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特開2024-23503Dモデル管理装置および3Dモデル管理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024002350
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】3Dモデル管理装置および3Dモデル管理システム
(51)【国際特許分類】
   G06F 30/10 20200101AFI20231228BHJP
   G06F 111/20 20200101ALN20231228BHJP
【FI】
G06F30/10 100
G06F111:20
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022101483
(22)【出願日】2022-06-24
(71)【出願人】
【識別番号】591036457
【氏名又は名称】三菱電機エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003166
【氏名又は名称】弁理士法人山王内外特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 芳浩
【テーマコード(参考)】
5B146
【Fターム(参考)】
5B146DJ01
5B146DL02
5B146DL03
5B146DL05
5B146DL08
5B146EA01
5B146EA07
5B146EC10
(57)【要約】      (修正有)
【課題】複数の用途に対応できる3Dモデル管理装置を提供すること。
【解決手段】3Dモデル管理装置は、共通の原点および姿勢を有する複数の単体3Dモデルを含み、第1の詳細度を有する第1の単体3Dモデル及び第1の詳細度と異なる第2の詳細度を有する第2の単体3Dモデルを含む3Dモデル集合と、3Dモデル集合の内のいずれか1つの単体3Dモデルを指定する選択指定とを取得する払い出し部品表認識部11aと、取得した3Dモデル集合から、取得した選択指定により指定された単体3Dモデルを切り出す単体3Dモデル切り出し処理部11bと、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
共通の原点および姿勢を有する複数の単体3Dモデルを含む3Dモデル集合であって、第1の詳細度を有する第1の単体3Dモデル、および前記第1の詳細度と異なる第2の詳細度を有する第2の単体3Dモデルを含む3Dモデル集合と、前記3Dモデル集合の内のいずれか1つの単体3Dモデルを指定する選択指定とを取得する払い出し部品表認識部と、
取得された3Dモデル集合から、取得された選択指定により指定された単体3Dモデルを切り出す単体3Dモデル切り出し処理部と、
を備える3Dモデル管理装置。
【請求項2】
前記第1の単体3Dモデルから前記第1の単体3Dモデルの形状および寸法を取得する詳細3D部品形状取得部と、
その取得された形状および寸法を用いて前記第2の単体3Dモデルを生成する簡易3D部品形状生成部と、
を更に備える請求項1に記載された3Dモデル管理装置。
【請求項3】
前記払い出し部品表認識部は、前記3Dモデル集合を移動させる値を示すオフセット情報を取得し、
その切り出された単体3Dモデルを、その取得されたオフセット情報を用いて移動させる単体3Dモデルオフセット処理部、
を更に備える請求項1または2に記載された3Dモデル管理装置。
【請求項4】
前記オフセット情報を記憶するオフセット情報格納部、
を更に備える請求項3に記載された3Dモデル管理装置。
【請求項5】
請求項3に記載された3Dモデル管理装置と、
前記オフセット情報を記憶する記憶装置と、
を備える3Dモデル管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、3Dモデル管理技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、3次元空間内に作成される3次元形状モデルに対して各種属性情報を同一3次元空間内で付与するCAD装置におけるCADモデル情報管理装置であって、3次元形状モデルの形状を表す形状情報と、前記属性情報とを別々のモデルファイルで管理することを特徴とする、CADモデル情報管理装置に関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-318057号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1が教示する技術によれば、作成された3次元形状モデルを複数の用途で用いることができないという問題がある。
