(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024023473
(43)【公開日】2024-02-21
(54)【発明の名称】皮膚穿刺用のデバイス及び針モジュール
(51)【国際特許分類】
A61M 37/00 20060101AFI20240214BHJP
【FI】
A61M37/00
【審査請求】有
【請求項の数】50
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023202823
(22)【出願日】2023-11-30
(62)【分割の表示】P 2020550580の分割
【原出願日】2018-12-06
(31)【優先権主張番号】2020030
(32)【優先日】2017-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(31)【優先権主張番号】2020710
(32)【優先日】2018-04-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(31)【優先権主張番号】2020818
(32)【優先日】2018-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(71)【出願人】
【識別番号】520199945
【氏名又は名称】メディカル プレシジョン ベスローテン ヴェンノーツハップ
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コルテンホルスト, ローラント ヴェルネル フランソワ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】往復式の皮膚穿刺用針モジュールを提供する。
【解決手段】針モジュールは、針ユニット2と、ハウジング10と、付勢機構4とを備えており、針ユニット2は、針21を備え、ハウジング10に対して、針21の遠位端22がハウジング10の遠位端10aから延在する伸長位置と針21の遠位端22がハウジング10内に配置される格納位置との間で移動可能であり、付勢機構4は針ユニット2を格納位置に向けて付勢するように配置され、さらに針モジュールは制限機構を備えており、制限機構は、ハウジング10の遠位端10aから外への針ユニット2の相対移動を、伸長位置に向かう移動時に最大伸長距離に制限するように配置され、最大伸長距離は1.5mm以下である。
【選択図】
図2a
【特許請求の範囲】
【請求項1】
針ユニットと、ハウジングと、付勢機構とを備える針モジュールであって、前記針ユニットが針を備え、前記針ユニットが、前記ハウジングに対して、前記針の遠位端が前記ハウジングの遠位端から延在する伸長位置と前記針の遠位端が前記ハウジング内に配置される格納位置との間で移動可能であり、前記付勢機構が前記針ユニットを前記格納位置に向けて付勢するように配置される針モジュールを備えており、さらに制限機構を備えることを特徴とするデバイスであって、
前記制限機構が、前記ハウジングの遠位端から外への前記針ユニットの相対移動を、前記伸長位置に向かう移動時に最大伸長距離に制限するように配置され、前記最大伸長距離が1.5mm以下である、往復式の皮膚穿刺用デバイス。
【請求項2】
前記制限機構が、前記針ユニットと前記ハウジングとの前記相対移動を制限するための相互に協働する停止面を備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記デバイス内側に、前記針ユニット外側に配置された突起と協働するための突起及び/又は陥凹が配置される、請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
停止面が実質的にリング状である、請求項2または3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記付勢機構が第1の位置で前記針ユニットを係合し、前記針ユニットが前記第1の位置から距離を置いた位置に停止面を備える、請求項1から4のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項6】
前記制限機構が少なくとも部分的に前記付勢機構によって形成され、前記付勢機構が、前記ハウジング遠位端から外への前記針ユニットの前記相対移動を、前記最大伸長距離に制限するように配置される、請求項1から5のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項7】
前記針モジュールがメインハウジング部と着脱可能な遠位ハウジング部とを備え、前記制限機構が少なくとも部分的に前記メインハウジング部に配置される、請求項1から6のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項8】
前記メインハウジング部が、前記遠位端またはその近傍に停止面を備える、少なくとも請求項2又は7に記載のデバイス。
【請求項9】
前記格納位置において、前記針の近位端が前記ハウジング内に延在する、請求項1から8のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項10】
前記制限機構が、前記格納位置において、前記針の近位端の変位を制限するためにさらに配置され、前記針の近位端が前記ハウジング内に保持される、請求項9に記載のデバイス。
【請求項11】
前記付勢機構が、前記針の近位端を前記ハウジング内に保持するようにさらに配置される、請求項8または9に記載のデバイス。
【請求項12】
前記ハウジングが、前記皮膚に導入するためのインクなどの着色剤を収容したリザーバを備える、請求項1から11のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項13】
前記リザーバが前記ハウジングの遠位端またはその近傍に配置される、請求項12に記載のデバイス。
【請求項14】
前記リザーバが0.3ml未満の着色剤を収容する、請求項12または13に記載のデバイス。
【請求項15】
前記針ユニットの遠位端が、前記格納位置と前記伸長位置との間の移動時に、前記リザーバの内外に往復移動可能である、請求項12、13または14に記載のデバイス。
【請求項16】
前記格納位置において、前記針ユニットの遠位端が、前記リザーバから近位の距離に延在する、請求項12から15のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項17】
前記針モジュールを駆動デバイスに結合すると、前記針ユニットが中間位置に移動可能であり、前記中間位置が前記伸長位置と前記格納位置との間に位置し、前記針ユニットが前記リザーバ内に延在する、請求項16に記載のデバイス。
【請求項18】
前記針ユニットの遠位端が前記中間位置で前記リザーバ内に延在する、請求項17に記載のデバイス。
【請求項19】
前記ハウジングが、前記ハウジングの遠位端近傍に配置された第1のフィルムと前記遠位端からさらに離れて配置された第2のフィルムとをさらに備え、前記リザーバが前記第1のフィルムと前記第2のフィルムとの間に配置される、請求項12から18のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項20】
前記リザーバが前記着色剤を保持するためのカートリッジを備え、前記カートリッジを前記針で穿刺することができ、前記ハウジングが前記カートリッジを保持するように配置される、請求項12から18のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項21】
前記カートリッジが着脱可能なカートリッジである、請求項20に記載のデバイス。
【請求項22】
前記格納位置と前記伸長位置との間で前記針ユニットを往復駆動するための分離機構をさらに備え、前記分離機構が、往復駆動されるように配置された第1の端部と、前記針ユニットを駆動するように配置された第2の端部とを備え、前記第1の端部と前記第2の端部とが互いに対して移動可能であり、前記第1の端部が第1の変位振幅で往復移動可能であり、前記第2の端部が、前記第1の変位振幅よりも小さい第2の変位振幅で移動可能である、請求項1から21のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項23】
前記分離機構が、前記第1の端部と前記第2の端部とを離すように付勢するために配置された付勢手段をさらに備える、請求項22に記載のデバイス。
【請求項24】
前記分離機構が、前記第1の端部を含む第1の部分と前記第2の端部を含む第2の部分とを備え、前記第1の部分と前記第2の部分とが互いに対して移動可能であり、付勢手段が前記第1の部分と前記第2の部分との間に配置されて前記両端部を離すように付勢する、請求項22または23に記載のデバイス。
【請求項25】
前記分離機構が前記針モジュールに設けられ、前記分離機構の前記第1の端部が駆動デバイスの駆動ロッドと協働するように配置される、請求項22から24のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項26】
駆動デバイスをさらに備え、前記駆動デバイスが、前記針ユニットを往復移動させる駆動ロッドを往復駆動するためのモータを備える、請求項1から24のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項27】
前記針モジュールが、前記針モジュールを前記駆動デバイスに取り付けると前記針の遠位端が中間位置に移動するように配置され、前記中間位置が前記伸長位置と前記格納位置との間に位置する、請求項26に記載のデバイス。
【請求項28】
前記モータが、前記モータと前記駆動ロッドとの間に配置された前記分離機構を介して前記針ユニットに結合され、前記第2の端部が前記駆動ロッドを受容する、請求項22から24のいずれかに従属する場合の請求項26または27に記載のデバイス。
【請求項29】
前記分離機構が前記駆動デバイスに設けられる、請求項26から28のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項30】
前記針モジュールが、前記針の遠位端を前記中間位置と前記伸長位置との間の範囲で移動させるように配置される、少なくとも請求項17または26に記載のデバイス。
【請求項31】
前記制限機構が前記針モジュールに設けられる、請求項1から30のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項32】
