(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024023428
(43)【公開日】2024-02-21
(54)【発明の名称】測定報告とセル識別子に基づいた隣接セル間のハンドオーバのターゲットセルの決定
(51)【国際特許分類】
H04W 72/27 20230101AFI20240214BHJP
H04W 72/0457 20230101ALI20240214BHJP
H04W 24/10 20090101ALI20240214BHJP
H04W 88/06 20090101ALI20240214BHJP
H04W 16/32 20090101ALI20240214BHJP
【FI】
H04W72/27
H04W72/0457 110
H04W24/10
H04W88/06
H04W16/32
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023201229
(22)【出願日】2023-11-29
(62)【分割の表示】P 2022088134の分割
【原出願日】2018-12-28
(31)【優先権主張番号】1800569.4
(32)【優先日】2018-01-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.3GPP
2.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141519
【弁理士】
【氏名又は名称】梶田 邦之
(72)【発明者】
【氏名】チェン, ユーファー
(72)【発明者】
【氏名】グプタ, ニーラジ
(72)【発明者】
【氏名】シン, ジャグディープ アルワリア
(72)【発明者】
【氏名】アーノット, ロバート
(57)【要約】 (修正有)
【課題】基地局が、UE(User Equipment:ユーザ機器)を、複数の隣接セルで送信された信号の測定を実行し、測定報告を送信する方法、基地局装置及びユーザ機器を提供する。
【解決手段】無線通信システムにおいて、UEは、隣接セル7Tについて、対応する測定とともに関連する一意のセル識別子をさらに含む測定報告を送信するS2。基地局は、報告された一意のセル識別子に基づいて、複数の隣接セルから対応する隣接セルを識別し、UEと識別される隣接セルとが関与する通信手順をトリガする。UEは、一意のセル識別子(CGIなど)の代わりに、或いは、非一意のセル識別子(例えば、PCI)又は非一意のセル識別子及び基地局がNRT(Neighbour Relation Table:隣接関係テーブル)に基づいて隣接セルを一意に識別することを可能にする地理的位置情報を、測定結果とともに送信してもよい。
【選択図】
図5a
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局であって、
第1の無線アクセス技術に従ってセルを運用する手段と、
ユーザ機器(User Equipment;UE)から、第2の無線アクセス技術に従う複数の近隣セルに対応する少なくとも1つの物理セル識別子を含む測定報告を受信する手段と、
前記基地局と近隣基地局との間のデュアルコネクティビティの手続きにおいて、前記セルのセルグローバル識別子を当該近隣基地局へ送信する手段と、
を備える、基地局。
【請求項2】
近隣セル関係を示す情報を前記近隣基地局へ送信する手段を備える、
請求項1に記載の基地局。
【請求項3】
前記少なくとも1つの物理セル識別子に基づいて、少なくとも1つのセルグローバル識別子を前記UEに要求する手段と、
前記UEから、前記少なくとも1つのセルグローバル識別子を受信する手段と、を備え、
前記少なくとも1つのセルグローバル識別子のそれぞれは、それぞれの公衆陸上移動体通信網(Public Land Mobile Network;PLMN)識別子を含む、 請求項1又は2に記載の基地局。
【請求項4】
前記測定報告に関する測定が特定の目的のためである場合に、近隣関係テーブル(Neighbor Relation Table;NRT)に基づいてユニークなセル識別子の解決を試みる手段を備える、 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の基地局。
【請求項5】
前記特定の目的は、Evolved Universal Terrestrial Radio Access(E-UTRA)-New Radio(NR)-Dual Connectivityである、 請求項4に記載の基地局。
【請求項6】
第1の無線アクセス技術に従ってセルを運用するよう構成される基地局へ、第2の無線アクセス技術に従う複数の近隣セルに対応する少なくとも1つの物理セル識別子を含む測定報告を送信する手段を備え、
前記少なくとも1つの物理セル識別子は、前記基地局が前記複数の近隣セルから近隣セルを識別するのに用いられ、
前記セルのセルグローバル識別子が、前記基地局と前記近隣セルを運用する近隣基地局との間のデュアルコネクティビティの手続きにおいて、前記基地局から当該近隣基地局へ送信される、ユーザ機器(User Equipment;UE)。
【請求項7】
前記基地局から前記近隣基地局へ近隣セル関係を示す情報が送信される、請求項6に記載のUE。
【請求項8】
前記少なくとも1つの物理セル識別子に基づいて、前記基地局から少なくとも1つのセルグローバル識別の要求を受信する手段と、
前記基地局へ前記少なくとも1つのセルグローバル識別子を送信する手段を備え、
前記少なくとも1つのセルグローバル識別子のそれぞれは、それぞれの公衆陸上移動体通信網(Public Land Mobile Network;PLMN)識別子を含む、請求項6又は7に記載のUE。
【請求項9】
基地局における方法であって、
第1の無線アクセス技術に従ってセルを運用することと、
ユーザ機器(User Equipment;UE)から、第2の無線アクセス技術に従う複数の近隣セルに対応する少なくとも1つの物理セル識別子を含む測定報告を受信することと、
前記基地局と近隣基地局との間のデュアルコネクティビティの手続きにおいて、前記セルのセルグローバル識別子を当該近隣基地局へ送信することと、
を含む、方法。
【請求項10】
第1の無線アクセス技術に従ってセルを運用するよう構成される基地局へ、第2の無線アクセス技術に従う複数の近隣セルに対応する少なくとも1つの物理セル識別子を含む測定報告を送信することを含み、
前記少なくとも1つの物理セル識別子は、前記基地局が前記複数の近隣セルから近隣セルを識別するのに用いられ、
前記セルのセルグローバル識別子が、前記基地局と前記近隣セルを運用する近隣基地局との間のデュアルコネクティビティの手続きにおいて、前記基地局から当該近隣基地局へ送信される、ユーザ機器(User Equipment;UE)における方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システムに関する。特に、本発明は、3GPP(3rd Generation Partnership Project)規格、又はこれと同等もしくは派生の規格に従って動作する無線通信システム及びそのデバイスに関するが、これに限定されない。特に、本発明は、マクロセルのカバレッジ内における複数のホーム基地局に関与するいわゆる「次世代」システムにおいてハンドオーバのターゲットセルを決定することに関するが、これに限定的されない。
【背景技術】
【0002】
3GPP規格の最新動向は、EPC(Evolved Packet Core)ネットワーク及びE-UTRAN(Evolved UMTS Terrestrial Radio Access Network)のLTE(Long Term Evolution)と呼ばれ、一般に「4G」とも呼ばれる。さらに、5G及びNR(New Radio)という用語は、種々のアプリケーション及びサービスをサポートすることが期待される開発中の通信技術を指す。5Gネットワークの種々の詳細は、例えば、NGMN(Next Generation Mobile Network:次世代モバイル通信ネットワーク)アライアンスによるNGMN 5G White Paper V1.0に説明されており、当該文書は、https://www.ngmn.org/5g-white-paper.htmlから入手可能である。3GPPは、いわゆる3GPP NextGen(Next Generation)RAN(Radio Access Network:無線アクセスネットワーク)及び3GPP次世代コアネットワークを介して5Gをサポートすることが計画されている。
【0003】
3GPP規格では、NodeB(又はLTEにおける「eNB」、5Gにおける「gNB」など)は、通信デバイス(ユーザ機器又は「UE」)がコアネットワークに接続し、他の通信デバイス又はリモートサーバと通信を行うための基地局である。基地局は、TRP(Transmission and Reception Point:送受信ポイント)と呼ばれてもよい。説明の簡略化のため、本出願において、基地局という用語はそのような任意の基地局を指し、モバイルデバイス又はUEという用語は、そのような任意の通信デバイスを指すものとする。コアネットワーク(すなわち、LTEの場合のEPC)は、加入者管理、モビリティ管理、課金、セキュリティ、及び呼セッション管理(など)の機能を統括し、通信デバイスをインターネットなどの外部ネットワークに接続させる。
【0004】
通信デバイスとしては、例えば、モバイル電話、スマートフォン、ユーザ機器、パーソナルデジタルアシスタント、ラップトップ/タブレットコンピュータ、ウェブブラウザ、電子書籍リーダなどのモバイル通信デバイスが含まれる。このようなモバイル(又は一般的には固定の)デバイスは、通常はユーザによって操作されるが、いわゆるIoT(Internet of Things:モノのインターネット)デバイス、及び同様のマシン型の通信(MTC)デバイスをネットワークに接続することも可能である。説明の簡略化のため、本出願は、明細書中においてモバイルデバイス(又はUE(User Equipment:ユーザ機器))を参照するが、本明細書に記載の技術は、任意の(モバイル及び/又は一般的には固定の)通信デバイス上で実施可能であり、これらの通信デバイスは、人による入力によって制御されるか、又はメモリに格納されたソフトウェア命令によって制御されるかに関わらず、通信ネットワークに接続してデータの送受信を行うことができるものとする。