【0005】
本開示は、このような問題を解決するためになされたものであり、複数の用途に対応できる3Dモデル管理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の実施形態による3Dモデル管理装置の一側面は、共通の原点および姿勢を有する複数の単体3Dモデルを含む3Dモデル集合であって、第1の詳細度を有する第1の単体3Dモデル、および前記第1の詳細度と異なる第2の詳細度を有する第2の単体3Dモデルを含む3Dモデル集合と、前記3Dモデル集合の内のいずれか1つの単体3Dモデルを指定する選択指定とを取得する払い出し部品表認識部と、取得された3Dモデル集合から、取得された選択指定により指定された単体3Dモデルを切り出す単体3Dモデル切り出し処理部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示の実施形態による3Dモデル管理装置によれば、複数の用途に対応できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1による3Dモデル管理装置および3Dモデル管理システムの構成例を示す図である。
図2】3Dモデル管理装置のハードウェアの構成例を示す図である。
図3】3Dモデル集合の構成例を示す図である。
図4】詳細3Dモデルから部品形状寸法を取得する処理を示すフローチャートである。
図5】詳細3Dモデルの部品形状寸法から簡易3Dモデルを生成する処理を示すフローチャートである。
図6】オフセット情報を取得するGUIの実装例を示す図である。
図7】オフセット情報取得処理のフローチャートを示す図である。
図8】オフセット情報格納部が格納するオフセット情報を含むデータの構成例を示す図である。
図9】払い出し処理のGUIの実装例を示す図である。
図10】払い出し処理のフローチャートを示す図である。
図11】実施の形態2による3Dモデル管理装置および3Dモデル管理システムの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付の図面を参照して、本開示における種々の実施形態について詳細に説明する。なお、図面において同一または類似の符号を付された構成要素は、同一または類似の構成または機能を有するものであり、そのような構成要素についての重複する説明は省略する。
【0010】
実施の形態1.
<構成>
図1から図10を参照して、本開示の実施の形態1による3Dモデル管理装置および3Dモデル管理システムについて説明をする。
【0011】
(3Dモデル管理システム)
図1は、本開示の実施の形態1にかかる3Dモデル管理装置1を含む3Dモデル管理システムの構成例を示す図である。一例として、図1に示されているように、3Dモデル管理システムは、3Dモデル管理装置1、表示装置2、記憶装置3および入力装置4を備える。
【0012】
(3Dモデル管理装置:概略構成)
3Dモデル管理装置1は、共通の原点および姿勢を有する複数の単体3Dモデルの集合である3Dモデル集合について、3Dモデル集合のユーザごとのオフセット情報を読み込み、活用ツール向けに作成された詳細度の単体3Dモデルを3Dモデル集合から切り出し、切り出された単体3Dモデルにオフセット情報の反映を支援する。また、3Dモデル管理装置1は、詳細な3Dモデルである詳細3Dモデルから詳細3Dモデルの部品形状寸法を取得し、取得した部品形状寸法を用いて簡易な3Dモデルである簡易3Dモデルを生成する。3Dモデル管理装置1は、一例としてプロセッサ201により実現される。プロセッサ201がメモリ202に記憶された管理プログラムを読み出して実行することにより各機能部を実現する。ユーザの例には、事業所若しくは企業等の組織体または個人が含まれる。以下、ユーザは事業所であることを想定して説明をする。
【0013】
(表示装置)
