(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024023499
(43)【公開日】2024-02-21
(54)【発明の名称】加圧マスク、システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61M 16/06 20060101AFI20240214BHJP
A61M 16/00 20060101ALI20240214BHJP
【FI】
A61M16/06 C
A61M16/06 B
A61M16/00 305A
【審査請求】有
【請求項の数】26
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023203820
(22)【出願日】2023-12-01
(62)【分割の表示】P 2022020188の分割
【原出願日】2015-03-27
(31)【優先権主張番号】61/971,464
(32)【優先日】2014-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】513259285
【氏名又は名称】フィッシャー アンド ペイケル ヘルスケア リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100170634
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 航介
(72)【発明者】
【氏名】オドネル ケヴィン ピーター
(72)【発明者】
【氏名】カートン ロバート スチュアート
(72)【発明者】
【氏名】タトコフ スタニスラフ
(72)【発明者】
【氏名】バベッジ シーン ジョエル
(72)【発明者】
【氏名】バーカー ディーン アントニー
(57)【要約】 (修正有)
【課題】呼吸マスクまたは他の密封性インターフェースが、鼻カニューレまたは他の密封されていないインターフェースと組み合わせて使用され、COPDまたはOSAを治療するための呼吸療法を提供する。
【解決手段】マスクは、鼻カニューレの上部を覆って圧力容器としての機能を果たし、呼気圧を上昇させる一方で、鼻カニューレが、高い湿度および温度の呼吸ガスを使用者にもたらすことを可能にするようにし得る。上昇した呼気圧を選択的に適用する能力は、使用者の呼吸数の低下に効果的であり、それゆえ、呼吸窮迫の治療に有益であるとし得る。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カニューレ本体と、前記カニューレ本体から延出する少なくとも1つの鼻プロングと、前記少なくとも1つの鼻プロングと連通するガスチューブと、前記カニューレ本体に結合されかつ前記鼻カニューレを使用者の頭部に保持するカニューレ保持配置構成とを含む、鼻カニューレ;
マスク本体を有するマスクであって、前記マスク本体は、使用者接触面と、前記使用者接触面が前記使用者の顔と接触するときに内部空間とを画成し、前記マスクは、さらに、前記マスク本体に結合されかつ前記マスクを前記使用者の前記頭部に保持するマスク保持配置構成を含む、マスク
を含む、インターフェースシステムであって、
前記マスクの前記内部空間は、前記マスクが前記使用者の前記頭部に位置決めされるとき、前記使用者接触面が前記使用者の前記顔と接触する状態で、前記少なくとも1つの鼻プロングを含む前記カニューレ本体の少なくとも一部分を収容する、インターフェースシステム。
【請求項2】
前記マスクが前記鼻カニューレと組み合わせて使用されるとき、および前記使用者接触面が前記使用者の前記顔と接触しているとき、前記マスクが、前記使用者の鼻および/または口の周りにシールを生じるように適合され、前記シールは、前記マスクのない前記鼻カニューレの使用の場合と比較して、呼気圧を上昇させるのに十分である、請求項1に記載のインターフェースシステム。
【請求項3】
前記マスク本体がフレームを含み、前記マスク保持配置構成は前記フレームに結合される、請求項1または2に記載のインターフェースシステム。
【請求項4】
前記マスク保持配置構成がマスクヘッドギアを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載のインターフェースシステム。
【請求項5】
前記カニューレ保持配置構成がカニューレヘッドギアを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載のインターフェースシステム。
【請求項6】
前記カニューレヘッドギアがストラップを含み、このストラップは、使用中、前記使用者の前記頭部の周りに延在する、請求項1~5のいずれか1項に記載のインターフェースシステム。
【請求項7】
前記カニューレ本体が、前記カニューレ本体の対向側部に一対のサイドアームを含み、前記カニューレヘッドギアは、前記一対のサイドアームのそれぞれに結合されている、請求項6に記載のインターフェースシステム。
【請求項8】
前記マスク本体が、前記鼻カニューレが前記内部空間内から前記内部空間外へと延在できるように適合された少なくとも1つの凹部を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載のインターフェースシステム。
【請求項9】
前記少なくとも1つの凹部が、前記ガスチューブを収容するように適合されている、請求項8に記載のインターフェースシステム。
【請求項10】
前記少なくとも1つの凹部が半円形プロファイルを含む、請求項9に記載のインターフェースシステム。
【請求項11】
前記少なくとも1つの凹部が、前記ガスチューブの形状に対応するような形状にされた部分を含む、請求項9に記載のインターフェースシステム。
【請求項12】
前記少なくとも1つの凹部が、前記マスク本体の外側部に配置される、請求項8に記載のインターフェースシステム。
【請求項13】
前記マスク本体が、前記使用者接触面を画成するクッションを含み、前記少なくとも1つの凹部が、前記クッションによって少なくとも部分的に画成される、請求項8に記載のインターフェースシステム。
【請求項14】
前記少なくとも1つの凹部が前記使用者接触面を中断している、請求項13に記載のインターフェースシステム。
【請求項15】
前記少なくとも1つの凹部が、前記マスクの第1の側部に第1の凹部と、前記マスクの第2の側部に第2の凹部とを含む、請求項8に記載のインターフェースシステム。
【請求項16】
前記第1の凹部および前記第2の凹部の形状またはサイズが互いに異なる、請求項15に記載のインターフェースシステム。
【請求項17】
前記マスクが一方向弁を含み、この一方向弁は、空気が前記マスクの前記内部空間に入ることができるように開放し、かつ空気が前記マスクの前記内部空間を出ることを阻止するように閉鎖する、請求項1~16のいずれか1項に記載のインターフェースシステム。
【請求項18】
前記マスクが、前記マスクの前記内部空間内の圧力を解放できる通気口を含む、請求項1~17のいずれか1項に記載のインターフェースシステム。
【請求項19】
前記通気口が手動で動作可能である、請求項18に記載のインターフェースシステム。
【請求項20】
前記通気口の有効サイズが可変である、請求項18に記載のインターフェースシステム。
【請求項21】
前記マスクが、さらに、バイアス流れ通気口を含む、請求項1~20のいずれか1項に記載のインターフェースシステム。
【請求項22】
前記マスクが、さらに、前記マスクの前記内部空間から水分を排出できるようにする結露通気口を含む、請求項1~21のいずれか1項に記載のインターフェースシステム。
【請求項23】
前記マスクが、さらに、前記内部空間と連通しかつ前記内部空間内の圧力を測定できるようにする圧力ポートを含む、請求項1~22のいずれか1項に記載のインターフェースシステム。
【請求項24】
前記マスクが、さらに、前記マスクの前記内部空間内の閾値圧力でまたはそれを上回ると開放する呼気終末陽圧弁を含む、請求項1~23のいずれか1項に記載のインターフェースシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2014年3月27日出願の米国仮特許出願第61/971,464号明細書に関連し、かつその優先権を主張し、その全体を参照することにより本書に援用する。本出願に関連する、優先権の主張が承認される海外または国内のいかなる出願も、参照することにより本書に援用される。
【0002】
本開示は、概して、高流量鼻カニューレ(nasal high flow cannula)と組み合わせて使用するための呼吸マスクに関する。より詳細には、本開示は、呼気圧を高めるかまたは制御するために、高流量鼻カニューレを覆うマスクに関する。
【背景技術】
【0003】
呼吸窮迫、および慢性閉塞性肺疾患(COPD)や閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)を含むある種の呼吸性疾患を治療する1つの方法は、使用者の呼吸器系を支援するために持続的気道内陽圧(CPAP)を提供することである。非侵襲性の呼吸加圧は、一般に、加圧呼吸ガスを使用者の口および/または鼻に送給することによって実施される。