【0005】
マクロ基地局という用語は、1つ又は複数のマクロセル(比較的広い地理的領域をカバーするセル)を有する基地局を指し、一方で、スモールセルという用語は、マクロセルと重複することも多い、比較的小さな地理的領域(例えば、自宅やオフィスなど)をカバーするセルを指す。スモールセル(又はピコセル)は、スモールセル基地局又はホーム基地局(「HeNB」又は「HNB」)などによって操作されてもよい。しかしながら、そのようなスモールセルは、マクロeNB(例えば、スモールセルが重複するマクロセルを操作するマクロ基地局)によって間接的に制御されることも多い。したがって、少なくともマクロ基地局の場合においては、単一の基地局が、多数のセル(例えば、LTEの場合には数百、又はNRの場合には数千のセル)を操作及び/又は制御することができる。
【0006】
各基地局は、一意の基地局識別子(「eNB-ID」など)に関連付けられる。基地局識別子(これは、対応するセル識別子の一部を形成する場合もあれば、同一の場合もある)は、個々のセルを一意に識別するのに使用してもよい。セル識別子をネットワーク識別子(例えば、PLMN(Public Land Mobile Network:地上波公共移動通信ネットワーク)識別子)と組み合わせた場合、実質的にグローバルレベルで一意な識別を提供することができる。3GPP TS(Technical Specification)36.300 V15.0.0のセクション8.2で説明されているように、セルをグローバルに識別するために、いわゆるECGI(E-UTRAN Cell Global Identifier:E-UTRANセルグローバル識別子)を使用してもよい。
【0007】
3G/LTEネットワークでは、典型的なマクロ基地局は、限られた数のセル(例えば、3つのセクター/セル)にサービスを提供するが、多数のホーム基地局を制御してもよい。しかしながら、NRネットワークでは、各マクロ基地局(gNB)が比較的多数のセルにサービスを提供してもよい。この問題は、提案がされている、CU(Central Unit:集約ノード)及び1つ又は複数のDU(Distribution Unit:分散ノード)の間におけるgNBの機能分割によってさらに複雑になり、ここでは、各DUが自ユニット用の複数のセルを有することができる。
【0008】
各セルは、各セルに関連付けられたPSC(Primary Scrambling Code:プライマリ拡散符号)及び/又はセル内でブロードキャストされるPCI(Physical Cell Identity:物理セル識別子)の何れかを使用して識別することができる。HNB/HeNBの典型的なセルサイズはマクロセルよりもはるかに小さいため、PSC/PCIが同一であるマクロセルのカバレッジ(eNB/gNBセル)内に複数のHNB/HeNBが存在する可能性がある。これは、PSC/PCIコンフュージョンと呼ばれる状態を引き起こし、モビリティ手順(例えば、ハンドオーバ中)において、ソース基地局は、モバイルデバイスからの測定報告に含まれるPSC/PCIから、ハンドオーバの正しいターゲットセルを決定することができない。
【0009】
PSC/PCIコンフュージョンの問題に対処する1つの方法は、モバイルデバイスを、測定結果(PSC/PCIを含む)を受信した後に、ターゲットHNB/HeNBのグローバルセルIDをソース基地局に報告するように構成することである。これは、3GPP TS 36.300のセクション10.5.1.2で説明されている手順に対応する
図4に示されており、この内容は全てここに含めておく。ただし、
図4のステップ5から7に示すように、ターゲット基地局のグローバルセルIDをソース基地局に報告することは、ハンドオーバの遅延を引き起こし、モバイルデバイスは、サービング基地局との追加のシグナリングと、測定された基地局からのシステム情報の取得を行うことを要求される(これは、モバイルデバイスの電力消費に影響するおそれもある)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、本発明者らは、既存のメカニズムでは対処できないPSC/PCIコンフュージョンのシナリオを見出した。例えば、EN-DC(E-UTRAN New Radio-Dual Connectivity)及び/又はNGEN-DC(Next Generation-Dual Connectivity)をサポートするネットワークでは、互換性のあるUEがE-UTRAN(LTE)セルに接続され、LTEセルとNRセルとの間でデュアルコネクティビティを確立する準備が整っている場合、UEは、検出されたNRセルに関する測定報告を現在のLTE基地局に送信する(これは、SgNBの追加(すなわち、当該UEのデュアルコネクティビティ構成にNRセルを追加すること)について決定をするのはLTE基地局であるためである)。検出されたNRセルについての測定結果は、これらのNRセルのNR PCIとともに報告される(測定対象は周波数を定義する)。しかしながら、PCIコンフュージョンは、少なくとも次のシナリオで発生する可能性がある。
1)2つ以上の隣接gNBが、同一NR PCI構成のセルを有する(
図6に示すような、1LTEセルのカバレッジの一意性の欠如);
2)ターゲットgNBの2つ以上のサービングNRセルが同一NR PCI構成を有する(
図7に示すような、1gNBの一意性の欠如)。
【0011】
1番目のシナリオでは、サービングLTE基地局(eNB)は、どのgNBにSgNB追加要求を送信すべきかを決定することができない。2番目のシナリオでは、(eNBが、NRセルのPCIに基づいて正しいgNBを決定することができる場合であっても)ターゲットgNBは、どのNRセル/DUにおいてUEのリソースを確保する必要があるかを決定することができない。
【0012】
本発明者らは、ますます多くのNR基地局とHNBが設置されるのに伴って、上記PCIコンフュージョンのシナリオが非常に一般的になることを予期し、現在のメカニズムをこれらのシナリオに対処するのに採用することはできないと認識するに至った。したがって、本発明の望ましい例示的な実施形態は、上記の問題に対処する、又は少なくとも部分的に対処する方法及び装置を提供することを目的とする。
【0013】
当業者の理解の効率のために、本発明は3GPPシステム(5Gネットワーク)のコンテキストにおいて詳細に説明されるが、本発明の原理は、多数の基地局及びセルが設置される他のシステムにも適用することができる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
例示的な態様において、本発明は、それぞれのPCI(Physical Cell Identifier:物理セル識別子)が各々のセルに関連付けられた複数のセルを含む通信システムにおける基地局装置により行われる方法であって、UE(User Equipment:ユーザ機器)に、複数の隣接セルの各々で送信される信号の測定を実行して前記複数の隣接セルのうちの少なくとも1つの隣接セルについて構成された前記測定の少なくとも1つの結果を含む測定報告を送信するように当該UEを構成するための測定構成を送信することと、前記構成された測定の少なくとも1つの結果を含み、前記測定構成に基づいて前記UEにより送信される前記測定報告であって、前記少なくとも1つの測定結果に関する前記少なくとも1つの隣接セルの少なくともサブセットの各々について、対応した少なくとも1つの前記測定とともにそれぞれ一意のセル識別子(例えば、グローバルに一意の識別子)を更に含む前記測定報告を、受信することと、前記UEと識別される隣接セルとが関与する、対応する通信手順をトリガするために、前記測定報告で受信した少なくとも1つの一意のセル識別子に基づいて、前記複数のセルの中から該当する隣接セルを識別することと、を備える方法を提供する。
【0015】
別の例示的な態様では、本発明は、それぞれのPCI(Physical Cell Identifier:物理セル識別子)が各々のセルに関連付けられた複数のセルを含む通信システムにおける基地局装置により行われる方法であって、UE(User Equipment)に、複数の隣接セルの各々で送信される信号の測定を実行して前記複数の隣接セルのうちの少なくとも1つの隣接セルについて構成された前記測定の少なくとも1つの結果を含む測定報告を送信するように当該UEを構成するための測定構成を送信することと、前記構成された測定の少なくとも1つの結果を含み、前記測定構成に基づいて前記UEにより送信される前記測定報告であって、前記少なくとも1つの測定結果に関する前記少なくとも1つの隣接セルのうちの少なくとも1つのPCIを対応する少なくとも1つの前記測定とともに更に含む前記測定報告を受信することと、前記UEと識別される隣接セルとが関与する、対応する通信手順をトリガするために、NRT(Neighbour Relation Table:隣接関係テーブル)と、前記受信した少なくとも1つのPCIとに基づいて、前記複数のセルの中から隣接セルを識別することと、を備える方法を提供する。
【0016】
別の例示的な態様では、本発明は、それぞれのPCI(Physical Cell Identifier)が各々のセルに関連付けられた複数のセルを含む通信システムにおける基地局装置により行われる方法であって、異なる基地局装置から、前記異なる基地局装置によりサーブされるUE(User Equipment)と関連するPCIにより識別されるセルとが関与する通信手順をトリガするためのメッセージを受信することと、NRT(Neighbour Relation Table:隣接関係テーブル)と前記受信したPCIとに基づいて、前記受信されるメッセージが前記基地局装置により制御されるセルに関するか否かを決定することと、を備える方法を提供する。
