオゲーム処理システム100の構成はこれに限定されない。例えば、ビデオゲーム処理システム100は、単一のユーザ端末を複数のユーザが使用する構成であってよい。ビデオゲーム処理システム100が複数のサーバを備えてもよい。
【0015】
サーバ10と複数のユーザ端末20,201~20Nは、それぞれインターネットなどの通信ネットワーク30に通信可能に接続されている。通信ネットワーク30とサーバ10との間の接続、および通信ネットワーク30と複数のユーザ端末20,201~20Nとの間の接続は、有線接続であっても無線接続であってもよい。例えば、複数のユーザ端末20,201~20Nは、通信事業者が管理する基地局と無線通信回線によるデータ通信を行うことにより、通信ネットワーク30と接続してよい。
【0016】
ビデオゲーム処理システム100は、サーバ10と複数のユーザ端末20,201~20Nとを備えることにより、ユーザの操作に応じて各種処理を実行するための各種機能を実現する。
【0017】
サーバ10はビデオゲームの進行を制御する。サーバ10は、ビデオゲーム処理システム100の管理者によって管理され、複数のユーザ端末20,201~20Nに対して各種処理に関する情報を提供するための各種機能を有する。本例において、サーバ10は、WWWサーバなどの情報処理装置によって構成され、各種情報を格納する記憶部(記憶媒体、記憶装置)を備える。サーバ10は、制御部や通信部などコンピュータとして各種処理を行うための一般的な構成を備えるが、ここでの説明は省略する。また、ビデオゲーム処理システム100においては、複数のユーザ端末20,201~20Nそれぞれにかかる処理負荷を軽減させるといった観点から、各種情報はサーバ10が管理することが好ましい。ただし、各種情報を記憶する記憶部は、サーバ10がアクセス可能な状態で記憶領域を備えていればよく、例えば専用の記憶領域をサーバ10の外部に有する構成とされていてもよい。
【0018】
複数のユーザ端末20,201~20Nは、それぞれユーザによって管理され、ネットワーク配信型のゲームを行うことが可能な通信端末によって構成される。ネットワーク配信型のゲームを行うことが可能な通信端末の例として、例えば携帯電話端末、PDA(Personal Digital Assistant)、携帯型ゲーム装置、VRゴーグル、所謂ウェアラブルデバイスなどがある。ビデオゲーム処理システム100が含み得るユーザ端末の構成はこれらに限定されず、ユーザが合成画像を認識し得る構成であればよい。ユーザ端末の構成の他の例には、各種通信端末を組み合わせたものやパーソナルコンピュータ、据置型ゲーム装置がある。
【0019】
複数のユーザ端末20,201~20Nは、それぞれ、通信ネットワーク30に接続し、サーバ10との通信を行うことにより各種処理を実行するためのハードウェア(例えば、座標に応じたブラウザ画面やゲーム画面を表示する表示装置など)およびソフトウェアを備える。なお、複数のユーザ端末20,201~20Nのそれぞれは、サーバ10を介さずに互いに直接通信を行うこともできる構成とされていてもよい。
【0020】
複数のユーザ端末20,201~20Nのそれぞれには、表示装置が内蔵されていてよい。また、ユーザ端末20,201~20Nのそれぞれに対して、表示装置が無線接続あるいは有線接続されていてもよい。なお、表示装置は極めて一般的な構成であるため、ここでは図示を省略している。ゲーム画面は例えば、前述の合成画像として表示装置によって表示され、ユーザがこの合成画像を認識する。ゲーム画面は例えば、ユーザ端末が備える表示装置の一例であるディスプレイや、ユーザ端末と接続された表示装置の一例であるディスプレイに表示される。表示装置には、例えば、ホログラム表示が可能なホログラムディスプレイ装置や、画像(ゲーム画面を含む)をスクリーン等に映写する映写装置なども含まれる。
【0021】
図2は、本発明の実施形態の少なくとも一つに対応するサーバの構成を示すブロック図である。サーバ10の構成の例であるサーバ10Aは、計算式特定部11と、吹き出し生成部12とを少なくとも備える。サーバ10Aが備えるプロセッサは、記憶部(記憶媒体、記憶装置)に保持(インストール)された吹き出し生成プログラムを参照し、そのプログラムを実行することにより、計算式特定部11と、吹き出し生成部12とを機能的に実現する。
【0022】
計算式特定部11は、1以上の計算式を特定する機能を有する。吹き出し生成部12は、特定された計算式で規定される外観を有する吹き出しを生成する機能を有する。
【0023】
次に、本発明の第1の実施形態におけるプログラム実行処理について説明する。
図3は、本発明の実施形態の少なくとも一つに対応する吹き出し生成処理の例を示すフローチャートである。
【0024】
計算式特定部11は、1以上の計算式を特定する(St11)。次に、吹き出し生成部12は、特定された計算式で規定される外観を有する吹き出しを生成する(St12)。
【0025】
計算式とは、数や演算子、ファンクションなどが一定の規則に基づいて組み合わされたものを意味する。一定の規則とは、例えば、除算を示す演算子「÷」は「÷÷」等のように2つ連続して配置されることはない、などの規則である。計算式の具体例については、
図14および
図15に基づいて後述する。
【0026】
吹き出しは、テキストや絵文字、スタンプ画像等を囲む枠画像を意味する。吹き出しの中には、例えば、発話者の台詞(発言内容)や思考(頭の中で考えている事)が描かれる。発話者は、例えば、漫画や小説等の物語に登場するキャラクタ、物語の語り部、ゲームに登場するキャラクタ、ゲーム内でナレーションを行うゲームシステムそのもの、文字チャットアプリケーションにおいて発言内容を示すテキストを送信した者、テレビ番組やラジオ番組の出演者、トークイベント等におけるイベントの出演者および参加者、動画投稿サイトに投稿される動画やライブ配信動画において発言を行う者(例えばゲーム実況動画の実況者)等を含む。文字列以外の要素が吹き出し(枠画像)の中に描かれてもよい。例えば、絵文字、スタンプ画像、キャラクタの顔画像(静止画または動画)等が吹き出しの中に描かれてもよい。なお、吹き出しの枠は、完全に閉じていなくともよく、テキストや絵文字、スタンプ画像等の一部が、吹き出しの枠からはみ出してもよい。
【0027】
吹き出しの外観とは、表示される吹き出しの形状や色、サイズ、模様、質感などを意味する。外観には、少なくとも形状が含まれる。
【0028】
第1の実施形態の一側面として、様々な種類の計算式を定義できるので、多様な吹き出しを提供することができる。
【0029】
第1の実施形態の一側面として、多様な吹き出しを提供することにより、表示された吹き出しを見るユーザに対する演出効果を高めることができる。
【0030】
第1の実施形態の一側面として、多様な吹き出しを提供することにより、吹き出しが表示されるビデオゲームに対するプレイヤの興味を向上させることができる。
【0031】
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態の概要について説明をする。以下では、第2の実施形態として、サーバにおいて実行される吹き出し生成プログラムを例示して説明する。なお、サーバは、
図1に記載のビデオゲーム処理システム100が備えるサーバ10であってよい。
【0032】
図4は、本発明の実施形態の少なくとも一つに対応するサーバの構成を示すブロック図である。サーバ10の構成の例であるサーバ10Bは、計算式特定部11Bと、吹き出し生成部12Bとを少なくとも備える。サーバ10Bが備えるプロセッサは、記憶部(記憶媒体、記憶装置)に保持(インストール)された吹き出し生成プログラムを参照し、そのプログラムを実行することにより、計算式特定部11Bと、吹き出し生成部12Bとを機能的に実現する。
【0033】
計算式特定部11Bは、変数を有する1以上の計算式を特定する機能を有する。吹き出し生成部12Bは、特定された計算式で規定される外観を有する吹き出しを生成する機能を有する。吹き出し生成部12Bが生成する吹き出しは、変数の値の変化に応じて外観が変化する。
【0034】
次に、本発明の第2の実施形態におけるプログラム実行処理について説明する。
図5は、本発明の実施形態の少なくとも一つに対応する吹き出し生成処理の例を示すフローチャートである。
【0035】
計算式特定部11Bは、1以上の計算式を特定する(St21)。次に、吹き出し生成部12Bは、特定された計算式で規定される外観を有する吹き出しを生成する(St22)。
【0036】
第2の実施形態における計算式は、第1の実施形態における計算式と同様に、数や演算子、ファンクションなどが一定の規則に基づいて組み合わされたものを意味する。ここで、第2の実施形態における計算式は変数を有している。変数は、その値が変動し得る数である。変数の値が変わることにより、計算式の計算結果が変わる。吹き出しの外観は計算式で規定されているものであるため、吹き出しの外観も変わる。
【0037】
第2の実施形態における吹き出し、および吹き出しの外観のそれぞれの意味は、第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0038】
第2の実施形態の一側面として、変数の値を変えることにより吹き出しの外観を変えることができるので、より多様な吹き出しを提供することができる。
【0039】
第2の実施形態の一側面として、変数の値を変えることにより吹き出しをアニメーション表示させることができるので、表示された吹き出しを見るユーザに対する演出効果をさらに高めことができる。
【0040】
第2の実施形態の一側面として、吹き出しが表示されるビデオゲームに対するプレイヤの興味をさらに向上させることができる。
【0041】
[第3の実施形態]
本発明の第3の実施形態の概要について説明をする。以下では、第3の実施形態として、サーバにおいて実行される吹き出し生成プログラムを例示して説明する。なお、第3の実施形態では、サーバは、