【0004】
CPAP治療は、通常、呼吸補助システムによってもたらされる。呼吸補助システムは、一般的に、加圧ガス源(圧縮器、加圧ガスキャニスターまたは病院の圧縮空気源の可能性がある)と、加圧ガスを使用者に送給するように構成されたインターフェースとを組み込む。さらに、呼吸補助システムは、使用者に送給する前に、呼吸ガスを加熱して加湿する加湿器を組み込み得る。
【0005】
他の支援型呼吸システムは、人工呼吸器およびレスピレータを含む。これらは、呼吸サイクルの吸気相と呼気相との間の圧力を調整し、および典型的には、インターフェース用の戻しラインを含み得る。
【0006】
従来のインターフェースは、使用者の顔または上気道とのシールを形成して、使用者の呼吸器系の適切な加圧を容易に行えるように構成されている。Forma(商標)、Simplus(商標)、Oracle(商標)、Zest(商標)、Eson(商標)Opus(商標)、およびPilairo(商標)は、Fisher & Paykel Healthcare製の密封性の使用者呼吸インターフェースの例である。これらのインターフェースは、使用者の顔、口、鼻および鼻孔の1つ以上とで密封するように構成される。
【0007】
インターフェースと使用者の呼吸器系との間に形成されたシールは、ガス漏れを減少させかつ呼吸ガスの排出を制御することによって、マスクの圧力を調整できるようにする。ガスは、使用者インターフェースから、直接周囲大気へ(出口孔を通って)、または呼吸ガスの排出の制御を担っている呼吸補助システム内の別の構成要素へ排出され得る。
【0008】
非密封性インターフェース、特に鼻カニューレは、酸素補充療法に用いられることが多い。典型的な酸素補充療法のインターフェースは、5L/分までの流量を直接使用者の鼻孔に送給する。使用者の周囲からの空気が、通常の吸息の最中に酸素と一緒に取り込まれ、使用者の肺によって受け取られている酸素濃度を上昇させる。
【0009】
一般的な酸素補充療法インターフェースは、使用者の耳にかける一対の送給ルーメンによって支持されている。ルーメンは、小口径(一般に、限定されるものではないが、0.5~7mmの範囲)を有し、および酸素を鼻カニューレの両側に供給し、各鼻プロングに均一な流れをもたらす。
【0010】
高流量(HF)酸素療法には、顔用マスクが伝統的に使用されている。HF酸素療法は、酸素の流れを、伝統的な酸素補充療法を上回る流量で、使用者の鼻孔にもたらすことを含む。例えば、HF酸素療法の流量は、6~60L/分の範囲内とし得る。非密封性HF鼻カニューレ、例えばFisher & Paykel Healthcare製のOptiflow(商標)Nasal Cannulaも、流量ベースの治療(HF酸素療法を含む)に奨励されており、ここでは、呼吸器系の圧力調整は、カニューレが密封されていないため、不正確に制御されるにすぎない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
使用者の鼻孔への呼吸ガスの直接送給は、ガスが、顔用マスクを用いて実行可能であるよりも高い温度および湿度で投与され得るため、好都合とし得る。さらに、呼吸ガスの直接送給は、呼気ガスを呼気の最後に一掃することができ、それにより、解剖学的死腔を小さくする。鼻のHF療法の他の利点は、使用者がカニューレの装着中に飲食できることであり、およびカニューレは、典型的な陽圧インターフェースよりも遥かに小さくかつプロファイルが低く、それゆえ、その侵襲性が小さいことである。しかしながら、鼻カニューレは、圧補助を提供しないため、常に、過換気を含む呼吸窮迫を経験している使用者に好適なわけではない。
【0012】
本明細書に説明するシステム、方法および装置は、革新的な態様を有し、そのどれも、不可欠ではなく、または単一でそれらの特性を担うわけではない。特許請求の範囲を限定することなく、ここで、好都合な特徴のいくつかを要約する。少なくとも1つの実施形態の目的は、鼻カニューレと組み合わせて患者の顔に適用できる呼吸マスクを提供すること、呼気圧を上昇させまたは制御して高流量療法を送達すること、または産業界または公衆に、有用な選択肢を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
いくつかの構成では、呼吸マスクは、使用者の顔に取り付けられた鼻カニューレを覆うように構成されている。マスクは、使用者の顔とで密封するように構成されたクッションを含み、マスクの呼吸キャビティ(breathing cavity)または内部空間を加圧できるようにする。マスクの加圧によって、呼気圧を上昇または制御できるようにし、鼻カニューレを経由してHF療法を受けているCOPD患者の呼吸窮迫の治療を支援し得る。マスクは、鼻カニューレとは無関係に、使用者に固定され、それゆえ、上昇した呼気圧を選択的に適用できるように構成されている。好ましくは、マスクの密封性クッションは、鼻カニューレの幾何学的形状に実質的に適合する凹部または切り取り部を含み得る。マスクは、吸息の最中に周囲空気を取り込むことができるようにする1つ以上の一方向弁を含み得る。
【0014】
いくつかの構成では、インターフェースシステムが、カニューレ本体を有する鼻カニューレを含む。少なくとも1つの鼻プロングは、カニューレ本体から延出する。少なくとも1つの鼻プロングとガスチューブが連通する。カニューレ本体にカニューレ保持配置構成が結合されて、使用者の頭部に鼻カニューレを保持する。マスクはマスク本体を有し、このマスク本体は、使用者接触面と、使用者接触面が使用者の顔に接触するときに内部空間とを画成する。マスクは、さらに、マスク本体に結合されかつマスクを使用者の頭部に保持するマスク保持配置構成を含む。マスクの内部空間は、マスクが使用者の頭部に位置決めされるときに、使用者接触面が使用者の顔に接触する状態で、少なくとも1つの鼻プロングを含むカニューレ本体の少なくとも一部分に適合する。
【0015】
いくつかの構成では、マスクは、マスクが鼻カニューレと組み合わせて使用されるとき、および使用者接触面が使用者の顔と接触しているとき、使用者の鼻および/または口の周りにシールを生じるように適合され、シールは、マスクのない鼻カニューレの使用の場合と比較して、呼気圧を上昇させるのに十分である。いくつかのそのような構成では、マスクはまた、マスクが鼻カニューレと組み合わせて使用されるとき、および使用者接触面が使用者の顔と接触しているとき、鼻カニューレの周りにシールを生じるように適合され、鼻および/または口の周りのシール、および鼻カニューレ上のシールは、マスクのない鼻カニューレの使用の場合と比較して、呼気圧を上昇させるのに十分である。
【0016】
いくつかの構成では、マスク本体はフレームを含み、マスク保持配置構成はフレームに結合される。
【0017】
いくつかの構成では、マスク保持配置構成はマスクヘッドギアを含む。
【0018】
いくつかの構成では、カニューレ保持配置構成はカニューレヘッドギアを含む。いくつかの構成では、カニューレヘッドギアはストラップを含み、このストラップは、使用中、使用者の頭部の周りに延在する。
【0019】
いくつかの構成では、カニューレ本体は、カニューレ本体の対向側部に一対のサイドアームを含み、カニューレヘッドギアは、一対のサイドアームのそれぞれに結合されている。
【0020】
いくつかの構成では、マスク本体は、鼻カニューレが内部空間内から内部空間外へ延在できるように適合された少なくとも1つの凹部を含む。
【0021】
いくつかの構成では、少なくとも1つの凹部は、ガスチューブを収容するように適合されている。
【0022】
いくつかの構成では、少なくとも1つの凹部は半円形プロファイルを含む。
【0023】
いくつかの構成では、少なくとも1つの凹部は、ガスチューブの形状に対応するような形状にされた部分を含む。
【0024】
いくつかの構成では、少なくとも1つの凹部は、マスク本体の外側部に配置される。
【0025】
いくつかの構成では、マスク本体は、使用者接触面を画成するクッションを含み、少なくとも1つの凹部は、クッションによって少なくとも部分的に画成される。
【0026】
いくつかの構成では、少なくとも1つの凹部は、使用者接触面を中断する。
【0027】
いくつかの構成では、少なくとも1つの凹部は、マスクの第1の側部に第1の凹部と、マスクの第2の側部に第2の凹部とを含む。いくつかの構成では、第1および第2の凹部の形状および/またはサイズは、互いに異なる。
【0028】
いくつかの構成では、マスクは一方向弁を含み、一方向弁は、空気がマスクの内部空間に入ることができるように開放し、かつ空気がマスクの内部空間を出るのを阻止するように閉鎖する。
【0029】
いくつかの構成では、弁は、わずかに開放する位置へと偏らされ得るかまたは予荷重され得る。いくつかのそのような構成では、弁は、使用者の呼気に応答して、偏らされた、予荷重されたまたは通常の位置から閉鎖位置へ動き得る。
【0030】
いくつかの構成では、マスクは、マスクの内部空間内の圧力を解放できる通気口を含む。
【0031】
いくつかの構成では、通気口は手動で動作可能である。
【0032】
いくつかの構成では、通気口の有効サイズは可変である。
【0033】