前記制限機構が、少なくとも部分的には前記針モジュールに設けられ、部分的には前記針モジュールとは異なる、前記デバイスの別の部分に設けられ、前記制限機構は、前記針モジュールが前記駆動デバイスと結合状態にあるとき、前記最大伸長距離が、前記針モジュールの非結合状態での前記最大伸長距離よりも小さくなるように配置される、請求項26から30のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項33】
前記針ユニットの前記伸長位置を設定するためのスペーサをさらに備え、前記スペーサが駆動デバイスと前記針モジュールとの間の位置付けのために配置されて、前記ハウジングと前記駆動デバイスの駆動ロッドとの前記相対位置を調整する、請求項1から32のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項34】
前記制限機構が、前記針ユニットと前記ハウジングとの相対移動を制限するために、前記針ユニットと前記スペーサとに配置された相互に協働する停止面を備える、請求項32または33に記載のデバイス。
【請求項35】
前記スペーサが、前記針モジュールの停止面と協働して前記スペーサと前記針モジュールとの間にバヨネット連結を形成する停止面を含む遮断面を備え、前記スペーサの前記遮断面が、前記針ユニットと前記ハウジングの相対移動を制限するための前記制限機構の停止面をさらに備える、請求項33または34に記載のデバイス。
【請求項36】
外向きに延在する突出部が前記針ユニットに設けられ、ガイドが前記ハウジングに配置されて前記外向きに延在する突出部をガイドし、前記外向きに延在する突出部が前記針ユニットの前記停止面を備える、請求項32から35のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項37】
前記スペーサが、前記スペーサ遠位端近傍の内周面に配置された内壁を備え、前記遮断面が前記内壁に備えられる、請求項35または36に記載のデバイス。
【請求項38】
前記制限機構が、前記針ユニットの前記外向きに延在する突出部に配置された前記停止面と、前記スペーサの前記内壁に配置された前記遮断面とを備え、前記針の遠位端が最大伸長距離にあるときに、前記遮断面が前記停止面に当接するように配置される、請求項37に記載のデバイス。
【請求項39】
前記デバイスが、前記針モジュール、スペーサ、及び/又は駆動デバイスをバヨネット連結によって相互連結することができるように配置される、請求項1から38のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項40】
前記フォームロック連結が、相互連結された針モジュール及びスペーサの相対的な長手方向移動をロックするための第1のロック手段を備えるバヨネット連結を含む、請求項35から39のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項41】
前記第1のロック手段が、前記スペーサに設けられた前記遮断面と、前記針モジュールの前記ハウジング外側に設けられたロック面とを備え、前記ロック面が、前記スペーサに挿入されるように配置されている前記ハウジングの一部に配置される、請求項40に記載のデバイス。
【請求項42】
前記制限機構及び前記第1のロック手段が、前記スペーサに設けられた前記遮断面を備える、請求項41に記載のデバイス。
【請求項43】
前記バヨネット連結が、前記相互連結された針モジュールとスペーサとの相対的な回転移動をロックするための第2のロック手段を備える、請求項39から42のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項44】
前記第2のロック手段が、前記スペーサ内に挿入されるように配置されている前記ハウジングの一部に前記ハウジングの外側に設けられた突起及び/又は陥凹を備え、対応する突起及び/又は陥凹が前記スペーサ内側に設けられ、スナップフィット連結を形成するために配置される、請求項43に記載のデバイス。
【請求項45】
前記ハウジングの外側に設けられた前記突起及び/又は陥凹が、前記スペーサ内側に設けられた前記対応する突起及び/又は陥凹を通過して前記スナップフィット連結をロックまたはロック解除し、前記ハウジング及び前記スペーサの少なくとも一方が変形して通過を可能にする、請求項44に記載のデバイス。
【請求項46】
非磁性部品からなる、請求項1から45のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項47】
前記針が、チタンまたはアルミニウムなどの非磁性材料から製造される、請求項46に記載のデバイス。
【請求項48】
前記モータが空気圧モータを含む、少なくとも請求項26又は46に記載のデバイス。
【請求項49】
請求項1から48のいずれか一項に記載の針モジュール。
【請求項50】
前記それぞれのスペーサが、異なるそれぞれの伸長位置を画定するように配置される、少なくとも請求項33に記載の、前記針モジュールとさまざまな所定の距離を設定するための複数のスペーサとを備える、前記デバイスを備える部品のキット。
【請求項51】
前記駆動デバイスをさらに備える、請求項50に記載の部品のキット。
【請求項52】
前記それぞれの伸長位置が、相互に少なくとも0.2mm変化する、請求項50に記載の部品のキット。
【請求項53】
-請求項1から48のいずれか一項に記載のデバイスを提供するステップと、
-着色剤を提供するステップと、
-前記針を往復駆動させてヒトの皮膚に穿刺し、前記針を使用して前記皮膚の上層に前記着色剤を沈着させるステップとを含む、
ヒトの皮膚にインクを導入する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚穿刺用針モジュール、及び皮膚穿刺用針モジュールを備えるデバイスに関する。本発明はさらに、ヒトの皮膚にインクを導入する方法に関する。
【0002】
放射線療法(radiation therapy)、または単に放射線療法(radiotherapy)では、患者は通常、悪性細胞を制御または殺すために局所的に放射線ビームを照射される。これらのビームは、一方ではこれらの悪性細胞の最適治療を確保し、他方では放射線ビームの照射による周囲組織への損傷を最小限に抑えるために、可能な限り正確に標的に向けられることが重要である。
【0003】
術前に計画されたとおりに放射線ビームを組織に適切に誘導するために、例えば患者のCTスキャンに基づいて、計画どおりにビームを自動的に誘導し、位置合わせするように使用することができる、小さな皮膚マークを患者に付けることが知られている。放射線療法は、通常、標的に長い期間、時には数か月間にわたって繰り返し放射線ビームを照射することを伴うため、これらのマークは、適切な位置合わせを継続的に確保するために、治療期間中維持されている必要がある。そのために、皮膚マークとして患者の皮膚にインクを導入することが知られている。
【0004】
通常、これらのマークを付けるには、小さなナイフ又はメスが使用される。このナイフはインクに浸され、その後患者の皮膚に導入される。これは、特に患者の胸郭などの体表に近い骨構造を含む領域では、痛みを伴うプロセスになる可能性がある。さらに、インクの浸漬は時間がかかり、誤ってインクが滴下する可能性があると同時に、露出したナイフによる不慮の穿刺のリスクもある。
【0005】
皮膚にインクを導入するデバイス、例えば、請求項1の前提部分による往復式の皮膚穿刺用針モジュールは、そのような点から、入れ墨またはパーマネントメイクアップの分野で知られている。ただし、永久的なマークは通常、患者に好まれるものではない。
【0006】
本発明の目的は、他の目的に次いで、上述の問題の少なくとも1つが少なくとも部分的に軽減される、改良された及び/又はより効率的な皮膚穿刺用針モジュールを提供することである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、他の目的の中でも、添付の請求項1に記載のデバイスによって達成される。より具体的には、この目的は、他の目的の中でも、往復式の皮膚穿刺用針モジュールによって達成され、この針モジュールは、針ユニットと、ハウジングと、付勢機構とを備えており、針ユニットは針を備え、前記針ユニットは、前記ハウジングに対して、針の遠位端が前記ハウジングの遠位端から延在する伸長位置と針の遠位端がハウジング内に配置される格納位置との間で移動可能であり、付勢機構は針ユニットを格納位置に向けて付勢するように配置され、さらに針モジュールは制限機構を備えており、制限機構はハウジングの遠位端から外への針ユニットの相対移動を、伸長位置に向かう移動時に最大伸長距離に制限するように配置され、前記最大伸長距離は1.5mm以下である。
【0008】
本発明によれば、針ユニットは、ハウジングから最大伸長距離よりもさらに延在することが防止される。これにより、患者の皮膚での針ユニット、より具体的には針ユニットの鋭利な遠位端の挿入深度が最大伸長距離に制限される。従って、最大伸長距離は、針ユニットの遠位端と、その遠位端が好ましくはそこから延在するハウジングの遠位端との間の最大距離として定義することができる。
【0009】
好ましくは、最大伸長距離は、針ユニット、及びそれに伴うインクが患者の皮膚の表皮にのみ導入されるような距離に設定される。例えば、表皮よりも下層の組織にインクが導入される入れ墨の分野以外では、これは非永久的なマークとなる。しかし、本発明の針モジュールを使用して付けられるような浅いマークは、放射線療法の期間を通して適切な位置合わせを継続的に可能にするために十分に長く維持されることがわかった。
【0010】
皮膚の層の厚さは患者によって異なる場合がある。好ましくは、前記最大伸長距離は、1.5mm以下、さらにより好ましくは1.2mm以下、さらにより好ましくは1.0mm以下である。下限は、インクが皮膚に十分に深く導入されるように定義され、例えば、0.1mm、好ましくは0.2mmであってもよい。好ましい作動範囲は、約0.2mmから約0.8mmの間である。
【0011】
最大伸長を制限することにより、使用時に針モジュールの安全性がさらに向上し、これは、例えば入れ墨及びパーマネントメイクアップの分野以外では、安全性及び医療安全基準への適合性の観点から最も重要である。
【0012】
好ましい実施形態によれば、制限機構は、針ユニットとハウジングとの相対移動を制限するための相互に協働する停止面を備える。これにより、最大伸長距離を超える、ハウジングからの針ユニットのそれ以上の移動を効率的に遮断することができる。ハウジングの内側に、針ユニット外側に配置された突起と協働するための突起及び/又は陥凹が配置されていると、効率的な制限機構が得られる。
【0013】
