(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024023560
(43)【公開日】2024-02-21
(54)【発明の名称】可撓性電極を有する外科用器具
(51)【国際特許分類】
A61B 18/14 20060101AFI20240214BHJP
【FI】
A61B18/14
【審査請求】有
【請求項の数】22
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023206026
(22)【出願日】2023-12-06
(62)【分割の表示】P 2020534852の分割
【原出願日】2018-10-23
(31)【優先権主張番号】62/611,339
(32)【優先日】2017-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/611,340
(32)【優先日】2017-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/611,341
(32)【優先日】2017-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/691,230
(32)【優先日】2018-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/024,124
(32)【優先日】2018-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】517076008
【氏名又は名称】エシコン エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Ethicon LLC
【住所又は居所原語表記】#475 Street C, Suite 401, Los Frailes Industrial Park, Guaynabo, Puerto Rico 00969, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】シェルトン・ザ・フォース・フレデリック・イー
(72)【発明者】
【氏名】イェイツ・デビッド・シー
(72)【発明者】
【氏名】ハリス・ジェイソン・エル
(72)【発明者】
【氏名】ウィーナー・アイタン・ティー
(72)【発明者】
【氏名】アルドリッジ・ジェフリー・エル
(72)【発明者】
【氏名】メサーリー・ジェフリー・ディー
(72)【発明者】
【氏名】モルガン・ジェローム・アール
(72)【発明者】
【氏名】ウィデンハウス・タマラ
(57)【要約】
【課題】外科用器具の可撓性電極が開示される。
【解決手段】可撓性電極は、治療用電極、感知電極、及び絶縁層を含む。治療用電極は、高周波エネルギー源に連結可能である。絶縁層は、治療用電極と感知電極との間に位置付けられる。治療用電極及び感知電極は、外科用器具の第1のジョーと第2のジョーとの間に位置付けられた組織に接触するように構成される。
【選択図】
図28
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用器具の可撓性電極であって、前記可撓性電極は、
高周波エネルギー源に連結可能な治療用電極と、
感知電極と、
前記治療用電極と前記感知電極との間に位置付けられた絶縁層と、を備え、前記治療用電極及び前記感知電極は、前記外科用器具の第1のジョーと第2のジョーとの間に位置付けられた組織に接触するように構成され、少なくとも前記第1のジョー上に配置されており、前記治療用電極は前記感知電極と前記第1のジョーとの間に位置付けられている、可撓性電極。
【請求項2】
前記治療用電極が矩形形状を含む、請求項1に記載の可撓性電極。
【請求項3】
前記感知電極が前記治療用電極に重なっている、請求項1に記載の可撓性電極。
【請求項4】
前記感知電極が、矩形部分と、前記矩形部分から延在する複数の指部と、を含むパターン形状を含む、請求項1に記載の可撓性電極。
【請求項5】
前記感知電極が、
前記外科用器具の前記第1のジョーと前記第2のジョーとの間に位置付けられた前記組織のインピーダンスと、
前記組織の電気的連続性と、
前記組織内の温度遷移点と、のうちの少なくとも1つを決定するのを助けるように構成されている、請求項1に記載の可撓性電極。
【請求項6】
前記絶縁層が前記治療用電極に重なっている、請求項1に記載の可撓性電極。
【請求項7】
前記絶縁層が、矩形部分と、前記矩形部分から延在する複数の指部と、を含む、請求項1に記載の可撓性電極。
【請求項8】
前記絶縁層が前記感知電極と一致している、請求項1に記載の可撓性電極。
【請求項9】
前記絶縁層の可撓性が、
前記治療用電極の可撓性と、
前記感知電極の可撓性と、を超えている、請求項1に記載の可撓性電極。
【請求項10】
第2の絶縁層を更に備え、前記治療用電極が前記絶縁層と前記第2の絶縁層との間に位置付けられている、請求項1に記載の可撓性電極。
【請求項11】
第3の絶縁層を更に備え、前記感知電極が前記絶縁層と前記第3の絶縁層との間に位置付けられている、請求項10に記載の可撓性電極。
【請求項12】
外科用器具の可撓性電極アセンブリであって、前記可撓性電極アセンブリは、
請求項1に記載の可撓性電極であって、前記治療用電極が第1の治療用電極であり、前記感知電極が第1の感知電極であり、前記絶縁層が第1の絶縁層である、可撓性電極と、
前記高周波エネルギー源に連結可能な第2の治療用電極と、
前記外科用器具の前記第1のジョーと前記第2のジョーとの間に位置付けられた前記組織に関連付けられたパラメータを決定するのを助けるように構成された第2の感知電極と、
前記第2の治療用電極と前記第2の感知電極との間に位置付けられた第2の絶縁層と、を備え、前記第2の治療用電極及び前記第2の感知電極は、前記組織に接触するように構成されている、可撓性電極アセンブリ。
【請求項13】
前記第1の治療用電極、前記第1の感知電極、及び前記第1の絶縁層が、前記外科用器具のナイフスロットの第1の側に位置付けられ、
前記第2の治療用電極、前記第2の感知電極、及び前記第2の絶縁層が、前記ナイフスロットの反対側に位置付けられている、請求項12に記載の可撓性電極アセンブリ。
【請求項14】
前記第1及び第2の感知電極が、
前記外科用器具の前記第1のジョーと前記第2のジョーとの間に位置付けられた前記組織のインピーダンスと、
前記組織の電気的連続性と、
前記組織内の温度遷移点と、のうちの少なくとも1つを決定するのを助けるように構成されている、請求項12に記載の可撓性電極アセンブリ。
【請求項15】
前記第1及び第2の感知電極のそれぞれが、矩形部分と、前記矩形部分から延在する複数の指部と、を含むパターン形状を含む、請求項12に記載の可撓性電極アセンブリ。
【請求項16】
前記第1及び第2の絶縁層のそれぞれが、矩形部分と、前記矩形部分から延在する複数の指部と、を含むパターン形状を含む、請求項12に記載の可撓性電極アセンブリ。
【請求項17】
前記第1及び第2の絶縁層の可撓性が、
前記第1及び第2の治療用電極の可撓性と、
前記第1及び第2の感知電極の可撓性と、を超えている、請求項12に記載の可撓性電極アセンブリ。
【請求項18】
前記第1及び第2の感知電極が、前記第1のジョーと前記第2のジョーとの間の最小間隙を制御するように構成された導電性ギャップスペーサを形成する、請求項12に記載の可撓性電極アセンブリ。
【請求項19】
前記第2の治療用電極及び前記第2の感知電極は、少なくとも前記第1のジョー上に配置されており、前記第2の治療用電極は前記第2の感知電極と前記第1のジョーとの間に位置付けられている、請求項12に記載の可撓性電極アセンブリ。
【請求項20】
前記治療用電極が第1の層を画定し、前記感知電極が第2の層を画定し、
前記絶縁層が前記第1の層と前記第2の層との間に位置付けられ、
前記第1の層は前記第2の層と前記第1のジョーとの間に位置付けられている、請求項1に記載の可撓性電極。
【請求項21】
前記治療用電極が矩形形状であり、前記感知電極の隣り合う前記指部の間の空間から前記組織に対向するように構成されている、請求項4に記載の可撓性電極。
【請求項22】
外科用器具であって、
請求項1に記載の可撓性電極と、
前記第1のジョー及び前記第2のジョーと、を備える、外科用器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、米国特許法第119条(e)の下で、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、「SURGICAL INSTRUMENT HAVING A FLEXIBLE ELECTRODE」と題する2018年6月28日出願の米国仮特許出願第62/691,230号に対する優先権を主張する。本出願は、米国特許法第119条(e)の下で、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、「A METHOD OF USING REINFORCED FLEX CIRCUITS WITH MULTIPLE SENSORS WITH ELECTROSURGICAL DEVICES」と題する2018年6月28日出願の米国仮特許出願第62/691,228号に対する優先権を主張する。
【0002】
本出願は、米国特許法第119条(e)の下で、それぞれの開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる、「SURGICAL SYSTEMS WITH OPTIMIZED SENSING CAPABILITIES」と題する2018年3月30日出願の米国仮特許出願第62/650,887号、「SURGICAL SMOKE EVACUATION SENSING AND CONTROLS」と題する2018年3月30日出願の米国仮特許出願第62/650,877号、「SMOKE EVACUATION MODULE FOR INTERACTIVE SURGICAL PLATFORM」と題する2018年3月30日出願の米国仮特許出願第62/650,882号、及び「CAPACITIVE COUPLED RETURN PATH PAD WITH SEPARABLE ARRAY ELEMENTS」と題する2018年3月30日出願の米国仮特許出願第62/650,898号の優先権の利益を主張する。
【0003】
本出願は更に、米国特許法第119条(e)の下で、それぞれの開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる、「TEMPERATURE CONTROL IN ULTRASONIC DEVICE AND CONTROL SYSTEM THEREFOR」と題する2018年3月8日出願の米国仮特許出願第62/640,417号、及び「ESTIMATING STATE OF ULTRASONIC END EFFECTOR AND CONTROL SYSTEM THEREFOR」と題する2018年3月8日出願の米国仮特許出願第62/640,415号の優先権の利益を主張する。
【0004】
本出願は更に、米国特許法第119条(e)の下で、各開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる、「INTERACTIVE SURGICAL PLATFORM」と題する2017年12月28日出願の米国仮特許出願第62/611,341号、「CLOUD-BASED MEDICAL ANALYTICS」と題する2017年12月28日出願の米国仮特許出願第62/611,340号、及び「ROBOT ASSISTED SURGICAL PLATFORM」と題する2017年12月28日出願の米国仮特許出願第62/611,339号の優先権の利益を主張する。
【0005】
本出願は、一般的に及び様々な態様において、外科システム、外科用器具、及び可撓性回路に関連する発明を開示する。
【背景技術】
【0006】
外科用器具は、様々な方向に移動することが必要とされ、かつ/又は種々の力を受ける構成要素を含む。例えば、シャフトは、回転し、関節運動し、異なる張力を経験し、ジョーは、開閉旋回し、望ましくない屈曲又は変形を経験し、切断部材は、遠位方向及び近位方向に軸方向移動し、異なる抵抗力を経験する。
【0007】
外科用器具はまた、電極、感知装置、処理回路、モータ、並びに配線及び/又は配線トレースなどの追加の構成要素を含んでもよく、その一部は、外科用器具の様々な部分内に位置し得る。例えば、感知装置及び/又は処理回路は、外科用器具のエンドエフェクタ内、外科用器具のシャフトアセンブリ内、及び/又は外科用器具のハンドルアセンブリ内に位置し得る。そのような追加の構成要素は、外科用器具の電気回路を形成し得、そのような電気回路の一部はまた、様々な方向に移動することを必要とされ、かつ/又は種々の力を受ける可能性がある。
【0008】
多くの場合、様々な外科用器具のジョー電極は剛性であり、ジョーの間に位置付けられた組織に電気外科エネルギーを印加し、集合的にジョーのほぼ全幅を占め、ジョーが開閉するにつれて屈曲又は変形を経験し得る、治療用電極として利用される。ジョーによって画定されたスロットを横断するナイフを含む外科用器具では、第1の電極はスロットの第1の側(例えば、右手側)に位置付けられ得、第2の電極は、スロットの第2の側(例えば、左手側)に位置付けられ得る。
【0009】
それらの剛性の性質により、電極の望ましくない屈曲又は変形が早期破損につながり得る。また、集合的にジョーのほぼ全幅を占めることによって、電極は、ジョーの間に位置付けられた組織と接触する比較的大きな表面積を有する。電極が高周波(RF)エネルギーを組織に送達すると、電極の大きな表面積は、望ましくない組織粘着に寄与し得る。加えて、電極の大きな表面積により、感知及び/又は測定装置がジョーの間に位置付けられた組織と接触するための場所はほとんど残らない。
【0010】
外科用器具内の従来の電気回路では、様々な方向に移動することが必要とされ、かつ/又は種々の力を受ける電気回路の部分は、外科用器具へのそれらの接続部から外れる若しくは離れる、かつ/又は所望より高い率で故障する傾向がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
外科用器具の可撓性電極が開示される。可撓性電極は、高周波エネルギー源、感知電極、及び絶縁層に連結可能な治療用電極を含む。絶縁層は、治療用電極と感知電極との間に位置付けられる。治療用電極及び感知電極は、外科用器具の第1のジョーと第2のジョーとの間に位置付けられた組織に接触するように構成される。
【0012】
外科用器具の可撓性電極アセンブリが開示される。可撓性電極アセンブリは、高周波エネルギー源に連結可能な第1及び第2の治療用電極と、外科用器具の第1のジョーと第2のジョーとの間に位置付けられた組織に関連付けられたパラメータを決定するのを助けるように構成された第1及び第2の感知電極と、を備える。可撓性電極アセンブリは、第1の治療用電極と第1の感知電極との間に位置付けられた第1の絶縁層と、第2の治療用電極と第2の感知電極との間に位置付けられた第2の絶縁層と、を更に備え、第1及び第2の治療用電極と第1及び第2の感知電極とは、組織に接触するように構成される。
【0013】
外科用器具のマルチレベル可撓性電極が開示される。マルチレベル可撓性電極は、第1、第2、及び第3の絶縁層を備える。マルチレベル可撓性電極は、治療用電極及び感知電極を更に備える。治療用電極は、第1の絶縁層と第2の絶縁層との間に位置付けられ、治療用電極は、高周波エネルギー源に連結可能である。感知電極は、第2の絶縁層と第3の絶縁層との間に位置付けられ、感知電極は、外科用器具の第1のジョーと第2のジョーとの間に位置付けられた組織に関連付けられたパラメータを決定するのを助けるように構成され、治療用電極及び感知電極は、組織に接触するように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
様々な態様の特徴が、添付された特許請求の範囲で詳細に説明される。ただし、機構、及び動作の方法の両方についての様々な態様は、それらの更なる目的及び利点と共に、以降の添付図面と併せて、以下の説明を参照することにより最もよく理解することができる。
【
図1】本開示の少なくとも1つの態様による、コンピュータ実装インタラクティブ外科システムのブロック図である。
【
図2】本開示の少なくとも1つの態様による、手術室内で外科処置を行うために使用される外科システムである。
【
図3】本開示の少なくとも1つの態様による可視化システム、ロボットシステム、及びインテリジェント器具とペアリングされた外科用ハブである。
【
図4】本開示の少なくとも1つの態様による、外科用ハブ筐体、及び外科用ハブ筐体のドロアー内に摺動可能に受容可能な組み合わせ生成器モジュールの部分斜視図である。
【
図5】本開示の少なくとも1つの態様による、双極、超音波、及び単極接点、並びに排煙構成要素を備える組み合わせ生成器モジュールの斜視図である。
【
図6】本開示の少なくとも1つの態様による、複数のモジュールを受容するように構成された横方向モジュール式ハウジングの複数の横方向ドッキングポートの個々の電力バスアタッチメントを示す。
【
図7】本開示の少なくとも1つの態様による、複数のモジュールを受容するように構成された垂直モジュール式ハウジングを示す。
【
図8】本開示の少なくとも1つの態様による、医療施設の1つ又は2つ以上の手術室、又は外科処置のための専門設備を備えた医療施設内の任意の部屋に配置されたモジュール式装置をクラウドに接続するように構成されたモジュール式通信ハブを備える外科用データネットワークを示す。
【
図9】本開示の少なくとも1つの態様による、コンピュータ実装インタラクティブ外科システムを示す。
【
図10】本開示の少なくとも1つの態様による、モジュール式制御タワーに連結された複数のモジュールを備える外科用ハブを示す。
【
図11】本開示の少なくとも1つの態様による、ユニバーサルシリアルバス(USB)ネットワークハブ装置の一態様を示す。
【
図12】本開示の少なくとも1つの態様による、外科用器具又はツールの制御システムの論理図を示す。
【
図13】本開示の少なくとも1つの態様による、外科用器具又はツールの態様を制御するように構成された制御回路を示す。
【
図14】本開示の少なくとも1つの態様による、外科用器具又はツールの態様を制御するように構成された組み合わせ論理回路を示す。
【
図15】本開示の少なくとも1つの態様による、外科用器具又はツールの態様を制御するように構成された順序論理回路を示す。
【
図16】本開示の少なくとも1つの態様による、様々な機能を実行するために起動され得る複数のモータを備える外科用器具又はツールを示す。
【
図17】本開示の少なくとも1つの態様による、本明細書で説明される外科用ツールを操作するように構成されたロボット外科用器具の回路図である。
【
図18】本開示の少なくとも1つの態様による、変位部材の遠位並進を制御するようにプログラムされた外科用器具のブロック図を示す。
【
図19】本開示の少なくとも1つの態様による、様々な機能を制御するように構成された外科用器具の回路図である。
【
図20】本開示の少なくとも1つの態様による、他の利点の中でも、インダクタレス同調を提供するように構成された発生器の簡略ブロック図である。
【
図21】本開示の少なくとも1つの態様による、
図20の発生器の一形態である、発生器の一実施例を示す。
【
図22】本開示の少なくとも1つの態様による、外科用器具を示す。
【
図23】本開示の少なくとも1つの他の態様による、
図22の外科用器具のシャフトアセンブリを示す。
【
図24】本開示の少なくとも1つの態様による、
図22の外科用器具の可撓性回路を示す。
【
図25】本開示の少なくとも1つの態様による、
図22の外科用器具のチャネル保持器を示す。
【
図26】本開示の少なくとも1つの態様による、
図24の線A-Aに沿った可撓性回路の断面図を示す。
【
図27】本開示の少なくとも1つの態様による、
図24の線B-Bに沿った可撓性回路の断面図を示す。
【
図28】本開示の少なくとも1つの態様による、
図22の外科用器具の可撓性電極の分解図を示す。
【
図29】本開示の少なくとも1つの態様による、
図22の外科用器具の可撓性電極の平面図を示す。
【
図30】本開示の少なくとも1つの態様による、
図22の外科用器具の可撓性電極の平面図を示す。
【
図31】本開示の少なくとも1つの他の態様による、
図22の外科用器具の可撓性電極の分解図を示す。
【
図32】本開示の少なくとも1つの他の態様による、
図22の外科用器具の可撓性電極の端面図を示す。
【
図33】本開示の少なくとも1つの他の態様による、
図22の外科用器具の可撓性電極の上面斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本願の出願人は、各開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる、2018年6月29日出願の以下の米国特許出願を所有する。
・「CAPACITIVE COUPLED RETURN PATH PAD WITH SEPARABLE ARRAY ELEMENTS」と題する、米国特許出願第__________号、代理人整理番号END8542USNP/170755、
・「CONTROLLING A SURGICAL INSTRUMENT ACCORDING TO SENSED CLOSURE PARAMETERS」と題する、米国特許出願第__________号、代理人整理番号END8543USNP/170760、
・「SYSTEMS FOR ADJUSTING END EFFECTOR PARAMETERS BASED ON PERIOPERATIVE INFORMATION」と題する、米国特許出願第__________号、代理人整理番号END8543USNP1/170760-1、
・「SAFETY SYSTEMS FOR SMART POWERED SURGICAL STAPLING」と題する、米国特許出願第__________号、代理人整理番号END8543USNP2/170760-2、
・「SAFETY SYSTEMS FOR SMART POWERED SURGICAL STAPLING」と題する、米国特許出願第__________号、代理人整理番号END8543USNP3/170760-3、
・「SURGICAL SYSTEMS FOR DETECTING END EFFECTOR TISSUE DISTRIBUTION IRREGULARITIES」と題する、米国特許出願第__________号、代理人整理番号END8543USNP4/170760-4、
・「SYSTEMS FOR DETECTING PROXIMITY OF SURGICAL END EFFECTOR TO CANCEROUS TISSUE」と題する、米国特許出願第__________号、代理人整理番号END8543USNP5/170760-5、
・「SURGICAL INSTRUMENT CARTRIDGE SENSOR ASSEMBLIES」と題する、米国特許出願第__________号、代理人整理番号END8543USNP6/170760-6、
・「VARIABLE OUTPUT CARTRIDGE SENSOR ASSEMBLY」と題する、米国特許出願第__________号、代理人整理番号END8543USNP7/170760-7、
・「SURGICAL INSTRUMENT HAVING A FLEXIBLE CIRCUIT」と題する、米国特許出願第__________号、代理人整理番号END8544USNP1/170761-1、
・「SURGICAL INSTRUMENT WITH A TISSUE MARKING ASSEMBLY」と題する、米国特許出願第__________号、代理人整理番号END8544USNP2/170761-2、
・「SURGICAL SYSTEMS WITH PRIORITIZED DATA TRANSMISSION CAPABILITIES」と題する、米国特許出願第__________号、代理人整理番号END8544USNP3/170761-3、
・「SURGICAL EVACUATION SENSING AND MOTOR CONTROL」と題する、米国特許出願第__________号、代理人整理番号END8545USNP/170762、
・「SURGICAL EVACUATION SENSOR ARRANGEMENTS」と題する、米国特許出願第__________号、代理人整理番号END8545USNP1/170762-1、
・「SURGICAL EVACUATION FLOW PATHS」と題する、米国特許出願第__________号、代理人整理番号END8545USNP2/170762-2、
・「SURGICAL EVACUATION SENSING AND GENERATOR CONTROL」と題する、米国特許出願第__________号、代理人整理番号END8545USNP3/170762-3、
・「SURGICAL EVACUATION SENSING AND DISPLAY」と題する、米国特許出願第__________号、代理人整理番号END8545USNP4/170762-4、
・「COMMUNICATION OF SMOKE EVACUATION SYSTEM PARAMETERS TO HUB OR CLOUD IN SMOKE EVACUATION MODULE FOR INTERACTIVE SURGICAL PLATFORM」と題する、米国特許出願第__________号、代理人整理番号END8546USNP/170763、
・「SMOKE EVACUATION SYSTEM INCLUDING A SEGMENTED CONTROL CIRCUIT FOR INTERACTIVE SURGICAL PLATFORM」と題する、米国特許出願第__________号、代理人整理番号END8546USNP1/170763-1、
・「SURGICAL EVACUATION SYSTEM WITH A COMMUNICATION CIRCUIT FOR COMMUNICATION BETWEEN A FILTER AND A SMOKE EVACUATION DEVICE」と題する、米国特許出願第__________号、代理人整理番号END8547USNP/170764、及び
・「DUAL IN-SERIES LARGE AND SMALL DROPLET FILTERS」と題する、米国特許出願第__________号、代理人整理番号END8548USNP/170765。
【0016】
本願の出願人は、各開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる、2018年6月28日出願の以下の米国仮特許出願を所有する。
・「A METHOD OF USING REINFORCED FLEX CIRCUITS WITH MULTIPLE SENSORS WITH ELECTROSURGICAL DEVICES」と題する米国仮特許出願第62/691,228号、
・「CONTROLLING A SURGICAL INSTRUMENT ACCORDING TO SENSED CLOSURE PARAMETERS」と題する米国仮特許出願第62/691,227号、
・「SURGICAL INSTRUMENT HAVING A FLEXIBLE ELECTRODE」と題する米国仮特許出願第62/691,230号、
・「SURGICAL EVACUATION SENSING AND MOTOR CONTROL」と題する米国仮特許出願第62/691,219号、
・「COMMUNICATION OF SMOKE EVACUATION SYSTEM PARAMETERS TO HUB OR CLOUD IN SMOKE EVACUATION MODULE FOR INTERACTIVE SURGICAL PLATFORM」と題する米国仮特許出願第62/691,257号、
・「SURGICAL EVACUATION SYSTEM WITH A COMMUNICATION CIRCUIT FOR COMMUNICATION BETWEEN A FILTER AND A SMOKE EVACUATION DEVICE」と題する米国仮特許出願第62/691,262号、及び
・「DUAL IN-SERIES LARGE AND SMALL DROPLET FILTERS」と題する米国仮特許出願第62/691,251号。
【0017】
本願の出願人は、各開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる、2018年3月29日出願の以下の米国特許出願を所有する。
・「INTERACTIVE SURGICAL SYSTEMS WITH ENCRYPTED COMMUNICATION CAPABILITIES」と題する米国特許出願第15/940,641号、
・「INTERACTIVE SURGICAL SYSTEMS WITH CONDITION HANDLING OF DEVICES AND DATA CAPABILITIES」と題する米国特許出願第15/940,648号、
・「SURGICAL HUB COORDINATION OF CONTROL AND COMMUNICATION OF OPERATING ROOM DEVICES」と題する米国特許出願第15/940,656号、
・「SPATIAL AWARENESS OF SURGICAL HUBS IN OPERATING ROOMS」と題する米国特許出願第15/940,666号、
・「COOPERATIVE UTILIZATION OF DATA DERIVED FROM SECONDARY SOURCES BY INTELLIGENT SURGICAL HUBS」と題する米国特許出願第15/940,670号、
・「SURGICAL HUB CONTROL ARRANGEMENTS」と題する米国特許出願第15/940,677号、
・「DATA STRIPPING METHOD TO INTERROGATE PATIENT RECORDS AND CREATE ANONYMIZED RECORD」と題する米国特許出願第15/940,632号、
・「COMMUNICATION HUB AND STORAGE DEVICE FOR STORING PARAMETERS AND STATUS OF A SURGICAL DEVICE TO BE SHARED WITH CLOUD BASED ANALYTICS SYSTEMS」と題する米国特許出願第15/940,640号、
・「SELF DESCRIBING DATA PACKETS GENERATED AT AN ISSUING INSTRUMENT」と題する米国特許出願第15/940,645号、
・「DATA PAIRING TO INTERCONNECT A DEVICE MEASURED PARAMETER WITH AN OUTCOME」と題する米国特許出願第15/940,649号、
・「SURGICAL HUB SITUATIONAL AWARENESS」と題する米国特許出願第15/940,654号、
・「SURGICAL SYSTEM DISTRIBUTED PROCESSING」と題する米国特許出願第15/940,663号、
・「AGGREGATION AND REPORTING OF SURGICAL HUB DATA」と題する米国特許出願第15/940,668号、
・「SURGICAL HUB SPATIAL AWARENESS TO DETERMINE DEVICES IN OPERATING THEATER」と題する米国特許出願第15/940,671号、
・「DISPLAY OF ALIGNMENT OF STAPLE CARTRIDGE TO PRIOR LINEAR STAPLE LINE」と題する米国特許出願第15/940,686号、
・「STERILE FIELD INTERACTIVE CONTROL DISPLAYS」と題する米国特許出願第15/940,700号、
・「COMPUTER IMPLEMENTED INTERACTIVE SURGICAL SYSTEMS」と題する米国特許出願第15/940,629号、
・「USE OF LASER LIGHT AND RED-GREEN-BLUE COLORATION TO DETERMINE PROPERTIES OF BACK SCATTERED LIGHT」と題する米国特許出願第15/940,704号、
・「CHARACTERIZATION OF TISSUE IRREGULARITIES THROUGH THE USE OF MONO-CHROMATIC LIGHT REFRACTIVITY」と題する米国特許出願第15/940,722号、及び
・「DUAL CMOS ARRAY IMAGING」と題する米国特許出願第15/940,742号。
【0018】
本願の出願人は、各開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる、2018年3月29日出願の以下の米国特許出願を所有する。
・「ADAPTIVE CONTROL PROGRAM UPDATES FOR SURGICAL DEVICES」と題する米国特許出願第15/940,636号、
・「ADAPTIVE CONTROL PROGRAM UPDATES FOR SURGICAL HUBS」と題する米国特許出願第15/940,653号、
・「CLOUD-BASED MEDICAL ANALYTICS FOR CUSTOMIZATION AND RECOMMENDATIONS TO A USER」と題する米国特許出願第15/940,660号、
・「CLOUD-BASED MEDICAL ANALYTICS FOR LINKING OF LOCAL USAGE TRENDS WITH THE RESOURCE ACQUISITION BEHAVIORS OF LARGER DATA SET」と題する米国特許出願第15/940,679号、
・「CLOUD-BASED MEDICAL ANALYTICS FOR MEDICAL FACILITY SEGMENTED INDIVIDUALIZATION OF INSTRUMENT FUNCTION」と題する米国特許出願第15/940,694号、
・「CLOUD-BASED MEDICAL ANALYTICS FOR SECURITY AND AUTHENTICATION TRENDS AND REACTIVE MEASURES」と題する米国特許出願第15/940,634号、
・「DATA HANDLING AND PRIORITIZATION IN A CLOUD ANALYTICS NETWORK」と題する米国特許出願第15/940,706号、及び
・「CLOUD INTERFACE FOR COUPLED SURGICAL DEVICES」と題する米国特許出願第15/940,675号。
【0019】
本願の出願人は、各開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる、2018年3月29日出願の以下の米国特許出願を所有する。
・「DRIVE ARRANGEMENTS FOR ROBOT-ASSISTED SURGICAL PLATFORMS」と題する米国特許出願第15/940,627号、
