(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024023451
(43)【公開日】2024-02-21
(54)【発明の名称】無線セルラシステムにおけるセル間多重化利得の利用
(51)【国際特許分類】
H04B 7/0452 20170101AFI20240214BHJP
【FI】
H04B7/0452
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023202003
(22)【出願日】2023-11-29
(62)【分割の表示】P 2022081379の分割
【原出願日】2013-11-25
(31)【優先権主張番号】61/729,990
(32)【優先日】2012-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】14/086,700
(32)【優先日】2013-11-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.3GPP
(71)【出願人】
【識別番号】506352393
【氏名又は名称】リアデン リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】フォレンツァ アントニオ
(72)【発明者】
【氏名】パールマン スティーブン ジー
(57)【要約】
【課題】複数ユーザ(MU)送信を有する複数アンテナシステム(MAS)(「MU-MAS」)内の多重化利得を達成する。
【解決手段】多重アンテナから送信される電力は、あらゆる特定の電力レベル(それらの電力放出レベルが規制又は安全性限界に入る限り)に制約されない。それによって、セルを通して故意に高次のセル間干渉を生成して、セル間多重化利得を実現するために利用し、無線通信ネットワークの容量を増大する。一実施形態のMU-MASは、セル間干渉を除去するために協力して動作する複数の分散されたアンテナを有する無線セルラネットワークを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空間処理による多重化利得を実現するためにセル間干渉を利用し、それによって、無線通信ネットワークの容量を増大する、複数ユーザ(MU)送信を有する複数アンテナシステム(MAS)(「MU-MAS」)。
【請求項2】
前記複数のアンテナから発信される電力は、前記セルの境界における干渉を最小にするように制約され、セル間干渉を除去するために空間処理方法が利用される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記複数のアンテナから発信される電力は、セル間干渉は意図的に前記セルの全体で生成され、前記無線通信ネットワークの容量を増加させるために利用されるように、任意の特定の電力レベルに制約されない、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記無線通信ネットワークは、LTEネットワークなどのセルラネットワークである、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記無線通信ネットワークは、あらゆる発信電力制限なし(発信電力放出がFCC規則を満たす限り)で偶然に配置されたアクセスポイントを有する分散アンテナシステムである、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
DIDO-UEはLTE UEであり、DIDO-BTSはLTE eNodeBであり、DIDO-CTRはLTE eNodeB又はMMEであり、DIDO-CPはLTE GWである、請求項4に記載のシステム。
【請求項7】
閉ループプリコーディング方法が、ダウンリンク(DL)チャネル上で、BTSからUEへ同時非干渉データストリームを送信するために利用される、請求項4に記載のシステム。
【請求項8】
すべてのUEは、すべてのBTSからの、又は、それ自身のユーザクラスタ中のBTSだけからのチャネル状態情報(CSI)を推定するために、セル固有の参照信号(CRS)を使用する、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記システムは、前記チャネルの時間及び周波数の選択性を推定し、異なるBTSに関するCRSを異なるリソースエレメントに動的に再配分する、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
すべてのUEは、すべてのBTSからの、又は、それ自身のユーザクラスタ中のBTSだけからのCSIを推定するために、CSI参照信号(CSI-RS)又は復調参照信号(DM-RS)又は両方の組合せを使用する、請求項7に記載のシステム。
【請求項11】
前記BTSからの送信電力は、前記ユーザクラスタのBTSの数が、LTE規格のCSI-RS方式によりサポートされているアンテナの最大数(すなわち、8個)を下回るように低減される、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記ユーザクラスタ中の前記BTSは、各々8つのアンテナのサブセットに分割され、前記CSI-RSは所定の周期性によって、同時に1つのサブセットから送信される、請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
異なるサブセットに関する前記CSI-RSの前記周期性は前記UEのチャネルコヒーレンス時間並びにLTE規格でサポートされている周期性値に基づいて決定される、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
LTE規格より異なるパターン及び周期性が、前記システムにおけるより多数のBTSを可能にするために、前記CSI-RSについて可能である、請求項10に記載のシステム。
【請求項15】
前記UEは、PUCCHによってRI、PMI及びCQIをCPへ報告する、請求項7に記載のシステム。
【請求項16】
前記UEは、PUSCHによってRI、PMI及びCQIをCPへ報告する、請求項7に記載のシステム。
【請求項17】
前記システムは、チャネルの周波数選択性を推定し、同じ利用可能なアップリンク(UL)リソースに関するBTSの更に多数をサポートするための前記PMIを動的に調節する、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
開ループプリコーディング方法が、DLチャネル上で、BTSからUEへ同時非干渉データストリームを送信するために、利用される、請求項4に記載のシステム。
【請求項19】
開ループMU-MIMO方法は、ULチャネル上で、UEからBTSに同時非干渉データストリームを受信するために、利用される、請求項4に記載のシステム。
【請求項20】
SRS又はDMRSは、すべてのUEから前記BTSへのチャネルインパルス応答を推定するために使用される、請求項18に記載のシステム。
【請求項21】
異なるSRS又はDMRSは、前記UEのまわりの異なるコヒーレンスエリアに割り当てられる、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
異なるSRS又はDMRSは、クラスタ間干渉を低減するために、異なるDIDOクラスタへ割り当てられる、請求項20に記載のシステム。
【請求項23】
前記SRS又はDMRSは、チャネルの周波数ダイバーシティを利用するために、周波数ホッピングパターンに基づいて割り当てられる、請求項20に記載のシステム。
【請求項24】
連続的な時間スロット上で、SRS又はDMRSの同じセットが各群へ割り当てられるように、アクティブUEが群に分割される、請求項20に記載のシステム。
【請求項25】
すべてのアクティブUEに関する最も短いチャネルコヒーレンス時間が推定され、その情報に基づいて、UE群の最大数並びに前記SRS又はDMRSの時分割多重化方式の周期性が計算される、請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
UE間の時間及び周波数の同期は、DLシグナリング情報を利用することによって達成される、請求項19に記載のシステム。
【請求項27】
前記BTSは、同じ物理クロックへの直接的な配線によるか、又は、GPSDOによって共通の時間及び周波数の基準を共有することにより、同じ基準クロックに対して同期されている、請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
UE間の相対的な伝搬遅延は、UL MU-MIMOにより同一のDIDOクラスタ内のUEのみを処理することにより回避され、それによりUEの時間同期を保証する、請求項26に記載のシステム。
【請求項29】
UE間の相対的な伝搬遅延は、UL MU-MIMO受信機での前記UEの時間同期を保証するために、UL送信前に、前記UE側で補償される、請求項26に記載のシステム。
【請求項30】
最大尤度(ML)、決定帰還等化(DFE)又は逐次干渉除去(SIC)受信機などの非線形空間フィルタが、UEのデータストリーム間の干渉を除去するために利用される、請求項19に記載のシステム。
【請求項31】
ゼロフォーシング(ZF)又は最小平均二乗誤差(MMSE)受信機などの線形空間フィルタが、UEのデータストリーム間の干渉を除去するために利用される、請求項19に記載のシステム。
【請求項32】
SC-FMDAが、周波数領域内の前記UEを多重化するために使用される、請求項19に記載のシステム。
【請求項33】
DIDO技術は、徐々に既存のLTEネットワークに組み込まれる、請求項4に記載のシステム。
【請求項34】
前記DIDO BTS及びUEは、LTEとの互換性を有する、請求項33に記載のシステム。
【請求項35】
前記DIDO BTS及びUEは、LTE規格の変形を利用する、請求項33に記載のシステム。
【請求項36】
前記LTE UEは、DIDOとの互換性を有するように更新される、請求項35に記載のシステム。
【請求項37】
DIDOとの互換性を有するUEの新しい世代が配備される、請求項35に記載のシステム。
【請求項38】
LTEのスペクトルは、セルラ構成の従来のLTE BTSを1ブロックのスペクトルで、DIDO LTE BTSを別ブロックのスペクトルでサポートするように、細分化される、請求項33に記載のシステム。
【請求項39】
従来のセルラLTE BTSは、同じスペクトルを共有する一方で時分割多重アクセス(TDMA)方式に従って動作するように、DIDO-LTE BTSと協調するように構成されている、請求項33に記載のシステム。
【請求項40】
DIDOは、LTEの小セルに対するLOS又はNLOSの無線バックホールとして使用される、請求項33に記載のシステム。
【請求項41】
LTEの小セルは、徐々にDIDO BTSによって置き換えられる、請求項33に記載のシステム。
【請求項42】
RF補正は、UL CSIをDL CSIに変換するために使用され、これによりUL/DLチャネルの相互性を利用する、請求項18に記載のシステム。
【請求項43】
SRS又はDMRSは、すべてのUEから前記BTSへのチャネルインパルス応答を推定するために使用される、請求項19に記載のシステム。
【請求項44】
