(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024002344
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】積層部材
(51)【国際特許分類】
E01C 13/08 20060101AFI20231228BHJP
E01C 5/22 20060101ALI20231228BHJP
B32B 7/12 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
E01C13/08
E01C5/22
B32B7/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022101467
(22)【出願日】2022-06-24
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 販売日 令和4年3月28日 販売した場所 株式会社安水建設
(71)【出願人】
【識別番号】000119232
【氏名又は名称】株式会社イノアックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100190333
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 群司
(72)【発明者】
【氏名】近藤 良徳
(72)【発明者】
【氏名】若松 洋平
【テーマコード(参考)】
2D051
4F100
【Fターム(参考)】
2D051AA02
2D051AB04
2D051AG03
2D051HA01
2D051HA03
2D051HA05
2D051HA06
2D051HA08
4F100AK04A
4F100AK51C
4F100AN00D
4F100AT00B
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4F100GB07
4F100JD04A
4F100JL12C
(57)【要約】
【課題】水の浸潤による形状変更を抑制することができる積層部材を提供する。
【解決手段】積層部材10,110,210は、上層部材20,120と、上層部材20,120の下面に設けられた防水部材30,230と、を備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上層部材と、
前記上層部材の下面に設けられた防水部材と、
を備えたことを特徴とする積層部材。
【請求項2】
前記上層部材は、基礎部材と、前記基礎部材の上面側に設けられた表面部材と、を備えたことを特徴とする請求項1に記載の積層部材。
【請求項3】
前記上層部材は、前記基礎部材と前記表面部材との間に設けられて前記表面部材の下面側への前記基礎部材の接着を補助するための接着補助部材をさらに備えたことを特徴とする請求項2に記載の積層部材。
【請求項4】
前記基礎部材は、粉砕物を備えることを特徴とする請求項2に記載の積層部材。
【請求項5】
前記表面部材は、人工芝であることを特徴とする請求項2に記載の積層部材。
【請求項6】
前記接着補助部材は、防水性を有することを特徴とする請求項3に記載の積層部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
積層部材として、特許文献1には、加硫ゴム粉砕物及び加硫ゴムスポンジ粉砕物のうちの少なくとも該加硫ゴムスポンジ粉砕物からなり且つ該粉砕物を互いに接着させてなる透水性クッション材層(布、寒冷紗等)と、該クッション材層の下面に接着される透水性シート層と、該クッション材層の上面に接着される透水性人工芝層と、を備えた人工芝付弾性舗装材が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1に開示されている積層部材においては、水が透水性シート層及び透水性人工芝層を介して透水性クッション材層に浸潤し、この浸潤により透水性クッション材層が形状変更しひいては積層部材が形状変更するおそれがあった。
【0005】
本発明は、上述した問題を解消するためになされたもので、水の浸潤による形状変更を抑制することができる積層部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明に係る積層部材は、上層部材と、前記上層部材の下面に設けられた防水部材と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
この発明に係る積層部材によれば、上層部材の下面に防水部材を設けたので、上層部材の下面側からの水の浸潤(浸入)を抑制することができる。よって、水の浸潤による上層部材の形状変更を抑制することができ、ひいては積層部材の形状変更を抑制することができる。
【0008】
また、本発明による積層部材においては、前記上層部材は、基礎部材と、前記基礎部材の上面側に設けられた表面部材と、を備えることが好ましい。これによれば、防水部材によって下面側からの水の浸潤が抑制される基礎部材の上面側を、表面部材によって保護することが可能となる。
【0009】