・「COMMUNICATION ARRANGEMENTS FOR ROBOT-ASSISTED SURGICAL PLATFORMS」と題する米国特許出願第15/940,637号、
・「CONTROLS FOR ROBOT-ASSISTED SURGICAL PLATFORMS」と題する米国特許出願第15/940,642号、
・「AUTOMATIC TOOL ADJUSTMENTS FOR ROBOT-ASSISTED SURGICAL PLATFORMS」と題する米国特許出願第15/940,676号、
・「CONTROLLERS FOR ROBOT-ASSISTED SURGICAL PLATFORMS」と題する米国特許出願第15/940,680号、
・「COOPERATIVE SURGICAL ACTIONS FOR ROBOT-ASSISTED SURGICAL PLATFORMS」と題する米国特許出願第15/940,683号、
・「DISPLAY ARRANGEMENTS FOR ROBOT-ASSISTED SURGICAL PLATFORMS」と題する米国特許出願第15/940,690号、及び
・「SENSING ARRANGEMENTS FOR ROBOT-ASSISTED SURGICAL PLATFORMS」と題する米国特許出願第15/940,711号。
【0020】
本願の出願人は、各開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる、2018年3月28日出願の以下の米国仮特許出願を所有する。
・「INTERACTIVE SURGICAL SYSTEMS WITH ENCRYPTED COMMUNICATION CAPABILITIES」と題する米国仮特許出願第62/649,302号、
・「DATA STRIPPING METHOD TO INTERROGATE PATIENT RECORDS AND CREATE ANONYMIZED RECORD」と題する米国仮特許出願第62/649,294号、
・「SURGICAL HUB SITUATIONAL AWARENESS」と題する米国仮特許出願第62/649,300号、
・「SURGICAL HUB SPATIAL AWARENESS TO DETERMINE DEVICES IN OPERATING THEATER」と題する米国仮特許出願第62/649,309号、
・「COMPUTER IMPLEMENTED INTERACTIVE SURGICAL SYSTEMS」と題する米国仮特許出願第62/649,310号、
・「USE OF LASER LIGHT AND RED-GREEN-BLUE COLORATION TO DETERMINE PROPERTIES OF BACK SCATTERED LIGHT」と題する米国仮特許出願第62/649,291号、
・「ADAPTIVE CONTROL PROGRAM UPDATES FOR SURGICAL DEVICES」と題する米国仮特許出願第62/649,296号、
・「CLOUD-BASED MEDICAL ANALYTICS FOR CUSTOMIZATION AND RECOMMENDATIONS TO A USER」と題する米国仮特許出願第62/649,333号、
・「CLOUD-BASED MEDICAL ANALYTICS FOR SECURITY AND AUTHENTICATION TRENDS AND REACTIVE MEASURES」と題する米国仮特許出願第62/649,327号、
・「DATA HANDLING AND PRIORITIZATION IN A CLOUD ANALYTICS NETWORK」と題する米国仮特許出願第62/649,315号、
・「CLOUD INTERFACE FOR COUPLED SURGICAL DEVICES」と題する米国仮特許出願第62/649,313号、
・「DRIVE ARRANGEMENTS FOR ROBOT-ASSISTED SURGICAL PLATFORMS」と題する米国仮特許出願第62/649,320号、
・「AUTOMATIC TOOL ADJUSTMENTS FOR ROBOT-ASSISTED SURGICAL PLATFORMS」と題する米国仮特許出願第62/649,307号、及び
・「SENSING ARRANGEMENTS FOR ROBOT-ASSISTED SURGICAL PLATFORMS」と題する米国仮特許出願第62/649,323号。
【0021】
本願の出願人は、各開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる、2018年4月19日出願の以下の米国仮特許出願を所有する。
・「METHOD OF HUB COMMUNICATION」と題する米国仮特許出願第62/659,900号。
【0022】
本願の出願人は、各開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる、2018年3月30日出願の以下の米国仮特許出願を所有する。
・「SURGICAL SYSTEMS WITH OPTIMIZED SENSING CAPABILITIES」と題する米国仮特許出願第62/650,887号、
・「SURGICAL SMOKE EVACUATION SENSING AND CONTROLS」と題する米国仮特許出願第62/650,877号、
・「SMOKE EVACUATION MODULE FOR INTERACTIVE SURGICAL PLATFORM」と題する米国仮特許出願第62/650,882号、及び
・「CAPACITIVE COUPLED RETURN PATH PAD WITH SEPARABLE ARRAY ELEMENTS」と題する米国仮特許出願第62/650,898号。
【0023】
本願の出願人は、各開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる、2018年3月8日出願の以下の米国仮特許出願を所有する。
・「TEMPERATURE CONTROL IN ULTRASONIC DEVICE AND CONTROL SYSTEM THEREFOR」と題する米国仮特許出願第62/640,417号、及び
・「ESTIMATING STATE OF ULTRASONIC END EFFECTOR AND CONTROL SYSTEM THEREOFR」と題する米国仮特許出願第62/640,415号。
【0024】
本願の出願人は、各開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる、2017年12月28日出願の以下の米国仮特許出願を所有する。
・「INTERACTIVE SURGICAL PLATFORM」と題する米国仮特許出願第62/611,341号、
・「CLOUD-BASED MEDICAL ANALYTICS」と題する米国仮特許出願第62/611,340号、及び
・「ROBOT ASSISTED SURGICAL PLATFORM」と題する米国仮特許出願第62/611,339号。
【0025】
本発明の図及び説明のうちの少なくともいくつかは、本開示の明確な理解に関連する要素を示すために簡略化されているが、明確にすることを目的として、当業者が理解する他の要素を排除することが、本発明の一部を構成してもよいことを理解されたい。しかしながら、そのような要素は当該技術分野で周知であり、かつそれらは本発明のより良い理解を容易にするわけではないため、そのような要素の説明は本明細書において提供されない。
【0026】
以下の「発明を実施するための形態」では、本明細書の一部を構成する添付の図面を参照する。図中、一般的に、同様の記号及び参照符合は、内容によりそうでない旨が断られない限り、複数の図を通じて同様の要素を示す。「発明を実施するための形態」、「図面」、及び「特許請求の範囲」に記載される例示的な態様は、限定を目的としたものではない。本明細書に記載される技術の範囲から逸脱することなく、他の態様を使用することが可能であり、他の変更を行うことが可能である。
【0027】
本技術の特定の実施例の以下の説明は、その範囲を限定する目的で用いられるべきではない。本技術の他の実施例、特徴、態様、実施形態、及び利点は、実例として、本技術を実施する上で想到される最良の態様の1つである以下の説明により、当業者には明らかとなるであろう。理解されるように、本明細書に記載される技術は、いずれもその技術から逸脱することなく、その他の異なる、かつ明らかな態様が可能である。したがって、図面及び説明は、限定的な性質のものではなく、例示的な性質のものと見なされるべきである。
【0028】
本明細書に記載の教示、表現、態様、実施形態、実施例などのうちのいずれか1つ又は2つ以上を、本明細書に記載の他の教示、表現、態様、実施形態、実施例などのうちのいずれか1つ又は2つ以上と組み合わせることができる点も更に理解される。したがって、以下に記載される教示、表現、態様、実施形態、実施例などは、互いに対して切り離して考慮されるべきではない。本明細書の教示を組み合わせることができる様々な好適な方法が、本明細書の教示を考慮することで当業者には容易に明らかとなるであろう。このような改変及び変形形態は、「特許請求の範囲」の範囲内に含まれるものとする。
【0029】
外科システム、外科用器具、可撓性回路、及び可撓性電極アセンブリの様々な態様を詳細に説明する前に、本明細書に開示された様々な態様は、それらの用途又は使用において、添付の図面及び説明に例示される部品の構造及び配置の詳細に限定されないことに留意すべきである。むしろ、開示された態様は、他の態様、実施形態、変形形態、及びそれらの改変として位置付けるか、又はこれらに組み込むことが可能であり、様々な方法で実施又は実行してもよい。したがって、本明細書に開示される外科システム、外科用器具、可撓性回路、及び可撓性電極アセンブリの態様は、本質的に例示的なものであり、その範囲又は用途を限定することを意図するものではない。更に、別途記載のない限り、本明細書で用いる用語及び表現は、読者の便宜のために態様を説明する目的で選択されるものであって、それらの範囲を限定することを意図するものではない。更に、開示された態様、態様の表現及び/又はその実施例のうちの任意の1つ又は2つ以上を、限定することなく、他の開示された態様、態様の表現及び/又はその実施例のうちの任意の1つ又は2つ以上と組み合わせることができる点を理解されたい。
【0030】
また、以下の説明において、内側、外側、上向き、下向き、より上、より下、左、右、内面、外面、といった用語は便宜的に用いられる語であると理解するべきであり、限定的な用語として解釈されるべきではない。本明細書で使用される用語は、本明細書に述べられる装置、又はその部分を他の向きに取設するか又は用いることが可能である限り、限定的なものではない。図面を参照しながら、様々な態様をより詳細に説明する。
【0031】
以下により詳細に記載されるように、本発明の態様は、コンピューティング装置及び/又はコンピュータ可読媒体上に記憶されたコンピュータプログラムによって実装されてもよい。コンピュータ可読媒体は、ディスク、装置、及び/又は伝播信号を含んでもよい。
【0032】
図1を参照すると、コンピュータ実装インタラクティブ外科システム100は、1つ又は2つ以上の外科システム102と、クラウドベースのシステム(例えば、ストレージ装置105に連結されたリモートサーバ113を含み得るクラウド104)と、を含む。各外科システム102は、リモートサーバ113を含み得るクラウド104と通信する少なくとも1つの外科用ハブ106を含む。一実施例では、
図1に示すように、外科システム102は、互いに、及び/又はハブ106と通信するように構成された、可視化システム108と、ロボットシステム110と、ハンドヘルド式インテリジェント外科用器具112と、を含む。いくつかの態様では、外科システム102は、M個のハブ106と、N個の可視化システム108と、O個のロボットシステム110と、P個のハンドヘルド式インテリジェント外科用器具112と、を含んでもよく、ここでM、N、O、及びPは1以上の整数である。
【0033】
図3は、外科手術室116内の手術台114上に横たわる患者に対して外科処置を実施するために使用される外科システム102の一例を示す。ロボットシステム110は、外科処置において外科システム102の一部として使用される。ロボットシステム110は、外科医のコンソール118と、患者側カート120(外科用ロボット)と、外科用ロボットハブ122と、を含む。患者側カート120は、患者の身体の低侵襲切開中に、外科医が外科医のコンソール118を介して手術部位を見る間、少なくとも1つの取り外し可能に連結された外科用ツール117を操作することができる。手術部位の画像は医療用撮像装置124によって得ることができ、医療用撮像装置124は撮像装置124を配向するために患者側カート120によって操作され得る。ロボットハブ122は、外科医のコンソール118を介して外科医に対するその後の表示のために、手術部位の画像を処理するよう用いることができる。
【0034】
他のタイプのロボットシステムを、外科システム102と共に使用するために容易に適合させることができる。本開示と共に使用するのに好適なロボットシステム及び外科用ツールの様々な例は、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、2017年12月28日出願の「ROBOT ASSISTED SURGICAL PLATFORM」と題する米国仮特許出願第62/611,339号に記載されている。
【0035】
クラウド104によって実施され、本開示と共に使用するのに好適なクラウドベース分析の様々な例は、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、2017年12月28日出願の「CLOUD-BASED MEDICAL ANALYTICS」と題する米国仮特許出願第62/611,340号に記載されている。
【0036】
様々な態様では、撮像装置124は、少なくとも1つの画像センサと1つ又は2つ以上の光学構成要素とを含む。好適な画像センサとしては、電荷結合素子(CCD)センサ及び相補型金属酸化膜半導体(CMOS)センサが挙げられるが、これらに限定されない。
【0037】
撮像装置124の光学構成要素は、1つ若しくは2つ以上の照明光源及び/又は1つ若しくは2つ以上のレンズを含んでもよい。1つ又は2つ以上の照明光源は、手術野の一部を照明するように方向付けられてもよい。1つ又は2つ以上の画像センサは、組織及び/又は外科用器具から反射又は屈折された光を含む、手術野から反射又は屈折された光を受信することができる。
【0038】
1つ又は2つ以上の照明光源は、可視スペクトル及び不可視スペクトル内の電磁エネルギーを放射するように構成され得る。光学スペクトル又は発光スペクトルと呼ばれることもある可視スペクトルは、人間の目に可視の(すなわち、人間の目で検出可能な)電磁スペクトルの一部分であり、可視光、又は単に光と呼ばれることがある。典型的な人間の目は、空気中の約380nm~約750nmの波長に反応する。
【0039】
不可視スペクトル(すなわち、非発光スペクトル)は、可視スペクトルの下方及び上方に位置する電磁スペクトルの一部分である(すなわち、約380nm未満及び約750nm超の波長)。不可視スペクトルは、人間の目で検出可能ではない。約750nmを超える波長は、赤色可視スペクトルよりも長く、これらは不可視赤外線(IR)、マイクロ波、及び無線電磁放射線になる。約380nm未満の波長は、紫色スペクトルよりも短く、これらは不可視紫外線、X線、及びガンマ線電磁放射線になる。
【0040】
様々な態様では、撮像装置124は、低侵襲性手術で使用するように構成されている。本開示と共に使用するのに好適な撮像装置の例としては、関節鏡、血管鏡、気管支鏡、胆道鏡、結腸鏡、サイトスコープ(cytoscope)、十二指腸鏡、腸鏡、食道胃十二指腸鏡(胃鏡)、内視鏡、喉頭鏡、鼻咽喉-腎盂鏡(nasopharyngo-neproscope)、S状結腸鏡、胸腔鏡、及び尿管鏡が挙げられるが、これらに限定されない。
【0041】
一態様では、撮像装置は、トポグラフィーと下層構造とを区別するためにマルチスペクトルモニタリングを用いる。マルチスペクトル画像は、電磁スペクトルにわたって特定の波長範囲内の画像データを取り込むものである。波長は、フィルタによって、又は可視光範囲を超える周波数、例えば、IR及び紫外光を含む特定の波長からの光に感受性の器具を使用することによって分離することができる。スペクトル撮像法は、人間の目がその赤色、緑色、及び青色の受容体で捕捉することのできない追加情報の抽出を可能にすることができる。マルチスペクトル撮像法の使用は、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる2017年12月28日出願の「INTERACTIVE SURGICAL PLATFORM」と題する米国仮特許出願第62/611,341号の「Advanced Imaging Acquisition Module」の項で詳細に説明されている。マルチスペクトルモニタリングは、1つの手術作業が完了した後に、処置された組織上で上述の試験の1つ又は2つ以上を実施するために手術野を再配置するのに有用なツールであり得る。
【0042】
いかなる外科手術においても手術室及び外科用器具の厳格な滅菌が必要であることは自明である。「手術現場(surgical theater)」、すなわち手術室又は処置室に必要とされる厳格な衛生及び滅菌条件は、全ての医療装置及び機器の最大級の滅菌性を必要とする。その滅菌プロセスの一部は、撮像装置124並びにその付属品及び構成要素を含む、患者と接触する、又は滅菌野に侵入するあらゆるものを滅菌する必要性である。滅菌野は、トレイ内又は滅菌タオル上などの、微生物を含まないと見なされる特定の領域と見なされ得ること、又は滅菌野は、外科処置のために準備された患者のすぐ周囲の領域と見なされ得ることは理解されよう。滅菌野は、適切な衣類を着用した洗浄済みのチーム構成員、並びにその領域内の全ての備品及び固定具を含み得る。
【0043】
様々な態様では、可視化システム108は、
図2に示されるように、滅菌野に対して戦略的に配置された1つ又は2つ以上の撮像センサと、1つ又は2つ以上の画像処理ユニットと、1つ又は2つ以上のストレージアレイと、1つ又は2つ以上のディスプレイと、を含む。一態様では、可視化システム108は、HL7、PACS、及びEMRのインターフェースを含む。可視化システム108の様々な構成要素については、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる2017年12月28日出願の「INTERACTIVE SURGICAL PLATFORM」と題する米国仮特許出願第62/611,341号の「Advanced Imaging Acquisition Module」の項で説明されている。
【0044】
図2に示すように、一次ディスプレイ119は、手術台114に位置する操作者に可視であるように、滅菌野内に配置される。加えて、可視化タワー111は、滅菌野の外に位置付けられる。可視化タワー111は、互いに離れる方に面する第1の非滅菌ディスプレイ107及び第2の非滅菌ディスプレイ109を含む。外科用ハブ106によって誘導される可視化システム108は、ディスプレイ107、109、及び119を利用して、滅菌野の内部及び外部の操作者に対する情報フローを調整するように構成されている。例えば、外科用ハブ106は、可視化システム108に、一次ディスプレイ119上の手術部位のライブ映像を維持させながら、撮像装置124によって記録される手術部位のスナップショットを非滅菌ディスプレイ107又は109上に表示させることができる。非滅菌ディスプレイ107又は109上のスナップショットは、例えば、非滅菌操作者が外科処置に関連する診断工程を実施することを可能にすることができる。
【0045】
一態様では、外科用ハブ106は、滅菌野内で、可視化タワー111に位置する非滅菌操作者によって入力された診断入力又はフィードバックを滅菌領域内の一次ディスプレイ119に送り、これを手術台に位置する滅菌操作者が見ることができるようにも構成されている。一実施例では、入力は、外科用ハブ106によって一次ディスプレイ119に送ることのできる、非滅菌ディスプレイ107又は109上に表示されるスナップショットに対する修正の形態であってもよい。
【0046】
図2を参照すると、外科用器具112は、外科処置において外科システム102の一部として使用されている。外科用ハブ106はまた、外科用器具112のディスプレイへの情報フローを調整するように構成されている。例えば、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、「INTERACTIVE SURGICAL PLATFORM」と題する2017年12月28日出願の米国仮特許出願第62/611,341号を参照されたい。可視化タワー111の位置で非滅菌操作者によって入力される診断入力又はフィードバックを滅菌野内で外科用ハブ106によって外科用器具ディスプレイ115に送ることができ、ここで外科用器具112の操作者は診断入力又はフィードバックを見ることができる。外科システム102と共に用いるのに好適な例示的外科用器具については、例えば、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、「Surgical Instrument Hardware」の項目、及び「INTERACTIVE SURGICAL PLATFORM」と題する2017年12月28日出願の米国仮特許出願第62/611,341号で説明されている。
【0047】
ここで
図3を参照すると、外科用ハブ106が、可視化システム108、ロボットシステム110、及びハンドヘルド式インテリジェント外科用器具112と通信している状態で示されている。外科用ハブ106は、外科用ハブディスプレイ135、撮像モジュール138、発生器モジュール140、通信モジュール130、プロセッサモジュール132、及びストレージアレイ134を含む。特定の態様では、
図3に示すように、外科用ハブ106は、排煙モジュール126及び/又は吸引/灌注モジュール128を更に含む。
【0048】
外科処置中、封止及び/又は切断のため組織へのエネルギー印加は、一般に、排煙、過剰な流体の吸引、及び/又は組織の灌注を伴う。異なる供給源からの流体、電力、及び/又はデータラインは、外科処置中に絡まり合うことが多い。外科処置中にこの問題に対処することで貴重な時間が失われる場合がある。ラインの絡まりをほどくには、それらの対応するモジュールからラインを抜くことが必要となる場合があり、そのためにはモジュールをリセットすることが必要となる場合がある。外科用ハブのモジュール式筐体136は、電力、データ、及び流体ラインを管理するための統一環境を提供し、このようなライン間の絡まりの頻度を低減させる。
【0049】
本開示の態様は、手術部位における組織へのエネルギー印加を伴う外科処置において使用するための外科用ハブを提示する。外科用ハブは、外科用ハブ筐体と、外科用ハブ筐体のドッキングステーション内に摺動可能に受容可能な組み合わせ生成器モジュールと、を含む。ドッキングステーションはデータ及び電力接点を含む。組み合わせ生成器モジュールは、単一ユニット内に収容された、超音波エネルギー発生器構成要素、双極RFエネルギー発生器構成要素、及び単極RFエネルギー発生器構成要素のうちの2つ以上を含む。一態様では、組み合わせ生成器モジュールはまた、排煙構成要素と、組み合わせ生成器モジュールを外科用器具に接続するための少なくとも1つのエネルギー送達ケーブルと、組織への治療エネルギーの適用によって発生した煙、流体、及び/又は微粒子を排出するように構成された少なくとも1つの排煙構成要素と、遠隔手術部位から排煙構成要素まで延在する流体ラインと、を含む。
【0050】
一態様では、流体ラインは第1の流体ラインであり、第2の流体ラインは、遠隔手術部位から、外科用ハブ筐体内に摺動可能に受容される吸引及び灌注モジュールまで延在する。一態様では、外科用ハブ筐体は、流体インターフェースを含む。
【0051】
特定の外科処置は、2つ以上のエネルギータイプを組織に印加することを必要とする場合がある。1つのエネルギータイプは、組織を切断するのにより有益であり得るが、別の異なるエネルギータイプは、組織を封止するのにより有益であり得る。例えば、双極発生器は組織を封止するために使用することができ、一方で、超音波発生器は封止された組織を切断するために使用することができる。本開示の態様は、外科用ハブのモジュール式筐体136が様々な発生器を収容して、これらの間の双方向通信を促進するように構成される解決法を提示する。外科用ハブのモジュール式筐体136の利点の1つは、様々なモジュールの迅速な取り外し及び/又は交換を可能にすることである。
【0052】
本開示の態様は、組織へのエネルギー印加を伴う外科処置で使用するためのモジュール式外科用筐体を提示する。モジュール式外科用筐体は、組織に印加するための第1のエネルギーを発生させるように構成された第1のエネルギー発生器モジュールと、第1のデータ及び電力接点を含む第1のドッキングポートを含む第1のドッキングステーションと、を含み、第1のエネルギー発生器モジュールは、電力及びデータ接点と電気係合するように摺動可能に移動可能であり、また第1のエネルギー発生器モジュールは、第1の電力及びデータ接点との電気係合から外れるように摺動可能に移動可能である。
【0053】
上記に加えて、モジュール式外科用筐体は、第1のエネルギーとは異なる、組織に印加するための第2のエネルギーを発生させるように構成された第2のエネルギー発生器モジュールと、第2のデータ及び電力接点を含む第2のドッキングポートを備える第2のドッキングステーションと、を更に含み、第2のエネルギー発生器モジュールは、電力及びデータ接点と電気係合するように摺動可能に移動可能であり、また第2のエネルギー発生器モジュールは、第2の電力及びデータ接点との電気係合から外れるように摺動可能に移動可能である。
【0054】
更に、モジュール式外科用筐体は、第1のエネルギー発生器モジュールと第2のエネルギー発生器モジュールとの間の通信を容易にするように構成された、第1のドッキングポートと第2のドッキングポートとの間の通信バスを更に含む。
【0055】
図3~
図7を参照すると、発生器モジュール140と、排煙モジュール126と、吸引/灌注モジュール128と、のモジュール式統合を可能にする外科用ハブのモジュール式筐体136に関する本開示の態様が提示される。外科用ハブのモジュール式筐体136は、モジュール140、126、128間の双方向通信を更に促進する。
図5に示すように、発生器モジュール140は、外科用ハブのモジュール式筐体136に摺動可能に挿入可能な単一のハウジングユニット139内に支持される、統合された単極、双極、及び超音波構成要素を備える発生器モジュールであってもよい。
図5に示すように、発生器モジュール140は、単極装置146、双極装置147、及び超音波装置148に接続するように構成され得る。あるいは、発生器モジュール140は、外科用ハブのモジュール式筐体136を介して相互作用する一連の単極、双極、及び/又は超音波発生器モジュールを備えてもよい。外科用ハブのモジュール式筐体136は、複数の発生器が単一の発生器として機能するように、複数の発生器の挿入と、外科用ハブのモジュール式筐体136にドッキングされた発生器間の双方向通信と、を促進するように構成されてもよい。
【0056】
一態様では、外科用ハブのモジュール式筐体136は、モジュール140、126、128の取り外し可能な取り付け及びそれらの間の双方向通信を可能にするために、外部及び無線通信ヘッダを備えるモジュール式電力及び通信バックプレーン149を含む。
【0057】
一態様では、外科用ハブのモジュール式筐体136は、モジュール140、126、128を摺動可能に受容するように構成された、本明細書ではドロアーとも称されるドッキングステーション又はドロアー151を含む。
図4は、外科用ハブ筐体136、及び外科用ハブ筐体136のドッキングステーション151に摺動可能に受容可能な組み合わせ生成器モジュール145の部分斜視図を示す。組み合わせ生成器モジュール145の後側に電力及びデータ接点を有するドッキングポート152は、組み合わせ生成器モジュール145が外科用ハブのモジュール式筐体136の対応するドッキングステーション151内の位置へと摺動されると、対応するドッキングポート150をハブのモジュール式筐体136の対応するドッキングステーション151の電力及びデータ接点と係合するように構成されている。一態様では、組み合わせ生成器モジュール145は、
図5に示すように、双極、超音波、及び単極モジュールと、単一のハウジングユニット139と共に一体化された排煙モジュールと、を含む。
【0058】
様々な態様では、排煙モジュール126は、捕捉/回収された煙及び/又は流体を手術部位から遠ざけて、例えば、排煙モジュール126へと搬送する流体ライン154を含む。排煙モジュール126から発生する真空吸引は、煙を手術部位のユーティリティ導管の開口部に引き込むことができる。流体ラインに連結されたユーティリティ導管は、排煙モジュール126で終端する可撓管の形態であってもよい。ユーティリティ導管及び流体ラインは、外科用ハブ筐体136内に受容される排煙モジュール126に向かって延在する流体経路を画定する。
【0059】
様々な態様では、吸引/灌注モジュール128は、吸い込み(aspiration)流体ライン及び吸引(suction)流体ラインを含む外科用ツールに連結される。一実施例では、吸い込み及び吸引流体ラインは、手術部位から吸引/灌注モジュール128に向かって延在する可撓管の形態である。1つ又は2つ以上の駆動システムは、手術部位への、及び手術部位からの流体の灌注及び吸い込みを引き起こすように構成され得る。
【0060】
一態様では、外科用ツールは、その遠位端にエンドエフェクタを有するシャフトと、エンドエフェクタに関連付けられた少なくとも1つのエネルギー処置部と、吸い込み管と、灌注管と、を含む。吸い込み管は、その遠位端に入口ポートを有することができ、吸い込み管はシャフトを通って延在する。同様に、灌注管はシャフトを通って延在することができ、かつ、エネルギー送達器具に近接した入口ポートを有することができる。エネルギー送達器具は、超音波及び/又はRFエネルギーを手術部位に送達するように構成され、最初にシャフトを通って延在するケーブルによって発生器モジュール140に連結される。
【0061】
灌注管は流体源と流体連通することができ、吸い込み管は真空源と流体連通することができる。流体源及び/又は真空源は、吸引/灌注モジュール128内に収容され得る。一実施例では、流体源及び/又は真空源は、吸引/灌注モジュール128とは別に外科用ハブ筐体136内に収容され得る。このような実施例では、流体インターフェースは、吸引/灌注モジュール128を流体源及び/又は真空源に接続するように構成され得る。
【0062】
一態様では、モジュール140、126、128及び/又は外科用ハブのモジュール式筐体136上のそれらの対応するドッキングステーションは、モジュールのドッキングポートを位置合わせして、外科用ハブのモジュール式筐体136のドッキングステーション内でこれらの対応部品と係合させるように構成された位置合わせ機構を含み得る。例えば、
図4に示すように、組み合わせ生成器モジュール145は、外科用ハブのモジュール式筐体136の対応するドッキングステーション151の対応するブラケット156と摺動可能に係合するように構成された側部ブラケット155を含む。ブラケットは協働して、組み合わせ生成器モジュール145のドッキングポート接点を外科用ハブのモジュール式筐体136のドッキングポート接点と電気係合させるように誘導する。
【0063】
いくつかの態様では、外科用ハブのモジュール式筐体136のドロアー151はサイズが同じ又は実質的に同じであり、モジュールはドロアー151内に受容されるサイズに調整される。例えば、側部ブラケット155及び/又は156は、モジュールのサイズに応じてより大きくなっても小さくなってもよい。他の態様では、ドロアー151はサイズが異なり、それぞれ特定のモジュールを収容するように設計される。
【0064】
更に、適合しない接点を備えるドロアーにモジュールを挿入することを避けるために、特定のモジュールの接点を、特定のドロアーの接点と係合するように鍵付きにしてもよい。
【0065】
図4に示されるように、1つのドロアー151のドッキングポート150は、通信リンク157を介して別のドロアー151のドッキングポート150に連結されて、外科用ハブのモジュール式筐体136内に収容されたモジュール間の双方向通信を容易にすることができる。あるいは又は更に、外科用ハブのモジュール式筐体136のドッキングポート150は、外科用ハブのモジュール式筐体136内に収容されたモジュール間の無線双方向通信を容易にしてもよい。例えば、Air Titan-Bluetoothなどの任意の好適な無線通信を用いてもよい。
【0066】
図6は、外科用ハブ206の複数のモジュールを受容するように構成された横方向モジュール式ハウジング160の複数の横方向ドッキングポートの個々の電力バスアタッチメントを示す。横方向モジュール式ハウジング160は、モジュール161を横方向に受容して相互接続するように構成される。モジュール161は、モジュール161を相互接続するためのバックプレーンを含む横方向モジュール式ハウジング160のドッキングステーション162内に摺動可能に挿入される。
図6に示すように、モジュール161は、横方向モジュール式ハウジング160内で横方向に配置される。あるいは、モジュール161は、垂直方向モジュール式ハウジング内で垂直方向に配置されてもよい。
【0067】
図7は、外科用ハブ106の複数のモジュール165を受容するように構成された垂直モジュール式ハウジング164を示す。モジュール165は、モジュール165を相互接続するためのバックプレーンを含む垂直モジュール式ハウジング164のドッキングステーション又はドロアー167内に摺動可能に挿入される。垂直モジュール式ハウジング164のドロアー167は垂直方向に配置されているが、特定の場合では、垂直モジュール式ハウジング164は、横方向に配置されたドロアーを含んでもよい。更に、モジュール165は、垂直モジュール式ハウジング164のドッキングポートを介して互いに相互作用し得る。
図7の実施例では、モジュール165の動作に関連するデータを表示するためのディスプレイ177が提供される。加えて、垂直モジュール式ハウジング164は、マスタモジュール178内に摺動可能に受容される複数のサブモジュールを収容するマスタモジュール178を含む。
【0068】
様々な態様では、撮像モジュール138は、内蔵型のビデオプロセッサ及びモジュール式光源を備え、様々な撮像装置と共に使用するように適合されている。一態様では、撮像装置は、光源モジュール及びカメラモジュールと共に組み立てることが可能なモジュール式ハウジングで構成される。ハウジングは、使い捨て式ハウジングであってもよい。少なくとも1つの実施例では、使い捨て式ハウジングは、再利用可能なコントローラ、光源モジュール、及びカメラモジュールと取り外し可能に連結される。光源モジュール及び/又はカメラモジュールは、外科処置の種類に応じて選択的に選択することができる。一態様では、カメラモジュールはCCDセンサを含む。別の態様では、カメラモジュールはCMOSセンサを含む。別の態様では、カメラモジュールは走査されたビームの撮像用に構成される。同様に、光源モジュールは、外科処置に応じて白色光又は異なる光を送達するように構成することができる。
