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特開2024-23466振動可能な要素を備えるエアロゾル発生システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024023466
(43)【公開日】2024-02-21
(54)【発明の名称】振動可能な要素を備えるエアロゾル発生システム
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/40 20200101AFI20240214BHJP
   A24F 40/10 20200101ALI20240214BHJP
   A24F 40/42 20200101ALI20240214BHJP
   A24F 40/46 20200101ALI20240214BHJP
【FI】
A24F40/40
A24F40/10
A24F40/42
A24F40/46
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023202599
(22)【出願日】2023-11-30
(62)【分割の表示】P 2021124437の分割
【原出願日】2016-10-12
(31)【優先権主張番号】15192636.7
(32)【優先日】2015-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】ズーバー ジェラール
(72)【発明者】
【氏名】ボネリー サミュエル
(57)【要約】
【課題】エアロゾル発生システム、カートリッジ、アトマイザーおよび方法を提供する。
【解決手段】エアロゾル発生システム、エアロゾル発生システムのためのカートリッジ(200)、エアロゾル発生システムのためのアトマイザー(300)、およびエアロゾル発生システムを使用してエアロゾルを発生させる方法であって、システムは、液体エアロゾル形成基体を保持するためのハウジングを備える液体貯蔵部分(201)と、液体エアロゾル形成基体を加熱するように配置される加熱手段と、それを通じて加熱された液体エアロゾル形成基体が通りエアロゾルを形成する複数の通路(303)を含む振動可能な要素(301)と、振動可能な要素(301)を振動させてエアロゾルを発生させるように配置されるアクチュエータ(302)と、を備える、エアロゾル発生システム、カートリッジ、アトマイザーおよび方法。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生システムであって、
液体エアロゾル形成基体を保持するためのハウジングを備える液体貯蔵部分と、
液体エアロゾル形成基体を加熱するように配置される加熱手段と、
それを通じて加熱された液体エアロゾル形成基体が通りエアロゾルを形成する複数の通路を備える振動可能な要素と、
前記振動可能な要素を振動させて前記エアロゾルを発生させるように配置されるアクチュエータと、を備える、エアロゾル発生システム。
【請求項2】
前記加熱手段が、前記液体貯蔵部分の前記ハウジング上に、または前記液体貯蔵部分の前記ハウジング内に配置される、請求項1に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項3】
前記加熱手段が前記振動可能な要素に配置される、請求項1に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項4】
前記加熱手段が前記振動可能な要素を備える、請求項1に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項5】
前記加熱手段を動作させてエアロゾル形成基体を所定の温度に加熱するように構成される制御システムをさらに備える、請求項1~4のいずれかに記載のエアロゾル発生システム。
【請求項6】
前記振動可能な要素が、入口面および対向する出口面を含み、前記複数の通路の各通路が、前記入口面から前記出口面まで延在する、請求項1~5のいずれかに記載のエアロゾル発生システム。
【請求項7】
前記アクチュエータが、前記振動可能な要素の前記入口面または前記出口面に対して振動を前記振動可能な要素に伝えるように配置される、請求項6に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項8】
前記アクチュエータが圧電変換器を含む、請求項1~7のいずれかに記載のエアロゾル発生システム。
【請求項9】
前記液体貯蔵部分が、前記エアロゾル形成基体を保持するための前記ハウジング内に担体材料をさらに含む、請求項1~8のいずれかに記載のエアロゾル発生システム。
【請求項10】
前記担体材料が前記振動可能な要素に隣接する、請求項1~9のいずれかに記載のエアロゾル発生システム。
【請求項11】
前記液体貯蔵部分の前記ハウジング内に液体エアロゾル形成基体をさらに含む、請求項1~10のいずれかに記載のエアロゾル発生システム。
【請求項12】
カートリッジをさらに備え、前記カートリッジが前記液体貯蔵部分を含む、請求項1~11のいずれかに記載のエアロゾル発生システム。
【請求項13】
前記システムが電気的に作動する喫煙システムである、請求項1~12のいずれかに記載のエアロゾル発生システム。
【請求項14】
エアロゾル発生システム用のカートリッジであって、前記カートリッジが、
液体エアロゾル形成基体を保持するためのハウジングを含む液体貯蔵部分と、
液体エアロゾル形成基体を所定の温度に加熱するように配置される加熱手段と、を備える、カートリッジ。
【請求項15】
液体エアロゾル発生基体を霧状にしてエアロゾルを発生させるためのアトマイザーであって、前記アトマイザーが、
液体エアロゾル形成基体を加熱するように配置される加熱手段と、
それを通じて加熱された液体エアロゾル形成基体が通りエアロゾルを形成する複数の通路を備える振動可能な要素と、
前記振動可能な要素を振動させて前記エアロゾルを発生させるように配置されるアクチュエータと、を備える、アトマイザー。
【請求項16】
エアロゾルを発生させる方法であって、
液体エアロゾル形成基体を所定の温度に加熱することと、
前記所定の温度に加熱された液体エアロゾル形成基体を複数の通路をもつ振動可能な要素にて受けることと、
前記振動可能な要素を振動させて、それにより液体エアロゾル形成基体が前記通路を通じて移動してエアロゾルを形成することと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル発生システム、エアロゾル発生システム用のカートリッジ、および液体エアロゾル形成基体を霧状にするための振動可能な要素を備えるアトマイザーに関連する。エアロゾル発生システムは、電気的に作動する喫煙システムであってもよい。
【背景技術】
【0002】
エアロゾル発生システムの1つのタイプは、電気的に作動する喫煙システムである。電気的に作動する喫煙システムは一般に、霧状にされてエアロゾルを形成する液体エアロゾル形成基体を使用する。電気的に作動する喫煙システムは一般に、電源と、1回分の液体エアロゾル形成基体を保持するための液体貯蔵部分と、アトマイザーとを備える。電気的に作動する喫煙システムで使用される共通のタイプのアトマイザーは、液体エアロゾル形成基体に浸された細長い芯の周りに巻かれたヒーターワイヤーコイルを含む。
【0003】
その他の公知のタイプのアトマイザーは、液体基体を加熱するのではなく霧状にする超音波振動を使用する。「能動的な」および「受動的な」超音波アトマイザーとして本明細書において言及される超音波振動を使用して液体基体を霧状にする2つの主要なタイプのアトマイザーがある。「受動的な」超音波アトマイザーは、揺動要素を使用して振動を液体基体に伝える。その振動は、基体を微細なメッシュまたは狭い領域を通じて押し出して液体を霧状にする液体基体における圧力波を生成する。「能動的な」超音波アトマイザーは、それを通じて液体基体が振動によって引き出されて霧状にされる振動メッシュを使用する。
【0004】
超音波アトマイザーは、熱を使用して液体基体を霧状にするアトマイザーよりもより一貫的な液滴寸法をもつエアロゾルを生成しうる。超音波アトマイザーはまた、熱を使用して液体基体を霧状にするアトマイザーよりも低い温度をもつエアロゾルを生成しうる。しかし、最も公知な超音波アトマイザーが抱える問題は、それらが高い粘性をもつ液体を霧状にすることができないことである。さらに、電気的に作動する喫煙システムで使用するための多くの公知な超音波アトマイザーは、ユーザーに口あたりを提供する従来の紙巻たばこまたは葉巻たばこからの煙の温度と同様の温度においてエアロゾルを発生させることができない。
【0005】
これらの問題を改善するエアロゾル発生システムを提供することが望ましい。多様な粘性をもつ多様な液体エアロゾル形成基体を霧状にすることができるエアロゾル発生システムを提供することが望ましい。改善されたアトマイザーをもつ電気的に作動する喫煙システムを提供することがさらに望ましい。