また、本発明に係る積層部材においては、前記上層部材は、前記基礎部材と前記表面部材との間に設けられて前記表面部材の下面側への前記基礎部材の接着を補助するための接着補助部材をさらに備えることが好ましい。これによれば、接着補助部材が、基礎部材と表面部材との接着を補助することが可能となるため、基礎部材と表面部材とを所望の接着強度にて適切に接着することが可能となる。
【0010】
また、本発明による積層部材においては、前記基礎部材は粉砕物を備えることが好ましい。これによれば、粉砕物を備えた基礎部材の下面に防水部材を設けることが可能となるので、浸潤により比較的膨張しやすい粉砕物を備えた上層部材の下面側からの水の浸潤を抑制することができる。よって、水の浸潤による上層部材の形状変更を抑制することができ、ひいては積層部材の形状変更を抑制することができる。
【0011】
また、本発明による積層部材においては、前記表面部材は、人工芝であることが好ましい。これによれば、人工芝を表面部材に採用した場合は、基礎部材に膨張が起きた場合にも表面部材層で変形吸収ができることから、積層部材全体の形状変更を抑制することが可能となる。
【0012】
また、本発明による積層部材においては、前記接着補助部材は、防水性を有することが好ましい。これによれば、基礎部材の上面に防水性を有する接着補助部材を設けることが可能となるので、基礎部材の上面側からの水の浸潤を抑制することができる。よって、水の浸潤による基礎部材ひいては上層部材の形状変更を抑制することが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、水の浸潤による形状変更を抑制することができる積層部材を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明による積層部材10の一実施形態を示す断面図である。
【
図2A】本発明による積層部材10の製造方法の一実施形態を示す断面図である。
【
図2B】本発明による積層部材10の製造方法の一実施形態を示す断面図である。
【
図3】第1変形例による積層部材110を示す断面図である。
【
図4】第2変形例による積層部材210を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明による積層部材10及びその製造方法の一実施形態について図面を参照して説明する。ただし、本発明は、この実施形態に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することができる。
【0016】
(積層部材)
図1に示すように、積層部材10は、上層部材20と、上層部材20の下面に設けられた防水部材30と、を備えている。上層部材20は、表面部材21と、基礎部材22と、接着補助部材23と、を備えている。上層部材20は、これら表面部材21、接着補助部材23及び基礎部材22がこの順番に積層されている。表面部材21は、第1接着剤層24を介して接着補助部材23に接着されており、基礎部材22は、第2接着剤層25を介して接着補助部材23に接着されている。防水部材30は、第3接着剤層26を介して基礎部材22に接着されている。
【0017】
表面部材21は、板状に形成された人工芝である。表面部材21は、芝部21a、シート部21b、及び凸条部21cを備えている。芝部21aは、多数の披針形線状材を有している。披針形線状材は、平たくて細長く先の方がとがり基部の方がやや広い部材であり、例えばポリエチレン、ポリプロピレンなどで形成されている。
【0018】
シート部21bは、芝部21aが植立されるシート状(または板状)の部材であり、例えばポリプロピレンで形成されている。シート部21bには、芝部21aの披針形線状材の基部が植え込まれている。例えば、披針形線状材の基部がシート部21bに縫い付けられている。縫い付け部は、シート部21bの裏面(下面)から突出しており、凸条部21cを形成している。このように、凸条部21cは、表面部材21の裏面すなわちシート部21bの裏面に設けられている。凸条部21cは、シート部21bと同一の材質または芝部21aと同一の材質で形成されるのが好ましい。凸条部21cは、直線状の凸部であるのが好ましい。尚、凸条部21cは、複数の凸部を直線上に間欠的に設けるようにしてもよい。
【0019】
尚、凸条部21cは、芝部21aを植立するためにシート部21bの裏面から突出している。例えば、芝部21aの基部がシート部21bを貫通しており、その突出部分を固定するために凸条部21cを形成するようにしてもよい。尚、突出部分が凸条部21cをそのまま形成する場合もあり、突出部分を覆うために凸条部21cを形成する場合もある。
【0020】
また、表面部材21の裏面は、例えばゴム部材でコーティングされるのが好ましい。ゴム部材としては、天然ゴム、合成ゴムが挙げられる。合成ゴムとしては、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴムなどが挙げられる。
【0021】
尚、表面部材21は、人工芝に限定されず、衝撃を吸収する機能を有する屋外用床材、屋内用床材など他の部材を採用してもよい。表面部材21は、板状でなくシート状に形成されてもよい。
【0022】
基礎部材22は、表面部材21が接着される接着対象部材である。基礎部材22は、表面部材21に接着されることで表面部材21の強度を高く維持するための部材である。基礎部材22は、板状またはシート状に形成されている。