複数ユーザ(MU)送信を有する複数アンテナシステム(MAS)(「MU-MAS」)内で実施される方法であって、
空間処理による多重化利得を実現するためにセル間干渉を利用し、それによって無線通信ネットワークの容量を増大する工程を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2012年11月26日出願の「Systems And Methods For Exploiting Inter-Cell Multiplexing Gain In Wireless Cellular Systems Via Distributed Input Distributed Output Technology」と題する同時係属中の米国仮出願番号第61/729,990号の利益を主張する。この仮出願は、本出願の譲受人に譲渡されている。この出願は、その全体が本明細書に参照により組み込まれる。
【0002】
(関連出願)
本出願は、以下の同時係属中の米国特許出願に関連があり得る。
米国特許出願第13/233,006号、表題「System and Methods for planned evolution and obsolescence of multiuser spectrum」。
【0003】
米国特許出願第13/232,996号、表題「Systems and Methods to Exploit Areas of Coherence in Wireless Systems」。
【0004】
米国特許出願第13/464,648号、表題「System and Methods to Compensate for Doppler Effects in Distributed-Input Distributed Output Systems」。
【0005】
2013年9月24日発行の米国特許第8,542,763号、表題「Systems And Methods To Coordinate Transmissions In Distributed Wireless Systems Via User Clustering」。
【0006】
米国特許出願第12/802,988号、表題「Interference Management,Handoff,Power Control And Link Adaptation In Distributed-Input Distributed-Output(DIDO)Communication Systems」。
【0007】
2012年5月1日発行の米国特許第8,170,081号、表題「System And Method For Adjusting DIDO Interference Cancellation Based On Signal Strength Measurements」。
【0008】
米国特許出願第12/802,974号、表題「System And Method For Managing Inter-Cluster Handoff Of Clients Which Traverse Multiple DIDO Clusters」。
【0009】
米国特許出願第12/802,989号、表題「System And Method For Managing Handoff Of A Client Between Different Distributed-Input-Distributed-Output(DIDO)Networks Based On Detected Velocity Of The Client」。
【0010】
米国特許出願第12/802,958号、表題「System And Method For Power Control And Antenna Grouping In A Distributed-Input-Distributed-Output(DIDO)Network」。
【0011】
米国特許出願第12/802,975号、表題「System And Method For Link adaptation In DIDO Multicarrier Systems」。
【0012】
2013年10月29日発行の米国特許第8,571,086号、表題「System And Method For DIDO Precoding Interpolation In Multicarrier Systems」。
【0013】
米国特許出願第12/630,627号、表題「System and Method For Distributed Antenna Wireless Communications」。
【0014】
2009年10月6日発行の米国特許第7,599,420号、表題「System and Method for Distributed Input Distributed Output Wireless Communication」。
【0015】
2009年12月15日発行の米国特許第7,633,994号、表題「System and Method for Distributed Input Distributed Output Wireless Communication」。
【0016】
2009年12月22日発行の米国特許第7,636,381号、表題「System and Method for Distributed Input Distributed Output Wireless Communication」。
【0017】
2012年4月17日発行の米国特許第8,160,121号、表題「System and Method For Distributed Input-Distributed Output Wireless Communications」。
【0018】
2010年5月4日発行の米国特許第7,711,030号、表題「System and Method For Spatial-Multiplexed Tropospheric Scatter Communications」。
【0019】
2008年8月26日発行の米国特許第7,418,053号、表題「System and Method for Distributed Input Distributed Output Wireless Communication」。
【0020】
2011年2月8日発行の米国特許第7,885,354号、表題「System and Method For Enhancing Near Vertical Incidence Skywave(「NVIS」)Communication Using Space-Time Coding」。
【背景技術】
【0021】
過去30年において、無線セルラ市場は、世界的な加入者数の増加、並びに音声からウェブブラウジング及びリアルタイムHDビデオストリーミングへ移行するより良いサービスの需要を経験している。より高いデータレート、低遅延、及び信頼性の向上を必要とするサービスに対するこの需要の増加は、異なる規格によって無線技術の急激な進化を牽引してきた。1980年代初期における第1世代の(音声サービスのための)アナログAMP及びTACSから始まり、1990年代における2G及び2.5GのデジタルGSM(登録商標)、(音声及びデータサービスのための)IS-95及びGPRS、2000年代前半における(ウェブブラウジングのための)UMTS及びCDMA2000に関する3Gに、そして、最後に、現在世界中の様々の国において配備されている(高速のインターネット接続のための)LTEに移行してきた。
【0022】
ロングタームエボリューション(LTE)は、第4世代(4G)無線セルラシステムに関する第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)によって開発された規格である。LTEは、複数入力複数出力(MIMO)技術により無線チャネルの空間部品を利用することによって、ダウンリンクスペクトル効率において、以前の3G及びHSPA+規格に対して、4倍までの改善を実現することができる。LTE-Advancedは、LTEの進化版であり、現在規格化中であるが、スペクトル効率において、3G規格システムに対して8倍までの増加を可能にするであろう。
【0023】
この技術の進化にもかかわらず、次の3年において、無線キャリアは、リアルタイムHDビデオストリーミング、テレビ会議及びゲームのような更にデータが必要なアプリケーションを提供するスマートフォン及びテーブルの市場浸透の増加により、データレートに対する増大する需要を満たすことができない強い可能性がある。ワイヤレスネットワークの容量は、LTEなどの改善された技術、並びに政府によって利用可能となる更なるスペクトルによって、2011年から2015年まで、ヨーロッパにおいて5倍に拡張することが推定されている[25]。例えば、FCCは、全米ブロードバンド計画[24]の一部として、米国全体にわたる無線インターネットの接続性を進めるために、2020年までに500MHz(そのうち300MHzが2015年までに利用可能となる予定)のスペクトルを解放する予定になっている。残念なことに、2015年までの容量使用の予想は、ヨーロッパにおいて2011年に対して23倍であり[25]、そして、同様のスペクトルの欠乏は、2014年までに米国において起こることが予想される[26~27]。このデータ危機の結果、無線キャリアに関する収益は、それらの資本支出(CAPEX)及び営業経費(OPEX)を下回る可能性があり、無線市場に潜在的に衝撃的な影響を及ぼす[28]。
【0024】
LTEの配備と増加したスペクトル可用性によって提供される容量利得が不十分なため、この近づくスペクトル危機を防止する唯一の予見できる解決策は、新しい無線技術を推進することである[29]。LTE-Advanced(LTE規格の進化版)は、より高度なMIMO技術によって、かつ、「小セル」の密度を増加させることによって、LTEに対する更なる利得を約束する[30]。しかし、セル間の協調を可能にするために、干渉問題を招くことなく又はバックホールの複雑さを増大することなく、特定の領域に適合することができるセルの数には限度がある。
【0025】
本特許又は出願資料は、少なくともカラーで仕上げられた1つの図面を含む。カラー図面(単数又は複数)を有するこの特許又は特許公報のコピーは、請求及び必要な料金の支払いがあれば、米国特許商標庁により提供される。
【0026】
本発明は、図面とともに以下の詳細な説明から、より良く理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】多重化領域及びダイバーシティ領域に分割されたセルを例示する図である。
【
図2】異なる複数の領域におけるセル間干渉を示す図である。
【
図3】3つの送受信基地局(BTS)のすべてから同じ周波数で同時に送信された電力が増大され、それによって、セルの全体を通じて高水準の干渉を可能にする一実施形態を例示する図である。
【
図4】セルの全体を通じて、故意にインコヒーレントな干渉レベルを増大するために、多くの更なるアクセスポイントが追加される一実施形態を例示する図である。
【
図5】本発明の一実施形態において使用される複数のLTEネットワーク要素を例示する図である。
【
図6A】LTEフレームと関連する詳細を例示する図である。
【
図6B】LTEフレームと関連する詳細を例示する図である。
【
図6C】LTEフレームと関連する詳細を例示する図である。
【