図1に記載のビデオゲーム処理システム100が備えるサーバ10であってよい。吹き出しはユーザ端末20の側に設けられたゲーム画面に表示される。
【0042】
図6は、本発明の実施形態の少なくとも一つに対応するサーバの構成を示すブロック図である。サーバ10の構成の例であるサーバ10Cは、計算式特定部11Cと、吹き出し生成部12Cと、吹き出し表示部13とを少なくとも備える。サーバ10Cが備えるプロセッサは、記憶部(記憶媒体、記憶装置)に保持(インストール)された吹き出し生成プログラムを参照し、そのプログラムを実行することにより、計算式特定部11Cと、吹き出し生成部12Cと、吹き出し表示部13とを機能的に実現する。
【0043】
計算式特定部11Cは、1以上の計算式を特定する機能を有する。吹き出し生成部12Bは、特定された計算式で規定される外観を有する吹き出しを生成する機能を有する。吹き出し表示部13は、生成された吹き出しをゲーム画面に表示させる機能を有する。
【0044】
次に、本発明の第3の実施形態におけるプログラム実行処理について説明する。
図7は、本発明の実施形態の少なくとも一つに対応するゲーム処理の例を示すシーケンス図である。
【0045】
計算式特定部11Cは、1以上の計算式を特定する(St31)。次に、吹き出し生成部12Cは、特定された計算式で規定される外観を有する吹き出しを生成する(St32)。次に、吹き出し表示部13は、生成された吹き出しをゲーム画面に表示させる為に、吹き出し表示指令をユーザ端末20に送信する(St33)。吹き出し表示指令は、生成された吹き出しの画像データを含んでいてよい。次に、吹き出し表示指示を受信したユーザ端末20は、ゲーム画面に吹き出しを表示させる(St34)。
【0046】
第3の実施形態における計算式、吹き出し、および吹き出しの外観のそれぞれの意味は、第1の実施形態または第2の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0047】
第3の実施形態の一側面として、ユーザが、多様な吹き出しを認識することができる。
【0048】
第3の実施形態の一側面として、ユーザが、演出効果の高い吹き出しを認識することができる。
【0049】
第3の実施形態の一側面として、吹き出しによってビデオゲームのプレイヤの興味を惹くことができる。
【0050】
[第4の実施形態]
本発明の第4の実施形態の概要について説明をする。以下では、第4の実施形態として、ビデオゲームの進行を制御するビデオゲーム処理システムを例示して説明する。
【0051】
図8は、本発明の実施形態の少なくとも一つに対応するビデオゲーム処理システムの構成の例を示すブロック図である。ビデオゲーム処理システム101は、ビデオゲーム処理サーバ40(サーバ40)と、ビデオゲーム処理システム101のユーザ(ゲームのプレイヤ等)が使用するユーザ端末20,201~20N(Nは任意の整数)とを備える。ビデオゲーム処理システム101の構成はこれに限定されない。例えば、ビデオゲーム処理システム101は、単一のユーザ端末を複数のユーザが使用する構成であってよい。ビデオゲーム処理システム101が複数のサーバを備えてもよい。
【0052】
サーバ40と複数のユーザ端末20,201~20Nは、それぞれインターネットなどの通信ネットワーク30に通信可能に接続されている。通信ネットワーク30とサーバ40との間の接続、および通信ネットワーク30と複数のユーザ端末20,201~20Nとの間の接続は、有線接続であっても無線接続であってもよい。例えば、複数のユーザ端末20,201~20Nは、通信事業者が管理する基地局と無線通信回線によるデータ通信を行うことにより、通信ネットワーク30と接続してよい。
【0053】
ビデオゲーム処理システム101は、サーバ40と複数のユーザ端末20,201~20Nとを備えることにより、ユーザの操作に応じて各種処理を実行するための各種機能を実現する。
【0054】
サーバ40はビデオゲームの進行を制御する。サーバ40は、ビデオゲーム処理システム101の管理者によって管理され、複数のユーザ端末20,201~20Nに対して各種処理に関する情報を提供するための各種機能を有する。本例において、サーバ40は、WWWサーバなどの情報処理装置によって構成され、各種情報を格納する記憶部(記憶媒体、記憶装置)を備える。サーバ40は、制御部や通信部などコンピュータとして各種処理を行うための一般的な構成を備えるが、ここでの説明は省略する。また、ビデオゲーム処理システム101においては、複数のユーザ端末20,201~20Nそれぞれにかかる処理負荷を軽減させるといった観点から、各種情報はサーバ40が管理することが好ましい。ただし、各種情報を記憶する記憶部は、サーバ40がアクセス可能な状態で記憶領域を備えていればよく、例えば専用の記憶領域をサーバ40の外部に有する構成とされていてもよい。
【0055】
複数のユーザ端末20,201~20Nは、それぞれユーザによって管理され、ネットワーク配信型のゲームを行うことが可能な通信端末によって構成される。ネットワーク配信型のゲームを行うことが可能な通信端末の例として、例えば携帯電話端末、PDA(Personal Digital Assistant)、携帯型ゲーム装置、VRゴーグル、所謂ウェアラブルデバイスなどがある。ビデオゲーム処理システム101が含み得るユーザ端末の構成はこれらに限定されず、ユーザが合成画像を認識し得る構成であればよい。ユーザ端末の構成の他の例には、各種通信端末を組み合わせたものやパーソナルコンピュータ、据置型ゲーム装置がある。
【0056】
複数のユーザ端末20,201~20Nは、それぞれ、通信ネットワーク30に接続し、サーバ40との通信を行うことにより各種処理を実行するためのハードウェア(例えば、座標に応じたブラウザ画面やゲーム画面を表示する表示装置など)およびソフトウェアを備える。なお、複数のユーザ端末20,201~20Nのそれぞれは、サーバ40を介さずに互いに直接通信を行うこともできる構成とされていてもよい。
【0057】
複数のユーザ端末20,201~20Nのそれぞれには、表示装置が内蔵されていてよい。また、ユーザ端末20,201~20Nのそれぞれに対して、表示装置が無線接続あるいは有線接続されていてもよい。なお、表示装置は極めて一般的な構成であるため、ここでは図示を省略している。ゲーム画面は例えば、前述の合成画像として表示装置によって表示され、ユーザがこの合成画像を認識する。ゲーム画面は例えば、ユーザ端末が備える表示装置の一例であるディスプレイや、ユーザ端末と接続された表示装置の一例であるディスプレイに表示される。表示装置には、例えば、ホログラム表示が可能なホログラムディスプレイ装置や、画像(ゲーム画面を含む)をスクリーン等に映写する映写装置なども含まれる。
【0058】
次に、本発明の第4の実施形態におけるプログラム実行処理について説明する。
図9は、本発明の実施形態の少なくとも一つに対応する吹き出し生成処理の例を示すフローチャートである。
【0059】
ビデオゲーム処理システム101は、1以上の計算式を特定する(St41)。次に、ビデオゲーム処理システム101は、特定された計算式で規定される外観を有する吹き出しを生成する(St42)。
【0060】
ステップSt41の処理主体は、サーバ40であっても、複数のユーザ端末20,201~20Nのうちいずれかであってもよい。例えば、サーバ40側が保持する情報に基づいて計算式を特定する場合、サーバ40がステップSt41を実行してよい。逆に、複数のユーザ端末20,201~20Nのうちいずれかが保持する情報に基づいて計算式を特定する場合、ユーザ端末20,201~20NのうちいずれかがステップSt42を実行してよい。
【0061】
ステップSt42の処理主体は、サーバ40であっても、複数のユーザ端末20,201~20Nのうちいずれかであってもよい。例えば処理負荷の観点から、サーバ40がステップSt42を実行して良い。一方、サーバ40から複数のユーザ端末20,201~20Nのうちいずれかへ吹き出し画像を送信する際の通信負荷を軽減する観点から、ユーザ端末がステップSt42を実行してもよい。
【0062】
第4の実施形態における計算式、吹き出し、および吹き出しの外観のそれぞれの意味は、第1の実施形態から第3の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0063】
第4の実施形態の一側面として、様々な種類の計算式を定義できるので、多様な吹き出しを提供することができる。
【0064】
第4の実施形態の一側面として、多様な吹き出しを提供することにより、表示された吹き出しを見るユーザに対する演出効果を高めることができる。
【0065】
第4の実施形態の一側面として、多様な吹き出しを提供することにより、吹き出しが表示されるビデオゲームに対するプレイヤの興味を向上させることができる。
【0066】
[第5の実施形態]
本発明の第5の実施形態の概要について説明をする。以下では、第5の実施形態として、ユーザ端末において実行される吹き出し生成プログラムを例示して説明する。
【0067】
図10は、本発明の実施形態の少なくとも一つに対応するユーザ端末の構成を示すブロック図である。
【0068】
ユーザ端末50はユーザによって管理され、ユーザがゲームを行うことが可能な端末によって構成される。ユーザ端末50によって行われるゲームは、ネットワーク配信型のゲームであっても、スタンドアロン型のゲームであってもよい。ユーザ端末50はビデオゲームの進行を制御してよい。ユーザ端末50は、制御部、記憶部、通信部、および入力部などのコンピュータ装置として各種処理を行うための一般的な構成を備えるが、ここでの説明は省略する。
【0069】