いくつかの構成では、マスクは、さらに、バイアス流れ通気口を含む。
【0034】
いくつかの構成では、マスクは、さらに、マスクの内部空間から水分を排出できる結露通気口を含む。
【0035】
いくつかの構成では、マスクは、さらに、内部空間と連通しかつ内部空間内の圧力を測定できるようにする圧力ポートを含む。
【0036】
いくつかの構成では、マスクは、さらに、マスクの内部空間内の閾値圧力でまたはそれを上回ると開放する呼気終末陽圧弁を含む。
【0037】
いくつかの構成では、マスクは、鼻カニューレまたは他の密封されていないまたは高流量のインターフェースと組み合わせて使用するように構成される。マスクは、鼻カニューレとは別で使用者に適用されかつ使用者から取り外され得る。鼻カニューレは、カニューレ本体と、カニューレ本体から延出する少なくとも1つの鼻プロングと、少なくとも1つの鼻プロングと連通するガスチューブと、カニューレ本体に結合しかつ鼻カニューレを使用者の頭部に保持するカニューレヘッドギアとを有する。マスクはマスク本体を含む。マスク本体は、使用者接触面と、使用者接触面が使用者の顔に接触するときに内部空間とを画成する。マスクは、さらに、マスク本体に結合されかつマスクを使用者の頭部に保持するマスク保持配置構成を含む。マスクの内部空間は、マスクが使用者の頭部に位置決めされるとき、使用者接触面が使用者の顔と接触する状態で、少なくとも1つの鼻プロングを含むカニューレ本体の少なくとも一部分を収容する。マスク本体は、鼻カニューレが内部空間内から内部空間外へ延在できるように適合された少なくとも1つの凹部を含み、少なくとも1つの凹部は使用者接触面を中断する。
【0038】
いくつかの構成では、マスクは、マスクが鼻カニューレと組み合わせて使用されるとき、および使用者接触面が使用者の顔と接触しているとき、使用者の鼻および/または口の周りにシールを生じるように適合され、シールは、マスクのない鼻カニューレの使用の場合と比較して、呼気圧を上昇させるのに十分である。いくつかのそのような構成では、マスクはまた、マスクが鼻カニューレと組み合わせて使用されるとき、および使用者接触面が使用者の顔と接触しているとき、鼻カニューレの周りにシールを生じるように適合され、鼻および/または口の周りのシール、および鼻カニューレ上のシールは、マスクのない鼻カニューレの使用の場合と比較して、呼気圧を上昇させるのに十分である。
【0039】
いくつかの構成では、マスク本体はフレームを含み、マスク保持配置構成はフレームに結合される。
【0040】
いくつかの構成では、マスク保持配置構成はマスクヘッドギアを含む。
【0041】
いくつかの構成では、少なくとも1つの凹部は、ガスチューブを収容するように適合される。
【0042】
いくつかの構成では、少なくとも1つの凹部は半円形プロファイルを含む。
【0043】
いくつかの構成では、少なくとも1つの凹部は、ガスチューブの形状に対応する形状にされた部分を含む。
【0044】
いくつかの構成では、少なくとも1つの凹部は、マスク本体の外側部に配置される。
【0045】
いくつかの構成では、マスク本体は、使用者接触面を画成するクッションを含み、少なくとも1つの凹部は、クッションによって少なくとも部分的に画成されている。
【0046】
いくつかの構成では、少なくとも1つの凹部は、マスクの第1の側部に第1の凹部と、マスクの第2の側部に第2の凹部とを有する。いくつかの構成では、第1および第2の凹部のサイズおよび/または形状は、互いに異なる。
【0047】
いくつかの構成では、マスクは一方向弁を含み、一方向弁は、空気がマスクの内部空間に入ることができるように開放し、かつ空気がマスクの内部空間を出ることを阻止するように閉鎖する。
【0048】
いくつかの構成では、弁は、わずかに開放する位置まで偏らされ得るかまたは予荷重され得る。いくつかのそのような構成では、弁は、使用者の呼気に応答して、偏らされた、予荷重された、または通常の位置から閉鎖位置まで動き得る。
【0049】
いくつかの構成では、マスクは、マスクの内部空間内の圧力を解放できるようにする通気口を含む。
【0050】
いくつかの構成では、通気口は手動で動作可能である。
【0051】
いくつかの構成では、通気口の有効サイズは可変である。
【0052】
いくつかの構成では、マスクは、さらに、バイアス流れ通気口を含む。
【0053】
いくつかの構成では、マスクは、さらに、マスクの内部空間から水分を排出できるようにする結露通気口を含む。
【0054】
いくつかの構成では、マスクは、さらに、内部空間と連通しかつ内部空間内の圧力を測定できるようにする圧力ポートを含む。
【0055】
いくつかの構成では、マスクは、さらに、マスクの内部空間内の閾値圧力でまたはそれを上回ると開放する呼気終末陽圧弁を含む。
【0056】
いくつかの構成では、患者に呼吸補助を提供する方法が、患者に鼻カニューレを適用するステップ、患者の鼻孔に鼻カニューレを通して、ガスの流れを提供するステップ、および鼻カニューレの上側を覆って患者にマスクを選択的に適用するステップを含み、マスクは、鼻カニューレを収容する内部空間を含み、およびマスクは、患者の顔にシールを生じて、マスクのない鼻カニューレの使用の場合と比較して、呼気圧を上昇させる。
【0057】
いくつかのそのような構成では、方法は、さらに、一方向弁を通して空気がマスクの内部空間に入ることができるようにすることを含む。
【0058】
いくつかのそのような構成では、方法は、さらに、通気口を開放することによって、内部空間内の圧力を軽減することを含む。
【0059】
いくつかのそのような構成では、方法は、さらに、内部空間内の圧力が閾値であるかまたはそれを上回るとき、一方向弁を通って空気がマスクの内部空間を出ることができるようにすることを含む。
【0060】
いくつかのそのような構成では、方法は、さらに、鼻カニューレを取り外すことなく、患者からマスクを選択的に取り外すことを含む。
【0061】
いくつかの構成では、上述のシステムまたは方法のいずれかは、別の密封されていないまたは高流量のインターフェースを備える鼻カニューレで置き換えることができる。
【0062】
いくつかの構成では、上述のシステム、マスクまたは方法のいずれかは、密封されていないまたは高流量のインターフェースを収容できる別の好適な密封性インターフェースを備えるマスクで置き換えることができる。
【0063】
図面を通して、参照符号を再使用して、参照要素の全体的な対応を示し得る。図面は、本明細書で説明される例示的な実施形態を示すために提供され、および本開示の範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【
図1】鼻カニューレを覆う、好ましい実施形態のいくつかの特徴、態様または利点を有するマスクの斜視図である。
【
図2】
図1のマスクおよび鼻カニューレの分解図である。
【
図3】
図1のマスクおよびカニューレの前面図である。
【
図5】好ましい実施形態のいくつかの特徴、態様または利点を有するマスクの代替的な実施形態の下側の斜視図である。
【
図6a】鼻カニューレのみを備え、マスクを備えない、呼吸圧のグラフである。
【
図6b】鼻カニューレとマスクとの組み合わせを備える、呼吸圧のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0065】
ここで、システム、構成要素、ならびに組み立ておよび製造方法の実施形態を、添付図面を参照して説明し、同様の符号は、全体を通して、同様または類似の要素を指す。いくつかの実施形態、例および図を下記で説明するが、当業者には、本明細書で説明する本発明は、具体的に開示した実施形態、例および図を越えて広がり、および本発明の他の使用例および明らかな修正形態およびその等価物を含み得ることが理解される。本明細書で示す説明で使用される用語は、単に、本発明のいくつかの具体的な実施形態の詳細な説明と併せて使用されるため、なんら、限定または制限するものであるとは解釈されない。さらに、本発明の実施形態は、いくつかの新規の特徴を含み、および単一の特徴のみがその望ましい特性を担うものでも、または本明細書で説明する本発明の実施に不可欠なものでもない。
【0066】
いくつかの用語は、参照のためにのみ、以下の説明で使用され得るため、限定を意図するものではない。例えば、「上」および「下」などの用語は、参照される図面での方向を指す。「前」、「後」、「左」、「右」、「後部」および「側部」などの用語は、議論されている構成要素または要素を説明する本文および関連の図面を参照することによって明白にされる、一貫性があるが任意の基準系内での構成要素または要素の複数の部分の向きおよび/または位置を説明する。さらに、「第1」、「第2」、「第3」などの用語は、別個の構成要素を説明するために使用され得る。そのような用語は、具体的に上述した語、その派生物、および同様の意味の語を含み得る。
【0067】
COPDおよびOSAなどの呼吸器疾患の一般的な治療は、限定されるものではないが、CPAP、酸素補充療法およびHF療法を含む。これらの療法は、全て、利点および欠点を有する。本明細書で開示するマスクは、鼻カニューレと一緒に使用されると、使用者または患者に併用療法の利益を提供することができる。より具体的には、開示のマスクまたはシステムは、鼻カニューレが供給できるような、より高い温度および/または湿度レベルのガスの提供、および呼吸窮迫の治療に必要なまたは望ましい呼吸圧の上昇を可能にする。
