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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024023458
(43)【公開日】2024-02-21
(54)【発明の名称】サンプリング装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/22 20060101AFI20240214BHJP
   G01N 1/10 20060101ALI20240214BHJP
   G01N 30/04 20060101ALN20240214BHJP
【FI】
G01N1/22 L
G01N1/10 C
G01N30/04 A
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023202356
(22)【出願日】2023-11-30
(62)【分割の表示】P 2022076550の分割
【原出願日】2017-05-09
(31)【優先権主張番号】1608088.9
(32)【優先日】2016-05-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(71)【出願人】
【識別番号】518397537
【氏名又は名称】マーカス インターナショナル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コール、マーティン リース
(72)【発明者】
【氏名】マーティン、ヘレン ジェニファー
(57)【要約】
【課題】吸着サンプリングのためのサンプリング装置を提供する。
【解決手段】サンプリング装置は、サンプル容器、吸着サンプル・プローブ、及びアクチュエータを備える。サンプル容器は、サンプリングされる液体を収容するよう配置される。サンプル・プローブは、サンプル容器の中に挿入されるよう構成された吸着材料を含むプローブ・セクションを有する。プローブ・セクションは、サンプル容器から検体を捕捉するよう配置された吸着材料を含む。アクチュエータは、サンプル容器及びサンプル・プローブの両方に対して、別々に接続及び操作するように構成される。サンプル・プローブは、アクチュエータに取り外し可能に接続でき、それによってアクチュエータは、使用中にサンプル・プローブに対して接続及び取り外しすることが可能となり、アクチュエータに接続されたサンプル・プローブを、別のサンプル・プローブと選択的に交換できる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸着サンプリングのためのサンプリング装置であって、
サンプリングされる液体を収容するサンプル容器と、
前記サンプル容器に挿入されるよう構成され、前記サンプル容器から検体を捕捉するために配置された吸着材料を含むプローブ・セクションを有する、サンプル・プローブと、
前記サンプル容器及び前記サンプル・プローブに対して、別々に接続及び操作するように構成された、アクチュエータと
を含み、
前記サンプル・プローブは、使用中に前記アクチュエータが前記サンプル・プローブに対して、選択的及び自動的に接続及び取り外しすることが可能なように、前記アクチュエータに取り外し可能に接続できる、サンプリング装置。
【請求項2】
前記アクチュエータは、3軸のロボティック・アームである、請求項1に記載のサンプリング装置。
【請求項3】
前記アクチュエータは、解放可能なコネクタを含み、前記サンプル・プローブは、前記解放可能なコネクタによって取り外し可能に保持される形状のコネクタ部分を備える、請求項1又は2に記載のサンプリング装置。
【請求項4】
前記サンプル・プローブ・アダプタが前記アクチュエータに接続されて、前記アクチュエータが前記サンプル・プローブ及び前記サンプル容器の両方に対して接続及び操作することができる場合、前記アクチュエータに解放可能に接続するよう構成された第1のコネクタ、及び前記サンプル容器に解放可能に接続するよう構成された第2のコネクタを有する、サンプル・プローブ・アダプタを更に備えた、請求項1から3までのいずれか一項に記載のサンプリング装置。
【請求項5】
前記サンプル容器は、金属要素を有するキャップを含み、前記サンプル・プローブ・アダプタの前記第2のコネクタは、前記サンプル容器の前記キャップの前記金属要素に磁気的に固定するよう配置された、少なくとも1つの磁石を備える、請求項4に記載のサンプリング装置。
【請求項6】
前記アクチュエータは、第1及び第2の垂直アクチュエータを含み、前記サンプル・プローブ・アダプタの前記第1のコネクタは、前記第1の垂直アクチュエータに接続するよう配置された、請求項4又は5に記載のサンプリング装置。
【請求項7】
前記サンプル・プローブは、前記第2の垂直アクチュエータに接続するよう構成された接続要素を含む。請求項6に記載のサンプリング装置。
【請求項8】
前記サンプル・プローブ・アダプタは、前記第1の垂直アクチュエータに接続されたときに、前記第2の垂直アクチュエータの、サンプル・プローブ・アダプタに対する垂直の移動が可能になるよう構成された、請求項7に記載のサンプリング装置。
【請求項9】
前記第2の垂直アクチュエータは、前記サンプル・プローブを前記第2の垂直アクチュエータから解放するよう配置された解放機構を含み、前記サンプル・プローブ・アダプタは、前記解放機構を操作して前記解放機構が前記サンプル・プローブを解放するために、前記第2の垂直アクチュエータが前記サンプル・プローブ・アダプタに対して下向きに移動するときに前記解放機構と係合するよう構成された、止め具要素を含む、請求項8に記載のサンプリング装置。
【請求項10】
前記サンプル・プローブ・アダプタはアパーチャを含み、前記アパーチャを通してサンプリング軸に沿って延び、前記止め具要素が、前記サンプル・プローブ・アダプタの上面において前記アパーチャの周縁周りに少なくとも部分的に配置され、前記第2の垂直アクチュエータが、前記アパーチャを通して下向きに解放位置まで移動する際に、前記解放機構と係合する、請求項9に記載のサンプリング装置。
【請求項11】
前記サンプル・プローブ・アダプタが前記第1のアクチュエータに接続されたときに、前記解放機構の少なくとも一部が前記アパーチャの径方向外側に離され、前記第2のアクチュエータが垂直運動の第1の範囲にわたって動作して、ここで前記解放機構は、前記止め具要素の上部で垂直方向に離されたままで、且つ解放位置までの移動の前記第1の範囲の下限より下で可動であり、ここで前記アパーチャの径方向外側に離された前記解放機構の少なくとも一部が、前記止め具要素と係合する、請求項10に記載のサンプリング装置。
【請求項12】
前記止め具要素は、前記アパーチャの少なくとも一部の周りに延びる直立壁を備え、前記壁は前記解放機構と係合するよう配置された上面を有する、請求項9から11までのいずれか一項に記載のサンプリング装置。
【請求項13】
前記サンプル・プローブ・アダプタは、前記アクチュエータと前記サンプル・プローブとの間に解放可能な接続をもたらすために前記サンプル・プローブを把持するよう構成された把持機構を含み、前記把持機構は、前記第2の垂直アクチュエータに接続するように構成された接続要素を含み、前記把持機構を前記第2の垂直アクチュエータによって操作可能にする、請求項6に記載のサンプリング装置。
【請求項14】
前記サンプル・プローブ・アダプタの少なくとも1つの前記磁石が、前記把持機構に設けられた、請求項13に記載のサンプリング装置。
【請求項15】
前記把持機構は、可動の把持要素を含み、少なくとも1つの前記磁石は、前記把持要素の内の少なくとも1つの遠位端に設けられた、請求項14に記載のサンプリング装置。
【請求項16】
前記サンプル容器はサンプリング軸を含み、それに沿って前記サンプル・プローブが前記サンプル容器に挿入され、前記サンプル・プローブ・アダプタは、前記サンプル容器が前記サンプル・プローブ・アダプタの前記第2のコネクタに接続するときに、前記サンプル容器の前記サンプリング軸と位置を合わせられるサンプリング軸を含み、前記サンプル・プローブ・アダプタの前記第1のコネクタは、前記第1のコネクタが前記第1の垂直アクチュエータに接続されたときに、前記第2の垂直アクチュエータが前記サンプリング軸と軸方向に位置を合わせられるよう、前記サンプリング軸から離される、請求項7から15までのいずれか一項に記載のサンプリング装置。
【請求項17】
前記サンプル・プローブ・アダプタの本体は、前記サンプル・プローブ・アダプタの前記第1のコネクタが前記第1の垂直アクチュエータに接続されたときに、サンプリング軸から離され、前記サンプル・プローブが、前記サンプル・プローブ・アダプタの本体に干渉することなく、前記サンプリング軸に沿って垂直に作動されるように構成された、請求項16に記載のサンプリング装置。
【請求項18】
前記サンプル・プローブ・アダプタ及び前記アクチュエータは、前記第1のコネクタが前記第1の垂直アクチュエータに接続されて、前記第2のコネクタが前記サンプル容器に固定されたときに、前記第2の垂直アクチュエータが、前記サンプル容器のサンプル・プローブを独立して垂直方向に作動させられるように配置された、請求項17に記載のサンプリング装置。
【請求項19】
自動サンプリング・システムに使用される洗浄デバイスであって、細長い吸着サンプル・プローブの少なくとも一部を受け入れるように構成されたチャンバと、洗浄液の流れをチャンバの中に導いて前記サンプル・プローブを洗浄するように構成された、1つ又は複数の液体入口と、空気の流れをチャンバの中に導いて前記サンプル・プローブを乾燥させるように配置された、1つ又は複数の空気入口とを備えた、洗浄デバイス。
【請求項20】
前記チャンバは開口部を含み、前記開口部の中に前記サンプル・プローブが挿入され、少なくとも1つの液体入口が前記開口部に隣接して位置された、請求項19に記載の洗浄デバイス。
【請求項21】
少なくとも1つの前記液体入口は、前記洗浄液の流れを前記チャンバの内側端部に向けて、長手方向内側に導くよう配置された、請求項20に記載の洗浄デバイス。
【請求項22】
前記チャンバは長手方向軸を含み、前記サンプル・プローブが前記チャンバ内に受け入れられたときに、前記長手方向軸に沿って前記サンプル・プローブが延び、前記チャンバの前記長手方向軸と同軸である環状アレイに配置された複数の液体入口を含み、それによって前記液体入口の各々からの液体の流れが径方向内側に導かれる、請求項19から21までのいずれか一項に記載の洗浄デバイス。
【請求項23】
前記チャンバは長手方向軸を含み、前記サンプル・プローブが前記チャンバ内に受け入れられたときに、前記長手方向軸に沿って前記サンプル・プローブが延び、前記チャンバの前記長手方向軸と同軸である環状アレイに配置された複数の空気入口を含み、それによって前記空気入口の各々からの空気の流れが径方向内側に導かれる、請求項19から22までのいずれか一項に記載の洗浄デバイス。
【請求項24】
複数の前記空気入口は、複数の前記液体入口と長手方向に位置を合わせられ、共通の環状アレイに配置された、請求項23に記載の洗浄デバイス。
【請求項25】
前記液体入口及び/又は前記空気入口は、それらの内側端部に位置するノズルを含み、前記チャンバの中に導かれる液体及び/又は空気のジェットを作り出す、請求項24に記載の洗浄デバイス。
【請求項26】
前記空気入口は、径方向に向けられた空気の幕を作り出すよう配置された、請求項25に記載の洗浄デバイス。
【請求項27】
洗浄液を前記液体入口に供給して洗浄サイクルを開始し、前記洗浄サイクルの後に、圧縮空気を前記空気入口に供給して乾燥サイクルを開始するよう準備された制御器を更に含む、請求項19から26までのいずれか一項に記載の洗浄デバイス。
【請求項28】
前記チャンバは、前記チャンバから洗浄液を取り除くために前記チャンバの内側端部に配置された排水路を更に備えた、請求項19から27までのいずれか一項に記載の洗浄デバイス。
【請求項29】
吸着サンプリング装置であって、
開口部、並びに前記開口部を覆って封止する第1の封止膜及び第2の柔軟な封止要素を含む封止アセンブリを有する、サンプルを収容するためのサンプル容器と、
吸着材料を含む細長い本体を有して前記サンプル容器の中に挿入するよう構成され、前記細長い本体は、前記吸着材料を含む下部セクションと、前記下部セクションよりも大きい径を有する上部セクションとを有する、サンプル・プローブと
を備え、
前記柔軟な封止要素は、前記サンプル・プローブを受け入れるために予め形成されたアパーチャを含み、前記予め形成されたアパーチャは、前記サンプル・プローブの前記上部セクションの径未満の径を有し、前記第1の封止膜は、サンプリングの前に前記容器を閉鎖して封止するよう配置され、前記容器に挿入する際に前記サンプル・プローブによって穴を開けられ、前記第2の柔軟な膜は、前記サンプル・プローブが前記容器に挿入されたときに、前記容器を閉鎖して封止するよう配置され、それによって、より大きい径の前記上部セクションが前記アパーチャ内に受け入れられる、吸着サンプリング装置。
【請求項30】
前記第1の封止膜は、前記容器と前記第2の柔軟な封止要素との間で、前記容器の開口部の上に位置された、請求項29に記載の吸着サンプリング装置。
【請求項31】
前記封止アセンブリを前記容器上に固定するよう配置されたキャップを更に備え、前記封止アセンブリは、前記キャップと前記容器との間で固定され、前記キャップは、前記第2の柔軟な封止要素のアパーチャよりも大きい径を有する開口部を含む、請求項30に記載の吸着サンプリング装置。
【請求項32】
前記第2の封止要素の前記開口部の径は、前記サンプル・プローブの前記下部セクションの径よりも大きい、請求項29から31までのいずれか一項に記載の吸着サンプリング装置。
【請求項33】
前記サンプル・プローブは、前記下部セクションと前記上部セクションとの間で、前記下部セクションの径から前記上部セクションの大きい径までテーパーが付いている、軸方向に配置された径方向にテーパーが付いたセクションを含む、請求項29から32までのいずれか一項に記載の吸着サンプリング装置。
【請求項34】
前記第2の封止要素の前記アパーチャを塞いで封止し、サンプリング後、前記サンプル・プローブを取り出した後に、前記容器を封止できるように構成された封止プラグを更に備えた、請求項29から33までのいずれか一項に記載の吸着サンプリング装置。
【請求項35】
前記第2の封止要素は、前記第1の封止膜に接合された、請求項29から34までのいずれか一項に記載の吸着サンプリング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はサンプリング装置に関し、詳細には自動サンプリング、並びに液体及び気体サンプルの分析のための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
サンプリング技術及び分析技術は、液体内の成分を識別するために、液体の分析に一般的に利用されている。実例として、飲料水の汚染物質、化粧品の芳香アレルギーの識別、又は飲料の香味プロファイリングが挙げられる。水溶液マトリックスの低レベル有機化合物の分析は、迅速、敏感、且つ自動化された分析を実行するためには著しい困難を呈する。このようなサンプルの分析は、通常は抽出及び濃縮化ステップの後に実行され、液液抽出(LLE:liquid-liquid extraction)又は固相抽出(SPE:solid phase extraction)を伴うことが多い。
【0003】
固相抽出は、例えばポリジメチルシロキサン(PDMS:Polydimethylsiloxane)を使用して実現され得る。ポリジメチルシロキサン(PDMS)抽出は吸着に基づき、平衡技術は、検体のシリコーンと水性層との間で検体を区分けすることに基づく。吸着材料が液体サンプルの中に入れられ、この吸着材料が液体サンプルに含有された対象の化合物を吸収する。抽出した検体の量は、サンプル内の検体の濃度に比例して、平衡がもたらされる。抽出した検体の量は、検体材料のサイズすなわち最大吸収体積にも依拠する。ポリジメチルシロキサン(PDMS)の中への抽出は、検体のオクタノール/水分配比率(K O/W:octanol-water partition)に基づいて推定することができる。相比率として知られている、ポリジメチルシロキサン(PDMS)のサンプルに対する比率は、検体回収に重要な要因となる。抽出効率は、固相の質量に依拠する。
【0004】
ポリジメチルシロキサン(PDMS)は、有機化合物をサンプルから抽出するための、公知の固相抽出サンプリング技術である、固相マイクロ抽出(SPME:Solid Phase Micro Extraction)に使用され得る。固相マイクロ抽出(SPME)は、抽出相を形成するポリジメチルシロキサン(PDMS)などの吸着材料の薄い層でコーティングされた繊維の使用を伴う。吸着材料は、様々なタイプの検体を、液相及び気相の両方を含む種々のサンプル媒体から抽出するために選択された、固相吸着剤であってよい。固相マイクロ抽出(SPME)は、容易に自動化されるため、広く使用されることが確認されている。
【0005】
吸着剤でコーティングされた繊維のサイズは、サンプル容器に穴を開けるために使用するニードルの、本体内に収容することを可能にする。一旦ニードルが容器に挿入されると、繊維はニードルから延び出てサンプル・マトリックスの中に導入される。次にニードルは取り外され、繊維に保持されたサンプルは、ガスクロマトグラフ(GC:gas chromatograph)で分析するために引き続き脱着される。
【0006】
ニードル内に適合させる必要があるが、固相マイクロ抽出(SPME)を非常に薄いポリジメチルシロキサン(PDMS)の層(約7-100Cm)に制限する。したがって回収した化合物の総体積は限定され、通常は1000(logK O/W 3)未満のK O/W値の0.5CLのオーダーである。したがって固相マイクロ抽出(SPME)の欠点は、繊維上に付加できる吸着剤の量が制限されることである。
【0007】
固相抽出技術は、1つ又は複数の成分の損失による、組成の変化を受けることがある化合物の混合物をサンプリングするために、一般的に使用される。このような混合物は、組成物の測定が正確に元の材料を反映するよう、分析の前に封止される必要がある。通常、ポリマーフィルムを有する隔壁又は封止材が、サンプル容器に蓋をして封止する。この封止材は、サンプル・プローブによって貫入できるよう意図されるが、サンプル・プローブを取り出したときに、作り出された穴を再封止するために十分順応性がある。
【0008】
固相マイクロ抽出(SPME)サンプリングの小さい容量制限に対処するため、大容量の吸着抽出サンプラーが開発されている。このような大容量サンプラーの1つに、プローブの周りに設けられた、ポリジメチルシロキサン(PDMS)材料のスリーブを有する金属プローブが挙げられる。しかし、固相マイクロ抽出(SPME)は通常、比較的細いニードルを使用する一方で、大容量のサンプリングのために必要なポリジメチルシロキサン(PDMS)の量を支持するのに必要な金属プローブの寸法は、貫入及び容器の封止材の再封止という点で大きい問題を呈し、それは現在までのところ、大容量のサンプリングが可能な自動化の程度を制限している。
【0009】
したがって、より大きい容量のサンプリングは、抽出媒体でコーティングされたロッド又はバーの形態であるプローブを直接サンプルに加える、非自動化方法に限定されている。次に、容器は手作業で封止される。抽出後、この封止材は手作業で取り外され、さらなる分析のためにプローブは手作業で回収される。時間が掛かり労力を要するばかりではなく、この方法には、封止材を取り外し、プローブを取り外し、容器を再封止する処理の間で、雰囲気、サンプル、及び/又は隣接するサンプルを汚染する危険がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、上述の問題に対処する、及び/若しくは全体的な改善を提供する、改善されたサンプリング装置、並びに/又はサンプリング方法を提供することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によると、添付の特許請求の範囲で説明するように、サンプリング装置及びサンプリング方法が提供される。
【0012】
本発明の実施例によると、サンプル容器、サンプル・プローブ、及びアクチュエータを備える吸着サンプリングのサンプリング装置が提供される。サンプル容器は、サンプリングされる液体を収容するよう準備される。サンプル・プローブは、サンプル容器に挿入されるよう構成されたプローブ・セクションを有し、このプローブ・セクションは、検体をサンプル容器から捕捉するために準備された吸着材料を含む。アクチュエータは、サンプル容器及びサンプル・プローブの両方に対して、別々に接続及び操作するように構成される。サンプル・プローブは、アクチュエータに取り外し可能に接続でき、それによってアクチュエータは使用中に、サンプル・プローブに対して接続及び取り外しすることが可能となり、アクチュエータに接続されたサンプル・プローブを、別のサンプル・プローブと選択的に交換できる。アクチュエータは、x、y、z軸で可動であり、1つ又は複数のリニア・アクチュエータを含み得るロボティック・アームなど、複数の軸上でサンプル・プローブを移動させるのに好適な任意のデバイスである。代替の実施例において、サンプル・プローブは、別の方法で容器からサンプリングするよう構成された、非吸着サンプル・プローブであってもよい。
【0013】
従来技術の標準的な配置において、自動サンプリングのアクチュエータは、ヘッドスペース分析のための専用のヘッドスペース・ツールか、又は専用のサンプル・プローブ・ツールのいずれかを含むことになる。サンプル・プローブの場合、プローブは、自動サンプリング処理の前にサンプル・プローブ・ツールに接続され、次にロボティック・アームに接続される。次にサンプリング処理が行われる。異なるサンプル・プローブを使用する別のサンプリングが必要な場合、サンプル・プローブを、オペレータによってサンプル・プローブ・ツールから取り外す必要があり、交換物をサンプル・プローブに、次にアクチュエータに再接続する必要がある。同様に、例えばヘッドスペース・サンプリングなど、別のサンプリング処理が必要な場合、ヘッドスペース・ツールをサンプル・プローブ・ツールと交換する必要がある。全サンプリング作業を通して、ロボティック・アームが同じサンプル・プローブを保持する必要があるので、手作業でサンプル・プローブを取り外す必要性は、サンプリング処理を制限する。複数の容器をサンプリングする場合、アクチュエータは、各容器に要するサンプリング期間全体で、サンプル・プローブと共に留まらなければならない。
【0014】
アクチュエータに、取り外し可能に接続できるサンプル・プローブを提供することによって、アクチュエータがサンプル・プローブを取り、このプローブをサンプル容器に移動させ、その後、一旦容器に預けるとアクチュエータがサンプル・プローブを取り外して、別のプローブを取って別の容器のサンプリングを行うことができる。プローブの取り外しによって、アクチュエータの動作時間を確保して、複数の同時サンプリングを可能にし、サンプリングを実行する全体時間を短縮する。更に、サンプル容器とプローブとに同時接続する機能によって、サンプル・プローブがサンプル容器内に挿入されたとき、サンプル容器及びサンプル・プローブが、サンプル・プローブによって直接持ち上げられるのではなく、サンプル容器によって持ち上げられるようになる。これは、プローブによって容器及びプローブが持ち上げられる場合に必要であるような、堅固で複雑な封止材をプローブ並びにプローブに対する封止部を把持できる容器に準備する必要性を、有利に除外する。
【0015】
アクチュエータは、ロボティック・アームを備えてもよい。アクチュエータは、好ましくは3軸のロボティック・アームで、サンプル・プローブを移動させるために最大限の適応性を提供する。
【0016】
アクチュエータは、解放可能なコネクタを含んでもよく、サンプル・プローブは、この解放可能なコネクタによって取り外し可能に保持されるように形成された、対応するコネクタ部分を備えてもよい。解放可能なコネクタは、解放可能な把持器、例えば限定ではないが、ボール・キャッチなどばねを装填したキャッチであってもよく、サンプル・プローブは、把持器によって取り外し可能に係合されるように形成されたコネクタ部分を含んでもよい。「解放可能なコネクタ」という用語は、3軸アクチュエータの標準的なばねを装填した把持機構を指すことができるが、自動的に解放可能な方法で把持、クランプ、又は機械的に別の要素に接続することができる、任意の接続要素を意味することができる。
【0017】