【発明の概要】
【0006】
本発明の第一の態様では、液体エアロゾル形成基体を保持するためのハウジングを含む液体貯蔵部分と、液体エアロゾル形成基体を加熱するように配置される加熱手段とを含むエアロゾル発生システムが提供される。エアロゾル発生システムはさらに、それを通じて加熱された液体エアロゾル形成基体が通りエアロゾルを形成する複数の通路を備える振動可能な要素と、振動可能な要素を振動させてエアロゾルを発生させるように配置されるアクチュエータとを備える。
【0007】
使用時、ユーザーは、スイッチを操作することによって、またはシステムのマウスピースを引き出すことによってシステムを動作させうる。加熱手段は、作動すると液体エアロゾル形成基体の少なくとも一部分を加熱しうる。アクチュエータは、作動すると振動可能な要素に振動を励起しうる。振動可能な要素における振動は、振動可能な要素および複数の通路の通路を変形させうる。加熱された液体エアロゾル形成基体は、入口面において振動可能な要素によって受けられうる。通路の変形は、受けられた加熱された液体エアロゾル形成基体を通路内に引き出し、液体エアロゾル形成基体のエアロゾル液滴を要素の対向する出口面から排出して液体エアロゾル形成基体を霧状にしうる。
【0008】
液体エアロゾル形成基体の粘性は、エアロゾル発生システムを通る液体の流量に対する重要な影響をもちうる。液体エアロゾル形成基体の粘性を減少することは、流量を増加させ、噴霧化のレートを増加させうる。本明細書で使用される場合、「噴霧化のレート」という用語は、システムからのエアロゾルの発生のレートを記述する。別の言い方をすると、「噴霧化のレート」は、液体貯蔵部分に保持されるエアロゾル形成基体の初期段階の質量と噴霧化の時に分けられ液体貯蔵部分に保持される残りのエアロゾル形成基体との間の差である。
【0009】
加熱手段は、液体エアロゾル形成基体を加熱し、液体エアロゾル形成基体の粘性を減少しうる。噴霧化の前に液体エアロゾル形成基体を加熱することによって、加熱手段は噴霧化のレートを増加しうる。噴霧化の前に液体エアロゾル形成基体を加熱することおよびエアロゾル形成基体の粘性を減少することはまた、システムの信頼性を増大しうる。
【0010】
加熱手段は、噴霧化の前に液体エアロゾル形成基体を一貫性のある所定の温度に加熱しうる。このことは、一定の粘性での液体エアロゾル形成基体の噴霧化を可能にし、一定のレートの噴霧化でのシステムによるエアロゾルの発生を容易にしうる。これは、ユーザーの体験を向上させうる。
【0011】
液体エアロゾル形成基体の粘性は、システムによって発生したエアロゾルの液滴寸法に対する重要な影響をもちうる。したがって、噴霧化の前に液体エアロゾル形成基体を一貫性のある所定の温度に加熱することは、一定の分布の液滴寸法をもつエアロゾルの発生を容易にしうる。
【0012】
噴霧化の前に液体エアロゾル基体を周囲温度より高い温度に加熱することはまた、周囲温度における変動に対するシステムの感度を減少し、各使用においてユーザーに一定のエアロゾルを提供しうる。
【0013】
本明細書で使用される場合、「液滴寸法」という用語は、問題の液滴と同一の速度を決定する球状のユニット密度液滴の寸法である空気力学の液滴寸法を意味するように用いられる。いくつかの測定は、エアロゾル液滴寸法を説明するために当技術分野において用いられる。これらは、質量中央径(MMD)および空気力学的質量中央径(MMAD)を含む。本明細書で使用される場合、「質量中央径(MMD)」という用語は、半分のエアロゾルの質量が小径の液滴および半分の大径の液滴に含まれるような液滴の直径を意味するように用いられる。本明細書で使用される場合、「空気力学的質量中央径(MMAD)」という用語は、エアロゾルの中央質量の液滴と同様の空気力学的属性をもつ球形のユニット密度の直径を意味するように用いられる。
【0014】
特に、レーザ系光散乱装置および慣性衝突装置を使用する当技術分野において公知の液滴寸法を測定するいくつかの方法がある。レーザ回折装置は一般的には、空気力学的な液滴寸法を検出しない。慣性衝突装置は一般的には、空気力学的な液滴寸法を検出し、液滴に含まれる液体の量の算出を可能とする。例示の慣性衝突装置は、ガラス多段液体インピンジャー、アンダーソンインパクター、高性能多段液体インピンジャー、および二段階インピンジャーを含む。
【0015】
本発明のエアロゾル発生システムによって発生した液滴の空気力学的質量中央径(MMAD)は、約1μm~約10μmであってもよく、またはそのMMADは、約1μm~約5μmであってもよい。液滴のMMADは、3μm以下であってもよい。本発明のエアロゾル発生システムによって発生した液滴の所望の液滴寸法は、上述のいくつかのMMADであってもよい。所望の液滴寸法(MMAD)は、3μm以下であってもよい。
【0016】
加熱手段は、液体エアロゾル形成基体を加熱することができる任意の適切な加熱手段であってもよい。加熱手段は電気的に動作する加熱手段であってもよい。加熱手段は抵抗加熱手段であってもよい。
【0017】
加熱手段は、液体貯蔵部分のハウジング上に、またはハウジング内に配置されてもよい。このことは、加熱手段と液体エアロゾル形成基体との間の熱伝達を改善しうる。
【0018】
加熱手段は振動可能な要素に配置されてもよい。詳細には、加熱手段は、振動可能な要素と熱伝導性の関係にあってもよい。
【0019】
加熱手段は、実質的に平面とすることができ、単純な製造が許容される。本明細書で使用される場合、「実質的に平坦」という用語は、単一の平面内に形成され、かつ湾曲した形状またはその他の非平面形状に巻かれたりまたはその形状に適合するようになっていなかったりすることを意味する。平面の加熱手段は、製造時の取り扱いが簡単にでき、丈夫な構造が与えられる。
【0020】
加熱手段は、EP-B1-2493342で記載されるタイプのものであってもよい。例えば、加熱手段は、電気的に絶縁された基体上に1つ以上の導電性トラックを含んでもよい。電気的に絶縁された基体は、適切な任意の材料を備えうるが、高温(300℃を超える)および急激な温度変化に耐えることができる材料でありうる。適切な材料の一例は、Kapton(登録商標)などのポリイミド膜である。
【0021】
加熱手段は、一時にわずかな量の液体エアロゾル形成基体を加熱するための手段を含んでもよい。一時にわずかな量の液体エアロゾル形成基体を加熱するための手段は、例えば、液体エアロゾル形成基体と連通する液体通路を含んでもよい。液体エアロゾル形成基体は、毛細管力によって液体通路内に引き出されうる。使用時に、ハウジング内の液体ではなく液体通路内のわずかな量の液体エアロゾル形成基体のみが加熱されるように、少なくとも1つのヒーターは配置されてもよい。加熱手段は、液体通路の少なくとも一部分を実質的に囲むコイルを含んでもよい。加熱手段は誘導加熱手段を含んでもよい。誘導加熱手段は、カートリッジに関連して以下でより詳細に説明される。
【0022】
加熱手段は振動可能な要素を含んでもよい。このことは、システムの構成要素部分の数を減少させ、また単純な製造を容易にしうる。このことは、霧状にされる液体エアロゾル形成基体の部分(すなわち、振動可能な要素で受けられる部分)が霧状にされた時に所望の温度および粘性になることを確実にしうる。このことはまた、霧状にされた液体エアロゾル形成基体の温度または粘性を低減することなく低い温度で動作する加熱手段を可能にしうる。これは、加熱手段がハウジングに保持されるすべての液体エアロゾル形成基体ではなく液体エアロゾル形成基体の一部分を加熱することができるからである。加熱手段の動作温度を低下させることは、システムの電力要求を減少させうる。
【0023】
エアロゾル発生システムは、加熱手段を動作させて液体エアロゾル形成基体を所定の温度に加熱するように構成される制御システムをさらに備えてもよい。所定の温度は周囲温度より高くてもよい。所定の温度は室温より高くてもよい。このことは、未加熱のエアロゾル形成基体の粘性と比較してエアロゾル形成基体の粘性を減少させうる。このことは、噴霧化のレートを増加することができ、望ましい液滴寸法をもつエアロゾルの発生を容易にしうる。このことは、周囲温度における変動に対するシステムの感度を減少させうる。
【0024】
所定の温度は、液体エアロゾル形成基体の気化温度より低くてもよい。所定の温度は、20℃~80℃、または30℃~60℃、または35℃~45℃であってもよい。所定の温度は、20℃~30℃、30℃~40℃、40℃~50℃、50℃~60℃、60℃~70℃、または70℃~80℃であってもよい。
【0025】
本明細書で使用される場合、「周囲温度」という用語は、エアロゾル発生システムが用いられる周囲環境の空気温度を意味するために使用される。周囲温度は一般的には、約10℃~35℃の温度に対応する。本明細書で使用される場合、「室温」という用語は、標準的な周囲温度および圧力、一般的には約25℃の温度および約100kPa(1atm)の絶対圧力を意味するために使用される。
