(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024023512
(43)【公開日】2024-02-21
(54)【発明の名称】識別コード付き玩具
(51)【国際特許分類】
G06K 19/06 20060101AFI20240214BHJP
A63H 33/00 20060101ALI20240214BHJP
A63F 13/95 20140101ALI20240214BHJP
【FI】
G06K19/06 140
G06K19/06 037
A63H33/00 Z
A63F13/95 Z
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023204276
(22)【出願日】2023-12-01
(62)【分割の表示】P 2020128657の分割
【原出願日】2019-06-12
(71)【出願人】
【識別番号】000135748
【氏名又は名称】株式会社バンダイ
(72)【発明者】
【氏名】松野 勝太郎
(72)【発明者】
【氏名】北川 敏
(72)【発明者】
【氏名】扇谷 一樹
(72)【発明者】
【氏名】畑山 裕貴
(72)【発明者】
【氏名】阿部 雄太
(57)【要約】
【課題】新規な光学的に読み取り可能な識別コードと玩具本体の見栄え低下を極力回避できる識別コード付き玩具を提供する。
【解決手段】識別コード付き玩具10は、光学的に読み取り可能な識別コード13を有する識別コード部13が玩具本体11の表面に設けられている。識別コード13は複数の濃色部分と複数の淡色部分とによって構成されており、淡色部分に濃色部分よりも濃度が低い有彩色が用いられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学的に読み取り可能な識別コードを有する識別コード部が玩具本体に設けられた識別コード付き玩具であって、
前記識別コードは複数の濃色部分と複数の淡色部分とによって構成されており、
前記淡色部分に前記濃色部分よりも濃度が低い有彩色が用いられている、
識別コード付き玩具。
【請求項2】
前記玩具本体は色彩を有する、
請求項1に記載の識別コード付き玩具。
【請求項3】
前記淡色部分に用いられている有彩色の色数は1つ以上であり、前記淡色部分の個々は単一の有彩色で色付けされている、
請求項1または2に記載の識別コード付き玩具。
【請求項4】
前記淡色部分に用いられている有彩色の色数はシアンとマゼンタとイエローから選択された2つ以上である、
請求項3に記載の識別コード付き玩具。
【請求項5】
前記選択された2つ以上の色の混合色は請求項2に記載の前記玩具本体の色彩の主調色に対応している、
請求項4に記載の識別コード付き玩具。
【請求項6】
前記淡色部分に用いられている有彩色の色数はシアンとマゼンタとイエローから選択された1つである、
請求項3に記載の識別コード付き玩具。
【請求項7】
前記選択された1つの色は請求項2に記載の前記玩具本体の色彩の主調色に対応している、
請求項6に記載の識別コード付き玩具。
【請求項8】
前記濃色部分の色はブラックである、
請求項1~7のいずれか1項に記載の識別コード付き玩具。
【請求項9】
前記識別コードは2次元コードである、
請求項1~8のいずれか1項に記載の識別コード付き玩具。
【請求項10】
前記2次元コードはデータマトリックスである、
請求項9に記載の識別コード付き玩具。
【請求項11】
前記識別コードは1次元コードである、
請求項1~8のいずれか1項に記載の識別コード付き玩具。
【請求項12】
前記識別コード付き玩具はゲームソフトウェアの実行途中において使用可能なゲーム補助物品であり、前記識別コード部の前記識別コードはコード読み取りデバイスを用いて光学的に読み取り可能に構成されている、
請求項1~11のいずれか1項に記載の識別コード付き玩具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学的に読み取り可能な識別コードに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には識別コード部がカード本体の表面に設けられた識別コード付きカードが開示されており、識別コード部の識別コードとしてQRコード(登録商標)が示されている。また、特許文献2には識別コード部がブロック本体の表面に設けられた識別コード付きブロックが開示されているが、識別コード部の識別コードの具体形態は不明である。
