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特開2024-23498一酸化窒素放出プロスタミドを含有する眼科用組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024023498
(43)【公開日】2024-02-21
(54)【発明の名称】一酸化窒素放出プロスタミドを含有する眼科用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/04 20060101AFI20240214BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20240214BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20240214BHJP
   A61K 47/14 20170101ALI20240214BHJP
   A61K 47/18 20170101ALI20240214BHJP
   A61K 47/04 20060101ALI20240214BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20240214BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20240214BHJP
   A61P 27/06 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
A61K31/04
A61P27/02
A61K9/08
A61K47/14
A61K47/18
A61K47/04
A61K47/10
A61K47/38
A61P27/06
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023203763
(22)【出願日】2023-12-01
(62)【分割の表示】P 2022084562の分割
【原出願日】2019-07-10
(31)【優先権主張番号】18290082.9
(32)【優先日】2018-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】516217239
【氏名又は名称】ニコックス エス.エー.
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】フレデリク・ピロタズ
(72)【発明者】
【氏名】アラン・エル・ウェイナー
(72)【発明者】
【氏名】マリナ・ド
(72)【発明者】
【氏名】ジュリアン・サルド
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステルを含有する溶液形態の水性眼科用組成物、及びそれらを調製するための方法を提供する。
【解決手段】0.005%~0.18%w/wのヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステル、0.5%w/w~1.5%w/wのマクロゴール15ヒドロキシステアラートを含む、溶液形態の眼科用水性組成物とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
0.005%~0.18%w/wのヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステル、0.5%w/w~1.5%w/wのマクロゴール15ヒドロキシステアラートを含む、溶液形態の眼科用水性組成物。
【請求項2】
0.005%~0.10%w/wのヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステル、0.5%w/w~1.5%w/wのマクロゴール15ヒドロキシステアラートを含む、請求項1記載の眼科用水性組成物。
【請求項3】
0.005%~0.065%w/wのヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステル、0.5%w/w~1.5%w/wのマクロゴール15ヒドロキシステアラートを含む、請求項2記載の眼科用水性組成物。
【請求項4】
ヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステルの量が、0.021%w/w、0.042%w/w、0.065%w/w又は0.10w/wである、請求項1記載の眼科用水性組成物。
【請求項5】
マクロゴール15ヒドロキシステアラートが、唯一の可溶化剤である、先行する請求項のいずれか一項記載の眼科用水性組成物。
【請求項6】
0.013%w/w~0.02%w/wのベンザルコニウム塩化物、0.03%w/w~0.07%w/wのエデト酸塩を含む、先行する請求項のいずれか一項記載の眼科用水性組成物。
【請求項7】
ベンザルコニウム塩化物の量が、0.013%w/w~0.02%w/wであり、エデト酸塩の量が、0.05%w/wである、請求項6記載の眼科用水性組成物。
【請求項8】
ベンザルコニウム塩化物の量が、0.016%w/wであり、エデト酸塩の量が、0.05%w/wである、請求項7記載の眼科用水性組成物。
【請求項9】
5.5~6.5の範囲内のpHを有する、先行する請求項のいずれか一項記載の眼科用水性組成物。
【請求項10】
pH6を有する、先行する請求項のいずれか一項記載の眼科用水性組成物。
【請求項11】
少なくとも1つのバッファーを含む、請求項9又は10記載の眼科用水性組成物。
【請求項12】
バッファーが、二塩基性リン酸ナトリウム七水和物とホウ酸との混合物である、請求項11記載の眼科用水性組成物。
【請求項13】
pH調整剤を更に含む、請求項11又は12記載の眼科用水性組成物。
【請求項14】
等張化剤を更に含む、先行する請求項のいずれか一項記載の眼科用水性組成物。
【請求項15】
等張化剤が、ソルビトール又はグリセロールである、請求項14記載の眼科用水性組成物。
【請求項16】
マクロゴール15ヒドロキシステアラートの量が、1.0%w/wであり、0.016%w/wのベンザルコニウム塩化物、0.05%w/wのエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩二水和物、2.76%w/wのソルビトール、1.33%w/wの二塩基性リン酸ナトリウム七水和物、0.5%w/wのホウ酸、及び水を更に含み、pHが6である、請求項1~3のいずれか一項記載の眼科用水性組成物。
【請求項17】
ヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステルの量が、0.021%w/w、0.042%w/w、0.065%w/wである、請求項16記載の眼科用水性組成物。
【請求項18】
ヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステルの量が、0.1%であり、マクロゴール15ヒドロキシステアラートの量が、1.5%w/wであり、0.016%w/wのベンザルコニウム塩化物、0.05%w/wのエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩二水和物、0.52%w/wのグリセロール、2.33%w/wの二塩基性リン酸ナトリウム七水和物、0.36%w/wのクエン酸一水和物、及び水を更に含み、pHが6である、請求項1又は2記載の眼科用水性組成物。
【請求項19】
塩酸又は水酸化ナトリウムから選択されるpH調整剤を更に含む、請求項16~18のいずれか一項記載の眼科用水性組成物。
【請求項20】
粘度調整剤を更に含む、先行する請求項のいずれか一項記載の眼科用水性組成物。
【請求項21】
粘度調整剤が、0.5%w/w未満の濃度のヒドロキシプロピルメチルセルロースである、請求項20記載の眼科用水性組成物。
【請求項22】
医薬として使用するための、請求項1~21のいずれか一項記載の眼科用水性組成物。
【請求項23】
高眼圧症、緑内障の処置における使用のための、又は眼圧を低下させるための、請求項1~21のいずれか一項記載の眼科用水性組成物。
【請求項24】
以下の工程を含む、請求項15~18のいずれか一項記載の眼科用水性組成物を製造するためのプロセス:
工程1) ヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステルの濃縮液の調製であって、以下を含む調製:
1a) ポリオキシル15ヒドロキシステアラートが溶融するまで、注射用水とポリオキシル15ヒドロキシステアラートとの混合物を32℃で加熱すること、
1b) 溶融したポリオキシル15ヒドロキシステアラート/水の混合物を、予め秤量したヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステルに加えること、
1c)得られた混合物を、32℃の温度で混合物を維持しながら、ヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステルが完全に溶解するまで混合すること;ここで、ポリオキシル15ヒドロキシステアラート及びヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステルの量は、最終処方物におけるそれらの量に相当し、工程1a)において使用される注射用水の量は、調製に使用される水の総重量の約1.5%である、
工程2) 注射用水を含む製造タンク中、特定の次の順序で賦形剤を加えることによる残りの製品媒体成分の水溶液の調製:エデト酸二ナトリウム二水和物;ホウ酸と二塩基性リン酸ナトリウム七水和物、又はクエン酸と二塩基性リン酸ナトリウム七水和物から選択されるバッファー;ソルビトール又はグリセロール;及びベンザルコニウム塩化物;ここで、それぞれの賦形剤は、次の賦形剤を加える前に完全に溶解させ、溶液の調製は、25℃~30℃の温度で行う、
工程3) 工程1の溶液を、工程2の水溶液及び注射用水を含む製造タンク内にターゲット最終重量まで加えることによるバルク眼科用溶液の調製、
工程4) 孔径約0.2μmを有するポリエーテルスルホン(PES)フィルターを通して、工程3のバルク眼科溶液をろ過することによるバルク眼科用溶液の滅菌。