【0026】
加熱手段を動作させるように構成される制御システムは、エアロゾル発生システムの別個の他の制御システムであってもよい。制御システムはエアロゾル発生システムの他の制御システムの一部を形成してもよい。制御システムは、加熱手段および電源に接続される電気回路を備えうる。電気回路は、加熱手段の電気抵抗を監視し、加熱手段の電気抵抗に応じて加熱手段への電力供給を制御するように構成されうる。
【0027】
電気回路はマイクロプロセッサを備えうるが、これはプログラム可能マイクロプロセッサでもよい。電気回路はさらなる電子構成要素を備えてもよい。電気回路は加熱手段への電力供給を調節するよう構成しうる。電力はシステムの起動後に加熱手段に連続的に供給することも、毎回の吸煙ごとなど断続的に供給することもできる。電力は、電流パルスの形態で加熱手段に供給されうる。
【0028】
制御システムは、周囲温度を検出するための周囲温度センサーを含んでもよい。制御システムは、液体貯蔵部分内に温度センサーを備え、それは液体貯蔵部分のハウジングに保持される液体エアロゾル形成基体の温度を検出しうる。1つ以上の温度センサーは、エアロゾル発生システムの制御電子回路と連動して、制御電子回路が液体エアロゾル形成基体の温度を所定の温度に維持することを可能にしうる。1つ以上の温度センサーは、サーモカップルとしうる。加熱手段は、温度に関連する情報を提供するために使用されてもよい。加熱手段の温度に依存する抵抗の属性は公知であり、少なくとも1つのヒーターの温度を当業者にとって公知の方法で決定するために使用されてもよい。
【0029】
振動可能な要素は薄いシートであってもよい。本明細書で使用される場合、「薄い」は、長さ、幅または直径などの本体の他の寸法より実質的に小さい厚さをもつ本体を示す。振動可能な要素は、約0.1mm~約4.0mmの厚さを有しうる。振動可能な要素は、約3mm~約60mmの長軸方向の長さまたは直径を有しうる。
【0030】
本明細書に使用される場合、「直径」という用語は、エアロゾル発生システムの部品または部品の部分の横方向での最大寸法を説明するために使用される。
【0031】
振動可能な要素は任意の適切な形状であってもよい。振動可能な要素は実質的に円形状または楕円形状であってもよい。振動可能な要素は、実質的に三角形状または方形状またはいくつかの規則的な形状または不規則な形状であってもよい。振動可能な要素は、実質的に平面としうる。振動可能な要素は湾曲していてもよい。振動可能な要素は円蓋形であってもよい。振動可能な要素は、実質的に正方形板であってもよい。振動可能な要素は、実質的に円形のディスクまたは楕円形のディスクであってもよい。
【0032】
振動可能な要素は単一の材料を含んでもよい。振動可能な要素は2つ以上の材料を含んでもよい。振動可能な要素は層状であってもよい。振動可能な要素は金属または合金を含んでもよい。金属または合金は、ニッケル、鉄、チタン、銅またはアルミニウムであってもよい。振動可能な要素はポリマー材料を含んでもよい。振動可能な要素はセラミック材料を含んでもよい。振動可能な要素は材料の組み合わせを含んでもよい。
【0033】
振動可能な要素は、入口面および対向する出口面を含んでもよく、複数の通路の各通路は、入口面と出口面との間に延在していてもよい。
【0034】
振動可能な要素は再利用可能であってもよい。振動可能な要素は使い捨てであってもよい。
【0035】
複数の通路の通路は、振動可能な要素の厚さを通じて延在する開放状態の通路である。通路は、振動可能な要素の向かい合った入口面と出口面における開端部をもつ。通路は、任意の適切な方法により振動可能な要素に形成されうる。通路を形成するための適切な公知の方法は、電解質および高速レーザドリル加工を含む。
【0036】
通路は、任意の適切な形状をもちうる。通路は、実質的に円形の断面または楕円形の断面をもちうる。通路は、実質的に三角形または方形または不規則な形状の断面をもちうる。
【0037】
通路は、それらの長さに沿った一定の直径をもちうる。通路は、実質的に円柱状でもよい。通路は、振動可能な要素の出口表面に向かって細くなる幅をもつ先細の形状をもちうる。出口面よりも入口面(すなわち、液体エアロゾル形成基体を受ける面)に大きい直径をもつ通路を提供することは、通路による液体エアロゾル形成基体の取込みを容易にしうる。このことは、液体エアロゾル形成基体の噴霧化のレートを増大しうる。
【0038】
先細の通路の直径は、入口面と出口面との間の通路の長さに沿って連続的に減少しうる。先細の通路の直径は、入口面と出口面との間で変化する1つ以上の個別の段階において変わりうる。先細の通路は、円錐台を形成する実質的な円錐台状であってもよい。先細の通路は、実質的に角錐台であってもよい。先細りの角度は、先細の通路の長さに沿って一定であってもよい。本明細書で使用される場合、「先細りの角度」という用語は、振動可能な要素の平均から第一または第二の表面までの通路壁の角度偏差を意味するように使用される。
【0039】
通路は、約1μm~150μm、または約1μm~50μm、または約1.5μm~10μmの振動可能な要素の出口面における直径をもっていてもよい。このことは、望ましい液滴寸法をもつエアロゾルの発生を容易にしうる。通路は、振動可能な要素の出口面において任意の適切な直径をもち、所望の液滴寸法をもつ液滴を発生しうる。所望の液滴寸法(MMAD)は、3μm以下であってもよい。
【0040】
通路は、使用時に霧状にされることになる液体エアロゾル形成基体が通路内に引き出され、振動可能な要素と液体エアロゾル形成基体との間の接触面積が増えるように、毛細管作用を引き起こさせうる。加熱手段が振動可能な要素を含む場合、このことは、振動可能な要素と液体エアロゾル形成基体との間の伝導性熱伝達を改善しうる。
【0041】
複数の通路はアレイを形成しうる。通路のアレイは、任意の適切な形状をもちうる。例えば、通路は、実質的に環状のアレイ、実質的に楕円形状のアレイ、実質的に正方形状のアレイ、または実質的に長方形状のアレイに配置されうる。通路は、アレイにわたって規則的に間隙を介して配置されうる。通路は、アレイにわたって不規則に間隙を介して配置されうる。
【0042】
通路のアレイは、振動可能な要素全体にわたって延在していてもよい。通路のアレイは、振動可能な要素の部分を越えて延在していてもよい。通路のアレイは、振動可能な要素の中央部を越えて延在していてもよい。アレイは、振動可能な要素の面積の約10%~約100%、または約20%~約80%、または約30%~約70%の面積を覆ってもよい。通路のアレイの面積は、25mm2以下であってもよい。通路のアレイは例えば長方形で約5mm×約2mmの寸法をもつものでもよい。通路のアレイは、実質的に円形で約3mm~約60mmの直径をもつものでもよい。
【0043】
複数の通路は、約100~10000の通路、または約1000~7000の通路、または約3000~5000の通路を含んでもよい。
【0044】
アクチュエータは、振動可能な要素に対して任意の適切な位置に配置されてもよい。アクチュエータは、振動可能な要素の入口面または出口面において振動を振動可能な要素に伝えるように配置されてもよい。アクチュエータは、入口面で振動を振動可能な要素に伝えるように配置されてもよい。アクチュエータは、出口面で振動を振動可能な要素に伝えるように配置されてもよい。アクチュエータは、振動可能な要素と直接接触しうる。アクチュエータは、振動可能な要素に固定されてもよい。アクチュエータは、圧力によって振動可能な要素に固定されてもよい。アクチュエータは、振動可能な要素に接着されてもよい。伝達部材は、アクチュエータと振動可能な要素との間に提供されて、振動をアクチュエータから振動可能な要素に伝達しうる。
【0045】
アクチュエータは、任意の適切な方向において振動可能な要素を振動するように配置されてもよい。アクチュエータは、厚さ方向において振動可能な要素を振動するように配置されてもよい。本明細書で使用される場合、「厚さ方向」は、振動可能な要素の厚さに対して実質的に平行な方向を意味する。このことは、通路を通じた液体エアロゾル形成基体の移動を促進する振動可能な要素の変形を容易にしうる。
【0046】
アクチュエータは、1つ以上の作動要素を備えうる。1つ以上の作動要素は、任意の適切な形状であってもよい。1つ以上の作動要素は実質的に円形状または楕円形状であってもよい。1つ以上の作動要素は実質的に、三角形状、方形状、または任意の規則的な形状もしくは不規則な形状であってもよい。1つ以上の作動要素は、環状であってもよい。1つ以上の作動要素は、振動可能な要素の複数の通路を実質的に囲んでもよい。複数の通路を囲むことによって、1つ以上の作動要素は、通路の開端部を覆わなくなりうる。1つ以上の作動要素は、実質的に平面であってもよい。1つ以上の作動要素は、約0.1mm~5.0mmの厚さを有しうる。1つ以上の作動要素は、実質的に環状のディスクであってもよい。環状のディスクの外径は、約3mm~約60mmであってもよく、その内径は、約2mm~約59mmであってもよい。