【0003】
光学的に読み取り可能な識別コードにはQRコード(登録商標)等の2次元コードとJAN等の1次元コードが広く知られているが、これら識別コードは一般に複数の黒色部分と複数の白色部分とから構成されたものであるため、当該識別コードを有する識別コード部を玩具本体の表面、とりわけ、彩りを有する表面に設けると、識別コードによって玩具本体の見栄えが低下する懸念がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-170515号公報
【特許文献2】登録実用新案第3058491号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、新規な光学的に読み取り可能な識別コードと玩具本体の見栄え低下を極力回避できる識別コード付き玩具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る識別コード付き玩具は、光学的に読み取り可能な識別コードを有する識別コード部が玩具本体に設けられた識別コード付き玩具であって、前記識別コードは複数の濃色部分と複数の淡色部分とによって構成されており、前記淡色部分に前記濃色部分よりも濃度が低い有彩色が用いられている。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る識別コード付き玩具によれば、玩具本体の見栄え低下を極力回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は本発明の第1実施形態に係る識別コード付き玩具を例示する図である。
【
図3】
図3は本発明の第2実施形態に係る識別コード付き玩具を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
《第1実施形態》
図1に例示した識別コード付き玩具10は、魚釣り用ルアー状の玩具本体11の表面に識別コード部12が設けられている。この識別コード付き玩具10は釣り関連のゲームソフトウェアの実行途中において使用可能なゲーム補助物品であり、ゲーム装置に付属の後述のコード読み取りデバイスを用いて識別コード部12の識別コード13(
図2を参照)を光学的に読み取ることが可能である。
【0010】
玩具本体11は、魚に似せた外観を備え、その表面は対象となる魚に見合う色彩(彩り)(ここでは色彩(彩り)の主調色はグリーン系)を有している。また、玩具本体11は実際の魚釣り用ルアーと同様のアイレット部11aとフック部11bを有しているが、使用時に怪我を生じぬようにフック部11b等の先鋭な部分には丸みが付けられている。
【0011】
なお、識別コード13の光学的な読み取りが可能であれば、玩具本体11の表面における識別コード部12の位置に特段の制限はない。また、玩具本体11は図示例以外の魚類やエビ等の甲殻類やイカ等の頭足類やその他のものに似せた外観を備えたものであってもよい。さらに、玩具本体11が有するアイレット部11aとフック部11bの位置、数および形状に特段の制限はなく、これらに加えてリップ部や装飾部(誘導部)等の他の部位を有するものであってもよい。
【0012】
識別コード部12は、玩具本体11の表面に、印刷シールの貼り付けや直接印刷等の手法によって設けられている。この識別コード部12は、識別コード付き玩具10の識別情報を所持する識別コード13を有している。
【0013】
図2に例示した識別コード部12の識別コード13は、複数の濃色部分(符号省略)と複数の淡色部分(符号省略)とによって構成されており、淡色部分に濃色部分よりも濃度が低い有彩色が用いられている。また、淡色部分に用いられている有彩色の色数は1つ以上であり、淡色部分の個々は単一の有彩色で色付けされている。
【0014】
識別コード部12および識別コード13の形態について
図2を用いて具体的に説明すると、識別コード13は2次元コードの1種である正方形タイプのデータマトリックスであり、L状のアライメントパターン13aと逆L状のクロックパターン13bとによって囲まれたデータエリア13cを有しており、当該識別コード13の周囲にはクワイエットゾーン13dが設けられている。また、識別コード13の総セル数は324(18セル×18セル)、データエリア13cの総セル数は256(16セル×16セル)である。