ユーザ端末50の例として、例えば携帯電話端末、PDA(Personal Digital Assistant)、携帯型ゲーム装置、VRゴーグル、所謂ウェアラブルデバイスなどがある。ユーザ端末20の構成はこれらに限定されず、ユーザが合成画像を認識し得る構成であればよい。ユーザ端末20の構成の他の例には、各種通信端末を組み合わせたものやパーソナルコンピュータ、据置型ゲーム装置がある。
【0070】
ユーザ端末50は、
図1または
図8に示された複数のユーザ端末20,201~20Nのうちのいずれかであってよい。
【0071】
ユーザ端末50は、計算式特定部51と、吹き出し生成部52とを少なくとも備える。ユーザ端末50が備える制御部(プロセッサ)は、記憶部(記憶媒体、記憶装置)に保持(インストール)された、またはサーバ40から配信されてきた吹き出し生成プログラムを参照し、そのプログラムを実行することにより、計算式特定部51および吹き出し生成部52を機能的に実現する。
【0072】
計算式特定部51は、1以上の計算式を特定する機能を有する。吹き出し生成部52は、特定された計算式で規定される外観を有する吹き出しを生成する機能を有する。
【0073】
ユーザ端末50は表示装置と組み合わされる。なお、表示装置は極めて一般的な構成であるため、ここでは図示を省略している。表示装置は、ユーザ端末50に内蔵されていても、内蔵されていなくともよい。表示装置は、ユーザ端末50に無線接続あるいは有線接続されているものであってよい。ゲーム画面は例えば、前述の合成画像として表示装置によって表示され、ユーザがこの合成画像を認識する。ゲーム画面は例えば、ユーザ端末が備える表示装置の一例であるディスプレイや、ユーザ端末と接続された表示装置の一例であるディスプレイに表示される。表示装置には、例えば、ホログラム表示が可能なホログラムディスプレイ装置や、画像(ゲーム画面を含む)をスクリーン等に映写する映写装置なども含まれる。
【0074】
次に、本発明の第5の実施形態におけるプログラム実行処理について説明する
図11は、本発明の実施形態の少なくとも一つに対応する吹き出し生成処理の例を示すフローチャートである。
【0075】
計算式特定部51は、1以上の計算式を特定する(St51)。次に、吹き出し生成部52は、特定された計算式で規定される外観を有する吹き出しを生成する(St52)。
【0076】
第5の実施形態における計算式、吹き出し、および吹き出しの外観のそれぞれの意味は、第1の実施形態から第4の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0077】
第5の実施形態の一側面として、様々な種類の計算式を定義できるので、多様な吹き出しを提供することができる。
【0078】
第5の実施形態の一側面として、多様な吹き出しを提供することにより、表示された吹き出しを見るユーザに対する演出効果を高めることができる。
【0079】
第5の実施形態の一側面として、多様な吹き出しを提供することにより、吹き出しが表示されるビデオゲームに対するプレイヤの興味を向上させることができる。
【0080】
[第6の実施形態]
本発明の第6の実施形態の概要について説明をする。以下では、第6の実施形態として、サーバにおいて実行される吹き出し生成プログラムを例示して説明する。
【0081】
図12は、本発明の実施形態の少なくとも一つに対応するサーバの構成を示すブロック図である。サーバ10の構成の例であるサーバ10Zは、計算式特定部11Zと、吹き出し生成部12Zとを少なくとも備える。サーバ10Zが備えるプロセッサは、記憶部(記憶媒体、記憶装置)に保持(インストール)された吹き出し生成プログラムを参照し、そのプログラムを実行することにより、計算式特定部11Zと、吹き出し生成部12Zとを機能的に実現する。
【0082】
計算式特定部11Zは、1以上の計算式を特定する機能を有する。吹き出し生成部12Zは、特定された計算式で規定される外観を有する吹き出しを生成する機能を有する。
【0083】
次に、本発明の第6の実施形態におけるプログラム実行処理について説明する。
図13は、本発明の実施形態の少なくとも一つに対応する吹き出し生成処理の例を示すフローチャートである。
【0084】
計算式特定部11Zは、1以上の計算式を特定する(St61)。次に、吹き出し生成部12Zは、特定された計算式で規定される外観を有する吹き出しを生成する(St62)。
【0085】
計算式とは、数や演算子、ファンクションなどが一定の規則に基づいて組み合わされたものを意味する。一定の規則とは、例えば、除算を示す演算子「÷」は「÷÷」等のように2つ連続して配置されることはない、などの規則である。計算式の具体例については、
図14および
図15に基づいて後述する。
【0086】
吹き出しは、テキストや絵文字、スタンプ画像等を囲む枠画像を意味する。吹き出しの中には、例えば、発話者の台詞(発言内容)や思考(頭の中で考えていること)が描かれる。発話者は、例えば、漫画や小説等の物語に登場するキャラクタ、物語の語り部、ゲームに登場するキャラクタ、ゲーム内でナレーションを行うゲームシステムそのもの、文字チャットアプリケーションにおいて発言内容を示すテキストを送信した者、テレビ番組やラジオ番組の出演者、トークイベント等におけるイベントの出演者および参加者、動画投稿サイトに投稿される動画やライブ配信動画において発言を行う者(例えばゲーム実況動画の実況者)等を含む。文字列以外の要素が吹き出し(枠画像)の中に描かれてもよい。例えば、絵文字、スタンプ画像、キャラクタの顔画像(静止画または動画)等が吹き出しの中に描かれてもよい。なお、吹き出しの枠は、完全に閉じていなくともよく、テキストや絵文字、スタンプ画像等の一部が、吹き出しの枠からはみ出してもよい。
【0087】
吹き出しの外観とは、表示される吹き出しの形状や色、サイズ、模様、質感などを意味する。外観には、少なくとも形状が含まれる。
【0088】
図14は、本発明の実施形態の少なくとも一つに対応する、計算式で規定される外観を有する吹き出しの例を示す図である。
【0089】
吹き出しSB01は、円形の外観を有する。図中、吹き出しSB01は黒色で描かれているが、実際には、吹き出しSB01の色は黒色以外の様々な色を呈することができる。計算式特定部11ZはステップSt61で、吹き出しSB01の外観を規定する計算式Aを特定することができる。
【0090】
計算式Aは、length(p)-rと定義される。ここで、pは2次元の座標系(本例ではXY座標系)における点を意味している。length(p)は前記座標系における原点から点pまでの距離(長さ)を出力するファンクション(関数)を意味している。なお、点pのx座標の値をp.xとし、点pのy座標の値をp.yとした場合、ファンクションlength(p)を下記の計算式で表現することができる。
length(p)=((p.x)2+(p.y)2)1/2
【0091】
計算式Aにおけるrは、円の半径を意味している。円の半径rは固定値であってよい。また、円の半径rは値が変わる数(変数)であってもよい。
【0092】
ステップSt61で特定された計算式Aは、吹き出しSB01の外観を規定している。実際、点pの原点からの距離がr以下であれば、計算式Aの計算結果は0以下の値になる。計算式Aの計算結果が0以下の値になる各点(表示される画像上の各ピクセル)を黒色で描画することにより、黒色の円形を呈する吹き出しSB01が規定される。ステップSt62において吹き出し生成部12Zは、特定された計算式Aに基づいて、吹き出しSB01の画像を生成する。
【0093】
図15は、本発明の実施形態の少なくとも一つに対応する、計算式で規定される外観を有する吹き出しの例を示す図である。
【0094】
吹き出しSB02は、矩形の外観を有する。図中、吹き出しSB02は黒色で描かれているが、実際には、吹き出しSB02の色は黒色以外の様々な色を呈することができる。計算式特定部11ZはステップSt61で、吹き出しSB02の外観を規定する計算式Bを特定することができる。
【0095】
計算式Bは、max(abs(p.x)-size.x,abs(p.y)-size.y)と定義される。ここで、pは2次元の座標系(本例ではXY座標系)における点を意味している。p.xは点pのx座標の値を意味し、p.yは点pのy座標の値を意味する。
【0096】
max(a,b)は、値aと値bのうち、より大きな値を出力するファンクション(関数)である。abs(X)は、値Xの絶対値を出力するファンクション(関数)である。abs(X)は|X|と表現することもできる。
【0097】
size.xは、矩形のX軸方向の長さの半分を意味する。size.yは、矩形のY軸方向の長さの半分を意味する。計算式Bにおけるsize.xおよびsize.yはそれぞれ固定値であってよい。また、size.xおよびsize.yはそれぞれ、値が変わる数(変数)であってもよい。
【0098】
ステップSt61で特定された計算式Bは、吹き出しSB02の外観を規定している。実際、点pが矩形の内部にある点であるならば、計算式Bの計算結果は0以下の値になる。計算式Bの計算結果が0以下の値になる各点(表示される画像上の各ピクセル)を黒色で描画することにより、黒色の矩形を呈する吹き出しSB02が規定される。ステップSt62において吹き出し生成部12Zは、特定された計算式Bに基づいて、吹き出しSB02の画像を生成する。
【0099】
図16は、本発明の実施形態の少なくとも一つに対応する、計算式で規定される外観を有する吹き出しの例を示す図である。
【0100】
図16には、種々の外観を有する吹き出しが記載されている。各々の吹き出しを規定する計算式の詳細については説明を省略するが、例えばこれらの外観を有する吹き出しは、計算式によって規定されることができる。なお、吹き出しの外観は、複数の計算式を複合的に重ね合わせることによって得られるものであってもよい。計算式特定部11ZはステップSt61で、吹き出しの外観を規定する種々の計算式を特定することができる。ステップSt62において吹き出し生成部12Zは、特定された計算式に基づいて、吹き出しの画像を生成する。