【請求項25】
工程3)において、バルク眼科用溶液のpHを、水酸化ナトリウム又は塩酸を用いてpH6.0に調整する、請求項24記載のプロセス。
【請求項26】
工程2)において、第1の成分としての注射用水を含む製造タンク中、粘度調整剤を加え、一旦それが完全に溶解したら、他の賦形剤を加える、請求項24又は25記載のプロセス。
【請求項27】
工程4)の滅菌したバルク眼科用溶液を、低密度ポリエチレン(LDPE)眼科用一次容器に充填する、請求項24~26記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有効成分としてのヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステルと、マクロゴール15ヒドロキシステアラートとを含む、溶液形態の水性眼科用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステルは、下記式(I)
【化1】

を有する。
【0003】
この化合物は、眼内圧(IOP)降下剤として有効であることが示されている(非特許文献1)。
【0004】
特許文献1(Nicox SA)には、緑内障及び高眼圧症を処置するための、ヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステルの使用が開示されている。
【0005】
非特許文献2には、等モル用量のビマトプロストのIOP降下効果より大きいNCX470のIOP降下効果を示す非臨床薬理学的研究が開示されている。両化合物は、0.25% Tween 80、0.02% BAK、2% グリセリン及び0.1% EDTAを含有する媒体に溶解されていた。
【0006】
局所点眼は、上昇した眼内圧を処置するための薬物投与の最も広く好まれている非侵襲的経路である。活性成分の眼の生物学的利用能は局所滴下投与では非常に低いにもかかわらず、市販のIOP降下剤の従来の剤形のほとんどは水溶液の形態の点眼剤である。多数の解剖学的及び生理学的要因(例えば、溶液排出による急速な角膜前での薬物除去並びに結膜嚢及び角膜上皮バリアからの全身吸収)により、局所適用される眼科用薬物の眼吸収が制限される。医薬処方物の重要なターゲットは、唯一又は複数の局所点眼のいずれかの後にIOP降下剤が眼内へ浸透することを可能にすることである。眼表面における薬物の眼滞留時間は、単回の滴下適用後には非常に短いことが知られている。結果として、患者の処置順守を促進するために、眼の表面での適用後に、そして理想的には1日1回のような最低用量レジメンで、眼の内側に薬物が浸透するより多くの機会を提供するのに、いくつかの処方アプローチが一般的に使用されている。
【0007】
1つのアプローチは、眼科用溶液の粘度を増大させることである。結果として、溶液は眼表面へのより良好な付着性を有するものとなり、それに応じてこの側での薬物の眼滞留時間を長くする。結果として、増加した量の薬物が、眼内に浸透すると考えられる。例えば、特許文献2には、所望のレベルの粘度を確保するための非粘性ポリマー送達システムを得るために、及び、有効成分であるプロスタグランジンの溶解度を増強するために、2つのゲル化剤の組み合わせに基づくゲル化システムに存する送達システムが開示されている。
【0008】
別のアプローチは、眼浸透促進剤を利用することである。最も有名な浸透促進剤の1つは、ベンザルコニウム塩化物(BAK)である。プロスタグランジン眼科処方物の分野では、このアプローチは、製品Lumigan(登録商標)でAllerganにより利用されている。ビマトプロストプロスタグランジンが0.03%用量で配合された第1世代製品が商品化されている。この製品では、ベンザルコニウム塩化物用量は、0.005%であった。このベンザルコニウム塩化物用量は、溶液の抗菌保護を確実にするのに主に使用されていた。数年後、第2世代のLumigan(登録商標)が、旧製品世代と同じ効果で、商品化された。この新たな処方物は、より低い濃度のビマトプロスト(0.01%)を有するが、元の製剤(0.005%)と比較して、ベンザルコニウム塩化物の量が4倍増加している(0.02%)。
【0009】
眼科用製剤の別の技術的挑戦は、有効成分を安定化することである。いくらかの点眼剤はそれらの活性成分レベルを保つために低温保存を必要とし、それにより使用性が不十分であるという欠点を必然的に伴うことに言及することができ、例えば、マルチドーズボトルについては、製剤が低温で適切に保存されないと、活性成分の含有量がその間に減少し得る。緑内障又は高眼圧症の処置のための点眼剤は、しばしば、薬剤保存のための「低温」要件を適用することに困難を有し得る高齢者に処方される。
【0010】
特許文献3(Thea Laboratories)には、プロスタグランジン及びSolutol(登録商標)HS15(マクロゴール15-ヒドロキシステアラート)を含有し、抗菌性保存剤を含まない、室温で安定な眼科用溶液が開示されている。
【0011】
特許文献3には、Solutol(登録商標)HS15が、ラタノプロストのような一部のプロスタグランジンを可溶化することができ、そのようなプロスタグランジンアナログ用の通常の可溶化剤として、使用される第四級アンモニウム試薬(ベンザルコニウム塩化物のような)の不在下で溶液の室温での安定性をそれに付与することを開示している。より具体的には、Solutol(登録商標)HS15は、包装、特に、欧州薬局方(EP)品質のLDPEタイプのプラスチック包装に対するプロスタグランジンアナログ溶液の安定性を付与する。したがって、Solutol(登録商標)HS15は、可溶化剤としてのポリソルベート80の代替物として使用することができる。
【0012】
特許文献3の試験例には、Solutol(登録商標)HS15(0.5%)、リン酸緩衝剤、ソルビトール及びEDTAを含有する眼科用「媒体」が開示されている。
【0013】
特許文献4(Allergan)には、マクロゴール15-ヒドロキシステアラート及び保存剤を含有する処方物が開示されている。この特許出願は、ポリエトキシル化界面活性剤(ポリソルベート80/Tween(登録商標)80)の代わりに界面活性剤としてマクロゴール15-ヒドロキシステアラート(Solutol(登録商標)HS15)を使用することには、いくつかの利点(例えば、APIの溶解度向上、酸化メカニズムによる分解を受けやすいAPIの安定性の改善、ベンザルコニウム塩化物の保存効果の改善、眼科的使用に対する耐容性の改善)があることが開示されている。
【0014】
特許文献5(Sun Pharmaceutical)には、1種以上のプロスタグランジン誘導体を含む眼科用組成物に安定化量の12-ヒドロキシステアリン酸のポリグリコールエステル(Solutol(登録商標)HS15)を加えることにより、ポリエチレン容器へのプロスタグランジン誘導体の吸着が減少すること、及び、少量のオイルを加えることにより、低密度ポリエチレン容器上へのプロスタグランジン誘導体の吸着が更に減少することが開示されている。
【0015】
特許文献6(Critical Pharma.)には、鼻腔、口腔及び気道の粘膜を通して局所適用される治療剤の全身吸収を改善するための吸収促進剤としてのSolutol(登録商標)HS15の使用が開示されている。しかしながら、粘膜に局所適用される活性成分の吸着のメカニズムは、眼を通過させるために局所適用される治療薬により使用される経路とは異なり、実際には、治療薬は、眼の解剖学的構造に固有の独特の解剖学的障壁(すなわち、角膜上皮、結膜及び強膜)を通過して、眼の保護メカニズム(すなわち、まばたき、涙液膜の代謝回転及び排液)を迂回しなければならない。
【0016】
マクロゴール15ヒドロキシステアラート(Kolliphor(登録商標)HS15(BASFから)、以前はSolutol(登録商標)HS15として知られていた)は、本発明の処方物の主な賦形剤であり、上で報告したように、眼科用組成物用の賦形剤としてのマクロゴール15ヒドロキシステアラートの使用を開示するいくつかの先行技術文献が存在する。
【0017】
「マクロゴール15ヒドロキシステアラート」という用語は、12-ヒドロキシステアリン酸の主にモノエステル及びジエステルと12-ヒドロキシステアリン酸のエトキシル化により得られるマクロゴールとの混合物を指す。マクロゴール15ヒドロキシステアラートは、12-ヒドロキシステアリン酸ポリエチレングリコールコポリマー、ポリエチレングリコール-15-ヒドロキシステアラート及びポリエチレングリコール660 12-ヒドロキシステアラートとしても知られている。USP-NFは、ポリオキシル15ヒドロキシステアラートとしてもこの化合物を列挙している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】国際公開第2009/136281号
【特許文献2】国際公開第2012/001009号
【特許文献3】米国特許第8772337号明細書
【特許文献4】国際公開第2013/003827号
【特許文献5】国際公開第2009/084021号
【特許文献6】米国特許第8795634号明細書
【非特許文献】
【0019】
【非特許文献1】F. Impagnatiello, C.B. Toris, M. Batugo, G. Prasanna, V. Borghi, E. Bastia, E. Ongini, A.H.P. Krauss; Invest Ophthalmol Vis Sci. 2015; 56:6558-64
【非特許文献2】Impagnatiello Francesco et al; British Journal of Pharmacology (2018), pages 1-11
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
上で報告したように、いくつかの先行技術文献には、眼科用組成物用の賦形剤としてのマクロゴール15ヒドロキシステアラートの使用が開示されているが、今日のように、マクロゴール15ヒドロキシステアラートとプロスタグランジンアナログとを含む欧州で承認された点眼剤は1つしかない。この薬物は、Rafarm S.Aにより、Provastor(登録商標)の名称で登録されており、プロスタグランジンアナログとしてのトラボプロストと抗菌性保存的システムとしてのBAKとを含有する。