典型的には、本発明による種類の針モジュールは駆動デバイスに結合され、該駆動デバイスは、例えば適切なモータによって前後に往復駆動される駆動ロッドを備える。そのような駆動ロッドは、次に針ユニットと係合し、それにより、針ユニットがハウジングから延在するように、伸長位置に向けて針ユニットを押す。駆動ロッドの引き戻し時に針ユニットを戻すように付勢するために、付勢機構は次に針ユニットをハウジング内に、すなわち格納位置に向けて後退させる。
【0014】
針ユニットは、好ましくは、ハウジングに対して長手方向軸に沿ってのみ移動するように配置される。針ユニットの直線的な往復運動により、患者の皮膚に針ユニットを挿入する際の痛みは軽減される。針ユニットを直線運動にガイドするために、停止面は実質的にリング状であることが好ましい。例えば、リング状の停止面をハウジング内に配置することができ、その開口部を通して針ユニットを移動させることができる。次に、針ユニットは、ハウジングの環状停止面に当接する協働する停止面を設けることにより、最大伸長距離を画定することができる。これらの停止面、またはより一般的には制限機構は、次に、針ユニットをハウジングに対してガイドし、伸長位置と格納位置との間の直線運動を確実にする。
【0015】
付勢機構は、例えば、ばねまたは他の弾性要素の形態で、好ましくは、針ユニットをハウジング内に、例えば格納位置に向けて戻すように付勢するために配置される。付勢機構は、そのような付勢力を誘発するために、針ユニットとハウジングとの間に配置することができる。例えば、付勢機構としてばねを用いる場合、そのようなばねは、ハウジングに配置された適切な突起と針ユニットとの間に配置することができる。代替として、弾性要素、例えば弾性管状部材が針ユニットとハウジングとの間に固定されてもよく、針ユニットが伸長位置に向けて移動すると弾性部材が伸長し、それにより、格納位置に向かう移動時に針ユニットを後方へ付勢する。
【0016】
さらに好ましい実施形態によれば、付勢機構は、第1の位置で針ユニットに係合し、針ユニットは、前記第1の位置から距離を置いた位置に停止面を備える。これにより、付勢手段と制限機構とは分離され、両方のメカニズムの正常な作動を個別に確保する。
【0017】
好ましくは、制限機構は、ハウジングに対する針ユニットの移動を、付勢機構がまだ最大相対移動に達していない距離に制限するように配置される。付勢機構は、例えばばねを備えてもよく、これに対して、駆動要素の駆動ロッドが針ユニットをハウジングから外に移動させるために作用する。次に、制限機構は、付勢機構がまだ最終限界に達していないように配置されることが好ましい。例えばばねの場合、ばねの巻線の間にまだ余地があってもよい。別の弾性要素の例では、前記弾性要素は、最終的な弾性限界まで、まだ伸長されていなくてもよい。
【0018】
代替として、付勢手段の作動範囲によって最大伸長距離を決定してもよい。従って、さらに好ましい実施形態によれば、制限機構は、少なくとも部分的に付勢機構によって形成され、付勢機構は、ハウジングの遠位端から外への針ユニットの相対移動を前記最大伸長距離に制限するように配置される。この代替案では、最大伸長距離は付勢機構によって決定され、すなわち、付勢機構がハウジングからの針ユニットの伸長を最大伸長距離に制限する。換言すれば、付勢機構は制限機構を備えるか、または形成し、その結果、伸長位置では付勢機構は最終位置にある。
【0019】
さらに好ましい実施形態によれば、ハウジングは、メインハウジング部と、着脱可能な遠位ハウジング部とを備える。このようなモジュールは製造が容易である。好ましくは、メインハウジング部と遠位ハウジング部とは、適切な着脱可能な相互連結、例えばスナップフィット連結を使用して相互連結することができる。これにより、制限機構が少なくとも部分的にメインハウジング部に配置されることが好ましい。これは、遠位ハウジング部の偶発的な緩みを防止する。
【0020】
既に上述したようなガイド作用を改善するために、メインハウジングが遠位端またはその近傍に停止面を備えることが好ましい。これにより、上記で説明したように制限機構のガイド作用が改善され、最遠位部で針ユニットをガイドするため、針ユニットのより遠位の端部の撓みも減少する。
【0021】
上述のように、特に医療デバイスの分野では、安全性が重要な役割を果たす。本発明による針モジュールのような医療機器では、使用に対するいかなるリスクも最小化されなければならない。従って、本発明のさらなる態様によれば、格納位置では、針の近位端はハウジング内に延在する。上述のように、針ユニットの近位端は、使用時には通常、針ユニットの遠位端をハウジングから押し出すための駆動デバイスの駆動ロッドによって係合される。前記近位端がハウジングに保持され、好ましくはハウジングの外側から手でアクセスできない針モジュールを提供することによって、ハウジング外への針ユニット遠位端の偶発的な移動が防止される。これにより、デバイスが使用されていない時の静止位置または格納位置での安全性が向上する。
【0022】
好ましくは、ハウジングは実質的に円筒形であり、針ユニットは前記円筒形ハウジング内で移動可能である。ハウジングは、針ユニットを前記ハウジング内に完全に受容することができるように、針ユニットの長さよりも長い長さを有することが好ましい。例えば、ハウジングの近位開口部に受容することができる適切な駆動ロッドを備える駆動デバイスを結合したときにのみ、針ユニットをハウジングから外に移動させることができる。
【0023】
一方では針ユニットの遠位端の最大伸長を制限することによって、他方では、格納位置で、針の近位端がハウジング内に延在することを確実にして不慮の穿刺を防止することによって、安心して使用できる針ユニットが得られる。しかし、ハウジングでの針ユニットの近位端の保持は、上述のような制限機構なしに、または制限機構が前述の場合よりも大きな変位を可能にすることによって、針モジュールに適用されてもよいことを述べておかなければならない。
【0024】
好ましい実施形態によれば、制限機構が、格納位置で、針の近位端の変位を制限するためにさらに配置され、その結果、針の近位端がハウジング内に保持される。ハウジングからの針ユニットの近位への移動を防止するために、適切な協働する突起が再び設けられてもよい。ここでも、遠位方向の移動は、付勢手段によって制限することができる。付勢機構は、針の近位端をハウジング内に保持するために、ここにさらに配置されてもよい。
【0025】
上述のように例えばナイフを使用して皮膚マークを付けることは、インクなどの適切な着色剤にナイフを浸漬するのに時間がかかるので、時間がかかる。さらに、ナイフについた過剰なインクは、インク汚れの原因になる可能性がある。入れ墨またはパーマネントメイクアップの分野で使用される針モジュールでは、針ユニットは、針ユニット内に複数の針を備える場合がある。そのような構成を使用すると液だれのリスクは低減されるが、着色剤に針モジュールを、特に針ユニットの遠位端を浸漬することには依然として時間がかかる。
【0026】
従って、本発明によるさらに改良された針モジュールでは、ハウジングは、前記皮膚に導入するインクなどの着色剤を収容するリザーバ(容器)を備える。使用される着色剤が針モジュール内ですでに利用可能であるため、前記針モジュールをインクに浸漬する必要はなくなる。これにより、皮膚マークを付けるプロセスはさらに改善される。
【0027】
着色剤、または単にインクは、ヒトまたは動物の皮膚に導入するのに適した化学物質である。好ましくは、着色剤は非毒性及び/又は皮膚科学的に中性である。
【0028】
好ましくは、リザーバは、0.3ml未満、より好ましくは0.1ml未満の着色剤を収容する。例えば入れ墨またはパーマネントメイクアップの分野以外では、これは必要な皮膚マークを付けるために十分である。
【0029】
リザーバは、針ユニット、特に針ユニットの遠位端と協働するように配置され、それにより、着色剤を患者の皮膚に導入することができる。この目的のために、リザーバがハウジングの遠位端またはその近傍に配置されることが好ましい。近位メインハウジング部と着脱可能な遠位ハウジング部とを備える、針モジュール用のツーピースハウジングが使用される場合、遠位ハウジング部がリザーバを備えることが好ましい。次に、リザーバを備えた遠位ハウジング部は、効率的に製造可能であり、または必要に応じて交換も可能である。
【0030】
ハウジングの遠位端またはその近傍に延在するリザーバを使用して、例えば毛管力を介して、着色剤を針ユニットの遠位端に効率的に移送することができる。針ユニットの遠位端への着色剤の移送を改善するために、さらに好ましい実施形態によれば、針ユニットの遠位端が、格納位置と伸長位置との間の移動時に、リザーバに近い位置とリザーバから離れた位置との間を往復移動可能であることが好ましい。リザーバに近い位置では、着色剤は、例えば毛管力によって遠位端に移送可能であり、リザーバから離れた位置または伸長位置では、前記インクは皮膚に移送可能である。針ユニットの遠位端が、格納位置と伸長位置との間の移動時にリザーバの内外を往復移動可能である場合、着色剤の移送はさらに改善される。従って、使用時に、適切な駆動デバイスによって駆動されると、遠位端は効率的なインクの取り込みを可能にするリザーバ内の位置と、患者の皮膚に前記インクを導入するために遠位端がハウジングから延在する位置との間を行き来する。
【0031】
さらに好ましい実施形態によれば、針ユニットの遠位端は、格納位置ではリザーバから近位の距離に延在する。次に、針ユニットは、リザーバから距離を置いた位置にあり、着色剤の流出を防止する。
【0032】
針モジュールを使用する際、前記モジュールは、通常、往復移動可能な駆動ロッドを有する駆動デバイスに結合される。さらに好ましい実施形態によれば、針モジュールを駆動デバイスに結合すると、針ユニットは中間位置に移動可能であり、前記中間位置は伸長位置と格納位置との間に位置し、針ユニットはリザーバ内に延在する。針モジュールを結合すると、針ユニット、好ましくは針ユニットの遠位端が遠位に移動し、リザーバ内に受容される。従って、使用前に着色剤を針ユニットに移送することができる。次に、使用時には、針ユニットは、中間位置と伸長位置との間を行き来する。
【0033】
好ましくは、リザーバはハウジングによって保持される。リザーバは、例えば2つのフィルムによって形成され、その間に着色剤を保持してもよい。フィルムは、使用前に針ユニット遠位端によって穿刺されてもよい。好ましくは、ハウジングは、ハウジングの遠位端の近傍に配置された第1のフィルムと、遠位端からさらに離れて配置された第2のフィルムとをさらに備え、リザーバは第1のフィルムと第2のフィルムとの間に配置される。
【0034】
ハウジング内のリザーバの使用は、やはり安全性の面で利点があるが、別個のインクの浸漬が必要なくなることで、ひいては、制限機構とハウジング内の針ユニット近位端との態様と同様に、デバイスの安全性向上にも役立ち、ハウジング内のリザーバの態様は、例えばプリアンブルで規定されているように、針モジュール自体にも適用され得ることに留意されたい。