【0069】
外科処置中に、手術野から外科用装置を除去して異なるカメラ又は異なる光源を含む別の外科用装置と交換することは非効率的であり得る。手術野の視野を一時的に喪失することは、望ましからぬ結果をもたらし得る。本開示のモジュール撮像装置は、手術野から撮像装置を除去する必要なく、外科処置中に光源モジュール又はカメラモジュール中間体(midstream)の交換を可能にするように構成される。
【0070】
一態様では、撮像装置は、複数のチャネルを含む管状ハウジングを備える。第1のチャネルは、第1のチャネルとスナップ嵌め係合するように構成され得るカメラモジュールを摺動可能に受容するように構成されている。第2のチャネルは、第2のチャネルとスナップ嵌め係合するように構成され得る光源モジュールを摺動可能に受容するように構成されている。別の実施例では、カメラモジュール及び/又は光源モジュールは、これらの対応するチャネル内の最終位置へと回転させることができる。スナップ嵌め係合の代わりにねじ係合が採用されてもよい。
【0071】
様々な実施例で、複数の撮像装置が、複数の視野を提供するために手術野内の様々な位置に位置決めされる。撮像モジュール138は、最適な視野を提供するために撮像装置間を切り替えるように構成することができる。様々な態様では、撮像モジュール138は、異なる撮像装置からの画像を統合するように構成することができる。
【0072】
本開示と共に使用するのに好適な様々な画像プロセッサ及び撮像装置は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる「COMBINED SBI AND CONVENTIONAL IMAGE PROCESSOR」と題する2011年8月9日発行の米国特許第7,995,045号に記載されている。更に、その全体が参照により本明細書に組み込まれる「SBI MOTION ARTIFACT REMOVAL APPARATUS AND METHOD」と題する2011年7月19日発行の米国特許第7,982,776号は、画像データからモーションアーチファクトを除去するための様々なシステムについて記載している。こうしたシステムは、撮像モジュール138と一体化され得る。更に、「CONTROLLABLE MAGNETIC SOURCE TO FIXTURE INTRACORPOREAL APPARATUS」と題する2011年12月15日公開の米国特許出願公開第2011/0306840号、及び「SYSTEM FOR PERFORMING A MINIMALLY INVASIVE SURGICAL PROCEDURE」と題する2014年8月28日公開の米国特許出願公開第2014/0243597号は、それぞれの開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0073】
図8は、医療施設の1つ又は2つ以上の手術室、又は外科処置のための専門設備を備えた医療施設内の任意の部屋に配置されたモジュール式装置をクラウドベースのシステム(例えばストレージ装置205に連結されたリモートサーバ213を含み得るクラウド204(
図9))に接続するように構成されたモジュール式通信ハブ203を備える外科用データネットワーク201を示す。一態様では、モジュール式通信ハブ203は、ネットワークルータと通信するネットワークハブ207及び/又はネットワークスイッチ209を備える。モジュール式通信ハブ203は更に、ローカルコンピュータ処理及びデータ操作を提供するために、ローカルコンピュータシステム210に連結することができる。外科用データネットワーク201は、受動的、インテリジェント、又は切替式として構成されてもよい。受動的外科用データネットワークはデータの導管として機能し、データが1つの装置(又はセグメント)から別の装置(又はセグメント)に、及びクラウドコンピューティングリソースに行くことを可能にする。インテリジェントな外科用データネットワークは、トラフィックが監視対象の外科用データネットワークを通過することを可能にし、ネットワークハブ207又はネットワークスイッチ209内の各ポートを構成する追加の機構を含む。インテリジェントな外科用データネットワークは、管理可能なハブ又はスイッチと称され得る。スイッチングハブは、各パケットの宛先アドレスを読み取り、次いでパケットを正しいポートに転送する。
【0074】
手術室に配置されるモジュール式装置1a~1nは、モジュール式通信ハブ203に連結されてもよい。ネットワークハブ207及び/又はネットワークスイッチ209は、ネットワークルータ211に連結されて、装置1a~1nをクラウド204又はローカルコンピュータシステム210に接続することができる。装置1a~1nに関連付けられたデータは、遠隔データ処理及び操作のためにルータを介してクラウドベースのコンピュータに転送されてもよい。装置1a~1nに関連付けられたデータはまた、ローカルでのデータ処理及び操作のためにローカルコンピュータシステム210に転送されてもよい。同じ手術室に位置するモジュール式装置2a~2mもまた、ネットワークスイッチ209に連結されてもよい。ネットワークスイッチ209は、ネットワークハブ207及び/又はネットワークルータ211に連結されて、装置2a~2mをクラウド204に接続することができる。装置2a~2mに関連付けられたデータは、データ処理及び操作のためにネットワークルータ211を介してクラウド204に転送されてもよい。装置2a~2mに関連付けられたデータはまた、ローカルでのデータ処理及び操作のためにローカルコンピュータシステム210に転送されてもよい。
【0075】
複数のネットワークハブ207及び/又は複数のネットワークスイッチ209を複数のネットワークルータ211と相互接続することによって、外科用データネットワーク201が拡張され得ることが理解されるであろう。モジュール式通信ハブ203は、複数の装置1a~1n/2a~2mを受容するように構成されたモジュール式制御タワー内に収容され得る。ローカルコンピュータシステム210もまた、モジュール式制御タワーに収容されてもよい。モジュール式通信ハブ203は、ディスプレイ212に接続されて、例えば外科処置中に、装置1a~1n/2a~2mのうちのいくつかによって取得された画像を表示する。様々な態様では、装置1a~1n/2a~2mとしては、外科用データネットワーク201のモジュール式通信ハブ203に接続され得るモジュール式装置の中でもとりわけ、例えば、内視鏡に連結された撮像モジュール138、エネルギーベースの外科用装置に連結された発生器モジュール140、排煙モジュール126、吸引/灌注モジュール128、通信モジュール130、プロセッサモジュール132、ストレージアレイ134、ディスプレイに連結された外科用装置、及び/又は非接触センサモジュールなどの様々なモジュールが挙げられ得る。
【0076】
一態様では、外科用データネットワーク201は、装置1a~1n/2a~2mをクラウドに接続する、ネットワークハブ(複数可)、ネットワークスイッチ(複数可)、及びネットワークルータ(複数可)との組み合わせを含んでもよい。ネットワークハブ又はネットワークスイッチに連結された装置1a~1n/2a~2mのいずれか1つ又は全ては、リアルタイムでデータを収集し、データ処理及び操作のためにデータをクラウドコンピュータに転送することができる。クラウドコンピューティングは、ソフトウェアアプリケーションを取り扱うために、ローカルサーバ又はパーソナル装置を有するのではなく、共有コンピューティングリソースに依存することは理解されるであろう。用語「クラウド」は「インターネット」の隠喩として用いられ得るが、この用語はそのように限定はされない。したがって、用語「クラウドコンピューティング」は、本明細書では「インターネットベースのコンピューティングの一種」を指すために用いることができ、この場合、サーバ、ストレージ、及びアプリケーションなどの様々なサービスは、手術現場(例えば、固定式、移動式、一時的、又は現場の手術室又は空間)に位置するモジュール式通信ハブ203及び/又はコンピュータシステム210に、かつインターネットを介してモジュール式通信ハブ203及び/又はコンピュータシステム210に接続された装置に送達される。クラウドインフラストラクチャは、クラウドサービスプロバイダによって維持され得る。この文脈において、クラウドサービスプロバイダは、1つ又は2つ以上の手術室内に位置する装置1a~1n/2a~2mの使用及び制御を調整する事業体であり得る。クラウドコンピューティングサービスは、スマート外科用器具、ロボット、及び手術室内に位置する他のコンピュータ化装置によって収集されたデータに基づいて、多数の計算を実行することができる。外科用ハブハードウェアは、複数の装置又は接続部がクラウドコンピューティングリソース及びストレージと通信するコンピュータに接続することを可能にする。
【0077】
装置1a~1n/2a~2mによって収集されたデータにクラウドコンピュータデータ処理技術を適用することで、外科用データネットワークは、外科的成果の改善、コスト低減、及び患者満足度の改善を提供する。組織の封止及び切断処置後に、組織の状態を観察して封止された組織の漏出又は灌流を評価するために、装置1a~1n/2a~2mのうちの少なくともいくつかを用いることができる。クラウドベースのコンピューティングを使用して、身体組織の試料の画像を含むデータを診断目的で検査して疾患の影響などの病状を特定するために、装置1a~1n/2a~2mのうちの少なくともいくつかを用いることができる。これは、組織及び表現型の位置特定及びマージン確認を含む。撮像装置と一体化された様々なセンサ、及び複数の撮像装置によってキャプチャされた画像をオーバーレイするなどの技術を使用して、身体の解剖学的構造を特定するために、装置1a~1n/2a~2mのうちの少なくともいくつかを用いることができる。画像データを含む、装置1a~1n/2a~2mによって収集されたデータは、画像処理及び操作を含むデータ処理及び操作のために、クラウド204若しくはローカルコンピュータシステム210又はその両方に転送されてもよい。データは、組織特異的部位及び状態に対する内視鏡的介入、新興技術、標的化放射線、標的化介入、及び精密ロボットの適用などの更なる治療を遂行できるかを判定することによって、外科処置の結果を改善するために分析することができる。こうしたデータ分析は、予後分析処理を更に採用してもよく、標準化されたアプローチを使用することは、外科治療及び外科医の挙動を確認するか、又は外科治療及び外科医の挙動に対する修正を提案するかのいずれかのために有益なフィードバックを提供することができる。
【0078】
一実装態様では、手術室装置1a~1nは、ネットワークハブに対する装置1a~1nの構成に応じて、有線チャネル又は無線チャネルを介してモジュール式通信ハブ203に接続されてもよい。ネットワークハブ207は、一態様では、開放型システム間相互接続(OSI)モデルの物理層上で機能するローカルネットワークブロードキャスト装置として実装されてもよい。ネットワークハブは、同じ手術室ネットワーク内に位置する装置1a~1nに接続性を提供する。ネットワークハブ207は、パケット形態のデータを収集し、それらを半二重モードでルータに送信する。ネットワークハブ207は、装置データを転送するための任意の媒体アクセス制御/インターネットプロトコル(MAC/IP)は記憶しない。装置1a~1nのうちの1つのみが、ネットワークハブ207を介して一度にデータを送信することができる。ネットワークハブ207は、情報の送信先に関する経路選択テーブル又はインテリジェンスを有さず、全てのネットワークデータを各コネクション全体、及びクラウド204上のリモートサーバ213(
図9)にブロードキャストする。ネットワークハブ207は、コリジョンなどの基本的なネットワークエラーを検出することができるが、全ての情報を複数のポートにブロードキャストすることは、セキュリティリスクとなりボトルネックを引き起こすおそれがある。
【0079】
別の実装形態では、手術室装置2a~2mは、有線チャネル又は無線チャネルを介してネットワークスイッチ209に接続されてもよい。ネットワークスイッチ209は、OSIモデルのデータリンク層内で機能する。ネットワークスイッチ209は、同じ手術室内に位置する装置2a~2mをネットワークに接続するためのマルチキャスト装置である。ネットワークスイッチ209は、フレームの形態のデータをネットワークルータ211に送信し、全二重モードで機能する。複数の装置2a~2mは、ネットワークスイッチ209を介して同時にデータを送信することができる。ネットワークスイッチ209は、データを転送するために装置2a~2mのMACアドレスを記憶かつ使用する。
【0080】
ネットワークハブ207及び/又はネットワークスイッチ209は、クラウド204に接続するためにネットワークルータ211に連結される。ネットワークルータ211は、OSIモデルのネットワーク層内で機能する。ネットワークルータ211は、装置1a~1n/2a~2mのいずれか1つ又は全てによって収集されたデータを更に処理及び操作するために、ネットワークハブ207及び/又はネットワークスイッチ211から受信したデータパケットをクラウドベースのコンピュータリソースに送信するための経路を作成する。ネットワークルータ211は、例えば、同じ医療施設の異なる手術室、又は異なる医療施設の異なる手術室に位置する異なるネットワークなどの、異なる位置に位置する2つ以上の異なるネットワークを接続するために用いられてもよい。ネットワークルータ211は、パケット形態のデータをクラウド204に送信し、全二重モードで機能する。複数の装置が同時にデータを送信することができる。ネットワークルータ211は、データを転送するためにIPアドレスを使用する。
【0081】
一実施例では、ネットワークハブ207は、複数のUSB装置をホストコンピュータに接続することを可能にするUSBハブとして実装されてもよい。USBハブは、装置をホストシステムコンピュータに接続するために利用可能なポートが多くなるように、単一のUSBポートをいくつかの階層に拡張することができる。ネットワークハブ207は、有線チャネル又は無線チャネルを介して情報を受信するための有線又は無線能力を含むことができる。一態様では、無線USB短距離高帯域無線通信プロトコルが、手術室内に位置する装置1a~1nと装置2a~2mとの間の通信のために使用されてもよい。
【0082】
他の実施例では、手術室装置1a~1n/2a~2mは、固定及びモバイル装置から短距離にわたってデータを交換し(2.4~2.485GHzのISM帯域における短波長UHF電波を使用して)、かつパーソナルエリアネットワーク(PAN)を構築するために、Bluetooth無線技術規格を介してモジュール式通信ハブ203と通信することができる。他の態様では、手術室装置1a~1n/2a~2mは、Wi-Fi(IEEE802.11ファミリー)、WiMAX(IEEE802.16ファミリー)、IEEE802.20、ロング・ターム・エボリューション(LTE)、並びにEv-DO、HSPA+、HSDPA+、HSUPA+、EDGE、GSM、GPRS、CDMA、TDMA、DECT、及びこれらのイーサネット派生物、のみならず3G、4G、5G、及びそれ以降と指定される任意の他の無線及び有線プロトコルが挙げられるがこれらに限定されない数多くの無線又は有線通信規格又はプロトコルを介してモジュール式通信ハブ203と通信することができる。コンピューティングモジュールは、複数の通信モジュールを含んでもよい。例えば、第1の通信モジュールは、Wi-Fi及びBluetoothなどの短距離無線通信専用であってもよく、第2の通信モジュールは、GPS、EDGE、GPRS、CDMA、WiMAX、LTE、Ev-DOなどの長距離無線通信専用であってもよい。
【0083】
モジュール式通信ハブ203は、手術室装置1a~1n/2a~2mの1つ又は全ての中央接続部として機能することができ、フレームとして知られるデータ型を取り扱う。フレームは、装置1a~1n/2a~2mによって生成されたデータを搬送する。フレームがモジュール式通信ハブ203によって受信されると、フレームは増幅されてネットワークルータ211へ送信され、ネットワークルータ211は本明細書に記載される数多くの無線又は有線通信規格又はプロトコルを使用することによってこのデータをクラウドコンピューティングリソースに転送する。
【0084】
モジュール式通信ハブ203は、スタンドアロンの装置として使用されてもよく、又はより大きなネットワークを形成するために互換性のあるネットワークハブ及びネットワークスイッチに接続されてもよい。モジュール式通信ハブ203は、一般に据え付け、構成、及び維持が容易であるため、モジュール式通信ハブ203は手術室装置1a~1n/2a~2mをネットワーク接続するための良好な選択肢となる。
【0085】
図9は、コンピュータ実装インタラクティブ外科システム200を示す。コンピュータ実装インタラクティブ外科システム200は、多くの点で、コンピュータ実装インタラクティブ外科システム100と類似している。例えば、コンピュータ実装インタラクティブ外科システム200は、多くの点で外科システム102と類似する1つ又は2つ以上の外科システム202を含む。各外科システム202は、リモートサーバ213を含み得るクラウド204と通信する少なくとも1つの外科用ハブ206を含む。一態様では、コンピュータ実装インタラクティブ外科システム200は、例えば、インテリジェント外科用器具、ロボット、及び手術室内に位置する他のコンピュータ化装置などの複数の手術室装置に接続されたモジュール式制御タワー236を備える。
図10に示されるように、モジュール式制御タワー236は、コンピュータシステム210に連結されたモジュール式通信ハブ203を備える。
図9の実施例に例示するように、モジュール式制御タワー236は、内視鏡239に連結された撮像モジュール238、エネルギー装置241に連結された発生器モジュール240、排煙モジュール226、吸引/灌注モジュール228、通信モジュール230、プロセッサモジュール232、ストレージアレイ234、任意でディスプレイ237に連結されるスマート装置/器具235、及び非接触センサモジュール242に連結される。手術室装置は、モジュール式制御タワー236を介してクラウドコンピューティングリソース及びデータストレージに連結される。ロボットハブ222もまた、モジュール式制御タワー236及びクラウドコンピューティングリソースに接続されてもよい。中でもとりわけ、装置/器具235、可視化システム208が、本明細書に記載される有線又は無線通信規格又はプロトコルを介してモジュール式制御タワー236に連結されてもよい。モジュール式制御タワー236は、撮像モジュール、装置/器具ディスプレイ、及び/又は他の可視化システム208から受信した画像を表示及びオーバーレイするために外科用ハブディスプレイ215(例えば、モニタ、スクリーン)に連結されてもよい。外科用ハブディスプレイはまた、画像及びオーバーレイ画像と共にモジュール式制御タワーに接続された装置から受信したデータを表示してもよい。
【0086】
図10は、モジュール式制御タワー236に連結された複数のモジュールを備える外科用ハブ206を示す。モジュール式制御タワー236は、例えばネットワーク接続装置などのモジュール式通信ハブ203と、例えば局所処理、可視化、及び撮像を提供するためのコンピュータシステム210と、を備える。
図10に示すように、モジュール式通信ハブ203は、モジュール式通信ハブ203に接続できるモジュール(例えば、装置)の数を拡張するために階層化構成で接続されて、モジュールに関連付けられたデータをコンピュータシステム210、クラウドコンピューティングリソース、又はその両方に転送することができる。
図10に示すように、モジュール式通信ハブ203内のネットワークハブ/スイッチのそれぞれは、3つの下流ポート及び1つの上流ポートを含む。上流のネットワークハブ/スイッチは、クラウドコンピューティングリソース及びローカルディスプレイ217への通信接続を提供するためにプロセッサに接続される。クラウド204への通信は、有線又は無線通信チャネルのいずれかを介して行うことができる。
【0087】
外科用ハブ206は、非接触センサモジュール242を使用して、手術室の寸法を測定し、また超音波又はレーザ型非接触測定装置のいずれかを使用して手術現場のマップを生成する。その全体が参照により本明細書に組み込まれる「INTERACTIVE SURGICAL PLATFORM」と題する2017年12月28日出願の米国仮特許出願第62/611,341号中の「Surgical Hub Spatial Awareness Within an Operating Room」の項で説明されるように、超音波ベースの非接触センサモジュールは、超音波のバーストを送信し、超音波のバーストが手術室の外壁に反射したときのエコーを受信することによって手術室を走査し、ここでセンサモジュールが、手術室のサイズを判定し、かつBluetoothペアリングの距離限界を調整するように構成される。レーザベースの非接触センサモジュールは、例えば、レーザ光パルスを送信し、手術室の外壁に反射するレーザ光パルスを受信し、送信されたパルスの位相を受信したパルスと比較して、手術室のサイズを判定し、かつBluetoothペアリング距離限界を調整することによって手術室を走査する。
【0088】
コンピュータシステム210は、プロセッサ244とネットワークインターフェース245とを備える。プロセッサ244は、システムバスを介して、通信モジュール247、ストレージ248、メモリ249、不揮発性メモリ250、及び入力/出力インターフェース251に連結される。システムバスは、9ビットバス、業界標準アーキテクチャ(ISA)、マイクロチャネルアーキテクチャ(MSA)、拡張ISA(EISA)、インテリジェントドライブエレクトロニクス(IDE)、VESAローカルバス(VLB)、周辺装置相互接続(PCI)、USB、アドバンスドグラフィックスポート(AGP)、パーソナルコンピュータメモリカード国際協会バス(PCMCIA)、小型計算機システム・インターフェース(SCSI)、又は任意の他の独自バス(proprietary bus)が挙げられるがこれらに限定されない任意の様々なバスアーキテクチャを用いる、メモリバス若しくはメモリコントローラ、ペリフェラルバス若しくは外部バス、及び/又はローカルバスを含むいくつかのタイプのバス構造(複数可)のうちのいずれかであっってもよい。
【0089】
プロセッサ244は、Texas Instruments製のARM Cortexの商品名で知られているものなど、任意のシングルコア又はマルチコアプロセッサであってもよい。一態様では、プロセッサは、例えば、その詳細が製品データシートで入手可能である、最大40MHzの256KBのシングルサイクルフラッシュメモリ若しくは他の不揮発性メモリのオンチップメモリ、性能を40MHz超に改善するためのプリフェッチバッファ、32KBのシングルサイクルシリアルランダムアクセスメモリ(SRAM)、StellarisWare(登録商標)ソフトウェアを搭載した内部読み出し専用メモリ(ROM)、2KBの電気的消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)、及び/又は、1つ若しくは2つ以上のパルス幅変調(PWM)モジュール、1つ若しくは2つ以上の直交エンコーダ入力(QEI)アナログ、12個のアナログ入力チャネルを備える1つ若しくは2つ以上の12ビットアナログ-デジタル変換器(ADC)を含む、Texas Instrumentsから入手可能なLM4F230H5QR ARM Cortex-M4Fプロセッサコアであってもよい。
【0090】
一態様では、プロセッサ244は、同じくTexas Instruments製のHercules ARM Cortex R4の商品名で知られるTMS570及びRM4xなどの2つのコントローラ系ファミリーを含む安全コントローラを含んでもよい。安全コントローラは、拡張性のある性能、接続性、及びメモリの選択肢を提供しながら、高度な集積型安全機構を提供するために、中でも特に、IEC61508及びISO26262の安全限界用途専用に構成されてもよい。
【0091】
システムメモリとしては、揮発性メモリ及び不揮発性メモリが挙げられる。起動中などにコンピュータシステム内の要素間で情報を転送するための基本ルーチンを含む基本入出力システム(BIOS)は、不揮発性メモリに記憶される。例えば、不揮発性メモリとしては、ROM、プログラマブルROM(PROM)、電気的プログラマブルROM(EPROM)、EEPROM、又はフラッシュメモリが挙げられ得る。揮発性メモリとしては、外部キャッシュメモリとして機能するランダムアクセスメモリ(RAM)が挙げられる。更に、RAMは、SRAM、ダイナミックRAM(DRAM)、シンクロナスDRAM(SDRAM)、ダブルデータレートSDRAM(DDR SDRAM)、エンハンスドSDRAM(ESDRAM)、シンクリンクDRAM(SLDRAM)、及びダイレクトランバスRAM(DRRAM)などの多くの形態で利用可能である。
【0092】
コンピュータシステム210はまた、取り外し可能/取り外し不可能な揮発性/不揮発性コンピュータストレージ媒体、例えばディスクストレージなどを含む。ディスクストレージとしては、磁気ディスクドライブ、フロッピーディスクドライブ、テープドライブ、Jazドライブ、Zipドライブ、LS-60ドライブ、フラッシュメモリカード、又はメモリスティックのようなデバイスが挙げられるが、これらに限定されない。加えて、ディスクストレージは、ストレージ媒体を、独立して、又はコンパクトディスクROM装置(CD-ROM)、コンパクトディスク記録可能ドライブ(CD-Rドライブ)、コンパクトディスク書き換え可能ドライブ(CD-RWドライブ)、若しくはデジタル多用途ディスクROMドライブ(DVD-ROM)などの光ディスクドライブが挙げられるがこれらに限定されない他のストレージ媒体との組み合わせで含むことができる。ディスクストレージ装置のシステムバスへの接続を容易にするために、取り外し可能な又は取り外し不可能なインターフェースが用いられてもよい。
【0093】
コンピュータシステム210は、好適な動作環境で説明されるユーザと基本コンピュータリソースとの間で媒介として機能するソフトウェアを含むことを理解されたい。このようなソフトウェアとしてはオペレーティングシステムが挙げられる。ディスクストレージ上に記憶され得るオペレーティングシステムは、コンピュータシステムのリソースを制御及び割り当てするように機能する。システムアプリケーションは、システムメモリ内又はディスクストレージ上のいずれかに記憶されたプログラムモジュール及びプログラムデータを介して、オペレーティングシステムによるリソース管理を活用する。本明細書に記載される様々な構成要素は、様々なオペレーティングシステム又はオペレーティングシステムの組み合わせで実装することができることを理解されたい。
【0094】
ユーザは、I/Oインターフェース251に連結された入力装置(複数可)を介してコンピュータシステム210にコマンド又は情報を入力する。入力装置としては、マウス、トラックボール、スタイラス、タッチパッドなどのポインティングデバイス、キーボード、マイクロフォン、ジョイスティック、ゲームパッド、サテライト・ディッシュ、スキャナ、TVチューナカード、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、ウェブカメラなどが挙げられるが、これらに限定されない。これら及び他の入力装置は、インターフェースポート(複数可)を介し、システムバスを通してプロセッサに接続する。インターフェースポート(複数可)としては、例えば、シリアルポート、パラレルポート、ゲームポート、及びUSBが挙げられる。出力装置(複数可)は、入力装置(複数可)と同じ種類のポートのうちのいくつかを使用する。したがって、例えば、USBポートを使用して、コンピュータシステムに入力を提供し、またコンピュータシステムからの情報を出力装置に出力してもよい。出力アダプタは、特別なアダプタを必要とする出力装置の中でもとりわけ、モニタ、ディスプレイ、スピーカ、及びプリンタなどのいくつかの出力装置が存在することを示すために提供される。出力アダプタとしては、例示としてのものであり限定するものではないが、出力装置とシステムバスとの間の接続手段を提供するビデオ及びサウンドカードが挙げられる。遠隔コンピュータ(複数可)などの他の装置及び/又は装置のシステムは、入力及び出力機能の両方を提供することに留意されたい。
【0095】
コンピュータシステム210は、クラウドコンピュータ(複数可)などの1つ若しくは2つ以上の遠隔コンピュータ又はローカルコンピュータへの論理接続を使用するネットワーク化環境で動作することができる。遠隔クラウドコンピュータ(複数可)は、パーソナルコンピュータ、サーバ、ルータ、ネットワークPC、ワークステーション、マイクロプロセッサベースの機器、ピア装置、又は他の一般的なネットワークノードなどであり得、典型的には、コンピュータシステムに関して説明される要素の多く又は全てを含む。簡潔にするために、遠隔コンピュータ(複数可)と共にメモリストレージ装置のみが示される。遠隔コンピュータ(複数可)は、ネットワークインターフェースを介してコンピュータシステムに論理的に接続され、続いて、通信接続を介して物理的に接続される。ネットワークインターフェースは、ローカルエリアネットワーク(LAN)及びワイドエリアネットワーク(WAN)などの通信ネットワークを包含する。LAN技術としては、光ファイバ分散データインターフェース(FDDI)、銅線分散データインターフェース(CDDI)、Ethernet/IEEE802.3、Token Ring/IEEE802.5などが挙げられる。WAN技術としては、ポイントツーポイントリンク、統合サービスデジタルネットワーク(ISDN)及びその変形などの回路交換ネットワーク、パケット交換ネットワーク、並びにデジタル加入者回線(DSL)が挙げられるがこれらに限定されない。
【0096】
様々な態様では、
図10のコンピュータシステム210、
図9~
図10の撮像モジュール238、及び/又は可視化システム208、及び/又はプロセッサモジュール232は、画像プロセッサ、画像処理エンジン、メディアプロセッサ、又はデジタル画像の処理に使用される任意の専用デジタル信号プロセッサ(DSP)を含んでもよい。画像プロセッサは、単一命令複数データ(SIMD)、又は複数命令複数データ(MIMD)技術を用いた並列コンピューティングを使用して速度及び効率を高めることができる。デジタル画像処理エンジンは、様々なタスクを実行することができる。画像プロセッサは、マルチコアプロセッサアーキテクチャを備えるチップ上のシステムであってもよい。
【0097】
通信接続(複数可)とは、ネットワークインターフェースをバスに接続するために用いられるハードウェア/ソフトウェアを指す。例示の明瞭さのために通信接続はコンピュータシステム内部に示されているが、通信接続はコンピュータシステム210の外部にあってもよい。例示のみを目的として、ネットワークインターフェースへの接続に必要なハードウェア/ソフトウェアとしては、通常の電話グレードモデム、ケーブルモデム、及びDSLモデムを含むモデム、ISDNアダプタ、並びにイーサネットカードなどの内部及び外部技術が挙げられる。
【0098】
図11は、本開示の少なくとも1つの態様による、USBネットワークハブ300装置の一態様の機能ブロック図を示す。図示した態様では、USBネットワークハブ装置300は、Texas Instruments製TUSB2036集積回路ハブを採用する。USBネットワークハブ300は、USB2.0規格に準拠する、上流USB送受信ポート302及び最大3つの下流USB送受信ポート304、306、308を提供するCMOS装置である。上流USB送受信ポート302は、差動データプラス(DP0)入力とペアリングされた差動データマイナス(DM0)入力を含む差動ルートデータポートである。3つの下流USB送受信ポート304、306、308は、各ポートが差動データマイナス(DM1~DM3)出力とペアリングした差動データプラス(DP1~DP3)出力を含む差動データポートである。
【0099】
USBネットワークハブ300装置は、マイクロコントローラの代わりにデジタル状態マシンを備えて実装され、ファームウェアのプログラミングを必要としない。完全準拠したUSB送受信機が、上流USB送受信ポート302及び全ての下流USB送受信ポート304、306、308の回路に統合される。下流USB送受信ポート304、306、308は、ポートに取り付けられた装置の速度に応じてスルーレートを自動的に設定することによって、最高速度及び低速の装置の両方をサポートする。USBネットワークハブ300装置は、バスパワーモード又はセルフパワーモードのいずれかで構成されてもよく、電力を管理するための外科用ハブパワー論理312を含む。
【0100】
USBネットワークハブ300装置は、シリアルインターフェースエンジン310(SIE)を含む。SIE310は、USBネットワークハブ300ハードウェアのフロントエンドであり、USB仕様書の第8章に記載されているプロトコルの大部分を取り扱う。SIE310は、典型的には、トランザクションレベルまでのシグナリングを理解する。これが取り扱う機能としては、パケット認識、トランザクションの並べ替え、SOP、EOP、RESET、及びRESUME信号の検出/生成、クロック/データ分離、非ゼロ復帰逆転(NRZI)データ符号化/復号及びビットスタッフィング、CRC生成及びチェック(トークン及びデータ)、パケットID(PID)の生成、及びチェック/復号、並びに/又はシリアル・パラレル/パラレル・シリアル変換が挙げられ得る。SIE310はクロック入力314を受信し、ポート論理回路320、322、324を介して上流USB送受信ポート302と下流USB送受信ポート304、306、308との間の通信を制御するためにサスペンド/レジューム論理並びにフレームタイマー316回路及び外科用ハブリピータ回路318に連結される。SIE310は、シリアルEEPROMインターフェース330を介してシリアルEEPROMからコマンドを制御するためのインターフェース論理を介してコマンドデコーダ326に連結される。
【0101】
様々な態様では、USBネットワークハブ300は、最大6つの論理層(階層)内に構成された127個の機能を単一のコンピュータに接続することができる。更に、USBネットワークハブ300は、通信及び電力分配の両方を提供する標準化された4本のワイヤケーブルを使用して全ての周辺機器に接続することができる。電力構成は、バスパワーモード及びセルフパワーモードである。USBネットワークハブ300は、個々のポート電力管理又は連動ポート電力管理のいずれかを備えるバスパワーハブ、及び個々のポート電力管理又は連動ポート電力管理のいずれかを備えるセルフパワーハブの、電力管理の4つのモードをサポートするように構成されてもよい。一態様では、USBケーブル、USBネットワークハブ300を使用して、上流USB送受信ポート302はUSBホストコントローラにプラグ接続され、下流USB送受信ポート304、306、308はUSBに互換性のある装置を接続するために露出される、といった具合である。
【0102】