【0047】
アクチュエータは、振動可能な要素における振動を励起するためのいくつかのタイプのアクチュエータでありうる。アクチュエータは、圧電変換器を含んでもよい。圧電変換器は、十分に小さく、軽量であり、手持ち式のエアロゾル発生システムにおける使用のために制御することが容易なアクチュエータを提供しうる。
【0048】
圧電変換器はモノクリスタルの材料を含んでもよい。圧電変換器は石英を含んでもよい。圧電変換器はセラミックを含んでもよい。セラミックは、チタン酸バリウム(BaTiO3)を含んでもよい。セラミックは、ジルコン酸チタン酸鉛(PZT)を含んでもよい。セラミックは、Ni、Bi、La、NdまたはNbイオンなどのドーピング材料を含んでもよい。圧電変換器は分極化されてもよい。圧電変換器は不分極化されてもよい。圧電変換器は、分極化された圧電材料と不分極化された圧電材料の両方を含んでもよい。
【0049】
エアロゾル発生システムは、アクチュエータを動作させて所定の周波数で振動可能な要素における振動を励起するように構成される制御システムをさらに備えてもよい。所定の周波数は、約20kHz~約1500kHz、または約50kHz~約1000kHz、または約100kHz~約500kHzでありうる。このことは、良好なユーザー体験のための所望のエアロゾル出力レートおよび所望の液滴寸法を提供しうる。
【0050】
アクチュエータを動作させるように構成される制御システムは、エアロゾル発生システムの別個の他の制御システムであってもよい。制御システムはエアロゾル発生システムの他の制御システムの一部を形成してもよい。制御システムは、アクチュエータおよび電源に接続された電気回路を備えうる。
【0051】
電気回路はマイクロプロセッサを備えうるが、これはプログラム可能マイクロプロセッサでもよい。電気回路はさらなる電子構成要素を備えてもよい。電気回路はアクチュエータへの電力供給を調節するよう構成されてもよい。電力はシステムの起動後にアクチュエータに連続的に供給することも、毎回の吸煙ごとなど断続的に供給することもできる。電力は、電流パルスの形態でアクチュエータに供給されてもよい。
【0052】
エアロゾル発生システムの液体貯蔵部分は、実質的に円柱形であるハウジングを備えてもよく、ここで開口部は円柱の一方の端にある。液体貯蔵部分のハウジングは、実質的に円形の断面を持ちうる。ハウジングは、剛直なハウジングとしうる。本明細書で使用される場合、「剛直なハウジング」という用語は、自立型のハウジングを意味するように使用される。液体貯蔵部分の剛直なハウジングは、加熱手段に対する機械的な支持を提供しうる。
【0053】
液体貯蔵部分は、エアロゾル形成基体を保持するためにハウジング内に担体材料をさらに含んでもよい。
【0054】
液体エアロゾル形成基体は、担体または支持体に吸着、またはその他の方法で装填される場合がある。担体材料は、適切な任意の吸収性のプラグまたは本体、例えば、発泡性の金属またはプラスチック材料、ポリプロピレン、テリレン、ナイロン繊維またはセラミックで作成しうる。液体エアロゾル形成基体は、エアロゾル発生システムを使用する前に、担体材料内に保持されてもよい。液体エアロゾル形成基体は、使用時に担体材料内に放出されうる。液体エアロゾル形成基体は、使用前に即時に担体材料内に放出されうる。例えば、液体エアロゾル形成基体は、カプセル内に提供しうる。カプセルのシェルは、加熱手段による加熱に伴い溶けて、液体エアロゾル形成基体を担体材料に放出しうる。カプセルは液体と組み合わされて、任意選択的に固体を含む場合がある。
【0055】
一例において、液体エアロゾル形成基体は毛細管材料内に保持される。毛細管材料は、液体を材料の一方の端から他方へ能動的に運ぶ材料である。毛細管材料は、ハウジング内で液体エアロゾル形成基体を振動可能な要素の第一面に運ぶのに有利に方向付けられうる。毛細管材料は繊維質の構造を有する場合がある。毛細管材料は海綿状の構造を有する場合がある。毛細管材料は一束の毛細管を含みうる。毛細管材料は複数の繊維を含みうる。毛細管材料は複数の糸を含みうる。毛細管材料は微細チューブを含みうる。毛細管材料は、繊維と糸と微細チューブの組み合わせを含みうる。繊維、糸および微細チューブは、一般的に液体を振動可能な要素に運ぶように整列されてもよい。毛細管材料は海綿体様の材料を含んでもよい。毛細管材料は発泡体様の材料を含んでもよい。毛細管材料の構造は複数の小さな穴またはチューブを形成してもよく、それを通して液体を毛細管作用によって搬送することができる。
【0056】
毛細管材料は、適切な任意の材料または材料の組み合わせを含んでもよい。適切な材料の例としては、海綿体または発泡体材料、繊維または焼結粉末の形態のセラミック系またはグラファイト系の材料、発泡性の金属またはプラスチックの材料、例えば紡がれたかまたは押し出された繊維(酢酸セルロース、ポリエステル、または結合されたポリオレフィン、ポリエチレン、テリレンまたはポリプロピレン繊維、ナイロン繊維またはセラミックなど)でできた繊維性材料がある。毛細管材料は、異なる液体物理特性で使用されるように、適切な任意の毛細管現象および空隙率を持っていてもよい。液体エアロゾル形成基体は毛細管作用により毛細管材料を通過して移動できるようにする粘性、表面張力、密度、熱伝導率、沸点および原子圧を含むがこれに限定されない物理的特性をもつ。毛細管材料はエアロゾル形成基体を振動可能な要素の第一の表面に運ぶように構成されうる。毛細管材料は振動可能な要素の通路内に広がりうる。
【0057】
担体材料は振動可能な要素に隣接しうる。担体材料は入口面において振動可能な要素に隣接しうる。毛細管材料は振動可能な要素に隣接しうる。液体エアロゾル形成基体は、毛細管作用によって液体貯蔵部分から振動可能な要素に搬送されうる。毛細管材料を振動可能な要素の入口面に隣接して提供することによって、液体貯蔵部分からの液体エアロゾル形成基体は、エアロゾル発生システムの向きにかかわらず振動可能な要素に送達されうる。
【0058】
エアロゾル発生システムは、液体貯蔵部分のハウジング内に液体エアロゾル形成基体を含んでもよい。液体エアロゾル形成基体は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力をもつ基体である。揮発性化合物は、液体エアロゾル形成基体を振動可能な要素の通路を通じて移動することにより放出されてもよい。
【0059】
液体エアロゾル形成基体はニコチンを含んでもよい。ニコチンを含有する液体エアロゾル形成基体はニコチン塩マトリクスであってもよい。液体エアロゾル形成基体は植物由来材料を含んでもよい。液体エアロゾル形成基体はたばこを含んでもよい。液体エアロゾル形成基体は、加熱に伴いエアロゾル形成基体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含有するたばこ含有材料を含んでもよい。液体エアロゾル形成基体は均質化したたばこ材料を含んでもよい。液体エアロゾル形成基体は非たばこ含有材料を含んでもよい。液体エアロゾル形成基体は均質化した植物由来材料を含んでもよい。
【0060】
液体エアロゾル形成基体は少なくとも1つのエアロゾル形成体を含んでもよい。エアロゾル形成剤は、使用において、密度の高い安定したエアロゾルの形成を容易にする、およびシステムの操作温度で熱分解に対して実質的に抵抗性のある任意の適切な公知の化合物または化合物の混合物である。適切なエアロゾル形成体は当技術分野で公知であり、多価アルコール(トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、およびグリセリンなど)、多価アルコールのエステル(グリセロールモノアセテート、ジアセテート、またはトリアセテートなど)、およびモノカルボン酸、ジカルボン酸、またはポリカルボン酸の脂肪族エステル(ドデカン二酸ジメチルおよびテトラデカン二酸ジメチルなど)を含むが、これに限定されない。エアロゾル形成体は、多価アルコールまたはその混合物(トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオールおよびグリセリンなど)であってもよい。液体エアロゾル形成基体は、その他の添加物および成分(風味剤など)を含んでもよい。
【0061】
エアロゾル形成基体は、ニコチンおよび少なくとも1つのエアロゾル形成体を含んでもよい。エアロゾル形成体はグリセリンであってもよい。エアロゾル形成体はプロピレングリコールであってもよい。エアロゾル形成体は、グリセリンとプロピレングリコールの両方を含んでもよい。エアロゾル形成基体は、約2%~約10%のニコチン濃度をもっていてもよい。