【0035】
さらに好ましい実施形態によれば、リザーバは着色剤を保持するためのカートリッジを備え、カートリッジは針で穿刺することができ、ハウジングはカートリッジを保持するように配置される。カートリッジ内に着色剤を提供することにより、針モジュールの組み立て中に、こぼれや汚染につながる可能性がある別個の流体で作業する必要がないため、より簡単な組み立てプロセスが得られる。従って、カートリッジは、組み立て中に残りの針モジュール部品または構成要素を加工するのと同様の方法で加工することができる。好ましくは、カートリッジは着脱可能なカートリッジである。これにより、針モジュール内のカートリッジを交換することが容易になり、例えば、カートリッジを異なるタイプの着色剤を収容するカートリッジまたは異なる色の着色剤を含むカートリッジに交換することができる。
【0036】
制限機構は、ハウジングからの針の最大伸長を制限するように配置される。しかし、典型的には、針ユニットを往復駆動する駆動ロッドを備えることができる駆動デバイスは、所定の最大値の間を往復するようにのみ配置される。従って、デバイスのさらに好ましい実施形態は、針ユニットを格納位置と伸長位置との間で往復駆動するための分離機構をさらに備え、分離機構は、往復駆動されるように配置された第1の端部と、前記針ユニットを駆動するように配置された第2の端部とを備え、第1の端部と第2の端部とは互いに対して移動可能であり、第1の端部は、第1の変位振幅で往復移動可能であり、第2の端部は、第2の変位振幅が第1の変位振幅よりも小さい状態で移動可能である。それにより、分離機構は、分離機構の被駆動端に対する針ユニットの少なくとも部分的に分離された動きを可能にするように配置され、その結果、針ユニットの動きが制限機構によって抑制または遮断される場合、分離要素は分離機構の被駆動端に加えられる往復運動を吸収するように配置される。
【0037】
好ましくは、分離機構は、第1の端部と第2の端部とを離すように付勢するために配置された付勢手段をさらに備え、及び/又は分離機構は、前記第1の端部を含む第1の部分と前記第2の端部を含む第2の部分とを備え、前記第1の部分と第2の部分とは互いに対して移動可能であり、付勢手段は、前記第1の部分と第2の部分との間に配置されて前記両端部を離すように付勢する。これにより、付勢手段は、第2の端部、従って第2の部分の移動が制限機構または他の遮断手段によって遮断されないときに、第1の部分と第2の部分とが同期して一緒に移動することを確実にする。従って、単一のストローク長さを有する往復動リニアモータなどの駆動機構を使用して、より小さいストローク長さの針ユニットを駆動することができる。
【0038】
分離機構は針モジュールに設けられ、さらに好ましい実施形態によれば、分離機構の第1の端部は、駆動デバイスの駆動ロッドと協働するように配置される。これにより、例えば入れ墨に使用されるような、分離ユニットを備えない単純な駆動デバイスを使用して針モジュールを駆動することができ、駆動デバイスの往復ストローク長さとは無関係に針遠位端の最大伸長距離を設定することができる。次に、駆動ロッドは、針モジュールの一部として設けられる分離機構の第1の端部を駆動する。
【0039】
本発明はさらに、本発明による駆動デバイスと針モジュールとを備える皮膚穿刺用デバイスに関し、駆動デバイスは、針ユニットを往復移動させる駆動ロッドを往復駆動するためのモータを備える。駆動デバイスは、好ましくは、針ユニット近位端に係合するように配置され、上述のようにハウジング内に保持されてもよい。従って、駆動デバイスはそれに応じた形状を有する。これにより、針を長時間連続的に往復駆動することができる。
【0040】
インクリザーバが針モジュールのハウジング、特にその遠位端に配置される場合、駆動デバイスに針モジュールを取り付けると、針の遠位端が中間位置に移動するように針モジュールが配置されることが好ましい。より好ましくは、針モジュールは、針の遠位端を中間位置と伸長位置との間の範囲で移動させるように配置される。上述のように、これにより、リザーバからの効率的なインクの取り込みが可能になる。
【0041】
次に、モータが、モータと駆動ロッドとの間に配置された分離機構を介して針ユニットに結合され、第2の端部が駆動ロッドを受容することが好ましい。上述のように、これにより、単一のストローク長さで往復運動を発生させるためのモータ及び/又は駆動機構を備える駆動デバイスの使用が可能になる。
より好ましくは、分離機構は駆動デバイスに設けられる。駆動デバイスに分離機構を設けることにより、より単純な針モジュールの使用が可能になる。針モジュールは単回使用品であるため、これらの使い捨て針モジュールの製造コスト及び労力が削減される。
【0042】
さらに好ましい実施形態では、制限機構は、少なくとも部分的には針モジュールに設けられ、部分的には、針モジュールとは異なる、デバイスの別の部分に設けられており、制限機構は、針モジュールが駆動デバイスとの結合状態にあるとき、最大伸長距離が針モジュールの非結合状態での最大伸長距離よりも小さくなるように配置される。従って、制限機構は、デバイスの異なるモジュール及び/又は異なる部品に配置された異なる協働する部品、例えば、針モジュールに配置された停止面と、針モジュールの停止面に接触するように配置されたデバイスの別の部品に設けられた停止面とから構成される。これにより、最大伸長距離はデバイスの異なるモジュールのアセンブリによって決定され、その結果、例えば標準の針モジュールをさまざまな駆動デバイスで使用して、針モジュールのハウジングの先端から針が伸長可能な距離を設定することができる。それにより、単純な設計の単一の針モジュールのみが必要となり、大量に安価に製造することができる。
【0043】
本発明によるデバイスのさらに好ましい実施形態は、針ユニットの伸長位置を設定するためのスペーサをさらに備え、スペーサは、ハウジングと駆動デバイスの駆動ロッドとの相対位置を調整するために、駆動デバイスと針ユニットの間に配置される。これにより、ハウジングからの針ユニットの遠位端の最大伸長の伸長位置を微調整することができる。しかし、好ましくは、この最大伸長は、上述のような制限機構によって制限される。次に、スペーサは、針モジュールと駆動デバイスとの間に別個の部品、すなわちスペーサを導入することにより、最大伸長距離をさらに制限することができる。これにより、駆動デバイスと針モジュールとの相対位置が変化し、その結果駆動ロッドの往復動ストロークも変化する。
【0044】
本発明の一態様によれば、デバイスは制限機構を備える。この機構を針モジュールに配置すると、効率的でコンパクトな構成が得られる。針モジュールは、そこに協働する停止面を備えていてもよい。
【0045】
しかしまた、またはさらに、制限機構が針ユニットとスペーサとに配置された相互に協働する停止面を備えて、針ユニットとハウジングとの相対移動を制限することも可能である。それにより、針先端の最大伸長は、スペーサに設けられた停止面の配置によって決定することができる。これにより、単一の設計の針モジュールをさまざまなスペーサと組み合わせて使用して、さまざまな最大伸長差を設定することができる。さらに、これにより、厳密で精密な公差で製造する必要のある部品の量が削減される。例えば、結合されたスペーサ及び針モジュールに制限機構を形成することによって、駆動デバイス自体は、針がその最大伸長でハウジングの先端から伸張することを許容される精度にほとんど影響を及ぼさない。
【0046】
好ましくは、スペーサには、前記スペーサと前記針モジュールとの間にバヨネット連結または同様のタイプのフォームロック連結を形成するために、針モジュールの停止面と協働する停止面を備える遮断面が設けられ、スペーサの前記遮断面は、針ユニットとハウジングとの相対移動を制限するための制限機構の停止面をさらに備える。針モジュールをスペーサにロックするためにスペーサの遮断面を用いるだけでなく、さらに制限機構の一部として同じ遮断面を使用することにより、スペーサ上またはスペーサ内に加工の必要がある形体の数が減少する。複雑さが緩和されることで製造コストが明らかに削減されるだけでなく、さらに製造ばらつきにより蓄積する不確実性の要素も排除されるため、針の遠位端の最大伸長距離の設定精度をより高めることができる。
【0047】
さらに好ましい実施形態では、外向きに延在する突出部が針ユニットに設けられ、ハウジングにガイドが配置されて前記外向きに延在する突出部をガイドし、前記外向きに延在する突出部は針ユニットの停止面を備える。この実施形態による針ユニットは、停止面が針モジュールとは異なるデバイスの一部に設けられた相互に協働する停止面に接触する位置まで、針モジュールのハウジング内で変位することができ、それ以上は伸長することができない。このプロセスでは、突起がハウジングのガイドに導かれ、メカニズムのスムーズな作動を確実にする。
【0048】
さらに好ましい実施形態では、スペーサは、スペーサの、遠位端近傍の、内周面に配置された内壁を備えており、前記遮断面は内壁に設けられる。制限機構は、針ユニットの外向きに延在する突出部に配置された前記停止面と、スペーサの内壁に配置された前記遮断面とを備え、前記遮断面は、針遠位端が最大伸長距離にあるときに、前記停止面に当接するように配置されることがさらに好ましい。スペーサ内のこの内壁の配置をスペーサ遠位端に対して制御することにより、針の伸長距離を制御することが可能になる。それにより、結果として生じる伸長距離の不確実性の原因が、スペーサ遠位端に対する内壁の寸法、針モジュールのハウジングの長さ、及び針先と針ユニットに配置された停止面との間の距離、に限定される。
【0049】
好ましい実施形態では、デバイスは、針モジュール、スペーサ及び/又は駆動デバイスをバヨネット連結によって相互連結することができるように配置される。バヨネット連結により、さまざまな部品間で信頼性が高く、しかも使いやすい連結が可能になり、通常、操作のための工具の使用または訓練は必要ない。
【0050】
バヨネット連結は、好ましくは、相互連結された針モジュールとスペーサとの相対的な長手方向移動をロックするための第1のロック手段を備える。第1のロック手段は、スペーサに設けられた遮断面と、針モジュールのハウジング外側に設けられたロック面とを備え、ロック面は、スペーサ内に挿入されるように配置されるハウジングの一部に配置されることがより好ましい。制限機構及び第1のロック手段がスペーサに設けられた遮断面を備える場合は、さらにより好ましい。これにより、針モジュール及びスペーサは、スペーサと針モジュールとが互いに対して同じ相対位置にあるように、信頼性の高い方法で連結することができる。スペーサに設けられた遮断面を使用して針モジュールとスペーサとの間の相対移動をロックすると、2つの構成要素が同じ方法で既知の相対位置に固定され、針先の最大伸長距離が正確に決定される。