解放可能なコネクタは、ロボティック・アームに直接提供されるコネクタであってよく、又はロボティック・アームによって作動される別個のコネクタであってもよい。解放可能なコネクタは、サンプル・プローブを選択的に解放又は把持するために開閉する、可動把持要素を有する把持ツールであってもよく、この把持要素はロボティック・アームによって作動される。このような把持ツールが使用される場合、「アクチュエータ」という用語は、ロボティック・アームとロボティック・アームに接続して組み合わされた把持ツールとの両方を示すよう意図され、ロボティック・アームは把持ツールを介してサンプル・プローブに接続される。
【0018】
サンプリング装置はサンプル・プローブ・アダプタを更に備えてもよい。サンプル・プローブ・アダプタがアクチュエータに接続されて、アクチュエータがサンプル・プローブとサンプル容器との両方に対して接続及び操作することができる場合、サンプル・プローブ・アダプタは、アクチュエータに解放可能に接続するよう構成された第1のコネクタ、及びサンプル容器に解放可能に接続するよう構成された第2のコネクタを有する。したがってこのアダプタは、標準的なアクチュエータを適合させる中間構成要素であり、アクチュエータがサンプル容器とサンプル・プローブとの両方に対して、別々に接続及び操作するよう「構成する」アダプタである。このアダプタは、サンプル・プローブがサンプル容器に挿入されて、容器とプローブとを共に移動させることを可能にする。更に、サンプル・プローブ及びサンプル容器は別々に移動させることができる。
【0019】
サンプル・プローブ・アダプタは、アクチュエータをサンプル・プローブに接続するためのコネクタを含んでもよい。
【0020】
サンプル容器は、好ましくは金属製キャップを含み、サンプル・プローブ・アダプタの第2のコネクタは、容器を移動させるために、サンプル容器の金属製キャップを磁気的に固定するよう構成された磁気要素を備える。これによって、いかなる複雑な機械式接続機構の必要性を除外する。
【0021】
アクチュエータは、好ましくは第1及び第2の垂直アクチュエータを含み、サンプル・プローブ・アダプタの第1のコネクタは、第1の垂直アクチュエータに接続するよう配置され、サンプル・プローブは、第2の垂直アクチュエータに接続するよう構成された接続要素を含む。
【0022】
サンプル・プローブ・アダプタは、第1の垂直アクチュエータに接続されたときに、第2の垂直アクチュエータがサンプル・プローブ・アダプタに対して垂直に動けるように、構成される。第2の垂直アクチュエータは、サンプル・プローブを第2の垂直アクチュエータから解放するよう配置された、解放機構を含む。サンプル・プローブ・アダプタは、第2の垂直アクチュエータがサンプル・プローブ・アダプタに対して移動して、解放機構を操作してサンプル・プローブを解放するときに、解放機構と係合するよう構成された止め具要素を含む。
【0023】
サンプル容器は、好ましくは、サンプリング軸を含み、それに沿ってサンプル・プローブがサンプル容器に挿入される。サンプル・プローブ・アダプタは、サンプル容器がサンプル・プローブ・アダプタの第2のコネクタに接続するときに、サンプル容器のサンプリング軸と位置を合わせられるサンプリング軸を含む。サンプル・プローブ・アダプタの第1のコネクタは、第1のコネクタが第1の垂直アクチュエータに接続されたときに第2の垂直アクチュエータがサンプリング軸と軸方向に位置を合わせられるように、サンプリング軸から離される。第2の垂直アクチュエータは、サンプル・プローブに対して接続及び操作するために使用され、それによって第2のアクチュエータをサンプリング軸に位置合わせをすることによって、サンプル・プローブが挿入のために確実に、容器のサンプリング軸と軸方向に位置を合わせられる。
【0024】
サンプル・プローブ・アダプタの本体は、サンプル・プローブ・アダプタの第1のコネクタが第1の垂直アクチュエータに接続されたときに、サンプル・プローブ・アダプタの本体がサンプリング軸から離れて、サンプル・プローブがサンプル・プローブ・アダプタの本体に干渉することなく、サンプリング軸に沿って垂直に作動されるように構成されてよい。プローブ・アダプタが容器に接続している間、本体は、容器の頂部に自由な接近がもたらされるように構成される。これは、切離しセクション、凹部、アパーチャの形態、又はサンプリング軸がサンプル・プローブ・アダプタに接続するときに、確実にサンプル容器上で妨げられないような任意の他の構成であってもよい。
【0025】
サンプル・プローブ・アダプタ及びアクチュエータは、第1のコネクタが第1の垂直アクチュエータに接続されて、第2のコネクタがサンプル容器に固定されたときに、第2の垂直アクチュエータがサンプル容器のサンプル・プローブを単独で垂直方向に作動させられるように、配置されてもよい。このようにサンプル容器は、第2の垂直アクチュエータがサンプル・プローブをサンプル容器に挿入又は撤収する間、動かないようにプローブ・アダプタによって保持され得る。
【0026】
好ましくは、サンプル・プローブ・アダプタはアパーチャを含み、それを通してサンプリング軸に沿って延びる。止め具要素が、アダプタの上面においてアパーチャの周縁周りに少なくとも部分的に配置され、第2の垂直アクチュエータがアパーチャを通して下向きに解放位置まで動く際に、解放機構と係合する。好ましくは、サンプル・プローブ・アダプタが第1のアクチュエータに接続されたときに、解放機構の少なくとも一部がアパーチャの径方向外側に離される。第2のアクチュエータが垂直運動の第1の範囲にわたって動作して、ここで解放機構は止め具要素の上部で垂直方向に離されたままで、解放位置までの動きの第1の範囲の下限より下で可動である。この解放位置でアパーチャの径方向外側に離された解放機構の少なくとも一部が、止め具要素と係合する。
【0027】
第2のアクチュエータは、使用中にアダプタのアパーチャを通して延びる下部を含んでよい。解放機構の少なくとも一部は、下部の径方向外側に離される。この下部は、サンプリング中に垂直運動の第1の範囲にわたって動作し、そこにわたって解放機構が止め具要素の上で垂直方向に離されたままとなる。この下部は、動きの第1の範囲の下の解放位置までにも延びて、解放機構はアパーチャを囲む止め具要素と係合するよう配置され、下部は解放位置までアパーチャを通して延びる。
【0028】
止め具要素は、アパーチャの少なくとも一部の周りに延びる解放機構と係合するよう配置された上面を有する、直立壁を備えてもよい。解放機構は、キャッチに対して上方に作動する際に、キャッチを側方に解放する摺動可能なカラーなどの、垂直方向に摺動可能な機構であってよく、ボール・ベアリング・キャッチ又は類似の装置であってもよい。
【0029】
好ましくはサンプリング装置は、サンプル・プローブがサンプル容器に受け入れられて、プローブが垂直方向に位置を合わせられて第2の垂直アクチュエータによって接続されたときに、サンプル・プローブに係合する位置合わせ要素も含む。サンプル・プローブは、柔軟な隔壁によって容器内で支持される。使用中、サンプル・プローブが容器に、完全な垂直方向に挿入されても、時間が経つと、特に撹拌中に垂長軸から傾き始めることがある。サンプル・プローブが垂直軸に位置を合わせられていない場合、垂直軸で動作するアクチュエータがサンプル・プローブを再び得ることは困難である。
【0030】
位置合わせ要素は、サンプル・プローブの両側と係合するために動くよう、水平の反対方向に可動である第1及び第2の位置合わせ要素を含んでもよい。位置合わせ要素は、サンプル・プローブと係合してサンプル・プローブを実質的に垂直方向に保持する位置合わせ位置と、サンプル・プローブ及びサンプル容器が垂直方向に持ち上げられる解放位置との間で、可動である。
【0031】
好ましくは、各位置合わせ要素は、サンプル・プローブの一部を受け入れるよう配置された誘導セクションを含む。この誘導セクションは、サンプル・プローブを垂直方向に保持するよう位置合わせ位置に位置を合わせる。位置合わせ要素は、水平方向に配置され、各々がサンプル容器の径よりも大きい径の主アパーチャを有する位置合わせプレートと、主アパーチャの周縁からプレートの中に延びる誘導チャネルとを備えてもよい。主アパーチャは解放位置に位置を合わせられ、チャネルを画定し、このチャネルを通してサンプル容器は、妨げられずに垂直方向に動くことができる。位置合わせ位置において、誘導チャネルは位置を合わせられ、サンプル・プローブのシャフトの径に対応する実質的に円形のアパーチャを画定するために協働し、円形アパーチャは、プローブの垂直軸と同心円状に位置を合わせられる。
【0032】
サンプリング装置は、例えばサンプル・プローブがオーブンに挿入されるときに、サンプル・プローブを固定した垂直位置に保持し、且つ垂直方向に拘束するために、ラッチ機構を更に備えてもよい。好ましくはこのラッチ装置は、単一又は一対のラッチ・プレートを含み、各ラッチ・プレートは、サンプル・プローブの一部を受け入れるよう配置された誘導セクションを含み、誘導プレートはラッチ位置に位置を合わせられて、サンプル・プローブを所定の位置で垂直方向にロックする。好ましくは誘導セクションは、アクチュエータが装備されるサンプル・プローブ・ヘッドのコネクタ・チャネルに係合するよう配置される。好ましくはラッチ・プレートは、水平方向に配置された複数の位置合わせプレートであり、各プレートはサンプル容器の径よりも大きい径の主アパーチャを有する。誘導チャネルは、主アパーチャの周縁からプレートの中に延びる。主アパーチャは解放位置に位置を合わせられ、チャネルを画定し、このチャネルを通して、サンプル容器は妨げられずに垂直方向に動くことができる。ロック位置において、誘導チャネルは位置を合わせられ、サンプル・プローブ・ヘッドのコネクタ・チャネルの径に対応する実質的に円形のアパーチャを画定するために協働し、それによってプレートは垂直方向に位置を合わせられる。
【0033】
サンプル・プローブ・アダプタは、サンプル・プローブを把持するよう構成された把持機構を含んでもよい。把持部は、アクチュエータとサンプル・プローブとの間に解放可能な接続を提供する。把持機構を第2の垂直アクチュエータによって操作することを可能にするために、把持機構は、第2の垂直アクチュエータに接続するよう構成された接続要素を含む。具体的には、把持機構に接続された第2の垂直アクチュエータの操作によって、把持機構が開閉してサンプル・プローブを把持及び解放する。把持機構は、アクチュエータのコネクタとして機能し、アクチュエータをサンプル・プローブに接続する。好ましくは、アクチュエータは、ロボティック・アームであり、把持機構は、サンプル・プローブがロボティック・アームに直接接続することなく、ロボティック・アームをサンプルに、有利に解放可能に接続させる。したがって、サンプル・プローブを連続して接続及び解放することによる、ロボティック・アームのコネクタの摩耗が避けられる。
【0034】
サンプル・プローブ・アダプタの少なくとも1つの磁石が、把持機構に設けられてもよい。好ましくは、この把持機構は、少なくとも2つの可動把持要素を、対向するフィンガーの形態で含む。少なくとも1つの磁石は、少なくとも1つの把持要素の遠位端面に設けられる。この遠位端は、使用中のサンプル容器に面する端部である。好ましくは、少なくとも1つの磁石は、各把持要素の遠位端に設けられる。
【0035】
本発明の別の態様において、上述のようなサンプリング・システムに使用するための洗浄デバイスが提供される。洗浄デバイスは、細長い吸着サンプル・プローブの少なくとも一部を受け入れるように構成されたチャンバと、洗浄液の流れをチャンバの中に導いてサンプル・プローブを洗浄するように構成された、1つ又は複数の液体入口と、空気の流れをチャンバの中に導いてサンプル・プローブを乾燥させるように配置された、1つ又は複数の空気入口と、を備える洗浄ステーションである。洗浄ステーションは、サンプル・プローブをアクチュエータから取り外して手作業で洗浄することによって、自動サンプリング処理を妨げることなく、脱着前にごみ又は他の汚染物質を取り除くために、サンプル・プローブの自動洗浄を可能にする。
【0036】
好ましくは、チャンバは開口部を含み、その中にサンプル・プローブが挿入される。洗浄液をプローブの中に導くために、少なくとも1つの液体入口がこの開口部の近くに位置される。
【0037】
この少なくとも1つの液体入口は、洗浄液の流れを、チャンバの内側端部に向けて長手方向内側に導くよう配置されてよい。これによって、使用中に洗浄溶液がチャンバ内に確実に収容される。
【0038】
好ましくは、チャンバは長手方向軸を含み、サンプル・プローブがチャンバ内に受け入れられたときに、その軸に沿ってサンプル・プローブは延びる。洗浄デバイスは、チャンバの長手方向軸と同軸である環状アレイに配置された複数の液体入口を含み、それによって各液体入口からの液体の流れが、径方向内側に導かれる。したがって、プローブ周りの360°の洗浄をもたらす、洗浄溶液の幕が生成され得る。
【0039】
チャンバは、チャンバの長手方向軸と同軸である環状アレイに配置された、複数の空気入口を更に含んでもよく、それによって各空気入口からの空気の流れが、径方向内側に導かれる。この空気入口は、洗浄段階後にプローブを乾燥することを可能にして、サンプル・プローブがプローブ・オーブンに移されたときに、確実にサンプル・プローブに液体が残らないようにする。
【0040】
複数の空気入口は、複数の液体入口と長手方向に位置を合わされた共通の環状アレイに配置されてよい。これはコンパクトな配置をもたらし、この配置では全ての空気及び水の接続が同じ場所を共有し、開口部近くの箇所において、入る際に洗浄し、後退する際に乾燥することが可能になる。
【0041】
液体入口及び/又は空気入口は、それらの内側端部に位置するノズルを含み、チャンバの中に導かれる液体及び/又は空気のジェットを作り出してもよい。
【0042】
好ましくは空気入口は、径方向に導かれる空気の幕を作り出すよう配置される。
【0043】
洗浄デバイスは、洗浄液を液体入口に供給して洗浄サイクルを開始し、その後に圧縮空気を空気入口に供給して乾燥サイクルを開始するよう準備された、制御器を更に含んでもよい。
【0044】
チャンバは、そこから洗浄液を排出させるために、チャンバの内側端部に配置し、液体入口から下向きに導かれた排水路を更に備えてもよい。
【0045】
本発明の別の態様において、一方の端部に開口部、及びこの開口部を覆って少なくとも部分的に閉じる封止部材を有する液体容器と、封止部材に形成されたアパーチャを通して延びるよう構成されたプラグ要素とを備えるサンプル容器が提供される。プラグ要素は、第1の径のロック・セクションを有する先端部と、封止要素に形成されたアパーチャを、使用中に封止するロック先端部よりも小さい径を有する近位端に向かってプラグ要素に沿って位置する一方で、より大きい径のロック先端部がプラグの後退を妨げる、封止セクションとを含む。好ましくはプラグ要素は、プローブ・アダプタの磁気コネクタによって固定することができる金属部分を有するキャップ・セクションを含み、プラグ要素及び封止した容器を、アクチュエータによって移動させることを可能にする。封止要素は隔壁であり、サンプル・プローブ及び/又は封止プラグ要素を受け入れるための、予め形成されたアパーチャを含んでもよい。或いは、隔壁は、サンプル・プローブが入る際にこのプローブによって穴を開けられ、プラグ要素がプローブによって作られた穴を封止するよう構成されてもよい。
【0046】
本発明の別の態様において、細長いサンプル・プローブ及びサンプル・プローブによって採取されたサンプルを加熱するためのオーブンが提供される。このオーブンは、加熱されたチャンバ及び加熱されたチャンバへの開口部を備え、この開口部は、細長いサンプル・プローブを受け入れるよう構成された径と、サンプル・プローブの封止部分の周りを封止するために、開口部に隣接して位置し、オーブン・チャンバと外部雰囲気との間の封止部を作り出す封止要素とを有する。サンプル・プローブの封止部分と同じ形状及びサイズを伴う封止部分を有する本体を含む、オーブン・アダプタが更に提供され、それによって、プローブと同じ方法でオーブンの開口部内を封止することができる。このアダプタは、オーブン・チャンバに接続するための内側チャネルを含む。チャネルを閉じる封止要素が提供され、封止したままでシリンジによって穴を開けることができる材料によって形成される。好ましくは封止要素は、シリコーンなどの弾力性のある柔軟な材料によって形成される隔壁である。このようなアダプタが無いと、入口は、サンプリング方法に依拠して手動で構成する必要が生じる。
【0047】
サンプリング・アセンブリは、サンプル・オーブン内、及び/又は、サンプル容器が撹拌器内に位置する場合にサンプル容器内の所定の位置にサンプル・プローブを保持するよう配置された、1つ又は複数のロック要素を含んでもよい。ロック要素は、サンプル・プローブがサンプル・オーブン及び/又はサンプル容器内に挿入されたとき、サンプル・プローブと係合するよう配置され、サンプル・プローブの垂直の移動を防止する。これによって、サンプル・プローブをロボティック・アームによって係合解除し、サンプル・オーブン又はサンプル容器内に残すことを可能にする。オーブンの場合、これによってサンプル・プローブが、チャンバの圧力によって破裂する恐れなく、その場に残すことができる。撹拌器の場合、容器が撹拌される間に、サンプル・プローブがトップリングするのを防止する。好ましくは、ロック要素は、サンプル・プローブの垂直の動きを防止するために水平方向に係合するよう配置された、ラッチ・デバイスである。サンプル・プローブを垂直方向にロックすることによって、ラッチ・デバイスは、ロボティック・アームがサンプル・プローブと係合解除して、他の機能を実行できるようにする。
【0048】
本発明の別の態様によると、サンプリングされる液体を含有するサンプル容器と、サンプル容器の中に挿入されるよう構成され、サンプル容器から検体を得るよう準備された吸着材料を含むプローブ・セクションを有するサンプル・プローブと、サンプル容器及びサンプル・プローブの両方に対して別々に接続及び操作するよう構成されたアクチュエータと、を備える自動サンプリング・システムが提供される。このシステムは、プローブに集められたサンプルを加熱するオーブンと、このオーブンからサンプルを受け取るフォーカシング・コールド・トラップと、サンプルをコールド・トラップから解放して、サンプルの少なくとも一部を分析器に導く手段と、を更に備える。解放されたサンプルの少なくとも一部を受け取るよう配置された、自動サンプラーが提供される。自動サンプラーは、解放されたサンプルの少なくとも一部を受け取って保存するための、複数の採取チューブを含む。
【0049】
好ましくは自動サンプラーは、別の分析のために再採取したサンプルを脱着するための、解放オーブンも含む。再解放されたサンプルは、逆方向にコールド・トラップへ戻され、そこから、分析器、同じ自動サンプラーの同じ採取、同じ自動サンプラーの異なるチューブ、及び/又は別の自動サンプラーのチューブの内の1つ又は複数に送られてよい。自動サンプラーをコールド・トラップへ、コールド・トラップを分析器へ、及びコールド・トラップを元のサンプリング・オーブンへ結びつける、流体接続が提供される。
【0050】
元のサンプリング・オーブンを、サンプル・プローブ、ヘッドスペース・シリンジ、及び/又は液体シリンジなどの液体サンプラーからのサンプルを解放するために使用してもよい。これらのサンプルの各々は、自動サンプラーの別個の採取チューブに、保管又は再分析のために再採取してもよく、及び/又は、同時分析のために同じ採取チューブに重ねてもよい。
【0051】
サンプル・プローブは、アクチュエータに取り外し可能に接続でき、それによってアクチュエータは使用中に、サンプル・プローブに対して接続及び取り外しすることが可能となり、アクチュエータに接続されたサンプル・プローブを、別のサンプル・プローブと選択的に交換できる。
【0052】
本発明の別の実施例において、サンプル・プローブはその遠位端に、使用中に少なくとも部分的に液体サンプル内に受け入れられる第1の径の部分と、近位端に向かって位置する、より大きい第2の径のセクションとを含む。サンプル容器は、サンプル・プローブの第1の径よりも大きく、且つサンプル・プローブの大きい径よりも小さい径のアパーチャを有する容器を閉じて封止する、封止部材を含み、それによって、第1のプローブ・セクションは、第2のセクションがアパーチャと係合し、且つ封止する間に、アパーチャを通して自由に受け入れられる。封止部材は、第1の弾力性のある膜、及び当初は開口部を閉鎖するポリ四フッ化エチレン(PTFE)によって形成される第2の膜を含んでもよい。ポリ四フッ化エチレン(PTFE)の膜層は、封止部材から離されるか、又は封止部材に接合されてよい。
【0053】
本発明の別の態様において、サンプルを収容するためのサンプル容器を備える、吸着サンプリング装置が提供される。サンプル容器は、開口部及びこの開口部を閉鎖して封止する封止アセンブリを有し、この封止アセンブリは、第1の封止膜と、第2の柔軟な封止要素を含む。サンプル容器の中に挿入されるよう構成された、吸着材料を含み細長い本体を有するサンプル・プローブも提供される。この細長い本体は、吸着材料を含む下部セクション、及び下部セクションよりも大きい径を有する上部セクションを有する。柔軟な封止要素は、サンプル・プローブを受け入れるために予め形成されたアパーチャを含む。この予め形成されたアパーチャは、サンプル・プローブの上部セクションの径未満の径を有し、第1の封止膜は、サンプリングの前に容器を閉鎖して封止するよう配置され、容器に挿入する際にサンプル・プローブによって穴を開けられる。第2の柔軟な膜は、サンプル・プローブが容器に挿入されたときに、容器を閉鎖して封止するよう配置され、それによって、より大きい径の上部セクションが、アパーチャ内に受け入れられる。予め形成されたアパーチャによって、吸着材料を含むプローブの下部セクションが、過剰に摩擦接触することなく、封止アセンブリを通して容器の中に容易に挿入可能となり、このような予め形成されたアパーチャを有さない、柔軟な封止要素(隔壁)にプローブが穴を開ける場合に起こり得る、吸着材料への損傷を防止する。一旦関係を持つと、プローブの上部セクションとアパーチャとの間の締り嵌めが、容器を封止する。しかし、プローブの挿入前には、アパーチャのために、柔軟な隔壁が容器を封止することはできない。したがって封止膜は、プローブの挿入前に容器を封止するよう配置され、この膜は挿入の際に穴を開けられるように配置される。
【0054】
好ましくは第1の封止膜は、ポリ四フッ化エチレン(PTFE)膜などの薄いフィルムである。好ましくは第1の封止膜は、開口部のサイズに対応したディスク形状の膜である。好ましくは第2の封止要素は、シリコーンなどの柔軟で弾力性のある材料によって形成される。好ましくは第2の封止要素は、実質的に環形状である。第1の封止膜は、容器と第2の柔軟な封止要素との間で、容器の開口部の上に位置される。したがってポリ四フッ化エチレン(PTFE)封止部は、容器と隔壁との間に挟まれる。ポリ四フッ化エチレン(PTFE)膜に穴が開けられると、膜は隔壁から離れるように湾曲して容器に入り、プローブと隔壁との間の封止部に干渉しない。
【0055】
封止アセンブリを容器上に固定するよう配置されたキャップも提供されてよい。この封止アセンブリは、キャップと容器との間に固定され、このキャップは、第2の柔軟な封止要素のアパーチャよりも大きい径を有する開口部を含む。このようにキャップは、キャップの開口部を通過するプローブの挿入を妨げない。なお、開口部は隔壁のアパーチャから径方向外側に離されるので、開口部は、ヘッドスペース・サンプリング又は液体サンプリングなどのシリンジ・ベースのサンプリングに使用できる隔壁の領域を露出させる。
【0056】
第2の封止要素のアパーチャの径は、好ましくは、サンプル・プローブの下部セクションの径よりも大きい。それによって、上部セクションが封止部と係合する間に、確実に下部セクションがアパーチャを円滑に通過する。
【0057】
サンプル・プローブは、下部セクションと、上部セクションとの間で軸方向に配置される、径方向にテーパーが付いたセクションを含んでもよい。テーパーが付いたセクションには、下部セクションの径から上部セクションの大きい径までテーパーが付いている。プローブはアパーチャを通して挿入され、アパーチャを拡張させるので、テーパーが付いたセクションは、下部セクションと上部セクションとの間の円滑な移動を提供する楔機能を有する。
【0058】
次に本発明を、以下の例示的な図を参照して、単に例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0059】
図1】本発明の実施例による、自動サンプリング・システムを示す図である。
図2】本発明の実施例による、サンプル・プローブを示す図である。
図3】本発明の一実施例による、サンプル容器及びプローブの分解組立図である。
図4】プローブが挿入された、図3を組み立てた配置を示す図である。
図5】本発明の実施例による、封止プラグを配置した容器を示す図である。
図6】本発明の別の実施例による、容器の封止配置を示す図である。