【0017】
別の例示的な態様では、本発明は、それぞれのPCI(Physical Cell Identifier:物理セル識別子)が各々のセルに関連付けられた複数のセルを含む通信システムにおける基地局装置により行われる方法であって、UE(User Equipment)に、複数の隣接セルの各々で送信される信号の測定を実行して前記複数の隣接セルのうちの少なくとも1つの隣接セルについて構成された前記測定の少なくとも1つの結果を含む測定報告を送信するように当該UEを構成するための測定構成を送信することと、前記構成された測定の少なくとも1つの結果を含み、前記測定構成に基づいて前記UEにより送信される前記測定報告であって、前記UEに関連付けられた地理的位置(例えば、GPS座標)を識別する情報と前記少なくとも1つの結果に関する各セルに関連付けられたそれぞれのPCIとを更に含む前記測定報告を受信することと、前記UEと識別される隣接セルとが関与する、対応する通信手順をトリガするために、NRT(Neighbour Relation Table:隣接関係テーブル)と前記受信される測定報告とに基づいて、前記複数のセルの中から隣接セルを識別することと、を備える方法を提供する。
【0018】
別の例示的な態様では、本発明は、それぞれのPCI(Physical Cell Identifier)が各々のセルに関連付けられた複数のセルを含む通信システムにおけるUE(User Equipment)により行われる方法であって、基地局装置から、複数の隣接セルの各々で送信される信号の測定を実行して前記複数の隣接セルのうちの少なくとも1つの隣接セルについて構成された前記測定の少なくとも1つの結果を含む測定報告を送信するように前記UEを構成するための測定構成を受信することと、前記構成された測定の少なくとも1つの結果を含み、前記測定構成に基づいて前記UEにより送信される前記測定報告を送信することと、を備え、前記測定報告は、前記UEと隣接セルとが関与する、対応する通信手順をトリガするため前記複数の隣接セルの中から対応する隣接セルを識別する際に前記基地局装置によって用いられる、対応する少なくとも1つの測定とともに、前記少なくとも1つの測定結果に関する前記少なくとも1つの隣接セルのうちの少なくともサブセットの各々についてそれぞれ一意のセル識別子を更に含む、方法を提供する。
【0019】
別の例示的な態様では、本発明は、それぞれのPCI(Physical Cell Identifier:物理セル識別子)が各々のセルに関連付けられた複数のセルを含む通信システムにおけるUE(User Equipment)により行われる方法であって、基地局装置から、複数の隣接セルの各々で送信される信号の測定を実行して前記複数の隣接セルのうちの少なくとも1つの隣接セルについて構成された前記測定の少なくとも1つの結果を含む測定報告を送信するように前記UEを構成するための測定構成を受信し、前記測定構成に基づいて信号測定を行い、前記構成された測定の少なくとも1つの結果を含む測定報告であって、前記UEに関連付けられた地理的位置(例えば、GPS座標)を識別する情報と前記少なくとも1つの結果に関する各セルに関連付けられたそれぞれのPCIを更に含む前記測定報告を、前記基地局装置に送信する、方法を備える。
【0020】
本発明の例示的な態様は、対応するシステムと、装置と、プログラム可能なプロセッサをプログラムして上記例示的な態様に記載の方法及び特許請求の範囲に記載の可能性を実施させ、好適に適合したコンピュータをプログラムして任意の請求項に記載の装置を提供させるように動作可能な命令を格納する、コンピュータ読取可能な記憶媒体などのコンピュータプログラム製品と、に及ぶ。
【0021】
本明細書(特許請求の範囲を含む)に開示される及び/又は図面に示される各特徴は、他の開示される及び/又は図示される特徴とは独立して(又は組み合わせて)本発明に組み込まれてもよい。特に、特定の独立請求項に従属する請求項の特徴は、任意の組み合わせで、又は個別に、その独立請求項に導入することもできるが、限定的ではない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
ここで、添付図面を参照して、本発明の例示的な実施形態の例を説明する。
【0023】
【
図1】
図1は、本発明の例示的な実施形態を適用可能なセルラ通信システムを概略的に示す図である。
【
図2】
図2は、
図1に示すシステムの一部を形成するモバイルデバイスの概略ブロック図である。
【
図3】
図3は、
図1に示すシステムの一部を形成する基地局の概略ブロック図である。
【
図4】
図4は、セルラ通信システム(例えば、LTE)においてセル識別子を解決可能な例示的な方法を示す概略タイミング図である。
【
図5a】
図5aは、
図1に示すシステムにおいてPSC/PCIコンフュージョンに対処可能な例示的な方法を示す概略図である。
【
図5b】
図5bは、
図1に示すシステムにおいてPSC/PCIコンフュージョンに対処可能な別の例示的な方法を示す概略図である。
【
図5c】
図5cは、
図1に示すシステムにおいてPSC/PCIコンフュージョンに対処可能な別の例示的な方法を示す概略図である。
【
図5d】
図5dは、
図1に示すシステムにおいてPSC/PCIコンフュージョンに対処可能な別の例示的な方法を示す概略図である。
【
図5e】
図5eは、
図1に示すシステムにおいてPSC/PCIコンフュージョンに対処可能な別の例示的な方法を示す概略図である。
【
図6】
図6は、
図1のシステムにおいてPSC/PCIコンフュージョンが発生する可能性のあるシナリオを概略的に示す図である。
【
図7】
図7は、
図1のシステムにおいてPSC/PCIコンフュージョンが発生する可能性のあるシナリオを概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
<概要>
図1は、モバイルデバイス3(モバイル電話及び/又は他のユーザ機器)が適切なRAT(Radio Access Technology:無線アクセス技術)を使用して基地局5(例えば、LTE基地局(「eNB」)及び/又は5G基地局(「gNB」))及びコアネットワーク(図示せず)を介して、相互に通信を行うことができる通信ネットワーク1を概略的に示す。当業者が理解するように、
図1には、1つのモバイルデバイス3と、3つの基地局5、5-1、及び5-2が例示目的で示されているが、システムが実装される場合、通常他の基地局及び通信デバイスも含まれる。
【0025】
各基地局5は1つ又は複数の関連するセル7を操作する。モバイルデバイス3は、適切なセル7(セルの位置に応じて、場合によっては例えば、信号条件、サブスクリプションデータ、ケイパビリティなど他の要因に応じて)に、当該セル7を操作する適切な基地局5とRRC(無線リソース制御)接続を確立することにより、接続する。
【0026】
図1に示す例では、基地局5は、現在のモバイルデバイス3にサービスを提供するセル7Sを操作(制御)するLTE基地局(eNB)である。この実施例では、サービングセル7Sは比較的広いカバレッジエリアを有するマクロセルであるが、他の実施例ではスモールセル(HNBセルなど)であってもよい。基地局5-1及び5-2は、基地局の機能がCU(Central Unit:集約ノード)と、対応する(少なくとも1つの)DU(Distribution Unit:分散ノード)との間で分割されるアーキテクチャを有するNR基地局(gNB)である(ただし、eNB部分を含んでもよい)。具体的には、CUは、基地局機能のサブセット(例えば、ユーザデータの転送、モビリティ制御、無線アクセスネットワークの共有、ポジショニング、セッション管理)を実行する論理ノードであり、残りの基地局機能は関連するDUによって実行される。CUは、関連するDUの操作を適切なFs(Front-haul:フロントホール)インタフェースを介して制御する(これには、別々のユーザプレーンとコントロールプレーンのFsインタフェースを含んでもよい)。CUはBBU/REC/RCC/C-RAN/V-RANと呼ばれてもよく、DUはRRH/RRU/RE/RUと呼ばれてもよい。
【0027】
基地局5は、S1インタフェース(LTE)及び/又はN2/N3インタフェース(5G)などの適切なコアネットワークインタフェースを介して、コアネットワークに接続される。基地局5は、X2インタフェース(LTE)やXnインタフェース(5G)などの適切な基地局インタフェースを介して、隣接する基地局にも(直接、又は(ホーム)基地局ゲートウェイを介して)接続される。
【0028】
コアネットワークは、特に、通信ネットワーク1(例えば、MME(Mobility Management Entity:モビリティ管理エンティティ)又はAMF(Access and Mobility Management Function:アクセス/モビリティ管理機能))内におけるモバイルデバイス3の位置を追跡し、各UEのサブスクリプション関連情報(例えば、どのモバイルデバイス3がマシンタイプの通信デバイスとして構成されているかを識別する情報)を格納し、各モバイルデバイス3に適用可能な制御パラメータを格納し適用可能なポリシー(例えば、ネットワーク、サブスクリプション、課金ポリシーなどを含む)に従って各モバイルデバイス3のそれぞれのトラフィックフローを処理する、1つ又は複数の適切なUPF(User-Plane Functions:ユーザプレーン機能)と1つ又は複数のCPF(Control-Plane Functions:コントロールプレーン機能)とを含む。簡略化のため、
図1では省略されているが、コアネットワークは通常、インターネットなど他の(外部の)ネットワークや、コアネットワーク外でホスティングされるサーバなどに接続するための1つ以上のゲートウェイを含む。
【0029】
