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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024002341
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】レゾネータ及び吸気装置
(51)【国際特許分類】
   F02M 35/12 20060101AFI20231228BHJP
【FI】
F02M35/12 M
F02M35/12 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022101462
(22)【出願日】2022-06-23
(71)【出願人】
【識別番号】000119232
【氏名又は名称】株式会社イノアックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100190333
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 群司
(72)【発明者】
【氏名】杉山 裕隆
(72)【発明者】
【氏名】丹下 勝博
(57)【要約】      (修正有)
【課題】装置自体の大型化を招くことなく、消音室に連通する連通路の長さを調整可能である、レゾネータ及び吸気装置を提供する。
【解決手段】吸気装置20は、内燃機関に吸気するための吸気管12と、連通管22を介して吸気管12に接続され、吸気管12で生じている吸気音を消音する消音室31と、消音室31内にて連通管22を延長した流路であって折り返して形成された内部流路32と、を備えている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関に吸気するための吸気管と、
連通管を介して前記吸気管に接続され、前記吸気管で生じている吸気音を消音する消音室と、
前記消音室内にて前記連通管を延長した流路であって折り返して形成された内部流路と、
を備えたことを特徴とする吸気装置。
【請求項2】
前記内部流路は、前記連通管に一端が接続された内筒の内側流路と、前記内筒の他端側開口を覆うように配置された有底筒状の外筒と前記内筒との間に形成された外側流路と、を備えていることを特徴とする請求項1に記載の吸気装置。
【請求項3】
前記内部流路は、前記連通管に一端が接続された第1筒管部の第1内部流路と、前記第1筒管部に並べて配置された第2筒管部の第2内部流路と、前記第1筒管部と前記第2筒管部とを連通して配置された折り返し管部の第3内部流路と、を備えていることを特徴とする請求項1に記載の吸気装置。
【請求項4】
前記消音室は、前記連通管に接続された開口が形成された第1壁を有する第1ケーシングと、前記第1ケーシングに組み付けられ第2ケーシングとにより形成される内部空間であり、
前記内筒は、前記第1ケーシングの前記開口に接続され前記第1壁に垂直に設けられた筒状部材であり、
前記外筒は、前記第1ケーシングの前記第1壁に対向する前記第2ケーシングの第2壁に垂直に設けられた筒状部材であることを特徴とする請求項2に記載の吸気装置。
【請求項5】
前記消音室は、前記連通管に接続された開口が形成された第1壁を有する第1ケーシングと、前記第1ケーシングに組み付けられ第2ケーシングとにより形成される内部空間であり、
前記内筒は、前記第1ケーシングの前記開口に接続され前記第1ケーシングの前記第1壁に沿って設けられた一対の第1壁部材と、前記第2ケーシング側に設けられ前記一対の第1壁部材を覆う第1天井部材と、を含んでおり、
前記外筒は、前記第1ケーシングにU字状に形成され前記一対の第1壁部材を囲むように配置された第2壁部材と、前記第2ケーシング側に設けられ前記第2壁部材を覆う第2天井部材と、を含んでいることを特徴とする請求項2に記載の吸気装置。
【請求項6】
前記消音室は、前記連通管に接続された開口が形成された第1壁を有する第1ケーシングと、前記第1ケーシングに組み付けられ第2ケーシングとにより形成される内部空間であり、
前記第1筒管部は、前記第1ケーシングの前記開口に接続され前記第1壁に垂直に設けられた筒状部材であり、
前記第2筒管部は、前記第1筒管部に並べて前記第1ケーシングに設けられ、
前記折り返し管部は、前記第1ケーシングの前記第1壁に対向する前記第2ケーシングの第2壁に設けられていることを特徴とする請求項3に記載の吸気装置。
【請求項7】
前記消音室は、前記連通管に接続された開口が形成された第1壁を有する第1ケーシングと、前記第1ケーシングに組み付けられ第2ケーシングとにより形成される内部空間であり、
前記第1筒管部は、前記第1ケーシングの前記開口に接続され前記第1ケーシングの前記第1壁に沿って設けられた一対の第1壁部材と、前記第2ケーシング側に設けられ前記一対の第1壁部材を覆う第1天井部材と、を含んでおり、
前記第2筒管部は、前記一対の第1壁部材の何れか一方と、前記一方の第1壁部材に対向して配置された第2壁部材と、前記第2ケーシング側に設けられ前記一方の第1壁部材と前記第2壁部材の両方を覆う第2天井部材と、を含んでおり、
前記折り返し管部は、前記第1ケーシングにU字状に形成され前記第1筒管部と前記第2筒管部とを接続するように配置された第3壁部材と、前記第2ケーシング側に設けられ前記第3壁部材を覆う第3天井部材と、を含んでいることを特徴とする請求項3に記載の吸気装置。
【請求項8】
気体を搬送する搬送管に連通管を介して接続され、前記搬送管で生じている音を消音する消音室と、
前記消音室内にて前記連通管を延長した流路であって折り返して形成された内部流路と、
を備えたことを特徴とするレゾネータ。
【請求項9】
前記内部流路は、前記連通管に一端が接続された内筒の内側流路と、前記内筒の他端側開口を覆うように配置された有底筒状の外筒と前記内筒との間に形成された外側流路と、を備えていることを特徴とする請求項8に記載のレゾネータ。
【請求項10】
前記内部流路は、前記連通管に一端が接続された第1筒管部の第1内部流路と、前記第1筒管部に並べて配置された第2筒管部の第2内部流路と、前記第1筒管部と前記第2筒管部とを連通して配置された折り返し管部の第3内部流路と、を備えていることを特徴とする請求項8に記載のレゾネータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レゾネータ及び吸気装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
レゾネータとして、特許文献1には、共鳴消音室4と、吸気管路としてのエアホース3と共鳴消音室4とを連通する管状の連通孔5とが設けられた、消音装置が開示されている。連通孔5はベローズ6により形成されており、連通孔5の長さはエアホース3内の負圧に応じて変化させることができるので、消音周波数範囲を変化させることができる。
【0003】
また、レゾネータとして、特許文献2には、内燃機関の吸気管あるいは排気管に一端が開口するチューブ12と、このチューブ12の他端に接続された容積室13とを有する、内燃機関の吸排気系消音装置が開示されている。内燃機関の吸排気系消音装置においては、矩形の箱状をなすケース21内に固定チューブ22と移動チューブ23とが収容されている。固定チューブ22および移動チューブ23は、それぞれ櫛歯状に通路部を有し、互いに対向した状態で組み合わせることで、一本の連続したチューブ12が複数回U字状に屈曲した形状に形成されている。チューブ12は、チューブ12の長さを騒音の周波数あるいは機関回転数に応じて可変となるように形成されている。
【0004】
また、レゾネータとして、特許文献3には、エア流路5と消音室9とを連通する連通路13が消音室9内に形成されている、レゾネータが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平04-246221号公報
【特許文献2】特開平07-253065号公報
【特許文献3】特開2006-183565号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した特許文献1に開示されているレゾネータにおいては、連通孔5(ベローズ6)の長さを調節できるものの、ベローズ6の設置スペースが必要であるため、消音装置が大型になるという問題があった。また、上述した特許文献2に開示されているレゾネータにおいても、チューブ12の長さを調節できるものの、チューブ12の設置スペースが必要であるため、内燃機関の吸排気系消音装置が大型になるという問題があった。一方、上述した特許文献3に開示されているレゾネータにおいては、連通路13は消音室9内に収容されており、連通路13を設置するための専用スペースが不要であるため、レゾネータ付き吸気装置が大型化するという問題は生じないものの、限られた空間(消音室)内で連絡路の長さを任意に設定(延長)することが要請されている。