図7】本発明の実施例による、サンプル・プローブの洗浄装置の上面図である。
図8図7のA-Aラインに沿った断面図である。
図9】本発明の実施例による、プローブ・アダプタを示す図である。
図10図9のプローブ・アダプタを下から見た図である。
図11】本発明の実施例による、オーブン・アダプタを示す図である。
図12】オーブンに挿入された、使用中の図11のオーブン・アダプタを示す図である。
図13】本発明の実施例による、自動サンプラー・アセンブリを示す図である。
図14】本発明の実施例による、ラッチ配置の断面図である。
図15図14の配置を上から見た図である。
図16】本発明の実施例による、把持機構を含むサンプル・プローブ・アダプタを示す図である。
図17図16のサンプル・プローブ・アダプタの別の図である。
図18】サンプル容器に接続された、図16のサンプル・プローブ・アダプタを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0060】
図1を参照すると、サンプリング、及び採取した液体サンプルを分析する装置1が提供される。採取した液体サンプルは、サンプル容器2に収容される。複数のサンプル容器2が、サンプル・トレイ4に保持される。各サンプル容器2は、「バルク液体」と呼ばれ、ある体積の液体と、「ヘッドスペース」と呼ばれ、バルク液体の上に存在する、ある体積の気体とを保持する。図1の実施例において、装置1は、吸着サンプリング、及びバルク液体サンプルの液体サンプリング、並びにヘッドスペースの吸着サンプリングが可能である。
【0061】
装置は、レール8に沿ってX、Y方向に可動のロボティック・アームを有する、標準のx、y、z3軸のリニア・アクチュエータを含む。複数の吸着サンプル・プローブ10が、プローブ・キャリア12内に保持される。装置1は、洗浄及び乾燥ステーション14、並びにコールド・トラップ及びガスクロマトグラフ(GC)に接続されたオーブン16を更に含む。ロボティック・アームに接続された、プローブ・アダプタ18が提供され、それによってロボティック・アームが、以下で更に説明するようにプローブ10を捕捉することができる。プローブ・アダプタ18は、通常はシリンジ分析に使用される標準のロボティック・アームが、サンプル・プローブ10を捕捉可能に構成するよう機能する。プローブ・アダプタ18は、ロボティック・アームがサンプル容器2を捕捉できるようにも構成される。したがって、プローブ・アダプタ18は、サンプル容器2及びプローブ10を同時に、又は別々に運ぶことを可能にする。
【0062】
サンプル容器2内に保持された液体サンプルを、自動吸着サンプリングの間、まず装置1によって当初のサンプリング前の段階が実施され、そこではサンプル容器2及び吸着剤を運ぶサンプル・プローブ10が準備される。その後のサンプリング前のステップは網羅的なものではなく、説明したシーケンスで実施するようには限定されない。第1に、サンプル容器2が、サンプル容器トレイ4に保存された複数のサンプル容器2から選択される。この選択は、どのサンプル容器2を分析するかに関して、制御ソフトウェアの動作下で制御器によって決定される。次にロボティック・アーム6が、選択されたサンプル容器2をサンプル容器トレイ4から捕捉するよう、操作される。プローブ・アダプタ18を捕捉したロボティック・アーム6は、サンプル容器2をサンプル・トレイ4から持ち上げ、容器2内に収容されたサンプルの特定の要件によって決められたように容器2を加熱及び/又は撹拌するために配置された、培養撹拌器22まで移動させる。この培養/撹拌段階は、サンプリング前のサンプルの平衡を実現するために実施される。
【0063】
サンプリングの前に、サンプル・プローブ10を加熱によって予め熱を調整して、プローブ10の清潔さを確保する。熱を事前調整することは、オーブン16を使用して、又は専用のプローブ調整ユニット(図示せず)を使用して実現してもよい。一旦事前調整すると、プローブ10は直ちに使用されるか、又はプローブ・キャリア12に保存される。プローブ・キャリア12は、吸着材料を備えるプローブの先端を受け入れるよう構成されたチャネルを含み、これらのチャネルは封止されて、プローブ10がその中で保存される間、プローブの健全性を維持する。
【0064】
予め調整した吸着サンプル・プローブ10は、プローブ・キャリア12に保存された複数のプローブ10から選択され、選択されたプローブ10は、捕捉したプローブ・アダプタ18を使用してロボティック・アーム6によって捕捉される。一旦ロボティック・アーム6に保持されると、サンプル・プローブ10はサンプリングを開始する準備が整う。
【0065】
サンプリングの段階において、サンプリング処理及びパラメータは、得られるサンプルに依拠する。吸着サンプリングは、サンプル容器2内に収容されたバルク液体、又は容器2内のバルク液体の上に存在するヘッドスペースをサンプリングすることを含んでよい。サンプリング処理における変数として、容器2内でプローブ10を位置付けること、必要なサンプリング期間、及び撹拌速度が挙げられる。その各々は、共通の制御器及びユーザー・インターフェイスによって制御された要素の各々を用いて、システム内でユーザーが規定できる。
【0066】
サンプリング前の段階において、ロボティック・アーム6によって選択され、且つ係合されたサンプル・プローブ10は、ロボティック・アーム6によって、選択したサンプル容器2のx、y位置に移動される。サンプル容器2は、サンプリング前の段階で培養撹拌器まで移動され、位置されてもよい。次にプローブのロボティック・アーム6は、プローブ10をz軸上で下向きに伸ばして、以下で詳細に説明するように、サンプル容器2の中に導入する。
【0067】
液体サンプリングのため、サンプル・プローブ10はサンプル容器2の中に挿入され、それによってサンプル・プローブ10の先端における吸着材料が、液体サンプルの中に導入される。一旦プローブ10が完全に挿入され、先端がサンプル容器2内に封止されると、サンプル・プローブ10はロボティック・アーム6によって係合解除且つ解放され、所要のサンプリング期間、容器2内のサンプルに残される。次にロボティック・アーム6は自由になり、別のサンプル容器2及びサンプル・プローブ10の操作など、別の作業を実行する。サンプル・プローブ10を係合解除する機能によって、単一のロボティック・アーム6によって、複数の、同時に重複するサンプルを準備して実施することができる。これは、各サンプル容器2に対するサンプリング時間を別々に設定することも可能にし、各容器2は、必要に応じて他のサンプル容器2とは異なるサンプリング期間を有し得る。サンプル・プローブ10の、挿入及び抽出の時間、並びに期間は、ロボティック・アーム6の使用を最適にするよう制御することができる。
【0068】
サンプル・プローブ10は、ユーザーによって、及び/又はサンプルの要件に依拠する装置を制御するプロセッサによって予め決められた期間、サンプル容器2内に残すことができる。サンプリング期間は、各サンプル容器2で詳細に規定することができ、必要に応じ、サンプル容器2の内容物及びサンプルから必要とされる情報に依拠して、サンプル毎に変化させることができる。サンプリング期間の間、サンプル内に含有される化合物は、プローブ10に存在する吸着材料によって捕捉される。サンプリングの間、サンプル容器2は、撹拌及び/又は培養されてよい。
【0069】
ロボティック・アーム6は、サンプリング期間が終了すると、サンプル・プローブ10をサンプル容器2から取り除くように操作される。サンプル・プローブ10をサンプル容器2から取り除く前に、プローブ10及び容器2は、アーム6と容器2との係合を介して、ロボティック・アーム6によって撹拌器から取り除かれる。好ましくは、プローブ・アダプタ18は、容器2のキャップに磁気的に接続するよう構成され、容器2及びプローブ10がロボティック・アーム6によって持ち上げられるようにする。容器2及びプローブ10は、撹拌器22からサンプル・トレイ4に移動される。次にサンプル・プローブ10は、ロボティック・アーム6によって容器2から取り除かれる。容器2はロボティック・アーム6によって解放され、サンプル・トレイ4に残る。次に、容器2を封止するために、プラグ要素又は封止キャップによって容器2に蓋をすることができる。これは、プローブ10がロボティック・アーム6によって保持される間、又はプローブ10がオーブンの中に置かれてから、実施してもよい。
【0070】
サンプリングと、サンプル・オーブン16の中でサンプルを脱着することとの間の、脱着前の段階において、サンプル容器2から取り除かれたサンプル・プローブ10は、サンプル・プローブ10に存在し得る全ての残余液体又はごみを取り除くため、ロボティック・アーム6によって洗浄ステーション14に移動される。サンプル・プローブ10が液体サンプルの中に挿入され、サンプル容器2から取り除く際に液体の滴及び/又は表面フィルムがプローブ10に残ることがある。安定した正確なサンプルの分析を実現するため、余剰液体をサンプル・プローブ10から取り除いて、確実に吸着材料に吸収された化合物のみを脱着して分析することが重要である。サンプル・プローブ10の表面に存在する特定の液体、特に砂糖などの含有物質は、オーブン16の高温で燃焼して発煙することも確認されている。
【0071】
洗浄ステーション14は、洗浄液のジェットを提供する。洗浄液はサンプル・プローブ10上に導かれる、ユーザーが決めた流量、稀釈、持続時間での、濾過した水、又は洗浄溶液若しくは任意で溶剤であってもよい。洗浄ステーション14は、複数の空気ジェットを更に含む。洗浄段階の後、空気ジェットが始動して、空気のジェットをサンプル・プローブ10上に導いてプローブを乾燥させる。ジェットは、空気の膜を作り出すよう準備され、乾燥段階の間、サンプル・プローブ10はゆっくりと洗浄ステーション14から取り出されて、サンプル・プローブ10の端部を引いて、乾燥効率を最適化するように空気の膜に通す。洗浄ステーション14は、以下で更に詳細に説明する。
【0072】
洗浄して乾燥したサンプル・プローブ10は、ロボティック・アーム6によってオーブン16に移動される。サンプル・プローブ10は、z軸上で下げられ、オーブン16の封止された入口ポートに入る。オーブン16は、一旦プローブ10がオーブン16の入口ポートに挿入されると、ロック位置まで摺動するよう配置された摺動ラッチ機構を含む。ラッチはプローブ10と係合し、プローブ10をz軸上で垂直方向に拘束することによってオーブン内の所定位置にロックして、オーブン16から外れるのを防止する。ラッチによってサンプル・プローブ10を拘束して所定の位置にロックすることで、ロボティック・アーム6は、オーブン16内で発生する圧力によってサンプル・プローブ10がオーブン16から放出される恐れなく、サンプル・プローブ10を解放することができる。更に、一旦ロボティック・アーム6がプローブ10を解放すると、別の作業を実行できる。
【0073】
サンプル・プローブ10がオーブン16の中に挿入されてロックされると、自動漏洩試験を実行してサンプルの健全性を確保する。次にサンプル・プローブ10の吸着材料は、オーブン16で加熱され、サンプル容器2から吸着材料で採取された化合物は、不活性キャリア・ガスの流れの中で、一般的にコールド・トラップと呼ばれるフォーカシング・トラップまで移動される。次にサンプルは、フォーカシング・トラップから迅速に解放され、解放されたサンプルの内の少なくとも一部は、分析のためにガスクロマトグラフ(GC)に移動される。解放されたサンプルの一部は、吸着チューブに移動されてもよい。この例では、コールド・トラップはバッファとして機能し、吸着チューブがサンプルを採取するために配置される間、サンプルを保持する。吸着チューブに付いたサンプルを採取することで、別の再分析のためにサンプルを保管できる。サンプリングの手順が1つ又は複数の再分析ステップを必要とする場合、吸着チューブに付いたサンプルは、当初の分析の直後に再分析することもできる。システムは、吸着チューブを「自動サンプラー」として利用し、チューブ・マガジン又はカルーセル、及びオーブンを備える。自動サンプラーのマガジンは、複数の吸着チューブを含む。フォーカシング・トラップからの解放後、サンプルは分割されてよく、解放されたサンプルの一部は、自動サンプラーによってマガジンから選択された吸着チューブまで送ることができる。吸着チューブには、いかなるサンプルも付いていなくてもよく、又はサンプリング手順中に得られた、前のサンプルを保持していてもよい。例えば、吸着チューブはヘッドスペース・サンプルを保持してもよく、それは次に吸着サンプルによって捕捉され、サンプル化合物のより完全な分析をもたらす。そのサンプルを保持している吸着チューブは、次にマガジンからの別のチューブと交換されるか、又は自動サンプラー吸着チューブ・オーブンを使用して、第2の分析のために、保存されたサンプルをガスクロマトグラフ(GC)に再解放してもよい。
【0074】
自動サンプラーを自動プローブ・サンプラーと組み合わせることで、繰り返し分析、並びに複数のサンプルを単一の吸着チューブ上に濃縮する可能性、及び/又はサンプルを保管する可能性という選択肢を伴う、迅速なサンプル分析を可能にする。自動プローブ・サンプリング・システムのための、これらの設備は現在のところ存在しない。
【0075】
サンプルをコールド・トラップに解放した後、オーブン16はキャリア・ガスから分離される。次にオーブン16は冷却され、一旦冷却されると、ロボティック・アーム6はプローブ10に再び取り付けられ、ラッチ機構は係合解除する。次にサンプル・プローブ10は、オーブン16から取り除かれて、再使用のためにプローブ保存コンテナ12の中に戻される。サンプル・プローブ10を取り除いた後に、ごみの侵入を防ぐため、蓋がオーブン16の上で閉まる。
【0076】
単一のサンプルを分析する上述の処理中、ロボティック・アーム6がサンプル・プローブ10から係合解除されたときに、1つ又は複数の別の事前サンプリング、サンプリング、事前脱着、及び脱着作業を、複数の別のサンプル容器プローブのために実行するよう、ロボティック・アーム6を操作することができる。制御器は、最適な生産性のためのスループットを最大にするために、これら複数の同時作業を最も効率的な方法で操作するよう、プログラムされてよい。
【0077】
図2を参照すると、サンプル・プローブ10は、ステム・セクション20及び先端セクション22を含む。ステム・セクション20は、プローブ10の主本体を備える。円筒形のステム・セクション20は、その上端部24に、ステム・セクション20の主シャフトよりも大きい径を有するコネクタ部分26を含む。コネクタ部分26は、外周方向に延びて斜角が付いた、小さい径の係合チャネル28を含む。係合チャネル28は、ロボティック・アーム6のz軸アクチュエータの対応するラッチ要素を受け入れるように構成される。ラッチ要素は、ばねを装填したボール・キャッチ、又は、プローブ10を垂直方向に保持するためにチャネル28の中に延びて係合するよう構成された、任意の他の好適な要素であってよい。z軸アクチュエータは、ばねを装填したボール・キャッチを解放するために垂直方向に摺動する、解放機構を更に含む。
【0078】
ステム20はロック・セクション31を含む。ロック・セクション31は、間にチャネル38が形成され、ステム20の主本体よりも大きい径を有し、径方向に延びる上部34及び下部36の肩セクションを備える。チャネル38は、ラッチ・プレート又は同様のロック要素を受け入れるよう配置される。ラッチ・プレートは、所与の箇所において、プローブ10を垂直方向にロックする必要がある箇所にプローブ10が受け入れられるときに、ラッチ・プレートがチャネル38と垂直方向に位置を合わせられるよう、好ましくは、ラッチ・プレートの下面が、下肩部36に位置を合わせられるように配置される。プローブ10は、ラッチ・プレートのアパーチャを介して受け入れられてもよい。ラッチ・プレートは、ロック位置まで水平方向に摺動可能で、ここで、プレートの少なくとも一部がチャネル38の少なくとも一部の中に受け入れられる。ラッチ・プレートがチャネル38に受け入れられたとき、下肩部36がラッチ・プレートと係合することによって、プローブ10が垂直方向に外れるのを防止する。
【0079】
ステムは、バーコード又は他のプローブの識別子を提供するために、印刷、又はレーザー・マークなどを施された、同心リングを有する凹んだセクション30を有する。セクション30は、バーコード又は他の識別子の摩耗を最小限に抑えるため、凹んでいる。バーコード又は他の識別子は、バーコード・リーダー122として、又は別個のモジュール(図示せず)として、プローブ・アダプタ18内に位置される。
【0080】
上部ステム・セクション20は、ベース端部に雌ねじを有する内部チャネルを含む。下部ステム・セクション22は、上部ステム・セクション20のねじ山セクションと係合するよう対応したねじ山部分を含み、下部ステム・セクション22を上部ステム・セクション20に接続する。下部ステム・セクション22の上端部44は、上部ステム・セクション20の径と一致する径を有する。下部ステム・セクション22の径は、テーパー・セクション46で、テーパー・セクション46の長さに沿って、小さい径である下端部セクション48まで減少する。その遠位端において、下部ステム・セクション22は、先の尖った穴開け先端部50を含み、プローブがサンプル容器の隔壁のアパーチャを通って挿入するのを補助する。
【0081】
下部ステム・セクション22は、吸着材料を含む。図2の配置では、吸着材料は、長手方向に位置を合わされ、且つ径の反対側に溝を切られた、一対の吸着剤チャネル52に提供される。一対の吸着剤チャネル52は、長手方向に延び、径方向内側に、下部ステム・セクション22の本体の中に凹んでいる。一対の吸着剤チャネル52は、互いに等しい長さを有し、テーパーが付いた先の尖った先端50から長手方向の中心寄りに離された、第1の下端部を有する。各チャネル2の上端部は、テーパーが付いたセクション46から長手方向下側に離されている。吸着剤チャネル52は、吸着サンプリングを実施するのに好適な吸着材料54を収容する。好ましくは、吸着材料54はポリジメチルシロキサン(PDMS)であるが、特許請求の範囲で詳述するような、他の材料も使用することができる。長さ、深さ、及び幅を含む、各チャネル52の寸法は、収容する吸着材料54の体積を規定するよう選択される。
【0082】
図3に示すように、サンプル容器2は、保存コンテナを画定する円筒形の中空ガラス本体58、及び開口部にリム62を有するネック部60を含む。リム62は、本体セクション58の上肩部68から離れた下縁部66を有する、外側に広がったリブ64を含む。リム62の径に対応する径を有するシリコーン・ディスク70が、リム62の上面に着座して、コンテナの隔壁を提供する。隔壁70は、プローブ10の下部セクション48が通過できるよう構成された径を有する、中央アパーチャ72を含む。アパーチャ72の径は、先端部22の下部セクションの径以上であるが、上部セクションの径未満である。ポリ四フッ化エチレン(PTFE)膜71が、シリコン隔壁70の下に位置され、リム62と隔壁70との間でリム62に着座する。ディスク形状のポリ四フッ化エチレン(PTFE)膜71は、シリコン隔壁に接合されて、2つの構成要素間の封止を最適にする。ポリ四フッ化エチレン(PTFE)膜はアパーチャを含まず、気体が隔壁のアパーチャ72を通して逃げるのを防止するために、容器2を封止する。プローブ10がアパーチャ72を通して挿入されると、プローブ10はポリ四フッ化エチレン(PTFE)封止部に穴を開ける。図4に示すように、ポリ四フッ化エチレン(PTFE)封止部71は、プローブ10の先端セクション22の下端部によって穴を開けられると、内側に曲がる。
【0083】
容器2は、プローブ10の最大径よりも大きい開口アパーチャを伴う、環状の上面76を有する金属製キャップ74を更に含み、それによってプローブ10を、上面76の開口部の縁部と係合することなく、キャップ74のアパーチャを通して挿入することができる。キャップ74は、下縁部が開いている側壁78を更に含む。キャップ74の径は、リブ66の径と実質的に等しく、それによってキャップ74はリブ66を越えて挿入することができる。次に側壁78の下端部は、リブ64の下縁部66の上に圧着され、キャップ74をリム62上の所定の位置に固定する。隔壁70及びポリ四フッ化エチレン(PTFE)封止部71は、キャップ74とリム62との間の所定の位置に保持される。キャップ74の開口アパーチャは、隔壁封止部のアパーチャ72よりも大きい。したがってアパーチャ72は、キャップ74の開口アパーチャの径方向内側に離され、開口部の内側周辺とアパーチャ72との間の隔壁封止部のセクションを露出させる。この露出した隔壁の環状セクションによって、吸着サンプリングの前に、ヘッドスペース・サンプルなどを容器2から取り出すために、隔壁にシリンジによって穴を開けることが可能になる。隔壁70は、シリンジ・ニードルを回収する際に再封止することができ、アパーチャ内の露出したポリ四フッ化エチレン(PTFE)膜71が無傷のままであるために、容器の封止部は維持される。
【0084】
先端セクションの下部セクション48の小さい径は、隔壁70のアパーチャ72を通したプローブ10の初期の挿入を容易にする。下部セクション48の径は、使用中に隔壁の開口部を通して比較的容易に、制限された摩擦で摺動するように選択される。アパーチャ72の径は、下部セクション48との僅かな封止嵌合をもたらすように、又はアパーチャの周縁部が下部セクション48から離されて、下部セクション48が隔壁70に擦れるのを防止するように、選択してもよい。プローブ10が更に挿入されると、テーパーが付いたセクション46は隔壁70に到達する。テーパーが付いたセクション46の広がる径は、より大きい径のセクション44に移行する。アパーチャ72の径は、上部セクション44の径未満となるように選択され、精密公差又は好ましくは干渉をもたらす。このように、上部セクションがアパーチャ72に受け入れられると、明白な封止が隔壁70にもたらされる。
【0085】
上部セクション44と隔壁70との間のこの封止係合によって、サンプル容器及び/又はプローブ10に、より複雑な追加の封止部の配置を必要とすることなく、非常に簡単な方法で容器2を封止する。
【0086】
プローブ10の挿入前に、容器2はポリ四フッ化エチレン(PTFE)膜71によって封止されている。容器2からサンプルを得るため、プローブ10は隔壁70の予め形成されたアパーチャ72を通して挿入される。先端部50がポリ四フッ化エチレン(PTFE)膜に穴を開け、プローブ10が隔壁70及びポリ四フッ化エチレン(PTFE)膜71を通して容器2の中に挿入される。図4は、プローブ10がサンプル容器2の中に挿入され、それによって、先端セクション22の下部セクション48及びテーパーが付いたセクション46が、隔壁70の開口部72を通して完全に挿入された配置を示す。開口部は、先端セクション22の上部セクション44の、より大きい径まで広げられている。この条件で、開口部72は、先端セクション22の上部セクション44のより大きい径によって広げられ、開口部72の内側縁部と上部セクション44の外面との間の係合が、液体及び気体の堅固な封止部を作り出し、同様に非常に堅固な締り嵌めをもたらして、サンプル容器22は必要に応じてプローブ10によって持ち上げられる。更に、プローブ10がサンプル容器2から回収される際に、隔壁70がかなりの量の液体を先端セクション22から取り去るよう機能するように、アパーチャ70は先端セクション22の外面と係合する。
【0087】
プローブ10をサンプル容器2から回収する際、アパーチャ72は開いたままである。したがって、図5に示すように、止め具80がアパーチャ72を閉鎖して封止するために設けられる。止め具80は、ディスク形状のキャップ部82と、キャップ・セクション82の下面から延びるプラグ・セクション84とを含む。プラグ・セクション84は、実質的に円筒形で中心に位置し、隔壁70のアパーチャ72を通して挿入されるように構成される。プラグ84は、大きい径の下部セクション86を含み、プラグ・セクション84の上部88は、アパーチャ72の広がっていない自由な状態の径よりも大きい遠位端に比べて小さい径である。プラグ84は、アパーチャ72を通して挿入され、一旦全体が挿入されると、キャップ・セクション82は、サンプル容器2のキャップ74の上面76に着座する。一旦プラグ84の、より大きい径のセクション86が完全にアパーチャ72を通過すると、大きい径は顎として機能して、プラグ84をアパーチャ内に維持して、後退するのを防止する。上部セクション88が、アパーチャ72よりも大きい径を有するので、上部セクション88は、プローブ10と同じ封止方法でアパーチャ72を封止する。封止キャップ82は、封止容器2のキャップ74と同じ方法で、ロボティック・アーム6のプローブ・アダプタ18によって磁気的に持ち上げられるように、金属で形成される。
【0088】