【0068】
図1は、鼻カニューレ102を覆うマスク100の実施形態の斜視図である。
図2は、同じマスク100および鼻カニューレ102の構成の分解図を示す。上述の通り、いくつかの適用例では、鼻カニューレ102は、使用者へ呼吸ガスの流れをもたらし得る。それゆえ、鼻カニューレ102は、マスク100とは別に使用者に適用され得る。マスク100は、鼻カニューレ102を取り外すことなく、好ましくは、鼻カニューレ102を大幅に動かしたりまたは他の操作を行ったりすることなく、使用者に選択的に適用され得る。同様に、マスク100は、好ましくは、鼻カニューレ102を取り外すことなく、好ましくは、鼻カニューレ102を大幅に動かしたりまたは他の操作を行ったりすることなく、使用者から取り外され得る。本明細書では鼻カニューレ102を示すが、使用者に呼吸ガスの流れを送給するために、例えば限定されるものではないが、他の好適な高流量療法用のインターフェースを含む、他の好適なインターフェースが使用され得る。そのようなインターフェースは、好ましくは、使用者に対して気密シールまたは実質的に気密シールを生じない、密封されていないインターフェースである。例えば、高流量療法は、鼻カニューレ102の代わりに、口インターフェースまたは気管インターフェースを介して送給され、および圧補助は、口または気管インターフェースの上側を覆ってマスク100または他のインターフェースを配置することによって、増強され得る。それゆえ、本明細書では、鼻カニューレ102への言及はまた、より一般的に、別段の明白な指示がない限り、または本開示の状況によって、他の好適な密封されていないまたは高流量のインターフェースを指し得る。
【0069】
いくつかの構成では、マスク100は、鼻カニューレ102を収容しかつ鼻カニューレ102がマスク100内からマスク100外へと延在できるようにする一方で、使用者の顔と十分なシールを形成して、マスク100内の圧力を高めることができるように、特別に付形または構成され得る。その結果、鼻カニューレ102と組み合わせてマスク100を使用することによって、マスク100を用いずに鼻カニューレ102を使用するときの圧力と比較して、使用者の気道内の呼吸圧を上昇させることができる。上述の通り、そのような配置構成は、例えば、鼻カニューレ102を介してHF療法を受けているCOPD患者の呼吸窮迫を治療するのに役立ち得る。
【0070】
マスク100および鼻カニューレ102は、マスク100および鼻カニューレ102が一緒に販売されるかまたは単一パッケージにされている、システムまたはキットとして販売され得る。他の構成では、マスク100は、1つ以上の特定のモデルの鼻カニューレと組み合わせて使用されるように構成され得るが、そのような鼻カニューレとは別々に販売され得る。いくつかの構成では、マスク100は、広範囲の鼻カニューレと組み合わせて使用されるように構成され得る;しかしながら、多くの異なる鼻カニューレの形状および設計に適応させるために、鼻カニューレの少なくとも一部分と最適なシールを生じるマスク100の能力は、損なわれ得る。それにもかかわらず、そのような汎用のマスクは、使用者に圧補助をもたらすのに十分なシールを生じ得る。いくつかの構成では、マスク100および鼻カニューレは、システムとして、販売されてはいなくても、少なくとも設計されてはいる。
【0071】
鼻カニューレ102は、HF鼻療法などの目的の用途に好適な任意の構成のものとし得る。鼻カニューレ102は、少なくとも1つの鼻プロング152が延出する本体150を有し得る。図示の配置構成では、一対の鼻プロング152が設けられる。好ましくは、鼻カニューレ102が使用者の頭部に適切に位置決めされると、鼻プロング152は、使用者の鼻孔の方へまたはその内部へと延在するが、完全には密封しない。
【0072】
鼻カニューレ102は、鼻プロング152と連通するガスまたは呼吸回路を含む。図示の配置構成では、ガス回路は、鼻プロング152に呼吸ガスの流れを供給し、それゆえ供給チューブと呼ばれ得る、少なくとも1本のガスチューブ154を含む。図示の配置構成では、単一の供給チューブ154が設けられ、かつ鼻カニューレ102の片側に延在する。他の配置構成では、供給チューブ154は、他の方向に延在し得るおよび/または複数の供給チューブ154が設けられ得る。例えば、いくつかの構成では、供給チューブ154は、鼻カニューレ102上に設けられ、かつその各側部まで延在し得る。使用中、供給チューブ154は、加圧ガス源300に、および任意選択的に、加湿器302に接続され得る。加圧ガス源300は、使用者に酸素補給を行うように構成され得る。任意の好適な加圧ガス源300が使用され得る。
【0073】
鼻カニューレ102はまた、好ましくは、鼻カニューレ102を使用者の頭部上に固定するかまたは保持する保持またはヘッドギア配置構成を含む。図示のカニューレ102では、ヘッドギア配置構成は、使用者の頭部の周りをカニューレ本体150の一方の側部からカニューレ本体150の他方の側部まで延在する単一ストラップ156の形態にある。しかしながら、他の構成では、ヘッドギア配置構成は、複数のストラップまたは複数のストラップ部分を含むなど、より複雑とし得る。ヘッドギア配置構成は、使用者の後頭部の周りに延在する後部および/または使用者の頭頂部に延在する上部を含み得る。ヘッドギア配置構成は、可撓性部分または比較的剛性の部分、弾性または比較的非弾性の部分、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0074】
好ましくは、ヘッドギア配置構成は、ヘッドギア配置構成の長さまたはサイズを調整可能にする1つ以上の調整部分または調整機構158を含む。調整機構158は、任意のマルチポジションコネクタなどの任意の好適な配置構成のものにでき、および個別の調整位置を有し得るか、または無限に調整可能とし得る。例えば、調整機構158は、1つ以上の調整ループまたは重なり合う部分を形成するかまたは有するストラップまたはストラップ部分を含むことができ、これは、例えばスライド式バックルまたは面ファスナーによってサイズを調整し得る。例えばマルチポジションスナップクロージャーなどの他の好適な配置構成も使用され得る。
【0075】
他の構成では、鼻カニューレ102は、鼻カニューレ102を使用者の頭部に固定または保持するための他の配置構成を含み得る。例えば、鼻カニューレ102は、カニューレ本体150の患者に対面する面に「ループ」パッドを含み、これは、使用者の顔に付着される相補的な「フック」パッドとインターフェースし得る(例えば、「フックアンドループ」式の接続)、またはその逆も同様である。第2の例として、鼻カニューレ102は、鼻カニューレ102を頭部に固定または保持するように適合されたヘルメット、ボンネットまたは頭巾式のヘッドウェアに接続され得る。第3の例として、鼻カニューレ102の一部分(限定されるものではないが、カニューレ本体150を含む)は、顔に直接付着され得る(例えば、剥離可能な付着構造)。いくつかの構成では、鼻カニューレ102のヘッドギアまたは他の保持配置構成は、マスク100のヘッドギアまたは他の保持配置構成とは別個であるか、またはマスク100のヘッドギアまたは他の保持配置構成を支援せずにまたはそれを当てにすることなく、少なくとも鼻カニューレ102を使用者の頭部に保持することができる。
【0076】
上述のまたは他の点では、鼻カニューレ102は、所望の用途に好適な任意の配置構成のものとし得る。例えば、カニューレ本体150は、1つまたは複数の鼻プロング152を支持するフレーム160を含み得る。1つまたは複数の鼻プロング152は、フレーム160と一体的に形成され得るか、またはフレーム160に永久的にまたは取り外し可能に固定される1つまたは複数の別個の構成要素とし得る。図示の配置構成では、鼻プロング152およびフレーム160は、例えば、射出成形によって形成される一体的な構造である。
【0077】
図示のフレーム160は、一般的に、上唇を横切って横方向に、および使用者の頬の方へまたはその上へと延在する細長い構造である。鼻プロング152は、フレーム160の中央部分から上方に延在する。フレーム160は、比較的軟質で弾力性のある材料から作製され、フレーム160は、一般的に、フレーム160に加えられる外力がないと、その形状を保持し得るだけでなく、特定の使用者の顔に全体的に一致し得る。例えば、シリコーンなどの軟質で可撓性の材料、当業界で公知の他のカニューレ材料、または他の好適な材料が使用され得る。
【0078】
いくつかの構成では、ヘッドストラップ156は、フレーム160のスロットまたは他のロッキング面に係合するロック用タブまたは他のロッキング部材を有するクリップ162などの任意の好適なコネクタによって、フレーム160の外側端部分に結合され得る。クリップ162は、少なくとも一部には、軟質材料(例えば、シリコーン)製のカバースリーブから形成されるかまたはそれを含んで、使用者に快適さをもたらすおよび/またはクリップ162が使用者の顔をしっかりとつかむようにし得る。
