(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024002351
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】傾斜対応用防火防煙横引シャッター装置
(51)【国際特許分類】
E06B 9/02 20060101AFI20231228BHJP
E06B 9/17 20060101ALI20231228BHJP
E06B 9/58 20060101ALI20231228BHJP
E06B 9/15 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
E06B9/02 E
E06B9/17 M
E06B9/58 A
E06B9/17 N
E06B9/15 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022101484
(22)【出願日】2022-06-24
(71)【出願人】
【識別番号】514112732
【氏名又は名称】株式会社横引SR
(74)【代理人】
【識別番号】100080447
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 恵一
(72)【発明者】
【氏名】市川 慎太郎
【テーマコード(参考)】
2E042
【Fターム(参考)】
2E042AA02
2E042DA01
(57)【要約】
【課題】 傾斜状態の箇所への設置が可能であり、特に、傾斜状態と水平状態とが連続した箇所でも設置が可能で、傾斜状態においても、シャッター装置の動作に支障をきたすことがない、傾斜対応用防火防煙横引シャッター装置を提供する。
【解決手段】 板状の金属材によるスラット10を複数備えた横引シャッター装置であって、前記スラット10が、一方の側部に係合部101が形成されると共に、他方の側部に係合部101と組み合う係合受部102が形成されたものであり、該係合部101の上端側には上端蓋体18が取り付けられ、係合受部102の下端側には下端蓋体19が取り付けられており、係合部101が、係合受部102に対して垂直方向にスライド可能な構造である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状の金属材によるスラットを複数備えた横引シャッター装置であって、
前記スラットが、一方の側部である第1の端に係合部が形成されると共に、他方の側部である第2の端に係合受部が形成されたものであり、
前記第1の端及び前記第2の端は、金属材の両側を折り曲げることで形成されており、
第1の端の係合部は、連接する他のスラットが有する係合受部と係合するような形状に形成され、
該係合部の上端側には、該上端側を閉塞する上端蓋体が取り付けられており、
第2の端の係合受部は、連接する他のスラットが有する係合部と係合するような、前記係合部よりも大きい形状に形成され、
該係合受部の下端側には、該下端側を閉塞する下端蓋体が取り付けられており、
第1の端の係合部と第2の端の係合受部との組み合わせにより、スラットの両側に連接部が形成され、
スラットの両側に形成された連接部において、係合受部に対して隣接するスラットの係合部が垂直方向にスライド可能な構造であって、
前記スラットの上端側には、上滑車をスラットに取り付けるための上滑車取付金具が取り付けられ、
前記上滑車は、上端ガイドレールに組み合わせられていることを特徴とする、傾斜対応用防火防煙横引シャッター装置。
【請求項2】
前記係合部及び前記係合受部の形状が、カールした形状であることを特徴とする、
請求項1に記載の傾斜対応用防火防煙横引シャッター装置。
【請求項3】
前記スラットの下端側には、下滑車をスラットに取り付けるための下滑車取付金具が取り付けられ、
前記下滑車は、下端ガイドレールに組み合わせられていることを特徴とする、
請求項1または2に記載の傾斜対応用防火防煙横引シャッター装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、傾斜対応用防火防煙横引シャッター装置に関する。
【背景技術】
【0002】
横引シャッター装置として、特許文献1に記載の装置が知られている。
【0003】
該特許文献1に記載の装置は、板状の金属材を折り曲げて形成されたスラットを用いた横引き防火防煙シャッター装置であって、横引き防火防煙シャッター装置に用いるスラットが、板状の金属材を折り曲げて形成されるものであり、該スラットが、前記折り曲げによって形成された係合部を備えた第1の端と、前記折り曲げによって形成された係合受部を備えた第2の端とを有し、第1の端の係合部は、連接する他のスラットが有する係合受部と係合するような、カールした形状に構成されており、第2の端の係合受部は、連接する他のスラットが有する係合部と係合するような、前記係合部よりも径の大きいカールした形状に構成されており、該スラットと他のスラットとを係合した箇所である連接部における、カールした係合部の内側に遮煙用芯棒が挿入されており、前記遮煙用芯棒が挿入された連接部が、前記遮煙用芯棒の両端の外側からそれぞれ、遮煙用蓋体によって塞がれている(特許文献1における
図3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のシャッター装置は、充分な防火性能及び防煙性能を有するものであるが、傾斜地への設置を考慮したものではない。
【0006】
そのため、特許文献1に記載のシャッター装置を、傾斜状態の箇所に設置すると、すべてのスラットが傾斜した状態で設置され、斜め方向に荷重がかかることになる。
その結果、多くの荷重が一番下のスラットに傾斜状態でかかることになり、シャッター装置の動作に支障をきたすことになる。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、傾斜状態の箇所への設置が可能であり、特に、傾斜状態と水平状態とが連続した箇所でも設置が可能で、傾斜状態においても、シャッター装置の動作に支障をきたすことがない、傾斜対応用防火防煙横引シャッター装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の課題を解決するための手段は、下記のとおりである。
【0008】
第1に、
板状の金属材によるスラットを複数備えた横引シャッター装置であって、
前記スラットが、一方の側部である第1の端に係合部が形成されると共に、他方の側部である第2の端に係合受部が形成されたものであり、
前記第1の端及び前記第2の端は、金属材の両側を折り曲げることで形成されており、