止め具80の代替で、図6は封止キャップ118を示す。封止キャップ118は、サンプリング後に容器を封止するために、サンプル容器に適用することができる。このキャップ118は、ステム120と、プローブ10のステム22及びヘッド26の形状に対応したヘッド・セクション126とを備える。キャップ118は、サンプル容器2の上端部を覆って嵌めるよう構成される。Oリング128又は同様の封止部が、キャップ118の内側縁部の周りに提供されてもよく、それがキャップ78の外面、及び容器2の上端部を封止する。封止キャップ118は、ロボティック・アームを使用してサンプル容器2に押し込まれ、内径118と容器のキャップ78の外径との間に、封止部が作り出される。ステム120及びヘッド・セクション126の形状によって、容器2を移動させるために、ステム120がロボティック・アームに接続され、持ち上げられるようになる。
【0089】
図7は、洗浄/乾燥ステーション14を上から見た図である。洗浄/乾燥ステーション14のキャップ・セクション87は、複数の入口アパーチャを含む。入口アパーチャの第1のセット90は、複数の液体導管によって、上述のような洗浄液の供給部に接続される。入口アパーチャの第2のセット92は、圧縮空気の供給源に接続される。開口アパーチャ94は、プローブ10を受け入れるために、キャップ87の中央に位置される。
【0090】
ラインA-Aに沿った断面図が図8に示される。液体及び空気の入口ポート90、92は、キャップ・セクション87の上面から下向きに延びる環状で斜角の付いた面に形成され、環状アレイに配置される。入口90、92は下向きに角度が付けられ、環状で斜角の面に対して実質的に垂直に、キャップ・セクション87の本体を貫通する。チャネル90、92の、より広い外側端部は、液体及び空気導管を固定するためのコネクタによって接続する、接続ポートを画定する。それらのチャネルには、内側端部において、洗浄ステーション14の本体102内で画定された内側チャンバ100の中に延びる、小さい径の出口セクション98まで、内側にテーパーが付いている。ノズルを、入口98の内側端部に設けてもよい。ノズルは、液体又は空気の必要な流れ及びジェット特性を、チャンバ100の中に提供するよう構成される。
【0091】
洗浄プログラムの第1の段階において、加熱されるか、冷却されるが、又は常温である洗浄液を液体入口90に提供して、ポンプで圧力をかけて入口チャネル98を通過させる。液体の流れによって作り出した噴霧がチャンバ100内に入り、プローブ10の先端セクション22に導かれる。液体噴霧のタイミングは選択的に変化させることができ、ユーザーが規定してもよい。例えば、一旦サンプル・プローブ10がチャンバ100の中に完全に挿入されると、噴霧が始動されてもよい。或いは、プローブ10が最初にチャンバの中に導入される間、又はその前に噴霧が始動されてもよく、それによって、プローブ10はチャンバ100の中に挿入されるにつれて、その長さに沿って直接噴霧される。液体入口90の下向きの角度は、ジェットが先端セクション22に下向きに導かれることを意味する。これによって、封止材のない入口94を通る、いかなる跳ね返り又は上向きの噴霧も制限し、プローブ10と入口開口部94との間の締り嵌めによって、更に制限される。封止しないことで、清潔なプローブ10を封止材との接触によって汚染する可能性を防止する。封止材は、プローブ10がチャンバ100から後退する際に汚染を隠すことがある。キャップ周りの複数の液体入口90の環状配置は、先端セクション22の全ての周囲に噴霧することを意味する。先端セクション22から流れ落ちる液体は、下向きに出口108まで流れ、出口108を通してチャンバ100から排出される。
【0092】
制御器は、予め決められた期間で洗浄サイクルを実行するよう構成される。一旦洗浄サイクルが完了すると、乾燥サイクルが開始される。これは、直ちに開始されるか、又は液体のバルクが先端セクション22から流れ落ちるよう提供された時間間隔の後に開始されてよい。圧縮空気がポンプで、空気入口92を通してチャンバの中に入れられ、環状に配置された空気ジェットが、先端セクション22の周縁部の周りを一周する空気の幕を作り出す。液体入口90と同様に、空気入口92は、下向きにチャンバ100のベースに向かって角度が付いている。空気の幕は、空気入口92の領域に集中するが、ある程度の乾燥が、チャンバ100内で作り出された空気の循環によって空気入口92の領域の下で生じる。一旦空気入口92によって空気の幕が作り出されると、プローブ10はチャンバ10から垂直方向に後退してよい。プローブ10が上向きに後退すると、先端セクション22は、空気の幕を通して引かれ、その全長に沿った乾燥がもたらされる。乾燥効率を改善するために、入口92に供給される空気は、チャンバ100に入るまでに加熱、又は冷却されてもよい。洗浄/乾燥ステーション14は、溶剤をプローブ10に通過させることによって、サンプルをプローブから取るためにも使用できる。この液体サンプルは、チャンバ100のベース部から出る際に採取することができる。
【0093】
ロボティック・アームにサンプル・プローブ10を操作させるため、図9に示すように、ロボティック・アームを使用するためにサンプル・プローブ10に適合される、プローブ・アダプタ18が提供される。プローブ・アダプタ又は輸送アセンブリ18はまた、サンプル容器2、及び/又はサンプル容器2とプローブ10との両方を同時に輸送するよう設計される。プローブ・アダプタ18は本体110を含み、本体110から上向きに延びる第1のピックアップ・コネクタ112を伴う。ピックアップ・コネクタ112は、プローブ10のステム20のヘッド26と同じ構成である、ヘッド114を有する。アダプタのピックアップ・コネクタ112は、ロボティック・アーム6の固定された機械式ラッチによって捕捉されて、接続される。
【0094】
ロボティック・アーム6のz軸アクチュエータの第1のものは、第2のz軸アクチュエータとは横方向に距離Dだけ離される。アパーチャ116が本体110に形成され、この円形アパーチャ116は、アダプタのピックアップ・コネクタ112の長手方向軸から距離Dだけ離された中心軸を有し、それによって、プローブ・アダプタ18が第1のz軸アクチュエータの固定されたラッチ機構に接続されたときに、第2のz軸アクチュエータと同軸となる。中空の円筒形壁118は、プローブ・アダプタ18の上面から直立するアパーチャ116の周縁部の周りに延びる。壁118は空隙を伴う半環状で、上面119を含む。使用中、第2のz軸アクチュエータが、アパーチャ116を通して解放深さまで下向きに移動するとき、解放機構の摺動するカラーが上面119と係合して、ばねを装填したラッチを解放し、サンプル・プローブ10を取り外すことができる。プローブ・アダプタ18のこの要素によって提供された止め具面がないと、複数サンプルの自動サンプリングに必要な、ロボティック・アーム6の標準的なz軸アクチュエータがサンプル・プローブ10を解放することが不可能となる。
【0095】
図10に示すように、円筒形壁123は、本体110の下面から下向きに延びる。1つの磁石又は複数の磁石121が、壁123の下縁部に設けられる。アパーチャ116の径は、プローブ10が妨げられずにアパーチャ116を通して上に延びるよう、且つプローブ10の径よりも大きくなるよう選択される。プローブ・アダプタ18は、プローブ10のステム20に設けられた凹んだバーコード・セクションを読み取るよう配置された、バーコード・リーダー122も含む。これによって、各プローブ10が、サンプル及び分析処理を通して追跡され得る。
【0096】
主アパーチャ116を通してロボティック・アーム6に取り付けている第1のプローブ10に加えて、同一の第2のプローブを、第2のz軸アクチュエータを使用して、第2の軸124に沿ってロボティック・アームに接続することができる。これによって、ロボティック・アーム6が、2つのサンプル・プローブ10並びにサンプル容器2へ、いつでも移動させることができる。
【0097】
使用中、プローブ・アダプタ18は、ロボティック・アーム6によって選択されて捕捉され、ロボティック・アームの第1のz軸アクチュエータが、ピックアップ・コネクタ112によってプローブ・アダプタ18を持ち上げる。好ましくは環状壁123の径は、サンプル容器の蓋の径と実質的に等しい。しかし、アパーチャ116がサンプル容器2と同心円状に位置を合わせられたときに、磁石セクション121の少なくとも一部がサンプル容器2の蓋に着座して係合できるような、任意の好適な構成であってもよい。プローブ・アダプタ18は、壁123の下面をサンプル容器2のキャップ74に接触させるよう位置付けることによって、サンプル容器2を捕捉してもよく、それによって磁石部121は、サンプル容器2の金属製キャップに磁気的に固定される。これは、サンプル容器2に位置されたサンプル・プローブ10を伴い、又は伴わずに行ってもよい。プローブ・アダプタ18は、アパーチャ116をプローブ10の軸と同心円状に位置を合わせることによって、プローブ10を捕捉するよう移動されてもよい。プローブ10のステム20は、アパーチャ116を通して延びることができ、次にロボティック・アーム6のz軸アクチュエータは、ステム20のヘッド26に接続することによって、プローブ10を捕捉できる。プローブ10は、アパーチャ116を通してz軸上で作動させることができる。
【0098】
プローブ・アダプタ18は、サンプリングのためにプローブ10がサンプル容器2に挿入されたとき、プローブ10及びサンプル容器2を捕捉することもできる。この配置において、プローブ・アダプタ18は、磁石セクション121が、プローブ10が延びているサンプル容器2のキャップと係合するまで、プローブ10の上に下げられてもよい。次にプローブ10は、z軸アクチュエータによって同時に係合され、プローブ・アダプタ18は、z軸アクチュエータによって持ち上げられ、サンプル容器2は、プローブ10によってではなく、サンプル容器2のキャップによって直接持ち上げられる。しかし、プローブ10とサンプル容器2との間の封止部は、サンプル容器2が、蓋との間の封止部を弱めることなく、z軸アクチュエータによって持ち上げられるときに、プローブ10によって直接持ち上げられてもよいような封止部であることに留意されたい。
【0099】
ロボティック・アーム6は、プローブ・アダプタ18をアダプタ交換ステーションから選択して捕捉するように、制御且つ操作されてよい。アダプタ交換ステーションは、以下で更に詳細に説明するように、プローブ・アダプタ18及びヘッドスペース・シリンジ・ツールを収容する。プローブ・アダプタ18は、通常はシリンジ分析に使用される標準のロボティック・アーム6が、サンプル・プローブ10を捕捉できるよう構成されるアダプタとして機能する。プローブ・アダプタ18は、ロボティック・アームがサンプル容器2を捕捉できるようにも構成される。
【0100】
シリンジ・アダプタを捕捉して、操作するために使用されるものと同様の機構を使用する利点は、シリンジ及びプローブ10を利用した一連の操作が、単一のサンプル又は連続したサンプルに対して順番に自動で実施され、サンプルのスループット及び分析の適応性を増加させるという点で明白である。例として、シリンジは、ヘッドスペース・サンプリングを可能にするよう提供され得る。ヘッドスペース・シリンジのニードルは、サンプル容器を封止した隔壁を通して挿入され、ヘッドスペース・ガスのサンプルを採取するよう構成される。ヘッドスペース・シリンジは、プローブ10を操作するために使用されるのと同じロボティック・アームによって係合されて操作されるように構成される。
【0101】
代替の実施例において、図16に示すように、アダプタ318は、サンプル・プローブ310を把持するよう構成された把持ツール320を含む。把持ツール320は、閉構成と開構成との間で可動で、サンプル・プローブ310を把持及び解放する、対向するフィンガー322を備える。把持ツール320は、サンプル・プローブ310のヘッドを堅固に把持するよう構成された先端部323を有する把持フィンガー321を含み、それによってプローブが把持ツール320に対して直線的に固定される。プローブ・アダプタ318は、本体310から延びたピックアップ・コネクタ312を含む。ピックアップ・コネクタ312は、プローブ・アダプタ312を持ち上げて移動させるために、ロボティック・アームの固定された機械式ラッチによって捕捉され、接続されるよう構成されたプローブ・アダプタ318を作動可能にする。プローブ・アダプタ318は、把持ツール320と動作可能に接続される本体310から、上向きに突出する第2のコネクタ324を更に含む。第2のコネクタ324は、ロボットによって接続されるよう配置されたピックアップ・コネクタ312の接続ヘッドと同じ構成の、接続ヘッド326を含む。
【0102】
プローブ・アダプタ318は、第3のコネクタ325を更に含む。第3のコネクタ325は、ロボットによって接続されるよう配置されたピックアップ・コネクタ312の接続ヘッドと同じ構成の接続ヘッド329を含む。
【0103】
ロボットによって接続されたとき、ロボットによる第3のコネクタ325の直線的作動は、把持ツール320を第2のコネクタ224の垂直軸の周りに回転させる。この回転によって、サンプル・プローブ310を回転させ、それが次に、サンプル・プローブ310を任意の方向に位置付ける。この機構は、サンプル・プローブ310の本体に適合されたバーコード、又はサンプル容器2上のバーコードの、自動化された読み取りに使用する。
【0104】
ロボットによって接続されたとき、ロボットによる第2のコネクタ324の直線的作動は、把持ツール320を開閉させる。プローブ・サンプリング・サイクルの間、把持ツールのプローブ・アダプタ318は、ロボットによって捕捉される。ロボットは第1のコネクタ312及び第2のコネクタ324に接続する。次にロボットは、把持ツール320をプローブ・アダプタ318から接続解除することなく作動させることによって、サンプル・サイクルが必要とする回数だけ、サンプル・プローブ及び容器を取り上げ、解放してよい。この配置の利点は、サンプリング・サイクルの間にプローブ・アダプタに1回のみしか接続する必要がないので、ロボットのコネクタを摩耗から保護することである。反対に、前の実施例では、ロボットはサンプル・プローブ10に直接接続し、したがってサンプリング・サイクルの間、全てのプローブ10を接続及び接続解除しなければならない。ロボットのコネクタを交換することに比べて、摩耗により把持フィンガーの先端部を交換することは、著しく容易且つ安価である。
【0105】
把持フィンガー321の先端部323の各々は、サンプル・プローブ310のヘッドの大きい径のセクション328を受け入れるよう構成された、チャネル327を含む。図17に示すように、先端部323の対向する遠位端330の各々は、プローブ310のヘッドの小さい径のセクション334の外面に対応する、湾曲して切り取られたセクション332を含む。使用中にサンプル容器と面する、先端部323の軸方向端部面336は、埋め込まれた磁石338を含む。
【0106】
磁石338は、サンプル容器2のキャップ74と係合するよう配置される。図18に示すように、把持ツール320はキャップ74と係合するよう移動される。フィンガー先端部323の遠位端面336に位置された磁石338は、金属製キャップ74と係合して、磁気的に接続する。一旦磁気的に固定されると、把持ツール320はサンプル容器2を取り上げることができる。これは、把持ツールが、サンプル容器又はサンプル・プローブを選択的に捕捉することを可能にして、プローブ・アダプタを交換する必要なく、両方をロボットによって操作することを可能にする。
【0107】
サンプルの液体及びヘッドスペースの分析の組み合わせを容易にするために、オーブンは、サンプル・プローブ10及びヘッドスペース・サンプリングのシリンジ・ニードルの両方を受け入れる機能が必要となる。吸着サンプル・プローブ10と使用するよう構成された、オーブンの入口アパーチャは、シリンジ・ニードルとの使用は好適ではない。細いニードルは、サンプル・プローブ10に必要な比較的大きい入口チャネル内の封止部を作り出すことはできない。そのため、オーブン・アダプタ150が、図11に示すように提供される。オーブン・アダプタ150は、オーブン16の入口アダプタ内に位置して固定される。オーブン・アダプタ150は、サンプル・プローブ10の上部の形状に対応する外形を有し、サンプル・プローブ10と同じ方法で、オーブン16の開口部内に固定され、且つ封止する。オーブン・シリンジ・アダプタ150は、オーブン16の加熱されたチャンバと開放連通して、シリンジ・ニードル154を受け入れるよう構成された、中央チャネル152を有する。ニードルがチャネルに挿入されるとき、封止配置が、外部の雰囲気とオーブンの加熱されたチャンバとの間の封止部を維持するために提供される。図11の配置では、シリンジとオーブンとの間の気体を封止する配置が、アダプタ本体158と上部160との間に保持された隔壁156を備える。
【0108】
アダプタ150が図12に示され、オーブン16の開口部内に嵌められている。アダプタ150は、サンプル・プローブ10と同じ方法で、入口に嵌めて封止する。オーブン・アダプタ150は、オーブン16内で同じプローブ10を保持するために、上述したように同じ蓋のラッチ機構161によって、オーブン16の所定の位置に保持される。ニードル154は、シリンジ・ニードル156とオーブン16の内部との間に封止部を作り出す、アダプタ・アセンブリ150の隔壁156を通過する。サンプルはシリンジから放出され、オーブン16のライナー162に入り、次にキャリア・ガスによってコールド・トラップまで清掃されて、その後、上述のようにガスクロマトグラフ(GC)に移動される。
【0109】
アダプタのヘッドの形状は、アダプタをロボティック・アーム6による操作を可能にして、オーブン16を、ユーザーの干渉なく、同じ分析中にシリンジ・ベースのサンプリング及び固相分析の両方に使用するために、自動的に再構成することを可能にする。同じ原理が、他のサンプル抽出デバイスと操作するために、サンプル入口を構成するよう採用され得ることが、想定される。
【0110】
プローブ・サンプリングと同様に、別のヘッドスペース・サンプルがフォーカシング/コールド・トラップ、及び/又は第2の吸着トラップが、保管及び繰り返し分析のために、適用されてよい。一旦必要なサンプルがコールド・トラップに存在すると、オーブン16はキャリア・ガスから離され、フォーカシング・トラップが、分析、並びに/又は保管及び繰り返し分析のための第2の吸着トラップのためにガスクロマトグラフ(GC)のコラムに導かれたキャリア・ガスの流れの中で、加熱される。一旦コールド・トラップに採取されたサンプルが、ガスクロマトグラフ(GC)のコラムに送達されるか、又は別のヘッドスペース・サンプルを必要としない場合、オーブン16は冷却される。一旦冷却されると、ロボティック・アーム6はオーブン・アダプタ150と係合し、ラッチ161が係合解除され、必要なサンプル・プローブ10の挿入を可能にするよう、オーブン・アダプタ150が取り外される。
【0111】
図13は、複数チューブのサンプリング・アセンブリ170を示し、ここではサンプル・プローブ10から脱着されたか、又はヘッドスペース・サンプルから得られた、サンプルの1つ又は複数が、保管目的のために、吸着剤で満たされた再採取チューブ172に採取されてもよい。再採取チューブ172は、複数の再採取チューブ172を保持するよう構成されたサンプル・チューブ・トレイ174の中に装填される。サンプル・チューブ・トレイ174は、複数のサンプル・チューブ・トレイ174を保持できるトレイ・ハウジング176の中に挿入される。再採取サンプル・チューブ・トレイ174は、キャップを介してノズル178を封止する位置において、アクチュエータを介して現在の再採取サンプル・チューブ172へ移動される。バルブ配置がサンプルの一部又は全体を、オーブン16から直接又はコールド・トラップを介してチューブ172に向けて導き、そこでサンプル内の検体はサンプル内に含まれた吸着材料に選択的に吸着される。
【0112】
脱着オーブン180によって、採取チューブ172が加熱され、それによって再採取されたサンプルは、再分析又は別の再採取のために、同じか又は代替のフォーカシング・デバイスに戻して再脱着されてもよい。同じ方法で、実施例の別個のチューブに採取されたサンプルが分析され、再採取されることが確認できる。
【0113】
好ましくはサンプリング装置は、位置合わせ要素も含む。位置合わせ要素は、サンプル・プローブがサンプル容器に受け入れられて垂直方向に位置を合わせられ、第2の垂直アクチュエータによって接続可能となったときに、サンプル・プローブに係合する。サンプル・プローブは、柔軟な隔壁によって容器内で支持される。使用中、サンプル・プローブが容器に、完全な垂直方向に挿入されても、時間が経つと、特に撹拌中に垂長軸から傾き始めることがある。サンプル・プローブが垂直軸に位置を合わせられていない場合、垂直軸で動作するアクチュエータがサンプル・プローブを再び得ることは困難である。
【0114】
位置合わせ要素は、サンプル・プローブの両側と係合するために動くよう、水平で反対方向に可動である第1及び第2の位置合わせ要素を含んでもよい。位置合わせ要素は、サンプル・プローブと係合してサンプル・プローブを実質的に垂直方向に保持する位置合わせ位置と、サンプル・プローブ及びサンプル容器が垂直方向に持ち上げられる解放位置との間で、可動である。
【0115】
図14に示すように、例えば撹拌中、サンプル・プローブ10がサンプル容器2に受け入れられるときに、垂直方向にサンプル・プローブ10の位置を合わせるために、位置合わせ機構200が設けられる。位置合わせ機構200は、水平方向に配置された上部位置合わせプレート202と、上部プレート202と平行に配置された下部位置合わせプレート204とを含む。上部プレート202はアパーチャ206を含み、下部プレートはアパーチャ208を含み、それら両方はサンプル容器2よりも大きい径を有する。プレート202及び204は、反対の水平方向に可動となるよう作動される。図15に示すように、上部プレートに形成されたアパーチャ206は、実質的に円形である。各アパーチャ206は、そこから延びる誘導チャネル210を含む。上部プレート202は長手方向の方向軸C上の水平方向に可動である。誘導チャネル210は、プローブ210のステムの径と実質的に等しい径を有し、アパーチャ210から、移動の長手方向軸Cに対応する共通の長手方向に延びる。下部プレート206のアパーチャ212は、上部プレート202のアパーチャ210と同じ位置列に配置され、第1の解放位置において、アパーチャ210と完全に位置を合わせられる。アパーチャ212の誘導チャネル214は、反対側の長手方向に、誘導チャネル210まで延びる。図15の位置合わせ位置において、誘導チャネル210及び214は、サンプル・プローブ10を受け入れるための円形アパーチャを画定するために位置を合わせる。位置合わせ位置において、誘導チャネル210及び214によって画定されたアパーチャ218は、サンプル容器2のサンプリング軸と、中心に位置を合わせられる。このように、サンプル・プローブ10は、位置合わせプレート202及び204のアパーチャ218によって、サンプル容器2のサンプリング軸に、その下端部及び上端部において保持される。解放位置において、主アパーチャ202及び204は、チャネルを画定するために位置を合わせ、このチャネルを通して、サンプル容器は妨げられることなく垂直方向に動くことができ、それによってアクチュエータ6が、サンプル容器2及びサンプル・プローブ10を、位置合わせプレート202及び204を通して垂直方向に持ち上げることが可能になる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
【手続補正書】
【提出日】2024-01-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸着サンプリングのためのサンプリング装置であって、
サンプリングされる液体を収容するサンプル容器と、
前記サンプル容器に挿入されるように構成され、前記サンプル容器から検体を捕捉するために配置された吸着材料を含むプローブ・セクションを有するサンプル・プローブと、
第1及び第2のアクチュエータを備えるロボティック・アームと、
前記第1のアクチュエータに解放可能に接続するように構成された第1のコネクタ、及び前記サンプル容器に解放可能に接続するように構成された第2のコネクタを有するサンプル・プローブ・アダプタと
を含み、
前記ロボティック・アームは、前記サンプル・プローブ・アダプタ及び前記第2のアクチュエータを介してそれぞれ互いに独立して前記サンプル容器及び前記サンプル・プローブに対して接続及び操作するように構成され、前記サンプル・プローブ・アダプタ及び前記第2のアクチュエータは、前記サンプル・プローブが前記サンプル容器内に受け入れられたときに、前記ロボティック・アームが、前記サンプル・プローブ・アダプタ及び前記第2のアクチュエータを介して前記サンプル容器及び前記サンプル・プローブに同時に接続して、前記サンプル・プローブ及び前記サンプル容器を共に操作することができるように構成されている、サンプリング装置。