【0021】
ヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1R,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステルは、0.02mg/mlの最小水溶性を有する粘性油であるため、ヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1R,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステルの水性医薬組成物は、化合物の水溶性を増大させ化合物の治療活性濃度の達成を可能にする可溶化剤を含有しなければならない。
【0022】
特許文献1には、0.5%のポリソルベート80(Tween(登録商標)80)、0.02%のベンザルコニウム塩化物、クエン酸バッファー、及び水を含み、pHが5.5の媒体中に、ヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステルを含有する処方物が開示されている。
【0023】
ポリソルベート80は、眼科用組成物用の賦形剤として広く使用されている。例えば、Novartisにより販売されている製品Rescula(登録商標)は、ウノプロストンを、溶液の0.015重量%のベンザルコニウム塩化物とポリソルベート80との混合物と組み合わせている。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明は、ヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステル及びマクロゴール15ヒドロキシステアラートを含む溶液形態の眼科用水性組成物に関し、ここで、マクロゴール15ヒドロキシステアラートは、好ましくは、唯一の可溶化剤である。
【0025】
本発明の眼科用水性組成物は、公知の処方物と比較して、活性成分であるヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステルのより高い眼浸透性を提供するので、治療活性化合物の向上した眼吸収が可能となる。
【0026】
また、本発明は、ヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステルを含み、室温での保存において化学的及び物理的の両方で安定である、溶液形態の眼科用水性組成物も提供する。
【発明を実施するための形態】
【0027】
発明の概要
本発明は、0.005%~0.18%w/wのヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステル、0.5%w/w~1.5%w/wのマクロゴール15ヒドロキシステアラートを含む、溶液形態の眼科用水性組成物を提供し、ここで、マクロゴール15ヒドロキシステアラートは、好ましくは、唯一の可溶化剤である。
【0028】
別の実施態様は、0.005%~0.10%w/wのヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステル、0.5%w/w~1.5%w/wのマクロゴール15ヒドロキシステアラートを含む、溶液形態の眼科用水性組成物であり、ここで、マクロゴール15ヒドロキシステアラートは、好ましくは、唯一の可溶化剤である。
【0029】
本発明の好ましい実施態様は、0.005%~0.065%w/wのヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステル、0.5%w/w~1.5%w/wのマクロゴール15ヒドロキシステアラート、及び薬学的に許容し得る水性媒体を含む、溶液形態の眼科用水性組成物を提供し、ここで、マクロゴール15ヒドロキシステアラートは、好ましくは、唯一の可溶化剤である。
【0030】
眼科学の分野において、特に、水性眼科用組成物において、可溶化剤は、比較的低い水溶性を有する、生物活性成分の溶解を改善する化合物である。
【0031】
好ましくは、眼科用液中のヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステルの量は、0.01%w/w~0.065%w/wであり、最も好ましくは、0.021%w/w、0.042%w/w又は0.065%w/wである。
【0032】
眼科用水溶液は、抗菌性保存剤として、ベンザルコニウム塩化物(BAK)を、0.013%w/w~0.02%w/wの量で、抗菌性保存助剤として、エデト酸塩(EDTA)(例えば、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩)を、0.03%w/w~0.07%w/wの量で、含有してもよく;好ましくは、ベンザルコニウム塩化物(BAK)の量は、0.013%w/w~0.02%w/wであり、エデト酸塩(EDTA)の量は、0.05%w/wであり;最も好ましくは、ベンザルコニウム塩化物(BAK)の量は、0.016%w/wであり、エデト酸塩(EDTA)の量は、0.05%w/wである。
【0033】
本発明の水性眼科用組成物は、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム七水和物、リン酸二水素カリウム又はリン酸水素二カリウム、ホウ酸及びそれらの塩、酢酸塩(例えば、酢酸ナトリウム)、及び好ましくはそれらの混合物から選択されるバッファーを更に含有する。好ましくは、本発明の水性眼科用組成物のバッファーは、二塩基性リン酸ナトリウム七水和物とホウ酸との混合物、又はクエン酸と二塩基性リン酸ナトリウム七水和物との混合物である。処方物についての好ましいpHは、6.0である。このpHは、処方物が眼の表面上に送達される場合に、長期保存条件にわたる適切な処方物安定性と適切な眼許容性との両方を可能にするための最適なpHであることが見出されている。
【0034】
水性眼科用組成物のpHは、好ましくは5.5~6.5の範囲内で、より好ましくはpH6.0に、調整される。
【0035】
本発明の眼科用水性組成物は、塩酸、クエン酸、リン酸、酢酸、酒石酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム及び炭酸水素ナトリウムから選択されるpH調整剤を含有してもよく;好ましくは、本発明の水性眼科用組成物は、pHを5.5~6.5の範囲内で、より好ましくはpH6.0に調整する量の塩酸及び/又は水酸化ナトリウムを含有する。
【0036】
眼科用水溶液は、処方物の浸透圧を調節し、必要とされる等張性をターゲッティングするために使用される等張化剤を含有してもよい。好ましい等張化剤は、塩化ナトリウム、ソルビトール、グリセリン(又はグリセロール)及びマンニトールである。等張性は、300mOsm/kgに設定されるが、260~340mOsm/kgのより広い範囲が、通常、眼科用溶液を処方するのに許容可能である。好ましくは、溶液の浸透圧は、280~320mOsm/kgの範囲内である。
【0037】
本発明の眼科用水溶液は、溶液と眼との間の接触を改善し、眼表面上での製品の改善された広がりを促進するために使用される粘度調整剤を含有してもよい。好ましい粘度調整剤は、カルボキシメチルセルロース又はヒドロキシプロピルメチルセルロースのようなセルロース誘導体ポリマー、ヒアルロン酸、ポリビニルアルコール、カルボマー又はポリカルボフィルのようなカルボン酸ポリマーである。最も好ましくは、粘度調整剤は、0.5%w/w未満の濃度でのヒドロキシプロピルメチルセルロースである。眼科用水溶液の粘度は、セルロース誘導体を使用する場合、ニュートン溶液について5~10m.Pa.sに調整されるが、カルボン酸ポリマーを使用する場合に典型的に得られる非ニュートン/擬塑性レオロジー挙動を有する高粘度溶液ではより高くすることができる。
【0038】
本発明の別の実施態様は、0.005%w/w~0.10%w/wのヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステル、0.5%w/w~1.5%w/wのマクロゴール15ヒドロキシステアラート、0.013%w/w~0.02%w/wのベンザルコニウム塩化物、0.03%w/w~0.07%w/wのエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩二水和物、二塩基性リン酸ナトリウム七水和物及びホウ酸、並びに水を含む、溶液形態の眼科用水性組成物を提供し、ここで、眼科用溶液のpHは、6であり、そしてここで、マクロゴール15ヒドロキシステアラートは、唯一の可溶化剤である。
【0039】
本発明の別の実施態様は、0.005%w/w~0.065%w/wのヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステル、0.5%w/w~1.5%w/wのマクロゴール15ヒドロキシステアラート、0.013%w/w~0.02%w/wのベンザルコニウム塩化物、0.03%w/w~0.07%w/wのエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩二水和物、二塩基性リン酸ナトリウム七水和物及びホウ酸、並びに水を含む、溶液形態の眼科用水性組成物を提供し、ここで、眼科用溶液のpHは、6であり、そしてここで、マクロゴール15ヒドロキシステアラートは、唯一の可溶化剤であり;好ましくは、眼科用溶液中のヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステルの量は、0.01%w/w~0.065%w/wであり、最も好ましくは、0.042%w/w、0.021%w/w又は0.065%w/wであり;場合により、眼科用溶液は、pHをpH6.0に調整するために、1.2M HCl/1M NaOHを更に含む。
【0040】