【0023】
基礎部材22は、天然ゴム、若しくは、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ニトリルゴム(NBR)、ブタジエンゴム(BR)、ブチルゴム(イソプチレン・イソプレンゴム)(IIR)、シリコーンゴム、フッ素ゴムなどの合成ゴムにより形成されるのが好ましい。基礎部材22は、ゴム材を発泡させた発泡ゴムや、ゴム材や発泡ゴムを粉砕して球形、円柱形など所定形状に粒状に形成したものを固めたゴムペレットや、このペレットを凝集したペレット凝集物により形成されるのが好ましい。このように、基礎部材22は粉砕物を備えるのが好ましい。また、基礎部材22は、一枚もので形成されるようにしてもよい。
【0024】
尚、基礎部材22には、寒冷紗を設けるようにしてもよい。例えば、寒冷紗は、基礎部材22の下面に積層するのが好ましい。これによれば、基礎部材22に水が浸入し膨潤する際に、水の浸入による膨潤を抑制し、基礎部材22の変形(反り)を抑制することが可能となる。
【0025】
接着補助部材23は、表面部材21と基礎部材22との接着を補助するための部材である。すなわち、接着補助部材23は、表面部材21の裏面(下面)に設けられて表面部材21の下面側への基礎部材22の接着を補助するための部材であるということもできる。この場合、基礎部材22が表面部材21に対する接着対象部材である。また、接着補助部材23は、基礎部材22の表面(上面)に設けられて基礎部材22の表面側への表面部材21の接着を補助するための部材であるということもできる。この場合、表面部材21が基礎部材22に対する接着対象部材である。
【0026】
接着補助部材23は、板状に形成されている。接着補助部材23の厚みは、凸条部21cの高さより大きい値に設定されるのが好ましい。本実施形態では、凸条部21cの高さが3mm程度であるので、接着補助部材23の厚みは5mmより大きい値に設定されるのが好ましい。接着補助部材23は、硬度が所定値より小さい軟質材料にて形成されている。硬度は、例えば、80(ショアA)以下であることが好ましく、60(ショアA)以下であることがより好ましい。軟質材料としては、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリエチレン(PE。発泡も含む。)、ポリプロピレン(PP。発泡も含む。)、不織布、エチレン酢酸ビニル(EVA)、熱可塑性エラストマなどが挙げられる。熱可塑性エラストマとしては、オレフィン系熱可塑性エラストマ(TPO)、ポリウレタン系熱可塑性エラストマ(TPU)、スチレン系熱可塑性エラストマ(TPS)、軟質ポリ塩化ビニル(PVC)などが挙げられる。
【0027】
尚、接着補助部材23は、防水性を有するのが好ましい。これによれば、基礎部材22の上面に設けられた接着補助部材23が防水性を有するので、基礎部材22の上方から水が浸潤(浸入)するのを抑制することが可能となる。よって、水の浸潤による基礎部材22ひいては上層部材20の形状変更を抑制することが可能となり、さらには積層部材10の形状変更を抑制することが可能となる。
【0028】
尚、不織布としては、短繊維不織布、長繊維不織布などが挙げられる。短繊維不織布としては、バインダー(接着剤)を使用しないで、ウェブ内の繊維(特に短繊維)を高圧水流により交絡させて製造するスパンレース不織布、ニードルを往復させることにより繊維を交絡させるニードルパンチ不織布、熱溶着繊維などを使ったサーマルボンド不織布などが挙げられる。長繊維不織布としては、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布、フラッシュ紡糸不織布などが挙げられる。スパンボンド不織布は、ポリマーの溶融又は溶解によって、ノズルから紡糸された連続繊維(フィラメント)を動くスクリーン上に積層し、一つ又は二つ以上の結合方法で作られた不織布である。メルトブローン不織布は、ポリマーを高速熱ガス流中に紡糸して繊維状にし、冷却後、動くスクリーンに集積し、一つ又は二つ以上の結合方法で作られた不織布である。フラッシュ紡糸不織布は、ポリマー溶液を一定条件でノズルから紡糸し、紡糸直後に溶剤を蒸発させ、これらの繊維を動くスクリーン上に積層し、一つ又は二つ以上の結合方法で作られた高度にフィブリル化した形状のフィラメントによる不織布である。尚、前述したポリマーは、高分子の有機化合物であり、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタンなど熱可塑性樹脂(合成樹脂)である。
【0029】
また、接着補助部材23のひずみは、基礎部材22のひずみより大きい値に設定されていることが好ましい。接着補助部材23は、そのひずみが所定範囲である部材である。所定範囲は、25~75%であることが好ましく、40~60%であることがより好ましい。尚、ひずみは元(変形前)の長さLに対する変形量ΔLの比率である(ひずみ=ΔL/L)。
【0030】