【請求項2】
前記ロボティック・アームは、3軸のロボティック・アームである、請求項1に記載のサンプリング装置。
【請求項3】
前記第2のアクチュエータは、解放可能なコネクタを含み、前記サンプル・プローブは、前記解放可能なコネクタによって取り外し可能に保持される形状のコネクタ部分を備える、請求項1又は2に記載のサンプリング装置。
【請求項4】
前記サンプル・プローブ・アダプタの前記第2のコネクタは、前記サンプル容器に接続するための少なくとも1つの磁石を備える、請求項1から3までのいずれか一項に記載のサンプリング装置。
【請求項5】
前記第1及び第2のアクチュエータは、垂直アクチュエータである、請求項1から4までのいずれか一項に記載のサンプリング装置。
【請求項6】
前記サンプル容器は、第1のサンプリング軸を含み、それに沿って、前記サンプル・プローブは、前記サンプル容器に挿入され、前記サンプル・プローブ・アダプタは、前記サンプル容器が前記サンプル・プローブ・アダプタの前記第2のコネクタに接続するときに、前記サンプル容器の前記第1のサンプリング軸と位置を合わせられる第2のサンプリング軸を含み、前記サンプル・プローブ・アダプタは、前記サンプル・プローブ・アダプタが前記第1のアクチュエータに接続されたときに、前記第1のサンプリング軸に沿った前記サンプル・プローブ・アダプタに対する前記第2のアクチュエータの垂直の移動が可能になるように構成されている、請求項1から5までのいずれか一項に記載のサンプリング装置。
【請求項7】
前記サンプル・プローブ・アダプタは、前記第1のサンプリング軸に沿って延びるアパーチャを含み、前記止め具要素は、前記第2のアクチュエータが前記アパーチャを通して下向きに解放位置まで移動する際に前記解放機構と係合するように、前記サンプル・プローブ・アダプタの上面において前記アパーチャの周縁周りに少なくとも部分的に配置されている、請求項6に記載のサンプリング装置。
【請求項8】
前記サンプル・プローブ・アダプタ及び前記第2のアクチュエータは、前記第2のアクチュエータが前記サンプル・プローブに接続するために前記第1のサンプリング軸に沿って前記サンプル・プローブ・アダプタを通して延びるように構成されている、請求項7に記載のサンプリング装置。
【請求項9】
前記サンプル・プローブ・アダプタは、前記第1のサンプリング軸に沿って延びるアパーチャを含み、前記第2のアクチュエータは、前記第1のサンプリング軸を通して延びる、請求項8に記載のサンプリング装置。
【請求項10】
前記第2のアクチュエータは、前記サンプル・プローブを前記第2のアクチュエータから解放するように配置された解放機構を含み、前記サンプル・プローブ・アダプタは、前記解放機構を操作して前記解放機構が前記サンプル・プローブを解放するために、前記第2のアクチュエータが前記サンプル・プローブ・アダプタを通して下向きに前記解放位置まで移動するときに、前記解放機構と係合するように構成された止め具要素を含む、請求項9に記載のサンプリング装置。
【請求項11】
前記止め具要素は、前記サンプル・プローブ・アダプタの上面において前記アパーチャの周縁に配置され、前記第2のアクチュエータが前記アパーチャを通して下向きに前記解放位置まで移動する際に、前記解放機構と係合するように配置されている、請求項10に記載のサンプリング装置。
【請求項12】
前記サンプル・プローブ・アダプタが前記第1のアクチュエータに接続されたときに、前記解放機構の少なくとも一部は、前記アパーチャの径方向外側に離され、前記第2のアクチュエータが前記解放位置まで移動するときに、前記アパーチャの径方向外側に離された前記解放機構の少なくとも一部は、前記止め具要素と係合する、請求項11に記載のサンプリング装置。
【請求項13】
前記止め具要素は、前記アパーチャの少なくとも一部の周りに延びる直立壁を備え、前記直立壁は、前記解放機構と係合するように配置された上面を有する、請求項10から12までのいずれか一項に記載のサンプリング装置。
【請求項14】
前記第1及び第2のアクチュエータは、互いから離され、前記サンプル・プローブ・アダプタの前記第1のコネクタは、前記第1のコネクタが前記第1のアクチュエータに接続されたときに、前記第2のアクチュエータが前記第1のサンプリング軸と軸方向に位置を合わせられるように、前記第1及び第2のアクチュエータの間隔に対応する距離だけ前記第1のサンプリング軸から離される、請求項6から13までのいずれか一項に記載のサンプリング装置。
【請求項15】
前記サンプル・プローブ・アダプタの本体は、前記サンプル・プローブ・アダプタの前記第1のコネクタが前記第1のアクチュエータに接続されたときに、前記サンプル・プローブ・アダプタの本体が前記第1のサンプリング軸から離されて、前記サンプル・プローブが前記サンプル・プローブ・アダプタの本体に干渉することなく前記第1のサンプリング軸に沿って垂直に作動されることができるように構成されている、請求項14に記載のサンプリング装置。
【請求項16】
前記サンプル・プローブ・アダプタ及び前記第2のアクチュエータは、前記第1のコネクタが前記第1のアクチュエータに接続され、前記第2のコネクタが前記サンプル容器に固定され、前記サンプル・プローブが前記サンプル容器内に受け入れられたときに、前記第2のアクチュエータが、前記サンプル容器から独立して前記サンプル・プローブを垂直方向に作動することができるように配置されている、請求項15に記載のサンプリング装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はサンプリング装置に関し、詳細には自動サンプリング、並びに液体及び気体サンプルの分析のための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
サンプリング技術及び分析技術は、液体内の成分を識別するために、液体の分析に一般的に利用されている。実例として、飲料水の汚染物質、化粧品の芳香アレルギーの識別、又は飲料の香味プロファイリングが挙げられる。水溶液マトリックスの低レベル有機化合物の分析は、迅速、敏感、且つ自動化された分析を実行するためには著しい困難を呈する。このようなサンプルの分析は、通常は抽出及び濃縮化ステップの後に実行され、液液抽出(LLE:liquid-liquid extraction)又は固相抽出(SPE:solid phase extraction)を伴うことが多い。
【0003】
固相抽出は、例えばポリジメチルシロキサン(PDMS:Polydimethylsiloxane)を使用して実現され得る。ポリジメチルシロキサン(PDMS)抽出は吸着に基づき、平衡技術は、検体のシリコーンと水性層との間で検体を区分けすることに基づく。吸着材料が液体サンプルの中に入れられ、この吸着材料が液体サンプルに含有された対象の化合物を吸収する。抽出した検体の量は、サンプル内の検体の濃度に比例して、平衡がもたらされる。抽出した検体の量は、検体材料のサイズすなわち最大吸収体積にも依拠する。ポリジメチルシロキサン(PDMS)の中への抽出は、検体のオクタノール/水分配比率(K O/W:octanol-water partition)に基づいて推定することができる。相比率として知られている、ポリジメチルシロキサン(PDMS)のサンプルに対する比率は、検体回収に重要な要因となる。抽出効率は、固相の質量に依拠する。
【0004】
ポリジメチルシロキサン(PDMS)は、有機化合物をサンプルから抽出するための、公知の固相抽出サンプリング技術である、固相マイクロ抽出(SPME:Solid Phase Micro Extraction)に使用され得る。固相マイクロ抽出(SPME)は、抽出相を形成するポリジメチルシロキサン(PDMS)などの吸着材料の薄い層でコーティングされた繊維の使用を伴う。吸着材料は、様々なタイプの検体を、液相及び気相の両方を含む種々のサンプル媒体から抽出するために選択された、固相吸着剤であってよい。固相マイクロ抽出(SPME)は、容易に自動化されるため、広く使用されることが確認されている。
【0005】
吸着剤でコーティングされた繊維のサイズは、サンプル容器に穴を開けるために使用するニードルの、本体内に収容することを可能にする。一旦ニードルが容器に挿入されると、繊維はニードルから延び出てサンプル・マトリックスの中に導入される。次にニードルは取り外され、繊維に保持されたサンプルは、ガスクロマトグラフ(GC:gas chromatograph)で分析するために引き続き脱着される。
【0006】
ニードル内に適合させる必要があるが、固相マイクロ抽出(SPME)を非常に薄いポリジメチルシロキサン(PDMS)の層(約7-100Cm)に制限する。したがって回収した化合物の総体積は限定され、通常は1000(logK O/W 3)未満のK O/W値の0.5CLのオーダーである。したがって固相マイクロ抽出(SPME)の欠点は、繊維上に付加できる吸着剤の量が制限されることである。
【0007】
固相抽出技術は、1つ又は複数の成分の損失による、組成の変化を受けることがある化合物の混合物をサンプリングするために、一般的に使用される。このような混合物は、組成物の測定が正確に元の材料を反映するよう、分析の前に封止される必要がある。通常、ポリマーフィルムを有する隔壁又は封止材が、サンプル容器に蓋をして封止する。この封止材は、サンプル・プローブによって貫入できるよう意図されるが、サンプル・プローブを取り出したときに、作り出された穴を再封止するために十分順応性がある。
【0008】
固相マイクロ抽出(SPME)サンプリングの小さい容量制限に対処するため、大容量の吸着抽出サンプラーが開発されている。このような大容量サンプラーの1つに、プローブの周りに設けられた、ポリジメチルシロキサン(PDMS)材料のスリーブを有する金属プローブが挙げられる。しかし、固相マイクロ抽出(SPME)は通常、比較的細いニードルを使用する一方で、大容量のサンプリングのために必要なポリジメチルシロキサン(PDMS)の量を支持するのに必要な金属プローブの寸法は、貫入及び容器の封止材の再封止という点で大きい問題を呈し、それは現在までのところ、大容量のサンプリングが可能な自動化の程度を制限している。
【0009】
したがって、より大きい容量のサンプリングは、抽出媒体でコーティングされたロッド又はバーの形態であるプローブを直接サンプルに加える、非自動化方法に限定されている。次に、容器は手作業で封止される。抽出後、この封止材は手作業で取り外され、さらなる分析のためにプローブは手作業で回収される。時間が掛かり労力を要するばかりではなく、この方法には、封止材を取り外し、プローブを取り外し、容器を再封止する処理の間で、雰囲気、サンプル、及び/又は隣接するサンプルを汚染する危険がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、上述の問題に対処する、及び/若しくは全体的な改善を提供する、改善されたサンプリング装置、並びに/又はサンプリング方法を提供することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によると、添付の特許請求の範囲で説明するように、サンプリング装置及びサンプリング方法が提供される。
【0012】
本発明の実施例によると、サンプル容器、サンプル・プローブ、及びアクチュエータを備える吸着サンプリングのサンプリング装置が提供される。サンプル容器は、サンプリングされる液体を収容するよう準備される。サンプル・プローブは、サンプル容器に挿入されるよう構成されたプローブ・セクションを有し、このプローブ・セクションは、検体をサンプル容器から捕捉するために準備された吸着材料を含む。アクチュエータは、サンプル容器及びサンプル・プローブの両方に対して、別々に接続及び操作するように構成される。サンプル・プローブは、アクチュエータに取り外し可能に接続でき、それによってアクチュエータは使用中に、サンプル・プローブに対して接続及び取り外しすることが可能となり、アクチュエータに接続されたサンプル・プローブを、別のサンプル・プローブと選択的に交換できる。アクチュエータは、x、y、z軸で可動であり、1つ又は複数のリニア・アクチュエータを含み得るロボティック・アームなど、複数の軸上でサンプル・プローブを移動させるのに好適な任意のデバイスである。代替の実施例において、サンプル・プローブは、別の方法で容器からサンプリングするよう構成された、非吸着サンプル・プローブであってもよい。
【0013】
従来技術の標準的な配置において、自動サンプリングのアクチュエータは、ヘッドスペース分析のための専用のヘッドスペース・ツールか、又は専用のサンプル・プローブ・ツールのいずれかを含むことになる。サンプル・プローブの場合、プローブは、自動サンプリング処理の前にサンプル・プローブ・ツールに接続され、次にロボティック・アームに接続される。次にサンプリング処理が行われる。異なるサンプル・プローブを使用する別のサンプリングが必要な場合、サンプル・プローブを、オペレータによってサンプル・プローブ・ツールから取り外す必要があり、交換物をサンプル・プローブに、次にアクチュエータに再接続する必要がある。同様に、例えばヘッドスペース・サンプリングなど、別のサンプリング処理が必要な場合、ヘッドスペース・ツールをサンプル・プローブ・ツールと交換する必要がある。全サンプリング作業を通して、ロボティック・アームが同じサンプル・プローブを保持する必要があるので、手作業でサンプル・プローブを取り外す必要性は、サンプリング処理を制限する。複数の容器をサンプリングする場合、アクチュエータは、各容器に要するサンプリング期間全体で、サンプル・プローブと共に留まらなければならない。
【0014】
アクチュエータに、取り外し可能に接続できるサンプル・プローブを提供することによって、アクチュエータがサンプル・プローブを取り、このプローブをサンプル容器に移動させ、その後、一旦容器に預けるとアクチュエータがサンプル・プローブを取り外して、別のプローブを取って別の容器のサンプリングを行うことができる。プローブの取り外しによって、アクチュエータの動作時間を確保して、複数の同時サンプリングを可能にし、サンプリングを実行する全体時間を短縮する。更に、サンプル容器とプローブとに同時接続する機能によって、サンプル・プローブがサンプル容器内に挿入されたとき、サンプル容器及びサンプル・プローブが、サンプル・プローブによって直接持ち上げられるのではなく、サンプル容器によって持ち上げられるようになる。これは、プローブによって容器及びプローブが持ち上げられる場合に必要であるような、堅固で複雑な封止材をプローブ並びにプローブに対する封止部を把持できる容器に準備する必要性を、有利に除外する。
【0015】
アクチュエータは、ロボティック・アームを備えてもよい。アクチュエータは、好ましくは3軸のロボティック・アームで、サンプル・プローブを移動させるために最大限の適応性を提供する。
【0016】
アクチュエータは、解放可能なコネクタを含んでもよく、サンプル・プローブは、この解放可能なコネクタによって取り外し可能に保持されるように形成された、対応するコネクタ部分を備えてもよい。解放可能なコネクタは、解放可能な把持器、例えば限定ではないが、ボール・キャッチなどばねを装填したキャッチであってもよく、サンプル・プローブは、把持器によって取り外し可能に係合されるように形成されたコネクタ部分を含んでもよい。「解放可能なコネクタ」という用語は、3軸アクチュエータの標準的なばねを装填した把持機構を指すことができるが、自動的に解放可能な方法で把持、クランプ、又は機械的に別の要素に接続することができる、任意の接続要素を意味することができる。
【0017】
解放可能なコネクタは、ロボティック・アームに直接提供されるコネクタであってよく、又はロボティック・アームによって作動される別個のコネクタであってもよい。解放可能なコネクタは、サンプル・プローブを選択的に解放又は把持するために開閉する、可動把持要素を有する把持ツールであってもよく、この把持要素はロボティック・アームによって作動される。このような把持ツールが使用される場合、「アクチュエータ」という用語は、ロボティック・アームとロボティック・アームに接続して組み合わされた把持ツールとの両方を示すよう意図され、ロボティック・アームは把持ツールを介してサンプル・プローブに接続される。
【0018】
サンプリング装置はサンプル・プローブ・アダプタを更に備えてもよい。サンプル・プローブ・アダプタがアクチュエータに接続されて、アクチュエータがサンプル・プローブとサンプル容器との両方に対して接続及び操作することができる場合、サンプル・プローブ・アダプタは、アクチュエータに解放可能に接続するよう構成された第1のコネクタ、及びサンプル容器に解放可能に接続するよう構成された第2のコネクタを有する。したがってこのアダプタは、標準的なアクチュエータを適合させる中間構成要素であり、アクチュエータがサンプル容器とサンプル・プローブとの両方に対して、別々に接続及び操作するよう「構成する」アダプタである。このアダプタは、サンプル・プローブがサンプル容器に挿入されて、容器とプローブとを共に移動させることを可能にする。更に、サンプル・プローブ及びサンプル容器は別々に移動させることができる。
【0019】
サンプル・プローブ・アダプタは、アクチュエータをサンプル・プローブに接続するためのコネクタを含んでもよい。
【0020】
サンプル容器は、好ましくは金属製キャップを含み、サンプル・プローブ・アダプタの第2のコネクタは、容器を移動させるために、サンプル容器の金属製キャップを磁気的に固定するよう構成された磁気要素を備える。これによって、いかなる複雑な機械式接続機構の必要性を除外する。
【0021】
アクチュエータは、好ましくは第1及び第2の垂直アクチュエータを含み、サンプル・プローブ・アダプタの第1のコネクタは、第1の垂直アクチュエータに接続するよう配置され、サンプル・プローブは、第2の垂直アクチュエータに接続するよう構成された接続要素を含む。
【0022】
サンプル・プローブ・アダプタは、第1の垂直アクチュエータに接続されたときに、第2の垂直アクチュエータがサンプル・プローブ・アダプタに対して垂直に動けるように、構成される。第2の垂直アクチュエータは、サンプル・プローブを第2の垂直アクチュエータから解放するよう配置された、解放機構を含む。サンプル・プローブ・アダプタは、第2の垂直アクチュエータがサンプル・プローブ・アダプタに対して移動して、解放機構を操作してサンプル・プローブを解放するときに、解放機構と係合するよう構成された止め具要素を含む。
【0023】
サンプル容器は、好ましくは、サンプリング軸を含み、それに沿ってサンプル・プローブがサンプル容器に挿入される。サンプル・プローブ・アダプタは、サンプル容器がサンプル・プローブ・アダプタの第2のコネクタに接続するときに、サンプル容器のサンプリング軸と位置を合わせられるサンプリング軸を含む。サンプル・プローブ・アダプタの第1のコネクタは、第1のコネクタが第1の垂直アクチュエータに接続されたときに第2の垂直アクチュエータがサンプリング軸と軸方向に位置を合わせられるように、サンプリング軸から離される。第2の垂直アクチュエータは、サンプル・プローブに対して接続及び操作するために使用され、それによって第2のアクチュエータをサンプリング軸に位置合わせをすることによって、サンプル・プローブが挿入のために確実に、容器のサンプリング軸と軸方向に位置を合わせられる。
【0024】
サンプル・プローブ・アダプタの本体は、サンプル・プローブ・アダプタの第1のコネクタが第1の垂直アクチュエータに接続されたときに、サンプル・プローブ・アダプタの本体がサンプリング軸から離れて、サンプル・プローブがサンプル・プローブ・アダプタの本体に干渉することなく、サンプリング軸に沿って垂直に作動されるように構成されてよい。プローブ・アダプタが容器に接続している間、本体は、容器の頂部に自由な接近がもたらされるように構成される。これは、切離しセクション、凹部、アパーチャの形態、又はサンプリング軸がサンプル・プローブ・アダプタに接続するときに、確実にサンプル容器上で妨げられないような任意の他の構成であってもよい。
【0025】
サンプル・プローブ・アダプタ及びアクチュエータは、第1のコネクタが第1の垂直アクチュエータに接続されて、第2のコネクタがサンプル容器に固定されたときに、第2の垂直アクチュエータがサンプル容器のサンプル・プローブを単独で垂直方向に作動させられるように、配置されてもよい。このようにサンプル容器は、第2の垂直アクチュエータがサンプル・プローブをサンプル容器に挿入又は撤収する間、動かないようにプローブ・アダプタによって保持され得る。
【0026】
好ましくは、サンプル・プローブ・アダプタはアパーチャを含み、それを通してサンプリング軸に沿って延びる。止め具要素が、アダプタの上面においてアパーチャの周縁周りに少なくとも部分的に配置され、第2の垂直アクチュエータがアパーチャを通して下向きに解放位置まで動く際に、解放機構と係合する。好ましくは、サンプル・プローブ・アダプタが第1のアクチュエータに接続されたときに、解放機構の少なくとも一部がアパーチャの径方向外側に離される。第2のアクチュエータが垂直運動の第1の範囲にわたって動作して、ここで解放機構は止め具要素の上部で垂直方向に離されたままで、解放位置までの動きの第1の範囲の下限より下で可動である。この解放位置でアパーチャの径方向外側に離された解放機構の少なくとも一部が、止め具要素と係合する。
【0027】
第2のアクチュエータは、使用中にアダプタのアパーチャを通して延びる下部を含んでよい。解放機構の少なくとも一部は、下部の径方向外側に離される。この下部は、サンプリング中に垂直運動の第1の範囲にわたって動作し、そこにわたって解放機構が止め具要素の上で垂直方向に離されたままとなる。この下部は、動きの第1の範囲の下の解放位置までにも延びて、解放機構はアパーチャを囲む止め具要素と係合するよう配置され、下部は解放位置までアパーチャを通して延びる。
【0028】
止め具要素は、アパーチャの少なくとも一部の周りに延びる解放機構と係合するよう配置された上面を有する、直立壁を備えてもよい。解放機構は、キャッチに対して上方に作動する際に、キャッチを側方に解放する摺動可能なカラーなどの、垂直方向に摺動可能な機構であってよく、ボール・ベアリング・キャッチ又は類似の装置であってもよい。
【0029】
好ましくはサンプリング装置は、サンプル・プローブがサンプル容器に受け入れられて、プローブが垂直方向に位置を合わせられて第2の垂直アクチュエータによって接続されたときに、サンプル・プローブに係合する位置合わせ要素も含む。サンプル・プローブは、柔軟な隔壁によって容器内で支持される。使用中、サンプル・プローブが容器に、完全な垂直方向に挿入されても、時間が経つと、特に撹拌中に垂長軸から傾き始めることがある。サンプル・プローブが垂直軸に位置を合わせられていない場合、垂直軸で動作するアクチュエータがサンプル・プローブを再び得ることは困難である。
【0030】
位置合わせ要素は、サンプル・プローブの両側と係合するために動くよう、水平の反対方向に可動である第1及び第2の位置合わせ要素を含んでもよい。位置合わせ要素は、サンプル・プローブと係合してサンプル・プローブを実質的に垂直方向に保持する位置合わせ位置と、サンプル・プローブ及びサンプル容器が垂直方向に持ち上げられる解放位置との間で、可動である。
【0031】
好ましくは、各位置合わせ要素は、サンプル・プローブの一部を受け入れるよう配置された誘導セクションを含む。この誘導セクションは、サンプル・プローブを垂直方向に保持するよう位置合わせ位置に位置を合わせる。位置合わせ要素は、水平方向に配置され、各々がサンプル容器の径よりも大きい径の主アパーチャを有する位置合わせプレートと、主アパーチャの周縁からプレートの中に延びる誘導チャネルとを備えてもよい。主アパーチャは解放位置に位置を合わせられ、チャネルを画定し、このチャネルを通してサンプル容器は、妨げられずに垂直方向に動くことができる。位置合わせ位置において、誘導チャネルは位置を合わせられ、サンプル・プローブのシャフトの径に対応する実質的に円形のアパーチャを画定するために協働し、円形アパーチャは、プローブの垂直軸と同心円状に位置を合わせられる。
【0032】