図7A】LTEにおいて最も小さな変調構造であって、周波数における1つのOFDMサブキャリア及び時間における1つのOFDMシンボル継続時間から成る「リソースエレメント」を例示する図である。
【
図7B】LTEにおいて最も小さな変調構造であって、周波数における1つのOFDMサブキャリア及び時間における1つのOFDMシンボル継続時間から成る「リソースエレメント」を例示する図である。
【
図8】カリフォルニア州サンフランシスコ市中心部における本発明の一実施形態の実際的な配備に関するSNR分布を例示する図である。
【
図9】本発明の一実施形態において使用されるシステムアーキテクチャを例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
上述の先行技術の限界の多くを克服する1つの解決策は、分散入力分散出力(DIDO)技術の一実施形態である。DIDO技術は、以下の特許及び特許出願に記載され、それらすべては本特許の譲受人に譲渡されており、本明細書に参照により組み込まれる。これらの特許と出願は、本明細書で全体的に「関連特許及び出願」として、幾度か言及する。
【0029】
米国特許出願第13/233,006号、表題「System and Methods for planned evolution and obsolescence of multiuser spectrum」。
【0030】
米国特許出願第13/232,996号、表題「Systems and Methods to Exploit Areas of Coherence in Wireless Systems」。
【0031】
米国特許出願第13/475,598号、表題「Systems and Methods to Enhance Spatial Diversity in Distributed Input Distributed Output Wireless Systems」。
【0032】
米国特許出願第13/464,648号、表題「System and Methods to Compensate for Doppler Effects in Distributed-Input Distributed Output Systems」。
【0033】
2013年9月24日発行の米国特許第8,542,763号、表題「Systems And Methods To Coordinate Transmissions In Distributed Wireless Systems Via User Clustering」。
【0034】
米国特許出願第12/802,988号、表題「Interference Management,Handoff,Power Control And Link Adaptation In Distributed-Input Distributed-Output(DIDO)Communication Systems」。
【0035】
2012年5月1日発行の米国特許第8,170,081号、表題「System And Method For Adjusting DIDO Interference Cancellation Based On Signal Strength Measurements」。
【0036】
米国特許出願第12/802,974号、表題「System And Method For Managing Inter-Cluster Handoff Of Clients Which Traverse Multiple DIDO Clusters」。
【0037】
米国特許出願第12/802,989号、表題「System And Method For Managing Handoff Of A Client Between Different Distributed-Input-Distributed-Output(DIDO)Networks Based On Detected Velocity Of The Client」。
【0038】
米国特許出願第12/802,958号、表題「System And Method For Power Control And Antenna Grouping In A Distributed-Input-Distributed-Output(DIDO)Network」。
【0039】
米国特許出願第12/802,975号、表題「System And Method For Link adaptation In DIDO Multicarrier Systems」。
【0040】
2013年10月29日発行の米国特許第8,571,086号、表題「System And Method For DIDO Precoding Interpolation In Multicarrier Systems」。
【0041】
米国特許出願第12/630,627号、表題「System and Method For Distributed Antenna Wireless Communications」。
【0042】
2009年10月6日発行の米国特許第7,599,420号、表題「System and Method for Distributed Input Distributed Output Wireless Communication」。
【0043】
2009年12月15日発行の米国特許第7,633,994号、表題「System and Method for Distributed Input Distributed Output Wireless Communication」。
【0044】
2009年12月22日発行の米国特許第7,636,381号、表題「System and Method for Distributed Input Distributed Output Wireless Communication」。
【0045】
2012年4月17日発行の米国特許第8,160,121号、表題「System and Method For Distributed Input-Distributed Output Wireless Communications」。
【0046】
2010年5月4日発行の米国特許第7,711,030号、表題「System and Method For Spatial-Multiplexed Tropospheric Scatter Communications」。
【0047】
2008年8月26日発行の米国特許第7,418,053号、表題「System and Method for Distributed Input Distributed Output Wireless Communication」。
【0048】
2011年2月8日発行の米国特許第7,885,354号、表題「System and Method For Enhancing Near Vertical Incidence Skywave(「NVIS」)Communication Using Space-Time Coding」。
【0049】
本特許出願の量と複雑さを減らすために、関連特許及び出願のいくつかの開示は、明示的に以下で説明しない。その開示の完全な説明については、関連特許及び出願を参照されたい。
【0050】
従来のセルラシステムの制約なしで、無線リンクを介するスペクトル効率の大規模な増加を提供する1つの有望な技術は、分散入力分散出力(DIDO)技術(上述の[0002~0020]で引用された関連特許及び出願を参照)である。従来の無線システムに対する著しい性能の利益を提供するために、本発明は、セルラ規格の制約の中でも外でも共に、(LTE又はLTE-Advancedなどの)セルラシステムに関連して使用されるDIDO技術を記載する。MIMOの概要から始めて、LTE MIMO及びLTE-Advancedによって使用される種々の空間処理技術を検討する。その次に、本発明が、従来のアプローチと比較して、次世代無線通信システムに関する著しい容量利得を提供する方法を示す。
【0051】
MIMOは、無線リンクの送信側と受信側で複数のアンテナを使用して、ダイバーシティ技術(すなわちダイバーシティ利得)によってリンク信頼性を改善するか、又は、多重化方式(すなわち多重化利得)によってより高いデータレートを提供するために、空間処理を使用する[1~2]。ダイバーシティ利得は、信号フェージングに対する強化された堅牢性の尺度であり、固定データレートに関してより高い信号対雑音比(SNR)をもたらす。多重化利得は、固定エラー確率でデータレートを増大するために、無線チャネルの更なる空間自由度を利用することによって得られる。MIMOシステムにおけるダイバーシティと多重化の間の基本的なトレードオフは、[3~4]に記載している。
【0052】
実用的なMIMOシステムにおいて、リンク適応技術は、伝搬条件に基づいて、ダイバーシティと多重化方式の間で、動的に切り替えるために使うことができる[20~23]。例えば[22~23]に記載されたリンク適応方式は、低空間選択性によって特徴づけられる低SNRレジーム又はチャネルにおいて、ビームフォーミング又は直交空間時間ブロックコード(OSTBC)が好ましい方式であることを示した。一方、空間多重化は高いSNR及び高い空間選択性を有するチャネルに関するデータレートにおいて、著しい利得を提供することができる。例えば、
図1は、セルを次の2つの領域に分割することができることを示す。i)多重化領域101。高いSNR(セルタワー又は基地局に近いため)によって特徴づけられ、そこでは、データレートを増大するために空間多重化によってチャネルの空間自由度を利用することができる。ii)ダイバーシティ領域又はセル端102。そこでは、空間多重化技術が同程度には有効ではなく、SNR及びカバレージを改善する(データレートのほんのわずかな増加だけを提供する)ためにダイバーシティ方法を使用することができる場所である。
図1におけるマクロセルの円が、円の陰影のついた中央を「多重化領域」101として標識し、陰影がない外の領域を「ダイバーシティ領域」102として標識することに注意されたい。陰影のついた領域は「多重化領域」であり、陰影がない領域は「ダイバーシティ領域」であるとするこの同じ領域指定は、たとえ標識をつけられていなくとも、
図1~
図4を通して使用される。
【0053】
LTE(リリース8)とLTE-Advanced(リリース10)規格は、ダイバーシティ又は多重化方式のいずれを含む10の伝送モード(TM)のセットを定義している[35、85~86]。
・モード1:単一アンテナ・ポート、ポート0
・モード2:送信ダイバーシティ
・モード3:大遅延巡回遅延ダイバーシティ(CDD)、シングルユーザMIMO(SU-MIMO)に関する開ループ空間多重化の拡張
・モード4:SU-MIMOに関する閉ループ空間多重化
・モード5:複数ユーザMIMO(MU-MIMO)
・モード6:閉ループ空間多重化、単一の送信レイヤ使用
・モード7:単一アンテナ・ポート、UE固有RS(ポート5)
・モード8:シングル又はデュアルレイヤ送信、UE固有RS(ポート7及び/又は8)
・モード9:単一又は最大8層までの閉ループSU-MIMO(リリース10で追加) ・モード10:8層までのマルチレイヤ閉ループSU-MIMO(リリース10で追加)
【0054】