本発明の別の実施態様は、0.005%w/w~0.10%w/wのヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステル、1.0%w/wのマクロゴール15ヒドロキシステアラート、0.016%w/wのベンザルコニウム塩化物、0.05%w/wのエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩二水和物、二塩基性リン酸ナトリウム七水和物及びホウ酸、並びに水を含む、溶液形態の眼科用水性組成物を提供し、ここで、眼科用溶液のpHは、6であり、そしてここで、マクロゴール15ヒドロキシステアラートは、唯一の可溶化剤である。
【0041】
本発明の別の実施態様は、0.005%w/w~0.065%w/wのヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステル、1.0%w/wのマクロゴール15ヒドロキシステアラート、0.016%w/wのベンザルコニウム塩化物、0.05%w/wのエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩二水和物、二塩基性リン酸ナトリウム七水和物及びホウ酸、並びに水を含む、溶液形態の眼科用水性組成物を提供し、ここで、眼科用溶液のpHは、6であり、そしてここで、マクロゴール15ヒドロキシステアラートは、唯一の可溶化剤であり;好ましくは、眼科用溶液中のヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステルの量は、0.01%w/w~0.065%w/wであり、最も好ましくは、0.042%w/w、0.021%w/w又は0.065%w/wであり;場合により、眼科用溶液は、pHをpH6.0に調整するために1.2M HCl/1M NaOHを更に含む。
【0042】
本発明の別の実施態様は、0.005%w/w~0.10%w/wのヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステル、1.0%~1.5%w/wのマクロゴール15ヒドロキシステアラート、0.016%w/wのベンザルコニウム塩化物、0.05%w/wのエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩二水和物、2.76%w/wのソルビトール、1.33%w/wの二塩基性リン酸ナトリウム七水和物(NaHPO 7HO)、0.5%w/wのホウ酸、及び水からなる、溶液形態の眼科用水性組成物を提供し、ここで、眼科用溶液のpHは、6であり、そしてここで、マクロゴール15ヒドロキシステアラートは、唯一の可溶化剤である。
【0043】
本発明の別の実施態様は、0.005%w/w~0.065%w/wのヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステル、1.0%w/wのマクロゴール15ヒドロキシステアラート、0.016%w/wのベンザルコニウム塩化物、0.05%w/wのエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩二水和物、2.76%w/wのソルビトール、1.33%w/wの二塩基性リン酸ナトリウム七水和物(NaHPO 7HO)、0.5%w/wのホウ酸、及び水からなる、溶液形態の眼科用水性組成物を提供し、ここで、眼科用溶液のpHは、6であり、そしてここで、マクロゴール15ヒドロキシステアラートは、唯一の可溶化剤であり;好ましくは、眼科用溶液中のヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステルの量は、0.01%w/w~0.065%w/wであり、最も好ましくは、0.021%w/w、0.042%w/w又は0.065%w/wであり;場合により、眼科用溶液は、pHをpH6.0に調整するために1.2M HCl/1M NaOHを更に含む。
【0044】
本発明の溶液形態の眼科用水性組成物の具体例は、以下のものである:
-0.042%w/wのヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステル、1.0%w/wのマクロゴール15ヒドロキシステアラート、0.016%w/wのベンザルコニウム塩化物、0.05%w/wのエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩二水和物、2.76%w/wのソルビトール、1.33%w/wの二塩基性リン酸ナトリウム七水和物、0.5%w/wのホウ酸、及び水であり、pH6を有する;
-0.021%w/wのヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステル、1.0%w/wのマクロゴール15ヒドロキシステアラート、0.016%w/wのベンザルコニウム塩化物、0.05%w/wのエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩二水和物、2.76%w/wのソルビトール、1.33%w/wの二塩基性リン酸ナトリウム七水和物、0.5%w/wのホウ酸、及び水であり、pH6を有する;
-0.065%w/wのヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステル、1.0%w/wのマクロゴール15ヒドロキシステアラート、0.016%w/wのベンザルコニウム塩化物、0.05%w/wのエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩二水和物、2.76%w/wのソルビトール、1.33%w/wの二塩基性リン酸ナトリウム七水和物、0.5%w/wのホウ酸、及び水であり、pH6を有する;
-0.10%w/wのヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステル、1.5%w/wのマクロゴール15ヒドロキシステアラート、0.016%w/wのベンザルコニウム塩化物、0.05%w/wのエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩二水和物、0.52%w/wのグリセロール、2.33%w/wの二塩基性リン酸ナトリウム七水和物、0.36%w/wのクエン酸、及び水であり、pH6を有する。
【0045】
上記眼科用水性組成物において、塩酸(hydrochloride acid)又は水酸化ナトリウムをpH調整剤として使用してもよい。
【0046】
上記報告された眼科用水溶液は、低密度ポリエチレン(LDPE)一次容器、通常は、キャップと、制御された液滴サイズの調整された液滴を送達することを可能にする滴下チップとを有するマルチドーズ眼科用ボトルに、パッケージングしてもよい。このような一次容器の例は、Berry-PlasticsからのRispharm(登録商標)ボトル、AmcorからのBoston Round(登録商標)、Gerresheimer、Philips-Medisize、Bormioliのいずれかからの3ピースボトル、又は同等品であり得る。
【0047】
溶液形態の眼科用水性組成物は、抗菌性保存剤を含まない眼科用水溶液として提供してもよい。
【0048】
本発明の一実施態様は、0.005%w/w~0.10%w/wのヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステル、0.5%w/w~1.5%w/wのマクロゴール15ヒドロキシステアラート、二塩基性リン酸ナトリウム七水和物及びホウ酸、並びに水を含む、抗菌性保存剤を含まない溶液形態の眼科用水性組成物を提供し、ここで、眼科用溶液のpHは、6であり、更に、等張化剤、場合により更なるpH調整剤を含み、ここで、マクロゴール15ヒドロキシステアラートは、唯一の可溶化剤である。
【0049】
保存剤を含まない溶液形態の眼科用水性組成物の具体例は、以下からなる次の組成物である:0.042%w/wのヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステル、1.0%w/wのマクロゴール15ヒドロキシステアラート、2.76%w/wのソルビトール、1.33%w/wの二塩基性リン酸ナトリウム七水和物、0.5%w/wのホウ酸、及び水であり、pH6を有する。
【0050】
保存剤を含まない溶液形態の眼科用水性組成物の他の具体例は、次の組成物である:
-0.042%w/wのヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステル、1.0%w/wのマクロゴール15ヒドロキシステアラート、2.76%w/wのソルビトール、1.33%w/wの二塩基性リン酸ナトリウム七水和物、0.5%w/wのホウ酸、及び水であり、pH6を有する;
-0.021%w/wのヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステル、1.0%w/wのマクロゴール15ヒドロキシステアラート、2.76%w/wのソルビトール、1.33%w/wの二塩基性リン酸ナトリウム七水和物、0.5%w/wのホウ酸、及び水であり、pH6を有する;
-0.065%w/wのヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステル、1.0%w/wのマクロゴール15ヒドロキシステアラート、2.76%w/wのソルビトール、1.33%w/wの二塩基性リン酸ナトリウム七水和物、0.5%w/wのホウ酸、及び水であり、pH6を有する;
-0.10%w/wのヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステル、1.5%w/wのマクロゴール15ヒドロキシステアラート、0.52%w/wのグリセロール、2.33%w/wの二塩基性リン酸ナトリウム七水和物、0.36%w/wのクエン酸、及び水であり、pH6を有する。
【0051】
上記眼科用水性組成物において、塩酸(hydrochloride acid)又は水酸化ナトリウムをpH調整剤として使用してもよい。
【0052】
抗菌性保存剤を含まない本発明の眼科用水性組成物は、複数回の使用後でさえ処方物の微生物汚染を防止する容器にパッケージングされるか、又は、抗菌性保存剤を含まない眼科用水性組成物は、未開封形態では無菌であるユニットドーズ容器にパッケージングされる。
【0053】