サンプリング装置は、例えばサンプル・プローブがオーブンに挿入されるときに、サンプル・プローブを固定した垂直位置に保持し、且つ垂直方向に拘束するために、ラッチ機構を更に備えてもよい。好ましくはこのラッチ装置は、単一又は一対のラッチ・プレートを含み、各ラッチ・プレートは、サンプル・プローブの一部を受け入れるよう配置された誘導セクションを含み、誘導プレートはラッチ位置に位置を合わせられて、サンプル・プローブを所定の位置で垂直方向にロックする。好ましくは誘導セクションは、アクチュエータが装備されるサンプル・プローブ・ヘッドのコネクタ・チャネルに係合するよう配置される。好ましくはラッチ・プレートは、水平方向に配置された複数の位置合わせプレートであり、各プレートはサンプル容器の径よりも大きい径の主アパーチャを有する。誘導チャネルは、主アパーチャの周縁からプレートの中に延びる。主アパーチャは解放位置に位置を合わせられ、チャネルを画定し、このチャネルを通して、サンプル容器は妨げられずに垂直方向に動くことができる。ロック位置において、誘導チャネルは位置を合わせられ、サンプル・プローブ・ヘッドのコネクタ・チャネルの径に対応する実質的に円形のアパーチャを画定するために協働し、それによってプレートは垂直方向に位置を合わせられる。
【0033】
サンプル・プローブ・アダプタは、サンプル・プローブを把持するよう構成された把持機構を含んでもよい。把持部は、アクチュエータとサンプル・プローブとの間に解放可能な接続を提供する。把持機構を第2の垂直アクチュエータによって操作することを可能にするために、把持機構は、第2の垂直アクチュエータに接続するよう構成された接続要素を含む。具体的には、把持機構に接続された第2の垂直アクチュエータの操作によって、把持機構が開閉してサンプル・プローブを把持及び解放する。把持機構は、アクチュエータのコネクタとして機能し、アクチュエータをサンプル・プローブに接続する。好ましくは、アクチュエータは、ロボティック・アームであり、把持機構は、サンプル・プローブがロボティック・アームに直接接続することなく、ロボティック・アームをサンプルに、有利に解放可能に接続させる。したがって、サンプル・プローブを連続して接続及び解放することによる、ロボティック・アームのコネクタの摩耗が避けられる。
【0034】
サンプル・プローブ・アダプタの少なくとも1つの磁石が、把持機構に設けられてもよい。好ましくは、この把持機構は、少なくとも2つの可動把持要素を、対向するフィンガーの形態で含む。少なくとも1つの磁石は、少なくとも1つの把持要素の遠位端面に設けられる。この遠位端は、使用中のサンプル容器に面する端部である。好ましくは、少なくとも1つの磁石は、各把持要素の遠位端に設けられる。
【0035】
本発明の別の態様において、上述のようなサンプリング・システムに使用するための洗浄デバイスが提供される。洗浄デバイスは、細長い吸着サンプル・プローブの少なくとも一部を受け入れるように構成されたチャンバと、洗浄液の流れをチャンバの中に導いてサンプル・プローブを洗浄するように構成された、1つ又は複数の液体入口と、空気の流れをチャンバの中に導いてサンプル・プローブを乾燥させるように配置された、1つ又は複数の空気入口と、を備える洗浄ステーションである。洗浄ステーションは、サンプル・プローブをアクチュエータから取り外して手作業で洗浄することによって、自動サンプリング処理を妨げることなく、脱着前にごみ又は他の汚染物質を取り除くために、サンプル・プローブの自動洗浄を可能にする。
【0036】
好ましくは、チャンバは開口部を含み、その中にサンプル・プローブが挿入される。洗浄液をプローブの中に導くために、少なくとも1つの液体入口がこの開口部の近くに位置される。
【0037】
この少なくとも1つの液体入口は、洗浄液の流れを、チャンバの内側端部に向けて長手方向内側に導くよう配置されてよい。これによって、使用中に洗浄溶液がチャンバ内に確実に収容される。
【0038】
好ましくは、チャンバは長手方向軸を含み、サンプル・プローブがチャンバ内に受け入れられたときに、その軸に沿ってサンプル・プローブは延びる。洗浄デバイスは、チャンバの長手方向軸と同軸である環状アレイに配置された複数の液体入口を含み、それによって各液体入口からの液体の流れが、径方向内側に導かれる。したがって、プローブ周りの360°の洗浄をもたらす、洗浄溶液の幕が生成され得る。
【0039】
チャンバは、チャンバの長手方向軸と同軸である環状アレイに配置された、複数の空気入口を更に含んでもよく、それによって各空気入口からの空気の流れが、径方向内側に導かれる。この空気入口は、洗浄段階後にプローブを乾燥することを可能にして、サンプル・プローブがプローブ・オーブンに移されたときに、確実にサンプル・プローブに液体が残らないようにする。
【0040】
複数の空気入口は、複数の液体入口と長手方向に位置を合わされた共通の環状アレイに配置されてよい。これはコンパクトな配置をもたらし、この配置では全ての空気及び水の接続が同じ場所を共有し、開口部近くの箇所において、入る際に洗浄し、後退する際に乾燥することが可能になる。
【0041】
液体入口及び/又は空気入口は、それらの内側端部に位置するノズルを含み、チャンバの中に導かれる液体及び/又は空気のジェットを作り出してもよい。
【0042】
好ましくは空気入口は、径方向に導かれる空気の幕を作り出すよう配置される。
【0043】
洗浄デバイスは、洗浄液を液体入口に供給して洗浄サイクルを開始し、その後に圧縮空気を空気入口に供給して乾燥サイクルを開始するよう準備された、制御器を更に含んでもよい。
【0044】
チャンバは、そこから洗浄液を排出させるために、チャンバの内側端部に配置し、液体入口から下向きに導かれた排水路を更に備えてもよい。
【0045】
本発明の別の態様において、一方の端部に開口部、及びこの開口部を覆って少なくとも部分的に閉じる封止部材を有する液体容器と、封止部材に形成されたアパーチャを通して延びるよう構成されたプラグ要素とを備えるサンプル容器が提供される。プラグ要素は、第1の径のロック・セクションを有する先端部と、封止要素に形成されたアパーチャを、使用中に封止するロック先端部よりも小さい径を有する近位端に向かってプラグ要素に沿って位置する一方で、より大きい径のロック先端部がプラグの後退を妨げる、封止セクションとを含む。好ましくはプラグ要素は、プローブ・アダプタの磁気コネクタによって固定することができる金属部分を有するキャップ・セクションを含み、プラグ要素及び封止した容器を、アクチュエータによって移動させることを可能にする。封止要素は隔壁であり、サンプル・プローブ及び/又は封止プラグ要素を受け入れるための、予め形成されたアパーチャを含んでもよい。或いは、隔壁は、サンプル・プローブが入る際にこのプローブによって穴を開けられ、プラグ要素がプローブによって作られた穴を封止するよう構成されてもよい。
【0046】
本発明の別の態様において、細長いサンプル・プローブ及びサンプル・プローブによって採取されたサンプルを加熱するためのオーブンが提供される。このオーブンは、加熱されたチャンバ及び加熱されたチャンバへの開口部を備え、この開口部は、細長いサンプル・プローブを受け入れるよう構成された径と、サンプル・プローブの封止部分の周りを封止するために、開口部に隣接して位置し、オーブン・チャンバと外部雰囲気との間の封止部を作り出す封止要素とを有する。サンプル・プローブの封止部分と同じ形状及びサイズを伴う封止部分を有する本体を含む、オーブン・アダプタが更に提供され、それによって、プローブと同じ方法でオーブンの開口部内を封止することができる。このアダプタは、オーブン・チャンバに接続するための内側チャネルを含む。チャネルを閉じる封止要素が提供され、封止したままでシリンジによって穴を開けることができる材料によって形成される。好ましくは封止要素は、シリコーンなどの弾力性のある柔軟な材料によって形成される隔壁である。このようなアダプタが無いと、入口は、サンプリング方法に依拠して手動で構成する必要が生じる。
【0047】
サンプリング・アセンブリは、サンプル・オーブン内、及び/又は、サンプル容器が撹拌器内に位置する場合にサンプル容器内の所定の位置にサンプル・プローブを保持するよう配置された、1つ又は複数のロック要素を含んでもよい。ロック要素は、サンプル・プローブがサンプル・オーブン及び/又はサンプル容器内に挿入されたとき、サンプル・プローブと係合するよう配置され、サンプル・プローブの垂直の移動を防止する。これによって、サンプル・プローブをロボティック・アームによって係合解除し、サンプル・オーブン又はサンプル容器内に残すことを可能にする。オーブンの場合、これによってサンプル・プローブが、チャンバの圧力によって破裂する恐れなく、その場に残すことができる。撹拌器の場合、容器が撹拌される間に、サンプル・プローブがトップリングするのを防止する。好ましくは、ロック要素は、サンプル・プローブの垂直の動きを防止するために水平方向に係合するよう配置された、ラッチ・デバイスである。サンプル・プローブを垂直方向にロックすることによって、ラッチ・デバイスは、ロボティック・アームがサンプル・プローブと係合解除して、他の機能を実行できるようにする。
【0048】
本発明の別の態様によると、サンプリングされる液体を含有するサンプル容器と、サンプル容器の中に挿入されるよう構成され、サンプル容器から検体を得るよう準備された吸着材料を含むプローブ・セクションを有するサンプル・プローブと、サンプル容器及びサンプル・プローブの両方に対して別々に接続及び操作するよう構成されたアクチュエータと、を備える自動サンプリング・システムが提供される。このシステムは、プローブに集められたサンプルを加熱するオーブンと、このオーブンからサンプルを受け取るフォーカシング・コールド・トラップと、サンプルをコールド・トラップから解放して、サンプルの少なくとも一部を分析器に導く手段と、を更に備える。解放されたサンプルの少なくとも一部を受け取るよう配置された、自動サンプラーが提供される。自動サンプラーは、解放されたサンプルの少なくとも一部を受け取って保存するための、複数の採取チューブを含む。
【0049】
好ましくは自動サンプラーは、別の分析のために再採取したサンプルを脱着するための、解放オーブンも含む。再解放されたサンプルは、逆方向にコールド・トラップへ戻され、そこから、分析器、同じ自動サンプラーの同じ採取、同じ自動サンプラーの異なるチューブ、及び/又は別の自動サンプラーのチューブの内の1つ又は複数に送られてよい。自動サンプラーをコールド・トラップへ、コールド・トラップを分析器へ、及びコールド・トラップを元のサンプリング・オーブンへ結びつける、流体接続が提供される。
【0050】
元のサンプリング・オーブンを、サンプル・プローブ、ヘッドスペース・シリンジ、及び/又は液体シリンジなどの液体サンプラーからのサンプルを解放するために使用してもよい。これらのサンプルの各々は、自動サンプラーの別個の採取チューブに、保管又は再分析のために再採取してもよく、及び/又は、同時分析のために同じ採取チューブに重ねてもよい。
【0051】
サンプル・プローブは、アクチュエータに取り外し可能に接続でき、それによってアクチュエータは使用中に、サンプル・プローブに対して接続及び取り外しすることが可能となり、アクチュエータに接続されたサンプル・プローブを、別のサンプル・プローブと選択的に交換できる。
【0052】
本発明の別の実施例において、サンプル・プローブはその遠位端に、使用中に少なくとも部分的に液体サンプル内に受け入れられる第1の径の部分と、近位端に向かって位置する、より大きい第2の径のセクションとを含む。サンプル容器は、サンプル・プローブの第1の径よりも大きく、且つサンプル・プローブの大きい径よりも小さい径のアパーチャを有する容器を閉じて封止する、封止部材を含み、それによって、第1のプローブ・セクションは、第2のセクションがアパーチャと係合し、且つ封止する間に、アパーチャを通して自由に受け入れられる。封止部材は、第1の弾力性のある膜、及び当初は開口部を閉鎖するポリ四フッ化エチレン(PTFE)によって形成される第2の膜を含んでもよい。ポリ四フッ化エチレン(PTFE)の膜層は、封止部材から離されるか、又は封止部材に接合されてよい。
【0053】
本発明の別の態様において、サンプルを収容するためのサンプル容器を備える、吸着サンプリング装置が提供される。サンプル容器は、開口部及びこの開口部を閉鎖して封止する封止アセンブリを有し、この封止アセンブリは、第1の封止膜と、第2の柔軟な封止要素を含む。サンプル容器の中に挿入されるよう構成された、吸着材料を含み細長い本体を有するサンプル・プローブも提供される。この細長い本体は、吸着材料を含む下部セクション、及び下部セクションよりも大きい径を有する上部セクションを有する。柔軟な封止要素は、サンプル・プローブを受け入れるために予め形成されたアパーチャを含む。この予め形成されたアパーチャは、サンプル・プローブの上部セクションの径未満の径を有し、第1の封止膜は、サンプリングの前に容器を閉鎖して封止するよう配置され、容器に挿入する際にサンプル・プローブによって穴を開けられる。第2の柔軟な膜は、サンプル・プローブが容器に挿入されたときに、容器を閉鎖して封止するよう配置され、それによって、より大きい径の上部セクションが、アパーチャ内に受け入れられる。予め形成されたアパーチャによって、吸着材料を含むプローブの下部セクションが、過剰に摩擦接触することなく、封止アセンブリを通して容器の中に容易に挿入可能となり、このような予め形成されたアパーチャを有さない、柔軟な封止要素(隔壁)にプローブが穴を開ける場合に起こり得る、吸着材料への損傷を防止する。一旦関係を持つと、プローブの上部セクションとアパーチャとの間の締り嵌めが、容器を封止する。しかし、プローブの挿入前には、アパーチャのために、柔軟な隔壁が容器を封止することはできない。したがって封止膜は、プローブの挿入前に容器を封止するよう配置され、この膜は挿入の際に穴を開けられるように配置される。
【0054】
好ましくは第1の封止膜は、ポリ四フッ化エチレン(PTFE)膜などの薄いフィルムである。好ましくは第1の封止膜は、開口部のサイズに対応したディスク形状の膜である。好ましくは第2の封止要素は、シリコーンなどの柔軟で弾力性のある材料によって形成される。好ましくは第2の封止要素は、実質的に環形状である。第1の封止膜は、容器と第2の柔軟な封止要素との間で、容器の開口部の上に位置される。したがってポリ四フッ化エチレン(PTFE)封止部は、容器と隔壁との間に挟まれる。ポリ四フッ化エチレン(PTFE)膜に穴が開けられると、膜は隔壁から離れるように湾曲して容器に入り、プローブと隔壁との間の封止部に干渉しない。
【0055】
封止アセンブリを容器上に固定するよう配置されたキャップも提供されてよい。この封止アセンブリは、キャップと容器との間に固定され、このキャップは、第2の柔軟な封止要素のアパーチャよりも大きい径を有する開口部を含む。このようにキャップは、キャップの開口部を通過するプローブの挿入を妨げない。なお、開口部は隔壁のアパーチャから径方向外側に離されるので、開口部は、ヘッドスペース・サンプリング又は液体サンプリングなどのシリンジ・ベースのサンプリングに使用できる隔壁の領域を露出させる。
【0056】
第2の封止要素のアパーチャの径は、好ましくは、サンプル・プローブの下部セクションの径よりも大きい。それによって、上部セクションが封止部と係合する間に、確実に下部セクションがアパーチャを円滑に通過する。
【0057】
サンプル・プローブは、下部セクションと、上部セクションとの間で軸方向に配置される、径方向にテーパーが付いたセクションを含んでもよい。テーパーが付いたセクションには、下部セクションの径から上部セクションの大きい径までテーパーが付いている。プローブはアパーチャを通して挿入され、アパーチャを拡張させるので、テーパーが付いたセクションは、下部セクションと上部セクションとの間の円滑な移動を提供する楔機能を有する。
【0058】
次に本発明を、以下の例示的な図を参照して、単に例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0059】
図1】本発明の実施例による、自動サンプリング・システムを示す図である。
図2】本発明の実施例による、サンプル・プローブを示す図である。
図3】本発明の一実施例による、サンプル容器及びプローブの分解組立図である。
図4】プローブが挿入された、図3を組み立てた配置を示す図である。
図5】本発明の実施例による、封止プラグを配置した容器を示す図である。
図6】本発明の別の実施例による、容器の封止配置を示す図である。
図7】本発明の実施例による、サンプル・プローブの洗浄装置の上面図である。
図8図7のA-Aラインに沿った断面図である。
図9】本発明の実施例による、プローブ・アダプタを示す図である。
図10図9のプローブ・アダプタを下から見た図である。
図11】本発明の実施例による、オーブン・アダプタを示す図である。
図12】オーブンに挿入された、使用中の図11のオーブン・アダプタを示す図である。
図13】本発明の実施例による、自動サンプラー・アセンブリを示す図である。
図14】本発明の実施例による、ラッチ配置の断面図である。
図15図14の配置を上から見た図である。
図16】本発明の実施例による、把持機構を含むサンプル・プローブ・アダプタを示す図である。
図17図16のサンプル・プローブ・アダプタの別の図である。
図18】サンプル容器に接続された、図16のサンプル・プローブ・アダプタを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0060】
図1を参照すると、サンプリング、及び採取した液体サンプルを分析する装置1が提供される。採取した液体サンプルは、サンプル容器2に収容される。複数のサンプル容器2が、サンプル・トレイ4に保持される。各サンプル容器2は、「バルク液体」と呼ばれ、ある体積の液体と、「ヘッドスペース」と呼ばれ、バルク液体の上に存在する、ある体積の気体とを保持する。図1の実施例において、装置1は、吸着サンプリング、及びバルク液体サンプルの液体サンプリング、並びにヘッドスペースの吸着サンプリングが可能である。
【0061】
装置は、レール8に沿ってX、Y方向に可動のロボティック・アームを有する、標準のx、y、z3軸のリニア・アクチュエータを含む。複数の吸着サンプル・プローブ10が、プローブ・キャリア12内に保持される。装置1は、洗浄及び乾燥ステーション14、並びにコールド・トラップ及びガスクロマトグラフ(GC)に接続されたオーブン16を更に含む。ロボティック・アームに接続された、プローブ・アダプタ18が提供され、それによってロボティック・アームが、以下で更に説明するようにプローブ10を捕捉することができる。プローブ・アダプタ18は、通常はシリンジ分析に使用される標準のロボティック・アームが、サンプル・プローブ10を捕捉可能に構成するよう機能する。プローブ・アダプタ18は、ロボティック・アームがサンプル容器2を捕捉できるようにも構成される。したがって、プローブ・アダプタ18は、サンプル容器2及びプローブ10を同時に、又は別々に運ぶことを可能にする。
【0062】
サンプル容器2内に保持された液体サンプルを、自動吸着サンプリングの間、まず装置1によって当初のサンプリング前の段階が実施され、そこではサンプル容器2及び吸着剤を運ぶサンプル・プローブ10が準備される。その後のサンプリング前のステップは網羅的なものではなく、説明したシーケンスで実施するようには限定されない。第1に、サンプル容器2が、サンプル容器トレイ4に保存された複数のサンプル容器2から選択される。この選択は、どのサンプル容器2を分析するかに関して、制御ソフトウェアの動作下で制御器によって決定される。次にロボティック・アーム6が、選択されたサンプル容器2をサンプル容器トレイ4から捕捉するよう、操作される。プローブ・アダプタ18を捕捉したロボティック・アーム6は、サンプル容器2をサンプル・トレイ4から持ち上げ、容器2内に収容されたサンプルの特定の要件によって決められたように容器2を加熱及び/又は撹拌するために配置された、培養撹拌器22まで移動させる。この培養/撹拌段階は、サンプリング前のサンプルの平衡を実現するために実施される。
【0063】
サンプリングの前に、サンプル・プローブ10を加熱によって予め熱を調整して、プローブ10の清潔さを確保する。熱を事前調整することは、オーブン16を使用して、又は専用のプローブ調整ユニット(図示せず)を使用して実現してもよい。一旦事前調整すると、プローブ10は直ちに使用されるか、又はプローブ・キャリア12に保存される。プローブ・キャリア12は、吸着材料を備えるプローブの先端を受け入れるよう構成されたチャネルを含み、これらのチャネルは封止されて、プローブ10がその中で保存される間、プローブの健全性を維持する。
【0064】
予め調整した吸着サンプル・プローブ10は、プローブ・キャリア12に保存された複数のプローブ10から選択され、選択されたプローブ10は、捕捉したプローブ・アダプタ18を使用してロボティック・アーム6によって捕捉される。一旦ロボティック・アーム6に保持されると、サンプル・プローブ10はサンプリングを開始する準備が整う。
【0065】
サンプリングの段階において、サンプリング処理及びパラメータは、得られるサンプルに依拠する。吸着サンプリングは、サンプル容器2内に収容されたバルク液体、又は容器2内のバルク液体の上に存在するヘッドスペースをサンプリングすることを含んでよい。サンプリング処理における変数として、容器2内でプローブ10を位置付けること、必要なサンプリング期間、及び撹拌速度が挙げられる。その各々は、共通の制御器及びユーザー・インターフェイスによって制御された要素の各々を用いて、システム内でユーザーが規定できる。
【0066】
サンプリング前の段階において、ロボティック・アーム6によって選択され、且つ係合されたサンプル・プローブ10は、ロボティック・アーム6によって、選択したサンプル容器2のx、y位置に移動される。サンプル容器2は、サンプリング前の段階で培養撹拌器まで移動され、位置されてもよい。次にプローブのロボティック・アーム6は、プローブ10をz軸上で下向きに伸ばして、以下で詳細に説明するように、サンプル容器2の中に導入する。
【0067】
液体サンプリングのため、サンプル・プローブ10はサンプル容器2の中に挿入され、それによってサンプル・プローブ10の先端における吸着材料が、液体サンプルの中に導入される。一旦プローブ10が完全に挿入され、先端がサンプル容器2内に封止されると、サンプル・プローブ10はロボティック・アーム6によって係合解除且つ解放され、所要のサンプリング期間、容器2内のサンプルに残される。次にロボティック・アーム6は自由になり、別のサンプル容器2及びサンプル・プローブ10の操作など、別の作業を実行する。サンプル・プローブ10を係合解除する機能によって、単一のロボティック・アーム6によって、複数の、同時に重複するサンプルを準備して実施することができる。これは、各サンプル容器2に対するサンプリング時間を別々に設定することも可能にし、各容器2は、必要に応じて他のサンプル容器2とは異なるサンプリング期間を有し得る。サンプル・プローブ10の、挿入及び抽出の時間、並びに期間は、ロボティック・アーム6の使用を最適にするよう制御することができる。
【0068】
サンプル・プローブ10は、ユーザーによって、及び/又はサンプルの要件に依拠する装置を制御するプロセッサによって予め決められた期間、サンプル容器2内に残すことができる。サンプリング期間は、各サンプル容器2で詳細に規定することができ、必要に応じ、サンプル容器2の内容物及びサンプルから必要とされる情報に依拠して、サンプル毎に変化させることができる。サンプリング期間の間、サンプル内に含有される化合物は、プローブ10に存在する吸着材料によって捕捉される。サンプリングの間、サンプル容器2は、撹拌及び/又は培養されてよい。
【0069】
ロボティック・アーム6は、サンプリング期間が終了すると、サンプル・プローブ10をサンプル容器2から取り除くように操作される。サンプル・プローブ10をサンプル容器2から取り除く前に、プローブ10及び容器2は、アーム6と容器2との係合を介して、ロボティック・アーム6によって撹拌器から取り除かれる。好ましくは、プローブ・アダプタ18は、容器2のキャップに磁気的に接続するよう構成され、容器2及びプローブ10がロボティック・アーム6によって持ち上げられるようにする。容器2及びプローブ10は、撹拌器22からサンプル・トレイ4に移動される。次にサンプル・プローブ10は、ロボティック・アーム6によって容器2から取り除かれる。容器2はロボティック・アーム6によって解放され、サンプル・トレイ4に残る。次に、容器2を封止するために、プラグ要素又は封止キャップによって容器2に蓋をすることができる。これは、プローブ10がロボティック・アーム6によって保持される間、又はプローブ10がオーブンの中に置かれてから、実施してもよい。
【0070】
サンプリングと、サンプル・オーブン16の中でサンプルを脱着することとの間の、脱着前の段階において、サンプル容器2から取り除かれたサンプル・プローブ10は、サンプル・プローブ10に存在し得る全ての残余液体又はごみを取り除くため、ロボティック・アーム6によって洗浄ステーション14に移動される。サンプル・プローブ10が液体サンプルの中に挿入され、サンプル容器2から取り除く際に液体の滴及び/又は表面フィルムがプローブ10に残ることがある。安定した正確なサンプルの分析を実現するため、余剰液体をサンプル・プローブ10から取り除いて、確実に吸着材料に吸収された化合物のみを脱着して分析することが重要である。サンプル・プローブ10の表面に存在する特定の液体、特に砂糖などの含有物質は、オーブン16の高温で燃焼して発煙することも確認されている。