以下で、セルラシステムにおいて通常使用されるダイバーシティ及び多重化方式、並びに、上述で概説されたLTEで使用される具体的な方法を記載して、DIDO通信に特有な技術と比較する。最初に、2種類の伝送方法を特定する。i)イントラセル方法(セルラシステムにおけるマイクロダイバーシティを利用)。1つのセルの中でリンク信頼性又はデータレートを改善するために複数のアンテナを用いる。ii)インターセル方法(マクロダイバーシティを利用)。更なるダイバーシティ又は多重化利得を提供するためにセル間の協調を可能にする。次に、本発明が先行技術に対して著しい利点(スペクトル容量利得を含む)を提供する方法を記載する。
【0055】
1.イントラセルダイバーシティ方法
イントラセルダイバーシティ方法は、1つのセルの中で動作し、劣悪なリンク品質(例えば、中央塔又は基地局からの高い経路損失を受けるセル端のユーザ)を有するシナリオにおいてSNRを増強するようになっている。MIMO通信において使用される代表的なダイバーシティ方式は、ビームフォーミング[5~11]及び直交空間時間ブロックコード(OSTBC)[12~15]である。
【0056】
LTE規格によってサポートされるダイバーシティ技術は、送信ダイバーシティ、閉ループランク-1プリコーディング、及び専用のビームフォーミング[31~35]である。送信ダイバーシティ方式は、ダウンリンク(DL)上で、2つ又は4つの送信アンテナをサポートし、アップリンク(UL)に関しては、2つのアンテナをサポートする。それは、DLチャネルにおいて、空間並びに周波数選択性を利用するために、周波数切換送信ダイバーシティ(FSTD)と組み合わされた空間周波数ブロック符号(SFBC)によって、実現される[31]。ランク-1プリコーディングは、ユーザ機器(UE)から送受信基地局(BTS、すなわち、LTE用語を用いるとeNodeB)までのフィードバックのオーバーヘッドを低減するために、(制限されたフィードバック技術を用いて予めデザインされた[36~42])コードブックから選択される量子化された重みに基づいて、一人のユーザに専用のビームを生成する。あるいは、専用のビームフォーミングの重みを、UE固有の参照信号に基づいて計算することができる。
【0057】
2.イントラセル多重化方法
MIMO多重化方式[1、19]は、無線リンク上の複数の並列データストリームをサポートするために、高いSNRレジームにおいて、及び、チャネルにおける十分な空間自由度を有するシナリオ(例えば、高い空間選択性[16~18]を有する豊かなマルチパスの環境)において、データレートの利得を提供する。
【0058】
LTE規格は、シングルユーザMIMO(SU-MIMO)及び複数ユーザMIMO(MU-MIMO)のための種々の多重化技術をサポートする[31]。SU-MIMO方式は、2つの動作モードを有する。i)閉ループ。DLプリコーディング重みを選択するためにUEからのフィードバック情報を利用する。ii)開ループ。UEからのフィードバックが利用できないか、又は、閉ループ方式をサポートするには、UEがあまりに速く移動しているときに使用。閉ループ方式は、コードブックから選択される一組の予め計算された重みを使用する。これらの重みは、UEの要求及びBTSのスケジューラの判断に応じて、2つ又は4つの送信アンテナ、並びに、1~4つの並列のデータストリーム(プリコーディングマトリックスの層数によって特定される)をサポートすることができる。LTE-Advancedは、空間処理によって、8倍までのスペクトル効率の増加を提供するために、最大MIMO 8×8までの新しい伝送モードを含むことができる[62]。
【0059】
MU-MIMO方式は、ULとDLチャネルの双方について規定されている[31、50]。ULでは、あらゆるUEは、BTSに参照信号(Zadoff-Chu系列[33]を循環シフトさせたバージョンから成る)を送信する。それらの参照信号は、BTSがすべてのUEからのチャネルを推定し、空間処理によって、同時に複数のUEからのデータストリームを復調することができるように、直交している。DLでは、種々のUEに関するプリコーディング重みは、UE及びスケジューラからのフィードバックに基づいて、コードブックから選択され(閉ループSU-MIMO方式と同様に)、ランク-1プリコーディングだけがあらゆるUEについて可能となっている(例えば、各UEは、1つのデータストリームだけを受信する)。
【0060】
空間処理を使用しているイントラセル多重化技術は、高いSNR(又はSINR)及び高い空間選択性(マルチパスの豊富な環境)によって特徴づけられる伝搬シナリオにおいてのみ良好な性能を提供する。従来のマクロセルに関しては、これらの状況は、BTSがUEから通常は遠くて、SINRの分布は通常低い値に集中化するので、実現するのがより難しい可能性がある[43]。これらのシナリオにおいて、MU-MIMO方式又はダイバーシティ技術は、空間多重化を有するSU-MIMOよりも良い選択であるかもしれない。
【0061】
更なる多重化利得を実現する(MIMOによる空間処理を必要とすることなく)ためにLTE-Advancedによって考えられる別の技術及びネットワークソリューションは、キャリアアグリゲーション(CA)及び小セルである。CA[30、44~47]は100MHz[85]まで信号帯域幅を増強するためにRFスペクトルの異なる部分を組み合わせ、それによってより高いデータレートを与える。帯域内CAは、スペクトルの同じ部分の範囲内で、異なる帯域を組み合わせる。したがって、それは多重チャネルについて同じRFチェーンを使うことができ、多重データストリームはソフトウェアにおいて再結合される。帯域間CAは、スペクトルの異なる部分において動作することを異なるRFチェーンに要求し、並びに、異なる帯域から複数のデータストリームを再結合することを信号処理に要求する。
【0062】
小セルの主要な考え[30、47]は、従来のマクロセルの大きさを低下させることであり、それによって、カバレージの領域につき、より高いセル密度、及び、より大きな処理能力を可能にする。小セルは、マクロセルに使用される背の高い高価なセルタワーと対照的に、通常は、低電力伝送(
図1で表されるように)による安価なアクセスポイントを通して配備される。2種類の小セルがLTE-Advancedで定義されている。i)メトロセル。都市地域における屋外設置用で、32~64人の同時ユーザをサポートする。そして、ii)フェムトセル。屋内用であり、最大で4人のアクティブユーザの用に供することができる。小セルの1つの利点はBTSの近くのUEの密度が統計的により高いということであり、それによって、データレートを増強するために空間多重化を通して利用することができるより良いSNRを与える。しかし、小セルの実際的な配備に関して、なお多くの懸念、特にバックホールに関連した懸念がある。実際、高速の有線接続を通してあらゆる小セルのBTSに届くことは、特に、所定のカバレッジ領域におけるメトロセル及びフェムトセルの高密度を考慮すると、挑戦的かもしれない。有線バックホールと比較して、見通しのある(LOS)バックホールを小セルに使用することは安価に実現できることが多いが、好ましい小セルBTSの配置について利用可能な実際的なLOSバックホールパスのないことが多く、かつ、小セルBTSへの見通しのない(NLO)無線バックホールのための一般解がない。最後に、小セルは、自己組織化ネットワーク(SON)[30、51~52]におけるように、干渉を避けるために、BTS間の複雑なリアルタイム協調を必要とし、それらの最適場所を計画するために、高度なセル計画ツール(小セルの高密度化により、従来のセルラシステムより更に複雑な)を必要とする[48、49]。
【0063】
小セルがマクロセルと共存し、最適な又は必然的に更に改善されたスループットを実現することを可能にする実際的な一般解がないことは、自明に示すことができる。無数のそのような非可解状況の内の一つとして、そのUEがマクロセル伝送と不可避的に重なるように小セルが位置し、小セル及びマクロセルは、それぞれのUEに届くために同じ周波数を使用するという状況がある。この状況において明らかに、マクロセル伝送は小セル伝送と干渉することになる。特定のマクロセル、特定の小セル、関係する特定のマクロセル及び小セルUE、それらのUEのスループット条件、並びに環境状況等、の特定の状況に関するそのような干渉を軽減する多少のアプローチがあるかもしれない。しかし、マクロセル及び小セルの静的な計画にとってだけでなく、特定の時間間隔の動的な状況にとっても、あらゆるそのようなアプローチは非常に特異である。通常は、各UEに対するチャネルの完全なスループットは、実現することができない。
【0064】
3.インターセルダイバーシティ方法
インターセル伝送技術は、BTS間の協調がワイヤレスネットワークの性能を改善することを可能にする。これらの技術は、同時に全員が同じ周波数を使用している多重UEのための分散アンテナネットワークの一般的なケースにおいて、無線送受信機間の協調を可能にするために関連特許及び出願[0002~0020]で教示される方法の特例である。所定の周波数及び所定の時刻における単一のUEに関するセルラシステムの特定のケースについて、セル間干渉を除去するBTS間の協調について[53]で記載した。[53]におけるシステムは、あらゆるマクロセルを複数のサブセルに分割し、協調したBTSからの専用のビームフォーミングを使用することによって、サブセル間の柔軟なハンドオフを可能にする。そして、協調したBTSからの専用のビームフォーミングを使用することによって、単一のUEがサブセルの境界に沿って移動するときに、単一の周波数及び単一のUEにおけるリンクの堅牢性を改善する。
【0065】
最近では、協調する無線セルラネットワークのこのクラスは、「ネットワークMIMO(MIMO)」又は「協調マルチポイント」(CoMP)システムとして、MIMO文献において明確にされている。セル間干渉を除去することによってネットワークMIMOで得られる利益に関する理論的な分析及びシミュレーションされた結果は、[54~61]に示される。ネットワークMIMO及びCoMPの主要な利点は、
図2に示されるセルのオーバラップ領域201~203において、セル間干渉を除去することである。
【0066】
CoMPネットワークは、次世代セルラネットワークにおいてセル間干渉を軽減する解決策として、能動的にLTE-Advanced規格の一部になりつつある[62~64]。セル間干渉を除去するために、その規格において、2つのCoMP解決策が今までに提案された。i)協調したスケジューリング/ビームフォーミング(CS/CB)。UEはビームフォーミングによって、1つのBTSだけからのデータストリームを受信し、BTS間の協調が、ビームフォーミング又はスケジューリング技術によって、干渉を除去するために可能にされる。ii)結合処理(JP)。所定のUE(UE)のためのデータは、受信された信号品質を改善しセル間干渉を除去するために、複数のBTSから共同で送信される。CoMP-JPは、BTS間の協調を可能にするために、バックホールにおいてより高いオーバーヘッドを犠牲にして、CoMP-CS/CBより大きな利得をもたらす。
【0067】
4.インターセル多重化方法