【0051】
さらに好ましい実施形態では、バヨネット連結は、相互連結された針モジュールとスペーサとの相対的な回転移動をロックするための第2のロック手段を備える。好ましくは、第2のロック手段は、スペーサ内に挿入されるように配置されたハウジングの一部でハウジング外側に設けられた突起及び/又は陥凹を備え、対応する突起及び/又は陥凹がスペーサ内側に設けられ、スナップフィット連結を形成するために配置される。より好ましくは、ハウジング外側に設けられた前記突起及び/又は陥凹は、スペーサ内側に設けられた前記対応する突起及び/又は陥凹を通過してスナップフィット連結をロックまたはロック解除し、ハウジング及びスペーサの少なくとも一方が変形して通過を可能にする。これにより、バヨネット連結が誤って緩み、それによって針モジュールがスペーサから外れるか、または針先の最大伸長距離の設定精度が低下するリスクを最小限に抑える。スナップフィット連結には、開閉が簡単で信頼性の高い連結を作り出すという利点がある。さらに、ロックすると「パチン」と音をたてるため、操作者は連結が確保されていることを確認できる。
【0052】
さらに好ましい実施形態によれば、デバイスは非磁性部品からなる。これは、針モジュール自体、任意のスペーサ、任意の駆動デバイス、及びそれらのそれぞれの部品に適用することができる。これにより、デバイスをMRIスキャナなどのスキャナの近傍で使用することが可能になる。デバイスは、(強磁性)磁性材料を含まない、少なくともデバイスが、例えばMRIスキャナに近接して使用するには適さない状態になる程度にまでは含まないことが好ましい。
【0053】
針は、例えば、チタンまたはアルミニウムなどの非磁性材料から製造することができる。また、他の部品、例えば付勢機構も、この同様の材料から製造することができる。ハウジングなどの他の部品は、プラスチックから製造することができる。デバイスは、電子部品を含まないことが好ましい。駆動デバイスに適したモータは、例えば空気圧モータである。他の非電気モータも同様に使用することができる。
【0054】
バヨネット連結によるさまざまなデバイス及びモジュールの相互連結性の態様、または分離デバイスによる往復駆動部の動作と針ユニットとの部分的な分離、及びハウジングと駆動デバイスの駆動ロッドとの相対位置を調整するスペーサが、例えばプリアンブルによって規定されているように、針モジュール自体、またはそのような針モジュールを備えるデバイスにも適用可能であることに留意されたい。
【0055】
本発明はさらに、デバイスと、針モジュールと、上述のようにさまざまな所定の距離を設定するための複数のスペーサとを備える部品のキットに関し、各スペーサは、異なるそれぞれの伸長位置を画定するように配置される。好ましくは、スペーサは、異なる長さを有し、例えばそれぞれの差は少なくとも0.1mm、好ましくは少なくとも0.2mm、より好ましくは少なくとも0.5mmである。その場合、それぞれの伸長位置は、好ましくは、相互に少なくとも0.5mm変化する。部品のキットは、好ましくは、駆動デバイスも備える。
【0056】
本発明はさらに、ヒトの皮膚にインクを導入するための、特に患者に皮膚マークを付けるための方法に関し、
-上述のようなデバイスを提供するステップと、
-着色剤を提供するステップと、
-針を往復駆動させてヒトの皮膚に穿刺し、針を使用して皮膚の上層に着色剤を沈着させるステップとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0057】
本発明は、本発明によるデバイス及び方法の好ましい実施形態を示す以下の図によってさらに説明され、いかなる意味においても本発明の範囲を限定することを意図しない。
【
図2a】針ユニットが格納位置にある、針モジュールの実施形態の断面図である。
【
図2b】針ユニットが伸長位置にある、針モジュールの実施形態の断面図である。
【
図3a】針ユニットが格納位置にある、針モジュールの別の実施形態の断面図である。
【
図3b】針ユニットが中間位置にある、針モジュールの別の実施形態の断面図である。
【
図3c】針ユニットが外側位置にある、針モジュールの別の実施形態の断面図である。
【
図4a】針モジュールの別の実施形態を示す図である。
【
図4b】針モジュールの別の実施形態を示す図である。
【
図4c】針モジュールの別の実施形態を示す図である。
【
図4d】針モジュールの別の実施形態を示す図である。
【
図5】針モジュールと、スペーサと、駆動デバイスとを備えるデバイスの実施形態の斜視図である。
【
図6】針モジュール及びスペーサを分解図で示す、
図5の実施形態の図である。
【
図7a】針モジュール取り付け前のデバイスの実施形態の断面図である。
【
図7b】針の遠位端が中間位置にある、針モジュール取り付け後のデバイスの実施形態の断面図である。
【
図8a】針の遠位端が伸長位置にある実施形態の断面図である。
【
図8b】針の遠位端が伸長位置にある実施形態の断面図である。
【
図10a】針ユニットの往復運動サイクルの、ある時点の状態を示す、駆動デバイスがモータを備えるデバイスの実施形態の断面図である。
【
図10b】針ユニットの往復運動サイクルの、ある時点の状態を示す、駆動デバイスがモータを備えるデバイスの実施形態の断面図である。
【
図10c】針ユニットの往復運動サイクルの、ある時点の状態を示す、駆動デバイスがモータを備えるデバイスの実施形態の断面図である。
【
図11】
図10の実施形態による制限機構をより詳細に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0058】
図1には、タトゥーガンまたはパーマネントメイクアップデバイスなどの駆動デバイス(図示せず)に結合するための針モジュール1を示す。針モジュール1は、この例では実質的に円筒形のハウジング10を備える。ハウジング10は、開口近位端10b(
図2a及び
図2bの断面図も参照)及び開口遠位端10aを備える。近位端10bは、(
図3a乃至
図3cに関連して説明されるように)駆動デバイスと結合するように配置され、この例では、そこに直径が縮小した領域13を備える。段差13aは停止面として機能して、結合された駆動デバイスと針モジュール1との相対位置を決定することができる。この例ではハウジング10は、2つの別個のハウジング部11及び12によってさらに形成される。遠位ハウジング部12には、先細の遠位端10aが設けられ、12aで概して示されるスナップフィット連結を介して近位メインハウジング部11に結合することができる。
【0059】
ハウジング10の遠位端10aを介して、針ユニット2が伸長され得る。針ユニット2(
図2aを参照)は、この例では硬質プラスチックの針基部23と、その遠位端にある針21とを備える。針21の遠位端22は鋭利である。この例では、針ユニット2は、1本の針21を備える。しかし、複数の針21を備えることも可能であり、例えば、
図4a乃至
図4dの実施形態を参照されたい。針モジュール1は、針ユニット2がハウジング10に対して長手方向Lに沿って、針ユニット2の遠位端22がハウジング10内に延在する格納位置(
図2aを参照)と、針ユニット2の遠位端22がハウジングの遠位端10aから延在する伸長位置(
図1及び
図2bを参照)との間で往復移動可能であるように配置される。
【0060】
針ユニット2の、ハウジング10からの遠位方向Dの移動は、駆動デバイス3の駆動ロッド32(例えば
図3bを参照)の移動によって誘発される。前記駆動デバイス3は、駆動ロッド32を長手方向Lbに沿って所定の振幅で往復移動させるように配置される。針ユニット2をハウジング10内に戻す移動は、この例では、ばね41を備える付勢機構4によって誘発される。付勢機構4は、ハウジング10と針ユニットとの間に延在し、針ユニット2を格納位置に向けて付勢する。この例では、ばね41は、ハウジング10の(この例では、その内表面に形成された)停止面11aと、針ユニット2の停止面(この例では、針ユニット2の基部23)との間に配置される。ばね41は、針ユニット2をハウジングに対して方向Pに近位に、すなわち格納位置に向けて付勢する。
【0061】
遠位方向Dでは、針ユニット2とハウジング10との間の相対移動は制限機構によって、この例ではハウジング10、針ユニット2のそれぞれの協働する突起11c、23bの形態で、制限される。突起11c及び23bは、
図2bに示すような位置で当接する。この例では、突起11cは、ハウジング10の内壁、より具体的にはメインハウジング部11の最遠位部に配置される。突起11cはさらに、針ユニット2を長手方向にのみ移動するようにガイドする役割を果たし、針ユニット2に対して好ましくはリング状または環状である。針ユニット2の突起23bは、相対的に硬質の基部23に配置される。制限機構は、ハウジング10からの針ユニット2の伸長を、
図2bの詳細に距離dで概略的に示されている最大伸長までに制限する。距離dは、針ユニット2の遠位端22とハウジング10の遠位端10aとの間の距離である。この例では、最大伸長は1.2 mmと定義される。これは、使用時に、針先22が患者の表皮にのみ挿入されることを確実にする。
【0062】
可能な最も遠位の位置にある針ユニット2を示す
図2bから、ばね41が完全に圧縮された位置にはないことがわかる。従って、針ユニット2とハウジング10との間の相対移動は、付勢機構によって制限されない。代替として、付勢機構は、付勢機構の最終位置(例えば完全に圧縮された状態のばね)が、上述のように、この例では1.2mmに設定された最大伸長を制限するという意味で、制限機構を形成することもできる。
【0063】
図示の例では、針ユニット2に形成された制限機構の突起23bは、付勢機構と共に作動する突起23aから距離を置いて延在する。従って、付勢機構は、第1の位置で針ユニット2と係合し、針ユニット2は、前記第1の位置から距離を置いた位置に停止面23bを備える。
【0064】
ハウジング10に対する針ユニット2の近位方向Pの移動は、この例では別個のプラスチックまたはゴムのリング状要素11bによって形成された、停止面11bによって制限される。リング11bはさらに、針ユニット2を長手方向にのみ移動するようにガイドする役割を果たす。
図2aに示す格納位置で、針ユニット2は、この例では、ばね41と共に作動する同じ突起23aが、ハウジング10の突起11bに当接する。ハウジング10に対して最も近位の位置にある針ユニット2を示す
図2aから、この格納位置においても、針ユニット2の近位端24がハウジング10内に完全に保持または受容されることは明らかである。この例では、近位端24は、ハウジング10の近位端10bから距離を置いて延在する。近位端24がハウジング10内に延在するため、近位端24を誤って、例えば手動操作によって、伸長位置に移動させることはできない。