【0079】
いくつかの構成では、フレーム160は、供給チューブ154に接続されかつガスの流れを供給チューブ154から1つまたは複数の鼻プロング152へと送給するマニホールド164を受け入れるように構成され得る。マニホールド164は、比較的剛性の材料、またはフレーム160および/または1つまたは複数の鼻プロング152の材料よりも剛性の材料で構成され得る。例えば、いくつかの構成では、マニホールド164は、全体的にまたは一部が、ポリカーボネート、高密度ポリエチレン(HDPE)または別の好適な材料で構成される。マニホールド164は、マニホールド164を介して供給チューブ154から1つまたは複数の鼻プロング152へと呼吸ガスの流れを連通できるようにする1つ以上の開口部またはポートを含み得る。好適な鼻カニューレ102の一例は、出願人の公報である国際公開第2014/182179号パンフレット(PATIENT INTERFACE AND HEADGEAR FOR A RESPIRATORY APPARATUS)に開示されており、その全体が、参照することにより本書に援用され、かつ本開示の一部をなす。
【0080】
図示のマスク100は、密封性クッション104、1つ以上のカニューレ切り取り部106、マスクフレーム108、ヘッドギア配置構成またはヘッドストラップ110、一方向弁112、可変通気口114および固定バイアス流れ通気口116を含む。当業界で公知の非侵襲性の呼吸マスクとは異なり、図示のマスク100は、空気供給導管または接続ポートを含まなくてもよい。代わりに、使用者への空気流の一部分またはほとんどが、いずれの不足分も1つまたは複数の一方向弁112を通して供給されながら、鼻カニューレシステム102によって供給される。そのような配置構成では、マスク100は、使用者の気道内の呼気圧を上昇させ得る圧力容器の機能を果たし得る。
【0081】
マスク100は、全体的にまたは一部が、マスクフレーム108および密封性クッション104で作製され得るマスク本体170を含み得る。密封性クッション104は、本明細書では、「シール」または「クッション」と呼ばれ得る。マスクフレーム108は、クッション104と一体的にし得るか、またはそれを支持し得る。図示の配置構成では、マスクフレーム108およびクッション104は、別個の構成要素であるか、または少なくとも別個のステップで形成されている。マスクフレーム108は、マスクフレーム108に加えられる外力がない場合に、その形状を少なくとも実質的に維持できる材料から構成され得る。いくつかの構成では、マスクフレーム108は、弾力性であるとし得る。他の構成では、マスクフレーム108は、比較的剛性、またはクッション104よりも剛性とし得る。例えば、マスクフレーム108は、全体的にまたは一部が、ポリカーボネート、高密度ポリエチレン(HDPE)または別の好適な材料から構成され得る。マスクフレーム108は、一体形の構造とし得るか、またはマルチピース構造とし得る。例えば、第1のマスクフレーム部分または要素は、クッション104を支持し、および第2のマスクフレーム部分または要素は、ヘッドギア110の接続をもたらし得る。第1のマスクフレーム部分および第2のマスクフレーム部分は、互いに、永久的に、または好ましくは、取り外し可能に接続され得る。
【0082】
クッション104は、使用者とマスク100との間にインターフェースをもたらすように構成され、かつシリコーンゴム、熱可塑性エラストマーまたは任意の他の好適なシール材料などの可撓性材料から作製され得る。クッション104は、任意の好適なプロセスまたは配置構成によって、マスクフレーム108に固定され得る。例えば、クッション104は、フランジ-溝の配置構成などによって、マスクフレーム108に取り外し可能に結合され得る。他の構成では、クッション104は、接着剤によって、または成形プロセス(例えば、オーバーモールディング(overmolding)または共成形)の最中に、マスクフレーム108に取り付けられ得る。
【0083】
クッション104は、好ましくは、マスク100が使用者に適用されるとき、鼻カニューレ102が使用される間、鼻カニューレ102を収容するように構成された1つ以上の特徴を含む。例えば、クッション104は、少なくとも1つのカニューレ凹部または切り取り部106を含み得る。他の構成では、クッション104は、クッション104が鼻カニューレ102にわたって伸びることができる適合性を高めた領域または薄壁の領域などの、鼻カニューレ102を収容するための他の構成を含み得る。そのような薄壁の領域は、クッション104の周囲部分よりも著しく薄い壁の厚さを有し、および全体的に、クッション104の下側を通過する鼻カニューレ102の部分のサイズおよび/または形状に対応するサイズおよび/または形状にされ得る。薄壁の領域の例は、出願人のPCT出願である、2015年2月26日出願のPCT/NZ2015/050019号明細書(「RESPIRATORY MASK WITH NASOGASTRIC TUBE PATH」)に説明されており、その全体が、参照することにより本書に援用され、かつ本開示の一部をなす。図示の配置構成では、クッション104は、マスク100の各側部にカニューレ切り取り部106を含む。特に、図示のクッション104は、マスク100の各側面に切り取り部106を含む。切り取り部106は、概して鼻カニューレ、または特に鼻カニューレ102の側面の幾何学的形状を収容、補足または適合するように構成され得る。そのような配置構成は、好ましくはカニューレとマスク100との間の間隙を最小限または容認可能な程度にして、カニューレをマスク100と使用者の顔との間に通過させることができるようにする。好ましくは、マスク100は、鼻カニューレ102と組み合わせて使用者に適切に位置決めされると、マスク100のない鼻カニューレ102を使用するのと比較して、マスク100の内部空間または呼吸キャビティ内の圧力の上昇および/または使用者の気道内の呼気圧の上昇を可能にするのに十分な、使用者の顔とのシールを生じ得る。いくつかの構成では、マスク100はまた、鼻カニューレ102と少なくとも実質的なシールを生じる。使用者の顔および鼻カニューレ102とのシールの組み合わせは、マスク100の内部空間または呼吸キャビティ内の圧力の上昇および/または使用者の気道内の呼気圧の上昇を可能にするのに十分である。従って、本明細書では、マスク100と使用者の顔との間のシールの説明は、別段の指示がない限り、マスク100と鼻カニューレ102との間のシールを含み得る。いくつかの構成では、マスク100は、マスク100のない鼻カニューレ102の使用と比較して、マスク100の内部空間または呼吸キャビティ内の圧力の上昇および/または使用者の気道内の呼気圧の上昇において、治療的に意味のある上昇を可能にするのに十分な、使用者の顔とのシールを生じることができる。
【0084】
本明細書で説明するように、マスク100は、特定の鼻カニューレまたはいくつかの特定の鼻カニューレと一緒に使用するために構成され得る。例えば、マスク100は、図示のおよび本明細書で説明する鼻カニューレ102と一緒に使用するために構成され得る。いくつかの構成では、切り取り部106は、マスク100が鼻カニューレ102と組み合わせて使用されるとき、クッション104と使用者の顔との間を通過する鼻カニューレ102の複数の部分を収容するように構成され得る。
【0085】
切り取り部106は、切り取り部106を通過する鼻カニューレ102の部分の形状に近いか、これに相補的であるか、またはそれに厳密に適合する形状またはプロファイルを有し得る。いくつかの構成では、切り取り部106は、単に、鼻カニューレ102の形状を収容してもまたはそれに近くてもよく、およびマスク100は、鼻カニューレ102の形状に伸張または一致するクッション104の材料の能力に頼り得る。他の構成では、切り取り部106は、鼻カニューレ102の形状に密接に従い得るまたは実質的に適合し得る。
【0086】
クッション104は、使用者の鼻および/または口を包み込むような形状、サイズにされるかまたは他の方法でそのように構成され得る。クッション104は、実質的に三角形の形状またはプロファイルを有し得る側壁118を有し得る。側壁118は、第1の端部を有することができ、第1の端部は、使用者の顔に近接しており、かつ使用者の顔に接触するシーリング面または使用者接触面172へと移行する。シーリング面172は、実質的に垂直な方向に、側壁118からマスク100の中心の方へ延在する。カニューレ切り取り部106は、シーリング面172の階段状領域の形態を取り得る。いくつかの構成では、切り取り部106は、クッション104のシーリング面172に間隙を生じる。すなわち、切り取り部106の端部分は、シーリング面172の周囲を辿る方向において、互いに離間され得る。
【0087】
鼻カニューレは、一般に、使用者の鼻の下側から、使用者の頬を横切って、使用者の耳の方へ横方向に延在する。本明細書で説明するように、切り取り部106内のクッション104の表面の幾何学的形状は、マスクのシーリング面のすぐ下に延在する鼻カニューレの幾何学的形状に適合するように構成され得る。マスク100と組み合わせて使用される特定の鼻カニューレに依存して、これは、切り取り部106の形状または幾何学的形状が、クッション104の各側部で異なることを必要とし得るかまたはそのようにすることを望ましくし得る。例えば、カニューレが、