先行技術の複数ユーザ無線システムは、無線ネットワークに複雑さを追加し、制約を導入し、結果として、その領域における別のユーザによるスペクトルの利用によって、所定のユーザの経験(例えば利用可能なスループット、遅延、予測性、信頼性)が影響を受ける状況になる。複数ユーザと共有する無線スペクトル内のスループットの総計に対する増加する要求、並びに、所定のユーザに関する複数ユーザ無線ネットワークの信頼性、予測性及び低遅延に依存することができるアプリケーションの成長の増加を考慮すると、先行技術の複数ユーザ無線技術が多くの制約を被ることは明らかである。確かに、特定の種類の無線通信(例えば、建物の壁を貫通するのに有効な波長における)に適切なスペクトルの制限された可用性に関して、先行技術の無線技術は、信頼性が高く予測可能で低遅延である帯域幅に対する増加する要求に応ずるには不十分であろう。
【0068】
先行技術のイントラセルダイバーシティ及び多重化方法は、LTE(LTE)に関する現行のセルラネットワーク(MIMO 4×4による)上のスループットにおいて、理論的に最大で4倍の増加、LTE-Advanced(MIMO 8×8による)に関しては、多くても理論的に8倍を提供することができるだけである。なお、高次のMIMOに関しては、所定のマルチパス環境において、特に(スマートフォンなどの)UEがより小さくなり、アンテナ配置に関してより拘束されるようになるにつれて、スループットの増加に関する改善効果は減少する。次世代セルラシステムにおける他のわずかなスループット利得は、キャリアアグリゲーション技術によって利用される更なるスペクトル割当て(例えば、FCC全米ブロードバンド計画)、及び小セルネットワーク及びSONによるBTSのより高密度の分布から得られるかもしれない[30、46]。しかし、空間処理によって得られるスペクトル効率利得が制限されるので、すべての上述の技術は、複数ユーザ伝送を可能にするスペクトル又は時間の共有技術にまだ非常に依存している。
【0069】
先行技術のインターセル方法(例えば、ネットワークMIMO及びCoMPシステム[53~64])は、セル間干渉を除去することによってセルラネットワークの信頼性を改善することができるが、それらの容量利得はほんの少しだけである。実際、それらのシステムは、セル境界の範囲内に含まれるあらゆるBTSから送信される電力を制約して、セル間の電力漏洩によるセル間干渉を除去するために有効なだけである。
図2は、3つのBTS 210~212を有するセルラネットワークの1つの例を示し、それぞれが自分自身のカバレッジ領域又はセルで特徴づけられる。各BTS 210~212から送信される電力は、セルが重なる領域によって
図2で表されるセル間の干渉の量を制限するために、制約される。これらのシステムは、干渉領域における低SINRレジームにおいて動作するので、SU-MIMOに関するイントラセル方式と同様に、それらのスペクトル効率の利得はほんの少しだけである。インターセル協調ネットワークにおいて真に著しい容量利得を得るために、セル-境界に限られている電力制限は、緩和されなければならない。そして、空間多重化技術が、SINRの高い(従来のアプローチにおけるような、ちょうど劣悪なSINR性能を有するセル端ではなく)セルの全体を通じて可能にされなければならない。
【0070】
したがって、分散されたBTSから送信される電力上のあらゆる制約を除去すること、及び、空間処理によってセル間多重化利得を利用することにより、スペクトル効率の大規模な増加を実現するシステムを提供することが望ましい。
図3は、3つのBTS 301~303のすべてから同じ周波数で同時に送信された電力が増大され、それによって、セルの全体を通じて高水準の干渉を可能にする。先行技術システムにおいて、そのような干渉は、BTSの干渉領域の全体を通じて、インコヒーレント干渉(UE信号受信を阻害する)をもたらすが、この干渉は、実は新しいセル間多重化方法による本発明の実施形態において利用される。この方法は、あらゆるUEのまわりでコヒーレント干渉(UE信号受信を強化する)の領域を生成するために空間処理を使用し、それによって、同時に非干渉データストリームをあらゆるUEに提供して、セルを通してそれらのSINRを増大する。
【0071】
本発明の例示的な実施形態において、このセル間多重化利得は、分散入力分散出力(DIDO)システム[0014~0020]及び[77~78]によって実現される。
図4は、1つの多くの更なるアクセスポイント401がセルの全体を通じて故意にインコヒーレント干渉のレベルを増大するために追加される例を示す。それは、UEのまわりでコヒーレント干渉の領域を生成して、セル間多重化利得を与えるために、本発明において利用される。それらの付加されたBTSは、安価なWi-Fiアクセスポイントに類似した低電力送受信機とすることができ、それによって、
図4に示すように、マクロセルの中で重なりあうカバレージのより小さな領域を提供する。
【0072】
先行技術のセル間方法が、
図2のようなあらゆるBTS 210~212からの送信電力を故意に制限することによって、インコヒーレント干渉を避け、空間処理によって残りのセル間干渉(セル間のオーバラップ領域に関する)を除去し、それによって、改善されたSINR及びセル間のダイバーシティ利得を提供することが分かる。一方、本発明は、UEのまわりでコヒーレント干渉を生成するために、あらゆるBTSからより高い電力を送信することによって、インコヒーレント干渉を利用する。これによって、空間処理によりセルにわたってセル間多重化利得を得るための必要条件であるUEにおける信号品質を改善する。したがって、(BTSからの制限された送信電力により)セルを通して、本発明のようなセル間多重化方法を可能にする十分な信号品質がないので、先行技術に記載されるシステムは、空間処理によるセル間多重化利得を実現するために使用することはできない。更に、先行技術に記載されるシステムは、先行技術のシステムが、本発明で実現されるセル間多重化利得を得るために、多重化領域でセル間干渉を利用するよりはむしろ、
図1~4の陰影のついた領域に示されるダイバーシティ領域の中で、セル間干渉を避けるようになっていることを考慮すると、
図3~4に表される本発明で実現される多重化利得を実現するように実施することは不可能である。
【0073】
本発明の実施形態は、無線通信ネットワークの空間処理によるセル間多重化利得を利用するシステム及び方法を含み、複数ユーザ(MU)送信を有する複数アンテナシステム(MAS)(複数ユーザ複数アンテナシステム、即ち「MU-MAS」)を使用する。本発明の一実施形態において、複数のアンテナから送信される電力は、セル境界(従来のセルラシステムのような)における干渉を最小にするように制約され、セル間干渉を除去するだけのために、空間処理方法が使用される。本発明の別の実施形態において、多重アンテナから送信される電力は、あらゆる特定の電力レベル(それらの電力放出レベルが規制又は安全性限界に入る限り)に制約されない。それによって、セルを通して故意に高次のセル間干渉を生成して、セル間多重化利得を実現するために利用し、無線通信ネットワークの容量を増大する。
【0074】
一実施形態において、無線通信ネットワークは、LTE規格に基づいたセルラネットワークなどの、
図1~2のようなセルラネットワークである。本発明の別の実施形態において、無線通信ネットワークはあらゆる特定のセルレイアウトに拘束されず、セル境界は、
図3~4のようなより大きな領域一面に広がることができる。例えば無線通信ネットワークは、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)、又はメッシュ、アドホック若しくはセンサネットワーク、又は分散アンテナ方式、又はあらゆる送信電力制限なしで偶然に配置されたアクセスポイントを有するDIDOシステムである可能性がある。しかし、そのようなネットワーク構造例は、本発明の無線通信ネットワークへの一般的な適用を制限するものとして考慮されてはならない。本発明は、複数のアンテナからの信号を送信することによって、多重化利得が実現されるようなあらゆる無線ネットワークに適用する。その信号は、複数のUEによって受信される所で干渉し、複数のUEへの同時非干渉データストリームを生成する。
【0075】
図9に説明されるように、MU-MASの一実施形態は、集中型プロセッサ901、基地局ネットワーク(BSN)902、及びN個のクライアントデバイスに無線で通信するM個の送受信基地局(BTS)903、とから成る。クライアントデバイスは、ユーザ機器UE(UE 1~4として説明される)とも呼ばれる。集中型プロセッサユニット901は、様々なネットワークコンテンツC1~5に関して、種々のクライアントデバイスUE 1~4について意図されたネットワーク900(例えば、インターネット)上のN本の情報のストリーム(例えば、ビデオ、ウェブページ、ビデオゲーム、テキスト、音声等、ウェブサーバ又は他のネットワークソースからのストリーム)を受信する。以下で、我々は、ネットワーク900上で送信されるデータのあらゆるストリームに言及するために、「情報のストリーム」という語を使用する。それは、音声、ウェブとビデオコンテンツを含むがこれに限らずあらゆるデータを生成するために、特定の変調/符号方式又はプロトコルに従って、独立型ストリームのように復調できるか復号化できる情報を含む。一実施形態において、情報のストリームは、独立型ストリームのように復調されることができるか、復号化されることができるネットワークコンテンツを運ぶ一連のビットである。
【0076】
集中型プロセッサ901は、ネットワークコンテンツからのN本の情報のストリームを組み合わせて、(関連特許及び出願に記載されたようなアルゴリズムによって)M本のビットのストリームに変換するプリコーディング変換を利用する。例としてであり限定するものではないが、プリコーディング変換は、線形(例えば、ゼロフォーシング[65]、ブロック対角化[66~67]、行列反転等)とすることができる。又は、非線形(例えば、ダーティペーパコーディング[68~70]又はトムリンソン-原島プリコーディング[71~72]、格子技術又はトレリスプリコーディング[73~74]、ベクトル摂動技法[75~76])とすることもできる。以下で、情報の何らかの有用なビットを必ずしも含むというわけではないビットの任意のシーケンスに言及する「ビットのストリーム」という語を使用するので、したがって、ネットワークコンテンツを読み出すために、独立型ストリームとして、復号化するか又は復調することができない。本発明の一実施形態において、ビットのストリームは、集中型プロセッサによって生成される複雑なベースバンド信号であり、所定ビット数に量子化されて、M個の送受信基地局の1つに送信される。
【0077】
一実施形態において、MASは、関連特許及び出願に記載されるような分散入力分散出力(DIDO)システムである。この実施形態において、DIDOシステムは、以下から成る。
・ユーザ機器(UE)1~4:固定又はモバイルクライアント用のRFトランシーバであって、DIDOバックホールからのダウンリンク(DL)チャネル上でデータストリームを受信し、アップリンク(UL)チャネルを介してDIDOバックホールへデータを送信する。
・送受信基地局(BTS)903:BTSは、DIDOバックホールを無線チャネルに接続する。一実施形態のBTSは、DAC/ADC及びベースバンド信号をRFに変換する無線周波数(RF)チェーンから成るアクセスポイントである。場合によっては、BTSは、電力増幅器/アンテナを備える簡素なRFトランシーバであり、RF信号は、関連特許及び出願に記載されたRFオーバーファイバ技術によって、BTSへ運ばれる。