表示装置2は、3Dモデル管理装置1により処理された情報を表示するための液晶ディスプレイ等の装置である。表示装置2には、例えば、後述の、オフセット情報取得部10、払い出し実行部11、詳細3D部品形状取得部12、または簡易3D部品形状生成部13が実行中の処理に関するGUI(Graphical User Interface)画面が表示される。GUIの表示制御は、3Dモデル管理装置1が備える不図示の表示制御部が管理プログラムを読み出して実行することにより実現してもよいし、オフセット情報取得部10等の図示された機能部が行ってもよい。表示装置2に表示されたGUI画面に基づいて、3Dモデル管理装置1の操作者は入力装置4を用いて、用いる3Dモデル集合に関する指示と、部品原点に関する指示とを入力する。
【0014】
(記憶装置)
記憶装置3は、3Dモデル管理装置1が用いる情報または3Dモデル管理装置1により処理された情報を格納する装置である。記憶装置3は、例えば、管理プログラムを記憶するプログラム格納部31、部品原点合わせ用の部品形状データを記憶する部品形状データ格納部32、3Dモデル集合を記憶する3Dモデル集合格納部33、オフセット情報を記憶するオフセット情報格納部34、部品形状寸法を記憶する部品形状寸法格納部35、オフセット適用済単体3Dモデルを記憶する単体3Dモデル格納部36、および割付け対応表を記憶する割付け対応表格納部37を備える。記憶装置3は、メモリ202により実現される。メモリ202の例には、RAM(random access memory)、ROM(read-only memory)、フラッシュメモリ、EPROM(erasable programmable read only memory)、EEPROM(electrically erasable programmable read-only memory)等の、不揮発性または揮発性の半導体メモリや、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVDが含まれる。図1では、記憶装置3は、3Dモデル管理装置1とは別に設けられた外部装置として図示されているが、3Dモデル管理装置1に備えられていてもよい。
【0015】
(入力装置)
入力装置4は、3Dモデル管理装置1の処理に係る情報を入力するためのタッチパネル、キーボードまたはマウス等の装置である。入力装置4は、3Dモデル管理装置1へのデータ入力を受け付け、受け付けたデータを3Dモデル管理装置1に与える。
【0016】
(3Dモデル管理装置:詳細構成)
以下、3Dモデル管理装置1の詳細な構成について説明をする。図1に示されているように、3Dモデル管理装置1は、オフセット情報取得部10、払い出し実行部11、詳細3D部品形状取得部12、および簡易3D部品形状生成部13を備える。
【0017】
(オフセット情報取得部)
オフセット情報取得部10は、事業所ごとに異なる部品原点と、複数の事業所に共通して用いられる3Dモデル集合の原点との間のオフセットの情報の取得を支援する。例えば、オフセット情報取得部10は、記憶装置3から3Dモデル管理装置1の不図示の作業用記憶場所へ読み出された3D CADプログラムを実行して、オフセット情報取得部10の機能を実現する。オフセット情報取得部10は、GUIを介して入力される操作者の指示に基づき、3Dモデル集合格納部33から3Dモデル集合を読み込み、部品形状データ格納部32から部品原点を示すDXFデータを読み込む。また、オフセット情報取得部10は、3Dモデル集合の原点と部品原点との差分をオフセット情報として取得する。詳細は、図6および図7を参照して後述する。
【0018】
[3Dモデル集合の構成]