第1接着剤層24は、第1接着剤で形成された層である。第1接着剤は、有機溶媒を含まない接着剤であることが好ましい。例えば、第1接着剤としては、ホットメルト接着剤が挙げられる。ホットメルト接着剤とは、熱をかけて融かして接着させる接着剤であり、材質としては、エチレン酢酸ビニル(EVA)のような熱可塑性合成樹脂が用いられる。本実施形態では、ホットメルト接着剤としては、湿気硬化型ホットメルト接着剤を採用している。尚、第2接着剤層25は、第1接着剤層24と同様に形成された層であり、第1接着剤と同様である第2接着剤で形成されている。また、第3接着剤層26は、第1接着剤層24と同様に形成された層であり、第1接着剤と同様である第3接着剤で形成されている。
【0031】
湿気硬化型ホットメルト接着剤は、ウレタン系の湿気硬化型ホットメルト接着剤であり、ウレタンプレポリマーを主成分とするものである。湿気硬化型ホットメルト接着剤は、ポリエステルポリオールとイソシアネート化合物との反応により得られ、末端にイソシアネート基(NCO)を有するものである。特に末端NCO%が1~3%のものが好ましい。また、ポリエステルポリオールとしては、例えば、マロン酸、コハク酸、アジピン酸等の脂肪族カルボン酸やフタル酸等の芳香族カルボン酸と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等の脂肪族グリコール等から重縮合して得られたポリエステルポリオールを挙げることができる。ポリエステルポリオールは、炭素数6以上のジカルボン酸(アジピン酸、セバシン酸等)製のものが好ましく、さらには、融点45℃以上の結晶性エステルポリオールがポリオール成分で80重量%以上含まれるものを用いるのがより好ましい。なお、ポリエステルポリオール構成するグリコールは、炭素数が4以上のアルコール(1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール等)を用いることができる。また、イソシアネート化合物としては、芳香族イソシアネートが好ましく、特にはジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)が好ましい。また、湿気硬化型ホットメルト接着剤には、必要に応じて粘着付与剤、ワックス、結晶核剤、酸化防止剤等の添加剤が含まれる。また、湿気硬化型ホットメルト接着剤は、ウレタン系の湿気硬化型ホットメルト接着剤に限定されず、ポリエステル系やアクリル系の湿気硬化型ホットメルト接着剤を採用するようにしてもよい。
【0032】
湿気硬化型ホットメルト接着剤は、表面部材21と接着補助部材23とを接着する際には、ロールコータを使用して塗布するロール塗布(ロールコーティング)で表面部材21の裏面(塗布対象)に塗布される。尚、湿気硬化型ホットメルト接着剤は、表面部材21の裏面のみでなく、接着補助部材23の表面(塗布対象)のみに塗布するようにしてもよく、表面部材21の裏面と接着補助部材23の表面の両方に塗布するようにしてもよい。また、湿気硬化型ホットメルト接着剤は、接着補助部材23と基礎部材22とを接着する際には、接着補助部材23の裏面及び/または基礎部材22の表面に塗布すればよい。さらに、湿気硬化型ホットメルト接着剤は、基礎部材22と防水部材30とを接着する際には、基礎部材22の裏面及び/または防水部材30との表面に塗布すればよい。
【0033】
ロールコーティングにおいて使用するロールコータとしては、例えば、特開2018-184000号公報に記載されているロールコータが挙げられる。このロールコータは、送りロール、供給ロール、塗布ロール、ホットメルト接着剤貯留槽を備えている。ホットメルト接着剤貯留槽に貯留されている溶融状態の湿気硬化型ホットメルト接着剤は、送りロールによって塗布対象が一方向へ送られている状態で、吐出部から供給ロールと塗布ロール間に供給される。供給ロールと塗布ロール間に供給された溶融状態の湿気硬化型ホットメルト接着剤は、供給ロールと塗布ロールの回転によって塗布対象の上側表面(塗布面)に供給される。塗布対象の上側表面に供給された溶融状態の湿気硬化型ホットメルト接着剤は、回転する塗布ロールの外周面下端と接触して塗布対象の上側表面に塗布される。
【0034】
ロールコーティングを容易かつ良好に行えるようにするため、湿気硬化型ホットメルト接着剤は、常温固体であり、さらには、100℃以上で溶融状態であり、かつ140℃の溶融粘度(JIS K 6862)が5~15Pa・s(パスカル秒)のものが好ましい。なお、常温固体とは、20℃で固体であることをいう。また、溶融状態の温度範囲は、100~160℃の範囲で適宜設定可能である。さらに、湿気硬化型ホットメルト接着剤は、結晶性エステルポリオールを含むウレタンプレポリマーが好ましく、結晶性ポリエステルポリオールは、季節変化を配慮しても、(1)常温固体であり融点が45℃以上で、(2)溶融塗布後に常温における固化時間が1~5分であることが好ましい。すなわち、長尺シートに巻き返しながら塗布し、所定の設備長さの中で、湿気硬化型ホットメルト接着剤が速やかに常温で乾燥硬化するためには、結晶性エステルポリオールを含み、ウレタンプレポリマーのNCO含量が1~3%であり、数平均分子量が1000~4000であることが好ましく、1500~2500であることがより好ましい。
【0035】
また、湿気硬化型ホットメルト接着剤の塗布量は、30~200g/m2であることが好ましく、50~150g/m2であることがより好ましい。尚、塗布方法は、ロールコーティングに限定されず、スプレー塗布を採用するようにしてもよい。
【0036】