第1の端の係合部は、連接する他のスラットが有する係合受部と係合するような形状に形成され、
該係合部の上端側には、該上端側を閉塞する上端蓋体が取り付けられており、
第2の端の係合受部は、連接する他のスラットが有する係合部と係合するような、前記係合部よりも径の大きい形状に形成され、
該係合受部の下端側には、該下端側を閉塞する下端蓋体が取り付けられており、
第1の端の係合部と第2の端の係合受部との組み合わせにより、スラットの両側に連接部が形成され、
スラットの両側に形成された連接部において、係合受部に対して隣接するスラットの係合部が垂直方向にスライド可能な構造であって、
前記スラットの上端側には、上滑車をスラットに取り付けるための上滑車取付金具が取り付けられ、
前記上滑車は、上端ガイドレールに組み合わせられていることを特徴とする、傾斜対応用防火防煙横引シャッター装置。
ここで、係合部及び係合受部の形状は、隣接するスラットの動作を妨げないものであれば、各種形状を採用することができる。
また、上端蓋体は、係合部の上端側を閉塞するものであれば良く、係合部の端面形状と同等の大きさに加え、それ以上の大きさのものであっても良い。
【0009】
第2に、
前記係合部及び前記係合受部の形状が、カールした形状であることを特徴とする、
前記第1に記載の傾斜対応用防火防煙横引シャッター装置。
【0010】
第3に、
前記スラットの下端側には、下滑車をスラットに取り付けるための下滑車取付金具が取り付けられ、
前記下滑車は、下端ガイドレールに組み合わせられていることを特徴とする、
前記第1または第2に記載の傾斜対応用防火防煙横引シャッター装置。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、以下の効果を得ることができる。
【0012】
本発明は、連結部を構成する係合部が、係合受部に対して垂直方向にスライド可能な構造なので、傾斜状態の箇所に設置しても、各々のスラットは垂直状態に保たれる。
その結果、傾斜状態においても、多くの荷重は垂直方向にかかり、シャッター装置の動作に支障をきたすことがなく、傾斜状態と水平状態とが連続した箇所でも設置が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の傾斜対応用防火防煙横引シャッター装置の背面図である。
【
図2】
図1における一部のスラットの下端側の拡大図である。
【
図4】
図1における一部のスラットの上端側の拡大図である。
【
図6】本発明の傾斜対応用防火防煙横引シャッター装置の設置状態の一例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態を、図面を参照しつつ具体的に説明する。
ここで、添付図面において同一の部材には同一符号を付しており、また重複した説明は省略されている。
なお、ここでの説明は本発明が実施される一形態であることから、本発明は当該形態に限定されるものではない。
【実施例0015】
本実施例に係る傾斜対応用防火防煙横引シャッター装置は、
図1に示すように、長板状の金属材によるスラット10を複数備え、全ての各スラット10に上滑車取付金具11を介して取り付けた上滑車12と、一つ置きの各スラット10に下滑車取付金具13を介して取り付けた下滑車14とを有するものである。
【0016】
図2、
図3に示すように、下滑車取付金具13は、水平部の両側に下滑車14が各々取り付けられ、垂直部の中央切欠帯の両側に位置するスラット10との接触面に設けた孔に挿入するリベット15によって、スラット10に取り付けられている。
【0017】
図4、
図5に示すように、上滑車取付金具11は、逆U字形状で上部に上滑車12が取り付けられ、逆U字形状の両側に位置するスラット10との接触面に設けた孔に挿入するリベット15によって、スラット10に取り付けられている。
【0018】
図2~
図5に示すように、スラット10の一方の側部である第1の端に係合部101が形成されると共に、他方の側部である第2の端に係合部101と組み合う係合受部102が形成されている。
前記第1の端及び前記第2の端は、金属材の両側をカール状に折り曲げることで形成されている。
【0019】
図4、
図5に示すように、第1の端の係合部101は、連接する他のスラット10が有する係合受部102と係合するよう、カールした形状に形成されている。
該係合部101の上端側には、該上端側を閉塞するように、係合部101と同じ大きさ(径)を有する金属製の上端蓋体18が、溶接によって取り付けられている。
【0020】
図2、
図3に示すように、第2の端の係合受部102は、連接する他のスラット10が有する係合部101と係合するよう、前記係合部101よりも径の大きいカールした形状に形成されている。
該係合受部102の下端側には、該下端側を閉塞するように、係合受部102と同じ大きさ(径)を有する金属製の下端蓋体19が、溶接によって取り付けられている。
【0021】
第1の端の係合部101と、第2の端の係合受部102との組み合わせによって、
図1に示すように、スラット10の両側に連接部16が形成されている。
【0022】
スラット10の両側に形成された連接部16において、一つの係合受部102に対して、隣接する左側のスラット10の係合部101が、垂直方向にスライド可能に構成されている。
【0023】
図6に示すように、本実施例の傾斜対応用防火防煙横引シャッター装置は、水平状態、傾斜状態が混在する箇所にも施工可能なものであり、傾斜状態でも各スラットは垂直状態を示している。
図6中、20は上側ガイドレール、21は下側ガイドレールを示している。
【0024】
図示は省略するが、上側ガイドレール20には上滑車12が組み合わせられ、下側ガイドレールには下滑車14が組み合わせられている。
また、シャッター装置の動作用モータ、収納部等の図示は、省略されている。
【0025】
図6に示す傾斜対応用防火防煙横引シャッター装置は、スラットの両側に形成された連接部16について、
図1に示すように、係合部101が係合受部102に対して垂直方向にスライド可能なので、水平状態に連続する傾斜状態の箇所においては、傾斜状態に対応してスラット10が、上端側の上側ガイドレール20により位置が規制されつつスライドする。
そのため、傾斜状態においても、各スラット10の荷重がほぼ垂直下方向にかかるので、シャッター装置の動作に支障をきたすことがない。
【0026】
また、
図3に示すように、係合受部102の下端側は下端蓋体19によって塞がれているので、シャッターを閉めた状態であっても、建築基準を満たす充分な遮煙性能を発揮することができる。