・コントローラ(CTR)905:CTR 905は、下記の特定の特殊な機能のために設計されたBTSの1つの特定のタイプである。その機能とは、BTS及び/又はUEの時間/周波数同期用のトレーニング信号を送信すること、制御情報をUEから受信し、UEへ送信すること、そして、UEからチャネル状態情報(CSI)又はチャネル品質情報を受信することである。一つ以上のCTR局は、任意のDIDOシステムに含めることができる。複数のCTRが利用可能であるとき、それらの局への、又はそれらからの情報はダイバーシティを増大して、リンク品質を改善するために組み合わせることができる。一実施形態において、CSI復調を改善する最大比合成(MRC)技術によって、CSIは複数のCTRから受信される。別の実施形態では、制御情報は、受信機側におけるSNRを改善するために、最大比伝送(MRT)によって複数のCTRから送信される。発明の範囲は、MRC又はMRTに限られておらず、CTRとUEの間の無線リンクを改善するために、任意の他のダイバーシティ技術(例えばアンテナ選択等)を使用することができる。
・集中型プロセッサ(CP)901:CPは、DIDOバックホールとインターネット又は別の種類の外部ネットワークを接続するDIDOサーバである。一実施形態において、CPはDIDOベースバンド処理を計算して、DL伝送により、分散したBTSに波形を送信する。
・基地局ネットワーク(BSN)902:BSNは、DL又はULチャネルのいずれについて情報を運ぶ分散したBTSにCPを接続するネットワークである。BSNは、有線若しくは無線ネットワーク、又は双方の組合せである。例えば、BSNはDSL、ケーブル、光ファイバーネットワーク、又は見通し内(LOS)若しくは見通し外(NLO)無線リンクである。更に、BSNは固有ネットワーク、又はローカルエリアネットワーク、又はインターネットである。
【0078】
以下で、上述のDIDOシステム枠組みが、スペクトル効率の付加的な利得を実現するために、セルラシステム(更に、LTEプロトコルを利用する非セルラシステム)に関するLTE規格に組み込むことができる方法を記載する。LTE枠組みの一般的な概要並びにDL及びULチャネルで使用される変調方式から始める。その次に、LTE規格における物理レイヤフレーム構造及びリソース配分の簡単な説明を行う。最後に、我々は、LTE枠組みを使用する複数ユーザのシナリオで、ダウンリンク(DL)及びアップリンク(UL)チャネルに関するDIDOプリコーディング方法を明確に述べる。DL方式に関しては、2つの解決策である、開ループ及び閉ループDIDO方式を提案する。
【0079】
LTEは、(以前のセルラ規格による階層アーキテクチャとは対照的に)フラットネットワークアーキテクチャによって設計され、以下を提供する。即ち、低減した遅延、ARQにより低減したパケット損失、低減したコールセットアップ時間、マクロダイバーシティにより改善されたカバレージ及びスループットである。
図5に表されるLTEネットワークにおけるネットワーク要素は、以下の通りである[79]。
・GW(ゲートウェイ)501~502:LTEネットワークを外部ネットワーク(すなわち、インターネット)に接続するルータである。GWは、E-UTRANインターフェースの境界をなすサービングゲートウェイ(S-GW)502及び外部ネットワークとのインターフェースであるPDNゲートウェイ(P-GW)501に分けられる。S-GW 502及びP-GW 501は、いわゆる進化型パケットコア(EPC)の一部である。
・MME(モビリティ管理エンティティ)503:移動性、保護パラメーター及びUEアイデンティティを管理する。MME 503は、更にLTE EPCの一部である。
・eNodeB(強化されたNode-B)504:無線リソース管理、ユーザ移動性とスケジューリングを取り扱う基地局である。
・UE(ユーザ機器)505:移動局である。
【0080】
本発明の一実施形態では、DIDO-UEがLTEネットワークのUEである場合に、LTEネットワークは、DIDOネットワークであり、DIDO-BTSは、LTE eNodeBであり、DIDO-CTRは、LTE eNodeB又はMMEであり、DIDO-CPは、LTE GWである。
【0081】
図6A~
図6Cに表されるように、LTEフレームは10ミリ秒の持続時間を有し、10のサブフレームから成る[33、80]。どのサブフレームも、それぞれ0.5ミリ秒の持続時間の2つのスロットに分割される。LTE規格は、2種類のフレームを定める。i)
図6AのようなFDD動作に関するタイプ1。すべてのサブフレームがダウンリンク(DL)又はアップリンク(UL)チャネルのいずれに割り当てられる。ii)
図6BのようなTDD動作に関するタイプ2。サブフレームの一部はDLに割り当てられ、一部はULに割り当てられる(選択された構成による)が、2、3のサブフレームは「特別な使用」のために確保される。フレームごとに、少なくとも1つの特別なサブフレームがあり、それは3つのフィールドから成る。i)DL伝送用に確保されるダウンリンクパイロットタイムスロット(DwPTS)。ii)ガード期間(GP)。iii)UL伝送用のアップリンク・パイロット・タイムスロット(UpPTS)。
【0082】
LTEは、DLに関しては、直交周波数分割多重(OFDM)及び直交周波数分割多重アクセス(OFMDA)変調を使用し、ULに関しては、シングルキャリアFDMA(SC-FDMA)を使用する。「リソースエレメント」(RE)は、LTEにおける最小の変調構造であり、
図7に示すように、周波数における1つのOFDMサブキャリア及び時間における1つのOFDMシンボル期間から成る。「リソースブロック」(RB)は、周波数における12個のサブキャリア及び時間における1つの0.5ミリ秒のスロット(3~7つのOFDMシンボル期間からなる、DL対ULチャネル及び巡回プリフィックスのタイプによる)から構成されている。
【0083】
1.LTEにおけるダウンリンク閉ループDIDO
DIDO閉ループ方式は、時分割複信(TDD)又は周波数分割複信(FDD)システムのいずれでも使うことができる。FDDシステムでは、DL及びULチャネルは、異なる周波数で動作する。したがって、DLチャネル状態情報(CSI)は、UE側において推定しなければならず、ULチャネルにより、BTS又はCTRを介して、CPに折り返して報告しなければならない。TDDシステムにおいて、DL及びULチャネルは、同じ周波数で設定し、システムは、チャネル相互性を利用して、閉ループ技術又は開ループ方式のいずれを使用してもよい(以下の節で記載するように)。閉ループ方式の主要な短所は、それらがフィードバックを必要とするということであり、これによって、UL上の制御情報について、より大きなオーバーヘッドをもたらす。
【0084】
DIDOシステムにおける閉ループ方式に関する仕組みの一実施形態は、以下の通りである。i)BTS 903がDLによりUEにシグナリング情報を送信する。ii)UEは、すべての「アクティブBTS」からのDLチャネル状態情報(CSI)を推定するために、そのシグナリング情報を利用する。iii)UEは次の伝送に使用するプリコーディング重みを選択するために、DL CSIを量子化するか又はコードブックを使用する。iv)UEは、ULチャネルを通して、量子化されたCSI又はコードブックインデックスを、BTS 903又はCTR 905に送信する。v)BTS 903又はCTR 905は、CSI情報又はコードブックインデックスをCP 901に報告し、CP 901はDL上のデータ伝送に関するプリコーディング重みを計算する。「アクティブBTS」は、所定のUEによって到達できる1組のBTSとして定義される。例えば、関連する同時係属中の「System And Method For Managing Inter-Cluster Handoff Of Clients Which Traverse Multiple DIDO Clusters」と題する米国特許出願第12/802,974号、そして、関連する同時係属中の「Systems And Methods To Coordinate Transmissions In Distributed Wireless Systems Via User Clustering」と題する米国特許出願第12/917,257号において、「ユーザクラスタ」は、所定のUEによって到達できる1組のBTSとして定義した。アクティブBTSの数は、BTSから所定のUEに対して推定されるCSIの量を低減するために、ユーザクラスタに限られており、それによって、UL上のフィードバックオーバーヘッド及びCP 901におけるDIDOプリコーディング計算の複雑さを低減する。
【0085】
1.1 LTE規格内でのダウンリンクDIDOシグナリング
LTE規格は、閉ループ方式のDLシグナリングについて使用することができる2種類の参照信号(RS)を定める[33、50、82~83]。i)セル固有の参照信号(CRS)。ii)チャネル状態情報(CSI)参照信号(CSI-RS)、及び復調RS(DM-RS)などのUE固有のRS。セル固有のRSはプリコーディングされないが、UE固有のRSはプリコーディングされる[50]。CRSは、どのセルも最大4つのアンテナを使用する、SU/MU-MIMOコードブックに基づく技術を用いるLTEリリース8に使用される。LTE-Advancedリリース10は、非コードブックに基づくSU/MU-MIMO方式をサポートし、最大8つの送信アンテナ並びにCoMP方式を使用し、アンテナは異なるセル上に分散されている。したがって、リリース10はCSI-RSによる柔軟なシグナリング方式を可能にする。本発明において、プリコーディングを可能にするために、DIDOシステムにおいて、シグナリング方式のいずれのタイプをどのように使用することができるのかを記載する。
【0086】
1.1.1 CRSを用いたDIDOシグナリング
CRSは、UEにおけるすべての送信アンテナからBTSへのCSIを推定するために、LTE(リリース8)システムで使用される[80、84]。CRSは、二次元の直交シーケンスと二次元の疑似乱数(PRN)シーケンスの積として得られる。合計510の異なるCRSシーケンスについて、3つの直交及び170の可能なPRNシーケンスがある。どのシーケンスも、1つのセルを一意的に特定する。CRSは、すべてのスロットの第1及び最後から3番目のOFDMシンボル、並びに6番目ごとのサブキャリアの中で送信される。時間と周波数の直交パターンは、UEが4つのアンテナの各々からのCSIを一意的に推定するために、BTSのあらゆる送信アンテナに関して設計される。時間及び周波数において(つまり、すべての0.5ミリ秒のスロットごと、及び第6のサブキャリアごとに送信)この高密度のCRSは、5%のオーバーヘッドを生成し、時間及び周波数について高速チャネル変動を伴うシナリオをサポートするために意図的に設計されたものである[83]。
【0087】
実際のDIDOシステムでは、すべてのUEが、そのユーザがクラスタ内のただの4つよりも多いBTSを認める場合があり得る。例えば、
図8は、カリフォルニア州サンフランシスコ市中心部のDIDOシステムの実際的な配備に関するSNR分布を示す。伝搬モデルは3GPP経路損失/シャドウイングモデル[81]に基づいており、900MHzのキャリア周波数を想定している。地図のドットは、DIDO-BTSの場所を示す一方、黒丸は、ユーザクラスタ(UEは円の中心に位置する)を示す。過疎地域に、UEはそのユーザクラスタ(例えば、