スプレー塗布として、特には、湿気硬化型ホットメルト接着剤を加温加圧状態で、一列に並んだ複数のノズルから吐出、糸状に紡糸しながら吹き付けて積層するカーテンスプレー法が好ましい。カーテンスプレー法によれば、糸状の溶融樹脂を、高温高速気流によって紡糸するとともに延伸し、表皮材に直接吹き付けて積層させる方法である。
【0037】
スプレー塗布においては、周知のスプレー塗布装置によってホットメルト接着剤が塗布される。スプレー塗布装置としては、特開2017-136735号公報に開示されたものが知られている。スプレー塗布装置は、湿気硬化型ホットメルト接着剤収容槽から供給される溶融状態の湿気硬化型ホットメルト接着剤を、該接着剤を塗布すべき接着剤塗布面に塗布する。
【0038】
防水部材30は、板状またはシート状に防水材料にて形成されている。防水部材30の厚みは、材質にもよるが、3mm~7mmに設定されるのが好ましい。本実施形態では、防水部材30の厚みは、5mmに設定されている。防水材料は、防水性を有する材質であり、防水材料としては、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリエチレン(PE。発泡も含む。)、ポリプロピレン(PP。発泡も含む。)、不織布、エチレン酢酸ビニル(EVA)、熱可塑性エラストマなどが挙げられる。熱可塑性エラストマとしては、オレフィン系熱可塑性エラストマ(TPO)、ポリウレタン系熱可塑性エラストマ(TPU)、スチレン系熱可塑性エラストマ(TPS)、軟質ポリ塩化ビニル(PVC)などが挙げられる。
【0039】
防水部材30は、基礎部材22への下面側からの水の浸入を抑制するので、基礎部材22の形状変更(例えば、4角の反り、中央部の反り、はみ出し、波打ち、くぼみ、など)を抑制することが可能となり、ひいては積層部材10の形状変更を抑制することが可能となる。
【0040】
(積層部材の製造方法(製造工程))
次に、上述した積層部材10の製造方法(製造工程)について、
図2A,2Bを参照して説明する。積層部材10の製造方法は、第1塗布工程S1、第1圧着工程S3、第2塗布工程S5、第2圧着工程S7、第3塗布工程S9、第3圧着工程S11、及び硬化工程S13を備えている。
【0041】
(第1塗布工程・第1圧着工程)
第1塗布工程S1は、基礎部材22の表面(上面)及び接着補助部材23の裏面(下面)のうち少なくとも何れか一方にホットメルト接着剤25aを塗布する。この場合、ホットメルト接着剤25aは、ロールコーティング(上述した)により塗布されるのが好ましい。本実施形態では、ホットメルト接着剤25aは、基礎部材22の表面及び接着補助部材23の裏面の両方に塗布される。尚、ロールコーティングにおいては、周知のロールコーティング装置(ロールコータ)によってホットメルト接着剤25aが塗布される。塗布量は、30~200g/m2であることが好ましく、50~150g/m2であることがより好ましい。また、塗布方法は、ロールコーティングでなく、スプレー塗布を採用するようにしてもよい。
【0042】
第1圧着工程S3は、第1塗布工程S1の後に、基礎部材22と接着補助部材23とを圧着させる。第1圧着工程S3においては、最初に、基礎部材22と接着補助部材23とを接着剤25aを塗布した面(接着剤塗布面)を合わせて重ねる(一方にのみ接着剤を塗布した場合には、基礎部材22の表面と接着補助部材23の裏面とを合わせる。)。その後、プレス装置にて、積層した基礎部材22と接着補助部材23を所定の圧縮量にて圧縮する。これにより、接着補助部材23が接着された基礎部材22である第1段階基礎部材41が形成される。
【0043】
尚、所定の圧縮量は圧縮対象物の厚みに対する比率が40~60%となる量が好ましく、本実施形態では、その比率が50%に設定されている。また、該圧縮は、所定時間(例えば、40秒)だけ実施される。尚、所定時間は、40~80秒に設定されるのが好ましい。
【0044】
(第2塗布工程・第2圧着工程)
第2塗布工程S5は、防水部材30の表面及び基礎部材22の裏面のうち少なくとも何れか一方にホットメルト接着剤26aを塗布する。この場合、ホットメルト接着剤26aは、ロールコーティング(上述した)により塗布されるのが好ましい。本実施形態では、ホットメルト接着剤26aは、基礎部材22の表面及び防水部材30の裏面の両方に塗布される。塗布量は、30~200g/m2であることが好ましく、50~150g/m2であることがより好ましい。また、塗布方法は、ロールコーティングでなく、スプレー塗布を採用するようにしてもよい。
【0045】
第2圧着工程S7は、第2塗布工程S5の後に、第1段階基礎部材41と防水部材30とを圧着させる。第2圧着工程S7においては、最初に、第1段階基礎部材41と防水部材30とを接着剤26aを塗布した面(接着剤塗布面)を合わせて重ねる(一方にのみ接着剤を塗布した場合には、防水部材30の表面と基礎部材22の裏面とを合わせる。)。その後、プレス装置にて、積層した第1段階基礎部材41と防水部材30を所定の圧縮量にて圧縮する。これにより、防水部材30が第1段階基礎部材41(基礎部材22)の下面に接着されて第2段階基礎部材42が形成される。第2段階基礎部材42においては、基礎部材22の上面に接着補助部材23が接着され、基礎部材22の下面に防水部材30が接着されている。尚、所定の圧縮量及び圧縮時間は、上述した第1圧着工程S3と同様に設定するのが好ましい。