ここで、図3を参照して、3Dモデル集合の構成例について説明をする。3Dモデル集合とは、重心や原点等の共通の位置および共通の姿勢を有する複数の単体3Dモデルを含む集合であって、異なる詳細度を有する複数の単体3Dモデルの集合を意味する。本開示において、詳細度との用語を、3Dモデルの形状に関する情報量の多寡を表す用語として用いる。情報量は、形状を構成する構成点の数の多さで表される。例えば、凹凸等の細部形状をより詳細に再現する場合、構成点数は多くなるので、情報量は増加し、詳細度の程度は高くなる。3Dモデル集合は、第1の詳細度を有する第1の単体3Dモデルと、第1の詳細度と異なる第2の詳細度を有する第2の単体3Dモデルとを含む。1つの部品に対して1つの3Dモデル集合が作成される。図3に示されているように、3Dモデル集合データには、3Dモデル集合が表す部品を使用する活用用途ごとに詳細度の異なる複数の単体3Dモデルに階層を持たせ、階層に名前(タグ)をつける。複数の単体3Dモデルは、互いに並列の関係となるように、階層づけられる。3Dモデル集合のデータ構造をこのような構造とすることにより、後から任意の階層の単体3Dモデルを3Dモデル集合から切り出すことができるようにする。例えば、干渉チェック用途の詳細な3Dモデルには3D、熱解析用途の簡略化された2.5Dモデルには2_5Dといった名前を付与する。一例として、寸法公差または面間の平行度のような精度に関する情報は、干渉チェック用途の詳細な3Dモデルには含まれてよいが、熱解析用途の簡略化された2.5Dモデルには含まれなくてもよい。干渉チェック用途の3Dモデルは干渉の有無を判定するために詳細な形状情報を含んでいることが望ましい一方、熱解析用途のモデルについては、詳細な形状情報は干渉チェックの場合ほどには重要でないからである。このように、3Dモデルは用途に応じて詳細度が異なってよい場合がある。1つの3Dモデル集合内の詳細度の異なる複数の単体3Dモデルは、いずれかの詳細度の単体3Dモデルを基準に原点位置および姿勢が一致するようあらかじめ調整された態様で格納する。3Dモデル集合を以上のように構成することにより、後から任意の階層の単体3Dモデルを3Dモデル集合から切り出すことができるので、3Dモデル管理装置1は複数の用途に対応できる。
【0019】
[詳細3Dモデルから簡易3Dモデルの生成]
ここで、図4および図5を参照して、詳細3Dモデルから簡易3Dモデルを生成する処理について説明をする。図4は、詳細3Dモデルから詳細3Dモデルの部品形状寸法を取得する処理を示すフローチャートであり、図5は、詳細3Dモデルの部品形状寸法から簡易3Dモデルを生成する処理を示すフローチャートである。
【0020】
図4の各ステップは詳細3D部品形状取得部12により実行される。詳細3D部品形状取得部12は、図3の詳細度1の3Dモデルのような詳細3Dモデルから、詳細3Dモデルに係る部品の形状および寸法を取得して、取得した形状および寸法を出力する。
【0021】
まず、操作者の入力に基づいて、詳細3Dモデルを読み込む(ステップST401)。次に、操作者の入力に基づいて、詳細3Dモデルの接地面がどの面かを指示する接地面指示を受け付ける(ステップST402)。次に、接地面から高さ方向に微小距離だけオフセットし(ステップST403)、詳細3Dモデルの接地断面の輪郭の形状を抽出する(ステップST404)。次に、操作者の入力に基づいて、結合ピンまたは抜きピン等のピン指示を受け付ける(ステップST405)。次に、ピンの寸法を抽出する(ステップST406)。また、ピンが複数ある場合には、ピンのピッチを抽出する(ステップST406)。次に、接地面から高さ方向に微小距離だけ更にオフセットし(ステップST407)、接地面からのピンの厚みを抽出し(ステップST408)、部品形状断面の輪郭の形状を抽出する(ステップST409)。ステップST410において、ステップST409で抽出された部品形状断面の有無の判定を行う。部品形状断面がある場合には、処理はステップST407へ戻り、ステップST407~ST409の処理を繰り返す。他方、部品形状断面が無い場合には、部品の外形および高さ寸法を抽出する(ステップST411)。次に、抽出した部品の形状および寸法を出力する(ステップST412)。出力された詳細部品形状寸法は部品形状寸法格納部35に格納される。
【0022】
図5の各ステップは簡易3D部品形状生成部13により実行される。簡易3D部品形状生成部13は、部品形状寸法格納部35に格納されている詳細部品形状寸法に基づいて、図3の詳細度2の3Dモデルのような簡易3Dモデルを生成する。
【0023】