【0101】
なお、吹き出しの色、サイズ、模様、質感なども、計算式によって規定することができる。例えば、色の表現として加法混色に基づいたRGB値(R、G、Bの値はそれぞれ0から255)を用いた場合、Rの値を計算式によって表現することができる。模様は、形状と同様に計算式によって表現することができる。サイズを計算式によって表現できることは、
図14に示した半径rによって例示されている。質感については、例えばその吹き出しの透明度(例えばアルファ値)を計算式によって表現することができる。計算式特定部11Zは、吹き出しの形状に加えて、これらの吹き出しの色、サイズ、模様、質感などを規定する計算式を特定する。吹き出し生成部12Zは、特定された計算式によって規定された吹き出しの色、サイズ、模様、質感などを有する吹き出しの画像を生成する。吹き出し生成部12Zは、計算式によって表現可能な外観であれば、どのような外観を有する吹き出しも生成することができる。そのため、吹き出しの形状や色等によって多様な演出を行うことができる。
【0102】
第6の実施形態における吹き出し画像は、計算式に基づいて計算されることにより動的に生成される。その為、吹き出し画像をアセット(素材)として記憶部(記憶媒体、記憶装置)に静的に保存しておかなくともよい。従って、第6の実施形態における吹き出し画像は記憶領域を圧迫しない。一方、静的なアセット(素材)として記憶部(記憶媒体、記憶装置)に保存されている吹き出し画像の場合は、多くの種類の画像データを保存しておくものになる。特に吹き出しをアニメーション表示しようとすると、アニメーションを構成するための多数の連番になった画像を記憶部(記憶媒体、記憶装置)に保存することになる。このような静的なアセットはデータ量が多く、記憶領域を圧迫する。
【0103】
ここで、吹き出し画像が動的に生成されるとは、吹き出し画像が記憶部(記憶媒体、記憶装置)に静的に記憶されているわけではなく、都度計算によって生成されることを意味する。ただし、状況に応じて、動的に生成された吹き出し画像の一部を記憶部(記憶媒体、記憶装置)に保存して再利用してもよい。
【0104】
非限定的に、吹き出し画像の生成はシェーダー(shader)を用いて行われてよい。シェーダーを用いずに吹き出し画像が生成されてもよい。吹き出し画像の生成に用いられるプロセッサは、GPUであっても、CPUであっても、それ以外の計算装置(例えばFPGA等)であってもよい。吹き出し画像は、2次元(2D)の画像として生成されてよいが、3次元(3D)の画像として生成されてもよい。また、吹き出し画像が3次元(3D)の画像として生成された後、これが2次元空間へと投影され、2次元(2D)の吹き出し画像が生成されてもよい。
【0105】
また、第6の実施形態における吹き出し画像は、表示サイズの拡大または縮小に伴う影響を受けず、画像品質を保つことができる。例えば吹き出しSB01(
図14参照)の場合、計算式Aの中のrの値を大きくすれば、吹き出し生成部12Zが、より大きな円形の吹き出しを生成する。計算式Aの中のrの値を小さくすれば、吹き出し生成部12Zが、より小さな円形の吹き出しを生成する。また、吹き出しSB02(
図15参照)の場合、計算式Bの中のsize.xまたはsize.yの値を大きくすれば、吹き出し生成部12Zが、より大きな矩形の吹き出しを生成する。計算式Bの中のsize.xまたはsize.yの値を小さくすれば、吹き出し生成部12Zが、より小さな矩形の吹き出しを生成する。ここで、静的なアセット(素材)として記憶領域に保存されている吹き出し画像の場合は、吹き出し画像を、この吹き出し画像の解像度以上のサイズまで拡大すると、画像品質が劣化する。
【0106】
図17は、本発明の実施形態の少なくとも一つに対応する、吹き出し生成のために定義された計算式の例を示す説明図である。
【0107】
計算式は、吹き出し生成プログラム内に、あるいは吹き出し生成プログラムから参照可能な形式で、事前に定義されていてよい。
図17には、非限定的な例として、計算式001から計算式013までの事前定義された計算式が記載されている。ただし、事前定義されている計算式は、これらには限られない。
【0108】
「基本形状」は、その計算式が対応する吹き出しの外形(例えば円形、矩形、楕円形など)を示している。「変数1」および「変数2」は、その計算式が有する変数として入力可能な値の内容を示している。なお、説明の便宜上、変数1と変数2とを記載しているが、1つの計算式に対する変数の数は1または2とは限らない。1つの計算式に対する変数の数は0であっても、3以上であってもよい。「吹き出しの外観の変化」は、生成される吹き出しの外観に対して変数の値が与える変化(変数の値が変わると、吹き出しの外観がどう変わるか)を示している。
【0109】
(アニメーション表示)
計算式特定部11Zが変数を有する計算式を特定した場合、吹き出し生成部12Zが生成する吹き出しの外観は、変数の値の変化に応じて変化する。すなわち、変数の値を変えることによって、吹き出しをアニメーション表示させることができる。生成される吹き出しは、一定期間ごとに更新されてよい。例えば、吹き出しはフレーム毎に更新されてよい。フレームレート(fps)が60である場合、吹き出しは1秒間に60回更新される。変数としてどのような値を用いるか、また変数によって吹き出しの外観をどのように変えるかを当業者は自由に設計することができる。そのため、計算式によって規定された吹き出しは、その外観の変化を多種多様にすることができる。
【0110】
なお、吹き出し画像をアセット(素材)として記憶部(記憶媒体、記憶装置)に静的に保存しておいた場合、吹き出し画像である1つの静止画に対してアフィン変換(回転、拡大縮小、移動)を行って、静止画をアニメーション表示させる手法がある。この手法の場合、吹き出し画像の本質的な形状は変わらず、多様な表現を行うことが難しい。一方、吹き出しの外観を計算式によって規定した場合、変数の値を変えることによって様々な変化を吹き出し画像に対して与えることができ、表現が多様になり、表現の幅が広くなる。
【0111】
図18は、本発明の実施形態の少なくとも一つに対応する、変数に応じた吹き出しの変化を例示する説明図である。
【0112】
計算式特定部11Zは、吹き出しと組み合わされる台詞の内容を示す数値に基づいて1以上の計算式を特定する。ここで、吹き出しと組み合わされる台詞とは、吹き出しの枠画像がゲーム画面等に表示される時に、枠画像に重なって表示される台詞を意味する。
【0113】
(台詞によって表現される発話者の感情の数値化)
非限定的に、台詞の内容は発話者の感情を意味していてよい。例えば計算式特定部11Zは、その台詞によって表現される怒りの度合い(怒り度)を変数として有する計算式を特定する。例えば台詞の内容が「秋は涼しくて良いね」であれば怒り度は0である。例えば台詞の内容が「ふざけるな!!」であれば怒り度は3である。ここで
図17を併せて参照すると、計算式特定部11Zは、変数1として「台詞の内容に基づく怒り度(通常0~激怒10)」を有する計算式003と計算式008とを特定する。
図18において、吹き出しSB03Aは怒り度が0である場合に吹き出し生成部12Zが生成する吹き出しの外観を示している。吹き出しSB03Bは、怒り度が6である場合に吹き出し生成部12Zが生成する吹き出しの外観を示している。発話者の怒りの大きさが、吹き出し枠に設けられたトゲの大きさとして表現されている。また、
図18において吹き出しは黒色で描かれているが、実際には、吹き出しSB03Bは吹き出しSB03Aより赤みが強い(計算式008)。
【0114】
計算式特定部11Zは、種々のアルゴリズムに基づいて、台詞の内容から怒り度の値を決定してよい。例えば、サーバ10の記憶部(記憶媒体、記憶装置)に、「ふざけるな」「ちくしょう」「!」等の特定のテキストと、そのテキストが台詞に含まれる場合の怒り度の値(絶対値、または加算値)とを対応付けた対応テーブルを予め保存しておく。計算式特定部11Zは、この対応テーブルを参照して、台詞に含まれるテキストに基づいて怒り度の値を算出する。また、サーバ10が機械学習の学習モデルを備えてもよい。前記学習モデルは例えば、台詞に含まれるテキストを入力とし、怒り度の値を出力として、台詞に含まれるテキストを機械学習させて得られた学習済みモデルであってよい。計算式特定部11Zは、台詞に含まれるテキストを学習済みモデルに入力して、怒り度の値を算出する。怒り度の算出アルゴリズムは上記には限られず、当業者は算出アルゴリズムを適宜決定してよい。計算式特定部11Zは、当業者が実装可能な任意の手段を用いて、台詞に含まれるテキストから怒り度の値を算出してよい。
【0115】
吹き出しと組み合わされる台詞の内容は、怒り度には限られない。計算式特定部11Zは例えば、台詞に含まれるテキストに基づいて、その台詞によって表現される愛情度、ツンデレ度、嫌い度、好奇心の度合い、善意の度合い、悪意の度合い、真剣度、驚きの度合い、悲しさの度合い、優しさの度合いなどの、種々の値を決定してよい。そして計算式特定部11Zは、それらの値を変数として有する計算式を特定する。
【0116】
(台詞から受け手が受け取る印象の数値化)
非限定的に、台詞の内容は、その台詞に係る発言を受け取る者(ユーザ、視聴者、ゲームのプレイヤ等)が受ける印象を意味していてよい。印象とは、その台詞に係る発言を受け取った者(受け手)が、発話者に対して抱く感情である。例えば受け手は、「この発言はかわいい」「この発言者は責任感が強い」等の印象を発話者に対して持つ。上述の怒り度が発話者の感情を意味していたのに対し、印象は受け手の感情を意味している。計算式特定部11Zは例えば、台詞に含まれるテキストに基づいて、その台詞から受け手が受け取る、発言者の芯の強さの度合い、かわいさの度合い、誠実さの度合い、責任感の強さ、ドジさの度合いなどの、種々の印象を数値化した値を決定してよい。印象を数値化した値を決定するためのアルゴリズムについては、怒り度を例示して上述したものと同様である。そして計算式特定部11Zは、印象を数値化した値を変数として有する計算式を特定する。