【0046】
尚、第2圧着工程S7の後に、第2圧着工程S7において積層された第2段階基礎部材42の接着剤25a,26aを硬化させるのが好ましい。この硬化工程においては、例えば、第2圧着工程S7の後の第2段階基礎部材42を、所定時間だけ所定温度・所定湿度にて保管することにより、ホットメルト接着剤が自然冷却及び空気中の湿気(加湿)と反応し硬化が進行する。尚、ホットメルト接着剤が湿気硬化により完全に固まるのにかかる硬化時間は、例えば数時間から十数時間である。また、所定時間は、24~72hr(時間)に設定されるのが好ましく、本実施形態では、24hrに設定されている。所定温度は、5~40℃に設定されるのが好ましく、本実施形態では、15~30℃(いわゆる常温)に設定されている。所定湿度は、相対湿度40~95%に設定されるのが好ましく、本実施形態では、45~85%(いわゆる常湿)に設定されている。
【0047】
(第3塗布工程・第3圧着工程)
第3塗布工程S9は、接着補助部材23(第2段階基礎部材42)の表面及び表面部材21の裏面のうち少なくとも何れか一方にホットメルト接着剤24aを塗布する。この場合、ホットメルト接着剤24aは、ロールコーティング(上述した)により塗布されるのが好ましい。本実施形態では、ホットメルト接着剤24aは、接着補助部材23の表面及び表面部材21の裏面の両方に塗布される。塗布量は、30~200g/m2であることが好ましく、50~150g/m2であることがより好ましい。塗布量は、所望の接着強度を発揮でき、かつ、凸条部21c間の隙間すなわち表面部材21の凹部が接着剤で充填されない量に設定されるのが好ましい。また、塗布方法は、ロールコーティングでなく、スプレー塗布を採用するようにしてもよい。
【0048】
第3圧着工程S11は、第3塗布工程S9の後に、第2段階基礎部材42と表面部材21とを圧着させる。第3圧着工程S11においては、最初に、第2段階基礎部材42と表面部材21とを接着剤24aを塗布した面(接着剤塗布面)を合わせて重ねる(一方にのみ接着剤を塗布した場合には、接着補助部材23の表面と表面部材21の裏面とを合わせる。)。その後、プレス装置にて、積層した第2段階基礎部材42と表面部材21を所定の圧縮量にて圧縮する。これにより、表面部材21が第2段階基礎部材42に接着されて積層部材10が形成される。尚、所定の圧縮量及び圧縮時間は、上述した第1圧着工程S3と同様に設定するのが好ましい。
【0049】
硬化工程S13は、第3圧着工程S11において積層された積層部材10の接着剤24aを硬化させて、積層部材10を完成させる。硬化工程S13においては、第3圧着工程S11の後の積層部材10を、所定時間だけ所定温度・所定湿度にて保管することにより、ホットメルト接着剤が自然冷却及び空気中の湿気(加湿)と反応し硬化が進行する。尚、硬化工程S13においては、上述した第2圧着工程S7の後に実施される硬化工程と同様に硬化工程が実施される。
【実施例0050】
以下に実施例を示し、本発明をさらに具体的に説明する。ただし、本発明は、この実施例に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することができる。
【0051】
【0052】
表1に示す表面部材21、基礎部材22、接着補助部材23(防水性あり)、防水部材30及び接着剤を用いて、比較例1の積層部材10及び実施例1,2の積層部材10を作成した。
【0053】
比較例1の積層部材は、表面部材21と基礎部材22と接着補助部材23とを備えており、防水部材30を備えていない。表面部材21は人工芝であり、基礎部材22は発泡ゴムペレット(厚みは15mmである。)である。接着補助部材23は、発泡ポリエチレンで形成され、その厚みは5mmである。表面部材21と接着補助部材23と、及び、接着補助部材23と基礎部材22とは、ウレタン系ホットメルト接着剤により接着されている。ウレタン系ホットメルト接着剤は上述した方法により塗布されている。
【0054】
実施例1の積層部材10は、表面部材21、基礎部材22及び接着補助部材23だけでなく、比較例1とは異なり、防水部材30も備えている。表面部材21は人工芝であり、基礎部材22は発泡ゴムペレット(厚みは15mmである。)である。接着補助部材23は、発泡ポリエチレンで形成され、その厚みは5mmである。防水部材30は、発泡ポリエチレンで形成され、その厚みは5mmである。表面部材21と接着補助部材23と、及び、接着補助部材23と基礎部材22とは、有機溶媒を含まないウレタン系ホットメルト接着剤により接着されている。基礎部材22と防水部材30とは、有機溶媒を含まないウレタン系ホットメルト接着剤により接着されている。
【0055】
実施例2の積層部材は、表面部材21と基礎部材22と防水部材30とを備えており、実施例1とは異なり、接着補助部材23を備えていない。表面部材21は人工芝であり、基礎部材22は発泡ゴムペレット(厚みは15mmである。)である。防水部材30は、発泡ポリエチレンで形成され、その厚みは5mmである。表面部材21と基礎部材22とは、クロロプレンゴム系溶剤形接着剤により接着されている。基礎部材22と防水部材30とは、有機溶媒を含まないウレタン系ホットメルト接着剤により接着されている。
【0056】