このような抗菌性保存剤を含まない処方は、シングルドーズ又はユニットドーズのLDPE一次パッケージ又は保存剤を含まないマルチドーズ容器システム内のいずれかにパッケージングすることができる。
【0054】
通常、保存剤を含まない本発明の眼科用水性組成物は、患者による単回使用を意図したモノドーズ容器に封入される。別の実施態様では、本発明の抗菌性保存剤を含まない眼科用水性組成物は、患者による複数回の使用後でさえ処方物を無菌に保つことを可能にする、保存剤を含まないマルチドーズ容器に封入される。保存剤を含まないマルチドーズ容器の例は、AptarからのOSD(登録商標)、NemeraからのNovelia(登録商標)、Aeropumpからの3K(登録商標)、又は同等のデバイスである。
【0055】
本発明で使用されるマクロゴール15ヒドロキシステアラートは、以前はSolutol(登録商標)HS15として知られており、米国薬局方には、ポリオキシル-15ヒドロキシステアラートとしても列挙されている、市販のKolliphor(登録商標)HS15であり、12-ヒドロキシステアリン酸のポリグリコールモノエステル及びジエステルと、約30%の遊離ポリエチレングリコールとからなる。
【0056】
本発明の溶液形態の水性眼科用組成物は、眼内圧を降下させるのに効果を示したため、高眼圧症、緑内障の処置において又は眼内圧を降下させる方法において、使用してもよい。
【0057】
本発明の別の目的は、高眼圧症、緑内障の処置における又は眼内圧を降下させる方法における使用ための、本発明による液体形態の眼科用水性組成物に関する。
【0058】
本発明の別の目的は、高眼圧症、緑内障の治療における使用のための又は眼内圧を降下させるための、溶液形態の上で定義された眼科用水性組成物に関する。
【0059】
本発明の別の実施態様は、それを必要とする患者に、上で定義された溶液形態の眼科用水性組成物の治療上有効量を投与することを含む、高眼圧症若しくは緑内障を処置する方法又は眼内圧を降下させる方法に関する。
【0060】
本発明の別の実施態様は、それを必要とする患者に、0.005%w/w~0.065%w/wのヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステル、0.5%w/w~1.5%w/wのマクロゴール15ヒドロキシステアラート、及び薬学的に許容し得る水性媒体を含む、溶液形態の眼科用水性組成物の治療上有効量を投与することを含む、高眼圧症若しくは緑内障を処置する方法又は眼内圧を降下させる方法であって、マクロゴール15ヒドロキシステアラートが、唯一の可溶化剤である、方法に関する。
【0061】
本発明の別の実施態様は、それを必要とする患者に、0.005%w/w~0.065%w/wのヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステル、1.0%w/wのマクロゴール15ヒドロキシステアラート、0.016%w/wのベンザルコニウム塩化物、0.05%w/wのエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩二水和物、二塩基性リン酸ナトリウム七水和物及びホウ酸、並びに水を含む、溶液形態の眼科用水性組成物の治療上有効量を投与することを含む、高眼圧症若しくは緑内障を処置する方法又は眼内圧を降下させる方法であって、眼科用溶液のpHが、6であり、マクロゴール15ヒドロキシステアラートが、唯一の可溶化剤であり;好ましくは、眼科用溶液中のヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステルの量が、0.01%w/w~0.065%w/wであり、最も好ましくは、0.042%w/w、0.021%w/w又は0.065%w/wであり;場合により、眼科用溶液が、pHをpH6.0に調整するために、1.2M HCl/1M NaOHを更に含む、方法に関する。
【0062】
本発明の別の実施態様は、それを必要とする患者に、0.005%w/w~0.065%w/wのヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステル、1.0%w/wのマクロゴール15ヒドロキシステアラート、0.016%w/wのベンザルコニウム塩化物、0.05%w/wのエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩二水和物、2.76%w/wのソルビトール、1.33%w/wの二塩基性リン酸ナトリウム七水和物、0.5%w/wのホウ酸、及び水からなり、pH6を有する溶液形態の眼科用水性組成物の治療上有効量を投与することを含む、高眼圧症若しくは緑内障を処置する方法又は眼内圧を降下させる方法であって;好ましくは、上記方法で使用される溶液形態の眼科用水性組成物において、ヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステルの量が、0.01%w/w~0.065%w/wであり、最も好ましくは、0.042%w/w、0.021%w/w又は0.065%w/wであり;場合により、溶液形態の上記眼科用水性組成物が、pHを6.0に調整するために、1.2M HCl/1M NaOHを更に含む、方法に関する。
【0063】
本発明の眼科用組成物は、緑内障又は高眼圧症などの慢性眼科疾患を処置するために、点眼液として投与してもよい。眼科用溶液は、一般的には、毎日の頻度で、各眼に1日1回投与されることが意図される。
【0064】
本発明の別の実施態様は、以下の工程を含む、本発明の眼科用水溶液を製造するためのプロセスに関する:
工程1) ヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステルの濃縮液(API濃縮液)の調製。当該調製は、以下を含む:
1a) ポリオキシル15ヒドロキシステアラートが溶融するまで、注射用水とポリオキシル15ヒドロキシステアラートとの混合物を32℃で加熱すること、
1b) 溶融したポリオキシル15ヒドロキシステアラート/水の混合物を、予め秤量したヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステル(API)に加えること、
1c)得られた混合物を、32℃の温度で混合物を維持しながら、ヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステルが完全に溶解するまで混合すること;工程1a)において使用される注射用水の量は、調製に使用される水の総重量の約1.5%である;ポリオキシル15ヒドロキシステアラート及びヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステルの量は、最終溶液におけるそれらの割合に相当するそれらの総重量である。
工程2) 注射用水を含む製造タンク中、特定の次の順序で賦形剤を加えることによる、残りの媒体成分の水溶液の調製:エデト酸二ナトリウム二水和物、ホウ酸と二塩基性リン酸ナトリウム七水和物又はクエン酸と二塩基性リン酸ナトリウム七水和物から選択されるバッファー、ソルビトール又はグリセロール、及びベンザルコニウム塩化物;各賦形剤を、次の賦形剤を加える前に完全に溶解させ、溶液の調製を、25℃~30℃の温度で行う;各賦形剤の量は、最終の眼科用溶液におけるその割合に相当するその総重量である;工程2)において使用される注射用水は、最終の眼科用溶液における総重量の約80~90%である。
上で報告した賦形剤の添加順序は、pH及び等張性の要件(pH6.0及び300mOsm/kg)に従うために、尊重されなければならない。
工程3) 工程1のAPI濃縮液を、工程2の水溶液及び注射用水を含む製造タンク内にターゲットとなる最終重量まで加えることによる、バルク眼科用溶液の調製。
場合により、バルク眼科用溶液のpHを、1M 水酸化ナトリウム又は1.2M 塩酸により、pH6.0に調整する。
工程4) 孔径約0.2μmを有するポリエーテルスルホン(PES)フィルターを通して、工程3のバルク眼科溶液をろ過することによる、バルク眼科用溶液の滅菌。
工程5) 場合により、バルク眼科用溶液を、低密度ポリエチレン(LDPE)眼科用一次容器に充填する。
【0065】
場合により、眼科用水溶液が粘度調整剤を更に含む場合、工程2)において、第1の成分としての注射用水を含む製造タンク中で粘度調整剤を加え、一旦それが完全に溶解したら、他の賦形剤を加える。
【0066】
本発明の別の実施態様は、抗菌性保存剤を含まない本発明の眼科用水溶液を製造するためのプロセスに関し、当該プロセスは、以下の工程を含む:
工程1) ヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステルの濃縮液(API濃縮液)の調製。当該調製は、以下を含む:
1a) ポリオキシル15ヒドロキシステアラートが溶融するまで、注射用水とポリオキシル15ヒドロキシステアラートとの混合物を32℃で加熱すること、
1b) 溶融したポリオキシル15ヒドロキシステアラート/水の混合物を、予め秤量したヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステル(API)に加えること、
1c)得られた混合物を、32℃の温度で混合物を維持しながら、ヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステルが完全に溶解するまで混合すること;工程1a)において使用される注射用水の量は、調製に使用される水の総重量の約1.5%である;ポリオキシル15ヒドロキシステアラート及びヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステルの量は、最終溶液におけるそれらの割合に相当するそれらの総重量である。
工程2) 注射用水を含む製造タンク中、特定の(fic)次の順序で賦形剤を加えることによる、残りの媒体成分の水溶液の調製:バッファー(buffere)及び等張化剤;各賦形剤を、次の賦形剤を加える前に完全に溶解させ、溶液の調製を、25℃~30℃の温度で行う;各賦形剤の量は、最終の眼科用溶液におけるその割合に相当するその総重量である;工程2)において使用される注射用水は、最終の眼科用溶液における総重量の約80~90%である。