【0015】
例えば、1つのセルサイズを0.5mm×0.5mmとした場合、識別コード13の実サイズは9mm×9mmとなり、この場合にクワイエットゾーン13dを1mm(2セル分)とすると識別コード部12の実サイズは11mm×11mmとなり、クワイエットゾーン13dを0.5mm(1セル分)とすると識別コード部12の実サイズは10mm×10mmとなる。また、例えば、1つのセルサイズを0.25mm×0.25mmとした場合、識別コード13の実サイズは4.5mm×4.5mmとなり、この場合にクワイエットゾーン13dを0.5mm(2セル分)とすると識別コード部12の実サイズは5.5mm×5.5mmとなり、クワイエットゾーン13dを0.25mm(1セル分)とすると識別コード部12の実サイズは5mm×5mmとなる。
【0016】
なお、識別コード13の総セル数は324に制限されるものではなく、識別コード13を16セル×16セルや14セル×14セルや12セル×12セルや10セル×10セルとして総セル数を324未満としてもよく、逆に、識別コード13を20セル×20セルや22セル×22セルや24セル×24セルや26セル×26セルや32セル×32セルや36セル×36セルとして総セル数を324超過としてもよい。
【0017】
ただし、識別コード部12の識別コード13を光学的に読み取るときに用いられる後述のコード読み取りデバイスの読み取り解像度がさほど高くない場合には、1つのセルサイズを0.25mm×0.25mmよりも小さくすると読み取り異常を生じる可能があるため、この点について留意が必要である。また、識別コード部12のサイズが11mm×11mmよりも大きくなると、玩具本体11のサイズ如何では、玩具本体11の表面において識別コード部12が占める面積割合が大きくなって、色とは異なる観点において玩具本体11の見栄えが低下する可能性があるため、この点についても留意が必要である。
【0018】
識別コード13の濃色部分(濃色セル)と淡色部分(淡色セル)の色について
図2を用いて具体的に説明すると、識別コード13にはその印刷を考慮してCMYKカラーモデルが用いられており、324の総セル数のうち、154の濃色セルの色はブラック(K)、170の淡色セルの個々の色はシアン(C)とマゼンタ(M)とイエロー(Y)である。
【0019】
ちなみに、ISO準拠のJapanColor2011によれば、ブラック(K)とシアン(C)とマゼンタ(M)とイエロー(Y)の目標濃度として、それぞれ、1.70と1.55と1.50~1.55と1.32~1.38を例示できる。また、ブラック(K)とシアン(C)とマゼンタ(M)とイエロー(Y)のL*a*b*表色系のCIELAB値(L*,a*,b*)として、それぞれ、(16,1,2)と(53,-36,-52)と(46,76,-3)と(89,-6,94)を例示できる。
【0020】
なお、154の濃色セルのうちのアライメントパターン13aおよびクロックパターン13bを除く濃色セル、すなわち、データエリア13cにおける濃色セルは図示の便宜上ランダムに描いたものであって特定情報を表すものではない。
【0021】
また、先に述べたように玩具本体11の表面の彩りの主調色がグリーン系であることを考慮して、170の淡色セルのうち、82の淡色セルの色をシアン(C)とし、82の淡色セルの色をイエロー(Y)とし、残り6の淡色セルの色をマゼンタ(M)としている。さらに、マゼンタ(M)の淡色セルは目立たないようにデータエリア13cの外周に配置し、シアン(C)の淡色セルとイエロー(Y)の淡色セルは各々が一箇所に集まらないように極力分散し、かつ、隣り合うように配置している。
【0022】
シアン(C)とマゼンタ(M)とイエロー(Y)のセル数比率(色面積比率)を前掲のようにし、かつ、これらを前掲のように配置した理由は、170の淡色セルにおけるCMY(シアン、マゼンタ、イエロー)の混合色を玩具本体11の表面の彩りの主調色(グリーン系)に対応させたこと、換言すれば、識別コード付き玩具10を少し離れて見たときに識別コード13の170の淡色セルが玩具本体11の表面の彩りの主調色と同一または近似のグリーン系に見えるようにしたことある。
【0023】
ちなみに、