各実施例及び各比較例の積層部材10について、浸潤による変形性について評価を行った。具体的には、実施例2の積層部材10及び比較例1及び比較例2の積層部材(所定寸法(例えば、50cm×50cm))を、所定温度(例えば90℃)・所定湿度(例えば95%)にて恒湿恒温槽内に載置し、その後、積層部材10の形状変化(特に反り量)を確認する(経時変化を確認する)。
【0057】
比較例1では、試験サンプル3個すべてに4角の反りが発生した。各反り量は、5~17mmであり、サンプル1つあたりの平均反り量は9.8mmであった。比較例1においては、基礎部材22の上面に防水性を有する接着補助部材23が積層されており、基礎部材22の上面からの浸水を抑制することは可能であるが、基礎部材22の下面からの浸水を抑制することはできないので、基礎部材22は下面側から浸潤される。このとき、基礎部材22の上面には接着補助部材23及び表面部材21が積層されているが、基礎部材22の下面には何も積層されていないので、浸潤され膨張された基礎部材22は、上面側より下面側のほうが膨張され、基礎部材22の上側が反るように変形する。
【0058】
一方、実施例1では、試験サンプル3個ほぼすべてに4角の反りが発生したものの、各反り量は、1~4mmであり、サンプル1つあたりの平均反り量は2.9mmであった。実施例1においては、基礎部材22の上面には防水性を有する接着補助部材23が積層されるとともに基礎部材22の下面には防水部材30が積層されており、基礎部材22の上面及び下面の両方からの浸水を抑制することが可能となる。その結果、浸水(浸潤)による基礎部材22の膨張を全体的に抑制することができ(ひいては上面側より下面側のほうが膨張するのを抑制することができ)、基礎部材22の上側が反るように変形するのを抑制することができる。
【0059】
また、実施例2では、試験サンプル3個ほぼすべてに4角の反りが発生しなかったが、サンプルの中央部の反り(凸部)が発生した。各反り量は、比較例1の半分程度であり、サンプル1つあたりの平均反り量は約5mmであった。実施例2においては、基礎部材22の下面に防水部材30が積層されており、基礎部材22の下面からの浸水を抑制することは可能であるが、基礎部材22の上面からの浸水を抑制することはできないので、基礎部材22は上面側から浸潤される。このとき、基礎部材22の下面には防水部材30が積層されるとともに上面には表面部材21が積層されているので、浸潤され膨張された基礎部材22は、下面側より上面側のほうが膨張され、基礎部材22の下側が反るように(すなわち中央部が凸状となるように)変形する。
【0060】
上述した記載から明らかなように、比較例1の積層部材においては、浸潤によってサンプルの4角が比較的大きく反るため、見栄え、使用性の観点から変形性は良好であるとは言えない。一方、実施例1の積層部材においては、浸潤によってサンプルの4角が反るものの、その反り量は小さく低減されるため、見栄え、使用性の観点から変形性は良好であると言える。また、実施例2の積層部材においては、浸潤によってサンプルの中央部が反るものの、4角が反るのを抑制することができるため、見栄え、使用性の観点から変形性は良好であると言える。
【0061】
(第1変形例)
尚、上述した実施形態においては、表面部材21の裏面に凸条部21cを形成するとともに接着補助部材23の表面を平坦に形成するようにしたが、接着補助部材23の表面に凸条部123cを形成するとともに表面部材121の裏面を平坦に形成するようにしてもよい。この場合、
図3に示すように、積層部材110は、上述した積層部材10と同様に、上層部材120と、防水部材30と、を備えている。上層部材120は、表面部材121と、基礎部材22と、接着補助部材123と、を備えている。表面部材121は、第1接着剤層24を介して接着補助部材123に接着されており、基礎部材22は、第2接着剤層25を介して接着補助部材123に接着されている。防水部材30は、第3接着剤層26を介して基礎部材22に接着されている。
【0062】
表面部材121は、板状に形成された衝撃吸収部材である。表面部材121は、少なくとも裏面が平坦な部材であり、例えばポリエチレン、ポリプロピレンなどで形成されている。接着補助部材123は、シート状に形成されたシート部123b、及びシート部123bの表面から突出された凸条部123cを備えている。凸条部123cは、上述した凸条部21cと同様に形成されている。接着補助部材123は、上述した接着補助部材23と同一の材料にて形成されている。
【0063】
尚、前述した積層部材110は、上述した積層部材10と同様な製造方法(製造工程)により製造される。
【0064】
(第2変形例)
さらに、上述した実施形態においては、上述した防水部材30の下面に水路51を形成するようにしてもよい。具体的には、
図4に示すように、積層部材210は、上述した積層部材10と同様に、上層部材20と、防水部材230と、水路51と、を備えている。
上層部材20は、第3接着剤層26を介して防水部材230に接着されている。
【0065】
防水部材230は、上述した接着補助部材123と同様に、シート状に形成されたシート部230b、及びシート部230bの裏面(下面)から突出された複数の凸条部230cを備えている。凸条部230cは、上述した凸条部21cと同様に形成されている。防水部材230は、隣り合う凸条部230c間に形成されている溝230dと、水路51と、を備えている。