基地局5-1及び5-2は、複数の関連するセル7を、それぞれのDUを介して操作する。本実施例では、各DUは1つ又は複数の関連するセル7を有する(それらはすべて当該DUに接続されたCUによって制御される)。各セルは、関連するセル識別子を有する(PCIなど)。通信ネットワーク1は、ANR(Automatic Neighbour Relation:自動隣接関係)機能を有効に活用する。したがって、各基地局5は、当該基地局5が(直接又は関連するDUを介して)操作するセル7毎に適切なNRT(Neighbour Relations Table:隣接関係テーブル)を格納し、維持するように構成される。ANR機能及びNRTの詳細については、3GPP TS 36.300のセクション22.3.2aに記載されており、その内容は説明の最後にまとめられている。
【0030】
以上のように、モバイルデバイス3には、現在、基地局5によって制御されるセル7Sがサービスを提供している。しかしながら、
図1の矢印によって示される方向へモバイルデバイス3が移動した場合、基地局5は、適切なターゲットセル7Tへのモバイルデバイス3のハンドオーバを開始する必要がある。そうするために、基地局5は、モバイルデバイス3を、モバイルデバイス3近傍の複数のセル7に対して適切な信号測定を実行し、かかる測定の結果を報告するように構成する(例えば、信号測定中に十分な信号強度の候補セル7が見つかるなど、特定の条件が満たされた場合)。別の実施例では、セル7Sがプライマリセル又は「PCell」(例えば、LTEセル)としてモバイルデバイス3にサービスを提供してもよく、基地局5は、セル7Tがセカンダリセル又は「SCell」として関与するデュアルコネクティビティをモバイルデバイス3に構成するのを試みてもよい。ハンドオーバの例と同様に、基地局5は、モバイルデバイス3を、適切な信号測定を実行し、測定の結果を基地局5に報告するように構成する。
【0031】
所定の地理的領域では(特にスモールセルの場合)多数のセル(DU)が存在する可能性があるため、2つ以上のセル7が同一のPCI(又は同一のPSC)構成を有する可能性がある。本実施例では、セル7Tと7Aの両方に同一のPCI値(「X」)が構成される。つまり、大きなセル(例えば、マクロセル)のカバレッジ内では、又はモバイルデバイス3の現在のサービングセル7Sの近傍では、少なくとも一部のセル7は一意性を欠くおそれがある。このシナリオは、
図6に示すシナリオに対応する。
【0032】
さらに、多数のセル7/DUが同一の基地局5(CU)によって制御される可能性があるため、当該基地局5の2つ以上のセル7が同一のPCI(又は同一のPSC)構成を有する可能性がある。つまり、セル7T及び7Aの少なくとも一部は、特定の基地局5(CU)がサービスを提供する地理的エリア内で一意性を欠くおそれがある。このシナリオは、
図7に示すシナリオに対応する。
【0033】
このシステムでは、モバイルデバイス3及び基地局5は、分割CU/DUアーキテクチャが使用されているか否か、及びPCI(又はPSC)の一意性が所定の領域に亘って(例えば、モバイルデバイス3近傍のセル7間で、及び/又は特定の基地局5によって制御されるセル間で)確保されているか否かに関わらず、特定のセル7(例えば、デュアルコネクティビティ用のハンドオーバのターゲットセル又はセカンダリセル)を一意に識別するための適切な手順を実行することによって、上記シナリオで発生するコンフュージョンを回避するために有益に構成される。
【0034】
より詳細には、モバイルデバイス3と基地局5を、以下のオプションの1つ(又は複数)、或いは以下のオプションの任意の組み合わせに従うように構成することもできる。
-個別のSI(System Information:システム情報)要求(すなわち、報告のあったセル7のうち、最大強度のセルを含むサブセットに対するSI要求)を必要とせずに、サービング基地局5に対し、自動的に、報告のあったセル7のうち少なくとも各サブセットのGCIを、当該セルに構成された測定結果とともに送信するように、モバイルデバイス3を、構成してもよい。したがって、システム情報を読み取るようにUEを個別に再構成することなく(例えば、SI要求を含む個別の再構成メッセージを送信することにより)、GCIに基づいて正しいセル7T(当該セル7Tを制御する基地局5-1)を決定するように、基地局5を、構成してもよい。
-サービング基地局5に、報告のあった各セル7のPSC/PCIを(通常の操作として)送信し、基地局5からの要求に応じて(例えば、特定のセル7のGCIに対する基地局5からの要求の受信に応じて、又は特定のセル7の新しい測定構成の受信に応じて)1つ又は複数のセル7のGCIを送信するように、モバイルデバイス3を、構成してもよい。基地局5を、モバイルデバイス3にGCIを要求する前に、隣接関係テーブルに格納された情報と報告されたPSC/PCIとからGCIを決定するように、構成してもよい。
-測定されたすべてのセル7のサブセット(所定数及び/又は所定のタイプのセル)のGCIを報告し、残りのセルに関連するPSC/PCIを報告するように、モバイルデバイス3を構成してもよい。モバイルデバイス3からのGCIを要求することなく、GCI又はPSC/PCIのうち当該セル7Tが利用可能な何れか一方に基づいて、正しいセル7T(当該セル7Tを制御する基地局5-1)を決定するように、基地局5を、構成してもよい。基地局5を、隣接関係テーブルに格納された情報と報告されたPSC/PCIとからGCIを決定するように、構成してもよい。
-モバイルデバイス3を、(通常の操作として)報告のあった各セル7のPSC/PCIをそのサービング基地局5に送信するように、構成してもよい。基地局5がPSC/PCIに基づいてGCIを決定できない場合、基地局5は、PSC/PCIを、当該PCIでセルを操作する隣接基地局の1つ(例えば、7T及び7Aをそれぞれ操作するgNB5-1又は5-2)に転送してもよい。隣接基地局5-1/5-2を、隣接関係テーブルに格納された情報と、サービング基地局5から受信したPSC/PCIとから正しいセル7Tを決定するように、構成してもよい。
-サービング基地局5を、その隣接関係テーブルに格納された情報と、モバイルデバイス3の地理的位置とからGCIを決定するように、構成してもよい(これは、測定結果とともに、又は別の手順で(例えば、サービング基地局5からの要求に応じて)モバイルデバイス3から報告される)。
-すべてのオプションにおいて、基地局(UEの現在のセル7Sを制御するeNB/gNB5及び/又はターゲットセル7Tを制御するeNB/gNB5-1)を、GCIを(例えば、関連するPSC/PCIの代わりに)使用して、ハンドオーバ及び/又はデュアルコネクティビティの手順でセル7Tを識別するように、構成してもよい。
【0035】
したがって、有利には、サービング基地局5は、どのセル7T/どの基地局5-1、5-2(CU1、CU2)と通信を行うべきかを決定することができ、ターゲット基地局5-1は、モバイルデバイス7用の(ハンドオーバ及び/又は当該セル7Tを含むデュアルコネクティビティ用の)リソースを確保する必要があるセル7Tを決定することができる。
【0036】
<モバイルデバイス>
図2は、
図1に示すモバイルデバイス3の主な構成要素(例えば、モバイル電話、他のユーザ機器など)を示すブロック図である。図示のように、モバイルデバイス3は、1つ又は複数のアンテナ33を介して基地局5と信号の送受信を行うように動作可能なトランシーバ回路31を有する。モバイルデバイス3は、モバイルデバイス3の動作を制御するコントローラ37を有する。コントローラ37はメモリ39に関連付けられ、トランシーバ回路31に接続されている。動作するうえで必ずしも必要ではないが、モバイルデバイス3が通常のモバイル電話3の標準の機能(ユーザインタフェース35など)をすべて備えてよいことは明らかであり、当該機能は、ハードウェア、ソフトウェア及びファームウェアの何れか1つ又はこれらの任意の組み合わせによって適宜実現してもよい。
【0037】
ソフトウェアは、メモリ39に事前にインストールしてもよいし、及び/又は、例えば、通信ネットワークを介して、又はRMD(Removable Data Storage Device:リムーバブルデータ格納デバイス)から、ダウンロードしてもよい。コントローラ37は、この実施例では、メモリ39内に格納されたプログラム命令又はソフトウェア命令によってモバイルデバイス3の動作全体を制御するように構成される。図示のように、これらのソフトウェア命令は、特に、オペレーティングシステム41、通信制御モジュール43、セルIDモジュール45、及びオプションのGNSS(Global Navigation Satellite System:全球測位衛星システム)モジュール47を含む。
【0038】
通信制御モジュール43は、UE3とその基地局5との間の通信(及び当該サービング基地局5に接続される、他のモバイルデバイス、ネットワークノードなどの他の通信デバイスとの通信)を制御するように動作可能である。通信制御モジュール43は、(現在のサービングセル及びオプションとして隣接セルの)システム情報を取得し、サービング基地局5によってそのような測定が構成されたセル7で適切な信号測定を実行し、信号測定の結果をサービング基地局5に報告する役割も担う。
【0039】
セルIDモジュール45は、各セル7(少なくともモバイルデバイス3の近傍の複数のセル7)を識別する情報を取得し、当該セル7が関与する後続の手順(例えば、当該セル7の測定結果を報告する場合、当該セル7へのハンドオーバ時など)で当該情報を使用する役割を担う。特定のセル7を識別する情報は、当該セル7に関連付けられた適切なPLMN ID、当該セル7に関連付けられたECI/NCI(セル識別子)、当該セル7に関連付けられたPCI、当該セル7に関連付けられたPSC、当該セル7に関連付けられたGCI/EGCI(グローバルセル識別子)、及び当該セル7に関連付けられたTACうちの1つ又は複数を含んでもよい。セルIDモジュール45は、通信制御モジュール43が取得したシステム情報から、所定のセル7を識別する情報を取得してもよい。
【0040】