【0117】
(台詞に含まれる話題の数値化)
非限定的に、台詞の内容は、台詞に含まれる話題(発言の対象)を意味していてよい。例えば、台詞の中に「アリストテレス」「カント」等のキーワードが含まれている場合、発話者は哲学を話題にしている可能性が高い。台詞の中に「ふわとろオムライス」等のキーワードが含まれている場合、発話者は食事を話題にしている可能性が高い。この場合、計算式特定部11Zは、「話題の難しさ」を基準として台詞を数値化することができる。例えば、食事を話題にしている場合の話題の難しさは1であり、哲学を話題にしている場合の話題の難しさは5であってよい。台詞に含まれる話題を数値化した値を決定するためのアルゴリズムは、怒り度を例示して上述したものと同様であってよい。そして計算式特定部11Zは、台詞に含まれる話題を数値化した値を変数として有する計算式を特定する。
【0118】
その他、計算式特定部11Zは、種々の基準に基づいて台詞の内容を数値化してよい。計算式特定部11Zは、台詞の内容を数値化した値に基づいて1以上の計算式を特定する。
【0119】
以上のように、計算式特定部11Zは、吹き出しと組み合わされる台詞の内容を示す数値に基づいて1以上の計算式を特定する。これにより、吹き出し生成部12Zが、吹き出しと組み合わされる台詞の内容に適した外観を有する吹き出しを生成することができる。そのため、ビデオゲームに対するプレイヤの興味をさらに向上させることができる。
【0120】
図19は、本発明の実施形態の少なくとも一つに対応する、変数に応じた吹き出しの変化を例示する説明図である。
【0121】
計算式特定部11Zは、吹き出しと組み合わされる台詞の文字数に基づいて1以上の計算式を特定する。ここで、吹き出しと組み合わされる台詞とは、吹き出しの枠画像がゲーム画面等に表示される時に、枠画像に重なって表示される台詞を意味する。
【0122】
例えば台詞の内容が「私達は伝説の剣を探しています」であれば文字数は14である。台詞の内容が「北の山を越えた所にある洞窟には、伝説の剣が眠っているそうじゃ」であれば文字数は30である。ここで
図17を併せて参照すると、計算式特定部11Zは、変数1として「台詞の文字数」を有する計算式002を特定する。
図19において、吹き出しSB04Aは、文字数が14である場合に吹き出し生成部12Zが生成する吹き出しの外観を示している。吹き出しSB04Bは、文字数が30である場合に吹き出し生成部12Zが生成する吹き出しの外観を示している。文字数の多さに応じて、吹き出し枠が縦方向(楕円の長軸方向)に大きくなっている。
【0123】
以上のように、計算式特定部11Zは、吹き出しと組み合わされる台詞の文字数に基づいて1以上の計算式を特定する。これにより、吹き出し生成部12Zが、吹き出しと組み合わされる台詞の文字数に適した外観を有する吹き出しを生成することができる。そのため、ビデオゲームに対するプレイヤの興味をさらに向上させることができる。
【0124】
図20および
図21は、本発明の実施形態の少なくとも一つに対応する、変数に応じた吹き出しの変化を例示する説明図である。
【0125】
計算式特定部11Zは、吹き出しと組み合わされる台詞に相当する音声データの音量または音質に基づいて1以上の計算式を特定する。ここで、吹き出しと組み合わされる台詞とは、吹き出しの枠画像がゲーム画面等に表示される時に、枠画像に重なって表示される台詞を意味する。
【0126】
(台詞に相当する音声データ)
台詞に相当する音声データとは、台詞が組み合わされた吹き出しを表示する際に、この表示と共に再生される音声データを意味する。例えばビデオゲーム等において、台詞が組み合わされた吹き出しの表示と共に、ボイスアクターが台詞を読み上げた音声データが再生される場合がある。また、実況動画やトークイベント等においては、実況者や出演者の発言がマイクによって収音されて、音声データとして記録される。記録された音声データは、吹き出しの表示(実況動画内での表示、あるいはイベント会場等で大型スクリーンに表示、等)と共に再生される。これらの音声データは、台詞に相当するデータの一例となる。
【0127】
計算式特定部11Zは、台詞に相当する音声データの音量(以下、台詞の音量と略記)を変数として有する計算式を特定する。ここで
図17を併せて参照すると、計算式特定部11Zは、変数1として「台詞の音量(1~20)」を有する計算式009を特定する。
図20において、吹き出しSB05Aは、台詞の音量が1である場合に吹き出し生成部12Zが生成する吹き出しの外観を示している。吹き出しSB05Bは、台詞の音量が18である場合に吹き出し生成部12Zが生成する吹き出しの外観を示している。発話者の声の大きさが、吹き出し枠に設けられたトゲの大きさと、吹き出し自体の大きさとして表現されている。
【0128】
計算式特定部11Zは、台詞に相当する音声データの音質(以下、台詞の音質と略記)を変数として有する計算式を特定する。音質を数値化する為の基準は種々考えられるが、ここでは、ボイスアクターの息漏れ度を例示する。息漏れの多い声(breathy voice)を息漏れ度10、息漏れの少ない声を息漏れ度1とする。既存の音声処理技術が、音声データに基づいた数値化(例えば息漏れ度の算出)のために用いられてよい。ここで
図17を併せて参照すると、計算式特定部11Zは、変数1として「台詞の音質(息漏れ度1~10)」を有する計算式010を特定する。
図21において、吹き出しSB06Aは息漏れ度が1である場合に吹き出し生成部12Zが生成する吹き出しの外観を示している。吹き出しSB06Bは、息漏れ度が5である場合に吹き出し生成部12Zが生成する吹き出しの外観を示している。吹き出しSB06Bの外縁部分のぼかしの度合いが、吹き出しSB06Aよりも大きい。音声に含まれる呼気の量の多さが、吹き出し枠のぼかし度合いとして表現されている。
【0129】
台詞の音質は、息漏れ度に限られない。例えば、発話者の声の低さや、エッジボイスの度合、鼻声の度合い、声質、音色等が、台詞の音質に含まれる。これらの台詞の音質は数値化され、計算式特定部11Zは、数値化された値を変数として有する計算式を特定する。
【0130】
以上のように、計算式特定部11Zは、吹き出しと組み合わされる台詞に相当する音声データの音量または音質に基づいて1以上の計算式を特定する。これにより、吹き出し生成部12Zが、台詞に相当する音声データの音量または音質に適した外観を有する吹き出しを生成することができる。そのため、ビデオゲームに対するプレイヤの興味をさらに向上させることができる。
【0131】
図22は、本発明の実施形態の少なくとも一つに対応する、変数に応じた吹き出しの変化を例示する説明図である。
【0132】
計算式特定部11Zは、吹き出しと組み合わされる台詞の発話者の属性値に基づいて1以上の計算式を特定する。ここで、吹き出しと組み合わされる台詞とは、吹き出しの枠画像がゲーム画面等に表示される時に、枠画像に重なって表示される台詞を意味する。
【0133】
(発話者の属性(値))
発話者の属性とは、その発話者が持っている性質を意味する。発話者の属性値とは、発話者の属性を数値化したものを意味する。例えば、物語やゲームに登場するキャラクタの性別、年齢、体力、知力、魔力、敏捷度、腕力、賢さ、勇敢度、運の良さ、回復力、ヒットポイント(HP)、マジックポイント(MP)、物理攻撃耐性、および魔法攻撃耐性等が、発話者の属性の典型例である。発話者の属性はこれらには限られない。以下、発話者の属性が、ゲームに登場するキャラクタのヒットポイント(HP)である場合について例示する。
【0134】
計算式特定部11Zは、台詞の発話者のヒットポイント(HP)を変数として有する計算式を特定する。ここで
図17を併せて参照すると、計算式特定部11Zは、変数1として「キャラクタのHP」を有する計算式001を特定する。
図22において、吹き出しSB07AはキャラクタのHPが十分大きい場合に吹き出し生成部12Zが生成する吹き出しの外観を示している。吹き出しSB07は、キャラクタのHPが残り少ない場合に、吹き出し生成部12Zが生成する吹き出しの外観を示している。この例における吹き出しの基本形状は楕円形であるが、キャラクタのHPの減少に応じて、楕円が長軸方向に伸びつつ短軸方向に縮む。つまり、キャラクタのHPの減少に応じて、吹き出し枠が薄く潰れる。これにより、キャラクタが衰弱していく様子が表現されている。
【0135】
その他、計算式特定部11Zは、発話者が有する種々の属性値に基づいて、1以上の計算式を特定してよい。
【0136】
以上のように、計算式特定部11Zは、吹き出しと組み合わされる台詞の発話者の属性値に基づいて1以上の計算式を特定する。これにより、吹き出し生成部12Zが、吹き出しと組み合わされる台詞の発話者の属性に適した外観を有する吹き出しを生成することができる。そのため、ビデオゲームに対するプレイヤの興味をさらに向上させることができる。
【0137】
図23は、本発明の実施形態の少なくとも一つに対応する、変数に応じた吹き出しの変化を例示する説明図である。
【0138】
計算式特定部11Zは、吹き出しと組み合わされる台詞の発話者が置かれている環境を示す数値に基づいて1以上の計算式を特定する。ここで、吹き出しと組み合わされる台詞とは、吹き出しの枠画像がゲーム画面等に表示される時に、枠画像に重なって表示される台詞を意味する。
【0139】
(発話者が置かれている環境)