図12は、本開示の1つ又は2つ以上の態様による、外科用器具又はツールの制御システム470の論理図を示す。システム470は制御回路を備える。制御回路は、プロセッサ462及びメモリ468を備えるマイクロコントローラ461を含む。例えば、センサ472、474、476のうちの1つ又は2つ以上が、プロセッサ462にリアルタイムなフィードバックを提供する。モータドライバ492によって駆動されるモータ482は、長手方向に移動可能な変位部材を動作可能に連結して、Iビームナイフ要素を駆動する。追跡システム480は、長手方向に移動可能な変位部材の位置を決定するように構成されている。位置情報は、長手方向に移動可能な駆動部材の位置、並びに発射部材、発射バー、及びIビームナイフ要素の位置を決定するようにプログラム又は構成され得るプロセッサ462に提供される。追加のモータが、Iビームの発射、閉鎖管の移動、シャフトの回転、及び関節運動を制御するために、ツールドライバインターフェースに提供されてもよい。ディスプレイ473は、器具の様々な動作条件を表示し、データ入力のためのタッチスクリーン機能を含んでもよい。ディスプレイ473上に表示された情報は、内視鏡撮像モジュールを介して取得された画像とオーバーレイさせることができる。
【0103】
一態様では、マイクロコントローラ461は、Texas Instruments製のARM Cortexの商品名で知られているものなど、任意のシングルコア又はマルチコアプロセッサであってもよい。一態様では、主マイクロコントローラ461は、例えば、その詳細が製品データシートで入手可能である、最大40MHzの256KBのシングルサイクルフラッシュメモリ若しくは他の不揮発性メモリのオンチップメモリ、性能を40MHz超に改善するためのプリフェッチバッファ、32KBのシングルサイクルSRAM、StellarisWare(登録商標)ソフトウェアを搭載した内部ROM、2KBのEEPROM、1つ若しくは2つ以上のPWMモジュール、1つ若しくは2つ以上のQEIアナログ、及び/又は12個のアナログ入力チャネルを備える1つ若しくは2つ以上の12ビットADCを含む、Texas Instrumentsから入手可能なLM4F230H5QR ARM Cortex-M4Fプロセッサコアであってもよい。
【0104】
一態様では、マイクロコントローラ461は、同じくTexas Instruments製のHercules ARM Cortex R4の商品名で知られるTMS570及びRM4xなどの2つのコントローラ系ファミリーを含む安全コントローラを含んでもよい。安全コントローラは、拡張性のある性能、接続性、及びメモリの選択肢を提供しながら、高度な集積型安全機構を提供するために、中でも特に、IEC61508及びISO26262の安全限界用途専用に構成されてもよい。
【0105】
マイクロコントローラ461は、ナイフ及び関節運動システムの速度及び位置に対する精密制御など、様々な機能を実行するようにプログラムされてもよい。一態様では、マイクロコントローラ461は、プロセッサ462及びメモリ468を含む。電動モータ482は、ギアボックス、及び関節運動又はナイフシステムへの機械的連結部を備えたブラシ付き直流(DC)モータであってもよい。一態様では、モータ駆動器492は、Allegro Microsystems,Incから入手可能なA3941であってもよい。他のモータ駆動器を、絶対位置決めシステムを備える追跡システム480で使用するために容易に置き換えることができる。絶対位置決めシステムの詳細な説明は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる「SYSTEMS AND METHODS FOR CONTROLLING A SURGICAL STAPLING AND CUTTING INSTRUMENT」と題する2017年10月19日公開の米国特許出願公開第2017/0296213号に記載されている。
【0106】
マイクロコントローラ461は、変位部材及び関節運動システムの速度及び位置に対する正確な制御を提供するようにプログラムされてもよい。マイクロコントローラ461は、マイクロコントローラ461のソフトウェア内で応答を計算するように構成されてもよい。計算された応答は、実際のシステムの測定された応答と比較されて「観測された」応答が得られ、これが実際のフィードバックの判定に用いられる。観測された応答は、シミュレーションによる応答の滑らかで連続的な性質と、測定による応答とのバランスを取る好適な調整された値であり、これはシステムに及ぼす外部の影響を検出することができる。
【0107】
一態様では、モータ482は、モータ駆動器492によって制御されてもよく、外科用器具又はツールの発射システムによって使用され得る。様々な形態において、モータ482は、例えば、約25,000RPMの最大回転速度を有するブラシ付きDC駆動モータであってもよい。他の構成において、モータ482はブラシレスモータ、コードレスモータ、同期モータ、ステッパモータ、又は任意の他の好適な電気モータを含んでもよい。モータ駆動器492は、例えば、電界効果トランジスタ(FET)を含むHブリッジ駆動器を備えてもよい。モータ482は、外科用器具又はツールに制御電力を供給するために、ハンドルアセンブリ又はツールハウジングに解除可能に装着された電源アセンブリによって給電され得る。電源アセンブリは、外科用器具又はツールに給電するための電源として使用され得る、直列に接続された多数の電池セルを含み得る電池を含んでもよい。特定の状況下では、電源アセンブリの電池セルは、交換可能及び/又は再充電可能であってもよい。少なくとも1つの例では、電池セルは、電源アセンブリに連結可能かつ電源アセンブリから分離可能であり得るリチウムイオン電池であり得る。
【0108】
モータ駆動器492は、Allegro Microsystems,Incから入手可能なA3941であってもよい。A3941モータ492は、特にブラシ付きDCモータなどの誘導負荷を目的として設計された外部Nチャネルパワー金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)と共に使用するためのフルブリッジコントローラである。駆動器492は、固有の電荷ポンプレギュレータを備え、これは、完全(>10V)ゲート駆動を7Vまでの電池電圧に提供し、A3941が5.5Vまでの低減ゲート駆動で動作することを可能にする。NチャネルMOSFETに必要な上記の電池供給電圧を与えるために、ブートストラップコンデンサが用いられてもよい。ハイサイド駆動用の内部電荷ポンプにより、DC(100%デューティサイクル)動作が可能となる。フルブリッジは、ダイオード又は同期整流を用いて高速又は低速減衰モードで駆動され得る。低速減衰モードにおいて、電流の再循環は、ハイサイドのFETによっても、ローサイドのFETによっても可能である。電力FETは、レジスタで調節可能なデッドタイムによって、シュートスルーから保護される。統合診断は、低電圧、温度過昇、及びパワーブリッジの異常を指示するものであり、ほとんどの短絡状態下でパワーMOSFETを保護するように構成され得る。他のモータ駆動器を、絶対位置決めシステムを備えた追跡システム480で使用するために容易に置換することができる。
【0109】
追跡システム480は、本開示の一態様による位置センサ472を備える制御されたモータ駆動回路構成を備える。絶対位置決めシステム用の位置センサ472は、変位部材の位置に対応する固有の位置信号を提供する。一態様では、変位部材は、ギア減速機アセンブリの対応する駆動ギアと噛合係合するための駆動歯のラックを備える長手方向に移動可能な駆動部材を表す。他の態様では、変位部材は、駆動歯のラックを含むように適合及び構成され得る発射部材を表す。更に別の態様では、変位部材は、発射バー又はIビームを表し、それぞれは、駆動歯のラックを含むように適合及び構成され得る。それに応じて、本明細書で使用する場合、変位部材という用語は、駆動部材、発射部材、発射バー、Iビーム、又は変位され得る任意の要素など、外科用器具の任意の移動可能な部材を総じて指すために使用される。一態様では、長手方向に移動可能な駆動部材は、発射部材、発射バー、及びIビームに連結される。したがって、絶対位置決めシステムは、実際には、長手方向に移動可能な駆動部材の直線変位を追跡することによって、Iビームの直線変位を追跡することができる。様々な他の態様では、変位部材は、直線変位を測定するのに好適な任意の位置センサ472に連結されてもよい。したがって、長手方向に移動可能な駆動部材、発射部材、発射バー、若しくはIビーム、又はそれらの組み合わせは、任意の好適な変位センサに連結されてもよい。直線変位センサは、接触式又は非接触式変位センサを含んでよい。直線変位センサは、線形可変差動変圧器(linear variable differential transformers、LVDT)、差動可変磁気抵抗型変換器(differential variable reluctance transducers、DVRT)、スライドポテンショメータ、移動可能な磁石及び一連の直線上に配置されたホール効果センサを含む磁気感知システム、固定された磁石及び一連の移動可能な直線上に配置されたホール効果センサを含む磁気感知システム、移動可能な光源及び一連の直線上に配置された光ダイオード若しくは光検出器を含む光学検出システム、固定された光源及び一連の移動可能な直線上に配置された光ダイオード若しくは光検出器を含む光学検出システム、又はこれらの任意の組み合わせを含んでもよい。
【0110】
電動モータ482は、変位部材上の駆動歯のセット又はラックと噛合係合で装着されるギアアセンブリと動作可能に連係する回転式シャフトを含んでもよい。センサ素子は、位置センサ472素子の1回転が、変位部材のいくらかの直線長手方向並進に対応するように、ギアアセンブリに動作可能に連結されてもよい。ギアリング及びセンサ機構を、ラックピニオン機構によって直線アクチュエータに、又はスパーギア若しくは他の接続によって回転アクチュエータに接続することができる。電源は、絶対位置決めシステムに電力を供給し、出力インジケータは、絶対位置決めシステムの出力を表示することができる。変位部材は、ギア減速機アセンブリの対応する駆動ギアと噛合係合するために、その上に形成された駆動歯のラックを備える長手方向に移動可能な駆動部材を表す。変位部材は、長手方向に移動可能な発射部材、発射バー、Iビーム、又はこれらの組み合わせを表す。
【0111】
位置センサ472に付随するセンサ素子の1回転は、変位部材の長手方向直線変位d1に相当し、d1は、変位部材に連結したセンサ素子が1回転した後で、変位部材が点「a」から点「b」まで移動する長手方向の直線距離である。センサ機構は、位置センサ472が変位部材のフルストロークに対して1回以上の回転を完了する結果をもたらすギアの減速を介して接続されてもよい。位置センサ472は、変位部材のフルストロークに対して複数回の回転を完了することができる。
【0112】
位置センサ472の2回以上の回転に対する固有の位置信号を提供するために、一連のスイッチ(ここでnは1より大きい整数である)が、単独で用いられても、ギアの減速との組み合わせで用いられてもよい。スイッチの状態はマイクロコントローラ461にフィードバックされ、マイクロコントローラ461は論理を適用して、変位部材の長手方向の直線変位d1+d2+...dnに対応する固有の位置信号を決定する。位置センサ472の出力はマイクロコントローラ461に提供される。センサ機構の位置センサ472は、位置信号又は値の固有の組み合わせを出力する、磁気センサ、電位差計などのアナログ回転センサ、又はアナログホール効果素子のアレイを備えてもよい。
【0113】
位置センサ472は、例えば、磁界の全磁界又はベクトル成分を測定するか否かに基づいて分類される磁気センサなどの、任意の数の磁気感知素子を備えてもよい。両タイプの磁気センサを生産するために用いられる技術は、物理学及び電子工学の多数の側面を含んでいる。磁界の感知に用いられる技術としては、とりわけ、探りコイル、フラックスゲート、光ポンピング、核摂動(nuclear precession)、SQUID、ホール効果、異方性磁気抵抗、巨大磁気抵抗、磁気トンネル接合、巨大磁気インピーダンス、磁歪/圧電複合材、磁気ダイオード、磁気トランジスタ、光ファイバ、磁気光学、及び微小電気機械システムベースの磁気センサが挙げられる。
【0114】
一態様では、絶対位置決めシステムを備える追跡システム480の位置センサ472は、磁気回転絶対位置決めシステムを備える。位置センサ472は、Austria Microsystems,AGから入手可能なAS5055EQFTシングルチップ磁気回転位置センサとして実装されてもよい。位置センサ472は、マイクロコントローラ461と連携して絶対位置決めシステムを提供する。位置センサ472は、低電圧低電力の構成要素であり、磁石の上方に位置する位置センサ472の領域に、4つのホール効果素子を含む。更に、高解像度ADC及びスマート電力管理コントローラがチップ上に設けられている。加算、減算、ビットシフト、及びテーブル参照演算のみを必要とする、双曲線関数及び三角関数を計算する簡潔かつ効率的なアルゴリズムを実装するために、桁毎法(digit-by-digit method)及びボルダーアルゴリズム(Volder's algorithm)としても知られる、座標回転デジタルコンピュータ(CORDIC)プロセッサが設けられる。角度位置、アラームビット、及び磁界情報は、シリアル周辺インターフェース(SPI)インターフェースなどの標準的なシリアル通信インターフェースを介してマイクロコントローラ461に伝送される。位置センサ472は、12ビット又は14ビットの解像度を提供する。位置センサ472は、小型のQFN16ピン4×4×0.85mmパッケージで提供されるAS5055チップであってもよい。
【0115】
絶対位置決めシステムを備える追跡システム480は、PID、状態フィードバック、及び適応コントローラなどのフィードバックコントローラを備えてもよく、かつ/又はこれを実装するようにプログラムされてもよい。電源が、フィードバックコントローラからの信号を、システムへの物理的入力、この場合は電圧へと変換する。他の例としては、電圧、電流、及び力のPWMが挙げられる。位置センサ472によって測定される位置に加えて、物理的システムの物理パラメータを測定するために、他のセンサ(複数化)が設けられてもよい。いくつかの態様では、他のセンサ(複数可)としては、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、「STAPLE CARTRIDGE TISSUE THICKNESS SENSOR SYSTEM」と題する2016年5月24日発行の米国特許第9,345,481号、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、「STAPLE CARTRIDGE TISSUE THICKNESS SENSOR SYSTEM」と題する2014年9月18日公開の米国特許出願公開第2014/0263552号、及びその全体が参照により本明細書に組み込まれる、「TECHNIQUES FOR ADAPTIVE CONTROL OF MOTOR VELOCITY OF A SURGICAL STAPLING AND CUTTING INSTRUMENT」と題する2017年6月20日出願の米国特許出願第15/628,175号に記載されているものなどのセンサ構成が挙げられ得る。デジタル信号処理システムでは、絶対位置決めシステムはデジタルデータ取得システムに連結され、ここで絶対位置決めシステムの出力は有限の解像度及びサンプリング周波数を有する。絶対位置決めシステムは、計算された応答を測定された応答に向けて駆動する加重平均及び理論制御ループなどのアルゴリズムを用いて、計算された応答を測定された応答と組み合わせるために、比較及び組み合わせ回路を備え得る。入力を知ることによって物理的システムの状態及び出力がどうなるかを予測するために、物理的システムの計算された応答は、質量、慣性、粘性摩擦、誘導抵抗などの特性を考慮に入れる。
【0116】
絶対位置決めシステムは、モータ482が単に前方又は後方に経たステップの数をカウントして装置アクチュエータ、駆動バー、ナイフなどの位置を推定する従来の回転エンコーダで必要となり得るような、変位部材をリセット位置(ゼロ又はホーム)へ後退又は前進させることなしに、器具の電源投入時に変位部材の絶対位置を提供する。
【0117】
例えば歪みゲージ又は微小歪みゲージなどのセンサ474は、例えば、アンビルに適用される閉鎖力を示すことができる、クランプ動作中にアンビルに及ぼされる歪みの振幅などのエンドエフェクタの1つ又は2つ以上のパラメータを測定するように構成される。測定された歪みは、デジタル信号に変換されて、プロセッサ462に提供される。センサ474の代わりに、又はそれに加えて、例えば、負荷センサなどのセンサ476が、閉鎖駆動システムによってアンビルに加えられる閉鎖力を測定することができる。例えば、負荷センサなどのセンサ476は、外科用器具又はツールの発射ストローク中にIビームに加えられる発射力を測定することができる。Iビームは、楔形スレッドと係合するように構成されており、楔形スレッドは、ステープルドライバを上向きにカム作用して、ステープルを押し出してアンビルと変形接触させるように構成されている。Iビームはまた、Iビームを発射バーによって遠位に前進させる際に組織を切断するために使用することができる、鋭利な切刃を含む。あるいは、モータ482による電流引き込みを測定するために、電流センサ478を用いることができる。発射部材を前進させるのに必要な力は、例えば、モータ482によって引き込まれる電流に相当し得る。測定された力は、デジタル信号に変換されて、プロセッサ462に提供される。
【0118】
一形態では、歪みゲージセンサ474を使用して、エンドエフェクタによって組織に加えられる力を測定することができる。治療される組織に対するエンドエフェクタによる力を測定するために、歪みゲージをエンドエフェクタに連結することができる。エンドエフェクタによって把持された組織に印加される力を測定するためのシステムは、例えば、エンドエフェクタの1つ又は2つ以上のパラメータを測定するように構成された微小歪みゲージなどの歪みゲージセンサ474を備える。一態様では、歪みゲージセンサ474は、クランプ動作中にエンドエフェクタのジョー部材に及ぼされる歪みの振幅又は大きさを測定することができ、これは組織の圧縮を示すことができる。測定された歪みはデジタル信号に変換されて、マイクロコントローラ461のプロセッサ462に提供される。負荷センサ476は、例えば、アンビルとステープルカートリッジとの間に捕捉された組織を切断するために、ナイフ要素を操作するのに用いられる力を測定することができる。磁界センサは、捕捉された組織の厚さを測定するために用いることができる。磁界センサの測定値もデジタル信号に変換されて、プロセッサ462に提供され得る。
【0119】
センサ474、476によってそれぞれ測定される、組織の圧縮、組織の厚さ、及び/又はエンドエフェクタを組織上で閉鎖するのに必要な力の測定値は、発射部材の選択された位置、及び/又は発射部材の速度の対応する値を特性決定するために、マイクロコントローラ461によって使用することができる。一例では、メモリ468は、評価の際にマイクロコントローラ461によって用いることができる技術、等式及び/又はルックアップテーブルを記憶することができる。
【0120】
外科用器具又はツールの制御システム470はまた、
図8~
図11に示されるようにモジュール式通信ハブと通信するための有線又は無線通信回路を備えてもよい。
【0121】
図13は、本開示の一態様による、外科用器具又はツールの態様を制御するように構成された制御回路500を示す。制御回路500は、本明細書に記載される様々なプロセスを実装するように構成され得る。制御回路500は、少なくとも1つのメモリ回路504に連結された1つ又は2つ以上のプロセッサ502(例えば、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ)を備えるマイクロコントローラを備えることができる。メモリ回路504は、プロセッサ502によって実行されると、本明細書に記載される様々なプロセスを実装するための機械命令をプロセッサ502に実行させる、機械実行可能命令を記憶する。プロセッサ502は、当該技術分野で既知の多数のシングル又はマルチコアプロセッサのうち任意の1つであってもよい。メモリ回路504は、揮発性及び不揮発性のストレージ媒体を含んでもよい。プロセッサ502は、命令処理ユニット506及び演算ユニット508を含んでもよい。命令処理ユニットは、本開示のメモリ回路504から命令を受信するように構成されてもよい。
【0122】
図14は、本開示の一態様による、外科用器具又はツールの態様を制御するように構成された組み合わせ論理回路510を示す。組み合わせ論理回路510は、本明細書に記載される様々なプロセスを実装するように構成され得る。組み合わせ論理回路510は、入力514で外科用器具又はツールと関連付けられたデータを受信し、組み合わせ論理512によってデータを処理し、出力516を提供するように構成された組み合わせ論理512を含む有限状態マシンを含み得る。
【0123】
図15は、本開示の一態様による、外科用器具又はツールの態様を制御するように構成された順序論理回路520を示す。順序論理回路520又は組み合わせ論理522は、本明細書に記載される様々なプロセスを実装するように構成することができる。順序論理回路520は有限状態マシンを含んでもよい。順序論理回路520は、例えば、組み合わせ論理522、少なくとも1つのメモリ回路524、及びクロック529を含んでもよい。少なくとも1つのメモリ回路524は、有限状態マシンの現在の状態を記憶することができる。特定の例では、順序論理回路520は、同期式又は非同期式であってもよい。組み合わせ論理522は、入力526から外科用器具又はツールと関連付けられたデータを受信し、組み合わせ論理522によってデータを処理し、出力528を提供するように構成される。他の態様では、回路は、プロセッサ(例えば、
図13のプロセッサ502)と、本明細書の様々なプロセスを実装する有限状態マシンと、の組み合わせを含んでもよい。他の態様では、有限状態マシンは、組み合わせ論理回路(例えば
図14の組み合わせ論理回路510)と順序論理回路520の組み合わせを含むことができる。
【0124】
図16は、様々な機能を実行するために起動され得る複数のモータを備える外科用器具又はツールを示す。特定の例では、第1のモータを起動させて第1の機能を実行することができ、第2のモータを起動させて第2の機能を実行することができ、第3のモータを起動させて第3の機能を実行することができ、第4のモータを起動させて第4の機能を実行することができる、といった具合である。特定の例では、ロボット外科用器具600の複数のモータは個々に起動されて、エンドエフェクタにおいて発射運動、閉鎖運動、及び/又は関節運動を生じさせることができる。発射運動、閉鎖運動、及び/又は関節運動は、例えばシャフトアセンブリを介してエンドエフェクタに伝達することができる。
【0125】
特定の例では、外科用器具システム又はツールは発射モータ602を含んでもよい。発射モータ602は、具体的にはIビーム要素を変位させるために、発射モータ602によって生成された発射運動をエンドエフェクタに伝達するように構成することができる、発射モータ駆動アセンブリ604に動作可能に連結されてもよい。特定の例では、発射モータ602によって生成される発射運動によって、例えば、ステープルをステープルカートリッジから、エンドエフェクタによって捕捉された組織内へと配備し、かつ/又はIビーム要素の切刃を前進させて、捕捉された組織を切断してもよい。Iビーム要素は、発射モータ602の方向を逆転させることによって後退させられ得る。
【0126】
特定の例では、外科用器具又はツールは閉鎖モータ603を含んでもよい。閉鎖モータ603は、具体的には閉鎖管を変位させてアンビルを閉鎖し、アンビルとステープルカートリッジとの間で組織を圧縮するためにモータ603によって生成された閉鎖運動をエンドエフェクタに伝達するように構成され得る、閉鎖モータ駆動アセンブリ605と動作可能に連結されてもよい。閉鎖運動によって、例えば、エンドエフェクタが開放構成から接近構成へと遷移して組織を捕捉することができる。エンドエフェクタは、モータ603の方向を逆転させることによって開放位置に遷移され得る。
【0127】
特定の例では、外科用器具又はツールは、例えば、1つ又は2つ以上の関節運動モータ606a、606bを含んでもよい。関節運動モータ606a、606bは、関節運動モータ606a、606bによって生成された関節運動をエンドエフェクタに伝達するように構成され得る、対応する関節運動モータ駆動アセンブリ608a、608bに動作可能に連結され得る。特定の例では、関節運動によって、例えば、エンドエフェクタがシャフトに対して関節運動することができる。
【0128】
上述したように、外科用器具又はツールは、様々な独立した機能を実施するように構成され得る複数のモータを含んでもよい。特定の例では、外科用器具又はツールの複数のモータは、他のモータが停止した状態を維持している間に、独立して又は別個に起動させて、1つ又は2つ以上の機能を実施することができる。例えば、関節運動モータ606a、606bを起動させて、発射モータ602が停止した状態を維持している間に、エンドエフェクタを関節運動させることができる。あるいは、発射モータ602を起動させて、関節運動モータ606が停止している間に、複数のステープルを発射させ、及び/又は刃先を前進させることができる。更に、閉鎖モータ603は、本明細書の以下でより詳細に説明されるように、閉鎖管及びIビーム要素を遠位方向に前進させるために、発射モータ602と同時に起動されてもよい。
【0129】
特定の例では、外科用器具又はツールは、外科用器具又はツールの複数のモータと共に用いることができる、共通の制御モジュール610を含んでもよい。特定の例では、共通の制御モジュール610は、一度に複数のモータのうちの1つに対応することができる。例えば、共通の制御モジュール610は、ロボット外科用器具の複数のモータ対して個々に連結及び分離が可能であってもよい。特定の例では、外科用器具又はツールの複数のモータは、共通の制御モジュール610などの1つ又は2つ以上の共通の制御モジュールを共有してもよい。特定の例では、外科用器具又はツールの複数のモータは、共通の制御モジュール610に独立してかつ選択的に係合することができる。特定の例では、共通の制御モジュール610は、外科用器具又はツールの複数のモータのうち一方との連携から、外科用器具又はツールの複数のモータのうちもう一方との連携へと選択的に切り替えることができる。
【0130】
少なくとも1つの例では、共通の制御モジュール610は、関節運動モータ606a、606bとの動作可能な係合と、発射モータ602又は閉鎖モータ603のいずれかとの動作可能な係合と、の間で選択的に切り替えることができる。少なくとも1つの実施例では、
図16に示すように、スイッチ614は、複数の位置及び/又は状態間を移動又は遷移させることができる。例えば、第1の位置616では、スイッチ614は、共通の制御モジュール610を発射モータ602と電気的に連結してもよく、第2の位置617では、スイッチ614は、共通の制御モジュール610を閉鎖モータ603と電気的に連結してもよく、第3の位置618aでは、スイッチ614は、共通の制御モジュール610を第1の関節運動モータ606aと電気的に連結してもよく、第4の位置618bでは、スイッチ614は、共通の制御モジュール610を第2の関節運動モータ606bと電気的に連結してもよい。特定の例では、同時に、別個の共通の制御モジュール610を、発射モータ602、閉鎖モータ603、及び関節運動モータ606a、606bと電気的に連結し得る。特定の例では、スイッチ614は、機械的スイッチ、電気機械的スイッチ、固体スイッチ、又は任意の好適な切り替え機構であってもよい。
【0131】
モータ602、603、606a、606bのそれぞれは、モータのシャフト上の出力トルクを測定するためのトルクセンサを備えてもよい。エンドエフェクタ上の力は、ジョーの外側の力センサによって、又はジョーを作動させるモータのトルクセンサなどによって、任意の従来の方法で感知されてもよい。
【0132】
様々な例では、
図16に示されるように、共通の制御モジュール610は、1つ又は2つ以上のHブリッジFETを備え得るモータ駆動器626を備えてもよい。モータ駆動器626は、例えば、マイクロコントローラ620(「コントローラ」)からの入力に基づいて、電源628から共通の制御モジュール610に連結されたモータへと伝達された電力を変調してもよい。特定の例では、上述したように、例えば、モータが共通の制御モジュール610に連結されている間にマイクロコントローラ620を用いて、モータによって引き込まれる電流を判定することができる。
【0133】
特定の例では、マイクロコントローラ620は、マイクロプロセッサ622(「プロセッサ」)と、1つ又は2つ以上の非一時的コンピュータ可読媒体又はメモリユニット624(「メモリ」)と、を含んでもよい。特定の例では、メモリ624は、様々なプログラム命令を記憶することができ、それが実行されると、プロセッサ622に、本明細書に記載される複数の機能及び/又は計算を実施させることができる。特定の例では、メモリユニット624の1つ又は2つ以上が、例えば、プロセッサ622に連結されてもよい。
【0134】
特定の例では、電源628を用いて、例えばマイクロコントローラ620に電力を供給してもよい。特定の例では、電源628は、例えばリチウムイオン電池などの電池(又は「電池パック」若しくは「パワーパック」)を含んでもよい。特定の例では、電池パックは、外科用器具600に電力を供給するため、ハンドルに解除可能に装着されるように構成されてもよい。直列で接続された多数の電池セルを、電源628として使用してもよい。特定の例では、電源628は、例えば、交換可能及び/又は再充電可能であってもよい。
【0135】
様々な例では、プロセッサ622は、モータ駆動器626を制御して、共通の制御モジュール610に連結されたモータの位置、回転方向、及び/又は速度を制御することができる。特定の例では、プロセッサ622は、モータ駆動器626に信号伝達して、共通の制御モジュール610に連結されたモータを停止及び/又は使用不能にすることができる。用語「プロセッサ」は、本明細書で使用されるとき、任意の好適なマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、又は、コンピュータの中央処理装置(CPU)の機能を1つの集積回路又は最大で数個の集積回路上で統合したその他の基本コンピューティング装置を含むと理解されるべきである。プロセッサは、デジタルデータを入力として受理し、メモリに記憶された命令に従ってそのデータを処理し、結果を出力として提供する、多目的のプログラマブルデバイスである。これは、内部メモリを有するので、逐次的デジタル論理の一例である。プロセッサは、二進数法で表される数字及び記号で動作する。
【0136】
一例では、プロセッサ622は、Texas Instruments製のARM Cortexの商品名で知られているものなど、任意のシングルコア又はマルチコアプロセッサであってもよい。特定の例では、マイクロコントローラ620は、例えばTexas Instrumentsから入手可能なLM 4F230H5QRであってもよい。少なくとも1つの実施例では、Texas InstrumentsのLM4F230H5QRは、製品データシートで容易に利用可能な特性の中でもとりわけ、最大40MHzの256KBのシングルサイクルフラッシュメモリ若しくは他のNVMのオンチップメモリ、性能を40MHz超に改善するためのプリフェッチバッファ、32KBのシングルサイクルSRAM、StellarisWare(登録商標)ソフトウェアを搭載した内部ROM、2KBのEEPROM、1つ又は2つ以上のPWMモジュール、1つ又は2つ以上のQEIアナログ、12個のアナログ入力チャネルを備える1つ又は2つ以上の12ビットADCを含むARM Cortex-M4Fプロセッサコアである。他のマイクロコントローラが、モジュール4410と共に使用するのに容易に代用されてもよい。したがって、本開示は、この文脈に限定されるべきではない。
【0137】
特定の例では、メモリ624は、共通の制御モジュール610に連結可能な外科用器具600のモータをそれぞれ制御するためのプログラム命令を含んでもよい。例えば、メモリ624は、発射モータ602、閉鎖モータ603、及び関節運動モータ606a、606bを制御するためのプログラム命令を含んでもよい。このようなプログラム命令は、プロセッサ622に、外科用器具又はツールのアルゴリズム又は制御プログラムからの入力に従って、発射機能、閉鎖機能、及び関節運動機能を制御させることができる。
【0138】
特定の例では、例えば、センサ630などの1つ又は2つ以上の機構及び/又はセンサを用いて、特定の設定で使用すべきプログラム命令をプロセッサ622に警告することができる。例えば、センサ630は、エンドエフェクタの発射、閉鎖、及び関節運動に関連するプログラム命令を使用するようにプロセッサ622に警告することができる。特定の例では、センサ630は、例えば、スイッチ614の位置を感知するために用いることができる位置センサを備えてもよい。したがって、プロセッサ622は、例えば、センサ630を介してスイッチ614が第1の位置616にあることを検出すると、エンドエフェクタのIビームの発射に関連付けられたプログラム命令を使用することができ、プロセッサ622は、例えば、センサ630を介してスイッチ614が第2の位置617にあることを検出すると、アンビルの閉鎖に関連付けられたプログラム命令を使用することができ、プロセッサ622は、例えば、センサ630を介してスイッチ614が第3の位置618a又は第4の位置618bにあることを検出すると、エンドエフェクタの関節運動に関連付けられたプログラム命令を使用することができる。
【0139】
図17は、本開示の一態様による、本明細書で説明される外科用ツールを操作するように構成されたロボット外科用器具700の回路図である。ロボット外科用器具700は、単一又は複数の関節運動駆動連結部のいずれかを用いて、変位部材の遠位/近位並進、閉鎖管の遠位/近位変位、シャフトの回転、及び関節運動を制御するようにプログラム又は構成されてもよい。一態様では、外科用器具700は、発射部材、閉鎖部材、シャフト部材、及び/又は1つ若しくは2つ以上の関節運動部材を個別に制御するようにプログラム又は構成されてもよい。外科用器具700は、モータ駆動式の発射部材、閉鎖部材、シャフト部材、及び/又は1つ若しくは2つ以上の関節運動部材を制御するように構成された制御回路710を備える。
【0140】
一態様では、ロボット外科用器具700は、複数のモータ704a~704eを介して、エンドエフェクタ702のアンビル716及びIビーム714(鋭い切刃を含む)部分、取り外し可能なステープルカートリッジ718、シャフト740、並びに1つ又は2つ以上の関節運動部材742a、742bを制御するように構成された制御回路710を備える。位置センサ734は、Iビーム714の位置フィードバックを制御回路710に提供するように構成されてもよい。他のセンサ738は、制御回路710にフィードバックを提供するように構成されてもよい。タイマー/カウンタ731は、制御回路710にタイミング及びカウント情報を提供する。モータ704a~704eを動作させるためにエネルギー源712が設けられてもよく、電流センサ736はモータ電流フィードバックを制御回路710に提供する。モータ704a~704eは、開ループ又は閉ループフィードバック制御において制御回路710によって個別に操作することができる。