【0062】
エアロゾル形成基体は、約0.4mPa.S(0.4mPl、0.4cP)~約1000mPa.S(1000mPl、1000cP)、または約1mPa.S~約100mPa.S、または約1.5mPa.S~約10mPa.Sの20℃の温度における動的粘度(μ)をもっていてもよい。
【0063】
エアロゾル発生システムは電源を備えうる。電源は電池とし得る。電池は、例えば、リチウムコバルト電池、リン酸鉄リチウム電池、チタン酸リチウム電池、またはリチウムポリマー電池といったリチウム系の電池でもよい。電池はニッケル水素電池またはニッケルカドミウム電池でもよい。電源はコンデンサーなど別の形態の電荷蓄積装置であってもよい。電源は再充電を必要とする場合があり、また充放電の数多くのサイクルのために構成されてもよい。電源は、1回以上の喫煙の体験のための十分なエネルギーの保存が許容される容量をもっていてもよい。例えば、電源は1本の従来型の紙巻たばこを喫煙するのにかかる一般的な時間に対応する約6分間、または6分の倍数の時間にわたるエアロゾルの連続的な生成を許容するのに十分な容量をもっていてもよい。別の例では、電源は所定の回数の吸煙、または加熱手段およびアクチュエータの不連続的な起動を許容する十分な容量をもちうる。
【0064】
エアロゾル発生システムは携帯型であってもよい。エアロゾル発生システムは従来型の葉巻たばこや紙巻たばこと匹敵するサイズであってもよい。エアロゾル発生システムの全長は、約30mm~約150mmとしうる。エアロゾル発生システムの外径は、約5mm~約30mmとしうる。
【0065】
エアロゾル発生システムは、ハウジングを備えうる。ハウジングは細長くてもよい。ハウジングは適切な任意の材料または材料の組み合わせを含んでもよい。適切な材料の例としては、金属、合金、プラスチック、もしくはそれらの材料のうちの1つ以上を含有する複合材料、または、例えば、ポリプロピレン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)およびポリエチレンなど、食品または医薬品の用途に適切な熱可塑性樹脂が挙げられる。材料は軽量であり、脆くなくありうる。
【0066】
ハウジングは、電源を受けるためのくぼみを含みうる。ハウジングはマウスピースを備えてもよい。マウスピースは、少なくとも1つの空気吸込み口と少なくとも1つの空気出口を含みうる。マウスピースは、2つ以上の空気吸込み口を含みうる。1つ以上の空気吸込み口は、エアロゾルがユーザーに送達される前にその温度を低減することができ、エアロゾルがユーザーに送達される前にその濃度を減少させうる。
【0067】
エアロゾル発生システムは、エアロゾル発生装置とカートリッジとを備えうる。カートリッジは、液体貯蔵部分を備えてもよい。カートリッジは、液体貯蔵部分および加熱手段の少なくとも一部分を備えてもよい。カートリッジは、液体貯蔵部分および加熱手段を備えてもよい。カートリッジは、液体貯蔵部分、加熱手段、振動可能な要素およびアクチュエータを備えてもよい。
【0068】
エアロゾル発生システムのためのカートリッジは、液体エアロゾル形成基体を保持するためのハウジングを含む液体貯蔵部分と、液体エアロゾル形成基体を所定の温度に加熱するように配置される加熱手段とを含みうる。
【0069】
本発明の第二の態様によると、エアロゾル発生システムのためのカートリッジであって、カートリッジは、液体エアロゾル形成基体を保持するためのハウジングを備える液体貯蔵部分と、液体エアロゾル形成基体を所定の温度に加熱するように配置される加熱手段と、それを通じて加熱された液体エアロゾル形成基体が通りエアロゾルを形成しうる複数の通路を備える振動可能な要素と、振動可能な要素を振動させてエアロゾルを発生させるように配置されるアクチュエータとを備える、カートリッジが提供される。
【0070】
液体貯蔵部分、加熱手段、振動可能な要素およびアクチュエータは、いくつかの特徴を含んでもよく、また本発明の第一の態様のエアロゾル発生システムの液体貯蔵部分、加熱手段、振動可能な要素およびアクチュエータに関連して上記で説明されたようないくつかの構成において配置されてもよい。例えば、加熱手段は振動可能な要素を含んでもよい。
【0071】
加熱手段は実質的に、本発明の第一の態様に関連して上記で説明されたようなものでありうる。加熱手段は誘導加熱手段であることができ、したがって、カートリッジと装置の間に電気的な接点が一切形成されない。装置は、インダクタコイルおよび高周波振動電流をインダクタコイルに提供するように構成される電源を備えうる。カートリッジは、エアロゾル形成基体を加熱するように位置するサセプタ素子を備えうる。高周波振動電流は本明細書で使用される時、500kHz~10MHzの周波数をもつ振動する電流を意味する。
【0072】
所定の温度は周囲温度より高くてもよい。所定の温度は室温より高くてもよい。所定の温度は、液体エアロゾル形成基体の気化温度より低くてもよい。所定の温度は、所望の液滴寸法をもつ液滴を生成するための本発明に従う振動可能な要素およびアクチュエータ構成のための任意の適切な温度であってもよい。所望の液滴寸法(MMAD)は、3μm以下であってもよい。所定の温度は、20℃~80℃、または30℃~60℃、または35℃~45℃であってもよい。所定の温度は、20℃~30℃、30℃~40℃、40℃~50℃、50℃~60℃、60℃~70℃、または70℃~80℃であってもよい。
【0073】
カートリッジは、エアロゾル発生装置に取り外し可能なように結合していてもよい。カートリッジは、エアロゾル形成基体が消費された時にエアロゾル発生装置から取り外されてもよい。カートリッジは使い捨てであってもよい。カートリッジは再利用可能であってもよい。カートリッジは、液体エアロゾル形成基体を再充填可能であってもよい。カートリッジは、エアロゾル発生装置において交換可能であってもよい。エアロゾル発生装置は再利用可能であってもよい。
【0074】
カートリッジは、低コストで信頼でき再現可能な方法で製造されうる。本明細書で使用される場合、「取り外し可能なように結合される」という用語は、装置またはカートリッジのいずれも著しく損傷することなく、カートリッジおよび装置が互いに結合および分離できることを意味するように使用される。
【0075】
カートリッジは単純なデザインを持ちうる。カートリッジは、その内部にエアロゾル形成基体が保持されるハウジングをもちうる。カートリッジハウジングは、剛直なハウジングとしうる。本明細書で使用される場合、「剛直なハウジング」とは、自立型のハウジングを意味する。ハウジングは液体に対して不浸透性の材料を含みうる。
【0076】
カートリッジはリッドを備えてもよい。リッドは、カートリッジがエアロゾル発生装置に結合する前に剥がすことが可能であってもよい。リッドは穿孔可能であってもよい。
【0077】
エアロゾル発生装置は、カートリッジを受けるためのくぼみを備えうる。エアロゾル発生装置は、電源を受けるためのくぼみを備えうる。
【0078】
エアロゾル発生装置は、加熱手段を備えうる。エアロゾル発生装置は、加熱手段の少なくとも一部分を備えうる。エアロゾル発生装置は、振動可能な要素を備えうる。エアロゾル発生装置は、アクチュエータを備えうる。エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生システムの1つ以上の制御システムを備えうる。エアロゾル発生装置は、電源を備えうる。電源は、エアロゾル発生装置に取り外し可能なように結合していてもよい。
【0079】
エアロゾル発生装置は、マウスピースを備えうる。マウスピースは、少なくとも1つの空気吸込み口と少なくとも1つの空気出口を含みうる。マウスピースは、2つ以上の空気吸込み口を含みうる。
【0080】
エアロゾル発生装置は、カートリッジのリッドを穿孔するための穿孔要素を備えうる。マウスピースは、穿孔要素を備えうる。マウスピースは、少なくとも1つの空気吸込み口と穿孔要素の遠位端との間に延在する少なくとも1つの第一のコンジットを含みうる。マウスピースは、穿孔要素の遠位端と少なくとも1つの空気出口との間に延在する少なくとも1つの第二のコンジットを含みうる。マウスピースは、使用時に、ユーザーがマウスピースを吸った時、空気が少なくとも1つの空気吸込み口から延在する気流経路に沿って、少なくとも1つの第一のコンジットを通り、カートリッジの一部分を通り、少なくとも1つの第二のコンジットを通り、少なくとも1つの出口を出るように配置されうる。このことによりエアロゾル発生装置を通した気流が改善できるようになり、エアロゾルがユーザーにより簡単に送達されうるようになる。
【0081】