GNSSモジュール47が存在する場合、モバイルデバイス3の現在の地理的位置(例えば、GPS座標)を決定する情報を取得する役割を担う。GNSSモジュール47は、GPS(Global Positioning System:全地球測位システム)モジュール、GLONASS(GLObal NAvigation Satellite System:全球測位衛星システム)モジュール、Galileoモジュール、Beidouモジュールなどの形式で実現されてもよい。
【0041】
<基地局>
図3は、
図1に示す基地局5のうちの1つの主要構成要素を示すブロック図である。図示のように、基地局5は、1つ又は複数のアンテナ53を介して通信デバイス(モバイルデバイス3/ユーザ機器など)と信号の送受信を行うためのトランシーバ回路51、及び(S1/N2/N3インタフェースなどの適切なコアネットワークインタフェースを介して)コアネットワークと信号の送受信を行い、(X2/Xnインタフェースなどの適切な基地局インタフェースを介して)隣接する基地局と信号の送受信を行うためのネットワークインタフェース55を有する。基地局5は、基地局5の動作を制御するコントローラ57を有する。コントローラ57はメモリ59に関連付けられる。
図3に示されてはいないが、基地局5が通常のセルラ電話ネットワーク基地局の通常の機能をすべて有することは明らかであり、この機能は、ハードウェア、ソフトウェア、及びファームウェアの何れか1つ又は任意の組み合わせによって適宜実現してもよい。ソフトウェアは、メモリ59に事前にインストールしてもよいし、例えば、通信ネットワーク1を介して、又はリムーバブルデータ格納デバイス(RMD)から、ダウンロードしてもよい。コントローラ57は、本実施例では、メモリ59内に格納されたプログラム命令又はソフトウェア命令によって基地局5の全体的な動作を制御するように構成される。図示のように、これらのソフトウェア命令は、特に、オペレーティングシステム61、通信制御モジュール63、セルIDモジュール65、及びNRT(Neighbour Relation Table:隣接関係テーブル)69を含む。簡略化のため、
図3には示していないが、これらの機能及びモジュールの一部を、必要に応じてCUと1つ又は複数のDUとに分割してもよく、他の機能(トランシーバ/コントローラなど)及びモジュールをCUとDUの両方に設けてもよい。
【0042】
通信制御モジュール63は、基地局5と、モバイルデバイス3(ユーザ機器)及び基地局5に接続された他のネットワークエンティティとの間の通信を制御するように動作可能である。通信制御モジュール63は、この基地局5に関連付けられる通信デバイスに(関連するデータ無線ベアラを介して)送信する下りリンクユーザトラフィック及び制御データの個別のフローも制御する。通信制御モジュール63は、基地局5がサービスを提供するモバイルデバイス3に適切な信号測定を構成し、信号測定の結果を(例えばRRCなどの適切な上位レイヤシグナリングを介して)取得する役割も担う。
【0043】
セルIDモジュール65は、通信システム1のセル7(少なくとも自局のセルと任意の隣接セル)を識別する情報を取得して(NRT69内に)格納し、これらのセル7が関与する手順においてかかる情報を使用する役割を担う。特定のセル7を識別する情報は、当該セル7に関連付けられた適切なPLMN ID、当該セル7に関連付けられたECI/NCI(セル識別子)、当該セル7に関連付けられたPCI、当該セル7に関連付けられたPSC、当該セル7に関連付けられたGCI/EGCI(グローバルセル識別子)、及び当該セル7に関連付けられたTACうちの1つ又は複数を含んでもよい。セルIDモジュール65は、システム情報を介して自局のセル7の情報をブロードキャストする役割も担う。
【0044】
NRTモジュール69は、自動隣接関係に関する手順を担い、適切にフォーマットされた隣接関係テーブルを(セル毎に)含む。
【0045】
上の説明では、モバイルデバイス3及び基地局5は、説明の簡略化のため、複数の個別モジュール(通信制御モジュールやセルIDモジュールなど)を備えるものとして説明された。これらのモジュールは、例えば、本発明を実施するために既存のシステムに変更を加えた特定のアプリケーションについては上述のような方法で実現可能であるが、例えば最初から本発明の特徴を念頭に置いて設計されたシステムなどの他のアプリケーションについては、これらのモジュールをオペレーティングシステム又はコード全体に組み込んでもよく、これらのモジュールを個別のエンティティとして認識しなくてもよい。これらのモジュールは、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、又はこれらの組み合わせで実現してもよい。
【0046】
<動作>
本発明の例示的な実施形態に従って、モバイルデバイス3及び基地局5がPCIコンフュージョンを回避することができる例示的な方法を以下に説明する。
【0047】
オプション1
E-UTRANでは、各セルのグローバルセルIDは28ビットを含み、当該セルが属するPLMN(Public Land Mobile Network:地上波公共移動通信ネットワーク)の識別子と、当該セルの(当該PLMN内における)CI(Cell Identity:セルID)から構成される。E-UTRANでは、セルIDはECI(E-UTRAN Cell Identity)として知られている。マクロセル(及びマクロ基地局によって制御されるスモールセル)の場合、各(E)CIは当該セルを制御するマクロ基地局のeNB IDを(左側の18、20、21、又は28ビットに)含み、残りのビット(存在する場合)は、当該セルのセル識別子(当該基地局下で一意)である。
【0048】
NRでは、グローバルセルIDはLTEと同様に規定される。ただし、NRでは、セルIDはNCI(NR Cell Identity)と呼ばれ、各セルのECGIは(関連するPLMN ID及びNCIで構成される)36ビットを含む。各NCIは当該セルを制御するマクロ基地局のgNB ID(22~32ビット)を含み、残りのビットは、当該セルのセル識別子(当該基地局下で一意)である。
【0049】
所定のセル7に関連付けられたグローバルセルIDは、当該セル7を制御する基地局5によって、SI(System Information:システム情報)を介してブロードキャストされる。このように、測定された各セル7からSIを取得することで(例えば、ステップS1b)、モバイルデバイス3は対応するグローバルセルIDを取得することができる。
【0050】
PCIコンフュージョンの問題に対処する1つの方法を
図5aに示す。このオプションでは、ステップS1に概略的に示すように、モバイルデバイス3は、測定結果とともに、ターゲットセル7TのグローバルセルID(GCI又はECGI)を(例えば、PCIに加えて、又はPCIの代わりに)サービング基地局5に(自動的に)報告するように構成される。例えば、モバイルデバイス3のセルIDモジュール45を、基地局5への測定報告(ステップS2で通信制御モジュール43を介して送信される)に各セル7に対応するグローバルセルIDを含むように、構成してもよい。言い換えると、
図5aのステップS2は、
図4のステップ4を(測定された各セル7のグローバルセルIDを含むという点において)変形したものと言うことができる。
【0051】
グローバルセルID(ECGIなど)は、ネットワーク全体においてセルを一意に識別するために使用可能なため、基地局5は、測定報告に含まれる情報に基づいて、正しいセル7T(及び当該セル7Tを制御する基地局5-1)を決定し、ハンドオーバ/セルの追加(ステップS4)を実行することができるものとする。一方、測定報告に含まれる各セル7のグローバルセルIDをサービング基地局5に報告することは、ハンドオーバの遅延を引き起こすおそれがある。これにより、モバイルデバイス3が、複数のセルについて追加のSI(System Information:システム情報)を取得する必要が生じ、モバイルデバイス3の電力消費に影響するおそれがある。しかしながら、本実施例では、
図4と比較してステップ5と7を省略できるため(そして、ステップ6が先に実行されるため)、ハンドオーバ遅延と関連するシグナリングとを軽減することができる。
【0052】
オプション2
このオプションでは、モバイルデバイス3は、報告のあったセル7のサブセットのグローバルセルIDを提供するように構成される(ただし、PCIのみを報告する構成も可能である)。
【0053】
より詳細には、基地局5への測定報告内において、セル7の所定(所定数)のサブセットのグローバルセルIDを(そのセルIDモジュール45及び通信制御モジュール43を使用して)報告するように、モバイルデバイス3を、構成してもよい(例えば、信号強度が最大であるセル7又は「N」個のセル7、及び/又はPCIコンフュージョンの問題が生じるおそれの高いセル7)。これは、実質的に、
図5aを参照して説明したシナリオに対応する。この場合、モバイルデバイス3からの測定報告は、残りのセル7(例えば、信号強度が最大ではないセル7)を、これらのセル7に関連するPCIによって識別する(したがって、モバイルデバイス3は、これら残りのセル7のシステム情報を取得する必要はない)。
【0054】
基地局5が、グローバルセルIDが報告されたセル7の中から適切なハンドオーバセルを見つけることができず、選択した(適切な)ハンドオーバターゲットセル7Tに潜在的なPCIコンフュージョンの問題がある場合、基地局5は、当該セル7Tへの(成功の可能性の残る)ハンドオーバを進行してもよいし、又は当該特定のセル7TのグローバルセルIDを取得して報告するように、モバイルデバイス3に要求してもよい(これは、
図5cを参照して以下に説明する通りである)。当該オプションは、モバイルデバイス3のデュアルコネクティビティの設定を試みる場合に特に有用である(この場合、モバイルデバイス3は現在のサービングセル7Sとの既存の接続を維持するため、サービング基地局5が関連するPCIに基づいて正しいセル7Tを選択しなくても、接続が切断するリスクは比較的低くなる)。
【0055】
オプション2-1
オプション2の変形例として