【0007】
本発明は、上述した問題を解消するためになされたもので、装置自体の大型化を招くことなく、消音室に連通する連通路の長さを調整可能である、レゾネータ及び吸気装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明に係る吸気装置は、内燃機関に吸気するための吸気管と、連通管を介して前記吸気管に接続され、前記吸気管で生じている吸気音を消音する消音室と、前記消音室内にて前記連通管を延長した流路であって折り返して形成された内部流路と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
この発明に係る吸気装置によれば、消音室(限られた空間)内に、流路長を任意の長さに設定可能である内部流路を設けることが可能となるので、装置自体の大型化を招くことなく、連通管(連通路)の長さを調整可能である吸気装置を提供することが可能となる。
【0010】
また、本発明に係る吸気装置においては、前記内部流路は、前記連通管に一端が接続された内筒の内側流路と、前記内筒の他端側開口を覆うように配置された有底筒状の外筒と前記内筒との間に形成された外側流路と、を備えていることが好ましい。これによれば、簡便な構成(2重管)により内部流路を形成することが可能となる。
【0011】
また、本発明に係る吸気装置においては、前記内部流路は、前記連通管に一端が接続された第1筒管部の第1内部流路と、前記第1筒管部に並べて配置された第2筒管部の第2内部流路と、前記第1筒管部と前記第2筒管部とを連通して配置された折り返し管部の第3内部流路と、を備えていることが好ましい。これによれば、簡便な構成(並列管)により内部流路を形成することが可能となる。
【0012】
また、本発明に係る吸気装置においては、前記消音室は、前記連通管に接続された開口が形成された第1壁を有する第1ケーシングと、前記第1ケーシングに組み付けられ第2ケーシングとにより形成される内部空間であり、前記内筒は、前記第1ケーシングの前記開口に接続され前記第1壁に垂直に設けられた筒状部材であり、前記外筒は、前記第1ケーシングの前記第1壁に対向する前記第2ケーシングの第2壁に垂直に設けられた筒状部材であることが好ましい。これによれば、第1ケーシングと第2ケーシングとを合わせて接続するだけの簡単な方法により、第1壁から垂直に設けた二重管タイプの内部流路を有する消音室ひいては吸気装置を製造することが可能となる。
【0013】
また、本発明に係る吸気装置においては、前記消音室は、前記連通管に接続された開口が形成された第1壁を有する第1ケーシングと、前記第1ケーシングに組み付けられ第2ケーシングとにより形成される内部空間であり、前記内筒は、前記第1ケーシングの前記開口に接続され前記第1ケーシングの前記第1壁に沿って設けられた一対の第1壁部材と、前記第2ケーシング側に設けられ前記一対の第1壁部材を覆う第1天井部材と、を含んでおり、前記外筒は、前記第1ケーシングにU字状に形成され前記一対の第1壁部材を囲むように配置された第2壁部材と、前記第2ケーシング側に設けられ前記第2壁部材を覆う第2天井部材と、を含んでいることが好ましい。これによれば、第1ケーシングと第2ケーシングとを合わせて接続するだけの簡単な方法により、第1壁に沿って設けた二重管タイプの内部流路を有する消音室ひいては吸気装置を製造することが可能となる。
【0014】
また、本発明に係る吸気装置においては、前記消音室は、前記連通管に接続された開口が形成された第1壁を有する第1ケーシングと、前記第1ケーシングに組み付けられ第2ケーシングとにより形成される内部空間であり、前記第1筒管部は、前記第1ケーシングの前記開口に接続され前記第1壁に垂直に設けられた筒状部材であり、前記第2筒管部は、前記第1筒管部に並べて前記第1ケーシングに設けられ、前記折り返し管部は、前記第1ケーシングの前記第1壁に対向する前記第2ケーシングの第2壁に設けられていることが好ましい。これによれば、第1ケーシングと第2ケーシングとを合わせて接続するだけの簡単な方法により、第1壁から垂直に設けた並列管タイプの内部流路を有する消音室ひいては吸気装置を製造することが可能となる。
【0015】
また、本発明に係る吸気装置においては、前記消音室は、前記連通管に接続された開口が形成された第1壁を有する第1ケーシングと、前記第1ケーシングに組み付けられ第2ケーシングとにより形成される内部空間であり、前記第1筒管部は、前記第1ケーシングの前記開口に接続され前記第1ケーシングの前記第1壁に沿って設けられた一対の第1壁部材と、前記第2ケーシング側に設けられ前記一対の第1壁部材を覆う第1天井部材と、を含んでおり、前記第2筒管部は、前記一対の第1壁部材の何れか一方と、前記一方の第1壁部材に対向して配置された第2壁部材と、前記第2ケーシング側に設けられ前記一方の第1壁部材と前記第2壁部材の両方を覆う第2天井部材と、を含んでおり、前記折り返し管部は、前記第1ケーシングにU字状に形成され前記第1筒管部と前記第2筒管部とを接続するように配置された第3壁部材と、前記第2ケーシング側に設けられ前記第3壁部材を覆う第3天井部材と、を含んでいることが好ましい。これによれば、第1ケーシングと第2ケーシングとを合わせて接続するだけの簡単な方法により、第1壁に沿って設けた並列管タイプの内部流路を有する消音室ひいては吸気装置を製造することが可能となる。
【0016】
また、本発明に係るレゾネータは、空気を搬送する搬送管に連通管を介して接続され、前記搬送管で生じている音を消音する消音室と、前記消音室内にて前記連通管を延長した流路であって折り返して形成された内部流路と、を備えたことを特徴とする。
この発明に係るレゾネータによれば、消音室(限られた空間)内に、流路長を任意の長さに設定可能である内部流路を設けることが可能となるので、装置自体の大型化を招くことなく、連通管(連通路)の長さを調整可能であるレゾネータを提供することが可能となる。
【0017】
また、本発明に係るレゾネータにおいては、前記内部流路は、前記連通管に一端が接続された内筒の内側流路と、前記内筒の他端側開口を覆うように配置された有底筒状の外筒と前記内筒との間に形成された外側流路と、を備えていることが好ましい。これによれば、簡便な構成(2重管)により内部流路を形成することが可能となる。
【0018】
また、本発明に係るレゾネータにおいては、前記内部流路は、前記連通管に一端が接続された第1筒管部の第1内部流路と、前記第1筒管部に並べて配置された第2筒管部の第2内部流路と、前記第1筒管部と前記第2筒管部とを連通して配置された折り返し管部の第3内部流路と、を備えていることが好ましい。これによれば、簡便な構成(並列管)により内部流路を形成することが可能となる。
【発明の効果】
【0019】
この発明によれば、装置自体の大型化を招くことなく、消音室に連通する連通路の長さを調整可能である、レゾネータ及び吸気装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明によるレゾネータ30及び吸気装置20が適用された内燃機関11の一実施形態(二重管垂直タイプ)を示す構成図である。
図2図1に示すレゾネータ30及び吸気装置20の平面図である。
図3図2に示す3-3線に沿ったレゾネータ30及び吸気装置20を示す断面図である。
図4】変形例に係るレゾネータ130及び吸気装置20を示す断面図である。
図5】実施例1~実施例3(比較例1及び比較例2)に係るレゾネータ130の効果を示す周波数特性を示す図である。縦軸は音の強さ、音圧レベル[dB]を示し、横軸は周波数[Hz]を示す。
図6】第1変形例(並列管垂直タイプ)に係るレゾネータ230及び吸気装置220の平面図である。
図7図6に示す7-7線に沿ったレゾネータ230及び吸気装置220を示す断面図である。
図8】分割部の変形例に係るレゾネータ230及び吸気装置220を示す断面図である。
図9】第2変形例(二重管水平タイプ)に係るレゾネータ430及び吸気装置420の平面図である。
図10図9に示す10-10線に沿ったレゾネータ430及び吸気装置420を示す断面図である。
図11図10に示す11-11線に沿ったレゾネータ430を示す断面図である。
図12図10に示す12-12線に沿ったレゾネータ430を示す断面図である。
図13】第3変形例(並列管水平タイプ)に係るレゾネータ530及び吸気装置520の平面図である。
図14図13に示す14-14線に沿ったレゾネータ530及び吸気装置520を示す断面図である。
図15図14に示す15-15線に沿ったレゾネータ530を示す断面図である。
図16図14に示す16-16線に沿ったレゾネータ530を示す断面図である。