まず、操作者の入力に基づいて、部品形状寸法格納部35に格納されている詳細部品形状寸法を読み出す指示を受け付け、部品形状寸法格納部35に格納されている詳細部品形状寸法を読み出す(ステップST501)。次に、操作者の入力に基づいて、簡易な部品形状の作成方法に関する指示を受け付ける(ステップST502)。この作成方法に関する指示には、部品の最小包含形状である部品の外部形状が含まれる他、例えば、部品の体積を優先する部品体積優先、および部品の表面積を優先する部品表面積優先等の選択項目から選択可能とする。部品体積優先とは、部品モデルを、体積を有するソリッドモデルとして作成するという指示である。部品表面積優先とは、部品モデルを、表面で表現するサーフェスモデルとして作成するという指示である。次に、ステップST501で読み出した詳細部品形状寸法を基礎にして、ステップST502で受け付けた作成方法に関する指示に従って、簡易3D部品形状を自動生成する(ステップST503)。例えば、部品表面積優先の指示を受け付けた場合には、詳細部品形状寸法から部品の内部の情報を除去して、簡易な3Dモデルを生成する。次に、操作者の入力に基づいて、生成した簡易3Dモデルに簡易な3Dモデルであることを示す2_5Dのようなタグを付して、タグを付した簡易3Dモデルを3Dモデル集合格納部33に格納する(ステップST504)。
【0024】
このように、簡易3Dモデルを、詳細な3Dモデルに基づいて生成することにより、モデル間の原点位置の補正が不要になる。以上では、簡易な形状を有する簡易3Dモデルを生成する例に即して説明をしたが、以上のような簡易3Dモデルを生成する手法を他の場合に用いてもよい。例えば、以上のような簡易3Dモデルの生成法は、基板設計CADで使用する部品形状ライブラリのフットプリント設計で活用してもよい。
【0025】
[オフセット情報の取得]
図1に戻り、オフセット情報取得部10について更に説明をする。前述のとおり、オフセット情報取得部10は、事業所ごとに異なる部品の原点の位置および部品の姿勢と、複数の事業所に共通して用いられる3Dモデル集合の原点の位置およびその姿勢との間のオフセット情報の取得を支援する。この動作について、図6および図7を参照して説明をする。図6は、オフセット情報取得部10のGUIの例を示す図である。なお、図6では基板設計CADで使用される部品形状のフットプリントのDXFファイルを例にしているが、3D CADで読み込めるフォーマットで部品原点位置を把握でき、構成点、面、線分等を3D CADで選択できるデータであればフォーマットは問わない。図7はオフセット情報取得部10が行う処理を示すフローチャートである。
【0026】
最初に、操作者の入力に基づいて、3Dモデル集合を3Dモデル集合格納部33から3D CADに読み込む(ステップST701)。操作者は、図6のようなGUIを介して、種々の情報を入力する。図6に示されているように、3D CADのGUI601には、オフセット取得GUI602と、座標系605と、取得された3Dモデル集合606と、取得されたDXFファイルのフットプリント607と、ポインタ608とが示されている。オフセット取得GUI602は、タイトルバー603と、指示入力フィールド604とを含む。指示入力フィールド604には受付け可能な指示が選択可能に表示されており、操作者は、選択可能な指示の中から与えたい指示を選択して指示をオフセット情報取得部10に与える。
【0027】
次に、読み込んだ3Dモデル集合に含まれている各図形要素の初期位置を取得する(ステップST702)。次に、操作者の入力に基づいて、事業所ごとに異なる部品原点のわかるDXFファイル等を重ねて読み込む(ステップST703)。これにより、3Dモデル集合606と基準となる部品の原点位置とを視覚的に把握することが可能になる。
【0028】
次に、3Dモデル集合の向きがX-Y平面に平行でない場合は、3Dモデル集合の構成点、面、線分等をポインタ608等を用いて選択し、X-Y平面に平行としたい平面を選択する。これにより3Dモデル集合をX-Y平面に平行にするための移動ベクトルを算出する。回転後の位置関係が視覚的にわかるように、3Dモデル集合を回転させて再描画する。
【0029】
X-Y平面に平行になった3Dモデル集合をZ軸周りに回転させ、3Dモデル集合の向きを基準となる部品の向きに合わせる(ステップST704)。さらに、Z軸に沿って高さを合わせるため、3Dモデル集合について、位置合わせの基準となる構成点、面、線分等を選択し、重心座標を取得する。同様に、基準となる部品について、位置合わせの基準となる構成点、面、線分等を選択し、重心座標を取得する。双方の重心座標の差を求め、累積の移動ベクトルを算出する。このようにして、3Dモデル集合の初期位置および初期姿勢と、現在位置および現在姿勢との差をオフセット情報として取得する(ステップST705)。