発話者が置かれている環境とは、発話者の周囲の環境を意味する。例えば発話者がゲームに登場するゲーム内キャラクタである場合、発話者が置かれている環境には、例えば以下のものがある。キャラクタが現在居る場所(町、村、城、ダンジョン、洞窟、体力回復の神殿、草原、山岳、海等)、同行する仲間の人数や仲間のステータス、敵キャラクタと遭遇しているか否か、キャラクタにとっての現在時刻(例えば朝、昼、夕方、夜、深夜等)、天気(晴れ、雨、豪雨、雪、雷等)、キャラクタが所属しているグループ、キャラクタが所属しているグループの戦闘スタンス(近距離攻撃重視、遠距離攻撃重視、守備重視、生還重視、等)、ゲームの進行に必須となるアイテムの収集状況、キャラクタが与えられたミッションクリアまでの残り時間、キャラクタが現在居る場所の治安の良さ、村人や町人がキャラクタに対して好意を抱いているか嫌悪を抱いているか、キャラクタが存在する時代(古代、近代、現代、未来等)、キャラクタが存在する世界の勢力分布(魔王軍が優勢、人間が優勢、等)、キャラクタが存在する世界の経済状況(好況、不況、飢饉、等)、キャラクタが存在する世界の疫病等の蔓延状況(疫病無し、パンデミック、エピデミック、等)。
【0140】
発話者が現実世界に存在する者(例えばゲーム実況者、イベントの参加者、等)である場合、発話者が置かれている環境には、例えば以下のものがある。発話者が現在居る場所(市区町村、屋外、屋内施設、等)、発話者の関係者の人数(投稿動画の視聴者数、イベントの参加者数等)、発話者の関係者の属性(同級生、職場の同僚、初対面、等)、現在時刻(例えば朝、昼、夕方、夜、深夜等)、発話者が移動する場合の交通状況(渋滞、電車の運行見合わせ等)、発話者が居る場所や自宅付近の天気(晴れ、雨、豪雨、雪、雷等)、発話者に与えられた残り時間(動画の残り収録時間、イベント終了までの時間等)、発話者が現在居る場所の治安の良さ、発話者が存在する地域の経済状況(好況、不況、等)、キャラクタが存在する世界の疫病等の蔓延状況(疫病無し、パンデミック、エピデミック等)。
【0141】
発話者が置かれている環境は、上記のものには限られない。以下、発話者が置かれている環境は、発話者であるゲーム内キャラクタと敵キャラクタとの間の距離(敵キャラクタとの距離)である場合について例示する。
【0142】
計算式特定部11Zは、敵キャラクタとの距離を変数として有する計算式を特定する。ここで
図17を併せて参照すると、計算式特定部11Zは、変数1として「敵キャラクタとの距離」を有する計算式012を特定する。
図23において、吹き出しSB08Aは、敵キャラクタとの距離が十分大きい場合に吹き出し生成部12Zが生成する吹き出しの外観を示している。吹き出しSB08Bは、敵キャラクタとの距離が縮まっている場合に吹き出し生成部12Zが生成する吹き出しの外観を示している。敵キャラクタが接近することにより、ゲーム内キャラクタが緊張していく様子が、吹き出し枠に設けられたトゲの数として表現されている。
【0143】
以上のように、計算式特定部11Zは、吹き出しと組み合わされる台詞の発話者が置かれている環境を示す数値に基づいて1以上の計算式を特定する。これにより、吹き出し生成部12Zが、発話者が置かれている環境に適した外観を有する吹き出しを生成することができる。そのため、ビデオゲームに対するプレイヤの興味をさらに向上させることができる。
【0144】
図24は、本発明の実施形態の少なくとも一つに対応する、変数に応じた吹き出しの変化を例示する説明図である。
【0145】
計算式特定部11Zは、吹き出しと組み合わされる台詞の発話者の人数に基づいて1以上の計算式を特定する。ここで、吹き出しと組み合わされる台詞とは、吹き出しの枠画像がゲーム画面等に表示される時に、枠画像に重なって表示される台詞を意味する。
【0146】
計算式特定部11Zは、台詞の発話者の人数を変数として有する計算式を特定する。ここで
図17を併せて参照すると、計算式特定部11Zは、変数1として「台詞の発話者の人数」を有する計算式007を特定する。
図24において、吹き出しSB09Aは発話者の人数が1人である場合に吹き出し生成部12Zが生成する吹き出しの外観を示している。吹き出しSB09Bは、発話者の人数が3人である場合に吹き出し生成部12Zが生成する吹き出しの外観を示している。同時にその台詞を発話する人数が、同心状に重なった吹き出し枠の数として表現されている。
【0147】
以上のように、計算式特定部11Zは、吹き出しと組み合わされる台詞の発話者の人数に基づいて1以上の計算式を特定する。これにより、吹き出し生成部12Zが、発話者の人数に適した外観を有する吹き出しを生成することができる。そのため、ビデオゲームに対するプレイヤの興味をさらに向上させることができる。
【0148】
図25は、本発明の実施形態の少なくとも一つに対応する、変数に応じた吹き出しの変化を例示する説明図である。
【0149】
計算式特定部11Zは、ビデオゲームの稼働時間に基づいて1以上の計算式を特定する。稼働時間は、ゲームの進行を制御するサーバの稼働時間であってよい。また、稼働時間は、ユーザ端末を有するユーザ(プレイヤ)がゲームを開始してから現在までの時間(プレイ時間)であってもよい。稼働時間は、進行中のゲーム内で所定のイベントが発生した時点を時刻0とした場合の経過時間であってもよい。
【0150】
計算式特定部11Zは、ビデオゲームの稼働時間を変数として有する計算式を特定する。ここで
図17を併せて参照すると、計算式特定部11Zは、変数1として「ゲームの稼働時間」を有する計算式006を特定する。
図25において、吹き出しSB10Aは、ビデオゲームの稼働時間がまだ短い場合に吹き出し生成部12Zが生成する吹き出しの外観を示している。吹き出しSB10Bは、ビデオゲームの稼働時間が長時間になった場合に吹き出し生成部12Zが生成する吹き出しの外観を示している。
【0151】
ここで、
図25に記載されている吹き出しの活用例を示す。例えば、プレイヤが操作するゲーム内キャラクタ(主人公)には、お供をするキャラクタ(お供キャラクタ)が存在する。お供キャラクタは、別の世界から召喚される、魔法によって生成される、などの原因により、主人公に随伴する。お供キャラクタは、別の世界に戻る、召喚者である主人公の魔力切れ等の理由により、所定の時間が経過すると主人公のもとから去っていく。お供キャラクタの台詞は、計算式006に基づいて吹き出し生成部12Zが生成した吹き出し画像と共にゲーム画面に表示される。例えばこのような場合、ビデオゲームの稼働時間が増えるにつれて、吹き出しが透明に近づいていく。このことにより、お供キャラクタが主人公のもとから去っていく刻限までの残り時間を、視覚的に演出することができる。その他、主人公が毒の影響を受けている場合、毒の影響が薄まっていく様子を、計算式006に基づいて吹き出し生成部12Zが生成した吹き出しによって演出してもよい。
【0152】
また、計算式特定部11Zは、ビデオゲームの稼働時間が増えるにつれて吹き出しの形状が変わるような計算式を特定してもよい。例えば計算式特定部11Zは、基本形状は角のない矩形であり、経過時間が増えるにつれてより円形に近づいていくような形状を規定する計算式を特定する。これにより、ゲーム内キャラクタである若い発話者の性格が、年齢の増加につれてより穏やかになっていく状況を演出することができる。
【0153】
以上のように、計算式特定部11Zは、ビデオゲームの稼働時間に基づいて1以上の計算式を特定する。これにより、吹き出し生成部12Zが、ビデオゲームの稼働時間に適した外観を有する吹き出しを生成することができる。そのため、ビデオゲームに対するプレイヤの興味をさらに向上させることができる。
【0154】
図26は、本発明の実施形態の少なくとも一つに対応する、変数に応じた吹き出しの変化を例示する説明図である。
【0155】
計算式特定部11Zは、ビデオゲームのプレイヤによるゲーム画面上の注視位置に基づいて1以上の計算式を特定する。ここで、ゲーム画面上の注視位置とは、ゲームのプレイヤが注視しているゲーム画面上の位置を意味する。例えばパーソナルコンピュータ等のようにゲーム画面上にカーソルが表示される場合、ゲーム画面上の注視位置はカーソル位置を意味してよい。ゲーム画面がタッチパネルディスプレイに表示される場合、ゲーム画面上の注視位置は、ユーザ(ビデオゲームのプレイヤ)がタッチパネルディスプレイをタップした位置を意味してよい。視線検知機能を有するVRゴーグルにゲーム画面が表示される場合、ゲーム画面上の注視位置は、VRゴーグルの装着者の視線が指し示す位置を意味してよい。
【0156】
計算式特定部11Zは、ビデオゲームのプレイヤによるゲーム画面上の注視位置を変数として有する計算式を特定する。ここで
図17を併せて参照すると、計算式特定部11Zは、変数1として「ゲーム画面上の注視位置の座標値(x,y)」を有する計算式011を特定する。
図26において、吹き出しSB11Aは、注視位置がゲーム画面の所定の領域上にない場合に吹き出し生成部12Zが生成する吹き出しの外観を示している。吹き出しSB11Bは、注視位置がゲーム画面の所定の領域上にある場合に吹き出し生成部12Zが生成する吹き出しの外観を示している。注視位置がゲーム画面の所定の領域上にある場合、吹き出し枠のトゲが伸びる。
【0157】
ここで、
図26に記載されている吹き出しの活用例を示す。ビデオゲームのプレイヤは、ゲーム内キャラクタである主人公Aの視点でそのゲームを体験する。例えば、ゲーム画面に大写しになった他のゲーム内キャラクタ(例えば主人公Aと同じチームに属する仲間B)がゲーム内で発言しており、仲間Bの台詞が吹き出しと組み合わせて表示される。ゲーム画面の所定の領域は、表示されている吹き出しの領域であるとする。この時、注視位置がゲーム画面の所定の領域上にある場合とは、主人公A(プレイヤ)が、仲間Bの発言に係る吹き出しを見ている場合である。これはすなわち、主人公A(プレイヤ)が仲間Bの発言を傾聴している場合に相当する。そのため、吹き出し枠のトゲが伸びることによって、「主人公A(プレイヤ)が仲間Bの発言を傾聴していること」に、仲間Bが気付いていることを表現することができる。
【0158】