【0141】
一態様では、制御回路710は、1つ又は2つ以上のマイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、又はプロセッサ若しくは複数のプロセッサに1つ又は2つ以上のタスクを実施させる命令を実行するための他の好適なプロセッサを備えてもよい。一態様では、タイマー/カウンタ731は、経過時間又はデジタルカウントなどの出力信号を制御回路710に提供して位置センサ734によって決定されたIビーム714の位置をタイマー/カウンタ731の出力と相関させ、その結果、制御回路710は、Iビーム714が開始位置に対して特定の位置にあるときの、開始位置又は時間(t)に対する特定の時間(t)におけるIビーム714の位置を決定することができる。タイマー/カウンタ731は、経過時間を測定するか、外部イベントを計数するか、又は外部イベントの時間を測定するように構成されてもよい。
【0142】
一態様では、制御回路710は、1つ又は2つ以上の組織状態に基づいてエンドエフェクタ702の機能を制御するようにプログラムされてもよい。制御回路710は、本明細書に記載されるように、直接的又は間接的のいずれかで厚さなどの組織状態を感知するようにプログラムされてもよい。制御回路710は、組織状態に基づいて発射制御プログラム又は閉鎖制御プログラムを選択するようにプログラムされてもよい。発射制御プログラムは、変位部材の遠位運動を記述することができる。様々な組織状態をより良好に処理するために様々な発射制御プログラムを選択することができる。例えば、より厚い組織が存在する場合、制御回路710は、変位部材をより低速で、かつ/又はより低電力で並進させるようにプログラムされてもよい。より薄い組織が存在する場合、制御回路710は、変位部材をより高速で、かつ/又はより高電力で並進させるようにプログラムされてもよい。閉鎖制御プログラムは、アンビル716によって組織に加えられる閉鎖力を制御し得る。その他の制御プログラムは、シャフト740及び関節運動部材742a、742bの回転を制御する。
【0143】
一態様では、制御回路710は、モータ設定値信号を生成してもよい。モータ設定値信号は、様々なモータコントローラ708a~708eに提供されてもよい。モータコントローラ708a~708eは、本明細書で説明するように、モータ704a~704eにモータ駆動信号を提供してモータ704a~704eを駆動するように構成された1つ又は2つ以上の回路を備えてもよい。いくつかの実施例では、モータ704a~704eはブラシ付きDC電動モータであってもよい。例えば、モータ704a~704eの速度は、それぞれのモータ駆動信号に比例してもよい。いくつかの実施例では、モータ704a~704eはブラシレスDC電動モータであってもよく、それぞれのモータ駆動信号は、モータ704a~704eの1つ又は2つ以上の固定子巻線に提供されるPWM信号を含んでもよい。また、いくつかの実施例では、モータコントローラ708a~708eは省略されてもよく、制御回路710がモータ駆動信号を直接生成してもよい。
【0144】
一態様では、制御回路710は、最初に、モータ704a~704eのそれぞれを、変位部材のストロークの第1の開ループ部分では開ループ構成で動作させてもよい。ストロークの開ループ部分の間のロボット外科用器具700の応答に基づいて、制御回路710は、閉ループ構成の発射制御プログラムを選択してもよい。器具の応答としては、開ループ部分の間の変位部材の並進距離、開ループ部分の間に経過する時間、開ループ部分の間にモータ704a~704eのうちの1つに提供されるエネルギー、モータ駆動信号のパルス幅の合計などが挙げられ得る。開ループ部分の後で、制御回路710は、変位部材ストロークの第2の部分に対して選択された発射制御プログラムを実施してもよい。例えば、ストロークの閉ループ部分の間、制御回路710は、変位部材の位置を記述する並進データに基づいてモータ704a~704eのうちの1つを閉ループ式に変調して、変位部材を一定速度で並進させてもよい。
【0145】
一態様では、モータ704a~704eは、エネルギー源712から電力を受け取ることができる。エネルギー源712は、主交流電源、電池、超コンデンサ、又は任意の他の好適なエネルギー源によって駆動されるDC電源であってもよい。モータ704a~704eは、対応する伝達装置706a~706eを介して、Iビーム714、アンビル716、シャフト740、関節運動部742a、及び関節運動部742bなどの個々の可動機械的要素に機械的に連結されてもよい。伝達装置706a~706eは、モータ704a~704eを可動機械的要素に連結するための1つ又は2つ以上のギア又は他の連結構成要素を含んでもよい。位置センサ734は、Iビーム714の位置を感知し得る。位置センサ734は、Iビーム714の位置を示す位置データを生成することができる任意の種類のセンサであってもよく、又はそれを含んでもよい。いくつかの例では、位置センサ734は、Iビーム714が遠位方向及び近位方向に並進すると一連のパルスを制御回路710に提供するように構成されたエンコーダを含んでもよい。制御回路710は、パルスを追跡してIビーム714の位置を決定してもよい。例えば近接センサを含む他の好適な位置センサが使用されてもよい。他の種類の位置センサは、Iビーム714の運動を示す他の信号を提供してもよい。また、いくつかの実施例では、位置センサ734は省略されてもよい。モータ704a~704eのいずれかがステッパモータである場合、制御回路710は、モータ704が実行するように指示されたステップの数及び方向を合計することによって、Iビーム714の位置を追跡することができる。位置センサ734は、エンドエフェクタ702内、又は器具の任意の他の部分に位置してもよい。モータ704a~704eのそれぞれの出力は、力を感知するためのトルクセンサ744a~744eを含み、駆動シャフトの回転を感知するエンコーダを有する。
【0146】
一態様では、制御回路710は、エンドエフェクタ702のIビーム714部分などの発射部材を駆動するように構成されている。制御回路710はモータ制御部708aにモータ設定値を提供し、モータ制御部708aはモータ704aに駆動信号を提供する。モータ704aの出力シャフトは、トルクセンサ744aに連結される。トルクセンサ744aは、Iビーム714に連結された伝達装置706aに連結される。伝達装置706aは、エンドエフェクタ702の長手方向軸線に沿って遠位方向及び近位方向へのIビーム714の移動を制御するための回転要素及び発射部材などの可動機械的要素を含む。一態様では、モータ704aは、第1のナイフ駆動ギア及び第2のナイフ駆動ギアを含むナイフギア減速セットを含むナイフギアアセンブリに連結されてもよい。トルクセンサ744aは、制御回路710に発射力フィードバック信号を提供する。発射力信号は、Iビーム714を発射又は変位させるために必要な力を表す。位置センサ734は、発射ストロークに沿ったIビーム714の位置又は発射部材の位置を、フィードバック信号として制御回路710に提供するように構成されてもよい。エンドエフェクタ702は、制御回路710にフィードバック信号を提供するように構成された追加のセンサ738を含んでもよい。使用準備が整ったら、制御回路710は、モータ制御部708aに発射信号を提供することができる。発射信号に応答して、モータ704aは、発射部材をエンドエフェクタ702の長手方向軸線に沿って、近位のストローク開始位置からストローク開始位置の遠位にあるストローク終了位置まで遠位方向に駆動することができる。発射部材が遠位方向に並進すると、遠位端に位置付けられた切断要素を備えるIビーム714は、遠位方向に前進して、ステープルカートリッジ718とアンビル716との間に位置する組織を切断する。
【0147】
一態様では、制御回路710は、エンドエフェクタ702のアンビル716部分などの閉鎖部材を駆動するように構成されている。制御回路710は、モータ704bに駆動信号を提供するモータ制御部708bにモータ設定値を提供する。モータ704bの出力シャフトは、トルクセンサ744bに連結される。トルクセンサ744bは、アンビル716に連結された伝達装置706bに連結される。伝達装置706bは、開放位置及び閉鎖位置からのアンビル716の移動を制御するための回転要素及び閉鎖部材などの可動機械的要素を含む。一態様では、モータ704bは、閉鎖スパーギアと噛合係合して支持される閉鎖減速ギアセットを含む閉鎖ギアアセンブリに連結される。トルクセンサ744bは、制御回路710に閉鎖力フィードバック信号を提供する。閉鎖力フィードバック信号は、アンビル716に適用される閉鎖力を表す。位置センサ734は、閉鎖部材の位置をフィードバック信号として制御回路710に提供するように構成されてもよい。エンドエフェクタ702内の追加のセンサ738は、閉鎖力フィードバック信号を制御回路710に提供することができる。枢動可能なアンビル716は、ステープルカートリッジ718の反対側に位置付けられる。使用準備が整うと、制御回路710は、モータ制御部708bに閉鎖信号を提供することができる。閉鎖信号に応答して、モータ704bは、閉鎖部材を前進させて、アンビル716とステープルカートリッジ718との間で組織を把持する。
【0148】
一態様では、制御回路710は、エンドエフェクタ702を回転させるためにシャフト740などのシャフト部材を回転させるように構成されている。制御回路710は、モータ704cに駆動信号を提供するモータ制御部708cにモータ設定値を提供する。モータ704cの出力シャフトは、トルクセンサ744cに連結される。トルクセンサ744cは、シャフト740に連結された伝達装置706cに連結される。伝達装置706cは、シャフト740の時計回り又は反時計回りの回転を360度まで及びそれを超えて制御するために回転要素などの可動機械的要素を含む。一態様では、モータ704cは、ツール装着プレート上に動作可能に支持された回転ギアアセンブリによって動作可能に係合されるように、近位閉鎖管の近位端上に形成された(又はこれに取り付けられた)管状ギアセグメントを含む回転伝達装置アセンブリに連結される。トルクセンサ744cは、制御回路710に回転力フィードバック信号を提供する。回転力フィードバック信号は、シャフト740に加えられる回転力を表す。位置センサ734は、閉鎖部材の位置をフィードバック信号として制御回路710に提供するように構成されてもよい。シャフトエンコーダなどの追加のセンサ738が、シャフト740の回転位置を制御回路710に提供してもよい。
【0149】
一態様では、制御回路710は、エンドエフェクタ702を関節運動させるように構成されている。制御回路710は、モータ704dに駆動信号を提供するモータ制御部708dにモータ設定値を提供する。モータ704dの出力シャフトは、トルクセンサ744dに連結される。トルクセンサ744dは、関節運動部材742aに連結された伝達装置706dに連結される。伝達装置706dは、エンドエフェクタ702の±65°の関節運動を制御するための関節運動要素などの可動機械的要素を含む。一態様では、モータ704dは、関節運動ナットに連結され、関節運動ナットは、遠位スパイン部分の近位端部分上で回転可能に軸支され、遠位スパイン部分の近位端部分上で関節運動ギアアセンブリによって回転可能に駆動される。トルクセンサ744dは、制御回路710に関節運動力フィードバック信号を提供する。関節運動力フィードバック信号は、エンドエフェクタ702に適用される関節運動力を表す。関節運動エンコーダなどのセンサ738は、エンドエフェクタ702の関節運動位置を制御回路710に提供してもよい。
【0150】
別の態様では、ロボット外科システム700の関節運動機能は、2つの関節運動部材、又は連結部742a、742bを含んでもよい。これらの関節運動部材742a、742bは、2つのモータ704d、704eによって駆動されるロボットインターフェース(ラック)上の個別のディスクによって駆動される。個別の発射モータ704aが提供されると、ヘッドが運動していないときにヘッドに抵抗保持運動及び負荷を提供するために、かつヘッドが関節運動しているときに関節運動を提供するために、関節運動連結部742a、742bのそれぞれは他の連結部に対して拮抗的に駆動され得る。関節運動部材742a、742bは、ヘッドが回転するときに固定された半径でヘッドに取り付けられる。したがって、ヘッドが回転すると、プッシュプル連結部の機械効率は変化する。この機械効率の変化は、他の関節運動連結部の駆動システムでより顕著であり得る。
【0151】
一態様では、1つ又は2つ以上のモータ704a~704eは、ギアボックス、及び発射部材、閉鎖部材、又は関節運動部材への機械的連結部を備えるブラシ付きDCモータを備えてもよい。別の例としては、変位部材、関節運動連結部、閉鎖管、及びシャフトなどの可動機械的要素を動作させる電動モータ704a~704eが挙げられる。外部影響とは、組織、周囲体、及び物理系上の摩擦などのものの、測定されていない予測不可能な影響である。こうした外部影響は、電動モータ704a~704eの1つに反して作用する障害(drag)と呼ばれることがある。障害などの外部影響は、物理系の動作を物理系の所望の動作から逸脱させることがある。
【0152】
一態様では、位置センサ734は、絶対位置決めシステムとして実装されてもよい。一態様では、位置センサ734は、Austria Microsystems,AGから入手可能なAS5055EQFTシングルチップ磁気回転位置センサとして実装される磁気回転絶対位置決めシステムを備えてもよい。位置センサ734は、制御回路710と連係して絶対位置決めシステムを提供してもよい。位置は、磁石の上方に位置し、加算、減算、ビットシフト、及びテーブル参照演算のみを必要とする、双曲線関数及び三角関数を計算する簡潔かつ効率的なアルゴリズムを実装するために設けられた、桁毎法及びボルダーアルゴリズムとしても知られるCORDICプロセッサに連結された、複数のホール効果素子を含み得る。
【0153】
一態様では、制御回路710は、1つ又は2つ以上のセンサ738と通信してもよい。センサ738は、エンドエフェクタ702上に位置付けられ、ロボット外科用器具700と共に動作して、間隙距離対時間、組織圧縮対時間、及びアンビル歪み対時間などの様々な導出パラメータを測定するように適合されてもよい。センサ738は、磁気センサ、磁界センサ、歪みゲージ、ロードセル、圧力センサ、力センサ、トルクセンサ、渦電流センサなどの誘導センサ、抵抗センサ、容量センサ、光学センサ、及び/又はエンドエフェクタ702の1つ又は2つ以上のパラメータを測定するための任意の他の好適なセンサを備えてもよい。センサ738は、1つ又は2つ以上のセンサを含んでもよい。センサ738は、セグメント化された電極を使用して組織の位置を決定するために、ステープルカートリッジ718のデッキ上に位置してもよい。トルクセンサ744a~744eは、とりわけ、発射力、閉鎖力、及び/又は関節運動力などの力を感知するように構成されてもよい。したがって、制御回路710は、(1)遠位閉鎖管によって経験される閉鎖負荷及びその位置、(2)ラックにある発射部材及びその位置、(3)ステープルカートリッジ718のどの部分がその上に組織を有しているか、並びに(4)両方の関節運動ロッド上の負荷及び位置を感知することができる。
【0154】
一態様では、1つ又は2つ以上のセンサ738は、クランプ状態中のアンビル716における歪みの大きさを測定するように構成された、微小歪みゲージなどの歪みゲージを含んでもよい。歪みゲージは、歪みの大きさに伴って振幅が変動する電気信号を提供する。センサ738は、アンビル716とステープルカートリッジ718との間で圧縮された組織の存在によって生成された圧力を検出するように構成された圧力センサを含んでもよい。センサ738は、アンビル716とステープルカートリッジ718との間に位置する組織部分のインピーダンスを検出するように構成されてもよく、このインピーダンスは、それらの間に位置する組織の厚さ及び/又は充満度を示す。
【0155】
一態様では、センサ738は、とりわけ、1つ又は2つ以上のリミットスイッチ、電気機械装置、固体スイッチ、ホール効果装置、磁気抵抗(MR)装置、巨大磁気抵抗(GMR)装置、磁力計として実装されてもよい。他の実装形態では、センサ738は、とりわけ光センサ、IRセンサ、紫外線センサなどの光の影響下で動作する固体スイッチとして実装されてもよい。更に、スイッチは、トランジスタ(例えば、FET、接合FET、MOSFET、双極など)などの固体装置であってもよい。他の実装形態では、センサ738は、とりわけ、導電体非含有スイッチ、超音波スイッチ、加速度計、及び慣性センサを含んでもよい。
【0156】
一態様では、センサ738は、閉鎖駆動システムによってアンビル716に及ぼされる力を測定するように構成されてもよい。例えば、1つ又は2つ以上のセンサ738は、閉鎖管によってアンビル716に加えられる閉鎖力を検出するために、閉鎖管とアンビル716との間の相互作用点に位置し得る。アンビル716に対して及ぼされる力は、アンビル716とステープルカートリッジ718との間に捕捉された組織部分が経験する組織圧縮を表すものであり得る。1つ以上のセンサ738を、閉鎖駆動システムに沿った様々な相互作用点に位置付けて、閉鎖駆動システムによりアンビル716に加えられる閉鎖力を検出し得る。1つ又は2つ以上のセンサ738は、制御回路710のプロセッサによるクランプ動作中にリアルタイムでサンプリングされてもよい。制御回路710は、リアルタイムのサンプル測定値を受信して時間ベースの情報を提供及び分析し、アンビル716に加えられる閉鎖力をリアルタイムで評価する。
【0157】
一態様では、電流センサ736を用いて、モータ704a~704eのそれぞれによって引き込まれる電流を測定することができる。Iビーム714などの可動機械的要素のいずれかを前進させるのに必要な力は、モータ704a~704eのうちの1つによって引き込まれる電流に対応する。力はデジタル信号に変換されて、制御回路710に提供される。制御回路710は、器具の実際のシステムの応答をコントローラのソフトウェアでシミュレートするように構成され得る。変位部材を作動させて、エンドエフェクタ702内のIビーム714を目標速度又はその付近で移動させることができる。ロボット外科用器具700は、フィードバックコントローラを含むことができ、フィードバックコントローラは、例えば、PID、状態フィードバック、線形二次(LQR)、及び/又は適応コントローラが挙げられるがこれらに限定されない任意のフィードバックコントローラのうちのいずれか1つであってもよい。ロボット外科用器具700は、フィードバックコントローラからの信号を、例えば、ケース電圧、PWM電圧、周波数変調電圧、電流、トルク、及び/又は力などの物理的入力に変換するための電源を含むことができる。更なる詳細は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2017年6月29日出願の「CLOSED LOOP VELOCITY CONTROL TECHNIQUES FOR ROBOTIC SURGICAL INSTRUMENT」と題する米国特許出願第15/636,829号に開示されている。
【0158】
図18は、本開示の一態様による、変位部材の遠位並進を制御するようにプログラムされた外科用器具750のブロック図を示す。一態様では、外科用器具750は、Iビーム764などの変位部材の遠位並進を制御するようにプログラムされる。外科用器具750は、アンビル766、Iビーム764(鋭い切断縁部を含む)、及び取り外し可能なステープルカートリッジ768を含み得るエンドエフェクタ752を備える。
【0159】
閉鎖部材764などの直線変位部材の位置、移動、変位、及び/又は並進は、絶対位置決めシステム、センサ構成、及び位置センサ784によって測定され得る。Iビーム764が長手方向に移動可能な駆動部材に連結されているため、Iビーム764の位置は、位置センサ784を用いる長手方向に移動可能な駆動部材の位置を測定することによって決定され得る。したがって、以下の説明では、Iビーム764の位置、変位、及び/又は並進は、本明細書に記載される位置センサ784によって達成され得る。制御回路760は、Iビーム764などの変位部材の並進を制御するようにプログラムされてもよい。いくつかの実施例では、制御回路760は、1つ若しくは2つ以上のマイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、又はプロセッサ若しくは複数のプロセッサに、記載される方法で変位部材、例えばIビーム764を制御させる命令を実行するための他の好適なプロセッサを含んでもよい。一態様では、タイマー/カウンタ781は、経過時間又はデジタルカウントなどの出力信号を制御回路760に提供して、位置センサ784によって決定されたIビーム764の位置をタイマー/カウンタ781の出力と相関させ、その結果、制御回路760は、開始位置に対する特定の時間(t)におけるIビーム764の位置を決定し得る。タイマー/カウンタ781は、経過時間を測定するか、外部イベントを計数するか、又は外部イベントの時間を測定するように構成されてよい。
【0160】
制御回路760は、モータ設定値信号772を生成してもよい。モータ設定値信号772は、モータコントローラ758に提供されてもよい。モータコントローラ758は、本明細書に記載されるように、モータ754にモータ駆動信号774を提供してモータ754を駆動するように構成された1つ又は2つ以上の回路を含んでもよい。いくつかの実施例では、モータ754は、ブラシ付きDC電動モータであってもよい。例えば、モータ754の速度は、モータ駆動信号774に比例してもよい。いくつかの例では、モータ754はブラシレスDC電動モータであってもよく、モータ駆動信号774は、モータ754の1つ又は2つ以上の固定子巻線に提供されるPWM信号を含んでもよい。また、いくつかの実施例では、モータコントローラ758は省略されてもよく、制御回路760がモータ駆動信号774を直接生成してもよい。
【0161】
モータ754は、エネルギー源762から電力を受信してもよい。エネルギー源762は、電池、超コンデンサ、又は任意の他の好適なエネルギー源であってもよく、あるいはそれを含んでもよい。モータ754は、伝達装置756を介してIビーム764に機械的に連結されてもよい。伝達装置756は、モータ754をIビーム764に連結するための1つ若しくは2つ以上のギア又は他の連結構成要素を含んでもよい。位置センサ784は、Iビーム764の位置を感知し得る。位置センサ784は、Iビーム764の位置を示す位置データを生成することができる任意の種類のセンサであってもよく、又はそれを含んでもよい。いくつかの例では、位置センサ784は、Iビーム764が遠位方向及び近位方向に並進すると一連のパルスを制御回路760に提供するように構成されたエンコーダを含んでもよい。制御回路760は、パルスを追跡してIビーム764の位置を決定してもよい。例えば近接センサを含む他の好適な位置センサが使用されてもよい。他の種類の位置センサは、Iビーム764の運動を示す他の信号を提供してもよい。また、いくつかの実施例では、位置センサ784は省略されてもよい。モータ754がステッパモータである場合、制御回路760は、モータ754が実行するように指示されたステップの数及び方向を合計することによって、Iビーム764の位置を追跡することができる。位置センサ784は、エンドエフェクタ752内、又は器具の任意の他の部分に位置してもよい。
【0162】
制御回路760は、1つ又は2つ以上のセンサ788と通信してもよい。センサ788は、エンドエフェクタ752上に位置付けられ、外科用器具750と共に動作して、間隙距離対時間、組織圧縮対時間、及びアンビル歪み対時間などの様々な導出パラメータを測定するように適合されてもよい。センサ788は、磁気センサ、磁界センサ、歪みゲージ、圧力センサ、力センサ、渦電流センサなどの誘導センサ、抵抗センサ、容量センサ、光学センサ、及び/又はエンドエフェクタ752の1つ若しくは2つ以上のパラメータを測定するための任意の他の好適なセンサを含んでもよい。センサ788は、1つ又は2つ以上のセンサを含んでもよい。
【0163】
1つ又は2つ以上のセンサ788は、クランプ状態中のアンビル766における歪みの大きさを測定するように構成された、微小歪みゲージなどの歪みゲージを含んでもよい。歪みゲージは、歪みの大きさに伴って振幅が変動する電気信号を提供する。センサ788は、アンビル766とステープルカートリッジ768との間で圧縮された組織の存在によって生成された圧力を検出するように構成された圧力センサを含んでもよい。センサ788は、アンビル766とステープルカートリッジ768との間に位置する組織部分のインピーダンスを検出するように構成されてもよく、このインピーダンスは、それらの間に位置する組織の厚さ及び/又は充満度を示す。
【0164】
センサ788は、閉鎖駆動システムにより、アンビル766上に及ぼされる力を測定するように構成されてもよい。例えば、1つ又は2つ以上のセンサ788は、閉鎖管によってアンビル766に加えられる閉鎖力を検出するために、閉鎖管とアンビル766との間の相互作用点に位置し得る。アンビル766に対して及ぼされる力は、アンビル766とステープルカートリッジ768との間に捕捉された組織部分が経験する組織圧縮を表すものであり得る。1つ又は2つ以上のセンサ788を、閉鎖駆動システムに沿った様々な相互作用点に位置付けて、閉鎖駆動システムによりアンビル766に加えられる閉鎖力を検出し得る。1つ又は2つ以上のセンサ788は、制御回路760のプロセッサによるクランプ動作中にリアルタイムでサンプリングされてもよい。制御回路760は、リアルタイムのサンプル測定値を受信して時間ベースの情報を提供及び分析し、アンビル766に加えられる閉鎖力をリアルタイムで評価する。
【0165】
モータ754によって引き込まれる電流を測定するために、電流センサ786を用いることができる。Iビーム764を前進させるのに必要な力は、モータ754によって引き込まれる電流に相当する。力はデジタル信号に変換されて、制御回路760に提供される。
【0166】
制御回路760は、器具の実際のシステムの応答をコントローラのソフトウェアでシミュレートするように構成され得る。変位部材を作動させて、エンドエフェクタ752内のIビーム764を目標速度又はその付近で移動させることができる。外科用器具750は、フィードバックコントローラを含むことができ、フィードバックコントローラは、例えば、PID、状態フィードバック、LQR、及び/又は適応コントローラが挙げられるがこれらに限定されない任意のフィードバックコントローラのうちのいずれか1つであってもよい。外科用器具750は、フィードバックコントローラからの信号を、例えば、ケース電圧、PWM電圧、周波数変調電圧、電流、トルク、及び/又は力などの物理的入力に変換するための電源を含むことができる。
【0167】
外科用器具750の実際の駆動システムは、ギアボックス、並びに関節運動及び/又はナイフシステムへの機械的連結部を備えるブラシ付きDCモータによって、変位部材、切断部材、又はIビーム764を駆動するように構成されている。別の例は、交換式シャフトアセンブリの、例えば変位部材及び関節運動ドライバを操作する電気モータ754である。外部影響とは、組織、周囲体、及び物理系上の摩擦などのものの、測定されていない予測不可能な影響である。こうした外部影響は、電気モータ754に反して作用する障害と呼ばれることがある。障害などの外部影響は、物理系の動作を物理系の所望の動作から逸脱させることがある。
【0168】
様々な例示的態様は、モータ駆動の外科用ステープル留め及び切断手段を有するエンドエフェクタ752を備える外科用器具750を対象とする。例えば、モータ754は、エンドエフェクタ752の長手方向軸線に沿って遠位方向及び近位方向に変位部材を駆動してもよい。エンドエフェクタ752は、枢動可能なアンビル766と、使用のために構成される場合は、アンビル766の反対側に位置付けられたステープルカートリッジ768と、を含んでもよい。臨床医は、本明細書に記載されるように、アンビル766とステープルカートリッジ768との間に組織を把持してもよい。器具750を使用する準備が整った場合、臨床医は、例えば器具750のトリガを押すことによって発射信号を提供することができる。発射信号に応答して、モータ754は、変位部材をエンドエフェクタ752の長手方向軸線に沿って、近位のストローク開始位置からストローク開始位置の遠位にあるストローク終了位置まで遠位方向に駆動してもよい。変位部材が遠位方向に並進するにつれて、遠位端に位置付けられた切断要素を有するIビーム764は、ステープルカートリッジ768とアンビル766との間の組織を切断することができる。
【0169】
様々な実施例で、外科用器具750は、1つ又は2つ以上の組織状態に基づいて、例えば、Iビーム764などの変位部材の遠位並進を制御するようにプログラムされた制御回路760を備えてもよい。制御回路760は、本明細書に記載されるように、直接的又は間接的のいずれかで厚さなどの組織状態を感知するようにプログラムされてもよい。制御回路760は、組織状態に基づいて発射制御プログラムを選択するようにプログラムされてもよい。発射制御プログラムは、変位部材の遠位運動を記述することができる。様々な組織状態をより良好に処理するために様々な発射制御プログラムを選択することができる。例えば、より厚い組織が存在する場合、制御回路760は、変位部材をより低速で、かつ/又はより低電力で並進させるようにプログラムされてもよい。より薄い組織が存在する場合、制御回路760は、変位部材をより高速で、かつ/又はより高電力で並進させるようにプログラムされてもよい。
【0170】
いつくかの実施例では、制御回路760は、最初に、モータ754を、変位部材のストロークの第1の開ループ部分に対する開ループ構成で動作させてもよい。ストロークの開ループ部分の間の器具750の応答に基づいて、制御回路760は、発射制御プログラムを選択してもよい。器具の応答としては、開ループ部分の間の変位部材の並進距離、開ループ部分の間に経過する時間、開ループ部分の間にモータ754に提供されるエネルギー、モータ駆動信号のパルス幅の合計などが挙げられ得る。開ループ部分の後、制御回路760は、変位部材ストロークの第2の部分に対して、選択された発射制御プログラムを実装してもよい。例えば、ストロークの閉ループ部分の間、制御回路760は、変位部材の位置を記述する並進データに基づいてモータ754を閉ループ式に変調して、変位部材を一定速度で並進させてもよい。更なる詳細は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2017年9月29日出願の「SYSTEM AND METHODS FOR CONTROLLING A DISPLAY OF A SURGICAL INSTRUMENT」と題する米国特許出願第15/720,852号に開示されている。
【0171】
図19は、本開示の少なくとも1つの態様による、様々な機能を制御するように構成された外科用器具790の概略図である。一態様では、外科用器具790は、Iビーム764などの変位部材の遠位並進を制御するようにプログラムされる。外科用器具790は、アンビル766と、Iビーム764と、RFカートリッジ796(破線で示す)と交換することができる着脱可能なステープルカートリッジ768と、を含み得るエンドエフェクタ792を備える。
【0172】
一態様では、センサ788は、とりわけ、リミットスイッチ、電気機械装置、固体スイッチ、ホール効果装置、MR装置、GMR装置、磁力計として実装されてもよい。他の実装形態では、センサ638は、とりわけ光センサ、IRセンサ、紫外線センサなどの光の影響下で動作する固体スイッチであってもよい。更に、スイッチは、トランジスタ(例えば、FET、接合FET、MOSFET、双極など)などの固体装置であってもよい。他の実装形態では、センサ788は、とりわけ、導電体非含有スイッチ、超音波スイッチ、加速度計、及び慣性センサを含んでもよい。
【0173】
一態様では、位置センサ784は、Austria Microsystems,AGから入手可能なAS5055EQFTシングルチップ磁気回転位置センサとして実装される磁気回転絶対位置決めシステムを含む絶対位置決めシステムとして実装されてもよい。位置センサ784は、制御回路760と連係して絶対位置決めシステムを提供してもよい。位置は、磁石の上方に位置し、加算、減算、ビットシフト、及びテーブル参照演算のみを必要とする、双曲線関数及び三角関数を計算する簡潔かつ効率的なアルゴリズムを実装するために設けられた、桁毎法及びボルダーアルゴリズムとしても知られるCORDICプロセッサに連結された、複数のホール効果素子を含み得る。
【0174】
一態様では、Iビーム764は、上に組織切断刃を動作可能に支持するナイフ本体を含むナイフ部材として実装されてもよく、アンビル係合タブ又は特徴部及び通路係合特徴部又は足部を更に含んでもよい。一態様では、ステープルカートリッジ768は、標準的な(機械式)外科用締結具カートリッジとして実装されてもよい。一態様では、RFカートリッジ796はRFカートリッジとして実装されてもよい。これら、及び他のセンサ構成は、その全体が本明細書に参照により組み込まれる、2017年6月20日に出願された「TECHNIQUES FOR ADAPTIVE CONTROL OF MOTOR VELOCITY OF A SURGICAL STAPLING AND CUTTING INSTRUMENT」と題する同一所有者の米国特許出願第15/628,175号に記載されている。
【0175】
Iビーム764などの直線変位部材の位置、移動、変位、及び/又は並進は、絶対位置決めシステム、センサ構成、及び位置センサ784として表される位置センサにより、測定可能である。Iビーム764が長手方向に移動可能な駆動部材に連結されているため、Iビーム764の位置は、位置センサ784を用いる長手方向に移動可能な駆動部材の位置を測定することによって決定され得る。したがって、以下の説明では、Iビーム764の位置、変位、及び/又は並進は、本明細書に記載される位置センサ784によって達成され得る。本明細書に記載されるように、制御回路760は、Iビーム764などの変位部材の並進を制御するようにプログラムされてもよい。いくつかの実施例では、制御回路760は、1つ若しくは2つ以上のマイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、又はプロセッサ若しくは複数のプロセッサに、記載される方法で変位部材、例えばIビーム764を制御させる命令を実行するための他の好適なプロセッサを含んでもよい。一態様では、タイマー/カウンタ781は、経過時間又はデジタルカウントなどの出力信号を制御回路760に提供して、位置センサ784によって決定されたIビーム764の位置をタイマー/カウンタ781の出力と相関させ、その結果、制御回路760は、開始位置に対する特定の時間(t)におけるIビーム764の位置を決定し得る。タイマー/カウンタ781は、経過時間を測定するか、外部イベントを計数するか、又は外部イベントの時間を測定するように構成されてよい。
【0176】