【0065】
図2a及び
図2bに示す実施形態は、針ユニット2の遠位端22をインクリザーバ(図示せず)に浸漬し、続いてデバイスを患者に適用することによって、患者に皮膚マークを付けるために使用することができる。しかし、
図3a乃至
図3cに示す実施形態では、針モジュール1は、針モジュール1の遠位端10aの近傍にインクリザーバ5を備える。この例では、インクリザーバ5は、遠位ハウジング部12の遠位端10aの近傍に配置される。リザーバ5は、相互に距離を置いて配置された2つのフィルム51、52によって形成され、その間に適切なインク53が配置されて患者の皮膚に適用される。
【0066】
図3aに示す格納位置では、針ユニット2の遠位端22は、リザーバから近位に距離を置いて延在する。図に示すように、針ユニット2はリザーバ5内には延在していない。針モジュール1が駆動デバイス3に結合されるときにのみ、針ユニット2は、針ユニット2がリザーバ5内に延在するように遠位方向に動かされる。これは
図3bに示される。リザーバからのインク53は、針ユニット2、特にその遠位端22に移送される。この例では、遠位端22は、
図3bの詳細に示すように、(この例ではフィルム52によって形成された)リザーバの最遠位端から遠位に延在する。しかし、この位置で、針ユニット2の遠位端22が効率的なインクの取り込みのためにリザーバ内に延在することも可能である。
【0067】
ここで、駆動デバイス3が往復移動可能な駆動ロッド32を備え、中間位置(
図3b)と外側位置(
図3c)との間を移動可能であることに留意されたい。駆動デバイス3が結合されると、針ユニット2は、格納位置(
図3a)から中間位置(
図3b)に移動する。この位置では、針モジュール1は使用する準備が整っている。使用時には、駆動ロッド32は、中間位置(
図3b)と外側位置(
図3c)との間で往復駆動される。駆動ロッド32の外側位置では、針ユニット2は、針ユニット2の遠位端22がハウジング10の遠位端10aから突出するように遠位に付勢される。
図3cを参照すると、制限機構がまだ作動していない、すなわち、突起11cと23bとがまだ接触していないことがわかる。ハウジング10の遠位端10aからの、針ユニット2の遠位端22の伸長d
2は、この例では、駆動ロッド32の外側位置、すなわち、駆動ロッド32の振幅によって決定される。距離d
2は、
図2bに示す距離dよりも小さい。ここで、
図3cの制限機構は、最大伸長を超えないようにするための安全装置として機能する。
【0068】
距離d2は、針モジュール1と駆動デバイス3との相対位置によって決定される。この相対位置は、スペーサ6を、異なる長さeを有する異なるスペーサ6と交換することによって調整することができる。リング状のスペーサ6は、ハウジング10に設けられた段差13aに当接し、針モジュール1とスペーサ6との適切な相対位置を確保する。(長さeに関して)より大きなスペーサ6を配置することによって、距離d2が縮小することを理解されたい。
【0069】
付勢機構としてのばね41の代替として、
図4a乃至
図4dの実施形態は、
図4aに示すように弾性要素42を備え、針ユニット2を格納位置に戻すように付勢する。この位置でも、針ユニット2の近位端24はハウジング10内に保持される。
【0070】
弾性要素42は、この例では弾性チューブの形態であり、遠位ハウジング部12と近位ハウジング部11との間の相互連結部でハウジング10に連結される。弾性要素42の他端は、遠位位置で、この例では基部23の遠位端で、針ユニット2に連結される。要素42の弾性特性が針ユニット2を
図4bに示す位置から
図4aに示す位置に戻すように付勢することを理解されたい。
【0071】
また、この実施形態では、制限機構が協働する突起23a及び11cの形態で設けられて、ハウジング10の遠位端から最大伸長dまでの針ユニット2の伸長を制限する(
図4bの詳細を参照)。
【0072】
図4c及び
図4dを参照して、針モジュール1を駆動デバイス3とスペーサ6との組み合わせに取り付けると、針ユニット2がインクリザーバ5内に付勢されることもまた理解されたい。駆動ロッド32を駆動することにより、複数の針21を備える針ユニット2の遠位端22が、中間位置(
図4c)と伸長位置(
図4d)との間で往復移動する。この場合も、
図4dでは、制限機構の突起11c、23aはまだ当接しておらず、その結果、伸長距離d
2は再び最大距離dより小さくなる。距離d
2は、また一方、スペーサ6の長さによっても決定される。
【0073】
図5は、針モジュール101と、スペーサ102と、駆動デバイス103とを備えるデバイス100のさらなる実施形態を斜視図で示す。針モジュールは遠位ハウジング部104を備え、その先端106には、針のための開口部105が配置されている。メインハウジング部107は、スナップフィット連結を介して遠位ハウジング部104に取り付けられ、それにより、これらの2つのハウジング部104、107は、針モジュールのハウジングを形成する。メインハウジング部107は、円形部分108及び長方形部分109を有する。メインハウジング107のこの形状は、スペーサ102の内部空間、より具体的にはスペーサの内側保持壁110と一致する。内側保持壁110は、スペーサ102の内周の一部分に配置された突起を備える。針モジュール101をスペーサ102と正確に位置合わせすることにより、長手方向移動によって針モジュール101をスペーサ102内に挿入することができ、それにより、長方形部分109は、スペーサ102の内側保持壁110を通過する。メインハウジング部107をスペーサ102に挿入するための長手方向移動に続いて、針モジュールはスペーサ102に対して長手方向軸を中心に(この例では時計回りに)回転させることができ、それにより内側保持壁110がメインハウジング部107の対応する空隙111に噛み合い、針モジュール101は、スペーサ102で長手方向にロックされる。針モジュール101を反時計回りの回転を介して結合できるようにも構成可能であることに留意されたい。このような連結は、多くの場合バヨネット連結と呼ばれる。小突起112が針モジュール101のハウジングに配置され、スペーサの遠位端近傍のスペーサ102の内周壁に配置された周方向の陥凹113と協働する。針モジュール101をスペーサ内に挿入すると、先端とは反対側の遠位ハウジング部104側の縁部115は、スペーサ102の遠位端に設けられた対応する縁部116に当接するように配置される。それにより、小突起112が陥凹113に挿入される。上述のように針モジュール101を回転させることによって、突起は、陥凹113の第1の端部114に形成されたスナップフィット連結によって所定の位置にロックされる。それにより、スペーサ102と針モジュール101との間に単純で信頼性の高い連結が得られる。使用後、スナップフィット連結は、針モジュール101に反対方向(反時計回り)にトルクをかけることにより開くことができ、その後、針モジュール101は、(反時計回り)回転させ、針モジュール101を引き抜くことによって、スペーサ102から解放することができる。
【0074】
針モジュール101及びスペーサ102が分解図で示された、デバイス100の同じ実施形態を
図6に示す。針モジュール101の組み立てられた状態では、遠位ハウジング部104及びメインハウジング部107は、1つまたは複数の針121を備える針ユニット120と、弾性要素122とを含む。針ユニット120は、針モジュールのハウジングに対して移動可能である。弾性要素は、針ユニット120に、開口部105を介して針遠位端123を押し出すための方向Iの力が加えられていない場合に、針遠位端123、すなわち鋭利な頂点を含む針の先端部分をハウジング内に保持するための付勢手段として配置される。針ユニット120は、メインハウジング部107の対応する溝125に位置付けられるように配置されている、外向きに延在する突出部124をさらに備える。従って、針ユニット120は、デバイス100の長手方向である方向Iに、ハウジングに対して移動可能である。
【0075】
図7aは、針モジュール101、より具体的にはメインハウジング部107がスペーサ102に挿入される時点の取り付け手順の状態を断面で示す。スペーサ102は、次に、針ユニット120の近位端127を駆動するための駆動ロッド130を備える駆動デバイス103に連結される。着色剤用のリザーバ128が、遠位ハウジング部104の先端106の近傍に設けられる。
【0076】
図7bでは、針モジュール101がスペーサ102と結合状態にあるデバイス100を再び示す。取り付けプロセス中に、駆動ロッド130は、針ユニット120の近位端127と接触し、針モジュール101がスペーサ102にさらに押しこまれると、針ユニット120はハウジング内で遠位ハウジング部104の先端106に向かって長手方向に、中間位置に向けて動かされる。それにより、弾性要素122が変形し、駆動デバイス103の方向に弾性力が発生する。針ユニット120の近位端127は、このプレストレス効果により、駆動ロッド130の遠位端131との接触を維持するように付勢される。このプロセス中に、針遠位端123はリザーバ128を穿刺して貫通し、その後着色剤、例えばインクは針121の表面を流れることができる。これで、デバイス100は往復駆動の準備が整う。
【0077】
デバイス100を駆動するとき、針121は、
図7bに示す位置から、針遠位端123が伸長位置にある
図8a及び
図8bに示す位置まで往復移動する。
図8bに示す断面は、デバイス100の長手方向軸140を中心に90度回転され、それにより、スペーサ102及び針モジュール101が完全に軸対称ではないことも示す。伸長位置では、針遠位端123は、遠位ハウジング部104の先端106に配置された穴105から特定の最大距離d3だけ伸長する。それにより、針121は、最大距離d3以下の深さでのみ皮膚に刺入することができる。従って、リザーバ128から針121に沿って流れることができる着色剤は、最大距離d3以下の深さで皮膚に挿入される。これにより、着色剤を挿入する深さを調整することができ、インクが皮膚の最上層にのみ沈着することを確実にして、皮膚に一時的なマークを作成することができる。
【0078】
予め所定の方法で針モジュール101を取り付けた後、開口部105を介して針遠位端123を押し出すために、弾性要素122の弾性力に打ち勝つための十分な大きさの力が針ユニット120に方向Iで加えられる場合、外向きに延在する突出部124の前側126がスペーサ102の内側保持壁110の内側側面に当接するため、針ユニット120、ひいては針遠位端123の変位が制限されることに留意されたい。従って、針121がハウジング遠位端104から延在可能な最大距離d3は、