図5b及び5cに示すように、モバイルデバイス3は、測定報告において何れのセル7のグローバルセルIDも報告しない(ただし、モバイルデバイス3を、オプション2のように、セル7のサブセットのグローバルセルIDを報告するように構成してもよい)。
【0056】
本実施例では、モバイルデバイスの現在のセル7Sは、基地局5によって制御されるLTE/E-UTRANセルであってもよいし(或いは、
図1のように、NRセル/DUを介して提供されるセルであってもよい)、ターゲットセル7T(UEの候補セルの1つ)は、NRセルであってもよい(当該NRセルは、同一の基地局5又は異なる基地局5-1によって制御されてもよい)。
【0057】
この場合、サービング基地局5は(
図5bのステップS1において、通信制御モジュール63を使用して)、1つ又は複数の隣接セル7について適切な信号測定を実行するようにモバイルデバイス3を構成する。
【0058】
モバイルデバイス3は、一定の所定の基準を満たす測定結果を(通信制御モジュール43を使用して)報告する(これはイベントトリガとして知られる)ように構成される。
図5bのステップS2/
図5cのステップS1に示すように、測定結果を報告する場合、モバイルデバイス3は、ターゲットセル7Tに関連付けられたPCI(又は、2つ以上の候補セル7を報告する場合には複数のPCI)もサービング基地局5に報告する。有益なことに、この場合、この段階でモバイルデバイス3がシステム情報を取得する(ステップ1b)必要はない。
【0059】
図5bのステップS3において、基地局5は、報告されたPCI及びそのNRT69に保持されている情報に基づいて、ターゲットセル7T(ハンドオーバの場合)/適切なセカンダリセル7T(デュアルコネクティビティの場合)を決定可能か否かを確認する。測定報告から正しいセル7Tを決定することができる場合(又は、PCIコンフュージョンのリスクが低いと判断される場合)、基地局5は、ステップS4において、当該セル7Tへのハンドオーバをトリガし、当該セル7Tをモバイルデバイス3のセカンダリセルとして設定する。
【0060】
ここで、
図5cを参照すると、測定報告に含まれるPCIから正しいセル7Tを決定することができない場合(
図5cのS1)、基地局5は、ステップS2において、1つ又は複数のセル7を識別する情報(例えば、関連するPCI)を含めることによって、1つ又は複数のセル7(例えば、NRT69において一意のPCIを有さないことが報告されたセル)のGCIを報告するようにモバイルデバイス3に指示する、適切にフォーマットされた要求を(通信制御モジュール63を使用して)生成して、送信する。本実施例では、基地局5は、PCI=5のセル7T(ステップS1において、必ずしも最大強度の信号とは限らないが、信号強度が十分に強いことが報告されたセル)の(E)CGIを取得して報告するように、モバイルデバイス3に要求する。
【0061】
モバイルデバイス3は、当該セル7のシステム情報を取得する(読み取る)ことで、特定のセルのGCIを取得することができる。このように、実質的には、ステップS2における基地局の要求は、当該特定のPCI(本例では、PCI=5)に関連付けられたセル7Tのシステム情報を取得するように、モバイルデバイス3を構成する。ステップS2bに概略的に示すように、モバイルデバイス3は、自律的ギャップを使用してSIの取得を行う。すなわち、モバイルデバイス3は、ターゲットセル7Tから関連するシステム情報を取得するために、基地局5との送受信を一時的に停止してもよい。SIの取得(ステップS2b)は、ステップS2において(例えば、
図5bのステップS1bにおいて)基地局の要求を受信する前であっても、いつでも行うことができるものとする。
【0062】
ステップS3において、モバイルデバイス3は、ターゲットセル7TのGCI(「Global-CID」)を含み適切にフォーマットされた応答(例えば、新しい測定報告)を生成して送信する。本実施例では、モバイルデバイス3によって報告された(PCI=5を有するセル7Tの)GCI値は「19」である。したがって、有利には、基地局5は、PCI値「5」(これは、基地局5がサービスを提供するエリア内で必ずしも一意であるとは限らない)及びGCI値「19」に基づいて、モバイルデバイス3のハンドオーバ/デュアルコネクティビティをトリガする正しいセル7Tを決定することができる。
【0063】
決定されたGCI(
図5bのステップS3)又は報告されたGCI(
図5cのステップS3)に基づいて、サービング基地局5は、ハンドオーバ/Sセルの追加(ステップS4)をトリガする正しいセル7T(及び正しい基地局5-1)を選択することができる。
【0064】
オプション2-2
本変形例は、
図5bに示したものと同様である。
【0065】
上述のオプション同様に、モバイルデバイス3を、基地局5への測定報告内において、セル7の所定(所定数)のサブセットのグローバルセルIDを報告するように構成してもよい(例えば、信号強度が最大である単一のセル7又は「N」個のセル7、及び/又はPCIコンフュージョンの問題が生じるおそれのあるセル7)。基地局5が、グローバルセルIDが報告されたセル7の中から適切なハンドオーバセルを見つけられなかった場合、及び選択した(適切な)ハンドオーバターゲットセル7Tに潜在的なPCIコンフュージョンの問題がある場合、基地局5は、NRT69に基づいて正しいターゲットセル7TのGCIを決定しようと試みる。
【0066】
しかしながら、サービングセル7Sのサービング基地局5は、当該基地局5が保持するNRT69を使用するのではなく、報告のあったセル7のうち1つ、好ましくは小さいセル(又はNRセル)のNRT69を確認するように構成される。このようなセルの場合、マクロセルよりも隣接セルが少ないためである。特に有用な例では、サービング基地局5は、モバイルデバイス3からGCIが報告された最大強度のセル7(好ましくは、比較的少数の隣接セルを有する小さなセル/NRセル)のNRT69を確認するように構成される。この場合、基地局5は、ターゲットセル7T(これは、PCIコンフュージョンの問題を潜在的に有する)は、最大強度のセル7と同様の良好な信号強度/品質が報告される可能性が高く、当該ターゲットセル7Tは、GCIの報告があった最大強度セルの隣接セルである可能性が非常に高いと想定することができる。
【0067】
より詳細には、モバイルデバイス3は、
図5a又は
図5bのステップS2を参照して説明したように、信号測定の結果を基地局5に報告するように構成される(すなわち、報告のあった各セルは、そのPCI又はGCIによって識別することができる)。サービング基地局5が、GCIが報告されていないモバイルデバイス3用にセル7Tを選択すると、当該基地局5は、当該セル7TのGCIをNRT69に基づいて決定する(
図5cのステップS2からS3を参照して説明したように、モバイルデバイス3に当該セル7TのGCIを要求する代わりに)ように構成される。
【0068】
表1は、このオプションに従って、例示的な隣接関係テーブル69に含むことができるフィールドの一部を示す。基地局5によって制御される各セル7及び各隣接セルについて、同様のNRT69をメモリ59に格納してもよいものとする(これは、当該隣接セルを制御する基地局からネットワークインタフェース55を介して取得可能である)。以上のように、各隣接セル7について、所定のセルのNRT69は、特に、関連するインデックス(本実施例では#1から#6)、関連するGCI、当該セル7の動作周波数を識別する情報、及び関連するPCIを含む。
【0069】
【0070】
基地局5は、モバイルデバイスの信号測定を構成する役割(測定する周波数の構成を含む)を担うため、基地局5は、適用可能な測定構成及び報告された測定結果から、報告のあったセル7Tの周波数を決定することができる。このように、当該セル7Tの周波数及びPCIを考慮することで、基地局5は、NRT69に含まれる情報及び報告されたPCIに基づいて、セル7TのGCIを決定することができる。具体的には、基地局の決定は、CGIが報告された最大強度のセル7のNRT69に基づく。表1に示す例示的なNRT69では、PCI値「x」を有するセルが2つ(すなわち、#1及び#5)存在するが、両セルはそれぞれ異なる周波数に関連付けられている。したがって、本実施例では、正しい隣接セル7Tは、UEの現在のサービングセル7Sと最大強度のセルの両方に隣接し、測定が構成された周波数を有するセルである。CGIが報告された最大強度のセル7のPCI及びNRT69に基づいて正しい隣接セル7Tを識別するのに、他の技術も用いることができるものとする。いくつかの実施例では、基地局5を、2つ以上のセル7のNRT69においてPCIを確認するように構成してもよい。
【0071】
したがって、ステップS4において、基地局5がセル7Tのモバイルデバイス3のハンドオーバ(又はデュアルコネクティビティ)をトリガする場合、基地局5は、当該セルのGCIを有益に使用して、ハンドオーバ(又はデュアルコネクティビティ)を管理し、それにより、PCIコンフュージョンから生じる接続障害を回避することができる。
【0072】
隣接セル7の周波数の代わりに、基地局5は、モバイルデバイス3に関わらず正しいセル7TのGCIを決定するために、任意の他の適切な情報(NRT69、及び/又は他のノードを含む他のソースからの情報)を使用可能であるものとする。
【0073】
有利なことに、本オプションでは、例えば、サービングセル7SのNRTにリストされている多数の隣接セルが原因でサービングセル7SのNRTが不十分な場合(例えば、マクロ/LTEセルの場合)であっても、基地局5は、正しい隣接セル7Tを(最大強度のセルのNRT69に基づいて)解決することができる可能性がある。
【0074】
オプション2-3
このオプションは
図5dに概略的に示される。本実施例では、他の基地局5-1(例えば、gNB)は、モバイルデバイス3の測定をシグナリングするように構成されたサービング基地局5ではなく、正しいターゲットセル7TのGCIを当該セル7Tの#NRT69に基づいて決定するように構成される。本オプションは、デュアルコネクティビティにおけるセカンダリセルをセットアップする場合に特に有用である。UEの現在のセル7S(PCell)がLTE/E-UTRANセルであって、選択したセル7T(SCell)がNRセルである場合、デュアルコネクティビティはEN-DCシナリオと呼ばれる。セル7Sと7Tの両方がNRセルである場合、デュアルコネクティビティはNGEN-DCシナリオと呼ばれる。