上で報告した賦形剤の添加順序は、pH及び等張性の要件(pH6.0及び300mOsm/kg)に従うために、尊重されなければならない。
工程3) 工程1のAPI濃縮液を、工程2の水溶液及び注射用水を含む製造タンク内にターゲットとなる最終重量まで加えることによる、バルク眼科用液剤の調製。
場合により、バルク眼科用溶液のpHを、1M 水酸化ナトリウム又は1.2M 塩酸により、pH6.0に調整する。
工程4) 孔径約0.2μmを有するポリエーテルスルホン(PES)フィルターを通して、工程3のバルク眼科溶液をろ過することによるバルク眼科用溶液の滅菌。
工程5) 場合により、バルク眼科用溶液を、低密度ポリエチレン(LDPE)眼科用一次容器に充填する。
【0067】
眼科用水溶液が粘度調整剤を更に含む場合、工程2)において、第1の成分としての注射用水を含む製造タンク中で粘度調整剤を加え、一旦それが完全に溶解したら、他の賦形剤を加える。
【実施例0068】
実施例1
0.042%w/wのヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステル(NCX470)を含有する眼科用組成物の調製(100リットルバッチ)
眼科用組成物の成分を以下に列挙する。
【0069】
NCX470=ヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステル(API) 42.0g
ポリオキシル15ヒドロキシステアラート 1000g
(Kolliphor(登録商標)HS15)
ベンザルコニウム塩化物(50%溶液) 32.0g
エデト酸二ナトリウム二水和物 50g
ホウ酸 500g
ソルビトール 2760g
二塩基性リン酸ナトリウム七水和物 1326g
注射用水 適量で100kgに
【0070】
工程1) API濃縮液の調製
容器中に予め秤量した1,000gのポリオキシル15ヒドロキシステアラートに、約32℃の注射用水1.5Lを加え、当該容器を、ポリオキシル15ヒドロキシステアラートが完全に溶融するまで熱水浴中に置いた。溶融したポリオキシ15-ヒドロステアラート/水の混合物を、42gのNCX-470を含む4Lのバッチ缶に加えた。
【0071】
4Lのバッチ缶を水浴で32℃に温度を維持し、全ての成分が完全に溶解するまで、API溶液を撹拌し、それを残りの賦形剤媒体の溶液に加えるまで、連続撹拌下に維持した。
【0072】
工程2) 残りの賦形剤媒体の溶液の調製
注射用水100Lをステンレス鋼(316Lグレード)製の製造タンクに注ぎ、25℃~30℃に冷却した。この注射用水約12リットルをタンクから取り出し、調製中に使用するために別の容器に保存した。
【0073】
下記の化合物を連続撹拌下で、水を含む製造タンクに、正確に次の順序に従って加えた。それぞれの化合物は、次の化合物を加える前に完全に溶解させた。
50gのエデト酸二ナトリウム二水和物
500gのホウ酸
1326gの二塩基性リン酸ナトリウム七水和物(NaHPO 7HO)
2760gのソルビトール
32gのベンザルコニウム塩化物50%溶液
ベンザルコニウム塩化物溶液を含む容器を十分な注射用水で複数回すすぎ、すすぎ液を製造タンクに加えて、移し替えを完了した。
【0074】
工程3) バルク眼科用溶液の調製
API濃縮液を製造タンクに移した。4Lのバッチ缶を注射用水ですすぎ、すすぎ液をバルクに加えて、移し替えを完了した。
【0075】
注射用水を製造タンクに加え、最終ターゲット重量100kgに調整した。
【0076】
4) バルク眼科用溶液の滅菌
眼科用溶液を、0.2μmのポリエーテルスルホン(PES)フィルター(Supor(登録商標))を通した何回ものろ過により滅菌した。
【0077】
5) LDPE眼科用ボトルへのバルク眼科用溶液の充填
ろ過工程後、眼科用溶液を従来の無菌プロセス手技に従って、グレードA環境下で適切な容量のLDPEマルチドーズ容器内に充填した。
【0078】
実施例2
安定性試験
種々の滅菌法で滅菌したマルチドーズ低密度ポリエチレン(LDPE)容器に保存した本発明の眼科用処方物を、安定性について試験した。
【0079】
0.042%w/wのNCX470を含有する眼科用処方物の安定性を、25℃において、開始時、3.5か月及び6か月、9か月(長期保存条件)で評価し、40℃、25%以下の相対湿度(RH)において、開始時、3.5か月及び6か月での加速下の安定性について評価した。
【0080】
眼科用処方物の組成:
NCX470(API) 0.042g
ベンザルコニウム塩化物(50%溶液) 0.032g
ポリオキシル15ヒドロキシステアラート 1.00g
エデト酸二ナトリウム二水和物 0.05g
ホウ酸 0.50g
ソルビトール 2.76g
二塩基性リン酸ナトリウム七水和物 1.326g
水酸化ナトリウム及び塩酸 適量でpH 6.0に調整
注射用水 適量で100gに
【0081】
結果を表1~4に示す。
【0082】
25℃(表1及び3)及び40℃(表2及び4)での安定性試験の結果は、本発明に係る眼科用溶液の良好な安定性を示しており、その結果、LDPE一次容器に充填された眼科用溶液は、周囲温度での保存条件において少なくとも24か月の製品有効期間を有すると予想される。
【0083】
実施例2A:
一次容器:透明なLDPE。放射線で予備滅菌した(ガンマ線/25kGy)。
一次容器の構成:7.5mLのボトルに2.5mL充填
【0084】
【表1】
【0085】
【表2】
【0086】
実施例2B:
一次容器:LDPE。エチレンオキシドにより予備滅菌した。
一次容器の構成:7.5mLのボトルに2.5mL充填
【0087】
【表3】
【0088】
【表4】
【0089】
結論として、本発明由来の眼科用溶液は、そのような容器の予備滅菌モードが何であろうと、LDPE一次容器にパッケージングすることができる。マルチドーズ一次容器をガンマ線又はエチレンオキシドガスのいずれかにより滅菌することができる。BFS(登録商標)(ブロー・フィル・シール)技法により製造されたシングルユース又はユニットドーズの容器は、自然に滅菌されたそのままのLDPE容器を提供し、このようなLDPE物質調製物も、保存剤を含まない本発明由来の眼科用溶液をパッケージングするのに適している。
【0090】
実施例3
抗菌効果試験
実施例3A
抗菌効果試験を行い、本発明に係る眼科用溶液が抗菌性保存の効果基準を満たす能力を評価した。
【0091】
0.05%(w/w)のエデト酸二ナトリウムを含む眼科用溶液(表5を参照のこと)及びベンザルコニウム塩化物の種々の濃度(表6を参照のこと)を試験した。眼科用組成物を、実施例1に開示したプロセスを適用することにより、調製した。
【0092】
試験を、米国薬局方のMonograph <51>, 「Antimicrobial Effectiveness Testing」(AET)に開示されている試験の実行手順に従って行った。このUSP試験の成功は、欧州薬局方の基準Bに適合することと同等である。
【0093】
表6に報告した結果は、0.012%(w/w)~0.02%(w/w)の範囲のベンザルコニウム塩化物を含有する眼科用組成物が、微生物効果の基準を満たし、抗菌効果試験(AET)に合格したことを示していた。
【0094】
NCX470=ヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステル
【0095】
【表5】
【0096】
【表6】
【0097】
実施例3B
抗菌性保存助剤としてのEDTAの効果を評価するために、ベンザルコニウム塩化物(0.016%w/w)及びエデト酸二ナトリウム(0.05%w/w)を含有する眼科用組成物(処方A-表7)並びにベンザルコニウム塩化物(0.016%w/w)を含有するが、エデト酸二ナトリウムを含有しない眼科用組成物(処方B-表7)の保存基準を満たす効果を評価した。
【0098】
結果は、エデト酸二ナトリウムの存在が、米国薬局方のmonograph <51>又は欧州薬局方の基準Bに規定された保存基準を満たすのに必要であることが示していた。
【0099】
【表7】
【0100】
国際公開第2013/003827号(Allergan)には、ポリオキシル15ヒドロキシステアラートが抗菌性保存効果を改善し、これによりUSPの<51>又はEPの基準Bを満たすための抗菌性保存剤であるベンザルコニウム塩化物の用量を減らすことが可能になることが開示されている。本発明の眼科用溶液を用いて行った保存剤の研究から、ポリオキシル15ヒドロキシステアラートがベンザルコニウム塩化物の抗菌性保存効果を改善しないこと、及び眼科用溶液の抗菌性保存効果を確保するために、0.5%w/wのEDTAの存在下で、0.12%w/w超でなければならない量のベンザルコニウム塩化物を含有しなければならない。最も適切な抗菌性保存用量のターゲットは、0.16%w/wのベンザルコニウム塩化物と0.05%w/wのEDTAとの混合物を用いて達成された。
【0101】
実施例4
単眼点眼後のオランダベルトウサギにおける薬物動態評価
試験1
ヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステルは、ビマトプロストの薬理活性が一酸化窒素と組み合わせられている二面作用性のプロスタグランジン類似体誘導体である。ビマトプロストの遊離酸は、ヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステルの活性代謝物の1つである。この研究では、ビマトプロストの遊離酸のレベルをマーカーとして使用して、本発明の水性眼科用溶液の局所点眼後の、ヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステルの眼内への浸透を、ビマトプロストを含有する市販の点眼剤、及びヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステルを含有する参照処方物に対して比較した。
【0102】
この研究の目的は、試験した水性眼科用溶液の点眼後に採取した眼房水サンプル中のビマトプロストの遊離酸の量を比較により評価することであった。
【0103】
ヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステルを含有する2つの異なる水性眼科用溶液(処方1及び2)並びに市販のビマトプロスト含有点眼剤(処方3)をウサギの眼薬物動態研究において評価した。