エアロゾル発生システムは温度センサーを備えてもよい。温度センサーは、カートリッジを受けるためのくぼみに隣接してもよい。温度センサーは、制御電子回路と連動して、制御電子回路が加熱手段の温度を所定の使用温度に維持することを可能にする。温度センサーは熱電対とすることができ、または別の方法として、少なくとも1つのヒーターが温度に関連する情報を提供するために使用されてもよい。少なくとも1つのヒーターの温度に依存する抵抗の属性は公知であり、少なくとも1つのヒーターの温度を当業者にとって公知の方法で決定するために使用されうる。
【0082】
エアロゾル発生システムは、制御電子回路と連動する吸煙検出器を備えうる。吸煙検出器は、ユーザーがいつマウスピースを吸ったかを検出するように構成されていてもよい。制御電子回路は、吸煙検出器からの入力に基づき、少なくとも1つの発熱体への電力を制御するように構成されていてもよい。
【0083】
エアロゾル発生システムは、スイッチまたはボタンなどのユーザー入力を含んでいてもよい。これにより、ユーザーがシステムの電源を入れることができるようになる。スイッチまたはボタンは、加熱手段を起動しうる。スイッチまたはボタンは、エアロゾル発生を起こしうる。スイッチまたはボタンによって、制御電子回路が吸煙検出器からの入力を待機するよう準備させてもよい。
【0084】
使用時に、ユーザーは本明細書で説明したカートリッジを本明細書で説明したエアロゾル発生装置のくぼみに挿入することができる。ユーザーは、マウスピースをエアロゾル発生装置の本体に取り付けることができ、このマウスピースがカートリッジを穿孔部分で貫通することができる。ユーザーは、ボタンを押して装置を起動させることができる。次にユーザーは、マウスピースを吸うが、これにより、空気が1つ以上の空気吸込み口を通して装置内に吸い込まれ、その後、空気は振動可能な要素を通過して、霧状にされたエアロゾル形成基体を気流中に混入され、マウスピースにある空気出口を通って装置を出て、ユーザーによって吸入されうる。
【0085】
エアロゾル発生システムは、電気的に作動する喫煙システムであってもよい。エアロゾル発生システムは電子たばこであってもよい。
【0086】
電気的に作動する喫煙システムは、周囲温度において粘性であるので他の超音波アトマイザーでは霧状にできない液体エアロゾル形成基体を含んでもよい。加熱手段は、噴霧化の前に液体エアロゾル形成基体の粘性を低減しうる。
【0087】
本発明の第三の態様によると、液体エアロゾル発生基体を霧状にしてエアロゾルを発生させるためのアトマイザーであって、アトマイザーは、液体エアロゾル形成基体を加熱するように配置される加熱手段と、それを通じて加熱された液体エアロゾル形成基体が通りエアロゾルを形成しうる複数の通路を備える振動可能な要素と、振動可能な要素を振動させてエアロゾルを発生させるように配置されるアクチュエータとを備える、アトマイザーが提供される。振動可能な要素および加熱手段は、いくつかの特徴を含んでもよく、また本発明の第一の態様のエアロゾル発生システムの振動可能な要素および加熱手段に関連して上記で説明されたようないくつかの構成において配置されてもよい。例えば、加熱手段は振動可能な要素を含んでもよい。
【0088】
実質的に上記で説明されたようなエアロゾル発生装置、カートリッジおよびアトマイザーを含む部品のキットが提供されうる。本発明の第一の態様に従うエアロゾル発生システムは、部品のキットのエアロゾル発生装置と、カートリッジと、アトマイザーとを組み立てることによって提供されうる。部品のキットの構成要素は、取り外し可能に接続されうる。部品のキットの構成要素は、互換性であってもよい。部品のキットの構成要素は、使い捨てであってもよい。部品のキットの構成要素は、再利用可能であってもよい。
【0089】
本発明の第四の態様によれば、エアロゾルを発生させるための方法であって、方法は、液体エアロゾル形成基体を所定の温度に加熱することと、複数の通路をもつ振動可能な要素にて所定の温度に加熱された液体エアロゾル形成基体を受けることと、振動可能な要素を振動させて液体エアロゾル形成基体が通路を通りエアロゾルを形成することとを含む、方法が提供される。方法は、本発明の他の態様に従うエアロゾル発生システム、カートリッジまたはアトマイザーを使用して実行されてもよい。
【0090】
方法は、本発明の他の態様に関連して説明されたすべての利点をもつ。振動可能な要素ならびに振動可能な要素の所定の温度および揺動の周波数などの変数の特徴は、本発明の他の態様に関連して説明したものと同様でありうる。
【0091】
本発明の1つの態様に関連して説明した特徴は、本発明の別の態様にも適用されうる。
本発明は、ほんの例証として、添付図面を参照しながら、さらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0092】
図1図1は、本発明によるエアロゾル発生システムの第一の実施形態の概略図を示す。
図2図2は、本発明によるエアロゾル発生システムのためのアトマイザーの第一の実施形態を示す。
図3図3は、本発明によるエアロゾル発生システムのためのアトマイザーの第二の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0093】
図1は、本発明によるエアロゾル発生システムの第一の実施形態の概略図である。図1は事実上、概略的である。特に、図示された構成要素は、個々にもあるいは相互に相対的にも必然的に等尺度ではない。エアロゾル発生システムは、好ましくは使い捨てであるカートリッジ200と協働する、好ましくは再利用可能であるエアロゾル発生装置100を備える。図1では、このシステムは電気的に作動する喫煙システムである。
【0094】
装置100は、ハウジング101をもつ本体を備える。ハウジング101は、実質的に環状の円筒形であり、従来の葉巻たばこと比較して約100mmの長軸方向の長さおよび約20mmの外径をもつ。装置には、電池102の形態の電力供給源および制御電子回路104が提供されている。本体ハウジング101はまた、その中にカートリッジ200を受けるくぼみ112を画定する。
【0095】
カートリッジ200(図1で概略的な形式において示す)は、液体貯蔵部分201を画定する剛直なハウジングを備える。液体貯蔵部分201は、液体エアロゾル形成基体(図示せず)を保持する。カートリッジ200のハウジングは、カートリッジが装置100から取り外された時に取り外し可能なリッド(図示せず)によって覆われうる開端部(図示せず)をもつ。リッドは、カートリッジの装置内への挿入の前にカートリッジ200から取り外されていてもよい。カートリッジ200は、カートリッジ200が装置内に逆さまに挿入できないことを確保するためにキー付きの特徴(図示せず)を含む。
【0096】
装置100はまた、マウスピース部分120も含む。マウスピース部分120は、この例ではヒンジによる接続で本体ハウジング101に接続されているが、スナップ式装着またはねじ式取付など、任意の種類の接続を使用しうる。マウスピース部分120は、複数の空気吸込み口122、空気出口124、エアロゾル形成チャンバー125、およびその中に取り付けられたアトマイザー300(図1において概略的に示す)を備える。空気吸込み口122は図1に示す通り、マウスピース部分が閉位置内にある時に装置100のマウスピース部分120と本体ハウジング101との間に画定される。気流経路127は、図1で矢印により示すように、空気吸込み口122からエアロゾル形成チャンバー125およびアトマイザー300を経由して空気出口124まで形成される。
【0097】
図2に示すように、アトマイザー300は、アトマイザーハウジング304の内部に収容される振動可能な要素301およびアクチュエータ302を含む。アトマイザーハウジング304は、ハウジング304の対向する側で同軸の位置に配置される入口開口部305および出口開口部306をもつ中空の円柱状のボックスを備える。ハウジング304は、ねじ山接続(図示せず)によって装置100のマウスピース120に取り外し可能に接続される。雄ねじ山(図示せず)は、アトマイザーハウジング304の外部表面に提供され、マウスピース120の内部表面上の雌ねじ山(図示せず)に対して献身的である。アトマイザー300は、処分または掃除のために装置のマウスピース部分120から取り外し可能である。
【0098】
振動可能な要素301は、約2mmの厚さおよび約15mmの直径をもつ実質的に円形のアルミニウムディスクを含む。
【0099】
複数の通路303は、振動可能な要素の入口面308から対向する出口面309まで延在する。複数の通路は、実質的な円形状をもつアレイを形成する。実質的に円形のアレイは、約7mmの直径をもち、実質的に要素301の中央に配置される。
【0100】
通路(図示せず)は、実質的に円形断面をもち、振動可能な要素301の入口面308から出口面309へと先細りになる。通路は、約8μmの入口面における直径および約6μmの出口面における直径をもつ。通路は一般的には、高速レーザドリル加工によって形成される。複数の通路は、アレイにわたって等しい間隔で配置される約4000の通路からなる。
【0101】