【0075】
より詳細には、モバイルデバイス3を、セル7のうちの少なくとも所定のサブセット(所定数)のグローバルセルIDを、基地局5へのセル7の測定報告内で報告するように、構成してもよい。本ステップは前のオプションと同様である(例えば、
図5a又は
図5bのステップS1からS2)。
【0076】
しかしながら、本実施例では、サービング基地局5(例えば、UEの現在のセル7Sを制御するeNB)が、GCIが報告されていないセル7Tをモバイルデバイス3のデュアルコネクティビティにおけるセカンダリセルの候補として選択する場合、サービング基地局5は、当該セル7TのPCIに関連するPCIコンフュージョンが存在するか否かを確認する。PCIコンフュージョンがない場合、基地局5は、通常の動作に従って進む。
【0077】
選択したセル7Tに既知のPCIコンフュージョンが存在する場合、基地局5は、モバイルデバイス3が最大強度と報告したセル7を制御する特定の基地局5-1へのセカンダリセルの追加を続ける。信号強度が最大であるセル7は、モバイルデバイス3によってGCIが報告されているセルである可能性が非常に高く、そのため、当該セル7を制御する基地局5-1を、当該GCIに基づいて決定することができる。
【0078】
したがって、サービング基地局5は、ステップS4において、当該基地局5-1にセカンダリセルを追加する要求を生成して送信する。当該要求(例えば、「SCell追加要求」)は最大強度のセル7を(例えば、GCI又はPCIによって)識別し、そのPCIによってセル7Tも(例えば、優先セルとして)識別する。サービング基地局5は、必要に応じて、1つ又は複数の優先セル7を識別する情報(例えば、1つ又は複数のPCI)を当該要求中に含めてもよい。言い換えれば、サービング基地局5を、最大強度のセル及び異なる候補セカンダリセル7の優先順位(例えば、セル/PCIのリストの形式で最も好ましいものから最も好ましくないものまで)を示すように、構成してもよい。
【0079】
他の基地局5-1は、最大強度のセル7をモバイルデバイス3のセカンダリセルとして追加し、当該セル7を介してモバイルデバイス3と通信するための適切なリソースを確保することができる。或いは、優先順位が示されたサービング基地局5に従って、PCIコンフュージョンがない場合、他の基地局5-1は、セル7T(
図6で、PCI値「X」を有する)をモバイルデバイス3のセカンダリセルとして追加し、当該セル7Tを介してモバイルデバイス3と通信するための適切なリソースを確保してもよい。
【0080】
しかしながら、優先セル7Tに関してはPCIコンフュージョンの可能性があり、例えば、
図6に示すように、基地局5-2によって制御されるセル7Aは同一のPCI値「X」を有し、又は
図7に示すように、同一の基地局5によって制御される2つのセル7A及び7Tは同一のPCI値「X」を有する。
【0081】
有利なことに、優先セル7Tに影響を与えるPCIコンフュージョンがある場合でも、基地局5-1は、NRT69に基づいて、正しいセル(例えば、セル7A又はセル7T)のGCIを決定することができる(例えば、表1に示すように)。
【0082】
特に、本実施例では、基地局5-1は、モバイルデバイス3からGCIが報告された最大強度のセル7(好ましくは、比較的少数の隣接セルを有する小さなセル/NRセル)のNRT69を確認するように構成される。この場合、基地局5-1は、優先セル7Tについて、最大強度のセル7と同様の良好な信号強度/品質が報告される可能性が高く、当該優先セル7Tは、GCIの報告があった最大強度セル7の隣接セルである可能性が非常に高いと想定することができる(これは、最大強度のセル7のNRT69で示される)。
【0083】
基地局5-1は、ステップS5において、要求されたPCIがセル7Aに属すると判断した場合、受信したSCellの追加要求を(既知であれば、当該セル7AのGCIに基づいて)正しい基地局5-2に転送するように、構成してもよい。或いは、基地局5-1を、要求中の基地局5に正しいセル7AのGCIについて通知するように構成してもよいし、又は、適切な失敗理由を含むエラー(例えば、「SCell追加の失敗」など)を返してもよい。
【0084】
基地局5-1が、ステップS5において、要求されたPCIが自局のセル7Tに属すると判断した場合、当該セル7Tをモバイルデバイス3のセカンダリセルとして追加し、当該セル7Tを介してモバイルデバイス3と通信するためのリソースを確保してもよい。基地局5-1は、セカンダリセルとしての優先セル7Tの追加が成功したことを要求中の(プライマリ)基地局5に通知するように、構成してもよい。
【0085】
また、ステップS4で受信したメッセージに異なる候補セカンダリセル7の優先順位が含まれていた場合、基地局5-1を、セル追加要求にリストされている1つ又は複数の他のセル7から、異なるセル7を選択する(例えば、要求されたセル7T又は最大強度のセル7に十分なリソースがない場合)ように、構成してもよい。
【0086】
オプション3
本オプションを、
図5eに示す。本実施例では、モバイルデバイス3は、報告されている(ステップS2)セル7のうち少なくともサブセットの測定結果に、モバイルデバイス3の地理的位置を識別する情報(例えば、GNSSモジュール47によって取得された緯度/経度)を含むように、構成される。したがって、報告のあったセル7に関連するGCIをモバイルデバイス3が取得して報告する必要はないこともある(ステップS1bはオプション)。
【0087】
表2は、このオプションに従って、サービング基地局5の例示的な隣接関係テーブル69に含むことができるフィールドの一部を示す。同様のNRT69を、基地局5によって制御される各セル7のメモリ59に格納してもよいものとする。以上のように、各隣接セル7について、NRT69は、(特に)当該セル7の地理的位置を識別する情報を含む。
【0088】
【0089】
有利なことに、PCIコンフュージョンの場合、サービング基地局5を、ステップS3において、モバイルデバイスの位置を識別する情報と、報告されたのと同一のPCIを有する各セルの位置を識別する(NRT69内の)情報とに基づいて正しいセル7TのGCIを決定するように、構成してもよい。例えば、基地局5を、どのセル7がモバイルデバイス3の位置に最も近いかを決定するように、構成してもよい(ただし、基地局5は、この決定を微調整するために、各セルに関連付けられた電力レベルなどの他の情報を考慮に入れてもよい)。
【0090】
<変形例及び代替案>
以上、例示的な実施形態を詳細に説明した。当業者が理解するように、上記例示的な実施形態については複数の変形例及び代替案が可能であり、そのようにして具現化された発明の利を得ることができる。説明のため、これらの変形例及び代替案の例を一部のみ説明する。
【0091】
上記の例示的な実施形態では、基地局は、3GPP無線通信(無線アクセス)技術を使用して、モバイルデバイスと通信する。しかしながら、基地局とモバイルデバイスを、他の適切な無線通信技術(すなわち、WLAN、Wi-Fi、WiMAX、Bluetoothなど)を使用して相互に通信を行うように構成してもよい。上記の実施形態は、「非モバイル」又は一般に固定のユーザ機器にも適用可能である。
【0092】
図1、
図6及び
図7に示す例では、説明のために、各DUが単一のセルに関連付けられている。しかしながら、実装時には、各DUは、複数のセルに関連付けられてもよい。
【0093】
上記例示的な実施形態では、モバイルデバイスが所定数のセル(又は測定が行われた全セルのサブセット)のグローバルセルIDを基地局に報告し、信号強度が最大であるセル及び/又はPCIコンフュージョンの問題が発生する可能性の高いセルに関連付けられたグローバルセルIDを報告することが、説明される。しかしながら、NRセル、ホーム基地局セル(スモールセル)、CSGセル、非CSGセル、及び所定の範囲内のPCIに関連付けられたセルのうちの1つ又は複数を含む所定のセット/タイプのセルのグローバルセルIDを報告する(例えば、測定報告に含めて報告する)ように、モバイルデバイスを、構成してもよい。
【0094】
モバイルデバイスの地理的位置(オプション3)は、最初の測定報告に含まれてもよい(
図5eに示すように)。或いは、
図5cのステップS2及びS3と同様に、サービング基地局からの要求に応じて、モバイルデバイスの地理的位置を提供してもよい。この場合、ステップS2は、モバイルデバイスの地理的位置を要求するように変更してもよく、ステップS3は、モバイルデバイスのGPS座標を(例えば、報告されたセルのGCIの代わりに、又はGCIに加えて)報告するように変更してもよい。
【0095】
すべてのオプションについて、モバイルデバイスによるGCI/GPSの報告は、基地局が、適切にフォーマットされた測定構成シグナリングを介してオン/オフを切り替えてもよい。例えば、PCIコンフュージョンが発生する可能性が低い場合(例えば、NRセルの配置が比較的疎である場合)、GCI/GPSの報告をオフにしてもよい。この場合、基地局は、そのNR隣接リストに基づいて(そのNRT内において)、同一のPCIを共有する隣接NRセル(存在する場合)の数を決定するように、構成してもよい。例えば、基地局が、NRセルが存在しない又は比較的少数(例えば、所定の閾値未満)のNRセルが同一のPCIを共有すると決定した場合、当該基地局は、モバイルデバイスのGCI/GPS報告をオフにすることができる(又は、初期設定がオフである場合には何れのGCI/GPS報告もオンにしないように当該基地局を構成してもよい)。
【0096】
上記の例示的な実施形態は、1つ又は複数の可能なPCIコンフュージョンのシナリオに対処する。しかしながら、上記の例示的な実施形態を、同様のPSCコンフュージョンのシナリオに対処するのに使用してもよい(例えば、通常は関連するPSCによって識別されるCSG(Closed Subscriber Group)セルに関与するシナリオ)。