図1に例示した識別コード玩具10の識別コード部12の識別コード13を光学的に読み取るときには、赤外線利用のコードリーダやデジタルカメラで撮像した画像を2値化して当該2値化画像から識別情報(2値データ)を取り込む機能を有するコード読み取りデバイスの他、赤外線非利用のコードリーダやデジタルカメラで撮像した画像を淡色部分(淡色セル)を除外するフィルタやデジタル処理等を用いて2値化して当該2値化画像から識別情報(2値データ)を取り込む機能を有するコード読み取りデバイスが使用可能である。つまり本発明の光学的に読み取り可能な識別コードは、通常の光学カメラのみではコードを読み取ることができず、正しいデータを取得することができないため、情報流出の可能性を低減することができる。
【0024】
以上説明したように、識別コード部12の識別コード13の淡色部分(淡色セル)に濃色部分(濃色セル)よりも濃度が低い有彩色を用いているので、濃色部分を黒とし淡色部分を白とした識別コードを有する識別コード部を玩具本体11の表面、とりわけ、彩りを有する表面に設けたときのような見栄え低下を極力回避して、玩具本体11の見栄え(デザイン性)向上に貢献できる。
【0025】
また、識別コード13の濃色部分(濃色セル)と淡色部分(淡色セル)の色としてCMYKカラーモデルを用いているので、識別コード13を有する識別コード部12を玩具本体11の表面に印刷シールの貼り付けや直接印刷等の手法によって設ける場合でも、識別コード13の作製が容易に行える。また、本発明の識別コードは、通常のプリンターやコピー機でスキャンやコピー等を行っても濃色部分(濃色セル)と淡色部分(淡色セル)の境界がはっきり出ず、複製することが困難なため、識別コードの偽造を防止することが可能である。
【0026】
さらに、識別コード13の淡色セルに用いられるCMY(シアン、マゼンタ、イエロー)のセル数比率(色面積比率)を調整することにより、当該淡色セルにおけるCMY(シアン、マゼンタ、イエロー)の混合色を玩具本体11の表面の彩りの主調色(グリーン系)に対応させているので、この点においても玩具本体11の見栄え向上に貢献できる。無論、玩具本体11の表面の彩りの主調色がグリーン系のときには、識別コード13の淡色セルにCY(シアン、イエロー)のみを用いるようにしても同様の効果を得ることができる。
【0027】
さらに、玩具本体11が魚に似せた外観を備える場合、識別コード13を構成する複数の濃色部分(濃色セル)および淡色部分(淡色セル)、特に有彩色が用いられた淡色部分(淡色セル)を魚の鱗のように見せることができるため、この点においても玩具本体11の見栄え向上に貢献できる。
【0028】
なお、玩具本体11の表面の彩りの主調色がブルー系のときには、淡色セルに用いられるCMY(シアン、マゼンタ、イエロー)のセル数比率(色面積比率)がブルー系となるように調整するか、淡色セルにCM(シアン、マゼンタ)のみを用いるようにすればよい。また、玩具本体11の表面の彩りの主調色がレッド系のときには、淡色セルに用いられるCMY(シアン、マゼンタ、イエロー)のセル数比率(色面積比率)がレッド系となるように調整するか、淡色セルにMY(マゼンタ、イエロー)のみを用いるようにすればよい。
【0029】
また、
図2にはクワイエットゾーン13dにCMY(シアン、マゼンタ、イエロー)の色付けが為されていないものを例示したが、当該クワイエットゾーン13dにも淡色セルと同様の色付け、すなわち、玩具本体11の表面の彩りの主調色がグリーン系、ブルー系、レッド系のときには前記同様の色面積比率や色選択に基づいてクワイエットゾーン13dに色付けを施してもよい。
【0030】
《第2実施形態》
図3に例示した識別コード付き玩具20は、カード状の玩具本体21の表面に識別コード部22が設けられている。この識別コード付き玩具20はカード関連のゲームソフトウェアの実行途中において使用可能なゲーム補助物品であり、ゲーム装置に付属の後述のコード読み取りデバイスを用いて識別コード部22の識別コード23(
図4を参照)を光学的に読み取ることが可能である。
【0031】
玩具本体21は、その表面に、タイトル(
図3左上のABCDEを参照、符号省略)と、タイトル等に対応した固有のピクチャー部21a、具体的には骸骨と棺桶とを含むピクチャー部21a(絵、写真またはイラストレーション等)を有しているとともに、その表面はタイトルおよびピクチャー部21aに見合う彩り(ここでの彩りの主調色はレッド系)を有している。
【0032】