制御回路760は、モータ設定値信号772を生成してもよい。モータ設定値信号772は、モータコントローラ758に提供されてもよい。モータコントローラ758は、本明細書に記載されるように、モータ754にモータ駆動信号774を提供してモータ754を駆動するように構成された1つ又は2つ以上の回路を含んでもよい。いくつかの実施例では、モータ754は、ブラシ付きDC電動モータであってもよい。例えば、モータ754の速度は、モータ駆動信号774に比例してもよい。いくつかの例では、モータ754はブラシレスDC電動モータであってもよく、モータ駆動信号774は、モータ754の1つ又は2つ以上の固定子巻線に提供されるPWM信号を含んでもよい。また、いくつかの実施例では、モータコントローラ758は省略されてもよく、制御回路760がモータ駆動信号774を直接生成してもよい。
【0177】
モータ754は、エネルギー源762から電力を受信してもよい。エネルギー源762は、電池、超コンデンサ、又は任意の他の好適なエネルギー源であってもよく、あるいはそれを含んでもよい。モータ754は、伝達装置756を介してIビーム764に機械的に連結されてもよい。伝達装置756は、モータ754をIビーム764に連結するための1つ若しくは2つ以上のギア又は他の連結構成要素を含んでもよい。位置センサ784は、Iビーム764の位置を感知し得る。位置センサ784は、Iビーム764の位置を示す位置データを生成することができる任意の種類のセンサであってもよく、又はそれを含んでもよい。いくつかの例では、位置センサ784は、Iビーム764が遠位方向及び近位方向に並進すると一連のパルスを制御回路760に提供するように構成されたエンコーダを含んでもよい。制御回路760は、パルスを追跡してIビーム764の位置を決定してもよい。例えば近接センサを含む他の好適な位置センサが使用されてもよい。他の種類の位置センサは、Iビーム764の運動を示す他の信号を提供してもよい。また、いくつかの実施例では、位置センサ784は省略されてもよい。モータ754がステッパモータである場合、制御回路760は、モータが実行するように指示されたステップの数及び方向を合計することによって、Iビーム764の位置を追跡することができる。位置センサ784は、エンドエフェクタ792内、又は器具の任意の他の部分に位置してもよい。
【0178】
制御回路760は、1つ又は2つ以上のセンサ788と通信してもよい。センサ788は、エンドエフェクタ792上に位置付けられ、外科用器具790と共に動作して、間隙距離対時間、組織圧縮対時間、及びアンビル歪み対時間などの様々な導出パラメータを測定するように適合され得る。センサ788は、磁気センサ、磁界センサ、歪みゲージ、圧力センサ、力センサ、渦電流センサなどの誘導センサ、抵抗センサ、容量センサ、光学センサ、及び/又はエンドエフェクタ792の1つ若しくは2つ以上のパラメータを測定するための任意の他の好適なセンサを含んでもよい。センサ788は、1つ又は2つ以上のセンサを含んでもよい。
【0179】
1つ又は2つ以上のセンサ788は、クランプ状態中のアンビル766における歪みの大きさを測定するように構成された、微小歪みゲージなどの歪みゲージを含んでもよい。歪みゲージは、歪みの大きさに伴って振幅が変動する電気信号を提供する。センサ788は、アンビル766とステープルカートリッジ768との間で圧縮された組織の存在によって生成された圧力を検出するように構成された圧力センサを含んでもよい。センサ788は、アンビル766とステープルカートリッジ768との間に位置する組織部分のインピーダンスを検出するように構成されてもよく、このインピーダンスは、それらの間に位置する組織の厚さ及び/又は充満度を示す。
【0180】
センサ788は、閉鎖駆動システムにより、アンビル766上に及ぼされる力を測定するように構成されてもよい。例えば、1つ又は2つ以上のセンサ788は、閉鎖管によってアンビル766に加えられる閉鎖力を検出するために、閉鎖管とアンビル766との間の相互作用点に位置し得る。アンビル766に対して及ぼされる力は、アンビル766とステープルカートリッジ768との間に捕捉された組織部分が経験する組織圧縮を表すものであり得る。1つ又は2つ以上のセンサ788を、閉鎖駆動システムに沿って様々な相互作用点に配置して、閉鎖駆動システムによりアンビル766に適用される閉鎖力を検出することができる。1つ又は2つ以上のセンサ788は、制御回路760のプロセッサによるクランプ動作中にリアルタイムでサンプリングされてもよい。制御回路760は、リアルタイムのサンプル測定値を受信して時間ベースの情報を提供及び分析し、アンビル766に加えられる閉鎖力をリアルタイムで評価する。
【0181】
モータ754によって引き込まれる電流を測定するために、電流センサ786を用いることができる。Iビーム764を前進させるのに必要な力は、モータ754によって引き込まれる電流に相当する。力はデジタル信号に変換されて、制御回路760に提供される。
【0182】
RFエネルギー源794はエンドエフェクタ792に連結され、RFカートリッジ796が、ステープルカートリッジ768の代わりにエンドエフェクタ792にロードされるときに、RFカートリッジ796に適用される。制御回路760は、RFエネルギーのRFカートリッジ796への送達を制御する。
【0183】
更なる詳細は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2017年6月28日出願の「SURGICAL SYSTEM COUPLABLE WITH STAPLE CARTRIDGE AND RADIO FREQUENCY CARTRIDGE,AND METHOD OF USING SAME」と題する米国特許出願第15/636,096号に開示されている。
【0184】
図20は、他の利点の中でも、インダクタレス同調を提供するように構成された発生器800の簡略ブロック図である。発生器800の追加の詳細は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、「SURGICAL GENERATOR FOR ULTRASONIC AND ELECTROSURGICAL DEVICES」と題する2015年6月23日発行の米国特許第9,060,775号に記載されている。発生器800は、電力変圧器806を介して非絶縁段階804と通信する患者絶縁段階802を含んでもよい。電力変圧器806の二次巻線808は、絶縁段階802内に収容され、例えば、超音波外科用器具、RF電気外科用器具、並びに単独又は同時に送達可能な超音波及びRFエネルギーモードを含む多機能型外科用器具などの様々な外科用器具に駆動信号を送達するために駆動信号出力部810a、810b、810cを画定するためのタップ構成(例えば、センタタップ又は非センタタップ構成)を含んでもよい。具体的には、駆動信号出力部810a、810cは、超音波駆動信号(例えば、420Vの二乗平均根(RMS)駆動信号)を超音波外科用器具に出力してもよく、駆動信号出力部810b、810cは、電力変圧器806のセンタタップに対応する駆動信号出力部810bにより、RF電気外科用駆動信号(例えば、100VのRMS駆動信号)をRF電気外科用器具に出力してもよい。
【0185】
特定の形態では、超音波及び電気外科用駆動信号は、別個の外科用器具に、及び/又は超音波エネルギーと電気外科用エネルギーとの両方を組織に送達する能力を有する多機能型外科用器具などの単一の外科用器具に、同時に提供されてもよい。専用の電気外科用器具及び/又は複合多機能超音波/電気外科用器具のどちらかへと提供される電気外科用信号は、治療用又は治療量以下のレベルの信号のどちらかであり、治療量以下の信号は、例えば、組織又は器具状態をモニタして、発生器へとフィードバックを提供することに使用され得る、と理解されよう。例えば、超音波及びRF信号は、以下でより詳細に論じられるように、所望の出力信号を外科用器具に提供するために、単一の出力ポートを有する発生器から別個に又は同時に送達され得る。したがって、発生器は、超音波エネルギー及び電気外科用RFエネルギーを組み合わせて、複合エネルギーを多機能超音波/電気外科用器具に送達することができる。双極電極は、エンドエフェクタの一方又は両方のジョーの上に配置することができる。一方のジョーは、同時に働く、電気外科用RFエネルギーに加えて超音波エネルギーによって駆動されてもよい。超音波エネルギーは、組織を切開するために用いられてもよく、電気外科用RFエネルギーは、血管封止に用いられてもよい。
【0186】
非絶縁段階804は、電力変圧器806の一次巻線814に接続された出力部を有する電力増幅器812を含んでもよい。ある特定の形態では、電力増幅器812は、プッシュプル増幅器を含んでもよい。例えば、非絶縁段階804は、デジタル-アナログ変換器(DAC)回路818にデジタル出力を供給するための論理装置816を更に含んでもよく、デジタル-アナログ変換器(DAC)回路818は次いで、対応するアナログ信号を電力増幅器812の入力に供給する。ある特定の形態では、論理装置816は、数ある論理回路の中で、例えば、プログラマブルゲートアレイ(PGA)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブル論理装置(PLD)を含んでもよい。したがって、論理装置816は、DAC回路818を介して電力増幅器812の入力を制御することにより、駆動信号出力部810a、810b、810cで出現する駆動信号の多くのパラメータ(例えば、周波数、波形、波形振幅)のうちのいずれかを制御することができる。特定の態様では、以下で説明するように、論理装置816は、プロセッサ(例えば、以下で説明するDSP)と共に、多くのDSPベースの及び/又はその他の制御アルゴリズムを実装して、発生器800によって出力される駆動信号のパラメータを制御することができる。
【0187】
電力は、スイッチモードレギュレータ820、例えば電力変換装置によって、電力増幅器812の電力レールに供給されてもよい。ある特定の形態では、スイッチモードレギュレータ820は、例えば、調整可能なバックレギュレータを含んでもよい。非絶縁段階804は、第1のプロセッサ822を更に含んでもよく、第1のプロセッサ822は、一形態では、例えば、Analog Devices(Norwood,MA)から入手可能なAnalog Devices ADSP-21469 SHARC DSPなどのDSPプロセッサを含んでもよいが、様々な形態において、任意の好適なプロセッサが用いられてもよい。特定の形態では、DSPプロセッサ822は、電力増幅器812からDSPプロセッサ822がADC回路824を介して受信する、電圧フィードバックデータに応答するスイッチ-モードレギュレータ820の動作を制御してもよい。一形態では、例えば、DSPプロセッサ822は、電力増幅器812によって増幅された信号(例えば、RF信号)の波形エンベロープを、ADC回路824を介して入力として受信してもよい。次いで、DSPプロセッサ822は、電力増幅器812に供給されるレール電圧が、増幅された信号の波形エンベロープを追跡するように、スイッチ-モード調節器820(例えば、PWM出力)を制御してもよい。波形エンベロープに基づいて、電力増幅器812のレール電圧を動的に変調することにより、電力増幅器812の効率は、固定レール電圧増幅器スキームに対して顕著に改善され得る。
【0188】
特定の形態では、論理装置816は、DSPプロセッサ822と共に、直接デジタルシンセサイザ制御スキームなどのデジタル合成回路を実装して、発生器800によって出力される駆動信号の波形形状、周波数及び/又は振幅を制御してもよい。一形態では、例えば、論理装置816は、FPGA内に埋め込まれ得るRAM LUTなどの、動的に更新されるルックアップテーブル(LUT)内に記憶された波形サンプルを呼び出すことによって、DDS制御アルゴリズムを実装してもよい。この制御アルゴリズムは、超音波変換器などの超音波変換器が、その共振周波数における明瞭な正弦波電流によって駆動され得る超音波用途で特に有用である。他の周波数が寄生共振を励起し得るため、動作分岐電流の全歪みの最小化又は低減は、これに対応して望ましくない共振効果を最小化又は低減することができる。発生器800よって出力される駆動信号の波形は、出力駆動回路内に存在する様々な歪み源(例えば、電力変圧器806、電力増幅器812)によって影響されるため、駆動信号に基づく電圧及び電流フィードバックデータは、DSPプロセッサ822によって実装される誤差制御アルゴリズムなどのアルゴリズムに入力されてもよく、これは動的な、進行に応じたベース(例えば、リアルタイム)で、LUTに保存された波形サンプルを好適に事前に歪ませる又は修正することによって、歪みを補償する。一形態では、LUTサンプルに加えられる予歪みの量又は程度は、計算された動作分岐電流と所望の電流波形との間の誤差に基づいてもよく、誤差は、サンプル毎に決定される。このようにして、予め歪ませたLUTサンプルは、駆動回路により処理される場合、超音波変換器を最適に駆動するために、所望の波形形状(例えば、正弦波)を有する動作ブランチ駆動信号を生じ得る。そのような形態では、LUT波形サンプルは、したがって、駆動信号の所望の波形を表すのではなく、歪み効果を考慮した際の、動作分岐駆動信号の所望の波形を最終的に生成するために必要な波形を表す。
【0189】
非絶縁段階804は、発生器800によって出力される駆動信号の電圧及び電流をそれぞれサンプリングするために、対応の絶縁変圧器830、832を介して電力変圧器806の出力部に連結された第1のADC回路826及び第2のADC回路828を更に含んでもよい。特定の形態では、ADC回路826、828は、駆動信号のオーバーサンプリングを可能にするために、高速(例えば、毎秒80メガサンプル(MSPS))でサンプリングするように構成されてもよい。一形態では、例えば、ADC回路826、828のサンプリング速度は、駆動信号のおよそ200x(周波数による)のオーバーサンプリングを可能にし得る。特定の形態では、ADC回路826、828のサンプリング動作は、双方向マルチプレクサを介し、入力電圧及び電流信号を受信する単一のADC回路によって実施されてもよい。発生器800の形態での高速サンプリングの使用は、とりわけ、動作ブランチを通って流れる複素電流の計算(これは、上述のDDSベースの波形形状制御を実装するために、特定の形態で使用され得る)、サンプリングされた信号の正確なデジタルフィルタリング、及び高精度での実電力消費の計算を可能にし得る。ADC回路826、828によって出力される電圧及び電流フィードバックデータは、論理装置816によって受信かつ処理されてもよく(例えば、先着順処理方式(FIFO)バッファ、マルチプレクサなど)、例えば、DSPプロセッサ822による以後の読み出しのために、データメモリに格納されてもよい。上記のように、電圧及び電流のフィードバックデータは、動的及び進行に応じたベースで、LUT波形サンプルを予め歪ませるか又は修正するための、アルゴリズムへの入力として使用され得る。特定の形態では、これは、電圧及び電流のフィードバックデータ対が得られる場合に、論理装置816によって出力された対応するLUTサンプルに基づき、又は別の方法でこれに関連して、記憶されたそれぞれの電圧及び電流のフィードバックデータ対が索引されることを必要とし得る。この方法によるLUTサンプルと電圧及び電流のフィードバックデータとの同期は、予歪みアルゴリズムの正確なタイミング及び安定性に寄与する。
【0190】
特定の形態では、電圧及び電流のフィードバックデータは、駆動信号の周波数及び/又は振幅(例えば、電流振幅)を制御するために使用されてもよい。例えば、一形態では、電圧及び電流のフィードバックデータは、インピーダンス相を決定するために使用されてもよい。続いて、駆動信号の周波数を制御して、判定されたインピーダンス位相とインピーダンス位相設定値(例えば、0°)との間の差を最小化又は低減し、それによって高調波歪みの影響を最小化又は低減し、それに対応してインピーダンス位相の測定精度を向上させることができる。相インピーダンス及び周波数制御信号の決定は、例えば、DSPプロセッサ822に実装されてもよく、周波数制御信号は、論理装置816によって実装されるDDS制御アルゴリズムへの入力として供給される。
【0191】
別の形態では、例えば、電流のフィードバックデータは、駆動信号の電流振幅を電流振幅設定点で維持するために監視されてもよい。電流振幅設定値は、直接指定されてもよく、又は指定された電圧振幅及び電力設定値に基づいて間接的に判定されてもよい。特定の形態では、電流振幅の制御は、例えば、DSPプロセッサ822内の比例-積分-微分(PID)制御アルゴリズムといった、制御アルゴリズムによって実装され得る。駆動信号の電流振幅を好適に制御するために、制御アルゴリズムにより制御される変数には、例えば、論理装置816に格納されるLUT波形サンプルのスケーリング、及び/又はDAC回路834を介したDAC回路818(これは電力増幅器812に入力を供給する)のフルスケール出力電圧が挙げられ得る。
【0192】
非絶縁段階804は、とりわけユーザインターフェース(UI)機能性を提供するために、第2のプロセッサ836を更に含んでもよい。一形態では、UIプロセッサ836は、例えば、Atmel Corporation(San Jose,California)から入手可能な、ARM 926EJ-Sコアを有するAtmel AT91SAM9263プロセッサを含んでもよい。UIプロセッサ836によってサポートされるUI機能の例としては、聴覚的及び視覚的なユーザフィードバック、周辺装置との通信(例えば、ユニバーサルシリアルバス(USB)インターフェースを介して)、フットスイッチとの通信、入力装置(例えば、タッチスクリーンディスプレイ)との通信、並びに出力装置(例えば、スピーカ)との通信が挙げられ得る。UIプロセッサ836は、DSPプロセッサ822及び論理装置816(例えば、SPIバス)と通信してもよい。UIプロセッサ836は、UI機能性を主にサポートしてもよいが、特定の形態では、UIプロセッサ836はまた、DSPプロセッサ822と協調して、危険の緩和を実現してもよい。例えば、UIプロセッサ836は、ユーザ入力及び/又は他の入力(例えば、タッチスクリーン入力、フットスイッチ入力、温度サンサ入力)の様々な態様をモニタリングするようにプログラミングされてもよく、かつ誤った状態が検出されたときに、発生器800の駆動出力を無効化してもよい。
【0193】
特定の形態では、DSPプロセッサ822及びUIプロセッサ836の両方は、例えば、発生器800の動作状態を決定及び監視してもよい。DSPプロセッサ822に関し、発生器800の動作状態は、例えば、どの制御及び/又は診断プロセスがDSPプロセッサ822によって実装されるかを表してもよい。UIプロセッサ836に関し、発生器800の動作状態は、例えば、UI(例えば、ディスプレイスクリーン、音)のどの要素がユーザに提供されるかを表してもよい。DSPプロセッサ822及びUIプロセッサ836はそれぞれ、発生器800の現在の動作状態を別個に維持し、現在の動作状態からの可能な遷移を、認識かつ評価してもよい。DSPプロセッサ822は、この関係におけるマスターとして機能し、動作状態間の遷移が生じるときを決定してもよい。UIプロセッサ836は、動作状態間の有効な遷移を認識してもよく、また特定の遷移が適切であるかを確認してもよい。例えば、DSPプロセッサ822が、UIプロセッサ836に特定の状態へと遷移するように命令すると、UIプロセッサ836は、要求される遷移が有効であることを確認してもよい。要求される状態間の遷移がUIプロセッサ836によって無効であると決定された場合、UIプロセッサ836は、発生器800を故障モードにしてもよい。
【0194】
非絶縁段階804は、入力装置を監視するためのコントローラ838(例えば、発生器800をオン及びオフするために使用される静電容量式タッチセンサ、静電容量式タッチスクリーン)を更に含んでもよい。特定の形態では、コントローラ838は、少なくとも1つのプロセッサ及び/又はUIプロセッサ836と通信する他のコントローラ装置を含んでもよい。一形態では、例えば、コントローラ838は、1つ又は2つ以上の容量性タッチセンサを介して提供されるユーザ入力を監視するように構成されたプロセッサ(例えば、Atmelから入手可能なMeg168 8ビットコントローラ)を含んでもよい。一形態では、コントローラ838は、容量性タッチスクリーンからのタッチデータの獲得を制御及び管理するための、タッチスクリーンコントローラ(例えば、Atmelから入手可能なQT5480タッチスクリーンコントローラ)を含んでもよい。
【0195】
特定の形態では、発生器800が「電力オフ」状態にあるとき、コントローラ838は、(例えば、後述の電源854などの、発生器800の電源からのラインを介して)動作電力を受信し続けてもよい。このようにして、コントローラ838は、発生器800をオン/オフするための入力装置(例えば、発生器800の前側パネルに位置する静電容量式タッチセンサ)を監視し続けてもよい。発生器800が電源オフ状態にあるとき、コントローラ838は、ユーザによる「オン/オフ」入力装置の起動が検出された場合に、電源を起動してもよい(例えば、電源854の1つ又は2つ以上のDC/DC電圧変圧器856の動作を有効にする)。したがって、コントローラ838は、発生器800を「電源オン」状態に遷移させるためのシーケンスを開始してもよい。逆に、発生器800が電源オン状態にあるときに「オン/オフ」入力装置の起動が検出された場合、コントローラ838は、発生器800を電源オフ状態に遷移させるためのシーケンスを開始してもよい。例えば、特定の形態では、コントローラ838は、「オン/オフ」入力装置の起動をUIプロセッサ836に報告してもよく、UIプロセッサ836は、次いで、発生器800を電源オフ状態に遷移させるために必要なプロセスシーケンスを実装する。かかる形態では、コントローラ838は、発生器800の電源オン状態が確立された後に、発生器800から電力を除去するための独立した能力を有しなくてもよい。
【0196】
特定の形態では、コントローラ838は、ユーザに電源オン又は電源オフシーケンスが開始されたことを警告するために、発生器800に可聴又は他の感覚的フィードバックを提供させてもよい。そのような警告は、電源オン又は電源オフシーケンスの開始時、及びシーケンスと関連する他のプロセスの開始前に提供されてもよい。
【0197】
特定の形態では、絶縁段階802は、例えば、外科用器具の制御回路(例えば、ハンドピーススイッチを含む制御回路)と、例えば論理装置816、DSPプロセッサ822及び/又はUIプロセッサ836などの非絶縁段階804の構成要素との間の、通信インターフェースを提供するために、器具インターフェース回路840を含んでもよい。器具インターフェース回路840は、例えば、IRベースの通信リンクなどの、絶縁段階802と非絶縁段階804との間の好適な度合いの電気的絶縁を維持する通信リンクを介し、非絶縁段階804の構成要素と情報を交換し得る。例えば、非絶縁段階804から駆動される絶縁変圧器によって電力供給される低ドロップアウト電圧レギュレータを使用して、器具インターフェース回路840に電力を供給することができる。
【0198】
一形態では、器具インターフェース回路840は、信号調整回路844と通信している論理回路842(例えば、論理回路、プログラマブルロジック回路、PGA、FPGA、PLD)を含んでもよい。信号調整回路844は、同一の周波数を有する双極呼掛け信号を生成するために、論理装置842から周期信号(例えば、2kHz方形波)を受信するように構成されてもよい。呼掛け信号は、例えば、差動増幅器によって供給される双極電流源を使用して発生させることができる。呼掛け信号は、(例えば、発生器800を外科用器具に接続するケーブル内の導電対を使用して)外科用器具制御回路に通信され、制御回路の状態又は構成を決定するために監視されてもよい。制御回路は、多数のスイッチ、抵抗器、及び/又はダイオードを含んでもよく、制御回路の状態又は構成が1つ又は2つ以上の特性に基づいて個別に識別可能であるように、呼掛け信号の1つ以上の特性(例えば、振幅、整流)を修正してもよい。例えば、一形態では、信号調整回路844は、呼掛け信号が通過する経路から生じる制御回路の入力にわたって出現する電圧信号のサンプルを生成するため、ADC回路を含んでもよい。論理回路842(又は、非絶縁段階804の構成要素)はその後、ADC回路サンプルに基づく制御回路の状態又は構成を決定し得る。
【0199】
一形態では、器具インターフェース回路840は、第1のデータ回路インターフェース(DCI)846を含んで、論理回路842(又は器具インターフェース回路840のその他の要素)と、外科用器具内に配設されるか又は別の方法で関連付けられた第1のデータ回路と、の間の情報交換を可能にしてもよい。特定の形態では、例えば、第1のデータ回路は、特定の外科用器具タイプ又はモデルを発生器800と連係させるために、外科用器具ハンドピースに一体的に取り付けられたケーブル内、又はアダプタ内に配設されてもよい。第1のデータ回路は、任意の好適な方法で実装されてもよく、例えば、第1のデータ回路に関して本明細書に記載されたものを含む任意の好適なプロトコルに従って、発生器と通信してもよい。特定の形態では、第1のデータ回路は、EEPROMデバイスなどの、不揮発性記憶デバイスを含み得る。特定の形態では、第1のデータ回路インターフェース846は、論理回路842とは別個に実装されてもよく、また好適な回路(例えば、別個の論理装置、プロセッサ)を含み、論理回路842と第1のデータ回路との間の通信を可能にしてもよい。その他の形態では、第1のデータ回路インターフェース846は、論理回路842と一体であってもよい。
【0200】
特定の形態では、第1のデータ回路は、第1のデータ回路が関連付けられている特定の外科用器具に関する情報を記憶し得る。そのような情報は、例えば、モデル番号、シリアル番号、外科用器具が使用された動作数、及び/又は任意の他のタイプの情報を含むことができる。この情報は、器具インターフェース回路840によって(例えば、論理回路842によって)読み出され、出力装置を介したユーザへの提供のため、及び/又は発生器800の機能若しくは動作の制御のために、非絶縁段階804の構成要素(例えば、論理装置816、DSPプロセッサ822、及び/又はUIプロセッサ836)に伝達されてもよい。加えて、任意の種類の情報が、第1のデータ回路インターフェース846を介して内部に記憶させるために、(例えば、論理回路842を使用して)第1のデータ回路に伝達されてもよい。そのような情報は、例えば、外科用器具が使用された最新の手術数並びに/又はその使用の日付及び/若しくは時間を含んでもよい。
【0201】
上記のように、外科用器具は、器具の互換性及び/又は廃棄性を促進するために、ハンドピースから取り外し可能であり得る(例えば、多機能型外科用器具は、ハンドピースから取り外し可能であり得る)。そのような場合、従来の発生器は、使用されている特定の器具構成を認識し、これに対応して制御及び診断プロセスを最適化する能力が制限されている場合がある。しかし、この問題に対処するために、外科用器具に読み取り可能なデータ回路を追加することは、適合性の観点から問題がある。例えば、必要なデータ読み取り機能性を欠く発生器との後方互換性を保つように外科用器具を設計することは、例えば、異なる信号スキーム、設計複雑性及び費用のために、実用的でない場合がある。本明細書で論じられる器具の形態は、既存の外科用器具に実装されてもよいデータ回路を経済的に使用し、外科用器具と最新の発生器プラットフォームとの適合性を維持するための設計変更を最小限にすることによってこれらの懸念に対処する。
【0202】
加えて、発生器800の形態は、器具ベースのデータ回路との通信を可能にしてもよい。例えば、発生器800は、器具(例えば、多機能型外科用器具)内に収容される第2のデータ回路と通信するように構成されてもよい。いくつかの形態では、第2のデータ回路は、本明細書に記載される第1のデータ回路のものと類似した多くのものに実装されてもよい。器具インターフェース回路840は、この通信を可能にする第2のデータ回路インターフェース848を含んでもよい。一形態では、第2のデータ回路インターフェース848は、トライステートデジタルインターフェースを含んでもよいが、他のインターフェースも使用されてもよい。ある特定の形態では、第2のデータ回路は、一般にデータを送信及び/又は受信するための任意の回路であってもよい。一形態では、例えば、第2のデータ回路は、第2のデータ回路が関連付けられた特定の外科用器具に関する情報を記憶してもよい。そのような情報は、例えば、モデル番号、シリアル番号、外科用器具が使用された動作数、及び/又は任意の他のタイプの情報を含むことができる。
【0203】
いくつかの形態では、第2のデータ回路は、関連する超音波トランスデューサ、エンドエフェクタ、又は超音波駆動システムの電気的及び/又は超音波的特性に関する情報を記憶してもよい。例えば、第1のデータ回路は、本明細書に記載されるように、バーンイン周波数スロープを示してもよい。加えて、又は代替的に、任意の種類の情報が、第2のデータ回路インターフェース848を介して内部に記憶させるために、(例えば、論理回路842を使用して)第2のデータ回路に伝達されてもよい。そのような情報は例えば、器具が使用された最新の動作数、並びに/又は、その使用の日付及び/若しくは時間を含んでもよい。ある特定の形態では、第2のデータ回路は、1つ又は2つ以上のセンサ(例えば、器具ベースの温度センサ)によって取得されたデータを送信してもよい。特定の形態では、第2のデータ回路は、発生器800からデータを受信し、その受信したデータに基づいてユーザに指標(例えば、発光ダイオード指標又はその他の可視指標)を提供してもよい。
【0204】
特定の形態では、第2のデータ回路及び第2のデータ回路インターフェース848は、論理回路842と第2のデータ回路との間の通信が、この目的のための追加的な導体(例えば、ハンドピースを発生器800に接続するケーブルの専用導体)の提供を必要とせずにもたらされ得るように、構成されてもよい。一形態では、例えば、使用される導体のうちの1つが、信号調整回路844からハンドピース内の制御回路へ呼掛け信号を送信するなど、既存のケーブル配線上に実装されたワンワイヤバス通信スキームを使用して、第2のデータ回路との間で情報を伝達することができる。このようにして、元来必要とされる場合がある外科用器具への設計変更又は修正は、最小化されるか又は低減される。更に、一般的な物理的チャネル上で実施される異なる種類の通信を周波数帯域分離することができるため、第2のデータ回路の存在は、必要なデータ読み取り機能を有しない発生器にとって「不可視」であり、したがって、外科用器具の後方互換性を可能にする。
【0205】
特定の形態では、絶縁段階802は、DC電流を患者に通さないように、駆動信号出力部810bに接続された、少なくとも1つのブロッキングコンデンサ850-1を含んでもよい。単一のブロッキングコンデンサは、例えば、医学的規制又は基準に準拠することが必要とされる場合がある。単一コンデンサ設計における故障は比較的稀であるが、それでもなおそのような故障は否定的な結果をもたらす恐れがある。一形態では、第2のブロッキングコンデンサ850-2は、ブロッキングコンデンサ850-1と直列で提供されてもよく、ブロッキングコンデンサ850-1と850-2との間の点からの漏電は、例えば、漏洩電流により誘発される電圧をサンプリングするためにADC回路852によって監視される。サンプルは、例えば、論理回路842によって受信されてもよい。発生器800は、(電圧サンプルによって示されるような)漏洩電流の変化に基づいて、ブロッキングコンデンサ850-1、850-2のうちの少なくとも1つが故障した時点を決定することができ、そのようにして単一の故障点を有する単一コンデンサ設計に勝る利益をもたらす。
【0206】
特定の形態では、非絶縁段階804は、好適な電圧及び電流でDC電力を送達するための電源854を含んでもよい。電源は、例えば、48VDCシステム電圧を送達するための、400W電源を含み得る。電源854は、電源の出力を受信して発生器800の様々な構成要素によって必要とされる電圧及び電流でDC出力を生成するための1つ又は2つ以上のDC/DC電圧変換器856を更に含んでもよい。コントローラ838と関連して上述したように、DC/DC電圧変換器856のうちの1つ又は2つ以上は、ユーザによる「オン/オフ」入力装置の起動がコントローラ838によって検出されたときにコントローラ838から入力を受信し、DC/DC電圧変換器856の動作又は起動を可能にしてもよい。
【0207】
図21は、発生器800(
図20)の一形態である発生器900の例を示す。発生器900は、複数のエネルギーモダリティを外科用器具に送達するように構成されている。発生器900は、エネルギーを外科用器具に送達するためのRF信号及び超音波信号を単独で又は同時にのいずれかで提供する。RF信号及び超音波信号は、単独で、又は組み合わせて提供されてもよく、また同時に提供されてもよい。上述したように、少なくとも1つの発生器出力部は、単一のポートを通して複数のエネルギーモダリティ(例えば、とりわけ超音波、双極若しくは単極RF、不可逆及び/若しくは可逆電気穿孔法、並びに/又はマイクロ波エネルギー)を送達することができ、これらの信号は、組織を治療するために個別に又は同時にエンドエフェクタに送達することができる。
【0208】
発生器900は、波形発生器904に連結されたプロセッサ902を備える。プロセッサ902及び波形発生器904は、プロセッサ902に連結されたメモリに記憶された情報(開示を明瞭にするために示されず)に基づいて、様々な信号波形を発生するように構成されている。波形に関連するデジタル情報は、デジタル入力をアナログ出力に変換するために1つ又は2つ以上のDAC回路を含む波形発生器904に提供される。アナログ出力は、信号調節及び増幅のために、増幅器1106に供給される。増幅器906の調節され増幅された出力は、電力変圧器908に連結される。信号は、電力変圧器908を横断して患者絶縁側にある二次側に連結される。第1のエネルギーモダリティの第1の信号は、外科用器具のENERGY1及びRETURNとラベルされた端子間に提供される。第2のエネルギーモダリティの第2の信号は、コンデンサ910にわたって連結され、外科用器具のENERGY2及びRETURNとラベルされた端子間に提供される。2つを超えるエネルギーモダリティが出力されてもよく、したがって添え字「n」は、最大n個のENERGYn端子が提供され得ることを表示するために使用することができ、このnは、1超の正の整数であることが理解されよう。最大「n」個のリターンパス(RETURNn)が、本開示の範囲から逸脱することなく提供されてもよいことも理解されよう。
【0209】
第1の電圧感知回路912は、ENERGY1及びRETURNパスとラベルされた端子にわたって連結され、それらの間の出力電圧を測定する。第2の電圧感知回路924は、ENERGY2及びRETURNパスとラベルされた端子にわたって連結され、それらの間の出力電圧を測定する。電流感知回路914は、いずれかのエネルギーモダリティの出力電流を測定するために、図示される電力変圧器908の二次側のRETURN区間と直列に配設される。異なるリターンパスが各エネルギーモダリティに対して提供される場合、別個の電流感知回路が、各リターン区間で提供されねばならない。第1の電圧感知回路912及び第2の電圧感知回路924の出力が対応の絶縁変圧器916、922に提供され、電流感知回路914の出力は、別の絶縁変圧器918に提供される。電力変圧器908の一次側(非患者絶縁側)上における絶縁変圧器916、928、922の出力は、1つ又は2つ以上のADC回路926に提供される。ADC回路926のデジタル化された出力は、更なる処理及び計算のためにプロセッサ902に提供される。出力電圧及び出力電流のフィードバック情報は、外科用器具に提供される出力電圧及び電流を調整するために、またいくつかあるパラメータの中で出力インピーダンスを計算するために使用することができる。プロセッサ902と患者絶縁回路との間の入力/出力通信は、インターフェース回路920を通して提供される。センサもまた、インターフェース回路920を介してプロセッサ902と電気通信してもよい。