図17図14に示す17-17線に沿ったレゾネータ530を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明によるレゾネータ及び吸気装置の一実施形態について図面を参照して説明する。ただし、本発明は、この実施形態に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することができる。
【0022】
吸気装置20は、図1に示すように、内燃機関11の吸気系に備えられた吸気管12に設けられている。吸気管12は、内燃機関11の吸気マニホールド13とエアクリーナ14とを連通しており、エアクリーナ14を通過した空気を吸気マニホールド13を介して内燃機関11に供給する管である。
【0023】
吸気装置20は、図2及び図3に示すように、吸気管12の一部を構成する配管である吸気管部21にレゾネータ30が接続された装置である。吸気装置20は、吸気管部21、連通管22及びレゾネータ30を備えている。吸気管部21は、内燃機関11に吸気するための管部材であり、吸気管部21の両端は、吸気管12に接続されている。連通管22は、吸気管部21とレゾネータ30の消音室31とを連通している。連通管22の一端は吸気管部21の側部に接続され、連通管22の他端は内部流路32の一方の開口に接続されている。吸気装置20は、合成樹脂にて形成されるのが好ましい。合成樹脂としては、フェノール樹脂、メラミン樹脂などの熱硬化性樹脂や、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル樹脂、ポリカーボネートなどの熱可塑性樹脂などが採用される。
【0024】
レゾネータ30は、吸気系(例えば吸気管12)に設けられ吸気系にて発生する音(吸気音)を低減する装置である。尚、レゾネータ30は、吸気系だけでなく、内燃機関11からの排気ガスを排出する排気系(例えば排気管)に設けるようにしてもよい。また、吸気管12及び排気管は、気体(または空気)を搬送する搬送管と称してもよい。
【0025】
レゾネータ30は、図3に示すように、消音室31と内部流路32とを備えている。消音室31は、吸気管12に連通管22を介して接続され、吸気管12で生じている音を消音する。内部流路32は、消音室31内にて連通管22を延長した流路であって折り返して形成されている。
【0026】
図3に示すレゾネータ30は、いわゆる二重管垂直タイプのレゾネータである。尚、レゾネータは、二重管垂直タイプを含めて、後述する並列管垂直タイプ、二重管水平タイプ、及び並列管水平タイプがある。このとき、「垂直」は、二重管または並列管(内部流路)が開口41a1を有する壁に対して垂直に設けられていることを示し、「水平」は、二重管または並列管が開口41a1を有する壁に対して平行に設けられていることを示している。
【0027】
レゾネータ30は、第1ケーシング41、第2ケーシング42、内筒43及び外筒44を有している。レゾネータ30は、合成樹脂にて形成されるのが好ましい。
【0028】
第1ケーシング41は、第1壁である底壁41aと、底壁41aの周縁部から垂直に設けられた側壁41bと、を有している。本実施形態では、底壁41aは方形状に形成されており、側壁41bも平面視方形状(換言すると、方形枠状)に形成されている。尚、底壁41a及び側壁41bの形状は、方形状に限定されず、円形状でも他の多角形状でもよい。
【0029】
底壁41aには開口41a1が形成され、開口41a1には連通管22の上端(上側開口端)が接続されている。また、開口41a1には、内筒43の下端(下側開口端)が接続されている。内筒43は底壁41aに垂直に設けられた筒状部材である。本実施形態では、内筒43は円筒状に形成されている。尚、内筒43の形状は、円筒状に限定されず、多角形筒状でもよい。
【0030】
第2ケーシング42は、第2壁である上壁42aと、上壁42aの周縁部から垂直に設けられた側壁42bと、を有している。本実施形態では、上壁42aは、底壁41aと同様に方形状に形成されており、側壁42bは、側壁41bと同様に平面視方形状(方形枠状)に形成されている。
【0031】
上壁42aは、第1ケーシング41の底壁41aに対向して配置された壁であり、上壁42aには、外筒44が垂直に設けられている。外筒44は、有底筒状に形成されており、外筒底部44aと、外筒底部44aの周縁部に垂直に設けられた外筒胴部44bと、を有している。外筒胴部44bは、内筒43と同様に円筒状に形成され、外筒底部44aは、円形状に形成されている。外筒底部44aと外筒胴部44bとは、一体的に形成されている。外筒底部44aは、上壁42aの一部を形成している。外筒胴部44bは、内筒43と同様に筒状部材であり、内筒43より大径に形成されおり、内筒43を覆う(囲む)ように内筒43の外側に配置されている。尚、本実施形態では、外筒底部44aは、上壁42aの一部として形成したが、これに限定されず、上壁42aとは別部材で形成するようにしてもよい(後述する)。
【0032】
側壁42bの開口端部(下端部)は、第1ケーシング41の側壁41bの開口端部(上端部)に接続されることにより、第1ケーシング41と第2ケーシング42とが組み付けられる。その結果、第1ケーシング41と第2ケーシング42とにより内部空間が形成される。この内部空間が消音室31である。尚、第1ケーシング41と第2ケーシング42とは、接着剤、振動溶着、爪嵌合などにより接続されている。
【0033】
このレゾネータ30においては、消音室31は、第1ケーシング41と第2ケーシング42とにより区画された内部空間内に設けられている。消音室31は、内部流路32及び連通管22を介して吸気管12に連通している。すなわち、消音室31は、前述した内部空間のうち内部流路32以外の空間であると言うこともできる。
【0034】
レゾネータ30においては、内部流路32は、連通管22に一端(下端)が接続された内筒43の内側流路32aと、内筒43の他端側開口(上端側開口)を覆うように配置された有底筒状の外筒44と内筒43との間に形成された外側流路32bと、内側流路32aと外側流路32bとを接続する折り返し状(屈曲状)の折り返し流路32cと、を備えている。内部流路32の全長は、内側流路32aの流路長Laと外側流路32bの流路長Lbと折り返し流路32cの流路長Lcとを加算した値である。
【0035】
内側流路32aは、内筒43の内側空間によって形成された流路である。内側流路32aにおいては、内側流路32a内に流入した音(音波)が内側流路32a内をそのまままたは内側流路32aの内壁面(内筒43の内壁面)で反射しながら進んで内部流路32から流出する。このとき、音の伝搬経路は、一律ではなく様々な経路が存在すると考えられるため、これら音の平均の伝搬経路を内側流路32a(内筒43)の中心軸に沿った線と仮定し、平均伝搬経路の長さを内側流路32aの流路長Laと仮定する。よって、内側流路32aの流路長Laは、内筒43の軸方向の長さである。
【0036】
外側流路32bは、外筒胴部44bと内筒43との間に形成された空間によって形成された流路である。外側流路32bにおいては、外側流路32b内に流入した音(音波)が外側流路32b内をそのまままたは外側流路32bの内壁面(内筒43の外壁面及び外筒胴部44bの内壁面)で反射しながら進んで外側流路32bから消音室31内に流出する。このとき、音の伝搬経路は、一律ではなく様々な経路が存在すると考えられるため、これら音の平均の伝搬経路を外側流路32bの中心線(内筒43と外筒胴部44bとの径方向中間線)と仮定する。よって、外側流路32bの流路長Lbは、平均伝搬経路の軸線方向長さに設定することが可能であり、流路長Lbは、外筒胴部44bと内筒43とが軸方向にて重なる部分の長さである。
【0037】
折り返し流路32cは、外筒44のうち、内筒43と軸方向に沿って重ならない部分によって形成された流路である。すなわち、折り返し流路32cは、内筒43の上端より上側(外筒44の底部側)に位置する外筒44の内側部分によって形成された流路である。折り返し流路32cにおいては、内側流路32a内を通って伝搬した音が折り返し流路32cの内壁面で反射しながら外側流路32bに進入する。このとき、音の伝搬経路は、一律ではなく様々な経路が存在すると考えられるため、これら音の平均の伝搬経路を折り返し流路32cの中心線と仮定する。例えば、この中心線としては、内側流路32aの平均伝搬経路と外側流路32bの平均経路とを結ぶ曲線(例えば、半円状、半楕円状)が挙げられる。よって、折り返し流路32cの流路長Lcは、この曲線の長さに設定することが可能である。
【0038】
尚、内側流路32aの流路断面積と外側流路32bの流路断面積は略同一に設定されるのが好ましく、内部流路32の全長にわたって流路断面積が略同一に設定されるのが好ましい。後述する数1で示すように、消音周波数f0は、連通管の長さ及び断面積に応じて設定されており、連通管の断面積が場所によって異なると消音周波数f0が複数存在することになり周波数特性が複雑化するので、周波数特性を簡素化するために流路断面積は略同一に設定されるのが好ましい。