アクチュエータ302は圧電変換器を含む。圧電変換器は、圧電材料(一般的にはチタン酸ジルコニウム(PZT))の実質的に円環状のディスクである。圧電変換器は、約2mmの厚さ、約17mmの外径および約8mmの内径をもつ。
【0102】
図2に示すように、アクチュエータ302は、振動可能な要素の出口面309において振動可能な要素301と直接接触する。圧電変換器302の内径は、振動可能な要素301の通路303のアレイを囲み、したがって、出口面における通路の開端部は、圧電変換器302によって覆われない。その他の実施形態(図示せず)において、圧電変換器302は、入口面308において振動可能な要素301に直接接触しうることが想定される。
【0103】
振動可能な要素301および圧電変換器302は、一対の弾性オーリング311によってアトマイザーハウジング304内に支持され、それにより振動可能な要素301および圧電変換器302がハウジング304内で振動することが可能になる。振動可能な要素301および圧電変換器302は、向かい合ったオーリング311からの圧力によって互いに保持される。しかし、その他の実施形態(図示せず)において、振動可能な要素301および圧電変換器302は、付着層などの任意の適切な手段によって接着されてもよい。
【0104】
振動可能な要素301および圧電変換器302は、通路303のアレイがハウジング304の入口開口部305および出口開口部306と同軸に配置するようにアトマイザーハウジング304内に配置される。
【0105】
1つ以上のばねピン310は、アトマイザーハウジング304の開口部312を通って延在し、圧電変換器302の装置100の制御電子回路104および電池102に対する電気的接続を提供する。1つ以上のばねピン310は、機械的な接続ではなく圧力によって圧電変換器302と接触して保持され、その結果、良好な電気接点が圧電変換器302の振動の間維持される。
【0106】
使用時に、アトマイザー300が装置100のマウスピース部分120に取り外し可能に接続され、かつカートリッジ200が装置のくぼみ112に受けられた時、細長い毛細管本体(図1に図示せず)は、カートリッジ200の液体貯蔵部分201からアトマイザー300まで延在してカートリッジ200がアトマイザー300と流体接触する。図2に示すように、細長い毛細管本体204は、アトマイザーハウジング304内に延在し、通路303のアレイにおいて振動可能な要素301の入口面308に隣接する。毛細管本体204を囲むコイルヒーター205の形状における液体貯蔵部分に加熱手段が提供される。図2では、コイルヒーターは概略的に示しているのみであることに留意されたい。図1または図2に示されないが、コイルヒーター205は、液体貯蔵部分200の外側に沿って通ってもよい接続部(図示せず)を経由して装置100の電子回路104および電池102に接続される。
【0107】
使用時に、液体エアロゾル形成基体(図示せず)は、液体貯蔵部分201内に延在する毛細管本体204の端部から、ヒーターコイル205を通って、アトマイザーハウジング304内に延在する通路303のアレイにおける入口面308で振動可能な要素301に隣接する毛細管本体204の他の端部へと液体貯蔵部分201からの毛細管作用によって運ばれる。
【0108】
ユーザーがマウスピース部分120の空気出口124で吸い込むと、周囲空気は空気吸込み口122を通して吸い込まれる。図1の実施形態において、制御電子回路104の部品としてマイクロフォンの形態の吸入検出装置106が提供される。小さな空気の流れは、本体ハウジング101内のセンサー入口121を通り、マイクロフォン106を通過し、マウスピース部分120にまで引き出される。吸入が電子回路104によって検出された時、電子回路104は、ヒーターコイル205および圧電変換器302を起動する。電池102が電気エネルギーをコイルヒーター205に供給して、コイルヒーターによって囲まれる毛細管本体204を加熱する。電池102はさらに、電気エネルギーを圧電変換器302に供給し、それが振動して厚さ方向において変形する。圧電変換器302は一般的には、約150kHzで振動する。圧電変換器302は、振動を振動可能な要素301に伝え、それがさらに振動して厚さ方向において変形する。また、LED 108が作動し、装置が起動されたことを示す。
【0109】
コイルヒーター205は、毛細管本体に沿ってコイルヒーター205を通過して運ばれる液体エアロゾル形成基体を約45℃の所定の温度に加熱する。
【0110】
振動可能な要素における振動は、複数の通路303を変形させ、それにより加熱された液体エアロゾル形成基体を毛細管本体204から振動可能な要素301の入口面308における複数の通路303を通じて引き出し、液体エアロゾル形成基体の霧状にされた液滴を振動可能な要素301の出口面309における通路から排出して、エアロゾルが形成される。同時に、霧状にされる加熱された液体は、毛細管作用により毛細管本体204に沿って移動するさらなる液体で置き換えられる。(このことは、時にはポンピング作用と呼ばれることがある。)振動可能な要素301から排出されたエアロゾル液滴は、エアロゾル形成チャンバー125において入口122からの空気流127と混合されて運ばれ、ユーザーによる吸入に基づいてマウスピース120の空気出口124に向かって運ばれる。
【0111】
図1に示す実施形態において、電子回路104は、プログラム可能であり、エアロゾル発生動作を管理するために使用されうる。
【0112】
図1のシステムにおいて使用するための本発明に従うアトマイザーの別の実施形態を図3に示す。アトマイザー400は、図2に示すアトマイザー300と類似した構造および寸法をもつ。しかし、アトマイザー400は、ハウジング404内にワッシャー410が提供されており、その上で振動可能な要素401および圧電変換器402が支持される。ワッシャー410は、振動を圧電要素402から振動可能な要素401に伝える。
【0113】
この実施形態では、振動可能な要素は約12mmの小径をもつ。アクチュエータは、振動可能な要素の上に配置されておらず、したがって、約14mmの長い内径をもつ。
【0114】
ワッシャー410は、実質的に円環状のディスクであり、約2mmの厚さ、約17mmの外径および約10mmの内径をもつ。振動可能な要素401および圧電変換器は、付着層(図示せず)によってワッシャー410の一方の面に接着される。ワッシャー410は、入口面408において振動可能な要素401に接着される。圧電変換器402は、振動可能な要素401を実質的に囲む。図2に示すアトマイザー300の一対のオーリング311と同様の一対のオーリング411は、アトマイザーハウジング404内に振動可能な要素401、圧電変換器402およびワッシャー410を支持する。
【0115】
その他の実施形態(図示せず)において、振動可能な要素401、圧電変換器402およびワッシャー410は、別様に配置されてもよい。そのワッシャー410は、出口面409において振動可能な要素401に接着されうる。振動可能な要素401は、圧電変換器402に対向する面においてワッシャー410に固定されてもよい。
【0116】
圧電変換器は、1つ以上の開口部を通ってアトマイザーハウジング404内に延在する1つ以上のばねピン410によって装置100の制御電子回路104および電池102に電気的に接続される。
【0117】
この実施形態では、振動可能な要素401がまた、装置100の制御電子回路104および電池102に電気的に接続され、その結果、振動可能な要素401は抵抗発熱体を形成しうる。そのため、システムの加熱手段は振動可能な要素401を含む。振動可能な要素401と制御電子回路104および電池102との電気的接続は、1つ以上の開口部を通ってアトマイザー400のハウジング404内に延在する1つ以上の第二のばねピン414によって達成される。1つ以上の第二のばねピン414は、機械的な接続ではなく圧力によって振動可能な要素401と接触して保持され、その結果、電気的接続が振動可能な要素401の振動の間維持される。
【0118】
この実施形態では、毛細管本体は、アトマイザー400をカートリッジ200の液体貯蔵部分201と流体的に接続させない。その代わりに、液体エアロゾル形成基体(図示せず)は、アトマイザーハウジング404内の入口開口部405を介してカートリッジ200の液体貯蔵部分201からアトマイザー400の振動可能な要素401まで自由に流れる。アトマイザー400のハウジング404はさらに、密封されたカートリッジの装置100内への挿入に基づいてカートリッジのリッド(図示せず)を穿孔するための穿孔手段401を含む。穿孔要素407は、液体エアロゾル形成基体を液体貯蔵部分(図示せず)から振動可能な要素401へと導くように配置される実質的に環状円筒形のチューブである。穿孔要素407は、入口開口部405から振動可能な要素401の入口面までハウジング404内に延在する。穿孔要素407は、約6mmほど入口開口部405からハウジングの外へ延在する。穿孔要素の遠位端には角度をなす鋭利な点が形成され、それによりカートリッジリッドの穿孔が容易となる。