【0097】
上の説明においては、理解を容易にするため、モバイルデバイス及び基地局が多数の個別のモジュールを有するものとして説明された。これらのモジュールは、例えば、本発明を実施するために既存のシステムに変更を加えた特定のアプリケーションについては上述のような方法で提供することができるが、例えば最初から本発明の特徴を念頭に置いて設計されたシステムなどの他のアプリケーションについては、これらのモジュールをオペレーティングシステム又はコード全体に組み込んでもよく、この場合、これらのモジュールを個別のエンティティとして認識しなくてもよい。
【0098】
上述の例示的な実施形態では、複数のソフトウェアモジュールを説明した。当業者が理解するように、ソフトウェアモジュールは、コンパイルされた形式又はコンパイルされていない形式で提供してもよいし、コンピュータネットワークを介した信号として、又は記録媒体上で、基地局もしくは通信デバイスに供給してもよい。さらに、このソフトウェアの一部又はすべてによって実行される機能は、1つ又は複数の専用ハードウェア回路を使用して実行してもよい。しかしながら、基地局又はモバイルデバイスの更新を高速化するためには、ソフトウェアモジュールの使用が推奨される。
【0099】
上記測定報告は、上記少なくとも1つの測定結果に関する上記少なくとも1つの隣接セルのPCIを、対応する少なくとも1つの測定及び対応する何れかのGCIとともに更に含んでもよい。
【0100】
上記測定報告は、複数の隣接セルの測定結果を含み、GCIが、上記測定報告における上記測定結果に関する全ての隣接セルの上記測定報告に含んでもよい。
【0101】
上記測定報告は、複数の隣接セルの測定結果を含み、GCIは、上記測定報告における上記測定結果に関する上記複数の隣接セルの1つのサブセットについての上記測定報告に含まれ、上記測定報告における上記測定結果に関する上記複数の隣接セルの更なるサブセットに含まれない。
【0102】
GCIが上記測定報告に含まれる上記複数の隣接セルの上記サブセットは、測定された信号強度又は品質が上記複数の隣接セルの上記更なるサブセットよりも大きい少なくとも1つのセルを含んでもよい。
【0103】
GCIが上記測定報告に含まれる上記複数の隣接セルの上記サブセットは、所定の隣接セルと所定のタイプのセル(例えば、NRセル/ホーム基地局セル)と所定の範囲のPCI値の中からのPCI値を有するセルとのうちの少なくとも1つ含んでもよい。
【0104】
上記方法は、上記更なるサブセットのセルについてのGCIを当該セルについてブロードキャストされるシステム情報から取得するための要求を送ることを更に備えてもよい。
【0105】
上記方法は、上記要求を送信する前に、NRT(Neighbour Relation Table:隣接関係テーブル)に基づいてGCIの解決を試みることと、上記NRTに基づいてGCIの解決が成功しない場合にのみ上記要求を送信することと、を備えてもよい。
【0106】
上記NRTは、上記基地局装置により保持されてもよい。
【0107】
上記受信された測定結果は、少なくとも1つの隣接セルについての少なくとも1つのGCI(Unique Cell Identifier:一意のセル識別子)を含み、上記識別することでは、他の隣接セルについての少なくとも1つのGCIに更に基づいて、上記識別される隣接セルを識別する。
【0108】
上記受信された測定結果は、所定の隣接セルと所定のタイプのセル(例えば、NRセル/ホーム基地局セル)と所定の範囲のPCI値の中からのPCI値を有するセルとのうちの少なくとも1つを含む隣接セルのサブセットについての上記少なくとも1つのGCIを含んでもよい。
【0109】
上記方法は、上記受信されたPCIと、関連する信号強度又は品質が最大であると報告される(及びGCIが上記UEにより報告されている)隣接セルに関する上記NRTに保持される情報とに基づいて、上記隣接セルを識別することを備えてもよい。
【0110】
上記UEと上記識別される隣接セルとが関与する上記通信手順は、上記識別される隣接セルへのハンドオーバ、又はSCell(Secondary Cell)としての上記識別される隣接セルの追加を含んでもよい。
【0111】
上記基地局装置はLTE基地局を備え、上記少なくとも1つの隣接セルはNRセルであってもよい。
【0112】
上記方法は、上記識別される隣接セルに関与する上記UEのためのEN-DC(E-UTRAN New Radio - Dual Connectivity)を構成すること、を備えてもよい。
【0113】
上記方法は、上記NRTに基づいて、上記受信されたメッセージが上記基地局装置により制御されるセルに関連しないと決定される場合に、同一のPCIを有する異なるセルと、前記異なるセルを制御する基地局装置とを決定することと、上記受信されたメッセージを、当該異なるセルを制御する前記基地局装置に転送することと、を更に備えてもよい。
【0114】
上記受信されたメッセージは、複数のセルにそれぞれ関連付けられた複数のPCIを含み、上記方法は、上記受信された複数のPCIに基づいて、上記基地局装置により制御されるセルを選択することと、前記選択したセルを用いて前記通信手順を進行することと、を備えてもよい。
【0115】
種々の他の変更は、当業者にとって明らかであるため、ここでは更に詳細な説明は省略する。
【0116】
<自動隣接関係>
通常のモバイルネットワークで隣接セルを手動で規定及び管理することは困難な作業であり、「レガシー」2G/3G/4Gのセルがすでに存在する傍らで新しいモバイル技術が展開されることで、さらに困難なものになる。3GPP TS 36.300のセクション22.3.2aに説明されるように、ANR(Automatic Neighbour Relation:自動隣接関係)機能の目的は、オペレータの隣接関係を手動で管理する負担を軽減することである。
【0117】
各セルについて、基地局は概念的なNRT(Neighbour Relation Table:隣接関係テーブル)を保持する。ANR機能は基地局(例えば、DU)に常駐しており、NRTを(セル毎に)管理するための適切な機能が含まれる。いわゆる隣接関係検出機能は、新しい隣接関係を見つけてNRTに追加する役割を担う。これは通常、基地局が、当該基地局がサービスを提供する1つ又は複数のモバイルデバイスの適切なセル測定を構成し、測定を行ったセルを識別する情報を含む対応の測定報告をモバイルデバイスから受信するという形で行われる。測定報告が、(所定のセル用の)NRTにリストされていないセルを識別する場合、隣接関係検出機能は(必要に応じて、他のノードと適切に通信を行った後に)このセルをNRTに追加する。
【0118】
いわゆる隣接関係削除機能は、古いNR(Neighbour Relations:隣接関係)を削除する役割を担う。隣接関係検出機能及び隣接関係削除機能は実装毎に固有であるため、基地局毎に異なってもよい。
【0119】
さらに、2つの基地局間における隣接セル情報のやり取り(例えば、X2/Xnセットアップ手順、又はeNB/gNB構成更新手順)もANRの目的に使用することができる。ANR機能により、ネットワークオペレータは、O&M(Operation and Maintenance)機能を介してNRTを管理することもできる。オペレータは、必要に応じて、O&M機能を使用して、NRを手動で追加及び削除することができ、及び/又はNRTの属性を変更することができる。ANR機能は、NRTの変更(例えば、O&M機能を介して行われていない変更)をO&Mシステムに通知してもよい。
【0120】
モバイルデバイスが受信信号のソースを一意に識別するために、各基地局には、PCI(Physical Cell ID)又は「物理レイヤセル識別子」と呼ばれるシグネチャ系列が与えられる。PCIは、UTRAN FDD(Frequency Division Duplex:周波数分割複信)セルの場合には、キャリア周波数とPSC(Primary Scrambling Code)によって、UTRAN TDD(Time Division Duplex:時分割複信)セルの場合には、キャリア周波数とセルパラメータIDによって、GERAN(GSM EDGE Radio Access Network)セルの場合には、バンドインジケーター+BSIC(Base Station Identity Code:基地局識別コード)+BCCH(Broadcast Control CHannel:ブロードキャスト制御チャネル)ARFCN(Absolute Radio Frequency Channel Number:絶対無線周波数チャネル番号)によって、CDMA2000セルの場合には、PN(Pseudorandom Noise:疑似ランダム信号)オフセットによって、定義される。
【0121】
各隣接関係について、NRTは、通常、当該セルをターゲットセル(例えば、ハンドオーバやその他のシグナリング用)として認識する関連するTCI(Target Cell Identifier:ターゲットセル識別子)が含まれる。上記のいくつかの実施例では、NRTには各隣接セルに関連する地理的位置(GPS座標など)も含まれる。現行のE-UTRANシステムでは、TCIは、ECGI(E-UTRAN Cell Global Identifier)及びPCIに対応する。したがって、通常のANR実装では、ソースセルからターゲットセルへの隣接関係とは、ソースセルを制御する基地局が、a)ターゲットセルのECGI/CI及びPCIを把握していること、b)ターゲットセルを識別するソースセルのエントリがNRT内に存在すること、及びc)本隣接関係テーブルのエントリの属性が定義されている(例えば、O&Mによって定義されている、又は初期値に設定されている)こと、を意味する。
【0122】
本出願は、2018年1月12日出願の英国特許出願番号1800569.4に基づく優先権の利益に基づく。この開示の内容は、全てここに含めておく。