なお、識別コード23の光学的な読み取りが可能であれば、玩具本体21の表面における識別コード部22の位置に特段の制限はない。また、玩具本体21の表面に設けられたピクチャー部21aは図示例以外のキャラクター等の無生物や動物等の生物やその他の絵、写真またはイラストレーション等であってもよく、タイトルも適宜変更可能である。
【0033】
識別コード部22は、玩具本体21の表面に、印刷シールの貼り付けや直接印刷等の手法によって設けられている。この識別コード部22は、識別コード付き玩具20の識別情報を所持する識別コード23を有している。
【0034】
図4に例示した識別コード部22の識別コード23は、前述の第1実施形態と同様、複数の濃色部分(符号省略)と複数の淡色部分(符号省略)とによって構成されており、淡色部分に濃色部分よりも濃度が低い有彩色が用いられている。また、淡色部分に用いられている有彩色の色数は1つ以上であり、淡色部分の個々は単一の有彩色で色付けされている。
【0035】
識別コード部22および識別コード23の形態について
図4を用いて具体的に説明すると、識別コード23は2次元コードの1種である正方形タイプのデータマトリックスであり、L状のアライメントパターン23aと逆L状のクロックパターン23bとによって囲まれたデータエリア23cを有しており、当該識別コード23の周囲にはクワイエットゾーン23dが設けられている。また、識別コード23の総セル数は324(18セル×18セル)、データエリア23cの総セル数は256(16セル×16セル)である。
【0036】
なお、1つのセルサイズ、識別コード23の実サイズ、識別コード部22の実サイズ、総セル数、および留意事項は、前述の第1実施形態で説明したとおりであるため、ここでの説明を省略する。
【0037】
識別コード23の濃色部分(濃色セル)と淡色部分(淡色セル)の色について
図4を用いて具体的に説明すると、識別コード23にはその印刷を考慮してCMYKカラーモデルが用いられており、324の総セル数のうち、154の濃色セルの色はブラック(K)、170の淡色セルの個々の色はマゼンタ(M)とイエロー(Y)である。
【0038】
なお、ブラック(K)とマゼンタ(M)とイエロー(Y)の目標濃度と、L*a*b*表色系のCIELAB値(L*,a*,b*)は、前述の第1実施形態で説明したとおりであるため、ここでの説明を省略する。また、154の濃色セルのうちのアライメントパターン23aおよびクロックパターン23bを除く濃色セル、すなわち、データエリア23cにおける濃色セルは図示の便宜上ランダムに描いたものであって特定情報を表すものではない。
【0039】
また、先に述べたように玩具本体21の表面の彩りの主調色がレッド系であることを考慮して、170の淡色セルのうち、85の淡色セルの色をマゼンタ(M)とし、85の淡色セルの色をイエロー(Y)としている。さらに、マゼンタ(M)の淡色セルとイエロー(Y)の淡色セルは各々が一箇所に集まらないように極力分散し、かつ、隣り合うように配置している。
【0040】
マゼンタ(M)とイエロー(Y)のセル数比率(色面積比率)を前掲のようにし、かつ、これらを前掲のように配置した理由は、170の淡色セルにおけるMY(マゼンタ、イエロー)の混合色を玩具本体11の表面の彩りの主調色(レッド系)に対応させたこと、換言すれば、識別コード付き玩具20を少し離れて見たときに識別コード23の170の淡色セルが玩具本体21の表面の彩りの主調色と同一または近似のレッド系に見えるようにしたことある。
【0041】
ちなみに、
図3に例示した識別コード玩具20の識別コード部22の識別コード23を光学的に読み取るときには、赤外線利用のコードリーダやデジタルカメラで撮像した画像を2値化して当該2値化画像から識別情報(2値データ)を取り込む機能を有するコード読み取りデバイスの他、赤外線非利用のコードリーダやデジタルカメラで撮像した画像を淡色部分(淡色セル)を除外するフィルタやデジタル処理等を用いて2値化して当該2値化画像から識別情報(2値データ)を取り込む機能を有するコード読み取りデバイスが使用可能である。
【0042】
以上説明したように、識別コード部22の識別コード23の淡色部分(淡色セル)に濃色部分(濃色セル)よりも濃度が低い有彩色を用いているので、濃色部分を黒とし淡色部分を白とした識別コードを有する識別コード部を玩具本体21の表面、とりわけ、彩りを有する表面に設けたときのような見栄え低下を極力回避して、玩具本体21の見栄え向上に貢献できる。
【0043】