図8の例については、わずか3つのBTS)の中で、ただ2、3のBTSだけを認めるが、その一方で、人口密集地域では、各ユーザクラスタは、
図8のような26ものBTSを含むことができる。
【0088】
CRSの高い冗長性は、4より大きな任意の数の送信アンテナからのCSI推定を可能にするために、DIDOシステムで利用することができる。例えば、チャネルが固定された無線か又は低ドップラー効果によって特徴づけられるならば、すべての4つの送信アンテナからのCSIを0.5ミリ秒(スロット持続時間)おきに計算する必要はない。同様に、チャネルが周波数フラットであるならば、第6のサブキャリアごとにCSIを推定することは冗長である。その場合、冗長なCRSによって占められるリソースエレメント(RE)は、DIDOシステムにおける別の送信アンテナ又はBTSに再配分することができる。本発明の一実施形態では、システムは、冗長なCRSのリソースエレメントを、DIDOシステムにおける余分のアンテナ又はBTSに割り当てる。別の実施形態では、システムはチャネルの時間及び周波数選択性を推定し、異なるBTSか又はユーザクラスタ内のBTSのみに関するCRSを、異なるリソースエレメントに動的に割り当てる。
【0089】
1.1.2 CSI-RS及びDM-RSを用いたDIDOシグナリング
LTE-Advanced(リリース10)規格に、CSI-RSは、BTSからのCSIを推定するために、あらゆるUEによって使用される[33、83]。規格はBTSにおける異なる送信器のための直交CSI-RSを定めることにより、UEは異なるBTSからのCSIを区別することができる。BTSにおける最大で8つの送信アンテナは、[33]の表6.10.5.2-1、2のように、CSI-RSによってサポートされる。CSI-RSは、[33]の表6.10.5.3-1のように、5~80のサブフレームにわたる周期性(即ち、CSI-RSは、5~80ミリ秒ごとに送信される)をもって送信される。LTE-AdvancedのCSI-RSの周期性は、制御情報の過度のオーバーヘッドを避けるために、特にこれらの余分のリソースを使用することができない従来のLTE端末に関して、LTEのCRSより故意に大きく設計された。CSI推定のために使用される別の参照信号は復調RS(DM-RS)である。DM-RSは、固有のUEに意図された復調参照信号であり、そのUEへの送信のために割り当てられたリソースブロックの中に入れて、送信されるだけである。
【0090】
8つ(LTE-Advanced規格によってサポートされる送信器の最大数)を超えるアンテナがユーザクラスタの中にあるとき、LTE-Advanced規格へのシステム適合性を維持する一方で、DIDOプリコーディングを可能にするために、代替の技術を使用しなければならない。発明の一実施形態では、どのUEも、それ自身のユーザクラスタにおけるすべてのアクティブBTSからのCSIを推定するために、CSI-RS又はDM-RS又はその組合せを使用する。同じ実施形態で、DIDOシステムは、ユーザクラスタ中のBTSの数を検出し、そして、ユーザクラスタがLTE-Advanced規格(最大で8つのアンテナをサポートする)に準拠しているかどうかを検出する。準拠していないならば、DIDOシステムは、BTSから現行のUEへのDLシグナリングを可能にするために、代替の技術を使用する。一実施形態において、最大で8つのBTSがそのユーザクラスタ中のUEによって届くようになるまで、BTSからの送信電力は低減される。しかし、この解決策は、カバレージが低減するので、データレートの減少をもたらす可能性がある。
【0091】
別の解決策は、ユーザクラスタ内のBTSをサブセットに分割して、同時にすべてのサブセットに関する1組のCSI-RSを送信することである。例えば、CSI-RSの周期性が[33]の表6.10.5.3-1のような5つのサブフレーム(すなわち、5ミリ秒)であるならば、5ミリ秒おきに、CSI-RSは、BTSの新しいサブセットから送信される。この解決策は、CSI-RS周期性が、UEのチャネルコヒーレンス時間(UEのドップラ速度の関数である)内に、すべてのBTSサブセットにわたるのに十分短い限り、機能する点に注意されたい。例えば、選択されたCSI-RS周期性が5ミリ秒で、チャネルコヒーレンス時間が100ミリ秒であるならば、各々8つのBTSのサブセットを20個まで定め、ユーザクラスタ中で合計160個のBTとすることは可能である。発明の別の実施形態では、DIDOシステムは、UEのチャネルコヒーレンス時間を推定し、所定のCSI-RS周期性に関して、チャネル変動及びドップラー効果による劣化を避けるために、ユーザクラスタの中でどれくらいのBTSをサポートすることができるかについて決定する。
【0092】
今までに提案されたCSI-RSのための解決策は、LTE規格にすべて準拠し、従来のLTEシステムの枠組みの中で、配備することができる。例えば、ユーザクラスタにつき8つを超えるアンテナを可能にする提案方法は、UE LTEのハードウェア及びソフトウェア実装の修正を必要とせず、いつでもBTSサブセットの選択を可能にするために、BTS及びCPで使用されるプロトコルのわずかな修正だけを必要とする。これらの修正は、クラウドベースのソフトウェア無線(SDR)プラットホームに簡単に実装することができ、それはDIDOシステムに関する1つの有望な配備パラダイムである。あるいは、もしLTE規格の制約を緩和し、LTEに類似するがLTEに準拠しないDIDO動作モードをサポートするために、LTE UEに関するわずかに修正されたハードウェア及びソフトウェアを開発することが可能であるならば、UEが全LTE準拠モードか、又は非LTE準拠のDIDO動作をサポートする修正されたモードで動作することを可能にする。例えば、別の解決策は、システムにおけるより多数のBTSを可能にするために、CSI-RSの量を増大することである。発明の別の実施形態では、異なるCSI-RSパターン及び周期性が、ユーザクラスタごとにサポートされたBTSの数を増大する手段として可能である。LTE規格へのそのようなわずかな修正は十分に小さい可能性があるので、既存のLTE UEチップセットを、単にソフトウェア修正によって使用することができる。又は、ハードウェア修正がチップセットに必要であるとしても、その変更は小さいであろう。
【0093】
1.2 LTE規格内でのアップリンクDIDO CSIフィードバック方法
LTE及びLTE-Advanced規格では、UEは、その現行のチャネル状況並びにDLチャネル上の閉ループ送信に関するプリコーディング重みを通信するために、BTSへ情報をフィードバックする。3つの異なるチャネル指標がそれらの規格に含まれる[35]。
・ランク指標(RI):いくつの空間ストリームが所定のUEへ送信されるかについて示す。この数は、常に、送信アンテナの数と等しいか又は少ない。
・プリコーディングマトリックス指標(PMI):DLチャネル上のプリコーディングに使用されるコードブックのインデックス。
・チャネル品質指標(CQI):DL上で使用される変調、及び、所定のチャネル状況に関する定義済み誤り率性能を維持するために、前方向誤り訂正(FEC)符号方式を定める。
【0094】
ただ1つのRIが全帯域幅について報告されるのに対して、PMI及びCQIの報告は、チャネルの周波数選択性に応じて、広帯域又はサブバンドごととすることができる。これらの指標は、2種類の異なる物理チャネル上のULで送信される。i)物理アップリンク制御チャネル(PUCCH)。制御情報のためにのみ使用。ii)物理アップリンク共有チャネル(PUSCH)、データ及び制御情報のために使用され、1つのリソースブロック(RB)に対して、及び、サブフレームベースで割り当てられる。PUCCHに関して、RI、PMI及びCQIを報告する手順は周期的であり、指標は広帯域である(周波数平坦なチャネルについて)か、又は、サブバンドベースでUEごとに選択されるか(周波数選択性チャネルに関して)いずれでもよい。PUSCHに関しては、フィードバック手順は非周期的であり、サブバンドベース(周波数選択性チャネルについて)か、又は、上位層構成されたサブバンド(例えば、8つの送信器によるLTE-Advanceの伝送モード9に関する)で、UEごとに選択することができる。
【0095】
本発明の一実施形態において、DIDOシステムは、現行のチャネル状況、並びに、プリコーディング情報をBTS及びCPへ報告するために、RI、PMI及びCQIを使用する。一実施形態では、UEは、それらの指標をCPへ報告するために、PUCCHチャネルを使用する。別の実施形態では、更に多くの指標がDIDOプリコーディングのために必要な場合には、UEは、CPへの付加的な指標を報告するために、PUSCHを使用する。チャネルが周波数フラットである場合には、UEは、DIDOシステムにおける更に多くのアンテナに関するPMIを報告するために、余分のULリソースを利用することができる。発明の一実施形態では、UE又はBTS又はCPは、チャネル周波数選択性を推定し、チャネルが周波数フラットである場合には、UEは、より多くのBTSに関するPMIを報告するために、余分のULリソースを利用する。
【0096】
2.LTEにおけるダウンリンク開ループDIDO
DIDO開ループ方式は、チャネル相互性を利用する時分割複信(TDD)システムで、使用することができるだけである。DIDOシステムにおける開ループ方式に関する仕組みの一実施形態は、以下の通りである。i)UE 1~4は、UL上で、BTS 903又はCTR 905へシグナリング情報を送信する。ii)BTS 903又はCTR 905は、すべてのUE 1~4からのUL CSIを推定するために、そのシグナリング情報を利用する。iii)BTS 903又はCTR 905は、UL CSIをDL CSIに変換するために、RF補正を使用する。iv)BTS 903又はCTR 905は、BSN 902を通してDL CSI又はコードブックインデックスをCPへ送信する。v)そのDL CSIに基づいてCP 901はDL上のデータ伝送に関するプリコーディング重みを計算する。閉ループDIDO方式と同様に、ユーザクラスタは、BTSにおいて推定されるUEからのCSIの量を低減するために使用することができ、それによって、BTSにおける計算の負担、並びに、UL上で必要とされるシグナリングの量を低減する。本発明の一実施形態では、開ループプリコーディング技術は、DLチャネル上で、BTSからUEへ同時非干渉データストリームを送信するために使用される。
【0097】
LTEには、アップリンクチャネルに関して、2種類の参照信号がある[31、33、87]。i)音声基準シンボル(SRS)。スケジューリング及びリンク適合のために使用。ii)復調参照信号(DMRS)。データ受信のために使用。本発明の一実施形態では、SRS又はDMRSは、すべてのUEからすべてのBTSへのULチャネルを推定するために、開ループDIDOシステムで使用される。時間領域において、DMRSは、すべてのLTEスロット(持続時間0.5ミリ秒の)の第4のOFDMシンボル(通常巡回プリフィックスを使用するとき)において送信される。周波数領域では、PUSCH上で送信されるDMRSは、すべてのUEについて、ULデータ伝送についてそのUEによって使用される同じリソースブロック(RB)へマップされる。
【0098】