図1~4のカニューレ102のように非対称的な空気源を有する場合、切り取り部106の形状または幾何学的形状も非対称的とし得る。図示の配置構成では、
図1に示すように、鼻カニューレ102のフレーム160の一部分が、クッション104とマスク100の片側の使用者の顔との間を通過する。その側部では、切り取り部106は、クッション104の下にあるフレーム160の部分の形状にほぼ対応するほぼ長方形のプロファイルまたは形状を有する。マスク100の他方の側部では、
図2に示すように、フレーム160および供給チューブ154の一部分が、クッション104と使用者の顔との間を通過する。その側部では、切り取り部106は、供給チューブ154の形状にほぼ対応する全体的に半円形プロファイルまたは形状を含む。チューブ154側の切り取り部106はまた、ほぼ長方形の部分を含むことができ、切り取り部106全体が、フレーム160と供給チューブ154との組み合わせの形状にほぼ対応する。
【0088】
いくつかの構成では、1つ以上の一方向弁112は、マスクフレーム108内など、マスク100上に設けられる。1つまたは複数の一方向弁112は、使用者の吸息時に開放し、鼻カニューレ102によって供給された空気と一緒に周囲空気の取り込みを可能にし、および使用者の呼息時に少なくとも部分的に閉鎖して流れを制限し、マスク100内の上昇圧力を維持するように構成され得る。周囲空気の取り込みは、吸気抵抗を低減させることによって、使用者の吸気流の条件が確実に適合するようにすることを支援する。1つまたは複数の一方向弁112は、呼息で閉鎖されたままとし得るため、マスク100の内側と大気との間の空気流を制限し、それゆえ、呼気および使用者の気道内の圧力に対する抵抗を増大させる。呼吸圧および呼気抵抗の上昇は、使用者の呼吸数を低下させるのを支援し得る。いくつかの構成では、1つまたは複数の弁112は、使用者の吸息がない場合には、完全に閉鎖される代わりに、幾分開放したままとし得る。1つまたは複数の弁112は、わずかに開放する位置へと予荷重され得るかまたは偏らされ得るため、周囲ガスが1つまたは複数の弁112を通ってマスク100内まで通過できるようにする。現在、特に重症の患者に対し、吸気する際に弁112を開放するために必要な力の量を小さくして、その結果、圧補助がわずかに低下した場合でも、患者が確実に適切に換気されるようにすることが有用とし得ると考えられている。いくつかの構成では、1つまたは複数の一方向弁は、適切な力(例えば、使用者の呼気)に応答して、わずかに開放した、偏らされた位置または通常の位置から閉鎖位置へ動くように構成され得る。例えば、偏りは、1~5cmのガス圧によって弁112を閉鎖位置の方へまたはその位置へと動かし、それにより、マスク内の圧力を高めるように、選択されることができる。いくつかの構成では、1つ以上の弁112は、マスクフレーム108の側面に配置され得る;しかしながら、他の実施形態では、弁112は、マスク100の任意の他の好適な箇所に配置され得る。
【0089】
いくつかの構成では、可変通気口114は、マスク100に含まれる。一実施形態では、通気口114は、例えば、手動機構を備え得るマスクフレーム108に開口部または開放領域を含み、この手動機構は、開口部の一部分または全体をブロックすることによって、使用者が通気口114を可変的に開閉できるようにする。それゆえ、マスク100外の大気との連通を可能にする開口部の有効サイズは、様々とすることができ、それにより、通気口114の有効サイズを変化させることができる。他の配置構成では、通気口114は、非可変的としてもよいおよび/または自動的に制御されてもよい。可変通気口114は、マスク100を取り外すことなく、呼気圧の適用を選択的に適用できるようにする。HF療法を受けている患者は、呼吸窮迫のエピソードが発現しているだけかもしれないため、継続的な呼気圧補助は必要ないかもしれない可能性がある。可変通気口114が存在することによって、使用者および/または医師は、マスク100によってもたらされる圧力の量を選択的に適用および/または可変的に調整できる。可変通気口114が実質的に開放しているとき、呼吸可能なガスは、少なくとも比較的自由にマスク100へ流入しかつそこから流出し、およびマスク100の内側の圧力は、大気圧と実質的に同じとし得る。
【0090】
マスク100を取り外すことなく、使用者の気道への圧補助を除去する能力によって、使用者および/または医師は、圧補助が除去されたときに、使用者が依然として呼吸窮迫に苦しんでいる場合にマスク100を取り外したり再び取り付けたりする煩わしさを伴わずに、呼吸数が安定状態を保っているかどうかを確認できるようにする。可変通気口114は、開放されて、マスク100内の内部圧力を低下させることができ、および使用者の呼吸数が安定状態を保っている場合には、マスクを取り外すことができる。しかしながら、使用者の呼吸数が上昇している場合、可変通気口114を閉鎖することができ、およびマスクを再び取り付けるという煩わしさを伴わずに、内部圧力を回復させる。可変通気口114を有することによって、使用者を、通気口114を徐々に開放してマスク100内の内部圧力を低下させることにより、圧補助から次第に引き離すことができる。
【0091】
図3に示すような、いくつかの構成では、可変通気口114は、マスク100の前側の中心に配置され得る。この箇所は、使用者または医師による通気口114への簡単なアクセスおよびその操作を可能にすることにおいて有用とし得る。いくつかの構成では、通気口114は、回転可能なカバー204によって部分的にまたは完全に隠され得る半円形の出口202を含み得る。代替的な実施形態では、可変的に覆われ得る任意の好適な形状の1つ以上の通気出口があるとし得る。通気口カバーは、限定されるものではないが、平面的な摺動、蝶番的な運動(hinged motion)または完全に別個のキャップの取り外しを含む、様々な方法で動くように構成され得る。
【0092】
いくつかの構成では、マスク100は、1つ以上の固定バイアス流れ通気口116を含む。バイアス流れ通気口116は、呼吸可能なガスがマスク100の内側から大気へと流れることができるようにする、任意の好適な形態を取り得る。これは、限定されるものではないが、1つ以上の小さな孔、多孔質材料の領域、またはクッション104とカニューレ102または使用者の顔との間の間隙を含み得る。バイアス流れ通気口116は、排出経路を提供し、マスク100からCO2を流し出す。バイアス流れ通気口116の幾何学的形状は、少なくとも一部にはマスク100内のデッドスペースに基づいて決定され得る、ある流量の空気がバイアス流れ通気口116を通過できるように、選択または構成され得る。図示の配置構成では、バイアス流れ通気口116は、マスクフレーム108の中心位置に配置された一連の小さな孔を含む。しかしながら、他の配置構成では、1つまたは複数のバイアス流れ通気口116は、マスク100の任意の他の好適な位置に配置され得る。
【0093】
いくつかの構成では、本明細書で説明するように、マスク100は、鼻カニューレ102とは無関係に、ヘッドストラップ110または任意の他の適切な固定配置構成によって、使用者に固定され得る。鼻カニューレ102とは無関係に使用者に取り付けられていることは、鼻カニューレ102の適合性への干渉を最小限にして、マスク100の適合性の調整を可能にする。マスク100は、鼻カニューレよりも実質的に大きいため、使用者の頭部および/または顔に効果的に固定されるために、より高いヘッドギアの張力またはより高い構造完全性を必要とし得る。
図1~4の配置構成では、ヘッドストラップ110は、弾性材料製とし得る単一のまたは分岐型のストラップを含むように構成され得る。その代わりに、ヘッドストラップ110は、実質的に非弾性材料で作製でき、およびバックルまたは任意の他の適切な機構などの調整機構を含み得る。さらなる配置構成では、マスク100は、複数のストラップ、および限定されるものではないがフックアンドループ用タブなどの調整機構を含むヘッドギアを含むように構成され得る。他の構成では、マスク100およびカニューレ102の双方とも、システムとして使用するために特別に設計され得るか、または統合ユニットとして提供され得る。
【0094】
図4は、マスク100の下側を示す。