【0066】
水路51は、防水部材230(溝230d)と防水部材230が設置されている設置面SFとの間に形成されている。水路51は、凸条部230cに沿って水平方向に延在し、両端に開口(不図示)を有している。すなわち、積層部材210は、互いに平行である水路51を複数有することとなる。この水路51によれば、積層部材210と設置面SFとの間の排水性を向上させることが可能となる。
【0067】
尚、防水部材230には、互いに隣り合う水路51を連通する連通路を設けるようにしてもよい。これによれば、積層部材210と設置面SFとの間の排水性をより向上させることが可能となる。また、表面部材21の下面に水路(水路51と同様に形成された)を形成してもよく、接着補助部材23の上面に水路を形成してもよい。また、基礎部材22の上面に水路を形成してもよく、基礎部材22の下面に水路を形成してもよい。
【0068】
また、上述した各水路は積層部材の水平方向に沿って形成したが、これら水平方向に沿って形成された水路を垂直方向に連通する貫通孔を形成してもよい。
【0069】
(その他の変形例)
また、上述した積層部材10においては、接着補助部材23を省略するようにしてもよい。この場合、変形例に係る積層部材は、表面部材21、基礎部材22、及び防水部材30を備えることとなるが、防水部材30を有しているので、基礎部材22ひいては積層部材の水による浸潤を抑制することができる。
さらに、上述した積層部材10においては、表面部材21も省略することが可能である。この場合、変形例に係る積層部材は、基礎部材22、及び防水部材30を備えることとなるが、防水部材30を有しているので、基礎部材22ひいては積層部材の水による浸潤を抑制することができる。
【0070】
また、上述した表面部材に防水性を持たせてもよい。この場合、積層部材は、表面部材、基礎部材、及び、防水部材を備えるのが好ましい。これによれば、基礎部材が、防水性を有する表面部材と防水部材とによって挟まれるので、基礎部材の両面(上下両面)側から水が浸潤するのを抑制することが可能となり、積層部材の形状変更を抑制することが可能となる。例えば、積層部材は、上述した表面部材121(防水性を有する)と、基礎部材22と、防水部材30とを備えている。この場合、接着補助部材123を省略することができる。
【0071】
(実施形態の作用・効果)
上述した実施形態に係る積層部材10,110,210は、上層部材20,120と、上層部材20,120の下面に設けられた防水部材30,230と、を備えている。
【0072】
この積層部材10,110,210によれば、上層部材20,120の下面に防水部材30,230を設けたので、上層部材20,120の下面側からの水の浸潤(浸入)を抑制することができる。よって、水の浸潤による上層部材20,120の形状変更を抑制することができ、ひいては積層部材10,110,210の形状変更を抑制することができる。
【0073】
また、積層部材10,110,210においては、上層部材20,120は、基礎部材22と、基礎部材22の上面側に設けられた表面部材21,121と、を備えることが好ましい。これによれば、防水部材によって下面側からの水の浸潤が抑制される基礎部材22の上面側を、表面部材21,121によって保護することが可能となる。例えば、表面部材21,121に耐摩耗性、防水性などの機能を持たせることにより、基礎部材22の耐摩耗性、防水性の観点から保護することが可能となる。
【0074】
また、積層部材10,110,210においては、上層部材20,120は、基礎部材22と表面部材21,121との間に設けられて表面部材21,121の下面側への基礎部材22の接着を補助するための接着補助部材23,123をさらに備えることが好ましい。これによれば、接着補助部材23,123が、基礎部材22と表面部材21,121との接着を補助することが可能となるため、基礎部材22と表面部材21,121とを所望の接着強度にて適切に接着することが可能となる。
【0075】
また、積層部材10,110,210においては、基礎部材22は粉砕物を備えることが好ましい。これによれば、粉砕物を備えた基礎部材22の下面に防水部材30,230を設けることが可能となるので、浸潤により比較的膨張しやすい粉砕物を備えた上層部材20,120の下面側からの水の浸潤を抑制することができる。よって、水の浸潤による上層部材20,120の形状変更を抑制することができ、ひいては積層部材10,110,210の形状変更を抑制することができる。
【0076】
また、積層部材10,210においては、表面部材21は、人工芝であることが好ましい。これによれば、人工芝を表面部材21に採用した場合は、基礎部材22に膨張が起きた場合にも表面部材21層で変形吸収が出来る(人工芝の厚みと弾力が活かされる)ことから、積層部材10,210全体の形状変更を抑制することが可能となる。
【0077】
また、積層部材10,110,210においては、接着補助部材23,123は、防水性を有することが好ましい。これによれば、基礎部材22の上面に防水性を有する接着補助部材23,123を設けることが可能となるので、基礎部材22の上面側からの水の浸潤を抑制することができる。よって、水の浸潤による基礎部材22ひいては上層部材20,120の形状変更を抑制することが可能となる。