図26に記載されている吹き出しの他の活用例を示す。例えば、ゲーム画面上のどこかに、主人公A(プレイヤ)の攻撃力を増加させるレアアイテムが隠されている。主人公A(プレイヤ)は視線を動かして(あるいはカーソル移動かタップ操作により)、レアアイテムを探している。ここで、仲間Bが「探索」の呪文を身振り付きで詠唱している時間帯に限り、主人公A(プレイヤ)はレアアイテムを発見することができる。吹き出し枠には、仲間Bが詠唱している呪文に相当するテキストが表示されている。主人公A(プレイヤ)の注視位置が、レアアイテムが隠されている位置と重なった場合に、吹き出し枠のトゲが伸びる。これにより、仲間Bは身振り付きで呪文を詠唱しており、言葉や仕草で主人公A(プレイヤー)に対してレアアイテムの位置に関するヒントを出すことができないものの、気配等の何らかの他の手段によってヒントを与える状況を表現することができる。
【0159】
以上のように、計算式特定部11Zは、ビデオゲームのプレイヤによるゲーム画面上の注視位置に基づいて1以上の計算式を特定する。これにより、吹き出し生成部12Zが、プレイヤによるゲーム画面上の注視位置に適した外観を有する吹き出しを生成することができる。そのため、ビデオゲームに対するプレイヤの興味をさらに向上させることができる。
【0160】
図27は、本発明の実施形態の少なくとも一つに対応する、変数に応じた吹き出しの変化を例示する説明図である。
【0161】
計算式特定部11Zは、ビデオゲームのプレイヤに対して与えるユーザ体験を示す数値に基づいて1以上の計算式を特定する。
【0162】
(ユーザ体験)
ここでユーザ体験(UX)とは、製品やサービスを通じて得られる体験の総称を意味する。ビデオゲームにおいては、プレイヤがビデオゲームをプレイすることで得られる体験を意味する。例えば、プレイヤがゲームをプレイ中に緊張する、落ち着く(緩和する)、泣く、笑う、怒る、満足する、物足りなさを感じるなどが、ユーザ体験に該当する。なお、ビデオゲームにおけるユーザ体験は、これらには限られない。
【0163】
(緊張の度合いの数値化)
このようなユーザ体験の一例である「緊張」と「緩和」について例示する。例えばユーザがゲームのプレイに飽き始めた時などのように、ゲーム中にプレイヤを緊張させたい場合がある。逆に、緊張状態が続くとプレイヤが疲れるため、プレイヤの緊張を緩和させたい場合がある。そのため、プレイヤの緊張の度合いを適切な状態に維持するために、緊張度という数値指標が導入される。例えば、プレイヤが全く緊張していない場合の緊張度を0とする。プレイヤが完全に緊張している場合を10とする。ここでは、便宜上、緊張度の最大値を10と定義しているが、緊張度の最大値は10以外の値であってもよい。
【0164】
計算式特定部11Zは、緊張度を変数として有する計算式を特定する。ここで
図17を併せて参照すると、計算式特定部11Zは、変数1として「プレイヤの緊張度」を有する計算式013を特定する。
図27において、吹き出しSB12Aは、プレイヤを緊張させたくない場合(プレイヤの緊張度を減らしたい場合)に吹き出し生成部12Zが生成する吹き出しの外観を示している。吹き出しSB12Bは、プレイヤを緊張させたい場合(プレイヤの緊張度を増やしたい場合)に吹き出し生成部12Zが生成する吹き出しの外観を示している。
【0165】
例えば、計算式013に基づいて吹き出し生成部12Zが生成した吹き出しを、ゲーム内のナレーション表示に用いる。この場合、当該ナレーションの発話者は、ゲームシステムそのものである。トゲの無い吹き出しSB12Aを用いたナレーション表示よりも、トゲのある吹き出しSB12Bを用いたナレーション表示の方が、プレイヤに与える刺激が強い。そのため、トゲのある吹き出しSB12Bを用いた方が、プレイヤをより緊張させることができる。なお、計算式特定部11Zは、プレイヤに与えたい緊張度が高いほど吹き出しの色が赤色に近づくような計算式を特定してもよい。赤色は視覚的な刺激が強い色であるため、プレイヤをより緊張させることができる。
【0166】
プレイヤに対して与える「緊張」と「緩和」以外のユーザ体験についても、そのユーザ体験が数値化されてよい。計算式特定部11Zは、数値化されたユーザ体験を変数として有する計算式を特定する。
【0167】
以上のように、計算式特定部11Zは、ビデオゲームのプレイヤに対して与えるユーザ体験を示す数値に基づいて1以上の計算式を特定する。これにより、吹き出し生成部12Zが、ビデオゲームのプレイヤに対して与えたいユーザ体験に適した外観を有する吹き出しを生成することができる。そのため、ビデオゲームに対するプレイヤの興味をさらに向上させることができる。
【0168】
(第6の実施形態の補足事項)
計算式特定部11Zは、変数を有さない計算式(例えば
図17の計算式005)を特定してもよい。また、吹き出しの外観を変えなくとも良い場合は、変数を有する計算式(例えば
図17の計算式001~004、006~013)の変数部分に、所定の固定値を入力してもよい。また、計算式が2つ以上の変数を備えている場合に、一部の変数に所定の固定値を入力してもよい。
【0169】
計算式の特定に際して考慮される要素(以下、考慮要素)は、計算式が有する変数として用いられなくてもよい。考慮要素の非限定的な例は、吹き出しと組み合わされる台詞の内容(
図18参照)、吹き出しと組み合わされる台詞の文字数(
図19参照)、吹き出しと組み合わされる台詞に相当する音声データの音量または音質(
図20および
図21参照)、吹き出しと組み合わされる台詞の発話者の属性(
図22参照)、吹き出しと組み合わされる台詞の発話者が置かれている環境(
図23参照)、吹き出しと組み合わされる台詞の発話者の人数(
図24参照)、ビデオゲームの稼働時間(
図25参照)、ビデオゲームのプレイヤによるゲーム画面上の注視位置(
図26参照)、および、ビデオゲームのプレイヤに対して与えるユーザ体験(
図27参照)である。
【0170】
考慮要素は数値化されなくともよい。より特定的には、考慮要素である吹き出しと組み合わされる台詞の内容(
図18参照)、台詞に相当する音声データの音質(
図21参照)、発話者の属性(
図22参照)、台詞の発話者が置かれている環境(
図23参照)、およびビデオゲームのプレイヤに対して与えるユーザ体験(
図27参照)は、計算式の特定に際して数値化されなくともよい。例えば、台詞に所定のキーワードが含まれている場合は計算式Nを用い、台詞の文字数が20文字未満であれば計算式N+1を用い、台詞の文字数が20文字以上であれば計算式N+2を用い、ビデオゲームのプレイヤに対して与えるユーザ体験が「プレイヤを笑わせたい」である場合は計算式N+3を用いる、等のように、上記の考慮要素から得られる各種の条件に基づいて、計算式特定部11Zが特定する計算式がどれであるかが事前に決定されていてもよい。例えばこのような場合、数値化されていない考慮要素は、計算式特定の為の判定基準(計算式の選択基準)として用いられることができる。
【0171】
計算式の特定の際に、複数の考慮要素が複合的に用いられてもよい。ここで
図17を参照すると、計算式特定部11Zは、変数1として「キャラクタの勇敢度(1~255)」を有し、変数2として「敵キャラクタとの距離」を有する計算式004を特定する。「キャラクタの勇敢度」は発話者の属性(
図22参照)に相当し、「敵キャラクタとの距離」は台詞の発話者が置かれている環境(
図23参照)に相当する。上記においては、種々の考慮要素を複数のカテゴリ(
図18~
図27の各図参照)に分類して、カテゴリごとに分けて説明を行った。しかし、計算式特定部11Zは、異なるカテゴリに含まれる考慮要素同士をあわせて考慮して計算式を特定してよい。計算式特定部11Zが計算式004を特定した場合、吹き出し生成部12Zは、基本形状が円形である吹き出しを生成する。生成された円形の吹き出しは、所定の周期で拡大~縮小を繰り返す。このアニメーション表示は、敵キャラクタと遭遇しようとするキャラクタの心臓の拍動を表現している。敵キャラクタとの距離が近いほど、円の半径が変化するスピードが速くなるので、心臓の拍動は速くなる。また、勇敢なキャラクタは敵キャラクタに対して落ち着いて対処できる一方で、勇敢でないキャラクタは敵キャラクタとの遭遇におびえる。そこで、勇敢度が低いほど、円の半径の振幅が大きくなる。すなわち、心臓の拍動が大きくなる。計算式004は、生成される吹き出しによってこのようなキャラクタの心情を表現している。
【0172】
発話者を特定するために、しっぽが吹き出しに付加されることがある。吹き出しに付加されるしっぽは「足」、「つの」、「矢印」、「pointy part」、または「notch」と呼ばれることもある。ここでは、発話者を特定するために吹き出しに付加される部分を「しっぽ」と表現する。しっぽの形状は三角形(
図28参照)に限られず、種々の形状を呈することができる。例えば、しっぽが、折れ曲がった形状を有していることがある。また、複数の円が連続して配置されることにより構成される「丸しっぽ」等も存在する。以下、一般的に用いられる三角形のしっぽを例示して説明する。
【0173】
図28は、本発明の実施形態の少なくとも一つに対応する、しっぽが付加された吹き出しを例示する図である。吹き出しSB13に、三角形のしっぽTが付加されている。計算式特定部11Zは、吹き出しSB13の外観を規定する計算式と、しっぽTの外観を規定する計算式とを特定してよい。吹き出し生成部12Zは、吹き出しSB13の外観を規定する計算式と、しっぽTの外観を規定する計算式とを合わせて用いて、しっぽTが付加された吹き出しSB13を生成する。
【0174】
なお、しっぽTが取り得る形状のパターン数は、吹き出しSB13が取り得る形状のパターン数よりも少ないと考えられる。そのため、しっぽTについてはアセット(素材)となる画像を記憶部(記憶媒体、記憶装置)に保存しておき、生成された吹き出しSB13に後からしっぽTを付加してもよい。
【0175】
(第6の実施形態のまとめ)
第6の実施形態の一側面として、様々な種類の計算式を定義できるので、多様な吹き出しを提供することができる。
【0176】