図8bで明らかなように、外側に延在する突出部124の前面126と内側保持壁110の表面との間の協働によって決定される。一般に、制限機構を針モジュール101及びスペーサ102上に協働する停止面として配置することにより、最大距離d3は、デバイス100の限られた数の寸法パラメータから容易に決定することができる。
d3=d6-d5-d4
d6は、外向きに延在する突出部124の前面126から針遠位端123までの距離を表し、それにより針ユニット120の有効長さを表し、d5は、遠位ハウジング部104の長さであり、d4は、内側保持壁110の幅(または厚さ)である。標準化された針モジュール101では、長さd6及びd5が与えられているため、最大皮膚刺入深さを表す最大距離d3は、スペーサの内側保持壁110の寸法を変更することによって容易かつ確実に変化させることができる。
【0079】
デバイス100の弾性要素122は、
図7a乃至
図8bに明確に示されたように、引っ張りばねとして作用するようにゴム状材料のシートから作られる。明らかに、他のタイプの弾性要素、例えば、
図2、
図3及び
図9a乃至
図9cにも示すような、例えば鋼などの適切な弾性材料から作られた圧縮ばねを適用することもできる。
【0080】
図9a乃至
図9cに、スペーサをより詳細に示す。スペーサ102を駆動デバイス103に連結するための側面150であるとしても、任意の適切な連結手段、例えば、同様のバヨネット連結を使用して連結することができる。スペーサ102の遠位端151の近傍にある、連結機構をより詳細に示す。この実施形態では、スペーサ102は、スペーサ102の両側に内側保持壁を備える。さらに、遠位ハウジング部104に設けられた対応する小突起112を受容するための陥凹113が明らかに示される。陥凹113の第1の端部114では、陥凹には小さな直立機構152、続いて直立機構152に隣接して配置された空隙153が設けられていることがわかる。針モジュール101がスペーサ102に挿入されると、遠位ハウジング部104に設けられた小突起112は、陥凹113によって受容される。次に、針モジュール101が、その軸を中心に回転され、その後、小突起112が直立機構152に接触する。十分なトルクをかけることにより、スペーサ102及び/又は遠位ハウジング部104はわずかに変形し、小突起112が直立機構152を通過し、小突起152を受容するように配置された空隙153に嵌め込むことができる。
【0081】
図10a乃至
図10cは、デバイス200の代替実施形態をより概略的に示す。デバイス200は、針モジュール201と、スペーサ202と、駆動デバイス203とを備え、先の実施形態で詳細に説明したバヨネット連結、スナップフィット連結、ねじ連結、または任意の他の適切な連結によって相互連結される。針モジュール201は、複数のハウジング部品を備えることができるハウジング204と、格納状態でハウジングによって実質的に囲まれ、少なくとも針221を備える針ユニット220とを備える。針ユニット220は、ハウジング204に対して方向Iに移動可能であり、方向Iは、デバイス200の長手方向軸240と平行である。付勢手段は、ばねまたは任意の他の適切な要素などの弾性要素222であり、針遠位端223がハウジング204内に維持される格納位置または中間位置に針ユニット220を付勢するように設けられる。後で説明するように制限機構の一部である、外向きに延在する突出部224が、この場合も針ユニット220の近位端227の近傍に設けられる。
【0082】
スペーサ202もまた、遠位端251で針ユニット201に連結され、近位端252で駆動デバイス203に連結されるように配置される。スペーサの内周壁に配置された内側保持壁210の近位端の遮断面は、針モジュール201のハウジング結合突起219に配置された対応する遮断面と協働して、針モジュール201をスペーサ202に結合する。
【0083】
実施形態に描かれている駆動デバイス203は、針ユニット220の近位端227を駆動する駆動ロッド230の動きを、少なくとも部分的に分離するための分離機構260と、往復運動を発生させるモータ261とを備える。モータ261は、モータ261の出力を針ユニット220を駆動するための適切な往復運動に変換するために、回転運動を往復並進運動に変換する斜板271または任意の他の適切な機構を備える、伝達モジュール262が取り付けられる。分離機構260は、駆動ロッド230に対して方向Iに移動可能な摺動部材263と、駆動デバイス203のハウジング265に固定されているガイド部材264とをさらに備える。
【0084】
第1の結合ばね266、または任意の他の適切な付勢手段は、駆動ロッド230と摺動部材263とを互いに対して反対方向に付勢する。この目的のために、第1の結合ばね266は、駆動ロッド取り付け位置268と摺動部材取り付け位置270との間に設けられる。第1の結合ばね266は、好ましくは、初期変形を課すことによってプレストレスをかけられる。分離機構260が確実に維持されるようにするために、駆動ロッドには、摺動部材取り付け位置270の後方でロックし、分離機構260の完全性を確保する当接肩部269などの固定手段が設けられる。
【0085】
第2の結合ばね267、または任意の他の適切な付勢手段は、駆動ロッド取り付け位置268とガイド部材遠位端272との間に設けられ、駆動ロッド230をモータ261の方向に付勢する。従って、第2の結合ばね267は、駆動ロッド230、第1の結合ばね266及び摺動部材263を介して、摺動部材接触端273を斜板271に対して押圧する。それにより、
図10b及び
図10cでも確認できるように、摺動部材263が斜板271の動きに追従することが確実になる。これにより、分離機構260を介して移動可能な針ユニット220に与えられる、摺動部材263の所望の往復運動がもたらされる。
【0086】
図10b及び
図10cで、針221は最大伸長距離d3に達しており、
図11に詳細に示すように、その時点で、制限機構の一部である外向きに延在する突出部224は、スペーサの内側保持壁210に接触する。従って、最大伸長距離d3を制限するための手段(すなわち、制限機構)は、スペーサ202と針モジュール201のハウジング204との間の相互の協働によって形成される。図示の実施形態では、内側保持壁210は、第1の段差281及び第2の段差282を備える、段付き突起である。外向きに延在する突出部224の表面は、内側保持壁210の第1の段差281の表面に当接し、それにより、方向Iでデバイス100の遠位端に配置された開口部205に向かう針ユニットを遮断する。針ユニット201は、ハウジング結合突起219を内側保持壁210の第2の段差282でロックすることにより、スペーサ202を介して連結される。この結合状態では、外向きに延在する突出部224は、第2の段差282またはハウジング結合突起219に当接することができないことに留意されたい。
【0087】
分離機構の作動原理は、
図10b及び
図10cによってさらに明らかにされる。
図10aでは、針は中間位置にあり、針遠位端223はハウジング内に延在する。
図10b及び
図10cは、針遠位端223が最大伸長位置d3にあることを示しているが、
図10bでは、駆動部、この場合は斜板271がまだその最大変位に達していない点が異なる。
図10bでは、駆動ロッド230の当接肩部269が、好ましくは予め張力をかけられた第1の結合ばね266によって、摺動部材取り付け位置270と依然として接触を保持していることがわかる。この時点で、先に説明したように、針ユニット220は制限手段によって遮断されており、それにより、遠位端231が針ユニット220の近位端227と直接接触している駆動ロッド230も、デバイスの遠位端に向けて方向Iにさらに移動することを遮断される。従って、斜板271がその最大変位に向けて移動すると、それにより、摺動部材263もその最大変位まで押圧され、駆動ロッド230と摺動部材263との間の相対変位が生じる。この相対変位により、第1の結合ばね266が変形し、それにより、摺動部材263に反力が作用して摺動部材をデバイスの近位端241に向けて付勢し、駆動ロッド230に反力が作用して駆動ロッド230を針ユニット220に向けて付勢する。斜板271がその最大変位から移動すると、第1の結合ばね266は再び伸長することが可能になり、それにより、摺動部材263を付勢し、摺動部材接触端273が斜板271と接触を維持するように強制されるため、斜板271の動きに追従する。摺動部材263の戻り動作のある時点で、当接肩部269が再び摺動部材取り付け位置に接触し、それにより、駆動ロッド230と摺動部材263とが一体となって動き、その後、針ユニット220が弾性要素222によって格納位置に向けて付勢される。従って、針遠位端223は、針ユニット220と一緒に移動し、それにより、再びハウジング204内に後退する。モータ261は、長時間の場合でも短時間の場合でも連続的に駆動されるように配置されるため、針遠位端223の往復運動が得られる。
【0088】
明らかに、分離機構260により、確実に針遠位端223の最大伸長距離d3を正確に設定し、維持することができるようになる。この分離機構260がない場合、駆動デバイス203の過剰なストロークは、デバイス200のさまざまな部分の弾性変形または塑性変形に吸収されなければならず、システムのさまざまな部分に過剰な力がかかって、損傷する原因となり、機能性と精度を損なう可能性がある。
【0089】
針ユニット1、101、201、スペーサ3、102、202及び駆動デバイス103、203の全ての異なる実施形態を組み合わせることができることに留意されたい。さらに、本発明は、示された実施形態に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲に含まれる他の実施形態にも及ぶ。
【手続補正書】
【提出日】2023-12-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
往復式の皮膚穿刺用デバイスに用いられる針モジュールであって、針ユニットと、ハウジングと、付勢機構とを備え、前記針ユニットが針を備え、前記針ユニットが、前記ハウジングに対して、前記針の遠位端が前記ハウジングの遠位端から延在する伸長位置と前記針の遠位端が前記ハウジング内に配置される格納位置との間で移動可能であり、前記付勢機構が前記針ユニットを前記格納位置に向けて付勢するように配置された針モジュールにおいて、さらに制限機構を備え、前記制限機構が、前記針ユニットと前記ハウジングとの前記相対移動を制限するための相互に協働する停止面を備え、
前記制限機構が、前記ハウジングの遠位端から外への前記針ユニットの相対移動を、前記伸長位置に向かう移動時に最大伸長距離に制限するように配置され、前記最大伸長距離が1.5mm以下である、針モジュール。
【請求項2】