【0119】
使用時に、アトマイザー400は、図2に示すアトマイザー300と実質的に類似した様式で動作する。しかし、電力が振動可能な要素401を加熱するために電池102から振動可能な要素401に供給され、振動可能な要素401の入口面で自由に流れる液体エアロゾル形成基体(図示せず)が、振動可能な要素401によって約45℃の所定の温度に加熱される。振動可能な要素401の入口面で加熱された液体エアロゾル形成基体は、振動可能な要素401の振動によって複数の通路内に引き出され、通路を通り抜け、実質的に上記で説明されたように霧状にされ、アトマイザーハウジング404内の出口開口部406を介してアトマイザー400を抜け出る。
【0120】
その他の実施形態(図示せず)では、プランジャーまたは他の同様のタイプの装置が、開口部に対向するカートリッジ200の端部に提供されてもよく、したがって、液体エアロゾル形成基体は、装置の向きにかかわらず振動可能な要素と接触して移動することができる。
【0121】
その他の実施形態(図示せず)では、加熱手段は振動可能な要素を含まなくてもよく、むしろ加熱手段は、アトマイザー400内の、またはアトマイザー400上の別の位置に提供されてもよい。例えば、加熱手段は、アトマイザーハウジング404内に、もしくはアトマイザーハウジング404上に、穿孔要素407上に、もしくは穿孔要素407の周りに、アトマイザー400のワッシャー410上に、または振動可能な要素401上に提供されてもよい。加熱手段が振動可能な要素401上に提供される場合、振動可能な要素は、加熱手段によって加熱され、液体エアロゾル形成基体の加熱をさらに容易にしうる。加熱手段は、上記でより詳細に説明したような任意の適切な加熱手段であってもよい。
【0122】
その他の実施形態(図示せず)では、アトマイザー300は、装置100の本体ハウジング101に取り外し可能に接続されうる。アトマイザー300は、カートリッジ200を受けるためのくぼみ112内に配置されうる。アトマイザーは、くぼみ112の遠位端に配置されてもよく、したがって、カートリッジ200が、マウスピース端部において挿入され、また本体から取り外されうる。1つ以上の空気吸込み口122は、本体ハウジング101内の振動可能な要素の遠位に配置されてもよく、気流経路は、空気吸込み口122とアトマイザー300とマウスピース120の出口124との間に提供されてもよく、したがって、ユーザーがマウスピース120で引き出した時、空気は、1つ以上の空気吸込み口122において本体ハウジング101に入り、アトマイザー300を通過して、アトマイザーによって発生したエアロゾルに流入され、ユーザーによる吸入のために装置100からマウスピースへと通り抜ける。
【0123】
その他の実施形態(図示せず)において、カートリッジは、振動可能な要素301および圧電変換器302を含むアトマイザー300を備えてもよい。接点がカートリッジ200および装置100内に提供され、それにより制御電子回路104および電池102がカートリッジ200内のアトマイザー300に接続されうる。
【0124】
その他の実施形態(図示せず)において、装置100は、ユーザーによる吸入の前に追加的に周囲空気を引き出して、気流に流入したエアロゾルの温度を低減して、エアロゾルを希釈するように配置される1つ以上の第二の空気吸込み口を含みうる。
【0125】
その他の実施形態(図示せず)において、加熱手段は誘導加熱手段であることができ、したがって、カートリッジと装置の間に電気的な接点が一切形成されない。カートリッジは、エアロゾル形成基体を加熱するように位置するサセプタ素子を備えうる。装置は、インダクタコイルを備えてもよく、制御電子回路104および電源102は、高周波振動電流をインダクタコイルに提供してサセプタ要素内に電流を誘発するように構成されうる。
【0126】
その他の実施形態(図示せず)では、加熱手段は装置100のくぼみ112内に提供されてもよい。
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2023-12-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生システムであって、
液体エアロゾル形成基体を保持するためのハウジングを備える液体貯蔵部分と、
液体エアロゾル形成基体を加熱するように配置される加熱手段と、
それを通じて加熱された液体エアロゾル形成基体が通りエアロゾルを形成する複数の通路を備える振動可能な要素と、
前記振動可能な要素を振動させて前記エアロゾルを発生させるように配置されるアクチュエータと、を備え、
前記加熱手段が前記振動可能な要素を備え、
前記振動可能な要素が抵抗加熱要素を形成し、
前記振動可能な要素と前記液体エアロゾル形成基体とを加熱するために前記振動可能な要素に電力が供給される、エアロゾル発生システム。
【請求項2】
前記加熱手段が、前記液体貯蔵部分の前記ハウジング上に、または前記液体貯蔵部分の前記ハウジング内に配置される、請求項1に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項3】
前記加熱手段が前記振動可能な要素に配置される、請求項1に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項4】
前記加熱手段を動作させてエアロゾル形成基体を所定の温度に加熱するように構成される制御システムをさらに備える、請求項1~3のいずれかに記載のエアロゾル発生システム。
【請求項5】
前記振動可能な要素が、入口面および対向する出口面を含み、前記複数の通路の各通路が、前記入口面から前記出口面まで延在する、請求項1~4のいずれかに記載のエアロゾル発生システム。
【請求項6】
前記アクチュエータが、前記振動可能な要素の前記入口面または前記出口面に対して振動を前記振動可能な要素に伝えるように配置される、請求項5に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項7】
前記アクチュエータが圧電変換器を含む、請求項1~6のいずれかに記載のエアロゾル発生システム。
【請求項8】
前記液体貯蔵部分が、前記液体エアロゾル形成基体を保持するための前記ハウジング内に担体材料をさらに含む、請求項1~7のいずれかに記載のエアロゾル発生システム。
【請求項9】
前記加熱手段が、一時にわずかな量の前記液体エアロゾル形成基体を加熱するように適合され、前記液体エアロゾル形成基体と連通する液体通路、及び前記液体通路内の液体エアロゾル形成基体を加熱するように配置された少なくとも1つのヒーターを含む、
請求項1~8のいずれかに記載のエアロゾル発生システム。
【請求項10】
前記少なくとも1つのヒーターが、前記液体通路の少なくとも一部分を実質的に囲むコイルを含む、請求項9に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項11】
前記液体通路が、前記液体貯蔵部分から前記振動可能な要素へと延在する毛細管本体を含む、請求項9又は10に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項12】
前記液体貯蔵部分の前記ハウジング内に液体エアロゾル形成基体をさらに含む、請求項1~11のいずれかに記載のエアロゾル発生システム。
【請求項13】
カートリッジをさらに備え、前記カートリッジが前記液体貯蔵部分を含む、請求項1~12のいずれかに記載のエアロゾル発生システム。
【請求項14】
エアロゾル発生システム用のカートリッジであって、前記カートリッジが、
液体エアロゾル形成基体を保持するためのハウジングを含む液体貯蔵部分と、
液体エアロゾル形成基体を加熱するように配置される加熱手段と、
それを通じて加熱された液体エアロゾル形成基体が通りエアロゾルを形成する複数の通路を備える振動可能な要素と、
前記振動可能な要素を振動させて前記エアロゾルを発生させるように配置されるアクチュエータと、を備え、
前記加熱手段が前記振動可能な要素を備え、
前記振動可能な要素が抵抗加熱要素を形成し、
前記振動可能な要素と前記液体エアロゾル形成基体とを加熱するために前記振動可能な要素に電力が供給される、カートリッジ。
【請求項15】
前記加熱手段が、一時にわずかな量の前記液体エアロゾル形成基体を加熱するように適合され、前記液体エアロゾル形成基体と連通する液体通路、及び前記液体通路内の液体エアロゾル形成基体を加熱するように配置された少なくとも1つのヒーター、を含む、請求項14に記載のカートリッジ。
【請求項16】
前記少なくとも1つのヒーターが、前記液体通路の少なくとも一部分を実質的に囲むコイルを含む、請求項15に記載のカートリッジ。