【0104】
ヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステルを含む2つの異なる水性溶液は、本発明に係る眼科用溶液(処方1)及び国際公開第2009/136281号に開示されている処方(処方2)である。
【0105】
試験した溶液
表8に、0.042%w/wのヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステルを含有する2つの水性眼科用溶液の媒体を報告する。
【0106】
【表8】
【0107】
処方3(市販の点眼剤/Lumigan(登録商標)、Allergan)
有効成分:0.03% ビマトプロスト
濃度0.042%w/wのヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステルは、市販の点眼剤(処方3)のビマトプロストのモル数に対して等モルである。
【0108】
原料
マクロゴール15-ヒドロキシステアラートは、市販のKolliphor(登録商標)HS15(BASF)である。ポリソルベート80は、市販のポリソルベート80 Super Refined(登録商標)(Croda)である。
【0109】
実験手順
10匹の雄ナイーブオランダベルトウサギの群をこの研究に割り当て、処方1及び2又は処方3のいずれかを、処方1及び2については12.6μg/眼並びにビマトプロスト溶液については9μg/眼の名目上のターゲット用量で各眼に点眼により投与した。生体分析目的のためのブランク対照マトリックス(房水)を提供するために、5匹の雄の更なる群を採用した。
【0110】
この研究の間、体重測定及び臨床観察を行い、所定の時点、1時間、2時間、4時間及び8時間において、房水(AH)採取の目的で、動物を供死した。
【0111】
投与に関連する臨床徴候は、この研究の間に観察されなかった。
【0112】
結果
本発明に係る水性眼科用溶液(処方1)は、参照処方(処方2)及び市販の点眼剤(処方3)の投与後に達成された曝露と比較して、ビマトプロストの酸へのより大きな曝露(Cmax及びAUC値に関して)を示したことを、表9に報告した結果は示していた。
【0113】
maxは、ビマトプロストの遊離酸が房水中で達した最高濃度である。
【0114】
AUC(曲線下面積)は、生物学的効果を生じるために利用可能な経時の房水中のビマトプロストの遊離酸の総量を表わす。
【0115】
【表9】
【0116】
研究2
この試験の目的は、表10に報告した3つの異なる媒体中にヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステル(0.042%w/w)を含有する3つの異なる水性眼科用溶液による局所眼投与後のビマトプロストの遊離酸の房水含量を評価することであった。
【0117】
媒体1及び2は、先行技術文献である国際公開第2009/136281号に開示されている処方の可溶化剤であるポリソルベート80を含有する。媒体1はベンザルコニウム塩化物を含有するが、媒体2はベンザルコニウム塩化物を含有しない点で、媒体1は媒体2と異なる。
媒体3は、ポリソルベート80とマクロゴール15-ヒドロキシステアラートとの混合物を含有する。
【0118】
試験した溶液
表10は、0.042%w/wのヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステルを含有する水性眼科用溶液の媒体を報告する。
【0119】
追加の参照処方を試験した。この処方は、0.03%の活性ビマトプロストを含有する市販の点眼剤である。
【0120】
【表10】
【0121】
原料
マクロゴール15-ヒドロキシステアラートは、市販のKolliphor(登録商標)HS15(BASF)である。ポリソルベート80は、市販のポリソルベート80 Super Refined(登録商標)(Croda)である。
【0122】
実験手順
40匹の動物をこの研究に含めた。それらを10匹/群の4群に割り当て、上で報告した試験した水性眼科用溶液を投与した。
【0123】
この研究に含まれる全ての動物を、30μL/眼の容量で目盛り付きピペットにより、両眼の点眼により投与した。1処方当たり2匹の動物を、0時間(投与前)、1時間、2時間、4時間及び8時間で供死し、房水サンプルを両眼から直ちに得た。
【0124】
結果
表11に報告した薬物動態データにより、媒体1又は媒体2を含有する水性眼科用溶液のビマトプロストの酸への曝露(Cmax及びAUC値に関する)が同等であることが示され、一方で、媒体3を含有する水性眼科用溶液により、ビマトプロストの遊離酸へのより高い曝露(房水中のビマトプロストの遊離酸のより高い濃度)が示された。
【0125】
ビマトプロストの酸についての最低曝露パラメータを参照処方の群において得た。
【0126】
更に、結果は、ベンザルコニウム塩化物は、ヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-(オキソ-2-ヘプテン-1-イル)]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステルヘキサノアートの眼内浸透に対して、0.02%w/wの濃度まで何ら影響を及ぼさなかったことを示しており、実際、薬物動態データは、媒体1又は2を含有する2つの水性眼科用溶液について同等であると考えられる。
【0127】
【表11】
【0128】
結論として、上で報告した研究の結果は、マクロゴール15-ヒドロキシステアラートが、ヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステルの眼内浸透を向上させることが可能であることを示していた。向上した吸収は、驚くべき効果である。なぜならば、全ての試験した水性眼科用溶液中で治療活性化合物が可溶化されたので、これは、マクロゴール15-ヒドロキシステアラートの既知の可溶化活性に依存していないからである。
【0129】
実際に、0.5%(w/w)のマクロゴール15-ヒドロキシステアラート(Kolliphor(登録商標)HS15)又は0.5%(w/w)のポリソルベート80(Tween(登録商標)80)を含有するpH6.0の水溶液中のヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステルの溶解度はそれぞれ、0.070%(w/w)及び0.074%(w/w)であり、基本的に同等であると考えられるので、全ての試験した媒体において、ヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステルを可溶化した。
【0130】
更に、研究2の結果は、ベンザルコニウム塩化物は、活性化合物の眼生物学的利用能に影響がなかったことを示していた。実際に、ポリソルベート80及びベンザルコニウム塩化物を含有する媒体1、及びポリソルベート80を含有するがベンザルコニウム塩化物を含有しない媒体2は、房水中、ビマトプロストの遊離酸の同等濃度を示していた。
【0131】
実施例5
正常眼圧のビーグル犬における眼内圧
この研究では、本発明に係る眼科用水性組成物の正常眼圧ビーグル犬における眼内圧(IOP)を降下させる効果を評価した。
【0132】
試験した組成物
処方1
処方1は、以下のものを含有する:
0.042%w/wのヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステル
マクロゴール15-ヒドロキシステアラート:1.0%w/w
ベンザルコニウム塩化物:0.016%w/w
ホウ酸:0.5%w/w
エデト酸二ナトリウム:0.05%w/w
ソルビトール:2.76%w/w
二塩基性リン酸ナトリウム七水和物(NaHPO 7HO):1.326%w/w
注射用水 適量で100gに
組成物は、6.0の最終pH及び約300mOsm/kgの浸透圧を有する。
【0133】
実験手順
試験した水性組成物をビーグル犬の両眼の結膜嚢に、1日2回、約4時間隔で28日間、局所経路により投与した。2群(各群が、ビーグル犬の雄3匹及び雌3匹を含む)を含めた。
群1(対照動物):媒体
群2:処方1
【0134】
各動物に、各処置において、示した物質30μL/眼を受けさせた。
【0135】
その日の1回目の用量は、午前7~9時の間に、毎日ほぼ同時に投与した。
【0136】
下瞼を眼球から穏やかに引き離した後、各動物の両眼の結膜に、自動ピペットにより試験品目を配置した。次いで、試験品目の損失を防ぐために、約1秒間、瞼を穏やかに一緒になるように保持した。
【0137】
眼内圧を投与前に、並びに処置2、4、8、20及び27日目の1日用量の1~1.5時間後に、電子眼圧計により測定した。
【0138】
瞳孔にオキシブプロカイン塩酸塩(Prescaina(登録商標)0.4%)又はオキシブプロカイン塩酸塩、テトラカイン塩酸塩(Colircusi Doble(登録商標)Anestessico)点眼剤を点眼し、その後に、眼内圧を測定した。
【0139】
結果
結果をIOP変化対ベースラインとして表12に報告する。
【0140】
本発明の水性組成物は、正常眼圧の犬においてIOPを降下させるのに有効であった。更に、本発明の水性組成物の毎日の反復投与により、経時的に持続的なIOP降下活性がもたらされた。
【0141】
【表12】
【0142】
実施例6
安定性研究
ガンマ線滅菌した7.5mLのLDPEボトルに保存した0.065%w/wのNCX470を含有する本発明の眼科用処方物の安定性を、25℃において、開始時、3か月及び6か月で評価し、40℃、25%以下の相対湿度(RH)において、開始時、3か月及び6か月での加速安定性について評価した。
【0143】
眼科用処方物を実施例1に記載した方法に従って調製した。
【0144】
眼科用処方物の組成:
0.065%w/wのヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステル(NCX470)、
1.0%w/wのマクロゴール15ヒドロキシステアラート、
0.016%w/wのベンザルコニウム塩化物、