DMRSの長さは、MRS=mNRBであり、ここで、mは、RBの数であり、NRB=12は、RB当たりのサブキャリアの数である。複数のUEをサポートするために、基本シーケンスの循環シフトにより、いくつかのDMRSは、1ベースZadoff-Chu[88]又はコンピュータ生成定振幅ゼロ自己相関(CG-CAZAC)シーケンスから生成される。基本シーケンスは30の群に分割され、隣のLTEセルは、セル間干渉を低減するために、異なる群からのDMRSを選択する。例えば1つのOFDMシンボル中のリソースブロックの最大数が110であるならば(即ち、20MHzの全体的な信号帯域幅を想定すると)、最大110×30=3300の異なるシーケンスを生成することが可能である。
【0099】
本発明の一実施形態では、DIDOシステムは、ULで使用することができるSRS又はDMRSの数を最大にするために、「仮想セル」へUEを割り当てる。1つの例示的な実施形態において、仮想セルは、UEのまわりのコヒーレンスエリア(関連する同時係属中の「Systems and Methods to Exploit Areas of Coherence in Wireless Systems」と題する米国特許出願第13/232,996号に記載)であり、DIDOシステムは、異なるUEに関して、最大3300のコヒーレンスエリアを生成する。本発明の別の実施形態では、隣接したDIDOクラスタ(クラスタは、関連する2012年5月1日発行の「System And Method For Adjusting DIDO Interference Cancellation Based On Signal Strength Measurements」と題する米国特許第8,170,081号で規定される)間のクラスタ間干渉を低減するために、30の基本シーケンスの各々が、異なるDIDOクラスタへ割り当てられる。別の実施形態では、SRS又はDMRSは、チャネルの周波数ダイバーシティを利用するために、特定の周波数ホッピングパターンに応じて、割り当てられる。
【0100】
すべてのUEについては、DIDOプリコーディングによってDLで同時に提供されるのに十分な直交SRS又はDMRSがない場合、1つの代替策は、時間領域で異なるUEのSRS又はDMRSを多重化することである。例えばUEは、異なる群に分割され、それらの群に関するSRS又はDMRSは連続的な時間スロット(それぞれ0.5ミリ秒の持続時間)上で送信される。しかし、この場合に、異なる群(多重通信)に関するSRS又はDMRS割当ての周期性が、最速で移動中のUEのチャネルコヒーレンス時間より低いことを保証することが必要である。実際、これは、CSIがSRS又はDMRSにより推定される時間から、システムがDIDOプリコーディングによってUEへDLデータストリームを送信する時間まで、チャネルがすべてのUEについて変化しないことを保証するための必要条件である本発明の一実施形態では、システムは、アクティブUEを群に分割し、連続的な時間スロット上で、SRS又はDMRSの同じセットを各群へ割り当てる。同じ実施形態では、システムは、すべてのアクティブUEに関する最も短いチャネルコヒーレンス時間を推定し、並びにUE群の最大数及びその情報に基づくSRS又はDMRSの時分割多重化の周期性を推定する。
【0101】
3.LTEでのアップリンクDIDO技術
本発明の実施形態は、すべてのUEからBTSへの同時ULデータストリームを受信するために、ULチャネル上で開ループMU-MIMO方式を使用する。UL開ループMU-MIMO方式の一実施形態は、以下のステップを含む。i)UE 1~4は、すべてのBTS 903へシグナリング情報及びデータペイロードを送信する。ii)BTS 903は、シグナリング情報を使用して、すべてのUEからのチャネル推定を計算する。iii)BTS 903はチャネル推定及びデータペイロードをCP 901へ送信する。iv)CP 901は、空間フィルタリングによって、すべてのUEのデータペイロードからチャンネル間干渉を除去するために、チャネル推定を使用し、すべてのUEからデータストリームを復調する。一実施形態において、開ループMU-MIMOシステムは、UEからBTSへのULチャネルの数を増大するために、単一キャリアの周波数分割多元接続(SC-FDMA)を使用し、周波数領域でそれらを多重化する。
【0102】
一実施形態において、UEの間の同期は、DLからのシグナリングにより実現され、同じクロックへの直接的な配線によるか、又は、GPSDOによって共通の時間/周波数基準を共有することによるかのいずれでも、すべてのBTS 903が同じ時間/周波数基準クロックに対してロックされているものとみなす。異なるUEにわたるチャネル遅延の変動は、異なるUEの時間基準の間でジッタを生成する可能性があり、UL上でMU-MIMO方法の性能に影響を及ぼす可能性がある。一実施形態において、異なるUE間にわたる相対的な伝搬遅延を低減するために、同じDIDOクラスタ(例えば、お互いに隣接したUE)中のUEだけが、MU-MIMO方法によって処理される。別の実施形態において、UEの間の相対的な伝搬遅延は、UEにおいて、又は、BTSにおいて補償され、BTS 903において、異なるUE 1~4からのデータペイロードの同時受信を保証する。
【0103】
UL上でデータ復調に関するシグナリング情報を可能にするための技術は、以前の節で記載したダウンリンク開ループDIDO方式のシグナリングに使用されるものと同じ方法である可能性がある。CP 901は、UEデータペイロードからチャンネル間干渉を除去するために、異なる空間処理技術を使用してもよい。本発明の一実施形態では、CP 901は、最大尤度(ML)、決定帰還等化(DFE)、又は逐次干渉除去(SIC)受信機などの非線形空間処理方法を使用する。別の実施形態においてCP 901は、同一チャネル干渉を相殺するために、ゼロフォーシング(ZF)又は最小平均二乗誤差(MMSE)受信機などの線形フィルタを使用し、アップリンクデータストリームを個別に復調する。
【0104】
4.既存のLTEネットワークとの統合
アメリカ合衆国及び世界の他の領域で、LTEネットワークは、すでに稼働中であるか又は、配備されるところであるか、及び/又は配備されることになっている。もし、LTEオペレータがDIDO能力を既存の又はすでに約束された配備の中へ、徐々に配備することができるならば、彼らにとって著しい利益となるであろう。このように、彼らは、DIDOが最も即時の利益を提供する領域に、DIDOを配備することができ、徐々に、より多くのネットワークにわたるようにDIDO能力を拡大する。やがて、彼らが領域に十分なDIDOカバレージを有したら、それらは、完全にセルの使用を廃止することを選び、その代わりに、DIDOへ完全に切り替えて、非常な低コストで非常により高いスペクトル密度を実現することができる。セルラからDIDOへのこの完全な移行を通して、LTEオペレータの無線カスタマーは、サービスで損失を被るようなことは決してないであろう。むしろ、彼らはそれらのデータ効率及び信頼性の改善に単に遭遇するだけであり、一方、操作者はそのコスト低下に遭遇することになる。
【0105】
既存のLTEネットワークへのDIDOの段階的な統合を可能にするいくつかの実施形態がある。すべての場合に、DIDOのBTSはDIDO-LTE BTSと呼ばれ、それは、上述のLTE互換のDIDO実施形態の1つ、又は将来開発される可能性がある他のLTE互換の実施形態を利用するであろう。又は、DIDO-LTE BTSは、上述したような、LTE規格のわずかな変形を利用することになり、UEは更新されるか(例えばソフトウェアアップデートが、DIDOと互換性を有するようにUEを修正するのに十分であるならば)、又は、DIDO互換であるUEの新世代が配備されることのいずれかになる。どちらの場合でも、DIDOをサポートする新しいBTSは、LTE規格の制約の中か、又はLTE規格の変形としてであるかのいずれでも、以下DIDO-LTE BTSと呼ぶことにする。
【0106】
LTE規格は、種々の帯域幅(例えば、1.4、3、5、10、15、及び20MHz)をサポートする。一実施形態において、既存のLTEネットワークのオペレータは、LTE-DIDO BTSに関して新しい帯域幅を割り当てるか、又は、既存のLTEスペクトルを細分化(例えば、20MHzは2つの10MHzのブロックに細分化でき得る)することのいずれでも、1ブロックのスペクトルでセルラ構成の従来のLTE BTSを、別ブロックのスペクトルでDIDO LTE BTSをサポートすることができる。事実上、これは2つの別個のLTEネットワークを確立し、UEデバイスは一方又は他方のネットワークを使用するか、又は、両者の中から選択するように構成されるであろう。細分化されたスペクトルの場合に、スペクトルは従来のLTEネットワークとDIDO-LTEネットワークの間で、均一に又は不均一に分割され、セルラLTE BTS 及び DIDO-LTE BTSの配備の度合、及び/又はUE使用のパターンを考慮して、最もよく利用することができるネットワークにより多くのスペクトルを割り当てることができる。この細分化は、時間経過の必要に応じて、変わることができ、ある時点で、セルラBTSと同じか又はより良いカバレージを提供するために配備された十分なDIDO-LTE BTSがあるとき、スペクトルのすべては、DIDO-LTE BTSへ割り当てることができ、セルラBTSは廃止することができる。
【0107】
別の実施形態では、従来のセルラLTE BTSは、DIDO-LTE BTSと協調し、同じスペクトルを共有するが、交替でそのスペクトルを使用するように構成することができる。例えば、彼らが等しくスペクトルの使用を共有している場合、各BTSネットワークは、例えばセルラLTE BTSに関する1つの10msのフレームのあと、DIDO-LTE BTSに関する1つの10msのフレームが続くように、交代で1つの10msのフレーム時間を利用することになる。フレーム時間は、不均一な間隔に細分化することもできる。この区間分割は、時間経過の必要に応じて、変わることができ、セルラBTSと同じか又はより良いカバレージを提供するために配備された十分なDIDO-LTE BTSsがあるとき、時間のすべては、DIDO-LTE BTSへ割り当てることができ、セルラBTSは廃止することができる。
【0108】
本発明の別の実施形態において、DIDOは、LTE及びLTE-Advancedネットワークの小セルに対するLOS又はNLOの無線バックホールとして、使用される。小セルがLTEネットワークで配備されるにつれて、DIDOはそれらの小セルへ高速の無線バックホールを提供する。より高いデータレートに対する要求が増大するにつれて、無線ネットワークがセル間干渉を引き起こすことなく、それ以上の小セルを所定の領域に追加することができない制限に届くまで、より多くの小セルがネットワークに追加される。本発明の同じ実施形態では、DIDO BTSは、徐々に小セルを置き換えるために使用され、それによって、増大されたネットワーク容量を提供するために、セル間干渉を利用する。
【0109】
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【手続補正書】
【提出日】2023-12-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空間処理による多重化利得を実現するためにセル間干渉を利用し、それによって、無線通信ネットワークの容量を増大する、複数ユーザ(MU)送信を有する複数アンテナシステム(MAS)(「MU-MAS」)。
【外国語明細書】