停止面が実質的にリング状である、請求項1に記載の針モジュール。
【請求項3】
前記付勢機構が第1の位置で前記針ユニットを係合し、前記針ユニットは前記第1の位置から距離を置いた位置に前記停止面を備える、請求項1に記載の針モジュール。
【請求項4】
前記制限機構が少なくとも部分的に前記付勢機構によって形成され、前記付勢機構が、前記ハウジング遠位端から外への前記針ユニットの前記相対移動を、前記最大伸長距離に制限するように配置される、請求項1乃至3の何れかに記載の針モジュール。
【請求項5】
前記針モジュールがメインハウジング部と着脱可能な遠位ハウジング部とを備え、前記制限機構が少なくとも部分的に前記メインハウジング部に配置される、請求項1乃至4の何れかに記載の針モジュール。
【請求項6】
前記メインハウジング部が、前記遠位端またはその近傍に停止面を備える、少なくとも請求項5に記載の針モジュール。
【請求項7】
前記格納位置において、前記針の近位端が前記ハウジング内に延在する、請求項1乃至6の何れかに記載の針モジュール。
【請求項8】
前記制限機構が、前記格納位置において、前記針の近位端の変位を制限するためにさらに配置され、前記針の近位端が前記ハウジング内に保持される、請求項7に記載の針モジュール。
【請求項9】
前記付勢機構が、前記針の近位端を前記ハウジング内に保持するようにさらに配置される、請求項6又は7に記載の針モジュール。
【請求項10】
前記ハウジングが、前記皮膚に導入するためのインクである着色剤を収容したリザーバを備える、請求項1から9の何れかに記載の針モジュール。
【請求項11】
前記リザーバが前記ハウジングの遠位端またはその近傍に配置される、請求項10に記載の針モジュール。
【請求項12】
前記リザーバが0.3ml未満の着色剤を収容する、請求項10又は11に記載の針モジュール。
【請求項13】
前記針ユニットの遠位端が、前記格納位置と前記伸長位置との間の移動時に、前記リザーバの内外に往復移動可能である、請求項10、11または12に記載の針モジュール。
【請求項14】
前記格納位置において、前記針ユニットの遠位端が、前記リザーバから近位の距離に延在する、請求項10乃至13の何れかに記載の針モジュール。
【請求項15】
前記針モジュールを駆動デバイスに結合すると、前記針ユニットが中間位置に移動可能であり、前記中間位置が前記伸長位置と前記格納位置との間に位置し、前記針ユニットが前記リザーバ内に延在する、請求項14に記載の針モジュール。
【請求項16】
前記針ユニットの遠位端が前記中間位置で前記リザーバ内に延在する、請求項15に記載の針モジュール。
【請求項17】
前記ハウジングが、前記ハウジングの遠位端近傍に配置された第1のフィルムと前記遠位端からさらに離れて配置された第2のフィルムとをさらに備え、前記リザーバが前記第1のフィルムと前記第2のフィルムとの間に配置される、請求項10乃至16の何れかに記載の針モジュール。
【請求項18】
前記リザーバが前記着色剤を保持するためのカートリッジを備え、前記カートリッジを前記針で穿刺することができ、前記ハウジングが前記カートリッジを保持するように配置される、請求項10乃至16の何れかに記載の針モジュール。
【請求項19】
前記カートリッジが着脱可能なカートリッジである、請求項18に記載の針モジュール。
【請求項20】
往復式の皮膚穿刺用デバイスであって、請求項1乃至19の何れかに記載の針モジュールと、駆動デバイスを備え、前記駆動デバイスは前記針ユニットを往復移動させる駆動ロッドを往復するように駆動するモータを備えている、皮膚穿刺用デバイス。
【請求項21】
前記デバイス内側に、前記針ユニット外側に配置された突起と協働するための突起及び/又は陥凹が配置される、請求項20に記載のデバイス。
【請求項22】
前記格納位置と前記伸長位置との間で前記針ユニットを往復駆動するための分離機構をさらに備え、前記分離機構が、往復駆動されるように配置された第1の端部と、前記針ユニットを駆動するように配置された第2の端部とを備え、前記第1の端部と前記第2の端部とが互いに対して移動可能であり、前記第1の端部が第1の変位振幅で往復移動可能であり、前記第2の端部が、前記第1の変位振幅よりも小さい第2の変位振幅で移動可能である、請求項20又は21に記載のデバイス。
【請求項23】
前記分離機構が、前記第1の端部と前記第2の端部とを離すように付勢するために配置された付勢手段をさらに備える、請求項22に記載のデバイス。
【請求項24】
前記分離機構が、前記第1の端部を含む第1の部分と前記第2の端部を含む第2の部分とを備え、前記第1の部分と前記第2の部分とが互いに対して移動可能であり、付勢手段が前記第1の部分と前記第2の部分との間に配置されて前記両端部を離すように付勢する、請求項22又は23に記載のデバイス。
【請求項25】
前記分離機構が前記針モジュールに設けられ、前記分離機構の前記第1の端部が駆動デバイスの駆動ロッドと協働するように配置される、請求項22乃至24の何れかに記載のデバイス。
【請求項26】
駆動デバイスをさらに備え、前記駆動デバイスが、前記針ユニットを往復移動させる駆動ロッドを往復駆動するためのモータを備える、請求項20乃至24の何れかに記載のデバイス。
【請求項27】
前記針モジュールが、前記針モジュールを前記駆動デバイスに取り付けると前記針の遠位端が中間位置に移動するように配置され、前記中間位置が前記伸長位置と前記格納位置との間に位置する、請求項26に記載のデバイス。
【請求項28】
前記モータが、前記モータと前記駆動ロッドとの間に配置された前記分離機構を介して前記針ユニットに結合され、前記第2の端部が前記駆動ロッドを受容する、請求項22乃至24の何れかに従属する場合の請求項26又は27に記載のデバイス。
【請求項29】
前記分離機構が前記駆動デバイスに設けられる、請求項26乃至28の何れかに記載のデバイス。
【請求項30】
前記針モジュールが、前記針の遠位端を前記中間位置と前記伸長位置との間の範囲で移動させるように配置される、少なくとも請求項25又は26に記載のデバイス。
【請求項31】
前記制限機構が、少なくとも部分的には前記針モジュールに設けられ、部分的には前記針モジュールとは異なる、前記デバイスの別の部分に設けられ、前記制限機構は、前記針モジュールが前記駆動デバイスと結合状態にあるとき、前記最大伸長距離が、前記針モジュールの非結合状態での前記最大伸長距離よりも小さくなるように配置される、請求項26乃至30の何れかに記載のデバイス。
【請求項32】
前記針ユニットの前記伸長位置を設定するためのスペーサをさらに備え、前記スペーサが駆動デバイスと前記針モジュールとの間の位置付けのために配置されて、前記ハウジングと前記駆動デバイスの駆動ロッドとの前記相対位置を調整する、請求項20乃至31の何れかに記載のデバイス。
【請求項33】
前記制限機構が、前記針ユニットと前記ハウジングとの相対移動を制限するために、前記針ユニットと前記スペーサとに配置された相互に協働する停止面を備える、請求項31又は32に記載のデバイス。
【請求項34】
前記スペーサが、前記針モジュールの停止面と協働して前記スペーサと前記針モジュールとの間にバヨネット連結を形成する停止面を含む遮断面を備え、前記スペーサの前記遮断面が、前記針ユニットと前記ハウジングの相対移動を制限するための前記制限機構の停止面をさらに備える、請求項32又は33に記載のデバイス。
【請求項35】
外向きに延在する突出部が前記針ユニットに設けられ、ガイドが前記ハウジングに配置されて前記外向きに延在する突出部をガイドし、前記外向きに延在する突出部が前記針ユニットの前記停止面を備える、請求項31乃至34の何れかに記載のデバイス。
【請求項36】
前記スペーサが、前記スペーサ遠位端近傍の内周面に配置された内壁を備え、前記遮断面が前記内壁に備えられる、請求項34又は35に記載のデバイス。
【請求項37】
前記制限機構が、前記針ユニットの前記外向きに延在する突出部に配置された前記停止面と、前記スペーサの前記内壁に配置された前記遮断面とを備え、前記針の遠位端が最大伸長距離にあるときに、前記遮断面が前記停止面に当接するように配置される、請求項34に記載のデバイス。
【請求項38】
前記デバイスが、前記針モジュール、スペーサ、及び/又は駆動デバイスをバヨネット連結によって相互連結することができるように配置される、請求項20乃至37の何れかに記載のデバイス。
【請求項39】
フォームロック連結が、相互連結された針モジュール及びスペーサの相対的な長手方向移動をロックするための第1のロック手段を備えるバヨネット連結を含む、請求項34乃至38の何れかに記載のデバイス。
【請求項40】
前記第1のロック手段が、前記スペーサに設けられた前記遮断面と、前記針モジュールの前記ハウジング外側に設けられたロック面とを備え、前記ロック面が、前記スペーサに挿入されるように配置されている前記ハウジングの一部に配置される、請求項39に記載のデバイス。
【請求項41】
前記制限機構及び前記第1のロック手段が、前記スペーサに設けられた前記遮断面を備える、請求項40に記載のデバイス。
【請求項42】
前記バヨネット連結が、前記相互連結された針モジュールとスペーサとの相対的な回転移動をロックするための第2のロック手段を備える、請求項38乃至41の何れかに記載のデバイス。
【請求項43】
前記第2のロック手段が、前記スペーサ内に挿入されるように配置されている前記ハウジングの一部に前記ハウジングの外側に設けられた突起及び/又は陥凹を備え、対応する突起及び/又は陥凹が前記スペーサ内側に設けられ、スナップフィット連結を形成するために配置される、請求項42に記載のデバイス。
【請求項44】
前記ハウジングの外側に設けられた前記突起及び/又は陥凹が、前記スペーサ内側に設けられた前記対応する突起及び/又は陥凹を通過して前記スナップフィット連結をロックまたはロック解除し、前記ハウジング及び前記スペーサの少なくとも一方が変形して通過を可能にする、請求項43に記載のデバイス。
【請求項45】
前記デバイスは非磁性部品からなる、請求項20乃至44の何れかに記載のデバイス。
【請求項46】
前記針が、チタンまたはアルミニウムである非磁性材料から製造される、請求項45に記載のデバイス。
【請求項47】
前記モータが空気圧モータを含む、少なくとも請求項26又は45に記載のデバイス。
【請求項48】
前記それぞれのスペーサが、異なるそれぞれの伸長位置を画定するように配置される、少なくとも請求項32に記載の、前記針モジュールとさまざまな所定の距離を設定するための複数のスペーサとを備える、前記デバイスを備える部品のキット。
【請求項49】
前記駆動デバイスをさらに備える、請求項48に記載の部品のキット。
【請求項50】
前記それぞれの伸長位置が、相互に少なくとも0.2mm変化する、請求項48に記載の部品のキット。
【外国語明細書】