【0030】
オフセット情報取得部10は、取得したオフセット情報を出力してオフセット情報格納部34に格納する(ステップST706)。
【0031】
ここで、図8を参照して、オフセット情報格納部34に格納されるデータの構成例について説明をする。オフセット情報は、データベースを例にしているが、同様の情報を記録できるものであれば、CSVファイルやXMLファイル等でもよく、フォーマットの形式は問わない。図8に示されているように、オフセット情報は、事業所環境名、部品型名、および3Dモデル集合名に関連付けられて格納される。オフセット情報には、原点の位置の差分を示す位置情報および姿勢に関する差分を示す姿勢情報が含まれる。姿勢に関する差分は、重心周りの回転角を示すオイラー角を用いて表現することができる。図8の例では、位置情報として、X座標の差分「1」、Y座標の差分「2」、およびZ座標の差分「3」が示されている。また、姿勢情報として、Z軸周りの回転であるYawの回転角度「180」(度)、Y軸周りの回転であるPitchの回転角度「0」(度)、およびX軸周りの回転であるRollの回転角度「0」(度)が示されている。
【0032】
また、部品情報に関する情報も同様に管理することで、割付け部品対応表に部品情報を付与することも可能である。例えば、熱容量、発熱量、または熱抵抗といった情報も管理することにより、熱解析ツールへ渡す情報を同時に管理することも可能である。
【0033】
(払い出し実行部)
払い出し実行部11は、払い出し対象の部品に関する3Dモデル集合から、操作者の入力により指定された単体3Dモデルを切り出し、切り出した単体3Dモデルにオフセット処理を行う機能部である。また、活用先プログラムで使用する3Dモデルと部品を対応付けた対応表を生成し、生成した対応表を格納してもよい。このような機能を実現するため、払い出し実行部11は、一例として、図1に示されているように、払い出し部品表認識部11a、単体3Dモデル切り出し処理部11b、単体3Dモデルオフセット処理部11c、および割付け対応表生成部11dを備える。
【0034】
(払い出し部品表認識部)
払い出し部品表認識部11aは、入力装置4を介して指定された払い出し対象部品表を認識する。さらに、払い出し部品表認識部11aは、認識した払い出し対象部品表に基づいて、3Dモデル集合格納部33から払い出し対象部品の3Dモデル集合を取得し、オフセット情報格納部34からオフセット情報を取得する。また、払い出し部品表認識部11aは、3Dモデル集合から切り出す単体3Dモデルを指定する選択指定を受け付ける。選択指定は、操作者が図9のGUIを介して「モデルの詳細度」に関するプルダウンメニューから所望の詳細度を指定することにより入力される。
【0035】
(単体3Dモデル切り出し処理部)
単体3Dモデル切り出し処理部11bは、3Dモデル集合から、選択指定により指定された単体3Dモデルを切り出す。
【0036】
(単体3Dモデルオフセット処理部)
単体3Dモデルオフセット処理部11cは、切り出すべき単体3Dモデルに対して、取得したオフセット情報を用いてオフセット補正を行う。単体3Dモデルオフセット処理部11cは、オフセット補正が行われた単体3Dモデルを単体3Dモデル格納部36に格納する。
【0037】
(割付け対応表生成部)
割付け対応表生成部11dは、活用先プログラムで使用する3Dモデルと部品を対応付けた対応表を生成し、生成した対応表を割付け対応表格納部37に格納する。
【0038】
ここで、図9および図10を参照して、払い出し実行部11の動作について説明をする。図9は払い出し実行部11の処理に係るGUIの例を示し、図10は払い出し実行部11の処理を示すフローチャートである。
【0039】
払い出し部品表認識部11aは、操作者の入力情報を受け付ける(ステップST1001)。操作者は、図9のGUIの「事業所環境名」のプルダウンメニューに表示される事業所名を選択するとともに、「部品表ファイル」の入力フィールドに部品表のファイル名を入力して選択ボタンを押下する。また、操作者は、図9のGUIの「モデルの詳細度」のプルダウンメニューに表示される3D、2_5D等のタグ名から利用する詳細度を指定することにより利用する単体3Dモデルを指定する。