第6の実施形態の一側面として、多様な吹き出しを提供することにより、表示された吹き出しを見るユーザに対する演出効果を高めることができる。
【0177】
第6の実施形態の一側面として、多様な吹き出しを提供することにより、吹き出しが表示されるビデオゲームに対するプレイヤの興味を向上させることができる。
【0178】
以上に説明したように、本願の各実施形態により1または2以上の不足が解決される。なお、夫々の実施形態による効果は、非限定的な効果または効果の一例である。
【0179】
なお、上述した各実施形態では、複数のユーザ端末20,201~20N,50とサーバ10およびサーバ40は、自己が備える記憶装置に記憶されている各種制御プログラム(例えば、ビデオゲーム処理プログラムや吹き出し生成プログラム)に従って、上述した各種の処理を実行する。
【0180】
また、ビデオゲーム処理システム100およびビデオゲーム処理システム101の構成は、上述した各実施形態の例として説明した構成に限定されない。例えばユーザ端末が実行する処理として説明した処理の一部または全部をサーバ10またはサーバ40が実行する構成としてもよいし、サーバ10またはサーバ40が実行する処理として説明した処理の一部または全部を複数のユーザ端末20,201~20N,50の何れか(例えば、ユーザ端末20)が実行する構成としてもよい。また、サーバ10またはサーバ40が備える記憶部(記憶媒体、記憶装置)の一部または全部を複数のユーザ端末20,201~20N,50の何れかが備える構成としてもよい。すなわち、ビデオゲーム処理システム100またはビデオゲーム処理システム101における、ユーザ端末とサーバのどちらか一方が備える機能の一部または全部を、他の一方が備える構成とされていてもよい。
【0181】
また、プログラムが、上述した各実施形態の例として説明した機能の一部または全部を、通信ネットワークを含まない装置単体に実現させる構成としてもよい。
【0182】
さらに、上述した各実施形態を、ビデオゲーム以外の構成に適用してもよい。上述した各実施形態は例えば、パーソナルコンピュータや携帯端末等の任意の計算装置上で実行される吹き出しを表示するアプリケーションプログラム、テレビ等の放送番組や動画配信等において画面に吹き出しを表示する場合の吹き出しを生成するプログラム、再生機器によって再生される動画(投稿動画を含む)を作成または編集する際の吹き出しを生成する機能を備えた動画編集プログラム、トークイベント等において表示装置によって表示される画面(映写幕に投影される画面等を含む)に吹き出し画像を表示させる場合の当該吹き出し画像の生成プログラム、または、これらのプログラムがインストールされた装置等に適用されることができる。この場合、上述した各実施形態におけるゲーム画面は、表示装置によって表示される画面と解釈することができる。
【0183】
[付記]
上述した実施形態の説明は、少なくとも下記発明を、当該発明の属する分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができるように記載した。
[1]
ビデオゲームの進行を制御するサーバに、
1以上の計算式を特定する計算式特定機能と、
前記計算式で規定される外観を有する吹き出しを生成する吹き出し生成機能とを
実現させるための吹き出し生成プログラム。
[2]
前記計算式特定機能では、変数を有する1以上の計算式を特定する機能を実現させ、
前記吹き出し生成機能では、前記変数の値の変化に応じて外観が変化する前記吹き出しを生成する機能を
実現させるための[1]に記載の吹き出し生成プログラム。
[3]
前記サーバに、前記吹き出しをゲーム画面に表示させる吹き出し表示機能を
実現させるための[1]または[2]に記載の吹き出し生成プログラム。
[4]
前記計算式特定機能では、前記吹き出しと組み合わされる台詞の内容を示す数値に基づいて1以上の計算式を特定する機能を
実現させるための[1]から[3]のうちいずれか一項に記載の吹き出し生成プログラム。
[5]
前記計算式特定機能では、前記吹き出しと組み合わされる台詞の文字数に基づいて1以上の計算式を特定する機能を
実現させるための[1]から[4]のうちいずれか一項に記載の吹き出し生成プログラム。
[6]
前記計算式特定機能では、前記吹き出しと組み合わされる台詞に相当する音声データの音量または音質に基づいて1以上の計算式を特定する機能を
実現させるための[1]から[5]のうちいずれか一項に記載の吹き出し生成プログラム。
[7]
前記計算式特定機能では、前記吹き出しと組み合わされる台詞の発話者の属性値に基づいて1以上の計算式を特定する機能を
実現させるための[1]から[6]のうちいずれか一項に記載の吹き出し生成プログラム。
[8]
前記計算式特定機能では、前記吹き出しと組み合わされる台詞の発話者が置かれている環境を示す数値に基づいて1以上の計算式を特定する機能を
実現させるための[1]から[7]のうちいずれか一項に記載の吹き出し生成プログラム。
[9]
前記計算式特定機能では、前記吹き出しと組み合わされる台詞の発話者の人数に基づいて1以上の計算式を特定する機能を
実現させるための[1]から[8]のうちいずれか一項に記載の吹き出し生成プログラム。
[10]
前記計算式特定機能では、前記ビデオゲームの稼働時間に基づいて1以上の計算式を特定する機能を
実現させるための[1]から[9]のうちいずれか一項に記載の吹き出し生成プログラム。
[11]
前記計算式特定機能では、前記ビデオゲームのプレイヤによるゲーム画面上の注視位置に基づいて1以上の計算式を特定する機能を
実現させるための[1]から[10]のうちいずれか一項に記載の吹き出し生成プログラム。
[12]
前記計算式特定機能では、前記ビデオゲームのプレイヤに対して与えるユーザ体験を示す数値に基づいて1以上の計算式を特定する機能を
実現させるための[1]から[11]のうちいずれか一項に記載の吹き出し生成プログラム。
[13]
[1]から[12]のうちいずれか一項に記載の吹き出し生成プログラムが前記サーバに実現させる機能のうち少なくとも1つの機能を、当該サーバと通信可能なユーザ端末に実現させるためのビデオゲーム処理プログラム。
[14]
[1]から[12]のうちいずれか一項に記載の吹き出し生成プログラムがインストールされたサーバ。
[15]
通信ネットワークと、サーバと、ユーザ端末とを備え、ビデオゲームの進行を制御するビデオゲーム処理システムであって、
1以上の計算式を特定する計算式特定手段と、
前記計算式で規定される外観を有する吹き出しを生成する吹き出し生成手段とを含む、
ビデオゲーム処理システム。
[16]
ユーザ端末に、
1以上の計算式を特定する計算式特定機能と、
前記計算式で規定される外観を有する吹き出しを生成する吹き出し生成機能とを
実現させるための吹き出し生成プログラム。
[17]
[16]に記載の吹き出し生成プログラムがインストールされたユーザ端末。
[18]
コンピュータ装置による吹き出し生成方法であって、
1以上の計算式を特定する計算式特定処理と、
前記計算式で規定される外観を有する吹き出しを生成する吹き出し生成処理とを含む、
吹き出し生成方法。
[19]
通信ネットワークと、サーバと、ユーザ端末とを備えるビデオゲーム処理システムによる、吹き出し生成方法であって、
1以上の計算式を特定する計算式特定処理と、
前記計算式で規定される外観を有する吹き出しを生成する吹き出し生成処理とを含む、
吹き出し生成方法。
【産業上の利用可能性】
【0184】
本発明の実施形態の一つによれば、ビデオゲームに対するプレイヤの興味を向上させるのに有用である。
【符号の説明】
【0185】
10、10A、10B、10C、10Z、40 サーバ
11、11B、11C、11Z、51 計算式特定部
12、12B、12C、12Z、52 吹き出し生成部
13 表示部
20、201、20N、50 ユーザ端末
30 通信ネットワーク
100、101 ビデオゲーム処理システム
【手続補正書】
【提出日】2023-11-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバに、
1以上の計算式で規定される外観を有する吹き出しを生成する吹き出し生成機能を実現させるための吹き出し生成プログラム。
【請求項2】
前記1以上の計算式は変数を有する計算式であり、
前記吹き出し生成機能では、前記変数の値の変化に応じて外観が変化する前記吹き出しを生成する機能を
実現させるための請求項1に記載の吹き出し生成プログラム。
【請求項3】
前記1以上の計算式は、前記吹き出しと組み合わされる台詞の内容を示す数値に基づいて前記吹き出しの外観が変化する計算式である、請求項1または請求項2に記載の吹き出し生成プログラム。
【請求項4】
前記1以上の計算式は、前記吹き出しと組み合わされる台詞の文字数に基づいて前記吹き出しの外観が変化する計算式である、請求項1または請求項2に記載の吹き出し生成プログラム。
【請求項5】
前記1以上の計算式は、前記吹き出しと組み合わされる台詞に相当する音声データの音量または音質に基づいて前記吹き出しの外観が変化する計算式である、請求項1または請求項2に記載の吹き出し生成プログラム。
【請求項6】
前記1以上の計算式は、前記吹き出しと組み合わされる台詞の発話者の属性値に基づいて前記吹き出しの外観が変化する計算式である、請求項1または請求項2に記載の吹き出し生成プログラム。
【請求項7】
前記1以上の計算式は、前記吹き出しと組み合わされる台詞の発話者の人数に基づいて前記吹き出しの外観が変化する計算式である、請求項1または請求項2に記載の吹き出し生成プログラム。
【請求項8】
前記1以上の計算式は、注視位置に基づいて前記吹き出しの外観が変化する計算式である、請求項1または請求項2に記載の吹き出し生成プログラム。
【請求項9】
通信ネットワークと、サーバと、ユーザ端末とを備えた処理システムであって、
1以上の計算式で規定される外観を有する吹き出しを生成する吹き出し生成手段を含む、処理システム。