【0210】
一態様では、インピーダンスは、ENERGY
1/RETURNとラベルされた端子にわたって連結された第1の電圧感知回路912又はENERGY
2/RETURNとラベルされた端子にわたって連結された第2の電圧感知回路924のいずれかの出力を、電力変圧器908の二次側のRETURN区間と直列に配置された電流感知回路914の出力で割ることによって、プロセッサ902により判定され得る。第1の電圧感知回路912及び第2の電圧感知回路924の出力は、個別の絶縁変圧器916、922に提供され、電流感知回路914の出力は、別の絶縁変圧器916に提供される。ADC回路926からのデジタル化された電圧及び電流感知測定値は、インピーダンスを計算するためにプロセッサ902に提供される。一例として、第1のエネルギーモダリティENERGY
1は超音波エネルギーであってもよく、第2のエネルギーモダリティENERGY
2はRFエネルギーであってもよい。それでも、超音波エネルギーモダリティ及び双極又は単極RFエネルギーモダリティに加えて、他のエネルギーモダリティには、数ある中でも不可逆並びに/又は可逆電気穿孔法及び/若しくはマイクロ波エネルギーが挙げられる。また、
図21に例示された例は、単一のリターンパスRETURNが2つ以上のエネルギーモダリティに提供され得ることを示しているが、他の態様では、複数のリターンパスRETURNnが、それぞれのエネルギーモダリティENERGYnに提供されてもよい。したがって、本明細書に記載されるように、超音波変換器のインピーダンスは、第1の電圧感知回路912の出力を電流感知回路914で割ることによって測定されてもよく、組織のインピーダンスは、第2の電圧感知回路924の出力を電流感知回路914で割ることによって測定されてもよい。
【0211】
図21に示すように、少なくとも1つの出力ポートを含む発生器900は、実行される組織の処置の種類に応じて、電力を、例えば、とりわけ、超音波、双極若しくは単極RF、不可逆及び/若しくは可逆電気穿孔法、並びに/又はマイクロ波エネルギーなどの1つ又は2つ以上のエネルギーモダリティの形態でエンドエフェクタに提供するために単一の出力部を有し、かつ複数のタップを有する電力変圧器908を含むことができる。例えば、発生器900は、単極又は双極RF電気外科用電極のいずれかを用いて、超音波変換器を駆動するために高電圧かつ低電流で、組織封止のためのRF電極を駆動するために低電圧かつ高電流で、又はスポット凝固のための凝固波形で、エネルギーを送達することができる。発生器900からの出力波形は、周波数を外科用器具のエンドエフェクタに提供するために、誘導、切り替え、又はフィルタリングされ得る。超音波変換器の発生器900出力部への接続部は、好ましくは、
図21に示すようにENERGY
1とラベルされた出力部とRETURNとの間に位置するであろう。一実施例では、RF双極電極の発生器900の出力部への接続部は、好ましくは、ENERGY
2とラベルされた出力部とRETURNとの間に位置するであろう。単極出力部の場合、好ましい接続部は、ENERGY
2出力部及びRETURN出力部に接続された好適なリターンパッドへの活性電極(例えば、ペンシル型又は他のプローブ)であろう。
【0212】
更なる詳細は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、「TECHNIQUES FOR OPERATING GENERATOR FOR DIGITALLY GENERATING ELECTRICAL SIGNAL WAVEFORMS AND SURGICAL INSTRUMENTS」と題する2017年3月30日公開の米国特許出願公開第2017/0086914号に開示されている。
【0213】
図22は、本開示の少なくとも1つの態様による、外科用器具29000を示す。
図22に示される態様では、外科用器具は、ハンドル29002と、折れ曲がり可能なシャフトアセンブリ29004と、エンドエフェクタ29006と、モータ(ハンドル29002の外側表面を通して見えない)と、可撓性回路29008と、を含む。
図22には、外科用器具29000が折れ曲がり可能なシャフトアセンブリ29004を有するものとして示されているが、他の態様によれば、外科用器具29000は、折れ曲がり可能な部分の代わりに関節継手を有するシャフトアセンブリを含んでもよいことが理解されよう。
【0214】
図23は、本開示の少なくとも1つの他の態様による、外科用器具29000のシャフトアセンブリ29005を示す。
図23に示されるように、シャフトアセンブリ29005は、関節継手29010を含み、第1のジョー29012及び第2のジョー29014を含むエンドエフェクタ29006に連結されており、第1及び第2のジョー29012、29014のうちの少なくとも1つは、第1のジョー29012と第2のジョー29014との間に組織をクランプするため、開放位置と閉鎖位置との間で枢動するように構成されている。エンドエフェクタ29006はステープルカートリッジ29016を含むものとして示されているが、他の態様によれば、エンドエフェクタ29006は、ステープルカートリッジ29016の代わりに又はそれに加えて電極を含んでもよいことが理解されよう。
【0215】
図24は、
図22の外科器具29000の可撓性回路29008を示す。可撓性回路2900は、ハンドル29002、シャフトアセンブリ29004/29005、及びエンドエフェクタ29006内に存在し、処理装置29018、論理素子29020、導電トレース29022、及び導電パッド29024を含む。1つの処理装置29018及び1つの論理素子29020のみが
図23に示されているが、可撓性回路29008は、任意の数の処理装置29018及び/又は論理素子29020を含み得ることが理解されよう。導電パッド29024は、上述したような感知装置、モータ(
図24の導電パッドA及びBを参照)、及びスリップリング(
図24の導電パッドC及びDを参照)などの外科用器具29000の他の構成要素に接続するように構成されている。導電トレース29022は、センサからの信号、処理装置29018を行き来する信号、論理素子29020を行き来する信号、制御回路を行き来する信号、モータへの信号などを搬送する。簡略化のために示されていないが、可撓性回路29008はまた、基板、1つ又は2つ以上の絶縁層、及びオーバーレイを含み得る。処理装置29018、論理素子29020などは、基板上に装着され得、導電トレース29022及び導電パッド29024は、基板上に/基板にわたってパターン化され得る。1つ又は2つ以上の絶縁層は、導電トレースを互いに電気的に絶縁する。オーバーレイは、絶縁層及び/又は処理装置29018、論理素子29020、導電トレース29022、及び導電パッド29024を覆う。可撓性回路29008は、
図24に示すように片面であっても、両面若しくは多層であってもよい。導電トレース29022及び導電パッド29024は、銅、金、スズ、及び/又は他の好適な導電性材料を含み得る。
【0216】
様々な態様によれば、外科用器具29000によって送達される高周波エネルギーから導電トレース29022を絶縁するために、可撓性回路29008は、高周波電磁放射を遮断し、かつ/又は様々な導電トレース29022間の信号クロストークを最小化する電磁シールド(例えば、ガードトレース又はガードリング)を含む。電磁シールドは、可撓性回路29008全体に含まれる必要はない。例えば、様々な態様によれば、電磁シールドは、可撓性回路29008の選ばれた場所にのみ位置付けられて、外部高周波発生器又は磁石によって引き起こされる望ましくない影響又は信号を受けないように導電トレース29022を保護し得る。簡潔にするために、電磁シールドは
図24に示されていない。
【0217】
可撓性回路29008は、剛性(レジッド)部分29026及び可撓性(フレックス)部分29028の両方を含む。ゆえに、可撓性回路29008は、リジッドフレックス回路と称される場合もある。剛性部分29026は補強されてもよく、任意の有意な程度には折れ曲がらない/屈曲しないように構成されている。剛性部分29026は、導電トレース29022の部分を含み、また、例えば、
図24に示されるような1つ又は2つ以上の処理装置29018、1つ又は2つ以上の集積回路、1つ又は2つ以上の論理素子29020、及び/又は導電パッド29024を含み得る。非チップゲート及び他の論理素子29020などの装置の実際の位置決めは、外科用器具29000のアクチュエータに対して局所的な低レベルの意思決定(例えば、分散処理)を可能にする。
【0218】
様々な態様によれば、シャフトアセンブリ29005の関節継手29010に対して近位の可撓性回路29008の第1の剛性部分29026は、第1のチャネル保持器29034によって画定された凹部29032内にスナップ嵌めされるように構成されたインターロック機構29030を含み(
図25を参照)、シャフトアセンブリ29005の関節継手29010に対して遠位の可撓性回路29008の第2の剛性部分29026は、第2のチャネル保持器によって画定された凹部内にスナップ嵌めされるように構成されたインターロック機構を含む。第2の剛性部分のインターロック機構、第2のチャネル保持器、及びその凹部は、簡略化のために
図24に示されていないが、位置決め(関節継手に対して近位対遠位)以外にも、第2の剛性部分のインターロック機構は、第1の剛性部分29026のインターロック機構29030と類似又は同一であってもよく、第2チャネル保持器は、第1のチャネル保持器29034と類似又は同一であってもよく、第2のチャネル保持器の凹部は、第1のチャネル保持器29034の凹部29032と類似又は同一であってもよいことが理解されよう。第1及び第2のチャネル保持具29034は、外科用器具29000内に固定され、外科用器具29000に対して移動しない。剛性部分29026とチャネル保持器29034とのスナップ嵌め接続は、可撓性回路29008が外科用器具29000に取り付けられることを可能にし、外科用器具29000が様々な方向に移動される必要があるとき、及び/又は可撓性回路29008が様々な力を受けるときに、可撓性回路29008が位置から「外れる」ことを防止する。
【0219】
可撓性部分29028は、必要に応じて屈曲する及び折れ曲がるように構成されている。例えば、外科用器具29000のシャフトアセンブリ20004の能動曲げ部分又はシャフトアセンブリ29005の関節運動部分と位置合わせされた可撓性部分29028の場合、可撓性部分29028も、可撓性部分29028に加えられる望ましくない応力及び/又は可撓性部分29028の故障を防止するために同様に折れ曲がり可能である必要がある。同様に、可撓性部分29028が外科用器具29000の機械的構成要素(例えば、外科用器具の関節運動ロッド)を渡る階段状である必要がある場合、可撓性回路29008の可撓性部分29028は、これを実現可能にする(例えば、
図23を参照)。可撓性回路29008に力、捻じれ、又は変形が加えられると、可撓性部分29028は、可撓性回路29008が他の方向よりも一方向により屈曲することを可能にし、それによって、負荷による可撓性回路29008の損傷を防止する。
【0220】
可撓性部分29028は、導電トレース29022の部分を含み、上述のように1つ又は2つ以上の機械的構成要素を渡るように階段状であり得、かつ/又は操作性、強度、及び/若しくは故障に対する抵抗性を高めるために一定の潜在的に高応力の領域において(例えば、
図22に示されるようなシャフトアセンブリ29004の能動曲げ部分内、又はシャフトアセンブリ29005の関節継手29010内で)折り畳まれ得る。
【0221】
様々な態様によれば、導電トレース29022のそれぞれの断面は、導電トレース29022が依然として同一又は実質的に類似の電流搬送容量を有していても、可撓性回路29008全体で多様であり得る。導電トレース29022のそれぞれの高さ(h)又は厚さは変更され得、かつ/又は導電トレース29022のそれぞれの幅(w)も変更され得る。例えば、剛性部分29026及び可撓性部分29028の両方に存在する所与の導電トレース29022の場合、導電トレース29022の高さ(h)は、可撓性部分29028よりも剛性部分29026において大きくてもよく、導電トレース29022の幅(W)は、剛性部分29026よりも可撓性部分29028において大きくてもよい。可撓性部分29028におけるより低い高さ及びより大きい幅の組み合わせは、導電トレース29022が、関節運動及び/又はジョー閉鎖運動などの運動によって導入される高応力への耐性を高めることを可能にする。
図24に示される長さLは、関節継手29010と位置合わせされた導電トレース29022に対するシャフトアセンブリ29005の関節運動部分の長さを表す。
【0222】
図26は、本開示の少なくとも1つの態様による、
図24の線A-Aに沿った可撓性回路29008の断面図を示す。可撓性回路29008の線A-Aに沿った部分は、シャフトアセンブリ29004の曲げ部分/シャフトアセンブリ29005の関節継手29010に対して遠位であり、剛性部分29026と見なされ得る。
図24及び
図26に示されるように、可撓性回路29008は、線A-Aに沿って分離されず、可撓性回路29008のこの部分における対応の導電トレース29022は、高さh
a及び幅W
aを有する。
【0223】
図27は、本開示の少なくとも1つの態様による、
図24の線B-Bに沿った可撓性回路29008の断面を示す。可撓性回路29008の線B-Bに沿った部分は、シャフトアセンブリ29004の曲げ部分/シャフトアセンブリ29005の関節継手29010に対して近位であり、可撓性部分29028と見なされ得る。
図24及び
図27に示されるように、可撓性回路29008は、線B-Bに沿った分離部又は開口部29036を画定し、可撓性回路29008のこの部分における対応の導電トレース29022は、高さh
b及び幅W
bを有する。
【0224】
図26及び
図27を比較することによって、線A-Aに沿った対応の導電トレース29022の部分(剛性部分29026内の導電トレース29022の部分)の高さ(h
a)は、線B-Bに沿った対応の導電トレース29022の部分(可撓性部分29028内の導電トレース29022の部分)の高さ(h
b)よりも大きいことが明らかである。同様に、線A-Aに沿った対応の導電トレース29022の部分(剛性部分29026内の導電トレース29022の部分)の幅(W
a)は、線B-Bに沿った対応の導電トレース29022の部分(可撓性部分29028内の導電トレース29022の部分)の幅(W
b)よりも小さいことも明らかである。換言すれば、
図26に示されるように、h
a>h
b及びW
a<W
bである。
【0225】
シャフトアセンブリ29005内に関節継手29010を含む外科用器具29000の態様では、関節継手29010(可撓性回路29008の可撓性部分29028)を通過する可撓性回路29008の部分のために、対応の導電トレース29022の部分は、可撓性部分29028に対して遠位に隣接する剛性部分29026内の対応する導電トレース29022の部分よりも短く/薄く、かつ幅広い。この領域内の従来のワイヤは、典型的には、歪み緩和で増強されなければならないが、この領域内の可撓性回路29008の導電トレース29022は、この可撓性部分29028の導電トレース29022がそれらの可撓性を高めながら、剛性部分29026内のそれらと同じ電流搬送容量を有することができるように、より短く/薄く、かつ幅広く作製される。上記を考慮すると、可撓性回路29008の可撓性部分29028は、シャフトアセンブリ29005の関節継手29010の枢動軸線に位置合わせされていてもよく、それによって、可撓性回路29008がシャフトアセンブリ29005及び/又は外科用器具29000の長手方向軸29038に対して90°まで(又はそれ以上に)折れ曲がり可能になることが理解されよう。同様の機能性が、エンドエフェクタ29006の枢動継手、並びに/又は外科用器具29000の第1及び/若しくは第2のジョー29012、29014を通過する可撓性回路29008の一部分に対して実現され得る。このように、可撓性回路29008は、外科用器具29000の継手(例えば、シャフトアセンブリ29005の関節運動継手29010及び/又はエンドエフェクタ29006の枢動継手)と位置合わせされている、可変断面を有する要素(例えば、導電トレース29022)を含むことが理解され得る。
【0226】
図22に示されるように、シャフトアセンブリ29004の折れ曲がり可能な部分を通過する(又はシャフトアセンブリ29005の関節継手29010を通過する)可撓性回路29008の部分のために、可撓性回路29008は、
図22に示される方法と同様に、分離部又は開口部29040のそれぞれの側で折り畳まれてもよい。分離部又は開口部29040のそれぞれの側での折り畳み、及び導電トレース29022の可撓性は、可撓性部分29028の導電トレース29022のより広い部分が、シャフトアセンブリ29005の関節継手29010内で利用可能な制限領域内に適合することを可能にする。
【0227】
様々な態様によれば、可撓性回路29008は、可撓性回路29008に組み込まれた捻り又は歪み緩和部分29042を含み得る。
図22に示されるように、様々な態様によれば、捻り又は歪み緩和部分29042は、インターロック機構29030を含む剛性部分29026と、シャフトアセンブリ29005の関節継手29010を通過する可撓性部分29028との間に位置付けられ得る。捻り又は歪み緩和部分29042は、可撓性回路29008を、最初に第1のチャネル保持器29034に(関節継手29010に対して近位のシャフトアセンブリ29005の長さに沿った第1の平面に沿って)取り付け、次いで第1の平面に対して約90°捻って第1の平面に垂直な軸を中心とした関節運動させることを可能にする。捻り又は歪み緩和部分29042は、可撓性回路29008に課された歪みを安全に緩和するように構成されている。
【0228】
剛性部分29026及び可撓性部分29028の両方を外科用器具29000の可撓性回路29008に組み込むことによって、可撓性回路29008は、外科用器具29000内に適切に位置付けられたままで、外科用器具29000のシャフトアセンブリ29004の能動曲げ部分又はシャフトアセンブリ29005の関節継手29010の運動を反映し得る。このような組み合わせは、外科用器具29000に典型的に関連付けられたものよりも故障に対する抵抗性が高い可撓性回路29008を提供する。
【0229】
図28は、本開示の少なくとも1つの態様による、
図22の外科用器具29000の可撓性電極29100の分解図を示す。様々な態様によれば、可撓性電極29100は、
図22の可撓性回路29008に組み込むことができ、又は少なくとも可撓性回路29008に電気的に連結することができる。明確にするために示されていないが、可撓性電極29100は、電気外科用発生器に連結され得、電気外科用発生器によって供給される電気外科エネルギー(RFレベルの交流)を受容し得ることが理解されよう。
【0230】
可撓性電極29100は、外科用器具29000のエンドエフェクタ29006の第1又は第2のジョー29012、29014上に位置付けられ得、治療用電極29102及び感知電極29104を含む。治療用電極29102及び感知電極29104は、銅、金、スズ、又は電気を伝導するための任意の他の好適な材料を含み得る。
【0231】
治療用電極29102は、矩形形状を有し得、外科用器具29000の第1のジョー29012と第2のジョー29014との間に位置付けられた組織にRFエネルギーを送達するように構成されている。様々な態様によれば、治療用電極29102は、約0.003インチの範囲の厚さを有し得る。
【0232】
感知電極29104は、外科用器具29000の第1のジョー29012と第2のジョー29014との間に位置付けられた組織に関連付けられた1つ又は2つ以上のパラメータを決定するのを助けるように構成されている。例えば、感知電極29104は、外科用器具29000の第1のジョー29012と第2のジョー29014との間に位置付けられた組織のインピーダンスを決定するのを助けるように構成されてもよい。組織を通過する電流の振幅、周波数、位相シフトなどを感知することによって、感知電極29104は、感知された「値」を外科用器具29000の処理回路に渡し得、次いで、処理回路は、外科用器具29000の第1のジョー29012と第2のジョー29014との間に位置付けられた組織のインピーダンスを決定し得る。そのような感知電極の一例は、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、1998年10月6日に発行された「IMPEDANCE FEEDBACK MONITOR WITH QUERY ELECTRODE FOR ELECTROSURGICAL INSTRUMENT」と題する同一所有者の米国特許第5,817,093号に記載されている。感知電極29104は、RFエネルギーが組織を溶着するために治療用電極29102によって組織に送達されている場合であっても、継続的に感知し得る。様々な態様によれば、感知電極29104は、治療用電極29102の厚さと類似又は同一の厚さを有し得る(例えば、約0.003インチの範囲内)。
【0233】
様々な態様によれば、感知電極29104はまた、組織内の組織収縮及び/又は温度遷移点を決定するのを助けるように構成されてもよい。例えば、組織を通過する電流の振幅、周波数、位相シフトなどを感知することによって、感知電極29104は、感知された「値」を外科用器具29000の処理回路に渡し得、次いで、処理回路は、感知された「値」を利用して、外科用器具29000の第1のジョー29012と第2のジョー29014との間に位置付けられた組織の電気的連続性を決定し得る。次いで、処理回路は、決定された組織の電気的連続性を利用して、組織収縮を決定するのを助け得る。感知電極29104は、治療用電極29102と関連して利用される場合、感知電極29104が治療用電極29102よりも高い圧力にあることから、組織溶着に関連付けられた遷移温度点への接近を検出することを可能にし得る。感知電極29104の感知能力を利用することによって、感知された「値」が外科用器具29000の処理回路に渡され得、処理回路は、次いで、感知された「値」を利用して、組織の低圧地帯内で温度遷移点/変曲点が生じる前にインピーダンス事象を識別し得る。
【0234】
感知電極29104は、パターン形状を有し、治療用電極29102に重なり、治療用電極29102と同じ全長及び幅を有し得るが、そのパターン形状により、治療用電極29102を完全には覆わない。
図28に示されるように、様々な態様によれば、感知電極29104は、複数の矩形指部29106を有する修正された「E字形状」としてパターン化され得る。感知電極29104が治療用電極29102と重なっているとき、感知電極29104の修正されたE字形状の複数の矩形指部29106の間の空間29108は、覆われないままである治療用電極29102の部分と位置合わせされている。他の態様によれば、感知電極29104のパターン形状は、複数の三角形指部又は他の形状の指部を有する修正されたE字形状であり得る。
【0235】
可撓性電極29100はまた、治療用電極29102と感知電極29104との間に位置付けられた第1の絶縁層29110を含む。第1の絶縁層29110は、感知電極29104(例えば、複数の矩形指部29112を有する修正されたE字形状)と同じ様式でパターン化され得、感知電極29104と位置合わせされており、感知電極29104を治療用電極29102から電気的に絶縁する。様々な態様によれば、第1の絶縁層29110は、感知電極29104と一致する。様々な態様によれば、第1の絶縁層29110が治療用電極29102と重なるとき、修正されたE字形状の第1の絶縁層29110の複数の矩形指部29112間の空間29114は、覆われないままである治療用電極29102の部分と位置合わせされており、修正されたE字形状の感知電極29104の複数の矩形指部29106間の空間29108と位置合わせされている。他の態様によれば、修正されたE字形状の第1の絶縁層29110の複数の矩形指部29112は、修正されたE字形状の感知電極29104の複数の矩形指部29106よりもわずかに幅広であり得(
図29及び
図30を参照)、そのため、空間29114は、空間29108よりわずかに狭くあり得る。様々な態様によれば、第1の絶縁層29110は、約0.001インチ~0.0003インチの範囲の厚さを有する。第1の絶縁層29110は、任意の好適な非導電性材料を含んでもよく、治療用電気29102又は感知電極29104のいずれかよりも高い可撓性を有し得る。
【0236】
可撓性電極29100はまた、第1の絶縁層29110及び感知電極29104によって部分的に覆われている治療用電極29102の表面の反対側となる治療用電極29102の表面を覆うように位置付けられた第2の絶縁層29116を含む。第2の絶縁層29116は、治療用電極29102と同じ全長及び幅を有する矩形形状を有し得る。様々な態様によれば、第2の絶縁層29116は、約0.0001インチ~0.003インチの範囲の厚さを有し得る。第2の絶縁層29116は、任意の好適な非導電性材料を含んでもよく、治療用電気29102又は感知電極29104のいずれかよりも高い可撓性を有し得る。
【0237】
明確にするために、1つの可撓性電極29100のみが
図28に示されているが、外科用器具29000は、可撓性電極29100のうちの少なくとも2つ(例えば、外科用器具29000のエンドエフェクタ29006のナイフスロットの左側、及びナイフスロットの右側に1つずつ)を含み得ることが理解される。加えて、可撓性電極29100が複数の構成要素及び複数の層を含むとき、可撓性電極29100は、可撓性電極アセンブリ及び/又は多層可撓性電極と見なされ得ることが理解されよう。
【0238】
図29及び
図30は、本開示の少なくとも1つの態様による可撓性電極アセンブリ29200の平面図を示す。可撓性電極アセンブリ29200は、
図28の可撓性電極29100のうちの2つを含み、可撓性電極のうちの第1の電極29100aは、外科用器具29000のエンドエフェクタ29006のナイフスロット29202の左側に位置付けられ、可撓性電極のうちの第2の電極29100bは、ナイフスロット29202の右側に位置付けられる。
図29及び
図30に示される平面図に関して、感知電極29104a及び29104bは、治療用電極29102a及び29102bの上に位置付けられ、それらを部分的に覆う。
【0239】
外科用器具29000の第1のジョー29012と第2のジョー29014との間に位置付けられた組織と直接接触し得る対応の感知電極29104a、29104bの表面は、
図29に暗色で示されている。
図29の暗色の表面は、感知電極パターンと見なされ得る。上記のように、感知電極29104は、外科用器具29000の第1のジョー29012と第2のジョー29014との間に位置付けられた組織のインピーダンスを決定するのを助け得る。感知電極29104は、治療用電極29102と関連して利用される場合、感知電極29104が治療用電極29102よりも高い圧力にあることから、組織溶着に関連付けられた遷移温度点への接近を検出することを可能にし得る。感知電極29104の測定能力を利用することにより、組織の低圧地帯に変曲点が発生する前に、インピーダンス事象を識別し得る。加えて、感知電極29014はまた、それらによって電気的連続性が測定される場合、組織収縮の測定を可能にし得る。インピーダンスではなく連続性を測定するために感知電極29104を使用することによって、測定されたパラメータは、組織から排出された水ではなく、組織収縮を示し得る。更に、感知電極29104を利用して、組織のインピーダンス及び連続性の両方が測定され得る。様々な態様によれば、感知電極29104はまた、外科用器具29000の第1のジョー29012と第2のジョー29014との間の最小間隙を制御するために、導電性ギャップスペーサとして使用され得る。
【0240】
外科用器具29000のジョーの間に位置付けられた組織と直接接触し得る対応の治療用電極29102a、29102bの表面の、凹状の非連続的な部分は、
図30に暗色で示されている。
図30の暗色の表面は、治療用電極パターンと見なされ得る。外科用器具29000の第1のジョー29012と第2のジョー29014との間に位置付けられた組織と直接接触し得る治療用電極29102a、29102bの表面の、凹状の分割された非連続的な性質により、治療用電極29102は、治療用電極29102が通電されたときに、任意の望ましくない組織粘着を軽減し得る。様々な態様によれば、感知電極29104の2つの隣接する矩形形状の指部29106の間の治療用電極29102の、所与の凹状の非連続部分は、矩形形状の指部29106のうちの1つの「長さ」よりも長手方向に約0.005”~0.0008”の範囲だけ大きくあり得る。換言すれば、感知電極29104の2つの隣接する矩形形状の指部29106の間の治療用電極29102の、所与の凹状の非連続部分の表面積は、感知電極29104の矩形形状の指部29106のうちの1つの表面積よりも大きくあり得る。様々な態様によれば、治療用電極29102の表面の、凹状の分割された非連続部分のうちの少なくとも1つは、オフセットされた又は対向する電極構成に位置付けられ得、電流リターンパスに連結され得、そこから電気外科用発生器に連結され得る。
【0241】
上記を考慮すると、可撓性電極アセンブリ29200はマルチレベル可撓性電極であり、外科用器具29000に関連付けられた1つ若しくは2つ以上のパラメータ、及び/又は外科用器具29000の第1のジョー29012と第2のジョー29014との間に位置付けられた組織を測定し得、また組織を焼灼し得ることが理解されよう。
【0242】
図31は、本開示の少なくとも1つの他の態様による、
図22の外科用器具29000の可撓性電極29300の分解図を示す。
図31の可撓性電極29300は、
図28の可撓性電極29100と類似しているが、
図31の可撓性電極29300が、第1の絶縁層29110によって覆われている感知電極29104の表面の反対側となる感知電極29104の表面を部分的に覆うように位置付けられた第3の絶縁層29302を更に含むという点で異なる。第3の絶縁層29302は、感知電極29104、第1の絶縁層29110、及び/又は治療用電極29102と同じ全長を有するが、感知電極29104、第1の絶縁層29110、治療用電極29102、及び/又は第2の絶縁層29116の幅よりも小さい幅を有する、矩形形状を有し得る。例えば、様々な態様によれば、第3の絶縁層29302は、矩形形状の指部29106を除く全ての感知電極29104を覆う幅を有し得る。他の態様によれば、第3の絶縁層29302は、矩形形状の指部29106を覆わず、感知電極29104の残りの部分のみを部分的に覆う幅を有し得る。様々な態様によれば、第3の絶縁層29302は、約0.0001インチ~0.003インチの範囲の厚さを有し得る。第3の絶縁層29302は、任意の好適な非導電性材料を含んでもよく、治療用電気29102又は感知電極29104のいずれかよりも高い可撓性を有し得る。
【0243】
図32は、本開示の少なくとも1つの他の態様による、
図22の外科用器具29000の可撓性電極29400の端面図を示す。
図32の可撓性電極29400は、
図31の可撓性電極と類似しているが、異なる。
図32の可撓性電極29400では、第1の絶縁層29110は、(
図32に対して)感知電極29104の左側及び右側を越えて延在し、第2の絶縁層29116は、治療用電極29102の左側及び右側を越えて延在し、第3の絶縁層29302は、感知電極29104の側面のうちの1つを越えて延在する。加えて、
図32の可撓性電極29400はまた、治療用電極29102の側面のうちの1つ及び感知電極29102の側面のうちの1つを覆い、第1、第2、及び第3の絶縁層29110、29116、29302をまとめて接続する、絶縁材料29402を含む。絶縁材料29402は、第1、第2、及び/又は第3の絶縁層29110、29116、29302の材料と類似又は同一であってもよく、治療用電極29102又は感知電極29104のいずれかよりも高い可撓性を有し得る。更に、
図32の可撓性電極29400は、感知電極29104及び/又は治療用電極29102の複数の部分が外科用器具29000のジョーの間に位置付けられた組織と接触することを可能にする、積層構造体内に埋め込まれた感知電極29104及び/又は治療用電極29102の部分を含む層状複合構造であり得る。
【0244】
図33は、本開示の少なくとも1つの他の態様による、
図22の外科用器具29000の可撓性電極29500の上面斜視図を示す。
図33に示されるように、可撓性電極29500は、絶縁材料29402によって覆われている側とは反対側となる感知電極29104の側を覆う、追加の絶縁材料29504を更に含む。追加の絶縁材料29504は、絶縁材料29402の材料、並びに第1、第2、及び/又は第3の絶縁層29110、29116、29302の材料と類似又は同一であってもよい。追加の絶縁材料29504は、治療用電極29102又は感知電極29104のいずれかよりも高い可撓性を有し得る。
図33に示すように、治療用電極29104の長く薄い部分29506は覆われておらず、外科用器具29000の第1のジョー29012と第2のジョー29014との間に位置付けられた組織と直接接触し得る。治療用電極29104の長く薄い、覆われていない部分29506の制限された表面積は、任意の望ましくない組織粘着を軽減し得る。同様に、第1の絶縁部材29110及び/又は感知電極29104によって覆われていない治療用電極29102の非連続部分はまた、外科用器具29000の第1のジョー29012と第2のジョー29014との間に位置付けられた組織と直接接触し得、更に、任意の望ましくない組織粘着を軽減し得る。
【0245】
上記のように、可撓性電極29100、29200、29300、29400、29500のうちの1つ又は2つ以上は、外科用器具29000の可撓性回路29008の一部を形成し得る。様々な態様によれば、終端接触構成は、可撓性回路29008が、外科用器具29000内の他の接続部及び/又は回路に容易に取り付けられるか、又は接続されることを可能にし得る。終端接触構成は、可撓性回路29008に歪み緩和をもたらし得、歪み緩和は、接続部に隣接する可撓性回路29008の部分の損傷を軽減し得る。終端接触構成はまた、接続を水密に維持し得る。様々な態様によれば、終端接触構成は、可撓性回路29008を外科用器具29000内の他の接続部及び/又は回路と電気的に接続するゼロ挿入力(ZIF)コネクタであり得る。このようなZIFコネクタは、流体に対する自己封止接続を含むと共に、ZIFコネクタに隣接する可撓性回路29008の部分に対する歪み緩和をもたらし得る。
【0246】