【0040】
払い出し部品表認識部11aは、受け付けた情報に基づいて対象の部品表を読み込む(ステップST1002)。読み込まれた部品表は、図9のGUIの表示フィールドに表示される。
【0041】
払い出し部品表認識部11aは、事業所名と部品表に記載の部品型名を使用して、オフセット情報格納部34のデータベースから該当する3Dモデル集合名とオフセット情報を取得し(ステップST1003)、取得した情報をもとに3D CADに3Dモデル集合を読み込む(ステップST1004)。
【0042】
単体3Dモデル切り出し処理部11bは、3Dモデル集合から、指定された詳細度の単体3Dモデル以外の不要な階層のモデルを削除し、所望の単体3Dモデルを切り出す(ステップST1005)。
【0043】
単体3Dモデルオフセット処理部11cは、オフセット情報を用いて、切り出された単体3Dモデルについてオフセット補正を行う(ステップST1006)。すなわち、切り出された単体3Dモデルの位置および姿勢を、オフセット情報により示される位置および姿勢の分だけ平行移動および回転させる。これによりオフセット適用済単体3Dモデルが生成される。
【0044】
単体3Dモデルオフセット処理部11cは、操作者の入力情報に基づいて、オフセット適用済単体3Dモデルを単体3Dモデル格納部36に格納する(ステップST1007)。操作者は、図9のGUIの「出力先フォルダ」の入力フィールドに保存したいフォルダ名を入力して保存先を指定する。
【0045】
併せて、割付け対応表生成部11dは、部品型名、諸元番号、および切り出した単体3Dモデル名を関連付けた割付け対応表を作成し、作成した対応表を割付け対応表格納部37に格納してもよい。
【0046】
3Dモデル管理装置1は、入力装置4で指定された部品表と3Dモデル集合格納部33の3Dモデル集合とオフセット情報格納部34の部品と事業所ごとのオフセット情報を使用することでオフセット適用済の単体3Dモデルが生成できるようになり、3Dモデルの登録管理と払い出し処理を効率化させることができる。
【0047】
実施の形態2.
図11は、実施の形態2による3Dモデル管理装置1Aおよび3Dモデル管理装置5を含む3Dモデル管理システムの構成を示すブロック図である。3Dモデル管理装置1Aは、簡易3Dモデルの生成とオフセット情報を取得する装置である。3Dモデル管理装置1Aは、3Dモデル管理装置1と同様、オフセット情報取得部10A、詳細3D部品形状取得部12A、および簡易3D部品形状生成部13Aを備えることで、簡易3Dモデルを生成する。また、3Dモデル管理装置1Aは、3Dモデル管理装置1と同様、オフセット情報取得部10Aを備えることで、オフセット情報を取得する。3Dモデル管理装置1Aは記憶装置3Aに接続されている。記憶装置3Aは、プログラム格納部31、部品形状データ格納部32、3Dモデル集合格納部33、オフセット情報格納部34、および部品形状寸法格納部35を備える。3Dモデル管理装置1Aおよび記憶装置3Aは、実施の形態1の場合と同様、プロセッサ201およびメモリ202によりそれぞれ実現される。なお、表示装置2および入力装置4の記載を省略したが、3Dモデル管理装置1Aには、3Dモデル管理装置1と同様に、表示装置2および入力装置4が接続されている。
【0048】
3Dモデル管理装置5は、3Dモデル集合のユーザごとのオフセット情報を読み込み、活用ツール向けに作成された詳細度の単体3Dモデルを3Dモデル集合から切り出し、切り出された単体3Dモデルにオフセット情報の反映を支援する装置である。このような機能を実現するため、3Dモデル管理装置5は、3Dモデル管理装置1の払い出し実行部11に相当する払い出し実行部51を備える。払い出し実行部51は、払い出し実行部11と同様に、払い出し部品表認識部51a、単体3Dモデル切り出し処理部51b、単体3Dモデルオフセット処理部51c、および割付け対応表生成部51dを備える。3Dモデル管理装置5は記憶装置6に接続されている。記憶装置6は、記憶装置3の機能部の一部に相当する機能部として、プログラム格納部61、3Dモデル集合格納部63、オフセット情報格納部64、単体3Dモデル格納部66、および割付け対応表格納部67を備える。プログラム格納部31およびプログラム格納部61には共通の管理プログラムが格納されている。3Dモデル管理装置5および記憶装置6は、実施の形態1の場合と同様、プロセッサ201およびメモリ202によりそれぞれ実現される。なお、3Dモデル管理装置5にも、不図示の表示装置および入力装置が接続されている。