また、識別コード23の濃色部分(濃色セル)と淡色部分(淡色セル)の色としてCMYKカラーモデルを用いているので、識別コード23を有する識別コード部22を玩具本体11の表面に印刷シールの貼り付けや直接印刷等の手法によって設ける場合でも、識別コード23の作製が容易に行える。
【0044】
さらに、識別コード23の淡色セルに用いられるMY(マゼンタ、イエロー)のセル数比率(色面積比率)を調整することにより、当該淡色セルにおけるMY(マゼンタ、イエロー)の混合色を玩具本体21の表面の彩りの主調色(レッド系)に対応させているので、この点においても玩具本体21の見栄え向上に貢献できる。無論、玩具本体21の表面の彩りの主調色がレッド系のときには、識別コード23の淡色セルにCMY(シアン、マゼンタ、イエロー)を用いてセル数比率(色面積比率)を調整するようにしても同様の効果を得ることができる。
【0045】
なお、玩具本体21の表面の彩りの主調色がブルー系のときには、淡色セルにCM(シアン、マゼンタ)のみを用いるようにするか、淡色セルにCMY(シアン、マゼンタ、イエロー)を用いセル数比率(色面積比率)を調整してブルー系となるようにすればよい。また、玩具本体21の表面の彩りの主調色がグリーン系のときには、淡色セルにCY(シアン、イエロー)のみを用いるか、淡色セルにCMY(シアン、マゼンタ、イエロー)を用いセル数比率(色面積比率)を調整してグリーン系となるようにすればよい。
【0046】
また、
図4にはクワイエットゾーン23dにCMY(シアン、マゼンタ、イエロー)の色付けが為されていないものを例示したが、当該クワイエットゾーン23dにも淡色セルと同様の色付け、すなわち、玩具本体21の表面の彩りの主調色がレッド系、ブルー系、グリーン系のときには前記同様の色面積比率や色選択に基づいてクワイエットゾーン13dに色付けを施してもよい。
【0047】
《他の実施形態》
(1)前述の第1実施形態の
図2では識別コード13の淡色部分に用いられる有彩色の色数をCMY(シアン、マゼンタ、イエロー)の3つとし、前述の第2実施形態の
図4では識別コード23の淡色部分に用いられる有彩色の色数をMY(マゼンタ、イエロー)の2つとしたものを例示したが、玩具本体11および21の表面の彩りの主調色がシアン系である場合には識別コード13および23の淡色部分全ての色をシアン(C)とし、玩具本体11および21の表面の彩りの主調色がマゼンタ系である場合には識別コード13および23の淡色部分全ての色をマゼンタ(M)とし、玩具本体11および21の表面の色がイエロー系である場合には識別コード13および23の淡色部分全ての色をイエロー(Y)としてもよい。
【0048】
(2)前述の各実施形態および前記(1)では、識別コード13および23の淡色部分に用いられる有彩色の色数をCMY(シアン、マゼンタ、イエロー)から選択された1以上としたものを例示したが、CMY(シアン、マゼンタ、イエロー)以外の有彩色を用いることも可能である。ただし、識別コード13および23を有する識別コード部12および23が玩具本体11および21の表面に印刷シールの貼り付けや直接印刷等の手法によって設けられることを踏まえると、識別コード13および23の淡色部分に用いられる有彩色の色数をCMY(シアン、マゼンタ、イエロー)から選択された1以上とした方が印刷に伴う利便性は高い。
【0049】
(3)前述の各実施形態では識別コード13および23の濃色部分の色をブラック(K)としたものを例示したが、当該濃色部分はその濃度が淡色部分の濃度よりも高ければ識別コード13および23の光学的な読み取りが可能であるため、同条件を満足していれば識別コード13および23の濃色部分の色としてブラック(K)以外の色を使用してもよい。
【0050】
(4)前述の各実施形態では、識別コード13および23として正方形タイプのデータマトリックスを用いたものを例示したが、当該識別コードには、横長長方形タイプのデータマトリックス(縦セル数は横セル数の1/2)も適宜使用可能である。
【0051】
(5)前述の各実施形態では、識別コード13および23としてデータマトリックスを用いたものを例示したが、当該識別コードには他の2次元コード、例えばマトリックス式のものとしてはQRコード(登録商標)やベリコード等の公知のものが適宜使用可能であり、スタック式のものとしてはPDF417やCODE49等の公知のものが適宜使用可能である。
【0052】