0.05%w/wのエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩二水和物、
2.76%w/wのソルビトール、
1.326%w/wの二塩基性リン酸ナトリウム七水和物、
0.5%w/wのホウ酸、及び
注射用水 適量で100%w/wに。
【0145】
一次容器の構成:7.5mLのボトルに2.5mL充填
【0146】
【表13】
【0147】
【表14】
【0148】
25℃(表13)及び40℃(表14)での安定性試験の結果は、本発明に係る眼科用処方物が安定であることを示しており、その結果、眼科用溶液は、LDPE容器を保存した場合、周囲温度での保存条件において少なくとも24ヶ月の製品有効期間を有すると予想される。
【0149】
実施例7
0.065%w/wのヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステル(NCX470)を含有する保存剤を含まない眼科用組成物の調製
【0150】
眼科用組成物の成分を以下に列挙する:
NCX470 65g
ポリオキシル15ヒドロキシステアラート 1000g
(Kolliphor(登録商標)HS15)
ホウ酸 500g
ソルビトール 2760g
二塩基性リン酸ナトリウム七水和物 1300g
水酸化ナトリウム及び/又は塩酸 適量でpH6.0に調整
注射用水 適量で100kgに
【0151】
工程1) API濃縮液の調製
容器中に予め秤量した1,000gのポリオキシル15ヒドロキシステアラートに約32℃の注射用水1.5Lを加え、当該容器を、ポリオキシル15ヒドロキシステアラートが完全に溶融するまで熱水浴中に置いた。溶融したポリオキシ15-ヒドロステアラート/水の混合物を、65gのNCX-470を含有する4Lのバッチ缶に加えた。
【0152】
4Lのバッチ缶を水浴で32℃に温度を維持し、全ての成分が完全に溶解するまで、API溶液を撹拌し、それを残りの賦形剤媒体の溶液に加えるまで、連続撹拌下に維持した。
【0153】
工程2) 残りの賦形剤媒体の溶液の調製
注射用水100Lをステンレス鋼(316Lグレード)製の製造タンクに注ぎ、25℃~30℃に冷却した。この注射用水約12リットルをタンクから取り出し、調製中に使用するために別の容器に保存した。
【0154】
下記の化合物を、連続撹拌下で、水を含む製造タンクに次の順序に従って加えた。それぞれの化合物は、次の化合物を加える前に完全に溶解させた。
500gのホウ酸
1300gの二塩基性リン酸ナトリウム七水和物(NaHPO 7HO)
2760gのソルビトール
【0155】
この溶液を含む容器を十分な注射用水で複数回すすぎ、すすぎ液を製造タンクに加えて、移し替えを完了した。
【0156】
工程3) バルク眼科用溶液の調製
API濃縮液を製造タンクに移した。4Lのバッチ缶を注射用水で複数回すすぎ、すすぎ液をバルクに加えて、移し替えを完了した。
【0157】
注射用水を製造タンクに加え、最終ターゲット重量100kgに調整した。
【0158】
pHは、水酸化ナトリウム及び/又は塩酸を使用することにより、より正確に微調整することができる。
【0159】
4) バルク眼科用溶液の滅菌
眼科用溶液を、0.2μmポリエーテルスルホン(PES)フィルター(PallからのSupor(登録商標))を通した何回ものろ過により滅菌した。
【0160】
5) LDPE眼科用一次容器へのバルク眼科用溶液の充填
ろ過工程後、眼科用溶液を、従来の無菌プロセス手技に従って、グレードA環境下で、適切な容量を有する保存剤を含まないLDPEマルチドーズ一次容器システム(例えば、Aptar OSD(登録商標)システム)内に充填した。別の保存剤を含まない一次容器システムの選択肢として、バルク滅菌溶液を、シングルドーズ一次容器(例えば、BFS technology製のシングルドーズ一次容器(Blow-Fill-Seal(登録商標)/Rommelag))に充填することができる。
【0161】
実施例8
安定性試験
5mLガラスボトル中に保存した、0.01%w/wのNCX470及び0.18%のNCX470を含有する保存剤を含まない本発明の眼科用処方物の安定性を、25℃及び40℃において、種々の時点で評価した。
【0162】
眼科用処方物を実施例7に記載した方法に従って調製した。これらの処方物において、バッファー系は、二塩基性リン酸ナトリウム七水和物とクエン酸一水和物との混合物であり、等張化剤は、グリセロールである。
【0163】
0.01%w/wのNCX470眼科用処方物の組成:
0.01%w/wのヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステル(NCX470)、
1.5%w/wのマクロゴール15ヒドロキシステアラート(Kolliphor(登録商標)HS15)、
0.52%w/wのグリセロール、
2.33%w/wの二塩基性リン酸ナトリウム七水和物、
0.36%w/wのクエン酸一水和物、及び
注射用水 適量で100%w/wに。
【0164】
一次容器の構成:5mLのガラスボトルに3mL充填
【0165】
0.18%w/wのNCX470眼科用処方物の組成:
0.18%w/wのヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステル(NCX470)、
1.5%w/wのマクロゴール15ヒドロキシステアラート(Kolliphor(登録商標)HS15)、
0.52%w/wのグリセロール、
2.33%w/wの二塩基性リン酸ナトリウム七水和物、
0.36%w/wのクエン酸一水和物、及び
注射用水 適量で100%w/wに。
【0166】
一次容器の構成:5mLのボトルに3mL充填
【0167】
これら2つの眼科用処方物の安定性の結果を以下の表15~18に報告する。結果は、保存剤を含まない本発明の眼科用処方物は安定であったことを示していた。
【0168】
【表15】
【0169】
【表16】
【0170】
【表17】
【0171】
【表18】
【0172】
実施例9(粘性溶液)
0.065%w/wのヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステル(NCX470)及び粘度調整剤を含有する眼科用組成物の調製
【0173】
眼科用組成物の成分を以下に列挙する:
NCX470=ヘキサン酸,6-(ニトロオキシ)-,(1S,2E)-3-[(1R,2R,3S,5R)-2-[(2Z)-7-(エチルアミノ)-7-オキソ-2-ヘプテン-1-イル]-3,5-ジヒドロキシシクロペンチル]-1-(2-フェニルエチル)-2-プロペン-1-イルエステル(API) 65g
ポリオキシル15ヒドロキシステアラート 1000g
(Kolliphor(登録商標)HS15)
ベンザルコニウム塩化物(50%溶液) 32g
エデト酸二ナトリウム二水和物 50g
ホウ酸 500g
ソルビトール 2760g
二塩基性リン酸ナトリウム七水和物 1326g
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC) 200g
注射用水 適量で100kgに
【0174】
工程1) API濃縮液の調製
容器中に予め秤量した1000gのポリオキシル15ヒドロキシステアラートに約32℃の注射用水1.5Lを加え、当該容器を、ポリオキシル15ヒドロキシステアラートが完全に溶融するまで熱水浴中に置いた。溶融したポリオキシ15-ヒドロステアラート/水の混合物を、65gのNCX-470を含む4Lのバッチ缶に加えた。
【0175】
4Lのバッチ缶を水浴で32℃に温度を維持し、全ての成分が完全に溶解するまで、API溶液を撹拌し、それを残りの賦形剤媒体の溶液に加えるまで、連続撹拌下に維持した。
【0176】
工程2) 残りの賦形剤媒体の溶液(粘性溶液の例)の調製
注射用水100Lを、ステンレス鋼(316Lグレード)製の製造タンクに85℃超の温度で注いだ。この注射用水約12リットルをタンクから取り出し、調製中に使用するために別の容器に保存した。
【0177】
200gのHPMC(Metolose(登録商標)/Shin-Etsu)を、混合しながらタンク内にゆっくり導入する。セルロースを15分にわたってゆっくり導入する。一旦ポリマーがタンク内で完全に分散したら、少なくとも85℃の温度で更に15分間混合を維持する。その保持時間後、バルク溶液を25℃~30℃の温度まで冷却する。
【0178】
次いで、下記の化合物を、連続撹拌下で、水を含む製造タンクに正確に次の順序に従って加えた。それぞれの化合物は、次の化合物を加える前に完全に溶解させた。
50gのエデト酸二ナトリウム二水和物
500gのホウ酸
1326gの二塩基性リン酸ナトリウム七水和物(NaHPO 7HO)
2760gのソルビトール
32gのベンザルコニウム塩化物50%溶液
【0179】
ベンザルコニウム塩化物溶液を含む容器を、十分な注射用水で複数回すすぎ、すすぎ液を製造タンクに加えて、移し替えを完了した。
【0180】
工程3) バルク眼科用溶液の調製
API濃縮液を製造タンク内に移した。4Lのバッチ缶を注射用水ですすぎ、すすぎ液をバルクに加えて、移し替えを完了した。
【0181】
注射用水を製造タンクに加えて、最終ターゲット重量100kgに調整した。
【0182】
4) バルク眼科用溶液の滅菌
眼科用溶液を、0.2μmポリエーテルスルホン(PES)フィルター(Supor(登録商標)Pall)を通した十二分なろ過により滅菌した。
【0183】
工程5) 場合により、バルク眼科用溶液を、低密度ポリエチレン(LDPE)眼科用一次容器に充填する。通常、処方物は、キャップ及び制御された液滴サイズを有する較正された液滴を送達することを可能にする滴下チップを備えるマルチドーズ眼科用ボトルにパッケージングすることができる。このような一次容器の例は、Berry-PlasticsからのRispharm(登録商標)ボトル、AmcorからのBoston Round(登録商標)、Gerresheimer、Philips-Medisize、Bormioliのいずれかからの3ピースボトル、又は同等品であることができる。
【手続補正書】
【提出日】2023-12-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本願明細書に記載の発明。
【外国語明細書】