【0039】
また、音(音波)は縦波(疎密波)であるが、本明細書中では横波として扱い、上述した平均伝搬経路に沿って進むものと仮定する。また、上述した吸気装置20は、吸気管部21、連通管22及びレゾネータ30が一体となった一部材としてもよく、吸気管部21、連通管22及びレゾネータ30をそれぞれ別部材として形成し、これら別部材を組み立てるようにしてもよい。
【0040】
(成形方法(工程))
上述したレゾネータ30の第1ケーシング41及び第2ケーシング42は、キャビティ型(凹型)とコア型(凸型)とを備えた成型用金型を使用して射出成形されるのが好ましい。第1ケーシング41も第2ケーシング42も、アンダーカット形状は設けられていないので、キャビティ型とコア型においてパーティング面の開閉だけで成型用金型から取り出すことが可能であり、比較的簡単に形成することが可能である。尚、アンダーカット形状は、スライドコアや傾斜ピンなどの特殊な金型構造が必要となる形状であり、パーティング面の開閉だけでは取り出すことができない。アンダーカット形状としては、例えば、横穴、突起、凹みなどの形状がある。
【0041】
第1ケーシング41及び第2ケーシング42を組み合わせて、第2ケーシング42の側壁42bの開口端部(下端部)と第1ケーシング41の側壁41bの開口端部(上端部)とを接続する。このとき、内筒43が外筒胴部44b内に同軸的に配置された二重管構造が形成され、この二重管構造が第1ケーシング41の第1壁である底壁41aに垂直に設けられたレゾネータ30が形成される。
【0042】
さらに、レゾネータ30は、連通管22を介して吸気管部21に接着剤などにより接続され、吸気装置20が形成される。
【0043】
尚、第1ケーシング41、連通管22及び吸気管部21を一体的に成型するようにしてもよい。この場合、吸気管部付きの第1ケーシング41は、アンダーカット形状を有することになるので、成型用金型は比較的複雑になるが、第1ケーシング41、連通管22及び吸気管部21を一部材とすることが可能となり、部品点数を低減することが可能となる。
【0044】
本実施形態に係る吸気装置20(二重管垂直タイプ)においては、消音室31は、連通管22に接続された開口41a1が形成された第1壁(底壁41a)を有する第1ケーシング41と、第1ケーシング41に組み付けられ第2ケーシング42とにより形成される内部空間であり、内筒43は、第1ケーシング41の開口41a1に接続され底壁41aに垂直に設けられた筒状部材であり、外筒44は、第1ケーシング41の底壁41aに対向する第2ケーシング42の第2壁(上壁42a)に垂直に設けられた筒状部材であることが好ましい。これによれば、第1ケーシング41と第2ケーシング42とを合わせて接続するだけの簡単な方法により、底壁41aから垂直に設けた二重管タイプの内部流路を有する消音室31ひいては吸気装置20を製造することが可能となる。
【0045】
(変形例:外筒底部に環状凹部)
また、上述したレゾネータ30においては、外筒44の外筒底部44aの内壁面を平坦面となるように形成した(外筒底部44aを上壁42aの一部で形成した)が、外筒底部の内壁面を音の反射効率が高くなるような曲面に形成してもよい。この場合、レゾネータ130において、図4に示すように、第2ケーシング42の上壁42aには、外筒144が垂直に設けられている。外筒144は、有底筒状に形成されており、外筒底部144aと、外筒底部144aの周縁部に垂直に設けられた外筒胴部144bと、を有している。外筒胴部144bは、外筒胴部44bと同様に円筒状に形成され、内筒43より大径に形成されおり、内筒43を覆う(囲む)ように内筒43の外側に配置されている。外筒底部144aは、円盤状に形成されている。外筒底部144aと外筒胴部144bとは、一体的に形成されている。
【0046】
内部流路132は、連通管22に一端(下端)が接続された内筒43の内側流路132aと、内筒43の他端側開口(上端側開口)を覆うように配置された有底筒状の外筒144と内筒43との間に形成された外側流路132bと、内側流路132aと外側流路132bとを接続する折り返し状(屈曲状)の折り返し流路132c(上述した折り返し流路32cと同様)と、を備えている。
【0047】
外筒底部144aの下面(内側底面)には、環状の凹部144a1が形成されており、凹部144a1の断面は、外筒底部144aの中心から外側に行くにしたがって曲率が小さくなる曲線状に形成されている。凹部144a1の内壁面は、内筒43(内側流路132a)内を進行してきた音ができるだけ外側流路132b(外筒胴部144bと内筒43との間に形成された空間)に進行するように、反射効率が高くなるような形状に形成されるのが好ましい。尚、凹部144a1の断面は、外筒底部144aの中心から外側に行くにしたがって曲率が小さくなる曲線状に限定されず、半円状(曲率が一定)に形成されてもよく、外筒底部144aの中心から外側に行くにしたがって曲率が大きくなる曲線状に形成されてもよく、曲線状でなく多角形状に形成されてもよい。
【0048】
外筒底部144aの上面が上壁42aの内壁面に接続されている。このとき、外筒底部144aは、上壁42(第2ケーシング42)と一体的に成型されるのが好ましい。尚、第2ケーシング42及び外筒144をそれぞれ別部材として形成し、その後、接着剤や溶着により接続するようにしてもよい。
【0049】
尚、本変形例においては、内側流路132aの流路断面積と外側流路132bの流路断面積を略同一に設定するだけでなく、折り返し流路132cの流路断面積も略同一に設定することにより、内部流路132の全長にわたって流路断面積が略同一に設定されることが可能となる。よって、消音周波数f0の変化を抑制し簡素化することが可能となる。
【0050】
(実施例)
次に、本発明を適用したレゾネータ30の実施例について説明する。一般的に、レゾネータ30においては、「ヘルムホルツの共鳴器」の原理に基づいて、吸気音(発生音)の消音周波数(特定周波数)f0を低減する。消音周波数f0は、次の数1で示される。
(数1)
f0=(c/2π)×√(S/(V×L))
ここで、cは音速であり、Sは内部流路断面積であり、Vは消音室(共鳴室)容積であり、Lは内部流路(連通管)長さである。尚、連通管は共鳴室と吸気管とを連通する管である。
すなわち、消音室の容積と内部流路(連通管)の径、長さによって決まる特定周波数によって消音室内の圧力が振動し、消音室内の反射波によって振動が減衰し、また内部流路を流れ(音波)が往来するときの摩擦によって音のエネルギーが低減する。
【0051】
また、レゾネータ30を搭載するスペースや位置が限定されている場合には、消音室(共鳴室)容積は増減することは制限されるので、特定周波数を変更するためには、連通管の長さ、径を変更する必要がある。本発明においては、連通管を共鳴室内に延長して設けることにより、特定周波数を変更することが可能となる。すなわち、レゾネータ30の設置スペースは限られたとしても、共鳴室内にて連通管の長さを変更することが可能となり、特定周波数を変更することが可能となる。
【0052】
上記数1から明らかなように、連通管が長くなるほど特定周波数f0は小さくなる。尚、連通管の断面積が小さくなるほど特定周波数f0は小さくなる。
【0053】
図5に、実施例1~実施例3及び比較例1,比較例2の周波数特性を示す。尚、周波数特性は実験によって測定してもよく、シミュレーションによって取得してもよい。実施例1のレゾネータ130は、図4に示すように、いわゆる二重管垂直タイプであり、かつ、外筒底部144aの内壁面が音の反射効率が高くなるような曲面に形成されている。さらに、外筒胴部144bと内筒43とは軸方向にて所定長さ(例えば、21mm)だけオーバーラップしている。
【0054】
実施例2のレゾネータ130は、オーバーラップ量が実施例1のレゾネータ130より短く設定されており(例えば、11mm)、この点以外は実施例1のレゾネータ130と同じ構造である。すなわち、実施例2においては、内部流路132の全長が実施例1より短く設定されている。実施例3のレゾネータ130は、オーバーラップ量が0mmに設定されており、この点以外は実施例1のレゾネータ130と同じ構造である。すなわち、実施例3においては、内部流路132の全長が実施例2より短く設定されている。換言すると、実施例3においては、内部流路132の全長が内側流路132aと折り返し流路132cとの合計となる。
【0055】
比較例1のレゾネータは、実施例1のレゾネータ130から外筒144を削除した構造のものであり、内筒43のみを有している。比較例2のレゾネータは、比較例1のレゾネータより内筒43の長さが短く設定されている。
【0056】