【0071】
洗浄ステーション14は、洗浄液のジェットを提供する。洗浄液はサンプル・プローブ10上に導かれる、ユーザーが決めた流量、稀釈、持続時間での、濾過した水、又は洗浄溶液若しくは任意で溶剤であってもよい。洗浄ステーション14は、複数の空気ジェットを更に含む。洗浄段階の後、空気ジェットが始動して、空気のジェットをサンプル・プローブ10上に導いてプローブを乾燥させる。ジェットは、空気の膜を作り出すよう準備され、乾燥段階の間、サンプル・プローブ10はゆっくりと洗浄ステーション14から取り出されて、サンプル・プローブ10の端部を引いて、乾燥効率を最適化するように空気の膜に通す。洗浄ステーション14は、以下で更に詳細に説明する。
【0072】
洗浄して乾燥したサンプル・プローブ10は、ロボティック・アーム6によってオーブン16に移動される。サンプル・プローブ10は、z軸上で下げられ、オーブン16の封止された入口ポートに入る。オーブン16は、一旦プローブ10がオーブン16の入口ポートに挿入されると、ロック位置まで摺動するよう配置された摺動ラッチ機構を含む。ラッチはプローブ10と係合し、プローブ10をz軸上で垂直方向に拘束することによってオーブン内の所定位置にロックして、オーブン16から外れるのを防止する。ラッチによってサンプル・プローブ10を拘束して所定の位置にロックすることで、ロボティック・アーム6は、オーブン16内で発生する圧力によってサンプル・プローブ10がオーブン16から放出される恐れなく、サンプル・プローブ10を解放することができる。更に、一旦ロボティック・アーム6がプローブ10を解放すると、別の作業を実行できる。
【0073】
サンプル・プローブ10がオーブン16の中に挿入されてロックされると、自動漏洩試験を実行してサンプルの健全性を確保する。次にサンプル・プローブ10の吸着材料は、オーブン16で加熱され、サンプル容器2から吸着材料で採取された化合物は、不活性キャリア・ガスの流れの中で、一般的にコールド・トラップと呼ばれるフォーカシング・トラップまで移動される。次にサンプルは、フォーカシング・トラップから迅速に解放され、解放されたサンプルの内の少なくとも一部は、分析のためにガスクロマトグラフ(GC)に移動される。解放されたサンプルの一部は、吸着チューブに移動されてもよい。この例では、コールド・トラップはバッファとして機能し、吸着チューブがサンプルを採取するために配置される間、サンプルを保持する。吸着チューブに付いたサンプルを採取することで、別の再分析のためにサンプルを保管できる。サンプリングの手順が1つ又は複数の再分析ステップを必要とする場合、吸着チューブに付いたサンプルは、当初の分析の直後に再分析することもできる。システムは、吸着チューブを「自動サンプラー」として利用し、チューブ・マガジン又はカルーセル、及びオーブンを備える。自動サンプラーのマガジンは、複数の吸着チューブを含む。フォーカシング・トラップからの解放後、サンプルは分割されてよく、解放されたサンプルの一部は、自動サンプラーによってマガジンから選択された吸着チューブまで送ることができる。吸着チューブには、いかなるサンプルも付いていなくてもよく、又はサンプリング手順中に得られた、前のサンプルを保持していてもよい。例えば、吸着チューブはヘッドスペース・サンプルを保持してもよく、それは次に吸着サンプルによって捕捉され、サンプル化合物のより完全な分析をもたらす。そのサンプルを保持している吸着チューブは、次にマガジンからの別のチューブと交換されるか、又は自動サンプラー吸着チューブ・オーブンを使用して、第2の分析のために、保存されたサンプルをガスクロマトグラフ(GC)に再解放してもよい。
【0074】
自動サンプラーを自動プローブ・サンプラーと組み合わせることで、繰り返し分析、並びに複数のサンプルを単一の吸着チューブ上に濃縮する可能性、及び/又はサンプルを保管する可能性という選択肢を伴う、迅速なサンプル分析を可能にする。自動プローブ・サンプリング・システムのための、これらの設備は現在のところ存在しない。
【0075】
サンプルをコールド・トラップに解放した後、オーブン16はキャリア・ガスから分離される。次にオーブン16は冷却され、一旦冷却されると、ロボティック・アーム6はプローブ10に再び取り付けられ、ラッチ機構は係合解除する。次にサンプル・プローブ10は、オーブン16から取り除かれて、再使用のためにプローブ保存コンテナ12の中に戻される。サンプル・プローブ10を取り除いた後に、ごみの侵入を防ぐため、蓋がオーブン16の上で閉まる。
【0076】
単一のサンプルを分析する上述の処理中、ロボティック・アーム6がサンプル・プローブ10から係合解除されたときに、1つ又は複数の別の事前サンプリング、サンプリング、事前脱着、及び脱着作業を、複数の別のサンプル容器プローブのために実行するよう、ロボティック・アーム6を操作することができる。制御器は、最適な生産性のためのスループットを最大にするために、これら複数の同時作業を最も効率的な方法で操作するよう、プログラムされてよい。
【0077】
図2を参照すると、サンプル・プローブ10は、ステム・セクション20及び先端セクション22を含む。ステム・セクション20は、プローブ10の主本体を備える。円筒形のステム・セクション20は、その上端部24に、ステム・セクション20の主シャフトよりも大きい径を有するコネクタ部分26を含む。コネクタ部分26は、外周方向に延びて斜角が付いた、小さい径の係合チャネル28を含む。係合チャネル28は、ロボティック・アーム6のz軸アクチュエータの対応するラッチ要素を受け入れるように構成される。ラッチ要素は、ばねを装填したボール・キャッチ、又は、プローブ10を垂直方向に保持するためにチャネル28の中に延びて係合するよう構成された、任意の他の好適な要素であってよい。z軸アクチュエータは、ばねを装填したボール・キャッチを解放するために垂直方向に摺動する、解放機構を更に含む。
【0078】
ステム20はロック・セクション31を含む。ロック・セクション31は、間にチャネル38が形成され、ステム20の主本体よりも大きい径を有し、径方向に延びる上部34及び下部36の肩セクションを備える。チャネル38は、ラッチ・プレート又は同様のロック要素を受け入れるよう配置される。ラッチ・プレートは、所与の箇所において、プローブ10を垂直方向にロックする必要がある箇所にプローブ10が受け入れられるときに、ラッチ・プレートがチャネル38と垂直方向に位置を合わせられるよう、好ましくは、ラッチ・プレートの下面が、下肩部36に位置を合わせられるように配置される。プローブ10は、ラッチ・プレートのアパーチャを介して受け入れられてもよい。ラッチ・プレートは、ロック位置まで水平方向に摺動可能で、ここで、プレートの少なくとも一部がチャネル38の少なくとも一部の中に受け入れられる。ラッチ・プレートがチャネル38に受け入れられたとき、下肩部36がラッチ・プレートと係合することによって、プローブ10が垂直方向に外れるのを防止する。
【0079】
ステムは、バーコード又は他のプローブの識別子を提供するために、印刷、又はレーザー・マークなどを施された、同心リングを有する凹んだセクション30を有する。セクション30は、バーコード又は他の識別子の摩耗を最小限に抑えるため、凹んでいる。バーコード又は他の識別子は、バーコード・リーダー122として、又は別個のモジュール(図示せず)として、プローブ・アダプタ18内に位置される。
【0080】
上部ステム・セクション20は、ベース端部に雌ねじを有する内部チャネルを含む。下部ステム・セクション22は、上部ステム・セクション20のねじ山セクションと係合するよう対応したねじ山部分を含み、下部ステム・セクション22を上部ステム・セクション20に接続する。下部ステム・セクション22の上端部44は、上部ステム・セクション20の径と一致する径を有する。下部ステム・セクション22の径は、テーパー・セクション46で、テーパー・セクション46の長さに沿って、小さい径である下端部セクション48まで減少する。その遠位端において、下部ステム・セクション22は、先の尖った穴開け先端部50を含み、プローブがサンプル容器の隔壁のアパーチャを通って挿入するのを補助する。
【0081】
下部ステム・セクション22は、吸着材料を含む。図2の配置では、吸着材料は、長手方向に位置を合わされ、且つ径の反対側に溝を切られた、一対の吸着剤チャネル52に提供される。一対の吸着剤チャネル52は、長手方向に延び、径方向内側に、下部ステム・セクション22の本体の中に凹んでいる。一対の吸着剤チャネル52は、互いに等しい長さを有し、テーパーが付いた先の尖った先端50から長手方向の中心寄りに離された、第1の下端部を有する。各チャネル2の上端部は、テーパーが付いたセクション46から長手方向下側に離されている。吸着剤チャネル52は、吸着サンプリングを実施するのに好適な吸着材料54を収容する。好ましくは、吸着材料54はポリジメチルシロキサン(PDMS)であるが、特許請求の範囲で詳述するような、他の材料も使用することができる。長さ、深さ、及び幅を含む、各チャネル52の寸法は、収容する吸着材料54の体積を規定するよう選択される。
【0082】
図3に示すように、サンプル容器2は、保存コンテナを画定する円筒形の中空ガラス本体58、及び開口部にリム62を有するネック部60を含む。リム62は、本体セクション58の上肩部68から離れた下縁部66を有する、外側に広がったリブ64を含む。リム62の径に対応する径を有するシリコーン・ディスク70が、リム62の上面に着座して、コンテナの隔壁を提供する。隔壁70は、プローブ10の下部セクション48が通過できるよう構成された径を有する、中央アパーチャ72を含む。アパーチャ72の径は、先端部22の下部セクションの径以上であるが、上部セクションの径未満である。ポリ四フッ化エチレン(PTFE)膜71が、シリコン隔壁70の下に位置され、リム62と隔壁70との間でリム62に着座する。ディスク形状のポリ四フッ化エチレン(PTFE)膜71は、シリコン隔壁に接合されて、2つの構成要素間の封止を最適にする。ポリ四フッ化エチレン(PTFE)膜はアパーチャを含まず、気体が隔壁のアパーチャ72を通して逃げるのを防止するために、容器2を封止する。プローブ10がアパーチャ72を通して挿入されると、プローブ10はポリ四フッ化エチレン(PTFE)封止部に穴を開ける。図4に示すように、ポリ四フッ化エチレン(PTFE)封止部71は、プローブ10の先端セクション22の下端部によって穴を開けられると、内側に曲がる。
【0083】
容器2は、プローブ10の最大径よりも大きい開口アパーチャを伴う、環状の上面76を有する金属製キャップ74を更に含み、それによってプローブ10を、上面76の開口部の縁部と係合することなく、キャップ74のアパーチャを通して挿入することができる。キャップ74は、下縁部が開いている側壁78を更に含む。キャップ74の径は、リブ66の径と実質的に等しく、それによってキャップ74はリブ66を越えて挿入することができる。次に側壁78の下端部は、リブ64の下縁部66の上に圧着され、キャップ74をリム62上の所定の位置に固定する。隔壁70及びポリ四フッ化エチレン(PTFE)封止部71は、キャップ74とリム62との間の所定の位置に保持される。キャップ74の開口アパーチャは、隔壁封止部のアパーチャ72よりも大きい。したがってアパーチャ72は、キャップ74の開口アパーチャの径方向内側に離され、開口部の内側周辺とアパーチャ72との間の隔壁封止部のセクションを露出させる。この露出した隔壁の環状セクションによって、吸着サンプリングの前に、ヘッドスペース・サンプルなどを容器2から取り出すために、隔壁にシリンジによって穴を開けることが可能になる。隔壁70は、シリンジ・ニードルを回収する際に再封止することができ、アパーチャ内の露出したポリ四フッ化エチレン(PTFE)膜71が無傷のままであるために、容器の封止部は維持される。
【0084】
先端セクションの下部セクション48の小さい径は、隔壁70のアパーチャ72を通したプローブ10の初期の挿入を容易にする。下部セクション48の径は、使用中に隔壁の開口部を通して比較的容易に、制限された摩擦で摺動するように選択される。アパーチャ72の径は、下部セクション48との僅かな封止嵌合をもたらすように、又はアパーチャの周縁部が下部セクション48から離されて、下部セクション48が隔壁70に擦れるのを防止するように、選択してもよい。プローブ10が更に挿入されると、テーパーが付いたセクション46は隔壁70に到達する。テーパーが付いたセクション46の広がる径は、より大きい径のセクション44に移行する。アパーチャ72の径は、上部セクション44の径未満となるように選択され、精密公差又は好ましくは干渉をもたらす。このように、上部セクションがアパーチャ72に受け入れられると、明白な封止が隔壁70にもたらされる。
【0085】
上部セクション44と隔壁70との間のこの封止係合によって、サンプル容器及び/又はプローブ10に、より複雑な追加の封止部の配置を必要とすることなく、非常に簡単な方法で容器2を封止する。
【0086】
プローブ10の挿入前に、容器2はポリ四フッ化エチレン(PTFE)膜71によって封止されている。容器2からサンプルを得るため、プローブ10は隔壁70の予め形成されたアパーチャ72を通して挿入される。先端部50がポリ四フッ化エチレン(PTFE)膜に穴を開け、プローブ10が隔壁70及びポリ四フッ化エチレン(PTFE)膜71を通して容器2の中に挿入される。図4は、プローブ10がサンプル容器2の中に挿入され、それによって、先端セクション22の下部セクション48及びテーパーが付いたセクション46が、隔壁70の開口部72を通して完全に挿入された配置を示す。開口部は、先端セクション22の上部セクション44の、より大きい径まで広げられている。この条件で、開口部72は、先端セクション22の上部セクション44のより大きい径によって広げられ、開口部72の内側縁部と上部セクション44の外面との間の係合が、液体及び気体の堅固な封止部を作り出し、同様に非常に堅固な締り嵌めをもたらして、サンプル容器22は必要に応じてプローブ10によって持ち上げられる。更に、プローブ10がサンプル容器2から回収される際に、隔壁70がかなりの量の液体を先端セクション22から取り去るよう機能するように、アパーチャ70は先端セクション22の外面と係合する。
【0087】
プローブ10をサンプル容器2から回収する際、アパーチャ72は開いたままである。したがって、図5に示すように、止め具80がアパーチャ72を閉鎖して封止するために設けられる。止め具80は、ディスク形状のキャップ部82と、キャップ・セクション82の下面から延びるプラグ・セクション84とを含む。プラグ・セクション84は、実質的に円筒形で中心に位置し、隔壁70のアパーチャ72を通して挿入されるように構成される。プラグ84は、大きい径の下部セクション86を含み、プラグ・セクション84の上部88は、アパーチャ72の広がっていない自由な状態の径よりも大きい遠位端に比べて小さい径である。プラグ84は、アパーチャ72を通して挿入され、一旦全体が挿入されると、キャップ・セクション82は、サンプル容器2のキャップ74の上面76に着座する。一旦プラグ84の、より大きい径のセクション86が完全にアパーチャ72を通過すると、大きい径は顎として機能して、プラグ84をアパーチャ内に維持して、後退するのを防止する。上部セクション88が、アパーチャ72よりも大きい径を有するので、上部セクション88は、プローブ10と同じ封止方法でアパーチャ72を封止する。封止キャップ82は、封止容器2のキャップ74と同じ方法で、ロボティック・アーム6のプローブ・アダプタ18によって磁気的に持ち上げられるように、金属で形成される。
【0088】
止め具80の代替で、図6は封止キャップ118を示す。封止キャップ118は、サンプリング後に容器を封止するために、サンプル容器に適用することができる。このキャップ118は、ステム120と、プローブ10のステム22及びヘッド26の形状に対応したヘッド・セクション126とを備える。キャップ118は、サンプル容器2の上端部を覆って嵌めるよう構成される。Oリング128又は同様の封止部が、キャップ118の内側縁部の周りに提供されてもよく、それがキャップ78の外面、及び容器2の上端部を封止する。封止キャップ118は、ロボティック・アームを使用してサンプル容器2に押し込まれ、内径118と容器のキャップ78の外径との間に、封止部が作り出される。ステム120及びヘッド・セクション126の形状によって、容器2を移動させるために、ステム120がロボティック・アームに接続され、持ち上げられるようになる。
【0089】
図7は、洗浄/乾燥ステーション14を上から見た図である。洗浄/乾燥ステーション14のキャップ・セクション87は、複数の入口アパーチャを含む。入口アパーチャの第1のセット90は、複数の液体導管によって、上述のような洗浄液の供給部に接続される。入口アパーチャの第2のセット92は、圧縮空気の供給源に接続される。開口アパーチャ94は、プローブ10を受け入れるために、キャップ87の中央に位置される。
【0090】
ラインA-Aに沿った断面図が図8に示される。液体及び空気の入口ポート90、92は、キャップ・セクション87の上面から下向きに延びる環状で斜角の付いた面に形成され、環状アレイに配置される。入口90、92は下向きに角度が付けられ、環状で斜角の面に対して実質的に垂直に、キャップ・セクション87の本体を貫通する。チャネル90、92の、より広い外側端部は、液体及び空気導管を固定するためのコネクタによって接続する、接続ポートを画定する。それらのチャネルには、内側端部において、洗浄ステーション14の本体102内で画定された内側チャンバ100の中に延びる、小さい径の出口セクション98まで、内側にテーパーが付いている。ノズルを、入口98の内側端部に設けてもよい。ノズルは、液体又は空気の必要な流れ及びジェット特性を、チャンバ100の中に提供するよう構成される。
【0091】
洗浄プログラムの第1の段階において、加熱されるか、冷却されるが、又は常温である洗浄液を液体入口90に提供して、ポンプで圧力をかけて入口チャネル98を通過させる。液体の流れによって作り出した噴霧がチャンバ100内に入り、プローブ10の先端セクション22に導かれる。液体噴霧のタイミングは選択的に変化させることができ、ユーザーが規定してもよい。例えば、一旦サンプル・プローブ10がチャンバ100の中に完全に挿入されると、噴霧が始動されてもよい。或いは、プローブ10が最初にチャンバの中に導入される間、又はその前に噴霧が始動されてもよく、それによって、プローブ10はチャンバ100の中に挿入されるにつれて、その長さに沿って直接噴霧される。液体入口90の下向きの角度は、ジェットが先端セクション22に下向きに導かれることを意味する。これによって、封止材のない入口94を通る、いかなる跳ね返り又は上向きの噴霧も制限し、プローブ10と入口開口部94との間の締り嵌めによって、更に制限される。封止しないことで、清潔なプローブ10を封止材との接触によって汚染する可能性を防止する。封止材は、プローブ10がチャンバ100から後退する際に汚染を隠すことがある。キャップ周りの複数の液体入口90の環状配置は、先端セクション22の全ての周囲に噴霧することを意味する。先端セクション22から流れ落ちる液体は、下向きに出口108まで流れ、出口108を通してチャンバ100から排出される。
【0092】
制御器は、予め決められた期間で洗浄サイクルを実行するよう構成される。一旦洗浄サイクルが完了すると、乾燥サイクルが開始される。これは、直ちに開始されるか、又は液体のバルクが先端セクション22から流れ落ちるよう提供された時間間隔の後に開始されてよい。圧縮空気がポンプで、空気入口92を通してチャンバの中に入れられ、環状に配置された空気ジェットが、先端セクション22の周縁部の周りを一周する空気の幕を作り出す。液体入口90と同様に、空気入口92は、下向きにチャンバ100のベースに向かって角度が付いている。空気の幕は、空気入口92の領域に集中するが、ある程度の乾燥が、チャンバ100内で作り出された空気の循環によって空気入口92の領域の下で生じる。一旦空気入口92によって空気の幕が作り出されると、プローブ10はチャンバ10から垂直方向に後退してよい。プローブ10が上向きに後退すると、先端セクション22は、空気の幕を通して引かれ、その全長に沿った乾燥がもたらされる。乾燥効率を改善するために、入口92に供給される空気は、チャンバ100に入るまでに加熱、又は冷却されてもよい。洗浄/乾燥ステーション14は、溶剤をプローブ10に通過させることによって、サンプルをプローブから取るためにも使用できる。この液体サンプルは、チャンバ100のベース部から出る際に採取することができる。
【0093】
ロボティック・アームにサンプル・プローブ10を操作させるため、図9に示すように、ロボティック・アームを使用するためにサンプル・プローブ10に適合される、プローブ・アダプタ18が提供される。プローブ・アダプタ又は輸送アセンブリ18はまた、サンプル容器2、及び/又はサンプル容器2とプローブ10との両方を同時に輸送するよう設計される。プローブ・アダプタ18は本体110を含み、本体110から上向きに延びる第1のピックアップ・コネクタ112を伴う。ピックアップ・コネクタ112は、プローブ10のステム20のヘッド26と同じ構成である、ヘッド114を有する。アダプタのピックアップ・コネクタ112は、ロボティック・アーム6の固定された機械式ラッチによって捕捉されて、接続される。
【0094】
ロボティック・アーム6のz軸アクチュエータの第1のものは、第2のz軸アクチュエータとは横方向に距離Dだけ離される。アパーチャ116が本体110に形成され、この円形アパーチャ116は、アダプタのピックアップ・コネクタ112の長手方向軸から距離Dだけ離された中心軸を有し、それによって、プローブ・アダプタ18が第1のz軸アクチュエータの固定されたラッチ機構に接続されたときに、第2のz軸アクチュエータと同軸となる。中空の円筒形壁118は、プローブ・アダプタ18の上面から直立するアパーチャ116の周縁部の周りに延びる。壁118は空隙を伴う半環状で、上面119を含む。使用中、第2のz軸アクチュエータが、アパーチャ116を通して解放深さまで下向きに移動するとき、解放機構の摺動するカラーが上面119と係合して、ばねを装填したラッチを解放し、サンプル・プローブ10を取り外すことができる。プローブ・アダプタ18のこの要素によって提供された止め具面がないと、複数サンプルの自動サンプリングに必要な、ロボティック・アーム6の標準的なz軸アクチュエータがサンプル・プローブ10を解放することが不可能となる。
【0095】
図10に示すように、円筒形壁123は、本体110の下面から下向きに延びる。1つの磁石又は複数の磁石121が、壁123の下縁部に設けられる。アパーチャ116の径は、プローブ10が妨げられずにアパーチャ116を通して上に延びるよう、且つプローブ10の径よりも大きくなるよう選択される。プローブ・アダプタ18は、プローブ10のステム20に設けられた凹んだバーコード・セクションを読み取るよう配置された、バーコード・リーダー122も含む。これによって、各プローブ10が、サンプル及び分析処理を通して追跡され得る。
【0096】
主アパーチャ116を通してロボティック・アーム6に取り付けている第1のプローブ10に加えて、同一の第2のプローブを、第2のz軸アクチュエータを使用して、第2の軸124に沿ってロボティック・アームに接続することができる。これによって、ロボティック・アーム6が、2つのサンプル・プローブ10並びにサンプル容器2へ、いつでも移動させることができる。
【0097】
使用中、プローブ・アダプタ18は、ロボティック・アーム6によって選択されて捕捉され、ロボティック・アームの第1のz軸アクチュエータが、ピックアップ・コネクタ112によってプローブ・アダプタ18を持ち上げる。好ましくは環状壁123の径は、サンプル容器の蓋の径と実質的に等しい。しかし、アパーチャ116がサンプル容器2と同心円状に位置を合わせられたときに、磁石セクション121の少なくとも一部がサンプル容器2の蓋に着座して係合できるような、任意の好適な構成であってもよい。プローブ・アダプタ18は、壁123の下面をサンプル容器2のキャップ74に接触させるよう位置付けることによって、サンプル容器2を捕捉してもよく、それによって磁石部121は、サンプル容器2の金属製キャップに磁気的に固定される。これは、サンプル容器2に位置されたサンプル・プローブ10を伴い、又は伴わずに行ってもよい。プローブ・アダプタ18は、アパーチャ116をプローブ10の軸と同心円状に位置を合わせることによって、プローブ10を捕捉するよう移動されてもよい。プローブ10のステム20は、アパーチャ116を通して延びることができ、次にロボティック・アーム6のz軸アクチュエータは、ステム20のヘッド26に接続することによって、プローブ10を捕捉できる。プローブ10は、アパーチャ116を通してz軸上で作動させることができる。