【0049】
実施の形態1と同様に、3Dモデル管理装置1Aでオフセット情報取得処理を実行し、オフセット情報をオフセット情報格納部34に格納する。
【0050】
3Dモデル集合格納部33に格納された3Dモデル集合およびオフセット情報格納部34に格納されたオフセット情報は、3Dモデル管理装置1Aからネットワーク経由または外部記憶媒体も併用して3Dモデル管理装置5へ受け渡すことで、3Dモデル管理装置5で部品表を読み込ませて払い出し作業が可能となる。
【0051】
<付記>
以上で説明した種々の実施形態のいくつかの側面について、以下のとおりまとめる。
【0052】
(付記1)
付記1の3Dモデル管理装置は、共通の原点および姿勢を有する複数の単体3Dモデルを含む3Dモデル集合であって、第1の詳細度を有する第1の単体3Dモデル、および前記第1の詳細度と異なる第2の詳細度を有する第2の単体3Dモデルを含む3Dモデル集合と、前記3Dモデル集合の内のいずれか1つの単体3Dモデルを指定する選択指定とを取得する払い出し部品表認識部(11a;51a)と、取得された3Dモデル集合から、取得された選択指定により指定された単体3Dモデルを切り出す単体3Dモデル切り出し処理部(11b;51b)と、を備える。
【0053】
(付記2)
付記2の3Dモデル管理装置は、付記1に記載された3Dモデル管理装置であって、前記第1の単体3Dモデルから前記第1の単体3Dモデルの形状および寸法を取得する詳細3D部品形状取得部(12;12A)と、その取得された形状および寸法を用いて前記第2の単体3Dモデルを生成する簡易3D部品形状生成部(13;13A)と、を更に備える。
【0054】
(付記3)
付記3の3Dモデル管理装置は、付記1または2に記載された3Dモデル管理装置であって、前記払い出し部品表認識部(11a;51a)は、前記3Dモデル集合を移動させる値を示すオフセット情報を取得し、その切り出された単体3Dモデルを、その取得されたオフセット情報を用いて移動させる単体3Dモデルオフセット処理部(11c;51c)、を更に備える。
【0055】
(付記4)
付記4の3Dモデル管理装置は、付記3に記載された3Dモデル管理装置であって、前記オフセット情報を記憶するオフセット情報格納部(34;64)、を更に備える。
【0056】
(付記5)
付記5の3Dモデル管理システムは、付記3に記載された3Dモデル管理装置と、前記オフセット情報を記憶する記憶装置(3;3A;6)と、を備える。
【0057】
なお、実施形態を組み合わせたり、各実施形態を適宜、変形、省略したりすることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本開示の3Dモデル管理装置は、3D CAD装置として用いることができる。
【符号の説明】
【0059】
1 3Dモデル管理装置、1A 3Dモデル管理装置、2 表示装置、3 記憶装置、3A 記憶装置、4 入力装置、5 3Dモデル管理装置、6 記憶装置、10 オフセット情報取得部、10A オフセット情報取得部、11 払い出し実行部、11a 払い出し部品表認識部、11b 単体3Dモデル切り出し処理部、11c 単体3Dモデルオフセット処理部、11d 割付け対応表生成部、12 詳細3D部品形状取得部、12A 詳細3D部品形状取得部、13 簡易3D部品形状生成部、13A 簡易3D部品形状生成部、31 プログラム格納部、32 部品形状データ格納部、33 3Dモデル集合格納部、34 オフセット情報格納部、35 部品形状寸法格納部、36 単体3Dモデル格納部、37 割付け対応表格納部、51 払い出し実行部、51a 払い出し部品表認識部、51b 単体3Dモデル切り出し処理部、51c 単体3Dモデルオフセット処理部、51d 割付け対応表生成部、61 プログラム格納部、63 3Dモデル集合格納部、64 オフセット情報格納部、66 単体3Dモデル格納部、67 割付け対応表格納部、201 プロセッサ、202 メモリ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11