このように、内部流路の長さは、実施例1~実施例3,比較例1,比較例2の順番で短くなっており、消音周波数もこの順番で小さくなっている。すなわち、消音室131の大きさ(外形寸法、容積)を変更することなく、内部流路の長さを変更することで、消音周波数を変更することが可能となっている。
【0057】
(第1変形例:並列管垂直タイプのレゾネータ)
さらに、いわゆる並列管垂直タイプのレゾネータ230(吸音装置220)について説明する。このレゾネータ230は、図6及び図7に示すように、折り返されて並列された2つの筒管部を有し、そのうちの一の筒管部が第1ケーシング241の底壁41aの開口41a1に垂直に接続された並列管部246を備えている。
【0058】
図7に示すレゾネータ230は、いわゆる並列管垂直タイプのレゾネータである。レゾネータ230は、第1ケーシング241、第2ケーシング242、及び並列管部246を有している。レゾネータ230は、合成樹脂にて形成されるのが好ましい。
【0059】
第1ケーシング241は、上述した第1ケーシング41と同様に、第1壁である底壁41aと、底壁41aの周縁部から垂直に設けられた側壁41bと、を有している。底壁41aには開口41a1が形成され、開口41a1には連通管22の上端(上側開口端)が接続されている。第2ケーシング242は、上述した第2ケーシング42と同様に、第2壁である上壁42aと、上壁42aの周縁部から垂直に設けられた側壁42bと、を有している。
【0060】
並列管部246は、第1筒管部243、第2筒管部244及び折り返し管部245を備えている。並列管部246は、第1筒管部243、第2筒管部244及び折り返し管部245が接続されて略J字状(またはU字状)となるように形成されている。
【0061】
第1筒管部243は、第1ケーシング241の開口41a1に接続され底壁41aに垂直に設けられた筒状部材である。第1筒管部243の一端部(下端部)が第1ケーシング241の開口41a1に接続されている。第1筒管部243の他端部(上端部)が折り返し管部245の一端部(下端部)に接続されている。本第1変形例では、第1筒管部243は断面D字状の筒状に形成されている。尚、第1筒管部243の形状は、断面D字状に限定されず、円筒状、多角形筒状でもよい。
【0062】
第2筒管部244は、第1筒管部243に並べて配置されている。第2筒管部244の他端部(上端部)が折り返し管部245の一端部(下端部)に接続されている。第2筒管部の一端部(下端部)は、消音室231内に開口している。本第1変形例では、第2筒管部244は、第1筒管部243と同様に、断面D字状の筒状に形成されている。第2筒管部244(第2内部流路232b)の断面積は、第1筒管部243(第1内部流路232a)の断面積と同一に設定されている。
【0063】
折り返し管部245は、第1筒管部243と第2筒管部244とを折り返して連通する。折り返し管部245は、上述した外筒44と同様に、有底筒状に形成されており、折り返し底部245aと、折り返し底部245aの周縁部に垂直に設けられた折り返し筒部245bと、を有している。折り返し筒部245bは、第1筒管部243と第2筒管部244とを合わせて形成される形状である略断面楕円状の筒状に形成され、折り返し底部245aは、略楕円形状に形成されている。折り返し底部245aと折り返し筒部245bとは、一体的に形成されている。
【0064】
第1筒管部243の他端部(上端部)及び第2筒管部の他端部(上端部)が折り返し管部245の一端部(下端部)に接続されている。折り返し管部245の上端部は、第2ケーシング242の上壁42aに接続されている。上壁42aの一部が折り返し底部245aを形成していると言える。このように、並列管部246は、第1ケーシング241の底壁41aに対向して配置された壁である、第2ケーシング242の上壁42aに垂直に設けられている。尚、本第1変形例では、折り返し底部245aは、上壁42aの一部として形成したが、これに限定されず、上壁42aとは別部材で形成するようにしてもよい。
【0065】
このレゾネータ230においては、消音室231は、上述した消音室31と同様に、第1ケーシング241と第2ケーシング242とにより区画された内部空間内に設けられている。消音室231は、内部流路232及び連通管22を介して吸気管12に連通している。すなわち、消音室231は、前述した内部空間のうち内部流路232以外の空間であると言うこともできる。
【0066】
レゾネータ230においては、内部流路232は、連通管22に一端(下端)が接続された第1筒管部243の第1内部流路232aと、第1筒管部243に並べて配置された第2筒管部244の第2内部流路232bと、第1筒管部243と第2筒管部244とを折り返して連通する折り返し管部245の第3内部流路232cと、を備えている。内部流路232の全長は、第1内部流路232aの流路長Laと第2内部流路232bの流路長Lbと第3内部流路232cの流路長Lcとを加算した値である。
【0067】
第1内部流路232aは、第1筒管部243の内側空間によって形成された流路である。第1内部流路232aにおいては、上述した内側流路32aと同様に音が進行するので、第1内部流路232aの流路長Laは、第1筒管部243の軸方向の長さである。第2内部流路232bは、第2筒管部244の内側空間によって形成された流路である。第2内部流路232bにおいては、上述した第1内部流路232aと同様に音が進行するので、第2内部流路232bの流路長Lbは、第2筒管部244の軸方向の長さである。
【0068】
第3内部流路232cは、折り返し管部245の内部空間によって形成された流路である。第3内部流路232cにおいては、上述した折り返し流路32cと同様に、第1内部流路232a内を通って伝搬した音が第3内部流路232cの内壁面で反射しながら第2内部流路232bに進入する。例えば、第3内部流路232cの中心線としては、第1内部流路232aの平均伝搬経路と第2内部流路232bの平均経路とを結ぶ曲線(例えば、半円状、半楕円状)が挙げられる。よって、第3内部流路232cの流路長Lcは、この曲線の長さに設定することが可能である。
【0069】
また、並列管部246は、第1分割部246aと第2分割部246bとを有している。
【0070】
第1分割部246aは、並列管部246のうち第1ケーシング241側に設けられた部分である。第1分割部246aは、並列管部246のうち第1ケーシング241と一体的に形成される部分と言うことができる。第2分割部246bは、並列管部246のうち第2ケーシング242側に設けられた部分である。第2分割部246bは、並列管部246のうち第2ケーシング242と一体的に形成される部分と言うことができる。
【0071】
本第1変形例において、第1分割部246aは、第1筒管部243の下部を有している。第1分割部246aの下端部は、第1ケーシング241の底壁部41aに一体的に形成されている。第1分割部246aの高さは、第1ケーシング241の高さと同一に設定されている。
【0072】
第2分割部246bは、第1筒管部243の上部、第2筒管部244、及び折り返し管部245を有している。第1筒管部243の上部、第2筒管部244、及び折り返し管部245は、一体的に形成されている。折り返し管部245の上端部は第2ケーシング242の上壁42aに一体的に形成されている。第2分割部246bの高さは、第2ケーシング242の高さと同一に設定されている。
【0073】
第1ケーシング241の側壁41bの開口端部(上端部)は、第2ケーシング242の側壁42bの開口端部(下端部)に接着剤、振動溶着などにより接続されるとともに、第1分割部246aの上端部は、第2分割部246bの下端部に接着剤、振動溶着、爪嵌合などにより接続される。
【0074】
(分割部の変形例)
尚、上述した第2分割部246bは、第1筒管部243の上部、第2筒管部244、及び折り返し管部245を有するようにしたが、図8に示すように、第2分割部346bは、折り返し管部345のみを有するようにしてもよい。この場合、第1分割部346aは、第1筒管部343及び第2筒管部344を有している。
【0075】
また、上述した第1分割部を設けないで、上述した第2分割部のみを設けるようにしてもよく、この場合、第2分割部は、上述した第1筒管部243、第2筒管部244及び折り返し管部245を有している。また、上述した第2分割部を設けないで、上述した第1分割部のみを設けるようにしてもよく、この場合、第1分割部は、上述した第1筒管部243、第2筒管部244及び折り返し管部245を有している。
【0076】