【0098】
プローブ・アダプタ18は、サンプリングのためにプローブ10がサンプル容器2に挿入されたとき、プローブ10及びサンプル容器2を捕捉することもできる。この配置において、プローブ・アダプタ18は、磁石セクション121が、プローブ10が延びているサンプル容器2のキャップと係合するまで、プローブ10の上に下げられてもよい。次にプローブ10は、z軸アクチュエータによって同時に係合され、プローブ・アダプタ18は、z軸アクチュエータによって持ち上げられ、サンプル容器2は、プローブ10によってではなく、サンプル容器2のキャップによって直接持ち上げられる。しかし、プローブ10とサンプル容器2との間の封止部は、サンプル容器2が、蓋との間の封止部を弱めることなく、z軸アクチュエータによって持ち上げられるときに、プローブ10によって直接持ち上げられてもよいような封止部であることに留意されたい。
【0099】
ロボティック・アーム6は、プローブ・アダプタ18をアダプタ交換ステーションから選択して捕捉するように、制御且つ操作されてよい。アダプタ交換ステーションは、以下で更に詳細に説明するように、プローブ・アダプタ18及びヘッドスペース・シリンジ・ツールを収容する。プローブ・アダプタ18は、通常はシリンジ分析に使用される標準のロボティック・アーム6が、サンプル・プローブ10を捕捉できるよう構成されるアダプタとして機能する。プローブ・アダプタ18は、ロボティック・アームがサンプル容器2を捕捉できるようにも構成される。
【0100】
シリンジ・アダプタを捕捉して、操作するために使用されるものと同様の機構を使用する利点は、シリンジ及びプローブ10を利用した一連の操作が、単一のサンプル又は連続したサンプルに対して順番に自動で実施され、サンプルのスループット及び分析の適応性を増加させるという点で明白である。例として、シリンジは、ヘッドスペース・サンプリングを可能にするよう提供され得る。ヘッドスペース・シリンジのニードルは、サンプル容器を封止した隔壁を通して挿入され、ヘッドスペース・ガスのサンプルを採取するよう構成される。ヘッドスペース・シリンジは、プローブ10を操作するために使用されるのと同じロボティック・アームによって係合されて操作されるように構成される。
【0101】
代替の実施例において、図16に示すように、アダプタ318は、サンプル・プローブ310を把持するよう構成された把持ツール320を含む。把持ツール320は、閉構成と開構成との間で可動で、サンプル・プローブ310を把持及び解放する、対向するフィンガー322を備える。把持ツール320は、サンプル・プローブ310のヘッドを堅固に把持するよう構成された先端部323を有する把持フィンガー321を含み、それによってプローブが把持ツール320に対して直線的に固定される。プローブ・アダプタ318は、本体310から延びたピックアップ・コネクタ312を含む。ピックアップ・コネクタ312は、プローブ・アダプタ312を持ち上げて移動させるために、ロボティック・アームの固定された機械式ラッチによって捕捉され、接続されるよう構成されたプローブ・アダプタ318を作動可能にする。プローブ・アダプタ318は、把持ツール320と動作可能に接続される本体310から、上向きに突出する第2のコネクタ324を更に含む。第2のコネクタ324は、ロボットによって接続されるよう配置されたピックアップ・コネクタ312の接続ヘッドと同じ構成の、接続ヘッド326を含む。
【0102】
プローブ・アダプタ318は、第3のコネクタ325を更に含む。第3のコネクタ325は、ロボットによって接続されるよう配置されたピックアップ・コネクタ312の接続ヘッドと同じ構成の接続ヘッド329を含む。
【0103】
ロボットによって接続されたとき、ロボットによる第3のコネクタ325の直線的作動は、把持ツール320を第2のコネクタ224の垂直軸の周りに回転させる。この回転によって、サンプル・プローブ310を回転させ、それが次に、サンプル・プローブ310を任意の方向に位置付ける。この機構は、サンプル・プローブ310の本体に適合されたバーコード、又はサンプル容器2上のバーコードの、自動化された読み取りに使用する。
【0104】
ロボットによって接続されたとき、ロボットによる第2のコネクタ324の直線的作動は、把持ツール320を開閉させる。プローブ・サンプリング・サイクルの間、把持ツールのプローブ・アダプタ318は、ロボットによって捕捉される。ロボットは第1のコネクタ312及び第2のコネクタ324に接続する。次にロボットは、把持ツール320をプローブ・アダプタ318から接続解除することなく作動させることによって、サンプル・サイクルが必要とする回数だけ、サンプル・プローブ及び容器を取り上げ、解放してよい。この配置の利点は、サンプリング・サイクルの間にプローブ・アダプタに1回のみしか接続する必要がないので、ロボットのコネクタを摩耗から保護することである。反対に、前の実施例では、ロボットはサンプル・プローブ10に直接接続し、したがってサンプリング・サイクルの間、全てのプローブ10を接続及び接続解除しなければならない。ロボットのコネクタを交換することに比べて、摩耗により把持フィンガーの先端部を交換することは、著しく容易且つ安価である。
【0105】
把持フィンガー321の先端部323の各々は、サンプル・プローブ310のヘッドの大きい径のセクション328を受け入れるよう構成された、チャネル327を含む。図17に示すように、先端部323の対向する遠位端330の各々は、プローブ310のヘッドの小さい径のセクション334の外面に対応する、湾曲して切り取られたセクション332を含む。使用中にサンプル容器と面する、先端部323の軸方向端部面336は、埋め込まれた磁石338を含む。
【0106】
磁石338は、サンプル容器2のキャップ74と係合するよう配置される。図18に示すように、把持ツール320はキャップ74と係合するよう移動される。フィンガー先端部323の遠位端面336に位置された磁石338は、金属製キャップ74と係合して、磁気的に接続する。一旦磁気的に固定されると、把持ツール320はサンプル容器2を取り上げることができる。これは、把持ツールが、サンプル容器又はサンプル・プローブを選択的に捕捉することを可能にして、プローブ・アダプタを交換する必要なく、両方をロボットによって操作することを可能にする。
【0107】
サンプルの液体及びヘッドスペースの分析の組み合わせを容易にするために、オーブンは、サンプル・プローブ10及びヘッドスペース・サンプリングのシリンジ・ニードルの両方を受け入れる機能が必要となる。吸着サンプル・プローブ10と使用するよう構成された、オーブンの入口アパーチャは、シリンジ・ニードルとの使用は好適ではない。細いニードルは、サンプル・プローブ10に必要な比較的大きい入口チャネル内の封止部を作り出すことはできない。そのため、オーブン・アダプタ150が、図11に示すように提供される。オーブン・アダプタ150は、オーブン16の入口アダプタ内に位置して固定される。オーブン・アダプタ150は、サンプル・プローブ10の上部の形状に対応する外形を有し、サンプル・プローブ10と同じ方法で、オーブン16の開口部内に固定され、且つ封止する。オーブン・シリンジ・アダプタ150は、オーブン16の加熱されたチャンバと開放連通して、シリンジ・ニードル154を受け入れるよう構成された、中央チャネル152を有する。ニードルがチャネルに挿入されるとき、封止配置が、外部の雰囲気とオーブンの加熱されたチャンバとの間の封止部を維持するために提供される。図11の配置では、シリンジとオーブンとの間の気体を封止する配置が、アダプタ本体158と上部160との間に保持された隔壁156を備える。
【0108】
アダプタ150が図12に示され、オーブン16の開口部内に嵌められている。アダプタ150は、サンプル・プローブ10と同じ方法で、入口に嵌めて封止する。オーブン・アダプタ150は、オーブン16内で同じプローブ10を保持するために、上述したように同じ蓋のラッチ機構161によって、オーブン16の所定の位置に保持される。ニードル154は、シリンジ・ニードル156とオーブン16の内部との間に封止部を作り出す、アダプタ・アセンブリ150の隔壁156を通過する。サンプルはシリンジから放出され、オーブン16のライナー162に入り、次にキャリア・ガスによってコールド・トラップまで清掃されて、その後、上述のようにガスクロマトグラフ(GC)に移動される。
【0109】
アダプタのヘッドの形状は、アダプタをロボティック・アーム6による操作を可能にして、オーブン16を、ユーザーの干渉なく、同じ分析中にシリンジ・ベースのサンプリング及び固相分析の両方に使用するために、自動的に再構成することを可能にする。同じ原理が、他のサンプル抽出デバイスと操作するために、サンプル入口を構成するよう採用され得ることが、想定される。
【0110】
プローブ・サンプリングと同様に、別のヘッドスペース・サンプルがフォーカシング/コールド・トラップ、及び/又は第2の吸着トラップが、保管及び繰り返し分析のために、適用されてよい。一旦必要なサンプルがコールド・トラップに存在すると、オーブン16はキャリア・ガスから離され、フォーカシング・トラップが、分析、並びに/又は保管及び繰り返し分析のための第2の吸着トラップのためにガスクロマトグラフ(GC)のコラムに導かれたキャリア・ガスの流れの中で、加熱される。一旦コールド・トラップに採取されたサンプルが、ガスクロマトグラフ(GC)のコラムに送達されるか、又は別のヘッドスペース・サンプルを必要としない場合、オーブン16は冷却される。一旦冷却されると、ロボティック・アーム6はオーブン・アダプタ150と係合し、ラッチ161が係合解除され、必要なサンプル・プローブ10の挿入を可能にするよう、オーブン・アダプタ150が取り外される。
【0111】
図13は、複数チューブのサンプリング・アセンブリ170を示し、ここではサンプル・プローブ10から脱着されたか、又はヘッドスペース・サンプルから得られた、サンプルの1つ又は複数が、保管目的のために、吸着剤で満たされた再採取チューブ172に採取されてもよい。再採取チューブ172は、複数の再採取チューブ172を保持するよう構成されたサンプル・チューブ・トレイ174の中に装填される。サンプル・チューブ・トレイ174は、複数のサンプル・チューブ・トレイ174を保持できるトレイ・ハウジング176の中に挿入される。再採取サンプル・チューブ・トレイ174は、キャップを介してノズル178を封止する位置において、アクチュエータを介して現在の再採取サンプル・チューブ172へ移動される。バルブ配置がサンプルの一部又は全体を、オーブン16から直接又はコールド・トラップを介してチューブ172に向けて導き、そこでサンプル内の検体はサンプル内に含まれた吸着材料に選択的に吸着される。
【0112】
脱着オーブン180によって、採取チューブ172が加熱され、それによって再採取されたサンプルは、再分析又は別の再採取のために、同じか又は代替のフォーカシング・デバイスに戻して再脱着されてもよい。同じ方法で、実施例の別個のチューブに採取されたサンプルが分析され、再採取されることが確認できる。
【0113】
好ましくはサンプリング装置は、位置合わせ要素も含む。位置合わせ要素は、サンプル・プローブがサンプル容器に受け入れられて垂直方向に位置を合わせられ、第2の垂直アクチュエータによって接続可能となったときに、サンプル・プローブに係合する。サンプル・プローブは、柔軟な隔壁によって容器内で支持される。使用中、サンプル・プローブが容器に、完全な垂直方向に挿入されても、時間が経つと、特に撹拌中に垂長軸から傾き始めることがある。サンプル・プローブが垂直軸に位置を合わせられていない場合、垂直軸で動作するアクチュエータがサンプル・プローブを再び得ることは困難である。
【0114】
位置合わせ要素は、サンプル・プローブの両側と係合するために動くよう、水平で反対方向に可動である第1及び第2の位置合わせ要素を含んでもよい。位置合わせ要素は、サンプル・プローブと係合してサンプル・プローブを実質的に垂直方向に保持する位置合わせ位置と、サンプル・プローブ及びサンプル容器が垂直方向に持ち上げられる解放位置との間で、可動である。
【0115】
図14に示すように、例えば撹拌中、サンプル・プローブ10がサンプル容器2に受け入れられるときに、垂直方向にサンプル・プローブ10の位置を合わせるために、位置合わせ機構200が設けられる。位置合わせ機構200は、水平方向に配置された上部位置合わせプレート202と、上部プレート202と平行に配置された下部位置合わせプレート204とを含む。上部プレート202はアパーチャ206を含み、下部プレートはアパーチャ208を含み、それら両方はサンプル容器2よりも大きい径を有する。プレート202及び204は、反対の水平方向に可動となるよう作動される。図15に示すように、上部プレートに形成されたアパーチャ206は、実質的に円形である。各アパーチャ206は、そこから延びる誘導チャネル210を含む。上部プレート202は長手方向の方向軸C上の水平方向に可動である。誘導チャネル210は、プローブ210のステムの径と実質的に等しい径を有し、アパーチャ210から、移動の長手方向軸Cに対応する共通の長手方向に延びる。下部プレート206のアパーチャ212は、上部プレート202のアパーチャ210と同じ位置列に配置され、第1の解放位置において、アパーチャ210と完全に位置を合わせられる。アパーチャ212の誘導チャネル214は、反対側の長手方向に、誘導チャネル210まで延びる。図15の位置合わせ位置において、誘導チャネル210及び214は、サンプル・プローブ10を受け入れるための円形アパーチャを画定するために位置を合わせる。位置合わせ位置において、誘導チャネル210及び214によって画定されたアパーチャ218は、サンプル容器2のサンプリング軸と、中心に位置を合わせられる。このように、サンプル・プローブ10は、位置合わせプレート202及び204のアパーチャ218によって、サンプル容器2のサンプリング軸に、その下端部及び上端部において保持される。解放位置において、主アパーチャ202及び204は、チャネルを画定するために位置を合わせ、このチャネルを通して、サンプル容器は妨げられることなく垂直方向に動くことができ、それによってアクチュエータ6が、サンプル容器2及びサンプル・プローブ10を、位置合わせプレート202及び204を通して垂直方向に持ち上げることが可能になる。
【0116】
吸着サンプリングのためのサンプリング装置は、サンプリングされる液体を収容するサンプル容器と、サンプル容器に挿入されるように構成され、サンプル容器から検体を捕捉するために配置された吸着材料を含むプローブ・セクションを有する、サンプル・プローブと、サンプル容器及びサンプル・プローブに対して、別々に接続及び操作するように構成されている、アクチュエータとを含み、サンプル・プローブは、使用中にアクチュエータがサンプル・プローブに対して、選択的及び自動的に接続及び取り外しすることが可能なように、アクチュエータに取り外し可能に接続できる。
【0117】
サンプリング装置において、アクチュエータは、3軸のロボティック・アームである。
【0118】
サンプリング装置において、アクチュエータは、解放可能なコネクタを含み、サンプル・プローブは、解放可能なコネクタによって取り外し可能に保持される形状のコネクタ部分を備える。
【0119】
サンプリング装置は、サンプル・プローブ・アダプタがアクチュエータに接続されて、アクチュエータがサンプル・プローブ及びサンプル容器の両方に対して接続及び操作することができる場合、アクチュエータに解放可能に接続するように構成された第1のコネクタ、及びサンプル容器に解放可能に接続するように構成された第2のコネクタを有する、サンプル・プローブ・アダプタを更に備える。
【0120】
サンプリング装置において、サンプル容器は、金属要素を有するキャップを含み、サンプル・プローブ・アダプタの第2のコネクタは、サンプル容器のキャップの金属要素に磁気的に固定するように配置されている、少なくとも1つの磁石を備える。
【0121】
サンプリング装置において、アクチュエータは、第1及び第2の垂直アクチュエータを含み、サンプル・プローブ・アダプタの第1のコネクタは、第1の垂直アクチュエータに接続するように配置されている。
【0122】
サンプリング装置において、サンプル・プローブは、第2の垂直アクチュエータに接続するように構成された接続要素を含む。
【0123】
サンプリング装置において、サンプル・プローブ・アダプタは、第1の垂直アクチュエータに接続されたときに、第2の垂直アクチュエータのサンプル・プローブ・アダプタに対する垂直の移動が可能になるように構成されている。
【0124】
サンプリング装置において、第2の垂直アクチュエータは、サンプル・プローブを第2の垂直アクチュエータから解放するように配置された解放機構を含み、サンプル・プローブ・アダプタは、解放機構を操作して解放機構がサンプル・プローブを解放するために、第2の垂直アクチュエータがサンプル・プローブ・アダプタに対して下向きに移動するときに解放機構と係合するように構成されている、止め具要素を含む。
【0125】
サンプリング装置において、サンプル・プローブ・アダプタはアパーチャを含み、アパーチャを通してサンプリング軸に沿って延び、止め具要素は、サンプル・プローブ・アダプタの上面においてアパーチャの周縁周りに少なくとも部分的に配置され、第2の垂直アクチュエータは、アパーチャを通して下向きに解放位置まで移動する際に、解放機構と係合する。
【0126】
サンプリング装置において、サンプル・プローブ・アダプタが第1のアクチュエータに接続されたときに、解放機構の少なくとも一部は、アパーチャの径方向外側に離され、第2のアクチュエータは、垂直運動の第1の範囲にわたって動作し、垂直運動において、解放機構は、止め具要素の上部で垂直方向に離されたままで、アパーチャの径方向外側に離された解放機構の少なくとも一部が止め具要素と係合する解放位置までの移動の第1の範囲の下限より下で可動である。
【0127】
サンプリング装置において、止め具要素は、アパーチャの少なくとも一部の周りに延びる直立壁を備え、壁は、解放機構と係合するように配置された上面を有する。
【0128】
サンプリング装置において、サンプル・プローブ・アダプタは、アクチュエータとサンプル・プローブとの間に解放可能な接続をもたらすためにサンプル・プローブを把持するように構成された把持機構を含み、把持機構は、把持機構を第2の垂直アクチュエータによって操作可能にするように、第2の垂直アクチュエータに接続するように構成された接続要素を含む。
【0129】
サンプリング装置において、サンプル・プローブ・アダプタの少なくとも1つの磁石が、把持機構に設けられる。
【0130】
サンプリング装置において、把持機構は、可動の把持要素を含み、少なくとも1つの磁石は、把持要素のうちの少なくとも1つの遠位端に設けられる。
【0131】
サンプリング装置において、サンプル容器はサンプリング軸を含み、それに沿って、サンプル・プローブはサンプル容器に挿入され、サンプル・プローブ・アダプタは、サンプル容器がサンプル・プローブ・アダプタの第2のコネクタに接続するときに、サンプル容器のサンプリング軸と位置を合わせられるサンプリング軸を含み、サンプル・プローブ・アダプタの第1のコネクタは、第1のコネクタが第1の垂直アクチュエータに接続されたときに、第2の垂直アクチュエータがサンプリング軸と軸方向に位置を合わせられるように、サンプリング軸から離される。
【0132】
サンプリング装置において、サンプル・プローブ・アダプタの本体は、サンプル・プローブ・アダプタの第1のコネクタが第1の垂直アクチュエータに接続されたときに、サンプル・プローブ・アダプタの本体がサンプリング軸から離されて、サンプル・プローブがサンプル・プローブ・アダプタの本体に干渉することなくサンプリング軸に沿って垂直に作動されることができるように構成されている。
【0133】
サンプリング装置において、サンプル・プローブ・アダプタ及びアクチュエータは、第1のコネクタが第1の垂直アクチュエータに接続されて、第2のコネクタがサンプル容器に固定されたときに、第2の垂直アクチュエータが、サンプル容器のサンプル・プローブを独立して垂直方向に作動することができるように配置されている。
【0134】
自動サンプリング・システムに使用される洗浄デバイスは、細長い吸着サンプル・プローブの少なくとも一部を受け入れるように構成されたチャンバと、洗浄液の流れをチャンバの中に導いてサンプル・プローブを洗浄するように構成されている、1つ又は複数の液体入口と、空気の流れをチャンバの中に導いてサンプル・プローブを乾燥させるように配置されている、1つ又は複数の空気入口とを備える。
【0135】
洗浄デバイスにおいて、チャンバは開口部を含み、開口部の中にサンプル・プローブは挿入され、少なくとも1つの液体入口は、開口部に隣接して位置する。
【0136】
洗浄デバイスにおいて、少なくとも1つの液体入口は、洗浄液の流れをチャンバの内側端部に向けて、長手方向内側に導くように配置されている。
【0137】
洗浄デバイスにおいて、チャンバは長手方向軸を含み、サンプル・プローブがチャンバ内に受け入れられたときに、長手方向軸に沿ってサンプル・プローブは延び、洗浄デバイスは、チャンバの長手方向軸と同軸である環状アレイに配置された複数の液体入口を含み、それによって液体入口の各々からの液体の流れが径方向内側に導かれる。
【0138】
洗浄デバイスにおいて、チャンバは長手方向軸を含み、サンプル・プローブがチャンバ内に受け入れられたときに、長手方向軸に沿ってサンプル・プローブは延び、洗浄デバイスは、チャンバの長手方向軸と同軸である環状アレイに配置された複数の空気入口を含み、それによって空気入口の各々からの空気の流れが径方向内側に導かれる。
【0139】
洗浄デバイスにおいて、複数の空気入口は、複数の液体入口と長手方向に位置を合わせられ、共通の環状アレイに配置されている。
【0140】
洗浄デバイスにおいて、液体入口及び/又は空気入口は、それらの内側端部に位置するノズルを含み、チャンバの中に導かれる液体及び/又は空気のジェットを作り出す。
【0141】
洗浄デバイスにおいて、空気入口は、径方向に向けられた空気の幕を作り出すように配置されている。
【0142】
洗浄デバイスは、洗浄液を液体入口に供給して洗浄サイクルを開始し、洗浄サイクルの後に、圧縮空気を空気入口に供給して乾燥サイクルを開始するように準備された制御器を更に含む。
【0143】
洗浄デバイスにおいて、チャンバは、チャンバから洗浄液を取り除くためにチャンバの内側端部に配置された排水路を更に備える。
【0144】
吸着サンプリング装置は、開口部、並びに開口部を覆って封止する第1の封止膜及び第2の柔軟な封止要素を含む封止アセンブリを有する、サンプルを収容するためのサンプル容器と、吸着材料を含む細長い本体を有してサンプル容器の中に挿入するように構成され、細長い本体は、吸着材料を含む下部セクションと、下部セクションよりも大きい径を有する上部セクションとを有する、サンプル・プローブとを備え、柔軟な封止要素は、サンプル・プローブを受け入れるために予め形成されたアパーチャを含み、予め形成されたアパーチャは、サンプル・プローブの上部セクションの径未満の径を有し、第1の封止膜は、サンプリングの前に容器を閉鎖して封止するように配置され、容器に挿入する際にサンプル・プローブによって穴を開けられ、第2の柔軟な膜は、サンプル・プローブが容器に挿入されたときに、容器を閉鎖して封止するように配置され、それによって、より大きい径の上部セクションがアパーチャ内に受け入れられる。
【0145】
吸着サンプリング装置において、第1の封止膜は、容器と第2の柔軟な封止要素との間で、容器の開口部の上に位置する。
【0146】
吸着サンプリング装置は、封止アセンブリを容器上に固定するように配置されたキャップを更に備え、封止アセンブリは、キャップと容器との間で固定され、キャップは、第2の柔軟な封止要素のアパーチャよりも大きい径を有する開口部を含む。
【0147】
吸着サンプリング装置において、第2の封止要素の開口部の径は、サンプル・プローブの下部セクションの径よりも大きい。
【0148】
吸着サンプリング装置において、サンプル・プローブは、下部セクションと上部セクションとの間で、下部セクションの径から上部セクションの大きい径までテーパーが付いている、軸方向に配置された径方向にテーパーが付いたセクションを含む。
【0149】
吸着サンプリング装置は、第2の封止要素のアパーチャを塞いで封止し、サンプリング後、サンプル・プローブを取り出した後に、容器を封止できるように構成された封止プラグを更に備える。
【0150】
吸着サンプリング装置において、第2の封止要素は、第1の封止膜に接合されている。
【外国語明細書】