(6)前述の各実施形態では、識別コード13および23として2次元コード(データマトリックス)を用いたものを例示したが、当該2次元コードに変えて1次元コード、例えばJANやITFやNW-7やCODE39やCODE128等の公知のものが適宜使用可能である。ちなみに、1次元コードにあっては濃色バー(黒色バー)が前記濃色部分に該当し淡色スペース(白色スペース)が前記淡色部分に該当する。
【0053】
(7)前述の第1実施形態の
図1では識別コード付き玩具10として魚釣り用ルアー状の玩具本体11を有するものを例示し、前述の第2実施形態の
図3では識別コード付き玩具20としてカード状の玩具本体21を有するものを例示したが、玩具本体はこれら以外の武器を模したもの、車両を模したもの、人形(フィギュア)、ぬいぐるみ等であってもよく、また、玩具本体は必ずしもゲームソフトウェアの実行途中において使用可能なゲーム補助物品である必要もない。
【0054】
また、本発明の光学的に読み取り可能な識別コードは、玩具以外にも例えば、食品等の包装容器や電化製品、書籍、チケット等の様々な物品に適用可能である。識別コードの色合い(色彩)を物品の外観に見合った色合い(色彩)とすることにより、よりデザイン性の高い識別コード付き物品を提供することが可能である。
【符号の説明】
【0055】
10…識別コード付き玩具、11…玩具本体、12…識別コード部、13…識別コード、20…識別コード付き玩具、21…玩具本体、22…識別コード部、23…識別コード。
【手続補正書】
【提出日】2023-12-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学的に読み取り可能な識別コードを有する識別コード部が玩具本体に設けられた識別コード付き玩具であって、
前記識別コードは複数の第1部分と複数の第2部分とによって構成されており、
前記第1部分の色は、CMYKカラーモデルにおけるブラック(K)からなり、
前記第2部分の色は、CMYKカラーモデルにおけるシアン(C)とマゼンタ(M)とイエロー(Y)を用い色面積比率を調整した有彩色であり、
前記識別コードは、1次元コードまたは2次元コードであり、前記第1部分が前記1次元コードまたは前記2次元コードの黒色部分に対応し、前記第2部分が前記1次元コードまたは前記2次元コードの白色部分に対応する、
識別コード付き玩具。
【請求項2】
前記玩具本体は色彩を有する、
請求項1に記載の識別コード付き玩具。
【請求項3】
前記第2部分の色は、前記玩具本体の色彩の主調色に対応している、
請求項2に記載の識別コード付き玩具。
【請求項4】
前記第2部分に用いられている有彩色の色数は1つ以上であり、前記第2部分の個々は単一の有彩色で色付けされている、
請求項1~3のいずれか1項に記載の識別コード付き玩具。
【請求項5】
前記第1部分は、濃色であり、前記第2部分は、淡色であり、
前記第2部分に前記濃色部分よりも濃度が低い有彩色が用いられている
請求項1~6のいずれか1項に記載の識別コード付き玩具。
【請求項6】
前記識別コード付き玩具はゲームソフトウェアの実行途中において使用可能なゲーム補助物品であり、前記識別コード部の前記識別コードはコード読み取りデバイスを用いて光学的に読み取り可能に構成されている、
請求項1~5のいずれか1項に記載の識別コード付き玩具。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
本発明に係る識別コード付き玩具は、光学的に読み取り可能な識別コードを有する識別コード部が玩具本体に設けられた識別コード付き玩具であって、前記識別コードは複数の濃色部分と複数の淡色部分とによって構成されており、前記淡色部分に前記濃色部分よりも濃度が低い有彩色が用いられている。また、本発明に係る識別コード付き玩具は、光学的に読み取り可能な識別コードを有する識別コード部が玩具本体に設けられた識別コード付き玩具であって、前記識別コードは複数の第1部分と複数の第2部分とによって構成されており、前記第1部分の色は、CMYKカラーモデルにおけるブラック(K)からなり、前記第2部分の色は、CMYKカラーモデルにおけるシアン(C)とマゼンタ(M)とイエロー(Y)を用い色面積比率を調整した有彩色であり、前記識別コードは、1次元コードまたは2次元コードであり、前記第1部分が前記1次元コードまたは前記2次元コードの黒色部分に対応し、前記第2部分が前記1次元コードまたは前記2次元コードの白色部分に対応している。