本第1変形例に係る吸気装置220(並列管垂直タイプ)においては、消音室231は、連通管22に接続された開口41a1が形成された第1壁(底壁41a)を有する第1ケーシング241と、第1ケーシング241に組み付けられ第2ケーシング242とにより形成される内部空間であり、第1筒管部243は、第1ケーシング241の開口41a1に接続され底壁41aに垂直に設けられた筒状部材であり、第2筒管部244は、第1筒管部243に並べて第1ケーシング241に設けられ、折り返し管部245は、第1ケーシング241の底壁41aに対向する第2ケーシング242の第2壁(上壁42a)に設けられていることが好ましい。これによれば、第1ケーシング241と第2ケーシング242とを合わせて接続するだけの簡単な方法により、底壁41aから垂直に設けた並列管タイプの内部流路を有する消音室231ひいては吸気装置220を製造することが可能となる。
【0077】
(第2変形例:二重管水平タイプのレゾネータ)
さらに、いわゆる二重管水平タイプのレゾネータ430(吸音装置420)について説明する。このレゾネータ430は、図9及び図10に示すように、内筒443及び外筒444を有し、内筒が第1ケーシング441の底壁41aの開口41a1に水平に接続された二重管部446を備えている。
【0078】
図10に示すレゾネータ430は、第1ケーシング441、第2ケーシング442、及び二重管部446を有している。レゾネータ430は、合成樹脂にて形成されるのが好ましい。
【0079】
第1ケーシング441は、上述した第1ケーシング41と同様に、第1壁である底壁41aと、底壁41aの周縁部から垂直に設けられた側壁41bと、を有している。底壁41aには開口41a1が形成され、開口41a1には連通管22の上端(上側開口端)が接続されている。
【0080】
第2ケーシング442は、図9及び図10に示すように、第1ケーシング441の開口を気密的に覆うケーシングであり、第1天井部材443d(後述する)及び第2天井部材444d(後述する)を含みかつ平面視T字状に形成された上壁442a、及び、上壁442aの両側にそれぞれ上方に突出して設けられた一対の直方体状の凸部442b,442cを備えている。各凸部442b,442c内の空間が消音室431を形成している。
【0081】
第2ケーシング442の周縁部(下端部)は、第1ケーシング441の側壁41bの開口端部(上端部)に接続されることにより、第1ケーシング441と第2ケーシング442とが組み付けられる。その結果、第1ケーシング441と第2ケーシング442とにより内部空間が形成される。この内部空間が消音室431である。尚、第1ケーシング441と第2ケーシング442とは、接着剤、振動溶着、爪嵌合などにより接続されている。
【0082】
内筒443は、図9及び図10に示すように、第1ケーシング441の開口41a1に接続され底壁41aに沿って水平(前後方向)に設けられた筒状部材である。内筒443は有底筒状に形成されており、内筒443の一端部(前端部)が第1ケーシング441の開口41a1に接続されている。内筒443の他端部(後端部)が外筒444内に進入して配設されている(挿入されている)。本第2変形例では、図11及び図12に示すように、内筒443は断面方形状(四角形筒状)に形成されている。尚、内筒443の形状は、断面方形状に限定されず、断面円形状、断面多角形状でもよい。
【0083】
内筒443は、一対の第1壁部材443a,443b、内筒底部443c(図9図10参照)、底壁41aの一部、及び第1天井部材443dによって形成されている。一対の第1壁部材443a,443bは、第1ケーシング441の底壁41aから垂直に設けられ、かつ、底壁41aに沿って設けられた互いに対向する壁部材である。内筒底部443cは、第1ケーシング441の底壁41aから垂直に設けられて、一対の第1壁部材443a,443bの各一端(前端)をそれぞれ接続しており、内筒443の底部を形成している。尚、本第2変形例では、内筒底部443cは、断面半円弧状に形成されているが、これに限定されず、矩形状に形成されてもよい。
【0084】
第1天井部材443dは、一対の第1壁部材443a,443bの上端が接続される天井部材であり、第2ケーシング442側に設けられ一対の第1壁部材443a,443bを覆っている。本第2変形例では、第2ケーシング442の上壁442aの一部が第1天井部材443dを形成していると言える。
【0085】
外筒444は、図9及び図10に示すように、有底筒状に形成されており、外筒底部444aと、外筒底部444aの周縁部に垂直に設けられた外筒胴部444bと、を有している。外筒胴部444bは、図11及び図12に示すように、内筒443と同様に断面方形状に形成され、外筒底部444aは、方形状に形成されている。外筒底部444aと外筒胴部444bとは、一体的に形成されている。外筒底部444aは、第1ケーシング441の側壁41bの一部を形成している。外筒胴部444bは、内筒443と同様に筒状部材であり、内筒443より大きくなるように形成されおり、内筒443を覆う(囲む)ように内筒443の外側に配置されている。尚、本実施形態では、外筒底部444aは、側壁41bの一部として形成したが、これに限定されず、側壁41bとは別部材で形成するようにしてもよい。
【0086】
尚、外筒444は、図9に示すように、第1ケーシング441にU字状に形成され一対の第1壁部材443a,443bを囲むように配置された第2壁部材444cと、第2ケーシング442側に設けられ第2壁部材444cを覆う第2天井部材444dと、第1ケーシング441の底壁41aの一部と、によって形成されている。
【0087】
第2壁部材444cは、第1ケーシング441の底壁41aから垂直に設けられた壁部材である。第2壁部材444cは、第1壁部材443aの外側に平行に配置された壁部材444c1と、第1壁部材443bの外側に平行に配置された壁部材444c2と、側壁41bの一部であって壁部材444c1と壁部材444c2とが接続された壁部材444c3と、を備えている。
【0088】
第2天井部材444dは、第2壁部材444cの上端が接続される天井部材であり、第2ケーシング442側に設けられ第2壁部材444cを覆っている。本第2変形例では、第2ケーシング442の上壁442aの一部が第2天井部材444dを形成していると言える。尚、第2天井部材444dは、一対の第1壁部材443a,443bの開口端側も覆うことが可能である。
【0089】
外筒底部444aは、第2壁部材444cの壁部材444c3である。外筒胴部444bは、第2壁部材444cの壁部材444c1、第2壁部材444cの壁部材444c2、第2ケーシング442の第2天井部材444d、及び第1ケーシング441の底壁41aの一部から形成されている筒部である。
【0090】
このレゾネータ30においては、消音室431は、第1ケーシング441と第2ケーシング442とにより区画された内部空間内に設けられている。消音室431は、内部流路432及び連通管22を介して吸気管12に連通している。すなわち、消音室431は、前述した内部空間のうち内部流路432以外の空間であると言うこともできる。
【0091】
レゾネータ30においては、図9に示すように、内部流路432は、連通管22に一端(下端)が接続された内筒443の内側流路432aと、内筒443の他端側開口(上端側開口)を覆うように配置された有底筒状の外筒444と内筒443との間に形成された外側流路432bと、内側流路432aと外側流路432bとを接続する折り返し状(屈曲状)の折り返し流路432cと、を備えている。内部流路432の全長は、内側流路432aの流路長Laと外側流路432bの流路長Lbと折り返し流路432cの流路長Lcとを加算した値である。
【0092】
内側流路432aは、内筒443の内側空間によって形成された流路である。よって、上述した内側流路32aと同様に、内側流路432aの流路長Laは、内筒443の軸方向の長さである。外側流路432bは、外筒胴部444bと内筒443との間に形成された空間によって形成された流路である。よって、上述した外側流路32bと同様に、外側流路432bの流路長Lbは、平均伝搬経路の軸線方向長さに設定することが可能であり、流路長Lbは、外筒胴部444bと内筒443とが軸方向にて重なる部分の長さである。 折り返し流路432cは、外筒444のうち、内筒443と軸方向に沿って重ならない部分によって形成された流路である。よって、上述した折り返し流路32cと同様に、折り返し流路432cの流路長Lcは、折り返し流路432cの中心線の長さに設定することが可能である。
【0093】