治療用電極29102及び感知電極29104を可撓性電極に組み込むことによって、可撓性電極は、外科用器具29000の第1のジョー29012と第2のジョー29014との間に位置付けられた組織にRFエネルギーを印加し得る一方、組織及び/又は外科用器具29000に関連付けられたパラメータも測定し得る。上述の構成では、治療用電極29102がRFエネルギーを組織に印加して溶着させる場合であっても、感知電極29104は、パラメータを継続的に感知し得る。加えて、感知電極29104及び/又は第1の絶縁層29110による治療用電極29102の「接触面」の部分的な重なりにより、治療用電極29102は、組織と接触している表面積が少なく、ゆえに望ましくない組織粘着に寄与する可能性が低い。更に、可撓性電極の固有の可撓性のために、治療用電極29102は、外科用器具に典型的に関連付けられた電極よりも、望ましくない屈曲又は変形による早期の故障を経験する可能性が低い。
【実施例0247】
本明細書に記載される主題の様々な態様は、以下の番号付けされた実施例において説明される。
【0248】
実施例1-外科用器具の可撓性電極が開示される。可撓性電極は、高周波エネルギー源、感知電極、及び絶縁層に連結可能な治療用電極を含む。絶縁層は、治療用電極と感知電極との間に位置付けられる。治療用電極及び感知電極は、外科用器具の第1のジョーと第2のジョーとの間に位置付けられた組織に接触するように構成される。
【0249】
実施例2-治療用電極が矩形形状を含む、実施例1に記載の可撓性電極。
【0250】
実施例3-感知電極が治療用電極に重なっている、実施例1及び2のいずれか1つに記載の可撓性電極。
【0251】
実施例4-感知電極が、矩形部分と、矩形部分から延在する複数の指部と、を含むパターン形状を含む、実施例1~3のいずれか1つに記載の可撓性電極。
【0252】
実施例5-感知電極が、外科用器具の第1のジョーと第2のジョーとの間に位置付けられた組織のインピーダンスと、組織の電気的連続性と、組織内の温度遷移点と、のうちの少なくとも1つを決定するのを助けるように構成されている、実施例1~4のいずれか1つに記載の可撓性電極。
【0253】
実施例6-絶縁層が治療用感知電極に重なっている、実施例1、2、4、及び5のいずれか1つに記載の可撓性電極。
【0254】
実施例7-絶縁層が、矩形部分と、矩形部分から延在する複数の指部と、を含む、実施例1~6のいずれか1つに記載の可撓性電極。
【0255】
実施例8-絶縁層が感知電極と一致している、実施例1~7のいずれか1つに記載の可撓性電極。
【0256】
実施例9-絶縁層の可撓性が、治療用電極の可撓性及び感知電極の可撓性を超えている、実施例1~8のいずれか1つに記載の可撓性電極。
【0257】
実施例10-第2の絶縁層を更に備え、治療層が絶縁層と第2の絶縁(instulative)層との間に位置付けられている、実施例1~9のいずれか1つに記載の可撓性電極。
【0258】
実施例11-第3の絶縁層を更に備え、感知電極が絶縁層と第3の絶縁層との間に位置付けられている、実施例10に記載の可撓性電極。
【0259】
実施例12-外科用器具の可撓性電極アセンブリが開示される。可撓性電極アセンブリは、高周波エネルギー源に連結可能な第1及び第2の治療用電極と、外科用器具の第1のジョーと第2のジョーとの間に位置付けられた組織に関連付けられたパラメータを決定するのを助けるように構成された第1及び第2の感知電極と、を備える。可撓性電極アセンブリは、第1の治療用電極と第1の感知電極との間に位置付けられた第1の絶縁層と、第2の治療用電極と第2の感知電極との間に位置付けられた第2の絶縁層と、を更に備え、第1及び第2の治療用電極と第1及び第2の感知電極とは、組織に接触するように構成される。
【0260】
実施例13-第1の治療用電極、第1の感知電極、及び第1の絶縁層が、外科用器具のナイフスロットの第1の側に位置付けられ、第2の治療用電極、第2の感知電極、及び第1の絶縁層が、ナイフスロットの反対側に位置付けられている、実施例12に記載の可撓性電極アセンブリ。
【0261】
実施例14-第1及び第2の感知電極が、外科用器具の第1のジョーと第2のジョーとの間に位置付けられた組織のインピーダンスと、組織の電気的連続性と、組織内の温度遷移点と、のうちの少なくとも1つを決定するのを助けるように構成されている、実施例12及び13のいずれか1つに記載の可撓性電極アセンブリ。
【0262】
実施例15-第1及び第2の感知電極のそれぞれが、矩形部分と、矩形部分から延在する複数の指部と、を含むパターン形状を含む、実施例12~14のいずれか1つに記載の可撓性電極アセンブリ。
【0263】
実施例16-第1及び第2の絶縁層のそれぞれが、矩形部分と、矩形部分から延在する複数の指部と、を含むパターン形状を含む、実施例12~15のいずれか1つに記載の可撓性電極アセンブリ。
【0264】
実施例17-第1及び第2の絶縁層の可撓性が、第1及び第2の治療用電極の可撓性と、第1及び第2の感知電極の可撓性と、を超えている、実施例12~16のいずれか1つに記載の可撓性電極アセンブリ。
【0265】
実施例18-第1及び第2の感知電極が、第1のジョーと第2のジョーとの間の最小間隙を制御するように構成された導電性ギャップスペーサを形成する、実施例12~17のいずれか1つに記載の可撓性電極アセンブリ。
【0266】
実施例19-外科用器具のマルチレベル可撓性電極が開示される。マルチレベル可撓性電極は、第1、第2、及び第3の絶縁層を備える。マルチレベル可撓性電極は、治療用電極及び感知電極を更に備える。治療用電極は、第1の絶縁層と第2の絶縁層との間に位置付けられ、治療用電極は、高周波エネルギー源に連結可能である。感知電極は、第2の絶縁層と第3の絶縁層との間に位置付けられ、感知電極は、外科用器具の第1のジョーと第2のジョーとの間に位置付けられた組織に関連付けられたパラメータを決定するのを助けるように構成され、治療用電極及び感知電極は、組織に接触するように構成される。
【0267】
実施例20-感知電極が、外科用器具の第1のジョーと第2のジョーとの間に位置付けられた組織のインピーダンスと、組織の電気的連続性と、組織内の温度遷移点と、のうちの少なくとも1つを決定するのを助けるように構成されている、実施例19に記載のマルチレベル電極。
【0268】
いくつかの形態が例示され説明されてきたが、添付の「特許請求の範囲」をそのような詳述に制限又は限定することは、本出願人が意図するところではない。多数の修正、変形、変化、置換、組み合わせ及びこれらの形態の等価物を実装することができ、本開示の範囲から逸脱することなく当業者により想到されるであろう。更に、記述する形態に関連した各要素の構造は、その要素によって行われる機能を提供するための手段として代替的に説明することができる。また、材料が特定の構成要素に関して開示されているが、他の材料が使用されてもよい。したがって、上記の説明文及び添付の特許請求の範囲は、全てのそのような修正、組み合わせ、及び変形を、開示される形態の範囲に含まれるものとして網羅することを意図としたものである点を理解されたい。添付の特許請求の範囲は、全てのそのような修正、変形、変化、置換、修正、及び等価物を網羅することを意図する。
【0269】
上記の詳細な説明は、ブロック図、フローチャート、及び/又は実施例を用いて装置及び/又はプロセスの様々な形態について記載してきた。そのようなブロック図、フローチャート、及び/又は実施例が1つ若しくは2つ以上の機能及び/又は動作を含む限り、そのようなブロック図、フローチャート、及び/又は実施例に含まれるそれぞれの機能及び/又は動作は、多様なハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はこれらの事実上の任意の組み合わせによって、個々にかつ/又は集合的に実装され得ることが、当業者には理解されよう。当業者には、本明細書で開示される形態のうちのいくつかの態様の全部又は一部が、1台以上のコンピュータ上で稼働する1つ又は2つ以上のコンピュータプログラムとして(例えば、1台以上のコンピュータシステム上で稼働する1つ又は2つ以上のプログラムとして)、1つ又は2つ以上のプロセッサ上で稼働する1つ又は2つ以上のプログラムとして(例えば、1つ又は2つ以上のマイクロプロセッサ上で稼働する1つ又は2つ以上のプログラムとして)、ファームウェアとして、又はこれらの実質的に任意の組み合わせとして集積回路上で等価に実現することができ、また、回路を設計すること、並びに/又はソフトウェア及び/若しくはファームウェアのコードを記述することは、本開示を鑑みれば当業者の技能の範囲内に含まれることが理解されよう。更に、当業者には理解されることとして、本明細書に記載した主題の機構は、多様な形式で1つ又は2つ以上のプログラム製品として配布されることが可能であり、本明細書に記載した主題の具体的な形態は、配布を実際に行うために使用される信号搬送媒体の特定の種類にかかわらず用いられる。
【0270】
様々な開示された態様を実行するように論理をプログラムするために使用される命令は、DRAM、キャッシュ、フラッシュメモリ、又は他のストレージなどのシステム内メモリに記憶され得る。更に、命令は、ネットワークを介して、又は他のコンピュータ可読媒体によって分配され得る。したがって、機械可読媒体としては、機械(例えば、コンピュータ)によって読み出し可能な形態で情報を記憶又は送信するための任意の機構が挙げられ得るが、フロッピーディスケット、光ディスク、CD-ROM、並びに磁気光学ディスク、ROM、RAM、EPROM、EEPROM、磁気若しくは光カード、フラッシュメモリ、又は、電気的、光学的、音響的、若しくは他の形態の伝播信号(例えば、搬送波、IR信号、デジタル信号など)を介してインターネットを介した情報の送信に使用される有形機械可読ストレージに限定されない。したがって、非一時的コンピュータ可読媒体としては、機械(例えば、コンピュータ)によって読み出し可能な形態で電子命令又は情報を記憶又は送信するのに好適な任意の種類の有形機械可読媒体が挙げられる。
【0271】
本説明全体で使用される用語「無線」及びその派生語は、非固体媒体を介して変調電磁放射線の使用を通じてデータを通信し得る回路、装置、システム、方法、技術、通信チャネルなどを説明するために使用されてもよい。この用語は、関連する装置がいかなる有線も含まないことを意味するものではないが、一部の態様では、それらは存在しない可能性がある。通信モジュールは、Wi-Fi(IEEE802.11ファミリー)、WiMAX(IEEE802.16ファミリー)、IEEE802.20、LTE、Ev-DO、HSPA+、HSDPA+、HSUPA+、EDGE、GSM、GPRS、CDMA、TDMA、DECT、Bluetooth、これらのイーサネット派生物、のみならず3G、4G、5G、及びそれ以降と指定される任意の他の無線及び有線プロトコルが挙げられるがこれらに限定されない多数の無線又は有線通信規格又はプロトコルのうちのいずれかを実装してもよい。コンピューティングモジュールは、複数の通信モジュールを含んでもよい。例えば、第1の通信モジュールは、Wi-Fi及びBluetoothなどの短距離無線通信専用であってもよく、第2の通信モジュールは、GPS、EDGE、GPRS、CDMA、WiMAX、LTE、Ev-DOなどの長距離無線通信専用であってもよい。
【0272】
本明細書の任意の態様で使用されるとき、用語「制御回路」は、例えば、ハードワイヤード回路、プログラマブル回路(例えば、1つ又は2つ以上の個々の命令処理コアを含むコンピュータプロセッサ、処理ユニット、プロセッサ、マイクロコントローラ、マイクロコントローラユニット、コントローラ、DSP、PLD、プログラマブル論理アレイ(PLA)、又はFPGA)、状態機械回路、プログラマブル回路によって実行される命令を記憶するファームウェア、及びこれらの任意の組み合わせを指すことができる。制御回路は、集合的に又は個別に、例えば、集積回路(IC)、特定用途向け集積回路(ASIC)、システムオンチップ(SoC)、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、サーバ、スマートフォンなどの、より大きなシステムの一部を形成する回路として具現化され得る。したがって、本明細書で使用するとき、「制御回路」としては、少なくとも1つの個別の電気回路を有する電気回路、少なくとも1つの集積回路を有する電気回路、少なくとも1つの特定用途向け集積回路を有する電気回路、コンピュータプログラムによって構成された汎用コンピューティング装置(例えば、本明細書で説明したプロセス及び/若しくは装置を少なくとも部分的に実行するコンピュータプログラムによって構成された汎用コンピュータ、又は本明細書で説明したプロセス及び/若しくは装置を少なくとも部分的に実行するコンピュータプログラムによって構成されたマイクロプロセッサ)を形成する電気回路、メモリ装置(例えば、ランダムアクセスメモリの形態)を形成する電気回路、及び/又は通信装置(例えばモデム、通信スイッチ、又は光-電気設備)を形成する電気回路が挙げられるが、これらに限定されない。当業者は、本明細書で述べた主題が、アナログ若しくはデジタルの形式又はこれらのいくつかの組み合わせで実現されてもよいことを認識するであろう。
【0273】
本明細書で使用するとき、プロセッサ又は処理ユニットは、いくつかの外部データソース、通常はメモリ又は何らかの他のデータストリーム上で動作を実行する電子回路である。この用語は、本明細書では、多くの専用「プロセッサ」を組み合わせたシステム又はコンピュータシステム(特にSoC)内の中央プロセッサ(中央処理ユニット)を指すために使用される。
【0274】
本明細書で使用するとき、SoC又はシステムオンチップ(SOC)は、コンピュータ又は他の電子システムの全ての構成要素を統合するICである。これは、デジタル、アナログ、混合信号、及び多くの場合は高周波数機能を、全て単一の基材上に含むことができる。SoCは、マイクロコントローラ(又はマイクロプロセッサ)を、グラフィックス処理ユニット(GPU)、Wi-Fiモジュール、又はコプロセッサなどの最新の周辺装置と統合する。SoCは、内蔵メモリを含んでもよく、含まなくてもよい。
【0275】
本明細書で使用するとき、マイクロコントローラ又はコントローラは、マイクロプロセッサを周辺回路及びメモリと統合するシステムである。マイクロコントローラ(又はマイクロコントローラユニットのMCU)は、単一の集積回路上の小型コンピュータとして実装されてもよい。これはSoCと同様であってもよく、SoCは、その構成要素の1つとしてマイクロコントローラを含み得る。マイクロコントローラは、1つ又は2つ以上のコア処理ユニット(CPU)と共にメモリ及びプログラム可能な入力/出力周辺機器を収容することができる。強誘電性のRAM、NORフラッシュ、又はOTP ROMの形態のプログラムメモリ、及び少量のRAMもまた、チップ上にしばしば含まれる。マイクロコントローラは、パーソナルコンピュータ又は様々な個別のチップで構成された他の汎用用途で使用されるマイクロプロセッサとは対照的に、組み込み型用途用に採用され得る。
【0276】
本明細書で使用するとき、コントローラ又はマイクロコントローラという用語は、周辺装置とインターフェースするスタンドアロンIC又はチップ装置であってもよい。これは、その装置の動作(及び装置との接続)を管理する外部装置上のコンピュータ又はコントローラの2つの部分間の連結部であってもよい。
【0277】
本明細書で説明されるプロセッサ又はマイクロコントローラはいずれも、Texas Instruments製のARM Cortexの商品名で知られているものなど、任意のシングルコア又はマルチコアプロセッサであってもよい。一態様では、プロセッサは、例えば、その詳細が製品データシートで入手可能である、最大40MHzの256KBのシングルサイクルフラッシュメモリ若しくは他のNVM、性能を40MHz超に改善するためのプリフェッチバッファ、32KBのシングルサイクルSRAM、StellarisWare(登録商標)ソフトウェアを搭載した内部ROM、2KBの電気的EEPROM、1つ若しくは2つ以上のPWMモジュール、1つ若しくは2つ以上のQEIアナログ、又は12個のアナログ入力チャネルを有する1つ若しくは2つ以上の12ビットADCを含む、Texas Instrumentsから入手可能なLM4F230H5QR ARM Cortex-M4Fプロセッサコアであってもよい。
【0278】
一態様では、プロセッサは、同じくTexas Instruments製のHercules ARM Cortex R4の商品名で知られるTMS570及びRM4xなどの2つのコントローラ系ファミリーを含む安全コントローラを含んでもよい。安全コントローラは、拡張性のある性能、接続性、及びメモリの選択肢を提供しながら、高度な集積型安全機構を提供するために、中でも特に、IEC61508及びISO26262の安全限界用途専用に構成されてもよい。
【0279】
本明細書の任意の態様で使用するとき、用語「論理」は、前述の動作のいずれかを実行するように構成されたアプリケーション、ソフトウェア、ファームウェア、及び/又は回路を指す場合がある。ソフトウェアは、非一時的コンピュータ可読記憶媒体上に記録されたソフトウェアパッケージ、コード、命令、命令セット、及び/又はデータとして具現化されてもよい。ファームウェアは、メモリ装置内のコード、命令、若しくは命令セット、及び/又はハードコードされた(例えば、不揮発性の)データとして具現化されてもよい。
【0280】
本明細書の任意の態様で使用するとき、用語「構成要素」、「システム」、「モジュール」などは、ハードウェア、ハードウェアとソフトウェアとの組み合わせ、ソフトウェア、又は実行中のソフトウェアのいずれかであるコンピュータ関連エンティティを指すことができる。
【0281】
本明細書の任意の態様で使用するとき、「アルゴリズム」とは、所望の結果につながる工程の自己無撞着シーケンスを指し、「工程」とは、必ずしも必要ではないが、記憶、転送、結合、比較、及び別様に操作されることが可能な電気又は磁気信号の形態をなすことができる物理量及び/又は論理状態の操作を指す。これらの信号を、ビット、値、要素、記号、文字、用語、番号などとして言及することが一般的な扱い方である。これらの及び類似の用語は、適切な物理量と関連付けられてもよく、また単に、これらの量及び/又は状態に適用される便利なラベルである。
【0282】
ネットワークとしては、パケット交換ネットワークが挙げられ得る。通信装置は、選択されたパケット交換ネットワーク通信プロトコルを使用して、互いに通信することができる。1つの例示的な通信プロトコルとしては、伝送制御プロトコル/インターネットプロトコル(TCP/IP)を使用して通信を可能にすることができるイーサネット通信プロトコルが挙げられ得る。イーサネットプロトコルは、Institute of Electrical and Electronics Engineers(IEEE)によって発行された2008年12月発行の表題「IEEE 802.3 Standard」、及び/又は本規格の後のバージョンのイーサネット規格に準拠するか、又は互換性があり得る。代替的に又は追加的に、通信装置は、X.25通信プロトコルを使用して互いに通信することができる。X.25通信プロトコルは、International Telecommunication Union-Telecommunication Standardization Sector(ITU-T)によって公布された規格に準拠するか、又は互換性があり得る。代替的に又は追加的に、通信装置は、フレームリレー通信プロトコルを使用して互いに通信することができる。フレームリレー通信プロトコルは、Consultative Committee for International Telegraph and Telephone(CCITT)及び/又はthe American National Standards Institute(ANSI)によって公布された規格に準拠するか、又は互換性があり得る。代替的に又は追加的に、送受信機は、非同期転送モード(ATM)通信プロトコルを使用して互いに通信することが可能であり得る。ATM通信プロトコルは、ATM Forumによって「ATM-MPLS Network Interworking 2.0」という題で2001年8月に公開されたATM規格及び/又は本規格の後のバージョンに準拠するか、又は互換性があり得る。当然のことながら、異なる及び/又は後に開発されたコネクション型ネットワーク通信プロトコルは、本明細書で等しく企図される。
【0283】
別段の明確な定めがない限り、前述の開示から明らかなように、前述の開示全体を通じて、「処理する」、「計算する」、「算出する」、「決定する」、「表示する」などの用語を使用する議論は、コンピュータシステムのレジスタ及びメモリ内で物理(電子的)量として表現されるデータを、コンピュータシステムのメモリ若しくはレジスタ又はそのような情報記憶、伝送、若しくは表示装置内で物理量として同様に表現される他のデータへと操作し変換する、コンピュータシステム又は類似の電子計算装置の動作及び処理を指していることが理解されよう。
【0284】
1つ又は2つ以上の構成要素が、本明細書中で、「ように構成される(configured to)」、「ように構成可能である(configurable to)」、「動作可能である/ように動作する(operable/operative to)」、「適合される/適合可能である(adapted/adaptable)」、「ことが可能である(able to)」、「準拠可能である/準拠する(conformable/conformed to)」などと言及され得る。当業者は、「ように構成される」は、一般に、文脈上他の意味に解釈すべき場合を除き、アクティブ状態の構成要素及び/又は非アクティブ状態の構成要素及び/又はスタンドバイ状態の構成要素を包含し得ることを理解するであろう。
【0285】
「近位」及び「遠位」という用語は、本明細書では、外科用器具のハンドル部分を操作する臨床医を基準として使用される。「近位」なる用語は、臨床医に最も近い部分を指し、「遠位」なる用語は、臨床医から離れた位置にある部分を指す。便宜上、かつ明確にするため、「垂直」、「水平」、「上」、「下」、「左」、及び「右」などの空間用語は図面に関して本明細書では使用される場合があることが更に理解されよう。しかしながら、外科用器具は、多くの向き及び位置で使用されるものであり、これらの用語は限定的及び/又は絶対的であることを意図したものではない。
【0286】
モジュール式装置は、外科用ハブ内に受容可能な(例えば
図3及び
図9に関連して説明される)モジュールと、対応する外科用ハブと接続又はペアリングするために様々なモジュールに接続され得る外科用装置又は器具と、を含む。モジュール式装置としては、例えば、インテリジェント外科用器具、医療用撮像装置、吸引/灌注装置、排煙器、エネルギー発生器、ベンチレータ、吸入器、及びディスプレイが挙げられる。本明細書に記載されるモジュール式装置は、制御アルゴリズムによって制御することができる。制御アルゴリズムは、モジュール式装置自体上で、特定のモジュール式装置がペアリングされる外科用ハブ上で、又はモジュール式装置及び外科用ハブの両方の上で(例えば、分散コンピューティングアーキテクチャを介して)、実行され得る。いくつかの例示では、モジュール式装置の制御アルゴリズムは、モジュール式装置自体によって(すなわち、モジュール式装置内の、モジュール式装置上の、又はモジュール式装置に接続されたセンサによって)感知されたデータに基づいて装置を制御する。このデータは、手術中の患者(例えば、組織特性又は注入圧)又はモジュール式装置自体(例えば、前進するナイフの速度、モータ電流、又はエネルギーレベル)に関連し得る。例えば、外科用ステープル留め及び切断器具の制御アルゴリズムは、ナイフが前進する際にナイフが遭遇する抵抗に基づき、器具のモータが組織を貫いてそのナイフを駆動させる速度を制御することができる。
【0287】
当業者は、一般に、本明細書で使用され、かつ特に添付の特許請求の範囲(例えば、添付の特許請求の範囲の本文)で使用される用語は、概して「オープンな」用語として意図されるものである(例えば、「含む(including)」という用語は、「~を含むが、それらに限定されない(including but not limited to)」と解釈されるべきであり、「有する(having)」という用語は「~を少なくとも有する(having at least)」と解釈されるべきであり、「含む(includes)」という用語は「~を含むが、それらに限定されない(includes but is not limited to)」と解釈されるべきであるなど)ことを理解するであろう。更に、導入された請求項記載(introduced claim recitation)において特定の数が意図される場合、かかる意図は当該請求項中に明確に記載され、またかかる記載がない場合は、かかる意図は存在しないことが、当業者には理解されるであろう。例えば、理解を助けるものとして、後続の添付の特許請求の範囲は、「少なくとも1つの(at least one)」及び「1つ以上の(one or more)」という導入句を、請求項記載を導入するために含むことがある。しかしながら、かかる句の使用は、「a」又は「an」という不定冠詞によって請求項記載を導入した場合に、たとえ同一の請求項内に「1つ以上の」又は「少なくとも1つの」といった導入句及び「a」又は「an」という不定冠詞が含まれる場合であっても、かかる導入された請求項記載を含むいかなる特定の請求項も、かかる記載事項を1つのみ含む請求項に限定されると示唆されるものと解釈されるべきではない(例えば、「a」及び/又は「an」は通常、「少なくとも1つの」又は「1つ以上の」を意味するものと解釈されるべきである)。定冠詞を使用して請求項記載を導入する場合にも、同様のことが当てはまる。
【0288】
更に、導入された請求項記載において特定の数が明示されている場合であっても、かかる記載は、典型的には、少なくとも記載された数を意味するものと解釈されるべきであることが、当業者には認識されるであろう(例えば、他に修飾語のない、単なる「2つの記載事項」という記載がある場合、一般的に、少なくとも2つの記載事項、又は2つ以上の記載事項を意味する)。更に、「A、B、及びCなどのうちの少なくとも1つ」に類する表記が用いられる場合、一般に、かかる構文は、当業者がその表記を理解するであろう意味で意図されている(例えば、「A、B、及びCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、限定するものではないが、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとBの両方、AとCの両方、BとCの両方、及び/又はAとBとCの全てなどを有するシステムを含む)。「A、B、又はCなどのうちの少なくとも1つ」に類する表記が用いられる場合、一般に、かかる構文は、当業者がその表記を理解するであろう意味で意図されている(例えば、「A、B、又はCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、限定するものではないが、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとBの両方、AとCの両方、BとCの両方、及び/又はAとBとCの全てなどを有するシステムを含む)。更に、典型的には、2つ若しくは3つ以上の選択的な用語を表すあらゆる選言的な語及び/又は句は、文脈上他の意味に解釈すべき場合を除いて、明細書内であろうと、請求の範囲内であろうと、あるいは図面内であろうと、それら用語のうちの1つ、それらの用語のうちのいずれか、又はそれらの用語の両方を含む可能性を意図すると理解されるべきであることが、当業者には理解されよう。例えば、「A又はB」という句は、典型的には、「A」又は「B」又は「A及びB」の可能性を含むものと理解されよう。
【0289】
添付の特許請求の範囲に関して、当業者は、本明細書における引用した動作は一般に、任意の順序で実施され得ることを理解するであろう。また、様々な動作のフロー図がシーケンス(複数可)で示されているが、様々な動作は、例示されたもの以外の順序で行われてもよく、又は同時に行われてもよいことが理解されるべきである。かかる代替の順序付けの例は、文脈上他の意味に解釈すべき場合を除いて、重複、交互配置、割り込み、再順序付け、増加的、予備的、追加的、同時、逆、又は他の異なる順序付けを含んでもよい。更に、「~に応答する」、「~に関連する」といった用語、又は他の過去時制の形容詞は、一般に、文脈上他の意味に解釈すべき場合を除き、かかる変化形を除外することが意図されるものではない。
【0290】
「一態様」、「態様」、「例示」、「一例示」などへの任意の参照は、その態様に関連して記載される特定の機構、構造、又は特性が少なくとも1つの態様に含まれると意味することは特記に値する。したがって、本明細書の全体を通じて様々な場所に見られる語句「一態様では」、「態様では」、「例示では」、及び「一例示では」は、必ずしも全てが同じ態様を指すものではない。更に、特定の特徴、構造、又は特性は、1つ又は2つ以上の態様において任意の好適な様態で組み合わせることができる。
【0291】
本明細書で参照され、かつ/又は任意の出願データシートに列挙される任意の特許出願、特許、非特許刊行物、又は他の開示資料は、組み込まれる資料が本明細書と矛盾しない範囲で、参照により本明細書に組み込まれる。それ自体、また必要な範囲で、本明細書に明瞭に記載される開示内容は、参考として本明細書に組み込まれているあらゆる矛盾する記載に優先するものとする。現行の定義、見解、又は本明細書に記載されるその他の開示内容と矛盾する任意の内容、又はそれらの部分は本明細書に参考として組み込まれるものとするが、参照内容と現行の開示内容との間に矛盾が生じない範囲においてのみ、参照されるものとする。
【0292】
要約すると、本明細書に記載した構想を用いる結果として得られる多くの利益が記載されてきた。1つ又は2つ以上の形態の上述の記載は、例示及び説明を目的として提示されているものである。包括的であることも、開示された厳密な形態に限定することも意図されていない。上記の教示を鑑みて、修正又は変形が可能である。1つ又は2つ以上の形態は、原理及び実際の応用について例示し、それによって、様々な形態を様々な修正例と共に、想到される特定の用途に適するものとして当業者が利用できるようにするために、選択され記載されたものである。本明細書と共に提示される特許請求の範囲が全体的な範囲を定義することが意図される。
【0293】
〔実施の態様〕
(1) 外科用器具の可撓性電極であって、前記可撓性電極は、
高周波エネルギー源に連結可能な治療用電極と、
感知電極と、
前記治療用電極と前記感知電極との間に位置付けられた絶縁層と、を備え、前記治療用電極及び前記感知電極は、前記外科用器具の第1のジョーと第2のジョーとの間に位置付けられた組織に接触するように構成されている、可撓性電極。
(2) 前記治療用電極が矩形形状を含む、実施態様1に記載の可撓性電極。
(3) 前記感知電極が前記治療用電極に重なっている、実施態様1に記載の可撓性電極。
(4) 前記感知電極が、矩形部分と、前記矩形部分から延在する複数の指部と、を含むパターン形状を含む、実施態様1に記載の可撓性電極。
(5) 前記感知電極が、
前記外科用器具の前記第1のジョーと前記第2のジョーとの間に位置付けられた前記組織のインピーダンスと、
前記組織の電気的連続性と、
前記組織内の温度遷移点と、のうちの少なくとも1つを決定するのを助けるように構成されている、実施態様1に記載の可撓性電極。
【0294】
(6) 前記絶縁層が前記治療用電極に重なっている、実施態様1に記載の可撓性電極。
(7) 前記絶縁層が、矩形部分と、前記矩形部分から延在する複数の指部と、を含む、実施態様1に記載の可撓性電極。
(8) 前記絶縁層が前記感知電極と一致している、実施態様1に記載の可撓性電極。
(9) 前記絶縁層の可撓性が、
前記治療用電極の可撓性と、
前記感知電極の可撓性と、を超えている、実施態様1に記載の可撓性電極。
(10) 第2の絶縁層を更に備え、前記治療用電極が前記絶縁層と前記第2の絶縁層との間に位置付けられている、実施態様1に記載の可撓性電極。
【0295】
(11) 第3の絶縁層を更に備え、前記感知電極が前記絶縁層と前記第3の絶縁層との間に位置付けられている、実施態様10に記載の可撓性電極。
(12) 外科用器具の可撓性電極アセンブリであって、前記可撓性電極アセンブリは、
高周波エネルギー源に連結可能な第1及び第2の治療用電極と、
前記外科用器具の第1のジョーと第2のジョーとの間に位置付けられた組織に関連付けられたパラメータを決定するのを助けるように構成された第1及び第2の感知電極と、
前記第1の治療用電極と前記第1の感知電極との間に位置付けられた第1の絶縁層と、
前記第2の治療用電極と前記第2の感知電極との間に位置付けられた第2の絶縁層と、を備え、前記第1及び第2の治療用電極並びに前記第1及び第2の感知電極は、前記組織に接触するように構成されている、可撓性電極アセンブリ。
(13) 前記第1の治療用電極、前記第1の感知電極、及び前記第1の絶縁層が、前記外科用器具のナイフスロットの第1の側に位置付けられ、
前記第2の治療用電極、前記第2の感知電極、及び前記第1の絶縁層が、前記ナイフスロットの反対側に位置付けられている、実施態様12に記載の可撓性電極アセンブリ。
(14) 前記第1及び第2の感知電極が、
前記外科用器具の前記第1のジョーと前記第2のジョーとの間に位置付けられた前記組織のインピーダンスと、
前記組織の電気的連続性と、
前記組織内の温度遷移点と、のうちの少なくとも1つを決定するのを助けるように構成されている、実施態様12に記載の可撓性電極アセンブリ。
(15) 前記第1及び第2の感知電極のそれぞれが、矩形部分と、前記矩形部分から延在する複数の指部と、を含むパターン形状を含む、実施態様12に記載の可撓性電極アセンブリ。
【0296】
(16) 前記第1及び第2の絶縁層のそれぞれが、矩形部分と、前記矩形部分から延在する複数の指部と、を含むパターン形状を含む、実施態様12に記載の可撓性電極アセンブリ。
(17) 前記第1及び第2の絶縁層の可撓性が、
前記第1及び第2の治療用電極の可撓性と、
前記第1及び第2の感知電極の可撓性と、を超えている、実施態様12に記載の可撓性電極アセンブリ。
(18) 前記第1及び第2の感知電極が、前記第1のジョーと前記第2のジョーとの間の最小間隙を制御するように構成された導電性ギャップスペーサを形成する、実施態様12に記載の可撓性電極アセンブリ。
(19) 外科用器具のマルチレベル可撓性電極であって、前記マルチレベル可撓性電極は、
第1、第2、及び第3の絶縁層と、
前記第1の絶縁層と前記第2の絶縁層との間に位置付けられた治療用電極であって、前記治療用電極は、高周波エネルギー源に連結可能である、治療用電極と、
前記第2の絶縁層と前記第3の絶縁層との間に位置付けられた感知電極と、を備え、前記感知電極は、前記外科用器具の第1のジョーと第2のジョーとの間に位置付けられた組織に関連付けられたパラメータを決定するのを助けるように構成されており、前記治療用電極及び前記感知電極は、前記組織に接触するように構成されている、マルチレベル可撓性電極。
(20) 前記感知電極が、
前記外科用器具の前記第1のジョーと前記第2のジョーとの間に位置付けられた前記組織のインピーダンスと、
前記組織の電気的連続性と、
前記組織内の温度遷移点と、のうちの少なくとも1つを決定するのを助けるように構成されている、実施態様19に記載のマルチレベル可撓性電極。