図4はまた、マスク100の内側から結露を放出できるようにするように構成され得る追加的な(任意選択的な)通気口400を示す。HF療法の最中に患者に適用されたガスは、高い温度および湿度を有し得る。マスク100と組み合わせられると、高い温度および湿度のガスは、マスクの空気流の流出が制限されかつマスクフレーム108の表面が冷たい結果、マスク100内に結露を形成することが可能である。マスク内の結露が増えることへの、いくつかの望ましくない影響がある。それらの影響のうちのいくつかは、限定されるものではないが、使用者の療法に干渉し、使用者の皮膚に不快であり、およびうっとうしい騒音を生じることを含む。通気口400は、マスク100に、マスク100から結露を除去できるようにするように設けられ得る。いくつかの構成では、通気口400は、吸息の際に開放して、弁の領域に溜まった水分が吸息の最中に排出できるようにする一方向弁とし得るかまたはそれを含み得る。別の構成では、通気口400は、呼息の際に開放して、水分をマスク100から強制的に出すようにする一方向弁とし得るかまたはそれを含み得る。この実施形態では、弁は、呼息の際の開放時に、マスク100内の内部圧力を実質的に低下させないように構成され得る。その代わりに、通気口400は、手動で取り外し可能なプラグまたはキャップによって密封される開口部とし得る。使用者または医師は、必要に応じてまたはマスク100から水分を排出したいと望むときに、通気口400を開放できる。図示の構成では、通気口400は、マスクフレーム108の下側および/または下向きの面に配置される。そのような配置構成は、重力によって結露がマスク100の底部の方、それゆえ通気口400へ落ちるのを促すため、通気口400が排水器の機能を果たすことができるようにする。マスク100の底部から水分を放出することによって、マスク100を取り外すことなく、結露の増加を低減させることが可能である。
【0095】
図5は、マスク500の代替的な実施形態の下側の図を示し、本明細書で明白に説明する特徴を除いて、マスク100と同じとし得るかまたはそれに類似し得る。圧力ポート502は、マスク500内の圧力を測定できるようにマスク500に設けられ得る。そのような配置構成は、流量調整器が、吸気と呼気との間の圧力スイングを測定できるようにする。その後、マスク500の内側からの圧力データは、カニューレ102に対する流量調整器によって使用されて、呼吸数および呼吸窮迫のレベルを測定し得る。その後、この情報は、流量調整器上のディスプレイなどのディスプレイに、またはUSB、Bluetooth(登録商標)もしくは別の好適な通信プロトコルを介してコンピュータまたは電話のディスプレイに通信されて、可変通気口114に好適な開放位置を示し得る。この位置は、医師によって手動で設定されるか、または別の実施形態では、流量調整器によって自動的に制御されて、所望の呼吸数を達成するためのレベルに呼気圧を維持できる。この制御は、流量調整器とマスク500との間の電子接続によって行われ、これにより、通気の制御によってマスク500内の圧力を調整する自動弁の制御を可能にする。表示された情報はまた、患者がもはや圧補助を必要とせず、療法はカニューレ102のみで継続することができるため、マスク500を取り外すことができるときを示してもよい。
【0096】
さらなる配置構成では、可変通気口114の位置を制御するのではなく、流量調整器のモータ速度は、吸気および呼気の最中に変更されてマスク500内の圧力を制御しかつ使用者の呼吸数を管理し得る。このようにして、可変通気口114を開放する効果は、呼気の最中に、流量調整器モータ速度を低下させることによって、自動的にシミュレーションされ得る。その後、調整器は、圧力ポート502によって提供された、マスク500内からの圧力測定値を使用して、患者の呼吸数が、カニューレ102単独で継続される療法によってマスク500が安全に取り外され得るものであるかどうかを決定し得る。そのような配置構成は、本質的に、閉鎖ループシステムを提供し、ここでは、流量調整器は、流れが誘発した圧力を修正することによって、医師からの相互作用を必要とせずに、使用者の呼吸数を測定し、解釈しおよびそれに影響を及ぼし得る。そのような配置構成では、好ましくは、医師によって必要とされる唯一の相互作用は、マスク500の適用および取り外しである。
【0097】
それに加えてまたはその代わりに、いくつかの構成では、
図5に示すように、マスク500は、呼気終末陽圧(PEEP)弁506をマスク500に接続できるようにするポート504を含み得る。当業界で公知のような任意の好適なPEEP弁構成は、この目的に使用され得る。PEEP弁構成の一例は、出願人の米国特許第7,341,059号明細書(「BREATHING ASSISTANCE APPARATUS」)においてコネクタに組み込まれ、その文献全体が、参照することにより本書に援用され、かつ本開示の一部をなす。呼息時、マスク500は、圧力容器の機能を果たし、呼吸圧を上昇させる。PEEP弁506は、最大圧力閾値を設定し、これを超えると、PEEP弁506は開放し、かつ上述の閾値圧力を通気する。圧力がPEEP弁圧力であるかまたはそれを下回ると、弁は再度閉鎖する。それゆえ、マスク500は、マスク500、気道および肺に陽圧を生成できるようにする一方、PEEP弁506は、最大呼気圧の発生を制限する。PEEP弁506は、可能な最大陽圧を提供でき、その陽圧は、手動で変更することができるか、またはいくつかの実施形態では、流量調整器、圧力ポート502、および電子アクチュエータによってもたらされたフィードバックループによって可変的に制御され得る。この配置構成の別の変形形態では、PEEP弁506は、マスク500に永久的に接続され得る。
【0098】
図6aおよび
図6bは、鼻カニューレ102と組み合わせられたときの、マスク100、500の適用が有する影響を示す。
図6aは、30L/分の流量を供給する鼻カニューレ102を装着しているときの患者の鼻孔内の圧力を示す。
図6bは、30L/分の流量を供給する鼻カニューレ102と組み合わせて、マスク100、500を装着している患者の鼻孔内の圧力を示す。カニューレ102の上部へのマスク100、500の適用は、呼吸圧力を上昇させる所望の効果を有することが明白であり、これは、波形の高さが高くなり、およびより長い波長によって示されるように呼吸数が低下することによって示されている。呼吸圧は、使用者の呼吸サイクルの吸気および呼気相の双方で上昇することが示される。呼吸数の低下によって示されるように呼吸窮迫を減少させ得るために、呼気圧が上昇することが有益である。
【0099】
文脈上明白に他の意味に解釈すべき場合を除いて、説明および特許請求の範囲を通して、語「含む(comprise)」、「含む(comprising)」などは、排他的または徹底的であるのとは対照的に、包括的に、すなわち、「限定されるものではないが、~を含む」という意味で解釈される。本明細書で使用される条件付きの文言、例えば、とりわけ、「できる、得る(can)」、「できた」、「かもしれなかった」、「かもしれない」、「例えば」などは、そうではないと特別に述べる場合、または使用されるような文脈内でそうではないと理解される場合を除いて、一般的に、いくつかの特徴、要素および/または状態を、いくつかの実施形態は含む一方で、他の実施形態は含まないことを伝えるものとする。それゆえ、そのような条件付きの文言は、一般的に、特徴、要素および/または状態が1つ以上の実施形態に多少なりとも必要とされていること、またはこれらの特徴、要素および/または状態が、含まれるかどうか、または任意の特定の実施形態で実施されるかどうかを、著者が入力するかまたは促して、またはそうすることなく、1つ以上の実施形態が、決定するための論理を必然的に含むことを暗示するものではない。
【0100】
用語「複数」は、2つ以上のアイテムを指す。本明細書で開示される任意の数量、寸法、サイズ、配合、パラメータ、形状および他の特徴は、別段の指示がない限り、正確である必要はなく、用語「約」または「ほぼ」が先行していると解釈され得る。従って、そのような数量、寸法、サイズ、配合、パラメータ、形状および他の特徴は、概算値とし得るおよび/または所望に応じてそれよりも大きいかまたは小さく、容認可能な公差、変換係数、四捨五入、測定誤差など、および当業界で公知のファクターを反映する。そのような用語はまた、用語「実質的に」が先行すると解釈され得る。これは、引用した特徴、パラメータ、または値が、正確に達成される必要がないことを意味するが、例えば、公差、測定誤差、測定精度限界および当業界で公知のファクターを含むその逸脱またはばらつきは、発生するかもしれず、結局、特徴がもたらすことが意図された効果を除外しないことを意味する。
【0101】
本明細書では、数値データは、範囲形式で表わされ得るまたは示され得る。そのような範囲形式は、単に、便宜上および簡便に使用されるため、範囲の限界値として明白に引用された数値を含むと柔軟に解釈されるだけでなく、各数値および部分範囲が明白に引用されるかのように、その範囲内に含まれる個々の数値または部分範囲の全ても含むと解釈される必要があることが理解される。例として、「1~5」の数値範囲は、約1~約5の明白に引用された値を含むと解釈される必要があるだけでなく、示した範囲内の個々の値および部分範囲も含むと解釈される必要がある。それゆえ、この数値範囲に含まれるのは、2、3および4などの個々の値、および「1~3」、「2~4」および「3~5」などの部分範囲などである。この同じ原理は、1つの数値のみを引用する範囲(例えば、「1を上回る」)にも当てはまり、かつ範囲の広さまたは説明される特徴に関わらず、適用される必要がある。
【0102】