本第2変形例に係る吸気装置420においては、消音室431は、連通管22に接続された開口41a1が形成された第1壁(底壁41a)を有する第1ケーシング441と、第1ケーシング441に組み付けられ第2ケーシング442とにより形成される内部空間であり、内筒443は、第1ケーシング441の開口41a1に接続され第1ケーシング441の底壁41aに沿って設けられた一対の第1壁部材443a,443bと、第2ケーシング442側に設けられ一対の第1壁部材443a,443bを覆う第1天井部材443dと、を含んでおり、外筒444は、第1ケーシング441にU字状に形成され一対の第1壁部材443a,443bを囲むように配置された第2壁部材444cと、第2ケーシング442側に設けられ第2壁部材444cを覆う第2天井部材444dと、を含んでいることが好ましい。これによれば、第1ケーシング441と第2ケーシング442とを合わせて接続するだけの簡単な方法により、底壁41aに沿って水平に設けた二重管タイプの内部流路を有する消音室431ひいては吸気装置420を製造することが可能となる。
【0094】
(第3変形例:並列管水平タイプのレゾネータ)
さらに、いわゆる並列管水平タイプのレゾネータ530(吸音装置520)について説明する。このレゾネータ530は、図13及び図14に示すように、折り返されて並列された2つの筒管部を有し、そのうちの一の筒管部が第1ケーシング541の底壁41aの開口41a1に接続された並列管部546を備えている。
【0095】
図13に示すレゾネータ530は、いわゆる並列管水平タイプのレゾネータである。レゾネータ530は、第1ケーシング541、第2ケーシング542、及び並列管部546を有している。レゾネータ530は、合成樹脂にて形成されるのが好ましい。
【0096】
第1ケーシング541は、図14に示すように、上述した第1ケーシング41と同様に、第1壁である底壁41aと、底壁41aの周縁部から垂直に設けられた側壁41bと、を有している。底壁41aには開口41a1が形成され、開口41a1には連通管22の上端(上側開口端)が接続されている。
【0097】
第2ケーシング542は、図13及び図14に示すように、第1ケーシング541の開口を気密的に覆うケーシングであり、第1天井部材443d(後述する)及び第2天井部材444d(後述する)を含みかつ平面視L字状に形成された上壁542a、及び、上壁542aに上方に突出して設けられた直方体状の凸部542bを備えている。各凸部542b内の空間が消音室531を形成している。
【0098】
第2ケーシング542の周縁部(下端部)は、第1ケーシング541の側壁41bの開口端部(上端部)に接続されることにより、第1ケーシング541と第2ケーシング542とが組み付けられる。その結果、第1ケーシング541と第2ケーシング542とにより内部空間が形成される。この内部空間が消音室531である。尚、第1ケーシング541と第2ケーシング542とは、接着剤、振動溶着、爪嵌合などにより接続されている。
【0099】
並列管部546は、第1筒管部543、第2筒管部544及び折り返し管部545を備えている。並列管部546は、第1筒管部543、第2筒管部544及び折り返し管部545が接続されて略J字状(またはU字状)となるように形成されている。
【0100】
第1筒管部543は、図13及び図14に示すように、第1ケーシング541の開口41a1に接続され底壁41aに沿って水平(前後方向)に設けられた筒状部材である。第1筒管部543の一端部(前端部)が第1ケーシング541の開口41a1に接続されている。第1筒管部543の他端部(後端部)が折り返し管部545の一端部(前端部)に接続されている。本第3変形例では、第1筒管部543は断面方形状の筒状(四角形筒状)に形成されている。尚、第1筒管部543の形状は、断面方形状に限定されず、断面円形状、断面多角形状でもよい。
【0101】
第2筒管部544は、第1筒管部543に並べて配置されている。第2筒管部544の他端部(後端部)が折り返し管部545の一端部(前端部)に接続されている。第2筒管部544の一端部(前端部)は、消音室531内に開口している。本第3変形例では、第2筒管部544は、第1筒管部543と同様に、断面方形状の筒状に形成されている。第2筒管部544(第2内部流路532b)の断面積は、第1筒管部543(第1内部流路532a)の断面積と同一に設定されている。
【0102】
折り返し管部545は、第1筒管部543と第2筒管部544とを折り返して連通する。折り返し管部545は、上述した外筒44と同様に、有底筒状に形成されており、折り返し底部545aと、折り返し底部545aの周縁部に垂直に設けられた折り返し筒部545bと、を有している。折り返し筒部545bは、第1筒管部543と第2筒管部544とを合わせて形成される形状である断面方形状の筒状に形成され、折り返し底部545aは、方形状に形成されている。折り返し底部545aと折り返し筒部545bとは、一体的に形成されている。
【0103】
第1筒管部543の他端部(後端部)及び第2筒管部544の他端部(後端部)が折り返し管部545の一端部(前端部)に接続されている。折り返し管部545の後端部は、第1ケーシング541の側壁41bに接続されている。側壁41bの一部が折り返し底部545aを形成していると言える。このように、並列管部546は、第1ケーシング541の底壁41aに沿って水平に設けられている。尚、本第3変形例では、折り返し底部545aは、側壁41bの一部として形成したが、これに限定されず、側壁41bとは別部材で形成するようにしてもよい。
【0104】
さらに、第1筒管部543は、図16に示すように、一対の第1壁部材543a,543b、内筒底部543c(図13図14参照)、底壁41aの一部、及び第1天井部材543dによって形成されている。一対の第1壁部材543a,543bは、第1ケーシング541の底壁41aから垂直に設けられ、かつ、底壁41aに沿って設けられた互いに対向する壁部材である。図13に示すように、内筒底部543cは、第1ケーシング541の底壁41aから垂直に設けられて、一対の第1壁部材543a,543bの各一端(前端)をそれぞれ接続しており、第1筒管部543の底部を形成している。尚、本第3変形例では、内筒底部543cは、断面半円弧状に形成されているが、これに限定されず、断面矩形状に形成されてもよい。
【0105】
第1天井部材543dは、一対の第1壁部材543a,543bの上端が接続される天井部材であり、第2ケーシング542側に設けられ一対の第1壁部材543a,543bを覆っている。本第3変形例では、第2ケーシング542の上壁542aの一部が第1天井部材543dを形成していると言える。
【0106】
また、第2筒管部544は、図15に示すように、上述した第1筒管部543の一対の第1壁部材543a,543bのうち何れか一方(本第3変形例では第1壁部材543b)の一部(本第3変形例では前端部)、前記一方の第1壁部材の一部に対向して配置された第2壁部材544a、底壁41aの一部、及び、第2ケーシング542側に設けられ前記一方の第1壁部材と第2壁部材544aの両方を覆う第2天井部材544bによって形成されている。
【0107】
第2壁部材544aは、第1ケーシング541の底壁41aから垂直に設けられ、かつ、底壁41aに沿って設けられた壁部材である。第2壁部材544aは、前記一方の第1壁部材(第1壁部材543b)の一部に対向して平行に配設されている。第2天井部材544bは、対をなす、前記一方の第1壁部材の一部と第2壁部材544aの各上端が接続される天井部材であり、第2ケーシング542側に設けられ前記一方の第1壁部材の一部と第2壁部材544aを覆っている。本第3変形例では、第2ケーシング542の上壁542aの一部が第2天井部材544bを形成していると言える。
【0108】
さらには、折り返し管部545は、図13に示すように、第1ケーシング541にU字状に形成され第1筒管部543と第2筒管部544とを接続するように配置された第3壁部材545cと、第2ケーシング542側に設けられ第3壁部材545cを覆う第3天井部材545dと、第1ケーシング541の底壁41aの一部と、によって形成されている。
【0109】
第3壁部材545cは、第1ケーシング541の底壁41aから垂直に設けられた壁部材である。第3壁部材545cは、図17に示すように、第1壁部材543aに沿って配置され、前端が第1壁部材543aの後側端に接続された壁部材544c1と、第2壁部材544aに沿って配置され、前端が第2壁部材544aの後側端に接続された壁部材544c2と、側壁41bの一部であって壁部材544c1と壁部材544c2とが接続された壁部材544c3と、を備えている。
【0110】
第3天井部材545dは、第3壁部材545cの上端が接続される天井部材であり、第2ケーシング542側に設けられ第3壁部材545cを覆っている。本第3変形例では、第2ケーシング542の上壁542aの一部が第3天井部材545dを形成していると言える。
【0111】
折り返し底部545aは、第3壁部材545cの壁部材544c3である。折り返し筒部545bは、第3壁部材545cの壁部材544c1、第3壁部材545cの壁部材544c2、第2ケーシング542の第3天井部材545d、及び第1ケーシング541の底壁41aの一部から形成されている筒部である。
【0112】