複数のアイテムは、便宜上、一般的なリストに提示され得る。しかしながら、これらのリストは、リストの各メンバーが別個のおよび固有のメンバーとして個々に特定されるかのように解釈される必要がある。それゆえ、そのようなリストの個々のメンバーは、事実上、それとは反対であると示すことなく、単に一般的な群における提示に基づいて、同じリストの任意の他のメンバーと等価であると解釈されるべきではない。さらに、アイテムのリストと併せて用語「および」および「または」を使用する場合、それら用語は、リストしたアイテムの任意の1つ以上が単独で、または他のリストしたアイテムと組み合わせて使用され得ると、広義に解釈される。用語「その代わりに」は、2つ以上の代替例のうちの1つの選択であり、および選択を、文脈上明白に他の意味を示す場合を除いて、それらのリストした代替例のみに、または一度に、リストした代替例の1つのみに限定するものではない。
【0103】
本明細書でのいずれかの従来技術への言及は、世界中のいずれかの国での努力分野において、その従来技術が共通の一般知識の一部を形成することの承認でも、または任意の形態の提案でもなく、そのように取られるべきではない。
【0104】
上述の説明において、完全体またはその公知の等価物を有する構成要素に言及したが、本明細書では、それらの完全体は、個別に説明されているかのように援用される。
【0105】
本発明はまた、本出願の明細書において、言及されたかまたは示された部分、要素または特徴の2つ以上の組み合わせのいずれかまたは全てにおいて、個別にまたはまとめて、前記部分、要素および特徴にあると広範囲に記載され得る。
【0106】
本明細書で説明する、ここで好ましい実施形態への様々な変更および修正が当業者には明らかであることに留意されたい。そのような変更および修正は、本発明の趣旨および範囲から逸脱せずに、およびそれに付随する利点を減じることなく、なされ得る。例えば、様々な構成要素は、所望通りに再配置され得る。それゆえ、そのような変更および修正は、本発明の範囲内に含まれるものとする。さらに、特徴、態様および利点の全てが、必ずしも、本発明の実施に必要とされるわけではない。従って、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲によってのみ定義されるものとする。
【手続補正書】
【提出日】2023-12-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者インターフェースシステムであって、
使用者に高流量療法を提供するように構成された鼻カニューレと、
マスク本体を有するマスクと、を備え、
前記マスク本体は、使用者接触面と、前記使用者接触面が使用者の顔に接触しているときに内部空間とを画定し、前記マスク本体は、前記鼻カニューレが前記内部空間内から前記内部空間の外側に延びるように適合された少なくとも1つの凹部を含み、前記マスク本体は、前記マスクが前記鼻カニューレと組み合わせて使用されるときに前記鼻カニューレの周囲にシールを形成するように適合され、前記マスクは、前記鼻カニューレとは無関係に使用者に選択的に固定可能または使用者から取り外し可能であり、
前記マスクの前記内部空間は、前記マスクが前記使用者接触面を使用者の顔に接触させて使用者の頭部に配置されたときに、前記鼻カニューレ本体の少なくとも一部を収容するように構成されており、
前記患者インターフェースシステムでは、さらに、
前記マスク内の圧力測定値に基づいて前記マスク内の呼気圧を制御するように構成されたシステムを備える、
患者インターフェースシステム。
【請求項2】
前記マスクは、前記内部空間と連通し、前記内部空間内の圧力の測定を可能にする圧力ポートをさらに備える、請求項1に記載の患者インターフェースシステム。
【請求項3】
前記圧力ポートにより、吸気と呼気の間の圧力変動を測定できる、請求項1または2に記載の患者インターフェースシステム。
【請求項4】
前記マスク内の呼気圧を制御する流量調整器を備えている請求項1~3のいずれか1項に記載の患者インターフェースシステム。
【請求項5】
前記マスク内の圧力を制御し、使用者の呼吸数を管理するために、吸気および呼気中に流量調整器のモータ速度が変更される、請求項4に記載の患者インターフェースシステム。
【請求項6】
前記マスクは、前記マスク内の圧力を制御するための可変通気口をさらに備える、請求項1~5のいずれか1項に記載の患者インターフェースシステム。
【請求項7】
前記マスク内からの圧力データにより、手動調整のための可変通気口の開放位置の指示が得られるか、または調整器が圧力データに基づいて前記可変通気口の開放位置を自動的に制御するように構成されている、請求項1~6のいずれか1項に記載の患者インターフェースシステム。
【請求項8】
前記システムが閉鎖ループシステムである、請求項1~7のいずれか1項に記載の患者インターフェースシステム。
【請求項9】
前記マスクが1つまたは複数の一方向弁をさらに備え、使用者への空気流の一部または大部分が鼻カニューレシステムによって供給され、不足分は前記1つまたは複数の一方向弁を通して供給される、請求項1~8のいずれか1項に記載の患者インターフェースシステム。
【請求項10】
前記マスクが空気供給導管または接続ポートを含まない、請求項1~9のいずれか1項に記載の患者インターフェースシステム。
【請求項11】
前記鼻カニューレが非密封性カニューレである、請求項1~10のいずれか1項に記載の患者インターフェースシステム。
【請求項12】
前記鼻カニューレが6~60L/minの流量で気体を供給するように構成されている、請求項1~11のいずれか1項に記載の患者インターフェースシステム。
【請求項13】
前記鼻カニューレが、前記鼻カニューレの片側に延在する単一の供給チューブを備える、請求項1~12のいずれか1項に記載の患者インターフェースシステム。
【請求項14】
前記マスクが、前記マスクに接続される呼気終末陽圧(PEEP)弁を可能にするポートを有する、請求項1~13のいずれか1項記載の患者インターフェースシステム。
【請求項15】
高流量療法を提供するように構成された鼻カニューレと組み合わせて使用者に装着するように構成されたマスクであって、
マスク本体を有するマスクを備え、
該マスク本体は、使用者接触面と、該使用者接触面が使用者の顔と接触しているときの内部空間とを画定し、該マスクはマスク保持配置構成を含み、該マスク保持配置構成は、前記マスク本体に結合され、前記マスクを前記使用者の頭部に保持し、
前記マスクは、鼻カニューレとは無関係に、使用者に選択的に固定可能または使用者から取り外し可能であり、
前記マスクの内部空間は、前記マスクが使用者の頭部に配置され、前記使用者接触面が使用者の顔に接触しているときに、鼻カニューレ本体の少なくとも一部を収容するように構成されており、
前記マスク本体は、前記鼻カニューレが前記内部空間内から前記内部空間外に延びるように適合された少なくとも1つの凹部を含み、
前記マスク本体は、前記マスクが前記鼻カニューレと組み合わせて使用されるときに、前記鼻カニューレの周囲にシールを形成するように適合されている、
マスク。
【請求項16】
前記少なくとも1つの凹部が、前記鼻カニューレが使用時にマスクと使用者の顔の間を通過できるように、鼻カニューレの側面の形状を収容、補足、または適合するように構成されている、請求項15に記載のマスク。
【請求項17】
前記マスク本体は、前記使用者接触面を画定するクッションを備え、前記少なくとも1つの凹部は、前記クッションによって少なくとも部分的に画定される、請求項15又は16に記載のマスク。
【請求項18】
前記少なくとも1つの凹部が前記使用者接触面を中断する、請求項15~17のいずれか一項に記載のマスク。
【請求項19】
前記少なくとも1つの凹部が、前記マスクの第1の側部の第1の凹部と、前記マスクの第2の側部の第2の凹部とを含む、請求項15~18のいずれか一項に記載のマスク。
【請求項20】
前記第1の凹部および前記第2の凹部は、サイズが互いに異なる、請求項19に記載のマスク。
【請求項21】
前記少なくとも1つの凹部は、半円形プロファイルを含む、請求項19又は20に記載のマスク。
【請求項22】
鼻カニューレ本体が、前記鼻カニューレ本体の対向側部に一対のサイドアームを備え、前記少なくとも1つの凹部が、前記鼻カニューレのサイドアームの1つおよび/または前記鼻カニューレのガスチューブの形状に適合するように構成されている、請求項19~21のいずれか一項に記載のマスク。
【請求項23】
ガスチューブが鼻カニューレの片側に延び、前記第1の凹部が前記鼻カニューレの再度アームの1つの形状に適合するように構成され、前記第2の凹部が少なくとも前記ガスチューブの形状に適合するように構成される、請求項19を引用する請求項22に記載のマスク。
【請求項24】
前記鼻カニューレが、前記鼻カニューレの片側に延びる単一の供給チューブを備える、請求項15~23のいずれか一項に記載のマスク。
【請求項25】
前記マスク本体がフレームを備え、前記マスク保持配置構成がマスクヘッドギアを備え、前記マスクヘッドギアがフ前記レームに結合されており、前記カニューレ保持配置構成は、カニューレヘッドギアを含み、該カニューレヘッドギアは、前記一対のサイドアームの各々に結合されている、請求項22を引用する請求項2、5、23及び24のいずれか1項に記載のマスク。
【請求項26】
前記マスクが、空気供給導管または接続ポートを含まない、請求項15~25のいずれか一項に記載のマスク。
【外国語明細書】