このレゾネータ530においては、消音室531は、上述した消音室31と同様に、第1ケーシング541と第2ケーシング542とにより区画された内部空間内に設けられている。消音室531は、内部流路532及び連通管22を介して吸気管12に連通している。すなわち、消音室531は、前述した内部空間のうち内部流路532以外の空間であると言うこともできる。
【0113】
レゾネータ530においては、図13に示すように、内部流路532は、連通管22に一端(前端)が接続された第1筒管部543の第1内部流路532aと、第1筒管部543に並べて配置された第2筒管部544の第2内部流路532bと、第1筒管部543と第2筒管部544とを折り返して連通する折り返し管部545の第3内部流路532cと、を備えている。内部流路532の全長は、第1内部流路532aの流路長Laと第2内部流路532bの流路長Lbと第3内部流路532cの流路長Lcとを加算した値である。
【0114】
第1内部流路532aは、第1筒管部543の内側空間によって形成された流路である。第1内部流路532aにおいては、上述した内側流路32aと同様に音が進行するので、第1内部流路532aの流路長Laは、第1筒管部543の軸方向の長さである。第2内部流路532bは、第2筒管部544の内側空間によって形成された流路である。第2内部流路532bにおいては、上述した第1内部流路532aと同様に音が進行するので、第2内部流路532bの流路長Lbは、第2筒管部544の軸方向の長さである。
【0115】
第3内部流路532cは、折り返し管部545の内部空間によって形成された流路である。第3内部流路532cにおいては、上述した折り返し流路32cと同様に、第1内部流路532a内を通って伝搬した音が第3内部流路532cの内壁面で反射しながら第2内部流路532bに進入する。例えば、第3内部流路532cの中心線としては、第1内部流路532aの平均伝搬経路と第2内部流路532bの平均経路とを結ぶ曲線(例えば、半円状、半楕円状)が挙げられる。よって、第3内部流路532cの流路長Lcは、この曲線の長さに設定することが可能である。
【0116】
本第3変形例に係る吸気装置520においては、消音室531は、連通管22に接続された開口41a1が形成された第1壁(底壁41a)を有する第1ケーシング541と、第1ケーシング541に組み付けられ第2ケーシング542とにより形成される内部空間であり、第1筒管部543は、第1ケーシング541の開口41a1に接続され第1ケーシング541の底壁41aに沿って設けられた一対の第1壁部材543a,543bと、第2ケーシング542側に設けられ一対の第1壁部材543a,543bを覆う第1天井部材543dと、を含んでおり、第2筒管部544は、一対の第1壁部材543a,543bの何れか一方と、一方の第1壁部材543a,543bに対向して配置された第2壁部材544aと、第2ケーシング542側に設けられ一方の第1壁部材543a,543bと第2壁部材544aの両方を覆う第2天井部材544bと、を含んでおり、折り返し管部545は、第1ケーシング541にU字状に形成され第1筒管部543と第2筒管部544とを接続するように配置された第3壁部材545cと、第2ケーシング542側に設けられ第3壁部材545cを覆う第3天井部材545dと、を含んでいることが好ましい。これによれば、第1ケーシング541と第2ケーシング542とを合わせて接続するだけの簡単な方法により、底壁41aに沿って水平に設けた並列管タイプの内部流路を有する消音室531ひいては吸気装置520を製造することが可能となる。
【0117】
尚、上述した折り返し管部245,545は、U字状に形成したが、これに限定されず、流路を折り返すことができる形状であれば他の形状に形成するようにしてもよい。
【0118】
(実施形態の作用・効果)
上述した実施形態に係る吸気装置20,220,420,520は、内燃機関11に吸気するための吸気管12と、連通管22を介して吸気管12に接続され、吸気管12で生じている吸気音を消音する消音室31,131,231,431,531と、消音室31,131,231,431,531内にて連通管22を延長した流路であって折り返して形成された内部流路32,132,232,332,432,532と、を備えている。
【0119】
この吸気装置20,220,420,520によれば、消音室31,131,231,431,531(限られた空間)内に、流路長を任意の長さに設定可能である内部流路32,132,232,332,432,532を設けることが可能となるので、装置自体の大型化を招くことなく、連通管22(連通路)の長さを調整可能である吸気装置を提供することが可能となる。
【0120】
また、本実施形態に係る吸気装置20,420においては、内部流路32,132,432は、連通管22に一端が接続された内筒43、443の内側流路32a,432aと、内筒43、443の他端側開口を覆うように配置された有底筒状の外筒44,444と内筒43、443との間に形成された外側流路32b,432bと、を備えていることが好ましい。これによれば、簡便な構成(2重管)により内部流路を形成することが可能となる。
【0121】
また、本実施形態に係る吸気装置220,520においては、内部流路232,532は、連通管22に一端が接続された第1筒管部243,543の第1内部流路232a,532aと、第1筒管部243,543に並べて配置された第2筒管部244,544の第2内部流路232b,532bと、第1筒管部243,543と第2筒管部244,544とを連通して配置された折り返し管部245,545の第3内部流路232c,532cと、を備えていることが好ましい。これによれば、簡便な構成(並列管)により内部流路を形成することが可能となる。
【0122】
また、本実施形態に係るレゾネータ30,130,230,430,530は、空気を搬送する搬送管(吸気管12)に連通管22を介して接続され、前記搬送管で生じている音を消音する消音室31,131,231,431,531と、消音室31,131,231,431,531内にて連通管22を延長した流路であって折り返して形成された内部流路32,132,232,332,432,532と、を備えている。
このレゾネータ30,130,230,430,530によれば、消音室31,131,231,431,531(限られた空間)内に、流路長を任意の長さに設定可能である内部流路32,132,232,332,432,532を設けることが可能となるので、装置自体の大型化を招くことなく、連通管22(連通路)の長さを調整可能であるレゾネータを提供することが可能となる。
【0123】
また、本実施形態に係るレゾネータ30,130,430においては、内部流路32,132,432は、連通管22に一端が接続された内筒43、443の内側流路32a,432aと、内筒43、443の他端側開口を覆うように配置された有底筒状の外筒44,444と内筒43、443との間に形成された外側流路32b,432bと、を備えていることが好ましい。これによれば、簡便な構成(2重管)により内部流路を形成することが可能となる。
【0124】
また、本実施形態に係るレゾネータ230,530においては、内部流路232,532は、連通管22に一端が接続された第1筒管部243,543の第1内部流路232a,532aと、第1筒管部243,543に並べて配置された第2筒管部244,544の第2内部流路232b,532bと、第1筒管部243,543と第2筒管部244,544とを連通して配置された折り返し管部245,545の第3内部流路232c,532cと、を備えていることが好ましい。これによれば、簡便な構成(並列管)により内部流路を形成することが可能となる。
【符号の説明】
【0125】
11…内燃機関、12…吸気管、20,220,420,520…吸気装置、22…連通管、30,130,230,430,530…レゾネータ、31,131,231,431,531…消音室、41,241,441,541…第1ケーシング、41a…底壁(第1壁)、41a1…開口、42,242,442,542…第2ケーシング、42a…上壁(第2壁)、32,132,232,332,432,532…内部流路、32a,432a…内側流路、32b,432b…外側流路、43、443…内筒、44,444…外筒、232a,532a…第1内部流路、232b,532b…第2内部流路、232c,532c…第3内部流路、243,543…第1筒管部、244,544…第2筒管部、245,545…折り返し管部、443a,443b,543a,543b…一対の第1壁部材、443d,543d…第1天井部材、444c,544a…第2壁部材、444d,544b…第2天井部材、545c…第3壁部材、545d…第3天井部材。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17